3.22. cephadm を使用したオペレーティングシステムのチューニングプロファイルの管理
ストレージ管理者は、cephadm
を使用して、sysctl
設定を Red Hat Ceph Storage クラスター内の特定のホストに適用するオペレーティングシステムのチューニングプロファイルを作成および管理できます。オペレーティングシステムのチューニングを行うと、Red Hat Ceph Storage クラスターのパフォーマンスを向上できる機会が増えます。
関連情報
-
カーネルパラメーターの設定について、詳しくは
sysctl (8)
の man ページを参照してください。 - チューニングされたプロファイルの詳細は、TuneD プロファイルのカスタマイズ を参照してください。
3.22.1. チューニングプロファイルの作成
カーネルパラメーターを含む YAML 仕様ファイルを作成するか、オーケストレーター CLI を使用してカーネルパラメーター設定を定義することで、チューニングプロファイルを作成できます。
前提条件
- 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスターがある。
- 管理ホストへの root レベルのアクセス。
-
tuned
パッケージのインストール。
方法 1:
YAML 仕様を作成して適用することで、チューニングプロファイルを作成します。
Ceph 管理ホストから、YAML 仕様ファイルを作成します。
構文
touch TUNED_PROFILE_NAME.yaml
例
[root@host01 ~]# touch mon_hosts_profile.yaml
YAML ファイルを編集して、チューニングパラメーターを含めます。
構文
profile_name: PROFILE_NAME placement: hosts: - HOST1 - HOST2 settings: SYSCTL_PARAMETER: SYSCTL_PARAMETER_VALUE
例
profile_name: mon_hosts_profile placement: hosts: - host01 - host02 settings: fs.file-max: 1000000 vm.swappiness: 13
チューニングプロファイルを適用します。
構文
ceph orch tuned-profile apply -i TUNED_PROFILE_NAME.yaml
例
[root@host01 ~]# ceph orch tuned-profile apply -i mon_hosts_profile.yaml Saved tuned profile mon_hosts_profile
この例では、プロファイルを
host01
とhost02
の/etc/sysctl.d/
に書き込み、各ホストでsysctl --system
を実行して、再起動せずに sysctl 変数をリロードします。注記Cephadm は、プロファイルファイル名を
/etc/sysctl.d/
の下に TUNED_PROFILE_NAME -cephadm-tuned-profile.conf として書き込みます。ここでの TUNED_PROFILE_NAME は、YAML 仕様で指定したprofile_name
です。sysctl
コマンドは、設定を行うファイルの名前の辞書的順序に従い、設定を適用します。複数のファイルに同じ設定が含まれている場合、辞書的順序で最新の名前を持つファイルのエントリーが優先されます。存在する可能性のある他の設定ファイルの前後に設定を適用するには、必要に応じて仕様ファイルにprofile_name
を設定します。注記Cephadm は、
sysctl
設定をホストレベルでのみ適用し、特定のデーモンやコンテナーには適用しません。
方法 2:
オーケストレーター CLI を使用してチューニングプロファイルを作成します。
Ceph 管理ホストから、チューニングプロファイルの名前、配置、設定を指定します。
構文
ceph orch tuned-profile apply PROFILE_NAME --placement=’HOST1,HOST2’ --settings=’SETTING_NAME1=VALUE1,SETTING_NAME2=VALUE2’
例
[root@host01 ~]# ceph orch tuned-profile apply osd_hosts_profile --placement=’host04,host05’ --settings=’fs.file-max=200000,vm.swappiness=19’ Saved tuned profile osd_hosts_profile
検証
cephadm
が管理しているチューニングプロファイルを一覧表示します。例
[root@host01 /]# ceph orch tuned-profile ls profile_name: osd_hosts_profile placement: host04;host05 settings: fs.file-max: 200000 vm.swappiness: 19
3.22.2. チューニングプロファイルの表示
cephadm
が管理するすべてのチューニングプロファイルを表示するには、tuned-profile ls
コマンドを実行します。
前提条件
- 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスターがある。
- 管理ホストへの root レベルのアクセス。
-
tuned
パッケージのインストール。
手順
Ceph 管理ホストから、チューニングプロファイルを一覧表示します。
構文
ceph orch tuned-profile ls
例
[root@host01 /]# ceph orch tuned-profile ls profile_name: osd_hosts_profile placement: host04;host05 settings: fs.file-max: 200000 vm.swappiness: 19 --- profile_name: mon_hosts_profile placement: host01;host02 settings: fs.file-max: 1000000 vm.swappiness: 13
注記プロファイルを変更して再適用する必要がある場合、
--format yaml
パラメーターをtuned-profile ls
コマンドに渡すと、コピーして再適用できる形式でプロファイルが表示されます。例
[root@host01 /]# ceph orch tuned-profile ls --format yaml placement: hosts: - host01 - host02 profile_name: mon_hosts_profile settings: vm.swappiness: '13' fs.file-max: 1000000
3.22.3. チューニングプロファイルの変更
チューニングプロファイルを作成したら、既存のチューニングプロファイルを変更して、必要に応じて sysctl
設定を調整できます。
既存のチューニングプロファイルは、次の 2 つの方法で変更できます。
- 同じプロファイル名で YAML 仕様を再適用します。
-
設定を調整するには、
tuned-profile
add-setting
およびrm-setting
パラメーターを使用します。
前提条件
- 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスターがある。
- 管理ホストへの root レベルのアクセス。
-
tuned
パッケージのインストール。
方法 1:
tuned-profile
add-setting
およびrm-setting
パラメーターを使用して設定を変更します。Ceph 管理ホストから、既存のプロファイルの設定を追加または変更します。
構文
ceph orch tuned-profile add-setting PROFILE_NAME SETTING_NAME VALUE
例
[root@host01 ~]# ceph orch tuned-profile add-setting mon_hosts_profile vm.vfs_cache_pressure 110 Added setting vm.vfs_cache_pressure with value 110 to tuned profile mon_hosts_profile
既存のプロファイルから設定を削除するには:
構文
ceph orch tuned-profile rm-setting PROFILE_NAME SETTING_NAME
例
[root@host01 ~]# ceph orch tuned-profile rm-setting mon_hosts_profile vm.vfs_cache_pressure Removed setting vm.vfs_cache_pressure from tuned profile mon_hosts_profile
方法 2:
同じプロファイル名で YAML 仕様を再適用して設定を変更します。
Ceph 管理ホストから、YAML 仕様ファイルを作成するか、既存の仕様ファイルを変更します。
構文
vi TUNED_PROFILE_NAME.yaml
例
[root@host01 ~]# vi mon_hosts_profile.yaml
YAML ファイルを編集して、変更する調整済みパラメーターを含めます。
構文
profile_name: PROFILE_NAME placement: hosts: - HOST1 - HOST2 settings: SYSCTL_PARAMETER: SYSCTL_PARAMETER_VALUE
例
profile_name: mon_hosts_profile placement: hosts: - host01 - host02 settings: fs.file-max: 2000000 vm.swappiness: 15
チューニングプロファイルを適用します。
構文
ceph orch tuned-profile apply -i TUNED_PROFILE_NAME.yaml
例
[root@host01 ~]# ceph orch tuned-profile apply -i mon_hosts_profile.yaml Saved tuned profile mon_hosts_profile
注記配置を変更するには、同じ名前のプロファイルを再適用する必要があります。Cephadm は名前でプロファイルを追跡するため、既存のプロファイルと同じ名前のプロファイルを適用すると、古いプロファイルが上書きされます。
3.22.4. チューニングプロファイルの削除
ストレージ管理者は、tuned-profile rm
コマンドを使用して、cephadm
で管理する必要がなくなったチューニングプロファイルを削除できます。
前提条件
- 稼働中の Red Hat Ceph Storage クラスターがある。
- 管理ホストへの root レベルのアクセス。
-
tuned
パッケージのインストール。
手順
Ceph 管理ホストから、
cephadm
が管理しているチューニングプロファイルを表示します。例
[root@host01 ~]# ceph orch tuned-profile ls
チューニングプロファイルを削除します。
構文
ceph orch tuned-profile rm TUNED_PROFILE_NAME
例
[root@host01 ~]# ceph orch tuned-profile rm mon_hosts_profile Removed tuned profile mon_hosts_profile
cephadm
がチューニングプロファイルを削除すると、対応するホストの/etc/sysctl.d
ディレクトリーに書き込まれていたプロファイルファイルが削除されます。