ガイド付きルールを使用したデシジョンサービスの作成


Red Hat Decision Manager 7.6

ガイド

概要

本書は、Red Hat Decision Manager 7.6 で、ガイド付きルールを使用してデシジョンサービスを作成する方法を説明します。

はじめに

ビジネス分析者またはビジネスルールの開発者は、Business Central でガイド付きルールデザイナーを使用してビジネスルールを定義できます。このガイド付きルールは Drools Rule Language (DRL) に組み込まれ、プロジェクトのデシジョンサービスの中心となります。

注記

ルールベースやテーブルベースのアセットではなく、Decision Model and Notation (DMN) モデルを使用してデシジョンサービスを設計することもできます。Red Hat Decision Manager 7.6 の DMN サポートに関する詳細は、以下の資料を参照してください。

前提条件

  • ガイド付きルールの領域およびプロジェクトが Business Central に作成されている。各アセットが、スペースに割り当てられたプロジェクトに関連付けられている。詳細は、デシジョンサービスのスタートガイド を参照してください。

第1章 Red Hat Decision Manager におけるデシジョン作成アセット

Red Hat Decision Manager は、デシジョンサービスにビジネスデシジョンを定義するのに使用可能なアセットを複数サポートします。デシジョン作成アセットはそれぞれ長所が異なるため、目的やニーズに合わせて、アセットを 1 つ、または複数を組み合わせて使用できます。

以下の表では、デシジョンサービスでデシジョンを定義する最適な方法を選択できるように、Red Hat Decision Manager プロジェクトでサポートされている主なデシジョン作成アセットを紹介します。

表1.1 Red Hat Decision Manager でサポートされるデシジョン作成アセット
アセット主な特徴オーサリングツールドキュメント

DMN (Decision Model and Notation) モデル

  • Object Management Group (OMG) が定義する標準記法に基づくデシジョンモデルである
  • 1 つまたは複数の意思決定要件グラフ (DRG: decision requirements graph) を含むグラフィカルな意思決定要件ダイアグラム (DRD: decision requirements diagram) を使用してビジネスの意思決定フローを追跡する
  • DMN モデルが DMN 準拠プラットフォーム間で共有できるようにする XML スキーマを使用する
  • DMN デシジョンテーブルおよび他の DMN ボックス式表現 (Boxed Expression) でデシジョンロジックを定義する Friendly Enough Expression Language (FEEL) をサポートする
  • 包括性、具体性、および安定性のある意思決定フローの作成に最適である

Business Central または DMN 準拠のエディター

DMN モデルを使用したデシジョンサービスの作成

ガイド付きデシジョンテーブル

  • Business Central の UI ベースのテーブルデザイナーで作成するルールのテーブルである
  • デシジョンテーブルにスプレッドシートで対応する代わりにウィザードで対応する
  • 条件を満たした入力に、フィールドとオプションを提供する
  • ルールテンプレートを作成するテンプレートキーと値をサポートする
  • その他のアセットではサポートされていないヒットポリシー、リアルタイム検証などの追加機能をサポートする
  • コンパイルエラーを最小限に抑えるため、制限されているテーブル形式でルールを作成するのに最適である

Business Central

ガイド付きデシジョンテーブルを使用したデシジョンサービスの作成

スプレッドシートのデシジョンテーブル

  • Business Central にアップロード可能な XLS または XLSX スプレッドシート形式のデシジョンテーブルである
  • ルールテンプレートを作成するテンプレートキーと値をサポートする
  • Business Central 外で管理しているデシジョンテーブルでルールを作成するのに最適である
  • アップロード時に適切にルールをコンパイルするために厳密な構文要件がある

スプレッドシートエディター

スプレッドシート形式のデシジョンテーブルを使用したデシジョンサービスの設計

ガイド付きルール

  • Business Central の UI ベースのルールデザイナーで作成する個々のルールである
  • 条件を満たした入力に、フィールドとオプションを提供する
  • コンパイルエラーを最小限に抑えるため、制御されている形式で単独のルールを作成するのに最適である

Business Central

ガイド付きルールを使用したデシジョンサービスの設計

ガイド付きルールテンプレート

  • Business Central の UI ベースのテンプレートデザイナーで作成する再利用可能なルール構造である
  • 条件を満たした入力に、フィールドとオプションを提供する
  • (このアセットの目的の基本となる) ルールテンプレートを作成するテンプレートのキーと値をサポートする
  • ルール構造が同じで、定義したフィールド値が異なるルールを多数作成するのに最適である

Business Central

ガイド付きルールテンプレートを使用したデシジョンサービスの設計

DRL ルール

  • .drl テキストファイルに直接定義する個々のルールである
  • 最も柔軟性が高く、ルールと、ルール動作に関するその他の技術を定義できる
  • スタンドアロン環境で作成し、Red Hat Decision Manager に統合可能である
  • 詳細な DRL オプションを必要とするルールを作成するのに最適である
  • ルールを適切にコンパイルするための厳密な構文要件がある

Business Central または統合開発環境 (IDE)

DRL ルールを使用したデシジョンサービスの作成

予測モデルマークアップ言語 (PMML: Predictive Model Markup Language) モデル

  • Data Mining Group (DMG) が定義する標準記法に基づく予測データ分析モデルである
  • PMML モデルを PMML 準拠プラットフォーム間で共有できるようにする XML スキーマを使用する
  • 回帰、スコアカード、ツリー、マイニングなどのモデルタイプをサポートする
  • スタンドアロンの Red Hat Decision Manager プロジェクトに追加したり、Business Central のプロジェクトにインポートしたりできる
  • Red Hat Decision Manager のデシジョンサービスに予測データを統合するのに最適である

PMML または XML エディター

PMML モデルを使用したデシジョンサービスの設計

第2章 ガイド付きルール

ガイド付きルールは、ルール作成のプロセスを提供する、Business Central の UI ベースのガイド付きルールデザイナーで作成するビジネスルールです。ガイド付きルールデザイナーを使用すると、ルールを定義するデータオブジェクトに基づいて、可能なインプットにフィールドおよびオプションを提供します。定義したガイド付きルールは、その他のすべてのルールアセットとともに Drools Rule Language (DRL) ルールにコンパイルされます。

ガイド付きルールに関連するすべてのデータオブジェクトは、ガイド付きルールと同じプロジェクトパッケージに置く必要があります。同じパッケージに含まれるアセットはデフォルトでインポートされます。必要なデータオブジェクトとガイド付きルールを作成したら、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブから、必要なデータオブジェクトがすべてリストされていることを検証したり、新規アイテム を追加してその他の既存データオブジェクトをインポートしたりできます。

第3章 データオブジェクト

データオブジェクトは、作成するルールアセットの設定要素です。データオブジェクトは、プロジェクトで指定したパッケージに Java オブジェクトとして実装されているカスタムのデータタイプです。たとえば、データフィールド NameAddress、および DateOfBirth を使用して Person オブジェクトを作成し、ローン申し込みルールに詳細な個人情報を指定できます。このカスタムのデータ型は、アセットとデシジョンサービスがどのデータに基づいているかを指定します。

3.1. データオブジェクトの作成

次の手順は、データオブジェクトの作成の一般的な概要です。特定のビジネスアセットに固有のものではありません。

手順

  1. Business Central で、MenuDesignProjects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
  2. Add AssetData Object をクリックします。
  3. 一意の データオブジェクト 名を入力し、パッケージ を選択します。これにより、その他のルールアセットでもデータオブジェクトを利用できるようになります。同じパッケージに、同じ名前のデータオブジェクトを複数作成することはできません。指定の DRL ファイルで、どのパッケージからでもデータオブジェクトをインポートできます。

    別のパッケージからのデータオブジェクトのインポート

    別のパッケージから直接、ガイド付きルールやガイド付きデシジョンテーブルデザイナーなどのアセットデザイナーに、既存のデータオブジェクトをインポートすることができます。プロジェクトで関連するルールアセットを選択し、アセットデザイナーで Data Objects → New item に移動して、インポートするオブジェクトを選択します。

  4. データオブジェクトを永続化するには、Persistable チェックボックスを選択します。永続型データオブジェクトは、JPA 仕様に準じてデータベースに保存できます。デフォルトの JPA は Hibernate です。
  5. OK をクリックします。
  6. データオブジェクトデザイナーで add field をクリックして、Id 属性、Label 属性、および Type 属性を使用するオブジェクトにフィールドを追加します。必須属性にはアスタリスク (*) マークが付いています。

    • Id: フィールドの一意の ID を入力します。
    • Label: (任意) フィールドのラベルを入力します。
    • Type: フィールドのデータ型を入力します。
    • List: (任意) このチェックボックスを選択すると、このフィールドで、指定したタイプのアイテムを複数保持できるようになります。

      図3.1 データオブジェクトへのデータフィールドの追加

      データオブジェクトへのデータフィールドの追加
  7. Create をクリックして、新しいフィールドを追加します。Create and continue をクリックすると、新しいフィールドが追加され、別のフィールドを引き続き作成できます。

    注記

    フィールドを編集するには、フィールド行を選択し、画面右側の general properties を使用します。

第4章 ガイド付きルールの作成

ガイド付きルールを使用すると、そのルールに関連するデータオブジェクトに基づいて、構造化フォーマットでビジネスルールを定義できるようになります。プロジェクトに個別にルールを作成および定義することができます。

手順

  1. Business Central で、MenuDesignProjects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
  2. Add AssetGuided Rule をクリックします。
  3. 参考となる ガイド付きルール 名を入力し、適切な パッケージ を選択します。指定するパッケージは、必要なデータオブジェクトが割り当てられている、またはこれから割り当てるパッケージにする必要があります。

    ドメイン固有言語 (DSL) アセットがプロジェクトに定義されている場合は、Show declared DSL sentences を選択することもできます。この DSL アセットは、ガイド付きルールデザイナーで定義する条件およびアクションに使用できるオブジェクトです。

  4. OK をクリックして、ルールアセットを作成します。

    新しいガイド付きルールが、Project ExplorerGuided Rules パネルに追加されます。Show declared DSL sentences オプションを選択している場合は Guided Rules (with DSL) パネルに追加されます。

  5. Data Objects タブをクリックして、ルールに必要なデータオブジェクトがすべてリストされていることを確認します。リストされていない場合は、New item をクリックして、他のパッケージからデータオブジェクトをインポートするか、パッケージに データオブジェクトを作成 します。
  6. データオブジェクトをすべて配置したら、ガイド付きルールデザイナーの Model タブに戻り、ウィンドウの右側のボタンから、利用可能なデータオブジェクトに、ルールの WHEN (条件) セクションおよび THEN (アクション) セクションを追加して定義します。

    図4.1 ガイド付きルールデザイナー

    ガイド付きルールデザイナー

    ルールの WHEN 部分は、アクションを実行するのに必要な条件が含まれます。たとえば、銀行のローン申し込みに年齢制限 (21 歳以上) が必要な場合、Underage ルールの WHEN 条件は Age | less than | 21 となります。

    ルールの THEN 部分には、ルールの条件部分に一致したときに実行するアクションが含まれます。たとえば、ローンの申込者が 21 歳に満たない場合は、THEN アクションの approvedfalse になり、年齢が基準に達していないためローンの申し込みが承認されません。

    例外を設定して、より複雑なルールを指定することもできます。たとえば、申込者の年齢が達していなくても、保護者の承認があれば承認されるようにすることもできます。この場合は、guarantor データオブジェクトを作成またはインポートして、そのフィールドをガイド付きルールに追加します。

  7. ルールのコンポーネントをすべて定義したら、ガイド付きルールデザイナーの右上のツールバーで Validate をクリックして、ガイド付きルールの妥当性を確認します。ルールの妥当性確認に失敗したら、エラーメッセージに記載された問題に対応し、ルールの全コンポーネントを見直し、エラーが表示されなくなるまでルールの妥当性確認を行います。
  8. ガイド付きルールデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。

4.1. ガイド付きルールへの WHEN 条件の追加

ルールの WHEN 部分は、アクションを実行するのに必要な条件が含まれます。たとえば、銀行のローン申し込みに年齢制限 (21 歳以上) が必要な場合、Underage ルールの WHEN 条件は Age | less than | 21 となります。ルールをいつ、どのように適用するかを決定するために、単純または複雑な条件を設定できます。

前提条件

  • ルールに必要なデータオブジェクトはすべて作成、またはインポートされており、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブにリストされている。

手順

  1. ガイド付きルールデザイナーで、WHEN セクションの右側のプラスアイコン ( 5686 ) をクリックします。

    利用可能な条件要素が追加された Add a condition to the rule ウィンドウが開きます。

    図4.2 ルールへの条件の追加

    ルールへの条件の追加

    このリストには、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブのデータオブジェクトと、パッケージに定義した DSL オブジェクト (このガイド付きルールを作成したときに Show declared DSL sentences を選択した場合) と、以下の標準オプションが含まれます。

    • The following does not exist: 存在すべきでないファクトと制約を指定します。
    • The following exists: 存在すべきファクトと制約を指定します。このオプションは、最初に一致したものだけが適用され、その後一致するものは無視されます。
    • Any of the following are true: true であるファクトと制約をリストします。
    • From: ルールの From 条件要素を定義します。
    • From Accumulate: ルールの Accumulate 条件要素を定義します。
    • From Collect: ルールの Collect 条件要素を定義します。
    • From Entry Point: パターンの Entry Point を定義します。
    • Free form DRL: ガイド付きルールデザイナーを使用せずに条件要素を自由に定義できる free form DRL フィールドを挿入します。
  2. 条件要素 (LoanApplication など) を選択し、OK をクリックします。
  3. ガイド付きルールデザイナーで条件要素をクリックし、Modify constraints for LoanApplication ウィンドウで、フィールドへの制限の追加、複数のフィールド制約の適用、新しい数式表現の追加、式エディターの適用、または変数名の設定を行います。

    図4.3 条件の変更

    条件の変更
    注記

    変数名を使用すると、ガイド付きルールの別の設定でファクトまたはフィールドを指定できます。たとえば、LoanApplication の変数を a とし、倒産の根拠になっている申し込みを指定する Bankruptcy 制約で a を参照します。

    a : LoanApplication()
    Bankruptcy( application == a ).

    制約を選択したら、ウィンドウが自動的に閉じます。

  4. 追加した制約の隣にあるドロップダウンメニューから、制限の演算子 (greater than など) を選択します。
  5. 編集アイコン ( 6191 ) をクリックして、フィールド値を定義します。フィールド値はリテラル値、式、または完全な MVEL 表現にすることができます。
  6. フィールド制約を複数適用するには、条件をクリックし、Modify constraints for LoanApplication ウィンドウで、Multiple field constraint ドロップダウンメニューから All of(And) または Any of(Or) を選択します。

    図4.4 複数のフィールド制約の追加

    条件の変更
  7. ガイド付きルールデザイナーで制約をクリックして、フィールド値をさらに定義します。
  8. ルールの条件コンポーネントをすべて定義したら、ガイド付きルールデザイナーの右上のツールバーで Validate をクリックして、ガイド付きルール条件の妥当性を確認します。ルールの妥当性確認に失敗したら、エラーメッセージに記載された問題に対応し、ルールの全コンポーネントを見直し、エラーが表示されなくなるまでルールの妥当性確認を行います。
  9. ガイド付きルールデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。

4.2. ガイド付きルールに THEN アクションの追加

ルールの WHEN 条件が一致した場合に実行するアクションがルールの THEN 部分に含まれます。たとえば、ローンの申込者が 21 歳に満たない場合は、THEN アクションにより approvedfalse になり、年齢が達していないためローンの申し込みが承認されません。ルールをいつ、どのように適用するかを決定するために、単純または複雑な条件を設定できます。

前提条件

  • ルールに必要なデータオブジェクトはすべて作成、またはインポートされており、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブにリストされている。

手順

  1. ガイド付きルールデザイナーで、THEN セクションの右側のプラスアイコン ( 5686 ) をクリックします。

    利用可能なアクション要素が追加された Add a new action ウィンドウが開きます。

    図4.5 ルールへのアクションの追加

    ルールへのアクションの追加

    このリストには、ガイド付きルールデザイナーの Data Objects タブのデータオブジェクトと、パッケージに定義した DSL オブジェクト (ガイド付きルールを作成したときに Show declared DSL sentences を選択した場合) に基づいた挿入と修正のオプションが含まれます。

    • Change field values of: (LoanApplication などの) ファクトにフィールドの値を設定します。この変更はデシジョンエンジンには通知されません。
    • Delete: ファクトを削除します。
    • Modify: ファクトに対して修正するフィールドを指定します。この変更はデシジョンエンジンには通知されません。
    • Insert fact: ファクトを挿入し、ファクトの結果フィールドと値を定義します。
    • Logically Insert fact (ファクトの論理的な挿入): ファクトをデシジョンエンジンに論理的に挿入し、ファクトに対してフィールドと値を定義します。デシジョンエンジンは、ファクトの挿入および取り消しに対して論理的な決断を行います。定期的な挿入、または指定した挿入の後に、ファクトを明示的に取り消す必要があります。論理挿入の後に、ファクトをアサートした条件が TRUE ではなくなると、ファクトは自動的に取り消されます。
    • Add free form DRL: ガイド付きルールデザイナーを使用せずに条件要素を自由に定義できる free form DRL フィールドを挿入します。
    • Call method on: 別のファクトからメソッドを呼び出します。
  2. アクション要素 (Modify など) を選択し、OK をクリックします。
  3. ガイド付きルールデザイナーでアクション要素をクリックし、Add a field ウィンドウを使用してフィールドを選択します。

    図4.6 フィールドの追加

    フィールドの追加

    フィールドを選択したら、ウィンドウが自動的に閉じます。

  4. 編集アイコン ( 6191 ) をクリックして、フィールド値を定義します。このフィールド値は、リテラル値または式にすることができます。
  5. ルールのアクションコンポーネントをすべて定義したら、ガイド付きルールデザイナーの右上のツールバーで Validate をクリックして、ルールのアクションの妥当性を確認します。ルールの妥当性確認に失敗したら、エラーメッセージに記載された問題に対応し、ルールの全コンポーネントを見直し、エラーが表示されなくなるまでルールの妥当性確認を行います。
  6. ガイド付きルールデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。

4.3. ルールアセットのドロップダウンリストの列挙定義

Business Central での列挙定義では、ガイド付きルール、ガイド付きルールテンプレート、ガイド付きデシジョンテーブルの条件やアクションのフィールドで使用可能な値を指定します。列挙定義には、ルールアセットで該当するフィールドのドロップダウンリストとして表示される対応値一覧に対する fact.field マッピングが含まれています。列挙定義と同じファクトとフィールドをベースにしたフィールドを選択すると、定義した値のドロップダウンリストが表示されます。

列挙は、Business Central または Red Hat Decision Manager プロジェクトの DRL ソースで定義できます。

手順

  1. Business Central で、MenuDesignProjects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
  2. Add AssetEnumerataion をクリックします。
  3. 分かりやすい Enumeration 名を入力し、適切な パッケージ を選択します。指定するパッケージは、必要なデータオブジェクトと適切なルールアセットが割り当てられているか、これから割り当てるパッケージと同じでなければなりません。
  4. Ok をクリックして列挙を作成します。

    Project ExplorerEnumeration Definitions パネルに、新しい列挙が追加されました。

  5. 列挙デザイナーの Model タブで、Add enum をクリックし、以下の列挙値を定義します。

    • Fact: この列挙を関連付けるプロジェクトの同じパッケージ内に、既存のデータオブジェクトを指定します。Project ExplorerData Objects パネルを開き、利用可能なデータオブジェクトを表示するか、必要に応じて新規アセットとして適切なデータオブジェクトを作成します。
    • Field: Fact 用に選択したデータオブジェクトの一部として定義した既存のフィールド ID を指定します。Project ExplorerData Objects パネルを開き、適切なデータオブジェクトを選択して、利用可能な Identifier オプションの一覧を表示します。必要に応じて、データオブジェクトに関連する ID を作成してください。
    • Context: FactField の定義にマッピングする ['string1','string2','string3'] 形式または [integer1,integer2,integer3] 形式の値一覧を定義します。これらの値は、ルールアセットの適切なフィールドに、ドロップダウンリストとして表示されます。

    たとえば、以下の列挙は、ローン申請デシジョンサービスの申請者でクレジットスコアに使用するドロップダウンの値を定義します。

    図4.7 Business Central での申請者のクレジットスコアの列挙例

    EnumConfig

    DRL ソースの申請者のクレジットスコアの列挙例

    'Applicant.creditRating' : ['AA', 'OK', 'Sub prime']

    以下の例では、プロジェクトと同じパッケージ内にあり、Applicant データオブジェクトと creditRating フィールドを使用するガイド付きルール、ガイド付きルールテンプレート、またはガイド付きデシジョンテーブルであれば、設定値がドロップダウンオプションとして利用できます。

    図4.8 ガイド付きルールまたはガイド付きルールテンプレートでの列挙ドロップダウンオプション例

    EnumDropDown

    図4.9 ガイド付きデシジョンテーブルでの列挙ドロップダウンオプション例

    EnumDropDownGDT

4.3.1. ルールアセットの詳細列挙オプション

Red Hat Decision Manager プロジェクトの列挙定義を使用した高度なユースケースについては、列挙を定義する時に、以下の拡張オプションの使用を検討してください。

Business Central の値との DRL の値におけるマッピング

列挙値を DRL ソースに表示されるものとは異なる方法で、または完全に Business Central インターフェイスに表示する場合は、列挙定義値の形式 'fact.field' : ['sourceValue1=UIValue1','sourceValue2=UIValue2', …​ ] のマッピングを使用します。

たとえば、ローンの状態に関する以下の列挙定義では、A または D のオプションを DRL ファイルで使用しますが、Business Central では Approved または Declined のオプションが表示されます。

'Loan.status' : ['A=Approved','D=Declined']
列挙値の依存関係

選択した値を 1 つのドロップダウンリストにまとめて、後続のドロップダウンリストで利用可能なオプションを判断する場合は、列挙定義で 'fact.fieldB[fieldA=value1]' : ['value2', 'value3', …​ ] の形式を使用します。

たとえば、保険契約に関する以下の列挙定義では、policyType フィールドに Home または Car の値を使用できます。ユーザーが選択する保険契約タイプにより、利用できる契約 coverage のフィールドオプションが決まります。

'Insurance.policyType' : ['Home', 'Car']
'Insurance.coverage[policyType=Home]' : ['property', 'liability']
'Insurance.coverage[policyType=Car]' : ['collision', 'fullCoverage']
注記

列挙依存関係は、ルールの条件およびアクションをまたいで適用されません。たとえば、保険契約のユースケースでは、ルール条件で選択した契約をもとに、ルールアクションで利用可能な補償オプションが決定されるわけではありません (該当する場合)。

列挙の外部データソース

列挙定義で直接、値を定義するのではなく、外部のデータソースから列挙値の一覧を取得する場合は、プロジェクトのクラスパスで、文字列の java.util.List リストを返すヘルパークラスを追加します。列挙定義で、値を指定する代わりに、外部の値を取得するように設定したヘルパークラスを特定します。

たとえば、ローン申請者の地域に関する以下の列挙定義では、'Applicant.region' : ['country1', 'country2', …​ ] の形式で明示的に申請者の地域を定義するのではなく、外部で定義した値の一覧を返すヘルパークラスを使用します。

'Applicant.region' : (new com.mycompany.DataHelper()).getListOfRegions()

この例では、DataHelper クラスに、文字列の一覧を返す getListOfRegions() メソッドが含まれます。列挙は、ルールアセットの関連フィールドのドロップダウンリストに、読み込まれます。

また、通常通り従属フィールドを特定して、ヘルパーへの呼び出しを引用符で囲むことで、ヘルパークラスから動的に、従属の列挙定義を読み込むこともできます。

'Applicant.region[countryCode]' : '(new com.mycompany.DataHelper()).getListOfRegions("@{countryCode}")'

リレーショナルデータベースなど、外部データソースから列挙データをすべて読み込む場合は、Map<String, List<String>> マッピングを返す Java クラスを実装できます。マップのキーは fact.field マッピングです。この値は、値の java.util.List<String> リストになります。

たとえば、以下の Java クラスでは、関連する列挙のローン申請者の地域を定義します。

public class SampleDataSource {

  public Map<String, List<String>> loadData() {
    Map data = new HashMap();

    List d = new ArrayList();
    d.add("AU");
    d.add("DE");
    d.add("ES");
    d.add("UK");
    d.add("US");
    ...
    data.put("Applicant.region", d);

    return data;
  }

}

以下の列挙定義は、この Java クラスの例に相関します。参照は Java クラスで定義されているため、列挙にはファクトまたはフィールド名への参照が含まれません。

=(new SampleDataSource()).loadData()

= 演算子を使用して、Business Central がヘルパークラスから全列挙データを読み込めるようにします。エディターで使用するように列挙定義を要求すると、ヘルパーメソッドが静的に評価されます。

注記

現在、Business Central では、ファクトおよびフィールド定義なしで列挙を定義することはできません。この方法で関連の Java クラスの列挙を定義するには、Red Hat Decision Manager プロジェクトで DRL ソースを使用します。

4.4. その他のルールオプションの追加

ルールデザイナーを使用してルールにメタデータを追加し、追加のルール属性 (salienceno-loop など) を定義し、条件またはアクションの変更を制限するために、ルールの領域を凍結します。

手順

  1. ルールデザイナーの THEN セクションの下にある (show options…​) をクリックします。
  2. ウィンドウの右側にあるプラスアイコン ( 5686 ) をクリックして、オプションを追加します。
  3. ルールに追加するオプションを選択します。

    • Metadata: メタデータのラベルを入力し、プラスアイコン ( 5686 ) をクリックします。次に、ルールデザイナーに提供されるフィールドに必要なデータを入力します。
    • Attribute: ルール属性のリストから選択します。次に、ルールデザイナーに表示されるフィールドまたはオプションに値を定義します。
    • Freeze areas for editing (編集する領域を制限): ルールデザイナーで修正する領域を制限する 条件 または アクション を選択します。

      図4.10 ルールオプション

      Additional rule options
  4. ルールデザイナーで Save をクリックして、設定した内容を保存します。

4.4.1. ルールの属性

ルール属性は、ルールの動作を修正するビジネスルールを指定する追加設定です。

次の表では、ルールに割り当て可能な属性の名前と、対応する値を紹介します。

表4.1 ルールの属性
属性

salience

ルールの優先順位を定義する整数。顕著性の値が高いルールは、アクティベーションキューの順番で、優先度が高くなります。

例: salience 10

enabled

ブール値。このオプションを選択すると、ルールが有効になります。このオプションを選択しないと、ルールは無効になります。

例: enabled true

date-effective

日付定義および時間定義を含む文字列。現在の日時が date-effective 属性よりも後の場合は、このルールがアクティブになります。

例: date-effective "4-Sep-2018"

date-expires

日付定義および時間定義を含む文字列。現在日時が date-expires 属性よりも後になると、このルールをアクティブにすることはできません。

例: date-expires "4-Oct-2018"

no-loop

ブール値。このオプションが選択される場合は、ルールの結果が以前一致した条件を再度トリガーすると、ルールは再アクティブ化 (ループ) されません。条件を選択しないと、この状況でルールがループされます。

例: no-loop true

agenda-group

ルールを割り当てるアジェンダグループを指定する文字列。アジェンダグループを使用すると、アジェンダをパーティションで区切り、ルールのグループに対する実行をさらに制御できます。フォーカスを取得したアジェンダグループのルールだけがアクティブになります。

例: agenda-group "GroupName"

activation-group

ルールを割り当てるアクティベーション (または XOR) グループを指定する文字列。アクティベーショングループでは、1 つのルールのみをアクティブ化できます。最初のルールが実行すると、アクティベーショングループの中で、アクティベーションが保留中のルールはすべてキャンセルされます。

例: activation-group "GroupName"

duration

ルールの条件が一致している場合に、ルールがアクティブになってからの時間をミリ秒で定義する長整数値。

例: duration 10000

timer

ルールのスケジュールに対する int (間隔) または cron タイマー定義を指定する文字列。

例: timer ( cron:* 0/15 * * * ? ) (15 分ごと)

calendar

ルールのスケジュールを指定する Quartz カレンダーの定義。

例: calendars "* * 0-7,18-23 ?* *" (営業時間外を除く)

auto-focus

アジェンダグループ内のルールにのみ適用可能なブール値。このオプションが選択されている場合は、次にルールがアクティブになった場合に、そのルールが割り当てられたアジェンダグループにフォーカスが自動的に指定されます。

例: auto-focus true

lock-on-active

ルールフローグループまたはアジェンダグループ内のルールにのみ適用可能なブール値。このオプションを選択すると、次回、ルールのルールフローグループがアクティブになるか、ルールのアジェンダグループがフォーカスを受け取ると、(ルールフローグループがアクティブでなくなるか、アジェンダグループがフォーカスを失うまで) ルールをアクティブにすることができません。これは、no-loop 属性を強力にしたものです。なぜなら、一致するルールのアクティベーションが、(ルールそのものによるものだけでなく) 更新元にかかわらず破棄されるためです。この属性は、ファクトを修正するルールが多数あり、ルールの再一致と再発行を希望しない計算ルールに適しています。

例: lock-on-active true

ruleflow-group

ルールフローグループを指定する文字列。ルールフローグループで、関連するルールフローによってそのグループがアクティブになった場合に限りルールを発行できます。

例: ruleflow-group "GroupName"

dialect

ルールのコード表記に使用される言語を指定する文字列 (JAVA または MVEL)。デフォルトでは、ルールは、パッケージレベルに指定されている方言を使用します。ここで指定した方言は、ルールのパッケージ方言設定を上書きします。

例: dialect "JAVA"

注記

実行可能モデルなしで Red Hat Decision Manager を使用する場合、dialect "JAVA" ルールの結果は、Java 5 構文のみをサポートします。実行可能モデルに関する詳細は、Red Hat Decision Manager プロジェクトのパッケージ化およびデプロイ を参照してください。

第5章 ルールの実行

ルールの例を特定するか、Business Central でルールを作成したら、関連のプロジェクトをビルドしてデプロイし、ローカルまたは Decision Server でルールを実行してテストできます。

前提条件

手順

  1. Business Central で、MenuDesignProjects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
  2. プロジェクトの Assets ページの右上にある Deploy をクリックして、プロジェクトをビルドして Decision Server にデプロイします。ビルドに失敗したら、画面下部の Alerts パネルに記載されている問題に対処します。

    プロジェクトのデプロイメントオプションに関する詳細は、Red Hat Decision Manager プロジェクトのパッケージ化およびデプロイ を参照してください。

  3. ローカルでのルール実行に使用するか、Decision Server でルールを実行するクライアントアプリケーションとして使用できるように、まだ作成されていない場合には、Business Central 外に Maven または Java プロジェクトを作成します。プロジェクトには、pom.xml ファイルと、プロジェクトリソースの実行に必要なその他のコンポーネントを含める必要があります。

    テストプロジェクトの例は、その他の DRL ルールの作成および実行方法 を参照してください。

  4. テストプロジェクトまたはクライアントアプリケーションの pom.xml ファイルを開き、以下の依存関係が追加されていない場合は追加します。

    • kie-ci: クライアントアプリケーションで、ReleaseId を使用して、Business Central プロジェクトデータをローカルに読み込みます。
    • kie-server-client: クライアントアプリケーションで、Decision Server のアセットを使用してリモートに接続します。
    • slf4j: (オプション) クライアントアプリケーションで、Decision Server に接続した後に、SLF4J (Simple Logging Facade for Java) を使用して、デバッグのログ情報を返します。

    クライアントアプリケーションの pom.xml ファイルにおける、Red Hat Decision Manager 7.6 の依存関係の例

    <!-- For local execution -->
    <dependency>
      <groupId>org.kie</groupId>
      <artifactId>kie-ci</artifactId>
      <version>7.30.0.Final-redhat-00003</version>
    </dependency>
    
    <!-- For remote execution on Decision Server -->
    <dependency>
      <groupId>org.kie.server</groupId>
      <artifactId>kie-server-client</artifactId>
      <version>7.30.0.Final-redhat-00003</version>
    </dependency>
    
    <!-- For debug logging (optional) -->
    <dependency>
      <groupId>org.slf4j</groupId>
      <artifactId>slf4j-simple</artifactId>
      <version>1.7.25</version>
    </dependency>

    このアーティファクトで利用可能なバージョンについては、オンラインの Nexus Repository Manager でグループ ID とアーティファクト ID を検索してください。

    注記

    個別の依存関係に対して Red Hat Decision Manager <version> を指定するのではなく、Red Hat Business Automation 部品表 (BOM) の依存関係をプロジェクトの pom.xml ファイルに追加することを検討してください。Red Hat Business Automation BOM は、Red Hat Decision Manager と Red Hat Process Automation Manager の両方に適用されます。BOM ファイルを追加すると、提供される Maven リポジトリーから、推移的依存関係の適切なバージョンがプロジェクトに含められます。

    BOM 依存関係の例:

    <dependency>
      <groupId>com.redhat.ba</groupId>
      <artifactId>ba-platform-bom</artifactId>
      <version>7.6.0.redhat-00004</version>
      <scope>import</scope>
      <type>pom</type>
    </dependency>

    Red Hat Business Automation BOM (Bill of Materials) の詳細情報は、What is the mapping between Red Hat Decision Manager and the Maven library version? を参照してください。

  5. モデルクラスを含むアーティファクトの依存関係が、クライアントアプリケーションの pom.xml ファイルに定義されていて、デプロイしたプロジェクトの pom.xml ファイルに記載されているのと同じであることを確認します。モデルクラスの依存関係が、クライアントアプリケーションとプロジェクトで異なると、実行エラーが発生します。

    Business Central でプロジェクトの pom.xml ファイルを利用するには、プロジェクトで既存のアセットを選択し、画面左側の Project Explorer メニューで Customize View ギアアイコンをクリックし、Repository Viewpom.xml を選択します。

    たとえば、以下の Person クラスの依存関係は、クライアントと、デプロイしたプロジェクトの pom.xml ファイルの両方に表示されます。

    <dependency>
      <groupId>com.sample</groupId>
      <artifactId>Person</artifactId>
      <version>1.0.0</version>
    </dependency>
  6. デバッグ向けロギングを行うために、slf4j 依存関係を、クライアントアプリケーションの pom.xml ファイルに追加した場合は、関連するクラスパス (Maven の src/main/resources/META-INF 内など) に simplelogger.properties ファイルを作成し、以下の内容を記載します。

    org.slf4j.simpleLogger.defaultLogLevel=debug
  7. クライアントアプリケーションに、必要なインポートを含む .java メインクラスと、KIE ベースを読み込む main() メソッドを作成し、ファクトを挿入し、ルールを実行します。

    たとえば、プロジェクトの Person オブジェクトには、名前、苗字、時給、および賃金を設定および取得するゲッターメソッドおよびセッターメソッドが含まれます。プロジェクトにある以下の Wage ルールでは、賃金と時給を計算し、その結果に基づいてメッセージを表示します。

    package com.sample;
    
    import com.sample.Person;
    
    dialect "java"
    
    rule "Wage"
      when
        Person(hourlyRate * wage > 100)
        Person(name : firstName, surname : lastName)
      then
        System.out.println("Hello" + " " + name + " " + surname + "!");
        System.out.println("You are rich!");
    end

    (必要に応じて) Decision Server の外でローカルにこのルールをテストするには、.java クラスで、KIE サービス、KIE コンテナー、および KIE セッションをインポートするように設定し、その後、main() メソッドを使用して、定義したファクトモデルに対してすべてのルールを実行するようにします。

    ローカルでルールの実行

    import org.kie.api.KieServices;
    import org.kie.api.builder.ReleaseId;
    import org.kie.api.runtime.KieContainer;
    import org.kie.api.runtime.KieSession;
    import org.drools.compiler.kproject.ReleaseIdImpl;
    
    public class RulesTest {
    
      public static final void main(String[] args) {
        try {
          // Identify the project in the local repository:
          ReleaseId rid = new ReleaseIdImpl("com.myspace", "MyProject", "1.0.0");
    
          // Load the KIE base:
          KieServices ks = KieServices.Factory.get();
          KieContainer kContainer = ks.newKieContainer(rid);
          KieSession kSession = kContainer.newKieSession();
    
          // Set up the fact model:
          Person p = new Person();
          p.setWage(12);
          p.setFirstName("Tom");
          p.setLastName("Summers");
          p.setHourlyRate(10);
    
          // Insert the person into the session:
          kSession.insert(p);
    
          // Fire all rules:
          kSession.fireAllRules();
          kSession.dispose();
        }
    
        catch (Throwable t) {
          t.printStackTrace();
        }
      }
    }

    Decision Server でこのルールをテストするには、ローカル例と同じように、インポートとルール実行情報で .java クラスを設定し、KIE サービス設定および KIE サービスクライアントの詳細を指定します。

    Decision Server でのルールの実行

    package com.sample;
    
    import java.util.ArrayList;
    import java.util.HashSet;
    import java.util.List;
    import java.util.Set;
    
    import org.kie.api.command.BatchExecutionCommand;
    import org.kie.api.command.Command;
    import org.kie.api.KieServices;
    import org.kie.api.runtime.ExecutionResults;
    import org.kie.api.runtime.KieContainer;
    import org.kie.api.runtime.KieSession;
    import org.kie.server.api.marshalling.MarshallingFormat;
    import org.kie.server.api.model.ServiceResponse;
    import org.kie.server.client.KieServicesClient;
    import org.kie.server.client.KieServicesConfiguration;
    import org.kie.server.client.KieServicesFactory;
    import org.kie.server.client.RuleServicesClient;
    
    import com.sample.Person;
    
    public class RulesTest {
    
      private static final String containerName = "testProject";
      private static final String sessionName = "myStatelessSession";
    
      public static final void main(String[] args) {
        try {
          // Define KIE services configuration and client:
          Set<Class<?>> allClasses = new HashSet<Class<?>>();
          allClasses.add(Person.class);
          String serverUrl = "http://$HOST:$PORT/kie-server/services/rest/server";
          String username = "$USERNAME";
          String password = "$PASSWORD";
          KieServicesConfiguration config =
            KieServicesFactory.newRestConfiguration(serverUrl,
                                                    username,
                                                    password);
          config.setMarshallingFormat(MarshallingFormat.JAXB);
          config.addExtraClasses(allClasses);
          KieServicesClient kieServicesClient =
            KieServicesFactory.newKieServicesClient(config);
    
          // Set up the fact model:
          Person p = new Person();
          p.setWage(12);
          p.setFirstName("Tom");
          p.setLastName("Summers");
          p.setHourlyRate(10);
    
          // Insert Person into the session:
          KieCommands kieCommands = KieServices.Factory.get().getCommands();
          List<Command> commandList = new ArrayList<Command>();
          commandList.add(kieCommands.newInsert(p, "personReturnId"));
    
          // Fire all rules:
          commandList.add(kieCommands.newFireAllRules("numberOfFiredRules"));
          BatchExecutionCommand batch = kieCommands.newBatchExecution(commandList, sessionName);
    
          // Use rule services client to send request:
          RuleServicesClient ruleClient = kieServicesClient.getServicesClient(RuleServicesClient.class);
          ServiceResponse<ExecutionResults> executeResponse = ruleClient.executeCommandsWithResults(containerName, batch);
          System.out.println("number of fired rules:" + executeResponse.getResult().getValue("numberOfFiredRules"));
        }
    
        catch (Throwable t) {
          t.printStackTrace();
        }
      }
    }

  8. 設定した .java クラスをプロジェクトディレクトリーから実行します。(Red Hat CodeReady Studio などの) 開発プラットフォーム、またはコマンドラインでファイルを実行できます。

    (プロジェクトディレクトリーにおける) Maven の実行例

    mvn clean install exec:java -Dexec.mainClass="com.sample.app.RulesTest"

    (プロジェクトディレクトリーにおける) Java の実行例

    javac -classpath "./$DEPENDENCIES/*:." RulesTest.java
    java -classpath "./$DEPENDENCIES/*:." RulesTest
  9. コマンドラインおよびサーバーログで、ルール実行のステータスを確認します。ルールが期待通りに実行しない場合は、プロジェクトに設定したルールと、メインのクラス設定を確認して、提供されるデータの妥当性を確認します。

5.1. 実行可能ルールモデル

実行可能ルールモデルは埋め込み可能なモデルで、ビルド時に実行するルールセットの Java ベース表記を提供します。実行可能モデルは Red Hat Decision Manager の標準アセットパッケージングの代わりとなるもので、より効率的です。KIE コンテナーと KIE ベースの作成がより迅速にでき、DRL (Drools Rule Language) ファイルリストや他の Red Hat Decision Manager アセットが多い場合は、特に有効です。KIE コンテナーと KIE ベースの作成がより迅速にでき、DRL (Drools Rule Language) ファイルリストや他の Red Hat Process Automation Manager アセットが多い場合は、特に有効です。このモデルは詳細レベルにわたり、インデックス評価の lambda 表記など、必要な実行情報すべてを提供できます。

実行可能なルールモデルでは、プロジェクトにとって具体的に以下のような利点があります。

  • コンパイル時間: 従来のパッケージ化された Red Hat Decision Manager プロジェクト (KJAR) には、制限や結果を実装する事前生成済みのクラスと合わせて、ルールベースを定義する DRL ファイルのリストやその他の Red Hat Decision Manager アーティファクトが含まれています。これらの DRL ファイルは、KJAR が Maven リポジトリーからダウンロードされ、KIE コンテナーにインストールされた時点で、解析してコンパイルする必要があります。特に大規模なルールセットの場合など、このプロセスは時間がかかる可能性があります。実行可能なモデルでは、プロジェクト KJAR 内で、Java クラスをパッケージ化して、プロジェクトルールベースの実行可能なモデルを実装し、はるかに速い方法で KIE コンテナーと KIE ベースを再作成することができます。Maven プロジェクトでは、kie-maven-plugin を使用してコンパイルプロセス中に DRL ファイルから 実行可能なモデルソースを自動的に生成します。
  • ランタイム: 実行可能なモデルでは、制約はすべて、Java lambda 式で定義されます。同じ lambda 式も制約評価に使用するため、mvel ベースの制約をバイトコードに変換するのに、解釈評価用の mvel 式も、Just-In-Time (JIT) プロセスも使用しません。これにより、さらに迅速で効率的なランタイムを構築できます。
  • 開発時間: 実行可能なモデルでは、DRL 形式で直接要素をエンコードしたり、DRL パーサーを対応するように変更したりする必要なく、デシジョンエンジンの新機能で開発および試行できます。
注記

実行可能なルールモデルのクエリー定義に使用できるのは、引数最大 10 個のみです。

実行可能なルールモデルのルール結果内にある変数で使用できるバインド変数は、最大 24 個のみとなっています (同梱されている drools 変数を含む)。たとえば、以下のルールの結果では、バインド変数を 24 個以上使用しているため、コンパイルエラーが発生します。

...
then
  $input.setNo25Count(functions.sumOf(new Object[]{$no1Count_1, $no2Count_1, $no3Count_1, ..., $no25Count_1}).intValue());
  $input.getFirings().add("fired");
  update($input);

5.1.1. Maven プロジェクトへの実行可能なルールモデルの埋め込み

Maven プロジェクトに実行可能ルールモデルを埋め込み、ビルド時にルールアセットをより効率的にコンパイルすることができます。

前提条件

  • Red Hat Decision Manager ビジネスアセットを含む Maven 化されたプロジェクトがあること

手順

  1. Maven プロジェクトの pom.xml ファイルで、パッケージタイプを kjar に設定し、kie-maven-plugin ビルドコンポーネントを追加します。

    <packaging>kjar</packaging>
    ...
    <build>
      <plugins>
        <plugin>
          <groupId>org.kie</groupId>
          <artifactId>kie-maven-plugin</artifactId>
          <version>${rhdm.version}</version>
          <extensions>true</extensions>
        </plugin>
      </plugins>
    </build>

    kjar パッケージングタイプは、kie-maven-plugin コンポーネントをアクティブにして、アーティファクトリーソースを検証してプリコンパイルします。<version> は、プロジェクトで現在使用する Red Hat Decision Manager の Maven アーティファクトバージョンです (例: 7.30.0.Final-redhat-00003)。これらの設定は、Maven プロジェクトを適切にパッケージ化するために必要です。

    注記

    個別の依存関係に対して Red Hat Decision Manager <version> を指定するのではなく、Red Hat Business Automation 部品表 (BOM) の依存関係をプロジェクトの pom.xml ファイルに追加することを検討してください。Red Hat Business Automation BOM は、Red Hat Decision Manager と Red Hat Process Automation Manager の両方に適用されます。BOM ファイルを追加すると、提供される Maven リポジトリーから、推移的依存関係の適切なバージョンがプロジェクトに含められます。

    BOM 依存関係の例:

    <dependency>
      <groupId>com.redhat.ba</groupId>
      <artifactId>ba-platform-bom</artifactId>
      <version>7.6.0.redhat-00004</version>
      <scope>import</scope>
      <type>pom</type>
    </dependency>

    Red Hat Business Automation BOM (Bill of Materials) についての詳細情報は、What is the mapping between RHDM product and maven library version? を参照してください。

  2. 以下の依存関係を pom.xml ファイルに追加して、ルールアセットが実行可能なモデルからビルドできるようにします。

    • drools-canonical-model: Red Hat Decision Manager から独立するルールセットモデルの実行可能な正規表現を有効にします。
    • drools-model-compiler: デシジョンエンジンで Red Hat Decision Manager の内部データ構造に実行可能なモデルをコンパイルします。
    <dependency>
      <groupId>org.drools</groupId>
      <artifactId>drools-canonical-model</artifactId>
      <version>${rhdm.version}</version>
    </dependency>
    
    <dependency>
      <groupId>org.drools</groupId>
      <artifactId>drools-model-compiler</artifactId>
      <version>${rhdm.version}</version>
    </dependency>
  3. コマンドターミナルで Maven プロジェクトディレクトリーに移動して、以下のコマンドを実行し、実行可能なモデルからプロジェクトをビルドします。

    mvn clean install -DgenerateModel=<VALUE>

    -DgenerateModel=<VALUE> プロパティーで、プロジェクトが DRL ベースの KJAR ではなく、モデルベースの KJAR としてビルドできるようにします。

    <VALUE> は、3 つの値のいずれかに置き換えます。

    • YES: オリジナルプロジェクトの DRL ファイルに対応する実行可能なモデルを生成し、生成した KJAR から DRL ファイルを除外します。
    • WITHDRL: オリジナルプロジェクトの DRL ファイルに対応する実行可能なモデルを生成し、文書化の目的で、生成した KJAR に DRL ファイルを追加します (KIE ベースはいずれの場合でも実行可能なモデルからビルドされます)。
    • NO: 実行可能なモデルは生成されません。

    ビルドコマンドの例:

    mvn clean install -DgenerateModel=YES

Maven プロジェクトのパッケージ化に関する詳細は、Red Hat Decision Manager プロジェクトのパッケージ化およびデプロイを参照してください。

5.1.2. Java アプリケーションページへの実行可能なルールモデルの埋め込み

Java アプリケーションに実行可能ルールモデルをプログラミングを使用して埋め込み、ビルド時にルールアセットをより効率的にコンパイルすることができます。

前提条件

  • Red Hat Decision Manager ビジネスアセットを含む Java アプリケーションがある。

手順

  1. Java プロジェクトの適切なクラスパスに、以下の依存関係を追加します。

    • drools-canonical-model: Red Hat Decision Manager から独立するルールセットモデルの実行可能な正規表現を有効にします。
    • drools-model-compiler: デシジョンエンジンで Red Hat Decision Manager の内部データ構造に実行可能なモデルをコンパイルします。
    <dependency>
      <groupId>org.drools</groupId>
      <artifactId>drools-canonical-model</artifactId>
      <version>${rhdm.version}</version>
    </dependency>
    
    <dependency>
      <groupId>org.drools</groupId>
      <artifactId>drools-model-compiler</artifactId>
      <version>${rhdm.version}</version>
    </dependency>

    <version> は、プロジェクトで現在使用する Red Hat Decision Manager の Maven アーティファクトバージョンです (例: 7.30.0.Final-redhat-00003)。

    注記

    個別の依存関係に対して Red Hat Decision Manager <version> を指定するのではなく、Red Hat Business Automation 部品表 (BOM) の依存関係をプロジェクトの pom.xml ファイルに追加することを検討してください。Red Hat Business Automation BOM は、Red Hat Decision Manager と Red Hat Process Automation Manager の両方に適用されます。BOM ファイルを追加すると、提供される Maven リポジトリーから、推移的依存関係の適切なバージョンがプロジェクトに含められます。

    BOM 依存関係の例:

    <dependency>
      <groupId>com.redhat.ba</groupId>
      <artifactId>ba-platform-bom</artifactId>
      <version>7.6.0.redhat-00004</version>
      <scope>import</scope>
      <type>pom</type>
    </dependency>

    Red Hat Business Automation BOM (Bill of Materials) についての詳細情報は、What is the mapping between RHDM product and maven library version? を参照してください。

  2. ルールアセットを KIE 仮想ファイルシステム KieFileSystem に追加して、KieBuilderbuildAll( ExecutableModelProject.class ) を指定して使用し、実行可能なモデルからアセットをビルドします。

    import org.kie.api.KieServices;
    import org.kie.api.builder.KieFileSystem;
    import org.kie.api.builder.KieBuilder;
    
      KieServices ks = KieServices.Factory.get();
      KieFileSystem kfs = ks.newKieFileSystem()
      kfs.write("src/main/resources/KBase1/ruleSet1.drl", stringContainingAValidDRL)
      .write("src/main/resources/dtable.xls",
        kieServices.getResources().newInputStreamResource(dtableFileStream));
    
      KieBuilder kieBuilder = ks.newKieBuilder( kfs );
      // Build from an executable model
      kieBuilder.buildAll( ExecutableModelProject.class )
      assertEquals(0, kieBuilder.getResults().getMessages(Message.Level.ERROR).size());

    実行可能なモデルから KieFileSystem をビルドした後に、作成された KieSession は効率のあまりよくない mvel 式ではなく、lambda 式をもとにした制約を使用します。buildAll() に引数が含まれていない場合には、プロジェクトは実行可能なモデルのない標準の手法でビルドされます。

    KieFileSystem を使用する代わりに、手作業を多く使用して実行可能なモデルを作成する別の方法として、Fluent API で Model を定義して、そこから KieBase を作成することができます。

    Model model = new ModelImpl().addRule( rule );
    KieBase kieBase = KieBaseBuilder.createKieBaseFromModel( model );

Java アプリケーション内でプロジェクトをプログラミングを使用してパッケージ化する方法については、Red Hat Decision Manager プロジェクトのパッケージ化およびデプロイを参照してください。

第6章 次のステップ

付録A バージョン情報

本書の最終更新日: 2021 年 11 月 15 日 (月)

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