第18章 RHEL システムロールを使用した Microsoft SQL Server の設定


microsoft.sql.server Ansible システムロールを使用して、Microsoft SQL Server のインストールと管理を自動化できます。このロールは、mssql TuneD プロファイルを適用して Red Hat Enterprise Linux (RHEL) を最適化し、SQL Server のパフォーマンスとスループットを向上させます。

注記

このロールは、インストール中に SQL Server および関連パッケージのリポジトリーを管理対象ホストに追加します。これらのリポジトリー内のパッケージは、Microsoft によって提供、保守、ホストされています。

18.1. microsoft.sql.server Ansible システムロールと既存の証明書ファイルを使用して SQL Server をインストールおよび設定する

アプリケーションに Microsoft SQL Server データベースが必要な場合は、TLS 暗号化を使用して SQL Server を設定し、アプリケーションとデータベース間のセキュアな通信を有効にできます。microsoft.sql.server Ansible システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、TLS 暗号化を使用して SQL Server をリモートでインストールおよび設定できます。Playbook で、既存の秘密鍵と、認証局 (CA) によって発行された TLS 証明書を使用できます。

管理対象ホストの RHEL バージョンに応じて、インストールできる SQL Server のバージョンが異なります。

  • RHEL 7.9: SQL Server 2017 および 2019
  • RHEL 8: SQL Server 2017、2019、および 2022
  • RHEL 9.4 以降: SQL Server 2022

前提条件

  • コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している
  • 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
  • 管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する sudo 権限がある。
  • ansible-collection-microsoft-sql パッケージまたは microsoft.sql コレクションコントロールノードがインストールされている。
  • 管理対象ノードに 2 GB 以上の RAM がインストールされている。
  • 管理対象ノードが、RHEL 7.9、RHEL 8、RHEL 9.4 以降のいずれかのバージョンを使用している。
  • 証明書が、Playbook と同じディレクトリーの sql_crt.pem ファイルに保存されている。
  • 秘密鍵が、Playbook と同じディレクトリーの sql_cert.key ファイルに保存されている。
  • SQL クライアントによって証明書を発行した CA が信頼されている。

手順

  1. 機密性の高い変数を暗号化されたファイルに保存します。

    1. vault を作成します。

      $ ansible-vault create vault.yml
      New Vault password: <vault_password>
      Confirm New Vault password: <vault_password>
    2. ansible-vault create コマンドでエディターが開いたら、機密データを <key>: <value> 形式で入力します。

      sa_pwd: <sa_password>
    3. 変更を保存して、エディターを閉じます。Ansible は vault 内のデータを暗号化します。
  2. 次の内容を含む Playbook ファイル (例: ~/playbook.yml) を作成します。

    ---
    - name: Installing and configuring Microsoft SQL Server
      hosts: managed-node-01.example.com
      vars_files:
        - vault.yml
      tasks:
        - name: SQL Server with an existing private key and certificate
          ansible.builtin.include_role:
            name: microsoft.sql.server
          vars:
            mssql_accept_microsoft_odbc_driver_17_for_sql_server_eula: true
            mssql_accept_microsoft_cli_utilities_for_sql_server_eula: true
            mssql_accept_microsoft_sql_server_standard_eula: true
    
            mssql_version: 2022
            mssql_password: "{{ sa_pwd  }}"
            mssql_edition: Developer
            mssql_tcp_port: 1433
            mssql_manage_firewall: true
    
            mssql_tls_enable: true
            mssql_tls_cert: sql_crt.pem
            mssql_tls_private_key: sql_cert.key
            mssql_tls_version: 1.2
            mssql_tls_force: true

    サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。

    mssql_tls_enable: true
    TLS 暗号化を有効にします。この設定を有効にする場合は、mssql_tls_certmssql_tls_private_key も定義する必要があります。
    mssql_tls_cert: <path>
    コントロールノードに保存されている TLS 証明書へのパスを設定します。ロールは、このファイルを管理対象ノードの /etc/pki/tls/certs/ ディレクトリーにコピーします。
    mssql_tls_private_key: <path>
    コントロールノード上の TLS 秘密鍵へのパスを設定します。ロールは、このファイルを管理対象ノードの /etc/pki/tls/private/ ディレクトリーにコピーします。
    mssql_tls_force: true
    宛先ディレクトリー内の TLS 証明書および秘密鍵を置き換えます (存在する場合)。

    Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの /usr/share/ansible/roles/microsoft.sql-server/README.md ファイルを参照してください。

  3. Playbook の構文を検証します。

    $ ansible-playbook --ask-vault-pass --syntax-check ~/playbook.yml

    このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。

  4. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --ask-vault-pass ~/playbook.yml

検証

  • SQL Server ホストで、-N パラメーターを指定した sqlcmd ユーティリティーを使用して、SQL Server への暗号化された接続を確立し、クエリーを実行します。次に例を示します。

    $ /opt/mssql-tools/bin/sqlcmd -N -S server.example.com -U "sa" -P <sa_password> -Q 'SELECT SYSTEM_USER'

    コマンドが成功した場合、サーバーへの接続は TLS で暗号化されています。

関連情報

  • /usr/share/ansible/roles/microsoft.sql-server/README.md ファイル
  • Ansible vault
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