11.9. 高可用性クラスターでの Corosync 値の設定


(RHEL 9.1 以降) corosync.conf ファイルは、Pacemaker の基盤となるクラスターメンバーシップおよびメッセージングレイヤーである Corosync によって使用されるクラスターパラメーターを提供します。corosync.conf ファイル内のいくつかのデフォルトパラメーターは、ご使用のシステムの設定に合わせて変更できます。一般的に、corosync.conf ファイルを直接編集することは推奨されません。ただし、ha_cluster RHEL システムロールを使用して Corosync 値を設定することはできます。

次の手順の例では、ha_cluster RHEL システムロールを使用して、Corosync 値を設定する高可用性クラスターを作成します。

警告

ha_cluster RHEL システムロールは、指定されたノードの既存のクラスター設定を置き換えます。Playbook に指定されていない設定はすべて失われます。

前提条件

  • コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している
  • 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
  • 管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する sudo 権限がある。
  • クラスターメンバーとして使用するシステムには、RHEL および RHEL High Availability Add-On のアクティブなサブスクリプションがある。
  • ha_cluster RHEL システムロールのインベントリーの指定 で説明されているように、インベントリーファイルでクラスターノードが指定されている。インベントリーファイルの作成に関する一般的な情報については、RHEL 9 でのコントロールノードの準備 を参照してください。

手順

  1. 機密性の高い変数を暗号化されたファイルに保存します。

    1. vault を作成します。

      $ ansible-vault create vault.yml
      New Vault password: <vault_password>
      Confirm New Vault password: <vault_password>
    2. ansible-vault create コマンドでエディターが開いたら、機密データを <key>: <value> 形式で入力します。

      cluster_password: <cluster_password>
    3. 変更を保存して、エディターを閉じます。Ansible は vault 内のデータを暗号化します。
  2. 次の内容を含む Playbook ファイル (例: ~/playbook.yml) を作成します。

    ---
    - name: Create a high availability cluster
      hosts: node1 node2
      vars_files:
        - vault.yml
      tasks:
        - name: Create cluster that configures Corosync values
          ansible.builtin.include_role:
            name: rhel-system-roles.ha_cluster
          vars:
            ha_cluster_cluster_name: my-new-cluster
            ha_cluster_hacluster_password: "{{ cluster_password }}"
            ha_cluster_manage_firewall: true
            ha_cluster_manage_selinux: true
            ha_cluster_transport:
              type: knet
              options:
                - name: ip_version
                  value: ipv4-6
                - name: link_mode
                  value: active
              links:
                -
                  - name: linknumber
                    value: 1
                  - name: link_priority
                    value: 5
                -
                  - name: linknumber
                    value: 0
                  - name: link_priority
                    value: 10
              compression:
                - name: level
                  value: 5
                - name: model
                  value: zlib
              crypto:
                - name: cipher
                  value: none
                - name: hash
                  value: none
            ha_cluster_totem:
              options:
                - name: block_unlisted_ips
                  value: 'yes'
                - name: send_join
                  value: 0
            ha_cluster_quorum:
              options:
                - name: auto_tie_breaker
                  value: 1
                - name: wait_for_all
                  value: 1

    サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。

    ha_cluster_cluster_name: <cluster_name>
    作成するクラスターの名前。
    ha_cluster_hacluster_password: <password>
    hacluster ユーザーのパスワード。hacluster ユーザーには、クラスターへのフルアクセス権が付与されます。
    ha_cluster_manage_firewall: true
    ha_cluster RHEL システムロールがファイアウォールを管理するかどうかを決定する変数。
    ha_cluster_manage_selinux: true
    ha_cluster RHEL システムロールが selinux RHEL システムロールを使用してファイアウォール高可用性サービスのポートを管理するかどうかを決定する変数。
    ha_cluster_transport: <transport_method>
    クラスターの転送方法を設定する変数。
    ha_cluster_totem: <totem_options>
    Corosync トーテムオプションを設定する変数。
    ha_cluster_quorum: <quorum_options>
    クラスタークォーラムオプションを設定する変数。

    Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの /usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.ha_cluster/README.md ファイルを参照してください。

  3. Playbook の構文を検証します。

    $ ansible-playbook --ask-vault-pass --syntax-check ~/playbook.yml

    このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。

  4. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --ask-vault-pass ~/playbook.yml

関連情報

  • /usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.ha_cluster/README.md ファイル
  • /usr/share/doc/rhel-system-roles/ha_cluster/ ディレクトリー
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