第41章 ファイルシステム
ファイルシステム DAX が、テクノロジープレビューとして ext4 および XFS で利用可能
Red Hat Enterprise Linux 7.3 以降、Direct Access (DAX) は、テクノロジープレビューとして、永続メモリーをそのアドレス領域に直接マッピングする手段を提供します。
DAX を使用するには、システムで利用可能な永続メモリーの形式が必要になります。通常は、NVDIMM (Non-Volatile Dual In-line Memory Module) の形式で、DAX に対応するファイルシステムを NVDIMM に作成する必要があります。また、ファイルシステムは、dax マウントオプションでマウントする必要があります。これにより、dax をマウントしたファイルシステムのファイルの
mmap
が、アプリケーションのアドレス空間にストレージを直接マッピングされます。(BZ#1274459)
pNFS ブロックレイアウトが利用可能に
テクノロジープレビューとして、Red Hat Enterprise Linux クライアントがブロックレイアウト機能を設定して pNFS 共有をマウントできるようになりました。
Red Hat では、ブロックレイアウトと類似し、より使いやすい pNFS SCSI レイアウトの使用が推奨される点に注意してください。(BZ#1111712)
OverlayFS
OverlayFS は、ユニオンファイルシステムのタイプです。ユーザーは、あるファイルシステムに別のファイルシステムを重ねることができます。変更は上位のファイルシステムに記録され、下位のファイルシステムは変更しません。これにより、ベースイメージが読み取り専用メディアにあるコンテナーや DVD-ROM などのファイルシステムイメージを、複数のユーザーが共有できるようになります。詳細は、Linux カーネルのドキュメント https://www.kernel.org/doc/Documentation/filesystems/overlayfs.txt を参照してください
OverlayFS は、ほとんどの状況で引き続きテクノロジープレビューになります。このため、OverlayFS を有効にすると、カーネルにより警告のログが記録されます。
Docker で次の制約を付けて使用する場合は、OverlayFS が完全対応となります。
- OverlayFS は Docker のグラフドライバーとして使用する場合にのみサポートされます。サポートはコンテナー COW コンテンツでの使用に限定され、永続ストレージとしてはサポートされません。永続ストレージは OverlayFS 以外のボリュームに配置している場合に限りサポートの対象となります。使用できるのはデフォルトの Docker 設定のみです。つまり、オーバーレイレベル 1 つ、下層側ディレクトリー 1 つ、同じファイルシステムに配置された上層レベルと下層レベルという設定です。
- 下層ファイルシステムとして使用がサポートされているのは現在 XFS のみです。
- Red Hat Enterprise Linux 7.3 以前では、物理マシンで SELinux を有効にして Enforcing モードに設定しておく必要がありますが、コンテナーを分離する場合は、コンテナーで無効にする必要があります。つまり、
/etc/sysconfig/docker
ファイルに --selinux-enabled を追加しないでください。Red Hat Enterprise Linux 7.4 以降では、OverlayFS は SELinux セキュリティーラベルに対応しているため、/etc/sysconfig/docker
で --selinux-enabled を指定すると、コンテナーで SELinux サポートを有効にできます。 - OverlayFS カーネル ABI とユーザー空間の動作については安定性に欠けると見なされているため、今後の更新で変更が加えられる可能性があります。
- コンテナー内で yum および rpm のユーティリティーを正常に機能させるには、yum-plugin-ovl パッケージを使用する必要があります。
OverlayFS は制限付きで POSIX 標準セットを提供しています。OverlayFS を使用してアプリケーションをデプロイする前に、アプリケーションを十分にテストしてください。
オーバーレイとして使用するように -n ftype=1 オプションを有効にして、XFS ファイルシステムを作成する必要がある点に注意してください。システムのインストール時に作成された rootfs およびファイルシステムを使用して、Anaconda キックスタートに --mkfsoptions=-n ftype=1 パラメーターを設定します。インストール後に新しいファイルシステムを作成する場合は、# mkfs -t xfs -n ftype=1 /PATH/TO/DEVICE コマンドを実行します。既存のファイルシステムがオーバーレイとして使用できるかどうかを確認するには、# xfs_info /PATH/TO/DEVICE | grep ftype コマンドを実行して、ftype=1 オプションが有効になっているかどうかを確認します。
このリリースには、OverlayFS に関連する既存の問題がいくつかあります。詳細は、Linux カーネルドキュメントの
Non-standard behavior
(https://www.kernel.org/doc/Documentation/filesystems/overlayfs.txt) を参照してください。(BZ#1206277)
Btrfs
ファイルシステム
Btrfs
(B-Tree) ファイルシステムは、Red Hat Enterprise Linux 7 でテクノロジープレビューとして利用できます。
この機能の更新は、Red Hat Enterprise Linux 7.4 で最後となることが予定されています。
Btrfs
が非推奨になりました。つまり、Red Hat は、Btrfs
を完全にサポートされる機能とせず、今後の Red Hat Enterprise Linux メジャーリリースで削除する予定です。(BZ#1477977)
ima-evm-utils は 特定のアーキテクチャーのテクノロジープレビューとして利用可能
テクノロジープレビューとして利用可能な ima-evm-utils パッケージは、ファイルシステムにラベルを付け、整合性測定アーキテクチャー (IMA) および拡張検証モジュール (EVM) 機能を使用して実行時にシステムの整合性を検証するユーティリティーを提供します。これらのユーティリティーを使用すると、ファイルが誤ってまたは悪意をもって変更されたかどうかを監視できます。
ima-evm-utils は AMD64 および Intel 64 アーキテクチャーで完全にサポートされるようになりましたが、他のすべてのアーキテクチャーではテクノロジープレビューのままであることに注意してください。(BZ#1384450)