第2章 新機能
Cryostat 2.3 では、Cryostat 製品の使用を強化する新機能が導入されています。
GraalVM ネイティブイメージへの接続
Cryostat 2.3.1 以降、Cryostat は Java Management Extensions (JMX)を介して GraalVM Native Images に接続できます。この機能を使用するには、ターゲットアプリケーションを GraalVM または Mandrel 23.0 以降でビルドする必要があります。また、JMX を介した Cryostat への接続をサポートするように、ターゲットアプリケーションが正しく設定されていることを確認する必要があります。
複数の namespace を対象としたターゲットアプリケーション検出
Cryostat 2.3 では、複数の Red Hat OpenShift namespace にサービスを提供する Cryostat インスタンスをデプロイできます。Red Hat build of Cryostat Operator には、Cluster Cryostat API が導入されています。これを使用すると、複数の namespace で動作する Cryostat インスタンスを作成できます。
マルチ namespace の Cryostat インスタンスにアクセスできるユーザーは、その Cryostat インスタンスに認識される namespace 内のすべてのターゲットアプリケーションにアクセスできます。したがって、マルチ namespace の Cryostat インスタンスをデプロイする場合は、監視対象にどの namespace を選択するか、Cryostat をどの namespace にインストールするか、およびアクセスを許可するユーザーを考慮する必要があります。
Topology ビュー
Cryostat 2.3 では、ターゲット Java 仮想マシン (JVM) の表示とアクションの実行に役立つ新しいビューが導入されました。Topology ビューは、ターゲット JVM とそれらの JVM に関連付けられているすべてのリソースを視覚的に表現します。Cryostat でデプロイメントシナリオを表示し、デプロイメントが期待どおりであることを確認できます。
Topology ビューは要件に応じてカスタマイズできます。たとえば、グラフ表示からリスト表示に切り替えたり、フィルターを使用して表示する情報を指定したりできます。
Topology ビューを使用して、1 つ以上のターゲットアプリケーションに対して同時にアクションを実行することもできます。Pod またはデプロイメントを選択し、Actions メニューをクリックすると、選択したすべてのターゲットアプリケーションに対して、レコーディングの開始または停止などのさまざまなアクションを実行できます。
クイックスタートガイドとガイド付きツアー
Cryostat 2.3 では、Cryostat の使用を開始し、その機能について詳しく知るために役立つクイックスタートガイドとインタラクティブなガイド付きツアーが提供されています。
クイックスタートガイドでは、レコーディングの開始、Cryostat ダッシュボードの使用、自動化ルールの使用開始などのタスクの実行方法について、手順を詳しく説明しています。
Cryostat 2.3 は、Cryostat ユーザーインターフェイス (UI) を操作し、特定のタスクの実行方法を学習するのに役立つインタラクティブなガイド付きツアーも提供します。このツアーでは、Cryostat UI、ナビゲーションメニュー、および利用可能な機能について説明します。Cryostat 2.3 を初めて起動するとツアーが自動的に開きますが、いつでもツアーをスキップしたり再開したりできます。
Cryostat UI の右上隅から "?" アイコンをクリックすると、クイックスタートガイドとガイド付きツアーにアクセスできます。
Cryostat エージェント
Cryostat 2.3 では、ターゲット JVM アプリケーションの検出と監視を支援する新しい Java インストルメンテーションエージェントが導入されています。Cryostat エージェントは、JVM 上で実行されるアプリケーションのプラグインとして機能し、Cryostat による分析のためにアプリケーションから幅広い情報を取得する HTTP API です。
以前は、Cryostat では、ターゲットアプリケーションが Java Management Extensions (JMX) ポートを公開する必要がありました。Cryostat はこの JMX ポートを介してアプリケーション JVM と通信し、Java Flight Recorder (JFR) レコーディングを開始および停止し、ネットワーク経由で JFR データを取得します。
新しい Cryostat エージェントは、JVM から JFR データを取得し、それを HTTP 経由で Cryostat に送り返します。エージェントは小さな読み取り専用 HTTP API のみを公開するため、JMX ポートよりも監査とセキュリティー保護が容易になります。
Cryostat ダッシュボードのカスタマイズ可能な機能
Cryostat 2.3 には、ユーザーがターゲット JVM に関する重要な情報を表示できるように、Cryostat ダッシュボードを強化するいくつかの新機能が導入されています。新機能は次のとおりです。
- 接続されている JVM に関する情報とメトリクスをグラフ形式で表示するダッシュボードカード。さまざまなカード設定を切り替えることができるため、最も関連性の高いデータにすばやくアクセスして分析できます。
- 要件に応じてダッシュボードのレイアウトをカスタマイズするのに役立つレイアウトテンプレート。注目したい特定のメトリックや情報を強調表示するカスタムビューを作成できます。さまざまなビューを切り替えることもできるため、別の情報を表示するために、そのつどダッシュボードを変更する必要はありません。
- 接続されている JVM に関する静的および動的情報を表示する機能。
- 自動分析 レポートにアクセスして表示するための新しいダッシュボードカードビュー。
これらの新機能を使用すると、要件に合わせてダッシュボードをより適切にカスタマイズし、Java アプリケーションの監視と分析をより柔軟に行うことができます。
ベータ機能を示すラベル
Cryostat 2.3 では、ベータ機能を強調するための新しいラベルが利用可能です。ベータ機能を確認してプレビューしたい場合は、このラベルを使用できます。ベータ機能はまだ機能的に完成しておらず、実稼働環境で使用できる状態ではない可能性があります。
ベータ機能をプレビューできるようにするには、Settings ビューからこのフラグを設定できます。Settings ビューで Advanced をクリックし、Feature level メニューから Beta を選択します。