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RHEL 8 で .NET を使い始める

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.NET 8.0

RHEL 8 での .NET 8.0 のインストールおよび実行

Red Hat Customer Content Services

概要

本ガイドでは、RHEL 8 に .NET 8.0 をインストールして実行する方法を説明します。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。

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第1章 .NET 8.0 の概要

.NET は、自動メモリー管理と最新のプログラミング言語を備えた汎用開発プラットフォームです。.NET を使用することで、ユーザーは高品質のアプリケーションを効率的に構築できます。.NET は、認定済みのコンテナーを介して Red Hat Enterprise Linux (RHEL) および OpenShift Container Platform で利用できます。

.NET には次の機能があります。

  • マイクロサービスベースのアプローチに従う機能。一部のコンポーネントは .NET で構築され、他のコンポーネントは Java で構築されますが、すべてが RHEL および OpenShift Container Platform でサポートされている共通のプラットフォームで実行できます。
  • Microsoft Windows で新しい .NET ワークロードをより簡単に開発する機能。RHEL または Windows Server のいずれかにアプリケーションをデプロイして実行できます。
  • 異機種環境のデータセンター。基盤となるインフラストラクチャーが Windows Server にのみ依存することなく .NET アプリケーションを実行できます。

.NET 8.0 は、RHEL 8.9 以降および RHEL 9.3 以降、および対象の OpenShift Container Platform バージョンでサポートされています。

第2章 .NET 8.0 のインストール

.NET 8.0 は、RHEL 8 の AppStream リポジトリーに含まれています。AppStream リポジトリーは、RHEL 8 システムでデフォルトで有効になっています。

.NET 8.0 ランタイムは、最新の 8.0 Software Development Kit (SDK) でインストールできます。新しい SDK が .NET 8.0 で利用可能になったら、sudo yum install を実行してインストールできます。

前提条件

手順

  • .NET 8.0 とそのすべての依存関係をインストールします。

    $ sudo yum install dotnet-sdk-8.0 -y

検証手順

  • インストールを確認します。

    $ dotnet --info

    出力は、.NET インストールおよび環境の関連情報を返します。

第3章 .NET 8.0 を使用したアプリケーションの作成

C# hello-world アプリケーションを作成する方法を学びます。

手順

  1. my-app という名前のディレクトリーに、新しい Console アプリケーションを作成します。

    $ dotnet new console --output my-app

    返される出力は以下のとおりです。

    The template "Console Application" was created successfully.
    
    Processing post-creation actions...
    Running 'dotnet restore' on my-app/my-app.csproj...
      Determining projects to restore...
      Restored /home/username/my-app/my-app.csproj (in 67 ms).
    Restore succeeded.

    単純な Hello World コンソールアプリケーションが、テンプレートから作成されます。アプリケーションは指定の my-app ディレクトリーに保存されます。

検証手順

  • プロジェクトを実行します。

    $ dotnet run --project my-app

    返される出力は以下のとおりです。

    Hello World!

第4章 .NET 8.0 でのアプリケーションの公開

.NET 8.0 アプリケーションを公開して、共有されたシステム全体で使用される .NET を使用するか、.NET を追加できます。

.NET 8.0 アプリケーションを公開するには、以下の方法があります。

  • SCD (自己完結型デプロイメント): アプリケーションには .NET が含まれます。この方法では、Microsoft が構築したランタイムを使用します。
  • フレームワーク依存デプロイメント (FDD): アプリケーションは、共有されたシステム全体の .NET バージョンを使用します。
注記

RHEL にアプリケーションを公開する場合、Red Hat では FDD を使用することを推奨しています。これは、アプリケーションが、Red Hat が構築した最新バージョンの .NET を使用していることを保証するためです。これは、特定のネイティブ依存関係のセットを使用します。

前提条件

4.1. .NET アプリケーションの公開

以下の手順では、フレームワーク依存アプリケーションを公開する方法を概説します。

手順

  1. フレームワーク依存アプリケーションを公開します。

    $ dotnet publish my-app -f net8.0

    my-app は、公開するアプリケーションの名前に置き換えます。

  2. 任意: アプリケーションが RHEL 専用の場合は、次のコマンドを使用してその他のプラットフォームに必要な依存関係を削除します。

    $ dotnet publish my-app -f net8.0 -r rhel.8-architecture --self-contained false
    • architecture は、使用しているプラットフォームに基づいて置き換えます。

      • Intel の場合: x64
      • IBM Z および LinuxONE の場合: s390x
      • 64 ビット Arm の場合: arm64
      • IBM Power の場合: ppc64le

第5章 コンテナーでの .NET 8.0 アプリケーションの実行

ubi8/dotnet-80-runtime イメージを使用して、.NET コンテナーで事前コンパイルされたアプリケーションを実行します。

以下の例では podman を使用しています。

手順

  1. mvc_runtime_example という名前のディレクトリーに新しい MVC プロジェクトを作成します。

    $ dotnet new mvc --output mvc_runtime_example
  2. プロジェクトを公開します。

    $ dotnet publish mvc_runtime_example -f net8.0 /p:PublishProfile=DefaultContainer /p:ContainerBaseImage=registry.access.redhat.com/ubi8/dotnet-80-runtime:latest
  3. イメージを実行します。

    $ podman run --rm -p8080:8080 mvc_runtime_example

検証手順

  • コンテナーで実行されているアプリケーションを表示します。

    $ xdg-open http://127.0.0.1:8080

第6章 OpenShift Container Platform での .NET 8.0 の使用

6.1. 概要

NET イメージは、s2i-dotnetcore からイメージストリーム定義をインポートすることで OpenShift に追加されます。

イメージストリーム定義には、サポートされる異なるバージョンの .NET の sdk イメージが含まれる dotnet イメージストリームが含まれます。.NET プログラムのライフサイクルおよびサポートポリシー では、サポートされているバージョンの最新の情報をまとめています。

バージョンタグエイリアス

.NET 6.0

dotnet:6.0-ubi8

dotnet:6.0

.NET 7.0

dotnet:7.0-ubi8

dotnet:7.0

.NET 8.0

dotnet:8.0-ubi8

dotnet:8.0

sdk イメージには、dotnet-runtime イメージストリームで定義される対応するランタイムイメージがあります。

コンテナーイメージは、Red Hat Enterprise Linux と OpenShift の異なるバージョン間で機能します。UBI-8 ベースのイメージ (suffix -ubi8) は registry.access.redhat.com でホストされ、認証は必要ありません。

6.2. .NET イメージストリームのインストール

.NET イメージストリームをインストールするには、s2i-dotnetcore のイメージストリーム定義と OpenShift Client (oc) バイナリーを使用してインストールされます。イメージストリームは、Linux、Mac、Windows からインストールできます。

.NET イメージストリームは、グローバルな openshift namespace で定義するか、プロジェクト namespace でローカルにストリームします。openshift namespace の定義を更新するには、十分な権限が必要です。

手順

  1. イメージストリームをインストール (または更新) します。

    $ oc apply [-n namespace] -f
    https://raw.githubusercontent.com/redhat-developer/s2i-dotnetcore/main/dotnet_imagestreams.json

6.3. oc を使用したソースからのアプリケーションのデプロイメント

以下の例では、oc を使用した example-app アプリケーションのデプロイ方法を説明します。これは、redhat-developer/s2i-dotnetcore-ex GitHub リポジトリーの dotnet-8.0 ブランチの app ディレクトリーにあります。

手順

  1. 新しい OpenShift プロジェクトを作成します。

    $ oc new-project sample-project
  2. ASP .NET Core アプリケーションを追加します。

    $ oc new-app --name=example-app 'dotnet:8.0-ubi8~https://github.com/redhat-developer/s2i-dotnetcore-ex#dotnet-8.0' --build-env DOTNET_STARTUP_PROJECT=app
  3. ビルドの進捗を追跡します。

    $ oc logs -f bc/example-app
  4. ビルドが完了したら、デプロイされたアプリケーションを表示します。

    $ oc logs -f dc/example-app

    これで、プロジェクト内でアプリケーションにアクセスできます。

  5. オプション: プロジェクトを外部からアクセス可能にします。

    $ oc expose svc/example-app
  6. 共有可能な URL を取得します。

    $ oc get routes

6.4. oc を使用したバイナリーアーティファクトからアプリケーションのデプロイ

.NET Source-to-Image (S2I) ビルダーイメージを使用して、提供するバイナリーアーティファクトを使用してアプリケーションをビルドできます。

前提条件

  1. 公開済みアプリケーション。

    詳細は以下を参照してください。

手順

  1. 新しいバイナリービルドを作成します。

    $ oc new-build --name=my-web-app dotnet:8.0-ubi8 --binary=true
  2. ビルドを開始し、ローカルマシンのバイナリーアーティファクトへのパスを指定します。

    $ oc start-build my-web-app --from-dir=bin/Release/net8.0/publish
  3. 新規アプリケーションを作成します。

    $ oc new-app my-web-app

6.5. .NET 8.0 の環境変数

.NET イメージは、.NET アプリケーションのビルド動作を制御する複数の環境変数をサポートします。これらの変数はビルド設定の一部として設定したり、アプリケーションのソースコードリポジトリーの .s2i/environment ファイルに追加できます。

変数名説明デフォルト

DOTNET_STARTUP_PROJECT

実行するプロジェクトを選択します。これは、プロジェクトファイル (csprojfsproj など) またはプロジェクトファイルを 1 つ含むディレクトリーである必要があります。

.

DOTNET_ASSEMBLY_NAME

実行するアセンブリーを選択します。これには .dll 拡張子を含めないでください。これを、csproj で指定した出力アセンブリー名 (PropertyGroup/AssemblyName) に設定します。

csproj ファイルの名前

DOTNET_PUBLISH_READYTORUN

true に設定すると、アプリケーションは事前にコンパイルされます。これにより、アプリケーションの読み込み時に JIT が必要な作業量が削減されるため、起動時間が短縮されます。

false

DOTNET_RESTORE_SOURCES

復元操作中に使用される NuGet パッケージソースのスペース区切りリストを指定します。これにより、NuGet.config ファイルで指定されたすべてのソースが上書きされます。この変数を DOTNET_RESTORE_CONFIGFILE と組み合わせることはできません。

 

DOTNET_RESTORE_CONFIGFILE

復元操作に使用される NuGet.Config ファイルを指定します。この変数を DOTNET_RESTORE_SOURCES と組み合わせることはできません。

 

DOTNET_TOOLS

アプリをビルドする前にインストールする .NET ツールのリストを指定します。@<version> でパッケージ名を保留することにより、特定のバージョンをインストールできます。

 

DOTNET_NPM_TOOLS

アプリケーションをビルドする前にインストールする NPM パッケージのリストを指定します。

 

DOTNET_TEST_PROJECTS

テストするテストプロジェクトのリストを指定します。これは、プロジェクトファイルまたは、単一のプロジェクトファイルを含むディレクトリーである必要があります。各項目に対して dotnet test が呼び出されます。

 

DOTNET_CONFIGURATION

Debug モードまたは Release モードでアプリケーションを実行します。この値は、Release または Debug でなければなりません。

Release

DOTNET_VERBOSITY

dotnet build コマンドの詳細度を指定します。設定すると、環境変数はビルドの開始時に出力されます。この変数は、msbuild の詳細度 (q[uiet]m[inimal]n[ormal]d[etailed]、および diag[nostic]) のいずれかに設定できます。

 

HTTP_PROXY, HTTPS_PROXY

アプリケーションをビルドおよび実行するときにそれぞれ使用される HTTP または HTTPS プロキシーを設定します。

 

DOTNET_RM_SRC

true に設定すると、ソースコードはイメージに含まれません。

 

DOTNET_SSL_DIRS

非推奨: 代わりに SSL_CERT_DIR を使用してください

 

SSL_CERT_DIR

信頼する追加の SSL 証明書を含むディレクトリーまたはファイルのリストを指定します。証明書は、ビルド中に実行する各プロセスと、ビルド後のイメージで実行するすべてのプロセス (ビルドされたアプリケーションを含む) により信頼されます。項目は、絶対パス (/ で始まる) またはソースリポジトリーのパス (証明書など) にすることができます。

 

NPM_MIRROR

ビルドプロセス中にカスタム NPM レジストリーミラーを使用してパッケージをダウンロードします。

 

ASPNETCORE_URLS

この変数は http://*:8080 に設定され、イメージにより公開されるポートを使用するように ASP.NET Core を設定します。これを変更することは推奨されません。

http://*:8080

DOTNET_RESTORE_DISABLE_PARALLEL

true に設定すると、複数のプロジェクトを並行して復元できなくなります。これにより、CPU 制限の値が低く設定された状態で、ビルドコンテナーが実行されている場合にも復元タイムアウトのエラーが減少します。

false

DOTNET_INCREMENTAL

true に設定すると、NuGet パッケージは保持され、インクリメンタルビルドに再利用できます。

false

DOTNET_PACK

true に設定すると、公開アプリケーションを含む tar.gz ファイルが /opt/app-root/app.tar.gz に作成されます。

 

6.6. MVC サンプルアプリケーションの作成

s2i-dotnetcore-ex は、.NET のデフォルトの .NET Core Model、View、Controller (MVC) テンプレートアプリケーションです。

このアプリケーションは、.NET S2I イメージによってサンプルアプリケーションとして使用され、Try Example リンクを使用して OpenShift UI から直接作成できます。

アプリケーションは、OpenShift クライアントバイナリー (oc) を使用して作成することもできます。

手順

oc を使用してサンプルアプリケーションを作成するには、以下を行います。

  1. .NET アプリケーションを追加します。

    $ oc new-app dotnet:8.0-ubi8~https://github.com/redhat-developer/s2i-dotnetcore-ex#dotnet-8.0 --context-dir=app
  2. アプリケーションによる外部アクセスを可能にします。

    $ oc expose service s2i-dotnetcore-ex
  3. 共有可能な URL を取得します。

    $ oc get route s2i-dotnetcore-ex

6.7. CRUD サンプルアプリケーションの作成

s2i-dotnetcore-persistent-ex は、PostgreSQL データベースにデータを格納する単純な Create、Read、Update、Delete (CRUD) の .NET Core Web アプリケーションです。

手順

oc を使用してサンプルアプリケーションを作成するには、以下を行います。

  1. データベースを追加します。

    $ oc new-app postgresql-ephemeral
  2. .NET アプリケーションを追加します。

    $ oc new-app dotnet:8.0-ubi8~https://github.com/redhat-developer/s2i-dotnetcore-persistent-ex#dotnet-8.0 --context-dir app
  3. postgresql シークレットおよびデータベースサービス名環境変数から環境変数を追加します。

    $ oc set env dc/s2i-dotnetcore-persistent-ex --from=secret/postgresql -e database-service=postgresql
  4. アプリケーションによる外部アクセスを可能にします。

    $ oc expose service s2i-dotnetcore-persistent-ex
  5. 共有可能な URL を取得します。

    $ oc get route s2i-dotnetcore-persistent-ex

第7章 以前のバージョンの .NET からの移行

7.1. 以前のバージョンの .NET からの移行

Microsoft 社は、ほとんどの以前の .NET Core バージョンから移行する手順を提供します。

サポート対象外になったバージョンの .NET を使用している場合や、新しいバージョンの .NET に移行して機能を拡張する場合は、以下のアーティクルを参照してください。

注記

.NET Core 1.x から 2.0 に移行する場合は、Migrate from ASP.NET Core 1.x to 2.0 の最初のいくつかのセクションを参照してください。これらのセクションでは、.NET Core 1.x から 2.0 への移行パスに適した概略を説明しています。

7.2. .NET Framework からの移植

.NET Framework から移行する場合は、次の Microsoft の記事を参照してください。

.NET Framework に存在するいくつかの技術と API は、.NET Core および .NET では使用できません。アプリケーションまたはライブラリーにこれらの API が必要な場合は、代わりの方法を検討するか、.NET Framework の使用を継続してください。.NET Core および .NET では、次の技術と API はサポートされません。

  • Windows Forms や WPF (Windows Presentation Foundation) などのデスクトップアプリケーション
  • Windows Communication Foundation (WCF) サーバー (WCF クライアントがサポートされています)
  • .NET リモート処理

さらに、多くの .NET API は、Microsoft Windows 環境でのみ使用できます。次のリストでは、この Windows 固有の API の例を示しています。

  • Microsoft.Win32.Registry
  • System.AppDomains
  • System.Security.Principal.Windows
重要

.NET のデフォルトバージョンでサポートされない一部の API は、Microsoft.Windows.Compatibility NuGet パッケージで利用できます。この NuGet パッケージを使用するときは注意してください。提供されている API の一部 (Microsoft.Win32.Registry など) は Windows でのみ動作するため、アプリケーションは Red Hat Enterprise Linux と互換性がありません。

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