第4章 基本的な論理ボリューム管理
LVM を使用すると、次のタスクを実行できます。
- 新しい論理ボリュームを作成してシステムのストレージ機能を拡張する
- データの増大に対応するために既存のボリュームとシンプールを拡張する
- 整理しやすくするためにボリュームの名前を変更する
- ボリュームを減らして未使用の領域を解放する
- 不要になったボリュームを安全に削除する
- ボリュームをアクティブ化または非アクティブ化して、システムのデータへのアクセスを制御する
4.1. 論理ボリューム機能の概要
論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用すると、従来のパーティションスキームでは実現できない柔軟かつ効率的な方法でディスクストレージを管理できます。以下は、ストレージの管理と最適化に使用される主要な LVM 機能の概要です。
- 連結
- 連結では、1 つ以上の物理ボリュームの領域を 1 つの論理ボリュームに結合し、物理ストレージを効果的にマージします。
- ストライピング
- ストライピングは、データを複数の物理ボリュームに分散することで、データの I/O 効率を最適化します。並列 I/O 操作を可能にすることで、シーケンシャルな読み取りおよび書き込みのパフォーマンスを向上させます。
- RAID
- LVM は、RAID レベル 0、1、4、5、6、10 に対応します。RAID 論理ボリュームを作成するとき、LVM は、データまたはアレイ内のパリティーサブボリュームごとに、サイズが 1 エクステントのメタデータサブボリュームを作成します。
- シンプロビジョニング
- シンプロビジョニングを使用すると、使用可能な物理ストレージよりも大きい論理ボリュームを作成できます。シンプロビジョニングでは、事前に決められた量ではなく、実際の使用量に基づいてシステムがストレージを動的に割り当てます。
- スナップショット
- LVM スナップショットを使用すると、論理ボリュームの特定時点のコピーを作成できます。スナップショットは、最初は空の状態です。元の論理ボリュームに変更が発生すると、スナップショットがコピーオンライト (CoW) により変更前の状態をキャプチャーします。変更があった場合にのみ、元の論理ボリュームの状態を保持するためにサイズが増加します。
- キャッシュ
- LVM は、高速ブロックデバイス (SSD ドライブなど) を、大規模で低速なブロックデバイスのライトバックまたはライトスルーのキャッシュとして使用することに対応します。既存の論理ボリュームのパフォーマンスを改善するためにキャッシュ論理ボリュームを作成したり、大規模で低速なデバイスと共に小規模で高速なデバイスで構成される新規のキャッシュ論理ボリュームを作成したりできます。