高度な RHEL 8 インストールの実行
キックスタートを使用した RHEL のインストール
概要
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第1章 概要
Red Hat Enterprise Linux 8 は、より少ない労力でより迅速にワークロードを提供するのに必要なツールを使用して導入したハイブリッドクラウドのデプロイメントで、安定し、安全で一貫した基盤を提供します。対応しているハイパーバイザー環境やクラウドプロバイダー環境にゲストとしてデプロイすることも、物理インフラストラクチャーにデプロイすることもできるため、アプリケーションは、主要なハードウェアアーキテクチャープラットフォームの革新的な機能を利用できます。
1.1. サポートされているアーキテクチャー
Red Hat Enterprise Linux では、次のアーキテクチャーに対応します。
- AMD アーキテクチャーおよび Intel 64 ビットアーキテクチャー
- 64 ビット ARM アーキテクチャー
- IBM Power Systems、リトルエンディアン
- 64 ビット IBM Z アーキテクチャー
IBM Power Server へのインストール手順は、IBM installation documentation を参照してください。システムで RHEL のインストールがサポートされていることを確認するには、https://catalog.redhat.com および https://access.redhat.com/articles/rhel-limits を参照してください。
1.2. インストールの用語
本セクションでは、Red Hat Enterprise Linux インストールの用語を説明します。概念が同じでも、その概念が使用されているのがアップストリームかダウンストリームかによって、用語が異なる可能性もあります。
Anaconda - Fedora、Red Hat Enterprise Linux、およびその他の派生製品に使用されるオペレーティングシステムインストーラーです。Anaconda は、Gtk ウィジェット (C で記述)、systemd ユニット、dracut ライブラリーなどの追加ファイルが含まれる、一連の Python モジュールおよびスクリプトです。これは、同時に、作成される (ターゲット) システムのパラメーターを設定するツールを形成します。インストールプログラム という用語は、この文書では Anaconda のインストールに関する機能を指しています。
第2章 インストール方法
要件に応じて、複数の方法で Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。以下のセクションを参照して、要件に最適なインストール方法を判断してください。
2.1. 利用可能なインストール方法
Red Hat Enterprise Linux は、以下のいずれかの方法でインストールできます。
- GUI ベースのインストール
- システムまたはクラウドイメージベースのインストール
- 高度なインストール
GUI ベースのインストール
以下の GUI ベースのインストール方法から選択できます。
- カスタマーポータルから ISO イメージを使用した RHEL のインストール - カスタマーポータルから DVD ISO イメージファイルをダウンロードして Red Hat Enterprise Linux をインストールします。登録は、インストールの完了後に行われます。このインストール方法は、GUI およびキックスタートで対応しています。
- コンテンツ配信ネットワークから RHEL の登録およびインストール - すべてのシステムを登録し、サブスクリプションを割り当て、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) から Red Hat Enterprise Linux をインストールします。このインストール方法は、Boot ISO イメージファイルおよび DVD ISO イメージファイルに対応します。ただし、Boot ISO イメージファイルのインストールソースのデフォルトは CDN であるため、Boot ISO イメージファイルが推奨されます。システムの登録後、インストーラーは CDN からパッケージをダウンロードしてインストールします。このインストール方法は、キックスタートでも対応しています。
- VNC を使用してリモートの RHEL インストールを実行 - RHEL インストールプログラムには、Direct と Connect の 2 つの Virtual Network Computing (VNC) インストールモードがあります。接続が確立されると、2 つのモードに違いはありません。選択するモードは、環境によって異なります。
- PXE を使用してネットワークから RHEL をインストール: PXE (Preboot eXecution Environment) を使用するネットワークインストールでは、インストールサーバーへのアクセスがあるシステムに、Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。ネットワークインストールには、少なくとも 2 つのシステムが必要です。
システムまたはクラウドイメージベースのインストール
システムまたはクラウドイメージベースのインストール方法は、仮想環境およびクラウド環境でのみ使用できます。システムまたはクラウドイメージベースのインストールを実行するには、Red Hat Image Builder を使用します。Image Builder は、クラウドデプロイメントのシステムイメージを含む、Red Hat Enterprise Linux のカスタマイズされたシステムイメージを作成します。
Image Builder を使用して RHEL をインストールする方法の詳細は、RHEL システムイメージのカスタマイズ を参照してください。
高度なインストール
以下の高度なインストール方法から選択できます。
- キックスタートを使用した自動 RHEL インストールの実行: キックスタートは、ファイルの要件と設定をすべて指定して、オペレーティングシステムのインストールに役立つ自動化されたプロセスです。キックスタートファイルには、RHEL インストールオプション (タイムゾーン、ドライブパーティション、インストールするパッケージなど) が含まれます。事前に準備したキックスタートファイルを使用すると、ユーザーによる操作を必要とせずにインストールが完了します。これは、一度に多数のシステムに Red Hat Enterprise Linux をデプロイする場合に便利です。
- コンテンツ配信ネットワークから RHEL の登録およびインストール - すべてのアーキテクチャーに、コンテンツ配信ネットワーク (CDN) から Red Hat Enterprise Linux を登録してインストールします。登録は、インストールパッケージが CDN からダウンロードされてから、インストールされるまでの間に行われます。このインストール方法は、グラフィカルユーザーインターフェイスおよびキックスタートで対応しています。
パート I. キックスタートを使用した自動インストールの実行
第3章 キックスタートインストールの基礎
以下は、キックスタートの基本情報と、それを使用して Red Hat Enterprise Linux のインストールを自動化する方法を説明します。
3.1. キックスタートを使用したインストールの概要
キックスタートは、RHEL インストールプロセスを部分的または完全に自動化する方法を提供します。
キックスタートファイルには、RHEL インストールオプションの一部またはすべてが含まれます。たとえば、タイムゾーン、ドライブのパーティション設定方法、インストールするパッケージなどです。事前に準備したキックスタートファイルを使用すると、ユーザーによる操作を必要としないインストールが可能になります。これは、Red Hat Enterprise Linux を多数のシステムに一度にデプロイする場合などに特に便利です。
キックスタートファイルによりソフトウェア選択の幅を広げることができます。グラフィカルインストールインターフェイスで Red Hat Enterprise Linux を手動でインストールする場合、ソフトウェアの選択は事前定義されている環境とアドオンの選択に限られます。キックスタートファイルを使用すると、パッケージを個別にインストールしたり、除外したりできます。
キックスタートファイルを 1 つのサーバーに置くことで、インストール時に各コンピューターが読み込むことができます。この方法を使用すると、1 つのキックスタートファイルで複数のマシンに Red Hat Enterprise Linux をインストールできるため、ネットワークおよびシステム管理者には理想的な方法になります。
キックスタートスクリプトおよびそのスクリプトの実行により生成されるログファイルは、インストール問題のデバッグの手助けとなるよう、新たにインストールしたシステムの /tmp
ディレクトリーにすべて保存されます。インストールに使用されるキックスタートおよび Anaconda が生成した出力キックスタートは、ターゲットシステムの /root
に保存され、キックスタートスクリプトレット実行のログは /var/log/anaconda
に保存されます。
キックスタートは、Red Hat Enterprise Linux の以前のバージョンではシステムをアップグレードするのに使用できました。Red Hat Enterprise Linux 7 以降では、この機能は削除されており、システムのアップグレードではなく、特殊なツールにより処理されます。Red Hat Enterprise Linux 8 へのアップグレードの詳細は、Upgrading from RHEL 7 to RHEL 8 および Considerations in adopting RHEL を参照してください。
3.2. 自動インストールのワークフロー
キックスタートを使用したインストールは、ローカルの DVD またはディスクを使用するか、NFS、FTP、HTTP、または HTTPS サーバーで実行できます。本セクションでは、キックスタートの使用方法の概要を説明します。
- キックスタートファイルを作成します。手動で作成したり、手動インストール後に保存したキックファイルファイルをコピーしたり、オンライン生成ツールを使用してファイルを作成したりして、後で編集したりできます。Creating Kickstart files を参照してください。
- リムーバブルメディア、ディスク、または HTTP (S) サーバー、FTP サーバー、または NFS サーバーに置いたインストールプログラムでキックスタートファイルを使用できるようにします。Making Kickstart files available to the installation program を参照してください。
- インストールを開始するのに使用する起動用メディアを作成します。インストールメディアの作成 および PXE を使用してネットワークからインストールするための準備 を参照してください。
- インストールソースをインストールプログラムに利用できるようにします。Creating installation sources for Kickstart installations を参照してください。
- ブートメディアおよびキックスタートファイルを使用して、インストールを開始します。Starting Kickstart installations を参照してください。
これは、キックスタートファイルが必須のコマンドおよびセクションをすべて含む場合に、インストールが自動的に行われます。必須部分が 1 つ以上欠けている場合、またはエラーが発生した場合は、インストールを手動で行う必要があります。
UEFI セキュアブートが有効になっているシステムに Red Hat Enterprise Linux のベータ版リリースをインストールする予定がある場合は、UEFI セキュアブートオプションを無効にしてから、インストールを開始します。
UEFI セキュアブートでは、オペレーティングシステムのカーネルが、対応する公開鍵を使用してシステムのファームウェアが検証する、認識済みの秘密鍵で署名されている必要があります。Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースの場合には、カーネルは Red Hat ベータ版固有の秘密鍵で署名されていますが、この秘密鍵はデフォルトではシステムで認識できません。その結果、システムはインストールメディアの起動に失敗します。
第4章 キックスタートファイルの作成
次の方法を使用してキックスタートファイルを作成できます。
- オンラインのキックスタート設定ツールを使用する。
- 手動インストールのログとして作成したキックスタートファイルをコピーする。
- キックスタートファイル全体を手動で書き込む。
Red Hat Enterprise Linux 8 インストール用に Red Hat Enterprise Linux 7 キックスタートファイルを変換します。
変換ツールの詳細は、Kickstart generator lab を参照してください。
- 仮想環境およびクラウド環境では、Image Builder を使用してカスタムシステムイメージを作成します。
一部の詳細なインストールオプションは、キックスタートファイルを手動で編集しないと設定できないことに注意してください。
4.1. キックスタート設定ツールを使用したキックスタートファイルの作成
Red Hat カスタマーポータルのアカウントをお持ちの場合は、カスタマーポータルで提供している Labs の Kickstart Generator ツールを使用して、キックスタートファイルをオンラインで生成できます。このツールは基本的な設定を段階的に説明し、作成したキックスタートファイルのダウンロードを可能にします。
前提条件
- Red Hat カスタマーポータルアカウントとアクティブな Red Hat サブスクリプションを持っている。
手順
- Lab で提供されている Kickstart Generator の情報は https://access.redhat.com/labsinfo/kickstartconfig を参照してください。
- 見出しの左にある Go to Application ボタンをクリックし、次のページが読み込まれるのを待ちます。
- ドロップダウンメニューで Red Hat Enterprise Linux 8 を選択し、ページが更新するのを待ちます。
フォーム内のフィールドを使用して、インストールするシステムを記述します。
フォームの左側にあるリンクを使用すれば、フォームのセクション間をすばやく移動できます。
生成されたキックスタートファイルをダウンロードするには、ページの先頭に戻り、赤色の Download ボタンをクリックします。
Web ブラウザーによりファイルが保存されます。
4.2. 手動インストールを実行したキックスタートファイルの作成
キックスタートファイルの作成方法としては、Red Hat Enterprise Linux の手動インストールにより作成されたファイルを使用することが推奨される方法となります。インストールが完了すると、インストール中に選択したものがすべて、インストール済みシステムの /root/
ディレクトリーに置かれているキックスタートファイル anaconda-ks.cfg
に保存されます。このファイルを使用して、以前とまったく同じ方法でインストールを行えます。または、このファイルをコピーして必要な変更を加え、その後のインストールで使用することもできます。
手順
RHEL をインストールします。詳細は、標準的な RHEL 8 インストールの実行 を参照してください。
インストール時に、管理者権限を持つユーザーを作成します。
- インストール済みシステムでインストールを完了し、再起動します。
- 管理者アカウントでシステムにログインします。
/root/anaconda-ks.cfg
ファイルを、任意の場所にコピーします。重要ファイルには、ユーザーとパスワードの情報が含まれます。
端末内のファイルの内容を表示するには、次のコマンドを実行します。
# cat /root/anaconda-ks.cfg
出力をコピーして、別のファイルに選択を保存できます。
- 別の場所にファイルをコピーするには、ファイルマネージャーを使用します。root 以外のユーザーがそのファイルを読み込めるように、コピーしたファイルのアクセス権を忘れずに変更してください。
関連情報
4.3. 以前の RHEL インストールからキックスタートファイルを変換する
Kickstart Converter ツールを使用して、RHEL 7 Kickstart ファイルを RHEL 8 または 9 インストールで使用するために変換したり、RHEL 8 Kickstart ファイルを RHEL 9 で使用するために変換したりできます。ツールの詳細と、そのツールで RHEL キックスタートファイルを変換する方法は、https://access.redhat.com/labs/kickstartconvert/ を参照してください。
4.4. Image Builder を使用したカスタムイメージの作成
Red Hat Image Builder を使用して、仮想デプロイメント用およびクラウドデプロイメント用にカスタマイズされたシステムイメージを作成できます。
Image Builder を使用したカスタムイメージの作成の詳細は、RHEL システムイメージのカスタマイズ を参照してください。
第5章 インストールプログラムでキックスタートファイルの準備
以下では、ターゲットシステムのインストールプログラムでキックスタートファイルを使用できるようにする方法を説明します。
5.1. ネットワークインストール用のポート
次の表は、ネットワークベースの各種インストールにファイルを提供するためにサーバーで開く必要があるポートの一覧です。
使用プロトコル | 開くべきポート |
---|---|
HTTP | 80 |
HTTPS | 443 |
FTP | 21 |
NFS | 2049、111、20048 |
TFTP | 69 |
関連情報
5.2. NFS サーバーでキックスタートファイルの準備
この手順では、キックスタートスクリプトファイルを NFS サーバーに格納する方法を説明します。この方法を使用すると、キックスタートファイルに物理メディアを使用することなく、1 つのソースから複数のシステムをインストールできます。
前提条件
- ローカルネットワーク上の Red Hat Enterprise Linux 8 を使用するサーバーへの管理者レベルのアクセス権がある。
- インストールするシステムがサーバーに接続できる。
- サーバー上のファイアウォールがインストール先のシステムからの接続を許可している。詳細は、ネットワークベースのインストール用ポート を参照してください。
手順
root で以下のコマンドを実行して、
nfs-utils
パッケージをインストールします。# yum install nfs-utils
- キックスタートファイルを、NFS サーバーのディレクトリーにコピーします。
テキストエディターで
/etc/exports
ファイルを開き、以下の構文の行を追加します。/exported_directory/ clients
/exported_directory/ を、キックスタートファイルを保存しているディレクトリーのフルパスに置き換えます。clients の代わりに、この NFS サーバーからインストールするコンピューターのホスト名または IP アドレス、すべてのコンピューターが ISO イメージにアクセスするためのサブネットワーク、またはネットワークアクセスのあるコンピューターが NFS サーバーにアクセスして ISO イメージを使用できるようにする場合はアスタリスク記号 (
*
) を使用します。このフィールドの形式に関する詳細は、man ページの exports(5) を参照してください。/rhel8-install/
ディレクトリーを、すべてのクライアントに対する読み取り専用として使用できるようにする基本設定は次のようになります。/rhel8-install *
-
/etc/exports
ファイルを保存して、テキストエディターを終了します。 nfs サービスを起動します。
# systemctl start nfs-server.service
/etc/exports
ファイルに変更を加える前にサービスを稼働していた場合は、以下のコマンドを実行して、稼働中の NFS サーバーで設定を再ロードします。# systemctl reload nfs-server.service
キックスタートファイルは NFS 経由でアクセス可能になり、インストールに使用できるようになりました。
キックスタートソースを指定する場合は、プロトコルに nfs:
を使用して、サーバーのホスト名または IP アドレス、コロン記号 (:
)、およびそのファイルを保存しているディレクトリーを指定します。たとえば、サーバーのホスト名が myserver.example.com
で、そのファイルを /rhel8-install/my-ks.cfg
に保存した場合、指定するインストールソースの起動オプションは inst.ks=nfs:myserver.example.com:/rhel8-install/my-ks.cfg
となります。
5.3. HTTP サーバーまたは HTTPS サーバーで使用できるキックスタートファイルの準備
この手順では、キックスタートスクリプトファイルを HTTP サーバーまたは HTTPS サーバーに格納する方法を説明します。この方法を使用すると、キックスタートファイルに物理メディアを使用することなく、1 つのソースから複数のシステムをインストールできます。
前提条件
- ローカルネットワーク上の Red Hat Enterprise Linux 8 を使用するサーバーへの管理者レベルのアクセス権がある。
- インストールするシステムがサーバーに接続できる。
- サーバー上のファイアウォールがインストール先のシステムからの接続を許可している。詳細は、ネットワークベースのインストール用ポート を参照してください。
手順
キックスタートファイルを HTTP に保存するには、
httpd
パッケージをインストールします。# yum install httpd
HTTPS にキックスタートファイルを保存するには、
httpd
パッケージおよびmod_ssl
パッケージをインストールします。# yum install httpd mod_ssl
警告Apache Web サーバー設定で SSL セキュリティーが有効になっている場合は、TLSv1 プロトコルのみが有効で、SSLv2 と SSLv3 は無効になっていることを確認してください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は https://access.redhat.com/solutions/1232413 を参照してください。
重要自己署名証明書付きの HTTPS サーバーを使用する場合は、
inst.noverifyssl
オプションを指定してインストールプログラムを起動する必要があります。-
/var/www/html/
ディレクトリーのサブディレクトリーに、HTTP(S) サーバーへのキックスタートファイルをコピーします。 httpd サービスを起動します。
# systemctl start httpd.service
キックスタートファイルはアクセス可能になり、インストールとして使用できるようになりました。
注記キックスタートファイルの場所を指定する場合は、プロトコルに
http://
またはhttps://
を使用して、サーバーのホスト名または IP アドレス、キックスタートファイルのパス (HTTP サーバーの root への相対パス) を指定します。たとえば、HTTP を使用して、サーバーのホスト名がmyserver.example.com
で、キックスタートファイルを/var/www/html/rhel8-install/my-ks.cfg
にコピーした場合、指定するインストールソースはhttp://myserver.example.com/rhel8-install/my-ks.cfg
となります。
関連情報
5.4. FTP サーバーでキックスタートファイルの準備
この手順では、キックスタートスクリプトファイルを FTP サーバーに格納する方法を説明します。この方法を使用すると、キックスタートファイルに物理メディアを使用することなく、1 つのソースから複数のシステムをインストールできます。
前提条件
- ローカルネットワーク上の Red Hat Enterprise Linux 8 を使用するサーバーへの管理者レベルのアクセス権がある。
- インストールするシステムがサーバーに接続できる。
- サーバー上のファイアウォールがインストール先のシステムからの接続を許可している。詳細は、ネットワークベースのインストール用ポート を参照してください。
手順
root で以下のコマンドを実行して、
vsftpd
パッケージをインストールします。# yum install vsftpd
必要に応じて、
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
設定ファイルをテキストエディターで開いて編集します。-
anonymous_enable=NO
の行をanonymous_enable=YES
に変更します。 -
write_enable=YES
の行をwrite_enable=NO
に変更します。 pasv_min_port=min_port
とpasv_max_port=max_port
の行を追加します。min_port
とmax_port
を、FTP サーバーがパッシブモードで使用するポート番号の範囲 (10021
と10031
など) に置き換えます。このステップは、各種のファイアウォール/NAT 設定を採用するネットワーク環境に必要です。
オプションで、カスタムの変更を設定に追加します。利用可能なオプションは、vsftpd.conf(5) の man ページを参照してください。この手順では、デフォルトのオプションが使用されていることを前提としています。
警告vsftpd.conf
ファイルで SSL/TLS セキュリティーを設定している場合は、TLSv1 プロトコルのみを有効にし、SSLv2 と SSLv3 は無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は、https://access.redhat.com/solutions/1234773 を参照してください。
-
サーバーのファイアウォールを設定します。
ファイアウォールを有効にします。
# systemctl enable firewalld # systemctl start firewalld
直前の手順の FTP ポートおよびポート範囲のファイアウォールで有効にします。
# firewall-cmd --add-port min_port-max_port/tcp --permanent # firewall-cmd --add-service ftp --permanent # firewall-cmd --reload
min_port-max_port を、
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
設定ファイルに入力したポート番号に置き換えます。
-
/var/ftp/
ディレクトリーまたはそのサブディレクトリーに、FTP サーバーへのキックスタートファイルをコピーします。 正しい SELinux コンテキストとアクセスモードがファイルに設定されていることを確認してください。
# restorecon -r /var/ftp/your-kickstart-file.ks # chmod 444 /var/ftp/your-kickstart-file.ks
vsftpd
サービスを開始します。# systemctl start vsftpd.service
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
ファイルを変更する前から、このサービスがすでに実行されていた場合は、サービスを再起動して必ず編集後のファイルを読み込ませてください。# systemctl restart vsftpd.service
vsftpd
サービスを有効にして、システムの起動プロセス時に開始するようにします。# systemctl enable vsftpd
キックスタートファイルはアクセス可能になり、同じネットワークのシステムからのインストールとして使用できるようになりました。
注記インストールソースを設定するには、プロトコルに
ftp://
を使用して、サーバーのホスト名または IP アドレス、キックスタートファイルのパス (FTP サーバーの root への相対パス) を指定します。たとえば、サーバーのホスト名がmyserver.example.com
で、ファイルを/var/ftp/my-ks.cfg
にコピーした場合、指定するインストールソースはftp://myserver.example.com/my-ks.cfg
となります。
5.5. ローカルボリュームでキックスタートファイルの準備
この手順では、インストールするシステムのボリュームにキックスタートスクリプトファイルを保存する方法を説明します。この方法により、別のシステムは必要なくなります。
前提条件
- USB スティックなど、インストールするマシンに移動できるドライブがある。
-
ドライブには、インストールプログラムで読み取ることができるパーティションが含まれている。対応しているタイプは、
ext2
、ext3
、ext4
、xfs
、およびfat
です。 - ドライブがシステムに接続されており、そのボリュームがマウントされている。
手順
ボリューム情報のリストを表示し、キックスタートファイルをコピーするボリュームの UUID をメモします。
# lsblk -l -p -o name,rm,ro,hotplug,size,type,mountpoint,uuid
- ボリュームのファイルシステムに移動します。
- このファイルシステムにキックスタートファイルをコピーします。
-
inst.ks=
オプションを使用して後で使用する文字列をメモしておきます。この文字列の形式はhd:UUID=volume-UUID:path/to/kickstart-file.cfg
です。パスは、ファイルシステムシステム階層の/
(root) ではなく、ファイルシステムの root に相対的になります。volume-UUID を、上記の UUID に置き換えます。 ドライブボリュームのマウントをすべて解除します。
# umount /dev/xyz ...
スペースで区切って、コマンドにすべてのボリュームを追加します。
5.6. 自動読み込みのローカルボリュームでキックスタートファイルを使用可能に
特別な名前が付けられたキックスタートファイルを、インストールするシステムで特別な名前が付けられたボリュームの root に置くことができます。これにより、別のシステムが必要なくなり、インストールプログラムが自動的にファイルを読み込むことができるようになります。
前提条件
- USB スティックなど、インストールするマシンに移動できるドライブがある。
-
ドライブには、インストールプログラムで読み取ることができるパーティションが含まれている。対応しているタイプは、
ext2
、ext3
、ext4
、xfs
、およびfat
です。 - ドライブがシステムに接続されており、そのボリュームがマウントされている。
手順
キックスタートファイルをコピーするボリューム情報をリスト表示します。
# lsblk -l -p
- ボリュームのファイルシステムに移動します。
- このファイルシステムの root にキックスタートファイルをコピーします。
-
キックスタートファイルの名前を
ks.cfg
に変更します。 ボリュームの名前を
OEMDRV
に変更します。ext2
、ext3
、およびext4
のファイルシステムの場合:# e2label /dev/xyz OEMDRV
XFS ファイルシステムの場合:
# xfs_admin -L OEMDRV /dev/xyz
/dev/xyz を、ボリュームのブロックデバイスのパスに置き換えます。
ドライブボリュームのマウントをすべて解除します。
# umount /dev/xyz ...
スペースで区切って、コマンドにすべてのボリュームを追加します。
第6章 キックスタートインストール用のインストールソースの作成
本セクションでは、必要なリポジトリーおよびソフトウェアパッケージを含む DVD ISO イメージを使用して、Boot ISO イメージのインストールソースを作成する方法を説明します。
6.1. インストールソースの種類
最小限のブートイメージには、以下のいずれかのインストールソースを使用できます。
- DVD: DVD に DVD ISO イメージを書き込みます。DVD はインストールソース (ソフトウェアパッケージソース) として自動的に使用されます。
ディスクまたは USB ドライブ:DVD ISO イメージをディスクにコピーして、ドライブからソフトウェアパッケージをインストールするように、インストールプログラムを設定します。USB ドライブを使用する場合は、インストールを開始する前に、USB ドライブがシステムに接続されていることを確認してください。インストールプログラムは、インストールの開始後にメディアを検出することができません。
-
ディスクの制限: ディスクの DVD ISO イメージは、インストールプログラムがマウントできるファイルシステムを使用しているパーティションに置く必要があります。対応するファイルシステムは、
xfs
、ext2
、ext3
、ext4
、およびvfat (FAT32)
となります。
警告Microsoft Windows システムでは、ディスクをフォーマットする際に使用されるデフォルトのファイルシステムは NTFS です。exFAT ファイルシステムも利用できます。ただし、このファイルシステムは、いずれもインストール時に変更することができません。Microsoft Windows でインストールソースとしてディスクまたは USB ドライブを作成している場合は、ドライブを FAT32 としてフォーマットするようにしてください。FAT32 ファイルシステムは、4 GiB を超えるファイルを保存できません。
Red Hat Enterprise Linux 9 では、ローカルディスクのディレクトリーからインストールできます。これを行うには、DVD ISO イメージの内容をディスクのディレクトリーにコピーし、ISO イメージの代わりに、そのディレクトリーをインストールソースとして指定します。たとえば、
inst.repo=hd:<device>:<path to the directory>
です。-
ディスクの制限: ディスクの DVD ISO イメージは、インストールプログラムがマウントできるファイルシステムを使用しているパーティションに置く必要があります。対応するファイルシステムは、
ネットワーク経由: DVD ISO イメージまたはインストールツリー (DVD ISO イメージから抽出したコンテンツ) をネットワーク上の場所にコピーし、次のプロトコルを使用して、ネットワーク経由でインストールを実行します。
- NFS: DVD ISO イメージは、ネットワークファイルシステム (NFS) 共有にあります。
- HTTPS、HTTP、または FTP - インストールツリーは、HTTP、HTTPS、または FTP 経由でアクセス可能なネットワーク上にあります。
6.2. ネットワークインストール用のポート
次の表は、ネットワークベースの各種インストールにファイルを提供するためにサーバーで開く必要があるポートの一覧です。
使用プロトコル | 開くべきポート |
---|---|
HTTP | 80 |
HTTPS | 443 |
FTP | 21 |
NFS | 2049、111、20048 |
TFTP | 69 |
関連情報
6.3. NFS サーバーへのインストールソースの作成
この方法を使用して、物理メディアに接続しなくても、1 つのソースから複数のシステムをインストールできます。
前提条件
- Red Hat Enterprise Linux 8 を搭載したサーバーへの管理者レベルのアクセス権があり、このサーバーが、インストールするシステムと同じネットワーク上にある。
- Binary DVD イメージをダウンロードしている。詳細は、ISO のインストールイメージのダウンロード を参照してください。
- イメージファイルから、起動可能な CD、DVD、または USB デバイスを作成している。詳細は、インストールメディアの作成 を参照してください。
- ファイアウォールにより、インストールしようとしているシステムがリモートインストールソースにアクセスできることを確認している。詳細は、ネットワークインストール用のポート を参照してください。
手順
nfs-utils
パッケージをインストールします。# yum install nfs-utils
- DVD ISO イメージを、NFS サーバーのディレクトリーにコピーします。
テキストエディターで
/etc/exports
ファイルを開き、以下の構文の行を追加します。/exported_directory/ clients
- /exported_directory/ を、ISO イメージが含まれるディレクトリーのフルパスに置き換えます。
clients を次のいずれかに置き換えます。
- ターゲットシステムのホスト名または IP アドレス
- すべてのターゲットシステムが ISO イメージへのアクセスに使用できるサブネットワーク
-
NFS サーバーへのネットワークアクセスを持つすべてのシステムが ISO イメージを使用できるようにするためのアスタリスク記号 (
*
)
このフィールドの形式に関する詳細は、
exports(5)
の man ページを参照してください。たとえば、
/rhel8-install/
ディレクトリーを、すべてのクライアントに対する読み取り専用として使用できるようにする基本設定は次のようになります。/rhel8-install *
-
/etc/exports
ファイルを保存して、テキストエディターを終了します。 nfs サービスを起動します。
# systemctl start nfs-server.service
/etc/exports
ファイルを変更する前に サービスが稼働していた場合は、NFS サーバーの設定をリロードします。# systemctl reload nfs-server.service
ISO イメージは、NFS 経由でアクセス可能になり、インストールソースとして使用できるようになりました。
インストールソースを設定するには、プロトコルに nfs:
を使用し、サーバーのホスト名または IP アドレス、コロン記号 (:)
、および ISO イメージを保存しているディレクトリーを指定します。たとえば、サーバーのホスト名が myserver.example.com
で、ISO イメージを /rhel8-install/
に保存した場合、指定するインストールソースは nfs:myserver.example.com:/rhel8-install/
となります。
6.4. HTTP または HTTPS を使用するインストールソースの作成
インストールツリー (DVD ISO イメージから抽出したコンテンツと、有効な .treeinfo
ファイル含むディレクトリー) を使用したネットワークベースのインストール用のインストールソースを作成できます。インストールソースには、HTTP、または HTTPS でアクセスします。
前提条件
- Red Hat Enterprise Linux 8 を搭載したサーバーへの管理者レベルのアクセス権があり、このサーバーが、インストールするシステムと同じネットワーク上にある。
- Binary DVD イメージをダウンロードしている。詳細は、ISO のインストールイメージのダウンロード を参照してください。
- イメージファイルから、起動可能な CD、DVD、または USB デバイスを作成している。詳細は、インストールメディアの作成 を参照してください。
- ファイアウォールにより、インストールしようとしているシステムがリモートインストールソースにアクセスできることを確認している。詳細は、ネットワークインストール用のポート を参照してください。
-
httpd
パッケージがインストールされている。 -
https
インストールソースを使用すると、mod_ssl
パッケージがインストールされます。
Apache Web サーバー設定で SSL セキュリティーが有効になっている場合は、TLSv1.3 プロトコルを有効にすることが推奨されます。デフォルトでは、TLSv1.2 が有効になっており、TLSv1 (LEGACY) プロトコルを使用できます。
自己署名証明書付きの HTTPS サーバーを使用する場合は、noverifyssl
オプションを指定してインストールプログラムを起動する必要があります。
手順
- HTTP(S) サーバーに DVD ISO イメージをコピーします。
DVD ISO イメージをマウントするのに適したディレクトリーを作成します。以下はその例です。
# mkdir /mnt/rhel8-install/
DVD ISO イメージをディレクトリーにマウントします。
# mount -o loop,ro -t iso9660 /image_directory/image.iso /mnt/rhel8-install/
/image_directory/image.iso を DVD ISO イメージへのパスに置き換えます。
マウントされたイメージから、HTTP(S) サーバーの root にファイルをコピーします。
# cp -r /mnt/rhel8-install/ /var/www/html/
このコマンドにより、イメージに含まれるファイルが保存される
/var/www/html/rhel8-install/
ディレクトリーを作成します。他の一部のコピー方法は、有効なインストールソースに必要な.treeinfo
ファイルを省略する可能性があることに注意してください。この手順で示されているように、ディレクトリー全体に対してcp
コマンドを入力すると、.treeinfo
が正しくコピーされます。httpd
サービスを開始します。# systemctl start httpd.service
これにより、インストールツリーにアクセスできるようになり、インストールソースとして使用できるようになります。
注記インストールソースを設定するには、プロトコルに
http://
またはhttps://
を使用して、サーバーのホスト名または IP アドレス、および ISO イメージのファイルを保存するディレクトリー (HTTP サーバーの root への相対パス) を指定します。たとえば、HTTP を使用し、サーバーのホスト名がmyserver.example.com
で、イメージのファイルが/var/www/html/rhel8-install/
にコピーされた場合、指定するインストールソースはhttp://myserver.example.com/rhel8-install/
となります。
関連情報
6.5. FTP を使用するインストールソースの作成
インストールツリー (DVD ISO イメージから抽出したコンテンツと、有効な .treeinfo
ファイル含むディレクトリー) を使用したネットワークベースのインストール用のインストールソースを作成できます。インストールソースには、FTP を使用してアクセスします。
前提条件
- Red Hat Enterprise Linux 8 を搭載したサーバーへの管理者レベルのアクセス権があり、このサーバーが、インストールするシステムと同じネットワーク上にある。
- Binary DVD イメージをダウンロードしている。詳細は、起動可能なインストールメディアの作成 を参照してください。
- ファイアウォールにより、インストールしようとしているシステムがリモートインストールソースにアクセスできることを確認している。詳細は、ネットワークインストール用のポート を参照してください。
-
vsftpd
パッケージがインストールされている。
手順
必要に応じて、
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
設定ファイルをテキストエディターで開いて編集します。-
anonymous_enable=NO
の行をanonymous_enable=YES
に変更します。 -
write_enable=YES
の行をwrite_enable=NO
に変更します。 pasv_min_port=<min_port>
およびpasv_max_port=<max_port>
の行を追加します。<min_port> と <max_port> を、FTP サーバーがパッシブモードで使用するポート番号の範囲 (10021
と10031
など) に置き換えます。この手順は、各種のファイアウォール/NAT 設定を採用するネットワーク環境で必要になる可能性があります。
オプション: カスタムの変更を設定に追加します。利用可能なオプションは、vsftpd.conf(5) の man ページを参照してください。この手順では、デフォルトのオプションが使用されていることを前提としています。
警告vsftpd.conf
ファイルで SSL/TLS セキュリティーを設定している場合は、TLSv1 プロトコルのみを有効にし、SSLv2 と SSLv3 は無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は、https://access.redhat.com/solutions/1234773 を参照してください。
-
サーバーのファイアウォールを設定します。
ファイアウォールを有効にします。
# systemctl enable firewalld
ファイアウォールを起動します。
# systemctl start firewalld
前の手順で設定した FTP ポートとポート範囲を許可するようにファイアウォールを設定します。
# firewall-cmd --add-port min_port-max_port/tcp --permanent # firewall-cmd --add-service ftp --permanent
<min_port> と <max_port> を
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
設定ファイルに入力したポート番号に置き換えます。ファイアウォールをリロードして、新しいルールを適用します。
# firewall-cmd --reload
- DVD ISO イメージを FTP サーバーにコピーします。
DVD ISO イメージをマウントするのに適したディレクトリーを作成します。以下はその例です。
# mkdir /mnt/rhel8-install
DVD ISO イメージをディレクトリーにマウントします。
# mount -o loop,ro -t iso9660 /image-directory/image.iso /mnt/rhel8-install
/image-directory/image.iso
を DVD ISO イメージへのパスに置き換えます。マウントされたイメージから、FTP サーバーのルートにファイルをコピーします。
# mkdir /var/ftp/rhel8-install # cp -r /mnt/rhel8-install/ /var/ftp/
このコマンドは、イメージに含まれるファイルが保存される
/var/ftp/rhel8-install/
ディレクトリーを作成します。一部のコピー方法は、有効なインストールソースに必要な.treeinfo
ファイルを省略できることに注意してください。この手順で示されているように、ディレクトリー全体に対してcp
コマンドを入力しても、.treeinfo
が正しくコピーされます。正しい SELinux コンテキストとアクセスモードが、コピーされたコンテンツに設定されていることを確認します。
# restorecon -r /var/ftp/rhel8-install # find /var/ftp/rhel8-install -type f -exec chmod 444 {} \; # find /var/ftp/rhel8-install -type d -exec chmod 755 {} \;
vsftpd
サービスを開始します。# systemctl start vsftpd.service
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
ファイルを変更する前から、このサービスがすでに実行されていた場合は、サービスを再起動して必ず編集後のファイルを読み込ませてください。# systemctl restart vsftpd.service
vsftpd
サービスを有効にして、システムの起動プロセス時に開始するようにします。# systemctl enable vsftpd
これにより、インストールツリーにアクセスできるようになり、インストールソースとして使用できるようになります。
注記インストールソースを設定するには、プロトコルに
ftp://
を使用して、サーバーのホスト名または IP アドレス、および ISO イメージのファイルを保存するディレクトリー (FTP サーバーの root への相対パス) を指定します。たとえば、サーバーのホスト名がmyserver.example.com
で、イメージからコピーしたファイルを/var/ftp/rhel8-install/
に置いた場合、指定するインストールソースはftp://myserver.example.com/rhel8-install/
となります。
第7章 キックスタートインストールの開始
キックスタートインストールは、複数の方法で開始できます。
- 手動でインストールプログラムの起動メニューに入り、そこにキックスタートファイルを含むオプションを指定します。
- 自動的に PXE ブートで起動オプションを編集することもできます。
- 特定の名前を持つボリュームに、自動的にファイルを提供することもできます。
次のセクションでは、各メソッドの実行方法を説明します。
7.1. 手動でのキックスタートインストールの開始
本セクションでは、キックスタートを手動で起動する方法を説明します。この場合は、(boot:
プロンプトで起動オプションを追加することで) ユーザーとの対話が必要になります。インストールシステムを起動する場合は、起動オプション inst.ks=location
を使用します。location は、キックスタートファイルの場所に置き換えます。ブートオプションとブートプロンプトの形式を指定する正確な方法は、システムのアーキテクチャーによって異なります。詳細は、RHEL インストーラーの起動オプション ガイドを参照してください。
前提条件
- インストールするシステムからアクセスできる場所に、キックスタートファイルを用意しておきます。
手順
- ローカルメディア (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど) を使用してシステムを起動します。
起動プロンプトで、必要な起動オプションを指定します。
-
キックスタートファイルまたは必要なリポジトリーがネットワークの場所にある場合は、
ip=
オプションを使用したネットワークの設定が必要になる場合があります。インストーラーは、このオプションを使用せずに、デフォルトで DHCP プロトコルを使用するすべてのネットワークデバイスを設定しようとします。 -
起動オプション
inst.ks=
と、キックスタートファイルの場所を追加します。 -
必要なパッケージがインストールされるソフトウェアソースにアクセスするには
inst.repo=
オプションを追加しないといけない場合があります。このオプションを指定しないと、キックスタートファイルでインストールソースを指定する必要があります。
起動オプションの編集方法の詳細は、Editing boot options を参照してください。
-
キックスタートファイルまたは必要なリポジトリーがネットワークの場所にある場合は、
追加した起動オプションを確認してインストールを開始します。
これにより、キックスタートファイルで指定されているインストールオプションを使用したインストールが開始します。キックスタートファイルに問題がなく、必要なコマンドがすべて含まれていれば、この時点からインストールは完全に自動化で行われます。
UEFI セキュアブートが有効になっているシステムに、Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースをインストールした場合は、システムの Machine Owner Key (MOK) リストにベータ版の公開鍵を追加します。UEFI セキュアブートおよび Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースの詳細は、UEFI セキュアブートを使用したベータシステムの起動 を参照してください。
7.2. PXE を使用した自動キックスタートインストールの開始
AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM システム、ならびに IBM Power Systems サーバーでは、PXE サーバーを使用して起動する機能があります。PXE サーバーの設定時に、ブートローダー設定ファイルに起動オプションを追加できます。これにより、インストールを自動的に開始できるようになります。このアプローチにより、ブートプロセスを含めたインストールを完全に自動化できるようになります。
この手順は一般的な参照です。詳細な手順はシステムのアーキテクチャーによって異なります。すべてのオプションが、すべてのアーキテクチャーで使用できるわけではありません (たとえば、64 ビットの IBM Z で PXE ブートを使用することはできません)。
前提条件
- インストールするシステムからアクセスできる場所に、キックスタートファイルを用意しておきます。
- システムを起動してインストールを開始するために使用できる PXE サーバーが用意されています。
手順
PXE サーバー上でブートローダー設定ファイルを開き、
inst.ks=
起動オプションを適切な行に追加します。ファイル名と構文は、システムのアーキテクチャーおよびハードウェアにより異なります。BIOS が搭載される AMD64 システムおよび Intel 64 システムのファイル名は、デフォルトまたはシステムの IP アドレスをベースにしたもののいずれかになります。このケースでは、インストールエントリーにある append 行に、
inst.ks=
オプションを追加します。設定ファイルの append 行は以下のようになります。append initrd=initrd.img inst.ks=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-8/8.x/x86_64/kickstarts/ks.cfg
GRUB2 ブートローダーを使用しているシステム (UEFI ファームウェアが搭載されている AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM システム、ならびに IBM Power Systems サーバー) のファイル名は
grub.cfg
になります。このファイルのインストールエントリーに含まれる kernel 行に、inst.ks=
オプションを追加します。設定ファイルの kernel 行の例を以下に示します。kernel vmlinuz inst.ks=http://10.32.5.1/mnt/archive/RHEL-8/8.x/x86_64/kickstarts/ks.cfg
ネットワークサーバーからインストールを起動します。
これでキックスタートファイルで指定されているインストールオプションを使用したインストールが開始します。キックスタートファイルに問題がなく、必要なコマンドがすべて含まれていれば、インストールは完全に自動で行われます。
UEFI セキュアブートが有効になっているシステムに、Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースをインストールした場合は、システムの Machine Owner Key (MOK) リストにベータ版の公開鍵を追加します。UEFI セキュアブートおよび Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースの詳細は、UEFI セキュアブートを使用したベータシステムの起動 を参照してください。
関連情報
- PXE サーバーのセットアップ方法は、ネットワークインストールの準備 を参照してください。
7.3. ローカルボリュームを使用した自動キックスタートインストールの開始
特別にラベルが追加されたストレージボリュームで、特定の名前が付いたキックスタートファイルを置くことで、キックスタートインストールを開始できます。
前提条件
-
ラベル
OEMDRV
で準備されたボリューム、およびその root にks.cfg
として存在するキックスタートファイル がある。 - このボリュームを含むドライブが、インストールプログラムの起動時にシステムで使用できる。
手順
- ローカルメディア (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど) を使用してシステムを起動します。
起動プロンプトで、必要な起動オプションを指定します。
-
必要なリポジトリーがネットワーク上にある場合は、
ip=
オプションを使用したネットワークの設定が必要になる場合があります。インストーラーは、このオプションを使用せずに、デフォルトで DHCP プロトコルを使用するすべてのネットワークデバイスを設定しようとします。 必要なパッケージがインストールされるソフトウェアソースにアクセスするには
inst.repo=
オプションを追加しないといけない場合があります。このオプションを指定しないと、キックスタートファイルでインストールソースを指定する必要があります。インストールソースの詳細は、インストールプログラム設定およびフロー制御のためのキックスタートコマンド を参照してください。
-
必要なリポジトリーがネットワーク上にある場合は、
追加した起動オプションを確認してインストールを開始します。
インストールが開始し、キックスタートファイルが自動的に検出され、自動化されたキックスタートインストールを開始します。
UEFI セキュアブートが有効になっているシステムに、Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースをインストールした場合は、システムの Machine Owner Key (MOK) リストにベータ版の公開鍵を追加します。UEFI セキュアブートおよび RedHatEnterprise Linux ベータリリースの詳細については、UEFI セキュアブートを使用したベータシステムのブート を参照してください。
第8章 インストール中のコンソールとロギング
Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、tmux 端末マルチプレクサーを使用して、メインのインターフェイスのほかに複数の画面を表示し、制御します。この画面は、それぞれ目的が異なり、インストールプロセス中に発生した問題をトラブルシューティングするのに使用できるさまざまなログを表示します。画面の 1 つでは、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用して明示的に無効にしない限り、root
権限で使用できる対話式シェルプロンプトを使用できます。
一般的に、インストール関連の問題を診断する必要がなければ、デフォルトのグラフィカルインストール環境から、他の環境に移動する必要はありません。
端末マルチプレクサーは、仮想コンソール 1 で実行しています。インストール環境を、tmux に変更する場合は、Ctrl+Alt+F1 を押します。仮想コンソール 6 で実行されているメインのインストールインターフェイスに戻るには、Ctrl+Alt+F6 を押します。
テキストモードのインストールを選択するには、仮想コンソール 1 (tmux) を開始し、その後にコンソール 6 に切り替えると、グラフィカルインターフェイスではなくシェルプロンプトが開きます。
tmux を実行しているコンソールには、利用可能な画面が 5 つあります。その内容と、キーボードショートカットは、以下の表で説明します。キーボードショートカットは 2 段階となっており、最初に Ctrl+b を押し、両方のキーを離してから、使用する画面で数字キーを押す必要があります。
また、Ctrl+b n、Alt+ Tab、および Ctrl+b p を使用して、次または前の tmux 画面に切り替えることもできます。
ショートカット | 内容 |
---|---|
Ctrl+b 1 | メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。 |
Ctrl+b 2 |
|
Ctrl+b 3 |
インストールログ - |
Ctrl+b 4 |
ストレージログ - |
Ctrl+b 5 |
プログラムログ - |
第9章 キックスタートファイルの維持
キックスタートファイルで自動チェックを実行できます。通常、新規または問題のあるキックスタートファイルが有効であることを確認します。
9.1. キックスタートのメンテナンスツールのインストール
キックスタートのメンテナンスツールを使用するには、それを含むパッケージをインストールする必要があります。
手順
pykickstart パッケージをインストールします。
# yum install pykickstart
9.2. キックスタートファイルの確認
ksvalidator
コマンドラインユーティリティーを使用して、キックスタートファイルが有効であることを確認します。これは、キックスタートファイルに大規模な変更を加える際に便利です。ksvalidator
コマンドで -v RHEL8
オプションを使用して、RHEL8 クラスの新しいコマンドを承認します。
手順
キックスタートファイルで
ksvalidator
を実行します。$ ksvalidator -v RHEL8 /path/to/kickstart.ks
/path/to/kickstart.ks を、確認するキックスタートファイルのパスに置き換えます。
検証ツールは、インストールの成功を保証しているわけではありません。このツールは、構文が正しく、ファイルに非推奨のオプションが含まれていないことだけを保証します。キックスタートファイルの %pre
セクション、%post
セクション、および %packages
セクションは検証されません。
関連情報
- ksvalidator(1) の man ページ
パート II. コンテンツ配信ネットワーク (CDN) を介した RHEL の登録およびインストール
第10章 キックスタートを使用した CDN を介した RHEL の登録およびインストール
本セクションでは、キックスタートを使用して、システムを登録し、RHEL サブスクリプションを割り当て、Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) からインストールする方法を説明します。
10.1. CDN から RHEL の登録およびインストール
この手順に従って、システムを登録して、RHEL サブスクリプションを割り当て、キックスタートコマンドの rhsm
を使用して Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) からインストールします。これは、syspurpose
コマンドと Red Hat Insights に対応しています。キックスタートコマンド rhsm
は、システムの登録時にカスタムの %post
スクリプトを使用する要件を削除します。
CDN 機能は、Boot ISO および DVD ISO のイメージファイルでサポートされています。ただし、Boot ISO イメージファイルのインストールソースのデフォルトは CDN であるため、Boot ISO イメージファイルを使用することが推奨されます。
前提条件
- CDN にアクセスできるネットワークに接続されている。
- キックスタートファイルを作成し、リムーバブルメディア、ディスク、または HTTP(S)、FTP、NFS サーバーを使用するネットワーク上の場所のインストールプログラムから使用できるようにしてある。
- インストールするシステムからアクセス可能な場所にキックスタートファイルがある。
- インストールの開始に使用するブートメディアを作成し、インストールソースをインストールプログラムで使用できるようにしました。
- システム登録後に使用されるインストールソースリポジトリーは、システムの起動方法により異なります。詳細は、標準的な RHEL 8 インストールの実行 のシステム登録後のインストールソースリポジトリー セクションを参照してください。
- サブスクリプションは、システムがアクセスできる CDN サブセットとリポジトリーを管理するため、キックスタートファイルではリポジトリー設定は必要ありません。
手順
- キックスタートファイルを開きます。
このファイルに、
rhsm
キックスタートコマンドとそのオプションを追加します。- 組織 (必須)
組織 ID を入力します。以下に例を示します。
--organization=1234567
注記セキュリティー上の理由から、CDN から登録してインストールする場合、Red Hat のユーザー名およびパスワードアカウントの詳細はキックスタートでは対応していません。
- アクティベーションキー (必須)
アクティベーションキーを入力します。サブスクリプションにアクティベーションキーが登録されている限り、複数の鍵を使用できます。以下に例を示します。
--activation-key="Test_key_1" --activation-key="Test_key_2"
- Red Hat Insights (推奨)
ターゲットシステムを Red Hat Insights に接続します。
注記Red Hat Insights は SaaS (Software-as-a-Service) 製品で、継続的に、登録済みの Red Hat ベースのシステムに詳細な分析を提供し、物理環境、仮想環境、クラウド環境、およびコンテナーデプロイメントでセキュリティー、パフォーマンス、および安定性に関する脅威をプロアクティブに特定します。インストーラー GUI を使用した手動インストールとは異なり、キックスタートの使用時には、Red Hat Insights への接続はデフォルトで有効になっていません。
以下に例を示します。
--connect-to-insights
- HTTP プロキシー (任意)
HTTP プロキシーを設定します。以下に例を示します。
--proxy="user:password@hostname:9000"
注記ホスト名のみが必須です。認証のないデフォルトポートでプロキシーを実行する必要がある場合は、オプションが
--proxy="hostname"
になります。- システムの目的 (任意)
次のコマンドを使用して、システムの目的のロール、SLA、使用方法を設定します。
subscription-manager syspurpose role ₋₋set="Red Hat Enterprise Linux Server" --sla="Premium" --usage="Production"
- 例
次の例では、すべてのキックスタートコマンドの
rhsm
オプションを含む最小限のキックスタートファイルを表示しています。graphical lang en_US.UTF-8 keyboard us rootpw 12345 timezone America/New_York zerombr clearpart --all --initlabel autopart syspurpose --role="Red Hat Enterprise Linux Server" --sla="Premium" --usage="Production" rhsm --organization="12345" --activation-key="test_key" --connect-to-insights --proxy="user:password@hostname:9000" reboot %packages vim %end
- キックスタートファイルを保存し、インストールプロセスを開始します。
関連情報
- システムの目的の設定
- キックスタートインストールの開始
- Red Hat Insights product documentation
- Understanding Activation Keys
-
Subscription Manager の HTTP プロキシーの設定は、
subscription-manager
man ページのPROXY CONFIGURATION
セクションを参照してください。
10.2. CDN からシステム登録の確認
以下の手順に従って、システムが CDN に登録されていることを確認します。
前提条件
- CDN を使用した登録とインストール に記載されているように、登録とインストールのプロセスを完了している。
- Starting Kickstart installations に従って、キックスタートインストールを開始しています。
- インストール済みシステムを再起動して、端末画面が開いている。
手順
端末画面で、
root
ユーザーとしてログインして、登録を確認します。# subscription-manager list
出力には、割り当てられているサブスクリプションの詳細が表示されます。以下に例を示します。
Installed Product Status Product Name: Red Hat Enterprise Linux for x86_64 Product ID: 486 Version: X Arch: x86_64 Status: Subscribed Status Details Starts: 11/4/2019 Ends: 11/4/2020
詳細なレポートを表示するには、次のコマンドを実行します。
# subscription-manager list --consumed
10.3. CDN からシステムの登録解除
以下の手順に従って、Red Hat CDN からシステムの登録を解除します。
前提条件
- Registering and installing RHEL from the CDN に従って、登録およびインストールプロセスを完了している。
- Starting Kickstart installations に従って、キックスタートインストールを開始しています。
- インストール済みシステムを再起動して、端末画面が開いている。
手順
端末画面で、
root
ユーザーとしてログインし、登録を解除します。# subscription-manager unregister
システムに割り当てられていたサブスクリプションが削除され、CDN への接続が削除されます。
パート III. VNC を使用したリモート RHEL インストールの実行
第11章 VNC を使用したリモート RHEL インストールの実行
このセクションでは、Virtual Network Computing (VNC) を使用して、リモート RHEL インストールを実行する方法を説明します。
11.1. 概要
CD、DVD、または USB フラッシュドライブから、または PXE を使用してネットワークからシステムを起動して RHEL をインストールする場合は、グラフィカルユーザーインターフェイスを使用することが推奨されます。ただし、IBM Power Systems や 64 ビットの IBM Z など、多くのエンタープライズシステムは、自動的に実行されても、ディスプレイ、キーボード、およびマウスには接続されていないリモートのデータセンター環境に置かれています。通常、これらのシステムは ヘッドレスシステム と呼ばれ 、通常はネットワーク接続で制御されます。RHEL インストールプログラムには、ターゲットマシンでグラフィカルインストールを実行する Virtual Network Computing (VNC) インストールが含まれます。ただし、グラフィカルインストールの制御はネットワーク上の別のシステムで処理されます。RHEL インストールプログラムでは、Direct および Connectのつの VNC インストールモードを利用できます。接続が確立されれば、この 2 つのモードに違いはありません。選択するモードは、環境によって異なります。
- Direct モード
- Direct モードでは、RHEL インストールプログラムがターゲットシステムで起動するように設定されています。また、続行前に別のシステムにインストールされている VNC ビューアーを待ちます。Direct モードインストールの一環として、IP アドレスとポートがターゲットシステムに表示されます。VNC ビューアーを使用することで、IP アドレスとポートを使用して、ターゲットシステムにリモートで接続し、グラフィカルインストールを完了できます。
- Connect モード
- Connect モードでは、VNC ビューアーが リスニング モードでリモートシステムで開始されます。VNC ビューアーは、指定したポート上のターゲットシステムからの着信接続を待ちます。RHEL インストールプログラムがターゲットシステムで起動すると、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用して、システムのホスト名とポート番号が提供されます。次に、インストールプログラムは指定したシステムホスト名およびポート番号を使用して、リスニング VNC ビューアーで接続を確立します。Connect モードを使用するには、リッスンしている VNC ビューアーを持つシステムが、着信ネットワーク接続を許可できる必要があります。
11.2. 留意事項
VNC を使用してリモート RHEL インストールを実行する場合は、以下の項目を考慮してください。
VNC クライアントアプリケーション - VNC クライアントアプリケーションは、VNC Direct および Connect インストールの両方を実行する必要があります。VNC クライアントアプリケーションは多くの Linux ディストリビューションのリポジトリーで入手できます。また、Windows などの他のオペレーティングシステムにもには、無料の VNC クライアントアプリケーションを利用できます。RHEL では、以下の VNC クライアントアプリケーションを利用できます。
-
tigervnc
はデスクトップ環境から独立しており、tigervnc
パッケージの一部としてインストールされます。 -
vinagre
は GNOME デスクトップ環境に含まれており、vinagre
パッケージの一部としてインストールされます。
-
VNC サーバーはインストールプログラムに含まれているため、インストールは不要です。
ネットワークおよびファイアウォール:
- ターゲットシステムがファイアウォールにより着信接続が許可されていない場合は、Connect モードを使用するかファイアウォールを無効にする必要があります。ファイアウォールを無効にすると、セキュリティーに影響を及ぼす可能性があります。
- VNC ビューアーを実行しているシステムがファイアウォールにより着信接続を許可されていない場合は、Direct モードを使用するか、ファイアウォールを無効にする必要があります。ファイアウォールを無効にすると、セキュリティーに影響を及ぼす可能性があります。ファイアウォールの設定の詳細は、セキュリティーの強化 を参照してください。
- カスタム起動オプション: VNC インストールを開始するにはカスタムの起動オプションを指定する必要があります。インストール手順はシステムのアーキテクチャーによって異なる可能性があります。
-
キックスタートインストールの VNC: キックスタートでは、VNC 固有のコマンドを使用できます。
vnc
コマンドのみを使用すると、Direct モードで RHEL インストールを実行します。Connect モードでインストールを設定するために追加オプションを使用することができます。
11.3. VNC Direct モードでのリモート RHEL インストールの実行
この手順では、VNC Direct モードで、リモート RHEL インストールを実行します。Direct モードでは、RHEL にインストールされているターゲットシステムへの接続を VNC ビューアーにより開始されることが想定されます。この手順では、VNC ビューアーを使用するシステムが、リモート システムと呼ばれます。RHEL インストールプログラムにより、リモートシステムの VNC ビューアーからターゲットシステムへの接続を開始することが求められます。
以下の手順では、VNC ビューアーとして TigerVNC を使用します。その他のビューアーの手順は異なる場合がありますが、一般的な原則が適用されます。
前提条件
- root ユーザーとして、リモートシステムに VNC ビューアーをインストールした。
- ネットワークブートサーバーを設定して、ターゲットシステムでインストールを起動した。
手順
-
ターゲットシステムの RHEL ブートメニューから、キーボードの
Tab
キーを押して、起動オプションを編集します。 inst.vnc
オプションをコマンドラインの最後に追加します。インストールしているシステムに VNC アクセスを制限する場合は、コマンドラインの末尾に
inst.vncpassword=PASSWORD
起動オプションを追加します。PASSWORD をインストールに使用するパスワードに置き換えます。VNC パスワードは 6 文字から 8 文字に設定する必要があります。重要inst.vncpassword=
オプションには一時的なパスワードを使用してください。既存のパスワードまたは root パスワードは指定しないでください。
- Enter を押してインストールを開始します。ターゲットシステムはインストールプログラムを初期化し、必要なサービスを開始します。システムの準備ができると、システムの IP アドレスとポート番号を示すメッセージが表示されます。
- リモートシステムで VNC ビューアーを開きます。
- VNC サーバー フィールドに IP アドレスとポート番号を入力します。
- Connect をクリックします。
- VNC パスワードを入力して、OK をクリックします。新しいウィンドウが開き、VNC 接続が確立され、RHEL インストールメニューが表示されます。このウィンドウから、グラフィカルユーザーインターフェイスを使用して、ターゲットシステムに RHEL をインストールできます。
11.4. VNC Connect モードでのリモート RHEL インストールの実行
この手順を使用して、VNC Connect モードで、リモート RHEL インストールを実行します。Connect モードでは、RHEL でインストールするターゲットシステムが、別のシステムにインストールされている VNC ビューアーに接続を開始します。この手順では、VNC ビューアーを使用するシステムが、リモート システムと呼ばれます。
以下の手順では、VNC ビューアーとして TigerVNC を使用します。その他のビューアーの手順は異なる場合がありますが、一般的な原則が適用されます。
前提条件
- root ユーザーとして、リモートシステムに VNC ビューアーをインストールした。
- ターゲットシステムでインストールを開始するよう、ネットワーク起動サーバーを設定している。
- VNC Connect インストールに対して起動オプションを使用するようにターゲットシステムを設定している。
- VNC ビューアーでリモートシステムが必要なポートで着信接続を受け入れるよう設定されていることを確認している。検証は、ネットワークとシステム設定によって異なります。詳細は、セキュリティーの強化 および ネットワークのセキュリティー保護 を参照してください。
手順
以下のコマンドを実行して、リモートシステム上で VNC ビューアーを リスニングモード で開始します。
$ vncviewer -listen PORT
- PORT は、接続に使用されるポート番号に置き換えます。
端末には、ターゲットシステムからの着信接続を待機していることを示すメッセージが表示されます。
TigerVNC Viewer 64-bit v1.8.0 Built on: 2017-10-12 09:20 Copyright (C) 1999-2017 TigerVNC Team and many others (see README.txt) See http://www.tigervnc.org for information about TigerVNC. Thu Jun 27 11:30:57 2019 main: Listening on port 5500
- ターゲットシステムをネットワークから起動します。
-
ターゲットシステムの RHEL ブートメニューから、キーボードの
Tab
キーを押して、起動オプションを編集します。 -
inst.vnc inst.seLinuxOptions=HOST:PORT
オプションをコマンドラインの最後に追加します。 - HOST には、リッスンしている VNC ビューアーを実行しているリモートシステムの IP アドレス、PORT には、VNC ビューアーがリッスンしているポート番号を入力します。
- Enter を押してインストールを開始します。システムはインストールプログラムを初期化し、必要なサービスを開始します。初期化プロセスが終了すると、インストールプログラムは指定の IP アドレスとポートへの接続を試行します。
- 接続に成功すると、新しいウィンドウが開き、VNC 接続が確立され、RHEL インストールメニューが表示されます。このウィンドウから、グラフィカルユーザーインターフェイスを使用して、ターゲットシステムに RHEL をインストールできます。
パート IV. 高度な設定オプション
第12章 システムの目的の設定
システムの目的を使用して、Red Hat Enterprise Linux 8 システムの使用目的を記録します。システムの目的を設定すると、エンタイトルメントサーバーは最も適切なサブスクリプションを自動接続できます。本セクションは、キックスタートを使用して、システムの目的を設定する方法を説明します。
次の利点があります。
- システム管理および事業運営に関する詳細なシステムレベルの情報
- システムを調達した理由とその目的を判断する際のオーバーヘッドを削減
- Subscription Manager の自動割り当てと、システムの使用状況の自動検出および調整のカスタマーエクスペリエンスの向上
12.1. 概要
以下のいずれかの方法でシステムの目的のデータを入力できます。
- イメージの作成時
- Connect to Red Hat 画面を使用してシステムを登録し、Red Hat サブスクリプションを割り当てる際の GUI インストール時
-
syspurpose Kickstart
コマンドを使用したキックスタートインストール時 -
syspurpose
コマンドラインツール (CLI) を使用したインストール後
システムの目的を記録するために、システムの目的の以下のコンポーネントを設定できます。選択された値は、登録時にエンタイトルメントサーバーが、システムに最適なサブスクリプションを割り当てるのに使用されます。
- ロール
- Red Hat Enterprise Linux Server
- Red Hat Enterprise Linux Workstation
- Red Hat Enterprise Linux Compute Node
- サービスレベルアグリーメント
- Premium
- Standard
- Self-Support
- 用途
- Production
- Development/Test
- Disaster Recovery
12.2. キックスタートでシステムの目的の設定
以下の手順に従って、インストール時にシステムの目的を設定します。これを行うには、キックスタート設定ファイルで、キックスタートコマンドの syspurpose
を使用します。
システムの目的は Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでは任意の機能ですが、最適なサブスクリプションを自動的にアタッチするためにシステムの目的を設定することを強く推奨します。
インストール完了後にシステムの目的を有効にすることもできます。これを行うには、syspurpose
コマンドラインツールを使用します。syspurpose
ツールのコマンドは、syspurpose
Kickstart コマンドとは異なります。
キックスタートコマンド syspurpose
では、以下のアクションが利用可能です。
- ロール
システムで計画しているロールを設定します。このアクションは以下の形式を使用します。
syspurpose --role=
割り当てられるロールは以下のとおりです。
-
Red Hat Enterprise Linux Server
-
Red Hat Enterprise Linux Workstation
-
Red Hat Enterprise Linux Compute Node
-
- SLA
システムで計画している SLA を設定します。このアクションは以下の形式を使用します。
syspurpose --sla=
割り当てられる SLA は以下の通りです。
-
Premium
-
Standard
-
Self-Support
-
- 使用方法
システムで計画している使用目的を設定します。このアクションは以下の形式を使用します。
syspurpose --usage=
割り当てられる使用方法は以下の通りです。
-
Production
-
Development/Test
-
障害復旧
-
- アドオン
追加のレイヤード製品または機能。複数のアイテムを追加するには、階層化製品/機能ごとに 1 回使用する
--addon
を複数回指定します。このアクションは以下の形式を使用します。syspurpose --addon=
12.3. 関連情報
第13章 インストール時のドライバーの更新
本セクションは、Red Hat Enterprise Linux インストールプロセス時にドライバーの更新を完了する方法を説明します。
これは、インストールプロセスの任意の手順です。Red Hat は、必要な場合を除いて、ドライバーの更新は行わないことを推奨します。
前提条件
- Red Hat、ハードウェアベンダー、または信頼できるサードパーティーベンダーから、Red Hat Enterprise Linux のインストール時に、ドライバー更新が必要になることが通知されている。
13.1. 概要
Red Hat Enterprise Linux は、多数のハードウェアデバイス用のドライバーに対応していますが、新たにリリースしたドライバーには対応していない可能性があります。ドライバーの更新は、そのドライバーが対応していないために、インストールが完了できない場合に限り、実行する必要があります。インストール中にドライバーを更新することは、通常、特定の設定に対応する場合に限り必要になります。たとえば、システムのストレージデバイスへのアクセスを提供するストレージアダプター用ドライバーをインストールします。
ドライバー更新ディスクは、競合するカーネルドライバーを無効にする場合があります。この方法でカーネルモジュールをアンロードすると、インストールエラーが発生することがあります。
13.2. ドライバー更新の種類
Red Hat、ハードウェアベンダー、信頼できるサードパーティーは、ドライバー更新を ISO イメージファイルとして提供します。ISO イメージファイルを受け取ったら、ドライバー更新の種類を選択してください。
ドライバー更新の種類
- 自動
-
推奨されるドライバーの更新方法です。
OEMDRV
とラベルが付いたストレージデバイス (CD、DVD、または USB フラッシュドライブ) が、そのシステムに物理的に接続されます。インストールの開始時に、OEMDRV
ストレージデバイスが存在する場合は、それがドライバー更新ディスクのように扱われ、インストールプログラムはそのドライバーを自動的に読み込みます。 - アシスト付き
-
このインストールプログラムは、ドライバーの更新を指定するように促します。
OEMDRV
以外の任意のローカルストレージデバイスラベルを使用できます。インストールを開始するときに、inst.dd
ブートオプションが指定されます。このオプションにパラメーターを付けずに使用すると、インストールプログラムはシステムに接続されているすべてのストレージデバイスを表示し、ドライバー更新を含むデバイスを選択するように促します。 - 手動
-
ドライバー更新イメージまたは RPM パッケージのパスを手動で指定します。
OEMDRV
以外のラベルを持つ任意のローカルストレージ、またはインストールシステムからアクセス可能なネットワークの場所を使用できます。inst.dd=location
起動オプションは、インストールの開始時に指定しますが、location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージのパスになります。このオプションを指定すると、インストールプログラムは特定の場所にあるドライバー更新を読み込みます。手動でドライバーを更新する場合は、ローカルストレージデバイス、またはネットワークの場所 (HTTP、HTTPS、または FTP サーバー) を指定できます。
-
inst.dd=location
とinst.dd
の両方を同時に使用できます。location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージのパスになります。このシナリオでは、インストールプログラムは、その場所から、利用可能なドライバーの更新を読み込み、ドライバーの更新が含まれるデバイスを選択するように求められます。 -
ネットワークの場所からドライバーの更新を読み込むときは、
ip= option
を使用してネットワークを初期化します。
制限
セキュアブート技術を使用する UEFI システムでは、すべてのドライバーが有効な証明書で署名されている必要があります。Red Hat ドライバーは、Red Hat の秘密鍵のいずれかで署名され、カーネルで対応する公開鍵により認証されます。追加で別のドライバーを読み込む場合は、それが署名されていることを確認してください。
13.3. ドライバー更新の準備
この手順では、CD および DVD でドライバー更新の準備を行う方法を説明します。
前提条件
- Red Hat、ハードウェアベンダー、または信頼できるサードパーティーベンダーからドライバー更新の ISO イメージを受け取っている。
- ドライバー更新の ISO イメージを CD または DVD に焼き付けている。
CD または DVD で、.iso
で終了する ISO イメージファイルが 1 つしか利用できない場合、書き込み処理は成功していません。CD または DVD に ISO イメージを作成する方法は、システムの書き込みソフトウェアのドキュメントを参照してください。
手順
- ドライバー更新用 CD または DVD をシステムの CD/DVD ドライブに挿入し、システムのファイルマネージャーツールで参照します。
-
rhdd3
ファイルが 1 つ利用できることを確認します。rhdd3
は、ドライバーの説明が含まれる署名ファイルと、ディレクトリーのrpms
です。このディレクトリーには、さまざまなアーキテクチャー用のドライバーが同梱される RPM パッケージが含まれます。
13.4. 自動ドライバー更新の実行
この手順では、インストール時にドライバーの自動更新を行う方法を説明します。
前提条件
-
OEMDRV
ラベルの付いた標準のディスクパーティションにドライバーの更新イメージを置くか、OEMDRV
ドライバー更新イメージを CD または DVD に作成します。RAID や LVM ボリュームなどの高度なストレージは、ドライバーの更新プロセス中はアクセスできない可能性があります。 -
インストールプロセスを開始する前に、ボリュームラベル
OEMDRV
が付いたブロックデバイスをシステムに接続しているか、事前に準備した CD または DVD をシステムの CD/DVD ドライブに挿入している。
手順
- 前提条件の手順を完了すると、インストールプログラムの起動時にドライバーが自動的にロードされ、システムのインストールプロセス中にインストールされます。
13.5. アシスト付きドライバー更新の実行
この手順では、インストール時に、ドライバーのアシスト付き更新を行う方法を説明します。
前提条件
-
インストールプロセスを開始する前に、
OEMDRV
ボリュームラベルのないブロックデバイスをシステムに接続し、ドライバーディスクイメージをこのデバイスにコピーしたか、ドライバー更新の CD または DVD を準備して、システムの CD または DVD ドライブに挿入しました。
CD または DVD に ISO イメージファイルを書き込んだにもかかわらず、OEMDRV
ボリュームラベルがない場合は、引数を追加せずに inst.dd
オプションを使用できます。インストールプログラムは、CD または DVD からドライバーをスキャンして選択するオプションを提供します。このシナリオでは、インストールプログラムから、ドライバー更新用 ISO イメージを選択するように求められません。別のシナリオでは、起動オプション inst.dd=location
で CD または DVD を使用します。これにより、インストールプログラムが、ドライバー更新に CD または DVD を自動的にスキャンできるようになります。詳細は、ドライバーの手動更新の実行 を参照してください。
手順
- ブートメニューウィンドウで Tab キーを押して、ブートコマンドラインを表示します。
-
起動オプション
inst.dd
をコマンドラインに追加し、Enter を押して起動プロセスを実行します。 - メニューから、ローカルディスクパーティション、もしくは CD デバイスまたは DVD デバイスを選択します。インストールプログラムが ISO ファイル、または ドライバー更新 RPM パッケージをスキャンします。
必要に応じて、ドライバー更新 ISO ファイルを選択してください。
注記選択したデバイスまたはパーティション (ドライバー更新 CD または DVD を含む光学ドライブなど) に、ISO イメージファイルではなく、ドライバー更新 RPM パッケージが含まれる場合は、この手順は必要ありません。
必要なドライバーを選択します。
- キーボードの数字キーを使用して、ドライバー選択を切り替えます。
- c を押して、選択したドライバーをインストールします。選択したドライバーが読み込まれ、インストールプロセスが始まります。
13.6. 手動によるドライバー更新の実行
この手順では、インストール時にドライバーを手動で更新する方法を説明します。
前提条件
- ドライバー更新の ISO イメージファイルを USB フラッシュドライブまたは Web サーバーに配置し、コンピューターに接続しました。
手順
- ブートメニューウィンドウで Tab キーを押して、ブートコマンドラインを表示します。
-
inst.dd=location
起動オプションをコマンドに追加します。場所は、ドライバー更新のファイルがある場所です。通常、イメージファイルは Web サーバー http://server.example.com/dd.iso など、または USB フラッシュドライブ/dev/sdb1
などに置きます。ドライバー更新を含む RPM パッケージ http://server.example.com/dd.rpm などを指定することもできます。 - Enter を押して、起動プロセスを実行してください。指定した場所で利用可能なドライバーが自動的に読み込まれ、インストールプロセスが始まります。
13.7. ドライバーの無効
この手順では、誤動作しているドライバーを無効にする方法を説明します。
前提条件
- インストールプログラムブートメニューを起動している。
手順
- ブートメニューで Tab キーを押して、ブートコマンドラインを表示します。
-
起動オプション
modprobe.blacklist=driver_name
をコマンドラインに追加します。 driver_name を、無効にするドライバーの名前に置き換えます。以下に例を示します。
modprobe.blacklist=ahci
起動オプション
modprobe.blacklist=
を使用して無効にしたドライバーは、インストール済みシステムで無効になり、/etc/modprobe.d/anaconda-blacklist.conf
ファイルに表示されます。- Enter を押して、起動プロセスを実行してください。
第14章 HTTP を使用してネットワークからインストールするための準備
ローカルネットワーク上のサーバーの管理者は、ネットワーク上の他のシステムの HTTP ブートとネットワークインストールを有効にするように HTTP サーバーを設定できます。
14.1. ネットワークインストールの概要
ネットワークインストールでは、インストールサーバーへのアクセスがあるシステムに、Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。ネットワークインストールには、少なくとも 2 つのシステムが必要です。
- サーバー
- DHCP サーバー、HTTP、HTTPS、FTP または NFS サーバー、および PXE ブートの場合は TFTP サーバーを実行するシステム。各サーバーを実行する物理システムが同じである必要はありませんが、このセクションの手順では、1 つのシステムですべてのサーバーを実行していることが想定されています。
- クライアント
- Red Hat Enterprise Linux をインストールしているシステム。インストールが開始すると、クライアントは DHCP サーバーに問い合わせ、HTTP サーバーまたは TFTP サーバーからブートファイルを受け取り、HTTP サーバー、HTTPS サーバー、FTP サーバー、または NFS サーバーからインストールイメージをダウンロードします。その他のインストール方法とは異なり、クライアントはインストールを開始するのに物理的な起動メディアを必要としません。
ネットワークからクライアントを起動するには、ファームウェアまたはクライアントのクイックブートメニューでネットワークブートを有効にします。ハードウェアによっては、ネットワークから起動するオプションが無効になっていたり、利用できない場合があります。
HTTP または PXE を使用してネットワークから Red Hat Enterprise Linux をインストールする準備を行う手順は次のとおりです。
手順
- インストール ISO イメージまたはインストールツリーを NFS サーバー、HTTPS サーバー、HTTP サーバー、または FTP サーバーにエクスポートします。
- HTTP または TFTP サーバーと DHCP サーバーを設定し、サーバー上で HTTP または TFTP サービスを起動します。
- クライアントを起動して、インストールを開始します。
次のネットワークブートプロトコルを選択できます。
- HTTP
- Red Hat は、クライアント UEFI がサポートしている場合は HTTP ブートを使用することを推奨します。通常、HTTP ブートは信頼性に優れています。
- PXE (TFTP)
- PXE ブートはクライアントシステムによって広くサポートされています。ただし、このプロトコルを介したブートファイルの送信は低速で、タイムアウトにより失敗する可能性があります。
14.2. HTTP ブートおよび PXE ブート用の DHCPv4 サーバーの設定
サーバー上で DHCP バージョン 4 (DHCPv4) サービスを有効にし、ネットワークブート機能を提供できるようにします。
前提条件
IPv4 プロトコルを介したネットワークインストールを準備している。
IPv6 の場合は、HTTP ブートおよび PXE ブート用の DHCPv6 サーバーの設定 を参照してください。
サーバーのネットワークアドレスがわかっている。
以下の手順の例では、サーバーには次の設定のネットワークカードが搭載されています。
- IPv4 アドレス
- 192.168.124.2/24
- IPv4 ゲートウェイ
- 192.168.124.1
手順
DHCP サーバーをインストールします。
yum install dhcp-server
DHCPv4 サーバーをセットアップします。
/etc/dhcp/dhcpd.conf
ファイルに次の設定を入力します。アドレスはネットワークカードと一致するように置き換えます。option architecture-type code 93 = unsigned integer 16; subnet 192.168.124.0 netmask 255.255.255.0 { option routers 192.168.124.1; option domain-name-servers 192.168.124.1; range 192.168.124.100 192.168.124.200; class "pxeclients" { match if substring (option vendor-class-identifier, 0, 9) = "PXEClient"; next-server 192.168.124.2; if option architecture-type = 00:07 { filename "redhat/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI"; } else { filename "pxelinux/pxelinux.0"; } } class "httpclients" { match if substring (option vendor-class-identifier, 0, 10) = "HTTPClient"; option vendor-class-identifier "HTTPClient"; filename "http://192.168.124.2/redhat/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI"; } }
DHCPv4 サービスを起動します。
# systemctl enable --now dhcpd
14.3. HTTP ブートおよび PXE ブート用の DHCPv6 サーバーの設定
サーバー上で DHCP バージョン 6 (DHCPv4) サービスを有効にし、ネットワークブート機能を提供できるようにします。
前提条件
IPv6 プロトコルを介したネットワークインストールを準備している。
IPv4 の場合は、HTTP ブートおよび PXE ブート用の DHCPv4 サーバーの設定 を参照してください。
サーバーのネットワークアドレスがわかっている。
以下の手順の例では、サーバーには次の設定のネットワークカードが搭載されています。
- IPv6 アドレス
- fd33:eb1b:9b36::2/64
- IPv6 ゲートウェイ
- fd33:eb1b:9b36::1
手順
DHCP サーバーをインストールします。
yum install dhcp-server
DHCPv6 サーバーをセットアップします。
/etc/dhcp/dhcpd6.conf
ファイルに次の設定を入力します。アドレスはネットワークカードと一致するように置き換えます。option dhcp6.bootfile-url code 59 = string; option dhcp6.vendor-class code 16 = {integer 32, integer 16, string}; subnet6 fd33:eb1b:9b36::/64 { range6 fd33:eb1b:9b36::64 fd33:eb1b:9b36::c8; class "PXEClient" { match substring (option dhcp6.vendor-class, 6, 9); } subclass "PXEClient" "PXEClient" { option dhcp6.bootfile-url "tftp://[fd33:eb1b:9b36::2]/redhat/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI"; } class "HTTPClient" { match substring (option dhcp6.vendor-class, 6, 10); } subclass "HTTPClient" "HTTPClient" { option dhcp6.bootfile-url "http://[fd33:eb1b:9b36::2]/redhat/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI"; option dhcp6.vendor-class 0 10 "HTTPClient"; } }
DHCPv6 サービスを起動します。
# systemctl enable --now dhcpd6
DHCPv6 パケットがファイアウォールの RP フィルターによって破棄されている場合は、そのログを確認してください。ログに
rpfilter_DROP
エントリーが含まれている場合は、/etc/firewalld/firewalld.conf
ファイルで次の設定を使用してフィルターを無効にします。IPv6_rpfilter=no
14.4. HTTP ブート用の HTTP サーバーの設定
サーバーがネットワーク上で HTTP ブートリソースを提供できるように、サーバーに httpd
サービスをインストールして有効にする必要があります。
前提条件
サーバーのネットワークアドレスがわかっている。
次の例では、サーバーには IPv4 アドレス
192.168.124.2
のネットワークカードが搭載されています。
手順
HTTP サーバーをインストールします。
# yum install httpd
/var/www/html/redhat/
ディレクトリーを作成します。# mkdir -p /var/www/html/redhat/
- RHEL DVD ISO ファイルをダウンロードします。All Red Hat Enterprise Linux Downloads を参照してください。
ISO ファイルのマウントポイントを作成します。
# mkdir -p /var/www/html/redhat/iso/
ISO ファイルをマウントします。
# mount -o loop,ro -t iso9660 path-to-RHEL-DVD.iso /var/www/html/redhat/iso
マウントされた ISO ファイルからブートローダー、カーネル、
initramfs
を HTML ディレクトリーにコピーします。# cp -r /var/www/html/redhat/iso/images /var/www/html/redhat/ # cp -r /var/www/html/redhat/iso/EFI /var/www/html/redhat/
ブートローダー設定を編集可能にします。
# chmod 644 /var/www/html/redhat/EFI/BOOT/grub.cfg
/var/www/html/redhat/EFI/BOOT/grub.cfg
ファイルを編集し、次のように内容を置き換えます。set default="1" function load_video { insmod efi_gop insmod efi_uga insmod video_bochs insmod video_cirrus insmod all_video } load_video set gfxpayload=keep insmod gzio insmod part_gpt insmod ext2 set timeout=60 # END /etc/grub.d/00_header # search --no-floppy --set=root -l 'RHEL-9-3-0-BaseOS-x86_64' # BEGIN /etc/grub.d/10_linux # menuentry 'Install Red Hat Enterprise Linux 9.3' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os { linuxefi ../../images/pxeboot/vmlinuz inst.repo=http://192.168.124.2/redhat/iso quiet initrdefi ../../images/pxeboot/initrd.img } menuentry 'Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 9.3' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os { linuxefi ../../images/pxeboot/vmlinuz inst.repo=http://192.168.124.2/redhat/iso quiet initrdefi ../../images/pxeboot/initrd.img } submenu 'Troubleshooting -->' { menuentry 'Install Red Hat Enterprise Linux 9.3 in text mode' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os { linuxefi ../../images/pxeboot/vmlinuz inst.repo=http://192.168.124.2/redhat/iso inst.text quiet initrdefi ../../images/pxeboot/initrd.img } menuentry 'Rescue a Red Hat Enterprise Linux system' --class fedora --class gnu-linux --class gnu --class os { linuxefi ../../images/pxeboot/vmlinuz inst.repo=http://192.168.124.2/redhat/iso inst.rescue quiet initrdefi ../../images/pxeboot/initrd.img } }
このファイル内で、次の文字列を置き換えます。
- RHEL-9-3-0-BaseOS-x86_64 および Red Hat Enterprise Linux 9.3
- ダウンロードした RHEL のバージョンと一致するようにバージョン番号を編集します。
- 192.168.124.2
- サーバーの IP アドレスに置き換えます。
EFI ブートファイルを実行可能にします。
# chmod 755 /var/www/html/redhat/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI
ファイアウォールでポートを開いて、HTTP (80)、DHCP (67、68)、および DHCPv6 (546、547) トラフィックを許可します。
# firewall-cmd --zone public \ --add-port={80/tcp,67/udp,68/udp,546/udp,547/udp}
注記このコマンドは、次にサーバーを再起動するまで、一時的にアクセスを有効にします。永続的アクセスを有効にするには、コマンドに
--permanent
オプションを追加します。ファイアウォールルールを再読み込みします。
# firewall-cmd --reload
HTTP サーバーを起動します。
# systemctl enable --now httpd
html
ディレクトリーとそのコンテンツを読み取り可能および実行可能にします。# chmod -cR u=rwX,g=rX,o=rX /var/www/html
html
ディレクトリーの SELinux コンテキストを復元します。# restorecon -FvvR /var/www/html
第15章 PXE を使用してネットワークからインストールするための準備
本セクションでは、PXE 起動およびネットワークインストールを有効にするために、PXE サーバーで TFTP および DHCP を設定する方法を説明します。
15.1. ネットワークインストールの概要
ネットワークインストールでは、インストールサーバーへのアクセスがあるシステムに、Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。ネットワークインストールには、少なくとも 2 つのシステムが必要です。
- サーバー
- DHCP サーバー、HTTP、HTTPS、FTP または NFS サーバー、および PXE ブートの場合は TFTP サーバーを実行するシステム。各サーバーを実行する物理システムが同じである必要はありませんが、このセクションの手順では、1 つのシステムですべてのサーバーを実行していることが想定されています。
- クライアント
- Red Hat Enterprise Linux をインストールしているシステム。インストールが開始すると、クライアントは DHCP サーバーに問い合わせ、HTTP サーバーまたは TFTP サーバーからブートファイルを受け取り、HTTP サーバー、HTTPS サーバー、FTP サーバー、または NFS サーバーからインストールイメージをダウンロードします。その他のインストール方法とは異なり、クライアントはインストールを開始するのに物理的な起動メディアを必要としません。
ネットワークからクライアントを起動するには、ファームウェアまたはクライアントのクイックブートメニューでネットワークブートを有効にします。ハードウェアによっては、ネットワークから起動するオプションが無効になっていたり、利用できない場合があります。
HTTP または PXE を使用してネットワークから Red Hat Enterprise Linux をインストールする準備を行う手順は次のとおりです。
手順
- インストール ISO イメージまたはインストールツリーを NFS サーバー、HTTPS サーバー、HTTP サーバー、または FTP サーバーにエクスポートします。
- HTTP または TFTP サーバーと DHCP サーバーを設定し、サーバー上で HTTP または TFTP サービスを起動します。
- クライアントを起動して、インストールを開始します。
次のネットワークブートプロトコルを選択できます。
- HTTP
- Red Hat は、クライアント UEFI がサポートしている場合は HTTP ブートを使用することを推奨します。通常、HTTP ブートは信頼性に優れています。
- PXE (TFTP)
- PXE ブートはクライアントシステムによって広くサポートされています。ただし、このプロトコルを介したブートファイルの送信は低速で、タイムアウトにより失敗する可能性があります。
15.2. HTTP ブートおよび PXE ブート用の DHCPv4 サーバーの設定
サーバー上で DHCP バージョン 4 (DHCPv4) サービスを有効にし、ネットワークブート機能を提供できるようにします。
前提条件
IPv4 プロトコルを介したネットワークインストールを準備している。
IPv6 の場合は、HTTP ブートおよび PXE ブート用の DHCPv6 サーバーの設定 を参照してください。
サーバーのネットワークアドレスがわかっている。
以下の手順の例では、サーバーには次の設定のネットワークカードが搭載されています。
- IPv4 アドレス
- 192.168.124.2/24
- IPv4 ゲートウェイ
- 192.168.124.1
手順
DHCP サーバーをインストールします。
yum install dhcp-server
DHCPv4 サーバーをセットアップします。
/etc/dhcp/dhcpd.conf
ファイルに次の設定を入力します。アドレスはネットワークカードと一致するように置き換えます。option architecture-type code 93 = unsigned integer 16; subnet 192.168.124.0 netmask 255.255.255.0 { option routers 192.168.124.1; option domain-name-servers 192.168.124.1; range 192.168.124.100 192.168.124.200; class "pxeclients" { match if substring (option vendor-class-identifier, 0, 9) = "PXEClient"; next-server 192.168.124.2; if option architecture-type = 00:07 { filename "redhat/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI"; } else { filename "pxelinux/pxelinux.0"; } } class "httpclients" { match if substring (option vendor-class-identifier, 0, 10) = "HTTPClient"; option vendor-class-identifier "HTTPClient"; filename "http://192.168.124.2/redhat/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI"; } }
DHCPv4 サービスを起動します。
# systemctl enable --now dhcpd
15.3. HTTP ブートおよび PXE ブート用の DHCPv6 サーバーの設定
サーバー上で DHCP バージョン 6 (DHCPv4) サービスを有効にし、ネットワークブート機能を提供できるようにします。
前提条件
IPv6 プロトコルを介したネットワークインストールを準備している。
IPv4 の場合は、HTTP ブートおよび PXE ブート用の DHCPv4 サーバーの設定 を参照してください。
サーバーのネットワークアドレスがわかっている。
以下の手順の例では、サーバーには次の設定のネットワークカードが搭載されています。
- IPv6 アドレス
- fd33:eb1b:9b36::2/64
- IPv6 ゲートウェイ
- fd33:eb1b:9b36::1
手順
DHCP サーバーをインストールします。
yum install dhcp-server
DHCPv6 サーバーをセットアップします。
/etc/dhcp/dhcpd6.conf
ファイルに次の設定を入力します。アドレスはネットワークカードと一致するように置き換えます。option dhcp6.bootfile-url code 59 = string; option dhcp6.vendor-class code 16 = {integer 32, integer 16, string}; subnet6 fd33:eb1b:9b36::/64 { range6 fd33:eb1b:9b36::64 fd33:eb1b:9b36::c8; class "PXEClient" { match substring (option dhcp6.vendor-class, 6, 9); } subclass "PXEClient" "PXEClient" { option dhcp6.bootfile-url "tftp://[fd33:eb1b:9b36::2]/redhat/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI"; } class "HTTPClient" { match substring (option dhcp6.vendor-class, 6, 10); } subclass "HTTPClient" "HTTPClient" { option dhcp6.bootfile-url "http://[fd33:eb1b:9b36::2]/redhat/EFI/BOOT/BOOTX64.EFI"; option dhcp6.vendor-class 0 10 "HTTPClient"; } }
DHCPv6 サービスを起動します。
# systemctl enable --now dhcpd6
DHCPv6 パケットがファイアウォールの RP フィルターによって破棄されている場合は、そのログを確認してください。ログに
rpfilter_DROP
エントリーが含まれている場合は、/etc/firewalld/firewalld.conf
ファイルで次の設定を使用してフィルターを無効にします。IPv6_rpfilter=no
15.4. BIOS ベースのクライアント向けに TFTP サーバーの設定
この手順に従って、TFTP サーバーおよび DHCP サーバーを設定し、BIOS ベースの AMD および Intel の 64 ビットシステム用 PXE サーバーで、TFTP サービスを開始します。
本セクションのすべての設定ファイルは例となります。設定の詳細は、アーキテクチャーや特定の要件によって異なります。
手順
root で、次のパッケージをインストールします。
# yum install tftp-server
ファイアウォールで、
tftp service
サービスへの着信接続を許可します。# firewall-cmd --add-service=tftp
注記-
このコマンドは、次にサーバーを再起動するまで、一時的にアクセスを有効にします。永続的アクセスを有効にするには、コマンドに
--permanent
オプションを追加します。 - ISO インストールファイルの場所によっては、HTTP などのサービスの着信接続を許可しないといけない場合があります。
-
このコマンドは、次にサーバーを再起動するまで、一時的にアクセスを有効にします。永続的アクセスを有効にするには、コマンドに
DVD ISO イメージファイルの
SYSLINUX
パッケージからpxelinux.0
ファイルにアクセスします。ここで、my_local_directory は、作成するディレクトリーの名前です。# mount -t iso9660 /path_to_image/name_of_image.iso /mount_point -o loop,ro
# cp -pr /mount_point/BaseOS/Packages/syslinux-tftpboot-version-architecture.rpm /my_local_directory
# umount /mount_point
パッケージをデプロイメントします。
# rpm2cpio syslinux-tftpboot-version-architecture.rpm | cpio -dimv
tftpboot/
にpxelinux/
ディレクトリーを作成し、そのディレクトリーからpxelinux/
ディレクトリーにすべてのファイルをコピーします。# mkdir /var/lib/tftpboot/pxelinux
# cp /my_local_directory/tftpboot/* /var/lib/tftpboot/pxelinux
pxelinux/
ディレクトリーにpxelinux.cfg/
ディレクトリーを作成します。# mkdir /var/lib/tftpboot/pxelinux/pxelinux.cfg
default
という名前の設定ファイルを作成し、以下の例のようにpxelinux.cfg/
ディレクトリーに追加します。default vesamenu.c32 prompt 1 timeout 600 display boot.msg label linux menu label ^Install system menu default kernel images/RHEL-8/vmlinuz append initrd=images/RHEL-8/initrd.img ip=dhcp inst.repo=http://192.168.124.2/RHEL-8/x86_64/iso-contents-root/ label vesa menu label Install system with ^basic video driver kernel images/RHEL-8/vmlinuz append initrd=images/RHEL-8/initrd.img ip=dhcp inst.xdriver=vesa nomodeset inst.repo=http://192.168.124.2/RHEL-8/x86_64/iso-contents-root/ label rescue menu label ^Rescue installed system kernel images/RHEL-8/vmlinuz append initrd=images/RHEL-8/initrd.img inst.rescue inst.repo=http:///192.168.124.2/RHEL-8/x86_64/iso-contents-root/ label local menu label Boot from ^local drive localboot 0xffff
注記-
このランタイムイメージなしでは、インストールプログラムは起動できません。
inst.stage2
起動オプションを使用して、イメージの場所を指定します。または、inst.repo=
オプションを使用して、イメージおよびインストールソースを指定することも可能です。 -
inst.repo
で使用したインストールソースの場所には、有効なtreeinfo
ファイルが含まれている必要があります。 -
インストールソースとして RHEL8 インストール DVD を選択すると、
.treeinfo
ファイルが BaseOS リポジトリーおよび AppStream リポジトリーを指定します。単一のinst.repo
オプションを使用することで両方のリポジトリーを読み込むことができます。
-
このランタイムイメージなしでは、インストールプログラムは起動できません。
/var/lib/tftpboot/
ディレクトリーに、ブートイメージファイルを保存するサブディレクトリーを作成し、そのディレクトリーにブートイメージファイルをコピーします。この例のディレクトリーは、/var/lib/tftpboot/pxelinux/images/RHEL-8/
になります。# mkdir -p /var/lib/tftpboot/pxelinux/images/RHEL-8/ # cp /path_to_x86_64_images/pxeboot/{vmlinuz,initrd.img} /var/lib/tftpboot/pxelinux/images/RHEL-8/
tftp.socket
サービスを開始して有効にします。# systemctl enable --now tftp.socket
これにより、PXE 起動サーバーでは、PXE クライアントにサービスを提供する準備が整いました。クライアント (Red Hat Enterprise Linux のインストール先システム) を起動し、起動ソースを指定するように求められたら、PXE ブート を選択してネットワークインストールを開始できます。
15.5. UEFI ベースのクライアント向けに TFTP サーバーの設定
この手順に従って、TFTP サーバーおよび DHCP サーバーを設定し、UEFI ベースの AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM システム用に、PXE サーバーで TFTP サービスを開始する方法を説明します。
- 本セクションのすべての設定ファイルは例となります。設定の詳細は、アーキテクチャーや特定の要件によって異なります。
-
Red Hat Enterprise Linux 8 UEFI PXE ブートは、MAC ベースの grub メニューファイルで小文字のファイル形式に対応します。たとえば、grub2 の MAC アドレスのファイル形式は
grub.cfg-01-aa-bb-cc-dd-ee-ff
です。
手順
root で、次のパッケージをインストールします。
# yum install tftp-server
ファイアウォールで、
tftp service
サービスへの着信接続を許可します。# firewall-cmd --add-service=tftp
注記-
このコマンドは、次にサーバーを再起動するまで、一時的にアクセスを有効にします。永続的アクセスを有効にするには、コマンドに
--permanent
オプションを追加します。 - ISO インストールファイルの場所によっては、HTTP などのサービスの着信接続を許可しないといけない場合があります。
-
このコマンドは、次にサーバーを再起動するまで、一時的にアクセスを有効にします。永続的アクセスを有効にするには、コマンドに
DVD ISO イメージから EFI ブートイメージファイルにアクセスします。
# mount -t iso9660 /path_to_image/name_of_image.iso /mount_point -o loop,ro
DVD ISO イメージから EFI ブートイメージをコピーします。
# mkdir /var/lib/tftpboot/redhat # cp -r /mount_point/EFI /var/lib/tftpboot/redhat/ # umount /mount_point
コピーしたファイルのパーミッションを修正します。
# chmod -R 755 /var/lib/tftpboot/redhat/
/var/lib/tftpboot/redhat/EFI/BOOT/grub.cfg
の内容を次の例に置き換えます。set timeout=60 menuentry 'RHEL 8' { linuxefi images/RHEL-8/vmlinuz ip=dhcp inst.repo=http://192.168.124.2/RHEL-8/x86_64/iso-contents-root/ initrdefi images/RHEL-8/initrd.img }
注記-
このランタイムイメージなしでは、インストールプログラムは起動できません。
inst.stage2
起動オプションを使用して、イメージの場所を指定します。または、inst.repo=
オプションを使用して、イメージおよびインストールソースを指定することも可能です。 -
inst.repo
で使用したインストールソースの場所には、有効なtreeinfo
ファイルが含まれている必要があります。 -
インストールソースとして RHEL8 インストール DVD を選択すると、
.treeinfo
ファイルが BaseOS リポジトリーおよび AppStream リポジトリーを指定します。単一のinst.repo
オプションを使用することで両方のリポジトリーを読み込むことができます。
-
このランタイムイメージなしでは、インストールプログラムは起動できません。
/var/lib/tftpboot/
ディレクトリーに、ブートイメージファイルを保存するサブディレクトリーを作成し、そのディレクトリーにブートイメージファイルをコピーします。この例のディレクトリーは、/var/lib/tftpboot/images/RHEL-9/ になります。# mkdir -p /var/lib/tftpboot/images/RHEL-8/ # cp /path_to_x86_64_images/pxeboot/{vmlinuz,initrd.img} /var/lib/tftpboot/images/RHEL-8/
tftp.socket
サービスを開始して有効にします。# systemctl enable --now tftp.socket
これにより、PXE 起動サーバーでは、PXE クライアントにサービスを提供する準備が整いました。クライアント (Red Hat Enterprise Linux のインストール先システム) を起動し、起動ソースを指定するように求められたら、PXE ブート を選択してネットワークインストールを開始できます。
15.6. IBM Power システム用のネットワークサーバーの設定
この手順に従って、GRUB2 を使用して、IBM Power システム用のネットワーク起動サーバーを設定する方法を説明します。
本セクションのすべての設定ファイルは例となります。設定の詳細は、アーキテクチャーや特定の要件によって異なります。
手順
root で、次のパッケージをインストールします。
# yum install tftp-server dhcp-server
tftp
サービスへの着信接続をファイアウォールで許可します。# firewall-cmd --add-service=tftp
注記-
このコマンドは、次にサーバーを再起動するまで、一時的にアクセスを有効にします。永続的アクセスを有効にするには、コマンドに
--permanent
オプションを追加します。 - ISO インストールファイルの場所によっては、HTTP などのサービスの着信接続を許可しないといけない場合があります。
-
このコマンドは、次にサーバーを再起動するまで、一時的にアクセスを有効にします。永続的アクセスを有効にするには、コマンドに
TFTP のルート内に GRUB2 ネットワーク起動ディレクトリーを作成します。
# grub2-mknetdir --net-directory=/var/lib/tftpboot Netboot directory for powerpc-ieee1275 created. Configure your DHCP server to point to /boot/grub2/powerpc-ieee1275/core.elf
注記この手順で説明しているように、コマンドの出力は、DHCP 設定で設定する必要があるファイル名をユーザーに通知します。
PXE サーバーを x86 マシンで実行している場合は、tftp root に
GRUB2
ネットワーク起動ディレクトリーを作成する前に、grub2-ppc64-modules
をインストールする必要があります。# yum install grub2-ppc64-modules
以下の例のように、GRUB2 設定ファイル (
/var/lib/tftpboot/boot/grub2/grub.cfg
) を作成します。set default=0 set timeout=5 echo -e "\nWelcome to the Red Hat Enterprise Linux 8 installer!\n\n" menuentry 'Red Hat Enterprise Linux 8' { linux grub2-ppc64/vmlinuz ro ip=dhcp inst.repo=http://192.168.124.2/RHEL-8/x86_64/iso-contents-root/ initrd grub2-ppc64/initrd.img }
注記-
このランタイムイメージなしでは、インストールプログラムは起動できません。
inst.stage2
起動オプションを使用して、イメージの場所を指定します。または、inst.repo=
オプションを使用して、イメージおよびインストールソースを指定することも可能です。 -
inst.repo
で使用したインストールソースの場所には、有効なtreeinfo
ファイルが含まれている必要があります。 -
インストールソースとして RHEL8 インストール DVD を選択すると、
.treeinfo
ファイルが BaseOS リポジトリーおよび AppStream リポジトリーを指定します。単一のinst.repo
オプションを使用することで両方のリポジトリーを読み込むことができます。
-
このランタイムイメージなしでは、インストールプログラムは起動できません。
このコマンドを使用して DVD ISO イメージをマウントします。
# mount -t iso9660 /path_to_image/name_of_iso/ /mount_point -o loop,ro
ディレクトリーを作成し、DVD ISO イメージから
initrd.img
ファイルおよびvmlinuz
ファイルをコピーします。以下に例を示します。# cp /mount_point/ppc/ppc64/{initrd.img,vmlinuz} /var/lib/tftpboot/grub2-ppc64/
以下の例のように、
GRUB2
に同梱されているブートイメージを使用するように DHCP サーバーを設定します。DHCP サーバーがすでに設定されている場合は、DHCP サーバーでこの手順を実行します。subnet 192.168.0.1 netmask 255.255.255.0 { allow bootp; option routers 192.168.0.5; group { #BOOTP POWER clients filename "boot/grub2/powerpc-ieee1275/core.elf"; host client1 { hardware ethernet 01:23:45:67:89:ab; fixed-address 192.168.0.112; } } }
-
ネットワーク設定に合わせて、サンプルパラメーターの
subnet
、netmask
、routers
、fixed-address
、およびhardware ethernet
を変更します。file name
パラメーターは、この手順のステップで、grub2-mknetdir
コマンドで出力したファイル名となります。 DHCP サーバーで
dhcpd
サービスを開始して有効にします。localhost で DHCP サーバーを設定している場合は、ローカルホストでdhcpd
サービスを開始して有効にします。# systemctl enable --now dhcpd
tftp.socket
サービスを開始して有効にします。# systemctl enable --now tftp.socket
これにより、PXE 起動サーバーでは、PXE クライアントにサービスを提供する準備が整いました。クライアント (Red Hat Enterprise Linux のインストール先システム) を起動し、起動ソースを指定するように求められたら、PXE ブート を選択してネットワークインストールを開始できます。
第16章 リモートリポジトリーの作成
この手順は、DVD ISO イメージから抽出したコンテンツを含むリモートレポジトリーを使用する、ネットワークベースのインストールを作成する手順を説明します。インストールソースには、HTTP、または HTTPS でアクセスします。
前提条件
- Red Hat Enterprise Linux 8 インストール DVD/ISO イメージがある。
- Red Hat Enterprise Linux を実行しているサーバーが複数ある。
16.1. RHEL への Apache のインストール
この手順では、Red Hat Enterprise Linux 8 に Apache をインストールする方法を説明します。
前提条件
- Apache Web サーバーを使用してリポジトリーにアクセスできる。
手順
httpd パッケージのインストール
# yum install httpd
次に、Apache Web サーバーを有効にします。再起動後に、次のコマンドにより Web サーバーが起動します。
# systemctl enable httpd # systemctl start httpd
所有している Web サイトファイルを挿入します。
# echo Apache on RHEL {ProductNumber} > /var/www/html/index.html
ファイアウォールを更新します。
# firewall-cmd --add-service=http --permanent # firewall-cmd --add-service=http
Web サイトにアクセスします。
http://<the-apache-ip-address> http://<the-apache-hostname>
16.2. リモートリポジトリーの作成
複数の Red Hat Enterprise Linux サーバーは、ネットワーク上にある単一の Red Hat Enterprise Linux リポジトリーにアクセスできます。これには web サーバーが必要になりますが、おそらく Apache がこれになります。
前提条件
- Red Hat Enterprise Linux 8 インストール DVD/ISO イメージがある。
- Red Hat Enterprise Linux を実行しているサーバーが複数ある。
手順
ダウンロードした DVD のコンテンツをマウントしてコピーします。
mkdir /mnt/rhel{ProductNumber} mount -o loop,ro rhel-{ProductNumber}-x86_64-dvd.iso /mnt/rhel{ProductNumber}/ cp -r /mnt/rhel{ProductNumber}/ /var/www/html/ umount /mnt/rhel{ProductNumber}
次の手順は、Apache がインストールされているサーバーではなく、クライアント側で実行します。
BaseOS リポジトリーおよび AppStream リポジトリー両方のリポジトリーファイルを作成します。
vi /etc/yum.repos.d/rhel_http_repo.repo [BaseOS_repo_http] name=RHEL_8_x86_64_HTTP BaseOS baseurl="http://myhost/rhel8/BaseOS" gpgcheck=1 gpgkey=file:///etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-redhat-release [AppStream_repo_http] name=RHEL_8_x86_64_HTTP AppStream baseurl="http://myhost/rhel8/AppStream" gpgcheck=1 gpgkey=file:///etc/pki/rpm-gpg/RPM-GPG-KEY-redhat-release [root@localhost ~]# yum repolist Updating Subscription Management repositories. Unable to read consumer identity This system is not registered to Red Hat Subscription Management. You can use subscription-manager to register. Last metadata expiration check: 0:08:33 ago on Út 23. července 2019, 16:48:09 CEST. repo id repo name status AppStream_repo_http RHEL_8_x86_64_HTTP AppStream 4,672 BaseOS_repo_http RHEL_8_x86_64_HTTP BaseOS 1,658 [root@localhost ~]#
第17章 起動オプション
このセクションでは、インストールプログラムのデフォルトの動作を変更するために使用できる起動オプションについて説明します。すべての起動オプションは、アップストリームの Boot Option を参照してください。
17.1. 起動オプションの入力
起動オプションには、等号 (=) が付いているものと、付けていないものがあります。ブートオプションはブートコマンドラインに追加され、スペースで区切って複数のオプションを追加できます。インストールプログラムに固有の起動オプションは、常に inst
から始まります。
- 等号 (=) 記号を使用するオプション
-
起動オプションに、
=
記号を使用する値を指定する必要があります。たとえば、inst.vncpassword=
オプションには値 (この場合はパスワード) を指定する必要があります。この例の正しい構文はinst.vncpassword=password
です。 - 等号 (=) 記号を使用しないオプション
-
この起動オプションでは、値またはパラメーターを使用できません。たとえば、
rd.live.check
オプションでは、インストール開始前にインストールメディアの検証が強制されます。インストールプログラムは、このブートオプションが存在すると検証を実行します。ブートオプションが存在しないと、検証はスキップされます。
17.2. 起動オプションの編集
このセクションでは、起動メニューから起動オプションを編集するさまざまな方法を説明します。インストールメディアを起動すると、起動メニューが開きます。
17.2.1. BIOS で boot: プロンプトの編集
boot:
プロンプトを使用すると、最初のオプションは、読み込むインストールプログラムのイメージファイルを常に指定する必要があります。ほとんどの場合、このイメージはキーワードを使用して指定できます。要件に応じて、追加オプションを指定できます。
前提条件
- 起動可能なインストールメディア (USB、CD、または DVD) を作成している。
- メディアからインストールを起動し、起動メニュー画面が開いている。
手順
- ブートメニューが開いたら、キーボードの Esc キーを押します。
-
boot:
プロンプトにアクセスできるようになります。 - キーボードの Tab キーを押して、ヘルプコマンドを表示します。
-
キーボードの Enter キーを押して、オプションでインストールを開始します。
boot:
プロンプトから起動メニュー画面に戻るには、システムを再起動して、インストールメディアから再度起動します。
boot:
プロンプトでは、dracut
カーネルオプションも使用できます。利用可能なオプションの一覧は、dracut.cmdline(7)
の man ページを参照してください。
17.2.2. > プロンプトを使用して事前定義されたブートオプションの編集
BIOS ベースの AMD64 および Intel64 システムでは、>
プロンプトを使用して、事前定義されたブートオプションを編集できます。オプションの完全なセットを表示するには、ブートメニューから Test this media and install RHEL 8
を選択します。
前提条件
- 起動可能なインストールメディア (USB、CD、または DVD) を作成している。
- メディアからインストールを起動し、起動メニュー画面が開いている。
手順
-
ブートメニューでオプションを選択し、キーボードの Tab キーを押します。
>
プロンプトにアクセスし、利用可能なオプションを表示します。 -
>
プロンプトに必要なオプションを追加します。 - Enter を押してインストールを開始します。
- Esc キーを押して編集をキャンセルし、ブートメニューに戻ります。
17.3. インストールソースの起動オプション
このセクションでは、さまざまなインストールソースのブートオプションについて説明します。
- inst.repo=
inst.repo=
起動オプションはインストールソースを指定します。つまり、パッケージリポジトリーと、そのリポジトリーを記述する有効な.treeinfo
ファイルを提供する場所にあたります。たとえば、inst.repo=cdrom
になります。inst.repo=
オプションの対象は、以下のいずれかのインストールメディアになります。-
インストール可能なツリー (インストールプログラムのイメージ、パッケージ群、リポジトリーデータおよび有効な
.treeinfo
ファイルを含むディレクトリー設定) - DVD (システムの DVD ドライブにある物理ディスク)
Red Hat Enterprise Linux のフルインストール用 DVD の ISO イメージ (ディスク、またはシステムにアクセスできるネットワーク上の場所)
inst.repo=
起動オプションでは、さまざまなインストール方法を設定します。以下の表は、inst.repo=
起動オプションの詳細な構文を記載します。表17.1 inst.repo= ブートオプションおよびインストールソースのタイプおよびフォーマット ソースタイプ 起動オプションの形式 ソースの形式 CD/DVD ドライブ
inst.repo=cdrom:<device>
物理ディスクとしてのインストール DVD。 [a]
マウント可能なデバイス (HDD および USB スティック)
inst.repo=hd:<device>:/<path>
インストール DVD のイメージファイル
NFS サーバー
inst.repo=nfs:[options:]<server>:/<path>
インストール DVD のイメージファイル、またはインストールツリー (インストール DVD にあるディレクトリーおよびファイルの完全なコピー)。 [b]
HTTP サーバー
inst.repo=http://<host>/<path>
インストールツリー (インストール DVD 上にあるディレクトリーおよびファイルの完全なコピー)。
HTTPS サーバー
inst.repo=https://<host>/<path>
FTP サーバー
inst.repo=ftp://<username>:<password>@<host>/<path>
HMC
inst.repo=hmc
[a] device が省略された場合、インストールプログラムはインストール DVD を含むドライブを自動的に検索します。[b] NFS サーバーのオプションでは、デフォルトで NFS プロトコルのバージョン 3 が使用されます。別のバージョンを使用するには、nfsvers=X
を オプション に追加し、X を、使用するバージョン番号に置き換えます。
-
インストール可能なツリー (インストールプログラムのイメージ、パッケージ群、リポジトリーデータおよび有効な
ディスクデバイス名は、次の形式で設定します。
-
カーネルデバイス名 (例:
/dev/sda1
またはsdb2
) -
ファイルシステムのラベル (例:
LABEL=Flash
またはLABEL=RHEL8
) -
ファイルシステムの UUID (例:
UUID=8176c7bf-04ff-403a-a832-9557f94e61db
)
英数字以外は \xNN
で表す必要があります。NN は文字の 16 進数表示になります。たとえば、\x20
なら空白 (" ")
になります。
- inst.addrepo=
inst.addrepo=
起動オプションを使用して、別のインストールソースとして、メインリポジトリー (inst.repo=
) とともに追加のリポジトリーを追加します。起動時に、inst.addrepo=
起動オプションを複数回使用できます。以下の表では、inst.addrepo=
起動オプションの構文の詳細を記載します。注記REPO_NAME
はリポジトリーの名前であり、インストールプロセスでは必須です。これらのリポジトリーは、インストールプロセス時にのみ使用され、インストールしたシステムにはインストールされません。
統一された ISO に関する詳細は、Unified ISO を参照してください。
インストールソース | 起動オプションの形式 | 関連情報 |
---|---|---|
URL にあるインストール可能なツリー |
| 指定の URL にあるインストール可能なツリーを探します。 |
NFS パスにあるインストール可能なツリー |
|
指定した NFS パスのインストール可能なツリーを探します。コロンは、ホストの後に必要です。インストールプログラムは、RFC 2224 に従って URL の解析を行うのではなく、 |
インストール環境でインストール可能なツリー |
|
インストール環境の指定した場所にあるインストール可能なツリーを探します。このオプションを使用するには、インストールプログラムが利用可能なソフトウェアグループのロードを試行する前に、リポジトリーがマウントされる必要があります。このオプションの利点は、起動可能な ISO に複数のリポジトリーを利用でき、ISO からメインリポジトリーと追加のリポジトリーの両方をインストールできることです。追加のリポジトリーへのパスは |
ディスク |
| 指定した <device> パーティションをマウントして、<path> で指定した ISO からインストールします。<path> を指定しないと、インストールプログラムは <device> 上の有効なインストール ISO を探します。このインストール方法には、有効なインストール可能ツリーを持つ ISO が必要です。 |
- inst.stage2=
inst.stage2=
起動オプションは、インストールプログラムのランタイムイメージの場所を指定します。このオプションは、有効な.treeinfo
ファイルが含まれるディレクトリーへのパスを想定し、.treeinfo
ファイルからランタイムイメージの場所を読み取ります。.treeinfo
ファイルが利用できないと、インストールプログラムは、images/install.img
からイメージを読み込もうとします。inst.stage2
オプションを指定しない場合、インストールプログラムはinst.repo
オプションで指定された場所を使用しようとします。このオプションは、後でインストールプログラム内でインストールソースを手動で指定する場合に使用します。たとえば、インストールソースとしてコンテンツ配信ネットワーク (CDN) を選択する場合などに使用します。インストール DVD および Boot ISO には、それぞれの ISO からインストールプログラムを起動するための適切な
inst.stage2
オプションがすでに含まれています。インストールソースを指定する場合は、代わりに
inst.repo=
オプションを使用します。注記デフォルトでは、インストールメデイアで
inst.stage2=
起動オプションが使用され、これは特定のラベル (たとえばinst.stage2=hd:LABEL=RHEL-x-0-0-BaseOS-x86_64
) に設定されています。ランタイムイメージが含まれるファイルシステムのデフォルトラベルを修正する場合、またはカスタマイズされた手順を使用してインストールシステムを起動する場合は、inst.stage2=
起動オプションに正しい値が設定されていることを確認してください。- inst.noverifyssl
inst.noverifyssl
起動オプションを使用して、追加のキックスタートリポジトリーを除き、すべての HTTPS 接続の SSL 証明書が検証されないようにします。ただし、--noverifyssl
はリポジトリーごとに設定できます。たとえば、リモートのインストールソースが自己署名 SSL 証明書を使用している場合には、
inst.noverifyssl
起動オプションは、SSL 証明書を検証せずにインストーラーがインストールを完了できるようにします。inst.stage2=
を使用してソースを指定する場合の例inst.stage2=https://hostname/path_to_install_image/ inst.noverifyssl
inst.repo=
を使用してソースを指定する場合の例inst.repo=https://hostname/path_to_install_repository/ inst.noverifyssl
- inst.stage2.all
inst.stage2.all
起動オプションを使用して、複数の HTTP、HTTPS、または FTP ソースを指定します。inst.stage2=
起動オプションは、inst.stage2.all
オプションとともに複数回使用して、成功するまで、イメージを順番にフェッチできます。以下に例を示します。inst.stage2.all inst.stage2=http://hostname1/path_to_install_tree/ inst.stage2=http://hostname2/path_to_install_tree/ inst.stage2=http://hostname3/path_to_install_tree/
- inst.dd=
-
インストール時にドライバーの更新を実行する場合は、
inst.dd=
起動オプションを使用します。インストール時にドライバーを更新する方法の詳細は、高度な RHEL 8 インストールの実行 を参照してください。 - inst.repo=hmc
-
このオプションにより、外部ネットワーク設定の必要がなくなるため、インストールのオプションが増えます。Binary DVD から起動すると、インストーラープログラムにより、追加のカーネルパラメーターを入力するように求められます。DVD をインストールソースとして設定するには、
inst.repo=hmc
オプションをカーネルパラメーターに追加します。インストールプログラムは、サポート要素 (SE) およびハードウェア管理コンソール (HMC) のファイルアクセスを有効にし、DVD から stage2 のイメージをフェッチし、ソフトウェア選択のために DVD のパッケージへのアクセスを提供します。 - inst.proxy=
HTTP、HTTPS、および FTP プロトコルからインストールを実行する場合には、
inst.proxy=
起動オプションが使用されます。以下に例を示します。[PROTOCOL://][USERNAME[:PASSWORD]@]HOST[:PORT]
- inst.nosave=
inst.nosave=
起動オプションを指定して、インストールログや関連ファイルがインストール済みのシステムに保存されないように制御します (例:input_ks
、output_ks
、all_ks
、logs
、all
)。複数の値をコンマで区切って組み合わせることができます。以下に例を示します。inst.nosave=Input_ks,logs
注記inst.nosave
ブートオプションは、インストール済みのシステムから、キックスタートのログや入力/出力などの Kickstart %post スクリプトで削除できないファイルの除外に使用されます。input_ks
- キックスタートによる入力を保存する機能を無効にします。
output_ks
- インストールプログラムで生成されたキックスタートによる出力を保存する機能を無効にします。
all_ks
- キックスタートによる入出力を保存する機能を無効にします。
logs
- すべてのインストールログを保存する機能を無効にします。
all
- すべてのキックスタート結果とすべてのログを保存する機能を無効にします。
- inst.multilib
-
inst.multilib
起動オプションを使用して、DNF のmultilib_policy
を、best ではなく all に設定します。 - inst.memcheck
-
inst.memcheck
起動オプションは、インストールを完了するのにシステムに十分な RAM があることを確認するためのチェックを実行します。RAM が十分でない場合は、インストールプロセスが停止します。システムのチェックはおおよそのもので、インストールの際のメモリー使用率は、パッケージ選択やユーザーインターフェイス (グラフィカル、テキスト)、その他のパラメーターにより異なります。 - inst.nomemcheck
-
inst.nomemcheck
起動オプションは、インストールを完了するのに十分な RAM があるかどうかの確認を実行しません。推奨よりも低いメモリー量でのインストールはサポートされていないため、インストールプロセスが失敗する場合があります。
17.4. ネットワーク起動オプション
シナリオでローカルイメージから起動するのではなく、ネットワーク経由でイメージから起動する必要がある場合は、次のオプションを使用してネットワーク起動をカスタマイズできます。
dracut
ツールを使用してネットワークを初期化します。dracut
オプションの完全なリストについては、dracut.cmdline(7)
の man ページを参照してください。
- ip=
ip=
起動オプションは、1 つ以上のネットワークインターフェイスを設定します。複数のインターフェイスを設定するには、次のいずれかの方法を使用します。-
インターフェイスごとに 1 回ずつ、
ip
オプションを複数回使用します。これを行うには、rd.neednet=1
オプションを使用し、bootdev
オプションを使用してプライマリーブートインターフェイスを指定します。 -
ip
オプションを 1 回使用してから、Kickstart を使用してさらにインターフェイスを設定します。このオプションでは、複数の形式が使用できます。以下の表は、最も一般的なオプションの情報が含まれます。
-
インターフェイスごとに 1 回ずつ、
以下の表では、下記の点を前提としています。
-
ip
パラメーターはクライアントの IP アドレスを指定し、IPv6
には角括弧が必要です (例: 192.0.2.1 または [2001:db8::99])。 -
gateway
パラメーターはデフォルトゲートウェイになります。IPv6
には角括弧必要です。 -
netmask
パラメーターは使用するネットマスクです。完全ネットマスク (255.255.255.0 など) または接頭辞 (64 など) を使用できます。 hostname
パラメーターはクライアントシステムのホスト名です。このパラメーターは任意です。表17.3 ネットワークインターフェイスを設定するためのブートオプション形式 起動オプションの形式 設定方法 ip=method
全インターフェイスの自動設定
ip=interface:method
特定インターフェイスの自動設定
ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:none
静的設定 (例: IPv4
ip=192.0.2.1::192.0.2.254:255.255.255.0:server.example.com:enp1s0:none
)IPv6:
ip=[2001:db8::1]::[2001:db8::fffe]:64:server.example.com:enp1s0:none
ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:method:mtu
オーバーライドを使用した特定インターフェイスの自動設定
自動インターフェイスの設定方法
オーバーライドを使用した特定インターフェイスの自動設定
では、dhcp
など、指定した自動設定方法を使用してインターフェイスを起動しますが、自動取得した IP アドレス、ゲートウェイ、ネットマスク、ホスト名、他のパラメーターなどで指定したものは無効にします。パラメーターはすべて任意となるため、無効にするパラメーターだけを指定します。method
パラメーターには、以下のいずれかを使用します。- DHCP
-
dhcp
- IPv6 DHCP
-
dhcp6
- IPv6 自動設定
-
auto6
- iBFT (iSCSI Boot Firmware Table)
-
ibft
注記-
ip
オプションを指定せずに、inst.ks=http://host/path
などのネットワークアクセスを必要とするブートオプションを使用する場合、ip
オプションのデフォルト値はip=dhcp
です。 -
iSCSI ターゲットに自動的に接続するには、
ip=ibft
ブートオプションを使用して、ターゲットにアクセスするネットワークデバイスをアクティブ化します。
- nameserver=
nameserver=
オプションは、ネームサーバーのアドレスを指定します。このオプションは複数回使用できます。注記ip=
パラメーターには角括弧が必要です。ただし、IPv6 アドレスには角括弧が使用できません。IPv6 アドレスに使用する正しい構文はnameserver=2001:db8::1
のようになります。- bootdev=
-
bootdev=
オプションは、起動インターフェイスを指定します。このオプションは、ip
オプションを複数回使用する場合に必要になります。 - ifname=
ifname=
オプションは、特定の MAC アドレスを持つネットワークデバイスにインターフェイス名を割り当てます。このオプションは複数回使用できます。構文は、ifname=interface:MAC
です。以下に例を示します。ifname=eth0:01:23:45:67:89:ab
注記ifname=
オプションは、インストール中にカスタムのネットワークインターフェイス名を設定する際にサポートされる唯一の方法となります。- inst.dhcpclass=
-
inst.dhcpclass=
オプションは、DHCP のベンダークラス識別子を指定します。dhcpd
サービスではこの値をvendor-class-identifier
として認識します。デフォルト値はanaconda-$(uname -srm)
です。 - inst.waitfornet=
-
inst.waitfornet=SECONDS
起動オプションを使用すると、インストールシステムは、ネットワーク接続を待ってからインストールします。SECONDS
引数で指定する値は、ネットワーク接続がない場合でもすぐにはタイムアウトにせず、ネットワーク接続を待ち続け、インストールプロセスを継続する最大秒数を表します。 - vlan=
vlan=
オプションを使用して、仮想 LAN (VLAN) デバイスに特定の名前を付け、指定インターフェイスにそのデバイスを設定します。構文はvlan=name:interface
です。以下に例を示します。vlan=vlan5:enp0s1
これにより、
enp0s1
インターフェイスにvlan5
という名前の VLAN デバイス が設定されます。name は以下のような形式をとります。
-
VLAN_PLUS_VID:
vlan0005
-
VLAN_PLUS_VID_NO_PAD:
vlan5
-
DEV_PLUS_VID:
enp0s1.0005
DEV_PLUS_VID_NO_PAD:
enp0s1.5
- bond=
bond=
オプションを使用して、bond=name[:interfaces][:options]
構文でボンディングデバイスを設定します。name はボンディングデバイス名に置き換え、interfaces は物理 (イーサネット) インターフェイスのコンマ区切りリストに置き換え、options はボンディングオプションのコンマ区切りリストに置き換えます。以下に例を示します。bond=bond0:enp0s1,enp0s2:mode=active-backup,tx_queues=32,downdelay=5000
利用可能なオプションのリストは、ボンディングコマンド
modinfo
を実行します。- team=
team=
オプションを使用して、team=name:interfaces
構文でチームデバイスを設定します。チームデバイスの基礎となるインターフェイスとして使用されるように、name はチームデバイスの望ましい名前に、interfaces は物理 (イーサネット) デバイスのコンマ区切りリストに置き換えます。以下に例を示します。team=team0:enp0s1,enp0s2
- bridge=
bridge=
オプションを使用して、bridge=name:interfaces
構文でブリッジデバイスを設定します。ブリッジデバイスの基礎となるインターフェイスとして使用されるように、name はブリッジデバイスの望ましい名前に、interfaces は物理 (イーサネット) デバイスのコンマ区切りリストに置き換えます。以下に例を示します。bridge=bridge0:enp0s1,enp0s2
17.5. コンソール起動オプション
このセクションでは、コンソール、モニターディスプレイ、およびキーボードの起動オプションを設定する方法を説明します。
- console=
-
console=
オプションを使用して、プライマリーコンソールとして使用するデバイスを指定します。たとえば、最初のシリアルポートでコンソールを使用するには、console=ttyS0
を使用します。console=
引数を使用する場合、インストールはテキスト UI から始まります。console=
オプションを複数回使用する必要がある場合は、指定したすべてのコンソールにブートメッセージが表示されます。ただし、インストールプログラムは、最後に指定されたコンソールのみを使用します。たとえば、console=ttyS0 console=ttyS1
と指定すると、インストールプログラムではttyS1
が使用されます。 - inst.lang=
-
inst.lang=
オプションを使用して、インストール時に使用する言語を設定します。ロケールのリストを表示するには、コマンドlocale -a | grep _
またはlocalectl list-locales | grep _
コマンドを実行します。 - inst.singlelang
-
inst.singlelang
を指定して単一の言語モードでインストールを行うと、そのインストール言語と言語サポート設定に対する対話オプションを利用できません。inst.lang
起動オプションまたはlang
キックスタートコマンドを使用して言語を指定すると、オプションが指定されます。言語を指定しないと、インストールプログラムのロケールはデフォルトでen_US.UTF-8
となります。 - inst.geoloc=
インストールプログラムで、地理位置情報の使用方法を設定するには、
inst.geoloc=
オプションを使用します。地理位置情報は、言語およびタイムゾーンの事前設定に使用され、inst.geoloc=value
構文を使用します。value
には、以下のいずれかのパラメーターを使用します。-
地理位置情報の無効化:
inst.geoloc=0
-
Fedora GeoIP API (
inst.geoloc=provider_fedora_geoip
) の使用。 Hostip.info GeoIP API (
inst.geoloc=provider_hostip
) の使用。inst.geoloc=
オプションを指定しない場合、デフォルトのオプションはprovider_fedora_geoip
です。
-
地理位置情報の無効化:
- inst.keymap=
-
inst.keymap=
オプションを使用して、インストールに使用するキーボードレイアウトを指定します。 - inst.cmdline
-
inst.cmdline
オプションを使用して、インストールプログラムをコマンドラインモードで強制的に実行します。このモードでは対話が使用できないため、キックスタートファイルまたはコマンドラインですべてのオプションを指定する必要があります。 - inst.graphical
-
インストールプログラムをグラフィカルモードで強制的に実行するには、
inst.graphical
オプションを使用します。グラフィカルモードがデフォルトです。 - inst.text
-
inst.text
オプションを使用して、グラフィカルモードではなく、テキストモードでインストールプログラムを強制的に実行します。 - inst.noninteractive
-
inst.noninteractive
起動オプションを使用して、非対話モードでインストールプログラムを実行します。非対話型モード (およびinst.noninteractive
) では、ユーザーとの対話は許可されていません。グラフィカルまたはテキストインストールでinst.nointeractive
オプションを使用できます。inst.noninteractive
オプションをテキストモードで使用すると、inst.cmdline
オプションと同じように動作します。 - inst.resolution=
-
inst.resolution=
オプションを使用して、グラフィカルモードで、画面の解像度を指定します。形式はNxM
です。N は画面の幅で、M は画面の高さ (ピクセル単位) です。推奨される解像度は 1024x768 です。 - inst.vnc
-
inst.vnc
オプションを使用して、Virtual Network Computing (VNC) を使用したグラフィカルインストールを実行します。インストールプログラムと対話するには VNC クライアントアプリケーションを使用する必要があります。VNC 共有を有効にすると、複数のクライアントに接続できます。VNC を使用してインストールしたシステムは、テキストモードで起動します。 - inst.vncpassword=
-
inst.vncpassword=
オプションを使用して、インストールプログラムが使用する VNC サーバーにパスワードを設定します。 - inst.vncconnect=
-
inst.vncconnect=
オプションを使用して、指定されたホストの場所にあるリスニング VNC クライアントに接続します (例:inst.vncconnect=<host>[:<port>]
)。デフォルトのポートは 5900 です。このオプションを使用するには、コマンドvncviewer -listen
を入力します。 - inst.xdriver=
-
inst.xdriver=
オプションを使用して、インストール時およびインストール済みシステムで使用される X ドライバーの名前を指定します。 - inst.usefbx
-
inst.usefbx
オプションを使用して、ハードウェア固有のドライバーではなく、フレームバッファー X ドライバーを使用するようにインストールプログラムに要求します。このオプションは、inst.xdriver=fbdev
オプションと同等です。 - modprobe.blacklist=
modprobe.blacklist=
オプションを使用して、1 つ以上のドライバーを拒否リストに追加するか、完全に無効にします。このオプションを使用して無効にしたドライバー (mods) は、インストールの開始時にロードできません。インストールが完了すると、インストールされたシステムはこれらの設定を保持します。拒否リストに指定したドライバーのリストは、/etc/modprobe.d/
ディレクトリーにあります。複数のドライバーを無効にするには、コンマ区切りリストを使用します。以下に例を示します。modprobe.blacklist=ahci,firewire_ohci
注記modprobe.blacklist
は、さまざまなコマンドラインオプションと組み合わせて使用できます。たとえば、既存のドライバーの更新バージョンがドライバー更新ディスクから確実に読み込まれるようにするには、inst.dd
オプションを使用します。modprobe.blacklist=virtio_blk
- inst.xtimeout=
-
inst.xtimeout=
オプションを使用して、X サーバーの起動のタイムアウトを秒単位で指定します。 - inst.sshd
インストール時に、SSH を使用してシステムに接続し、インストールの進捗を監視できるように、
inst.sshd
オプションを使用して、sshd
サービスを開始します。SSH の詳細は、man ページのssh(1)
を参照してください。デフォルトでは、sshd
オプションは、64 ビットの IBM Z アーキテクチャーでのみ自動的に起動します。その他のアーキテクチャーでは、sshd
は、inst.sshd
オプションを使用しない限り起動しません。注記インストール中に、root アカウントにはデフォルトでパスワードが設定されていません。キックスタートコマンド
sshpw
を使用して、インストール時に root パスワードを設定できます。- inst.kdump_addon=
-
インストールプログラムで Kdump 設定画面 (アドオン) を有効または無効にするには、
inst.kdump_addon=
オプションを使用します。この画面はデフォルトで有効になっているため、無効にする場合はinst.kdump_addon=off
を使用します。アドオンを無効にすると、グラフィカルおよびテキストベースのインターフェイスと、キックスタートコマンド%addon com_redhat_kdump
の両方で Kdump 画面が無効になります。
17.6. 起動オプションのデバッグ
このセクションでは、問題をデバッグするときに使用できるオプションを説明します。
- inst.rescue
-
inst.rescue
オプションを使用して、システムの診断と修正のためのレスキュー環境を実行します。たとえば、レスキューモードでファイルシステムを修復 できます。 - inst.updates=
inst.updates=
オプションを使用して、インストール時に適用するupdates.img
ファイルの場所を指定します。updated.img
ファイルは、いくつかのソースの 1 つから取得できます。表17.4 updates.img ファイルソース ソース 説明 例 ネットワークからの更新
updates.img
のネットワーク上の場所を指定します。インストールツリーを変更する必要はありません。この方法を使用するには、カーネルコマンドラインを編集してinst.updates
を追加します。inst.updates=http://website.com/path/to/updates.img
.ディスクイメージからの更新
フロッピードライブまたは USB キーに
updates.img
を保存できます。これは、ファイルシステムタイプがext2
のupdates.img
でのみ可能です。イメージの内容をフロッピードライブに保存するには、フロッピーディスクを挿入し、次のコマンドを実行します。dd if=updates.img of=/dev/fd0 bs=72k count=20
USB キーまたはフラッシュメディアを使用するには、/dev/fd0
を、USB キーのデバイス名に置き換えます。インストールツリーからの更新
CD、ディスク、HTTP、または FTP のインストールを使用する場合は、すべてのインストールツリーが
.img
ファイルを検出できるように、インストールツリーにupdates.img
を保存できます。このファイル名は、updates.img
にする必要があります。NFS インストールの場合は、ファイルを
images/
ディレクトリーまたはRHupdates/
ディレクトリーに保存します。- inst.loglevel=
inst.loglevel=
オプションを使用して、端末に記録するログメッセージの最小レベルを指定します。このオプションは、ターミナルログにのみ適用されます。ログファイルには、常にすべてのレベルのメッセージが含まれます。このオプションで可能な値は、最低レベルから最高レベルまで次のとおりです。-
debug
-
info
-
warning
-
error
-
critical
-
デフォルト値は info
となるため、デフォルトでは、info
から critical
までのメッセージがログの端末に表示されます。
- inst.syslog=
-
インストールの開始時に、指定されたホスト上の
syslog
プロセスにログメッセージを送信します。inst.syslog=
は、リモートsyslog
プロセスが着信接続を受け入れるように設定されている場合にのみ使用できます。 - inst.virtiolog=
-
inst.virtiolog =
オプションを使用して、ログの転送に使用する virtio ポート (/dev/virtio-ports/name
にある文字デバイス) を指定します。デフォルト値は、org.fedoraproject.anaconda.log.0
です。 - inst.zram=
インストール中の zRAM スワップの使用を制御します。このオプションは、圧縮したブロックデバイスをシステム RAM に作成し、ハードドライブではなくスワップ領域に使用します。この設定により、使用可能なメモリーが少ない状態でインストールプログラムを実行し、インストール速度を向上させることができます。次の値を使用して、
inst.zram=
オプションを設定できます。- inst.zram=1 は、システムメモリーサイズに関係なく、zRAM スワップを有効にします。デフォルトでは、2GiB 以下の RAM を搭載したシステムで zRAM のスワップが有効になっています。
- inst.zram=0 は、システムメモリーサイズに関係なく、zRAM スワップを無効にします。デフォルトでは、2GiB を超えるメモリーを搭載したシステムでは zRAM のスワップが無効になっています。
- rd.live.ram
-
images/install.img
のstage 2
イメージを RAM にコピーします。これにより、インストールに必要なメモリーがイメージのサイズ (通常は 400 ~ 800MB) だけ増加することに注意してください。 - inst.nokill
- 致命的なエラーが発生したとき、またはインストールプロセスの最後に、インストールプログラムが再起動しないようにします。再起動時に失われるインストールログをキャプチャーするのに使用します。
- inst.noshell
- インストール中にターミナルセッション 2 (tty2) でシェルを防止します。
- inst.notmux
- インストール中に tmux を使用しないようにします。この出力は、ターミナル制御文字なしで生成され、非対話用になります。
- inst.remotelog=
-
TCP 接続を使用してすべてのログをリモート
host:port
に送信します。リスナーがなく、インストールが通常通りに進まない場合は、接続が中断されます。
17.7. ストレージ起動オプション
このセクションでは、ストレージデバイスからの起動をカスタマイズするために指定できるオプションを説明します。
- inst.nodmraid
-
dmraid
サポートを無効にします。
使用する場合は注意が必要です。ファームウェア RAID アレイの一部として誤って特定されたディスクがある場合は、古い RAID メタデータが存在する可能性があります。これらは、dmraid
や wipefs
などの適切なツールを使用して削除する必要があります。
- inst.nompath
- マルチパスデバイスのサポートを無効にします。このオプションは、システムに誤検知があり、通常のブロックデバイスをマルチパスデバイスとして誤って識別する場合にのみ使用してください。
使用する場合は注意が必要です。マルチパスハードウェアではこのオプションを使用しないでください。このオプションを使用してマルチパスデバイスのシングルパスにインストールすることはサポートされていません。
- inst.gpt
-
インストールプログラムがパーティション情報を Master Boot Record (MBR) ではなく GUID Partition Table (GPT) にインストールするように強制します。このオプションは、BIOS 互換モードである場合を除き、UEFI ベースのシステムでは有効ではありません。通常、BIOS 互換モードの BIOS ベースのシステムおよび UEFI ベースのシステムは、ディスクのサイズが 2^32 セクター以上でない限り、パーティション情報の格納に MBR スキーマを使用しようとします。ディスクセクターは通常 512 バイトで、通常これは 2 TiB に相当します。
inst.gpt
ブートオプションを使用すると、GPT をより小さなディスクに書き込むことができます。 - inst.wait_for_disks=
-
inst.wait_for_disks=
オプションを使用して、インストールの開始時にディスクデバイスが表示されるまでインストールプログラムが待機する秒数を指定します。キックスタートファイルまたはカーネルドライバーを自動的にロードするためにOEMDRV-labeled
デバイスを使用しているものの、起動プロセス中にデバイスが表示されるまでに時間がかかる場合は、このオプションを使用します。デフォルトでは、インストールプログラムは5
秒間待機します。遅延を最小限に抑えるには、0
秒を使用します。
17.8. キックスタート起動オプション
このセクションでは、インストールを自動化するのにキックスタートファイルに追加できるブートオプションを説明します。
- inst.ks=
-
インストールの自動化に使用するキックスタートファイルの場所を定義します。その後、いずれかの
inst.repo
形式を使用して、場所を指定できます。パスを指定せずにデバイスを指定すると、インストールプログラムは、指定したデバイスの/ks.cfg
でキックスタートファイルを検索します。
デバイスを指定せずにこのオプションを使用する場合、インストールプログラムはオプションに次の値を使用します。
inst.ks=nfs:next-server:/filename
ここでは、next-server は DHCP の next-server オプション、または DHCP サーバーの IP アドレスで、filename は DHCP の filename オプションまたは /kickstart/ です。指定のファイル名が /
文字で終了すると 、ip-kickstart
が追加されます。次の表に例を示します。
DHCP サーバーのアドレス | クライアントのアドレス | キックスタートファイルの場所 |
---|---|---|
192.168.122.1 | 192.168.122.100 | 192.168.122.1:/kickstart/192.168.122.100-kickstart |
OEMDRV
のラベルが付いたボリュームが存在すると、インストールプログラムは、キックスタートファイル ks.cfg
を読み込もうとします。キックスタートファイルがこの場所にある場合は、inst.ks=
起動オプションを使用する必要がありません。
- inst.ks.all
-
複数の
inst.ks
オプションによる複数のキックスタートファイルの場所を順次試行するようにinst.ks.all
オプションを指定します。最初に成功した場所が使用されます。これは、http
、https
、またはftp
タイプの場所のみ適用され、その他の場所は無視されます。 - inst.ks.sendmac
inst.ks.sendmac
オプションを使用して、すべてのネットワークインターフェイスの MAC アドレスを含む HTTP 送信リクエストにヘッダーを追加します。以下に例を示します。X-RHN-Provisioning-MAC-0: eth0 01:23:45:67:89:ab
これは、
inst.ks=http
を使用してシステムをプロビジョニングする場合に便利です。- inst.ks.sendsn
inst.ks.sendsn
オプションを使用して、HTTP 送信リクエストにヘッダーを追加します。このヘッダーには、/sys/class/dmi/id/product_serial
から読み込まれたシステムのシリアル番号が含まれます。ヘッダーの構文は以下のとおりです。X-System-Serial-Number: R8VA23D
17.9. 高度なインストール起動オプション
本セクションでは、高度なインストール起動オプションを説明します。
- inst.kexec
再起動を実行する代わりに、インストールの最後に
kexec
システムコールを実行します。inst.kexec
オプションは、新しいシステムを即座に読み込み、BIOS またはファームウェアが通常実行するハードウェアの初期化を回避します。重要このオプションは非推奨になっており、テクノロジープレビューとしてのみ利用できます。テクノロジープレビュー機能に対する Red Hat のサポート範囲の詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
kexec
を使用すると、通常はシステムの完全な再起動時にクリアされるデバイスレジスタがデータでいっぱいになる可能性があります。これにより、特定のデバイスドライバーに問題が発生する可能性があります。- inst.multilib
multilib パッケージ用にシステムを設定して、64 ビット AMD64 または Intel 64 システムに 32 ビットパッケージをインストールできるようにします。通常、AMD64 または Intel 64 システムでは、このアーキテクチャー専用となるパッケージ (x86_64 の印が付いている) と、全アーキテクチャー用のパッケージ (noarch の印が付いている) がインストールされます。
inst.multilib
起動オプションを使用すると、32 ビットの AMD または Intel システム用のパッケージ (i686 の印が付いている) が自動的にインストールされます。これは、
%packages
セクションで直接指定されているパッケージにのみ適用されます。パッケージが依存関係としてインストールされている場合は、正確に指定した依存関係のみがインストールされます。たとえば、glibc
パッケージに依存するbash
パッケージをインストールする場合、bash
パッケージは複数のバリアントでインストールされますが、glibc
パッケージは bash パッケージが必要とするバリアントにのみインストールされます。- selinux=0
インストールプログラムおよびインストールされたシステムでの SELinux の使用を無効にします。デフォルトでは、SELinux はインストールプログラムでは permissive モードで動作し、インストールされたシステムでは enforcing モードで動作します。
注記inst.selinux=0 と selinux=0 のオプションは同じではありません。* inst.selinux= 0: は、インストールプログラムでのみ SELinux を無効にします。* selinux=0: インストールプログラムおよびインストールされたシステムでの SELinux の使用を無効にします。SELinux を無効にすると、イベントがログに記録されなくなります。
- inst.nonibftiscsiboot
- iSCSI ブートファームウェアテーブル (iBFT) で設定されていない iSCSI デバイスにブートローダーを配置します。
17.10. 廃止予定の起動オプション
このセクションは、非推奨の起動オプションを説明します。これらのオプションはインストールプログラムでも使用できますが、非推奨とされています。また、Red Hat Enterprise Linux の今後のリリースで削除される予定です。
- method
-
method
オプションは、inst.repo
のエイリアスです。 - dns
-
dns
の代わりにnameserver
を使用します。ネームサーバーはコンマ区切りのリストを受け付けず、代わりに複数のネームサーバーオプションを使用することに注意してください。 - netmask、gateway、hostname
-
netmask
、gateway
、およびhostname
オプションは、ip
オプションの一部として利用できます。 - ip=bootif
-
PXE 指定の
BOOTIF
オプションが自動的に使用されるため、ip=bootif
を使用する必要はありません。 - ksdevice
表17.6 ksdevice 起動オプションの値 値 情報 存在しない
該当なし
ksdevice=link
このオプションがデフォルトの動作と同じ場合に無視されます。
ksdevice=bootif
BOOTIF=
が存在する場合は、このオプションはデフォルトであるため無視されます。ksdevice=ibft
ip=ibft
に変更詳細はip
を参照してください。ksdevice=<MAC>
BOOTIF=${MAC/:/-}
に変更ksdevice=<DEV>
bootdev
に置き換え
17.11. 削除済みの起動オプション
このセクションでは、Red Hat Enterprise Linux から削除された起動オプションを説明します。
dracut
では、高度な起動オプションを利用できます。dracut
の詳細は、man ページの dracut.cmdline(7)
を参照してください。
- askmethod、asknetwork
-
initramfs
は完全に非対話的に実行されるため、askmethod
とasknetwork
のオプションは削除されました。inst.repo
を使用して、適切なネットワークオプションを指定します。 - blacklist、nofirewire
-
modprobe
オプションは、カーネルモジュールのブロックリストを処理するようになりました。modprobe.blacklist=<mod1>,<mod2>
を使用します。modprobe.blacklist=firewire_ohci
を使用して、FireWire モジュールを拒否リストに入れることができます。 - inst.headless=
-
headless=
オプションでは、インストールしているシステムにディスプレイハードウェアがなく、インストールプログラムがディスプレイハードウェアを検索する必要がないことを指定しています。 - inst.decorated
-
inst.decorated
オプションは、装飾画面でのグラフィカルインストールの指定に使用されていまいた。デフォルトでは、画面は装飾されないため、タイトルバーやサイズ変更などの機能はありません。このオプションは不要になりました。 - repo=nfsiso
-
inst.repo=nfs:
オプションを使用します。 - serial
-
console=ttyS0
オプションを指定します。 - updates
-
inst.updates
オプションを指定します。 - essid、wepkey、wpakey
- dracut はワイヤレスネットワークをサポートしません。
- ethtool
- このオプションは不要になりました。
- gdb
-
dracut ベースの
initramfs
のデバッグには多くのオプションが使用できるため、このオプションは削除されました。 - inst.mediacheck
-
dracut オプションの rd.live.check
オプション指定してください。 - ks=floppy
-
inst.ks=hd:<device>
オプションを指定します。 - display
-
UI のリモートディスプレイには、
inst.vnc
オプションを指定します。 - utf8
- このオプションは、デフォルトの TERM 設定が期待通りに動作するため、不要になりました。
- noipv6
-
IPv6 はカーネルに組み込まれたため、インストールプログラムによる削除はできません。
ipv6.disable=1
を使用して ipv6 を無効にすることができます。この設定は、インストール済みシステムによって使用されます。 - upgradeany
- インストールプログラムがアップグレードを処理しなくなるため、このオプションは不要になりました。
第18章 UEFI セキュアブートを使用したベータシステムの起動
オペレーティングシステムのセキュリティーを強化するには、UEFI セキュアブートが有効になっているシステムで Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースを起動したときに、署名の検証に UEFI セキュアブート機能を使用します。
18.1. UEFI セキュアブートおよび RHEL ベータ版リリース
UEFI セキュアブートでは、オペレーティングシステムカーネルが、認識された秘密キーで署名されている必要があります。UEFI セキュアブートは、対応する公開キーを使用して署名を検証します。
Red Hat Enterprise Linux 8 のベータリリースの場合には、カーネルは Red Hat ベータ固有の秘密鍵で署名されます。UEFI セキュアブートは、対応する公開鍵を使用して署名を検証しようとしますが、このハードウェアはベータ版の秘密鍵を認識しないため、Red Hat Enterprise Linux ベータ版のリリースシステムは起動に失敗します。そのため、ベータリリースで UEFI セキュアブートを使用するには、MOK (Machine Owner Key) 機能を使用して Red Hat ベータ公開キーをシステムに追加します。
18.2. UEFI セキュアブートのベータ公開鍵の追加
このセクションでは、UEFI セキュアブート用に Red Hat Enterprise Linux ベータ版の公開鍵を追加する方法を説明します。
前提条件
- システムで UEFI セキュアブートが無効になっています。
- Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースがインストールされており、システムの再起動もセキュアブートが無効になっている。
- システムにログインし、初期セットアップ 画面でタスクを完了します。
手順
システムの Machine Owner Key (MOK) リストに Red Hat ベータ版の公開鍵の登録を開始します。
#
mokutil --import /usr/share/doc/kernel-keys/$(uname -r)/kernel-signing-ca.cer$(uname -r)
はカーネルバージョン (4.18.0-80.el8.x86_64 など) に置き換えられます。- プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。
- システムを再起動し、任意のキーを押して起動を続行します。Shim UEFI キー管理ユーティリティーは、システム起動時に起動します。
- Enroll MOK を選択します。
- Continue を選択します。
- Yes を選択し、パスワードを入力します。この鍵はシステムのファームウェアにインポートされます。
- Reboot を選択します。
- システムでセキュアブートを有効にします。
18.3. ベータ版公開鍵の削除
Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースを削除し、Red Hat Enterprise Linux General Availability (GA) リリースをインストールするか、別のオペレーティングシステムをインストールする予定の場合は、ベータ版の公開鍵を削除します。
この手順では、ベータ版の公開鍵を削除する方法を説明します。
手順
システムの Machine Owner Key (MOK) リストから Red Hat ベータ版の公開鍵の削除を開始します。
#
mokutil --reset- プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。
- システムを再起動し、任意のキーを押して起動を続行します。Shim UEFI キー管理ユーティリティーは、システム起動時に起動します。
- Reset MOK を選択します。
- Continue を選択します。
- Yes を選択し、手順 2 で指定したパスワードを入力します。この鍵はシステムのファームウェアから削除されます。
- Reboot を選択します。
パート V. キックスタートの参照
付録A キックスタートスクリプトのファイル形式の参照
この参照は、キックスタートファイルの形式を詳細に説明します。
A.1. キックスタートファイルの形式
キックスタートスクリプトは、インストールプログラムが認識するキーワードが含まれ、インストールの指示を提供するプレーンテキストのファイルです。ファイルを ASCII テキストとして保存できるテキストエディター (例: Linux システムの Gedit
または vim
、Windows システムの メモ帳
) は、キックスタートファイルの作成や編集に使用できます。キックスタート設定ファイルには好きな名前を付けることができますが、後で他の設定ファイルやダイアログでこの名前を指定する必要があるため、シンプルな名前にしておくことが推奨されます。
- コマンド
- コマンドは、インストールの命令として役に立つキーワードです。各コマンドは 1 行で記載する必要があります。コマンドにはオプションを指定できます。コマンドとオプションの指定方法は、シェルで Linux コマンドを使用するのと似ています。
- セクション
-
パーセント
%
文字で始まる特殊コマンドは、セクションを開始します。セクションのコマンドの解釈は、セクションの外に置かれたコマンドとは異なります。すべてのセクションは、%end
コマンドで終了する必要があります。 - セクションタイプ
利用可能なセクションは以下のとおりです。
-
アドオンセクション。これらのセクションは、
%addon addon_name
コマンドを使用します。 -
パッケージの選択セクション。
%packages
から始まります。これを使用してインストールするパッケージを指定します。これには、パッケージグループやモジュールなど、間接的な指定も含まれます。 -
スクリプトセクション。これは、
%pre
、%pre-install
、%post
、および%onerror
で開始します。これらのセクションは必須ではありません。
-
アドオンセクション。これらのセクションは、
- コマンドセクション
-
コマンドセクションは、スクリプトセクションや
%packages
セクション以外の、キックスタートファイルのコマンドに使用される用語です。 - スクリプトセクション数および順序付け
-
コマンドセクションを除くすべてのセクションはオプションであり、複数回表示できます。特定タイプのスクリプトセクションが評価される際に、キックスタートにあるそのタイプのセクションがすべて、表示順に評価されます。たとえば、
%post
が 2 つある場合は、表示されている順に評価されます。ただし、さまざまなタイプのスクリプトセクションを任意の順序で指定する必要はありません。%pre
セクションの前に、%post
セクションがあるかどうかは問題ありません。
- コメント
-
キックスタートコマンドは、ハッシュ文字
#
始まる行です。このような行は、インストールプログラムには無視されます。
必須項目以外は省略しても構いません。必須項目を省略すると、インストールプログラムがインタラクティブモードに変更され、通常の対話型インストールと同じように、ユーザーが関連する項目に回答できるようになります。キックスタートスクリプトは、cmdline
コマンドで非対話的に宣言することもできます。非対話モードでは、回答していない項目があるとインストールプロセスが中断します。
テキストまたはグラフィカルモードのキックスタートインストール時にユーザーの対話が必要な場合は、インストールを完了するために更新が必須であるウィンドウのみに入力してください。スポークを入力すると、キックスタートの設定がリセットされる可能性があります。設定のリセットは、インストール先ウィンドウの入力後に、ストレージに関連するキックスタートコマンドに特化して適用されます。
A.2. キックスタートでのパッケージ選択
キックスタートは、インストールするパッケージを選択するために、%packages
コマンドで始まるセクションを使用します。この方法で、パッケージ、グループ、環境、モジュールストリーム、およびモジュールプロファイルをインストールできます。
A.2.1. パッケージの選択セクション
%packages
コマンドを使用して、インストールするソフトウェアパッケージを説明するキックスタートセクションを開始します。%packages
セクションは、%end
コマンドで終了する必要があります。
パッケージは、環境、グループ、モジュールストリーム、モジュールプロファイル、またはパッケージ名で指定できます。関連パッケージを含むいくつかの環境およびグループが定義されます。環境およびグループのリストは、Red Hat Enterprise Linux 8 インストール DVD の repository/repodata/*-comps-repository.architecture.xml
ファイルを参照してください。
*-comps-repository.architecture.xml
ファイルには、利用可能な環境 (<environment>
タグでマーク) およびグループ (<group>
タグ) を記述した構造が含まれています。各エントリーには、ID、ユーザー可視性の値、名前、説明、パッケージリストがあります。グループがインストールに選択されていると、パッケージリストで mandatory
とマークされたパッケージが常にインストールされ、default
とマークされたパッケージは、他で個別に除外されていない場合に限りインストールされます。また、optional
とマークされたパッケージは、グループが選択されている場合でも、他で明確に含める必要があります。
パッケージグループや環境は、その ID (<id>
タグ) もしくは名前 (<name>
タグ) を使用して指定できます。
どのパッケージをインストールするべきかわからない場合は、Minimal Install 環境を選択することが推奨されます。最小インストール では、Red Hat Enterprise Linux 8 の実行に必須のパッケージのみが提供されます。これにより、システムが脆弱性の影響を受ける可能性が大幅に減ります。必要な場合は、インストール後に追加パッケージをインストールできます。最小インストール の詳細は、セキュリティーの強化 の 必要なパッケージの最小限のインストール のセクションを参照してください。初期セットアップ は、デスクトップ環境と X Window System がインストールに含まれ、グラフィカルログインが有効になっていないと、キックスタートファイルからシステムをインストールしてから実行することができません。
64 ビットシステムに 32 ビットパッケージをインストールするには、次を行います。
-
%packages
セクションに--multilib
オプションを指定します。 -
glibc.i686
のように、そのパッケージの構築対象である 32 ビットアーキテクチャーをパッケージ名に追記します。
A.2.2. パッケージの選択コマンド
このコマンドは、キックスタートファイルの %packages
セクションで使用できます。
- 環境の指定
@^
記号で開始する行で、インストールする環境全体を指します。%packages @^Infrastructure Server %end
これは、
インフラストラクチャーサーバー
環境の一部となるパッケージをすべてインストールします。利用可能なすべての環境は、Red Hat Enterprise Linux 8 インストール DVD のrepository/repodata/*-comps-repository.architecture.xml
ファイルで説明されています。キックスタートファイルに指定する必要があるのは、1 つの環境だけです。追加の環境を指定すると、最後に指定した環境のみが使用されます。
- グループの指定
1 行に 1 エントリーずつグループを指定します。
*-comps-repository.architecture.xml
ファイルに指定したとおりに、@
記号に続いてグループのフルネームまたはグループ ID を指定します。以下に例を示します。%packages @X Window System @Desktop @Sound and Video %end
Core
グループは常に選択されるため、%packages
セクションで指定する必要はありません。- 個別パッケージの指定
1 行に 1 エントリーで、名前で個別のパッケージを指定します。アスタリスク記号 (
*
) をパッケージ名のワイルドカードとして使用できます。以下に例を示します。%packages sqlite curl aspell docbook* %end
docbook*
エントリーには、ワイルドカードを使用したパターンに適合するdocbook-dtds
パッケージおよびdocbook-style
パッケージが含まれます。- モジュールストリームのプロファイルの指定
プロファイルの構文を使用して、モジュールストリープのポリシーを、1 行ごとに指定します。
%packages @module:stream/profile %end
これにより、モジュールストリームで指定したプロファイルに記載されているパッケージがすべてインストールされます。
- モジュールにデフォルトのストリームが指定されている場合は、削除できます。デフォルトのストリームが指定されていない場合は、指定する必要があります。
- モジュールストリームにデフォルトのプロファイルが指定されている場合は、削除できます。デフォルトのプロファイルが指定されていない場合は、指定する必要があります。
- 異なるストリームでモジュールを複数回インストールすることはできません。
- 同じモジュールおよびストリームの複数プロファイルをインストールできます。
モジュールおよびグループは、
@
記号で始まる同じ構文を使用します。同じ名前のモジュールとパッケージグループが存在する場合は、モジュールが優先されます。Red Hat Enterprise Linux 8 では、モジュールは AppStream リポジトリーにのみ存在します。利用可能なモジュールのリストを表示するには、インストールされている Red Hat Enterprise Linux 8 システムで
yum module list
コマンドを使用します。キックスタートコマンド
module
を使用して、モジュールストリームを有効にし、直接命名して、モジュールストリームに含まれるパッケージをインストールすることもできます。- 環境、グループ、パッケージの除外
ダッシュ (
-
) を先頭に付け、インストールから除外するパッケージやグループを指定します。以下に例を示します。%packages -@Graphical Administration Tools -autofs -ipa*compat %end
キックスタートファイルで *
のみを使用して、利用可能なパッケージをすべてインストールする方法はサポートされていません。
%packages
セクションのデフォルト動作は、オプションを使用して変更する方法がいくつかあります。オプションの中には、全パッケージの選択で機能するものと、特定のグループにのみ機能するものがあります。
A.2.3. 一般的なパッケージ選択のオプション
%packages
では、以下のオプションが使用できます。オプションを使用するには、パッケージ選択セクションの最初に追加します。以下に例を示します。
%packages --multilib --ignoremissing
--default
- パッケージのデフォルトセットをインストールします。これは、対話式インストールの パッケージの選択 画面でその他を選択しない場合にインストールされるパッケージセットに対応するものです。
--excludedocs
-
パッケージに含まれているドキュメンテーションをインストールしません。ほとんどの場合、
/usr/share/doc
ディレクトリーにインストールされるファイルは除外されますが、個別に除外されるファイルは個別のパッケージによります。 --ignoremissing
- インストールを停止してインストールの中断または続行を確認する代わりに、インストールソースにないパッケージ、グループ、モジュールストリーム、モジュールプロファイル、および環境を無視します。
--instLangs=
- インストールする言語リストを指定します。これはパッケージグループレベルでの選択とは異なることに注意してください。このオプションでは、インストールするパッケージグループを記述するのではなく、RPM マクロを設定して、個別パッケージからインストールする翻訳ファイルを制御します。
--multilib
64 ビットのシステムに 32 ビットのパッケージをインストールできるように、multilib パッケージ用にインストールされたシステムを設定し、本セクションで説明しているようにパッケージをインストールします。
通常、AMD64 および Intel 64 のシステムでは、x86_64 パッケージおよび noarch パッケージのみをインストールできます。ただし、--multilib オプションを使用すると、32 ビット AMD および i686 Intel のシステムパッケージが存在する場合は自動的にインストールされます。
これは
%packages
セクションで明示的に指定されているパッケージにのみ適用されます。キックスタートファイルで指定されずに依存関係としてのみインストールされるパッケージは、他のアーキテクチャーで利用可能な場合でも、必要とされるアーキテクチャーのバージョンにのみインストールされます。システムのインストール時に、Anaconda が
multilib
モードでパッケージをインストールするように設定できます。以下のいずれかのオプションを使用してmultilib
モードを有効にします。以下の行でキックスタートファイルを設定します。
%packages --multilib --default %end
- インストールイメージの起動中に、inst.multilib 起動オプションを追加します。
--nocore
@Core
パッケージグループのインストールを無効にします。これを使用しない場合は、デフォルトでインストールされます。--nocore
での@Core
パッケージグループの無効化は、軽量コンテナーの作成にのみ使用してください。--nocore
を指定してデスクトップやサーバーのシステムをインストールすると、システムが使用できなくなります。注記-
@Core
パッケージグループ内のパッケージを、-@Core
を使用して除外することはできません。@Core
パッケージグループを除外する唯一の方法は、--nocore
オプションを使用することです。 -
@Core
パッケージグループは、作業 system のインストールに必要なパッケージの最小セットとして定義されています。これは、パッケージマニフェスト および 対象範囲の詳細 で定義されているコアパッケージには関係ありません。
-
--excludeWeakdeps
- 弱い依存関係からのパッケージのインストールを無効にします。これは、Recommends フラグおよび Supplements フラグで選択したパッケージセットにリンクされたパッケージです。デフォルトでは、弱い依存関係がインストールされます。
--retries=
- YUM がパッケージのダウンロードを試みる回数を設定します (再試行)。デフォルト値は 10 です。このオプションはインストール時にのみ適用され、インストールされているシステムの YUM 設定には影響を及ぼしません。
--timeout=
- YUM のタイムアウトを秒単位で設定します。デフォルト値は 30 です。このオプションはインストール時にのみ適用され、インストールされているシステムの YUM 設定には影響を及ぼしません。
A.2.4. 特定パッケージグループ用のオプション
以下のオプションは、単一パッケージグループにのみ適用されます。キックスタートファイルの %packages
コマンドで使用する代わりに、グループ名に追加します。以下に例を示します。
%packages @Graphical Administration Tools --optional %end
--nodefaults
- デフォルト選択ではなく、グループの必須パッケージのみをインストールします。
--optional
デフォルトの選択に加えて、
*-comps-repository.architecture.xml
ファイルのグループ定義でオプションの印が付けられているパッケージをインストールします。Scientific Support
のようなパッケージグループは、必須もしくはデフォルトのパッケージが指定されておらず、オプションのパッケージのみであることに注意してください。この場合は、--optional
オプションを常に使用する必要があり、このオプションを使用しないと、このグループからパッケージをインストールすることができません。
--nodefaults
および --optional
オプションは併用できません。--nodefaults
を使用して、インストール中に必須パッケージのみをインストールし、インストール後にインストール済みシステムにオプションのパッケージをインストールできます。
A.3. キックスタートファイル内のスクリプト
キックスタートファイルには以下のスクリプトを追加できます。
-
%pre
-
%pre-install
-
%post
本セクションでは、スクリプトに関する以下の情報を提供します。
- 実行時間
- スクリプトに追加できるコマンドのタイプ
- スクリプトの目的
- スクリプトオプション
A.3.1. %pre スクリプト
%pre
スクリプトは、キックスタートファイルの読み込み直後 (スクリプトが完全に解析され、インストールが開始する前) にシステムで実行されます。各セクションは、%pre
で開始し、%end
で終了する必要があります。
%pre
スクリプトは、ネットワークおよびストレージデバイスのアクティベートおよび設定に使用できます。また、インストール環境で利用可能なインタープリターを使用して、スクリプトを実行することもできます。インストールを進める前に特定の設定を必要とするネットワークやストレージがある場合や、追加のログパラメーターや環境変数などを設定するスクリプトがある場合には、%pre
スクリプトを追加すると便利です。
%pre
スクリプトでの問題のデバッグは難しくなる可能性があるため、%pre
スクリプトは必要な場合にのみ使用することが推奨されます。
キックスタートの %pre
セクションは、インストーラーイメージ (inst.stage2
) がフェッチされた後に発生するインストールの段階で実行されます。これは、root がインストーラー環境 (インストーラーイメージ) に切り替わった 後、および Anaconda
インストーラー自体が起動した 後 に実行されます。次に、%pre
の設定が適用され、キックスタートの URL などで設定されたインストールリポジトリーからパッケージを取得するために使用できます。ただし、ネットワークからイメージ (inst.stage2
) をフェッチするようにネットワークを設定するために使用する ことはできません。
インストール環境の /sbin
ディレクトリーおよび /bin
ディレクトリーにあるほとんどのユーティリティーの他に、%pre
スクリプトでは、ネットワーク、ストレージ、およびファイルシステムに関連するコマンドを使用できます。
%pre
セクションのネットワークにはアクセスできます。この時点では name サービスが設定されていないため、URL ではなく IP アドレスだけが有効です。
pre スクリプトは、chroot 環境では実行しません。
A.3.1.1. %pre スクリプトセクションのオプション
以下のオプションを使用して、インストール前のスクリプトの動作を変更できます。オプションを使用するには、スクリプトの最初の部分で %pre
行にオプションを追加してください。以下に例を示します。
%pre --interpreter=/usr/libexec/platform-python -- Python script omitted -- %end
--interpreter=
Python などの別のスクリプト言語を指定できます。システムで利用可能なスクリプト言語は、どれでも使用できます。ほとんどの場合は、
/usr/bin/sh
、/usr/bin/bash
、および/usr/libexec/platform-python
になります。platform-python
インタープリターは、Python バージョン 3.6 を使用することに注意してください。新しいパスおよびバージョン用に、Python スクリプトを以前の RHEL バージョンから変更する必要があります。また、platform-python
は、システムツールを対象としています。インストール環境外ではpython36
パッケージを使用してください。Red Hat Enterprise Linux の Python の詳細は、基本的なシステム設定 の Python の概要 を参照してください。--erroronfail
-
スクリプトが失敗するとエラーを表示し、インストールを停止します。エラーメッセージは、失敗の原因がログ記録されている場所を示します。インストールされたシステムは、不安定で起動できない状態になる可能性があります。
inst.nokill
オプションを使用して、スクリプトをデバッグできます。 --log=
スクリプトの出力を、指定したログファイルに記録します。以下に例を示します。
%pre --log=/tmp/ks-pre.log
A.3.2. %pre-install スクリプト
pre-install
スクリプトのコマンドは、以下のタスクの完了後に実行されます。
- システムのパーティションを設定した。
- ファイルシステムは /mnt/sysroot の下に作成およびマウントされます
- ネットワークが起動オプションとキックスタートコマンドに従って設定されている。
各 %pre-install
セクションは、%pre-install
で開始し、%end
で終了します。
%pre-install
スクリプトを使用してインストールを修正して、パッケージのインストール前に保証されている ID があるユーザーとグループを追加できます。
インストールに必要な変更には、%post
スクリプトを使用することが推奨されます。%pre-install
スクリプトは、%post
スクリプトが必要な変更に満たない場合に限り使用します。
注記: pre-install
スクリプトは、chroot 環境では実行しません。
A.3.2.1. %pre-install スクリプトセクションオプション
以下のオプションを使用して、pre-install
のスクリプトの動作を変更できます。オプションを使用する場合は、スクリプトの先頭にある %pre-install
行に追加してください。以下に例を示します。
%pre-install --interpreter=/usr/libexec/platform-python -- Python script omitted -- %end
複数の %pre-install
セクションを複数設定できます。インタープリターは同じものを複数回使用することもできます。設定したものは、キックスタートファイル内の参照順に評価されます。
--interpreter=
Python などの別のスクリプト言語を指定できます。システムで利用可能なスクリプト言語は、どれでも使用できます。ほとんどの場合は、
/usr/bin/sh
、/usr/bin/bash
、および/usr/libexec/platform-python
になります。platform-python
インタープリターは、Python バージョン 3.6 を使用することに注意してください。新しいパスおよびバージョン用に、Python スクリプトを以前の RHEL バージョンから変更する必要があります。また、platform-python
は、システムツールを対象としています。インストール環境外ではpython36
パッケージを使用してください。Red Hat Enterprise Linux の Python の詳細は、基本的なシステム設定 の Python の概要 を参照してください。--erroronfail
-
スクリプトが失敗するとエラーを表示し、インストールを停止します。エラーメッセージは、失敗の原因がログ記録されている場所を示します。インストールされたシステムは、不安定で起動できない状態になる可能性があります。
inst.nokill
オプションを使用して、スクリプトをデバッグできます。 --log=
スクリプトの出力を、指定したログファイルに記録します。以下に例を示します。
%pre-install --log=/mnt/sysroot/root/ks-pre.log
A.3.3. %post スクリプト
%post スクリプトは、インストールが完了した後、システムが最初に再起動する前に実行されるインストール後のスクリプトです。本セクションでは、システムのサブスクリプションなどのタスクを実行できます。
インストールが完了し、システムを最初に再起動する前に、システムで実行するコマンドを追加するオプションがあります。このセクションは、%post
で始まり、%end
で終了します。
%post
セクションは、追加ソフトウェアのインストールや、追加のネームサーバーの設定といった機能に役に立ちます。インストール後のスクリプトは chroot
環境で実行するため、インストールメディアからスクリプトや RPM をコピーするなどの作業はデフォルトでは機能しません。この動作は、以下に記載されるように --nochroot
オプションを使用することで変更できます。その後、%post
スクリプトはインストール環境で実行し、インストール済みのターゲットシステムの chroot
で実行することはありません。
インストール後のスクリプトは chroot
環境で実行されるため、ほとんどの systemctl
コマンドはいかなるアクションも拒否します。
%post
セクションの実行中にも、インストールメディアが挿入される必要があることに注意してください。
A.3.3.1. %post スクリプトセクションオプション
以下のオプションを使用して、インストール後のスクリプトの動作を変更できます。オプションを使用するには、スクリプトの最初の部分で %post
行にオプションを追加してください。以下に例を示します。
%post --interpreter=/usr/libexec/platform-python -- Python script omitted -- %end
--interpreter=
Python などの別のスクリプト言語を指定できます。以下に例を示します。
%post --interpreter=/usr/libexec/platform-python
システムで利用可能なスクリプト言語は、どれでも使用できます。ほとんどの場合は、
/usr/bin/sh
、/usr/bin/bash
、および/usr/libexec/platform-python
になります。platform-python
インタープリターは、Python バージョン 3.6 を使用することに注意してください。新しいパスおよびバージョン用に、Python スクリプトを以前の RHEL バージョンから変更する必要があります。また、platform-python
は、システムツールを対象としています。インストール環境外ではpython36
パッケージを使用してください。Red Hat Enterprise Linux の Python の詳細は、基本的なシステム設定 の Python の概要 を参照してください。--nochroot
chroot 環境外で実行するコマンドを指定できます。
以下の例では、/etc/resolv.conf ファイルを、インストールしたばかりのファイルシステムにコピーします。
%post --nochroot cp /etc/resolv.conf /mnt/sysroot/etc/resolv.conf %end
--erroronfail
-
スクリプトが失敗するとエラーを表示し、インストールを停止します。エラーメッセージは、失敗の原因がログ記録されている場所を示します。インストールされたシステムは、不安定で起動できない状態になる可能性があります。
inst.nokill
オプションを使用して、スクリプトをデバッグできます。 --log=
スクリプトの出力を、指定したログファイルに記録します。ログファイルのパスは、ユーザーが
--nochroot
オプションを使用しているかどうかを考慮に入れる必要があることに注意して下さい。--nochroot
がない場合の例を示します。%post --log=/root/ks-post.log
--nochroot
を使用した場合は、以下のようになります。%post --nochroot --log=/mnt/sysroot/root/ks-post.log
A.3.3.2. 例: インストール後スクリプトで NFS のマウント
この %post
セクション例では、NFS 共有をマウントし、共有の /usr/new-machines/
に置かれた runme
スクリプトを実行します。キックスタートモードでは NFS ファイルのロックがサポートされていないため、-o nolock
オプションが必要となることに注意してください。
# Start of the %post section with logging into /root/ks-post.log %post --log=/root/ks-post.log # Mount an NFS share mkdir /mnt/temp mount -o nolock 10.10.0.2:/usr/new-machines /mnt/temp openvt -s -w -- /mnt/temp/runme umount /mnt/temp # End of the %post section %end
A.3.3.3. 例: インストール後のスクリプトで subscription-manager の実行
キックスタートを使用したインストールで最もよく使用されるインストール後のスクリプトの 1 つは、Red Hat Subscription Manager を使用したインストール済みシステムの自動登録です。以下は、%post
スクリプトの自動サブスクリプションの例です。
%post --log=/root/ks-post.log subscription-manager register --username=admin@example.com --password=secret --auto-attach %end
subscription-manager のコマンドラインスクリプトで、システムが Red Hat Subscription Management サーバー (カスタマーポータルによるサブスクリプション管理、Satellite 6、CloudForms System Engine) に登録されます。このスクリプトは、システムに最も適したサブスクリプションをそのシステムに自動的に割り当てる場合にも使用できます。カスタマーポータルに登録する場合は、Red Hat Network ログイン認証情報を使用します。Satellite 6 または CloudForms System Engine に登録する場合は、ローカル管理者が提供する認証情報に加え、--serverurl
、--org
、--environment
などの subscription-manager オプションも指定する必要があります。共有キックスタートファイルで、--username --password
値を公開しないようにするには、認証情報が、--org --activationkey
の組み合わせの形式で使用されます。
登録コマンドで追加オプションを使用してシステムの優先サービスレベルを設定し、更新およびエラータを、以前のストリームで修正が必要な Extended Update Support サブスクリプションをお持ちのお客様の、特定のマイナーリリースバージョンの RHEL に制限することができます。
キックスタートの %post
セクションで subscription-manager
を使用する方法は、How do I use subscription-manager in a kickstart file? を参照してください。
A.4. Anaconda 設定セクション
追加のインストールオプションは、キックスタートファイルの %anaconda
セクションで設定できます。このセクションでは、インストールシステムのユーザーインターフェイスの動作を制御します。
本セクションは、キックスタートコマンドの後、キックスタートファイルの終わりの方に配置し、%anaconda
で始まり %end
で終了します。
現在、%anaconda
セクションで使用できる唯一のコマンドは pwpolicy
です。
例A.1 %anaconda
スクリプトのサンプル
以下は、%anaconda セクションの例です。
%anaconda pwpolicy root --minlen=10 --strict %end
上記の例では、%anaconda
セクションではパスワードポリシーを設定します。root パスワードは 10 文字以上にする必要があり、この要件に一致しないものは厳密に禁止されます。
A.5. キックスタートでのエラー処理セクション
Red Hat Enterprise Linux 7 から、インストールプログラムが致命的なエラーに遭遇した場合に実行するカスタムスクリプトをキックスタートインストールに含めることができるようになりました。たとえば、インストールが要求されたパッケージにエラーがあったり、指定した VNC が起動に失敗したり、ストレージデバイスのスキャン中にエラーが発生する場合などです。このようなエラーが発生すると、インストールが続行できません。インストールプログラムは、キックスタートファイルで提供された順番で、すべての %onerror
スクリプトを実行します。また、%onerror
スクリプトは、トレースバックの際にも実行されます。
それぞれの %onerror
スクリプトが、%end
で終了する必要があります。
エラー処理のセクションでは、次のオプションを受け入れます。
--erroronfail
-
スクリプトが失敗するとエラーを表示し、インストールを停止します。エラーメッセージは、失敗の原因がログ記録されている場所を示します。インストールされたシステムは、不安定で起動できない状態になる可能性があります。
inst.nokill
オプションを使用して、スクリプトをデバッグできます。 --interpreter=
Python などの別のスクリプト言語を指定できます。以下に例を示します。
%onerror --interpreter=/usr/libexec/platform-python
システムで利用可能なスクリプト言語は、どれでも使用できます。ほとんどの場合は、
/usr/bin/sh
、/usr/bin/bash
、および/usr/libexec/platform-python
になります。platform-python
インタープリターは、Python バージョン 3.6 を使用することに注意してください。新しいパスおよびバージョン用に、Python スクリプトを以前の RHEL バージョンから変更する必要があります。また、platform-python
は、システムツールを対象としています。インストール環境外ではpython36
パッケージを使用してください。Red Hat Enterprise Linux の Python の詳細は、基本的なシステム設定 の Python の概要 を参照してください。--log=
- スクリプトの出力を、指定したログファイルに記録します。
A.6. キックスタートのアドオンセクション
Red Hat Enterprise Linux 7 以降は、キックスタートインストールでアドオンをサポートするようになりました。これらのアドオンは、多くの方法で基本的なキックスタート (および Anaconda) の機能を拡張できます。
キックスタートファイルでアドオンを使用するには、%addon addon_name options
コマンドを使用し、%end
ステートメントでコマンドを終了します。これはインストール前およびインストール後スクリプトのセクションと似ています。たとえば、デフォルトで Anaconda で提供される Kdump アドオンを使用する場合は、次のコマンドを使用します。
%addon com_redhat_kdump --enable --reserve-mb=auto %end
%addon
コマンドには、独自のオプションが含まれていません。すべてのオプションは実際のアドオンに依存しています。
付録B キックスタートのコマンドおよびオプションの参照
このリファレンスは、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでサポートされているすべてのキックスタートコマンドの完全なリストです。コマンドは、いくつかのカテゴリーに分かれ、アルファベット順に記載されています。コマンドが複数のカテゴリーに該当する場合は、該当するすべてのカテゴリーに記載されます。
B.1. キックスタートの変更
以下のセクションでは、Red Hat Enterprise Linux 8 におけるキックスタートコマンドおよびオプションの変更を説明します。
RHEL 8 で auth または authconfig が非推奨に
authconfig
ツールおよびパッケージが削除されたため、Red Hat Enterprise Linux 8 では、キックスタートコマンドの auth
または authconfig
が非推奨になっています。
コマンドラインで実行した authconfig
コマンドと同様、キックスタートスクリプトの authconfig
コマンドが authselect-compat
ツールを使用して、新しい authselect
ツールを実行するようになりました。この互換性層や、その既知の問題の説明は、authselect-migration(7)
の man ページを参照してください。このインストールプログラムは、非推奨のコマンドの使用を自動的に検出し、互換性層を提供する authselect-compat
パッケージをインストールします。
キックスタートで Btrfs がサポート対象外に
Red Hat Enterprise Linux 8 は、Btrfs ファイルシステムに対応していません。そのため、グラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) およびキックスタートコマンドが Btrfs に対応しなくなりました。
以前の RHEL リリースのキックスタートファイルの使用
以前の RHEL リリースのキックスタートファイルを使用する場合は、Red Hat Enterprise Linux 8 BaseOS リポジトリーおよび AppStream リポジトリーの詳細について、Considerations in adopting RHEL 8 の Repositories のセクションを参照してください。
B.1.1. キックスタートで非推奨になったコマンドおよびオプション
次のキックスタートのコマンドとオプションが、Red Hat Enterprise Linux 8 で非推奨になりました。
特定のオプションだけがリスト表示されている場合は、基本コマンドおよびその他のオプションは引き続き利用でき、非推奨ではありません。
-
auth
またはauthconfig
(代わりにauthselect
を使用) -
device
-
deviceprobe
-
dmraid
-
install
(サブコマンドまたはメソッドをコマンドとして直接使用) -
multipath
-
bootloader --upgrade
-
ignoredisk --interactive
-
partition --active
-
reboot --kexec
-
syspurpose
- 代わりにsubscription-manager syspurpose
を使用してください
auth
コマンドまたは authconfig
コマンドを除き、キックスタートファイルのコマンドを使用すると、ログに警告が出力されます。
inst.ksstrict
ブートオプションで、auth
コマンドまたは authconfig
コマンドを除いた非推奨のコマンドの警告をエラーに変えることができます。
B.1.2. キックスタートから削除されたコマンドおよびオプション
次のキックスタートのコマンドとオプションが、Red Hat Enterprise Linux 8 から完全に削除されました。キックスタートファイルでこれを使用すると、エラーが発生します。
-
device
-
deviceprobe
-
dmraid
-
install
(サブコマンドまたはメソッドをコマンドとして直接使用) -
multipath
-
bootloader --upgrade
-
ignoredisk --interactive
-
partition --active
-
harddrive --biospart
-
upgrade
(このコマンドはすでに非推奨になっています) -
btrfs
-
part/partition btrfs
-
part --fstype btrfs
またはpartition --fstype btrfs
-
logvol --fstype btrfs
-
raid --fstype btrfs
-
unsupported_hardware
特定のオプションおよび値だけが表示されている場合は、基本コマンドおよびその他のオプションは引き続き利用でき、削除されません。
B.2. インストールプログラムの設定とフロー制御のためのキックスタートコマンド
このリストのキックスタートコマンドは、インストールのモードとコースを制御し、最後に何が起こるかを制御します。
B.2.1. cdrom
キックスタートコマンドの cdrom
は任意です。これは、システムの最初の光学ドライブからインストールを実行します。
構文
cdrom
備考
-
cdrom
コマンドは、以前はinstall
コマンドとともに使用する必要がありました。install
コマンドが非推奨になり、(install
が暗黙的に使用されるようになったため)cdrom
は独立して使用できるようになりました。 - このコマンドにはオプションはありません。
-
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。
B.2.2. cmdline
キックスタートコマンドの cmdline
は任意です。完全に非対話式のコマンドラインモードでインストールを実行します。対話のプロンプトがあるとインストールは停止します。
構文
cmdline
注記
-
完全に自動となるインストールでは、キックスタートファイルで利用可能なモード (
graphical
、text
、またはcmdline
) のいずれかを指定するか、起動オプションconsole=
を使用する必要があります。モードが指定されていないと、可能な場合はグラフィカルモードが使用されるか、VNC モードおよびテキストモードからの選択が求められます。 - このコマンドにはオプションはありません。
- このモードは、x3270 端末と共に 64 ビットの IBM Z システムで使用する場合に便利です。
B.2.3. driverdisk
キックスタートコマンドの driverdisk
は任意です。このコマンドを使用して、インストールプログラムに追加ドライバーを提供します。
ドライバーディスクは、キックスタートを使用したインストール中に、デフォルトでは含まれていないドライバーを追加する場合に使用します。ドライバーディスクのコンテンツを、システムのディスクにあるパーティションのルートディレクトリーにコピーする必要があります。次に、driverdisk
コマンドを使用して、インストールプログラムがドライバーディスクとその場所を検索するように指定する必要があります。
構文
driverdisk [partition|--source=url|--biospart=biospart]
オプション
この方法のいずれかで、ドライバーディスクの場所を指定する必要があります。
-
partition - ドライバーディスクを含むパーティション。パーティションを指定する場合はパーティション名 (
sdb1
など) だけでは なく、完全パス (/dev/sdb1
など) を使用してください。 --source=
- ドライバーディスクの URL。以下のようになります。driverdisk --source=ftp://path/to/dd.img
driverdisk --source=http://path/to/dd.img
driverdisk --source=nfs:host:/path/to/dd.img
-
--biospart=
- ドライバーディスクを含む BIOS パーティション (82p2
など)。
注記
ドライバーディスクは、ネットワーク経由や initrd
から読み込むのではなく、ローカルディスクまたは同様のデバイスから読み込むこともできます。以下の手順に従います。
- ディスクドライブ、USB、または同様のデバイスにドライバーディスクを読み込みます。
- このデバイスにラベルを設定します (DD など)。
キックスタートファイルに以下の行を追加します。
driverdisk LABEL=DD:/e1000.rpm
DD を具体的なラベルに置き換え、e1000.rpm を具体的な名前に置き換えます。LABEL ではなく、inst.repo
コマンドがサポートするものを使用して、ディスクドライブを指定してください。
B.2.4. eula
キックスタートコマンドの eula
は任意です。ユーザーとの対話なしでエンドユーザーライセンス契約 (EULA) に同意するには、このオプションを使用します。このオプションを使用すると、インストールを終了して、システムを最初に再起動した後に、ライセンス契約に同意するように求められなくなります。
構文
eula [--agreed]
オプション
-
--agreed
(必須) - EULA に同意します。このオプションは必ず使用する必要があります。使用しないとeula
コマンド自体を使用する意味がなくなります。
B.2.5. firstboot
キックスタートコマンドの firstboot
は任意です。初めてシステムを起動した時に、初期セットアップ
アプリケーションを開始するかどうかを指定します。有効にする場合は、initial-setup パッケージをインストールする必要があります。何も指定しないとデフォルトで無効になるオプションです。
構文
firstboot OPTIONS
オプション
-
--enable
または--enabled
- システムの初回起動時に、初期セットアップを開始します。 -
--disable
または--disabled
- システムの初回起動時に、初期セットアップを開始しません。 -
--reconfig
- システムの起動時に、初期セットアップが再設定モードで開始します。このモードでは、デフォルトのオプションに加えて、root パスワード、時刻と日付、ネットワークとホスト名の設定オプションが有効になります。
B.2.6. graphical
キックスタートコマンドの graphical
は任意です。これは、グラフィカルモードでインストールを実行します。これがデフォルトになります。
構文
graphical [--non-interactive]
オプション
-
--non-interactive
- 完全に非対話式のモードでインストールを実行します。このモードでは、ユーザーの対話が必要になるとインストールを終了します。
注記
-
完全に自動となるインストールでは、キックスタートファイルで利用可能なモード (
graphical
、text
、またはcmdline
) のいずれかを指定するか、起動オプションconsole=
を使用する必要があります。モードが指定されていないと、可能な場合はグラフィカルモードが使用されるか、VNC モードおよびテキストモードからの選択が求められます。
B.2.7. halt
キックスタートコマンドの halt
は任意です。
インストールが正常に完了するとシステムを一時停止します。手動インストールと同じく、Anaconda のメッセージが表示され、ユーザーがキーを押すのを待ってから再起動が行われます。キックスタートを使用したインストールで、完了方法が指定されない場合は、このオプションがデフォルトとして使用されます。
構文
halt
注記
-
halt
コマンドはshutdown -H
コマンドと同じです。詳細は、shutdown(8) の man ページを参照してください。 -
他の完了方法は、
poweroff
、reboot
、shutdown
などのコマンドをご覧ください。 - このコマンドにはオプションはありません。
B.2.8. harddrive
キックスタートコマンドの harddrive
は任意です。ローカルドライブにある完全インストール用の ISO イメージまたは Red Hat インストールツリーからインストールします。ドライブは、インストールプログラムがマウントできるファイルシステムでフォーマットする必要があります (ext2
、ext3
、ext4
、vfat
、または xfs
)。
構文
harddrive OPTIONS
オプション
-
--partition=
- インストールするパーティションを指定する場合に使用します (sdb2
など)。 -
--dir=
- 完全インストール用 DVD の ISO イメージやインストールツリーのvariant
ディレクトリーを格納しているディレクトリーを指定する場合に使用します。
例
harddrive --partition=hdb2 --dir=/tmp/install-tree
注記
-
harddrive
コマンドは、install
コマンドとともに使用する必要がありました。install
コマンドが非推奨になり、(install
が暗黙的に使用されるようになったため)harddrive
は独立して使用できるようになりました。 -
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。
B.2.9. install (非推奨)
キックスタートコマンド install
は、Red Hat Enterprise Linux 8 で非推奨になりました。そのメソッドは、別々のコマンドとして使用します。
キックスタートコマンドの install
は任意です。デフォルトのインストールモードを指定します。
構文
install
installation_method
備考
-
install
コマンドに続いて、インストール方法のコマンドを指定する必要があります。インストール方法のコマンドは、別の行に指定する必要があります。 方法は次のとおりです。
-
cdrom
-
harddrive
-
hmc
-
nfs
-
liveimg
-
url
メソッドの詳細は、個別のリファレンスページを参照してください。
-
B.2.10. liveimg
キックスタートコマンドの liveimg
は任意です。パッケージの代わりに、ディスクイメージからインストールを実行します。
構文
liveimg
--url=SOURCE
[OPTIONS]
必須オプション
-
--url=
- インストール元となる場所です。HTTP
、HTTPS
、FTP
、file
が対応プロトコルになります。
任意のオプション
-
--url=
- インストール元となる場所です。HTTP
、HTTPS
、FTP
、file
が対応プロトコルになります。 -
--proxy=
- インストール実行時に使用するプロキシー (HTTP
、HTTPS
、またはFTP
) を指定します。 -
--checksum=
- 検証に使用するイメージファイルのチェックサムSHA256
を使用するオプションの引数です。 -
--noverifyssl
-HTTPS
サーバーへの接続の際に、SSL 確認を無効にします。
例
liveimg --url=file:///images/install/squashfs.img --checksum=03825f567f17705100de3308a20354b4d81ac9d8bed4bb4692b2381045e56197 --noverifyssl
注記
-
イメージは、ライブ ISO イメージの
squashfs.img
ファイル、圧縮 tar ファイル (.tar
、.tbz
、.tgz
、.txz
、.tar.bz2
、.tar.gz
、または.tar.xz
)、もしくはインストールメディアでマウントできるファイルシステムであればどれでも構いません。ext2
、ext3
、ext4
、vfat
、xfs
などが対応ファイルシステムになります。 -
ドライバーディスクで
liveimg
インストールモードを使用している場合、ディスク上のドライバーがインストールされるシステムに自動的に含まれることはありません。これらのドライバーが必要な場合は、手動でインストールするか、キックスタートスクリプトの%post
セクションでインストールします。 -
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。 -
liveimg
コマンドは、以前はinstall
コマンドとともに使用する必要がありました。install
コマンドが非推奨になり、(install
が暗黙的に使用されるようになったため)liveimg
は独立して使用できるようになりました。
B.2.11. logging
キックスタートコマンドの logging
は任意です。インストール時に Anaconda に記録されるエラーログを制御します。インストール済みのシステムには影響しません。
ロギングは TCP でのみサポートされています。リモートロギングの場合は、--port=
オプションで指定するポート番号がリモートサーバーで開いていることを確認してください。デフォルトのポートは 514 です。
構文
logging OPTIONS
任意のオプション
-
--host=
- 指定したリモートホストにログ情報を送信します。ログを受け取るには、リモートホストで設定した syslogd プロセスが実行している必要があります。 -
--port=
- リモートの syslogd プロセスがデフォルト以外のポートを使用する場合は、このオプションを使用して設定します。 -
--level=
- tty3 に表示されるメッセージの最低レベルを指定します。ただし、このレベルに関係なくログファイルには全メッセージが送信されます。設定できるレベルはdebug
、info
、warning
、error
、critical
になります。
B.2.12. mediacheck
キックスタートコマンドの mediacheck
は任意です。このコマンドを使用すると、インストール開始前にメディアチェックの実行が強制されます。インストール時の介入が必要となるため、デフォルトでは無効になっています。
構文
mediacheck
注記
-
このキックスタートコマンドは、
rd.live.check
起動オプションに相当します。 - このコマンドにはオプションはありません。
B.2.13. nfs
キックスタートコマンドの nfs
は任意です。指定した NFS サーバーからインストールを実行します。
構文
nfs OPTIONS
オプション
-
--server=
- インストール元となるサーバーを指定します (ホスト名または IP)。 -
--dir=
- インストールツリーのvariant
ディレクトリーを格納しているディレクトリーを指定する場合に使用します。 -
--opts=
- NFS エクスポートのマウントに使用するマウントポイントを指定します (オプション)。
例
nfs --server=nfsserver.example.com --dir=/tmp/install-tree
備考
-
nfs
コマンドは、以前はinstall
コマンドとともに使用する必要がありました。install
コマンドが非推奨になり、(install
が暗黙的に使用されるようになったため)nfs
は独立して使用できるようになりました。 -
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。
B.2.14. ostreesetup
キックスタートコマンドの ostreesetup
は任意です。これは、OStree ベースのインストールを設定するのに使用されます。
構文
ostreesetup --osname=OSNAME [--remote=REMOTE] --url=URL --ref=REF [--nogpg]
必須オプション:
-
--osname=OSNAME
- OS インストール用の root の管理 -
--url=URL
- インストール元となるリポジトリーの URL -
--ref=REF
- インストールに使用するリポジトリーのブランチー名
任意のオプション:
-
--remote=REMOTE
- リモートリポジトリーの場所。 -
--nogpg
- GPG 鍵の検証の無効化
注記
- OStree ツールの詳細は、アップストリームのドキュメント https://ostreedev.github.io/ostree/ を参照してください。
B.2.15. poweroff
キックスタートコマンドの poweroff
は任意です。インストールが正常に完了したら、システムをシャットダウンして電源を切ります。通常、手動のインストールでは Anaconda によりメッセージが表示され、ユーザーがキーを押すのを待ってから再起動が行われます。
構文
poweroff
注記
-
poweroff
オプションはshutdown -P
コマンドと同じです。詳細は、shutdown(8) の man ページを参照してください。 -
他の完了方法は、
halt
、reboot
、shutdown
などのキックスタートコマンドをご覧ください。キックスタートファイルに完了方法が明示的には指定されていない場合は、halt
オプションがデフォルトの完了方法になります。 -
poweroff
オプションは、使用中のハードウェアに大きく依存します。特に、BIOS、APM (advanced power management)、ACPI (advanced configuration and power interface) などの特定ハードウェアコンポーネントは、システムカーネルと対話できる状態にする必要があります。使用システムの APM/ACPI 機能の詳細に関しては、ハードウェアのマニュアルを参照してください。 - このコマンドにはオプションはありません。
B.2.16. reboot
キックスタートコマンドの reboot
は任意です。インストールが正常に完了したらシステムを再起動するように、インストールプログラムに指示します (引数なし)。通常、キックスタートは、メッセージを表示し、ユーザーがキーを押してから再起動します。
構文
reboot OPTIONS
オプション
-
--eject
- 再起動の前に起動可能なメディア (DVD、USB、またはその他のメディア) の取り出しを試みます。 --kexec
- 完全な再起動を実行する代わりにkexec
システムコールを使用します。BIOS やファームウェアが通常実行するハードウェアの初期化を行わずに、インストールしたシステムを即座にメモリーに読み込みます。重要このオプションは非推奨になっており、テクノロジープレビューとしてのみ利用できます。テクノロジープレビュー機能に対する Red Hat のサポート範囲の詳細は、テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
kexec
の使用時には、(完全なシステム再起動では通常クリアされる) デバイスレジスターにデータが残ります。デバイスドライバーによってはこれが問題になる可能性もあります。
注記
-
インストールメディアやインストール方法によっては、
reboot
オプションを使用するとインストールプロセスがループして完了しなくなる場合があります。 -
reboot
オプションはshutdown -r
コマンドと同じです。詳細は、shutdown(8) の man ページを参照してください。 -
64 ビットの IBM Z でコマンドラインによるインストールを行う際は、
reboot
を指定してインストールを完全自動化します。 -
その他の完了方法は、
halt
、poweroff
、shutdown
などのキックスタートオプションをご覧ください。キックスタートファイルに完了方法が明示的には指定されていない場合は、halt
オプションがデフォルトの完了方法になります。
B.2.17. rhsm
キックスタートコマンドの rhsm
は任意です。ここでは、インストールプログラムにより、CDN から RHEL が登録されインストールされるようになっています。
キックスタートコマンド rhsm
は、システムの登録時にカスタムの %post
スクリプトを使用する要件を削除します。
オプション
-
--organization=
- 組織 ID を使用して CDN から RHEL を登録してインストールします。 -
--activation-key=
- アクティベーションキーを使用して、CDN から RHEL を登録してインストールします。使用するアクティベーションキーがサブスクリプションに登録されている限り、アクティベーションキーごとに 1 回使用するオプションを複数回使用できます。 -
--connect-to-insights
- ターゲットシステムを Red Hat Insights に接続します。 -
--proxy=
- HTTP プロキシーを設定します。
rhsm
キックスタートコマンドを使用してインストールソースリポジトリーを CDN に切り替えるには、次の条件を満たす必要があります。-
カーネルコマンドラインで、
inst.stage2=<URL>
を使用してインストールイメージを取得したが、inst.repo=
を使用してインストールソースを指定していない。 -
キックスタートファイルで、
url
、cdrom
、harddrive
、liveimg
、nfs
、およびostree
セットアップコマンドを使用してインストールソースを指定していない。
-
カーネルコマンドラインで、
-
起動オプションを使用して指定したインストールソース URL、またはキックスタートファイルに含まれるインストールソース URL は、キックスタートファイルに有効な認証情報を持つ
rhsm
コマンドが含まれている場合でも CDN よりも優先されます。システムが登録されていますが、URL インストールソースからインストールされています。これにより、以前のインストールプロセスが通常通りに動作するようになります。
B.2.18. shutdown
キックスタートコマンドの shutdown
は任意です。インストールが正常に完了したら、システムをシャットダウンします。
構文
shutdown
注記
-
キックスタートオプションの
shutdown
は、shutdown
コマンドと同じです。詳細は、shutdown(8) の man ページを参照してください。 -
その他の完了方法は、
halt
、poweroff
、reboot
などのキックスタートオプションをご覧ください。キックスタートファイルに完了方法が明示的には指定されていない場合は、halt
オプションがデフォルトの完了方法になります。 - このコマンドにはオプションはありません。
B.2.19. sshpw
キックスタートコマンドの sshpw
は任意です。
インストール中に、SSH
接続によりインストールプログラムと対話操作を行い、その進捗状況を監視できます。sshpw
コマンドを使用して、ログオンに使用する一時的なアカウントを作成します。コマンドの各インスタンスにより、インストール環境でしか存在しない個別アカウントが作成されます。ここで作成されたアカウントは、インストールが完了したシステムには転送されません。
構文
sshpw --username=name [OPTIONS] password
必須オプション
-
--username
=name - ユーザー名を入力します。このオプションは必須です。 - password - このユーザーに使用するパスワードです。このオプションは必須です。
任意のオプション
--iscrypted
- このオプションを追加すると、パスワード引数はすでに暗号化済みと仮定されます。--plaintext
と相互排他的になります。暗号化したパスワードを作成する場合は Python を使用します。$
python3 -c 'import crypt,getpass;pw=getpass.getpass();print(crypt.crypt(pw) if (pw==getpass.getpass("Confirm: ")) else exit())'
上記の例では、ランダムの salt を使用して、パスワードの sha512 暗号と互換性があるハッシュが生成されます。
-
--plaintext
- このオプションを使用すると、パスワードの引数はプレーンテキストであると仮定されます。--iscrypted
と相互排他的になります。 -
--lock
- このオプションを指定すると、このアカウントはデフォルトでロックされます。つまり、ユーザーはコンソールからログインできなくなります。 -
--sshkey
- このオプションを指定すると、<password> 文字列が ssh 鍵の値として解釈されます。
注記
-
デフォルトでは、
ssh
サーバーは、インストール時に起動しません。インストール時にssh
を使用できるようにするには、カーネル起動オプションinst.sshd
を使用してシステムを起動します。 インストール中、別のユーザーの
ssh
アクセスを許可する一方で、root のssh
アクセスを無効にする場合は、次のコマンドを実行します。sshpw --username=example_username example_password --plaintext
sshpw --username=root example_password --lock
単に root の
ssh
アクセスを無効にするには、以下のコマンドを使用します。sshpw --username=root example_password --lock
B.2.20. text
キックスタートコマンドの text
は任意です。テキストモードでキックスタートインストールを実行します。キックスタートインストールは、デフォルトでグラフィカルモードで実行します。
構文
text [--non-interactive]
オプション
-
--non-interactive
- 完全に非対話式のモードでインストールを実行します。このモードでは、ユーザーの対話が必要になるとインストールを終了します。
注記
-
完全に自動となるインストールでは、キックスタートファイルで利用可能なモード (
graphical
、text
、またはcmdline
) のいずれかを指定するか、起動オプションconsole=
を使用する必要がある点に注意してください。モードが指定されていないと、可能な場合はグラフィカルモードが使用されるか、VNC モードおよびテキストモードからの選択が求められます。
B.2.21. url
キックスタートコマンドの url
は任意です。これは、FTP、HTTP、または HTTPS プロトコルを使用して、リモートサーバーのインストールツリーイメージからインストールするのに使用されます。URL は 1 つだけ指定できます。
--url
、--metalink
、または --mirrorlist
オプションのいずれかを指定する必要があります。
構文
url
--url=FROM
[OPTIONS]
オプション
-
--url=FROM
- インストール元となるHTTP
、HTTPS
、FTP
、またはファイル
の場所を指定します。 -
--mirrorlist=
- インストール元となるミラー URL を指定します。 -
--proxy=
- インストール時に使用するHTTP
、HTTPS
、またはFTP
プロキシーを指定します。 -
--noverifyssl
-HTTPS
サーバーへの接続時に SSL 検証を無効にします。 -
--metalink=URL
- インストール元となるメタリンク URL を指定します。変数の置換は、URLの$releasever
および$basearch
で行います。
例
HTTP サーバーからインストールするには、以下を行います。
url --url=http://server/path
FTP サーバーからインストールするには、以下を行います。
url --url=ftp://username:password@server/path
注記
-
url
コマンドは、以前はinstall
コマンドとともに使用する必要がありました。install
コマンドが非推奨になり、(install
が暗黙的に使用されるようになったため)url
は独立して使用できるようになりました。 -
実際にインストールを実行するには、カーネルコマンドラインで
inst.repo
オプションが指定されていない限り、cdrom
、harddrive
、hmc
、nfs
、liveimg
、ostreesetup
、rhsm
、またはurl
のいずれかを指定する必要があります。
B.2.22. vnc
キックスタートコマンドの vnc
は任意です。これにより、VNC を介して、リモートにグラフィカルインストールを表示できます。
テキストインストールではサイズと言語の一部が制限されるため、通常はテキストモードよりもこの方法が好まれます。追加のオプション指定がないと、このコマンドは、パスワードを使用せずに、インストールシステムで VNC サーバーを開始し、接続に必要な詳細を表示します。
構文
vnc [--host=host_name] [--port=port] [--password=password]
オプション
--host=
- 指定したホスト名でリッスンしている VNC ビューアープロセスに接続します。
--port=
- リモート VNC ビューアープロセスがリッスンしているポートを指定します。このオプションを使用しないと、Anaconda は VNC のデフォルトポートである 5900 を使用します。
--password=
- VNC セッションへの接続に必要なパスワードを設定します。これはオプションですが、推奨されます。
B.2.23. %include
キックスタートコマンドの %include
は任意です。
%include
コマンドを使用して、キックスタートファイル内の別のファイルのコンテンツが、キックスタートファイルの %include
コマンドの場所にあるかのように設定します。
この包含は、%pre
スクリプトセクションの後にのみ評価されるため、%pre
セクションでスクリプトにより生成されたファイルに使用できます。%pre
セクションを評価する前にファイルを指定するには、%ksappend
コマンドを使用します。
構文
%include path/to/file
B.2.24. %ksappend
キックスタートコマンドの %ksappend
は任意です。
%ksappend
コマンドを使用して、キックスタートファイル内の別のファイルのコンテンツが、キックスタートファイルの %ksappend
コマンドの場所にあるかのように設定します。
この包含は、%include
コマンドで使用するのとは異なり、%pre
スクリプトセクションの前に評価されます。
構文
%ksappend path/to/file
B.3. システム設定用キックスタートコマンド
このリストのキックスタートコマンドは、ユーザー、リポジトリー、サーバーなど、システムの詳細を設定します。
B.3.1. auth または authconfig (非推奨)
非推奨になった auth
または authconfig
Kickstart コマンドではなく、新しい authselect
コマンドを使用します。auth
および authconfig
は、一部の後方互換性としてのみ利用できます。
キックスタートコマンドの auth
または authconfig
は任意です。authconfig
ツールを使用してシステムの認証オプションを設定します。インストール完了後もコマンドラインで実行できます。
構文
authconfig [OPTIONS]
注記
-
キックスタートコマンドの
auth
またはauthconfig
コマンドは、以前はauthconfig
ツールと呼ばれていました。このツールは、Red Hat Enterprise Linux 8 では非推奨になりました。このキックスタートコマンドは、authselect-compat
ツールを使用して、新しいauthselect
ツールを呼び出せるようになりました。互換性層の説明と、その既知の問題は、authselect-migration(7) の man ページを参照してください。インストールプログラムが自動的に非推奨のコマンドの使用を検出し、互換性層を提供するために、システムにauthselect-compat
パッケージをインストールします。 - デフォルトでは、パスワードがシャドウ化されています。
-
安全対策上、
SSL
プロトコルで OpenLDAP を使用する場合は、サーバー設定内のSSLv2
およびSSLv3
のプロトコルを必ず無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は https://access.redhat.com/solutions/1234843 を参照してください。
B.3.2. authselect
キックスタートコマンドの authselect
は任意です。authselect
コマンドを使用してシステムの認証オプションを設定します。インストール完了後もコマンドラインで実行できます。
構文
authselect [OPTIONS]
注記
-
このコマンドは、すべてのオプションを
authselect
コマンドに渡します。詳細は、authselect(8) の man ページ、およびauthselect --help
コマンドを参照してください。 -
このコマンドは、Red Hat Enterprise Linux 8 で非推奨になった
auth
またはauthconfig
コマンドを、authconfig
ツールに置き換えます。 - デフォルトでは、パスワードがシャドウ化されています。
-
安全対策上、
SSL
プロトコルで OpenLDAP を使用する場合は、サーバー設定内のSSLv2
およびSSLv3
のプロトコルを必ず無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は https://access.redhat.com/solutions/1234843 を参照してください。
B.3.3. firewall
キックスタートコマンドの firewall
は任意です。インストール済みシステムにファイアウォール設定を指定します。
構文
firewall --enabled|--disabled [incoming] [OPTIONS]
必須オプション
-
--enabled
または--enable
- DNS 応答や DHCP 要求など、発信要求に対する応答ではない着信接続を拒否します。このマシンで実行中のサービスへのアクセスが必要な場合は、特定サービスに対してファイアウォールの通過許可を選択できます。 -
--disabled
または--disable
- iptable ルールを一切設定しません。
任意のオプション
-
--trust
-em1
などのデバイスを指定することで、ファイアウォールを通過するこのデバイスへの着信トラフィックおよびこのデバイスからの発信トラフィックをすべて許可します。複数のデバイスをリスト表示するには、--trust em1 --trust em2
などのオプションをさらに使用します。--trust em1, em2
などのようなコンマ区切りは使用しないでください。 -
--remove-service
- サービスがファイアウォールを通過するのを許可しません。 incoming - 指定したサービスがファイアウォールを通過できるように、以下のいずれかに置き換えます (複数のサービスを指定できます)。
-
--ssh
-
--smtp
-
--http
-
--ftp
-
-
--port=
- port:protocol の形式で指定したポートのファイアウォール通過を許可できます。たとえば、IMAP アクセスがファイアウォールを通過できるようにする場合は、imap:tcp
と指定します。ポート番号を明示的に指定することもできます。ポート 1234 の UDP パケットを許可する場合は1234:udp
と指定します。複数のポートを指定する場合は、コンマで区切って指定します。 --service=
- このオプションは、高レベルでサービスのファイアウォール通過を許可する方法です。サービスの中には複数のポートを開く必要があったり (cups
、avahi
など)、サービスが正常に動作するように特殊な設定を必要とするものがあります。このような場合は、--port
オプションでポート単位での指定を行ったり、--service=
を使用して必要なポートをすべて一度に開くことが可能です。firewalld パッケージ内の
firewall-offline-cmd
プログラムで認識できるオプションは、すべて使用できます。firewalld
サービスを実行している場合は、firewall-cmd --get-services
を実行すると、認識できるサービス名のリストが表示されます。-
--use-system-defaults
- ファイアウォールを設定しません。このオプションにより、anaconda では何も実行せず、システムが、パッケージまたは ostree で提供されるデフォルトに依存するようになります。このオプションを他のオプションと共に使用すると、他のすべてのオプションは無視されます。
B.3.4. group
キックスタートコマンドの group
は任意です。システムに新しいユーザーグループを作成します。
group --name=name [--gid=gid]
必須オプション
-
--name=
- グループ名を指定します。
任意のオプション
-
--gid=
- グループの GID です。指定しないとシステムの GID 以外で次に使用可能な GID がデフォルト設定されます。
注記
- 指定された名前や GID を持つグループが存在すると、このコマンドは失敗します。
-
user
コマンドは、新たに作成したユーザーに新しいグループを作成するのに使用できます。
B.3.5. keyboard (必須)
キックスタートコマンド keyboard
が必要です。これは、システムに利用可能なキーボードレイアウトを 1 つまたは複数設定します。
構文
keyboard --vckeymap|--xlayouts OPTIONS
オプション
-
--vckeymap=
- 使用するVConsole
キーマップを指定します。/usr/lib/kbd/keymaps/xkb/
ディレクトリーの各ファイル名から.map.gz
拡張子を外したものが、有効なキーマップ名になります。 --xlayouts=
- 使用する X のレイアウトを、空白なしのコンマで区切ったリストで指定します。setxkbmap(1)
と同じ形式 (layout
形式 (cz
など)、またはlayout (variant)
形式 (cz (qwerty)
など)) の値をとります。使用できるレイアウトは、man ページ
xkeyboard-config(7)
のLayouts
を参照してください。--switch=
- レイアウト切り替えのオプションリストを指定します (複数のキーボードレイアウト切り替え用のショートカット)。複数のオプションは、空白なしのコンマで区切ってください。setxkbmap(1)
と同じ形式の値を受け取ります。使用できる切り替えオプションは、
xkeyboard-config(7)
の man ページのOptions
をご覧ください。
注記
-
--vckeymap=
オプションまたは--xlayouts=
オプションのいずれかを使用する必要があります。
例
以下の例では、--xlayouts=
オプションを使用して 2 種類のキーボードレイアウト (English (US)
と Czech (qwerty)
) を設定し、切り替えオプションは、Alt+Shift を使用するように指定しています。
keyboard --xlayouts=us,'cz (qwerty)' --switch=grp:alt_shift_toggle
B.3.6. lang (必須)
キックスタートコマンドの lang
が必要です。これは、インストール時に使用する言語と、インストール済みシステムで使用するデフォルト言語を設定します。
構文
lang language [--addsupport=language,...]
必須オプション
-
language
- この言語のサポートをインストールし、システムのデフォルトとして設定します。
任意のオプション
--addsupport=
- 追加言語のサポートを指定します。空白を入れずコンマで区切った形式を受け取ります。以下に例を示します。lang en_US --addsupport=cs_CZ,de_DE,en_UK
注記
-
locale -a | grep _
コマンドまたはlocalectl list-locales | grep _
コマンドは、ロケールのリストを返します。 -
テキストモードのインストールでは、特定の言語には対応していません (中国語、日本語、韓国語、インド系言語など)。
lang
コマンドでこの言語を指定しても、インストールプロセスは英語で続行します。ただし、インストール後のシステムでは選択した言語がデフォルトの言語として使用されます。
例
言語を英語に設定するには、キックスタートファイルに次の行が含まれている必要があります。
lang en_US
B.3.7. module
キックスタートコマンドの module
は任意です。このコマンドを使用すると、キックスタートスクリプトでパッケージのモジュールストリームが有効になります。
構文
module --name=NAME [--stream=STREAM]
必須オプション
--name=
- 有効にするモジュールの名前を指定します。NAME を、実際の名前に置き換えます。
任意のオプション
--stream=
有効にするモジュールストリームの名前を指定します。STREAM を、実際の名前に置き換えます。
デフォルトストリームが定義されているモジュールには、このオプションを指定する必要はありません。デフォルトストリームのないモジュールの場合、このオプションは必須であり省略するとエラーになります。異なるストリームでモジュールを複数回有効にすることはできません。
注記
-
このコマンドと
%packages
セクションを組み合わせて使用すると、モジュールとストリームを明示的に指定せずに、有効なモジュールとストリームの組み合わせで提供されるパッケージをインストールできます。モジュールは、パッケージをインストールする前に有効にする必要があります。module
コマンドでモジュールを有効にしたら、%packages
セクションにパッケージのリストを追加することで、このモジュールで有効にしたパッケージをインストールできます。 -
1 つの
module
コマンドで、1 つのモジュールとストリームの組み合わせのみを有効にできます。複数のモジュールを有効にするには、複数のmodule
コマンドを使用します。異なるストリームでモジュールを複数回有効にすることはできません。 -
Red Hat Enterprise Linux 8 では、モジュールは AppStream リポジトリーにのみ存在します。利用可能なモジュールのリストを表示するには、インストールされている Red Hat Enterprise Linux 8 システムで
yum module list
コマンドを実行します。
B.3.8. repo
キックスタートコマンドの repo
は任意です。パッケージインストール用のソースとして使用可能な追加の yum リポジトリーを設定します。複数の repo
行を追加できます。
構文
repo --name=repoid [--baseurl=url|--mirrorlist=url|--metalink=url] [OPTIONS]
必須オプション
-
--name=
- リポジトリー ID を入力します。このオプションは必須です。以前に追加したリポジトリーと名前が競合する場合は無視されます。インストールプログラムでは事前設定したリポジトリーのリストが使用されるため、このリストにあるリポジトリーと同じ名前のものは追加できません。
URL オプション
これらのオプションは相互排他的で、オプションです。ここでは、yum のリポジトリーの設定ファイル内で使用できる変数はサポートされません。文字列 $releasever
および $basearch
を使用できます。これは、URL の該当する値に置き換えられます。
-
--baseurl=
- リポジトリーの URL を入力します。 -
--mirrorlist=
- リポジトリーのミラーのリストを指す URL を入力します。 -
--metalink=
- リポジトリーのメタリンクを持つ URL です。
任意のオプション
-
--install
- 指定したリポジトリーの設定を、インストールしたシステムの/etc/yum.repos.d/
ディレクトリーに保存します。このオプションを使用しない場合は、キックスタートファイルで設定したリポジトリーの使用はインストール中に限られ、インストール後のシステムでは使用できません。 -
--cost=
- このリポジトリーに割り当てるコストを整数で入力します。複数のリポジトリーで同じパッケージを提供している場合に、リポジトリーの使用優先順位がこの数値で決まります。コストの低いリポジトリーは、コストの高いリポジトリーよりも優先されます。 -
--excludepkgs=
- このリポジトリーからは読み出してはならないパッケージ名のリストをコンマ区切りで指定します。複数のリポジトリーで同じパッケージが提供されていて、特定のリポジトリーから読み出す場合に便利なオプションです。(publican
といった) 完全なパッケージ名と (gnome-*
といった) グロブの両方が使えます。 -
--includepkgs=
- このリポジトリーから取得できるパッケージ名およびグロブのリストをコンマ区切りで指定します。リポジトリーが提供するその他のパッケージは無視されます。これは、リポジトリーが提供する他のパッケージをすべて除外しながら、リポジトリーから 1 つのパッケージまたはパッケージセットをインストールする場合に便利です。 -
--proxy=[protocol://][username[:password]@]host[:port]
- このリポジトリーにだけ使用する HTTP/HTTPS/FTP プロキシーを指定します。この設定は他のリポジトリーには影響しません。また、HTTP インストールではinstall.img
の読み込みについても影響はありません。 -
--noverifyssl
-HTTPS
サーバーへの接続の際に、SSL 確認を無効にします。
注記
- インストールに使用するリポジトリーは安定した状態を維持してください。インストールが終了する前にリポジトリーに変更が加えられると、インストールが失敗する可能があります。
B.3.9. rootpw (必須)
キックスタートコマンドの rootpw
が必要です。システムの root パスワードを password 引数に設定します。
構文
rootpw [--iscrypted|--plaintext] [--lock] password
必須オプション
-
password - パスワード指定。プレーンテキストまたは暗号化された文字列。以下の
--iscrypted
および--plaintext
を参照してください。
オプション
--iscrypted
- このオプションを追加すると、パスワード引数はすでに暗号化済みと仮定されます。--plaintext
と相互排他的になります。暗号化したパスワードを作成する場合は python を使用します。$
python -c 'import crypt,getpass;pw=getpass.getpass();print(crypt.crypt(pw) if (pw==getpass.getpass("Confirm: ")) else exit())'
上記の例では、ランダムの salt を使用して、パスワードの sha512 暗号と互換性があるハッシュが生成されます。
-
--plaintext
- このオプションを使用すると、パスワードの引数はプレーンテキストであると仮定されます。--iscrypted
と相互排他的になります。 -
--lock
- このオプションを含めると、root アカウントはデフォルトでロックされます。つまり、root ユーザーはコンソールからログインできなくなります。また、グラフィカルおよびテキストベースの手動インストールで、Root Password ウィンドウが無効になります。
B.3.10. selinux
キックスタートコマンドの selinux
は任意です。インストール済みシステムの SELinux の状態を設定します。デフォルトの SELinux ポリシーは enforcing
です。
構文
selinux [--disabled|--enforcing|--permissive]
オプション
--enforcing
-
SELinux をデフォルトの対象ポリシーである
enforcing
で有効にします。 --permissive
- SELinux のポリシーに基づく警告を出力します。ただし、実際にはポリシーは実施されません。
--disabled
- システムで SELinux を完全に無効にします。
関連情報
B.3.11. services
キックスタートコマンドの services
は任意です。デフォルトの systemd ターゲット下で実行するデフォルトのサービスセットを変更します。無効にするサービスのリストは、有効にするサービスのリストの前に処理されます。したがって、サービスが両方のリストに記載されていると、そのサービスは有効になります。
構文
services [--disabled=list] [--enabled=list]
オプション
-
--disabled=
- 無効にするサービスをコンマ区切りで指定します。 -
--enabled=
- 有効にするサービスをコンマ区切りで指定します。
注記
-
services
要素を使用してsystemd
サービスを有効にする場合は、指定されたサービスファイルを含むパッケージを%packages
セクションに含めるようにしてください。 複数のサービスは、スペースを入れずにコンマで区切って含める必要があります。たとえば、4 つのサービスを無効にするには、次のように入力します。
services --disabled=auditd,cups,smartd,nfslock
スペースを含めると、Kickstart は最初のスペースまでのサービスのみを有効化または無効化します。以下に例を示します。
services --disabled=auditd, cups, smartd, nfslock
この場合は、
auditd
サービスしか無効になりません。4 つのサービスをすべて無効にするには、エントリーから空白を取り除きます。
B.3.12. skipx
キックスタートコマンドの skipx
は任意です。存在する場合は、インストール済みシステムで X が設定されていません。
パッケージ選択のオプションでディスプレイマネージャーをインストールすると、このパッケージにより X の設定が作成されるため、インストールが完了したシステムは graphical.target
にデフォルト設定されることになります。これにより、skipx
オプションが無効になります。
構文
skipx
注記
- このコマンドにはオプションはありません。
B.3.13. sshkey
キックスタートコマンドの sshkey
は任意です。インストール済みシステムで、指定したユーザーの authorized_keys
ファイルに SSH キーを追加します。
構文
sshkey --username=user "ssh_key"
必須オプション
-
--username=
- 鍵をインストールするユーザー。 - ssh_key - 完全な SSH 鍵のフィンガープリント。引用符でラップする必要があります。
B.3.14. syspurpose
キックスタートコマンドの syspurpose
は任意です。インストール後にシステムがどのように使用されるかを説明するシステムの目的を設定します。この情報により、適切なサブスクリプションエンタイトルメントがシステムに適用されます。
Red Hat Enterprise Linux 8.6 以降では、1 つの subscription-manager syspurpose
モジュールで role
、service-level
、usage
、および addons
サブコマンドを利用可能にすることで、1 つのモジュールでシステムの目的の属性を管理および表示できます。以前は、システム管理者は 4 つのスタンドアロンの syspurpose
コマンドのいずれかを使用して各属性を管理していました。このスタンドアロンの syspurpose
コマンドは RHEL 8.6 以降非推奨となり、RHEL 9 では削除される予定です。Red Hat は、現在のリリースのライフサイクル中にバグ修正とこの機能に対するバグ修正やサポートを提供しますが、この機能は機能強化の対象外となります。RHEL 9 以降、単一の subscription-manager syspurpose
コマンドとその関連のサブコマンドは、システムの目的を使用する唯一の方法です。
構文
syspurpose [OPTIONS]
オプション
--role=
- 希望するシステムロールを設定します。利用できる値は次のとおりです。- Red Hat Enterprise Linux Server
- Red Hat Enterprise Linux Workstation
- Red Hat Enterprise Linux Compute Node
--sla=
- サービスレベルアグリーメントを設定します。利用できる値は次のとおりです。- Premium
- Standard
- Self-Support
--usage=
- システムの使用方法。利用できる値は次のとおりです。- Production
- Disaster Recovery
- Development/Test
-
--addon=
- のレイヤード製品または機能を指定します。このオプションは複数回使用できます。
注記
スペースで値を入力し、二重引用符で囲みます。
syspurpose --role="Red Hat Enterprise Linux Server"
-
システムの目的を設定することが強く推奨されますが、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムでは任意の機能です。インストールが完了してからシステムの目的を有効にする場合は、コマンドラインツールの
syspurpose
を使用できます。
Red Hat Enterprise Linux 8.6 以降では、1 つの subscription-manager syspurpose
モジュールで role
、service-level
、usage
、および addons
サブコマンドを利用可能にすることで、1 つのモジュールでシステムの目的の属性を管理および表示できます。以前は、システム管理者は 4 つのスタンドアロンの syspurpose
コマンドのいずれかを使用して各属性を管理していました。このスタンドアロンの syspurpose
コマンドは RHEL 8.6 以降非推奨となり、RHEL 9 では削除される予定です。Red Hat は、現在のリリースのライフサイクル中にバグ修正とこの機能に対するバグ修正やサポートを提供しますが、この機能は機能強化の対象外となります。RHEL 9 以降、単一の subscription-manager syspurpose
コマンドとその関連のサブコマンドは、システムの目的を使用する唯一の方法です。
B.3.15. timezone (必須)
キックスタートコマンド timezone
が必要です。システムのタイムゾーンを設定します。
構文
timezone timezone [OPTIONS]
必須オプション
- timezone - システムに設定するタイムゾーン
任意のオプション
-
--utc
- これを指定すると、ハードウェアクロックが UTC (グリニッジ標準) 時間に設定されているとシステムは見なします。 -
--nontp
- NTP サービスの自動スタートを無効にします。 -
--ntpservers=
- 使用する NTP サーバーを空白を入れないコンマ区切りのリストで指定します。
注記
Red Hat Enterprise Linux 9 では、タイムゾーン名は pytz パッケージにより提供される pytz.common_timezones
のリストを使用して検証されます。
B.3.16. user
キックスタートコマンドの user
は任意です。システムに新しいユーザーを作成します。
構文
user --name=username [OPTIONS]
必須オプション
-
--name=
- ユーザー名を入力します。このオプションは必須です。
任意のオプション
-
--gecos=
- ユーザーの GECOS 情報を指定します。これは、コンマ区切りのさまざまなシステム固有フィールドの文字列です。ユーザーのフルネームやオフィス番号などを指定するのに使用されます。詳細は、passwd(5)
の man ページを参照してください。 -
--groups=
- デフォルトグループの他にもユーザーが所属すべきグループ名のコンマ区切りのリストです。このグループは、ユーザーアカウントの作成前に存在する必要があります。詳細は、group
コマンドを参照してください。 -
--homedir=
- ユーザーのホームディレクトリーです。設定しない場合は、/home/username
がデフォルトになります。 -
--lock
- このオプションを指定すると、このアカウントはデフォルトでロックされます。つまり、ユーザーはコンソールからログインできなくなります。また、グラフィカルおよびテキストベースの手動インストールで、ユーザーの作成 ウィンドウが無効になります。 -
--password=
- 新規のユーザーパスワードです。指定しないと、そのアカウントはデフォルトでロックされます。 --iscrypted
- このオプションを追加すると、パスワード引数はすでに暗号化済みと仮定されます。--plaintext
と相互排他的になります。暗号化したパスワードを作成する場合は python を使用します。$
python -c 'import crypt,getpass;pw=getpass.getpass();print(crypt.crypt(pw) if (pw==getpass.getpass("Confirm: ")) else exit())'
上記の例では、ランダムの salt を使用して、パスワードの sha512 暗号と互換性があるハッシュが生成されます。
-
--plaintext
- このオプションを使用すると、パスワードの引数はプレーンテキストであると仮定されます。--iscrypted
と相互排他的になります。 -
--shell=
- ユーザーのログインシェルです。指定しないと、システムのデフォルトが使用されます。 -
--uid=
- ユーザーの UID (User ID) です。指定しないと、次に利用可能なシステム以外の UID をデフォルトにします。 -
--gid=
- ユーザーのグループで使用される GID (Group ID) です。指定しないと、次に利用可能なシステム以外のグループ ID をデフォルトにします。
注記
--uid
と--gid
のオプションを使用して、通常のユーザーとそのデフォルトグループに1000
ではなく5000
から始まる範囲の ID を設定することを検討してください。これは、システムユーザーおよびグループに予約してある0
-999
の範囲が今後広がり、通常のユーザーの ID と重複する可能性があるためです。選択した UID および GID の範囲がユーザーの作成時に自動的に適用されるように、インストール後に UID および GID の下限を変更する場合は、基本的なシステム設定 の umask を使用した、新規ファイルのデフォルト権限の設定 セクションを参照してください。
ファイルおよびディレクトリーはさまざまなパーミッションで作成され、パーミッションは、ファイルまたはディレクトリーを作成するアプリケーションによる影響を受けます。たとえば、
mkdir
コマンドは、すべてのパーミッションを有効にしてディレクトリーを作成します。ただし、user file-creation mask
設定で指定されたように、アプリケーションは、新規に作成したファイルに特定パーミッションを付与しません。user file-creation mask
は、umask
コマンドで管理できます。新規ユーザー向けのuser file-creation mask
のデフォルト設定は、インストール済みシステムの/etc/login.defs
設定ファイルのUMASK
変数で定義されます。これを設定しない場合は、デフォルト値022
を使用します。デフォルト値を使用し、アプリケーションがファイルを作成した場合は、ファイルの所有者以外のユーザーに書き込みパーミッションが付与されません。ただし、これは他の設定やスクリプトで無効にできます。詳細は、基本的なシステム設定 の umask を使用した、新規ファイルのデフォルト権限の設定 セクションを参照してください。
B.3.17. xconfig
キックスタートコマンドの xconfig
は任意です。X Window System を設定します。
構文
xconfig [--startxonboot]
オプション
-
--startxonboot
- インストール済みシステムでグラフィカルログインを使用します。
注記
-
Red Hat Enterprise Linux 8 には KDE デスクトップ環境が含まれていないため、アップストリームに記載されている
--defaultdesktop=
を使用しないでください。
B.4. ネットワーク設定用キックスタートコマンド
このリストのキックスタートコマンドにより、システムにネットワークを設定できます。
B.4.1. ネットワーク (任意)
オプションの network
キックスタートコマンドを使用して、ターゲットシステムのネットワーク情報を設定し、インストール環境でネットワークデバイスをアクティブにします。最初の network
コマンドで指定しているデバイスが自動的にアクティベートされます。--activate
オプションを使用して、デバイスを明示的にアクティブ化するように要求することもできます。
構文
network OPTIONS
オプション
--activate
- インストール環境でこのデバイスをアクティブにします。アクティブしているデバイスに
--activate
オプションを使用すると (たとえば、キックスタートファイルを取得できるように起動オプションで設定したインターフェイスなど)、キックスタートファイルで指定している詳細を使用するようにデバイスが再度アクティブになります。デバイスにデフォルトのルートを使用させないようにする場合は
--nodefroute
オプションを使用します。--no-activate
- インストール環境でこのデバイスをアクティブにしません。デフォルトでは、
--activate
オプションにかかわらず、Anaconda はキックスタートファイルの 1 番目のネットワークデバイスをアクティブにします。--no-activate
オプションを使用して、デフォルトの設定を無効にできます。--bootproto=
-dhcp
、bootp
、ibft
、またはstatic
のいずれかになります。dhcp
がデフォルトのオプションになります。dhcp
とbootp
は同じように処理されます。デバイスのipv4
設定を無効にするには、--noipv4
オプションを使用します。注記このオプションは、デバイスの ipv4 設定を行います。ipv6 の設定には、
--ipv6
オプションおよび--ipv6gateway
オプションを使用します。DHCP メソッドでは、DHCP サーバーシステムを使用してネットワーク設定を取得します。BOOTP メソッドも同様で、BOOTP サーバーがネットワーク設定を提供する必要があります。システムが DHCP を使用するようにする場合は、以下のように指定します。
network --bootproto=dhcp
BOOTP を使用してネットワーク設定を取得する場合は、キックスタートファイルで次の行を使用します。
network --bootproto=bootp
iBFT で指定されている設定を使用する場合は、以下のようにします。
network --bootproto=ibft
static
メソッドの場合は、キックスタートファイルに IP アドレスおよびネットマスクを指定する必要があります。これらの情報は静的となるため、インストール時およびインストール後にも使用されます。静的なネットワーク設定情報はすべて 一行で 指定する必要があります。コマンドラインのようにバックスラッシュ (
\
) を使用して行を折り返すことはできません。network --bootproto=static --ip=10.0.2.15 --netmask=255.255.255.0 --gateway=10.0.2.254 --nameserver=10.0.2.1
ネームサーバーは同時に複数設定することもできます。以下のように、1 つの
--nameserver=
オプションに対して、ネームサーバーの IP アドレスをコンマ区切りで指定します。network --bootproto=static --ip=10.0.2.15 --netmask=255.255.255.0 --gateway=10.0.2.254 --nameserver=192.168.2.1,192.168.3.1
--device=
-network
コマンドで設定する (また最終的に Anaconda でアクティベートさせる) デバイスを指定します。最初 に使用される
network
コマンドに--device=
オプションがない場合は、Anaconda の起動オプションinst.ks.device=
の値が使用されます (使用可能な場合)。ただし、この動作は廃止が予定されているため注意してください。ほとんどの場合において、すべてのnetwork
コマンドには必ず--device=
オプションを指定してください。同じキックスタートファイルに記載される 2 番目以降の
network
コマンドの動作は、--device=
オプションを指定しないと詳細が不明になります。1 番目以降のnetwork
コマンドに、このオプションを指定していることを確認してください。起動するデバイスは、以下のいずれかの方法で指定します。
-
インターフェイスのデバイス名を使用して指定する (
em1
など) -
インターフェイスの MAC アドレスを使用して指定する (
01:23:45:67:89:ab
など) -
link
キーワードを使用する (リンクがup
状態になっている 1 番目のインターフェイス)。 -
キーワード
bootif
を使用する。これは、pxelinux がBOOTIF
変数に設定した MAC アドレスを使用します。pxelinux にBOOTIF
変数を設定する場合は、pxelinux.cfg
ファイルにIPAPPEND 2
を設定します。
以下に例を示します。
network --bootproto=dhcp --device=em1
-
インターフェイスのデバイス名を使用して指定する (
--ipv4-dns-search
/--ipv6-dns-search
- DNS 検索ドメインを手動で設定します。これらのオプションを--device
オプションと一緒に使用し、それぞれの NetworkManager プロパティーをミラーリングする必要があります。次に例を示します。network --device ens3 --ipv4-dns-search domain1.example.com,domain2.example.com
-
--ipv4-ignore-auto-dns
/--ipv6-ignore-auto-dns
- DHCP からの DNS 設定を無視するように設定します。これらのオプションは--device
オプションと一緒に使用する必要があります。これらのオプションには引数は必要ありません。 -
--ip=
- デバイスの IP アドレスを指定します。 -
--ipv6=
- デバイスの IPv6 アドレスを address[/prefix length] の形式で指定します (例:3ffe:ffff:0:1::1/128
)。prefix を省略すると、64
が使用されます。auto
を使用すると自動設定に、dhcp
を使用すると DHCPv6 限定の設定 (ルーター広告なし) となります。 -
--gateway=
- 1 つの IPv4 アドレスのデフォルトゲートウェイを指定します。 -
--ipv6gateway=
- 1 つの IPv6 アドレスのデフォルトゲートウェイを指定します。 -
--nodefroute
- インターフェイスがデフォルトのルートとして設定されないようにします。iSCSI ターゲット用に用意した別のサブネットにある NIC など、--activate=
オプションで追加デバイスを起動させる場合は、このオプションを使用してください。 -
--nameserver=
- IP アドレスに DNS ネームサーバーを指定します。複数のネームサーバーを指定する場合は、1 つの オプションに対して、IP アドレスをコンマ区切りで指定します。 -
--netmask=
- インストール後のシステムのネットワークマスクを指定します。 --hostname=
- ターゲットシステムのホスト名を設定するために使用されます。ホスト名は、hostname.domainname
形式の完全修飾ドメイン名 (FQDN)、またはドメインなしの短縮ホスト名のいずれかにします。多くのネットワークには、自動的に接続したシステムにドメイン名を提供する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスがあります。DHCP サービスが、このマシンにドメイン名を割り当てるようにするには、短縮ホスト名のみを指定してください。静的 IP およびホスト名の設定を使用する場合、短縮名または FQDN を使用するかどうかは、計画したシステムのユースケースによって異なります。Red Hat Identity Management はプロビジョニング時に FQDN を設定しますが、サードパーティーのソフトウェア製品によっては短縮名が必要になる場合があります。いずれの場合も、すべての状況で両方のフォームの可用性を確保するには、
IP FQDN short-alias
の形式で/etc/hosts
にホストのエントリーを追加します。localhost
の値は、ターゲットシステムの静的ホスト名が指定されておらず、(たとえば、DHCP または DNS を使用する NetworkManager による) ネットワーク設定時に、インストールされるシステムの実際のホスト名が設定されることを示しています。ホスト名に使用できるのは、英数字と
-
または.
のみです。ホスト名は 64 文字以下である必要があります。ホスト名は、-
および.
で開始したり終了したりできません。DNS に準拠するには、FQDN の各部分は 63 文字以下で、ドットを含む FQDN の合計の長さは 255 文字を超えることができません。ターゲットシステムのホスト名のみを設定する場合は、
network
コマンドで--hostname
オプションを使用し、他のオプションは含めないでください。ホスト名の設定時に追加オプションを指定すると、
network
コマンドは指定したオプションを使用してデバイスを設定します。--device
オプションを使用して設定するデバイスを指定しないと、デフォルトの--device link
の値が使用されます。また、--bootproto
オプションを使用してプロトコルを指定しないと、デバイスはデフォルトで DHCP を使用するように設定されます。-
--ethtool=
- ethtool プログラムに渡されるネットワークデバイスの低レベルの追加設定を指定します。 -
--onboot=
- システムの起動時にデバイスを有効にするかどうかを指定します。 -
--dhcpclass=
- DHCP クラスを指定します。 -
--mtu=
- デバイスの MTU を指定します。 -
--noipv4
- このデバイスで IPv4 を無効にします。 -
--noipv6
- このデバイスで IPv6 を無効にします。 --bondslaves=
- このオプションを使用すると、--bondslaves=
オプションで定義されたセカンダリーデバイスを使用して、--device=
オプションで指定したボンディングデバイスが作成されます。以下に例を示します。network --device=bond0 --bondslaves=em1,em2
上記のコマンドは、インターフェイスの
em1
およびem2
をセカンダリーデバイスとして使用し、ボンドデバイスbond0
を作成します。オプションの
--bondopts=
---bondslaves=
および--device=
を使用して指定されるボンドインターフェイス用のオプションパラメーターのリストです。このリスト内のオプションは必ずコンマ (,) またはセミコロン (;) で区切ってください。オプション自体にコンマが含まれている場合はセミコロンを使用してください。以下に例を示します。network --bondopts=mode=active-backup,balance-rr;primary=eth1
重要--bondopts=mode=
パラメーターは、balance-rr
やbroadcast
などのフルモード名にしか対応しません。0
や3
などの数値による表記には対応していません。利用可能なモードおよびサポートされるモードのリストは、Configuring and Managing Networking Guide を参照してください。-
--vlanid=
---device=
で指定したデバイスを親として作成する仮想デバイスの仮想 LAN (VLAN) の ID 番号 (802.1q タグ) を指定します。たとえば、network --device=em1 --vlanid=171
を使用すると仮想 LAN デバイスのem1.171
が作成されます。 --interfacename=
- 仮想 LAN デバイスのカスタムのインターフェイス名を指定します。--vlanid=
オプションで生成されるデフォルト名が望ましくない場合に使用してください。--vlanid=
と併用する必要があります。以下に例を示します。network --device=em1 --vlanid=171 --interfacename=vlan171
上記のコマンドにより、
em1
デバイスに ID171
の仮想 LAN インターフェイスvlan171
が作成されます。インターフェイスには任意の名前 (
my-vlan
など) を付けることができますが、場合によっては次の命名規則に従う必要があります。-
名前にドット (
.
) が含まれている場合は、NAME.ID
の形にする必要があります。NAME は任意ですが、ID は VLAN ID にする必要があります。たとえば、em1.171
、my-vlan.171
などにします。 -
vlan
で開始する名前を付ける場合は、vlanID
の形式にする必要があります。たとえば、vlan171
などにします。
-
名前にドット (
--teamslaves=
- このオプションで指定したセカンダリーデバイスを使用して、--device=
オプションで指定したチームデバイスが作成されます。セカンダリーデバイスはコンマで区切ります。各セカンダリーデバイスの後ろにその設定を指定できます。\
記号でエスケープした二重引用符で、一重引用符の JSON 文字列を囲っている部分が実際の設定になります。以下に例を示します。network --teamslaves="p3p1'{\"prio\": -10, \"sticky\": true}',p3p2'{\"prio\": 100}'"
--teamconfig=
オプションも参照してください。--teamconfig=
- チームデバイスの設定を二重引用符で囲って指定します。これは、二重引用符と\
記号でエスケープした JSON 文字列になります。デバイス名は、--device=
オプションで指定し、セカンダリーデバイスとその設定は、--teamslaves=
オプションで指定します。以下に例を示します。network --device team0 --activate --bootproto static --ip=10.34.102.222 --netmask=255.255.255.0 --gateway=10.34.102.254 --nameserver=10.34.39.2 --teamslaves="p3p1'{\"prio\": -10, \"sticky\": true}',p3p2'{\"prio\": 100}'" --teamconfig="{\"runner\": {\"name\": \"activebackup\"}}"
--bridgeslaves=
- このオプションを使用すると、--device=
オプションで指定したデバイス名でネットワークブリッジが作成され、このネットワークブリッジに、--bridgeslaves=
オプションで指定したデバイスが追加されます。以下に例を示します。network --device=bridge0 --bridgeslaves=em1
--bridgeopts=
- オプションでブリッジしたインターフェイス用パラメーターのリストをコンマで区切って指定します。使用できる値はstp
、priority
、forward-delay
、hello-time
、max-age
、ageing-time
などです。これらのパラメーターの詳細は、nm-settings(5)
man ページまたは ネットワーク設定仕様 にある ブリッジ設定 の表を参照してください。また、ネットワークブリッジの一般情報は、セキュリティーの設定および管理 を参照してください。
-
--bindto=mac
- インストールされたシステムのデバイス設定ファイルをインターフェイス名 (DEVICE
) へのデフォルトのバインドではなく、デバイスの MAC アドレス (HWADDR
) にバインドします。このオプションは--device=
オプションとは独立している点に注意してください。同じnetwork
コマンドでデバイス名、またはlink
、bootif
が指定されていても、--bindto=mac
が適用されます。
注記
-
命名方法の変更により、Red Hat Enterprise Linux では
eth0
などのethN
デバイス名を使用できなくなりました。デバイスの命名スキームの詳細は、アップストリームドキュメント Predictable Network Interface Names を参照してください。 - キックスタートのオプションまたは起動オプションを使用して、ネットワークにあるインストールリポジトリーを指定したものの、インストール開始時にネットワークが利用できない状態になっている場合は、インストール概要 ウィンドウが表示される前に、ネットワーク接続の設定を求める ネットワークの設定 ウィンドウが表示されます。詳細については、RHEL 8 の標準インストールの実行 ドキュメントの ネットワークとホスト名のオプションの設定 セクションを参照してください。
B.4.2. realm
キックスタートコマンドの realm
は任意です。Active Directory や IPA ドメインを参加させます。このコマンドの詳細は、man ページ realm(8)
の join
のセクションを参照してください。
構文
realm join [OPTIONS] domain
必須オプション
-
domain
- 参加するドメイン。
オプション
-
--computer-ou=OU=
- コンピューターアカウントを作成するために、組織単位の識別名を指定します。識別名の形式は、クライアントソフトウェアおよびメンバーシップのソフトウェアにより異なります。通常、識別名のルート DSE の部分は省略できます。 -
--no-password
- パスワードの入力なしで自動的に参加します。 -
--one-time-password=
- ワンタイムパスワードを使用して参加します。すべてのレルムで使用できるとは限りません。 -
--client-software=
- ここで指定したクライアントソフトウェアを実行できるレルムにしか参加しません。使用できる値はsssd
やwinbind
などになります。すべてのレルムがすべての値に対応しているとは限りません。デフォルトでは、クライアントソフトウェアは自動的に選択されます。 -
--server-software=
- ここで指定したサーバーソフトウェアを実行できるレルムにしか参加しません。使用できる値はactive-directory
やfreeipa
などになります。 -
--membership-software=
- レルムに参加する際に、ここに指定したソフトウェアを使用します。使用できる値はsamba
やadcli
などになります。すべてのレルムがすべての値に対応しているとは限りません。デフォルトでは、メンバーシップソフトウェアは自動的に選択されます。
B.5. ストレージを処理するキックスタートコマンド
本セクションのキックスタートコマンドは、デバイス、ディスク、パーティション、LVM、ファイルシステムなど、ストレージの設定を行います。
sdX
(または /dev/sdX
) 形式では、デバイス名が再起動後に維持される保証がないため、一部のキックスタートコマンドの使用が複雑になる可能性があります。コマンドにデバイスノード名が必要な場合は、/dev/disk
の項目を代わりに使用できます。以下に例を示します。
part / --fstype=xfs --onpart=sda1
上記のコマンドの代わりに、以下のいずれかを使用します。
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-path/pci-0000:00:05.0-scsi-0:0:0:0-part1
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-id/ata-ST3160815AS_6RA0C882-part1
このアプローチを使用すると、コマンドは常に同じストレージデバイスをターゲットとします。これは、大規模なストレージ環境で特に役立ちます。システム上で使用可能なデバイス名を調べるには、対話型インストール中に ls -lR/dev/disk
コマンドを使用できます。ストレージデバイスを一貫して参照するさまざまな方法の詳細は、永続的な命名属性の概要 を参照してください。
B.5.1. device (非推奨)
キックスタートコマンドの device
は任意です。追加のカーネルモジュールを読み込むのに使用します。
ほとんどの PCI システムでは、イーサネットカードや SCSI カードが自動検出されます。ただし、旧式のシステムや一部の PCI では、適切なデバイスを検出できるようキックスタートにヒントを追加する必要があります。追加モジュールをインストールするようにインストールプログラムに指示する device
コマンドは、以下の形式を使用します。
構文
device moduleName --opts=options
オプション
- moduleName - インストールが必要なカーネルモジュール名に置き換えます。
--opts=
- カーネルモジュールに渡すオプションです。以下に例を示します。device --opts="aic152x=0x340 io=11"
B.5.2. autopart
キックスタートコマンドの autopart
は任意です。自動的にパーティションを作成します。
自動的に作成されるパーティション - ルート (/
) パーティション (1 GB 以上)、swap
パーティション、アーキテクチャーに応じた /boot
パーティション。容量が十分にあるドライブの場合 (50 GiB 以上)、/home
パーティションも作成されます。
構文
autopart OPTIONS
オプション
--type=
- 事前定義済み自動パーティション設定スキームの中から、使用するスキームを選択します。次の値を取ります。-
lvm
- LVM パーティション設定スキーム -
plain
- LVM がない普通のパーティション -
thinp
- LVM シンプロビジョニングのパーティション設定スキーム
使用可能なパーティションスキームの説明は、「対応デバイスの種類」 を参照してください。
-
-
--fstype=
- 利用可能なファイルシステムのタイプを選択します。利用可能な値は、ext2
、ext3
、ext4
、xfs
、およびvfat
です。デフォルトのファイルシステムはxfs
です。これらのファイルシステムに関する詳細は「対応ファイルシステム」を参照してください。 -
--nohome
-/home
パーティションの自動作成を無効にします。 -
--nolvm
- 自動パーティション設定に LVM を使用しません。このオプションは--type=plain
と同じです。 -
--noboot
-/boot
パーティションを作成しません。 -
--noswap
- swap パーティションを作成しません。 --encrypted
- Linux Unified Key Setup (LUKS) ですべてのパーティションを暗号化します。手動によるグラフィカルインストールを行った際の初期パーティション設定ウィンドウで表示される Encrypt partitions (パーティションの暗号化) のチェックボックスと同じです。注記1 つまたは複数のパーティションを暗号化する際には、安全な暗号化を行うため、Anaconda が 256 ビットのエントロピーを収集しようとします。エントロピーの収集には時間がかかる場合があります。十分なエントロピーが収集されたかどうかにかかわらず、このプロセスは最大 10 分後に終了します。
プロセスは、インストールシステムと対話することにより高速化できます (キーボードで入力またはマウスの移動)。仮想マシンにインストールしている場合は、
virtio-rng
デバイス (仮想乱数ジェネレーター) をゲストに登録できます。-
--luks-version=LUKS_VERSION
- ファイルシステムの暗号化に使用する LUKS 形式のバージョンを指定します。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--passphrase=
- 暗号化した全デバイスに、デフォルトのシステムワイドパスフレーズを指定します。 -
--escrowcert=URL_of_X.509_certificate
- 暗号化した全ボリュームのデータ暗号化の鍵を/root
配下にファイル形式で格納します。URL_of_X.509_certificate で指定した URL の X.509 証明書を使用して暗号化します。鍵は暗号化したボリュームごとに別のファイルとして格納されます。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--backuppassphrase
- 暗号化されたボリュームにそれぞれランダムに生成されたパスフレーズを追加します。パスフレーズは、/root
配下に別々のファイルで格納され、--escrowcert
で指定した X.509 証明書を使用して暗号化されます。--escrowcert
と併用しないと有効ではありません。 -
--cipher=
- Anaconda のデフォルトであるaes-xts-plain64
では十分ではない場合に使用する暗号化の種類を指定します。--encrypted
オプションと併用してください。単独で使用しても暗号化されません。使用できる暗号化の種類は セキュリティーの強化 に記載されていますが、Red Hat では、aes-xts-plain64
またはaes-cbc-essiv:sha256
のいずれかの使用を強く推奨しています。 -
--pbkdf=PBKDF
- LUKS 鍵スロット用の PBKDF (Password-Based Key Derivation Function) アルゴリズムを設定します。cryptsetup(8) の man ページも併せて参照してください。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--pbkdf-memory=PBKDF_MEMORY
- PBKDF のメモリーコストを設定します。cryptsetup(8) の man ページも併せて参照してください。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--pbkdf-time=PBKDF_TIME
- PBKDF パスフレーズ処理にかかるミリ秒数を設定します。cryptsetup(8) の man ページの--iter-time
も併せて参照してください。このオプションは、--encrypted
が指定される場合に限り有効になり、--pbkdf-iterations
と相互に排他的になります。 -
--pbkdf-iterations=PBKDF_ITERATIONS
- 反復の数を直接設定し、PBKDF ベンチマークを回避します。cryptsetup(8) の man ページの--pbkdf-force-iterations
も併せて参照してください。このオプションは、--encrypted
が指定されている場合に限り有効になり、--pbkdf-time
と相互に排他的になります。
注記
-
autopart
オプションは、同じキックスタートファイル内では、part/partition
、raid
、logvol
、volgroup
などのオプションとは併用できません。 -
autopart
コマンドは必須ではありませんが、キックスタートスクリプトにpart
コマンドまたはmount
コマンドがない場合は、このコマンドを組み込む必要があります。 -
CMS タイプの 1 つの FBA DASD にインストールする場合は、
autopart --nohome
のキックスタートオプションを使用することが推奨されます。これを使用すると、インストールプログラムが別の/home
パーティションを作成しません。その後、インストールは成功します。 -
LUKS パスフレーズが分からなくなると、暗号化されたパーティションと、その上にあるデータには完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。ただし、
--escrowcert
を使用して暗号パスフレーズを保存し、--backuppassphrase
オプションを使用してバックアップの暗号化パスフレーズを作成できます。 -
autopart
、autopart --type=lvm
、またはautopart=thinp
を使用する場合は、ディスクのセクターサイズに一貫性があることを確認してください。
B.5.3. bootloader (必須)
キックスタートコマンド の bootloader
が必要です。ブートローダーをインストールする方法を指定します。
構文
bootloader [OPTIONS]
オプション
--append=
- 追加のカーネルパラメーターを指定します。複数のパラメーターを指定する場合は空白で区切ります。以下に例を示します。bootloader --location=mbr --append="hdd=ide-scsi ide=nodma"
plymouth
パッケージをインストールすると、rhgb
パラメーターおよびquiet
パラメーターをここで指定しなくても、もしくは--append=
コマンドを使用しなくても、自動的に追加されます。この動作を無効にするには、plymouth
のインストールを明示的に拒否します。%packages -plymouth %end
このオプションは、Meltdown および Spectre に起因する脆弱性の問題を軽減するために実装されたメカニズムを無効にする場合に便利です。投機的実行を悪用するもので、今日のほとんどのプロセッサーで確認されています (CVE-2017-5754、CVE-2017-5753、および CVE-2017-5715)。場合によっては、これらのメカニズムは不要で、有効にしてもセキュリティーは向上せずパフォーマンスが低下する可能性があります。これらのメカニズムを無効にするには、無効にするオプションをキックスタートファイルに追加します (AMD64/Intel 64 システムの例:
bootloader --append="nopti noibrs noibpb"
)。警告脆弱性の問題を軽減するメカニズムを無効にする場合は、システムが攻撃の危険にさらされていないことを確認する必要があります。Meltdown および Spectre に起因する脆弱性は、カーネルのサイドチャネル攻撃 - CVE-2017-5754 CVE-2017-5753 CVE-2017-5715 の記事を参照してください。
--boot-drive=
- ブートローダーの書き込み先のドライブを指定します。つまり、コンピューターが起動するドライブです。ブートドライブにマルチパスデバイスを使用する場合は、disk/by-id/dm-uuid-mpath-WWID 名を使用してデバイスを指定します。重要現在、
zipl
ブートローダーを使用する 64 ビットの IBM Z システムの Red Hat Enterprise Linux インストールでは、--boot-drive=
オプションが無視されます。zipl
をインストールすると、そこに起動ドライブがあると判断されます。-
--leavebootorder
- インストールプログラムが、ブートローダーのインストール済みシステムリストの最上位に Red Hat Enterprise Linux 8 を追加し、その順番と既存の全エントリーを保持します。
このオプションは、Power システムのみに適用されます。UEFI システムにはこのオプションを使用しないでください。
--driveorder=
- BIOS の起動順序で最初のドライブを指定します。以下に例を示します。bootloader --driveorder=sda,hda
--location=
- ブートレコードの書き込み先を指定します。使用できる値は以下のとおりです。mbr
- デフォルトのオプションです。ドライブが使用しているのが Master Boot Record (MBR) スキームか GUID Partition Table (GPT) スキームかによって、動作が異なります。GPT フォーマット済みディスクの場合は、ブートローダーのステージ 1.5 が BIOS 起動パーティションにインストールされます。
MBR フォーマット済みディスクの場合は、MBR と 1 番目のパーティションの間にある空白領域にステージ 1.5 がインストールされます。
-
partition
- カーネルを置くパーティションの 1 番目のセクターに、ブートローダーをインストールします。 -
none
- ブートローダーをインストールしません。
ほとんどの場合、このオプションは指定する必要がありません。
-
--nombr
- MBR にブートローダーをインストールしません。 --password=
- GRUB2 を使用する場合は、このオプションで指定したパスワードを、ブートローダーのパスワードとして設定します。任意のカーネルオプションが渡される可能性のある GRUB2 シェルへのアクセスを限定する場合に使用してください。パスワードを指定すると、GRUB2 ではユーザー名の入力も求められます。ユーザー名は常に
root
です。--iscrypted
---password=
オプションを使用してブートローダーのパスワードを指定すると、通常、キックスタートファイルにプレーンテキスト形式で保存されます。このパスワードを暗号化する場合に、このオプションを使用して暗号化パスワードを生成します。暗号化したパスワードを生成するには、
grub2-mkpasswd-pbkdf2
コマンドを使用し、使用するパスワードを入力し、コマンドからの出力 (grub.pbkdf2
で始まるハッシュ) をキックスタートファイルにコピーします。暗号化したパスワードがあるキックスタートエントリーのbootloader
の例を以下に示します。bootloader --iscrypted --password=grub.pbkdf2.sha512.10000.5520C6C9832F3AC3D149AC0B24BE69E2D4FB0DBEEDBD29CA1D30A044DE2645C4C7A291E585D4DC43F8A4D82479F8B95CA4BA4381F8550510B75E8E0BB2938990.C688B6F0EF935701FF9BD1A8EC7FE5BD2333799C98F28420C5CC8F1A2A233DE22C83705BB614EA17F3FDFDF4AC2161CEA3384E56EB38A2E39102F5334C47405E
-
--timeout=
- ブートローダーがデフォルトオプションで起動するまでの待ち時間を指定します (秒単位)。 -
--default=
- ブートローダー設定内のデフォルトのブートイメージを設定します。 -
--extlinux
- GRUB2 の代わりに extlinux ブートローダーを使用します。このオプションが動作するには、extlinux が対応しているシステムのみです。 -
--disabled
- このオプションは、--location=none
のより強力なバージョンになります。--location=none
は単にブートローダーのインストールを無効にしますが、--disabled
だとブートローダーのインストールを無効にするほか、ブートローダーを含むパッケージのインストールを無効にするため、領域が節約できます。
注記
- Red Hat は、全マシンにブートローダーのパスワードを設定することを強く推奨します。ブートローダーが保護されていないと、攻撃者によりシステムの起動オプションが修正され、システムへの不正アクセスが許可されてしまう可能性があります。
- AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM のシステムにブートローダーをインストールするのに、特殊なパーティションが必要になります。このパーティションの種類とサイズは、ブートローダーをインストールしているディスクが、MBR (Master Boot Record) または GPT (GUID Partition Table) スキーマを使用しているかどうかにより異なります。詳細は、標準的な RHEL 8 インストールの実行 の ブートローダーの設定 セクションを参照してください。
sdX
(または/dev/sdX
) 形式では、デバイス名が再起動後に維持される保証がないため、一部のキックスタートコマンドの使用が複雑になる可能性があります。コマンドにデバイスノード名が必要な場合は、/dev/disk
の項目を代わりに使用できます。以下に例を示します。part / --fstype=xfs --onpart=sda1
上記のコマンドの代わりに、以下のいずれかを使用します。
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-path/pci-0000:00:05.0-scsi-0:0:0:0-part1
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-id/ata-ST3160815AS_6RA0C882-part1
このアプローチを使用すると、コマンドは常に同じストレージデバイスをターゲットとします。これは、大規模なストレージ環境で特に役立ちます。システム上で使用可能なデバイス名を調べるには、対話型インストール中に
ls -lR/dev/disk
コマンドを使用できます。ストレージデバイスを一貫して参照するさまざまな方法の詳細は、永続的な命名属性の概要 を参照してください。-
--upgrade
オプションは、Red Hat Enterprise Linux 8 で非推奨となりました。
B.5.4. zipl
キックスタートコマンドの zipl
は任意です。これは、64 ビットの IBM Z の ZIPL 設定を指定します。
オプション
-
--secure-boot
- インストールシステムで対応しているかどうかを、セキュアな起動を有効にします。
インストールシステムは、IBM z14 以降のシステムにインストールする場合、IBM z14 またはそれ以前のモデルからは起動できません。
-
--force-secure-boot
- セキュアな起動を無条件で有効にします。
IBM z14 以前のモデルでは、インストールに対応していません。
-
--no-secure-boot
- セキュアな起動を無効にします。
Secure Boot は、IBM z14 とそれ以前のモデルでは対応していません。IBM z14 以前のモデルでインストール済みシステムを起動する場合は、--no-secure-boot
を使用します。
B.5.5. clearpart
キックスタートコマンドの clearpart
は任意です。新しいパーティションを作成する前に、システムからパーティションを削除します。デフォルトでは、パーティションは削除されません。
構文
clearpart OPTIONS
オプション
--all
- システムにあるすべてのパーティションを消去します。このオプションを使用すると、接続しているネットワークストレージなど、インストールプログラムでアクセスできるディスクがすべて消去されます。使用する場合は注意が必要です。
clearpart
に--drives=
オプションを使用して消去するドライブのみを指定する、ネットワークストレージは後で接続する (キックスタートファイルの%post
セクションを利用するなど)、ネットワークストレージのアクセスに使用されるカーネルモジュールを拒否リストに記載するなどの手段を取ると、保持したいストレージが消去されるのを防ぐことができます。--drives=
- ドライブを指定してパーティションを消去します。次の例では、プライマリー IDE コントローラーの 1 番目と 2 番目のドライブにあるパーティションをすべて消去することになります。clearpart --drives=hda,hdb --all
マルチパスのデバイスを消去する場合は、
disk/by-id/scsi-WWID
の形式を使用します。WWID はデバイスの World-Wide Identifier になります。WWID58095BEC5510947BE8C0360F604351918
のディスクを消去する場合は以下を使用します。clearpart --drives=disk/by-id/scsi-58095BEC5510947BE8C0360F604351918
マルチパスのデバイスを消去する場合はこの形式が適しています。ただし、エラーが発生する場合は、そのマルチパスデバイスが論理ボリューム管理 (LVM) を使用していなければ、
disk/by-id/dm-uuid-mpath-WWID
の形式を使用して消去することもできます。WWID はデバイスの World-Wide Identifier です。WWID2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
のディスクを消去する場合は以下を使用します。clearpart --drives=disk/by-id/dm-uuid-mpath-2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
mpatha
などのデバイス名でマルチパスデバイスを指定しないでください。このようなデバイス名は、特定のディスクに固有の名前ではありません。インストール時に、/dev/mpatha
という名前のディスクが必ずしも期待したディスクを指すとは限りません。したがって、clearpart
コマンドを使用する際は、間違ったディスクが対象となる可能性があります。--initlabel
- フォーマット対象の全ディスクで、デフォルトのディスクラベルを作成してディスクを初期化します。たとえば、x86 の場合は msdos になります。--initlabel
によりすべてのディスクが処理されてしまうため、フォーマット対象のドライブだけを接続することが重要です。--initlabel
が使用されていない場合でも、clearpart
によってクリアされたディスクにはラベルが作成されます。clearpart --initlabel --drives=names_of_disks
以下に例を示します。
clearpart --initlabel --drives=dasda,dasdb,dasdc
--list=
- 消去するパーティションを指定します。このオプションを使用すると、--all
および--linux
のオプションは無効になります。異なるドライブ間で使用できます。以下に例を示します。clearpart --list=sda2,sda3,sdb1
-
--disklabel=LABEL
- 使用するデフォルトのディスクラベルを設定します。そのプラットフォームでサポートされるディスクラベルのみが設定できます。たとえば、64 ビットの Intel アーキテクチャーおよび AMD アーキテクチャーでは、msdos
ディスクラベルおよびgpt
ディスクラベルが使用できますが、dasd
は使用できません。 -
--linux
- すべての Linux パーティションを消去します。 -
--none
(デフォルト) - パーティションを消去しません。 -
--cdl
- LDL DASD を CDL 形式に再フォーマットします。
注記
sdX
(または/dev/sdX
) 形式では、デバイス名が再起動後に維持される保証がないため、一部のキックスタートコマンドの使用が複雑になる可能性があります。コマンドにデバイスノード名が必要な場合は、/dev/disk
の項目を代わりに使用できます。以下に例を示します。part / --fstype=xfs --onpart=sda1
上記のコマンドの代わりに、以下のいずれかを使用します。
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-path/pci-0000:00:05.0-scsi-0:0:0:0-part1
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-id/ata-ST3160815AS_6RA0C882-part1
このアプローチを使用すると、コマンドは常に同じストレージデバイスをターゲットとします。これは、大規模なストレージ環境で特に役立ちます。システム上で使用可能なデバイス名を調べるには、対話型インストール中に
ls -lR/dev/disk
コマンドを使用できます。ストレージデバイスを一貫して参照するさまざまな方法の詳細は、永続的な命名属性の概要 を参照してください。-
clearpart
コマンドを使用する場合は、論理パーティションにはpart --onpart
コマンドは使用できません。
B.5.6. fcoe
キックスタートコマンドの fcoe
は任意です。Enhanced Disk Drive Services (EDD) で検出されたデバイス以外で、自動的にアクティベートする FCoE デバイスを指定します。
構文
fcoe --nic=name [OPTIONS]
オプション
-
--nic=
(必須) - アクティベートするデバイス名です。 -
--dcb=
- データセンターブリッジ (DCB) の設定を確立します。 -
--autovlan
- VLAN を自動的に検出します。このオプションはデフォルトで有効になっています。
B.5.7. ignoredisk
キックスタートコマンドの ignoredisk
は任意です。インストールプログラムが、指定したディスクを無視するようになります。
自動パーティション設定を使用して、特定のディスクを無視したい場合に便利なオプションです。たとえば、ignoredisk
を使用せずに SAN クラスターに導入しようとすると、インストールプログラムが SAN へのパッシブパスを検出し、パーティションテーブルがないことを示すエラーが返されるため、キックスタートが失敗します。
構文
ignoredisk --drives=drive1,drive2,... | --only-use=drive
オプション
-
--drives=driveN,…
- Replace driveN を、sda
,sdb
,…,hda
, などに置き換えます。 --only-use=driveN,…
: インストールプログラムで使用するディスクのリストを指定します。これ以外のディスクはすべて無視されます。たとえば、インストール中にsda
ディスクを使用し、他はすべて無視する場合は以下のコマンドを使用します。ignoredisk --only-use=sda
LVM を使用しないマルチパスのデバイスを指定する場合は、次のコマンドを実行します。
ignoredisk --only-use=disk/by-id/dm-uuid-mpath-2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
LVM を使用するマルチパスのデバイスを指定する場合は、次のコマンドを実行します。
ignoredisk --only-use==/dev/disk/by-id/dm-uuid-mpath-
bootloader --location=mbr
--drives
または --only-use
のいずれかのみを指定する必要があります。
備考
-
--interactive
オプションは、Red Hat Enterprise Linux 8 で非推奨となりました。このオプションにより、高度なストレージ画面を手動で操作できます。 論理ボリューム管理 (LVM) を使用していないマルチパスデバイスを無視する場合は、
disk/by-id/dm-uuid-mpath-WWID
の形式を使用します。WWID はデバイスの World-Wide Identifier です。たとえば、WWID2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
のディスクを無視する場合は以下を使用します。ignoredisk --drives=disk/by-id/dm-uuid-mpath-2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
-
mpatha
などのデバイス名でマルチパスデバイスを指定しないでください。このようなデバイス名は、特定のディスクに固有の名前ではありません。インストール時に、/dev/mpatha
という名前のディスクが必ずしも期待したディスクを指すとは限りません。したがって、clearpart
コマンドを使用する際は、間違ったディスクが対象となる可能性があります。 sdX
(または/dev/sdX
) 形式では、デバイス名が再起動後に維持される保証がないため、一部のキックスタートコマンドの使用が複雑になる可能性があります。コマンドにデバイスノード名が必要な場合は、/dev/disk
の項目を代わりに使用できます。以下に例を示します。part / --fstype=xfs --onpart=sda1
上記のコマンドの代わりに、以下のいずれかを使用します。
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-path/pci-0000:00:05.0-scsi-0:0:0:0-part1
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-id/ata-ST3160815AS_6RA0C882-part1
このアプローチを使用すると、コマンドは常に同じストレージデバイスをターゲットとします。これは、大規模なストレージ環境で特に役立ちます。システム上で使用可能なデバイス名を調べるには、対話型インストール中に
ls -lR/dev/disk
コマンドを使用できます。ストレージデバイスを一貫して参照するさまざまな方法の詳細は、永続的な命名属性の概要 を参照してください。
B.5.8. iscsi
キックスタートコマンドの iscsi
は任意です。インストール時に接続する追加の iSCSI ストレージを指定します。
構文
iscsi --ipaddr=address [OPTIONS]
必須オプション
-
--ipaddr=
(必須) - 接続先ターゲットの IP アドレスを指定します。
任意のオプション
-
--port=
(必須) - ポート番号を指定します。存在しない場合は、--port=3260
がデフォルトで自動的に使用されます。 -
--target=
- ターゲットの IQN (iSCSI 修飾名) を指定します。 -
--iface=
- ネットワーク層で確定されるデフォルトのネットワークインターフェイスではなく、特定のネットワークインターフェイスに接続をバインドします。これを一度使用したら、キックスタートファイルには、iscsi
コマンドのインスタンスをすべて指定する必要があります。 -
--user=
- ターゲットでの認証に必要なユーザー名を指定します。 -
--password=
- ターゲットに指定したユーザー名のパスワードを指定します。 -
--reverse-user=
- 逆 CHAP 認証を使用するターゲットのイニシエーターでの認証に必要なユーザー名を指定します。 -
--reverse-password=
- イニシエーターに指定したユーザー名のパスワードを指定します。
注記
-
また、
iscsi
コマンドを使用する場合は、iscsiname
コマンドで iSCSI ノードに名前を割り当てる必要があります。iscsiname
コマンドは、キックスタートファイルで、iscsi
コマンドより先に指定してください。 -
iSCSI ストレージは、できる限り
iscsi
コマンドではなくシステムの BIOS またはファームウェア (Intel システムの場合は iBFT) 内で設定してください。BIOS またはファームウェア内で設定されたディスクは Anaconda で自動的に検出されて使用されるため、キックスタートファイルで特に設定する必要がありません。 -
iscsi
コマンドを使用する必要がある場合は、インストールの開始時にネットワークがアクティブであること、iscsi
コマンドが、キックスタートファイルでclearpart
やignoredisk
などのコマンドによる iSCSI ディスクの参照よりも前に指定されていることを確認してください。
B.5.9. iscsiname
キックスタートコマンドの iscsiname
は任意です。これは、iscsi
コマンドが指定した iSCSI ノードに名前を割り当てます。
構文
iscsiname
iqname
オプション
-
iqname
- iSCSI ノードに割り当てる名前。
注記
-
キックスタートファイルで
iscsi
コマンドを使用する場合は、キックスタートファイルでiscsiname
earlier を指定する必要があります。
B.5.10. logvol
キックスタートコマンドの logvol
は任意です。論理ボリューム管理 (LVM) に論理ボリュームを作成します。
構文
logvol mntpoint --vgname=name --name=name [OPTIONS]
必須オプション
mntpoint
パーティションがマウントされているマウントポイント。次のいずれかの形式になります。
/path
たとえば
/
、または/home
。swap
このパーティションは、swap 領域として使用されます。
自動的に swap パーティションのサイズを確定させる場合は、
--recommended
オプションを使用します。swap --recommended
自動的に swap パーティションサイズを確定しながら、ハイバネート用に追加領域も配分するには、
--hibernation
オプションを使用します。swap --hibernation
--recommended
で割り当てられる swap 領域に加え、システムの RAM 容量が加算されたサイズが割り当てられるようになります。AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM のシステムで、このコマンドが割り当てたスワップサイズは、推奨されるパーティション設定スキーム を参照してください。
--vgname=name
- ボリュームグループの名前。
--name=name
- 論理ボリュームの名前。
任意のオプション
--noformat
- 既存の論理ボリュームを使用し、フォーマットは行いません。
--useexisting
- 既存の論理ボリュームを使用し、再フォーマットします。
--fstype=
-
論理ボリュームのファイルシステムのタイプを設定します。
xfs
、ext2
、ext3
、ext4
、swap
、およびvfat
が使用できる値になります。 --fsoptions=
ファイルシステムをマウントする場合に使用するオプションの文字列を自由形式で指定します。この文字列は、インストール後の
/etc/fstab
ファイルにコピーされるため、引用符で囲む必要があります。注記EFI システムパーティション (
/boot/efi
) では、anaconda が値をハードコードし、ユーザー指定の--fsoptions
値を無視します。--mkfsoptions=
このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡す追加のパラメーターを指定します。引数のリストでは処理が行われないため、mkfs プログラムに直接渡すことが可能な形式で提供する必要があります。つまり、複数のオプションはコンマ区切りにするか、二重引用符で囲む必要があります (ファイルシステムによって異なります)。以下に例を示します。
part /opt/foo1 --size=512 --fstype=ext4 --mkfsoptions="-O ^has_journal,^flex_bg,^metadata_csum"
part /opt/foo2 --size=512 --fstype=xfs --mkfsoptions="-m bigtime=0,finobt=0"
詳細は、作成しているファイルシステムの man ページを参照してください。たとえば、mkfs.ext4
または mkfs.xfs
です。
--fsprofile=
-
このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡すのに使用するタイプを指定します。ファイルシステムの作成時に使用されるさまざまなチューニングパラメーターは、この使用タイプにより定義されます。ファイルシステム側で使用タイプという概念に対応し、有効なタイプを指定する設定ファイルがないと、このオプションは正しく機能しません。
ext2
、ext3
、およびext4
の場合、この設定ファイルは/etc/mke2fs.conf
になります。 --label=
- 論理ボリュームのラベルを設定します。
--grow
- 論理ボリュームを拡張して、利用可能なサイズ (存在する場合) を埋めるか、指定されている場合は最大サイズまで埋めます。このオプションを使用する必要があるのは、ディスクイメージに最小限のストレージ領域を事前に割り当てており、ボリュームを拡大して使用可能な領域を埋める場合のみです。物理的な環境では、これは 1 回限りのアクションです。ただし、仮想環境では、仮想マシンが仮想ディスクにデータを書き込むとボリュームサイズが増加します。
--size=
-
論理ボリュームのサイズを MiB 単位で指定します。このオプションを、
--percent=
オプションと併用することはできません。 --percent=
サイズを静的に指定した論理ボリュームを考慮に入れた後のボリュームグループにある空き領域を表すパーセンテージとして、論理ボリュームのサイズを指定します。このオプションは
--size=
オプションと併用することはできません。重要論理ボリュームの新規作成時には、
--size=
オプションで静的なサイズを指定するか、--percent=
オプションで残りの空き領域をパーセンテージとして指定する必要があります。1 つの論理ボリュームで、両方のオプションを使用することはできません。--maxsize=
-
論理ボリュームを grow に設定した場合の最大サイズを MiB 単位で指定します。
500
などの整数値を使用してください (単位は不要)。 --recommended
論理ボリュームを作成して、システムのハードウェアに基づいてそのボリュームのサイズを自動的に確定するために、このオプションを使用します。
AMD64、Intel 64、および 64 ビットの ARM システムで推奨されるスキームの詳細は、推奨されるパーティション設定スキーム を参照してください。
--resize
-
論理ボリュームのサイズを変更します。このオプションを使用する場合は、
--useexisting
と--size
も指定する必要があります。 --encrypted
この論理ボリュームを、
--passphrase=
オプションで入力したパスフレーズを使用する LUKS (Linux Unified Key Setup) で暗号化します。このパスフレーズを指定しない場合は、インストールプログラムがautopart --passphrase
コマンドで設定されるデフォルトのシステムワイドパスフレーズを使用します。このデフォルトのパスフレーズも設定されていない場合は、インストールプロセスが中断されてパスフレーズの入力が求められます。注記1 つまたは複数のパーティションを暗号化する際には、安全な暗号化を行うため、Anaconda が 256 ビットのエントロピーを収集しようとします。エントロピーの収集には時間がかかる場合があります。十分なエントロピーが収集されたかどうかにかかわらず、このプロセスは最大 10 分後に終了します。
プロセスは、インストールシステムと対話することにより高速化できます (キーボードで入力またはマウスの移動)。仮想マシンにインストールしている場合は、
virtio-rng
デバイス (仮想乱数ジェネレーター) をゲストに登録できます。--passphrase=
-
この論理ボリュームを暗号化する際に使用するパスフレーズを指定します。
--encrypted
オプションと併用してください。単独で使用しても暗号化されません。 --cipher=
-
Anaconda のデフォルトである
aes-xts-plain64
では十分ではない場合に使用する暗号化の種類を指定します。--encrypted
オプションと併用してください。単独で使用しても暗号化されません。使用できる暗号化の種類は セキュリティーの強化 に記載されていますが、Red Hat では、aes-xts-plain64
またはaes-cbc-essiv:sha256
のいずれかの使用を強く推奨しています。 --escrowcert=URL_of_X.509_certificate
-
暗号化した全ボリュームのデータ暗号化の鍵を
/root
配下にファイルとして格納します。URL_of_X.509_certificate で指定した URL の X.509 証明書を使用して暗号化します。鍵は暗号化したボリュームごとに別のファイルとして格納されます。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 --luks-version=LUKS_VERSION
-
ファイルシステムの暗号化に使用する LUKS 形式のバージョンを指定します。
--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 --backuppassphrase
-
暗号化されたボリュームにそれぞれランダムに生成されたパスフレーズを追加します。パスフレーズは、
/root
配下に別々のファイルで格納され、--escrowcert
で指定した X.509 証明書を使用して暗号化されます。--escrowcert
と併用しないと有効ではありません。 --pbkdf=PBKDF
-
LUKS 鍵スロット用の PBKDF (Password-Based Key Derivation Function) アルゴリズムを設定します。cryptsetup(8) の man ページも併せて参照してください。
--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 --pbkdf-memory=PBKDF_MEMORY
-
PBKDF のメモリーコストを設定します。cryptsetup(8) の man ページも併せて参照してください。
--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 --pbkdf-time=PBKDF_TIME
-
PBKDF パスフレーズ処理にかかるミリ秒数を設定します。cryptsetup(8) の man ページの
--iter-time
も併せて参照してください。このオプションは、--encrypted
が指定される場合に限り有効になり、--pbkdf-iterations
と相互に排他的になります。 --pbkdf-iterations=PBKDF_ITERATIONS
-
反復の数を直接設定し、PBKDF ベンチマークを回避します。cryptsetup(8) の man ページの
--pbkdf-force-iterations
も併せて参照してください。このオプションは、--encrypted
が指定されている場合に限り有効になり、--pbkdf-time
と相互に排他的になります。 --thinpool
-
シンプール論理ボリュームを作成します。(
none
のマウントポイントの使用) --metadatasize=size
- 新しいシンプールデバイスのメタデータ領域のサイズ (MiB 単位) を指定します。
--chunksize=size
- 新しいシンプールデバイスのチャンクサイズ (KiB) を指定します。
--thin
-
シン論理ボリュームを作成します。(
--poolname
が必要です。) --poolname=name
-
シン論理ボリュームを作成するシンプールの名前を指定します。
--thin
オプションが必要です。 --profile=name
-
シン論理ボリュームで使用する設定プロファイル名を指定します。これを使用する場合は、この名前は特定の論理ボリュームのメタデータにも含まれることになります。デフォルトで使用できるプロファイルは
default
とthin-performance
で、/etc/lvm/profile/
ディレクトリーで定義します。詳細はlvm(8)
の man ページを参照してください。 --cachepvs=
- 該当ボリュームのキャッシュとして使用する物理ボリュームをコンマ区切りで記入します。
--cachemode=
当該論理ボリュームのキャッシュに使用するモードを指定します (
writeback
またはwritethrough
になります)。注記キャッシュ済み論理ボリュームおよびそのモードの詳細は、
lvmcache(7)
の man ページを参照してください。--cachesize=
-
論理ボリュームにアタッチするキャッシュのサイズを MiB 単位で指定します。このオプションは、
--cachepvs=
オプションと併用する必要があります。
注記
キックスタートを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、論理ボリューム名およびボリュームグループ名にダッシュ (
-
) 記号を使用しないでください。この文字を使用すると、インストール自体は正常に完了しますが、/dev/mapper/
ディレクトリー内の論理ボリューム名とボリュームグループ名にダッシュが二重に付いてしまうことになります。たとえば、ボリュームグループvolgrp-01
に論理ボリュームlogvol-01
が格納されている場合は、/dev/mapper/volgrp—01-logvol—01
というような表記になります。この制約が適用されるのは、新規作成の論理ボリュームおよびボリュームグループ名のみです。既存の論理ボリュームまたはボリュームグループを
--noformat
オプションを使用して再利用する場合は、名前が変更されません。-
LUKS パスフレーズが分からなくなると、暗号化されたパーティションと、その上にあるデータには完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。ただし、
--escrowcert
を使用して暗号パスフレーズを保存し、--backuppassphrase
オプションを使用してバックアップの暗号化パスフレーズを作成できます。
例
まずパーティションを作成します。次に論理ボリュームグループを作成して、論理ボリュームを作成します。
part pv.01 --size 3000
volgroup myvg pv.01
logvol / --vgname=myvg --size=2000 --name=rootvol
最初にパーティションを作成します。次に論理ボリュームグループを作成して、ボリュームグループに残っている領域の 90 % を占める論理ボリュームを作成します。
part pv.01 --size 1 --grow
volgroup myvg pv.01
logvol / --vgname=myvg --name=rootvol --percent=90
関連情報
B.5.11. mount
キックスタートコマンドの mount
は任意です。これは、既存のブロックデバイスにマウントポイントを割り当て、必要に応じて、指定の形式で再フォーマットします。
構文
mount [OPTIONS] device mountpoint
必須オプション:
-
device
- マウントするブロックデバイス。 -
mountpoint
-device
をマウントする場所。/
、/usr
などの有効なマウントポイントを指定する必要があります。デバイスがマウントできない場合 (swap
など) はnone
と指定します。
任意のオプション:
-
--reformat=
- デバイスを再フォーマットする際の新しいフォーマット (例:ext4
) を指定します。 -
--mkfsoptions=
---reformat=
で指定した新しいファイルシステムを作成するコマンドに渡す追加のオプションを指定します。ここで指定するオプションのリストは処理されません。したがって、直接mkfs
プログラムに渡すことのできる形式で指定する必要があります。オプションのリストは、コンマ区切りとするか、二重引用符で囲む必要があります (ファイルシステムによって異なります)。詳細は、作成するファイルシステムのmkfs
の man ページで確認してください (例:mkfs.ext4(8)
またはmkfs.xfs(8)
)。 -
--mountoptions=
- ファイルシステムをマウントする場合に使用するオプションを含む文字列を、自由形式で指定します。この文字列はインストールされたシステムの/etc/fstab
ファイルにコピーされるため、二重引用符で囲んでください。マウントオプションの全リストはmount(8)
の man ページを、概要はfstab(5)
を参照してください。
注記
-
キックスタートの他の多くのストレージ設定コマンドとは異なり、
mount
の場合には、キックスタートファイルにすべてのストレージ設定を記述する必要がありません。確認する必要があるのは、記述されたブロックデバイスがシステムに存在することだけです。ただし、すべてのデバイスがマウントされたストレージスタックを 作成する 場合には、part
などの他のコマンドを使用する必要があります。 -
同じキックスタートファイル内で、
mount
をpart
、logvol
、またはautopart
などの他のストレージ関連コマンドと併用することはできません。
B.5.12. nvdimm
キックスタートコマンドの nvdimm
は任意です。これは、NVDIMM (Non-Volatile Dual In-line Memory Module) デバイスでアクションを実行します。
構文
nvdimm action [OPTIONS]
アクション
reconfigure
- 指定した NVDIMM デバイスを特定のモードに再設定します。なお、指定したデバイスは暗示的に使用先と識別されるため、同じデバイスに対するこれ以降のnvdimm use
コマンドは冗長になります。このアクションは以下の形式を使用します。nvdimm reconfigure [--namespace=NAMESPACE] [--mode=MODE] [--sectorsize=SECTORSIZE]
--namespace=
- 名前空間でデバイスを指定します。以下に例を示します。nvdimm reconfigure --namespace=namespace0.0 --mode=sector --sectorsize=512
-
--mode=
- モードを指定します。現在、利用できる値はsector
だけです。 --sectorsize=
- セクターサイズ (セクターモードの場合)。以下に例を示します。nvdimm reconfigure --namespace=namespace0.0 --mode=sector --sectorsize=512
サポートされるセクターサイズは 512 バイトおよび 4096 バイトです。
use
- NVDIMM デバイスを、インストールのターゲットに指定します。デバイスは、nvdimm reconfigure
コマンドでセクターモードに設定されている必要があります。このアクションは以下の形式を使用します。nvdimm use [--namespace=NAMESPACE|--blockdevs=DEVICES]
--namespace=
- 名前空間でデバイスを指定します。以下に例を示します。nvdimm use --namespace=namespace0.0
--blockdevs=
- 使用する NVDIMM デバイスに対応するブロックデバイスをコンマ区切りリストで指定します。ワイルドカードとしてアスタリスク*
が使用できます。以下に例を示します。nvdimm use --blockdevs=pmem0s,pmem1s
nvdimm use --blockdevs=pmem*
注記
-
デフォルトでは、インストールプログラムはすべての NVDIMM デバイスを無視します。このデバイスでのインストールを有効にするには、
nvdimm
コマンドを使用する必要があります。
B.5.13. part または partition
キックスタートコマンド part
または partition
が必要です。このコマンドは、システムにパーティションを作成します。
構文
part|partition mntpoint [OPTIONS]
オプション
mntpoint - パーティションをマウントする場所です。値は次のいずれかの形式になります。
/path
/
、/usr
、/home
など。swap
このパーティションは、swap 領域として使用されます。
自動的に swap パーティションのサイズを確定させる場合は、
--recommended
オプションを使用します。swap --recommended
有効なサイズが割り当てられますが、システムに対して正確に調整されたサイズではありません。
自動的に swap パーティションサイズを確定しながら、ハイバネート用に余剰領域も割り当てる場合は、
--hibernation
オプションを使用します。swap --hibernation
--recommended
で割り当てられる swap 領域に加え、システムの RAM 容量が加算されたサイズが割り当てられるようになります。AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM のシステムで、このコマンドが割り当てたスワップサイズは「推奨されるパーティション設定スキーム」を参照してください。
raid.id
このパーティションはソフトウェア RAID に使用されます (
raid
を参照)。pv.id
このパーティションは LVM に使用されます (
logvol
を参照)。biosboot
このパーティションは、BIOS 起動パーティションに使用されます。GPT (GUID Partition Table) を使用する BIOS ベースの AMD64 および Intel 64 のシステムには、1 MiB の BIOS 起動パーティションが必要になります。ブートローダーは、このパーティションにインストールされます。UEFI システムには必要ありません。詳細は
bootloader
コマンドも併せてご覧ください。/boot/efi
EFI システムパーティションです。UEFI ベースの AMD64、Intel 64、および 64 ビットの ARM には 50 MiB の EFI パーティションが必要になります。推奨サイズは 200 MiB です。BIOS システムには必要ありません。詳細は
bootloader
コマンドも併せてご覧ください。
--size=
- パーティションの最小サイズを MiB 単位で指定します。500
などの整数値を使用してください (単位は不要)。重要--size
の値が小さすぎると、インストールに失敗します。--size
の値は、必要となる領域の最小値として指定します。推奨されるサイズは、「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。--grow
- パーティションを拡張して、利用可能なサイズ (存在する場合) を埋めるか、指定されている場合は最大サイズまで埋めます。注記swap パーティションに
--maxsize=
を設定せずに--grow=
を使用すると、swap パーティションの最大サイズは、Anaconda により制限されます。物理メモリーが 2 GiB 未満のシステムの場合は、物理メモリー量の 2 倍に制限されます。物理メモリーが 2 GiB 以上のシステムの場合は、物理メモリー量に 2GiB を足した量に制限されます。-
--maxsize=
- パーティションが grow に設定されている場合の最大サイズを MiB 単位で指定します。500
などの整数値を使用してください (単位は不要)。 -
--noformat
- パーティションをフォーマットしない場合に指定します。--onpart
コマンドと併用してください。 --onpart=
または--usepart=
- パーティションを配置するデバイスを指定します。既存の空のデバイスを使用し、新たに指定したタイプにフォーマットします。以下に例を示します。partition /home --onpart=hda1
上記では、
/home
が/dev/hda1
に配置されます。このオプションを使用して、パーティションを論理ボリュームに追加することもできます。以下に例を示します。
partition pv.1 --onpart=hda2
この場合は、デバイスがシステムに存在している必要があります。
--onpart
オプションでデバイスを作成するわけではありません。パーティションではなく、ドライブ全体を指定することも可能です。その場合、Anaconda はパーティションテーブルを作成せずに、ドライブをフォーマットして使用します。ただし、この方法でフォーマットしたデバイスでは GRUB2 のインストールがサポートされないため、パーティションテーブルのあるドライブに置かれる必要があります。
partition pv.1 --onpart=hdb
--ondisk=
または--ondrive=
- 既存ディスクに (part
コマンドで指定した) パーティションを作成します。このコマンドは常にパーティションを作成します。特定のディスクに強制的にパーティションを作成します。たとえば、--ondisk=sdb
を使用すると、パーティションは 2 番目の SCSI ディスクに作成されます。論理ボリューム管理 (LVM) を使用しないマルチパスデバイスを指定する場合は、
disk/by-id/dm-uuid-mpath-WWID
の形式を使用します。WWID は、デバイスの World-Wide Identifier です。たとえば、WWID2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
のディスクを指定する場合は以下を使用します。part / --fstype=xfs --grow --asprimary --size=8192 --ondisk=disk/by-id/dm-uuid-mpath-2416CD96995134CA5D787F00A5AA11017
警告mpatha
などのデバイス名でマルチパスデバイスを指定しないでください。このようなデバイス名は、特定のディスクに固有の名前ではありません。インストール時に、/dev/mpatha
という名前のディスクが必ずしも期待したディスクを指すとは限りません。したがって、part
コマンドを使用する際は、間違ったディスクが対象となる可能性があります。-
--asprimary
- パーティションが プライマリー パーティションとして割り当てられるように強制実行します。(通常、すでに割り当てられているプライマリーパーティションが多すぎるという理由で) パーティションをプライマリーとして割り当てられない場合は、パーティション設定のプロセスが失敗します。このオプションは、Master Boot Record (MBR) をディスクが使用する場合にのみ有効で、GUID Partition Table (GPT) ラベルが付いたディスクでは有効ではありません。 -
--fsprofile=
- このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡すのに使用するタイプを指定します。ファイルシステムの作成時に使用されるさまざまなチューニングパラメーターは、この使用タイプにより定義されます。ファイルシステム側で使用タイプという概念に対応し、有効なタイプを指定する設定ファイルがないと、このオプションは正しく機能しません。ext2
、ext3
、ext4
の場合、この設定ファイルは/etc/mke2fs.conf
になります。 --mkfsoptions=
- このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡す追加のパラメーターを指定します。これは--fsprofile
と似ていますが、プロフィールの概念に対応するものだけではなく、すべてのファイルシステムで機能するものです。引数のリストでは処理が行われないため、mkfs プログラムに直接渡すことが可能な形式で提供する必要があります。つまり、複数のオプションはコンマ区切りにするか、二重引用符で囲む必要があります (ファイルシステムによって異なります)。以下に例を示します。part /opt/foo1 --size=512 --fstype=ext4 --mkfsoptions="-O ^has_journal,^flex_bg,^metadata_csum"
part /opt/foo2 --size=512 --fstype=xfs --mkfsoptions="-m bigtime=0,finobt=0"
詳細は、作成しているファイルシステムの man ページを参照してください。たとえば、mkfs.ext4
または mkfs.xfs
です。
-
--fstype=
- パーティションのファイルシステムタイプを設定します。使用できる値は、xfs
、ext2
、ext3
、ext4
、swap
、vfat
、efi
、およびbiosboot
になります。 --fsoptions
- ファイルシステムをマウントする場合に使用するオプション文字列を自由形式で指定します。この文字列は、インストール後の/etc/fstab
ファイルにコピーされるため、引用符で囲む必要があります。注記EFI システムパーティション (
/boot/efi
) では、anaconda が値をハードコードし、ユーザー指定の--fsoptions
値を無視します。-
--label=
- 個別パーティションにラベルを割り当てます。 --recommended
- パーティションのサイズを自動的に確定します。AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM のシステムで推奨されるスキームは、「推奨されるパーティション設定スキーム」 を参照してください。
重要このオプションは、
/boot
パーティションやswap
領域といったファイルシステムになるパーティションにのみ使用できます。LVM 物理ボリュームや RAID メンバーの作成には使用できません。-
--onbiosdisk
- BIOS で検出された特定のディスクに強制的にパーティションを作成します。 --encrypted
---passphrase
オプションで入力したパスフレーズを使用して、LUKS (Linux Unified Key Setup) でこのパーティションを暗号化するように指定します。このパスフレーズを指定しないと、Anaconda は、autopart --passphrase
コマンドで設定されるデフォルトのシステムワイドパスフレーズを使用します。このデフォルトのパスフレーズも設定されていない場合は、インストールプロセスが中断して、パスフレーズの入力が求められます。注記1 つまたは複数のパーティションを暗号化する際には、安全な暗号化を行うため、Anaconda が 256 ビットのエントロピーを収集しようとします。エントロピーの収集には時間がかかる場合があります。十分なエントロピーが収集されたかどうかにかかわらず、このプロセスは最大 10 分後に終了します。
プロセスは、インストールシステムと対話することにより高速化できます (キーボードで入力またはマウスの移動)。仮想マシンにインストールしている場合は、
virtio-rng
デバイス (仮想乱数ジェネレーター) をゲストに登録できます。-
--luks-version=LUKS_VERSION
- ファイルシステムの暗号化に使用する LUKS 形式のバージョンを指定します。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--passphrase=
- このパーティションの暗号化を行う際に使用するパスフレーズを入力します。--encrypted
オプションと併用してください。単独で使用しても暗号化されません。 -
--cipher=
- Anaconda のデフォルトであるaes-xts-plain64
では十分ではない場合に使用する暗号化の種類を指定します。--encrypted
オプションと併用してください。単独で使用しても暗号化されません。使用できる暗号化の種類は セキュリティーの強化 に記載されていますが、Red Hat では、aes-xts-plain64
またはaes-cbc-essiv:sha256
のいずれかの使用を強く推奨しています。 -
--escrowcert=URL_of_X.509_certificate
- 暗号化した全パーティションのデータ暗号化の鍵を/root
配下にファイルとして格納します。URL_of_X.509_certificate で指定した URL の X.509 証明書を使用して暗号化します。鍵は、暗号化したパーティションごとに別のファイルとして格納されます。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--backuppassphrase
- 暗号化されたパーティションにそれぞれランダムに生成されたパスフレーズを追加します。パスフレーズは、/root
配下に別々のファイルで格納され、--escrowcert
で指定した X.509 証明書を使用して暗号化されます。--escrowcert
と併用しないと有効ではありません。 -
--pbkdf=PBKDF
- LUKS 鍵スロット用の PBKDF (Password-Based Key Derivation Function) アルゴリズムを設定します。cryptsetup(8) の man ページも併せて参照してください。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--pbkdf-memory=PBKDF_MEMORY
- PBKDF のメモリーコストを設定します。cryptsetup(8) の man ページも併せて参照してください。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--pbkdf-time=PBKDF_TIME
- PBKDF パスフレーズ処理にかかるミリ秒数を設定します。cryptsetup(8) の man ページの--iter-time
も併せて参照してください。このオプションは、--encrypted
が指定される場合に限り有効になり、--pbkdf-iterations
と相互に排他的になります。 -
--pbkdf-iterations=PBKDF_ITERATIONS
- 反復の数を直接設定し、PBKDF ベンチマークを回避します。cryptsetup(8) の man ページの--pbkdf-force-iterations
も併せて参照してください。このオプションは、--encrypted
が指定されている場合に限り有効になり、--pbkdf-time
と相互に排他的になります。 -
--resize=
- 既存パーティションのサイズを変更します。このオプションを使用する際は、--size=
オプションで目的のサイズ (MiB 単位) を指定し、--onpart=
オプションで目的のパーティションを指定します。
注記
-
part
コマンドは必須ではありませんが、キックスタートスクリプトにはpart
、autopart
、またはmount
のいずれかを指定する必要があります。 -
--active
オプションは、Red Hat Enterprise Linux 8 で非推奨となりました。 - 何らかの理由でパーティションの設定ができなかった場合には、診断メッセージが仮想コンソール 3 に表示されます。
-
--noformat
および--onpart
を使用しないと、作成されたパーティションはすべてインストールプロセスの一部としてフォーマット化されます。 sdX
(または/dev/sdX
) 形式では、デバイス名が再起動後に維持される保証がないため、一部のキックスタートコマンドの使用が複雑になる可能性があります。コマンドにデバイスノード名が必要な場合は、/dev/disk
の項目を代わりに使用できます。以下に例を示します。part / --fstype=xfs --onpart=sda1
上記のコマンドの代わりに、以下のいずれかを使用します。
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-path/pci-0000:00:05.0-scsi-0:0:0:0-part1
part / --fstype=xfs --onpart=/dev/disk/by-id/ata-ST3160815AS_6RA0C882-part1
このアプローチを使用すると、コマンドは常に同じストレージデバイスをターゲットとします。これは、大規模なストレージ環境で特に役立ちます。システム上で使用可能なデバイス名を調べるには、対話型インストール中に
ls -lR/dev/disk
コマンドを使用できます。ストレージデバイスを一貫して参照するさまざまな方法の詳細は、永続的な命名属性の概要 を参照してください。-
LUKS パスフレーズが分からなくなると、暗号化されたパーティションと、その上にあるデータには完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。ただし、
--escrowcert
を使用して暗号パスフレーズを保存し、--backuppassphrase
オプションを使用してバックアップの暗号化パスフレーズを作成できます。
B.5.14. raid
キックスタートコマンドの raid
は任意です。ソフトウェアの RAID デバイスを組み立てます。
構文
raid mntpoint --level=level --device=device-name partitions*
オプション
mntpoint - RAID ファイルシステムをマウントする場所です。
/
にマウントする場合は、boot パーティション (/boot
) がなければ RAID レベルを 1 にする必要があります。boot パーティションがある場合は、/boot
パーティションをレベル 1 にしてください。ルート (/
) パーティションのタイプはどれでも構いません。partitions* (複数パーティションの指定が可能) には RAID アレイに追加する RAID 識別子を指定します。重要-
IBM Power Systems で RAID デバイスの準備は行ったものの、インストール中に再フォーマットを行っていない場合で、この RAID デバイスに
/boot
パーティションおよび PReP パーティションの配置を予定している場合は、RAID メタデータのバージョンが0.90
または1.0
になっていることを確認してください。mdadm
メタデータバージョン1.1
および1.2
は、/boot
および PReP パーティションではサポートされていません。 -
PowerNV システムでは、
PReP
Boot パーティションは必要ありません。
-
IBM Power Systems で RAID デバイスの準備は行ったものの、インストール中に再フォーマットを行っていない場合で、この RAID デバイスに
--level=
- 使用する RAID レベルを指定します (0、1、4、5、6、10 のいずれか)。利用可能な RAID レベルの詳細は、「対応する RAID のタイプ」 を参照してください。
--device=
- 使用する RAID デバイス名を指定します (例:--device=root
)。重要mdraid
名をmd0
の形式で使用しないでください。このような名前は永続性が保証されていません。代わりに、root
、swap
など意味のある名前にしてください。意味のある名前を使用すると、/dev/md/name
から、アレイに割り当てられている/dev/mdX
ノードへのシンボリックリンクが作成されます。名前を割り当てることができない古い (v0.90 メタデータ) アレイがある場合は、ファイルシステムラベルまたは UUID でアレイを指定できます。たとえば、
--device=LABEL=root
または--device=UUID=93348e56-4631-d0f0-6f5b-45c47f570b88
です。RAID デバイス上のファイルシステムの UUID または RAID デバイス自体の UUID を使用できます。RAID デバイスの UUID は
8-4-4-4-12
形式である必要があります。mdadm によって報告される UUID は、変更する必要がある8:8:8:8
形式です。たとえば、93348e56:4631d0f0:6f5b45c4:7f570b88
は93348e56-4631-d0f0-6f5b-45c47f570b88
に変更する必要があります。-
--chunksize=
- RAID ストレージのチャンクサイズを KiB 単位で設定します。場合によっては、デフォルトのサイズ (512 Kib
) 以外のチャンクサイズを使用すると、RAID のパフォーマンスが向上することもあります。 -
--spares=
- RAID アレイに割り当てられるスペアドライブの数を指定します。スペアドライブは、ドライブに障害が発生した場合にアレイの再設定に使用されます。 -
--fsprofile=
- このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡すのに使用するタイプを指定します。ファイルシステムの作成時に使用されるさまざまなチューニングパラメーターは、この使用タイプにより定義されます。ファイルシステム側で使用タイプという概念に対応し、有効なタイプを指定する設定ファイルがないと、このオプションは正しく機能しません。ext2、ext3、ext4 の場合、この設定ファイルは/etc/mke2fs.conf
になります。 -
--fstype=
- RAID アレイのファイルシステムタイプを設定します。xfs
、ext2
、ext3
、ext4
、swap
、およびvfat
が使用できる値になります。 --fsoptions=
- ファイルシステムをマウントする場合に使用するオプションの文字列を自由形式で指定します。この文字列は、インストール後の/etc/fstab
ファイルにコピーされるため、引用符で囲む必要があります。注記EFI システムパーティション (
/boot/efi
) では、anaconda が値をハードコードし、ユーザー指定の--fsoptions
値を無視します。--mkfsoptions=
- このパーティションでファイルシステムを作成するプログラムに渡す追加のパラメーターを指定します。引数のリストでは処理が行われないため、mkfs プログラムに直接渡すことが可能な形式で提供する必要があります。つまり、複数のオプションはコンマ区切りにするか、二重引用符で囲む必要があります (ファイルシステムによって異なります)。以下に例を示します。part /opt/foo1 --size=512 --fstype=ext4 --mkfsoptions="-O ^has_journal,^flex_bg,^metadata_csum"
part /opt/foo2 --size=512 --fstype=xfs --mkfsoptions="-m bigtime=0,finobt=0"
詳細は、作成しているファイルシステムの man ページを参照してください。たとえば、mkfs.ext4
または mkfs.xfs
です。
-
--label=
- 作成するファイルシステムのラベルを指定します。指定ラベルが別のファイルシステムですでに使用されている場合は、新しいラベルが作成されます。 -
--noformat
- 既存の RAID デバイスを使用し、RAID アレイのフォーマットが行いません。 -
--useexisting
- 既存の RAID デバイスを使用し、再フォーマット化を行います。 --encrypted
---passphrase
オプションで入力したパスフレーズを使用して、LUKS (Linux Unified Key Setup) でこの RAID デバイスを暗号化するように指定します。このパスフレーズを指定しないと、Anaconda は、autopart --passphrase
コマンドで設定されるデフォルトのシステムワイドパスフレーズを使用します。このデフォルトのパスフレーズも設定されていない場合は、インストールプロセスが中断して、パスフレーズの入力が求められます。注記1 つまたは複数のパーティションを暗号化する際には、安全な暗号化を行うため、Anaconda が 256 ビットのエントロピーを収集しようとします。エントロピーの収集には時間がかかる場合があります。十分なエントロピーが収集されたかどうかにかかわらず、このプロセスは最大 10 分後に終了します。
プロセスは、インストールシステムと対話することにより高速化できます (キーボードで入力またはマウスの移動)。仮想マシンにインストールしている場合は、
virtio-rng
デバイス (仮想乱数ジェネレーター) をゲストに登録できます。-
--luks-version=LUKS_VERSION
- ファイルシステムの暗号化に使用する LUKS 形式のバージョンを指定します。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--cipher=
- Anaconda のデフォルトであるaes-xts-plain64
では十分ではない場合に使用する暗号化の種類を指定します。--encrypted
オプションと併用してください。単独で使用しても暗号化されません。使用できる暗号化の種類は セキュリティーの強化 に記載されていますが、Red Hat では、aes-xts-plain64
またはaes-cbc-essiv:sha256
のいずれかの使用を強く推奨しています。 -
--passphrase=
- この RAID デバイスの暗号化を行う際に使用するパスフレーズを入力します。--encrypted
オプションと併用してください。単独で使用しても暗号化されません。 -
--escrowcert=URL_of_X.509_certificate
- このデバイス用のデータ暗号化の鍵を/root
配下にファイルとして格納します。鍵は、URL_of_X.509_certificate で指定した URL の X.509 証明書を使用して暗号化します。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--backuppassphrase
- このデバイスにランダムに生成されたパスフレーズを追加します。パスフレーズは/root
配下にファイルとして格納されます。--escrowcert
で指定した X.509 証明書を使用して暗号化されます。--escrowcert
と併用しないと有効ではありません。 -
--pbkdf=PBKDF
- LUKS 鍵スロット用の PBKDF (Password-Based Key Derivation Function) アルゴリズムを設定します。cryptsetup(8) の man ページも併せて参照してください。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--pbkdf-memory=PBKDF_MEMORY
- PBKDF のメモリーコストを設定します。cryptsetup(8) の man ページも併せて参照してください。--encrypted
と併用しないと有効ではありません。 -
--pbkdf-time=PBKDF_TIME
- PBKDF パスフレーズ処理にかかるミリ秒数を設定します。cryptsetup(8) の man ページの--iter-time
も併せて参照してください。このオプションは、--encrypted
が指定される場合に限り有効になり、--pbkdf-iterations
と相互に排他的になります。 -
--pbkdf-iterations=PBKDF_ITERATIONS
- 反復の数を直接設定し、PBKDF ベンチマークを回避します。cryptsetup(8) の man ページの--pbkdf-force-iterations
も併せて参照してください。このオプションは、--encrypted
が指定されている場合に限り有効になり、--pbkdf-time
と相互に排他的になります。
例
以下の例では、/
には RAID レベル 1 のパーティション、/home
には RAID レベル 5 のパーティションを作成します。ここでは、システムには SCSI ディスクが 3 つあることが前提です。各ドライブに 1 つずつ、3 つの swap パーティションを作成します。
part raid.01 --size=6000 --ondisk=sda
part raid.02 --size=6000 --ondisk=sdb
part raid.03 --size=6000 --ondisk=sdc
part swap --size=512 --ondisk=sda
part swap --size=512 --ondisk=sdb
part swap --size=512 --ondisk=sdc
part raid.11 --size=1 --grow --ondisk=sda
part raid.12 --size=1 --grow --ondisk=sdb
part raid.13 --size=1 --grow --ondisk=sdc
raid / --level=1 --device=rhel8-root --label=rhel8-root raid.01 raid.02 raid.03
raid /home --level=5 --device=rhel8-home --label=rhel8-home raid.11 raid.12 raid.13
注記
-
LUKS パスフレーズが分からなくなると、暗号化されたパーティションと、その上にあるデータには完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。ただし、
--escrowcert
を使用して暗号パスフレーズを保存し、--backuppassphrase
オプションを使用してバックアップの暗号化パスフレーズを作成できます。
B.5.15. reqpart
キックスタートコマンドの reqpart
は任意です。使用中のハードウェアプラットホームで必要となるパーティションを自動的に作成します。UEFI ファームウェアのシステム向けに /boot/efi
パーティション、BIOS ファームウェアおよび GPT のシステム向けに biosboot
パーティション、IBM Power Systems 向けに PRePBoot
パーティションが作成されます。
構文
reqpart [--add-boot]
オプション
-
--add-boot
- ベースコマンドが作成するプラットホーム固有のパーティションとは別に、/boot
パーティションを作成します。
注記
-
このコマンドは、
autopart
と併用することはできません。autopart
はreqpart
コマンドの実行内容に加えて、他のパーティションや、/
、swap
といった論理ボリュームも作成するためです。autopart
とは異なり、このコマンドは、プラットホーム固有のパーティションの作成のみを行い、ドライブの残りは空のままにするため、カスタムレイアウトの作成が可能になります。
B.5.16. snapshot
キックスタートコマンドの snapshot
は任意です。インストールプロセス時に、このコマンドを使用して LVM のシンボリュームのスナップショットを作成できます。これにより、インストール前後の論理ボリュームのバックアップ作成が可能になります。
複数のスナップショットを作成するには、キックスタートコマンドの snaphost
を複数回追加します。
構文
snapshot vg_name/lv_name --name=snapshot_name --when=pre-install|post-install
オプション
-
vg_name/lv_name
- スナップショットの作成元となるボリュームグループや論理ボリュームの名前を設定します。 -
--name=snapshot_name
- スナップショットの名前を設定します。この名前は、ボリュームグループ内で一意のものにする必要があります。 -
--when=pre-install|post-install
- インストール前もしくは完了後にスナップショットを作成することを指定します。
B.5.17. volgroup
キックスタートコマンドの volgroup
は任意です。論理ボリューム管理 (LVM) グループを作成します。
構文
volgroup name [OPTIONS] [partition*]
必須オプション
- name - 新しいボリュームグループの名前。
オプション
- partition - ボリュームグループのバッキングストレージとして使用する物理ボリュームパーティション。
-
--noformat
- 既存のボリュームグループを使用し、フォーマットは行いません。 --useexisting
- 既存のボリュームグループを使用し、そのボリュームグループを再フォーマットします。このオプションを使用する場合は partition を指定しないでください。以下に例を示します。volgroup rhel00 --useexisting --noformat
-
--pesize=
- ボリュームグループの物理エクステントのサイズをキビバイト (KiB) 単位で設定します。デフォルト値は 4096 (4 MiB) で、最小値は 1024 (1 MiB) になります。 -
--reserved-space=
- ボリュームグループに未使用で残す領域を MiB 単位で指定します。新規作成のボリュームグループにのみ適用されます。 -
--reserved-percent=
- 未使用で残すボリュームグループ領域全体の割合を指定します。新規作成のボリュームグループにのみ適用されます。
注記
まずパーティションを作成します。次に論理ボリュームグループを作成して、論理ボリュームを作成します。以下に例を示します。
part pv.01 --size 10000
volgroup my_volgrp pv.01
logvol / --vgname=my_volgrp --size=2000 --name=root
キックスタートを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、論理ボリューム名およびボリュームグループ名にダッシュ (
-
) 記号を使用しないでください。この文字を使用すると、インストール自体は正常に完了しますが、/dev/mapper/
ディレクトリー内の論理ボリューム名とボリュームグループ名にダッシュが二重に付いてしまうことになります。たとえば、ボリュームグループvolgrp-01
に論理グループlogvol-01
が格納されている場合は、/dev/mapper/volgrp--01-logvol--01
のような表記になります。この制約が適用されるのは、新規作成の論理ボリュームおよびボリュームグループ名のみです。既存の論理ボリュームまたはボリュームグループを
--noformat
オプションを使用して再利用する場合は、名前が変更されません。
B.5.18. zerombr
キックスタートコマンドの zerombr
は任意です。zerombr
は、ディスク上で見つかった無効なパーティションテーブルを初期化し、無効なパーティションテーブルを持つディスクの中身をすべて破棄します。このコマンドは、フォーマットされていない DASD (Direct Access Storage Device) ディスクを備えた 64 ビットの IBM Z システムでインストールを実行する場合に必要です。このコマンドを使用しないと、フォーマットされていないディスクがインストール時にフォーマットされず、使用されません。
構文
zerombr
注記
-
64 ビットの IBM Z では
zerombr
が指定された場合、インストールプログラムに見えている Direct Access Storage Device (DASD) でまだ低レベルフォーマット処理がなされていないものは、自動的に dasdfmt で低レベルフォーマット処理がなされます。このコマンドでは、対話型インストール中のユーザー選択も行われません。 -
zerombr
が指定されておらず、少なくとも 1 つの未フォーマットの DASD がインストールプログラムに見えている場合、非対話形式のキックスタートを使用したインストールは失敗に終わります。 -
zerombr
が指定されていない場合に、未フォーマットの DASD をインストールプログラムが 1 つ以上認識している場合は、認識されている未フォーマットの DASD のフォーマットにユーザーがすべて同意しなければ、対話形式のインストールが終了します。この状況を回避するには、インストール中に使用する DASD のみをアクティベートします。DASD は、インストール完了後にいつでも追加できます。 - このコマンドにはオプションはありません。
B.5.19. zfcp
キックスタートコマンドの zfcp
は任意です。Fibre チャンネルデバイスを定義します。
このオプションは、64 ビットの IBM Z にのみ適用されます。下記のオプションをすべて指定する必要があります。
構文
zfcp --devnum=devnum [--wwpn=wwpn --fcplun=lun]
オプション
-
--devnum=
- デバイス番号 (zFCP アダプターデバイスバス ID)。 -
--wwpn=
- デバイスの WWPN (ワールドワイドポートネーム)。0x
で始まる 16 桁の番号になります。 -
--fcplun=
- デバイスの論理ユニット番号 (LUN)。0x
で始まる 16 桁の番号になります。
自動 LUN スキャンが利用できる場合や、8 以降のリリースをインストールする場合は、FCP デバイスバス ID を指定するだけで十分です。それ以外の場合は、3 つのパラメーターがすべて必要になります。自動 LUN スキャンは、zfcp.allow_lun_scan
モジュールパラメーターで無効にされていない場合 (デフォルトでは有効)、NPIV モードで動作する FCP デバイスで使用できます。これは、指定されたバス ID を持つ FCP デバイスに接続されたストレージエリアネットワークで見つかったすべての SCSI デバイスへのアクセスを提供します。
例
zfcp --devnum=0.0.4000 --wwpn=0x5005076300C213e9 --fcplun=0x5022000000000000
zfcp --devnum=0.0.4000
B.6. RHEL インストールプログラムで提供されるアドオン向けキックスタートコマンド
本セクションのキックスタートコマンドは、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムにデフォルトで提供されるアドオンに関連しています。
B.6.1. %addon com_redhat_kdump
キックスタートコマンドの %addon com_redhat_kdump
は任意です。このコマンドは、kdump カーネルクラッシュのダンプメカニズムを設定します。
構文
%addon com_redhat_kdump [OPTIONS]
%end
このコマンドは、ビルトインのキックスタートコマンドではなくアドオンであることから、構文は通常のものとは異なります。
注記
Kdump とは、システムのメモリーの内容を保存して後で分析できるように、カーネルのクラッシュをダンプするメカニズムを指します。これは、kexec
に依存し、別のカーネルのコンテキストから、システムを再起動することなく Linux カーネルを起動し、通常は失われてしまう 1 番目のカーネルメモリーの内容を維持できます。
システムクラッシュが発生すると、kexec
は 2 番目のカーネルで起動します (キャプチャーカーネル)。このキャプチャーカーネルは、システムメモリーの予約部分に収納されています。このため、Kdump は、クラッシュしたカーネルメモリーの内容 (クラッシュダンプ) をキャプチャーして、指定した場所に保存します。このキックスタートコマンドを使用して設定することはできません。 インストール後に /etc/kdump.conf
設定ファイルを編集して設定する必要があります。
Kdump の詳細は、kdump のインストール を参照してください。
オプション
-
--enable
- インストール済みのシステムで kdump を有効にします。 -
--disable
- インストール済みのシステムで kdump を無効にします。 --reserve-mb=
- kdump 用に予約するメモリーの量 (MiB 単位)。以下に例を示します。%addon com_redhat_kdump --enable --reserve-mb=128
%end
数値の代わりに
auto
と指定することもできます。その場合は、インストールプログラムが、カーネルの管理、監視、および更新の kdump のメモリー要件 セクションに記載の基準に基づいて自動メモリー量を決定します。kdump を有効にして、
--reserve-mb=
オプションを指定しないと、auto
の値が使用されます。-
--enablefadump
- 対応するシステム (特に IBM Power Systems サーバー) へのファームウェア補助によるダンピングを有効にします。
B.6.2. %addon org_fedora_oscap
キックスタートコマンドの %addon org_fedora_oscap
は任意です。
OpenSCAP インストールプログラムのアドオンは、インストールシステム上で SCAP (Security Content Automation Protocol) のコンテンツ (セキュリティーポリシー) を適用するために使用されます。Red Hat Enterprise Linux 7.2 以降、このアドオンがデフォルトで有効になりました。有効にすると、この機能の提供に必要なパッケージが自動的にインストールされます。ただし、デフォルトではポリシーが強制されることがなく、明確に設定されている場合を除いて、インストール時およびインストール後にチェックが行われません。
セキュリティーポリシーの適用はすべてのシステムで必要なわけではありません。この画面は、特定のポリシーが業務規定や法令で義務付けられている場合に限り使用してください。
多くのコマンドとは異なり、このアドオンは通常のオプションを受け付けず、%addon
定義の本文で鍵と値のペアを使用します。空白は無視されます。値は一重引用符 ('
) または二重引用符 ("
) で囲みます。
構文
%addon org_fedora_oscap
key = value%end
鍵
アドオンは以下の鍵を認識します。
content-type
セキュリティーコンテンツのタイプ。値は、
datastream
、archive
、rpm
、またはscap-security-guide
になります。content-type
をscap-security-guide
にすると、アドオンは scap-security-guide パッケージが提供するコンテンツを使用します。このパッケージは起動用メディアにあります。つまり、profile
を除く他のすべての鍵の影響がなくなります。content-url
- セキュリティーコンテンツの場所。コンテンツは、HTTP、HTTPS、FTP のいずれかを使用してアクセスできるようにする必要があります。ローカルストレージは現在、サポートされていません。リモートの場所にあるコンテンツ定義に到達するネットワーク接続が必要になります。
datastream-id
-
content-url
で参照されているデータストリームの ID。content-type
がdatastream
の場合にのみ使用します。 xccdf-id
- 使用するベンチマークの ID。
content-path
- 使用するデータストリームまたは XCCDF ファイルのパスを、アーカイブ内の相対パスで指定します。
profile
-
適用するプロファイルの ID。デフォルトのプロファイルを使用する場合は
default
を使用してください。 フィンガープリント (fingerprint)
-
content-url
で参照されるコンテンツの MD5、SHA1、または SHA2 のチェックサム。 tailoring-path
- 使用するテーラリングファイルのパスを、アーカイブの相対パスで指定します。
例
インストールメディアの scap-security-guide のコンテンツを使用する
%addon org_fedora_oscap
セクションの例は、以下のようになります。例B.1 SCAP Security Guide を使用した OpenSCAP アドオン定義の例
%addon org_fedora_oscap
content-type = scap-security-guide profile = xccdf_org.ssgproject.content_profile_pci-dss%end
Web サーバーからカスタムプロファイルを読み込むより複雑な例は、以下のようになります。
例B.2 データストリームを使用した OpenSCAP アドオン定義の例
%addon org_fedora_oscap
content-type = datastream content-url = http://www.example.com/scap/testing_ds.xml datastream-id = scap_example.com_datastream_testing xccdf-id = scap_example.com_cref_xccdf.xml profile = xccdf_example.com_profile_my_profile fingerprint = 240f2f18222faa98856c3b4fc50c4195%end
B.7. Anaconda で使用されるコマンド
pwpolicy
コマンドは、キックスタートファイルの %anaconda
セクションでのみ使用できる Anaconda UI 固有のコマンドです。
B.7.1. pwpolicy
キックスタートコマンドの pwpolicy
は任意です。このコマンドを使用して、インストール中にカスタムパスワードポリシーを適用します。このポリシーでは、ユーザーアカウントの root、ユーザー、または luks ユーザーのパスワードを作成する必要があります。パスワードの長さや強度などの要因により、パスワードの有効性が決まります。
構文
pwpolicy name [--minlen=length] [--minquality=quality] [--strict|--notstrict] [--emptyok|--notempty] [--changesok|--nochanges]
必須オプション
-
name -
root
、user
、またはluks
に置き換え、それぞれroot
パスワード、ユーザーパスワード、もしくは LUKS パスフレーズのポリシーを強制します。
任意のオプション
-
--minlen=
- パスワードの最低文字数を設定します。デフォルト値は6
です。 -
--minquality=
-libpwquality
ライブラリーで定義されるパスワードの最低限の質を設定します。デフォルト値は1
です。 -
--strict
- 厳密なパスワード強制を有効にします。--minquality=
と--minlen=
で指定された要件を満たさないパスワードは拒否されます。このオプションはデフォルトで無効になっています。 -
--notstrict
---minquality=
オプションおよび-minlen=
オプションで指定した最小要件を 満たさない パスワードは、GUI で 完了 を 2 回クリックすると可能になります。テキストモードインターフェイスでは、同様のメカニズムが使用されます。 -
--emptyok
- 空のパスワードの使用を許可します。デフォルトでユーザーパスワードに有効となっています。 -
--notempty
- 空のパスワードの使用を許可しません。root パスワードと LUKS パスフレーズについて、デフォルトで有効になっています。 -
--changesok
- キックスタートファイルでパスワードが設定されていても、ユーザーインターフェイスでのパスワード変更を許可します。デフォルトでは無効です。 -
--nochanges
- キックスタートファイルで設定されているパスワードの変更を許可しません。デフォルトでは有効です。
注記
-
pwpolicy
コマンドは、キックスタートファイルの%anaconda
セクションでのみ使用できる Anaconda UI 固有のコマンドです。 -
libpwquality
ライブラリーは、パスワードの最低要件 (長さおよび質) の確認に使用されます。libpwquality パッケージが提供するpwscore
コマンドおよびpwmake
コマンドを使用してパスワードの質のスコアを確認するか、特定スコアのパスワードをランダムに作成できます。これらのコマンドの詳細は、pwscore(1)
およびpwmake(1)
の man ページを参照してください。
B.8. システム復旧用キックスタートコマンド
このセクションのキックスタートコマンドは、インストールされたシステムを修復します。
B.8.1. rescue
キックスタートコマンドの rescue
は任意です。これは、root 権限を備えたシェル環境と、インストールを修復して次のような問題のトラブルシューティングを行うための一連のシステム管理ツールを提供します。
- ファイルシステムを読み取り専用としてマウントする
- ドライバーディスクで提供されているドライバーを拒否リスト登録または追加する
- システムパッケージをインストールまたはアップグレードする
- パーティションを管理する
キックスタートレスキューモードは、systemd およびサービスマネージャーの一部として提供されるレスキューモードおよび緊急モードとは異なります。
rescue
コマンドは、システム自体を変更することはありません。読み取り/書き込みモードでシステムを /mnt/sysimage の下にマウントすることにより、レスキュー環境を設定するだけです。システムをマウントしないか、読み取り専用モードでマウントするかを選択できます。
構文
rescue [--nomount|--romount]
オプション
-
--nomount
または--romount
- インストールを完了したシステムをレスキュー環境でマウントする方法を制御します。デフォルトでは、インストールプログラムによりシステムの検出が行われてから、読み取りと書き込みのモードでシステムのマウントが行われ、マウントされた場所が通知されます。オプションでマウントを行わない (--nomount
オプション)、または読み取り専用モードでマウントする (--romount
オプション) のいずれかを選択できます。指定できるのはどちらか一方です。
注記
レスキューモードを実行するには、キックスタートファイルのコピーを作成し、それに rescue
コマンドを含めます。
rescue
コマンドを使用すると、インストーラーは次の手順を実行します。
-
%pre
スクリプトを実行します。 レスキューモードの環境をセットアップします。
以下のキックスタートコマンドが有効になります。
- updates
- sshpw
- logging
- lang
- network
高度なストレージ環境を設定します。
以下のキックスタートコマンドが有効になります。
- fcoe
- iscsi
- iscsiname
- nvdimm
- zfcp
システムをマウントします。
rescue [--nomount|--romount]
%post スクリプトを実行します。
この手順は、インストールされたシステムが読み取り/書き込みモードでマウントされている場合にのみ実行されます。
- シェルを開始します。
- システムを再起動します。
付録C パーティション設定の参照
C.1. 対応デバイスの種類
- 標準パーティション
-
標準パーティションには、ファイルシステムまたは swap 領域を使用できます。標準パーティションは、
/boot
、BIOS Boot
、およびEFI System パーティション
で最も一般的に使用されます。その他のほとんどの用途には、LVM 論理ボリュームが推奨されます。 - LVM
-
デバイスタイプに
LVM
(または論理ボリューム管理) を選択すると、LVM 論理ボリュームが作成されます。LVM は、物理ディスクを使用する際にパフォーマンスを向上できます。また、パフォーマンスや信頼性、またはその両方を向上させるために、高度な設定 (1 つのマウントポイントに複数の物理ディスクの使用、ソフトウェア RAID の設定など) が可能になります。 - LVM シンプロビジョニング
- シンプロビジョニングを使用すると、シンプールと呼ばれる、空き領域のストレージプールを管理でき、アプリケーションで必要になった時に任意の数のデバイスに割り当てることができます。ストレージ領域の割り当ての費用対効果を高くする必要がある場合は、プールを動的に拡張できます。
インストールプログラムは、オーバープロビジョニングの LVM シンプールをサポートしていません。
C.2. 対応ファイルシステム
このセクションでは、Red Hat Enterprise Linux で利用可能なファイルシステムを説明します。
- xfs
-
XFS
は、最大 16 エクサバイト (約 1600 万テラバイト) のファイルシステム、最大 8 エクサバイト (約 800 万テラバイト) のファイル、および数千万のエントリーを含むディレクトリー構造に対応する、スケーラビリティーが高く高性能なファイルシステムです。XFS
は、メタデータジャーナリングもサポートしているため、クラッシュに対するより迅速な復元が容易になります。1 つの XFS ファイルシステムで対応している最大サイズは 500 TB です。XFS
は、Red Hat Enterprise Linux でデフォルトの、推奨されるファイルシステムです。XFS ファイルシステムは縮小して空き領域を確保することはできません。 - ext4
-
ext4
ファイルシステムは、ext3
ファイルシステムをベースとし、改善が加えられています。より大きなファイルシステム、そしてより大きなファイルに対応するようになり、ディスク領域の割り当てに要する時間が短縮され効率化されています。また、ディレクトリー内のサブディレクトリーの数に制限がなく、ファイルシステムチェックが速くなり、ジャーナリングがより強力になりました。1 つのext4
ファイルシステムで対応している最大サイズは 50 TB です。 - ext3
-
ext3
ファイルシステムはext2
ファイルシステムをベースとし、ジャーナリング機能という大きな利点を備えています。ジャーナリングファイルシステムを使用すると、クラッシュが発生するたびに fsck ユーティリティーを実行してメタデータの整合性をチェックする必要がないため、突然終了したあとに、ファイルシステムの復元に要する時間を短縮できます。 - ext2
-
ext2
ファイルシステムは標準の Unix ファイルタイプに対応しています (通常のファイル、ディレクトリー、シンボリックリンクなど)。最大 255 文字までの長いファイル名を割り当てることができます。 - swap
- swap パーティションは、仮想メモリーに対応するために使用されます。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータが swap パーティションに書き込まれます。
- vfat
VFAT
ファイルシステムは Linux ファイルシステムです。FAT ファイルシステムにある Microsoft Windows の長いファイル名と互換性があります。