第26章 クラスタークォーラムの設定


クラスターの整合性と可用性を維持するために、クラスターシステムは、クォーラム と呼ばれる概念を使用してデータの破損や損失を防ぎます。クラスターノードの過半数がオンラインになると、クラスターでクォーラムが確立されます。クラスターでクォーラムが確立されない場合は、障害によるデータ破損の可能性を小さくするために、Pacemaker はデフォルトですべてのリソースを停止します。

クォーラムは、投票システムを使用して確立されます。クラスターノードが通常どおり機能しない場合や、クラスターの他の部分との通信が失われた場合に、動作している過半数のノードが、問題のあるノードを分離するように投票し、必要に応じて、接続を切断して別のノードに切り替えてサービスを継続 (フェンス) します。

たとえば、6 ノードクラスターで、4 つ以上のクラスターノードが動作している場合にクォーラムが確立されます。過半数のノードがオフラインまたは利用できない状態になると、クラスターでクォーラムが確立されず、Pacemaker がクラスター化サービスを停止します。

Pacemaker におけるクォーラム機能は、スプレットブレイン と呼ばれる状況が発生しないようにします。スプレットブレインは、クラスターが通信から分離されたあとも、各部分が別のクラスターとして機能し続けることで、同じデータの書き込みや、データの破壊または損失が発生する可能性がある現象です。スプリットブレイン状態の意味と、一般的なクォーラムの概念の詳細は、Red Hat ナレッジベースの記事 Exploring Concepts of RHEL High Availability Clusters - Quorum を参照してください。

Red Hat High Availability Add-On クラスターは、スプリットブレインの状況を回避するために、votequorum サービスをフェンシングと併用します。クラスターの各システムには多くの投票数が割り当てられ、過半数の票を取得しているものだけがクラスターの操作を継続できます。サービスは、すべてのノードに読み込むか、いずれのノードにも読み込まないようにする必要があります。サービスをクラスターノードのサブセットに読み込むと、結果が予想できなくなります。votequorum サービスの設定と操作の詳細は、システムの votequorum(5) の man ページを参照してください。

26.1. クォーラムオプションの設定

pcs cluster setup コマンドを使用してクラスターを作成する場合は、設定できるクォーラム設定の特別な機能がいくつかあります。以下の表には、これらのオプションをまとめています。

表26.1 クォーラムオプション
オプション説明

auto_tie_breaker

これを有効にすると、クラスターは、決定論的に最大 50% のノードが同時に失敗しても存続されます。クラスターパーティションや、auto_tie_breaker_node に設定された nodeid (設定されていない場合は最小の nodeid) と通信したままのノードのセットは、クォーラムに達した状態を維持します。その他のノードはクォーラムに達しません。

auto_tie_breaker オプションを指定すると、均等の分割でクラスターが動作を継続できるようになるため、主に偶数個のノードがあるクラスターで使用されます。複数の不均等な分割など、より複雑な失敗の場合には、クォーラムデバイスを使用することが推奨されます。

auto_tie_breaker オプションは、クォーラムデバイスと互換性がありません。

wait_for_all

有効にすると、最低 1 回、同時にすべてのノードが現れた後に、初回だけ、クラスターがクォーラムに達します。

wait_for_all オプションは、主にクォーラムデバイス lms (last man standing) アルゴリズムを使用する 2 ノードクラスター、および偶数のノードで設定されるクラスターに使用されます。

wait_for_all オプションは、クラスターに 2 つのノードがあり、クォーラムデバイスを使用せず、auto_tie_breaker が無効になっている場合に自動的に有効になります。wait_for_all を明示的に 0 に設定すると、このオプションをオーバーライドできます。

last_man_standing

有効にすると、クラスターは特定の状況で expected_votes とクォーラムを動的に再計算します。このオプションを有効にする場合は、wait_for_all を有効にする必要があります。last_man_standing オプションには、クォーラムデバイスとの互換性がありません。

last_man_standing_window

クラスターのノードが失われた後の、expected_votes およびクォーラムを再計算するまでの待ち時間 (ミリ秒単位) です。

これらのオプションの設定および使用に関する詳細は、votequorum(5) の man ページを参照してください。

トップに戻る
Red Hat logoGithubredditYoutubeTwitter

詳細情報

試用、購入および販売

コミュニティー

Red Hat ドキュメントについて

Red Hat をお使いのお客様が、信頼できるコンテンツが含まれている製品やサービスを活用することで、イノベーションを行い、目標を達成できるようにします。 最新の更新を見る.

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。このような変更は、段階的に実施される予定です。詳細情報: Red Hat ブログ.

会社概要

Red Hat は、企業がコアとなるデータセンターからネットワークエッジに至るまで、各種プラットフォームや環境全体で作業を簡素化できるように、強化されたソリューションを提供しています。

Theme

© 2025 Red Hat