6.9. 時間または長さのスライディングウィンドウ
ストリームモードでは、デシジョンエンジンは指定された時間または長さのスライディングウィンドウからのイベントを処理できます。スライディングタイムウィンドウは、イベントを処理できる特定の期間です。スライディングレングスウィンドウは、処理可能な指定されたイベントの数です。DRL ルールまたは Java アプリケーションでスライディングウィンドウを宣言すると、デシジョンエンジンは、コンパイル時に適切な内部構造を特定して作成し、そのスライディングウィンドウのみからのデータを使用してそのルールを評価します。
たとえば、以下の DRL ルールスニペットは、最後の 2 分間のストックポイントのみを処理する (スライディングタイムウィンドウ) か、最後の 10 のストックポイントのみを処理する (スライディングレングスウィンドウ) かをデシジョンエンジンに指示します。
過去 2 分間のストックポイントを処理 (スライディングタイムウィンドウ)
StockPoint() over window:time(2m)
最後の 10 のストックポイントを処理 (スライディングレングスウィンドウ)
StockPoint() over window:length(10)
6.9.1. ルールデータのスライディングタイムウィンドウを宣言
イベントの時間 (時間のフロー) または長さ (発生回数) のスライディングウィンドウを宣言して、デシジョンエンジンがそのウィンドウのみのデータを使用してルールを評価することが可能です。
手順
DRL ルールファイルで、挿入されたファクトに over window:<time_or_length>(<value>)
を指定します。
たとえば、以下の 2 つの DRL ルールは、平均温度に基づいて火災報知器を有効にします。ただし、1 番目のルールはスライディングタイムウィンドウを使用して最後の 10 分間の平均を計算し、2 番目のルールはスライディングレングスウィンドウを使用して最後の 100 の温度測定値の平均を計算します。
スライディングタイムウィンドウにおける平均温度
rule "Sound the alarm if temperature rises above threshold" when TemperatureThreshold($max : max) Number(doubleValue > $max) from accumulate( SensorReading($temp : temperature) over window:time(10m), average($temp)) then // Sound the alarm. end
スライディングレングスウィンドウにおける平均温度
rule "Sound the alarm if temperature rises above threshold" when TemperatureThreshold($max : max) Number(doubleValue > $max) from accumulate( SensorReading($temp : temperature) over window:length(100), average($temp)) then // Sound the alarm. end
デシジョンエンジンは、SensorReading
イベントのうち、10 分を経過したもの、または最後の 100 の読み取り値以外のものをすべて破棄し、時間または読み取り値がリアルタイムで先へとスライドしていくなか、平均を再計算し続けます。
デシジョンエンジンは、KIE セッションから古いイベントを自動的に削除しません。これは、スライディングウィンドウの宣言がない他のルールが、古いイベントに依存する可能性があるからです。デシジョンエンジンは、明示的なルール宣言または KIE ベースの推論データに基づくデシジョンエンジン内の暗黙的な理由付けのいずれかによって、イベントの有効期限が切れるまで、KIE セッションにイベントを保存します。