6.4. GFS2 によるパフォーマンスチューニング


通常は、面倒なアプリケーションのデータ格納方法を変更すると、パフォーマンスを大幅に向上させることができます。

面倒なアプリケーションの典型的な例は、メールサーバーです。このアプリケーションは多くの場合、各ユーザーのファイルを含むスプールディレクトリー (mbox)、または各メッセージのファイルを含む各ユーザーのディレクトリー (maildir) に配置されます。要求が IMAP 経由で到達する場合は、各ユーザーに特定のノードへのアフィニティーを与えることが理想的です。このようにして、電子メールメッセージの表示や削除の要求は、そのノードのキャッシュから提供される傾向があります。当然ながら、そのノードに障害が発生すると、セッションを別のノードで再起動できます。

SMTP でメールが届くと、デフォルトでは特定ユーザーのメールを特定のノードに渡すように個別のノードを設定できます。デフォルトノードが起動していない場合は、受信側のノードにより、メッセージがユーザーのメールスプールに直接保存されます。この設計は、通常のケースで 1 つのノードにキャッシュされた特定のファイルセットを維持することを目的としていますが、ノードに障害が発生した時にはダイレクトアクセスを許可します。

この設定により、GFS2 のページキャッシュを最大限に活用することができ、また障害が発生してもアプリケーション (imapsmtp) に対して透過的になります。

バックアップも、扱いにくい分野です。繰り返しますが、可能であれば、各ノードのワーキングセットを、その特定の inode のセットをキャッシュしているノードから直接バックアップを作成することが強く推奨されます。通常の時点で実行するバックアップスクリプトがあり、GFS2 で実行しているアプリケーションの応答時間が急に増大した思われる場合は、クラスターがページキャッシュを最も効率的に使用していない可能性が高くなります。

当然ながら、バックアップを実行するためにアプリケーションを停止できる場合は、特に問題にはなりません。一方、バックアップが 1 つのノードのみから実行する場合は、バックアップ完了後にそのノード上にファイルシステムの大部分がキャッシュされ、他のノードからの後続アクセスのパフォーマンスが低下します。次のコマンドを実行すると、バックアップ完了後にバックアップノード上の VFS ページキャッシュをドロップすることで、パフォーマンスの低下をある程度緩和できます。

echo -n 3 >/proc/sys/vm/drop_caches

ただし、この方法は、各ノードのワーキングセットが共有されているか、大半がクラスター全体で読み取り専用であるか、1 つのノードから大部分がアクセスされるようにするのと比べると、あまり良い解決策ではありません。

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