Identity Management の設定および管理
IdM にログインし、サービス、ユーザー、ホスト、グループ、アクセス制御ルール、および証明書を管理します。
概要
多様性を受け入れるオープンソースの強化
Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ を参照してください。
Identity Management では、次のような用語の置き換えが計画されています。
- ブラックリスト から ブロックリスト
- ホワイトリスト から 許可リスト
- スレーブ から セカンダリー
マスター という言葉は、文脈に応じて、より正確な言葉に置き換えられています。
- IdM マスター から IdM サーバー
- CA 更新マスター から CA 更新サーバー
- CRL マスター から CRL パブリッシャーサーバー
- マルチマスター から マルチサプライヤー
Red Hat ドキュメントへのフィードバック (英語のみ)
Red Hat ドキュメントに関するご意見やご感想をお寄せください。また、改善点があればお知らせください。
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第1章 コマンドラインから Identity Management へのログイン
Identity Management (IdM) では、Kerberos プロトコルを使用してシングルサインオンに対応します。シングルサインオンとは、ユーザーが正しいユーザー名およびパスワードを一度だけ入力すれば、システムが認証情報を再度求めることなく、IdM サービスにアクセスできるという機能です。
IdM では、ユーザーが、対応する Kerberos プリンシパル名を使用して IdM クライアントマシンのデスクトップ環境にログインすると、SSSD (System Security Services Daemon) が、そのユーザーの TGT (Ticket-Granting Ticket) を自動的に取得します。これは、ログインしてから、kinit ユーティリティーを使用して IdM リソースにアクセスする必要がなくなることを意味します。
Kerberos 認証情報キャッシュを削除している場合、または Kerberos TGT の有効期限が切れている場合に IdM リソースにアクセスするには、手動で Kerberos チケットを要求する必要があります。以下のセクションでは、IdM で Kerberos を使用している場合の基本的なユーザー操作を説明します。
1.1. kinit による IdM への手動ログイン
kinit ユーティリティーを使用して Identity Management (IdM) 環境に対して手動で認証するには、次の手順に従います。kinit ユーティリティーは、IdM ユーザーの代わりに Kerberos の TGT (Ticket-Granting Ticket) を取得して、キャッシュに格納します。
この手順は、最初の Kerberos TGT を破棄したか、有効期限が切れている場合にのみ使用します。ローカルマシンに、IdM ユーザーとしてログインすると、IdM に自動的にログインします。これは、ログイン後に IdM リソースにアクセスするのに kinit ユーティリティーを使用する必要がないことを示しています。
手順
IdM にログインします。
ローカルシステムに現在ログインしているユーザーのユーザー名で、(ユーザー名を指定せずに) kinit を使用します。たとえば、ローカルシステムにログインしているユーザーが
example_user
の場合は、次のコマンドを実行します。[example_user@server ~]$ kinit Password for example_user@EXAMPLE.COM: [example_user@server ~]$
ローカルユーザーのユーザー名と、IdM のユーザーエントリーが一致しないと、認証に失敗します。
[example_user@server ~]$ kinit kinit: Client 'example_user@EXAMPLE.COM' not found in Kerberos database while getting initial credentials
ローカルユーザー名に対応しない Kerberos プリンシパルを使用して、
kinit
ユーティリティーに必要なユーザー名を渡します。たとえば、admin
ユーザーとしてログインするには、次のコマンドを実行します。[example_user@server ~]$ kinit admin Password for admin@EXAMPLE.COM: [example_user@server ~]$
必要に応じて、ログインが成功したことを確認するには、klist ユーティリティーを使用して、キャッシュした TGT を表示します。以下の例では、キャッシュに
example_user
プリンシパルのチケットが含まれています。これは、このホストでは IdM サービスにアクセスするのは、example_user
にのみ許可されていることを示しています。$ klist Ticket cache: KEYRING:persistent:0:0 Default principal: example_user@EXAMPLE.COM Valid starting Expires Service principal 11/10/2019 08:35:45 11/10/2019 18:35:45 krbtgt/EXAMPLE.COM@EXAMPLE.COM
1.2. アクティブなユーザーの Kerberos チケットの破棄
ユーザーのアクティブな Kerberos チケットを含む認証情報キャッシュをクリアするには、次の手順に従います。
手順
Kerberos チケットを破棄するには、次のコマンドを実行します。
[example_user@server ~]$ kdestroy
必要に応じて、Kerberos チケットが破棄されたことを確認するには、次のコマンドを実行します。
[example_user@server ~]$ klist klist: Credentials cache keyring 'persistent:0:0' not found
1.3. Kerberos 認証用の外部システムの設定
Identity Management (IdM) ユーザーが Kerberos 認証情報を使用して外部システムから IdM にログインできるように外部システムを設定するには、この手順に従います。
外部システムの Kerberos 認証を有効にすることは、インフラストラクチャーに、複数のレルムまたは重複ドメインが含まれている場合に特に便利です。また、ipa-client-install
を実行してシステムを IdM ドメインに登録していない場合にも便利です。
IdM ドメインのメンバーではないシステムから IdM への Kerberos 認証を有効にするには、IdM 固有の Kerberos 設定ファイルを外部システムに定義します。
前提条件
外部システムに
krb5-workstation
パッケージがインストールされている。パッケージがインストールされているかどうかを確認するには、次の CLI コマンドを使用します。
# yum list installed krb5-workstation Installed Packages krb5-workstation.x86_64 1.16.1-19.el8 @BaseOS
手順
IdM サーバーから外部システムに
/etc/krb5.conf
ファイルをコピーします。以下に例を示します。# scp /etc/krb5.conf root@externalsystem.example.com:/etc/krb5_ipa.conf
警告外部マシンにある既存の
krb5.conf
ファイルは上書きしないでください。外部システムで、コピーした IdM の Kerberos 設定ファイルを使用するように、端末セッションを設定します。
$ export KRB5_CONFIG=/etc/krb5_ipa.conf
KRB5_CONFIG
変数は、ログアウトまで一時的に存在します。ログアウト時に削除されないように、この変数のファイル名を変えてエクスポートします。-
/etc/krb5.conf.d/
ディレクトリーの Kerberos 設定部分を、外部システムにコピーします。
外部システムのユーザーが、kinit
ユーティリティーを使用して IdM サーバーで認証できるようになりました。
1.4. 関連情報
-
krb5.conf(5)
の man ページ -
kinit(1)
の man ページ -
klist(1)
の man ページ -
kdestroy(1)
の man ページ
第2章 Identity Management サービスの表示、開始、および停止
Identity Management (IdM) サーバーは、ドメインコントローラー (DC) として機能する Red Hat Enterprise Linux システムです。IdM サーバーでさまざまなサービスが実行していますが、中でも注目すべきは Directory Server、Certificate Authority (CA)、DNS、および Kerberos です。
2.1. IdM サービス
IdM サーバーおよびクライアントにインストールして実行できるサービスには、さまざまなものがあります。
IdM サーバーがホストするサービスのリスト
以下のサービスの多くは、IdM サーバーへのインストールが必須というわけではありません。たとえば、認証局 (CA) や DNS サーバーなどのサービスは、IdM ドメイン内にない外部サーバーにインストールできます。
- Kerberos
-
krb5kdc
サービスおよびkadmin
サービス
IdM は、シングルサインオンに対応する Kerberos プロトコルを使用します。Kerberos では、正しいユーザー名とパスワードを一度提示するだけで済み、システムから認証情報を再度求められることなく IdM サービスにアクセスできます。
Kerberos は 2 つの部分に分類されます。
-
krb5kdc
サービス。Kerberos 認証サービスおよびキー配布センター (KDC) デーモンです。 -
kadmin
サービス。Kerberos V5 データベース管理プログラムです。
IdM で Kerberos を使用して認証する方法は、コマンドラインからの Identity Management へのログイン および Web UI で IdM にログイン: Kerberos チケットの使用 を参照してください。
- LDAP ディレクトリーサーバー
-
dirsrv
サービス
IdM の LDAP ディレクトリーサーバー インスタンスは、 Kerberos、ユーザーアカウント、ホストエントリー、サービス、ポリシー、DNS などの情報をはじめとした、IdM 情報をすべて保存します。LDAP ディレクトリーサーバーインスタンスは、Red Hat Directory Server と同じテクノロジーをベースにしています。ただし、IdM 固有のタスクに合わせて調整されます。
- 認証局
-
pki-tomcatd
サービス
統合 認証局 (CA) は、Red Hat Certificate System と同じテクノロジーをベースにしています。pki
は、Certificate System サービスにアクセスするコマンドラインインターフェイスです。
必要な証明書をすべて単独で作成して提供する場合は、統合 CA なしでサーバーをインストールすることもできます。
詳細は、CA サービスの計画 を参照してください。
- DNS (Domain Name System)
-
named
サービス
IdM は、動的サービス検出に DNS を使用します。IdM クライアントのインストールユーティリティーは、DNS からの情報を使用して、クライアントマシンを自動的に設定できます。クライアントを IdM ドメインに登録したら、クライアントは DNS を使用してドメイン内の IdM サーバーおよびサービスを検索します。Red Hat Enterprise Linux の DNS (Domain Name System) プロトコルの BIND
(Berkeley Internet Name Domain) 実装には、名前付き
の DNS サーバーが含まれています。named-pkcs11
は、PKCS#11 暗号化標準に対するネイティブサポートありで構築された BIND DNS サーバーのバージョンです。
詳細は、Planning your DNS services and host names を参照してください。
- Apache HTTP サーバー
-
httpd
サービス
Apache HTTP Web サーバー には、IdM Web UI があり、認証局とその他の IdM サービスの間の通信も管理します。
- Samba / Winbind
-
SMB
サービスおよびwinbind
サービス
Samba は、Red Hat Enterprise Linux に、Common Internet File System (CIFS) プロトコルとも呼ばれる Server Message Block (SMB) プロトコルを実装します。smb サービス経由で SMB プロトコルを使用すると、ファイル共有や共有プリンターなどのサーバーのリソースにアクセスできます。Active Directory (AD) 環境で信頼を設定している場合には、'Winbind' サービスが IdM サーバーと AD サーバー間の通信を管理します。
- ワンタイムパスワード (OTP) 認証
-
ipa-otpd
サービス
ワンタイムパスワード (OTP) は、2 要素認証の一部として、認証トークンがセッション 1 回だけ使用できるように生成するパスワードです。OTP 認証は、ipa-otpd
サービスを介して Red Hat Enterprise Linux に実装されています。
詳細は ワンタイムパスワードを使用して Identity Management Web UI へのログイン を参照してください。
- OpenDNSSEC
-
ipa-dnskeysyncd
サービス
OpenDNSSEC は、DNSSEC (DNS Security Extensions) キーおよびゾーンの署名の記録プロセスを自動化する DNS マネージャーです。ipa-dnskeysyncd
サービスは、IdM Directory Server と OpenDNSSEC との間の同期を管理します。
IdM クライアントがホストするサービスのリスト
-
System Security Services Daemon:
sssd
サービス
SSSD (System Security Services Daemon) は、ユーザー認証およびキャッシュ認証情報を管理するクライアント側のアプリケーションです。キャッシュを使用すると、IdM サーバーが利用できなくなったり、クライアントがオフラインになったりした場合に、ローカルシステムが通常の認証操作を継続できるようになります。
詳細は SSSD とその利点について を参照してください。
-
certmonger:
certmonger
サービス
certmonger
サービスは、クライアント上の証明書を監視、更新します。このサービスは、システム上のサービスに対して新しい証明書を要求できます。
詳細は、certmonger を使用したサービスの IdM 証明書の取得 を参照してください。
2.2. IdM サービスの状態の表示
IdM サーバーに設定されている IdM サービスの状態を表示するには、ipactl status
コマンドを実行します。
[root@server ~]# ipactl status
Directory Service: RUNNING
krb5kdc Service: RUNNING
kadmin Service: RUNNING
named Service: RUNNING
httpd Service: RUNNING
pki-tomcatd Service: RUNNING
smb Service: RUNNING
winbind Service: RUNNING
ipa-otpd Service: RUNNING
ipa-dnskeysyncd Service: RUNNING
ipa: INFO: The ipactl command was successful
サーバーの ipactl status
コマンドの出力は、IdM 設定により異なります。たとえば、IdM デプロイメントに DNS サーバーが含まれていない場合は、named
サービスがリストに表示されません。
IdM の Web UI を使用して、特定の IdM サーバーで実行しているすべての IdM サービスの状態を表示することはできません。Kerberos に対応し、複数のサーバーで実行しているサービスは、IdM の Web UI の Identity
→ Services
タブで表示できます。
サーバー全体、または個々のサービスのみを起動または停止できます。
IdM サーバー全体を起動、停止、または再起動する場合は、以下を参照してください。
個々の IdM サービスを起動、停止、または再起動する場合は、以下を参照してください。
IdM ソフトウェアのバージョンを表示するには、次を参照してください。
2.3. Identity Management サーバー全体の起動と停止
ipa
systemd サービスを使用して、IdM サーバー全体を、インストールしたすべてのサービスを停止、起動、または再起動します。systemctl
ユーティリティーを使用して ipa
systemd サービスを制御すると、すべてのサービスが適切な順序で停止、開始、または再起動されます。ipa
systemd サービスは、IdM サービスを起動する前に RHEL IdM 設定もアップグレードし、IdM サービスの管理時に適切な SELinux コンテキストを使用します。systemctl ipa
コマンドを実行するには、有効な Kerberos チケットは必要ありません。
ipa
systemd service コマンド
IdM サーバー全体を起動するには、次のコマンドを実行します。
# systemctl start ipa
IdM サーバー全体を停止するには、次のコマンドを実行します。
# systemctl stop ipa
IdM サーバー全体を再起動するには、次のコマンドを実行します。
# systemctl restart ipa
IdM を設定するすべてのサービスのステータスを表示するには、ipactl
ユーティリティーを使用します。
# ipactl status
-
IdM サービスは、
ipactl
ユーティリティーで、起動、停止、または再起動しないでください。代わりにsystemctl ipa
コマンドを使用して、予測可能な環境でipactl
ユーティリティーを呼び出します。 -
ipactl
コマンドは、IdM の Web UI では使用できません。
2.4. 個々の Identity Management サービスの開始および停止
IdM 設定ファイルを手動で変更することは推奨されていません。ただし、特定の状況では、管理者が特定のサービスを手動で設定する必要があります。このような場合は、systemctl
ユーティリティーを使用して、個々の IdM サービスを停止、開始、または再開します。
たとえば、その他の IdM サービスを変更せずに、Directory Server の挙動をカスタマイズした場合は、systemctl
を使用します。
# systemctl restart dirsrv@REALM-NAME.service
また、Active Directory と IdM の信頼を最初にデプロイする場合は、/etc/sssd/sssd.conf
ファイルを変更して、以下を追加します。
- リモートサーバーのレイテンシーが長い環境で、タイムアウト設定オプションを調整するための特定のパラメーター
- Active Directory サイトのアフィニティーを調整するための特定のパラメーター
- グローバルの IdM 設定では提供されない特定の設定オプションのオーバーライド
/etc/sssd/sssd.conf
ファイルに加えた変更を適用する場合は、次のコマンドを実行します。
# systemctl restart sssd.service
System Security Services Daemon (SSSD) は、設定を自動的に再読み込みまたは再適用しないため、systemctl restart sssd.service
を実行する必要があります。
変更が、IdM の ID 範囲に影響を及ぼす場合は、サーバーを完全に再起動することが推奨されます。
複数の IdM ドメインサービスを再起動するには、常に systemctl restart ipa
を使用します。IdM サーバーにインストールされているサービス間での依存関係により、サービスを開始および停止する順番は極めて重要です。ipa
systemd サービスは、サービスが適切な順序で開始および停止されるようにします。
便利な systemctl
コマンド
特定の IdM サービスを開始するには、次のコマンドを実行します。
# systemctl start name.service
特定の IdM サービスを停止するには、次のコマンドを実行します。
# systemctl stop name.service
特定の IdM サービスを再開するには、次のコマンドを実行します。
# systemctl restart name.service
特定の IdM サービスの状態を表示するには、次のコマンドを実行します。
# systemctl status name.service
IdM の Web UI を使用して、IdM サーバーで実行している個々のサービスを開始または停止することはできません。Web UI で可能なのは、Identity
→ Services
に移動してサービスを選択し、Kerberos に対応する設定を修正することです。
2.5. IdM ソフトウェアのバージョンを表示する方法
IdM バージョン番号は次の方法で表示できます。
- IdM WebUI
-
ipa
コマンド -
rpm
コマンド
- WebUI を介したバージョンの表示
IdM WebUI では、右上のユーザー名メニューから
About
を選択して、ソフトウェアバージョンを表示できます。ipa
コマンドによるバージョンの表示コマンドラインから、
ipa --version
コマンドを使用します。[root@server ~]# ipa --version VERSION: 4.8.0, API_VERSION: 2.233
rpm
コマンドによるバージョンの表示IdM サービスが適切に動作していない場合は、
rpm
ユーティリティーを使用して、現在インストールされているipa-server
パッケージのバージョン番号を確認できます。[root@server ~]# rpm -q ipa-server ipa-server-4.8.0-11.module+el8.1.0+4247+9f3fd721.x86_64
第3章 IdM コマンドラインユーティリティーの概要
Identity Management (IdM) コマンドラインユーティリティーの基本的な使用方法を説明します。
前提条件
IdM サーバーをインストールしていて、アクセス可能である。
詳細は、Identity Management のインストール を参照してください。
IPA コマンドラインインターフェイスを使用する場合は、有効な Kerberos チケットを使用して IdM に対してを認証している。
有効な Kerberos チケットを取得する方法は、コマンドラインから Identity Management へのログイン を参照してください。
3.1. IPA コマンドラインインターフェイスとは
IPA コマンドラインインターフェイス (CLI) は、Identity Management (IdM) の管理向けの基本的なコマンドラインインターフェイスです。
新しいユーザーを追加するための ipa user-add
コマンドなど、IdM を管理するための多くのサブコマンドがサポートされています。
IPA CLI では以下を行うことができます。
- ネットワーク内のユーザー、グループ、ホスト、その他のオブジェクトを追加、管理、または削除する。
- 証明書を管理する。
- エントリーを検索する。
- オブジェクトを表示し、オブジェクトリストを表示する。
- アクセス権を設定する。
- 正しいコマンド構文でヘルプを取得する。
3.2. IPA のヘルプとは
IPA ヘルプは、IdM サーバー用の組み込みドキュメントシステムです。
IPA コマンドラインインターフェイス (CLI) は、読み込んだ IdM プラグインモジュールから、利用可能なヘルプトピックを生成します。IPA ヘルプユーティリティーを使用するには、以下が必要です。
- IdM サーバーがインストールされ、実行している。
- 有効な Kerberos チケットで認証されている。
オプションを指定せずに ipa help
コマンドを実行すると、基本的なヘルプの使用方法と、最も一般的なコマンドの例が表示されます。
さまざまな ipa help
のユースケースに対して、次のオプションを使用できます。
$ ipa help [TOPIC | COMMAND | topics | commands]
-
[]
- 括弧は、すべてのパラメーターが任意であることを示しており、ipa help
のみを入力すれば、コマンドが実行できます。 |
- パイプ文字は または の意味になります。したがって、基本的なipa help
コマンドを使用して、TOPIC
、COMMAND
、topics
またはcommands
を指定できます。-
topics
— コマンドipa help topics
を実行して、IPA ヘルプでカバーされているuser
、cert
、server
などのトピックのリストを表示できます。 -
TOPIC
— 大文字の TOPIC は変数になります。したがって、特定のトピック (ipa help user
など) を指定できます。 -
commands
— コマンドipa help commands
を入力して、user-add
、ca-enable
、server-show
などの IPA ヘルプでカバーされているコマンドのリストを表示できます。 -
COMMAND
— 大文字の COMMAND は変数になります。したがって、ipa help user-add
などの特定のコマンドを指定できます。
-
3.3. IPA ヘルプトピックの使用
次の手順では、コマンドラインインターフェイスで IPA ヘルプを使用する方法について説明します。
手順
- 端末を開き、IdM サーバーに接続します。
ヘルプに記載されているトピックのリストを表示するには、
ipa help topics
を実行します。$ ipa help topics
トピックの 1 つを選択し、
ipa help [topic_name]
のパターンに従ってコマンドを作成します。topic_name
文字列の代わりに、前の手順でリストしたトピックの 1 つを追加します。この例では、
user
トピックを使用します。$ ipa help user
IPA ヘルプの出力が長すぎるため、テキスト全体を表示できない場合は、以下の構文を使用します。
$ ipa help user | less
スクロールダウンすれば、ヘルプ全体を表示できます
IPA CLI は、ユーザー
トピックのヘルプページを表示します。概要を読むと、トピックのコマンドを使用するパターンに関して、多くの例を確認できます。
3.4. IPA help コマンドの使用
次の手順では、コマンドラインインターフェイスで IPA help コマンドを作成する方法について説明します。
手順
- 端末を開き、IdM サーバーに接続します。
ヘルプで使用できるコマンドのリストを表示するには、
ipa help commands
コマンドを実行します。$ ipa help commands
コマンドの 1 つを選択し、
ipa help <COMMAND>
のパターンに従ってヘルプコマンドを作成します。<COMMAND>
文字列の代わりに、前の手順でリストしたコマンドの 1 つを追加します。$ ipa help user-add
関連情報
-
ipa
の man ページ
3.5. IPA コマンドの構造
IPA CLI は、以下のタイプのコマンドを区別します。
- 組み込みコマンド — 組み込みコマンドはすべて、IdM サーバーで利用できます。
- プラグインにより提供されたコマンド
IPA コマンドの構造を使用すると、さまざまなタイプのオブジェクトを管理できます。以下に例を示します。
- ユーザー
- ホスト
- DNS レコード
- 証明書
その他にも多数あります。
このようなほとんどのオブジェクトでは、IPA CLI に、以下を行うためのコマンドが含まれます。
-
追加 (
add
) -
修正 (
mod
) -
削除 (
del
) -
検索 (
find
) -
表示 (
show
)
コマンドの構造は次のとおりです。
ipa user-add
、ipa user-mod
、ipa user-del
、ipa user-find
、ipa user-show
ipa host-add
、ipa host-mod
、ipa host-del
、ipa host-find
、ipa host-show
ipa dnsrecord-add
、ipa dnsrecord-mod
、ipa dnsrecord-del
、ipa dnsrecord-find
、ipa dnrecord-show
ipa user-add [options]
でユーザーを作成できます。[options]
は任意です。ipa user-add
コマンドのみを使用する場合、スクリプトは、詳細を 1 つずつ要求します。
既存のオブジェクトを変更するには、オブジェクトを定義する必要があります。そのため、コマンドには、オブジェクト ipa user-mod USER_NAME [options]
も含まれます。
3.6. IPA コマンドを使用した IdM へのユーザーアカウントの追加
以下の手順では、コマンドラインを使用して Identity Management (IdM) データベースに新しいユーザーを追加する方法について説明します。
前提条件
- IdM サーバーにユーザーアカウントを追加するには、管理者権限が必要です。
手順
- 端末を開き、IdM サーバーに接続します。
新しいユーザーを追加するコマンドを入力します。
$ ipa user-add
このコマンドは、ユーザーアカウントの作成に必要な基本データの提供を求めるスクリプトを実行します。
- First name: フィールドに、新規ユーザーの名前を入力して、Enter キーを押します。
- Last name: フィールドに、新規ユーザーの苗字を入力し、Enter キーを押します。
User login [suggested user name]: にユーザー名を入力します。または、提案されたユーザー名を使用する場合は、Enter キーを押します。
ユーザー名は、IdM データベース全体で一意にする必要があります。そのユーザー名がすでに存在するためにエラーが発生した場合は、
ipa user-add
コマンドでそのプロセスを再度実行し、別の一意のユーザー名を使用します。
ユーザー名を追加すると、ユーザーアカウントが IdM データベースに追加され、IPA コマンドラインインターフェイス (CLI) は以下の出力を出力します。
---------------------- Added user "euser" ---------------------- User login: euser First name: Example Last name: User Full name: Example User Display name: Example User Initials: EU Home directory: /home/euser GECOS: Example User Login shell: /bin/sh Principal name: euser@IDM.EXAMPLE.COM Principal alias: euser@IDM.EXAMPLE.COM Email address: euser@idm.example.com UID: 427200006 GID: 427200006 Password: False Member of groups: ipausers Kerberos keys available: False
デフォルトでは、ユーザーアカウントにユーザーパスワードは設定されていません。ユーザーアカウントの作成中にパスワードを追加するには、次の構文で ipa user-add
コマンドを使用します。
$ ipa user-add --first=Example --last=User --password
次に、IPA CLI は、ユーザー名とパスワードを追加または確認するように要求します。
ユーザーがすでに作成されている場合は、ipa user-mod
コマンドでパスワードを追加できます。
関連情報
-
パラメーターの詳細は、
ipa help user-add
コマンドを実行してください。
3.7. IPA コマンドで IdM のユーザーアカウントの変更
各ユーザーアカウントの多くのパラメーターを変更できます。たとえば、新しいパスワードをユーザーに追加できます。
基本的なコマンド構文は user-add
構文とは異なります。たとえば、パスワードを追加するなど、変更を実行する既存のユーザーアカウントを定義する必要があるためです。
前提条件
- ユーザーアカウントを変更するには、管理者権限が必要です。
手順
- 端末を開き、IdM サーバーに接続します。
ipa user-mod
コマンドを入力し、変更するユーザーと、パスワードを追加するための--password
などのオプションを指定します。$ ipa user-mod euser --password
このコマンドは、新しいパスワードを追加できるスクリプトを実行します。
- 新しいパスワードを入力し、Enter キーを押します。
IPA CLI は次の出力を出力します。
---------------------- Modified user "euser" ---------------------- User login: euser First name: Example Last name: User Home directory: /home/euser Principal name: euser@IDM.EXAMPLE.COM Principal alias: euser@IDM.EXAMPLE.COM Email address: euser@idm.example.com UID: 427200006 GID: 427200006 Password: True Member of groups: ipausers Kerberos keys available: True
これでユーザーパスワードがアカウントに対して設定され、ユーザーが IdM にログインできます。
関連情報
-
パラメーターの詳細は、
ipa help user-mod
コマンドを実行してください。
3.8. IdM ユーティリティーに値をリスト形式で提供する方法
Identity Management (IdM) は、多値属性の値をリスト形式で保存します。
IdM は、多値リストを提供する次の方法に対応します。
同じコマンド呼び出しで、同じコマンドライン引数を複数回指定します。
$ ipa permission-add --right=read --permissions=write --permissions=delete ...
または、リストを中括弧で囲むこともできます。この場合、シェルはデプロイメントを実行します。
$ ipa permission-add --right={read,write,delete} ...
上記の例では、パーミッションをオブジェクトに追加する permission-add
コマンドを表示します。この例では、このオブジェクトについては触れていません。…
の代わりに、権限を追加するオブジェクトーを追加する必要があります。
このような多値属性をコマンド行から更新すると、IdM は、前の値リストを新しいリストで完全に上書きします。したがって、多値属性を更新するときは、追加する 1 つの値だけでなく、新しいリスト全体を指定する必要があります。
たとえば、上記のコマンドでは、パーミッションのリストには、読み取り、書き込み、および削除が含まれます。permission-mod
コマンドでリストを更新する場合は、すべての値を追加する必要があります。すべての値を追加しないと、追加されていない値は削除されます。
例 1: - ipa permission-mod
コマンドは、以前に追加した権限をすべて更新します。
$ ipa permission-mod --right=read --right=write --right=delete ...
または
$ ipa permission-mod --right={read,write,delete} ...
例 2 - ipa permission-mod
コマンドは、コマンドに含まれないため、--right=delete
引数を削除します。
$ ipa permission-mod --right=read --right=write ...
または
$ ipa permission-mod --right={read,write} ...
3.9. IdM ユーティリティーで特殊文字を使用する方法
特殊文字を含むコマンドライン引数を ipa
コマンドに渡す場合は、この文字をバックスラッシュ (\) でエスケープします。たとえば、一般的な特殊文字には、山かっこ (< および >)、アンパサンド (&)、アスタリスク (*)、またはバーティカルバー (|) があります。
たとえば、アスタリスク (*) をエスケープするには、次のコマンドを実行します。
$ ipa certprofile-show certificate_profile --out=exported\*profile.cfg
シェルが特殊文字を正しく解析できないため、エスケープしていない特殊文字をコマンドに含めると、予想通りに機能しなくなります。
第4章 コマンドラインから Identity Management エントリーの検索
次のセクションでは、オブジェクトの検索または表示に役立つ IPA コマンドの使用方法を説明します。
4.1. IdM エントリーのリスト表示の概要
ipa *-find
コマンドを使用すると、特定のタイプの IdM エントリーを検索できます。
すべての find
コマンドを表示するには、次の ipa help コマンドを使用します。
$ ipa help commands | grep find
特定のユーザーが IdM データベースに含まれているかどうかの確認が必要になる場合があります。次のコマンドを使用すると、ユーザーをリスト表示できます。
$ ipa user-find
指定の属性にキーワードが含まれるユーザーグループのリストを表示するには、次のコマンドを実行します。
$ ipa group-find keyword
たとえば、ipa group-find admin
コマンドは、名前または説明に文字列 admin
が含まれるグループのリストを表示します。
---------------- 3 groups matched ---------------- Group name: admins Description: Account administrators group GID: 427200002 Group name: editors Description: Limited admins who can edit other users GID: 427200002 Group name: trust admins Description: Trusts administrators group
ユーザーグループの検索の際には、特定のユーザーを含むグループに検索結果を絞り込むことも可能です。
$ ipa group-find --user=user_name
また、特定のユーザーを含まないグループを検索するには、次のコマンドを実行します。
$ ipa group-find --no-user=user_name
4.2. 特定のエントリーの詳細の表示
ipa *-show
コマンドを使用して、特定の IdM エントリーの詳細を表示します。
手順
ホスト server.example.com に関する詳細を表示します。
$ ipa host-show server.example.com Host name: server.example.com Principal name: host/server.example.com@EXAMPLE.COM ...
4.3. 検索サイズおよび時間制限の調整
IdM ユーザーのリストを要求するなど、一部のクエリーでは、エントリー数が大量に返される場合があります。この検索操作を調整して、ipa user-find
などの ipa *-find
コマンドの実行時や、Web UI で対応するリストを表示する際に、全体的なサーバーのパフォーマンスを向上できます。
- 検索サイズ制限
クライアントの CLI または IdM Web UI にアクセスするブラウザーからサーバーに送信されるリクエストで返される最大エントリー数を定義します。
デフォルト - 100 エントリー
- 検索時間の制限
検索の実行までにサーバーが待機する最大時間 (秒) を定義します。検索がこの制限に到達したら、サーバーは検索を停止し、停止するまでの期間に検出されたエントリーを返します。
デフォルト - 2 秒
この値が -1
に設定されていると、IdM は、検索時に制限を適用しません。
検索のサイズや時間制限を高く設定しすぎると、サーバーのパフォーマンスに影響を及ぼすことがあります。
4.3.1. コマンドラインで検索サイズおよび時間制限の調整
以下の手順では、コマンドラインで検索サイズと時間制限を調整する方法について説明します。
- グローバル
- 特定のエントリーの場合
手順
現在の検索時間およびサイズ制限を CLI で表示するには、
ipa config-show
コマンドを使用します。$ ipa config-show Search time limit: 2 Search size limit: 100
すべてのクエリーに対して グローバルに 制限を調整するには、
ipa config-mod
コマンドを使用して、--searchrecordslimit
および--searchtimelimit
のオプションを追加します。以下に例を示します。$ ipa config-mod --searchrecordslimit=500 --searchtimelimit=5
-
特定のクエリーに対してのみ 一時的に 制限を調整するには、コマンドに
--sizelimit
または--timelimit
オプションを追加してください。以下に例を示します。
$ ipa user-find --sizelimit=200 --timelimit=120
4.3.2. Web UI で検索サイズおよび時間制限の調整
以下の手順では、IdM Web UI でグローバル検索のサイズと時間制限を調整する方法について説明します。
手順
- IdM Web UI にログインします。
IPA Server をクリックします。
- IPA Server タブで、Configuration をクリックします。
Search Options エリアに必要な値を設定します。
デフォルト値は以下の通りです。
- 検索サイズの制限 - 100 エントリー
- 検索時間の制限 - 2 秒
ページ上部にある Save をクリックします。
第5章 Web ブラウザーで IdM Web UI へのアクセス
IdM (Identity Management) Web UI は、IdM 管理用の Web アプリケーションであり、IdM コマンドラインインターフェイス (CLI) のグラフィカルな代替手段です。
5.1. IdM Web UI とは
IdM (Identity Management) Web UI は、IdM 管理用の Web アプリケーションです。IdM Web UI には、以下のユーザーとしてアクセスできます。
- IdM ユーザー - IdM サーバーでユーザーに付与されている権限に応じて制限されている一連の操作。基本的に、アクティブな IdM ユーザーは IdM サーバーにログインして自身のアカウントを設定できます。その他のユーザーまたは IdM サーバーの設定は変更できません。
- 管理者 - IdM サーバーへのフルアクセス権
- Active Directory ユーザー - ユーザーに付与されている権限に応じた一連の操作Active Directory ユーザーが Identity Management の管理可能に詳細は IdM を管理する AD ユーザーの有効化 を参照してください。
5.2. Web UI へのアクセスに対応している Web ブラウザー
Identity Management (IdM) は、Web UI への接続に、以下のブラウザーをサポートします。
- Mozilla Firefox 38 以降
- Google Chrome 46 以降
ブラウザーで TLS v1.3 を使用しようとすると、スマートカードで IdM Web UI にアクセスできなくなる場合があります。
[ssl:error] [pid 125757:tid 140436077168384] [client 999.999.999.999:99999] AH: verify client post handshake
[ssl:error] [pid 125757:tid 140436077168384] [client 999.999.999.999:99999] AH10158: cannot perform post-handshake authentication
[ssl:error] [pid 125757:tid 140436077168384] SSL Library Error: error:14268117:SSL routines:SSL_verify_client_post_handshake:extension not received
これは、最新バージョンのブラウザーで TLS Post-Handshake Authentication (PHA) がデフォルトで有効になっていないか、PHA をサポートしていないためです。スマートカード認証で IdM Web UI にアクセスする場合など、Web サイトの一部にのみ TLS クライアント証明書を必要とする場合は、PHA が必要です。
Mozilla Firefox 68 以降でこの問題を解決するには、TLS PHA を有効にします。
-
アドレスバーに
about:config
と入力して、Mozilla Firefox 設定メニューにアクセスします。 -
検索バーに
security.tls.enable_post_handshake_auth
と入力します。 - トグルボタンをクリックして、パラメーターを true に設定します。
現在 PHA をサポートしていない Chrome でこの問題を解決するには、TLS v1.3 を無効にします。
-
/etc/httpd/conf.d/ssl.conf
設定ファイルを開きます。 -TLSv1.3
をSSLProtocol
オプションに追加します。SSLProtocol all -TLSv1 -TLSv1.1 -TLSv1.3
httpd
サービスを再起動します。service httpd restart
IdM は ssl.conf
ファイルを管理するため、パッケージの更新時にそのコンテンツが上書きされる可能性があることに注意してください。IdM パッケージの更新後に、カスタム設定を確認します。
5.3. Web UI へのアクセス
次の手順では、パスワードを使用して、IdM (Identity Management) Web UI に最初にログインする方法を説明します。
最初のログイン後に、IdM サーバーを認証するように設定できます。
Kerberos チケット
詳細は、Kerberos authentication in Identity Management を参照してください。
スマートカード
詳細は、スマートカード認証用の IdM サーバーの設定 を参照してください。
ワンタイムパスワード (OTP) - パスワードと組み合わせることができ、Kerberos 認証に利用されます。
詳細は、One time password (OTP) authentication in Identity Management を参照してください。
手順
ブラウザーのアドレスバーに、IdM サーバーの URL を入力します。名前は次の例のようになります。
https://server.example.com
server.example.com
を、IdM サーバーの DNS 名に変更するだけです。これで、ブラウザーに IdM Web UI ログイン画面が開きます。
- サーバーが応答しない、またはログイン画面が開かない場合は、接続している IdM サーバーの DNS 設定を確認してください。
自己署名証明書を使用する場合は、ブラウザーに警告が表示されます。証明書を確認し、セキュリティー例外を許可して、ログインを続行します。
セキュリティーの例外を回避するために、認証局が署名した証明書をインストールします。
Web UI ログイン画面で、IdM サーバーのインストール時に追加した管理者アカウントの認証情報を入力します。
詳細は Identity Management サーバーのインストール: 統合 DNS と統合 CA の場合 を参照してください。
IdM サーバーに、個人アカウントの認証情報がすでに入力されている場合は、それを入力できます。
- をクリックします。
ログインに成功したら、IdM サーバーの設定を開始できます。
第6章 Web UI で IdM にログイン: Kerberos チケットの使用
IdM Web UI への Kerberos ログインと、Kerberos 認証を使用した IdM へのアクセスを有効にするように環境を設定する方法について詳しく説明します。
前提条件
ネットワーク環境にインストールしている IdM サーバー
詳細は Red Hat Enterprise Linux 8 の Identity Management のインストール を参照してください。
6.1. Identity Management における Kerberos 認証
Identity Management (IdM) は、シングルサインオンに対応する Kerberos プロトコルを使用します。シングルサインオン認証により、ユーザーが正しいユーザー名およびパスワードを一度入力すれば、再度システムに認証情報を求められることなく、Identity Management サービスにアクセスできます。
DNS および証明書の設定が適切に設定されている場合は、インストール直後に、IdM サーバーが Kerberos 認証を提供します。詳細は、Identity Management のインストール を参照してください。
ホストで Kerberos 認証を使用するには、以下をインストールします。
IdM クライアント
詳細は Identity Management クライアントをインストールするためのシステムの準備 を参照してください。
- krb5conf パッケージ
6.2. kinit による IdM への手動ログイン
kinit ユーティリティーを使用して Identity Management (IdM) 環境に対して手動で認証するには、次の手順に従います。kinit ユーティリティーは、IdM ユーザーの代わりに Kerberos の TGT (Ticket-Granting Ticket) を取得して、キャッシュに格納します。
この手順は、最初の Kerberos TGT を破棄したか、有効期限が切れている場合にのみ使用します。ローカルマシンに、IdM ユーザーとしてログインすると、IdM に自動的にログインします。これは、ログイン後に IdM リソースにアクセスするのに kinit ユーティリティーを使用する必要がないことを示しています。
手順
IdM にログインします。
ローカルシステムに現在ログインしているユーザーのユーザー名で、(ユーザー名を指定せずに) kinit を使用します。たとえば、ローカルシステムにログインしているユーザーが
example_user
の場合は、次のコマンドを実行します。[example_user@server ~]$ kinit Password for example_user@EXAMPLE.COM: [example_user@server ~]$
ローカルユーザーのユーザー名と、IdM のユーザーエントリーが一致しないと、認証に失敗します。
[example_user@server ~]$ kinit kinit: Client 'example_user@EXAMPLE.COM' not found in Kerberos database while getting initial credentials
ローカルユーザー名に対応しない Kerberos プリンシパルを使用して、
kinit
ユーティリティーに必要なユーザー名を渡します。たとえば、admin
ユーザーとしてログインするには、次のコマンドを実行します。[example_user@server ~]$ kinit admin Password for admin@EXAMPLE.COM: [example_user@server ~]$
必要に応じて、ログインが成功したことを確認するには、klist ユーティリティーを使用して、キャッシュした TGT を表示します。以下の例では、キャッシュに
example_user
プリンシパルのチケットが含まれています。これは、このホストでは IdM サービスにアクセスするのは、example_user
にのみ許可されていることを示しています。$ klist Ticket cache: KEYRING:persistent:0:0 Default principal: example_user@EXAMPLE.COM Valid starting Expires Service principal 11/10/2019 08:35:45 11/10/2019 18:35:45 krbtgt/EXAMPLE.COM@EXAMPLE.COM
6.3. Kerberos 認証用のブラウザーの設定
Kerberos チケットによる認証を有効にするには、ブラウザーの設定が必要になることもあります。
以下の手順は、IdM ドメインにアクセスする Kerberos ネゴシエーションに対応するのに役に立ちます。
Kerberos に対応する方法はブラウザーによって異なるため、異なる設定が必要です。IdM Web UI には、次のブラウザーに関するガイドラインが含まれています。
- Firefox
- Chrome
手順
- Web ブラウザーで、WebUI ログインダイアログを開きます。
Web UI のログイン画面で、ブラウザー設定のリンクをクリックします。
設定ページの手順に従います。
設定が完了したら、IdM Web UI に戻り、ログイン をクリックします。
6.4. Kerberos チケットで Web UI へのログイン
Kerberos Ticket-Granting Ticket (TGT) を使用して IdM Web UI にログインするには、次の手順に従います。
TGT は、事前定義された時間で有効期限が切れます。デフォルトの時間間隔は 24 時間で、IdM Web UI でそれを変更できます。
期限が切れたら、チケットを更新する必要があります。
- kinit コマンドの使用
- Web UI ログインダイアログで、IdM ログイン認証情報を使用
手順
IdM Web UI を開きます。
Kerberos 認証が正しく機能し、有効なチケットがある場合は、自動的に認証されて Web UI が開きます。
チケットの有効期限が切れている場合は、最初に認証情報を使用して認証する必要があります。ただし、次からはログインダイアログを開かずに IdM Web UI が自動的に開きます。
エラーメッセージ
Authentication with Kerberos failed
が表示された場合は、ブラウザーが Kerberos 認証用に設定されていることを確認してください。Kerberos 認証用のブラウザーの設定 を参照してください。
6.5. Kerberos 認証用の外部システムの設定
Identity Management (IdM) ユーザーが Kerberos 認証情報を使用して外部システムから IdM にログインできるように外部システムを設定するには、この手順に従います。
外部システムの Kerberos 認証を有効にすることは、インフラストラクチャーに、複数のレルムまたは重複ドメインが含まれている場合に特に便利です。また、ipa-client-install
を実行してシステムを IdM ドメインに登録していない場合にも便利です。
IdM ドメインのメンバーではないシステムから IdM への Kerberos 認証を有効にするには、IdM 固有の Kerberos 設定ファイルを外部システムに定義します。
前提条件
外部システムに
krb5-workstation
パッケージがインストールされている。パッケージがインストールされているかどうかを確認するには、次の CLI コマンドを使用します。
# yum list installed krb5-workstation Installed Packages krb5-workstation.x86_64 1.16.1-19.el8 @BaseOS
手順
IdM サーバーから外部システムに
/etc/krb5.conf
ファイルをコピーします。以下に例を示します。# scp /etc/krb5.conf root@externalsystem.example.com:/etc/krb5_ipa.conf
警告外部マシンにある既存の
krb5.conf
ファイルは上書きしないでください。外部システムで、コピーした IdM の Kerberos 設定ファイルを使用するように、端末セッションを設定します。
$ export KRB5_CONFIG=/etc/krb5_ipa.conf
KRB5_CONFIG
変数は、ログアウトまで一時的に存在します。ログアウト時に削除されないように、この変数のファイル名を変えてエクスポートします。-
/etc/krb5.conf.d/
ディレクトリーの Kerberos 設定部分を、外部システムにコピーします。 - Kerberos 認証用のブラウザーの設定 の説明に従って、外部システムでブラウザーを設定します。
外部システムのユーザーが、kinit
ユーティリティーを使用して IdM サーバーで認証できるようになりました。
6.6. Active Directory ユーザーの Web UI ログイン
Active Directory ユーザーに対して Web UI ログインを有効にするには、デフォルトの信頼ビュー で、Active Directory の各ユーザーに対して ID のオーバーライドを定義します。以下に例を示します。
[admin@server ~]$ ipa idoverrideuser-add 'Default Trust View' ad_user@ad.example.com
第7章 ワンタイムパスワードを使用した Identity Management Web UI へのログイン
IdM Web UI へのアクセスは、いくつかの方法を使用して保護できます。基本的なものはパスワード認証です。
パスワード認証のセキュリティーを向上させるために、2 つ目の手順を追加して、自動生成ワンタイムパスワード (OTP) を要求できます。最も一般的な使用方法は、ユーザーアカウントに関連付けられたパスワードと、ハードウェアまたはソフトウェアのトークンにより生成された期限付きワンタイムパスワードを組み合わせることです。
以下のセクションでは、次のことができます。
- IdM で OTP 認証がどう機能するかを理解する。
- IdM サーバーで OTP 認証を設定する。
- IdM で OTP バリデーション用に RADIUS サーバーを設定する。
- OTP トークンを作成し、そのトークンを、電話の FreeOTP アプリと同期する。
- ユーザーパスワードとワンタイムパスワードの組み合わせて、IdM Web UI に対して認証する。
- Web UI でトークンを再同期する。
- OTP または RADIUS ユーザーとして IdM チケット許可チケットを取得する
7.1. 前提条件
7.2. Identity Management におけるワンタイムパスワード (OTP) 認証
ワンタイムパスワードにより、認証セキュリティーに関する手順が追加されます。認証では、自身のパスワードと、自動生成されたワンタイムパスワードが使用されます。
ワンタイムパスワードを生成するには、ハードウェアまたはソフトウェアのトークンを使用できます。IdM は、ソフトウェアトークンとハードウェアトークンの両方をサポートします。
Identity Management は、以下にある、2 つの標準 OTP メカニズムに対応しています。
- HMAC ベースのワンタイムパスワード (HOTP) アルゴリズムは、カウンターに基づいています。HMAC は、Hashed Message Authentication Code (ハッシュメッセージ認証コード) を表しています。
- 時間ベースのワンタイムパスワード (TOTP) アルゴリズムは、時間ベースの移動要素に対応する HOTP の拡張機能です。
IdM は、Active Directory 信頼ユーザーの OTP ログインに対応していません。
7.3. Web UI でのワンタイムパスワードの有効化
Identity Management (IdM) 管理者は、IdM ユーザーに対して 2 要素認証 (2FA) をシステム全体でまたは個別に有効にすることができます。ユーザーは、コマンドラインまたは Web UI ログインダイアログの専用フィールドで、通常のパスワードの後にワンタイムパスワード (OTP) を入力します。これらのパスワードの間にはスペースを入れません。
2FA を有効にしても、2FA が強制されるわけではありません。LDAP バインドに基づくログインを使用する場合、IdM ユーザーはパスワードを入力するだけで認証できます。ただし、krb5
ベースのログインを使用する場合は、2FA が強制されます。Red Hat は今後のリリースで設定オプションを提供して、管理者が次のいずれかを選択できるようにする予定です。
-
ユーザーが独自のトークンを設定できるようにします。この場合、
krb5
ベースのログインでは 2FA が強制されますが、LDAP バインドでは依然として強制されません。 -
ユーザーが独自のトークンを設定できないようにします。この場合、2FA は LDAP バインドと
krb5
ベースのログインの両方で強制されます。
IdM Web UI を使用して、個々の example.user IdM ユーザーに対して 2FA を有効にするには、以下の手順を完了します。
前提条件
- 管理者権限
手順
-
IdM
admin
権限を使用して IdM Web UI にログインします。 Identity → Users → Active users タブを開きます。
- example.user を選択してユーザー設定を開きます。
- User authentication types で、Two factor authentication (password + OTP) を選択します。
- Save をクリックします。
この時点で、IdM ユーザーに対して OTP 認証が有効になります。
次に、管理者権限を持つユーザーまたは example.user が、example.user アカウントに新しいトークン ID を割り当てる必要があります。
7.4. IdM での OTP バリデーション用の RADIUS サーバー設定
プロプライエタリーのワンタイムパスワード (OTP) ソリューションから Identity Management (IdM) ネイティブの OTP ソリューションへの大規模なデプロイメントの移行を可能にするために、IdM では、ユーザーのサブセットに対して OTP バリデーションをサードパーティーの RADIUS サーバーにオフロードすることができます。管理者は、各プロキシーが単一の RADIUS サーバーのみを参照できる RADIUS プロキシーのセットを作成します。複数のサーバーに対応する必要がある場合は、複数の RADIUS サーバーを参照する仮想 IP ソリューションを作成することが推奨されます。
このようなソリューションは、keepalived
デーモンなどを使用して、RHEL IdM の外部でビルドする必要があります。次に、管理者はこれらのプロキシーセットのいずれかをユーザーに割り当てます。ユーザーが RADIUS プロキシーが設定されている限り、IdM は他のすべての認証メカニズムをバイパスします。
IdM は、サードパーティーシステムのトークンに対するトークン管理または同期のサポートを提供しません。
OTP バリデーション用に RADIUS サーバーを設定し、プロキシーサーバーにユーザーを追加する手順を実行します。
前提条件
- radius ユーザー認証方法が有効になっている。詳細は、Web UI でのワンタイムパスワードの有効化 を参照してください。
手順
RADIUS プロキシーを追加します。
$ ipa radiusproxy-add proxy_name --secret secret
このコマンドは、必要な情報を挿入するように求められます。
RADIUS プロキシーの設定には、クライアントとサーバーとの間の共通のシークレットを使用して認証情報をラップする必要があります。
--secret
パラメーターにこのシークレットを指定します。追加したプロキシーにユーザーを割り当てます。
ipa user-mod radiususer --radius=proxy_name
必要に応じて、RADIUS に送信するユーザー名を設定します。
ipa user-mod radiususer --radius-username=radius_user
これにより、RADIUS プロキシーサーバーがユーザーの OTP 認証の処理を開始します。
ユーザーが IdM ネイティブ OTP システムに移行する準備ができたら、ユーザーの RADIUS プロキシー割り当てを削除するだけです。
7.4.1. 低速ネットワークで RADIUS サーバーを実行する場合の KDC タイムアウト値の変更
低速ネットワークで RADIUS プロキシーを実行している場合などの特定の状況では、ユーザーがトークンを入力するのを待機している間に接続がタイムアウトして、RADIUS サーバーが応答する前に Identity Management (IdM) Kerberos Distribution Center (KDC) が接続を閉じます。
KDC のタイムアウト設定を変更するには、以下を実行します。
/var/kerberos/krb5kdc/kdc.conf
ファイルの[otp]
セクションでtimeout
パラメーターの値を変更します。たとえば、タイムアウトを120
秒に設定するには、以下のようにします。[otp] DEFAULT = { timeout = 120 ... }
krb5kdc
サービスを再起動します。# systemctl restart krb5kdc
関連情報
7.5. Web UI での OTP トークンの追加
次のセクションは、IdM Web UI およびソフトウェアトークンジェネレーターに、トークンを追加するのに役立ちます。
前提条件
- IdM サーバーでアクティブなユーザーアカウント。
- 管理者が、IdM Web UI の特定のユーザーアカウントに対して OTP を有効にしている。
- FreeOTP などの OTP トークンを生成するソフトウェアデバイス。
手順
- ユーザー名とパスワードを使用して IdM Web UI にログインします。
- Authentication → OTP Tokens タブを開いて、携帯電話でトークンを作成します。
Add をクリックします。
Add OTP token ダイアログボックスに何も入力せず、Add をクリックします。
この段階で、IdM サーバーはデフォルトパラメーターを使用してトークンを作成し、QR コード付きページを開きます。
- QR コードを携帯電話にコピーします。
- OK をクリックして QR コードを閉じます。
これで、ワンタイムパスワードを生成して、IdM Web UI にログインできるようになりました。
7.6. ワンタイムパスワードで Web UI にログイン
ワンタイムパスワード (OTP) を使用して IdM Web UI に初めてログインする際には、この手順に従います。
前提条件
OTP 認証を使用しているユーザーアカウントに対して、Identity Management サーバーで OTP 設定が有効になっている。管理者およびユーザー自身が、OTP を有効にできる。
OTP 設定を有効にする場合は、Web UI でワンタイムパスワードの有効化 を参照してください。
- 設定された OTP トークンを生成するハードウェアまたはソフトウェアのデバイス
手順
- Identity Management ログイン画面で、自身のユーザー名、または IdM サーバー管理者アカウントのユーザー名を入力します。
- 上記で入力したユーザーのパスワードを追加します。
- デバイスでワンタイムパスワードを生成します。
- パスワードの直後にワンタイムパスワードを入力します (空白文字は追加しない)。
Log in をクリックします。
認証に失敗した場合は、OTP トークンを同期します。
CA が自己署名証明書を使用する場合は、ブラウザーに警告が表示されます。証明書を確認し、セキュリティー例外を許可して、ログインを続行します。
IdM Web UI が開かない場合は、Identity Management サーバーの DNS 設定を確認してください。
ログインが成功すると、IdM Web UI が表示されます。
7.7. Web UI で OTP トークンの同期
OTP (ワンタイムパスワード) でのログインに失敗した場合、OTP トークンは正しく同期しません。
以下のテキストは、トークンの再同期を説明します。
前提条件
- ログイン画面を開いている。
- 設定した OTP トークンを生成するデバイス。
手順
IdM Web UI ログイン画面で、Sync OTP Token をクリックします。
- ログイン画面で、ユーザー名と、Identity Management パスワードを入力します。
- ワンタイムパスワードを生成し、First OTP フィールドに入力します。
- ワンタイムパスワードをもう一度生成し、Second OTP フィールドに入力します。
必要に応じて、トークン ID を入力してします。
- Sync OTP Token をクリックします。
同期に成功したら、IdM サーバーにログインできます。
7.8. 期限切れパスワードの変更
Identity Management の管理者は、ユーザーが次回ログインする時にパスワードを変更するように強制できます。これを設定すると、パスワードを変更しないと IdM Web UI にログインできなくなります。
パスワードの有効期限は、Web UI に初めてログインしたときに発生する可能性があります。
有効期限のパスワードのダイアログが表示されたら、手順の指示に従ってください。
前提条件
- ログイン画面を開いている。
- IdM サーバーへのアクティブなアカウント。
手順
- パスワード有効期限のログイン画面に、ユーザー名を入力します。
- 上記で入力したユーザーのパスワードを追加します。
ワンタイムパスワード認証を使用する場合は、OTP フィールドにワンタイムパスワードを生成します。
OTP 認証を有効にしていない場合は、このフィールドを空白のままにします。
- 確認のために新しいパスワードを 2 回入力します。
Reset Password をクリックします。
パスワード変更が成功すると、通常のログインダイアログが表示されます。新しいパスワードでログインします。
7.9. OTP または RADIUS ユーザーとして IdM チケット許可チケットを取得する
OTP ユーザーとして Kerberos チケット保証チケット (TGT) を取得するには、匿名の Kerberos チケットを要求し、Flexible Authentication via Secure Tunneling (FAST) チャネルを有効にして、Kerberos クライアントと Kerberos Distribution Center (KDC) 間の安全な接続を提供します。
前提条件
- IdM クライアントと IdM サーバーは RHEL 8.7 以降を使用します。
- IdM クライアントと IdM サーバーは SSSD 2.7.0 以降を使用します。
- 必要なユーザーアカウントに対して OTP が有効になりました。
手順
次のコマンドを実行して認証情報キャッシュを初期化します。
[root@client ~]# kinit -n @IDM.EXAMPLE.COM -c FILE:armor.ccache
このコマンドは、新しい Kerberos チケットを要求するたびに指定する必要がある
armor.ccache
ファイルを作成することに注意してください。次のコマンドを実行して Kerberos チケットを要求します。
[root@client ~]# kinit -T FILE:armor.ccache <username>@IDM.EXAMPLE.COM Enter your OTP Token Value.
検証
Kerberos チケット情報を表示します。
[root@client ~]# klist -C Ticket cache: KCM:0:58420 Default principal: <username>@IDM.EXAMPLE.COM Valid starting Expires Service principal 05/09/22 07:48:23 05/10/22 07:03:07 krbtgt/IDM.EXAMPLE.COM@IDM.EXAMPLE.COM config: fast_avail(krbtgt/IDM.EXAMPLE.COM@IDM.EXAMPLE.COM) = yes 08/17/2022 20:22:45 08/18/2022 20:22:43 krbtgt/IDM.EXAMPLE.COM@IDM.EXAMPLE.COM config: pa_type(krbtgt/IDM.EXAMPLE.COM@IDM.EXAMPLE.COM) = 141
pa_type = 141 は
OTP/RADIUS 認証を示します。
第8章 IdM で SSSD を使用した認証のトラブルシューティング
Identity Management (IdM) 環境の認証には、さまざまなコンポーネントが含まれます。
IdM クライアントで、以下を行います。
- SSSD サービス
- Name Services Switch (NSS)
- PAM (プラグ可能な認証モジュール)
IdM サーバーで、以下を行います。
- SSSD サービス
- IdM Directory Server。
- IdM Kerberos Key Distribution Center (KDC)
Active Directory (AD) ユーザーとして認証している場合は、以下を行います。
- AD ドメインコントローラー上の Directory Server。
- AD ドメインコントローラー上の Kerberos サーバー
ユーザーを認証するには、SSSD サービスで以下の機能を実行できる必要があります。
- 認証サーバーからユーザー情報を取得します。
- ユーザーに認証情報を求められ、それらの認証情報を認証サーバーに渡し、結果を処理します。
ユーザー情報を保存する SSSD サービスとサーバー間の情報フロー方法を説明し、環境で失敗した認証試行のトラブルシューティングを行うには、次を参照してください。
- SSSD で IdM ユーザー情報を取得するデータフロー
- SSSD で AD ユーザー情報を取得する際のデータフロー
- IdM で SSSD を使用してユーザーとして認証する場合にデータフロー
- 認証問題の範囲の制限
- SSSD ログファイルおよびログレベル
- sssd.conf ファイルで SSSD の詳細なロギングの有効化
- sssctl コマンドを使用した SSSD の詳細なロギングの有効化
- SSSD サービスからデバッグログを収集し、IdM サーバーによる認証問題のトラブルシューティング
- SSSD サービスからデバッグログを収集し、IdM クライアントによる認証問題のトラブルシューティング
- SSSD バックエンドでのクライアント要求の追跡
- ログアナライザーツールを使用したクライアント要求の追跡
8.1. SSSD で IdM ユーザー情報を取得するデータフロー
以下の図は、getent passwd <idm_user_name>
コマンドを使用して IdM ユーザー情報の要求時に IdM クライアントと IdM サーバーとの間の情報フローを簡単に説明します。
-
getent
コマンドは、libc
ライブラリーからgetpwnam
呼び出しをトリガーします。 -
libc
ライブラリーは、/etc/nsswitch.conf
設定ファイルを参照して、どのサービスがユーザー情報を提供するかを確認し、SSSD サービスのエントリーsss
を検出します。 -
libc
ライブラリーは、nss_sss
モジュールを開きます。 -
nss_sss モジュールは、ユーザー情報のメモリーマップキャッシュを確認します。データがキャッシュに存在する場合は、
nss_sss
モジュールがそれを返します。 -
ユーザー情報が memory-mapped キャッシュにない場合、リクエストは SSSD
sssd_nss
レスポンダープロセスに渡されます。 -
SSSD サービスはキャッシュをチェックします。データがキャッシュに存在し、有効な場合は、
sssd_nss
レスポンダーがキャッシュからデータを読み取って、アプリケーションに返します。 -
データがキャッシュにない場合や期限切れである場合、
sssd_nss
レスポンダーは適切なバックエンドプロセスに対してクエリーを実行し、応答を待機します。SSSD サービスは、sssd.conf
設定ファイルでid_provider=ipa
を設定して有効にした、IdM 環境の IPA バックエンドを使用します。 -
sssd_be
バックエンドプロセスは IdM サーバーに接続して、IdM LDAP Directory Server から情報を要求します。 - IdM サーバーの SSSD バックエンドは、IdM クライアントの SSSD バックエンドプロセスに対応します。
- クライアントの SSSD バックエンドは、生成されるデータを SSSD キャッシュに保存し、キャッシュが更新されたレスポンダープロセスを警告します。
-
sssd_nss
フロントエンドレスプロセスが SSSD キャッシュから情報を取得します。 -
sssd_nss
レスポンダーは、nss_sss
レスポンダーにユーザー情報を送信し、リクエストを完了します。 -
libc
ライブラリーは、要求したアプリケーションにユーザー情報を返します。
8.2. SSSD で AD ユーザー情報を取得する際のデータフロー
IdM 環境と Active Directory( AD) ドメインとの間でフォレスト間の信頼を確立した場合は、IdM クライアントの AD ユーザー情報を取得する際に情報フローが、AD ユーザーデータベースへの追加の手順とともに、IdM クライアントの AD ユーザー情報の取得時に非常に似ています。
以下の図は、getent passwd <ad_user_name@ad.example.com>
コマンドを使用してユーザーが AD ユーザーに関する情報を要求する際に、情報フローを簡素化します。この図には、SSSD で IdM ユーザー情報を取得するデータフロー が含まれません。IdM クライアントの SSSD サービス、IdM サーバーの SSSD サービス、および AD ドメインコントローラー上の LDAP データベースとの間の通信にフォーカスします。
- IdM クライアントは、AD ユーザー情報に関するローカルの SSSD キャッシュを検索します。
-
IdM クライアントにユーザー情報がない場合や、情報が古い場合に、クライアントの SSSD サービスが IdM サーバーの
extdom_extop
プラグインに問い合わせて、LDAP 拡張操作を実行し、情報を要求します。 - IdM サーバーの SSSD サービスは、ローカルキャッシュで AD ユーザー情報を検索します。
- IdM サーバーに SSSD キャッシュにユーザー情報がない場合や、その情報が古い場合は、LDAP 検索を実行して、AD ドメインコントローラーからユーザー情報を要求します。
- IdM サーバーの SSSD サービスは、AD ドメインコントローラーから AD ユーザー情報を受け取り、キャッシュに保存します。
-
extdom_extop
プラグインは、LDAP 拡張操作を完了する IdM サーバーの SSSD サービスから情報を受信します。 - IdM クライアントの SSSD サービスは、LDAP 拡張操作から AD ユーザー情報を受信します。
- IdM クライアントは、AD ユーザー情報を SSSD キャッシュに保存し、要求したアプリケーションに情報を返します。
8.3. IdM で SSSD を使用してユーザーとして認証する場合にデータフロー
IdM サーバーまたはクライアントでユーザーとして認証するには、以下のコンポーネントが必要です。
- sshd サービスなどの認証要求を開始するサービス
- PAM (プラグ可能な認証モジュール) ライブラリーとそのモジュール。
- SSSD サービス、そのレスポンダー、およびバックエンド。
- スマートカード認証が設定されている場合は、スマートカードリーダー。
認証サーバー:
- IdM ユーザーは、IdM Kerberos Key Distribution Center (KDC) に対して認証されます。
- Active Directory (AD) ユーザーは、AD ドメインコントローラー (DC) に対して認証されます。
以下の図は、コマンドラインの SSH サービスを介してホストにローカルでログインしようとすると、情報フローを簡単に認証する必要がある場合を示しています。
-
ssh
コマンドで認証を試みると、libpam
ライブラリーがトリガーされます。 libpam
ライブラリー は、認証の試行を要求するサービスに対応する/etc/pam.d/
ディレクトリーの PAM ファイルを参照します。この例では、ローカルホストの SSH サービス経由で認証されている例では、pam_sss.so
ライブラリーは/etc/pam.d/system-auth
設定ファイルを確認し、SSSD PAM のpam_sss.so
エントリーを検出します。auth sufficient pam_sss.so
-
利用可能な認証方法を判断するため、
libpam
ライブラリーはpam_sss
モジュールを開き、SSSD サービスのsssd _pam
PAM レスポンダーにSSS_PAM_PREAUTH
リクエスト を送信します。 -
スマートカード認証が設定されていると、SSSD サービスは一時的な
p11_child
プロセスを生成し、スマートカードを確認し、そこから証明書を取得します。 -
ユーザーにスマートカード認証が設定されていると、
sssd_pam
レスポンダーは、スマートカードの証明書とユーザーを照合します。sssd_pam
レスポンダーは、グループメンバーシップがアクセス制御に影響する可能性があるため、ユーザーが属するグループの検索も実行します。 -
sssd_pam
レスポンダーは、SSS_PAM_PREAUTH
要求をsssd_be
バックエンドレスに送信し、パスワードや 2 要素認証などのサーバーがサポートする認証方法を表示します。SSSD サービスが IPA レスポンダーを使用する IdM 環境では、デフォルトの認証方法は Kerberos です。この例では、ユーザーは簡単な Kerberos パスワードで認証されます。 -
sssd_be
レスポンダーは一時的なkrb5_child
プロセスを起動します。 -
krb5_child
プロセスは、IdM サーバーの KDC に連絡して、利用可能な認証方法を確認します。 KDC はリクエストに応答します。
-
krb5_child
プロセスは応答を評価し、結果をsssd_be
バックエンドプロセスに送信します。 -
sssd_be
バックエンドプロセスが結果を受け取ります。 -
sssd_pam
レスポンダーは結果を受け取ります。 -
pam_sss
モジュールは結果を受け取ります。
-
-
ユーザーにパスワード認証が設定されていると、
pam_sss
モジュールにより、パスワードの入力が求められます。スマートカード認証が設定されていると、pam_sss
モジュールにより、スマートカードの PIN の入力が求められます。 モジュールは、ユーザー名とパスワードを使用して
SSS_PAM_
AUTHENTICATE 要求を送信します。これは以下が実行されます。-
sssd_pam
レスポンダー。 -
sssd_be
バックエンドプロセス。
-
-
sssd_be
プロセスは、KDC に問い合わせる一時的なkrb5_child
プロセスを起動します。 -
krb5_child
process は、ユーザー名とパスワードを使用して KDC から Kerberos チケット保証チケット (TGT) の取得を試みます。 -
krb5_child
プロセスは、認証の試行の結果を受け取ります。 krb5_child
プロセス:- TGT を認証情報キャッシュに保存します。
-
sssd_be
バックエンドプロセスに認証結果を返します。
認証結果は
sssd_be
プロセスから以下を行います。-
sssd_pam
レスポンダー。 -
pam_sss
モジュール。
-
-
pam_sss
モジュールは、その他のアプリケーションが参照できるように、環境変数をユーザーの TGT の場所で設定します。
8.4. 認証問題の範囲の制限
ユーザーを正常に認証するには、ユーザー情報を保存するデータベースから SSSD サービスでユーザー情報を取得できる必要があります。以下の手順では、認証プロセスの異なるコンポーネントをテストする手順を説明します。これにより、ユーザーがログインできない場合に認証の問題のスコープを制限する方法を説明します。
手順
SSSD サービスおよびそのプロセスが実行していることを確認します。
[root@client ~]# pstree -a | grep sssd |-sssd -i --logger=files | |-sssd_be --domain implicit_files --uid 0 --gid 0 --logger=files | |-sssd_be --domain example.com --uid 0 --gid 0 --logger=files | |-sssd_ifp --uid 0 --gid 0 --logger=files | |-sssd_nss --uid 0 --gid 0 --logger=files | |-sssd_pac --uid 0 --gid 0 --logger=files | |-sssd_pam --uid 0 --gid 0 --logger=files | |-sssd_ssh --uid 0 --gid 0 --logger=files | `-sssd_sudo --uid 0 --gid 0 --logger=files |-sssd_kcm --uid 0 --gid 0 --logger=files
クライアントが IP アドレスを使用してユーザーデータベースサーバーに接続できることを確認します。
[user@client ~]$ ping <IP_address_of_the_database_server>
この手順が失敗した場合は、ネットワークとファイアウォール設定が、IdM クライアントとサーバー間の直接通信が許可されていることを確認してください。firewalld の使用および設定 を参照してください。
クライアントが、完全修飾ホスト名を使用して IdM LDAP サーバー (IdM ユーザー用) または AD ドメインコントローラー (AD ユーザーの場合) を検出して連絡できることを確認します。
[user@client ~]$ dig -t SRV _ldap._tcp.example.com @<name_server> [user@client ~]$ ping <fully_qualified_host_name_of_the_server>
この手順が失敗した場合は、
/etc/resolv.conf
ファイルを含む Dynamic Name Service (DNS) の設定を確認してください。DNS サーバーの順序の設定 を参照してください。注記デフォルトでは、SSSD サービスは DNS サービス (SRV) レコードを介して LDAP サーバーと AD DC を自動的に検出しようとします。
sssd.conf
設定ファイルで以下のオプションを設定すると、SSSD サービスが特定のサーバーを使用するように制限できます。-
ipa_server = <fully_qualified_host_name_of_the_server>
-
ad_server = <fully_qualified_host_name_of_the_server>
-
ldap_uri = <fully_qualified_host_name_of_the_server>
このオプションを使用する場合は、そのオプションに記載されているサーバーと通信できることを確認します。
-
クライアントが LDAP サーバーに対して認証でき、
ldapsearch
コマンドでユーザー情報を取得できることを確認します。LDAP サーバーが
server.example.com
などの IdM サーバーである場合は、ホストの Kerberos チケットを取得し、ホスト Kerberos プリンシパルで認証されるデータベース検索を実行します。[user@client ~]$ kinit -k 'host/client.example.com@EXAMPLE.COM' [user@client ~]$ ldapsearch -LLL -Y GSSAPI -h server.example.com -b “dc=example,dc=com” uid=<user_name>
LDAP サーバーが
server.example.com
などの Active Directory (AD) Domain Controller (DC) サーバーである場合は、ホストの Kerberos チケットを取得し、ホスト Kerberos プリンシパルで認証されるデータベース検索を実行します。[user@client ~]$ kinit -k 'CLIENT$@AD.EXAMPLE.COM' [user@client ~]$ ldapsearch -LLL -Y GSSAPI -h server.ad.example.com -b “dc=example,dc=com” sAMAccountname=<user_name>
LDAP サーバーがプレーン LDAP サーバーであり、
sssd.conf
ファイルにldap_default_bind_dn
およびldap_default_authtok
オプションを設定した場合は、同じldap_default_bind_dn
アカウントとして認証されます。[user@client ~]$ ldapsearch -xLLL -D "cn=ldap_default_bind_dn_value" -W -h ldapserver.example.com -b “dc=example,dc=com” uid=<user_name>
この手順が失敗した場合は、データベース設定で、ホストが LDAP サーバーを検索できることを確認します。
SSSD サービスは Kerberos 暗号化を使用するため、ログインできないユーザーとして Kerberos チケットを取得できます。
LDAP サーバーが IdM サーバーの場合:
[user@client ~]$ kinit <user_name>
LDAP サーバーデータベースが AD サーバーの場合:
[user@client ~]$ kinit <user_name@AD.EXAMPLE.COM>
この手順が失敗した場合は、Kerberos サーバーが適切に動作し、すべてのサーバーが同期され、ユーザーアカウントがロックされていないことを確認します。
コマンドラインに関するユーザー情報を取得できることを確認します。
[user@client ~]$ getent passwd <user_name> [user@client ~]$ id <user_name>
この手順が失敗した場合は、クライアントの SSSD サービスがユーザーデータベースから情報を受信できることを確認します。
-
/var/log/messages
ログファイルのエラーを確認します。 - SSSD サービスで詳細なロギングを有効にし、デバッグログを収集して、問題のソースに関するログを確認します。
- (オプション) Red Hat テクニカルサポートケースを作成し、収集したトラブルシューティング情報を提供します。
-
ホストで
sudo
を実行することが許可されている場合は、sssctl
ユーティリティーを使用して、ユーザーがログインを許可されていることを確認します。[user@client ~]$ sudo sssctl user-checks -a auth -s ssh <user_name>
この手順が失敗した場合は、PAM 設定、IdM HBAC ルール、IdM RBAC ルールなどの承認設定を確認します。
-
ユーザーの UID が、
/etc/login.defs
ファイルで定義されているUID_MIN
以上であることを確認してください。 -
/var/log/secure
ログファイルおよび/var/log/messages
ログファイルで認証エラーを確認します。 - SSSD サービスで詳細なロギングを有効にし、デバッグログを収集して、問題のソースに関するログを確認します。
- (オプション) Red Hat テクニカルサポートケースを作成し、収集したトラブルシューティング情報を提供します。
-
ユーザーの UID が、
8.5. SSSD ログファイルおよびログレベル
それぞれの SSSD サービスは、/var/log/sssd/
ディレクトリーに独自のログファイルを記録します。example.com
IdM ドメインの IdM サーバーのログファイルは、以下のようになります。
[root@server ~]# ls -l /var/log/sssd/ total 620 -rw-------. 1 root root 0 Mar 29 09:21 krb5_child.log -rw-------. 1 root root 14324 Mar 29 09:50 ldap_child.log -rw-------. 1 root root 212870 Mar 29 09:50 sssd_example.com.log -rw-------. 1 root root 0 Mar 29 09:21 sssd_ifp.log -rw-------. 1 root root 0 Mar 29 09:21 sssd_implicit_files.log -rw-------. 1 root root 0 Mar 29 09:21 sssd.log -rw-------. 1 root root 219873 Mar 29 10:03 sssd_nss.log -rw-------. 1 root root 0 Mar 29 09:21 sssd_pac.log -rw-------. 1 root root 13105 Mar 29 09:21 sssd_pam.log -rw-------. 1 root root 9390 Mar 29 09:21 sssd_ssh.log -rw-------. 1 root root 0 Mar 29 09:21 sssd_sudo.log
8.5.1. SSSD ログファイルの目的
krb5_child.log
- Kerberos 認証に関連する有効期限の短いヘルパープロセスのログファイル。
ldap_child.log
- LDAP サーバーとの通信用の Kerberos チケットの取得に関連する短期ヘルパープロセスのログファイル。
sssd_<example.com>.log
sssd.conf
ファイルのドメインセクションごとに、SSSD サービスは LDAP サーバーとの通信に関する情報を別のログファイルに記録します。たとえば、example.com
という名前の IdM ドメインがある環境では、SSSD サービスはsssd_example.com.log
という名前のファイルのログにその情報を記録します。ホストがad.example.com
という名前の AD ドメインと直接統合されている場合は、sssd_ad.example.com.log
という名前のファイルのログに情報が記録されます。注記IdM 環境と、AD ドメインを持つフォレスト間の信頼があると、AD ドメインに関する情報は引き続き IdM ドメインのログファイルに記録されます。
同様に、ホストが AD ドメインに直接統合されている場合は、プライマリードメインのログファイルに、子ドメインに関する情報が書き込まれます。
selinux_child.log
- SELinux 情報を取得および設定する短期間ヘルパープロセスのログファイル。
sssd.log
- SSSD を監視して、レスポンダーおよびバックエンドプロセスと通信するためのログファイル。
sssd_ifp.log
- InfoPipe レスポンダーのログファイル。システムバスからアクセス可能なパブリック D-Bus インターフェイスを提供します。
sssd_nss.log
- ユーザーおよびグループ情報を取得する Name Services Switch (NSS) レスポンダーのログファイル。
sssd_pac.log
- AD Kerberos チケットから PAC を収集する Microsoft Privilege Attribute Certificate (PAC) レスポンダー用のログファイルは、PAC から PAC に関する情報を取得します。これにより、AD ユーザーを直接要求しないようにします。
sssd_pam.log
- PAM (Pluggable Authentication Module) レスポンダー用のログファイルです。
sssd_ssh.log
- SSH レスポンダープロセスのログファイル。
8.5.2. SSSD ロギングレベル
デバッグレベルを設定すると、それ下のすべてのデバッグレベルが有効になります。たとえば、debug レベルを 6 に設定すると、デバッグレベル 0 から 5 も有効になります。
レベル | 説明 |
---|---|
0 | 致命的な障害が発生しました。SSSD サービスが起動しなかったり、終了しないようにするエラー。これは、RHEL 8.3 以前のデフォルトのデバッグログレベルです。 |
1 | 重大なエラーSSSD サービスを終了しないものの、主要な機能は 1 つ以上正しく機能しません。 |
2 | 深刻なエラー。特定の要求または操作が失敗したことを示すエラー。これは、RHEL 8.4 以降のデフォルトのデバッグログレベルです。 |
3 | マイナーな障害が発生しました。レベル 2 で操作の失敗がキャプチャーされたエラー。 |
4 | 設定。 |
5 | 関数 データ。 |
6 | 操作関数のメッセージを追跡します。 |
7 | 内部制御 関数のメッセージトレース。 |
8 | 関数内部 変数の内容。 |
9 | 非常に 低いレベルのトレース 情報。 |
8.6. sssd.conf ファイルで SSSD の詳細なロギングの有効化
デフォルトでは、RHEL 8.4 以降の SSSD サービスは、重大な失敗 (デバッグレベル 2) のみをログに記録しますが、認証問題のトラブルシューティングに必要な詳細レベルではログに記録されません。
SSSD サービスの再起動時に詳細なロギングを有効にするには、/etc/sssd/sssd.conf
設定ファイルの各セクションに debug_level=<integer>
オプションを追加します。ここで、<integer>
の値は 0 から 9 の数字になります。デバッグレベルは最大 3 つのログで、最大 3 つのログで、レベル 8 以上では、多くの詳細なログメッセージを提供します。レベル 6 は、認証の問題のデバッグに役立ちます。
前提条件
-
sssd.conf
設定ファイルを編集し、SSSD サービスを再起動するには、root パスワードが必要です。
手順
-
テキストエディターで
/etc/sssd/sssd.conf
ファイルを開きます。 debug_level
オプションをファイルのすべてのセクションに追加し、デバッグレベルを、選択した詳細に設定します。[domain/example.com] debug_level = 6 id_provider = ipa ... [sssd] debug_level = 6 services = nss, pam, ifp, ssh, sudo domains = example.com [nss] debug_level = 6 [pam] debug_level = 6 [sudo] debug_level = 6 [ssh] debug_level = 6 [pac] debug_level = 6 [ifp] debug_level = 6
-
sssd.conf
ファイルを保存して閉じます。 SSSD サービスを再起動して、新しい設定を読み込みます。
[root@server ~]# systemctl restart sssd
関連情報
8.7. sssctl コマンドを使用した SSSD の詳細なロギングの有効化
デフォルトでは、RHEL 8.4 以降の SSSD サービスは、重大な失敗 (デバッグレベル 2) のみをログに記録しますが、認証問題のトラブルシューティングに必要な詳細レベルではログに記録されません。
sssctl debug-level <integer>
コマンドを使用して、コマンドラインで SSSD サービスのデバッグレベルを変更できます。ここで、<integer>
の値は 0 から 9 の数字になります。デバッグレベルは最大 3 つのログで、最大 3 つのログで、レベル 8 以上では、多くの詳細なログメッセージを提供します。レベル 6 は、認証の問題のデバッグに役立ちます。
前提条件
-
sssctl
コマンドを実行するには、root パスワードが必要です。
手順
sssctl debug-level コマンドを使用して、希望の詳細度に対して選択したデバッグレベルを設定します。
[root@server ~]# sssctl debug-level 6
関連情報
8.8. SSSD サービスからデバッグログを収集し、IdM サーバーによる認証問題のトラブルシューティング
IdM ユーザーが IdM サーバーへの認証を試行する際に問題が発生した場合は、サーバー上の SSSD サービスで詳細なデバッグロギングを有効にし、ユーザーに関する情報の取得を試行するログを収集します。
前提条件
-
sssctl
コマンドを実行して SSSD サービスを再起動するには、root パスワードが必要です。
手順
IdM サーバーで詳細な SSSD デバッグロギングを有効にします。
[root@server ~]# sssctl debug-level 6
認証問題が発生しているユーザーの SSSD キャッシュでオブジェクトを無効にするため、LDAP サーバーを省略し、SSSD がすでにキャッシュされている情報を取得しません。
[root@server ~]# sssctl cache-expire -u idmuser
古い SSSD ログを削除して、トラブルシューティングのデータセットを最小限に抑える。
[root@server ~]# sssctl logs-remove
認証問題が発生し、試行前後にタイムスタンプを収集する際に、ユーザーが認証問題が発生しようと試みます。これらのタイムスタンプは、データセットのスコープをさらに絞り込むことができます。
[root@server sssd]# date; su idmuser; date Mon Mar 29 15:33:48 EDT 2021 su: user idmuser does not exist Mon Mar 29 15:33:49 EDT 2021
(オプション) 詳細な SSSD ログの収集を続行しない場合は、デバッグレベルを下げます。
[root@server ~]# sssctl debug-level 2
障害のある要求に関する情報を SSSD ログで確認します。たとえば、
/var/log/sssd/sssd_example.com.log
ファイルを確認すると、SSSD サービスがcn=accounts,dc=example,dc=com
LDAP サブツリーでユーザーを見つけられなかったことを示しています。これは、ユーザーが存在しないか、別の場所に存在することを示しています。(Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [dp_get_account_info_send] (0x0200): Got request for [0x1][BE_REQ_USER][name=idmuser@example.com] ... (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sdap_get_generic_ext_step] (0x0400): calling ldap_search_ext with [(&(uid=idmuser)(objectclass=posixAccount)(uid=)(&(uidNumber=)(!(uidNumber=0))))][cn=accounts,dc=example,dc=com]. (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sdap_get_generic_op_finished] (0x0400): Search result: Success(0), no errmsg set (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sdap_search_user_process] (0x0400): Search for users, returned 0 results. (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sysdb_search_by_name] (0x0400): No such entry (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sysdb_delete_user] (0x0400): Error: 2 (No such file or directory) (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sysdb_search_by_name] (0x0400): No such entry (Mon Mar 29 15:33:49 2021) [sssd[be[example.com]]] [ipa_id_get_account_info_orig_done] (0x0080): Object not found, ending request
認証問題の原因を判断できない場合は、以下を行います。
最近生成した SSSD ログを収集します。
[root@server ~]# sssctl logs-fetch sssd-logs-Mar29.tar
Red Hat テクニカルサポートケースを作成し、以下を提供します。
-
SSSD ログ:
sssd-logs-Mar29.tar
ログに対応する要求のタイムスタンプおよびユーザー名を含むコンソールの出力。
[root@server sssd]# date; id idmuser; date Mon Mar 29 15:33:48 EDT 2021 id: ‘idmuser’: no such user Mon Mar 29 15:33:49 EDT 2021
-
SSSD ログ:
8.9. SSSD サービスからデバッグログを収集し、IdM クライアントによる認証問題のトラブルシューティング
IdM クライアントに IdM ユーザーとして認証を試行する際に問題が発生した場合は、IdM サーバーでユーザー情報を取得できることを確認します。IdM サーバーでユーザー情報を取得できない場合は、(IdM サーバーから情報を取得する) IdM クライアントでそれを取得できなくなります。
認証の問題が IdM サーバーから生成されていないことを確認したら、IdM サーバーと IdM クライアントの両方から SSSD デバッグログを収集していました。
前提条件
- IdM サーバーではなく、IdM クライアントで認証の問題のみがあります。
-
sssctl
コマンドを実行して SSSD サービスを再起動するには、root パスワードが必要です。
手順
-
クライアントで、テキストエディターで
/etc/sssd/sssd.conf
ファイルを開きます。 クライアントで、
ipa_server
オプションをファイルの[domain]
セクションに追加し、IdM サーバーに設定します。これにより、IdM クライアントは他の IdM サーバーの自動検出を避け、このテストを 1 つのクライアントおよびサーバー 1 台だけに制限します。[domain/example.com] ipa_server = server.example.com ...
-
クライアントで
sssd.conf
ファイルを保存して閉じます。 クライアントで SSSD サービスを再起動して、設定の変更を読み込みます。
[root@client ~]# systemctl restart sssd
サーバーおよびクライアントで、詳細な SSSD デバッグロギングを有効にします。
[root@server ~]# sssctl debug-level 6
[root@client ~]# sssctl debug-level 6
サーバーおよびクライアントで、認証問題が発生しているユーザーの SSSD キャッシュの検証オブジェクトでは、LDAP データベースを迂回せず、SSSD がすでにキャッシュされています。
[root@server ~]# sssctl cache-expire -u idmuser
[root@client ~]# sssctl cache-expire -u idmuser
サーバーおよびクライアントで、古い SSSD ログを削除して、トラブルシューティングのデータセットを最小限に抑える。
[root@server ~]# sssctl logs-remove
[root@server ~]# sssctl logs-remove
クライアントで、認証問題が発生し、試行前後にタイムスタンプを収集する際に、ユーザーが認証問題が発生しようと試みます。これらのタイムスタンプは、データセットのスコープをさらに絞り込むことができます。
[root@client sssd]# date; su idmuser; date Mon Mar 29 16:20:13 EDT 2021 su: user idmuser does not exist Mon Mar 29 16:20:14 EDT 2021
(オプション) サーバーおよびクライアント 詳細な SSSD ログの収集したくない場合はデバッグレベルを下げます。
[root@server ~]# sssctl debug-level 0
[root@client ~]# sssctl debug-level 0
サーバーおよびクライアントで、失敗した要求に関する情報を SSSD ログを確認します。
- クライアントログのクライアントからの要求を確認します。
- サーバーログのクライアントからの要求を確認します。
- サーバーログでリクエストの結果を確認します。
- サーバーからリクエストの結果を受信するクライアントの結果を確認します。
認証問題の原因を判断できない場合は、以下を行います。
IdM サーバーおよび IdM クライアントで最近生成した SSSD ログを収集します。ホスト名またはロールに応じてラベルを付けます。
[root@server ~]# sssctl logs-fetch sssd-logs-server-Mar29.tar
[root@client ~]# sssctl logs-fetch sssd-logs-client-Mar29.tar
Red Hat テクニカルサポートケースを作成し、以下を提供します。
SSSD デバッグログ:
-
サーバーから
sssd-logs-server-Mar29.tar
-
クライアントからの
sssd-logs-client-Mar29.tar
-
サーバーから
ログに対応する要求のタイムスタンプおよびユーザー名を含むコンソールの出力。
[root@client sssd]# date; su idmuser; date Mon Mar 29 16:20:13 EDT 2021 su: user idmuser does not exist Mon Mar 29 16:20:14 EDT 2021
8.10. SSSD バックエンドでのクライアント要求の追跡
SSSD は要求を非同期に処理します。別の要求のメッセージが同じログファイルに追加されるため、一意の要求識別子とクライアント ID を使用して、バックエンドログ内のクライアント要求を追跡できます。一意のリクエスト識別子は、RID#<integer>
の形式でデバッグログに追加され、クライアント ID はフォーム [CID #<integer]
に追加されます。これにより、個々の要求に関連するログを分離でき、複数の SSSD コンポーネントからのログファイル全体でリクエストを最初から最後まで追跡できます。
前提条件
- デバッグロギングを有効にし、IdM クライアントから要求が送信されている。
- SSSD ログファイルの内容を表示するための root 権限を持っている。
手順
SSSD ログファイルを確認するには、
less
ユーティリティーを使用してログファイルを開きます。たとえば、/var/log/sssd/sssd_example.com.log
を表示するには、次のコマンドを実行します。[root@server ~]# less /var/log/sssd/sssd_example.com.log
クライアント要求に関する情報は、SSSD ログを確認します。
(2021-07-26 18:26:37): [be[testidm.com]] [dp_req_destructor] (0x0400): [RID#3] Number of active DP request: 0 (2021-07-26 18:26:37): [be[testidm.com]] [dp_req_reply_std] (0x1000): [RID#3] DP Request AccountDomain #3: Returning [Internal Error]: 3,1432158301,GetAccountDomain() not supported (2021-07-26 18:26:37): [be[testidm.com]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#4] DP Request Account #4: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001]. (2021-07-26 18:26:37): [be[testidm.com]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#4] Number of active DP request: 1
SSSD ログファイルからのこの出力例は、2 つの異なる要求について一意の識別子の
RID#3
およびRID#4
を示しています。
ただし、SSSD クライアントインターフェイスへの 1 つのクライアント要求が、バックエンドで複数の要求をトリガーすることが多いため、クライアント要求とバックエンドの要求との間に 1 対 1 の相関関係がなくなります。バックエンド内の複数のリクエストには異なる RID 番号がありますが、最初の各バックエンドリクエストには一意のクライアント ID が含まれているため、管理者は単一のクライアントリクエストに対して複数の RID 番号を追跡できます。
以下の例は、1 つのクライアントリクエスト [sssd.nss CID #1]
と、バックエンドで生成された複数のリクエスト ([RID#5]
から [RID#13]
) を示しています。
(2021-10-29 13:24:16): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#5] DP Request [Account #5]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001]. (2021-10-29 13:24:16): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#6] DP Request [AccountDomain #6]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001]. (2021-10-29 13:24:16): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#7] DP Request [Account #7]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001]. (2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#8] DP Request [Initgroups #8]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001]. (2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#9] DP Request [Account #9]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001]. (2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#10] DP Request [Account #10]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001]. (2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#11] DP Request [Account #11]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001]. (2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#12] DP Request [Account #12]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001]. (2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#13] DP Request [Account #13]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
8.11. ログアナライザーツールを使用したクライアント要求の追跡
System Security Services Daemon (SSSD) には、複数の SSSD コンポーネントからのログファイル全体でリクエストを最初から最後まで追跡するために使用できるログ解析ツールが含まれています。
8.11.1. ログアナライザツールのしくみ
ログ解析ツールを使用すると、複数の SSSD コンポーネントからのログファイル全体で SSSD リクエストを最初から最後まで追跡できます。sssctl analyze
コマンドを使用してアナライザーツールを実行します。
ログアナライザツールは、SSSD の NSS および PAM の問題をトラブルシューティングし、SSSD デバッグログをより簡単に確認するのに役立ちます。SSSD プロセス全体の特定のクライアントリクエストにのみ関連する SSSD ログを抽出して出力できます。
SSSD は、ユーザー認証 (su
、ssh
) 情報とは別に、ユーザーおよびグループの ID 情報 (id
、getent
) を追跡します。NSS レスポンダのクライアント ID(CID) は PAM レスポンダーの CID とは独立しており、NSS と PAM のリクエストを解析すると重複した数値が表示されます。--pam
オプションを sssctl analyze
コマンドとともに使用して、PAM リクエストを確認します。
SSSD メモリーキャッシュから返されたリクエストはログに記録されず、ログアナライザツールで追跡できません。
関連情報
-
sudo sssctl analyze request --help
-
sudo sssctl analyze --help
-
sssd.conf
man ページ -
sssctl
の man ページ
8.11.2. ログアナライザツールの実行
ログアナライザーツールを使用して SSSD でクライアントリクエストを追跡するには、次の手順に従います。
前提条件
-
ログ解析機能を有効にするには、
/etc/sssd/sssd.conf
ファイルの [$responder] セクション、および [domain/$domain] セクションでdebug_level
を 7 以上に設定する必要がある。 -
分析するログは、
libtevent
チェーン ID をサポートする互換性のあるバージョンの SSSD、つまり RHEL 8.5 以降の SSSD からのものである必要がある。
手順
ログアナライザツールを list モードで実行して、追跡しているリクエストのクライアント ID を特定し、
-v
オプションを追加して詳細な出力を表示します。# sssctl analyze request list -v
SSSD に対して行われた最近のクライアントリクエストの詳細なリストが表示されます。
注記PAM リクエストを分析する場合は、
sssctl analyze request list
コマンドを-pam
オプション付きで実行します。show [unique client ID]
オプションを指定してログアナライザツールを実行し、指定したクライアント ID 番号に関連するログを表示します。# sssctl analyze request show 20
必要に応じて、ログファイルに対してログアナライザツールを実行できます。次に例を示します。
# sssctl analyze request --logdir=/tmp/var/log/sssd
関連情報
-
sssctl analyze request list --help
-
sssctl analyze request show --help
-
sssctl
の man ページ。
8.12. 関連情報
第9章 Ansible Playbook を使用して IdM を管理する環境の準備
Identity Management (IdM) を管理するシステム管理者は、Red Hat Ansible Engine を使用する際に以下を行うことが推奨されます。
- ホームディレクトリーに Ansible Playbook 専用のサブディレクトリー (例: ~/MyPlaybooks) を作成します。
-
/usr/share/doc/ansible-freeipa/*
と/usr/share/doc/rhel-system-roles/*
ディレクトリーおよびサブディレクトリーから ~/MyPlaybooks ディレクトリーにサンプル Ansible Playbook をコピーして調整します。 - ~/MyPlaybooks ディレクトリーにインベントリーファイルを追加します。
このプラクティスを使用すると、すべての Playbook を 1 か所で見つけることができます。
マネージドノードで root
権限を呼び出さずに ansible-freeipa
Playbook を実行できます。例外には、ipaserver
、ipareplica
、ipaclient
、ipasmartcard_server
、ipasmartcard_client
、および ipabackup
ansible-freeipa
ロールを使用する Playbook が含まれます。これらのロールには、ディレクトリーおよび dnf
ソフトウェアパッケージマネージャーへの特権アクセスが必要です。
Red Hat Enterprise Linux IdM ドキュメントの Playbook は、次の セキュリティー設定 を前提としています。
-
IdM
admin
は、管理ノードのリモート Ansible ユーザーです。 -
Ansible vault に暗号化された IdM
admin
パスワードを保存します。 - Ansible vault を保護するパスワードをパスワードファイルに配置しました。
- ローカルの ansible ユーザーを除く全員に対して、vault パスワードファイルへのアクセスをブロックします。
- vault パスワードファイルを定期的に削除して再作成します。
別のセキュリティー設定 も検討してください。
9.1. Ansible Playbook を使用して IdM を管理するためのコントロールノードと管理ノードの準備
~/MyPlaybooks ディレクトリーを作成し、それを使用して Ansible Playbook を保存および実行できるように設定するには、次の手順に従います。
前提条件
- 管理対象ノードに IdM サーバー (server.idm.example.com および replica.idm.example.com) をインストールしている。
- DNS およびネットワークを設定し、コントロールノードから直接管理対象ノード (server.idm.example.com および replica.idm.example.com) にログインすることができる。
-
IdM
admin
のパスワードを把握している。
手順
~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。
$ cd ~/MyPlaybooks
~/MyPlaybooks/ansible.cfg ファイルを以下の内容で作成します。
[defaults] inventory = /home/your_username/MyPlaybooks/inventory remote_user = admin
~/MyPlaybooks/inventory ファイルを以下の内容で作成します。
[eu] server.idm.example.com [us] replica.idm.example.com [ipaserver:children] eu us
この設定は、これらの場所にあるホストの 2 つのホストグループ (eu と us) を定義します。さらに、この設定は、eu および us グループのすべてのホストを含む ipaserver ホストグループを定義します。
[オプション] SSH 公開鍵および秘密鍵を作成します。テスト環境でのアクセスを簡素化するには、秘密鍵にパスワードを設定しないでください。
$ ssh-keygen
各マネージドノードの IdM
admin
アカウントに SSH 公開鍵をコピーします。$ ssh-copy-id admin@server.idm.example.com $ ssh-copy-id admin@replica.idm.example.com
これらのコマンドでは、IdM
管理者
パスワードを入力します。Vault パスワードを含む password_file ファイルを作成します。
redhat
ファイルを変更する権限を変更します。
$ chmod 0600 password_file
IdM の
admin
パスワードを保存する secret.yml Ansible Vault を作成します。Vault パスワードを保存するように password_file を設定します。
$ ansible-vault create --vault-password-file=password_file secret.yml
プロンプトが表示されたら、secret.yml ファイルの内容を入力します。
ipaadmin_password: Secret123
Playbook で暗号化された ipaadmin_password
を使用するには、vars_file
ディレクティブを使用する必要があります。たとえば、IdM ユーザーを削除する単純な Playbook は次のようになります。
--- - name: Playbook to handle users hosts: ipaserver vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: - name: Delete user robot ipauser: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" name: robot state: absent
Playbook を実行するときに、--vault-password-file=password_file
オプションを追加して、Ansible に Vault パスワードを使用して ipaadmin_password
を復号するように指示します。以下に例を示します。
ansible-playbook -i inventory --vault-password-file=password_file del-user.yml
セキュリティー上の理由から、各セッションの終了時に Vault パスワードファイルを削除し、新しいセッションの開始時に手順 7 ~ 9 を繰り返します。
9.2. ansible-freeipa Playbook に必要な認証情報を提供するさまざまな方法
ansible-freeipa
ロールおよびモジュールを使用する Playbook の実行に必要な認証情報を提供するための様々な方法には長所と短所があります。
Playbook にパスワードを平文で保存する
利点:
- Playbook を実行するたびにプロンプトが表示されません。
- 実装が簡単。
短所:
- ファイルにアクセスできるすべてのユーザーがパスワードを読み取ることができます。内部または外部のリポジトリーなどで間違った権限を設定してファイルを共有すると、セキュリティーが損なわれる可能性があります。
- 高いメンテナンス作業: パスワードが変更された場合は、すべての Playbook で変更する必要があります。
Playbook の実行時に対話的にパスワードを入力する
利点:
- パスワードはどこにも保存されないため、誰もパスワードを盗むことはできません。
- パスワードを簡単に更新できます。
- 実装が簡単。
短所:
- スクリプトで Ansible Playbook を使用している場合は、パスワードを対話的に入力する必要があると不便な場合があります。
パスワードを Ansible Vault に保存し、Vault パスワードをファイルに保存します。
利点:
- ユーザーパスワードは暗号化されて保存されます。
- 新しい Ansible Vault を作成することで、ユーザーパスワードを簡単に更新できます。
-
ansible-vault rekey --new-vault-password-file=NEW_VAULT_PASSWORD_FILE secret.yml
コマンドを使用して、ansible Vault を保護するパスワードファイルを簡単に更新できます。 - スクリプトで Ansible Playbook を使用している場合は、Ansible Vault を対話的に保護するパスワードを入力する必要がないのは便利です。
短所:
- 機密性の高いプレーンテキストパスワードを含むファイルは、ファイルのアクセス許可やその他のセキュリティー対策によって保護することが重要です。
パスワードを Ansible Vault に保存し、Vault のパスワードを対話的に入力する
利点:
- ユーザーパスワードは暗号化されて保存されます。
- Vault のパスワードはどこにも保存されていないため、誰も盗むことはできません。
- 新しい Ansible Vault を作成することで、ユーザーパスワードを簡単に更新できます。
-
ansible-vault rekey file_name
コマンドを使用して、Vault パスワードも簡単に更新できます。
短所:
- スクリプトで Ansible Playbook を使用している場合は、Vault のパスワードを対話的に入力する必要があると不便な場合があります。
第10章 Ansible Playbook でのグローバル IdM 設定
Ansible 設定
モジュールを使用すると、Identity Management (IdM) のグローバル設定パラメーターを取得および設定できます。
10.1. Ansible Playbook での IdM 設定の取得
以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、現在のグローバル IdM 設定に関する情報を取得する方法を説明します。
前提条件
- IdM 管理者パスワードを把握している。
次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。
- Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
-
Ansible コントローラーに
ansible-freeipa
パッケージがインストールされている。 - この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
-
この例では、secret.yml Ansible vault に
ipaadmin_password
が保存されていることを前提としています。
-
ターゲットノード (
ansible-freeipa
モジュールが実行されるノード) が、IdM クライアント、サーバー、またはレプリカとして IdM ドメインに含まれている。
手順
Ansible Playbook ファイル
/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/retrieve-config.yml
を開いて編集します。--- - name: Playbook to handle global IdM configuration hosts: ipaserver become: no gather_facts: no vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: - name: Query IPA global configuration ipaconfig: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" register: serverconfig - debug: msg: "{{ serverconfig }}"
以下を変更してファイルを調整します。
- IdM 管理者のパスワード。
- その他の値 (必要な場合)。
- ファイルを保存します。
Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。
$ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/retrieve-config.yml [...] TASK [debug] ok: [server.idm.example.com] => { "msg": { "ansible_facts": { "discovered_interpreter_ }, "changed": false, "config": { "ca_renewal_master_server": "server.idm.example.com", "configstring": [ "AllowNThash", "KDC:Disable Last Success" ], "defaultgroup": "ipausers", "defaultshell": "/bin/bash", "emaildomain": "idm.example.com", "enable_migration": false, "groupsearch": [ "cn", "description" ], "homedirectory": "/home", "maxhostname": "64", "maxusername": "64", "pac_type": [ "MS-PAC", "nfs:NONE" ], "pwdexpnotify": "4", "searchrecordslimit": "100", "searchtimelimit": "2", "selinuxusermapdefault": "unconfined_u:s0-s0:c0.c1023", "selinuxusermaporder": [ "guest_u:s0$xguest_u:s0$user_ ], "usersearch": [ "uid", "givenname", "sn", "telephonenumber", "ou", "title" ] }, "failed": false } }
10.2. Ansible Playbook での IdM CA 更新サーバーの設定
組み込みの認証局 (CA) を使用する Identity Management (IdM) デプロイメントでは、CA 更新サーバーが IdM システム証明書を維持および更新します。IdM デプロイメントを確実に堅牢化します。
IdM CA 更新サーバーロールの詳細は、IdM CA 更新サーバーの使用 を参照してください。
以下の手順では、Ansible Playbook を使用して IdM CA 更新サーバーを設定する方法を説明します。
前提条件
- IdM 管理者パスワードを把握している。
次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。
- Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
-
Ansible コントローラーに
ansible-freeipa
パッケージがインストールされている。 - この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
-
この例では、secret.yml Ansible vault に
ipaadmin_password
が保存されていることを前提としています。
-
ターゲットノード (
ansible-freeipa
モジュールが実行されるノード) が、IdM クライアント、サーバー、またはレプリカとして IdM ドメインに含まれている。
手順
必要に応じて、現在の IdM CA 更新サーバーを特定します。
$ ipa config-show | grep 'CA renewal' IPA CA renewal master: server.idm.example.com
inventory.file
などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルにipaserver
を定義します。[ipaserver] server.idm.example.com
Ansible Playbook ファイル
/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/set-ca-renewal-master-server.yml
を開いて編集します。--- - name: Playbook to handle global DNS configuration hosts: ipaserver become: no gather_facts: no vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: - name: set ca_renewal_master_server ipaconfig: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" ca_renewal_master_server: carenewal.idm.example.com
以下を変更してファイルを調整します。
-
ipaadmin_password
変数で設定した IdM 管理者のパスワード -
ca_renewal_master_server
変数で設定した CA 更新サーバーの名前。
-
- ファイルを保存します。
Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。
$ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/set-ca-renewal-master-server.yml
検証手順
CA 更新サーバーが変更されたことを確認します。
IdM 管理者として
ipaserver
にログインします。$ ssh admin@server.idm.example.com Password: [admin@server /]$
IdM CA 更新サーバーの ID を要求します。
$ ipa config-show | grep ‘CA renewal’ IPA CA renewal master: carenewal.idm.example.com
この出力には、carenewal.idm.example.com サーバーが新しい CA 更新サーバーであることが分かります。
10.3. Ansible Playbook での IdM ユーザーのデフォルトシェルの設定
シェルとは、コマンドを受け入れて変換するプログラムです。Red Hat Enterprise Linux (RHEL) では、bash
、sh
、ksh
、zsh
、fish
など、複数のシェルが利用できます。Bash
(または /bin/bash
) は、ほとんどの Linux システムで一般的なシェルです。通常は、RHEL のユーザーアカウントのデフォルトシェルです。
以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、IdM ユーザーのデフォルトシェルとして別のシェルである sh
を設定する方法を説明します。
前提条件
- IdM 管理者パスワードを把握している。
次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。
- Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
-
Ansible コントローラーに
ansible-freeipa
パッケージがインストールされている。 - この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
-
この例では、secret.yml Ansible vault に
ipaadmin_password
が保存されていることを前提としています。
-
ターゲットノード (
ansible-freeipa
モジュールが実行されるノード) が、IdM クライアント、サーバー、またはレプリカとして IdM ドメインに含まれている。
手順
-
必要に応じて、Ansible Playbook
retrieve-config.yml
を使用して、IdM ユーザーの現在のシェルを特定します。詳細は、Ansible Playbook での IdM 設定の取得 を参照してください。 inventory.file
などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルにipaserver
を定義します。[ipaserver] server.idm.example.com
Ansible Playbook
/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/ensure-config-options-are-set.yml
ファイルを開いて編集します。--- - name: Playbook to ensure some config options are set hosts: ipaserver vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: # Set defaultlogin and maxusername - ipaconfig: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" defaultshell: /bin/bash maxusername: 64
以下を変更してファイルを調整します。
-
ipaadmin_password
変数で設定した IdM 管理者のパスワード -
defaultshell
変数で設定されている IdM ユーザーのデフォルトのシェルが/bin/sh
に設定されます。
-
- ファイルを保存します。
Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。
$ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file /usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config/ensure-config-options-are-set.yml
検証手順
IdM で新しいセッションを開始すると、デフォルトのユーザーシェルが変更されていることを確認できます。
IdM 管理者として
ipaserver
にログインします。$ ssh admin@server.idm.example.com Password: [admin@server /]$
現在のシェルを表示します。
[admin@server /]$ echo "$SHELL" /bin/sh
ログインしているユーザーが
sh
シェルを使用している。
10.4. Ansible を使用した IdM ドメインの NETBIOS 名の設定
NetBIOS 名は、Microsoft Windows (SMB) タイプの共有およびメッセージングに使用されます。NetBIOS 名を使用して、ドライブをマップしたり、プリンターに接続したりできます。
以下の手順に従って、Ansible Playbook を使用して Identity Management (IdM) ドメインの NetBIOS 名を設定します。
前提条件
次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。
- Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
-
ansible-freeipa
パッケージをインストールしている。
想定条件
- この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
-
この例では、secret.yml Ansible ボールトに
ipaadmin_password
が保存されており、ボールトファイルのパスワードを知っていることを前提としています。
手順
~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。
$ cd ~/MyPlaybooks/
- netbios-domain-name-present.yml Ansible Playbook ファイルを作成します。
以下の内容をファイルに追加します。
--- - name: Playbook to change IdM domain netbios name hosts: ipaserver become: no gather_facts: no vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: - name: Set IdM domain netbios name ipaconfig: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" netbios_name: IPADOM
- ファイルを保存します。
Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。
$ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory netbios-domain-name-present.yml
プロンプトが表示されたら、ボールトファイルのパスワードを入力します。
10.5. Ansible を使用して IdM ユーザーとグループに SID があることを確認する
Identity Management (IdM) サーバーは、ローカルドメインの ID 範囲のデータに基づいて、一意のセキュリティー識別子 (SID) を IdM ユーザーおよびグループに内部的に割り当てることができます。SID は、ユーザーオブジェクトとグループオブジェクトに格納されます。
IdM ユーザーとグループに SID があることを確認する目的は、特権属性証明書 (PAC) の生成を許可することです。これは、IdM-IdM 信頼への最初のステップです。IdM ユーザーおよびグループが SID を持っている場合、IdM は PAC データを使用して Kerberos チケットを発行できます。
次の目標を達成するには、次の手順に従ってください。
- 既存の IdM ユーザーおよびユーザーグループの SID を生成します。
- IdM の新しいユーザーおよびグループの SID の生成を有効にします。
前提条件
次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。
- Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
-
ansible-freeipa
パッケージをインストールしている。
想定条件
- この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
-
この例では、secret.yml Ansible ボールトに
ipaadmin_password
が保存されており、ボールトファイルのパスワードを知っていることを前提としています。
手順
~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに移動します。
$ cd ~/MyPlaybooks/
- sids-for-users-and-groups-present.yml Ansible Playbook ファイルを作成します。
以下の内容をファイルに追加します。
--- - name: Playbook to ensure SIDs are enabled and users and groups have SIDs hosts: ipaserver become: no gather_facts: no vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: - name: Enable SID and generate users and groups SIDS ipaconfig: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" enable_sid: true add_sids: true
enable_sid
変数は、将来の IdM ユーザーおよびグループの SID 生成を有効にします。add_sids
変数は、既存の IdM ユーザーおよびグループの SID を生成します。注記add_sids: true
を使用する場合は、enable_sid
変数をtrue
に設定する必要もあります。- ファイルを保存します。
Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。
$ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i inventory sids-for-users-and-groups-present.yml
プロンプトが表示されたら、ボールトファイルのパスワードを入力します。
10.6. 関連情報
-
/usr/share/doc/ansible-freeipa/
ディレクトリーのREADME-config.md
を参照してください。 -
/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/config
ディレクトリーのサンプルの Playbook を参照してください。
第11章 コマンドラインでユーザーアカウントの管理
IdM (Identity Management) のユーザーライフサイクルには、次のようないくつかの段階があります。
- ユーザーアカウントを作成する
- ステージユーザーアカウントをアクティベートする
- ユーザーアカウントを保存する
- アクティブユーザー、ステージユーザー、または保存済みユーザーのアカウントを削除する
- 保存済みユーザーアカウントを復元する
11.1. ユーザーのライフサイクル
Identity Management (IdM) は、次の 3 つのユーザーアカウント状態に対応します
- ステージ ユーザーは認証できません。これは初期状態です。アクティブユーザーに必要なユーザーアカウントプロパティーをすべて設定できるわけではありません (例: グループメンバーシップ)。
- アクティブ ユーザーは認証が可能です。必要なユーザーアカウントプロパティーはすべて、この状態で設定する必要があります。
- 保存済み ユーザーは、以前にアクティブであったユーザーで、現在は非アクティブであるとみなされており、IdM への認証ができません。保存済みユーザーには、アクティブユーザーのときに有効になっていたアカウントプロパティーの大部分が保持されていますが、ユーザーグループからは除外されています。
IdM データベースからユーザーエントリーを完全に削除できます。
削除したユーザーアカウントを復元することはできません。ユーザーアカウントを削除すると、そのアカウントに関連する情報がすべて完全に失われます。
新規管理者は、デフォルトの管理ユーザーなど、管理者権限を持つユーザーのみが作成できます。すべての管理者アカウントを誤って削除した場合は、Directory Manager が、Directory Server に新しい管理者を手動で作成する必要があります。
admin
ユーザーを削除しないでください。admin
は IdM で必要な事前定義ユーザーであるため、この操作では特定のコマンドで問題が生じます。別の admin
ユーザーを定義して使用する場合は、管理者権限を少なくとも 1 つのユーザーに付与してから、ipa user-disable admin
を使用して、事前定義された admin ユーザーを無効にします。
ローカルユーザーを IdM に追加しないでください。Name Service Switch (NSS) は、ローカルユーザーとグループを解決する前に、IdM ユーザーとグループを常に解決します。つまり、たとえば IdM グループのメンバーシップは、ローカルユーザーでは機能しません。
11.2. コマンドラインを使用したユーザーの追加
以下のようにユーザーを追加できます。
- アクティブ - ユーザーがアクティブに使用できるユーザーアカウント
- ステージ - ユーザーは、このアカウントを使用できません。新規ユーザーアカウントを準備する場合は、このタイプを使用します。ユーザーがアカウントを使用する準備ができると、アクティベートできます。
以下の手順では、ipa user-add
コマンドを使用して、アクティブなユーザーを IdM サーバーに追加する方法を説明します。
同様に、ipa stageuser-add
コマンドでステージユーザーアカウントを作成できます。
IdM は、一意のユーザー ID (UID) を新しいユーザーアカウントに自動的に割り当てます。手動で行うこともできますが、サーバーは UID 番号が一意かどうかを検証しません。このため、複数のユーザーエントリーに同じ ID 番号が割り当てられる可能性があります。Red Hat は、複数のエントリーに同じ UID を割り当てることがないようにすることを推奨します。
前提条件
- IdM、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
- Kerberos チケットを取得している。詳細は、Using kinit to log in to IdM manually を参照してください。
手順
- 端末を開き、IdM サーバーに接続します。
ユーザーのログイン、ユーザーの名前、および名字を追加します。メールアドレスを追加することもできます。
$ ipa user-add user_login --first=first_name --last=last_name --email=email_address
IdM は、以下の正規表現で説明できるユーザー名をサポートします。
[a-zA-Z0-9_.][a-zA-Z0-9_.-]{0,252}[a-zA-Z0-9_.$-]?
注記ユーザー名の末尾がドル記号 ($) で終わる場合は、Samba 3.x マシンでのサポートが有効になります。
大文字を含むユーザー名を追加すると、IdM が名前を保存する際に自動的に小文字に変換されます。したがって、IdM にログインする場合は、常にユーザー名を小文字で入力する必要があります。また、user と User など、大文字と小文字のみが異なるユーザー名を追加することはできません。
ユーザー名のデフォルトの長さは、最大 32 文字です。これを変更するには、
ipa config-mod --maxusername
コマンドを使用します。たとえば、ユーザー名の最大長を 64 文字にするには、次のコマンドを実行します。$ ipa config-mod --maxusername=64 Maximum username length: 64 ...
ipa user-add
コマンドには、多くのパラメーターが含まれます。リストを表示するには、ipa help コマンドを使用します。$ ipa help user-add
ipa help
コマンドの詳細は、IPA のヘルプとは を参照してください。
IdM ユーザーアカウントをリスト表示して、新規ユーザーアカウントが正常に作成されたかどうかを確認できます。
$ ipa user-find
このコマンドは、すべてのユーザーアカウントと、その詳細をリストで表示します。
11.3. コマンドラインでユーザーのアクティベート
ステージからアクティブに移行してユーザーアカウントをアクティベートするには、ipa stageuser-activate
コマンドを使用します。
前提条件
- IdM、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
- Kerberos チケットを取得している。詳細は、Using kinit to log in to IdM manually を参照してください。
手順
- 端末を開き、IdM サーバーに接続します。
次のコマンドで、ユーザーアカウントをアクティベートします。
$ ipa stageuser-activate user_login ------------------------- Stage user user_login activated ------------------------- ...
IdM ユーザーアカウントをリスト表示して、新規ユーザーアカウントが正常に作成されたかどうかを確認できます。
$ ipa user-find
このコマンドは、すべてのユーザーアカウントと、その詳細をリストで表示します。
11.4. コマンドラインでユーザーの保存
ユーザーアカウントを削除しても、保存しておくことはできますが、後で復元するオプションはそのままにしておきます。ユーザーアカウントを保持するには、ipa user-del
コマンドまたは ipa stageuser-del
コマンドで、--preserve
オプションを使用します。
前提条件
- IdM、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
- Kerberos チケットを取得している。詳細は、Using kinit to log in to IdM manually を参照してください。
手順
- 端末を開き、IdM サーバーに接続します。
次のコマンドで、ユーザーアカウントを保存します。
$ ipa user-del --preserve user_login -------------------- Deleted user "user_login" --------------------
注記ユーザーアカウントが削除されたという出力が表示されたにもかかわらず、アカウントは保持されています。
11.5. コマンドラインを使用したユーザーの削除
IdM (Identity Management) を使用すると、ユーザーを完全に削除できます。以下を削除できます。
-
アクティブユーザーの場合 -
ipa user-del
-
ステージユーザーの場合 -
ipa stageuser-del
-
保存済みユーザーの場合 -
ipa user-del
複数のユーザーを削除するときは、--continue
オプションを使用して、エラーに関係なくコマンドを続行します。成功および失敗した操作の概要は、コマンドが完了したときに標準出力ストリーム (stdout
) に出力されます。
$ ipa user-del --continue user1 user2 user3
--continue
を使用しないと、コマンドはエラーが発生するまでユーザーの削除を続行し、停止と終了を行います。
前提条件
- IdM、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
- Kerberos チケットを取得している。詳細は、Using kinit to log in to IdM manually を参照してください。
手順
- 端末を開き、IdM サーバーに接続します。
次のコマンドで、ユーザーアカウントを削除します。
$ ipa user-del user_login -------------------- Deleted user "user_login" --------------------
ユーザーアカウントは、IdM から完全に削除されました。
11.6. コマンドラインでユーザーの復元
保存済みユーザーは、以下のステータスに復元できます。
-
アクティブユーザー -
ipa user-undel
-
ステージユーザー -
ipa user-stage
ユーザーアカウントを復元しても、そのアカウントの以前の属性がすべて復元されるわけではありません。たとえば、ユーザーのパスワードが復元されず、再設定する必要があります。
前提条件
- IdM、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
- Kerberos チケットを取得している。詳細は、Using kinit to log in to IdM manually を参照してください。
手順
- 端末を開き、IdM サーバーに接続します。
次のコマンドで、ユーザーアカウントをアクティベートします。
$ ipa user-undel user_login ------------------------------ Undeleted user account "user_login" ------------------------------
または、ユーザーアカウントをステージユーザーとして復元することもできます。
$ ipa user-stage user_login ------------------------------ Staged user account "user_login" ------------------------------
検証手順
IdM ユーザーアカウントをリスト表示して、新規ユーザーアカウントが正常に作成されたかどうかを確認できます。
$ ipa user-find
このコマンドは、すべてのユーザーアカウントと、その詳細をリストで表示します。
第12章 IdM Web UI でユーザーアカウントの管理
Identity Management (IdM) は、さまざまなユーザーのライフサイクル状況の管理に役立つ 複数のステージ を提供します。
- ユーザーアカウントの作成
従業員が新しい会社で働き始める前に ステージユーザーアカウントを作成 し、従業員の初出勤日に合わせてアカウントをアクティベートできるように準備します。
この手順を省略し、アクティブなユーザーアカウントを直接作成できるようにします。この手順は、ステージユーザーアカウントの作成に類似しています。
- ユーザーアカウントをアクティベートする
- 従業員の最初の就業日に アカウントをアクティベート します。
- ユーザーアカウントを無効にする
- ユーザーが数か月間育児休暇を取得する場合は、一時的にアカウントを無効にする 必要があります。
- ユーザーアカウントを有効にする
- ユーザーが戻ってきたら、アカウントを再度有効にする 必要があります。
- ユーザーアカウントを保存する
- ユーザーが会社を辞める場合は、しばらくしてから会社に戻ってくる可能性を考慮して、アカウントを復元することができる状態で削除する 必要があります。
- ユーザーアカウントを復元する
- 2 年後にユーザーが復職する場合は、保存済みアカウントを復元 する必要があります。
- ユーザーアカウントを削除する
- 従業員が解雇された場合は、バックアップなしで アカウントを削除します。
12.1. ユーザーのライフサイクル
Identity Management (IdM) は、次の 3 つのユーザーアカウント状態に対応します
- ステージ ユーザーは認証できません。これは初期状態です。アクティブユーザーに必要なユーザーアカウントプロパティーをすべて設定できるわけではありません (例: グループメンバーシップ)。
- アクティブ ユーザーは認証が可能です。必要なユーザーアカウントプロパティーはすべて、この状態で設定する必要があります。
- 保存済み ユーザーは、以前にアクティブであったユーザーで、現在は非アクティブであるとみなされており、IdM への認証ができません。保存済みユーザーには、アクティブユーザーのときに有効になっていたアカウントプロパティーの大部分が保持されていますが、ユーザーグループからは除外されています。
IdM データベースからユーザーエントリーを完全に削除できます。
削除したユーザーアカウントを復元することはできません。ユーザーアカウントを削除すると、そのアカウントに関連する情報がすべて完全に失われます。
新規管理者は、デフォルトの管理ユーザーなど、管理者権限を持つユーザーのみが作成できます。すべての管理者アカウントを誤って削除した場合は、Directory Manager が、Directory Server に新しい管理者を手動で作成する必要があります。
admin
ユーザーを削除しないでください。admin
は IdM で必要な事前定義ユーザーであるため、この操作では特定のコマンドで問題が生じます。別の admin
ユーザーを定義して使用する場合は、管理者権限を少なくとも 1 つのユーザーに付与してから、ipa user-disable admin
を使用して、事前定義された admin ユーザーを無効にします。
ローカルユーザーを IdM に追加しないでください。Name Service Switch (NSS) は、ローカルユーザーとグループを解決する前に、IdM ユーザーとグループを常に解決します。つまり、たとえば IdM グループのメンバーシップは、ローカルユーザーでは機能しません。
12.2. Web UI でユーザーの追加
通常は、新入社員が働き始める前に、新しいユーザーアカウントを作成する必要があります。このようなステージアカウントにはアクセスできず、後でアクティベートする必要があります。
または、直接、アクティブなユーザーアカウントを作成できます。アクティブユーザーを追加する場合は、以下の手順に従って、アクティブユーザー タブでユーザーアカウントを追加します。
前提条件
- IdM、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
手順
IdM Web UI にログインします。
詳細は Web ブラウザーで IdM Web UI へのアクセス を参照してください。
ユーザー → ステージユーザー タブに移動します。
または、ユーザー → アクティブユーザー にユーザーアカウントを追加できますが、アカウントにユーザーグループを追加することはできません。
- + 追加 アイコンをクリックします。
- ステージユーザーの追加 ダイアログボックスで、新規ユーザーの 名前 と 名字 を入力します。
(必要に応じて) ユーザーログイン フィールドにログイン名を追加します。
空のままにすると、IdM サーバーは、名字の前に、名前の最初の 1 文字が追加された形式で、ログイン名を作成します。ログイン名には、32 文字まで使用できます。
- (必要に応じて) GID ドロップダウンメニューで、ユーザーに含まれるグループを選択します。
- [オプション] パスワード および パスワードの確認 フィールドに、パスワードを入力して確定し、両方が一致していることを確認します。
Add ボタンをクリックします。
この時点では、ステージユーザー テーブルでユーザーアカウントを確認できます。
ユーザー名をクリックすると、電話番号、住所、職業の追加などの詳細設定を編集できます。
12.3. IdM Web UI でステージユーザーのアクティベート
ユーザーが IdM にログインする前、およびユーザーを IdM グループに追加する前に、この手順に従ってステージユーザーアカウントをアクティベートする必要があります。
前提条件
- IdM Web UI、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
- IdM に、1 つ以上のステージユーザーアカウント
手順
IdM Web UI にログインします。
詳細は Web ブラウザーで IdM Web UI へのアクセス を参照してください。
- ユーザー → ステージユーザー タブに移動します。
- 有効にするユーザーアカウントのチェックボックスをクリックします。
アクティベート ボタンをクリックします。
- Confirmation ダイアログボックスで OK をクリックします。
アクティベーションに成功したら、IdM Web UI により、ユーザーがアクティベートされ、ユーザーアカウントが アクティブユーザー に移動したことを示す緑色の確認が表示されます。このアカウントはアクティブで、ユーザーは IdM ドメインと IdM Web UI に対して認証できます。ユーザーは、初回ログイン時にパスワードを変更するように求められます。
このステージで、アクティブなユーザーアカウントをユーザーグループに追加できます。
12.4. Web UI でのユーザーアカウントの無効化
アクティブなユーザーアカウントを無効にできます。ユーザーアカウントを無効にすると、ユーザーアカウントはアカウントを非アクティブにできるため、そのユーザーアカウントを使用して Kerberos などの IdM サービスを認証および使用したり、タスクを実行することができません。
無効にしたユーザーアカウントはそのまま IdM に残り、関連する情報は何も変更しません。保存済みユーザーアカウントとは異なり、無効にしたユーザーアカウントはアクティブな状態のままとなり、ユーザーグループのメンバーになります。
ユーザーアカウントを無効にした後、既存の接続はユーザーの Kerberos TGT や他のチケットの有効期限が切れるまで有効です。チケットの期限が切れると、ユーザーが更新できなくなります。
前提条件
- IdM Web UI、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
手順
IdM Web UI にログインします。
詳細は Web ブラウザーで IdM Web UI へのアクセス を参照してください。
- ユーザー → アクティブユーザー タブに移動します。
- 無効にするユーザーアカウントのチェックボックスをクリックします。
無効 ボタンをクリックします。
- 確認 ダイアログボックスで、OK ボタンをクリックします。
無効化の手順に成功した場合は、アクティブユーザー テーブルの状態の列で確認できます。
12.5. Web UI でユーザーアカウントの有効化
IdM を使用して、無効にしたアクティブなユーザーアカウントを再度有効にできます。ユーザーアカウントを有効にすると、無効になったアカウントが有効になります。
前提条件
- IdM Web UI、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
手順
- IdM Web UI にログインします。
- ユーザー → アクティブユーザー タブに移動します。
- 有効にするユーザーアカウントのチェックボックスをクリックします。
有効 ボタンをクリックします。
- 確認 ダイアログボックスで、OK ボタンをクリックします。
変更に成功すると、アクティブユーザー テーブルの状態の列で確認できます。
12.6. IdM Web UI でアクティブなユーザーの保存
ユーザーアカウントを保存すると、アクティブユーザー タブからアカウントを削除した状態で、IdM でアカウントを維持できます。
従業員が退職する場合は、ユーザーアカウントを保存します。ユーザーアカウントを数週間または数か月間 (たとえば育児休暇) 無効にする場合は、ユーザーアカウントを無効にします。詳細は、Web UI でのユーザーアカウントの無効化 を参照してください。保存済みアカウントはアクティブではないため、そのユーザーが内部ネットワークにはアクセスできないものの、すべてのデータが含まれる状態でデータベース内に残ります。
復元したアカウントをアクティブモードに戻すことができます。
保存済みユーザーのリストは、以前のユーザーアカウントの履歴を提供します。
前提条件
- IdM (Identity Management) Web UI、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
手順
IdM Web UI にログインします。
詳細は Web ブラウザーで IdM Web UI へのアクセス を参照してください。
- ユーザー → アクティブユーザー タブに移動します。
- 保存するユーザーアカウントのチェックボックスをクリックします。
削除 ボタンをクリックします。
- ユーザーの削除 ダイアログボックスで、削除モード ラジオボタンを、保存 に切り替えます。
削除 ボタンをクリックします。
これにより、そのユーザーアカウントは、保存済みユーザー に移動します。
保存済みユーザーを復元する必要がある場合は、IdM Web UI でユーザーの復元 を参照してください。
12.7. IdM Web UI でユーザーの復元
IdM (Identity Management) を使用すると、保存済みユーザーアカウントをアクティブな状態で復元できます。保存済みユーザーをアクティブなユーザーまたはステージユーザーに復元できます。
前提条件
- IdM Web UI、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
手順
IdM Web UI にログインします。
詳細は Web ブラウザーで IdM Web UI へのアクセス を参照してください。
- ユーザー → 保存済みユーザー タブに移動します。
- 復元するユーザーアカウントのチェックボックスをクリックします。
復元 ボタンをクリックします。
- 確認 ダイアログボックスで、OK ボタンをクリックします。
IdM Web UI は、緑色の確認を表示し、ユーザーアカウントを アクティブユーザー タブに移動します。
12.8. IdM Web UI でユーザーの削除
ユーザーの削除は元に戻せない操作であり、グループメンバーシップやパスワードなど、ユーザーアカウントが IdM データベースから完全に削除されます。ユーザーの外部設定 (システムアカウントやホームディレクトリーなど) は削除されませんが、IdM からはアクセスできなくなります。
以下を削除できます。
アクティブなユーザー - IdM Web UI では、以下のオプションを利用できます。
ユーザーを一時的に保存する
詳細は IdM Web UI でアクティブなユーザーの保存 を参照してください。
- 完全に削除する
- ステージユーザー - ステージユーザーを完全に削除できます。
- 保存済みユーザー - 保存済みユーザーを完全に削除できます。
以下の手順では、アクティブなユーザーの削除を説明します。以下のタブでも同じようにユーザーアカウントを削除できます。
- ステージユーザー タブ
- 保存済みユーザー タブ
前提条件
- IdM Web UI、またはユーザー管理者ロールを管理する管理者権限
手順
IdM Web UI にログインします。
詳細は Web ブラウザーで IdM Web UI へのアクセス を参照してください。
ユーザー → アクティブユーザー タブに移動します。
ユーザー → ステージユーザー または ユーザー → 保存済みユーザー でも、ユーザーアカウントを削除できます。
- 削除 アイコンをクリックします。
- ユーザーの削除 ダイアログボックスで、モードの削除 ラジオボタンを、削除 に切り替えます。
- 削除 ボタンをクリックします。
ユーザーアカウントが、IdM から完全に削除されました。
第13章 Ansible Playbook を使用したユーザーアカウントの管理
Ansible Playbook を使用して IdM のユーザーを管理できます。ユーザーのライフサイクル を示した後、本章では以下の操作に Ansible Playbook を使用する方法を説明します。
-
YML
ファイルに直接リストされている ユーザーを 1 つ存在させる 手順 -
YML
ファイルに直接リストされている ユーザーを複数存在させる 手順 -
YML
ファイルから参照されるJSON
ファイルにリストされている ユーザーを複数存在させる 手順 -
YML
ファイルに直接リストされている ユーザーがないことを確認 します。
13.1. ユーザーのライフサイクル
Identity Management (IdM) は、次の 3 つのユーザーアカウント状態に対応します
- ステージ ユーザーは認証できません。これは初期状態です。アクティブユーザーに必要なユーザーアカウントプロパティーをすべて設定できるわけではありません (例: グループメンバーシップ)。
- アクティブ ユーザーは認証が可能です。必要なユーザーアカウントプロパティーはすべて、この状態で設定する必要があります。
- 保存済み ユーザーは、以前にアクティブであったユーザーで、現在は非アクティブであるとみなされており、IdM への認証ができません。保存済みユーザーには、アクティブユーザーのときに有効になっていたアカウントプロパティーの大部分が保持されていますが、ユーザーグループからは除外されています。
IdM データベースからユーザーエントリーを完全に削除できます。
削除したユーザーアカウントを復元することはできません。ユーザーアカウントを削除すると、そのアカウントに関連する情報がすべて完全に失われます。
新規管理者は、デフォルトの管理ユーザーなど、管理者権限を持つユーザーのみが作成できます。すべての管理者アカウントを誤って削除した場合は、Directory Manager が、Directory Server に新しい管理者を手動で作成する必要があります。
admin
ユーザーを削除しないでください。admin
は IdM で必要な事前定義ユーザーであるため、この操作では特定のコマンドで問題が生じます。別の admin
ユーザーを定義して使用する場合は、管理者権限を少なくとも 1 つのユーザーに付与してから、ipa user-disable admin
を使用して、事前定義された admin ユーザーを無効にします。
ローカルユーザーを IdM に追加しないでください。Name Service Switch (NSS) は、ローカルユーザーとグループを解決する前に、IdM ユーザーとグループを常に解決します。つまり、たとえば IdM グループのメンバーシップは、ローカルユーザーでは機能しません。
13.2. Ansible Playbook を使用して IdM ユーザーを存在させる手順
以下の手順では、Ansible Playbook を使用して IdM にユーザーを 1 つ存在させる方法を説明します。
前提条件
-
IdM
admin
のパスワードを把握している。 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。
- Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
-
Ansible コントローラーに
ansible-freeipa
パッケージがインストールされている。 - この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
-
この例では、secret.yml Ansible vault に
ipaadmin_password
が保存されていることを前提としています。
-
ターゲットノード (
ansible-freeipa
モジュールが実行されるノード) が、IdM クライアント、サーバー、またはレプリカとして IdM ドメインに含まれている。
手順
inventory.file
などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルにipaserver
を定義します。[ipaserver] server.idm.example.com
IdM に存在させるユーザーのデータを指定して Ansible Playbook ファイルを作成します。この手順は、
/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/add-user.yml
ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。たとえば、idm_user という名前のユーザーを作成し、 Password123 をユーザーパスワードとして追加するには、次のコマンドを実行します。--- - name: Playbook to handle users hosts: ipaserver vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: - name: Create user idm_user ipauser: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" name: idm_user first: Alice last: Acme uid: 1000111 gid: 10011 phone: "+555123457" email: idm_user@acme.com passwordexpiration: "2023-01-19 23:59:59" password: "Password123" update_password: on_create
ユーザーを追加するには、以下のオプションを使用する必要があります。
- 名前: ログイン名
- first: 名前 (名) の文字列
- last: 名前 (姓) の文字列
利用可能なユーザーオプションの完全なリストは、
/usr/share/doc/ansible-freeipa/README-user.md
Markdown ファイルを参照してください。注記update_password: on_create
オプションを使用する場合には、Ansible はユーザー作成時にのみユーザーパスワードを作成します。パスワードを指定してユーザーが作成されている場合には、Ansible では新しいパスワードは生成されません。Playbook を実行します。
$ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/add-IdM-user.yml
検証手順
ipa user-show
コマンドを使用して、新しいユーザーアカウントが IdM に存在するかどうかを確認できます。admin として
ipaserver
にログインします。$ ssh admin@server.idm.example.com Password: [admin@server /]$
admin の Kerberos チケットを要求します。
$ kinit admin Password for admin@IDM.EXAMPLE.COM:
idm_user に関する情報を要求します。
$ ipa user-show idm_user User login: idm_user First name: Alice Last name: Acme ....
idm_userという名前のユーザー が IdM に存在しています。
13.3. Ansible Playbook を使用して IdM ユーザーを複数存在させる手順
以下の手順では、Ansible Playbook を使用して IdM にユーザーを複数存在させる方法を説明します。
前提条件
-
IdM
admin
のパスワードを把握している。 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。
- Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
-
Ansible コントローラーに
ansible-freeipa
パッケージがインストールされている。 - この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
-
この例では、secret.yml Ansible vault に
ipaadmin_password
が保存されていることを前提としています。
-
ターゲットノード (
ansible-freeipa
モジュールが実行されるノード) が、IdM クライアント、サーバー、またはレプリカとして IdM ドメインに含まれている。
手順
inventory.file
などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルにipaserver
を定義します。[ipaserver] server.idm.example.com
IdM に存在させるユーザーのデータを指定して Ansible Playbook ファイルを作成します。この手順は、
/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/ensure-users-present.yml
ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。たとえば、ユーザー idm_user_1、idm_user_2、idm_user_3 を作成し、idm_user_1 のパスワードを Password123 として追加します。--- - name: Playbook to handle users hosts: ipaserver vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: - name: Create user idm_users ipauser: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" users: - name: idm_user_1 first: Alice last: Acme uid: 10001 gid: 10011 phone: "+555123457" email: idm_user@acme.com passwordexpiration: "2023-01-19 23:59:59" password: "Password123" - name: idm_user_2 first: Bob last: Acme uid: 100011 gid: 10011 - name: idm_user_3 first: Eve last: Acme uid: 1000111 gid: 10011
注記update_password: on_create オプションを指定しないと、Ansible は Playbook が実行されるたびにユーザーパスワードを再設定します。最後に Playbook が実行されてからユーザーがパスワードを変更した場合には、Ansible はパスワードを再設定します。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/add-users.yml
検証手順
ipa user-show
コマンドを使用して、ユーザーアカウントが IdM に存在するかどうかを確認できます。管理者として
ipaserver
にログインします。$ ssh administrator@server.idm.example.com Password: [admin@server /]$
idm_user_1 に関する情報を表示します。
$ ipa user-show idm_user_1 User login: idm_user_1 First name: Alice Last name: Acme Password: True ....
idm_user_1 という名前のユーザーが IdM に存在しています。
13.4. Ansible Playbook を使用して JSON ファイルに指定してある複数の IdM ユーザーを存在させる手順
以下の手順では、Ansible Playbook を使用して IdM に複数のユーザーを存在させる方法を説明します。ユーザーは JSON
ファイルに保存されます。
前提条件
-
IdM
admin
のパスワードを把握している。 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。
- Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
-
Ansible コントローラーに
ansible-freeipa
パッケージがインストールされている。 - この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
-
この例では、secret.yml Ansible vault に
ipaadmin_password
が保存されていることを前提としています。
-
ターゲットノード (
ansible-freeipa
モジュールが実行されるノード) が、IdM クライアント、サーバー、またはレプリカとして IdM ドメインに含まれている。
手順
inventory.file
などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルにipaserver
を定義します。[ipaserver] server.idm.example.com
必要なタスクが含まれる Ansible Playbook ファイルを作成します。存在させるユーザーのデータが指定された
JSON
ファイルを参照します。この手順は、/usr/share/doc/ansible-freeipa/ensure-users-present-ymlfile.yml
ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。--- - name: Ensure users' presence hosts: ipaserver vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: - name: Include users.json include_vars: file: users.json - name: Users present ipauser: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" users: "{{ users }}"
users.json
ファイルを作成し、IdM ユーザーを追加します。この手順を簡素化するには、/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/users.json
ファイルのサンプルをコピーして変更できます。たとえば、ユーザー idm_user_1、idm_user_2、idm_user_3 を作成し、idm_user_1 のパスワードを Password123 として追加します。{ "users": [ { "name": "idm_user_1", "first": "Alice", "last": "Acme", "password": "Password123" }, { "name": "idm_user_2", "first": "Bob", "last": "Acme" }, { "name": "idm_user_3", "first": "Eve", "last": "Acme" } ] }
Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。
$ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/ensure-users-present-jsonfile.yml
検証手順
ipa user-show
コマンドを使用して、ユーザーアカウントが IdM に存在するかどうかを確認できます。管理者として
ipaserver
にログインします。$ ssh administrator@server.idm.example.com Password: [admin@server /]$
idm_user_1 に関する情報を表示します。
$ ipa user-show idm_user_1 User login: idm_user_1 First name: Alice Last name: Acme Password: True ....
idm_user_1 という名前のユーザーが IdM に存在しています。
13.5. Ansible Playbook を使用してユーザーが存在しないことを確認する手順
以下の手順では、Ansible Playbook を使用して、特定のユーザーが IdM に存在しないことを確認する方法を説明します。
前提条件
-
IdM
admin
のパスワードを把握している。 次の要件を満たすように Ansible コントロールノードを設定している。
- Ansible バージョン 2.14 以降を使用している。
-
Ansible コントローラーに
ansible-freeipa
パッケージがインストールされている。 - この例では、~/MyPlaybooks/ ディレクトリーに、IdM サーバーの完全修飾ドメイン名 (FQDN) を使用して Ansible インベントリーファイル を作成したことを前提としている。
-
この例では、secret.yml Ansible vault に
ipaadmin_password
が保存されていることを前提としています。
-
ターゲットノード (
ansible-freeipa
モジュールが実行されるノード) が、IdM クライアント、サーバー、またはレプリカとして IdM ドメインに含まれている。
手順
inventory.file
などのインベントリーファイルを作成して、そのファイルにipaserver
を定義します。[ipaserver] server.idm.example.com
IdM に存在させないユーザーを指定して Ansible Playbook ファイルを作成します。この手順は、
/usr/share/doc/ansible-freeipa/playbooks/user/ensure-users-present.yml
ファイルのサンプルをコピーして変更し、簡素化できます。たとえば、ユーザー idm_user_1、idm_user_2、idm_user_3 を削除するには、次のコマンドを実行します。--- - name: Playbook to handle users hosts: ipaserver vars_files: - /home/user_name/MyPlaybooks/secret.yml tasks: - name: Delete users idm_user_1, idm_user_2, idm_user_3 ipauser: ipaadmin_password: "{{ ipaadmin_password }}" users: - name: idm_user_1 - name: idm_user_2 - name: idm_user_3 state: absent
Ansible Playbook を実行します。Playbook ファイル、secret.yml ファイルを保護するパスワードを格納するファイル、およびインベントリーファイルを指定します。
$ ansible-playbook --vault-password-file=password_file -v -i path_to_inventory_directory/inventory.file path_to_playbooks_directory/delete-users.yml
検証手順
ipa user-show
コマンドを使用して、ユーザーアカウントが IdM に存在しないことを確認できます。
管理者として
ipaserver
にログインします。$ ssh administrator@server.idm.example.com Password: [admin@server /]$
idm_user_1 に関する要求情報:
$ ipa user-show idm_user_1 ipa: ERROR: idm_user_1: user not found
idm_user_1 という名前のユーザーは IdM に存在しません。
13.6. 関連情報
-
/usr/share/doc/ansible-freeipa/
ディレクトリーのREADME-user