5.2. Ceph ブロックデバイスのミラーリング
RADOS Block Device (RBD) ミラーリングとは、2 つ以上の Ceph Storage クラスター間で Ceph ブロックデバイスイメージを非同期にレプリケーションするプロセスのことです。異なる地理的な場所にある Ceph Storage クラスターを配置することで、RBD ミラーリングはサイトの障害からの復旧に役立ちます。ジャーナルベースの Ceph ブロックデバイスのミラーリングにより、読み取りと書き込み、ブロックデバイスのサイズ調整、スナップショット、クローンおよびフラット化など、イメージに対する全変更を含む、ある時点の一貫したレプリカが作成されるようにします。
RBD ミラーリングは排他的ロックとジャーナリング機能を使用して、イメージに対するすべての変更を順番に記録します。これにより、イメージのクラッシュ整合性のあるミラーが利用できるようになりました。
ブロックデバイスイメージをミラーリングするプライマリーおよびセカンダリープールに対応する CRUSH 階層には、容量とパフォーマンスの特性が同じである必要があり、また、追加のレイテンシーなしにミラーリングを行うために十分な帯域幅が必要になります。たとえば、プライマリーストレージクラスター内のイメージへの平均書き込みスループットが X MB/s である場合に、ネットワークはセカンダリーサイトへのネットワーク接続で N * X スループットと、N イメージをミラーリングする安全係数 Y% に対応している必要があります。
rbd-mirror
デーモンは、リモートプライマリーイメージから変更を取得し、プライマリーイメージ以外のローカルイメージにそれらの変更を書き込むことで、別の Ceph Storage クラスターにイメージを同期します。rbd-mirror
デーモンは、Ceph Storage クラスター 1 台では一方向ミラーリング、Ceph Storage クラスター 2 台ではミラーリング関係に参加する双方向ミラーリングを実行します。
一方向または双方向レプリケーションのどちらかを使用して RBD ミラーリングを機能させる場合に、いくつかの前提条件があります。
- 同じ名前のプールが両方のストレージクラスターに存在する。
- プールには、ジャーナルが有効化された、ミラーリングするイメージが含まれている。
一方向または双方向レプリケーションでは、rbd-mirror
の各インスタンスは他の Ceph Storage クラスターを同時に接続できる必要があります。また、ミラーリングを処理するために、ネットワークには 2 つのデータセンターサイトの間で十分な帯域幅が必要です。
一方向レプリケーション
一方向ミラーリングは、ストレージクラスター内のプライマリーイメージまたはプールのイメージがセカンダリーのストレージクラスターにレプリケートされることを意味します。一方向ミラーリングは、複数のセカンダリーストレージクラスターへのレプリケーションにも対応します。
セカンダリーストレージクラスターでは、イメージはプライマリー以外のレプリケーションであるため、Ceph クライアントはイメージに書き込むことができません。データがプライマリーストレージクラスターからセカンダリーストレージクラスターにミラーリングされると、rbd-mirror
はセカンダリーストレージクラスター上でのみを実行します。
一方向のミラーリングを機能させるには、いくつかの前提条件があります。
- 2 つの Ceph Storage クラスターがあり、プライマリーストレージクラスターからセカンダリーストレージクラスターにイメージをレプリケートする必要がある。
-
セカンダリーストレージクラスターには、
rbd-mirror
デーモンを実行する Ceph クライアントノードがアタッチされている。rbd-mirror
デーモンは、プライマリーストレージクラスターに接続して、イメージをセカンダリーストレージクラスターに同期します。
双方向レプリケーション
双方向レプリケーションは、プライマリークラスターに rbd-mirror
デーモンを追加して、そのクラスターでイメージをデモートし、セカンダリークラスターでプロモートできるようにします。その後、セカンダリークラスターのイメージに対して変更が行われ、セカンダリーからプライマリーに逆方向にレプリケートされます。どちらかのクラスターでのイメージのプロモートとデモートを可能にするには、両方のクラスターで rbd-mirror
が実行されている必要があります。現在、双方向レプリケーションは 2 つのサイトの間でのみサポートされています。
双方向のミラーリングを機能させるには、いくつかの前提条件があります。
- ストレージクラスターが 2 台あり、それらのクラスター間でイメージをどちらの方向にでも複製できる。
-
両方のストレージクラスターには、
rbd-mirror
デーモンを実行するクライアントノードが割り当てられている。セカンダリーストレージクラスターで実行されるrbd-mirror
デーモンは、プライマリーストレージクラスターに接続してイメージをセカンダリーに同期し、プライマリーストレージクラスターで実行されているrbd-mirror
デーモンは、セカンダリーストレージクラスターに接続し、イメージをプライマリーに同期します。
Red Hat Ceph Storage 4 では、1 つのクラスターで複数のアクティブな rbd-mirror
デーモンを実行するがサポートされます。
ミラーリングモード
ミラーリングは、ストレージクラスターのミラーリングを使用して、プールごとに設定されます。Ceph は、プールのイメージの種類に応じて、2 つのミラーリングモードをサポートします。
- プールモード
- ジャーナリング機能が有効になっているプール内のイメージはすべてミラーリングされます。
- イメージモード
- プール内の特定のイメージのサブセットのみがミラーリングされます。各イメージのミラーリングを別々に有効にする必要があります。
イメージの状態
イメージの変更が可能かどうかは、その状態により異なります。
- プライマリー状態のイメージを変更できます。
- プライマリー状態以外のイメージは変更できません。
イメージでミラーリングが最初に有効化された時点で、イメージはプライマリーに自動的にプロモートされます。以下でプロモートが可能です。
- プールモードでミラーリングを暗黙的に有効にする。
- 特定のイメージのミラーリングを明示的に有効にする。
プライマリーイメージをデモートし、プライマリー以外のイメージをプロモートすることができます。
関連情報
- 詳細は、Red Hat Ceph Storage ブロックデバイスガイドの イメージのプロモートとデモ セクションを参照してください。