第2章 全般的な更新
Red Hat Enterprise Linux 6 から Red Hat Enterprise Linux 7 へのインプレースアップグレード
インプレースアップグレードでは、既存のオペレーティングシステムを置換することで Red Hat Enterprise Linux の新たなメジャーリリースにシステムをアップグレードすることができます。インプレースアップグレードを実行するには、実際のアップグレード実行前にすべてのアップグレード問題を検査するユーティリティーである Preupgrade Assistant を使用します。これは、Red Hat Upgrade Tool 向けの追加スクリプトも提供します。Preupgrade Assistant が報告したすべての問題を解決したら、Red Hat Upgrade Tool を使ってシステムをアップグレードします。
手順およびサポートされるシナリオの詳細については、Migration Planning Guide と Red Hat Enterprise Linux 6 から Red Hat Enterprise Linux 7 への移行方法 を参照してください。
preupgrade-assistant がバージョン 2.3.3 にリベース
preupgrade-assistant パッケージがバージョン 2.3.3 にアップグレードされ、バグ修正および以下のような機能拡張が加えられています。
- 新規ツール
preupg-diff
が追加され、複数の Preupgrade Assistant XML レポートを比較します。特定されていない問題のレポートと既に分析済みの問題のレポートを比較します。これにより、新規レポートと少なくとも 1 つの分析済み XML ファイルをフィルターにかけることで、新規レポートに現れた問題が見つけやすくなります。短縮されたレポートの出力は、XML と HTML の形式で入手できます。 - 新たなリターンコードが 2 つ追加されました。
29
はinternal error
、30
はuser abort
になります。 - リターンコード
22
の意味がinvalid CLI option
に変更されました。 - Preupgrade Assistant の STDOUT および STDERR 出力は、2 つの分野に分けられました。
Additional output
は STDOUT に、Logs
は STDERR になります。 - Python で書かれた Preupgrade Assistant モジュールがインポートする
python
モジュールの名前が、preup
からpreupg
に変更されました。また、preup_ui_manage
実行可能ファイルもpreupg-ui-manage
に名前が変更されました。 exit_unknown
関数と$RESULT_UNKNOWN
変数が削除されました。unknown
結果ではなく、exit_error
関数を使ってエラー結果を設定します。set_component
モジュールの API 関数が削除されました。
Preupgrade Assistant がブラックリスト化をサポートしてパフォーマンスが改善されます
Preupgrade Assistant がブラックリストファイルの作成をサポートするようになり、リスト化された接頭辞のあるパス上の実行可能ファイルすべてを省略できるようになりました。この機能は
/etc/preupgrade-assistant.conf
ファイルの xccdf_preupg_rule_system_BinariesRebuild_check
セクションで exclude_file
の値を設定すると有効になります。例を示します。
[xccdf_preupg_rule_system_BinariesRebuild_check] exclude_file=/etc/pa_blacklist
ブラックリストファイルの各行には、除外する実行可能ファイルのパスの接頭辞を含めます。これまでは、大きなパーティションがマウントされ、
RHEL6_7/system/BinariesRebuild
モジュールが実行可能ファイルのリストにある数多くのファイルをチェックする際に、大きなパフォーマンス上の問題が発生していました。今回の更新で、重要でない実行可能ファイルをフィルターで除外することで、モジュールが消費する時間を節約することが可能になっています。この機能は今後、変更が加えられる予定であることに注意してください。(BZ#1392018)
Preupgrade Assistant モジュールの主要ファイル名が統一されました
これまでは、Preupgrade Assistant の各モジュールで特定の必須ファイルに異なるファイル名を使用しており、テストと方向性が複雑になっていました。今回の更新では、主要なファイル名が各モジュールで
module.ini
(メタデータ INI ファイル)、check
(チェックスクリプト)、および solution.txt
(ソリューションテキスト) に統一されました。また、複数のルール (モジュール ID) の名前がこれに合わせて変更され、たとえば、result.html
と result.xml
のファイルで各ルールには統一された _check
接尾辞が含まれるようになります。
新 RHDS モジュールが RHDS システムにおけるインプレースアップグレードの可能性をチェックします
今回の更新では新たな Red Hat Directory Server (RHDS) モジュールが導入され、関連するインストール済み RHDS パッケージをチェックして RHDS システムのインプレースアップグレードの可能性について情報を提供します。このため、関連パッケージがインストールされており、基本的なディレクトリーインスタンスが設定されていると、このモジュールは設定ファイルのバックアップを作成し、それについての情報をプリントします。(BZ#1406464)
cloud-init をベースチャネルに移動
Red Hat Enterprise Linux 6.9 から、cloud-init パッケージとその依存関係は Red Hat Common チャネルからベースチャネルに移動されました。
Cloud-init
は、環境が提供するメタデータを使ってシステムの初期化を処理するツールです。これは通常、OpenStack や Amazon Web Services などのクラウド環境で起動するサーバーの設定に使用されます。cloud-init パッケージは、Red Hat Common チャネルで提供されている最新バージョンから更新されていないことに注意してください。(BZ#1421281)