第80章 Red Hat Decision Manager のデシジョンエンジン
デシジョンエンジンは、Red Hat Decision Manager のルールエンジンです。デシジョンエンジンは、データを保存、処理、および評価して、お客様が定義するビジネスルールまたはデシジョンモデルを実行します。デシジョンエンジンの基本的な機能は、受信データ、または ファクト をルールの条件に一致させ、そのルールを実行するかどうか、そしてどのように実行するかを決定することです。
デシジョンエンジンは、以下の基本コンポーネントを使用して動作します。
- ルール: お客様が定義するビジネスルールまたは DMN デシジョン。すべてのルールは、ルールをトリガーする条件およびルールが指示するアクションを最小限含む必要があります。
- ファクト: デシジョンエンジンで入力または変更されるデータで、デシジョンエンジンをルールの条件と一致させ、適用可能なルールを実行します。
- プロダクションメモリー: デシジョンエンジンのルールが格納されている場所。
- ワーキングメモリー: デシジョンエンジンのファクトが格納されている場所。
- アジェンダ: 有効化されたルールが登録され、実行に備えて (必要に応じて) 並べ替えられた場所。
ビジネスユーザーまたは自動化システムが Red Hat Decision Manager にルール関連の情報を追加または更新した場合、その情報は 1 つ以上のファクトという形でデシジョンエンジンのワーキングメモリーに挿入されます。デシジョンエンジンは、それらのファクトをプロダクションメモリーに格納されたルールの条件と一致させ、適用可能なルールの実行を決定します。ファクトをルールに一致させるこの処理は、しばしば パターン一致 と呼ばれます。 ルールの条件が一致すると、デシジョンエンジンはアジェンダのルールを有効にして登録します。続いてアジェンダでは、デシジョンエンジンが実行に備えて優先的なルールまたは競合するルールをソートします。
以下の図は、デシジョンエンジンのこれらの基本コンポーネントを表しています。
図80.1 基本となるデシジョンエンジンコンポーネントの概要
デシジョンエンジンのルールやファクトの動作に関する詳細や例は、82章デシジョンエンジンにおける推論と真理維持 を参照してください。
これらのコアなコンセプトにより、デシジョンエンジンの他のより高度なコンポーネント、処理、およびサブ処理の理解が深まるようになります。その結果、Red Hat Decision Manager でより効果的なビジネスアセットを設計できるようになります。