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Operator

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OpenShift Container Platform 4.10

OpenShift Container Platform での Operator の使用

Red Hat OpenShift Documentation Team

概要

本書では、OpenShift Container Platform での Operator の使用方法について説明します。これには、クラスター管理者向けの Operator のインストールおよび管理方法についての説明や、開発者向けのインストールされた Operator からアプリケーションを作成する方法についての情報が含まれます。また、Operator SDK を使用して独自の Operator をビルドする方法についてのガイダンスも含まれます。

第1章 Operator の概要

Operator は OpenShift Container Platform の最も重要なコンポーネントです。Operator はコントロールプレーンでサービスをパッケージ化し、デプロイし、管理するための優先される方法です。Operator の使用は、ユーザーが実行するアプリケーションにも各種の利点があります。

Operator は kubectl や oc コマンドなどの Kubernetes API および CLI ツールと統合します。Operator はアプリケーションの監視、ヘルスチェックの実行、OTA (over-the-air) 更新の管理を実行し、アプリケーションが指定した状態にあることを確認するための手段となります。

どちらも同様の Operator の概念と目標に従いますが、OpenShift Container Platform の Operator は、目的に応じて 2 つの異なるシステムによって管理されます。

  • Cluster Version Operator (CVO) によって管理されるクラスター Operator は、クラスター機能を実行するためにデフォルトでインストールされます。
  • Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理されるオプションのアドオン Operator は、ユーザーがアプリケーションで実行できるようにアクセスできるようにすることができます。

Operator を使用すると、クラスター内で実行中のサービスを監視するアプリケーションを作成できます。Operator は、アプリケーション専用に設計されています。Operator は、インストールや設定などの一般的な Day 1 の操作と、自動スケーリングやバックアップの作成などの Day 2 の操作を実装および自動化します。これらのアクティビティーはすべて、クラスター内で実行されているソフトウェアの一部です。

1.1. 開発者の場合

開発者は、次の Operator タスクを実行できます。

1.2. 管理者の場合

クラスター管理者は、次の Operator タスクを実行できます。

Red Hat が提供するクラスター Operator の詳細は、クラスター Operator リファレンス を参照してください。

1.3. 次のステップ

Operator の詳細はOperator とはを参照してください。

第2章 Operator について

2.1. Operator について

概念的に言うと、Operator は人間の運用上のナレッジを使用し、これをコンシューマーと簡単に共有できるソフトウェアにエンコードします。

Operator は、ソフトウェアの他の部分を実行する運用上の複雑さを軽減するソフトウェアの特定の部分で設定されます。Operator はソフトウェアベンダーのエンジニアリングチームの拡張機能のように動作し、(OpenShift Container Platform などの) Kubernetes 環境を監視し、その最新状態に基づいてリアルタイムの意思決定を行います。高度な Operator はアップグレードをシームレスに実行し、障害に自動的に対応するように設計されており、時間の節約のためにソフトウェアのバックアッププロセスを省略するなどのショートカットを実行することはありません。

技術的に言うと、Operator は Kubernetes アプリケーションをパッケージ化し、デプロイし、管理する方法です。

Kubernetes アプリケーションは、Kubernetes にデプロイされ、Kubernetes API および kubectl または oc ツールを使用して管理されるアプリケーションです。Kubernetes を最大限に活用するには、Kubernetes 上で実行されるアプリケーションを提供し、管理するために拡張できるように一連の総合的な API が必要です。Operator は、Kubernetes 上でこのタイプのアプリケーションを管理するランタイムと見なすことができます。

2.1.1. Operator を使用する理由

Operator は以下を提供します。

  • インストールおよびアップグレードの反復性。
  • すべてのシステムコンポーネントの継続的なヘルスチェック。
  • OpenShift コンポーネントおよび ISV コンテンツの OTA (Over-the-air) 更新。
  • フィールドエンジニアからの知識をカプセル化し、1 または 2 ユーザーだけでなく、すべてのユーザーに展開する場所。
Kubernetes にデプロイする理由
Kubernetes (延長線上で考えると OpenShift Container Platform も含まれる) には、シークレットの処理、負荷分散、サービスの検出、自動スケーリングなどの、オンプレミスおよびクラウドプロバイダーで機能する、複雑な分散システムをビルドするために必要なすべてのプリミティブが含まれます。
アプリケーションを Kubernetes API および kubectl ツールで管理する理由
これらの API は機能的に充実しており、すべてのプラットフォームのクライアントを持ち、クラスターのアクセス制御/監査機能にプラグインします。Operator は Kubernetes の拡張メカニズム、カスタムリソース定義 (CRD、Custom Resource Definition ) を使用するので、 MongoDB などの カスタムオブジェクトは、ビルトインされたネイティブ Kubernetes オブジェクトのように表示され、機能します。
Operator とサービスブローカーとの比較
サービスブローカーは、アプリケーションのプログラムによる検出およびデプロイメントを行うための 1 つの手段です。ただし、これは長期的に実行されるプロセスではないため、アップグレード、フェイルオーバー、またはスケーリングなどの Day 2 オペレーションを実行できません。カスタマイズおよびチューニング可能なパラメーターはインストール時に提供されるのに対し、Operator はクラスターの最新の状態を常に監視します。クラスター外のサービスを使用する場合は、Operator もこれらのクラスター外のサービスに使用できますが、これらをサービスブローカーで使用できます。

2.1.2. Operator Framework

Operator Framework は、上記のカスタマーエクスペリエンスに関連して提供されるツールおよび機能のファミリーです。これは、コードを作成するためだけにあるのではなく、Operator のテスト、実行、および更新などの重要な機能を実行します。Operator Framework コンポーネントは、これらの課題に対応するためのオープンソースツールで設定されています。

Operator SDK
Operator SDK は Kubernetes API の複雑性を把握していなくても、それぞれの専門知識に基づいて独自の Operator のブートストラップ、ビルド、テストおよびパッケージ化を実行できるよう Operator の作成者を支援します。
Operator Lifecycle Manager
Operator Lifecycle Manager (OLM) は、クラスター内の Operator のインストール、アップグレード、ロールベースのアクセス制御 (RBAC) を制御します。OpenShift Container Platform 4.10 ではデフォルトでデプロイされます。
Operator レジストリー
Operator レジストリーは、クラスターで作成するためのクラスターサービスバージョン (Cluster Service Version、CSV) およびカスタムリソース定義 (CRD) を保存し、パッケージおよびチャネルについての Operator メタデータを保存します。これは Kubernetes または OpenShift クラスターで実行され、この Operator カタログデータを OLM に指定します。
OperatorHub
OperatorHub は、クラスター管理者がクラスター上にインストールする Operator を検出し、選択するための Web コンソールです。OpenShift Container Platform ではデフォルトでデプロイされます。

これらのツールは組み立て可能なツールとして設計されているため、役に立つと思われるツールを使用できます。

2.1.3. Operator 成熟度モデル

Operator 内にカプセル化されている管理ロジックの複雑さのレベルはさまざまです。また、このロジックは通常 Operator によって表されるサービスのタイプによって大きく変わります。

ただし、大半の Operator に含まれる特定の機能セットについては、Operator のカプセル化された操作の成熟度の規模を一般化することができます。このため、以下の Operator 成熟度モデルは、 Operator の一般的な Day 2 オペレーションについての 5 つのフェーズの成熟度を定義しています。

図2.1 Operator 成熟度モデル

Operator 成熟度モデル

上記のモデルでは、これらの機能を Operator SDK の Helm、Go、および Ansible 機能で最適に開発する方法も示します。

2.2. Operator Framework パッケージ形式

以下で、OpenShift Container Platform の Operator Lifecycle Manager (OLM) によってサポートされる Operator のパッケージ形式について説明します。

注記

Operator のレガシー パッケージマニフェスト形式 のサポートは、OpenShift Container Platform 4.8 以降で削除されます。パッケージマニフェスト形式の既存 Operator プロジェクトは、Operator SDK の pkgman-to-bundle コマンドを使用してバンドル形式に移行できます。詳細は、パッケージマニフェストプロジェクトのバンドル形式への移行 を参照してください。

2.2.1. Bundle Format

Operator の Bundle Format は、Operator Framework によって導入されるパッケージ形式です。スケーラビリティーを向上させ、アップストリームユーザーがより効果的に独自のカタログをホストできるようにするために、Bundle Format 仕様は Operator メタデータのディストリビューションを単純化します。

Operator バンドルは、Operator の単一バージョンを表します。ディスク上の バンドルマニフェスト は、Kubernetes マニフェストおよび Operator メタデータを保存する実行不可能なコンテナーイメージである バンドルイメージ としてコンテナー化され、提供されます。次に、バンドルイメージの保存および配布は、podmandocker、および Quay などのコンテナーレジストリーを使用して管理されます。

Operator メタデータには以下を含めることができます。

  • Operator を識別する情報 (名前およびバージョンなど)。
  • UI を駆動する追加情報 (アイコンや一部のカスタムリソース (CR) など)。
  • 必須および提供される API。
  • 関連するイメージ。

マニフェストを Operator レジストリーデータベースに読み込む際に、以下の要件が検証されます。

  • バンドルには、アノテーションで定義された 1 つ以上のチャネルが含まれる必要がある。
  • すべてのバンドルには、1 つのクラスターサービスバージョン (CSV) がある。
  • CSV がクラスターリソース定義 (CRD) を所有する場合、その CRD はバンドルに存在する必要がある。
2.2.1.1. マニフェスト

バンドルマニフェストは、Operator のデプロイメントおよび RBAC モデルを定義する Kubernetes マニフェストのセットを指します。

バンドルにはディレクトリーごとに 1 つの CSV が含まれ、通常は manifest/ ディレクトリーの CSV の所有される API を定義する CRD が含まれます。

Bundle Format のレイアウトの例

etcd
├── manifests
│   ├── etcdcluster.crd.yaml
│   └── etcdoperator.clusterserviceversion.yaml
│   └── secret.yaml
│   └── configmap.yaml
└── metadata
    └── annotations.yaml
    └── dependencies.yaml

その他のサポート対象のオブジェクト

以下のオブジェクトタイプは、バンドルの /manifests ディレクトリーにオプションとして追加することもできます。

サポート対象のオプションオブジェクトタイプ

  • ClusterRole
  • clusterRoleBinding
  • ConfigMap
  • ConsoleCLIDownload
  • ConsoleLink
  • ConsoleQuickStart
  • ConsoleYamlSample
  • PodDisruptionBudget
  • PriorityClass
  • PrometheusRule
  • Role
  • RoleBinding
  • Secret
  • Service
  • ServiceAccount
  • ServiceMonitor
  • VerticalPodAutoscaler

これらのオプションオブジェクトがバンドルに含まれる場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) はバンドルからこれらを作成し、CSV と共にそれらのライフサイクルを管理できます。

オプションオブジェクトのライフサイクル

  • CSV が削除されると、OLM はオプションオブジェクトを削除します。
  • CSV がアップグレードされると、以下を実行します。

    • オプションオブジェクトの名前が同じである場合、OLM はこれを更新します。
    • オプションオブジェクトの名前がバージョン間で変更された場合、OLM はこれを削除し、再作成します。
2.2.1.2. アノテーション

バンドルには、その metadata/ ディレクトリーに annotations.yaml ファイルも含まれます。このファイルは、バンドルをバンドルのインデックスに追加する方法についての形式およびパッケージ情報の記述に役立つ高レベルの集計データを定義します。

annotations.yaml の例

annotations:
  operators.operatorframework.io.bundle.mediatype.v1: "registry+v1" 1
  operators.operatorframework.io.bundle.manifests.v1: "manifests/" 2
  operators.operatorframework.io.bundle.metadata.v1: "metadata/" 3
  operators.operatorframework.io.bundle.package.v1: "test-operator" 4
  operators.operatorframework.io.bundle.channels.v1: "beta,stable" 5
  operators.operatorframework.io.bundle.channel.default.v1: "stable" 6

1
Operator バンドルのメディアタイプまたは形式。registry+v1 形式の場合、これに CSV および関連付けられた Kubernetes オブジェクトが含まれることを意味します。
2
Operator マニフェストが含まれるディレクトリーへのイメージのパス。このラベルは今後使用するために予約され、現時点ではデフォの manifests/ に設定されています。manifests.v1 の値は、バンドルに Operator マニフェストが含まれることを示します。
3
バンドルについてのメタデータファイルが含まれるディレクトリーへのイメージのパス。このラベルは今後使用するために予約され、現時点ではデフォの metadata/ に設定されています。metadata.v1 の値は、このバンドルに Operator メタデータがあることを意味します。
4
バンドルのパッケージ名。
5
Operator レジストリーに追加される際にバンドルがサブスクライブするチャネルの一覧。
6
レジストリーからインストールされる場合に Operator がサブスクライブされるデフォルトチャネル。
注記

一致しない場合、annotations.yaml ファイルは、これらのアノテーションに依存するクラスター上の Operator レジストリーのみがこのファイルにアクセスできるために権威を持つファイルになります。

2.2.1.3. Dependencies

Operator の依存関係は、バンドルの metadata/ フォルダー内の dependencies.yaml ファイルに一覧表示されます。このファイルはオプションであり、現時点では明示的な Operator バージョンの依存関係を指定するためにのみ使用されます。

依存関係の一覧には、依存関係の内容を指定するために各項目の type フィールドが含まれます。次のタイプの Operator 依存関係がサポートされています。

olm.package
このタイプは、特定の Operator バージョンの依存関係であることを意味します。依存関係情報には、パッケージ名とパッケージのバージョンを semver 形式で含める必要があります。たとえば、0.5.2 などの特定バージョンや >0.5.1 などのバージョンの範囲を指定することができます。
olm.gvk
このタイプの場合、作成者は CSV の既存の CRD および API ベースの使用方法と同様に group/version/kind (GVK) 情報で依存関係を指定できます。これは、Operator の作成者がすべての依存関係、API または明示的なバージョンを同じ場所に配置できるようにするパスです。
olm.constraint
このタイプは、任意の Operator プロパティーに対するジェネリック制約を宣言します。

以下の例では、依存関係は Prometheus Operator および etcd CRD について指定されます。

dependencies.yaml ファイルの例

dependencies:
  - type: olm.package
    value:
      packageName: prometheus
      version: ">0.27.0"
  - type: olm.gvk
    value:
      group: etcd.database.coreos.com
      kind: EtcdCluster
      version: v1beta2

2.2.1.4. opm CLI について

opm CLI ツールは、Operator Bundle Format で使用するために Operator Framework によって提供されます。このツールを使用して、ソフトウェアリポジトリーに相当する Operator バンドルの一覧から Operator のカタログを作成し、維持することができます。結果として、コンテナーイメージをコンテナーレジストリーに保存し、その後にクラスターにインストールできます。

カタログには、コンテナーイメージの実行時に提供される組み込まれた API を使用してクエリーできる、Operator マニフェストコンテンツへのポインターのデータベースが含まれます。OpenShift Container Platform では、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、CatalogSource オブジェクトが定義したカタログソース内のイメージ参照できます。これにより、クラスター上にインストールされた Operator への頻度の高い更新を可能にするためにイメージを一定の間隔でポーリングできます。

  • opm CLI のインストール手順については、CLI ツール を参照してください。

2.2.2. ファイルベースのカタログ

ファイルベースのカタログは、Operator Lifecycle Manager(OLM) のカタログ形式の最新の反復になります。この形式は、プレーンテキストベース (JSON または YAML) であり、以前の SQLite データベース形式の宣言的な設定の進化であり、完全な下位互換性があります。この形式の目標は、Operator のカタログ編集、設定可能性、および拡張性を有効にすることです。

注記

OpenShift Container Platform 4.6 以降のデフォルトの Red Hat が提供する Operator カタログは、現時点では引き続き SQLite データベース形式で提供されています。

編集

ファイルベースのカタログを使用すると、カタログの内容を操作するユーザーは、形式を直接変更し、変更が有効であることを確認できます。この形式はプレーンテキストの JSON または YAML であるため、カタログメンテナーは、一般的に知られている、サポート対象の JSON または YAML ツール (例: jq CLI) を使用して、手動でカタログメタデータを簡単に操作できます。

この編集機能により、以下の機能とユーザー定義の拡張が有効になります。

  • 既存のバンドルの新規チャネルへのプロモート
  • パッケージのデフォルトチャネルの変更
  • アップグレードエッジを追加、更新、および削除するためのカスタムアルゴリズム
コンポーザービリティー

ファイルベースのカタログは、任意のディレクトリー階層に保管され、カタログの作成が可能になります。たとえば、2 つのファイルベースのカタログディレクトリー (catalogA および catalogB ) について見てみましょう。カタログメンテナーは、新規のディレクトリー catalogC を作成して catalogAcatalogB をそのディレクトリーにコピーし、新しく結合カタログを作成できます。

このコンポーザービリティーにより、カタログの分散化が可能になります。この形式により、Operator の作成者は Operator 固有のカタログを維持でき、保守担当者は個別の Operator カタログで設定されるカタログを簡単にビルドできます。ファイルベースのカタログは、他の複数のカタログを組み合わせたり、1 つのカタログのサブセットを抽出したり、またはこれらの両方を組み合わせたりすることで作成できます。

注記

パッケージ内でパッケージおよびバンドルを重複できません。opm validate コマンドは、重複が見つかった場合はエラーを返します。

Operator の作成者は Operator、その依存関係およびそのアップグレードの互換性について最も理解しているので、Operator 固有のカタログを独自のカタログに維持し、そのコンテンツを直接制御できます。ファイルベースのカタログの場合に、Operator の作成者はカタログでパッケージをビルドして維持するタスクを所有します。ただし、複合カタログメンテナーは、カタログ内のパッケージのキュレートおよびユーザーにカタログを公開するタスクのみを所有します。

拡張性

ファイルベースのカタログ仕様は、カタログの低レベル表現です。これは低レベルの形式で直接保守できますが、カタログメンテナーは、このレベルの上に任意の拡張をビルドして、独自のカスタムツールを使用して任意数の変更を加えることができます。

たとえば、ツールは (mode=semver) などの高レベルの API を、アップグレードエッジ用に低レベルのファイルベースのカタログ形式に変換できます。または、カタログ保守担当者は、特定の条件を満たすバンドルに新規プロパティーを追加して、すべてのバンドルメタデータをカスタマイズする必要がある場合があります。

このような拡張性を使用すると、今後の OpenShift Container Platform リリース向けに、追加の正式なツールを下層の API 上で開発できますが、主な利点として、カタログメンテナーにもこの機能がある点が挙げられます。

2.2.2.1. ディレクトリー構造

ファイルベースのカタログは、ディレクトリーベースのファイルシステムから保存してロードできます。opm CLI は、root ディレクトリーを元に、サブディレクトリーに再帰してカタログを読み込みます。CLI は、検出されるすべてのファイルの読み込みを試行し、エラーが発生した場合には失敗します。

.gitignore ファイルとパターンと優先順位が同じ .indexignore ファイルを使用して、カタログ以外のファイルを無視できます。

例: .indexignore ファイル

# Ignore everything except non-object .json and .yaml files
**/*
!*.json
!*.yaml
**/objects/*.json
**/objects/*.yaml

カタログメンテナーは、必要なレイアウトを柔軟に選択できますが、各パッケージのファイルベースのカタログ Blob は別々のサブディレクトリーに保管することを推奨します。個々のファイルは JSON または YAML のいずれかをしようしてください。カタログ内のすべてのファイルが同じ形式を使用する必要はありません。

推奨される基本構造

catalog
├── packageA
│   └── index.yaml
├── packageB
│   ├── .indexignore
│   ├── index.yaml
│   └── objects
│       └── packageB.v0.1.0.clusterserviceversion.yaml
└── packageC
    └── index.json

この推奨の構造には、ディレクトリー階層内の各サブディレクトリーは自己完結型のカタログであるという特性があるので、カタログの作成、検出、およびナビゲーションなどのファイルシステムの操作が簡素化されます。このカタログは、親カタログのルートディレクトリーにコピーして親カタログに追加することもできます。

2.2.2.2. スキーマ

ファイルベースのカタログは、任意のスキーマで拡張できる CUE 言語仕様 に基づく形式を使用します。以下の _Meta CUE スキーマは、すべてのファイルベースのカタログ Blob が順守する必要のある形式を定義します。

_Meta スキーマ

_Meta: {
  // schema is required and must be a non-empty string
  schema: string & !=""

  // package is optional, but if it's defined, it must be a non-empty string
  package?: string & !=""

  // properties is optional, but if it's defined, it must be a list of 0 or more properties
  properties?: [... #Property]
}

#Property: {
  // type is required
  type: string & !=""

  // value is required, and it must not be null
  value: !=null
}

注記

この仕様にリストされている CUE スキーマは網羅されていると見なされます。opm validate コマンドには、CUE で簡潔に記述するのが困難または不可能な追加の検証が含まれます。

Operator Lifecycle Manager(OLM) カタログは、現時点で OLM の既存のパッケージおよびバンドルの概念に対応する 3 つのスキーマ (olm.packageolm.channel および olm.bundle) を使用します。

カタログの各 Operator パッケージには、olm.package Blob が 1 つ (少なくとも olm.channel Blob 1 つ、および 1 つ以上の olm.bundle Blob) が必要です。

注記

olm.* スキーマは OLM 定義スキーマ用に予約されています。カスタムスキーマには、所有しているドメインなど、一意の接頭辞を使用する必要があります。

2.2.2.2.1. olm.package スキーマ

olm.package スキーマは Operator のパッケージレベルのメタデータを定義します。これには、名前、説明、デフォルトのチャネル、およびアイコンが含まれます。

例2.1 olm.package スキーマ

#Package: {
  schema: "olm.package"

  // Package name
  name: string & !=""

  // A description of the package
  description?: string

  // The package's default channel
  defaultChannel: string & !=""

  // An optional icon
  icon?: {
    base64data: string
    mediatype:  string
  }
}
2.2.2.2.2. olm.channel スキーマ

olm.channel スキーマは、パッケージ内のチャネル、チャネルのメンバーであるバンドルエントリー、およびそれらのバンドルのアップグレードエッジを定義します。

バンドルは複数の olm.channel Blob のエントリーとして含めることができますが、チャネルごとに設定できるエントリーは 1 つだけです。

このカタログまたは別のカタログで検索できない場合に、エントリーの置換値が別のバンドル名を参照することは有効です。ただし、他のすべてのチャネルの普遍条件に該当する必要があります (チャネルに複数のヘッドがない場合など)。

例2.2 olm.channel スキーマ

#Channel: {
  schema: "olm.channel"
  package: string & !=""
  name: string & !=""
  entries: [...#ChannelEntry]
}

#ChannelEntry: {
  // name is required. It is the name of an `olm.bundle` that
  // is present in the channel.
  name: string & !=""

  // replaces is optional. It is the name of bundle that is replaced
  // by this entry. It does not have to be present in the entry list.
  replaces?: string & !=""

  // skips is optional. It is a list of bundle names that are skipped by
  // this entry. The skipped bundles do not have to be present in the
  // entry list.
  skips?: [...string & !=""]

  // skipRange is optional. It is the semver range of bundle versions
  // that are skipped by this entry.
  skipRange?: string & !=""
}
2.2.2.2.3. olm.bundle スキーマ

例2.3 olm.bundle スキーマ

#Bundle: {
  schema: "olm.bundle"
  package: string & !=""
  name: string & !=""
  image: string & !=""
  properties: [...#Property]
  relatedImages?: [...#RelatedImage]
}

#Property: {
  // type is required
  type: string & !=""

  // value is required, and it must not be null
  value: !=null
}

#RelatedImage: {
  // image is the image reference
  image: string & !=""

  // name is an optional descriptive name for an image that
  // helps identify its purpose in the context of the bundle
  name?: string & !=""
}
2.2.2.3. プロパティー

プロパティーは、ファイルベースのカタログスキーマに追加できる任意のメタデータです。type フィールドは、value フィールドのセマンティックおよび構文上の意味を効果的に指定する文字列です。値には任意の JSON または YAML を使用できます。

OLM は、予約済みの olm.* 接頭辞をもう一度使用して、いくつかのプロパティータイプを定義します。

2.2.2.3.1. olm.package プロパティー

olm.package プロパティーは、パッケージ名とバージョンを定義します。これはバンドルの必須プロパティーであり、これらのプロパティーが 1 つ必要です。packageName フィールドはバンドルのファーストクラス package フィールドと同じでなければならず、version フィールドは有効なセマンティクスバージョンである必要があります。

例2.4 olm.package プロパティー

#PropertyPackage: {
  type: "olm.package"
  value: {
    packageName: string & !=""
    version: string & !=""
  }
}
2.2.2.3.2. olm.gvk プロパティー

olm.gvk プロパティーは、このバンドルで提供される Kubernetes API の group/version/kind(GVK) を定義します。このプロパティーは、OLM が使用して、必須の API と同じ GVK をリストする他のバンドルの依存関係として、このプロパティーでバンドルを解決します。GVK は Kubernetes GVK の検証に準拠する必要があります。

例2.5 olm.gvk プロパティー

#PropertyGVK: {
  type: "olm.gvk"
  value: {
    group: string & !=""
    version: string & !=""
    kind: string & !=""
  }
}
2.2.2.3.3. olm.package.required

olm.package.required プロパティーは、このバンドルが必要な別のパッケージのパッケージ名とバージョン範囲を定義します。バンドルにリストされている必要なパッケージプロパティーごとに、OLM は、リストされているパッケージのクラスターに必要なバージョン範囲で Operator がインストールされていることを確認します。versionRange フィールドは有効なセマンティクスバージョン (semver) の範囲である必要があります。

例2.6 olm.package.required プロパティー

#PropertyPackageRequired: {
  type: "olm.package.required"
  value: {
    packageName: string & !=""
    versionRange: string & !=""
  }
}
2.2.2.3.4. olm.gvk.required

olm.gvk.required プロパティーは、このバンドルが必要とする Kubernetes API の group/version/kind(GVK) を定義します。バンドルにリストされている必要な GVK プロパティーごとに、OLM は、提供する Operator がクラスターにインストールされていることを確認します。GVK は Kubernetes GVK の検証に準拠する必要があります。

例2.7 olm.gvk.required プロパティー

#PropertyGVKRequired: {
  type: "olm.gvk.required"
  value: {
    group: string & !=""
    version: string & !=""
    kind: string & !=""
  }
}
2.2.2.4. カタログの例

ファイルベースのカタログを使用すると、カタログメンテナーは Operator のキュレーションおよび互換性に集中できます。Operator の作成者は Operator 用に Operator 固有のカタログをすでに生成しているので、カタログメンテナーは、各 Operator カタログをカタログのルートディレクトリーのサブディレクトリーにレンダリングしてビルドできます。

ファイルベースのカタログをビルドする方法は多数あります。以下の手順は、単純なアプローチの概要を示しています。

  1. カタログの設定ファイルを 1 つ維持し、カタログ内に Operator ごとにイメージの参照を含めます。

    カタログ設定ファイルのサンプル

    name: community-operators
    repo: quay.io/community-operators/catalog
    tag: latest
    references:
    - name: etcd-operator
      image: quay.io/etcd-operator/index@sha256:5891b5b522d5df086d0ff0b110fbd9d21bb4fc7163af34d08286a2e846f6be03
    - name: prometheus-operator
      image: quay.io/prometheus-operator/index@sha256:e258d248fda94c63753607f7c4494ee0fcbe92f1a76bfdac795c9d84101eb317

  2. 設定ファイルを解析し、その参照から新規カタログを作成するスクリプトを実行します。

    スクリプトの例

    name=$(yq eval '.name' catalog.yaml)
    mkdir "$name"
    yq eval '.name + "/" + .references[].name' catalog.yaml | xargs mkdir
    for l in $(yq e '.name as $catalog | .references[] | .image + "|" + $catalog + "/" + .name + "/index.yaml"' catalog.yaml); do
      image=$(echo $l | cut -d'|' -f1)
      file=$(echo $l | cut -d'|' -f2)
      opm render "$image" > "$file"
    done
    opm alpha generate dockerfile "$name"
    indexImage=$(yq eval '.repo + ":" + .tag' catalog.yaml)
    docker build -t "$indexImage" -f "$name.Dockerfile" .
    docker push "$indexImage"

2.2.2.5. ガイドライン

ファイルベースのカタログを維持する場合には、以下のガイドラインを考慮してください。

2.2.2.5.1. イミュータブルなバンドル

Operator Lifecycle Manager(OLM) に関する一般的なアドバイスとして、バンドルイメージとそのメタデータをイミュータブルとして処理する必要がある点があります。

破損したバンドルがカタログにプッシュされている場合には、少なくとも 1 人のユーザーがそのバンドルにアップグレードしたと想定する必要があります。この仮定に基づいて、破損したバンドルがインストールされたユーザーがアップグレードを受信できるように、破損したバンドルから、アップグレードエッジが含まれる別のバンドルをリリースする必要があります。OLM は、カタログでバンドルの内容が更新された場合に、インストールされたバンドルは再インストールされません。

ただし、カタログメタデータの変更が推奨される場合があります。

  • チャネルプロモーション: バンドルをすでにリリースし、後で別のチャネルに追加することにした場合は、バンドルのエントリーを別の olm.channel Blob に追加できます。
  • 新規アップグレードエッジ:1.2.z バンドルバージョンを新たにリリースしたが (例:1.2.4)、1.3.0 がすでにリリースされている場合は、1.2.4 をスキップするように 1.3.0 のカタログメタデータを更新できます。
2.2.2.5.2. ソース制御

カタログメタデータはソースコントロールに保存され、信頼できる情報源として処理される必要があります。以下の手順で、カタログイメージを更新する必要があります。

  1. ソース制御されたカタログディレクトリーを新規コミットを使用して更新します。
  2. カタログイメージをビルドし、プッシュします。ユーザーがカタログが利用可能になり次第更新を受信できるように、一貫性のあるタグ付け (:latest or :<target_cluster_version>) を使用します。
2.2.2.6. CLI の使用

opm CLI を使用してファイルベースのカタログを作成する方法は、カスタムカタログの管理 を参照してください。

ファイルベースのカタログの管理に関連する opm CLI コマンドについての参考情報は、CLI ツール を参照してください。

2.2.2.7. 自動化

Operator の作成者およびカタログメンテナーは、CI/CD ワークフローを使用してカタログのメンテナンスを自動化することが推奨されます。カタログメンテナーは、GitOps 自動化をビルドして以下のタスクを実行し、これをさらに向上させることができます。

  • パッケージのイメージ参照の更新など、プル要求 (PR) の作成者が要求された変更を実行できることを確認します。
  • カタログの更新で opm validate コマンドが指定されていることを確認します。
  • 更新されたバンドルまたはカタログイメージの参照が存在し、カタログイメージがクラスターで正常に実行され、そのパッケージの Operator が正常にインストールされることを確認します。
  • 以前のチェックに合格した bmcs を自動的にマージします。
  • カタログイメージを自動的にもう一度ビルドして公開します。

2.3. Operator Framework の一般的な用語の用語集

このトピックでは、パッケージ形式についての Operator Lifecycle Manager (OLM) および Operator SDK を含む、Operator Framework に関連する一般的な用語の用語集を提供します。

2.3.1. Common Operator Framework の一般的な用語

2.3.1.1. バンドル

Bundle Format では、バンドル は Operator CSV、マニフェスト、およびメタデータのコレクションです。さらに、それらはクラスターにインストールできる一意のバージョンの Operator を形成します。

2.3.1.2. バンドルイメージ

Bundle Format では、バンドルイメージ は Operator マニフェストからビルドされ、1 つのバンドルが含まれるコンテナーイメージです。バンドルイメージは、Quay.io または DockerHub などの Open Container Initiative (OCI) 仕様コンテナーレジストリーによって保存され、配布されます。

2.3.1.3. カタログソース

カタログソース は、CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリーです。

2.3.1.4. チャネル

チャネル は Operator の更新ストリームを定義し、サブスクライバーの更新をロールアウトするために使用されます。ヘッドはそのチャネルの最新バージョンを参照します。たとえば stable チャネルには、Operator のすべての安定したバージョンが最も古いものから最新のものへと編成されます。

Operator には複数のチャネルを含めることができ、特定のチャネルへのサブスクリプションのバインドはそのチャネル内の更新のみを検索します。

2.3.1.5. チャネルヘッド

チャネルヘッド は、特定のチャネル内の最新の既知の更新を指します。

2.3.1.6. クラスターサービスバージョン

クラスターサービスバージョン (CSV) は、クラスターでの Operator の実行に使用される Operator メタデータから作成される YAML マニフェストです。これは、ユーザーインターフェイスにロゴ、説明、およびバージョンなどの情報を設定するために使用される Operator コンテナーイメージに伴うメタデータです。

CSV は、Operator が必要とする RBAC ルールやそれが管理したり、依存したりするカスタムリソース (CR) などの Operator の実行に必要な技術情報の情報源でもあります。

2.3.1.7. 依存関係

Operator はクラスターに存在する別の Operator への 依存関係 を持つ場合があります。たとえば、Vault Operator にはそのデータ永続層について etcd Operator への依存関係があります。

OLM は、インストールフェーズで指定されたすべてのバージョンの Operator および CRD がクラスターにインストールされていることを確認して依存関係を解決します。この依存関係は、必要な CRD API を満たすカタログの Operator を検索し、インストールすることで解決され、パッケージまたはバンドルには関連しません。

2.3.1.8. インデックスイメージ

Bundle Format で、インデックスイメージ は、すべてのバージョンの CSV および CRD を含む Operator バンドルについての情報が含まれるデータベースのイメージ (データベーススナップショット) を指します。このインデックスは、クラスターで Operator の履歴をホストでき、opm CLI ツールを使用して Operator を追加または削除することで維持されます。

2.3.1.9. インストール計画

インストール計画 は、CSV を自動的にインストールするか、アップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧です。

2.3.1.10. Operator グループ

Operator グループ は、 OperatorGroup オブジェクトと同じ namespace にデプロイされたすべての Operator を、namespace の一覧またはクラスター全体でそれらの CR を監視できるように設定します。

2.3.1.11. Package

Bundle Format で、パッケージ は Operator のリリースされたすべての履歴をそれぞれのバージョンで囲むディレクトリーです。Operator のリリースされたバージョンは、CRD と共に CSV マニフェストに記述されます。

2.3.1.12. レジストリー

レジストリー は、Operator のバンドルイメージを保存するデータベースで、それぞれにすべてのチャネルの最新バージョンおよび過去のバージョンすべてが含まれます。

2.3.1.13. サブスクリプション

サブスクリプション は、パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保ちます。

2.3.1.14. 更新グラフ

更新グラフ は、他のパッケージ化されたソフトウェアの更新グラフと同様に、CSV の複数のバージョンを 1 つにまとめます。Operator を順番にインストールすることも、特定のバージョンを省略することもできます。更新グラフは、新しいバージョンが追加されている状態でヘッドでのみ拡張することが予想されます。

2.4. Operator Lifecycle Manager (OLM)

2.4.1. Operator Lifecycle Manager の概念およびリソース

以下で、OpenShift Container Platform での Operator Lifecycle Manager (OLM) に関連する概念について説明します。

2.4.1.1. Operator Lifecycle Manager について

Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用することにより、ユーザーは Kubernetes ネイティブアプリケーション (Operator) および OpenShift Container Platform クラスター全体で実行される関連サービスについてインストール、更新、およびそのライフサイクルの管理を実行できます。これは、Operator を効果的かつ自動化された拡張可能な方法で管理するために設計されたオープンソースツールキットの Operator Framework の一部です。

図2.2 Operator Lifecycle Manager ワークフロー

olm workflow

OLM は OpenShift Container Platform 4.10 でデフォルトで実行されます。これは、クラスター管理者がクラスターで実行されている Operator をインストールし、アップグレードし、アクセスをこれに付与するのに役立ちます。OpenShift Container Platform Web コンソールでは、クラスター管理者が Operator をインストールし、特定のプロジェクトアクセスを付与して、クラスターで利用可能な Operator のカタログを使用するための管理画面を利用できます。

開発者の場合は、セルフサービスを使用することで、専門的な知識がなくてもデータベースのインスタンスのプロビジョニングや設定、またモニタリング、ビッグデータサービスなどを実行できます。 Operator にそれらに関するナレッジが織り込まれているためです。

2.4.1.2. OLM リソース

以下のカスタムリソース定義 (CRD) は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって定義され、管理されます。

表2.1 OLM およびカタログ Operator で管理される CRD
リソース短縮名説明

ClusterServiceVersion (CSV)

csv

アプリケーションメタデータ:例: 名前、バージョン、アイコン、必須リソース。

CatalogSource

catsrc

CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリー。

サブスクリプション

sub

パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保ちます。

InstallPlan

ip

CSV を自動的にインストールするか、アップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧。

OperatorGroup

og

OperatorGroup オブジェクトと同じ namespace にデプロイされたすべての Operator を、namespace の一覧またはクラスター全体でカスタムリソース (CR) を監視できるように設定します。

OperatorConditions

-

OLM とそれが管理する Operator との間で通信チャネルを作成します。Operator は Status.Conditions 配列に書き込みを行い、複雑な状態を OLM と通信できます。

2.4.1.2.1. クラスターサービスバージョン

クラスターサービスバージョン (CSV) は、OpenShift Container Platform クラスター上で実行中の Operator の特定バージョンを表します。これは、クラスターでの Operator Lifecycle Manager (OLM) の Operator の実行に使用される Operator メタデータから作成される YAML マニフェストです。

OLM は Operator についてのこのメタデータを要求し、これがクラスターで安全に実行できるようにし、Operator の新規バージョンが公開される際に更新を適用する方法についての情報を提供します。これは従来のオペレーティングシステムのソフトウェアのパッケージに似ています。OLM のパッケージ手順を、rpmdep、または apk バンドルを作成するステージとして捉えることができます。

CSV には、ユーザーインターフェイスに名前、バージョン、説明、ラベル、リポジトリーリンクおよびロゴなどの情報を設定するために使用される Operator コンテナーイメージに伴うメタデータが含まれます。

CSV は、Operator が管理したり、依存したりするカスタムリソース (CR)、RBAC ルール、クラスター要件、およびインストールストラテジーなどの Operator の実行に必要な技術情報の情報源でもあります。この情報は OLM に対して必要なリソースの作成方法と、Operator をデプロイメントとしてセットアップする方法を指示します。

2.4.1.2.2. カタログソース

カタログソース は、通常コンテナーレジストリーに保存されている インデックスイメージ を参照してメタデータのストアを表します。Operator Lifecycle Manager(OLM) はカタログソースをクエリーし、Operator およびそれらの依存関係を検出してインストールします。OpenShift Container Platform Web コンソールの OperatorHub は、カタログソースで提供される Operator も表示します。

ヒント

クラスター管理者は、Web コンソールの AdministrationCluster SettingsConfigurationOperatorHub ページを使用して、クラスターで有効なログソースにより提供される Operator の詳細一覧を表示できます。

CatalogSource オブジェクトの spec は、Pod の構築方法、または Operator レジストリー gRPC API を提供するサービスとの通信方法を示します。

例2.8 CatalogSource オブジェクトの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: CatalogSource
metadata:
  generation: 1
  name: example-catalog 1
  namespace: openshift-marketplace 2
  annotations:
    olm.catalogImageTemplate: 3
      "quay.io/example-org/example-catalog:v{kube_major_version}.{kube_minor_version}.{kube_patch_version}"
spec:
  displayName: Example Catalog 4
  image: quay.io/example-org/example-catalog:v1 5
  priority: -400 6
  publisher: Example Org
  sourceType: grpc 7
  grpcPodConfig:
    nodeSelector: 8
      custom_label: <label>
    priorityClassName: system-cluster-critical 9
    tolerations: 10
      - key: "key1"
        operator: "Equal"
        value: "value1"
        effect: "NoSchedule"
  updateStrategy:
    registryPoll: 11
      interval: 30m0s
status:
  connectionState:
    address: example-catalog.openshift-marketplace.svc:50051
    lastConnect: 2021-08-26T18:14:31Z
    lastObservedState: READY 12
  latestImageRegistryPoll: 2021-08-26T18:46:25Z 13
  registryService: 14
    createdAt: 2021-08-26T16:16:37Z
    port: 50051
    protocol: grpc
    serviceName: example-catalog
    serviceNamespace: openshift-marketplace
1
CatalogSource オブジェクトの名前。この値は、要求された namespace で作成される、関連の Pod 名の一部としても使用されます。
2
カタログを作成する namespace。カタログを全 namespace のクラスター全体で利用可能にするには、この値を openshift-marketplace に設定します。Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースも openshift-marketplace namespace を使用します。それ以外の場合は、値を特定の namespace に設定し、Operator をその namespace でのみ利用可能にします。
3
任意: クラスターのアップグレードにより、Operator のインストールがサポートされていない状態になったり、更新パスが継続されなかったりする可能性を回避するために、クラスターのアップグレードの一環として、Operator カタログのインデックスイメージのバージョンを自動的に変更するように有効化することができます。

olm.catalogImageTemplate アノテーションをインデックスイメージ名に設定し、イメージタグのテンプレートを作成する際に、1 つ以上の Kubernetes クラスターバージョン変数を使用します。アノテーションは、実行時に spec.image フィールドを上書きします。詳細は、カスタムカタログソースのイメージテンプレートのセクションを参照してください。

4
Web コンソールおよび CLI でのカタログの表示名。
5
カタログのインデックスイメージ。オプションで、olm.catalogImageTemplate アノテーションを使用して実行時のプル仕様を設定する場合には、省略できます。
6
カタログソースの重み。OLM は重みを使用して依存関係の解決時に優先順位付けします。重みが大きい場合は、カタログが重みの小さいカタログよりも優先されることを示します。
7
ソースタイプには以下が含まれます。
  • image 参照のある grpc: OLM はイメージをポーリングし、Pod を実行します。これにより、準拠 API が提供されることが予想されます。
  • address フィールドのある grpc: OLM は所定アドレスでの gRPC API へのアクセスを試行します。これはほとんどの場合使用することができません。
  • ConfigMap: OLM は設定マップデータを解析し、gRPC API を提供できる Pod を実行します。
8
オプション: grpc タイプのカタログソースの場合は、spec.image でコンテンツを提供する Pod のデフォルトのノードセレクターをオーバーライドします (定義されている場合)。
9
オプション: grpc タイプのカタログソースの場合は、spec.image でコンテンツを提供する Pod のデフォルトの優先度クラス名をオーバーライドします (定義されている場合)。Kubernetes は、デフォルトで優先度クラス system-cluster-critical および system-node-critical を提供します。フィールドを空 ("") に設定すると、Pod にデフォルトの優先度が割り当てられます。他の優先度クラスは、手動で定義できます。
10
オプション: grpc タイプのカタログソースの場合は、spec.image でコンテンツを提供する Pod のデフォルトの Toleration をオーバーライドします (定義されている場合)。
11
最新の状態を維持するために、特定の間隔で新しいバージョンの有無を自動的にチェックします。
12
カタログ接続が最後に監視された状態。以下に例を示します。
  • READY: 接続が正常に確立されました。
  • CONNECTING: 接続が確立中です。
  • TRANSIENT_FAILURE: タイムアウトなど、接続の確立時一時的な問題が発生しました。状態は最終的に CONNECTING に戻り、再試行されます。

詳細は、gRPC ドキュメントの 接続の状態 を参照してください。

13
カタログイメージを保存するコンテナーレジストリーがポーリングされ、イメージが最新の状態であることを確認します。
14
カタログの Operator レジストリーサービスのステータス情報。

サブスクリプションの CatalogSource オブジェクトの name を参照すると、要求された Operator を検索する場所を、OLM に指示します。

例2.9 カタログソースを参照する Subscription オブジェクトの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
  name: example-operator
  namespace: example-namespace
spec:
  channel: stable
  name: example-operator
  source: example-catalog
  sourceNamespace: openshift-marketplace
2.4.1.2.2.1. カスタムカタログソースのイメージテンプレート

基礎となるクラスターとの Operator との互換性は、さまざまな方法でカタログソースにより表現できます。デフォルトの Red Hat が提供するカタログソースに使用される 1 つの方法として、特定のプラットフォームリリース専用に作成されたインデックスイメージのイメージタグを特定します (例:OpenShift Container Platform 4.10)。

クラスターのアップグレード時に、Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースのインデックスイメージのタグは、Operator Lifecycle Manager (OLM) が最新版のカタログをプルするように、Cluster Version Operator (CVO) により自動更新されます。たとえば、OpenShift Container Platform 4.9 から 4.10 にアップグレードする場合には、redhat-operators カタログの CatalogSource オブジェクトの spec.image フィールドは、以下から更新されます。

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.9

次のように変更します。

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.10

ただし、CVO ではカスタムカタログのイメージタグは自動更新されません。クラスターのアップグレード後、ユーザーが互換性があり、サポート対象の Operator のインストールを確実に行えるようにするには、カスタムカタログも更新して、更新されたインデックスイメージを参照する必要があります。

OpenShift Container Platform 4.9 以降、クラスター管理者はカスタムカタログの CatalogSource オブジェクトの olm.catalogImageTemplate アノテーションを、テンプレートなどのイメージ参照に追加できます。以下の Kubernetes バージョン変数は、テンプレートで使用できるようにサポートされています。

  • kube_major_version
  • kube_minor_version
  • kube_patch_version
注記

OpenShift Container Platform クラスターのバージョンはテンプレートに現在しようできないので、このクラスターではなく、Kubernetes クラスターのバージョンを指定する必要があります。

更新された Kubernetes バージョンを指定するタグでインデックスイメージを作成してプッシュしている場合に、このアノテーションを設定すると、カスタムカタログのインデックスイメージのバージョンがクラスターのアップグレード後に自動的に変更されます。アノテーションの値は、CatalogSource オブジェクトの spec.image フィールドでイメージ参照を設定したり、更新したりするために使用されます。こうすることで、サポートなしの状態や、継続する更新パスなしの状態で Operator がインストールされないようにします。

重要

格納されているレジストリーがどれであっても、クラスターのアップグレード時に、クラスターが、更新されたタグを含むインデックスイメージにアクセスできるようにする必要があります。

例2.10 イメージテンプレートを含むカタログソースの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: CatalogSource
metadata:
  generation: 1
  name: example-catalog
  namespace: openshift-marketplace
  annotations:
    olm.catalogImageTemplate:
      "quay.io/example-org/example-catalog:v{kube_major_version}.{kube_minor_version}"
spec:
  displayName: Example Catalog
  image: quay.io/example-org/example-catalog:v1.23
  priority: -400
  publisher: Example Org
注記

spec.image フィールドおよび olm.catalogImageTemplate アノテーションの両方が設定されている場合には、spec.image フィールドはアノテーションから解決された値で上書きされます。アノテーションが使用可能なプル仕様に対して解決されない場合は、カタログソースは spec.image 値にフォールバックします。

spec.image フィールドが設定されていない場合に、アノテーションが使用可能なプル仕様に対して解決されない場合は、OLM はカタログソースの調整を停止し、人間が判読できるエラー条件に設定します。

Kubernetes 1.23 を使用する OpenShift Container Platform 4.9 クラスターの場合には、前述の例の olm.catalogImageTemplate アノテーションは以下のイメージ参照に対して解決されます。

quay.io/example-org/example-catalog:v1.23

OpenShift Container Platform の今後のリリースでは、より新しい OpenShift Container Platform バージョンが使用する、より新しい Kubernetes バージョンを対象とした、カスタムカタログの更新済みインデックスイメージを作成できます。アップグレード前に olm.catalogImageTemplate アノテーションを設定してから、クラスターを新しい OpenShift Container Platform バージョンにアップグレードすると、カタログのインデックスイメージも自動的に更新されます。

2.4.1.2.3. サブスクリプション

サブスクリプション は、Subscription オブジェクトによって定義され、Operator をインストールする意図を表します。これは、Operator をカタログソースに関連付けるカスタムリソースです。

サブスクリプションは、サブスクライブする Operator パッケージのチャネルや、更新を自動または手動で実行するかどうかを記述します。サブスクリプションが自動に設定された場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) が Operator を管理し、アップグレードして、最新バージョンがクラスター内で常に実行されるようにします。

Subscription オブジェクトの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: Subscription
metadata:
  name: example-operator
  namespace: example-namespace
spec:
  channel: stable
  name: example-operator
  source: example-catalog
  sourceNamespace: openshift-marketplace

この Subscription オブジェクトは、Operator の名前および namespace および Operator データのあるカタログを定義します。alphabeta、または stable などのチャネルは、カタログソースからインストールする必要のある Operator ストリームを判別するのに役立ちます。

サブスクリプションのチャネルの名前は Operator 間で異なる可能性がありますが、命名スキームは指定された Operator 内の一般的な規則に従う必要があります。たとえば、チャネル名は Operator によって提供されるアプリケーションのマイナーリリース更新ストリーム (1.21.3) またはリリース頻度 (stablefast) に基づく可能性があります。

OpenShift Container Platform Web コンソールから簡単に表示されるだけでなく、関連するサブスクリプションのステータスを確認して、Operator の新規バージョンが利用可能になるタイミングを特定できます。currentCSV フィールドに関連付けられる値は OLM に認識される最新のバージョンであり、installedCSV はクラスターにインストールされるバージョンです。

2.4.1.2.4. インストール計画

InstallPlan オブジェクトによって定義される インストール計画 は、Operator Lifecycle Manager(OLM) が特定バージョンの Operator をインストールまたはアップグレードするために作成するリソースのセットを記述します。バージョンはクラスターサービスバージョン (CSV) で定義されます。

Operator、クラスター管理者、または Operator インストールパーミッションが付与されているユーザーをインストールするには、まず Subscription オブジェクトを作成する必要があります。サブスクリプションでは、カタログソースから利用可能なバージョンの Operator のストリームにサブスクライブする意図を表します。次に、サブスクリプションは InstallPlan オブジェクトを作成し、Operator のリソースのインストールを容易にします。

その後、インストール計画は、以下の承認ストラテジーのいずれかをもとに承認される必要があります。

  • サブスクリプションの spec.installPlanApproval フィールドが Automatic に設定されている場合には、インストール計画は自動的に承認されます。
  • サブスクリプションの spec.installPlanApproval フィールドが Manual に設定されている場合には、インストール計画はクラスター管理者または適切なパーミッションが割り当てられたユーザーによって手動で承認する必要があります。

インストール計画が承認されると、OLM は指定されたリソースを作成し、サブスクリプションで指定された namespace に Operator をインストールします。

例2.11 InstallPlan オブジェクトの例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: InstallPlan
metadata:
  name: install-abcde
  namespace: operators
spec:
  approval: Automatic
  approved: true
  clusterServiceVersionNames:
    - my-operator.v1.0.1
  generation: 1
status:
  ...
  catalogSources: []
  conditions:
    - lastTransitionTime: '2021-01-01T20:17:27Z'
      lastUpdateTime: '2021-01-01T20:17:27Z'
      status: 'True'
      type: Installed
  phase: Complete
  plan:
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: operators.coreos.com
        kind: ClusterServiceVersion
        manifest: >-
        ...
        name: my-operator.v1.0.1
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1alpha1
      status: Created
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: apiextensions.k8s.io
        kind: CustomResourceDefinition
        manifest: >-
        ...
        name: webservers.web.servers.org
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1beta1
      status: Created
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: ''
        kind: ServiceAccount
        manifest: >-
        ...
        name: my-operator
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1
      status: Created
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: rbac.authorization.k8s.io
        kind: Role
        manifest: >-
        ...
        name: my-operator.v1.0.1-my-operator-6d7cbc6f57
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1
      status: Created
    - resolving: my-operator.v1.0.1
      resource:
        group: rbac.authorization.k8s.io
        kind: RoleBinding
        manifest: >-
        ...
        name: my-operator.v1.0.1-my-operator-6d7cbc6f57
        sourceName: redhat-operators
        sourceNamespace: openshift-marketplace
        version: v1
      status: Created
      ...
2.4.1.2.5. Operator グループ

Operator グループ は、 OperatorGroup リソースによって定義され、マルチテナント設定を OLM でインストールされた Operator に提供します。Operator グループは、そのメンバー Operator に必要な RBAC アクセスを生成するために使用するターゲット namespace を選択します。

ターゲット namespace のセットは、クラスターサービスバージョン (CSV) の olm.targetNamespaces アノテーションに保存されるコンマ区切りの文字列によって指定されます。このアノテーションは、メンバー Operator の CSV インスタンスに適用され、それらのデプロインメントに展開されます。

関連情報

2.4.1.2.6. Operator 条件

Operator のライフサイクル管理のロールの一部として、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を定義する Kubernetes リソースの状態から Operator の状態を推測します。このアプローチでは、Operator が特定の状態にあることをある程度保証しますが、推測できない情報を Operator が OLM と通信して提供する必要がある場合も多々あります。続いて、OLM がこの情報を使用して、Operator のライフサイクルをより適切に管理することができます。

OLM は、Operator が OLM に条件について通信できる OperatorCondition というカスタムリソース定義 (CRD) を提供します。OperatorCondition リソースの Spec.Conditions 配列にある場合に、OLM による Operator の管理に影響するサポートされる条件のセットがあります。

注記

デフォルトでは、 Spec.Conditions配列は、ユーザーによって追加されるか、カスタム Operator ロジックの結果として追加されるまで、 Operator Conditionオブジェクトに存在しません。

関連情報

2.4.2. Operator Lifecycle Manager アーキテクチャー

以下では、OpenShift Container Platform における Operator Lifecycle Manager (OLM) のコンポーネントのアーキテクチャーを説明します。

2.4.2.1. コンポーネントのロール

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、OLM Operator および Catalog Operator の 2 つの Operator で設定されています。

これらの Operator はそれぞれ OLM フレームワークのベースとなるカスタムリソース定義 (CRD) を管理します。

表2.2 OLM およびカタログ Operator で管理される CRD
リソース短縮名所有する Operator説明

ClusterServiceVersion (CSV)

csv

OLM

アプリケーションのメタデータ: 名前、バージョン、アイコン、必須リソース、インストールなど。

InstallPlan

ip

カタログ

CSV を自動的にインストールするか、アップグレードするために作成されるリソースの計算された一覧。

CatalogSource

catsrc

カタログ

CSV、CRD、およびアプリケーションを定義するパッケージのリポジトリー。

サブスクリプション

sub

カタログ

パッケージのチャネルを追跡して CSV を最新の状態に保つために使用されます。

OperatorGroup

og

OLM

OperatorGroup オブジェクトと同じ namespace にデプロイされたすべての Operator を、namespace の一覧またはクラスター全体でカスタムリソース (CR) を監視できるように設定します。

これらの Operator のそれぞれは以下のリソースの作成も行います。

表2.3 OLM およびカタログ Operator によって作成されるリソース
リソース所有する Operator

Deployments

OLM

ServiceAccounts

(Cluster)Role

(Cluster)RoleBinding

CustomResourceDefinitions (CRDs)

カタログ

ClusterServiceVersions

2.4.2.2. OLM Operator

OLM Operator は、CSV で指定された必須リソースがクラスター内にあることが確認された後に CSV リソースで定義されるアプリケーションをデプロイします。

OLM Operator は必須リソースの作成には関与せず、ユーザーが CLI またはカタログ Operator を使用してこれらのリソースを手動で作成することを選択できます。このタスクの分離により、アプリケーションに OLM フレームワークをどの程度活用するかに関連してユーザーによる追加機能の購入を可能にします。

OLM Operator は以下のワークフローを使用します。

  1. namespace でクラスターサービスバージョン (CSV) の有無を確認し、要件を満たしていることを確認します。
  2. 要件が満たされている場合、CSV のインストールストラテジーを実行します。

    注記

    CSV は、インストールストラテジーの実行を可能にするために Operator グループのアクティブなメンバーである必要があります。

2.4.2.3. カタログ Operator

カタログ Operator はクラスターサービスバージョン (CSV) およびそれらが指定する必須リソースを解決し、インストールします。また、カタログソースでチャネル内のパッケージへの更新の有無を確認し、必要な場合はそれらを利用可能な最新バージョンに自動的にアップグレードします。

チャネル内のパッケージを追跡するために、必要なパッケージ、チャネル、および更新のプルに使用する CatalogSource オブジェクトを設定して Subscription オブジェクトを作成できます。更新が見つかると、ユーザーに代わって適切な InstallPlan オブジェクトの namespace への書き込みが行われます。

カタログ Operator は以下のワークフローを使用します。

  1. クラスターの各カタログソースに接続します。
  2. ユーザーによって作成された未解決のインストール計画の有無を確認し、これがあった場合は以下を実行します。

    1. 要求される名前に一致する CSV を検索し、これを解決済みリソースとして追加します。
    2. 管理対象または必須の CRD のそれぞれについて、これを解決済みリソースとして追加します。
    3. 必須 CRD のそれぞれについて、これを管理する CSV を検索します。
  3. 解決済みのインストール計画の有無を確認し、それについての検出されたすべてのリソースを作成します (ユーザーによって、または自動的に承認される場合)。
  4. カタログソースおよびサブスクリプションの有無を確認し、それらに基づいてインストール計画を作成します。
2.4.2.4. カタログレジストリー

カタログレジストリーは、クラスター内での作成用に CSV および CRD を保存し、パッケージおよびチャネルについてのメタデータを保存します。

パッケージマニフェスト は、パッケージアイデンティティーを CSV のセットに関連付けるカタログレジストリー内のエントリーです。パッケージ内で、チャネルは特定の CSV を参照します。CSV は置き換え対象の CSV を明示的に参照するため、パッケージマニフェストはカタログ Operator に対し、CSV をチャネル内の最新バージョンに更新するために必要なすべての情報を提供します (各中間バージョンをステップスルー)。

2.4.3. Operator Lifecycle Manager ワークフロー

以下では、OpenShift Container Platform における Operator Lifecycle Manager (OLM) のワークロードについて説明します。

2.4.3.1. OLM での Operator のインストールおよびアップグレードのワークフロー

Operator Lifecycle Manager (OLM) エコシステムでは、以下のリソースを使用して Operator インストールおよびアップグレードを解決します。

  • ClusterServiceVersion (CSV)
  • CatalogSource
  • サブスクリプション

CSV で定義される Operator メタデータは、カタログソースというコレクションに保存できます。OLM はカタログソースを使用します。これは Operator Registry API を使用して利用可能な Operator やインストールされた Operator のアップグレードについてクエリーします。

図2.3 カタログソースの概要

OLM カタログソース

カタログソース内で、Operator は パッケージチャネル という更新のストリームに編成されます。これは、Web ブラウザーのような継続的なリリースサイクルの OpenShift Container Platform や他のソフトウェアで使用される更新パターンです。

図2.4 カタログソースのパッケージおよびチャネル

OLM チャネル

ユーザーは サブスクリプション の特定のカタログソースの特定のパッケージおよびチャネルを指定できます (例: etcd パッケージおよびその alpha チャネル)。サブスクリプションが namespace にインストールされていないパッケージに対して作成されると、そのパッケージの最新 Operator がインストールされます。

注記

OLM では、バージョンの比較が意図的に避けられます。そのため、所定の catalogchannelpackage パスから利用可能な latest または newest Operator が必ずしも最も高いバージョン番号である必要はありません。これは Git リポジトリーの場合と同様に、チャネルの Head リファレンスとして見なされます。

各 CSV には、これが置き換える Operator を示唆する replaces パラメーターがあります。これにより、OLM でクエリー可能な CSV のグラフが作成され、更新がチャネル間で共有されます。チャネルは、更新グラフのエントリーポイントと見なすことができます。

図2.5 利用可能なチャネル更新についての OLM グラフ

olm replaces

パッケージのチャネルの例

packageName: example
channels:
- name: alpha
  currentCSV: example.v0.1.2
- name: beta
  currentCSV: example.v0.1.3
defaultChannel: alpha

カタログソース、パッケージ、チャネルおよび CSV がある状態で、OLM が更新のクエリーを実行できるようにするには、カタログが入力された CSV の置き換え (replaces) を実行する単一 CSV を明確にかつ確定的に返すことができる必要があります。

2.4.3.1.1. アップグレードパスの例

アップグレードシナリオのサンプルについて、CSV バージョン 0.1.1 に対応するインストールされた Operator について見てみましょう。OLM はカタログソースをクエリーし、新規 CSV バージョン 0.1.3 についてサブスクライブされたチャネルのアップグレードを検出します。これは、古いバージョンでインストールされていない CSV バージョン 0.1.2 を置き換えます。その後、さらに古いインストールされた CSV バージョン 0.1.1 を置き換えます。

OLM は、チャネルヘッドから CSV で指定された replaces フィールドで以前のバージョンに戻り、アップグレードパス 0.1.30.1.20.1.1 を判別します。矢印の方向は前者が後者を置き換えることを示します。OLM は、チャネルヘッドに到達するまで Operator を 1 バージョンずつアップグレードします。

このシナリオでは、OLM は Operator バージョン 0.1.2 をインストールし、既存の Operator バージョン 0.1.1 を置き換えます。その後、Operator バージョン 0.1.3 をインストールし、直前にインストールされた Operator バージョン 0.1.2 を置き換えます。この時点で、インストールされた Operator のバージョン 0.1.3 はチャネルヘッドに一致し、アップグレードは完了します。

2.4.3.1.2. アップグレードの省略

OLM のアップグレードの基本パスは以下の通りです。

  • カタログソースは Operator への 1 つ以上の更新によって更新されます。
  • OLM は、カタログソースに含まれる最新バージョンに到達するまで、Operator のすべてのバージョンを横断します。

ただし、この操作の実行は安全でない場合があります。公開されているバージョンの Operator がクラスターにインストールされていない場合、そのバージョンによって深刻な脆弱性が導入される可能性があるなどの理由でその Operator をがクラスターにインストールできないことがあります。

この場合、OLM は以下の 2 つのクラスターの状態を考慮に入れて、それらの両方に対応する更新グラフを提供する必要があります。

  • 問題のある中間 Operator がクラスターによって確認され、かつインストールされている。
  • 問題のある中間 Operator がクラスターにまだインストールされていない。

OLM は、新規カタログを送り、省略されたリリースを追加することで、クラスターの状態や問題のある更新が発見されたかどうかにかかわらず、単一の固有の更新を常に取得することができます。

省略されたリリースの CSV 例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: ClusterServiceVersion
metadata:
  name: etcdoperator.v0.9.2
  namespace: placeholder
  annotations:
spec:
    displayName: etcd
    description: Etcd Operator
    replaces: etcdoperator.v0.9.0
    skips:
    - etcdoperator.v0.9.1

古い CatalogSource および 新規 CatalogSource についての以下の例を見てみましょう。

図2.6 更新のスキップ

olm skipping updates

このグラフは、以下を示しています。

  • 古い CatalogSource の Operator には、 新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
  • 新規 CatalogSource の Operator には、 新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
  • 問題のある更新がインストールされていない場合、これがインストールされることはない。
2.4.3.1.3. 複数 Operator の置き換え

説明されているように 新規 CatalogSource を作成するには、1 つの Operator を置き換える (置き換える) が、複数バージョンを省略 (skip) できる CSV を公開する必要があります。これは、skipRange アノテーションを使用して実行できます。

olm.skipRange: <semver_range>

ここで <semver_range> には、semver ライブラリー でサポートされるバージョン範囲の形式が使用されます。

カタログで更新を検索する場合、チャネルのヘッドに skipRange アノテーションがあり、現在インストールされている Operator にその範囲内のバージョンフィールドがある場合、OLM はチャネル内の最新エントリーに対して更新されます。

以下は動作が実行される順序になります。

  1. サブスクリプションの sourceName で指定されるソースのチャネルヘッド (省略する他の条件が満たされている場合)。
  2. sourceName で指定されるソースの現行バージョンを置き換える次の Operator。
  3. サブスクリプションに表示される別のソースのチャネルヘッド (省略する他の条件が満たされている場合)。
  4. サブスクリプションに表示されるソースの現行バージョンを置き換える次の Operator。

skipRange を含む CSV の例

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: ClusterServiceVersion
metadata:
    name: elasticsearch-operator.v4.1.2
    namespace: <namespace>
    annotations:
        olm.skipRange: '>=4.1.0 <4.1.2'

2.4.3.1.4. z-stream サポート

z-streamまたはパッチリリースは、同じマイナーバージョンの以前のすべての z-stream リリースを置き換える必要があります。OLM は、メジャー、マイナーまたはパッチバージョンを考慮せず、カタログ内で正確なグラフのみを作成する必要があります。

つまり、OLM では 古い CatalogSource のようにグラフを使用し、以前と同様に 新規 CatalogSource にあるようなグラフを生成する必要があります。

図2.7 複数 Operator の置き換え

olm z stream

このグラフは、以下を示しています。

  • 古い CatalogSource の Operator には、 新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
  • 新規 CatalogSource の Operator には、 新規 CatalogSource の単一の置き換えがある。
  • 古い CatalogSource の z-stream リリースは、 新規 CatalogSource の最新 z-stream リリースに更新される。
  • 使用不可のリリースは仮想グラフノードと見なされる。それらのコンテンツは存在する必要がなく、レジストリーはグラフが示すように応答することのみが必要になります。

2.4.4. Operator Lifecycle Manager の依存関係の解決

以下で、OpenShift Container Platform の Operator Lifecycle Manager (OLM) での依存関係の解決およびカスタムリソース定義 (CRD) アップグレードライフサイクルについて説明します。

2.4.4.1. 依存関係の解決

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、実行中の Operator の依存関係の解決とアップグレードのライフサイクルを管理します。多くの場合、OLM が直面する問題は、 yumrpmなどの他のシステムまたは言語パッケージマネージャーと同様です。

ただし、OLM にはあるものの、通常同様のシステムにはない 1 つの制約があります。Opearator は常に実行されており、OLM は相互に機能しない Operator のセットの共存を防ごうとします。

その結果、以下のシナリオで OLM を使用しないでください。

  • 提供できない API を必要とする Operator のセットのインストール
  • Operator と依存関係のあるものに障害を発生させる仕方での Operator の更新

これは、次の 2 種類のデータで可能になります。

プロパティー

Operator に関する型付きのメタデータ。これは、依存関係のリゾルバーで Operator の公開インターフェイスを設定します。例としては、Operator が提供する API の group/version/kind (GVK) や Operator のセマンティックバージョン (semver) などがあります。

制約または依存関係

ターゲットクラスターにすでにインストールされているかどうかに関係なく、他の Operator が満たす必要のある Operator の要件。これらは、使用可能なすべての Operator に対するクエリーまたはフィルターとして機能し、依存関係の解決およびインストール中に選択を制限します。クラスターで特定の API が利用できる状態にする必要がある場合や、特定のバージョンに特定の Operator をインストールする必要がある場合など、例として挙げられます。

OLM は、これらのプロパティーと制約をブール式のシステムに変換して SAT ソルバーに渡します。これは、ブールの充足可能性を確立するプログラムであり、インストールする Operator を決定する作業を行います。

2.4.4.2. Operator のプロパティー

カタログ内の Operator にはすべて、次のプロパティーが含まれます。

olm.package
パッケージの名前と Operator のバージョンを含めます。
olm.gvk
クラスターサービスバージョン (CSV) から提供された API ごとに 1 つのプロパティー

追加のプロパティーは、Operator バンドルの metadata/ディレクトリーにproperties.yamlファイルを追加して、Operator 作成者が直接宣言することもできます。

任意のプロパティーの例

properties:
- type: olm.kubeversion
  value:
    version: "1.16.0"

2.4.4.2.1. 任意のプロパティー

Operator の作成者は、Operator バンドルのmetadata/ ディレクトリーにあるproperties.yamlファイルで任意のプロパティーを宣言できます。これらのプロパティーは、実行時に Operator Lifecycle Manager (OLM) リゾルバーへの入力として使用されるマップデータ構造に変換されます。

これらのプロパティーはリゾルバーには不透明です。リゾルバーはプロパティーについて理解しませんが、これらのプロパティーに対する一般的な制約を評価して、プロパティーリストを指定することで制約を満たすことができるかどうかを判断します。

任意のプロパティーの例

properties:
  - property:
      type: color
      value: red
  - property:
      type: shape
      value: square
  - property:
      type: olm.gvk
      value:
        group: olm.coreos.io
        version: v1alpha1
        kind: myresource

この構造を使用して、ジェネリック制約の Common Expression Language (CEL) 式を作成できます。

2.4.4.3. Operator の依存関係

Operator の依存関係は、バンドルの metadata/ フォルダー内の dependencies.yaml ファイルに一覧表示されます。このファイルはオプションであり、現時点では明示的な Operator バージョンの依存関係を指定するためにのみ使用されます。

依存関係の一覧には、依存関係の内容を指定するために各項目の type フィールドが含まれます。次のタイプの Operator 依存関係がサポートされています。

olm.package
このタイプは、特定の Operator バージョンの依存関係であることを意味します。依存関係情報には、パッケージ名とパッケージのバージョンを semver 形式で含める必要があります。たとえば、0.5.2 などの特定バージョンや >0.5.1 などのバージョンの範囲を指定することができます。
olm.gvk
このタイプの場合、作成者は CSV の既存の CRD および API ベースの使用方法と同様に group/version/kind (GVK) 情報で依存関係を指定できます。これは、Operator の作成者がすべての依存関係、API または明示的なバージョンを同じ場所に配置できるようにするパスです。
olm.constraint
このタイプは、任意の Operator プロパティーに対するジェネリック制約を宣言します。

以下の例では、依存関係は Prometheus Operator および etcd CRD について指定されます。

dependencies.yaml ファイルの例

dependencies:
  - type: olm.package
    value:
      packageName: prometheus
      version: ">0.27.0"
  - type: olm.gvk
    value:
      group: etcd.database.coreos.com
      kind: EtcdCluster
      version: v1beta2

2.4.4.4. 一般的な制約

olm.constraintプロパティーは、特定のタイプの依存関係制約を宣言し、非制約プロパティーと制約プロパティーを区別します。そのフィールドは、制約メッセージの文字列表現を保持するfailure Messageフィールドを含むオブジェクトです。このメッセージは、実行時に制約が満たされない場合に、ユーザーへの参考のコメントとして表示されます。

次のキーは、使用可能な制約タイプを示します。

gvk
値と解釈が olm.gvk タイプと同じタイプ
package
値と解釈がolm.packageタイプと同じタイプ
cel
任意のバンドルプロパティーとクラスター情報に対して Operator Lifecycle Manager (OLM) リゾルバーによって実行時に評価される Common Expression Language (CEL) 式
allanynot
gvkやネストされた複合制約など、1 つ以上の具体的な制約を含む、論理積、論理和、否定の制約。
2.4.4.4.1. Common Expression Language (CEL) の制約

cel 制約型は、式言語としてCommon Expression Language (CEL)をサポートしています。cel 構造には、Operator が制約を満たしているかどうかを判断するために、実行時に Operator プロパティーに対して評価される CEL 式文字列を含む rule フィールドがあります。

cel 制約の例

type: olm.constraint
value:
  failureMessage: 'require to have "certified"'
  cel:
    rule: 'properties.exists(p, p.type == "certified")'

CEL 構文は、ANDOR などの幅広い論理演算子をサポートします。その結果、単一の CEL 式は、これらの論理演算子で相互にリンクされる複数の条件に対して複数のルールを含めることができます。これらのルールは、バンドルまたは任意のソースからの複数の異なるプロパティーのデータセットに対して評価され、出力は、単一の制約内でこれらのルールのすべてを満たす単一のバンドルまたは Operator に対して解決されます。

複数のルールが指定されたcel制約の例

type: olm.constraint
value:
  failureMessage: 'require to have "certified" and "stable" properties'
  cel:
    rule: 'properties.exists(p, p.type == "certified") && properties.exists(p, p.type == "stable")'

2.4.4.4.2. 複合制約 (all, any, not)

複合制約タイプは、論理定義に従って評価されます。

以下は、2 つのパッケージと 1 つの GVK の接続制約 (all) の例です。つまり、インストールされたバンドルがすべての制約を満たす必要があります。

all制約の例

schema: olm.bundle
name: red.v1.0.0
properties:
- type: olm.constraint
  value:
    failureMessage: All are required for Red because...
    all:
      constraints:
      - failureMessage: Package blue is needed for...
        package:
          name: blue
          versionRange: '>=1.0.0'
      - failureMessage: GVK Green/v1 is needed for...
        gvk:
          group: greens.example.com
          version: v1
          kind: Green

以下は、同じ GVK の 3 つのバージョンの選言的制約 ( any) の例です。つまり、インストールされたバンドルが少なくとも 1 つの制約を満たす必要があります。

any 制約の例

schema: olm.bundle
name: red.v1.0.0
properties:
- type: olm.constraint
  value:
    failureMessage: Any are required for Red because...
    any:
      constraints:
      - gvk:
          group: blues.example.com
          version: v1beta1
          kind: Blue
      - gvk:
          group: blues.example.com
          version: v1beta2
          kind: Blue
      - gvk:
          group: blues.example.com
          version: v1
          kind: Blue

以下は、GVK の 1 つのバージョンの否定制約 (not) の例です。つまり、この結果セットのバンドルでは、この GVK を提供できません。

not の制約例

schema: olm.bundle
name: red.v1.0.0
properties:
- type: olm.constraint
  value:
  all:
    constraints:
    - failureMessage: Package blue is needed for...
      package:
        name: blue
        versionRange: '>=1.0.0'
    - failureMessage: Cannot be required for Red because...
      not:
        constraints:
        - gvk:
            group: greens.example.com
            version: v1alpha1
            kind: greens

否定のセマンティクスは、not制約のコンテキストで不明確であるように見える場合があります。つまり、この否定では、特定の GVK、あるバージョンのパッケージを含むソリューション、または結果セットからの子の複合制約を満たすソリューションを削除するように、リゾルバーに対して指示を出しています。

当然の結果として、最初に可能な依存関係のセットを選択せずに否定することは意味がないため、複合ではnot制約はallまたはany制約内でのみ使用する必要があります。

2.4.4.4.3. ネストされた複合制約

ネストされた複合制約 (少なくとも 1 つの子複合制約と 0 個以上の単純な制約を含む制約) は、前述の各制約タイプの手順に従って、下から上に評価されます。

以下は、接続詞の論理和の例で、one、the other、または both が制約を満たすことができます。

ネストされた複合制約の例

schema: olm.bundle
name: red.v1.0.0
properties:
- type: olm.constraint
  value:
    failureMessage: Required for Red because...
    any:
      constraints:
      - all:
          constraints:
          - package:
              name: blue
              versionRange: '>=1.0.0'
          - gvk:
              group: blues.example.com
              version: v1
              kind: Blue
      - all:
          constraints:
          - package:
              name: blue
              versionRange: '<1.0.0'
          - gvk:
              group: blues.example.com
              version: v1beta1
              kind: Blue

注記

olm.constraintタイプの最大 raw サイズは 64KB に設定されており、リソース枯渇攻撃を制限しています。

2.4.4.5. 依存関係の設定

Operator の依存関係を同等に満たすオプションが多数ある場合があります。Operator Lifecycle Manager (OLM) の依存関係リゾルバーは、要求された Operator の要件に最も適したオプションを判別します。Operator の作成者またはユーザーとして、依存関係の解決が明確になるようにこれらの選択方法を理解することは重要です。

2.4.4.5.1. カタログの優先順位

OpenShift Container Platform クラスターでは、OLM はカタログソースを読み取り、インストールに使用できる Operator を確認します。

CatalogSource オブジェクトの例

apiVersion: "operators.coreos.com/v1alpha1"
kind: "CatalogSource"
metadata:
  name: "my-operators"
  namespace: "operators"
spec:
  sourceType: grpc
  image: example.com/my/operator-index:v1
  displayName: "My Operators"
  priority: 100

CatalogSource オブジェクトには priority フィールドがあります。このフィールドは、依存関係のオプションを優先する方法を把握するためにリゾルバーによって使用されます。

カタログ設定を規定する 2 つのルールがあります。

  • 優先順位の高いカタログにあるオプションは、優先順位の低いカタログのオプションよりも優先されます。
  • 依存オブジェクトと同じカタログにあるオプションは他のカタログよりも優先されます。
2.4.4.5.2. チャネルの順序付け

カタログの Operator パッケージは、ユーザーが OpenShift Container Platform クラスターでサブスクライブできる更新チャネルのコレクションです。チャネルは、マイナーリリース (1.21.3) またはリリース頻度 (stablefast) についての特定の更新ストリームを提供するために使用できます。

同じパッケージの Operator によって依存関係が満たされる可能性がありますが、その場合、異なるチャネルの Operator のバージョンによって満たされる可能性があります。たとえば、Operator のバージョン 1.2stable および fast チャネルの両方に存在する可能性があります。

それぞれのパッケージにはデフォルトのチャネルがあり、これは常にデフォルト以外のチャネルよりも優先されます。デフォルトチャネルのオプションが依存関係を満たさない場合には、オプションは、チャネル名の辞書式順序 (lexicographic order) で残りのチャネルから検討されます。

2.4.4.5.3. チャネル内での順序

ほとんどの場合、単一のチャネル内に依存関係を満たすオプションが複数あります。たとえば、1 つのパッケージおよびチャネルの Operator は同じセットの API を提供します。

ユーザーがサブスクリプションを作成すると、それらはどのチャネルから更新を受け取るかを示唆します。これにより、すぐにその 1 つのチャネルだけに検索が絞られます。ただし、チャネル内では、多くの Operator が依存関係を満たす可能性があります。

チャネル内では、更新グラフでより上位にある新規 Operator が優先されます。チャネルのヘッドが依存関係を満たす場合、これがまず試行されます。

2.4.4.5.4. その他の制約

OLM には、パッケージの依存関係で指定される制約のほかに、必要なユーザーの状態を表し、常にメンテナンスする必要のある依存関係の解決を適用するための追加の制約が含まれます。

2.4.4.5.4.1. サブスクリプションの制約

サブスクリプションの制約は、サブスクリプションを満たすことのできる Operator のセットをフィルターします。サブスクリプションは、依存関係リゾルバーについてのユーザー指定の制約です。それらは、クラスター上にない場合は新規 Operator をインストールすることを宣言するか、既存 Operator の更新された状態を維持することを宣言します。

2.4.4.5.4.2. パッケージの制約

namespace 内では、2 つの Operator が同じパッケージから取得されることはありません。

2.4.4.6. CRD のアップグレード

OLM は、単一のクラスターサービスバージョン (CSV) によって所有されている場合にはカスタムリソース定義 (CRD) をすぐにアップグレードします。CRD が複数の CSV によって所有されている場合、CRD は、以下の後方互換性の条件のすべてを満たす場合にアップグレードされます。

  • 現行 CRD の既存の有効にされたバージョンすべてが新規 CRD に存在する。
  • 検証が新規 CRD の検証スキーマに対して行われる場合、CRD の提供バージョンに関連付けられる既存インスタンスまたはカスタムリソースすべてが有効である。
2.4.4.7. 依存関係のベストプラクティス

依存関係を指定する際には、ベストプラクティスを考慮する必要があります。

Operator の API または特定のバージョン範囲によって異なります。
Operator は API をいつでも追加または削除できます。Operator が必要とする API に olm.gvk 依存関係を常に指定できます。これの例外は、olm.package 制約を代わりに指定する場合です。
最小バージョンの設定

API の変更に関する Kubernetes ドキュメントでは、Kubernetes 形式の Operator で許可される変更について説明しています。これらのバージョン管理規則により、Operator は API バージョンに後方互換性がある限り、API バージョンに影響を与えずに API を更新することができます。

Operator の依存関係の場合、依存関係の API バージョンを把握するだけでは、依存する Operator が確実に意図された通りに機能することを確認できないことを意味します。

以下に例を示します。

  • TestOperator v1.0.0 は、v1alpha1 API バージョンの MyObject リソースを提供します。
  • TestOperator v1.0.1 は新しいフィールド spec.newfieldMyObject に追加しますが、v1alpha1 のままになります。

Operator では、spec.newfieldMyObject リソースに書き込む機能が必要になる場合があります。olm.gvk 制約のみでは、OLM で TestOperator v1.0.0 ではなく TestOperator v1.0.1 が必要であると判断することはできません。

可能な場合には、API を提供する特定の Operator が事前に分かっている場合、最小値を設定するために追加の olm.package 制約を指定します。

最大バージョンを省略するか、幅広いバージョンを許可します。

Operator は API サービスや CRD などのクラスタースコープのリソースを提供するため、依存関係に小規模な範囲を指定する Operator は、その依存関係の他のコンシューマーの更新に不要な制約を加える可能性があります。

可能な場合は、最大バージョンを設定しないでください。または、他の Operator との競合を防ぐために、幅広いセマンティクスの範囲を設定します。例: >1.0.0 <2.0.0

従来のパッケージマネージャーとは異なり、Operator の作成者は更新が OLM のチャネルで更新を安全に行われるように Operator を明示的にエンコードします。更新が既存のサブスクリプションで利用可能な場合、Operator の作成者がこれが以前のバージョンから更新できることを示唆していることが想定されます。依存関係の最大バージョンを設定すると、特定の上限で不必要な切り捨てが行われることにより、作成者の更新ストリームが上書きされます。

注記

クラスター管理者は、Operator の作成者が設定した依存関係を上書きすることはできません。

ただし、回避する必要がある非互換性があることが分かっている場合は、最大バージョンを設定でき、およびこれを設定する必要があります。特定のバージョンは、バージョン範囲の構文 (例: 1.0.0 !1.2.1) で省略できます。

関連情報

2.4.4.8. 依存関係に関する注意事項

依存関係を指定する際には、考慮すべき注意事項があります。

複合制約がない (AND)

現時点で、制約の間に AND 関係を指定する方法はありません。つまり、ある Operator が、所定の API を提供し、バージョン >1.1.0 を持つ別の Operator に依存するように指定することはできません。

依存関係を指定すると、以下のようになります。

dependencies:
- type: olm.package
  value:
    packageName: etcd
    version: ">3.1.0"
- type: olm.gvk
  value:
    group: etcd.database.coreos.com
    kind: EtcdCluster
    version: v1beta2

OLM は EtcdCluster を提供する Operator とバージョン >3.1.0 を持つ Operator の 2 つの Operator で、上記の依存関係の例の条件を満たすことができる可能性があります。その場合や、または両方の制約を満たす Operator が選択されるかどうかは、選択できる可能性のあるオプションが参照される順序によって変わります。依存関係の設定および順序のオプションは十分に定義され、理にかなったものであると考えられますが、Operator は継続的に特定のメカニズムをベースとする必要があります。

namespace 間の互換性
OLM は namespace スコープで依存関係の解決を実行します。ある namespace での Operator の更新が別の namespace の Operator の問題となる場合、更新のデッドロックが生じる可能性があります。
2.4.4.9. 依存関係解決のシナリオ例

以下の例で、プロバイダー は CRD または API サービスを所有する Operator です。

例: 依存 API を非推奨にする

A および B は API (CRD):

  • A のプロバイダーは B によって異なる。
  • B のプロバイダーにはサブスクリプションがある。
  • B のプロバイダーは C を提供するように更新するが、B を非推奨にする。

この結果は以下のようになります。

  • B にはプロバイダーがなくなる。
  • A は機能しなくなる。

これは OLM がアップグレードストラテジーで回避するケースです。

例: バージョンのデッドロック

A および B は API である:

  • A のプロバイダーは B を必要とする。
  • B のプロバイダーは A を必要とする。
  • A のプロバイダーは (A2 を提供し、B2 を必要とするように) 更新し、A を非推奨にする。
  • B のプロバイダーは (B2 を提供し、A2 を必要とするように) 更新し、B を非推奨にする。

OLM が B を同時に更新せずに A を更新しようとする場合や、その逆の場合、OLM は、新しい互換性のあるセットが見つかったとしても Operator の新規バージョンに進むことができません。

これは OLM がアップグレードストラテジーで回避するもう 1 つのケースです。

2.4.5. Operator グループ

以下では、OpenShift Container Platform で Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用した Operator グループの使用について説明します。

2.4.5.1. Operator グループについて

Operator グループ は、 OperatorGroup リソースによって定義され、マルチテナント設定を OLM でインストールされた Operator に提供します。Operator グループは、そのメンバー Operator に必要な RBAC アクセスを生成するために使用するターゲット namespace を選択します。

ターゲット namespace のセットは、クラスターサービスバージョン (CSV) の olm.targetNamespaces アノテーションに保存されるコンマ区切りの文字列によって指定されます。このアノテーションは、メンバー Operator の CSV インスタンスに適用され、それらのデプロインメントに展開されます。

2.4.5.2. Operator グループメンバーシップ

Operator は、以下の条件が true の場合に Operator グループの メンバー とみなされます。

  • Operator の CSV が Operator グループと同じ namespace にある。
  • Operator の CSV のインストールモードは Operator グループがターゲットに設定する namespace のセットをサポートする。

CSV のインストールモードは InstallModeType フィールドおよびブール値の Supported フィールドで設定されます。CSV の仕様には、4 つの固有の InstallModeTypes のインストールモードのセットを含めることができます。

表2.4 インストールモードおよびサポートされる Operator グループ
InstallMode タイプ説明

OwnNamespace

Operator は、独自の namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。

SingleNamespace

Operator は 1 つの namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。

MultiNamespace

Operator は複数の namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます。

AllNamespaces

Operator はすべての namespace を選択する Operator グループのメンバーにすることができます (設定されるターゲット namespace は空の文字列 "" です)。

注記

CSV の仕様が InstallModeType のエントリーを省略する場合、そのタイプは暗黙的にこれをサポートする既存エントリーによってサポートが示唆されない限り、サポートされないものとみなされます。

2.4.5.3. ターゲット namespace の選択

spec.targetNamespaces パラメーターを使用して Operator グループのターゲット namespace に名前を明示的に指定することができます。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  name: my-group
  namespace: my-namespace
spec:
  targetNamespaces:
  - my-namespace

または、spec.selector パラメーターでラベルセレクターを使用して namespace を指定することもできます。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  name: my-group
  namespace: my-namespace
spec:
  selector:
    cool.io/prod: "true"
重要

spec.targetNamespaces で複数の namespace を一覧表示したり、spec.selector でラベルセレクターを使用したりすることは推奨されません。Operator グループの複数のターゲット namespace のサポートは今後のリリースで取り除かれる可能性があります。

spec.targetNamespacesspec.selector の両方が定義されている場合、 spec.selector は無視されます。または、spec.selectorspec.targetNamespaces の両方を省略し、global Operator グループを指定できます。これにより、すべての namespace が選択されます。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  name: my-group
  namespace: my-namespace

選択された namespace の解決済みのセットは Operator グループの status.namespaces パラメーターに表示されます。グローバル Operator グループの status.namespace には空の文字列 ("") が含まれます。 これは、消費する Operator に対し、すべての namespace を監視するように示唆します。

2.4.5.4. Operator グループの CSV アノテーション

Operator グループのメンバー CSV には以下のアノテーションがあります。

アノテーション説明

olm.operatorGroup=<group_name>

Operator グループの名前が含まれます。

olm.operatorNamespace=<group_namespace>

Operator グループの namespace が含まれます。

olm.targetNamespaces=<target_namespaces>

Operator グループのターゲット namespace 選択を一覧表示するコンマ区切りの文字列が含まれます。

注記

olm.targetNamespaces 以外のすべてのアノテーションがコピーされた CSV と共に含まれます。olm.targetNamespaces アノテーションをコピーされた CSV で省略すると、テナント間のターゲット namespace の重複が回避されます。

2.4.5.5. 提供される API アノテーション

group/version/kind(GVK) は Kubernetes API の一意の識別子です。Operator グループによって提供される GVK についての情報が olm.providedAPIs アノテーションに表示されます。アノテーションの値は、コンマで区切られた <kind>.<version>.<group> で設定される文字列です。Operator グループのすべてのアクティブメンバーの CSV によって提供される CRD および API サービスの GVK が含まれます。

PackageManifest リースを提供する単一のアクティブメンバー CSV を含む OperatorGroup オブジェクトの以下の例を確認してください。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  annotations:
    olm.providedAPIs: PackageManifest.v1alpha1.packages.apps.redhat.com
  name: olm-operators
  namespace: local
  ...
spec:
  selector: {}
  serviceAccount:
    metadata:
      creationTimestamp: null
  targetNamespaces:
  - local
status:
  lastUpdated: 2019-02-19T16:18:28Z
  namespaces:
  - local
2.4.5.6. ロールベースのアクセス制御

Operator グループの作成時に、3 つのクラスタールールが生成されます。それぞれには、以下に示すようにクラスターロールセレクターがラベルに一致するように設定された単一の集計ルールが含まれます。

クラスターロール一致するラベル

<operatorgroup_name>-admin

olm.opgroup.permissions/aggregate-to-admin: <operatorgroup_name>

<operatorgroup_name>-edit

olm.opgroup.permissions/aggregate-to-edit: <operatorgroup_name>

<operatorgroup_name>-view

olm.opgroup.permissions/aggregate-to-view: <operatorgroup_name>

以下の RBAC リソースは、CSV が AllNamespaces インストールモードのあるすべての namespace を監視しており、理由が InterOperatorGroupOwnerConflict の失敗状態にない限り、CSV が Operator グループのアクティブメンバーになる際に生成されます。

  • CRD からの各 API リソースのクラスターロール
  • API サービスからの各 API リソースのクラスターロール
  • 追加のロールおよびロールバインディング
表2.5 CRD からの各 API リソース用に生成されたクラスターロール
クラスターロール設定

<kind>.<group>-<version>-admin

<kind> の動詞

  • *

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-admin: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-admin: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-edit

<kind> の動詞

  • create
  • update
  • patch
  • delete

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-edit: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-edit: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-view

<kind> の動詞

  • get
  • list
  • watch

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-view: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-view: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-view-crdview

Verbs on apiextensions.k8s.io customresourcedefinitions <crd-name>:

  • get

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-view: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-view: <operatorgroup_name>
表2.6 API サービスから各 API リソース用に生成されたクラスターロール
クラスターロール設定

<kind>.<group>-<version>-admin

<kind> の動詞

  • *

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-admin: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-admin: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-edit

<kind> の動詞

  • create
  • update
  • patch
  • delete

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-edit: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-edit: <operatorgroup_name>

<kind>.<group>-<version>-view

<kind> の動詞

  • get
  • list
  • watch

集計ラベル:

  • rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-view: true
  • olm.opgroup.permissions/aggregate-to-view: <operatorgroup_name>

追加のロールおよびロールバインディング

  • CSV が * が含まれる 1 つのターゲット namespace を定義する場合、クラスターロールと対応するクラスターロールバインディングが CSV の permissions フィールドに定義されるパーミッションごとに生成されます。生成されたすべてのリソースには olm.owner: <csv_name> および olm.owner.namespace: <csv_namespace> ラベルが付与されます。
  • CSV が * が含まれる 1 つのターゲット namespace を定義 しない 場合、olm.owner: <csv_name> および olm.owner.namespace: <csv_namespace> ラベルの付いた Operator namespace にあるすべてのロールおよびロールバインディングがターゲット namespace にコピーされます。
2.4.5.7. コピーされる CSV

OLM は、それぞれの Operator グループのターゲット namespace の Operator グループのすべてのアクティブな CSV のコピーを作成します。コピーされる CSV の目的は、ユーザーに対して、特定の Operator が作成されるリソースを監視するように設定されたターゲット namespace について通知することにあります。

コピーされる CSV にはステータスの理由 Copied があり、それらのソース CSV のステータスに一致するように更新されます。olm.targetNamespaces アノテーションは、クラスター上でコピーされる CSV が作成される前に取られます。ターゲット namespace 選択を省略すると、テナント間のターゲット namespace の重複が回避されます。

コピーされる CSV はそれらのソース CSV が存在しなくなるか、それらのソース CSV が属する Operator グループが、コピーされた CSV の namespace をターゲットに設定しなくなると削除されます。

注記

デフォルトでは、disableCopiedCSVs フィールドは無効になっています。disableCopiedCSVs フィールドを有効にすると、OLM はクラスター上の既存のコピーされた CSV を削除します。disableCopiedCSVs フィールドが無効になると、OLM はコピーされた CSV を再度追加します。

  • disableCopiedCSVs フィールドを無効にします。

    $ cat << EOF | oc apply -f -
    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OLMConfig
    metadata:
      name: cluster
    spec:
      features:
        disableCopiedCSVs: false
    EOF
  • disableCopiedCSVs フィールドを有効にします。

    $ cat << EOF | oc apply -f -
    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OLMConfig
    metadata:
      name: cluster
    spec:
      features:
        disableCopiedCSVs: true
    EOF
2.4.5.8. 静的 Operator グループ

Operator グループはその spec.staticProvidedAPIs フィールドが true に設定されると 静的 になります。その結果、OLM は Operator グループの olm.providedAPIs アノテーションを変更しません。つまり、これを事前に設定することができます。これは、ユーザーが Operator グループを使用して namespace のセットでリソースの競合を防ぐ必要がある場合で、それらのリソースの API を提供するアクティブなメンバーの CSV がない場合に役立ちます。

以下は、something.cool.io/cluster-monitoring: "true" アノテーションのあるすべての namespace の Prometheus リソースを保護する Operator グループの例です。

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorGroup
metadata:
  name: cluster-monitoring
  namespace: cluster-monitoring
  annotations:
    olm.providedAPIs: Alertmanager.v1.monitoring.coreos.com,Prometheus.v1.monitoring.coreos.com,PrometheusRule.v1.monitoring.coreos.com,ServiceMonitor.v1.monitoring.coreos.com
spec:
  staticProvidedAPIs: true
  selector:
    matchLabels:
      something.cool.io/cluster-monitoring: "true"
2.4.5.9. Operator グループの交差部分

2 つの Operator グループは、それらのターゲット namespace セットの交差部分が空のセットではなく、olm.providedAPIs アノテーションで定義されるそれらの指定 API セットの交差部分が空のセットではない場合に、 交差部分のある指定 API があると見なされます。

これによって生じ得る問題として、交差部分のある指定 API を持つ複数の Operator グループは、一連の交差部分のある namespace で同じリソースに関して競合関係になる可能性があります。

注記

交差ルールを確認すると、Operator グループの namespace は常に選択されたターゲット namespace の一部として組み込まれます。

交差のルール

アクティブメンバーの CSV が同期する際はいつでも、OLM はクラスターで、CSV の Operator グループとそれ以外のすべての間での交差部分のある指定 API のセットについてクエリーします。その後、OLM はそのセットが空のセットであるかどうかを確認します。

  • true であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセットである場合:

    • 移行を継続します。
  • true であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセット ではない 場合:

    • Operator グループが静的である場合:

      • CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
      • ステータスの理由 CannotModifyStaticOperatorGroupProvidedAPIs のある失敗状態に CSV を移行します。
    • Operator グループが静的 ではない 場合:

      • Operator グループの olm.providedAPIs アノテーションを、それ自体と CSV の指定 API の集合に置き換えます。
  • false であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセット ではない 場合:

    • CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
    • ステータスの理由 InterOperatorGroupOwnerConflict のある失敗状態に CSV を移行します。
  • false であり、CSV の指定 API が Operator グループのサブセットである場合:

    • Operator グループが静的である場合:

      • CSV に属するすべてのデプロイメントをクリーンアップします。
      • ステータスの理由 CannotModifyStaticOperatorGroupProvidedAPIs のある失敗状態に CSV を移行します。
    • Operator グループが静的 ではない 場合:

      • Operator グループの olm.providedAPIs アノテーションを、それ自体と CSV の指定 API 間の差異部分に置き換えます。
注記

Operator グループによって生じる失敗状態は非終了状態です。

以下のアクションは、Operator グループが同期するたびに実行されます。

  • アクティブメンバーの CSV の指定 API のセットは、クラスターから計算されます。コピーされた CSV は無視されることに注意してください。
  • クラスターセットは olm.providedAPIs と比較され、olm.providedAPIs に追加の API が含まれる場合は、それらの API がプルーニングされます。
  • すべての namespace で同じ API を提供するすべての CSV は再びキューに入れられます。これにより、交差部分のあるグループ間の競合する CSV に対して、それらの競合が競合する CSV のサイズ変更または削除のいずれかによって解決されている可能性があることが通知されます。
2.4.5.10. マルチテナント Operator 管理の制限

OpenShift Container Platform では、クラスターに異なる Operator のバージョンを同時にインストールする場合のサポートは限定されます。Operator はコントロールプレーンの拡張機能です。すべてのテナントまたは namespace がクラスターの同じコントロールプレーンを共有します。そのため、マルチテナント環境のテナントも Operator を共有する必要があります。

Operator Lifecycle Manager(OLM) は、複数の異なる namespace に Operator を複数回インストールします。その 1 つの制約として、Operator の API バージョンは同じである必要があります。

Operator の異なるメジャーバージョンには、互換性のないカスタムリソース定義 (CRD) が含まれることがよくあります。これが原因で、OLM を迅速に検証することが困難になります。

2.4.5.10.1. 関連情報
2.4.5.11. Operator グループのトラブルシューティング
メンバーシップ
  • インストールプランの namespace には、Operator グループを 1 つだけ含める必要があります。namespace でクラスターサービスバージョン (CSV) を生成しようとすると、インストールプランでは、以下のシナリオの Operator グループが無効であると見なされます。

    • インストールプランの namespace に Operator グループが存在しない。
    • インストールプランの namespace に複数の Operator グループが存在する。
    • Operator グループに、正しくないサービスアカウント名または存在しないサービスアカウント名が指定されている。

    インストールプランで無効な Operator グループが検出された場合には、CSV は生成されず、InstallPlan リソースは関連するメッセージを出力して、インストールを続行します。たとえば、複数の Operator グループが同じ namespace に存在する場合に以下のメッセージが表示されます。

    attenuated service account query failed - more than one operator group(s) are managing this namespace count=2

    ここでは、count= は、namespace 内の Operator グループの数を指します。

  • CSV のインストールモードがその namespace で Operator グループのターゲット namespace 選択をサポートしない場合、CSV は UnsupportedOperatorGroup の理由で失敗状態に切り替わります。この理由で失敗した状態にある CSV は、Operator グループのターゲット namespace の選択がサポートされる設定に変更されるか、CSV のインストールモードがターゲット namespace 選択をサポートするように変更される場合に、保留状態に切り替わります。

2.4.6. Operator 条件

以下では、Operator Lifecycle Manager (OLM) による Operator 条件の使用方法について説明します。

2.4.6.1. Operator 条件について

Operator のライフサイクル管理のロールの一部として、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator を定義する Kubernetes リソースの状態から Operator の状態を推測します。このアプローチでは、Operator が特定の状態にあることをある程度保証しますが、推測できない情報を Operator が OLM と通信して提供する必要がある場合も多々あります。続いて、OLM がこの情報を使用して、Operator のライフサイクルをより適切に管理することができます。

OLM は、Operator が OLM に条件について通信できる OperatorCondition というカスタムリソース定義 (CRD) を提供します。OperatorCondition リソースの Spec.Conditions 配列にある場合に、OLM による Operator の管理に影響するサポートされる条件のセットがあります。

注記

デフォルトでは、 Spec.Conditions配列は、ユーザーによって追加されるか、カスタム Operator ロジックの結果として追加されるまで、 Operator Conditionオブジェクトに存在しません。

2.4.6.2. サポートされる条件

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、以下の Operator 条件をサポートします。

2.4.6.2.1. アップグレード可能な条件

Upgradeable Operator 条件は、既存のクラスターサービスバージョン (CSV) が、新規の CSV バージョンに置き換えられることを阻止します。この条件は、以下の場合に役に立ちます。

  • Operator が重要なプロセスを開始するところで、プロセスが完了するまでアップグレードしてはいけない場合
  • Operator が、Operator のアップグレードの準備ができる前に完了する必要のあるカスタムリソース (CR) の移行を実行している場合
重要

Upgradeable Operator の条件を False 値に設定しても、Pod の中断は回避できません。Pod が中断されないようにする必要がある場合は、「追加リソース」セクションの「Pod 中断バジェットを使用して稼働させなければならないポッドの数を指定する」と「正常な終了」を参照してください。

Upgradeable Operator 条件の例

apiVersion: operators.coreos.com/v1
kind: OperatorCondition
metadata:
  name: my-operator
  namespace: operators
spec:
  conditions:
  - type: Upgradeable 1
    status: "False" 2
    reason: "migration"
    message: "The Operator is performing a migration."
    lastTransitionTime: "2020-08-24T23:15:55Z"

1
条件の名前。
2
False 値は、Operator のアップグレードの準備ができていないことを示します。OLM は、Operator の既存の CSV を置き換える CSV が Pending フェーズでなくなることを阻止します。False 値はクラスターのアップグレードをブロックしません。
2.4.6.3. 関連情報

2.4.7. Operator Lifecycle Manager メトリック

2.4.7.1. 公開されるメトリック

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Prometheus ベースの OpenShift Container Platform クラスターモニタリングスタックで使用される特定の OLM 固有のリソースを公開します。

表2.7 OLM によって公開されるメトリック
名前説明

catalog_source_count

カタログソースの数。

catalogsource_ready

カタログソースの状態。値 1 は、カタログソースが READY 状態であることを示します。値 0 は、カタログソースが READY 状態ではないことを示します。

csv_abnormal

クラスターサービスバージョン (CSV) を調整する際に、(インストールされていない場合など) CSV バージョンが Succeeded 以外の状態にあることを表します。namenamespacephasereason、および version ラベルが含まれます。Prometheus アラートは、このメトリックが存在する場合に作成されます。

csv_count

正常に登録された CSV の数。

csv_succeeded

CSV を調整する際に、CSV バージョンが Succeeded 状態 (値 1) にあるか、そうでないか (値 0) を表します。namenamespace、および version ラベルが含まれます。

csv_upgrade_count

CSV アップグレードの単調 (monotonic) カウント。

install_plan_count

インストール計画の数。

installplan_warnings_total

インストール計画に含まれる非推奨のリソースなど、リソースによって生成される警告の個数。

olm_resolution_duration_seconds

依存関係解決の試行期間。

subscription_count

サブスクリプションの数。

subscription_sync_total

サブスクリプション同期の単調 (monotonic) カウント。channelinstalled CSV、およびサブスクリプション name ラベルが含まれます。

2.4.8. Operator Lifecycle Manager での Webhook の管理

Webhook により、リソースがオブジェクトストアに保存され、Operator コントローラーによって処理される前に、Operator の作成者はリソースのインターセプト、変更、許可、および拒否を実行することができます。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator と共に提供される際にこれらの Webhook のライフサイクルを管理できます。

Operator 開発者が自分の Operator に Webhook を定義する方法の詳細と、OLM で実行する場合の注意事項は、クラスターサービスのバージョン (CSV) を定義する を参照してください。

2.4.8.1. 関連情報

2.5. OperatorHub について

2.5.1. OperatorHub について

OperatorHub は OpenShift Container Platform の Web コンソールインターフェイスであり、これを使用してクラスター管理者は Operator を検出し、インストールします。1 回のクリックで、Operator をクラスター外のソースからプルし、クラスター上でインストールおよびサブスクライブして、エンジニアリングチームが Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してデプロイメント環境全体で製品をセルフサービスで管理される状態にすることができます。

クラスター管理者は、以下のカテゴリーにグループ化されたカタログから選択することができます。

カテゴリー説明

Red Hat Operator

Red Hat によってパッケージ化され、出荷される Red Hat 製品。Red Hat によってサポートされます。

認定 Operator

大手独立系ソフトウェアベンダー (ISV) の製品。Red Hat は ISV とのパートナーシップにより、パッケージ化および出荷を行います。ISV によってサポートされます。

Red Hat Marketplace

Red Hat Marketplace から購入できる認定ソフトウェア。

コミュニティー Operator

redhat-openshift-ecosystem/community-operators-prod/operators GitHub リポジトリーで関連する担当者によって保守されているオプションで表示可能なソフトウェア。正式なサポートはありません。

カスタム Operator

各自でクラスターに追加する Operator。カスタム Operator を追加していない場合、カスタム カテゴリーは Web コンソールの OperatorHub 上に表示されません。

OperatorHub の Operator は OLM で実行されるようにパッケージ化されます。これには、Operator のインストールおよびセキュアな実行に必要なすべての CRD、RBAC ルール、デプロイメント、およびコンテナーイメージが含まれるクラスターサービスバージョン (CSV) という YAML ファイルが含まれます。また、機能の詳細やサポートされる Kubernetes バージョンなどのユーザーに表示される情報も含まれます。

Operator SDK は、開発者が OLM および OperatorHub で使用するために Operator のパッケージ化することを支援するために使用できます。お客様によるアクセスが可能な商用アプリケーションがある場合、Red Hat Partner Connect ポータル (connect.redhat.com) で提供される認定ワークフローを使用してこれを組み込むようにしてください。

2.5.2. OperatorHub アーキテクチャー

OperatorHub UI コンポーネントは、デフォルトで OpenShift Container Platform の openshift-marketplace namespace で Marketplace Operator によって実行されます。

2.5.2.1. OperatorHub カスタムリソース

Marketplace Operator は、OperatorHub で提供されるデフォルトの CatalogSource オブジェクトを管理する cluster という名前の OperatorHub カスタムリソース (CR) を管理します。このリソースを変更して、デフォルトのカタログを有効または無効にすることができます。これは、ネットワークが制限された環境で OpenShift Container Platform を設定する際に役立ちます。

OperatorHub カスタムリースの例

apiVersion: config.openshift.io/v1
kind: OperatorHub
metadata:
  name: cluster
spec:
  disableAllDefaultSources: true 1
  sources: [ 2
    {
      name: "community-operators",
      disabled: false
    }
  ]

1
disableAllDefaultSources は、OpenShift Container Platform のインストール時にデフォルトで設定されるすべてのデフォルトカタログの可用性を制御するオーバーライドです。
2
ソースごとに disabled パラメーター値を変更して、デフォルトのカタログを個別に無効にします。

2.5.3. 関連情報

2.6. Red Hat が提供する Operator カタログ

2.6.1. Operator カタログについて

Operator カタログは、Operator Lifecycle Manager (OLM) がクエリーを行い、Operator およびそれらの依存関係をクラスターで検出し、インストールできるメタデータのリポジトリーです。OLM は最新バージョンのカタログから Operator を常にインストールします。OpenShift Container Platform 4.6 の時点で、Red Hat が提供するカタログは インデックスイメージ を使用して提供されています。

Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、カタログのコンテナー化されたスナップショットです。これは、Operator マニフェストコンテンツのセットへのポインターのデータベースが含まれるイミュータブルなアーティファクトです。カタログはインデックスイメージを参照し、クラスター上の OLM のコンテンツを調達できます。

カタログが更新されると、Operator の最新バージョンが変更され、それ以前のバージョンが削除または変更される可能性があります。さらに OLM がネットワークが制限された環境の OpenShift Container Platform クラスターで実行される場合、最新のコンテンツをプルするためにインターネットからカタログに直接アクセスすることはできません。

クラスター管理者は、Red Hat が提供するカタログをベースとして使用して、またはゼロから独自のカスタムインデックスイメージを作成できます。これを使用して、クラスターのカタログコンテンツを調達できます。独自のインデックスイメージの作成および更新により、クラスターで利用可能な Operator のセットをカスタマイズする方法が提供され、また前述のネットワークが制限された環境の問題を回避することができます。

重要

Kubernetes は、今後のリリースで削除される特定の API を定期的に非推奨にします。その結果、Operator は API を削除した Kubernetes バージョンを使用する OpenShift Container Platform のバージョン以降、削除された API を使用できなくなります。

クラスターがカスタムカタログを使用している場合に、Operator の作成者がプロジェクトを更新してワークロードの問題や、互換性のないアップグレードを回避できるようにする方法については Operator の互換性の OpenShift Container Platform バージョンへの制御 を参照してください。

注記

レガシー形式をしようしたカスタムのカタログなど、Operator のレガシー パッケージマニフェスト形式 のサポートは、OpenShift Container Platform 4.8 以降で削除されます。

カスタムカタログイメージを作成する場合、OpenShift Container Platform 4 の以前のバージョンでは、複数のリリースで非推奨となった oc adm catalog build コマンドの使用が必要でしたが、これは削除されました。OpenShift Container Platform 4.6 以降で Red Hat が提供するインデックスイメージが利用可能になると、カタログビルダーは opm index コマンドを使用してインデックスイメージを管理する必要があります。

2.6.2. Red Hat が提供する Operator カタログについて

Red Hat が提供するカタログソースは、デフォルトで openshift-marketplace namespace にインストールされます。これにより、すべての namespace でクラスター全体でカタログを利用できるようになります。

以下の Operator カタログは Red Hat によって提供されます。

カタログインデックスイメージ説明

redhat-operators

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.10

Red Hat によってパッケージ化され、出荷される Red Hat 製品。Red Hat によってサポートされます。

certified-operators

registry.redhat.io/redhat/certified-operator-index:v4.10

大手独立系ソフトウェアベンダー (ISV) の製品。Red Hat は ISV とのパートナーシップにより、パッケージ化および出荷を行います。ISV によってサポートされます。

redhat-marketplace

registry.redhat.io/redhat/redhat-marketplace-index:v4.10

Red Hat Marketplace から購入できる認定ソフトウェア。

community-operators

registry.redhat.io/redhat/community-operator-index:v4.10

redhat-openshift-ecosystem/community-operators-prod/operators GitHub リポジトリーで、関連する担当者によって保守されているソフトウェア。正式なサポートはありません。

クラスターのアップグレード時に、Red Hat が提供するデフォルトのカタログソースのインデックスイメージのタグは、Operator Lifecycle Manager (OLM) が最新版のカタログをプルするように、Cluster Version Operator (CVO) により自動更新されます。たとえば、OpenShift Container Platform 4.8 から 4.9 にアップグレードする場合には、redhat-operators カタログの CatalogSource オブジェクトの spec.image フィールドは、以下から更新されます。

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.8

以下のように変更します。

registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.9

2.7. CRD

2.7.1. カスタムリソース定義による Kubernetes API の拡張

Operator は Kubernetes の拡張メカニズムであるカスタムリソース定義 (CRD) を使用するため、Operator によって管理されるカスタムオブジェクトは、組み込み済みのネイティブ Kubernetes オブジェクトのように表示され、機能します。以下では、CRD を作成し、管理することで、クラスター管理者が OpenShift Container Platform クラスターをどのように拡張できるかについて説明します。

2.7.1.1. カスタムリソース定義

Kubernetes API では、リソース は特定の種類の API オブジェクトのコレクションを保管するエンドポイントです。たとえば、ビルトインされた Pods リソースには、Pod オブジェクトのコレクションが含まれます。

カスタムリソース定義 (CRD) オブジェクトは、クラスター内に新規の固有オブジェクト kind を定義し、Kubernetes API サーバーにそのライフサイクル全体を処理させます。

カスタムリソース (CR) オブジェクトは、クラスター管理者によってクラスターに追加された CRD から作成され、すべてのクラスターユーザーが新規リソースタイプをプロジェクトに追加できるようにします。

クラスター管理者が新規 CRD をクラスターに追加する際に、Kubernetes API サーバーは、クラスター全体または単一プロジェクト (namespace) によってアクセスできる新規の RESTful リソースパスを作成することによって応答し、指定された CR を提供し始めます。

CRD へのアクセスを他のユーザーに付与する必要のあるクラスター管理者は、クラスターロールの集計を使用して adminedit、または view のデフォルトクラスターロールを持つユーザーにアクセスを付与できます。また、クラスターロールの集計により、カスタムポリシールールをこれらのクラスターロールに挿入することができます。この動作は、新規リソースを組み込み型のインリソースであるかのようにクラスターの RBAC ポリシーに統合します。

Operator はとりわけ CRD を必要な RBAC ポリシーおよび他のソフトウェア固有のロジックでパッケージ化することで CRD を利用します。またクラスター管理者は、Operator のライフサイクル外にあるクラスターに CRD を手動で追加でき、これらをすべてのユーザーに利用可能にすることができます。

注記

クラスター管理者のみが CRD を作成できる一方で、開発者は CRD への読み取りおよび書き込みパーミッションがある場合には、既存の CRD から CR を作成することができます。

2.7.1.2. カスタムリソース定義の作成

カスタムリソース (CR) オブジェクトを作成するには、クラスター管理者はまずカスタムリソース定義 (CRD) を作成する必要があります。

前提条件

  • cluster-admin ユーザー権限を使用した OpenShift Container Platform クラスターへのアクセス

手順

CRD を作成するには、以下を実行します。

  1. 以下の例のようなフィールドタイプを含む YAML ファイルを作成します。

    CRD の YAML ファイルの例

    apiVersion: apiextensions.k8s.io/v1 1
    kind: CustomResourceDefinition
    metadata:
      name: crontabs.stable.example.com 2
    spec:
      group: stable.example.com 3
      versions:
        name: v1 4
      scope: Namespaced 5
      names:
        plural: crontabs 6
        singular: crontab 7
        kind: CronTab 8
        shortNames:
        - ct 9

    1
    apiextensions.k8s.io/v1 API を使用します。
    2
    定義の名前を指定します。これは group および plural フィールドの値を使用する <plural-name>.<group> 形式である必要があります。
    3
    API のグループ名を指定します。API グループは、論理的に関連付けられるオブジェクトのコレクションです。たとえば、Job または ScheduledJob などのすべてのバッチオブジェクトはバッチ API グループ (batch.api.example.com など) である可能性があります。組織の完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用することが奨励されます。
    4
    URL で使用されるバージョン名を指定します。それぞれの API グループは複数バージョンに存在させることができます (例: v1alphav1betav1)。
    5
    カスタムオブジェクトがクラスター (Cluster) の 1 つのプロジェクト (Namespaced) またはすべてのプロジェクトで利用可能であるかどうかを指定します。
    6
    URL で使用される複数形の名前を指定します。plural フィールドは API URL のリソースと同じになります。
    7
    CLI および表示用にエイリアスとして使用される単数形の名前を指定します。
    8
    作成できるオブジェクトの種類を指定します。タイプは CamelCase にすることができます。
    9
    CLI でリソースに一致する短い文字列を指定します。
    注記

    デフォルトで、CRD のスコープはクラスターで設定され、すべてのプロジェクトで利用可能です。

  2. CRD オブジェクトを作成します。

    $ oc create -f <file_name>.yaml

    新規の RESTful API エンドポイントは以下のように作成されます。

    /apis/<spec:group>/<spec:version>/<scope>/*/<names-plural>/...

    たとえば、サンプルファイルを使用すると、以下のエンドポイントが作成されます。

    /apis/stable.example.com/v1/namespaces/*/crontabs/...

    このエンドポイント URL を使用して CR を作成し、管理できます。オブジェクト kind は、作成した CRD オブジェクトの spec.kind フィールドに基づいています。

2.7.1.3. カスタムリソース定義のクラスターロールの作成

クラスター管理者は、既存のクラスタースコープのカスタムリソース定義 (CRD) にパーミッションを付与できます。adminedit、および view のデフォルトクラスターロールを使用する場合、これらのルールについてクラスターロールの集計を利用できます。

重要

これらのロールのいずれかにパーミッションを付与する際は、明示的に付与する必要があります。より多くのパーミッションを持つロールはより少ないパーミッションを持つロールからルールを継承しません。ルールをあるロールに割り当てる場合、より多くのパーミッションを持つロールにもその動詞を割り当てる必要もあります。たとえば、get crontabs パーミッションを表示ロールに付与する場合、これを edit および admin ロールにも付与する必要があります。admin または edit ロールは通常、プロジェクトテンプレートでプロジェクトを作成したユーザーに割り当てられます。

前提条件

  • CRD を作成します。

手順

  1. CRD のクラスターロール定義ファイルを作成します。クラスターロール定義は、各クラスターロールに適用されるルールが含まれる YAML ファイルです。OpenShift Container Platform Controller はデフォルトクラスターロールに指定するルールを追加します。

    カスタムロール定義の YAML ファイルの例

    kind: ClusterRole
    apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1 1
    metadata:
      name: aggregate-cron-tabs-admin-edit 2
      labels:
        rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-admin: "true" 3
        rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-edit: "true" 4
    rules:
    - apiGroups: ["stable.example.com"] 5
      resources: ["crontabs"] 6
      verbs: ["get", "list", "watch", "create", "update", "patch", "delete", "deletecollection"] 7
    ---
    kind: ClusterRole
    apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
    metadata:
      name: aggregate-cron-tabs-view 8
      labels:
        # Add these permissions to the "view" default role.
        rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-view: "true" 9
        rbac.authorization.k8s.io/aggregate-to-cluster-reader: "true" 10
    rules:
    - apiGroups: ["stable.example.com"] 11
      resources: ["crontabs"] 12
      verbs: ["get", "list", "watch"] 13

    1
    rbac.authorization.k8s.io/v1 API を使用します。
    2 8
    定義の名前を指定します。
    3
    パーミッションを管理のデフォルトロールに付与するためにこのラベルを指定します。
    4
    パーミッションを編集のデフォルトロールに付与するためにこのラベルを指定します。
    5 11
    CRD のグループ名を指定します
    6 12
    これらのルールが適用される CRD の複数形の名前を指定します。
    7 13
    ロールに付与されるパーミッションを表す動詞を指定します。たとえば、読み取りおよび書き込みパーミッションを admin および edit ロールに適用し、読み取り専用パーミッションを view ロールに適用します。
    9
    パーミッションを view のデフォルトロールに付与するためにこのラベルを指定します。
    10
    パーミッションを cluster-reader のデフォルトロールに付与するためにこのラベルを指定します。
  2. クラスターロールを作成します。

    $ oc create -f <file_name>.yaml
2.7.1.4. ファイルからのカスタムリソースの作成

カスタムリソース定義 (CRD) がクラスターに追加された後に、カスタムリソース (CR) は CR 仕様を使用するファイルを使用して CLI で作成できます。

前提条件

  • CRD がクラスター管理者によってクラスターに追加されている。

手順

  1. CR の YAML ファイルを作成します。以下の定義例では、cronSpecimage のカスタムフィールドが Kind: CronTab の CR に設定されます。この Kind は、CRD オブジェクトの spec.kind フィールドから取得されます。

    CR の YAML ファイルサンプル

    apiVersion: "stable.example.com/v1" 1
    kind: CronTab 2
    metadata:
      name: my-new-cron-object 3
      finalizers: 4
      - finalizer.stable.example.com
    spec: 5
      cronSpec: "* * * * /5"
      image: my-awesome-cron-image

    1
    CRD からグループ名および API バージョン (name/version) を指定します。
    2
    CRD にタイプを指定します。
    3
    オブジェクトの名前を指定します。
    4
    オブジェクトの ファイナライザー を指定します (ある場合)。ファイナライザーは、コントローラーがオブジェクトの削除前に完了する必要のある条件を実装できるようにします。
    5
    オブジェクトのタイプに固有の条件を指定します。
  2. ファイルの作成後に、オブジェクトを作成します。

    $ oc create -f <file_name>.yaml
2.7.1.5. カスタムリソースの検査

CLI を使用してクラスターに存在するカスタムリソース (CR) オブジェクトを検査できます。

前提条件

  • CR オブジェクトがアクセスできる namespace にあること。

手順

  1. CR の特定の kind についての情報を取得するには、以下を実行します。

    $ oc get <kind>

    以下に例を示します。

    $ oc get crontab

    出力例

    NAME                 KIND
    my-new-cron-object   CronTab.v1.stable.example.com

    リソース名では大文字と小文字が区別されず、CRD で定義される単数形または複数形のいずれか、および任意の短縮名を指定できます。以下に例を示します。

    $ oc get crontabs
    $ oc get crontab
    $ oc get ct
  2. CR の未加工の YAML データを確認することもできます。

    $ oc get <kind> -o yaml

    以下に例を示します。

    $ oc get ct -o yaml

    出力例

    apiVersion: v1
    items:
    - apiVersion: stable.example.com/v1
      kind: CronTab
      metadata:
        clusterName: ""
        creationTimestamp: 2017-05-31T12:56:35Z
        deletionGracePeriodSeconds: null
        deletionTimestamp: null
        name: my-new-cron-object
        namespace: default
        resourceVersion: "285"
        selfLink: /apis/stable.example.com/v1/namespaces/default/crontabs/my-new-cron-object
        uid: 9423255b-4600-11e7-af6a-28d2447dc82b
      spec:
        cronSpec: '* * * * /5' 1
        image: my-awesome-cron-image 2

    1 2
    オブジェクトの作成に使用した YAML からのカスタムデータが表示されます。

2.7.2. カスタムリソース定義からのリソースの管理

以下では、開発者がカスタムリソース定義 (CRD) にあるカスタムリソース (CR) をどのように管理できるかについて説明します。

2.7.2.1. カスタムリソース定義

Kubernetes API では、リソース は特定の種類の API オブジェクトのコレクションを保管するエンドポイントです。たとえば、ビルトインされた Pods リソースには、Pod オブジェクトのコレクションが含まれます。

カスタムリソース定義 (CRD) オブジェクトは、クラスター内に新規の固有オブジェクト kind を定義し、Kubernetes API サーバーにそのライフサイクル全体を処理させます。

カスタムリソース (CR) オブジェクトは、クラスター管理者によってクラスターに追加された CRD から作成され、すべてのクラスターユーザーが新規リソースタイプをプロジェクトに追加できるようにします。

Operator はとりわけ CRD を必要な RBAC ポリシーおよび他のソフトウェア固有のロジックでパッケージ化することで CRD を利用します。またクラスター管理者は、Operator のライフサイクル外にあるクラスターに CRD を手動で追加でき、これらをすべてのユーザーに利用可能にすることができます。

注記

クラスター管理者のみが CRD を作成できる一方で、開発者は CRD への読み取りおよび書き込みパーミッションがある場合には、既存の CRD から CR を作成することができます。

2.7.2.2. ファイルからのカスタムリソースの作成

カスタムリソース定義 (CRD) がクラスターに追加された後に、カスタムリソース (CR) は CR 仕様を使用するファイルを使用して CLI で作成できます。

前提条件

  • CRD がクラスター管理者によってクラスターに追加されている。

手順

  1. CR の YAML ファイルを作成します。以下の定義例では、cronSpecimage のカスタムフィールドが Kind: CronTab の CR に設定されます。この Kind は、CRD オブジェクトの spec.kind フィールドから取得されます。

    CR の YAML ファイルサンプル

    apiVersion: "stable.example.com/v1" 1
    kind: CronTab 2
    metadata:
      name: my-new-cron-object 3
      finalizers: 4
      - finalizer.stable.example.com
    spec: 5
      cronSpec: "* * * * /5"
      image: my-awesome-cron-image

    1
    CRD からグループ名および API バージョン (name/version) を指定します。
    2
    CRD にタイプを指定します。
    3
    オブジェクトの名前を指定します。
    4
    オブジェクトの ファイナライザー を指定します (ある場合)。ファイナライザーは、コントローラーがオブジェクトの削除前に完了する必要のある条件を実装できるようにします。
    5
    オブジェクトのタイプに固有の条件を指定します。
  2. ファイルの作成後に、オブジェクトを作成します。

    $ oc create -f <file_name>.yaml
2.7.2.3. カスタムリソースの検査

CLI を使用してクラスターに存在するカスタムリソース (CR) オブジェクトを検査できます。

前提条件

  • CR オブジェクトがアクセスできる namespace にあること。

手順

  1. CR の特定の kind についての情報を取得するには、以下を実行します。

    $ oc get <kind>

    以下に例を示します。

    $ oc get crontab

    出力例

    NAME                 KIND
    my-new-cron-object   CronTab.v1.stable.example.com

    リソース名では大文字と小文字が区別されず、CRD で定義される単数形または複数形のいずれか、および任意の短縮名を指定できます。以下に例を示します。

    $ oc get crontabs
    $ oc get crontab
    $ oc get ct
  2. CR の未加工の YAML データを確認することもできます。

    $ oc get <kind> -o yaml

    以下に例を示します。

    $ oc get ct -o yaml

    出力例

    apiVersion: v1
    items:
    - apiVersion: stable.example.com/v1
      kind: CronTab
      metadata:
        clusterName: ""
        creationTimestamp: 2017-05-31T12:56:35Z
        deletionGracePeriodSeconds: null
        deletionTimestamp: null
        name: my-new-cron-object
        namespace: default
        resourceVersion: "285"
        selfLink: /apis/stable.example.com/v1/namespaces/default/crontabs/my-new-cron-object
        uid: 9423255b-4600-11e7-af6a-28d2447dc82b
      spec:
        cronSpec: '* * * * /5' 1
        image: my-awesome-cron-image 2

    1 2
    オブジェクトの作成に使用した YAML からのカスタムデータが表示されます。

第3章 ユーザータスク

3.1. インストールされた Operator からのアプリケーションの作成

以下では、開発者を対象に、OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して、インストールされた Operator からアプリケーションを作成する例を示します。

3.1.1. Operator を使用した etcd クラスターの作成

この手順では、Operator Lifecycle Manager (OLM) で管理される etcd Operator を使用した新規 etcd クラスターの作成について説明します。

前提条件

  • OpenShift Container Platform 4.10 クラスターへのアクセス
  • 管理者によってクラスター全体に etcd Operator がすでにインストールされている。

手順

  1. この手順を実行するために OpenShift Container Platform Web コンソールで新規プロジェクトを作成します。この例では、my-etcd というプロジェクトを使用します。
  2. Operators → Installed Operators ページに移動します。クラスター管理者によってクラスターにインストールされ、使用可能にされた Operator がクラスターサービスバージョン (CSV) の一覧としてここに表示されます。CSV は Operator によって提供されるソフトウェアを起動し、管理するために使用されます。

    ヒント

    以下を使用して、CLI でこの一覧を取得できます。

    $ oc get csv
  3. Installed Operators ページで、etcd Operator をクリックして詳細情報および選択可能なアクションを表示します。

    Provided APIs に表示されているように、この Operator は 3 つの新規リソースタイプを利用可能にします。これには、etcd クラスター (EtcdCluster リソース) のタイプが含まれます。これらのオブジェクトは、Deployment または ReplicaSet などの組み込み済みのネイティブ Kubernetes オブジェクトと同様に機能しますが、これらには etcd を管理するための固有のロジックが含まれます。

  4. 新規 etcd クラスターを作成します。

    1. etcd Cluster API ボックスで、Create instance をクリックします。
    2. 次の画面では、クラスターのサイズなど EtcdCluster オブジェクトのテンプレートを起動する最小条件への変更を加えることができます。ここでは Create をクリックして確定します。これにより、Operator がトリガーされ、Pod、サービス、および新規 etcd クラスターの他のコンポーネントが起動します。
  5. example etcd クラスターをクリックしてから Resources タブをクリックして、プロジェクトに Operator によって自動的に作成され、設定された数多くのリソースが含まれることを確認します。

    Kubernetes サービスが作成され、プロジェクトの他の Pod からデータベースにアクセスできることを確認します。

  6. 所定プロジェクトで edit ロールを持つすべてのユーザーは、クラウドサービスのようにセルフサービス方式でプロジェクトにすでに作成されている Operator によって管理されるアプリケーションのインスタンス (この例では etcd クラスター) を作成し、管理し、削除することができます。この機能を持つ追加のユーザーを有効にする必要がある場合、プロジェクト管理者は以下のコマンドを使用してこのロールを追加できます。

    $ oc policy add-role-to-user edit <user> -n <target_project>

これで、etcd クラスターは Pod が正常でなくなったり、クラスターのノード間で移行する際の障害に対応し、データのリバランスを行います。最も重要な点として、適切なアクセスを持つクラスター管理者または開発者は独自のアプリケーションでデータベースを簡単に使用できるようになります。

3.2. namespace への Operator のインストール

クラスター管理者が Operator のインストールパーミッションをお使いのアカウントに委任している場合、セルフサービス方式で Operator をインストールし、これを namespace にサブスクライブできます。

3.2.1. 前提条件

3.2.2. OperatorHub を使用した Operator のインストールについて

OperatorHub は Operator を検出するためのユーザーインターフェイスです。これは Operator Lifecycle Manager (OLM) と連携し、クラスター上で Operator をインストールし、管理します。

適切なパーミッションを持つユーザーとして、OpenShift Container Platform Web コンソールまたは CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。

インストール時に、Operator の以下の初期設定を判別する必要があります。

インストールモード
Operator をインストールする特定の namespace を選択します。
更新チャネル
Operator が複数のチャネルで利用可能な場合、サブスクライブするチャネルを選択できます。たとえば、(利用可能な場合に) stable チャネルからデプロイするには、これを一覧から選択します。
承認ストラテジー

自動 (Automatic) または手動 (Manual) のいずれかの更新を選択します。

インストールされた Operator について自動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが選択されたチャネルで利用可能になると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は人の介入なしに、Operator の実行中のインスタンスを自動的にアップグレードします。

手動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが利用可能になると、OLM は更新要求を作成します。クラスター管理者は、Operator が新規バージョンに更新されるように更新要求を手動で承認する必要があります。

3.2.3. Web コンソールを使用した OperatorHub からのインストール

OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して OperatorHub から Operator をインストールし、これをサブスクライブできます。

前提条件

  • Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。

手順

  1. Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
  2. スクロールするか、キーワードを Filter by keyword ボックスに入力し、必要な Operator を見つけます。たとえば、Advanced Cluster Management for Kubernetes Operator を検索するには advanced を入力します。

    また、インフラストラクチャー機能 でオプションをフィルターすることもできます。たとえば、非接続環境 (ネットワークが制限された環境ともしても知られる) で機能する Operator を表示するには、Disconnected を選択します。

  3. Operator を選択して、追加情報を表示します。

    注記

    コミュニティー Operator を選択すると、Red Hat がコミュニティー Operator を認定していないことを警告します。続行する前に警告を確認する必要があります。

  4. Operator についての情報を確認してから、Install をクリックします。
  5. Install Operator ページで以下を行います。

    1. Operator をインストールする特定の単一 namespace を選択します。Operator は監視のみを実行し、この単一 namespace で使用されるように利用可能になります。
    2. Update Channel を選択します (複数を選択できる場合)。
    3. 前述のように、自動 (Automatic) または 手動 (Manual) の承認ストラテジーを選択します。
  6. Install をクリックし、Operator をこの OpenShift Container Platform クラスターの選択した namespace で利用可能にします。

    1. 手動 の承認ストラテジーを選択している場合、サブスクリプションのアップグレードステータスは、そのインストール計画を確認し、承認するまで Upgrading のままになります。

      Install Plan ページでの承認後に、サブスクリプションのアップグレードステータスは Up to date に移行します。

    2. 自動 の承認ストラテジーを選択している場合、アップグレードステータスは、介入なしに Up to date に解決するはずです。
  7. サブスクリプションのアップグレードステータスが Up to date になった後に、Operators → Installed Operators を選択し、インストールされた Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) が表示されることを確認します。その Status は最終的に関連する namespace で InstallSucceeded に解決するはずです。

    注記

    All namespaces…​ インストールモードの場合、ステータスは openshift-operators namespace で InstallSucceeded になりますが、他の namespace でチェックする場合、ステータスは Copied になります。

    上記通りにならない場合、以下を実行します。

    1. さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、openshift-operators プロジェクト (または A specific namespace…​ インストールモードが選択されている場合は他の関連の namespace) の Pod のログを確認します。

3.2.4. CLI を使用した OperatorHub からのインストール

OpenShift Container Platform Web コンソールを使用する代わりに、CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。oc コマンドを使用して、Subscription オブジェクトを作成または更新します。

前提条件

  • Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
  • oc コマンドをローカルシステムにインストールする。

手順

  1. OperatorHub からクラスターで利用できる Operator の一覧を表示します。

    $ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace

    出力例

    NAME                               CATALOG               AGE
    3scale-operator                    Red Hat Operators     91m
    advanced-cluster-management        Red Hat Operators     91m
    amq7-cert-manager                  Red Hat Operators     91m
    ...
    couchbase-enterprise-certified     Certified Operators   91m
    crunchy-postgres-operator          Certified Operators   91m
    mongodb-enterprise                 Certified Operators   91m
    ...
    etcd                               Community Operators   91m
    jaeger                             Community Operators   91m
    kubefed                            Community Operators   91m
    ...

    必要な Operator のカタログをメモします。

  2. 必要な Operator を検査して、サポートされるインストールモードおよび利用可能なチャネルを確認します。

    $ oc describe packagemanifests <operator_name> -n openshift-marketplace
  3. OperatorGroup で定義される Operator グループは、Operator グループと同じ namespace 内のすべての Operator に必要な RBAC アクセスを生成するターゲット namespace を選択します。

    Operator をサブスクライブする namespace には、Operator のインストールモードに一致する Operator グループが必要になります (AllNamespaces または SingleNamespace モードのいずれか)。インストールする Operator が AllNamespaces を使用する場合、 openshift-operators namespace には適切な Operator グループがすでに配置されます。

    ただし、Operator が SingleNamespace モードを使用し、適切な Operator グループがない場合、それらを作成する必要があります。

    注記

    この手順の Web コンソールバージョンでは、SingleNamespace モードを選択する際に、OperatorGroup および Subscription オブジェクトの作成を背後で自動的に処理します。

    1. OperatorGroup オブジェクト YAML ファイルを作成します (例: operatorgroup.yaml)。

      OperatorGroup オブジェクトのサンプル

      apiVersion: operators.coreos.com/v1
      kind: OperatorGroup
      metadata:
        name: <operatorgroup_name>
        namespace: <namespace>
      spec:
        targetNamespaces:
        - <namespace>

    2. OperatorGroup オブジェクトを作成します。

      $ oc apply -f operatorgroup.yaml
  4. Subscription オブジェクトの YAML ファイルを作成し、namespace を Operator にサブスクライブします (例: sub.yaml)。

    Subscription オブジェクトの例

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: <subscription_name>
      namespace: openshift-operators 1
    spec:
      channel: <channel_name> 2
      name: <operator_name> 3
      source: redhat-operators 4
      sourceNamespace: openshift-marketplace 5
      config:
        env: 6
        - name: ARGS
          value: "-v=10"
        envFrom: 7
        - secretRef:
            name: license-secret
        volumes: 8
        - name: <volume_name>
          configMap:
            name: <configmap_name>
        volumeMounts: 9
        - mountPath: <directory_name>
          name: <volume_name>
        tolerations: 10
        - operator: "Exists"
        resources: 11
          requests:
            memory: "64Mi"
            cpu: "250m"
          limits:
            memory: "128Mi"
            cpu: "500m"
        nodeSelector: 12
          foo: bar

    1
    AllNamespaces インストールモードの使用については、openshift-operators namespace を指定します。それ以外の場合は、SingleNamespace インストールモードの使用について関連する単一の namespace を指定します。
    2
    サブスクライブするチャネルの名前。
    3
    サブスクライブする Operator の名前。
    4
    Operator を提供するカタログソースの名前。
    5
    カタログソースの namespace。デフォルトの OperatorHub カタログソースには openshift-marketplace を使用します。
    6
    env パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要がある環境変数の一覧を定義します。
    7
    envFrom パラメーターは、コンテナーの環境変数に反映するためのソースの一覧を定義します。
    8
    volumes パラメーターは、OLM によって作成される Pod に存在する必要があるボリュームの一覧を定義します。
    9
    volumeMounts パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要があるボリュームマウントの一覧を定義します。volumeMount が存在しない ボリューム を参照する場合、OLM は Operator のデプロイに失敗します。
    10
    tolerations パラメーターは、OLM によって作成される Pod の容認の一覧を定義します。
    11
    resources パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーのリソース制約を定義します。
    12
    nodeSelector パラメーターは、OLM によって作成される Pod の ノードセレクター を定義します。
  5. Subscription オブジェクトを作成します。

    $ oc apply -f sub.yaml

    この時点で、OLM は選択した Operator を認識します。Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) はターゲット namespace に表示され、Operator で指定される API は作成用に利用可能になります。

3.2.5. Operator の特定バージョンのインストール

Subscription オブジェクトにクラスターサービスバージョン (CSV) を設定して Operator の特定バージョンをインストールできます。

前提条件

  • Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストール済みであること。

手順

  1. startingCSV フィールドを設定し、特定バージョンの Operator に namespace をサブスクライブする Subscription オブジェクト YAML ファイルを作成します。installPlanApproval フィールドを Manual に設定し、Operator の新しいバージョンがカタログに存在する場合に Operator が自動的にアップグレードされないようにします。

    たとえば、以下の sub.yaml ファイルを使用して、バージョン 3.4.0 に固有の Red Hat Quay Operator をインストールすることができます。

    最初にインストールする特定の Operator バージョンのあるサブスクリプション

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: quay-operator
      namespace: quay
    spec:
      channel: quay-v3.4
      installPlanApproval: Manual 1
      name: quay-operator
      source: redhat-operators
      sourceNamespace: openshift-marketplace
      startingCSV: quay-operator.v3.4.0 2

    1
    指定したバージョンがカタログの新しいバージョンに置き換えられる場合に備えて、承認ストラテジーを Manual に設定します。これにより、新しいバージョンへの自動アップグレードが阻止され、最初の CSV のインストールが完了する前に手動での承認が必要となります。
    2
    Operator CSV の特定バージョンを設定します。
  2. Subscription オブジェクトを作成します。

    $ oc apply -f sub.yaml
  3. 保留中のインストール計画を手動で承認し、Operator のインストールを完了します。

第4章 管理者タスク

4.1. Operator のクラスターへの追加

クラスター管理者は、OperatorHub を使用して Operator を namespace にサブスクライブすることで、Operator を OpenShift Container Platform クラスターにインストールすることができます。

4.1.1. OperatorHub を使用した Operator のインストールについて

OperatorHub は Operator を検出するためのユーザーインターフェイスです。これは Operator Lifecycle Manager (OLM) と連携し、クラスター上で Operator をインストールし、管理します。

適切なパーミッションを持つユーザーとして、OpenShift Container Platform Web コンソールまたは CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。

インストール時に、Operator の以下の初期設定を判別する必要があります。

インストールモード
Operator をインストールする特定の namespace を選択します。
更新チャネル
Operator が複数のチャネルで利用可能な場合、サブスクライブするチャネルを選択できます。たとえば、(利用可能な場合に) stable チャネルからデプロイするには、これを一覧から選択します。
承認ストラテジー

自動 (Automatic) または手動 (Manual) のいずれかの更新を選択します。

インストールされた Operator について自動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが選択されたチャネルで利用可能になると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は人の介入なしに、Operator の実行中のインスタンスを自動的にアップグレードします。

手動更新を選択する場合、Operator の新規バージョンが利用可能になると、OLM は更新要求を作成します。クラスター管理者は、Operator が新規バージョンに更新されるように更新要求を手動で承認する必要があります。

4.1.2. Web コンソールを使用した OperatorHub からのインストール

OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して OperatorHub から Operator をインストールし、これをサブスクライブできます。

前提条件

  • cluster-admin パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
  • Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。

手順

  1. Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
  2. スクロールするか、キーワードを Filter by keyword ボックスに入力し、必要な Operator を見つけます。たとえば、Advanced Cluster Management for Kubernetes Operator を検索するには advanced を入力します。

    また、インフラストラクチャー機能 でオプションをフィルターすることもできます。たとえば、非接続環境 (ネットワークが制限された環境ともしても知られる) で機能する Operator を表示するには、Disconnected を選択します。

  3. Operator を選択して、追加情報を表示します。

    注記

    コミュニティー Operator を選択すると、Red Hat がコミュニティー Operator を認定していないことを警告します。続行する前に警告を確認する必要があります。

  4. Operator についての情報を確認してから、Install をクリックします。
  5. Install Operator ページで以下を行います。

    1. 以下のいずれかを選択します。

      • All namespaces on the cluster (default) は、デフォルトの openshift-operators namespace で Operator をインストールし、クラスターのすべての namespace を監視し、Operator をこれらの namespace に対して利用可能にします。このオプションは常に選択可能です。
      • A specific namespace on the cluster では、Operator をインストールする特定の単一 namespace を選択できます。Operator は監視のみを実行し、この単一 namespace で使用されるように利用可能になります。
    2. Operator をインストールする特定の単一 namespace を選択します。Operator は監視のみを実行し、この単一 namespace で使用されるように利用可能になります。
    3. Update Channel を選択します (複数を選択できる場合)。
    4. 前述のように、自動 (Automatic) または 手動 (Manual) の承認ストラテジーを選択します。
  6. Install をクリックし、Operator をこの OpenShift Container Platform クラスターの選択した namespace で利用可能にします。

    1. 手動 の承認ストラテジーを選択している場合、サブスクリプションのアップグレードステータスは、そのインストール計画を確認し、承認するまで Upgrading のままになります。

      Install Plan ページでの承認後に、サブスクリプションのアップグレードステータスは Up to date に移行します。

    2. 自動 の承認ストラテジーを選択している場合、アップグレードステータスは、介入なしに Up to date に解決するはずです。
  7. サブスクリプションのアップグレードステータスが Up to date になった後に、Operators → Installed Operators を選択し、インストールされた Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) が表示されることを確認します。その Status は最終的に関連する namespace で InstallSucceeded に解決するはずです。

    注記

    All namespaces…​ インストールモードの場合、ステータスは openshift-operators namespace で InstallSucceeded になりますが、他の namespace でチェックする場合、ステータスは Copied になります。

    上記通りにならない場合、以下を実行します。

    1. さらにトラブルシューティングを行うために問題を報告している Workloads → Pods ページで、openshift-operators プロジェクト (または A specific namespace…​ インストールモードが選択されている場合は他の関連の namespace) の Pod のログを確認します。

4.1.3. CLI を使用した OperatorHub からのインストール

OpenShift Container Platform Web コンソールを使用する代わりに、CLI を使用して OperatorHub から Operator をインストールできます。oc コマンドを使用して、Subscription オブジェクトを作成または更新します。

前提条件

  • Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
  • oc コマンドをローカルシステムにインストールする。

手順

  1. OperatorHub からクラスターで利用できる Operator の一覧を表示します。

    $ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace

    出力例

    NAME                               CATALOG               AGE
    3scale-operator                    Red Hat Operators     91m
    advanced-cluster-management        Red Hat Operators     91m
    amq7-cert-manager                  Red Hat Operators     91m
    ...
    couchbase-enterprise-certified     Certified Operators   91m
    crunchy-postgres-operator          Certified Operators   91m
    mongodb-enterprise                 Certified Operators   91m
    ...
    etcd                               Community Operators   91m
    jaeger                             Community Operators   91m
    kubefed                            Community Operators   91m
    ...

    必要な Operator のカタログをメモします。

  2. 必要な Operator を検査して、サポートされるインストールモードおよび利用可能なチャネルを確認します。

    $ oc describe packagemanifests <operator_name> -n openshift-marketplace
  3. OperatorGroup で定義される Operator グループは、Operator グループと同じ namespace 内のすべての Operator に必要な RBAC アクセスを生成するターゲット namespace を選択します。

    Operator をサブスクライブする namespace には、Operator のインストールモードに一致する Operator グループが必要になります (AllNamespaces または SingleNamespace モードのいずれか)。インストールする Operator が AllNamespaces を使用する場合、 openshift-operators namespace には適切な Operator グループがすでに配置されます。

    ただし、Operator が SingleNamespace モードを使用し、適切な Operator グループがない場合、それらを作成する必要があります。

    注記

    この手順の Web コンソールバージョンでは、SingleNamespace モードを選択する際に、OperatorGroup および Subscription オブジェクトの作成を背後で自動的に処理します。

    1. OperatorGroup オブジェクト YAML ファイルを作成します (例: operatorgroup.yaml)。

      OperatorGroup オブジェクトのサンプル

      apiVersion: operators.coreos.com/v1
      kind: OperatorGroup
      metadata:
        name: <operatorgroup_name>
        namespace: <namespace>
      spec:
        targetNamespaces:
        - <namespace>

    2. OperatorGroup オブジェクトを作成します。

      $ oc apply -f operatorgroup.yaml
  4. Subscription オブジェクトの YAML ファイルを作成し、namespace を Operator にサブスクライブします (例: sub.yaml)。

    Subscription オブジェクトの例

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: <subscription_name>
      namespace: openshift-operators 1
    spec:
      channel: <channel_name> 2
      name: <operator_name> 3
      source: redhat-operators 4
      sourceNamespace: openshift-marketplace 5
      config:
        env: 6
        - name: ARGS
          value: "-v=10"
        envFrom: 7
        - secretRef:
            name: license-secret
        volumes: 8
        - name: <volume_name>
          configMap:
            name: <configmap_name>
        volumeMounts: 9
        - mountPath: <directory_name>
          name: <volume_name>
        tolerations: 10
        - operator: "Exists"
        resources: 11
          requests:
            memory: "64Mi"
            cpu: "250m"
          limits:
            memory: "128Mi"
            cpu: "500m"
        nodeSelector: 12
          foo: bar

    1
    AllNamespaces インストールモードの使用については、openshift-operators namespace を指定します。それ以外の場合は、SingleNamespace インストールモードの使用について関連する単一の namespace を指定します。
    2
    サブスクライブするチャネルの名前。
    3
    サブスクライブする Operator の名前。
    4
    Operator を提供するカタログソースの名前。
    5
    カタログソースの namespace。デフォルトの OperatorHub カタログソースには openshift-marketplace を使用します。
    6
    env パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要がある環境変数の一覧を定義します。
    7
    envFrom パラメーターは、コンテナーの環境変数に反映するためのソースの一覧を定義します。
    8
    volumes パラメーターは、OLM によって作成される Pod に存在する必要があるボリュームの一覧を定義します。
    9
    volumeMounts パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーに存在する必要があるボリュームマウントの一覧を定義します。volumeMount が存在しない ボリューム を参照する場合、OLM は Operator のデプロイに失敗します。
    10
    tolerations パラメーターは、OLM によって作成される Pod の容認の一覧を定義します。
    11
    resources パラメーターは、OLM によって作成される Pod のすべてのコンテナーのリソース制約を定義します。
    12
    nodeSelector パラメーターは、OLM によって作成される Pod の ノードセレクター を定義します。
  5. Subscription オブジェクトを作成します。

    $ oc apply -f sub.yaml

    この時点で、OLM は選択した Operator を認識します。Operator のクラスターサービスバージョン (CSV) はターゲット namespace に表示され、Operator で指定される API は作成用に利用可能になります。

4.1.4. Operator の特定バージョンのインストール

Subscription オブジェクトにクラスターサービスバージョン (CSV) を設定して Operator の特定バージョンをインストールできます。

前提条件

  • Operator インストールパーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストール済みであること。

手順

  1. startingCSV フィールドを設定し、特定バージョンの Operator に namespace をサブスクライブする Subscription オブジェクト YAML ファイルを作成します。installPlanApproval フィールドを Manual に設定し、Operator の新しいバージョンがカタログに存在する場合に Operator が自動的にアップグレードされないようにします。

    たとえば、以下の sub.yaml ファイルを使用して、バージョン 3.4.0 に固有の Red Hat Quay Operator をインストールすることができます。

    最初にインストールする特定の Operator バージョンのあるサブスクリプション

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: quay-operator
      namespace: quay
    spec:
      channel: quay-v3.4
      installPlanApproval: Manual 1
      name: quay-operator
      source: redhat-operators
      sourceNamespace: openshift-marketplace
      startingCSV: quay-operator.v3.4.0 2

    1
    指定したバージョンがカタログの新しいバージョンに置き換えられる場合に備えて、承認ストラテジーを Manual に設定します。これにより、新しいバージョンへの自動アップグレードが阻止され、最初の CSV のインストールが完了する前に手動での承認が必要となります。
    2
    Operator CSV の特定バージョンを設定します。
  2. Subscription オブジェクトを作成します。

    $ oc apply -f sub.yaml
  3. 保留中のインストール計画を手動で承認し、Operator のインストールを完了します。

4.1.5. Operator ワークロードの Pod の配置

デフォルトで、Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Operator のインストールまたはオペランドのワークロードのデプロイ時に Pod を任意のワーカーノードに配置します。管理者は、ノードセレクター、テイント、および容認 (Toleration) の組み合わせを持つプロジェクトを使用して、Operator およびオペランドの特定のノードへの配置を制御できます。

Operator およびオペランドワークロードの Pod 配置の制御には以下の前提条件があります。

  1. 要件に応じて Pod のターゲットとするノードまたはノードのセットを判別します。利用可能な場合は、単数または複数のノードを特定する node-role.kubernetes.io/app などの既存ラベルをメモします。それ以外の場合は、マシンセットを使用するか、ノードを直接編集して、myoperator などのラベルを追加します。このラベルは、後のステップでプロジェクトのノードセレクターとして使用します。
  2. 関連しないワークロードを他のノードに向けつつ、特定のラベルの付いた Pod のみがノードで実行されるようにする必要がある場合、マシンセットを使用するか、ノードを直接編集してテイントをノードに追加します。テイントに一致しない新規 Pod がノードにスケジュールされないようにする effect を使用します。たとえば、myoperator:NoSchedule テイントは、テイントに一致しない新規 Pod がノードにスケジュールされないようにしますが、ノードの既存 Pod はそのまま残ります。
  3. デフォルトのノードセレクターで設定され、テイントを追加している場合に一致する容認を持つプロジェクトを作成します。

この時点で、作成したプロジェクトでは、以下のシナリオの場合に指定されたノードに Pod を導くことができます。

Operator Pod の場合
管理者は、プロジェクトで Subscription オブジェクトを作成できます。その結果、Operator Pod は指定されたノードに配置されます。
オペランド Pod の場合
インストールされた Operator を使用して、ユーザーはプロジェクトにアプリケーションを作成できます。これにより、Operator が所有するカスタムリソース (CR) がプロジェクトに置かれます。その結果、Operator が他の namespace にクラスター全体のオブジェクトまたはリソースをデプロイしない限り、オペランド Pod は指定されたノードに配置されます。この場合、このカスタマイズされた Pod の配置は適用されません。

4.2. インストール済み Operator の更新

クラスター管理者は、OpenShift Container Platform クラスターで Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用し、以前にインストールされた Operator を更新できます。

4.2.1. Operator 更新の準備

インストールされた Operator のサブスクリプションは、Operator の更新を追跡および受信する更新チャネルを指定します。更新チャネルを変更して、新しいチャネルからの更新の追跡と受信を開始できます。

サブスクリプションの更新チャネルの名前は Operator 間で異なる可能性がありますが、命名スキーム通常、特定の Operator 内の共通の規則に従います。たとえば、チャネル名は Operator によって提供されるアプリケーションのマイナーリリース更新ストリーム (1.21.3) またはリリース頻度 (stablefast) に基づく可能性があります。

注記

インストールされた Operator は、現在のチャネルよりも古いチャネルに切り換えることはできません。

Red Hat Customer Portal Labs には、管理者が Operator の更新を準備するのに役立つ以下のアプリケーションが含まれています。

このアプリケーションを使用して、Operator Lifecycle Manager ベースの Operator を検索し、OpenShift Container Platform の異なるバージョン間で更新チャネルごとに利用可能な Operator バージョンを確認できます。Cluster Version Operator ベースの Operator は含まれません。

4.2.2. Operator の更新チャネルの変更

OpenShift Container Platform Web コンソールを使用して、Operator の更新チャネルを変更できます。

ヒント

サブスクリプションの承認ストラテジーが Automatic に設定されている場合、アップグレードプロセスは、選択したチャネルで新規 Operator バージョンが利用可能になるとすぐに開始します。承認ストラテジーが Manual に設定されている場合は、保留中のアップグレードを手動で承認する必要があります。

前提条件

  • Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされている Operator。

手順

  1. Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Operators → Installed Operators に移動します。
  2. 更新チャネルを変更する Operator の名前をクリックします。
  3. Subscription タブをクリックします。
  4. Channel の下にある更新チャネルの名前をクリックします。
  5. 変更する新しい更新チャネルをクリックし、Save をクリックします。
  6. Automatic 承認ストラテジーのあるサブスクリプションの場合、更新は自動的に開始します。Operators → Installed Operators ページに戻り、更新の進捗をモニターします。完了時に、ステータスは Succeeded および Up to date に変更されます。

    Manual 承認ストラテジーのあるサブスクリプションの場合、Subscription タブから更新を手動で承認できます。

4.2.3. 保留中の Operator 更新の手動による承認

インストールされた Operator のサブスクリプションの承認ストラテジーが Manual に設定されている場合、新規の更新が現在の更新チャネルにリリースされると、インストールを開始する前に更新を手動で承認する必要があります。

前提条件

  • Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされている Operator。

手順

  1. OpenShift Container Platform Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Operators → Installed Operators に移動します。
  2. 更新が保留中の Operator は Upgrade available のステータスを表示します。更新する Operator の名前をクリックします。
  3. Subscription タブをクリックします。承認が必要な更新は、アップグレードステータス の横に表示されます。たとえば、1 requires approval が表示される可能性があります。
  4. 1 requires approval をクリックしてから、Preview Install Plan をクリックします。
  5. 更新に利用可能なリソースとして一覧表示されているリソースを確認します。問題がなければ、Approve をクリックします。
  6. Operators → Installed Operators ページに戻り、更新の進捗をモニターします。完了時に、ステータスは Succeeded および Up to date に変更されます。

4.3. クラスターからの Operator の削除

以下では、OpenShift Container Platform クラスター上で Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して以前にインストールされた Operator を削除またはアンインストールする方法について説明します。

重要

同じ Operator の再インストールを試行する前に、Operator を正常かつ完全にアンインストールする必要があります。Operator を適切かつ完全にアンインストールできていない場合、プロジェクトや namespace などのリソースが "Terminating" ステータスでスタックし、Operator を再インストールしようとすると "error resolving resource" メッセージが表示される可能性があります。詳細は、アンインストール失敗後の Operator の再インストール を参照してください。

4.3.1. Web コンソールの使用によるクラスターからの Operator の削除

クラスター管理者は Web コンソールを使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。

前提条件

  • cluster-admin パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスター Web コンソールにアクセスできること。

手順

  1. OperatorsInstalled Operators ページに移動します。
  2. スクロールするか、キーワードを Filter by name フィールドに入力して、削除する Operator を見つけます。次に、それをクリックします。
  3. Operator Details ページの右側で、Actions 一覧から Uninstall Operator を選択します。

    Uninstall Operator? ダイアログボックスが表示されます。

  4. Uninstall を選択し、Operator、Operator デプロイメント、および Pod を削除します。このアクションの後には、Operator は実行を停止し、更新を受信しなくなります。

    注記

    このアクションは、カスタムリソース定義 (CRD) およびカスタムリソース (CR) など、Operator が管理するリソースは削除されません。Web コンソールおよび継続して実行されるクラスター外のリソースによって有効にされるダッシュボードおよびナビゲーションアイテムには、手動でのクリーンアップが必要になる場合があります。Operator のアンインストール後にこれらを削除するには、Operator CRD を手動で削除する必要があります。

4.3.2. CLI の使用によるクラスターからの Operator の削除

クラスター管理者は CLI を使用して、選択した namespace からインストールされた Operator を削除できます。

前提条件

  • cluster-admin パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
  • oc コマンドがワークステーションにインストールされていること。

手順

  1. サブスクライブされた Operator (例: jaeger) の現行バージョンを currentCSV フィールドで確認します。

    $ oc get subscription jaeger -n openshift-operators -o yaml | grep currentCSV

    出力例

      currentCSV: jaeger-operator.v1.8.2

  2. サブスクリプション (例: jaeger) を削除します。

    $ oc delete subscription jaeger -n openshift-operators

    出力例

    subscription.operators.coreos.com "jaeger" deleted

  3. 直前の手順で currentCSV 値を使用し、ターゲット namespace の Operator の CSV を削除します。

    $ oc delete clusterserviceversion jaeger-operator.v1.8.2 -n openshift-operators

    出力例

    clusterserviceversion.operators.coreos.com "jaeger-operator.v1.8.2" deleted

4.3.3. 障害のあるサブスクリプションの更新

Operator Lifecycle Manager (OLM) で、ネットワークでアクセスできないイメージを参照する Operator をサブスクライブする場合、以下のエラーを出して失敗した openshift-marketplace namespace でジョブを見つけることができます。

出力例

ImagePullBackOff for
Back-off pulling image "example.com/openshift4/ose-elasticsearch-operator-bundle@sha256:6d2587129c846ec28d384540322b40b05833e7e00b25cca584e004af9a1d292e"

出力例

rpc error: code = Unknown desc = error pinging docker registry example.com: Get "https://example.com/v2/": dial tcp: lookup example.com on 10.0.0.1:53: no such host

その結果、サブスクリプションはこの障害のある状態のままとなり、Operator はインストールまたはアップグレードを実行できません。

サブスクリプション、クラスターサービスバージョン (CSV) その他の関連オブジェクトを削除して、障害のあるサブスクリプションを更新できます。サブスクリプションを再作成した後に、OLM は Operator の正しいバージョンを再インストールします。

前提条件

  • アクセス不可能なバンドルイメージをプルできない障害のあるサブスクリプションがある。
  • 正しいバンドルイメージにアクセスできることを確認している。

手順

  1. Operator がインストールされている namespace から Subscription および ClusterServiceVersion オブジェクトの名前を取得します。

    $ oc get sub,csv -n <namespace>

    出力例

    NAME                                                       PACKAGE                  SOURCE             CHANNEL
    subscription.operators.coreos.com/elasticsearch-operator   elasticsearch-operator   redhat-operators   5.0
    
    NAME                                                                         DISPLAY                            VERSION    REPLACES   PHASE
    clusterserviceversion.operators.coreos.com/elasticsearch-operator.5.0.0-65   OpenShift Elasticsearch Operator   5.0.0-65              Succeeded

  2. サブスクリプションを削除します。

    $ oc delete subscription <subscription_name> -n <namespace>
  3. クラスターサービスバージョンを削除します。

    $ oc delete csv <csv_name> -n <namespace>
  4. openshift-marketplace namespace の失敗したジョブおよび関連する設定マップの名前を取得します。

    $ oc get job,configmap -n openshift-marketplace

    出力例

    NAME                                                                        COMPLETIONS   DURATION   AGE
    job.batch/1de9443b6324e629ddf31fed0a853a121275806170e34c926d69e53a7fcbccb   1/1           26s        9m30s
    
    NAME                                                                        DATA   AGE
    configmap/1de9443b6324e629ddf31fed0a853a121275806170e34c926d69e53a7fcbccb   3      9m30s

  5. ジョブを削除します。

    $ oc delete job <job_name> -n openshift-marketplace

    これにより、アクセスできないイメージのプルを試行する Pod は再作成されなくなります。

  6. 設定マップを削除します。

    $ oc delete configmap <configmap_name> -n openshift-marketplace
  7. Web コンソールの OperatorHub を使用した Operator の再インストール

検証

  • Operator が正常に再インストールされていることを確認します。

    $ oc get sub,csv,installplan -n <namespace>

4.4. Operator Lifecycle Manager 機能の設定

Operator Lifecycle Manager (OLM) コントローラーは、cluster という名前の OLMConfig カスタムリソース (CR) で設定されます。クラスター管理者は、このリソースを変更して、特定の機能を有効または無効にすることができます。

本書では、 OLMConfigリソースによって設定されている OLM で現在サポートされている機能について概説します。

4.4.1. コピーした CSV の無効化

Operator が Operator Lifecycle Manager (OLM) によってインストールされると、そのクラスターサービスバージョン (CSV) の簡単なコピーが Operator が監視するすべての namespace に作成されます。これらの CSV は、コピーされた CSV と呼ばれ、特定の namespace でリソースイベントをアクティブに調整しているコントローラーをユーザーに通知します。

Operator がAll Namespacesインストールモードを使用するように設定されている場合に、単一または指定された namespace のセットを対象とするのではなく、コピーされた CSV がクラスター上のすべての namespace に作成されます。特に大規模なクラスターでは、namespace およびインストールされた Operator が数百または数千の場合に、コピーされた CSV は OLM のメモリー使用量、クラスター etcd 制限、およびネットワークなどのリソースを有効にしない量を消費する可能性があります。

これらの大規模なクラスターをサポートするために、クラスター管理者は、AllNamespaces モードでインストールされる Operator のコピーされた CSV を無効にできます。

警告

コピーされた CSV を無効にする場合、OperatorHub および CLI で Operator を検出するユーザーの機能は、ユーザーの namespace に直接インストールされた Operator に限定されます。

Operator がユーザーの namespace でイベントを調整するように設定されているが、別の namespace にインストールされている場合、ユーザーは OperatorHub または CLI で Operator を表示できません。この制限の影響を受ける Operator は引き続き利用でき、ユーザーの namespace でイベントの調整を継続します。

この動作は、次の理由で発生します。

  • コピーされる CSV は、特定の namespace で利用可能な Operator を特定します。
  • ロールベースアクセス制御 (RBAC) は、ユーザーが OperatorHub および CLI で Operator を表示し、検出する機能のスコープを設定します。

手順

  • clusterという名前のOLMConfigオブジェクトを編集し、spec.features.disableCopiedCSVsフィールドをtrueに設定します。

    $ oc apply -f - <<EOF
    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OLMConfig
    metadata:
      name: cluster
    spec:
      features:
        disableCopiedCSVs: true 1
    EOF
    1
    AllNamespaces インストールモード Operator 向けのコピーされた CSV を無効にしました。

検証

  • コピーされた CSV が無効になっている場合には、OLM は Operator の namespace のイベントでこの情報をキャプチャします。

    $ oc get events

    出力例

    LAST SEEN   TYPE      REASON               OBJECT                                MESSAGE
    85s         Warning   DisabledCopiedCSVs   clusterserviceversion/my-csv.v1.0.0   CSV copying disabled for operators/my-csv.v1.0.0

    spec.features.disableCopiedCSVsフィールドが欠落しているか、falseに設定されている場合に、OLM はAllNamespacesモードでインストールされた全 Operator 向けのコピーされた CSV を再作成し、前述のイベントを削除します。

4.5. Operator Lifecycle Manager でのプロキシーサポートの設定

グローバルプロキシーが OpenShift Container Platform クラスターで設定されている場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) はクラスター全体のプロキシーで管理する Operator を自動的に設定します。ただし、インストールされた Operator をグローバルプロキシーを上書きするか、カスタム CA 証明書を挿入するように設定することもできます。

関連情報

4.5.1. Operator のプロキシー設定の上書き

クラスター全体の egress プロキシーが設定されている場合、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して実行する Operator は、デプロイメントでクラスター全体のプロキシー設定を継承します。クラスター管理者は、Operator のサブスクリプションを設定してこれらのプロキシー設定を上書きすることもできます。

重要

Operator は、管理対象オペランドの Pod でのプロキシー設定の環境変数の設定を処理する必要があります。

前提条件

  • cluster-admin パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。

手順

  1. Web コンソールで、Operators → OperatorHub ページに移動します。
  2. Operator を選択し、Install をクリックします。
  3. Install Operator ページで、Subscription オブジェクトを変更して以下の 1 つ以上の環境変数を spec セクションに組み込みます。

    • HTTP_PROXY
    • HTTPS_PROXY
    • NO_PROXY

    以下に例を示します。

    プロキシー設定の上書きのある Subscription オブジェクト

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: etcd-config-test
      namespace: openshift-operators
    spec:
      config:
        env:
        - name: HTTP_PROXY
          value: test_http
        - name: HTTPS_PROXY
          value: test_https
        - name: NO_PROXY
          value: test
      channel: clusterwide-alpha
      installPlanApproval: Automatic
      name: etcd
      source: community-operators
      sourceNamespace: openshift-marketplace
      startingCSV: etcdoperator.v0.9.4-clusterwide

    注記

    これらの環境変数については、以前に設定されたクラスター全体またはカスタムプロキシーの設定を削除するために空の値を使用してそれらの設定を解除することもできます。

    OLM はこれらの環境変数を単位として処理します。それらの環境変数が 1 つ以上設定されている場合、それらはすべて上書きされているものと見なされ、クラスター全体のデフォルト値はサブスクライブされた Operator のデプロイメントには使用されません。

  4. Install をクリックし、Operator を選択された namespace で利用可能にします。
  5. Operator の CSV が関連する namespace に表示されると、カスタムプロキシーの環境変数がデプロイメントに設定されていることを確認できます。たとえば、CLI を使用します。

    $ oc get deployment -n openshift-operators \
        etcd-operator -o yaml \
        | grep -i "PROXY" -A 2

    出力例

            - name: HTTP_PROXY
              value: test_http
            - name: HTTPS_PROXY
              value: test_https
            - name: NO_PROXY
              value: test
            image: quay.io/coreos/etcd-operator@sha256:66a37fd61a06a43969854ee6d3e21088a98b93838e284a6086b13917f96b0d9c
    ...

4.5.2. カスタム CA 証明書の挿入

クラスター管理者が設定マップを使用してカスタム CA 証明書をクラスターに追加すると、Cluster Network Operator はユーザーによってプロビジョニングされる証明書およびシステム CA 証明書を単一バンドルにマージします。このマージされたバンドルを Operator Lifecycle Manager (OLM) で実行されている Operator に挿入することができます。これは、man-in-the-middle HTTPS プロキシーがある場合に役立ちます。

前提条件

  • cluster-admin パーミッションを持つアカウントを使用して OpenShift Container Platform クラスターにアクセスできる。
  • 設定マップを使用してクラスターに追加されたカスタム CA 証明書。
  • 必要な Operator が OLM にインストールされ、実行される。

手順

  1. Operator のサブスクリプションがある namespace に空の設定マップを作成し、以下のラベルを組み込みます。

    apiVersion: v1
    kind: ConfigMap
    metadata:
      name: trusted-ca 1
      labels:
        config.openshift.io/inject-trusted-cabundle: "true" 2
    1
    設定マップの名前。
    2
    Cluster Network Operator に対してマージされたバンドルを挿入するように要求します。

    この設定マップの作成後すぐに、設定マップにはマージされたバンドルの証明書の内容が設定されます。

  2. Subscription オブジェクトを更新し、trusted-ca 設定マップをカスタム CA を必要とする Pod 内の各コンテナーにボリュームとしてマウントする spec.config セクションを追加します。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: my-operator
    spec:
      package: etcd
      channel: alpha
      config: 1
        selector:
          matchLabels:
            <labels_for_pods> 2
        volumes: 3
        - name: trusted-ca
          configMap:
            name: trusted-ca
            items:
              - key: ca-bundle.crt 4
                path: tls-ca-bundle.pem 5
        volumeMounts: 6
        - name: trusted-ca
          mountPath: /etc/pki/ca-trust/extracted/pem
          readOnly: true
    1
    config セクションがない場合に、これを追加します。
    2
    Operator が所有する Pod に一致するラベルを指定します。
    3
    trusted-ca ボリュームを作成します。
    4
    ca-bundle.crt は設定マップキーとして必要になります。
    5
    tls-ca-bundle.pem は設定マップパスとして必要になります。
    6
    trusted-ca ボリュームマウントを作成します。
    注記

    Operator のデプロイメントは認証局の検証に失敗し、x509 certificate signed by unknown authority エラーが表示される可能性があります。このエラーは、Operator のサブスクリプションの使用時にカスタム CA を挿入した後でも発生する可能性があります。この場合、Operator のサブスクリプションを使用して、trusted-ca の mountPath/etc/ssl/certs として設定できます。

4.6. Operator ステータスの表示

Operator Lifecycle Manager (OLM) のシステムの状態を理解することは、インストールされた Operator についての問題について意思決定を行い、デバッグを行う上で重要です。OLM は、サブスクリプションおよびそれに関連するカタログソースリソースの状態および実行されたアクションに関する知見を提供します。これは、それぞれの Operator の正常性を把握するのに役立ちます。

4.6.1. Operator サブスクリプションの状態のタイプ

サブスクリプションは状態についての以下のタイプを報告します。

表4.1 サブスクリプションの状態のタイプ
状態説明

CatalogSourcesUnhealthy

解決に使用される一部のまたはすべてのカタログソースは正常ではありません。

InstallPlanMissing

サブスクリプションのインストール計画がありません。

InstallPlanPending

サブスクリプションのインストール計画はインストールの保留中です。

InstallPlanFailed

サブスクリプションのインストール計画が失敗しました。

ResolutionFailed

サブスクリプションの依存関係の解決に失敗しました。

注記

デフォルトの OpenShift Container Platform クラスター Operator は Cluster Version Operator (CVO) によって管理され、これらの Operator には Subscription オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理され、それらには Subscription オブジェクトがあります。

4.6.2. CLI を使用した Operator サブスクリプションステータスの表示

CLI を使用して Operator サブスクリプションステータスを表示できます。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。

手順

  1. Operator サブスクリプションを一覧表示します。

    $ oc get subs -n <operator_namespace>
  2. oc describe コマンドを使用して、Subscription リソースを検査します。

    $ oc describe sub <subscription_name> -n <operator_namespace>
  3. コマンド出力で、Conditions セクションで Operator サブスクリプションの状態タイプのステータスを確認します。以下の例では、利用可能なすべてのカタログソースが正常であるため、CatalogSourcesUnhealthy 状態タイプのステータスは false になります。

    出力例

    Conditions:
       Last Transition Time:  2019-07-29T13:42:57Z
       Message:               all available catalogsources are healthy
       Reason:                AllCatalogSourcesHealthy
       Status:                False
       Type:                  CatalogSourcesUnhealthy

注記

デフォルトの OpenShift Container Platform クラスター Operator は Cluster Version Operator (CVO) によって管理され、これらの Operator には Subscription オブジェクトがありません。アプリケーション Operator は Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理され、それらには Subscription オブジェクトがあります。

4.6.3. CLI を使用した Operator カタログソースのステータス表示

Operator カタログソースのステータスは、CLI を使用して確認できます。

前提条件

  • cluster-admin ロールを持つユーザーとしてクラスターにアクセスできる。
  • OpenShift CLI (oc) がインストールされている。

手順

  1. namespace のカタログソースを一覧表示します。例えば、クラスター全体のカタログソースに使用されている openshift-marketplacenamespace を確認することができます。

    $ oc get catalogsources -n openshift-marketplace

    出力例

    NAME                  DISPLAY               TYPE   PUBLISHER   AGE
    certified-operators   Certified Operators   grpc   Red Hat     55m
    community-operators   Community Operators   grpc   Red Hat     55m
    example-catalog       Example Catalog       grpc   Example Org 2m25s
    redhat-marketplace    Red Hat Marketplace   grpc   Red Hat     55m
    redhat-operators      Red Hat Operators     grpc   Red Hat     55m

  2. カタログソースの詳細やステータスを確認するには、oc describe コマンドを使用します。

    $ oc describe catalogsource example-catalog -n openshift-marketplace

    出力例

    Name:         example-catalog
    Namespace:    openshift-marketplace
    ...
    Status:
      Connection State:
        Address:              example-catalog.openshift-marketplace.svc:50051
        Last Connect:         2021-09-09T17:07:35Z
        Last Observed State:  TRANSIENT_FAILURE
      Registry Service:
        Created At:         2021-09-09T17:05:45Z
        Port:               50051
        Protocol:           grpc
        Service Name:       example-catalog
        Service Namespace:  openshift-marketplace

    前述の出力例では、最後に観測された状態が TRANSIENT_FAILURE となっています。この状態は、カタログソースの接続確立に問題があることを示しています。

  3. カタログソースが作成された namespace の Pod をリストアップします。

    $ oc get pods -n openshift-marketplace

    出力例

    NAME                                    READY   STATUS             RESTARTS   AGE
    certified-operators-cv9nn               1/1     Running            0          36m
    community-operators-6v8lp               1/1     Running            0          36m
    marketplace-operator-86bfc75f9b-jkgbc   1/1     Running            0          42m
    example-catalog-bwt8z                   0/1     ImagePullBackOff   0          3m55s
    redhat-marketplace-57p8c                1/1     Running            0          36m
    redhat-operators-smxx8                  1/1     Running            0          36m

    namespace にカタログソースを作成すると、その namespace にカタログソース用の Pod が作成されます。前述の出力例では、example-catalog-bwt8z Pod のステータスが ImagePullBackOff になっています。このステータスは、カタログソースのインデックスイメージのプルに問題があることを示しています。

  4. oc describe コマンドを使用して、より詳細な情報を得るために Pod を検査します。

    $ oc describe pod example-catalog-bwt8z -n openshift-marketplace

    出力例

    Name:         example-catalog-bwt8z
    Namespace:    openshift-marketplace
    Priority:     0
    Node:         ci-ln-jyryyg2-f76d1-ggdbq-worker-b-vsxjd/10.0.128.2
    ...
    Events:
      Type     Reason          Age                From               Message
      ----     ------          ----               ----               -------
      Normal   Scheduled       48s                default-scheduler  Successfully assigned openshift-marketplace/example-catalog-bwt8z to ci-ln-jyryyf2-f76d1-fgdbq-worker-b-vsxjd
      Normal   AddedInterface  47s                multus             Add eth0 [10.131.0.40/23] from openshift-sdn
      Normal   BackOff         20s (x2 over 46s)  kubelet            Back-off pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1"
      Warning  Failed          20s (x2 over 46s)  kubelet            Error: ImagePullBackOff
      Normal   Pulling         8s (x3 over 47s)   kubelet            Pulling image "quay.io/example-org/example-catalog:v1"
      Warning  Failed          8s (x3 over 47s)   kubelet            Failed to pull image "quay.io/example-org/example-catalog:v1": rpc error: code = Unknown desc = reading manifest v1 in quay.io/example-org/example-catalog: unauthorized: access to the requested resource is not authorized
      Warning  Failed          8s (x3 over 47s)   kubelet            Error: ErrImagePull

    前述の出力例では、エラーメッセージは、カタログソースのインデックスイメージが承認問題のために正常にプルできないことを示しています。例えば、インデックスイメージがログイン認証情報を必要とするレジストリーに保存されている場合があります。

4.7. Operator 条件の管理

クラスター管理者は、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用して Operator 条件を管理できます。

4.7.1. Operator 条件の上書き

クラスター管理者には、Operator が報告するサポートされている Operator 条件を無視することをお勧めします。Operator 条件が存在する場合、Spec.Overrides 配列の Operator 条件は Spec.Conditions 配列の条件を上書きし、これによりクラスター管理者は、Operator が Operator Lifecycle Manager (OLM) に状態を誤って報告する状況に対応することができます。

注記

デフォルトでは、 Spec.Overrides配列は、クラスター管理者によって追加されるまで、 Operator Conditionオブジェクトには存在しません。Spec.Conditions配列も、ユーザーによって追加されるか、カスタム Operator ロジックの結果として追加されるまで存在しません。

たとえば、アップグレードできないことを常に通信する Operator の既知のバージョンについて考えてみましょう。この場合、Operator がアップグレードできないと通信していますが、Operator をアップグレードすることをお勧めします。これは、条件の type および statusOperatorCondition オブジェクトの Spec.Overrides 配列に追加して Operator 条件を上書きすることによって実行できます。

前提条件

  • OLM を使用してインストールされたOperatorConditionオブジェクトを含む

手順

  1. Operator のOperatorConditionオブジェクトを編集します。

    $ oc edit operatorcondition <name>
  2. Spec.Overrides 配列をオブジェクトに追加します。

    Operator 条件の上書きの例

    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OperatorCondition
    metadata:
      name: my-operator
      namespace: operators
    spec:
      overrides:
      - type: Upgradeable 1
        status: "True"
        reason: "upgradeIsSafe"
        message: "This is a known issue with the Operator where it always reports that it cannot be upgraded."
      conditions:
      - type: Upgradeable
        status: "False"
        reason: "migration"
        message: "The operator is performing a migration."
        lastTransitionTime: "2020-08-24T23:15:55Z"

    1
    クラスター管理者は、アップグレードの準備状態を True に変更できます。

4.7.2. Operator 条件を使用するための Operator の更新

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、調整する ClusterServiceVersion リソースごとに OperatorCondition リソースを自動的に作成します。CSV のすべてのサービスアカウントには、Operator が所有する OperatorCondition と対話するための RBAC が付与されます。

Operator の作成者は、Operator が OLM によってデプロイされた後に、独自の条件を設定できるように Operator を開発し、operator-lib ライブラリーを使用することができます。Operator 作成者として Operator 条件を設定する方法の詳細については、Operator 条件の有効化 ページを参照してください。

4.7.2.1. デフォルトの設定

後方互換性を維持するために、OLM は OperatorCondition リソースがない状態を条件からのオプトアウトとして扱います。そのため、Operator 条件の使用にオプトインする Operator は、Pod の ready プローブが true に設定される前に、デフォルトの条件を設定する必要があります。これにより、Operator には、条件を正しい状態に更新するための猶予期間が与えられます。

4.7.3. 関連情報

4.8. クラスター管理者以外のユーザーによる Operator のインストールの許可

クラスター管理者は、Operator グループ を使用して、通常のユーザーが Operator をインストールできるようにすることができます。

関連情報

4.8.1. Operator インストールポリシーについて

Operator の実行には幅広い権限が必要になる可能性があり、必要な権限はバージョン間で異なる場合があります。Operator Lifecycle Manager (OLM) は、cluster-admin 権限で実行されます。デフォルトで、Operator の作成者はクラスターサービスバージョン (CSV) で任意のパーミッションのセットを指定でき、OLM はこれを Operator に付与します。

Operator がクラスタースコープの権限を取得できず、ユーザーが OLM を使用して権限を昇格できないようにするために、クラスター管理者は Operator をクラスターに追加する前に手動で監査できます。また、クラスター管理者には、サービスアカウントを使用した Operator のインストールまたはアップグレード時に許可されるアクションを判別し、制限するための各種ツールが提供されます。

クラスター管理者は、一連の権限が付与されたサービスアカウントに Operator グループを関連付けることができます。サービスアカウントは、ロールベースのアクセス制御 (RBAC) ルールを使用して、事前に定義された境界内でのみ実行されるように、Operator にポリシーを設定します。その結果、Operator は、それらのルールによって明示的に許可されていないことはいずれも実行できません。

Operator グループを採用することで、十分な権限を持つユーザーは、限られた範囲で Operator をインストールできます。その結果、より多くの Operator Framework ツールをより多くのユーザーが安全に利用できるようになり、Operator を使用してアプリケーションを構築するためのより豊かなエクスペリエンスが提供されます。

注記

Subscription オブジェクトのロールベースのアクセス制御 (RBAC) は、namespace で edit または admin のロールを持つすべてのユーザーに自動的に付与されます。ただし、RBAC は OperatorGroup オブジェクトには存在しません。この不在が、通常のユーザーが Operator をインストールできない理由です。Operator グループを事前にインストールすることで、実質的にインストール権限が付与されます。

Operator グループをサービスアカウントに関連付ける際は、次の点に注意してください。

  • APIService および CustomResourceDefinition リソースは、cluster-admin ロールを使用して OLM によって常に作成されます。Operator グループに関連付けられたサービスアカウントには、これらのリソースを作成するための権限を付与できません。
  • この Operator グループに関連付けられる Operator は、指定されたサービスアカウントに付与されるパーミッションに制限されるようになりました。Operator がサービスアカウントの範囲外のアクセス許可を要求した場合、インストールは適切なエラーで失敗するため、クラスター管理者は問題をトラブルシューティングして解決できます。
4.8.1.1. インストールシナリオ

Operator をクラスターでインストールまたはアップグレードできるかどうかを決定する際に、Operator Lifecycle Manager (OLM) は以下のシナリオを検討します。

  • クラスター管理者は新規の Operator グループプを作成し、サービスアカウントを指定します。この Operator グループに関連付けられるすべての Operator がサービスアカウントに付与される権限に基づいてインストールされ、実行されます。
  • クラスター管理者は新規の Operator グループを作成し、サービスアカウントを指定しません。OpenShift Container Platform は後方互換性を維持します。そのため、デフォルト動作はそのまま残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
  • サービスアカウントを指定しない既存の Operator グループの場合、デフォルトの動作は残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
  • クラスター管理者は既存の Operator グループを更新し、サービスアカウントを指定します。OLM により、既存の Operator は現在の権限で継続して実行されます。このような既存 Operator がアップグレードされる場合、これは再インストールされ、新規 Operator のようにサービスアカウントに付与される権限に基づいて実行されます。
  • Operator グループで指定されるサービスアカウントは、パーミッションの追加または削除によって変更されるか、既存のサービスアカウントは新しいサービスアカウントに切り替わります。既存の Operator がアップグレードされる場合、これは再インストールされ、新規 Operator のように更新されたサービスアカウントに付与される権限に基づいて実行されます。
  • クラスター管理者は、サービスアカウントを Operator グループから削除します。デフォルトの動作は残り、Operator のインストールおよびアップグレードは許可されます。
4.8.1.2. インストールワークフロー

Operator グループがサービスアカウントに関連付けられ、Operator がインストールまたはアップグレードされると、Operator Lifecycle Manager (OLM) は以下のワークフローを使用します。

  1. 指定された Subscription オブジェクトは OLM によって選択されます。
  2. OLM はこのサブスクリプションに関連する Operator グループをフェッチします。
  3. OLM は Operator グループにサービスアカウントが指定されていることを判別します。
  4. OLM はサービスアカウントにスコープが設定されたクライアントを作成し、スコープ設定されたクライアントを使用して Operator をインストールします。これにより、Operator で要求されるパーミッションは常に Operator グループのそのサービスアカウントのパーミッションに制限されるようになります。
  5. OLM は CSV で指定されたパーミッションセットを使用して新規サービスアカウントを作成し、これを Operator に割り当てます。Operator は割り当てられたサービスアカウントで実行されます。

4.8.2. Operator インストールのスコープ設定

Operator の Operator Lifecycle Manager (OLM) での Operator のインストールおよびアップグレードについてのスコープ設定ルールを提供するには、サービスアカウントを Operator グループに関連付けます。

この例では、クラスター管理者は一連の Operator を指定された namespace に制限できます。

手順

  1. 新規の namespace を作成します。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: v1
    kind: Namespace
    metadata:
      name: scoped
    EOF
  2. Operator を制限する必要のあるパーミッションを割り当てます。これには、新規サービスアカウント、関連するロール、およびロールバインディングの作成が必要になります。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: v1
    kind: ServiceAccount
    metadata:
      name: scoped
      namespace: scoped
    EOF

    以下の例では、単純化するために、サービスアカウントに対し、指定される namespace ですべてのことを実行できるパーミッションを付与します。実稼働環境では、より粒度の細かいパーミッションセットを作成する必要があります。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
    kind: Role
    metadata:
      name: scoped
      namespace: scoped
    rules:
    - apiGroups: ["*"]
      resources: ["*"]
      verbs: ["*"]
    ---
    apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
    kind: RoleBinding
    metadata:
      name: scoped-bindings
      namespace: scoped
    roleRef:
      apiGroup: rbac.authorization.k8s.io
      kind: Role
      name: scoped
    subjects:
    - kind: ServiceAccount
      name: scoped
      namespace: scoped
    EOF
  3. 指定された namespace に OperatorGroup オブジェクトを作成します。この Operator グループは指定された namespace をターゲットにし、そのテナンシーがこれに制限されるようにします。

    さらに、Operator グループはユーザーがサービスアカウントを指定できるようにします。直前の手順で作成したサービスアカウントを指定します。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: OperatorGroup
    metadata:
      name: scoped
      namespace: scoped
    spec:
      serviceAccountName: scoped
      targetNamespaces:
      - scoped
    EOF

    指定された namespace にインストールされる Operator はこの Operator グループに関連付けられ、指定されるサービスアカウントに関連付けられます。

  4. 指定された namespace で Subscription オブジェクトを作成し、Operator をインストールします。

    $ cat <<EOF | oc create -f -
    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: etcd
      namespace: scoped
    spec:
      channel: singlenamespace-alpha
      name: etcd
      source: <catalog_source_name> 1
      sourceNamespace: <catalog_source_namespace> 2
    EOF
    1
    指定された namespace にすでにあるカタログソース、またはグローバルカタログ namespace にあるものを指定します。
    2
    カタログソースが作成された namespace を指定します。

    この Operator グループに関連付けられる Operator は、指定されたサービスアカウントに付与されるパーミッションに制限されます。Operator がサービスアカウントの範囲外のパーミッションを要求する場合、インストールは関連するエラーを出して失敗します。

4.8.2.1. 粒度の細かいパーミッション

Operator Lifecycle Manager (OLM) は Operator グループで指定されたサービスアカウントを使用して、インストールされる Operator に関連する以下のリソースを作成または更新します。

  • ClusterServiceVersion
  • サブスクリプション
  • Secret
  • ServiceAccount
  • Service
  • ClusterRole および ClusterRoleBinding
  • Role および RoleBinding

Operator を指定された namespace に制限するため、クラスター管理者は以下のパーミッションをサービスアカウントに付与して起動できます。

注記

以下のロールは一般的なサンプルであり、特定の Operator に基づいて追加のルールが必要になる可能性があります。

kind: Role
rules:
- apiGroups: ["operators.coreos.com"]
  resources: ["subscriptions", "clusterserviceversions"]
  verbs: ["get", "create", "update", "patch"]
- apiGroups: [""]
  resources: ["services", "serviceaccounts"]
  verbs: ["get", "create", "update", "patch"]
- apiGroups: ["rbac.authorization.k8s.io"]
  resources: ["roles", "rolebindings"]
  verbs: ["get", "create", "update", "patch"]
- apiGroups: ["apps"] 1
  resources: ["deployments"]
  verbs: ["list", "watch", "get", "create", "update", "patch", "delete"]
- apiGroups: [""] 2
  resources: ["pods"]
  verbs: ["list", "watch", "get", "create", "update", "patch", "delete"]
1 2
ここで、デプロイメントおよび Pod などの他のリソースを作成するためのパーミッションを追加します。

さらに、Operator がプルシークレットを指定する場合、以下のパーミッションも追加する必要があります。

kind: ClusterRole 1
rules:
- apiGroups: [""]
  resources: ["secrets"]
  verbs: ["get"]
---
kind: Role
rules:
- apiGroups: [""]
  resources: ["secrets"]
  verbs: ["create", "update", "patch"]
1
シークレットを OLM namespace から取得するために必要です。

4.8.3. Operator カタログのアクセス制御

Operator カタログがグローバルカタログ namespace openshift-marketplace で作成されると、カタログの Operator がクラスター全体ですべての namespace で使用できるようになります。他の namespace で作成されたカタログは、カタログの同じ namespace でのみ Operator を使用できるようにします。

クラスター管理者以外のユーザーに Operator のインストール権限が委任されているクラスターでは、クラスター管理者は、それらのユーザーがインストールできる Operator のセットをさらに制御または制限しないといけない場合があります。これは、次のアクションで実現できます。

  1. デフォルトのグローバルカタログをすべて無効にします。
  2. 関連する Operator グループがプリインストールされているのと同じ namespace で、キュレートされたカスタムカタログを有効にします。

4.8.4. パーミッションに関する失敗のトラブルシューティング

パーミッションがないために Operator のインストールが失敗する場合は、以下の手順を使用してエラーを特定します。

手順

  1. Subscription オブジェクトを確認します。このステータスには、Operator の必要な [Cluster]Role[Binding] オブジェクトの作成を試行した InstallPlan オブジェクトをポイントするオブジェクト参照 installPlanRef があります。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: Subscription
    metadata:
      name: etcd
      namespace: scoped
    status:
      installPlanRef:
        apiVersion: operators.coreos.com/v1
        kind: InstallPlan
        name: install-4plp8
        namespace: scoped
        resourceVersion: "117359"
        uid: 2c1df80e-afea-11e9-bce3-5254009c9c23
  2. InstallPlan オブジェクトのステータスでエラーの有無を確認します。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1
    kind: InstallPlan
    status:
      conditions:
      - lastTransitionTime: "2019-07-26T21:13:10Z"
        lastUpdateTime: "2019-07-26T21:13:10Z"
        message: 'error creating clusterrole etcdoperator.v0.9.4-clusterwide-dsfx4: clusterroles.rbac.authorization.k8s.io
          is forbidden: User "system:serviceaccount:scoped:scoped" cannot create resource
          "clusterroles" in API group "rbac.authorization.k8s.io" at the cluster scope'
        reason: InstallComponentFailed
        status: "False"
        type: Installed
      phase: Failed

    エラーメッセージは、以下を示しています。

    • リソースの API グループを含む、作成に失敗したリソースのタイプ。この場合、これは rbac.authorization.k8s.io グループの clusterroles です。
    • リソースの名前。
    • エラーのタイプ: is forbidden は、ユーザーに操作を実行するための十分なパーミッションがないことを示します。
    • リソースの作成または更新を試みたユーザーの名前。この場合、これは Operator グループで指定されたサービスアカウントを参照します。
    • 操作の範囲が cluster scope かどうか。

      ユーザーは、不足しているパーミッションをサービスアカウントに追加してから、繰り返すことができます。

      注記

      現時点で、Operator Lifecycle Manager (OLM) は最初の試行でエラーの詳細の一覧を提供しません。

4.9. カスタムカタログの管理

クラスター管理者および Operator カタログメンテナーは、OpenShift Container Platform で Operator Lifecycle Manager (OLM) の Bundle Format を使用してパッケージ化されたカスタムカタログを作成し、管理できます。

重要

Kubernetes は、今後のリリースで削除される特定の API を定期的に非推奨にします。その結果、Operator は API を削除した Kubernetes バージョンを使用する OpenShift Container Platform のバージョン以降、削除された API を使用できなくなります。

クラスターがカスタムカタログを使用している場合に、Operator の作成者がプロジェクトを更新してワークロードの問題や、互換性のないアップグレードを回避できるようにする方法については Operator の互換性の OpenShift Container Platform バージョンへの制御 を参照してください。

4.9.1. 前提条件

  • opm CLI をインストールしている

4.9.2. ファイルベースのカタログ

ファイルベースのカタログは、Operator Lifecycle Manager(OLM) のカタログ形式の最新の反復になります。この形式は、プレーンテキストベース (JSON または YAML) であり、以前の SQLite データベース形式の宣言的な設定の進化であり、完全な下位互換性があります。

ファイルベースのカタログ仕様の詳細は、Operator Framework packaging format を参照してください。

4.9.2.1. ファイルベースのカタログイメージの作成

プレーンテキストの ファイルベースのカタログ 形式 (JSON または YAML) を使用するカタログイメージを作成できます。これは、非推奨の SQLite データベース形式の後継です。opm CLI は、ファイルベースの形式でカタログを初期化し、新しいレコードをそのカタログにレンダリングして、カタログが有効であることを検証するのに役立つツールを提供します。

前提条件

  • opm
  • podman version 1.9.3+
  • Docker v2-2 をサポートするレジストリーにビルドされ、プッシュされるバンドルイメージ。

手順

  1. ファイルベースのカタログを初期化します。

    1. カタログのディレクトリーを作成します。

      $ mkdir <operator_name>-index
    2. カタログイメージをビルドできる Dockerfile を作成します。

      <operator_name>-index.Dockerfile

      # The base image is expected to contain
      # /bin/opm (with a serve subcommand) and /bin/grpc_health_probe
      FROM registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.9
      
      # Configure the entrypoint and command
      ENTRYPOINT ["/bin/opm"]
      CMD ["serve", "/configs"]
      
      # Copy declarative config root into image at /configs
      ADD <operator_name>-index /configs
      
      # Set DC-specific label for the location of the DC root directory
      # in the image
      LABEL operators.operatorframework.io.index.configs.v1=/configs

      Dockerfile は、直前の手順で作成したカタログディレクトリーと同じ親ディレクトリーに存在する必要があります。

      ディレクトリー構造の例

      .
      ├── <operator_name>-index
      └── <operator_name>-index.Dockerfile

    3. カタログにパッケージ定義を設定します。

      $ opm init <operator_name> \ 1
          --default-channel=preview \ 2
          --description=./README.md \ 3
          --icon=./operator-icon.svg \ 4
          --output yaml \ 5
          > <operator_name>-index/index.yaml 6
      1
      Operator、またはパッケージ、名前。
      2
      指定されていない場合に、サブスクリプションがデフォルトで設定されるチャネル。
      3
      Operator の README.md またはその他のドキュメントへのパス。
      4
      Operator のアイコンへのパス。
      5
      出力形式: JSON または YAML。
      6
      カタログ設定ファイルを作成するパス。

      このコマンドは、指定されたカタログ設定ファイルに aolm.package 宣言型設定 blob を生成します。

  2. バンドルをカタログに追加します。

    $ opm render <registry>/<namespace>/<bundle_image_name>:<tag> \ 1
        --output=yaml \
        >> <operator_name>-index/index.yaml 2
    1
    バンドルイメージのプル仕様。
    2
    カタログ設定ファイルへのパス。

    opm render コマンドは、提供されるカタログイメージおよびバンドルイメージから宣言型の設定 Blob を生成します。

    注記

    チャネルには、1 つ以上のバンドルが含まれる必要があります。

  3. バンドルのチャネルエントリーを追加します。たとえば、以下のサンプルを仕様に変更し、<operator_name>-index/index.yaml ファイルに追加します。

    チャネルエントリーの例

    ---
    schema: olm.channel
    package: <operator_name>
    name: preview
    entries:
      - name: <operator_name>.v0.1.0 1

    1
    <operator_name> の後、かつ、バージョンの v の前に、ピリオド (.) を追加するようにしてください。そうでない場合は、エントリーは opm validate コマンドを渡すことができません。
  4. ファイルベースのカタログを検証します。

    1. カタログディレクトリーに対して opm validate コマンドを実行します。

      $ opm validate <operator_name>-index
    2. エラーコードが 0 であることを確認します。

      $ echo $?

      出力例

      0

  5. カタログイメージをビルドします。

    $ podman build . \
        -f <operator_name>-index.Dockerfile \
        -t <registry>/<namespace>/<catalog_image_name>:<tag>
  6. カタログイメージをレジストリーにプッシュします。

    1. 必要な場合は、ターゲットレジストリーで認証します。

      $ podman login <registry>
    2. カタログイメージをプッシュします。

      $ podman push <registry>/<namespace>/<catalog_image_name>:<tag>

4.9.3. SQLite ベースのカタログ

重要

Operator カタログの SQLite データベース形式は非推奨の機能です。非推奨の機能は依然として OpenShift Container Platform に含まれており、引き続きサポートされますが、本製品の今後のリリースで削除されるため、新規デプロイメントでの使用は推奨されません。

OpenShift Container Platform で非推奨となったか、削除された主な機能の最新の一覧については、OpenShift Container Platform リリースノートの 非推奨および削除された機能セクションを参照してください。

4.9.3.1. SQLite ベースのインデックスイメージの作成

opm CLI を使用して、SQLite データベース形式に基づいてインデックスイメージを作成できます。

前提条件

  • opm
  • podman version 1.9.3+
  • Docker v2-2 をサポートするレジストリーにビルドされ、プッシュされるバンドルイメージ。

手順

  1. 新しいインデックスを開始します。

    $ opm index add \
        --bundles <registry>/<namespace>/<bundle_image_name>:<tag> \1
        --tag <registry>/<namespace>/<index_image_name>:<tag> \2
        [--binary-image <registry_base_image>] 3
    1
    インデックスに追加するバンドルイメージのコンマ区切りの一覧。
    2
    インデックスイメージで使用するイメージタグ。
    3
    オプション: カタログを提供するために使用する代替レジストリーベースイメージ。
  2. インデックスイメージをレジストリーにプッシュします。

    1. 必要な場合は、ターゲットレジストリーで認証します。

      $ podman login <registry>
    2. インデックスイメージをプッシュします。

      $ podman push <registry>/<namespace>/<index_image_name>:<tag>
4.9.3.2. SQLite ベースのインデックスイメージの更新

カスタムインデックスイメージを参照するカタログソースを使用するように OperatorHub を設定した後に、クラスター管理者はバンドルイメージをインデックスイメージに追加して、クラスターで利用可能な Operator を最新の状態に維持することができます。

opm index add コマンドを使用して既存インデックスイメージを更新できます。

前提条件

  • opm
  • podman version 1.9.3+
  • レジストリーにビルドされ、プッシュされるインデックスイメージ。
  • インデックスイメージを参照する既存のカタログソース。

手順

  1. バンドルイメージを追加して、既存のインデックスを更新します。

    $ opm index add \
        --bundles <registry>/<namespace>/<new_bundle_image>@sha256:<digest> \1
        --from-index <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<existing_tag> \2
        --tag <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag> \3
        --pull-tool podman 4
    1
    --bundlesフラグは、インデックスに追加する他のバンドルイメージのコンマ区切りリストを指定します。
    2
    --from-indexフラグは、以前にプッシュされたインデックスを指定します。
    3
    --tagフラグは、更新されたインデックスイメージに適用するイメージタグを指定します。
    4
    --pull-toolフラグは、コンテナーイメージのプルに使用されるツールを指定します。

    ここでは、以下のようになります。

    <registry>
    quay.iomirror.example.comなどのレジストリーのホスト名を指定します。
    <namespace>
    ocs-devabcなど、レジストリーの namespace を指定します。
    <new_bundle_image>
    ocs-operatorなど、レジストリーに追加する新しいバンドルイメージを指定します。
    <digest>
    c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41などのバンドルイメージの SHA イメージ ID またはダイジェストを指定します。
    <existing_index_image>
    abc-redhat-operator-indexなど、以前にプッシュされたイメージを指定します。
    <existing_tag>
    4.10など、以前にプッシュされたイメージタグを指定します。
    <updated_tag>
    4.10.1など、更新されたインデックスイメージに適用するイメージタグを指定します。

    コマンドの例

    $ opm index add \
        --bundles quay.io/ocs-dev/ocs-operator@sha256:c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41 \
        --from-index mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.10 \
        --tag mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.10.1 \
        --pull-tool podman

  2. 更新されたインデックスイメージをプッシュします。

    $ podman push <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag>
  3. Operator Lifecycle Manager (OLM) がカタログソースで参照されるインデックスイメージを一定間隔で自動的にポーリングした後に、新規パッケージが正常に追加されたことを確認します。

    $ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace
4.9.3.3. SQLite ベースのインデックスイメージのフィルタリング

Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、Operator カタログのコンテナー化されたスナップショットです。パッケージの指定された一覧以外のすべてのインデックスをプルーニングできます。これにより、必要な Operator のみが含まれるソースインデックスのコピーを作成できます。

前提条件

  • podman version 1.9.3+
  • grpcurl(サードパーティーのコマンドラインツール)
  • opm
  • Docker v2-2 をサポートするレジストリーへのアクセス

手順

  1. ターゲットレジストリーで認証します。

    $ podman login <target_registry>
  2. プルーニングされたインデックスに追加するパッケージの一覧を判別します。

    1. コンテナーでプルーニングするソースインデックスイメージを実行します。以下に例を示します。

      $ podman run -p50051:50051 \
          -it registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.10

      出力例

      Trying to pull registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.10...
      Getting image source signatures
      Copying blob ae8a0c23f5b1 done
      ...
      INFO[0000] serving registry                              database=/database/index.db port=50051

    2. 別のターミナルセッションで、grpcurl コマンドを使用して、インデックスが提供するパッケージの一覧を取得します。

      $ grpcurl -plaintext localhost:50051 api.Registry/ListPackages > packages.out
    3. packages.out ファイルを検査し、プルーニングされたインデックスに保持したいパッケージ名をこの一覧から特定します。以下に例を示します。

      パッケージ一覧のスニペットの例

      ...
      {
        "name": "advanced-cluster-management"
      }
      ...
      {
        "name": "jaeger-product"
      }
      ...
      {
      {
        "name": "quay-operator"
      }
      ...

    4. podman run コマンドを実行したターミナルセッションで、CtrlC を押してコンテナープロセスを停止します。
  3. 以下のコマンドを実行して、指定したパッケージ以外のすべてのパッケージのソースインデックスをプルーニングします。

    $ opm index prune \
        -f registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.10 \1
        -p advanced-cluster-management,jaeger-product,quay-operator \2
        [-i registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.9] \3
        -t <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.10 4
    1
    プルーニングするインデックス。
    2
    保持するパッケージのコンマ区切りリスト。
    3
    IBM Power および IBM Z イメージのみに必要です: ターゲット OpenShift Container Platform クラスターのメジャーバージョンおよびマイナーバージョンに一致するタグを使用する Operator レジストリーのベースイメージです。
    4
    ビルドされる新規インデックスイメージのカスタムタグ。
  4. 以下のコマンドを実行して、新規インデックスイメージをターゲットレジストリーにプッシュします。

    $ podman push <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.10

    ここで、<namespace> はレジストリー上の既存の namespace になります。

4.9.4. クラスターへのカタログソースの追加

カタログソースを OpenShift Container Platform クラスターに追加すると、ユーザーの Operator の検出およびインストールが可能になります。クラスター管理者は、インデックスイメージを参照する CatalogSource オブジェクトを作成できます。OperatorHub はカタログソースを使用してユーザーインターフェイスを設定します。

前提条件

  • レジストリーにビルドされ、プッシュされるインデックスイメージ。

手順

  1. インデックスイメージを参照する CatalogSource オブジェクトを作成します。

    1. 仕様を以下のように変更し、これを catalogSource.yaml ファイルとして保存します。

      apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
      kind: CatalogSource
      metadata:
        name: my-operator-catalog
        namespace: openshift-marketplace 1
        annotations:
          olm.catalogImageTemplate: 2
            "<registry>/<namespace>/<index_image_name>:v{kube_major_version}.{kube_minor_version}.{kube_patch_version}"
      spec:
        sourceType: grpc
        image: <registry>/<namespace>/<index_image_name>:<tag> 3
        displayName: My Operator Catalog
        publisher: <publisher_name> 4
        updateStrategy:
          registryPoll: 5
            interval: 30m
      1
      カタログソースを全 namespace のユーザーがグローバルに利用できるようにする場合は、openshift-marketplace namespace を指定します。それ以外の場合は、そのカタログの別の namespace を対象とし、その namespace のみが利用できるように指定できます。
      2
      任意: olm.catalogImageTemplate アノテーションをカタログイメージ名に設定し、イメージタグのテンプレートを作成する際に、1 つ以上の Kubernetes クラスターバージョン変数を使用します。
      3
      インデックスイメージを指定します。イメージ名の後にタグを指定した場合 (:v4.10 など)、カタログソース Pod は Always のイメージプルポリシーを使用します。これは、Pod が常にコンテナーを開始する前にイメージをプルすることを意味します。@sha256:<id> などのダイジェストを指定した場合、イメージプルポリシーは IfNotPresent になります。これは、イメージがノード上にまだ存在しない場合にのみ、Pod がイメージをプルすることを意味します。
      4
      カタログを公開する名前または組織名を指定します。
      5
      カタログソースは新規バージョンの有無を自動的にチェックし、最新の状態を維持します。
    2. このファイルを使用して CatalogSource オブジェクトを作成します。

      $ oc apply -f catalogSource.yaml
  2. 以下のリソースが正常に作成されていることを確認します。

    1. Pod を確認します。

      $ oc get pods -n openshift-marketplace

      出力例

      NAME                                    READY   STATUS    RESTARTS  AGE
      my-operator-catalog-6njx6               1/1     Running   0         28s
      marketplace-operator-d9f549946-96sgr    1/1     Running   0         26h

    2. カタログソースを確認します。

      $ oc get catalogsource -n openshift-marketplace

      出力例

      NAME                  DISPLAY               TYPE PUBLISHER  AGE
      my-operator-catalog   My Operator Catalog   grpc            5s

    3. パッケージマニフェストを確認します。

      $ oc get packagemanifest -n openshift-marketplace

      出力例

      NAME                          CATALOG               AGE
      jaeger-product                My Operator Catalog   93s

OpenShift Container Platform Web コンソールで、OperatorHub ページから Operator をインストールできるようになりました。

4.9.5. プライベートレジストリーからの Operator のイメージへのアクセス

Operator Lifecycle Manager (OLM) によって管理される Operator に関連する特定のイメージが、認証コンテナーイメージレジストリー (別名プライベートレジストリー) でホストされる場合、OLM および OperatorHub はデフォルトではイメージをプルできません。アクセスを有効にするために、レジストリーの認証情報が含まれるプルシークレットを作成できます。カタログソースの 1 つ以上のプルシークレットを参照することで、OLM はシークレットの配置を Operator およびカタログ namespace で処理し、インストールを可能にします。

Operator またはそのオペランドで必要な他のイメージでも、プライベートレジストリーへのアクセスが必要になる場合があります。OLM は、このシナリオのターゲットテナント namespace ではシークレットの配置を処理しませんが、認証情報をグローバルクラスタープルシークレットまたは個別の namespace サービスアカウントに追加して、必要なアクセスを有効にできます。

OLM によって管理される Operator に適切なプルアクセスがあるかどうかを判別する際に、以下のタイプのイメージを考慮する必要があります。

インデックスイメージ
CatalogSource オブジェクトは、インデックスイメージを参照できます。このイメージは、Operator のバンドル形式を使用し、イメージレジストリーでホストされるコンテナーイメージとしてパッケージ化されるカタログソースです。インデックスイメージがプライベートレジストリーでホストされる場合、シークレットを使用してプルアクセスを有効にすることができます。
バンドルイメージ
Operator バンドルイメージは、Operator の一意のバージョンを表すコンテナーイメージとしてパッケージ化されるメタデータおよびマニフェストです。カタログソースで参照されるバンドルイメージが 1 つ以上のプライベートレジストリーでホストされる場合、シークレットを使用してプルアクセスを有効にすることができます。
Operator イメージおよびオペランドイメージ

カタログソースからインストールされた Operator が、(Operator イメージ自体に、または監視するオペランドイメージの 1 つに) プライベートイメージを使用する場合、デプロイメントは必要なレジストリー認証にアクセスできないため、Operator はインストールに失敗します。カタログソースのシークレットを参照することで、OLM はオペランドがインストールされているターゲットテナント namespace にシークレットを配置することはできません。

代わりに、認証情報を openshift-config namespace のグローバルクラスタープルシークレットに追加できます。これにより、クラスターのすべての namespace へのアクセスが提供されます。または、クラスター全体へのアクセスの提供が許容されない場合、プルシークレットをターゲットテナント namespace の default のサービスアカウントに追加できます。

前提条件

  • プライベートレジストリーで、以下のうち少なくとも 1 つがホストされます。

    • インデックスイメージまたはカタログイメージ。
    • Operator のバンドルイメージ
    • Operator またはオペランドのイメージ。

手順

  1. 必要な各プライベートレジストリーのシークレットを作成します。

    1. プライベートレジストリーにログインして、レジストリー認証情報ファイルを作成または更新します。

      $ podman login <registry>:<port>
      注記

      レジストリー認証情報のファイルパスは、レジストリーへのログインに使用されるコンテナーツールによって異なります。podman CLI の場合、デフォルトの場所は ${XDG_RUNTIME_DIR}/containers/auth.json です。docker CLI の場合、デフォルトの場所は /root/.docker/config.json です。

    2. シークレットごとに 1 つのレジストリーに対してのみ認証情報を追加し、別のシークレットで複数のレジストリーの認証情報を管理することが推奨されます。これ以降の手順で、複数のシークレットを CatalogSource オブジェクトに含めることができ、OpenShift Container Platform はイメージのプル時に使用する単一の仮想認証情報ファイルにシークレットをマージします。

      レジストリー認証情報ファイルは、デフォルトで複数のレジストリーまたはリポジトリーの詳細を 1 つのレジストリーに保存できます。ファイルの現在の内容を確認します。以下に例を示します。

      複数のレジストリーの認証情報を保存するファイル

      {
          "auths": {
              "registry.redhat.io": {
                  "auth": "FrNHNydQXdzclNqdg=="
              },
              "quay.io": {
                  "auth": "fegdsRib21iMQ=="
              },
              "https://quay.io/my-namespace/my-user/my-image": {
                  "auth": "eWfjwsDdfsa221=="
              },
              "https://quay.io/my-namespace/my-user": {
                  "auth": "feFweDdscw34rR=="
              },
              "https://quay.io/my-namespace": {
                  "auth": "frwEews4fescyq=="
              }
          }
      }

      これ以降の手順で、シークレットの作成にこのファイルが使用されるため、保存できる詳細は 1 つのファイルにつき 1 つのレジストリーのみであることを確認してください。これには、以下の方法の 1 つを使用します。

      • podman logout <registry> コマンドを使用して、必要な 1 つのレジストリーのみになるまで、追加のレジストリーの認証情報を削除します。
      • レジストリー認証情報ファイルを編集し、レジストリーの詳細を分離して、複数のファイルに保存します。以下に例を示します。

        1 つのレジストリーの認証情報を保存するファイル

        {
                "auths": {
                        "registry.redhat.io": {
                                "auth": "FrNHNydQXdzclNqdg=="
                        }
                }
        }

        別のレジストリーの認証情報を保存するファイル

        {
                "auths": {
                        "quay.io": {
                                "auth": "Xd2lhdsbnRib21iMQ=="
                        }
                }
        }

    3. プライベートレジストリーの認証情報が含まれるシークレットを openshift-marketplace namespace に作成します。

      $ oc create secret generic <secret_name> \
          -n openshift-marketplace \
          --from-file=.dockerconfigjson=<path/to/registry/credentials> \
          --type=kubernetes.io/dockerconfigjson

      この手順を繰り返して、他の必要なプライベートレジストリーの追加シークレットを作成し、--from-file フラグを更新して別のレジストリー認証情報ファイルのパスを指定します。

  2. 1 つ以上のシークレットを参照するように既存の CatalogSource オブジェクトを作成または更新します。

    apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
    kind: CatalogSource
    metadata:
      name: my-operator-catalog
      namespace: openshift-marketplace
    spec:
      sourceType: grpc
      secrets: 1
      - "<secret_name_1>"
      - "<secret_name_2>"
      image: <registry>:<port>/<namespace>/<image>:<tag>
      displayName: My Operator Catalog
      publisher: <publisher_name>
      updateStrategy:
        registryPoll:
          interval: 30m
    1
    spec.secrets セクションを追加し、必要なシークレットを指定します。
  3. サブスクライブされた Operator によって参照される Operator イメージまたはオペランドイメージにプライベートレジストリーへのアクセスが必要な場合は、クラスター内のすべての namespace または個々のターゲットテナント namespace のいずれかにアクセスを提供できます。

    • クラスター内のすべての namespace へアクセスを提供するには、認証情報を openshift-config namespace のグローバルクラスタープルシークレットに追加します。

      警告

      クラスターリソースは新規のグローバルプルシークレットに合わせて調整する必要がありますが、これにより、クラスターのユーザービリティーが一時的に制限される可能性があります。

      1. グローバルプルシークレットから .dockerconfigjson ファイルを展開します。

        $ oc extract secret/pull-secret -n openshift-config --confirm
      2. .dockerconfigjson ファイルを、必要なプライベートレジストリーまたはレジストリーの認証情報で更新し、これを新規ファイルとして保存します。

        $ cat .dockerconfigjson | \
            jq --compact-output '.auths["<registry>:<port>/<namespace>/"] |= . + {"auth":"<token>"}' \1
            > new_dockerconfigjson
        1
        <registry>:<port>/<namespace> をプライベートレジストリーの詳細に置き換え、<token> を認証情報に置き換えます。
      3. 新規ファイルでグローバルプルシークレットを更新します。

        $ oc set data secret/pull-secret -n openshift-config \
            --from-file=.dockerconfigjson=new_dockerconfigjson
    • 個別の namespace を更新するには、ターゲットテナント namespace でアクセスが必要な Operator のサービスアカウントにプルシークレットを追加します。

      1. テナント namespace で openshift-marketplace 用に作成したシークレットを再作成します。

        $ oc create secret generic <secret_name> \
            -n <tenant_namespace> \
            --from-file=.dockerconfigjson=<path/to/registry/credentials> \
            --type=kubernetes.io/dockerconfigjson
      2. テナント namespace を検索して、Operator のサービスアカウントの名前を確認します。

        $ oc get sa -n <tenant_namespace> 1
        1
        Operator が個別の namespace にインストールされていた場合、その namespace を検索します。Operator がすべての namespace にインストールされていた場合、openshift-operators namespace を検索します。

        出力例

        NAME            SECRETS   AGE
        builder         2         6m1s
        default         2         6m1s
        deployer        2         6m1s
        etcd-operator   2         5m18s 1

        1
        インストールされた etcd Operator のサービスアカウント。
      3. シークレットを Operator のサービスアカウントにリンクします。

        $ oc secrets link <operator_sa> \
            -n <tenant_namespace> \
             <secret_name> \
            --for=pull

関連情報

4.9.6. デフォルトの OperatorHub ソースの無効化

Red Hat によって提供されるコンテンツを調達する Operator カタログおよびコミュニティープロジェクトは、OpenShift Container Platform のインストール時にデフォルトで OperatorHub に設定されます。クラスター管理者は、デフォルトカタログのセットを無効にすることができます。

手順

  • disableAllDefaultSources: trueOperatorHub オブジェクトに追加して、デフォルトカタログのソースを無効にします。

    $ oc patch OperatorHub cluster --type json \
        -p '[{"op": "add", "path": "/spec/disableAllDefaultSources", "value": true}]'
ヒント

または、Web コンソールを使用してカタログソースを管理できます。AdministrationCluster SettingsConfigurationOperatorHub ページから、Sources タブをクリックして、個別のソースを作成し、削除し、無効にし、有効にすることができます。

4.9.7. カスタムカタログの削除

クラスター管理者は、関連するカタログソースを削除して、以前にクラスターに追加されたカスタム Operator カタログを削除できます。

手順

  1. Web コンソールの Administrator パースペクティブで、AdministrationCluster Settings に移動します。
  2. Configuration タブをクリックしてから、OperatorHub をクリックします。
  3. Sources タブをクリックします。
  4. 削除するカタログの Options メニュー kebab を選択し、Delete CatalogSource をクリックします。

4.10. ネットワークが制限された環境での Operator Lifecycle Manager の使用

ネットワークが制限された環境 ( 非接続クラスター としても知られる) にインストールされている OpenShift Container Platform クラスターの場合、デフォルトで Operator Lifecycle Manager (OLM) はリモートレジストリーでホストされる Red Hat が提供する OperatorHub ソースにアクセスできません。それらのリモートソースには完全なインターネット接続が必要であるためです。

ただし、クラスター管理者は、完全なインターネットアクセスのあるワークステーションがある場合には、クラスターがネットワークが制限された環境で OLM を使用できるようにできます。ワークステーションは、リモートソースのローカルミラーを準備するために使用され、コンテンツをミラーレジストリーにプッシュしますが、これにはリモートの OperatorHub コンテンツをプルするのに完全なインターネットアクセスが必要になります。

ミラーレジストリーは bastion ホストに配置することができます。bastion ホストには、ワークステーションと非接続クラスターの両方への接続、または完全に切断されたクラスター、またはミラーリングされたコンテンツを非接続環境に物理的に移動するためにリムーバブルメディアが必要な エアギャップ ホストへの接続が必要です。

以下では、ネットワークが制限された環境で OLM を有効にするために必要な以下のプロセスについて説明します。

  • OLM のデフォルトのリモート OperatorHub ソースを無効にします。
  • 完全なインターネットアクセスのあるワークステーションを使用して、OperatorHub コンテンツのローカルミラーを作成し、これをミラーレジストリーにプッシュします。
  • OLM を、デフォルトのリモートソースからではなくミラーレジストリーのローカルソースから Operator をインストールし、管理するように設定します。

ネットワークが制限された環境で OLM を有効にした後も、引き続き制限のないワークステーションを使用して、Operator の新しいバージョンが更新されるとローカルの OperatorHub ソースを更新された状態に維持することができます。

重要

OLM はローカルソースから Operator を管理できますが、特定の Operator がネットワークが制限された環境で正常に実行されるかどうかは、Operator 自体が次の基準を満たすかどうかに依存します。

  • 関連するイメージ、または Operator がそれらの機能を実行するために必要となる可能性のある他のコンテナーイメージを ClusterServiceVersion (CSV) オブジェクトの relatedImages パラメーターで一覧表示します。
  • 指定されたすべてのイメージを、タグではなくダイジェスト (SHA) で参照します。

Red Hat エコシステムカタログ でソフトウェアを検索して、以下の選択肢でフィルタリングすることにより、非接続モードでの実行をサポートする Red Hat Operator のリストを見つけることができます。

コンテナー化されたアプリケーション

デプロイメント方法

Operator

インフラストラクチャー機能

Disconnected

4.10.1. 前提条件

  • cluster-admin 権限を持つユーザーとして OpenShift Container Platform クラスターにログインします。
  • デフォルトカタログをプルーニングし、Operator のサブセットのみを選択的にミラーリングするには、opm CLI をインストールします。
注記

IBM Z のネットワークが制限された環境で OLM を使用している場合は、レジストリーを配置するディレクトリーに 12 GB 以上を割り当てる必要があります。

4.10.2. デフォルトの OperatorHub ソースの無効化

Red Hat によって提供されるコンテンツを調達する Operator カタログおよびコミュニティープロジェクトは、OpenShift Container Platform のインストール時にデフォルトで OperatorHub に設定されます。ネットワークが制限された環境では、クラスター管理者としてデフォルトのカタログを無効にする必要があります。その後、OperatorHub をローカルカタログソースを使用するように設定できます。

手順

  • disableAllDefaultSources: trueOperatorHub オブジェクトに追加して、デフォルトカタログのソースを無効にします。

    $ oc patch OperatorHub cluster --type json \
        -p '[{"op": "add", "path": "/spec/disableAllDefaultSources", "value": true}]'
ヒント

または、Web コンソールを使用してカタログソースを管理できます。AdministrationCluster SettingsConfigurationOperatorHub ページから、Sources タブをクリックして、個別のソースを作成し、削除し、無効にし、有効にすることができます。

4.10.3. SQLite ベースのインデックスイメージのフィルタリング

Operator Bundle Format に基づくインデックスイメージは、Operator カタログのコンテナー化されたスナップショットです。パッケージの指定された一覧以外のすべてのインデックスをプルーニングできます。これにより、必要な Operator のみが含まれるソースインデックスのコピーを作成できます。

ネットワークが制限された環境の OpenShift Container Platform クラスターでミラーリングされたコンテンツを使用するように Operator Lifecycle Manager (OLM) を設定する場合、デフォルトカタログから Operator のサブセットのみをミラーリングする必要がある場合に、このプルーニング方法を使用します。

この手順のステップでは、ターゲットレジストリーは、ネットワークアクセスが無制限のワークステーションからアクセスできる既存のミラーレジストリーです。この例では、デフォルトの redhat-operators カタログのインデックスイメージのプルーニングも示していますが、このプロセスはすべてのインデックスイメージに対して同じです。

前提条件

  • ネットワークアクセスが無制限のワークステーション
  • podman version 1.9.3+
  • grpcurl(サードパーティーのコマンドラインツール)
  • opm
  • Docker v2-2 をサポートするレジストリーへのアクセス

手順

  1. registry.redhat.io で認証します。

    $ podman login registry.redhat.io
  2. ターゲットレジストリーで認証します。

    $ podman login <target_registry>
  3. プルーニングされたインデックスに追加するパッケージの一覧を判別します。

    1. コンテナーでプルーニングするソースインデックスイメージを実行します。以下に例を示します。

      $ podman run -p50051:50051 \
          -it registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.10

      出力例

      Trying to pull registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.10...
      Getting image source signatures
      Copying blob ae8a0c23f5b1 done
      ...
      INFO[0000] serving registry                              database=/database/index.db port=50051

    2. 別のターミナルセッションで、grpcurl コマンドを使用して、インデックスが提供するパッケージの一覧を取得します。

      $ grpcurl -plaintext localhost:50051 api.Registry/ListPackages > packages.out
    3. packages.out ファイルを検査し、プルーニングされたインデックスに保持したいパッケージ名をこの一覧から特定します。以下に例を示します。

      パッケージ一覧のスニペットの例

      ...
      {
        "name": "advanced-cluster-management"
      }
      ...
      {
        "name": "jaeger-product"
      }
      ...
      {
      {
        "name": "quay-operator"
      }
      ...

    4. podman run コマンドを実行したターミナルセッションで、CtrlC を押してコンテナープロセスを停止します。
  4. 以下のコマンドを実行して、指定したパッケージ以外のすべてのパッケージのソースインデックスをプルーニングします。

    $ opm index prune \
        -f registry.redhat.io/redhat/redhat-operator-index:v4.10 \1
        -p advanced-cluster-management,jaeger-product,quay-operator \2
        [-i registry.redhat.io/openshift4/ose-operator-registry:v4.9] \3
        -t <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.10 4
    1
    プルーニングするインデックス。
    2
    保持するパッケージのコンマ区切りリスト。
    3
    IBM Power および IBM Z イメージのみに必要です: ターゲット OpenShift Container Platform クラスターのメジャーバージョンおよびマイナーバージョンに一致するタグを使用する Operator レジストリーのベースイメージです。
    4
    ビルドされる新規インデックスイメージのカスタムタグ。
  5. 以下のコマンドを実行して、新規インデックスイメージをターゲットレジストリーにプッシュします。

    $ podman push <target_registry>:<port>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.10

    ここで、<namespace> はレジストリー上の既存の namespace になります。たとえば、olm-mirror namespace を作成し、ミラーリングされたすべてのコンテンツをプッシュすることができます。

4.10.4. Operator カタログのミラーリング

非接続クラスターで使用する Operator カタログをミラーリングする方法は、非接続インストールのイメージのミラーリング を参照してください。

4.10.5. クラスターへのカタログソースの追加

カタログソースを OpenShift Container Platform クラスターに追加すると、ユーザーの Operator の検出およびインストールが可能になります。クラスター管理者は、インデックスイメージを参照する CatalogSource オブジェクトを作成できます。OperatorHub はカタログソースを使用してユーザーインターフェイスを設定します。

前提条件

  • レジストリーにビルドされ、プッシュされるインデックスイメージ。

手順

  1. インデックスイメージを参照する CatalogSource オブジェクトを作成します。oc adm catalog mirror コマンドを使用してカタログをターゲットレジストリーにミラーリングする場合、manifests ディレクトリーに生成される catalogSource.yaml ファイルを開始点としてそのまま使用することができます。

    1. 仕様を以下のように変更し、これを catalogSource.yaml ファイルとして保存します。

      apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
      kind: CatalogSource
      metadata:
        name: my-operator-catalog 1
        namespace: openshift-marketplace 2
      spec:
        sourceType: grpc
        image: <registry>/<namespace>/redhat-operator-index:v4.10 3
        displayName: My Operator Catalog
        publisher: <publisher_name> 4
        updateStrategy:
          registryPoll: 5
            interval: 30m
      1
      レジストリーにアップロードする前にローカルファイルにコンテンツをミラーリングする場合は、metadata.name フィールドからバックスラッシュ (/) 文字を削除し、オブジェクトの作成時に invalid resource name エラーを回避します。
      2
      カタログソースを全 namespace のユーザーがグローバルに利用できるようにする場合は、openshift-marketplace namespace を指定します。それ以外の場合は、そのカタログの別の namespace を対象とし、その namespace のみが利用できるように指定できます。
      3
      インデックスイメージを指定します。イメージ名の後にタグを指定した場合 (:v4.10 など)、カタログソース Pod は Always のイメージプルポリシーを使用します。これは、Pod が常にコンテナーを開始する前にイメージをプルすることを意味します。@sha256:<id> などのダイジェストを指定した場合、イメージプルポリシーは IfNotPresent になります。これは、イメージがノード上にまだ存在しない場合にのみ、Pod がイメージをプルすることを意味します。
      4
      カタログを公開する名前または組織名を指定します。
      5
      カタログソースは新規バージョンの有無を自動的にチェックし、最新の状態を維持します。
    2. このファイルを使用して CatalogSource オブジェクトを作成します。

      $ oc apply -f catalogSource.yaml
  2. 以下のリソースが正常に作成されていることを確認します。

    1. Pod を確認します。

      $ oc get pods -n openshift-marketplace

      出力例

      NAME                                    READY   STATUS    RESTARTS  AGE
      my-operator-catalog-6njx6               1/1     Running   0         28s
      marketplace-operator-d9f549946-96sgr    1/1     Running   0         26h

    2. カタログソースを確認します。

      $ oc get catalogsource -n openshift-marketplace

      出力例

      NAME                  DISPLAY               TYPE PUBLISHER  AGE
      my-operator-catalog   My Operator Catalog   grpc            5s

    3. パッケージマニフェストを確認します。

      $ oc get packagemanifest -n openshift-marketplace

      出力例

      NAME                          CATALOG               AGE
      jaeger-product                My Operator Catalog   93s

OpenShift Container Platform Web コンソールで、OperatorHub ページから Operator をインストールできるようになりました。

4.10.6. SQLite ベースのインデックスイメージの更新

カスタムインデックスイメージを参照するカタログソースを使用するように OperatorHub を設定した後に、クラスター管理者はバンドルイメージをインデックスイメージに追加して、クラスターで利用可能な Operator を最新の状態に維持することができます。

opm index add コマンドを使用して既存インデックスイメージを更新できます。ネットワークが制限された環境の場合、更新されたコンテンツもクラスターにミラーリングする必要があります。

前提条件

  • opm
  • podman version 1.9.3+
  • レジストリーにビルドされ、プッシュされるインデックスイメージ。
  • インデックスイメージを参照する既存のカタログソース。

手順

  1. バンドルイメージを追加して、既存のインデックスを更新します。

    $ opm index add \
        --bundles <registry>/<namespace>/<new_bundle_image>@sha256:<digest> \1
        --from-index <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<existing_tag> \2
        --tag <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag> \3
        --pull-tool podman 4
    1
    --bundlesフラグは、インデックスに追加する他のバンドルイメージのコンマ区切りリストを指定します。
    2
    --from-indexフラグは、以前にプッシュされたインデックスを指定します。
    3
    --tagフラグは、更新されたインデックスイメージに適用するイメージタグを指定します。
    4
    --pull-toolフラグは、コンテナーイメージのプルに使用されるツールを指定します。

    ここでは、以下のようになります。

    <registry>
    quay.iomirror.example.comなどのレジストリーのホスト名を指定します。
    <namespace>
    ocs-devabcなど、レジストリーの namespace を指定します。
    <new_bundle_image>
    ocs-operatorなど、レジストリーに追加する新しいバンドルイメージを指定します。
    <digest>
    c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41などのバンドルイメージの SHA イメージ ID またはダイジェストを指定します。
    <existing_index_image>
    abc-redhat-operator-indexなど、以前にプッシュされたイメージを指定します。
    <existing_tag>
    4.10など、以前にプッシュされたイメージタグを指定します。
    <updated_tag>
    4.10.1など、更新されたインデックスイメージに適用するイメージタグを指定します。

    コマンドの例

    $ opm index add \
        --bundles quay.io/ocs-dev/ocs-operator@sha256:c7f11097a628f092d8bad148406aa0e0951094a03445fd4bc0775431ef683a41 \
        --from-index mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.10 \
        --tag mirror.example.com/abc/abc-redhat-operator-index:4.10.1 \
        --pull-tool podman

  2. 更新されたインデックスイメージをプッシュします。

    $ podman push <registry>/<namespace>/<existing_index_image>:<updated_tag>
  3. Operator カタログのミラーリングの手順にあるステップを再度実行し、更新されたコンテンツをミラーリングします。ただし、ImageContentSourcePolicy (ICSP) オブジェクトの作成手順を参照する場合、 oc create コマンドの代わりに oc replace コマンドを使用します。以下に例を示します。

    $ oc replace -f ./manifests-redhat-operator-index-<random_number>/imageContentSourcePolicy.yaml

    この変更は、オブジェクトがすでに存在し、更新する必要があるために必要になります。

    注記

    通常、oc apply コマンドを使用して、oc apply を使用して以前に作成された既存のオブジェクトを更新できます。ただし、ICSP オブジェクトの metadata.annotations フィールドのサイズに関する既知の問題により、現時点では oc replace コマンドをこの手順で使用する必要があります。

  4. Operator Lifecycle Manager (OLM) がカタログソースで参照されるインデックスイメージを一定間隔で自動的にポーリングした後に、新規パッケージが正常に追加されたことを確認します。

    $ oc get packagemanifests -n openshift-marketplace

4.11. カタログソース Pod のスケジューリング

ソースタイプ grpc の Operator Lifecycle Manager (OLM) カタログソースが spec.image を定義すると、Catalog Operator は、定義されたイメージコンテンツを提供する Pod を作成します。デフォルトでは、この Pod は、その仕様で以下を定義します。

  • kubernetes.io/os=linux ノードセレクターのみ
  • 優先度クラス名なし
  • Toleration なし

管理者は、CatalogSource オブジェクトのオプションの spec.grpcPodConfig セクションのフィールドを変更すると、これらの値をオーバーライドできます。

4.11.1. カタログソース Pod のノードセレクターのオーバーライド

前提条件

  • spec.image が定義されたソースタイプ grpcCatalogSource オブジェクト

手順

  • CatalogSource オブジェクトを編集し、spec.grpcPodConfig セクションを追加または変更して、以下を含めます。

      grpcPodConfig:
        nodeSelector:
          custom_label: <label>

    <label> は、カタログソース Pod がスケジュールに使用するノードセレクターのラベルです。

4.11.2. カタログソース Pod の優先度クラス名のオーバーライド

前提条件

  • spec.image が定義されたソースタイプ grpcCatalogSource オブジェクト

手順

  • CatalogSource オブジェクトを編集し、spec.grpcPodConfig セクションを追加または変更して、以下を含めます。

      grpcPodConfig:
        priorityClassName: <priority_class>

    <priority_class> は次のいずれかです。

    • Kubernetes によって提供されるデフォルトの優先度クラスの 1 つ: system-cluster-critical または system-node-critical
    • デフォルトの優先度を割り当てる空のセット ("")
    • 既存およびカスタム定義の優先度クラス
注記

以前は、オーバーライドできる唯一の Pod スケジューリングパラメーターは priorityClassName でした。これは、operatorframework.io/priorityclass アノテーションを CatalogSource オブジェクトに追加することによって行われました。以下に例を示します。

apiVersion: operators.coreos.com/v1alpha1
kind: CatalogSource
metadata:
  name: example-catalog
  namespace: namespace: openshift-marketplace
  annotations:
    operatorframework.io/priorityclass: system-cluster-critical

CatalogSource オブジェクトがアノテーションと spec.grpcPodConfig.priorityClassName の両方を定義する場合、アノテーションは設定パラメーターよりも優先されます。

4.11.3. カタログソース Pod の Toleration のオーバーライド

前提条件

  • spec.image が定義されたソースタイプ grpcCatalogSource オブジェクト

手順

  • CatalogSource オブジェクトを編集し、spec.grpcPodConfig セクションを追加または変更して、以下を含めます。

      grpcPodConfig:
        tolerations:
          - key: "<key_name>"
            operator: "<operator_type>"
            value: "<value>"
            effect: "<effect>"

第5章 Operator の開発

5.1. Operator SDK について

Operator FrameworkOperator と呼ばれる Kubernetes ネイティブアプリケーションを効果的かつ自動化された拡張性のある方法で管理するためのオープンソースツールキットです。Operator は Kubernetes の拡張性を利用して、プロビジョニング、スケーリング、バックアップおよび復元などのクラウドサービスの自動化の利点を提供し、同時に Kubernetes が実行される場所であればどこでも実行することができます。

Operator により、Kubernetes の上部の複雑で、ステートフルなアプリケーションを管理することが容易になります。ただし、現時点での Operator の作成は、低レベルの API の使用、ボイラープレートの作成、モジュール化の欠如による重複の発生などの課題があるため、困難になる場合があります。

Operator Framework のコンポーネントである Operator SDK は、Operator 開発者が Operator のビルド、テストおよびデプロイに使用できるコマンドラインインターフェイス (CLI) ツールを提供します。

Operator SDK を使用する理由

Operator SDK は、詳細なアプリケーション固有の運用上の知識を必要とする可能性のあるプロセスである、Kubernetes ネイティブアプリケーションのビルドを容易にします。Operator SDK はこの障壁を低くするだけでなく、メータリングやモニタリングなどの数多くの一般的な管理機能に必要なボイラープレートコードの量を減らします。

Operator SDK は、controller-runtime ライブラリーを使用して、以下の機能を提供することで Operator を容易に作成するフレームワークです。

  • 運用ロジックをより直感的に作成するための高レベルの API および抽象化
  • 新規プロジェクトを迅速にブートストラップするためのスキャフォールディングツールおよびコード生成ツール
  • Operator Lifecycle Manager (OLM) との統合による、クラスターでの Operator のパッケージング、インストール、および実行の単純化
  • 共通する Operator ユースケースに対応する拡張機能
  • Prometheus Operator がデプロイされているクラスターで使用できるように、生成された Go ベースの Operator にメトリックが自動的にセットアップします。

Kubernetes ベースのクラスター (OpenShift Container Platform など) へのクラスター管理者のアクセスのある Operator の作成者は、Operator SDK CLI を使用して Go、Ansible、または Helm をベースに独自の Operator を開発できます。Kubebuilder は Go ベースの Operator のスキャフォールディングソリューションとして Operator SDK に組み込まれます。つまり、既存の Kubebuilder プロジェクトは Operator SDK でそのまま使用でき、引き続き機能します。

注記

OpenShift Container Platform 4.10 は Operator SDK v1.16.0 をサポートします。

5.1.1. Operator について

基本的な Operator の概念および用語の概要については、Operator について を参照してください。

5.1.2. 開発ワークフロー

Operator SDK は、新規 Operator を開発するために以下のワークフローを提供します。

  1. Operator SDK コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用した Operator プロジェクトの作成。
  2. カスタムリソース定義 (CRD) を追加することによる新規リソース API の定義。
  3. Operator SDK API を使用した監視対象リソースの指定。
  4. 指定されたハンドラーでの Operator 調整 (reconciliation) ロジックの定義、およびリソースと対話するための Operator SDK API の使用。
  5. Operator Deployment マニフェストをビルドし、生成するための Operator SDK CLI の使用。

図5.1 Operator SDK ワークフロー

osdk workflow

高次元では、Operator SDK を使用する Operator は Operator の作成者が定義するハンドラーで監視対象のリソースについてのイベントを処理し、アプリケーションの状態を調整するための動作を実行します。

5.1.3. 関連情報

5.2. Operator SDK CLI のインストール

Operator SDK は、Operator 開発者が Operator のビルド、テストおよびデプロイに使用できるコマンドラインインターフェイス (CLI) ツールを提供します。ワークステーションに Operator SDK CLI をインストールして、独自の Operator のオーサリングを開始する準備を整えることができます。

Kubernetes ベースのクラスター (OpenShift Container Platform など) へのクラスター管理者のアクセスのある Operator の作成者は、Operator SDK CLI を使用して Go、Ansible、または Helm をベースに独自の Operator を開発できます。Kubebuilder は Go ベースの Operator のスキャフォールディングソリューションとして Operator SDK に組み込まれます。つまり、既存の Kubebuilder プロジェクトは Operator SDK でそのまま使用でき、引き続き機能します。

注記

OpenShift Container Platform 4.10 は Operator SDK v1.16.0 をサポートします。

5.2.1. Operator SDK CLI のインストール

OpenShift SDK CLI ツールは Linux にインストールできます。

前提条件

  • Go v1.16+
  • docker v17.03+、podman v1.9.3+、または buildah v1.7+

手順

  1. OpenShift ミラーサイト に移動します。
  2. 最新の 4.10 ディレクトリーから、Linux 用の最新バージョンの tarball をダウンロードします。
  3. アーカイブを展開します。

    $ tar xvf operator-sdk-v1.16.0-ocp-linux-x86_64.tar.gz
  4. ファイルを実行可能にします。

    $ chmod +x operator-sdk
  5. 展開された operator-sdk バイナリーを PATH にあるディレクトリーに移動します。

    ヒント

    PATH を確認するには、以下を実行します。

    $ echo $PATH
    $ sudo mv ./operator-sdk /usr/local/bin/operator-sdk

検証

  • Operator SDK CLI のインストール後に、これが利用可能であることを確認します。

    $ operator-sdk version

    出力例

    operator-sdk version: "v1.16.0-ocp", ...

5.3. 新しい Operator SDK バージョンのプロジェクトのアップグレード

OpenShift Container Platform 4.10 は Operator SDK v1.16.0 をサポートします。ワークステーションに v1.10.1 CLI がすでにインストールされている場合は、最新バージョンをインストール して CLI を v1.16.0 にアップグレードできます。

ただし、既存の Operator プロジェクトが Operator SDK v1.16.1 との互換性を維持するには、v1.10.0 以降に導入された関連する重大な変更に対し、アップグレード手順を実行する必要があります。アップグレードの手順は、以前は v1.10.1 で作成または維持されている Operator プロジェクトのいずれかで手動で実行する必要があります。

5.3.1. Operator SDK v1.16.0 のプロジェクトのアップグレード

次の手順では、v1.16.0 との互換性を確保するため、既存の Operator プロジェクトを更新します。

重要
  • Operator SDK v1.16.0 は Kubernetes 1.22 をサポートします。
  • 非推奨の v1beta1 API の多くは、sigs.k8s.io/controller-runtime v0.10.0 および controller-gen v0.7 を含む Kubernetes 1.22 で削除されました。
  • カスタムリソース定義 (CRD) または Webhook の v1beta1 API をスキャフォールディングする必要がある場合には、Kubernetes 1.22 にプロジェクトへの更新は重大な変更になります。

Kubernetes 1.22 で導入された変更の詳細は、Kubernetes 1.22 から削除された API のバンドルマニフェストの検証ベータ版 API が Kubernetes 1.22 から削除について参照してください。

前提条件

  • Operator SDK v1.16.0 がインストールされている
  • Operator SDKv1.10.1 で作成または保守されている Operator プロジェクト。

手順

  1. config/default/manager_auth_proxy_patch.yamlconfig/rbac/auth_proxy_service.yaml ファイルに protocol フィールドを追加します。

    ...
     ports:
     - containerPort: 8443
    +  protocol: TCP
       name: https
  2. config/manager/manager.yaml ファイルに以下の変更を加えます。

    1. CPU とメモリーのリソース制限を増やします。

      resources:
        limits:
      -     cpu: 100m
      -     memory: 30Mi
      +     cpu: 200m
      +     memory: 100Mi
    2. デフォルトのコンテナーマネージャーを指定するアノテーションを追加します。

      ...
      template:
        metadata:
          annotations:
            kubectl.kubernetes.io/default-container: manager
      ...
  3. Makefileファイル内のすべてのターゲットにPHONYターゲットを追加します。
  4. Go ベースの Operator プロジェクトの場合には、次の変更を加えます。

    1. setup-envtestバイナリーをインストールします。
    2. go.modファイルを変更して、依存関係を更新します。

      k8s.io/api v0.22.1
      k8s.io/apimachinery v0.22.1
      k8s.io/client-go v0.22.1
      sigs.k8s.io/controller-runtime v0.10.0
    3. go mod tidyコマンドを実行して、依存関係をダウンロードします。

      $ go mod tidy
    4. Makefile に以下の変更を加えます。

      ...
      
      + ENVTEST_K8S_VERSION = 1.22
      
        test: manifests generate fmt vet envtest ## Run tests.
      -   go test ./... -coverprofile cover.out
      +   KUBEBUILDER_ASSETS="$(shell $(ENVTEST) use $(ENVTEST_K8S_VERSION) -p path)" go test ./... -coverprofile cover.out
      ...
      
      - $(CONTROLLER_GEN) $(CRD_OPTIONS) rbac:roleName=manager-role webhook paths="./..." output:crd:artifacts:config=config/crd/bases
      + $(CONTROLLER_GEN) rbac:roleName=manager-role crd webhook paths="./..." output:crd:artifacts:config=config/crd/bases
      ...
      
      # Produce CRDs that work back to Kubernetes 1.11 (no version conversion)
      - CRD_OPTIONS ?= "crd:trivialVersions=true,preserveUnknownFields=false"
      ...
      - admissionReviewVersions={v1,v1beta1}
      + admissionReviewVersions=v1
      ...
      
      + ifndef ignore-not-found
      +   ignore-not-found = false
      + endif
      
      ##@ Deployment
      ...
      - sh kubectl delete -f -
      + sh kubectl delete --ignore-not-found=$(ignore-not-found) -f -
    5. make manifestコマンドを実行して Kubernetes の更新バージョンでマニフェストを生成します。

      $ make manifest
  5. Ansible ベースの Operator プロジェクトの場合には、次の変更を加えます。

    1. 以下を含めるようにrequirements.ymlファイルを変更します。

      1. community.kubernetesコレクションは、kubernetes.coreコレクションに置き換えます。

        ...
        - name: kubernetes.core
          version: "2.2.0"
        ...
      2. operator_sdk.utilユーティリティーをバージョン0.2.0から0.3.1に更新します。

        ...
        - name: operator_sdk.util
          version: "0.3.1"
    2. config/manager/manager.yaml ファイルでデフォルトのリソース制限を確認します。

      ...
       # TODO(user): Configure the resources accordingly based on the project requirements.
       # More info: https://kubernetes.io/docs/concepts/configuration/manage-resources-containers/
      
      resources:
        limits:
          cpu: 500m
          memory: 768Mi
        requests:
          cpu: 10m
          memory: 256Mi
      重要

      Operator SDK は、これらの値を妥当なデフォルト設定としてスキャフォールディングします。Operator の作成者は、プロジェクトの要件に基づいてリソース制限を設定および最適化する必要があります。

    3. オプション: make runコマンドを使用して Ansible ベースの Operator をローカルで実行する場合は、次の変更を加えます。

      1. Makefileファイルで実行ターゲットを変更します。

        ANSIBLE_ROLES_PATH="$(ANSIBLE_ROLES_PATH):$(shell pwd)/roles" $(ANSIBLE_OPERATOR) run
      2. ansible-runnerのローカルバージョンを 2.0.2 以降に更新します。

        重要

        バージョン 2.0 の時点で、ansible-runner ツールには、以前のバージョンと互換性のないコマンド署名の変更が含まれています。

5.3.2. 関連情報

5.4. Go ベースの Operator

5.4.1. Go ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する

Operator SDK によって提供されるツールおよびライブラリーを使用して Go ベースの Operator をセットアップし、実行することに関連した基本内容を示すには、Operator 開発者は Go ベースの Memcached の Operator のサンプル、分散キー/値のストアをビルドして、クラスターへデプロイすることができます。

5.4.1.1. 前提条件
5.4.1.2. Go ベースの Operator の作成およびデプロイ

Operator SDK を使用して Memcached の単純な Go ベースの Operator をビルドし、デプロイできます。

手順

  1. プロジェクトを作成します。

    1. プロジェクトディレクトリーを作成します。

      $ mkdir memcached-operator
    2. プロジェクトディレクトリーに移動します。

      $ cd memcached-operator
    3. operator-sdk init コマンドを実行してプロジェクトを初期化します。

      $ operator-sdk init \
          --domain=example.com \
          --repo=github.com/example-inc/memcached-operator

      このコマンドは、デフォルトで Go プラグインを使用します。

  2. API を作成します。

    単純な Memcached API を作成します。

    $ operator-sdk create api \
        --resource=true \
        --controller=true \
        --group cache \
        --version v1 \
        --kind Memcached
  3. Operator イメージをビルドし、プッシュします。

    デフォルトの Makefile ターゲットを使用して Operator をビルドし、プッシュします。プッシュ先となるレジストリーを使用するイメージのプル仕様を使用して IMG を設定します。

    $ make docker-build docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
  4. Operator を実行します。

    1. CRD をインストールします。

      $ make install
    2. プロジェクトをクラスターにデプロイします。IMG をプッシュしたイメージに設定します。

      $ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
  5. サンプルカスタムリソース (CR) を作成します。

    1. サンプル CR を作成します。

      $ oc apply -f config/samples/cache_v1_memcached.yaml \
          -n memcached-operator-system
    2. Operator を調整する CR を確認します。

      $ oc logs deployment.apps/memcached-operator-controller-manager \
          -c manager \
          -n memcached-operator-system
  6. CR を削除する

    次のコマンドを実行して CR を削除します。

    $ oc delete -f config/samples/cache_v1_memcached -n memcached-operator-system
  7. クリーンアップします。

    以下のコマンドを実行して、この手順の一部として作成されたリソースをクリーンアップします。

    $ make undeploy
5.4.1.3. 次のステップ

5.4.2. Go ベースの Operator の Operator SDK チュートリアル

Operator 開発者は、Operator SDK での Go プログラミング言語のサポートを利用して、Go ベースの Memcached Operator のサンプルをビルドして、分散キー/値のストアを作成し、そのライフサイクルを管理することができます。

このプロセスは、Operator Framework の 2 つの重要な設定要素を使用して実行されます。

Operator SDK
operator-sdk CLI ツールおよび controller-runtime ライブラリー API
Operator Lifecycle Manager (OLM)
クラスター上の Operator のインストール、アップグレード、ロールベースのアクセス制御 (RBAC)
注記

このチュートリアルでは、Go ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する よりも詳細に説明します。

5.4.2.1. 前提条件
5.4.2.2. プロジェクトの作成

Operator SDK CLI を使用して memcached-operator というプロジェクトを作成します。

手順

  1. プロジェクトのディレクトリーを作成します。

    $ mkdir -p $HOME/projects/memcached-operator
  2. ディレクトリーに切り替えます。

    $ cd $HOME/projects/memcached-operator
  3. Go モジュールのサポートをアクティブにします。

    $ export GO111MODULE=on
  4. operator-sdk init コマンドを実行してプロジェクトを初期化します。

    $ operator-sdk init \
        --domain=example.com \
        --repo=github.com/example-inc/memcached-operator
    注記

    operator-sdk init コマンドは、デフォルトで Go プラグインを使用します。

    operator-sdk init コマンドは、Go モジュール と使用する go.mod ファイルを生成します。生成されるファイルには有効なモジュールパスが必要であるため、$GOPATH/src/ 外のプロジェクトを作成する場合は、--repo フラグが必要です。

5.4.2.2.1. PROJECT ファイル

operator-sdk init コマンドで生成されるファイルの 1 つに、Kubebuilder の PROJECT ファイルがあります。プロジェクトルートから実行される後続の operator-sdk コマンドおよび help 出力は、このファイルを読み取り、プロジェクトタイプが Go であることを認識しています。以下に例を示します。

domain: example.com
layout:
- go.kubebuilder.io/v3
projectName: memcached-operator
repo: github.com/example-inc/memcached-operator
version: "3"
plugins:
  manifests.sdk.operatorframework.io/v2: {}
  scorecard.sdk.operatorframework.io/v2: {}
  sdk.x-openshift.io/v1: {}
5.4.2.2.2. Manager について

Operator の主なプログラムは、Manager を初期化して実行する main.go ファイルです。Manager はすべてのカスタムリソース (CR) API 定義の Scheme を自動的に登録し、コントローラーおよび Webhook を設定して実行します。

Manager は、すべてのコントローラーがリソースの監視をする namespace を制限できます。

mgr, err := ctrl.NewManager(cfg, manager.Options{Namespace: namespace})

デフォルトで、Manager は Operator が実行される namespace を監視します。すべての namespace を確認するには、namespace オプションを空のままにすることができます。

mgr, err := ctrl.NewManager(cfg, manager.Options{Namespace: ""})

MultiNamespacedCacheBuilder 関数を使用して、特定の namespace セットを監視することもできます。

var namespaces []string 1
mgr, err := ctrl.NewManager(cfg, manager.Options{ 2
   NewCache: cache.MultiNamespacedCacheBuilder(namespaces),
})
1
namespace の一覧
2
Cmd 構造を作成し、共有依存関係を提供してコンポーネントを起動します。
5.4.2.2.3. 複数グループ API について

API およびコントローラーを作成する前に、Operator に複数の API グループが必要かどうかを検討してください。このチュートリアルでは、単一グループ API のデフォルトケースについて説明しますが、複数グループ API をサポートするようにプロジェクトのレイアウトを変更するには、以下のコマンドを実行します。

$ operator-sdk edit --multigroup=true

このコマンドにより、PROJECT ファイルが更新されます。このファイルは、以下の例のようになります。

domain: example.com
layout: go.kubebuilder.io/v3
multigroup: true
...

複数グループプロジェクトの場合、API Go タイプのファイルが apis/<group>/<version>/ ディレクトリーに作成され、コントローラーは controllers/<group>/ ディレクトリーに作成されます。続いて、Dockerfile が適宜更新されます。

追加リソース

5.4.2.3. API およびコントローラーの作成

Operator SDK CLI を使用してカスタムリソース定義 (CRD) API およびコントローラーを作成します。

手順

  1. 以下のコマンドを実行して、グループ cache、バージョン、v1、および種類 Memcached を指定して API を作成します。

    $ operator-sdk create api \
        --group=cache \
        --version=v1 \
        --kind=Memcached
  2. プロンプトが表示されたら y を入力し、リソースとコントローラーの両方を作成します。

    Create Resource [y/n]
    y
    Create Controller [y/n]
    y

    出力例

    Writing scaffold for you to edit...
    api/v1/memcached_types.go
    controllers/memcached_controller.go
    ...

このプロセスでは、api/v1/memcached_types.goMemcached リソース API が生成され、controllers/memcached_controller.go でコントローラーが生成されます。

5.4.2.3.1. API の定義

Memcached カスタムリソース (CR) の API を定義します。

手順

  1. api/v1/memcached_types.go で Go タイプの定義を変更し、以下の spec および status を追加します。

    // MemcachedSpec defines the desired state of Memcached
    type MemcachedSpec struct {
    	// +kubebuilder:validation:Minimum=0
    	// Size is the size of the memcached deployment
    	Size int32 `json:"size"`
    }
    
    // MemcachedStatus defines the observed state of Memcached
    type MemcachedStatus struct {
    	// Nodes are the names of the memcached pods
    	Nodes []string `json:"nodes"`
    }
  2. リソースタイプ用に生成されたコードを更新します。

    $ make generate
    ヒント

    *_types.go ファイルの変更後は、make generate コマンドを実行し、該当するリソースタイプ用に生成されたコードを更新する必要があります。

    上記の Makefile ターゲットは controller-gen ユーティリティーを呼び出して、api/v1/zz_generated.deepcopy.go ファイルを更新します。これにより、API Go タイプの定義は、すべての Kind タイプが実装する必要のある runtime.Object インターフェイスを実装します。

5.4.2.3.2. CRD マニフェストの生成

API が spec フィールドと status フィールドおよびカスタムリソース定義 (CRD) 検証マーカーで定義された後に、CRD マニフェストを生成できます。

手順

  • 以下のコマンドを実行し、CRD マニフェストを生成して更新します。

    $ make manifests

    この Makefile ターゲットは controller-gen ユーティリティーを呼び出し、config/crd/bases/cache.example.com_memcacheds.yaml ファイルに CRD マニフェストを生成します。

5.4.2.3.2.1. OpenAPI 検証

OpenAPIv3 スキーマは、マニフェストの生成時に spec.validation ブロックの CRD マニフェストに追加されます。この検証ブロックにより、Kubernetes が作成または更新時に Memcached CR のプロパティーを検証できます。

API の検証を設定するには、マーカーまたはアノテーションを使用できます。これらのマーカーには、+kubebuilder:validation 接頭辞が常にあります。

関連情報

5.4.2.4. コントローラーの実装

新規 API およびコントローラーの作成後に、コントローラーロジックを実装することができます。

手順

  • この例では、生成されたコントローラーファイル controllers/memcached_controller.go を以下の実装例に置き換えます。

    例5.1 memcached_controller.go の例

    /*
    Copyright 2020.
    
    Licensed under the Apache License, Version 2.0 (the "License");
    you may not use this file except in compliance with the License.
    You may obtain a copy of the License at
    
        http://www.apache.org/licenses/LICENSE-2.0
    
    Unless required by applicable law or agreed to in writing, software
    distributed under the License is distributed on an "AS IS" BASIS,
    WITHOUT WARRANTIES OR CONDITIONS OF ANY KIND, either express or implied.
    See the License for the specific language governing permissions and
    limitations under the License.
    */
    
    package controllers
    
    import (
            appsv1 "k8s.io/api/apps/v1"
            corev1 "k8s.io/api/core/v1"
            "k8s.io/apimachinery/pkg/api/errors"
            metav1 "k8s.io/apimachinery/pkg/apis/meta/v1"
            "k8s.io/apimachinery/pkg/types"
            "reflect"
    
            "context"
    
            "github.com/go-logr/logr"
            "k8s.io/apimachinery/pkg/runtime"
            ctrl "sigs.k8s.io/controller-runtime"
            "sigs.k8s.io/controller-runtime/pkg/client"
            ctrllog "sigs.k8s.io/controller-runtime/pkg/log"
    
            cachev1 "github.com/example-inc/memcached-operator/api/v1"
    )
    
    // MemcachedReconciler reconciles a Memcached object
    type MemcachedReconciler struct {
            client.Client
            Log    logr.Logger
            Scheme *runtime.Scheme
    }
    
    // +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds,verbs=get;list;watch;create;update;patch;delete
    // +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds/status,verbs=get;update;patch
    // +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds/finalizers,verbs=update
    // +kubebuilder:rbac:groups=apps,resources=deployments,verbs=get;list;watch;create;update;patch;delete
    // +kubebuilder:rbac:groups=core,resources=pods,verbs=get;list;
    
    // Reconcile is part of the main kubernetes reconciliation loop which aims to
    // move the current state of the cluster closer to the desired state.
    // TODO(user): Modify the Reconcile function to compare the state specified by
    // the Memcached object against the actual cluster state, and then
    // perform operations to make the cluster state reflect the state specified by
    // the user.
    //
    // For more details, check Reconcile and its Result here:
    // - https://pkg.go.dev/sigs.k8s.io/controller-runtime@v0.7.0/pkg/reconcile
    func (r *MemcachedReconciler) Reconcile(ctx context.Context, req ctrl.Request) (ctrl.Result, error) {
            //log := r.Log.WithValues("memcached", req.NamespacedName)
            log := ctrllog.FromContext(ctx)
            // Fetch the Memcached instance
            memcached := &cachev1.Memcached{}
            err := r.Get(ctx, req.NamespacedName, memcached)
            if err != nil {
                    if errors.IsNotFound(err) {
                            // Request object not found, could have been deleted after reconcile request.
                            // Owned objects are automatically garbage collected. For additional cleanup logic use finalizers.
                            // Return and don't requeue
                            log.Info("Memcached resource not found. Ignoring since object must be deleted")
                            return ctrl.Result{}, nil
                    }
                    // Error reading the object - requeue the request.
                    log.Error(err, "Failed to get Memcached")
                    return ctrl.Result{}, err
            }
    
            // Check if the deployment already exists, if not create a new one
            found := &appsv1.Deployment{}
            err = r.Get(ctx, types.NamespacedName{Name: memcached.Name, Namespace: memcached.Namespace}, found)
            if err != nil && errors.IsNotFound(err) {
                    // Define a new deployment
                    dep := r.deploymentForMemcached(memcached)
                    log.Info("Creating a new Deployment", "Deployment.Namespace", dep.Namespace, "Deployment.Name", dep.Name)
                    err = r.Create(ctx, dep)
                    if err != nil {
                            log.Error(err, "Failed to create new Deployment", "Deployment.Namespace", dep.Namespace, "Deployment.Name", dep.Name)
                            return ctrl.Result{}, err
                    }
                    // Deployment created successfully - return and requeue
                    return ctrl.Result{Requeue: true}, nil
            } else if err != nil {
                    log.Error(err, "Failed to get Deployment")
                    return ctrl.Result{}, err
            }
    
            // Ensure the deployment size is the same as the spec
            size := memcached.Spec.Size
            if *found.Spec.Replicas != size {
                    found.Spec.Replicas = &size
                    err = r.Update(ctx, found)
                    if err != nil {
                            log.Error(err, "Failed to update Deployment", "Deployment.Namespace", found.Namespace, "Deployment.Name", found.Name)
                            return ctrl.Result{}, err
                    }
                    // Spec updated - return and requeue
                    return ctrl.Result{Requeue: true}, nil
            }
    
            // Update the Memcached status with the pod names
            // List the pods for this memcached's deployment
            podList := &corev1.PodList{}
            listOpts := []client.ListOption{
                    client.InNamespace(memcached.Namespace),
                    client.MatchingLabels(labelsForMemcached(memcached.Name)),
            }
            if err = r.List(ctx, podList, listOpts...); err != nil {
                    log.Error(err, "Failed to list pods", "Memcached.Namespace", memcached.Namespace, "Memcached.Name", memcached.Name)
                    return ctrl.Result{}, err
            }
            podNames := getPodNames(podList.Items)
    
            // Update status.Nodes if needed
            if !reflect.DeepEqual(podNames, memcached.Status.Nodes) {
                    memcached.Status.Nodes = podNames
                    err := r.Status().Update(ctx, memcached)
                    if err != nil {
                            log.Error(err, "Failed to update Memcached status")
                            return ctrl.Result{}, err
                    }
            }
    
            return ctrl.Result{}, nil
    }
    
    // deploymentForMemcached returns a memcached Deployment object
    func (r *MemcachedReconciler) deploymentForMemcached(m *cachev1.Memcached) *appsv1.Deployment {
            ls := labelsForMemcached(m.Name)
            replicas := m.Spec.Size
    
            dep := &appsv1.Deployment{
                    ObjectMeta: metav1.ObjectMeta{
                            Name:      m.Name,
                            Namespace: m.Namespace,
                    },
                    Spec: appsv1.DeploymentSpec{
                            Replicas: &replicas,
                            Selector: &metav1.LabelSelector{
                                    MatchLabels: ls,
                            },
                            Template: corev1.PodTemplateSpec{
                                    ObjectMeta: metav1.ObjectMeta{
                                            Labels: ls,
                                    },
                                    Spec: corev1.PodSpec{
                                            Containers: []corev1.Container{{
                                                    Image:   "memcached:1.4.36-alpine",
                                                    Name:    "memcached",
                                                    Command: []string{"memcached", "-m=64", "-o", "modern", "-v"},
                                                    Ports: []corev1.ContainerPort{{
                                                            ContainerPort: 11211,
                                                            Name:          "memcached",
                                                    }},
                                            }},
                                    },
                            },
                    },
            }
            // Set Memcached instance as the owner and controller
            ctrl.SetControllerReference(m, dep, r.Scheme)
            return dep
    }
    
    // labelsForMemcached returns the labels for selecting the resources
    // belonging to the given memcached CR name.
    func labelsForMemcached(name string) map[string]string {
            return map[string]string{"app": "memcached", "memcached_cr": name}
    }
    
    // getPodNames returns the pod names of the array of pods passed in
    func getPodNames(pods []corev1.Pod) []string {
            var podNames []string
            for _, pod := range pods {
                    podNames = append(podNames, pod.Name)
            }
            return podNames
    }
    
    // SetupWithManager sets up the controller with the Manager.
    func (r *MemcachedReconciler) SetupWithManager(mgr ctrl.Manager) error {
            return ctrl.NewControllerManagedBy(mgr).
                    For(&cachev1.Memcached{}).
                    Owns(&appsv1.Deployment{}).
                    Complete(r)
    }

    コントローラーのサンプルは、それぞれの Memcached カスタムリソース (CR) について以下の調整 (reconciliation) ロジックを実行します。

    • Memcached デプロイメントを作成します (ない場合)。
    • デプロイメントのサイズが、Memcached CR 仕様で指定されたものと同じであることを確認します。
    • Memcached CR ステータスを memcached Pod の名前に置き換えます。

次のサブセクションでは、実装例のコントローラーがリソースを監視する方法と reconcile ループがトリガーされる方法を説明しています。これらのサブセクションを省略し、直接 Operator の実行 に進むことができます。

5.4.2.4.1. コントローラーによって監視されるリソース

controllers/memcached_controller.goSetupWithManager() 関数は、CR およびコントローラーによって所有され、管理される他のリソースを監視するようにコントローラーがビルドされる方法を指定します。

import (
	...
	appsv1 "k8s.io/api/apps/v1"
	...
)

func (r *MemcachedReconciler) SetupWithManager(mgr ctrl.Manager) error {
	return ctrl.NewControllerManagedBy(mgr).
		For(&cachev1.Memcached{}).
		Owns(&appsv1.Deployment{}).
		Complete(r)
}

NewControllerManagedBy() は、さまざまなコントローラー設定を可能にするコントローラービルダーを提供します。

For(&cachev1.Memcached{}) は、監視するプライマリーリソースとして Memcached タイプを指定します。Memcached タイプのそれぞれの Add、Update、または Delete イベントの場合、reconcile ループに Memcached オブジェクトの (namespace および name キーから成る) reconcile Request 引数が送られます。

Owns(&appsv1.Deployment{}) は、監視するセカンダリーリソースとして Deployment タイプを指定します。Add、Update、または Delete イベントの各 Deployment タイプの場合、イベントハンドラーは各イベントを、デプロイメントのオーナーの reconcile request にマップします。この場合、デプロイメントが作成された Memcached オブジェクトがオーナーです。

5.4.2.4.2. コントローラーの設定

多くの他の便利な設定を使用すると、コントローラーを初期化できます。以下に例を示します。

  • MaxConcurrentReconciles オプションを使用して、コントローラーの同時調整の最大数を設定します。デフォルトは 1 です。

    func (r *MemcachedReconciler) SetupWithManager(mgr ctrl.Manager) error {
        return ctrl.NewControllerManagedBy(mgr).
            For(&cachev1.Memcached{}).
            Owns(&appsv1.Deployment{}).
            WithOptions(controller.Options{
                MaxConcurrentReconciles: 2,
            }).
            Complete(r)
    }
  • 述語を使用した監視イベントをフィルタリングします。
  • EventHandler のタイプを選択し、監視イベントが reconcile ループの reconcile request に変換する方法を変更します。プライマリーリソースおよびセカンダリーリソースよりも複雑な Operator 関係の場合は、EnqueueRequestsFromMapFunc ハンドラーを使用して、監視イベントを任意の reconcile request のセットに変換することができます。

これらの設定およびその他の設定に関する詳細は、アップストリームの Builder および Controller の GoDocs を参照してください。

5.4.2.4.3. reconcile ループ

すべてのコントローラーには、reconcile ループを実装する Reconcile() メソッドのある reconciler オブジェクトがあります。この reconcile ループには、キャッシュからプライマリーリソースオブジェクトの Memcached を検索するために使用される namespace および name キーである Request 引数が渡されます。

import (
	ctrl "sigs.k8s.io/controller-runtime"

	cachev1 "github.com/example-inc/memcached-operator/api/v1"
	...
)

func (r *MemcachedReconciler) Reconcile(ctx context.Context, req ctrl.Request) (ctrl.Result, error) {
  // Lookup the Memcached instance for this reconcile request
  memcached := &cachev1.Memcached{}
  err := r.Get(ctx, req.NamespacedName, memcached)
  ...
}

返り値、結果、およびエラーに基づいて、Request は再度キューに入れられ、reconcile ループが再びトリガーされる可能性があります。

// Reconcile successful - don't requeue
return ctrl.Result{}, nil
// Reconcile failed due to error - requeue
return ctrl.Result{}, err
// Requeue for any reason other than an error
return ctrl.Result{Requeue: true}, nil

Result.RequeueAfter を設定して、猶予期間後にも要求を再びキューに入れることができます。

import "time"

// Reconcile for any reason other than an error after 5 seconds
return ctrl.Result{RequeueAfter: time.Second*5}, nil
注記

RequeueAfter を定期的な CR の調整に設定している Result を返すことができます。

reconciler、クライアント、およびリソースイベントとの対話に関する詳細は、Controller Runtime Client API のドキュメントを参照してください。

5.4.2.4.4. パーミッションおよび RBAC マニフェスト

コントローラーには、管理しているリソースと対話するために特定の RBAC パーミッションが必要です。これらは、以下のような RBAC マーカーを使用して指定されます。

// +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds,verbs=get;list;watch;create;update;patch;delete
// +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds/status,verbs=get;update;patch
// +kubebuilder:rbac:groups=cache.example.com,resources=memcacheds/finalizers,verbs=update
// +kubebuilder:rbac:groups=apps,resources=deployments,verbs=get;list;watch;create;update;patch;delete
// +kubebuilder:rbac:groups=core,resources=pods,verbs=get;list;

func (r *MemcachedReconciler) Reconcile(ctx context.Context, req ctrl.Request) (ctrl.Result, error) {
  ...
}

config/rbac/role.yamlClusterRole オブジェクトマニフェストは、make manifests コマンドが実行されるたびに controller-gen ユーティリティーを使用して、以前のマーカーから生成されます。

5.4.2.5. プロキシーサポートの有効化

Operator の作成者は、ネットワークプロキシーをサポートする Operator を開発できるようになりました。クラスター管理者は、Operator Lifecycle Manager (OLM) によって処理される環境変数のプロキシーサポートを設定します。Operator は以下の標準プロキシー変数の環境を検査し、値をオペランドに渡して、プロキシーされたクラスターをサポートする必要があります。

  • HTTP_PROXY
  • HTTPS_PROXY
  • NO_PROXY
注記

このチュートリアルでは、HTTP_PROXY を環境変数の例として使用します。

前提条件

  • クラスター全体の egress プロキシーが有効にされているクラスター。

手順

  1. controllers/memcached_controller.go ファイルを編集し、以下のパラメーターを追加します。

    1. operator-lib ライブラリーから proxy パッケージをインポートします。

      import (
        ...
         "github.com/operator-framework/operator-lib/proxy"
      )
    2. proxy.ReadProxyVarsFromEnv helper 関数を調整ループに、結果をオペランド環境に追加します。

      for i, container := range dep.Spec.Template.Spec.Containers {
      		dep.Spec.Template.Spec.Containers[i].Env = append(container.Env, proxy.ReadProxyVarsFromEnv()...)
      }
      ...
  2. 以下を config/manager/manager.yaml ファイルに追加して、Operator デプロイメントに環境変数を設定します。

    containers:
     - args:
       - --leader-elect
       - --leader-election-id=ansible-proxy-demo
       image: controller:latest
       name: manager
       env:
         - name: "HTTP_PROXY"
           value: "http_proxy_test"
5.4.2.6. Operator の実行

Operator SDK CLI を使用して Operator をビルドし、実行する方法は 3 つあります。

  • クラスター外で Go プログラムとしてローカルに実行します。
  • クラスター上のデプロイメントとして実行します。
  • Operator をバンドルし、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してクラスター上にデプロイします。
注記

Go ベースの Operator を OpenShift Container Platform でのデプロイメントとして、または OLM を使用するバンドルとして実行する前に、プロジェクトがサポートされているイメージを使用するように更新されていることを確認します。

5.4.2.6.1. クラスター外でローカルに実行する。

Operator プロジェクトをクラスター外の Go プログラムとして実行できます。これは、デプロイメントとテストを迅速化するという開発目的において便利です。

手順

  • 以下のコマンドを実行して、~/.kube/config ファイルに設定されたクラスターにカスタムリソース定義 (CRD) をインストールし、Operator をローカルで実行します。

    $ make install run

    出力例

    ...
    2021-01-10T21:09:29.016-0700	INFO	controller-runtime.metrics	metrics server is starting to listen	{"addr": ":8080"}
    2021-01-10T21:09:29.017-0700	INFO	setup	starting manager
    2021-01-10T21:09:29.017-0700	INFO	controller-runtime.manager	starting metrics server	{"path": "/metrics"}
    2021-01-10T21:09:29.018-0700	INFO	controller-runtime.manager.controller.memcached	Starting EventSource	{"reconciler group": "cache.example.com", "reconciler kind": "Memcached", "source": "kind source: /, Kind="}
    2021-01-10T21:09:29.218-0700	INFO	controller-runtime.manager.controller.memcached	Starting Controller	{"reconciler group": "cache.example.com", "reconciler kind": "Memcached"}
    2021-01-10T21:09:29.218-0700	INFO	controller-runtime.manager.controller.memcached	Starting workers	{"reconciler group": "cache.example.com", "reconciler kind": "Memcached", "worker count": 1}

5.4.2.6.2. クラスター上でのデプロイメントとしての実行

Operator プロジェクトは、クラスター上でのデプロイメントとして実行することができます。

前提条件

  • プロジェクトを更新してサポートされるイメージを使用することで、OpenShift Container Platform で実行する Go ベースの Operator が準備済みである。

手順

  1. 以下の make コマンドを実行して Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順の IMG 引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。

    1. イメージをビルドします。

      $ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
      注記

      Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、go build について GOARCH=amd64 を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合は GOARCH=$TARGETARCH に修正できます。Docker は、-platform で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために -build-arg を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。

    2. イメージをリポジトリーにプッシュします。

      $ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
      注記

      両方のコマンドのイメージの名前とタグ (例: IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>) を Makefile に設定することもできます。IMG ?= controller:latest の値を変更して、デフォルトのイメージ名を設定します。

  2. 以下のコマンドを実行して Operator をデプロイします。

    $ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>

    デフォルトで、このコマンドは <project_name>-system の形式で Operator プロジェクトの名前で namespace を作成し、デプロイメントに使用します。このコマンドは、config/rbac から RBAC マニフェストもインストールします。

  3. Operator が実行されていることを確認します。

    $ oc get deployment -n <project_name>-system

    出力例

    NAME                                    READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
    <project_name>-controller-manager       1/1     1            1           8m

5.4.2.6.3. Operator のバンドルおよび Operator Lifecycle Manager を使用したデプロイ
5.4.2.6.3.1. Operator のバンドル

Operator Bundle Format は、Operator SDK および Operator Lifecycle Manager (OLM) のデフォルトパッケージ方法です。Operator SDK を使用して OLM に対して Operator を準備し、バンドルイメージをとして Operator プロジェクトをビルドしてプッシュできます。

前提条件

  • 開発ワークステーションに Operator SDK CLI がインストールされていること。
  • OpenShift CLI (oc) v4.10+ がインストールされていること。
  • Operator プロジェクトが Operator SDK を使用して初期化されていること。
  • Operator が Go ベースの場合、プロジェクトを更新して OpenShift Container Platform での実行をサポートするイメージを使用する必要がある。

手順

  1. 以下の make コマンドを Operator プロジェクトディレクトリーで実行し、Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順の IMG 引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。

    1. イメージをビルドします。

      $ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
      注記

      Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、go build について GOARCH=amd64 を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合は GOARCH=$TARGETARCH に修正できます。Docker は、-platform で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために -build-arg を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。

    2. イメージをリポジトリーにプッシュします。

      $ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
  2. Operator SDK generate bundle および bundle validate のサブコマンドを含む複数のコマンドを呼び出す make bundle コマンドを実行し、Operator バンドルマニフェストを作成します。

    $ make bundle IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>

    Operator のバンドルマニフェストは、アプリケーションを表示し、作成し、管理する方法を説明します。make bundle コマンドは、以下のファイルおよびディレクトリーを Operator プロジェクトに作成します。

    • ClusterServiceVersion オブジェクトを含む bundle/manifests という名前のバンドルマニフェストディレクトリー
    • bundle/metadata という名前のバンドルメタデータディレクトリー
    • config/crd ディレクトリー内のすべてのカスタムリソース定義 (CRD)
    • Dockerfile bundle.Dockerfile

    続いて、これらのファイルは operator-sdk bundle validate を使用して自動的に検証され、ディスク上のバンドル表現が正しいことを確認します。

  3. 以下のコマンドを実行し、バンドルイメージをビルドしてプッシュします。OLM は、1 つ以上のバンドルイメージを参照するインデックスイメージを使用して Operator バンドルを使用します。

    1. バンドルイメージをビルドします。イメージをプッシュしようとするレジストリー、ユーザー namespace、およびイメージタグの詳細で BUNDLE_IMG を設定します。

      $ make bundle-build BUNDLE_IMG=<registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
    2. バンドルイメージをプッシュします。

      $ docker push <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
5.4.2.6.3.2. Operator Lifecycle Manager を使用した Operator のデプロイ

Operator Lifecycle Manager (OLM) は、Kubernetes クラスターで Operator (およびそれらの関連サービス) をインストールし、更新し、ライフサイクルを管理するのに役立ちます。OLM はデフォルトで OpenShift Container Platform にインストールされ、Kubernetes 拡張として実行されるため、追加のツールなしにすべての Operator のライフサイクル管理機能に Web コンソールおよび OpenShift CLI (oc) を使用できます。

Operator Bundle Format は、Operator SDK および OLM のデフォルトパッケージ方法です。Operator SDK を使用して OLM でバンドルイメージを迅速に実行し、適切に実行されるようにできます。

前提条件

  • 開発ワークステーションに Operator SDK CLI がインストールされていること。
  • ビルドされ、レジストリーにプッシュされる Operator バンドルイメージ。
  • (OpenShift Container Platform 4.10 など、apiextensions.k8s.io/v1 CRD を使用する場合は v1.16.0 以降の) Kubernetes ベースのクラスターに OLM がインストールされていること。
  • cluster-admin パーミッションのあるアカウントを使用して oc でクラスターへログインしていること。
  • Operator が Go ベースの場合、プロジェクトを更新して OpenShift Container Platform での実行をサポートするイメージを使用する必要がある。

手順

  1. 以下のコマンドを入力してクラスターで Operator を実行します。

    $ operator-sdk run bundle \
        [-n <namespace>] \1
        <registry>/<user>/<bundle_image_name>:<tag>
    1
    デフォルトで、このコマンドは ~/.kube/config ファイルの現在アクティブなプロジェクトに Operator をインストールします。-n フラグを追加して、インストールに異なる namespace スコープを設定できます。

    このコマンドにより、以下のアクションが行われます。

    • バンドルイメージをインジェクトしてインデックスイメージを作成します。インデックスイメージは不透明で一時的なものですが、バンドルを実稼働環境でカタログに追加する方法を正確に反映します。
    • 新規インデックスイメージを参照するカタログソースを作成します。これにより、OperatorHub が Operator を検出できるようになります。
    • OperatorGroupSubscriptionInstallPlan、および RBAC を含むその他の必要なオブジェクトすべてを作成して、Operator をクラスターにデプロイします。
5.4.2.7. カスタムリソースの作成

Operator のインストール後に、Operator によってクラスターに提供されるカスタムリソース (CR) を作成して、これをテストできます。

前提条件

  • クラスターにインストールされている Memcached CR を提供する Memcached Operator の例

手順

  1. Operator がインストールされている namespace へ変更します。たとえば、make deploy コマンドを使用して Operator をデプロイした場合は、以下のようになります。

    $ oc project memcached-operator-system
  2. config/samples/cache_v1_memcached.yamlMemcached CR マニフェストのサンプルを編集し、以下の仕様が含まれるようにします。

    apiVersion: cache.example.com/v1
    kind: Memcached
    metadata:
      name: memcached-sample
    ...
    spec:
    ...
      size: 3
  3. CR を作成します。

    $ oc apply -f config/samples/cache_v1_memcached.yaml
  4. Memcached Operator が、正しいサイズで CR サンプルのデプロイメントを作成することを確認します。

    $ oc get deployments

    出力例

    NAME                                    READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
    memcached-operator-controller-manager   1/1     1            1           8m
    memcached-sample                        3/3     3            3           1m

  5. ステータスが Memcached Pod 名で更新されていることを確認するために、Pod および CR ステータスを確認します。

    1. Pod を確認します。

      $ oc get pods

      出力例

      NAME                                  READY     STATUS    RESTARTS   AGE
      memcached-sample-6fd7c98d8-7dqdr      1/1       Running   0          1m
      memcached-sample-6fd7c98d8-g5k7v      1/1       Running   0          1m
      memcached-sample-6fd7c98d8-m7vn7      1/1       Running   0          1m

    2. CR ステータスを確認します。

      $ oc get memcached/memcached-sample -o yaml

      出力例

      apiVersion: cache.example.com/v1
      kind: Memcached
      metadata:
      ...
        name: memcached-sample
      ...
      spec:
        size: 3
      status:
        nodes:
        - memcached-sample-6fd7c98d8-7dqdr
        - memcached-sample-6fd7c98d8-g5k7v
        - memcached-sample-6fd7c98d8-m7vn7

  6. デプロイメントサイズを更新します。

    1. config/samples/cache_v1_memcached.yaml ファイルを更新し、Memcached CR の spec.size フィールドを 3 から 5 に変更します。

      $ oc patch memcached memcached-sample \
          -p '{"spec":{"size": 5}}' \
          --type=merge
    2. Operator がデプロイメントサイズを変更することを確認します。

      $ oc get deployments

      出力例

      NAME                                    READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
      memcached-operator-controller-manager   1/1     1            1           10m
      memcached-sample                        5/5     5            5           3m

  7. 次のコマンドを実行して CR を削除します。

    $ oc delete -f config/samples/cache_v1_memcached.yaml
  8. このチュートリアルの一環として作成したリソースをクリーンアップします。

    • Operator のテストに make deploy コマンドを使用した場合は、以下のコマンドを実行します。

      $ make undeploy
    • Operator のテストに operator-sdk run bundle コマンドを使用した場合は、以下のコマンドを実行します。

      $ operator-sdk cleanup <project_name>
5.4.2.8. 関連情報

5.4.3. Go ベースの Operator のプロジェクトレイアウト

operator-sdk CLI は、各 Operator プロジェクトに多数のパッケージおよびファイルを生成、または スキャフォールディング することができます。

5.4.3.1. Go ベースのプロジェクトレイアウト

operator-sdk init コマンドを使用して生成される Go ベースの Operator プロジェクト (デフォルトタイプ) には、以下のディレクトリーおよびファイルが含まれます。

ファイルまたはディレクトリー目的

main.go

Operator のメインプログラム。これは、apis/ ディレクトリーのすべてのカスタムリソース定義 (CRD) を登録する新規のマネージャーをインスタンス化し、controllers/ ディレクトリーのすべてのコントローラーを起動します。

apis/

CRD の API を定義するディレクトリーツリー。apis/<version>/<kind>_types.go ファイルを編集して各リソースタイプの API を定義し、それらのパッケージをコントローラーにインポートして、これらのリソースタイプを監視する必要があります。

controllers/

コントローラーの実装。controller/<kind>_controller.go ファイルを編集し、指定された kind のリソースタイプを処理するためのコントローラーの reconcile ロジックを定義します。

config/

クラスターにコントローラーをデプロイするために使用される Kubernetes マニフェスト (CRD、RBAC、および証明書を含む)。

Makefile

コントローラーのビルドおよびデプロイに使用するターゲット。

Dockerfile

コンテナーエンジンが Operator をビルドするために使用する手順。

manifests/

CRD の登録、RBAC のセットアップ、およびデプロイメントとして Operator のデプロイをする Kubernetes マニフェスト。

5.5. Ansible ベース Operator

5.5.1. Ansible ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する

Operator プロジェクトを生成するための Operator SDK には、Go コードを作成せずに Kubernetes リソースを統一されたアプリケーションとしてデプロイするために、既存の Ansible Playbook およびモジュールを使用するオプションがあります。

Operator SDK によって提供されるツールおよびライブラリーを使用して Ansible ベースの Operator をセットアップし、実行するための基本を示すには、Operator 開発者は Ansible ベースの Memcached Operator のサンプルをビルドして、分散キー/値のストアを作成し、クラスターへデプロイすることができます。

5.5.1.1. 前提条件
5.5.1.2. Ansible ベース Operator の作成およびデプロイ

Operator SDK を使用して、Memcached の単純な Ansible ベースの Operator をビルドし、デプロイできます。

手順

  1. プロジェクトを作成します。

    1. プロジェクトディレクトリーを作成します。

      $ mkdir memcached-operator
    2. プロジェクトディレクトリーに移動します。

      $ cd memcached-operator
    3. ansible プラグインを指定して operator-sdk init コマンドを実行し、プロジェクトを初期化します。

      $ operator-sdk init \
          --plugins=ansible \
          --domain=example.com
  2. API を作成します。

    単純な Memcached API を作成します。

    $ operator-sdk create api \
        --group cache \
        --version v1 \
        --kind Memcached \
        --generate-role 1
    1
    API の Ansible ロールを生成します。
  3. Operator イメージをビルドし、プッシュします。

    デフォルトの Makefile ターゲットを使用して Operator をビルドし、プッシュします。プッシュ先となるレジストリーを使用するイメージのプル仕様を使用して IMG を設定します。

    $ make docker-build docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
  4. Operator を実行します。

    1. CRD をインストールします。

      $ make install
    2. プロジェクトをクラスターにデプロイします。IMG をプッシュしたイメージに設定します。

      $ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
  5. サンプルカスタムリソース (CR) を作成します。

    1. サンプル CR を作成します。

      $ oc apply -f config/samples/cache_v1_memcached.yaml \
          -n memcached-operator-system
    2. Operator を調整する CR を確認します。

      $ oc logs deployment.apps/memcached-operator-controller-manager \
          -c manager \
          -n memcached-operator-system

      出力例

      ...
      I0205 17:48:45.881666       7 leaderelection.go:253] successfully acquired lease memcached-operator-system/memcached-operator
      {"level":"info","ts":1612547325.8819902,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting EventSource","source":"kind source: cache.example.com/v1, Kind=Memcached"}
      {"level":"info","ts":1612547325.98242,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting Controller"}
      {"level":"info","ts":1612547325.9824686,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting workers","worker count":4}
      {"level":"info","ts":1612547348.8311093,"logger":"runner","msg":"Ansible-runner exited successfully","job":"4037200794235010051","name":"memcached-sample","namespace":"memcached-operator-system"}

  6. CR を削除する

    次のコマンドを実行して CR を削除します。

    $ oc delete -f config/samples/cache_v1_memcached -n memcached-operator-system
  7. クリーンアップします。

    以下のコマンドを実行して、この手順の一部として作成されたリソースをクリーンアップします。

    $ make undeploy
5.5.1.3. 次のステップ

5.5.2. Ansible ベース Operator の Operator SDK チュートリアル

Operator 開発者は、Operator SDK での Ansible のサポートを利用して、Ansible ベースの Memcached Operator のサンプルをビルドして、分散キー/値のストアを作成し、そのライフサイクルを管理することができます。このチュートリアルでは、以下のプロセスについて説明します。

  • Memcached デプロイメントを作成します。
  • デプロイメントのサイズが、Memcached カスタムリソース (CR) 仕様で指定されたものと同じであることを確認します。
  • ステータスライターを使用して、Memcached CR ステータスを memcached Pod の名前で更新します。

このプロセスは、Operator Framework の 2 つの重要な設定要素を使用して実行されます。

Operator SDK
operator-sdk CLI ツールおよび controller-runtime ライブラリー API
Operator Lifecycle Manager (OLM)
クラスター上の Operator のインストール、アップグレード、ロールベースのアクセス制御 (RBAC)
注記

このチュートリアルでは、Ansible ベースの Operator の Operator SDK の使用を開始する よりも詳細に説明します。

5.5.2.1. 前提条件
5.5.2.2. プロジェクトの作成

Operator SDK CLI を使用して memcached-operator というプロジェクトを作成します。

手順

  1. プロジェクトのディレクトリーを作成します。

    $ mkdir -p $HOME/projects/memcached-operator
  2. ディレクトリーに切り替えます。

    $ cd $HOME/projects/memcached-operator
  3. ansible プラグインを指定して operator-sdk init コマンドを実行し、プロジェクトを初期化します。

    $ operator-sdk init \
        --plugins=ansible \
        --domain=example.com
5.5.2.2.1. PROJECT ファイル

operator-sdk init コマンドで生成されるファイルの 1 つに、Kubebuilder の PROJECT ファイルがあります。プロジェクトルートから実行される後続の operator-sdk コマンドおよび help 出力は、このファイルを読み取り、プロジェクトタイプが Ansible であることを認識しています。以下に例を示します。

domain: example.com
layout:
- ansible.sdk.operatorframework.io/v1
plugins:
  manifests.sdk.operatorframework.io/v2: {}
  scorecard.sdk.operatorframework.io/v2: {}
  sdk.x-openshift.io/v1: {}
projectName: memcached-operator
version: "3"
5.5.2.3. API の作成

Operator SDK CLI を使用して Memcached API を作成します。

手順

  • 以下のコマンドを実行して、グループ cache、バージョン、v1、および種類 Memcached を指定して API を作成します。

    $ operator-sdk create api \
        --group cache \
        --version v1 \
        --kind Memcached \
        --generate-role 1
    1
    API の Ansible ロールを生成します。

API の作成後に、Operator プロジェクトは以下の構造で更新します。

Memcached CRD
サンプル Memcached リソースが含まれます。
Manager

以下を使用して、クラスターの状態を必要な状態に調整するプログラム。

  • reconciler (Ansible ロールまたは Playbook のいずれか)
  • Memcached リソースを memcached Ansible ロールに接続する watches.yaml ファイル
5.5.2.4. マネージャーの変更

Operator プロジェクトを更新して、Ansible ロールの形式で reconcile ロジックを提供します。これは、Memcached リソースが作成、更新、または削除されるたびに実行されます。

手順

  1. roles/memcached/tasks/main.yml ファイルを以下の構造で更新します。

    ---
    - name: start memcached
      k8s:
        definition:
          kind: Deployment
          apiVersion: apps/v1
          metadata:
            name: '{{ ansible_operator_meta.name }}-memcached'
            namespace: '{{ ansible_operator_meta.namespace }}'
          spec:
            replicas: "{{size}}"
            selector:
              matchLabels:
                app: memcached
            template:
              metadata:
                labels:
                  app: memcached
              spec:
                containers:
                - name: memcached
                  command:
                  - memcached
                  - -m=64
                  - -o
                  - modern
                  - -v
                  image: "docker.io/memcached:1.4.36-alpine"
                  ports:
                    - containerPort: 11211

    この memcached ロールは、memcached デプロイメントが存在することを確実にし、デプロイメントサイズを設定します。

  2. roles/memcached/defaults/main.yml ファイルを編集して、Ansible ロールで使用される変数のデフォルト値を設定します。

    ---
    # defaults file for Memcached
    size: 1
  3. 以下の構造で、config/samples/cache_v1_memcached.yaml ファイルの Memcached サンプルリソースを更新します。

    apiVersion: cache.example.com/v1
    kind: Memcached
    metadata:
      labels:
        app.kubernetes.io/name: memcached
        app.kubernetes.io/instance: memcached-sample
        app.kubernetes.io/part-of: memcached-operator
        app.kubernetes.io/managed-by: kustomize
        app.kubernetes.io/created-by: memcached-operator
      name: memcached-sample
    spec:
      size: 3

    カスタムリソース (CR) 仕様のキー/値のペアは、追加の変数として Ansible に渡されます。

注記

spec フィールドのすべての変数の名前は、Ansible の実行前に Operator によってスネークケース (小文字 + アンダースコア) に変換されます。たとえば、仕様の serviceAccount は Ansible では service_account になります。

watches.yaml ファイルで snakeCaseParameters オプションを false に設定して、このケース変換を無効にすることができます。Ansible で変数についてのタイプの検証を実行し、アプリケーションが予想される入力を受信していることを確認することが推奨されます。

5.5.2.5. プロキシーサポートの有効化

Operator の作成者は、ネットワークプロキシーをサポートする Operator を開発できるようになりました。クラスター管理者は、Operator Lifecycle Manager (OLM) によって処理される環境変数のプロキシーサポートを設定します。Operator は以下の標準プロキシー変数の環境を検査し、値をオペランドに渡して、プロキシーされたクラスターをサポートする必要があります。

  • HTTP_PROXY
  • HTTPS_PROXY
  • NO_PROXY
注記

このチュートリアルでは、HTTP_PROXY を環境変数の例として使用します。

前提条件

  • クラスター全体の egress プロキシーが有効にされているクラスター。

手順

  1. 以下で roles/memcached/tasks/main.yml ファイルを更新して、環境変数をデプロイメントに追加します。

    ...
    env:
       - name: HTTP_PROXY
         value: '{{ lookup("env", "HTTP_PROXY") | default("", True) }}'
       - name: http_proxy
         value: '{{ lookup("env", "HTTP_PROXY") | default("", True) }}'
    ...
  2. 以下を config/manager/manager.yaml ファイルに追加して、Operator デプロイメントに環境変数を設定します。

    containers:
     - args:
       - --leader-elect
       - --leader-election-id=ansible-proxy-demo
       image: controller:latest
       name: manager
       env:
         - name: "HTTP_PROXY"
           value: "http_proxy_test"
5.5.2.6. Operator の実行

Operator SDK CLI を使用して Operator をビルドし、実行する方法は 3 つあります。

  • クラスター外で Go プログラムとしてローカルに実行します。
  • クラスター上のデプロイメントとして実行します。
  • Operator をバンドルし、Operator Lifecycle Manager (OLM) を使用してクラスター上にデプロイします。
5.5.2.6.1. クラスター外でローカルに実行する。

Operator プロジェクトをクラスター外の Go プログラムとして実行できます。これは、デプロイメントとテストを迅速化するという開発目的において便利です。

手順

  • 以下のコマンドを実行して、~/.kube/config ファイルに設定されたクラスターにカスタムリソース定義 (CRD) をインストールし、Operator をローカルで実行します。

    $ make install run

    出力例

    ...
    {"level":"info","ts":1612589622.7888272,"logger":"ansible-controller","msg":"Watching resource","Options.Group":"cache.example.com","Options.Version":"v1","Options.Kind":"Memcached"}
    {"level":"info","ts":1612589622.7897573,"logger":"proxy","msg":"Starting to serve","Address":"127.0.0.1:8888"}
    {"level":"info","ts":1612589622.789971,"logger":"controller-runtime.manager","msg":"starting metrics server","path":"/metrics"}
    {"level":"info","ts":1612589622.7899997,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting EventSource","source":"kind source: cache.example.com/v1, Kind=Memcached"}
    {"level":"info","ts":1612589622.8904517,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting Controller"}
    {"level":"info","ts":1612589622.8905244,"logger":"controller-runtime.manager.controller.memcached-controller","msg":"Starting workers","worker count":8}

5.5.2.6.2. クラスター上でのデプロイメントとしての実行

Operator プロジェクトは、クラスター上でのデプロイメントとして実行することができます。

手順

  1. 以下の make コマンドを実行して Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順の IMG 引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。

    1. イメージをビルドします。

      $ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
      注記

      Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、go build について GOARCH=amd64 を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合は GOARCH=$TARGETARCH に修正できます。Docker は、-platform で指定された値に環境変数を自動的に設定します。Buildah では、そのために -build-arg を使用する必要があります。詳細は、Multiple Architectures を参照してください。

    2. イメージをリポジトリーにプッシュします。

      $ make docker-push IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>
      注記

      両方のコマンドのイメージの名前とタグ (例: IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>) を Makefile に設定することもできます。IMG ?= controller:latest の値を変更して、デフォルトのイメージ名を設定します。

  2. 以下のコマンドを実行して Operator をデプロイします。

    $ make deploy IMG=<registry>/<user>/<image_name>:<tag>

    デフォルトで、このコマンドは <project_name>-system の形式で Operator プロジェクトの名前で namespace を作成し、デプロイメントに使用します。このコマンドは、config/rbac から RBAC マニフェストもインストールします。

  3. Operator が実行されていることを確認します。

    $ oc get deployment -n <project_name>-system

    出力例

    NAME                                    READY   UP-TO-DATE   AVAILABLE   AGE
    <project_name>-controller-manager       1/1     1            1           8m

5.5.2.6.3. Operator のバンドルおよび Operator Lifecycle Manager を使用したデプロイ
5.5.2.6.3.1. Operator のバンドル

Operator Bundle Format は、Operator SDK および Operator Lifecycle Manager (OLM) のデフォルトパッケージ方法です。Operator SDK を使用して OLM に対して Operator を準備し、バンドルイメージをとして Operator プロジェクトをビルドしてプッシュできます。

前提条件

  • 開発ワークステーションに Operator SDK CLI がインストールされていること。
  • OpenShift CLI (oc) v4.10+ がインストールされていること。
  • Operator プロジェクトが Operator SDK を使用して初期化されていること。

手順

  1. 以下の make コマンドを Operator プロジェクトディレクトリーで実行し、Operator イメージをビルドし、プッシュします。以下の手順の IMG 引数を変更して、アクセス可能なリポジトリーを参照します。Quay.io などのリポジトリーサイトにコンテナーを保存するためのアカウントを取得できます。

    1. イメージをビルドします。

      $ make docker-build IMG=<registry>/<user>/<operator_image_name>:<tag>
      注記

      Operator の SDK によって生成される Dockerfile は、go build について GOARCH=amd64 を明示的に参照します。これは、AMD64 アーキテクチャー以外の場合は GOARCH=$TARGETARCH に修正できます。Docker は、-platform