6.3 リリースノート
Red Hat Enterprise Linux 6.3 のリリースノート
エディッション 3
概要
前書き
重要
第1章 カーネル
dm-thinp
ターゲット、thin
及び thin-pool
は、シンプロビジョニングとスケーラブルスナップショットの機能を持つデバイス-マッパーデバイスを提供します。これらの機能は技術プレビューとして利用できるものです。新しく導入された LVM シンプロビジョニングの詳細情報については、9章ストレージ を参照して下さい。BZ#723018
lpfc
ドライバーは sysfs
mbox
インターフェイスが Emulex ツールによってもう使用されないため、それを廃棄処理しています。読み込みと書き込み操作は今回、単にスタブとして使用されて、-EPERM
(操作否認) のシンボルを返すだけです。BZ#738037
サポートされている Kdump ターゲット (即ち、kdump が vmcore をダンプするために使用できるターゲット) の総合一覧については、このサイトの Kbase 記事: https://access.redhat.com/knowledge/articles/41534 を参照して下さい。BZ#743610
Red Hat Enterprise Linux 6.3 は、/proc/<PID>/
ディレクトリへのアクセスを制限するためのマウントオプションへのサポートを追加しています。新しいオプションの1つは hidepid=
と呼ばれるもので、その値は所有者以外に提供されるプロセス情報の量を定義します。gid=
オプションは、全てのプロセスの情報を収集するグループを定義します。全システム内でタスクを監視する許可のない信頼できないユーザーは、このグループに追加すべきではありません。
FUSE (ユーザースペース内のファイルシステム) のファイル用に O_DIRECT
フラグへのサポートが追加されました。このフラグは、ファイルに出入りする I/O のキャッシュ効果を最小に抑えます。一般的にこのフラグを使用すると、パフォーマンスを低下しますが、アプリケーションがそれ自身のキャッシングを行う時などの特殊な状況では役に立ちます。
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、CONFIG_STRICT_DEVMEM
の設定オプションが PowerPC アーキテクチャ用にデフォルトで有効になっています。このオプションは /dev/mem
デバイスへのアクセスを制限するためのものです。このオプションが無効になっている場合は、カーネルとユーザースペースメモリーを含む全てのメモリーへのユーザースペースアクセスが許可されて、メモリーへの不注意な (書き込み) アクセスは改竄の危険性を孕んでいます。BZ#655689
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、HPET レジスターをユーザープロセスのメモリーに再マップする高解像度タイマーの機能が有効になっています。
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、数多くのパッチが適用されて、極めて大規模なシステム上での全体的パフォーマンスの向上とブートタイムの低減を実現しています (パッチは 2048 のコア及び 16 TB のメモリーを持つシステム上でテスト)。BZ#635817
Intel Core i5 及び i7 のプロセッサー (過去のコード名 Ivy Bridge) は、素早くランダムな数字を生成するための新しい rdrand
インストラクションをサポートします。Red Hat Enterprise Linux 6.3 で配布されるカーネルはこのインストラクションを使用して、迅速なランダム数の生成を提供します。BZ#696442
永続的ストレージ (pstore
) は、プラットフォームに依存する永続的ストレージのファイルシステムインターフェイスですが、今回 UEFI をサポートします。BZ#696383
CPU ファミリ特定のコンテナーファイルへのサポートが追加されています。AMD ファミリ 15h プロセッサから始まる、microcode_amd_fam15h.bin
などのコンテナーは今回、上述のプロセッサファミリの為にロードされています。BZ#787698
Red Hat Enterprise Linux 6.3 には、全面的な USB 3.0 へのサポートが組み込まれています。BZ#738877
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、 IBM System z の独立タイプとハイパーバイザーのダンピングメカニズムに加えて、kdump/kexec カーネルダンピングのメカニズムが IBM System z システム用に有効になっています。自動確保の閾値は、4 GB にセットしてあるため、4 GB 以上のメモリーを持つ IBM System z システムにはいずれも kexec/kdump メカニズムを有効にしてあります。
..no such file or directory
/etc/kdump.conf
、system-config-kdump、あるいは firstboot を使用します。BZ#738862
ftrace と言う関数トレーサーにより、モジュールと全てのユーザーは今回 ftrace 関数トレーシングユーティリティを活用できるようになりました。詳細情報については、以下の man ページを参照して下さい:
man trace-cmd-record man trace-cmd-stack
複数のスレッドでのプロセスをトレースする際に ltrace ユーティリティは、主要スレッド以外の他のスレッドのトレースを放置するでしょう。しかし、スレッド群はアドレススペースを共有するため、これらのスレッド群は ltrace で分配されたブレークポイントを認識することになります。その結果、これらスレッド群は、SIGTRAP
信号によりキルされることになります。Red Hat Enterprise Linux 6.3 には、スレッド認識とブレークポイント処理のメカニズムが収納されています。そのため、複数スレッドプロセスへのサポートは今回、単独スレッドプロセスのトレーシングと同等になります。BZ#742340
Cross Memory Attach (CMA) は、ノード内でプロセス相互の通信に於いて必要となるデータコピーの数量を低減するメカニズムを提供します。特に、このメカニズムの使用により、ノード内通信を行う MPI ライブラリは、メッセージの二重コピーの代わりに、共有メモリを経由した単数コピーを作成できるようになります。この技術は過去にも複数の特有なドライバーベースの実装を介して採用されていました。Red Hat Enterprise Linux 6.3 で導入されている実装は、この機能に全般的なソリューションを提供します。更には、デバイスドライバー作成者用の抽象的概念のレイヤーも提供します。これは、メモリ管理サブシステムに変更がある時に該当する実装の修正を必要とせずにこれらの機能を採用したいデバイスドライバー作成者に適しています。BZ#739136
CONFIG_VGA_SWITCHEROO
設定オプションが今回デフォルトで有効になっており、2つのグラフィックスカード間での切り替えが可能になりました。BZ#632635
第2章 デバイスドライバー
Brocade BFA Fibre Channel と FCoE ドライバーはもう技術プレビューではありません。Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、BFA ドライバーには全面的なサポートがあります。BZ#744301
Brocade 10Gb PCIe ethernet Controllers 用の Brocade BNA ドライバーはもう技術プレビューではありません。Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、BNA ドライバーには全面的なサポートがあります。BZ#744302
Emulex be2net
ドライバーの SR-IOV 機能は、Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、技術プレビューと見なされます。最新バージョンの SR-IOV サポートを使用するためには、以下の必要事項を満たす必要があります:
- 最新の Emulex ファームウェア (改訂 4.1.417.0 又はそれ以降) を実行する必要があります。
- サーバーのシステム BIOS は SR-IOV 機能をサポートしており、Direct I/O VT-d の為の仮想化をサポートできる必要があります。
- Red Hat Enterprise Linux 6.3 の GA バージョンを使用する必要があります。
be2net
ドライバーのソフトウェアを必要とします。BZ#602451
- Red Hat Enterprise Linux 6.3 には、
mtip32xx
ドライバーが収納されており、これは Micron RealSSD P320h PCIe SSD ドライブへのサポートを追加します。BZ#658388 - Emulex Fibre Channel Host Bus Adapters の為の
lpfc
ドライバーはバージョン 8.3.5.68.2p に更新されています。BZ#810522 mptfusion
ドライバーはバージョン 3.04.20 に更新されています。BZ#735895- Broadcom Netxtreme II 57712 チップ用の
bnx2fc
はバージョン 1.0.11 に更新されています。BZ#813065 - QLogic Fibre Channel HBAs 用の
qla2xxx
ドライバーは、バージョン 8.04.00.02.06.3-k に更新されています。Red Hat Enterprise Linux 6.3 に対するqla2xxx
ドライバーの更新は今回、ターゲットポートから返信されるキュー満杯状態のメッセージを処理をする SCSI ミッドレイヤー内の共通コードを利用します。これまでこのコードはqla2xxx
ドライバー自身の内部に存在していました。API 互換性を維持するために、ql2xqfulltracking
とql2xqfullrampup
のモジュールパラメータ用に仲介役のスタブ ( stub) をドライバー自身の内部に残してあります。更に、この更新では ISP82xx と ISP83xx 用のサポートの追加と、動的ロギング機能の追加もなされています。BZ#722295 qla4xxxx
はバージョン 5.02.00.00.06.03-k1 に更新されており、これによってsysfs
ファイルシステム内のport_state
、port_speed
、及びtargetalias
の表示の為のサポートが追加されています。BZ#722297megaraid
ドライバーはバージョン 00.00.06.14-rh1 に更新されています。\nBZ#749923- IBM Power Linux RAID SCSI HBA 用の
ipr
ドライバーは更新されて、SAS VRAID 機能が有効になっています。BZ#738891 cciss
ドライバーは更新されて、旧式のコントローラが kdump ブラックリストに追加されています。BZ#738930hpsa
ドライバーはバージョン 2.0.2-4 に更新されて、旧式のコントローラが kdump ブラックリストに追加されています。BZ#785262- Broadcom NetXtreme II iSCSI 用の
bnx2i
ドライバーはバージョン 2.7.2.1 に更新されています。BZ#740051 mpt2sas
ドライバーはバージョン 12.101.00.00 に更新されて、HBA の複数応答キューのサポートを使用する NUNA I/O サポートが追加されています。BZ#736229- Brocade BFA FC SCSI ドライバー (
bfa
ドライバー) は更新されています。\nBZ#737727 - ServerEngines BladeEngine 2 Open iSCSI デバイス用の
be2iscsi
ドライバーは更新されています。BZ#738043 ahci.c
ドライバーは更新により、Intel DH89xxCC PCH 用の AHCI-モード SATA DeviceID が追加されています。BZ#773295isci
ドライバーはバージョン 1.1 への更新により、最新の Intel ハードウェアサポート、拡張、及びバグ修正を獲得しています。BZ#747533isci sata
ドライバーは更新により、T10 DIF サポートが追加されています。BZ#805530libsas
ドライバーは更新されています。BZ#782929- TrueScale HCAs 用の
qib
ドライバーは更新されています。BZ#722308 libata
モジュールは更新により、各種バグが修正されています。BZ#782929aacraid
ドライバーはバージョン 1.1-7[28000] に更新されています。BZ#741724
- NetXen Multi port (1/10) Gigabit ネットワーク用の
netxen
ドライバーはバージョン 4.0.77 又はそれ以降に更新されています。BZ#722304 bnx2x
ドライバーはバージョン 7.2.16 に更新されて、578xx ファミリー対応チップへのサポートを含んでいます。BZ#741676- ServerEngines BladeEngine2 10Gbps ネットワーク用の
be2net
ドライバーはバージョン 4.2.5.0r に更新されています。BZ#773160 ixgbevf
ドライバーはバージョン 2.2.0-k に更新されて、最新のハードウェアサポート、拡張、及びバグ修正を含んでいます。BZ#737717- Chelsio Terminator4 10G Unified Wire Network Controllers 用の
cxgb4
ドライバーは更新されています。BZ#747141 - Chelsio T3 ファミリーのネットワークデバイス用の
cxgb3
ドライバーは更新されています。BZ#747139 - Intel 10 Gigabit PCI Express ネットワークデバイス用の
ixgbe
ドライバーはバージョン 3.6.7-k に更新されており、最新のハードウェアサポート、拡張、及びバグ修正を含んでいます。BZ#737715 - Intel PRO/1000 ネットワークデバイス用の
e1000e
ドライバーは更新されています。BZ#737713 - Intel PRO/1000 ネットワークデバイス用の
e1000
ドライバーは更新されています。BZ#737719 e100
ドライバーは更新されています。BZ#737718- Cisco 10G イーサネットデバイス用の
enic
ドライバーはバージョン 2.1.1.35 に更新されて、SR-IOV サポートが追加されています。BZ#747384 igbvf
ドライバー (Intel Gigabit Virtual Function Network ドライバー) は、バージョン 2.0.1-k に更新されています。BZ#737716- Intel Gigabit イーサネットアダプター用の
igb
ドライバーは、バージョン 3.2.10-k に更新されており、最新のハードウェアサポート、拡張、及びバグ修正を提供しています。BZ#737714 - NetXtreme II 1 Gigabit イーサネットコントローラー用の
bnx2
ドライバーは、バージョン 1.0.11 に更新されています。BZ#813065 - Broadcom Tigon3 イーサネットデバイス用の
tg3
ドライバーはバージョン 3.120+ に更新されています。BZ#740052 - HP NC-Series QLogic 10 Gigabit サーバーアダプター用の
qlcnic
ドライバーは、バージョン 5.0.26 に更新されています。BZ#722299 bna
ドライバーは更新されています。BZ#737724r8169
ドライバーは更新により、最新の Realtek NIC (8168D/8168DP/8168E/8168EV) 用のサポートが追加されており、旧来の NIC に対して信頼性を向上しています。BZ#772565qlge
ドライバーはバージョン 1.00.00.30 に更新されています。BZ#722307cnic
ドライバーはバージョン 2.5.9 に更新されて、bnx2x デバイスに於けるエラーからの回復の改善、FCoE パリティエラー回復の追加、FCoE セッションの最大値の増加、及び他の拡張の追加などを獲得しています。BZ#740048iwl6000
ドライバーとiwlwifi
ドライバーは、更新によって Wi-Fi アダプターの Intel Centrino Wireless-N 6235 シリーズへのサポートが追加されています。iwlwifi
には、5GHz バンド幅を無効にできるオプションも追加されています。BZ#785997- ワイヤレス LAN サブシステムは更新されています。これは
dma_unmap
の状態 API を導入しており、新しいカーネルヘッダーファイル:include/linux/pci-dma.h
を追加しています。BZ#766952
i915
ドライバーは更新されています。- 様々なグラフィックスドライバーが、DRM サポートをバージョン 3.3-rc2 にリベースして更新されています。BZ#797142
- ALSA HDA オーディオドライバーが更新され、新しいチップセットと HDA audio codecs 用のサポートが有効になるか、又は改良されました。BZ#760490
- btusb ドライバーは更新されて、Broadcom BCM20702A0 シングルチップブルートゥースプロセッサ用のサポートを含むようになりました。BZ#746041
- ALPS Touchpad ドライバーは更新により、ALPS Touchpad プロトコルバージョン 3 と 4 へのサポートが追加されて、更に 4 方向ボタン付きのタッチパッドへのサポートが追加されています。BZ#637229
jsm
ドライバーは更新により、Enhanced Error Handling (EEH エラー処理強化) が追加されています。BZ#742551mlx4_en
ドライバーはバージョン 2.0 に更新されています。737661 738491 739139 749059 755741 756147 756392mlx4_core
ドライバーはバージョン 1.1 に更新されています。737661 738491 739139 749059 755741 756147 756392
第3章 ネットワーキング
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、tc ユーティリティが更新されて、 Quick Fair Scheduler (QFQ) カーネル機能と共に動作するようになりました。ユーザーは今回、ユーザースペースから新しい QFQ トラフィック待ち行列の規率の利便性を利用できます。BZ#787637
rdma_bw と rdma_lat のユーティリティ (perftest パッケージで提供) は今回廃棄されており、将来の更新では perftest パッケージから削除されます。その代わりとしてユーザーは以下のようなユーティリティをご使用頂けます:ib_write_bw、ib_write_lat、ib_read_bw、及び ib_read_lat。BZ#814845
第4章 リソース管理
Red Hat Enterprise Linux 6.3 は、ネットワーク優先度 (net_prio
) のリソースコントローラーを導入しています。これは様々な cgroup 内でアプリケーション用の各ネットワークインターフェイス毎にネットワークトラフィックの優先度を動的にセットする方法を提供します。詳細については、『リソース管理ガイド (Resource Management Guide)』 を参照して下さい。BZ#772974
メモリリソースコントローラーは、新しい通知 API を使用する Out-of-Memory (OOM) 通知機能 (notifier) を実装します。この機能が有効になっていると (echo 1 > memory.oom_control
を実行)、アプリケーションは OOM 事態の発生時にeventfd を介して通知を受けます。 OOM 通知は、 root cgroups に対しては作動しないことに注意して下さい。BZ#739615
numad パッケージは、 NUMA の特性を監視する NUMA (Non-Uniform Memory Architecture) システム用のデーモンを提供します。手動の静的 CPU ピンニング及びメモリ割り当てへの代替として、numad はメモリ遅延を最小化するために継続ベースで動的な調節を提供します。このパッケージは、またアプリケーションの最適な手動配置の為に numad
デーモンへのクエリで使用できるインターフェイスも提供します。この numad パッケージは技術プレビューとして導入されているものです。BZ#758416
第5章 認証と相互運用性
これまでは、ホストとユーザーの SSH パブリックキーを中央で管理することは無理でした。Red Hat Enterprise Linux 6.3 には、技術プレビューとして識別管理サーバーの為の SSH パブリックキー管理が含まれています。そのため、識別管理クライアント上の OpenSSH は識別管理サーバー上に格納されているパブリックキーを使用するように自動的に設定されます。SSH ホストとユーザーの識別は今回、識別管理に於いて中央で管理できるようになっています。BZ#803822n
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、リモートシステム上でのユーザーの SELinux コンテキストを制御する能力を導入しています。SELinux のユーザーマップルールは定義付けが可能であり、オプションとして HBAC ルールとの関連付けができます。これらのマップは、ログインするホストとグループメンバーシップに応じてユーザーが受信するコンテキストを定義します。識別管理バックエンドと一緒に SSSD を使用するように設定されているリモートホストにユーザーがログインする際には、ユーザーの SELinux コンテキストはそのユーザー用に定義されたマッピングルールに応じて自動的にセットされます。詳細情報については、http://freeipa.org/page/SELinux_user_mapping を参照して下さい。この機能は技術プレビューと見なされています。BZ#803821
今回、SSH は認証について複数の方法を要求するように設定できます (以前は、SSH が認証で複数の方法を許可しても、その1つのみが正しいログインに必要でした)。例えば、SSH を設定したマシンへのログインにはパスフレーズとパブリックキーの両方の入力が必要になります。RequiredAuthentications1
オプションと RequiredAuthentications2
オプションを /etc/ssh/sshd_config
ファイル内で設定して正しいログインに必要となる認証を決定することができます。例えば、次のようにします:
~]# echo "RequiredAuthentications2 publickey,password" >> /etc/ssh/sshd_config
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、SSSD は、自動マウントマップのキャッシングに対するサポートと言う技術プレビュー機能を持っています。この機能により、autofs
で運用する環境にいくつかの利便性をもたらします:
- キャッシュ化した自動マウントマップにより、クライアントマシンは LDAP サーバーに到達できない時でさえもマウント操作を簡単に実行できるようになります。
autofs
デーモンが SSSD を介して自動マウントマップをルックアップするように設定されている時には、単独のファイル:/etc/sssd/sssd.conf
のみを設定するだけで充分です。以前は、autofs データを取り込むように/etc/sysconfig/autofs
を設定する必要がありました。- 自動マウントマップをキャッシュ化すると、クライアントではパフォーマンスの速度が向上し、LDAP サーバーではトラフィックが低減します。BZ#761570
SSSD は、/etc/sssd/sssd.conf
ファイル内での debug_level
オプションの動作に変化を与えています。以前は、[sssd]
設定セクションで debug_level
オプションをセットすることができて、他の設定セクションが明示的に上書きしない限りはこれが他の設定セクションのデフォルトのセッティングになると言う結果になっていました。
[sssd]
セクションからデフォルトを取得する代わりに、内部デバグロギング機能へのいくつかの変更によって、debug_level
オプションは常に設定ファイルの各セクションで独立して指定することが必要になりました。
~]# python /usr/lib/python2.6/site-packages/sssd_update_debug_levels.py
debug_level
オプションが [sssd]
セクションで指定されたかどうかの確認チェックをします。指定されていると、debug_level
が指定されていない sssd.conf
ファイル内の他の各セクションに同じレベルの値を追加します。別のセクションに debug_level
オプションが既に明示的に存在する場合は、変更は起こりません。
ldap_chpass_update_last_change
と言う新しいオプションが SSSD 設定に追加されています。このオプションが有効になっている場合、SSSD は shadowLastChange
LDAP 属性を現在の時刻に変更する試みをします。これは、LDAP パスワードポリシーが使用された時のケース、即ちパスワードを変更するために LDAP 拡張操作が使用されるケースにのみ関連していることに注意して下さい (通常は LDAP サーバーが処理)。また、この属性はパスワードを変更しているユーザーによって書き込まれる必要があることにも注意して下さい。BZ#739312
第6章 エンタイトルメント
Red Hat Enterprise Linux 6.3 には、RHN クラシックのお客様を証明書ベースの RHN に移行するための新たなツールが搭載されています。詳しくは、Red Hat Enterprise Linux 6 導入ガイド を参照してください。BZ#749950
サブスクリプションマネージャは今回、空の gpgkey
を持つ管理対象のレポジトリに対しては gpgcheck を無効にします。レポジトリを再度有効にするには、GPG キーをアップロードして使用中のカスタムコンテンツ定義に正しい URL が追加されていることを確認します。BZ#811771
第7章 仮想化
7.1. KVM
Red Hat Enterprise Linux 6.3 内の KVM のスケーラビリティ拡張には以下が含まれます:
- 仮想ゲストの最大サポートサイズが 64 から 160 の仮想 CPU (vCPU) に増加しています。
- KVM ゲスト内メモリの最大サポートサイズが 512 GB から 2 TB に増加しています。BZ#748946
Red Hat Enterprise Linux 6.3 内の KVM には以下のサポートが含まれます:
- Intel Core i3、i5、i7 及び過去にコード名 「Sandy Bridge」 を持っていた他のプロセッサ。
- 更には、新しい AMD ファミリ 15h プロセッサ (コード名 「Bulldozer」)
Steal time (スチールタイム) とは、ハイパーバイザーが別の仮想プロセッサを担当している間に、仮想 CPU が実 CPU を待つ時間のことです。KVM の仮想化マシンは今回、ゲストに正確な CPU 運用データを提供する top と vmstat のようなツールを介して可視化されるスチールタイムを算出して報告できます。
Red Hat Enterprise Linux 6.3 の KVM は より非同期にして、ディスク I/O の間に vCPU 停止を回避して全体のパフォーマンスを強化することにより、qcow2
ディスクイメージ (qcow2
はデフォルトの形式) へのアクセスを改善しています。BZ#783950
qemu-kvm には、qemu-guest-agent と呼ばれる新しいサブパッケージがあります。このパッケージをインスト-ルした Red Hat Enterprise Linux 6.3 ゲストを実行している時、適切に設定された Red Hat Enterprise Linux 6.3 ホストは以下のようなコマンドをゲストに送信することができます: guest-sync
、guest-ping
、guest-info
、guest-shutdown
、及び guest-suspend-*
。
KVM は今回、パフォーマンス監視ユニット (vPMU) を仮想化して、仮想マシンがパフォーマンス監視を使用できるようにします。それに加えて、-cpu
ホストフラグの使用により異なるホスト CPU バージョン間に渡ってライブ移行が可能となる Intel の 「architectural PMU」 をサポートしています。
Red Hat Enterprise Linux 6.3 の KVM は今回、オフピークの時間帯にそのパフォーマンスへの予期しない負荷に対して動的に能力を管理して対応するために、別名 vCPU ホットプラグと呼ばれる動的な仮想 CPU の割り当てをサポートしています。
KVM 仮想化のストレージスタックは、virtio-SCSI (SCSI ベースの KVM) 能力の追加によって向上しています。Virtio-SCSI は、直接 SCSI LUN に接続する能力を提供し、 virtio-blk に比較すると、特筆できるほどにスケーラビリティを向上しています。28 のデバイスしか処理できずに PCI スロットを消耗する virtio-blk に比べて、virtio-SCSI の利点は、数百のデバイスを処理する能力があることです。
- virtio-scsi コントローラーを介して仮想ハードドライブ又は、 CD を添付する
- 物理 SCSI デバイスを、QEMU scsi-block デバイス経由でホストからゲストに通過させる
- そして、virtio-blk の 28-デバイスの限界からの改善となる、ゲスト毎に数百のデバイスの使用を可能にする
KVM の電力管理機能は拡張されて、仮想マシン内の S4 (ディスクへサスペンド) と S3 (RAM へサスペンド) の状態へのネイティブサポートを含むようになっています。これにより、低電力状態の1つからのゲストの復元を迅速化しています。初期の実装では、ゲストにとっては外部となるディスク、又はメモリに対するゲストの保存、あるいは復元がありました。これらは遅延の原因でした。
/usr/share/seabios/bios.bin
ファイルの代わりに、 VM bios で /usr/share/seabios/bios-pm.bin
を選択します。
Red Hat Enterprise Linux 6.3 は、ネットワークインターフェイスコントローラーに対する SR-IOV サポートを導入します。この機能により、KVM 上の NIC が KVM ゲストと共有できるようになります。SR-IOV に関する詳細情報については、仮想化ホストの設定とゲストのインスト-ルガイド (Virtualization Host Configuration and Guest Installation Guide) 内にある 『Chapter 13. SR-IOV』 の章を参照して下さい。be2net
ドライバー上の SR-IOV の詳細については 2章デバイスドライバー を参照して下さい。
Red Hat Enterprise Linux 6.3 は、AMD 仮想化 (AMD-V) 用の KVM に対して Time Stamp Counter (TSC) スケーリングへのサポートを追加しています。この機能には、KVM ゲスト上での特定の TSC 周波数を模倣する能力があります。BZ#634293
ホストからゲストのパフォーマンスを監視する能力を提供する perf-kvm ツールへのサポートが追加されています。詳細については、perf-kvm man ページを参照して下さい。BZ#632768
7.2. SPICE
Spice は、KVM USB 2.0 ホストアダプター模倣サポートを更に強化し、サーバー上で稼働している仮想マシンがクライアント側でリモート的に差し込んである USB デバイスを使用できるようにするリモート USB 転送サポートを有効にします。BZ#758104
7.3. libvirt
libvirt は、今回ゲスト仮想ネットワークインターフェイスのリンクの状態 (up 又は down) を制御する能力を持ちます。これにより、ユーザーはインターフェイスからネットワークケーブルの差し込みと取り外しをしているかのようなテストと模擬実験を行うことができます。この機能は問題発生時にユーザーがゲストを隔離できるようにしてくれます。BZ#643373
第8章 クラスタリングと高可用性
クラスタを設定するための Web ベースの管理 UI である Luci は、以下の機能を含んで更新されました:
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、luci の認証セッションは、15 分以上動作がないと自動的にタイムアウトになります。この期間は、/etc/sysconfig/luci
ファイル内で who.auth_tkt_timeout
パラメータを修正することにより、設定することができます。BZ#733753
libqb パッケージは、ハイパフォーマンスクライアントサーバーの再利用可能な機能の提供を主な目的とするライブラリを装備しています。これらの機能としてハイパフォーマンスロギング、トレーシング、プロセス相互の通信、ポーリングなどがあります。このパッケージは pacemaker パッケージの依存関係として導入されており、Red Hat Enterprise Linux 6.3 では技術プレビューと見なされます。BZ#782240
新規に追加されたの libqb の依存関係のため、pacemaker は今回、冗長性の低いロギング機能を使用しますが、pacemaker のデバグとサポートの能力は維持します。BZ#782255
Rgmanager には、ノード間ロッキング用に Corosync の Closed Process Group (CPG) API の使用を有効にする機能が含まれています。この機能は Corosync の Redundant Ring Protocol (RRP) 機能が有効になると自動的に有効になります。Corosync の RRP 機能は全面的サポートの対象と考慮されていますが、他の高可用性アドオンと併用する時には、これは技術プレビューと見なされます。
第9章 ストレージ
Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、LVM copy-on-write (cow) スナップショットの新しい実装が技術プレビューとして利用できます。この実装の主な利便性は、以前のスナップショットの実装に比較すると、同じデータボリューム上に多くの仮想デバイスが格納できることです。この実装はまた、再帰的スナップショット(スナップショットのスナップショットのそのまたスナップショットなど) の任意の深さに対してのサポートも提供します。
論理ボリューム (LV) は今回、空き領域のストレージプールを管理するためにシンプロビジョン (thin-provision) を使用して、アプリケーションで必要な時に任意の数のデバイスを割り当てることができます。これを使用すると、アプリケーションが実際に LV に書き込んだ時に追加割り当て用にシンプロビジョンへ結合するデバイスの作成が可能になります。シンプロビジョンのプールは、ストレージスペースにコスト効率の良い割り当てが必要な場合に動的に拡張できます。Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、この機能は技術プレビューとして導入されています。この機能を試すには、device-mapper-persistent-data パッケージをインスト-ルしている必要があります。詳細情報については、lvcreate
man ページを参照して下さい。BZ#773507
ほとんどの LVM コマンドは、システム上のディスクデバイスに収納されている LVM メタデータの正確な表示を必要とします。現在の LVM デザインでは、この情報が取得できない場合、 LVM はシステムの全ての物理ディスクデバイスをスキャンしなければなりません。それは、大量のディスクを格納しているシステムでは非常に多くの I/O 操作を要します。
lvmetad
デーモンの目的は、デバイスの状態が変化する度に動的にメタデータ情報を累積することでこのスキャンの必要性を排除することです。これらのイベントは udev
ルールによって lvmetad
に信号通知されます。lvmetad
が稼働していない場合は、LVM が通常どおりにそれ自身でスキャンを実行します。
/etc/lvm/lvm.conf
ファイル内の use_lvmetad
パラメータを参照して、lvm2-lvmetad
init スクリプトを設定することにより lvmetad
デーモンを有効にします。BZ#464877
Red Hat Enterprise Linux 6.3 には、FCoE (Fiber Channel over Ethernet) ターゲットモードに対する全面的サポートが含まれています。このカーネル機能は、fcoe-target-utils パッケージで供給される targetcli ユーティリティを介して設定できます。FCoE は Data Center Bridging (DCB) をサポートするネットワーク上で使用するように設計されています。更なる詳細情報については、dcbtool(8)
と targetcli(8)
の man ページ (それぞれ、lldpad と fcoe-target-utils のパッケージで提供) をご覧下さい。BZ#750277
LVM 内の拡張された RAID サポートは今回、Red Hat Enterprise Linux 6.3 で全面的にサポートされています。LVM は現在 RAID 4/5/6 の論理ボリュームの作成能力をもっており、これらの論理ボリュームでのミラーリングをサポートします。MD (ソフトウェア RAID) モジュールはこれらの新しい機能のバックエンドサポートを提供します。BZ#593119
新しい LVM 設定ファイルパラメータである、activation/read_only_volume_list
は、該当するボリューム上の実際の権限に関係なく、特定のボリュームを常に読み込み専用モードでアクティベートすることができます。このパラメータはメタデータ内に保存されている --permission rw
オプションを上書きします。BZ#769293
第10章 更新全般
Red Hat Enterprise Linux 6.3 には、ランタイムユーティリティとソフトウェアコレクションのパッケージングの為のパッケージングマクロを提供する scl-utils パッケージが収納されています。ソフトウェアコレクションを使用すると、ユーザーは同一 RPM パッケージの複数バージョンを同時にシステム上にインスト-ルできるようになります。scl ユーティリティの使用により、ユーザーは /opt
ディレクトリにインスト-ルされている RPM の特定のバージョンを有効にすることも可能です。ソフトウェアコレクションの詳細情報については、『Software Collections Guide (ソフトウェアコレクションガイド)』 を参照して下さい。BZ#713147
Red Hat Enterprise Linux 6.3 は、AMD64 と Intel 64 のアーキテクチャ用に MySQL InnoDB ストレージエンジンをプラグインとして装備しています。このプラグインは、組み込み型の InnoDB ストレージエンジンに比較して追加の機能とより良いパフォーマンスを提供します。BZ#740224
Red Hat Enterprise Linux 6.3 は、OpenJDK 7 を技術プレビューとして導入しています。これは完全サポートの OpenJDK 6 の代用となります。BZ#803726
java-1.7.0-oracle と java-1.7.0-ibm のパッケージが今回、Red Hat Enterprise Linux 6.3 で利用できます。BZ#693783、 693783
initscripts パッケージは更新により、ユーザーが NIS ドメイン名を設定できるようになりました。これは、/etc/sysconfig/network
ファイル内で、又は他の関連する設定ファイル内で NISDOMAIN
パラメータを設定することで達成できます。BZ#704919
これまでは、任意のグループが ACL を介して全てのログにアクセスを許可されている時、それらの ACL はログがローテーションされた時に削除されていました。Red Hat Enterprise Linux 6.3 では、logrotate ユーティリティが ACL をサポートするため、ローテーション後のログはどんな ACL セッティングも保存します。BZ#683622
wacomcpl パッケージは廃棄になり、パッケージセットから削除されています。wacomcpl パッケージは Wacom タブレットセッティングのグラフィカル設定を提供していました。この機能は今回、GNOME コントロールセンターに統合されています。BZ#769466
任意の記録の大容量多次元アレイを処理するように設計されている NumPy パッケージはバージョン 1.4.1 に更新されています。この更新バージョンには以下の変更が含まれています:
0-d
アレイ上で操作している時には、numpy.max
と他の機能は以下のパラメータのみを受け付けます:axis=0
、axis=-1
、及びaxis=None
。範囲外の axis の使用はバグを示すことになり、NumPy はエラーを出します。
rsyslog パッケージはメジャーバージョン 5 に更新されています。このアップグレードには、様々な拡張と複数バグへの修正が導入されています。最も重要な変更として以下のものがあります:
$HUPisRestart
指示文は削除されており、現在はサポートがありません。そのため、Restart タイプの HUP プロセッシングはもう利用できません。現在は、SIGHUP 信号が受信されると、出力 (ほとんどはログファイル) はログローテーションをサポートするためにのみ再オープンされます。- スプールファイル (例えば、ディスクでアシストしたキュー) の形式は変更されています。新しい形式に切り替える為には、例えば、
rsyslogd
をシャットダウンすることにより、スプールファイルを消去します。それから、Rsyslog のアップグレードを進めて、その後、再度rsyslogd
を開始します。アップグレードが終わると、新しい形式が自動的に使用されます。 rsyslogd
デーモンがデバグモード (-d
オプションの使用) で稼働していた時は、前面で稼働していました。この状況は修正されて現在、デーモンは分岐されて想定どおりに背面で稼働します。
付録A 改訂履歴
改訂履歴 | |||
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改訂 3-2.400 | 2013-10-31 | ||
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改訂 3-2 | 2012-07-18 | ||
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改訂 1-0 | Wed Jun 20 2012 | ||
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改訂 0-0 | Tue Apr 24 2012 | ||
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