17.2. ストレージデバイスの設定
さまざまなストレージデバイスに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。インストール先 画面で、ローカルでアクセス可能な、基本的なストレージデバイスを設定できます。ディスクやソリッドステートドライブなどのローカルシステムに直接接続する基本的なストレージデバイスは、その画面の Local Standard Disks セクションに表示されます。64 ビットの IBM Z の場合は、このセクションに、アクティベートした DASD (Direct Access Storage Devices) が含まれます。
既知の問題により、HyperPAV エイリアスとして設定した DASD を、インストールの完了後に自動的にシステムに割り当てることができません。このようなストレージデバイスはインストール時に利用できますが、インストールが完了して再起動しても、すぐにはアクセスできません。HyperPAV エイリアスデバイスを接続するには、システムの /etc/dasd.conf
設定ファイルに手動で追加します。
17.2.1. インストール先の設定
Installation Destination ウィンドウを使用して、Red Hat Enterprise Linux のインストール先として使用するディスクなどのストレージオプションを設定できます。ディスクは、1 つ以上選択する必要があります。
前提条件
- Installation Summary 画面が開いている。
- データが含まれているディスクを使用する予定の場合は、データをバックアップする。たとえば、既存の Microsoft Windows パーティションを縮小し、Red Hat Enterprise Linux を 2 つ目のシステムとしてインストールする場合、または以前のリリースの Red Hat Enterprise Linux をアップグレードする場合です。パーティションの操作は常にリスクが伴います。たとえば、何らかの理由でプロセスが中断または失敗した場合は、ディスクのデータが失われる可能性があります。
手順
Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination 画面で、以下の操作を行います。
Local Standard Disks セクションから、必要なストレージデバイスを選択します。選択したストレージデバイスには白いチェックマークが表示されます。白いチェックマークが付いていないディスクはインストール時には使用されません。自動パーティショニングを選択した場合は無視され、手動パーティショニングでは使用できません。
Local Standard Disks には、SATA、IDE、SCSI ディスク、USB フラッシュ、外部ディスクなど、ローカルで使用可能なすべてのストレージデバイスが表示されます。インストールプログラムの起動後に接続したストレージデバイスは検出されません。リムーバブルドライブを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、デバイスを削除するとシステムが使用できなくなります。
必要に応じて、画面右下の Refresh リンクをクリックして、新しいディスクに接続するローカルストレージデバイスを設定します。Rescan Disks ダイアログボックスが開きます。
インストール時に行ったストレージへの変更は、Rescan Disks をクリックするとすべて失われます。
- Installation Destination 画面に戻ります。検出したディスク (新しいディスクを含む) はすべて、Local Standard Disks セクションに表示されます。 をクリックして、
オプション: 専用のストレージデバイスを追加するには、
をクリックします。Storage Device Selection ウィンドウが開き、インストールプログラムがアクセスできるすべてのストレージデバイスがリスト表示されます。
オプション: 自動パーティション設定を行う場合は、Storage Configuration で Automatic ラジオボタンを選択します。
パーティション設定はカスタマイズできます。詳細は、手動パーティションの設定 を参照してください。
- オプション: 既存のパーティション設定レイアウトから領域を解放するには、I would like to make additional space available を選択します。たとえば、使用するディスクに別のオペレーティングシステムが含まれており、このシステムのパーティションを小さくして、Red Hat Enterprise Linux 用の領域を広くする場合などです。
オプション: システムの起動に必要なパーティション (
/boot
など) を除くすべてのパーティションを、Linux Unified Key Setup (LUKS) を使用して暗号化するには、Encrypt my data を選択します。ディスクを暗号化すると、セキュリティーがさらに強化されます。Disk Encryption Passphrase ダイアログボックスが開きます。
をクリックします。- Passphrase フィールドと Confirm フィールドにパスフレーズを入力します。
- 警告
LUKS パスフレーズが分からなくなると、暗号化されたパーティションと、その上にあるデータには完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。ただし、キックスタートインストールを実行した場合は、インストール中に暗号パスフレーズを保存し、バックアップ用に暗号化パスフレーズを作成できます。詳細は、RHEL の自動インストール ドキュメントを参照してください。
必要に応じて、画面左下の 完全なディスク要約とブートローダー をクリックして、ブートローダーを追加するストレージデバイスを選択します。詳細は、ブートローダーの設定 を参照してください。
大概は、ブートローダーをデフォルトの場所に置いておくだけで十分です。たとえば、他のブートローダーからのチェーンロードを必要とするシステムなど、一部の設定ではブートドライブを手動で指定する必要があります。
- をクリックします。
オプション: 自動パーティション設定 および I would like to make additional space available オプションを選択した場合、または選択したディスクに Red Hat Enterprise Linux をインストールするのに十分な空き領域がない場合、Reclaim Disk Space ダイアログボックスが表示されます。そこには、設定されているすべてのディスクデバイスとそれらのデバイス上のすべてのパーティションがリスト表示されます。このダイアログボックスには、現在選択中のパッケージセットを使用したインストールを行う際にシステムに必要となる最小ディスク領域と、解放した領域の容量に関する情報が表示されます。解放プロセスを開始するには、以下を実行します。
- 表示された、利用可能なストレージデバイスのリストを確認します。再利用可能な領域 列には、各エントリーから再利用できる領域のサイズが表示されます。
- 領域を解放するディスクまたはパーティションを選択します。
- 既存のデータを保持しながらパーティション上の空き領域を使用するには、 ボタンを使用します。
- そのパーティション、または選択したディスク上の既存のデータを含むすべてのパーティションを削除するには、 ボタンを使用します。
- 既存のデータを含むすべてのディスク上のすべての既存のパーティションを削除し、この領域を Red Hat Enterprise Linux のインストールに使用できるようにするには、 ボタンを使用します。
Installation Summary ウィンドウで をクリックするまで、ディスクの変更は行われません。Reclaim Space ダイアログでは、サイズ変更または削除する対象としてパーティションがマークされるだけです。アクションは実行されません。
17.2.2. インストール先の設定時の特殊なケース
インストール先を設定するときに考慮すべき特殊なケースを以下に示します。
-
BIOS によっては、RAID カードからの起動に対応していないため注意が必要です。その場合は、別のディスクなど、RAID アレイ以外のパーティションに
/boot
パーティションを作成する必要があります。そのような RAID カードへのパーティション作成には、内蔵ディスクを使用する必要があります。また、/boot
パーティションは、ソフトウェア RAID の設定にも必要です。システムのパーティション設定を自動で選択した場合は、/boot
パーティションを手動で修正する必要があります。 - Red Hat Enterprise Linux ブートローダーが、別のブートローダーから チェーンロード するように設定するには、インストール先 画面で 完全なディスク要約とブートローダー をクリックして、手動でブートドライブを指定する必要があります。
- マルチパスのストレージデバイスと、非マルチパスのストレージデバイスの両方が使用されているシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすると、インストールプログラムによる自動パーティション設定のレイアウトに、マルチパスのデバイスと非マルチパスのデバイスが混在したボリュームグループが作成されます。これはマルチパスストレージの目的に反することになります。Installation Destination ウィンドウで、マルチパスデバイスまたは非マルチパスデバイスのどちらかを選択してください。もしくは、手動のパーティション設定を実行してください。
17.2.3. ブートローダーの設定
Red Hat Enterprise Linux は、GRand Unified Bootloader バージョン 2 (GRUB2) を、AMD64、Intel 64、IBM Power Systems、および ARM として使用します。64 ビットの IBM Z では、zipl ブートローダーが使用されます。
ブートローダーは、システムの起動時に実行し、制御をオペレーティングシステムに読み込み、転送する最初のプログラムです。GRUB2 は、互換性のあるオペレーティングシステム (Microsoft Windows を含む) であれば起動可能で、チェーンロードを使用すれば、未対応のオペレーティングシステムのブートローダーにも読み込んだ指示を渡すことができます。
GRUB2 をインストールすると、既存のブートローダーを上書きできます。
オペレーティングシステムがすでにインストールされていると、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムはそのブートローダーを自動的に検出して、別のオペレーティングシステムを起動するように設定します。そのブートローダーが正しく検出されない場合は、インストールの完了後に、追加のオペレーティングシステムを手動で設定できます。
複数のディスクを搭載した Red Hat Enterprise Linux システムをインストールする場合は、ブートローダーをインストールするディスクを手動で指定することを推奨します。
手順
インストール先 画面で 完全なディスク要約とブートローダー をクリックします。選択したディスク ダイアログボックスが開きます。
ブートローダーは、選択したデバイス、または UEFI システムにインストールされます。ガイド付きパーティションの作成時に、そのデバイスに EFI システムパーティション が作成されます。
- 起動デバイスを変更するには、リストからデバイスを選択して をクリックします。起動デバイスとして設定できるデバイスは 1 つだけです。
- 新しいブートローダーのインストールを無効にする場合は、現在起動用として設定されているデバイスを選択し、GRUB2 がインストールされないようになります。 をクリックします。これにより、いずれのデバイスにも
ブートローダーをインストールしないを選択した場合は、システムを直接起動できなくなるため、別の起動方法 (市販のスタンドアロンのブートローダーアプリケーションなど) を使用しなければならなくなります。ブートローダーをインストールしないは、システムを起動させる方法が別に確保されている場合に限定してください。
ブートローダーは、システムが BIOS または UEFI のファームウェアを使用しているか、ブートドライブに GUID Partition Table (GPT) または Master Boot Record (MBR) (msdos
としても知られている) があるかどうかによって、特別なパーティションを作成する必要があります。自動パーティション作成を使用していると、インストールプログラムがパーティションを作成します。
17.2.4. ストレージデバイスの選択
ストレージデバイス選択画面には、インストールプログラムがアクセスできるストレージデバイスがリスト表示されます。システムや利用可能なハードウェアによっては、一部のタブが表示されない場合があります。デバイスは、次のタブに分類されます。
- マルチパスデバイス
- 同じシステムにある、複数の SCSI コントローラーやファイバーチャネルポートなどの複数のパスからアクセスできるストレージデバイスです。インストールプログラムで検出できるのは、16 文字または 32 文字の長さのシリアル番号を持つマルチパスストレージデバイスのみです。
- その他の SAN デバイス
- SAN (Storage Area Network) 上にあるデバイスです。
- ファームウェア RAID
- ファームウェア RAID コントローラーに接続されているストレージデバイスです。
- NVDIMM デバイス
- 特定の状況下では、Red Hat Enterprise Linux 8 は、Intel 64 アーキテクチャーおよび AMD64 アーキテクチャー上で、(NVDIMM) デバイスからセクターモードで起動および実行できます。
- IBM Z デバイス
- zSeries Linux FCP (ファイバーチャネルプロトコル) ドライバーで接続されたストレージデバイス、論理ユニット (LUN)、または DASD です。
17.2.5. ストレージデバイスのフィルタリング
ストレージデバイス選択画面では、WWID (World Wide Identifier)、ポート、ターゲット、または論理ユニット番号 (LUN) のいずれかを使用して、ストレージデバイスをフィルタリングできます。
前提条件
- Installation Summary 画面が開いている。
手順
- Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
- Specialized & Network Disks セクションで、 をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
ポート、ターゲット、LUN、または WWID で検索するには、Search by タブをクリックします。
WWID または LUN で検索するには、対応する入力テキストフィールドに値を入力する必要があります。
- Search ドロップダウンメニューから必要なオプションを選択します。
- をクリックして検索を開始します。各デバイスと、対応するチェックボックスが、別の行に表示されます。
インストールプロセス時に必要なデバイスが利用できるようにするには、チェックボックスを選択します。
後続のインストールプロセスで、選択したデバイスの中から、Red Hat Enterprise Linux をインストールするデバイスを選択できます。その他のデバイスの中から、インストール済みシステムに自動的にマウントするものを選択できます。選択したデバイスがインストールプロセスにより自動的に消去されることはなく、デバイスを選択しても、デバイスに保存されているデータが危険にさらされることはありません。
注記インストール後に
/etc/fstab
ファイルを変更することで、システムにデバイスを追加できます。- Installation Destination ウィンドウに戻ります。 をクリックして
ここで選択しないストレージデバイスはすべて、インストールプログラムでは表示されなくなります。別のブートローダーからこのブートローダーをチェーンロードする場合は、ここに表示されているすべてのデバイスを選択します。
17.2.6. 高度なストレージオプションの使用
高度なストレージデバイスを使用するには、iSCSI (SCSI over TCP/IP) ターゲットまたは FCoE (Fibre Channel over Ethernet) の SAN (Storage Area Network) を設定できます。
インストールに iSCSI ストレージデバイスを使用する場合は、インストールプログラム側で iSCSI ストレージデバイスを iSCSI ターゲットとして検出し、そのターゲットにアクセスするための iSCSI セッションを作成できるようにする必要があります。各手順で、CHAP (Challenge Handshake Authentication Protocol) 認証用のユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。さらに、検出、またはセッション作成のいずれの場合も、iSCSI ターゲット側でターゲットの接続先となるシステムの iSCSI イニシエーターを認証する (リバース CHAP) ように設定することもできます。CHAP とリバース CHAP を併用する場合は、相互 CHAP または双方向 CHAP と呼ばれます。相互 CHAP を使用すると、特に CHAP 認証とリバース CHAP 認証でユーザー名やパスワードが異なる場合などに、iSCSI 接続に対する最大限の安全レベルを確保できます。
iSCSI 検出と iSCSI ログインの手順を繰り返して、必要な iSCSI ストレージをすべて追加します。初回の検出試行後は、iSCSI イニシエーターの名前を変更できません。iSCSI イニシエーターの名前を変更する場合は、インストールを最初からやり直す必要があります。
17.2.6.1. iSCSI セッションの検出および開始
Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、次の 2 つの方法で iSCSI ディスクを検出し、ログインできます。
- iBFT (iSCSI Boot Firmware Table)
-
インストーラーは、起動すると、システムの BIOS またはアドオンブート ROM が iBFT をサポートしているかどうかをチェックします。BIOS は、iSCSI から起動できるシステム用の BIOS 拡張です。BIOS が iBFT に対応している場合は、インストーラーは BIOS から設定済みのブートディスクの iSCSI ターゲット情報を読み取り、このターゲットにログインして、インストールターゲットとして利用可能にします。iSCSI ターゲットに自動的に接続するには、ターゲットにアクセスするためのネットワークデバイスをアクティブ化します。これを行うには、起動オプション
ip=ibft
を使用します。詳細は、ネットワーク起動オプション を参照してください。 - iSCSI ターゲットの手動検出および追加
- インストーラーのグラフィカルユーザーインターフェイスで iSCSI セッションを検出して開始し、使用可能な iSCSI ターゲット (ネットワークストレージデバイス) を特定できます。
前提条件
- Installation Summary 画面が開いている。
手順
- Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
- Specialized & Network Disks セクションで、 をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
iSCSI ストレージターゲットの追加 画面が開きます。
をクリックします。重要この方法を使用して手動で追加した iSCSI ターゲットには
/boot
パーティションを置くことができません。/boot
パーティションを含む iSCSI ターゲットを iBFT で使用するように設定する必要があります。ただし、インストールされたシステムが、たとえば iPXE を使用して、ファームウェアの iBFT 以外の方法で提供された iBFT 設定で iSCSI から起動する場合は、inst.nonibftiscsiboot
インストーラー起動オプションを使用して/boot
パーティション制限を削除できます。- ターゲットの IP アドレス フィールドに、iSCSI ターゲットの IP アドレスを入力します。
iSCSI Initiator Name フィールドに、iSCSI 修飾名 (IQN) の形式で iSCSI イニシエーターの名前を入力します。IQN エントリーには次を含めてください。
-
iqn.
の文字列 (ピリオドが必要)。 -
日付コード (企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名が登録された年と月。記述の順序は年を表す 4 桁の数字、ハイフン、月を表す 2 桁の数字、ピリオドの順で設定されます)。たとえば、2010 年 9 月の場合は
2010-09.
のようになります。 -
企業や組織のインターネットのドメイン名またはサブドメイン名 (トップレベルのドメインを先頭にして逆順で表します)。たとえば、
storage.example.com
のサブドメインは、com.example.storage
のようになります。 コロン (:) と、ドメインまたはサブドメイン内でその iSCSI イニシエーターを固有に識別する文字列。たとえば、
:diskarrays-sn-a8675309
です。完全な IQN は
iqn.2010-09.storage.example.com:diskarrays-sn-a8675309
のようになります。構造を理解しやすくするために、インストールプログラムにより、iSCSI Initiator Name
フィールドにこの形式の名前が事前に入力されます。IQN の詳細は、tools.ietf.org の RFC 3720 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) に記載されている 3.2.6. iSCSI Names と、tools.ietf.org の RFC 3721 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) Naming and Discovery に記載されている 1. iSCSI Names and Addresses を参照してください。
-
認証のタイプの探索
ドロップダウンメニューを使用して、iSCSI 検出に使用する認証タイプを指定します。以下のタイプが使用できます。- 証明書なし
- CHAP 秘密鍵
- CHAP 秘密鍵とリバースペア
次のいずれかを行います。
-
認証タイプに
CHAP ペア
を選択した場合は、CHAP ユーザー名
とCHAP パスワード
の各フィールドに、iSCSI ターゲットのユーザー名とパスワードを入力します。 -
認証タイプに
CHAP 秘密鍵と逆順鍵
を選択した場合は、CHAP ユーザー名
とCHAP パスワード
の各フィールドに、iSCSI ターゲットのユーザー名とパスワードを入力します。また、リバース CHAP ユーザー名
とCHAP パスワード
の各フィールドに、iSCSI イニシエーターのユーザー名とパスワードを入力します。
-
認証タイプに
-
オプション:
Bind targets to network interfaces
チェックボックスをオンにします。 入力した情報に基づいて、インストールプログラムが iSCSI ターゲットを調べます。検出に成功すると、
iSCSI ターゲットを追加
画面には、ターゲットで検出された iSCSI ノードのリストが表示されます。インストールに使用するノードのチェックボックスを選択します。
ノードのログイン認証のタイプ
メニューには、認証のタイプの探索
メニューと同じオプションがあります。ただし、ディスカバリー認証に証明書が必要な場合は、見つかったノードに同じ証明書を使用してログインします。-
探索に証明書を使用
ドロップダウンメニューをクリックします。適切な認証情報を指定すると、 ボタンが利用可能になります。 - をクリックして、iSCSI セッションを開始します。
インストーラーは iscsiadm
を使用して iSCSI ターゲットを検索し、ログインしますが、iscsiadm
は自動的にこれらのターゲットに関する情報を iscsiadm
iSCSI データベースに保存します。その後、インストーラーはこのデータベースをインストール済みシステムにコピーし、root パーティションに使用されていない iSCSI ターゲットをマークします。これにより、システムは起動時に自動的にそのターゲットにログインします。root パーティションが iSCSI ターゲットに配置されている場合、initrd
がこのターゲットにログインするため、インストーラーは、同じターゲットへのログインが複数回試行されるのを避けるために、このターゲットを起動スクリプトに含めません。
17.2.6.2. FCoE パラメーターの設定
FCoE パラメーターを適切に設定することで、Installation Destination ウィンドウから FCoE (Fibre Channel over Ethernet) デバイスを検出できます。
前提条件
- Installation Summary 画面が開いている。
手順
- Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
- Specialized & Network Disks セクションで、 をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
- をクリックします。FCoE ストレージデバイスを検出するようにネットワークインターフェイスを設定するダイアログボックスが開きます。
-
NIC
ドロップダウンメニューで、FCoE スイッチに接続するネットワークインターフェイスを選択します。 - をクリックして、SAN デバイスのネットワークをスキャンします。
必要なチェックボックスを選択します。
- Use DCB: Data Center Bridging (DCB) は、ストレージネットワークやクラスターでイーサネット接続の効率性を向上させる目的で設計されたイーサネットプロトコルに対する拡張セットです。このチェックボックスを選択して、インストールプログラムによる DCB 認識を有効または無効にします。このオプションは、ネットワークインターフェイスでホストベースの DCBX クライアントを必要とする場合にのみ有効にします。ハードウェアの DCBX クライアントを使用するインターフェイスで設定する場合は、このチェックボックスを無効にします。
- Use auto vlan: 自動 VLAN はデフォルトで有効になり、VLAN 検出を行うかどうかを指定します。このチェックボックスを選択すると、リンク設定が検証された後、イーサネットインターフェイスで FIP (FCoE Initiation Protocol) VLAN 検出プロトコルが実行します。設定が行われていない場合は、検出されたすべての FCoE VLAN に対してネットワークインターフェイスが自動的に作成され、VLAN インターフェイスに FCoE のインスタンスが作成されます。
-
検出された FCoE デバイスが、インストール先 画面の
他の SAN デバイス
タブに表示されます。
17.2.6.3. DASD ストレージデバイスの設定
Installation Destination ウィンドウから DASD ストレージデバイスを検出して設定できます。
前提条件
- Installation Summary 画面が開いている。
手順
- Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
- Specialized & Network Disks セクションで、 をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
- Add DASD Storage Target ダイアログボックスが開きます。0.0.0204 などのデバイス番号を指定して、インストールの開始時に検出されなかった追加の DASD を接続するように求められます。 をクリックします。
- Device number フィールドに、接続する DASD のデバイス番号を入力します。
指定したデバイス番号を持つ DASD が検出され、その DASD が接続されていない場合は、ダイアログボックスが閉じ、新たに検出されたドライブが、ドライブのリストに表示されます。次に、必要なデバイスのチェックボックスを選択して、インストール先 画面の ローカルの標準ディスク セクションで、新しい DASD が選択できるようになります (
をクリックします。DASD device 0.0.xxxx
と表示されます)。
無効なデバイス番号を入力した場合、または指定したデバイス番号の DASD がすでにシステムに割り当てられている場合は、ダイアログボックスにエラーメッセージとその理由が表示され、別のデバイス番号で再試行するように求められます。
17.2.6.4. FCP デバイスの設定
FCP デバイスは、64 ビットの IBM Z が DASD デバイスの代わりに、または DASD デバイスに加えて、SCSI デバイスを使用できるようにするものです。FCP デバイスは交換ファブリックスイッチを提供し、これにより 64 ビットの IBM Z システムが SCSI LUN を従来の DASD デバイスとして用いる使い方に加えて、ディスクデバイスとして使えるようにします。
前提条件
- Installation Summary 画面が開いている。
-
FCP のみのインストールで、DASD がないことを示すために、CMS 設定ファイルから
DASD=
オプションを削除するか、パラメーターファイルからrd.dasd=
オプションを削除した。
手順
- Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
- Specialized & Network Disks セクションで、 をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
Add zFCP Storage Target ダイアログボックスが開き、FCP (ファイバーチャネルプロトコル) ストレージデバイスを追加できます。
をクリックします。64 ビットの IBM Z では、インストールプログラムが FCP LUN をアクティベートするために、FCP デバイスを手動で入力する必要があります。これは、グラフィカルインストールで指定するか、パラメーターもしくは CMS 設定ファイル内で一意のパラメーターエントリーとして指定することで可能になります。設定する各サイトに固有の値を入力する必要があります。
- 4 桁の 16 進数のデバイス番号を、デバイス番号 フィールドに入力します。
RHEL-8.6 以前のリリースをインストールする場合、
zFCP
デバイスが NPIV モードで設定されていない場合や、zfcp.allow_lun_scan=0
カーネルモジュールパラメーターでauto LUN
スキャンが無効になっている場合は、以下の値を指定します。- 16 桁の 16 進数の WWPN (World Wide Port Number) を、WWPN フィールドに入力します。
- 16 桁の 16 進数の FCP LUN 識別子を、LUN フィールドに入力します。
- をクリックして、FCP デバイスに接続します。
新しく追加されたデバイスが、Installation Destination ウィンドウの IBM Z タブに表示されます。
16 進法で小文字のみを使用してください。間違った値を入力して
をクリックすると、インストールプログラムにより警告が表示されます。設定情報の編集と、探索の再試行が可能です。値の詳細は、ハードウェアに添付のドキュメントを参照し、システム管理者に確認してください。17.2.7. NVDIMM デバイスへのインストール
不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスは、電源が供給されていない時に、RAM のパフォーマンスと、ディスクのようなデータの持続性を兼ね備えています。特定の状況下では、NVDIMM デバイスから Red Hat Enterprise Linux 8 を起動して実行できます。
17.2.7.1. NVDIMM デバイスをインストール先として使用するための基準
Red Hat Enterprise Linux 8 は、nd_pmem ドライバーがサポートする Intel 64 アーキテクチャーおよび AMD64 アーキテクチャーにある、セクターモードの不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスにインストールできます。
NVDIMM デバイスをストレージとして使用するための条件
NVDIMM デバイスをストレージとして使用するには、次の条件を満たす必要があります。
- システムのアーキテクチャーが Intel 64 または AMD64 である。
- NVDIMM デバイスがセクターモードに設定されている。インストールプログラムにより NVDIMM デバイスをこのモードに再設定できます。
- NVDIMM デバイスが、nd_pmem ドライバーで対応している。
NVDIMM デバイスからの起動の条件
以下の条件が満たされる場合には、NVDIMM デバイスからの起動が可能です。
- NVDIMM デバイスを使用するための条件がすべて満たされている。
- システムが UEFI を使用している。
- システムで使用可能なファームウェアまたは UEFI ドライバーが NVDIMM デバイスをサポートしている。UEFI ドライバーは、デバイス自体のオプション ROM から読み込むことができます。
- NVDIMM デバイスが名前空間で利用可能である。
システムの起動中に高性能な NVDIMM デバイスを利用するには、/boot
ディレクトリーおよび /boot/efi
ディレクトリーをデバイスに置きます。NVDIMM デバイスの XIP (Execute-in-place) 機能は、起動時にはサポートされません。カーネルは従来どおりメモリーに読み込まれます。
17.2.7.2. グラフィカルインストールモードを使用した NVDIMM デバイスの設定
不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスは、Red Hat Enterprise Linux 8 で使用するために、グラフィカルインストールを使用して正しく設定する必要があります。
NVDIMM デバイスを再設定するプロセスにより、デバイスに格納されていたデータがすべて失われます。
前提条件
- NVDIMM デバイスがシステムに存在し、その他の、インストールターゲットとして使用するための条件を満たしている。
- インストールが起動し、インストール概要 画面が開いている。
手順
- Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
- Specialized & Network Disks セクションで、 をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
- NVDIMM デバイス タブをクリックします。
デバイスを再設定する場合は、リストから選択します。
デバイスがリストにない場合は、セクターモードになっていません。
- をクリックします。再設定ダイアログが開きます。
必要なセクターサイズを入力し、
をクリックします。サポートされるセクターサイズは 512 バイトおよび 4096 バイトです。
- 再設定が終了したら、 をクリックします。
- デバイスのチェックボックスを選択します。
Installation Destination ウィンドウに戻ります。
をクリックして再設定した NVDIMM は、特殊なディスクおよびネットワークディスク セクションに表示されます。
- インストール概要 画面に戻ります。 をクリックして、
NVDIMM デバイスがインストール先として選択できるようになります。デバイスが起動の要件を満たしている場合は、そのように設定できます。