第5章 RHEL 8.1.1 リリース
Red Hat は、マイナーリリース (8.Y) において Red Hat Enterprise Linux 8 のコンテンツを四半期ごとに利用できるようにしています。この四半期リリースは、3 桁の数字 (8.Y.1) を使用して番号が付けられます。RHEL 8.1.1 リリースの新機能は以下のとおりです。
5.1. 新機能
新しいモジュールストリーム: postgresql:12
RHEL 8.1.1 リリースでは、PostgreSQL 12
が導入されました。これは、バージョン 10 から多くの新機能および機能強化が追加されています。以下は、主な変更点です。
-
標準の PostgreSQL ロギング機能から詳細なセッションおよびオブジェクトロギングを提供する
pgaudit
(PostgreSQL Audit Extension)。 - たとえば、ハッシュパーティション作成のサポートなど、パーティション設定機能の改善
- クエリー並列処理の機能強化
- トランザクション管理を有効にするストアド SQL プロシージャ
- さまざまなパフォーマンス向上:
- 管理機能の強化
- SQL/JSON パス言語サポート
- ストアド生成絡む (stored generated columns)
- 非決定的結合
- GSSAPI 認証またはマルチファクター認証を使用する場合の TCP/IP 接続の暗号化など、新しい認証機能。
PostgreSQL 11 以降のアップストリームで利用できる、Just-In-Time (JIT) のコンパイルサポートは postgresql:12
モジュールストリームでは提供されていないことに注意してください。
postgresql:12
ストリームをインストールするには、以下を実行します。
# yum module install postgresql:12
RHEL 8 内で以前の postgresql
ストリームからアップグレードする場合は 後続のストリームへの切り替え の説明に従い、PostgreSQL の RHEL 8 バージョンへの移行 で説明されているように PostgreSQL データを移行します。
(JIRA:RHELPLAN-26926)
Rust Toolset がバージョン 1.39 にリベース
Rust Toolset は、バージョン 1.39 に更新されました。以下は、主な変更点です。
-
async
-.await
構文が、安定した Rust に追加されました。現在、async
関数とブロックを定義して.await
できるようになりました。 - パイプラインのコンパイルの強化により、一部のクレーとグラフの最適なクリーンビルドのビルド時間が 10 〜 20% 向上します。
-
match
式の主なパターンに、by-move バインディングがある場合、if
がこれらのバインディングを参照できるようになりました。 - rust はコンパイル時にメモリーの安全性のバグを検出しますが、以前のボローチェッカーには制限がありました。そのため、未定義の動作が許可され、メモリーの危険性が発生していました。新しい NLL ボローチェッカーはこれらの問題を見つけることができます。また、移行ステップとして警告していました。これらの警告はハードエラーになりました。
-
rustc コンパイラーでは、
&T
やBox<T>
などの一部のタイプの初期化に関数mem::{uninitialized, zeroed}
が使用されるとき、lint を使用できるようになりました。 -
以下の関数は、以下の標準ライブラリーの
const fn
になりました。Vec::new
、String::new
、LinkedList::new
、str::len
、[T]::len
、str::as_bytes
、abs
wrapping_abs
、overflowing_abs
。
Rust Toolset モジュールストリームをインストールするには、root で以下のコマンドを実行します。
# yum module install rust-toolset
使用方法の詳細は Rust Toolset の使用 を参照してください。
(BZ#1680096)
新しいモジュール: jmc:rhel8
RHEL 8.1.1 では、HotSpot JVM 用の強力なプロファイラーである JDK Mission Control (JMC) が新しい jmc
モジュールとして導入されています。JMC では、JDK Flight Recorder が収集した豊富なデータを効率的かつ詳細に分析するための高度なツールセットを利用できます。ツールチェーンを使用すると、開発者および管理者は、実稼働環境でローカルに実行しているまたはデプロイした Java アプリケーションのデータを収集および分析できます。JMC を実行するには、JDK バージョン 8 以降が必要であることに注意してください。ターゲット Java アプリケーションは、最低でも OpenJDK バージョン 11 で実行する必要があります。これにより、JMC が JDK Flight Recorder 機能にアクセスできるようになります。
jmc:rhel8
モジュールストリームには、以下の 2 つのプロファイルがあります。
-
JMC アプリケーション全体をインストールする
common
プロファイル -
Java ライブラリーのみをインストールする
core
プロファイル (jmc-core
)
jmc:rhel8
モジュールストリームの common
プロファイルをインストールするには、以下を使用します。
# yum module install jmc:rhel8/common
プロファイル名を core
に変更して、jmc-core
パッケージのみをインストールします。
(BZ#1716452)
RHEL 8 で NET Core 3.1 が利用可能になりました
今回の更新で、.NET Core 3.1 Software Development Kit (SDK) および .NET Core 3.1 Runtime が RHEL 8 に追加されました。さらに、Web アプリケーションとサービスを構築するための ASP.NET Core 3.1 フレームワークが利用できるようになりました。
(BZ#1711405)
virtio-win ドライバー用の新しいインストーラー
virtio-win
パッケージに対話式の Windows インストーラーが追加されました。これにより、Microsoft Windows をゲストオペレーティングシステムとして使用する仮想マシンで、準仮想化 KVM ドライバーを簡単かつ効率的にインストールできるようになります。
(BZ#1745298)
container-tools
が更新されました。
podman
、buildah
、skopeo
、および runc
ツールを含む container-tools
モジュールが更新されました。コンテナーのツールは、FIPS モードが有効な状態で構築されるようになりました。また、この更新では、複数のバグとセキュリティー問題が修正されます。
(BZ#1783277)
conmon
は別のパッケージになりました。
conmon
Open Container Initiative (OCI) コンテナーランタイムモニターユーティリティーは、別の conmon パッケージに移動されました。podman
パッケージでは使用できなくなりました。
(BZ#1753209)