第2章 Migration Toolkit for Runtimes
Migration Toolkit for Runtimes とは
Migration Toolkit for Runtimes (MTR) は、Java アプリケーションの移行およびモダナイゼーションを簡素化する拡張可能でカスタマイズ可能なルールベースのツールです。
MTR は、プロジェクトソースディレクトリーやアプリケーションアーカイブを含むアプリケーションアーティファクトを検査し、変更を必要とするエリアを強調表示する HTML レポートを作成します。MTR は、以下の例を含む多くの移行パスをサポートします。
- Red Hat JBoss Enterprise Application Platform の最新リリースへのアップグレード
- Oracle WebLogic または IBM WebSphere Application Server から Red Hat JBoss Enterprise Application Platform への移行
- アプリケーションのコンテナー化とクラウド化
- Java Spring Boot から Quarkus への移行
- Oracle JDK から OpenJDK への更新
- OpenJDK 8 から OpenJDK 11 へのアップグレード
- OpenJDK 11 から OpenJDK 17 へのアップグレード
- OpenJDK 17 から OpenJDK 21 へのアップグレード
- EAP Java アプリケーションの Azure への移行
- Spring Boot Java アプリケーションの Azure への移行
ユースケースおよび移行パスの詳細は、開発者向け MTR Web ページを参照してください。
Migration Toolkit for Runtimes を使用して移行を単純化する方法
Migration Toolkit for Runtimes は一般的なリソースを探し、アプリケーションを移行する際の既知の問題点を明らかにします。これは、アプリケーションが使用するテクノロジーのハイレベルビューを提供します。
MTR は、移行またはモダナイゼーションパスの評価に関する詳細なレポートを生成します。このレポートは、大規模なプロジェクトに必要な作業を見積もり、関係する作業を減らすのに役立ちます。
2.1. MTR の特徴
Migration Toolkit for Runtimes (MTR) は、移行プロジェクトの計画および実行に役立つ多くの機能を提供します。
- 計画および作業見積
- MTR は、作業の種類を詳細に説明し、タスクを完了する作業の見積もりを行うことで、プロジェクトマネージャーを支援します。作業レベルは MTR レポートでストーリーポイントとして表されます。実際の見積もりは、必要なスキルと必要な移行作業の分類に基づいて行われます。
- 移行の問題の特定および解決策の提供
- MTR は移行の問題を特定し、問題が発生したコードの特定ポイントを強調表示します。MTR は、コードの変更を提案し、エンジニアが特定の問題を解決する上で役に立つ追加のリソースを提供します。
- 詳細なレポート
- MTR は、移行作業の概要と特定の移行タスクの詳細の両方を示すために、多数のレポートを作成します。すべてのアプリケーション、チャート、およびアプリケーションの問題に関するサマリー情報、アプリケーションのモジュールの問題の内訳、使用される技術のレポート、他のアプリケーションおよびサービスの依存関係などを表示できます。ソースファイルを検査して、問題が発生したコードの行を確認することもできます。利用可能な MTR レポートの詳細は、CLI ガイド を参照してください。
- 組み込みルールおよび移行パス
- MTR には、いくつかの一般的な移行パスに移行を支援するためのコアルールセットが付属しています。これらのルールは、他のアプリケーションサーバーからのプロプライエタリー機能の使用、または以前のバージョンの JBoss EAP で非推奨のサブシステムの使用を特定します。MTR には、ハードコーディングされた IP アドレスや JNDI ルックアップなどの一般的な移行の問題を識別するルールも含まれています。
- ルールの拡張性とカスタマイズ
- MTR は、強力で複雑なルールを作成する機能を提供します。MTR が提供するルールのコアセットに拡張し、ルールを作成して、移行プロジェクトにとって重要な追加の問題を特定できます。コアルールを上書きし、カスタムルールカテゴリーを作成することもできます。MTR ルールのカスタマイズに関する詳細は、ルール開発ガイド を参照してください。
- ソースコードまたはアプリケーションアーカイブを分析する機能
- MTR は、アプリケーションアーカイブまたはソースコードを評価でき、複数のアプリケーションをまとめて評価できます。複数のアプリケーション間で共有されるアーカイブを特定できるため、より正確な作業量の見積りに役立ちます。