1.2. Red Hat JBoss Data Grid のセットアップ手順
以下に、Red Hat JBoss Data Grid の初回に行う基本設定に必要な手順 (および指定がある場合はオプションの手順) を示します。オプションの手順であると指定されていない限り、これらの手順を指定される順番で実行することをお勧めします。
手順1.1 JBoss Data Grid のセットアップ
キャッシュマネージャーのセットアップ
JBoss Data Grid の設定手順は、キャッシュマネージャーから始まります。キャッシュマネージャーにより、事前に設定された設定テンプレートを使ってキャッシュインスタンスをすばやくかつ簡単に取得し、作成することができます。キャッシュマネージャーのセットアップについてさらに詳しくは、JBoss Data Grid の『スタートガイド』のキャッシュマネージャーのセクションを参照してください。JVM メモリー管理のセットアップ
JBoss Data Grid の設定における重要な手順は、お使いの Java 仮想マシン (JVM) のメモリー管理のセットアップです。JBoss Data Grid は、JVM メモリーの管理に役立つ、エビクションおよびエクスパレーションなどの各種機能を提供します。エビクションのセットアップ
エビクションを使用し、エントリーが使用される頻度に基づいてインメモリーキャッシュの実装からエントリーを削除するために使用するロジックを指定します。JBoss Data Grid は、データグリッド内のエントリーのエビクションに対する詳細な制御を実行するための複数の異なるエビクションストラテジーを提供します。エビクションのストラテジーおよびエビクションを設定する手順については、2章エビクションのセットアップ を参照してください。エクスパレーションのセットアップ
キャッシュにおけるエントリーの時間の上限を設定するために、エクスパレーション情報を各エントリーに添付します。エクスパレーションを使用して、エントリーがキャッシュ内に留まる最長期間や、取得されたエントリーがキャッシュから削除される前にアイドル状態として有効となる期間をセットアップします。さらに詳しくは、3章エクスパレーションのセットアップ を参照してください。
キャッシュのモニタリング
JBoss Data Grid では、JBoss ロギングによるロギング機能を使用し、ユーザーのキャッシュをモニタリングする支援を行います。ロギングのセットアップ
JBoss Data Grid にロギングをセットアップするのは必須ではありませんが、このセットアップを強く推奨します。JBoss Data Grid は JBoss ロギングを使用します。これにより、ユーザーはデータグリッド内の各種操作に対する自動化されたロギングを簡単にセットアップできます。ログは、その後エラーのトラブルシューティングや予想外の失敗の原因を特定するために使用することができます。さらに詳しくは、4章ロギングのセットアップ を参照してください。
キャッシュモードのセットアップ
キャッシュモードは、キャッシュがローカル (単純なインメモリーキャッシュ) か、またはクラスター化されたキャッシュ (ノードの小さなサブセット上で状態変更をレプリケートする) のいずれかを指定するために使用されます。さらに、キャッシュがクラスター化されている場合、変更をノードのサブセットにどのように伝搬させるかを定めるために、レプリケーション、ディストリビューションまたはインバリデーションモードのいずれかを適用する必要があります。さらに詳しくは、パートIII「キャッシュモードのセットアップ」 を参照してください。キャッシュのロックのセットアップ
レプリケーションまたはディストリビューションが有効な場合、エントリーのコピーは複数のノードでアクセスできます。結果として、データのコピーは、異なる複数のスレッドで同時にアクセスしたり、変更したりすることができます。複数のノード間ですべてのコピーの一貫性を維持するには、ロックを設定します。さらに詳しくは、パートVI「キャッシュのロックのセットアップ」 および 17章分離レベルのセットアップ を参照してください。キャッシュストアのセットアップと設定
JBoss Data Grid は、メモリーから削除されたエントリーを永続外部キャッシュストアに一時的に保存するために、パッシベーション機能 (またはパッシベーションがオフになっている場合はキャッシュ書き込みストラテジー) を提供します。パッシベーションまたはキャッシュ書き込みストラテジーをセットアップするには、まずキャッシュストアをセットアップする必要があります。キャッシュストアのセットアップ
キャッシュストアは永続ストアへの接続として機能します。キャッシュストアは、エントリーを永続ストアから取得し、変更を永続ストアに戻すために主に使用されます。さらに詳しくは、パートVII「キャッシュストアのセットアップと設定」 を参照してください。パッシベーションのセットアップ
パッシベーションは、メモリーからエビクトされたエントリーをキャッシュストアに保存します。この機能により、エントリーがメモリー内に存在しない場合でも使用可能な状態となり、永続キャッシュへの高いコストが発生する可能性のある操作を回避できます。さらに詳しくは、パートVIII「パッシベーションのセットアップ」 を参照してください。キャッシュ書き込みストラテジーのセットアップ
パッシベーションが無効な場合、キャッシュへの書き込みが試行されるたびに、キャッシュストアへの書き込みが行なわれます。これは、デフォルトのライトスルーキャッシュ書き込みストラテジーです。これらのキャッシュの書き込みが同期的または非同期的に実行されるかを定めるためにキャッシュライティングストラテジーを設定します。さらに詳しくは、パートIX「キャッシュ書き込みのセットアップ」 を参照してください。
キャッシュとキャッシュマネージャーのモニタリング
JBoss Data Grid には、データグリッドが実行中の場合にキャッシュとキャッシュマネージャーをモニタリングするための 3 つの主なツールが含まれます。JMX のセットアップ
JMX は、JBoss Data Grid に使用される標準的な統計および管理ツールです。ユースケースに応じて、JMX はキャッシュまたはキャッシュマネージャー、またはそれら両方のレベルで設定することができます。さらに詳しくは、22章Java Management Extensions (JMX) のセットアップ を参照してください。管理コンソールへのアクセス
Red Hat JBoss Data Grid 7.0.0 では、キャッシュおよびキャッシュマネージャーの Web ベースのモニタリングおよび管理を可能にする管理コンソールを導入しています。使用方法については、「Red Hat JBoss Data Grid 管理コンソールの使用開始」 を参照してください。Red Hat JBoss Operations Network (JON) のセットアップ
Red Hat JBoss Operations Network (JON) は、JBoss Data Grid で利用できる 2 番目のモニタリングソリューションです。JBoss Operations Network (JON) は、キャッシュおよびキャッシュマネージャーのランタイムパラメーターおよび統計をモニタリングするためのグラフィカルインターフェースを提供します。さらに詳しくは、23章JBoss Operations Network (JON) のセットアップ を参照してください。注記
JON プラグインは JBoss Data Grid 7.0 で非推奨となり、以降のバージョンでは除去される予定です。
トポロジー情報の導入
オプションとして、データグリッド内の特定タイプの情報またはオブジェクトが置かれる場所を指定するために、データグリッドにトポロジー情報を提供します。サーバーヒンティングは、トポロジー情報を JBoss Data Grid に導入する方法の内の 1 つです。サーバーヒンティングのセットアップ
サーバーヒンティングがセットアップされると、データのオリジナルおよびバックアップコピーが同じ物理サーバー、ラックまたはデータセンターに保存されていないことを確認でき、高可用性が提供されます。これは、すべてのデータがすべてのサーバー、ラックおよびデータセンターでバックアップされるレプリケートキャッシュなどの場合のオプション設定になります。さらに詳しくは、34章サーバーヒンティングを用いた高可用性を参照してください。
後続の章では、JBoss Data Grid の標準設定のセットアップに関する各手順を詳細に説明します。