第1章 Red Hat Advanced Cluster Security for Kubernetes のバックアップ
Red Hat Advanced Cluster Security for Kubernetes のデータバックアップを実行し、インフラストラクチャーの障害やデータの破損が発生した場合にデータの復元に使用できます。
Amazon S3、S3 API 互換サービス、または Google Cloud Storage と統合することで、Central データベースの自動バックアップを設定できます。roxctl
CLI を使用して、Central データベースのオンデマンドバックアップを実行できます。RHACS Operator または Helm Chart のインストール方法を使用して、Central デプロイメントをバックアップすることもできます。
要件に応じて、2 種類のバックアップを作成できます。
- Central データベースのバックアップ: RHACS 設定、リソース、イベント、および証明書が含まれます。データベース障害やデータ破損などの予期せぬ事態が発生した場合は、バックアップを使用して Central データベースを回復し、以前の機能状態に復元できます。これにより、重要なデータの可用性と整合性が確保され、大幅に中断したり重要な情報を失うことなく、通常の運用を継続できるようになります。
- すべてのカスタムデプロイメント設定のバックアップ: Helm チャートまたは RHACS Operator を使用して RHACS をインストールした場合は、インストールに固有の設定、パラメーター、およびカスタマイズをバックアップできます。RHACS インストールが誤って削除されるか、別のクラスターまたは namespace に移行する必要がある場合は、デプロイメント設定のバックアップがあると、シームレスなリカバリープロセスが可能になります。さらに、バックアップからカスタム設定を復元することで、Central インストールに固有の要件と設定を効率的に元に戻し、システムの一貫性と正確なデプロイメントを確保できます。
バックアップファイルにはシークレットと証明書が含まれるため、バックアップファイルを安全に保存する必要があります。
1.1. roxctl CLI を使用した Central データベースのバックアップ
Central データベースのバックアップは、データの整合性とシステムの信頼性を確保するために重要です。必要な設定、リソース、イベント、証明書を含むデータベースを定期的にバックアップすることで、データベースの障害、破損、偶発的なデータ損失を防ぎます。
roxctl
CLI を使用し、backup
コマンドでバックアップを作成できます。このコマンドを実行するには、API トークンまたは管理者パスワードが必要です。
Red Hat は、Amazon S3 または Google Cloud Storage とのインテグレーションにより、Central データベースのバックアップをサポートしています。
S3 API 互換 ストレージへのバックアップは動作が保証されません。Red Hat は、RHACS のバックアップに関して、すべての S3 API 互換プロバイダーをテストおよびサポートしているわけではありません。
1.1.1. API トークンを使用したオンデマンドバックアップ
API トークンを使用して、RHACS のデータベース全体をバックアップできます。
前提条件
-
Admin
ロールを持つ API トークンがある。 -
roxctl
CLI をインストールしている。
手順
次のコマンドを実行して、
ROX_API_TOKEN
およびROX_ENDPOINT
環境変数を設定します。$ export ROX_API_TOKEN=<api_token>
$ export ROX_ENDPOINT=<address>:<port_number>
次のコマンドを実行して、Central のバックアップを開始します。
$ roxctl central backup 1
- 1
--output
オプションを使用して、バックアップファイルの場所を指定できます。
デフォルトでは、
roxctl
CLI はコマンドを実行するディレクトリーにバックアップファイルを保存します。
関連情報
1.1.2. 管理者パスワードを使用したオンデマンドバックアップ
管理者パスワードを使用して、RHACS のデータベース全体をバックアップできます。
前提条件
- 管理者パスワードがある。
-
roxctl
CLI をインストールしている。
手順
次のコマンドを実行して、
ROX_ENDPOINT
環境変数を設定します。$ export ROX_ENDPOINT=<address>:<port_number>
次のコマンドを実行して、Central のバックアップを開始します。
$ roxctl -p <admin_password> central backup 1
- 1
<admin_password>
には、管理者のパスワードを指定します。
デフォルトでは、
roxctl
CLI がコマンドを実行したディレクトリーにバックアップファイルを保存します。--output
オプションを使用して、バックアップファイルの場所を指定できます。