85.7. デシジョンエンジンにおけるセッションクロックの実装
複雑なイベントの処理中、デシジョンエンジンのイベントには時間的な制約があるかもしれないため、現在の時刻を提供するセッションクロックが必要になります。たとえば、ルールが過去 60 分間の指定の株式の平均価格を決定する必要がある場合、デシジョンエンジンは株価イベントのタイムスタンプとセッションクロックの現在の時刻と比較できなければなりません。
デシジョンエンジンは、リアルタイムクロックと擬似クロックをサポートしています。シナリオに応じて、1 つまたは両方のクロックタイプを使用できます。
- ルールのテスト: テストには管理された環境が必要です。テストに時間的制約を持つルールが含まれる場合は、入力ルール、ファクト、および時間のフローを制御できる必要があります。
- 通常の実行: デシジョンエンジンは、リアルタイムでイベントに反応するため、リアルタイムクロックが必要です。
- 特別な環境: 特定の環境には、特定の時間制御要件がある場合があります。たとえば、クラスター環境ではクロックの同期が必要な場合があり、Java Enterprise Edition (JEE) 環境ではアプリケーションサーバーが提供するクロックが必要な場合があります。
- ルールの再生またはシミュレーション: シナリオを再生またはシミュレートするには、アプリケーションが時間のフローを制御できるようにする必要があります。
デシジョンエンジンで、リアルタイムクロックを使用するか、擬似クロックを使用するかを決定する際には、環境要件を考慮してください。
- リアルタイムクロック
リアルタイムクロックは、デシジョンエンジンのデフォルトのクロック実装であり、システムクロックを使用してタイムスタンプの現在の時刻を決定します。リアルタイムクロックを使用するようにデシジョンエンジンを設定するには、KIE セッション設定パラメーターを
realtime
に設定します。KIE セッションでのリアルタイムクロックの設定
import org.kie.api.KieServices.Factory; import org.kie.api.runtime.conf.ClockTypeOption; import org.kie.api.runtime.KieSessionConfiguration; KieSessionConfiguration config = KieServices.Factory.get().newKieSessionConfiguration(); config.setOption(ClockTypeOption.get("realtime"));
- 擬似クロック
デシジョンエンジンでの擬似クロックの実装は、時間的なルールのテストに役立ち、アプリケーションによって制御できます。疑似クロックを使用するようにデシジョンエンジンを設定するには、KIE セッション設定パラメーターを
pseudo
に設定します。KIE セッションでの擬似クロックの設定
import org.kie.api.runtime.conf.ClockTypeOption; import org.kie.api.runtime.KieSessionConfiguration; import org.kie.api.KieServices.Factory; KieSessionConfiguration config = KieServices.Factory.get().newKieSessionConfiguration(); config.setOption(ClockTypeOption.get("pseudo"));
追加の設定とファクトハンドラーを使用して、擬似クロックを制御することもできます。
KIE セッションで擬似クロックの動作を制御
import java.util.concurrent.TimeUnit; import org.kie.api.runtime.KieSessionConfiguration; import org.kie.api.KieServices.Factory; import org.kie.api.runtime.KieSession; import org.drools.core.time.SessionPseudoClock; import org.kie.api.runtime.rule.FactHandle; import org.kie.api.runtime.conf.ClockTypeOption; KieSessionConfiguration conf = KieServices.Factory.get().newKieSessionConfiguration(); conf.setOption( ClockTypeOption.get("pseudo")); KieSession session = kbase.newKieSession(conf, null); SessionPseudoClock clock = session.getSessionClock(); // While inserting facts, advance the clock as necessary. FactHandle handle1 = session.insert(tick1); clock.advanceTime(10, TimeUnit.SECONDS); FactHandle handle2 = session.insert(tick2); clock.advanceTime(30, TimeUnit.SECONDS); FactHandle handle3 = session.insert(tick3);