テストシナリオを使用したデシジョンサービスのテスト
ガイド
概要
はじめに
ビジネス分析者またはビジネスルールの開発者は、Decision Central でテストシナリオを使用して、プロジェクトをデプロイする前にデシジョンサービスをテストできます。デシジョンサービスをテストすると、プロジェクトのルールアセットが適切に、想定通りに機能することが確認できます。デシジョンサービスは、プロジェクトの開発時にいつでもテストできます。
前提条件
- デシジョンサービスのチームおよびプロジェクトが Decision Central に作成されている。詳細は、デシジョンサービスのスタートガイド を参照してください。
- デシジョンサービスに、ビジネスルールおよび関連するデータオブジェクトが定義されている。たとえば、ガイド付きデシジョンテーブルを使用したデシジョンサービスの作成 を参照してください。
テストシナリオでは、ビジネスルールを設定するように定義したデータをテストできるため、ビジネスルールを先に定義しておくことは、テストシナリオにおける技術的な前提条件ではありません。ただし、先にルールを作成しておくと、テストシナリオでルール全体をテストすることができ、かつ意図するデシジョンサービスにシナリオがより近づくため便利です。
第1章 テストシナリオ
Red Hat Decision Manager のテストシナリオでは、ビジネスルールを実稼働環境にデプロイする前に、ビジネスルールの機能とデータの妥当性を確認できます。このテストシナリオでは、プロジェクトのデータを使用して、指定した条件と、定義した 1 つ以上のビジネスルールで想定される結果を設定できます。シナリオを実行する際は、想定した結果と、ルールのインスタンスから実際に得られた結果を比較します。想定される結果が実際の結果と一致すると、テストは成功します。想定された結果が実際の結果と一致しないと、テストは失敗します。
テストシナリオ エディターを使用すると、テストシナリオを 1 つずつまたはグループとして実行できますが、テストシナリオ (プレビュー) エディターを使用すると、*.scesim
ファイルのすべてのシナリオが一度に実行されます。グループで実行する場合は、1 つのパッケージに含まれるすべてのシナリオが対象になります。テストシナリオは独立しているため、別のシナリオに影響を及ぼしたり修正したりすることはありません。テストシナリオは、Decision Central のプロジェクト開発時にいつでも実行できます。テストシナリオを実行するために、デシジョンサービスをコンパイルまたはデプロイする必要はありません。
別のパッケージからのデータオブジェクトは、テストシナリオと同じプロジェクトパッケージにインポートできます。同じパッケージに含まれるアセットはデフォルトでインポートされます。必要なデータオブジェクトとテストシナリオを作成したら、テストシナリオデザイナーの Data Objects タブを使用して、必要なデータオブジェクトがすべてリストされていることを検証するか、アイテムを追加 して既存のデータオブジェクトをインポートします。
第2章 データオブジェクト
データオブジェクトは、作成するルールアセットの設定要素です。データオブジェクトは、プロジェクトで指定したパッケージに Java オブジェクトとして実装されているカスタムのデータタイプです。たとえば、データフィールド Name
、Address
、および DateOfBirth
を使用して Person
オブジェクトを作成し、ローン申し込みルールに詳細な個人情報を指定できます。このカスタムのデータ型は、アセットとデシジョンサービスがどのデータに基づいているかを指定します。
第3章 Decision Central でのテストシナリオエディターの使用
Red Hat Decision Manager には、テストシナリオエディターが 2 つあります。1 つは テストシナリオ エディター、もう 1 つは テストシナリオ (プレビュー) エディターです。テストシナリオ (プレビュー) エディターは、テクノロジープレビューとしてのみ提供されており、実稼働環境での使用はサポートされていません。ただし、ビジネスルールとデータのテストにはいずれを使用しても構いません。この章では、テストシナリオ エディターを使用してテストシナリオを作成および実行する方法について説明します。
3.1. データオブジェクトの作成
次の手順は、データオブジェクトの作成の一般的な概要です。特定のビジネスプロセスに固有のものではありません。
手順
- Decision Central で、Menu → Design → Projects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
- Add Asset → Data Object をクリックします。
一意の データオブジェクト 名を入力し、パッケージ を選択します。これにより、その他のルールアセットでもデータオブジェクトを利用できるようになります。同じパッケージに、同じ名前のデータオブジェクトを複数作成することはできません。指定の DRL ファイルで、どのパッケージからでもデータオブジェクトをインポートできます。
別のパッケージからのデータオブジェクトのインポート別のパッケージから直接アセットデザイナーに、既存のデータオブジェクトをインポートすることができます。プロジェクトで関連するルールアセットを選択し、アセットデザイナーで Data Objects → New item に移動して、インポートするオブジェクトを選択します。
- データオブジェクトを永続化するには、Persistable チェックボックスを選択します。永続型データオブジェクトは、JPA 仕様に準じてデータベースに保存できます。デフォルトの JPA は Hibernate です。
- OK をクリックします。
データオブジェクトデザイナーで add field をクリックして、Id 属性、Label 属性、および Type 属性を使用するオブジェクトにフィールドを追加します。必須属性にはアスタリスク (*) マークが付いています。
- Id: フィールドの一意の ID を入力します。
- Label: (任意) フィールドのラベルを入力します。
- Type: フィールドのデータ型を入力します。
List: このチェックボックスを選択すると、このフィールドで、指定したタイプのアイテムを複数保持できるようになります。
図3.1 データオブジェクトへのデータフィールドの追加
Create をクリックして、新しいフィールドを追加します。Create and continue をクリックすると、新しいフィールドが追加され、別のフィールドを引き続き作成できます。
注記フィールドを編集するには、フィールド行を選択し、画面右側の general properties を使用します。
3.2. テストシナリオの作成および実行
ビジネスルールデータをデプロイする前に、Decision Central にテストシナリオを作成して、その機能をテストできます。基本的なテストシナリオには、少なくても以下のデータが必要です。
- 関連するデータオブジェクト
- GIVEN (指定した) ファクト
- EXPECT (想定される) 結果
テストシナリオでは、このデータを使用し、定義したファクトに基づいて、そのルールインスタンスに対して想定した結果と実際の結果の妥当性を検証できます。CALL METHOD と利用可能な globals をテストシナリオに追加することもできますが、これは必須ではありません。
手順
- Decision Central で、Menu → Design → Projects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
- Add Asset → Test Scenario の順にクリックします。
- テストシナリオ 名を入力し、適切な パッケージ を選択します。指定するパッケージは、必要なルールアセットが割り当てられている、またはこれから割り当てるパッケージと同じにする必要があります。データオブジェクトは、任意のパッケージからアセットのエディターにインポートできます。
OK をクリックして、テストシナリオを作成します。
Project Explorer の Test Scenarios パネルに、新しいテストシナリオが追加されました。
- Data Objects タブをクリックして、テストするルールに必要なデータオブジェクトがすべてリストされていることを検証します。追加されていない場合は、New item をクリックして別のパッケージから必要なデータオブジェクトをインポートするか、パッケージに データオブジェクトを作成 します。
データオブジェクトをすべて配置したら、テストシナリオデザイナーの Model タブに戻り、利用可能なデータオブジェクトに基づいたシナリオに、GIVEN データと EXPECT データを定義します。
図3.2 テストシナリオデザイナー
GIVEN セクションには、テストする入力ファクトを定義します。たとえば、プロジェクトの
Underage
ルールで、ローン申請者の年齢が 21 歳未満であれば承認しない場合は、テストシナリオの GIVEN ファクトで、Applicant
のage
に、21 より小さい数字に設定する必要があります。EXPECT セクションには、GIVEN に入力したファクトに基づいて想定される結果を定義します。つまり、入力ファクトを GIVEN (指定) すると、その他のファクトが有効であること、またはルール全体が有効であることを EXPECT (想定) します。たとえば、このシナリオで、申請者が 21 歳未満の場合に 想定される 結果は、(申請者の年齢が基準を満たさないため)
LoanApplication
のapproved
がfalse
になるか、Underage
ルール全体が有効になります。CALL METHOD と globals をテストシナリオに追加することもできます。
- CALL METHOD: ルールの実行を開始する際に、別のファクトからメソッドを呼び出します。CALL METHOD をクリックし、ファクトを選択し、 をクリックして呼び出すメソッドを選択します。(可能な場合は) プロジェクトに対してインポートした Java ライブラリー、または JAR から (ArrayList のメソッドなどの) Java クラスメソッドを呼び出すことができます。
- globals: テストシナリオで妥当性を確認するプロジェクトにグローバル変数を追加します。globals をクリックして、妥当性を確認する変数を選択し、テストシナリオデザイナーでグローバル名をクリックして、グローバル変数に適用するフィールド値を定義します。グローバル変数が利用できない場合は、Decision Central に新しいアセットとして作成する必要があります。グローバル変数はデシジョンエンジンに表示されますが、ファクトに対するオブジェクトとは異なるオブジェクトの名前です。グローバルのオブジェクトを変更しても、ルールの再評価は行われません。
- 必要に応じて、テストシナリオデザイナーの下部で More をクリックし、同じシナリオファイルに別のデータブロックを追加します。
- シナリオに対して、GIVEN、EXPECT、その他のデータをすべて定義したら、テストシナリオデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。
右上の Run scenario をクリックして、この
.scenario
ファイルを実行します。プロジェクトパッケージに.scenario
ファイルが複数ある場合にすべて保存している場合は、Run all scenarios をクリックして、すべてのシナリオを実行します。Run scenario オプションでは、個々の.scenario
ファイルを保存する必要はありませんが、Run all scenarios オプションを使用する場合は、すべての.scenario
ファイルを保存する必要があります。テストに失敗したら、ウィンドウ下部の Alerts メッセージに記載されている問題に対応し、シナリオの全コンポーネントを見直し、エラーが表示されなくなるまで妥当性確認を行います。
- 変更がすべて終了したら、テストシナリオデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。
GIVEN ファクトをテストシナリオに追加する方法は 「テストシナリオへの GIVEN ファクトの追加」 を参照してください。
EXPECT 結果をテストシナリオに追加する方法は 「テストシナリオへの EXPECT 結果の追加」 を参照してください。
3.2.1. テストシナリオへの GIVEN ファクトの追加
GIVEN セクションには、テストする入力ファクトを定義します。たとえば、プロジェクトの Underage
ルールで、ローン申請者の年齢が 21 歳未満であれば承認しない場合は、テストシナリオの GIVEN ファクトで、Applicant
の age
に、21 より小さい数字に設定する必要があります。
前提条件
テストシナリオに必要なデータオブジェクトがすべて作成、またはインポートされていて、テストシナリオデザイナーの Data Objects タブにリストされています。
手順
テストシナリオデザイナーで GIVEN をクリックすると、利用可能なファクトが追加されている New input ウィンドウが開きます。
図3.3 テストシナリオへの GIVEN 入力の追加
リストには以下のオプションが含まれます。表示されるオプションは、テストシナリオデザイナーの Data Objects タブで利用可能なデータオブジェクトによって異なります。
- Insert a new fact: ファクトを追加して、フィールド値を修正します。Fact name にファクトの変数を入力します。
- Modify an existing fact: 別のファクトが追加される場合に限り表示されます。 これを使用して、シナリオの実行間でデシジョンエンジンで変更される前に挿入されたファクトを指定します。
- Delete an existing fact: 別のファクトが追加される場合に限り表示されます。 これを使用して、シナリオの実行間でデシジョンエンジンで削除される前に挿入されたファクトを指定します。
- Activate rule flow group: そのグループ内にあるすべてのルールをテストできるように、有効にするルールフローグループを指定します。
-
目的の入力オプションに対するファクトを選択し、Add をクリックします。たとえば、Insert a new fact: に Applicant を設定し、Fact name に対して
a
またはapp
、もしくは別の変数を入力します。 テストシナリオデザイナーのファクトをクリックし、修正するフィールドを選択します。
図3.4 ファクトフィールドの修正
編集アイコン ( ) をクリックし、以下のフィールド値を選択します。
- Literal value: 特定のリテラル値を入力するオープンフィールドを作成します。
- Bound variable: このフィールドの値を、選択した変数にバインドするファクトに設定します。フィールドタイプが、バインドした変数型に一致する必要があります。
- Create new fact: 新しいファクトを作成し、そのファクトを親ファクトのフィールド値として割り当てます。テストシナリオデザイナーで子ファクトをクリックし、同じようにフィールド値を割り当てるか、別のファクトをネストできます。
- 続いて、シナリオに別の GIVEN 入力データを追加し、テストシナリオデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。
3.2.2. テストシナリオへの EXPECT 結果の追加
EXPECT セクションには、GIVEN に入力したファクトに基づいて想定される結果を定義します。つまり、入力ファクトを GIVEN (指定) すると、その他のファクトが有効であること、またはルール全体が有効であることを EXPECT (想定) します。たとえば、このシナリオで、申請者が 21 歳未満の場合に 想定される 結果は、(申請者の年齢が基準を満たさないため) LoanApplication
の approved
が false
になるか、Underage
ルール全体が有効になります。
前提条件
テストシナリオに必要なデータオブジェクトがすべて作成、またはインポートされていて、テストシナリオデザイナーの Data Objects タブにリストされています。
手順
テストシナリオデザイナーで EXPECT をクリックし、利用可能なファクトが追加されている New expectations ウィンドウを開きます。
図3.5 テストシナリオへの EXPECT 結果の追加
リストには以下のオプションが含まれます。表示されるオプションは、GIVEN セクションのデータや、テストシナリオデザイナーの Data Objects タブで利用可能なデータオブジェクトによって異なります。
- Rule: プロジェクトに、GIVEN に指定した内容に対して有効になることが想定される特定のルールを指定します。ルールの名前を入力するか、ルールリストから選択します。次に、テストシナリオデザイナーで、ルールが有効になるべき回数を指定します。
- Fact value: ファクトを選択し、GIVEN セクションに定義したファクトに対して有効になることが想定される値を定義します。ファクトは、GIVEN の入力に対して事前に定義した Fact name でリストされます。
- Any fact that matches: GIVEN に指定した内容に対して、指定した値を持つファクトが最低 1 つ存在するかどうかの妥当性を確認します。
-
(Fact value:
application
などの) 期待される結果のファクトを選択し、Add または OK を選択します。 テストシナリオデザイナーでファクトをクリックし、追加または修正するフィールドを選択します。
図3.6 ファクトフィールドの修正
-
フィールド値に、GIVEN に指定した内容に対して、有効になると想定される値 (
approved
|equals
|false
など) を設定します。 - 続いて、シナリオに別の EXPECT 入力データを追加し、テストシナリオデザイナーで Save をクリックして、設定内容を保存します。
シナリオに GIVEN、EXPECT、その他のデータを定義して保存したら、右上の Run scenario をクリックしてこの
.scenario
ファイルを実行するか、(複数の場合は) Run all scenarios をクリックして、プロジェクトパッケージに保存したすべての.scenario
を実行します。Run scenario オプションでは、個々の.scenario
ファイルを保存する必要はありませんが、Run all scenarios オプションを使用する場合は、すべての.scenario
ファイルを保存する必要があります。テストに失敗したら、ウィンドウ下部の Alerts メッセージに記載されている問題に対応し、シナリオの全コンポーネントを見直し、エラーが表示されなくなるまで妥当性確認を行います。
- 変更がすべて終了したら、テストシナリオデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。
第4章 Decision Central でのテストシナリオ (プレビュー) エディターの使用
Red Hat Decision Manager には、2 つのエディターが同梱されており、テストシナリオを作成して実行し、ビジネスルールとデータを検証できます。両者の違いは、テストシナリオ エディターは Red Hat によって実稼働環境での使用がサポートされているのに対し、テストシナリオ (プレビュー) エディターはテクノロジープレビューとしてのみ提供されており、実稼働環境での使用はサポートされていない点です。この章のセクションは、プレビューエディターを使用してテストシナリオを作成および実行する方法を理解するのに役立ちます。
4.1. テストシナリオ (プレビュー) エディター
Red Hat Decision Manager には、新しい テストシナリオ (プレビュー) エディターが付属しています。プレビューエディターは、ビジネスルールとデータをテストまたは検証する際に、新しく強化されたユーザーエクスペリエンスを提供します。
この機能はテクノロジープレビューとしてのみ提供されています。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat の実稼働環境でのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされていないため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。これらの機能は、今後の製品機能への早期アクセスを提供することで、お客様が機能をテストし、開発プロセス中にフィードバックを提供できるようにしています。
Red Hat のテクノロジープレビュー機能のサポートの詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
4.1.1. テストシナリオ (プレビュー) エディターの有効化
テストシナリオ (プレビュー) エディターは、Red Hat Decision Manager の テクノロジープレビュー 機能として利用でき、デフォルトでは無効になっています。
手順
- Decision Central にログインします。
- 右上のメインパネルで Admin をクリックし、Roles をクリックします。
All roles からロールを選択します。
注記ロールまたはグループに追加する変更は、そのロールまたはグループに関連付けられているすべてのユーザーに影響します。
- Permissions セクションで、Editors を展開します。
- テストシナリオ (プレビュー) エディターの前にある Read をクリックして有効にします。
- Save をクリックします。
現在、プレビューエディターはデフォルトの KIE セッションのみを使用して動作します。
4.1.2. テストシナリオ (プレビュー) エディターのレイアウト
プレビューエディターでは、シナリオテンプレートと関連するすべてのテストケースを定義するのに役立つテーブル形式のレイアウトを導入しています。エディターのレイアウトは、ヘッダーと個別の行を持つテーブルで設定されています。ヘッダーは、GIVEN と EXPECT の行、インスタンスの行、対応のフィールドの行の 3 つで設定されます。ヘッダーは、テストシナリオテンプレートとしても知られており、個別の行はテストシナリオ定義と呼ばれます。
テストシナリオテンプレートまたはヘッダーは以下の 2 つの部分で設定されます。
- Given データオブジェクトおよびそのフィールド - 入力情報を表現します。
- Expected データオブジェクトおよびそのフィールド - オブジェクトとフィールドを表現します。実際の値が指定の情報をもとにチェックされ、想定の結果を設定するのにも、この値を使用します。
テストシナリオの定義は、個別のテストケーステンプレートを表現します。
エディターの左パネルから Project Explorer にアクセスでき、右パネルからは、Test Tools と Test Report にアクセスできます。右パネルから Test Tools を使用をして、データオブジェクトのマッピング (Test Editor) を設定したり、参考として使用するノードが含まれるチートシート (Scenario Cheatsheet) にアクセスしたりできます。
4.1.3. データオブジェクトのインポート
テストシナリオ (プレビュー) エディターは、テストシナリオと同じパッケージ内に配置されている全データオブジェクトを読み込みます。すべてのデータオブジェクトは、デザイナーの Data Objects タブから表示できます。読み込んだデータオブジェクトは、Test Tools パネルの Test Editor タブにも表示されます。
データオブジェクトが変更された場合に (新規データオブジェクトの作成時や、既存のデータオブジェクトの削除時など) プレビューエディターを終了して、開き直す必要があります。一覧からデータオブジェクトを選択して、フィールドとフィールドタイプを表示します。
テストシナリオとは異なるパッケージに配置されているデータオブジェクトを使用する場合には、先にそのデータオブジェクトをインポートする必要があります。以下の手順に従い、データオブジェクトをインポートしてください。
手順
- テストシナリオ (プレビュー) エディターの Project Explorer パネルに移動します。
- Test Scenario (Preview) からテストシナリオを選択します。
- Data Objects タブを選択して、New Item をクリックします。
- Add import ウィンドウで、ドロップダウンリストからデータオブジェクトを選択します。
- Ok をクリックしてから Save をクリックします。
- テストシナリオ (プレビュー) エディターを終了して再度開き、データオブジェクトリストから新しいデータオブジェクトを表示します。
4.1.4. テストシナリオのインポート
プロジェクトビューの Asset タブにある Import Asset ボタンを使用して、既存のテストシナリオをインポートできます。
手順
- Decision Central で、Menu → Design → Projects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
- プロジェクトの Asset タブから Import Asset をクリックします。
Create new Import Asset ウィンドウで、以下を実行します。
- インポートセットの名前を入力します。
- Package ドロップダウンリストからパッケージを選択します。
- Please select a file to upload から、Choose File… をクリックしてテストシナリオファイルを参照します。
- ファイルを選択して Open をクリックします。
- Ok をクリックすると、レビューエディターでテストシナリオが開きます。
4.2. テストシナリオ (プレビュー) エディターを使用した基本操作
テストシナリオ (プレビュー) エディターを使用して、以下の操作を実行できます。
- テストシナリオの保存
- テストシナリオの削除
- テストシナリオの名前変更
- テストシナリオのコピー
- テストシナリオの実行
- テストシナリオのダウンロード
- テストシナリオの異なるバージョン間での切り替え
- アラートの表示または非表示
4.2.1. テストシナリオの保存
テストシナリオは、テストシナリオテンプレートの作成時や、テストシナリオの定義時にいつでも保存できます。
手順
- 右上の テストシナリオ (プレビュー) エディターのツールバーから、Save をクリックします。
Confirm Save ウィンドウで、以下を実行します。
- テストシナリオに関するコメントを追加する場合は、add a comment をクリックします。
- もう一度 Save をクリックします。
テストシナリオが正常に保存されたことを示すメッセージが画面に表示されます。
4.2.2. テストシナリオの削除
テストシナリオ (プレビュー) エディターを使用して作成した既存のテストシナリオを削除できます。
手順
- 右上の テストシナリオ (プレビュー) エディターのツールバーから、Delete をクリックします。
Confirm Delete ウィンドウで、以下を実行します。
- テストシナリオの削除に関するコメントを追加するには、add a comment をクリックします。
- Delete をクリックします。
テストシナリオが正常に削除されたことを示すメッセージが画面に表示されます。
4.2.3. テストシナリオの名前変更
テストシナリオの名前変更は、エディターの右上にある Rename ボタンを使用します。
手順
- 右上の テストシナリオ (プレビュー) エディターのツールバーから、Rename をクリックします。
Rename Asset ウィンドウで、以下を実行します。
- Asset Name フィールドに名前を入力します。
- コメントを追加するには、add a comment をクリックします。
Rename をクリックします。
注記Rename をクリックするだけで、テストシナリオファイルの名前が変更されます。
- 右上の テストシナリオ (プレビュー) エディターのツールバーから、Save をクリックします。
Confirm Save ウィンドウで、以下を実行します。
- コメントを追加するには、add a comment をクリックします。
- もう一度 Save をクリックします。
- Save and Rename をクリックして、同時にシナリオをの保存と、名前変更が可能です。
テストシナリオの名前が正常に変更されたことを示すメッセージが画面に表示されます。
4.2.4. テストシナリオのコピー
右上のツールバーの Copy ボタンを使用して、既存のテストシナリオを同じパッケージまたは別のパッケージにコピーできます。
手順
- 右上の テストシナリオ (プレビュー) エディターのツールバーから、Copy をクリックします。
Make a Copy ウィンドウで、以下を実行します。
- New Name フィールドに名前を入力します。
- テストシナリオをコピーするパッケージを選択します。
- オプションでコメントを追加するには、add a comment をクリックします。
- Make a Copy をクリックします。
テストシナリオが正常にコピーされたことを示すメッセージが画面に表示されます。
4.2.5. テストシナリオのダウンロード
今後の参考に、またはバックアップとして、ローカルのマシンにテストシナリオのコピーをダウンロードできます。
手順
- 右上の テストシナリオ (プレビュー) エディターのツールバーから、Download をクリックします。
.scesim ファイルがローカルのマシンにダウンロードされます。
4.2.6. テストシナリオのバージョン間の切り替え
Decision Central には、テストシナリオのさまざまなバージョン間で切り替える機能があります。シナリオを保存するたびに、シナリオの新しいバージョンが Latest Versions に表示されます。この機能を使用するには、一度はテストシナリオファイルを保存しておく必要があります。
手順
- 右上の テストシナリオ (プレビュー) エディターのツールバーから、Latest Version をクリックします。ファイルに複数バージョンがある場合は、ファイルの全バージョンが Latest Version に表示されます。
作業するバージョンをクリックします。
選択したバージョンのテストシナリオが テストシナリオ (プレビュー) エディターで開きます。
- エディターのツールバーから Restore をクリックします。
Confirm Restore で以下を実行します。
- コメントを追加するには、add a comment をクリックします。
- Restore をクリックして確定します。
選択したバージョンが正常にエディターに再読み込みされたことを示すメッセージが画面に表示されます。
4.2.7. アラートパネルの表示/非表示
テストシナリオ (プレビュー) エディターの下部には、テスト結果と Alert メッセージを含むメッセージパネルが表示されます。右上のプレビューエディターのツールバーで、Hide Alerts/View Alerts をクリックして、レポートパネルを有効または無効にします。
4.4. テストシナリオテンプレート
テストシナリオの定義を指定する前に、テストシナリオテンプレートを作成する必要があります。テストシナリオテーブルのヘッダーにより、各シナリオのテンプレートが定義されます。GIVEN と EXPECTED の両セクションに、インスタンスタイプとプロパティーヘッダーを設定する必要があります。
4.4.1. エイリアスの概念
テストシナリオ (プレビュー) エディターで、ヘッダーセルをデータオブジェクトにマッピングすると、データオブジェクトは Test Tools パネルの Test Editor タブから削除されます。エイリアス のコンセプトを使用して、データオブジェクトを別のヘッダーセルに再マッピングできます。エイリアスでは、同じデータオブジェクトの複数インスタンスを指定できます。エイリアスの名前が一意であることを確認してください。こうすることで、データオブジェクトはもう一度、Test Editor タブで利用でき再マッピングが可能になります。
4.4.2. テストシナリオテンプレートの作成
以下の手順に従い、テストシナリオテンプレートを作成してルールとデータを検証します。
手順
- Decision Central で、Menu → Design → Projects に移動して、テストシナリオを作成するプロジェクトをクリックします。
- Add Asset → Test Scenario (Preview) の順にクリックします。
- テストシナリオ 名を入力し、適切な パッケージ を選択します。選択するパッケージは、必要なデータオブジェクトとルールアセットが割り当てられている、またはこれから割り当てるパッケージにする必要があります。
- Ok をクリックして、テストシナリオ (プレビュー) エディターでテストシナリオを作成して開きます。
GIVEN コラムヘッダーをデータオブジェクトにマッピングするには、以下を実行します。
- GIVEN セクションのインスタンスヘッダーをクリックします。
- Test Editor タブからデータオブジェクトを選択します。
- Add をクリックします。
- データオブジェクトのプロパティーをさらに挿入するには、プロパティーヘッダーを右クリックして、必要に応じて、Insert column right または Insert column left を選択します。
データオブジェクトをプロパティーセルにマッピングするには、以下を実行します。
- プロパティーセルをクリックします。
- Test Editor タブからデータオブジェクトフィールドを選択します。
- Add をクリックします。
EXPECTED 列ヘッダーをデータオブジェクトにマッピングするには、以下を実行します。
- EXPECTED セクションのインスタンスヘッダーをクリックします。
- Test Editor タブからデータオブジェクトを選択します。
- Add をクリックします。
- データオブジェクトのプロパティーをさらに挿入するには、プロパティーヘッダーを右クリックして、必要に応じて、Insert column right または Insert column left を選択します。
データオブジェクトをプロパティーセルにマッピングするには、以下を実行します。
- プロパティーセルをクリックします。
- Test Editor タブからデータオブジェクトフィールドを選択します。
- Add をクリックします。
必要に応じて、コンテキストメニューを使用して列を追加または削除します。
GIVEN と EXPECTED の両方の列を作成してデータオブジェクトとそのプロパティーにマッピングした後に、次のテストシナリオを定義する必要があります。
4.5. テストシナリオの定義
テストシナリオテンプレートの作成後、テストシナリオを定義する必要があります。テストシナリオテーブルの行では、個別のテストシナリオを定義します。テストシナリオには、一意のインデックス番号、説明、入力値セット (指定の値)、出力値セット (予想される値) を定義します。
前提条件
選択したテストシナリオに、テストシナリオテンプレートが存在することを確認します。
手順
- テストシナリオ (プレビュー) エディターでテストシナリオを開きます。
- テストシナリオの説明を入力して、行のセルに必要な値を入力します。コンテキストメニューを使用して、必要に応じて行を追加または削除します。
テストシナリオの定義したら、テストを実行できます。
4.5.1. 式の構文
テストシナリオ (プレビュー) エディターでは、以下のテストシナリオの定義式がサポートされます。
Operator | 説明 |
---|---|
= | 値と同等であることを指定します。これは、全列でデフォルトとなっており、GIVEN 列でサポートされる唯一の演算子です。 |
=、=!、<> | 値が同等でないことを指定します。この演算子は、他の演算子と組み合わることができます。 |
<, >, < =, >= | 比較 (未満、値よりも大きい、以下、以上) を指定します。 |
[value1, value2, value3] | 値の一覧を指定します。1 つまたは複数の値が有効な場合は、シナリオの定義が True と評価されます。 |
expression1; expression2; expression3 | 式のリストを指定します。すべての式が有効な場合は、シナリオ定義が True と評価されます。 |
空のセルは null と同じです。空の文字列を定義するには、=
を使用します。
式 | 説明 |
---|---|
-1 | 予想される値は、-1 です。 |
< 0 | 予想される値は、0 未満です。 |
! > 0 | 予想される値は、0 以下です。 |
[-1, 0, 1] | 予想される値は、-1、0、または 1 です。 |
<> [1, -1] | 予想される値は、1 でも -1 でもありません。 |
!100; 0 | 予想される値は、100 ではなく、0 です。 |
!= < 0; <> > 1 | 予想される値は、0 未満でも 1 より大きい値でもありません。 |
<> < = 0; >= 1 | 予想される値は、0 以下でなく、1 以上です。 |
Test Tools パネルにある Scenario Cheatsheet タブで、サポートされているコマンドと構文を参照できます。
4.6. テストシナリオの実行
テストシナリオテンプレートを作成してテストシナリオを定義したら、プレビューエディターでテストを実行してビジネスルールとデータを検証できます。
手順
- テストシナリオ (プレビュー) エディターで、Run Test をクリックします。
- Test Report パネルがエディターの右側にポップアップ表示され、テスト結果の概要とシナリオのステータスが表示されます。
- テストの実行後に、View Alerts をクリックして Alerts セクションを開き、エラーメッセージを確認します。または、エディター下部の Alerts パネルからテスト結果メッセージを表示することもできます。
テストに失敗したら、エラーメッセージを確認します。赤いアイコンが付いたメッセージはテストの失敗を示し、緑のアイコンはテストの成功を示します。
プレビューエディターでは、エラーのある行またはセルが赤で強調表示されます。
- 必要な変更を加えて、テストに成功するまでもう一度テストを実行します。
4.7. Mortgages サンプルプロジェクトを使用したテストシナリオの作成
この章では、テストシナリオ (プレビュー) エディターを使用して、Decision Central に同梱されているサンプルの Mortgages プロジェクトからテストシナリオを作成して実行する方法を説明します。本章のテストシナリオの例は、Mortgages プロジェクトからの Pricing loans のガイド付きデシジョンテーブルに基づいています。
前提条件
テストシナリオ (プレビュー) エディターが有効になっている。
手順
- Decision Central で、Menu → Design → Projects に移動して、Mortgages をクリックします。
- プロジェクトが Projects の下にリストされていない場合は、MySpace から 3 つのドット ( ) ページの右上隅にあります。
Try Samples → Mortgages → OK の順にクリックします。
アセットのウィンドウが表示されます。
- Add Asset → Test Scenario (Preview) の順にクリックします。
Test Scenario の名前として、
scenario_pricing_loans
を入力し、Package ドロップダウンリストから、デフォルトのmortgages.mortgages
パッケージを選択します。選択するパッケージには、必要なルールアセットがすべて含まれている必要があります。
- Ok をクリックして、テストシナリオ (プレビュー) エディターでテストシナリオを作成して開きます。
Project Explorer を展開して以下を確認します。
-
Applicant
、Bankruptcy
、IncomeSource
、およびLoanApplication
データオブジェクトが存在する。 -
Pricing loans
ガイド付きのデシジョンテーブルが存在する。 - 新しいテストシナリオが Test Scenario (Preview) に表示されていることを確認する。
-
データオブジェクトがすべて配置されていることを確認してから、テストシナリオデザイナーの Model タブに戻り、利用可能なデータオブジェクトのシナリオに、 GIVEN データと EXPECT データを定義します。
図4.1 空のテストシナリオ (プレビュー) エディター
GIVEN コラムの詳細を定義します。
- GIVEN 列ヘッダーにある INSTANCE 1 という名前のセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から LoanApplication データオブジェクトを選択します。
- Add をクリックします。
- データオブジェクトのプロパティーを作成するには、必要に応じて Insert column right または Insert column left を選択します。この例では、GIVEN 列の下に。プロパティーセルをさらに 2 つ作成する必要があります。
最初のプロパティーセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から LoanApplication データオブジェクトを選択して展開します。
- amount をクリックして、追加 し、プロパティーセルにデータオブジェクトフィールドをマッピングします。
2 つ目のプロパティーセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から LoanApplication データオブジェクトを選択して展開します。
- deposit をクリックしてから Add をクリックします。
3 つ目のプロパティーセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から LoanApplication データオブジェクトを選択して展開します。
- lengthYears をクリックしてから Add をクリックします。
- LoanApplication ヘッダーセルを右クリックし、Insert column right を選択します。右側に新しい GIVEN 列が作成されます。
新しいヘッダーセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から IncomeSource データオブジェクトを選択します。
- Add をクリックして、データオブジェクトをヘッダーセルにマッピングします。
IncomeSource の下のプロパティーセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から IncomeSource データオブジェクトを選択して展開します。
type をクリックして、追加 し、プロパティーセルにデータオブジェクトフィールドをマッピングします。
GIVEN 列セルがすべて定義されました。
次に EXPECTED 列の詳細を定義します。
- EXPECTED 列ヘッダーの下にある INSTANCE 2 という名前のセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から LoanApplication データオブジェクトを選択します。
- Add をクリックします。
- データオブジェクトのプロパティーを作成するには、必要に応じて Insert column right または Insert column left を選択します。EXPECTED 列の下に、プロパティーセルをさらに 2 つ作成します。
最初のプロパティーセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から LoanApplication データオブジェクトを選択して展開します。
- approved をクリックして、追加 し、プロパティーセルにデータオブジェクトフィールドをマッピングします。
2 つ目のプロパティーセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から LoanApplication データオブジェクトを選択して展開します。
- insuranceCost をクリックしてから Add をクリックします。
3 つ目のプロパティーセルをクリックします。
- Test Tools → Test Editor から LoanApplication データオブジェクトを選択して展開します。
- approvedRate をクリックしてから Add をクリックします。
次に、テストシナリオを定義するには、1 行目に以下のデータを入力します。
-
GIVEN
コラムの値として、Scenario Description にはRow 1 test scenario
、amount には150000
、deposit には19000
、lenghtYears には30
、type には Asset を入力します。 -
EXPECTED
列の値として、approved にはtrue
、insuranceCost には 0 を入力します。
-
次に 2 番目の行に、以下のデータを入力します。
-
GIVEN 列の値として、Scenario Description には
Row 2 test scenario
、amount には100002
、deposit には2999
、lenghtYears には20
、type にはJob
を入力します。 -
EXPECTED
列の値として、approved にはtrue
、insuranceCost には 10 を入力します。
-
GIVEN 列の値として、Scenario Description には
- シナリオに対して、GIVEN、EXPECT、その他のデータをすべて定義したら、テストシナリオデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。
右上隅の Run Test をクリックして
.scesim
ファイルを実行します。テスト結果は、Test Report パネルに表示されます。View Alerts をクリックして、Alerts セクションからメッセージを表示します。テストに失敗した場合は、ウィンドウの下部にある Alerts セクションのメッセージを参照し、シナリオの全コンポーネントをレビューして修正してから、シナリオが合格するまでシナリオの検証を再度行います。
- テストシナリオデザイナーで Save をクリックして、必要な変更をすべて加えてから、作業を保存します。
第5章 次のステップ
付録A バージョン情報
本書の最終更新日: 2021 年 11 月 15 日 (月)