第4章 Windows 仮想マシンの最適化


RHEL 10 でホストされる仮想マシン (VM) でゲストオペレーティングシステムとして Microsoft Windows を使用すると、ゲストのパフォーマンスに悪影響が出る可能性があります。

そのため、以下の対策を組み合わせて実施することで、Windows 仮想マシンのパフォーマンスを最適化できます。

4.1. Windows 仮想マシン用の KVM 準仮想化ドライバーのインストール

Windows 仮想マシンのパフォーマンスを改善する主な方法は、Windows 用の KVM 準仮想化 (virtio) ドライバーをゲストオペレーティングシステムにインストールすることです。

注記

virtio-win ドライバーは、各 virtio-win リリースの時点で利用可能な Windows 10 および 11 の最新リリースに対して認定 (WHQL) されています。ただし、virtio-win ドライバーは広くテストされており、Windows 10 および 11 の以前のビルドでも正しく機能することが期待されます。

Windows 仮想マシンにドライバーをインストールするには、次の操作を実行します。

  1. ホストマシンにインストールメディアを準備します。詳細は、ホストマシンでの virtio ドライバーインストールメディアの準備 を参照してください。
  2. インストールメディアを既存の Windows 仮想マシンに割り当てるか、新しい Windows 仮想マシンを作成するときに割り当てます。詳細は、RHEL への Windows 仮想マシンのインストール を参照してください。
  3. Windows ゲストオペレーティングシステムに virtio ドライバーをインストールします。詳細は、Windows ゲストへの virtio ドライバーのインストール を参照してください。
  4. Windows ゲストオペレーティングシステムで QEMU Guest Agent を有効にします。詳細は、Windows ゲストへの QEMU ゲストエージェントのインストール を参照してください。

4.1.1. Windows virtio ドライバーの仕組み

準仮想化ドライバーは、I/O レイテンシーを下げ、スループットをほぼベアメタルレベルまで上げることで、仮想マシン (VM) のパフォーマンスを向上させます。I/O 負荷の高いタスクやアプリケーションを実行する仮想マシンには、準仮想化ドライバーを使用できます。

virtio ドライバーは、KVM の準仮想化デバイスドライバーであり、KVM ホスト上で稼働する Windows 仮想マシンで利用できます。このドライバーは、次のドライバーを含む virtio-win パッケージによって提供されます。

  • ブロック (ストレージ) デバイス
  • ネットワークインターフェイスコントローラー
  • ビデオコントローラー
  • メモリーバルーニングデバイス
  • 準仮想化メモリーデバイス
  • 準仮想化シリアルポートデバイス
  • エントロピーソースデバイス
  • 準仮想化パニックデバイス
  • マウス、キーボード、タブレットなどの入力デバイス
  • VirtIO FS Device
  • QEMU FwCfg Device
  • エミュレートされたデバイスの小規模セット
注記

エミュレートされたデバイス、virtio デバイス、および割り当てられたデバイスの詳細は、仮想マシンへのホストデバイスの接続 を参照してください。

KVM の virtio ドライバーを使用すると、以下の Microsoft Windows バージョンが、物理システムのように動作することが見込まれます。

4.1.2. ホストマシンでの virtio ドライバーインストールメディアの準備

KVM virtio ドライバーを Windows 仮想マシン (VM) にインストールまたは更新するには、最初にホストマシンで virtio ドライバーインストールメディアを準備する必要があります。これを行うには、virtio-win パッケージによって提供される .iso ファイルを、ストレージデバイスとして Windows 仮想マシンに割り当てます。

前提条件

手順

  1. サブスクリプションデータを更新します。

    # subscription-manager refresh
    All local data refreshed
  2. virtio-win パッケージの最新バージョンを入手します。

    • virtio-win がインストールされていない場合:

      # dnf install -y virtio-win
    • virtio-win がインストールされている場合:

      # dnf upgrade -y virtio-win

      インストールが成功すると、virtio-win ドライバーファイルが /usr/share/virtio-win/ ディレクトリーで使用可能になります。これには、ISO ファイルと drivers ディレクトリーが含まれます。このディレクトリー内の各ディレクトリーに、各アーキテクチャーとサポートされている Windows バージョン用のドライバーファイルが格納されます。

      # ls /usr/share/virtio-win/
      agents.json drivers/ guest-agent/ info.json /installer /qxl-wddm-dod release-drivers-versions.txt /spice-vdagent /tools virtio-win-1.9.45.iso virtio-win.iso
  3. virtio-win.iso ファイルをストレージデバイスとして Windows 仮想マシンに割り当てます。

    • 新しい Windows 仮想マシンを作成 する場合は、virt-install コマンドオプションを使用してファイルを割り当てます。
    • 既存の Windows 仮想マシンにドライバーをインストールする場合は、virt-xml ユーティリティーを使用してファイルを CD-ROM として割り当てます。

      # virt-xml WindowsVM --add-device --disk virtio-win.iso,device=cdrom
      Domain 'WindowsVM' defined successfully.

4.1.3. Windows ゲストへの virtio ドライバーのインストール

KVM virtio ドライバーを Windows ゲストオペレーティングシステムにインストールするには、ドライバーを含むストレージデバイスを (仮想マシン (VM) の作成時または作成後に) 追加し、Windows ゲストオペレーティングシステムにドライバーをインストールする必要があります。

この手順では、グラフィカルインターフェイスを使用してドライバーをインストールする手順を説明します。Microsoft Windows Installer (MSI) コマンドラインインターフェイスを使用することもできます。

前提条件

手順

  1. Windows ゲストオペレーティングシステムで、File Explorer アプリケーションを開きます。
  2. This PC をクリックします。
  3. Devices and drives ペインで、virtio-win メディアを開きます。
  4. 仮想マシンにインストールされているオペレーティングシステムに基づいて、次のいずれかのインストーラーを実行します。

    • 32 ビットオペレーティングシステムを使用している場合は、virtio-win-gt-x86.msi インストーラーを実行します。
    • 64 ビットオペレーティングシステムを使用している場合は、virtio-win-gt-x64.msi インストーラーを実行します。
  5. 表示された Virtio-win-driver-installer セットアップウィザードで、表示される指示に従い、Custom Setup ステップまで進みます。

    Virtio-win-guest-tools セットアップウィザードを表示しているイメージ。
  6. カスタムセットアップ画面で、インストールするデバイスドライバーを選択します。推奨されるドライバーセットが自動的に選択され、ドライバーの説明がリストの右側に表示されます。
  7. 次へ をクリックして、インストール をクリックします。
  8. インストールが完了したら、完了 をクリックします。
  9. 仮想マシンを再起動してドライバーのインストールを完了します。

検証

  1. Windows 仮想マシンで、Device Manager に移動します。

    1. Start をクリックします。
    2. Device Manager を検索します。
  2. デバイスが正しいドライバーを使用していることを確認します。

    1. デバイスをクリックして Driver Properties ウィンドウを開きます。
    2. Driver タブに移動します。
    3. Driver Details をクリックします。

次のステップ

  • NetKVM ドライバーをインストールした場合は、Windows ゲストのネットワークパラメーターの設定も必要になる場合があります。詳細は、NetKVM ドライバーパラメーターの設定 を参照してください。

4.1.4. Windows ゲストでの virtio ドライバーの更新

Windows ゲストオペレーティングシステム (OS) で KVM virtio ドライバーを更新するには、Windows OS バージョンでサポートされている場合は Windows Update サービスを使用できます。そうでない場合は、Windows 仮想マシン (VM) に割り当てられている virtio ドライバーインストールメディアからドライバーを再インストールします。

前提条件

手順

  • Windows 10、Windows Server 2016 以降のオペレーティングシステムでは、Windows Update グラフィカルインターフェイスを使用して、ドライバーの更新が利用可能かどうかを確認します。

    1. Windows 仮想マシンを起動し、ゲスト OS にログインします。
    2. Optional updates ページに移動します。

      Settings Windows Update Advanced options Optional updates

    3. Red Hat, Inc. からのすべての更新をインストールします。
  • Windows 10 および Windows Server 2016 より前のオペレーティングシステムの場合、または OS が Windows Update にアクセスできない場合は、ドライバーを再インストールします。

    これにより、Windows ゲスト OS のネットワーク設定がデフォルト (DHCP) に復元されます。カスタマイズしたネットワーク設定を保持する場合は、バックアップを作成し、netsh ユーティリティーを使用して復元する必要もあります。

    1. Windows 仮想マシンを起動し、ゲスト OS にログインします。
    2. Windows コマンドプロンプトを開きます。

      1. Super+R キーボードショートカットを使用します。
      2. 表示されるウィンドウで cmd と入力し、Ctrl+Shift+Enter を押して管理者として実行します。
    3. Windows コマンドプロンプトを使用して、OS ネットワーク設定をバックアップします。

      C:\WINDOWS\system32\netsh dump > backup.txt
    4. 割り当てられているインストールメディアから KVM virtio ドライバーを再インストールします。次のいずれかを行います。

      • Windows コマンドプロンプトを使用してドライバーを再インストールします。ここで、X はインストールメディアのドライブ文字です。次のコマンドは、すべての virtio ドライバーをインストールします。

        • 64 ビット vCPU を使用している場合:

          C:\WINDOWS\system32\msiexec.exe /i X:\virtio-win-gt-x64.msi /passive /norestart
        • 32 ビット vCPU を使用している場合:

          C:\WINDOWS\system32\msiexec.exe /i X:\virtio-win-gt-x86.msi /passive /norestart
      • 仮想マシンを再起動せずに、グラフィカルインターフェイスを使用 してドライバーを再インストールします。
    5. Windows コマンドプロンプトを使用して、OS ネットワーク設定を復元します。

      C:\WINDOWS\system32\netsh -f backup.txt
    6. 仮想マシンを再起動してドライバーのインストールを完了します。
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