第1章 カーネルモジュールの使用
本章では、以下を説明します。
- カーネルモジュールの概要
- kmod ユーティリティーを使用して、モジュールとその依存関係を管理する方法
- モジュールパラメーターを設定して、カーネルモジュールの動作を制御する方法
- 起動時に、モジュールを読み込む方法
本章で説明するカーネルモジュールのユーティリティーを使用するには、最初に root で以下を実行して、ご使用のシステムに kmod パッケージがインストールされていることを確認します。
# yum install kmod
1.1. カーネルモジュールの概要
Linux カーネルは、モノリシックとして設計されています。しかし、各ユースケースで必要とされる追加またはオプションのモジュールでコンパイルされています。つまり、動的に読み込まれる カーネルモジュール を使用してカーネル機能を拡張することができます。カーネルモジュールは、以下のものを提供できます。
- 新しいハードウェアへのサポートを強化するデバイスドライバー
-
GFS2
やNFS
などのファイルシステムのサポート
モジュールは、カーネル自体と同様に、その動作をカスタマイズするパラメーターを受けることができます。いずれのパラメーターも、ほとんどの場合に正しく動作します。カーネルモジュールに関連して、ユーザー空間ツールは以下の操作を行うことができます。
- 実行中のカーネルに現在読み込まれているモジュールのリスト表示
- 利用できるパラメーターとモジュール固有の情報に対して、利用可能なすべてのモジュールのクエリーを行います。
- 実行中のカーネルに動的に、または実行中のカーネルからモジュールの読み込みまたはアンロード (削除)。
kmod
パッケージにより提供される、このようなユーティリティーの多くは、動作の実行時にモジュールの依存関係を考慮します。そのため、手動で依存関係を追跡する必要はほとんどありません。
最新のシステムでは、必要に応じて、さまざまなメカニズムによりカーネルモジュールが自動的に読み込まれます。ただし、モジュールを手動で読み込むか、削除しないといけない場合もあります。たとえば、どちらのモジュールも基本的な機能は提供できるものの、いずれかのモジュールが好まれる場合か、モジュールが、予期しない動作をしている場合などです。