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Ceph Object Gateway を使用した Keystone の使用ガイド

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Red Hat Ceph Storage 4

OpenStack と Ceph Object Gateway がユーザー認証に Keystone を使用するように設定

概要

本書では、OpenStack および Ceph Object Gateway がユーザー認証に Keystone を使用するように設定する方法を説明します。
Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、弊社の CTO、Chris Wright のメッセージを参照してください。

第1章 Keystone 認証および Ceph Object Gateway

OpenStack Keystone を使用してユーザーを認証する組織では、Keystone と Ceph Object Gateway を統合することができます。Ceph Object Gateway は、ゲートウェイが Keystone トークンを受け入れ、ユーザーを認証して対応する Ceph Object Gateway ユーザーを作成できるようにします。Keystone がトークンを検証すると、ゲートウェイはユーザーが認証されたを見なします。

利点

  • Keystone でユーザーの管理
  • Ceph Object Gateway でのユーザーの自動作成
  • Ceph Object Gateway は Keystone に対して、取り消されたトークンの一覧を定期的にクエリーします。

第2章 Ceph Object Gateway 用 OpenStack の Keystone の設定

ストレージ管理者は、OpenStack の Keystone 認証サービスを使用して、Ceph Object Gateway 経由でユーザーを認証することができます。Ceph Object Gateway を設定する前に、Swift サービスを有効にして Ceph Object Gateway を指定するように Keystone を設定する必要があります。

2.1. 前提条件

  • 実行中の Red Hat OpenStack Platform 環境
  • 稼働中の Red Hat Ceph Storage 環境
  • 実行中の Ceph Object Gateway 環境。

2.2. Swift サービスの作成

Ceph Object Gateway を設定する前に、Swift サービスを有効にして Ceph Object Gateway を指定するように Keystone を設定します。

前提条件

  • 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスター
  • Ceph ソフトウェアリポジトリーへのアクセス
  • OpenStack コントローラーノードへの root レベルのアクセス。

手順

  1. Swift サービスを作成します。

    [root@swift~]# openstack service create --name=swift --description="Swift Service" object-store

    このサービスを作成すると、サービス設定がエコーされます。

    表2.1 例
    フィールド

    description

    Swift サービス

    enabled

    True

    id

    37c4c0e79571404cb4644201a4a6e5ee

    name

    swift

    type

    object-store

2.3. Ceph Object Gateway エンドポイントの設定

Swift サービスを作成したら、サービスを Ceph Object Gateway に指定します。

前提条件

  • 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスター
  • Ceph ソフトウェアリポジトリーへのアクセス
  • Red Hat OpenStack Platform 13、15、または 16 の環境で稼働している Swift サービス

手順

  1. Ceph Object Gateway を指定する OpenStack エンドポイントを作成します。

    構文

    openstack endpoint create --region REGION_NAME swift admin "URL"
    openstack endpoint create --region REGION_NAME swift public "URL"
    openstack endpoint create --region REGION_NAME swift internal "URL"

    REGION_NAME は、ゲートウェイのゾーングループ名またはリージョン名に置き換えます。URL は、Ceph Object Gateway に適した URL に置き換えます。

    [root@osp ~]# openstack endpoint create --region us-west swift admin "http://radosgw.example.com:8080/swift/v1"
    [root@osp ~]# openstack endpoint create --region us-west swift public "http://radosgw.example.com:8080/swift/v1"
    [root@osp ~]# openstack endpoint create --region us-west swift internal "http://radosgw.example.com:8080/swift/v1"

    フィールド

    adminurl

    http://radosgw.example.com:8080/swift/v1

    id

    e4249d2b60e44743a67b5e5b38c18dd3

    internalurl

    http://radosgw.example.com:8080/swift/v1

    publicurl

    http://radosgw.example.com:8080/swift/v1

    region

    us-west

    service_id

    37c4c0e79571404cb4644201a4a6e5ee

    service_name

    swift

    service_type

    object-store

    エンドポイントを設定すると、サービスエンドポイントの設定が出力されます。

2.4. Openstack が Ceph Object Gateway エンドポイントを使用していることを確認

Swift サービスを作成し、エンドポイントを設定したら、すべての設定が正しいことを確認します。

前提条件

  • 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスター
  • Ceph ソフトウェアリポジトリーへのアクセス

手順

  1. 構成ファイルの設定を確認します。
[root@swift~]# openstack endpoint show object-store

エンドポイントを表示すると、エンドポイントの設定とサービス設定が表示されます。

表2.2 例
フィールド

adminurl

http://radosgw.example.com:8080/swift/v1

enabled

True

id

e4249d2b60e44743a67b5e5b38c18dd3

internalurl

http://radosgw.example.com:8080/swift/v1

publicurl

http://radosgw.example.com:8080/swift/v1

region

us-west

service_id

37c4c0e79571404cb4644201a4a6e5ee

service_name

swift

service_type

object-store

第3章 Ceph Object Gateway の設定

ストレージ管理者は、Keystone サービスからの認証要求を受け入れるように Ceph Object Gateway を設定する必要があります。

3.1. 前提条件

  • 実行中の Red Hat OpenStack Platform 環境
  • 稼働中の Red Hat Ceph Storage 環境
  • 実行中の Ceph Object Gateway 環境。

3.2. Keystone SSL を使用するように Ceph Object Gateway を設定

Keystone が使用する OpenSSL 証明書を変換すると、Ceph Object Gateway が Keystone と連携するように設定されます。Ceph Object Gateway が OpenStack の Keystone 認証と対話すると、Keystone は自己署名 SSL 証明書で終了します。

前提条件

  • 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスター
  • Ceph ソフトウェアリポジトリーへのアクセス

手順

  1. OpenSSL 証明書を nss db 形式に変換します。

    [root@osp ~]# mkdir /var/ceph/nss
    
    [root@osp ~]# mkdir /var/ceph/nss openssl x509 -in /etc/keystone/ssl/certs/ca.pem -pubkey | \
        certutil -d /var/ceph/nss -A -n ca -t "TCu,Cu,Tuw"
    [root@osp ~]# mkdir /var/ceph/nss openssl x509 -in /etc/keystone/ssl/certs/signing_cert.pem -pubkey | \
        certutil -A -d /var/ceph/nss -n signing_cert -t "P,P,P"

  2. Ceph Object Gateway を実行しているノードに Keystone の SSL 証明書をインストールします。設定可能な rgw_keystone_verify_ssl の値を false に設定します。

    rgw_keystone_verify_sslfalse に設定すると、ゲートウェイは証明書の検証を試行しません。

3.3. Keystone 認証を使用するように Ceph Object Gateway を設定

OpenStack の Keystone 認証を使用するように Red Hat Ceph Storage を設定します。

前提条件

  • 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスター
  • Ceph ソフトウェアリポジトリーへのアクセス
  • 実稼働環境への admin 権限

手順

  1. 管理ノードの Ceph 設定ファイルを編集します。
  2. [client.radosgw.INSTANCE_NAME] に移動します。ここで、INSTANCE_NAME は設定するゲートウェイインスタンスの名前です。
  3. 各ゲートウェイインスタンスで以下を行います。

    1. rgw_s3_auth_use_keystonetrue に設定します。
    2. nss_db_path 設定を、NSS データベースが保存されるパスに設定します。
  4. 認証証明書を指定します。

    システム管理者が OpenStack サービスを設定する方法と同様に、OpenStack Identity API の v2.0 バージョン用の Keystone サービステナント、ユーザー、およびパスワードを設定することができます。ユーザー名とパスワードを指定することで、共有の秘密を rgw_keystone_admin_token 設定に提供するのを防ぎます。

    重要

    Red Hat は、実稼働環境で管理トークンによる認証を無効にすることを推奨します。サービステナントの認証情報には、admin 権限が必要です。

    必要な設定オプションは以下のとおりです。

    rgw_keystone_admin_user = KEYSTONE_TENANT_USER_NAME
    rgw_keystone_admin_password = KEYSTONE_TENANT_USER_PASSWORD
    rgw_keystone_admin_tenant = KEYSTONE_TENANT_NAME

    Ceph Object Gateway ユーザーは Keystone の tenant にマッピングされます。Keystone ユーザーには、複数のテナントで異なるロールが割り当てられている可能性があります。Ceph Object Gateway がチケットを取得する際には、テナントと、そのチケットに割り当てられたユーザーロールを確認し、設定可能な rgw_keystone_accepted_roles に従って要求を受け入れるか拒否します。

    通常の設定には、以下の設定があります。

    [client.radosgw.gateway]
    rgw_keystone_url = {keystone server url:keystone server admin port}
    ##Authentication using an admin token. Not preferred.
    #rgw_keystone_admin_token = {keystone admin token}
    ##Authentication using username, password and tenant. Preferred.
    rgw_keystone_admin_user = _KEYSTONE_TENANT_USER_NAME_
    rgw_keystone_admin_password =  _KEYSTONE_TENANT_USER_PASSWORD_
    rgw_keystone_admin_tenant =  _KEYSTONE_TENANT_NAME_
    rgw_keystone_accepted_roles = _KEYSTONE_ACCEPTED_USER_ROLES_
    ##
    rgw_keystone_token_cache_size = _NUMBER_OF_TOKENS_TO_CACHE_
    rgw_keystone_revocation_interval = _NUMBER_OF_SECONDS_BEFORE_CHECKING_REVOKED_TICKETS_
    rgw_keystone_make_new_tenants = _TRUE_FOR_PRIVATE_TENANT_FOR_EACH_NEW_USER_
    rgw_s3_auth_use_keystone = true
    nss_db_path = _PATH_TO_NSS_DB_

関連情報

3.4. Ceph Object Gateway デーモンの再起動

Ceph Object Gateway を再起動すると、アクティブな設定変更を行う必要があります。

前提条件

  • 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスター
  • Ceph ソフトウェアリポジトリーへのアクセス
  • 実稼働環境への admin 権限

手順

  1. Ceph 設定ファイルを保存して各 Ceph ノードに分散したら、Ceph Object Gateway インスタンスを再起動します。
[root@ceph~]# systemctl restart ceph-radosgw
[root@ceph~]# systemctl restart ceph-radosgw@rgw.`hostname -s`

付録A Keystone の統合設定オプション

設定オプションは Keystone に統合できます。利用可能な Keystone 統合設定オプションの詳細は、以下を参照してください。

重要

Ceph 設定ファイルを更新したら、新しい Ceph 設定ファイルをストレージクラスター内の全 Ceph ノードにコピーする必要があります。

rgw_s3_auth_use_keystone

詳細
true に設定すると、Ceph Object Gateway は Keystone を使用してユーザーを認証します。
ブール値
デフォルト
false

nss_db_path

詳細
NSS データベースへのパス。
文字列
デフォルト
""

rgw_keystone_url

詳細
Keystone サーバーの管理 RESTful API の URL。
文字列
デフォルト
""

rgw_keystone_admin_token

詳細
管理リクエストのために Keystone の内部に設定されるトークンまたは共有シークレット。
文字列
デフォルト
""

rgw_keystone_admin_user

詳細
keystone 管理ユーザー名
文字列
デフォルト
""

rgw_keystone_admin_password

詳細
keystone 管理ユーザーのパスワード。
文字列
デフォルト
""

rgw_keystone_admin_tenant

詳細
keystone v2.0 用の Keystone 管理ユーザーテナント。
文字列
デフォルト
""

rgw_keystone_admin_project

詳細
keystone v3 の Keystone 管理ユーザープロジェクト。
文字列
デフォルト
""

rgw_keystone_admin_domain

詳細
Keystone 管理ユーザードメイン。
文字列
デフォルト
""

rgw_keystone_api_version

詳細
使用する Keystone API のバージョン。有効なオプションは 2 または 3 です。
整数
デフォルト
2

rgw_keystone_accepted_roles

詳細
要求を提供するのに必要なロール。
文字列
デフォルト
"Member, admin"

rgw_keystone_accepted_admin_roles

詳細
ユーザーが管理者権限を取得できるようにするロールの一覧。
文字列
デフォルト
""

rgw_keystone_token_cache_size

詳細
Keystone トークンキャッシュのエントリーの最大数。
整数
デフォルト
10000

rgw_keystone_revocation_interval

詳細
トークン失効チェックの間隔 (秒単位)。
整数
デフォルト
15 * 60

rgw_keystone_verify_ssl

詳細
true の場合、Ceph は Keystone の SSL 証明書を確認します。
ブール値
デフォルト
true

rgw_keystone_implicit_tenants

詳細
同じ名前の独自のテナントに新しいユーザーを作成します。ほとんどの場合は、true または false に設定します。以前のバージョンの Red Hat Ceph Storage との互換性を確保するには、これを s3 または swift に設定することもできます。これにより、ID 領域を分割し、指定されたプロトコルのみが暗黙的なテナントを使用します。Red Hat Ceph Storage の古いバージョンの一部は、Swift を使用する暗黙的なテナントのみをサポートします。
文字列
デフォルト
false
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