18.2.3. マウントの共有
システム管理作業の中には、同じファイルシステムにディレクトリーツリー内の複数の場所からのアクセスしないといけない場合があります (chroot 環境を準備する場合など)。Linux では同じファイルシステムを複数のディレクトリーに必要なだけマウントすることが可能です。さらに、mount コマンドは、特定のマウント を複製する手段を提供する
--bind
オプションを実装します。以下のような使用法になります。
mount --bind
old_directory new_directory
上記のコマンドにより、ユーザーはいずれの場所からでもファイルシステムにアクセスできるようになりますが、これは元のディレクトリー内にマウントされているファイルシステムには適用されません。これらのマウントも追加するには、以下を入力します。
mount --rbind
old_directory new_directory
さらに Red Hat Enterprise Linux 6 では、可能な限り柔軟性を持たせるために、共有サブツリー と呼ばれる機能を実装しています。次の 4 種類のマウントを使用することができます。
- 共有マウント
- 共有マウントにより、任意のマウントポイントと同一の複製マウントポイントを作成することができます。マウントポイントが共有マウントとしてマークされている場合は、元のマウントポイント内のすべてのマウントが複製マウントポイントに反映されます (その逆も同様です)。マウントポイントのタイプを共有マウントに変更するには、シェルプロンプトで以下を入力します。
mount
--make-shared
mount_pointまたは、選択したマウントポイントと、その下のすべてのマウントポイントのマウントタイプを変更する場合は、以下を入力します。mount
--make-rshared
mount_point使用例は、例18.4「共有マウントポイントの作成」 を参照してください。 - スレーブマウント
- スレーブマウントにより、所定のマウントポイントの複製を作成する際に制限を課すことができます。マウントポイントがスレーブマウントとしてマークされている場合は、元のマウントポイント内のすべてのマウントが複製マウントポイントに反映されますが、スレーブマウント内のマウントは元のポイントに反映されません。マウントポイントのタイプをスレーブマウントに変更するには、シェルプロンプトで次を入力します。
mount
--make-slave
mount_point選択したマウントポイントとその下にあるすべてのマウントポイントのマウントタイプを変更することも可能です。次のように入力します。mount
--make-rslave
mount_point使用例は、例18.5「スレーブマウントポイントの作成」 を参照してください。例18.5 スレーブマウントポイントの作成
この例は、/media
ディレクトリーのコンテンツが/mnt
にも表示され、/mnt
ディレクトリーのマウントが/media
に反映されないようにする方法を示しています。root
になり、まず/media
ディレクトリーに 「shared」 のマークを付けます。~]# mount --bind /media /media ~]# mount --make-shared /media
次に、/mnt
に複製を作成しますが、「スレーブ」 としてマークします。~]# mount --bind /media /mnt ~]# mount --make-slave /mnt
/media
内のマウントが/mnt
でも表示されるかを確認します。たとえば、CD-ROM ドライブに何らかのコンテンツを持つメディアがあり、/media/cdrom/
ディレクトリーが存在する場合は次のコマンドを実行します。~]# mount /dev/cdrom /media/cdrom ~]# ls /media/cdrom EFI GPL isolinux LiveOS ~]# ls /mnt/cdrom EFI GPL isolinux LiveOS
また、/mnt
ディレクトリー内にマウントされているファイルシステムが/media
に反映されていないことを確認します。たとえば、/dev/sdc1
デバイスを使用する空でないUSBフラッシュドライブが接続されていて、/mnt/flashdisk/
ディレクトリーが存在する場合は、次のように入力します。~]# mount /dev/sdc1 /mnt/flashdisk ~]# ls /media/flashdisk ~]# ls /mnt/flashdisk en-US publican.cfg
- プライベートマウント
- プライベートマウントはマウントのデフォルトタイプであり、共有マウントやスレーブマウントと異なり、伝播イベントの受信や転送は一切行いません。マウントポイントを明示的にプライベートマウントにするには、シェルプロンプトで以下を入力します。
mount
--make-private
mount_pointまたは、選択したマウントポイントとその下にあるすべてのマウントポイントを変更することもできます。mount
--make-rprivate
mount_point使用例は、例18.6「プライベートマウントポイントの作成」 を参照してください。例18.6 プライベートマウントポイントの作成
例18.4「共有マウントポイントの作成」 の状況を考慮に入れ、共有マウントポイントが次のコマンドを使用してroot
で以前に作成されていると仮定します。~]# mount --bind /media /media ~]# mount --make-shared /media ~]# mount --bind /media /mnt
/mnt
ディレクトリーに 「private」 のマークを付けるには、次のように入力します。~]# mount --make-private /mnt
これで/media
内のマウントはいずれも/mnt
内では表示されないことを確認できるようになりました。たとえば、CD-ROM デバイスに何らかのコンテンツを含むメディアがあり、/media/cdrom/
ディレクトリーが存在する場合に、次のコマンドを実行します。~]# mount /dev/cdrom /media/cdrom ~]# ls /media/cdrom EFI GPL isolinux LiveOS ~]# ls /mnt/cdrom ~]#
また、/mnt
ディレクトリーにマウントされているファイルシステムが/media
に反映されていないことを確認することもできます。たとえば、/dev/sdc1
デバイスを使用する空でないUSBフラッシュドライブが接続されていて、/mnt/flashdisk/
ディレクトリーが存在する場合は、次のように入力します。~]# mount /dev/sdc1 /mnt/flashdisk ~]# ls /media/flashdisk ~]# ls /mnt/flashdisk en-US publican.cfg
- バインド不可能なマウント
- 任意のマウントポイントに対して一切複製が行われないようにするには、バインド不能のマウントを使用します。マウントポイントのタイプをバインド不能のマウントに変更するには、次のようにシェルプロンプトに入力します。
mount
--make-unbindable
mount_pointまたは、選択したマウントポイントとその下にあるすべてのマウントポイントを変更することもできます。mount
--make-runbindable
mount_point使用例は、例18.7「バインド不可能なマウントポイントの作成」 を参照してください。例18.7 バインド不可能なマウントポイントの作成
/media
ディレクトリーを共有しないようにするには、root
で次のコマンドを実行します。~]# mount --bind /media /media ~]# mount --make-unbindable /media
これにより、これ以降はこのマウントを複製しようとすると、エラーが発生して失敗します。~]# mount --bind /media /mnt mount: wrong fs type, bad option, bad superblock on /media, missing codepage or helper program, or other error In some cases useful info is found in syslog - try dmesg | tail or so