第34章 Red Hat Enterprise Linux のアンインストール


34.1. 64 ビット AMD、Intel、および ARM システムからの Red Hat Enterprise Linux の削除

コンピューターから Red Hat Enterprise Linux を削除する方法は、Red Hat Enterprise Linux がコンピューターにインストールされている唯一のオペレーティングシステムであるかどうかによって異なります。
削除を行う前に、次の点を考慮してください。
  • 場合によっては、このプロセスの完了後に、システムで使用する予定の Red Hat Enterprise Linux 以外のオペレーティングシステム用のインストールメディアが必要になる可能性があります。
  • 複数のオペレーティングシステムをインストールしている場合には、各オペレーティングシステムを個別に起動できること、またコンピューターの製造元やオペレーティングシステムの製造元で自動設定されている可能性のあるパスワードなどを含め、管理者用のすべてのパスワードが手元にあることを確認してください。
  • 削除する Red Hat Enterprise Linux のインストールからのデータを残す場合は、別の場所にバックアップする必要があります。機密データを含んでいるインストールを削除する場合は、必ず所属組織のセキュリティーポリシーに準じたデータの破棄を行ってください。バックアップ媒体が、データ復元先となるオペレーティングシステム上で読み取り可能であることを確認してください。たとえば、ext2、ext3、ext4、または XFS などのファイルシステムを使用するように Red Hat Enterprise Linux でフォーマット化した外付けハードドライブは、サードパーティーのソフトウェアがないと Microsoft Windows では読み取ることができません。
    警告
    念のために、同じコンピューターにインストールされている Red Hat Enterprise Linux も含め、すべてのオペレーティングシステムのデータのバックアップを取ってください。万一、何らかのミスが発生した場合、全データを喪失してしまう可能性があります。
  • アンインストールするのは Red Hat Enterprise Linux のみで、コンピューター全体を再インストールするわけではない場合、パーティションレイアウトを十分に理解しておく必要があります。特に、mount コマンドの出力は役に立ちます。また、grub.cfg で Red Hat Enterprise Linux インストールを起動するのに使用する menuitem を書き留めておくと役立ちます。
一般的に、システムから Red Hat Enterprise Linux をアンインストールするには、以下の 2 つの手順を実行します。
  1. マスターブートレコード (MBR) から Red Hat Enterprise Linux ブートローダー情報を削除します。
  2. Red Hat Enterprise Linux オペレーティングシステムを含むパーティションをすべて削除します。
ここでの説明では、コンピューターのあり得るすべての設定を対象とすることはできないため、以下に一般的な設定をあげておきます。
ご使用の設定が一覧にない場合や、高度にカスタマイズされたパーティションスキームである場合、一般的な参考として以下のセクションを使用してください。これらの状況では、選択したブートローダーを設定する方法を理解しておく必要もあります。GRUB2 ブートローダーの詳細は、Red Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイド を参照してください。
Red Hat Enterprise Linux および他のオペレーティングシステムもすべてアンインストールする場合は、Red Hat Enterprise Linux のみインストールされているコンピューターについて説明している手順を実行してください。

34.1.1. Red Hat Enterprise Linux だけがインストールされている場合

以下の手順は、システムにインストールされているオペレーティングシステムが Red Hat Enterprise Linux のみである場合にこれを削除する方法について示しています。代わりに使用するオペレーティングシステムのインストールメディアを使って Red Hat Enterprise Linux の削除を行います。インストールメディアの例としては、Windows XP のインストール CD、Windows Vista のインストール DVD、または別の Linux ディストリビューションのインストール CD または DVD などがあります。
Microsoft Windows をプレインストールしている工場組み立てのコンピューター製造会社の一部には、コンピューターに Windows インストール用の CD または DVD を同梱していないメーカーがあるため注意してください。こうした製造会社では通常、代わりに独自のシステム復元ディスクを提供していたり、初回の起動でユーザー自身にシステム復元ディスクを作成するソフトウェアを同梱しています。また、システム復元ソフトウェアがシステムのハードドライブに設けられた独立パーティションに保存されていることもあります。コンピューターにプレインストールされていたオペレーティングシステムのインストール用メディアの形態がわからない場合は、マシンに同梱された資料を参照するか、製造元にお問い合わせください。
該当オペレーティングシステムのインストール用メディアを見つけたら、以下を実行します。
  1. 残すデータのバックアップを作成します。
  2. コンピューターをシャットダウンします。
  3. 代わりに使用するオペレーティングシステムのインストール用ディスクを使ってコンピューターを起動します。
  4. インストール中に表示されるプロンプトに従います。Windows、OS X、およびほとんどの Linux インストールディスクでは、インストール中にハードドライブのパーティション設定を手動で行うことができます。または、すべてのパーティションを一旦削除してから新たにパーティション設定を開始するオプションを選択することもできます。この段階で、インストールソフトウェアによって検出された既存のパーティションをすべて削除するか、インストールプログラムにパーティションの自動削除を任せます。Microsoft Windows がプリインストールされているコンピューターのシステム復元用メディアでは、何も入力しなくても自動的にデフォルトのレイアウトでパーティションが作成される場合があります。
    警告
    システム復元ソフトウェアがハードドライブ上のパーティションに収納されているコンピューターの場合は、他のメディアからオペレーティングシステムをインストールする際のパーティション削除には充分注意してください。パーティションの削除でシステム復元ソフトウェアを収納しているパーティションまで破棄してしまう恐れがあります。

34.1.2. 異なる Linux ディストリビューションでインストールされた Red Hat Enterprise Linux

以下の手順は、別の Linux ディストリビューションとともにインストールされたシステムで Red Hat Enterprise Linux を削除する方法を示しています。他の Linux ディストリビューションを使用して、ブートローダーのエントリーを削除したり、 Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除することができます。
多くの Linux ディストリビューション間では違いがあるため、以下の手順は一般的な参考としてご利用ください。詳細は、特定のシステムの設定と、Red Hat Enterprise Linux をデュアルブートする Linux ディストリビューションによって異なります。
重要
この手順では、システムが GRUB2 ブートローダーを使用していることを前提としています。別のブートローダー( LILOなど)を使用する場合は、そのソフトウェアのドキュメントを参照して、ブートターゲットの一覧から Red Hat Enterprise Linux のエントリーを特定し、削除して、デフォルトのオペレーティングシステムが正しく指定されていることを確認します。
  1. ブートローダーからの Red Hat Enterprise Linux エントリーの削除
    1. お使いのコンピューターには、Red Hat Enterprise Linux ではなく、使用している Linux ディストリビューションを起動します。
    2. コマンドラインで su - と入力し、Enter を押します。システムで root パスワードの 入力 を求められたら、パスワードを入力して Enter キーを押します。
    3. vim などのテキストエディターを使用して、/boot/grub2/grub.cfg 設定ファイルを開きます。このファイルで、削除しようとしているシステムのエントリーを探します。grub.cfg ファイルの通常の Red Hat Enterprise Linux エントリーは以下のようになります。

      例34.1 A Red Hat Enterprise Linux Entry in grub.cfg

      menuentry 'Red Hat Enterprise Linux Server (3.10.0-57.el7.x86_64) 7 (Maipo)' --class red --class gnu-linux --class gnu --class os $menuentry_id_option 'gnulinux-3.10.0-53.el7.x86_64-advanced-9eecdce6-58ce-439b-bfa4-76a9ea6b0906' {
        load_video
        set gfxpayload=keep
        insmod gzio
        insmod part_msdos
        insmod xfs
        set root='hd0,msdos1'
        if [x$feature_platform_search_hint = xy ]; then
          search --no-floppy --fs-uuid --set=root --hint='hd0,msdos1' 0c70bc74-7675-4989-9dc8-bbcf5418ddf1
        else
          search --no-floppy --fs-uuid --set=root 0c70bc74-7675-4989-9dc8-bbcf5418ddf1
        fi
        linux16 /vmlinuz-3.10.0-57.el7.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro rd.lvm.lv=rhel/root vconsole.font=latarcyrheb-sun16 rd.lvm.lv=rhel/swap crashkernel=auto vconsole.keymap=us rhgb quiet LANG=en_US.UTF-8
        initrd16 /initramfs-3.10.0-57.el7.x86_64.img
      }
      
    4. menuentry から } までのエントリー全体を削除します。
      システムの設定によっては、grub.cfg に、それぞれ異なるバージョンの Linux カーネルに対応する複数の Red Hat Enterprise Linux エントリーが存在する可能性があります。ファイルから各 Red Hat Enterprise Linux エントリーを削除します。
    5. grub.cfg ファイルを保存して vimを閉じます。
  2. マルチブート環境で Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除します。
    注記
    他のインストールがまだ使用しているパーティションを削除しないように注意してください。
    1. お使いのコンピューターには、Red Hat Enterprise Linux ではなく、使用している Linux ディストリビューションを起動します。
    2. たとえば、標準パーティションの場合は fdisk、論理ボリュームおよびボリュームグループを削除するには lvremove および vgremove などを使用して、不要なパーティションをすべて削除します。これらのユーティリティーに関する追加の情報は、それぞれの man ページまたはRed Hat Enterprise Linux 7 システム管理者のガイドを参照してください。

34.1.3. Red Hat Enterprise Linux の他に Microsoft Windows オペレーティングシステムがインストールされている場合

以下の手順は、Windows 2000、Windows Server 2000、Windows XP、Windows Server 2003、Windows Vista または Windows Server 2008 と共にインストールされているシステム上の Red Hat Enterprise Linux を削除する方法について示しています。Microsoft Windows インストールとそのインストールメディアを使用して、ブートローダーと Red Hat Enterprise Linux パーティションを削除できます。
MS-DOS または Windows XP 以前の Microsoft Windows バージョン (Windows 2000 を除く) をインストールしているシステムでの Red Hat Enterprise Linux の削除については、本ガイドの対象外となります。これらのオペレーティングシステムのパーティション管理は堅牢ではないため、Linux パーティションを削除することはできません。
Microsoft Windows のバージョン間には違いがあるため、以下の手順を実行する際は十分注意してください。以下の手順で使用するのは、ご使用の Microsoft Windows オペレーティングシステムのユーティリティーのみなので、Microsoft Windows オペレーティングシステムのマニュアルも合わせて参照してください。
警告
この手順は、Windows インストールディスクから読み込まれる Windows 回復コンソール または Windows リカバリー環境 に依存するため、このディスクにアクセスせずに手順を完了することはできません。一旦、手順を開始したらそれを完了させない限り、コンピューターが起動できない状態になってしまう可能性があります。Windows で事前にインストールしたファクトリービルドのコンピューターに用意されているシステム復元ディスクには、Windows リカバリーコンソール または Windows リカバリー 環境 が含まれていない可能性が あります
Windows 2000、Windows Server 2000、Windows XP、Windows Server 2003 のユーザーが本手順を実行すると、Windows システムの管理者用パスワードの入力が求められます。システムの管理者用パスワードがわかっている、またはシステムの管理者用パスワードは一切作成されていない (製造元でも作成および設定されていない) ことが確かな場合以外は、この手順を実行しないでください。
  1. Red Hat Enterprise Linux パーティションの削除
    1. コンピューターを Microsoft Windows 環境で起動します。
    2. Start>Run クリックして、diskmgmt.msc入力 し、Enter を押します。ディスク管理 ツールが開きます。
      各パーティションをバーで表したグラフが表示されます。最初のパーティションは通常 NTFS というラベルが付けられ、C: ドライブに対応します。少なくとも 2 つの Red Hat Enterprise Linux パーティションが表示されます。Windows ではこれらのパーティションのファイルシステムタイプは表示されませんが、ドライブ用の文字が割り当てることができます。
    3. Red Hat Enterprise Linux パーティションのいずれかを右クリックし、パーティションの削除 をクリックし、Yes クリックして削除を確定します。システムにある他の Red Hat Enterprise Linux パーティションにも、このプロセスを繰り返します。パーティションを削除すると、Windows は、以前にそれらのパーティションが占有していたハードドライブの領域に 未割り当て の のラベルを付けます。
      この未割り当て領域を既存の Windows パーティションに追加したり、別の用途に利用することができます。これを実行する方法は、Red Hat Enterprise Linux 以外のオペレーティングシステムのマニュアルを参照してください。
  2. Windows のブートローダーを復元する
    1. Windows 2000、Windows Server 2000、Windows XP、および Windows Server 2003 の場合
      1. Windows インストール用ディスクをコンピューターに挿入して再起動します。コンピューターが起動すると、画面に以下のメッセージが数秒間表示されます。
        Press any key to boot from CD
        このメッセージが表示されている間にいずれかのキーを押すと、Windows インストールソフトウェアが読み込まれます。
      2. Welcome to Setup 画面が表示されたら、Windows Recovery Console を開始できます。この手順は Windows のバージョンごとに若干異なります。
        1. Windows 2000 および Windows Server 2000 の場合は、R キーを押してから C キーを押します。
        2. Windows XP および Windows Server 2003 では、R キーを押します。
      3. Windows 回復コンソール は、ハードドライブをスキャンして Windows インストールをスキャンし、それぞれに番号を割り当てます。各 Windows インストールが表示され、いずれかひとつの選択を求められます。復元する Windows インストールの番号を入力します。
      4. Windows 回復コンソール により、Windows インストールの管理者パスワードの入力が求められます。Administrator パスワードを入力し、Enter キーを押します。このシステムの管理者パスワードがない場合は、Enter キーを押します。
      5. プロンプトでコマンド fixmbr と入力し、Enter を押します。fixmbr ツールは、システムのマスターブートレコードを復元するようになりました。
      6. プロンプトが再度表示されたら、exit と入力して Enter キーを押します。
      7. コンピューターが再起動し、Windows オペレーティングシステムを起動させます。
    2. Windows Vista および Windows Server 2008 の場合
      1. Windows インストール用ディスクをコンピューターに挿入して再起動します。コンピューターが起動すると、画面に以下のメッセージが数秒間表示されます。
        Press any key to boot from CD or DVD
        このメッセージが表示されている間にいずれかのキーを押すと、Windows インストールソフトウェアが読み込まれます。
      2. Windows のインストール ダイアログで、言語、時刻と通貨の形式、およびキーボードタイプを選択します。Nextをクリックします。
      3. Repair your computer をクリックします。
      4. Windows リカバリー環境 (WRE)では、システムで検出できる Windows インストールが表示されます。復元するインストールを選択し、Next をクリックします。
      5. コマンドプロンプト をクリックします。コマンドウィンドウが開きます。
      6. bootrec /fixmbr と入力し、Enter を押します。
      7. プロンプトが再度表示されたら、コマンドウィンドウを閉じ、Restart をクリックします。
      8. コンピューターが再起動し、Windows オペレーティングシステムを起動させます。
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