3.2. ワークロードとクラスターのコンプライアンスの監視


コンプライアンススキャンを実行すると、RHACS でインフラストラクチャー全体のコンプライアンスステータスを確認できます。コンプライアンスダッシュボードで結果を表示し、データをフィルタリングして、クラスター、namespace、ノード全体のコンプライアンスステータスを監視できます。

詳細なコンプライアンスレポートを生成し、特定の標準、コントロール、業界ベンチマークに注目することで、環境のコンプライアンスステータスを追跡して共有し、必要なコンプライアンス標準をインフラストラクチャーが満たしていることを確認できます。

3.2.1. インフラストラクチャーのコンプライアンスステータスの確認

コンプライアンススキャンを実行すると、すべてのコンプライアンス標準について、インフラストラクチャー全体のコンプライアンスステータスを確認できます。コンプライアンススキャンを実行すると、Red Hat Advanced Cluster Security for Kubernetes (RHACS) によって環境のデータスナップショットが作成されます。データスナップショットには、アラート、イメージ、ネットワークポリシー、デプロイメント、および関連するホストベースのデータが含まれます。

Central は、クラスターで実行されている Sensor からホストベースのデータを収集します。その後、Central は各 Collector Pod で実行されているコンプライアンスコンテナーからさらにデータを収集します。

コンプライアンスコンテナーは、環境に関する以下のデータを収集します。

  • コンテナーデーモン、コンテナーランタイム、コンテナーイメージの設定。
  • コンテナーネットワークに関する情報。
  • コンテナーランタイム、Kubernetes、OpenShift Container Platform のコマンドライン引数とプロセス。
  • 特定のファイルパスの権限。
  • Kubernetes および OpenShift Container Platform コアサービスの設定ファイル。
  • データ収集が完了すると、Central はデータをチェックして結果を判定します。ユーザーはコンプライアンスダッシュボードで結果を表示し、結果に基づいてコンプライアンスレポートを作成できます。
注記
  • コンプライアンススキャンに関連する用語は次のとおりです。

    • コントロール とは、業界標準または規制規格の 1 項目を表します。これは、情報システムが該当する標準に準拠しているかどうかを評価するために、監査人によって使用されるものです。RHACS は、1 つ以上のチェックを実行して、1 つのコントロールに準拠している証拠を検証します。
    • チェック は、1 つのコントロール評価中に実行される 1 回のテストです。
  • コントロールによっては、複数のチェックが関連付けられています。コントロールに関連付けられたチェックの 1 つが失敗した場合、コントロールの状態全体が失敗としてマークされます。

手順

  1. RHACS ポータルで、Compliance Dashboard をクリックします。
  2. オプション: デフォルトでは、すべての標準に関する情報がコンプライアンス結果に表示されます。

    特定の標準に関する情報のみを表示するには、次の手順を実行します。

    1. Manage standards をクリックします。
    2. デフォルトでは、すべての標準が選択されます。非表示にする特定の標準のチェックボックスをオフにします。
    3. Save をクリックします。

      選択されていない標準は、ウィジェットを含むダッシュボードの表示、ダッシュボードからアクセスできるコンプライアンス結果テーブル、および Export ボタンを使用して作成した PDF ファイルには表示されません。ただし、結果を CSV ファイルとしてエクスポートした場合は、すべてのデフォルトの標準が含まれます。

  3. Scan environment をクリックします。

    注記

    環境全体のスキャンが完了するまでに約 2 分かかります。この時間は、環境内のクラスターおよびノード数によって異なる可能性があります。

検証

  1. RHACS ポータルで、Configuration Management をクリックします。
  2. CIS Kubernetes v1.5 ウィジェットで、Scan をクリックします。
  3. RHACS にコンプライアンススキャンが進行中であることを示すメッセージが表示されます。

3.2.2. 環境全体のコンプライアンス標準の表示

コンプライアンスダッシュボードには、環境内のすべてのクラスター、namespace、ノードにおけるコンプライアンス標準の概要が表示されます。また、潜在的なコンプライアンスの問題を調査するためのグラフやオプションも表示されます。

コンプライアンススキャン結果は、個々のクラスター、namespace、またはノードごとに表示できます。コンテナー化された環境のコンプライアンスステータスに関するレポートを生成することもできます。

手順

  • RHACS ポータルで、Compliance Dashboard をクリックします。

    注記

    コンプライアンスダッシュボードを初めて開くと、空のダッシュボードが表示されます。コンプライアンススキャンを実行してダッシュボードにデータを入力してください。

3.2.3. コンプライアンスダッシュボードの概要

コンプライアンススキャンを実行すると、コンプライアンスダッシュボードに、環境のコンプライアンスステータスとして結果が表示されます。このダッシュボードからコンプライアンス違反を直接表示できます。環境が特定のベンチマークに準拠しているかどうかを確認するには、詳細ビューをフィルタリングし、コンプライアンス標準をドリルダウンします。

コンプライアンスダッシュボードの右上にあるショートカットを使用して、クラスター、namespace、ノードのコンプライアンスステータスを確認できます。これらのショートカットをクリックすると、コンプライアンススナップショットを表示し、クラスター、namespace、またはノードの全体的なコンプライアンスに関するレポートを生成できます。

3.2.3.1. クラスターのコンプライアンスステータスを表示する

クラスターのコンプライアンスステータスを表示することで、必要なコンプライアンス標準にクラスターが準拠していることを監視し、確認できます。

コンプライアンスダッシュボードで、すべてまたは個々のクラスターのコンプライアンスステータスを表示できます。

手順

  • 環境内の全クラスターのコンプライアンスステータスを表示するには、次の手順を実行します。

    • RHACS ポータルで、Compliance Dashboard clusters タブをクリックします。
  • 環境内の特定クラスターのコンプライアンスステータスを表示するには、次の手順を実行します。

    • RHACS ポータルで、Compliance Dashboard をクリックします。
    • Passing standards by cluster ウィジェットを探します。
    • このウィジェットで、クラスター名をクリックすると、そのコンプライアンスステータスが表示されます。

3.2.3.2. namespace のコンプライアンスステータスを表示する

namespace のコンプライアンスステータスを表示することで、必要なコンプライアンス標準に各 namespace が準拠していることを監視し、確認できます。

コンプライアンスダッシュボードでは、すべてまたは 1 つの namespace のコンプライアンスステータスを表示できます。

手順

  • 環境内の全 namespace のコンプライアンスステータスを表示するには、次の手順を実行します。

    • RHACS ポータルで、Compliance Dashboard namespaces タブをクリックします。
  • 環境内の特定 namespace のコンプライアンスステータスを表示するには、次の手順を実行します。

    • RHACS ポータルで、Compliance Dashboard namespaces タブをクリックします。
    • namespace テーブルで、namespace をクリックします。右側にあるサイドパネルが開きます。
    • サイドパネルで namespace の名前をクリックし、コンプライアンスのステータスを表示します。

3.2.3.3. 特定の標準のコンプライアンスステータスを表示する

特定の標準のコンプライアンスステータスを表示することで、業界および規制のコンプライアンス要件に環境が準拠していることを確認できます。

Red Hat Advanced Cluster Security for Kubernetes (RHACS) は、Kubernetes コンプライアンス標準として NIST、PCI DSS、NIST、HIPAA、CIS をサポートしています。1 つのコンプライアンス標準のコンプライアンスコントロールをすべて表示できます。

手順

  1. RHACS ポータルで、Compliance Dashboard をクリックします。
  2. Passing standards across clusters ウィジェットを探します。
  3. 標準をクリックすると、その標準に関連するすべてのコントロールに関する情報が表示されます。

3.2.3.4. 特定のコントロールのコンプライアンスステータスを表示する

特定のコントロールのコンプライアンスステータスを表示することで、環境が詳細なコンプライアンス要件を満たしていることを確認できます。

選択した標準の特定のコントロールについてコンプライアンスステータスを表示できます。

手順

  1. RHACS ポータルで、Compliance Dashboard をクリックします。
  2. Passing standards by cluster ウィジェットを探します。
  3. 標準をクリックすると、その標準に関連するすべてのコントロールに関する情報が表示されます。
  4. Controls テーブルで、コントロールをクリックします。右側にあるサイドパネルが開きます。
  5. サイドパネルでコントロールの名前をクリックし、その詳細を表示します。

3.2.4. コンプライアンスダッシュボードに表示されるデータの量の制限

コンプライアンスデータをフィルタリングすることで、一部のクラスター、業界標準、合格または不合格のコントロールに注目し、コンプライアンスダッシュボードに表示されるデータの量を制限できます。

手順

  1. RHACS ポータルで、Compliance Dashboard をクリックします。
  2. clustersnamespace、または nodes タブをクリックして、詳細ページを開きます。
  3. 検索バーにフィルタリング条件を入力し、Enter をクリックします。

3.2.5. 環境のコンプライアンスステータスの追跡

コンプライアンスレポートを生成することで、環境のコンプライアンスステータスを追跡できます。これらのレポートを使用して、さまざまな業界の義務でコンプライアンスステータスを他のステークホルダーに伝えることができます。

次のレポートを生成できます。

  • ビジネス面に重点を置き、コンプライアンスステータスのグラフと概要を含む PDF 形式の エグゼクティブレポート
  • 技術的な側面に重点を置き、詳細な情報を含む CSV 形式の エビデンスレポート

手順

  1. RHACS ポータルで、Compliance Dashboard をクリックします。
  2. Export タブをクリックし、次のいずれかのタスクを実行します。

    • エグゼクティブレポートを生成するには、Download Page as PDF を選択します。
    • エビデンスレポートを生成するには、Download Evidence as CSV を選択します。

      ヒント

      Export オプションは、すべてのコンプライアンスページおよびフィルターされたビューに表示されます。

3.2.5.1. エビデンスレポート

Red Hat Advanced Cluster Security for Kubernetes からの包括的なコンプライアンス関連のデータは、エビデンスレポートとして CSV 形式でエクスポートできます。このエビデンスレポートは、コンプライアンス評価に関する詳細情報が記載されています。このレポートは、コンプライアンス監査人、DevOps エンジニア、セキュリティー担当者などの技術職向けにカスタマイズされています。

エビデンスレポートには、以下の情報が含まれています。

CSV フィールド説明

Standard

CIS Kubernetes などのコンプライアンス標準。

Cluster

評価したクラスターの名前。

Namespace

デプロイメントが存在する namespace またはプロジェクトの名前。

Object Type

オブジェクトの Kubernetes エンティティータイプ。たとえば、nodeclusterDaemonSetDeploymentStaticPod などです。

Object Name

オブジェクトの名前。これは、Kubernetes システムによって生成された、オブジェクトを一意に識別する文字列です。例: gke-setup-dev21380-default-pool-8e086a77-1jfq

Control

コンプライアンス標準に表示されるのと同じコントロールの番号。

Control Description

コントロールによって実行されるコンプライアンスチェックに関する説明。

State

コンプライアンスチェックの合否。

Evidence

特定のコンプライアンスチェックが失敗または合格した理由に関する説明。

Assessment Time

コンプライアンススキャンを実行した時刻と日付。

3.2.6. サポート対象のベンチマークバージョン

Red Hat Advanced Cluster Security for Kubernetes (RHACS) は、次の業界標準および規制フレームワークに対するコンプライアンスチェックをサポートしています。

ベンチマークサポート対象バージョン

CIS Benchmark (Center for Internet Security) for Kubernetes

CIS Kubernetes v1.5.0

HIPAA (Health Insurance Portability and Accountability Act)

HIPAA 164

米国立標準技術研究所 (NIST)、

NIST Special Publication 800-190 and 800-53 Rev. 4

PCI DSS (Payment Card Industry Data Security Standard)

PCI DSS 3.2.1

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