10.3. UEFI HTTP または PXE インストールソースへのキックスタートファイルの追加
キックスタートファイルの準備ができたら、それをインストール先システムへのインストールに使用できるようになります。
10.3.1. ネットワークインストール用のポート
次の表は、ネットワークベースの各種インストールにファイルを提供するためにサーバーで開く必要があるポートの一覧です。
使用プロトコル | 開くべきポート |
---|---|
HTTP | 80 |
HTTPS | 443 |
FTP | 21 |
NFS | 2049、111、20048 |
TFTP | 69 |
関連情報
10.3.2. NFS サーバー上でのインストールファイルの共有
キックスタートスクリプトファイルを NFS サーバーに保存できます。NFS サーバーに保存すると、キックスタートファイル用の物理メディアを使用しなくても、単一のソースから複数のシステムをインストールできます。
前提条件
- ローカルネットワーク上の Red Hat Enterprise Linux 8 を使用するサーバーへの管理者レベルのアクセス権がある。
- インストールするシステムがサーバーに接続できる。
- サーバー上のファイアウォールがインストール先のシステムからの接続を許可している。
必ず inst.ks
と inst.repo
で異なるパスを使用してください。NFS を使用してキックスタートをホストする場合、同じ NFS 共有を使用してインストールソースをホストすることはできません。
手順
root で以下のコマンドを実行して、
nfs-utils
パッケージをインストールします。# yum install nfs-utils
- キックスタートファイルを、NFS サーバーのディレクトリーにコピーします。
テキストエディターで
/etc/exports
ファイルを開き、以下の構文の行を追加します。/exported_directory/ clients
/exported_directory/ を、キックスタートファイルを保存しているディレクトリーのフルパスに置き換えます。clients の代わりに、この NFS サーバーからインストールするコンピューターのホスト名または IP アドレス、すべてのコンピューターが ISO イメージにアクセスするためのサブネットワーク、またはネットワークアクセスのあるコンピューターが NFS サーバーにアクセスして ISO イメージを使用できるようにする場合はアスタリスク記号 (
*
) を使用します。このフィールドの形式に関する詳細は、man ページの exports(5) を参照してください。/rhel8-install/
ディレクトリーを、すべてのクライアントに対する読み取り専用として使用できるようにする基本設定は次のようになります。/rhel8-install *
-
/etc/exports
ファイルを保存して、テキストエディターを終了します。 nfs サービスを起動します。
# systemctl start nfs-server.service
/etc/exports
ファイルに変更を加える前にサービスを稼働していた場合は、以下のコマンドを実行して、稼働中の NFS サーバーで設定を再ロードします。# systemctl reload nfs-server.service
キックスタートファイルは NFS 経由でアクセス可能になり、インストールに使用できるようになりました。
キックスタートソースを指定する場合は、プロトコルに nfs:
を使用して、サーバーのホスト名または IP アドレス、コロン記号 (:
)、およびそのファイルを保存しているディレクトリーを指定します。たとえば、サーバーのホスト名が myserver.example.com
で、そのファイルを /rhel8-install/my-ks.cfg
に保存した場合、指定するインストールソースの起動オプションは inst.ks=nfs:myserver.example.com:/rhel8-install/my-ks.cfg
となります。
10.3.3. HTTP または HTTPS サーバー上でのインストールファイルの共有
キックスタートスクリプトファイルを HTTP または HTTPS サーバーに保存できます。キックスタートファイルを HTTP または HTTPS サーバーに保存すると、キックスタートファイル用の物理メディアを使用しなくても、単一のソースから複数のシステムをインストールできます。
前提条件
- ローカルネットワーク上の Red Hat Enterprise Linux 8 を使用するサーバーへの管理者レベルのアクセス権がある。
- インストールするシステムがサーバーに接続できる。
- サーバー上のファイアウォールがインストール先のシステムからの接続を許可している。
手順
キックスタートファイルを HTTP に保存するには、
httpd
パッケージをインストールします。# yum install httpd
HTTPS にキックスタートファイルを保存するには、
httpd
パッケージおよびmod_ssl
パッケージをインストールします。# yum install httpd mod_ssl
警告Apache Web サーバー設定で SSL セキュリティーが有効になっている場合は、TLSv1 プロトコルのみが有効で、SSLv2 と SSLv3 は無効になっていることを確認してください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は、Red Hat ナレッジベースソリューション Resolution for POODLE SSLv3.0 vulnerability を参照してください。
重要自己署名証明書付きの HTTPS サーバーを使用する場合は、
inst.noverifyssl
オプションを指定してインストールプログラムを起動する必要があります。-
/var/www/html/
ディレクトリーのサブディレクトリーに、HTTP(S) サーバーへのキックスタートファイルをコピーします。 httpd サービスを起動します。
# systemctl start httpd.service
キックスタートファイルはアクセス可能になり、インストールとして使用できるようになりました。
キックスタートファイルの場所を指定する場合は、プロトコルに
http://
またはhttps://
を使用して、サーバーのホスト名または IP アドレス、キックスタートファイルのパス (HTTP サーバーの root への相対パス) を指定します。たとえば、HTTP を使用して、サーバーのホスト名がmyserver.example.com
で、キックスタートファイルを/var/www/html/rhel8-install/my-ks.cfg
にコピーした場合、指定するインストールソースはhttp://myserver.example.com/rhel8-install/my-ks.cfg
となります。
関連情報
10.3.4. FTP サーバー上でのインストールファイルの共有
キックスタートスクリプトファイルを FTP サーバーに保存できます。スクリプトを FTP サーバーに保存すると、キックスタートファイル用の物理メディアを使用しなくても、単一のソースから複数のシステムをインストールできます。
前提条件
- ローカルネットワーク上の Red Hat Enterprise Linux 8 を使用するサーバーへの管理者レベルのアクセス権がある。
- インストールするシステムがサーバーに接続できる。
- サーバー上のファイアウォールがインストール先のシステムからの接続を許可している。
手順
root で以下のコマンドを実行して、
vsftpd
パッケージをインストールします。# yum install vsftpd
必要に応じて、
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
設定ファイルをテキストエディターで開いて編集します。-
anonymous_enable=NO
の行をanonymous_enable=YES
に変更します。 -
write_enable=YES
の行をwrite_enable=NO
に変更します。 pasv_min_port=min_port
とpasv_max_port=max_port
の行を追加します。min_port
とmax_port
を、FTP サーバーがパッシブモードで使用するポート番号の範囲 (10021
と10031
など) に置き換えます。このステップは、各種のファイアウォール/NAT 設定を採用するネットワーク環境に必要です。
オプション: カスタムの変更を設定に追加します。利用可能なオプションは、vsftpd.conf(5) の man ページを参照してください。この手順では、デフォルトのオプションが使用されていることを前提としています。
警告vsftpd.conf
ファイルで SSL/TLS セキュリティーを設定している場合は、TLSv1 プロトコルのみを有効にし、SSLv2 と SSLv3 は無効にしてください。POODLE SSL 脆弱性 (CVE-2014-3566) の影響を受けないようにするためです。詳細は、Red Hat ナレッジベースソリューション Resolution for POODLE SSLv3.0 vulnerability を参照してください。
-
サーバーのファイアウォールを設定します。
ファイアウォールを有効にします。
# systemctl enable firewalld # systemctl start firewalld
直前の手順の FTP ポートおよびポート範囲のファイアウォールで有効にします。
# firewall-cmd --add-port min_port-max_port/tcp --permanent # firewall-cmd --add-service ftp --permanent # firewall-cmd --reload
min_port-max_port を、
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
設定ファイルに入力したポート番号に置き換えます。
-
/var/ftp/
ディレクトリーまたはそのサブディレクトリーに、FTP サーバーへのキックスタートファイルをコピーします。 正しい SELinux コンテキストとアクセスモードがファイルに設定されていることを確認してください。
# restorecon -r /var/ftp/your-kickstart-file.ks # chmod 444 /var/ftp/your-kickstart-file.ks
vsftpd
サービスを開始します。# systemctl start vsftpd.service
/etc/vsftpd/vsftpd.conf
ファイルを変更する前から、このサービスがすでに実行されていた場合は、サービスを再起動して必ず編集後のファイルを読み込ませてください。# systemctl restart vsftpd.service
vsftpd
サービスを有効にして、システムの起動プロセス時に開始するようにします。# systemctl enable vsftpd
キックスタートファイルはアクセス可能になり、同じネットワークのシステムからのインストールとして使用できるようになりました。
注記インストールソースを設定するには、プロトコルに
ftp://
を使用して、サーバーのホスト名または IP アドレス、キックスタートファイルのパス (FTP サーバーの root への相対パス) を指定します。たとえば、サーバーのホスト名がmyserver.example.com
で、ファイルを/var/ftp/my-ks.cfg
にコピーした場合、指定するインストールソースはftp://myserver.example.com/my-ks.cfg
となります。