11.7. フェンシングレベルを使用した高可用性クラスターの設定


(RHEL 9.4 以降) ノードに複数のフェンシングデバイスを設定する場合、Pacemaker がデバイスを使用してノードをフェンシングしようとする順序を決定するために、それらのデバイスのフェンシングレベルを定義する必要があります。フェンシングレベルの詳細は、フェンシングレベルの設定 を参照してください。

次の手順の例では、ha_cluster RHEL システムロールを使用して、フェンシングレベルを定義する高可用性クラスターを作成します。

警告

ha_cluster RHEL システムロールは、指定されたノードの既存のクラスター設定を置き換えます。Playbook に指定されていない設定はすべて失われます。

前提条件

  • コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している
  • 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
  • 管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する sudo 権限がある。
  • クラスターメンバーとして使用するシステムには、RHEL および RHEL High Availability Add-On のアクティブなサブスクリプションがある。
  • ha_cluster RHEL システムロールのインベントリーの指定 で説明されているように、インベントリーファイルでクラスターノードが指定されている。インベントリーファイルの作成に関する一般的な情報については、RHEL 9 でのコントロールノードの準備 を参照してください。

手順

  1. 機密性の高い変数を暗号化されたファイルに保存します。

    1. vault を作成します。

      $ ansible-vault create vault.yml
      New Vault password: <vault_password>
      Confirm New Vault password: <vault_password>
    2. ansible-vault create コマンドでエディターが開いたら、機密データを <key>: <value> 形式で入力します。

      cluster_password: <cluster_password>
      fence1_password: <fence1_password>
      fence2_password: <fence2_password>
    3. 変更を保存して、エディターを閉じます。Ansible は vault 内のデータを暗号化します。
  2. Playbook ファイル (例: ~/playbook.yml) を作成します。このサンプル Playbook ファイルは、firewalld および selinux サービスを実行するクラスターを設定します。

    ---
    - name: Create a high availability cluster
      hosts: node1 node2
      vars_files:
        - vault.yml
      tasks:
        - name: Configure a cluster that defines fencing levels
          ansible.builtin.include_role:
            name: rhel-system-roles.ha_cluster
          vars:
            ha_cluster_cluster_name: my-new-cluster
            ha_cluster_hacluster_password: "{{ cluster_password }}"
            ha_cluster_manage_firewall: true
            ha_cluster_manage_selinux: true
            ha_cluster_resource_primitives:
              - id: apc1
                agent: 'stonith:fence_apc_snmp'
                instance_attrs:
                  - attrs:
                      - name: ip
                        value: apc1.example.com
                      - name: username
                        value: user
                      - name: password
                        value: "{{ fence1_password }}"
                      - name: pcmk_host_map
                        value: node1:1;node2:2
              - id: apc2
                agent: 'stonith:fence_apc_snmp'
                instance_attrs:
                  - attrs:
                      - name: ip
                        value: apc2.example.com
                      - name: username
                        value: user
                      - name: password
                        value: "{{ fence2_password }}"
                      - name: pcmk_host_map
                        value: node1:1;node2:2
            # Nodes have redundant power supplies, apc1 and apc2. Cluster must
            # ensure that when attempting to reboot a node, both power
            # supplies # are turned off before either power supply is turned
            # back on.
            ha_cluster_stonith_levels:
              - level: 1
                target: node1
                resource_ids:
                  - apc1
                  - apc2
              - level: 1
                target: node2
                resource_ids:
                  - apc1
                  - apc2

    サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。

    ha_cluster_cluster_name: <cluster_name>
    作成するクラスターの名前。
    ha_cluster_hacluster_password: <password>
    hacluster ユーザーのパスワード。hacluster ユーザーには、クラスターへのフルアクセス権が付与されます。
    ha_cluster_manage_firewall: true
    ha_cluster RHEL システムロールがファイアウォールを管理するかどうかを決定する変数。
    ha_cluster_manage_selinux: true
    ha_cluster RHEL システムロールが selinux RHEL システムロールを使用してファイアウォール高可用性サービスのポートを管理するかどうかを決定する変数。
    ha_cluster_resource_primitives: <cluster_resources>
    ha_cluster RHEL システムロールによって設定される Pacemaker リソース (フェンシングを含む) のリソース定義のリスト。
    ha_cluster_stonith_levels: <stonith_levels>
    フェンシングトポロジーとも呼ばれる STONITH レベルを定義する変数。複数のデバイスを使用してノードをフェンスするようにクラスターを設定します。

    Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの /usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.ha_cluster/README.md ファイルを参照してください。

  3. Playbook の構文を検証します。

    $ ansible-playbook --syntax-check --ask-vault-pass ~/playbook.yml

    このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。

  4. Playbook を実行します。

    $ ansible-playbook --ask-vault-pass ~/playbook.yml

関連情報

  • /usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.ha_cluster/README.md ファイル
  • /usr/share/doc/rhel-system-roles/ha_cluster/ ディレクトリー
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