Red Hat Data Grid 8.5 リリースノート
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概要
Red Hat Data Grid
Data Grid は、高性能の分散型インメモリーデータストアです。
- スキーマレスデータ構造
- さまざまなオブジェクトをキーと値のペアとして格納する柔軟性があります。
- グリッドベースのデータストレージ
- クラスター間でデータを分散および複製するように設計されています。
- エラスティックスケーリング
- サービスを中断することなく、ノードの数を動的に調整して要件を満たします。
- データの相互運用性
- さまざまなエンドポイントからグリッド内のデータを保存、取得、およびクエリーします。
Data Grid のドキュメント
Data Grid のドキュメントは、Red Hat カスタマーポータルで入手できます。
Data Grid のダウンロード
Red Hat カスタマーポータルで Data Grid Software Downloads にアクセスします。
Data Grid ソフトウェアにアクセスしてダウンロードするには、Red Hat アカウントが必要です。
多様性を受け入れるオープンソースの強化
Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、用語の置き換えは、今後の複数のリリースにわたって段階的に実施されます。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。
第1章 Data Grid のリリース情報
新機能および最新の Data Grid のリリース情報をご確認ください。
1.1. Data Grid 8.5.3 の新機能
Data Grid 8.5.3 では、ユーザビリティーとパフォーマンスが向上し、セキュリティーが強化されています。新しい機能を確認してください。
Red Hat build of Quarkus のエクステンション
Red Hat Build of Quarkus Embedded エクステンションは、Hot Rod クライアントとともに Quarkiverse の一部になりました。
Data Grid 8.5.3 セキュリティー更新
Data Grid 8.5.3 は、CVE に対応するためのセキュリティー強化を提供します。
詳細は、このリリース RHSA-2025:2663 に関連するアドバイザリーを参照してください。
1.2. Data Grid 8.5.2 の新機能
Data Grid 8.5.2 では、ユーザビリティーとパフォーマンスが向上し、セキュリティーが強化されています。新しい機能を確認してください。
シンプルなキャッシュメトリクスの更新
シンプルキャッシュモードでは、ローカル、分散、複製、無効化などの他のキャッシュモードと同じメトリクスが提供されるようになりました。これにより、監視および警告システムでのキャッシュメトリクスの監視が簡素化されます。
JDBC_PING2 プロトコルのサポート
Data Grid 8.5.2 では、JGroups 検出に JDBC_PING2 プロトコルを使用する機能が提供されます。Data Grid 8.5.2 では、JDBC_PING プロトコルではなく、JDBC_PING2 プロトコルを使用することが推奨されます。
詳細は、JDBC_PING2 を参照してください。
Data Grid 8.5.2 のセキュリティー更新
Data Grid 8.5.2 は、CVE に対処するためのセキュリティー強化を提供します。Data Grid 8.5.1 デプロイメントは、可能なかぎり早急にバージョン 8.5.2 にアップグレードする必要があります。
詳細は、このリリースに関連するアドバイザリー RHSA-2024:10214 を参照してください。
ベクトル検索クエリーは Data Grid ではサポートされていません。
1.3. Data Grid 8.5.1 の新機能
Data Grid 8.5.1 では、ユーザビリティーとパフォーマンスが向上し、セキュリティーが強化されています。新機能を確認してください。
SSL/TLS 証明書を自動的に再読み込みする機能
Data Grid 8.5.1 以降では、証明書が更新されると、Data Grid はキーストアファイルの変更を監視し、サーバーまたはクライアントを再起動することなく、これらのファイルを自動的に再読み込みします。
証明書のローテーション中にシームレスな操作を確実に行うには、認証局 (CA) によって署名された証明書を使用し、CA 証明書を使用してサーバーおよびクライアントの両方のトラストストアを設定します。
詳細は、SSL/TLS 証明書のローテーション を参照してください。
インデックス付きリモートクエリーのキーをインデックスする機能
Data Grid 8.5.1 では、キーに Indexed
型が導入されました。キーを Indexed
として定義することで、インデックス付きリモートクエリーのキャッシュ内のキーにインデックスを付けることができます。この機能強化により、キーフィールドと値フィールドの両方にインデックスを作成できるようになり、キーを Ickle クエリーで使用できるようになります。
詳細は、キーによるクエリー を参照してください。
1.4. Data Grid 8.5.0 の新機能
Data Grid 8.5.0 では、ユーザビリティーとパフォーマンスが向上し、セキュリティーが強化されています。新機能を確認してください。
Data Grid 8.5.0 のセキュリティー更新
Data Grid 8.5.0 は、CVE に対処するためのセキュリティー強化を提供します。Data Grid 8.4 デプロイメントは、可能なかぎり早急にバージョン 8.5.0 にアップグレードする必要があります。
詳細は、このリリースに関連するアドバイザリー RHSA-2024:4460 を参照してください。
RESP プロトコルエンドポイントのサポート
以前のリリースではテクノロジープレビュー機能として提供されていた RHDG の Redis Serialization Protocol (RESP) プロトコルエンドポイントが、完全にサポートされるようになりました。さらに、8.5 リリースでは、使用できる Redis コマンドがさらに追加されています。
詳細は、Data Grid での RESP プロトコルエンドポイントの使用 を参照してください。
強力なカウンターの getAndSet
REST 操作
このリリースでは、強力なカウンター用の新しい getAndSet
Representational State Transfer (REST) 操作が導入されています。getAndSet
操作は、POST
リクエストを使用して、強力なカウンターの値をアトミックに設定します。操作が成功すると、Data Grid はペイロードの前の値を返します。
詳細は、強力なカウンターでの getAndSet
アトミック操作の実行 を参照してください。
集約セキュリティーレルム
このリリースでは、集約セキュリティーレルムと呼ばれる新しいセキュリティーレルムが導入されています。集約セキュリティーレルムを使用すると、複数のセキュリティーレルム (1 つは認証用、もう 1 つは認可用) を組み合わせることができます。
詳細は、集約セキュリティーレルム を参照してください。
新しい Memcached コネクター
RHDG 8.5 リリースでは、古い Memchached コネクターが新しいコネクターに置き換えられます。
新しい Memcached コネクターでは、次の改善が行われます。
-
TEXT
とBINARY
プロトコルの両方をサポート - 認証にセキュリティーレルムを使用する機能
- TLS 暗号化のサポート
- パフォーマンスの向上
プロトコルの自動検出
注記RHDG がテキストプロトコルを自動検出するには、クライアントは接続時に認証するために "偽" の SET 操作を送信する必要があります。アプリケーションでこれが不可能な場合は、認証なしで専用ポートに Memcached コネクターを作成する必要があります。
CacheBackpressureFullException
のスレッドダンプ
CacheBackpressureFullException
例外の最も可能性の高い原因は、スレッドのハングまたはサーバーの過負荷のいずれかです。Data Grid は、原因を分析できるように、CacheBackpressureFullException
で定期的にスレッドダンプを作成するようになりました。デフォルトでは、2 つのスレッドダンプ間の間隔は 60 秒です。
安定したトポロジーを設定する機能
デフォルトでは、クラスターのシャットダウン後、Data Grid はすべてのノードがクラスターに参加してトポロジーを復元するまで待機します。ただし、CLI または REST のいずれかのコマンドを使用して、特定のキャッシュの現在のトポロジーを安定としてマークできるようになりました。
CLI コマンド
topology set-stable
詳細は、安定したトポロジーの設定 を照してください。
REST コマンド
POST /rest/v2/caches/{cacheName}?action=initialize&force={FORCE}
詳細は、安定したトポロジーの設定 を参照してください。
MassIndexer の ProtoStream ログ機能の強化
MassIndexer は、メッセージの明確さを向上させるために、Protostream オブジェクトのログメッセージにクラス名ではなく protobuf メッセージ名を表示するようになりました。
OpenTelemetry トレーシングインテグレーション
コンテナー、永続性、クラスター、xsite、セキュリティーにトレーシング機能を追加し、テレメトリーを OpenTelemetry にエクスポートして使用できるようにするための新しいスパンが導入されました。
JBoss マーシャリングのサポート
JBoss マーシャリングは、Data Grid 8.4.6 以前のバージョンでは非推奨になりました。Data Grid 8.5.0 では完全にサポートされています。
1.5. Data Grid リリース 8.5.0 の削除の通知
Data Grid リリース 8.5.0 では、次の機能が削除されます。
RHDG クライアント
次の HotRod クライアントは、RHDG では提供されなくなりました。
- .NET クライアント
- C++ クライアント
- node.js クライアント
ただし、RHDG 8.5 では古いクライアントを引き続き使用できます。
Java EE 依存関係
Java EE 依存関係のサポートは削除されました。RHDG サーバーに追加されたすべてのアプリケーションとクライアント HotRod アプリケーションは、Jakarta EE 依存関係を使用するように更新する必要があります。
JBoss EAP モジュール
Red Hat JBoss EAP アプリケーション用の RHDG モジュールは、RHDG リリースの一部として配布されなくなりました。
JBoss EAP ユーザーは、RHDG モジュールを個別にインストールする必要なく、JBoss EAP 製品リリースに統合されている Infinispan サブシステムを使用できます。詳細は、EAP 8 now supports full Infinispan functionality, including query, counters, locks, and CDI を参照してください。
JCache CDI サポート
RHDG 8.5 では、JCache (JSR 107) のサポートが削除されます。代わりに、Jakarta EE エコシステムの他のキャッシュ API 開発を使用してください。
Java 11 のサポート
RHDG 8.5 では Java 11 のサポートが削除されます。RHDG 8.5 でサポートされる最小 Java バージョンは Java 17 です。
Java 11 を必要とするクライアント HotRod アプリケーションは、古いバージョンのクライアントライブラリーを引き続き使用できます。
Tomcat セッションマネージャー
Tomcat セッションマネージャーは RHDG 8.5 では配布されません。
Windows 上の RHDG サーバー
Windows Server 2019 への RHDG サーバーのデプロイはサポートされなくなりました。
Spring サポート
Spring Boot 2.x および Spring 5.x での RHDG の使用はサポートされなくなりました。
1.6. Data Grid 8.5 でサポートされる Java バージョン
Red Hat は、Data Grid のインストール方法に応じて、さまざまな Java バージョンをサポートします。
Java 11 サポートの削除
Data Grid 8.5 では、Java 11 のサポートが削除されました。Data Grid 8.5 のユーザーは、アプリケーションを少なくとも Java 17 にアップグレードする必要があります。
古い Hot Rod Java クライアントバージョンを最新の Data Grid Server バージョンと組み合わせて引き続き使用できます。ただし、古いバージョンのクライアントを使用し続けると、修正や機能強化が失われることになります。
Data Grid 8.5 でサポートされる Java バージョン
組み込みキャッシュ
Red Hat は、カスタムアプリケーションでの組み込みキャッシュに、Data Grid を使用する場合に Java 17 および Java 21 をサポートします。
リモートキャッシュ
Red Hat は、Data Grid Server のインストールに Java 17 および Java 21 をサポートします。Hot Rod Java クライアントの場合、Red Hat は Java 17 と Java 21 をサポートします。
Red Hat は、Data Grid Server、Hot Rod Java クライアント、およびカスタムアプリケーションの組み込みキャッシュに Data Grid を使用する場合に、Java 17 および Java 21 をサポートします。
ベアメタルインストールで Data Grid Server を実行する場合、JavaScript エンジンは Java 17 では利用できません。
Vector データベースはサポート対象外
Vector データベース機能は Data Grid ではサポートされません。
第2章 既知の問題および修正された問題
Data Grid の既知の問題や、修正された問題を確認してください。
2.1. Data Grid の既知の問題
Data Grid Operator で管理する Data Grid クラスターに影響する問題は、Data Grid Operator 8.5 リリースノート を参照してください。
JGroups アドレスのデフォルトが外部 IP である
問題: JDG-6053
説明: ベアメタルデプロイメントでは、JGroups がデフォルトで設定された認証を行わずに外部 IP にバインドすると、接続がセキュアではなくなり、不正アクセスや不正操作のリスクが生じます。
回避策: 次のいずれかの方法で接続をセキュリティー保護します。
- JGroups セキュリティーを設定してネットワークを制御し、許可されたノードのみが参加できるようにします。詳細は、クラスタートランスポートの暗号化 を参照してください。
-
Data Grid Server の起動時に
-Djgroups.bind.address=<internal-network>
パラメーターを使用して、JGroups アドレスをセキュアな内部ネットワークに設定します。
ネットワークパーティションの発生時における一貫性のないトランザクション
問題: JDG-3935
説明: Data Grid クラスターでネットワークパーティションが発生するシナリオでは、パーティションが修復された後にトランザクションがロールバックされます。
回避策: この問題の回避策はありません。
Data Grid 競合解決のパフォーマンス
問題: JDG-3636
説明: テストケースによっては、Data Grid パーティション処理機能では、競合解決に、想定よりも時間がかかりました。
回避策: この問題の回避策はありません。
2.2. Data Grid 8.5.3 で修正された問題
このリリースで修正された問題のリストを表示するには、Red Hat Data Grid 8.5.3 で修正された問題 を参照してください。
2.3. Data Grid 8.5.2 で修正された問題
このリリースで修正された問題のリストを表示するには、Red Hat Data Grid 8.5.2 で修正された問題 を参照してください。
2.4. Data Grid 8.5.1 で修正された問題
このリリースで修正された問題のリストを表示するには、Red Hat Data Grid 8.5.1 で修正された問題 を参照してください。
2.5. Data Grid 8.5.0 で修正された問題
Data Grid 8.5.0 には、以下の主な修正が含まれています。
- JDG-6918 View change during a cache join can lead to not replicating data
- JDG-6463 Elements in collections are not properly limited
- JDG-7061 Concrete config is validated before applying template configuration
- JDG-7095 Cross site view change event logs stale view.
- JDG-6986 Fix out-of-order query request serialization
- JDG-6431 Cache local address on demand
2.6. ホストシステムおよび依存関係の問題
場合によっては、Data Grid のデプロイメントで、ホストシステムまたは外部の依存関係が原因でエラーが発生することがあります。このセクションでは、このような既知の問題の詳細と、トラブルシューティングおよび回避策の手順を説明します。
Nashorn JavaScript エンジン
Data Grid Server が JavaScript を使用してタスクを自動化する場合は、Nashorn JavaScript エンジンをインストールして、これらのスクリプトを Data Grid 8.4 で実行できるようにする必要があります。これは、OpenJDK 17 が Nashorn JavaScript エンジン、その API、および jjs
ツールのサポートを削除したためです。
ベアメタル Data Grid Server の場合は、Data Grid CLI で次のコマンドを実行して、Maven 中央リポジトリーから Nashorn をインストールできます。
bin/cli.sh install org.openjdk.nashorn:nashorn-core:15.4 \ org.ow2.asm:asm:7.3.1 \ org.ow2.asm:asm-util:7.3.1
OpenShift では、Data Grid クラスターに Nashorn をインストールするように Data Grid Operator を設定する Infinispan
カスタムリソース (CR) を作成できます。以下に例を示します。
apiVersion: infinispan.org/v1 kind: Infinispan metadata: name: infinispan spec: replicas: 2 dependencies: artifacts: - maven: org.openjdk.nashorn:nashorn-core:15.4 - maven: org.ow2.asm:asm:7.3.1 - maven: org.ow2.asm:asm-util:7.3.1 service: type: DataGrid