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Red Hat Enterprise Linux 7

すべてのアーキテクチャーへの Red Hat Enterprise Linux 7 のインストール

Jana Heves

Red Hat Customer Content Services

Vladimír Slávik

Red Hat Customer Content Services

概要

本ガイドでは、Red Hat Enterprise Linux 7 インストールプログラム (Anaconda) の起動方法、および AMD64/Intel 64 システム、64 ビット ARM システム、64 ビット IBM Power Systems サーバー、および IBM Z サーバーへの Red Hat Enterprise Linux 7 のインストール方法について解説しています。また、キックスタート インストール、PXE インストール、VNC 経由のインストールなど高度なインストール方法についても触れています。最後に、インストール後に行う一般的な作業やインストール関連のトラブルシューティングについて説明しています。
Red Hat Enterprise Linux Atomic Host のインストール方法についての詳細は、Red Hat Enterprise Linux Atomic Host インストールと設定ガイドを参照してください。

第1章 はじめに

Anaconda と呼ばれるインストールユーティリティーで Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。多くの場合、「対話型インストール」 に記載の手順に従うだけで、Anaconda のグラフィカルインターフェイスを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。
高度な要件を必要とするユーザーは、各種のシステム上でグラフィカルインタフェースを使用してインストールの多くの要素を設定して、Red Hat Enterprise Linux をインストールすることもできます。ローカルインターフェイスのないシステムでは、インストールは完全にリモートからアクセスできます。キックスタート ファイルを使用してインストールを自動化したり、対話なしでインストールしたりできます。

1.1. グラフィカルインストール

Red Hat Enterprise Linux インストーラーである Anaconda は、簡単なグラフィカルの手法で Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。このグラフィカルインストールインターフェイスにはヘルプシステムが組み込まれており、Linux をインストールしたことがなくても、ほとんどのインストールを実行できます。ただし、Anaconda を使うと、必要に応じて高度なインストールオプションを使用することもできます。
Anaconda は、その並立的な性質上、他のオペレーティングシステムのインストールプログラムとは異なります。ほとんどのインストーラーは、最初に言語の選択、次にネットワークの設定、それからインストールタイプ、パーティション設定、といったように、リニア形式で進められます。ある時点ですすめる方向は通常、1 つのみです。
Anaconda のグラフィカルインターフェイスでは、最初に選択する必要があるものは言語とロケールのみで、次に中央画面が表示され、任意の順序でインストールの各種オプションを設定できます。ある設定を先に完了してからでないと設定できない箇所もあります。たとえば、ネットワークの場所からインストールする場合には、ネットワークを設定してからしか、インストールするパッケージを選択できません。Anaconda のほとんどのオプションは、任意の順序で設定できます。ネットワークの初期化やディスクの検出などのバックグラウンドタスクが原因で特定オプションの設定ができない場合に、これらの完了を待っている間に別の関係ないオプションを設定することができます。
特に、カスタムのパーティション設定プロセスは他の Linux ディストリビューションとは非常に異なります。これらの違いについては、各画面のサブセクションで説明します。
お使いのハードウェアやインストールを開始するメディアタイプによっては、自動で設定される画面もいくつかあります。その場合でも、検出された設定は変更することが可能です。自動設定されず、インストール前にユーザーの作業が必要となる画面には、感嘆符が付いています。実際のインストールプロセスを開始するには、これらの設定を完了する必要があります。
インストールはテキストモードでも実行できますが、カスタムパーティション設定を含む特定のオプションは使用できません。「テキストモードでのインストール」 を参照してください。IBM Power システムもしくは IBM Z をご使用の場合はそれぞれ 「テキストモードでのインストール」「テキストモードでのインストール」 を参照してください。

1.2. リモートインストール

Red Hat Enterprise Linux は、グラフィカルインターフェイスをリモートで使用してインストールできます。ヘッドレスシステムの場合、Connect Mode を使用して完全にリモートでグラフィカルインストールを実行できます。ディスプレイとキーボードがあるものの、グラフィカルインタフェースを使用できないシステムでは、Direct Mode を使用すると容易にセットアップができます。詳細は、25章VNC の使用 を参照してください。

1.3. 自動インストール

Kickstart ファイルを使用すると、Anaconda によるインストールを自動化できます。Kickstart ファイルは、インストールのあらゆる側面の設定に使用可能で、ユーザーの介入なしに、Red Hat Enterprise Linux の複数インスタンスのインストールを簡単に自動化できます。
ほとんどの場合、「自動インストール」 に記載の手順に従うだけで、Kickstart ファイルの作成と設定ができます。このファイルを使用すると、任意の数の Red Hat Enterprise Linux を非対話形式でインストールできます。
Kickstart ファイルは、オンラインの Kickstart Generator ツールでグラフィカルインターフェイスを使用して選択したないようをもとに自動的に作成することも、テキストエディターで最初から記述することもできます。詳細は、「キックスタートファイルの作成」 を参照してください。
Kickstart ファイルは、Red Hat Enterprise Linux の各種ユーティリティーを使用して簡単にメンテナーンスおよび更新できます。詳細は、「キックスタートファイルの維持」 を参照してください。

第2章 Red Hat Enterprise Linux のダウンロード

Red Hat サブスクリプションをお持ちの場合は、Red Hat カスタマーポータルから Red Hat Enterprise Linux 7 インストール DVD の ISO イメージファイル をダウンロードできます。サブスクリプションをお持ちでない方は、サブスクリプションをご購入頂くか https://access.redhat.com/downloads/ のソフトウェアおよびダウンロードセンターで無料の評価版サブスクリプションを入手してください。
AMD64 および Intel 64 (x86_64)、ARM (Aarch64)、ならびに IBM Power Systems (ppc64) のアーキテクチャーで使用できるインストールメディアには、2 つの基本タイプがあります。
バイナリー DVD
完全なインストールイメージ。これはインストールプログラムを起動して全インストール工程を実施します。パッケージ用の追加リポジトリーを用意する必要はありません。
注記
バイナリー DVD は IBM Z でもご利用頂くことができます。SCSI DVD ドライブを使ってインストールプログラムを起動する場合に使用できます。また、インストールソースとして使用することもできます。
boot.iso
最小限の起動イメージ。これは、インストールプログラムを起動しますがパッケージ用の追加リポジトリーにアクセスする必要があります。Red Hat ではこのようなリポジトリーは提供しておらず、完全インストール ISO イメージを使用して作成する必要があります。
注記
IBM Java ランタイム環境や追加の仮想化ドライバーなどの追加パッケージが含まれる補助 DVD イメージを利用することもできます。ただし、これについては本ガイドの範囲を超えます。
既にサブスクリプションまたは評価版サブスクリプションをお持ちの場合は、以下の手順に従って Red Hat Enterprise Linux Red Hat Enterprise Linux 7 の ISO イメージファイルを取得します。

手順2.1 Red Hat Enterprise Linux ISO イメージのダウンロード

  1. カスタマーポータルの https://access.redhat.com/home にアクセスします。ログインしていない場合はページ右側の ログイン をクリックします。プロンプトに従いアカウント認証情報を入力します。
  2. ページ上部の DOWNLOADS をクリックします。
  3. Red Hat Enterprise Linux をクリックします。
  4. Product VariantArchitecture がインストールターゲットに適した選択になっているか確認します。デフォルトでは Red Hat Enterprise Linux Serverx86_64 を選択します。どれを選択してよいのか分からない場合は、http://www.redhat.com/en/technologies/linux-platforms/enterprise-linux を参照してください。また、各バリアントで利用可能なパッケージ一覧は、Red Hat Enterprise Linux 7 パッケージマニフェストで確認できます。
  5. 利用可能なダウンロード一覧が表示されます。特に、最小限のブート ISOイメージと完全インストール用 バイナリー DVD ISO イメージが表示されます。これが上記で説明したメディアです。事前設定済みの仮想マシンイメージなど、これ以外のイメージが表示される場合もあります。これについては本ガイドの対象外になります。
  6. 使用するイメージファイルを選択します。カスタマーポータルからダウンロードする方法は、2 通りあります。
    • Web ブラウザーを使ってイメージ名をクリックし、コンピューターにそのイメージをダウンロードします。
    • イメージ名を右クリックして リンクの URL をコピー などのメニューアイテムをクリックします (メニューアイテムの表示はブラウザーによって異なる)。この操作で、ファイルの URL がクリップボードにコピーされ、別のアプリケーションを使ってファイルをコンピューターにダウンロードできるようになります。インターネット接続が不安定な場合にはこの方法が役に立ちます (接続不安定のため中断されブラウザーでファイル全体をダウンロードできず、またダウンロードリンクに含まれている認証キーの有効期間が短いため中断されたダウンロードプロセスの再開試行が失敗してしまうような場合)。curl などの特殊アプリケーションを使用するとカスタマーポータルからのダウンロードなど中断されたプロセスを再開することができます。つまり、ファイル全体を再度ダウンロードする必要がなく時間や回線容量を節約することができます。

      手順2.2 curl を使用したインストールメディアのダウンロード

      1. root で以下のコマンドを実行して、curl パッケージがインストールされていることを確認します。
        # yum install curl
        ご使用の Linux ディストリビューションでは yum を使用していない、または Linux 自体をまったく使用していないなどの場合は curl web site で最適となるソフトウェアパッケージをダウンロードしてください。
      2. ターミナルウィンドウを開きダウンロード先となるディレクトリーに移動します。次のコマンドを入力します。
        $ curl -o filename.iso 'copied_link_location'
        filename.iso には rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso などカスタマーポータルで表示される ISO イメージの名前を入力します。カスタマーポータル内のダウンロードリンクには curl でダウンロードしたファイル名にも使用する追加文字が含まれているため入力には注意してください。次のパラメーターの一重引用符は付けたまま copied_link_location にはカスタマーポータルからコピーしたリンクを入力します。上記のコマンドをコピーした場合にはもう一度コピーします。Linux ではウィンドウ内で中央ボタンをクリックするか、Shift+Insert を押すとクリップボードの内容をターミナルウィンドウに貼り付けることができます。最後のパラメーターの後ろに別の一重引用符を付けて、Enter を押してコマンドを実行し、ISO イメージの転送を開始します。一重引用符を使用するのはダウンロードリンクに特殊な文字が含まれていた場合など、特殊文字が誤って解釈されないようにするためです。

        例2.1 curl での ISO イメージのダウンロード

        curl コマンドラインの例を示します。
        $ curl -o rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso 'https://access.cdn.redhat.com//content/origin/files/sha256/85/85a...46c/rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso?_auth_=141...7bf'
        実際のダウンロードリンクには複雑な識別子が含まれるため非常に長い記述になる点に注意してください。
      3. 転送の完了前にインターネット接続が中断された場合はカスタマーポータル内のダウンロードページを更新し、必要であればログインし直します。新しいダウンロードリンクをコピーし、以前と同じ基本的な curl コマンドラインパラメーターを使用しますが、必ず新しいダウンロードリンクを使用するように -C - を追加し、既にダウンロードしたファイルのサイズに基づいて続行すべき場所を自動的に決定するように curl に指示します。

        例2.2 中断されたダウンロードの再開

        選択した ISO イメージが一部しかダウンロードされていない場合に使用する curl コマンドラインの例を示します。
        $ curl -o rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso 'https://access.cdn.redhat.com//content/origin/files/sha256/85/85a...46c/rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso?_auth_=141...963' -C -
  7. 必要に応じて、sha256sum などのチェックサムユーティリティーを使用して、ダウンロード完了後にイメージファイルの整合性を検証できます。Download Red Hat Enterprise Linux ページにあるダウンロードにはすべて、以下の参照用チェックサムが含まれます。
    $ sha256sum rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso
    			85a...46c rhel-server-7.0-x86_64-dvd.iso
    Microsoft WindowsMac OS X 向けにも同様のツールがあります。また、インストールの開始時にインストールプログラムを使用してメディアの検証もできます。詳細は「起動メディアの検証」を参照してください。
カスタマーポータルから ISO イメージファイルをダウンロードすると、以下が可能になります。

第3章 メディアの作成

本章では、2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロードの手順に従って入手した ISO イメージファイルを使って、DVD や USB フラッシュドライブなどの起動可能な物理メディアを作成する方法について解説しています。メディアの作成後、そのメディアを使ってインストールプログラムを起動し、インストールを開始します。以下の手順は、物理的な起動メディアを使用して 64 ビット AMD、Intel、もしくは ARM システムまたは IBM Power Systems サーバーに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合に限り適用されます。IBM Z サーバーに Red Hat Enterprise Linux をインストールする方法は、16章IBM Z でのインストールの起動 を参照してください。Preboot Execution Environment (PXE) サーバーを設定してネットワーク経由で PXE ベースのインストールを行う方法については、24章ネットワークからのインストールの準備を参照してください。
注記
デフォルトでは、インストールメデイアで inst.stage2= 起動オプションが使用され、特定のラベル (たとえば inst.stage2=hd:LABEL=RHEL7\x20Server.x86_64) に設定されます。ランタイムイメージを含むファイルシステムのデフォルトラベルを修正するか、インストールシステムの起動にカスタマイズした手順を使用する場合は、このオプションを正しい値に設定する必要があります。詳細は インストールソースの指定 を参照してください。

3.1. インストール CD または DVD の作成

インストール CD または DVD の作成は、ご使用のコンピューター上にあるディスク書き込みソフトウェアや CD/DVD バーナーを使用します。ISO イメージファイルから光学ディスクを作成する手順は、インストールしているオペレーティングシステムやディスク書き込みソフトウェアなどによって、コンピューターごとに大きく異なります。ISO イメージファイルの CD または DVD への書き込み方の詳しい手順は各ソフトウェアのドキュメントを参照してください。
注記
最小限の起動メディアと完全インストール用のメディアは、いずれも光学ディスク (CD および DVD) を使用して作成することができます。ただし、完全インストール用の ISO イメージはサイズが非常に大きいため (4 GB から 4.5 GB)、DVD のみが使用可能となります。最小限の起動用 ISO の場合、サイズはほぼ 300 MB になるため、CD または DVD のいずれかに書き込むことができます。
まず搭載されているディスク書き込みソフトウェアでイメージファイルをディスクに書き込みことができるかどうか確認してください。ほとんどのソフトウェアで行うことができるはずですが、例外となるソフトウェアも存在します。特に、Windows XP と Windows Vista に搭載されているディスク書き込み機能では DVD への書き込みはできません。また、Windows XP および Windows Vista より旧式の Windows オペレーティングシステムの場合はディスクへの書き込み機能がデフォルトでは搭載されていません。つまり、Windows 7 より旧式の Windows オペレーティングシステムがインストールされている場合にはディスクを書き込むソフトウェアが別途必要になります。コンピューターにすでにいる可能性のある Windows 用の一般的なディスク書き込みソフトウェアの例には、Nero Burning ROMRoxio Creator などがあります。BraseroK3b など、Linux の最も広く使用されているディスク書き込みソフトウェアにも、ISO イメージファイルからディスクを書き込む機能が組み込まれています。
一部のコンピューターでは、ISO ファイルからのディスク書き込み機能がファイルブラウザー内のコンテキストメニューに一体化されていることがあります。たとえば、GNOME デスクトップを実行する Linux または UNIX オペレーティングシステムを備えたコンピューターで ISO ファイルを右クリックしると、Nautilus ファイルブラウザーには Write to disk のオプションが表示されます。

3.2. USB インストールメディアの作成

CD や DVD ではなく、USB ドライブまたは SD カードで起動可能なメディアを作成し、64 ビット AMD、Intel、または ARM システムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすることもできます。Linux システム上で作成するのか Windows システム上で作成するのかにより、作成手順が異なります。最小限の起動メディア、完全インストール用のメディアはいずれも同じ手順で作成できます。USB ドライブを使用する場合はその容量に注意してください。イメージ全体を収納できる十分な容量、つまり最小限の起動メディアであればおよそ 450 MB、完全インストール用のメディアであれば 4.8 GB の容量の USB ドライブが必要になります。

3.2.1. Linux での USB インストールメディアの作成

次の手順では、Linux システムを使用していること、また2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロードで説明されているように適切な ISO イメージをすでにダウンロードしていることを前提としています。ほとんどの Linux ディストリビューションでは、特に追加のパッケージをインストールしなくても記載の手順で正しく動作します。
警告
この手順を実行すると、すべて破棄されます。USB フラッシュドライブ上のデータは、警告なしで破棄されます。このため、正しいドライブを指定していること、またドライブに、保存の必要があるデータが含まれていないことを必ず確認しておいてください。
多くの Linux ディストリビューションでは、ライブ USB メディアを作成する独自のツールが含まれています (Fedora では liveusb-creator、Ubunto などは usb-creator)。こうしたツールの説明については本ガイドの範疇を超えてしまうため、ここでは説明していません。次の手順に従うと、ほとんどの Linux システムで USB メディアを作成することができます。

手順3.1 Linux での USB メディアの作成

  1. USB フラッシュドライブをシステムに接続し、dmesg コマンドを実行します。最近のイベントの詳細を示すログが表示されます。このログの末尾の方に、今 USB を挿入したことを示すメッセージが表示されているのを確認します。以下にメッセージの例を示します。
    [ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
    接続デバイスの名前を書き留めておきます(上記の例では sdb )。
  2. root としてログインします。
    $ su -
    プロンプトに従い root パスワードを入力します。
  3. デバイスがマウントされていないことを確認します。まず、findmnt device コマンドと前の手順で確認したデバイス名を使用します。たとえば、デバイス名が sdb の場合は、次のコマンドを使用します。
    # findmnt /dev/sdb
    コマンドから何も出力されなければ次の手順に進むことができます。何らかの出力がある場合は、デバイスが自動的にマウントされたことを示しているため、次に進む前にそのデバイスをアンマウントしておく必要があります。出力の例は、以下のようになります。
    # findmnt /dev/sdb
    TARGET   SOURCE   FSTYPE  OPTIONS
    /mnt/iso /dev/sdb iso9660 ro,relatime
    
    TARGET 列に注意してください。次に umount target コマンドを使用して、デバイスをアンマウントします。
    # umount /mnt/iso
  4. dd コマンドを使用して、インストール ISO イメージを USB デバイスに直接書き込みます。
    # dd if=/image_directory/image.iso of=/dev/device bs=blocksize
    /image_directory/image.iso をダウンロードした ISO イメージファイルへのフルパスに置き換え、device を、その前に dmesg コマンドで報告されるデバイス名に、blocksize は、書き込みプロセスを迅速化するために妥当なブロックサイズ(例: 512k)に置き換えます。bs パラメーターはオプションですが、プロセスを大幅に高速化できます。
    重要
    デバイス上の パーティション 名(例: /dev/sda1)ではなく、デバイス名(例:/dev/sda)として出力を指定してください。
    たとえば、ISO イメージが /home/testuser/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso にあり、検出されたデバイス名が sdb の場合、コマンドは以下のようになります。
    # dd if=/home/testuser/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso of=/dev/sdb bs=512k
  5. dd がデバイスへのイメージの書き込みを終了するのを待ちます。進捗バーが表示されないことに注意してください。# プロンプトが再度表示されるとデータ転送が完了します。プロンプトが表示されたら、root アカウントからログアウトし、USB ドライブを取り外します。
これで USB ドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。AMD、Intel、および ARM システムの場合は7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動、IBM Power Systems サーバーの場合は12章IBM Power Systems でのインストールの起動をお読みください。
注記
IBM Power Systems サーバーで仮想化以外のインストール (ベアメタルインストールとも呼ばれる) を行うには、inst.stage2= 起動オプションを指定する必要があります。inst.stage2= 起動オプションの詳細は、 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。

3.2.2. Windows での USB インストールメディアの作成

Windows で起動可能な USB メディアを作成する手順は使用するツールによって異なります。ISO イメージを USB ドライブに書き込むことができるユーティリティーは数多くあります。Red Hat は、から https://github.com/FedoraQt/MediaWriter/releases ダウンロードできる Fedora Media Writer の使用を推奨します。
注記
Fedora Media Writer はコミュニティー製品であるため、Red Hat のサポート対象外となります。ツールに関する問題は、https://github.com/FedoraQt/MediaWriter/issues から報告できます。
重要
Windows の Explorer または同様のファイルマネージャーを使った USB ドライブへの ISO イメージファイルの転送は正しく動作しないため、そのデバイスからは起動できません。

手順3.2 Windows での USB メディアの作成

  1. Fedora Media Writer をダウンロードしてインストールします。
  2. メディアの作成に使用する Red Hat Enterprise Linux ISO イメージをダウンロードします。(ISO イメージの取得方法については 2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。)
  3. 起動可能なメディアの作成に使用する USB ドライブを挿入します。
  4. Fedora Media Writer を開きます。
  5. メインウィンドウで Custom Image をクリックし、ダウンロードした Red Hat Enterprise Linux ISO イメージを選択します。
  6. ドロップダウンメニューから使用するドライブを選択します。ドライブが表示されない場合は、USB ドライブが接続されていることを確認し、Fedora Media Writer を再起動します。
  7. Write to disk をクリックします。起動メディアの作成プロセスが開始されます。プロセスが完了するまでドライブを抜かないでください。ISO イメージのサイズと USB ドライブの書き込み速度によって、イメージの書き込みは数分かかる場合があります。

    図3.1 Fedora Media Writer

    Fedora Media Writer
  8. 作成プロセスが完了し、Complete! メッセージが表示されたら、システムの通知エリアの 安全な削除ハードウェア アイコンを使用して USB ドライブをアンマウントします。
これで USB ドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。AMD、Intel、および ARM システムの場合は7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動、IBM Power Systems サーバーの場合は12章IBM Power Systems でのインストールの起動をお読みください。

3.2.3. Mac OS X での USB インストールメディアの作成

この手順では、dd コマンドラインツールを使用して、インストールイメージを USB フラッシュドライブに書き込みます。手順によっては sudo コマンドを使用します。このコマンドは、パスワードを必要とする管理者アカウントでログインした場合のみ使用できることに注意してください。
警告
この手順を実行すると、USB フラッシュドライブ上にあるデータはすべて削除されます。

手順3.3 Mac OS X での USB メディアの作成

  1. USB フラッシュドライブをシステムに接続し、diskutil list コマンドでデバイスパスを特定します。デバイスパスの形式は /dev/disk 番号で、number はディスクの数になります。ディスク番号は、0 から始まります。デバイス 0 は通常、OS X リカバリーディスクになり、ディスク 1 はご自分のメインの OS X インストールになります。以下の例では、disk2 です。
    $ diskutil list
    /dev/disk0
    #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
    0:      GUID_partition_scheme                        *500.3 GB   disk0
    1:                        EFI EFI                     209.7 MB   disk0s1
    2:          Apple_CoreStorage                         400.0 GB   disk0s2
    3:                 Apple_Boot Recovery HD             650.0 MB   disk0s3
    4:          Apple_CoreStorage                         98.8 GB    disk0s4
    5:                 Apple_Boot Recovery HD             650.0 MB   disk0s5
    /dev/disk1
    #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
    0:                  Apple_HFS YosemiteHD             *399.6 GB   disk1
    Logical Volume on disk0s1
    8A142795-8036-48DF-9FC5-84506DFBB7B2
    Unlocked Encrypted
    /dev/disk2
    #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
    0:     FDisk_partition_scheme                        *8.0 GB     disk2
    1:               Windows_NTFS SanDisk USB             8.0 GB     disk2s1
    USB フラッシュドライブを特定するには、NAMETYPE、および SIZE 列を、フラッシュドライブに関する内容と比較します。たとえば、NAMEFinder のフラッシュドライブのタイトルと同じである必要があります。これらの値をフラッシュドライブの情報パネル内の値と比較することもできます。ドライブアイコンを右クリックし、Get Info を選択します。
  2. diskutil unmountDisk コマンドを使用して、フラッシュドライブのファイルシステムボリュームをアンマウントします。
    $ diskutil unmountDisk /dev/disknumber
    					Unmount of all volumes on disknumber was successful
    これを実行すると、デスクトップからフラッシュドライブのアイコンが消えます。消えない場合は、間違ったディスクを指定した可能性があります。システムディスクを誤ってアンマウントしようとすると、failed to unmount エラーが発生します。
  3. dd コマンドを sudo コマンドのパラメーターとして使用し、ISO イメージをフラッシュドライブに書き込みます。
    $ sudo dd if=/path/to/image.iso of=/dev/rdisknumber bs=1m>
    注記
    Mac OS X は、各ストレージデバイスにブロック(/dev/disk*)とキャラクターデバイス(/dev/rdisk*)ファイルの両方を提供します。/dev/rdisk番号 キャラクターデバイスにイメージを書き込む方が、/dev/disk番号 ブロックデバイスよりも高速です。

    例3.1 ISO イメージのディスクへの書き込み

    /Users/user_name/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso ファイルを /dev/rdisk2 デバイスに書き込むには、以下を実行します。
    $ sudo dd if=/Users/user_name/Downloads/rhel-server-7-x86_64-boot.iso of=/dev/rdisk2
  4. コマンドが完了するまで待機します。進捗バーは表示されませんが、実行中の操作の状態を確認するには、ターミナルで Ctrl+t を押します。
    load: 1.02  cmd: dd 3668 uninterruptible 0.00u 1.91s
    112+0 records in
    111+0 records out
    116391936 bytes transferred in 114.834860 secs (1013559 bytes/sec)
  5. データ送信の速度は、USB ポートとフラッシュドライブの速度に依存します。プロンプトが再度表示されたら、データ転送が完了しています。これでフラッシュドライブを取り外すことができます。
これでフラッシュドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。AMD64 および Intel 64 のシステムの場合は7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動、IBM Power Systems サーバーの場合は12章IBM Power Systems でのインストールの起動をお読みください。

3.3. インストールソースの準備

2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロードで説明されているように、Red Hat Enterprise Linux には最小限の起動用イメージと完全インストール用イメージ (別名: バイナリー DVD) の 2 種類のメディアタイプがあります。バイナリー DVD をダウンロードしてから DVD-ROM または USB ドライブを作成した場合、このメディアにはシステムのインストールに必要なすべてのアイテムが含まれているため、直ちにインストールを開始することができます。
しかし、最小限の起動用イメージを使用してインストールする場合には、インストールソースを別途に設定する必要があります。最小限の起動用イメージには、システムを起動してインストールを開始するために必要なインストールプログラム自体しか含まれておらず、システムにインストールするソフトウェアパッケージは含まれていません。
このため、インストールソースとして完全インストール用の DVD ISO イメージを使用することができます。提供元が Red Hat 以外のソフトウェアを必要とする場合には、追加リポジトリーを設定して インストールの終了後 にインストールを行ってください。インストール済みシステムで追加の Yum リポジトリーを設定する方法は Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
インストールソースは以下のいずれでも構いません。
  • DVD: バイナリー DVD ISO イメージを DVD に書き込み、インストールプログラムがこのディスクからパッケージをインストールするように設定できます。
  • ハードドライブ: バイナリー DVD ISO イメージをハードドライブに配置し、そこからパッケージをインストールできます。
  • ネットワークの場所: バイナリー DVD ISO イメージまたは インストールツリー (バイナリー DVD ISO イメージから抽出したコンテンツ)をインストールシステムからアクセス可能なネットワーク上の場所にコピーし、以下のプロトコルを使用してネットワーク経由でインストールを実行できます。
    • NFS: バイナリー DVD ISO イメージは、ネットワークファイルシステム (NFS)共有に配置されます。
    • HTTPSHTTP、または FTP: インストールツリーは、HTTPHTTPS、または FTP 経由でアクセス可能なネットワーク上の場所に配置されます。
最小限の起動メディアから起動する場合は、追加のインストールソースを常に設定しておく必要があります。完全インストール用バイナリー DVD から起動する場合は、別のインストールソースを設定することも可能ですが、必要性はありません。バイナリー DVD ISO イメージ自体にシステムのインストールに必要なパッケージがすべて収納されているため、インストールプログラムはバイナリー DVD をソースとして自動的に認識します。
インストールソースは以下のいずれかの方法で指定します。
  • インストールプログラムのグラフィカルインターフェイス:グラフィカルインストールを開始して任意の言語を選択すると、インストールの 概要 画面が表示されます。インストールソース 画面に移動し、設定するソースを選択します。詳細は、次を参照してください。
  • 起動オプションを使って指定する: インストールプログラムが開始する前に、カスタムの起動オプションを使って指定することができます。以下のいずれかのオプションで使用するインストールソースを指定します。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」inst.repo= オプションを参照してください。
  • キックスタートファイルの使用:キックスタートファイルで install コマンドを使用し、インストールソースを指定できます。install キックスタートコマンドの詳細は 「キックスタートのコマンドとオプション」、キックスタートインストール全般の詳細は 27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

3.3.1. インストールソース - DVD

バイナリーの DVD ISO イメージを DVD に書き込み、起動は別のドライブから行い (USB フラッシュドライブにある最小限の起動用 ISO で起動)、パッケージのインストールはこのディスクから行うようインストールプログラムを設定することができます。この手順は、起動可能な光学メディアの作成と同じです。詳細はを 「インストール CD または DVD の作成」 参照してください。
DVD をインストールソースとして使用する場合、インストールの開始時に DVD がドライブに挿入されていることを確認してください。Anaconda インストールプログラムは、インストール開始後に挿入されたメディアを検出できません。

3.3.2. インストールソース - ハードドライブ

ハードドライブのインストールではバイナリーインストール DVD の ISO イメージを使用します。ハードドライブをインストールソースとして使用する場合は、バイナリー DVD ISO イメージをドライブに転送し、そのハードドライブをインストールするシステムに接続します。次に、Anaconda インストールプログラムを起動します。
USB フラッシュドライブを含め、インストールプログラムにアクセスできるハードドライブならいずれの種類のハードドライブでも構いません。ハードドライブ内でバイナリー ISO イメージを配置するディレクトリー、またイメージに付ける名前に制限はありません。ただし、ISO イメージをドライブのトップレベルのディレクトリーに配置させたときそのディレクトリーに複数のイメージが存在している場合、またはドライブのトップレベルのディレクトリーにイメージを配置しない場合には、使用するイメージを指定する必要があります。これは、起動オプション、キックスタートファイルのエントリー、またはグラフィカルインストール時に インストールソース 画面で手動で行うことができます。
ハードドライブをインストールソースとして使用する制限は、ハードドライブのバイナリー DVD ISO イメージが、Anaconda がマウントできるファイルシステムのパーティションに置く必要があることです。これらのファイルシステムは、xfsext2ext3ext4、および vfat (FAT32)です。Microsoft Windows システムでは、ハードドライブのフォーマットに使用されるデフォルトのファイルシステムが NTFS であり、exFAT ファイルシステムも利用できますが、いずれのファイルシステムもインストール時にマウントできません。Microsoft Windows でインストールソースとして使用するハードドライブまたは USB ドライブを作成する場合は、必ず FAT32 としてフォーマットしてください。
重要
FAT32 ファイルシステムは、4 GiB を超えるファイルをサポートしません。一部の Red Hat Enterprise Linux 7 インストールメディアでは、このサイズよりも大きい場合もあり、このファイルシステムでは、ドライブにメディアをコピーできません。
インストールソースにハードドライブや USB フラッシュドライブを使用する場合、インストールを開始する時点でシステムに接続されていることを確認してください。インストール開始後に挿入されたメディアはインストールプログラムでは検出されません。

3.3.3. インストールソース - ネットワーク

インストールソースをネットワーク上に配置することで、物理インストールメディアを挿入したり取り出したりする必要なく、1 つのインストールソースから複数のシステムへのインストールを行うことができるようになります。ネットワークベースのインストールは、特にネットワークからのインストールプログラムの起動も可能な TFTP サーバーと併用する場合に便利です。この方法を使用すると、物理メディアを一切作成する必要がなくなるので、同時に複数のシステムに Red Hat Enterprise Linux を簡単にデプロイできます。TFTP サーバーの設定に関する詳細情報は、24章ネットワークからのインストールの準備 を参照してください。
3.3.3.1. NFS サーバーへのインストールソースの配置
NFS インストール方法では、ネットワークファイル システムサーバーの エクスポートされたディレクトリー に配置された Red Hat Enterprise Linux バイナリー DVD の ISO イメージを使用します。このディレクトリー は、インストールシステムが読み取りできる必要があります。NFS ベースのインストールを実行する場合は、NFS ホストとして動作する別のシステムを用意する必要があります。
NFS サーバーの詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドを参照してください。
以下の手順は基本的な概要のみを説明しています。実際の NFS サーバーの設定手順はシステムのアーキテクチャー、オペレーティングシステム、パッケージマネージャー、サービスマネージャー、およびその他の各要素によって異なります。Red Hat Enterprise Linux 7 システムの場合、手順は記載されている手順と全く同じになります。Red Hat Enterprise Linux の旧リリースでインストールソースを作成する方法については、該当するリリースの『インストールガイド』を参照してください。

手順3.4 NFS を使用したインストールの準備

  1. root で以下のコマンドを実行して、nfs-utils パッケージをインストールします。
    # yum install nfs-utils
  2. 完全な Red Hat Enterprise Linux 7 バイナリー DVD ISO イメージを、NFS サーバーの適切なディレクトリーにコピーします。たとえば、この目的のディレクトリー /rhel7-install/ を作成し、ここに ISO イメージを保存できます。
  3. テキストエディターで /etc/exports ファイルを開き、以下の構文の行を追加します。
    /exported_directory/ clients
    /exported_directory/ を ISO イメージが格納されているディレクトリーの完全パスで置き換えます。クライアント の代わりに、この NFS サーバーからインストールするコンピューターのホスト名または IP アドレス、すべてのコンピューターが ISO イメージにアクセスできるサブネットワーク、または NFS サーバーへのネットワークアクセスのあるコンピューターが ISO イメージを使用できるようにする場合はアスタリスク記号(*)を使用します。このフィールドの形式に関する詳細は、man ページの exports (5) を参照してください。
    以下は、/rhel7-install/ ディレクトリーを、すべてのクライアントに対して読み取り専用として使用できるようにする基本設定です。
    /rhel7-install *
  4. 設定が完了したら、/etc/exports ファイルを保存してテキストエディターを終了します。
  5. nfs サービスを起動します。
    # systemctl start nfs.service
    /etc/exports ファイルを変更する前にサービスがすでに実行されていた場合は、代わりに次のコマンドを実行して、実行中の NFS サーバーが設定を再読み込みするようにします。
    # systemctl reload nfs.service
上記の手順を完了すると、NFS 経由で ISO イメージにアクセスでき、インストールソースとして使用できるようになります。
インストール前またはインストール中にインストールソースを設定する場合は、nfs: プロトコル、サーバーのホスト名または IP アドレス、コロン記号(:)、および ISO イメージを保持するディレクトリーを使用します。たとえば、サーバーのホスト名が myserver.example.com で、ISO イメージを /rhel7-install/ に保存している場合は、インストールソースとして nfs:myserver.example.com:/rhel7-install/ を指定します。
3.3.3.2. HTTP、HTTPS、または FTP サーバーへのインストールソースの配置
このインストール方法では、インストールツリー(バイナリー DVD ISO イメージから抽出したコンテンツと有効な .treeinfo ファイルを含むディレクトリー)を使用したネットワークベースのインストールが可能になります。インストールソースには、HTTPHTTPS、または FTP 経由でアクセスします。
HTTP サーバーおよび FTP サーバーの詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。
以下の手順は基本的な概要のみを説明しています。実際の FTP サーバーの設定手順はシステムのアーキテクチャー、オペレーティングシステム、パッケージマネージャー、サービスマネージャーおよびその他の各要素によって異なります。Red Hat Enterprise Linux 7 システムの場合、手順は記載されている手順と全く同じになります。Red Hat Enterprise Linux の旧リリースでインストールソースを作成する方法については、該当するリリースの『インストールガイド』を参照してください。

手順3.5 HTTP または HTTPS を使用したインストールの準備

  1. root で以下のコマンドを実行して、httpd パッケージをインストールします。
    # yum install httpd
    HTTPS サーバーには追加の設定が必要です。詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドのSSL サーバーのセットアップセクションを参照してください。ただし、ほとんどのケースでは HTTPS は必要ありません。これは、インストールソースとインストーラー間で機密データは送信されず、HTTP で十分です。
    警告
    Apache Web サーバー設定で SSL セキュリティーが有効になっている場合は、TLSv1 プロトコルのみを有効にし、SSLv2 および SSLv3 を無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳しくは https://access.redhat.com/solutions/1232413 を参照してください。
    重要
    HTTPS を使用し、サーバーが自己署名証明書を使用している場合は、noverifyssl オプションを指定してインストーラーを起動する必要があります。
  2. 完全な Red Hat Enterprise Linux 7 バイナリー DVD ISO イメージを HTTP(S) サーバーにコピーします。
  3. mount コマンドを使用してバイナリー DVD ISO イメージを適切なディレクトリーに マウント します。
    # mount -o loop,ro -t iso9660 /image_directory/image.iso /mount_point/
    ここでは /image_directory/image.iso をバイナリー DVD ISO イメージに、/mount_point/ を ISO イメージのコンテンツを表示するディレクトリーへのパスに置き換えます。たとえば、/mnt/rhel7-install/ ディレクトリーを作成し、これを mount コマンドのパラメーターとして使用できます。
  4. マウントされたイメージから HTTP サーバーのルートにファイルをコピーします。
    # cp -r /mnt/rhel7-install/ /var/www/html/
    このコマンドにより、イメージのコンテンツが格納された /var/www/html/rhel7-install/ ディレクトリーが作成されます。
  5. httpd サービスを起動します。
    # systemctl start httpd.service
上記の手順を完了すると、インストールツリーへのアクセスが可能になり、インストールソースとして使用できるようになります。
インストール前またはインストール中にインストールソースを設定する場合は、http:/ / または https:// をプロトコル、サーバーのホスト名または IP アドレス、および ISO イメージからのファイルを保存したディレクトリー(HTTP サーバーのルートとの関連)を使用します。たとえば、HTTP を使用し、サーバーのホスト名が myserver.example.com で、イメージのファイルが /var/www/html/rhel7-install/ にコピーされている場合は、http://myserver.example.com/rhel7-install/ をインストールソースとして指定します。

手順3.6 FTP を使用したインストールの準備

  1. root で以下のコマンドを実行して、vsftpd パッケージをインストールします。
    # yum install vsftpd
  2. 必要に応じて、テキストエディターで /etc/vsftpd/vsftpd.conf 設定ファイルを開き、変更するオプションを編集します。利用可能なオプションは、vsftpd.conf (5) の man ページを参照してください。この手順の残りの部分では、デフォルトのオプションを使用していると仮定しています。この手順を行う場合は、FTP サーバーの匿名ユーザーにファイルのダウンロードを許可しておく必要があります。
    警告
    vsftpd.conf ファイルで SSL/TLS セキュリティーを設定している場合は、TLSv1 プロトコルのみを有効にし、SSLv2 および SSLv3 を無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳しくは https://access.redhat.com/solutions/1234773 を参照してください。
  3. 完全な Red Hat Enterprise Linux 7 バイナリー DVD ISO イメージを FTP サーバーにコピーします。
  4. mount コマンドを使用してバイナリー DVD ISO イメージを適切なディレクトリーに マウント します。
    # mount -o loop,ro -t iso9660 /image_directory/image.iso /mount_point
    ここでは /image_directory/image.iso はバイナリー DVD ISO イメージに、/mount_point は ISO イメージのコンテンツを表示するディレクトリーへのパスに置き換えます。たとえば、/mnt/rhel7-install/ ディレクトリーを作成し、これを mount コマンドのパラメーターとして使用できます。
  5. マウントされたイメージから、FTP サーバーのルートにファイルをコピーします。
    # cp -r /mnt/rhel7-install/ /var/ftp/
    このコマンドにより、イメージのコンテンツが格納された /var/ftp/rhel7-install/ ディレクトリーが作成されます。
  6. vsftpd サービスを開始します。
    # systemctl start vsftpd.service
    /etc/vsftpd/vsftpd.conf ファイルを変更する前にサービスがすでに実行されていた場合は、サービスを再起動して編集したファイルが読み込まれます。再起動する場合は、次のコマンドを使用します。
    # systemctl restart vsftpd.service
上記の手順を完了すると、インストールツリーへのアクセスが可能になり、インストールソースとして使用できるようになります。
インストール前またはインストール中にインストールソースを設定する場合は、ftp:// をプロトコル、サーバーのホスト名または IP アドレス、ISO イメージからのファイルを保存したディレクトリー(FTP サーバーのルートと相対的)を使用します。たとえば、サーバーのホスト名が myserver.example.com で、イメージからファイルを /var/ftp/rhel7-install/ にコピーした場合、ftp://myserver.example.com/rhel7-install/ をインストールソースとして指定します。
3.3.3.3. ネットワークベースのインストールを行う場合のファイアウォール設定の事項
ネットワークベースのインストールソースを使用する場合、インストール先のサーバーがリモートのインストールソースにアクセスできるようにファイアウォールを設定してください。以下の表では、ネットワークベースのインストールのタイプごとに、開く必要のあるポートを示します。
表3.1 ネットワークプロトコルが使用するポート
使用プロトコル 開放するポート
FTP 21
HTTP 80
HTTPS 443
NFS 2049, 111, 20048
TFTP 69
特定のファイアウォールポートを開く方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

パート I. AMD64、Intel 64、および ARM 64 - インストールと起動

Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のこのパートでは、64 ビット AMD、Intel および ARM システムへの Red Hat Enterprise Linux 7 のインストールと、基本的なトラブルシューティングについて説明します。高度なインストールオプションは、パートIV「高度なインストールオプション」 を参照してください。

第4章 クイックインストールガイド

4.1. 対話型インストール

このセクションは、インストール用 USB ドライブを作成してそこから起動した後に Red Hat Enterprise Linux をインストールして登録する簡単な手順について説明します。
前提条件: インストール USB ドライブを作成して、起動します。詳細は、次を参照してください。
インストール USB ドライブを起動したら、以下を実行します。
  1. 起動メニューで Install Red Hat Enterprise Linux を選択し、Enter を押します。
  2. Anaconda の後に、Red Hat Enterprise Linux インストーラーが起動し、言語およびリージョンを選択し、Continue をクリックします。
  3. インストールの概要 は、設定オプションを設定する中央画面です。
    個別のオプションは、好きな順序で表示して修正できます。ある設定オプションが自動で適切に設定されている場合は、なにもする必要はありません。アイテムに感嘆符が付いている場合は、インストール開始前にこれらの設定を完了する必要があります。
    注記
    インストールの開始 ボタンをクリックすると、ディスクには書き込まれません。
  4. Date & Time を選択します。
    1. ご自分の地域とタイムゾーン内で一番近い都市を選択します。
    2. 完了 をクリックしインストールの概要 に戻ります。
  5. キーボードレイアウト を 選択し ます。
    1. + ボタンおよび - ボタンを使用してキーボードレイアウトを追加および削除します。
    2. 複数のキーボードレイアウトを有効にする場合は、必要に応じてレイアウトをリストの一番上に移動し、デフォルトとして設定します。
    3. 完了 をクリックしインストールの概要 に戻ります。
  6. Installation Destination を選択します。
    1. ターゲットディスクを選択します。選択したターゲットの横にチェックマークが表示されます。
      選択したディスクは自動でパーティション設定されます。
    2. 完了 をクリックしインストールの概要 に戻ります。
  7. Network および Hostname を選択します。
    1. 右上にある Ethernet スライディングスイッチをクリックして、ネットワーク設定を有効にします。
    2. 必要に応じて、デバイスを選択し、Configure をクリックしてネットワークインターフェイス設定を更新します。
    3. 完了 をクリックしインストールの概要 に戻ります。
    注記
    Anaconda は、ネットワーク設定を即座に適用します。これは、セットアップ中とインストール後に使用されます。
  8. インストールの概要 画面で インストール の開始 を クリック します。
  9. インストールが開始され、設定 画面が表示されます。
    インストール中に以下の手順を実行します。
    1. Root パスワード を選択します。
      1. root ユーザーのパスワードを入力し、確認します。
      2. 完了 をクリックし設定 画面に戻ります。
    2. User Creation を選択します。
      1. ユーザーのフルネームを入力します。
      2. オプションで、自動生成されたユーザー名を更新します。
      3. パスワードを設定して、確認します。
      4. 必要に応じて、Make this user administrator のチェックボックスにチェックを入れます。これにより、ユーザーが wheel グループに追加され、このアカウントが追加設定なしで sudo を使用できるようになります。
      5. 完了 をクリックし設定 画面に戻ります。
    3. インストールが完了するまで待ってから、Reboot をクリックします。
  10. インストール済みシステムが起動したら、以下の手順を実行します。
    • Server with GUI ベース環境を使用してサーバーをインストールした場合は、初期設定 アプリケーションが 自動的に起動します。
      1. ライセンス同意書に同意します。
      2. システムを登録します。
      詳細は 30章初期設定 (Initial Setup) を参照してください。
    • インストール中にその他のベース環境を選択した場合は、以下を実行します。
      1. root ユーザーとしてシステムにログインします。
      2. システムを登録し、サブスクリプションを自動的にアタッチします。
        # subscription-manager register --auto-attach \
        --username=user_name --password=password

4.2. 自動インストール

本セクションでは、インストール USB ドライブにキックスタートファイルを追加して、Red Hat Enterprise Linux を自動でインストールして登録する方法について説明します。以下の手順を使用すると、複数のマシンに Red Hat Enterprise Linux をデプロイできます。
USB 起動メディアの生成
  1. キックスタートファイルにインストールを記録します。
    1. Red Hat Enterprise Linux を手動で一度インストールします。詳細は 「対話型インストール」 を参照してください。
    2. インストールされたシステムを起動します。インストール時に、Anaconda/root/anaconda-ks.cfg ファイルの設定を含むキックスタートファイルを作成しました。
  2. Red Hat Enterprise Linux インストール DVD ISO ファイルを /tmp/ ディレクトリーにダウンロードします。
  3. インストール ISO ファイルを /mnt/ ディレクトリーにマウントします。以下に例を示します。
    # mount -o loop /tmp/rhel-server-7.3-x86_64-dvd.iso /mnt/
  4. 作業ディレクトリーを作成し、そのディレクトリーに DVD コンテンツをコピーします。以下に例を示します。
    # mkdir /root/rhel-install/
    # shopt -s dotglob
    # cp -avRf /mnt/* /root/rhel-install/
  5. ISO ファイルをアンマウントします。
    # umount /mnt/
  6. インストール中に生成されたキックスタートファイルを作業ディレクトリーにコピーします。
    # cp /root/anaconda-ks.cfg /root/rhel-install/
  7. インストール後に Red Hat Enterprise Linux を自動的に登録し、サブスクリプションをアタッチするには、以下を /root/rhel-install/anaconda-ks.cfg ファイルに追加します。
    %post
    subscription-manager register --auto-attach --username=user_name --password=password
    %end
  8. インストール DVD ボリューム名を表示させます。
    # isoinfo -d -i rhel-server-7.3-x86_64-dvd.iso | grep "Volume id" | \
    sed -e 's/Volume id: //' -e 's/ /\\x20/g'
    RHEL-7.3\x20Server.x86_64
  9. キックスタートファイルを使用するブート /root/rhel-install/isolinux/isolinux.cfg ファイルに新しいメニューエントリーを追加します。以下に例を示します。
    #######################################
    label kickstart
    menu label ^Kickstart Installation of RHEL7.3
    kernel vmlinuz
    
    append initrd=initrd.img inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64 inst.ks=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64:/anaconda-ks.cfg
    #######################################
    注記
    inst.stage2=hd:LABEL= オプションおよび inst.ks=hd:LABEL= オプションは、直前の手順で取得した DVD ボリューム名に設定します。
  10. 作業ディレクトリーから /root/rhel-ks.iso ファイルを作成する前に、USB UEFI ブートまたは CDROM UEFI ブート に対して以下の手順を実行します。
    • USB UEFI boot については、以下の手順に従います。
      1. ボリュームをマウントします。
        # mount /root/rhel-install/images/efiboot.img /mnt/
      2. /mnt/EFI/BOOT/grub.cfg ファイルを編集します。
      3. 新しいメニューエントリーを追加します。
        #######################################
        'Kickstart Installation of RHEL-7.3' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os {
                linuxefi /images/pxeboot/vmlinuz inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64 inst.ks=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64:/anaconda-ks.cfg
                initrdefi /images/pxeboot/initrd.img
        }
        #######################################
      4. ボリュームをアンマウントします。
         # umount /mnt
    • CDROM UEFI boot については、以下の手順に従います。
      1. /root/rhel-install/EFI/BOOT/grub.cfg ファイルを編集します。
      2. 新しいメニューエントリーをファイルに追加します。
        #######################################
        'Kickstart Installation of RHEL-7.3' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os {
                linuxefi /images/pxeboot/vmlinuz inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64 inst.ks=hd:LABEL=RHEL-7.3\x20Server.x86_64:/anaconda-ks.cfg
                initrdefi /images/pxeboot/initrd.img
        }
        #######################################
  11. 作業ディレクトリーから /root/rhel-ks.iso ファイルを作成します。
    # mkisofs -untranslated-filenames -volid "RHEL-7.3 Server.x86_64" -J -joliet-long -rational-rock -translation-table -input-charset utf-8 -b isolinux/isolinux.bin -c isolinux/boot.cat -no-emul-boot -boot-load-size 4 -boot-info-table -eltorito-alt-boot -e images/efiboot.img -no-emul-boot -o /root/rhel-ks.iso -graft-points /root/rhel-install/
    注記
    -V オプションを、前のステップで取得した DVD ボリューム名に設定し、文字列の \x20 をスペースに置き換えます。
  12. mkisofs コマンドで作成した ISO イメージをブート可能にします。
    # isohybrid --uefi /root/rhel-ks.iso
  13. インストール USB ドライブを作成します。詳細は 「Linux での USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
キックスタートファイルを使用した Red Hat Enterprise Linux のインストール
  1. インストール USB ドライブを起動します。7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動 を参照してください。
  2. 「自動インストール」 で作成したキックスタート設定でエントリーを選択します。

第5章 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムへのインストールプラン

本章では、インストールする上で決定しておく必要のある各種の事項について説明しています。

5.1. アップグレードまたはインストールの選択

現在のシステムを Red Hat Enterprise Linux の次のメジャーバージョンにアップグレードする方法は 2 通りあります。以下の説明をよくお読みの上、ご使用のシステムに適した方法をご利用ください。
クリーンインストール
クリーンインストールとは、システムの全データのバックアップ、ディスクパーティションのフォーマット化、インストールメディアからの Red Hat Enterprise Linux のインストール、最後にユーザーのデータ復元の順で行う方法です。
注記
これは、Red Hat Enterprise Linux のメジャーバージョン間でアップグレードを行う場合は、この方法を推奨しています。
インプレースアップグレード
インプレースアップグレードとは、旧バージョンを残したままシステムをアップグレードする方法です。ご使用のシステムで使用できる移行ユーティリティーをインストールして、他のソフトウェアと同様に稼働させておく必要があります。Red Hat Enterprise Linux では、Preupgrade Assistant は現在のシステムを評価し、アップグレード中またはアップグレード後に発生する可能性のある問題を特定します。また、システムに対し若干の修正および変更も行われます。Red Hat Upgrade Tool ユーティリティーはパッケージをダウンロードし、実際のアップグレードを実行します。インプレースアップグレードにはかなりのトラブルシューティングやプラニングが必要になるため、ほかに選択がない場合に限り使用するようにしてください。Preupgrade Assistant の詳細は、29章現在のシステムのアップグレード を参照してください。
警告
システムのクローンとなるバックアップコピーでのテストを行わないまま実稼働中のシステムにインプレースアップグレードを適用することは絶対に避けてください。

5.2. ハードウェアの互換性について

Red Hat Enterprise Linux 7 は、過去 2 年以内に出荷された大半のハードウェアと互換性があります。ハードウェアの互換性は、古いシステムをお使いの場合やシステムをカスタマイズした場合にとりわけ重要になります。ハードウェアの仕様はほぼ毎日変更されるため、すべてのシステムの互換性を確認することが推奨されます。
対応しているハードウェアの最新一覧は、https://access.redhat.com/ecosystem/search/#/category/Server にある 『Red Hat Hardware Compatibility List』 で確認できます。システム要件の一般的な情報については、Red Hat Enterprise Linux テクノロジーの機能と制限も参照してください。

5.3. インストール先として対応しているターゲット

インストールターゲットは、Red Hat Enterprise Linux を格納し、システムを起動するストレージデバイスです。Red Hat Enterprise Linux は、AMD、Intel および ARM のシステムの以下のインストールターゲットに対応しています。
  • SCSI、SATA、SAS などの標準的な内部インターフェイスで接続するストレージ
  • BIOS/ファームウェアの RAID デバイス
  • nd_pmem ドライバーで対応している Intel64 および AMD64 アーキテクチャー上のセクターモードの NVDIMM デバイス。
  • ファイバーチャネルのホストバスアダプターおよびマルチパスのデバイス。製造元が提供しているドライバーが必要な場合があります。
  • Xen 仮想マシンの Intel のプロセッサーの Xen ブロックデバイス
  • KVM 仮想マシンの Intel のプロセッサーの VirtIO ブロックデバイス
Red Hat では USB ドライブや SD メモリーカードへのインストールはサポートしていません。サードパーティーによる仮想化技術のサポートについては、https://hardware.redhat.com でオンラインの『Red Hat Hardware Compatibility List』 (Red Hat ハードウェア互換性一覧) を参照してください。

5.4. システム仕様一覧

インストールプログラムは自動的にコンピューターのハードウェアを検出してインストールするため、通常はシステムに関する詳細を入力する必要はありません。ただし、特定のタイプのインストールを実行する際には、ハードウェアの詳細を把握しておくことが重要です。このため、インストールのタイプにより、インストールに備えて以下のようなシステムの仕様を記録しておくことをお勧めします。
  • パーティションのレイアウトをカスタマイズする予定の場合は、以下の詳細をメモしておきます。
    • システムに接続されているハードドライブのモデル番号、サイズ、種類、およびインタフェース。たとえば、SATA0 上には Seagate 製 ST3320613AS (320 GB)、SATA1 上には Western Digital WD7500AAKS (750 GB) です。こうすることで、パーティション設定の段階で該当するハードドライブが識別できるようになります。
  • Red Hat Enterprise Linux を既存のシステム上に追加のオペレーティングシステムとしてインストールしている場合は、以下を記録しておきます。
    • システムで使用するパーティションについての情報。これには、ファイルシステムのタイプ、デバイスのノード名、ファイルシステムのラベル、およびサイズが含まれます。これにより、パーティション設定のプロセス中に特定のパーティションを識別できるようになります。オペレーティングシステムによってパーティションとドライブの特定方法は異なることから、別のオペレーティングシステムが Unix であったとしても、Red Hat Enterprise Linux は異なるデバイス名でレポートする可能性があることに留意してください。この情報は、通常 mount コマンドおよび blkid コマンドを実行して確認でき、/etc/fstab ファイルにあります。
      すでに他のオペレーティングシステムをインストールしている場合、Red Hat Enterprise Linux 7 のインストールプログラムはそのオペレーティングシステムを自動検出して起動するよう設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
  • ローカルのハードドライブ上にあるイメージからのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • 該当のイメージを格納しているハードドライブとディレクトリー
  • ネットワーク上の場所からのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • システム上のネットワークアダプターの製造元とモデル番号 (たとえば、Netgear 社製の GA311 など)。ネットワークを手動で設定する場合にアダプターを特定できるようになります。
    • IP、DHCP、および BOOTP のアドレス
    • ネットマスク
    • ゲートウェイの IP アドレス
    • 1 つ以上のネームサーバーの IP アドレス (DNS)
    • FTP サーバー、HTTP (web) サーバー、HTTPS (web) サーバー、または NFS サーバー上にあるインストールソースの場所
    上記のネットワークに関する要件や用語が不明な場合は、ネットワーク管理者にお問い合わせください。
  • iSCSI ターゲットにインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • iSCSI ターゲットの場所ネットワークによっては、CHAP ユーザー名とパスワードと、リバース CHAP ユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。
  • 使用コンピューターがドメインの一部である場合は、以下をメモしておきます。
    • ドメイン名が DHCP サーバーにより提供されることを確認してください。提供されない場合は、インストール中にドメイン名を手動で入力する必要があります。

5.5. ディスク領域およびメモリーに関する要件

Red Hat Enterprise Linux など、最近のオペレーティングシステムは ディスクパーティション を使用します。Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、ディスクパーティションを操作する必要がある場合があります。詳細は、付録A ディスクパーティションの概要 を参照してください。
お使いのシステム上に別のオペレーティングシステムがインストールされている場合は、そのオペレーティングシステムが使用するディスク領域は、 Red Hat Enterprise Linux が使用するものとは別にする必要があります。
注記
AMD64/Intel 64 および ARM システムの場合は、少なくとも 2 つのパーティション(/ および swap)を Red Hat Enterprise Linux 専用にする必要があります。
Red Hat Enterprise Linux をインストールするには、パーティションが分割されていないディスク領域か、削除できるパーティション内に、最低 10 GiB の容量が必要です。パーティションおよびディスク領域の推奨事項については、「推奨されるパーティション設定スキーム」 で説明している推奨のパーティション設定サイズを参照してください。
Red Hat Enterprise Linux には、少なくとも以下のメモリー容量が必要です。
インストールタイプ 必要最小限の RAM サイズ
ローカルメディアによるインストール (USB, DVD) 768 MiB
NFS ネットワークインストール 768 MiB
HTTP、HTTPS、または FTP ネットワークインストール 1.5 GiB
注記
本セクションに記載した値より少ないメモリーでも、インストールを実施することは可能です。ただし、正確な要件は、環境や実際のインストールパスに大きく依存し、新しいリリースごとでも変わります。したがって、特定のユースケースに必要な最小限の RAM を正確に把握するためには、さまざまな設定でテストを行い、新しいリリースごとに定期的に再テストする必要があります。
キックスタートファイルを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合には、手動インストールと同じ最小メモリー要件があります。ただし、使用するキックスタートファイルで、新たなメモリーを必要とするコマンドやデータを RAM ディスクに書き込むコマンドを実行する場合は、追加の RAM が必要になることもあります。
Red Hat Enterprise Linux 7 の最小要件および技術的制限については、Red Hat カスタマーポータルのRed Hat Enterprise Linux technology capabilities and limitsの記事を参照してください。

5.6. RAID と他のディスクデバイス

Red Hat Enterprise Linux の使用時に、特別な注意を必要とするストレージ技術があります。一般的には、こうした技術の設定方法、Red Hat Enterprise Linux からの可視性、またこのストレージ技術に対するサポートのメジャーバージョン間での変更などを理解することが重要になります。

5.6.1. ハードウェア RAID

RAID (Redundant Array of Independent Disks) を使用すると、複数のドライブで設定される 1 つのグループまたはアレイを単一のデバイスとして動作させることができます。インストールを開始する前に、コンピューターのメインボードで提供される RAID 機能をすべて設定するか、またはコントローラーカードを接続しておいてください。アクティブな RAID アレイは、それぞれ Red Hat Enterprise Linux 内で 1 つのドライブとして表示されます。

5.6.2. ソフトウェア RAID

システムに複数のハードドライブが搭載されている場合は、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを使用して、複数のドライブを 1 つの Linux ソフトウェア RAID アレイとして動作させることができます。ソフトウェア RAID アレイを使用すると、RAID 機能は専用のハードウェアではなく、オペレーティングシステムによって制御されることになります。機能の詳細は「手動パーティション設定」で説明しています。
注記
以前から存在している RAID アレイのメンバーデバイスがすべてパーティション設定されていないディスクまたはドライブの場合、インストーラーはアレイ自体をディスクとして扱い、アレイを削除する方法は提供しません。

5.6.3. USB ディスク

インストール後に外付け USB ストレージを接続して設定できます。こうしたデバイスのほとんどはカーネルでの認識後に使用できるようになります。
一部の USB ドライブはインストールプログラムで認識されないことがあります。インストール時にこのような USB ドライブの設定がどうしても必要な場合以外、問題が発生するのを避けるため取り外しておいてください。

5.6.4. NVDIMM デバイス

不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスをストレージとして使用するには、次の条件を満たす必要があります。
  • Red Hat Enterprise Linux のバージョンが 7.6 以降である。
  • システムのアーキテクチャーが Intel 64 または AMD64 である。
  • デバイスが、セクターモードに設定されている。Anaconda で、NVDIMM デバイスをこのモードに再設定できます。
  • nd_pmem ドライバーがデバイスをサポートしている。
さらに以下の条件が満たされる場合には、NVDIMM デバイスからの起動が可能です。
  • システムが UEFI を使用している。
  • システムで使用可能なファームウェアまたは UEFI ドライバーがデバイスをサポートしている。UEFI ドライバーは、デバイス自体のオプション ROM から読み込むことができます。
  • デバイスが名前空間で利用可能である。
ブート中に高性能な NVDIMM デバイスを利用するには、/boot ディレクトリーおよび /boot /efi ディレクトリーをデバイスに配置します。詳細は、「手動パーティション設定」 を参照してください。起動時には NVDIMM デバイスの Execute-in-place (XIP) 機能はサポートされません。カーネルは従来どおりメモリーに読み込まれる点に注意してください。

5.6.5. Intel の BIOS RAID に関する注意点

Red Hat Enterprise Linux 7 は、Intel BIOS RAID セットへのインストールに mdraid を使用します。BIOS RAID セットは起動プロセスで自動検出されるため、デバイスノードパスが起動するたびに変わる可能性があります。このため、/etc/fstab/etc/crypttab、またはデバイスノードパスでデバイスを参照するその他の設定ファイルにローカルな変更を加えると、Red Hat Enterprise Linux 7 では機能しない可能性があります。したがって、デバイスノードパス( /dev/sdaなど)を、ファイルシステムのラベルまたはデバイスの UUID に置き換える必要があります。ファイルシステムラベルとデバイスの UUID は、blkid コマンドを使用すると確認できます。

5.6.6. Intel BIOS iSCSI Remote Boot に関する注意点

Intel iSCSI Remote Boot を使用してインストールする場合は、接続されているすべての iSCSI ストレージデバイスを無効にする必要があります。無効にしないとインストールは成功しますが、インストールしたシステムが起動しなくなります。

5.7. インストーラーの起動方法の選択

各種方法で、Red Hat Enterprise Linux 7 インストールプログラムを起動できます。インストールメディアにより選択する方法が異なります。
DVD や USB フラッシュドライブなどのリムーバブルメディアからの起動を可能にするため、ご使用のシステムのファームウェア (UEFI の BIOS) の設定を変更する必要がある可能性があります。詳細は 「物理メディアからの起動」 を参照してください。
注記
インストールメディアは、キックスタートファイルの %post セクションの実行時になど、インストール全体で引き続きマウントされる必要があります。
完全インストール DVD または USB ドライブ
完全インストール DVD または ISO イメージから起動メディアを作成できます。この場合には、DVD または USB ドライブ は、起動デバイスとソフトウェアパッケージのインストールソース両方のロールを果たすため、このドライブ 1 つでインストールをすべて完了できます。完全インストール向けに DVD または USB ドライブの作成方法については3章メディアの作成を参照してください。
最小限の起動 CD、DVD または USB フラッシュドライブ
最小限のブート CD、DVD、または USB フラッシュドライブは、システムの起動とインストールの開始に必要なデータだけが含まれる、小さい ISO イメージを使用して作成されます。この起動メディアを使用する場合には、パッケージをインストールする追加のインストールソースが必要になります。ブート CD、DVD、および USB フラッシュドライブを作成する方法は、「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
PXE サーバー
PXE (preboot execution environment) サーバーを使用すると、インストールプログラムをネットワーク経由で起動させることができます。システムを起動したら、ローカルのハードドライブやネットワーク上の場所など、別途用意したインストールソースを使ってインストールを完了させます。PXE サーバーの詳細は24章ネットワークからのインストールの準備を参照してください。

5.8. キックスタートを使用したインストールの自動化

Red Hat Enterprise Linux 7 では、キックスタートファイル を使用してインストールプロセスを部分的または完全に自動化する方法を提供します。キックスタートファイルには、システムで使用するタイムゾーン、ドライブのパーティション設定、インストールするパッケージなど、通常、インストールプログラムで入力が求められる質問すべてに対する答えが含まれています。このため、インストール開始時にキックスタートファイルが用意されていると、ユーザーによる作業をを必要とせずに、すべてまたは一部を自動インストールできるようになります。これは、Red Hat Enterprise Linux を多数のシステムに一度にデプロイする場合などに特に便利です。
インストールを自動化する以外にも、キックスタートファイルを使用すると、ソフトウェア選択の幅を広げることができます。グラフィカルインストールインターフェイスで Red Hat Enterprise Linux を手動でインストールする場合には、ソフトウェアの選択肢は、事前定義されている環境とアドオンに限定されます。キックスタートファイルを使用すると、パッケージを個別にインストールしたり、除外したりできます。
キックスタートファイルを作成してインストールを自動化する方法は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

5.9. UEFI セキュアブートによるベータリリースの使用

注記
本セクションでは、Red Hat Enterprise Linux 7 のベータリリースについてのみ 説明します。
UEFI セキュアブートのテクノロジーでは、オペレーティングシステムのカーネルが起動可能となるには、認識済みの秘密鍵で署名されている必要があります。Red Hat Enterprise Linux 7 のベータリリースではすべて、カーネルは Red Hat Beta 固有の秘密鍵で署名されています。これはベータ以外の一般公開リリースのカーネル署名に使用されている一般的な Red Hat 鍵とは異なるものです。
ベータの秘密鍵はハードウェアが認識しない可能性が高いので、Red Hat Enterprise Linux 7 のベータリリースが起動できないことになります。UEFI セキュアブートを有効にしてベータリリースを使用するには、Machine Owner Key (MOK) 機能を使用してシステムに Red Hat ベータ公開鍵を追加する必要があります。
Red Hat ベータの鍵は以下の手順でシステムに追加します。

手順5.1 UEFI セキュアブート用のカスタム秘密鍵の追加

  1. まず、システムで UEFI セキュアブートを無効にし、通常どおりに Red Hat Enterprise Linux 7 をインストールします。
  2. インストールが完了したら、システムを再起動します。セキュアブートはこの時点ではまだ無効にしていてください。システムを再起動してログインし、該当する場合は 30章初期設定 (Initial Setup) に記載どおりに、初期設定画面に移動します。
  3. 初回起動が完了して初期設定を行った後に、まだインストールされていない場合は kernel-doc パッケージをインストールします。
    # yum install kernel-doc
    このパッケージは、/usr/share/doc/kernel-keys/ kernel-version /kernel-signing-ca.cer にある Red Hat CA 公開鍵を含む証明書ファイルを提供します。kernel-version は、プラットフォームアーキテクチャーの接尾辞のないカーネルバージョンの文字列です(例: 3.10.0-686.el7 )。
  4. 以下のコマンドを実行し、公開鍵をシステムの Machine Owner Key (MOK) リストに登録します。
    # kr=$(uname -r)
    # mokutil --import /usr/share/doc/kernel-keys/${kr%.$(uname -p)}/kernel-signing-ca.cer
    プロンプトが表示されたら、任意のパスワードを入力します。
    注記
    パスワードは忘れないようにしてください。この手順の完了に必要となる上、インポートされた鍵が不要になった場合に、その削除に必要となります。
  5. もう一度システムを再起動します。起動中に、保留となっていた鍵の登録要求を完了させるかどうか聞かれます。yes を選択し、前の手順で mokutil コマンドを使用して設定したパスワードを入力します。パスワードを入力するとシステムがもう一度再起動し、鍵がシステムのファームウェアにインポートされます。今回の再起動またはこれ以降の再起動時に、セキュアブートを有効にできます。
警告
インポートしたベータ公開鍵が不要になったら、これを削除します。
最新 (一般公開) リリースの Red Hat Enterprise Linux 7 または異なるオペレーティングシステムをインストールする場合は、インポートした鍵を削除してください。この公開鍵をインポートした だけ の場合は、以下のコマンドで MOK をリセットできます。
# mokutil --reset
次回の再起動後に、ファームウェアにより削除の確認および鍵のインポート時に作成したパスワードが求められます。正しいパスワードを入力すると MOK から鍵が削除され、システムは元の状態に復元されます。

第6章 AMD64 および Intel 64 システムへのインストール中におけるドライバー更新

ほとんどの場合、Red Hat Enterprise Linux にはシステムを設定するデバイスのドライバーがすでに含まれています。しかし、かなり最近にリリースされたハードウェアが搭載されている場合、そのハードウェア用のドライバーはまだ含まれていない可能性があります。新しいデバイスのサポートを提供するドライバー更新は Red Hat やハードウェアの製造元から、RPM パッケージ が含まれる ドライバーディスク の形で入手することができる場合があります。通常、ドライバーディスクは ISO イメージファイル としてダウンロードできます。
重要
ドライバーの更新は、そのドライバーがないとインストールを正常に完了できない場合に限定してください。常に、カーネルに含まれるドライバーを、他の方法で提供されるドライバーよりも優先させてください。
インストールプロセス中に新しいハードウェアが必要になることはほぼありません。たとえば、ローカルのハードドライブへのインストールに DVD を使用する場合は、ネットワークカード用のドライバーがなくてもインストールは成功します。このような場合、インストールを完了してから、新しいハードウェアのサポートを追加します。サポート追加に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
他の状況では、インストールプロセスでデバイスのドライバーを追加して特定の設定に対応する必要がある場合があります。たとえば、ネットワークデバイス用のドライバーやストレージのアダプターカードなどをインストールして、インストールプログラムがシステムで使用するストレージデバイスにアクセスできるようにする場合などです。インストール中にこうしたサポートを追加するには、次のいずれかの方法でドライバーディスクを使用します。
  1. インストールプログラムがアクセスできる場所に直接ドライバーディスクの ISO イメージファイルを配置します (ローカルのハードドライブ、USB フラッシュドライブ、CD、DVD など)。
  2. イメージファイルからドライバーディスクを作成します (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど)。ISO イメージファイルの CD/DVD への書き込み方法などについては「インストール CD または DVD の作成」 でインストールディスクの作り方を、USB ドライブへの書き込み方法に関しては 「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
Red Hat、ハードウェアの製造元、または信頼できるサードパーティーなどによってインストール中のドライバー更新が必要であることが明示されている場合には、本章で説明している方法の中から 1 つ選択し、検証してからインストールを実行するようにしてください。逆に、お使いのシステムでドライバーの更新が必要かどうかが不明な場合には、ドライバーは更新しないでください。システム上に対象外のドライバーが存在すると、サポートが複雑になる可能性があります。
警告
ドライバー更新ディスクは、必要に応じて競合するカーネルドライバーを無効にする場合があります。この方法でカーネルモジュールをアンロードすると、インストールエラーが発生することがあります。

6.1. インストール中にドライバーを更新する場合の制約

Secure Boot テクノロジーが有効になっている UEFI システムの場合、読み込むドライバーはすべて有効な証明書で署名されている必要があります。署名がないドライバーはシステムが拒否します。Red Hat が提供するすべてのドライバーは、Red Hat の秘密鍵のいずれかで署名され、カーネル内の対応する Red Hat 公開鍵によって認証されます。他のドライバー (Red Hat Enterprise Linux インストール DVD では提供していないドライバーなど) を読み込む場合は、署名されていることを確認してください。
カスタムドライバーの署名についてはRed Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドのカーネルモジュールでの作業の章をご覧ください。

6.2. インストール中にドライバーを更新するための準備

ハードウェア用のドライバー更新が必要で、その更新が利用可能になっている場合、通常、Red Hat やハードウェアの製造元など信頼できるサードパーティーから ISO 形式のイメージファイルが提供されます。ISO イメージを取得したら、ドライバー更新の実行に使用する方法を決める必要があります。
次のような方法があります。
ドライバーの自動更新
インストールを開始すると、Anaconda インストールプログラムは接続されているすべてのストレージデバイスの検出を試みます。インストールの開始時に OEMDRV というラベルの付いたストレージデバイスがある場合、Anaconda は常にドライバー更新ディスクとして扱い、そこに存在するドライバーを読み込みます。
アシスト付きのドライバー更新
インストールを開始するときに、inst.dd 起動オプションを指定できます。パラメーターを指定せずにこのオプションを使用すると、Anaconda はシステムに接続されているすべてのストレージデバイスの一覧を表示し、ドライバー更新を含むデバイスを選択するよう求められます。
手動によるドライバー更新
inst.dd=location 起動オプションは、インストールの開始時に指定しますが、location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージのパスになります。このオプションを指定すると、Anaconda は、指定した場所にあるドライバー更新を読み込もうとします。手動のドライバー更新では、ローカルで利用可能なストレージデバイスまたはネットワークの場所( HTTPHTTPS、または FTP サーバー)のいずれかを指定できます。
注記
inst.dd=locationinst.dd の両方を同時に使用することも可能です。ただし、この場合は Anaconda の機能は、使用する 場所 のタイプによって異なります。デバイスの場合、Anaconda は指定されたデバイスから更新するドライバーを選択するように要求し、追加のデバイスを提供します。location がネットワークの場所の場合、Anaconda はドライバー更新を含むデバイスを選択し、指定したネットワークの場所からドライバーを更新するよう要求します。
ドライバーの自動更新方法を使用する場合は、OEMDRV というラベルが付いたストレージデバイスを作成する必要があります。また、インストールシステムに物理的に接続されている必要があります。アシスト付き方法を使用するには、OEMDRV 以外の任意のラベルを使用して、任意のローカルストレージデバイスを使用できます。手動で行う場合は、別のラベルでローカルストレージを使用するか、インストールするシステムからアクセスが可能なネットワーク上の場所を使用することもできます。
重要
ネットワーク経由でドライバーの更新を読み込むときは、ip= オプションを使用してネットワークを初期化します。詳細は 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。

6.2.1. ドライバー更新用の ISO ファイルをローカルのストレージデバイスで使用するための準備

ハードドライブや USB フラッシュドライブなど、ローカルのストレージデバイスを使用して ISO ファイルを提供する場合は、デバイスに適切なラベルを付けることでインストールプログラムがデバイスを自動的に認識するようにできます。これができない場合に限り、以下のように手動でドライバー更新をインストールしてください。
  • インストールプログラムがドライバーディスクを自動的に認識できるようにするには、ストレージデバイスのボリュームラベルを OEMDRV にする必要があります。また、ISO イメージ自体をコピーするのではなく、その内容をストレージデバイスのルートディレクトリーに抽出します。「ドライバーの自動更新」 を参照してください。手動インストールの場合、OEMDRV というラベルの付いたデバイスからのドライバーのインストールが常に推奨され、推奨されることに注意してください。
  • 手動インストールでは、ストレージデバイスに ISO イメージを単一ファイルとしてコピーするだけです。ファイル名は便利ですが、ファイル名の拡張子は変更しないでください。これは .iso のままにします(例: dd.iso )。インストール時にドライバーの更新を手動で選択する方法は、「手動によるドライバー更新」 を参照してください。

6.2.2. ドライバー更新用 ISO ファイルを提供するディスク (CD または DVD) の準備

CD または DVD にドライバー更新用ディスクを作成することができます。イメージファイルをディスクへ書き込む方法は 「インストール CD または DVD の作成」 を参照してください。
ドライバー更新用ディスクの CD または DVD を作成したら、システムにディスクを挿入し、ファイルマネージャーで表示して、そのディスクが正常に作成されたか確認します。rhdd3 という名前のファイルが 1 つ表示されるはずです。これは、ドライバーディスクの説明が含まれる署名ファイルと、rpms という名前のディレクトリーです。このディレクトリーには、さまざまなアーキテクチャー用のドライバーを持つ RPM パッケージが含まれます。
末尾が .iso のファイルが 1 つしかない場合は、ディスクが正しく作成されていないため、再試行する必要があります。GNOME 以外の Linux デスクトップを使用する場合、また は別のオペレーティングシステムを使用している場合は、イメージ の書き込み のようなオプションを選択してください。

6.3. インストール中のドライバー更新

インストールプロセスの冒頭で、以下のいずれかの方法でドライバーを更新します。
  • ドライバー更新の検出と実行をインストールプログラムで自動的に行う
  • ドライバー更新の検索プロンプトをインストールプログラムが表示する
  • ドライバー更新用のイメージまたは RPM パッケージへのパスを手動で指定する
重要
ドライバー更新ディスクは、必ず標準のディスクパーティションに配置してください。ドライバー更新を行うインストールの初期段階では、RAID や LVM ボリュームなどの高度なストレージにはアクセスできない場合があります。

6.3.1. ドライバーの自動更新

インストールプログラムがドライバー更新ディスクを自動的に認識させるには、インストールプロセスを開始する前に、OEMDRV ボリュームラベルの付いたブロックデバイスをコンピューターに接続します。
注記
Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降では、OEMDRV ブロックデバイスを使用して、キックスタートファイルを自動的に読み込むこともできます。このファイルは ks.cfg という名前にし、読み込むデバイスのルートに置く必要があります。キックスタートインストールの詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。
インストールが開始すると、インストールプログラムはシステムに接続している全ストレージを検出します。OEMDRV というラベルが付いたストレージデバイスが見つかると、ドライバー更新ディスクとして扱われ、このデバイスからドライバーの更新を読み込もうとします。読み込むドライバーの選択を求めるプロンプトが表示されます。

図6.1 ドライバーの選択

ドライバーの選択
数字キーを使ってドライバー間を移動します。準備ができたら、c を押して選択したドライバーをインストールし、Anaconda グラフィカルユーザーインターフェイスに進みます。

6.3.2. アシスト付きのドライバー更新

インストール時にドライバーをインストールするのに、常に OEMDRV ボリュームラベルが付いたブロックデバイスを使用することが推奨されます。ただし、そのようなデバイスが検出されず、inst.dd オプションが起動コマンドラインに指定されている場合には、インストールプログラムは対話モードでドライバーディスクを検索できます。最初のステップでは、Anaconda が ISO ファイルをスキャンするローカルのディスクパーティションをリストから選択します。次に、検出された ISO ファイルの中から更新用のファイルを選択します。最後にドライバーを選択します (複数可)。以下の図では、テキストユーザーインターフェイスでこのプロセスを強調表示しています。

図6.2 対話式のドライバー選択

対話式のドライバー選択
注記
ISO イメージファイルを抽出して CD または DVD に書き込んだが、メディアに OEMDRV ボリュームラベルがない場合は、引数なしで inst.dd オプションを使用してデバイスを選択するか、インストールプログラムに以下の起動オプションを使用してメディアをスキャンしてドライバーを探します。
inst.dd=/dev/sr0
数字キーでドライバー間を移動します。準備ができたら、c を押して選択したドライバーをインストールし、Anaconda グラフィカルユーザーインターフェイスに進みます。

6.3.3. 手動によるドライバー更新

手動でドライバーをインストールする場合は、ドライバーを格納する ISO イメージを USB フラッシュドライブや Web サーバーなどアクセスできる場所に配置し、コンピューターに接続しておきます。Welcome 画面で Tab を押して起動コマンドラインを表示し、それに inst.dd= の場所 を追加します。location は、ドライバー更新ディスクへのパスになります。

図6.3 ドライバー更新へのパスの指定

ドライバー更新へのパスの指定
通常、イメージファイルは Web サーバー (http://server.example.com/dd.iso など) または USB フラッシュドライブ (/dev/sdb1 など) に置きます。ドライバー更新を含む RPM パッケージ (http://server.example.com/dd.rpm など) を指定することもできます。
準備ができたら、Enter を押して起動コマンドを実行します。すると、選択したドライバーが読み込まれ、インストールプロセスが正常に進みます。

6.3.4. ブラックリストへのドライバーの登録

正常に動作しないドライバーが原因でインストール時にシステムを起動できない場合があります。このような場合、起動コマンドラインをカスタマイズしてそのドライバーを無効にすることができます (ブラックリストに登録する)。ブートメニューで Tab キーを押してブートコマンドラインを表示します。次に modprobe.blacklist=driver_name を追加します。driver_name の部分に無効にするドライバー名を入力します。以下に例を示します。
modprobe.blacklist=ahci
起動オプション modprobe.blacklist= を使用してインストール時にブラックリストに登録されたドライバーは、インストール済みシステムで無効になり、/etc/modprobe.d/anaconda-blacklist.conf ファイルに表示されることに注意してください。ドライバーをブラックリストに登録する方法とその他の起動オプションについては、23章起動オプションを参照してください。

第7章 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動

Red Hat Enterprise Linux は、ハードディスクに保存されている ISO イメージから、または NFSFTPHTTP、または HTTPS メソッドを使用してネットワークからインストールできます。完全インストール用 DVD から起動してインストールする方法が最も簡単な方法になります。これ以外のインストール方法の場合、いくつか別途にセットアップが必要にはなりますが、それぞれ異なる利点があります。たとえば、Red Hat Enterprise Linux を大量のマシンに同時にインストールする場合は、PXE サーバーから起動し、ネットワーク上の共有の場所に配置したソースからのインストールが最適な方法になります。
以下の表では、メディアごとに使用できる起動方法と推奨インストール方法について要約しています。
表7.1 起動方法とインストールソース
起動方法 インストールソース
完全インストール用メディア (DVD または USB) インストールも起動した完全インストール用メディア自体を使用します
最小限の起動メディア (CD または USB) インストールは、ネットワーク上もしくはハードドライブ上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します
ネットワーク起動 (PXE) インストールは、ネットワーク上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します
起動用 CD-ROM の作成方法、起動またはインストール用 USB フラッシュドライブの準備などについて 「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
本章では、以下のトピックについて説明します。

7.1. インストールプログラムの起動

インストールプログラムを起動するには、まずインストールに必要なリソースがすべて揃っていることを確認します。5章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムへのインストールプランの指示どおりに手順を実行している場合は、インストールの開始準備が整っているはずです。開始準備が整っていることを確認したら、Red Hat Enterprise Linux DVD または作成した起動メディアを使ってインストールプログラムを起動します。
重要
起動中にマウスを何回もクリックするなどの過剰な入力があると、インストーラーがインストールプロセスでキーボード入力を無視する原因になる場合があります。
注記
時折、インストール中に ドライバー更新 を必要とするハードウェアコンポーネントがあります。ドライバー更新により、インストールプログラムでは対応していないハードウェアに対応できるようになります。詳細は、6章AMD64 および Intel 64 システムへのインストール中におけるドライバー更新 を参照してください。

7.1.1. 物理メディアからの起動

Red Hat Enterprise Linux DVD、または最小限の起動メディアからインストールプログラムを起動するには、以下の手順に従います。

手順7.1 物理メディアからのインストールプログラムの起動

  1. インストールに必要のないドライブはすべて取り外します。詳細は、「USB ディスク」 を参照してください。
  2. コンピューターシステムの電源を入れます。
  3. コンピューターにメディアを挿入します。
  4. 起動メディアが挿入された状態でコンピューターの電源をオフにします。
  5. コンピューターシステムの電源を入れます。メディアから起動するため特定のキーやキーの組み合わせを押さなければならなかったり、メディアから起動するようシステムの BIOS (Basic Input/Output System) を設定しなければならない場合があります。詳細は、システムに同梱されているドキュメントをご覧ください。
しばらくすると、各種の起動オプションの詳細が記載された起動画面が表示されます。最初の 1 分以内に操作を行わない場合には、インストールプログラムが自動的に開始されます。この画面に表示されるオプションの説明は、「ブートメニュー」 を参照してください。

7.1.2. PXE を使ったネットワークからの起動

起動方法 PXE、適切に設定された TFTP サーバー、および PXE に対応するコンピューターのネットワークインターフェイスが必要です。PXE サーバーの設定方法は 24章ネットワークからのインストールの準備 を参照してください。
ネットワークインターフェイスから起動するようコンピューターを設定します。このオプションは BIOS にあり、Network Boot または Boot Services のラベルが付けられる場合があります。また、正しいネットワークインターフェイスから最初に起動するよう BIOS が設定されていることを確認します。BIOS システムの中には、起動デバイスとしてネットワークインタフェースが指定されているにもかかわらず、PXE 規格に対応していないものがあります。詳細はハードウェアのドキュメントをご覧ください。PXE の起動を正しく有効にすると、他のメディアがなくても Red Hat Enterprise Linux インストールシステムを起動できます。
次の手順に従い PXE サーバーからインストールプログラムを起動します。Ethernet など物理的なネットワーク接続を使用する必要があるので注意してください。ワイヤレス接続では正しく動作しません。

手順7.2 PXE を使ってネットワークからインストールプログラムを起動する

  1. ネットワークケーブルが接続されていることを確認します。コンピューターの電源がオンになっていない場合でも、ネットワークソケットのリンクインジケーターのライトがオンになっているはずです。
  2. コンピューターのスイッチをオンにします。
  3. ハードウェアによって PXE サーバーに接続する前にネットワーク設定と診断情報が表示される場合があります。接続すると、PXE サーバーの設定に応じたメニューが表示されます。目的のオプションに該当する数字キーを押します。どのオプションを選択したらよいかわからない場合はサーバーの管理者に問い合わせてください。
これでインストールプログラムが正常に起動し、起動画面が表示されます。この画面には各種の起動オプションの詳細が表示されます。最初の 1 分以内に操作を行わない場合には、インストールプログラムが自動的に開始されます。この画面に表示されるオプションの説明は、「ブートメニュー」 を参照してください。

7.2. ブートメニュー

システムがブートメディアの読み込みを完了すると、GRUB2 (GRand Unified Bootloader、バージョン 2)を使用してブートメニューが表示されます。起動メニューには、インストールプログラムを起動する以外に、複数のオプションがあります。60 秒以内に何のキーも押さなければデフォルトの起動オプションが実行されます (白色で強調表示されているオプション)。デフォルトを選択するには、タイマーがなくなるまで待機するか、Enter を押します。

図7.1 起動画面

起動画面
デフォルト以外のオプションを選択するには、キーボードの矢印キーを使用して、正しいオプションが強調表示されたら Enter を押します。
特定のメニューエントリーの起動オプションをカスタマイズするには、以下を実行します。
  • BIOS ベースのシステムでは、Tab キーを押してコマンドラインにカスタムの起動オプションを追加する方法が推奨されます。また、Esc キーを押して boot: プロンプトにアクセスすることもできますが、必要な起動オプションは事前設定されません。その場合は、その他の起動オプションを使用する前に、必ず linux オプションを指定する必要があります。
  • UEFI ベースのシステムの場合は e キーを押して、コマンドラインにカスタムの起動オプションを追加します。準備ができたら、Ctrl+X を押して変更されたオプションを起動します。
追加の起動オプションは 23章起動オプション を参照してください。
起動メニューのオプションは、以下のようになります。
Install Red Hat Enterprise Linux 7.0
グラフィカルなインストールプログラムを使用してコンピューターシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合にはこの選択肢を実行します。
Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0
このオプションがデフォルトです。インストールプログラムを開始する前に、インストールメディアの整合性をチェックするユーティリティーが起動します。
Troubleshooting &gt ;
この項目は別のメニューとなっており、さまざまなインストールの問題を解決する場合に役立ちます。強調表示された場合は、Enter を押してその内容を表示します。

図7.2 トラブルシューティングメニュー

トラブルシューティングメニュー
Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 in basic graphics mode
このオプションを使用すると、インストールプログラムがお使いのビデオカードに適したドライバーを読み込むことができない場合でも、グラフィカルモードで Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 オプションの使用時に画面が廃止または空白になる場合は、コンピューターを再起動してこのオプションを試してください。
Rescue a Red Hat Enterprise Linux system
正常に起動できないインストール済みの Red Hat Enterprise Linux システムの問題を修復する場合にこのオプションを選択します。このレスキュー環境には、こうした多様な問題を修復するためのユーティリティープログラムが用意されています。
Run a memory test
システムでメモリーテストを実行するオプションです。詳細は、「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
Boot from local drive
インストールが完了した 1 番目のディスクからシステムを起動するオプションです。誤ってインストールディスクから起動してしまった場合は、このオプションを使用するとインストールプログラムを起動させず直ちにハードディスクから起動できます。

第8章 Anaconda を使用したインストール

本章では、Anaconda インストーラーを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする手順を説明します。本章の大部分では、グラフィカルユーザーインタフェースを使用したインストールを説明しています。グラフィカルディスプレイのないシステムではテキストモードが利用できますが、このモードは特定の機能 (カスタマイズのパーティション設定ができないなど) に制限があります。
お使いのシステムにグラフィカルモードを使用する機能がない場合は、以下が可能です。
  • 27章キックスタートを使ったインストール の説明に従って、キックスタートを使用してインストールを自動化する。
  • VNC (Virtual Network Computing) プロトコルを使用して、グラフィカルディスプレイのある別のコンピューターからインストールシステムにリモートで接続して、グラフィカルインストールを実行する。25章VNC の使用を参照してください。

8.1. Anaconda の概要

Red Hat Enterprise Linux インストーラーである Anaconda は、その並列性があるため、他のほとんどのオペレーティングシステムのインストールプログラムとは異なります。ほとんどのインストーラーは、最初に言語の選択、次にネットワークの設定、それからインストールタイプ、パーティション設定、といったように、決まったパスで進められます。ある時点ですすめる方向は通常、1 つのみです。
Anaconda では、最初に言語とロケールのみを選択するだけで、中央画面が表示され、任意の順序でインストールのほとんどの側面を設定できます。これはインストールのすべての部分に該当するわけではありません。たとえば、ネットワークからインストールする場合は、インストールするパッケージが選択可能となる前にネットワークを設定する必要があります。
お使いのハードウェアやインストールを開始するメディアタイプによっては、自動で設定される画面もいくつかあります。その場合でも、検出された設定は変更することが可能です。自動設定されず、インストール前にユーザーの作業が必要となる画面には、感嘆符が付いています。実際のインストールプロセスを開始するには、これらの設定を完了する必要があります。
中央の画面では、他にも違いがあります。特に、カスタムのパーティション設定プロセスは他の Linux ディストリビューションとは非常に異なります。これらの違いについては、各画面のサブセクションで説明します。

8.2. インストール中のコンソールとロギング

以下のセクションでは、インストール中にログと対話式のシェルにアクセスする方法を説明しています。これは問題解決に役立ちますが、ほとんどの場合では必要ないはずです。

8.2.1. コンソールへのアクセス

Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、tmux ターミナルマルチプレクサーを使用して、メインインターフェイスに加えて使用できる複数のウィンドウを表示および制御します。これらのウィンドウはそれぞれ目的が異なるため、インストール中に問題のトラブルシューティングに使用できるいくつかの異なるログを表示します。ウィンドウの 1 つは、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用して明示的に無効になっていない限り、root 権限のある対話式シェルプロンプトを提供します。
注記
一般的に、インストール関連の問題を診断する必要がなければ、デフォルトのグラフィカルインストール環境から、他の環境に移動する必要はありません。
端末マルチプレクサーは、仮想コンソール 1 で実行しています。グラフィカルインストール環境から tmux に切り替えるには、Ctrl+Alt+F1 を押します。仮想コンソール 6 で実行されるメインのインストールインターフェイスに戻るには、Ctrl+Alt+F6 を押します。
注記
テキストモードのインストールを選択すると、仮想コンソール 1 (tmux)で起動し、コンソール 6 に切り替えると、グラフィカルインターフェイスではなくシェルプロンプトが開きます。
tmux を実行しているコンソールには、利用可能な画面が 5 つあります。その内容と、それらへのアクセスに使用するキーボードショートカットを以下の表に示します。キーボードショートカットは 2 部分であることに注意してください。まず Ctrl+b を押してから両方のキーを解放し、使用するウィンドウの番号キーを押します。
また、Ctrlb n b p を使用して、それぞれ次または前の tmux 画面に切り替えることもできます。
表8.1 利用可能な tmux ウィンドウ
ショートカット 内容
Ctrl+b 1 メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。
Ctrl+b 2 root 権限を持つインタラクティブなシェルプロンプト。
Ctrl+B 3 インストールログ - /tmp/anaconda.log に保存されているメッセージを表示します。
Ctrl+B 4 ストレージログ - /tmp/storage.log に保存されているカーネルおよびシステムサービスからのストレージデバイスに関連するメッセージを表示します。
Ctrl+B 5 プログラムログ - /tmp/program.log に保存されている他のシステムユーティリティーからのメッセージを表示します。
Anaconda は、tmux ウィンドウに診断情報を表示するだけでなく、インストールシステムから転送できるいくつかのログファイルも生成します。これらのログについては 表9.1「インストール中に生成されるログファイル」 を、インストールシステムからの転送方法は、9章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールに関連するトラブルシューティングを参照してください。

8.2.2. スクリーンショットの保存

グラフィカルインストール時に Shift+Print Screen を押すと、現在の画面をキャプチャできます。これらのスクリーンショットは、/tmp/anaconda-screenshots/ に保存されます。
また、キックスタートファイルで autostep --autoscreenshot コマンドを使用して、インストールの各ステップを自動的にキャプチャーし、保存することができます。詳細は 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

8.3. テキストモードでのインストール

テキストモードによるインストールでは、Red Hat Enterprise Linux のインストールに対話式で、グラフィカルではないインターフェイスを使用します。これはグラフィカル機能のないシステムでは便利ですが、テキストベースのインストールを開始する前に、常に利用可能な別の方法を検討してください。テキストモードでは、インストール中の選択肢の数に限りがあります。
重要
Red Hat では、Red Hat Enterprise Linux のインストールにはグラフィカルインターフェイスの使用を推奨します。グラフィカルな表示がないシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、VNC 接続によるインストールを検討してください。25章VNC の使用 を参照してください。テキストモードでのインストールプログラムでは、VNC ベースのインストールが可能であることを検出すると、テキストモードでのインストールの確認を求めるプロンプトが表示されます。
システムにグラフィカルディスプレイがあるが、グラフィカルインストールが失敗する場合は、inst.xdriver=vesa オプションを使用して起動してみてください - を参照してください。23章起動オプション .
または、キックスタートを使ったインストールも検討してください。詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

図8.1 テキストモードでのインストール

テキストモードでのインストール
テキストモードでのインストールは、グラフィカルインストールと同様のパターンになります。決まった 1 つの方法ではなく、メインのステータス画面を使用して多くの設定を好きな順序で設定することができます。自動またはユーザーによって設定済みの画面には x のマークが付けられ、インストールを開始する前に注意が必要な画面には ! のマークが付けられています。利用可能なコマンドは、利用可能なオプション一覧の下に表示されます。
注記
関連するバックグラウンドタスクが実行されている場合、特定のメニュー項目が一時的に利用できなくなったり、処理中... ラベルが表示されたりすることがあります。テキストメニュー項目の現在のステータスに更新するには、テキストモードプロンプトで r オプションを使用します。
テキストモード画面の下部には、5 つのメニューオプションを表示する緑色のバーがあります。これらのオプションは、tmux ターミナルマルチプレクサーのさまざまな画面を表します。デフォルトでは、画面 1 から開始し、キーボードショートカットを使用して、ログと対話型コマンドプロンプトを含む他の画面に切り替えることができます。利用可能な画面やそれらへの切り替えに使用するショートカットについては、「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
対話式テキストモードでのインストールには以下のような制限があります。
  • インストーラーは常に言語には英語を、キーボードには US English のキーボードレイアウトを使用します。言語とキーボードレイアウトは設定可能ですが、これはインストールされるシステムに適用されるもので、インストール自体には適用されません。
  • 高度なストレージメソッド (LVM、software RAID、FCoE、zFCP、および iSCSI) の設定はできません。
  • カスタムのパーティション設定はできません。自動パーティション設定のいずれかを使用する必要があります。また、ブートローダーのインストール場所を設定することもできません。
  • インストールするパッケージアドオンを選択することはできません。Yum パッケージマネージャーを使用して、インストールが完了した後に追加する必要があります。
テキストモードのインストールを開始するには、起動メニューの起動コマンドラインまたは PXE サーバー設定で inst.text 起動オプションを使用してインストールを起動します。起動オプションの使用および起動に関する情報は、7章64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールの起動 を参照してください。

8.4. グラフィカルユーザーインターフェイスでのインストール

Red Hat Enterprise Linux の手動でのインストールでは、グラフィカルインターフェイスが推奨の方法になります。カスタムのパーティション設定や高度なストレージ設定を含むすべての設定に対して完全な制御ができ、英語以外の多くの言語にローカライズされているので、インストール全体を別の言語で実行できます。ローカルメディア (CD、DVD または USB フラッシュドライブ) からシステムを起動すると、グラフィカルモードがデフォルトで使用されます。

図8.2 インストール概要 画面

インストール概要 画面
以下のセクションでは、インストールプロセスで使用可能な各画面について説明しています。インストーラーには並立的な性質があるため、ほとんどの画面は表示されている順序で完了する必要はないことに留意してください。
グラフィカルインターフェイスの各画面には、ヘルプ ボタンがあります。このボタンをクリックすると、Yelp ヘルプブラウザーが開き、現在の画面に関連する 『Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のセクションが表示されます。
また、キーボードを使ってグラフィカルインストーラーを制御することもできます。以下の表では、利用可能なショートカットを示しています。
表8.2 グラフィカルインストーラーでのキーボードショートカット
ショートカットキー 用途
タブ+シフトタブ 表示画面上でアクティブな要素 (ボタン、チェックボックスなど) の間を移動します。
上下_ リストをスクロールします。
ツールバーとテーブルエントリーを左右にスクロールします。
スペースエンター 選択肢からハイライト表示したアイテムを選択または削除し、ドロップダウンメニューを展開、折りたたみます。
さらに、各画面の要素をそれぞれのショートカットで切り替えることもできます。これらのショートカットは、Alt キーを押したままにすると強調表示 (下線) されます。その要素を切り替えるには、Alt+X を押します。X ハイライトされた文字です。
使用中のキーボードレイアウトは、画面右上に表示されます。デフォルトでは、レイアウトは 1 つだけ設定されています。キーボードレイアウト 画面で複数のレイアウトを設定した場合 (「キーボードの設定」)、レイアウトインジケーターをクリックしてそれらを切り替えることができます。

8.5. ようこその画面と言語設定

インストールプログラムの最初の画面は 、Red Hat Enterprise Linux へようこそ 画面です。ここで、Anaconda が残りのインストールで使用する言語を選択します。この選択内容が、後に変更しない限り、インストール済みシステムのデフォルトになります。左側のパネルで、選択した言語 (英語 など) を選択します。次に、右側のパネルで地域固有のロケールを選択できます (例: English (United States))
注記
1 つの言語が一覧の上部に事前に設定されます。この時点でネットワークアクセスが設定されている場合 (たとえば、ローカルメディアではなくネットワークサーバーから起動した場合)、事前に選択された言語は、GeoIP モジュールを使用した自動位置検出に基づいて決定されます。
また、下図で示すように、検索ボックスに任意の言語を入力することもできます。
選択したら、続行 ボタンをクリックして、インストールの概要 画面に進みます。

図8.3 言語設定

言語設定
続行 ボタンをクリックすると、サポートされていないハードウェアダイアログが表示される場合があります。これは、カーネルがサポートしていないハードウェアを使用している場合に発生します。

8.6. インストールの概要画面

インストールの概要 画面は、インストールをセットアップするための中心的な場所です。

図8.4 インストール概要 画面

インストール概要 画面
Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでは、画面が次々と表示されるのではなく、ユーザーが選択する順番でインストールを設定できます。
マウスを使って、設定するインストールセクションのメニューアイテムを選択します。セクションの設定が完了したら、またはそのセクションを後で完了する場合は、画面の左上隅にある 完了 ボタンをクリックします。
警告シンボルのマークが付いたセクションのみが必須です。画面の下部の注で警告されているように、これらをインストールを開始する前に選択する必要があります。残りのセクションはオプションです。各セクションのタイトルの下には、現在の設定の概要が示されます。これを参考にして、該当セクションの設定が必要かどうかを決めることができます。
必要なセクションがすべて完了したら、インストールの開始 ボタンをクリックします。「インストールの開始」 も併せて参照してください。
インストールをキャンセルするには、終了 ボタンをクリックします。
注記
バックグラウンドで関連タスクが実行されている間は、特定のメニューアイテムが一時的に使用できなくなることがあります。
キックスタートオプションまたはブートコマンドラインオプションを使用してネットワーク上のインストールリポジトリーを指定したが、インストールの開始時にネットワークが利用できない場合、インストールプログラムはネットワーク接続を設定するための設定画面を表示します。インストールの概要 画面を表示する前に。

図8.5 ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面

ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面
インストール DVD もしくはローカルでアクセス可能なメディアからインストールするため、インストールの完了にネットワークアクセスは必要ないことが明らかな場合はこのステップを省略しても構いません。しかし、ネットワークインストール (「インストールソース」を参照) や高度なストレージデバイスの設定 (「ストレージデバイス」を参照) を行う場合にはネットワーク接続が必要になります。インストールプログラムでネットワークを設定する方法は、「ネットワークとホスト名」 を参照してください。

8.7. 日付と時刻

タイムゾーン、日付、およびオプションでネットワーク時間の設定を設定するには、インストールの概要 画面で 日付と時刻 を選択します。
タイムゾーンを選択するには、3 つの方法があります。
  • マウスを使って対話式マップをクリックして特定の都市を選択します。選択した都市を示す赤いピンが表示されます。
  • 画面上部の 地域都市の ドロップダウンメニューをスクロールして、タイムゾーンを選択することもできます。
  • 地域 ドロップダウンメニューの下部にある その他 を選択し、次のメニューで GMT/UTC に調整されたタイムゾーン (例: GMT+1) を選択します。
ご自分の都市が地図またはドロップダウンメニューに表示されない場合には、同じタイムゾーンの最も近い主要都市を選択してください。または、キックスタートファイルを使用することもできます。これにより、グラフィカルインターフェイスでは使用できない追加のタイムゾーンを指定できます。の timezone コマンドを参照してください。 timezone (必須) 詳細については。
注記
表示される都市や地域の一覧は Time Zone Database (tzdata) パブリックドメインのものを使用しています。このドメインは Internet Assigned Numbers Authority (IANA) で管理されています。Red Hat は、このデータベースに都市や地域を追加することはできません。詳細は、http://www.iana.org/time-zones の公式の Web サイトを参照してください。
システムクロックの精度を維持するために NTP (Network Time Protocol) を使用する予定であっても、タイムゾーンを指定してください。
ネットワークに接続している場合は、Network Time スイッチが有効になります。NTP を使用して日付と時刻を設定するには、Network Time スイッチを ON の 位置のままにし、設定アイコンをクリックして、Red Hat Enterprise Linux が使用する NTP サーバーを選択します。日付と時刻を手動で設定するには、スイッチを オフの 位置に動かします。システムクロックにより選択タイムゾーンに応じた正しい日付と時刻が画面下部に表示されるはずです。表示された時刻が正しくない場合は手動で調整してください。
インストール時に NTP サーバーが利用できない場合があります。このような場合はネットワーク時間を有効にしても自動設定は行われません。サーバーが利用できるようになると日付と時刻が更新されます。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にタイムゾーンの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 日付と時刻 セクションにアクセスします。

8.8. 言語サポート

追加のロケールおよび言語方言のサポートをインストールするには、インストールの概要 画面から 言語サポート を選択します。
インストールする追加の言語サポートをマウスで選びます。左側のパネルで、Español などの言語を選択します。次に、右側のパネルで地域固有のロケールを選択できます (例: Español (コスタリカ))。言語とロケールはどちらも複数選択が可能です。選択された言語は左側のパネルで太字で強調表示されます。

図8.6 言語サポートの設定

言語サポートの設定
選択が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後に言語サポートの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 地域と言語 セクションにアクセスしてください。

8.9. キーボードの設定

システムに複数のキーボードレイアウトを追加するには、インストールの概要 画面から キーボード を選択します。保存されたレイアウトは、インストールプログラムで即座に利用可能となり、画面右上に常時表示されるキーボードアイコンを使って切り替えることができます。
初めは、ようこその画面で選択された言語のみが左のペインにキーボードレイアウトとして表示されます。当初のレイアウトを置き換えたり、または新たなレイアウトを追加することができます。ただし、選択した言語が ASCII 文字を使用しない場合、暗号化されたディスクパーティションや root ユーザーのパスワードを正しく設定できるよう ASCII 文字を使用するキーボードレイアウトを追加する必要があります。

図8.7 キーボードの設定

キーボードの設定
追加のレイアウトを追加するには、+ ボタンをクリックしてリストから選択し、追加 をクリックします。レイアウトを削除するには、レイアウトを選択して - ボタンをクリックします。矢印ボタンを使ってレイアウトの優先順位を調整します。キーボードレイアウトの視覚的プレビューを表示するには、レイアウトを選択してからキーボードのボタンをクリックします。
レイアウトを試すには、マウスで右側のテキストボックス内をクリックします。テキストを入力してみて、選択した機能が正常に機能するか確認します。
追加したレイアウトを試す場合は、画面上部の言語セレクターをクリックしてそのレイアウトに切り替えます。ただし、レイアウト切り替え用のキーの組み合わせを設定しておくことが推奨されます。右側の オプション ボタンをクリックして レイアウト切り替えオプション ダイアログを開き、チェックボックスをオンにしてリストから組み合わせを選択します。組み合わせは オプション ボタンの上に表示されます。この組み合わせはインストール中およびインストール後のシステムの両方に適用されるため、インストール後に使用できるようここで組み合わせを設定しておく必要があります。また、レイアウトの切り替えには、複数の組み合わせを選択することもできます。
重要
ロシア 語などのラテン文字を受け入れることができないレイアウトを使用する場合、Red Hat は 英語 (米国) レイアウトを追加し、キーボードの組み合わせを設定して 2 つのレイアウトを切り替えることを推奨します。ラテン文字を含まないレイアウトのみを選択した場合、インストールプロセスの後半で有効な root パスワードおよびユーザー認証情報を入力できない可能性があります。これにより、インストールを完了できない可能性があります。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にキーボード設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの キーボード セクションにアクセスします。

8.10. セキュリティーポリシー

セキュリティーポリシー スポークを使用すると、Security Content Automation Protocol (SCAP) 標準で定義された制限と推奨事項 (コンプライアンスポリシー) に従って、インストールされたシステムを設定できます。この機能はアドオンが提供するもので、これは Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降デフォルトで有効になっています。有効にすると、この機能の提供に必要なパッケージが自動的にインストールされます。ただし、デフォルトではポリシーが強制されることがなく、明確に設定されている場合を除いて、インストール時およびインストール後にチェックが行われません。
背景情報、実用的な例、その他のリソースなど、設定コンプライアンスおよび脆弱性スキャンに関する情報はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
重要
セキュリティーポリシーの適用はすべてのシステムで必要なわけではありません。このウィンドウは、所定のポリシーの適用が業務規定や法令で義務付けられている場合にのみ使用してください。
セキュリティーポリシーをシステムに適用する場合は、選択したプロファイル内で定義される制限および推奨事項を使用してインストールされます。また、パッケージ選択に openscap-scanner パッケージが追加され、コンプライアンスおよび脆弱性スキャンのインストール済みツールが提供されます。インストールが終わると、システムは自動的にコンプライアンスを確認するためにスキャンされます。このスキャンの結果は、インストールされたシステムの /root/openscap_data ディレクトリーに保存されます。
この画面で使用できる定義済みのポリシーは、SCAP Security Guide によって提供されます。利用可能な各プロファイルについての詳細情報は、OpenSCAP Portal にあるリンクを参照してください。
HTTPS、HTTP または FTP サーバーから追加プロファイルを読み込むこともできます。

図8.8 セキュリティーポリシー選択画面

セキュリティーポリシー選択画面
システムでセキュリティーポリシーの使用を設定するには、まず セキュリティーポリシーの適用 スイッチを ON に設定して設定を有効にします。スイッチが オフの 位置にある場合、この画面の残りのコントロールは無効になります。
スイッチを使用してセキュリティーポリシーの設定を有効にした後、画面上部のウィンドウにリスト表示されているプロファイルの 1 つを選択し、下の プロファイルの選択 をクリックします。プロファイルが選択されたら、右側に緑色のチェックが表示され、下のフィールドに変更がインストール開始前に加えられるかどうかが表示されます。
注記
デフォルトで使用可能となっているプロファイルは、インストール開始前に変更を適用しません。ただし、下記のとおりにカスタムプロファイルを読み込むとインストール前のアクションが必要になる場合があります。
カスタムプロファイルを使用するには、左上隅にある コンテンツの変更 ボタンをクリックします。これで別の画面が開き、有効なセキュリティーコンテンツの URL を入力します。デフォルトのセキュリティーコンテンツ選択画面に戻るには、左上隅にある Use SCAP Security Guide をクリックします。
カスタムプロファイルは 、HTTPHTTPS、または FTP サーバーからロードできます。プロトコル (http:// など) を含む、コンテンツの完全なアドレスを使用します。カスタムプロファイルを読み込む前に、ネットワーク接続がアクティブになっている必要があります (「ネットワークとホスト名」 で有効にする)。コンテンツタイプはインストーラーが自動的に検出します。
プロファイルを選択した後、または画面を終了する場合は、左上隅にある 完了 をクリックしてに戻ります。「インストールの概要画面」 .

8.11. インストールソース

Red Hat Enterprise Linux のインストール元となるファイルまたは場所を指定するには、Installation Summary 画面から Installation Source を選択します。この画面では、DVD や ISO ファイルなどローカルで使用するインストールメディア、またはネットワーク上の場所のいずれかを選択することができます。

図8.9 インストールソースの画面

インストールソースの画面
以下のオプションのいずれかを選択します。
自動検出したインストールメディア
完全インストール用の DVD もしくは USB ドライブを使用してインストールを開始している場合は、そのメディアが検出されメディアの基本的な情報がこのオプションに表示されます。確認 ボタンをクリックして、メディアがインストールに適していることを確認します。この整合性テストは、起動メニューで Test this media & Install Red Hat Enterprise Linux を 選択した場合、または rd.live.check 起動オプションを使用した場合に実行されるものと同じです。
ISO ファイル
このオプションは、インストールプログラムで、ハードドライブがパーティションされており、マウント可能なファイルシステムを備えてられていることを検出した場合に、表示されます。このオプションを選択し、Choose an ISO ボタンをクリックして、システム上のインストール ISO ファイルの場所を参照します。次に、検証 をクリックして、ファイルがインストールに適していることを確認します。
ネットワーク上
ネットワークの場所を指定するには、このオプションを選択して、ドロップダウンメニューから以下のオプションのいずれかを選びます。
  • http://
  • https://
  • ftp://
  • nfs
上記の選択肢をネットワークの場所の URL の開始部分として使用し、残りのアドレスをアドレスボックスに入力します。NFS を選択した場合は、NFS マウントオプションを指定する別のボックスが表示されます。
重要
NFS ベースのインストールソースを選択する場合は、ホスト名とパスを区切るコロン (:) 文字を使用してアドレスを指定する必要があります。以下に例を示します。
server.example.com:/path/to/directory
HTTP または HTTPS ソースのプロキシーを設定するには、プロキシー設定 ボタンをクリックします。HTTP プロキシーを有効にする をオンにして、プロキシー URL ボックスに URL を入力します。プロキシーで認証が必要な場合は、認証を使用 をオンにして、ユーザー名とパスワードを入力します。Add をクリックします。
使用する HTTP もしくは HTTPS の URL がリポジトリーのミラーの一覧を参照する場合は、入力するフィールドの下のチェックボックスにチェックを入れます。
また、追加のリポジトリーを指定して、別のインストール環境やソフトウェアアドオンにアクセスすることもできます。詳細は、「ソフトウェアの選択」 を参照してください。
リポジトリーを追加するには、+ ボタンをクリックします。リポジトリーを削除するには、- ボタンをクリックします。矢印アイコンをクリックして、リポジトリーの前のリストに戻ります。つまり、現在のエントリーを、インストールソース 画面に入ったときに存在していたエントリーに置き換えます。リポジトリーをアクティブ化または非アクティブ化するには、リストの各エントリーの 有効 列のチェックボックスをクリックします。
画面の右側で追加したリポジトリーに名前を付け、ネットワーク上のプライマリーのリポジトリーを設定したときと同じように設定することができます。
インストールソースを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

8.12. ネットワークとホスト名

システムに不可欠なネットワーク機能を設定するには、Installation Summary 画面で Network & Hostname を選択します。
重要
インストール完了後に初めてシステムを起動すると、インストール中に設定したネットワークインターフェイスが作動します。ただし、Red Hat Enterprise Linux を DVD からローカルのハードドライブにインストールした場合など、一般的なインストールを行った場合は、ネットワークインターフェイスの設定を求めるプロンプトは表示されません。
Red Hat Enterprise Linux をローカルのインストールソースからローカルのストレージデバイスにインストールする時に、システムの初回起動時にネットワークへのアクセスを必要とする場合は、少なくとも 1 つのネットワークインターフェイスを手動で設定してください。また、設定を編集した場合は、起動後に自動で接続が行われるよう接続の設定もしておく必要があります。
ローカルでアクセスできるインターフェイスはインストールプログラムにより自動的に検出されるため、手動での追加または削除はできません。検出されたインターフェイスは左側のペインに一覧表示されます。一覧内のインターフェイスをクリックすると、右側にその詳細が表示されます。ネットワークインターフェイスをアクティブまたは非アクティブにするには、画面の右上隅にあるスイッチを ON または OFF に移動します。
注記
em1wl3sp0 などの永続的な名前でネットワークデバイスを識別するために使用されるネットワークデバイスの命名基準には、いくつかの種類があります。これらの標準については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。

図8.10 ネットワークとホスト名の設定画面

ネットワークとホスト名の設定画面
接続のリストの下にある ホスト名 入力フィールドに、このコンピューターのホスト名を入力します。ホスト名は、hostname.domainname 形式の fully-qualified domain name (FQDN) または hostname 形式の short host name のいずれかを選択できます。多くのネットワークには、自動的に接続されたシステムにドメイン名を提供する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスがあります。DHCP サービスがこのマシンにドメイン名を割り当てるようにするには、短縮ホスト名のみを指定してください。値 localhost.localdomain は、ターゲットシステムの特定の静的ホスト名が設定されていないことを意味し、インストールされたシステムの実際のホスト名は、ネットワーク設定のプロセス中に設定されます (たとえば、DHCP または DNS を使用する NetworkManager によって)。
重要
ホスト名を手動で割り当てる場合は、委譲されていないドメイン名を使用しないでください。使用すると、ネットワークリソースが使用できなくなる可能性があります。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドで推奨している命名方法の実践例を参照してください。
注記
インストールの完了後、システム 設定 ダイアログの ネットワーク セクションを使用して、ネットワーク設定を変更できます。
ネットワーク設定が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

8.12.1. ネットワーク接続の編集

このセクションでは、インストール中に使用される一般的な有線接続の場合に最も重要となる設定についてのみ説明します。ほとんどの場合、オプションの多くは変更する必要はなく、インストールされるシステムにも引き継がれません。これ以外のネットワーク設定についてもほぼ同じですが、当然、特定の設定パラメーターは異なります。インストール後のネットワーク設定については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
ネットワーク接続を手動で設定するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。ダイアログが表示され、選択された接続の設定ができるようになります。表示される設定オプションは、有線、無線、モバイルブロードバンド、VPN、DSL など接続タイプによって異なります。必要に応じて、ネットワーク設定の詳細情報については、『ネットワークガイド』を参照してください。
インストール中に設定しておくと便利なネットワーク設定オプションを以下に示します。
  • システムが起動するたびに接続 を使用する場合は、このネットワークが利用可能になったら自動的にこのネットワークに接続する チェックボックスをオンにします。自動的に接続するネットワークは、複数の接続を使用することができます。この設定は、インストールされるシステムに引き継がれます。

    図8.11 ネットワーク自動接続機能

    ネットワーク自動接続機能
  • デフォルトでは、IPv4 パラメーターが DHCP サービスにより自動的に設定されます。同時に、IPv6 設定は 自動 方式に設定されます。ほとんどの場合、この組み合わせが最適で通常は変更する必要はありません。

    図8.12 IP プロトコル設定

    IP プロトコル設定
ネットワーク設定の編集が完了したら、保存 をクリックして新しい設定を保存します。インストール中にすでに作動していたデバイスを再設定した場合、その新しい設定をインストール環境で使用するためにはデバイスの再起動を行う必要があります。Network & Host Name 画面の ON/OFF スイッチを使用して、デバイスを再起動します。

8.12.2. 高度なネットワークインターフェイス

高度なネットワークインターフェイスもインストールに使用できます。これには仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) と集約リンクを使用する 3 つの方法が含まれます。これらのインターフェイスについては本ドキュメントの対象外となります。詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
高度なネットワークインターフェイスを作成するには、ネットワークとホスト名 画面の左下隅にある + ボタンをクリックします。

図8.13 ネットワークとホスト名の設定画面

ネットワークとホスト名の設定画面
ダイアログが表示され、以下のオプションがドロップダウンメニューから選択できます。
  • Bond - NIC (Network Interface Controller) Bonding を表します。これは、複数のネットワークインターフェイスをまとめて単一の結合チャネルにバインドする方法です。
  • ブリッジ - 複数の個別のネットワークを 1 つの集約ネットワークに接続する方法である NIC ブリッジングを表します。
  • チーム - リンクを集約するための新しい実装である NIC チーミングを表し、パケットフローの高速処理を実装するための小さなカーネルドライバーと、ユーザー空間で他のすべてを実行するためのさまざまなアプリケーションを提供するように設計されています。
  • VLAN - 相互に分離された複数の異なるブロードキャストドメインを作成する方法を表します。

図8.14 高度なネットワークインターフェイスのダイアログ

高度なネットワークインターフェイスのダイアログ
注記
ローカルでアクセスできるインターフェイスは有線、無線に関わらずインストールプログラムにより自動的に検出されるため、上記の操作手順で手動による追加や削除はできません。
オプションを選択して 追加 ボタンをクリックすると、新しいインターフェイスを設定するための別のダイアログが表示されます。詳細な手順については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。既存の高度なインターフェイスで設定を編集するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。- ボタンをクリックして、手動で追加したインターフェイスを削除することもできます。

8.13. ソフトウェアの選択

インストールするパッケージを指定するには、Installation Summary 画面で Software Selection を選択します。パッケージは ベース環境 に応じてグループ化されています。これらの環境は、特定の目的を持つ事前定義された一連のパッケージです。たとえば、仮想化ホスト 環境には、システム上で仮想マシンを実行するために必要な一連のソフトウェアパッケージが含まれています。インストール時に選択できる環境は一つのみです。
各環境には、アドオン という形で追加パッケージが選択できるようになっています。アドオンは画面の右側に表示され、環境を選び直すとアドオンの一覧も更新されます。アドオンは複数選択が可能です。
アドオン一覧は横線で上下に分割されています。
  • 横線の に表示されるアドオンは、選択した環境に固有のものです。いずれかのアドオンを選択してから環境の選択を変更すると、アドオンの選択は失われます。
  • 横線の に表示されるアドオンは、すべての環境で同じものです。別の環境を選択し直しても、ここでの選択は失われません。

図8.15 サーバーインストールでのソフトウェア選択の例

サーバーインストールでのソフトウェア選択の例
選択できるベース環境およびアドオンの種類は、インストールソースとして使用するインストール ISO イメージの種類によります。たとえば、サーバー バリアントはサーバー用に設計された環境を提供しますが、ワークステーション バリアントには開発者ワークステーションとしてデプロイメントするためのいくつかの選択肢があります。
インストールプログラムでは各環境に含まれているパッケージは表示されません。特定の環境またはアドオンに含まれるパッケージを確認するには、repodata/*-comps- variant を参照してください。 インストールソースとして使用している Red Hat Enterprise Linux インストール DVD の architecture .xml ファイル。このファイルには、使用可能な環境 (<environment> タグでマーク) とアドオン (<group> タグ) を記述した構造が含まれています。
重要
事前に定義された環境やアドオンを使用するとシステムをカスタマイズできますが、手動でのインストールでは、インストールする個別パッケージを選択する方法はありません。どのパッケージをインストールする必要があるかわからない場合、Red Hat は 最小インストール 環境を選択することを推奨します。最小限のインストール では、Red Hat Enterprise Linux の基本バージョンと最小限の追加ソフトウェアのみをインストールします。これにより、システムが脆弱性の影響を受ける可能性が大幅に減ります。システムのインストールが完了し、初めてログインした後、Yum パッケージマネージャーを使用して必要な追加ソフトウェアをインストールできます。Minimal install の詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 Security Guide の Installing the Minimum amount of Packages Required セクションを参照してください。
代わりに、キックスタートファイルを使ってインストールを自動化することによりインストールパッケージをより高度なレベルで管理することもできます。キックスタートファイルの %packages セクションで、環境、グループ、および個々のパッケージを指定できます。キックスタートファイルでインストールするパッケージを選択する方法については 「パッケージの選択」 を参照してください。キックスタートを使ってインストールを自動化する方法については27章キックスタートを使ったインストールを参照してください。
インストールする環境とアドオンを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

8.13.1. コアとなるネットワークサービス

すべての Red Hat Enterprise Linux インストールには、以下のネットワークサービスが含まれます。
  • rsyslog サービスによる集中ログ
  • SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) による電子メール
  • NFS (Network File System) によるネットワークファイル共有
  • SSH (Secure SHell) によるリモートアクセス
  • mDNS (multicast DNS) によるリソースのアドバタイズ
Red Hat Enterprise Linux システムの自動化プロセスは、システム管理者へのレポートやメッセージの送信に電子メールサービスを利用するものがあります。デフォルトでは、電子メール、ログ記録、印刷などのサービスは他のシステムからの接続は受信しません。
インストール後に電子メール、ファイル共有、ログ記録、印刷、リモートによるデスクトップへのアクセスなどのサービスを提供するように Red Hat Enterprise Linux システムを設定できます。SSH サービスはデフォルトで有効になっています。また、NFS 共有サービスを有効にしなくても、NFS を使って他のシステム上のファイルにアクセスすることもできます。

8.14. インストール先

ディスクを選択し、Red Hat Enterprise Linux をインストールするストレージスペースを分割するには、Installation Summary 画面で Installation Destination を選択します。ディスクのパーティション設定に慣れていない場合は、付録A ディスクパーティションの概要を参照してください。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシステムをアップグレードする、または作成する場合には、保存しておきたいストレージデバイスのデータはすべてバックアップをとってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。
重要
Red Hat Enterprise Linux をテキストモードでインストールする場合は、このセクションで説明しているデフォルトのパーティション設定スキームしか使用できません。インストールプログラムで自動的に追加や削除が行われるもの以外、パーティションやファイルシステムの追加または削除はできません。
重要

特殊なケース

  • RAID カードを実装している場合、BIOS タイプは、RAID カードからの起動に対応していない場合がある点に注意してください。このような場合、別のハードドライブなど、RAID アレイの外側のパーティションに /boot パーティションを作成する必要があります。そのような RAID カードへのパーティション作成には、内蔵ハードドライブを使用する必要があります。ソフトウェア RAID のセットアップには 、/boot パーティションも必要です。システムを自動的に分割することを選択した場合は、/boot パーティションを手動で編集する必要があります。見る「手動パーティション設定」詳細については。
  • Red Hat Enterprise Linux ブートローダーを別のブートローダーから チェーンロードする ように設定するには、Installation Destination 画面から Full disk summary and bootloader リンクをクリックして手動でブートドライブを指定する必要があります。起動ドライブを指定する方法は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
  • マルチパスストレージデバイスと非マルチパスのストレージデバイスの両方が使用されているシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすると、インストールプログラムの自動パーティション設定レイアウトに、マルチパスのデバイスと非マルチパスのデバイスが混在するボリュームグループが作成される可能性があります。これはマルチパスストレージの目的に反することになります。インストール先 画面で、マルチパスデバイスのみ、または非マルチパスデバイスのみを選択することを推奨します。もしくは、手動のパーティション設定を実行してください。

図8.16 ストレージ領域の概要

ストレージ領域の概要
この画面では、ご使用のコンピューターでローカルの使用が可能なストレージデバイスを確認することができます。ディスクの追加 ボタンをクリックして、特殊なデバイスやネットワークデバイスを追加することもできます。このデバイスの詳細は「ストレージデバイス」を参照してください。
画面上部のペインのアイコンをクリックして、Red Hat Enterprise Linux をインストールするディスクを選択します。各ディスクには、ラベル、サイズ、使用可能な領域が示されています。この画面で選択しなかったディスクについては一切変更されません。
ストレージデバイスのペインの下には、その他のストレージオプション というラベルの付いた追加のコントロールがあります。
  • パーティショニング セクションでは、ストレージデバイスのパーティション分割方法とボリュームの作成方法を選択できます。パーティションを手動で設定する、またはインストールプログラムによる自動設定を選択することができます。
    今まで使用したことがないストレージにクリーンインストールを実行する場合、またはストレージに保存されているデータは一切必要ない場合には、自動パーティション設定が推奨されます。この方法で続行するには、パーティショニングを自動的に設定する ラジオボタンのデフォルトの選択をそのままにしておきます。インストールプログラムは必要なパーティションとボリュームをストレージスペースに作成します。
    自動パーティショニングの場合、追加のスペースを利用可能にしたい チェックボックスを選択して、他のファイルシステムからこのインストールにスペースを再割り当てする方法を選択することもできます。完了 をクリックすると、2 つのダイアログが表示されます。自動パーティション設定を選択しているものの、推奨のパーティション設定でインストールを完了するのに十分なストレージ領域がない場合には、以下のダイアログが表示されます。

    図8.17 インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション

    インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション
    Red Hat Enterprise Linux ソフトウェアの選択 リンクをクリックできます。リンクをクリックすると、ソフトウェアの選択 セクションに移動します。ここで、インストールするソフトウェアを変更したり、追加のストレージスペースを解放したりできます。
    または、キャンセルしてディスクを追加 を クリックして インストール先 画面に戻り、ストレージデバイスを追加するか、手動でパーティションを設定することを選択できます。Reclaim space をクリックして、既存のファイルシステムから一部のストレージスペースを解放します。詳細は 「ディスク領域の獲得」 を参照してください。
    十分な領域を確保できないと、別のダイアログが表示されます。この場合は、当初のストレージ画面でディスクを追加するか、インストールを中止することになります。
    手動セットアップ用に I will configure partitioning ラジオボタンを選択すると、Done をクリックすると Manual Partitioning 画面が表示されます。詳細は 「手動パーティション設定」 を参照してください。
  • 暗号化 セクションで、データを暗号化する チェックボックスをオンにして、/boot パーティションを除くすべてのパーティションを暗号化できます。暗号化についての詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
画面の下部には、ブートローダーをインストールするディスクを設定するための フルディスクの概要 とブートローダー ボタンがあります。
詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
選択が完了したら、完了 ボタンをクリックして 、インストールの概要 画面に戻るか、手動パーティション分割 画面に進みます。

8.14.1. ブートローダーのインストール

Red Hat Enterprise Linux は、ブートローダーとして GRUB2 (GRand Unified Bootloader バージョン 2) を使用します。ブートローダーは、システムの起動時に実行し、制御をオペレーティングシステムに読み込み、転送する最初のプログラムです。GRUB2 は互換性のあるオペレーティングシステムであれば起動可能で、チェーンロード で未対応のオペレーティングシステムのブートローダーにも読み込んだ指示を渡すことができます。
警告
GRUB 2 をインストールすると既存のブートローダーを上書きする可能性があります。
Red Hat Enterprise Linux は、他のオペレーティングシステムがすでにインストールされていると、自動検出して GRUB2 で起動できるように設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。
ブートローダーをインストールするデバイスを指定するには、インストール先 画面の下部にある フルディスクの概要とブートローダー リンクをクリックします。選択したディスク ダイアログが表示されます。ドライブを手動でパーティション分割する場合、手動パーティション分割 画面で 選択したストレージデバイスを クリックすると、このダイアログにアクセスできます。

図8.18 選択したディスクの要約

選択したディスクの要約
Boot 列で、緑色のチェックアイコンが、デバイスの 1 つを目的の起動デバイスとしてマークします。起動デバイスを変更するには、リストからデバイスを選択し、起動デバイスとして設定 ボタンをクリックして、代わりにそこにブートローダーをインストールします。
新しいブートローダーのインストールを拒否するには、マークされたデバイスを選択し、ブートローダーをインストールしない ボタンをクリックします。チェックマークアイコンが外れ、いずれのデバイスにも GRUB2 はインストールされなくなります。
警告
何らかの理由でブートローダーをインストールしない選択をした場合、直接システムを起動することができなくなるため、市販のブートローダーアプリケーションなど別の起動方法を使用しなければならなくなります。ブートローダーをインストールしない選択は、システムを起動させるための別の方法が確保されている場合に限定してください。
8.14.1.1. MBR と GPT に関する注意点
インストールプログラムによりルートファイルシステムのデバイスの マスターブートレコード (MBR) または GUID パーティションテーブル (GPT) に GRUB2 がインストールされます。いずれを使用するかは、次のような状況によって判断されます。
BIOS システム、および BIOS 互換性モードの UEFI システム
ディスクが既にフォーマットされている場合、パーティションスキームは維持されます。
ディスクがフォーマットされていない場合、またはユーザーがディスクからすべてのパーティションを消去した場合、Anaconda は 以下を使用します。
  • ディスクに 232 未満のセクターしかない場合、MBR を使用。一般的にディスクセクターは 512 バイトで、これは 2 TiB に当たります。
  • ディスクに 232 以上のセクターがある場合、GPT を使用。
    注記
    ブートコマンドラインに inst.gpt オプションを追加して、デフォルトの動作をオーバーライドし、サイズが 2 32 セクター未満のディスクで GPT を使用します。Anaconda を 手動でオーバーライドして、サイズが 2 32 セクター以上のディスクで MBR を使用することはできないことに注意してください。
ブートローダーが GPT を使用するディスクの BIOS システム上にインストールするには、BIOS Boot (biosboot) パーティションを作成する必要があります。biosboot パーティションのサイズは 1 MiB にする必要があります。ただし、ブートローダーを含むディスクが MBR を使用している場合は、biosboot パーティションは必要 ありません
UEFI システム
UEFI のシステム上で使用できるのは GPT のみです。MBR があるフォーマット済みディスクにインストールするには、まずディスクの再フォーマットが必要になります。
パーティショニングスキームに関係なく、EFI システムパーティション (/boot/efi) を作成する必要があります。/boot/efi パーティションのサイズは少なくとも 50 MiB にする必要があります。推奨サイズは 200 MiB です。
注記
biosboot パーティションも efi パーティションも、LVM ボリュームに置くことはできません。このパーティションは標準の物理パーティションに格納してください。

8.14.2. パーティションの暗号化

データを暗号化する オプションを選択した場合、クリックして次の画面に進むと、インストールプログラムは、システム上のパーティションを暗号化するためのパスフレーズの入力を求めます。
パーティションの暗号化は LUKS (Linux Unified Key Setup) を使用して行われます。詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

図8.19 暗号化したパーティションのパスフレーズ入力

暗号化したパーティションのパスフレーズ入力
パスフレーズが決まったらダイアログボックスの 2 つのフィールドに入力します。パスフレーズの設定に使用するキーボードレイアウトは、後でパーティションのロック解除に使用するキーボードレイアウトと同じものを使用してください。言語レイアウトのアイコンで正しいレイアウトが選択されていることを確認します。このパスフレーズはシステムが起動するたび、毎回入力する必要があります。パスフレーズ 入力フィールドで Tab キー を押して、パスフレーズを再入力します。パスフレーズが脆弱すぎる場合はフィールドに警告アイコンが表示され、2 番目のフィールドに入力ができません。カーソルを警告アイコンの上に持って行くと、パスフレーズの改善方法が分かります。
警告
このパスフレーズを紛失してしまうと、暗号化したパーティションおよびそのパーティション上にあるデータは完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。
キックスタートを使用したインストールを行っている場合は、インストール中に暗号パスフレーズを保存してバックアップしておくことができます。ディスク暗号化の詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

8.14.3. ディスク領域の獲得

インストール先 で選択したディスクに Red Hat Enterprise Linux をインストールするための十分なスペースがなく、インストールオプション ダイアログでスペース の再利用 を選択した場合、ディスク容量の再利用 ダイアログが表示されます。
警告
パーティションの縮小を選択していなければ、領域の確保によりそのパーティション上のデータはすべて消去されます。このため、保持しておく必要があるデータのバックアップがすでに用意されていることを必ず確認してください。

図8.20 既存ファイルシステムからのディスク領域の確保

既存ファイルシステムからのディスク領域の確保
Red Hat Enterprise Linux を検出した既存のファイルシステムが、該当するディスクの一部として表に一覧表示されます。Reclaimable Space 列には、このインストールに再割り当てできるスペースがリスト表示されます。アクション 列には、スペースを再利用するためにファイルシステムで実行されるアクションがリスト表示されます。
表の下にはボタンが 4 つあります。
  • 保存 - ファイルシステムは変更されず、データは削除されません。これがデフォルト動作です。
  • 削除 - ファイルシステムを完全に削除します。ファイルシステムが占めていた領域をすべてインストールで使用できるようにします。
  • 縮小 - ファイルシステムから空き領域を回復し、このインストールで使用できるようにします。スライダーを使って選択したパーティションの新たなサイズを設定します。LVM または RAID が使用されていない、サイズ変更可能なパーティションでしか使用できません。
  • すべて削除/すべて保存 - このボタンは右側にあり、デフォルトですべてのファイルシステムを削除対象としてマークします。もう一度クリックすると、ラベル名が変わり、全ファイルシステムを確保するように再度マークされます。
マウスを使ってテーブル内のファイルシステムまたはディスク全体を選択したら、ボタンをクリックします。アクション 列のラベルが選択内容に合わせて変更され、テーブルの下に表示される 再利用する選択済み 容量の合計がそれに応じて調整されます。この値の下にはインストールに必要となる領域サイズが表示されます。このサイズはインストールの選択をしたパッケージの量に基づいています。
インストールを続行するのに十分なスペースが再利用されると、Reclaim Space ボタンが使用可能になります。このボタンをクリックしてインストールの概要画面に戻り、インストールを続行します。

8.14.4. 手動パーティション設定

手動パーティション 設定 画面 は、I will configure partitioning オプションを選択した場合は、インストール先 から 完了 をクリックすると表示されます。各ディスクパーティションおよびマウントポイントの設定はこの画面で行います。ここで、Red Hat Enterprise Linux をインストールするファイルシステムを定義します。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシステムをアップグレードする、または作成する場合には、保存しておきたいストレージデバイスのデータはすべてバックアップをとってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。

図8.21 手動パーティション設定の画面

手動パーティション設定の画面
Manual Partitioning 画面では、最初にマウントポイントの左側に 1 つのペインがあります。このペインは、マウントポイント作成についての情報以外は空であるか、インストールプログラムが検出した既存のマウントポイントを表示します。これらのマウントポイントは、検出されたオペレーティングシステムのインストールごとにまとめられています。このため、パーティションがいくつかのインストールで共有されている場合は、複数回表示されるファイルシステムもあります。選択されたストレージデバイスの合計領域と利用可能な領域がこのペインの下に表示されます。
システムに既存のファイルシステムがある場合には、インストールに十分な領域があることを確認してください。- ボタンを使用して、不要なパーティションを削除します。
注記
ディスクパーティションに関する推奨事項および補足情報は、付録A ディスクパーティションの概要「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。少なくとも、適切なサイズのルートパーティションと、通常、システムの RAM のサイズに応じた swap パーティションが必要です。
8.14.4.1. ファイルシステムの追加とパーティションの設定
Red Hat Enterprise Linux のインストールには最低限必要なパーティションは 1 つですが、Red Hat は、少なくとも /、/home / boot、および swap のパーティションまたはボリュームを使用することを推奨します。必要に応じて、その他のパーティションやボリュームを作成することもできます。詳細は 「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
注記
(特定のパーティションを特定のディスクに配置するなど) 特定のパーティションに要件があり、他のパーティションにはそのような要件がない場合は、要件のあるパーティションを先に作成します。
ファイルシステムの追加手順は 2 つに分かれます。まず、特定のパーティションスキームにマウントポイントを作成します。マウントポイントが左側のペインに表示されます。次に、右側のペインのオプションを使ってこのマウントポイントをカスタマイズします。ここではマウントポイント、デバイスタイプやファイルシステムタイプ、ラベルなどを変更する、該当パーティションを暗号化するまたは再フォーマットすることなどができます。
既存のファイルシステムがなく、インストールプログラムで必要なファイルシステムとそれらのマウントポイントを作成する場合は、左側のペインのドロップダウンメニューから任意のパーティション設定スキームを選択します (Red Hat Enterprise Linux のデフォルトは LVM)。次に、ペインの上部にあるリンクをクリックするとマウントポイントが自動的に作成されます。これにより、/boot パーティション、/ (root)ボリューム、および swap ボリュームが生成され、使用可能なストレージのサイズに比例します。これらのファイルシステムが一般的なインストールで推奨されるファイルシステムになります。ただし、必要に応じてファイルシステムとマウントポイントを追加することもできます。
または、ペインの下部にある + ボタンを使用して、個々のマウントポイントを作成します。これで 、新しいマウントポイントの追加 ダイアログが開きます。マウントポイント ドロップダウンメニューから事前に設定したパスのいずれかを選択するか、独自のパスを入力します。たとえば、root パーティションの場合は / を選択し、ブートパーティションには /boot を選択します。次に、ファイルシステムのサイズを Desired Capacity テキストフィールドに入力します(例: 2GiB )。フィールドを空白のままにしたり、利用可能な領域よりも大きいサイズを指定すると、残りの空の領域がすべて使用されることになります。これらの詳細を入力したら、マウントポイントの追加 ボタンをクリックしてパーティションを作成します。
注記
領域の割り当てに関する問題を回避するには、最初に /boot などの既知の固定サイズの小さなパーティションを作成し、その後に残りのパーティションを作成して、インストールプログラムが残りの領域をそれらに割り当てられるようにします。
同様に、システムが置かれることになる複数のディスクがあり、これらのサイズが異なり、また特定のパーティションが BIOS に検出される最初のディスク上で作成される必要がある場合、そのパーティションを最初に作成するようにしてください。
左側のペインにあるドロップダウンメニューを使うと、手作業で作成する新しいマウントポイントにパーティションスキームを設定することができます。利用可能なオプションは 、標準パーティションBTRFSLVM、および LVM シンプロビジョニング です。/boot パーティションは、このメニューで選択した値に関係なく、常に標準パーティションに配置されることに注意してください。
LVM 以外のマウントポイントを 1 つ配置するデバイスを変更するには、マウントポイントを選択し、右側のペインの Modify... ボタンをクリックして、マウントポイントの設定 ダイアログを開きます。1 つ以上のデバイスを選択し、Select クリックします。ダイアログが閉じたら、手動パーティション 設定 画面の右側にある 設定の 更新 ボタンをクリックしてこの設定を確定する必要がある点に注意してください。

図8.22 マウントポイントの設定

マウントポイントの設定
すべてのローカルディスクとパーティションに関する情報を更新するには、ツールバー Rescan ボタン(円形の矢印アイコンを使用)をクリックします。この作業が必要になるのはインストールプログラム以外で高度なパーティション設定を行った場合のみです。ディスクの再 スキャン ボタンをクリックすると、インストールプログラムで以前に行った設定変更がすべて失われることに注意してください。

図8.23 ディスクの再スキャン

ディスクの再スキャン
画面下部のリンクには、インストール先 で選択したストレージデバイスの数が表示されます( 「インストール先」を参照してください)。このリンクをクリックすると、選択したディスク ダイアログが開き、ディスクに関する情報が確認されます。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
パーティションまたはボリュームをカスタマイズする場合は、左側のペインでパーティションまたはボリュームを選択すると、右側にカスタム可能な詳細が表示されます。

図8.24 パーティションのカスタマイズ

パーティションのカスタマイズ
  • マウントポイント - ファイルシステムのマウントポイントを入力します。たとえば、ファイルシステムが root ファイルシステムの場合は / を入力し、/boot ファイルシステムの場合は /boot を入力します。swap ファイルシステムの場合、マウントポイントは設定しないでください。ファイルシステムタイプを swap に設定するだけで十分です。
  • 必要な 容量: ファイルシステムの必要なサイズを入力します。単位には KiB や GiB が使用できます。単位を指定しない場合は、MiB がデフォルトになります。
  • デバイスタイプ - 標準パーティション、LVM、RAID LVM シンプロビジョニング 、または BTRFS のいずれかの種類を選択します。パーティションまたはボリュームを 暗号 化するには、隣接する 暗号化 ボックスにチェックを入れます。パスワードを設定するようプロンプトが後で表示されます。RAID は、パーティションに 2 つ以上のディスクが選択されている場合にのみ利用できます。このタイプを選択した場合は、RAID レベル を設定することもできます。同様に、LVM を選択した場合は、ボリュームグループ を 指定できます
  • ファイルシステム: ドロップダウンメニューで、このパーティションまたはボリュームに適したファイルシステムタイプを選択します。既存のパーティションをフォーマットする場合は、隣接する Reformat ボックスにチェックを入れるか、データを維持するためにチェックを外します。データをそのまま維持する場合は空白にしておきます。新規作成されたパーティションやボリュームは再フォーマットが必要で、この場合はチェックボックスのチェックを外すことはできません。
  • label - パーティションにラベルを割り当てます。ラベルを使うと、個別のパーティションの認識とアドレス指定が容易になります。
  • 名前: LVM または Btrfs ボリュームに名前を割り当てます。標準パーティションは作成時に自動的に名前が付けられ、/home には sda1 という名前が割り当てられているなど、名前を編集できないことに注意してください。
ファイルシステムおよびデバイスタイプの詳細は、「ファイルシステムのタイプ」 を参照してください。
設定の更新 ボタンをクリックして変更を保存し、カスタマイズする別のパーティションを選択します。インストールの概要ページからインストールを開始するまで、実際には変更は適用されません。Reset All ボタンをクリックして、すべてのパーティションへの変更をすべて破棄し、最初からやり直します。
すべてのファイルシステムとマウントポイントを作成してカスタマイズしたら、完了 ボタンをクリックします。ファイルシステムの暗号化を選択した場合はパスフレーズの作成が求められます。次に、インストールプログラムが受け取るストレージ関連の全アクションの概要を示すダイアログが表示されます。これにはパーティションおよびファイルシステムの作成、サイズ調整、削除が含まれます。すべての変更を確認し、Cancel & Return to Custom Partitioning をクリックして戻ることができます。変更を確認するには、Accept Changes をクリックして Installation Summary ページに戻ります。追加のデバイスをパーティションに分割するには、インストール先 画面でデバイスを選択し、手動パーティション設定 画面に戻り、本セクションで説明している追加のデバイスについてこの手順を繰り返します。
重要
/usr または /var のパーティションがルートボリュームとは別に設定されている場合、このディレクトリーには重要なコンポーネントが含まれているため、起動プロセスが非常に複雑になります。iSCSI ドライブや FCoE などの場所に配置してしまった場合には、システムが起動できなくなったり、電源オフや再起動の際に Device is busy のエラーでハングしたりする可能性があります。
この制限は /usr または /var にのみ適用され、それらの下のディレクトリーには適用されません。たとえば、/var/www 用の別のパーティションは問題なく機能します。
8.14.4.1.1. ファイルシステムのタイプ
Red Hat Enterprise Linux では、異なるデバイスタイプとファイルシステムを作成できます。各種のデバイスタイプおよびファイルシステムの種類とその使い方を以下に簡単に示します。

デバイスタイプ

  • 標準パーティション: 標準のパーティションにはファイルシステムまたはスワップ領域を含めることも、ソフトウェア RAID または LVM 物理ボリューム用のコンテナーを提供することもできます。
  • 論理ボリューム(LVM): LVM パーティションを作成すると、自動的に LVM 論理ボリュームが生成されます。LVM は、物理ディスクを使用する場合にパフォーマンスを向上させることができます。論理ボリュームを作成する方法は、「LVM 論理ボリュームの作成」 を参照してください。LVM に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。
  • LVM シンプロビジョニング - シンプロビジョニングを使用すると、シンプールと呼ばれる空き領域のストレージプールを管理できます。これは、アプリケーションで必要に応じて任意の数のデバイスに割り当てることができます。シンプールは、ストレージ領域をコスト効率よく割り当てる必要がある場合に、動的に拡張できます。LVM に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。
    警告
    Anaconda は、オーバープロビジョニングの LVM シンプールをサポートしていません。
    注記
    インストーラーは、LVM シンプール論理ボリューム用に要求した領域の 20% を、これを格納しているボリュームグループ内で自動的に確保します。これは、シンプロビジョニングした論理ボリュームのデータボリュームやメタデータボリュームを拡張する場合に備えた安全対策です。
  • ソフトウェア RAID - 複数のソフトウェア RAID パーティションを作成すると、RAID デバイスを作成できます。システム上の各ディスクに対して RAID パーティションを 1 つずつ割り当てます。RAID デバイスを作成するには、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。RAID の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 ストレージ管理ガイドを参照してください。

ファイルシステム

  • XFS - XFS は、最大 16 EiB (約 160,000 GiB)のファイルシステム、最大 8 EiB (約 80,000 GiB)のファイル、および数十万のエントリーを含むディレクトリー構造をサポートする、非常にスケーラブルで高パフォーマンスのファイルシステムです。XFS は、クラッシュからの回復が早いメタデータジャーナル機能に対応します。また、XFS ファイルシステムは、マウント中でアクティブな場合でも、最適化やサイズ変更を行うことができます。このファイルシステムはデフォルトで選択されており、強くお勧めします。以前使用された ext4 ファイルシステムから XFS に共通のコマンドを変換する方法は、付録F ext4 と XFS コマンドの参照表 を参照してください。
    Red Hat Enterprise Linux で XFS ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、500 TiB です。
  • ext4: ext4 ファイルシステムは ext3 ファイルシステムをベースとし、多くの改善が行われています。より大きなファイルシステム、そしてより大きなファイルに対応するようになり、ディスク領域の割り当てに要する時間が短縮され効率化されています。また、ディレクトリー内のサブディレクトリーの数に制限がなく、ファイルシステムチェックが速くなり、ジャーナリングがより強力になりました。
    Red Hat Enterprise Linux で ext4 ファイルシステムで現在対応可能な最大サイズは、50 TiB です。
  • ext3 - ext3 ファイルシステムは ext2 ファイルシステムをベースとし、ジャーナリング機能という大きな利点を備えています。ジャーナリングファイルシステムを使用すると、クラッシュが発生するたびに fsck ユーティリティーを実行してメタデータの整合性をチェックする必要がないため、クラッシュ後のファイルシステムの復元にかかる時間が短縮されます。
  • ext2: ext2 ファイルシステムは、通常のファイル、ディレクトリー、シンボリックリンクなど、標準の Unix ファイルタイプをサポートします。最大 255 文字までの長いファイル名を割り当てることができます。
  • vfat: VFAT ファイルシステムは、FAT ファイルシステム上の Microsoft Windows の長いファイル名と互換性のある Linux ファイルシステムです。
  • swap - Swap パーティションは仮想メモリーをサポートするために使用されます。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータが swap パーティションに書き込まれます。
  • BIOS ブート:BIOS システムで GUID パーティションテーブル(GPT)でデバイスを起動するために必要な非常に小さなパーティションです。詳細は 「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
  • EFI システムパーティション - UEFI システムで GUID パーティションテーブル(GPT)でデバイスを起動するために必要な小さなパーティション。詳細は 「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
各ファイルシステムには、そのファイルシステムにより異なるサイズ制限があります。また、ファイルシステムごと個別のファイルを格納しています。対応している最大ファイルサイズおよび最大ファイルシステムサイズなどの一覧はカスタマーポータルの Red Hat Enterprise Linux technology capabilities and limits のページをご覧ください (https://access.redhat.com/site/articles/rhel-limits)。
8.14.4.2. ソフトウェア RAID の作成
RAID (Redundant arrays of independent disks) は、複数のディスクで設定されており、組み合わせてパフォーマンスを向上させます。また、一部の設定では、より高い耐障害性を得ることができます。各種 RAID の詳細は以下をご覧ください。
RAID デバイスの作成は 1 つのステップで終わり、必要に応じてディスクを追加または削除できます。また、ディスクは必要に応じて追加や削除ができます。1 つの物理ディスクに 1 つの RAID パーティションが作成できるため、インストールプログラムで使用できるディスク数により利用できる RAID デバイスのレベルが確定されます。たとえば、システムに 2 つのハードドライブがある場合、RAID10 デバイスを作成することはできません。これには 4 つの別個のパーティションが必要になります。

図8.25 ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプメニュー の展開

ソフトウェア RAID パーティションの作成 - デバイスタイプメニュー の展開
RAID 設定オプションはインストール用に複数のディスクを選択している場合にのみ、表示されます。RAID デバイスの作成には少なくともディスクが 2 つ必要になります。
RAID デバイスの作成
  1. 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従って、マウントポイントを作成します。このマウントポイントを設定することで、RAID デバイスを設定していることになります。
  2. 左側のペインでパーティションを選択したまま、ペインの下にある設定ボタンを選択して、マウントポイントの設定 ダイアログを 開きます。RAID デバイスに含まれるディスクを選択し、Select をクリックします。
  3. デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして、RAID を選択します。
  4. ファイルシステム ドロップダウン メニューを クリックして、目的のファイルシステムタイプを選択します( 「ファイルシステムのタイプ」 を参照してください)。
  5. RAID レベル ドロップダウンメニューをクリックして、目的の RAID レベルを選択します。
    利用できる RAID レベルは以下のとおりです。
    RAID0 - パフォーマンス(ストライプ)
    データを複数のディスクに分散させます。RAID レベル 0 は、標準パーティションでのパフォーマンスを向上させます。複数のディスクを 1 つの大きな仮想デバイスにまとめることができます。RAID レベル 0 には冗長性がなく、アレイ内の 1 ディスクに障害が発生するとアレイ全体のデータが壊れる点に注意してください。RAID 0 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID1 - 冗長性(ミラーリング)
    1 つのディスク上の全データを別のディスク (複数可) にミラーリングします。アレイ内のデバイスを増やすことで冗長レベルを強化します。RAID 1 には少なくとも 2 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID4 - エラー検出(解析)
    データを複数のディスクに分散す、アレイ内の 1 ディスクにパリティー情報を格納しているため、アレイ内のいずれかのディスクに障害が発生した場合にアレイを保護します。すべてのパリティー情報が 1 つのディスクに格納されるため、このディスクにアクセスすると、アレイのパフォーマンスにボトルネックが発生します。RAID 4 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID5: 分散エラー検出
    データおよびパリティー情報を複数のディスクに分散させます。そのため、RAID レベル 5 は複数ディスクにデータを分散させパフォーマンスが向上する一方、パリティー情報もアレイ全体で分散されるため、RAID レベル 4 のようにパフォーマンスにボトルネックが発生しません。RAID 5 には少なくとも 3 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID6: 冗長
    RAID レベル 6 は RAID レベル 5 と似ていますが、パリティーデータが 1 セットではなく 2 セット格納されます。RAID 6 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
    RAID10 : 冗長性(ミラー) および 最適化されたパフォーマンス(ストライプ)
    RAID レベル 10 はネスト化した RAID または ハイブリッド RAID になります。ミラーリングしているディスクセットに対してデータを分散させることで構築します。たとえば、4 つの RAID パーティションで構築した RAID レベル 10 のアレイは、ストライプ化されたパーティションをミラーリングする 2 組のペアで設定されます。RAID 10 には少なくとも 4 つの RAID パーティションが必要です。
  6. 設定の 更新 を クリックして変更を保存し、別のパーティションに進むか、完了 を クリック して インストールの概要 画面に戻ります。
ディスク数が指定した RAID レベルで必要なディスク数より少ない場合、選択した設定に必要とされるディスク数を示すメッセージがウィンドウ下部に表示されます。
8.14.4.3. LVM 論理ボリュームの作成
論理ボリューム管理 (LVM) では、ハードドライブや LUN などのベースとなっている物理ストレージ領域を論理的な観点から表示します。物理ストレージ上のパーティションは 物理ボリューム として表示され、ボリュームグループ にグループ化することができます。各ボリュームグループは複数の 論理ボリューム に分割することができます。したがって、LVM 論理ボリュームは、複数の物理ディスクにまたがることが可能なパーティションとして機能します。
LVM の詳細は、付録D LVM の理解 またはRed Hat Enterprise Linux 7 論理ボリュームマネージャーの管理を参照してください。LVM の設定はグラフィカルインストールプログラムでしかできないため注意してください。
重要
テキストモードによるインストールの場合は、LVM を設定できません。LVM 設定をゼロから作成する必要がある場合は、Ctrl+Alt+F2 を押して別の仮想コンソールを使用し、lvm コマンドを実行します。テキストモードのインストールに戻るには、Ctrl+Alt+F1 を押します。

図8.26 論理ボリュームの設定

論理ボリュームの設定
論理ボリュームを作成して新規または既存のボリュームグループに追加するには、以下を実行します。
  1. 「ファイルシステムの追加とパーティションの設定」 の説明に従い LVM ボリュームにマウントポイントを作成します。
  2. デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして、LVM を選択します。ボリュームグループ ドロップダウン メニューが表示され、新たに作成されたボリュームグループ名が表示されます。
  3. 必要に応じて、メニューをクリックし、Create a new volume group を選択するか、Modify をクリックして新たに作成したボリュームグループを設定します。Create a new volume group オプションと Modify ボタンの両方により、Configure Volume Group ダイアログが表示され、論理ボリュームグループの名前を変更し、追加するディスクを選択できます。
    注記
    設定ダイアログではボリュームグループの物理エクステントのサイズは指定できません。このサイズは、常にデフォルト値の 4 MiB に設定されます。別の物理エクステントのボリュームグループを作成する場合は、インタラクティブシェルに切り替え、vgcreate コマンドを使用して手動で作成するか、volgroup --pesize=size コマンドでキックスタートファイルを使用します。

    図8.27 LVM ボリュームグループのカスタマイズ

    LVM ボリュームグループのカスタマイズ
    利用可能な RAID レベルは、実際の RAID デバイスと同じです。詳細は、「ソフトウェア RAID の作成」 を参照してください。またボリュームグループの暗号化に印を付けて、サイズポリシーを設定することもできます。利用可能なポリシーオプションは以下のようになります。
    • 自動: ボリュームグループのサイズは自動で設定されるため、設定した論理ボリュームを格納するのに十分な大きさになります。ボリュームグループに空の領域が必要ない場合に最適です。
    • できるだけ大きく - 設定した論理ボリュームのサイズに関係なく、最大サイズのボリュームグループが作成されます。これは、ほとんどのデータを LVM に保存する場合、または後で既存の論理ボリュームのサイズを拡大する可能性がある場合、もしくはこのグループに別の論理ボリュームを作成する必要がある場合などに最適です。
    • Fixed: このオプションでは、ボリュームグループのサイズを正確に設定できます。設定している論理ボリュームが格納できるサイズにする必要があります。ボリュームグループに設定する容量が正確に分かっている場合に便利です。
    グループを設定したら Save をクリックします。
  4. 設定の 更新 を クリックして変更を保存し、別のパーティションに進むか、完了 を クリック して インストールの概要 画面に戻ります。
警告
LVM ボリュームへの /boot パーティションの配置はサポートされていません。

8.15. ストレージデバイス

さまざまなストレージデバイスに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。「インストール先」 で説明されているように、インストール先 のページ で、ローカルにアクセス可能な基本的なストレージデバイスを確認できます。専用のストレージデバイスを追加するには、画面の 特殊 なディスク およびネットワークディスク セクションの ディスクの追加 ボタンをクリックします。

図8.28 ストレージ領域の概要

ストレージ領域の概要
注記
dmeventd デーモンによる LVM およびソフトウェア RAID デバイスの監視は、インストール時には実行されません。

8.15.1. ストレージデバイス選択の画面

ストレージデバイス選択画面には、Anaconda インストールプログラムがアクセスできるすべてのストレージデバイスが表示されます。
デバイスは、次のタブに分類されます。
マルチパスデバイス
同じシステムにある、複数の SCSI コントローラーやファイバーチャネルポートなどの複数のパスからアクセスできるストレージデバイスです。
インストールプログラムで検出できるのは、16 文字または 32 文字の長さのシリアル番号を持つマルチパスストレージデバイスのみです。
その他の SAN デバイス
SAN (Storage Area Network) 上にあるデバイスです。
NVDIMM デバイス
マシン上にある非揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) ストレージデバイスです。

図8.29 タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要

タブを使ってグループ分けされている特殊ストレージデバイスの概要
画面右下にボタンが表示されます。これらのボタンを使用して、新たなストレージデバイスを追加します。以下のボタンが利用可能です。
  • iSCSI ターゲットの追加 - iSCSI デバイスの接続には を使用します。に進んでください。 「iSCSI パラメーターの設定」
  • FCoE SAN を追加 - Fibre Channel Over Internet ストレージデバイスの設定に使用します。に進んでください。 「FCoE パラメーターの設定」
  • NVDIMM の再設定: NVDIMM デバイスをセクターモードに再設定します。に進んでください。 「NVDIMM デバイスの設定」
  • 一覧の更新 - インストーラーの開始後にデバイスが追加されたときに、を使用して一覧を再読み込みします。
概要ページには Search タブも含まれており、このタブでは、アクセスする World Wide Identifier (WWID)またはポート、ターゲット、または 論理ユニット番号 (LUN)別にストレージデバイスをフィルターできます。

図8.30 ストレージデバイスの検索タブ

ストレージデバイスの検索タブ
Search タブには、ポート、ターゲット、LUN、または WWID での検索を選択する Search By ドロップダウンメニューが含まれます。WWID または LUN で検索するには、対応する入力テキストフィールドに値を入力する必要があります。検索 ボタンを クリック して検索を開始します。
左側にチェックボックスが付いたデバイスが列ごとに表示されます。インストールプロセス中にそのデバイスを使用可能にする場合は、このチェックボックスをクリックします。インストールプロセスの後半では、Red Hat Enterprise Linux のインストール先として、ここで選択したデバイスのいずれかを指定することができます。また、インストール完了後のシステムの一部として、ここで選択したデバイスの自動マウントを指定することができます。
ここで選択するデバイスのデータがインストールプロセスで自動的に消去されるわけではありません。この画面上でデバイスを選択しても、それだけでデバイスに保存されているデータが抹消されるわけではありません。また、インストールしたシステムの一部を形成するために選択しないデバイスは、インストール後に /etc/fstab ファイルを変更してシステムに追加できます。
重要
この画面で選択しなかったストレージデバイスはすべて Anaconda から完全に非表示になります。別のブートローダーから Red Hat Enterprise Linux ブートローダーを チェーンロード する場合は、この画面に表示されるすべてのデバイスを選択します。
インストール時に利用できるようにするストレージデバイスを選択したら、完了 を クリック して インストール先 画面に戻ります。
8.15.1.1. 高度なストレージオプション
高度なストレージデバイスを使用する場合は、インストール先 画面の右下で該当するボタンをクリックして、SCSI over TCP/IP (iSCSI) ターゲット、Fibre Channel over Ethernet (FCoE) Storage Area Network (SAN)、または非揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスを設定することができます。iSCSI の概要は、付録B iSCSI ディスク を参照してください。

図8.31 高度なストレージオプション

高度なストレージオプション
8.15.1.1.1. iSCSI パラメーターの設定
Add iSCSI target... ボタンをクリックすると、iSCSI ターゲットの追加 ダイアログが 表示されます。

図8.32 iSCSI 検出詳細のダイアログ

iSCSI 検出詳細のダイアログ
インストールに iSCSI ストレージデバイスを使用するには、Anaconda が iSCSI ターゲットとして 検出 し、それにアクセスするための iSCSI セッション を作成できる必要があります。検出、セッションの作成それぞれで CHAP (Challenge Handshake Authentication Protocol) 認証用のユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。また、検出、セッションの作成いずれの場合も、iSCSI ターゲット側でターゲットの接続先となるシステムの iSCSI イニシエータを認証するよう設定することもできます (リバース CHAP)。CHAP とリバース CHAP を併用する場合は 相互 CHAP または 双方向 CHAP と呼ばれます。相互 CHAP を使用すると、特に CHAP 認証とリバース CHAP 認証でユーザー名やパスワードが異なる場合などに、iSCSI 接続に対する最大限の安全レベルを確保できます。
注記
iSCSI 検出と iSCSI ログインの手順を繰り返して、必要なすべての iSCSI ストレージの追加を行います。ただし、初回の検出試行後は、iSCSI イニシエーターの名前の変更はできません。iSCSI イニシエーターの名前を変更する場合は、インストールを最初からやり直す必要があります。

手順8.1 iSCSI の検出と iSCSI セッションの開始

iSCSI ストレージターゲットの追加 ダイアログを使用して、iSCSI ターゲットの検出に必要な情報を Anaconda に提供します。
  1. ターゲット IP アドレス フィールドに iSCSI ターゲットの IP アドレスを入力し ます。
  2. iSCSI イニシエーター名 フィールドに iSCSI 修飾名 (IQN)形式で iSCSI イニシエーターの名前 を指定します。IQN エントリーには次を含めてください。
    • word . の 文字列(ピリオドに注意)
    • 日付コード (企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名が登録された年と月、記述の順序は年を表す 4 桁の数字、ダッシュ記号、月を表す 2 桁の数字、ピリオドの順で設定。たとえば、2010 年 9 月を 2010-09 と 表します。
    • 企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名 (トップレベルのドメインを先頭にして逆順で表す。たとえば、storage.example.com のサブドメインは com.example.storageと表現します。
    • コロン (:) と、ドメインまたはサブドメイン内でその iSCSI イニシエーターを固有に識別する文字列。例: :diskarrays-sn-a8675309
    そのため、完全な IQN は次のようになり ます。iqn.2010-09.storage.example.com:diskarrays-sn-a8675309anaconda は、設定に役立つように、この形式で iSCSI Initiator Name フィールドに名前を入力します。
    IQN の詳細については、 http://tools.ietf.org/html/rfc3720#section-3.2.6 に記載の『RFC 3720 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI)』の『3.2.6. iSCSI Names』のセクションや、http://tools.ietf.org/html/rfc3721#section-1 に記載の『RFC 3721 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) Naming and Discovery』の 『1. iSCSI Names and Addresses』 のセクションを参照してください。
  3. 認証タイプの検出 ドロップダウン メニューを使用して、iSCSI 検出に使用する認証タイプを指定します。以下のタイプが使用できます。
    • 証明書なし
    • CHAP 秘密鍵
    • CHAP 秘密鍵とリバースペア
    • 認証タイプに CHAP ペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名 とパスワードを指定 ます。
    • 認証タイプに CHAP ペアとリバースペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名 と CHAP パスワード フィールドに iSCSI ターゲットのユーザー名 とパスワードを入力します。また、リバース CHAP ユーザー名 と Reverse CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI イニシエーターのユーザー名 とパスワードを指定します。
  4. 必要に応じて、Bind targets to network interfaces というラベルが付いたボックスにチェックを入れます。
  5. Start Discovery ボタンをクリックします。Anaconda は指定した情報に基づいて iSCSI ターゲットを検出しようとします。検出に成功すると、ダイアログにターゲット上で検出された全 iSCSI ノードの一覧が表示されます。
  6. 各ノードにはチェックボックスが付いています。インストールに使用するノードのチェックボックスをクリックします。

    図8.33 検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ

    検出された iSCSI ノードを表示しているダイアログ
  7. Node login authentication type メニューは、手順 3 で説明されている Discovery Authentication Type メニューと同じオプションを提供します。ただし、認証タイプの検索に認証情報を必要とした場合、検出したノードへのログインにも同じ認証情報を使用するのが一般的です。これを行うには、追加の Use the credentials from discovery オプションを使用します。適切な認証情報を指定すると、ログイン ボタンが利用可能になります。
  8. ログイン をクリックして iSCSI セッションを開始します。
8.15.1.1.2. FCoE パラメーターの設定
FCoE SAN を追加 ボタンをクリックすると、FCoE ストレージデバイスを検出するようにネットワークインターフェイスを設定するダイアログが表示されます。
まず、NIC ドロップダウンメニューで FCoE スイッチに接続するネットワークインターフェイスを選択し、FCoE ディスクの追加 ボタンをクリックして SAN デバイスのネットワークをスキャンします。

図8.34 FCoE パラメーターの設定

FCoE パラメーターの設定
追加オプションには、以下のものがあります。
DCB を使用する
Data Center Bridging (DCB) とは、ストレージネットワークやクラスターでイーサネット接続の効率性を向上させる目的で設計されたイーサネットプロトコルに対する拡張セットです。このダイアログのチェックボックスを使って、インストールプログラムによる DCB 認識を有効または無効にします。このオプションは、ネットワークインターフェイスでホストベースの DCBX クライアントを必要とする場合にのみ有効にします。ハードウェアの DCBX クライアントを実装するインターフェイス上での設定の場合には、このチェックボックスは空のままにしておいてください。
自動 vlan の使用
自動 VLAN では、VLAN 検出を行うかどうかを指定します。このボックスにチェックを入れると、リンク設定が検証された後、FIP (FCoE Initiation Protocol) VLAN 検出プロトコルがイーサネットインタフェースで実行されます。まだ設定が行われていない場合には、検出された FCoE VLAN 全てに対してネットワークインターフェイスが自動的に作成され、FCoE のインスタンスが VLAN インターフェイス上に作成されます。このオプションはデフォルトで有効になっています。
検出された FCoE デバイスが、インストール先 画面の 他の SAN デバイス タブに表示されます。
8.15.1.1.3. NVDIMM デバイスの設定
NVDIMM の再設定 ボタンをクリックして、選択した NVDIMM デバイスをセクターモードに再設定し、インストール先として使用します。Sector size ドロップダウンリストには、サポートされるセクターサイズの 512 および 4096 が含まれます。
Sector size ドロップダウンリストから、セクターサイズを選択し、Start Reconfiguration ボタンをクリックします。

図8.35 NVDIMM の再設定

NVDIMM の再設定
警告
NVDIMM デバイスを再設定するプロセスにより、デバイスに格納されていたデータがすべて失われます。
デバイスが設定されたら、OK ボタンをクリックして、インストール先 画面に戻ります。

図8.36 正常に再設定された NVDIMM

正常に再設定された NVDIMM
セクターモードの NVDIMM デバイスは、インストール ウィンドウの NVDIMM Devices タブに表示され、インストールに利用できます。

8.16. Kdump

この画面を使用して、このシステムで Kdump を使用するかどうかを選択します。kdump は、カーネルクラッシュをダンプするメカニズムで、システムクラッシュが発生した場合は、クラッシュの原因を判断するのに非常に重要な情報をキャプチャーします。
Kdump を有効にする場合は、一定量のシステムメモリーを予約する必要があります。このため、プロセスに利用可能なメモリー容量は少なくなります。
このシステムで Kdump を使用しない場合は、Enable kdump のチェックを外します。それ以外の場合は、Kdump 用に確保するメモリー容量を設定します。インストーラーで自動的に保持する容量を決定するか、手動で任意の容量を設定することができます。設定が適切であれば、完了 をクリックして設定を保存し、前の画面に戻ります。

図8.37 Kdump の有効化と設定

Kdump の有効化と設定

8.17. インストールの開始

インストールの概要 画面の必要なセクションがすべて完了したら、メニュー画面の下部にある警告が表示されなくなり、Begin Installation ボタンが利用可能になります。

図8.38 インストールの準備完了

インストールの準備完了
警告
インストールプロセスのこの時点までは、コンピューターに対して永続的となる変更は行われていません。インストールの 開始 をクリックすると、インストール プログラムがハードドライブの領域を割り当て、Red Hat Enterprise Linux をこの領域に移動します。選択したパーティション設定オプションに応じて、このプロセスでは、コンピューターに存在しているデータの消去が行われる場合があります。
この時点までに行った選択のいずれかを変更するには、Installation Summary 画面の該当セクションに戻ります。インストールを完全に取り消すには、Quit をクリックするか、コンピューターをオフにします。この時点で電源を切る場合、ほとんどのコンピューターでは電源ボタンを数秒間、押し続けると電源が切れます。
インストールのカスタマイズが完了し、インストールを続行する場合は、Begin Installation をクリックします。
インストールの開始 を クリックしたら、インストール プロセスを完了させます。コンピューターの電源を切ったり、リセットしたり、または停電になったりしてプロセスが中断されると、Red Hat Enterprise Linux のインストールプロセスをやり直す、または別のオペレーティングシステムをインストールするまで、そのコンピューターは使用できなくなります。

8.18. 設定のメニューと進捗状況の画面

Installation Summary 画面で Begin Installation をクリックすると、進捗画面が表示されます。Red Hat Enterprise Linux は選択したパッケージをシステムに書き込む時にインストールの進捗を画面上で報告します。

図8.39 パッケージのインストール

パッケージのインストール
参考までに、インストールの完全なログは、システムの再起動後に /var/log/anaconda/anaconda.packaging.log ファイルで確認できます。
パーティション設定中に 1 つ以上のパーティションを暗号化することを選択すると、インストールプロセスの初期に進捗バーを表示するダイアログウィンドウが表示されます。このウィンドウでは、暗号化が安全となるように十分なエントロピー (ランダムデータ) をインストーラーが収集していることを知らせます。256 ビットのエントロピーが収集されるか 10 分間経過すると、このウィンドウは表示されなくなります。マウスを動かしたり、キーボードでランダムに入力すると、この収集プロセスが短縮されます。ウィンドウが消えるとインストールプロセスが続行されます。

図8.40 暗号用のエントロピーの収集

暗号用のエントロピーの収集
パッケージのインストール中は、より多くの設定が必要になります。インストールの進捗バーの上には、Root Password および User Creation メニュー項目があります。
Root Password 画面では、システムの root アカウントを設定します。このアカウントでは、重要なシステム管理と管理タスクを実行できます。wheel グループメンバーシップを持つユーザーアカウントでも、同じタスクを実行できます。インストール中にこのようなユーザーアカウントを作成する場合は、root パスワードの設定は必須ではありません。
ユーザーアカウントの作成はオプションのため、インストール後に行うことも可能ですが、この画面で作成しておくことが推奨されます。ユーザーアカウントは通常の業務およびシステムへのアクセスに使用します。システムへのアクセスは root アカウントではなく、常にユーザーアカウントでアクセスすることがベストプラクティスになります。
Root パスワード または ユーザーの 作成 画面へのアクセスを無効にでき ます。これを行うには、rootpw --lock コマンドまたは user --lock コマンドを含むキックスタートファイルを使用します。これらのコマンドの詳細は、 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

8.18.1. Root パスワードの設定

root アカウントとパスワードの設定は、インストールにおける重要なステップです。root アカウント (スーパーユーザーとも呼ぶ) は、パッケージのインストールや RPM パッケージ更新、ほとんどのシステムメンテナーンスの実行に使用されます。root アカウントを使用することにより、システム全体を完全に制御することができるようになります。このため、root アカウントの使用は システムのメンテナーンスもしくは管理を行う場合に限る のが最適です。root ユーザーでログインするまたは root ユーザーに切り替える方法については、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。

図8.41 Root パスワード画面

Root パスワード画面
注記
インストール済みのシステムへの root 権限を確保するには、少なくとも 1 つの方法( root アカウントを使用するか、管理者権限( wheel グループのメンバー)を持つユーザーアカウントを作成するか、またはその両方を設定する必要があります。
Root Password メニュー項目をクリックし、Root Password フィールドに新しいパスワードを入力します。Red Hat Enterprise Linux では、セキュリティー上の理由から文字がアスタリスクで表示されます。確認 フィールドに同じパスワードを入力して、正しく設定されていることを確認 します。root パスワードを設定したら、完了 を クリック して ユーザー設定 画面に戻ります。
強固な root パスワードを作成する際の要件と推奨事項を以下に示します。
  • 最低でも 8 文字の長さが 必要 である
  • 数字、文字 (大文字と小文字)、記号を含めることができる
  • 大文字と小文字を区別するため、これらの組み合わせを使用する
  • 覚えやすいが他人からは簡単に推測できないものにする
  • ユーザーまたはユーザーが属する組織と関連のある単語や略語、数字、また辞書にある単語 (外国語も含む) などは避ける
  • パスワードは書き留めない (書き留めておく必要がある場合は、安全な所に保管してください)
注記
インストール完了後に root パスワードを変更するには、rootpasswd コマンドを実行します。root パスワードを忘れた場合は、 「root パスワードのリセット」 にあるレスキューモードを使用して新しい設定方法を参照してください。

8.18.2. ユーザーアカウントの作成

インストール時に通常の(root 以外の)ユーザーアカウントを作成するには、進捗画面 で ユーザー設定 をクリックします。Create User 画面が表示され、通常のユーザーアカウントを設定し、そのパラメーターを設定できるようになります。ユーザーの作成はインストール時に行うことを推奨していますが、この作業はオプションとなるためインストール完了後に行うこともできます。
注記
インストール済みのシステムへの root 権限を確保するには、少なくとも 1 つの方法( root アカウントを使用するか、管理者権限( wheel グループのメンバー)を持つユーザーアカウントを作成するか、またはその両方を設定する必要があります。
ユーザー作成画面を入力した後、ユーザーを作成したままにするには、すべてのフィールドを空のままにして、Done をクリックします。

図8.42 ユーザーアカウント設定画面

ユーザーアカウント設定画面
各フィールドにフルネームとユーザー名を入力します。システムのユーザー名は 32 文字以内の長さにしてください。空白を含めることはできません。新しいアカウントにはパスワードを設定することを強く推奨します。
root 以外のユーザーにも強固なパスワードを設定する場合は「Root パスワードの設定」 に記載のガイドラインに従います。
Advanced ボタンをクリックして、追加設定を含む新しいダイアログを開きます。

図8.43 高度なユーザー設定

高度なユーザー設定
デフォルトでは、各ユーザーにはユーザー名に対応するホームディレクトリーが作成されます。ほとんどの場合、この設定を変更する必要はありません。
また、手動でチェックボックスを選択すると、新規ユーザーとそのデフォルトグループのシステム ID 番号を指定することができます。一般ユーザー ID の範囲は、1000 から始まります。ダイアログの下部では、この新規ユーザーが所属することになる追加グループをコンマで区切った一覧形式で入力することができます。この新規グループがシステム内に作成されます。グループ ID をカスタマイズする場合は、ID 番号を括弧で囲んで指定します。
注記
一般ユーザーとそのデフォルトグループの ID を 1000 ではなく 5000 から始まる範囲に設定することを検討してください。これは、システムユーザーおよびグループ用に予約されている範囲 0~999 が今後増え、通常のユーザーの ID と重複する可能性があるためです。
キックスタートでカスタム ID を指定してユーザーを作成する場合は、 user (任意) を参照してください。
インストール後に UID と GID の下限を変更して、選択した UID と GID の範囲がユーザー作成時に自動的に適用されるようにする方法は、システム管理者のガイドのユーザーとグループの概要の章を参照してください。
ユーザーアカウントをカスタマイズしたら、変更の保存 をクリックして ユーザー 設定 画面に 戻ります。

8.19. インストールの完了

おめでとうございます。Red Hat Enterprise Linux のインストールが完了しました。
起動 ボタンをクリックしてシステムを再起動し、Red Hat Enterprise Linux の使用を開始します。再起動時にインストールメディアが自動的に取り出されない場合は、忘れず取り出してください。
コンピューターの通常電源投入シーケンスが完了したら、Red Hat Enterprise Linux が読み込まれて起動します。デフォルトでは、開始プロセスは進捗バーを表示しているグラフィカル画面の裏に隠れています。最終的に、GUI ログイン画面(または X Window System がインストールされていない場合は、login: プロンプトが表示されます)。
インストールプロセス中、システムに X Window System をインストールしている場合は、Red Hat Enterprise Linux システムの初回の起動でシステムをセットアップするアプリケーションが起動されます。このアプリケーションを使用すると、システムの時刻と日付の設定、Red Hat Network へのマシンの登録など、順を追って Red Hat Enterprise Linux の初期設定を行うことができます。
設定プロセスの詳細は 30章初期設定 (Initial Setup) を参照してください。インストール後の Red Hat Enterprise Linux Atomic Host の手順、設定および更新については、Red Hat Enterprise Linux Atomic Host スタートガイドを参照してください。

第9章 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムでのインストールに関連するトラブルシューティング

本章では、一般的なインストール関連の問題とその解決法について説明していきます。
デバッグの目的で、Anaconda はインストールアクションを /tmp ディレクトリー内のファイルにログ記録します。以下の表に各種のログファイルを示します。
表9.1 インストール中に生成されるログファイル
ログファイル 内容
/tmp/anaconda.log Anaconda に関する一般的なメッセージ
/tmp/program.log インストール中に実行されたすべての外部プログラム
/tmp/storage.log ストレージモジュールの詳細情報
/tmp/packaging.log yum パッケージおよび rpm パッケージのインストールメッセージ
/tmp/syslog ハードウェア関連のシステムメッセージ
インストールに失敗すると、これらのファイルからのメッセージは /tmp/anaconda-tb-identifier に統合されます。identifier はランダムな文字列です。
インストールに成功すると、デフォルトでは、これらのファイルは /var/log/anaconda/ ディレクトリー下のインストール済みシステムにコピーされます。ただし、インストールが失敗した場合、またはインストールシステムの起動時に inst.nosave=all オプションまたは inst.nosave=logs オプションを使用すると、ログはインストールプログラムの RAM ディスクにのみ存在します。つまり、ファイルは永久的には保存されず、システムの電源を切ると失われることになります。永続的に保存するには、インストールプログラムを実行しているシステムで scp を使用してネットワーク上の別のシステムにこれらのファイルをコピーするか、マウントされたストレージデバイス(USB フラッシュドライブなど)にコピーします。ネットワーク経由でログファイルを転送する方法を以下に示します。USB フラッシュドライブやその他のリムーバブルメディアを使用している場合は、以下の手順を開始する前のそれらのデータのバックアップを作成するようにしてください。

手順9.1 ログファイルを USB ドライブに転送する

  1. インストールするシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
  2. USB フラッシュドライブをシステムに接続し、dmesg コマンドを実行します。最近のイベントの詳細を示すログが表示されます。このログの末尾の方に、今 USB を挿入したことを示すメッセージが表示されているのを確認します。以下にメッセージの例を示します。
    [ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
    接続デバイスの名前を書き留めておきます(上記の例では sdb )。
  3. /mnt ディレクトリーに移動したら、USB ドライブのマウントターゲットとして機能する新しいディレクトリーを作成します。ディレクトリーの名前は重要ではありません。この例では usb という名前を使用します。
    # mkdir usb
  4. USB フラッシュドライブを、新たに作成したディレクトリーにマウントします。ドライブ全体をマウントするのではなく、ドライブ上の一つのパーティションにマウントするのが一般的です。したがって、sdb の名前を使用しないでください。ログファイルを書き込むパーティションの名前を使用してください。この例では、sdb1 という名前を使用しています。
    # mount /dev/sdb1 /mnt/usb
    マウントしたデバイスにアクセスして内容を一覧表示し、その内容が期待どおりのものであるかを確認することで、正しいデバイスをマウントしているかがわかります。
    # cd /mnt/usb
    # ls
  5. ログファイルを、マウントしたデバイスにコピーします。
    # cp /tmp/*log /mnt/usb
  6. USB フラッシュドライブのマウントを解除します。ターゲットがビジーであることを示すエラーメッセージが表示される場合は、作業ディレクトリーをマウント外に変更します(例: /)。
    # umount /mnt/usb
これでインストールによるログファイルが USB フラッシュドライブに保存されました。

手順9.2 ネットワークを介してログファイルを転送する

  1. インストールするシステムで Ctrl+Alt+F2 を押してシェルプロンプトにアクセスします。インストールプログラムの一時ファイルシステムへのアクセス権を持つ root アカウントでログインします。
  2. ログファイルが置かれている /tmp ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp
  3. scp コマンドを使用して、ネットワーク上の別のシステムにログファイルをコピーします。
    # scp *log user@address:path
    user には転送先システムで有効なユーザー名を入力します。address には転送先システムのアドレスまたはホスト名を入力します。path にはログファイルを保存するディレクトリーへのパスを入力します。たとえば、john として IP アドレスが 192.168.0.122 のシステムにログインして、ログファイルをそのシステムの /home/john/logs/ ディレクトリーに置く場合は、以下のような形式になります。
    # scp *log john@192.168.0.122:/home/john/logs/
    初めてターゲットシステムに接続する際に、SSH クライアントにより、リモートシステムのフィンガープリントが正しいことと、継続するかを尋ねられます。
    The authenticity of host '192.168.0.122 (192.168.0.122)' can't be established.
    ECDSA key fingerprint is a4:60:76:eb:b2:d0:aa:23:af:3d:59:5c:de:bb:c4:42.
    Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
    yes入力 し、Enter を押して続行します。プロンプトに従いパスワードを入力します。転送先システムの指定ディレクトリーへのファイル転送が開始されます。
これでインストールによるログファイルが完全に転送先システムに保存され、後で確認できるようになります。

9.1. インストール開始時の問題

9.1.1. UEFI セキュアブートが有効になっているとシステムが起動しない

Red Hat Enterprise Linux 7 のベータリリースでは、特別な公開鍵で署名されており、標準の UEFI セキュアブート実装で認識されません。そのため、セキュアブートテクノロジーが有効になっているとシステムが起動しません。
この問題を解決するには、UEFI セキュアブートを無効にし、システムをインストールしてから、Machine Owner Key 機能を使用してベータの公開鍵をインポートします。手順については 「UEFI セキュアブートによるベータリリースの使用」 を参照してください。

9.1.2. グラフィカルインストールの起動に関連する問題

特定のビデオカードを搭載するシステムでグラフィカルなインストールプログラムを起動すると、問題が発生することがあります。インストールプログラムがデフォルト設定を使用して実行しない場合は、それより低い解像度モードでの実行を試みます。それでも動作が失敗する場合、インストールプログラムはテキストモードによる実行を試行します。
ディスプレイに関する問題の解決策はいくつかありますが、そのほとんどはカスタムの起動オプションを指定する必要があります。詳細は、「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。
基本的なグラフィックモードを使用する
基本的なグラフィックスドライバーを使用して、インストールの実行を試みることができます。これを行うには、起動メニューで Troubleshooting > Install Red Hat Enterprise Linux in basic graphics mode を選択するか、インストールプログラムの起動オプションを編集して、コマンドラインの末尾に inst.xdriver=vesa を追加します。
ディスプレイの解像度を手動で指定する
インストールプログラムが画面の解像度の検出に失敗した場合は、自動検出を無効にして手動で指定できます。これを行うには、起動メニューに inst.resolution=x オプションを追加します。x はディスプレイの解像度( 1024x768など)に置き換えます。
代替のビデオドライバーを使用する
カスタムのビデオドライバーを設定し、インストールプログラムの自動検出を無効にすることもできます。ドライバーを指定するには、inst.xdriver=x オプションを使用します。x は使用するデバイスドライバーに置き換えます(例: nouveau)。
注記
カスタムのビデオドライバーを指定すると問題が解決する場合は、anaconda コンポーネントで で https://bugzilla.redhat.com バグとして報告する必要があります。Anaconda はハードウェアを自動的に検出し、適切なドライバーを介入せずに使用することができます。
VNC を使用したインストールを行う
上記で説明したオプションがいずれも失敗する場合は、別のシステムと Virtual Network Computing (VNC) プロトコルを使用して、ネットワーク経由でグラフィカルインストールにアクセスできます。VNC を使用したインストールの詳細は、25章VNC の使用 を参照してください。

9.1.3. シリアルコンソールが検出されない

シリアルコンソールを使ってテキストモードでインストールしようとすると、コンソールに何も出力されないことがあります。これは、システムにグラフィックカードが搭載されているのにモニターが接続されていない場合に発生します。Anaconda がグラフィックカードを検出すると、ディスプレイが接続されていない場合でも、表示に使用しようとします。
シリアルコンソールでテキストベースのインストールを実行する場合は、inst.text および console= 起動オプションを使用します。詳細は 23章起動オプション を参照してください。

9.2. インストール中の問題

9.2.1. ディスクが検出されない

インストール先 画面では、以下のエラーメッセージが下部に表示されます: No disks detected.コンピューターをシャットダウンしてから、少なくともひとつのディスクに接続を行ってからインストールを再開してください。)
このメッセージは、Anaconda がインストールする書き込み可能なストレージデバイスを見つけなかったことを示しています。このような場合、まずストレージデバイスが少なくとも 1 つはシステムに接続されていることを確認します。
ご使用のシステムがハードウェア RAID コントローラーを使用している場合、そのコントローラーが正しく設定され動作していることを確認してください。方法については、コントローラーの資料を参照してください。
1 つ以上の iSCSI デバイスにインストールを実行していて、システム上にローカルストレージがない場合、必要なすべての LUN (論理ユニット番号) が適切な HBA (ホストバスアダプター) に示されていることを確認してください。iSCSI の詳細は、付録B iSCSI ディスク を参照してください。
ストレージデバイスが接続され正しく設定されていることを確認してから、システムを再起動してインストールを再実行したのにまだ同じメッセージが表示されてしまう場合、インストールプログラムがストレージの検出に失敗していることを示しています。多くの場合、インストールプログラムで認識されていない SCSI デバイスにインストールしようとすると、このようなメッセージがよく表示されます。
このような場合には、インストール開始前にドライバーを更新する必要があります。この問題を解決するドライバー更新が入手可能になっていないかハードウェア製造元の Web サイトを確認してください。ドライバー更新に関する一般的な情報は、6章AMD64 および Intel 64 システムへのインストール中におけるドライバー更新 を参照してください。
また、 https://hardware.redhat.com でオンラインの 『Red Hat Hardware Compatibility List』 (Red Hat ハードウェア互換性一覧) を確認してください。

9.2.2. トレースバックメッセージの報告

グラフィカルインストールプログラムでエラーが発生すると、クラッシュレポートのダイアログボックスが表示されます。このダイアログボックスを使って、発生した問題に関する情報を Red Hat に送信することができます。クラッシュレポートを送信するには、カスタマーポータルの認証情報を入力する必要があります。カスタマーポータルのアカウントをお持ちでない場合は、https://www.redhat.com/wapps/ugc/register.html で登録していただくことができます。自動クラッシュレポートの機能を利用する場合には、動作しているネットワーク接続も必要になります。

図9.1 クラッシュレポートのダイアログボックス

クラッシュレポートのダイアログボックス
ダイアログが表示されたら、問題を 報告する場合は バグ の報告 を選択するか、Quit を選択してインストールを終了します。
必要に応じて、More Info をクリックして、エラーの原因を特定するのに役立つ詳細な出力を表示します。デバッグに精通している場合は、Debug をクリックします。これにより、仮想ターミナル tty1 が表示されます。ここでは、バグレポートを強化するより正確な情報をリクエストできます。tty1 からグラフィカルインターフェイスに戻るには、continue コマンドを使用します。

図9.2 クラッシュレポートのダイアログを展開した例

クラッシュレポートのダイアログを展開した例
カスタマーポータルにバグを報告する場合は、次の手順に従ってください。

手順9.3 Red Hat カスタマーポータルにエラーを報告する

  1. 表示されるメニューで、Report a bug to Red Hat Customer Portal を選択します。
  2. Red Hat にバグを報告するには、まずカスタマーポータルの認証情報を入力する必要があります。Red Hat カスタマーサポートの設定 をクリックします。

    図9.3 カスタマーポータル認証情報

    カスタマーポータル認証情報
  3. 新しいウィンドウが開き、カスタマーポータルのユーザー名とパスワードの入力が求められます。Red Hat カスタマーポータル認証情報を入力してください。

    図9.4 Red Hat カスタマーサポートの設定

    Red Hat カスタマーサポートの設定
    ネットワーク設定で HTTP または HTTPS プロキシーを使用する必要がある場合は、Advanced メニューを展開し、プロキシーサーバーのアドレスを入力して設定できます。
    必要な認証情報をすべて入力したら、OK をクリックして続行します。
  4. テキストフィールドがある新しいウィンドウが表示されます。ここに関連情報やコメントを入力します。クラッシュレポートのダイアログが表示されるまでに行った動作を一つずつ入力し、どのようにしたらエラーが再現できるかを説明してください。できるだけ具体的に、デバッグを行った場合はそのときに得られた情報も入力してください。ここに入力された情報はカスタマーポータルで公開される可能性があるので注意してください。
    エラーの原因が分からない場合は、ダイアログの下部にある I don't know this issue のラベルが付いた ボックスにチェックを入れてください。
    次に、Forward をクリックします。

    図9.5 問題の詳細を入力する

    問題の詳細を入力する
  5. 次に、カスタマーポータルに送信する情報を再確認します。指定した説明は comment タブにあります。他のタブには、システムのホスト名やインストール環境に関する詳細などが含まれています。Red Hat に送信したくない情報は削除することができます。ただし、報告していただく内容が限られると、問題の調査に影響するため注意してください。
    送信する情報の確認が終了したら Forward をクリックします。

    図9.6 送信データの再確認

    送信データの再確認
  6. 添付ファイルとしてバグ報告に含ませて送信するファイルの一覧を確認します。このファイルには調査に役立つシステム関連情報が含まれています。特定のファイルを送信したくない場合は、そのファイルの横にあるボックスのチェックマークを外します。問題を見つけるのに役立つ追加のファイルを指定するには、Attach a file をクリックします。
    送信するファイルを確認したら、I have review the data and agree with submitting it というラベルが付いたボックスにチェックを入れます。Forward をクリックして、レポートと添付ファイルをカスタマーポータルに送信します。

    図9.7 送信ファイルの再確認

    送信ファイルの再確認
  7. ダイアログが処理が完了したと報告されたら、Show log をクリックしてレポートプロセスの詳細を表示するか、Close をクリックして最初のクラッシュレポートダイアログボックスに戻ります。Quit をクリックしてインストールを終了します。

9.2.3. プレインストールログファイルの作成

インストール問題をデバッグするには、インストール前に inst.debug オプションを設定して環境からログファイルを作成することができます。これらのログファイルには、現行のストレージ設定などが含まれます。
Red Hat Enterprise Linux インストール起動メニューでオプションを設定するには、以下を実行します。
  1. Install Red Hat Enterprise Linux 7.3 エントリーを選択します。
  2. Tab キーを押して、起動オプションを編集します。
  3. オプションに inst.debug を追加します。以下に例を示します。
    > vmlinuz ... inst.debug
    詳細は23章起動オプションを参照してください。
  4. Enter を押して設定を開始します。
システムは、Anaconda が起動する前に、プレインストールのログファイルを /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに保存します。このログファイルにアクセスするには、以下を実行します。
  1. コンソールに切り替えます。「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
  2. /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに移動します。
    # cd /tmp/pre-anaconda-logs/

9.3. インストール後の問題

9.3.1. RAID カードから起動できない

インストールの実行後、システムを正常に起動できない場合、再インストールと、システムのストレージに異なるパーティション設定を実行する必要がある可能性があります。
BIOS によっては、RAID カードからの起動に対応していないため注意が必要です。インストールが完了して初めてシステムを再起動すると、テキストベースの画面にブートローダーのプロンプト(例: grub>)が表示され、カーソルがすべて表示される可能性があります。この場合は、システムのパーティションを再設定し、/boot パーティションとブートローダーを RAID アレイの外に移動する必要があります。/boot パーティションとブートローダーは、同じドライブ上になければなりません。
このような変更が行われたら、インストールを完了し、システムを適切に起動できるはずです。パーティション設定の詳細は、「インストール先」 を参照してください。

9.3.2. グラフィカルな起動シーケンスに関する問題

インストール完了後に初めてシステムを再起動すると、グラフィカルな起動シーケンスの途中でシステムが反応しなくなり、リセットが必要となることがあります。このような場合、ブートローダーは正常に表示されますが、エントリーを選択してシステムを起動しようとするとシステムが停止してしまいます。ほとんどの場合、これはグラフィカルな起動のシーケンスに関する問題を示しています。この問題を解決するには、グラフィカルな起動を無効にする必要があります。まずブートタイムの設定を一時的に変更してから、そのあと永続的に変更します。

手順9.4 グラフィカルな起動を一時的に無効にする

  1. コンピューターを起動してブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。ブートローダーのタイムアウト期間を 0 に設定すると、Esc キーを押すと、それにアクセスします。
  2. ブートローダーメニューが表示されたら、カーソルキーを使用して起動するエントリーを強調表示し、e キーを押してこのエントリーのオプションを編集します。
  3. オプション一覧でカーネル行を探します。カーネル行は linux (または linux16 または linuxefiなど)で始まる行です。この行で、rhgb オプションを探して削除します。オプションが隠れて見えないこともあります。カーソル移動キーを使って画面をスクロールしてみてください。
  4. F10 または Ctrl+X を押して、編集したオプションでシステムを起動します。
システムが正常に起動した場合は、通常通りにログインできます。このあと、グラフィカルな起動を永続的に無効にする必要があります。永続的に無効にしておかないと、システムが起動する度に上述の手順を繰り返さなければなりません。起動オプションを永続的に変更するには次の手順に従ってください。

手順9.5 グラフィカルな起動を永続的に無効にする

  1. su - コマンドを使用して root アカウントにログインします。
    $ su -
  2. grubby ツールを使用して、デフォルトの GRUB2 カーネルを検索します。
    # grubby --default-kernel
    /boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.x86_64
    
  3. grubby ツールを使用して、GRUB2 設定で、最後の手順で特定されたデフォルトのカーネルから rhgb 起動オプションを削除します。以下に例を示します。
    # grubby --remove-args="rhgb" --update-kernel /boot/vmlinuz-3.10.0-229.4.2.el7.x86_64
この手順が完了したら、コンピューターを再起動できます。Red Hat Enterprise Linux はグラフィカルな起動シーケンスを使用しなくなります。今後グラフィカルブートを有効にする場合は、同じ手順に従って、--remove-args="rhgb" パラメーターを --args="rhgb" パラメーターに置き換えます。これにより、rhgb 起動オプションが GRUB2 設定のデフォルトカーネルに復元されます。
GRUB2 ブートローダーの使用方法 の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。

9.3.3. グラフィカル環境での起動

X Window System をインストールしていても、システムにログインするとグラフィカルデスクトップ環境が表示されない場合は、startx コマンドを使用して手動で起動できます。ただし、手動による起動はその場限りで、次回からのログインプロセスを変更するわけではないことに注意してください。
グラフィカルログイン画面でログインできるようにシステムを設定するには、デフォルトの systemd ターゲットを graphical.target に変更する必要があります。設定を終えたらコンピューターを再起動します。システムが再起動すると、グラフィカルなログインプロンプトが表示されるようになります。

手順9.6 グラフィカルなログインをデフォルトとして設定する

  1. シェルプロンプトを開きます。ユーザーアカウントにいる場合は、su - コマンドを入力して root になります。
  2. デフォルトのターゲットを graphical.target に変更します。次のコマンドを実行します。
    # systemctl set-default graphical.target
これでグラフィカルログインがデフォルトで有効になります。次回の再起動からグラフィカルなログインプロンプトが表示されるようになります。この変更を元に戻し、テキストベースのログインプロンプトを引き続き使用する場合は、root で以下のコマンドを実行します。
# systemctl set-default multi-user.target
systemd のターゲットの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照し てください。

9.3.4. グラフィカルユーザーインターフェイスが表示されない

X ( X Window System)の起動に問題がある場合は、X がインストールされていない可能性があります。インストール時に選択できるプリセットベース環境の一部( Minimal installWeb Server など)には、グラフィカルインターフェイスを含めないでください。手動でインストールする必要があります。
X が必要な場合は、後で必要なパッケージをインストールできます。グラフィカルデスクトップ環境のインストール方法は、https://access.redhat.com/site/solutions/5238 のナレッジベースの記事を参照してください。

9.3.5. ユーザーがログインすると X サーバーがクラッシュする

ユーザーのログイン時に X サーバーのクラッシュに問題がある場合は、1 つ以上のファイルシステムが満杯になるか、ほぼ満杯になる可能性があります。原因がファイルシステムにあるかどうかを確認するため次のコマンドを実行します。
$ df -h
出力は、どのパーティションが満杯であるかを診断するのに役立ちます。ほとんどの場合、問題は /home パーティションにあります。以下は、df コマンドの出力例です。
Filesystem                                  Size  Used Avail Use% Mounted on
/dev/mapper/vg_rhel-root                     20G  6.0G   13G  32% /
devtmpfs                                    1.8G     0  1.8G   0% /dev
tmpfs                                       1.8G  2.7M  1.8G   1% /dev/shm
tmpfs                                       1.8G 1012K  1.8G   1% /run
tmpfs                                       1.8G     0  1.8G   0% /sys/fs/cgroup
tmpfs                                       1.8G  2.6M  1.8G   1% /tmp
/dev/sda1                                   976M  150M  760M  17% /boot
/dev/dm-4                                    90G   90G     0 100% /home
上記の例では、/home パーティションが満杯になり、クラッシュの原因になっていることがわかります。不必要なファイルを削除して領域を解放します。ディスク領域の一部を解放したら、startx コマンドを使用して X を起動します。
df に関する詳細情報と、利用可能なオプション(この例では -h オプションなど)の詳細は、df (1) の man ページを参照してください。

9.3.6. RAM が認識されませんか ?

カーネルがメモリー (RAM) すべてを認識しないことがあり、これが原因でシステムは実際にインストールされているメモリーより少ないメモリーしか使用しなくなります。free -m コマンドを使用すると、使用されている RAM の容量を確認できます。表示されるメモリー合計が期待と異なる場合、少なくとも 1 つのメモリーモジュールで障害が発生している可能性が高くなります。BIOS ベースのシステムでは、Memtest86+ ユーティリティーを使用してシステムのメモリーをテストできます。詳細は、「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
注記
システム用に RAM としてメモリーの一部が予約され、メインシステムではその部分が使用できなくなっているハードウェア設定があります。特に、統合型グラフィックカードが搭載されているラップトップコンピューターなどは、GPU 用としてメモリーの一部が予約されます。たとえば、4 GiB の RAM と統合型 Intel グラフィックカードを搭載しているラップトップでは、約 3.7 GiB しか使用可能なメモリーとして表示されません。
また、ほとんどの Red Hat Enterprise Linux システムでデフォルトで有効になっている kdump クラッシュカーネルダンプメカニズムは、プライマリーカーネルがクラッシュした場合に使用されるセカンダリーカーネル用にメモリーの一部を確保します。また、free コマンドを使用する場合、この予約メモリーは利用可能として表示されません。kdump とそのメモリー要件の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 カーネルクラッシュダンプガイド を参照してください。
メモリーに問題がないことを確認したら、mem= カーネルオプションを使用して手動でメモリーの容量を設定できます。

手順9.7 メモリーを手作業で設定する

  1. コンピューターを起動してブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。ブートローダーのタイムアウト期間を 0 に設定すると、Esc キーを押すと、それにアクセスします。
  2. ブートローダーメニューが表示されたら、カーソルキーを使用して起動するエントリーを強調表示し、e キーを押してこのエントリーのオプションを編集します。
  3. オプション一覧でカーネル行を探します。カーネル行は linux (場合によっては linux16)で始まります。以下のオプションをこの行の最後に追加します。
    mem=xxM
    xx の部分は実際の容量を MiB 単位で入力してください。
  4. F10 または Ctrl+X を押して、編集したオプションでシステムを起動します。
  5. システムの起動を待ってログインします。次に、コマンドラインを開き、free -m コマンドを再度実行します。コマンドで表示される RAM の合計サイズが期待値と一致する場合は、/etc/default/grub ファイルの GRUB_CMDLINE_LINUX で始まる行に以下を追加して、変更を永続化します。
    mem=xxM
    xx の部分は実際の容量を MiB 単位で入力してください。
  6. ファイルの更新、保存が終了したら、ブートローダー設定を更新して変更を反映させます。次のコマンドを root 権限で実行します。
    # grub2-mkconfig --output=/boot/grub2/grub.cfg
/etc/default/grub では、上記の例は以下のようになります。
GRUB_TIMEOUT=5
GRUB_DISTRIBUTOR="$(sed 's, release.*$,,g' /etc/system-release)"
GRUB_DEFAULT=saved
GRUB_DISABLE_SUBMENU=true
GRUB_TERMINAL_OUTPUT="console"
GRUB_CMDLINE_LINUX="rd.lvm.lv=rhel/root vconsole.font=latarcyrheb-sun16 rd.lvm.lv=rhel/swap $([ -x /usr/sbin/rhcrashkernel.param ] && /usr/sbin/rhcrashkernel-param || :) vconsole.keymap=us rhgb quiet mem=1024M"
GRUB_DISABLE_RECOVERY="true"
GRUB2 ブートローダーの使用方法 の詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。

9.3.7. signal 11 エラーが表示される

セグメンテーション違反 と呼ばれる signal 11 エラーとは、割り当てられていないメモリーにプログラムがアクセスを行ったという意味です。インストールされているソフトウェアプログラムのいずれかにバグがあったり、ハードウェアに障害があると signal 11 エラーが発生する場合があります。
インストール時に致命的なシグナル 11 エラーが発生した場合は、最初に最新のインストールイメージを使用していることを確認し、Anaconda に検証して、それらが破損していないことを確認します。signal 11 エラーの原因として不良インストールメディア (書き込みが不適切だったり、傷が付いている光学ディスクなど) がよく見られます。インストールを行う前には、必ずインストールメディアの整合性を確認することが推奨されます。
最新のインストールメディアを取得する方法は、2章Red Hat Enterprise Linux のダウンロード を参照してください。インストールを開始する前にメディアチェックを実行するには、起動メニューに rd.live.check 起動オプションを追加します。詳細は 「起動メディアの検証」 を参照してください。
メディアチェックではエラーは検出されず、それでもセグメンテーション違反を受け取る場合は、通常、ハードウェア関連のエラーに遭遇していることを意味します。このような場合、システムのメモリー (RAM) に問題がある可能性がもっとも高いと言えます。これは、以前に同じコンピューターで別のオペレーティングシステムをエラーなしで使用した場合でも、問題になる可能性があります。BIOS ベースのシステムでは、インストールメディアに含まれる Memtest86+ メモリーテストモジュールを使用して、システムのメモリーを完全にテストできます。詳細は 「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
これ以外に考えられる原因は、本書では扱いません。ハードウェアの製造元より提供されているドキュメントや『Red Hat Hardware Compatibility List (Red Hat ハードウェア互換性一覧)』 (https://hardware.redhat.com) などを参照してください。

パート II. IBM Power Systems - インストールと起動

Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のこのパートでは、IBM Power Systems サーバーへのインストールおよび基本的なトラブルシューティングについて説明します。IBM Power Systems サーバーには、IBM PowerLinux サーバーならびに Linux を稼働する POWER7、POWER8、および POWER9 Power Systems サーバーが含まれます。高度なインストールオプションは、パートIV「高度なインストールオプション」 を参照してください。
重要
Red Hat Enterprise Linux の以前のリリースでは、32 ビットおよび 64 ビットの Power Systems サーバー(それぞれppc および ppc64 )に対応していました。Red Hat Enterprise Linux 7 は、64 ビットの Power Systems サーバー(ppc64)のみをサポートしています。

第10章 IBM Power Systems へのインストールプラン

本章では、インストールする上で決定しておく必要のある各種の事項について説明しています。

10.1. アップグレードまたはインストールの選択

自動インプレースアップグレードがサポートされるようになりましたが、サポートは現在 AMD64 および Intel 64 システムに限定されます。IBM Power Systems サーバーに以前の Red Hat Enterprise Linux リリースのインストールが存在する場合は、クリーンインストールを実行して Red Hat Enterprise Linux 7 に移行する必要があります。クリーンインストールとは、システムの全データのバックアップ、ディスクパーティションのフォーマット化、インストールメディアからの Red Hat Enterprise Linux のインストール、最後にユーザーのデータ復元の順で行う方法です。

10.2. ハードウェアの互換性について

Red Hat Enterprise Linux 7 (ビッグエンディアン) は、POWER7、POWER8、および POWER9 のプロセッサーシリーズを使用する IBM Power Systems サーバーと互換性があります。POWER6 およびそれ以前のプロセッサーはサポートされなくなりました。
Red Hat Enterprise Linux では、IBM Power Systems 向けにリトルエンディアンバリアントも提供されます。このバリアントは現在 POWER8 および POWER9 プロセッサーとの互換性があり、Power 向け Red Hat Enterprise Virtualization、PowerVM、および PowerNV (ベアメタル) 上での KVM ゲストとしてサポートされています。
対応しているハードウェアの最新一覧は、https://access.redhat.com/ecosystem/search/#/category/Server にある 『Red Hat Hardware Compatibility List』 で確認できます。システム要件の一般的な情報については、Red Hat Enterprise Linux テクノロジーの機能と制限も参照してください。

10.3. IBM インストールツール

IBM Installation Toolkit は、IBM Power Systems への Linux のインストールを迅速化するオプションのユーティリティーで、特に Linux に精通していない方に役立ちます。IBM Installation Toolkit を使用して以下を行うことができます。[1]
  • 仮想化していない IBM Power Systems サーバーで Linux のインストールと設定を行います。
  • 論理パーティション (LPAR、仮想化サーバーとも呼ばれる) を設定済みのサーバーに Linux のインストールと設定を行います。
  • 新しい Linux システムまたは既にインストール済みの Linux システムに IBM サービスと生産性ツールをインストールします。IBM サービスと生産性ツールには動的な論理パーティション (DLPAR) ユーティリティーが含まれています。
  • IBM Power Systems サーバーでシステムのファームウェアレベルをアップグレードします。
  • 既にインストール済みのシステムで診断またはメンテナーンスを行います。
  • LAMP サーバー (ソフトウェアスタック) とアプリケーションのデータを System x から System p のシステムに移行します。LAMP サーバーはオープンソースソフトウェアのバンドルになります。LAMP は、Linux、Apache HTTP ServerMySQL リレーショナルデータベース、PHP (または Perl または Python)言語の頭文字です。
IBM Installation Toolkit for PowerLinux のドキュメントは、Linux Information Center ( http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/lnxinfo/v3r0m0/topic/liaan/powerpack.htm)にあります。
PowerLinux サービスと生産性ツールはオプションのツールセットです。ハードウェアサービス診断支援ツール、生産性ツール、インストール支援ツール、および POWER7、POWER6、POWER5、POWER4 をベースとした IBM サーバーへの Linux OS インストール支援ツールなどが含まれています。
このサービスおよび生産性ツールに関するドキュメントは Linux Information Center でご覧ください (http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/lnxinfo/v3r0m0/topic/liaau/liaauraskickoff.htm)。


[1] このセクションは以前に IBM の Linux information for IBM systems リソースにて公開されていました (http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/lnxinfo/v3r0m0/index.jsp?topic=%2Fliaay%2Ftools_overview.htm)

10.4. IBM Power Systems サーバーの準備

重要
実際のベースブートパラメーター が c00000 に設定されていることを確認してください。設定されていないと、以下のようなエラーが表示される可能性があります。
DEFAULT CATCH!, exception-handler=fff00300
IBM Power Systems サーバーでは、パーティション設定、仮想デバイス、ネイティブのデバイス、コンソールなどで多くのオプションが提供されています。
パーティション設定されていないシステムを使用する場合、インストール前のセットアップは必要ありません。HVSI シリアルコンソールを使用するシステムの場合には、コンソールを T2 シリアルポートに接続します。
パーティション設定されたシステムを使用する場合、パーティション作成およびインストール開始の手順はほぼ同じです。HMC でパーティションを作成し、CPU、メモリーのリソース、SCSI、イーサネットのリソースなどを適宜割り当てます。仮想、ネイティブいずれでも構いません。HMC のパーティション作成ウィザードを使用すると手順を追って作成することができます。
パーティションの作成方法については、IBM Systems Hardware Information Center が提供している『Partitioning for Linux with an HMC』を参照してください。http://publib.boulder.ibm.com/infocenter/powersys/v3r1m5/topic/iphbi_p5/iphbibook.pdf でご覧いただけます。
ネイティブではなく仮想の SCSI リソースを使用する場合には、まず先に仮想 SCSI によるパーティションへのリンクを設定してから、仮想 SCSI 提供のパーティション自体を設定してください。HMC で仮想 SCSI クライアントとサーバーのスロット間にリンクを作成します。仮想 SCSI サーバーは VIOS (Virtual I/O Server) または IBM i のいずれで設定しても構いません。ご使用のモデルやオプションによります。
Intel iSCSI Remote Boot を使用してインストールする場合は、接続されているすべての iSCSI ストレージデバイスを無効にする必要があります。無効にしないとインストールは成功しますが、インストールしたシステムが起動しなくなります。
仮想デバイスの使用方法については、IBM Redbooks 資料のVirtualizing an Infrastructure with System p and Linuxを参照してください。http://publib-b.boulder.ibm.com/abstracts/sg247499.html でご覧いただけます。
システムの設定が完了したら、HMC からアクティベートするか電源をオンにする必要があります。インストールの種類によっては、SMS が正しくインストールプログラムをブートするよう設定する必要がある場合があります。

10.5. インストール先として対応しているターゲット

インストールターゲットは、Red Hat Enterprise Linux を格納し、システムを起動するストレージデバイスです。Red Hat Enterprise Linux は、AMD64 および Intel 64 のシステム向けの、以下のインストールターゲットをサポートします。
  • SCSI、SATA、SAS などの標準的な内部インターフェイスで接続するストレージ
  • ファイバーチャネルのホストバスアダプターおよびマルチパスのデバイス。製造元が提供しているドライバーが必要な場合があります。
  • 仮想化クライアントの LPAR 内の仮想 SCSI (vSCSI) を使用する場合は、Power Systems サーバーへの仮想化インストールにも対応します
Red Hat では USB ドライブや SD メモリーカードへのインストールはサポートしていません。サードパーティーによる仮想化技術のサポートについては、https://hardware.redhat.com でオンラインの『Red Hat Hardware Compatibility List』 (Red Hat ハードウェア互換性一覧) を参照してください。
重要
IBM Power Systems サーバーでは、16GB の huge pages (大容量ページ) がシステムまたはパーティションに割り当てられているのにカーネルコマンド行に huge page のパラメーターが含まれていないと、eHEA モジュールによる初期化が失敗します。このため、IBM eHEA イーサネットアダプターを使ってネットワークインストールを行う際は、インストール時にシステムやパーティションに対して huge page を割り当てることはできません。代わりに large pages を使用してください。

10.6. システム仕様一覧

インストールプログラムは自動的にコンピューターのハードウェアを検出してインストールするため、通常はシステムに関する詳細を入力する必要はありません。ただし、特定のタイプのインストールを実行する際には、ハードウェアの詳細を把握しておくことが重要です。このため、インストールのタイプにより、インストールに備えて以下のようなシステムの仕様を記録しておくことをお勧めします。
  • パーティションのレイアウトをカスタマイズする予定の場合は、以下の詳細をメモしておきます。
    • システムに接続されているハードドライブのモデル番号、サイズ、種類、およびインタフェース。たとえば、SATA0 上には Seagate 製 ST3320613AS (320 GB)、SATA1 上には Western Digital WD7500AAKS (750 GB) です。こうすることで、パーティション設定の段階で該当するハードドライブが識別できるようになります。
  • Red Hat Enterprise Linux を既存のシステム上に追加のオペレーティングシステムとしてインストールしている場合は、以下を記録しておきます。
    • システムで使用するパーティションについての情報。これには、ファイルシステムのタイプ、デバイスのノード名、ファイルシステムのラベル、およびサイズが含まれます。これにより、パーティション設定のプロセス中に特定のパーティションを識別できるようになります。オペレーティングシステムによってパーティションとドライブの特定方法は異なることから、別のオペレーティングシステムが Unix であったとしても、Red Hat Enterprise Linux は異なるデバイス名でレポートする可能性があることに留意してください。この情報は、通常 mount コマンドおよび blkid コマンドを実行して確認でき、/etc/fstab ファイルにあります。
      すでに他のオペレーティングシステムをインストールしている場合、Red Hat Enterprise Linux 7 のインストールプログラムはそのオペレーティングシステムを自動検出して起動するよう設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
  • ローカルのハードドライブ上にあるイメージからのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • 該当のイメージを格納しているハードドライブとディレクトリー
  • ネットワーク上の場所からのインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • システム上のネットワークアダプターの製造元とモデル番号 (たとえば、Netgear 社製の GA311 など)。ネットワークを手動で設定する場合にアダプターを特定できるようになります。
    • IP、DHCP、および BOOTP のアドレス
    • ネットマスク
    • ゲートウェイの IP アドレス
    • 1 つ以上のネームサーバーの IP アドレス (DNS)
    • FTP サーバー、HTTP (web) サーバー、HTTPS (web) サーバー、または NFS サーバー上にあるインストールソースの場所
    上記のネットワークに関する要件や用語が不明な場合は、ネットワーク管理者にお問い合わせください。
  • iSCSI ターゲットにインストールを予定している場合は、以下をメモしておきます。
    • iSCSI ターゲットの場所ネットワークによっては、CHAP ユーザー名とパスワードと、リバース CHAP ユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。
  • 使用コンピューターがドメインの一部である場合は、以下をメモしておきます。
    • ドメイン名が DHCP サーバーにより提供されることを確認してください。提供されない場合は、インストール中にドメイン名を手動で入力する必要があります。

10.7. ディスク領域およびメモリーに関する要件

Red Hat Enterprise Linux など、最新のオペレーティングシステムは ディスクパーティション を使用します。Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、ディスクパーティションを操作する必要があります。ディスクパーティションの詳細は、付録A ディスクパーティションの概要 を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux で使用されるディスク領域は、システムにインストールしている可能性のある他のオペレーティングシステムで使用されるディスク領域とは別にしてください。
注記
IBM Power Systems サーバーの場合、少なくとも 3 つのパーティション(/swap、および PReP 起動パーティション)を Red Hat Enterprise Linux 専用にする必要があります。
Red Hat Enterprise Linux をインストールするには、パーティションが分割されていないディスク領域か、削除できるパーティション内に、最低 10 GiB の容量が必要です。パーティションおよびディスク領域の推奨事項については、「推奨されるパーティション設定スキーム」 で説明している推奨のパーティション設定サイズを参照してください。
Red Hat Enterprise Linux には、少なくとも以下のメモリー容量が必要です。
インストールタイプ 必要最小限の RAM サイズ
ローカルメディアによるインストール (USB, DVD) 1,280 MiB
NFS ネットワークインストール 1,280 MiB
HTTP、HTTPS、または FTP ネットワークインストール 1,664 MiB
キックスタートファイルを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合には、手動インストールと同じ最小メモリー要件があります。ただし、使用するキックスタートファイルで、新たなメモリーを必要とするコマンドやデータを RAM ディスクに書き込むコマンドを実行する場合は、追加の RAM が必要になることもあります。
Red Hat Enterprise Linux 7 の最小要件および技術的制限については、Red Hat カスタマーポータルのRed Hat Enterprise Linux technology capabilities and limitsの記事を参照してください。

10.8. RAID と他のディスクデバイス

Red Hat Enterprise Linux の使用時に、特別な注意を必要とするストレージ技術があります。一般的には、こうした技術の設定方法、Red Hat Enterprise Linux からの可視性、またこのストレージ技術に対するサポートのメジャーバージョン間での変更などを理解することが重要になります。

10.8.1. ハードウェア RAID

RAID (Redundant Array of Independent Disks) を使用すると、複数のドライブで設定される 1 つのグループまたはアレイを単一のデバイスとして動作させることができます。インストールを開始する前に、コンピューターのメインボードで提供される RAID 機能をすべて設定するか、またはコントローラーカードを接続しておいてください。アクティブな RAID アレイは、それぞれ Red Hat Enterprise Linux 内で 1 つのドライブとして表示されます。

10.8.2. ソフトウェア RAID

システムに複数のハードドライブが搭載されている場合は、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを使用して、複数のドライブを 1 つの Linux ソフトウェア RAID アレイとして動作させることができます。ソフトウェア RAID アレイを使用すると、RAID 機能は専用のハードウェアではなく、オペレーティングシステムによって制御されることになります。機能の詳細は「手動パーティション設定」で説明しています。
注記
以前から存在している RAID アレイのメンバーデバイスがすべてパーティション設定されていないディスクまたはドライブの場合、インストーラーはアレイ自体をディスクとして扱い、アレイを削除する方法は提供しません。

10.8.3. USB ディスク

インストール後に外付け USB ストレージを接続して設定できます。こうしたデバイスのほとんどはカーネルでの認識後に使用できるようになります。
一部の USB ドライブはインストールプログラムで認識されないことがあります。インストール時にこのような USB ドライブの設定がどうしても必要な場合以外、問題が発生するのを避けるため取り外しておいてください。

10.9. インストーラーの起動方法の選択

各種方法で、Red Hat Enterprise Linux 7 インストールプログラムを起動できます。インストールメディアにより選択する方法が異なります。
注記
インストールメディアは、キックスタートファイルの %post セクションの実行時になど、インストール全体で引き続きマウントされる必要があります。
完全インストール DVD または USB ドライブ
完全インストール DVD または ISO イメージから起動メディアを作成できます。この場合には、DVD または USB ドライブ は、起動デバイスとソフトウェアパッケージのインストールソース両方のロールを果たすため、このドライブ 1 つでインストールをすべて完了できます。完全インストール向けに DVD または USB ドライブの作成方法については3章メディアの作成を参照してください。
最小限の起動 CD、DVD または USB フラッシュドライブ
最小限のブート CD、DVD、または USB フラッシュドライブは、システムの起動とインストールの開始に必要なデータだけが含まれる、小さい ISO イメージを使用して作成されます。この起動メディアを使用する場合には、パッケージをインストールする追加のインストールソースが必要になります。ブート CD、DVD、および USB フラッシュドライブを作成する方法は、3章メディアの作成 を参照してください。
PXE サーバー
PXE (preboot execution environment) サーバーを使用すると、インストールプログラムをネットワーク経由で起動させることができます。システムを起動したら、ローカルのハードドライブやネットワーク上の場所など、別途用意したインストールソースを使ってインストールを完了させます。PXE サーバーの詳細は24章ネットワークからのインストールの準備を参照してください。

10.10. キックスタートを使用したインストールの自動化

Red Hat Enterprise Linux 7 では、キックスタートファイル を使用してインストールプロセスを部分的または完全に自動化する方法を提供します。キックスタートファイルには、システムで使用するタイムゾーン、ドライブのパーティション設定、インストールするパッケージなど、通常、インストールプログラムで入力が求められる質問すべてに対する答えが含まれています。このため、インストール開始時にキックスタートファイルが用意されていると、ユーザーによる作業をを必要とせずに、すべてまたは一部を自動インストールできるようになります。これは、Red Hat Enterprise Linux を多数のシステムに一度にデプロイする場合などに特に便利です。
インストールを自動化する以外にも、キックスタートファイルを使用すると、ソフトウェア選択の幅を広げることができます。グラフィカルインストールインターフェイスで Red Hat Enterprise Linux を手動でインストールする場合には、ソフトウェアの選択肢は、事前定義されている環境とアドオンに限定されます。キックスタートファイルを使用すると、パッケージを個別にインストールしたり、除外したりできます。
キックスタートファイルを作成してインストールを自動化する方法は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

第11章 IBM Power Systems へのインストール中におけるドライバー更新

ほとんどの場合、Red Hat Enterprise Linux にはシステムを設定するデバイスのドライバーがすでに含まれています。しかし、かなり最近にリリースされたハードウェアが搭載されている場合、そのハードウェア用のドライバーはまだ含まれていない可能性があります。新しいデバイスのサポートを提供するドライバー更新は Red Hat やハードウェアの製造元から、RPM パッケージ が含まれる ドライバーディスク の形で入手することができる場合があります。通常、ドライバーディスクは ISO イメージファイル としてダウンロードできます。
重要
ドライバーの更新は、そのドライバーがないとインストールを正常に完了できない場合に限定してください。常に、カーネルに含まれるドライバーを、他の方法で提供されるドライバーよりも優先させてください。
インストールプロセス中に新しいハードウェアが必要になることはほぼありません。たとえば、ローカルのハードドライブへのインストールに DVD を使用する場合は、ネットワークカード用のドライバーがなくてもインストールは成功します。このような場合、インストールを完了してから、新しいハードウェアのサポートを追加します。サポート追加に関する詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
他の状況では、インストールプロセスでデバイスのドライバーを追加して特定の設定に対応する必要がある場合があります。たとえば、ネットワークデバイス用のドライバーやストレージのアダプターカードなどをインストールして、インストールプログラムがシステムで使用するストレージデバイスにアクセスできるようにする場合などです。インストール中にこうしたサポートを追加するには、次のいずれかの方法でドライバーディスクを使用します。
  1. インストールプログラムがアクセスできる場所に直接ドライバーディスクの ISO イメージファイルを配置します (ローカルのハードドライブ、USB フラッシュドライブ、CD、DVD など)。
  2. イメージファイルからドライバーディスクを作成します (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど)。ISO イメージファイルの CD/DVD への書き込み方法などについては「インストール CD または DVD の作成」 でインストールディスクの作り方を、USB ドライブへの書き込み方法に関しては 「USB インストールメディアの作成」 を参照してください。
Red Hat、ハードウェアの製造元、または信頼できるサードパーティーなどによってインストール中のドライバー更新が必要であることが明示されている場合には、本章で説明している方法の中から 1 つ選択し、検証してからインストールを実行するようにしてください。逆に、お使いのシステムでドライバーの更新が必要かどうかが不明な場合には、ドライバーは更新しないでください。システム上に対象外のドライバーが存在すると、サポートが複雑になる可能性があります。
警告
ドライバー更新ディスクは、必要に応じて競合するカーネルドライバーを無効にする場合があります。この方法でカーネルモジュールをアンロードすると、インストールエラーが発生することがあります。

11.1. インストール中にドライバーを更新するための準備

ハードウェア用のドライバー更新が必要で、その更新が利用可能になっている場合、通常、Red Hat やハードウェアの製造元など信頼できるサードパーティーから ISO 形式のイメージファイルが提供されます。ISO イメージを取得したら、ドライバー更新の実行に使用する方法を決める必要があります。
次のような方法があります。
ドライバーの自動更新
インストールを開始すると、Anaconda インストールプログラムは接続されているすべてのストレージデバイスの検出を試みます。インストールの開始時に OEMDRV というラベルの付いたストレージデバイスがある場合、Anaconda は常にドライバー更新ディスクとして扱い、そこに存在するドライバーを読み込みます。
アシスト付きのドライバー更新
インストールを開始するときに、inst.dd 起動オプションを指定できます。パラメーターを指定せずにこのオプションを使用すると、Anaconda はシステムに接続されているすべてのストレージデバイスの一覧を表示し、ドライバー更新を含むデバイスを選択するよう求められます。
手動によるドライバー更新
inst.dd=location 起動オプションは、インストールの開始時に指定しますが、location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージのパスになります。このオプションを指定すると、Anaconda は、指定した場所にあるドライバー更新を読み込もうとします。手動のドライバー更新では、ローカルで利用可能なストレージデバイスまたはネットワークの場所( HTTPHTTPS、または FTP サーバー)のいずれかを指定できます。
注記
inst.dd=locationinst.dd の両方を同時に使用することも可能です。ただし、この場合は Anaconda の機能は、使用する 場所 のタイプによって異なります。デバイスの場合、Anaconda は指定されたデバイスから更新するドライバーを選択するように要求し、追加のデバイスを提供します。location がネットワークの場所の場合、Anaconda はドライバー更新を含むデバイスを選択し、指定したネットワークの場所からドライバーを更新するよう要求します。
ドライバーの自動更新方法を使用する場合は、OEMDRV というラベルが付いたストレージデバイスを作成する必要があります。また、インストールシステムに物理的に接続されている必要があります。アシスト付き方法を使用するには、OEMDRV 以外の任意のラベルを使用して、任意のローカルストレージデバイスを使用できます。手動で行う場合は、別のラベルでローカルストレージを使用するか、インストールするシステムからアクセスが可能なネットワーク上の場所を使用することもできます。
重要
ネットワーク経由でドライバーの更新を読み込むときは、ip= オプションを使用してネットワークを初期化します。詳細は 「ブートメニューによるインストールシステムの設定」 を参照してください。

11.1.1. ドライバー更新用の ISO ファイルをローカルのストレージデバイスで使用するための準備

ハードドライブや USB フラッシュドライブなど、ローカルのストレージデバイスを使用して ISO ファイルを提供する場合は、デバイスに適切なラベルを付けることでインストールプログラムがデバイスを自動的に認識するようにできます。これができない場合に限り、以下のように手動でドライバー更新をインストールしてください。
  • インストールプログラムがドライバーディスクを自動的に認識できるようにするには、ストレージデバイスのボリュームラベルを OEMDRV にする必要があります。また、ISO イメージ自体をコピーするのではなく、その内容をストレージデバイスのルートディレクトリーに抽出します。「ドライバーの自動更新」 を参照してください。手動インストールの場合、OEMDRV というラベルの付いたデバイスからのドライバーのインストールが常に推奨され、推奨されることに注意してください。
  • 手動インストールでは、ストレージデバイスに ISO イメージを単一ファイルとしてコピーするだけです。ファイル名は便利ですが、ファイル名の拡張子は変更しないでください。これは .iso のままにします(例: dd.iso )。インストール時にドライバーの更新を手動で選択する方法は、「アシスト付きのドライバー更新」 を参照してください。

11.1.2. ドライバー更新用 ISO ファイルを提供するディスク (CD または DVD) の準備

CD または DVD にドライバー更新用ディスクを作成することができます。イメージファイルをディスクへ書き込む方法は 「インストール CD または DVD の作成」 を参照してください。
ドライバー更新用ディスクの CD または DVD を作成したら、システムにディスクを挿入し、ファイルマネージャーで表示して、そのディスクが正常に作成されたか確認します。rhdd3 という名前のファイルが 1 つ表示されるはずです。これは、ドライバーディスクの説明が含まれる署名ファイルと、rpms という名前のディレクトリーです。このディレクトリーには、さまざまなアーキテクチャー用のドライバーを持つ RPM パッケージが含まれます。
末尾が .iso のファイルが 1 つしかない場合は、ディスクが正しく作成されていないため、再試行する必要があります。GNOME 以外の Linux デスクトップを使用する場合、また は別のオペレーティングシステムを使用している場合は、イメージ の書き込み のようなオプションを選択してください。

11.2. インストール中のドライバー更新

インストールプロセスの冒頭で、以下のいずれかの方法でドライバーを更新します。
  • ドライバー更新の検出と実行をインストールプログラムで自動的に行う
  • ドライバー更新の検索プロンプトをインストールプログラムが表示する
  • ドライバー更新用のイメージまたは RPM パッケージへのパスを手動で指定する
重要
ドライバー更新ディスクは、必ず標準のディスクパーティションに配置してください。ドライバー更新を行うインストールの初期段階では、RAID や LVM ボリュームなどの高度なストレージにはアクセスできない場合があります。

11.2.1. ドライバーの自動更新

インストールプログラムがドライバー更新ディスクを自動的に認識させるには、インストールプロセスを開始する前に、OEMDRV ボリュームラベルの付いたブロックデバイスをコンピューターに接続します。
注記
Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降では、OEMDRV ブロックデバイスを使用して、キックスタートファイルを自動的に読み込むこともできます。このファイルは ks.cfg という名前にし、読み込むデバイスのルートに置く必要があります。キックスタートインストールの詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。
インストールが開始すると、インストールプログラムはシステムに接続している全ストレージを検出します。OEMDRV というラベルが付いたストレージデバイスが見つかると、ドライバー更新ディスクとして扱われ、このデバイスからドライバーの更新を読み込もうとします。読み込むドライバーの選択を求めるプロンプトが表示されます。

図11.1 ドライバーの選択

ドライバーの選択
数字キーを使ってドライバー間を移動します。準備ができたら、c を押して選択したドライバーをインストールし、Anaconda グラフィカルユーザーインターフェイスに進みます。

11.2.2. アシスト付きのドライバー更新

インストール時にドライバーをインストールするのに、常に OEMDRV ボリュームラベルが付いたブロックデバイスを使用することが推奨されます。ただし、そのようなデバイスが検出されず、inst.dd オプションが起動コマンドラインに指定されている場合には、インストールプログラムは対話モードでドライバーディスクを検索できます。最初のステップでは、Anaconda が ISO ファイルをスキャンするローカルのディスクパーティションをリストから選択します。次に、検出された ISO ファイルの中から更新用のファイルを選択します。最後にドライバーを選択します (複数可)。以下の図では、テキストユーザーインターフェイスでこのプロセスを強調表示しています。

図11.2 対話式のドライバー選択

対話式のドライバー選択
注記
ISO イメージファイルを抽出して CD または DVD に書き込んだが、メディアに OEMDRV ボリュームラベルがない場合は、引数なしで inst.dd オプションを使用してデバイスを選択するか、インストールプログラムに以下の起動オプションを使用してメディアをスキャンしてドライバーを探します。
inst.dd=/dev/sr0
数字キーでドライバー間を移動します。準備ができたら、c を押して選択したドライバーをインストールし、Anaconda グラフィカルユーザーインターフェイスに進みます。

11.2.3. 手動によるドライバー更新

手動でドライバーをインストールする場合は、ドライバーを格納する ISO イメージを USB フラッシュドライブや Web サーバーなどアクセスできる場所に配置し、コンピューターに接続しておきます。Welcome 画面で Tab を押して起動コマンドラインを表示し、それに inst.dd= の場所 を追加します。location は、ドライバー更新ディスクへのパスになります。

図11.3 ドライバー更新へのパスの指定

ドライバー更新へのパスの指定
通常、イメージファイルは Web サーバー (http://server.example.com/dd.iso など) または USB フラッシュドライブ (/dev/sdb1 など) に置きます。ドライバー更新を含む RPM パッケージ (http://server.example.com/dd.rpm など) を指定することもできます。
準備ができたら、Enter を押して起動コマンドを実行します。すると、選択したドライバーが読み込まれ、インストールプロセスが正常に進みます。

11.2.4. ブラックリストへのドライバーの登録

正常に動作しないドライバーが原因でインストール時にシステムを起動できない場合があります。このような場合、起動コマンドラインをカスタマイズしてそのドライバーを無効にすることができます (ブラックリストに登録する)。ブートメニューで Tab キーを押してブートコマンドラインを表示します。次に modprobe.blacklist=driver_name を追加します。driver_name の部分に無効にするドライバー名を入力します。以下に例を示します。
modprobe.blacklist=ahci
起動オプション modprobe.blacklist= を使用してインストール時にブラックリストに登録されたドライバーは、インストール済みシステムで無効になり、/etc/modprobe.d/anaconda-blacklist.conf ファイルに表示されることに注意してください。ドライバーをブラックリストに登録する方法とその他の起動オプションについては、23章起動オプションを参照してください。

第12章 IBM Power Systems でのインストールの起動

DVD から IBM Power Systems サーバーを起動するには、System Management Services (SMS)メニューでインストールブートデバイスを指定する必要があります。
System Management Services GUI に入るには、ブートプロセス中に chime サウンドを聞いた時に 1 キーを押します。これにより、このセクションに説明してあるグラフィカルインターフェイスと同様の画面が立ち上がります。
テキストコンソールで、セルフテストでテスト済みのコンポーネントとともにバナーが表示されたら、1 を押します。

図12.1 システム管理サービスのコンソール

システム管理サービスのコンソール
SMS メニューで、Select Boot Options のオプションを選択します。そのメニューで、Select Install または Boot a Device を指定します。CD/DVD を選択し、バスタイプ(ほとんどの場合 SCSI)を選択します。どのタイプか分からない場合は、すべてのデバイスを表示できます。これにより、ネットワークアダプターやハードドライブなど、ブートデバイスに使用できるすべてのバスがスキャンされます。
最後に、インストール DVD を収納しているデバイスを選択します。ブートメニューが読み込まれます。
重要
IBM Power Systems サーバーは主にテキストコンソールを使用するため、Anaconda は自動的にグラフィカルインストールを開始しません。ただし、グラフィカルなインストールプログラムの方が機能やカスタマイズ性に優れているため、システムにグラフィカルなディスプレイが備わっている場合はグラフィカルインストールの使用をお勧めします。
グラフィカルインストールを起動するには、inst.vnc 起動オプションを渡します (リモートアクセスの有効化 を参照)。

12.1. ブートメニュー

システムがブートメディアの読み込みを完了すると、GRUB2 (GRand Unified Bootloader、バージョン 2)を使用してブートメニューが表示されます。起動メニューには、インストールプログラムを起動する以外に、複数のオプションがあります。60 秒以内に何のキーも押さなければデフォルトの起動オプションが実行されます (白色で強調表示されているオプション)。デフォルトを選択するには、タイマーがなくなるまで待機するか、Enter を押します。

図12.2 起動画面

起動画面
デフォルト以外のオプションを選択するには、キーボードの矢印キーを使用して、正しいオプションが強調表示されたら Enter を押します。
特定のメニューエントリーの起動オプションをカスタマイズするには、e キーを押して、コマンドラインにカスタムの起動オプションを追加します。準備ができたら、Ctrl+X を押して変更されたオプションを起動します。
追加の起動オプションは 23章起動オプション を参照してください。
起動メニューのオプションは、以下のようになります。
Install Red Hat Enterprise Linux 7.0
グラフィカルなインストールプログラムを使用してコンピューターシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合にはこの選択肢を実行します。
Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 7.0
このオプションがデフォルトです。インストールプログラムを開始する前に、インストールメディアの整合性をチェックするユーティリティーが起動します。
Troubleshooting &gt ;
この項目は別のメニューとなっており、さまざまなインストールの問題を解決する場合に役立ちます。強調表示された場合は、Enter を押してその内容を表示します。

図12.3 トラブルシューティングメニュー

トラブルシューティングメニュー
Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 in basic graphics mode
このオプションを使用すると、インストールプログラムがお使いのビデオカードに適したドライバーを読み込むことができない場合でも、グラフィカルモードで Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。Install Red Hat Enterprise Linux 7.0 オプションの使用時に画面が廃止または空白になる場合は、コンピューターを再起動してこのオプションを試してください。
Rescue a Red Hat Enterprise Linux system
正常に起動できないインストール済みの Red Hat Enterprise Linux システムの問題を修復する場合にこのオプションを選択します。このレスキュー環境には、こうした多様な問題を修復するためのユーティリティープログラムが用意されています。
Run a memory test
システムでメモリーテストを実行するオプションです。詳細は、「メモリー (RAM) テストモードの読み込み」 を参照してください。
Boot from local drive
インストールが完了した 1 番目のディスクからシステムを起動するオプションです。誤ってインストールディスクから起動してしまった場合は、このオプションを使用するとインストールプログラムを起動させず直ちにハードディスクから起動できます。

12.2. 異なるソースからのインストール

Red Hat Enterprise Linux は、ハードディスクに格納している ISO イメージを使用するか、NFS、FTP、HTTP、HTTPS メソッドを使用してネットワークからインストールできます。ハードディスクやネットワークサーバーからのデータ読み込みは DVD からの読み込みよりも高速なため、経験豊富なユーザーはこれらの方法をよく使用します。
以下の表では、メディアごとに使用できる起動方法と推奨インストール方法について要約しています。
表12.1 起動方法とインストールソース
起動方法 インストールソース
完全インストール用メディア (DVD) インストールも起動した完全インストール用メディア自体を使用します
最小限の起動メディア (CD または DVD) インストールは、ネットワーク上もしくはハードドライブ上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します
ネットワーク起動 インストールは、ネットワーク上に配置しておいた完全インストール用 DVD ISO イメージ、またはこのイメージから抽出したインストールツリーを使用します

12.3. インストールサーバーを使ったネットワークからの起動

ネットワークブートの場合には、インストールサーバーをサポートするコンピューターにネットワークインターフェイス、正しく設定したサーバーが必要です。インストールサーバーの設定方法は「GRUB2 を使用した IBM Power Systems 向けのネットワークブートの設定」を参照してください。
SMS メニューで Select Boot Options を選択して Boot/Install Device を選択し、ネットワークインターフェイスから起動するようにコンピューターを設定します。使用可能なデバイス一覧からネットワークデバイスを選択します。
インストールサーバーからの起動を正しく設定したら、 コンピューターは他にメディアがなくても Red Hat Enterprise Linux インストールシステムを起動できるようになります。
サーバーからコンピューターを起動するには以下を実行します。

手順12.1 ネットワークからインストールプログラムを起動する

  1. ネットワークケーブルが接続されていることを確認します。コンピューターの電源がオンになっていない場合でも、ネットワークソケットのリンクインジケーターのライトがオンになっているはずです。
  2. コンピューターのスイッチをオンにします。
  3. ネットワーク設定と診断に関する情報は通常、コンピューターがサーバーに接続する前に表示されます。ただし、これは使用しているハードウェアによって異なります。目的のオプションに該当する数字キーを押します。目的のオプションに該当する数字キーを押します。どのオプションを選択したらよいかわからない場合は、サーバー管理者に問い合わせてください。
システムがネットワークインストールサーバーから起動しない場合は、適切なネットワークインターフェイスが起動順序の 1 番目に設定されているか SMS を確認してください。詳細はハードウェアのドキュメントをご覧ください。
重要
vmlinuz イメージおよび initrd.img イメージを使用して、ネットワーク経由でシステムを起動します。ppc64.img イメージを使用してネットワーク経由で起動することはできません。TFTP の場合は、ファイルが大きすぎます。

第13章 Anaconda を使用したインストール

本章では、Anaconda インストーラーを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする手順を説明します。本章の大部分では、グラフィカルユーザーインタフェースを使用したインストールを説明しています。グラフィカルディスプレイのないシステムではテキストモードが利用できますが、このモードは特定の機能 (カスタマイズのパーティション設定ができないなど) に制限があります。
お使いのシステムにグラフィカルモードを使用する機能がない場合は、以下が可能です。
  • 27章キックスタートを使ったインストール の説明に従って、キックスタートを使用してインストールを自動化する。
  • VNC (Virtual Network Computing) プロトコルを使用して、グラフィカルディスプレイのある別のコンピューターからインストールシステムにリモートで接続して、グラフィカルインストールを実行する。25章VNC の使用を参照してください。

13.1. Anaconda の概要

Red Hat Enterprise Linux インストーラーである Anaconda は、その並列性があるため、他のほとんどのオペレーティングシステムのインストールプログラムとは異なります。ほとんどのインストーラーは、最初に言語の選択、次にネットワークの設定、それからインストールタイプ、パーティション設定、といったように、決まったパスで進められます。ある時点ですすめる方向は通常、1 つのみです。
Anaconda では、最初に言語とロケールのみを選択するだけで、中央画面が表示され、任意の順序でインストールのほとんどの側面を設定できます。これはインストールのすべての部分に該当するわけではありません。たとえば、ネットワークからインストールする場合は、インストールするパッケージが選択可能となる前にネットワークを設定する必要があります。
お使いのハードウェアやインストールを開始するメディアタイプによっては、自動で設定される画面もいくつかあります。その場合でも、検出された設定は変更することが可能です。自動設定されず、インストール前にユーザーの作業が必要となる画面には、感嘆符が付いています。実際のインストールプロセスを開始するには、これらの設定を完了する必要があります。
中央の画面では、他にも違いがあります。特に、カスタムのパーティション設定プロセスは他の Linux ディストリビューションとは非常に異なります。これらの違いについては、各画面のサブセクションで説明します。

13.2. インストール中のコンソールとロギング

以下のセクションでは、インストール中にログと対話式のシェルにアクセスする方法を説明しています。これは問題解決に役立ちますが、ほとんどの場合では必要ないはずです。

13.2.1. コンソールへのアクセス

Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、tmux ターミナルマルチプレクサーを使用して、メインインターフェイスに加えて使用できる複数のウィンドウを表示および制御します。これらのウィンドウはそれぞれ目的が異なるため、インストール中に問題のトラブルシューティングに使用できるいくつかの異なるログを表示します。ウィンドウの 1 つは、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用して明示的に無効になっていない限り、root 権限のある対話式シェルプロンプトを提供します。
注記
一般的に、インストール関連の問題を診断する必要がなければ、デフォルトのグラフィカルインストール環境から、他の環境に移動する必要はありません。
端末マルチプレクサーは、仮想コンソール 1 で実行しています。グラフィカルインストール環境から tmux に切り替えるには、Ctrl+Alt+F1 を押します。仮想コンソール 6 で実行されるメインのインストールインターフェイスに戻るには、Ctrl+Alt+F6 を押します。
注記
テキストモードのインストールを選択すると、仮想コンソール 1 (tmux)で起動し、コンソール 6 に切り替えると、グラフィカルインターフェイスではなくシェルプロンプトが開きます。
tmux を実行しているコンソールには、利用可能な画面が 5 つあります。その内容と、それらへのアクセスに使用するキーボードショートカットを以下の表に示します。キーボードショートカットは 2 部分であることに注意してください。まず Ctrl+b を押してから両方のキーを解放し、使用するウィンドウの番号キーを押します。
また、Ctrlb n b p を使用して、それぞれ次または前の tmux 画面に切り替えることもできます。
表13.1 利用可能な tmux ウィンドウ
ショートカット 内容
Ctrl+b 1 メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。
Ctrl+b 2 root 権限を持つインタラクティブなシェルプロンプト。
Ctrl+B 3 インストールログ - /tmp/anaconda.log に保存されているメッセージを表示します。
Ctrl+B 4 ストレージログ - /tmp/storage.log に保存されているカーネルおよびシステムサービスからのストレージデバイスに関連するメッセージを表示します。
Ctrl+B 5 プログラムログ - /tmp/program.log に保存されている他のシステムユーティリティーからのメッセージを表示します。
Anaconda は、tmux ウィンドウに診断情報を表示するだけでなく、インストールシステムから転送できるいくつかのログファイルも生成します。これらのログについては 表14.1「インストール中に生成されるログファイル」 を、インストールシステムからの転送方法は、14章IBM Power Systems でのインストールに関するトラブルシューティングを参照してください。

13.2.2. スクリーンショットの保存

グラフィカルインストール時に Shift+Print Screen を押すと、現在の画面をキャプチャできます。これらのスクリーンショットは、/tmp/anaconda-screenshots/ に保存されます。
また、キックスタートファイルで autostep --autoscreenshot コマンドを使用して、インストールの各ステップを自動的にキャプチャーし、保存することができます。詳細は 「キックスタートのコマンドとオプション」 を参照してください。

13.3. テキストモードでのインストール

テキストモードによるインストールでは、Red Hat Enterprise Linux のインストールに対話式で、グラフィカルではないインターフェイスを使用します。これはグラフィカル機能のないシステムでは便利ですが、テキストベースのインストールを開始する前に、常に利用可能な別の方法を検討してください。テキストモードでは、インストール中の選択肢の数に限りがあります。
重要
Red Hat では、Red Hat Enterprise Linux のインストールにはグラフィカルインターフェイスの使用を推奨します。グラフィカルな表示がないシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、VNC 接続によるインストールを検討してください。25章VNC の使用 を参照してください。テキストモードでのインストールプログラムでは、VNC ベースのインストールが可能であることを検出すると、テキストモードでのインストールの確認を求めるプロンプトが表示されます。
システムにグラフィカルディスプレイがあり、グラフィカルインストールが失敗した場合は、inst.xdriver=vesa オプションで起動してみてください。23章起動オプション を参照してください。
または、キックスタートを使ったインストールも検討してください。詳細は、27章キックスタートを使ったインストール を参照してください。

図13.1 テキストモードでのインストール

テキストモードでのインストール
テキストモードでのインストールは、グラフィカルインストールと同様のパターンになります。決まった 1 つの方法ではなく、メインのステータス画面を使用して多くの設定を好きな順序で設定することができます。自動またはユーザーによってすでに設定されている画面は [x] とマークされ、インストールを開始する前に注意が必要な画面には [!] のマークが付けられます。利用可能なコマンドは、利用可能なオプション一覧の下に表示されます。
注記
関連するバックグラウンドタスクが実行されている場合、特定のメニューアイテムが一時的に利用できなくなったり、Processing... ラベルを表示したりできます。テキストメニューアイテムの現在のステータスを更新するには、テキストモードプロンプトで r オプションを使用します。
テキストモード画面の下部には、5 つのメニューオプションを表示する緑色のバーがあります。これらのオプションは、tmux ターミナルマルチプレクサーのさまざまな画面を表しています。デフォルトでは画面 1 で開始し、キーボードショートカットを使用して、ログとインタラクティブなコマンドプロンプトを含む他の画面に切り替えることができます。利用可能な画面やそれらへの切り替えに使用するショートカットについては、「コンソールへのアクセス」 を参照してください。
対話式テキストモードでのインストールには以下のような制限があります。
  • インストーラーは常に言語には英語を、キーボードには US English のキーボードレイアウトを使用します。言語とキーボードレイアウトは設定可能ですが、これはインストールされるシステムに適用されるもので、インストール自体には適用されません。
  • 高度なストレージメソッド (LVM、software RAID、FCoE、zFCP、および iSCSI) の設定はできません。
  • カスタムのパーティション設定はできません。自動パーティション設定のいずれかを使用する必要があります。また、ブートローダーのインストール場所を設定することもできません。
  • インストールするパッケージアドオンは選択できません。Yum パッケージマネージャーを使用してインストールの完了後に追加する必要があります。
テキストモードのインストールを開始するには、起動メニューの起動コマンドラインまたは PXE サーバー設定で inst.text 起動オプションを使用してインストールを起動します。起動オプションの使用および起動に関する情報は、12章IBM Power Systems でのインストールの起動 を参照してください。

13.4. HMC vterm の使用

HMC vterm はパーティション設定している IBM Power システム用のコンソールです。HMC のパーティションを右クリックし、Open Terminal Window を選択してコンソールを開きます。一度にコンソールへ接続できる vterm は 1 つのみです。パーティション設定しているシステム用のコンソールアクセスは vterm 以外にはありません。このコンソールを指して 仮想コンソール と呼ぶことがよくありますが、「コンソールへのアクセス」 で説明している仮想コンソールとは異なります。

13.5. グラフィカルユーザーインターフェイスでのインストール

Red Hat Enterprise Linux の手動でのインストールでは、グラフィカルインターフェイスが推奨の方法になります。カスタムのパーティション設定や高度なストレージ設定を含むすべての設定に対して完全な制御ができ、英語以外の多くの言語にローカライズされているので、インストール全体を別の言語で実行できます。ローカルメディア (CD、DVD または USB フラッシュドライブ) からシステムを起動すると、グラフィカルモードがデフォルトで使用されます。

図13.2 インストールの概要 画面

インストールの概要 画面
以下のセクションでは、インストールプロセスで使用可能な各画面について説明しています。インストーラーには並立的な性質があるため、ほとんどの画面は表示されている順序で完了する必要はないことに留意してください。
グラフィカルインターフェイスの各画面には Help ボタンがあります。このボタンをクリックすると、Yelp ヘルプブラウザーが開き、現在の画面に関連する 『Red Hat Enterprise Linux インストールガイド』 のセクションが表示されます。
また、キーボードを使ってグラフィカルインストーラーを制御することもできます。以下の表では、利用可能なショートカットを示しています。
表13.2 グラフィカルインストーラーでのキーボードショートカット
ショートカットキー 用途
Tab タブと Shift+タブ 表示画面上でアクティブな要素 (ボタン、チェックボックスなど) の間を移動します。
Up および Down リストをスクロールします。
left および Right ツールバーとテーブルエントリーを左右にスクロールします。
スペースEnter 選択肢からハイライト表示したアイテムを選択または削除し、ドロップダウンメニューを展開、折りたたみます。
さらに、各画面の要素をそれぞれのショートカットで切り替えることもできます。Alt キーを押すと、これらのショートカットが強調表示されます(下線付き)。その要素を切り替えるには、Alt+X を押します。X は強調表示された文字です。
使用中のキーボードレイアウトは、画面右上に表示されます。デフォルトでは、1 つのレイアウトのみが設定されます。キーボード レイアウト 画面で複数のレイアウトを設定した場合(「キーボードの設定」)は、レイアウトインジケーター をクリックしてそれらのレイアウトを切り替えることができます。

13.6. ようこその画面と言語設定

インストールプログラムの最初の画面は、Red Hat Enterprise Linux へようこそ の画面です。ここでは、Anaconda が残りのインストールに使用する言語を選択します。この選択内容が、後に変更しない限り、インストール済みシステムのデフォルトになります。左側のパネルで、英語 など、任意の言語を選択します。次に、右側のパネルで、English (United States) などの地域に固有のロケールを選択できます。
注記
1 つの言語が一覧の上部に事前に設定されます。この時点でネットワークアクセスが設定されている場合(たとえば、ローカルメディアではなくネットワークサーバーから起動した場合など)、事前に選択した言語は GeoIP モジュールを使用した自動ロケーションの検出に基づいて決定されます。
また、下図で示すように、検索ボックスに任意の言語を入力することもできます。
選択が完了したら、続行 ボタンをクリックして インストールの概要 画面に進みます。

図13.3 言語設定

言語設定
Continue ボタンをクリックすると、サポートされていないハードウェアダイアログが表示される場合があります。これは、カーネルがサポートしていないハードウェアを使用している場合に発生します。

13.7. インストールの概要画面

インストールの概要 画面は、インストールを設定するための中心となる画面です。

図13.4 インストールの概要 画面

インストールの概要 画面
Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでは、画面が次々と表示されるのではなく、ユーザーが選択する順番でインストールを設定できます。
マウスを使って、設定するインストールセクションのメニューアイテムを選択します。セクションの設定が完了したら、またはこのセクションを後で行う場合は、画面の左上にある Done ボタンをクリックします。
警告シンボルのマークが付いたセクションのみが必須です。画面の下部の注で警告されているように、これらをインストールを開始する前に選択する必要があります。残りのセクションはオプションです。各セクションのタイトルの下には、現在の設定の概要が示されます。これを参考にして、該当セクションの設定が必要かどうかを決めることができます。
必要なすべてのセクションが完了したら、Begin Installation ボタンをクリックします。「インストールの開始」 も併せて参照してください。
インストールを取り消すには、Quit ボタンをクリックします。
注記
バックグラウンドで関連タスクが実行されている間は、特定のメニューアイテムが一時的に使用できなくなることがあります。
キックスタートオプションまたは起動コマンドラインオプションを使用してネットワーク上にインストールリポジトリーを指定していても、インストール開始時にネットワークが利用できないと、インストールプログラムにより、インストールの概要 画面を表示する前にネットワーク接続を設定する設定画面が表示されます。

図13.5 ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面

ネットワークが検出されない場合のネットワーク設定画面
インストール DVD もしくはローカルでアクセス可能なメディアからインストールするため、インストールの完了にネットワークアクセスは必要ないことが明らかな場合はこのステップを省略しても構いません。しかし、ネットワークインストール (「インストールソース」を参照) や高度なストレージデバイスの設定 (「ストレージデバイス」を参照) を行う場合にはネットワーク接続が必要になります。インストールプログラムでネットワークを設定する方法は、「ネットワークとホスト名」 を参照してください。

13.8. 日付と時刻

タイムゾーン、日付、およびオプションでネットワーク時間を設定するには、インストールの概要 画面で 日付 と時刻 を選択します。
タイムゾーンを選択するには、3 つの方法があります。
  • マウスを使って対話式マップをクリックして特定の都市を選択します。選択した都市を示す赤いピンが表示されます。
  • 画面上部の 地域都市の ドロップダウンメニューをスクロールして、タイムゾーンを選択することもできます。
  • 地域 ドロップダウンメニューの下部にある その他 を選択し、次のメニューで GMT/UTC に調整されたタイムゾーン (例: GMT+1) を選択します。
ご自分の都市が地図またはドロップダウンメニューに表示されない場合には、同じタイムゾーンの最も近い主要都市を選択してください。または、キックスタートファイルを使用することもできます。これにより、グラフィカルインターフェイスでは使用できない追加のタイムゾーンを指定できます。の timezone コマンドを参照してください。 timezone (必須) 詳細については。
注記
表示される都市や地域の一覧は Time Zone Database (tzdata) パブリックドメインのものを使用しています。このドメインは Internet Assigned Numbers Authority (IANA) で管理されています。Red Hat は、このデータベースに都市や地域を追加することはできません。詳細は、http://www.iana.org/time-zones の公式の Web サイトを参照してください。
システムクロックの精度を維持するために NTP (Network Time Protocol) を使用する予定であっても、タイムゾーンを指定してください。
ネットワークに接続している場合は、Network Time スイッチが有効になります。NTP を使用して日付と時刻を設定するには、Network Time スイッチを ON の 位置のままにし、設定アイコンをクリックして、Red Hat Enterprise Linux が使用する NTP サーバーを選択します。日付と時刻を手動で設定するには、スイッチを オフの 位置に動かします。システムクロックにより選択タイムゾーンに応じた正しい日付と時刻が画面下部に表示されるはずです。表示された時刻が正しくない場合は手動で調整してください。
インストール時に NTP サーバーが利用できない場合があります。このような場合はネットワーク時間を有効にしても自動設定は行われません。サーバーが利用できるようになると日付と時刻が更新されます。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にタイムゾーンの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 日付と時刻 セクションにアクセスします。

13.9. 言語サポート

追加のロケールおよび言語方言のサポートをインストールするには、インストールの概要 画面から 言語サポート を選択します。
インストールする追加の言語サポートをマウスで選びます。左側のパネルで、Español などの言語を選択します。次に、右側のパネルで地域固有のロケールを選択できます (例: Español (コスタリカ))。言語とロケールはどちらも複数選択が可能です。選択された言語は左側のパネルで太字で強調表示されます。

図13.6 言語サポートの設定

言語サポートの設定
選択が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後に言語サポートの設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの 地域と言語 セクションにアクセスしてください。

13.10. キーボードの設定

システムに複数のキーボードレイアウトを追加するには、インストールの概要 画面から キーボード を選択します。保存されたレイアウトは、インストールプログラムで即座に利用可能となり、画面右上に常時表示されるキーボードアイコンを使って切り替えることができます。
初めは、ようこその画面で選択された言語のみが左のペインにキーボードレイアウトとして表示されます。当初のレイアウトを置き換えたり、または新たなレイアウトを追加することができます。ただし、選択した言語が ASCII 文字を使用しない場合、暗号化されたディスクパーティションや root ユーザーのパスワードを正しく設定できるよう ASCII 文字を使用するキーボードレイアウトを追加する必要があります。

図13.7 キーボードの設定

キーボードの設定
追加のレイアウトを追加するには、+ ボタンをクリックしてリストから選択し、追加 をクリックします。レイアウトを削除するには、レイアウトを選択して - ボタンをクリックします。矢印ボタンを使ってレイアウトの優先順位を調整します。キーボードレイアウトの視覚的プレビューを表示するには、レイアウトを選択してからキーボードのボタンをクリックします。
レイアウトを試すには、マウスで右側のテキストボックス内をクリックします。テキストを入力してみて、選択した機能が正常に機能するか確認します。
追加したレイアウトを試す場合は、画面上部の言語セレクターをクリックしてそのレイアウトに切り替えます。ただし、レイアウト切り替え用のキーの組み合わせを設定しておくことが推奨されます。右側の オプション ボタンをクリックして レイアウト切り替えオプション ダイアログを開き、チェックボックスをオンにしてリストから組み合わせを選択します。組み合わせは オプション ボタンの上に表示されます。この組み合わせはインストール中およびインストール後のシステムの両方に適用されるため、インストール後に使用できるようここで組み合わせを設定しておく必要があります。また、レイアウトの切り替えには、複数の組み合わせを選択することもできます。
重要
ロシア 語などのラテン文字を受け入れることができないレイアウトを使用する場合、Red Hat は 英語 (米国) レイアウトを追加し、キーボードの組み合わせを設定して 2 つのレイアウトを切り替えることを推奨します。ラテン文字を含まないレイアウトのみを選択した場合、インストールプロセスの後半で有効な root パスワードおよびユーザー認証情報を入力できない可能性があります。これにより、インストールを完了できない可能性があります。
選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。
注記
インストールの完了後にキーボード設定を変更するには、設定 ダイアログウィンドウの キーボード セクションにアクセスします。

13.11. セキュリティーポリシー

セキュリティーポリシー スポークを使用すると、Security Content Automation Protocol (SCAP) 標準で定義された制限と推奨事項 (コンプライアンスポリシー) に従って、インストールされたシステムを設定できます。この機能はアドオンが提供するもので、これは Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降デフォルトで有効になっています。有効にすると、この機能の提供に必要なパッケージが自動的にインストールされます。ただし、デフォルトではポリシーが強制されることがなく、明確に設定されている場合を除いて、インストール時およびインストール後にチェックが行われません。
Red Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドでは、バックグラウンド情報、実用的な例、および追加リソースを含むセキュリティーコンプライアンスについての詳細情報を提供しています。
重要
セキュリティーポリシーの適用はすべてのシステムで必要なわけではありません。このウィンドウは、所定のポリシーの適用が業務規定や法令で義務付けられている場合にのみ使用してください。
セキュリティーポリシーをシステムに適用する場合は、選択したプロファイル内で定義される制限および推奨事項を使用してインストールされます。また、パッケージ選択に openscap-scanner パッケージが追加され、コンプライアンスおよび脆弱性スキャンのインストール済みツールが提供されます。インストールが終わると、システムは自動的にコンプライアンスを確認するためにスキャンされます。このスキャンの結果は、インストールされたシステムの /root/openscap_data ディレクトリーに保存されます。
この画面で使用できる定義済みのポリシーは、SCAP Security Guide によって提供されます。利用可能な各プロファイルについての詳細情報は、OpenSCAP Portal にあるリンクを参照してください。
HTTPS、HTTP または FTP サーバーから追加プロファイルを読み込むこともできます。

図13.8 セキュリティーポリシー選択画面

セキュリティーポリシー選択画面
システムでセキュリティーポリシーの使用を設定するには、まず セキュリティーポリシーの適用 スイッチを ON に設定して設定を有効にします。スイッチが オフの 位置にある場合、この画面の残りのコントロールは無効になります。
スイッチを使用してセキュリティーポリシーの設定を有効にした後、画面上部のウィンドウにリスト表示されているプロファイルの 1 つを選択し、下の プロファイルの選択 をクリックします。プロファイルが選択されたら、右側に緑色のチェックが表示され、下のフィールドに変更がインストール開始前に加えられるかどうかが表示されます。
注記
デフォルトで使用可能となっているプロファイルは、インストール開始前に変更を適用しません。ただし、下記のとおりにカスタムプロファイルを読み込むとインストール前のアクションが必要になる場合があります。
カスタムプロファイルを使用するには、左上隅にある コンテンツの変更 ボタンをクリックします。これで別の画面が開き、有効なセキュリティーコンテンツの URL を入力します。デフォルトのセキュリティーコンテンツ選択画面に戻るには、左上隅にある Use SCAP Security Guide をクリックします。
カスタムプロファイルは 、HTTPHTTPS、または FTP サーバーからロードできます。プロトコル (http:// など) を含む、コンテンツの完全なアドレスを使用します。カスタムプロファイルを読み込む前に、ネットワーク接続がアクティブになっている必要があります (「ネットワークとホスト名」 で有効にする)。コンテンツタイプはインストーラーが自動的に検出します。
プロファイルを選択した後、または画面を終了する場合は、左上隅にある 完了 をクリックしてに戻ります。「インストールの概要画面」 .

13.12. インストールソース

Red Hat Enterprise Linux のインストール元となるファイルまたは場所を指定するには、Installation Summary 画面から Installation Source を選択します。この画面では、DVD や ISO ファイルなどローカルで使用するインストールメディア、またはネットワーク上の場所のいずれかを選択することができます。

図13.9 インストールソースの画面

インストールソースの画面
以下のオプションのいずれかを選択します。
自動検出したインストールメディア
完全インストール用の DVD もしくは USB ドライブを使用してインストールを開始している場合は、そのメディアが検出されメディアの基本的な情報がこのオプションに表示されます。確認 ボタンをクリックして、メディアがインストールに適していることを確認します。この整合性テストは、起動メニューで Test this media & Install Red Hat Enterprise Linux を 選択した場合、または rd.live.check 起動オプションを使用した場合に実行されるものと同じです。
ISO ファイル
このオプションは、インストールプログラムで、ハードドライブがパーティションされており、マウント可能なファイルシステムを備えてられていることを検出した場合に、表示されます。このオプションを選択し、Choose an ISO ボタンをクリックして、システム上のインストール ISO ファイルの場所を参照します。次に、検証 をクリックして、ファイルがインストールに適していることを確認します。
ネットワーク上
ネットワークの場所を指定するには、このオプションを選択して、ドロップダウンメニューから以下のオプションのいずれかを選びます。
  • http://
  • https://
  • ftp://
  • nfs
上記の選択肢をネットワークの場所の URL の開始部分として使用し、残りのアドレスをアドレスボックスに入力します。NFS を選択した場合は、NFS マウントオプションを指定する別のボックスが表示されます。
重要
NFS ベースのインストールソースを選択する場合は、ホスト名とパスを区切るコロン (:) 文字を使用してアドレスを指定する必要があります。以下に例を示します。
server.example.com:/path/to/directory
HTTP または HTTPS ソースのプロキシーを設定するには、プロキシー設定 ボタンをクリックします。HTTP プロキシーを有効にする をオンにして、プロキシー URL ボックスに URL を入力します。プロキシーで認証が必要な場合は、認証を使用 をオンにして、ユーザー名とパスワードを入力します。Add をクリックします。
使用する HTTP もしくは HTTPS の URL がリポジトリーのミラーの一覧を参照する場合は、入力するフィールドの下のチェックボックスにチェックを入れます。
また、追加のリポジトリーを指定して、別のインストール環境やソフトウェアアドオンにアクセスすることもできます。詳細は、「ソフトウェアの選択」 を参照してください。
リポジトリーを追加するには、+ ボタンをクリックします。リポジトリーを削除するには、- ボタンをクリックします。矢印アイコンをクリックして、リポジトリーの前のリストに戻ります。つまり、現在のエントリーを、インストールソース 画面に入ったときに存在していたエントリーに置き換えます。リポジトリーをアクティブ化または非アクティブ化するには、リストの各エントリーの 有効 列のチェックボックスをクリックします。
画面の右側で追加したリポジトリーに名前を付け、ネットワーク上のプライマリーのリポジトリーを設定したときと同じように設定することができます。
インストールソースを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

13.13. ネットワークとホスト名

システムに不可欠なネットワーク機能を設定するには、Installation Summary 画面で Network & Hostname を選択します。
重要
インストール完了後に初めてシステムを起動すると、インストール中に設定したネットワークインターフェイスが作動します。ただし、Red Hat Enterprise Linux を DVD からローカルのハードドライブにインストールした場合など、一般的なインストールを行った場合は、ネットワークインターフェイスの設定を求めるプロンプトは表示されません。
Red Hat Enterprise Linux をローカルのインストールソースからローカルのストレージデバイスにインストールする時に、システムの初回起動時にネットワークへのアクセスを必要とする場合は、少なくとも 1 つのネットワークインターフェイスを手動で設定してください。また、設定を編集した場合は、起動後に自動で接続が行われるよう接続の設定もしておく必要があります。
ローカルでアクセスできるインターフェイスはインストールプログラムにより自動的に検出されるため、手動での追加または削除はできません。検出されたインターフェイスは左側のペインに一覧表示されます。一覧内のインターフェイスをクリックすると、右側にその詳細が表示されます。ネットワークインターフェイスをアクティブまたは非アクティブにするには、画面の右上隅にあるスイッチを ON または OFF に移動します。
注記
em1wl3sp0 などの永続的な名前でネットワークデバイスを識別するために使用されるネットワークデバイスの命名基準には、いくつかの種類があります。これらの標準については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。

図13.10 ネットワークとホスト名の設定画面

ネットワークとホスト名の設定画面
接続のリストの下にある ホスト名 入力フィールドに、このコンピューターのホスト名を入力します。ホスト名は、hostname.domainname 形式の fully-qualified domain name (FQDN) または hostname 形式の short host name のいずれかを選択できます。多くのネットワークには、自動的に接続されたシステムにドメイン名を提供する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスがあります。DHCP サービスがこのマシンにドメイン名を割り当てるようにするには、短縮ホスト名のみを指定してください。値 localhost.localdomain は、ターゲットシステムの特定の静的ホスト名が設定されていないことを意味し、インストールされたシステムの実際のホスト名は、ネットワーク設定のプロセス中に設定されます (たとえば、DHCP または DNS を使用する NetworkManager によって)。
重要
ホスト名を手動で割り当てる場合は、委譲されていないドメイン名を使用しないでください。使用すると、ネットワークリソースが使用できなくなる可能性があります。詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドで推奨している命名方法の実践例を参照してください。
注記
インストールの完了後、システム 設定 ダイアログの ネットワーク セクションを使用して、ネットワーク設定を変更できます。
ネットワーク設定が完了したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

13.13.1. ネットワーク接続の編集

このセクションでは、インストール中に使用される一般的な有線接続の場合に最も重要となる設定についてのみ説明します。ほとんどの場合、オプションの多くは変更する必要はなく、インストールされるシステムにも引き継がれません。これ以外のネットワーク設定についてもほぼ同じですが、当然、特定の設定パラメーターは異なります。インストール後のネットワーク設定については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
ネットワーク接続を手動で設定するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。ダイアログが表示され、選択された接続の設定ができるようになります。表示される設定オプションは、有線、無線、モバイルブロードバンド、VPN、DSL など接続タイプによって異なります。必要に応じて、ネットワーク設定の詳細情報については、『ネットワークガイド』を参照してください。
インストール中に設定しておくと便利なネットワーク設定オプションを以下に示します。
  • システムが起動するたびに接続 を使用する場合は、このネットワークが利用可能になったら自動的にこのネットワークに接続する チェックボックスをオンにします。自動的に接続するネットワークは、複数の接続を使用することができます。この設定は、インストールされるシステムに引き継がれます。

    図13.11 ネットワーク自動接続機能

    ネットワーク自動接続機能
  • デフォルトでは、IPv4 パラメーターが DHCP サービスにより自動的に設定されます。同時に、IPv6 設定は 自動 方式に設定されます。ほとんどの場合、この組み合わせが最適で通常は変更する必要はありません。

    図13.12 IP プロトコル設定

    IP プロトコル設定
ネットワーク設定の編集が完了したら、保存 をクリックして新しい設定を保存します。インストール中にすでに作動していたデバイスを再設定した場合、その新しい設定をインストール環境で使用するためにはデバイスの再起動を行う必要があります。Network & Host Name 画面の ON/OFF スイッチを使用して、デバイスを再起動します。

13.13.2. 高度なネットワークインターフェイス

高度なネットワークインターフェイスもインストールに使用できます。これには仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) と集約リンクを使用する 3 つの方法が含まれます。これらのインターフェイスについては本ドキュメントの対象外となります。詳細情報は、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。
高度なネットワークインターフェイスを作成するには、ネットワークとホスト名 画面の左下隅にある + ボタンをクリックします。

図13.13 ネットワークとホスト名の設定画面

ネットワークとホスト名の設定画面
ダイアログが表示され、以下のオプションがドロップダウンメニューから選択できます。
  • Bond - NIC (Network Interface Controller) Bonding を表します。これは、複数のネットワークインターフェイスをまとめて単一の結合チャネルにバインドする方法です。
  • ブリッジ - 複数の個別のネットワークを 1 つの集約ネットワークに接続する方法である NIC ブリッジングを表します。
  • チーム - リンクを集約するための新しい実装である NIC チーミングを表し、パケットフローの高速処理を実装するための小さなカーネルドライバーと、ユーザー空間で他のすべてを実行するためのさまざまなアプリケーションを提供するように設計されています。
  • VLAN - 相互に分離された複数の異なるブロードキャストドメインを作成する方法を表します。

図13.14 高度なネットワークインターフェイスのダイアログ

高度なネットワークインターフェイスのダイアログ
注記
ローカルでアクセスできるインターフェイスは有線、無線に関わらずインストールプログラムにより自動的に検出されるため、上記の操作手順で手動による追加や削除はできません。
オプションを選択して 追加 ボタンをクリックすると、新しいインターフェイスを設定するための別のダイアログが表示されます。詳細な手順については、Red Hat Enterprise Linux 7 ネットワークガイドを参照してください。既存の高度なインターフェイスで設定を編集するには、画面の右下隅にある 設定 ボタンをクリックします。- ボタンをクリックして、手動で追加したインターフェイスを削除することもできます。

13.14. ソフトウェアの選択

インストールするパッケージを指定するには、Installation Summary 画面で Software Selection を選択します。パッケージは ベース環境 に応じてグループ化されています。これらの環境は、特定の目的を持つ事前定義された一連のパッケージです。たとえば、仮想化ホスト 環境には、システム上で仮想マシンを実行するために必要な一連のソフトウェアパッケージが含まれています。インストール時に選択できる環境は一つのみです。
各環境には、アドオン という形で追加パッケージが選択できるようになっています。アドオンは画面の右側に表示され、環境を選び直すとアドオンの一覧も更新されます。アドオンは複数選択が可能です。
アドオン一覧は横線で上下に分割されています。
  • 横線の に表示されるアドオンは、選択した環境に固有のものです。いずれかのアドオンを選択してから環境の選択を変更すると、アドオンの選択は失われます。
  • 横線の に表示されるアドオンは、すべての環境で同じものです。別の環境を選択し直しても、ここでの選択は失われません。

図13.15 サーバーインストールでのソフトウェア選択の例

サーバーインストールでのソフトウェア選択の例
選択できるベース環境およびアドオンの種類は、インストールソースとして使用するインストール ISO イメージの種類によります。たとえば、サーバー バリアントはサーバー用に設計された環境を提供しますが、ワークステーション バリアントには開発者ワークステーションとしてデプロイメントするためのいくつかの選択肢があります。
インストールプログラムでは各環境に含まれているパッケージは表示されません。特定の環境またはアドオンに含まれるパッケージを確認するには、repodata/*-comps- variant を参照してください。 インストールソースとして使用している Red Hat Enterprise Linux インストール DVD の architecture .xml ファイル。このファイルには、使用可能な環境 (<environment> タグでマーク) とアドオン (<group> タグ) を記述した構造が含まれています。
重要
事前に定義された環境やアドオンを使用するとシステムをカスタマイズできますが、手動でのインストールでは、インストールする個別パッケージを選択する方法はありません。どのパッケージをインストールする必要があるかわからない場合、Red Hat は 最小インストール 環境を選択することを推奨します。最小限のインストール では、Red Hat Enterprise Linux の基本バージョンと最小限の追加ソフトウェアのみをインストールします。これにより、システムが脆弱性の影響を受ける可能性が大幅に減ります。システムのインストールが完了し、初めてログインした後、Yum パッケージマネージャーを使用して必要な追加ソフトウェアをインストールできます。Minimal install の詳細については、Red Hat Enterprise Linux 7 Security Guide の Installing the Minimum amount of Packages Required セクションを参照してください。
代わりに、キックスタートファイルを使ってインストールを自動化することによりインストールパッケージをより高度なレベルで管理することもできます。キックスタートファイルの %packages セクションで、環境、グループ、および個々のパッケージを指定できます。キックスタートファイルでインストールするパッケージを選択する方法については 「パッケージの選択」 を参照してください。キックスタートを使ってインストールを自動化する方法については27章キックスタートを使ったインストールを参照してください。
インストールする環境とアドオンを選択したら、完了 をクリックして インストールの概要 画面に戻ります。

13.14.1. コアとなるネットワークサービス

すべての Red Hat Enterprise Linux インストールには、以下のネットワークサービスが含まれます。
  • rsyslog サービスによる集中ログ
  • SMTP (Simple Mail Transfer Protocol) による電子メール
  • NFS (Network File System) によるネットワークファイル共有
  • SSH (Secure SHell) によるリモートアクセス
  • mDNS (multicast DNS) によるリソースのアドバタイズ
Red Hat Enterprise Linux システムの自動化プロセスは、システム管理者へのレポートやメッセージの送信に電子メールサービスを利用するものがあります。デフォルトでは、電子メール、ログ記録、印刷などのサービスは他のシステムからの接続は受信しません。
インストール後に電子メール、ファイル共有、ログ記録、印刷、リモートによるデスクトップへのアクセスなどのサービスを提供するように Red Hat Enterprise Linux システムを設定できます。SSH サービスはデフォルトで有効になっています。また、NFS 共有サービスを有効にしなくても、NFS を使って他のシステム上のファイルにアクセスすることもできます。

13.15. インストール先

ディスクを選択し、Red Hat Enterprise Linux をインストールするストレージスペースを分割するには、Installation Summary 画面で Installation Destination を選択します。ディスクのパーティション設定に慣れていない場合は、付録A ディスクパーティションの概要を参照してください。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシステムをアップグレードする、または作成する場合には、保存しておきたいストレージデバイスのデータはすべてバックアップをとってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。
重要
Red Hat Enterprise Linux をテキストモードでインストールする場合は、このセクションで説明しているデフォルトのパーティション設定スキームしか使用できません。インストールプログラムで自動的に追加や削除が行われるもの以外、パーティションやファイルシステムの追加または削除はできません。
重要

特殊なケース

  • RAID カードを実装している場合、BIOS タイプは、RAID カードからの起動に対応していない場合がある点に注意してください。このような場合、別のハードドライブなど、RAID アレイの外側のパーティションに /boot パーティションを作成する必要があります。そのような RAID カードへのパーティション作成には、内蔵ハードドライブを使用する必要があります。ソフトウェア RAID のセットアップには 、/boot パーティションも必要です。システムを自動的に分割することを選択した場合は、/boot パーティションを手動で編集する必要があります。見る「手動パーティション設定」詳細については。
  • マルチパスストレージデバイスと非マルチパスのストレージデバイスの両方が使用されているシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすると、インストールプログラムの自動パーティション設定レイアウトに、マルチパスのデバイスと非マルチパスのデバイスが混在するボリュームグループが作成される可能性があります。これはマルチパスストレージの目的に反することになります。インストール先 画面で、マルチパスデバイスのみ、または非マルチパスデバイスのみを選択することを推奨します。もしくは、手動のパーティション設定を実行してください。

図13.16 ストレージ領域の概要

ストレージ領域の概要
この画面では、ご使用のコンピューターでローカルの使用が可能なストレージデバイスを確認することができます。ディスクの追加 ボタンをクリックして、特殊なデバイスやネットワークデバイスを追加することもできます。このデバイスの詳細は「ストレージデバイス」を参照してください。
システムのパーティション分割に慣れていない場合は、パーティションを自動的に設定する ラジオボタンのデフォルトの選択をそのままにして、インストールプログラムがストレージデバイスをパーティション分割できるようにします。
ストレージデバイスのペインの下には、その他のストレージオプション というラベルの付いた追加のコントロールがあります。
  • パーティショニング セクションでは、ストレージデバイスのパーティション分割方法とボリュームの作成方法を選択できます。パーティションを手動で設定する、またはインストールプログラムによる自動設定を選択することができます。
    今まで使用したことがないストレージにクリーンインストールを実行する場合、またはストレージに保存されているデータは一切必要ない場合には、自動パーティション設定が推奨されます。この方法で続行するには、パーティショニングを自動的に設定する ラジオボタンのデフォルトの選択をそのままにしておきます。インストールプログラムは必要なパーティションとボリュームをストレージスペースに作成します。
    自動パーティショニングの場合、追加のスペースを利用可能にしたい チェックボックスを選択して、他のファイルシステムからこのインストールにスペースを再割り当てする方法を選択することもできます。完了 をクリックすると、2 つのダイアログが表示されます。自動パーティション設定を選択しているものの、推奨のパーティション設定でインストールを完了するのに十分なストレージ領域がない場合には、以下のダイアログが表示されます。

    図13.17 インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション

    インストールオプションのダイアログ内の領域を確保するオプション
    Red Hat Enterprise Linux ソフトウェアの選択 リンクをクリックできます。リンクをクリックすると、ソフトウェアの選択 セクションに移動します。ここで、インストールするソフトウェアを変更したり、追加のストレージスペースを解放したりできます。
    または、キャンセルしてディスクを追加 を クリックして インストール先 画面に戻ることもできます。この画面では、ストレージデバイスを追加したり、手動でパーティションを設定することを選択したりできます。Reclaim space をクリックして、既存のファイルシステムから一部のストレージスペースを解放します。詳細は 「ディスク領域の獲得」 を参照してください。
    十分な領域を確保できないと、別のダイアログが表示されます。この場合は、当初のストレージ画面でディスクを追加するか、インストールを中止することになります。
    手動セットアップ用に I will configure partitioning ラジオボタンを選択すると、Done をクリックすると Manual Partitioning 画面が表示されます。詳細は 「手動パーティション設定」 を参照してください。
  • 暗号化 セクションで、データを暗号化する チェックボックスをオンにして、/boot パーティションを除くすべてのパーティションを暗号化できます。暗号化についての詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。
画面の下部には、ブートローダーをインストールするディスクを設定するための フルディスクの概要 とブートローダー ボタンがあります。
詳細は、「ブートローダーのインストール」 を参照してください。
選択が完了したら、完了 ボタンをクリックして 、インストールの概要 画面に戻るか、手動パーティション分割 画面に進みます。

13.15.1. ブートローダーのインストール

Red Hat Enterprise Linux は、ブートローダーとして GRUB2 (GRand Unified Bootloader バージョン 2) を使用します。ブートローダーは、システムの起動時に実行し、制御をオペレーティングシステムに読み込み、転送する最初のプログラムです。GRUB2 は互換性のあるオペレーティングシステムであれば起動可能で、チェーンロード で未対応のオペレーティングシステムのブートローダーにも読み込んだ指示を渡すことができます。
警告
GRUB 2 をインストールすると既存のブートローダーを上書きする可能性があります。
Red Hat Enterprise Linux は、他のオペレーティングシステムがすでにインストールされていると、自動検出して GRUB2 で起動できるように設定します。他のオペレーティングシステムが正しく検出されない場合は手作業で設定できます。
ブートローダーをインストールするデバイスを指定するには、インストール先 画面の下部にある フルディスクの概要とブートローダー リンクをクリックします。選択したディスク ダイアログが表示されます。ドライブを手動でパーティション分割する場合、手動パーティション分割 画面で 選択したストレージデバイスを クリックすると、このダイアログにアクセスできます。

図13.18 選択したディスクの要約

選択したディスクの要約
Boot 列で、緑色のチェックアイコンが、デバイスの 1 つを目的の起動デバイスとしてマークします。起動デバイスを変更するには、リストからデバイスを選択し、起動デバイスとして設定 ボタンをクリックして、代わりにそこにブートローダーをインストールします。
新しいブートローダーのインストールを拒否するには、マークされたデバイスを選択し、ブートローダーをインストールしない ボタンをクリックします。チェックマークアイコンが外れ、いずれのデバイスにも GRUB2 はインストールされなくなります。
警告
何らかの理由でブートローダーをインストールしない選択をした場合、直接システムを起動することができなくなるため、市販のブートローダーアプリケーションなど別の起動方法を使用しなければならなくなります。ブートローダーをインストールしない選択は、システムを起動させるための別の方法が確保されている場合に限定してください。

13.15.2. パーティションの暗号化

データを暗号化する オプションを選択した場合、クリックして次の画面に進むと、インストールプログラムは、システム上のパーティションを暗号化するためのパスフレーズの入力を求めます。
パーティションの暗号化は LUKS (Linux Unified Key Setup) を使用して行われます。詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

図13.19 暗号化したパーティションのパスフレーズ入力

暗号化したパーティションのパスフレーズ入力
パスフレーズが決まったらダイアログボックスの 2 つのフィールドに入力します。パスフレーズの設定に使用するキーボードレイアウトは、後でパーティションのロック解除に使用するキーボードレイアウトと同じものを使用してください。言語レイアウトのアイコンで正しいレイアウトが選択されていることを確認します。このパスフレーズはシステムが起動するたび、毎回入力する必要があります。パスフレーズ 入力フィールドで Tab キー を押して、パスフレーズを再入力します。パスフレーズが脆弱すぎる場合はフィールドに警告アイコンが表示され、2 番目のフィールドに入力ができません。カーソルを警告アイコンの上に持って行くと、パスフレーズの改善方法が分かります。
警告
このパスフレーズを紛失してしまうと、暗号化したパーティションおよびそのパーティション上にあるデータは完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。
キックスタートを使用したインストールを行っている場合は、インストール中に暗号パスフレーズを保存してバックアップしておくことができます。ディスク暗号化の詳細はRed Hat Enterprise Linux 7 セキュリティーガイドを参照してください。

13.15.3. ディスク領域の獲得

インストール先 で選択したディスクに Red Hat Enterprise Linux をインストールするための十分なスペースがなく、インストールオプション ダイアログでスペース の再利用 を選択した場合、ディスク容量の再利用 ダイアログが表示されます。
警告
パーティションの縮小を選択していなければ、領域の確保によりそのパーティション上のデータはすべて消去されます。このため、保持しておく必要があるデータのバックアップがすでに用意されていることを必ず確認してください。

図13.20 既存ファイルシステムからのディスク領域の確保

既存ファイルシステムからのディスク領域の確保
Red Hat Enterprise Linux を検出した既存のファイルシステムが、該当するディスクの一部として表に一覧表示されます。Reclaimable Space 列には、このインストールに再割り当てできるスペースがリスト表示されます。アクション 列には、スペースを再利用するためにファイルシステムで実行されるアクションがリスト表示されます。
表の下にはボタンが 4 つあります。
  • 保存 - ファイルシステムは変更されず、データは削除されません。これがデフォルト動作です。
  • 削除 - ファイルシステムを完全に削除します。ファイルシステムが占めていた領域をすべてインストールで使用できるようにします。
  • 縮小 - ファイルシステムから空き領域を回復し、このインストールで使用できるようにします。スライダーを使って選択したパーティションの新たなサイズを設定します。LVM または RAID が使用されていない、サイズ変更可能なパーティションでしか使用できません。
  • すべて削除/すべて保存 - このボタンは右側にあり、デフォルトですべてのファイルシステムを削除対象としてマークします。もう一度クリックすると、ラベル名が変わり、全ファイルシステムを確保するように再度マークされます。
マウスを使ってテーブル内のファイルシステムまたはディスク全体を選択したら、ボタンをクリックします。アクション 列のラベルが選択内容に合わせて変更され、テーブルの下に表示される 再利用する選択済み 容量の合計がそれに応じて調整されます。この値の下にはインストールに必要となる領域サイズが表示されます。このサイズはインストールの選択をしたパッケージの量に基づいています。
インストールを続行するのに十分なスペースが再利用されると、Reclaim Space ボタンが使用可能になります。このボタンをクリックしてインストールの概要画面に戻り、インストールを続行します。

13.15.4. 手動パーティション設定

I will configure partitioning オプションを選択した場合、Done from Installation Destination をクリックすると、Manual Partitioning 画面が表示されます。各ディスクパーティションおよびマウントポイントの設定はこの画面で行います。ここで、Red Hat Enterprise Linux をインストールするファイルシステムを定義します。
警告
Red Hat では、システム上の全データを常にバックアップしておくことを推奨しています。たとえば、デュアルブートシ