Day 2 操作ガイド


OpenShift Container Platform 3.11

OpenShift Container Platform 3.11 Day 2 操作ガイド

概要

OpenShift Container Platform クラスター管理ガイドは設定に重点を当てていますが、本書では日常的に実行される一般的なメンテナーンスタスクの概要について説明します。

第1章 概要

このセクションは、新規インストールを扱う OpenShift Container Platform の管理者向けに用意されています。

OpenShift Container Platform クラスター管理 ガイドは設定に重点を当てていますが、本書では日常的に実行される一般的なメンテナーンスタスクの概要について説明します。

第2章 1 回実行 (Run-once) タスク

OpenShift Container Platform のインストール後、ホストのスムーズな実行を維持するためにシステムへの追加の設定が必要になる場合があります。

これらは 1 回実行 (run-once) タスクとして分類され、これらのタスクは状況の変更に応じていつでも実行できます。

2.1. NTP 同期

NTP (ネットワークタイムプロトコル) は、常にホストを世界時計と同期します。時間の同期は、ログの記録やタイムスタンプなどの時間に依存する操作に重要であり、OpenShift Containter Platform のビルドに使用される Kubernetes で使用することが強く推奨されます。OpenShift Container Platform の操作には etcd リーダーの選択、Pod およびその他の問題のヘルスチェックが含まれ、これらは時間のずれの発生を防ぐのに役立ちます。

注記

OpenShift Container Platform インストール Playbook は、デフォルトで NTP サービスを提供するために ntp パッケージをインストールし、有効にし、設定します。この動作を無効にするには、インベントリーファイルに openshift_clock_enabled=false を設定します。ホストに chrony パッケージがすでにインストールされている場合、ntp パッケージを使用する代わりに NTP サービスを提供するように設定されます。

インスタンスによっては、NTP がデフォルトで有効にされていない場合があります。ホストが NTP を使用するように設定されていることを確認するには、以下を実行します。

$ timedatectl
      Local time: Thu 2017-12-21 14:58:34 UTC
  Universal time: Thu 2017-12-21 14:58:34 UTC
        RTC time: Thu 2017-12-21 14:58:34
       Time zone: Etc/UTC (UTC, +0000)
     NTP enabled: yes
NTP synchronized: yes
 RTC in local TZ: no
      DST active: n/a

NTP enabledNTP synchronized の両方が yes の場合、NTP 同期は有効にされています。

no の場合、ntp または chrony RPM パッケージをインストールし、有効にします。

ntp パッケージをインストールするには、以下のコマンドを実行します。

# timedatectl set-ntp true

chrony パッケージをインストールするには、以下のコマンドを実行します。

# yum install chrony
# systemctl enable chronyd --now
重要

時間の同期は、NTP を使用しているか、その他の方法を使用しているかにかかわらず、クラスター内のすべてのホストで有効にされている必要があります。

timedatectl コマンド、タイムゾーンおよび時計の同期についての詳細は、日付と時刻の設定 および UTC、タイムゾーン、および DST を参照してください。

2.2. エントロピー

OpenShift Container Platform はエントロピーを使用して ID または SSL トラフィックなどのオブジェクトの乱数を生成します。これらの操作はタスクを完了するのに十分なエントロピーが用意されるまで待機します。十分なエントロピーがないと、カーネルは適切なスピードでこれらの乱数を生成することができません。 これにより、タイムアウトが生じたり、セキュアな接続が拒否される可能性があります。

利用可能なエントロピーを確認するには、以下を実行します。

$ cat /proc/sys/kernel/random/entropy_avail
2683

利用可能なエントロピーはクラスター内のすべてのホストで検証する必要があります。この値は、1000 より大きい値に指定することが適切です。

注記

Red Hat では、この値をモニターすること、およびこの値が 800 未満の場合には警告を発行することを推奨しています。

または、rngtest コマンドを使用すると、十分なエントロピーだけでなく、システムが十分なエントロピーを フィード できるかどうかを確認できます。

$ cat /dev/random | rngtest -c 100

rngtest コマンドは rng-tools で利用できます。

上記のタスクの完了に約 30 秒の時間がかかる場合、利用可能なエントロピーが十分にないことを示しています。

ご使用の環境によっては、複数の方法でエントロピーを増やすことができます。詳細については、こちらのブログ (https://developers.redhat.com/blog/2017/10/05/entropy-rhel-based-cloud-instances/) を参照してください。

通常は rng-tools パッケージをインストールし、rngd サービスを有効にしてエントロピーを増大させることができます。

# yum install rng-tools
# systemctl enable --now rngd

rngd サービスが起動すると、エントロピーは十分なレベルに引き上げられるはずです。

2.3. デフォルトストレージクラスのチェック

動的にプロビジョニングされる永続ストレージの適切な機能を維持するには、デフォルトのストレージグラスを定義しておく必要があります。インストール時に、このデフォルトストレージクラスは Amazon Web Services (AWS)、Google Cloud Platform (GCP) などの共通のクラウドプロバイダーについて定義されます。

デフォルトストレージクラスが定義されていることを確認するには、以下を実行します。

$ oc get storageclass
NAME                 TYPE
ssd                  kubernetes.io/gce-pd
standard (default)   kubernetes.io/gce-pd

上記の出力は GCP で実行されている OpenShift Container Platform インスタンスから取られるものです。ここでは、標準 (HDD) および SSD の 2 種類の永続ストレージが利用可能です。ストレージクラスが定義されていない場合や、いずれもデフォルトとして設定されていない場合には、動的プロビジョニングとストレージクラスの作成 のセクションを参照し、ストレージクラスの設定方法を確認してください。

第3章 環境ヘルスチェック

このトピックでは、OpenShift Container Platform クラスターおよび各種コンポーネントの全体的な健全性を確認する手順について、また予想される動作について説明します。

各種コンポーネントの検証プロセスについて把握することは、問題のトラブルシューティングにおける最初のステップになります。問題が発生している場合には、このセクションで提供されるチェックを使用して問題を診断できます。

3.1. 全体的な環境ヘルスチェック

OpenShift Container Platform クラスターの全体的な機能を確認するために、アプリケーションのサンプルをビルドし、デプロイします。

手順
  1. validate という名前の新規プロジェクト、および cakephp-mysql-example テンプレートからアプリケーションのサンプルを作成します。

    $ oc new-project validate
    $ oc new-app cakephp-mysql-example

    ログを確認してからビルドに進みます。

    $ oc logs -f bc/cakephp-mysql-example
  2. ビルドが完了すると、データベースとアプリケーションの 2 つの Pod が実行されるはずです。

    $ oc get pods
    NAME                            READY     STATUS      RESTARTS   AGE
    cakephp-mysql-example-1-build   0/1       Completed   0          1m
    cakephp-mysql-example-2-247xm   1/1       Running     0          39s
    mysql-1-hbk46                   1/1       Running     0          1m
  3. アプリケーション URL にアクセスします。Cake PHP フレームワークの welcome ページが表示されるはずです。URL では cakephp-mysql-example-validate.<app_domain> という形式を使用しています。
  4. 機能の確認後は、validate プロジェクトを削除できます。

    $ oc delete project validate

    プロジェクト内のすべてのリソースも削除されます。

3.2. Prometheus を使用したアラートの作成

OpenShift Container Platform と Prometheus を統合して、ビジュアル情報やアラートを作成し、環境に関する問題が発生する前に診断できるようにします。これらの問題には、ノードの障害、Pod による CPU またはメモリーの過剰な使用などが含まれます。

詳細は、Prometheus クラスターモニターリング を参照してください。

3.3. ホストの健全性

クラスターが稼働していることを確認するには、マスターインスタンスに接続し、以下を実行します。

$ oc get nodes
NAME                  STATUS                     AGE       VERSION
ocp-infra-node-1clj   Ready                      1h        v1.6.1+5115d708d7
ocp-infra-node-86qr   Ready                      1h        v1.6.1+5115d708d7
ocp-infra-node-g8qw   Ready                      1h        v1.6.1+5115d708d7
ocp-master-94zd       Ready                      1h        v1.6.1+5115d708d7
ocp-master-gjkm       Ready                      1h        v1.6.1+5115d708d7
ocp-master-wc8w       Ready                      1h        v1.6.1+5115d708d7
ocp-node-c5dg         Ready                      1h        v1.6.1+5115d708d7
ocp-node-ghxn         Ready                      1h        v1.6.1+5115d708d7
ocp-node-w135         Ready                      1h        v1.6.1+5115d708d7

上記のクラスターサンプルから、3 つのマスターホスト、3 つのインフラストラクチャーノードホスト、および 3 つのノードホストで設定されていること、すべて実行中であることが分かります。これらはすべて実行中です。クラスター内のすべてのホストがこの出力に表示されます。

Ready ステータスは、マスターホストがノードホストと通信でき、ノードが Pod を実行できる状態にあることを示します (スケジューリングが無効にされているノードを除く)。

etcd コマンドを実行する前に、etcd.conf ファイルを取得します。

# source /etc/etcd/etcd.conf

etcdctl コマンドを使用して、すべてのマスターインスタンスから基本的な etcd のヘルスステータスを確認できます。

# etcdctl --cert-file=$ETCD_PEER_CERT_FILE --key-file=$ETCD_PEER_KEY_FILE \
  --ca-file=/etc/etcd/ca.crt --endpoints=$ETCD_LISTEN_CLIENT_URLS cluster-health
member 59df5107484b84df is healthy: got healthy result from https://10.156.0.5:2379
member 6df7221a03f65299 is healthy: got healthy result from https://10.156.0.6:2379
member fea6dfedf3eecfa3 is healthy: got healthy result from https://10.156.0.9:2379
cluster is healthy

ただし、関連付けられたマスターホストを含め、etcd ホストについての詳細情報を取得するには、以下を実行します。

# etcdctl --cert-file=$ETCD_PEER_CERT_FILE --key-file=$ETCD_PEER_KEY_FILE \
  --ca-file=/etc/etcd/ca.crt --endpoints=$ETCD_LISTEN_CLIENT_URLS member list
295750b7103123e0: name=ocp-master-zh8d peerURLs=https://10.156.0.7:2380 clientURLs=https://10.156.0.7:2379 isLeader=true
b097a72f2610aea5: name=ocp-master-qcg3 peerURLs=https://10.156.0.11:2380 clientURLs=https://10.156.0.11:2379 isLeader=false
fea6dfedf3eecfa3: name=ocp-master-j338 peerURLs=https://10.156.0.9:2380 clientURLs=https://10.156.0.9:2379 isLeader=false

etcd クラスターがマスターサービスと同じ場所に配置されている場合はすべての etcd ホストにマスターホスト名が含まれますが、etcd サービスが別々のホストで実行されている場合はそれらの etcd ホスト名がすべて一覧表示されます。

注記

etcdctl2 は、v2 データモデルの etcd クラスターのクエリーに使用するフラグが含まれる etcdctl ツールのエイリアスです (v3 データモデルの場合は etcdctl3)。

3.4. ルーターおよびレジストリーの健全性

ルーターサービスが実行されているかどうかを確認するには、以下を実行します。

$ oc -n default get deploymentconfigs/router
NAME      REVISION   DESIRED   CURRENT   TRIGGERED BY
router    1          3         3         config

DESIRED および CURRENT 列の値はノードホストの数に一致しているはずです。

レジストリーのステータスを確認する場合も同じコマンドを使用します。

$ oc -n default get deploymentconfigs/docker-registry
NAME              REVISION   DESIRED   CURRENT   TRIGGERED BY
docker-registry   1          3         3         config
注記

コンテナーイメージレジストリーのインスタンスを複数実行するには、複数プロセスによる書き込みをサポートするバックエンドストレージが必要です。選択したインフラストラクチャープロバイダーにこの機能が含まれていない場合には、コンテナーイメージレジストリーの単一インスタンスの実行が許可されます。

すべての Pod が実行中であること、およびどのホストで実行中であるかを確認するには、以下を実行します。

$ oc -n default get pods -o wide
NAME                       READY     STATUS    RESTARTS   AGE       IP            NODE
docker-registry-1-54nhl    1/1       Running   0          2d        172.16.2.3    ocp-infra-node-tl47
docker-registry-1-jsm2t    1/1       Running   0          2d        172.16.8.2    ocp-infra-node-62rc
docker-registry-1-qbt4g    1/1       Running   0          2d        172.16.14.3   ocp-infra-node-xrtz
registry-console-2-gbhcz   1/1       Running   0          2d        172.16.8.4    ocp-infra-node-62rc
router-1-6zhf8             1/1       Running   0          2d        10.156.0.4    ocp-infra-node-62rc
router-1-ffq4g             1/1       Running   0          2d        10.156.0.10   ocp-infra-node-tl47
router-1-zqxbl             1/1       Running   0          2d        10.156.0.8    ocp-infra-node-xrtz
注記

OpenShift Container Platform が外部コンテナーイメージレジストリーを使用している場合、内部レジストリーサービスは実行中である必要がありません。

3.5. ネットワーク接続

ネットワーク接続には、ノードの対話用のクラスターネットワークと Pod の対話用の SDN (Software Defined Network) という 2 つの主要なネットワーク層が含まれます。OpenShift Container Platform は複数のネットワーク設定をサポートし、これらの設定は特定のインフラストラクチャープロバイダー向けに最適化されることがよくあります。

注記

ネットワークが複雑であることから、本書ではすべての検証シナリオについては扱いません。

3.5.1. マスターホストでの接続性

etcd およびマスターホスト

マスターサービスは etcd キー値ストアを使用してそれらの同期状態を維持します。マスターと etcd サービス間の通信は、それらの etcd サービスがマスターホストの同じ場所に置かれている場合でも、etcd サービス用にのみ指定されるホストで実行されている場合でも重要になります。この通信は TCP ポート 2379 および 2380 で実行されます。この通信をチェックする方法については、ホストの健全性 のセクションを参照してください。

SkyDNS

SkyDNS は、OpenShift Container Platform で実行されるローカルサービスの名前解決を行います。このサービスは TCP および UDP ポート 8053 を使用します。

名前解決を確認するには、以下を実行します。

$ dig +short docker-registry.default.svc.cluster.local
172.30.150.7

応答が以下の出力に一致する場合、SkyDNS サービスは適切に機能していることになります。

$ oc get svc/docker-registry -n default
NAME              CLUSTER-IP     EXTERNAL-IP   PORT(S)    AGE
docker-registry   172.30.150.7   <none>        5000/TCP   3d

API サービスおよび Web コンソール

API サービスおよび Web コンソールはどちらも同じポート (セットアップによって異なりますが、通常は TCP 8443 または 443) を共有します。このポートはクラスター内で、またデプロイされた環境で作業する必要のあるすべてのユーザーにとって利用可能な状態である必要があります。このポートに到達するために使用される URL は内部クラスターおよび外部クライアント用に異なる場合があります。

以下の例では、https://internal-master.example.com:443 URL は内部クラスターで、https://master.example.com:443 URL は外部クライアントで使用されています。任意のノードホストで以下を実行します。

$ curl -k https://internal-master.example.com:443/version
{
  "major": "1",
  "minor": "6",
  "gitVersion": "v1.6.1+5115d708d7",
  "gitCommit": "fff65cf",
  "gitTreeState": "clean",
  "buildDate": "2017-10-11T22:44:25Z",
  "goVersion": "go1.7.6",
  "compiler": "gc",
  "platform": "linux/amd64"
}

これはクライアントのネットワークから到達可能である必要があります。

$ curl -k https://master.example.com:443/healthz
ok

内部および外部マスター URL の決定

次のコマンドを使用して、内部クラスターと外部クライアントによって使用される URL を判別できます。URL の例は、前の例にあります。

内部クラスター URL を判別するには、次のようにします。

$ grep masterURL /etc/origin/master/master-config.yaml

外部クライアント URL を判別するには、次のようにします。

$ grep masterPublicURL /etc/origin/master/master-config.yaml

3.5.2. ノードインスタンスでの接続性

Pod の通信に使用されるノードでの SDN 接続は、デフォルトで UDP ポート 4789 を使用します。

ノードホストの機能を確認するには、新規アプリケーションを作成します。以下の例では、ノードがインフラストラクチャーノードで実行されているコンテナーイメージレジストリーに到達できるようになっています。

手順
  1. 新規プロジェクトを作成します。

    $ oc new-project sdn-test
  2. httpd アプリケーションをデプロイします。

    $ oc new-app centos/httpd-24-centos7~https://github.com/sclorg/httpd-ex

    ビルドが完了するまで待機します。

    $ oc get pods
    NAME               READY     STATUS      RESTARTS   AGE
    httpd-ex-1-205hz   1/1       Running     0          34s
    httpd-ex-1-build   0/1       Completed   0          1m
  3. 実行中の Pod に接続します。

    $ oc rsh po/<pod-name>

    以下は例になります。

    $ oc rsh po/httpd-ex-1-205hz
  4. 内部レジストリーサービスの healthz パスを確認します。

    $ curl -kv https://docker-registry.default.svc.cluster.local:5000/healthz
    * About to connect() to docker-registry.default.svc.cluster.locl port 5000 (#0)
    *   Trying 172.30.150.7...
    * Connected to docker-registry.default.svc.cluster.local (172.30.150.7) port 5000 (#0)
    * Initializing NSS with certpath: sql:/etc/pki/nssdb
    * skipping SSL peer certificate verification
    * SSL connection using TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256
    * Server certificate:
    * 	subject: CN=172.30.150.7
    * 	start date: Nov 30 17:21:51 2017 GMT
    * 	expire date: Nov 30 17:21:52 2019 GMT
    * 	common name: 172.30.150.7
    * 	issuer: CN=openshift-signer@1512059618
    > GET /healthz HTTP/1.1
    > User-Agent: curl/7.29.0
    > Host: docker-registry.default.svc.cluster.local:5000
    > Accept: */*
    >
    < HTTP/1.1 200 OK
    < Cache-Control: no-cache
    < Date: Mon, 04 Dec 2017 16:26:49 GMT
    < Content-Length: 0
    < Content-Type: text/plain; charset=utf-8
    <
    * Connection #0 to host docker-registry.default.svc.cluster.local left intact
    
    sh-4.2$ *exit*

    HTTP/1.1 200 OK 応答は、ノードが適切に接続されていることを示しています。

  5. テストプロジェクトをクリーンアップします。

    $ oc delete project sdn-test
    project "sdn-test" deleted
  6. ノードホストは TCP ポート 10250 をリッスンしています。このポートはノード上のすべてのマスターからアクセスできる必要があり、モニターがクラスターにデプロイされる場合には、インフラストラクチャーノードがすべてのインスタンスのこのポートにアクセスできる必要もあります。このポートで中断されている通信は以下のコマンドで検出できます。

    $ oc get nodes
    NAME                  STATUS                     AGE       VERSION
    ocp-infra-node-1clj   Ready                      4d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-infra-node-86qr   Ready                      4d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-infra-node-g8qw   Ready                      4d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-94zd       Ready,SchedulingDisabled   4d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-gjkm       Ready,SchedulingDisabled   4d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-wc8w       Ready,SchedulingDisabled   4d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-c5dg         Ready                      4d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-ghxn         Ready                      4d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-w135         NotReady                   4d        v1.6.1+5115d708d7

    上記の出力では、ocp-node-w135 ノードのノードサービスにマスターサービスが到達できません。 これは NotReady ステータスで表されています。

  7. 最後のサービスは、通信のルートを OpenShift Container Platform クラスターで実行される適切なサービスに指定するルーターです。ルーターは ingress トラフィック用のインフラストラクチャーノードの TCP ポート 80 および 443 をリッスンします。ルーターを機能させる前に、DNS が設定される必要があります。

    $ dig *.apps.example.com
    
    ; <<>> DiG 9.11.1-P3-RedHat-9.11.1-8.P3.fc27 <<>> *.apps.example.com
    ;; global options: +cmd
    ;; Got answer:
    ;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 45790
    ;; flags: qr rd ra; QUERY: 1, ANSWER: 2, AUTHORITY: 0, ADDITIONAL: 1
    
    ;; OPT PSEUDOSECTION:
    ; EDNS: version: 0, flags:; udp: 4096
    ;; QUESTION SECTION:
    ;*.apps.example.com.	IN	A
    
    ;; ANSWER SECTION:
    *.apps.example.com. 3571	IN	CNAME	apps.example.com.
    apps.example.com.	3561	IN	A	35.xx.xx.92
    
    ;; Query time: 0 msec
    ;; SERVER: 127.0.0.1#53(127.0.0.1)
    ;; WHEN: Tue Dec 05 16:03:52 CET 2017
    ;; MSG SIZE  rcvd: 105

    IP アドレス (この場合は 35.xx.xx.92) は、ingress トラフィックをすべてのインフラストラクチャーノードに分散させるロードバランサーをポイントするはずです。ルートの機能を確認するには、レジストリーサービスを再度チェックする必要がありますが、今回はこれをクラスター外から実行します。

    $ curl -kv https://docker-registry-default.apps.example.com/healthz
    *   Trying 35.xx.xx.92...
    * TCP_NODELAY set
    * Connected to docker-registry-default.apps.example.com (35.xx.xx.92) port 443 (#0)
    ...
    < HTTP/2 200
    < cache-control: no-cache
    < content-type: text/plain; charset=utf-8
    < content-length: 0
    < date: Tue, 05 Dec 2017 15:13:27 GMT
    <
    * Connection #0 to host docker-registry-default.apps.example.com left intact

3.6. ストレージ

マスターインスタンスでは、/var ディレクトリーに 40 GB 以上のディスク容量が必要です。df コマンドを使用してマスターホストのディスク使用量を確認します。

$ df -hT
Filesystem     Type      Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda1      xfs        45G  2.8G   43G   7% /
devtmpfs       devtmpfs  3.6G     0  3.6G   0% /dev
tmpfs          tmpfs     3.6G     0  3.6G   0% /dev/shm
tmpfs          tmpfs     3.6G   63M  3.6G   2% /run
tmpfs          tmpfs     3.6G     0  3.6G   0% /sys/fs/cgroup
tmpfs          tmpfs     732M     0  732M   0% /run/user/1000
tmpfs          tmpfs     732M     0  732M   0% /run/user/0

ノードインスタンスでは /var ディレクトリーに 15 GB 以上を、Docker ストレージ (この場合は /var/lib/docker) にさらに 15 GB 以上が必要です。クラスターのサイズや Pod に必要な一時的なストレージの容量に応じて、別のパーティションをノード上の /var/lib/origin/openshift.local.volumes に作成する必要があります。

$ df -hT
Filesystem     Type      Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/sda1      xfs        25G  2.4G   23G  10% /
devtmpfs       devtmpfs  3.6G     0  3.6G   0% /dev
tmpfs          tmpfs     3.6G     0  3.6G   0% /dev/shm
tmpfs          tmpfs     3.6G  147M  3.5G   4% /run
tmpfs          tmpfs     3.6G     0  3.6G   0% /sys/fs/cgroup
/dev/sdb       xfs        25G  2.7G   23G  11% /var/lib/docker
/dev/sdc       xfs        50G   33M   50G   1% /var/lib/origin/openshift.local.volumes
tmpfs          tmpfs     732M     0  732M   0% /run/user/1000

Pod の永続ストレージは OpenShift Container Platform クラスターを実行するインスタンス以外で処理される必要があります。Pod の永続ボリュームはインフラストラクチャープロバイダーによってプロビジョニングされるか、または Container Native Storage または Container Ready Storage を使用してプロビジョニングできます。

3.7. Docker ストレージ

Docker ストレージは 2 つのオプションのどちらかでサポートされます。1 つ目のオプションはデバイスマッパーを使用したシンプール論理ボリュームで、2 つ目のオプションは overlay2 ファイルシステム (Red Hat Enterprise Linux バージョン 7.4 以降) です。通常はセットアップが容易でパフォーマンスが強化されるので、overlay2 ファイルシステムが推奨されます。

Docker ストレージディスクは /var/lib/docker としてマウントされ、xfs ファイルシステムでフォーマットされます。Docker ストレージは overlay2 ファイルシステムを使用するように設定されます。

$ cat /etc/sysconfig/docker-storage
DOCKER_STORAGE_OPTIONS='--storage-driver overlay2'

このストレージドライバーが Docker によって使用されることを確認するには、以下を実行します。

# docker info
Containers: 4
 Running: 4
 Paused: 0
 Stopped: 0
Images: 4
Server Version: 1.12.6
Storage Driver: overlay2
 Backing Filesystem: xfs
Logging Driver: journald
Cgroup Driver: systemd
Plugins:
 Volume: local
 Network: overlay host bridge null
 Authorization: rhel-push-plugin
Swarm: inactive
Runtimes: docker-runc runc
Default Runtime: docker-runc
Security Options: seccomp selinux
Kernel Version: 3.10.0-693.11.1.el7.x86_64
Operating System: Employee SKU
OSType: linux
Architecture: x86_64
Number of Docker Hooks: 3
CPUs: 2
Total Memory: 7.147 GiB
Name: ocp-infra-node-1clj
ID: T7T6:IQTG:WTUX:7BRU:5FI4:XUL5:PAAM:4SLW:NWKL:WU2V:NQOW:JPHC
Docker Root Dir: /var/lib/docker
Debug Mode (client): false
Debug Mode (server): false
Registry: https://registry.redhat.io/v1/
WARNING: bridge-nf-call-iptables is disabled
WARNING: bridge-nf-call-ip6tables is disabled
Insecure Registries:
 127.0.0.0/8
Registries: registry.redhat.io (secure), registry.redhat.io (secure), docker.io (secure)

3.8. API サービスのステータス

OpenShift API サービスはすべてのマスターインスタンスで実行されす。サービスのステータスを確認するには、kube-system プロジェクトで master-api Pod を表示します。

oc get pod -n kube-system -l openshift.io/component=api

NAME                             READY     STATUS    RESTARTS   AGE
master-api-myserver.com          1/1       Running   0          56d

API サービスは、API ホスト名を使用して外部でクエリーできるヘルスチェックを公開します。API サービスおよび Web コンソールはどちらも同じポート (セットアップによって異なりますが、通常は TCP 8443 または 443) を共有します。このポートはクラスター内で、またデプロイされた環境で作業する必要のあるすべてのユーザーにとって利用可能な状態である必要があります。

oc get pod -n kube-system -o wide
NAME                                               READY     STATUS    RESTARTS   AGE       IP            NODE
master-api-myserver.com                            1/1       Running   0          7h        10.240.0.16   myserver.com

$ curl -k https://myserver.com:443/healthz 1
ok
1
これはクライアントのネットワークから到達可能である必要があります。この例の Web コンソールポートは 443 です。OpenShift Container Platform デプロイメントの前に、ホストインベントリーファイルで openshift_master_console_port に設定された値を指定します。openshift_master_console_port がインベントリーファイルに含まれていない場合には、ポート 8443 はデフォルトで設定されます。

3.9. コントローラーロールの検証

OpenShift Container Platform コントローラーサービスはすべてのマスターホストで利用できます。このサービスはアクティブ/パッシブモードで実行され、常に 1 つのマスターでのみ実行されます。

OpenShift Container Platform コントローラーは、このサービスを実行するホストを選択する手順を実行します。現在実行されている値は、kube-system プロジェクトに保存される特殊な configmap のアノテーションに保存されます。

cluster-admin ユーザーとしてコントローラーサービスを実行するマスターホストを確認します。

$ oc get -n kube-system cm openshift-master-controllers -o yaml
apiVersion: v1
kind: ConfigMap
metadata:
  annotations:
    control-plane.alpha.kubernetes.io/leader: '{"holderIdentity":"master-ose-master-0.example.com-10.19.115.212-dnwrtcl4","leaseDurationSeconds":15,"acquireTime":"2018-02-17T18:16:54Z","renewTime":"2018-02-19T13:50:33Z","leaderTransitions":16}'
  creationTimestamp: 2018-02-02T10:30:04Z
  name: openshift-master-controllers
  namespace: kube-system
  resourceVersion: "17349662"
  selfLink: /api/v1/namespaces/kube-system/configmaps/openshift-master-controllers
  uid: 08636843-0804-11e8-8580-fa163eb934f0

コマンドは、以下のように control-plane.alpha.kubernetes.io/leader アノテーションの holderIdentity プロパティー内に現在のマスターコントローラーを出力します。

master-<hostname>-<ip>-<8_random_characters>

以下のコマンドを使用して出力をフィルターし、マスターホストのホスト名を検索します。

$ oc get -n kube-system cm openshift-master-controllers -o json | jq -r '.metadata.annotations[] | fromjson.holderIdentity | match("^master-(.*)-[0-9.]*-[0-9a-z]{8}$") | .captures[0].string'
ose-master-0.example.com

3.10. 適切な最大転送単位 (MTU) サイズの確認

最大転送単位 (MTU) を確認することにより、SSL 証明書の問題としてマスカレードを生じさせる可能性のあるネットワークの誤設定を防ぐことができます。

パケットが HTTP で送信される MTU サイズよりも大きくなる場合、物理ネットワークルーターはデータを送信するためにパケットを複数のパケットに分割できます。ただし、パケットが HTTPS で送信される MTU サイズよりも大きいと、ルーターはそのパケットのドロップを強制的に実行します。

インストールでは、以下を含む複数コンポーネントへのセキュアな通信を提供する証明書を生成します。

  • マスターホスト
  • ノードホスト
  • インフラストラクチャーノード
  • レジストリー
  • ルーター

これらの証明書は、マスターノードの場合は /etc/origin/master ディレクトリーに、インフラおよびアプリケーションノード場合は /etc/origin/node ディレクトリーに配置されています。

インストール後に、ネットワーク接続 のセクションで説明されているプロセスを使用して REGISTRY_OPENSHIFT_SERVER_ADDR への接続を確認できます。

前提条件
  1. マスターホストから HTTPS アドレスを取得します。

    $ oc -n default get dc docker-registry -o jsonpath='{.spec.template.spec.containers[].env[?(@.name=="REGISTRY_OPENSHIFT_SERVER_ADDR")].value}{"\n"}'
    docker-registry.default.svc:5000

    上記により、docker-registry.default.svc:5000 の出力が生成されます。

  2. /healthz を上記で指定される値に追加し、これを使用してすべてのホスト (マスター、インフラストラクチャー、ノード) で確認します。

    $ curl -v https://docker-registry.default.svc:5000/healthz
    * About to connect() to docker-registry.default.svc port 5000 (#0)
    *   Trying 172.30.11.171...
    * Connected to docker-registry.default.svc (172.30.11.171) port 5000 (#0)
    * Initializing NSS with certpath: sql:/etc/pki/nssdb
    *   CAfile: /etc/pki/tls/certs/ca-bundle.crt
      CApath: none
    * SSL connection using TLS_ECDHE_RSA_WITH_AES_128_GCM_SHA256
    * Server certificate:
    * 	subject: CN=172.30.11.171
    * 	start date: Oct 18 05:30:10 2017 GMT
    * 	expire date: Oct 18 05:30:11 2019 GMT
    * 	common name: 172.30.11.171
    * 	issuer: CN=openshift-signer@1508303629
    > GET /healthz HTTP/1.1
    > User-Agent: curl/7.29.0
    > Host: docker-registry.default.svc:5000
    > Accept: */*
    >
    < HTTP/1.1 200 OK
    < Cache-Control: no-cache
    < Date: Tue, 24 Oct 2017 19:42:35 GMT
    < Content-Length: 0
    < Content-Type: text/plain; charset=utf-8
    <
    * Connection #0 to host docker-registry.default.svc left intact

    上記の出力例は、SSL 接続が正常であることを確認するために使用されている MTU サイズを示しています。接続の試行が正常に実行されると接続が確立し、証明書パスと docker-registry に関するすべてのサーバー証明書情報を使った NSS の初期化が完了します。

    MTU サイズが不適切に設定されているとタイムアウトが生じます。

    $ curl -v https://docker-registry.default.svc:5000/healthz
    * About to connect() to docker-registry.default.svc port 5000 (#0)
    *   Trying 172.30.11.171...
    * Connected to docker-registry.default.svc (172.30.11.171) port 5000 (#0)
    * Initializing NSS with certpath: sql:/etc/pki/nssdb

    上記の例では、接続が確立されていますが、証明書パスが指定された NSS の初期化を完了できません。この問題は、ノード設定マップ に設定される不適切な MTU サイズに関連します。

    この問題を解決するには、ノード設定マップ内の MTU サイズを OpenShift SDN イーサネットデバイスで使用されている MTU サイズよりも 50 バイト小さい値に調整します。

  3. 必要なイーサネットデバイスの MTU サイズを表示します (例: eth0)。

    $ ip link show eth0
    2: eth0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UP mode DEFAULT qlen 1000
        link/ether fa:16:3e:92:6a:86 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff

    上記は MTU が 1500 に設定されていることを示しています。

  4. MTU サイズを変更するには、適切な ノード設定マップ を変更し、ip コマンドの出力よりも 50 バイト小さい値に設定します。

    たとえば、MTU サイズが 1500 の場合、ノード設定マップ内で MTU サイズを 1450 に調整します。

    networkConfig:
       mtu: 1450
  5. 変更を保存し、ノードを再起動します。

    注記

    OpenShift Container Platform SDN を設定するすべてのマスターおよび ノードで MTU サイズを変更する必要があります。また、tun0 インターフェイスの MTU サイズはクラスターを設定するすべてのノードで同一である必要があります。

  6. ノードが再度オンラインになった後に、元の curl コマンドを再度実行して問題が存在しなくなっていることを確認します。

    $ curl -v https://docker-registry.default.svc:5000/healthz

    タイムアウトが持続する場合、引き続き MTU サイズを 50 バイト単位で調整し、このプロセスを繰り返します。

第4章 環境全体のバックアップの作成

環境全体のバックアップの作成には、インスタンスのクラッシュまたはデータの破損時の復元に役立つ重要なデータをコピーすることが必要になります。バックアップの作成後、それらは関連コンポーネントの新規バージョンに復元できます。

OpenShift Container Platform では、クラスター全体の バックアップ を作成できます。これにより、クラスターの現在の状態 (現在のクラスター設定) を別のストレージに保存できます。 環境バックアップの状態には以下が含まれます。

  • クラスターデータファイル
  • 各マスターの etcd データ
  • API オブジェクト
  • レジストリーストレージ
  • ボリュームストレージ

バックアップは、データの損失を防ぐために定期的に実行します。

重要

以下のプロセスでは、アプリケーションおよび OpenShift Container Platform クラスターをバックアップするための通常の方法について説明しています。ここではカスタム要件は考慮されません。クラスターの完全バックアップおよび復元手順の基本として以下の手順を使用してください。また、データ損失を防ぐために必要なすべての措置を取る必要があります。

バックアップおよび復元は保証されません。独自のデータは、自己責任でバックアップするようにしてください。

4.1. マスターホストのバックアップの作成

バックアッププロセスは、システム更新やアップグレードまたはその他の大きな変更を含む変更を OpenShift Container Platform インフラストラクチャーに加える前に実行します。データのバックアップは、障害発生時に最新データが利用可能になるように定期的に実行します。

OpenShift Container Platform ファイル

マスターインスタンスは API、コントローラーなどの重要なサービスを実行します。/etc/origin/master ディレクトリーには、以下のような重要なファイルが数多く格納されています。

  • 設定、API コントローラー、サービスなど
  • インストールで生成される証明書
  • すべてのクラウドプロバイダー関連の設定
  • キーおよびその他の認証ファイル (htpasswd を使用する場合は htpasswd など)
  • その他

ログレベルの引き上げやプロキシーの使用などのカスタマイズを OpenShift Container Platform サービスに対して行うことができます。設定ファイルは /etc/sysconfig ディレクトリーに保存されます。

マスターはノードでもあるため、/etc/origin ディレクトリー全体のバックアップを作成します。

手順
重要

各マスターノードで以下の手順を実行する必要があります。

  1. ここでは、Pod 定義のバックアップを作成します。
  2. マスターホストの設定ファイルのバックアップを作成します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo cp -aR /etc/origin ${MYBACKUPDIR}/etc
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/ ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
    注記

    マスター設定ファイルは /etc/origin/master/master-config.yaml です。

    警告

    /etc/origin/master/ca.serial.txt ファイルは Ansible ホストインベントリーに一覧表示される最初のマスターでのみ生成されます。最初のマスターホストの使用を終了する場合は、このプロセスの実行前に /etc/origin/master/ca.serial.txt ファイルを残りのマスターホストにコピーします。

    重要

    複数のマスターを実行する OpenShift Container Platform 3.11 クラスターでは、マスターノードのいずれかの /etc/origin/master/etc/etcd/ca および /etc/etcd/generated_certs に追加の CA 証明書が含まれます。これらはアプリケーションノードおよび etcd ノードのスケールアップ操作に必要であり、元のマスターが完全に利用できなくなった場合には、別のマスターノードに復元する必要があります。これらのディレクトリーは、ここで説明するバックアップ手順にデフォルトで含まれています。

  3. バックアップの計画時に考慮する必要のある他の重要なファイルには以下が含まれます。

    ファイル

    説明

    /etc/cni/*

    コンテナーネットワークインターフェイスの設定 (使用される場合)

    /etc/sysconfig/iptables

    iptables ルールが保存される場所

    /etc/sysconfig/docker-storage-setup

    container-storage-setup コマンドの入力ファイル

    /etc/sysconfig/docker

    docker 設定ファイル

    /etc/sysconfig/docker-network

    docker ネットワーク設定 (例: MTU)

    /etc/sysconfig/docker-storage

    docker ストレージ設定 (container-storage-setup で生成される)

    /etc/dnsmasq.conf

    dnsmasq の主要な設定ファイル

    /etc/dnsmasq.d/*

    異なる dnsmasq 設定ファイル

    /etc/sysconfig/flanneld

    flannel 設定ファイル (使用される場合)

    /etc/pki/ca-trust/source/anchors/

    システムに追加される証明書 (例: 外部レジストリー用)

    上記のファイルのバックアップを作成します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/{iptables,docker-*,flanneld} \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
    $ sudo cp -aR /etc/dnsmasq* /etc/cni ${MYBACKUPDIR}/etc/
    $ sudo cp -aR /etc/pki/ca-trust/source/anchors/* \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors/
  4. パッケージが間違って削除されてしまう場合や、rpm パッケージに含まれるファイルを復元する必要がある場合に、システムにインストールされている rhel パッケージの一覧があると便利です。

    注記

    コンテンツビューやファクトストアなどの Red Hat Satellite 機能を使用する場合は、見つからないパッケージやシステムにインストールされているパッケージの履歴データを再インストールする適切なメカニズムを指定します。

    システムにインストールされている現在の rhel パッケージの一覧を作成するには、以下を実行します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}
    $ rpm -qa | sort | sudo tee $MYBACKUPDIR/packages.txt
  5. これまでの手順を実行している場合、以下のファイルがバックアップディレクトリーに置かれます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo find ${MYBACKUPDIR} -mindepth 1 -type f -printf '%P\n'
    etc/sysconfig/flanneld
    etc/sysconfig/iptables
    etc/sysconfig/docker-network
    etc/sysconfig/docker-storage
    etc/sysconfig/docker-storage-setup
    etc/sysconfig/docker-storage-setup.rpmnew
    etc/origin/master/ca.crt
    etc/origin/master/ca.key
    etc/origin/master/ca.serial.txt
    etc/origin/master/ca-bundle.crt
    etc/origin/master/master.proxy-client.crt
    etc/origin/master/master.proxy-client.key
    etc/origin/master/service-signer.crt
    etc/origin/master/service-signer.key
    etc/origin/master/serviceaccounts.private.key
    etc/origin/master/serviceaccounts.public.key
    etc/origin/master/openshift-master.crt
    etc/origin/master/openshift-master.key
    etc/origin/master/openshift-master.kubeconfig
    etc/origin/master/master.server.crt
    etc/origin/master/master.server.key
    etc/origin/master/master.kubelet-client.crt
    etc/origin/master/master.kubelet-client.key
    etc/origin/master/admin.crt
    etc/origin/master/admin.key
    etc/origin/master/admin.kubeconfig
    etc/origin/master/etcd.server.crt
    etc/origin/master/etcd.server.key
    etc/origin/master/master.etcd-client.key
    etc/origin/master/master.etcd-client.csr
    etc/origin/master/master.etcd-client.crt
    etc/origin/master/master.etcd-ca.crt
    etc/origin/master/policy.json
    etc/origin/master/scheduler.json
    etc/origin/master/htpasswd
    etc/origin/master/session-secrets.yaml
    etc/origin/master/openshift-router.crt
    etc/origin/master/openshift-router.key
    etc/origin/master/registry.crt
    etc/origin/master/registry.key
    etc/origin/master/master-config.yaml
    etc/origin/generated-configs/master-master-1.example.com/master.server.crt
    ...[OUTPUT OMITTED]...
    etc/origin/cloudprovider/openstack.conf
    etc/origin/node/system:node:master-0.example.com.crt
    etc/origin/node/system:node:master-0.example.com.key
    etc/origin/node/ca.crt
    etc/origin/node/system:node:master-0.example.com.kubeconfig
    etc/origin/node/server.crt
    etc/origin/node/server.key
    etc/origin/node/node-dnsmasq.conf
    etc/origin/node/resolv.conf
    etc/origin/node/node-config.yaml
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.key
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.csr
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.crt
    etc/origin/node/flannel.etcd-ca.crt
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/openshift-ca.crt
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/registry-ca.crt
    etc/dnsmasq.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-upstream-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/node-dnsmasq.conf
    packages.txt

    必要な場合は、ファイルを圧縮してスペースを節約することができます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo tar -zcvf /backup/$(hostname)-$(date +%Y%m%d).tar.gz $MYBACKUPDIR
    $ sudo rm -Rf ${MYBACKUPDIR}

これらのファイルのいずれかをゼロから作成するには、openshift-ansible-contrib リポジトリーに含まれる backup_master_node.sh スクリプトを使用します。このスクリプトは前述の手順を実行し、スクリプトが実行され、前述のすべてのファイルがコピーされるホスト上のディレクトリーを作成します。

注記

openshift-ansible-contrib スクリプトは Red Hat ではサポートされていませんが、リファレンスアーキテクチャーチームはコードが定義通りに動作し、安全であることを確認するテストを実施しています。

このスクリプトは、以下のコマンドを使用してすべてのマスターホストで実行することができます。

$ mkdir ~/git
$ cd ~/git
$ git clone https://github.com/openshift/openshift-ansible-contrib.git
$ cd openshift-ansible-contrib/reference-architecture/day2ops/scripts
$ ./backup_master_node.sh -h

4.2. ノードホストのバックアップの作成

ノードホストのバックアップの作成は、マスターホストのバックアップとは異なるユースケースになります。マスターホストには数多くの重要なファイルが含まれるため、バックアップの作成は強く推奨されます。しかしノードの場合、その性質として特殊なものはフェイルオーバー時にノード全体で複製され、通常はそれらに環境の実行に必要なデータは含まれません。ノードのバックアップ作成は、環境の実行に必要なものが含まれる場合に実行することが推奨されます。

バックアッププロセスは、システム更新やアップグレードまたはその他の大きな変更を含む変更をインフラストラクチャーに加える前に実行します。バックアップは、障害の発生時に最新データが利用可能になるように定期的に実行する必要があります。

OpenShift Container Platform ファイル

ノードインスタンスはコンテナーをベースとする Pod の形式で実行されます。/etc/origin/ および /etc/origin/node ディレクトリーは以下のような重要なファイルを格納します。

  • ノードサービスの設定
  • インストールで生成される証明書
  • クラウドプロバイダー関連の設定
  • キーおよびその他の認証ファイル (dnsmasq 設定など)

OpenShift Container Platform サービスは、ログレベルの引き上げやプロキシーの使用などを実行するためにカスタマイズでき、設定ファイルは /etc/sysconfig ディレクトリーに保存されます。

手順
  1. ノード設定ファイルのバックアップを作成します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo cp -aR /etc/origin ${MYBACKUPDIR}/etc
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/atomic-openshift-node ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
  2. OpenShift Container Platform は、バックアップポリシーの計画時に考慮する必要のある特定のファイルを使用します。 これには以下が含まれます。

    ファイル

    説明

    /etc/cni/*

    コンテナーネットワークインターフェイスの設定 (使用される場合)

    /etc/sysconfig/iptables

    iptables ルールが保存される場所

    /etc/sysconfig/docker-storage-setup

    container-storage-setup コマンドの入力ファイル

    /etc/sysconfig/docker

    docker 設定ファイル

    /etc/sysconfig/docker-network

    docker ネットワーク設定 (例: MTU)

    /etc/sysconfig/docker-storage

    docker ストレージ設定 (container-storage-setup で生成される)

    /etc/dnsmasq.conf

    dnsmasq の主要な設定ファイル

    /etc/dnsmasq.d/*

    異なる dnsmasq 設定ファイル

    /etc/sysconfig/flanneld

    flannel 設定ファイル (使用される場合)

    /etc/pki/ca-trust/source/anchors/

    システムに追加される証明書 (例: 外部レジストリー用)

    これらのファイルを作成するには、以下を実行します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/{iptables,docker-*,flanneld} \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
    $ sudo cp -aR /etc/dnsmasq* /etc/cni ${MYBACKUPDIR}/etc/
    $ sudo cp -aR /etc/pki/ca-trust/source/anchors/* \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors/
  3. パッケージが間違って削除されてしまう場合や、rpm パッケージに含まれるファイルを復元する必要がある場合に、システムにインストールされている rhel パッケージの一覧があると便利です。

    注記

    コンテンツビューやファクトストアなどの Red Hat Satellite 機能を使用する場合は、見つからないパッケージやシステムにインストールされているパッケージの履歴データを再インストールする適切なメカニズムを指定します。

    システムにインストールされている現在の rhel パッケージの一覧を作成するには、以下を実行します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}
    $ rpm -qa | sort | sudo tee $MYBACKUPDIR/packages.txt
  4. 以下のファイルがバックアップディレクトリーに置かれます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo find ${MYBACKUPDIR} -mindepth 1 -type f -printf '%P\n'
    etc/sysconfig/atomic-openshift-node
    etc/sysconfig/flanneld
    etc/sysconfig/iptables
    etc/sysconfig/docker-network
    etc/sysconfig/docker-storage
    etc/sysconfig/docker-storage-setup
    etc/sysconfig/docker-storage-setup.rpmnew
    etc/origin/node/system:node:app-node-0.example.com.crt
    etc/origin/node/system:node:app-node-0.example.com.key
    etc/origin/node/ca.crt
    etc/origin/node/system:node:app-node-0.example.com.kubeconfig
    etc/origin/node/server.crt
    etc/origin/node/server.key
    etc/origin/node/node-dnsmasq.conf
    etc/origin/node/resolv.conf
    etc/origin/node/node-config.yaml
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.key
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.csr
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.crt
    etc/origin/node/flannel.etcd-ca.crt
    etc/origin/cloudprovider/openstack.conf
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/openshift-ca.crt
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/registry-ca.crt
    etc/dnsmasq.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-upstream-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/node-dnsmasq.conf
    packages.txt

    必要な場合は、ファイルを圧縮してスペースを節約することができます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo tar -zcvf /backup/$(hostname)-$(date +%Y%m%d).tar.gz $MYBACKUPDIR
    $ sudo rm -Rf ${MYBACKUPDIR}

これらのファイルのいずれかをゼロから作成するには、openshift-ansible-contrib リポジトリーに含まれる backup_master_node.sh スクリプトを使用します。このスクリプトは前述の手順を実行し、スクリプトが実行され、前述のすべてのファイルがコピーされるホスト上のディレクトリーを作成します。

注記

openshift-ansible-contrib スクリプトは Red Hat ではサポートされていませんが、リファレンスアーキテクチャーチームはコードが定義通りに動作し、安全であることを確認するテストを実施しています。

このスクリプトは、以下を実行してすべてのマスターで実行することができます。

$ mkdir ~/git
$ cd ~/git
$ git clone https://github.com/openshift/openshift-ansible-contrib.git
$ cd openshift-ansible-contrib/reference-architecture/day2ops/scripts
$ ./backup_master_node.sh -h

4.3. レジストリー証明書のバックアップ

外部のセキュリティー保護されたレジストリー を使用する場合には、すべてのレジストリー証明書を保存する必要があります。デフォルトでレジストリーのセキュリティーは保護されます。

重要

各クラスターノードで以下の手順を実行する必要があります。

手順
  1. レジストリー証明書をバックアップします。

    # cd /etc/docker/certs.d/
    # tar cf /tmp/docker-registry-certs-$(hostname).tar *
  2. バックアップを外部の場所に移動します。
注記

外部のセキュリティー保護されたレジストリー を 1 つ以上使用している場合には、イメージのプルまたはプッシュを実行するホストはレジストリー証明書を信頼して、Pod を実行する必要があります。

4.4. 他のインストールファイルのバックアップ

OpenShift Container Platform をインストールするために使用したファイルをバックアップします。

手順
  1. 復元手順には完全な再インストールが必要になるため、初期インストールで使用されたすべてのファイルを保存します。これらのファイルには、以下が含まれる場合があります。

  2. インストール後のステップの手順をバックアップします。一部のインストールには、インストーラーに含まれないステップが必要になる場合があります。これには、OpenShift Container Platform の制御範囲外のサービスの変更やモニターエージェントなどの追加サービスのインストールが含まれる場合があります。複数の認証プロバイダーの使用など、通常インストーラー (Advanced Installer) でサポートされていない追加の設定も必要になる場合があります。

4.5. アプリケーションデータのバックアップ

rsync がコンテナーイメージ内にインストールされていることを前提とすると、多くの場合、アプリケーションデータは oc rsync コマンドを使用してバックアップできます。Red Hat rhel7 ベースイメージには rsync が含まれます。したがって、rhel7 をベースとするすべてのイメージにはこれが含まれることになります。Troubleshooting and Debugging CLI Operations - rsync を参照してください。

警告

これは、アプリケーションデータの 汎用的な バックアップについての説明であり、データベースシステムの特殊なエクスポート/インポートなどのアプリケーション固有のバックアップ手順については考慮に入れられていません。

使用する永続ボリュームのタイプ (Cinder、NFS、Gluster など) によっては、他のバックアップ手段を使用できる場合もあります。

バックアップのパスも アプリケーションに固有 のものです。deploymentconfig でボリュームの mountPath を参照してバックアップするパスを判別することができます。

注記

この種のアプリケーションデータのバックアップは、アプリケーション Pod が実行中の場合にのみ実行できます。

手順

Jenkins デプロイメントのアプリケーションデータのバックアップ例

  1. アプリケーションデータ mountPathdeploymentconfig から取得します。

    $ oc get dc/jenkins -o jsonpath='{ .spec.template.spec.containers[?(@.name=="jenkins")].volumeMounts[?(@.name=="jenkins-data")].mountPath }'
    /var/lib/jenkins
  2. 現在実行中の Pod の名前を取得します。

    $ oc get pod --selector=deploymentconfig=jenkins -o jsonpath='{ .metadata.name }'
    jenkins-1-37nux
  3. oc rsync コマンドを使用してアプリケーションデータをコピーします。

    $ oc rsync jenkins-1-37nux:/var/lib/jenkins /tmp/jenkins-backup/

4.6. etcd のバックアップ

etcd はすべてのオブジェクト定義、および永続マスターの状態を保存するキー値のストアです。他のコンポーネントは変更の有無を監視して、それぞれ必要な状態に切り替えます。

3.5 よりも前の OpenShift Container Platform バージョンは etcd バージョン 2 (v2) を使用し、3.5 以降ではバージョン 3 (v3) を使用します。etcd のデータモデルは、この 2 つのバージョン間で異なります。etcd v3 は v2 と v3 データモデルの両方を使用できますが、etcd v2 は v2 データモデルしか使用できません。etcd v3 サーバーでは、v2 および v3 データストアは並列して存在し、それぞれ独立しています。

v2 および v3 の両方の操作については、ETCDCTL_API 環境変数を使用して適切な API を使用できます。

$ etcdctl -v
etcdctl version: 3.2.28
API version: 2

$ ETCDCTL_API=3 etcdctl version
etcdctl version: 3.2.28
API version: 3.2

v3 への移行方法についての詳細は、OpenShift Container Platform 3.7 ドキュメントの Migrating etcd Data (v2 to v3) のセクションを参照してください。

OpenShift Container Platform バージョン 3.10 移行では、etcd を別のホストにインストールすることも、マスターホスト上の静的 Pod として実行することもできます。別個の etcd ホストを指定しない場合、etcd はマスターホストの静的 Pod として実行されます。この違いにより、静的 Pod を使用する場合はバックアッププロセスも異なります。

etcd のバックアッププロセスは 2 つの異なる手順で設定されています。

  • 設定のバックアップ: 必要な etcd 設定および証明書が含まれます。
  • データのバックアップ: v2 と v3 の両方のデータモデルが含まれます。

データのバックアッププロセスは、適切な証明書が提供され、etcdctl ツールがインストールされている etcd クラスターに接続できるホストで実行できます。

注記

バックアップファイルは可能な場合は OpenShift Container Platform 環境外の外部システムにコピーしてから暗号化する必要があります。

etcd のバックアップには現在のストレージボリュームへのすべての参照が含まれることに注意してください。etcd の復元時に、OpenShift Container Platform はノードでの以前の Pod の起動と同じストレージの再割り当てを開始します。このプロセスは、ノードをクラスターから削除し、新規ノードを代わりに追加するプロセスと変わりがありません。そのノードに割り当てられているすべてのものは、Pod のスケジュール先のノードに関係なく Pod に再び割り当てられます。

4.6.1. etcd のバックアップ

etcd のバックアップ時に、etcd 設定ファイルと etcd データの両方をバックアップする必要があります。

4.6.1.1. etcd 設定ファイルのバックアップ

保持する etcd 設定ファイルはすべて etcd が実行されているインスタンスの /etc/etcd ディレクトリーに保存されます。これには、etcd 設定ファイル (/etc/etcd/etcd.conf) およびクラスターの通信に必要な証明書が含まれます。それらすべてのファイルは Ansible インストーラーによってインストール時に生成されます。

手順

クラスターの各 etcd メンバーについての etcd 設定をバックアップします。

$ ssh master-0 1
# mkdir -p /backup/etcd-config-$(date +%Y%m%d)/
# cp -R /etc/etcd/ /backup/etcd-config-$(date +%Y%m%d)/
1
master-0 は、etcd メンバーの名前に置き換えます。
注記

各 etcd クラスターメンバーの証明書および設定ファイルは一意のものです。

4.6.1.2. etcd データのバックアップ
前提条件
注記

OpenShift Container Platform インストーラーはエイリアスを作成するため、etcdctl2 (etcd v2 タスクの場合) と etcdctl3 (etcd v3 タスクの場合) という名前のすべてのフラグを入力しなくて済みます。

ただし、etcdctl3 エイリアスは etcdctl コマンドに詳細なエンドポイント一覧を提供しないため、--endpoints オプションを指定し、すべてのエンドポイントを一覧表示する必要があります。

etcd をバックアップする前に、以下を確認してください。

  • etcdctl バイナリーが利用可能であるか、またはコンテナー化インストールの場合は rhel7/etcd コンテナーが利用可能でなければなりません。
  • OpenShift Container Platform API サービスが実行中であることを確認します。
  • etcd クラスターとの接続を確認します (ポート 2379/tcp)。
  • etcd クラスターに接続するために使用する適切な証明書があることを確認します。
  • ヘルスを確認して、etcd クラスターが機能していることを確認します。

    • エンドポイントの正常性を確認します。

      # etcdctl3 --cert="/etc/etcd/peer.crt" \
                --key=/etc/etcd/peer.key \
                --cacert="/etc/etcd/ca.crt" \
                --endpoints="https://master-0.example.com:2379,https://master-1.example.com:2379,https://master-2.example.com:2379" \1
                endpoint health
      1
      これらの値は、クラスターのエンドポイントに置き換えます。

      出力例

      https://master-0.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 5.011358ms
      https://master-1.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 1.305173ms
      https://master-2.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 1.388772ms

    • メンバーの一覧を確認します。

      # etcdctl3 member list

      出力例

      2a371dd20f21ca8d, started, master-1.example.com, https://192.168.55.12:2380, https://192.168.55.12:2379
      40bef1f6c79b3163, started, master-0.example.com, https://192.168.55.8:2380, https://192.168.55.8:2379
      95dc17ffcce8ee29, started, master-2.example.com, https://192.168.55.13:2380, https://192.168.55.13:2379

手順
注記

etcdctl backup コマンドはバックアップを実行するために使用されますが、etcd v3 には バックアップ の概念がありません。代わりに、etcdctl snapshot save コマンドを使用してライブメンバーの snapshot を取るか、または etcd データディレクトリーの member/snap/db ファイルをコピーしてください。

etcdctl backup コマンドは、ノード ID やクラスター ID などのバックアップに含まれるメタデータの一部を書き換えるので、バックアップでは、ノードの以前のアイデンティティーが失われます。バックアップからクラスターを再作成するには、新規の単一ノードクラスターを作成してから、残りのノードをクラスターに追加します。メタデータは新規ノードが既存クラスターに加わらないように再作成されます。

etcd データをバックアップします。

重要

OpenShift Container Platform の以前のバージョンからアップグレードしたクラスターには、v2 データストアが含まれる可能性があります。すべての etcd データストアをバックアップしてください。

  1. 静的 Pod マニフェストから etcd エンドポイント IP アドレスを取得します。

    $ export ETCD_POD_MANIFEST="/etc/origin/node/pods/etcd.yaml"
    $ export ETCD_EP=$(grep https ${ETCD_POD_MANIFEST} | cut -d '/' -f3)
  2. 管理者としてログインします。

    $ oc login -u system:admin
  3. etcd Pod 名を取得します。

    $ export ETCD_POD=$(oc get pods -n kube-system | grep -o -m 1 '^master-etcd\S*')
  4. kube-system プロジェクトに切り替えます。

    $ oc project kube-system
  5. Pod の etcd データのスナップショットを作成し、これをローカルに保存します。

    $ oc exec ${ETCD_POD} -c etcd -- /bin/bash -c "ETCDCTL_API=3 etcdctl \
        --cert /etc/etcd/peer.crt \
        --key /etc/etcd/peer.key \
        --cacert /etc/etcd/ca.crt \
        --endpoints $ETCD_EP \
        snapshot save /var/lib/etcd/snapshot.db" 1
    1
    スナップショットは、/var/lib/etcd/ 配下のディレクトリーに記述する必要があります。

4.7. プロジェクトのバックアップ

関連するすべてのデータのバックアップの作成には、すべての重要な情報をエクスポートし、新規プロジェクトに復元することが関係します。

重要

oc get all コマンドは特定のプロジェクトリソースのみを返すため、以下の手順のように PVC およびシークレットを含む他のリソースを個別にバックアップする必要があります。

手順
  1. バックアップするプロジェクトデータを一覧表示します。

    $ oc get all

    出力例

    NAME         TYPE      FROM      LATEST
    bc/ruby-ex   Source    Git       1
    
    NAME               TYPE      FROM          STATUS     STARTED         DURATION
    builds/ruby-ex-1   Source    Git@c457001   Complete   2 minutes ago   35s
    
    NAME                 DOCKER REPO                                     TAGS      UPDATED
    is/guestbook         10.111.255.221:5000/myproject/guestbook         latest    2 minutes ago
    is/hello-openshift   10.111.255.221:5000/myproject/hello-openshift   latest    2 minutes ago
    is/ruby-22-centos7   10.111.255.221:5000/myproject/ruby-22-centos7   latest    2 minutes ago
    is/ruby-ex           10.111.255.221:5000/myproject/ruby-ex           latest    2 minutes ago
    
    NAME                 REVISION   DESIRED   CURRENT   TRIGGERED BY
    dc/guestbook         1          1         1         config,image(guestbook:latest)
    dc/hello-openshift   1          1         1         config,image(hello-openshift:latest)
    dc/ruby-ex           1          1         1         config,image(ruby-ex:latest)
    
    NAME                   DESIRED   CURRENT   READY     AGE
    rc/guestbook-1         1         1         1         2m
    rc/hello-openshift-1   1         1         1         2m
    rc/ruby-ex-1           1         1         1         2m
    
    NAME                  CLUSTER-IP       EXTERNAL-IP   PORT(S)             AGE
    svc/guestbook         10.111.105.84    <none>        3000/TCP            2m
    svc/hello-openshift   10.111.230.24    <none>        8080/TCP,8888/TCP   2m
    svc/ruby-ex           10.111.232.117   <none>        8080/TCP            2m
    
    NAME                         READY     STATUS      RESTARTS   AGE
    po/guestbook-1-c010g         1/1       Running     0          2m
    po/hello-openshift-1-4zw2q   1/1       Running     0          2m
    po/ruby-ex-1-build           0/1       Completed   0          2m
    po/ruby-ex-1-rxc74           1/1       Running     0          2m

  2. プロジェクトオブジェクトを project.yaml ファイルにエクスポートします。

    $ oc get -o yaml --export all > project.yaml
  3. ロールバインディング、シークレット、サービスアカウント、および永続ボリューム要求 (PVC) など、プロジェクト内の他のオブジェクトをエクスポートします。

    以下のコマンドを使用すると、プロジェクト内の namespace のオブジェクトをすべてエクスポートできます。

    $ for object in $(oc api-resources --namespaced=true -o name)
    do
      oc get -o yaml --export $object > $object.yaml
    done

    一部のリソースはエクスポートできず、aMethodNotAllowed エラーが表示されます。

  4. 一部のエクスポートされたオブジェクトはプロジェクト内の特定のメタデータまたは固有の ID への参照に依存する場合があります。これは、再作成されるオブジェクトのユーザービリティーにおける制限になります。

    imagestreams の使用時に、deploymentconfigimage パラメーターは、復元される環境に存在しない内部レジストリー内のイメージの特定の sha チェックサムをポイントする場合があります。たとえば、サンプル "ruby-ex" を oc new-app centos/ruby-22-centos7~https://github.com/sclorg/ruby-ex.git として実行すると、イメージをホストするための内部レジストリーを使用する imagestream ruby-ex が作成されます。

    $ oc get dc ruby-ex -o jsonpath="{.spec.template.spec.containers[].image}"
    10.111.255.221:5000/myproject/ruby-ex@sha256:880c720b23c8d15a53b01db52f7abdcbb2280e03f686a5c8edfef1a2a7b21cee

    oc get --export でのエクスポートと同じ方法で、deploymentconfig をインポートすると、イメージが存在しない場合には失敗します。

4.8. Persistent Volume Claim (永続ボリューム要求) のバックアップ

コンテナー内の永続データをサーバーと同期できます。

重要

OpenShift Container Platform 環境をホストする一部のプロバイダーでは、バックアップおよび復元目的でサードパーティーのスナップショットサービスを起動する機能がある場合があります。ただし、OpenShift Container Platform ではこれらのサービスを起動する機能を提供していないため、本書ではこれらの手順については説明しません。

特定アプリケーションの適切なバックアップ手順については、製品のドキュメントを参照してください。たとえば、mysql データディレクトリー自体をコピーしても使用可能なバックアップは作成されません。その代わりに、関連付けられたアプリケーションの特定のバックアップ手順を実行してから、データを同期することができます。この特定の手順には、OpenShift Container Platform をホストするプラットフォームで提供されるスナップショットソリューションの使用も含まれます。

手順
  1. プロジェクトおよび Pod を表示します。

    $ oc get pods
    NAME           READY     STATUS      RESTARTS   AGE
    demo-1-build   0/1       Completed   0          2h
    demo-2-fxx6d   1/1       Running     0          1h
  2. 永続ボリュームで使用されているボリュームを検索できるように必要な Pod の情報を記述します。

    $ oc describe pod demo-2-fxx6d
    Name:			demo-2-fxx6d
    Namespace:		test
    Security Policy:	restricted
    Node:			ip-10-20-6-20.ec2.internal/10.20.6.20
    Start Time:		Tue, 05 Dec 2017 12:54:34 -0500
    Labels:			app=demo
    			deployment=demo-2
    			deploymentconfig=demo
    Status:			Running
    IP:			172.16.12.5
    Controllers:		ReplicationController/demo-2
    Containers:
      demo:
        Container ID:	docker://201f3e55b373641eb36945d723e1e212ecab847311109b5cee1fd0109424217a
        Image:		docker-registry.default.svc:5000/test/demo@sha256:0a9f2487a0d95d51511e49d20dc9ff6f350436f935968b0c83fcb98a7a8c381a
        Image ID:		docker-pullable://docker-registry.default.svc:5000/test/demo@sha256:0a9f2487a0d95d51511e49d20dc9ff6f350436f935968b0c83fcb98a7a8c381a
        Port:		8080/TCP
        State:		Running
          Started:		Tue, 05 Dec 2017 12:54:52 -0500
        Ready:		True
        Restart Count:	0
        Volume Mounts:
          */opt/app-root/src/uploaded from persistent-volume (rw)*
          /var/run/secrets/kubernetes.io/serviceaccount from default-token-8mmrk (ro)
        Environment Variables:	<none>
    ...omitted...

    この出力は永続データが /opt/app-root/src/uploaded ディレクトリーにあることを示しています。

  3. データをローカルにコピーします。

    $ oc rsync demo-2-fxx6d:/opt/app-root/src/uploaded ./demo-app
    receiving incremental file list
    uploaded/
    uploaded/ocp_sop.txt
    uploaded/lost+found/
    
    sent 38 bytes  received 190 bytes  152.00 bytes/sec
    total size is 32  speedup is 0.14

    ocp_sop.txt ファイルはローカルシステムにダウンロードされ、バックアップソフトウェアまたは別のバックアップメカニズムでバックアップされます。

    注記

    また、Pod が起動する場合に pvc を使用せずに直前の手順を実行できますが、後に pvc が必要かどうかを確認する必要があります。データを保持してから復元プロセスを使用し、新規ストレージを設定することができます。

第5章 ホストレベルのタスク

5.1. ホストのクラスターへの追加

マスターまたはノードホストのクラスターへの追加についての詳細は、インストールと設定ガイドの ホストの既存クラスターへの追加 のセクションを参照してください。

5.2. マスターホストのタスク

5.2.1. マスターホストの使用の終了

マスターホストの使用を終了することにより、マスターホストを OpenShift Container Platform 環境から削除できます。

マスターホストの使用終了やサイズ縮小が必要になる要因には、ハードウェアのサイズ変更または基礎となるインフラストラクチャーの置き換えなどが含まれます。

可用性の高い OpenShift Container Platform 環境には、少なくとも 3 つのマスターホストと 3 つの etcd ノードが必要です。通常、マスターホストは etcd サービスと同じ場所に置かれます。マスターホストの使用を終了する場合は、そのホストから etcd の静的 Pod を削除する必要もあります。

重要

マスターおよび etcd サービスは、サービス間で実行される投票メカニズムにより常に奇数の数でデプロイするようにします。

5.2.1.1. マスターホストのバックアップの作成

バックアッププロセスは、システム更新やアップグレードまたはその他の大きな変更を含む変更を OpenShift Container Platform インフラストラクチャーに加える前に実行します。データのバックアップは、障害発生時に最新データが利用可能になるように定期的に実行します。

OpenShift Container Platform ファイル

マスターインスタンスは API、コントローラーなどの重要なサービスを実行します。/etc/origin/master ディレクトリーには、以下のような重要なファイルが数多く格納されています。

  • 設定、API コントローラー、サービスなど
  • インストールで生成される証明書
  • すべてのクラウドプロバイダー関連の設定
  • キーおよびその他の認証ファイル (htpasswd を使用する場合は htpasswd など)
  • その他

ログレベルの引き上げやプロキシーの使用などのカスタマイズを OpenShift Container Platform サービスに対して行うことができます。設定ファイルは /etc/sysconfig ディレクトリーに保存されます。

マスターはノードでもあるため、/etc/origin ディレクトリー全体のバックアップを作成します。

手順
重要

各マスターノードで以下の手順を実行する必要があります。

  1. ここでは、Pod 定義のバックアップを作成します。
  2. マスターホストの設定ファイルのバックアップを作成します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo cp -aR /etc/origin ${MYBACKUPDIR}/etc
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/ ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
    注記

    マスター設定ファイルは /etc/origin/master/master-config.yaml です。

    警告

    /etc/origin/master/ca.serial.txt ファイルは Ansible ホストインベントリーに一覧表示される最初のマスターでのみ生成されます。最初のマスターホストの使用を終了する場合は、このプロセスの実行前に /etc/origin/master/ca.serial.txt ファイルを残りのマスターホストにコピーします。

    重要

    複数のマスターを実行する OpenShift Container Platform 3.11 クラスターでは、マスターノードのいずれかの /etc/origin/master/etc/etcd/ca および /etc/etcd/generated_certs に追加の CA 証明書が含まれます。これらはアプリケーションノードおよび etcd ノードのスケールアップ操作に必要であり、元のマスターが完全に利用できなくなった場合には、別のマスターノードに復元する必要があります。これらのディレクトリーは、ここで説明するバックアップ手順にデフォルトで含まれています。

  3. バックアップの計画時に考慮する必要のある他の重要なファイルには以下が含まれます。

    ファイル

    説明

    /etc/cni/*

    コンテナーネットワークインターフェイスの設定 (使用される場合)

    /etc/sysconfig/iptables

    iptables ルールが保存される場所

    /etc/sysconfig/docker-storage-setup

    container-storage-setup コマンドの入力ファイル

    /etc/sysconfig/docker

    docker 設定ファイル

    /etc/sysconfig/docker-network

    docker ネットワーク設定 (例: MTU)

    /etc/sysconfig/docker-storage

    docker ストレージ設定 (container-storage-setup で生成される)

    /etc/dnsmasq.conf

    dnsmasq の主要な設定ファイル

    /etc/dnsmasq.d/*

    異なる dnsmasq 設定ファイル

    /etc/sysconfig/flanneld

    flannel 設定ファイル (使用される場合)

    /etc/pki/ca-trust/source/anchors/

    システムに追加される証明書 (例: 外部レジストリー用)

    上記のファイルのバックアップを作成します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/{iptables,docker-*,flanneld} \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
    $ sudo cp -aR /etc/dnsmasq* /etc/cni ${MYBACKUPDIR}/etc/
    $ sudo cp -aR /etc/pki/ca-trust/source/anchors/* \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors/
  4. パッケージが間違って削除されてしまう場合や、rpm パッケージに含まれるファイルを復元する必要がある場合に、システムにインストールされている rhel パッケージの一覧があると便利です。

    注記

    コンテンツビューやファクトストアなどの Red Hat Satellite 機能を使用する場合は、見つからないパッケージやシステムにインストールされているパッケージの履歴データを再インストールする適切なメカニズムを指定します。

    システムにインストールされている現在の rhel パッケージの一覧を作成するには、以下を実行します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}
    $ rpm -qa | sort | sudo tee $MYBACKUPDIR/packages.txt
  5. これまでの手順を実行している場合、以下のファイルがバックアップディレクトリーに置かれます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo find ${MYBACKUPDIR} -mindepth 1 -type f -printf '%P\n'
    etc/sysconfig/flanneld
    etc/sysconfig/iptables
    etc/sysconfig/docker-network
    etc/sysconfig/docker-storage
    etc/sysconfig/docker-storage-setup
    etc/sysconfig/docker-storage-setup.rpmnew
    etc/origin/master/ca.crt
    etc/origin/master/ca.key
    etc/origin/master/ca.serial.txt
    etc/origin/master/ca-bundle.crt
    etc/origin/master/master.proxy-client.crt
    etc/origin/master/master.proxy-client.key
    etc/origin/master/service-signer.crt
    etc/origin/master/service-signer.key
    etc/origin/master/serviceaccounts.private.key
    etc/origin/master/serviceaccounts.public.key
    etc/origin/master/openshift-master.crt
    etc/origin/master/openshift-master.key
    etc/origin/master/openshift-master.kubeconfig
    etc/origin/master/master.server.crt
    etc/origin/master/master.server.key
    etc/origin/master/master.kubelet-client.crt
    etc/origin/master/master.kubelet-client.key
    etc/origin/master/admin.crt
    etc/origin/master/admin.key
    etc/origin/master/admin.kubeconfig
    etc/origin/master/etcd.server.crt
    etc/origin/master/etcd.server.key
    etc/origin/master/master.etcd-client.key
    etc/origin/master/master.etcd-client.csr
    etc/origin/master/master.etcd-client.crt
    etc/origin/master/master.etcd-ca.crt
    etc/origin/master/policy.json
    etc/origin/master/scheduler.json
    etc/origin/master/htpasswd
    etc/origin/master/session-secrets.yaml
    etc/origin/master/openshift-router.crt
    etc/origin/master/openshift-router.key
    etc/origin/master/registry.crt
    etc/origin/master/registry.key
    etc/origin/master/master-config.yaml
    etc/origin/generated-configs/master-master-1.example.com/master.server.crt
    ...[OUTPUT OMITTED]...
    etc/origin/cloudprovider/openstack.conf
    etc/origin/node/system:node:master-0.example.com.crt
    etc/origin/node/system:node:master-0.example.com.key
    etc/origin/node/ca.crt
    etc/origin/node/system:node:master-0.example.com.kubeconfig
    etc/origin/node/server.crt
    etc/origin/node/server.key
    etc/origin/node/node-dnsmasq.conf
    etc/origin/node/resolv.conf
    etc/origin/node/node-config.yaml
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.key
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.csr
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.crt
    etc/origin/node/flannel.etcd-ca.crt
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/openshift-ca.crt
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/registry-ca.crt
    etc/dnsmasq.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-upstream-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/node-dnsmasq.conf
    packages.txt

    必要な場合は、ファイルを圧縮してスペースを節約することができます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo tar -zcvf /backup/$(hostname)-$(date +%Y%m%d).tar.gz $MYBACKUPDIR
    $ sudo rm -Rf ${MYBACKUPDIR}

これらのファイルのいずれかをゼロから作成するには、openshift-ansible-contrib リポジトリーに含まれる backup_master_node.sh スクリプトを使用します。このスクリプトは前述の手順を実行し、スクリプトが実行され、前述のすべてのファイルがコピーされるホスト上のディレクトリーを作成します。

注記

openshift-ansible-contrib スクリプトは Red Hat ではサポートされていませんが、リファレンスアーキテクチャーチームはコードが定義通りに動作し、安全であることを確認するテストを実施しています。

このスクリプトは、以下のコマンドを使用してすべてのマスターホストで実行することができます。

$ mkdir ~/git
$ cd ~/git
$ git clone https://github.com/openshift/openshift-ansible-contrib.git
$ cd openshift-ansible-contrib/reference-architecture/day2ops/scripts
$ ./backup_master_node.sh -h
5.2.1.2. etcd のバックアップ

etcd のバックアップ時に、etcd 設定ファイルと etcd データの両方をバックアップする必要があります。

5.2.1.2.1. etcd 設定ファイルのバックアップ

保持する etcd 設定ファイルはすべて etcd が実行されているインスタンスの /etc/etcd ディレクトリーに保存されます。これには、etcd 設定ファイル (/etc/etcd/etcd.conf) およびクラスターの通信に必要な証明書が含まれます。それらすべてのファイルは Ansible インストーラーによってインストール時に生成されます。

手順

クラスターの各 etcd メンバーについての etcd 設定をバックアップします。

$ ssh master-0 1
# mkdir -p /backup/etcd-config-$(date +%Y%m%d)/
# cp -R /etc/etcd/ /backup/etcd-config-$(date +%Y%m%d)/
1
master-0 は、etcd メンバーの名前に置き換えます。
注記

各 etcd クラスターメンバーの証明書および設定ファイルは一意のものです。

5.2.1.2.2. etcd データのバックアップ
前提条件
注記

OpenShift Container Platform インストーラーはエイリアスを作成するため、etcdctl2 (etcd v2 タスクの場合) と etcdctl3 (etcd v3 タスクの場合) という名前のすべてのフラグを入力しなくて済みます。

ただし、etcdctl3 エイリアスは etcdctl コマンドに詳細なエンドポイント一覧を提供しないため、--endpoints オプションを指定し、すべてのエンドポイントを一覧表示する必要があります。

etcd をバックアップする前に、以下を確認してください。

  • etcdctl バイナリーが利用可能であるか、またはコンテナー化インストールの場合は rhel7/etcd コンテナーが利用可能でなければなりません。
  • OpenShift Container Platform API サービスが実行中であることを確認します。
  • etcd クラスターとの接続を確認します (ポート 2379/tcp)。
  • etcd クラスターに接続するために使用する適切な証明書があることを確認します。
手順
注記

etcdctl backup コマンドはバックアップを実行するために使用されますが、etcd v3 には バックアップ の概念がありません。代わりに、etcdctl snapshot save コマンドを使用してライブメンバーの snapshot を取るか、または etcd データディレクトリーの member/snap/db ファイルをコピーしてください。

etcdctl backup コマンドは、ノード ID やクラスター ID などのバックアップに含まれるメタデータの一部を書き換えるので、バックアップでは、ノードの以前のアイデンティティーが失われます。バックアップからクラスターを再作成するには、新規の単一ノードクラスターを作成してから、残りのノードをクラスターに追加します。メタデータは新規ノードが既存クラスターに加わらないように再作成されます。

etcd データをバックアップします。

重要

OpenShift Container Platform の以前のバージョンからアップグレードしたクラスターには、v2 データストアが含まれる可能性があります。すべての etcd データストアをバックアップしてください。

  1. 静的 Pod マニフェストから etcd エンドポイント IP アドレスを取得します。

    $ export ETCD_POD_MANIFEST="/etc/origin/node/pods/etcd.yaml"
    $ export ETCD_EP=$(grep https ${ETCD_POD_MANIFEST} | cut -d '/' -f3)
  2. 管理者としてログインします。

    $ oc login -u system:admin
  3. etcd Pod 名を取得します。

    $ export ETCD_POD=$(oc get pods -n kube-system | grep -o -m 1 '^master-etcd\S*')
  4. kube-system プロジェクトに切り替えます。

    $ oc project kube-system
  5. Pod の etcd データのスナップショットを作成し、これをローカルに保存します。

    $ oc exec ${ETCD_POD} -c etcd -- /bin/bash -c "ETCDCTL_API=3 etcdctl \
        --cert /etc/etcd/peer.crt \
        --key /etc/etcd/peer.key \
        --cacert /etc/etcd/ca.crt \
        --endpoints $ETCD_EP \
        snapshot save /var/lib/etcd/snapshot.db" 1
    1
    スナップショットは、/var/lib/etcd/ 配下のディレクトリーに記述する必要があります。
5.2.1.3. マスターホストの使用の終了

マスターホストは OpenShift Container Platform API およびコントローラーサービスなどの重要なサービスを実行します。マスターホストの使用を終了するには、これらのサービスが停止している必要があります。

OpenShift Container Platform API サービスはアクティブ/アクティブサービスであるため、サービスを停止しても、要求が別のマスターサーバーに送信される限り環境に影響はありません。ただし、OpenShift Container Platform コントローラーサービスはアクティブ/パッシブサービスであり、サービスは etcd を利用してアクティブなマスターを判別します。

複数マスターアーキテクチャーでマスターホストの使用を終了するには、新しい接続でのマスターの使用を防ぐためにマスターをロードバランサープールから削除することが関係します。このプロセスは使用されるロードバランサーによって大きく異なります。以下の手順では、マスターの haproxy からの削除についての詳しく説明しています。OpenShift Container Platform がクラウドプロバイダーで実行されている場合や、F5 アプライアンスを使用する場合は、特定の製品ドキュメントを参照してマスターをローテーションから削除するようにしてください。

手順
  1. /etc/haproxy/haproxy.cfg 設定ファイルで backend セクションを削除します。たとえば、haproxy を使用して master-0.example.com という名前のマスターの使用を終了する場合は、ホスト名が以下から削除されていることを確認します。

    backend mgmt8443
        balance source
        mode tcp
        # MASTERS 8443
        server master-1.example.com 192.168.55.12:8443 check
        server master-2.example.com 192.168.55.13:8443 check
  2. 次に、haproxy サービスを再起動します。

    $ sudo systemctl restart haproxy
  3. マスターがロードバランサーから削除される場合、定義ファイルを静的 Pod のディレクトリー /etc/origin/node/pods から移動して API およびコントローラーサービスを無効にします。

    # mkdir -p /etc/origin/node/pods/disabled
    # mv /etc/origin/node/pods/controller.yaml /etc/origin/node/pods/disabled/:
    +
  4. マスターホストはスケジュール可能な OpenShift Container Platform ノードであるため、ノードホストの使用の終了 セクションの手順に従ってください。
  5. マスターホストを /etc/ansible/hosts Ansible インベントリーファイルの [masters] および [nodes] グループから削除し、このインベントリーファイルを使用して Ansible タスクを実行する場合の問題を回避できます。

    警告

    Ansible インベントリーファイルに一覧表示される最初のマスターホストの使用を終了するには、とくに注意が必要になります。

    /etc/origin/master/ca.serial.txt ファイルは Ansible ホストインベントリーに一覧表示される最初のマスターでのみ生成されます。最初のマスターホストの使用を終了する場合は、このプロセスの実行前に /etc/origin/master/ca.serial.txt ファイルを残りのマスターホストにコピーします。

    重要

    複数のマスターを実行する OpenShift Container Platform 3.11 クラスターでは、マスターノードのいずれかの /etc/origin/master/etc/etcd/ca および /etc/etcd/generated_certs に追加の CA 証明書が含まれます。これらは、アプリケーションノードおよび etcd ノードのスケールアップ操作に必要であり、CA ホストマスターが非推奨になっている場合は、別のマスターノードで復元する必要があります。

  6. kubernetes サービスにはマスターホスト IP がエンドポイントとして含まれています。マスターの使用が適切に終了していることを確認するには、kubernetes サービスの出力を確認して、使用が終了したマスターが削除されているかどうかを確認します。

    $ oc describe svc kubernetes -n default
    Name:			kubernetes
    Namespace:		default
    Labels:			component=apiserver
    			provider=kubernetes
    Annotations:		<none>
    Selector:		<none>
    Type:			ClusterIP
    IP:			10.111.0.1
    Port:			https	443/TCP
    Endpoints:		192.168.55.12:8443,192.168.55.13:8443
    Port:			dns	53/UDP
    Endpoints:		192.168.55.12:8053,192.168.55.13:8053
    Port:			dns-tcp	53/TCP
    Endpoints:		192.168.55.12:8053,192.168.55.13:8053
    Session Affinity:	ClientIP
    Events:			<none>

    マスターの使用が正常に終了している場合、マスターが以前に実行されていたホストを安全に削除できます。

5.2.1.4. etcd ホストの削除

復元後に etcd ホストが失敗する場合は、クラスターから削除します。

すべてのマスターホストで実行する手順

手順
  1. etcd クラスターから他の etcd ホストをそれぞれ削除します。それぞれの etcd ノードについて以下のコマンドを実行します。

    # etcdctl3 --endpoints=https://<surviving host IP>:2379
      --cacert=/etc/etcd/ca.crt
      --cert=/etc/etcd/peer.crt
      --key=/etc/etcd/peer.key member remove <failed member ID>
  2. すべてのマスターでマスター API サービスを再起動します。

    # master-restart api restart-master controller

現在の etcd クラスターで実行する手順

手順
  1. 失敗したホストをクラスターから削除します。

    # etcdctl2 cluster-health
    member 5ee217d19001 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.12:2379
    member 2a529ba1840722c0 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.8:2379
    failed to check the health of member 8372784203e11288 on https://192.168.55.21:2379: Get https://192.168.55.21:2379/health: dial tcp 192.168.55.21:2379: getsockopt: connection refused
    member 8372784203e11288 is unreachable: [https://192.168.55.21:2379] are all unreachable
    member ed4f0efd277d7599 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.13:2379
    cluster is healthy
    
    # etcdctl2 member remove 8372784203e11288 1
    Removed member 8372784203e11288 from cluster
    
    # etcdctl2 cluster-health
    member 5ee217d19001 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.12:2379
    member 2a529ba1840722c0 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.8:2379
    member ed4f0efd277d7599 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.13:2379
    cluster is healthy
    1
    remove コマンドにはホスト名ではなく、etcd ID が必要です。
  2. etcd 設定で etcd サービスの再起動時に失敗したホストを使用しないようにするには、残りのすべての etcd ホストで /etc/etcd/etcd.conf ファイルを変更し、ETCD_INITIAL_CLUSTER 変数の値から失敗したホストを削除します。

    # vi /etc/etcd/etcd.conf

    以下に例を示します。

    ETCD_INITIAL_CLUSTER=master-0.example.com=https://192.168.55.8:2380,master-1.example.com=https://192.168.55.12:2380,master-2.example.com=https://192.168.55.13:2380

    以下のようになります。

    ETCD_INITIAL_CLUSTER=master-0.example.com=https://192.168.55.8:2380,master-1.example.com=https://192.168.55.12:2380
    注記

    失敗したホストは etcdctl を使用して削除されているので、etcd サービスの再起動は不要です。

  3. Ansible インベントリーファイルをクラスターの現在のステータスを反映し、Playbook の再実行時の問題を防げるように変更します。

    [OSEv3:children]
    masters
    nodes
    etcd
    
    ... [OUTPUT ABBREVIATED] ...
    
    [etcd]
    master-0.example.com
    master-1.example.com
  4. Flannel を使用している場合、すべてのホストの /etc/sysconfig/flanneld にある flanneld サービス設定を変更し、etcd ホストを削除します。

    FLANNEL_ETCD_ENDPOINTS=https://master-0.example.com:2379,https://master-1.example.com:2379,https://master-2.example.com:2379
  5. flanneld サービスを再起動します。

    # systemctl restart flanneld.service

5.2.2. マスターホストのバックアップの作成

バックアッププロセスは、システム更新やアップグレードまたはその他の大きな変更を含む変更を OpenShift Container Platform インフラストラクチャーに加える前に実行します。データのバックアップは、障害発生時に最新データが利用可能になるように定期的に実行します。

OpenShift Container Platform ファイル

マスターインスタンスは API、コントローラーなどの重要なサービスを実行します。/etc/origin/master ディレクトリーには、以下のような重要なファイルが数多く格納されています。

  • 設定、API コントローラー、サービスなど
  • インストールで生成される証明書
  • すべてのクラウドプロバイダー関連の設定
  • キーおよびその他の認証ファイル (htpasswd を使用する場合は htpasswd など)
  • その他

ログレベルの引き上げやプロキシーの使用などのカスタマイズを OpenShift Container Platform サービスに対して行うことができます。設定ファイルは /etc/sysconfig ディレクトリーに保存されます。

マスターはノードでもあるため、/etc/origin ディレクトリー全体のバックアップを作成します。

手順
重要

各マスターノードで以下の手順を実行する必要があります。

  1. ここでは、Pod 定義のバックアップを作成します。
  2. マスターホストの設定ファイルのバックアップを作成します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo cp -aR /etc/origin ${MYBACKUPDIR}/etc
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/ ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
    注記

    マスター設定ファイルは /etc/origin/master/master-config.yaml です。

    警告

    /etc/origin/master/ca.serial.txt ファイルは Ansible ホストインベントリーに一覧表示される最初のマスターでのみ生成されます。最初のマスターホストの使用を終了する場合は、このプロセスの実行前に /etc/origin/master/ca.serial.txt ファイルを残りのマスターホストにコピーします。

    重要

    複数のマスターを実行する OpenShift Container Platform 3.11 クラスターでは、マスターノードのいずれかの /etc/origin/master/etc/etcd/ca および /etc/etcd/generated_certs に追加の CA 証明書が含まれます。これらはアプリケーションノードおよび etcd ノードのスケールアップ操作に必要であり、元のマスターが完全に利用できなくなった場合には、別のマスターノードに復元する必要があります。これらのディレクトリーは、ここで説明するバックアップ手順にデフォルトで含まれています。

  3. バックアップの計画時に考慮する必要のある他の重要なファイルには以下が含まれます。

    ファイル

    説明

    /etc/cni/*

    コンテナーネットワークインターフェイスの設定 (使用される場合)

    /etc/sysconfig/iptables

    iptables ルールが保存される場所

    /etc/sysconfig/docker-storage-setup

    container-storage-setup コマンドの入力ファイル

    /etc/sysconfig/docker

    docker 設定ファイル

    /etc/sysconfig/docker-network

    docker ネットワーク設定 (例: MTU)

    /etc/sysconfig/docker-storage

    docker ストレージ設定 (container-storage-setup で生成される)

    /etc/dnsmasq.conf

    dnsmasq の主要な設定ファイル

    /etc/dnsmasq.d/*

    異なる dnsmasq 設定ファイル

    /etc/sysconfig/flanneld

    flannel 設定ファイル (使用される場合)

    /etc/pki/ca-trust/source/anchors/

    システムに追加される証明書 (例: 外部レジストリー用)

    上記のファイルのバックアップを作成します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/{iptables,docker-*,flanneld} \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
    $ sudo cp -aR /etc/dnsmasq* /etc/cni ${MYBACKUPDIR}/etc/
    $ sudo cp -aR /etc/pki/ca-trust/source/anchors/* \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors/
  4. パッケージが間違って削除されてしまう場合や、rpm パッケージに含まれるファイルを復元する必要がある場合に、システムにインストールされている rhel パッケージの一覧があると便利です。

    注記

    コンテンツビューやファクトストアなどの Red Hat Satellite 機能を使用する場合は、見つからないパッケージやシステムにインストールされているパッケージの履歴データを再インストールする適切なメカニズムを指定します。

    システムにインストールされている現在の rhel パッケージの一覧を作成するには、以下を実行します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}
    $ rpm -qa | sort | sudo tee $MYBACKUPDIR/packages.txt
  5. これまでの手順を実行している場合、以下のファイルがバックアップディレクトリーに置かれます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo find ${MYBACKUPDIR} -mindepth 1 -type f -printf '%P\n'
    etc/sysconfig/flanneld
    etc/sysconfig/iptables
    etc/sysconfig/docker-network
    etc/sysconfig/docker-storage
    etc/sysconfig/docker-storage-setup
    etc/sysconfig/docker-storage-setup.rpmnew
    etc/origin/master/ca.crt
    etc/origin/master/ca.key
    etc/origin/master/ca.serial.txt
    etc/origin/master/ca-bundle.crt
    etc/origin/master/master.proxy-client.crt
    etc/origin/master/master.proxy-client.key
    etc/origin/master/service-signer.crt
    etc/origin/master/service-signer.key
    etc/origin/master/serviceaccounts.private.key
    etc/origin/master/serviceaccounts.public.key
    etc/origin/master/openshift-master.crt
    etc/origin/master/openshift-master.key
    etc/origin/master/openshift-master.kubeconfig
    etc/origin/master/master.server.crt
    etc/origin/master/master.server.key
    etc/origin/master/master.kubelet-client.crt
    etc/origin/master/master.kubelet-client.key
    etc/origin/master/admin.crt
    etc/origin/master/admin.key
    etc/origin/master/admin.kubeconfig
    etc/origin/master/etcd.server.crt
    etc/origin/master/etcd.server.key
    etc/origin/master/master.etcd-client.key
    etc/origin/master/master.etcd-client.csr
    etc/origin/master/master.etcd-client.crt
    etc/origin/master/master.etcd-ca.crt
    etc/origin/master/policy.json
    etc/origin/master/scheduler.json
    etc/origin/master/htpasswd
    etc/origin/master/session-secrets.yaml
    etc/origin/master/openshift-router.crt
    etc/origin/master/openshift-router.key
    etc/origin/master/registry.crt
    etc/origin/master/registry.key
    etc/origin/master/master-config.yaml
    etc/origin/generated-configs/master-master-1.example.com/master.server.crt
    ...[OUTPUT OMITTED]...
    etc/origin/cloudprovider/openstack.conf
    etc/origin/node/system:node:master-0.example.com.crt
    etc/origin/node/system:node:master-0.example.com.key
    etc/origin/node/ca.crt
    etc/origin/node/system:node:master-0.example.com.kubeconfig
    etc/origin/node/server.crt
    etc/origin/node/server.key
    etc/origin/node/node-dnsmasq.conf
    etc/origin/node/resolv.conf
    etc/origin/node/node-config.yaml
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.key
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.csr
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.crt
    etc/origin/node/flannel.etcd-ca.crt
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/openshift-ca.crt
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/registry-ca.crt
    etc/dnsmasq.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-upstream-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/node-dnsmasq.conf
    packages.txt

    必要な場合は、ファイルを圧縮してスペースを節約することができます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo tar -zcvf /backup/$(hostname)-$(date +%Y%m%d).tar.gz $MYBACKUPDIR
    $ sudo rm -Rf ${MYBACKUPDIR}

これらのファイルのいずれかをゼロから作成するには、openshift-ansible-contrib リポジトリーに含まれる backup_master_node.sh スクリプトを使用します。このスクリプトは前述の手順を実行し、スクリプトが実行され、前述のすべてのファイルがコピーされるホスト上のディレクトリーを作成します。

注記

openshift-ansible-contrib スクリプトは Red Hat ではサポートされていませんが、リファレンスアーキテクチャーチームはコードが定義通りに動作し、安全であることを確認するテストを実施しています。

このスクリプトは、以下のコマンドを使用してすべてのマスターホストで実行することができます。

$ mkdir ~/git
$ cd ~/git
$ git clone https://github.com/openshift/openshift-ansible-contrib.git
$ cd openshift-ansible-contrib/reference-architecture/day2ops/scripts
$ ./backup_master_node.sh -h

5.2.3. マスターホストのバックアップの復元

重要なマスターホストファイルのバックアップを作成した後に、それらのファイルが破損するか、または間違って削除された場合は、それらのファイルをマスターにコピーし直してファイルを復元し、それらに適切なコンテンツが含まれることを確認し、影響を受けるサービスを再起動して実行できます。

手順
  1. /etc/origin/master/master-config.yaml ファイルを復元します。

    # MYBACKUPDIR=*/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)*
    # cp /etc/origin/master/master-config.yaml /etc/origin/master/master-config.yaml.old
    # cp /backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)/origin/master/master-config.yaml /etc/origin/master/master-config.yaml
    # master-restart api
    # master-restart controllers
    警告

    マスターサービスの再起動によりダウンタイムが生じる場合があります。ただし、マスターホストを可用性の高いロードバランサープールから削除し、復元操作を実行することができます。サービスが適切に復元された後に、マスターホストをロードバランサープールに再び追加することができます。

    注記

    影響を受けるインスタンスを完全に再起動して、iptables 設定を復元します。

  2. パッケージがないために OpenShift Container Platform を再起動できない場合は、パッケージを再インストールします。

    1. 現在インストールされているパッケージの一覧を取得します。

      $ rpm -qa | sort > /tmp/current_packages.txt
    2. パッケージの一覧の間に存在する差分を表示します。

      $ diff /tmp/current_packages.txt ${MYBACKUPDIR}/packages.txt
      
      > ansible-2.4.0.0-5.el7.noarch
    3. 足りないパッケージを再インストールします。

      # yum reinstall -y <packages> 1
      1
      <packages> は、パッケージの一覧ごとに異なるパッケージに置き換えます。
  3. システム証明書を /etc/pki/ca-trust/source/anchors/ ディレクトリーにコピーして復元し、update-ca-trust を実行します。

    $ MYBACKUPDIR=*/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)*
    $ sudo cp ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors/<certificate> /etc/pki/ca-trust/source/anchors/ 1
    $ sudo update-ca-trust
    1
    <certificate> は、復元するシステム証明書のファイル名に置き換えます。
    注記

    ファイルをコピーし直す時に、ユーザー ID およびグループ ID だけでなく、SELinux コンテキストも復元されていることを常に確認してください。

5.3. ノードホストのタスク

5.3.1. ノードホストの使用の終了

この使用を終了する手順は、インフラストラクチャーノードの場合でもアプリケーションノードの場合でも同じです。

前提条件

既存の Pod を削除されるノードセットから移行するために必要な容量が十分にあることを確認します。インフラストラクチャーノードの削除は、2 つ以上のノードがインフラストラクチャーノードの削除後もオンライン状態である場合にのみ推奨されます。

手順
  1. 利用可能なすべてのノードを一覧表示し、使用を終了するノードを検索します。

    $ oc get nodes
    NAME                  STATUS                     AGE       VERSION
    ocp-infra-node-b7pl   Ready                      23h       v1.6.1+5115d708d7
    ocp-infra-node-p5zj   Ready                      23h       v1.6.1+5115d708d7
    ocp-infra-node-rghb   Ready                      23h       v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-dgf8       Ready,SchedulingDisabled   23h       v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-q1v2       Ready,SchedulingDisabled   23h       v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-vq70       Ready,SchedulingDisabled   23h       v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-020m         Ready                      23h       v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-7t5p         Ready                      23h       v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-n0dd         Ready                      23h       v1.6.1+5115d708d7

    一例として、このトピックでは ocp-infra-node-b7pl インフラストラクチャーノードの使用を終了します。

  2. ノードとその実行中のサービスを記述します。

    $ oc describe node ocp-infra-node-b7pl
    Name:			ocp-infra-node-b7pl
    Role:
    Labels:			beta.kubernetes.io/arch=amd64
    			beta.kubernetes.io/instance-type=n1-standard-2
    			beta.kubernetes.io/os=linux
    			failure-domain.beta.kubernetes.io/region=europe-west3
    			failure-domain.beta.kubernetes.io/zone=europe-west3-c
    			kubernetes.io/hostname=ocp-infra-node-b7pl
    			role=infra
    Annotations:		volumes.kubernetes.io/controller-managed-attach-detach=true
    Taints:			<none>
    CreationTimestamp:	Wed, 22 Nov 2017 09:36:36 -0500
    Phase:
    Conditions:
      ...
    Addresses:		10.156.0.11,ocp-infra-node-b7pl
    Capacity:
     cpu:		2
     memory:	7494480Ki
     pods:		20
    Allocatable:
     cpu:		2
     memory:	7392080Ki
     pods:		20
    System Info:
     Machine ID:			bc95ccf67d047f2ae42c67862c202e44
     System UUID:			9762CC3D-E23C-AB13-B8C5-FA16F0BCCE4C
     Boot ID:			ca8bf088-905d-4ec0-beec-8f89f4527ce4
     Kernel Version:		3.10.0-693.5.2.el7.x86_64
     OS Image:			Employee SKU
     Operating System:		linux
     Architecture:			amd64
     Container Runtime Version:	docker://1.12.6
     Kubelet Version:		v1.6.1+5115d708d7
     Kube-Proxy Version:		v1.6.1+5115d708d7
    ExternalID:			437740049672994824
    Non-terminated Pods:		(2 in total)
      Namespace			Name				CPU Requests	CPU Limits	Memory Requests	Memory Limits
      ---------			----				------------	----------	---------------	-------------
      default			docker-registry-1-5szjs		100m (5%)	0 (0%)		256Mi (3%)0 (0%)
      default			router-1-vzlzq			100m (5%)	0 (0%)		256Mi (3%)0 (0%)
    Allocated resources:
      (Total limits may be over 100 percent, i.e., overcommitted.)
      CPU Requests	CPU Limits	Memory Requests	Memory Limits
      ------------	----------	---------------	-------------
      200m (10%)	0 (0%)		512Mi (7%)	0 (0%)
    Events:		<none>

    上記の出力ではノードが router-1-vzlzqdocker-registry-1-5szjs の 2 つの Pod を実行中であることを示しています。2 つ以上のインフラストラクチャーノードがこれらの 2 つの Pod を移行するために利用可能です。

    注記

    上記のクラスターは可用性の高いクラスターであり、routerdocker-registry の両方のサービスがすべてのインフラストラクチャーノードで実行されています。

  3. ノードにスケジュール対象外のマークを付けるか、その Pod をすべて退避します。

    $ oc adm drain ocp-infra-node-b7pl --delete-local-data
    node "ocp-infra-node-b7pl" cordoned
    WARNING: Deleting pods with local storage: docker-registry-1-5szjs
    pod "docker-registry-1-5szjs" evicted
    pod "router-1-vzlzq" evicted
    node "ocp-infra-node-b7pl" drained

    Pod に割り当て済みのローカルストレージ (EmptyDir など) がある場合、--delete-local-data オプションを指定する必要があります。通常は、実稼働で実行される Pod はローカルストレージを一時的な、またはキャッシュファイルのみに使用し、重要で永続的なファイルには使用しません。通常のストレージの場合、アプリケーションはオブジェクトストレージまたは永続ボリュームを使用します。この場合、コンテナーイメージを保存するためにオブジェクトストレージが使用されるため、docker-registry Pod のローカルストレージは空になります。

    注記

    上記の操作はノードで実行されている既存の Pod を削除します。次に、新規 Pod がレプリケーションコントローラーに応じて作成されます。

    通常、すべてのアプリケーションは、レプリケーションコントローラーを使用して Pod を作成するデプロイメント設定でデプロイされる必要があります。

    oc adm drain はベア Pod (Pod をミラーリングしない、または ReplicationControllerReplicaSetDaemonSetStatefulSet、またはジョブで管理されない Pod) を削除しません。この実行には --force オプションが必要です。ベア Pod は他のノードでは再作成されず、この操作中にデータが失われる可能性があることに注意してください。

    以下の例は、レジストリーのレプリケーションコントローラーの出力を示しています。

    $ oc describe rc/docker-registry-1
    Name:		docker-registry-1
    Namespace:	default
    Selector:	deployment=docker-registry-1,deploymentconfig=docker-registry,docker-registry=default
    Labels:		docker-registry=default
    		openshift.io/deployment-config.name=docker-registry
    Annotations: ...
    Replicas:	3 current / 3 desired
    Pods Status:	3 Running / 0 Waiting / 0 Succeeded / 0 Failed
    Pod Template:
      Labels:		deployment=docker-registry-1
    			deploymentconfig=docker-registry
    			docker-registry=default
      Annotations:		openshift.io/deployment-config.latest-version=1
    			openshift.io/deployment-config.name=docker-registry
    			openshift.io/deployment.name=docker-registry-1
      Service Account:	registry
      Containers:
       registry:
        Image:	openshift3/ose-docker-registry:v3.6.173.0.49
        Port:	5000/TCP
        Requests:
          cpu:	100m
          memory:	256Mi
        Liveness:	http-get https://:5000/healthz delay=10s timeout=5s period=10s #success=1 #failure=3
        Readiness:	http-get https://:5000/healthz delay=0s timeout=5s period=10s #success=1 #failure=3
        Environment:
          REGISTRY_HTTP_ADDR:					:5000
          REGISTRY_HTTP_NET:					tcp
          REGISTRY_HTTP_SECRET:					tyGEnDZmc8dQfioP3WkNd5z+Xbdfy/JVXf/NLo3s/zE=
          REGISTRY_MIDDLEWARE_REPOSITORY_OPENSHIFT_ENFORCEQUOTA:	false
          REGISTRY_HTTP_TLS_KEY:					/etc/secrets/registry.key
          OPENSHIFT_DEFAULT_REGISTRY:				docker-registry.default.svc:5000
          REGISTRY_CONFIGURATION_PATH:				/etc/registry/config.yml
          REGISTRY_HTTP_TLS_CERTIFICATE:				/etc/secrets/registry.crt
        Mounts:
          /etc/registry from docker-config (rw)
          /etc/secrets from registry-certificates (rw)
          /registry from registry-storage (rw)
      Volumes:
       registry-storage:
        Type:	EmptyDir (a temporary directory that shares a pod's lifetime)
        Medium:
       registry-certificates:
        Type:	Secret (a volume populated by a Secret)
        SecretName:	registry-certificates
        Optional:	false
       docker-config:
        Type:	Secret (a volume populated by a Secret)
        SecretName:	registry-config
        Optional:	false
    Events:
      FirstSeen	LastSeen	Count	From			SubObjectPath	Type		Reason		Message
      ---------	--------	-----	----			-------------	--------	------		-------
      49m		49m		1	replication-controller			Normal		SuccessfulCreate	Created pod: docker-registry-1-dprp5

    出力の下部にあるイベントは新規 Pod 作成についての情報を表示しています。すべての Pod の一覧表示では、以下のようになります。

    $ oc get pods
    NAME                       READY     STATUS    RESTARTS   AGE
    docker-registry-1-dprp5    1/1       Running   0          52m
    docker-registry-1-kr8jq    1/1       Running   0          1d
    docker-registry-1-ncpl2    1/1       Running   0          1d
    registry-console-1-g4nqg   1/1       Running   0          1d
    router-1-2gshr             0/1       Pending   0          52m
    router-1-85qm4             1/1       Running   0          1d
    router-1-q5sr8             1/1       Running   0          1d
  4. 非推奨のノードで実行されていた docker-registry-1-5szjs および router-1-vzlzq Pod は、利用できなくなります。代わりに 2 つの新規 Pod docker-registry-1-dprp5 および router-1-2gshr が作成されています。上記のように、新規のルーター Pod は router-1-2gshr ですが Pending 状態になります。これは、すべてのノードが単一ルーターでのみ実行でき、ホストのポート 80 および 443 にバインドされるためです。
  5. 新たに作成されたレジストリー Pod で確認できますが、以下の例では Pod が使用が終了したノードとは異なる ocp-infra-node-rghb ノードで作成されていることを示しています。

    $ oc describe pod docker-registry-1-dprp5
    Name:			docker-registry-1-dprp5
    Namespace:		default
    Security Policy:	hostnetwork
    Node:			ocp-infra-node-rghb/10.156.0.10
    ...

    インフラストラクチャーノードとアプリケーションノードの使用を終了する場合の唯一の相違点として、インフラストラクチャーノードの場合、該当するインフラストラクチャーノードの退避後に、そのノードを置き換える計画がない場合はインフラストラクチャーノードで実行されるサービスを縮小できる点があります。

    $ oc scale dc/router --replicas 2
    deploymentconfig "router" scaled
    
    $ oc scale dc/docker-registry --replicas 2
    deploymentconfig "docker-registry" scaled
  6. ここで、すべてのインフラストラクチャーノードはそれぞれの Pod を 1 種類のみ実行しています。

    $ oc get pods
    NAME                       READY     STATUS    RESTARTS   AGE
    docker-registry-1-kr8jq    1/1       Running   0          1d
    docker-registry-1-ncpl2    1/1       Running   0          1d
    registry-console-1-g4nqg   1/1       Running   0          1d
    router-1-85qm4             1/1       Running   0          1d
    router-1-q5sr8             1/1       Running   0          1d
    
    $ oc describe po/docker-registry-1-kr8jq | grep Node:
    Node:			ocp-infra-node-p5zj/10.156.0.9
    
    $ oc describe po/docker-registry-1-ncpl2 | grep Node:
    Node:			ocp-infra-node-rghb/10.156.0.10
    注記

    完全に高可用のクラスターを提供するには、3 つ以上のインフラストラクチャーノードが常に利用可能である必要があります。

  7. ノードのスケジューリングが無効にされていることを確認するには、以下を実行します。

    $ oc get nodes
    NAME                  STATUS                     AGE       VERSION
    ocp-infra-node-b7pl   Ready,SchedulingDisabled   1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-infra-node-p5zj   Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-infra-node-rghb   Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-dgf8       Ready,SchedulingDisabled   1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-q1v2       Ready,SchedulingDisabled   1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-vq70       Ready,SchedulingDisabled   1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-020m         Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-7t5p         Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-n0dd         Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7

    また、ノードに Pod が含まれていないことを確認するには、以下を実行します。

    $ oc describe node ocp-infra-node-b7pl
    Name:			ocp-infra-node-b7pl
    Role:
    Labels:			beta.kubernetes.io/arch=amd64
    			beta.kubernetes.io/instance-type=n1-standard-2
    			beta.kubernetes.io/os=linux
    			failure-domain.beta.kubernetes.io/region=europe-west3
    			failure-domain.beta.kubernetes.io/zone=europe-west3-c
    			kubernetes.io/hostname=ocp-infra-node-b7pl
    			role=infra
    Annotations:		volumes.kubernetes.io/controller-managed-attach-detach=true
    Taints:			<none>
    CreationTimestamp:	Wed, 22 Nov 2017 09:36:36 -0500
    Phase:
    Conditions:
      ...
    Addresses:		10.156.0.11,ocp-infra-node-b7pl
    Capacity:
     cpu:		2
     memory:	7494480Ki
     pods:		20
    Allocatable:
     cpu:		2
     memory:	7392080Ki
     pods:		20
    System Info:
     Machine ID:			bc95ccf67d047f2ae42c67862c202e44
     System UUID:			9762CC3D-E23C-AB13-B8C5-FA16F0BCCE4C
     Boot ID:			ca8bf088-905d-4ec0-beec-8f89f4527ce4
     Kernel Version:		3.10.0-693.5.2.el7.x86_64
     OS Image:			Employee SKU
     Operating System:		linux
     Architecture:			amd64
     Container Runtime Version:	docker://1.12.6
     Kubelet Version:		v1.6.1+5115d708d7
     Kube-Proxy Version:		v1.6.1+5115d708d7
    ExternalID:			437740049672994824
    Non-terminated Pods:		(0 in total)
      Namespace			Name		CPU Requests	CPU Limits	Memory Requests	Memory Limits
      ---------			----		------------	----------	---------------	-------------
    Allocated resources:
      (Total limits may be over 100 percent, i.e., overcommitted.)
      CPU Requests	CPU Limits	Memory Requests	Memory Limits
      ------------	----------	---------------	-------------
      0 (0%)	0 (0%)		0 (0%)		0 (0%)
    Events:		<none>
  8. インフラストラクチャーインスタンスを /etc/haproxy/haproxy.cfg 設定ファイルの backend セクションから削除します。

    backend router80
        balance source
        mode tcp
        server infra-1.example.com 192.168.55.12:80 check
        server infra-2.example.com 192.168.55.13:80 check
    
    backend router443
        balance source
        mode tcp
        server infra-1.example.com 192.168.55.12:443 check
        server infra-2.example.com 192.168.55.13:443 check
  9. 次に、haproxy サービスを再起動します。

    $ sudo systemctl restart haproxy
  10. このコマンドで、すべての Pod をエビクトした後にクラスターからノードを削除します。

    $ oc delete node ocp-infra-node-b7pl
    node "ocp-infra-node-b7pl" deleted
    $ oc get nodes
    NAME                  STATUS                     AGE       VERSION
    ocp-infra-node-p5zj   Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-infra-node-rghb   Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-dgf8       Ready,SchedulingDisabled   1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-q1v2       Ready,SchedulingDisabled   1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-master-vq70       Ready,SchedulingDisabled   1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-020m         Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-7t5p         Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7
    ocp-node-n0dd         Ready                      1d        v1.6.1+5115d708d7
注記

Pod またはノードの退避またはドレイン (解放) についての詳細は、ノードの保守 のセクションを参照してください。

5.3.1.1. ノードホストの置き換え

使用終了となったノードの代わりに、ノードを追加する必要がある場合には、ホストの既存クラスターへの追加 のセクションを参照してください。

5.3.2. ノードホストのバックアップの作成

ノードホストのバックアップの作成は、マスターホストのバックアップとは異なるユースケースになります。マスターホストには数多くの重要なファイルが含まれるため、バックアップの作成は強く推奨されます。しかしノードの場合、その性質として特殊なものはフェイルオーバー時にノード全体で複製され、通常はそれらに環境の実行に必要なデータは含まれません。ノードのバックアップ作成は、環境の実行に必要なものが含まれる場合に実行することが推奨されます。

バックアッププロセスは、システム更新やアップグレードまたはその他の大きな変更を含む変更をインフラストラクチャーに加える前に実行します。バックアップは、障害の発生時に最新データが利用可能になるように定期的に実行する必要があります。

OpenShift Container Platform ファイル

ノードインスタンスはコンテナーをベースとする Pod の形式で実行されます。/etc/origin/ および /etc/origin/node ディレクトリーは以下のような重要なファイルを格納します。

  • ノードサービスの設定
  • インストールで生成される証明書
  • クラウドプロバイダー関連の設定
  • キーおよびその他の認証ファイル (dnsmasq 設定など)

OpenShift Container Platform サービスは、ログレベルの引き上げやプロキシーの使用などを実行するためにカスタマイズでき、設定ファイルは /etc/sysconfig ディレクトリーに保存されます。

手順
  1. ノード設定ファイルのバックアップを作成します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo cp -aR /etc/origin ${MYBACKUPDIR}/etc
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/atomic-openshift-node ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
  2. OpenShift Container Platform は、バックアップポリシーの計画時に考慮する必要のある特定のファイルを使用します。 これには以下が含まれます。

    ファイル

    説明

    /etc/cni/*

    コンテナーネットワークインターフェイスの設定 (使用される場合)

    /etc/sysconfig/iptables

    iptables ルールが保存される場所

    /etc/sysconfig/docker-storage-setup

    container-storage-setup コマンドの入力ファイル

    /etc/sysconfig/docker

    docker 設定ファイル

    /etc/sysconfig/docker-network

    docker ネットワーク設定 (例: MTU)

    /etc/sysconfig/docker-storage

    docker ストレージ設定 (container-storage-setup で生成される)

    /etc/dnsmasq.conf

    dnsmasq の主要な設定ファイル

    /etc/dnsmasq.d/*

    異なる dnsmasq 設定ファイル

    /etc/sysconfig/flanneld

    flannel 設定ファイル (使用される場合)

    /etc/pki/ca-trust/source/anchors/

    システムに追加される証明書 (例: 外部レジストリー用)

    これらのファイルを作成するには、以下を実行します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors
    $ sudo cp -aR /etc/sysconfig/{iptables,docker-*,flanneld} \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/sysconfig/
    $ sudo cp -aR /etc/dnsmasq* /etc/cni ${MYBACKUPDIR}/etc/
    $ sudo cp -aR /etc/pki/ca-trust/source/anchors/* \
        ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors/
  3. パッケージが間違って削除されてしまう場合や、rpm パッケージに含まれるファイルを復元する必要がある場合に、システムにインストールされている rhel パッケージの一覧があると便利です。

    注記

    コンテンツビューやファクトストアなどの Red Hat Satellite 機能を使用する場合は、見つからないパッケージやシステムにインストールされているパッケージの履歴データを再インストールする適切なメカニズムを指定します。

    システムにインストールされている現在の rhel パッケージの一覧を作成するには、以下を実行します。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo mkdir -p ${MYBACKUPDIR}
    $ rpm -qa | sort | sudo tee $MYBACKUPDIR/packages.txt
  4. 以下のファイルがバックアップディレクトリーに置かれます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo find ${MYBACKUPDIR} -mindepth 1 -type f -printf '%P\n'
    etc/sysconfig/atomic-openshift-node
    etc/sysconfig/flanneld
    etc/sysconfig/iptables
    etc/sysconfig/docker-network
    etc/sysconfig/docker-storage
    etc/sysconfig/docker-storage-setup
    etc/sysconfig/docker-storage-setup.rpmnew
    etc/origin/node/system:node:app-node-0.example.com.crt
    etc/origin/node/system:node:app-node-0.example.com.key
    etc/origin/node/ca.crt
    etc/origin/node/system:node:app-node-0.example.com.kubeconfig
    etc/origin/node/server.crt
    etc/origin/node/server.key
    etc/origin/node/node-dnsmasq.conf
    etc/origin/node/resolv.conf
    etc/origin/node/node-config.yaml
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.key
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.csr
    etc/origin/node/flannel.etcd-client.crt
    etc/origin/node/flannel.etcd-ca.crt
    etc/origin/cloudprovider/openstack.conf
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/openshift-ca.crt
    etc/pki/ca-trust/source/anchors/registry-ca.crt
    etc/dnsmasq.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/origin-upstream-dns.conf
    etc/dnsmasq.d/node-dnsmasq.conf
    packages.txt

    必要な場合は、ファイルを圧縮してスペースを節約することができます。

    $ MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    $ sudo tar -zcvf /backup/$(hostname)-$(date +%Y%m%d).tar.gz $MYBACKUPDIR
    $ sudo rm -Rf ${MYBACKUPDIR}

これらのファイルのいずれかをゼロから作成するには、openshift-ansible-contrib リポジトリーに含まれる backup_master_node.sh スクリプトを使用します。このスクリプトは前述の手順を実行し、スクリプトが実行され、前述のすべてのファイルがコピーされるホスト上のディレクトリーを作成します。

注記

openshift-ansible-contrib スクリプトは Red Hat ではサポートされていませんが、リファレンスアーキテクチャーチームはコードが定義通りに動作し、安全であることを確認するテストを実施しています。

このスクリプトは、以下を実行してすべてのマスターで実行することができます。

$ mkdir ~/git
$ cd ~/git
$ git clone https://github.com/openshift/openshift-ansible-contrib.git
$ cd openshift-ansible-contrib/reference-architecture/day2ops/scripts
$ ./backup_master_node.sh -h

5.3.3. ノードホストバックアップの復元

重要なノードホストファイルのファイルのバックアップを作成した後に、それらのファイルが破損するか、または間違って削除された場合、これらのファイルをコピーし直してファイルを復元し、適切なコンテンツが含まれることを確認してから、影響を受けるサービスを再起動します。

手順
  1. /etc/origin/node/node-config.yaml ファイルを復元します。

    # MYBACKUPDIR=/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)
    # cp /etc/origin/node/node-config.yaml /etc/origin/node/node-config.yaml.old
    # cp /backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)/etc/origin/node/node-config.yaml /etc/origin/node/node-config.yaml
    # reboot
警告

サービスの再起動によりダウンタイムが生じる場合があります。プロセスを容易にするためのヒントについては、ノードの保守 を参照してください。

注記

影響を受けるインスタンスを完全に再起動して、iptables 設定を復元します。

  1. パッケージがないために OpenShift Container Platform を再起動できない場合は、パッケージを再インストールします。

    1. 現在インストールされているパッケージの一覧を取得します。

      $ rpm -qa | sort > /tmp/current_packages.txt
    2. パッケージの一覧の間に存在する差分を表示します。

      $ diff /tmp/current_packages.txt ${MYBACKUPDIR}/packages.txt
      
      > ansible-2.4.0.0-5.el7.noarch
    3. 足りないパッケージを再インストールします。

      # yum reinstall -y <packages> 1
      1
      <packages> は、パッケージの一覧ごとに異なるパッケージに置き換えます。
  2. システム証明書を /etc/pki/ca-trust/source/anchors/ ディレクトリーにコピーして復元し、update-ca-trust を実行します。

    $ MYBACKUPDIR=*/backup/$(hostname)/$(date +%Y%m%d)*
    $ sudo cp ${MYBACKUPDIR}/etc/pki/ca-trust/source/anchors/<certificate> /etc/pki/ca-trust/source/anchors/
    $ sudo update-ca-trust
    <certificate> は、復元するシステム証明書のファイル名に置き換えます。
    注記

    ファイルをコピーし直す時に、ユーザー ID およびグループ ID だけでなく、SELinux コンテキストも復元されていることを常に確認してください。

5.3.4. ノードの保守と次の手順

各種のノード管理オプションについては、ノードの管理 または Pod の管理 のトピックを参照してください。これらには以下が含まれます。

ノードはそのリソースの一部を特定コンポーネントによって使用されるように予約することができます。これらには、kubelet、kube-proxy、Docker、または sshd および NetworkManager などの他の残りのシステムコンポーネントが含まれます。詳細は、クラスター管理ガイドのノードリソースの割り当て セクションを参照してください。

5.4. etcd タスク

5.4.1. etcd のバックアップ

etcd はすべてのオブジェクト定義、および永続マスターの状態を保存するキー値のストアです。他のコンポーネントは変更の有無を監視して、それぞれ必要な状態に切り替えます。

3.5 よりも前の OpenShift Container Platform バージョンは etcd バージョン 2 (v2) を使用し、3.5 以降ではバージョン 3 (v3) を使用します。etcd のデータモデルは、この 2 つのバージョン間で異なります。etcd v3 は v2 と v3 データモデルの両方を使用できますが、etcd v2 は v2 データモデルしか使用できません。etcd v3 サーバーでは、v2 および v3 データストアは並列して存在し、それぞれ独立しています。

v2 および v3 の両方の操作については、ETCDCTL_API 環境変数を使用して適切な API を使用できます。

$ etcdctl -v
etcdctl version: 3.2.28
API version: 2

$ ETCDCTL_API=3 etcdctl version
etcdctl version: 3.2.28
API version: 3.2

v3 への移行方法についての詳細は、OpenShift Container Platform 3.7 ドキュメントの Migrating etcd Data (v2 to v3) のセクションを参照してください。

OpenShift Container Platform バージョン 3.10 移行では、etcd を別のホストにインストールすることも、マスターホスト上の静的 Pod として実行することもできます。別個の etcd ホストを指定しない場合、etcd はマスターホストの静的 Pod として実行されます。この違いにより、静的 Pod を使用する場合はバックアッププロセスも異なります。

etcd のバックアッププロセスは 2 つの異なる手順で設定されています。

  • 設定のバックアップ: 必要な etcd 設定および証明書が含まれます。
  • データのバックアップ: v2 と v3 の両方のデータモデルが含まれます。

データのバックアッププロセスは、適切な証明書が提供され、etcdctl ツールがインストールされている etcd クラスターに接続できるホストで実行できます。

注記

バックアップファイルは可能な場合は OpenShift Container Platform 環境外の外部システムにコピーしてから暗号化する必要があります。

etcd のバックアップには現在のストレージボリュームへのすべての参照が含まれることに注意してください。etcd の復元時に、OpenShift Container Platform はノードでの以前の Pod の起動と同じストレージの再割り当てを開始します。このプロセスは、ノードをクラスターから削除し、新規ノードを代わりに追加するプロセスと変わりがありません。そのノードに割り当てられているすべてのものは、Pod のスケジュール先のノードに関係なく Pod に再び割り当てられます。

5.4.1.1. etcd のバックアップ

etcd のバックアップ時に、etcd 設定ファイルと etcd データの両方をバックアップする必要があります。

5.4.1.1.1. etcd 設定ファイルのバックアップ

保持する etcd 設定ファイルはすべて etcd が実行されているインスタンスの /etc/etcd ディレクトリーに保存されます。これには、etcd 設定ファイル (/etc/etcd/etcd.conf) およびクラスターの通信に必要な証明書が含まれます。それらすべてのファイルは Ansible インストーラーによってインストール時に生成されます。

手順

クラスターの各 etcd メンバーについての etcd 設定をバックアップします。

$ ssh master-0 1
# mkdir -p /backup/etcd-config-$(date +%Y%m%d)/
# cp -R /etc/etcd/ /backup/etcd-config-$(date +%Y%m%d)/
1
master-0 は、etcd メンバーの名前に置き換えます。
注記

各 etcd クラスターメンバーの証明書および設定ファイルは一意のものです。

5.4.1.1.2. etcd データのバックアップ
前提条件
注記

OpenShift Container Platform インストーラーはエイリアスを作成するため、etcdctl2 (etcd v2 タスクの場合) と etcdctl3 (etcd v3 タスクの場合) という名前のすべてのフラグを入力しなくて済みます。

ただし、etcdctl3 エイリアスは etcdctl コマンドに詳細なエンドポイント一覧を提供しないため、--endpoints オプションを指定し、すべてのエンドポイントを一覧表示する必要があります。

etcd をバックアップする前に、以下を確認してください。

  • etcdctl バイナリーが利用可能であるか、またはコンテナー化インストールの場合は rhel7/etcd コンテナーが利用可能でなければなりません。
  • OpenShift Container Platform API サービスが実行中であることを確認します。
  • etcd クラスターとの接続を確認します (ポート 2379/tcp)。
  • etcd クラスターに接続するために使用する適切な証明書があることを確認します。
手順
注記

etcdctl backup コマンドはバックアップを実行するために使用されますが、etcd v3 には バックアップ の概念がありません。代わりに、etcdctl snapshot save コマンドを使用してライブメンバーの snapshot を取るか、または etcd データディレクトリーの member/snap/db ファイルをコピーしてください。

etcdctl backup コマンドは、ノード ID やクラスター ID などのバックアップに含まれるメタデータの一部を書き換えるので、バックアップでは、ノードの以前のアイデンティティーが失われます。バックアップからクラスターを再作成するには、新規の単一ノードクラスターを作成してから、残りのノードをクラスターに追加します。メタデータは新規ノードが既存クラスターに加わらないように再作成されます。

etcd データをバックアップします。

重要

OpenShift Container Platform の以前のバージョンからアップグレードしたクラスターには、v2 データストアが含まれる可能性があります。すべての etcd データストアをバックアップしてください。

  1. 静的 Pod マニフェストから etcd エンドポイント IP アドレスを取得します。

    $ export ETCD_POD_MANIFEST="/etc/origin/node/pods/etcd.yaml"
    $ export ETCD_EP=$(grep https ${ETCD_POD_MANIFEST} | cut -d '/' -f3)
  2. 管理者としてログインします。

    $ oc login -u system:admin
  3. etcd Pod 名を取得します。

    $ export ETCD_POD=$(oc get pods -n kube-system | grep -o -m 1 '^master-etcd\S*')
  4. kube-system プロジェクトに切り替えます。

    $ oc project kube-system
  5. Pod の etcd データのスナップショットを作成し、これをローカルに保存します。

    $ oc exec ${ETCD_POD} -c etcd -- /bin/bash -c "ETCDCTL_API=3 etcdctl \
        --cert /etc/etcd/peer.crt \
        --key /etc/etcd/peer.key \
        --cacert /etc/etcd/ca.crt \
        --endpoints $ETCD_EP \
        snapshot save /var/lib/etcd/snapshot.db" 1
    1
    スナップショットは、/var/lib/etcd/ 配下のディレクトリーに記述する必要があります。

5.4.2. etcd の復元

5.4.2.1. etcd 設定ファイルの復元

etcd ホストが破損し、/etc/etcd/etcd.conf ファイルがなくなった場合は、以下の手順を使用してこれを復元します。

  1. etcd ホストにアクセスします。

    $ ssh master-0 1
    1
    master-0 は etcd ホストの名前に置き換えます。
  2. etcd.conf のバックアップファイルを /etc/etcd/ にコピーします。

    # cp /backup/etcd-config-<timestamp>/etcd/etcd.conf /etc/etcd/etcd.conf
  3. ファイルに必要なパーミッションおよび selinux コンテキストを設定します。

    # restorecon -RvF /etc/etcd/etcd.conf

この例では、バックアップファイルは、外部の NFS 共有、S3 バケットまたは他のストレージソリューションとして使用できる /backup/etcd-config-<timestamp>/etcd/etcd.conf パスに保存されます。

etcd 設定ファイルの復元後に、静的 Pod を再起動する必要があります。これは、etcd データの復元後に実行されます。

5.4.2.2. etcd データの復元

静的 Pod で etcd を復元する前に、以下を確認します。

  • etcdctl バイナリーが利用可能であるか、またはコンテナー化インストールの場合は rhel7/etcd コンテナーが利用可能でなければなりません。

    以下のコマンドを実行して etcd パッケージで etcdctl バイナリーをインストールできます。

    # yum install etcd

    このパッケージは systemd サービスもインストールします。etcd を静的 Pod で実行時に systemd サービスとして実行されないようにサービスを無効にしてマスクします。サービスを無効にしてマスクすることで、誤って開始したり、システムの再起動時に自動的にサービスの再起動がされないようにします。

    # systemctl disable etcd.service
    # systemctl mask etcd.service

静的 Pod で etcd を復元するには、以下を実行します。

  1. Pod が実行中の場合、Pod のマニフェスト YAML ファイルを別のディレクトリーに移動して etcd Pod を停止します。

    # mkdir -p /etc/origin/node/pods-stopped
    # mv /etc/origin/node/pods/etcd.yaml /etc/origin/node/pods-stopped
  2. 古いデータはすべて移動します。

    # mv /var/lib/etcd /var/lib/etcd.old

    etcdctl を使用して、Pod を復元するノードでデータを再作成します。

  3. etcd スナップショットを etcd Pod のマウントパスに復元します。

    # export ETCDCTL_API=3
    # etcdctl snapshot restore /etc/etcd/backup/etcd/snapshot.db \
    	 --data-dir /var/lib/etcd/ \
    	 --name ip-172-18-3-48.ec2.internal \
    	 --initial-cluster "ip-172-18-3-48.ec2.internal=https://172.18.3.48:2380" \
    	 --initial-cluster-token "etcd-cluster-1" \
    	 --initial-advertise-peer-urls https://172.18.3.48:2380 \
    	 --skip-hash-check=true

    バックアップの etcd.conf ファイルからクラスターの適切な値を取得します。

  4. データディレクトリーに必要なパーミッションおよび selinux コンテキストを設定します。

    # restorecon -RvF /var/lib/etcd/
  5. Pod のマニフェスト YAML ファイルを必要なディレクトリーに移動して etcd Pod を再起動します。

    # mv /etc/origin/node/pods-stopped/etcd.yaml /etc/origin/node/pods/

5.4.3. etcd ホストの置き換え

etcd ホストを置き換えるには、etcd クラスターを拡張してからホストを削除します。このプロセスでは、置き換え手順の実行時に etcd ホストが失われる場合に備えてクォーラム (定足数) を維持できるようにします。

警告

etcd クラスターは置き換え操作時に クォーラム (定足数) を維持する必要があります。これは、常に 1 つ以上のホストが稼働している必要があることを意味します。

ホスト置き換え操作が etcd クラスターがクォーラム (定足数) を維持している状態で実行される場合、クラスター操作はこの影響を受けません。大規模な etcd データの複製が必要な場合には、一部の操作の速度が下がる可能性があります。

注記

etcd クラスターに関係するいずれかの手順を起動する前に、etcd データと設定ファイルのバックアップを行い、手順が失敗する際にクラスターを復元できるようにします。

5.4.4. etcd のスケーリング

etcd クラスターは、リソースを etcd ホストに追加して垂直的に拡張することも、etcd ホストを追加して水平的に拡張することもできます。

注記

etcd が使用する投票システムのために、クラスターには常に奇数のメンバーが含まれている必要があります。

奇数の etcd ホストを含むクラスターの場合、フォールトトレランスに対応できます。奇数の etcd ホストがあることで、クォーラム (定足数) に必要な数が変わることはありませんが、障害発生時の耐性が高まります。たとえば、クラスターが 3 メンバーで設定される場合、クォーラム (定足数) は 2 で、1 メンバーが障害耐性用になります。これにより、クラスターはメンバーの 2 つが正常である限り、機能し続けます。

3 つの etcd ホストで設定される実稼働クラスターの使用が推奨されます。

新規ホストには、新規の Red Hat Enterprise Linux version 7 専用ホストが必要です。etcd ストレージは最大のパフォーマンスを達成できるように SSD ディスクおよび /var/lib/etcd でマウントされる専用ディスクに置かれる必要があります。

前提条件
  1. 新規 etcd ホストを追加する前に、データが失われないように etcd 設定およびデータのバックアップ を取ります。
  2. 新規ホストが正常でないクラスターに追加されないように、現在の etcd クラスターステータスを確認します。以下のコマンドを実行します。

    # ETCDCTL_API=3 etcdctl --cert="/etc/etcd/peer.crt" \
              --key=/etc/etcd/peer.key \
              --cacert="/etc/etcd/ca.crt" \
              --endpoints="https://*master-0.example.com*:2379,\
                https://*master-1.example.com*:2379,\
                https://*master-2.example.com*:2379"
                endpoint health
    https://master-0.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 5.011358ms
    https://master-1.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 1.305173ms
    https://master-2.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 1.388772ms
  3. scaleup Playbook を実行する前に、新規ホストが適切な Red Hat ソフトウェアチャンネルに登録されていることを確認します。

    # subscription-manager register \
        --username=*<username>* --password=*<password>*
    # subscription-manager attach --pool=*<poolid>*
    # subscription-manager repos --disable="*"
    # subscription-manager repos \
        --enable=rhel-7-server-rpms \
        --enable=rhel-7-server-extras-rpms

    etcd は rhel-7-server-extras-rpms ソフトウェアチャンネルでホストされています。

  4. すべての未使用の etcd メンバーが etcd クラスターから削除されていることを確認します。これは、scaleup Playbook を実行する前に完了する必要があります。

    1. etcd メンバーを一覧表示します。

      # etcdctl --cert="/etc/etcd/peer.crt" --key="/etc/etcd/peer.key" \
        --cacert="/etc/etcd/ca.crt" --endpoints=ETCD_LISTEN_CLIENT_URLS member list -w table

      該当する場合は、未使用の etcd メンバー ID をコピーします。

    2. 以下のコマンドで ID を指定して、未使用のメンバーを削除します。

      # etcdctl --cert="/etc/etcd/peer.crt" --key="/etc/etcd/peer.key" \
        --cacert="/etc/etcd/ca.crt" --endpoints=ETCD_LISTEN_CLIENT_URL member remove UNUSED_ETCD_MEMBER_ID
  5. 現在の etcd ノードで etcd および iptables をアップグレードします。

    # yum update etcd iptables-services
  6. etcd ホストの /etc/etcd 設定をバックアップします。
  7. 新規 etcd メンバーが OpenShift Container Platform ノードでもある場合は、必要な数のホストをクラスターに追加 します。
  8. この手順の残りでは 1 つのホストを追加していることを前提としていますが、複数のホストを追加する場合は、各ホストですべての手順を実行します。
5.4.4.1. Ansible を使用した新規 etcd ホストの追加
手順
  1. Ansible インベントリーファイルで、[new_etcd] という名前の新規グループおよび新規ホストを作成します。次に、new_etcd グループを [OSEv3] グループの子として追加します。

    [OSEv3:children]
    masters
    nodes
    etcd
    new_etcd 1
    
    ... [OUTPUT ABBREVIATED] ...
    
    [etcd]
    master-0.example.com
    master-1.example.com
    master-2.example.com
    
    [new_etcd] 2
    etcd0.example.com 3
    1 2 3
    これらの行を追加します。
    注記

    インベントリーファイル内の古い etcd host エントリーを新しい etcd host エントリーに置き換えます。古い etcd host を置き換えるときに、/etc/etcd/ca/ ディレクトリーのコピーを作成する必要があります。または、etcd hosts をスケールアップする前に、etcd ca と証明書を再デプロイすることもできます。

  2. OpenShift Container Platform をインストールし、Ansible インベントリーファイルをホストするホストから、Playbook ディレクトリーに移動し、etcd scaleup Playbook を実行します。

    $ cd /usr/share/ansible/openshift-ansible
    $ ansible-playbook  playbooks/openshift-etcd/scaleup.yml
  3. Playbook が実行された後に、新規 etcd ホストを [new_etcd] グループから [etcd] グループに移行し、現在のステータスを反映するようにインベントリーファイルを変更します。

    [OSEv3:children]
    masters
    nodes
    etcd
    new_etcd
    
    ... [OUTPUT ABBREVIATED] ...
    
    [etcd]
    master-0.example.com
    master-1.example.com
    master-2.example.com
    etcd0.example.com
  4. Flannel を使用する場合には、OpenShift Container Platform のホストごとに、/etc/sysconfig/flanneld にある flanneld サービス設定を変更し、新しい etcd ホストを追加します。

    FLANNEL_ETCD_ENDPOINTS=https://master-0.example.com:2379,https://master-1.example.com:2379,https://master-2.example.com:2379,https://etcd0.example.com:2379
  5. flanneld サービスを再起動します。

    # systemctl restart flanneld.service
5.4.4.2. 新規 etcd ホストの手動による追加

etcd をマスターノードで静的 Pod として実行しない場合、別の etcd ホストを追加する必要が生じる場合があります。

手順
現在の etcd クラスターの変更

etcd 証明書を作成するには、値を環境の値に置き換えて openssl コマンドを実行します。

  1. 環境変数を作成します。

    export NEW_ETCD_HOSTNAME="*etcd0.example.com*"
    export NEW_ETCD_IP="192.168.55.21"
    
    export CN=$NEW_ETCD_HOSTNAME
    export SAN="IP:${NEW_ETCD_IP}, DNS:${NEW_ETCD_HOSTNAME}"
    export PREFIX="/etc/etcd/generated_certs/etcd-$CN/"
    export OPENSSLCFG="/etc/etcd/ca/openssl.cnf"
    注記

    etcd_v3_ca_* として使用されるカスタムの openssl 拡張には、subjectAltName としての $SAN 環境変数が含まれます。詳細は、/etc/etcd/ca/openssl.cnf を参照してください。

  2. 設定および証明書を保存するディレクトリーを作成します。

    # mkdir -p ${PREFIX}
  3. サーバー証明書要求を作成し、これに署名します (server.csr および server.crt)。

    # openssl req -new -config ${OPENSSLCFG} \
        -keyout ${PREFIX}server.key  \
        -out ${PREFIX}server.csr \
        -reqexts etcd_v3_req -batch -nodes \
        -subj /CN=$CN
    
    # openssl ca -name etcd_ca -config ${OPENSSLCFG} \
        -out ${PREFIX}server.crt \
        -in ${PREFIX}server.csr \
        -extensions etcd_v3_ca_server -batch
  4. ピア証明書要求を作成し、これに署名します (peer.csr および peer.crt)。

    # openssl req -new -config ${OPENSSLCFG} \
        -keyout ${PREFIX}peer.key \
        -out ${PREFIX}peer.csr \
        -reqexts etcd_v3_req -batch -nodes \
        -subj /CN=$CN
    
    # openssl ca -name etcd_ca -config ${OPENSSLCFG} \
      -out ${PREFIX}peer.crt \
      -in ${PREFIX}peer.csr \
      -extensions etcd_v3_ca_peer -batch
  5. 後で変更できるように、現在の etcd 設定および ca.crt ファイルをサンプルとして現在のノードからコピーします。

    # cp /etc/etcd/etcd.conf ${PREFIX}
    # cp /etc/etcd/ca.crt ${PREFIX}
  6. 存続する etcd ホストから、新規ホストをクラスターに追加します。etcd メンバーをクラスターに追加するには、まず最初のメンバーの peerURLs 値のデフォルトの localhost ピアを調整する必要があります。

    1. member list コマンドを使用して最初のメンバーのメンバー ID を取得します。

      # etcdctl --cert-file=/etc/etcd/peer.crt \
          --key-file=/etc/etcd/peer.key \
          --ca-file=/etc/etcd/ca.crt \
          --peers="https://172.18.1.18:2379,https://172.18.9.202:2379,https://172.18.0.75:2379" \ 1
          member list
      1
      --peers パラメーター値でアクティブな etcd メンバーのみの URL を指定するようにしてください。
    2. etcd がクラスターピアについてリッスンする IP アドレスを取得します。

      $ ss -l4n | grep 2380
    3. 直前の手順で取得されたメンバー ID および IP アドレスを渡して、etcdctl member update コマンドを使用して peerURLs の値を更新します。

      # etcdctl --cert-file=/etc/etcd/peer.crt \
          --key-file=/etc/etcd/peer.key \
          --ca-file=/etc/etcd/ca.crt \
          --peers="https://172.18.1.18:2379,https://172.18.9.202:2379,https://172.18.0.75:2379" \
          member update 511b7fb6cc0001 https://172.18.1.18:2380
    4. member list コマンドを再実行し、ピア URL に localhost が含まれなくなるようにします。
  7. 新規ホストを etcd クラスターに追加します。新規ホストはまだ設定されていないため、新規ホストを設定するまでステータスが unstarted のままであることに注意してください。

    警告

    各メンバーを追加し、1 回に 1 つずつメンバーをオンライン状態にします。各メンバーをクラスターに追加する際に、現在のピアの peerURL 一覧を調整する必要があります。peerURL 一覧はメンバーが追加されるたびに拡張します。etcdctl member add コマンドは、以下に説明されているように、メンバーを追加する際に etcd.conf ファイルで設定する必要のある値を出力します。

    # etcdctl -C https://${CURRENT_ETCD_HOST}:2379 \
      --ca-file=/etc/etcd/ca.crt     \
      --cert-file=/etc/etcd/peer.crt     \
      --key-file=/etc/etcd/peer.key member add ${NEW_ETCD_HOSTNAME} https://${NEW_ETCD_IP}:2380 1
    
    Added member named 10.3.9.222 with ID 4e1db163a21d7651 to cluster
    
    ETCD_NAME="<NEW_ETCD_HOSTNAME>"
    ETCD_INITIAL_CLUSTER="<NEW_ETCD_HOSTNAME>=https://<NEW_HOST_IP>:2380,<CLUSTERMEMBER1_NAME>=https:/<CLUSTERMEMBER2_IP>:2380,<CLUSTERMEMBER2_NAME>=https:/<CLUSTERMEMBER2_IP>:2380,<CLUSTERMEMBER3_NAME>=https:/<CLUSTERMEMBER3_IP>:2380"
    ETCD_INITIAL_CLUSTER_STATE="existing"
    1
    この行で、10.3.9.222 は etcd メンバーのラベルです。ホスト名、IP アドレスまたは単純な名前を指定できます。
  8. サンプル ${PREFIX}/etcd.conf ファイルを更新します。

    1. 以下の値を直前の手順で生成された値に置き換えます。

      • ETCD_NAME
      • ETCD_INITIAL_CLUSTER
      • ETCD_INITIAL_CLUSTER_STATE
    2. 以下の変数は、直前の手順で出力された新規ホストの IP に変更します。${NEW_ETCD_IP} は、値として使用できます。

      ETCD_LISTEN_PEER_URLS
      ETCD_LISTEN_CLIENT_URLS
      ETCD_INITIAL_ADVERTISE_PEER_URLS
      ETCD_ADVERTISE_CLIENT_URLS
    3. メンバーシステムを etcd ノードとして使用していた場合には、/etc/etcd/etcd.conf ファイルの現在の値を上書きする必要があります。
    4. ファイルで構文エラーや欠落している IP アドレスがないかを確認します。 エラーや欠落がある場合には、etced サービスが失敗してしまう可能性があります。

      # vi ${PREFIX}/etcd.conf
  9. インストールファイルをホストするノードでは、/etc/ansible/hosts インベントリーファイルの [etcd] ホストグループを更新します。古い etcd ホストを削除し、新規ホストを追加します。
  10. 証明書、サンプル設定ファイル、および ca を含む tgz ファイルを作成し、これを新規ホストにコピーします。

    # tar -czvf /etc/etcd/generated_certs/${CN}.tgz -C ${PREFIX} .
    # scp /etc/etcd/generated_certs/${CN}.tgz ${CN}:/tmp/
新規 etcd ホストの変更
  1. iptables-services をインストールして etcd の必要なポートを開くために iptables ユーティリティーを指定します。

    # yum install -y iptables-services
  2. etcd の通信を許可する OS_FIREWALL_ALLOW ファイアウォールルールを作成します。

    • クライアントのポート 2379/tcp
    • ピア通信のポート 2380/tcp

      # systemctl enable iptables.service --now
      # iptables -N OS_FIREWALL_ALLOW
      # iptables -t filter -I INPUT -j OS_FIREWALL_ALLOW
      # iptables -A OS_FIREWALL_ALLOW -p tcp -m state --state NEW -m tcp --dport 2379 -j ACCEPT
      # iptables -A OS_FIREWALL_ALLOW -p tcp -m state --state NEW -m tcp --dport 2380 -j ACCEPT
      # iptables-save | tee /etc/sysconfig/iptables
      注記

      この例では、新規チェーン OS_FIREWALL_ALLOW が作成されます。 これは、OpenShift Container Platform インストーラーがファイアウォールルールに使用する標準の名前になります。

      警告

      環境が IaaS 環境でホストされている場合には、インスタンスがこれらのポートに入ってくるトラフィックを許可できるように、セキュリティーグループを変更します。

  3. etcd をインストールします。

    # yum install -y etcd

    バージョン etcd-2.3.7-4.el7.x86_64 以降がインストールされていることを確認します。

  4. etcd Pod 定義を削除して、etcd サービスが実行されていない状態にします。

    # mkdir -p /etc/origin/node/pods-stopped
    # mv /etc/origin/node/pods/* /etc/origin/node/pods-stopped/
  5. etcd 設定およびデータを削除します。

    # rm -Rf /etc/etcd/*
    # rm -Rf /var/lib/etcd/*
  6. 証明書および設定ファイルを展開します。

    # tar xzvf /tmp/etcd0.example.com.tgz -C /etc/etcd/
  7. 新規ホストで etcd を起動します。

    # systemctl enable etcd --now
  8. ホストがクラスターの一部であることと現在のクラスターの正常性を確認します。

    • v2 etcd api を使用する場合は、以下のコマンドを実行します。

      # etcdctl --cert-file=/etc/etcd/peer.crt \
                --key-file=/etc/etcd/peer.key \
                --ca-file=/etc/etcd/ca.crt \
                --peers="https://*master-0.example.com*:2379,\
                https://*master-1.example.com*:2379,\
                https://*master-2.example.com*:2379,\
                https://*etcd0.example.com*:2379"\
                cluster-health
      member 5ee217d19001 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.12:2379
      member 2a529ba1840722c0 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.8:2379
      member 8b8904727bf526a5 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.21:2379
      member ed4f0efd277d7599 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.13:2379
      cluster is healthy
    • v3 etcd api を使用する場合は、以下のコマンドを実行します。

      # ETCDCTL_API=3 etcdctl --cert="/etc/etcd/peer.crt" \
                --key=/etc/etcd/peer.key \
                --cacert="/etc/etcd/ca.crt" \
                --endpoints="https://*master-0.example.com*:2379,\
                  https://*master-1.example.com*:2379,\
                  https://*master-2.example.com*:2379,\
                  https://*etcd0.example.com*:2379"\
                  endpoint health
      https://master-0.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 5.011358ms
      https://master-1.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 1.305173ms
      https://master-2.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 1.388772ms
      https://etcd0.example.com:2379 is healthy: successfully committed proposal: took = 1.498829ms
各 OpenShift Container Platform マスターの変更
  1. すべてのマスターの /etc/origin/master/master-config.yaml ファイルの etcClientInfo セクションでマスター設定を変更します。新規 etcd ホストを、データを保存するために OpenShift Container Platform が使用する etcd サーバーの一覧に追加し、失敗したすべての etcd ホストを削除します。

    etcdClientInfo:
      ca: master.etcd-ca.crt
      certFile: master.etcd-client.crt
      keyFile: master.etcd-client.key
      urls:
        - https://master-0.example.com:2379
        - https://master-1.example.com:2379
        - https://master-2.example.com:2379
        - https://etcd0.example.com:2379
  2. マスター API サービスを再起動します。

    • すべてのマスターのインストールに対しては、以下を実行します。

      # master-restart api
      # master-restart controllers
      警告

      etcd ノードの数は奇数でなければなりません。 そのため、2 つ以上のホストを追加する必要があります。

  3. Flannel を使用する場合、新規 etcd ホストを組み込むために、すべての OpenShift Container Platform ホストの /etc/sysconfig/flanneld にある flanneld サービス設定を変更します。

    FLANNEL_ETCD_ENDPOINTS=https://master-0.example.com:2379,https://master-1.example.com:2379,https://master-2.example.com:2379,https://etcd0.example.com:2379
  4. flanneld サービスを再起動します。

    # systemctl restart flanneld.service

5.4.5. etcd ホストの削除

復元後に etcd ホストが失敗する場合は、クラスターから削除します。

すべてのマスターホストで実行する手順

手順
  1. etcd クラスターから他の etcd ホストをそれぞれ削除します。それぞれの etcd ノードについて以下のコマンドを実行します。

    # etcdctl3 --endpoints=https://<surviving host IP>:2379
      --cacert=/etc/etcd/ca.crt
      --cert=/etc/etcd/peer.crt
      --key=/etc/etcd/peer.key member remove <failed member ID>
  2. すべてのマスターでマスター API サービスを再起動します。

    # master-restart api restart-master controller

現在の etcd クラスターで実行する手順

手順
  1. 失敗したホストをクラスターから削除します。

    # etcdctl2 cluster-health
    member 5ee217d19001 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.12:2379
    member 2a529ba1840722c0 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.8:2379
    failed to check the health of member 8372784203e11288 on https://192.168.55.21:2379: Get https://192.168.55.21:2379/health: dial tcp 192.168.55.21:2379: getsockopt: connection refused
    member 8372784203e11288 is unreachable: [https://192.168.55.21:2379] are all unreachable
    member ed4f0efd277d7599 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.13:2379
    cluster is healthy
    
    # etcdctl2 member remove 8372784203e11288 1
    Removed member 8372784203e11288 from cluster
    
    # etcdctl2 cluster-health
    member 5ee217d19001 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.12:2379
    member 2a529ba1840722c0 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.8:2379
    member ed4f0efd277d7599 is healthy: got healthy result from https://192.168.55.13:2379
    cluster is healthy
    1
    remove コマンドにはホスト名ではなく、etcd ID が必要です。
  2. etcd 設定で etcd サービスの再起動時に失敗したホストを使用しないようにするには、残りのすべての etcd ホストで /etc/etcd/etcd.conf ファイルを変更し、ETCD_INITIAL_CLUSTER 変数の値から失敗したホストを削除します。

    # vi /etc/etcd/etcd.conf

    以下に例を示します。

    ETCD_INITIAL_CLUSTER=master-0.example.com=https://192.168.55.8:2380,master-1.example.com=https://192.168.55.12:2380,master-2.example.com=https://192.168.55.13:2380

    以下のようになります。

    ETCD_INITIAL_CLUSTER=master-0.example.com=https://192.168.55.8:2380,master-1.example.com=https://192.168.55.12:2380
    注記

    失敗したホストは etcdctl を使用して削除されているので、etcd サービスの再起動は不要です。

  3. Ansible インベントリーファイルをクラスターの現在のステータスを反映し、Playbook の再実行時の問題を防げるように変更します。

    [OSEv3:children]
    masters
    nodes
    etcd
    
    ... [OUTPUT ABBREVIATED] ...
    
    [etcd]
    master-0.example.com
    master-1.example.com
  4. Flannel を使用している場合、すべてのホストの /etc/sysconfig/flanneld にある flanneld サービス設定を変更し、etcd ホストを削除します。

    FLANNEL_ETCD_ENDPOINTS=https://master-0.example.com:2379,https://master-1.example.com:2379,https://master-2.example.com:2379
  5. flanneld サービスを再起動します。

    # systemctl restart flanneld.service

第6章 プロジェクトレベルのタスク

6.1. プロジェクトのバックアップ

関連するすべてのデータのバックアップの作成には、すべての重要な情報をエクスポートし、新規プロジェクトに復元することが関係します。

重要

oc get all コマンドは特定のプロジェクトリソースのみを返すため、以下の手順のように PVC およびシークレットを含む他のリソースを個別にバックアップする必要があります。

手順
  1. バックアップするプロジェクトデータを一覧表示します。

    $ oc get all

    出力例

    NAME         TYPE      FROM      LATEST
    bc/ruby-ex   Source    Git       1
    
    NAME               TYPE      FROM          STATUS     STARTED         DURATION
    builds/ruby-ex-1   Source    Git@c457001   Complete   2 minutes ago   35s
    
    NAME                 DOCKER REPO                                     TAGS      UPDATED
    is/guestbook         10.111.255.221:5000/myproject/guestbook         latest    2 minutes ago
    is/hello-openshift   10.111.255.221:5000/myproject/hello-openshift   latest    2 minutes ago
    is/ruby-22-centos7   10.111.255.221:5000/myproject/ruby-22-centos7   latest    2 minutes ago
    is/ruby-ex           10.111.255.221:5000/myproject/ruby-ex           latest    2 minutes ago
    
    NAME                 REVISION   DESIRED   CURRENT   TRIGGERED BY
    dc/guestbook         1          1         1         config,image(guestbook:latest)
    dc/hello-openshift   1          1         1         config,image(hello-openshift:latest)
    dc/ruby-ex           1          1         1         config,image(ruby-ex:latest)
    
    NAME                   DESIRED   CURRENT   READY     AGE
    rc/guestbook-1         1         1         1         2m
    rc/hello-openshift-1   1         1         1         2m
    rc/ruby-ex-1           1         1         1         2m
    
    NAME                  CLUSTER-IP       EXTERNAL-IP   PORT(S)             AGE
    svc/guestbook         10.111.105.84    <none>        3000/TCP            2m
    svc/hello-openshift   10.111.230.24    <none>        8080/TCP,8888/TCP   2m
    svc/ruby-ex           10.111.232.117   <none>        8080/TCP            2m
    
    NAME                         READY     STATUS      RESTARTS   AGE
    po/guestbook-1-c010g         1/1       Running     0          2m
    po/hello-openshift-1-4zw2q   1/1       Running     0          2m
    po/ruby-ex-1-build           0/1       Completed   0          2m
    po/ruby-ex-1-rxc74           1/1       Running     0          2m

  2. プロジェクトオブジェクトを project.yaml ファイルにエクスポートします。

    $ oc get -o yaml --export all > project.yaml
  3. ロールバインディング、シークレット、サービスアカウント、および永続ボリューム要求 (PVC) など、プロジェクト内の他のオブジェクトをエクスポートします。

    以下のコマンドを使用すると、プロジェクト内の namespace のオブジェクトをすべてエクスポートできます。

    $ for object in $(oc api-resources --namespaced=true -o name)
    do
      oc get -o yaml --export $object > $object.yaml
    done

    一部のリソースはエクスポートできず、aMethodNotAllowed エラーが表示されます。

  4. 一部のエクスポートされたオブジェクトはプロジェクト内の特定のメタデータまたは固有の ID への参照に依存する場合があります。これは、再作成されるオブジェクトのユーザービリティーにおける制限になります。

    imagestreams の使用時に、deploymentconfigimage パラメーターは、復元される環境に存在しない内部レジストリー内のイメージの特定の sha チェックサムをポイントする場合があります。たとえば、サンプル "ruby-ex" を oc new-app centos/ruby-22-centos7~https://github.com/sclorg/ruby-ex.git として実行すると、イメージをホストするための内部レジストリーを使用する imagestream ruby-ex が作成されます。

    $ oc get dc ruby-ex -o jsonpath="{.spec.template.spec.containers[].image}"
    10.111.255.221:5000/myproject/ruby-ex@sha256:880c720b23c8d15a53b01db52f7abdcbb2280e03f686a5c8edfef1a2a7b21cee

    oc get --export でのエクスポートと同じ方法で、deploymentconfig をインポートすると、イメージが存在しない場合には失敗します。

6.2. プロジェクトの復元

プロジェクトの復元には、oc create -f <file_name> を実行して新規プロジェクトを作成してから、エクスポートされたファイルを復元します。

手順
  1. プロジェクトを作成します。

    $ oc new-project <project_name> 1
    1
    この <project_name> の値は、バックアップされたプロジェクトの名前と同じである必要があります。
  2. プロジェクトオブジェクトをインポートします。

    $ oc create -f project.yaml
  3. ロールバインディング、シークレット、サービスアカウント、および永続ボリューム要求 (PVC) など、プロジェクトのバックアップ時にエクスポートされた他のリソースをインポートします。

    $ oc create -f <object>.yaml

    別のオブジェクトが必要な場合に、インポートに失敗するリソースもあります。これが発生した場合は、エラーメッセージを確認し、最初にインポートする必要のあるリソースを特定します。

警告

Pod およびデフォルトサービスアカウントなどの一部のリソースは作成できない場合があります。

6.3. Persistent Volume Claim (永続ボリューム要求) のバックアップ

コンテナー内の永続データをサーバーと同期できます。

重要

OpenShift Container Platform 環境をホストする一部のプロバイダーでは、バックアップおよび復元目的でサードパーティーのスナップショットサービスを起動する機能がある場合があります。ただし、OpenShift Container Platform ではこれらのサービスを起動する機能を提供していないため、本書ではこれらの手順については説明しません。

特定アプリケーションの適切なバックアップ手順については、製品のドキュメントを参照してください。たとえば、mysql データディレクトリー自体をコピーしても使用可能なバックアップは作成されません。その代わりに、関連付けられたアプリケーションの特定のバックアップ手順を実行してから、データを同期することができます。この特定の手順には、OpenShift Container Platform をホストするプラットフォームで提供されるスナップショットソリューションの使用も含まれます。

手順
  1. プロジェクトおよび Pod を表示します。

    $ oc get pods
    NAME           READY     STATUS      RESTARTS   AGE
    demo-1-build   0/1       Completed   0          2h
    demo-2-fxx6d   1/1       Running     0          1h
  2. 永続ボリュームで使用されているボリュームを検索できるように必要な Pod の情報を記述します。

    $ oc describe pod demo-2-fxx6d
    Name:			demo-2-fxx6d
    Namespace:		test
    Security Policy:	restricted
    Node:			ip-10-20-6-20.ec2.internal/10.20.6.20
    Start Time:		Tue, 05 Dec 2017 12:54:34 -0500
    Labels:			app=demo
    			deployment=demo-2
    			deploymentconfig=demo
    Status:			Running
    IP:			172.16.12.5
    Controllers:		ReplicationController/demo-2
    Containers:
      demo:
        Container ID:	docker://201f3e55b373641eb36945d723e1e212ecab847311109b5cee1fd0109424217a
        Image:		docker-registry.default.svc:5000/test/demo@sha256:0a9f2487a0d95d51511e49d20dc9ff6f350436f935968b0c83fcb98a7a8c381a
        Image ID:		docker-pullable://docker-registry.default.svc:5000/test/demo@sha256:0a9f2487a0d95d51511e49d20dc9ff6f350436f935968b0c83fcb98a7a8c381a
        Port:		8080/TCP
        State:		Running
          Started:		Tue, 05 Dec 2017 12:54:52 -0500
        Ready:		True
        Restart Count:	0
        Volume Mounts:
          */opt/app-root/src/uploaded from persistent-volume (rw)*
          /var/run/secrets/kubernetes.io/serviceaccount from default-token-8mmrk (ro)
        Environment Variables:	<none>
    ...omitted...

    この出力は永続データが /opt/app-root/src/uploaded ディレクトリーにあることを示しています。

  3. データをローカルにコピーします。

    $ oc rsync demo-2-fxx6d:/opt/app-root/src/uploaded ./demo-app
    receiving incremental file list
    uploaded/
    uploaded/ocp_sop.txt
    uploaded/lost+found/
    
    sent 38 bytes  received 190 bytes  152.00 bytes/sec
    total size is 32  speedup is 0.14

    ocp_sop.txt ファイルはローカルシステムにダウンロードされ、バックアップソフトウェアまたは別のバックアップメカニズムでバックアップされます。

    注記

    また、Pod が起動する場合に pvc を使用せずに直前の手順を実行できますが、後に pvc が必要かどうかを確認する必要があります。データを保持してから復元プロセスを使用し、新規ストレージを設定することができます。

6.4. Persistent Volume Claim (永続ボリューム要求、PVC) の復元

バックアップした Persistent Volume Claim (永続ボリューム要求、PVC) データを復元することができます。ファイルを削除してからそのファイルを予想される場所に戻すか、または Persistent Volume Claim (永続ボリューム要求) を移行することができます。ストレージを移行する必要がある場合や、バックエンドストレージがすでに存在しないなどの障害発生時には移行する必要がある場合があります。

特定のアプリケーションの適切な復元手順については、それぞれの製品ドキュメントを参照してください。

6.4.1. ファイルの既存 PVC への復元

手順
  1. ファイルを削除します。

    $ oc rsh demo-2-fxx6d
    sh-4.2$ ls */opt/app-root/src/uploaded/*
    lost+found  ocp_sop.txt
    sh-4.2$ *rm -rf /opt/app-root/src/uploaded/ocp_sop.txt*
    sh-4.2$ *ls /opt/app-root/src/uploaded/*
    lost+found
  2. PVC にあったファイルの rsync バックアップが含まれるサーバーのファイルを置き換えます。

    $ oc rsync uploaded demo-2-fxx6d:/opt/app-root/src/
  3. oc rsh を使用してファイルが Pod に戻されていることを確認し、Pod に接続してディレクトリーのコンテンツを表示します。

    $ oc rsh demo-2-fxx6d
    sh-4.2$ *ls /opt/app-root/src/uploaded/*
    lost+found  ocp_sop.txt

6.4.2. データの新規 PVC への復元

以下の手順では、新規 pvc が作成されていることを前提としています。

手順
  1. 現在定義されている claim-name を上書きします。

    $ oc set volume dc/demo --add --name=persistent-volume \
    		--type=persistentVolumeClaim --claim-name=filestore \ --mount-path=/opt/app-root/src/uploaded --overwrite
  2. Pod が新規 PVC を使用していることを確認します。

    $ oc describe dc/demo
    Name:		demo
    Namespace:	test
    Created:	3 hours ago
    Labels:		app=demo
    Annotations:	openshift.io/generated-by=OpenShiftNewApp
    Latest Version:	3
    Selector:	app=demo,deploymentconfig=demo
    Replicas:	1
    Triggers:	Config, Image(demo@latest, auto=true)
    Strategy:	Rolling
    Template:
      Labels:	app=demo
    		deploymentconfig=demo
      Annotations:	openshift.io/container.demo.image.entrypoint=["container-entrypoint","/bin/sh","-c","$STI_SCRIPTS_PATH/usage"]
    		openshift.io/generated-by=OpenShiftNewApp
      Containers:
       demo:
        Image:	docker-registry.default.svc:5000/test/demo@sha256:0a9f2487a0d95d51511e49d20dc9ff6f350436f935968b0c83fcb98a7a8c381a
        Port:	8080/TCP
        Volume Mounts:
          /opt/app-root/src/uploaded from persistent-volume (rw)
        Environment Variables:	<none>
      Volumes:
       persistent-volume:
        Type:	PersistentVolumeClaim (a reference to a PersistentVolumeClaim in the same namespace)
        *ClaimName:	filestore*
        ReadOnly:	false
    ...omitted...
  3. デプロイメント設定では新規の pvc を使用しているため、oc rsync を実行してファイルを新規の pvc に配置します。

    $ oc rsync uploaded demo-3-2b8gs:/opt/app-root/src/
    sending incremental file list
    uploaded/
    uploaded/ocp_sop.txt
    uploaded/lost+found/
    
    sent 181 bytes  received 39 bytes  146.67 bytes/sec
    total size is 32  speedup is 0.15
  4. oc rsh を使用してファイルが Pod に戻されていることを確認し、Pod に接続してディレクトリーのコンテンツを表示します。

    $ oc rsh demo-3-2b8gs
    sh-4.2$ ls /opt/app-root/src/uploaded/
    lost+found  ocp_sop.txt

6.5. イメージおよびコンテナーのプルーニング

収集されたデータおよびオブジェクトの古いバージョンのプルーニングについての詳細は、Pruning Resources (リソースのプルーニング) のトピックを参照してください。

第7章 Docker タスク

OpenShift Container Platform はコンテナーエンジン (CRI-O または Docker) を使用して、任意の数のコンテナーで作成される Pod でアプリケーションを実行します。

クラスター管理者は、OpenShift Container Platform インストールの各種の要素を効率的に実行するために、コンテナーエンジンに追加の設定を加える必要がある場合があります。

7.1. コンテナーストレージの拡張

利用可能なストレージの容量を増やすことにより、停止が発生しない継続的なデプロイメントが可能になります。これを実行するには、適切なサイズの空き容量を含む空きのパーティションが利用可能でなければなりません。

7.1.1. ノードの退避

手順

  1. マスターインスタンスからか、またはクラスター管理者として、ノードからの Pod の退避を許可し、そのノードでの他の Pod のスケジューリングを無効にします。

    $ NODE=ose-app-node01.example.com
    $ oc adm manage-node ${NODE} --schedulable=false
    NAME                          STATUS                     AGE       VERSION
    ose-app-node01.example.com   Ready,SchedulingDisabled   20m       v1.6.1+5115d708d7
    
    $ oc adm drain ${NODE} --ignore-daemonsets
    node "ose-app-node01.example.com" already cordoned
    pod "perl-1-build" evicted
    pod "perl-1-3lnsh" evicted
    pod "perl-1-9jzd8" evicted
    node "ose-app-node01.example.com" drained
    注記

    移行されないローカルボリュームでコンテナーが実行されている場合には、以下のコマンドを実行します。 oc adm drain ${NODE} --ignore-daemonsets --delete-local-data.

  2. ノード上の Pod を一覧表示し、それらが削除されていることを確認します。

    $ oc adm manage-node ${NODE} --list-pods
    
    Listing matched pods on node: ose-app-node01.example.com
    
    NAME      READY     STATUS    RESTARTS   AGE
  3. ノードごとに、これまでの 2 つの手順を繰り返します。

Pod またはノードの退避またはドレイン (解放) についての詳細は、ノードの保守 を参照してください。

7.1.2. ストレージの拡張

Docker ストレージは、新規ディスクを割り当てるか、または既存ディスクを拡張するかの 2 つの方法で拡張できます。

新規ディスクによるストレージの拡張

前提条件
  • 新規ディスクは、追加のストレージを必要とする既存のインスタンスで利用可能でなければなりません。以下の手順では、/etc/sysconfig/docker-storage-setup ファイルに示されているように、元のディスクに /dev/xvdb というラベルが付けられ、新規ディスクには /dev/xvdd というラベルが付けられています。

    # vi /etc/sysconfig/docker-storage-setup
    DEVS="/dev/xvdb /dev/xvdd"
    注記

    プロセスは基礎となる OpenShift Container Platform インフラストラクチャーによって異なります。

手順
  1. docker を停止します。

    # systemctl stop docker
  2. etcd Pod 定義を削除し、ホストを再起動してノードサービスを停止します。

    # mkdir -p /etc/origin/node/pods-stopped
    # mv /etc/origin/node/pods/* /etc/origin/node/pods-stopped/
  3. docker-storage-setup コマンドを実行してコンテナーストレージに関連付けられたボリュームグループおよび論理ボリュームを拡張します。

    # docker-storage-setup
    1. thin pool の設定では、以下の出力が表示され、次のステップに進むことができます。

      INFO: Volume group backing root filesystem could not be determined
      INFO: Device /dev/xvdb is already partitioned and is part of volume group docker_vol
      INFO: Device node /dev/xvdd1 exists.
        Physical volume "/dev/xvdd1" successfully created.
        Volume group "docker_vol" successfully extended
    2. Overlay2 ファイルシステムを使用する XFS 設定では、直前の出力で示した増加は表示されません。

      XFS ストレージを拡張するには、以下の手順を実行する必要があります。

      1. lvextend コマンドを実行して、論理ボリュームを拡張して、ボリュームグループで利用可能な領域をすべて使用します。

        # lvextend -r -l +100%FREE /dev/mapper/docker_vol-dockerlv
        注記

        要件として使用容量をへらす必要がある場合は、それに応じて FREE の割合を選択します。

      2. xfs_growfs コマンドを実行してファイルシステムを拡張して、利用可能な領域を使用します。

        # xfs_growfs /dev/mapper/docker_vol-dockerlv
        注記

        XFS ファイルシステムは縮小できません。

      3. docker-storage-setup コマンドを再び実行します。

        # docker-storage-setup

        これで、出力に拡張ボリュームグループおよび論理ボリュームが表示されます。

        INFO: Device /dev/vdb is already partitioned and is part of volume group docker_vg
        INFO: Found an already configured thin pool /dev/mapper/docker_vg-docker--pool in /etc/sysconfig/docker-storage
        INFO: Device node /dev/mapper/docker_vg-docker--pool exists.
          Logical volume docker_vg/docker-pool changed.
  4. Docker サービスを起動します。

    # systemctl start docker
    # vgs
      VG         #PV #LV #SN Attr   VSize  VFree
      docker_vol   2   1   0 wz--n- 64.99g <55.00g
  5. Pod 定義を復元します。

    # mv /etc/origin/node/pods-stopped/* /etc/origin/node/pods/
  6. ホストを再起動してノードサービスを再起動します。

    # systemctl restart atomic-openshift-node.service
  7. 新規ボリュームグループを作成して docker-storage-setup を再実行する場合と比較したディスクの追加のメリットとして、システムで使用されていたイメージが新規ストレージの追加後もそのまま存在するという点があります。

    # container images
    REPOSITORY                                              TAG                 IMAGE ID            CREATED             SIZE
    docker-registry.default.svc:5000/tet/perl               latest              8b0b0106fb5e        13 minutes ago      627.4 MB
    registry.redhat.io/rhscl/perl-524-rhel7         <none>              912b01ac7570        6 days ago          559.5 MB
    registry.redhat.io/openshift3/ose-deployer      v3.6.173.0.21       89fd398a337d        5 weeks ago         970.2 MB
    registry.redhat.io/openshift3/ose-pod           v3.6.173.0.21       63accd48a0d7        5 weeks ago         208.6 MB
  8. ストレージ容量を拡張した状態で、新しく入ってくる Pod を受け入れられるようにノードをスケジュール可能な状態にします。

    クラスター管理者として、マスターインスタンスから以下を実行します。

    $ oc adm manage-node ${NODE} --schedulable=true
    
    ose-master01.example.com   Ready,SchedulingDisabled   24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-master02.example.com   Ready,SchedulingDisabled   24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-master03.example.com   Ready,SchedulingDisabled   24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-infra-node01.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-infra-node02.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-infra-node03.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-app-node01.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-app-node02.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7

既存ディスクのストレージの拡張

  1. 直前の手順 に従って、ノードを退避します。
  2. docker を停止します。

    # systemctl stop docker
  3. Pod 定義を削除して、ノードサービスを停止します。

    # mkdir -p /etc/origin/node/pods-stopped
    # mv /etc/origin/node/pods/* /etc/origin/node/pods-stopped/
  4. 既存ディスクを必要に応じてサイズ変更します。これは環境に応じて異なります。

    • LVM (Logical Volume Manager) を使用している場合:

    • クラウドプロバイダーを使用している場合は、ディスクの割り当てを解除し、ディスクを破棄してから新規のより大きなディスクを作成し、これをインスタンスに割り当てることができます。
    • クラウド以外の環境の場合、ディスクおよびファイルシステムのサイズは変更することができます。詳細については、以下のソリューションを参照してください。

  5. デバイス名、サイズなどを確認して、/etc/sysconfig/docker-storage-setup ファイルが新規ディスクに対して適切に設定されていることを確認します。
  6. docker-storage-setup を実行して新規ディスクを再設定します。

    # docker-storage-setup
    INFO: Volume group backing root filesystem could not be determined
    INFO: Device /dev/xvdb is already partitioned and is part of volume group docker_vol
    INFO: Device node /dev/xvdd1 exists.
      Physical volume "/dev/xvdd1" successfully created.
      Volume group "docker_vol" successfully extended
  7. Docker サービスを起動します。

    # systemctl start docker
    # vgs
      VG         #PV #LV #SN Attr   VSize  VFree
      docker_vol   2   1   0 wz--n- 64.99g <55.00g
  8. Pod 定義を復元します。

    # mv /etc/origin/node/pods-stopped/* /etc/origin/node/pods/
  9. ホストを再起動してノードサービスを再起動します。

    # systemctl restart atomic-openshift-node.service

7.1.3. ストレージバックエンドの変更

サービスおよびファイルシステムの機能拡張に応じて、新規機能を使用できるようにストレージバックエンドの変更が必要になる場合があります。以下の手順では、デバイスマッパーのバックエンドを overlay2 ストレージバックエンドに変更する例を示します。overlay2 では、従来のデバイスマッパーに比べ、速度と密度が向上されます。

7.1.3.1. ノードの退避
  1. マスターインスタンスからか、またはクラスター管理者として、ノードからの Pod の退避を許可し、そのノードでの他の Pod のスケジューリングを無効にします。

    $ NODE=ose-app-node01.example.com
    $ oc adm manage-node ${NODE} --schedulable=false
    NAME                          STATUS                     AGE       VERSION
    ose-app-node01.example.com   Ready,SchedulingDisabled   20m       v1.6.1+5115d708d7
    
    $ oc adm drain ${NODE} --ignore-daemonsets
    node "ose-app-node01.example.com" already cordoned
    pod "perl-1-build" evicted
    pod "perl-1-3lnsh" evicted
    pod "perl-1-9jzd8" evicted
    node "ose-app-node01.example.com" drained
    注記

    移行されないローカルボリュームでコンテナーが実行されている場合には、以下のコマンドを実行します。 oc adm drain ${NODE} --ignore-daemonsets --delete-local-data

  2. ノード上の Pod を一覧表示し、それらが削除されていることを確認します。

    $ oc adm manage-node ${NODE} --list-pods
    
    Listing matched pods on node: ose-app-node01.example.com
    
    NAME      READY     STATUS    RESTARTS   AGE

    Pod またはノードの退避またはドレイン (解放) についての詳細は、ノードの保守 を参照してください。

  3. コンテナーが現時点でインスタンス上で実行されていない状態で、docker サービスを停止します。

    # systemctl stop docker
  4. atomic-openshift-node サービスを停止します。

    # systemctl stop atomic-openshift-node
  5. ボリュームグループの名前、論理グループ名、および物理ボリューム名を確認します。

    # vgs
      VG         #PV #LV #SN Attr   VSize   VFree
      docker_vol   1   1   0 wz--n- <25.00g 15.00g
    
    # lvs
    LV       VG         Attr       LSize   Pool Origin Data%  Meta%  Move Log Cpy%Sync Convert
     dockerlv docker_vol -wi-ao---- <10.00g
    
    # lvremove /dev/docker_vol/docker-pool  -y
    # vgremove docker_vol -y
    # pvs
      PV         VG         Fmt  Attr PSize   PFree
      /dev/xvdb1 docker_vol lvm2 a--  <25.00g 15.00g
    
    # pvremove /dev/xvdb1 -y
    # rm -Rf /var/lib/docker/*
    # rm -f /etc/sysconfig/docker-storage
  6. docker-storage-setup ファイルを STORAGE_DRIVER を指定するように変更します。

    注記

    システムが Red Hat Enterprise Linux バージョン 7.3 から 7.4 にアップグレードする際に、docker サービスは /var を extfs の STORAGE_DRIVER と共に使用しようとします。ただし、extfs を STORAGE_DRIVER として使用するとエラーが発生します。このエラーについての詳細は、以下のバグを参照してください。

    DEVS=/dev/xvdb
    VG=docker_vol
    DATA_SIZE=95%VG
    STORAGE_DRIVER=overlay2
    CONTAINER_ROOT_LV_NAME=dockerlv
    CONTAINER_ROOT_LV_MOUNT_PATH=/var/lib/docker
    CONTAINER_ROOT_LV_SIZE=100%FREE
  7. ストレージをセットアップします。

    # docker-storage-setup
  8. docker を起動します。

    # systemctl start docker
  9. atomic-openshift-node サービスを再起動します。

    # systemctl restart atomic-openshift-node.service
  10. ストレージが overlay2 を使用できるように変更された状態で、新規の着信 Pod を受け入れられるようにノードをスケジュール可能にします。

    マスターインスタンスから、またはクラスター管理者として以下を実行します。

    $ oc adm manage-node ${NODE} --schedulable=true
    
    ose-master01.example.com   Ready,SchedulingDisabled   24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-master02.example.com   Ready,SchedulingDisabled   24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-master03.example.com   Ready,SchedulingDisabled   24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-infra-node01.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-infra-node02.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-infra-node03.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-app-node01.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7
    ose-app-node02.example.com   Ready                      24m       v1.6.1+5115d708d7

7.2. コンテナーレジストリー証明書の管理

OpenShift Container Platform 内部レジストリーは Pod として作成されます。ただし、コンテナーは必要な場合は外部レジストリーからプルされます。デフォルトでは、レジストリーは TCP ポート 5000 をリッスンします。レジストリーは TLS 経由でエクスポートされたイメージのセキュリティーを保護するか、またはトラフィックを暗号化せずにレジストリーを実行するオプションを提供します。

警告

Docker は .crt ファイルを CA 証明書として、.cert ファイルをクライアント証明書として解釈します。CA 拡張は .crt である必要があります

7.2.1. 外部レジストリー用の認証局証明書のインストール

OpenShift Container Platform を外部レジストリーで使用するために、レジストリーの認証局 (CA) 証明書が、レジストリーからイメージをプルできるすべてのノードについて信頼されている必要があります。

注記

Docker のバージョンによっては、コンテナーイメージレジストリーを信頼するプロセスは異なります。最新バージョンの Docker のルート認証局はシステムのデフォルトにマージされています。docker バージョン 1.13 よりも前のバージョンでは、システムのデフォルト証明書は他のカスタムルート証明書が存在しない場合にのみ使用されます。

手順
  1. CA 証明書を /etc/pki/ca-trust/source/anchors/ にコピーします。

    $ sudo cp myregistry.example.com.crt /etc/pki/ca-trust/source/anchors/
  2. CA 証明書を展開し、信頼される認証局の一覧に追加します。

    $ sudo update-ca-trust extract
  3. openssl コマンドを使用して SSL 証明書を確認します。

    $ openssl verify myregistry.example.com.crt
    myregistry.example.com.crt: OK
  4. 証明書が配置され、信頼が更新されたら、docker サービスを再起動して新規証明書が適切に設定されていることを確認します。

    $ sudo systemctl restart docker.service

Docker バージョンの 1.13 よりも前のバージョンの場合は、認証局を信頼するために以下の追加の手順を実行します。

  1. すべてのノードで、ディレクトリーの名前がコンテナーイメージレジストリーのホスト名となっている新規ディレクトリーを /etc/docker/certs.d に作成します。

    $ sudo mkdir -p /etc/docker/certs.d/myregistry.example.com
    注記

    ポート番号は、コンテナーイメージレジストリーがポート番号なしにアクセスできない場合を除き不要です。ポートを元の Docker レジストリーにポイントするには、myregistry.example.com:port を使用します。

  2. コンテナーイメージレジストリーに IP アドレス経由でアクセスするには、ディレクトリーの名前がコンテナーイメージレジストリーの IP である新規ディレクトリーを、すべてのノードの /etc/docker/certs.d 内に作成する必要があります。

    $ sudo mkdir -p /etc/docker/certs.d/10.10.10.10
  3. CA 証明書を直前の手順で新たに作成された Docker ディレクトリーにコピーします。

    $ sudo cp myregistry.example.com.crt \
      /etc/docker/certs.d/myregistry.example.com/ca.crt
    
    $ sudo cp myregistry.example.com.crt /etc/docker/certs.d/10.10.10.10/ca.crt
  4. 証明書がコピーされた後に、docker サービスを再起動して新規証明書が使用されていることを確認します。

    $ sudo systemctl restart docker.service

7.2.2. Docker 証明書のバックアップ

ノードホストのバックアップの実行時に、外部レジストリーの証明書を組み込みます。

手順
  1. /etc/docker/certs.d を使用している場合、ディレクトリーに含まれるすべての証明書をコピーし、ファイルを保存します。

    $ sudo tar -czvf docker-registry-certs-$(hostname)-$(date +%Y%m%d).tar.gz /etc/docker/certs.d/
  2. システムの信頼を使用する場合、証明書をシステムの信頼内に追加する前に保存します。保存が完了したら、trust コマンドを使用して復元するために証明書を展開します。システム信頼の CA を特定し、pkcs11 ID を書き留めておきます。

    $ trust list
    ...[OUTPUT OMMITED]...
    pkcs11:id=%a5%b3%e1%2b%2b%49%b6%d7%73%a1%aa%94%f5%01%e7%73%65%4c%ac%50;type=cert
        type: certificate
        label: MyCA
        trust: anchor
        category: authority
    ...[OUTPUT OMMITED]...
  3. 証明書を pem 形式で抽出して、名前を指定します。例: myca.crt

    $ trust extract --format=pem-bundle \
     --filter="%a5%b3%e1%2b%2b%49%b6%d7%73%a1%aa%94%f5%01%e7%73%65%4c%ac%50;type=cert" myca.crt
  4. 証明書が openssl で適切に展開されていることを確認します。

    $ openssl verify myca.crt
  5. 必要なすべての証明書についてこの手順を繰り返し、ファイルをリモートの場所に保存します。

7.2.3. Docker 証明書の復元

外部レジストリー用の Docker 証明書が削除されるか、または破損している場合、復元メカニズムでは先に実行されたバックアップのファイルを使用して、インストール方法と同じ手順を使用します。

7.3. コンテナーレジストリーの管理

OpenShift Container Platform を、外部 docker レジストリーを使用してイメージをプルできるように設定できます。ただし、設定ファイルを使用して特定のイメージまたはレジストリーを許可したり、拒否したりすることもできます。

外部レジストリーがネットワークトラフィックの証明書を使用して公開される場合、これにはセキュアなレジストリーとしての名前を付けることができます。そうしない場合には、レジストリーとホスト間のトラフィックはプレーンなテキストで行われ、暗号化されないため、これが非セキュアなレジストリーになります。

7.3.1. Docker search の外部レジストリー

デフォルトで、docker デーモンにはイメージを任意のレジストリーからプルできる機能がありますが、検索操作は docker.io/ および registry.redhat.io に対して実行されます。デーモンは、--add-registry オプションを docker デーモンに指定してイメージを他のレジストリーから検索できるように設定できます。

注記

Red Hat Registry registry.redhat.io からイメージを検索する機能はデフォルトで Red Hat Enterprise Linux docker パッケージにあります。

手順
  1. ユーザーが docker search に他のレジストリーを指定してイメージを検索できるようにするには、それらのレジストリーを registries パラメーターの下の /etc/containers/registries.conf ファイルに追加します。

    registries:
      - registry.redhat.io
      - my.registry.example.com
  2. docker デーモンを再起動し、my.registry.example.com の使用を許可します。

    $ sudo systemctl restart docker.service

    docker デーモンの再起動により、docker コンテナーが再起動します。

  3. Ansible インストーラーを使用する場合、これは Ansible ホストファイルの openshift_docker_additional_registries 変数を使用して設定できます。

    openshift_docker_additional_registries=registry.redhat.io,my.registry.example.com

7.3.2. Docker 外部レジストリーのホワイトリストおよびブラックリスト

Docker は、registries および block_registries フラグを docker デーモンに設定して、外部レジストリーからの操作をブロックするように設定できます。

手順
  1. 許可されるレジストリーを registries フラグの付いた /etc/containers/registries.conf ファイルに追加します。

    registries:
      - registry.redhat.io
      - my.registry.example.com
    注記

    docker.io レジストリーは同じ方法で追加できます。

  2. 残りのレジストリーをブロックします。

    block_registries:
       - all
  3. 古いバージョンの残りのレジストリーをブロックします。

    BLOCK_REGISTRY='--block-registry=all'
  4. docker デーモンを再起動します。

    $ sudo systemctl restart docker.service

    docker デーモンの再起動により、docker コンテナーが再起動します。

  5. この例では、docker.io レジストリーがブラックリストに入れられているため、そのレジストリーに関連するすべての操作が失敗します。

    $ sudo docker pull hello-world
    Using default tag: latest
    Trying to pull repository registry.redhat.io/hello-world ...
    Trying to pull repository my.registry.example.com/hello-world ...
    Trying to pull repository registry.redhat.io/hello-world ...
    unknown: Not Found
    $ sudo docker pull docker.io/hello-world
    Using default tag: latest
    Trying to pull repository docker.io/library/hello-world ...
    All endpoints blocked.

    ファイルを再び変更し、サービスを再起動して docker.ioregistries 変数に追加します。

    registries:
      - registry.redhat.io
      - my.registry.example.com
      - docker.io
    block_registries:
      - all

    または

    ADD_REGISTRY="--add-registry=registry.redhat.io --add-registry=my.registry.example.com --add-registry=docker.io"
    BLOCK_REGISTRY='--block-registry=all'
  6. Docker サービスを再起動します。

    $ sudo systemctl restart docker
  7. イメージがプルできる状態であることを確認するには、以下を実行します。

    $ sudo docker pull docker.io/hello-world
    Using default tag: latest
    Trying to pull repository docker.io/library/hello-world ...
    latest: Pulling from docker.io/library/hello-world
    
    9a0669468bf7: Pull complete
    Digest: sha256:0e06ef5e1945a718b02a8c319e15bae44f47039005530bc617a5d071190ed3fc
  8. 外部レジストリーを使用する必要がある場合 (レジストリーを使用する必要のあるすべてのノードホストの docker デーモン設定ファイルを変更する場合など)、これらのノードでブラックリストを作成し、悪意あるコンテナーが実行されるのを防ぐことができます。

    Ansible インストーラーを使用する場合、これは、Ansible ホストファイルの openshift_docker_additional_registries および openshift_docker_blocked_registries 変数を使用して設定できます。

    openshift_docker_additional_registries=registry.redhat.io,my.registry.example.com
    openshift_docker_blocked_registries=all

7.3.3. セキュアなレジストリー

イメージを外部レジストリーからプルできるようにするには、レジストリー証明書を信頼できる必要があります。 そうでない場合には、イメージのプル操作は失敗します。

これには、外部レジストリーの認証局証明書のインストール のセクションを参照してください。

ホワイトリストを使用する場合、外部レジストリーは上記のように registries 変数に追加されるはずです。

7.3.4. 非セキュアなレジストリー

信頼されていない証明書を使用する外部レジストリー、または証明書がまったく使用されない外部レジストリーは使用しないでください。

ただし、非セキュアなレジストリーは、docker デーモンがリポジトリーからイメージをプルできるように --insecure-registry オプションを使用して追加する必要があります。これは --add-registry オプションと同じですが、docker 操作については検証されていません。

レジストリーはこれらの両方のオプションを使用して追加される必要があります。 これにより、検索が可能になり、ブラックリストがある場合はイメージのプルなどの他の操作を実行することができます。

テストとして、以下に localhost の非セキュアなレジストリーを追加する方法についての例を示します。

手順
  1. /etc/containers/registries.conf 設定ファイルを localhost の非セキュアなレジストリーを追加するように変更します。

    [registries.search]
    registries = ['registry.redhat.io', 'my.registry.example.com', 'docker.io', 'localhost:5000' ]
    
    [registries.insecure]
    registries = ['localhost:5000']
    
    [registries.block]
    registries = ['all']
    注記

    セキュアではないレジストリーを registries.search セクションと registries.insecure セクションの両方に追加して、このようなレジストリーがセキュアではない、ホワイトリストとしてマークされていることを確認します。registeries.block セクションに含まれるレジストリーは、registries.search セクションに追加して、ホワイトリスト化しない限り、ブロックされます。

  2. docker デーモンを再起動してレジストリーを使用します。

    $ sudo systemctl restart docker.service

    docker デーモンを再起動することにより、docker コンテナーが再起動されます。

  3. コンテナーイメージレジストリー Pod を localhost で実行します。

    $ sudo docker run -p 5000:5000 registry:2
  4. イメージをプルします。

    $ sudo docker pull openshift/hello-openshift
  5. イメージにタグを付けます。

    $ sudo docker tag docker.io/openshift/hello-openshift:latest localhost:5000/hello-openshift-local:latest
  6. イメージをローカルレジストリーにプッシュします。

    $ sudo docker push localhost:5000/hello-openshift-local:latest
  7. Ansible インストーラーを使用する場合、これは、Ansible ホストファイルの openshift_docker_additional_registriesopenshift_docker_blocked_registries、および openshift_docker_insecure_registries 変数を使用して設定できます。

    openshift_docker_additional_registries=registry.redhat.io,my.registry.example.com,localhost:5000
    openshift_docker_insecure_registries=localhost:5000
    openshift_docker_blocked_registries=all
    注記

    ホストの IP アドレスに openshift_docker_insecure_registries 変数も設定できます。0.0.0.0/0 は有効な設定ではありません。

7.3.5. 認証済みレジストリー

認証済みのレジストリーを docker で使用するには、docker デーモンがレジストリーにログインする必要があります。OpenShift Container Platform の場合、ユーザーはホストで docker login コマンドを実行できないため、異なる手順セットを実行する必要があります。認証済みのレジストリーはユーザーがプルできるイメージや外部レジストリーにアクセスできるユーザーを制限するために使用できます。

外部 docker レジストリーに認証が必要な場合は、レジストリーを使用するプロジェクトで特殊なシークレットを作成してから、そのシークレットを使用して docker 操作を実行します。

手順
  1. ユーザーが docker レジストリーにログインするプロジェクトで dockercfg シークレットを作成します。

    $ oc project <my_project>
    $ oc create secret docker-registry <my_registry> --docker-server=<my.registry.example.com> --docker-username=<username> --docker-password=<my_password> --docker-email=<me@example.com>
  2. .dockercfg ファイルが存在する場合、oc コマンドを使用してシークレットを作成します。

    $ oc create secret generic <my_registry> --from-file=.dockercfg=<path/to/.dockercfg> --type=kubernetes.io/dockercfg
  3. $HOME/.docker/config.json ファイルを設定します。

    $ oc create secret generic <my_registry> --from-file=.dockerconfigjson=<path/to/.dockercfg> --type=kubernetes.io/dockerconfigjson
  4. dockercfg を使用し、シークレットをプル操作を実行するサービスアカウントにリンクして、イメージを認証済みレジストリーからプルします。イメージをプルするためのデフォルトのサービスアカウント名は default です。

    $ oc secrets link default <my_registry> --for=pull
  5. S2I 機能を使用してイメージをプッシュする場合、dockercfg シークレットは S2I Pod にマウントされるため、これをビルドを実行する適切なサービスアカウントにリンクする必要があります。イメージをビルドするために使用されるデフォルトのサービスアカウントの名前は builder です。

    $ oc secrets link builder <my_registry>
  6. buildconfig では、シークレットをプッシュまたはプル操作用に指定する必要があります。

    "type": "Source",
    "sourceStrategy": {
        "from": {
            "kind": "DockerImage",
            "name": "*my.registry.example.com*/myproject/myimage:stable"
        },
        "pullSecret": {
            "name": "*mydockerregistry*"
        },
    ...[OUTPUT ABBREVIATED]...
    "output": {
        "to": {
            "kind": "DockerImage",
            "name": "*my.registry.example.com*/myproject/myimage:latest"
        },
        "pushSecret": {
            "name": "*mydockerregistry*"
        },
    ...[OUTPUT ABBREVIATED]...
  7. 外部レジストリーが認証を外部サービスに委任する場合は、レジストリー URL を使用するレジストリー用のシークレットと、独自の URL を使用する外部の認証システム用の両方の dockercfg シークレットを作成します。これら両方のシークレットをサービスアカウントに追加する必要があります。

    $ oc project <my_project>
    $ oc create secret docker-registry <my_registry> --docker-server=*<my_registry_example.com> --docker-username=<username> --docker-password=<my_password> --docker-email=<me@example.com>
    $ oc create secret docker-registry <my_docker_registry_ext_auth> --docker-server=<my.authsystem.example.com> --docker-username=<username> --docker-password=<my_password> --docker-email=<me@example.com>
    $ oc secrets link default <my_registry> --for=pull
    $ oc secrets link default <my_docker_registry_ext_auth> --for=pull
    $ oc secrets link builder <my_registry>
    $ oc secrets link builder <my_docker_registry_ext_auth>

7.3.6. ImagePolicy 受付プラグイン

受付制御プラグインは API への要求をインターセプトし、設定されているルールに応じてチェックを実行し、それらのルールに基づいて特定のアクションを許可したり、拒否したりします。OpenShift Container Platform は、ImagePolicy 受付プラグイン を使用して、環境で実行可能なイメージを制限できます。ここでは 以下を制御できます。

  • イメージのソース: イメージのプルに使用できるレジストリー
  • イメージの解決: イメージが再タグ付けによって変更されないよう、イミュータブルなダイジェストによる Pod の実行を強制する。
  • コンテナーイメージラベルの制限: イメージに特定のラベルを持たせるか、または持たせないよう強制する。
  • イメージアノテーションの制限: 統合コンテナーレジストリーのイメージに特定のアノテーションを持たせるか、または持たせないよう強制する。
警告

現時点で、ImagePolicy 受付プラグインはベータ版とみなされています。

手順
  1. ImagePolicy プラグインが有効にされている場合、これを、すべてのマスターノードで /etc/origin/master/master-config.yaml ファイルを変更して使用される外部レジストリーを許可するように変更する必要があります。

    admissionConfig:
      pluginConfig:
        openshift.io/ImagePolicy:
          configuration:
            kind: ImagePolicyConfig
            apiVersion: v1
            executionRules:
            - name: allow-images-from-other-registries
              onResources:
              - resource: pods
              - resource: builds
              matchRegistries:
              - docker.io
              - <my.registry.example.com>
              - registry.redhat.io
    注記

    ImagePolicy を有効にすることにより、ユーザーはアプリケーションを使用する際にレジストリーを指定する必要があります (oc new-app kubernetes/guestbook ではなく oc new-app docker.io/kubernetes/guestbook とするなど)。 そうしないと、失敗が生じます。

  2. インストール時に受付プラグインを有効にするには、openshift_master_admission_plugin_config 変数を、すべての pluginConfig 設定を含む json でフォーマットされた文字列と共に使用できます。

    openshift_master_admission_plugin_config={"openshift.io/ImagePolicy":{"configuration":{"kind":"ImagePolicyConfig","apiVersion":"v1","executionRules":[{"name":"allow-images-from-other-registries","onResources":[{"resource":"pods"},{"resource":"builds"}],"matchRegistries":["docker.io","*my.registry.example.com*","registry.redhat.io"]}]}}}

7.3.7. イメージの外部レジストリーからのインポート

アプリケーション開発者は oc import-image コマンドでイメージをインポートして imagestreams を作成でき、OpenShift Container Platform は外部レジストリーからのイメージインポートを許可または拒否するように設定できます。

手順
  1. ユーザーがイメージをインポートできる許可されたレジストリーを設定するには、以下を /etc/origin/master/master-config.yaml ファイルに追加します。

    imagePolicyConfig:
      allowedRegistriesForImport:
      - domainName: docker.io
      - domainName: '\*.docker.io'
      - domainName: '*.redhat.com'
      - domainName: 'my.registry.example.com'
  2. イメージを外部認証レジストリーからインポートするには、必要なプロジェクト内にシークレットを作成します。
  3. 推奨されていない場合でも、外部の認証済みレジストリーが非セキュアであるか、または証明書が信頼できない場合には、oc import-image コマンドを --insecure=true オプションを指定して使用できます。

    外部の認証済みレジストリーがセキュアな場合、レジストリー証明書は、以下のようにレジストリーのインポートコントローラーを実行する際にマスターホストで信頼される必要があります。

    /etc/pki/ca-trust/source/anchors/ の証明書をコピーします。

    $ sudo cp <my.registry.example.com.crt> /etc/pki/ca-trust/source/anchors/<my.registry.example.com.crt>
  4. update-ca-trust コマンドを実行します。

    $ sudo update-ca-trust
  5. すべてのマスターホストでマスターサービスを再起動します。

    $ sudo master-restart api
    $ sudo master-restart controllers
  6. 外部レジストリーの証明書は OpenShift Container Platform レジストリーで信頼されます。

    $ for i in pem openssl java; do
      oc create configmap ca-trust-extracted-${i} --from-file /etc/pki/ca-trust/extracted/${i}
      oc set volume dc/docker-registry --add -m /etc/pki/ca-trust/extracted/${i} --configmap-name=ca-trust-extracted-${i} --name ca-trust-extracted-${i}
    done
    警告

    現時点で、証明書をレジストリー Pod に追加するための正式な手順はありませんが、上記の回避策を使用できます。

    この回避策では、これらのコマンドを実行するシステムですべての信頼される証明書を使って configmaps を作成するため、必要な証明書のみが信頼されるクリーンなシステムからこれを実行することが推奨されます。

  7. または、以下のように Dockerfile を使用して、イメージを再ビルドするために適切な証明書を信頼できるようレジストリーイメージを変更します。

    FROM registry.redhat.io/openshift3/ose-docker-registry:v3.6
    ADD <my.registry.example.com.crt> /etc/pki/ca-trust/source/anchors/
    USER 0
    RUN update-ca-trust extract
    USER 1001
  8. イメージを再ビルドし、これを docker レジストリーにプッシュし、そのイメージをレジストリー deploymentconfigspec.template.spec.containers["name":"registry"].image として使用します。

    $ oc patch dc docker-registry -p '{"spec":{"template":{"spec":{"containers":[{"name":"registry","image":"*myregistry.example.com/openshift3/ose-docker-registry:latest*"}]}}}}'
注記

imagePolicyConfig 設定をインストールに追加するには、openshift_master_image_policy_config 変数を、以下のようにすべての imagePolicyConfig 設定を含む json でフォーマットされた文字列で使用できます。

openshift_master_image_policy_config={"imagePolicyConfig":{"allowedRegistriesForImport":[{"domainName":"docker.io"},{"domainName":"\*.docker.io"},{"domainName":"*.redhat.com"},{"domainName":"*my.registry.example.com*"}]}}

ImagePolicy についての詳細は、ImagePolicy 受付プラグイン のセクションを参照してください。

7.3.8. OpenShift Container Platform レジストリーの統合

OpenShift Container Platform をスタンドアロンのコンテナーイメージレジストリーとしてインストールし、レジストリー機能のみを提供できるようにすることができます。 これには、OpenShift Container Platform プラットフォームを実行するようにこのレジストリーを使用できる利点があります。

OpenShift Container Platform レジストリーについての詳細は、OpenShift Container レジストリーのスタンドアロンデプロイメントのインストール を参照してください。

OpenShift Container Platform レジストリーを有効にするには、直前のすべてのセクションが適用されます。OpenShift Container Platform の観点では、このスタンドアロンの OpenShift Container レジストリーは外部レジストリーとして処理されますが、これはマルチテナントレジストリーであり、OpenShift Container Platform の承認モデルが使用されるため、いくつかの追加タスクが必要になります。 このレジストリーは新規プロジェクトを独自の環境に作成するのではなく、これが通信するよう設定された OpenShift Container Platform 内に作成するため、作成されるすべてのプロジェクトに影響を与えます。

7.3.8.1. レジストリープロジェクトのクラスターへの接続

レジストリーはレジストリー Pod と Web インターフェイスを含む完全な OpenShift Container Platform 環境であるため、レジストリーに新規プロジェクトを作成するプロセスは、oc new-project または oc create コマンドラインを使用して実行されるか、または Web インターフェイスを使って実行されます。

プロジェクトが作成されると、通常のサービスアカウント (builderdefault、および deployer) が自動的に作成され、プロジェクト管理者ユーザーにはパーミッションが付与されます。匿名ユーザーを含め、異なるユーザーにイメージをプッシュ/プルする権限を付与できます。

すべてのユーザーがレジストリー内の新規プロジェクトからイメージをプルできるようにするなどのいくつかのユースケースがありますが、OpenShift Container Platform とレジストリー間に 1:1 の関係を持たせることを希望している場合で、ユーザーが特定のプロジェクトからイメージのプッシュおよびプルを実行できるようにする場合には、いくつかの手順を実行する必要があります。

警告

レジストリー Web コンソールはプル/プッシュ操作に使用されるトークンを表示しますが、ここに表示されるトークンはセッショントークンであるため、期限切れになります。特定のパーミッションを持つサービスアカウントを作成することにより、管理者はサービスアカウントのパーミッションを制限することができ、たとえばイメージのプッシュ/プルに異なるサービスアカウントを使用できるようにできます。その後はサービスアカウントトークンの期限切れが生じなくなるため、トークンの期限切れ、シークレットの再作成その他のタスクについて設定する必要がなくなります。

手順
  1. 新規プロジェクトを作成します。

    $ oc new-project <my_project>
  2. レジストリープロジェクトを作成します。

    $ oc new-project <registry_project>
  3. サービスアカウントをレジストリープロジェクトに作成します。

    $ oc create serviceaccount <my_serviceaccount> -n <registry_project>
  4. registry-editor ロールを使用してイメージのプッシュおよびプルのパーミッションを付与します。

    $ oc adm policy add-role-to-user registry-editor -z <my_serviceaccount> -n <registry_project>

    プルパーミッションのみが必要な場合、registry-viewer ロールを使用できます。

  5. サービスアカウントトークンを取得します。

    $ TOKEN=$(oc sa get-token <my_serviceaccount> -n <registry_project>)
  6. トークンをパスワードとして使用し、dockercfg シークレットを作成します。

    $ oc create secret docker-registry <my_registry> \
      --docker-server=<myregistry.example.com> --docker-username=<notused> --docker-password=${TOKEN} --docker-email=<me@example.com>
  7. dockercfg シークレットを使用し、シークレットをプル操作を実行するサービスアカウントにリンクして、イメージをレジストリーからプルします。イメージをプルするためのデフォルトのサービスアカウント名は default です。

    $ oc secrets link default <my_registry> --for=pull
  8. S2I 機能を使用してイメージをプッシュする場合、dockercfg シークレットは S2I Pod にマウントされるため、これをビルドを実行する適切なサービスアカウントにリンクする必要があります。イメージをビルドするために使用されるデフォルトのサービスアカウントの名前は builder です。

    $ oc secrets link builder <my_registry>
  9. buildconfig では、シークレットをプッシュまたはプル操作用に指定する必要があります。

    "type": "Source",
    "sourceStrategy": {
        "from": {
            "kind": "DockerImage",
            "name": "<myregistry.example.com/registry_project/my_image:stable>"
        },
        "pullSecret": {
            "name": "<my_registry>"
        },
    ...[OUTPUT ABBREVIATED]...
    "output": {
        "to": {
            "kind": "DockerImage",
            "name": "<myregistry.example.com/registry_project/my_image:latest>"
        },
        "pushSecret": {
            "name": "<my_registry>"
        },
    ...[OUTPUT ABBREVIATED]...

第8章 証明書の管理

OpenShift Container Platform クラスターの有効期間中、証明書はライフサイクルの各種のフェーズに移行します。以下の手順では、ライフサイクルの各フェーズを管理する方法について説明しています。

証明書の有効期限の表示と証明書の再デプロイに関する情報は、証明書の再デプロイ を参照してください。

8.1. アプリケーションの自己署名型証明書の CA で署名される証明書への切り替え

一部のアプリケーションテンプレートはアプリケーションからクライアントに直接提示される自己署名型の証明書を作成します。たとえば、デフォルトでは、OpenShift Container Platform Ansible インストーラーのデプロイメントプロセスの一環として、メトリクスデプロイヤーが自己署名型の証明書を作成します。

これらの自己署名型の証明書はブラウザーで認識されません。この問題を緩和するには、公的に署名された証明書を使用し、これを自己署名型の証明書でトラフィックを再暗号化できるように設定します。

  1. 既存ルートを削除します。

    $ oc delete route hawkular-metrics -n openshift-infra

    ルートが削除された状態で、新規ルートで re-encrypt ストラテジーと共に使用される証明書は、既存のワイルドカードおよびメトリクスデプロイヤーで作成される自己署名型の証明書でアセンブルされる必要があります。以下の証明書が利用可能でなければなりません。

    • ワイルドカード CA 証明書
    • ワイルドカードプライベートキー
    • ワイルドカード証明書
    • Hawkular CA 証明書

      各証明書は、新規ルート用にファイルシステムのファイルとして利用可能である必要があります。

      以下のコマンドを実行して Hawkular CA を取得し、これをファイルに保存できます。

      $ oc get secrets hawkular-metrics-certs \
          -n openshift-infra \
          -o jsonpath='{.data.ca\.crt}' | base64 \
          -d > hawkular-internal-ca.crt
  2. ワイルドカードのプライベートキー、証明書、および CA 証明書を見つけます。それぞれを wildcard.keywildcard.crt、および wildcard.ca などの別々のファイルに配置します。
  3. 新規 re-encrypt ルートを作成します。

    $ oc create route reencrypt hawkular-metrics-reencrypt \
        -n openshift-infra \
        --hostname hawkular-metrics.ocp.example.com \
        --key wildcard.key \
        --cert wildcard.crt \
        --ca-cert wildcard.ca \
        --service hawkular-metrics \
        --dest-ca-cert hawkular-internal-ca.crt
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