ネットワークの設定および管理
ネットワークインターフェイスおよび高度なネットワーク機能の管理
概要
- ボンディング、VLAN、ブリッジ、トンネル、およびその他のネットワークタイプを設定して、ホストをネットワークに接続できます。
- IPSec と WireGuard は、ホストとネットワーク間にセキュアな VPN を提供します。
- RHEL は、ポリシーベースのルーティングや Multipath TCP (MPTCP) などの高度なネットワーク機能もサポートします。
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第1章 一貫したネットワークインターフェイス命名の実装
udev
デバイスマネージャーは、Red Hat Enterprise Linux で一貫したデバイス命名を実装します。デバイスマネージャーは、さまざまな命名スキームをサポートしています。デフォルトでは、ファームウェア、トポロジー、および場所の情報に基づいて固定名を割り当てます。
一貫したデバイス命名を使用しない場合、Linux カーネルは固定の接頭辞とインデックスを組み合わせて名前をネットワークインターフェイスに割り当てます。カーネルがネットワークデバイスを初期化すると、インデックスが増加します。たとえば、eth0
は、起動時にプローブされる最初のイーサネットデバイスを表します。別のネットワークインターフェイスコントローラーをシステムに追加すると、再起動後にデバイスが異なる順序で初期化される可能性があるため、カーネルデバイス名の割り当てが一定でなくなります。その場合、カーネルはデバイスに別の名前を付けることがあります。
この問題を解決するために、udev
は一貫したデバイス名を割り当てます。これには、次の利点があります。
- 再起動してもデバイス名が変わりません。
- ハードウェアを追加または削除しても、デバイス名が固定されたままになります。
- 不具合のあるハードウェアをシームレスに交換できます。
- ネットワークの命名はステートレスであり、明示的な設定ファイルは必要ありません。
通常、Red Hat は、一貫したデバイス命名が無効になっているシステムはサポートしていません。例外については、Red Hat ナレッジベースのソリューション記事 Is it safe to set net.ifnames=0 を参照してください。
1.1. udev デバイスマネージャーによるネットワークインターフェイスの名前変更の仕組み
ネットワークインターフェイスの一貫した命名スキームを実装するために、udev
デバイスマネージャーは次のルールファイルを記載されている順番どおりに処理します。
オプション:
/usr/lib/udev/rules.d/60-net.rules
このファイルは、
initscripts-rename-device
パッケージをインストールした場合にのみ存在します。/usr/lib/udev/rules.d/60-net.rules
ファイルは、非推奨の/usr/lib/udev/rename_device
ヘルパーユーティリティーが/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-*
ファイルのHWADDR
パラメーターを検索することを定義します。変数に設定した値がインターフェイスの MAC アドレスに一致すると、ヘルパーユーティリティーは、インターフェイスの名前を、ifcfg
ファイルのDEVICE
パラメーターに設定した名前に変更します。システムがキーファイル形式の NetworkManager 接続プロファイルのみを使用する場合、
udev
はこの手順をスキップします。Dell システムのみ:
/usr/lib/udev/rules.d/71-biosdevname.rules
このファイルは、
biosdevname
パッケージがインストールされている場合にのみ存在します。このルールファイルは、前の手順でインターフェイスの名前が変更されていない場合に、biosdevname
ユーティリティーが命名ポリシーに従ってインターフェイスの名前を変更することを定義します。注記biosdevname
は Dell システムにのみインストールして使用してください。/usr/lib/udev/rules.d/75-net-description.rules
このファイルは、
udev
がネットワークインターフェイスを検査し、udev
の内部変数にプロパティーを設定する方法を定義します。これらの変数は、次のステップで/usr/lib/udev/rules.d/80-net-setup-link.rules
ファイルによって処理されます。一部のプロパティーは未定義である場合があります。/usr/lib/udev/rules.d/80-net-setup-link.rules
このファイルは
udev
サービスのnet_setup_link
ビルトインを呼び出します。udev
は/usr/lib/systemd/network/99-default.link
ファイルのNamePolicy
パラメーターのポリシーの順序に基づいてインターフェイスの名前を変更します。詳細は、ネットワークインターフェイスの命名ポリシー を参照してください。どのポリシーも適用されない場合、
udev
はインターフェイスの名前を変更しません。
関連情報
1.2. ネットワークインターフェイスの命名ポリシー
デフォルトでは、udev
デバイスマネージャーは /usr/lib/systemd/network/99-default.link
ファイルを使用して、インターフェイスの名前を変更するときに適用するデバイス命名ポリシーを決定します。このファイルの NamePolicy
パラメーターは、udev
がどのポリシーをどの順序で使用するかを定義します。
NamePolicy=keep kernel database onboard slot path
次の表では、NamePolicy
パラメーターで指定された最初に一致するポリシーに基づく、udev
のさまざまなアクションを説明します。
ポリシー | 説明 | 名前の例 |
---|---|---|
keep |
デバイスにユーザー空間で割り当てられた名前がすでにある場合、 | |
kernel |
デバイス名が予測可能であるとカーネルが通知した場合、 |
|
database |
このポリシーは、 |
|
onboard | デバイス名には、ファームウェアまたは BIOS が提供するオンボードデバイスのインデックス番号が含まれます。 |
|
slot | デバイス名には、ファームウェアまたは BIOS が提供する PCI Express (PCIe) ホットプラグのスロットインデックス番号が含まれます。 |
|
path | デバイス名には、ハードウェアのコネクターの物理的な場所が含まれます。 |
|
mac | デバイス名には MAC アドレスが含まれます。デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux はこのポリシーを使用しませんが、管理者はこのポリシーを有効にすることができます。 |
|
関連情報
- udev デバイスマネージャーによるネットワークインターフェイスの名前変更の仕組み
-
システム上の
systemd.link(5)
man ページ
1.3. ネットワークインターフェイスの命名スキーム
udev
デバイスマネージャーは、デバイスドライバーが提供する一定のインターフェイス属性を使用して、一貫したデバイス名を生成します。
新しいバージョンの udev
によってサービスが特定のインターフェイス名を作成する方法が変更された場合、Red Hat は、新しいスキームバージョンを追加し、システム上の systemd.net-naming-scheme(7)
man ページに詳細を記載します。デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 9 は、ユーザーが RHEL のそれ以降のマイナーバージョンをインストールまたは更新した場合でも、rhel-9.0
命名スキームを使用します。
新しいドライバーによってネットワークインターフェイスの属性がさらに増加するのを防ぐために、rhel-net-naming-sysattrs
パッケージで /usr/lib/udev/hwdb.d/50-net-naming-sysattr-allowlist.hwdb
データベースが提供されています。このデータベースは、udev
サービスがネットワークインターフェイス名を作成するのに使用できる sysfs
値を定義します。このデータベース内のエントリーは、バージョン管理され、スキームバージョンの影響を受けます。
RHEL 9.4 以降では、すべての rhel-8.*
命名スキームも使用できます。
デフォルト以外のスキームを使用する場合は、ネットワークインターフェイスの命名スキームを切り替える ことができます。
さまざまなデバイスタイプおよびプラットフォームの命名スキームの詳細は、システム上の systemd.net-naming-scheme(7)
man ページを参照してください。
1.4. 別のネットワークインターフェイス命名スキームへの切り替え
デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 9 は、ユーザーが RHEL のそれ以降のマイナーバージョンをインストールまたは更新した場合でも、rhel-9.0
命名スキームを使用します。デフォルトの命名スキームはほとんどの状況に適していますが、次のような理由で別のスキームバージョンに切り替える必要がある場合もあります。
- 新しいスキームによりインターフェイス名にスロット番号などの追加属性を追加すると、デバイスをより適切に識別できるようになります。
-
新しいスキームにより、カーネルによって割り当てられたデバイス名 (
eth*
) にudev
がフォールバックするのを防ぐことができます。これは、ドライバーが 2 つ以上のインターフェイスに対して一意の名前を生成するのに十分な一意の属性を提供していない場合に発生します。
前提条件
- サーバーのコンソールにアクセスできる。
手順
ネットワークインターフェイスをリスト表示します。
# ip link show 2: eno1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 00:00:5e:00:53:1a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
インターフェイスの MAC アドレスを記録します。
オプション: ネットワークインターフェイスの
ID_NET_NAMING_SCHEME
プロパティーを表示して、RHEL が現在使用している命名スキームを特定します。# udevadm info --query=property --property=ID_NET_NAMING_SCHEME /sys/class/net/eno1' ID_NET_NAMING_SCHEME=rhel-9.0
このプロパティーは
lo
ループバックデバイスでは使用できないことに注意してください。インストールされているすべてのカーネルのコマンドラインに
net.naming-scheme=<scheme>
オプションを追加します。次に例を示します。# grubby --update-kernel=ALL --args=net.naming-scheme=rhel-9.4
システムを再起動します。
# reboot
記録した MAC アドレスに基づいて、命名スキームの変更により変更されたネットワークインターフェイスの新しい名前を特定します。
# ip link show 2: eno1np0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 00:00:5e:00:53:1a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
この例では、スキームを切り替えた後、
udev
によって MAC アドレスが00:00:5e:00:53:1a
のデバイスにeno1np0
という名前が付けられます。これは以前はeno1
という名前でした。以前の名前を持つインターフェイスを使用する NetworkManager 接続プロファイルを特定します。
# nmcli -f device,name connection show DEVICE NAME eno1 example_profile ...
接続プロファイルの
connection.interface-name
プロパティーを新しいインターフェイス名に設定します。# nmcli connection modify example_profile connection.interface-name "eno1np0"
接続プロファイルを再アクティブ化します。
# nmcli connection up example_profile
検証
ネットワークインターフェイスの
ID_NET_NAMING_SCHEME
プロパティーを表示して、RHEL が現在使用している命名スキームを特定します。# udevadm info --query=property --property=ID_NET_NAMING_SCHEME /sys/class/net/eno1np0' ID_NET_NAMING_SCHEME=_rhel-9.4
1.5. インストール時のイーサネットインターフェイスの接頭辞のカスタマイズ
イーサネットインターフェイスにデフォルトのデバイス命名ポリシーを使用しない場合は、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) のインストール時にカスタムデバイス接頭辞を設定できます。
Red Hat は、RHEL のインストール時に接頭辞を設定した場合にのみ、カスタマイズされたイーサネット接頭辞を持つシステムをサポートします。すでにデプロイされているシステムでの prefixdevname
ユーティリティーの使用はサポートされていません。
インストール時にデバイス接頭辞を設定した場合、udev
サービスはインストール後にイーサネットインターフェイスに <prefix><index>
という形式を使用します。たとえば、接頭辞 net
を設定すると、サービスはイーサネットインターフェイスに net0
、net1
などの名前を割り当てます。
udev
サービスはカスタム接頭辞にインデックスを追加し、既知のイーサネットインターフェイスのインデックス値を保存します。インターフェイスを追加すると、udev
は、以前に割り当てたインデックス値より 1 大きいインデックス値を新しいインターフェイスに割り当てます。
前提条件
- 接頭辞が ASCII 文字で構成されている。
- 接頭辞が英数字の文字列である。
- 接頭辞が 16 文字未満である。
-
接頭辞が、
eth
、eno
、ens
、em
などの他の既知のネットワークインターフェイス接頭辞と競合しない。
手順
- Red Hat Enterprise Linux インストールメディアを起動します。
ブートマネージャーで、次の手順を実行します。
-
Install Red Hat Enterprise Linux <version>
エントリーを選択します。 - Tab を押してエントリーを編集します。
-
net.ifnames.prefix=<prefix>
をカーネルオプションに追加します。 - Enter を押してインストールプログラムを起動します。
-
- Red Hat Enterprise Linux をインストールします。
検証
インターフェイス名を確認するには、ネットワークインターフェイスを表示します。
# ip link show ... 2: net0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 00:00:5e:00:53:1a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
1.6. udev ルールを使用したユーザー定義のネットワークインターフェイス名の設定
udev
ルールを使用して、組織の要件を反映したカスタムネットワークインターフェイス名を実装できます。
手順
名前を変更するネットワークインターフェイスを特定します。
# ip link show ... enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 00:00:5e:00:53:1a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
インターフェイスの MAC アドレスを記録します。
インターフェイスのデバイスタイプ ID を表示します。
# cat /sys/class/net/enp1s0/type 1
/etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules
ファイルを作成し、名前を変更する各インターフェイスのルールを追加します。SUBSYSTEM=="net",ACTION=="add",ATTR{address}=="<MAC_address>",ATTR{type}=="<device_type_id>",NAME="<new_interface_name>"
重要ブートプロセス中に一貫したデバイス名が必要な場合は、ファイル名として
70-persistent-net.rules
のみを使用してください。RAM ディスクイメージを再生成すると、dracut
ユーティリティーはこの名前のファイルをinitrd
イメージに追加します。たとえば、次のルールを使用して、MAC アドレス
00:00:5e:00:53:1a
のインターフェイスの名前をprovider0
に変更します。SUBSYSTEM=="net",ACTION=="add",ATTR{address}=="00:00:5e:00:53:1a",ATTR{type}=="1",NAME="provider0"
オプション:
initrd
RAM ディスクイメージを再生成します。# dracut -f
この手順は、RAM ディスクにネットワーク機能が必要な場合にのみ必要です。たとえば、ルートファイルシステムが iSCSI などのネットワークデバイスに保存されている場合がこれに当てはまります。
名前を変更するインターフェイスを使用する NetworkManager 接続プロファイルを特定します。
# nmcli -f device,name connection show DEVICE NAME enp1s0 example_profile ...
接続プロファイルの
connection.interface-name
プロパティーの設定を解除します。# nmcli connection modify example_profile connection.interface-name ""
一時的に、新しいインターフェイス名と以前のインターフェイス名の両方に一致するように接続プロファイルを設定します。
# nmcli connection modify example_profile match.interface-name "provider0 enp1s0"
システムを再起動します。
# reboot
リンクファイルで指定した MAC アドレスを持つデバイスの名前が
Provider0
に変更されていることを確認します。# ip link show provider0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 00:00:5e:00:53:1a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
新しいインターフェイス名のみと一致するように接続プロファイルを設定します。
# nmcli connection modify example_profile match.interface-name "provider0"
これで、接続プロファイルから古いインターフェイス名が削除されました。
接続プロファイルを再アクティブ化します。
# nmcli connection up example_profile
関連情報
-
システム上の
udev(7)
man ページ
1.7. systemd リンクファイルを使用したユーザー定義のネットワークインターフェイス名の設定
systemd
リンクファイルを使用して、組織の要件を反映したカスタムネットワークインターフェイス名を実装できます。
前提条件
- NetworkManager がこのインターフェイスを管理していない。または、対応する接続プロファイルが キーファイル形式 を使用している。
手順
名前を変更するネットワークインターフェイスを特定します。
# ip link show ... enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 00:00:5e:00:53:1a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
インターフェイスの MAC アドレスを記録します。
/etc/systemd/network/
ディレクトリーがない場合は作成します。# mkdir -p /etc/systemd/network/
名前を変更するインターフェイスごとに、次の内容を含む
70-*.link
ファイルを/etc/systemd/network/
ディレクトリーに作成します。[Match] MACAddress=<MAC_address> [Link] Name=<new_interface_name>
重要udev
のルールベースのソリューションとファイル名の一貫性を保つために、接頭辞70-
を付けたファイル名を使用してください。たとえば、MAC アドレス
00:00:5e:00:53:1a
のインターフェイスの名前をprovider0
に変更するには、次の内容を含む/etc/systemd/network/70-provider0.link
ファイルを作成します。[Match] MACAddress=00:00:5e:00:53:1a [Link] Name=provider0
オプション:
initrd
RAM ディスクイメージを再生成します。# dracut -f
この手順は、RAM ディスクにネットワーク機能が必要な場合にのみ必要です。たとえば、ルートファイルシステムが iSCSI などのネットワークデバイスに保存されている場合がこれに当てはまります。
名前を変更するインターフェイスを使用する NetworkManager 接続プロファイルを特定します。
# nmcli -f device,name connection show DEVICE NAME enp1s0 example_profile ...
接続プロファイルの
connection.interface-name
プロパティーの設定を解除します。# nmcli connection modify example_profile connection.interface-name ""
一時的に、新しいインターフェイス名と以前のインターフェイス名の両方に一致するように接続プロファイルを設定します。
# nmcli connection modify example_profile match.interface-name "provider0 enp1s0"
システムを再起動します。
# reboot
リンクファイルで指定した MAC アドレスを持つデバイスの名前が
Provider0
に変更されていることを確認します。# ip link show provider0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 00:00:5e:00:53:1a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
新しいインターフェイス名のみと一致するように接続プロファイルを設定します。
# nmcli connection modify example_profile match.interface-name "provider0"
これで、接続プロファイルから古いインターフェイス名が削除されました。
接続プロファイルを再度アクティベートします。
# nmcli connection up example_profile
関連情報
-
システム上の
systemd.link(5)
man ページ
1.8. systemd リンクファイルを使用したネットワークインターフェイスへの代替名の割り当て
代替インターフェイス名の命名を使用すると、カーネルはネットワークインターフェイスに追加の名前を割り当てることができます。この代替名は、ネットワークインターフェイス名を必要とするコマンドで通常のインターフェイス名と同じように使用できます。
前提条件
- 代替名に ASCII 文字が使用されている。
- 代替名が 128 文字未満である。
手順
ネットワークインターフェイス名とその MAC アドレスを表示します。
# ip link show ... enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 00:00:5e:00:53:1a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
代替名を割り当てるインターフェイスの MAC アドレスを記録します。
/etc/systemd/network/
ディレクトリーがない場合は作成します。# mkdir -p /etc/systemd/network/
代替名を指定する必要があるインターフェイスごとに、次の内容を含む
*.link
ファイルを/etc/systemd/network/
ディレクトリーに作成します。[Match] MACAddress=<MAC_address> [Link] AlternativeName=<alternative_interface_name_1> AlternativeName=<alternative_interface_name_2> AlternativeName=<alternative_interface_name_n>
たとえば、次の内容を含む
/etc/systemd/network/70-altname.link
ファイルを作成して、MAC アドレス00:00:5e:00:53:1a
のインターフェイスに代替名としてprovider
を割り当てます。[Match] MACAddress=00:00:5e:00:53:1a [Link] AlternativeName=provider
initrd
RAM ディスクイメージを再生成します。# dracut -f
システムを再起動します。
# reboot
検証
代替インターフェイス名を使用します。たとえば、代替名
provider
を使用してデバイスの IP アドレス設定を表示します。# ip address show provider 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000 link/ether 00:00:5e:00:53:1a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff altname provider ...
関連情報
- インターフェイス命名スキームの AlternativeNamesPolicy とは何ですか?(Red Hat ナレッジベース)
第2章 イーサネット接続の設定
NetworkManager は、ホストにインストールされている各イーサネットアダプターの接続プロファイルを作成します。デフォルトでは、このプロファイルは IPv4 接続と IPv6 接続の両方に DHCP を使用します。次の場合は、この自動作成されたプロファイルを変更するか、新しいプロファイルを追加してください。
- ネットワークに、静的 IP アドレス設定などのカスタム設定が必要な場合
- ホストが異なるネットワーク間をローミングするため、複数のプロファイルが必要な場合
Red Hat Enterprise Linux は、イーサネット接続を設定するためのさまざまなオプションを管理者に提供します。以下に例を示します。
-
nmcli
を使用して、コマンドラインで接続を設定します。 -
nmtui
を使用して、テキストベースのユーザーインターフェイスで接続を設定します。 -
GNOME Settings メニューまたは
nm-connection-editor
アプリケーションを使用して、グラフィカルインターフェイスで接続を設定します。 -
nmstatectl
を使用して、Nmstate API を介して接続を設定します。 - RHEL システムロールを使用して、1 つまたは複数のホストで接続の設定を自動化します。
Microsoft Azure クラウドで実行しているホストでイーサネット接続を手動で設定する場合は、cloud-init
サービスを無効にするか、クラウド環境から取得したネットワーク設定を無視するように設定します。それ以外の場合は、cloud-init
は、手動で設定したネットワーク設定を次回の再起動時に上書きされます。
2.1. nmcli
を使用したイーサネット接続の設定
イーサネット経由でホストをネットワークに接続する場合は、nmcli
ユーティリティーを使用してコマンドラインで接続の設定を管理できます。
前提条件
- 物理または仮想イーサネットネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) がサーバーに設定されている。
手順
NetworkManager 接続プロファイルをリストします。
# nmcli connection show NAME UUID TYPE DEVICE Wired connection 1 a5eb6490-cc20-3668-81f8-0314a27f3f75 ethernet enp1s0
デフォルトでは、NetworkManager はホスト内の各 NIC のプロファイルを作成します。この NIC を特定のネットワークにのみ接続する予定がある場合は、自動作成されたプロファイルを調整してください。この NIC をさまざまな設定のネットワークに接続する予定がある場合は、ネットワークごとに個別のプロファイルを作成してください。
追加の接続プロファイルを作成する場合は、次のように入力します。
# nmcli connection add con-name <connection-name> ifname <device-name> type ethernet
既存のプロファイルを変更するには、この手順をスキップしてください。
オプション: 接続プロファイルの名前を変更します。
# nmcli connection modify "Wired connection 1" connection.id "Internal-LAN"
ホストに複数のプロファイルがある場合は、わかりやすい名前を付けると、プロファイルの目的を識別しやすくなります。
接続プロファイルの現在の設定を表示します。
# nmcli connection show Internal-LAN ... connection.interface-name: enp1s0 connection.autoconnect: yes ipv4.method: auto ipv6.method: auto ...
IPv4 を設定します。
DHCP を使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify Internal-LAN ipv4.method auto
ipv4.method
がすでにauto
(デフォルト) に設定されている場合は、この手順をスキップしてください。静的 IPv4 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー、および検索ドメインを設定するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify Internal-LAN ipv4.method manual ipv4.addresses 192.0.2.1/24 ipv4.gateway 192.0.2.254 ipv4.dns 192.0.2.200 ipv4.dns-search example.com
IPv6 設定を行います。
ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify Internal-LAN ipv6.method auto
ipv6.method
がすでにauto
(デフォルト) に設定されている場合は、この手順をスキップしてください。静的 IPv6 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー、および検索ドメインを設定するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify Internal-LAN ipv6.method manual ipv6.addresses 2001:db8:1::fffe/64 ipv6.gateway 2001:db8:1::fffe ipv6.dns 2001:db8:1::ffbb ipv6.dns-search example.com
プロファイルの他の設定をカスタマイズするには、次のコマンドを使用します。
# nmcli connection modify <connection-name> <setting> <value>
値はスペースまたはセミコロンで引用符で囲みます。
プロファイルをアクティブ化します。
# nmcli connection up Internal-LAN
検証
NIC の IP 設定を表示します。
# ip address show enp1s0 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:17:b8:b6 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute enp1s0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::fffe/64 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip route show default default via 192.0.2.254 dev enp1s0 proto static metric 102
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip -6 route show default default via 2001:db8:1::ffee dev enp1s0 proto static metric 102 pref medium
DNS 設定を表示します。
# cat /etc/resolv.conf search example.com nameserver 192.0.2.200 nameserver 2001:db8:1::ffbb
複数の接続プロファイルが同時にアクティブな場合、
nameserver
エントリーの順序は、これらのプロファイルの DNS 優先度の値と接続タイプによって異なります。ping
ユーティリティーを使用して、このホストがパケットを他のホストに送信できることを確認します。# ping <host-name-or-IP-address>
トラブルシューティング
- ネットワークケーブルがホストとスイッチに差し込まれていることを確認します。
- リンク障害がこのホストだけに存在するか、同じスイッチに接続された他のホストにも存在するかを確認します。
- ネットワークケーブルとネットワークインターフェイスが予想どおりに機能していることを確認します。ハードウェア診断手順を実施して、不具合ケーブルとネットワークインターフェイスカードを置き換えます。
- ディスクの設定がデバイスの設定と一致しない場合は、NetworkManager を起動するか再起動して、インメモリー接続を作成することで、デバイスの設定を反映します。この問題の詳細と回避方法は、Red Hat ナレッジベースソリューション NetworkManager duplicates a connection after restart of NetworkManager service を参照してください。
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
2.2. nmcli
インタラクティブエディターを使用したイーサネット接続の設定
イーサネット経由でホストをネットワークに接続する場合は、nmcli
ユーティリティーを使用してコマンドラインで接続の設定を管理できます。
前提条件
- 物理または仮想イーサネットネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) がサーバーに設定されている。
手順
NetworkManager 接続プロファイルをリストします。
# nmcli connection show NAME UUID TYPE DEVICE Wired connection 1 a5eb6490-cc20-3668-81f8-0314a27f3f75 ethernet enp1s0
デフォルトでは、NetworkManager はホスト内の各 NIC のプロファイルを作成します。この NIC を特定のネットワークにのみ接続する予定がある場合は、自動作成されたプロファイルを調整してください。この NIC をさまざまな設定のネットワークに接続する予定がある場合は、ネットワークごとに個別のプロファイルを作成してください。
nmcli
インタラクティブモードで起動します。追加の接続プロファイルを作成するには、次のように入力します。
# nmcli connection edit type ethernet con-name "<connection-name>"
既存の接続プロファイルを変更するには、次のように入力します。
# nmcli connection edit con-name "<connection-name>"
オプション: 接続プロファイルの名前を変更します。
nmcli> set connection.id Internal-LAN
ホストに複数のプロファイルがある場合は、わかりやすい名前を付けると、プロファイルの目的を識別しやすくなります。
nmcli
が引用符を名前の一部としてしまうことを避けるため、スペースを含む ID を設定する場合は引用符を使用しないでください。たとえば、Example Connection
を ID として設定するには、set connection.id Example Connection
と入力します。接続プロファイルの現在の設定を表示します。
nmcli> print ... connection.interface-name: enp1s0 connection.autoconnect: yes ipv4.method: auto ipv6.method: auto ...
新しい接続プロファイルを作成する場合は、ネットワークインターフェイスを設定します。
nmcli> set connection.interface-name enp1s0
IPv4 を設定します。
DHCP を使用するには、次のように入力します。
nmcli> set ipv4.method auto
ipv4.method
がすでにauto
(デフォルト) に設定されている場合は、この手順をスキップしてください。静的 IPv4 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー、および検索ドメインを設定するには、次のように入力します。
nmcli> ipv4.addresses 192.0.2.1/24 Do you also want to set 'ipv4.method' to 'manual'? [yes]: yes nmcli> ipv4.gateway 192.0.2.254 nmcli> ipv4.dns 192.0.2.200 nmcli> ipv4.dns-search example.com
IPv6 設定を行います。
ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用するには、次のように入力します。
nmcli> set ipv6.method auto
ipv6.method
がすでにauto
(デフォルト) に設定されている場合は、この手順をスキップしてください。静的 IPv6 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー、および検索ドメインを設定するには、次のように入力します。
nmcli> ipv6.addresses 2001:db8:1::fffe/64 Do you also want to set 'ipv6.method' to 'manual'? [yes]: yes nmcli> ipv6.gateway 2001:db8:1::fffe nmcli> ipv6.dns 2001:db8:1::ffbb nmcli> ipv6.dns-search example.com
接続をアクティベートして保存します。
nmcli> save persistent
インタラクティブモードを終了します。
nmcli> quit
検証
NIC の IP 設定を表示します。
# ip address show enp1s0 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:17:b8:b6 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute enp1s0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::fffe/64 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip route show default default via 192.0.2.254 dev enp1s0 proto static metric 102
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip -6 route show default default via 2001:db8:1::ffee dev enp1s0 proto static metric 102 pref medium
DNS 設定を表示します。
# cat /etc/resolv.conf search example.com nameserver 192.0.2.200 nameserver 2001:db8:1::ffbb
複数の接続プロファイルが同時にアクティブな場合、
nameserver
エントリーの順序は、これらのプロファイルの DNS 優先度の値と接続タイプによって異なります。ping
ユーティリティーを使用して、このホストがパケットを他のホストに送信できることを確認します。# ping <host-name-or-IP-address>
トラブルシューティング
- ネットワークケーブルがホストとスイッチに差し込まれていることを確認します。
- リンク障害がこのホストだけに存在するか、同じスイッチに接続された他のホストにも存在するかを確認します。
- ネットワークケーブルとネットワークインターフェイスが予想どおりに機能していることを確認します。ハードウェア診断手順を実施して、不具合ケーブルとネットワークインターフェイスカードを置き換えます。
- ディスクの設定がデバイスの設定と一致しない場合は、NetworkManager を起動するか再起動して、インメモリー接続を作成することで、デバイスの設定を反映します。この問題の詳細と回避方法は、Red Hat ナレッジベースソリューション NetworkManager duplicates a connection after restart of NetworkManager service を参照してください。
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
およびnmcli(1)
man ページ
2.3. nmtui
を使用したイーサネット接続の設定
イーサネット経由でホストをネットワークに接続する場合は、nmtui
アプリケーションを使用して、テキストベースのユーザーインターフェイスで接続の設定を管理できます。nmtui
では、グラフィカルインターフェイスを使用せずに、新しいプロファイルの作成や、ホスト上の既存のプロファイルの更新を行います。
nmtui
で以下を行います。
- カーソルキーを使用してナビゲートします。
- ボタンを選択して Enter を押します。
- Space を使用してチェックボックスをオンまたはオフにします。
前提条件
- 物理または仮想イーサネットネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) がサーバーに設定されている。
手順
接続に使用するネットワークデバイス名がわからない場合は、使用可能なデバイスを表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp1s0 ethernet unavailable -- ...
nmtui
を開始します。# nmtui
- Edit a connection 選択し、Enter を押します。
新しい接続プロファイルを追加するか、既存の接続プロファイルを変更するかを選択します。
新しいプロファイルを作成するには、以下を実行します。
- Add を押します。
- ネットワークタイプのリストから Ethernet を選択し、Enter を押します。
- 既存のプロファイルを変更するには、リストからプロファイルを選択し、Enter を押します。
オプション: 接続プロファイルの名前を更新します。
ホストに複数のプロファイルがある場合は、わかりやすい名前を付けると、プロファイルの目的を識別しやすくなります。
- 新しい接続プロファイルを作成する場合は、ネットワークデバイス名を connection フィールドに入力します。
環境に応じて、
IPv4 configuration
およびIPv6 configuration
領域に IP アドレス設定を設定します。これを行うには、これらの領域の横にあるボタンを押して、次を選択します。- この接続に IP アドレスが必要ない場合は、Disabled にします。
- DHCP サーバーが IP アドレスをこの NIC に動的に割り当てる場合は、Automatic にします。
ネットワークで静的 IP アドレス設定が必要な場合は、Manual にします。この場合、さらにフィールドに入力する必要があります。
- 設定するプロトコルの横にある Show を押して、追加のフィールドを表示します。
Addresses の横にある Add を押して、IP アドレスとサブネットマスクを Classless Inter-Domain Routing (CIDR) 形式で入力します。
サブネットマスクを指定しない場合、NetworkManager は IPv4 アドレスに
/32
サブネットマスクを設定し、IPv6 アドレスに/64
サブネットマスクを設定します。- デフォルトゲートウェイのアドレスを入力します。
- DNS servers の横にある Add を押して、DNS サーバーのアドレスを入力します。
- Search domains の横にある Add を押して、DNS 検索ドメインを入力します。
図2.1 静的 IP アドレス設定によるイーサネット接続の例
- OK を押すと、新しい接続が作成され、自動的にアクティブ化されます。
- Back を押してメインメニューに戻ります。
-
Quit を選択し、Enter キーを押して
nmtui
アプリケーションを閉じます。
検証
NIC の IP 設定を表示します。
# ip address show enp1s0 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:17:b8:b6 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute enp1s0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::fffe/64 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip route show default default via 192.0.2.254 dev enp1s0 proto static metric 102
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip -6 route show default default via 2001:db8:1::ffee dev enp1s0 proto static metric 102 pref medium
DNS 設定を表示します。
# cat /etc/resolv.conf search example.com nameserver 192.0.2.200 nameserver 2001:db8:1::ffbb
複数の接続プロファイルが同時にアクティブな場合、
nameserver
エントリーの順序は、これらのプロファイルの DNS 優先度の値と接続タイプによって異なります。ping
ユーティリティーを使用して、このホストがパケットを他のホストに送信できることを確認します。# ping <host-name-or-IP-address>
トラブルシューティング
- ネットワークケーブルがホストとスイッチに差し込まれていることを確認します。
- リンク障害がこのホストだけに存在するか、同じスイッチに接続された他のホストにも存在するかを確認します。
- ネットワークケーブルとネットワークインターフェイスが予想どおりに機能していることを確認します。ハードウェア診断手順を実施して、不具合ケーブルとネットワークインターフェイスカードを置き換えます。
- ディスクの設定がデバイスの設定と一致しない場合は、NetworkManager を起動するか再起動して、インメモリー接続を作成することで、デバイスの設定を反映します。この問題の詳細と回避方法は、Red Hat ナレッジベースソリューション NetworkManager duplicates a connection after restart of NetworkManager service を参照してください。
2.4. control-center によるイーサネット接続の設定
イーサネット経由でホストをネットワークに接続する場合は、GNOME 設定メニューを使用して、グラフィカルインターフェイスで接続の設定を管理できます。
control-center
は、nm-connection-editor
アプリケーションまたは nmcli
ユーティリティーほど多くの設定オプションに対応していないことに注意してください。
前提条件
- 物理または仮想イーサネットネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) がサーバーに設定されている。
- GNOME がインストールされている。
手順
-
Super キーを押して
Settings
を入力し、Enter を押します。 - 左側のナビゲーションにある Network を選択します。
新しい接続プロファイルを追加するか、既存の接続プロファイルを変更するかを選択します。
- 新しいプロファイルを作成するには、Ethernet エントリーの横にある ボタンをクリックします。
- 既存のプロファイルを変更するには、プロファイルエントリーの横にある歯車アイコンをクリックします。
オプション: ID タブで、接続プロファイルの名前を更新します。
ホストに複数のプロファイルがある場合は、わかりやすい名前を付けると、プロファイルの目的を識別しやすくなります。
環境に応じて、IPv4 タブと IPv6 タブで IP アドレス設定を設定します。
-
DHCP または IPv6 ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用するには、方法として
Automatic (DHCP)
を選択します (デフォルト)。 静的 IP アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー、および検索ドメインを設定するには、方法として
Manual
を選択し、タブのフィールドに入力します。
-
DHCP または IPv6 ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用するには、方法として
接続プロファイルを追加するか変更するかに応じて、
または ボタンをクリックして接続を保存します。GNOME の
control-center
は、接続を自動的にアクティブにします。
検証
NIC の IP 設定を表示します。
# ip address show enp1s0 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:17:b8:b6 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute enp1s0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::fffe/64 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip route show default default via 192.0.2.254 dev enp1s0 proto static metric 102
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip -6 route show default default via 2001:db8:1::ffee dev enp1s0 proto static metric 102 pref medium
DNS 設定を表示します。
# cat /etc/resolv.conf search example.com nameserver 192.0.2.200 nameserver 2001:db8:1::ffbb
複数の接続プロファイルが同時にアクティブな場合、
nameserver
エントリーの順序は、これらのプロファイルの DNS 優先度の値と接続タイプによって異なります。ping
ユーティリティーを使用して、このホストがパケットを他のホストに送信できることを確認します。# ping <host-name-or-IP-address>
トラブルシューティングの手順
- ネットワークケーブルがホストとスイッチに差し込まれていることを確認します。
- リンク障害がこのホストだけに存在するか、同じスイッチに接続された他のホストにも存在するかを確認します。
- ネットワークケーブルとネットワークインターフェイスが予想どおりに機能していることを確認します。ハードウェア診断手順を実施して、不具合ケーブルとネットワークインターフェイスカードを置き換えます。
- ディスクの設定がデバイスの設定と一致しない場合は、NetworkManager を起動するか再起動して、インメモリー接続を作成することで、デバイスの設定を反映します。この問題の詳細と回避方法は、Red Hat ナレッジベースソリューション NetworkManager duplicates a connection after restart of NetworkManager service を参照してください。
2.5. nm-connection-editor を使用したイーサネット接続の設定
イーサネット経由でホストをネットワークに接続する場合は、nm-connection-editor アプリケーションを使用して、グラフィカルインターフェイスで接続の設定を管理できます。
前提条件
- 物理または仮想イーサネットネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) がサーバーに設定されている。
- GNOME がインストールされている。
手順
ターミナルを開き、次のコマンドを入力します。
$ nm-connection-editor
新しい接続プロファイルを追加するか、既存の接続プロファイルを変更するかを選択します。
新しいプロファイルを作成するには、以下を実行します。
- ボタンをクリックします。
- 接続タイプとして Ethernet を選択し、 をクリックします。
- 既存のプロファイルを変更するには、プロファイルエントリーをダブルクリックします。
オプション: Connection フィールドでプロファイルの名前を更新します。
ホストに複数のプロファイルがある場合は、わかりやすい名前を付けると、プロファイルの目的を識別しやすくなります。
新しいプロファイルを作成する場合は、
Ethernet
タブでデバイスを選択します。環境に応じて、IPv4 Settings タブと IPv6 Settings タブで IP アドレス設定を設定します。
-
DHCP または IPv6 ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用するには、方法として
Automatic (DHCP)
を選択します (デフォルト)。 静的 IP アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー、および検索ドメインを設定するには、方法として
Manual
を選択し、タブのフィールドに入力します。
-
DHCP または IPv6 ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用するには、方法として
- をクリックします。
- nm-connection-editor を閉じます。
検証
NIC の IP 設定を表示します。
# ip address show enp1s0 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:17:b8:b6 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute enp1s0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::fffe/64 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip route show default default via 192.0.2.254 dev enp1s0 proto static metric 102
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip -6 route show default default via 2001:db8:1::ffee dev enp1s0 proto static metric 102 pref medium
DNS 設定を表示します。
# cat /etc/resolv.conf search example.com nameserver 192.0.2.200 nameserver 2001:db8:1::ffbb
複数の接続プロファイルが同時にアクティブな場合、
nameserver
エントリーの順序は、これらのプロファイルの DNS 優先度の値と接続タイプによって異なります。ping
ユーティリティーを使用して、このホストがパケットを他のホストに送信できることを確認します。# ping <host-name-or-IP-address>
トラブルシューティングの手順
- ネットワークケーブルがホストとスイッチに差し込まれていることを確認します。
- リンク障害がこのホストだけに存在するか、同じスイッチに接続された他のホストにも存在するかを確認します。
- ネットワークケーブルとネットワークインターフェイスが予想どおりに機能していることを確認します。ハードウェア診断手順を実施して、不具合ケーブルとネットワークインターフェイスカードを置き換えます。
- ディスクの設定がデバイスの設定と一致しない場合は、NetworkManager を起動するか再起動して、インメモリー接続を作成することで、デバイスの設定を反映します。この問題の詳細と回避方法は、Red Hat ナレッジベースソリューション NetworkManager duplicates a connection after restart of NetworkManager service を参照してください。
2.6. nmstatectl
を使用した静的 IP アドレスでのイーサネット接続の設定
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、Nmstate API を介してイーサネット接続を設定します。Nmstate API は、設定を行った後、結果が設定ファイルと一致することを確認します。何らかの障害が発生した場合には、nmstatectl
は自動的に変更をロールバックし、システムが不正な状態のままにならないようにします。
前提条件
- 物理または仮想イーサネットネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) がサーバーに設定されている。
-
nmstate
パッケージがインストールされている。
手順
以下の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-ethernet-profile.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: enp1s0 type: ethernet state: up ipv4: enabled: true address: - ip: 192.0.2.1 prefix-length: 24 dhcp: false ipv6: enabled: true address: - ip: 2001:db8:1::1 prefix-length: 64 autoconf: false dhcp: false routes: config: - destination: 0.0.0.0/0 next-hop-address: 192.0.2.254 next-hop-interface: enp1s0 - destination: ::/0 next-hop-address: 2001:db8:1::fffe next-hop-interface: enp1s0 dns-resolver: config: search: - example.com server: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb
これらの設定では、次の設定を使用して
enp1s0
デバイスのイーサネット接続プロファイルを定義します。-
静的 IPv4 アドレス:
192.0.2.1
(サブネットマスクが/24
) -
静的 IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1
(サブネットマスクが/64
) -
IPv4 デフォルトゲートウェイ -
192.0.2.254
-
IPv6 デフォルトゲートウェイ -
2001:db8:1::fffe
-
IPv4 DNS サーバー -
192.0.2.200
-
IPv6 DNS サーバー -
2001:db8:1::ffbb
-
DNS 検索ドメイン -
example.com
-
静的 IPv4 アドレス:
オプション:
interfaces
プロパティーでidentifier: mac-address
およびmac-address: <mac_address>
プロパティーを定義すると、ネットワークインターフェイスカードを名前ではなく MAC アドレスで識別できます。次に例を示します。--- interfaces: - name: <profile_name> type: ethernet identifier: mac-address mac-address: <mac_address> ...
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-ethernet-profile.yml
検証
現在の状態を YAML 形式で表示します。
# nmstatectl show enp1s0
NIC の IP 設定を表示します。
# ip address show enp1s0 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:17:b8:b6 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute enp1s0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::fffe/64 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip route show default default via 192.0.2.254 dev enp1s0 proto static metric 102
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip -6 route show default default via 2001:db8:1::ffee dev enp1s0 proto static metric 102 pref medium
DNS 設定を表示します。
# cat /etc/resolv.conf search example.com nameserver 192.0.2.200 nameserver 2001:db8:1::ffbb
複数の接続プロファイルが同時にアクティブな場合、
nameserver
エントリーの順序は、これらのプロファイルの DNS 優先度の値と接続タイプによって異なります。ping
ユーティリティーを使用して、このホストがパケットを他のホストに送信できることを確認します。# ping <host-name-or-IP-address>
関連情報
-
システム上の
nmstatectl(8)
man ページ -
/usr/share/doc/nmstate/examples/
directory
2.7. network
RHEL システムロールとインターフェイス名を使用した静的 IP アドレスでのイーサネット接続の設定
Red Hat Enterprise Linux ホストをイーサネットネットワークに接続するには、ネットワークデバイスの NetworkManager 接続プロファイルを作成します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用すると、静的 IP アドレス、ゲートウェイ、および DNS 設定を使用してイーサネット接続を設定し、それらを指定のインターフェイス名に割り当てることができます。
通常、管理者は Playbook を再利用します。Ansible が静的 IP アドレスを割り当てるホストごとに、個別の Playbook を管理することはありません。そうすることにより、Playbook 内の変数を使用し、外部ファイルで設定を維持できます。その結果、複数のホストに個別の設定を動的に割り当てるために必要な Playbook が 1 つだけになります。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - サーバーの構成に物理または仮想イーサネットデバイスが存在する。
- 管理対象ノードが NetworkManager を使用してネットワークを設定している。
手順
~/inventory
ファイルを編集し、ホストエントリーにホスト固有の設定を追加します。managed-node-01.example.com interface=enp1s0 ip_v4=192.0.2.1/24 ip_v6=2001:db8:1::1/64 gateway_v4=192.0.2.254 gateway_v6=2001:db8:1::fffe managed-node-02.example.com interface=enp1s0 ip_v4=192.0.2.2/24 ip_v6=2001:db8:1::2/64 gateway_v4=192.0.2.254 gateway_v6=2001:db8:1::fffe
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com,managed-node-02.example.com tasks: - name: Ethernet connection profile with static IP address settings ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: "{{ interface }}" interface_name: "{{ interface }}" type: ethernet autoconnect: yes ip: address: - "{{ ip_v4 }}" - "{{ ip_v6 }}" gateway4: "{{ gateway_v4 }}" gateway6: "{{ gateway_v6 }}" dns: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb dns_search: - example.com state: up
この Playbook は、インベントリーファイルから各ホストの特定の値を動的に読み取り、すべてのホストで同じ設定に対して Playbook 内の静的な値を使用します。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
管理対象ノードの Ansible fact をクエリーし、アクティブなネットワーク設定を確認します。
# ansible managed-node-01.example.com -m ansible.builtin.setup ... "ansible_default_ipv4": { "address": "192.0.2.1", "alias": "enp1s0", "broadcast": "192.0.2.255", "gateway": "192.0.2.254", "interface": "enp1s0", "macaddress": "52:54:00:17:b8:b6", "mtu": 1500, "netmask": "255.255.255.0", "network": "192.0.2.0", "prefix": "24", "type": "ether" }, "ansible_default_ipv6": { "address": "2001:db8:1::1", "gateway": "2001:db8:1::fffe", "interface": "enp1s0", "macaddress": "52:54:00:17:b8:b6", "mtu": 1500, "prefix": "64", "scope": "global", "type": "ether" }, ... "ansible_dns": { "nameservers": [ "192.0.2.1", "2001:db8:1::ffbb" ], "search": [ "example.com" ] }, ...
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
2.8. network
RHEL システムロールとデバイスパスを使用した静的 IP アドレスでのイーサネット接続の設定
Red Hat Enterprise Linux ホストをイーサネットネットワークに接続するには、ネットワークデバイスの NetworkManager 接続プロファイルを作成します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用すると、静的 IP アドレス、ゲートウェイ、および DNS 設定を使用してイーサネット接続を設定し、それらを名前ではなくパスに基づいてデバイスに割り当てることができます。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - サーバーの設定に物理または仮想イーサネットデバイスが存在する。
- 管理対象ノードが NetworkManager を使用してネットワークを設定している。
-
デバイスのパスがわかっている。
udevadm info /sys/class/net/<device_name> | grep ID_PATH=
コマンドを使用すると、デバイスパスを表示できます。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Ethernet connection profile with static IP address settings ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: example match: path: - pci-0000:00:0[1-3].0 - &!pci-0000:00:02.0 type: ethernet autoconnect: yes ip: address: - 192.0.2.1/24 - 2001:db8:1::1/64 gateway4: 192.0.2.254 gateway6: 2001:db8:1::fffe dns: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb dns_search: - example.com state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
match
-
設定を適用するために満たす必要がある条件を定義します。この変数は
path
オプションでのみ使用できます。 path
-
デバイスの永続パスを定義します。固定パスまたは式の形式で設定できます。値には修飾子とワイルドカードを含めることができます。この例では、PCI ID
0000:00:0[1-3].0
に一致するデバイスには設定を適用しますが、0000:00:02.0
に一致するデバイスには適用しません。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
管理対象ノードの Ansible fact をクエリーし、アクティブなネットワーク設定を確認します。
# ansible managed-node-01.example.com -m ansible.builtin.setup ... "ansible_default_ipv4": { "address": "192.0.2.1", "alias": "enp1s0", "broadcast": "192.0.2.255", "gateway": "192.0.2.254", "interface": "enp1s0", "macaddress": "52:54:00:17:b8:b6", "mtu": 1500, "netmask": "255.255.255.0", "network": "192.0.2.0", "prefix": "24", "type": "ether" }, "ansible_default_ipv6": { "address": "2001:db8:1::1", "gateway": "2001:db8:1::fffe", "interface": "enp1s0", "macaddress": "52:54:00:17:b8:b6", "mtu": 1500, "prefix": "64", "scope": "global", "type": "ether" }, ... "ansible_dns": { "nameservers": [ "192.0.2.1", "2001:db8:1::ffbb" ], "search": [ "example.com" ] }, ...
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
2.9. nmstatectl
を使用した動的 IP アドレスでのイーサネット接続の設定
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、Nmstate API を介してイーサネット接続を設定します。Nmstate API は、設定を行った後、結果が設定ファイルと一致することを確認します。何らかの障害が発生した場合には、nmstatectl
は自動的に変更をロールバックし、システムが不正な状態のままにならないようにします。
前提条件
- 物理または仮想イーサネットネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) がサーバーに設定されている。
- DHCP サーバーをネットワークで使用できる。
-
nmstate
パッケージがインストールされている。
手順
以下の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-ethernet-profile.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: enp1s0 type: ethernet state: up ipv4: enabled: true auto-dns: true auto-gateway: true auto-routes: true dhcp: true ipv6: enabled: true auto-dns: true auto-gateway: true auto-routes: true autoconf: true dhcp: true
これらの設定では、
enp1s0
デバイスのイーサネット接続プロファイルを定義します。接続では、DHCP サーバーと IPv6 ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) から、IPv4 アドレス、IPv6 アドレス、デフォルトゲートウェイ、ルート、DNS サーバー、および検索ドメインを取得します。オプション:
interfaces
プロパティーでidentifier: mac-address
およびmac-address: <mac_address>
プロパティーを定義すると、ネットワークインターフェイスカードを名前ではなく MAC アドレスで識別できます。次に例を示します。--- interfaces: - name: <profile_name> type: ethernet identifier: mac-address mac-address: <mac_address> ...
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-ethernet-profile.yml
検証
現在の状態を YAML 形式で表示します。
# nmstatectl show enp1s0
NIC の IP 設定を表示します。
# ip address show enp1s0 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:17:b8:b6 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute enp1s0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::fffe/64 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip route show default default via 192.0.2.254 dev enp1s0 proto static metric 102
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示します。
# ip -6 route show default default via 2001:db8:1::ffee dev enp1s0 proto static metric 102 pref medium
DNS 設定を表示します。
# cat /etc/resolv.conf search example.com nameserver 192.0.2.200 nameserver 2001:db8:1::ffbb
複数の接続プロファイルが同時にアクティブな場合、
nameserver
エントリーの順序は、これらのプロファイルの DNS 優先度の値と接続タイプによって異なります。ping
ユーティリティーを使用して、このホストがパケットを他のホストに送信できることを確認します。# ping <host-name-or-IP-address>
関連情報
-
システム上の
nmstatectl(8)
man ページ -
/usr/share/doc/nmstate/examples/
directory
2.10. network
RHEL システムロールとインターフェイス名を使用した動的 IP アドレスでのイーサネット接続の設定
Red Hat Enterprise Linux ホストをイーサネットネットワークに接続するには、ネットワークデバイスの NetworkManager 接続プロファイルを作成します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用すると、DHCP サーバーおよび IPv6 ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) から IP アドレス、ゲートウェイ、および DNS 設定を取得するイーサネット接続を設定できます。このロールを使用すると、指定のインターフェイス名に接続プロファイルを割り当てることができます。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - サーバーの設定に物理または仮想イーサネットデバイスが存在する。
- ネットワーク内で DHCP サーバーと SLAAC が利用できる。
- 管理対象ノードが NetworkManager サービスを使用してネットワークを設定している。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Ethernet connection profile with dynamic IP address settings ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: enp1s0 interface_name: enp1s0 type: ethernet autoconnect: yes ip: dhcp4: yes auto6: yes state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
dhcp4: yes
- DHCP、PPP、または同様のサービスからの自動 IPv4 アドレス割り当てを有効にします。
auto6: yes
-
IPv6 自動設定を有効にします。デフォルトでは、NetworkManager はルーター広告を使用します。ルーターが
managed
フラグを通知すると、NetworkManager は DHCPv6 サーバーに IPv6 アドレスと接頭辞を要求します。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
管理対象ノードの Ansible fact をクエリーし、インターフェイスが IP アドレスと DNS 設定を受信したことを確認します。
# ansible managed-node-01.example.com -m ansible.builtin.setup ... "ansible_default_ipv4": { "address": "192.0.2.1", "alias": "enp1s0", "broadcast": "192.0.2.255", "gateway": "192.0.2.254", "interface": "enp1s0", "macaddress": "52:54:00:17:b8:b6", "mtu": 1500, "netmask": "255.255.255.0", "network": "192.0.2.0", "prefix": "24", "type": "ether" }, "ansible_default_ipv6": { "address": "2001:db8:1::1", "gateway": "2001:db8:1::fffe", "interface": "enp1s0", "macaddress": "52:54:00:17:b8:b6", "mtu": 1500, "prefix": "64", "scope": "global", "type": "ether" }, ... "ansible_dns": { "nameservers": [ "192.0.2.1", "2001:db8:1::ffbb" ], "search": [ "example.com" ] }, ...
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
2.11. network
RHEL システムロールとデバイスパスを使用した動的 IP アドレスでのイーサネット接続の設定
Red Hat Enterprise Linux ホストをイーサネットネットワークに接続するには、ネットワークデバイスの NetworkManager 接続プロファイルを作成します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用すると、DHCP サーバーおよび IPv6 ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) から IP アドレス、ゲートウェイ、および DNS 設定を取得するイーサネット接続を設定できます。このロールにより、インターフェイス名ではなくパスに基づいてデバイスに接続プロファイルを割り当てることができます。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - サーバーの設定に物理または仮想イーサネットデバイスが存在する。
- ネットワーク内で DHCP サーバーと SLAAC が利用できる。
- 管理対象ホストは、NetworkManager を使用してネットワークを設定します。
-
デバイスのパスがわかっている。
udevadm info /sys/class/net/<device_name> | grep ID_PATH=
コマンドを使用すると、デバイスパスを表示できます。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Ethernet connection profile with dynamic IP address settings ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: example match: path: - pci-0000:00:0[1-3].0 - &!pci-0000:00:02.0 type: ethernet autoconnect: yes ip: dhcp4: yes auto6: yes state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
match: path
-
設定を適用するために満たす必要がある条件を定義します。この変数は
path
オプションでのみ使用できます。 path: <path_and_expressions>
-
デバイスの永続パスを定義します。固定パスまたは式の形式で設定できます。値には修飾子とワイルドカードを含めることができます。この例では、PCI ID
0000:00:0[1-3].0
に一致するデバイスには設定を適用しますが、0000:00:02.0
に一致するデバイスには適用しません。 dhcp4: yes
- DHCP、PPP、または同様のサービスからの自動 IPv4 アドレス割り当てを有効にします。
auto6: yes
-
IPv6 自動設定を有効にします。デフォルトでは、NetworkManager はルーター広告を使用します。ルーターが
managed
フラグを通知すると、NetworkManager は DHCPv6 サーバーに IPv6 アドレスと接頭辞を要求します。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
管理対象ノードの Ansible fact をクエリーし、インターフェイスが IP アドレスと DNS 設定を受信したことを確認します。
# ansible managed-node-01.example.com -m ansible.builtin.setup ... "ansible_default_ipv4": { "address": "192.0.2.1", "alias": "enp1s0", "broadcast": "192.0.2.255", "gateway": "192.0.2.254", "interface": "enp1s0", "macaddress": "52:54:00:17:b8:b6", "mtu": 1500, "netmask": "255.255.255.0", "network": "192.0.2.0", "prefix": "24", "type": "ether" }, "ansible_default_ipv6": { "address": "2001:db8:1::1", "gateway": "2001:db8:1::fffe", "interface": "enp1s0", "macaddress": "52:54:00:17:b8:b6", "mtu": 1500, "prefix": "64", "scope": "global", "type": "ether" }, ... "ansible_dns": { "nameservers": [ "192.0.2.1", "2001:db8:1::ffbb" ], "search": [ "example.com" ] }, ...
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
2.12. インターフェイス名による単一の接続プロファイルを使用した複数のイーサネットインターフェイスの設定
ほとんどの場合、1 つの接続プロファイルには 1 つのネットワークデバイスの設定が含まれています。ただし、接続プロファイルでインターフェイス名を設定する場合、NetworkManager はワイルドカードもサポートします。ホストが動的 IP アドレス割り当てを使用してイーサネットネットワーク間をローミングする場合、この機能を使用して、複数のイーサネットインターフェイスに使用できる単一の接続プロファイルを作成できます。
前提条件
- サーバーの設定には、物理または仮想のイーサネットデバイスが複数存在します。
- DHCP サーバーをネットワークで使用できる。
- ホストに接続プロファイルが存在しません。
手順
enp
で始まるすべてのインターフェイス名に適用される接続プロファイルを追加します。# nmcli connection add con-name "Wired connection 1" connection.multi-connect multiple match.interface-name enp* type ethernet
検証
単一接続プロファイルのすべての設定を表示します。
# nmcli connection show "Wired connection 1" connection.id: Wired connection 1 ... connection.multi-connect: 3 (multiple) match.interface-name:
enp*
...3
は、接続プロファイルで同時にアクティブなインターフェイスの数を示し、接続プロファイルのネットワークインターフェイスの数ではありません。接続プロファイルは、match.interface-name
パラメーターのパターンに一致するすべてのデバイスを使用するため、接続プロファイルには同じ Universally Unique Identifier (UUID) があります。接続のステータスを表示します。
# nmcli connection show NAME UUID TYPE DEVICE ... Wired connection 1 6f22402e-c0cc-49cf-b702-eaf0cd5ea7d1 ethernet enp7s0 Wired connection 1 6f22402e-c0cc-49cf-b702-eaf0cd5ea7d1 ethernet enp8s0 Wired connection 1 6f22402e-c0cc-49cf-b702-eaf0cd5ea7d1 ethernet enp9s0
関連情報
-
システム上の
nmcli(1)
man ページ -
nm-settings(5)
man ページ
2.13. PCI ID を使用した複数のイーサネットインターフェイスの単一接続プロファイルの設定
PCI ID は、システムに接続されているデバイスの一意の識別子です。接続プロファイルは、PCI ID のリストに基づいてインターフェイスを照合することにより、複数のデバイスを追加します。この手順を使用して、複数のデバイス PCI ID を単一の接続プロファイルに接続できます。
前提条件
- サーバーの設定には、物理または仮想のイーサネットデバイスが複数存在します。
- DHCP サーバーをネットワークで使用できる。
- ホストに接続プロファイルが存在しません。
手順
デバイスパスを特定します。たとえば、
enp
で始まるすべてのインターフェイスのデバイスパスを表示するには、次のように入力します。# udevadm info /sys/class/net/enp | grep ID_PATH=* ... E: ID_PATH=pci-0000:07:00.0 E: ID_PATH=pci-0000:08:00.0
0000:00:0[7-8].0
式に一致するすべての PCI ID に適用される接続プロファイルを追加します。# nmcli connection add type ethernet connection.multi-connect multiple match.path "pci-0000:07:00.0 pci-0000:08:00.0" con-name "Wired connection 1"
検証
接続のステータスを表示します。
# nmcli connection show NAME UUID TYPE DEVICE Wired connection 1 9cee0958-512f-4203-9d3d-b57af1d88466 ethernet enp7s0 Wired connection 1 9cee0958-512f-4203-9d3d-b57af1d88466 ethernet enp8s0 ...
接続プロファイルのすべての設定を表示するには、次のコマンドを実行します。
# nmcli connection show "Wired connection 1" connection.id: Wired connection 1 ... connection.multi-connect: 3 (multiple) match.path: pci-0000:07:00.0,pci-0000:08:00.0 ...
この接続プロファイルは、
match.path
パラメーターのパターンに一致する PCI ID を持つすべてのデバイスを使用するため、接続プロファイルには同じ Universally Unique Identifier (UUID) があります。
関連情報
-
システム上の
nmcli(1)
man ページ -
nm-settings(5)
man ページ
第3章 ネットワークボンディングの設定
ネットワークボンディングは、物理ネットワークインターフェイスと仮想ネットワークインターフェイスを組み合わせるか集約して、より高いスループットまたは冗長性を備えた論理インターフェイスを提供する方法です。ボンディングでは、カーネルがすべての操作を排他的に処理します。イーサネットデバイスや VLAN など、さまざまなタイプのデバイスでネットワークボンディングを作成できます。
Red Hat Enterprise Linux は、チームデバイスを設定するためのさまざまなオプションを管理者に提供します。以下に例を示します。
-
nmcli
を使用し、コマンドラインを使用してボンディング接続を設定します。 - RHEL Web コンソールを使用し、Web ブラウザーを使用してボンディング接続を設定します。
-
nmtui
を使用して、テキストベースのユーザーインターフェイスでボンディング接続を設定します。 -
nm-connection-editor
アプリケーションを使用して、グラフィカルインターフェイスでボンディング接続を設定します。 -
nmstatectl
を使用して、Nmstate API を介してボンディング接続を設定します。 - RHEL システムロールを使用して、1 つまたは複数のホストでボンディング設定を自動化します。
3.1. コントローラーおよびポートインターフェイスのデフォルト動作の理解
NetworkManager
サービスを使用してチームまたはボンディングのポートインターフェイスを管理またはトラブルシューティングする場合は、以下のデフォルトの動作を考慮してください。
- コントローラーインターフェイスを起動しても、ポートインターフェイスは自動的に起動しない。
- ポートインターフェイスを起動すると、コントローラーインターフェイスは毎回、起動する。
- コントローラーインターフェイスを停止すると、ポートインターフェイスも停止する。
- ポートのないコントローラーは、静的 IP 接続を開始できる。
- コントローラーにポートがない場合は、DHCP 接続の開始時にポートを待つ。
- DHCP 接続でポートを待機中のコントローラーは、キャリアを伴うポートの追加時に完了する。
- DHCP 接続でポートを待機中のコントローラーは、キャリアを伴わないポートを追加する時に待機を継続する。
3.2. ボンディングモードに応じたアップストリームのスイッチ設定
使用するボンディングモードに応じて、スイッチでポートを設定する必要があります。
ボンディングモード | スイッチの設定 |
---|---|
| Link Aggregation Control Protocol (LACP) ネゴシエーションによるものではなく、静的な EtherChannel を有効にする必要があります。 |
| このスイッチで必要な設定は必要ありません。 |
| LACP ネゴシエーションによるものではなく、静的な EtherChannel を有効にする必要があります。 |
| LACP ネゴシエーションによるものではなく、静的な EtherChannel を有効にする必要があります。 |
| LACP ネゴシエーションにより設定された EtherChannel が有効になっている必要があります。 |
| このスイッチで必要な設定は必要ありません。 |
| このスイッチで必要な設定は必要ありません。 |
| このスイッチで必要な設定は必要ありません。 |
スイッチの設定方法の詳細は、スイッチのドキュメントを参照してください。
特定のネットワークボンディング機能 (例: fail-over メカニズム) は、ネットワークスイッチなしでのダイレクトケーブル接続に対応していません。詳細は、Red Hat ナレッジベースのソリューション記事 Is bonding supported with direct connection using crossover cables を参照してください。
3.3. nmcli
を使用したネットワークボンディングの設定
コマンドラインでネットワークボンディングを設定するには、nmcli
ユーティリティーを使用します。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
-
ホストが Red Hat Enterprise Linux 9.4 以降で実行されている。このバージョンでは、この手順で使用される
port-type
、controller
、connection.autoconnect-ports
オプションが導入されました。以前の RHEL バージョンでは、代わりにslave-type
、master
、connection.autoconnect-slaves
が使用されます。 - ボンディングのポートとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスがサーバーにインストールされている。
ボンディングのポートにチーム、ブリッジ、または VLAN デバイスを使用するには、ボンディングの作成時にこれらのデバイスを作成するか、次の説明に従って事前にデバイスを作成することができます。
手順
ボンドインターフェイスを作成します。
# nmcli connection add type bond con-name bond0 ifname bond0 bond.options "mode=active-backup"
このコマンドは、
active-backup
モードを使用するbond0
という名前のボンディングを作成します。Media Independent Interface (MII) 監視間隔も設定する場合は、
miimon=interval
オプションをbond.options
プロパティーに追加します。次に例を示します。# nmcli connection add type bond con-name bond0 ifname bond0 bond.options "mode=active-backup,miimon=1000"
ネットワークインターフェイスを表示して、ボンドに追加する予定のインターフェイス名を書き留めます。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp7s0 ethernet disconnected -- enp8s0 ethernet disconnected -- bridge0 bridge connected bridge0 bridge1 bridge connected bridge1 ...
この例では、以下のように設定されています。
-
enp7s0
およびenp8s0
は設定されません。これらのデバイスをポートとして使用するには、次のステップに接続プロファイルを追加します。 -
bridge0
およびbridge1
には既存の接続プロファイルがあります。これらのデバイスをポートとして使用するには、次の手順でプロファイルを変更します。
-
インターフェイスをボンディングに割り当てます。
ボンディングに割り当てるインターフェイスが設定されていない場合は、インターフェイス用に新しい接続プロファイルを作成します。
# nmcli connection add type ethernet port-type bond con-name bond0-port1 ifname enp7s0 controller bond0 # nmcli connection add type ethernet port-type bond con-name bond0-port2 ifname enp8s0 controller bond0
これらのコマンドは、
enp7s0
およびenp8s0
のプロファイルを作成し、bond0
接続に追加します。既存の接続プロファイルをボンディングに割り当てるには、以下を実行します。
これらの接続の
controller
パラメーターをbond0
に設定します。# nmcli connection modify bridge0 controller bond0 # nmcli connection modify bridge1 controller bond0
これらのコマンドは、
bridge0
およびbridge1
という名前の既存の接続プロファイルをbond0
接続に割り当てます。接続を再度アクティブにします。
# nmcli connection up bridge0 # nmcli connection up bridge1
IPv4 を設定します。
このボンドデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify bond0 ipv4.method disabled
- DHCP を使用するために必要な操作はありません。
静的 IPv4 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを
bond0
接続に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify bond0 ipv4.addresses '192.0.2.1/24' ipv4.gateway '192.0.2.254' ipv4.dns '192.0.2.253' ipv4.dns-search 'example.com' ipv4.method manual
IPv6 設定を行います。
このボンドデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify bond0 ipv6.method disabled
- ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用する場合、アクションは必要ありません。
静的 IPv6 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを
bond0
接続に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify bond0 ipv6.addresses '2001:db8:1::1/64' ipv6.gateway '2001:db8:1::fffe' ipv6.dns '2001:db8:1::fffd' ipv6.dns-search 'example.com' ipv6.method manual
オプション: ボンディングポートにパラメーターを設定する場合は、次のコマンドを使用します。
# nmcli connection modify bond0-port1 bond-port.<parameter> <value>
接続をアクティベートします。
# nmcli connection up bond0
ポートが接続されており、
CONNECTION
コラムがポートの接続名を表示していることを確認します。# nmcli device DEVICE TYPE STATE CONNECTION ... enp7s0 ethernet connected bond0-port1 enp8s0 ethernet connected bond0-port2
接続のいずれかのポートをアクティブにすると、NetworkManager はボンディングもアクティブにしますが、他のポートはアクティブにしません。ボンディングが有効な場合に、Red Hat Enterprise Linux がすべてのポートを自動的に有効にするように設定できます。
ボンディングの接続の
connection.autoconnect-ports
パラメーターを有効にします。# nmcli connection modify bond0 connection.autoconnect-ports 1
ブリッジを再度アクティブにします。
# nmcli connection up bond0
検証
ネットワークデバイスの 1 つからネットワークケーブルを一時的に取り外し、ボンディング内の他のデバイスがトラフィックを処理しているかどうかを確認します。
ソフトウェアユーティリティーを使用して、リンク障害イベントを適切にテストする方法がないことに注意してください。
nmcli
などの接続を非アクティブにするツールでは、ポート設定の変更を処理するボンディングドライバーの機能のみが表示され、実際のリンク障害イベントは表示されません。ボンドのステータスを表示します。
# cat /proc/net/bonding/bond0
3.4. RHEL Web コンソールを使用したネットワークボンディングの設定
Web ブラウザーベースのインターフェイスを使用してネットワーク設定を管理する場合は、RHEL Web コンソールを使用してネットワークボンディングを設定します。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- ボンディングのメンバーとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスがサーバーにインストールされている。
チーム、ブリッジ、または VLAN デバイスを結合のメンバーとして使用するには、次の説明に従って事前に作成します。
RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。
手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。
手順
RHEL 9 Web コンソールにログインします。
詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。
- 画面左側のナビゲーションで Networking タブを選択します。
- Interfaces セクションで をクリックします。
- 作成するボンドデバイスの名前を入力します。
- 結合のメンバーにするインターフェイスを選択します。
結合のモードを選択します。
Active backup を選択すると、Web コンソールに追加フィールド Primary が表示され、ここで優先するアクティブデバイスを選択できます。
-
リンクモニタリング監視モードを設定します。たとえば、Adaptive load balancing モードを使用する場合は、
ARP
に設定します。 オプション: モニター間隔、リンクアップ遅延、およびリンクダウン遅延の設定を調整します。通常、トラブルシューティングの目的でのみデフォルトを変更します。
- をクリックします。
デフォルトでは、ボンドは動的 IP アドレスを使用します。静的 IP アドレスを設定する場合:
- Interfaces セクションでボンドの名前をクリックします。
- 設定するプロトコルの横にある Edit をクリックします。
- Addresses の横にある Manual を選択し、IP アドレス、接頭辞、およびデフォルトゲートウェイを入力します。
- DNS セクションで ボタンをクリックし、DNS サーバーの IP アドレスを入力します。複数の DNS サーバーを設定するには、この手順を繰り返します。
- DNS search domains セクションで、 ボタンをクリックし、検索ドメインを入力します。
インターフェイスにスタティックルートが必要な場合は、Routes セクションで設定します。
- をクリックします。
検証
画面左側のナビゲーションで Networking タブを選択し、インターフェイスに着信および発信トラフィックがあるか確認します。
ネットワークデバイスの 1 つからネットワークケーブルを一時的に取り外し、ボンディング内の他のデバイスがトラフィックを処理しているかどうかを確認します。
ソフトウェアユーティリティーを使用して、リンク障害イベントを適切にテストする方法がないことに注意してください。Web コンソールなどの接続を非アクティブ化するツールは、実際のリンク障害イベントではなく、メンバー設定の変更を処理するボンディングドライバーの機能のみを示します。
ボンドのステータスを表示します。
# cat /proc/net/bonding/bond0
3.5. nmtui
を使用したネットワークボンディングの設定
nmtui
アプリケーションは、NetworkManager 用のテキストベースのユーザーインターフェイスを提供します。nmtui
を使用して、グラフィカルインターフェイスを使用せずにホスト上でネットワークボンドを設定できます。
nmtui
で以下を行います。
- カーソルキーを使用してナビゲートします。
- ボタンを選択して Enter を押します。
- Space を使用してチェックボックスをオンまたはオフにします。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- ボンディングのポートとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスがサーバーにインストールされている。
手順
ネットワークボンドを設定するネットワークデバイス名がわからない場合は、使用可能なデバイスを表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp7s0 ethernet unavailable -- enp8s0 ethernet unavailable -- ...
nmtui
を開始します。# nmtui
- Edit a connection 選択し、Enter を押します。
- Add を押します。
- ネットワークタイプのリストから Bond を選択し、Enter を押します。
オプション: 作成する NetworkManager プロファイルの名前を入力します。
ホストに複数のプロファイルがある場合は、わかりやすい名前を付けると、プロファイルの目的を識別しやすくなります。
- 作成するボンドデバイス名を Device フィールドに入力します。
作成するボンドにポートを追加します。
- Slaves リストの横にある Add を押します。
- ボンドにポートとして追加するインターフェイスのタイプ (例: Ethernet) を選択します。
- オプション: このボンドポート用に作成する NetworkManager プロファイルの名前を入力します。
- ポートのデバイス名を Device フィールドに入力します。
OK を押して、ボンディング設定のウィンドウに戻ります。
図3.1 イーサネットデバイスをポートとしてボンドに追加する
- ボンドにさらにポートを追加するには、これらの手順を繰り返します。
-
ボンディングモードを設定します。設定した値に応じて、
nmtui
は、選択したモードに関連する設定の追加フィールドを表示します。 環境に応じて、IPv4 configuration および IPv6 configuration 領域に IP アドレス設定を設定します。これを行うには、これらの領域の横にあるボタンを押して、次を選択します。
-
ボンドが IP アドレスを必要としない場合は
Disabled
にします。 -
DHCP サーバーまたはステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) が IP アドレスをボンディングに動的に割り当てる場合は、
Automatic
にします。 ネットワークで静的 IP アドレス設定が必要な場合は、
Manual
にします。この場合、さらにフィールドに入力する必要があります。- 設定するプロトコルの横にある Show を押して、追加のフィールドを表示します。
Addresses の横にある Add を押して、IP アドレスとサブネットマスクを Classless Inter-Domain Routing (CIDR) 形式で入力します。
サブネットマスクを指定しない場合、NetworkManager は IPv4 アドレスに
/32
サブネットマスクを設定し、IPv6 アドレスに/64
サブネットマスクを設定します。- デフォルトゲートウェイのアドレスを入力します。
- DNS servers の横にある Add を押して、DNS サーバーのアドレスを入力します。
- Search domains の横にある Add を押して、DNS 検索ドメインを入力します。
図3.2 静的 IP アドレス設定によるボンド接続例
-
ボンドが IP アドレスを必要としない場合は
- OK を押すと、新しい接続が作成され、自動的にアクティブ化されます。
- Back を押してメインメニューに戻ります。
-
Quit を選択し、Enter キーを押して
nmtui
アプリケーションを閉じます。
検証
ネットワークデバイスの 1 つからネットワークケーブルを一時的に取り外し、ボンディング内の他のデバイスがトラフィックを処理しているかどうかを確認します。
ソフトウェアユーティリティーを使用して、リンク障害イベントを適切にテストする方法がないことに注意してください。
nmcli
などの接続を非アクティブにするツールでは、ポート設定の変更を処理するボンディングドライバーの機能のみが表示され、実際のリンク障害イベントは表示されません。ボンドのステータスを表示します。
# cat /proc/net/bonding/bond0
3.6. nm-connection-editor を使用したネットワークボンディングの設定
グラフィカルインターフェイスで Red Hat Enterprise Linux を使用する場合は、nm-connection-editor
アプリケーションを使用してネットワークボンディングを設定できます。
nm-connection-editor
は、新しいポートだけをボンドに追加できることに注意してください。既存の接続プロファイルをポートとして使用するには、nmcli を使用したネットワークボンディングの設定 の説明に従って nmcli
ユーティリティーを使用してボンディングを作成します。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- ボンディングのポートとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスがサーバーにインストールされている。
- ボンディングのポートとしてチーム、ボンディング、または VLAN デバイスを使用するには、これらのデバイスがまだ設定されていないことを確認してください。
手順
ターミナルを開き、
nm-connection-editor
と入力します。$ nm-connection-editor
- ボタンをクリックして、新しい接続を追加します。
- 接続タイプ Bond を選択し、 をクリックします。
Bond タブで、以下を行います。
- 必要に応じて、Interface name フィールドにボンドインターフェイスの名前を設定します。
- インターフェイスの接続タイプを選択します。たとえば、有線接続に Ethernet を選択します。
- 必要に応じて、ポートの接続名を設定します。
- イーサネットデバイスの接続プロファイルを作成する場合は、Ethernet タブを開き、Device フィールドでポートとしてボンディングに追加するネットワークインターフェイスを選択します。別のデバイスタイプを選択した場合は、それに応じて設定します。イーサネットインターフェイスは、設定されていないボンディングでのみ使用できることに注意してください。
- をクリックします。
ボンディングに追加する各インターフェイスで直前の手順を繰り返します。
- 必要に応じて、Media Independent Interface (MII) の監視間隔などの他のオプションを設定します。
IPv4 Settings タブと IPv6 Settings タブの両方で IP アドレス設定を設定します。
- このブリッジデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、Method フィールドを Disabled に設定します。
- DHCP を使用するには、Method フィールドをデフォルトの Automatic (DHCP) のままにします。
静的 IP 設定を使用するには、Method フィールドを Manual に設定し、それに応じてフィールドに値を入力します。
- をクリックします。
-
nm-connection-editor
を閉じます。
検証
ネットワークデバイスの 1 つからネットワークケーブルを一時的に取り外し、ボンディング内の他のデバイスがトラフィックを処理しているかどうかを確認します。
ソフトウェアユーティリティーを使用して、リンク障害イベントを適切にテストする方法がないことに注意してください。
nmcli
などの接続を非アクティブにするツールでは、ポート設定の変更を処理するボンディングドライバーの機能のみが表示され、実際のリンク障害イベントは表示されません。ボンドのステータスを表示します。
# cat /proc/net/bonding/bond0
3.7. nmstatectl
を使用したネットワークボンディングの設定
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、Nmstate API を介してネットワークボンディングを設定します。Nmstate API は、設定を行った後、結果が設定ファイルと一致することを確認します。何らかの障害が発生した場合には、nmstatectl
は自動的に変更をロールバックし、システムが不正な状態のままにならないようにします。
環境に応じて、YAML ファイルを適宜調整します。たとえば、ボンディングでイーサネットアダプターとは異なるデバイスを使用するには、ボンディングで使用するポートの Base-iface
属性と type
属性を調整します。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- 物理または仮想のイーサネットデバイスをサーバーにインストールしてボンディングでポートとしてイーサネットデバイスを使用する。
-
ポート
リストでインターフェイス名を設定し、対応するインターフェイスを定義して、ボンディングのポートとしてチーム、ブリッジ、または VLAN デバイスを使用する。 -
nmstate
パッケージがインストールされている。
手順
以下の内容を含む YAML ファイルを作成します (例:
~/create-bond.yml
)。--- interfaces: - name: bond0 type: bond state: up ipv4: enabled: true address: - ip: 192.0.2.1 prefix-length: 24 dhcp: false ipv6: enabled: true address: - ip: 2001:db8:1::1 prefix-length: 64 autoconf: false dhcp: false link-aggregation: mode: active-backup port: - enp1s0 - enp7s0 - name: enp1s0 type: ethernet state: up - name: enp7s0 type: ethernet state: up routes: config: - destination: 0.0.0.0/0 next-hop-address: 192.0.2.254 next-hop-interface: bond0 - destination: ::/0 next-hop-address: 2001:db8:1::fffe next-hop-interface: bond0 dns-resolver: config: search: - example.com server: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb
これらの設定では、次の設定を使用してネットワークボンディングを定義します。
-
ボンドのネットワークインターフェイス:
enp1s0
およびenp7s0
-
モード:
active-backup
-
静的 IPv4 アドレス: サブネットマスクが
/24
の192.0.2.1
-
静的 IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1
(/64
サブネットマスクあり) -
IPv4 デフォルトゲートウェイ:
192.0.2.254
-
IPv6 デフォルトゲートウェイ:
2001:db8:1::fffe
-
IPv4 DNS サーバー:
192.0.2.200
-
IPv6 DNS サーバー:
2001:db8:1::ffbb
-
DNS 検索ドメイン:
example.com
-
ボンドのネットワークインターフェイス:
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-bond.yml
検証
デバイスおよび接続の状態を表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION bond0 bond connected bond0
接続プロファイルのすべての設定を表示します。
# nmcli connection show bond0 connection.id: bond0 connection.uuid: 79cbc3bd-302e-4b1f-ad89-f12533b818ee connection.stable-id: -- connection.type: bond connection.interface-name: bond0 ...
接続設定を YAML 形式で表示します。
# nmstatectl show bond0
関連情報
-
システム上の
nmstatectl(8)
man ページ -
/usr/share/doc/nmstate/examples/
directory
3.8. network
RHEL システムロールを使用したネットワークボンディングの設定
ネットワークインターフェイスをボンディングで組み合わせると、より高いスループットまたは冗長性を備えた論理インターフェイスを提供できます。ボンディングを設定するには、NetworkManager 接続プロファイルを作成します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用してネットワークボンディングを設定できます。ボンディングの親デバイスの接続プロファイルが存在しない場合は、このロールによって作成することもできます。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Bond connection profile with two Ethernet ports ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: # Bond profile - name: bond0 type: bond interface_name: bond0 ip: dhcp4: yes auto6: yes bond: mode: active-backup state: up # Port profile for the 1st Ethernet device - name: bond0-port1 interface_name: enp7s0 type: ethernet controller: bond0 state: up # Port profile for the 2nd Ethernet device - name: bond0-port2 interface_name: enp8s0 type: ethernet controller: bond0 state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
type: <profile_type>
- 作成するプロファイルのタイプを設定します。このサンプル Playbook では、3 つの接続プロファイルを作成します。1 つはボンディング用、2 つはイーサネットデバイス用です。
dhcp4: yes
- DHCP、PPP、または同様のサービスからの自動 IPv4 アドレス割り当てを有効にします。
auto6: yes
-
IPv6 自動設定を有効にします。デフォルトでは、NetworkManager はルーター広告を使用します。ルーターが
managed
フラグを通知すると、NetworkManager は DHCPv6 サーバーに IPv6 アドレスと接頭辞を要求します。 mode: <bond_mode>
ボンディングモードを設定します。可能な値は次のとおりです。
-
balance-rr
(デフォルト) -
active-backup
-
balance-xor
-
broadcast
-
802.3ad
-
balance-tlb
-
balance-alb
設定したモードに応じて、Playbook で追加の変数を設定する必要があります。
-
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
ネットワークデバイスの 1 つからネットワークケーブルを一時的に取り外し、ボンディング内の他のデバイスがトラフィックを処理しているかどうかを確認します。
ソフトウェアユーティリティーを使用して、リンク障害イベントを適切にテストする方法がないことに注意してください。
nmcli
などの接続を非アクティブにするツールでは、ポート設定の変更を処理するボンディングドライバーの機能のみが表示され、実際のリンク障害イベントは表示されません。
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
3.9. VPN を中断せずにイーサネットとワイヤレス接続間の切り替えを可能にするネットワークボンディングの作成
ワークステーションを会社のネットワークに接続する RHEL ユーザーは、通常、リモートリソースにアクセスするのに VPN を使用します。ただし、イーサネット接続と Wi-Fi 接続間のワークステーションスイッチ (たとえば、イーサネット接続のあるドッキングステーションからラップトップを解放した場合など) は、VPN 接続が中断されます。この問題を回避するには、active-backup
モードでイーサネット接続および Wi-Fi 接続を使用するネットワークボンディングを作成します。
前提条件
- ホストに、イーサネットデバイスと Wi-Fi デバイスが含まれている。
イーサネットおよび Wi-Fi NetworkManager 接続プロファイルが作成され、両方の接続が独立して機能します。
この手順では、以下の接続プロファイルを使用して
bond0
という名前のネットワークボンディングを作成します。-
enp11s0u1
イーサネットデバイスに関連付けられたDocking_station
-
wlp1s0
Wi-Fi デバイスに関連付けられたWi-Fi
-
手順
active-backup
モードでボンドインターフェイスを作成します。# nmcli connection add type bond con-name bond0 ifname bond0 bond.options "mode=active-backup"
このコマンドは、インターフェイスおよび接続プロファイル
bond0
の両方に名前を付けます。ボンディングの IPv4 設定を設定します。
- ネットワークの DHCP サーバーが IPv4 アドレスをホストに割り当てる場合は、何もする必要はありません。
ローカルネットワークに静的 IPv4 アドレスが必要な場合は、アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー、および DNS 検索ドメインを
bond0
接続に設定します。# nmcli connection modify bond0 ipv4.addresses '192.0.2.1/24' # nmcli connection modify bond0 ipv4.gateway '192.0.2.254' # nmcli connection modify bond0 ipv4.dns '192.0.2.253' # nmcli connection modify bond0 ipv4.dns-search 'example.com' # nmcli connection modify bond0 ipv4.method manual
ボンディングの IPv6 設定を設定します。
- ネットワークのルーターまたは DHCP サーバーが IPv6 アドレスをホストに割り当てる場合、アクションは必要ありません。
ローカルネットワークに静的 IPv6 アドレスが必要な場合は、アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、DNS サーバー、および DNS 検索ドメインを
bond0
接続に設定します。# nmcli connection modify bond0 ipv6.addresses '2001:db8:1::1/64' # nmcli connection modify bond0 ipv6.gateway '2001:db8:1::fffe' # nmcli connection modify bond0 ipv6.dns '2001:db8:1::fffd' # nmcli connection modify bond0 ipv6.dns-search 'example.com' # nmcli connection modify bond0 ipv6.method manual
接続プロファイルを表示します。
# nmcli connection show NAME UUID TYPE DEVICE Docking_station 256dd073-fecc-339d-91ae-9834a00407f9 ethernet enp11s0u1 Wi-Fi 1f1531c7-8737-4c60-91af-2d21164417e8 wifi wlp1s0 ...
次のステップでは、接続プロファイルとイーサネットデバイス名が必要です。
イーサネット接続の接続プロファイルをボンドに割り当てます。
# nmcli connection modify Docking_station controller bond0
Wi-Fi 接続の接続プロファイルをボンディングに割り当てます。
# nmcli connection modify Wi-Fi controller bond0
Wi-Fi ネットワークが MAC フィルタリングを使用して、許可リストの MAC アドレスのみがネットワークにアクセスできるようにするには、NetworkManager がアクティブなポートの MAC アドレスをボンドに動的に割り当てるように設定します。
# nmcli connection modify bond0 +bond.options fail_over_mac=1
この設定では、イーサネットデバイスと Wi-Fi デバイスの両方の MAC アドレスの代わりに、Wi-Fi デバイスの MAC アドレスのみを許可リストに設定する必要があります。
イーサネット接続に関連付けられたデバイスを、ボンドのプライマリーデバイスとして設定します。
# nmcli con modify bond0 +bond.options "primary=enp11s0u1"
この設定では、ボンディングが利用可能な場合は、イーサネット接続を常に使用します。
bond0
デバイスがアクティブになると、NetworkManager がポートを自動的にアクティブになるように設定します。# nmcli connection modify bond0 connection.autoconnect-ports 1
bond0
接続をアクティベートします。# nmcli connection up bond0
検証
現在アクティブなデバイス、ボンドおよびそのポートのステータスを表示します。
# cat /proc/net/bonding/bond0 Ethernet Channel Bonding Driver: v3.7.1 (April 27, 2011) Bonding Mode: fault-tolerance (active-backup) (fail_over_mac active) Primary Slave: enp11s0u1 (primary_reselect always) Currently Active Slave: enp11s0u1 MII Status: up MII Polling Interval (ms): 1 Up Delay (ms): 0 Down Delay (ms): 0 Peer Notification Delay (ms): 0 Slave Interface: enp11s0u1 MII Status: up Speed: 1000 Mbps Duplex: full Link Failure Count: 0 Permanent HW addr: 00:53:00:59:da:b7 Slave queue ID: 0 Slave Interface: wlp1s0 MII Status: up Speed: Unknown Duplex: Unknown Link Failure Count: 2 Permanent HW addr: 00:53:00:b3:22:ba Slave queue ID: 0
3.10. 異なるネットワークボンディングモード
Linux ボンディングドライバーは、リンクアグリゲーションを提供します。ボンディングは、複数のネットワークインターフェイスを並行して集約して、単一の論理結合インターフェイスを提供するプロセスです。ボンディングされたインターフェイスのアクションは、モードとも呼ばれるボンディングポリシーによって異なります。さまざまなモードが、ロードバランシングサービスまたはホットスタンバイサービスのいずれかを提供します。
Linux ボンディングドライバーは、次のモードをサポートしています。
- Balance-rr (モード 0)
Balance-rr
は、使用可能な最初のポートから最後のポートへとパケットを順次送信するラウンドロビンアルゴリズムを使用します。このモードは、ロードバランシングとフォールトトレランスを提供します。このモードでは、EtherChannel または同様ポートのグループ化とも呼ばれるポートアグリゲーショングループのスイッチ設定が必要です。EtherChannel は、複数の物理イーサネットリンクを 1 つの論理イーサネットリンクにグループ化するポートリンクアグリゲーションテクノロジーです。
このモードの欠点は、負荷の高いワークロードや、TCP スループットと順序付けられたパケット配信が不可欠な場合には適していないことです。
- Active-backup (Mode 1)
Active-backup
は、結合内でアクティブなポートが 1 つだけであることを決定するポリシーを使用します。このモードはフォールトトレランスを提供し、スイッチ設定は必要ありません。アクティブポートに障害が発生すると、代替ポートがアクティブになります。ボンディングは、Gratuitous Address Resolution Protocol (ARP) 応答をネットワークに送信します。Gratuitous ARP は、ARP フレームの受信者に転送テーブルの更新を強制します。
Active-backup
モードは、Gratuitous ARP を送信して、ホストの接続を維持するための新しいパスを通知します。primary
オプションは、ボンディングインターフェイスの優先ポートを定義します。- Balance-xor (Mode 2)
Balance-xor
は、選択された送信ハッシュポリシーを使用してパケットを送信します。このモードは、ロードバランシングとフォールトトレランスを提供し、Etherchannel または同様のポートグループをセットアップするためのスイッチ設定を必要とします。パケット送信を変更して送信のバランスを取るために、このモードでは
xmit_hash_policy
オプションを使用します。インターフェイス上のトラフィックの送信元または宛先に応じて、インターフェイスには追加の負荷分散設定が必要です。xmit_hash_policy bonding parameter の説明を参照してください。- Broadcast (Mode 3)
Broadcast
は、すべてのインターフェイスですべてのパケットを送信するポリシーを使用します。このモードは、フォールトトレランスを提供し、EtherChannel または同様のポートグループをセットアップするためのスイッチ設定を必要とします。このモードの欠点は、負荷の高いワークロードや、TCP スループットと順序付けられたパケット配信が不可欠な場合には適していないことです。
- 802.3ad (Mode 4)
802.3ad
は、同じ名前の IEEE 標準の動的リンクアグリゲーションポリシーを使用します。このモードはフォールトトレランスを提供します。このモードでは、Link Aggregation Control Protocol (LACP) ポートグループを設定するためのスイッチ設定が必要です。このモードは、同じ速度とデュプレックス設定を共有するアグリゲーショングループを作成し、アクティブなアグリゲーターのすべてのポートを利用します。インターフェイス上のトラフィックの送信元または宛先に応じて、モードには追加の負荷分散設定が必要です。
デフォルトでは、発信トラフィックのポート選択は送信ハッシュポリシーに依存します。送信ハッシュポリシーの
xmit_hash_policy
オプションを使用して、ポートの選択を変更し、送信を分散します。802.3ad
とBalance-xor
の違いはコンプライアンスです。802.3ad
ポリシーは、ポートアグリゲーショングループ間で LACP をネゴシエートします。xmit_hash_policy bonding parameter の説明を参照してください。- Balance-tlb (Mode 5)
Balance-tlb
は、送信負荷分散ポリシーを使用します。このモードは、フォールトトレランスと負荷分散を提供し、スイッチサポートを必要としないチャネルボンディングを確立します。アクティブポートは着信トラフィックを受信します。アクティブポートに障害が発生した場合、別のポートが障害ポートの MAC アドレスを引き継ぎます。発信トラフィックを処理するインターフェイスを決定するには、次のいずれかのモードを使用します。
-
値が
0
: ハッシュ分散ポリシーを使用して、負荷分散なしでトラフィックを配分します 値が
1
: 負荷分散を使用してトラフィックを各ポートに配分しますボンディングオプション
tlb_dynamic_lb=0
を使用すると、このボンディングモードはxmit_hash_policy
ボンディングオプションを使用して送信を分散します。primary
オプションは、ボンディングインターフェイスの優先ポートを定義します。
xmit_hash_policy bonding parameter の説明を参照してください。
-
値が
- Balance-alb (Mode 6)
Balance-alb
は、適応負荷分散ポリシーを使用します。このモードは、フォールトトレランスとロードバランシングを提供し、特別なスイッチサポートを必要としません。このモードには、IPv4 および IPv6 トラフィックのバランス型送信負荷分散 (
balance-tlb
) と受信負荷分散が含まれています。ボンディングは、ローカルシステムから送信された ARP 応答を傍受し、ボンディング内のポートの 1 つの送信元ハードウェアアドレスを上書きします。ARP ネゴシエーションは、受信負荷分散を管理します。したがって、異なるポートは、サーバーに対して異なるハードウェアアドレスを使用します。primary
オプションは、ボンディングインターフェイスの優先ポートを定義します。ボンディングオプションtlb_dynamic_lb=0
を使用すると、このボンディングモードはxmit_hash_policy
ボンディングオプションを使用して送信を分散します。xmit_hash_policy bonding parameter の説明を参照してください。
さらに、NetworkManager を使用して次のモードも設定できます。
- Balance-slb
ソースロードバランシング (SLB) ボンディングモードは、トラフィックのソースアドレスと VLAN ハッシュに基づいて、送信データストリームを複数のネットワークインターフェイスに分散します。このモードではスイッチの設定は必要ありません。
NetworkManager は、
nftables
ルールと組み合わせてbalance-xor
モードを使用して SLB を提供します。このモードの設定の詳細は、Configuring a network bond on RHEL with source load balancing を参照してください。
関連情報
-
/usr/share/doc/kernel-doc-<version>/Documentation/networking/bonding.rst
(kernel-doc
パッケージで提供) -
/usr/share/doc/kernel-doc-<version>/Documentation/networking/bonding.txt
(kernel-doc
パッケージで提供) - Which bonding modes work when used with a bridge that virtual machine guests or containers connect to?(Red Hat ナレッジベース)
- How are the values for different policies in "xmit_hash_policy" bonding parameter calculated?(Red Hat ナレッジベース)
3.11. xmit_hash_policy ボンディングパラメーター
xmit_hash_policy
負荷分散パラメーターは、balance-xor
、802.3ad
、balance-alb
、および balance-tlb
モードでのノード選択の送信ハッシュポリシーを選択します。tlb_dynamic_lb parameter is 0
の場合、モード 5 および 6 にのみ適用されます。このパラメーターで使用できる値は、layer2
、layer2+3
、layer3+4
、encap2+3
、encap3+4
、および vlan+srcmac
です。
詳細については、次の表を参照してください。
ポリシー層またはネットワーク層 | Layer2 | Layer2+3 | Layer3+4 | encap2+3 | encap3+4 | VLAN+srcmac |
用途 | 送信元および宛先の MAC アドレスとイーサネットプロトコルタイプの XOR | 送信元および宛先の MAC アドレスと IP アドレスの XOR | 送信元および宛先のポートと IP アドレスの XOR |
サポートされているトンネル内の送信元と宛先の MAC アドレスと IP アドレスの XOR (仮想拡張 LAN (VXLAN) など)。このモードは、 |
サポートされているトンネル内の送信元ポートと宛先ポートおよび IP アドレスの XOR (VXLAN など)。このモードは、 | VLAN ID、送信元 MAC ベンダー、送信元 MAC デバイスの XOR |
トラフィックの配置 | 基盤となる同一ネットワークインターフェイス上にある特定のネットワークピアに向かうすべてのトラフィック | 基盤となる同一ネットワークインターフェイス上の特定の IP アドレスに向かうすべてのトラフィック | 基盤となる同一ネットワークインターフェイス上の特定の IP アドレスとポートに向かうすべてのトラフィック | |||
プライマリーの選択 | このシステムと、同じブロードキャストドメイン内の他の複数システムとの間でネットワークトラフィックが発生している場合 | このシステムと他の複数システム間のネットワークトラフィックがデフォルトゲートウェイを通過する場合 | このシステムと別のシステムの間のネットワークトラフィックが同じ IP アドレスを使用しているが、複数のポートを通過する場合 | カプセル化されたトラフィックが、ソースシステムと、複数の IP アドレスを使用する他の複数システムとの間に発生している場合 | カプセル化されたトラフィックが、ソースシステムと、複数のポート番号を使用する他のシステムとの間で発生している場合 | ボンディングが複数のコンテナーまたは仮想マシン (VM) からのネットワークトラフィックを伝送し、それらの MAC アドレスをブリッジネットワークなどの外部ネットワークに直接公開し、モード 2 またはモード 4 のスイッチを設定できない場合 |
セカンダリーの選択 | ネットワークトラフィックの大部分が、このシステムとデフォルトゲートウェイの背後にある複数の他のシステムとの間で発生する場合 | ネットワークトラフィックの大部分がこのシステムと別のシステムとの間で発生する場合 | ||||
Compliant | 802.3ad | 802.3ad | 802.3ad 以外 | |||
デフォルトポリシー | 設定されていない場合、これがデフォルトポリシー |
非 IP トラフィックの場合、式は |
非 IP トラフィックの場合、式は |
第4章 NIC チームの設定
ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) チーミングは、物理ネットワークインターフェイスと仮想ネットワークインターフェイスを結合または集約して、より高いスループットまたは冗長性を備えた論理インターフェイスを提供する方法です。NIC チーミングでは、小さなカーネルモジュールを使用して、パケットフローの高速処理と他のタスク用のユーザー空間サービスを実装します。このように、NIC チーミングは、負荷分散と冗長性の要件に応じて簡単に拡張できるスケーラブルなソリューションです。
Red Hat Enterprise Linux は、チームデバイスを設定するためのさまざまなオプションを管理者に提供します。以下に例を示します。
-
nmcli
を使用し、コマンドラインを使用してチーム接続を設定します。 - RHEL Web コンソールを使用し、Web ブラウザーを使用してチーム接続を設定します。
-
nm-connection-editor
アプリケーションを使用して、グラフィカルインターフェイスでチーム接続を設定します。
NIC チーミングは Red Hat Enterprise Linux 9 では非推奨です。代わりに、ネットワークボンディングドライバーの使用を検討してください。詳細は、ネットワークボンディングの設定 を参照してください。
4.1. ネットワークボンディングへの NIC チーム設定の移行
ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) チーミングは、Red Hat Enterprise Linux 9 では非推奨です。以前の RHEL バージョンからアップグレードした場合など、すでに機能する NIC チームが設定されている場合は、NetworkManager によって管理されるネットワークボンディングに設定を移行できます。
team2bond
ユーティリティーは、チーム設定をボンディングに変換するだけです。その後、IP アドレスや DNS 設定など、ボンディングの詳細設定を手動で行う必要があります。
前提条件
-
team-team0
NetworkManager の接続プロファイルが設定され、team0
デバイスを管理している。 -
teamd
パッケージがインストールされている。
手順
オプション:
team-team0
NetworkManager 接続の IP 設定を表示します。# nmcli connection show team-team0 | egrep "^ip" ... ipv4.method: manual ipv4.dns: 192.0.2.253 ipv4.dns-search: example.com ipv4.addresses: 192.0.2.1/24 ipv4.gateway: 192.0.2.254 ... ipv6.method: manual ipv6.dns: 2001:db8:1::fffd ipv6.dns-search: example.com ipv6.addresses: 2001:db8:1::1/64 ipv6.gateway: 2001:db8:1::fffe ...
team0
デバイスの設定を JSON ファイルにエクスポートします。# teamdctl team0 config dump actual > /tmp/team0.json
NIC チームを削除します。たとえば、NetworkManager でチームを設定した場合は、
team-team0
接続プロファイルと、関連するポートのプロファイルを削除します。# nmcli connection delete team-team0 # nmcli connection delete team-team0-port1 # nmcli connection delete team-team0-port2
team2bond
ユーティリティーをドライランモードで実行して、チームデバイスと同様の設定でネットワークボンディングを設定するnmcli
コマンドを表示します。# team2bond --config=/tmp/team0.json --rename=bond0 nmcli con add type bond ifname bond0 bond.options "mode=active-backup,num_grat_arp=1,num_unsol_na=1,resend_igmp=1,miimon=100,miimon=100" nmcli con add type ethernet ifname enp7s0 controller bond0 nmcli con add type ethernet ifname enp8s0 controller bond0
最初のコマンドには 2 つの
miimon
オプションが含まれます。これは、チーム設定ファイルに 2 つのlink_watch
エントリーが含まれていたためです。これはボンディングの作成には影響しないことに注意してください。サービスをチームのデバイス名にバインドし、これらのサービスの更新や破損を回避する場合は、
--rename=bond0
を省略します。この場合、team2bond
は、チームと同じインターフェイス名をボンディングに使用します。-
team2bond
ユーティリティーが推奨するボンディングのオプションが正しいことを確認します。 ボンディングを作成します。推奨される
nmcli
コマンドを実行するか、--exec-cmd
オプションを指定してteam2bond
コマンドを再実行できます。# team2bond --config=/tmp/team0.json --rename=bond0 --exec-cmd Connection 'bond-bond0' (0241a531-0c72-4202-80df-73eadfc126b5) successfully added. Connection 'bond-port-enp7s0' (38489729-b624-4606-a784-1ccf01e2f6d6) successfully added. Connection 'bond-port-enp8s0' (de97ec06-7daa-4298-9a71-9d4c7909daa1) successfully added.
次の手順では、ボンディング接続プロファイル (
bond-bond0
) の名前が必要です。team-team0
で以前設定した IPv4 設定を、bond-bond0
接続に設定します。# nmcli connection modify bond-bond0 ipv4.addresses '192.0.2.1/24' # nmcli connection modify bond-bond0 ipv4.gateway '192.0.2.254' # nmcli connection modify bond-bond0 ipv4.dns '192.0.2.253' # nmcli connection modify bond-bond0 ipv4.dns-search 'example.com' # nmcli connection modify bond-bond0 ipv4.method manual
team-team0
で以前設定した IPv6 設定を、bond-bond0
接続に設定します。# nmcli connection modify bond-bond0 ipv6.addresses '2001:db8:1::1/64' # nmcli connection modify bond-bond0 ipv6.gateway '2001:db8:1::fffe' # nmcli connection modify bond-bond0 ipv6.dns '2001:db8:1::fffd' # nmcli connection modify bond-bond0 ipv6.dns-search 'example.com' # nmcli connection modify bond-bond0 ipv6.method manual
接続をアクティベートします。
# nmcli connection up bond-bond0
検証
bond-bond0
NetworkManager 接続の IP 設定を表示します。# nmcli connection show bond-bond0 | egrep "^ip" ... ipv4.method: manual ipv4.dns: 192.0.2.253 ipv4.dns-search: example.com ipv4.addresses: 192.0.2.1/24 ipv4.gateway: 192.0.2.254 ... ipv6.method: manual ipv6.dns: 2001:db8:1::fffd ipv6.dns-search: example.com ipv6.addresses: 2001:db8:1::1/64 ipv6.gateway: 2001:db8:1::fffe ...
ボンドのステータスを表示します。
# cat /proc/net/bonding/bond0 Ethernet Channel Bonding Driver: v5.13.0-0.rc7.51.el9.x86_64 Bonding Mode: fault-tolerance (active-backup) Primary Slave: None Currently Active Slave: enp7s0 MII Status: up MII Polling Interval (ms): 100 Up Delay (ms): 0 Down Delay (ms): 0 Peer Notification Delay (ms): 0 Slave Interface: enp7s0 MII Status: up Speed: Unknown Duplex: Unknown Link Failure Count: 0 Permanent HW addr: 52:54:00:bf:b1:a9 Slave queue ID: 0 Slave Interface: enp8s0 MII Status: up Speed: Unknown Duplex: Unknown Link Failure Count: 0 Permanent HW addr: 52:54:00:04:36:0f Slave queue ID: 0
この例では、両方のポートが起動しています。
ボンディングフェイルオーバーが機能することを確認するには、以下を行います。
- ホストからネットワークケーブルを一時的に削除します。コマンドラインでリンク障害イベントを適切にテストする方法がないことに注意してください。
ボンドのステータスを表示します。
# cat /proc/net/bonding/bond0
4.2. コントローラーおよびポートインターフェイスのデフォルト動作の理解
NetworkManager
サービスを使用してチームまたはボンディングのポートインターフェイスを管理またはトラブルシューティングする場合は、以下のデフォルトの動作を考慮してください。
- コントローラーインターフェイスを起動しても、ポートインターフェイスは自動的に起動しない。
- ポートインターフェイスを起動すると、コントローラーインターフェイスは毎回、起動する。
- コントローラーインターフェイスを停止すると、ポートインターフェイスも停止する。
- ポートのないコントローラーは、静的 IP 接続を開始できる。
- コントローラーにポートがない場合は、DHCP 接続の開始時にポートを待つ。
- DHCP 接続でポートを待機中のコントローラーは、キャリアを伴うポートの追加時に完了する。
- DHCP 接続でポートを待機中のコントローラーは、キャリアを伴わないポートを追加する時に待機を継続する。
4.3. teamd サービス、ランナー、およびリンク監視の理解
チームサービス teamd
は、チームドライバーのインスタンスを制御します。このドライバーのインスタンスは、ハードウェアデバイスドライバーのインスタンスを追加して、ネットワークインターフェイスのチームを形成します。チームドライバーは、ネットワークインターフェイス (team0
など) をカーネルに提示します。
teamd
サービスは、チーミングのすべてのメソッドに共通のロジックを実装します。この関数は、ラウンドロビンなどの異なる負荷分散とバックアップメソッドに一意で、ランナー
と呼ばれる別のコードのユニットにより実装されます。管理者は、JSON (JavaScript Object Notation) 形式でランナーを指定します。インスタンスの作成時に、JSON コードが teamd
のインスタンスにコンパイルされます。または、NetworkManager
を使用する場合は、team.runner
パラメーターにランナーを設定でき、対応する JSON コードを NetworkManager
が自動的に作成します。
以下のランナーが利用できます。
-
broadcast
- すべてのポートでデータを送信します。 -
roundrobin
- 次に、すべてのポートでデータを送信します。 -
activebackup
- 1 つのポートにデータを送信します。もう 1 つのポートはバックアップとして維持されます。 -
loadbalance
- アクティブな Tx 負荷分散と Berkeley Packet Filter (BPF) ベースの Tx ポートセレクターを持つすべてのポートでデータを送信します。 -
random
- 無作為に選択されたポートでデータを送信します。 -
lacp
- 802.3ad リンクアグリゲーション制御プロトコル (LACP) を実装します。
teamd
サービスはリンク監視を使用して、下位デバイスの状態を監視します。さらに、以下のリンク監視が利用可能です。
-
ethtool
-libteam
ライブラリーは、ethtool
ユーティリティーを使用してリンク状態の変更を監視します。これはデフォルトのリンク監視です。 -
arp_ping
-libteam
ライブラリーは、arp_ping
ユーティリティーでアドレス解決プロトコル (ARP) を使用して、遠端のハードウェアアドレスの存在を監視します。 -
nsna_ping
- IPv6 接続では、libteam
ライブラリーが IPv6 neighbor Discovery プロトコルの Neighbor Advertisement 機能と Neighbor Solicitation 機能を使用して、近くのインターフェイスの存在を監視します。
各ランナーは、lacp
を除くリンク監視を使用できます。このランナーは、ethtool
リンク監視のみを使用できます。
4.4. nmcli
を使用した NIC チームの設定
コマンドラインでネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) チームを設定するには、nmcli
ユーティリティーを使用します。
NIC チーミングは Red Hat Enterprise Linux 9 では非推奨です。代わりに、ネットワークボンディングドライバーの使用を検討してください。詳細は、ネットワークボンディングの設定 を参照してください。
前提条件
-
teamd
およびNetworkManager-team
パッケージがインストールされている。 - サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- チームのポートとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスがサーバーにインストールされ、スイッチに接続されている必要があります。
チームのポートにボンディング、ブリッジ、または VLAN デバイスを使用するには、チームの作成時にこれらのデバイスを作成するか、次の説明に従って事前にデバイスを作成することができます。
手順
チームインターフェイスを作成します。
# nmcli connection add type team con-name team0 ifname team0 team.runner activebackup
このコマンドは、
activebackup
ランナーを使用するteam0
という名前の NIC チームを作成します。オプション: リンクウォッチャーを設定します。たとえば、
team0
接続プロファイルでethtool
リンク監視を設定するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection modify team0 team.link-watchers "name=ethtool"
リンク監視は、さまざまなパラメーターに対応します。リンク監視にパラメーターを設定するには、
name
プロパティーでスペースで区切って指定します。name プロパティーは引用符で囲む必要があることに注意してください。たとえば、ethtool
リンク監視を使用し、delay-up
パラメーターを2500
ミリ秒 (2.5 秒) で設定するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection modify team0 team.link-watchers "name=ethtool delay-up=2500"
複数のリンク監視および各リンク監視を、特定のパラメーターで設定するには、リンク監視をコンマで区切る必要があります。以下の例では、
delay-up
パラメーターでethtool
リンク監視を設定します。arp_ping
リンク監視は、source-host
パラメーターおよびtarget-host
パラメーターで設定します。# nmcli connection modify team0 team.link-watchers "name=ethtool delay-up=2, name=arp_ping source-host=192.0.2.1 target-host=192.0.2.2"
ネットワークインターフェイスを表示し、次のステップでチームに追加するインターフェイスの名前を書き留めておきます。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp7s0 ethernet disconnected -- enp8s0 ethernet disconnected -- bond0 bond connected bond0 bond1 bond connected bond1 ...
この例では、以下のように設定されています。
-
enp7s0
およびenp8s0
は設定されません。これらのデバイスをポートとして使用するには、次のステップに接続プロファイルを追加します。いずれの接続にも割り当てられていないチームのイーサネットインターフェイスのみを使用できる点に注意してください。 -
bond0
およびbond1
には既存の接続プロファイルがあります。これらのデバイスをポートとして使用するには、次の手順でプロファイルを変更します。
-
ポートインターフェイスをチームに割り当てます。
チームに割り当てるインターフェイスが設定されていない場合は、それらの接続プロファイルを新たに作成します。
# nmcli connection add type ethernet port-type team con-name team0-port1 ifname enp7s0 controller team0 # nmcli connection add type ethernet port--type team con-name team0-port2 ifname enp8s0 controller team0
これらのコマンドは、
enp7s0
およびenp8s0
にプロファイルを作成し、team0
接続に追加します。既存の接続プロファイルをチームに割り当てるには、以下を実行します。
これらの接続の
controller
パラメーターをteam0
に設定します。# nmcli connection modify bond0 controller team0 # nmcli connection modify bond1 controller team0
これらのコマンドは、
bond0
およびbond1
という名前の既存の接続プロファイルをteam0
接続に割り当てます。接続を再度アクティブにします。
# nmcli connection up bond0 # nmcli connection up bond1
IPv4 を設定します。
このチームデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify team0 ipv4.method disabled
- DHCP を使用するために必要な操作はありません。
静的 IPv4 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを
team0
接続に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify team0 ipv4.addresses '192.0.2.1/24' ipv4.gateway '192.0.2.254' ipv4.dns '192.0.2.253' ipv4.dns-search 'example.com' ipv4.method manual
IPv6 設定を行います。
このチームデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify team0 ipv6.method disabled
- ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用する場合、アクションは必要ありません。
静的 IPv6 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを
team0
接続に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify team0 ipv6.addresses '2001:db8:1::1/64' ipv6.gateway '2001:db8:1::fffe' ipv6.dns '2001:db8:1::fffd' ipv6.dns-search 'example.com' ipv6.method manual
接続をアクティベートします。
# nmcli connection up team0
検証
チームのステータスを表示します。
# teamdctl team0 state setup: runner: activebackup ports: enp7s0 link watches: link summary: up instance[link_watch_0]: name: ethtool link: up down count: 0 enp8s0 link watches: link summary: up instance[link_watch_0]: name: ethtool link: up down count: 0 runner: active port: enp7s0
この例では、両方のポートが起動しています。
関連情報
- 特定のプロファイルでのデフォルトゲートウェイの指定を防ぐための NetworkManager の設定
- teamd サービス、ランナー、およびリンク監視の理解
-
システム上の
nm-settings(5)
およびteamd.conf(5)
man ページ
4.5. RHEL Web コンソールを使用した NIC チームの設定
Web ブラウザーベースのインターフェイスを使用してネットワーク設定を管理する場合は、RHEL Web コンソールを使用してネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) チームを設定します。
NIC チーミングは Red Hat Enterprise Linux 9 では非推奨です。代わりに、ネットワークボンディングドライバーの使用を検討してください。詳細は、ネットワークボンディングの設定 を参照してください。
前提条件
-
teamd
およびNetworkManager-team
パッケージがインストールされている。 - サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- チームのポートとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスがサーバーにインストールされ、スイッチに接続されている必要があります。
ボンド、ブリッジ、または VLAN デバイスをチームのポートとして使用するには、次の説明に従って事前に作成します。
RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。
手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。
手順
RHEL 9 Web コンソールにログインします。
詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。
-
画面左側のナビゲーションで
Networking
タブを選択します。 -
Interfaces
セクションで をクリックします。 - 作成するチームデバイスの名前を入力します。
- チームのポートにするインターフェイスを選択します。
チームのランナーを選択します。
Load balancing
または802.3ad LACP
を選択すると、Web コンソールに追加のフィールドBalancer
が表示されます。リンクウォッチャーを設定します。
-
Ethtool
を選択した場合は、さらに、リンクアップおよびリンクダウンの遅延を設定します。 -
ARP ping
またはNSNA ping
を選択し、さらに ping の間隔と ping ターゲットを設定します。
-
- をクリックします。
デフォルトでは、チームは動的 IP アドレスを使用します。静的 IP アドレスを設定する場合:
-
Interfaces
セクションでチームの名前をクリックします。 -
設定するプロトコルの横にある
Edit
をクリックします。 -
Addresses
の横にあるManual
を選択し、IP アドレス、接頭辞、およびデフォルトゲートウェイを入力します。 -
DNS
セクションで ボタンをクリックし、DNS サーバーの IP アドレスを入力します。複数の DNS サーバーを設定するには、この手順を繰り返します。 -
DNS search domains
セクションで、 ボタンをクリックし、検索ドメインを入力します。 インターフェイスにスタティックルートが必要な場合は、
Routes
セクションで設定します。- をクリックします。
-
検証
画面左側のナビゲーションで
Networking
タブを選択し、インターフェイスに着信および発信トラフィックがあるかどうかを確認します。チームのステータスを表示します。
# teamdctl team0 state setup: runner: activebackup ports: enp7s0 link watches: link summary: up instance[link_watch_0]: name: ethtool link: up down count: 0 enp8s0 link watches: link summary: up instance[link_watch_0]: name: ethtool link: up down count: 0 runner: active port: enp7s0
この例では、両方のポートが起動しています。
4.6. nm-connection-editor を使用した NIC チームを設定
グラフィカルインターフェイスを備えた Red Hat Enterprise Linux を使用している場合は、nm-connection-editor
アプリケーションを使用してネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) チームを設定できます。
nm-connection-editor
は、新しいポートだけをチームに追加できることに注意してください。既存の接続プロファイルをポートとして使用するには、nmcli を使用した NIC チームの設定 の説明に従って、nmcli
ユーティリティーを使用してチームを作成します。
NIC チーミングは Red Hat Enterprise Linux 9 では非推奨です。代わりに、ネットワークボンディングドライバーの使用を検討してください。詳細は、ネットワークボンディングの設定 を参照してください。
前提条件
-
teamd
およびNetworkManager-team
パッケージがインストールされている。 - サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- 物理または仮想のイーサネットデバイスをサーバーにインストールし、チームのポートとしてイーサネットデバイスを使用する。
- チーム、ボンディング、または VLAN デバイスをチームのポートとして使用するには、これらのデバイスがまだ設定されていないことを確認してください。
手順
ターミナルを開き、
nm-connection-editor
と入力します。$ nm-connection-editor
- ボタンをクリックして、新しい接続を追加します。
- 接続タイプ Team を選択し、 をクリックします。
Team タブで、以下を行います。
- 必要に応じて、Interface name フィールドにチームインターフェイスの名前を設定します。
- インターフェイスの接続タイプを選択します。たとえば、有線接続に Ethernet を選択します。
- 必要に応じて、ポートの接続名を設定します。
- イーサネットデバイスの接続プロファイルを作成する場合は、Ethernet タブを開き、Device フィールドでポートとしてチームに追加するネットワークインターフェイスを選択します。別のデバイスタイプを選択した場合は、それに応じて設定します。いずれの接続にも割り当てられていないチームのイーサネットインターフェイスのみを使用できる点に注意してください。
- をクリックします。
チームに追加する各インターフェイスに直前の手順を繰り返します。
- Runner タブで、ランナーを選択します。
- Link Watcher タブで、リンク監視とそのオプションを設定します。
- をクリックします。
IPv4 Settings タブと IPv6 Settings タブの両方で IP アドレス設定を設定します。
- このブリッジデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、Method フィールドを Disabled に設定します。
- DHCP を使用するには、Method フィールドをデフォルトの Automatic (DHCP) のままにします。
静的 IP 設定を使用するには、Method フィールドを Manual に設定し、それに応じてフィールドに値を入力します。
- をクリックします。
-
nm-connection-editor
を閉じます。
検証
チームのステータスを表示します。
# teamdctl team0 state setup: runner: activebackup ports: enp7s0 link watches: link summary: up instance[link_watch_0]: name: ethtool link: up down count: 0 enp8s0 link watches: link summary: up instance[link_watch_0]: name: ethtool link: up down count: 0 runner: active port: enp7s0
関連情報
第5章 VLAN タグの設定
仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) は、物理ネットワーク内の論理ネットワークです。VLAN インターフェイスは、インターフェイスを通過する際に VLAN ID でパケットをタグ付けし、返信パケットのタグを削除します。VLAN インターフェイスを、イーサネット、ボンド、チーム、ブリッジデバイスなどの別のインターフェイスに作成します。これらのインターフェイスは parent interface
と呼ばれます。
Red Hat Enterprise Linux は、VLAN デバイスを設定するためのさまざまなオプションを管理者に提供します。以下に例を示します。
-
nmcli
を使用し、コマンドラインを使用して VLAN のタグ付けを設定します。 - RHEL Web コンソールを使用し、Web ブラウザーを使用して VLAN のタグ付けを設定します。
-
nmtui
を使用し、テキストベースのユーザーインターフェイスで VLAN のタグ付けを設定します。 -
nm-connection-editor
アプリケーションを使用して、グラフィカルインターフェイスで接続を設定します。 -
nmstatectl
を使用して、Nmstate API を介して接続を設定します。 - RHEL システムロールを使用して、1 つまたは複数のホストで VLAN 設定を自動化します。
5.1. nmcli
を使用した VLAN タグ付けの設定
nmcli
ユーティリティーを使用して、コマンドラインで仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) のタグ付けを設定できます。
前提条件
- 仮想 VLAN インターフェイスに対する親として使用するインターフェイスが VLAN タグに対応している。
ボンドインターフェイスに VLAN を設定する場合は、以下のようになります。
- ボンディングのポートが起動している。
-
ボンドが、
fail_over_mac=follow
オプションで設定されていない。VLAN 仮想デバイスは、親の新規 MAC アドレスに一致する MAC アドレスを変更できません。このような場合、トラフィックは間違ったソースの MAC アドレスで送信されます。 -
ボンドは通常、DHCP サーバーまたは IPv6 自動設定から IP アドレスを取得することは想定されていません。ボンディングの作成時に
ipv4.method=disable
オプションおよびipv6.method=ignore
オプションを設定してこれを確認します。そうしないと、DHCP または IPv6 の自動設定がしばらくして失敗した場合に、インターフェイスがダウンする可能性があります。
- ホストが接続するスイッチは、VLAN タグに対応するように設定されています。詳細は、スイッチのドキュメントを参照してください。
手順
ネットワークインターフェイスを表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp1s0 ethernet disconnected enp1s0 bridge0 bridge connected bridge0 bond0 bond connected bond0 ...
VLAN インターフェイスを作成します。たとえば、VLAN インターフェイス
vlan10
を作成し、enp1s0
を親インターフェイスとして使用し、VLAN ID10
のタグパケットを作成するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection add type vlan con-name vlan10 ifname vlan10 vlan.parent enp1s0 vlan.id 10
VLAN は、
0
から4094
の範囲内に存在する必要があります。デフォルトでは、VLAN 接続は、親インターフェイスから最大伝送単位 (MTU) を継承します。必要に応じて、別の MTU 値を設定します。
# nmcli connection modify vlan10 ethernet.mtu 2000
IPv4 を設定します。
この VLAN デバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify vlan10 ipv4.method disabled
- DHCP を使用するために必要な操作はありません。
静的 IPv4 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを
vlan10
接続に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify vlan10 ipv4.addresses '192.0.2.1/24' ipv4.gateway '192.0.2.254' ipv4.dns '192.0.2.253' ipv4.method manual
IPv6 設定を行います。
この VLAN デバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify vlan10 ipv6.method disabled
- ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用する場合、アクションは必要ありません。
静的 IPv6 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを
vlan10
接続に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify vlan10 ipv6.addresses '2001:db8:1::1/32' ipv6.gateway '2001:db8:1::fffe' ipv6.dns '2001:db8:1::fffd' ipv6.method manual
接続をアクティベートします。
# nmcli connection up vlan10
検証
設定を確認します。
# ip -d addr show vlan10 4: vlan10@enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:72:2f:6e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff promiscuity 0 vlan protocol 802.1Q id 10 <REORDER_HDR> numtxqueues 1 numrxqueues 1 gso_max_size 65536 gso_max_segs 65535 inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute vlan10 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::1/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::8dd7:9030:6f8e:89e6/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
5.2. nmcli
を使用したネストされた VLAN の設定
802.1ad は、仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) のタグ付けに使用されるプロトコルです。これは Q-in-Q タグ付けとしても知られています。この技術を使用して、1 つのイーサネットフレーム内に複数の VLAN タグを作成すると、以下の利点が得られます。
- VLAN 内に複数の分離ネットワークセグメントを作成することで、ネットワークのスケーラビリティーが向上します。これにより、大規模なネットワークを、より小さく管理可能なユニットに分割して整理できます。
- さまざまな種類のネットワークトラフィックを分離および制御することで、トラフィック管理が改善されました。これにより、ネットワークパフォーマンスが向上し、ネットワークの輻輳を減らすことができます。
- より小規模で、よりターゲットを絞ったネットワークセグメントの作成を可能にすることで、リソースを効率的に利用します。
- ネットワークトラフィックを分離し、機密データへの不正アクセスのリスクを軽減することで、セキュリティーを強化します。
前提条件
- 仮想 VLAN インターフェイスに対する親として使用するインターフェイスが VLAN タグに対応している。
ボンドインターフェイスに VLAN を設定する場合は、以下のようになります。
- ボンディングのポートが起動している。
-
ボンドが、
fail_over_mac=follow
オプションで設定されていない。VLAN 仮想デバイスは、親の新規 MAC アドレスに一致する MAC アドレスを変更できません。このような場合、トラフィックは間違ったソースの MAC アドレスで送信されます。 -
ボンドは通常、DHCP サーバーまたは IPv6 自動設定から IP アドレスを取得することは想定されていません。ボンディングの作成時に
ipv4.method=disable
オプションおよびipv6.method=ignore
オプションを設定してこれを確認します。そうしないと、DHCP または IPv6 の自動設定がしばらくして失敗した場合に、インターフェイスがダウンする可能性があります。
- ホストが接続するスイッチは、VLAN タグに対応するように設定されています。詳細は、スイッチのドキュメントを参照してください。
手順
物理ネットワークデバイスを表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp1s0 ethernet connected enp1s0 ...
ベース VLAN インターフェイスを作成します。たとえば、
enp1s0
を親インターフェイスとして使用し、パケットに VLAN ID10
のタグを付けるvlan10
という名前のベース VLAN インターフェイスを作成するには、次のように入力します。# nmcli connection add type vlan con-name vlan10 dev enp1s0 vlan.id 10
VLAN は、
0
から4094
の範囲内に存在する必要があります。デフォルトでは、VLAN 接続は、親インターフェイスから最大伝送単位 (MTU) を継承します。必要に応じて、別の MTU 値を設定します。
# nmcli connection modify vlan10 ethernet.mtu 2000
ベース VLAN インターフェイスの上にネストされた VLAN インターフェイスを作成します。
# nmcli connection add type vlan con-name vlan10.20 dev enp1s0.10 id 20 vlan.protocol 802.1ad
このコマンドは、親 VLAN 接続
vlan10
で、名前がvlan10.20
で VLAN ID が20
の新しい VLAN 接続を作成します。dev
オプションは、親ネットワークデバイスを指定します。この場合、enp1s0.10
です。vlan.protocol
オプションは、VLAN カプセル化プロトコルを指定します。この場合、802.1ad
(Q-in-Q) です。ネストされた VLAN インターフェイスの IPv4 設定を設定します。
- DHCP を使用するために必要な操作はありません。
静的 IPv4 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを
vlan10.20
接続に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify vlan10.20 ipv4.method manual ipv4.addresses 192.0.2.1/24 ipv4.gateway 192.0.2.254 ipv4.dns 192.0.2.200
ネストされた VLAN インターフェイスの IPv6 設定を設定します。
- ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用する場合、アクションは必要ありません。
静的 IPv4 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを vlan10 接続に設定するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify vlan10 ipv4.addresses '192.0.2.1/24' ipv4.gateway '192.0.2.254' ipv4.dns '192.0.2.253' ipv4.method manual
プロファイルをアクティブ化します。
# nmcli connection up vlan10.20
検証
ネストされた VLAN インターフェイスの設定を確認します。
# ip -d addr show enp1s0.10.20 10: enp1s0.10.20@enp1s0.10: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:d2:74:3e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff promiscuity 0 minmtu 0 maxmtu 65535 vlan protocol 802.1ad id 20 <REORDER_HDR> numtxqueues 1 numrxqueues 1 gso_max_size 65536 gso_max_segs 65535 tso_max_size 65536 tso_max_segs 65535 gro_max_size 65536 inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute enp1s0.10.20 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::1/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::ce3b:84c5:9ef8:d0e6/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
5.3. RHEL Web コンソールを使用した VLAN タグ付けの設定
RHEL Web コンソールで Web ブラウザーベースのインターフェイスを使用してネットワーク設定を管理する場合は、VLAN タグ付けを設定できます。
前提条件
- 仮想 VLAN インターフェイスに対する親として使用するインターフェイスが VLAN タグに対応している。
ボンドインターフェイスに VLAN を設定する場合は、以下のようになります。
- ボンディングのポートが起動している。
-
ボンドが、
fail_over_mac=follow
オプションで設定されていない。VLAN 仮想デバイスは、親の新規 MAC アドレスに一致する MAC アドレスを変更できません。このような場合、トラフィックは間違ったソースの MAC アドレスで送信されます。 - ボンドは通常、DHCP サーバーまたは IPv6 自動設定から IP アドレスを取得することは想定されていません。結合を作成する IPv4 および IPv6 プロトコルを無効にして、これを確認します。そうしないと、DHCP または IPv6 の自動設定がしばらくして失敗した場合に、インターフェイスがダウンする可能性があります。
- ホストが接続するスイッチは、VLAN タグに対応するように設定されています。詳細は、スイッチのドキュメントを参照してください。
RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。
手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。
手順
RHEL 9 Web コンソールにログインします。
詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。
-
画面左側のナビゲーションで
Networking
タブを選択します。 -
Interfaces
セクションで をクリックします。 - 親デバイスを選択します。
- VLAN ID を入力します。
VLAN デバイスの名前を入力するか、自動生成された名前のままにします。
- をクリックします。
デフォルトでは、VLAN デバイスは動的 IP アドレスを使用します。静的 IP アドレスを設定する場合:
-
Interfaces
セクションで VLAN デバイスの名前をクリックします。 -
設定するプロトコルの横にある
Edit
をクリックします。 -
Addresses
の横にあるManual
を選択し、IP アドレス、接頭辞、およびデフォルトゲートウェイを入力します。 -
DNS
セクションで ボタンをクリックし、DNS サーバーの IP アドレスを入力します。複数の DNS サーバーを設定するには、この手順を繰り返します。 -
DNS search domains
セクションで、 ボタンをクリックし、検索ドメインを入力します。 インターフェイスにスタティックルートが必要な場合は、
Routes
セクションで設定します。- をクリックします。
-
検証
画面左側のナビゲーションで
Networking
タブを選択し、インターフェイスに着信および発信トラフィックがあるか確認します。
5.4. nmtui
を使用した VLAN タグ付けの設定
nmtui
アプリケーションは、NetworkManager 用のテキストベースのユーザーインターフェイスを提供します。nmtui
を使用して、グラフィカルインターフェイスを使用せずにホスト上で VLAN タグ付けを設定できます。
nmtui
で以下を行います。
- カーソルキーを使用してナビゲートします。
- ボタンを選択して Enter を押します。
- Space を使用してチェックボックスをオンまたはオフにします。
前提条件
- 仮想 VLAN インターフェイスに対する親として使用するインターフェイスが VLAN タグに対応している。
ボンドインターフェイスに VLAN を設定する場合は、以下のようになります。
- ボンディングのポートが起動している。
-
ボンドが、
fail_over_mac=follow
オプションで設定されていない。VLAN 仮想デバイスは、親の新規 MAC アドレスに一致する MAC アドレスを変更できません。このような場合、トラフィックは間違ったソースの MAC アドレスで送信されます。 -
ボンドは通常、DHCP サーバーまたは IPv6 自動設定から IP アドレスを取得することは想定されていません。ボンディングの作成時に
ipv4.method=disable
オプションおよびipv6.method=ignore
オプションを設定してこれを確認します。そうしないと、DHCP または IPv6 の自動設定がしばらくして失敗した場合に、インターフェイスがダウンする可能性があります。
- ホストが接続するスイッチは、VLAN タグに対応するように設定されています。詳細は、スイッチのドキュメントを参照してください。
手順
VLAN タグ付けを設定するネットワークデバイス名がわからない場合は、使用可能なデバイスを表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp1s0 ethernet unavailable -- ...
nmtui
を開始します。# nmtui
- Edit a connection 選択し、Enter を押します。
- Add を押します。
- ネットワークタイプのリストから VLAN を選択し、Enter を押します。
オプション: 作成する NetworkManager プロファイルの名前を入力します。
ホストに複数のプロファイルがある場合は、わかりやすい名前を付けると、プロファイルの目的を識別しやすくなります。
- 作成する VLAN デバイス名を Device フィールドに入力します。
- VLAN タグ付けを設定するデバイスの名前を Parent フィールドに入力します。
-
VLAN ID を入力します。ID は
0
から4094
の範囲内である必要があります。 環境に応じて、IPv4 configuration および IPv6 configuration 領域に IP アドレス設定を設定します。これを行うには、これらの領域の横にあるボタンを押して、次を選択します。
-
この VLAN デバイスが IP アドレスを必要としない場合、または他のデバイスのポートとして使用する場合は、
Disabled
にします。 -
DHCP サーバーまたはステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) が IP アドレスを VLAN デバイスに動的に割り当てる場合は、
Automatic
にします。 ネットワークで静的 IP アドレス設定が必要な場合は、
Manual
にします。この場合、さらにフィールドに入力する必要があります。- 設定するプロトコルの横にある Show を押して、追加のフィールドを表示します。
Addresses の横にある Add を押して、IP アドレスとサブネットマスクを Classless Inter-Domain Routing (CIDR) 形式で入力します。
サブネットマスクを指定しない場合、NetworkManager は IPv4 アドレスに
/32
サブネットマスクを設定し、IPv6 アドレスに/64
サブネットマスクを設定します。- デフォルトゲートウェイのアドレスを入力します。
- DNS servers の横にある Add を押して、DNS サーバーのアドレスを入力します。
- Search domains の横にある Add を押して、DNS 検索ドメインを入力します。
図5.1 静的 IP アドレス設定による VLAN 接続例
-
この VLAN デバイスが IP アドレスを必要としない場合、または他のデバイスのポートとして使用する場合は、
- OK を押すと、新しい接続が作成され、自動的にアクティブ化されます。
- Back を押してメインメニューに戻ります。
-
Quit を選択し、Enter キーを押して
nmtui
アプリケーションを閉じます。
検証
設定を確認します。
# ip -d addr show vlan10 4: vlan10@enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:72:2f:6e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff promiscuity 0 vlan protocol 802.1Q id 10 <REORDER_HDR> numtxqueues 1 numrxqueues 1 gso_max_size 65536 gso_max_segs 65535 inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute vlan10 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::1/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::8dd7:9030:6f8e:89e6/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
5.5. nm-connection-editor を使用した VLAN タグ付けの設定
nm-connection-editor
アプリケーションを使用して、グラフィカルインターフェイスで仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) のタグ付けを設定できます。
前提条件
- 仮想 VLAN インターフェイスに対する親として使用するインターフェイスが VLAN タグに対応している。
ボンドインターフェイスに VLAN を設定する場合は、以下のようになります。
- ボンディングのポートが起動している。
-
ボンドが、
fail_over_mac=follow
オプションで設定されていない。VLAN 仮想デバイスは、親の新規 MAC アドレスに一致する MAC アドレスを変更できません。このような場合、トラフィックは間違ったソースの MAC アドレスで送信されます。
- ホストが接続するスイッチは、VLAN タグに対応するように設定されています。詳細は、スイッチのドキュメントを参照してください。
手順
ターミナルを開き、
nm-connection-editor
と入力します。$ nm-connection-editor
- ボタンをクリックして、新しい接続を追加します。
- VLAN 接続タイプを選択し、 をクリックします。
VLAN タブで、以下を行います。
- 親インターフェイスを選択します。
- VLAN id を選択します。VLAN は、0 から 4094 の範囲内に存在する必要があります。
- デフォルトでは、VLAN 接続は、親インターフェイスから最大伝送単位 (MTU) を継承します。必要に応じて、別の MTU 値を設定します。
オプション: VLAN インターフェイスの名前および VLAN 固有のオプションを設定します。
IPv4 Settings タブと IPv6 Settings タブの両方で IP アドレス設定を設定します。
- このブリッジデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、Method フィールドを Disabled に設定します。
- DHCP を使用するには、Method フィールドをデフォルトの Automatic (DHCP) のままにします。
静的 IP 設定を使用するには、Method フィールドを Manual に設定し、それに応じてフィールドに値を入力します。
- をクリックします。
-
nm-connection-editor
を閉じます。
検証
設定を確認します。
# ip -d addr show vlan10 4: vlan10@enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:d5:e0:fb brd ff:ff:ff:ff:ff:ff promiscuity 0 vlan protocol 802.1Q id 10 <REORDER_HDR> numtxqueues 1 numrxqueues 1 gso_max_size 65536 gso_max_segs 65535 inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute vlan10 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::1/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::8dd7:9030:6f8e:89e6/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
5.6. nmstatectl
を使用した VLAN タグ付けの設定
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、Nmstate API を介して仮想ローカルエリアネットワーク VLAN を設定します。Nmstate API は、設定を行った後、結果が設定ファイルと一致することを確認します。何らかの障害が発生した場合には、nmstatectl
は自動的に変更をロールバックし、システムが不正な状態のままにならないようにします。
環境に応じて、YAML ファイルを適宜調整します。たとえば、VLAN でイーサネットアダプターとは異なるデバイスを使用するには、VLAN で使用するポートの Base-iface
属性と type
属性を調整します。
前提条件
- 物理または仮想のイーサネットデバイスをサーバーにインストールし、VLAN でイーサネットデバイスをポートとして使用する。
-
nmstate
パッケージがインストールされている。
手順
以下の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-vlan.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: vlan10 type: vlan state: up ipv4: enabled: true address: - ip: 192.0.2.1 prefix-length: 24 dhcp: false ipv6: enabled: true address: - ip: 2001:db8:1::1 prefix-length: 64 autoconf: false dhcp: false vlan: base-iface: enp1s0 id: 10 - name: enp1s0 type: ethernet state: up routes: config: - destination: 0.0.0.0/0 next-hop-address: 192.0.2.254 next-hop-interface: vlan10 - destination: ::/0 next-hop-address: 2001:db8:1::fffe next-hop-interface: vlan10 dns-resolver: config: search: - example.com server: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb
これらの設定では、
enp1s0
デバイスを使用する ID 10 の VLAN を定義します。子デバイスの VLAN 接続の設定は以下のようになります。-
静的 IPv4 アドレス:
192.0.2.1
(サブネットマスクが/24
) -
静的 IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1
(サブネットマスクが/64
) -
IPv4 デフォルトゲートウェイ -
192.0.2.254
-
IPv6 デフォルトゲートウェイ -
2001:db8:1::fffe
-
IPv4 DNS サーバー -
192.0.2.200
-
IPv6 DNS サーバー -
2001:db8:1::ffbb
-
DNS 検索ドメイン -
example.com
-
静的 IPv4 アドレス:
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-vlan.yml
検証
デバイスおよび接続の状態を表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION vlan10 vlan connected vlan10
接続プロファイルのすべての設定を表示します。
# nmcli connection show vlan10 connection.id: vlan10 connection.uuid: 1722970f-788e-4f81-bd7d-a86bf21c9df5 connection.stable-id: -- connection.type: vlan connection.interface-name: vlan10 ...
接続設定を YAML 形式で表示します。
# nmstatectl show vlan0
関連情報
-
システム上の
nmstatectl(8)
man ページ -
/usr/share/doc/nmstate/examples/
directory
5.7. network
RHEL システムロールを使用した VLAN タグ付けの設定
ネットワークで仮想ローカルエリアネットワーク (VLAN) を使用してネットワークトラフィックを論理ネットワークに分離する場合は、NetworkManager 接続プロファイルを作成して VLAN タグ付けを設定します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用して VLAN タグ付けを設定できます。VLAN の親デバイスの接続プロファイルが存在しない場合は、このロールによって作成することもできます。
VLAN デバイスに IP アドレス、デフォルトゲートウェイ、および DNS 設定が必要な場合は、親デバイスではなく VLAN デバイスで設定してください。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: VLAN connection profile with Ethernet port ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: # Ethernet profile - name: enp1s0 type: ethernet interface_name: enp1s0 autoconnect: yes state: up ip: dhcp4: no auto6: no # VLAN profile - name: enp1s0.10 type: vlan vlan: id: 10 ip: dhcp4: yes auto6: yes parent: enp1s0 state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
type: <profile_type>
- 作成するプロファイルのタイプを設定します。このサンプル Playbook では、2 つの接続プロファイルを作成します。1 つは親イーサネットデバイス用、もう 1 つは VLAN デバイス用です。
dhcp4: <value>
-
yes
に設定すると、DHCP、PPP、または同様のサービスからの自動 IPv4 アドレス割り当てが有効になります。親デバイスの IP アドレス設定を無効にします。 auto6: <value>
-
yes
に設定すると、IPv6 自動設定が有効になります。この場合、デフォルトで NetworkManager がルーター広告を使用します。ルーターがmanaged
フラグを通知すると、NetworkManager は DHCPv6 サーバーから IPv6 アドレスと接頭辞を要求します。親デバイスの IP アドレス設定を無効にします。 parent: <parent_device>
- VLAN 接続プロファイルの親デバイスを設定します。この例では、親はイーサネットインターフェイスです。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
VLAN 設定を確認します。
# ansible managed-node-01.example.com -m command -a 'ip -d addr show enp1s0.10' managed-node-01.example.com | CHANGED | rc=0 >> 4: vlan10@enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:72:2f:6e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff promiscuity 0 vlan protocol 802.1Q id 10 <REORDER_HDR> numtxqueues 1 numrxqueues 1 gso_max_size 65536 gso_max_segs 65535 ...
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
第6章 ネットワークブリッジの設定
ネットワークブリッジは、MAC アドレスのテーブルに基づいてネットワーク間のトラフィックを転送するリンク層デバイスです。ブリッジは、ネットワークトラフィックをリッスンし、どのホストが各ネットワークに接続しているかを把握して、MAC アドレステーブルを構築します。たとえば、Red Hat Enterprise Linux ホストのソフトウェアブリッジを使用して、ハードウェアブリッジまたは仮想環境をエミュレートし、仮想マシンをホストと同じネットワークに統合できます。
ブリッジには、ブリッジが接続する必要がある各ネットワークにネットワークデバイスが必要です。ブリッジを設定する場合には、ブリッジは コントローラー
と呼ばれ、ポート
を使用するデバイスです。
以下のように、さまざまなタイプのデバイスにブリッジを作成できます。
- 物理および仮想イーサネットデバイス
- ネットワークボンド
- ネットワークチーム
- VLAN デバイス
Wi-Fi で効率的に使用するために、Wi-Fi で 3-address フレームの使用を指定する IEEE 802.11 規格により、Ad-Hoc モードまたは Infrastructure モードで稼働している Wi-Fi ネットワークにはブリッジを設定できません。
6.1. nmcli
を使用したネットワークブリッジの設定
コマンドラインでネットワークブリッジを設定するには、nmcli
ユーティリティーを使用します。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
-
ホストが Red Hat Enterprise Linux 9.4 以降で実行されている。このバージョンでは、この手順で使用される
port-type
、controller
、connection.autoconnect-ports
オプションが導入されました。以前の RHEL バージョンでは、代わりにslave-type
、master
、connection.autoconnect-slaves
が使用されます。 - ブリッジのポートとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスをサーバーにインストールする必要があります。
ブリッジのポートにチーム、ボンディング、または VLAN デバイスを使用するには、ブリッジの作成時にこれらのデバイスを作成するか、次の説明に従って事前にデバイスを作成することができます。
手順
ブリッジインターフェイスを作成します。
# nmcli connection add type bridge con-name bridge0 ifname bridge0
このコマンドにより
bridge0
という名前のブリッジが作成されます。以下を入力します。ネットワークインターフェイスを表示し、ブリッジに追加するインターフェイスの名前を書き留めます。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp7s0 ethernet disconnected -- enp8s0 ethernet disconnected -- bond0 bond connected bond0 bond1 bond connected bond1 ...
この例では、以下のように設定されています。
-
enp7s0
およびenp8s0
は設定されません。これらのデバイスをポートとして使用するには、次のステップに接続プロファイルを追加します。 -
bond0
およびbond1
には既存の接続プロファイルがあります。これらのデバイスをポートとして使用するには、次の手順でプロファイルを変更します。
-
インターフェイスをブリッジに割り当てます。
ブリッジに割り当てるインターフェイスが設定されていない場合は、それらのブリッジに新しい接続プロファイルを作成します。
# nmcli connection add type ethernet port-type bridge con-name bridge0-port1 ifname enp7s0 controller bridge0 # nmcli connection add type ethernet port-type bridge con-name bridge0-port2 ifname enp8s0 controller bridge0
これらのコマンドにより、
enp7s0
およびenp8s0
のプロファイルが作成され、それらをbridge0
接続に追加します。既存の接続プロファイルをブリッジに割り当てるには、以下を実行します。
これらの接続の
controller
パラメーターをbridge0
に設定します。# nmcli connection modify bond0 controller bridge0 # nmcli connection modify bond1 controller bridge0
これらのコマンドは、
bond0
およびbond1
という名前の既存の接続プロファイルをbridge0
接続に割り当てます。接続を再度アクティブにします。
# nmcli connection up bond0 # nmcli connection up bond1
IPv4 を設定します。
このブリッジデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify bridge0 ipv4.method disabled
- DHCP を使用するために必要な操作はありません。
静的 IPv4 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを
bridge0
接続に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify bridge0 ipv4.addresses '192.0.2.1/24' ipv4.gateway '192.0.2.254' ipv4.dns '192.0.2.253' ipv4.dns-search 'example.com' ipv4.method manual
IPv6 設定を行います。
このブリッジデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify bridge0 ipv6.method disabled
- ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用する場合、アクションは必要ありません。
静的 IPv6 アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーを
bridge0
接続に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify bridge0 ipv6.addresses '2001:db8:1::1/64' ipv6.gateway '2001:db8:1::fffe' ipv6.dns '2001:db8:1::fffd' ipv6.dns-search 'example.com' ipv6.method manual
必要に応じて、ブリッジのその他のプロパティーを設定します。たとえば、
bridge0
の STP (Spanning Tree Protocol) の優先度を16384
に設定するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection modify bridge0 bridge.priority '16384'
デフォルトでは STP が有効になっています。
接続をアクティベートします。
# nmcli connection up bridge0
ポートが接続されており、
CONNECTION
コラムがポートの接続名を表示していることを確認します。# nmcli device DEVICE TYPE STATE CONNECTION ... enp7s0 ethernet connected bridge0-port1 enp8s0 ethernet connected bridge0-port2
接続のいずれかのポートをアクティブにすると、NetworkManager はブリッジもアクティブにしますが、他のポートはアクティブにしません。ブリッジが有効な場合には、Red Hat Enterprise Linux がすべてのポートを自動的に有効にするように設定できます。
ブリッジ接続の
connection.autoconnect-ports
パラメーターを有効にします。# nmcli connection modify bridge0 connection.autoconnect-ports 1
ブリッジを再度アクティブにします。
# nmcli connection up bridge0
検証
ip
ユーティリティーを使用して、特定のブリッジのポートであるイーサネットデバイスのリンクステータスを表示します。# ip link show master bridge0 3: enp7s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master bridge0 state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:62:61:0e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff 4: enp8s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master bridge0 state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:9e:f1:ce brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
bridge
ユーティリティーを使用して、任意のブリッジデバイスのポートであるイーサネットデバイスの状態を表示します。# bridge link show 3: enp7s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge0 state forwarding priority 32 cost 100 4: enp8s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge0 state listening priority 32 cost 100 5: enp9s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge1 state forwarding priority 32 cost 100 6: enp11s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge1 state blocking priority 32 cost 100 ...
特定のイーサネットデバイスのステータスを表示するには、
bridge link show dev <ethernet_device_name>
コマンドを使用します。
関連情報
-
システム上の
bridge(8)
およびnm-settings(5)
man ページ - NetworkManager duplicates a connection after restart of NetworkManager service (Red Hat ナレッジベース)
- VLAN 情報を使用して、ブリッジを設定する方法(Red Hat ナレッジベース)
6.2. RHEL Web コンソールを使用したネットワークブリッジの設定
Web ブラウザーベースのインターフェイスを使用してネットワーク設定を管理する場合は、RHEL Web コンソールを使用してネットワークブリッジを設定します。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- ブリッジのポートとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスをサーバーにインストールする必要があります。
ブリッジのポートにチーム、ボンディング、または VLAN デバイスを使用するには、ブリッジの作成時にこれらのデバイスを作成するか、次の説明に従って事前にデバイスを作成することができます。
RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。
手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。
手順
RHEL 9 Web コンソールにログインします。
詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。
- 画面左側のナビゲーションで Networking タブを選択します。
- Interfaces セクションで をクリックします。
- 作成するブリッジデバイスの名前を入力します。
- ブリッジのポートにするインターフェイスを選択します。
オプション: Spanning tree protocol (STP) 機能を有効にして、ブリッジループとブロードキャストの過剰拡散を回避します。
- をクリックします。
デフォルトでは、ブリッジは動的 IP アドレスを使用します。静的 IP アドレスを設定する場合:
- Interfaces セクションでブリッジの名前をクリックします。
- 設定するプロトコルの横にある Edit をクリックします。
- Addresses の横にある Manual を選択し、IP アドレス、接頭辞、およびデフォルトゲートウェイを入力します。
- DNS セクションで ボタンをクリックし、DNS サーバーの IP アドレスを入力します。複数の DNS サーバーを設定するには、この手順を繰り返します。
- DNS search domains セクションで、 ボタンをクリックし、検索ドメインを入力します。
インターフェイスにスタティックルートが必要な場合は、Routes セクションで設定します。
- をクリックします。
検証
画面左側のナビゲーションで Networking タブを選択し、インターフェイスに着信および発信トラフィックがあるか確認します。
6.3. nmtui
を使用したネットワークブリッジの設定
nmtui
アプリケーションは、NetworkManager 用のテキストベースのユーザーインターフェイスを提供します。nmtui
を使用して、グラフィカルインターフェイスを使用せずにホスト上でネットワークブリッジを設定できます。
nmtui
で以下を行います。
- カーソルキーを使用してナビゲートします。
- ボタンを選択して Enter を押します。
- Space を使用してチェックボックスをオンまたはオフにします。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- ブリッジのポートとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスをサーバーにインストールする必要があります。
手順
ネットワークブリッジを設定するネットワークデバイス名がわからない場合は、使用可能なデバイスを表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp7s0 ethernet unavailable -- enp8s0 ethernet unavailable -- ...
nmtui
を開始します。# nmtui
-
Edit a connection
選択し、Enter を押します。 -
Add
を押します。 -
ネットワークタイプのリストから
Bridge
を選択し、Enter を押します。 オプション: 作成する NetworkManager プロファイルの名前を入力します。
ホストに複数のプロファイルがある場合は、わかりやすい名前を付けると、プロファイルの目的を識別しやすくなります。
-
作成するブリッジデバイス名を
Device
フィールドに入力します。 作成するブリッジにポートを追加します。
-
Slaves
リストの横にあるAdd
を押します。 -
ブリッジにポートとして追加するインターフェイスのタイプ (例:
Ethernet
) を選択します。 - オプション: このブリッジポート用に作成する NetworkManager プロファイルの名前を入力します。
-
ポートのデバイス名を
Device
フィールドに入力します。 OK
を押して、ブリッジ設定のウィンドウに戻ります。図6.1 イーサネットデバイスをポートとしてブリッジに追加する
- ブリッジにさらにポートを追加するには、これらの手順を繰り返します。
-
環境に応じて、
IPv4 configuration
およびIPv6 configuration
領域に IP アドレス設定を設定します。これを行うには、これらの領域の横にあるボタンを押して、次を選択します。-
ブリッジが IP アドレスを必要としない場合は
Disabled
にします。 -
DHCP サーバーまたはステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) が IP アドレスをブリッジに動的に割り当てる場合は、
Automatic
にします。 ネットワークで静的 IP アドレス設定が必要な場合は、
Manual
にします。この場合、さらにフィールドに入力する必要があります。-
設定するプロトコルの横にある
Show
を押して、追加のフィールドを表示します。 Addresses
の横にあるAdd
を押して、IP アドレスとサブネットマスクを Classless Inter-Domain Routing (CIDR) 形式で入力します。サブネットマスクを指定しない場合、NetworkManager は IPv4 アドレスに
/32
サブネットマスクを設定し、IPv6 アドレスに/64
サブネットマスクを設定します。- デフォルトゲートウェイのアドレスを入力します。
-
DNS servers
の横にあるAdd
を押して、DNS サーバーのアドレスを入力します。 -
Search domains
の横にあるAdd
を押して、DNS 検索ドメインを入力します。
-
設定するプロトコルの横にある
図6.2 IP アドレス設定なしのブリッジ接続例
-
ブリッジが IP アドレスを必要としない場合は
-
OK
を押すと、新しい接続が作成され、自動的にアクティブ化されます。 -
Back
を押してメインメニューに戻ります。 -
Quit
を選択し、Enter キーを押してnmtui
アプリケーションを閉じます。
検証
ip
ユーティリティーを使用して、特定のブリッジのポートであるイーサネットデバイスのリンクステータスを表示します。# ip link show master bridge0 3: enp7s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master bridge0 state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:62:61:0e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff 4: enp8s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master bridge0 state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:9e:f1:ce brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
bridge
ユーティリティーを使用して、任意のブリッジデバイスのポートであるイーサネットデバイスの状態を表示します。# bridge link show 3: enp7s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge0 state forwarding priority 32 cost 100 4: enp8s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge0 state listening priority 32 cost 100 ...
特定のイーサネットデバイスのステータスを表示するには、
bridge link show dev <ethernet_device_name>
コマンドを使用します。
6.4. nm-connection-editor を使用したネットワークブリッジの設定
グラフィカルインターフェイスで Red Hat Enterprise Linux を使用する場合は、nm-connection-editor
アプリケーションを使用してネットワークブリッジを設定できます。
nm-connection-editor
は、新しいポートだけをブリッジに追加できることに注意してください。既存の接続プロファイルをポートとして使用するには、nmcli を使用したネットワークブリッジの設定 の説明に従って、nmcli
ユーティリティーを使用してブリッジを作成します。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- ブリッジのポートとしてイーサネットデバイスを使用するには、物理または仮想のイーサネットデバイスをサーバーにインストールする必要があります。
- ブリッジのポートとしてチーム、ボンディング、または VLAN デバイスを使用するには、これらのデバイスがまだ設定されていないことを確認してください。
手順
ターミナルを開き、
nm-connection-editor
と入力します。$ nm-connection-editor
- ボタンをクリックして、新しい接続を追加します。
- 接続タイプ Bridge を選択し、 をクリックします。
Bridge タブで以下を行います。
- 必要に応じて、Interface name フィールドにブリッジインターフェイスの名前を設定します。
- インターフェイスの接続タイプを選択します。たとえば、有線接続に Ethernet を選択します。
- オプション: ポートデバイスの接続名を設定します。
- イーサネットデバイスの接続プロファイルを作成する場合は、Ethernet タブを開き、Device フィールドで選択し、ポートとしてブリッジに追加するネットワークインターフェイスを選択します。別のデバイスタイプを選択した場合は、それに応じて設定します。
- をクリックします。
ブリッジに追加する各インターフェイスに、直前の手順を繰り返します。
- 必要に応じて、スパニングツリープロトコル (STP) オプションなどの追加のブリッジ設定を行います。
IPv4 Settings タブと IPv6 Settings タブの両方で IP アドレス設定を設定します。
- このブリッジデバイスを他のデバイスのポートとして使用するには、Method フィールドを Disabled に設定します。
- DHCP を使用するには、Method フィールドをデフォルトの Automatic (DHCP) のままにします。
静的 IP 設定を使用するには、Method フィールドを Manual に設定し、それに応じてフィールドに値を入力します。
- をクリックします。
-
nm-connection-editor
を閉じます。
検証
ip
ユーティリティーを使用して、特定のブリッジのポートであるイーサネットデバイスのリンクステータスを表示します。# ip link show master bridge0 3: enp7s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master bridge0 state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:62:61:0e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff 4: enp8s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master bridge0 state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:9e:f1:ce brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
bridge
ユーティリティーを使用して、任意のブリッジデバイスのポートであるイーサネットデバイスの状態を表示します。# bridge link show 3: enp7s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge0 state forwarding priority 32 cost 100 4: enp8s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge0 state listening priority 32 cost 100 5: enp9s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge1 state forwarding priority 32 cost 100 6: enp11s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge1 state blocking priority 32 cost 100 ...
特定のイーサネットデバイスのステータスを表示するには、
bridge link show dev ethernet_device_name
コマンドを使用します。
6.5. nmstatectl
を使用したネットワークブリッジの設定
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、Nmstate API を介してネットワークブリッジを設定します。Nmstate API は、設定を行った後、結果が設定ファイルと一致することを確認します。何らかの障害が発生した場合には、nmstatectl
は自動的に変更をロールバックし、システムが不正な状態のままにならないようにします。
環境に応じて、YAML ファイルを適宜調整します。たとえば、ブリッジでイーサネットアダプターとは異なるデバイスを使用するには、ブリッジで使用するポートの Base-iface
属性と type
属性を調整します。
前提条件
- サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
- 物理または仮想のイーサネットデバイスをサーバーにインストールし、ブリッジでイーサネットデバイスをポートとして使用する。
-
ポート
リストでインターフェイス名を設定し、対応するインターフェイスを定義して、ブリッジのポートとしてチーム、ボンディング、または VLAN デバイスを使用する。 -
nmstate
パッケージがインストールされている。
手順
以下の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-bridge.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: bridge0 type: linux-bridge state: up ipv4: enabled: true address: - ip: 192.0.2.1 prefix-length: 24 dhcp: false ipv6: enabled: true address: - ip: 2001:db8:1::1 prefix-length: 64 autoconf: false dhcp: false bridge: options: stp: enabled: true port: - name: enp1s0 - name: enp7s0 - name: enp1s0 type: ethernet state: up - name: enp7s0 type: ethernet state: up routes: config: - destination: 0.0.0.0/0 next-hop-address: 192.0.2.254 next-hop-interface: bridge0 - destination: ::/0 next-hop-address: 2001:db8:1::fffe next-hop-interface: bridge0 dns-resolver: config: search: - example.com server: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb
これらの設定では、次の設定でネットワークブリッジを定義します。
-
ブリッジのネットワークインターフェイス:
enp1s0
およびenp7s0
- スパニングツリープロトコル (STP): 有効化
-
静的 IPv4 アドレス:
192.0.2.1
(サブネットマスクが/24
) -
静的 IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1
(サブネットマスクが/64
) -
IPv4 デフォルトゲートウェイ:
192.0.2.254
-
IPv6 デフォルトゲートウェイ:
2001:db8:1::fffe
-
IPv4 DNS サーバー:
192.0.2.200
-
IPv6 DNS サーバー:
2001:db8:1::ffbb
-
DNS 検索ドメイン:
example.com
-
ブリッジのネットワークインターフェイス:
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-bridge.yml
検証
デバイスおよび接続の状態を表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION bridge0 bridge connected bridge0
接続プロファイルのすべての設定を表示します。
# nmcli connection show bridge0 connection.id: bridge0_ connection.uuid: e2cc9206-75a2-4622-89cf-1252926060a9 connection.stable-id: -- connection.type: bridge connection.interface-name: bridge0 ...
接続設定を YAML 形式で表示します。
# nmstatectl show bridge0
関連情報
-
システム上の
nmstatectl(8)
man ページ -
/usr/share/doc/nmstate/examples/
directory - VLAN 情報を使用して、ブリッジを設定する方法(Red Hat ナレッジベース)
6.6. network
RHEL システムロールを使用したネットワークブリッジの設定
ネットワークブリッジを作成することにより、Open Systems Interconnection (OSI) モデルのレイヤー 2 で複数のネットワークを接続できます。ブリッジを設定するには、NetworkManager で接続プロファイルを作成します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用してブリッジを設定できます。ブリッジの親デバイスの接続プロファイルが存在しない場合は、このロールによって作成することもできます。
IP アドレス、ゲートウェイ、DNS 設定をブリッジに割り当てる場合は、ポートではなくブリッジで設定してください。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - サーバーに、2 つ以上の物理ネットワークデバイスまたは仮想ネットワークデバイスがインストールされている。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Bridge connection profile with two Ethernet ports ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: # Bridge profile - name: bridge0 type: bridge interface_name: bridge0 ip: dhcp4: yes auto6: yes state: up # Port profile for the 1st Ethernet device - name: bridge0-port1 interface_name: enp7s0 type: ethernet controller: bridge0 port_type: bridge state: up # Port profile for the 2nd Ethernet device - name: bridge0-port2 interface_name: enp8s0 type: ethernet controller: bridge0 port_type: bridge state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
type: <profile_type>
- 作成するプロファイルのタイプを設定します。このサンプル Playbook では、3 つの接続プロファイルを作成します。1 つはブリッジ用、2 つはイーサネットデバイス用です。
dhcp4: yes
- DHCP、PPP、または同様のサービスからの自動 IPv4 アドレス割り当てを有効にします。
auto6: yes
-
IPv6 自動設定を有効にします。デフォルトでは、NetworkManager はルーター広告を使用します。ルーターが
managed
フラグを通知すると、NetworkManager は DHCPv6 サーバーに IPv6 アドレスと接頭辞を要求します。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
特定のブリッジのポートであるイーサネットデバイスのリンクステータスを表示します。
# ansible managed-node-01.example.com -m command -a 'ip link show master bridge0' managed-node-01.example.com | CHANGED | rc=0 >> 3: enp7s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master bridge0 state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:62:61:0e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff 4: enp8s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master bridge0 state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:9e:f1:ce brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
ブリッジデバイスのポートであるイーサネットデバイスのステータスを表示します。
# ansible managed-node-01.example.com -m command -a 'bridge link show' managed-node-01.example.com | CHANGED | rc=0 >> 3: enp7s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge0 state forwarding priority 32 cost 100 4: enp8s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 master bridge0 state listening priority 32 cost 100
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
第7章 IPsec VPN のセットアップ
仮想プライベートネットワーク (VPN) は、インターネット経由でローカルネットワークに接続する方法です。Libreswan
により提供される IPsec
は、VPN を作成するための望ましい方法です。Libreswan
は、VPN のユーザー空間 IPsec
実装です。VPN は、インターネットなどの中間ネットワークにトンネルを設定して、使用中の LAN と別のリモート LAN との間の通信を可能にします。セキュリティー上の理由から、VPN トンネルは常に認証と暗号化を使用します。暗号化操作では、Libreswan
は NSS
ライブラリーを使用します。
7.1. IPsec VPN 実装としての Libreswan
RHEL では、IPsec プロトコルを使用して仮想プライベートネットワーク (VPN) を設定できます。これは、Libreswan アプリケーションによりサポートされます。Libreswan は、Openswan アプリケーションの延長であり、Openswan ドキュメントの多くの例は Libreswan でも利用できます。
VPN の IPsec プロトコルは、IKE (Internet Key Exchange) プロトコルを使用して設定されます。IPsec と IKE は同義語です。IPsec VPN は、IKE VPN、IKEv2 VPN、XAUTH VPN、Cisco VPN、または IKE/IPsec VPN とも呼ばれます。Layer 2 Tunneling Protocol (L2TP) も使用する IPsec VPN のバリアントは、通常、L2TP/IPsec VPN と呼ばれ、optional
のリポジトリーによって提供される xl2tpd
パッケージが必要です。
Libreswan は、オープンソースのユーザー空間の IKE 実装です。IKE v1 および v2 は、ユーザーレベルのデーモンとして実装されます。IKE プロトコルも暗号化されています。IPsec プロトコルは Linux カーネルで実装され、Libreswan は、VPN トンネル設定を追加および削除するようにカーネルを設定します。
IKE プロトコルは、UDP ポート 500 および 4500 を使用します。IPsec プロトコルは、以下の 2 つのプロトコルで構成されます。
- 暗号セキュリティーペイロード (ESP) (プロトコル番号が 50)
- 認証ヘッダー (AH) (プロトコル番号 51)
AH プロトコルの使用は推奨されていません。AH のユーザーは、null 暗号化で ESP に移行することが推奨されます。
IPsec プロトコルは、以下の 2 つの操作モードを提供します。
- トンネルモード (デフォルト)
- トランスポートモード
IKE を使用せずに IPsec を使用してカーネルを設定できます。これは、手動キーリング と呼ばれます。また、ip xfrm
コマンドを使用して手動キーを設定できますが、これはセキュリティー上の理由からは強く推奨されません。Libreswan は、Netlink インターフェイスを使用して Linux カーネルと通信します。カーネルはパケットの暗号化と復号化を実行します。
Libreswan は、ネットワークセキュリティーサービス (NSS) 暗号化ライブラリーを使用します。NSS は、連邦情報処理標準 (FIPS) の公開文書 140-2 での使用が認定されています。
Libreswan および Linux カーネルが実装する IKE/IPsec の VPN は、RHEL で使用することが推奨される唯一の VPN 技術です。その他の VPN 技術は、そのリスクを理解せずに使用しないでください。
RHEL では、Libreswan はデフォルトで システム全体の暗号化ポリシー に従います。これにより、Libreswan は、デフォルトのプロトコルとして IKEv2 を含む現在の脅威モデルに対して安全な設定を使用するようになります。詳細は、システム全体の暗号化ポリシーの使用 を参照してください。
IKE/IPsec はピアツーピアプロトコルであるため、Libreswan では、"ソース" および "宛先"、または "サーバー" および "クライアント" という用語を使用しません。終了点 (ホスト) を参照する場合は、代わりに "左" と "右" という用語を使用します。これにより、ほとんどの場合、両方の終了点で同じ設定も使用できます。ただし、管理者は通常、ローカルホストに "左" を使用し、リモートホストに "右" を使用します。
leftid
と rightid
オプションは、認証プロセス内の各ホストの識別として機能します。詳細は、man ページの ipsec.conf(5)
を参照してください。
7.2. Libreswan の認証方法
Libreswan は複数の認証方法をサポートしますが、それぞれは異なるシナリオとなっています。
事前共有キー (PSK)
事前共有キー (PSK) は、最も簡単な認証メソッドです。セキュリティー上の理由から、PSK は 64 文字未満は使用しないでください。FIPS モードでは、PSK は、使用される整合性アルゴリズムに応じて、、最低強度の要件に準拠する必要があります。authby=secret
接続を使用して PSK を設定できます。
Raw RSA 鍵
Raw RSA 鍵 は、静的なホスト間またはサブネット間の IPsec 設定で一般的に使用されます。各ホストは、他のすべてのホストのパブリック RSA 鍵を使用して手動で設定され、Libreswan はホストの各ペア間で IPsec トンネルを設定します。この方法は、多数のホストでは適切にスケーリングされません。
ipsec newhostkey
コマンドを使用して、ホストで Raw RSA 鍵を生成できます。ipsec showhostkey
コマンドを使用して、生成された鍵をリスト表示できます。leftrsasigkey=
の行は、CKA ID キーを使用する接続設定に必要です。Raw RSA 鍵に authby=rsasig
接続オプションを使用します。
X.509 証明書
X.509 証明書 は、共通の IPsec ゲートウェイに接続するホストが含まれる大規模なデプロイメントに一般的に使用されます。中央の 認証局 (CA) は、ホストまたはユーザーの RSA 証明書に署名します。この中央 CA は、個別のホストまたはユーザーの取り消しを含む、信頼のリレーを行います。
たとえば、openssl
コマンドおよび NSS certutil
コマンドを使用して X.509 証明書を生成できます。Libreswan は、leftcert=
設定オプションの証明書のニックネームを使用して NSS データベースからユーザー証明書を読み取るため、証明書の作成時にニックネームを指定します。
カスタム CA 証明書を使用する場合は、これを Network Security Services(NSS) データベースにインポートする必要があります。ipsec import
コマンドを使用して、PKCS #12 形式の証明書を Libreswan NSS データベースにインポートできます。
Libreswan は、section 3.1 of RFC 4945 で説明されているように、すべてのピア証明書のサブジェクト代替名 (SAN) としてインターネット鍵 Exchange(IKE) ピア ID を必要とします。require-id-on-certificated=
オプションを変更してこのチェックを無効にすると、システムが中間者攻撃に対して脆弱になる可能性があります。
SHA-2 で RSA を使用した X.509 証明書に基づく認証に authby=rsasig
接続オプションを使用します。authby=
を ecdsa
に設定し、authby=rsa-sha2
を介した SHA-2 による RSA Probabilistic Signature Scheme (RSASSA-PSS) デジタル署名ベースの認証を設定することにより、SHA-2 を使用する ECDSA デジタル署名に対してさらに制限することができます。デフォルト値は authby=rsasig,ecdsa
です。
証明書と authby=
署名メソッドが一致する必要があります。これにより、相互運用性が向上し、1 つのデジタル署名システムでの認証が維持されます。
NULL 認証
null 認証 は、認証なしでメッシュの暗号化を取得するために使用されます。これは、パッシブ攻撃は防ぎますが、アクティブ攻撃は防ぎません。ただし、IKEv2 は非対称認証メソッドを許可するため、NULL 認証はインターネットスケールのオポチュニスティック IPsec にも使用できます。このモデルでは、クライアントはサーバーを認証しますが、サーバーはクライアントを認証しません。このモデルは、TLS を使用して Web サイトのセキュリティーを保護するのと似ています。NULL 認証に authby=null
を使用します。
量子コンピューターに対する保護
上記の認証方法に加えて、Post-quantum Pre-shared Key (PPK) メソッドを使用して、量子コンピューターによる潜在的な攻撃から保護することができます。個々のクライアントまたはクライアントグループは、帯域外で設定された事前共有鍵に対応する PPK ID を指定することにより、独自の PPK を使用できます。
事前共有キーで IKEv1 を使用すると、量子攻撃者から保護されます。IKEv2 の再設計は、この保護をネイティブに提供しません。Libreswan は、Post-quantum Pre-shared Key (PPK) を使用して、量子攻撃から IKEv2 接続を保護します。
任意の PPK 対応を有効にする場合は、接続定義に ppk=yes
を追加します。PPK が必要な場合は ppk=insist
を追加します。次に、各クライアントには、帯域外で通信する (および可能であれば量子攻撃に対して安全な) シークレット値を持つ PPK ID を付与できます。PPK はランダム性において非常に強力で、辞書の単語に基づいていません。PPK ID と PPK データは、次のように ipsec.secrets
ファイルに保存されます。
@west @east : PPKS "user1" "thestringismeanttobearandomstr"
PPKS
オプションは、静的な PPK を参照します。実験的な関数は、ワンタイムパッドに基づいた動的 PPK を使用します。各接続では、ワンタイムパッドの新しい部分が PPK として使用されます。これを使用すると、ファイル内の動的な PPK の部分がゼロで上書きされ、再利用を防ぐことができます。複数のタイムパッドマテリアルが残っていないと、接続は失敗します。詳細は、man ページの ipsec.secrets(5)
を参照してください。
動的 PPK の実装はサポート対象外のテクノロジープレビューとして提供されます。注意して使用してください。
7.3. Libreswan のインストール
Libreswan IPsec/IKE 実装を通じて VPN を設定する前に、対応するパッケージをインストールし、ipsec
サービスを開始して、ファイアウォールでサービスを許可する必要があります。
前提条件
-
AppStream
リポジトリーが有効になっている。
手順
libreswan
パッケージをインストールします。# dnf install libreswan
Libreswan を再インストールする場合は、古いデータベースファイルを削除し、新しいデータベースを作成します。
# systemctl stop ipsec # rm /var/lib/ipsec/nss/*db # ipsec initnss
ipsec
サービスを開始して有効にし、システムの起動時にサービスを自動的に開始できるようにします。# systemctl enable ipsec --now
ファイアウォールで、
ipsec
サービスを追加して、IKE プロトコル、ESP プロトコル、および AH プロトコルの 500/UDP ポートおよび 4500/UDP ポートを許可するように設定します。# firewall-cmd --add-service="ipsec" # firewall-cmd --runtime-to-permanent
7.4. ホスト間の VPN の作成
raw RSA キーによる認証を使用して、左 および 右 と呼ばれる 2 つのホスト間に、ホストツーホスト IPsec VPN を作成するように Libreswan を設定できます。
前提条件
-
Libreswan がインストールされ、
ipsec
サービスが各ノードで開始している。
手順
各ホストで Raw RSA 鍵ペアを生成します。
# ipsec newhostkey
前の手順で生成した鍵の
ckaid
を返します。左 で次のコマンドを実行して、そのckaid
を使用します。以下に例を示します。# ipsec showhostkey --left --ckaid 2d3ea57b61c9419dfd6cf43a1eb6cb306c0e857d
上のコマンドの出力により、設定に必要な
leftrsasigkey=
行が生成されます。次のホスト (右) でも同じ操作を行います。# ipsec showhostkey --right --ckaid a9e1f6ce9ecd3608c24e8f701318383f41798f03
/etc/ipsec.d/
ディレクトリーで、新しいmy_host-to-host.conf
ファイルを作成します。上の手順のipsec showhostkey
コマンドの出力から、RSA ホストの鍵を新規ファイルに書き込みます。以下に例を示します。conn mytunnel leftid=@west left=192.1.2.23 leftrsasigkey=0sAQOrlo+hOafUZDlCQmXFrje/oZm [...] W2n417C/4urYHQkCvuIQ== rightid=@east right=192.1.2.45 rightrsasigkey=0sAQO3fwC6nSSGgt64DWiYZzuHbc4 [...] D/v8t5YTQ== authby=rsasig
鍵をインポートしたら、
ipsec
サービスを再起動します。# systemctl restart ipsec
接続を読み込みます。
# ipsec auto --add mytunnel
トンネルを確立します。
# ipsec auto --up mytunnel
ipsec
サービスの開始時に自動的にトンネルを開始するには、以下の行を接続定義に追加します。auto=start
7.5. サイト間 VPN の設定
2 つのネットワークを結合してサイト間の IPsec VPN を作成する場合は、その 2 つのホスト間の IPsec トンネルを作成します。これにより、ホストは終了点として動作し、1 つまたは複数のサブネットからのトラフィックが通過できるように設定されます。したがって、ホストを、ネットワークのリモート部分にゲートウェイとして見なすことができます。
サイト間の VPN の設定は、設定ファイル内で複数のネットワークまたはサブネットを指定する必要がある点のみが、ホスト間の VPN とは異なります。
前提条件
- ホスト間の VPN が設定されている。
手順
ホスト間の VPN の設定が含まれるファイルを、新規ファイルにコピーします。以下に例を示します。
# cp /etc/ipsec.d/my_host-to-host.conf /etc/ipsec.d/my_site-to-site.conf
上の手順で作成したファイルに、サブネット設定を追加します。以下に例を示します。
conn mysubnet also=mytunnel leftsubnet=192.0.1.0/24 rightsubnet=192.0.2.0/24 auto=start conn mysubnet6 also=mytunnel leftsubnet=2001:db8:0:1::/64 rightsubnet=2001:db8:0:2::/64 auto=start # the following part of the configuration file is the same for both host-to-host and site-to-site connections: conn mytunnel leftid=@west left=192.1.2.23 leftrsasigkey=0sAQOrlo+hOafUZDlCQmXFrje/oZm [...] W2n417C/4urYHQkCvuIQ== rightid=@east right=192.1.2.45 rightrsasigkey=0sAQO3fwC6nSSGgt64DWiYZzuHbc4 [...] D/v8t5YTQ== authby=rsasig
7.6. リモートアクセスの VPN の設定
ロードウォーリアーとは、モバイルクライアントと動的に割り当てられた IP アドレスを使用する移動するユーザーのことです。モバイルクライアントは、X.509 証明書を使用して認証します。
以下の例では、IKEv2
の設定を示しています。IKEv1
XAUTH プロトコルは使用していません。
サーバー上では以下の設定になります。
conn roadwarriors ikev2=insist # support (roaming) MOBIKE clients (RFC 4555) mobike=yes fragmentation=yes left=1.2.3.4 # if access to the LAN is given, enable this, otherwise use 0.0.0.0/0 # leftsubnet=10.10.0.0/16 leftsubnet=0.0.0.0/0 leftcert=gw.example.com leftid=%fromcert leftxauthserver=yes leftmodecfgserver=yes right=%any # trust our own Certificate Agency rightca=%same # pick an IP address pool to assign to remote users # 100.64.0.0/16 prevents RFC1918 clashes when remote users are behind NAT rightaddresspool=100.64.13.100-100.64.13.254 # if you want remote clients to use some local DNS zones and servers modecfgdns="1.2.3.4, 5.6.7.8" modecfgdomains="internal.company.com, corp" rightxauthclient=yes rightmodecfgclient=yes authby=rsasig # optionally, run the client X.509 ID through pam to allow or deny client # pam-authorize=yes # load connection, do not initiate auto=add # kill vanished roadwarriors dpddelay=1m dpdtimeout=5m dpdaction=clear
ロードウォーリアーのデバイスであるモバイルクライアントでは、上記の設定に多少変更を加えて使用します。
conn to-vpn-server ikev2=insist # pick up our dynamic IP left=%defaultroute leftsubnet=0.0.0.0/0 leftcert=myname.example.com leftid=%fromcert leftmodecfgclient=yes # right can also be a DNS hostname right=1.2.3.4 # if access to the remote LAN is required, enable this, otherwise use 0.0.0.0/0 # rightsubnet=10.10.0.0/16 rightsubnet=0.0.0.0/0 fragmentation=yes # trust our own Certificate Agency rightca=%same authby=rsasig # allow narrowing to the server’s suggested assigned IP and remote subnet narrowing=yes # support (roaming) MOBIKE clients (RFC 4555) mobike=yes # initiate connection auto=start
7.7. メッシュ VPN の設定
any-to-any VPN とも呼ばれるメッシュ VPN ネットワークは、全ノードが IPsec を使用して通信するネットワークです。この設定では、IPsec を使用できないノードの例外が許可されます。メッシュの VPN ネットワークは、以下のいずれかの方法で設定できます。
- IPSec を必要とする。
- IPsec を優先するが、平文通信へのフォールバックを可能にする。
ノード間の認証は、X.509 証明書または DNSSEC (DNS Security Extensions) を基にできます。
これらの接続は通常の Libreswan 設定であるため、オポチュニスティック IPsec に通常の IKEv2 認証方法を使用できます。ただし、right=%opportunisticgroup
エントリーで定義されるオポチュニスティック IPsec を除きます。一般的な認証方法は、一般に共有される認証局 (CA) を使用して、X.509 証明書に基づいてホストを相互に認証させる方法です。クラウドデプロイメントでは通常、標準の手順の一部として、クラウド内の各ノードに証明書を発行します。
1 つのホストが侵害されると、グループの PSK シークレットも侵害されるため、PreSharedKey (PSK) 認証は使用しないでください。
NULL 認証を使用すると、認証なしでノード間に暗号化をデプロイできます。これを使用した場合、受動的な攻撃者からのみ保護されます。
以下の手順では、X.509 証明書を使用します。この証明書は、Dogtag Certificate System などの任意の種類の CA 管理システムを使用して生成できます。Dogtag は、各ノードの証明書が PKCS #12 形式 (.p12
ファイル) で利用可能であることを前提としています。これには、秘密鍵、ノード証明書、およびその他のノードの X.509 証明書を検証するのに使用されるルート CA 証明書が含まれます。
各ノードでは、その X.509 証明書を除いて、同じ設定を使用します。これにより、ネットワーク内で既存ノードを再設定せずに、新規ノードを追加できます。PKCS #12 ファイルには "分かりやすい名前" が必要であるため、名前には "node" を使用します。これにより、すべてのノードに対して、この名前を参照する設定ファイルが同一になります。
前提条件
-
Libreswan がインストールされ、
ipsec
サービスが各ノードで開始している。 新しい NSS データベースが初期化されている。
すでに古い NSS データベースがある場合は、古いデータベースファイルを削除します。
# systemctl stop ipsec # rm /var/lib/ipsec/nss/*db
次のコマンドを使用して、新しいデータベースを初期化できます。
# ipsec initnss
手順
各ノードで PKCS #12 ファイルをインポートします。この手順では、PKCS #12 ファイルの生成に使用するパスワードが必要になります。
# ipsec import nodeXXX.p12
IPsec required
(private)、IPsec optional
(private-or-clear)、およびNo IPsec
(clear) プロファイルに、以下のような 3 つの接続定義を作成します。# cat /etc/ipsec.d/mesh.conf conn clear auto=ondemand 1 type=passthrough authby=never left=%defaultroute right=%group conn private auto=ondemand type=transport authby=rsasig failureshunt=drop negotiationshunt=drop ikev2=insist left=%defaultroute leftcert=nodeXXXX leftid=%fromcert 2 rightid=%fromcert right=%opportunisticgroup conn private-or-clear auto=ondemand type=transport authby=rsasig failureshunt=passthrough negotiationshunt=passthrough # left left=%defaultroute leftcert=nodeXXXX 3 leftid=%fromcert leftrsasigkey=%cert # right rightrsasigkey=%cert rightid=%fromcert right=%opportunisticgroup
- 1
auto
変数にはいくつかのオプションがあります。ondemand
接続オプションは、IPsec 接続を開始するオポチュニスティック IPsec や、常にアクティブにする必要のない明示的に設定した接続に使用できます。このオプションは、カーネル内にトラップ XFRM ポリシーを設定し、そのポリシーに一致する最初のパケットを受信したときに IPsec 接続を開始できるようにします。オポチュニスティック IPsec を使用する場合も、明示的に設定した接続を使用する場合も、次のオプションを使用すると、IPsec 接続を効果的に設定および管理できます。
add
オプション-
接続設定をロードし、リモート開始に応答できるように準備します。ただし、接続はローカル側から自動的に開始されません。コマンド
ipsec auto --up
を使用して、IPsec 接続を手動で開始できます。 start
オプション- 接続設定をロードし、リモート開始に応答できるように準備します。さらに、リモートピアへの接続を即座に開始します。このオプションは、永続的かつ常にアクティブな接続に使用できます。
- 2
leftid
変数とrightid
変数は、IPsec トンネル接続の右チャネルと左チャネルを指定します。これらの変数を使用して、ローカル IP アドレスの値、またはローカル証明書のサブジェクト DN を取得できます (設定している場合)。- 3
leftcert
変数は、使用する NSS データベースのニックネームを定義します。ネットワークの IP アドレスを対応するカテゴリーに追加します。たとえば、すべてのノードが
10.15.0.0/16
ネットワーク内に存在し、すべてのノードで IPsec 暗号化を使用する必要がある場合は、次のコマンドを実行します。# echo "10.15.0.0/16" >> /etc/ipsec.d/policies/private
特定のノード (
10.15.34.0/24
など) を IPsec の有無にかかわらず機能させるには、そのノードを private-or-clear グループに追加します。# echo "10.15.34.0/24" >> /etc/ipsec.d/policies/private-or-clear
ホストを、
10.15.1.2
など、IPsec の機能がない clear グループに定義する場合は、次のコマンドを実行します。# echo "10.15.1.2/32" >> /etc/ipsec.d/policies/clear
/etc/ipsec.d/policies
ディレクトリーのファイルは、各新規ノードのテンプレートから作成することも、Puppet または Ansible を使用してプロビジョニングすることもできます。すべてのノードでは、例外のリストが同じか、異なるトラフィックフローが期待される点に注意してください。したがって、あるノードで IPsec が必要になり、別のノードで IPsec を使用できないために、ノード間の通信ができない場合もあります。
ノードを再起動して、設定したメッシュに追加します。
# systemctl restart ipsec
検証
ping
コマンドを使用して IPsec トンネルを開きます。# ping <nodeYYY>
インポートされた証明書を含む NSS データベースを表示します。
# certutil -L -d sql:/etc/ipsec.d Certificate Nickname Trust Attributes SSL,S/MIME,JAR/XPI west u,u,u ca CT,,
ノード上の開いているトンネルを確認します。
# ipsec trafficstatus 006 #2: "private#10.15.0.0/16"[1] ...<nodeYYY>, type=ESP, add_time=1691399301, inBytes=512, outBytes=512, maxBytes=2^63B, id='C=US, ST=NC, O=Example Organization, CN=east'
関連情報
-
システム上の
ipsec.conf(5)
man ページ -
authby
変数の詳細は、6.2.Libreswan の認証方法 を参照してください。
7.8. FIPS 準拠の IPsec VPN のデプロイ
Libreswan を使用して、FIPS 準拠の IPsec VPN ソリューションをデプロイできます。これを行うには、FIPS モードの Libreswan で使用できる暗号化アルゴリズムと無効になっている暗号化アルゴリズムを特定します。
前提条件
-
AppStream
リポジトリーが有効になっている。
手順
libreswan
パッケージをインストールします。# dnf install libreswan
Libreswan を再インストールする場合は、古い NSS データベースを削除します。
# systemctl stop ipsec # rm /var/lib/ipsec/nss/*db
ipsec
サービスを開始して有効にし、システムの起動時にサービスを自動的に開始できるようにします。# systemctl enable ipsec --now
ファイアウォールで、
ipsec
サービスを追加して、IKE プロトコル、ESP プロトコル、および AH プロトコルの500
および4500
UDP ポートを許可するように設定します。# firewall-cmd --add-service="ipsec" # firewall-cmd --runtime-to-permanent
システムを FIPS モードに切り替えます。
# fips-mode-setup --enable
システムを再起動して、カーネルを FIPS モードに切り替えます。
# reboot
検証
Libreswan が FIPS モードで実行されていることを確認します。
# ipsec whack --fipsstatus 000 FIPS mode enabled
または、
systemd
ジャーナルでipsec
ユニットのエントリーを確認します。$ journalctl -u ipsec ... Jan 22 11:26:50 localhost.localdomain pluto[3076]: FIPS Mode: YES
FIPS モードで使用可能なアルゴリズムを表示するには、次のコマンドを実行します。
# ipsec pluto --selftest 2>&1 | head -6 Initializing NSS using read-write database "sql:/var/lib/ipsec/nss" FIPS Mode: YES NSS crypto library initialized FIPS mode enabled for pluto daemon NSS library is running in FIPS mode FIPS HMAC integrity support [disabled]
FIPS モードで無効化されたアルゴリズムをクエリーするには、次のコマンドを実行します。
# ipsec pluto --selftest 2>&1 | grep disabled Encryption algorithm CAMELLIA_CTR disabled; not FIPS compliant Encryption algorithm CAMELLIA_CBC disabled; not FIPS compliant Encryption algorithm NULL disabled; not FIPS compliant Encryption algorithm CHACHA20_POLY1305 disabled; not FIPS compliant Hash algorithm MD5 disabled; not FIPS compliant PRF algorithm HMAC_MD5 disabled; not FIPS compliant PRF algorithm AES_XCBC disabled; not FIPS compliant Integrity algorithm HMAC_MD5_96 disabled; not FIPS compliant Integrity algorithm HMAC_SHA2_256_TRUNCBUG disabled; not FIPS compliant Integrity algorithm AES_XCBC_96 disabled; not FIPS compliant DH algorithm MODP1536 disabled; not FIPS compliant DH algorithm DH31 disabled; not FIPS compliant
FIPS モードで許可されているすべてのアルゴリズムと暗号のリストを表示するには、次のコマンドを実行します。
# ipsec pluto --selftest 2>&1 | grep ESP | grep FIPS | sed "s/^.*FIPS//" aes_ccm, aes_ccm_c aes_ccm_b aes_ccm_a NSS(CBC) 3des NSS(GCM) aes_gcm, aes_gcm_c NSS(GCM) aes_gcm_b NSS(GCM) aes_gcm_a NSS(CTR) aesctr NSS(CBC) aes aes_gmac NSS sha, sha1, sha1_96, hmac_sha1 NSS sha512, sha2_512, sha2_512_256, hmac_sha2_512 NSS sha384, sha2_384, sha2_384_192, hmac_sha2_384 NSS sha2, sha256, sha2_256, sha2_256_128, hmac_sha2_256 aes_cmac null NSS(MODP) null, dh0 NSS(MODP) dh14 NSS(MODP) dh15 NSS(MODP) dh16 NSS(MODP) dh17 NSS(MODP) dh18 NSS(ECP) ecp_256, ecp256 NSS(ECP) ecp_384, ecp384 NSS(ECP) ecp_521, ecp521
関連情報
7.9. パスワードによる IPsec NSS データベースの保護
デフォルトでは、IPsec サービスは、初回起動時に空のパスワードを使用して Network Security Services (NSS) データベースを作成します。セキュリティーを強化するために、パスワード保護を追加できます。
前提条件
-
/var/lib/ipsec/nss/
ディレクトリーには NSS データベースファイルが含まれます。
手順
Libreswan の
NSS
データベースのパスワード保護を有効にします。# certutil -N -d sql:/var/lib/ipsec/nss Enter Password or Pin for "NSS Certificate DB": Enter a password which will be used to encrypt your keys. The password should be at least 8 characters long, and should contain at least one non-alphabetic character. Enter new password:
前の手順で設定したパスワードを含む
/etc/ipsec.d/nsspassword
ファイルを作成します。次に例を示します。# cat /etc/ipsec.d/nsspassword NSS Certificate DB:_<password>_
nsspassword
ファイルは次の構文を使用します。<token_1>:<password1> <token_2>:<password2>
デフォルトの NSS ソフトウェアトークンは
NSS Certificate DB
です。システムが FIPS モードで実行し場合は、トークンの名前がNSS FIPS 140-2 Certificate DB
になります。選択したシナリオに応じて、
nsspassword
ファイルの完了後にipsec
サービスを起動または再起動します。# systemctl restart ipsec
検証
NSS データベースに空でないパスワードを追加した後に、
ipsec
サービスが実行中であることを確認します。# systemctl status ipsec ● ipsec.service - Internet Key Exchange (IKE) Protocol Daemon for IPsec Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/ipsec.service; enabled; vendor preset: disable> Active: active (running)...
Journal
ログに初期化が成功したことを確認するエントリーが含まれていることを確認します。# journalctl -u ipsec ... pluto[6214]: Initializing NSS using read-write database "sql:/var/lib/ipsec/nss" pluto[6214]: NSS Password from file "/etc/ipsec.d/nsspassword" for token "NSS Certificate DB" with length 20 passed to NSS pluto[6214]: NSS crypto library initialized ...
関連情報
-
システム上の
certutil(1)
man ページ - ナレッジベース記事 Compliance Activities and Government Standards の FIPS 140-2 および FIPS 140-3
7.10. TCP を使用するように IPsec VPN を設定
Libreswan は、RFC 8229 で説明されているように、IKE パケットおよび IPsec パケットの TCP カプセル化に対応します。この機能により、UDP 経由でトラフィックが転送されないように、IPsec VPN をネットワークに確立し、セキュリティーのペイロード (ESP) を強化できます。フォールバックまたはメインの VPN トランスポートプロトコルとして TCP を使用するように VPN サーバーおよびクライアントを設定できます。TCP カプセル化にはパフォーマンスコストが大きくなるため、UDP がシナリオで永続的にブロックされている場合に限り、TCP を主な VPN プロトコルとして使用してください。
前提条件
- リモートアクセス VPN が設定されている。
手順
config setup
セクションの/etc/ipsec.conf
ファイルに以下のオプションを追加します。listen-tcp=yes
UDP で最初の試行に失敗した場合に TCP カプセル化をフォールバックオプションとして使用するには、クライアントの接続定義に以下の 2 つのオプションを追加します。
enable-tcp=fallback tcp-remoteport=4500
または、UDP を永続的にブロックしている場合は、クライアントの接続設定で以下のオプションを使用します。
enable-tcp=yes tcp-remoteport=4500
7.11. IPsec 接続を高速化するために、ESP ハードウェアオフロードの自動検出と使用を設定
Encapsulating Security Payload (ESP) をハードウェアにオフロードすると、Ethernet で IPsec 接続が加速します。デフォルトでは、Libreswan は、ハードウェアがこの機能に対応しているかどうかを検出するため、ESP ハードウェアのオフロードを有効にします。機能が無効になっているか、明示的に有効になっている場合は、自動検出に戻すことができます。
前提条件
- ネットワークカードは、ESP ハードウェアオフロードに対応します。
- ネットワークドライバーは、ESP ハードウェアのオフロードに対応します。
- IPsec 接続が設定され、動作する。
手順
-
ESP ハードウェアオフロードサポートの自動検出を使用する接続の
/etc/ipsec.d/
ディレクトリーにある Libreswan 設定ファイルを編集します。 -
接続の設定で
nic-offload
パラメーターが設定されていないことを確認します。 nic-offload
を削除した場合は、ipsec
を再起動します。# systemctl restart ipsec
検証
IPsec 接続が使用するイーサネットデバイスの
tx_ipsec
およびrx_ipsec
カウンターを表示します。# ethtool -S enp1s0 | egrep "_ipsec" tx_ipsec: 10 rx_ipsec: 10
IPsec トンネルを介してトラフィックを送信します。たとえば、リモート IP アドレスに ping します。
# ping -c 5 remote_ip_address
イーサネットデバイスの
tx_ipsec
およびrx_ipsec
カウンターを再度表示します。# ethtool -S enp1s0 | egrep "_ipsec" tx_ipsec: 15 rx_ipsec: 15
カウンターの値が増えると、ESP ハードウェアオフロードが動作します。
関連情報
7.12. IPsec 接続を加速化するためにボンディングでの ESP ハードウェアオフロードの設定
Encapsulating Security Payload (ESP) をハードウェアにオフロードすると、IPsec 接続が加速します。フェイルオーバーの理由でネットワークボンディングを使用する場合、ESP ハードウェアオフロードを設定する要件と手順は、通常のイーサーネットデバイスを使用する要件と手順とは異なります。たとえば、このシナリオでは、ボンディングでオフロードサポートを有効にし、カーネルはボンディングのポートに設定を適用します。
前提条件
-
ボンディングのすべてのネットワークカードが、ESP ハードウェアオフロードをサポートしている。各ボンディングポートがこの機能をサポートしているかどうかを確認するには、
ethtool -k <interface_name> | grep "esp-hw-offload"
コマンドを使用します。 - ボンディングが設定されており動作する。
-
ボンディングで
active-backup
モードを使用している。ボンディングドライバーは、この機能の他のモードはサポートしていません。 - IPsec 接続が設定され、動作する。
手順
ネットワークボンディングで ESP ハードウェアオフロードのサポートを有効にします。
# nmcli connection modify bond0 ethtool.feature-esp-hw-offload on
このコマンドにより、
bond0
接続での ESP ハードウェアオフロードのサポートが有効になります。bond0
接続を再度アクティブにします。# nmcli connection up bond0
ESP ハードウェアオフロードに使用すべき接続の
/etc/ipsec.d/
ディレクトリーにある Libreswan 設定ファイルを編集し、nic-offload=yes
ステートメントを接続エントリーに追加します。conn example ... nic-offload=yes
ipsec
サービスを再起動します。# systemctl restart ipsec
検証
検証方法は、カーネルのバージョンやドライバーなど、さまざまな要素によって異なります。たとえば、一部のドライバーはカウンターを備えていますが、その名前はさまざまです。詳細は、お使いのネットワークドライバーのドキュメントを参照してください。
次の検証手順は、Red Hat Enterprise Linux 9 上の ixgbe
ドライバーに対して使用できます。
ボンディングのアクティブなポートを表示します。
# grep "Currently Active Slave" /proc/net/bonding/bond0 Currently Active Slave: enp1s0
アクティブなポートの
tx_ipsec
カウンターおよびrx_ipsec
カウンターを表示します。# ethtool -S enp1s0 | egrep "_ipsec" tx_ipsec: 10 rx_ipsec: 10
IPsec トンネルを介してトラフィックを送信します。たとえば、リモート IP アドレスに ping します。
# ping -c 5 remote_ip_address
アクティブなポートの
tx_ipsec
カウンターおよびrx_ipsec
カウンターを再度表示します。# ethtool -S enp1s0 | egrep "_ipsec" tx_ipsec: 15 rx_ipsec: 15
カウンターの値が増えると、ESP ハードウェアオフロードが動作します。
7.13. RHEL システムロールを使用した IPsec による VPN 接続の設定
vpn
システムロールを使用すると、Red Hat Ansible Automation Platform を使用して RHEL システムで VPN 接続を設定できます。これを使用して、ホスト間、ネットワーク間、VPN リモートアクセスサーバー、およびメッシュ設定をセットアップできます。
ホスト間接続の場合、ロールは、必要に応じてキーを生成するなど、デフォルトのパラメーターを使用して、vpn_connections
のリスト内のホストの各ペア間に VPN トンネルを設定します。または、リストされているすべてのホスト間にオポチュニスティックメッシュ設定を作成するように設定することもできます。このロールは、hosts
の下にあるホストの名前が Ansible インベントリーで使用されているホストの名前と同じであり、それらの名前を使用してトンネルを設定できることを前提としています。
vpn
RHEL システムロールは、現在 VPN プロバイダーとして、IPsec 実装である Libreswan のみをサポートしています。
7.13.1. vpn
RHEL システムロールを使用して IPsec によるホスト間 VPN を作成する
vpn
システムロールを使用して、コントロールノードで Ansible Playbook を実行することにより、ホスト間接続を設定できます。これにより、インベントリーファイルにリストされているすべての管理対象ノードが設定されます。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。- name: Host to host VPN hosts: managed-node-01.example.com, managed-node-02.example.com roles: - rhel-system-roles.vpn vars: vpn_connections: - hosts: managed-node-01.example.com: managed-node-02.example.com: vpn_manage_firewall: true vpn_manage_selinux: true
この Playbook は、システムロールによって自動生成されたキーを使用した事前共有キー認証を使用して、接続
managed-node-01.example.com-to-managed-node-02.example.com
を設定します。vpn_manage_firewall
とvpn_manage_selinux
は両方ともtrue
に設定されているため、vpn
ロールはfirewall
ロールとselinux
ロールを使用して、vpn
ロールが使用するポートを管理します。管理対象ホストから、インベントリーファイルにリストされていない外部ホストへの接続を設定するには、ホストの
vpn_connections
リストに次のセクションを追加します。vpn_connections: - hosts: managed-node-01.example.com: <external_node>: hostname: <IP_address_or_hostname>
これにより、追加の接続
managed-node-01.example.com-to-<external_node>
が 1 つ設定されます。注記接続は管理対象ノードでのみ設定され、外部ノードでは設定されません。
必要に応じて、
vpn_connections
内の追加セクション (コントロールプレーンやデータプレーンなど) を使用して、管理対象ノードに複数の VPN 接続を指定できます。- name: Multiple VPN hosts: managed-node-01.example.com, managed-node-02.example.com roles: - rhel-system-roles.vpn vars: vpn_connections: - name: control_plane_vpn hosts: managed-node-01.example.com: hostname: 192.0.2.0 # IP for the control plane managed-node-02.example.com: hostname: 192.0.2.1 - name: data_plane_vpn hosts: managed-node-01.example.com: hostname: 10.0.0.1 # IP for the data plane managed-node-02.example.com: hostname: 10.0.0.2
Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
マネージドノードで、接続が正常にロードされていることを確認します。
# ipsec status | grep <connection_name>
<connection_name>
は、このノードからの接続の名前に置き換えます (例:managed_node1-to-managed_node2
)。注記デフォルトでは、ロールは、各システムの観点から作成する接続ごとにわかりやすい名前を生成します。たとえば、
managed_node1
とmanaged_node2
との間の接続を作成するときに、managed_node1
上のこの接続のわかりやすい名前はmanaged_node1-to-managed_node2
ですが、managed_node2
では、この接続の名前はmanaged_node2-to-managed_node1
となります。マネージドノードで、接続が正常に開始されたことを確認します。
# ipsec trafficstatus | grep <connection_name>
オプション: 接続が正常にロードされない場合は、次のコマンドを入力して手動で接続を追加します。これにより、接続の確立に失敗した理由を示す、より具体的な情報が提供されます。
# ipsec auto --add <connection_name>
注記接続のロードおよび開始のプロセスで発生する可能性のあるエラーは、
/var/log/pluto.log
ファイルに報告されます。これらのログは解析が難しいため、代わりに接続を手動で追加して、標準出力からログメッセージを取得してください。
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.vpn/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/vpn/
ディレクトリー
7.13.2. vpn
RHEL システムロールを使用して IPsec によるオポチュニスティックメッシュ VPN 接続を作成する
vpn
システムロールを使用して、コントロールノードで Ansible Playbook を実行することにより、認証に証明書を使用するオポチュニスティックメッシュ VPN 接続を設定できます。これにより、インベントリーファイルにリストされているすべての管理対象ノードが設定されます。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 -
/etc/ipsec.d/
ディレクトリーの IPsec ネットワークセキュリティーサービス (NSS) 暗号ライブラリーに、必要な証明書が含まれている。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。- name: Mesh VPN hosts: managed-node-01.example.com, managed-node-02.example.com, managed-node-03.example.com roles: - rhel-system-roles.vpn vars: vpn_connections: - opportunistic: true auth_method: cert policies: - policy: private cidr: default - policy: private-or-clear cidr: 198.51.100.0/24 - policy: private cidr: 192.0.2.0/24 - policy: clear cidr: 192.0.2.7/32 vpn_manage_firewall: true vpn_manage_selinux: true
証明書による認証は、Playbook で
auth_method: cert
パラメーターを定義することによって設定されます。デフォルトでは、ノード名が証明書のニックネームとして使用されます。この例では、managed-node-01.example.com
です。インベントリーでcert_name
属性を使用して、さまざまな証明書名を定義できます。この手順の例では、Ansible Playbook の実行元のシステムであるコントロールノードが、両方の管理対象ノードと同じ Classless Inter-Domain Routing (CIDR) 番号 (192.0.2.0/24) を共有し、IP アドレス 192.0.2.7 を持ちます。したがって、コントロールノードは、CIDR 192.0.2.0/24 用に自動的に作成されるプライベートポリシーに該当します。
再生中の SSH 接続の損失を防ぐために、コントロールノードの明確なポリシーがポリシーのリストに含まれています。ポリシーリストには、CIDR がデフォルトと等しい項目もあることに注意してください。これは、この Playbook がデフォルトポリシーのルールを上書きして、private-or-clear ではなく private にするためです。
vpn_manage_firewall
とvpn_manage_selinux
は両方ともtrue
に設定されているため、vpn
ロールはfirewall
ロールとselinux
ロールを使用して、vpn
ロールが使用するポートを管理します。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.vpn/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/vpn/
ディレクトリー
7.14. システム全体の暗号化ポリシーをオプトアウトする IPsec 接続の設定
接続向けのシステム全体の暗号化ポリシーのオーバーライド
RHEL のシステム全体の暗号化ポリシーでは、%default
と呼ばれる特別な接続が作成されます。この接続には、ikev2
オプション、esp
オプション、および ike
オプションのデフォルト値が含まれます。ただし、接続設定ファイルに上記のオプションを指定すると、デフォルト値を上書きできます。
たとえば、次の設定では、AES および SHA-1 または SHA-2 で IKEv1 を使用し、AES-GCM または AES-CBC で IPsec (ESP) を使用する接続が可能です。
conn MyExample ... ikev2=never ike=aes-sha2,aes-sha1;modp2048 esp=aes_gcm,aes-sha2,aes-sha1 ...
AES-GCM は IPsec (ESP) および IKEv2 で利用できますが、IKEv1 では利用できません。
全接続向けのシステム全体の暗号化ポリシーの無効化
すべての IPsec 接続のシステム全体の暗号化ポリシーを無効にするには、/etc/ipsec.conf
ファイルで次の行をコメントアウトします。
include /etc/crypto-policies/back-ends/libreswan.config
次に、接続設定ファイルに ikev2=never
オプションを追加してください。
関連情報
7.15. IPsec VPN 設定のトラブルシューティング
IPsec VPN 設定に関連する問題は主に、一般的な理由が原因で発生する可能性が高くなっています。このような問題が発生した場合は、問題の原因が以下のシナリオのいずれかに該当するかを確認して、対応するソリューションを適用します。
基本的な接続のトラブルシューティング
VPN 接続関連の問題の多くは、管理者が不適当な設定オプションを指定してエンドポイントを設定した新しいデプロイメントで発生します。また、互換性のない値が新たに実装された場合に、機能していた設定が突然動作が停止する可能性があります。管理者が設定を変更した場合など、このような結果になることがあります。また、管理者が暗号化アルゴリズムなど、特定のオプションに異なるデフォルト値を使用して、ファームウェアまたはパッケージの更新をインストールした場合などです。
IPsec VPN 接続が確立されていることを確認するには、次のコマンドを実行します。
# ipsec trafficstatus
006 #8: "vpn.example.com"[1] 192.0.2.1, type=ESP, add_time=1595296930, inBytes=5999, outBytes=3231, id='@vpn.example.com', lease=100.64.13.5/32
出力が空の場合や、エントリーで接続名が表示されない場合など、トンネルが破損します。
接続に問題があることを確認するには、以下を実行します。
vpn.example.com 接続をもう一度読み込みます。
# ipsec auto --add vpn.example.com 002 added connection description "vpn.example.com"
次に、VPN 接続を開始します。
# ipsec auto --up vpn.example.com
ファイアウォール関連の問題
最も一般的な問題は、IPSec エンドポイントの 1 つ、またはエンドポイント間にあるルーターにあるファイアウォールで Internet Key Exchange (IKE) パケットがドロップされるという点が挙げられます。
IKEv2 の場合には、以下の例のような出力は、ファイアウォールに問題があることを示しています。
# ipsec auto --up vpn.example.com 181 "vpn.example.com"[1] 192.0.2.2 #15: initiating IKEv2 IKE SA 181 "vpn.example.com"[1] 192.0.2.2 #15: STATE_PARENT_I1: sent v2I1, expected v2R1 010 "vpn.example.com"[1] 192.0.2.2 #15: STATE_PARENT_I1: retransmission; will wait 0.5 seconds for response 010 "vpn.example.com"[1] 192.0.2.2 #15: STATE_PARENT_I1: retransmission; will wait 1 seconds for response 010 "vpn.example.com"[1] 192.0.2.2 #15: STATE_PARENT_I1: retransmission; will wait 2 seconds for ...
IKEv1 の場合は、最初のコマンドの出力は以下のようになります。
# ipsec auto --up vpn.example.com 002 "vpn.example.com" #9: initiating Main Mode 102 "vpn.example.com" #9: STATE_MAIN_I1: sent MI1, expecting MR1 010 "vpn.example.com" #9: STATE_MAIN_I1: retransmission; will wait 0.5 seconds for response 010 "vpn.example.com" #9: STATE_MAIN_I1: retransmission; will wait 1 seconds for response 010 "vpn.example.com" #9: STATE_MAIN_I1: retransmission; will wait 2 seconds for response ...
IPsec の設定に使用される IKE プロトコルは暗号化されているため、tcpdump
ツールを使用して、トラブルシューティングできるサブセットは一部のみです。ファイアウォールが IKE パケットまたは IPsec パケットをドロップしている場合は、tcpdump
ユーティリティーを使用して原因を見つけることができます。ただし、tcpdump
は IPsec VPN 接続に関する他の問題を診断できません。
eth0
インターフェイスで VPN および暗号化データすべてのネゴシエーションを取得するには、次のコマンドを実行します。# tcpdump -i eth0 -n -n esp or udp port 500 or udp port 4500 or tcp port 4500
アルゴリズム、プロトコル、およびポリシーが一致しない場合
VPN 接続では、エンドポイントが IKE アルゴリズム、IPsec アルゴリズム、および IP アドレス範囲に一致する必要があります。不一致が発生した場合には接続は失敗します。以下の方法のいずれかを使用して不一致を特定した場合は、アルゴリズム、プロトコル、またはポリシーを調整して修正します。
リモートエンドポイントが IKE/IPsec を実行していない場合は、そのパケットを示す ICMP パケットが表示されます。以下に例を示します。
# ipsec auto --up vpn.example.com ... 000 "vpn.example.com"[1] 192.0.2.2 #16: ERROR: asynchronous network error report on wlp2s0 (192.0.2.2:500), complainant 198.51.100.1: Connection refused [errno 111, origin ICMP type 3 code 3 (not authenticated)] ...
IKE アルゴリズムが一致しない例:
# ipsec auto --up vpn.example.com ... 003 "vpn.example.com"[1] 193.110.157.148 #3: dropping unexpected IKE_SA_INIT message containing NO_PROPOSAL_CHOSEN notification; message payloads: N; missing payloads: SA,KE,Ni
IPsec アルゴリズムが一致しない例:
# ipsec auto --up vpn.example.com ... 182 "vpn.example.com"[1] 193.110.157.148 #5: STATE_PARENT_I2: sent v2I2, expected v2R2 {auth=IKEv2 cipher=AES_GCM_16_256 integ=n/a prf=HMAC_SHA2_256 group=MODP2048} 002 "vpn.example.com"[1] 193.110.157.148 #6: IKE_AUTH response contained the error notification NO_PROPOSAL_CHOSEN
また、IKE バージョンが一致しないと、リモートエンドポイントが応答なしの状態でリクエストをドロップする可能性がありました。これは、すべての IKE パケットをドロップするファイアウォールと同じです。
IKEv2 (Traffic Selectors - TS) の IP アドレス範囲が一致しない例:
# ipsec auto --up vpn.example.com ... 1v2 "vpn.example.com" #1: STATE_PARENT_I2: sent v2I2, expected v2R2 {auth=IKEv2 cipher=AES_GCM_16_256 integ=n/a prf=HMAC_SHA2_512 group=MODP2048} 002 "vpn.example.com" #2: IKE_AUTH response contained the error notification TS_UNACCEPTABLE
IKEv1 の IP アドレス範囲で一致しない例:
# ipsec auto --up vpn.example.com ... 031 "vpn.example.com" #2: STATE_QUICK_I1: 60 second timeout exceeded after 0 retransmits. No acceptable response to our first Quick Mode message: perhaps peer likes no proposal
IKEv1 で PreSharedKeys (PSK) を使用する場合には、どちらでも同じ PSK に配置されなければ、IKE メッセージ全体の読み込みができなくなります。
# ipsec auto --up vpn.example.com ... 003 "vpn.example.com" #1: received Hash Payload does not match computed value 223 "vpn.example.com" #1: sending notification INVALID_HASH_INFORMATION to 192.0.2.23:500
IKEv2 では、mismatched-PSK エラーが原因で AUTHENTICATION_FAILED メッセージが表示されます。
# ipsec auto --up vpn.example.com ... 002 "vpn.example.com" #1: IKE SA authentication request rejected by peer: AUTHENTICATION_FAILED
最大伝送単位 (MTU)
ファイアウォールが IKE または IPSec パケットをブロックする以外で、ネットワークの問題の原因として、暗号化パケットのパケットサイズの増加が最も一般的です。ネットワークハードウェアは、最大伝送単位 (MTU) を超えるパケットを 1500 バイトなどのサイズに断片化します。多くの場合、断片化されたパケットは失われ、パケットの再アセンブルに失敗します。これにより、小さいサイズのパケットを使用する ping テスト時には機能し、他のトラフィックでは失敗するなど、断続的な問題が発生します。このような場合に、SSH セッションを確立できますが、リモートホストに 'ls -al /usr' コマンドに入力した場合など、すぐにターミナルがフリーズします。
この問題を回避するには、トンネル設定ファイルに mtu=1400
のオプションを追加して、MTU サイズを縮小します。
または、TCP 接続の場合は、MSS 値を変更する iptables ルールを有効にします。
# iptables -I FORWARD -p tcp --tcp-flags SYN,RST SYN -j TCPMSS --clamp-mss-to-pmtu
各シナリオで上記のコマンドを使用して問題が解決されない場合は、set-mss
パラメーターで直接サイズを指定します。
# iptables -I FORWARD -p tcp --tcp-flags SYN,RST SYN -j TCPMSS --set-mss 1380
ネットワークアドレス変換 (NAT)
IPsec ホストが NAT ルーターとしても機能すると、誤ってパケットが再マッピングされる可能性があります。以下の設定例はこの問題を示しています。
conn myvpn left=172.16.0.1 leftsubnet=10.0.2.0/24 right=172.16.0.2 rightsubnet=192.168.0.0/16 …
アドレスが 172.16.0.1 のシステムには NAT ルールが 1 つあります。
iptables -t nat -I POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE
アドレスが 10.0.2.33 のシステムがパケットを 192.168.0.1 に送信する場合に、ルーターは IPsec 暗号化を適用する前にソースを 10.0.2.33 から 172.16.0.1 に変換します。
次に、ソースアドレスが 10.0.2.33 のパケットは conn myvpn
設定と一致しなくなるので、IPsec ではこのパケットが暗号化されません。
この問題を解決するには、ルーターのターゲット IPsec サブネット範囲の NAT を除外するルールを挿入します。以下に例を示します。
iptables -t nat -I POSTROUTING -s 10.0.2.0/24 -d 192.168.0.0/16 -j RETURN
カーネル IPsec サブシステムのバグ
たとえば、バグが原因で IKE ユーザー空間と IPsec カーネルの同期が解除される場合など、カーネル IPsec サブシステムに問題が発生する可能性があります。このような問題がないかを確認するには、以下を実行します。
$ cat /proc/net/xfrm_stat
XfrmInError 0
XfrmInBufferError 0
...
上記のコマンドの出力でゼロ以外の値が表示されると、問題があることを示しています。この問題が発生した場合は、新しい サポートケース を作成し、1 つ前のコマンドの出力と対応する IKE ログを添付してください。
Libreswan のログ
デフォルトでは、Libreswan は syslog
プロトコルを使用してログに記録します。journalctl
コマンドを使用して、IPsec に関連するログエントリーを検索できます。ログへの対応するエントリーは pluto
IKE デーモンにより送信されるため、以下のように、キーワード "pluto" を検索します。
$ journalctl -b | grep pluto
ipsec
サービスのライブログを表示するには、次のコマンドを実行します。
$ journalctl -f -u ipsec
ロギングのデフォルトレベルで設定問題が解決しない場合は、/etc/ipsec.conf
ファイルの config setup
セクションに plutodebug=all
オプションを追加してデバッグログを有効にします。
デバッグロギングは多くのエントリーを生成し、journald
サービスまたは syslogd
サービスレートのいずれかが syslog
メッセージを制限する可能性があることに注意してください。完全なログを取得するには、ロギングをファイルにリダイレクトします。/etc/ipsec.conf
を編集し、config setup
セクションに logfile=/var/log/pluto.log
を追加します。
関連情報
- ログファイルを使用した問題のトラブルシューティング
-
tcpdump(8)
およびipsec.conf(5)
の man ページ - firewalld の使用および設定
7.16. control-center による VPN 接続の確立
グラフィカルインターフェイスで Red Hat Enterprise Linux を使用する場合は、この VPN 接続を GNOME control-center
で設定できます。
前提条件
-
NetworkManager-libreswan-gnome
パッケージがインストールされている。
手順
-
Super キーを押して
Settings
と入力し、Enter を押してcontrol-center
アプリケーションを開きます。 -
左側の
Network
エントリーを選択します。 - + アイコンをクリックします。
-
VPN
を選択します。 Identity
メニューエントリーを選択して、基本的な設定オプションを表示します。一般
Gateway
- リモート VPN ゲートウェイの名前またはIP
アドレスです。認証
Type
-
IKEv2 (証明書)
- クライアントは、証明書により認証されます。これはより安全です (デフォルト)。 IKEv1(XAUTH)
: クライアントは、ユーザー名とパスワード、または事前共有キー (PSK) で認証されます。Advanced
セクションでは、以下の設定が可能です。図7.1 VPN 接続の詳細なオプション
警告gnome-control-center
アプリケーションを使用して IPsec ベースの VPN 接続を設定すると、Advanced
ダイアログには設定が表示されますが、変更することはできません。したがって、詳細な IPsec オプションを変更できません。nm-connection-editor
ツールまたはnmcli
ツールを使用して、詳細なプロパティーの設定を実行します。識別
Domain
- 必要な場合は、ドメイン名を入力します。セキュリティー
-
Phase1 Algorithms
- Libreswan パラメーターike
に対応します。暗号化チャンネルの認証および設定に使用するアルゴリズムを入力します。 Phase2 Algorithms
- Libreswan パラメーターesp
に対応します。IPsec
ネゴシエーションに使用するアルゴリズムを入力します。Disable PFS
フィールドで PFS (Perfect Forward Secrecy) を無効にし、PFS に対応していない古いサーバーとの互換性があることを確認します。-
Phase1 Lifetime
- Libreswan パラメーターikelifetime
に対応します。このパラメーターは、トラフィックの暗号化に使用される鍵がどのぐらい有効であるかどうかを示します。 Phase2 Lifetime
- Libreswan パラメーターsalifetime
に対応します。このパラメーターは、接続の特定インスタンスが最後に終了するまでの時間を指定します。セキュリティー上の理由から、暗号化キーは定期的に変更する必要があります。
Remote network
- Libreswan パラメーターrightsubnet
に対応します。このパラメーターは、VPN から到達できる宛先のプライベートリモートネットワークです。絞り込むことのできる
narrowing
フィールドを確認します。これは IKEv2 ネゴシエーションの場合にのみ有効であることに注意してください。-
Enable fragmentation
- Libreswan パラメーターの断片化
に対応します。IKE 断片化を許可するかどうかを指定します。有効な値は、yes
(デフォルト) またはno
です。 -
Enable Mobike
- Libreswan パラメーターmobike
に対応します。最初から接続を再起動しなくても、接続がエンドポイントを移行することを Mobility and Multihoming Protocol (MOBIKE, RFC 4555) が許可するかどうかを設定します。これは、有線、無線、またはモバイルデータの接続の切り替えを行うモバイルデバイスで使用されます。値は、no
(デフォルト) またはyes
です。
-
IPv4 Method
-
Automatic (DHCP)
- 接続しているネットワークが動的IP
アドレスの割り当てにDHCP
サーバーを使用する場合は、このオプションを選択します。 -
Link-Local Only
- 接続しているネットワークにDHCP
サーバーがなく、IP
アドレスを手動で割り当てない場合は、このオプションを選択します。接頭辞169.254/16
付きのランダムなアドレスが、RFC 3927 に従って割り当てられます。 -
Manual
-IP
アドレスを手動で割り当てる場合は、このオプションを選択します。 Disable
- この接続ではIPv4
は無効です。DNS
DNS
セクションでは、Automatic
がON
になっているときに、これをOFF
に切り替えて、使用する DNS サーバーの IP アドレスを入力します。IP アドレスはコンマで区切ります。Routes
Routes
セクションでは、Automatic
がON
になっている場合は、DHCP からのルートが使用されますが、他の静的ルートを追加することもできることに注意してください。OFF
の場合は、静的ルートだけが使用されます。-
Address
- リモートネットワークまたはホストのIP
アドレスを入力します。 -
Netmask
- 上に入力したIP
アドレスのネットマスクまたは接頭辞長。 -
Gateway
- 上に入力したリモートネットワーク、またはホストにつながるゲートウェイのIP
アドレス。 Metric
- このルートに付与する優先値であるネットワークコスト。数値が低い方が優先されます。Use this connection only for resources on its network (この接続はネットワーク上のリソースのためだけに使用)
このチェックボックスを選択すると、この接続はデフォルトルートになりません。このオプションを選択すると、この接続で自動的に学習したルートを使用することが明確なトラフィックか、手動で入力したトラフィックのみがこの接続を経由します。
-
VPN
接続のIPv6
設定を設定するには、 メニューエントリーを選択します。IPv6 Method
-
Automatic
-IPv6
ステートレスアドレス自動設定 (SLAAC) を使用して、ハードウェアのアドレスとルーター通知 (RA) に基づくステートレスの自動設定を作成するには、このオプションを選択します。 -
Automatic, DHCP only
- RA を使用せず、直接DHCPv6
に情報を要求してステートフルな設定を作成する場合は、このオプションを選択します。 -
Link-Local Only
- 接続しているネットワークにDHCP
サーバーがなく、IP
アドレスを手動で割り当てない場合は、このオプションを選択します。接頭辞FE80::0
付きのランダムなアドレスが、RFC 4862 に従って割り当てられます。 -
Manual
-IP
アドレスを手動で割り当てる場合は、このオプションを選択します。 Disable
- この接続ではIPv6
は無効です。DNS
、Routes
、Use this connection only for resources on its network
が、一般的なIPv4
設定となることに注意してください。
-
-
VPN
接続の編集が終了したら、 ボタンをクリックして設定をカスタマイズするか、 ボタンをクリックして、既存の接続に保存します。 -
プロファイルを
ON
に切り替え、VPN
接続をアクティブにします。
関連情報
-
nm-settings-libreswan(5)
7.17. nm-connection-editor による VPN 接続の設定
Red Hat Enterprise Linux をグラフィカルインターフェイスで使用する場合は、nm-connection-editor
アプリケーションを使用して VPN 接続を設定できます。
前提条件
-
NetworkManager-libreswan-gnome
パッケージがインストールされている。 インターネット鍵交換バージョン 2 (IKEv2) 接続を設定する場合は、以下のようになります。
- 証明書が、IPsec ネットワークセキュリティーサービス (NSS) データベースにインポートされている。
- NSS データベースの証明書のニックネームが知られている。
手順
ターミナルを開き、次のコマンドを入力します。
$ nm-connection-editor
- ボタンをクリックして、新しい接続を追加します。
-
IPsec ベースの VPN
接続タイプを選択し、 をクリックします。 VPN
タブで、以下を行います。Gateway
フィールドに VPN ゲートウェイのホスト名または IP アドレスを入力し、認証タイプを選択します。認証タイプに応じて、異なる追加情報を入力する必要があります。-
IKEv2 (Certifiate)
は、証明書を使用してクライアントを認証します。これは、より安全です。この設定には、IPsec NSS データベースの証明書のニックネームが必要です。 IKEv1 (XAUTH)
は、ユーザー名とパスワード (事前共有鍵) を使用してユーザーを認証します。この設定は、以下の値を入力する必要があります。- ユーザー名
- Password
- グループ名
- シークレット
-
リモートサーバーが IKE 交換のローカル識別子を指定する場合は、
Remote ID
フィールドに正確な文字列を入力します。リモートサーバーで Libreswan を実行すると、この値はサーバーのleftid
パラメーターに設定されます。オプション:
ボタンをクリックして、追加設定を行います。以下の設定を指定できます。識別
-
ドメイン
- 必要な場合は、ドメイン名を入力します。
-
セキュリティー
-
Phase1 アルゴリズム
は、Libreswan パラメーターike
に対応します。暗号化チャンネルの認証および設定に使用するアルゴリズムを入力します。 Phase2 アルゴリズム
は、Libreswan パラメーターesp
に対応します。IPsec
ネゴシエーションに使用するアルゴリズムを入力します。Disable PFS
フィールドで PFS (Perfect Forward Secrecy) を無効にし、PFS に対応していない古いサーバーとの互換性があることを確認します。-
Phase1 ライフタイム
は、Libreswan パラメーターikelifetime
に対応します。このパラメーターは、トラフィックの暗号化に使用される鍵が有効である期間を定義します。 -
Phase2 ライフタイム
は、Libreswan パラメーターsalifetime
に対応します。このパラメーターは、セキュリティー関連が有効である期間を定義します。
-
接続性
リモートネットワーク
は、Libreswan パラメーターrightsubnet
に対応し、VPN から到達できる宛先のプライベートリモートネットワークです。絞り込むことのできる
narrowing
フィールドを確認します。これは IKEv2 ネゴシエーションの場合にのみ有効であることに注意してください。-
フラグメンテーションの有効化
は、Libreswan パラメーターの断片化
に対応します。IKE 断片化を許可するかどうかを指定します。有効な値は、yes
(デフォルト) またはno
です。 -
Mobike の有効化
は、Libreswan パラメーターmobike
に対応します。パラメーターは、最初から接続を再起動しなくても、接続がエンドポイントを移行するようにするため、MOBIKE (Mobility and Multihoming Protocol) (RFC 4555) を許可するかどうかを定義します。これは、有線、無線、またはモバイルデータの接続の切り替えを行うモバイルデバイスで使用されます。値は、no
(デフォルト) またはyes
です。
IPv4 設定
タブで、IP 割り当て方法を選択し、必要に応じて、追加の静的アドレス、DNS サーバー、検索ドメイン、ルートを設定します。- 接続を読み込みます。
-
nm-connection-editor
を閉じます。
NetworkManager により、その接続用の新しい設定が作成され、既存の接続の編集に使用するのと同じダイアログが表示されます。このダイアログの違いは、既存の接続プロファイルに Details メニューエントリーがあることです。
ボタンをクリックして新しい接続を追加する場合は、関連情報
-
システム上の
nm-settings-libreswan(5)
man ページ
7.18. nmstatectl を使用して IPsec ベースの VPN 接続を設定する
IPsec (Internet Protocol Security) は、VPN の実装用に Libreswan
によって提供されるセキュリティープロトコルスイートです。IPsec には、接続の確立時に認証を開始し、データ転送中にキーを管理するプロトコルが組み込まれています。アプリケーションがネットワークにデプロイされていて、IP プロトコルを使用して通信する場合、IPsec はデータ通信を保護できます。
VPN 接続を認証するための IPsec ベースの設定を管理するには、nmstatectl
ユーティリティーを使用できます。このユーティリティーは、ホストネットワーク管理用の宣言型 API へのコマンドラインアクセスを提供します。host-to-subnet
および host-to-host
通信モードの認証タイプを以下に示します。
- ホスト/サブネット間 PKI 認証
- ホスト/サブネット間 RSA 認証
- ホスト/サブネット間 PSK 認証
- ホスト間トンネルモード認証
- ホスト間トランスポートモード認証
7.18.1. nmstatectl を使用して PKI 認証とトンネルモードによるホスト/サブネット間 IPSec VPN を設定する
信頼できるエンティティー認証に基づく暗号化を IPsec で使用する必要がある場合、公開鍵基盤 (PKI) により、2 つのホスト間で暗号化キーを使用することで、セキュアな通信が実現します。通信する両方のホストが秘密鍵と公開鍵を生成します。各ホストは信頼できるエンティティーの認証局 (CA) と公開鍵を共有することで秘密鍵を維持します。CA は信頼性を検証した後、デジタル証明書を生成します。暗号化と復号を行う場合、ホストは暗号化に秘密鍵を使用し、復号化に公開鍵を使用します。
ネットワーク管理用の宣言型 API である Nmstate を使用すると、PKI 認証ベースの IPsec 接続を設定できます。設定すると、Nmstate API によって結果と設定ファイルが一致することが確認されます。何らかの障害が発生した場合、nmstate
は自動的に変更をロールバックし、システムが正しくない状態になるのを回避します。
host-to-subnet
設定で暗号化された通信を確立するために、リモート IPsec エンドがパラメーター dhcp: true
を使用してホストに別の IP を提供します。nmstate で IPsec
のシステムを定義する場合、left
という名前を持つシステムがローカルホストであり、right
という名前を持つシステムがリモートホストです。次の手順は両方のホストで実行する必要があります。
前提条件
- パスワードを使用して、証明書と暗号化キーを保存する PKCS #12 ファイルを生成した。
手順
必要なパッケージをインストールします。
# dnf install nmstate libreswan NetworkManager-libreswan
NetworkManager サービスを再起動します。
# systemctl restart NetworkManager
Libreswan
がすでにインストールされている場合は、古いデータベースファイルを削除して再作成します。# systemctl stop ipsec # rm /etc/ipsec.d/*db # ipsec initnss
ipsec
サービスを有効にして起動します。# systemctl enable --now ipsec
PKCS#12 ファイルをインポートします。
# ipsec import node-example.p12
PKCS#12 ファイルをインポートするときは、ファイルの作成に使用したパスワードを入力します。
次の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-pki-authentication.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: 'example_ipsec_conn1' 1 type: ipsec ipv4: enabled: true dhcp: true libreswan: ipsec-interface: 'yes' 2 left: '192.0.2.250' 3 leftid: '%fromcert' 4 leftcert: 'local-host.example.com' 5 right: '192.0.2.150' 6 rightid: '%fromcert' 7 ikev2: 'insist' 8 ikelifetime: '24h' 9 salifetime: '24h' 10
YAML ファイルで次の設定を定義します。
- 1
- IPsec 接続名
- 2
- 値が
yes
の場合、libreswan
が IPsecxfrm
仮想インターフェイスipsec<number>
を作成し、利用可能な次の番号を自動的に検出します。 - 3
- ローカルホストのパブリックネットワークインターフェイスの静的 IPv4 アドレス
- 4
%fromcert
値は、ローカルホストで、ロードされた証明書から取得された識別名 (DN) に ID を設定します。- 5
- ローカルホストの公開鍵の識別名 (DN)
- 6
- リモートホストのパブリックネットワークインターフェイスの静的 IPv4 アドレス
- 7
%fromcert
値は、リモートホストで、ロードされた証明書から取得された識別名 (DN) に ID を設定します。- 8
insist
値は、Internet Key Exchange (IKEv2) プロトコルのみを受け入れて受信します。- 9
- IKE プロトコルの存続時間
- 10
- IPsec セキュリティーアソシエーション (SA) の存続期間
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-pki-authentication.yml
検証
IPsec のステータスを確認します。
# ip xfrm status
IPsec のポリシーを確認します。
# ip xfrm policy
関連情報
-
システム上の
ipsec.conf(5)
man ページ
7.18.2. nmstatectl を使用して RSA 認証とトンネルモードによるホスト/サブネット間 IPSec VPN を設定する
IPsec で非対称暗号化ベースのキー認証を使用する必要がある場合、RSA アルゴリズムにより、2 つのホスト間の暗号化および復号に秘密鍵と公開鍵のいずれかを使用することで、セキュアな通信が実現します。この方法では、暗号化に秘密鍵を使用し、復号に公開鍵を使用します。
ネットワーク管理用の宣言型 API である Nmstate を使用すると、RSA ベースの IPsec 認証を設定できます。設定すると、Nmstate API によって結果と設定ファイルが一致することが確認されます。何らかの障害が発生した場合、nmstate
は自動的に変更をロールバックし、システムが正しくない状態になるのを回避します。
host-to-subnet
設定で暗号化された通信を確立するために、リモート IPsec エンドがパラメーター dhcp: true
を使用してホストに別の IP を提供します。nmstate で IPsec
のシステムを定義する場合、left
という名前を持つシステムがローカルホストであり、right
という名前を持つシステムがリモートホストです。次の手順は両方のホストで実行する必要があります。
手順
必要なパッケージをインストールします。
# dnf install nmstate libreswan NetworkManager-libreswan
NetworkManager サービスを再起動します。
# systemctl restart NetworkManager
Libreswan
がすでにインストールされている場合は、古いデータベースファイルを削除して再作成します。# systemctl stop ipsec # rm /etc/ipsec.d/*db # ipsec initnss
各ホストで RSA 鍵ペアを生成します。
# ipsec newhostkey --output
公開鍵を表示します。
# ipsec showhostkey --list
前のステップで、生成された鍵
ckaid
が返されます。そのckaid
を、left 側で次のコマンドで使用します。次に例を示します。# ipsec showhostkey --left --ckaid <0sAwEAAesFfVZqFzRA9F>
上のコマンドの出力により、設定に必要な
leftrsasigkey=
行が生成されます。2 番目のホスト (right 側) でも同じ操作を実行します。# ipsec showhostkey --right --ckaid <0sAwEAAesFfVZqFzRA9E>
起動時に
ipsec
サービスを自動的に起動するように有効にします。# systemctl enable --now ipsec
次の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-rsa-authentication.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: 'example_ipsec_conn1' 1 type: ipsec 2 ipv4: enabled: true dhcp: true libreswan: ipsec-interface: '99' 3 leftrsasigkey: '0sAwEAAesFfVZqFzRA9F' 4 left: '192.0.2.250' 5 leftid: 'local-host-rsa.example.com' 6 right: '192.0.2.150' 7 rightrsasigkey: '0sAwEAAesFfVZqFzRA9E' 8 rightid: 'remote-host-rsa.example.com' 9 ikev2: 'insist' 10
YAML ファイルで次の設定を定義します。
- 1
- IPsec 接続名
- 2
- インターフェイス名
- 3
- 値が
99
の場合、libreswan
が IPsecxfrm
仮想インターフェイスipsec<number>
を作成し、利用可能な次の番号を自動的に検出します。 - 4
- ローカルホストの RSA 公開鍵
- 5
- ローカルホストのパブリックネットワークインターフェイスの静的 IPv4 アドレス
- 6
- ローカルホストの識別名 (DN)
- 7
- リモートホストの RSA 公開鍵
- 8
- リモートホストのパブリックネットワークインターフェイスの静的 IPv4 アドレス
- 9
- リモートホストの識別名 (DN)
- 10
insist
値は、Internet Key Exchange (IKEv2) プロトコルのみを受け入れて受信します。
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-rsa-authentication.yml
検証
ネットワークインターフェイスの IP 設定を表示します。
# ip addr show example_ipsec_conn1
IPsec のステータスを確認します。
# ip xfrm status
IPsec のポリシーを確認します。
# ip xfrm policy
関連情報
-
システム上の
ipsec.conf(5)
man ページ
7.18.3. nmstatectl を使用して PSK 認証とトンネルモードによるホスト/サブネット間 IPSec VPN を設定する
IPsec で相互認証に基づく暗号化を使用する必要がある場合、事前共有鍵 (PSK) 方式により、2 つのホスト間で秘密鍵を使用することで、セキュアな通信が実現します。ファイルに秘密鍵が保存され、その秘密鍵でトンネルを通過するデータが暗号化されます。
ネットワーク管理用の宣言型 API である Nmstate を使用すると、PSK ベースの IPsec 認証を設定できます。設定すると、Nmstate API によって結果と設定ファイルが一致することが確認されます。何らかの障害が発生した場合、nmstate
は自動的に変更をロールバックし、システムが正しくない状態になるのを回避します。
host-to-subnet
設定で暗号化された通信を確立するために、リモート IPsec エンドがパラメーター dhcp: true
を使用してホストに別の IP を提供します。nmstate で IPsec
のシステムを定義する場合、left
という名前を持つシステムがローカルホストであり、right
という名前を持つシステムがリモートホストです。次の手順は両方のホストで実行する必要があります。
この方式は、認証と暗号化に静的文字列を使用するため、テスト/開発目的でのみ使用してください。
手順
必要なパッケージをインストールします。
# dnf install nmstate libreswan NetworkManager-libreswan
NetworkManager サービスを再起動します。
# systemctl restart NetworkManager
Libreswan
がすでにインストールされている場合は、古いデータベースファイルを削除して再作成します。# systemctl stop ipsec # rm /etc/ipsec.d/*db # ipsec initnss
起動時に
ipsec
サービスを自動的に起動するように有効にします。# systemctl enable --now ipsec
次の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-pks-authentication.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: 'example_ipsec_conn1' 1 type: ipsec ipv4: enabled: true dhcp: true libreswan: ipsec-interface: 'no' 2 right: '192.0.2.250' 3 rightid: 'remote-host.example.org' 4 left: '192.0.2.150' 5 leftid: 'local-host.example.org' 6 psk: "example_password" ikev2: 'insist' 7
YAML ファイルで次の設定を定義します。
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-pks-authentication.yml
検証
ネットワークインターフェイスの IP 設定を表示します。
# ip addr show example_ipsec_conn1
IPsec のステータスを確認します。
# ip xfrm status
IPsec のポリシーを確認します。
# ip xfrm policy
7.18.4. nmstatectl を使用して PKI 認証とトンネルモードによるホスト間 IPSec VPN を設定する
IPsec (Internet Protocol Security) は、ネットワークおよびデバイス内の IP 通信を認証および暗号化するためのセキュリティープロトコルスイートです。Libreswan
ソフトウェアが VPN 用の IPsec 実装を提供します。
トンネルモードでは、通信の送信元および宛先 IP アドレスが IPsec トンネル内で暗号化されます。外部のネットワークスニファーが取得できるのは、left の IP と right の IP だけです。一般に、トンネルモードでは、host-to-host
、host-to-host
、および subnet-to-subnet
がサポートされます。このモードでは、新しい IP パケットが既存のパケットをそのペイロードとヘッダーとともにカプセル化します。このモードのカプセル化により、セキュアでないネットワーク上の IP データ、送信元ヘッダー、および宛先ヘッダーが保護されます。このモードは、subnet-to-subnet
、リモートアクセス接続、および信頼できないネットワーク (オープンなパブリック Wi-Fi ネットワークなど) でデータを転送する場合に役立ちます。デフォルトでは、IPsec はトンネルモードで 2 つのサイト間にセキュアなチャネルを確立します。後述の設定を使用すると、host-to-host
アーキテクチャーとして VPN 接続を確立できます。
ネットワーク管理用の宣言型 API である Nmstate を使用すると、IPsec VPN 接続を設定できます。設定すると、Nmstate API によって結果と設定ファイルが一致することが確認されます。何らかの障害が発生した場合、nmstate
は自動的に変更をロールバックし、システムが正しくない状態になるのを回避します。
host-to-host
の設定では、leftmodecfgclient: no
(値として no
) を設定して、サーバーからネットワーク設定を受信できないようにする必要があります。nmstate で IPsec
のシステムを定義する場合、left
という名前を持つシステムがローカルホストであり、right
という名前を持つシステムがリモートホストです。次の手順は両方のホストで実行する必要があります。
前提条件
- パスワードを使用して、証明書と暗号化キーを保存する PKCS #12 ファイルを生成した。
手順
必要なパッケージをインストールします。
# dnf install nmstate libreswan NetworkManager-libreswan
NetworkManager サービスを再起動します。
# systemctl restart NetworkManager
Libreswan
がすでにインストールされている場合は、古いデータベースファイルを削除して再作成します。# systemctl stop ipsec # rm /etc/ipsec.d/*db # ipsec initnss
PKCS#12 ファイルをインポートします。
# ipsec import node-example.p12
PKCS#12 ファイルをインポートするときは、ファイルの生成に使用したパスワードを入力します。
ipsec
サービスを有効にして起動します。# systemctl enable --now ipsec
次の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-p2p-vpn-authentication.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: 'example_ipsec_conn1' 1 type: ipsec libreswan: left: '192.0.2.250' 2 leftid: 'local-host.example.com' 3 leftcert: 'local-host.example.com' 4 leftmodecfgclient: 'no' 5 right: '192.0.2.150' 6 rightid: 'remote-host.example.com' 7 rightsubnet: '192.0.2.150/32' 8 ikev2: 'insist' 9
YAML ファイルで次の設定を定義します。
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-p2p-vpn-authentication.yml
検証
作成された P2P ポリシーを表示します。
# ip xfrm policy
IPsec のステータスを確認します。
# ip xfrm status
関連情報
-
システム上の
ipsec.conf(5)
man ページ
7.18.5. nmstatectl を使用して PSK 認証とトランスポートモードを備えたホスト間 IPsec VPN を設定する
IPsec (Internet Protocol Security) は、ネットワークおよびデバイス内の IP 通信を認証および暗号化するためのセキュリティープロトコルスイートです。Libreswan
ユーティリティーが VPN 用の IPsec ベースの実装を提供します。
トランスポートモードでは、IP パケットのペイロードに対してのみ暗号化が機能します。また、元の IP ヘッダーがそのまま維持され、新しい IPsec ヘッダーが IP パケットに追加されます。トランスポートモードでは、通信の送信元 IP と宛先 IP は暗号化されず、外部 IP ヘッダーにコピーされます。したがって、ネットワーク上の IP データのみが暗号化によって保護されます。このモードは、ネットワークの host-to-host
接続でデータを転送する場合に便利です。このモードは、20 バイト (IP ヘッダー) のオーバーヘッドを節約するために、GRE トンネルと一緒に使用されることがよくあります。デフォルトでは、IPsec
ユーティリティーはトンネルモードを使用します。トランスポートモードを使用するには、host-to-host
接続データ転送に type: transport
を設定します。
ネットワーク管理用の宣言型 API である Nmstate を使用すると、IPsec VPN 接続を設定できます。設定すると、Nmstate API によって結果と設定ファイルが一致することが確認されます。何らかの障害が発生した場合、nmstate
は自動的に変更をロールバックし、システムが正しくない状態になるのを回避します。デフォルトの tunnel
モードをオーバーライドするには、transport
モードを指定します。
nmstate で IPsec
のシステムを定義する場合、left
という名前を持つシステムがローカルホストであり、right
という名前を持つシステムがリモートホストです。次の手順は両方のホストで実行する必要があります。
前提条件
- パスワードを使用して、証明書と暗号化キーを保存する PKCS #12 ファイルを生成した。
手順
必要なパッケージをインストールします。
# dnf install nmstate libreswan NetworkManager-libreswan
NetworkManager サービスを再起動します。
# systemctl restart NetworkManager
Libreswan
がすでにインストールされている場合は、古いデータベースファイルを削除して再作成します。# systemctl stop ipsec # rm /etc/ipsec.d/*db # ipsec initnss
PKCS#12 ファイルをインポートします。
# ipsec import node-example.p12
PKCS#12 ファイルをインポートするときは、ファイルの作成に使用したパスワードを入力します。
ipsec
サービスを有効にして起動します。# systemctl enable --now ipsec
次の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-p2p-transport-authentication.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: 'example_ipsec_conn1' 1 type: ipsec libreswan: type: 'transport' 2 ipsec-interface: '99' 3 left: '192.0.2.250' 4 leftid: '%fromcert' 5 leftcert: 'local-host.example.org' 6 right: '192.0.2.150' 7 prefix-length: '32' 8 rightid: '%fromcert' 9 ikev2: 'insist' 10 ikelifetime: '24h' 11 salifetime: '24h' 12
YAML ファイルで次の設定を定義します。
- 1
- IPsec 接続名
- 2
- IPsec モード
- 3
- 値が
99
の場合、libreswan
が IPsecxfrm
仮想インターフェイスipsec<number>
を作成し、利用可能な次の番号を自動的に検出します。 - 4
- ローカルホストのパブリックネットワークインターフェイスの静的 IPv4 アドレス
- 5
%fromcert
値は、ローカルホストで、ロードされた証明書から取得された識別名 (DN) に ID を設定します。- 6
- ローカルホストの公開鍵の識別名 (DN)
- 7
- リモートホストのパブリックネットワークインターフェイスの静的 IPv4 アドレス
- 8
- ローカルホストの静的 IPv4 アドレスのサブネットマスク
- 9
%fromcert
値は、リモートホストで、ロードされた証明書から取得された識別名 (DN) に ID を設定します。- 10
- Internet Key Exchange (IKEv2) プロトコルのみを受け入れて受信するための値
- 11
- IKE プロトコルの存続時間
- 12
- IPsec セキュリティーアソシエーション (SA) の存続期間
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-p2p-transport-authentication.yml
検証
IPsec のステータスを確認します。
# ip xfrm status
IPsec のポリシーを確認します。
# ip xfrm policy
関連情報
-
システム上の
ipsec.conf(5)
man ページ
第8章 WireGuard VPN の設定
WireGuard は、Linux カーネルで実行する高パフォーマンスの VPN ソリューションです。最新の暗号を使用し、他の多くの VPN ソリューションよりも簡単に設定できます。さらに、WireGuard のコードベースが小さくなり、攻撃の影響が減るため、セキュリティーが向上します。認証および暗号化には、WireGuard が SSH と同様の鍵を使用します。
WireGuard はテクノロジープレビューとしてのみ提供されます。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされておらず、機能的に完全ではない可能性があるため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。テクノロジープレビュー機能では、最新の製品機能をいち早く提供します。これにより、お客様は開発段階で機能をテストし、フィードバックを提供できます。
テクノロジープレビュー機能のサポート範囲は、Red Hat カスタマーポータルの テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
WireGuard VPN に参加するすべてのホストがピアであることに注意してください。このドキュメントでは、接続を確立するホストを説明する client
という用語と、クライアントが接続する固定ホスト名または IP アドレスを使用してホストを説明する server
という用語を使用し、必要に応じてすべてのトラフィックをこのサーバーにルーティングします。
WireGuard VPN を設定するには、次の手順を完了する必要があります。さまざまなオプションを使用して、ほとんどの手順を実行できます。
- VPN 内のすべてのホストに公開鍵と秘密鍵を作成します。
- nmcli、nmtui、RHEL Web コンソール、nm-connection-editor、または wg-quick サービスを使用して WireGuard サーバーを設定します。
- コマンドライン、RHEL Web コンソール、または グラフィカルインターフェイス を使用して、WireGuard サーバー上で firewalld を設定します。
- nmcli、nmtui、RHEL Web コンソール、nm-connection-editor、または wg-quick サービスを使用して、WireGuard クライアントを設定します。
WireGuard は、ネットワーク層 (レイヤー 3) で動作します。そのため、DHCP を使用できず、静的 IP アドレスまたは IPv6 リンクローカルアドレスを、サーバーとクライアントの両方のトンネルデバイスに割り当てる必要があります。
WireGuard は、RHEL の FIPS (Federal Information Processing Standard) モードが無効になっている場合にのみ使用できます。
8.1. WireGuard が使用するプロトコルおよびプリミティブ
WireGuard は、次のプロトコルおよびプリミティブを使用します。
8.2. WireGuard がトンネル IP アドレス、公開鍵、およびリモートエンドポイントを使用する方法
WireGuard がピアにネットワークパケットを送信する場合は、次のコマンドを実行します。
- WireGuard は、パケットから宛先 IP を読み込み、ローカル設定で許可されている IP アドレスのリストと比較します。ピアが見つからない場合、WireGuard はパケットを破棄します。
- ピアが有効な場合、WireGuard は、ピアの公開鍵を使用してパケットを暗号化します。
- 送信側ホストは、ホストの最新のインターネット IP アドレスを検索し、暗号化したパケットを送信します。
WireGuard がパケットを受信すると、以下が行われます。
- WireGuard は、リモートホストの秘密鍵を使用してパケットを復号します。
- WireGuard は、パケットから内部ソースアドレスを読み込み、ローカルホストのピア設定で許可されている IP アドレスのリストに IP が設定されているかどうかを調べます。ソース IP が許可リストにある場合、WireGuard はパケットを受け入れます。IP アドレスがリストにない場合は、WireGuard がパケットを破棄します。
公開鍵と許可された IP アドレスの関連付けは、Cryptokey Routing Table
と呼ばれます。つまり、IP アドレスのリストは、パケットの送信時にはルーティングテーブルと同様に動作し、パケットの受信時にはアクセス制御リストのように動作します。
8.3. NAT およびファイアウォールの背後で WireGuard クライアントを使用する
WireGuard は UDP プロトコルを使用し、ピアがパケットを送信する場合にのみデータを送信します。ルーターのステートフルファイアウォールとネットワークアドレス変換 (NAT) は、接続を追跡して、NAT の背後のピアまたはファイアウォールがパケットを受信できるようにします。
コネクションをアクティブな状態に保つために、WireGuard は persistent keepalives
をサポートしています。つまり、WireGuard がキープアライブパケットを送信する間隔を設定できます。デフォルトでは、ネットワークトラフィックを削減するために、永続的なキープアライブ機能は無効になっています。NAT を使用したネットワークでクライアントを使用する場合、またはしばらく非アクティブにした後にファイアウォールが接続を閉じる場合は、クライアントでこの機能を有効にします。
RHEL Web コンソールを使用して WireGuard 接続のキープアライブパケットを設定することはできないことに注意してください。この機能を設定するには、nmcli
ユーティリティーを使用して接続プロファイルを編集してください。
8.4. WireGuard 接続で使用される秘密鍵および公開鍵の作成
WireGuard は、base64 でエンコードされた秘密鍵と公開鍵を使用して、ホストを相互に認証します。そのため、WireGuard VPN に参加する各ホストで鍵を作成する必要があります。
セキュアな接続には、ホストごとに異なる鍵を作成し、公開鍵のみをリモートの WireGuard ホストと共有するようにしてください。このドキュメントで使用しているサンプルキーは使用しないでください。
RHEL Web コンソールを使用して WireGuard VPN 接続を作成する場合は、代わりに Web コンソールで公開鍵と秘密鍵のペアを生成することもできます。
手順
wireguard-tools
パッケージをインストールします。# dnf install wireguard-tools
ホストの秘密鍵と、対応する公開鍵を作成します。
# wg genkey | tee /etc/wireguard/$HOSTNAME.private.key | wg pubkey > /etc/wireguard/$HOSTNAME.public.key
キーファイルの内容は必要ですが、ファイル自体は必要ありません。ただし、Red Hat では、将来的に鍵を覚えておく必要がある場合に備え、ファイルを保持することを推奨しています。
キーファイルにセキュアなパーミッションを設定します。
# chmod 600 /etc/wireguard/$HOSTNAME.private.key /etc/wireguard/$HOSTNAME.public.key
秘密鍵を表示します。
# cat /etc/wireguard/$HOSTNAME.private.key YFAnE0psgIdiAF7XR4abxiwVRnlMfeltxu10s/c4JXg=
ローカルホストで WireGuard 接続を設定するには、秘密鍵が必要です。秘密鍵を共有しないでください。
公開鍵を表示します。
# cat /etc/wireguard/$HOSTNAME.public.key UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE=
リモートホストで WireGuard 接続を設定するには、公開鍵が必要です。
関連情報
-
システム上の
wg(8)
man ページ
8.5. nmcli
を使用した WireGuard サーバーの設定
NetworkManager で接続プロファイルを作成することで、WireGuard サーバーを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager に WireGuard 接続を管理させます。
この手順では、次の設定を前提としています。
サーバー
-
秘密鍵:
YFAnE0psgIdiAF7XR4abxiwVRnlMfeltxu10s/c4JXg=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.1/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1/32
-
秘密鍵:
クライアント:
-
Public key:
bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.2/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::2/32
-
Public key:
前提条件
- サーバーとクライアントの両方に公開鍵と秘密鍵を生成している。
以下の情報を把握している。
- サーバーの秘密鍵
- クライアントの静的トンネルの IP アドレスとサブネットマスク
- クライアントの公開鍵
- サーバーの静的トンネル IP アドレスおよびサブネットマスク
手順
NetworkManager WireGuard 接続プロファイルを追加します。
# nmcli connection add type wireguard con-name server-wg0 ifname wg0 autoconnect no
このコマンドは、
server-wg0
という名前のプロファイルを作成し、それに仮想インターフェイスwg0
を割り当てます。設定を確定せずに接続を追加した後、接続が自動的に開始しないようにするには、autoconnect
パラメーターを無効にします。サーバーのトンネル IPv4 アドレスおよびサブネットマスクを設定します。
# nmcli connection modify server-wg0 ipv4.method manual ipv4.addresses 192.0.2.1/24
サーバーのトンネル IPv6 アドレスおよびサブネットマスクを設定します。
# nmcli connection modify server-wg0 ipv6.method manual ipv6.addresses 2001:db8:1::1/32
サーバーの秘密鍵を接続プロファイルに追加します。
# nmcli connection modify server-wg0 wireguard.private-key "YFAnE0psgIdiAF7XR4abxiwVRnlMfeltxu10s/c4JXg="
着信 WireGuard 接続のポートを設定します。
# nmcli connection modify server-wg0 wireguard.listen-port 51820
着信 WireGuard 接続を受信するホストでは、常に固定ポート番号を設定してください。ポートを設定しないと、WireGuard は
wg0
インターフェイスをアクティブにするたびにランダムに空きポートを使用します。このサーバーとの通信を許可する各クライアントに、ピア設定を追加します。これらの設定は手動で追加する必要があります。
nmcli
ユーティリティーでは、対応する接続プロパティーの設定をサポートしていないためです。/etc/NetworkManager/system-connections/server-wg0.nmconnection
ファイルを編集し、以下を追加します。[wireguard-peer.bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM=] allowed-ips=192.0.2.2;2001:db8:1::2;
-
[wireguard-peer.<public_key_of_the_client>]
エントリーは、クライアントのピアセクションを定義し、セクション名にはクライアントの公開鍵が含まれます。 allowed-ips
パラメーターは、このサーバーへのデータ送信が許可されているクライアントのトンネル IP アドレスを設定します。各クライアントにセクションを追加します。
-
server-wg0
接続プロファイルをリロードします。# nmcli connection load /etc/NetworkManager/system-connections/server-wg0.nmconnection
必要に応じて、自動的に起動するように接続を設定し、次のコマンドを実行します。
# nmcli connection modify server-wg0 autoconnect yes
server-wg0
接続を再アクティブ化します。# nmcli connection up server-wg0
検証
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= private key: (hidden) listening port: 51820 peer: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= allowed ips: 192.0.2.2/32, 2001:db8:1::2/128
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 20: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::1/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::3ef:8863:1ce2:844/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
wg(8)
man ページ -
システム上の
nm-settings(5)
man ページのWireGuard setting
セクション
8.6. nmtui
を使用した WireGuard サーバーの設定
NetworkManager で接続プロファイルを作成することで、WireGuard サーバーを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager に WireGuard 接続を管理させます。
この手順では、次の設定を前提としています。
サーバー
-
秘密鍵:
YFAnE0psgIdiAF7XR4abxiwVRnlMfeltxu10s/c4JXg=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.1/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1/32
-
秘密鍵:
クライアント:
-
Public key:
bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.2/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::2/32
-
Public key:
前提条件
- サーバーとクライアントの両方に公開鍵と秘密鍵を生成している。
以下の情報を把握している。
- サーバーの秘密鍵
- クライアントの静的トンネルの IP アドレスとサブネットマスク
- クライアントの公開鍵
- サーバーの静的トンネル IP アドレスおよびサブネットマスク
-
NetworkManager-tui
パッケージをインストールしました。
手順
nmtui
アプリケーションを開始します。# nmtui
- Edit a connection 選択し、Enter を押します。
- を選択し、Enter を押します。
- リストから WireGuard 接続タイプを選択し、Enter を押します。
Edit connection ウィンドウで:
-
NetworkManager が接続に割り当てる仮想インターフェイス (
wg0
など) の接続名を入力します。 - サーバーの秘密鍵を入力します。
着信 WireGuard 接続のリッスンポート番号 (
51820
など) を設定します。着信 WireGuard 接続を受信するホストでは、常に固定ポート番号を設定してください。ポートを設定しないと、WireGuard はインターフェイスをアクティブにするたびにランダムな空きポートを使用します。
Peers ペインの横にある をクリックします。
- クライアントの公開鍵を入力します。
- Allowed IPs フィールドを、このサーバーへのデータ送信が許可されているクライアントのトンネル IP アドレスに設定します。
IPv4 Configuration の横にある
を選択し、Enter キーを押します。- IPv4 設定方法 Manual を選択します。
- トンネルの IPv4 アドレスとサブネットマスクを入力します。Gateway フィールドは空のままにします。
IPv6 Configuration の横にある を選択し、Enter を押します。
- IPv6 設定方法 Manual を選択します。
-
トンネルの IPv6 アドレスとサブネットマスクを入力します。
Gateway
フィールドは空のままにします。
-
NetworkManager が接続に割り当てる仮想インターフェイス (
- 接続のリストが表示されたウィンドウで、 を選択し、Enter を押します。
- NetworkManager TUI のメインウィンドウで、 を選択し、Enter を押します。
検証
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= private key: (hidden) listening port: 51820 peer: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= allowed ips: 192.0.2.2/32, 2001:db8:1::2/128
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 20: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 _2001:db8:1::1/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::3ef:8863:1ce2:844/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
wg(8)
man ページ
8.7. RHEL Web コンソールを使用した WireGuard サーバーの設定
ブラウザーベースの RHEL Web コンソールを使用して WireGuard サーバーを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager に WireGuard 接続を管理させます。
前提条件
- RHEL Web コンソールにログインしています。
以下の情報を把握している。
- サーバーとクライアントの両方の静的トンネル IP アドレスとサブネットマスク
- クライアントの公開鍵
手順
- 画面左側のナビゲーションで Networking タブを選択します。
- Interfaces セクションで Add VPN をクリックします。
-
wireguard-tools
およびsystemd-resolved
パッケージがまだインストールされていない場合は、Web コンソールにその旨の通知が表示されます。これらのパッケージをインストールするには、Install をクリックします。 - 作成する WireGuard デバイスの名前を入力します。
このホストの鍵ペアを設定します。
Web コンソールによって作成された鍵を使用する場合は、次の手順を実行します。
- Private key エリアで、事前に選択済みの Generated オプションをそのままにします。
- Public key の値をメモします。クライアントを設定するときにこの情報が必要になります。
既存の秘密鍵を使用する場合は、次の手順を実行します。
- Private key エリアで Paste existing key を選択します。
- 秘密鍵をテキストフィールドに貼り付けます。Web コンソールにより対応する公開鍵が自動的に計算されます。
着信 WireGuard 接続のリッスンポート番号 (
51820
など) を設定します。着信 WireGuard 接続を受信するホストでは、常に固定ポート番号を設定してください。ポートを設定しないと、WireGuard はインターフェイスをアクティブにするたびにランダムな空きポートを使用します。
サーバーのトンネル IPv4 アドレスおよびサブネットマスクを設定します。
IPv6 アドレスも設定するには、接続を作成した後に編集する必要があります。
このサーバーとの通信を許可する各クライアントのピア設定を追加します。
- Add peer をクリックします。
- クライアントの公開鍵を入力します。
- Endpoint フィールドは空のままにします。
- Allowed IPs フィールドに、このサーバーへのデータ送信を許可するクライアントのトンネル IP アドレスを設定します。
- Add をクリックして WireGuard 接続を作成します。
トンネル IPv6 アドレスも設定する場合は、次の手順を実行します。
- Interfaces セクションで WireGuard 接続の名前をクリックします。
- IPv6 の横にある edit をクリックします。
-
Addresses フィールドを
Manual
に設定し、サーバーのトンネル IPv6 アドレスと接頭辞を入力します。 - Save をクリックします。
検証
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= private key: (hidden) listening port: 51820 peer: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= allowed ips: 192.0.2.2/32, 2001:db8:1::2/128
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 20: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWERUP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::1/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::3ef:8863:1ce2:844/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
8.8. nm-connection-editor を使用した WireGuard サーバーの設定
NetworkManager で接続プロファイルを作成することで、WireGuard サーバーを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager に WireGuard 接続を管理させます。
前提条件
- サーバーとクライアントの両方に公開鍵と秘密鍵を生成している。
以下の情報を把握している。
- サーバーの秘密鍵
- クライアントの静的トンネルの IP アドレスとサブネットマスク
- クライアントの公開鍵
- サーバーの静的トンネル IP アドレスおよびサブネットマスク
手順
ターミナルを開き、次のコマンドを入力します。
# nm-connection-editor
- ボタンをクリックして、新しいコネクションを追加します。
-
WireGuard
の接続タイプを選択し、 をクリックします。 - 必要に応じて、接続名を更新します。
-
General
タブで、Connect automatically with priority
を選択します。必要に応じて、優先度の値を設定します。 WireGuard
タブで、以下を行います。-
NetworkManager が接続に割り当てる仮想インターフェイス (
wg0
など) の名前を入力します。 - サーバーの秘密鍵を入力します。
着信 WireGuard 接続のリッスンポート番号 (
51820
など) を設定します。着信 WireGuard 接続を受信するホストでは、常に固定ポート番号を設定してください。ポートを設定しないと、WireGuard はインターフェイスをアクティブにするたびにランダムな空きポートを使用します。
- クライアントの公開鍵を入力します。
-
Allowed IPs
フィールドを、このサーバーへのデータ送信が許可されているクライアントのトンネル IP アドレスに設定します。 - をクリックします。
-
NetworkManager が接続に割り当てる仮想インターフェイス (
IPv4 Settings
タブで、以下を行います。-
Method
リストでManual
を選択します。 -
Gateway
フィールドは空のままにします。 を選択して、トンネルの IPv4 アドレスとサブネットマスクを入力します。
-
IPv6 Settings
タブで、以下を行います。-
Method
リストでManual
を選択します。 -
Gateway
フィールドは空のままにします。 を選択して、トンネル IPv6 アドレスとサブネットマスクを入力します。
-
- を選択して、接続プロファイルを保存します。
検証
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= private key: (hidden) listening port: 51820 peer: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= allowed ips: 192.0.2.2/32, 2001:db8:1::2/128
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 20: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.1/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::1/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::3ef:8863:1ce2:844/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
wg(8)
man ページ
8.9. wg-quick
サービスを使用した WireGuard サーバーの設定
/etc/wireguard/
ディレクトリーに設定ファイルを作成することで、WireGuard サーバーを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager からサービスを独立して設定します。
この手順では、次の設定を前提としています。
サーバー
-
秘密鍵:
YFAnE0psgIdiAF7XR4abxiwVRnlMfeltxu10s/c4JXg=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.1/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1/32
-
秘密鍵:
クライアント:
-
Public key:
bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.2/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::2/32
-
Public key:
前提条件
- サーバーとクライアントの両方に公開鍵と秘密鍵を生成している。
以下の情報を把握している。
- サーバーの秘密鍵
- クライアントの静的トンネルの IP アドレスとサブネットマスク
- クライアントの公開鍵
- サーバーの静的トンネル IP アドレスおよびサブネットマスク
手順
wireguard-tools
パッケージをインストールします。# dnf install wireguard-tools
以下の内容で
/etc/wireguard/wg0.conf
ファイルを作成します。[Interface] Address = 192.0.2.1/24, 2001:db8:1::1/32 ListenPort = 51820 PrivateKey = YFAnE0psgIdiAF7XR4abxiwVRnlMfeltxu10s/c4JXg= [Peer] PublicKey = bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= AllowedIPs = 192.0.2.2, 2001:db8:1::2
[Interface]
セクションでは、サーバー上のインターフェイスの WireGuard 設定を説明します。-
Address
: サーバーのトンネル IP アドレスをコンマで区切ったリスト。 -
PrivateKey
: サーバーの秘密鍵。 ListenPort
: WireGuard が着信 UDP 接続をリッスンするポート。着信 WireGuard 接続を受信するホストでは、常に固定ポート番号を設定してください。ポートを設定しないと、WireGuard は
wg0
インターフェイスをアクティブにするたびにランダムに空きポートを使用します。
-
各
[Peer]
セクションでは、1 つのクライアントの設定について説明します。-
PublicKey
: クライアントの公開鍵。 -
AllowedIPs
: このサーバーにデータを送信できるクライアントのトンネル IP アドレス。
-
WireGuard 接続を有効にして起動します。
# systemctl enable --now wg-quick@wg0
systemd インスタンス名は、
.conf
接尾辞のない/etc/wireguard/
ディレクトリー内の設定ファイルの名前と一致する必要があります。このサービスは、仮想ネットワークインターフェイスにもこの名前を使用します。
検証
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= private key: (hidden) listening port: 51820 peer: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= allowed ips: 192.0.2.2/32, 2001:db8:1::2/128
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 20: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.1/24 scope global wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::1/32 scope global valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
wg(8)
およびwg-quick(8)
man ページ
8.10. コマンドラインを使用した WireGuard サーバーでの firewalld
の設定
クライアントからの着信接続を許可するには、WireGuard サーバーで firewalld
サービスを設定する必要があります。また、クライアントが WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用し、すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングできるようにするには、マスカレードを有効にする必要があります。
手順
firewalld
サービスで着信接続用の WireGuard ポートを開きます。# firewall-cmd --permanent --add-port=51820/udp --zone=public
クライアントがすべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングし、WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用する場合は、
public
ゾーンのマスカレードを有効にします。# firewall-cmd --permanent --zone=public --add-masquerade
firewalld
ルールをリロードします。# firewall-cmd --reload
検証
public
ゾーンの設定を表示します。# firewall-cmd --list-all public (active) ... ports: 51820/udp masquerade: yes ...
関連情報
-
システム上の
firewall-cmd(1)
man ページ
8.11. RHEL Web コンソールを使用した WireGuard サーバーでの firewalld
の設定
クライアントからの着信接続を許可するには、WireGuard サーバーで firewalld サービスを設定する必要があります。また、クライアントが WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用し、すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングできるようにするには、マスカレードを有効にする必要があります。
前提条件
- RHEL Web コンソールにログインしています。
手順
- 画面左側のナビゲーションで Networking タブを選択します。
- Firewall セクションで Edit rules and zones をクリックします。
-
Filter services フィールドに
wireguard
と入力します。 リストから
wireguard
エントリーを選択します。- Add services をクリックします。
クライアントがすべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングし、WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用する場合は、
public
ゾーンのマスカレードを有効にします。# firewall-cmd --permanent --zone=public --add-masquerade # firewall-cmd --reload
Web コンソールでは
Firewalld
ゾーンのマスカレードを有効にすることはできないことに注意してください。
検証
- 画面左側のナビゲーションで Networking タブを選択します。
- Firewall セクションで Edit rules and zones をクリックします。
-
リストに
Wireguard
サービスのエントリーが含まれており、WireGuard 接続プロファイルで設定した UDP ポートが表示されます。 firewalld
public
ゾーンでマスカレードが有効になっていることを確認するために、次のように入力します。# firewall-cmd --list-all --zone=public public (active) ... ports: 51820/udp masquerade: yes ...
8.12. グラフィカルインターフェイスを使用した WireGuard サーバーでの firewalld
の設定
クライアントからの着信接続を許可するには、WireGuard サーバーで firewalld
サービスを設定する必要があります。また、クライアントが WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用し、すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングできるようにするには、マスカレードを有効にする必要があります。
手順
-
Super キーを押して、
firewall
を入力し、結果から Firewall アプリケーションを選択します。 -
Configuration リストで
Permanent
を選択します。 -
public
ゾーンを選択します。 WireGuard ポートへの着信接続を許可します。
- Ports タブで、 をクリックします。
- 着信 WireGuard 接続に設定したポート番号を入力します。
-
Protocol
リストからudp
を選択します。 - をクリックします。
クライアントがすべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングし、WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用する場合は、次のコマンドを実行します。
- public ゾーンの Masquerading タブに移動します。
-
Masquerade zone
を選択します。
- → を選択します。
検証
public
ゾーンの設定を表示します。# firewall-cmd --list-all public (active) ... ports: 51820/udp masquerade: yes ...
8.13. nmcli
を使用した WireGuard クライアントの設定
NetworkManager で接続プロファイルを作成することで、WireGuard クライアントを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager に WireGuard 接続を管理させます。
この手順では、次の設定を前提としています。
クライアント:
-
秘密鍵:
aPUcp5vHz8yMLrzk8SsDyYnV33IhE/k20e52iKJFV0A=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.2/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::2/32
-
秘密鍵:
サーバー
-
公開鍵:
UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.1/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1/32
-
公開鍵:
前提条件
- サーバーとクライアントの両方に公開鍵と秘密鍵を生成している。
以下の情報を把握している。
- クライアントの秘密鍵
- クライアントの静的トンネルの IP アドレスとサブネットマスク
- サーバーの公開鍵
- サーバーの静的トンネル IP アドレスおよびサブネットマスク
手順
NetworkManager WireGuard 接続プロファイルを追加します。
# nmcli connection add type wireguard con-name client-wg0 ifname wg0 autoconnect no
client-wg0
という名前のプロファイルを作成し、そのプロファイルに仮想インターフェイスwg0
を割り当てます。設定を確定せずに接続を追加した後、接続が自動的に開始しないようにするには、autoconnect
パラメーターを無効にします。オプション: NetworkManager が
client-wg
接続を自動的に起動しないように設定します。# nmcli connection modify client-wg0 autoconnect no
クライアントのトンネル IPv4 アドレスとサブネットマスクを設定します。
# nmcli connection modify client-wg0 ipv4.method manual ipv4.addresses 192.0.2.2/24
クライアントのトンネル IPv6 アドレスとサブネットマスクを設定します。
# nmcli connection modify client-wg0 ipv6.method manual ipv6.addresses 2001:db8:1::2/32
すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングする場合は、サーバーのトンネル IP アドレスをデフォルトゲートウェイとして設定します。
# nmcli connection modify client-wg0 ipv4.gateway 192.0.2.1 ipv6.gateway 2001:db8:1::1
すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングするには、後の手順で、このクライアントの
allowed-ips
を0.0.0.0/0;::/0
に設定する必要があります。すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングすると、サーバーのルーティングとファイアウォールの設定によっては他のホストへの接続に影響が及ぶ可能性があることに注意してください。
クライアントの秘密鍵を接続プロファイルに追加します。
# nmcli connection modify client-wg0 wireguard.private-key "aPUcp5vHz8yMLrzk8SsDyYnV33IhE/k20e52iKJFV0A="
このクライアントとの通信を許可するサーバーごとにピア設定を追加します。これらの設定は手動で追加する必要があります。
nmcli
ユーティリティーでは、対応する接続プロパティーの設定をサポートしていないためです。/etc/NetworkManager/system-connections/client-wg0.nmconnection
ファイルを編集し、以下を追加します。[wireguard-peer.UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE=] endpoint=server.example.com:51820 allowed-ips=192.0.2.1;2001:db8:1::1; persistent-keepalive=20
-
[wireguard-peer.<public_key_of_the_server>]
エントリーは、サーバーのピアセクションを定義します。セクション名には、サーバーの公開鍵が含まれます。 -
endpoint
パラメーターは、サーバーのホスト名または IP アドレスとポートを設定します。クライアントはこの情報を使用して接続を確立します。 allowed-ips
パラメーターは、このクライアントにデータを送信できる IP アドレスのリストを設定します。たとえば、このパラメーターを次のように設定します。- サーバーのトンネル IP アドレスに設定すると、そのサーバーのみがこのクライアントと通信できるようになります。上記の例の値を使用すると、そのように設定されます。
-
0.0.0.0/0;::/0;
に設定すると、リモートの IPv4 アドレスおよび IPv6 アドレスがこのクライアントと通信できるようになります。この設定を使用して、すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングし、WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用します。
-
オプションの
persistent-keepalive
パラメーターは、WireGuard がサーバーにキープアライブパケットを送信する間隔を秒単位で定義します。ネットワークアドレス変換 (NAT) を使用するネットワークでクライアントを使用する場合、またはしばらく非アクティブにした後にファイアウォールが UDP 接続を閉じる場合は、このパラメーターを設定します。
-
client-wg0
接続プロファイルをリロードします。# nmcli connection load /etc/NetworkManager/system-connections/client-wg0.nmconnection
client-wg0
接続を再アクティブ化します。# nmcli connection up client-wg0
検証
サーバーの IP アドレスの ping を実行します。
# ping 192.0.2.1 # ping6 2001:db8:1::1
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= private key: (hidden) listening port: 51820 peer: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= endpoint: server.example.com:51820 allowed ips: 192.0.2.1/32, 2001:db8:1::1/128 latest handshake: 1 minute, 41 seconds ago transfer: 824 B received, 1.01 KiB sent persistent keepalive: every 20 seconds
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。VPN トンネルを介してトラフィックを送信している場合は、
latest handshake
エントリーとtransfer
エントリーのみが含まれることに注意してください。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 10: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.2/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::2/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::73d9:6f51:ea6f:863e/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
wg(8)
man ページ -
システム上の
nm-settings(5)
man ページのWireGuard setting
セクション
8.14. nmtui
を使用した WireGuard クライアントの設定
NetworkManager で接続プロファイルを作成することで、WireGuard クライアントを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager に WireGuard 接続を管理させます。
この手順では、次の設定を前提としています。
クライアント:
-
秘密鍵:
aPUcp5vHz8yMLrzk8SsDyYnV33IhE/k20e52iKJFV0A=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.2/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::2/32
-
秘密鍵:
サーバー
-
公開鍵:
UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.1/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1/32
-
公開鍵:
前提条件
- サーバーとクライアントの両方に公開鍵と秘密鍵を生成している。
以下の情報を把握している。
- クライアントの秘密鍵
- クライアントの静的トンネルの IP アドレスとサブネットマスク
- サーバーの公開鍵
- サーバーの静的トンネル IP アドレスおよびサブネットマスク
-
NetworkManager-tui
パッケージをインストールしました
手順
nmtui
アプリケーションを開始します。# nmtui
- Edit a connection 選択し、Enter を押します。
- を選択し、Enter を押します。
- リストから WireGuard 接続タイプを選択し、Enter を押します。
Edit connection ウィンドウで:
-
NetworkManager が接続に割り当てる仮想インターフェイス (
wg0
など) の接続名を入力します。 クライアントの秘密鍵を入力します。
Peers ペインの横にある をクリックします。
- サーバーの公開鍵を入力します。
Allowed IPs フィールドを設定します。たとえば、次のように設定します。
- サーバーのトンネル IP アドレスに設定すると、そのサーバーのみがこのクライアントと通信できるようになります。
-
リモートの IPv4 アドレスおよび IPv6 アドレスが、このクライアントと通信できるように許可する
0.0.0.0/0,::/0
この設定を使用して、すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングし、WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用します。
-
Endpoint フィールドに、WireGuard サーバーのホスト名または IP アドレスとポートを入力します。
<hostname_or_IP>:<port_number>
という形式を使用します。 - オプション: ネットワークアドレス変換 (NAT) を使用するネットワークでクライアントを使用するか、またはしばらく非アクティブにした後にファイアウォールが UDP 接続を閉じる場合は、永続的なキープアライブの間隔を秒単位で設定します。この間隔で、クライアントは、キープアライブパケットをサーバーに送信します。
IPv4 Configuration の横にある を選択し、Enter を押します。
- IPv4 設定方法 Manual を選択します。
- トンネルの IPv4 アドレスとサブネットマスクを入力します。Gateway フィールドは空のままにします。
IPv6 Configuration の横にある を選択し、Enter を押します。
- IPv6 設定方法 Manual を選択します。
- トンネルの IPv6 アドレスとサブネットマスクを入力します。Gateway フィールドは空のままにします。
- オプション: Automatically connect を選択します。
-
NetworkManager が接続に割り当てる仮想インターフェイス (
- 接続のリストが表示されたウィンドウで、 を選択し、Enter を押します。
- NetworkManager TUI のメインウィンドウで、 を選択し、Enter を押します。
検証
サーバーの IP アドレスの ping を実行します。
# ping 192.0.2.1 # ping6 2001:db8:1::1
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= private key: (hidden) listening port: 51820 peer: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= endpoint: server.example.com:51820_ allowed ips: 192.0.2.1/32, 2001:db8:1::1/128 latest handshake: 1 minute, 41 seconds ago transfer: 824 B received, 1.01 KiB sent persistent keepalive: every 20 seconds
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。VPN トンネルを介してトラフィックをすでに送信している場合は、
latest handshake
エントリーとtransfer
エントリーのみが出力に含まれることに注意してください。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 10: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.2/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::2/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::73d9:6f51:ea6f:863e/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
wg(8)
man ページ
8.15. RHEL Web コンソールを使用した WireGuard クライアントの設定
ブラウザーベースの RHEL Web コンソールを使用して、WireGuard クライアントを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager に WireGuard 接続を管理させます。
前提条件
- RHEL Web コンソールにログインしています。
以下の情報を把握している。
- サーバーとクライアントの両方の静的トンネル IP アドレスとサブネットマスク
- サーバーの公開鍵
手順
- 画面左側のナビゲーションで Networking タブを選択します。
- Interfaces セクションで Add VPN をクリックします。
-
wireguard-tools
およびsystemd-resolved
パッケージがまだインストールされていない場合は、Web コンソールにその旨の通知が表示されます。これらのパッケージをインストールするには、Install をクリックします。 - 作成する WireGuard デバイスの名前を入力します。
このホストの鍵ペアを設定します。
Web コンソールによって作成された鍵を使用する場合は、次の手順を実行します。
- Private key エリアで、事前に選択済みの Generated オプションをそのままにします。
- Public key の値をメモします。クライアントを設定するときにこの情報が必要になります。
既存の秘密鍵を使用する場合は、次の手順を実行します。
- Private key エリアで Paste existing key を選択します。
- 秘密鍵をテキストフィールドに貼り付けます。Web コンソールにより対応する公開鍵が自動的に計算されます。
-
Listen port フィールドの
0
値をそのまま使用します。 クライアントのトンネル IPv4 アドレスとサブネットマスクを設定します。
IPv6 アドレスも設定するには、接続を作成した後に編集する必要があります。
このクライアントとの通信を許可するサーバーのピア設定を追加します。
- Add peer をクリックします。
- サーバーの公開鍵を入力します。
-
Endpoint フィールドにサーバーのホスト名または IP アドレスとポートを設定します (例:
server.example.com:51820
)。クライアントはこの情報を使用して接続を確立します。 Allowed IPs フィールドに、このサーバーへのデータ送信を許可するクライアントのトンネル IP アドレスを設定します。たとえば、フィールドを次のいずれかに設定します。
- サーバーのトンネル IP アドレスに設定すると、そのサーバーのみがこのクライアントと通信できるようになります。以下のスクリーンキャプチャーの値を使用すると、そのように設定されます。
-
0.0.0.0/0
に設定すると、リモートの IPv4 アドレスがこのクライアントと通信できるようになります。この設定を使用して、すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングし、WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用します。
- Add をクリックして WireGuard 接続を作成します。
トンネル IPv6 アドレスも設定する場合は、次の手順を実行します。
- Interfaces セクションで WireGuard 接続の名前をクリックします。
- IPv6 の横にある edit をクリックします。
-
Addresses フィールドを
Manual
に設定し、クライアントのトンネル IPv6 アドレスと接頭辞を入力します。 - Save をクリックします。
検証
サーバーの IP アドレスの ping を実行します。
# ping 192.0.2.1
トンネル経由でトラフィックを送信しようとすると、WireGuard が接続を確立します。
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= private key: (hidden) listening port: 45513 peer: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= endpoint: server.example.com:51820 allowed ips: 192.0.2.1/32, 2001:db8:1::1/128 latest handshake: 1 minute, 41 seconds ago transfer: 824 B received, 1.01 KiB sent persistent keepalive: every 20 seconds
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。VPN トンネルを介してトラフィックを送信している場合は、
latest handshake
エントリーとtransfer
エントリーのみが含まれることに注意してください。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 10: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWERUP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.2/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::2/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::73d9:6f51:ea6f:863e/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
8.16. nm-connection-editor を使用した WireGuard クライアントの設定
NetworkManager で接続プロファイルを作成することで、WireGuard クライアントを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager に WireGuard 接続を管理させます。
前提条件
- サーバーとクライアントの両方に公開鍵と秘密鍵を生成している。
以下の情報を把握している。
- クライアントの秘密鍵
- クライアントの静的トンネルの IP アドレスとサブネットマスク
- サーバーの公開鍵
- サーバーの静的トンネル IP アドレスおよびサブネットマスク
手順
ターミナルを開き、次のコマンドを入力します。
# nm-connection-editor
- ボタンをクリックして、新しいコネクションを追加します。
- WireGuard の接続タイプを選択し、 をクリックします。
- 必要に応じて、接続名を更新します。
- オプション: General タブで、Connect automatically with priority を選択します。
WireGuard タブで、以下を行います。
-
NetworkManager が接続に割り当てる仮想インターフェイス (
wg0
など) の名前を入力します。 - クライアントの秘密鍵を入力します。
- サーバーの公開鍵を入力します。
Allowed IPs フィールドを設定します。たとえば、次のように設定します。
- サーバーのトンネル IP アドレスに設定すると、そのサーバーのみがこのクライアントと通信できるようになります。
0.0.0.0/0;::/0;
に設定すると、リモートの IPv4 アドレスおよび IPv6 アドレスがこのクライアントと通信できるようになります。この設定を使用して、すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングし、WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用します。すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングすると、サーバーのルーティングとファイアウォールの設定によっては他のホストへの接続に影響が及ぶ可能性があることに注意してください。
-
Endpoint フィールドに、WireGuard サーバーのホスト名または IP アドレスとポートを入力します。
<hostname_or_IP<:<port_number>
という形式を使用します。 - オプション: ネットワークアドレス変換 (NAT) を使用するネットワークでクライアントを使用するか、またはしばらく非アクティブにした後にファイアウォールが UDP 接続を閉じる場合は、永続的なキープアライブの間隔を秒単位で設定します。この間隔で、クライアントは、キープアライブパケットをサーバーに送信します。
- をクリックします。
-
NetworkManager が接続に割り当てる仮想インターフェイス (
IPv4 Settings タブで、以下を行います。
- Method リストで Manual を選択します。
- を選択して、トンネルの IPv4 アドレスとサブネットマスクを入力します。
すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングする場合は、サーバーのトンネル IPv4 アドレスを Gateway フィールドに設定します。それ以外の場合は、フィールドを空のままにします。
すべての IPv4 トラフィックをトンネル経由でルーティングするには、このクライアントの Allowed IPs フィールドに
0.0.0.0/0
を含める必要があります。
IPv6 Settings タブで、以下を行います。
- Method リストで Manual を選択します。
- を選択して、トンネル IPv6 アドレスとサブネットマスクを入力します。
すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングする場合は、Gateway フィールドに、サーバーのトンネル IPv6 アドレスを設定します。それ以外の場合は、フィールドを空のままにします。
すべての IPv4 トラフィックをトンネル経由でルーティングするには、このクライアントの Allowed IPs フィールドに
::/0
を含める必要があります。
- を選択して、接続プロファイルを保存します。
検証
サーバーの IP アドレスの ping を実行します。
# ping 192.0.2.1 # ping6 2001:db8:1::1
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= private key: (hidden) listening port: 51820 peer: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= endpoint: server.example.com:51820 allowed ips: 192.0.2.1/32, 2001:db8:1::1/128 latest handshake: 1 minute, 41 seconds ago transfer: 824 B received, 1.01 KiB sent persistent keepalive: every 20 seconds
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。VPN トンネルを介してトラフィックを送信している場合は、
latest handshake
エントリーとtransfer
エントリーのみが含まれることに注意してください。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 10: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.2/24 brd 192.0.2.255 scope global noprefixroute wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::2/32 scope global noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever inet6 fe80::73d9:6f51:ea6f:863e/64 scope link noprefixroute valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
wg(8)
man ページ
8.17. wg-quick
サービスを使用した WireGuard クライアントの設定
/etc/wireguard/
ディレクトリーに設定ファイルを作成することで、WireGuard クライアントを設定できます。この方法を使用して、NetworkManager からサービスを独立して設定します。
この手順では、次の設定を前提としています。
クライアント:
-
秘密鍵:
aPUcp5vHz8yMLrzk8SsDyYnV33IhE/k20e52iKJFV0A=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.2/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::2/32
-
秘密鍵:
サーバー
-
公開鍵:
UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE=
-
トンネル IPv4 アドレス:
192.0.2.1/24
-
トンネル IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1/32
-
公開鍵:
前提条件
- サーバーとクライアントの両方に公開鍵と秘密鍵を生成している。
以下の情報を把握している。
- クライアントの秘密鍵
- クライアントの静的トンネルの IP アドレスとサブネットマスク
- サーバーの公開鍵
- サーバーの静的トンネル IP アドレスおよびサブネットマスク
手順
wireguard-tools
パッケージをインストールします。# dnf install wireguard-tools
以下の内容で
/etc/wireguard/wg0.conf
ファイルを作成します。[Interface] Address = 192.0.2.2/24, 2001:db8:1::2/32 PrivateKey = aPUcp5vHz8yMLrzk8SsDyYnV33IhE/k20e52iKJFV0A= [Peer] PublicKey = UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= AllowedIPs = 192.0.2.1, 2001:db8:1::1 Endpoint = server.example.com:51820 PersistentKeepalive = 20
[Interface]
セクションでは、クライアントのインターフェイスの WireGuard 設定について説明します。-
Address
: クライアントのトンネル IP アドレスをコンマで区切ったリスト。 -
PrivateKey
: クライアントの秘密鍵。
-
[Peer]
セクションでは、サーバーの設定について説明します。-
PublicKey
: サーバーの公開鍵。 AllowedIPs
: このクライアントへのデータ送信を許可する IP アドレス。たとえば、このパラメーターを次のように設定します。- サーバーのトンネル IP アドレスに設定すると、そのサーバーのみがこのクライアントと通信できるようになります。上記の例の値を使用すると、そのように設定されます。
-
0.0.0.0/0, ::/0
に設定すると、リモートの IPv4 アドレスおよび IPv6 アドレスがこのクライアントと通信できるようになります。この設定を使用して、すべてのトラフィックをトンネル経由でルーティングし、WireGuard サーバーをデフォルトゲートウェイとして使用します。
-
Endpoint
: サーバーのホスト名または IP アドレスとポートを設定します。クライアントはこの情報を使用して接続を確立します。 -
オプションの
persistent-keepalive
パラメーターは、WireGuard がサーバーにキープアライブパケットを送信する間隔を秒単位で定義します。ネットワークアドレス変換 (NAT) を使用するネットワークでクライアントを使用する場合、またはしばらく非アクティブにした後にファイアウォールが UDP 接続を閉じる場合は、このパラメーターを設定します。
-
WireGuard 接続を有効にして起動します。
# systemctl enable --now wg-quick@wg0
systemd インスタンス名は、
.conf
接尾辞のない/etc/wireguard/
ディレクトリー内の設定ファイルの名前と一致する必要があります。このサービスは、仮想ネットワークインターフェイスにもこの名前を使用します。
検証
サーバーの IP アドレスの ping を実行します。
# ping 192.0.2.1 # ping6 2001:db8:1::1
wg0
デバイスのインターフェイス設定を表示します。# wg show wg0 interface: wg0 public key: bnwfQcC8/g2i4vvEqcRUM2e6Hi3Nskk6G9t4r26nFVM= private key: (hidden) listening port: 51820 peer: UtjqCJ57DeAscYKRfp7cFGiQqdONRn69u249Fa4O6BE= endpoint: server.example.com:51820 allowed ips: 192.0.2.1/32, 2001:db8:1::1/128 latest handshake: 1 minute, 41 seconds ago transfer: 824 B received, 1.01 KiB sent persistent keepalive: every 20 seconds
出力に秘密鍵を表示するには、
WG_HIDE_KEYS=never wg show wg0
コマンドを使用します。VPN トンネルを介してトラフィックをすでに送信している場合は、
latest handshake
エントリーとtransfer
エントリーのみが出力に含まれることに注意してください。wg0
デバイスの IP 設定を表示します。# ip address show wg0 10: wg0: <POINTOPOINT,NOARP,UP,LOWER_UP> mtu 1420 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/none inet 192.0.2.2/24 scope global wg0 valid_lft forever preferred_lft forever inet6 2001:db8:1::2/32 scope global valid_lft forever preferred_lft forever
関連情報
-
システム上の
wg(8)
およびwg-quick(8)
man ページ
第9章 IP トンネルの設定
VPN と同様に、IP トンネルは、インターネットなどの 3 番目のネットワークを介して 2 つのネットワークを直接接続します。ただし、すべてのトンネルプロトコルが暗号化に対応しているわけではありません。
トンネルを確立する両方のネットワークのルーターには、最低でも 2 つのインターフェイスが必要です。
- ローカルネットワークに接続されているインターフェイス 1 つ
- トンネルが確立されたネットワークに接続されたインターフェイス 1 つ。
トンネルを確立するには、リモートサブネットから IP アドレスを使用して、両方のルーターに仮想インターフェイスを作成します。
NetworkManager は、以下の IP トンネルに対応します。
- GRE (Generic Routing Encapsulation)
- IP6GRE (Generic Routing Encapsulation over IPv6)
- GRETAP (Generic Routing Encapsulation Terminal Access Point)
- IP6GRETAP (Generic Routing Encapsulation Terminal Access Point over IPv6)
- IPIP (IPv4 over IPv4)
- IPIP6 (IPv4 over IPv6)
- IP6IP6 (IPv6 over IPv6)
- SIT (Simple Internet Transition)
このトンネルは、タイプに応じて、OSI (Open Systems Interconnection) モデルのレイヤー 2 または 3 で動作します。
9.1. IPv4 トラフィックを IPv4 パケットにカプセル化するための IPIP トンネルの設定
IP over IP (IPIP) トンネルは、RFC 2003 で説明されているように、OSI レイヤー 3 で動作し、IPv4 トラフィックを IPv4 パケットにカプセル化します。
IPIP トンネルを介して送信されるデータは暗号化されません。セキュリティー上の理由から、すでに暗号化されたデータにはトンネルを使用してください (HTTPS などの他のプロトコル)。
IPIP トンネルはユニキャストパケットのみをサポートすることに注意してください。マルチキャストをサポートする IPv4 トンネルが必要な場合は、レイヤー 3 トラフィックを IPv4 パケットにカプセル化するための GRE トンネルの設定 を参照してください。
たとえば、以下の図に示すように、2 つの RHEL ルーター間で IPIP トンネルを作成し、インターネット経由で 2 つの内部サブネットに接続できます。
前提条件
- 各 RHEL ルーターには、ローカルサブネットに接続されているネットワークインターフェイスがあります。
- 各 RHEL ルーターには、インターネットに接続しているネットワークインターフェイスがあります。
- トンネル経由で送信するトラフィックは IPv4 ユニキャストです。
手順
ネットワーク A の RHEL ルーターで、次のコマンドを実行します。
tun0
という名前の IPIP トンネルインターフェイスを作成します。# nmcli connection add type ip-tunnel ip-tunnel.mode ipip con-name tun0 ifname tun0 remote 198.51.100.5 local 203.0.113.10
remote
パラメーターおよびlocal
パラメーターは、リモートルーターおよびローカルルーターのパブリック IP アドレスを設定します。IPv4 アドレスを
tun0
デバイスに設定します。# nmcli connection modify tun0 ipv4.addresses '10.0.1.1/30'
トンネルには、2 つの使用可能な IP アドレスを持つ
/30
サブネットで十分であることに注意してください。IPv 4 設定を使用するように手動で
tun0
接続を設定します。# nmcli connection modify tun0 ipv4.method manual
トラフィックを
172.16.0.0/24
ネットワークにルーティングする静的ルートをルーター B のトンネル IP に追加します。# nmcli connection modify tun0 +ipv4.routes "172.16.0.0/24 10.0.1.2"
tun0
接続を有効にします。# nmcli connection up tun0
パケット転送を有効にします。
# echo "net.ipv4.ip_forward=1" > /etc/sysctl.d/95-IPv4-forwarding.conf # sysctl -p /etc/sysctl.d/95-IPv4-forwarding.conf
ネットワーク B の RHEL ルーターで、次のコマンドを実行します。
tun0
という名前の IPIP トンネルインターフェイスを作成します。# nmcli connection add type ip-tunnel ip-tunnel.mode ipip con-name tun0 ifname tun0 remote 203.0.113.10 local 198.51.100.5
remote
パラメーターおよびlocal
パラメーターは、リモートルーターおよびローカルルーターのパブリック IP アドレスを設定します。IPv4 アドレスを
tun0
デバイスに設定します。# nmcli connection modify tun0 ipv4.addresses '10.0.1.2/30'
IPv 4 設定を使用するように手動で
tun0
接続を設定します。# nmcli connection modify tun0 ipv4.method manual
トラフィックを
192.0.2.0/24
ネットワークにルーティングする静的ルートをルーター A のトンネル IP に追加します。# nmcli connection modify tun0 +ipv4.routes "192.0.2.0/24 10.0.1.1"
tun0
接続を有効にします。# nmcli connection up tun0
パケット転送を有効にします。
# echo "net.ipv4.ip_forward=1" > /etc/sysctl.d/95-IPv4-forwarding.conf # sysctl -p /etc/sysctl.d/95-IPv4-forwarding.conf
検証
各 RHEL ルーターから、他のルーターの内部インターフェイスの IP アドレスに ping します。
ルーター A で
172.16.0.1
に ping します。# ping 172.16.0.1
ルーター B で
192.0.2.1
に ping します。# ping 192.0.2.1
9.2. レイヤー 3 トラフィックを IPv4 パケットにカプセル化するための GRE トンネルの設定
Generic Routing Encapsulation (GRE) トンネルは、RFC 2784 で説明されているように、レイヤー 3 トラフィックを IPv4 パケットにカプセル化します。GRE トンネルは、有効なイーサネットタイプで任意のレイヤー 3 プロトコルをカプセル化できます。
GRE トンネルを介して送信されるデータは暗号化されません。セキュリティー上の理由から、すでに暗号化されたデータにはトンネルを使用してください (HTTPS などの他のプロトコル)。
たとえば、以下の図に示すように、2 つの RHEL ルーター間で GRE トンネルを作成し、インターネット経由で 2 つの内部サブネットに接続できます。
前提条件
- 各 RHEL ルーターには、ローカルサブネットに接続されているネットワークインターフェイスがあります。
- 各 RHEL ルーターには、インターネットに接続しているネットワークインターフェイスがあります。
手順
ネットワーク A の RHEL ルーターで、次のコマンドを実行します。
gre1
という名前の GRE トンネルインターフェイスを作成します。# nmcli connection add type ip-tunnel ip-tunnel.mode gre con-name gre1 ifname gre1 remote 198.51.100.5 local 203.0.113.10
remote
パラメーターおよびlocal
パラメーターは、リモートルーターおよびローカルルーターのパブリック IP アドレスを設定します。重要gre0
デバイス名は予約されています。デバイスにgre1
または別の名前を使用します。IPv4 アドレスを
gre1
デバイスに設定します。# nmcli connection modify gre1 ipv4.addresses '10.0.1.1/30'
トンネルには、2 つの使用可能な IP アドレスを持つ
/30
サブネットで十分であることに注意してください。手動の IPv 4 設定を使用するように
gre1
接続を設定します。# nmcli connection modify gre1 ipv4.method manual
トラフィックを
172.16.0.0/24
ネットワークにルーティングする静的ルートをルーター B のトンネル IP に追加します。# nmcli connection modify gre1 +ipv4.routes "172.16.0.0/24 10.0.1.2"
gre1
コネクションを有効にします。# nmcli connection up gre1
パケット転送を有効にします。
# echo "net.ipv4.ip_forward=1" > /etc/sysctl.d/95-IPv4-forwarding.conf # sysctl -p /etc/sysctl.d/95-IPv4-forwarding.conf
ネットワーク B の RHEL ルーターで、次のコマンドを実行します。
gre1
という名前の GRE トンネルインターフェイスを作成します。# nmcli connection add type ip-tunnel ip-tunnel.mode gre con-name gre1 ifname gre1 remote 203.0.113.10 local 198.51.100.5
remote
パラメーターおよびlocal
パラメーターは、リモートルーターおよびローカルルーターのパブリック IP アドレスを設定します。IPv4 アドレスを
gre1
デバイスに設定します。# nmcli connection modify gre1 ipv4.addresses '10.0.1.2/30'
手動の IPv 4 設定を使用するように
gre1
接続を設定します。# nmcli connection modify gre1 ipv4.method manual
トラフィックを
192.0.2.0/24
ネットワークにルーティングする静的ルートをルーター A のトンネル IP に追加します。# nmcli connection modify gre1 +ipv4.routes "192.0.2.0/24 10.0.1.1"
gre1
コネクションを有効にします。# nmcli connection up gre1
パケット転送を有効にします。
# echo "net.ipv4.ip_forward=1" > /etc/sysctl.d/95-IPv4-forwarding.conf # sysctl -p /etc/sysctl.d/95-IPv4-forwarding.conf
検証
各 RHEL ルーターから、他のルーターの内部インターフェイスの IP アドレスに ping します。
ルーター A で
172.16.0.1
に ping します。# ping 172.16.0.1
ルーター B で
192.0.2.1
に ping します。# ping 192.0.2.1
9.3. IPv4 でイーサネットフレームを転送するための GRETAP トンネルの設定
GRETAP (Generic Routing Encapsulation Terminal Access Point) トンネルは OSI レベル 2 で動作し、RFC 2784 で説明されているように IPv4 パケットのイーサネットトラフィックをカプセル化します。
GRETAP トンネルを介して送信されるデータは暗号化されません。セキュリティー上の理由から、VPN または別の暗号化された接続にトンネルを確立します。
たとえば、以下の図に示すように、2 つの RHEL ルーター間で GRETAP トンネルを作成し、ブリッジを使用して 2 つのネットワークに接続します。
前提条件
- 各 RHEL ルーターには、ローカルネットワークに接続されたネットワークインターフェイスがあり、IP 設定は割り当てられません。
- 各 RHEL ルーターには、インターネットに接続しているネットワークインターフェイスがあります。
手順
ネットワーク A の RHEL ルーターで、次のコマンドを実行します。
bridge0
という名前のブリッジインターフェイスを作成します。# nmcli connection add type bridge con-name bridge0 ifname bridge0
ブリッジの IP 設定を設定します。
# nmcli connection modify bridge0 ipv4.addresses '192.0.2.1/24' # nmcli connection modify bridge0 ipv4.method manual
ローカルネットワークに接続されたインターフェイス用の新しい接続プロファイルをブリッジに追加します。
# nmcli connection add type ethernet port-type bridge con-name bridge0-port1 ifname enp1s0 controller bridge0
GRETAP トンネルインターフェイスの新しい接続プロファイルをブリッジに追加します。
# nmcli connection add type ip-tunnel ip-tunnel.mode gretap port-type bridge con-name bridge0-port2 ifname gretap1 remote 198.51.100.5 local 203.0.113.10 controller bridge0
remote
パラメーターおよびlocal
パラメーターは、リモートルーターおよびローカルルーターのパブリック IP アドレスを設定します。重要gretap0
デバイス名が予約されています。デバイスにgretap1
または別の名前を使用します。必要に応じて、STP (Spanning Tree Protocol) を無効にする必要がない場合は、これを無効にします。
# nmcli connection modify bridge0 bridge.stp no
デフォルトでは、STP は有効になり、接続を使用する前に遅延が生じます。
bridge0
接続がアクティベートするように、ブリッジのポートが自動的にアクティブになるようにします。# nmcli connection modify bridge0 connection.autoconnect-ports 1
bridge0
接続をアクティブにします。# nmcli connection up bridge0
ネットワーク B の RHEL ルーターで、次のコマンドを実行します。
bridge0
という名前のブリッジインターフェイスを作成します。# nmcli connection add type bridge con-name bridge0 ifname bridge0
ブリッジの IP 設定を設定します。
# nmcli connection modify bridge0 ipv4.addresses '192.0.2.2/24' # nmcli connection modify bridge0 ipv4.method manual
ローカルネットワークに接続されたインターフェイス用の新しい接続プロファイルをブリッジに追加します。
# nmcli connection add type ethernet port-type bridge con-name bridge0-port1 ifname enp1s0 controller bridge0
GRETAP トンネルインターフェイスの新しい接続プロファイルをブリッジに追加します。
# nmcli connection add type ip-tunnel ip-tunnel.mode gretap port-type bridge con-name bridge0-port2 ifname gretap1 remote 203.0.113.10 local 198.51.100.5 controller bridge0
remote
パラメーターおよびlocal
パラメーターは、リモートルーターおよびローカルルーターのパブリック IP アドレスを設定します。必要に応じて、STP (Spanning Tree Protocol) を無効にする必要がない場合は、これを無効にします。
# nmcli connection modify bridge0 bridge.stp no
bridge0
接続がアクティベートするように、ブリッジのポートが自動的にアクティブになるようにします。# nmcli connection modify bridge0 connection.autoconnect-ports 1
bridge0
接続をアクティブにします。# nmcli connection up bridge0
検証
両方のルーターで、
enp1s0
接続およびgretap1
接続が接続され、CONNECTION
列にポートの接続名が表示されていることを確認します。# nmcli device nmcli device DEVICE TYPE STATE CONNECTION ... bridge0 bridge connected bridge0 enp1s0 ethernet connected bridge0-port1 gretap1 iptunnel connected bridge0-port2
各 RHEL ルーターから、他のルーターの内部インターフェイスの IP アドレスに ping します。
ルーター A で
192.0.2.2
に ping します。# ping 192.0.2.2
ルーター B で
192.0.2.1
に ping します。# ping 192.0.2.1
第10章 VXLAN を使用した仮想マシンの仮想レイヤー 2 ドメインの作成
仮想拡張可能な LAN (VXLAN) は、UDP プロトコルを使用して IP ネットワーク経由でレイヤー 2 トラフィックをトンネルするネットワークプロトコルです。たとえば、別のホストで実行している特定の仮想マシンは、VXLAN トンネルを介して通信できます。ホストは、世界中の異なるサブネットやデータセンターに存在できます。仮想マシンの視点からは、同じ VXLAN 内のその他の仮想マシンは、同じレイヤー 2 ドメイン内にあります。
この例では、RHEL-host-A と RHEL-host-B は、ブリッジである br0
を使用して、VXLAN 名が vxlan10
である各ホストの仮想マシンの仮想ネットワークを接続します。この設定により、VXLAN は仮想マシンには表示されなくなり、仮想マシンに特別な設定は必要ありません。その後、別の仮想マシンを同じ仮想ネットワークに接続すると、仮想マシンは自動的に同じ仮想レイヤー 2 ドメインのメンバーになります。
通常のレイヤー 2 トラフィックと同様、VXLAN のデータは暗号化されません。セキュリティー上の理由から、VPN 経由で VXLAN を使用するか、その他のタイプの暗号化接続を使用します。
10.1. VXLAN の利点
仮想拡張可能 LAN (VXLAN) の主な利点は、以下のとおりです。
- VXLAN は 24 ビット ID を使用します。そのため、最大 16,777,216 の分離されたネットワークを作成できます。たとえば、仮想 LAN (VLAN) は 4,096 の分離されたネットワークのみをサポートします。
- VXLAN は IP プロトコルを使用します。これにより、トラフィックをルーティングし、仮想的に実行するシステムを、同じレイヤー 2 ドメイン内の異なるネットワークと場所に置くことができます。
- ほとんどのトンネルプロトコルとは異なり、VXLAN はポイントツーポイントネットワークだけではありません。VXLAN は、他のエンドポイントの IP アドレスを動的に学習するか、静的に設定された転送エントリーを使用できます。
- 特定のネットワークカードは、UDP トンネル関連のオフロード機能に対応します。
関連情報
-
kernel-doc
パッケージにより提供されている/usr/share/doc/kernel-doc-<kernel_version>/Documentation/networking/vxlan.rst
10.2. ホストでのイーサネットインターフェイスの設定
RHEL 仮想マシンホストをイーサネットに接続するには、ネットワーク接続プロファイルを作成し、IP 設定を設定して、プロファイルをアクティブにします。
両方の RHEL ホストでこの手順を実行し、IP アドレス設定を調整します。
前提条件
- ホストがイーサネットに接続されている。
手順
NetworkManager に新しいイーサネット接続プロファイルを追加します。
# nmcli connection add con-name Example ifname enp1s0 type ethernet
IPv4 を設定します。
# nmcli connection modify Example ipv4.addresses 198.51.100.2/24 ipv4.method manual ipv4.gateway 198.51.100.254 ipv4.dns 198.51.100.200 ipv4.dns-search example.com
ネットワークが DHCP を使用する場合は、この手順をスキップします。
Example
コネクションをアクティブにします。# nmcli connection up Example
検証
デバイスおよび接続の状態を表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp1s0 ethernet connected Example
リモートネットワークでホストに ping を実行して、IP 設定を確認します。
# ping RHEL-host-B.example.com
そのホストでネットワークを設定する前に、その他の仮想マシンホストに ping を実行することはできないことに注意してください。
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
10.3. VXLAN が接続されたネットワークブリッジの作成
仮想拡張可能な LAN (VXLAN) を仮想マシンに表示しないようにするには、ホストでブリッジを作成し、VXLAN をブリッジに割り当てます。NetworkManager を使用して、ブリッジと VXLAN の両方を作成します。仮想マシンのトラフィックアクセスポイント (TAP) デバイス (通常はホスト上の vnet*
) をブリッジに追加することはありません。libvirtd
は、仮想マシンの起動時に動的に追加します。
両方の RHEL ホストでこの手順を実行し、必要に応じて IP アドレスを調整します。
手順
ブリッジ
br0
を作成します。# nmcli connection add type bridge con-name br0 ifname br0 ipv4.method disabled ipv6.method disabled
このコマンドは、ブリッジデバイスに IPv4 アドレスおよび IPv6 アドレスを設定しません。これは、このブリッジがレイヤー 2 で機能するためです。
VXLAN インターフェイスを作成し、
br0
に割り当てます。# nmcli connection add type vxlan port-type bridge con-name br0-vxlan10 ifname vxlan10 id 10 local 198.51.100.2 remote 203.0.113.1 controller br0
このコマンドは、次の設定を使用します。
-
id 10
: VXLAN ID を設定します。 -
local 198.51.100.2
: 送信パケットの送信元 IP アドレスを設定します。 -
remote 203.0.113.1
: VXLAN デバイスフォワーディングデータベースで宛先リンク層アドレスが不明な場合に、送信パケットで使用するユニキャストまたはマルチキャストの IP アドレスを設定します。 -
controller br0
: この VXLAN 接続をbr0
接続のポートとして作成するように設定します。 -
ipv4.method disabled
およびipv6.method disabled
: ブリッジで IPv4 および IPv6 を無効にします。
初期設定では、NetworkManager は
8472
を宛先ポートとして使用します。宛先ポートが異なる場合は、追加で、destination-port <port_number>
オプションをコマンドに渡します。-
br0
接続プロファイルを有効にします。# nmcli connection up br0
ローカルファイアウォールで、着信 UDP 接続用にポート
8472
を開くには、次のコマンドを実行します。# firewall-cmd --permanent --add-port=8472/udp # firewall-cmd --reload
検証
転送テーブルを表示します。
# bridge fdb show dev vxlan10 2a:53:bd:d5:b3:0a master br0 permanent 00:00:00:00:00:00 dst 203.0.113.1 self permanent ...
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
10.4. 既存のブリッジを使用した libvirt での仮想ネットワークの作成
仮想マシンが、接続した仮想拡張可能 LAN (VXLAN) で br0
ブリッジを使用できるようにするには、最初に、このブリッジを使用する libvirtd
サービスに仮想ネットワークを追加します。
前提条件
-
libvirt
をインストールした。 -
libvirtd
を起動して有効にしている。 -
RHEL 上の VXLAN で
br0
デバイスーを設定している。
手順
以下の内容で
~/vxlan10-bridge.xml
を作成します。<network> <name>vxlan10-bridge</name> <forward mode="bridge" /> <bridge name="br0" /> </network>
~/vxlan10-bridge.xml
を使用して、libvirt
に新しい仮想ネットワークを作成します。# virsh net-define ~/vxlan10-bridge.xml
~/vxlan10-bridge.xml
を削除します。# rm ~/vxlan10-bridge.xml
vxlan10-bridge
仮想ネットワークを起動します。# virsh net-start vxlan10-bridge
libvirtd
の起動時に自動的に起動するようにvxlan10-bridge
仮想ネットワークを設定します。# virsh net-autostart vxlan10-bridge
検証
仮想ネットワークのリストを表示します。
# virsh net-list Name State Autostart Persistent ---------------------------------------------------- vxlan10-bridge active yes yes ...
関連情報
-
システム上の
virsh(1)
man ページ
10.5. VXLAN を使用するように仮想マシンの設定
ホストで、接続されている仮想拡張 LAN (VXLAN) でブリッジデバイスを使用するように仮想マシンを設定するには、vxlan10-bridge
仮想ネットワークを使用する新しい仮想マシンを作成するか、このネットワークを使用する既存の仮想マシンの設定を更新します。
RHEL ホストでこの手順を実行します。
前提条件
-
libvirtd
でvxlan10-bridge
仮想ネットワークを設定している。
手順
新しい仮想マシンを作成し、
vxlan10-bridge
ネットワークを使用するように設定するには、仮想マシンの作成時に、--network network:vxlan10-bridge
オプションをvirt-install
に渡します。# virt-install ... --network network:vxlan10-bridge
既存の仮想マシンのネットワーク設定を変更するには、次のコマンドを実行します。
仮想マシンのネットワークインターフェイスを、
vxlan10-bridge
仮想ネットワークに接続します。# virt-xml VM_name --edit --network network=vxlan10-bridge
仮想マシンをシャットダウンして、再起動します。
# virsh shutdown VM_name # virsh start VM_name
検証
ホストの仮想マシンの仮想ネットワークインターフェイスを表示します。
# virsh domiflist VM_name Interface Type Source Model MAC ------------------------------------------------------------------- vnet1 bridge vxlan10-bridge virtio 52:54:00:c5:98:1c
vxlan10-bridge
ブリッジに接続されているインターフェイスを表示します。# ip link show master vxlan10-bridge 18: vxlan10: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue master br0 state UNKNOWN mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 2a:53:bd:d5:b3:0a brd ff:ff:ff:ff:ff:ff 19: vnet1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue master br0 state UNKNOWN mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:c5:98:1c brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
libvirtd
は、ブリッジの設定を動的に更新することに注意してください。vxlan10-bridge
ネットワークを使用する仮想マシンを起動すると、ホストの対応するvnet*
デバイスがブリッジのポートとして表示されます。アドレス解決プロトコル (ARP) 要求を使用して、仮想マシンが同じ VXLAN にあるかどうかを確認します。
- 同じ VXLAN で、2 つ以上の仮想マシンを起動します。
仮想マシンから別の仮想マシンに ARP 要求を送信します。
# arping -c 1 192.0.2.2 ARPING 192.0.2.2 from 192.0.2.1 enp1s0 Unicast reply from 192.0.2.2 [52:54:00:c5:98:1c] 1.450ms Sent 1 probe(s) (0 broadcast(s)) Received 1 response(s) (0 request(s), 0 broadcast(s))
コマンドが応答を示す場合、仮想マシンは同じレイヤー 2 ドメイン、およびこの場合は同じ VXLAN にあります。
arping
ユーティリティーを使用するには、iputils
をインストールします。
関連情報
-
システム上の
virt-install(1)
およびvirt-xml(1)
man ページ -
システム上の
virsh(1)
およびarping(8)
man ページ
第11章 wifi 接続の管理
RHEL には、wifi ネットワークを設定して接続するための複数のユーティリティーとアプリケーションが用意されています。次に例を示します。
-
nmcli
ユーティリティーを使用して、コマンドラインで接続を設定する。 -
nmtui
アプリケーションを使用して、テキストベースのユーザーインターフェイスで接続を設定する。 - GNOME システムメニューを使用すると、設定を必要としない Wi-Fi ネットワークにすばやく接続する。
-
GNOME Settings
アプリケーションを使用して、GNOME アプリケーションで接続を設定する。 -
nm-connection-editor
アプリケーションを使用して、グラフィカルユーザーインターフェイスで接続を設定する。 -
network
RHEL システムロールを使用して、1 つまたは複数のホストでの接続の設定を自動化する。
11.1. サポートされている wifi セキュリティータイプ
wifi ネットワークがサポートするセキュリティータイプに応じて、多かれ少なかれ安全にデータを送信できます。
暗号化を使用しない、または安全でない WEP または WPA 標準のみをサポートする wifi ネットワークには接続しないでください。
Red Hat Enterprise Linux 9 は、以下の wifi セキュリティータイプをサポートします。
-
None
: 暗号化は無効になり、ネットワーク経由でプレーンテキスト形式でデータが転送されます。 -
Enhanced Open
: opportunistic wireless encryption (OWE) を使用すると、デバイスは一意のペアワイズマスターキー (PMK) をネゴシエートして、認証なしでワイヤレスネットワークの接続を暗号化します。 -
LEAP
: Cisco が開発した Lightweight Extensible Authentication Protocol は、拡張認証プロトコル (EAP) の独自バージョンです。 -
WPA & WPA2 Personal
: パーソナルモードでは、Wi-Fi Protected Access (WPA) および Wi-Fi Protected Access 2 (WPA2) 認証方法で事前共有キーが使用されます。 -
WPA & WPA2 Personal
: エンタープライズモードでは、WPA と WPA2 は EAP フレームワークを使用し、リモート認証ダイヤルインユーザーサービス (RADIUS) サーバーに対してユーザーを認証します。 -
WPA3 Personal
: Wi-Fi Protected Access 3 (WPA3) Personal は、辞書攻撃を防ぐために pre-shared keys (PSK) の代わりに simultaneous authentication of equals (SAE) を使用します。WPA3 では、Perfect Forward Secrecy (PFS) が使用されます。
11.2. nmcli
を使用した WiFi ネットワークへの接続
nmcli
ユーティリティーを使用して、wifi ネットワークに接続できます。初めてネットワークに接続しようとすると、ユーティリティーは NetworkManager 接続プロファイルを自動的に作成します。ネットワークに静的 IP アドレスなどの追加設定が必要な場合は、プロファイルが自動的に作成された後にプロファイルを変更できます。
前提条件
- ホストに wifi デバイスがインストールされている。
- ハードウェアスイッチがある場合は、wifi デバイスが有効になっている。
手順
NetworkManager で wifi 無線が無効になっている場合は、この機能を有効にします。
# nmcli radio wifi on
オプション: 利用可能な Wi-Fi ネットワークを表示します。
# nmcli device wifi list IN-USE BSSID SSID MODE CHAN RATE SIGNAL BARS SECURITY 00:53:00:2F:3B:08 Office Infra 44 270 Mbit/s 57 ▂▄▆_ WPA2 WPA3 00:53:00:15:03:BF -- Infra 1 130 Mbit/s 48 ▂▄__ WPA2 WPA3
サービスセット識別子 (
SSID
) 列には、ネットワークの名前が含まれています。列に--
が表示されている場合、このネットワークのアクセスポイントは SSID をブロードキャストしていません。wifi ネットワークに接続します。
# nmcli device wifi connect Office --ask Password: wifi-password
対話的に入力するのではなく、コマンドでパスワードを設定する場合は、コマンドで
--ask
の代わりにpassword <wifi_password>
オプションを使用します。# nmcli device wifi connect Office <wifi_password>
ネットワークが静的 IP アドレスを必要とする場合、NetworkManager はこの時点で接続のアクティブ化に失敗することに注意してください。後の手順で IP アドレスを設定できます。
ネットワークに静的 IP アドレスが必要な場合:
IPv4 アドレス設定を設定します。次に例を示します。
# nmcli connection modify Office ipv4.method manual ipv4.addresses 192.0.2.1/24 ipv4.gateway 192.0.2.254 ipv4.dns 192.0.2.200 ipv4.dns-search example.com
IPv6 アドレス設定を設定します。次に例を示します。
# nmcli connection modify Office ipv6.method manual ipv6.addresses 2001:db8:1::1/64 ipv6.gateway 2001:db8:1::fffe ipv6.dns 2001:db8:1::ffbb ipv6.dns-search example.com
接続を再度有効にします。
# nmcli connection up Office
検証
アクティブな接続を表示します。
# nmcli connection show --active NAME ID TYPE DEVICE Office 2501eb7e-7b16-4dc6-97ef-7cc460139a58 wifi wlp0s20f3
作成した wifi 接続が出力にリストされている場合、その接続はアクティブです。
ホスト名または IP アドレスに ping を実行します。
# *ping -c 3 example.com
関連情報
-
システム上の
nm-settings-nmcli(5)
man ページ
11.4. GNOME 設定アプリケーションを使用した Wi-Fi ネットワークへの接続
gnome-control-center
という名前の GNOME settings
アプリケーションを使用して、wifi ネットワークに接続し、接続を設定できます。初めてネットワークに接続するとき、GNOME は NetworkManager 接続プロファイルを作成します。
GNOME settings
では、RHEL がサポートするすべての wifi ネットワークセキュリティータイプの wifi 接続を設定できます。
前提条件
- ホストに wifi デバイスがインストールされている。
- ハードウェアスイッチがある場合は、wifi デバイスが有効になっている。
手順
-
Super キーを押し、
Wi-Fi
と入力して Enter を押します。 - 接続したい wifi ネットワークの名前をクリックします。
-
ネットワークのパスワードを入力し、
Connect
をクリックします。 静的 IP アドレスや WPA2 パーソナル以外のセキュリティータイプなど、ネットワークに追加の設定が必要な場合:
- ネットワーク名の横にある歯車のアイコンをクリックします。
オプション:
Details
タブでネットワークプロファイルを設定して、自動的に接続しないようにします。この機能を無効にした場合は、
GNOME settings
や GNOME システムメニューなどを使用して、常に手動でネットワークに接続する必要があります。-
IPv4
タブで IPv4 設定を設定し、IPv6
タブで IPv6 設定を設定します。 Security
タブで、ネットワークの認証 (WPA3 Personal
など) を選択し、パスワードを入力します。選択したセキュリティーに応じて、アプリケーションは追加のフィールドを表示します。それに応じてそれらを埋めます。詳細は、wifi ネットワークの管理者におたずねください。
-
Apply
をクリックします。
検証
トップバーの右側にあるシステムメニューを開き、wifi ネットワークが接続されていることを確認します。
ネットワークがリストに表示されていれば、接続されています。
ホスト名または IP アドレスに ping を実行します。
# ping -c 3 example.com
11.5. nmtui
を使用した Wi-Fi 接続の設定
nmtui
アプリケーションは、NetworkManager 用のテキストベースのユーザーインターフェイスを提供します。nmtui
を使用して Wi-Fi ネットワークに接続できます。
nmtui
で以下を行います。
- カーソルキーを使用してナビゲートします。
- ボタンを選択して Enter を押します。
- Space を使用してチェックボックスをオンまたはオフにします。
手順
接続に使用するネットワークデバイス名がわからない場合は、使用可能なデバイスを表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION wlp2s0 wifi unavailable -- ...
nmtui
を開始します。# nmtui
-
Edit a connection
選択し、Enter を押します。 -
Add
ボタンを押します。 -
ネットワークタイプのリストから
Wi-Fi
を選択し、Enter を押します。 オプション: 作成する NetworkManager プロファイルの名前を入力します。
ホストに複数のプロファイルがある場合は、わかりやすい名前を付けると、プロファイルの目的を識別しやすくなります。
-
Device
フィールドにネットワークデバイス名を入力します。 -
Wi-Fi ネットワークの名前である Service Set Identifier (SSID) を
SSID
フィールドに入力します。 -
Mode
フィールドはデフォルトのClient
のままにします。 Security
フィールドを選択して Enter を押し、リストからネットワークの認証タイプを設定します。選択した認証タイプに応じて、
nmtui
は異なるフィールドを表示します。- 認証タイプ関連のフィールドに入力します。
Wi-Fi ネットワークに静的 IP アドレスが必要な場合:
-
プロトコルの横にある
Automatic
ボタンを押し、表示されたリストからManual
を選択します。 -
設定するプロトコルの横にある
Show
ボタンを押して、追加のフィールドを表示し、それらに入力します。
-
プロトコルの横にある
OK
ボタンを押して、新しい接続を作成し、自動的にアクティブにします。-
Back
ボタンを押してメインメニューに戻ります。 -
Quit
を選択し、Enter キーを押してnmtui
アプリケーションを閉じます。
検証
アクティブな接続を表示します。
# nmcli connection show --active NAME ID TYPE DEVICE Office 2501eb7e-7b16-4dc6-97ef-7cc460139a58 wifi wlp0s20f3
作成した wifi 接続が出力にリストされている場合、その接続はアクティブです。
ホスト名または IP アドレスに ping を実行します。
# ping -c 3 example.com
11.6. nm-connection-editor を使用した WiFi 接続の設定
nm-connection-editor
アプリケーションを使用して、ワイヤレスネットワークの接続プロファイルを作成できます。このアプリケーションでは、RHEL がサポートするすべての wifi ネットワーク認証タイプを設定できます。
デフォルトでは、NetworkManager は接続プロファイルの自動接続機能を有効にし、保存されたネットワークが利用可能な場合は自動的に接続します。
前提条件
- ホストに wifi デバイスがインストールされている。
- ハードウェアスイッチがある場合は、wifi デバイスが有効になっている。
手順
ターミナルを開き、次のコマンドを入力します。
# nm-connection-editor
- ボタンをクリックして、新しい接続を追加します。
-
Wi-Fi
接続タイプを選択し、 をクリックします。 - オプション: 接続プロファイルの名前を設定します。
オプション:
General
タブでネットワークプロファイルを設定して、自動的に接続しないようにします。この機能を無効にした場合は、
GNOME settings
や GNOME システムメニューなどを使用して、常に手動でネットワークに接続する必要があります。-
Wi-Fi
タブで、SSID
フィールドにサービスセット識別子 (SSID) を入力します。 Wi-Fi Security
タブで、ネットワークの認証タイプ (WPA3 Personal
など) を選択し、パスワードを入力します。選択したセキュリティーに応じて、アプリケーションは追加のフィールドを表示します。それに応じてそれらを埋めます。詳細は、wifi ネットワークの管理者におたずねください。
-
IPv4
タブで IPv4 設定を設定し、IPv6
タブで IPv6 設定を設定します。 -
Save
をクリックします。 -
Network Connections
ウィンドウを閉じます。
検証
トップバーの右側にあるシステムメニューを開き、wifi ネットワークが接続されていることを確認します。
ネットワークがリストに表示されていれば、接続されています。
ホスト名または IP アドレスに ping を実行します。
# ping -c 3 example.com
11.7. network
RHEL システムロールを使用した 802.1X ネットワーク認証による Wi-Fi 接続の設定
ネットワークアクセス制御 (NAC) は、不正なクライアントからネットワークを保護します。クライアントがネットワークにアクセスできるようにするために、認証に必要な詳細を NetworkManager 接続プロファイルで指定できます。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
Ansible Playbook を使用して秘密鍵、証明書、および CA 証明書をクライアントにコピーしてから、network
RHEL システムロールを使用して 802.1X ネットワーク認証による接続プロファイルを設定できます。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - ネットワークは 802.1X ネットワーク認証をサポートしている。
-
マネージドノードに
wpa_supplicant
パッケージをインストールしました。 - DHCP は、管理対象ノードのネットワークで使用できる。
TLS 認証に必要な以下のファイルがコントロールノードにある。
-
クライアントキーが
/srv/data/client.key
ファイルに保存されている。 -
クライアント証明書が
/srv/data/client.crt
ファイルに保存されている。 -
CA 証明書は
/srv/data/ca.crt
ファイルに保存されます。
-
クライアントキーが
手順
機密性の高い変数を暗号化されたファイルに保存します。
vault を作成します。
$ ansible-vault create vault.yml New Vault password: <vault_password> Confirm New Vault password: <vault_password>
ansible-vault create
コマンドでエディターが開いたら、機密データを<key>: <value>
形式で入力します。pwd: <password>
- 変更を保存して、エディターを閉じます。Ansible は vault 内のデータを暗号化します。
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure a wifi connection with 802.1X authentication hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Copy client key for 802.1X authentication ansible.builtin.copy: src: "/srv/data/client.key" dest: "/etc/pki/tls/private/client.key" mode: 0400 - name: Copy client certificate for 802.1X authentication ansible.builtin.copy: src: "/srv/data/client.crt" dest: "/etc/pki/tls/certs/client.crt" - name: Copy CA certificate for 802.1X authentication ansible.builtin.copy: src: "/srv/data/ca.crt" dest: "/etc/pki/ca-trust/source/anchors/ca.crt" - name: Wifi connection profile with dynamic IP address settings and 802.1X ansible.builtin.import_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: Wifi connection profile with dynamic IP address settings and 802.1X interface_name: wlp1s0 state: up type: wireless autoconnect: yes ip: dhcp4: true auto6: true wireless: ssid: "Example-wifi" key_mgmt: "wpa-eap" ieee802_1x: identity: <user_name> eap: tls private_key: "/etc/pki/tls/client.key" private_key_password: "{{ pwd }}" private_key_password_flags: none client_cert: "/etc/pki/tls/client.pem" ca_cert: "/etc/pki/tls/cacert.pem" domain_suffix_match: "example.com"
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
ieee802_1x
- この変数には、802.1X 関連の設定を含めます。
eap: tls
-
Extensible Authentication Protocol (EAP) に証明書ベースの
TLS
認証方式を使用するようにプロファイルを設定します。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --ask-vault-pass --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook --ask-vault-pass ~/playbook.yml
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
11.8. nmcli
を使用した既存のプロファイルでの 802.1X ネットワーク認証による Wi-Fi 接続の設定
nmcli
ユーティリティーを使用して、クライアントがネットワークに対して自己認証するように設定できます。たとえば、wlp1s0
という名前の既存の NetworkManager wifi 接続プロファイルで、MSCHAPv2 (Microsoft Challenge-Handshake Authentication Protocol version 2) を使用する PEAP (Protected Extensible Authentication Protocol) 認証を設定します。
前提条件
- ネットワークには 802.1X ネットワーク認証が必要です。
- wifi 接続プロファイルが NetworkManager に存在し、有効な IP 設定があります。
-
クライアントがオーセンティケーターの証明書を検証する必要がある場合は、認証局 (CA) 証明書を
/etc/pki/ca-trust/source/anchors/
ディレクトリーに保存する必要があります。 -
wpa_supplicant
パッケージがインストールされている。
手順
wifi セキュリティーモードを
wpa-eap
に設定し、Extensible Authentication Protocol (EAP) をpeap
に設定し、内部認証プロトコルをmschapv2
に設定し、ユーザー名を設定します。# nmcli connection modify wlp1s0 wireless-security.key-mgmt wpa-eap 802-1x.eap peap 802-1x.phase2-auth mschapv2 802-1x.identity user_name
1 つのコマンドで
wireless-security.key-mgmt
パラメーター、802-1x.eap
パラメーター、802-1x.phase2-auth
パラメーター、および802-1x.identity
パラメーターを設定する必要があります。オプション: 設定にパスワードを保存します。
# nmcli connection modify wlp1s0 802-1x.password password
重要デフォルトでは、NetworkManager はパスワードをプレーンテキストで
/etc/sysconfig/network-scripts/keys-connection_name
ファイルに保存します。このファイルはroot
ユーザーのみが読み取ることができます。ただし、設定ファイル内のプレーンテキストのパスワードは、セキュリティーリスクになる可能性があります。セキュリティーを強化するには、
802-1x.password-flags
パラメーターを0x1
に設定します。この設定では、GNOME デスクトップ環境またはnm-applet
が実行中のサーバーで、NetworkManager がこれらのサービスからパスワードを取得します。その他の場合は、NetworkManager によりパスワードの入力が求められます。クライアントがオーセンティケーターの証明書を検証する必要がある場合は、接続プロファイルの
802-1x.ca-cert
パラメーターを CA 証明書のパスに設定します。# nmcli connection modify wlp1s0 802-1x.ca-cert /etc/pki/ca-trust/source/anchors/ca.crt
注記セキュリティー上の理由から、クライアントでオーセンティケーターの証明書を検証することを推奨します。
接続プロファイルをアクティベートします。
# nmcli connection up wlp1s0
検証
- ネットワーク認証が必要なネットワーク上のリソースにアクセスします。
関連情報
- wifi 接続の管理
-
システム上の
nm-settings(5)
およびnmcli(1)
man ページ
11.9. ワイヤレス規制ドメインの手動設定
RHEL では、udev
ルールが setregdomain
ユーティリティーを実行してワイヤレス規制ドメインを設定します。次に、ユーティリティーはこの情報をカーネルに提供します。
デフォルトでは、setregdomain
は国コードを自動的に決定しようとします。これが失敗する場合は、ワイヤレス規制ドメインの設定が間違っている可能性があります。この問題を回避するには、国コードを手動で設定します。
規制ドメインを手動で設定すると、自動検出が無効になります。そのため、後で別の国でコンピューターを使用すると、以前に設定された設定が正しくなくなる可能性があります。この場合、/etc/sysconfig/regdomain
ファイルを削除して自動検出に戻すか、以下の手順を使用して規制ドメイン設定を手動で再度更新します。
手順
オプション: 現在の規制ドメイン設定を表示します。
# iw reg get global country US: DFS-FCC ...
次の内容で
/etc/sysconfig/regdomain
ファイルを作成します。COUNTRY=<country_code>
COUNTRY
変数を ISO 3166-1 alpha2 国コード (ドイツの場合はDE
、アメリカ合衆国の場合はUS
など) に設定します。規制ドメインを設定します。
# setregdomain
検証
規制ドメインの設定を表示します。
# iw reg get global country DE: DFS-ETSI ...
関連情報
-
システム上の
iw(8)
、setregdomain(1)
、およびregulatory.bin(5)
man ページ - ISO 3166 国コード
第12章 RHEL を WPA2 または WPA3 パーソナルアクセスポイントとして設定する方法
Wi-Fi デバイスを備えたホストでは、NetworkManager を使用して、このホストをアクセスポイントとして設定できます。Wi-Fi Protected Access 2 (WPA2) および Wi-Fi Protected Access 3 (WPA3) Personal はセキュアな認証方法を提供します。ワイヤレスクライアントは事前共有キー (PSK) を使用してアクセスポイントに接続し、RHEL ホスト上およびネットワーク内のサービスを使用できます。
アクセスポイントを設定すると、NetworkManager は自動的に以下を行います。
-
クライアントに DHCP および DNS サービスを提供するように
dnsmasq
サービスを設定します - IP 転送を有効にします
-
nftables
ファイアウォールルールを追加して、wifi デバイスからのトラフィックをマスカレードし、IP 転送を設定します
前提条件
- Wi-Fi デバイスが、アクセスポイントモードでの実行をサポートしている
- Wi-Fi デバイスは使用していない
- ホストがインターネットにアクセスできる
手順
Wi-Fi デバイスを一覧表示して、アクセスポイントを提供するデバイスを特定します。
# nmcli device status | grep wifi wlp0s20f3 wifi disconnected --
デバイスがアクセスポイントモードをサポートしていることを確認します。
# nmcli -f WIFI-PROPERTIES.AP device show wlp0s20f3 WIFI-PROPERTIES.AP: yes
Wi-Fi デバイスをアクセスポイントとして使用するには、デバイスがこの機能をサポートしている必要があります。
dnsmasq
およびNetworkManager-wifi
パッケージをインストールします。# dnf install dnsmasq NetworkManager-wifi
NetworkManager は
dnsmasq
サービスを使用して、アクセスポイントのクライアントに DHCP および DNS サービスを提供します。アクセスポイントの初期設定を作成します。
# nmcli device wifi hotspot ifname wlp0s20f3 con-name Example-Hotspot ssid Example-Hotspot password "password"
このコマンドは、WPA2 および WPA3 Personal 認証を提供する
wlp0s20f3
デバイス上のアクセスポイントの接続プロファイルを作成します。ワイヤレスネットワークの名前である Service Set Identifier (SSID) はExample-Hotspot
で、事前共有キーのpassword
を使用します。オプション: WPA3 のみをサポートするようにアクセスポイントを設定します。
# nmcli connection modify Example-Hotspot 802-11-wireless-security.key-mgmt sae
デフォルトでは、NetworkManager は wifi デバイスに IP アドレス
10.42.0.1
を使用し、残りの10.42.0.0/24
サブネットからの IP アドレスをクライアントに割り当てます。別のサブネットと IP アドレスを設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify Example-Hotspot ipv4.addresses 192.0.2.254/24
設定した IP アドレス (この場合は
192.0.2.254
) は、NetworkManager が wifi デバイスに割り当てるものです。クライアントは、この IP アドレスをデフォルトゲートウェイおよび DNS サーバーとして使用します。接続プロファイルをアクティベートします。
# nmcli connection up Example-Hotspot
検証
サーバー上では以下の設定になります。
NetworkManager が
dnsmasq
サービスを開始し、そのサービスがポート 67 (DHCP) および 53 (DNS) でリッスンしていることを確認します。# ss -tulpn | egrep ":53|:67" udp UNCONN 0 0 10.42.0.1:53 0.0.0.0:* users:(("dnsmasq",pid=55905,fd=6)) udp UNCONN 0 0 0.0.0.0:67 0.0.0.0:* users:(("dnsmasq",pid=55905,fd=4)) tcp LISTEN 0 32 10.42.0.1:53 0.0.0.0:* users:(("dnsmasq",pid=55905,fd=7))
nftables
ルールセットを表示して、NetworkManager が10.42.0.0/24
サブネットからのトラフィックの転送とマスカレードを有効にしていることを確認します。# nft list ruleset table ip nm-shared-wlp0s20f3 { chain nat_postrouting { type nat hook postrouting priority srcnat; policy accept; ip saddr 10.42.0.0/24 ip daddr != 10.42.0.0/24 masquerade } chain filter_forward { type filter hook forward priority filter; policy accept; ip daddr 10.42.0.0/24 oifname "wlp0s20f3" ct state { established, related } accept ip saddr 10.42.0.0/24 iifname "wlp0s20f3" accept iifname "wlp0s20f3" oifname "wlp0s20f3" accept iifname "wlp0s20f3" reject oifname "wlp0s20f3" reject } }
Wi-Fi アダプターを備えたクライアントの場合:
利用可能なネットワークのリストを表示します。
# nmcli device wifi IN-USE BSSID SSID MODE CHAN RATE SIGNAL BARS SECURITY 00:53:00:88:29:04 Example-Hotspot Infra 11 130 Mbit/s 62 ▂▄▆_ WPA3 ...
-
Example-Hotspot
ワイヤレスネットワークに接続します。Managing Wi-Fi connections を参照してください。 リモートネットワークまたはインターネット上のホストに ping を実行し、接続が機能していることを確認します。
# ping -c 3 www.redhat.com
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
第13章 MACsec を使用した同じ物理ネットワーク内のレイヤー 2 トラフィックの暗号化
MACsec を使用して、2 つのデバイス間の通信を (ポイントツーポイントで) セキュリティー保護できます。たとえば、ブランチオフィスがメトロイーサネット接続を介してセントラルオフィスに接続されている場合、オフィスを接続する 2 つのホストで MACsec を設定して、セキュリティーを強化できます。
13.1. MACsec がセキュリティーを強化する方法
Media Access Control Security (MACsec) は、イーサーネットリンクで異なるトラフィックタイプを保護するレイヤー 2 プロトコルです。これには以下が含まれます。
- Dynamic Host Configuration Protocol (DHCP)
- アドレス解決プロトコル (ARP)
- IPv4 および IPv6 トラフィック
- TCP や UDP などの IP 経由のトラフィック
MACsec はデフォルトで、LAN 内のすべてのトラフィックを GCM-AES-128 アルゴリズムで暗号化および認証し、事前共有キーを使用して参加者ホスト間の接続を確立します。事前共有キーを変更するには、MACsec を使用するすべてのネットワークホストで NM 設定を更新する必要があります。
MACsec 接続では、イーサネットネットワークカード、VLAN、トンネルデバイスなどのイーサネットデバイスを親として使用します。暗号化された接続のみを使用して他のホストと通信するように MACsec デバイスにのみ IP 設定を指定することも、親デバイスに IP 設定を設定することもできます。後者の場合、親デバイスを使用して、暗号化されていない接続と暗号化された接続用の MACsec デバイスで他のホストと通信できます。
MACsec には特別なハードウェアは必要ありません。たとえば、ホストとスイッチの間のトラフィックのみを暗号化する場合を除き、任意のスイッチを使用できます。このシナリオでは、スイッチが MACsec もサポートする必要があります。
つまり、次の 2 つの一般的なシナリオに合わせて MACsec を設定できます。
- ホストからホストへ
- ホストからスイッチへ、およびスイッチから他のホストへ
MACsec は、同じ物理 LAN または仮想 LAN 内にあるホスト間でのみ使用できます。
13.2. nmcli
を使用した MACsec 接続の設定
nmcli
ユーティリティーを使用して、MACsec を使用するようにイーサネットインターフェイスを設定できます。たとえば、イーサネット経由で接続された 2 つのホスト間に MACsec 接続を作成できます。
手順
MACsec を設定する最初のホストで:
事前共有鍵の接続アソシエーション鍵 (CAK) と接続アソシエーション鍵名 (CKN) を作成します。
16 バイトの 16 進 CAK を作成します。
# dd if=/dev/urandom count=16 bs=1 2> /dev/null | hexdump -e '1/2 "%04x"' 50b71a8ef0bd5751ea76de6d6c98c03a
32 バイトの 16 進 CKN を作成します。
# dd if=/dev/urandom count=32 bs=1 2> /dev/null | hexdump -e '1/2 "%04x"' f2b4297d39da7330910a74abc0449feb45b5c0b9fc23df1430e1898fcf1c4550
- 両方のホストで、MACsec 接続を介して接続します。
MACsec 接続を作成します。
# nmcli connection add type macsec con-name macsec0 ifname macsec0 connection.autoconnect yes macsec.parent enp1s0 macsec.mode psk macsec.mka-cak 50b71a8ef0bd5751ea76de6d6c98c03a macsec.mka-ckn f2b4297d39da7330910a74abc0449feb45b5c0b9fc23df1430e1898fcf1c4550
前の手順で生成された CAK および CKN を
macsec.mka-cak
およびmacsec.mka-ckn
パラメーターで使用します。この値は、MACsec で保護されるネットワーク内のすべてのホストで同じである必要があります。MACsec 接続で IP を設定します。
IPv4
設定を指定します。たとえば、静的IPv4
アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーをmacsec0
接続に設定するには、以下のコマンドを実行します。# nmcli connection modify macsec0 ipv4.method manual ipv4.addresses '192.0.2.1/24' ipv4.gateway '192.0.2.254' ipv4.dns '192.0.2.253'
IPv6
設定を指定しますたとえば、静的IPv6
アドレス、ネットワークマスク、デフォルトゲートウェイ、および DNS サーバーをmacsec0
接続に設定するには、以下のコマンドを実行します。# nmcli connection modify macsec0 ipv6.method manual ipv6.addresses '2001:db8:1::1/32' ipv6.gateway '2001:db8:1::fffe' ipv6.dns '2001:db8:1::fffd'
接続をアクティベートします。
# nmcli connection up macsec0
検証
トラフィックが暗号化されていることを確認します。
# tcpdump -nn -i enp1s0
オプション: 暗号化されていないトラフィックを表示します。
# tcpdump -nn -i macsec0
MACsec の統計を表示します。
# ip macsec show
integrity-only (encrypt off) および encryption (encrypt on) の各タイプの保護に対して個々のカウンターを表示します。
# ip -s macsec show
13.3. nmstatectl
を使用した MACsec 接続の設定
nmstatectl
ユーティリティーを宣言的に使用して、イーサネットインターフェイスが MACsec を使用するように設定できます。たとえば、YAML ファイルでは、ネットワークの望ましい状態を記述します。ネットワークでは、イーサネット経由で接続された 2 つのホスト間に MACsec 接続があることが想定されます。nmstatectl
ユーティリティーは、YAML ファイルを解釈し、ホスト間に永続的かつ一貫したネットワーク設定をデプロイします。
リンク層 (Open Systems Interconnection (OSI) モデルのレイヤー 2 とも呼ばれます) での通信を保護するために MACsec セキュリティー標準を使用すると、主に次のような利点が得られます。
- レイヤー 2 で暗号化することで、レイヤー 7 で個々のサービスを暗号化する必要がなくなります。これにより、各ホストの各エンドポイントで多数の証明書を管理することに関連するオーバーヘッドが削減されます。
- ルーターやスイッチなどの直接接続されたネットワークデバイス間のポイントツーポイントセキュリティー。
- アプリケーションや上位レイヤープロトコルに変更を加える必要がなくなります。
前提条件
- 物理または仮想イーサネットネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) がサーバーに設定されている。
-
nmstate
パッケージがインストールされている。
手順
MACsec を設定する最初のホストで、事前共有キー用の接続関連キー (CAK: connectivity association key) および接続関連キー名 (CKN: connectivity-association key name) を作成します。
16 バイトの 16 進 CAK を作成します。
# dd if=/dev/urandom count=16 bs=1 2> /dev/null | hexdump -e '1/2 "%04x"' 50b71a8ef0bd5751ea76de6d6c98c03a
32 バイトの 16 進 CKN を作成します。
# dd if=/dev/urandom count=32 bs=1 2> /dev/null | hexdump -e '1/2 "%04x"' f2b4297d39da7330910a74abc0449feb45b5c0b9fc23df1430e1898fcf1c4550
MACsec 接続を介して接続するホストの両方で、次の手順を実行します。
次の設定を含む YAML ファイル (例:
create-macsec-connection.yml
) を作成します。--- routes: config: - destination: 0.0.0.0/0 next-hop-interface: macsec0 next-hop-address: 192.0.2.2 table-id: 254 - destination: 192.0.2.2/32 next-hop-interface: macsec0 next-hop-address: 0.0.0.0 table-id: 254 dns-resolver: config: search: - example.com server: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb interfaces: - name: macsec0 type: macsec state: up ipv4: enabled: true address: - ip: 192.0.2.1 prefix-length: 32 ipv6: enabled: true address: - ip: 2001:db8:1::1 prefix-length: 64 macsec: encrypt: true base-iface: enp0s1 mka-cak: 50b71a8ef0bd5751ea76de6d6c98c03a mka-ckn: f2b4297d39da7330910a74abc0449feb45b5c0b9fc23df1430e1898fcf1c4550 port: 0 validation: strict send-sci: true
-
前の手順で生成された CAK および CKN を
mka-cak
およびmka-ckn
パラメーターで使用します。この値は、MACsec で保護されるネットワーク内のすべてのホストで同じである必要があります。 オプション: 同じ YAML 設定ファイルで、以下も設定できます。
-
静的 IPv4 アドレス:
192.0.2.1
(サブネットマスクが/32
) -
静的 IPv6 アドレス:
2001:db8:1::1
(サブネットマスクが/64
) -
IPv4 デフォルトゲートウェイ -
192.0.2.2
-
IPv4 DNS サーバー -
192.0.2.200
-
IPv6 DNS サーバー -
2001:db8:1::ffbb
-
DNS 検索ドメイン -
example.com
-
静的 IPv4 アドレス:
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply create-macsec-connection.yml
検証
現在の状態を YAML 形式で表示します。
# nmstatectl show macsec0
トラフィックが暗号化されていることを確認します。
# tcpdump -nn -i enp0s1
オプション: 暗号化されていないトラフィックを表示します。
# tcpdump -nn -i macsec0
MACsec の統計を表示します。
# ip macsec show
integrity-only (encrypt off) および encryption (encrypt on) の各タイプの保護に対して個々のカウンターを表示します。
# ip -s macsec show
第14章 IPVLAN の使用
IPVLAN は、仮想ネットワークデバイス用のドライバーで、コンテナー環境でホストネットワークにアクセスするのに使用できます。IPVLAN は外部ネットワークに対し、ホストネットワーク内で作成された IPVLAN デバイスの数に関わらず、MAC アドレスを 1 つ公開します。つまり、ユーザーは複数コンテナーに複数の IPVLAN デバイスを持つことができますが、対応するスイッチは MAC アドレスを 1 つ読み込むということです。IPVLAN ドライバーは、ローカルスイッチで管理できる MAC アドレスの数に制限がある場合に役立ちます。
14.1. IPVLAN モード
IPVLAN では、次のモードが使用できます。
L2 モード
IPVLAN の L2 モード では、仮想デバイスはアドレス解決プロトコル (ARP) リクエストを受信して応答します。
netfilter
フレームワークは、仮想デバイスを所有するコンテナー内でのみ動作します。netfilter
チェーンは、コンテナー化したトラッフィクにあるデフォルトの名前空間では実行されません。L2 モードを使用すると、パフォーマンスは高くなりますが、ネットワークトラフィックの制御性は低下します。L3 モード
L3 モードでは、仮想デバイスは L3 以上のトラフィックのみを処理します。仮想デバイスは ARP リクエストに応答せず、関連するピアの IPVLAN IP アドレスは、隣接エントリーをユーザーが手動で設定する必要があります。関連するコンテナーの送信トラフィックはデフォルトの名前空間の
netfilter
の POSTROUTING および OUTPUT チェーンに到達する一方、ingress トラフィックは L2 モード と同様にスレッド化されます。L3 モード を使用すると、制御性は高くなりますが、ネットワークトラフィックのパフォーマンスは低下します。L3S モード
L3S モード では、仮想デバイスは L3 モード と同様の処理をしますが、関連するコンテナーの egress トラフィックと ingress トラフィックの両方がデフォルトの名前空間の
netfilter
チェーンに到達する点が異なります。L3S モード は、L3 モード と同様の動作をしますが、ネットワークの制御が強化されます。
IPVLAN 仮想デバイスは、L3 モードおよび L3S モードでは、ブロードキャストトラフィックおよびマルチキャストトラフィックを受信しません。
14.2. IPVLAN および MACVLAN の比較
以下の表は、MACVLAN と IPVLAN の主な相違点を示しています。
MACVLAN | IPVLAN |
---|---|
各 MACVLAN デバイスに対して、MAC アドレスを使用します。 スイッチが MAC テーブルに保存できる MAC アドレスの最大数に達すると、接続が失われる可能性があることに注意してください。 | IPVLAN デバイスの数を制限しない MAC アドレスを 1 つ使用します。 |
グローバル名前空間の netfilter ルールは、子名前空間の MACVLAN デバイスとの間のトラフィックに影響を与えることはできません。 | L3 モード および L3S モード の IPVLAN デバイスとの間のトラフィックを制御できます。 |
IPVLAN と MACVLAN はどちらも、いかなるレベルのカプセル化も必要としません。
14.3. iproute2 を使用した IPVLAN デバイスの作成および設定
この手順では、iproute2
を使用して IPVLAN デバイスを設定する方法を説明します。
手順
IPVLAN デバイスを作成するには、次のコマンドを実行します。
# ip link add link real_NIC_device name IPVLAN_device type ipvlan mode l2
ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) は、コンピューターをネットワークに接続するハードウェアコンポーネントです。
例14.1 IPVLAN デバイスの作成
# ip link add link enp0s31f6 name my_ipvlan type ipvlan mode l2 # ip link 47: my_ipvlan@enp0s31f6: <BROADCAST,MULTICAST> mtu 1500 qdisc noop state DOWN mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether e8:6a:6e:8a:a2:44 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
IPv4
アドレスまたはIPv6
アドレスをインターフェイスに割り当てるには、次のコマンドを実行します。# ip addr add dev IPVLAN_device IP_address/subnet_mask_prefix
L3 モード または L3S モード の IPVLAN デバイスを設定する場合は、以下の設定を行います。
リモートホストのリモートピアのネイバー設定を行います。
# ip neigh add dev peer_device IPVLAN_device_IP_address lladdr MAC_address
MAC_address は、IPVLAN デバイスのベースである実際の NIC の MAC アドレスになります。
L3 モード の IPVLAN デバイスを設定する場合は、次のコマンドを実行します。
# ip route add dev <real_NIC_device> <peer_IP_address/32>
L3S モード の場合は、次のコマンドを実行します。
# ip route add dev real_NIC_device peer_IP_address/32
IP アドレスは、リモートピアのアドレスを使用します。
IPVLAN デバイスをアクティブに設定するには、次のコマンドを実行します。
# ip link set dev IPVLAN_device up
IPVLAN デバイスがアクティブであることを確認するには、リモートホストで次のコマンドを実行します。
# ping IP_address
IP_address には、IPVLAN デバイスの IP アドレスを使用します。
第15章 特定のデバイスを無視するように NetworkManager の設定
デフォルトでは、NetworkManager はすべてのデバイスを管理します。特定のデバイスを無視するには、NetworkManager を unmanaged
として設定できます。
15.1. NetworkManager でデバイスをマネージド外として永続的に設定
インターフェイス名、MAC アドレス、デバイスタイプなどのいくつかの基準に基づいてデバイスを unmanaged
として永続的に設定できます。
手順
オプション: デバイスの一覧を表示して、
unmanaged
に設定するデバイスまたは MAC アドレスを特定します。# ip link show ... 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:74:79:56 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
以下の内容で
/etc/NetworkManager/conf.d/99-unmanaged-devices.conf
ファイルを作成します。特定のインターフェイスを管理対象外として設定するには、以下を追加します。
[keyfile] unmanaged-devices=interface-name:enp1s0
特定の MAC アドレスを管理対象外として設定するには、以下を追加します。
[keyfile] unmanaged-devices=mac:52:54:00:74:79:56
特定のタイプのすべてのデバイスを管理対象外として設定するには、以下を追加します。
[keyfile] unmanaged-devices=type:ethernet
複数のデバイスを管理対象外に設定するには、
unmanaged-devices
パラメーターのエントリーをセミコロンで区切ります。以下に例を示します。[keyfile] unmanaged-devices=interface-name:enp1s0;interface-name:enp7s0
NetworkManager
サービスを再読み込みします。# systemctl reload NetworkManager
検証
デバイスのリストを表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp1s0 ethernet unmanaged -- ...
enp1s0
デバイスの横にあるマネージド外
状態は、NetworkManager がこのデバイスを管理していないことを示しています。
トラブルシューティング
デバイスが
unmanaged
として表示されない場合は、NetworkManager 設定を表示します。# NetworkManager --print-config ... [keyfile] unmanaged-devices=interface-name:enp1s0 ...
指定した設定と出力が一致しない場合は、より優先度が高い設定ファイルによって設定がオーバーライドされていないことを確認してください。NetworkManager が複数の設定ファイルをマージする方法の詳細は、システム上の
NetworkManager.conf(5)
man ページを参照してください。
15.2. NetworkManager でデバイスをマネージド外として一時的に設定
たとえばテスト目的で、デバイスを一時的に unmanaged
として設定できます。
手順
必要に応じて、デバイスのリストを表示して、
マネージド外
に設定するデバイスを特定します。# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp1s0 ethernet disconnected -- ...
enp1s0
デバイスをunmanaged
の状態に設定します。# nmcli device set enp1s0 managed no
検証
デバイスのリストを表示します。
# nmcli device status DEVICE TYPE STATE CONNECTION enp1s0 ethernet unmanaged -- ...
enp1s0
デバイスの横にあるマネージド外
状態は、NetworkManager がこのデバイスを管理していないことを示しています。
関連情報
-
システム上の
NetworkManager.conf(5)
man ページ
第16章 nmcli
を使用したループバックインターフェイスの設定
デフォルトでは、NetworkManager はループバック (lo
) インターフェイスを管理しません。lo
インターフェイスの接続プロファイルを作成した後、NetworkManager を使用してこのデバイスを設定できます。例としては次のようなものがあります。
-
lo
インターフェイスに追加の IP アドレスを割り当てる - DNS アドレスを定義する
-
lo
インターフェイスの最大伝送単位 (MTU) サイズを変更する
手順
タイプ
loopback
の新しい接続を作成します。# nmcli connection add con-name example-loopback type loopback
カスタム接続設定を設定します。次に例を示します。
追加の IP アドレスをインターフェイスに割り当てるには、次のように入力します。
# nmcli connection modify example-loopback +ipv4.addresses 192.0.2.1/24
注記NetworkManager は、再起動後も持続する IP アドレス
127.0.0.1
および::1
を常に割り当てることで、lo
インターフェイスを管理します。127.0.0.1
および::1
をオーバーライドすることはできません。ただし、追加の IP アドレスをインターフェイスに割り当てることができます。カスタムの最大伝送単位 (MTU) を設定するには、次のように入力します。
# nmcli con mod example-loopback loopback.mtu 16384
DNS サーバーに IP アドレスを設定するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify example-loopback ipv4.dns 192.0.2.0
ループバック接続プロファイルで DNS サーバーを設定すると、このエントリーが
/etc/resolv.conf
ファイルで常に使用可能になります。DNS サーバーのエントリーは、ホストが異なるネットワーク間をローミングするかどうかには関係ありません。
接続をアクティベートします。
# nmcli connection up example-loopback
検証
lo
インターフェイスの設定を表示します。# ip address show lo 1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 16384 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000 link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00 inet 127.0.0.1/8 scope host lo valid_lft forever preferred_lft forever inet
192.0.2.1/24
brd192.0.2.255
scope global lo valid_lft forever preferred_lft forever inet6 ::1/128 scope host valid_lft forever preferred_lft foreverDNS アドレスを確認します。
# cat /etc/resolv.conf ... nameserver
192.0.2.0
...
第17章 ダミーインターフェイスの作成
Red Hat Enterprise Linux ユーザーは、デバッグおよびテストの目的でダミーネットワークインターフェイスを作成および使用できます。ダミーインターフェイスは、実際には送信せずにパケットをルーティングするデバイスを提供します。NetworkManager が管理する追加のループバックのようなデバイスを作成し、非アクティブな SLIP (Serial Line Internet Protocol) アドレスをローカルプログラムの実アドレスのようにすることができます。
17.1. nmcli
を使用して IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方を使用したダミーインターフェイスを作成する
IPv4 アドレスや IPv6 アドレスなどのさまざまな設定でダミーインターフェイスを作成できます。ダミーインターフェイスを作成すると、NetworkManager により自動的にデフォルトの public
firewalld
ゾーンに割り当てられます。
手順
静的 IPv4 および IPv6 アドレスを使用して、
dummy0
という名前のダミーインターフェイスを作成します。# nmcli connection add type dummy ifname dummy0 ipv4.method manual ipv4.addresses 192.0.2.1/24 ipv6.method manual ipv6.addresses 2001:db8:2::1/64
注記IPv4 および IPv6 アドレスなしでダミーインターフェイスを設定するには、
ipv4.method
およびipv6.method
パラメーターの両方をdisabled
に設定します。それ以外の場合は、IP 自動設定が失敗し、NetworkManager が接続を無効にしてデバイスを削除します。
検証
接続プロファイルを一覧表示します。
# nmcli connection show NAME UUID TYPE DEVICE dummy-dummy0 aaf6eb56-73e5-4746-9037-eed42caa8a65 dummy dummy0
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
第18章 NetworkManager で特定接続の IPv6 の無効化
NetworkManager を使用してネットワークインターフェイスを管理するシステムでは、ネットワークが IPv4 のみを使用している場合は、IPv6 プロトコルを無効にできます。IPv6
を無効にすると、NetworkManager はカーネルに対応する sysctl
値を自動的に設定します。
カーネルの設定項目またはカーネルブートパラメーターを使用して IPv6 を無効にする場合は、システム設定に追加で配慮が必要です。詳細は、Red Hat ナレッジベースのソリューション記事 How do I disable or enable the IPv6 protocol in RHEL を参照してください。
18.1. nmcli
を使用して接続の IPv6 を無効にする
nmcli
ユーティリティーを使用して、コマンドラインで IPv6
プロトコルを無効にすることができます。
前提条件
- システムは、NetworkManager を使用してネットワークインターフェイスを管理します。
手順
オプション: ネットワーク接続のリストを表示します。
# nmcli connection show NAME UUID TYPE DEVICE Example 7a7e0151-9c18-4e6f-89ee-65bb2d64d365 ethernet enp1s0 ...
接続の
ipv6.method
パラメーターをdisabled
に設定します。# nmcli connection modify Example ipv6.method "disabled"
ネットワーク接続が再起動します。
# nmcli connection up Example
検証
デバイスの IP 設定を表示します。
# ip address show enp1s0 2: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state UP group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:6b:74:be brd ff:ff:ff:ff:ff:ff inet 192.0.2.1/24 brd 192.10.2.255 scope global noprefixroute enp1s0 valid_lft forever preferred_lft forever
inet6
エントリーが表示されない場合は、デバイスでIPv6
が無効になります。/proc/sys/net/ipv6/conf/enp1s0/disable_ipv6
ファイルに値1
が含まれていることを確認します。# cat /proc/sys/net/ipv6/conf/enp1s0/disable_ipv6 1
値が
1
の場合は、デバイスに対してIPv6
が無効になります。
第19章 ホスト名の変更
システムのホスト名は、システム自体の名前になります。RHEL のインストール時に名前を設定し、後で変更できます。
19.1. nmcli
を使用したホスト名の変更
nmcli
ユーティリティーを使用して、システムのホスト名を更新できます。その他のユーティリティーは、静的または永続的なホスト名などの別の用語を使用する可能性があることに注意してください。
手順
オプション: 現在のホスト名設定を表示します。
# nmcli general hostname old-hostname.example.com
新しいホスト名を設定します。
# nmcli general hostname new-hostname.example.com
NetworkManager は、
systemd-hostnamed
を自動的に再起動して、新しい名前をアクティブにします。変更を有効にするには、ホストを再起動します。# reboot
あるいは、そのホスト名を使用するサービスがわかっている場合は、次のようにします。
サービスの起動時にホスト名のみを読み取るすべてのサービスを再起動します。
# systemctl restart <service_name>
- 変更を反映するには、アクティブなシェルユーザーを再ログインする必要があります。
検証
ホスト名を表示します。
# nmcli general hostname new-hostname.example.com
19.2. hostnamectl を使用したホスト名の変更
hostnamectl
ユーティリティーを使用してホスト名を更新できます。デフォルトでは、このユーティリティーは以下のホスト名タイプを設定します。
-
静的ホスト名:
/etc/hostname
ファイルに保存されます。通常、サービスはこの名前をホスト名として使用します。 -
Pretty hostname:
Proxy server in data center A
などの説明的な名前。 - 一時的なホスト名: 通常ネットワーク設定から受信されるフォールバック値。
手順
オプション: 現在のホスト名設定を表示します。
# hostnamectl status --static old-hostname.example.com
新しいホスト名を設定します。
# hostnamectl set-hostname new-hostname.example.com
このコマンドは、static、pretty、および transient のホスト名を新しい値に設定します。特定のタイプのみを設定するには、
--static
オプション、--pretty
オプション、または--transient
オプションをコマンドに渡します。hostnamectl
ユーティリティーは、systemd-hostnamed
を自動的に再起動して、新しい名前をアクティブにします。変更を有効にするには、ホストを再起動します。# reboot
あるいは、そのホスト名を使用するサービスがわかっている場合は、次のようにします。
サービスの起動時にホスト名のみを読み取るすべてのサービスを再起動します。
# systemctl restart <service_name>
- 変更を反映するには、アクティブなシェルユーザーを再ログインする必要があります。
検証
ホスト名を表示します。
# hostnamectl status --static new-hostname.example.com
第20章 NetworkManager の DHCP の設定
NetworkManager は、DHCP に関連するさまざまな設定オプションを提供します。たとえば、ビルトイン DHCP クライアント (デフォルト) または外部クライアントを使用するように NetworkManager を設定したり、個々のプロファイルの DHCP 設定に影響を与えることができます。
20.1. NetworkManager の DHCP クライアントの変更
デフォルトでは、NetworkManager は内部 DHCP クライアントを使用します。ただし、ビルトインクライアントが提供しない機能を備えた DHCP クライアントが必要な場合は、代わりに dhclient
を使用するように NetworkManager を設定できます。
RHEL は dhcpcd
を提供しないため、NetworkManager はこのクライアントを使用できないことに注意してください。
手順
次のコンテンツで
/etc/NetworkManager/conf.d/dhcp-client.conf
ファイルを作成します。[main] dhcp=dhclient
dhcp
パラメーターをinternal
(デフォルト) またはdhclient
に設定できます。dhcp
パラメーターをdhclient
に設定した場合は、dhcp-client
パッケージをインストールします。# dnf install dhcp-client
NetworkManager を再起動します。
# systemctl restart NetworkManager
再起動すると、すべてのネットワーク接続が一時的に中断されることに注意してください。
検証
/var/log/messages
ログファイルで、次のようなエントリーを検索します。Apr 26 09:54:19 server NetworkManager[27748]: <info> [1650959659.8483] dhcp-init: Using DHCP client 'dhclient'
このログエントリーは、NetworkManager が DHCP クライアントとして
dhclient
を使用していることを確認します。
関連情報
-
システム上の
NetworkManager.conf(5)
man ページ
20.2. NetworkManager 接続の DHCP 動作の設定
DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) クライアントは、クライアントがネットワークに接続するたびに、動的 IP アドレスと対応する設定情報を DHCP サーバーに要求します。
DHCP サーバーから IP アドレスを取得するように接続を設定すると、NetworkManager は DHCP サーバーから IP アドレスを要求します。デフォルトでは、クライアントはこのリクエストが完了するまで 45 秒待機します。dhcp クライアントは、DHCP
接続が開始する際に、DHCP
サーバーに IP アドレスを要求します。
前提条件
- DHCP を使用する接続がホストに設定されている。
手順
ipv4.dhcp-timeout
およびipv6.dhcp-timeout
プロパティーを設定します。たとえば、両方のオプションを30
秒に設定するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection modify <connection_name> ipv4.dhcp-timeout 30 ipv6.dhcp-timeout 30
パラメーターを
infinity
に設定すると、成功するまで NetworkManager が IP アドレスのリクエストおよび更新を停止しないようにします。必要に応じて、タイムアウト前に NetworkManager が IPv4 アドレスを受信しない場合にこの動作を設定します。
# nmcli connection modify <connection_name> ipv4.may-fail <value>
ipv4.may-fail
オプションを以下のように設定します。yes
、接続のステータスは IPv6 設定により異なります。- IPv6 設定が有効になり、成功すると、NetworkManager は IPv6 接続をアクティブにし、IPv4 接続のアクティブ化を試みなくなります。
- IPv6 設定が無効であるか設定されていないと、接続は失敗します。
いいえ
、接続は非アクティブになります。この場合は、以下のようになります。-
接続の
autoconnect
プロパティーが有効になっている場合、NetworkManager は、autoconnect-retries
プロパティーに設定された回数だけ、接続のアクティベーションを再試行します。デフォルト値は4
です。 - それでも接続が DHCP アドレスを取得できないと、自動アクティベーションは失敗します。5 分後に自動接続プロセスが再開され、DHCP サーバーから IP アドレスを取得するようになりました。
-
接続の
必要に応じて、タイムアウト前に NetworkManager が IPv6 アドレスを受信しない場合にこの動作を設定します。
# nmcli connection modify <connection_name> ipv6.may-fail <value>
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
第21章 NetworkManager で dispatcher スクリプトを使用して dhclient の終了フックを実行する
NetworkManager の dispatcher スクリプトを使用して、dhclient
の終了フックを実行できます。
21.1. NetworkManager の dispatcher スクリプトの概念
NetworkManager-dispatcher
サービスは、ネットワークイベントが発生した場合に、ユーザーが提供したスクリプトをアルファベット順に実行します。通常、これらのスクリプトはシェルスクリプトですが、任意の実行可能スクリプトまたはアプリケーションにすることができます。たとえば、dispatcher スクリプトを使用して、NetworkManager では管理できないネットワーク関連の設定を調整できます。
dispatcher スクリプトは、以下のディレクトリーに保存できます。
-
/etc/NetworkManager/dispatcher.d/
:root
ユーザーが編集できるディスパッチャースクリプトの全般的な場所です。 -
/usr/lib/NetworkManager/dispatcher.d/
: デプロイ済みの不変のディスパッチャースクリプト用。
セキュリティー上の理由から、NetworkManager-dispatcher
では、以下の条件が満たされた場合にのみスクリプトを実行します。
-
このスクリプトは、
root
ユーザーが所有します。 -
このスクリプトは、
root
でのみ読み取りと書き込みが可能です。 -
setuid
ビットはスクリプトに設定されていません。
NetworkManager-dispatcher
サービスは、2 つの引数を指定して、それぞれのスクリプトを実行します。
- 操作が発生したデバイスのインターフェイス名。
-
インターフェイスがアクティブになったときの動作 (
up
など)。
NetworkManager(8)
の man ページの Dispatcher scripts
セクションには、スクリプトで使用できるアクションと環境変数の概要が記載されています。
NetworkManager-dispatcher
サービスは、一度に 1 つのスクリプトを実行しますが、NetworkManager のメインプロセスとは非同期に実行します。スクリプトがキューに入れられている場合、後のイベントによってスクリプトが廃止された場合でも、サービスは常にスクリプトを実行することに注意してください。ただし、NetworkManager-dispatcher
サービスは、以前のスクリプトの終了を待たずに、/etc/NetworkManager/dispatcher.d/no-wait.d/
内のファイルを参照するシンボリックリンクであるスクリプトを即座に、そして並行して実行します。
関連情報
-
システム上の
NetworkManager(8)
man ページ
21.2. dhclient の終了フックを実行する NetworkManager の dispatcher スクリプトの作成
DHCP サーバーが IPv4 アドレスを割り当てまたは更新すると、NetworkManager は /etc/dhcp/dhclient-exit-hooks.d/
ディレクトリーに保存されている dispatcher スクリプトを実行できます。この dispatcher スクリプトは、dhclient
の終了フックなどを実行できます。
前提条件
-
dhclient
の終了フックは、/etc/dhcp/dhclient-exit-hooks.d/
ディレクトリーに保存されます。
手順
以下の内容で
/etc/NetworkManager/dispatcher.d/12-dhclient-down
ファイルを作成します。#!/bin/bash # Run dhclient.exit-hooks.d scripts if [ -n "$DHCP4_DHCP_LEASE_TIME" ] ; then if [ "$2" = "dhcp4-change" ] || [ "$2" = "up" ] ; then if [ -d /etc/dhcp/dhclient-exit-hooks.d ] ; then for f in /etc/dhcp/dhclient-exit-hooks.d/*.sh ; do if [ -x "${f}" ]; then . "${f}" fi done fi fi fi
root
ユーザーをファイルの所有者として設定します。# chown root:root /etc/NetworkManager/dispatcher.d/12-dhclient-down
権限を設定して、root ユーザーのみが実行できるようにします。
# chmod 0700 /etc/NetworkManager/dispatcher.d/12-dhclient-down
SELinux コンテキストを復元します。
# restorecon /etc/NetworkManager/dispatcher.d/12-dhclient-down
関連情報
-
システム上の
NetworkManager(8)
man ページ
第22章 /etc/resolv.conf ファイルの手動設定
デフォルトでは、NetworkManager は、アクティブな NetworkManager 接続プロファイルの DNS 設定を使用して /etc/resolv.conf
ファイルを動的に更新します。ただし、この動作を無効にし、/etc/resolv.conf
で DNS 設定を手動で設定できます。
または、/etc/resolv.conf
で特定の DNS サーバーの順序が必要な場合は、DNS サーバーの順序の設定 を参照してください。
22.1. NetworkManager 設定で DNS 処理の無効化
デフォルトでは、NetworkManager は /etc/resolv.conf
ファイルで DNS 設定を管理し、DNS サーバーの順序を設定できます。または、/etc/resolv.conf
で DNS 設定を手動で設定する場合は、NetworkManager で DNS 処理を無効にできます。
手順
root ユーザーとして、テキストエディターを使用して、以下の内容で
/etc/NetworkManager/conf.d/90-dns-none.conf
ファイルを作成します。[main] dns=none
NetworkManager
サービスを再読み込みします。# systemctl reload NetworkManager
注記サービスを再読み込みすると、NetworkManager は
/etc/resolv.conf
ファイルを更新しなくなります。ただし、ファイルの最後の内容は保持されます。-
オプション: 混乱を避けるために、
Generated by NetworkManager
コメントを/etc/resolv.conf
から削除します。
検証
-
/etc/resolv.conf
ファイルを編集し、設定を手動で更新します。 NetworkManager
サービスを再読み込みします。# systemctl reload NetworkManager
/etc/resolv.conf
ファイルを表示します。# cat /etc/resolv.conf
DNS 処理を無効にできた場合、NetworkManager は手動で設定した設定を上書きしませんでした。
トラブルシューティング
NetworkManager 設定を表示して、優先度の高い他の設定ファイルが設定をオーバーライドしていないことを確認します。
# NetworkManager --print-config ... dns=none ...
関連情報
-
システム上の
NetworkManager.conf(5)
man ページ - NetworkManager を使用した DNS サーバーの順序の設定
22.2. /etc/resolv.conf を、DNS 設定を手動で設定するシンボリックリンクに置き換え
デフォルトでは、NetworkManager は /etc/resolv.conf
ファイルで DNS 設定を管理し、DNS サーバーの順序を設定できます。または、/etc/resolv.conf
で DNS 設定を手動で設定する場合は、NetworkManager で DNS 処理を無効にできます。たとえば、/etc/resolv.conf
がシンボリックリンクの場合、NetworkManager は DNS 設定を自動的に更新しません。
前提条件
-
NetworkManager
rc-manager
設定オプションは、ファイル
に設定されていません。検証には、NetworkManager --print-config
コマンドを使用します。
手順
-
/etc/resolv.conf.manually-configured
などのファイルを作成し、お使いの環境の DNS 設定を追加します。元の/etc/resolv.conf
と同じパラメーターと構文を使用します。 /etc/resolv.conf
ファイルを削除します。# rm /etc/resolv.conf
/etc/resolv.conf.manually-configured
を参照する/etc/resolv.conf
という名前のシンボリックリンクを作成します。# ln -s /etc/resolv.conf.manually-configured /etc/resolv.conf
関連情報
-
システム上の
resolv.conf(5)
およびNetworkManager.conf(5)
man ページ - NetworkManager を使用した DNS サーバーの順序の設定
第23章 DNS サーバーの順序の設定
ほとんどのアプリケーションは、glibc
ライブラリーの getaddrinfo()
関数を使用して DNS 要求を解決します。デフォルトでは、glibc
はすべての DNS 要求を、/etc/resolv.conf
ファイルで指定された最初の DNS サーバーに送信します。このサーバーが応答しない場合、RHEL は、このファイルに指定されている次のサーバーを使用します。NetworkManager を使用すると、etc/resolv.conf
内の DNS サーバーの順序に影響を与えることができます。
23.1. NetworkManager が /etc/resolv.conf で DNS サーバーを順序付ける方法
NetworkManager は、以下のルールに基づいて /etc/resolv.conf
ファイルの DNS サーバーの順序を付けます。
- 接続プロファイルが 1 つしか存在しない場合、NetworkManager は、その接続で指定された IPv4 および IPv6 の DNS サーバーの順序を使用します。
複数の接続プロファイルがアクティベートされると、NetworkManager は DNS の優先度の値に基づいて DNS サーバーを順序付けます。DNS の優先度を設定すると、NetworkManager の動作は、
dns
パラメーターに設定した値によって異なります。このパラメーターは、/etc/NetworkManager/NetworkManager.conf
ファイルの[main]
セクションで設定できます。dns=default
またはdns
パラメーターが設定されていないと、以下のようになります。NetworkManager は、各接続の
ipv4.dns-priority
パラメーターおよびipv6.dns-priority
パラメーターに基づいて、複数の接続から DNS サーバーを順序付けます。値を指定しない場合、または
ipv4.dns-priority
およびipv6.dns-priority
を0
に設定すると、NetworkManager はグローバルのデフォルト値を使用します。DNS 優先度パラメーターのデフォルト値 を参照してください。dns=dnsmasq
またはdns=systemd-resolved
:この設定のいずれかを使用すると、NetworkManager は
dnsmasq
の127.0.0.1
に設定するか、127.0.0.53
をnameserver
エントリーとして/etc/resolv.conf
ファイルに設定します。dnsmasq
サービスおよびsystemd-resolved
サービスの両方で、NetworkManager 接続に設定された検索ドメインのクエリーをその接続で指定された DNS サーバーに転送し、その他のドメインへのクエリーをデフォルトのルートを持つ接続に転送します。複数の接続に同じ検索ドメインが設定されている場合は、dnsmasq
およびsystemd-resolved
が、このドメインのクエリーを、優先度の値が最も低い接続に設定された DNS サーバーへ転送します。
DNS 優先度パラメーターのデフォルト値
NetworkManager は、接続に以下のデフォルト値を使用します。
-
VPN 接続の場合は
50
-
他の接続の場合は
100
有効な DNS 優先度の値:
グローバルのデフォルトおよび接続固有の ipv4.dns-priority
パラメーターおよび ipv6.dns-priority
パラメーターの両方を -2147483647
から 2147483647
までの値に設定できます。
- 値が小さいほど優先度が高くなります。
- 負の値は、値が大きい他の設定を除外する特別な効果があります。たとえば、優先度が負の値の接続が 1 つでも存在する場合は、NetworkManager が、優先度が最も低い接続プロファイルで指定された DNS サーバーのみを使用します。
複数の接続の DNS の優先度が同じ場合、NetworkManager は以下の順番で DNS の優先順位を決定します。
- VPN 接続。
- アクティブなデフォルトルートとの接続。アクティブなデフォルトルートは、メトリックスが最も低いデフォルトルートです。
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ - 異なるドメインでの各種 DNS サーバーの使用
23.2. NetworkManager 全体でデフォルトの DNS サーバー優先度の値の設定
NetworkManager は、接続に以下の DNS 優先度のデフォルト値を使用します。
-
VPN 接続の場合は
50
-
他の接続の場合は
100
これらのシステム全体のデフォルトは、IPv4 接続および IPv6 接続のカスタムデフォルト値で上書きできます。
手順
/etc/NetworkManager/NetworkManager.conf
ファイルを編集します。[connection]
セクションが存在しない場合は追加します。[connection]
[connection]
セクションにカスタムのデフォルト値を追加します。たとえば、IPv4 と IPv6 の両方で新しいデフォルトを200
に設定するには、以下を追加します。ipv4.dns-priority=200 ipv6.dns-priority=200
パラメーターは、
-2147483647
から2147483647
までの値に設定できます。パラメーターを0
に設定すると、組み込みのデフォルト (VPN 接続の場合は50
、他の接続の場合は100
) が有効になります。
NetworkManager
サービスを再読み込みします。# systemctl reload NetworkManager
関連情報
-
システム上の
NetworkManager.conf(5)
man ページ
23.3. NetworkManager 接続の DNS 優先度の設定
特定の DNS サーバーの順序が必要な場合は、接続プロファイルに優先度の値を設定できます。NetworkManager はこれらの値を使用して、サービスが /etc/resolv.conf
ファイルを作成または更新する際にサーバーを順序付けます。
DNS 優先度の設定は、異なる DNS サーバーが設定された複数の接続がある場合にのみ有効であることに注意してください。複数の DNS サーバーが設定された接続が 1 つしかない場合は、接続プロファイルで DNS サーバーを優先順に手動で設定します。
前提条件
- システムに NetworkManager の接続が複数設定されている。
-
システムで、
/etc/NetworkManager/NetworkManager.conf
ファイルにdns
パラメーターが設定されていないか、そのパラメーターがdefault
に設定されている。
手順
オプション: 利用可能な接続を表示します。
# nmcli connection show NAME UUID TYPE DEVICE Example_con_1 d17ee488-4665-4de2-b28a-48befab0cd43 ethernet enp1s0 Example_con_2 916e4f67-7145-3ffa-9f7b-e7cada8f6bf7 ethernet enp7s0 ...
ipv4.dns-priority
パラメーターおよびipv6.dns-priority
パラメーターを設定します。たとえば、両方のパラメーターを10
に設定するには、次のように入力します。# nmcli connection modify <connection_name> ipv4.dns-priority 10 ipv6.dns-priority 10
- オプション: 他のコネクションに対しても 1 つ前の手順を繰り返します。
更新した接続を再度アクティブにします。
# nmcli connection up <connection_name>
検証
/etc/resolv.conf
ファイルの内容を表示して、DNS サーバーの順序が正しいことを確認します。# cat /etc/resolv.conf
第24章 異なるドメインでの各種 DNS サーバーの使用
デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) は、すべての DNS リクエストを、/etc/resolv.conf
ファイルで指定されている最初の DNS サーバーに送信します。このサーバーが応答しない場合、RHEL は、このファイルに指定されている次のサーバーを使用します。ある DNS サーバーがすべてのドメインを解決できない環境では、管理者は、特定のドメインの DNS 要求を選択した DNS サーバーに送信するように RHEL を設定できます。
たとえば、サーバーを仮想プライベートネットワーク (VPN) に接続し、VPN 内のホストが example.com
ドメインを使用するとします。この場合、次の方法で DNS クエリーを処理するように RHEL を設定できます。
-
example.com
の DNS 要求のみを VPN ネットワーク内の DNS サーバーに送信します。 - 他のすべての要求は、デフォルトゲートウェイを使用して接続プロファイルで設定されている DNS サーバーに送信します。
24.1. NetworkManager で dnsmasq を使用して、特定のドメインの DNS リクエストを選択した DNS サーバーに送信する
dnsmasq
のインスタンスを開始するように NetworkManager を設定できます。次に、この DNS キャッシュサーバーは、loopback
デバイスのポート 53
をリッスンします。したがって、このサービスはローカルシステムからのみ到達でき、ネットワークからは到達できません。
この設定では、NetworkManager は nameserver 127.0.0.1
エントリーを /etc/resolv.conf
ファイルに追加し、dnsmasq
は DNS 要求を NetworkManager 接続プロファイルで指定された対応する DNS サーバーに動的にルーティングします。
前提条件
- システムに NetworkManager の接続が複数設定されている。
DNS サーバーおよび検索ドメインは、特定のドメインを解決する NetworkManager 接続プロファイルで設定されます。
たとえば、VPN 接続で指定された DNS サーバーが
example.com
ドメインのクエリーを解決するようにするには、VPN 接続プロファイルに以下の設定が含まれている必要があります。-
example.com
を解決できる DNS サーバー -
ipv4.dns-search
およびipv6.dns-search
パラメーターでexample.com
に設定された検索ドメイン
-
-
dnsmasq
サービスが実行されていないか、localhost
とは異なるインターフェイスでリッスンするように設定されています。
手順
dnsmasq
パッケージをインストールします。# dnf install dnsmasq
/etc/NetworkManager/NetworkManager.conf
ファイルを編集し、[main]
セクションに以下のエントリーを設定します。dns=dnsmasq
NetworkManager
サービスを再読み込みします。# systemctl reload NetworkManager
検証
NetworkManager
ユニットのsystemd
ジャーナルで、サービスが別の DNS サーバーを使用しているドメインを検索します。# journalctl -xeu NetworkManager ... Jun 02 13:30:17 <client_hostname>_ dnsmasq[5298]: using nameserver 198.51.100.7#53 for domain example.com ...
tcpdump
パケットスニファを使用して、DNS 要求の正しいルートを確認します。tcpdump
パッケージをインストールします。# dnf install tcpdump
1 つのターミナルで
tcpdump
を起動し、すべてのインターフェイスで DNS トラフィックを取得します。# tcpdump -i any port 53
別のターミナルで、例外が存在するドメインと別のドメインのホスト名を解決します。次に例を示します。
# host -t A www.example.com # host -t A www.redhat.com
tcpdump
出力で、Red Hat Enterprise Linux がexample.com
ドメインの DNS クエリーのみを指定された DNS サーバーに、対応するインターフェイスを通じて送信していることを確認します。... 13:52:42.234533 tun0 Out IP server.43534 > 198.51.100.7.domain: 50121+ A? www.example.com. (33) ... 13:52:57.753235 enp1s0 Out IP server.40864 > 192.0.2.1.domain: 6906+ A? www.redhat.com. (33) ...
Red Hat Enterprise Linux は、
www.example.com
の DNS クエリーを198.51.100.7
の DNS サーバーに送信し、www.redhat.com
のクエリーを192.0.2.1
に送信します。
トラブルシューティング
/etc/resolv.conf
ファイルのnameserver
エントリーが127.0.0.1
を指していることを確認します。# cat /etc/resolv.conf nameserver 127.0.0.1
エントリーがない場合は、
/etc/NetworkManager/NetworkManager.conf
ファイルのdns
パラメーターを確認します。dnsmasq
サービスがloopback
デバイスのポート53
でリッスンしていることを確認します。# ss -tulpn | grep "127.0.0.1:53" udp UNCONN 0 0 127.0.0.1:53 0.0.0.0:* users:(("dnsmasq",pid=7340,fd=18)) tcp LISTEN 0 32 127.0.0.1:53 0.0.0.0:* users:(("dnsmasq",pid=7340,fd=19))
サービスが
127.0.0.1:53
をリッスンしていない場合は、NetworkManager
ユニットのジャーナルエントリーを確認します。# journalctl -u NetworkManager
24.2. NetworkManager で systemd-resolved を使用して、特定のドメインの DNS 要求を選択した DNS サーバーに送信する
NetworkManager を設定して、systemd-resolved
のインスタンスを開始することができます。次に、この DNS スタブリゾルバーは、IP アドレス 127.0.0.53
のポート 53
でリッスンします。したがって、このスタブリゾルバーはローカルシステムからのみ到達でき、ネットワークからは到達できません。
この設定では、NetworkManager は nameserver 127.0.0.53
エントリーを /etc/resolv.conf
ファイルに追加し、systemd-resolved
は、NetworkManager 接続プロファイルで指定された対応する DNS サーバーに DNS 要求を動的にルーティングします。
systemd-resolved
サービスは、テクノロジープレビュー機能としてのみ提供されます。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされておらず、機能的に完全ではない可能性があるため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。テクノロジープレビュー機能では、最新の製品機能をいち早く提供します。これにより、お客様は開発段階で機能をテストし、フィードバックを提供できます。
テクノロジープレビュー機能のサポート範囲は、Red Hat カスタマーポータルの テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
サポートされるソリューションについては、Using dnsmasq in NetworkManager to send DNS requests for a specific domain to a selected DNS server を参照してください。
前提条件
- システムに NetworkManager の接続が複数設定されている。
DNS サーバーおよび検索ドメインは、特定のドメインを解決する NetworkManager 接続プロファイルで設定されます。
たとえば、VPN 接続で指定された DNS サーバーが
example.com
ドメインのクエリーを解決するようにするには、VPN 接続プロファイルに以下の設定が含まれている必要があります。-
example.com
を解決できる DNS サーバー -
ipv4.dns-search
およびipv6.dns-search
パラメーターでexample.com
に設定された検索ドメイン
-
手順
systemd-resolved
サービスを有効にして起動します。# systemctl --now enable systemd-resolved
/etc/NetworkManager/NetworkManager.conf
ファイルを編集し、[main]
セクションに以下のエントリーを設定します。dns=systemd-resolved
NetworkManager
サービスを再読み込みします。# systemctl reload NetworkManager
検証
systemd-resolved
が使用する DNS サーバーと、サービスが別の DNS サーバーを使用するドメインを表示します。# resolvectl ... Link 2 (enp1s0) Current Scopes: DNS Protocols: +DefaultRoute ... Current DNS Server: 192.0.2.1 DNS Servers: 192.0.2.1 Link 3 (tun0) Current Scopes: DNS Protocols: -DefaultRoute ... Current DNS Server: 198.51.100.7 DNS Servers: 198.51.100.7 203.0.113.19 DNS Domain: example.com
この出力では、
systemd-resolved
がexample.com
ドメインに異なる DNS サーバーを使用していることを確認します。tcpdump
パケットスニファを使用して、DNS 要求の正しいルートを確認します。tcpdump
パッケージをインストールします。# dnf install tcpdump
1 つのターミナルで
tcpdump
を起動し、すべてのインターフェイスで DNS トラフィックを取得します。# tcpdump -i any port 53
別のターミナルで、例外が存在するドメインと別のドメインのホスト名を解決します。次に例を示します。
# host -t A www.example.com # host -t A www.redhat.com
tcpdump
出力で、Red Hat Enterprise Linux がexample.com
ドメインの DNS クエリーのみを指定された DNS サーバーに、対応するインターフェイスを通じて送信していることを確認します。... 13:52:42.234533 tun0 Out IP server.43534 > 198.51.100.7.domain: 50121+ A? www.example.com. (33) ... 13:52:57.753235 enp1s0 Out IP server.40864 > 192.0.2.1.domain: 6906+ A? www.redhat.com. (33) ...
Red Hat Enterprise Linux は、
www.example.com
の DNS クエリーを198.51.100.7
の DNS サーバーに送信し、www.redhat.com
のクエリーを192.0.2.1
に送信します。
トラブルシューティング
/etc/resolv.conf
ファイルのnameserver
エントリーが127.0.0.53
を指していることを確認します。# cat /etc/resolv.conf nameserver 127.0.0.53
エントリーがない場合は、
/etc/NetworkManager/NetworkManager.conf
ファイルのdns
パラメーターを確認します。systemd-resolved
サービスがローカルの IP アドレス127.0.0.53
の53
ポートでリッスンしていることを確認します。# ss -tulpn | grep "127.0.0.53" udp UNCONN 0 0 127.0.0.53%lo:53 0.0.0.0:* users:(("systemd-resolve",pid=1050,fd=12)) tcp LISTEN 0 4096 127.0.0.53%lo:53 0.0.0.0:* users:(("systemd-resolve",pid=1050,fd=13))
サービスが
127.0.0.53:53
をリッスンしない場合は、systemd-resolved
サービスが実行されているかどうかを確認します。
第25章 デフォルトのゲートウェイ設定の管理
デフォルトゲートウェイは、他のルートがパケットの宛先と一致する場合にネットワークパケットを転送するルーターです。ローカルネットワークでは、通常、デフォルトゲートウェイは、インターネットの近くの 1 ホップのホストです。
25.1. nmcli
を使用して既存の接続にデフォルトゲートウェイを設定する
ほとんどの場合、管理者は接続を作成するときにデフォルトゲートウェイを設定します。ただし、nmcli
ユーティリティーを使用して、以前に作成した接続のデフォルトゲートウェイ設定を設定または更新することもできます。
前提条件
- デフォルトゲートウェイが設定されている接続で、静的 IP アドレスを少なくとも 1 つ設定している。
-
物理コンソールにログインしている場合は、十分な権限を有している。それ以外の場合は、
root
権限が必要になります。
手順
デフォルトゲートウェイの IP アドレスを設定します。
IPv4 デフォルトゲートウェイを設定するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify <connection_name> ipv4.gateway "<IPv4_gateway_address>"
IPv6 デフォルトゲートウェイを設定するには、次のように入力します。
# nmcli connection modify <connection_name> ipv6.gateway "<IPv6_gateway_address>"
ネットワーク接続を再起動して、変更を有効にします。
# nmcli connection up <connection_name>
警告このネットワーク接続を現在使用しているすべての接続が、再起動時に一時的に中断されます。
検証
ルートがアクティブであることを確認します。
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示するには、次のように入力します。
# ip -4 route default via 192.0.2.1 dev example proto static metric 100
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示するには、次のように入力します。
# ip -6 route default via 2001:db8:1::1 dev example proto static metric 100 pref medium
25.2. nmcli
インタラクティブモードを使用して既存の接続にデフォルトゲートウェイを設定する
ほとんどの場合、管理者は接続を作成するときにデフォルトゲートウェイを設定します。ただし、nmcli
ユーティリティーのインタラクティブモードを使用して、以前に作成した接続のデフォルトゲートウェイ設定を設定または更新することもできます。
前提条件
- デフォルトゲートウェイが設定されている接続で、静的 IP アドレスを少なくとも 1 つ設定している。
-
物理コンソールにログインしている場合は、十分な権限を有している。それ以外の場合は、
root
権限が必要になります。
手順
必要な接続に対して
nmcli
インタラクティブモードを開きます。# nmcli connection edit <connection_name>
デフォルトゲートウェイを設定します。
IPv4 デフォルトゲートウェイを設定するには、次のように入力します。
nmcli> set ipv4.gateway "<IPv4_gateway_address>"
IPv6 デフォルトゲートウェイを設定するには、次のように入力します。
nmcli> set ipv6.gateway "<IPv6_gateway_address>"
オプション: デフォルトゲートウェイが正しく設定されていることを確認します。
nmcli> print ... ipv4.gateway: <IPv4_gateway_address> ... ipv6.gateway: <IPv6_gateway_address> ...
設定を保存します。
nmcli> save persistent
ネットワーク接続を再起動して、変更を有効にします。
nmcli> activate <connection_name>
警告このネットワーク接続を現在使用しているすべての接続が、再起動時に一時的に中断されます。
nmcli
インタラクティブモードを終了します。nmcli> quit
検証
ルートがアクティブであることを確認します。
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示するには、次のように入力します。
# ip -4 route default via 192.0.2.1 dev example proto static metric 100
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示するには、次のように入力します。
# ip -6 route default via 2001:db8:1::1 dev example proto static metric 100 pref medium
25.3. nm-connection-editor を使用して既存の接続にデフォルトゲートウェイを設定する
ほとんどの場合、管理者は接続を作成するときにデフォルトゲートウェイを設定します。ただし、nm-connection-editor
アプリケーションを使用して、以前に作成した接続でデフォルトのゲートウェイを設定したり、更新したりすることもできます。
前提条件
- デフォルトゲートウェイが設定されている接続で、静的 IP アドレスを少なくとも 1 つ設定している。
手順
ターミナルを開き、
nm-connection-editor
と入力します。# nm-connection-editor
- 変更する接続を選択し、歯車のアイコンをクリックして、既存の接続を編集します。
IPv4 デフォルトゲートウェイを設定します。たとえば、その接続のデフォルトゲートウェイの IPv4 アドレスを
192.0.2.1
に設定します。-
IPv4 Settings
タブを開きます。 そのゲートウェイのアドレスが含まれる IP アドレスの範囲の隣の
gateway
フィールドにアドレスを入力します。
-
IPv6 デフォルトゲートウェイを設定します。たとえば、接続のデフォルトゲートウェイの IPv6 アドレスを
2001:db8:1::1
に設定するには、以下を行います。-
IPv6
タブを開きます。 そのゲートウェイのアドレスが含まれる IP アドレスの範囲の隣の
gateway
フィールドにアドレスを入力します。
-
- をクリックします。
- をクリックします。
ネットワーク接続を再起動して、変更を有効にします。たとえば、コマンドラインで
example
接続を再起動するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection up example
警告このネットワーク接続を現在使用しているすべての接続が、再起動時に一時的に中断されます。
検証
ルートがアクティブであることを確認します。
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示するには、次のコマンドを実行します。
# ip -4 route default via 192.0.2.1 dev example proto static metric 100
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示するには、次のコマンドを実行します。
# ip -6 route default via 2001:db8:1::1 dev example proto static metric 100 pref medium
25.4. control-center を使用して既存の接続にデフォルトゲートウェイを設定する
ほとんどの場合、管理者は接続を作成するときにデフォルトゲートウェイを設定します。ただし、control-center
アプリケーションを使用して、以前に作成した接続でデフォルトのゲートウェイを設定したり、更新したりできます。
前提条件
- デフォルトゲートウェイが設定されている接続で、静的 IP アドレスを少なくとも 1 つ設定している。
-
control-center
アプリケーションで、接続のネットワーク設定を開いている。
手順
IPv4 デフォルトゲートウェイを設定します。たとえば、その接続のデフォルトゲートウェイの IPv4 アドレスを
192.0.2.1
に設定します。-
IPv4
タブを開きます。 そのゲートウェイのアドレスが含まれる IP アドレスの範囲の隣の
gateway
フィールドにアドレスを入力します。
-
IPv6 デフォルトゲートウェイを設定します。たとえば、接続のデフォルトゲートウェイの IPv6 アドレスを
2001:db8:1::1
に設定するには、以下を行います。-
IPv6
タブを開きます。 そのゲートウェイのアドレスが含まれる IP アドレスの範囲の隣の
gateway
フィールドにアドレスを入力します。
-
- をクリックします。
Network
ウィンドウに戻り、接続のボタンを に切り替えてから に戻して、接続を無効にして再度有効にし、変更を適用します。警告このネットワーク接続を現在使用しているすべての接続が、再起動時に一時的に中断されます。
検証
ルートがアクティブであることを確認します。
IPv4 デフォルトゲートウェイを表示するには、次のコマンドを実行します。
$ ip -4 route default via 192.0.2.1 dev example proto static metric 100
IPv6 デフォルトゲートウェイを表示するには、次のコマンドを実行します。
$ ip -6 route default via 2001:db8:1::1 dev example proto static metric 100 pref medium
25.5. nmstatectl
を使用して既存の接続にデフォルトゲートウェイを設定する
ほとんどの場合、管理者は接続を作成するときにデフォルトゲートウェイを設定します。ただし、nmstatectl
ユーティリティーを使用して、以前に作成した接続のデフォルトゲートウェイ設定を設定または更新することもできます。
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、Nmstate API を介してデフォルトゲートウェイを設定します。Nmstate API は、設定を行った後、結果が設定ファイルと一致することを確認します。何らかの障害が発生した場合には、nmstatectl
は自動的に変更をロールバックし、システムが不正な状態のままにならないようにします。
前提条件
- デフォルトゲートウェイが設定されている接続で、静的 IP アドレスを少なくとも 1 つ設定している。
-
enp1s0
インターフェイスが設定され、デフォルトゲートウェイの IP アドレスがこのインターフェイスの IP 設定のサブネット内にある。 -
nmstate
パッケージがインストールされている。
手順
以下の内容を含む YAML ファイル (例:
~/set-default-gateway.yml
) を作成します。--- routes: config: - destination: 0.0.0.0/0 next-hop-address: 192.0.2.1 next-hop-interface: enp1s0
これらの設定では、
192.0.2.1
をデフォルトゲートウェイとして定義します。デフォルトゲートウェイはenp1s0
インターフェイス経由で到達可能です。設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/set-default-gateway.yml
関連情報
-
システム上の
nmstatectl(8)
man ページ -
/usr/share/doc/nmstate/examples/
directory
25.6. network
RHEL システムロールを使用して既存の接続にデフォルトゲートウェイを設定する
パケットの宛先に、直接接続されたネットワーク経由でも、ホストに設定されたルート経由でも到達できない場合、ホストはネットワークパケットをデフォルトゲートウェイに転送します。ホストのデフォルトゲートウェイを設定するには、デフォルトゲートウェイと同じネットワークに接続されているインターフェイスの NetworkManager 接続プロファイルで、そのゲートウェイを設定します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
ほとんどの場合、管理者は接続を作成するときにデフォルトゲートウェイを設定します。ただし、以前に作成した接続でデフォルトゲートウェイ設定を設定または更新することもできます。
network
RHEL システムロールを使用して、既存接続プロファイル内の特定の値だけを更新することはできません。このロールは、接続プロファイルが Playbook の設定と正確に一致するようにします。同じ名前の接続プロファイルがすでに存在する場合、このロールは Playbook の設定を適用し、プロファイル内の他のすべての設定をデフォルトにリセットします。値がリセットされないようにするには、変更しない設定も含め、ネットワーク接続プロファイルの設定全体を Playbook に常に指定してください。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Ethernet connection profile with static IP address settings ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: enp1s0 type: ethernet autoconnect: yes ip: address: - 198.51.100.20/24 - 2001:db8:1::1/64 gateway4: 198.51.100.254 gateway6: 2001:db8:1::fffe dns: - 198.51.100.200 - 2001:db8:1::ffbb dns_search: - example.com state: up
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
管理対象ノードの Ansible fact をクエリーし、アクティブなネットワーク設定を確認します。
# ansible managed-node-01.example.com -m ansible.builtin.setup ... "ansible_default_ipv4": { ... "gateway": "198.51.100.254", "interface": "enp1s0", ... }, "ansible_default_ipv6": { ... "gateway": "2001:db8:1::fffe", "interface": "enp1s0", ... } ...
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
25.7. NetworkManager が複数のデフォルトゲートウェイを管理する方法
フォールバック上の理由で特定の状況では、ホストに複数のデフォルトゲートウェイを設定します。ただし、非同期ルーティングの問題を回避するために、同じプロトコルの各デフォルトゲートウェイには別のメトリック値が必要です。RHEL は、最も低いメトリックセットを持つデフォルトゲートウェイへの接続のみを使用することに注意してください。
以下のコマンドを使用して、接続の IPv4 ゲートウェイと IPv6 ゲートウェイの両方にメトリックを設定できます。
# nmcli connection modify <connection_name> ipv4.route-metric <value> ipv6.route-metric <value>
ルーティングの問題を回避するために、複数の接続プロファイルで同じプロトコルに同じメトリック値を設定しないでください。
メトリック値なしでデフォルトのゲートウェイを設定すると、NetworkManager は、インターフェイスタイプに基づいてメトリック値を自動的に設定します。このため、NetworkManager は、アクティブな最初の接続に、このネットワークタイプのデフォルト値を割り当て、そのネットワークタイプがアクティベートされる順序で、同じタイプの他の接続にインクリメントした値を設定します。たとえば、デフォルトゲートウェイを持つ 2 つのイーサネット接続が存在する場合、NetworkManager は、ルートに 100
のメトリックを、最初にアクティブにしている接続のデフォルトゲートウェイに設定します。2 つ目の接続では、NetworkManager は 101
を設定します。
以下は、よく使用されるネットワークタイプと、そのデフォルトのメトリックの概要です。
connection.type | デフォルトのメトリック値 |
---|---|
VPN | 50 |
イーサネット | 100 |
MACsec | 125 |
InfiniBand | 150 |
bond= | 300 |
team= | 350 |
VLAN | 400 |
ブリッジ | 425 |
TUN | 450 |
Wi-Fi | 600 |
IP トンネル | 675 |
25.8. 特定のプロファイルでのデフォルトゲートウェイの指定を防ぐための NetworkManager の設定
NetworkManager が特定のプロファイルを使用してデフォルトゲートウェイを指定しないようにすることができます。デフォルトゲートウェイに接続されていない接続プロファイルには、以下の手順に従います。
前提条件
- デフォルトゲートウェイに接続されていない接続の NetworkManager 接続プロファイルが存在する。
手順
接続で動的 IP 設定を使用する場合は、NetworkManager が、IPv4 および IPv6 接続のデフォルトルートとして接続を使用しないように設定します。
# nmcli connection modify <connection_name> ipv4.never-default yes ipv6.never-default yes
ipv4.never-default
およびipv6.never-default
をyes
に設定すると、対応するプロトコルのデフォルトのゲートウェイ IP アドレスが、接続プロファイルから削除されることに注意してください。接続をアクティベートします。
# nmcli connection up <connection_name>
検証
-
ip -4 route
コマンドおよびip -6 route
コマンドを使用して、RHEL が、IPv4 プロトコルおよび IPv6 プロトコルのデフォルトルートにネットワークインターフェイスを使用しないことを確認します。
25.9. 複数のデフォルトゲートウェイによる予期しないルーティング動作の修正
ホストに複数のデフォルトゲートウェイが必要となる状況は、Multipath TCP を使用する場合など、ごく限られています。多くの場合、ルーティングの動作や非同期ルーティングの問題を回避するために、1 つのデフォルトゲートウェイのみを設定します。
異なるインターネットプロバイダーにトラフィックをルーティングするには、複数のデフォルトゲートウェイの代わりにポリシーベースのルーティングを使用します。
前提条件
- ホストは NetworkManager を使用してネットワーク接続を管理します。これはデフォルトです。
- ホストには複数のネットワークインターフェイスがある。
- ホストには複数のデフォルトゲートウェイが設定されている。
手順
ルーティングテーブルを表示します。
IPv4 の場合は、次のコマンドを実行します。
# ip -4 route default via 192.0.2.1 dev enp1s0 proto static metric 101 default via 198.51.100.1 dev enp7s0 proto static metric 102 ...
IPv6 の場合は、次のコマンドを実行します。
# ip -6 route default via 2001:db8:1::1 dev enp1s0 proto static metric 101 pref medium default via 2001:db8:2::1 dev enp7s0 proto static metric 102 pref medium ...
default
で開始するエントリーはデフォルトのルートを示します。dev
の横に表示されるこれらのエントリーのインターフェイス名を書き留めます。以下のコマンドを使用して、前の手順で特定したインターフェイスを使用する NetworkManager 接続を表示します。
# nmcli -f GENERAL.CONNECTION,IP4.GATEWAY,IP6.GATEWAY device show enp1s0 GENERAL.CONNECTION: Corporate-LAN IP4.GATEWAY: 192.0.2.1 IP6.GATEWAY: 2001:db8:1::1 # nmcli -f GENERAL.CONNECTION,IP4.GATEWAY,IP6.GATEWAY device show enp7s0 GENERAL.CONNECTION: Internet-Provider IP4.GATEWAY: 198.51.100.1 IP6.GATEWAY: 2001:db8:2::1
この例では、
Corporate-LAN
とInternet-Provider
という名前のプロファイルにはデフォルトのゲートウェイが設定されています。これは、ローカルネットワークでは、通常、インターネット 1 ホップ近いホストがデフォルトゲートウェイであるため、この手順の残りの部分では、Corporate-LAN
のデフォルトゲートウェイが正しくないことを想定するためです。NetworkManager が、IPv4 および IPv6 接続のデフォルトルートとして
Corporate-LAN
接続を使用しないように設定します。# nmcli connection modify Corporate-LAN ipv4.never-default yes ipv6.never-default yes
ipv4.never-default
およびipv6.never-default
をyes
に設定すると、対応するプロトコルのデフォルトのゲートウェイ IP アドレスが、接続プロファイルから削除されることに注意してください。Corporate-LAN
接続をアクティブにします。# nmcli connection up Corporate-LAN
検証
IPv4 および IPv6 ルーティングテーブルを表示し、プロトコルごとに 1 つのデフォルトゲートウェイのみが利用可能であることを確認します。
IPv4 の場合は、次のコマンドを実行します。
# ip -4 route default via 192.0.2.1 dev enp1s0 proto static metric 101 ...
IPv6 の場合は、次のコマンドを実行します。
# ip -6 route default via 2001:db8:1::1 dev enp1s0 proto static metric 101 pref medium ...
第26章 静的ルートの設定
ルーティングにより、相互に接続されたネットワーク間でトラフィックを送受信できるようになります。大規模な環境では、管理者は通常、ルーターが他のルーターについて動的に学習できるようにサービスを設定します。小規模な環境では、管理者は多くの場合、静的ルートを設定して、トラフィックが 1 つのネットワークから次のネットワークに確実に到達できるようにします。
次の条件がすべて当てはまる場合、複数のネットワーク間で機能する通信を実現するには、静的ルートが必要です。
- トラフィックは複数のネットワークを通過する必要があります。
- デフォルトゲートウェイを通過する排他的なトラフィックフローは十分ではありません。
静的ルートを必要とするネットワークの例 セクションで、静的ルートを設定しない場合のシナリオと、異なるネットワーク間でトラフィックがどのように流れるかについて説明します。
26.1. 静的ルートを必要とするネットワークの例
すべての IP ネットワークが 1 つのルーターを介して直接接続されているわけではないため、この例では静的ルートが必要です。スタティックルートがないと、一部のネットワークは相互に通信できません。さらに、一部のネットワークからのトラフィックは一方向にしか流れません。
この例のネットワークトポロジーは人為的なものであり、静的ルーティングの概念を説明するためにのみ使用されています。これは、実稼働環境で推奨されるトポロジーではありません。
この例のすべてのネットワーク間で通信を機能させるには、Raleigh (198.51.100.0/24
) への静的ルートを設定し、次のホップ Router 2 (203.0.113.10
) を設定します。ネクストホップの IP アドレスは、データセンターネットワークのルーター 2 のものです (203.0.113.0/24
)。
スタティックルートは次のように設定できます。
-
設定を簡素化するには、この静的ルートをルーター 1 だけに設定します。ただし、データセンター (
203.0.113.0/24
) からのホストがトラフィックを Raleigh (198.51.100.0/24
) に送信するため、常にルーター 1 を経由してルーター 2 に送信されるため、ルーター 1 のトラフィックが増加します。 -
より複雑な設定の場合、データセンター (
203.0.113.0/24
) 内のすべてのホストでこの静的ルートを設定します。このサブネット内のすべてのホストは、Raleigh (198.51.100.0/24
) に近いルーター 2 (203.0.113.10
) にトラフィックを直接送信します。
どのネットワーク間でトラフィックが流れるかどうかの詳細については、図の下の説明を参照してください。
必要な静的経路が設定されていないときに、通信がうまくいく場合とうまくいかない場合を以下に示します。
ベルリンネットワークのホスト (
192.0.2.0/24
):- 直接接続されているため、同じサブネット内の他のホストと通信できます。
-
Router 1 はベルリンネットワーク (
192.0.2.0/24
) 内にあり、インターネットにつながるデフォルトゲートウェイがあるため、インターネットと通信できます。 -
ルーター 1 はベルリン (
192.0.2.0/24
) とデータセンター (203.0.113.0/24
) ネットワークの両方にインターフェイスを持っているため、データセンターネットワーク (203.0.113.0/24
) と通信できます。 -
ローリーネットワーク (
198.51.100.0/24
) と通信できません。これは、ルーター 1 がこのネットワークにインターフェイスを持たないためです。したがって、Router 1 はトラフィックを独自のデフォルトゲートウェイ (インターネット) に送信します。
データセンターネットワーク内のホスト (
203.0.113.0/24
):- 直接接続されているため、同じサブネット内の他のホストと通信できます。
-
デフォルトゲートウェイがルーター 1 に設定されているため、インターネットと通信できます。ルーター 1 には、データセンター (
203.0.113.0/24
) とインターネットの両方のネットワークにインターフェイスがあります。 -
デフォルトゲートウェイがルーター 1 に設定されているため、ベルリンネットワーク (
192.0.2.0/24
) と通信でき、ルーター 1 にはデータセンター (203.0.113.0/24
) とベルリン (192.0.2.0/24
) の両方にインターフェイスがあります。) ネットワーク。 -
Raleigh ネットワーク (
198.51.100.0/24
) と通信できません。これは、データセンターネットワークがこのネットワークにインターフェイスを持たないためです。したがって、データセンター (203.0.113.0/24
) 内のホストは、トラフィックをデフォルトゲートウェイ (ルーター 1) に送信します。ルーター 1 も Raleigh ネットワーク (198.51.100.0/24
) にインターフェイスを持たないため、ルーター 1 はこのトラフィックを独自のデフォルトゲートウェイ (インターネット) に送信します。
Raleigh ネットワーク内のホスト (
198.51.100.0/24
):- 直接接続されているため、同じサブネット内の他のホストと通信できます。
-
インターネット上のホストと通信できません。デフォルトゲートウェイの設定により、ルーター 2 はトラフィックをルーター 1 に送信します。ルーター 1 の実際の動作は、リバースパスフィルター (
rp_filter
) システム制御 (sysctl
) の設定によって異なります。RHEL のデフォルトでは、Router 1 は送信トラフィックをインターネットにルーティングする代わりにドロップします。ただし、設定された動作に関係なく、スタティックルートがないと通信できません。 -
データセンターネットワーク (
203.0.113.0/24
) と通信できません。デフォルトゲートウェイの設定により、発信トラフィックはルーター 2 を経由して宛先に到達します。ただし、データセンターネットワーク (203.0.113.0/24
) 内のホストがデフォルトゲートウェイ (ルーター 1) に応答を送信するため、パケットへの応答は送信者に届きません。次に、Router 1 がトラフィックをインターネットに送信します。 -
ベルリンのネットワーク (
192.0.2.0/24
) と通信できません。デフォルトゲートウェイの設定により、ルーター 2 はトラフィックをルーター 1 に送信します。ルーター 1 の実際の動作は、rp_filter
sysctl
設定によって異なります。RHEL のデフォルトでは、Router 1 は発信トラフィックを Berlin ネットワーク (192.0.2.0/24
) に送信する代わりにドロップします。ただし、設定された動作に関係なく、スタティックルートがないと通信できません。
静的ルートの設定に加え、両方のルーターで IP 転送を有効にする必要があります。
関連情報
- Why cannot a server be pinged if net.ipv4.conf.all.rp_filter is set on the server?(Red Hat ナレッジベース)
- Enabling IP forwarding (Red Hat ナレッジベース)
26.2. nmcli
ユーティリティーを使用して静的ルートを設定する方法
静的ルートを設定するには、次の構文で nmcli
ユーティリティーを使用します。
$ nmcli connection modify connection_name ipv4.routes "ip[/prefix] [next_hop] [metric] [attribute=value] [attribute=value] ..."
このコマンドは、次のルート属性に対応します。
-
cwnd=n
: パケット数で定義された輻輳ウィンドウ (CWND) サイズを設定します。 -
lock-cwnd=true|false
: カーネルが CWND 値を更新できるかどうかを定義します。 -
lock-mtu=true|false
: カーネルが MTU をパス MTU ディスカバリーに更新できるかどうかを定義します。 -
lock-window=true|false
: カーネルが TCP パケットの最大ウィンドウサイズを更新できるかどうかを定義します。 -
mtu=<mtu_value>
: 宛先へのパスに沿って使用する最大転送単位 (MTU) を設定します。 -
onlink=true|false
: ネクストホップがどのインターフェイス接頭辞とも一致しない場合でも、このリンクに直接接続されるかどうかを定義します。 -
scope=<scope>
: IPv4 ルートの場合、この属性は、ルート接頭辞によってカバーされる宛先の範囲を設定します。値を整数 (0〜255) として設定します。 -
src=<source_address>
: ルート接頭辞の対象となる宛先にトラフィックを送信するときに優先する送信元アドレスを設定します。 -
table=<table_id>
: ルートを追加するテーブルの ID を設定します。このパラメーターを省略すると、NetworkManager はmain
テーブルを使用します。 -
tos=<type_of_service_key>
: Type of Service (TOS) キーを設定します。値を整数 (0〜255) として設定します。 -
type=<route_type>
: ルートタイプを設定します。NetworkManager は、unicast
、local
、blackhole
、unreachable
、prohibit
、およびthrow
ルートタイプをサポートします。デフォルトはunicast
です。 -
window=<window_size>
: これらの宛先にアドバタイズする TCP の最大ウィンドウサイズをバイト単位で設定します。
先頭に +
記号を付けずに ipv4.routes
オプションを使用すると、nmcli
はこのパラメーターの現在の設定をすべてオーバーライドします。
追加のルートを作成するには、次のように入力します。
$ nmcli connection modify connection_name +ipv4.routes "<route>"
特定のルートを削除するには、次のように入力します。
$ nmcli connection modify connection_name -ipv4.routes "<route>"
26.3. nmcli
を使用した静的ルートの設定
nmcli connection modify
コマンドを使用して、既存の NetworkManager 接続プロファイルに静的ルートを追加できます。
以下の手順では、次のルートを設定します。
-
リモート
198.51.100.0/24
ネットワークへの IPv4 ルート。IP アドレス192.0.2.10
を持つ対応するゲートウェイは、LAN
接続プロファイルを通じて到達可能です。 -
リモート
2001:db8:2::/64
ネットワークへの IPv6 ルート。IP アドレス2001:db8:1::10
を持つ対応するゲートウェイは、LAN
接続プロファイルを通じて到達可能です。
前提条件
-
LAN
接続プロファイルが存在し、このホストがゲートウェイと同じ IP サブネットに存在するように設定されている。
手順
LAN
接続プロファイルに静的 IPv4 ルートを追加します。# nmcli connection modify LAN +ipv4.routes "198.51.100.0/24 192.0.2.10"
一度に複数のルートを設定するには、個々のルートをコンマで区切ってコマンドに渡します。
# nmcli connection modify <connection_profile> +ipv4.routes "<remote_network_1>/<subnet_mask_1> <gateway_1>, <remote_network_n>/<subnet_mask_n> <gateway_n>, ..."
LAN
接続プロファイルに静的 IPv6 ルートを追加します。# nmcli connection modify LAN +ipv6.routes "2001:db8:2::/64 2001:db8:1::10"
接続を再度有効にします。
# nmcli connection up LAN
検証
IPv4 ルートを表示します。
# ip -4 route ... 198.51.100.0/24 via 192.0.2.10 dev enp1s0
IPv6 ルートを表示します。
# ip -6 route ... 2001:db8:2::/64 via 2001:db8:1::10 dev enp1s0 metric 1024 pref medium
26.4. nmtui
を使用した静的ルートの設定
nmtui
アプリケーションは、NetworkManager 用のテキストベースのユーザーインターフェイスを提供します。nmtui
を使用して、グラフィカルインターフェイスを使用せずにホスト上で静的ルートを設定できます。
たとえば、以下の手順では 198.51.100.1
で実行しているゲートウェイを使用する 192.0.2.0/24
ネットワークに経路を追加します。これは、既存の接続プロファイルから到達可能です。
nmtui
で以下を行います。
- カーソルキーを使用してナビゲートします。
- ボタンを選択して Enter を押します。
- Space を使用してチェックボックスをオンまたはオフにします。
前提条件
- ネットワークが設定されている。
- 静的ルートのゲートウェイが、インターフェイスで直接到達できる。
- 物理コンソールにログインしている場合は、十分な権限を有している。それ以外の場合は、コマンドに root 権限が必要になります。
手順
nmtui
を開始します。# nmtui
- Edit a connection 選択し、Enter を押します。
- 宛先ネットワークへのネクストホップに到達できる接続プロファイルを選択し、Enter を押します。
- IPv4 ルートまたは IPv6 ルートに応じて、プロトコルの設定エリアの横にある Show ボタンを押します。
Routing の横にある Edit ボタンを押します。これにより、静的ルートを設定する新しいウィンドウが開きます。
Add ボタンを押して、次のように入力します。
- Classless Inter-Domain Routing (CIDR) 形式の接頭辞を含む宛先ネットワーク
- ネクストホップの IP アドレス
- 同じネットワークに複数のルートを追加し、効率によってルートに優先順位を付けたい場合のメトリック値
- 追加するルートごとに前の手順を繰り返し、この接続プロファイルを介して到達できます。
OK ボタンを押して、接続設定のウィンドウに戻ります。
図26.1 メトリックのない静的ルートの例
-
OK ボタンを押して
nmtui
メインメニューに戻ります。 - Activate a connection を選択し、Enter を押します。
編集した接続プロファイルを選択し、Enter キーを 2 回押して非アクティブ化し、再度アクティブ化します。
重要再アクティブ化する接続プロファイルを使用する SSH などのリモート接続で
nmtui
を実行する場合は、この手順をスキップしてください。この場合は、nmtui
で非アクティブ化すると、接続が切断されるため、再度アクティブ化することはできません。この問題を回避するには、上記のシナリオでnmcli connection <connection_profile> up
コマンドを使用して接続を再アクティブ化します。- Back ボタンを押してメインメニューに戻ります。
-
Quit を選択し、Enter キーを押して
nmtui
アプリケーションを閉じます。
検証
ルートがアクティブであることを確認します。
$ ip route ... 192.0.2.0/24 via 198.51.100.1 dev example proto static metric 100
26.5. control-center を使用した静的ルートの設定
GNOME で control-center
を使用して、ネットワーク接続の設定に静的ルートを追加します。
以下の手順では、次のルートを設定します。
-
リモート
198.51.100.0/24
ネットワークへの IPv4 ルート。対応するゲートウェイの IP アドレスは192.0.2.10
です。 -
リモート
2001:db8:2::/64
ネットワークへの IPv6 ルート。対応するゲートウェイの IP アドレスは2001:db8:1::10
です。
前提条件
- ネットワークが設定されている。
- このホストは、ゲートウェイと同じ IP サブネットにあります。
-
control-center
アプリケーションで接続のネットワーク設定が開いている。nm-connection-editor を使用したイーサネット接続の設定 を参照してください。
手順
IPv4
タブで:-
オプション: 必要に応じて、
IPv4
タブのRoutes
セクションの ボタンをクリックして自動ルートを無効にし、静的ルートのみを使用します。自動ルートが有効になっている場合は、Red Hat Enterprise Linux が静的ルートと、DHCP サーバーから受け取ったルートを使用します。 IPv4 ルートのアドレス、ネットマスク、ゲートウェイ、およびオプションでメトリック値を入力します。
-
オプション: 必要に応じて、
IPv6
タブで:-
オプション:
IPv4
タブのRoutes
セクションの ボタンをクリックして自動ルートを無効にし、静的ルートのみを使用します。 IPv6 ルートのアドレス、ネットマスク、ゲートウェイ、およびオプションでメトリック値を入力します。
-
オプション:
- をクリックします。
Network
ウィンドウに戻り、接続のボタンを に切り替えてから に戻して、接続を無効にして再度有効にし、変更を適用します。警告接続を再起動すると、そのインターフェイスの接続が一時的に中断します。
検証
IPv4 ルートを表示します。
# ip -4 route ... 198.51.100.0/24 via 192.0.2.10 dev enp1s0
IPv6 ルートを表示します。
# ip -6 route ... 2001:db8:2::/64 via 2001:db8:1::10 dev enp1s0 metric 1024 pref medium
26.6. nm-connection-editor を使用した静的ルートの設定
nm-connection-editor
アプリケーションを使用して、ネットワーク接続の設定に静的ルートを追加できます。
以下の手順では、次のルートを設定します。
-
リモート
198.51.100.0/24
ネットワークへの IPv4 ルート。IP アドレス192.0.2.10
を持つ対応するゲートウェイは、example
の接続を介して到達可能です。 -
リモート
2001:db8:2::/64
ネットワークへの IPv6 ルート。IP アドレス2001:db8:1::10
を持つ対応するゲートウェイは、example
の接続を介して到達可能です。
前提条件
- ネットワークが設定されている。
- このホストは、ゲートウェイと同じ IP サブネットにあります。
手順
ターミナルを開き、
nm-connection-editor
と入力します。$ nm-connection-editor
-
example
接続プロファイルを選択し、歯車アイコンをクリックして、既存の接続を変更します。 IPv4 Settings
タブで、以下を行います。- ボタンをクリックします。
- をクリックします。
IPv6 Settings
タブで、以下を行います。- ボタンをクリックします。
- をクリックします。
- をクリックします。
ネットワーク接続を再起動して、変更を有効にします。たとえば、コマンドラインで
example
接続を再起動するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection up example
検証
IPv4 ルートを表示します。
# ip -4 route ... 198.51.100.0/24 via 192.0.2.10 dev enp1s0
IPv6 ルートを表示します。
# ip -6 route ... 2001:db8:2::/64 via 2001:db8:1::10 dev enp1s0 metric 1024 pref medium
26.7. nmcli
インタラクティブモードを使用した静的ルートの設定
nmcli
ユーティリティーのインタラクティブモードを使用して、ネットワーク接続の設定に静的ルートを追加できます。
以下の手順では、次のルートを設定します。
-
リモート
198.51.100.0/24
ネットワークへの IPv4 ルート。IP アドレス192.0.2.10
を持つ対応するゲートウェイは、example
の接続を介して到達可能です。 -
リモート
2001:db8:2::/64
ネットワークへの IPv6 ルート。IP アドレス2001:db8:1::10
を持つ対応するゲートウェイは、example
の接続を介して到達可能です。
前提条件
-
example
の接続プロファイルが存在し、このホストがゲートウェイと同じ IP サブネットになるように設定されています。
手順
example
接続のnmcli
インタラクティブモードを開きます。# nmcli connection edit example
静的 IPv4 ルートを追加します。
nmcli> set ipv4.routes 198.51.100.0/24 192.0.2.10
静的 IPv6 ルートを追加します。
nmcli> set ipv6.routes 2001:db8:2::/64 2001:db8:1::10
オプション: ルートが設定に正しく追加されたことを確認します。
nmcli> print ... ipv4.routes: { ip = 198.51.100.0/24, nh = 192.0.2.10 } ... ipv6.routes: { ip = 2001:db8:2::/64, nh = 2001:db8:1::10 } ...
ip
属性には、転送するネットワークと、ゲートウェイのnh
属性 (次のホップ) が表示されます。設定を保存します。
nmcli> save persistent
ネットワーク接続が再起動します。
nmcli> activate example
nmcli
インタラクティブモードを終了します。nmcli> quit
検証
IPv4 ルートを表示します。
# ip -4 route ... 198.51.100.0/24 via 192.0.2.10 dev enp1s0
IPv6 ルートを表示します。
# ip -6 route ... 2001:db8:2::/64 via 2001:db8:1::10 dev enp1s0 metric 1024 pref medium
関連情報
-
システム上の
nmcli(1)
およびnm-settings-nmcli(5)
man ページ
26.8. nmstatectl
を使用した静的ルートの設定
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、Nmstate API を介して静的ルートを設定します。Nmstate API は、設定を行った後、結果が設定ファイルと一致することを確認します。何らかの障害が発生した場合には、nmstatectl
は自動的に変更をロールバックし、システムが不正な状態のままにならないようにします。
前提条件
-
enp1s0
ネットワークインターフェイスが設定され、ゲートウェイと同じ IP サブネット内にあります。 -
nmstate
パッケージがインストールされている。
手順
以下の内容を含む YAML ファイルを作成します (例:
~/add-static-route-to-enp1s0.yml
)。--- routes: config: - destination: 198.51.100.0/24 next-hop-address: 192.0.2.10 next-hop-interface: enp1s0 - destination: 2001:db8:2::/64 next-hop-address: 2001:db8:1::10 next-hop-interface: enp1s0
これらの設定では、次の静的ルートを定義します。
-
リモート
198.51.100.0/24
ネットワークへの IPv4 ルート。IP アドレス192.0.2.10
の対応するゲートウェイは、enp1s0
インターフェイスを介して到達できます。 -
リモート
2001:db8:2::/64
ネットワークへの IPv6 ルート。IP アドレス2001:db8:1::10
の対応するゲートウェイは、enp1s0
インターフェイスを介して到達できます。
-
リモート
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/add-static-route-to-enp1s0.yml
検証
IPv4 ルートを表示します。
# ip -4 route ... 198.51.100.0/24 via 192.0.2.10 dev enp1s0
IPv6 ルートを表示します。
# ip -6 route ... 2001:db8:2::/64 via 2001:db8:1::10 dev enp1s0 metric 1024 pref medium
関連情報
-
システム上の
nmstatectl(8)
man ページ -
/usr/share/doc/nmstate/examples/
directory
26.9. network
RHEL システムロールを使用した静的ルートの設定
静的ルートを使用すると、デフォルトゲートウェイ経由では到達できない宛先にトラフィックを送信できるようになります。静的ルートは、ネクストホップと同じネットワークに接続されているインターフェイスの NetworkManager 接続プロファイルで設定します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用して、既存接続プロファイル内の特定の値だけを更新することはできません。このロールは、接続プロファイルが Playbook の設定と正確に一致するようにします。同じ名前の接続プロファイルがすでに存在する場合、このロールは Playbook の設定を適用し、プロファイル内の他のすべての設定をデフォルトにリセットします。値がリセットされないようにするには、変更しない設定も含め、ネットワーク接続プロファイルの設定全体を Playbook に常に指定してください。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Ethernet connection profile with static IP address settings ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: enp7s0 type: ethernet autoconnect: yes ip: address: - 192.0.2.1/24 - 2001:db8:1::1/64 gateway4: 192.0.2.254 gateway6: 2001:db8:1::fffe dns: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb dns_search: - example.com route: - network: 198.51.100.0 prefix: 24 gateway: 192.0.2.10 - network: 2001:db8:2:: prefix: 64 gateway: 2001:db8:1::10 state: up
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
IPv4 ルートを表示します。
# ansible managed-node-01.example.com -m command -a 'ip -4 route' managed-node-01.example.com | CHANGED | rc=0 >> ... 198.51.100.0/24 via 192.0.2.10 dev enp7s0
IPv6 ルートを表示します。
# ansible managed-node-01.example.com -m command -a 'ip -6 route' managed-node-01.example.com | CHANGED | rc=0 >> ... 2001:db8:2::/64 via 2001:db8:1::10 dev enp7s0 metric 1024 pref medium
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
第27章 代替ルートを定義するポリシーベースのルーティングの設定
デフォルトでは、RHEL のカーネルは、ルーティングテーブルを使用して宛先アドレスに基づいてネットワークパケットを転送する場所を決定します。ポリシーベースのルーティングにより、複雑なルーティングシナリオを設定できます。たとえば、送信元アドレス、パケットメタデータ、プロトコルなどのさまざまな基準に基づいてパケットをルーティングできます。
27.1. nmcli
を使用して、特定のサブネットから別のデフォルトゲートウェイにトラフィックをルーティングする
ポリシーベースのルーティングを使用して、特定のサブネットからのトラフィックに対して別のデフォルトゲートウェイを設定できます。たとえば、RHEL をルーターとして設定し、デフォルトルートを使用してすべてのトラフィックをインターネットプロバイダー A にデフォルトでルーティングできます。ただし、内部ワークステーションサブネットから受信したトラフィックはプロバイダー B にルーティングされます。
この手順では、次のネットワークトポロジーを想定しています。
前提条件
-
システムは、
NetworkManager
を使用して、ネットワークを設定します (これがデフォルトです)。 この手順で設定する RHEL ルーターには、4 つのネットワークインターフェイスがあります。
-
enp7s0
インターフェイスはプロバイダー A のネットワークに接続されます。プロバイダーのネットワークのゲートウェイ IP は198.51.100.2
で、ネットワークは/30
ネットワークマスクを使用します。 -
enp1s0
インターフェイスはプロバイダー B のネットワークに接続されます。プロバイダーのネットワークのゲートウェイ IP は192.0.2.2
で、ネットワークは/30
ネットワークマスクを使用します。 -
enp8s0
インターフェイスは、内部ワークステーションで10.0.0.0/24
サブネットに接続されています。 -
enp9s0
インターフェイスは、会社のサーバーで203.0.113.0/24
サブネットに接続されています。
-
-
内部ワークステーションのサブネット内のホストは、デフォルトゲートウェイとして
10.0.0.1
を使用します。この手順では、この IP アドレスをルーターのenp8s0
ネットワークインターフェイスに割り当てます。 -
サーバーサブネット内のホストは、デフォルトゲートウェイとして
203.0.113.1
を使用します。この手順では、この IP アドレスをルーターのenp9s0
ネットワークインターフェイスに割り当てます。 -
デフォルトでは、
firewalld
サービスは有効でアクティブになっています。
手順
プロバイダー A へのネットワークインターフェイスを設定します。
# nmcli connection add type ethernet con-name Provider-A ifname enp7s0 ipv4.method manual ipv4.addresses 198.51.100.1/30 ipv4.gateway 198.51.100.2 ipv4.dns 198.51.100.200 connection.zone external
nmcli connection add
コマンドでは、NetworkManager 接続プロファイルが作成されます。このコマンドでは次のオプションを使用します。-
type
ethernet
: 接続タイプがイーサネットであることを定義します。 -
con-name
<connection_name>
: プロファイルの名前を設定します。混乱を避けるために、わかりやすい名前を使用してください。 -
ifname
<network_device>
: ネットワークインターフェイスを設定します。 -
ipv4.method
manual
: 静的 IP アドレスを設定できるようにします。 -
ipv4.addresses
<IP_address>/<subnet_mask>
: IPv4 アドレスとサブネットマスクを設定します。 -
ipv4.gateway
<IP_address>
: デフォルトゲートウェイアドレスを設定します。 -
ipv4.dns
<IP_of_DNS_server>
: DNS サーバーの IPv4 アドレスを設定します。 -
connection.zone
<firewalld_zone>
: 定義されたfirewalld
ゾーンにネットワークインターフェイスを割り当てます。firewalld
は、外部
ゾーンに割り当てられたマスカレードインターフェイスを自動的に有効にすることに注意してください。
-
プロバイダー B へのネットワークインターフェイスを設定します。
# nmcli connection add type ethernet con-name Provider-B ifname enp1s0 ipv4.method manual ipv4.addresses 192.0.2.1/30 ipv4.routes "0.0.0.0/0 192.0.2.2 table=5000" connection.zone external
このコマンドは、デフォルトゲートウェイを設定する
ipv4.gateway
の代わりに、ipv4.routes
パラメーターを使用します。これは、この接続のデフォルトゲートウェイを、デフォルトのルーティングテーブル (5000
) に割り当てるために必要です。NetworkManager は、接続がアクティブになると、この新しいルーティングテーブルを自動的に作成します。内部ワークステーションサブネットへのネットワークインターフェイスを設定します。
# nmcli connection add type ethernet con-name Internal-Workstations ifname enp8s0 ipv4.method manual ipv4.addresses 10.0.0.1/24 ipv4.routes "10.0.0.0/24 table=5000" ipv4.routing-rules "priority 5 from 10.0.0.0/24 table 5000" connection.zone trusted
このコマンドは、
ipv4.routes
パラメーターを使用して、ID が5000
のルーティングテーブルに静的ルートを追加します。10.0.0.0/24
サブネットのこの静的ルートは、ローカルネットワークインターフェイスの IP を使用してプロバイダー B (192.0.2.1
) を次のホップとして使用します。また、このコマンドでは
ipv4.routing-rules
パラメーターを使用して、優先度5
のルーティングルールを追加します。このルーティングルールは、トラフィックを10.0.0.0/24
サブネットからテーブル5000
へルーティングします。値が小さいほど優先度が高くなります。ipv4.routing-rules
パラメーターの構文はip rule add
コマンドと同じですが、ipv4.routing-rules
は常に優先度を指定する必要があります。サーバーサブネットへのネットワークインターフェイスを設定します。
# nmcli connection add type ethernet con-name Servers ifname enp9s0 ipv4.method manual ipv4.addresses 203.0.113.1/24 connection.zone trusted
検証
内部ワークステーションサブネットの RHEL ホストで、以下を行います。
traceroute
パッケージをインストールします。# dnf install traceroute
traceroute
ユーティリティーを使用して、インターネット上のホストへのルートを表示します。# traceroute redhat.com traceroute to redhat.com (209.132.183.105), 30 hops max, 60 byte packets 1 10.0.0.1 (10.0.0.1) 0.337 ms 0.260 ms 0.223 ms 2 192.0.2.1 (192.0.2.1) 0.884 ms 1.066 ms 1.248 ms ...
コマンドの出力には、ルーターがプロバイダー B のネットワークである
192.0.2.1
経由でパケットを送信することが表示されます。
サーバーのサブネットの RHEL ホストで、以下を行います。
traceroute
パッケージをインストールします。# dnf install traceroute
traceroute
ユーティリティーを使用して、インターネット上のホストへのルートを表示します。# traceroute redhat.com traceroute to redhat.com (209.132.183.105), 30 hops max, 60 byte packets 1 203.0.113.1 (203.0.113.1) 2.179 ms 2.073 ms 1.944 ms 2 198.51.100.2 (198.51.100.2) 1.868 ms 1.798 ms 1.549 ms ...
コマンドの出力には、ルーターがプロバイダー A のネットワークである
198.51.100.2
経由でパケットを送信することが表示されます。
トラブルシューティングの手順
RHEL ルーターで以下を行います。
ルールのリストを表示します。
# ip rule list 0: from all lookup local 5: from 10.0.0.0/24 lookup 5000 32766: from all lookup main 32767: from all lookup default
デフォルトでは、RHEL には、
local
テーブル、main
テーブル、およびdefault
テーブルのルールが含まれます。テーブル
5000
のルートを表示します。# ip route list table 5000 0.0.0.0/0 via 192.0.2.2 dev enp1s0 proto static metric 100 10.0.0.0/24 dev enp8s0 proto static scope link src 192.0.2.1 metric 102
インターフェイスとファイアウォールゾーンを表示します。
# firewall-cmd --get-active-zones external interfaces: enp1s0 enp7s0 trusted interfaces: enp8s0 enp9s0
external
ゾーンでマスカレードが有効になっていることを確認します。# firewall-cmd --info-zone=external external (active) target: default icmp-block-inversion: no interfaces: enp1s0 enp7s0 sources: services: ssh ports: protocols: masquerade: yes ...
関連情報
-
システム上の
nmcli(1)
およびnm-settings(5)
man ページ
27.2. network
RHEL システムロールを使用して、特定のサブネットから別のデフォルトゲートウェイにトラフィックをルーティングする
ポリシーベースのルーティングを使用して、特定のサブネットからのトラフィックに対して別のデフォルトゲートウェイを設定できます。たとえば、RHEL をルーターとして設定し、デフォルトルートを使用してすべてのトラフィックをインターネットプロバイダー A にデフォルトでルーティングできます。一方、内部ワークステーションのサブネットから受信したトラフィックは、プロバイダー B にルーティングできます。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用して、ルーティングテーブルやルールを含む接続プロファイルを設定できます。
この手順では、次のネットワークトポロジーを想定しています。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 -
管理対象ノードは、
NetworkManager
およびfirewalld
サービスを使用します。 設定する管理対象ノードには、次の 4 つのネットワークインターフェイスがあります。
-
enp7s0
インターフェイスはプロバイダー A のネットワークに接続されます。プロバイダーのネットワークのゲートウェイ IP は198.51.100.2
で、ネットワークは/30
ネットワークマスクを使用します。 -
enp1s0
インターフェイスはプロバイダー B のネットワークに接続されます。プロバイダーのネットワークのゲートウェイ IP は192.0.2.2
で、ネットワークは/30
ネットワークマスクを使用します。 -
enp8s0
インターフェイスは、内部ワークステーションで10.0.0.0/24
サブネットに接続されています。 -
enp9s0
インターフェイスは、会社のサーバーで203.0.113.0/24
サブネットに接続されています。
-
-
内部ワークステーションのサブネット内のホストは、デフォルトゲートウェイとして
10.0.0.1
を使用します。この手順では、この IP アドレスをルーターのenp8s0
ネットワークインターフェイスに割り当てます。 -
サーバーサブネット内のホストは、デフォルトゲートウェイとして
203.0.113.1
を使用します。この手順では、この IP アドレスをルーターのenp9s0
ネットワークインターフェイスに割り当てます。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configuring policy-based routing hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Routing traffic from a specific subnet to a different default gateway ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: Provider-A interface_name: enp7s0 type: ethernet autoconnect: True ip: address: - 198.51.100.1/30 gateway4: 198.51.100.2 dns: - 198.51.100.200 state: up zone: external - name: Provider-B interface_name: enp1s0 type: ethernet autoconnect: True ip: address: - 192.0.2.1/30 route: - network: 0.0.0.0 prefix: 0 gateway: 192.0.2.2 table: 5000 state: up zone: external - name: Internal-Workstations interface_name: enp8s0 type: ethernet autoconnect: True ip: address: - 10.0.0.1/24 route: - network: 10.0.0.0 prefix: 24 table: 5000 routing_rule: - priority: 5 from: 10.0.0.0/24 table: 5000 state: up zone: trusted - name: Servers interface_name: enp9s0 type: ethernet autoconnect: True ip: address: - 203.0.113.1/24 state: up zone: trusted
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
table: <value>
-
table
変数と同じリストエントリーのルートを、指定のルーティングテーブルに割り当てます。 routing_rule: <list>
- 指定のルーティングルールの優先度と、接続プロファイルからルールの割り当て先のルーティングテーブルを定義します。
zone: <zone_name>
-
接続プロファイルから指定の
firewalld
ゾーンにネットワークインターフェイスを割り当てます。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
内部ワークステーションサブネットの RHEL ホストで、以下を行います。
traceroute
パッケージをインストールします。# dnf install traceroute
traceroute
ユーティリティーを使用して、インターネット上のホストへのルートを表示します。# traceroute redhat.com traceroute to redhat.com (209.132.183.105), 30 hops max, 60 byte packets 1 10.0.0.1 (10.0.0.1) 0.337 ms 0.260 ms 0.223 ms 2 192.0.2.1 (192.0.2.1) 0.884 ms 1.066 ms 1.248 ms ...
コマンドの出力には、ルーターがプロバイダー B のネットワークである
192.0.2.1
経由でパケットを送信することが表示されます。
サーバーのサブネットの RHEL ホストで、以下を行います。
traceroute
パッケージをインストールします。# dnf install traceroute
traceroute
ユーティリティーを使用して、インターネット上のホストへのルートを表示します。# traceroute redhat.com traceroute to redhat.com (209.132.183.105), 30 hops max, 60 byte packets 1 203.0.113.1 (203.0.113.1) 2.179 ms 2.073 ms 1.944 ms 2 198.51.100.2 (198.51.100.2) 1.868 ms 1.798 ms 1.549 ms ...
コマンドの出力には、ルーターがプロバイダー A のネットワークである
198.51.100.2
経由でパケットを送信することが表示されます。
RHEL システムロールを使用して設定した RHEL ルーターで、次の手順を実行します。
ルールのリストを表示します。
# ip rule list 0: from all lookup local 5: from 10.0.0.0/24 lookup 5000 32766: from all lookup main 32767: from all lookup default
デフォルトでは、RHEL には、
local
テーブル、main
テーブル、およびdefault
テーブルのルールが含まれます。テーブル
5000
のルートを表示します。# ip route list table 5000 0.0.0.0/0 via 192.0.2.2 dev enp1s0 proto static metric 100 10.0.0.0/24 dev enp8s0 proto static scope link src 192.0.2.1 metric 102
インターフェイスとファイアウォールゾーンを表示します。
# firewall-cmd --get-active-zones external interfaces: enp1s0 enp7s0 trusted interfaces: enp8s0 enp9s0
external
ゾーンでマスカレードが有効になっていることを確認します。# firewall-cmd --info-zone=external external (active) target: default icmp-block-inversion: no interfaces: enp1s0 enp7s0 sources: services: ssh ports: protocols: masquerade: yes ...
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
第28章 異なるインターフェイスでの同じ IP アドレスの再利用
VRF (Virtual Routing and Forwarding) を使用すると、管理者は、同じホストで複数のルーティングテーブルを同時に使用できます。このため、VRF はレイヤー 3 でネットワークをパーティションで区切ります。これにより、管理者は、VRF ドメインごとに個別の独立したルートテーブルを使用してトラフィックを分離できるようになります。この技術は、レイヤー 2 でネットワークのパーティションを作成する仮想 LAN (VLAN) に類似しており、ここではオペレーティングシステムが異なる VLAN タグを使用して、同じ物理メディアを共有するトラフィックを分離させます。
レイヤー 2 のパーティションにある VRF の利点は、関与するピアの数に対して、ルーティングが適切にスケーリングすることです。
Red Hat Enterprise Linux は、各 VRF ドメインに仮想 vrt
デバイスを使用し、既存のネットワークデバイスを VRF デバイスに追加して、VRF ドメインにルートを含めます。元のデバイスに接続していたアドレスとルートは、VRF ドメイン内に移動します。
各 VRF ドメインが互いに分離しているることに注意してください。
28.1. 別のインターフェイスで同じ IP アドレスを永続的に再利用する
VRF (Virtual Routing and Forwarding) 機能を使用して、1 台のサーバーの異なるインターフェイスで同じ IP アドレスを永続的に使用できます。
同じ IP アドレスを再利用しながら、リモートのピアが VRF インターフェイスの両方に接続するようにするには、ネットワークインターフェイスが異なるブロードキャストドメインに属する必要があります。ネットワークのブロードキャストドメインは、ノードのいずれかによって送信されたブロードキャストトラフィックを受信するノードセットです。ほとんどの設定では、同じスイッチに接続されているすべてのノードが、同じブロードキャストドメインに属するようになります。
前提条件
-
root
ユーザーとしてログインしている。 - ネットワークインターフェイスが設定されていない。
手順
最初の VRF デバイスを作成して設定します。
VRF デバイスの接続を作成し、ルーティングテーブルに割り当てます。たとえば、ルーティングテーブル
1001
に割り当てられたvrf0
という名前の VRF デバイスを作成するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection add type vrf ifname vrf0 con-name vrf0 table 1001 ipv4.method disabled ipv6.method disabled
vrf0
デバイスを有効にします。# nmcli connection up vrf0
上記で作成した VRF にネットワークデバイスを割り当てます。たとえば、イーサネットデバイス
enp1s0
をvrf0
VRF デバイスに追加し、IP アドレスとサブネットマスクをenp1s0
に割り当てるには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection add type ethernet con-name vrf.enp1s0 ifname enp1s0 controller vrf0 ipv4.method manual ipv4.address 192.0.2.1/24
vrf.enp1s0
接続をアクティベートします。# nmcli connection up vrf.enp1s0
次の VRF デバイスを作成して設定します。
VRF デバイスを作成し、ルーティングテーブルに割り当てます。たとえば、ルーティングテーブル
1002
に割り当てられたvrf1
という名前の VRF デバイスを作成するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection add type vrf ifname vrf1 con-name vrf1 table 1002 ipv4.method disabled ipv6.method disabled
vrf1
デバイスをアクティベートします。# nmcli connection up vrf1
上記で作成した VRF にネットワークデバイスを割り当てます。たとえば、イーサネットデバイス
enp7s0
をvrf1
VRF デバイスに追加し、IP アドレスとサブネットマスクをenp7s0
に割り当てるには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection add type ethernet con-name vrf.enp7s0 ifname enp7s0 controller vrf1 ipv4.method manual ipv4.address 192.0.2.1/24
vrf.enp7s0
デバイスをアクティベートします。# nmcli connection up vrf.enp7s0
28.2. 複数のインターフェイスで同じ IP アドレスを一時的に再利用
VRF (Virtual Routing and Forwarding) 機能を使用して、1 台のサーバーの異なるインターフェイスで同じ IP アドレスを一時的に使用できます。この手順は、システムの再起動後に設定が一時的で失われてしまうため、テスト目的にのみ使用します。
同じ IP アドレスを再利用しながら、リモートのピアが VRF インターフェイスの両方に接続するようにするには、ネットワークインターフェイスが異なるブロードキャストドメインに属する必要があります。ネットワークのブロードキャストドメインは、ノードのいずれかによって送信されたブロードキャストトラフィックを受信するノードセットです。ほとんどの設定では、同じスイッチに接続されているすべてのノードが、同じブロードキャストドメインに属するようになります。
前提条件
-
root
ユーザーとしてログインしている。 - ネットワークインターフェイスが設定されていない。
手順
最初の VRF デバイスを作成して設定します。
VRF デバイスを作成し、ルーティングテーブルに割り当てます。たとえば、
1001
ルーティングテーブルに割り当てられたblue
という名前の VRF デバイスを作成するには、次のコマンドを実行します。# ip link add dev blue type vrf table 1001
blue
デバイスを有効にします。# ip link set dev blue up
VRF デバイスにネットワークデバイスを割り当てます。たとえば、イーサネットデバイス
enp1s0
を、VRF デバイスblue
に追加するには、次のコマンドを実行します。# ip link set dev enp1s0 master blue
enp1s0
デバイスを有効にします。# ip link set dev enp1s0 up
IP アドレスとサブネットマスクを
enp1s0
デバイスに割り当てます。たとえば、192.0.2.1/24
に設定するには、以下を実行します。# ip addr add dev enp1s0 192.0.2.1/24
次の VRF デバイスを作成して設定します。
VRF デバイスを作成し、ルーティングテーブルに割り当てます。たとえば、ルーティングテーブル
1002
に割り当てられたred
という名前の VRF デバイスを作成するには、次のコマンドを実行します。# ip link add dev red type vrf table 1002
red
デバイスを有効にします。# ip link set dev red up
VRF デバイスにネットワークデバイスを割り当てます。たとえば、イーサネットデバイス
enp7s0
を、VRF デバイスred
に追加するには、次のコマンドを実行します。# ip link set dev enp7s0 master red
enp7s0
デバイスを有効にします。# ip link set dev enp7s0 up
VRF ドメイン
blue
のenp1s0
に使用したものと同じ IP アドレスとサブネットマスクをenp7s0
デバイスに割り当てます。# ip addr add dev enp7s0 192.0.2.1/24
- オプション: 上記のとおりに、VRF デバイスをさらに作成します。
28.3. 関連情報
-
kernel-doc
パッケージの/usr/share/doc/kernel-doc-<kernel_version>/Documentation/networking/vrf.txt
第29章 分離された VRF ネットワーク内でのサービスの開始
VRF (Virtual Routing and Forwarding) を使用すると、オペレーティングシステムのメインのルーティングテーブルとは異なるルーティングテーブルを使用して、分離したネットワークを作成できます。その後、サービスとアプリケーションを起動して、そのルーティングテーブルで定義されたネットワークにのみアクセスできるようにできます。
29.1. VRF デバイスの設定
VRF (Virtual Routing and Forwarding) を使用するには、VRF デバイスを作成し、物理ネットワークインターフェイスまたは仮想ネットワークインターフェイスを割り当て、そのデバイスにルーティング情報を提供します。
リモートでロックアウトを防ぐには、ローカルコンソール、または VRF デバイスに割り当てないネットワークインターフェイスを介してリモートでこの手順を実行します。
前提条件
- ローカルでログインしているか、VRF デバイスに割り当てるネットワークインターフェイスとは異なるネットワークインターフェイスを使用している。
手順
同じ名前の仮想デバイスで
vrf0
接続を作成し、これをルーティングテーブル1000
に割り当てます。# nmcli connection add type vrf ifname vrf0 con-name vrf0 table 1000 ipv4.method disabled ipv6.method disabled
enp1s0
デバイスーをvrf0
接続に追加し、IP 設定を設定します。# nmcli connection add type ethernet con-name enp1s0 ifname enp1s0 controller vrf0 ipv4.method manual ipv4.address 192.0.2.1/24 ipv4.gateway 192.0.2.254
このコマンドは、
enp1s0
接続を、vrf0
接続のポートとして作成します。この設定により、ルーティング情報は、vrf0
デバイスに関連付けられているルーティングテーブル1000
に自動的に割り当てられます。分離したネットワークで静的ルートが必要な場合は、以下のコマンドを実行します。
静的ルートを追加します。
# nmcli connection modify enp1s0 +ipv4.routes "198.51.100.0/24 192.0.2.2"
192.0.2.2
をルーターとして使用する198.51.100.0/24
ネットワークにルートを追加します。接続をアクティベートします。
# nmcli connection up enp1s0
検証
vrf0
に関連付けられている機器の IP 設定を表示します。# ip -br addr show vrf vrf0 enp1s0 UP 192.0.2.1/24
VRF デバイスと、その関連ルーティングテーブルを表示します。
# ip vrf show Name Table ----------------------- vrf0 1000
メインのルーティングテーブルを表示します。
# ip route show default via 203.0.113.0/24 dev enp7s0 proto static metric 100
メインルーティングテーブルには、
enp1s0
デバイスまたは192.0.2.1/24
サブネットに関連付けられたルートは記載されていません。ルーティングテーブルの
1000
を表示します。# ip route show table 1000 default via 192.0.2.254 dev enp1s0 proto static metric 101 broadcast 192.0.2.0 dev enp1s0 proto kernel scope link src 192.0.2.1 192.0.2.0/24 dev enp1s0 proto kernel scope link src 192.0.2.1 metric 101 local 192.0.2.1 dev enp1s0 proto kernel scope host src 192.0.2.1 broadcast 192.0.2.255 dev enp1s0 proto kernel scope link src 192.0.2.1 198.51.100.0/24 via 192.0.2.2 dev enp1s0 proto static metric 101
default
エントリーは、このルーティングテーブルを使用するサービスでは、192.0.2.254
をデフォルトゲートウェイとして使用し、メインルーティングテーブルのデフォルトゲートウェイは使用しないことを示しています。vrf0
に関連付けられたネットワークでtraceroute
ユーティリティーを実行し、ユーティリティーがテーブル1000
からのルートを使用することを確認します。# ip vrf exec vrf0 traceroute 203.0.113.1 traceroute to 203.0.113.1 (203.0.113.1), 30 hops max, 60 byte packets 1 192.0.2.254 (192.0.2.254) 0.516 ms 0.459 ms 0.430 ms ...
最初のホップは、ルーティングテーブル
1000
に割り当てられるデフォルトゲートウェイで、システムのメインルーティングテーブルのデフォルトゲートウェイではありません。
関連情報
-
システム上の
ip-vrf(8)
man ページ
29.2. 分離された VRF ネットワーク内でのサービスの開始
Apache HTTP Server などのサービスを、分離された仮想ルーティングおよび転送 (VRF) ネットワーク内で開始するように設定できます。
サービスは、同じ VRF ネットワーク内にあるローカル IP アドレスにのみバインドできます。
前提条件
-
vrf0
デバイスを設定している。 -
Apache HTTP Server が、
vrf0
デバイスに関連付けられたインターフェイスに割り当てられた IP アドレスのみをリッスンするように設定している。
手順
httpd
systemd サービスの内容を表示します。# systemctl cat httpd ... [Service] ExecStart=/usr/sbin/httpd $OPTIONS -DFOREGROUND ...
分離された VRF ネットワーク内で同じコマンドを実行するには、後続の手順で
ExecStart
パラメーターの内容を確認する必要があります。/etc/systemd/system/httpd.service.d/
ディレクトリーを作成します。# mkdir /etc/systemd/system/httpd.service.d/
以下の内容で
/etc/systemd/system/httpd.service.d/override.conf
ファイルを作成します。[Service] ExecStart= ExecStart=/usr/sbin/ip vrf exec vrf0 /usr/sbin/httpd $OPTIONS -DFOREGROUND
ExecStart
パラメーターを上書きするには、まず設定を解除してから、以下のように新しい値を設定する必要があります。systemd を再ロードします。
# systemctl daemon-reload
httpd
サービスを再起動します。# systemctl restart httpd
検証
httpd
プロセスのプロセス ID (PID) を表示します。# pidof -c httpd 1904 ...
PID の VRF アソシエーションを表示します。以下に例を示します。
# ip vrf identify 1904 vrf0
vrf0
デバイスに関連付けられているすべての PID を表示します。# ip vrf pids vrf0 1904 httpd ...
関連情報
-
システム上の
ip-vrf(8)
man ページ
第30章 NetworkManager 接続プロファイルでの ethtool 設定の実行
NetworkManager は、特定のネットワークドライバー設定とハードウェア設定を永続的に設定できます。ethtool
ユーティリティーを使用してこれらの設定を管理する場合と比較して、これには再起動後に設定が失われないという利点があります。
NetworkManager 接続プロファイルでは、次の ethtool
設定を行うことができます。
- オフロード機能
- ネットワークインターフェイスコントローラーは、TCP オフロードエンジン (TOE) を使用して、特定の操作の処理をネットワークコントローラーにオフロードできます。これにより、ネットワークのスループットが向上します。
- 割り込み結合設定
- 割り込み結合を使用すると、システムはネットワークパケットを収集し、複数のパケットに対して割り込みを 1 つ生成します。これにより、1 つのハードウェア割り込みでカーネルに送信されたデータ量が増大し、割り込み負荷が減り、スループットを最大化します。
- リングバッファー
- これらのバッファーは、送受信ネットワークパケットを保存します。高いパケットドロップ率を下げるためにリングバッファーを増やすことができます。
- チャネル設定
ネットワークインターフェイスは、ハードウェア設定およびネットワークドライバーとともに、関連付けられているチャネル数を管理します。ネットワークインターフェイスに関連付けられているデバイスは、すべての割り込み要求 (IRQ) を介して相互に通信します。各デバイスのキューが保留中の IRQ を保持し、チャネルと呼ばれるデータラインを介して相互に通信します。キューのタイプは、特定のチャネルタイプに関連付けられています。このチャネルタイプには次のものがあります。
-
rx
: 受信キュー用 -
tx
: 送信キュー用 -
other
: リンク割り込みまたは single-root input/output virtualization (SR-IOV) 調整用 -
combined
: ハードウェア容量ベースの多目的チャネル用
-
30.1. nmcli
を使用して ethtool オフロード機能を設定する
NetworkManager を使用して、接続プロファイルで ethtool
オフロード機能を有効または無効にすることができます。
手順
たとえば、RX オフロード機能を有効にし、
enp1s0
接続プロファイルで TX オフロードを無効にするには、次のコマンドを実行します。# nmcli con modify enp1s0 ethtool.feature-rx on ethtool.feature-tx off
このコマンドは、RX オフロードを明示的に有効にし、TX オフロードを無効にします。
以前に有効または無効にしたオフロード機能の設定を削除するには、機能のパラメーターを null 値に設定します。たとえば、TX オフロードの設定を削除するには、次のコマンドを実行します。
# nmcli con modify enp1s0 ethtool.feature-tx ""
ネットワークプロファイルを再度アクティブにします。
# nmcli connection up enp1s0
検証
ethtool -k
コマンドを使用して、ネットワークデバイスの現在のオフロード機能を表示します。# ethtool -k network_device
関連情報
-
システム上の
nm-settings-nmcli(5)
man ページ
30.2. network
RHEL システムロールを使用した ethtool
オフロード機能の設定
ネットワークインターフェイスコントローラーは、TCP オフロードエンジン (TOE) を使用して、特定の操作の処理をネットワークコントローラーにオフロードできます。これにより、ネットワークのスループットが向上します。オフロード機能は、ネットワークインターフェイスの接続プロファイルで設定します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用して、既存接続プロファイル内の特定の値だけを更新することはできません。このロールは、接続プロファイルが Playbook の設定と正確に一致するようにします。同じ名前の接続プロファイルがすでに存在する場合、このロールは Playbook の設定を適用し、プロファイル内の他のすべての設定をデフォルトにリセットします。値がリセットされないようにするには、変更しない設定も含め、ネットワーク接続プロファイルの設定全体を Playbook に常に指定してください。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Ethernet connection profile with dynamic IP address settings and offload features ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: enp1s0 type: ethernet autoconnect: yes ip: dhcp4: yes auto6: yes ethtool: features: gro: no gso: yes tx_sctp_segmentation: no state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
gro: no
- Generic Receive Offload (GRO) を無効にします。
gso: yes
- Generic Segmentation Offload (GSO) を有効にします。
tx_sctp_segmentation: no
- TX Stream Control Transmission Protocol (SCTP) セグメンテーションを無効にします。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
管理対象ノードの Ansible fact をクエリーし、オフロード設定を確認します。
# ansible managed-node-01.example.com -m ansible.builtin.setup ... "ansible_enp1s0": { "active": true, "device": "enp1s0", "features": { ... "rx_gro_hw": "off, ... "tx_gso_list": "on, ... "tx_sctp_segmentation": "off", ... } ...
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
30.3. nmcli
を使用した ethtool coalesce の設定
NetworkManager を使用して、接続プロファイルに ethtool
coalesce を設定できます。
手順
たとえば、
enp1s0
接続プロファイルで受信パケットの最大数を128
に設定するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection modify enp1s0 ethtool.coalesce-rx-frames 128
coalesce 設定を削除するには、null 値に設定します。たとえば、
ethtool.coalesce-rx-frames
設定を削除するには、次のコマンドを実行します。# nmcli connection modify enp1s0 ethtool.coalesce-rx-frames ""
ネットワークプロファイルを再度アクティブにするには、以下を実行します。
# nmcli connection up enp1s0
検証
ethtool -c
コマンドを使用して、ネットワークデバイスの現在のオフロード機能を表示します。# ethtool -c network_device
関連情報
-
システム上の
nm-settings-nmcli(5)
man ページ
30.4. network
RHEL システムロールを使用した ethtool
結合の設定
割り込み結合を使用すると、システムはネットワークパケットを収集し、複数のパケットに対して割り込みを 1 つ生成します。これにより、1 つのハードウェア割り込みでカーネルに送信されたデータ量が増大し、割り込み負荷が減り、スループットを最大化します。結合設定は、ネットワークインターフェイスの接続プロファイルで設定します。Ansible と network
RHEL ロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用して、既存接続プロファイル内の特定の値だけを更新することはできません。このロールは、接続プロファイルが Playbook の設定と正確に一致するようにします。同じ名前の接続プロファイルがすでに存在する場合、このロールは Playbook の設定を適用し、プロファイル内の他のすべての設定をデフォルトにリセットします。値がリセットされないようにするには、変更しない設定も含め、ネットワーク接続プロファイルの設定全体を Playbook に常に指定してください。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Ethernet connection profile with dynamic IP address settings and coalesce settings ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: enp1s0 type: ethernet autoconnect: yes ip: dhcp4: yes auto6: yes ethtool: coalesce: rx_frames: 128 tx_frames: 128 state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
rx_frames: <value>
- RX フレームの数を設定します。
gso: <value>
- TX フレームの数を設定します。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
ネットワークデバイスの現在のオフロード機能を表示します。
# ansible managed-node-01.example.com -m command -a 'ethtool -c enp1s0' managed-node-01.example.com | CHANGED | rc=0 >> ... rx-frames: 128 ... tx-frames: 128 ...
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
30.5. nmcli
を使用して、高いパケットドロップ率を減らすためにリングバッファーサイズを増やす
パケットドロップ率が原因でアプリケーションがデータの損失、タイムアウト、またはその他の問題を報告する場合は、イーサネットデバイスのリングバッファーのサイズを増やします。
受信リングバッファーは、デバイスドライバーとネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) の間で共有されます。カードは、送信 (TX) および受信 (RX) リングバッファーを割り当てます。名前が示すように、リングバッファーは循環バッファーであり、オーバーフローによって既存のデータが上書きされます。NIC からカーネルにデータを移動するには、ハードウェア割り込みと、SoftIRQ とも呼ばれるソフトウェア割り込みの 2 つの方法があります。
カーネルは RX リングバッファーを使用して、デバイスドライバーが着信パケットを処理できるようになるまで着信パケットを格納します。デバイスドライバーは、通常は SoftIRQ を使用して RX リングをドレインします。これにより、着信パケットは sk_buff
または skb
と呼ばれるカーネルデータ構造に配置され、カーネルを経由して関連するソケットを所有するアプリケーションまでの移動を開始します。
カーネルは TX リングバッファーを使用して、ネットワークに送信する必要がある発信パケットを保持します。これらのリングバッファーはスタックの一番下にあり、パケットドロップが発生する重要なポイントであり、ネットワークパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
手順
インターフェイスのパケットドロップ統計を表示します。
# ethtool -S enp1s0 ... rx_queue_0_drops: 97326 rx_queue_1_drops: 63783 ...
コマンドの出力は、ネットワークカードとドライバーに依存することに注意してください。
discard
またはdrop
カウンターの値が高い場合は、カーネルがパケットを処理できるよりも速く、使用可能なバッファーがいっぱいになることを示します。リングバッファーを増やすと、このような損失を回避できます。最大リングバッファーサイズを表示します。
# ethtool -g enp1s0 Ring parameters for enp1s0: Pre-set maximums: RX: 4096 RX Mini: 0 RX Jumbo: 16320 TX: 4096 Current hardware settings: RX: 255 RX Mini: 0 RX Jumbo: 0 TX: 255
Pre-set maximums
セクションの値がCurrent hardware settings
セクションよりも高い場合は、次の手順で設定を変更できます。このインターフェイスを使用する NetworkManager 接続プロファイルを特定します。
# nmcli connection show NAME UUID TYPE DEVICE Example-Connection a5eb6490-cc20-3668-81f8-0314a27f3f75 ethernet enp1s0
接続プロファイルを更新し、リングバッファーを増やします。
RX リングバッファーを増やすには、次のように入力します。
# nmcli connection modify Example-Connection ethtool.ring-rx 4096
TX リングバッファーを増やすには、次のように入力します。
# nmcli connection modify Example-Connection ethtool.ring-tx 4096
NetworkManager 接続をリロードします。
# nmcli connection up Example-Connection
重要NIC が使用するドライバーによっては、リングバッファーを変更すると、ネットワーク接続が短時間中断されることがあります。
関連情報
- ifconfig and ip commands report packet drops (Red Hat ナレッジベース)
- Should I be concerned about a 0.05% packet drop rate?(Red Hat ナレッジベース)
-
システム上の
ethtool(8)
man ページ
30.6. network
RHEL システムロールを使用して、高いパケットドロップ率を減らすためにリングバッファーサイズを増やす
パケットドロップ率が原因でアプリケーションがデータの損失、タイムアウト、またはその他の問題を報告する場合は、イーサネットデバイスのリングバッファーのサイズを増やします。
リングバッファーは循環バッファーであり、オーバーフローによって既存のデータが上書きされます。ネットワークカードは、送信 (TX) および受信 (RX) リングバッファーを割り当てます。受信リングバッファーは、デバイスドライバーとネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) の間で共有されます。データは、ハードウェア割り込みまたは SoftIRQ とも呼ばれるソフトウェア割り込みによって NIC からカーネルに移動できます。
カーネルは RX リングバッファーを使用して、デバイスドライバーが着信パケットを処理できるようになるまで着信パケットを格納します。デバイスドライバーは、通常は SoftIRQ を使用して RX リングをドレインします。これにより、着信パケットは sk_buff
または skb
と呼ばれるカーネルデータ構造に配置され、カーネルを経由して関連するソケットを所有するアプリケーションまでの移動を開始します。
カーネルは TX リングバッファーを使用して、ネットワークに送信する必要がある発信パケットを保持します。これらのリングバッファーはスタックの一番下にあり、パケットドロップが発生する重要なポイントであり、ネットワークパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
リングバッファー設定は、NetworkManager 接続プロファイルで設定します。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
network
RHEL システムロールを使用して、既存接続プロファイル内の特定の値だけを更新することはできません。このロールは、接続プロファイルが Playbook の設定と正確に一致するようにします。同じ名前の接続プロファイルがすでに存在する場合、このロールは Playbook の設定を適用し、プロファイル内の他のすべての設定をデフォルトにリセットします。値がリセットされないようにするには、変更しない設定も含め、ネットワーク接続プロファイルの設定全体を Playbook に常に指定してください。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - デバイスがサポートする最大リングバッファーサイズを把握している。
手順
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure the network hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Ethernet connection profile with dynamic IP address setting and increased ring buffer sizes ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: enp1s0 type: ethernet autoconnect: yes ip: dhcp4: yes auto6: yes ethtool: ring: rx: 4096 tx: 4096 state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
rx: <value>
- 受信するリングバッファーエントリーの最大数を設定します。
tx: <value>
- 送信するリングバッファーエントリーの最大数を設定します。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook ~/playbook.yml
検証
最大リングバッファーサイズを表示します。
# ansible managed-node-01.example.com -m command -a 'ethtool -g enp1s0' managed-node-01.example.com | CHANGED | rc=0 >> ... Current hardware settings: RX: 4096 RX Mini: 0 RX Jumbo: 0 TX: 4096
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
30.7. nmcli
を使用した ethtool チャネルの設定
NetworkManager を使用すると、ネットワークデバイスと接続を管理できます。ethtool
ユーティリティーは、ネットワークインターフェイスカードのリンク速度と関連設定を管理します。ethtool
は、関連デバイスとの IRQ ベースの通信を処理し、接続プロファイル内の関連チャネル設定を管理します。
手順
ネットワークデバイスに関連付けられているチャネルを表示します。
# ethtool --show-channels enp1s0 Channel parameters for enp1s0: Pre-set maximums: RX: 4 TX: 3 Other: 10 Combined: 63 Current hardware settings: RX: 1 TX: 1 Other: 1 Combined: 1
ネットワークインターフェイスのチャネル設定を更新します。
# nmcli connection modify enp1s0 ethtool.channels-rx 4 ethtool.channels-tx 3 ethtools.channels-other 9 ethtool.channels-combined 50
ネットワークプロファイルを再度アクティブにします。
# nmcli connection up enp1s0
検証
ネットワークデバイスに関連付けられている更新されたチャネル設定を確認します。
# ethtool --show-channels enp1s0 Channel parameters for enp1s0: Pre-set maximums: RX: 4 TX: 3 Other: 10 Combined: 63 Current hardware settings: RX: 4 TX: 3 Other: 9 Combined: 50
関連情報
-
システム上の
nmcli(5)
man ページ
第31章 NetworkManager のデバッグの概要
すべてのドメインまたは特定のドメインのログレベルを増やすと、NetworkManager が実行する操作の詳細をログに記録するのに役立ちます。この情報を使用して問題のトラブルシューティングを行うことができます。NetworkManager は、ロギング情報を生成するさまざまなレベルとドメインを提供します。/etc/NetworkManager/NetworkManager.conf
ファイルは、NetworkManager の主な設定ファイルです。ログはジャーナルに保存されます。
31.1. NetworkManager の reapply メソッドの概要
NetworkManager
サービスは、プロファイルを使用してデバイスの接続設定を管理します。Desktop Bus (D-Bus) API は、これらの接続設定を作成、変更、削除できます。プロファイルに変更があった場合、D-Bus API は既存の設定を変更された接続設定に複製します。複製はされるものの、変更された設定に変更は適用されません。これを反映するには、接続の既存の設定を再度アクティブにするか、reapply()
メソッドを使用します。
reapply()
メソッドには次の機能があります。
- ネットワークインターフェイスの非アクティブ化または再起動を行わずに、変更された接続設定を更新します。
-
変更された接続設定から保留中の変更を削除します。
NetworkManager
は、手動による変更を元に戻さないため、デバイスを再設定して外部パラメーターまたは手動パラメーターを元に戻すことができます。 - 既存の接続設定とは異なる、変更された接続設定を作成します。
また、reapply()
メソッドは次の属性をサポートします。
-
bridge.ageing-time
-
bridge.forward-delay
-
bridge.group-address
-
bridge.group-forward-mask
-
bridge.hello-time
-
bridge.max-age
-
bridge.multicast-hash-max
-
bridge.multicast-last-member-count
-
bridge.multicast-last-member-interval
-
bridge.multicast-membership-interval
-
bridge.multicast-querier
-
bridge.multicast-querier-interval
-
bridge.multicast-query-interval
-
bridge.multicast-query-response-interval
-
bridge.multicast-query-use-ifaddr
-
bridge.multicast-router
-
bridge.multicast-snooping
-
bridge.multicast-startup-query-count
-
bridge.multicast-startup-query-interval
-
bridge.priority
-
bridge.stp
-
bridge.VLAN-filtering
-
bridge.VLAN-protocol
-
bridge.VLANs
-
802-3-ethernet.accept-all-mac-addresses
-
802-3-ethernet.cloned-mac-address
-
IPv4.addresses
-
IPv4.dhcp-client-id
-
IPv4.dhcp-iaid
-
IPv4.dhcp-timeout
-
IPv4.DNS
-
IPv4.DNS-priority
-
IPv4.DNS-search
-
IPv4.gateway
-
IPv4.ignore-auto-DNS
-
IPv4.ignore-auto-routes
-
IPv4.may-fail
-
IPv4.method
-
IPv4.never-default
-
IPv4.route-table
-
IPv4.routes
-
IPv4.routing-rules
-
IPv6.addr-gen-mode
-
IPv6.addresses
-
IPv6.dhcp-duid
-
IPv6.dhcp-iaid
-
IPv6.dhcp-timeout
-
IPv6.DNS
-
IPv6.DNS-priority
-
IPv6.DNS-search
-
IPv6.gateway
-
IPv6.ignore-auto-DNS
-
IPv6.may-fail
-
IPv6.method
-
IPv6.never-default
-
IPv6.ra-timeout
-
IPv6.route-metric
-
IPv6.route-table
-
IPv6.routes
-
IPv6.routing-rules
関連情報
-
システム上の
nm-settings-nmcli(5)
man ページ
31.2. NetworkManager ログレベルの設定
デフォルトでは、すべてのログドメインは INFO
ログレベルを記録します。デバッグログを収集する前にレート制限を無効にします。帯域制限により、systemd-journald
は、短時間にメッセージが多すぎる場合にメッセージを破棄します。これは、ログレベルが TRACE
の場合に発生する可能性があります。
この手順では、レート制限を無効にし、すべての (ALL) ドメインのデバッグログの記録を有効にします。
手順
レート制限を無効にするには、
/etc/systemd/journald.conf
ファイルを編集し、[Journal]
セクションのRateLimitBurst
パラメーターのコメントを解除し、その値を0
に設定します。RateLimitBurst=0
systemd-journald
サービスを再起動します。# systemctl restart systemd-journald
以下の内容で
/etc/NetworkManager/conf.d/95-nm-debug.conf
ファイルを作成します。[logging] domains=ALL:TRACE
domains
パラメーターには、複数のコンマ区切りのdomain:level
ペアを含めることができます。NetworkManager サービスを再読み込みします。
# systemctl restart NetworkManager
検証
systemd
ジャーナルにクエリーを実行して、NetworkManager
ユニットのジャーナルエントリーを表示します。# journalctl -u NetworkManager ... Jun 30 15:24:32 server NetworkManager[164187]: <debug> [1656595472.4939] active-connection[0x5565143c80a0]: update activation type from assume to managed Jun 30 15:24:32 server NetworkManager[164187]: <trace> [1656595472.4939] device[55b33c3bdb72840c] (enp1s0): sys-iface-state: assume -> managed Jun 30 15:24:32 server NetworkManager[164187]: <trace> [1656595472.4939] l3cfg[4281fdf43e356454,ifindex=3]: commit type register (type "update", source "device", existing a369f23014b9ede3) -> a369f23014b9ede3 Jun 30 15:24:32 server NetworkManager[164187]: <info> [1656595472.4940] manager: NetworkManager state is now CONNECTED_SITE ...
31.3. nmcli
を使用してランタイム時にログレベルを一時的に設定する
nmcli
を使用すると、ランタイム時にログレベルを変更できます。
手順
必要に応じて、現在のログ設定を表示します。
# nmcli general logging LEVEL DOMAINS INFO PLATFORM,RFKILL,ETHER,WIFI,BT,MB,DHCP4,DHCP6,PPP,WIFI_SCAN,IP4,IP6,A UTOIP4,DNS,VPN,SHARING,SUPPLICANT,AGENTS,SETTINGS,SUSPEND,CORE,DEVICE,OLPC, WIMAX,INFINIBAND,FIREWALL,ADSL,BOND,VLAN,BRIDGE,DBUS_PROPS,TEAM,CONCHECK,DC B,DISPATCH
ログレベルおよびドメインを変更するには、以下のオプションを使用します。
すべてのドメインのログレベルを同じ
LEVEL
に設定するには、次のコマンドを実行します。# nmcli general logging level LEVEL domains ALL
特定のドメインのレベルを変更するには、以下を入力します。
# nmcli general logging level LEVEL domains DOMAINS
このコマンドを使用してログレベルを更新すると、他のすべてのドメインのログが無効になることに注意してください。
特定のドメインのレベルを変更し、他のすべてのドメインのレベルを保持するには、次のコマンドを実行します。
# nmcli general logging level KEEP domains DOMAIN:LEVEL,DOMAIN:LEVEL
31.4. NetworkManager ログの表示
トラブルシューティング用の NetworkManager ログを表示できます。
手順
ログを表示するには、以下を入力します。
# journalctl -u NetworkManager -b
関連情報
-
システム上の
NetworkManager.conf(5)
およびjournalctl(1)
man ページ
31.5. デバッグレベルおよびドメイン
levels
および domains
パラメーターを使用して、NetworkManager のデバッグを管理できます。レベルは詳細レベルを定義しますが、ドメインは特定の重大度 (level
) でログを記録するメッセージのカテゴリーを定義します。
ログレベル | 説明 |
---|---|
| NetworkManager に関するメッセージをログに記録しません。 |
| 重大なエラーのみのログ |
| 操作を反映できる警告をログに記録します。 |
| 状態および操作の追跡に役立つさまざまな情報メッセージをログに記録します。 |
| デバッグの目的で詳細なログを有効にします。 |
|
|
後続のレベルでは、以前のレベルのすべてのメッセージをログに記録することに注意してください。たとえば、ログレベルを INFO
に設定すると、ERR
および WARN
ログレベルに含まれるメッセージをログに記録します。
関連情報
-
システム上の
NetworkManager.conf(5)
man ページ
第32章 LLDP を使用したネットワーク設定の問題のデバッグ
Link Layer Discovery Protocol (LLDP) を使用して、トポロジー内のネットワーク設定の問題をデバッグできます。つまり、LLDP は、他のホストまたはルーターやスイッチとの設定の不整合を報告できます。
32.1. LLDP 情報を使用した誤った VLAN 設定のデバッグ
特定の VLAN を使用するようにスイッチポートを設定し、ホストがこれらの VLAN パケットを受信しない場合は、Link Layer Discovery Protocol (LLDP) を使用して問題をデバッグできます。パケットを受信しないホストでこの手順を実行します。
前提条件
-
nmstate
パッケージがインストールされている。 - スイッチは LLDP をサポートしています。
- LLDP は隣接デバイスで有効になっています。
手順
次のコンテンツで
~/enable-LLDP-enp1s0.yml
ファイルを作成します。interfaces: - name: enp1s0 type: ethernet lldp: enabled: true
~/enable-LLDP-enp1s0.yml
ファイルを使用して、インターフェイスenp1s0
で LLDP を有効にします。# nmstatectl apply ~/enable-LLDP-enp1s0.yml
LLDP 情報を表示します。
# nmstatectl show enp1s0 - name: enp1s0 type: ethernet state: up ipv4: enabled: false dhcp: false ipv6: enabled: false autoconf: false dhcp: false lldp: enabled: true neighbors: - - type: 5 system-name: Summit300-48 - type: 6 system-description: Summit300-48 - Version 7.4e.1 (Build 5) 05/27/05 04:53:11 - type: 7 system-capabilities: - MAC Bridge component - Router - type: 1 _description: MAC address chassis-id: 00:01:30:F9:AD:A0 chassis-id-type: 4 - type: 2 _description: Interface name port-id: 1/1 port-id-type: 5 - type: 127 ieee-802-1-vlans: - name: v2-0488-03-0505 vid: 488 oui: 00:80:c2 subtype: 3 - type: 127 ieee-802-3-mac-phy-conf: autoneg: true operational-mau-type: 16 pmd-autoneg-cap: 27648 oui: 00:12:0f subtype: 1 - type: 127 ieee-802-1-ppvids: - 0 oui: 00:80:c2 subtype: 2 - type: 8 management-addresses: - address: 00:01:30:F9:AD:A0 address-subtype: MAC interface-number: 1001 interface-number-subtype: 2 - type: 127 ieee-802-3-max-frame-size: 1522 oui: 00:12:0f subtype: 4 mac-address: 82:75:BE:6F:8C:7A mtu: 1500
出力を確認して、想定される設定と一致していることを確認します。たとえば、スイッチに接続されているインターフェイスの LLDP 情報は、このホストが接続されているスイッチポートが VLAN ID
448
を使用していることを示しています。- type: 127 ieee-802-1-vlans: - name: v2-0488-03-0505 vid: 488
enp1s0
インターフェイスのネットワーク設定で異なる VLAN ID を使用している場合は、それに応じて変更してください。
関連情報
第33章 Linux トラフィックの制御
Linux は、パケットの送信を管理および操作するためのツールを提供します。Linux Traffic Control (TC) サブシステムは、ネットワークトラフィックの規制、分類、成熟、およびスケジューリングに役立ちます。また、TC はフィルターとアクションを使用して分類中にパケットコンテンツをマスリングします。TC サブシステムは、TC アーキテクチャーの基本要素であるキューイング規則 (qdisc
) を使用してこれを実現します。
スケジューリングメカニズムは、異なるキューに入るか、終了する前にパケットを設定または再編成します。最も一般的なスケジューラーは First-In-First-Out (FIFO) スケジューラーです。qdiscs
操作は、tc
ユーティリティーを使用して一時的に、NetworkManager を使用して永続的に実行できます。
Red Hat Enterprise Linux では、デフォルトのキューの規則をさまざまな方法で設定して、ネットワークインターフェイスのトラフィックを管理できます。
33.1. キュー規則の概要
グルーピング規則 (qdiscs
) は、ネットワークインターフェイスによるトラフィックのスケジューリング、後でキューに役に立ちます。qdisc
には 2 つの操作があります。
- パケットを後送信用にキューに入れるできるようにするキュー要求。
- キューに置かれたパケットのいずれかを即時に送信できるように要求を解除します。
各 qdisc
には、ハンドル
と呼ばれる 16 ビットの 16 進数の識別番号があり、1:
や abcd:
などのコロンが付けられています。この番号は qdisc
メジャー番号と呼ばれます。qdisc
にクラスがある場合、識別子はマイナー番号 (<major>:<minor>
) の前にメジャー番号を持つ 2 つの数字のペア (abcd:1
) として形成されます。マイナー番号の番号設定スキームは、qdisc
タイプによって異なります。1 つ目のクラスには ID <major>:1
、2 つ目の <major>:2
などが含まれる場合があります。一部の qdiscs
では、クラスの作成時にクラスマイナー番号を任意に設定することができます。
- 分類的な
qdiscs
ネットワークインターフェイスへのパケット転送には、さまざまな
qdiscs
があり、そのタイプの qdiscs が存在します。root、親、または子クラスを使用してqdiscs
を設定できます。子を割り当て可能なポイントはクラスと呼ばれます。qdisc
のクラスは柔軟性があり、常に複数の子クラス、または 1 つの子qdisc
を含めることができます。これは、クラスフルなqdisc
自体を含むクラスに対して禁止がないため、複雑なトラフィック制御シナリオが容易になります。分類的な
qdiscs
はパケットを格納しません。代わりに、qdisc
固有の基準に従って、子のいずれかに対してキューをキューに入れ、デキューします。最終的にこの再帰パケットが渡される場所は、パケットが格納される場所 (またはデキューの場合はから取得) となります。- クラスレス
qdiscs
-
一部の
qdiscs
には子クラスがなく、クラスレスqdiscs
と呼ばれます。クラスレスqdiscs
は、クラスフルqdiscs
と比較してカスタマイズが少なくなります。通常、インターフェイスに割り当てるだけで十分です。
関連情報
-
システム上の
tc(8)
およびtc-actions(8)
man ページ
33.2. 接続追跡の概要
Netfilter
フレームワークは、ファイアウォールで外部ネットワークからのパケットをフィルタリングします。パケットが到着すると、Netfilter
は接続追跡エントリーを割り当てます。接続追跡は、接続を追跡し、それらの接続内のパケットフローを識別する、論理ネットワーク用の Linux カーネルネットワーキング機能です。この機能は、すべてのパケットをフィルタリングして分析し、接続ステータスを保存するために接続追跡テーブルをセットアップし、識別されたパケットに基づいて接続ステータスを更新します。たとえば、FTP 接続の場合、Netfilter
は、接続追跡エントリーを割り当てて、FTP 接続のすべてのパケットが同じように機能するようにします。接続追跡エントリーは、Netfilter
マークを格納し、新しいパケットタプルが既存のエントリーにマッピングするメモリーテーブル内の接続状態情報を追跡します。パケットタプルが既存のエントリーにマップされない場合、パケットは、同じ接続のパケットをグループ化する新しい接続追跡エントリーを追加します。
ネットワークインターフェイス上のトラフィックを制御および分析できます。tc
トラフィックコントローラーユーティリティーは、qdisc
規則を使用してネットワーク内のパケットスケジューラーを設定します。qdisc
カーネルで設定されたキューイング規則は、パケットをインターフェイスのキューに入れます。qdisc
を使用することにより、カーネルはネットワークインターフェイスがトラフィックを送信する前にすべてのトラフィックを取得します。また、同じ接続に属するパケットの帯域幅レートを制限するには、tc qdisc
コマンドを使用します。
接続追跡マークからさまざまなフィールドにデータを取り出すには、ctinfo
モジュールと connmark
機能を備えた tc
ユーティリティーを使用します。パケットマーク情報を格納するために、ctinfo
モジュールは、Netfilter
マークと接続状態情報をソケットバッファー (skb
) マークメタデータフィールドにコピーします。
物理メディア上でパケットを送信すると、パケットのすべてのメタデータが削除されます。パケットがメタデータを失う前に、ctinfo
モジュールは、Netfilter
マーク値をパケットの IP
フィールドにある Diffserv コードポイント (DSCP) の特定の値にマッピングしてコピーします。
関連情報
-
システム上の
tc(8)
およびtc-ctinfo(8)
man ページ
33.3. tc ユーティリティーを使用したネットワークインターフェイスの qdisc の検査
デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux システムは fq_codel
qdisc
を使用します。tc
ユーティリティーを使用して qdisc
カウンターを検査できます。
手順
オプション: 現在の
qdisc
を表示します。# tc qdisc show dev enp0s1
現在の
qdisc
カウンターを検査します。# tc -s qdisc show dev enp0s1 qdisc fq_codel 0: root refcnt 2 limit 10240p flows 1024 quantum 1514 target 5.0ms interval 100.0ms memory_limit 32Mb ecn Sent 1008193 bytes 5559 pkt (dropped 233, overlimits 55 requeues 77) backlog 0b 0p requeues 0
-
dropped
: すべてのキューが満杯であるため、パケットがドロップされる回数 -
overlimits
: 設定されたリンク容量が一杯になる回数 -
sent
: デキューの数
-
33.4. デフォルトの qdisc の更新
現在の qdisc
でネットワークパケットの損失を確認する場合は、ネットワーク要件に基づいて qdisc
を変更できます。
手順
現在のデフォルト
qdisc
を表示します。# sysctl -a | grep qdisc net.core.default_qdisc = fq_codel
現在のイーサネット接続の
qdisc
を表示します。# tc -s qdisc show dev enp0s1 qdisc fq_codel 0: root refcnt 2 limit 10240p flows 1024 quantum 1514 target 5.0ms interval 100.0ms memory_limit 32Mb ecn Sent 0 bytes 0 pkt (dropped 0, overlimits 0 requeues 0) backlog 0b 0p requeues 0 maxpacket 0 drop_overlimit 0 new_flow_count 0 ecn_mark 0 new_flows_len 0 old_flows_len 0
既存の
qdisc
を更新します。# sysctl -w net.core.default_qdisc=pfifo_fast
変更を適用するには、ネットワークドライバーを再読み込みします。
# modprobe -r NETWORKDRIVERNAME # modprobe NETWORKDRIVERNAME
ネットワークインターフェイスを起動します。
# ip link set enp0s1 up
検証
イーサネット接続の
qdisc
を表示します。# tc -s qdisc show dev enp0s1 qdisc pfifo_fast 0: root refcnt 2 bands 3 priomap 1 2 2 2 1 2 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 Sent 373186 bytes 5333 pkt (dropped 0, overlimits 0 requeues 0) backlog 0b 0p requeues 0 ....
関連情報
-
How to set
sysctl
variables on Red Hat Enterprise Linux (Red Hat ナレッジベース)
33.5. tc ユーティリティーを使用してネットワークインターフェイスの現在の qdisc を一時的に設定する手順
デフォルトの qdisc を変更せずに、現在の qdisc
を更新できます。
手順
オプション: 現在の
qdisc
を表示します。# tc -s qdisc show dev enp0s1
現在の
qdisc
を更新します。# tc qdisc replace dev enp0s1 root htb
検証
更新された現在の
qdisc
を表示します。# tc -s qdisc show dev enp0s1 qdisc htb 8001: root refcnt 2 r2q 10 default 0 direct_packets_stat 0 direct_qlen 1000 Sent 0 bytes 0 pkt (dropped 0, overlimits 0 requeues 0) backlog 0b 0p requeues 0
33.6. NetworkManager を使用してネットワークインターフェイスの現在の qdisc を永続的に設定する
NetworkManager 接続の現在の qdisc
値を更新できます。
手順
オプション: 現在の
qdisc
を表示します。# tc qdisc show dev enp0s1 qdisc fq_codel 0: root refcnt 2
現在の
qdisc
を更新します。# nmcli connection modify enp0s1 tc.qdiscs 'root pfifo_fast'
必要に応じて、既存の
qdisc
に別のqdisc
を追加するには、+tc.qdisc
オプションを使用します。# nmcli connection modify enp0s1 +tc.qdisc 'ingress handle ffff:'
変更を有効にします。
# nmcli connection up enp0s1
検証
ネットワークインターフェイスの現在の
qdisc
を表示します。# tc qdisc show dev enp0s1 qdisc pfifo_fast 8001: root refcnt 2 bands 3 priomap 1 2 2 2 1 2 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 qdisc ingress ffff: parent ffff:fff1 ----------------
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
33.7. tc-ctinfo ユーティリティーを使用したパケットのレート制限の設定
レート制限を使用すると、ネットワークトラフィックを制限し、ネットワーク内のリソースの枯渇を防ぐことができます。レート制限を使用すると、特定の時間枠内での反復的なパケット要求を制限することで、サーバーの負荷を軽減することもできます。さらに、tc-ctinfo
ユーティリティーを使用して、カーネルでトラフィック制御を設定することにより、帯域幅レートを管理できます。
接続追跡エントリーには、Netfilter
マークと接続情報が格納されます。ルーターがファイアウォールからパケットを転送するとき、ルーターはパケットから接続追跡エントリーを削除または変更します。接続追跡情報 (ctinfo
) モジュールは、接続追跡マークからさまざまなフィールドにデータを取り出します。このカーネルモジュールは、Netfilter
マークを、ソケットバッファー (skb
) マークメタデータフィールドにコピーすることで保存します。
前提条件
-
iperf3
ユーティリティーがサーバーとクライアントにインストールされている。
手順
サーバーで次の手順を実行します。
ネットワークインターフェイスに仮想リンクを追加します。
# ip link add name ifb4eth0 numtxqueues 48 numrxqueues 48 type ifb
このコマンドには次のパラメーターがあります。
name ifb4eth0
- 新しい仮想デバイスインターフェイスを設定します。
numtxqueues 48
- 送信キューの数を設定します。
numrxqueues 48
- 受信キューの数を設定します。
type ifb
- 新しいデバイスのタイプを設定します。
インターフェイスの状態を変更します。
# ip link set dev ifb4eth0 up
物理ネットワークインターフェイスに
qdisc
属性を追加し、それを受信トラフィックに適用します。# tc qdisc add dev enp1s0 handle ffff: ingress
handle ffff:
オプションでは、handle
パラメーターはデフォルト値としてメジャー番号ffff:
をenp1s0
物理ネットワークインターフェイス上のクラスフルqdisc
に割り当てます。ここで、qdisc
は、トラフィック制御を分析するためのキューイング規則パラメーターになります。IP
プロトコルの物理インターフェイスにフィルターを追加して、パケットを分類します。# tc filter add dev enp1s0 parent ffff: protocol ip u32 match u32 0 0 action ctinfo cpmark 100 action mirred egress redirect dev ifb4eth0
このコマンドには次の属性があります。
parent ffff:
-
親
qdisc
のメジャー番号ffff:
を設定します。 u32 match u32 0 0
-
パターン
u32
の IP ヘッダーと一致 (match
) するように、u32
フィルターを設定します。最初の0
は、IP ヘッダーの 2 番目のバイトを表し、もう 1 つの0
は、一致させるビットがどれであるかをフィルターに指示するマスク照合です。 action ctinfo
- 接続追跡マークからさまざまなフィールドにデータを取り出すアクションを設定します。
cpmark 100
-
接続追跡マーク (connmark)
100
をパケットの IP ヘッダーフィールドにコピーします。 action mirred egress redirect dev ifb4eth0
-
action
mirred
を設定して、受信パケットを宛先インターフェイスifb4eth0
にリダイレクトします。
クラスフル
qdisc
をインターフェイスに追加します。# tc qdisc add dev ifb4eth0 root handle 1: htb default 1000
このコマンドは、メジャー番号
1
を rootqdisc
に設定し、マイナー ID1000
のクラスフルqdisc
を持つhtb
階層トークンバケットを使用します。インターフェイス上のトラフィックを 1 Mbit/s に制限し、上限を 2 Mbit/s にします。
# tc class add dev ifb4eth0 parent 1:1 classid 1:100 htb ceil 2mbit rate 1mbit prio 100
このコマンドには次のパラメーターがあります。
parent 1:1
-
classid
を1
、root
を1
としてparent
を設定します。 classid 1:100
-
classid
を1:100
に設定します。ここで、1
は親qdisc
の数で、100
は親qdisc
のクラスの数です。 htb ceil 2mbit
-
htb
のクラスフルなqdisc
では、ceil
レート制限として2 Mbit/s
の上限帯域幅が許可されます。
クラスレス
qdisc
の Stochastic Fairness Queuing (sfq
) を、60
秒の時間間隔でインターフェイスに適用して、キューアルゴリズムの摂動を軽減します。# tc qdisc add dev ifb4eth0 parent 1:100 sfq perturb 60
ファイアウォールマーク (
fw
) フィルターをインターフェイスに追加します。# tc filter add dev ifb4eth0 parent 1:0 protocol ip prio 100 handle 100 fw classid 1:100
接続マーク (
CONNMARK
) からパケットのメタマークを復元します。# nft add rule ip mangle PREROUTING counter meta mark set ct mark
このコマンドでは、
nft
ユーティリティーにはチェーンルール仕様PREROUTING
を含むmangle
テーブルがあり、ルーティング前に受信パケットを変更してパケットマークをCONNMARK
に置き換えます。nft
テーブルとチェーンが存在しない場合は、以下のようにテーブルを作成してチェーンルールを追加します。# nft add table ip mangle # nft add chain ip mangle PREROUTING {type filter hook prerouting priority mangle \;}
指定された宛先アドレス
192.0.2.3
で受信したtcp
パケットにメタマークを設定します。# nft add rule ip mangle PREROUTING ip daddr 192.0.2.3 counter meta mark set 0x64
パケットマークを接続マークに保存します。
# nft add rule ip mangle PREROUTING counter ct mark set mark
-s
パラメーターを使用して、iperf3
ユーティリティーをシステム上のサーバーとして実行すると、サーバーはクライアント接続の応答を待ちます。# iperf3 -s
クライアント上で、
iperf3
をクライアントとして実行し、IP アドレス192.0.2.3
で定期的な HTTP 要求と応答のタイムスタンプをリッスンするサーバーに接続します。# iperf3 -c 192.0.2.3 -t TCP_STREAM | tee rate
192.0.2.3
はサーバーの IP アドレスで、192.0.2.4
はクライアントの IP アドレスです。Ctrl+C を押して、サーバー上の
iperf3
ユーティリティーを終了します。Accepted connection from 192.0.2.4, port 52128 [5] local 192.0.2.3 port 5201 connected to 192.0.2.4 port 52130 [ID] Interval Transfer Bitrate [5] 0.00-1.00 sec 119 KBytes 973 Kbits/sec [5] 1.00-2.00 sec 116 KBytes 950 Kbits/sec ... [ID] Interval Transfer Bitrate [5] 0.00-14.81 sec 1.51 MBytes 853 Kbits/sec receiver iperf3: interrupt - the server has terminated
Ctrl+C を押して、クライアント上の
iperf3
ユーティリティーを終了します。Connecting to host 192.0.2.3, port 5201 [5] local 192.0.2.4 port 52130 connected to 192.0.2.3 port 5201 [ID] Interval Transfer Bitrate Retr Cwnd [5] 0.00-1.00 sec 481 KBytes 3.94 Mbits/sec 0 76.4 KBytes [5] 1.00-2.00 sec 223 KBytes 1.83 Mbits/sec 0 82.0 KBytes ... [ID] Interval Transfer Bitrate Retr [5] 0.00-14.00 sec 3.92 MBytes 2.35 Mbits/sec 32 sender [5] 0.00-14.00 sec 0.00 Bytes 0.00 bits/sec receiver iperf3: error - the server has terminated
検証
インターフェイス上の
htb
クラスとsfq
クラスのパケット数に関する統計情報を表示します。# tc -s qdisc show dev ifb4eth0 qdisc htb 1: root ... Sent 26611455 bytes 3054 pkt (dropped 76, overlimits 4887 requeues 0) ... qdisc sfq 8001: parent ... Sent 26535030 bytes 2296 pkt (dropped 76, overlimits 0 requeues 0) ...
mirred
アクションとctinfo
アクションのパケット数の統計情報を表示します。# tc -s filter show dev enp1s0 ingress filter parent ffff: protocol ip pref 49152 u32 chain 0 filter parent ffff: protocol ip pref 49152 u32 chain 0 fh 800: ht divisor 1 filter parent ffff: protocol ip pref 49152 u32 chain 0 fh 800::800 order 2048 key ht 800 bkt 0 terminal flowid not_in_hw (rule hit 8075 success 8075) match 00000000/00000000 at 0 (success 8075 ) action order 1: ctinfo zone 0 pipe index 1 ref 1 bind 1 cpmark 0x00000064 installed 3105 sec firstused 3105 sec DSCP set 0 error 0 CPMARK set 7712 Action statistics: Sent 25891504 bytes 3137 pkt (dropped 0, overlimits 0 requeues 0) backlog 0b 0p requeues 0 action order 2: mirred (Egress Redirect to device ifb4eth0) stolen index 1 ref 1 bind 1 installed 3105 sec firstused 3105 sec Action statistics: Sent 25891504 bytes 3137 pkt (dropped 0, overlimits 61 requeues 0) backlog 0b 0p requeues 0
htb
レートリミッターとその設定の統計情報を表示します。# tc -s class show dev ifb4eth0 class htb 1:100 root leaf 8001: prio 7 rate 1Mbit ceil 2Mbit burst 1600b cburst 1600b Sent 26541716 bytes 2373 pkt (dropped 61, overlimits 4887 requeues 0) backlog 0b 0p requeues 0 lended: 7248 borrowed: 0 giants: 0 tokens: 187250 ctokens: 93625
関連情報
-
システム上の
tc(8)
およびtc-ctinfo(8)
man ページ -
システム上の
nft(8)
man ページ
33.8. RHEL で利用できる qdiscs
各 qdisc
は、ネットワーク関連の固有の問題に対応します。以下は、RHEL で利用可能な qdiscs
のリストです。以下の qdisc
を使用して、ネットワーク要件に基づいてネットワークトラフィックを形成できます。
qdisc 名 | 以下に含まれる | オフロードサポート |
---|---|---|
非同期転送モード (ATM) |
| |
クラスベースのキューイング |
| |
クレジットカードベースのシェーパー |
| はい |
応答フローを選択するおよび Keep、応答しないフロー (CHOKE) の場合は CHOose および Kill |
| |
Controlled Delay (CoDel) |
| |
不足ラウンドロビン (DRR) |
| |
Differentiated Services marker (DSMARK) |
| |
Enhanced Transmission Selection (ETS) |
| はい |
Fair Queue (FQ) |
| |
FQ_CODel (Fair Queuing Controlled Delay) |
| |
GRED (Generalized Random Early Detection) |
| |
階層化されたサービス曲線 (HSFC) |
| |
負荷の高い永続フィルター (HHF) |
| |
階層型トークンバケット (HTB) |
| |
INGRESS |
| はい |
MQPRIO (Multi Queue Priority) |
| はい |
マルチキュー (MULTIQ) |
| はい |
ネットワークエミュレーター (NETEM) |
| |
Proportional Integral-controller Enhanced (PIE) |
| |
PLUG |
| |
Quick Fair Queueing (QFQ) |
| |
ランダム初期値検出 (RED) |
| はい |
SFB (Stochastic Fair Blue) |
| |
SFQ (Stochastic Fairness Queueing) |
| |
トークンバケットフィルター (TBF) |
| はい |
TEQL (Trivial Link Equalizer) |
|
qdisc
オフロードには、NIC でハードウェアとドライバーのサポートが必要です。
関連情報
-
システム上の
tc(8)
man ページ
第34章 ファイルシステムに保存されている証明書で 802.1X 標準を使用したネットワークへの RHEL クライアントの認証
管理者は、IEEE 802.1X 標準に基づいてポートベースのネットワークアクセス制御 (NAC) を使用して、承認されていない LAN および Wi-Fi クライアントからネットワークを保護します。クライアントがそのようなネットワークに接続できるようにするには、このクライアントで 802.1X 認証を設定する必要があります。
34.1. nmcli
を使用した既存のイーサネット接続での 802.1X ネットワーク認証の設定
nmcli
ユーティリティーを使用して、コマンドラインで 802.1X ネットワーク認証によるイーサネット接続を設定できます。
前提条件
- ネットワークは 802.1X ネットワーク認証をサポートしている。
- イーサネット接続プロファイルが NetworkManager に存在し、有効な IP 設定があります。
TLS 認証に必要な以下のファイルがクライアントにある。
-
クライアント鍵が保存されているのは
/etc/pki/tls/private/client.key
ファイルで、そのファイルは所有されており、root
ユーザーのみが読み取り可能です。 -
クライアント証明書は
/etc/pki/tls/certs/client.crt
に保存されます。 -
認証局 (CA) 証明書は、
/etc/pki/tls/certs/ca.crt
ファイルに保存されています。
-
クライアント鍵が保存されているのは
-
wpa_supplicant
パッケージがインストールされている。
手順
EAP (Extensible Authentication Protocol) を
tls
に設定し、クライアント証明書およびキーファイルへのパスを設定します。# nmcli connection modify enp1s0 802-1x.eap tls 802-1x.client-cert /etc/pki/tls/certs/client.crt 802-1x.private-key /etc/pki/tls/certs/certs/client.key
1 つのコマンドで、
802-1x.eap
パラメーター、802-1x.client-cert
パラメーター、および802-1x.private-key
パラメーターを設定する必要があります。CA 証明書のパスを設定します。
# nmcli connection modify enp1s0 802-1x.ca-cert /etc/pki/tls/certs/ca.crt
証明書で使用するユーザーの ID を設定します。
# nmcli connection modify enp1s0 802-1x.identity user@example.com
オプション: 設定にパスワードを保存します。
# nmcli connection modify enp1s0 802-1x.private-key-password password
重要デフォルトでは、NetworkManager はディスク上の接続プロファイルにパスワードをクリアテキストで保存します。このファイルを読み取ることができるのは
root
ユーザーだけです。ただし、設定ファイルのクリアテキストパスワードはセキュリティーリスクとなる可能性があります。セキュリティーを強化するには、
802-1x.password-flags
パラメーターを0x1
に設定します。この設定では、GNOME デスクトップ環境またはnm-applet
が実行中のサーバーで、NetworkManager がこれらのサービスからパスワードを取得します。その他の場合は、NetworkManager によりパスワードの入力が求められます。接続プロファイルをアクティベートします。
# nmcli connection up enp1s0
検証
- ネットワーク認証が必要なネットワーク上のリソースにアクセスします。
関連情報
34.2. nmstatectl
を使用した 802.1X ネットワーク認証による静的イーサネット接続の設定
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、Nmstate API を介して、802.1X ネットワーク認証によるイーサネット接続を設定します。Nmstate API は、設定を行った後、結果が設定ファイルと一致することを確認します。何らかの障害が発生した場合には、nmstatectl
は自動的に変更をロールバックし、システムが不正な状態のままにならないようにします。
nmstate
ライブラリーは、TLS
Extensible Authentication Protocol (EAP) 方式のみをサポートします。
前提条件
- ネットワークは 802.1X ネットワーク認証をサポートしている。
- 管理ノードは NetworkManager を使用している。
TLS 認証に必要な以下のファイルがクライアントにある。
-
クライアント鍵が保存されているのは
/etc/pki/tls/private/client.key
ファイルで、そのファイルは所有されており、root
ユーザーのみが読み取り可能です。 -
クライアント証明書は
/etc/pki/tls/certs/client.crt
に保存されます。 -
認証局 (CA) 証明書は、
/etc/pki/tls/certs/ca.crt
ファイルに保存されています。
-
クライアント鍵が保存されているのは
手順
以下の内容を含む YAML ファイル (例:
~/create-ethernet-profile.yml
) を作成します。--- interfaces: - name: enp1s0 type: ethernet state: up ipv4: enabled: true address: - ip: 192.0.2.1 prefix-length: 24 dhcp: false ipv6: enabled: true address: - ip: 2001:db8:1::1 prefix-length: 64 autoconf: false dhcp: false 802.1x: ca-cert: /etc/pki/tls/certs/ca.crt client-cert: /etc/pki/tls/certs/client.crt eap-methods: - tls identity: client.example.org private-key: /etc/pki/tls/private/client.key private-key-password: password routes: config: - destination: 0.0.0.0/0 next-hop-address: 192.0.2.254 next-hop-interface: enp1s0 - destination: ::/0 next-hop-address: 2001:db8:1::fffe next-hop-interface: enp1s0 dns-resolver: config: search: - example.com server: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb
これらの設定では、次の設定を使用して
enp1s0
デバイスのイーサネット接続プロファイルを定義します。-
静的 IPv4 アドレス: サブネットマスクが
/24
の192.0.2.1
-
静的 IPv6 アドレス -
2001:db8:1::1
(/64
サブネットマスクあり) -
IPv4 デフォルトゲートウェイ -
192.0.2.254
-
IPv6 デフォルトゲートウェイ -
2001:db8:1::fffe
-
IPv4 DNS サーバー -
192.0.2.200
-
IPv6 DNS サーバー -
2001:db8:1::ffbb
-
DNS 検索ドメイン -
example.com
-
TLS
EAP プロトコルを使用した 802.1X ネットワーク認証
-
静的 IPv4 アドレス: サブネットマスクが
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/create-ethernet-profile.yml
検証
- ネットワーク認証が必要なネットワーク上のリソースにアクセスします。
34.3. network
RHEL システムロールを使用した 802.1X ネットワーク認証による静的イーサネット接続の設定
ネットワークアクセス制御 (NAC) は、不正なクライアントからネットワークを保護します。クライアントがネットワークにアクセスできるようにするために、認証に必要な詳細を NetworkManager 接続プロファイルで指定できます。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
Ansible Playbook を使用して秘密鍵、証明書、および CA 証明書をクライアントにコピーしてから、network
RHEL システムロールを使用して 802.1X ネットワーク認証による接続プロファイルを設定できます。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - ネットワークは 802.1X ネットワーク認証をサポートしている。
- 管理対象ノードが NetworkManager を使用している。
TLS 認証に必要な次のファイルがコントロールノードに存在する。
-
クライアントキーが
/srv/data/client.key
ファイルに保存されている。 -
クライアント証明書が
/srv/data/client.crt
ファイルに保存されている。 -
認証局 (CA) 証明書が
/srv/data/ca.crt
ファイルに保存されている。
-
クライアントキーが
手順
機密性の高い変数を暗号化されたファイルに保存します。
vault を作成します。
$ ansible-vault create vault.yml New Vault password: <vault_password> Confirm New Vault password: <vault_password>
ansible-vault create
コマンドでエディターが開いたら、機密データを<key>: <value>
形式で入力します。pwd: <password>
- 変更を保存して、エディターを閉じます。Ansible は vault 内のデータを暗号化します。
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure an Ethernet connection with 802.1X authentication hosts: managed-node-01.example.com vars_files: - vault.yml tasks: - name: Copy client key for 802.1X authentication ansible.builtin.copy: src: "/srv/data/client.key" dest: "/etc/pki/tls/private/client.key" mode: 0600 - name: Copy client certificate for 802.1X authentication ansible.builtin.copy: src: "/srv/data/client.crt" dest: "/etc/pki/tls/certs/client.crt" - name: Copy CA certificate for 802.1X authentication ansible.builtin.copy: src: "/srv/data/ca.crt" dest: "/etc/pki/ca-trust/source/anchors/ca.crt" - name: Ethernet connection profile with static IP address settings and 802.1X ansible.builtin.include_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: enp1s0 type: ethernet autoconnect: yes ip: address: - 192.0.2.1/24 - 2001:db8:1::1/64 gateway4: 192.0.2.254 gateway6: 2001:db8:1::fffe dns: - 192.0.2.200 - 2001:db8:1::ffbb dns_search: - example.com ieee802_1x: identity: <user_name> eap: tls private_key: "/etc/pki/tls/private/client.key" private_key_password: "{{ pwd }}" client_cert: "/etc/pki/tls/certs/client.crt" ca_cert: "/etc/pki/ca-trust/source/anchors/ca.crt" domain_suffix_match: example.com state: up
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
ieee802_1x
- この変数には、802.1X 関連の設定を含めます。
eap: tls
-
Extensible Authentication Protocol (EAP) に証明書ベースの
TLS
認証方式を使用するようにプロファイルを設定します。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --ask-vault-pass --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook --ask-vault-pass ~/playbook.yml
検証
- ネットワーク認証が必要なネットワーク上のリソースにアクセスします。
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー - Ansible vault
34.4. network
RHEL システムロールを使用した 802.1X ネットワーク認証による Wi-Fi 接続の設定
ネットワークアクセス制御 (NAC) は、不正なクライアントからネットワークを保護します。クライアントがネットワークにアクセスできるようにするために、認証に必要な詳細を NetworkManager 接続プロファイルで指定できます。Ansible と network
RHEL システムロールを使用すると、このプロセスを自動化し、Playbook で定義されたホスト上の接続プロファイルをリモートで設定できます。
Ansible Playbook を使用して秘密鍵、証明書、および CA 証明書をクライアントにコピーしてから、network
RHEL システムロールを使用して 802.1X ネットワーク認証による接続プロファイルを設定できます。
前提条件
- コントロールノードと管理対象ノードの準備が完了している。
- 管理対象ノードで Playbook を実行できるユーザーとしてコントロールノードにログインしている。
-
管理対象ノードへの接続に使用するアカウントに、そのノードに対する
sudo
権限がある。 - ネットワークは 802.1X ネットワーク認証をサポートしている。
-
マネージドノードに
wpa_supplicant
パッケージをインストールしました。 - DHCP は、管理対象ノードのネットワークで使用できる。
TLS 認証に必要な以下のファイルがコントロールノードにある。
-
クライアントキーが
/srv/data/client.key
ファイルに保存されている。 -
クライアント証明書が
/srv/data/client.crt
ファイルに保存されている。 -
CA 証明書は
/srv/data/ca.crt
ファイルに保存されます。
-
クライアントキーが
手順
機密性の高い変数を暗号化されたファイルに保存します。
vault を作成します。
$ ansible-vault create vault.yml New Vault password: <vault_password> Confirm New Vault password: <vault_password>
ansible-vault create
コマンドでエディターが開いたら、機密データを<key>: <value>
形式で入力します。pwd: <password>
- 変更を保存して、エディターを閉じます。Ansible は vault 内のデータを暗号化します。
次の内容を含む Playbook ファイル (例:
~/playbook.yml
) を作成します。--- - name: Configure a wifi connection with 802.1X authentication hosts: managed-node-01.example.com tasks: - name: Copy client key for 802.1X authentication ansible.builtin.copy: src: "/srv/data/client.key" dest: "/etc/pki/tls/private/client.key" mode: 0400 - name: Copy client certificate for 802.1X authentication ansible.builtin.copy: src: "/srv/data/client.crt" dest: "/etc/pki/tls/certs/client.crt" - name: Copy CA certificate for 802.1X authentication ansible.builtin.copy: src: "/srv/data/ca.crt" dest: "/etc/pki/ca-trust/source/anchors/ca.crt" - name: Wifi connection profile with dynamic IP address settings and 802.1X ansible.builtin.import_role: name: rhel-system-roles.network vars: network_connections: - name: Wifi connection profile with dynamic IP address settings and 802.1X interface_name: wlp1s0 state: up type: wireless autoconnect: yes ip: dhcp4: true auto6: true wireless: ssid: "Example-wifi" key_mgmt: "wpa-eap" ieee802_1x: identity: <user_name> eap: tls private_key: "/etc/pki/tls/client.key" private_key_password: "{{ pwd }}" private_key_password_flags: none client_cert: "/etc/pki/tls/client.pem" ca_cert: "/etc/pki/tls/cacert.pem" domain_suffix_match: "example.com"
サンプル Playbook で指定されている設定は次のとおりです。
ieee802_1x
- この変数には、802.1X 関連の設定を含めます。
eap: tls
-
Extensible Authentication Protocol (EAP) に証明書ベースの
TLS
認証方式を使用するようにプロファイルを設定します。
Playbook で使用されるすべての変数の詳細は、コントロールノードの
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイルを参照してください。Playbook の構文を検証します。
$ ansible-playbook --ask-vault-pass --syntax-check ~/playbook.yml
このコマンドは構文を検証するだけであり、有効だが不適切な設定から保護するものではないことに注意してください。
Playbook を実行します。
$ ansible-playbook --ask-vault-pass ~/playbook.yml
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
第35章 hostapd
と FreeRADIUS バックエンドを使用した LAN クライアント用の 802.1x ネットワーク認証サービスのセットアップ
IEEE 802.1X 標準では、許可されていないクライアントからネットワークを保護するためのセキュアな認証および認可方法を定義しています。hostapd
サービスと FreeRADIUS を使用すると、ネットワークにネットワークアクセス制御 (NAC) を提供できます。
Red Hat では、認証のバックエンドソースとして Red Hat Identity Management (IdM) を使用した FreeRADIUS のみをサポートしています。
このドキュメントでは、RHEL ホストは、さまざまなクライアントを既存のネットワークに接続するためのブリッジとして機能します。ただし、RHEL ホストは、認証されたクライアントのみにネットワークへのアクセスを許可します。
35.1. 前提条件
freeradius
およびfreeradius-ldap
パッケージのクリーンインストール。パッケージがすでにインストールされている場合は、
/etc/raddb/
ディレクトリーを削除し、パッケージをアンインストールしてから再度インストールします。/etc/raddb/
ディレクトリー内の権限とシンボリックリンクが異なるため、dnf reinstall
コマンドを使用してパッケージを再インストールしないでください。- FreeRADIUS を設定するホストが IdM ドメイン内のクライアント である。
35.2. オーセンティケーターにブリッジを設定する
ネットワークブリッジは、MAC アドレスのテーブルに基づいてホストとネットワーク間のトラフィックを転送するリンク層デバイスです。RHEL を 802.1X オーセンティケーターとして設定する場合は、認証を実行するインターフェイスと LAN インターフェイスの両方をブリッジに追加します。
前提条件
- サーバーには複数のイーサネットインターフェイスがあります。
手順
ブリッジインターフェイスが存在しない場合は、作成します。
# nmcli connection add type bridge con-name br0 ifname br0
イーサネットインターフェイスをブリッジに割り当てます。
# nmcli connection add type ethernet port-type bridge con-name br0-port1 ifname enp1s0 controller br0 # nmcli connection add type ethernet port-type bridge con-name br0-port2 ifname enp7s0 controller br0 # nmcli connection add type ethernet port-type bridge con-name br0-port3 ifname enp8s0 controller br0 # nmcli connection add type ethernet port-type bridge con-name br0-port4 ifname enp9s0 controller br0
ブリッジが拡張認証プロトコル over LAN (EAPOL) パケットを転送できるようにします。
# nmcli connection modify br0 group-forward-mask 8
ポートを自動的にアクティブ化するように接続を設定します。
# nmcli connection modify br0 connection.autoconnect-ports 1
接続をアクティベートします。
# nmcli connection up br0
検証
特定のブリッジのポートであるイーサネットデバイスのリンクステータスを表示します。
# ip link show master br0 3: enp1s0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc fq_codel master br0 state UP mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 52:54:00:62:61:0e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
EAPOL パケットの転送が
br0
デバイスで有効になっているかどうかを確認します。# cat /sys/class/net/br0/bridge/group_fwd_mask 0x8
コマンドが
0x8
を返す場合、転送が有効になります。
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
35.3. ネットワーククライアントを安全に認証するための FreeRADIUS の設定 (EAP 使用)
FreeRADIUS は、Extensible Authentication Protocol (EAP) のさまざまな方式をサポートしています。しかし、サポートされるセキュアな状況では、EAP-TTLS (Tunneled Transport Layer Security) を使用してください。
EAP-TTLS では、クライアントが、トンネルを設定するための外部認証プロトコルとしてセキュアな TLS 接続を使用します。内部認証では、LDAP を使用して Identity Management に対して認証を行います。EAP-TTLS を使用するには、TLS サーバー証明書が必要です。
デフォルトの FreeRADIUS 設定ファイルはドキュメントとして機能し、すべてのパラメーターとディレクティブを記述します。特定の機能を無効にする場合は、設定ファイルの対応する部分を削除するのではなく、コメントアウトしてください。これにより、設定ファイルと含まれているドキュメントの構造を保持できます。
前提条件
-
freeradius
およびfreeradius-ldap
パッケージがインストールされている。 -
/etc/raddb/
ディレクトリー内の設定ファイルが変更されておらず、freeradius
パッケージによって提供されるものである。 - ホストが Red Hat Identity Management (IdM) ドメインに登録されている。
手順
秘密鍵を作成し、IdM から証明書を要求します。
# ipa-getcert request -w -k /etc/pki/tls/private/radius.key -f /etc/pki/tls/certs/radius.pem -o "root:radiusd" -m 640 -O "root:radiusd" -M 640 -T caIPAserviceCert -C 'systemctl restart radiusd.service' -N freeradius.idm.example.com -D freeradius.idm.example.com -K radius/freeradius.idm.example.com
certmonger
サービスが、秘密鍵を/etc/pki/tls/private/radius.key
ファイルに保存し、証明書を/etc/pki/tls/certs/radius.pem
ファイルに保存して、セキュアな権限を設定します。さらに、certmonger
は証明書を監視し、有効期限が切れる前に更新し、証明書の更新後にradiusd
サービスを再起動します。
.
+
# ipa-getcert list -f /etc/pki/tls/certs/radius.pem
...
Number of certificates and requests being tracked: 1.
Request ID '20240918142211':
status: MONITORING
stuck: no
key pair storage: type=FILE,location='/etc/pki/tls/private/radius.key'
certificate: type=FILE,location='/etc/pki/tls/certs/radius.crt'
...
Diffie-Hellman (DH) パラメーターを使用して
/etc/raddb/certs/dh
ファイルを作成します。たとえば、2048 ビットの素数を持つ DH ファイルを作成するには、次のように入力します。# openssl dhparam -out /etc/raddb/certs/dh 2048
セキュリティー上の理由から、素数が 2048 ビット未満の DH ファイルは使用しないでください。ビット数によっては、ファイルの作成に数分かかる場合があります。
/etc/raddb/mods-available/eap
ファイルを編集します。tls-config tls-common
ディレクティブで TLS 関連の設定を指定します。eap { ... tls-config tls-common { ... private_key_file = /etc/pki/tls/private/radius.key certificate_file = /etc/pki/tls/certs/radius.pem ca_file = /etc/ipa/ca.crt ... } }
eap
ディレクティブのdefault_eap_type
パラメーターをttls
に設定します。eap { ... default_eap_type = ttls ... }
安全でない EAP-MD5 認証方式を無効にするには、
md5
ディレクティブをコメントアウトします。eap { ... # md5 { # } ... }
デフォルトの設定ファイルでは、他の安全でない EAP 認証方法がデフォルトでコメントアウトされていることに注意してください。
/etc/raddb/sites-available/default
ファイルを編集し、eap
以外のすべての認証方法をコメントアウトします。authenticate { ... # Auth-Type PAP { # pap # } # Auth-Type CHAP { # chap # } # Auth-Type MS-CHAP { # mschap # } # mschap # digest ... }
これにより、外部認証で EAP のみが有効になり、プレーンテキスト認証方法が無効になります。
/etc/raddb/sites-available/inner-tunnel
ファイルを編集し、次の変更を加えます。-ldap
エントリーをコメントアウトし、ldap
モジュール設定をauthorize
ディレクティブに追加します。authorize { ... #-ldap ldap if ((ok || updated) && User-Password) { update { control:Auth-Type := ldap } } ... }
authenticate
ディレクティブ内の LDAP 認証タイプのコメントを解除します。authenticate { Auth-Type LDAP { ldap } }
ldap
モジュールを有効にします。# ln -s /etc/raddb/mods-available/ldap /etc/raddb/mods-enabled/ldap
/etc/raddb/mods-available/ldap
ファイルを編集し、次の変更を加えます。ldap
ディレクティブで、IdM LDAP サーバーの URL とベース識別名 (DN) を設定します。ldap { ... server = 'ldaps://idm_server.idm.example.com' base_dn = 'cn=users,cn=accounts,dc=idm,dc=example,dc=com' ... }
FreeRADIUS ホストと IdM サーバー間で TLS 暗号化接続を使用するには、サーバー URL に
ldaps
プロトコルを指定します。ldap
ディレクティブで、IdM LDAP サーバーの TLS 証明書検証を有効にします。tls { ... require_cert = 'demand' ... }
/etc/raddb/clients.conf
ファイルを編集します。localhost
およびlocalhost_ipv6
クライアントディレクティブでセキュアなパスワードを設定します。client localhost { ipaddr = 127.0.0.1 ... secret = localhost_client_password ... } client localhost_ipv6 { ipv6addr = ::1 secret = localhost_client_password }
ネットワークオーセンティケーターのクライアントディレクティブを追加します。
client hostapd.example.org { ipaddr = 192.0.2.2/32 secret = hostapd_client_password }
オプション: 他のホストも FreeRADIUS サービスにアクセスできるようにするには、それらのホストにもクライアントディレクティブを追加します。以下に例を示します。
client <hostname_or_description> { ipaddr = <IP_address_or_range> secret = <client_password> }
ipaddr
パラメーターは IPv4 および IPv6 アドレスを受け入れ、オプションのクラスレスドメイン間ルーティング (CIDR) 表記を使用して範囲を指定できます。ただし、このパラメーターに設定できる値は 1 つだけです。たとえば、IPv4 アドレスと IPv6 アドレスの両方へのアクセスを許可するには、2 つのクライアントディレクティブを追加する必要があります。ホスト名や IP 範囲が使用される場所を説明する単語など、クライアントディレクティブのわかりやすい名前を使用します。
設定ファイルを確認します。
# radiusd -XC ... Configuration appears to be OK
firewalld
サービスで RADIUS ポートを開きます。# firewall-cmd --permanent --add-service=radius # firewall-cmd --reload
radiusd
サービスを有効にして開始します。# systemctl enable --now radiusd
トラブルシューティング
radiusd
サービスの起動に失敗した場合は、IdM サーバーのホスト名を解決できることを確認します。# host -v idm_server.idm.example.com
その他の問題が発生した場合は、
radiusd
をデバッグモードで実行します。radiusd
サービスを停止します。# systemctl stop radiusd
デバッグモードでサービスを開始します。
# radiusd -X ... Ready to process requests
-
Verification
セクションで参照されているように、FreeRADIUS ホストで認証テストを実行します。
次のステップ
- 不要になった認証方法や使用しないその他の機能を無効にします。
35.4. 有線ネットワークで hostapd
をオーセンティケーターとして設定する
ホストアクセスポイントデーモン (hostapd
) サービスは、有線ネットワークでオーセンティケーターとして機能し、802.1X 認証を提供できます。このため、hostapd
サービスには、クライアントを認証する RADIUS サーバーが必要です。
hostapd
サービスは、統合された RADIUS サーバーを提供します。ただし、統合 RADIUS サーバーはテスト目的でのみ使用してください。実稼働環境では、さまざまな認証方法やアクセス制御などの追加機能をサポートする FreeRADIUS サーバーを使用します。
hostapd
サービスはトラフィックプレーンと相互作用しません。このサービスは、オーセンティケーターとしてのみ機能します。たとえば、hostapd
制御インターフェイスを使用するスクリプトまたはサービスを使用して、認証イベントの結果に基づいてトラフィックを許可または拒否します。
前提条件
-
hostapd
パッケージをインストールしました。 - FreeRADIUS サーバーが設定され、クライアントを認証する準備が整いました。
手順
次のコンテンツで
/etc/hostapd/hostapd.conf
ファイルを作成します。# General settings of hostapd # =========================== # Control interface settings ctrl_interface=/var/run/hostapd ctrl_interface_group=wheel # Enable logging for all modules logger_syslog=-1 logger_stdout=-1 # Log level logger_syslog_level=2 logger_stdout_level=2 # Wired 802.1X authentication # =========================== # Driver interface type driver=wired # Enable IEEE 802.1X authorization ieee8021x=1 # Use port access entry (PAE) group address # (01:80:c2:00:00:03) when sending EAPOL frames use_pae_group_addr=1 # Network interface for authentication requests interface=br0 # RADIUS client configuration # =========================== # Local IP address used as NAS-IP-Address own_ip_addr=192.0.2.2 # Unique NAS-Identifier within scope of RADIUS server nas_identifier=hostapd.example.org # RADIUS authentication server auth_server_addr=192.0.2.1 auth_server_port=1812 auth_server_shared_secret=hostapd_client_password # RADIUS accounting server acct_server_addr=192.0.2.1 acct_server_port=1813 acct_server_shared_secret=hostapd_client_password
この設定で使用されるパラメーターの詳細は、
/usr/share/doc/hostapd/hostapd.conf
サンプル設定ファイルの説明を参照してください。hostapd
サービスを有効にして開始します。# systemctl enable --now hostapd
トラブルシューティング
hostapd
サービスの起動に失敗した場合は、/etc/hostapd/hostapd.conf
ファイルで使用するブリッジインターフェイスがシステム上に存在することを確認します。# ip link show br0
その他の問題が発生した場合は、
hostapd
をデバッグモードで実行します。hostapd
サービスを停止します。# systemctl stop hostapd
デバッグモードでサービスを開始します。
# hostapd -d /etc/hostapd/hostapd.conf
-
Verification
セクションで参照されているように、FreeRADIUS ホストで認証テストを実行します。
関連情報
-
システム上の
hostapd.conf(5)
man ページ -
/usr/share/doc/hostapd/hostapd.conf
ファイル
35.5. FreeRADIUS サーバーまたはオーセンティケーターに対する EAP-TTLS 認証のテスト
Extensible Authentication Protocol - Tunneled Transport Layer Security (EAP-TTLS) を使用した認証が、期待どおりに機能するかテストするには、次の手順を実行します。
- FreeRADIUS サーバーをセットアップした後
-
hostapd
サービスを 802.1X ネットワーク認証のオーセンティケーターとして設定した後。
この手順で使用されるテストユーティリティーの出力は、EAP 通信に関する追加情報を提供し、問題のデバッグに役立ちます。
前提条件
認証先が以下の場合:
FreeRADIUS サーバー:
-
hostapd
パッケージによって提供されるeapol_test
ユーティリティーがインストールされている。 - この手順の実行対象のクライアントが、FreeRADIUS サーバーのクライアントデータベースで認可されている。
-
-
同じ名前のパッケージによって提供されるオーセンティケーターである
wpa_supplicant
ユーティリティーがインストールされている。
-
認証局 (CA) 証明書が
/etc/ipa/ca.cert
ファイルに保存されている。
手順
オプション: Identity Management (IdM) でユーザーを作成します。
# ipa user-add --first "Test" --last "User" idm_user --password
次のコンテンツで
/etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant-TTLS.conf
ファイルを作成します。ap_scan=0 network={ eap=TTLS eapol_flags=0 key_mgmt=IEEE8021X # Anonymous identity (sent in unencrypted phase 1) # Can be any string anonymous_identity="anonymous" # Inner authentication (sent in TLS-encrypted phase 2) phase2="auth=PAP" identity="idm_user" password="idm_user_password" # CA certificate to validate the RADIUS server's identity ca_cert="/etc/ipa/ca.crt" }
認証するには:
FreeRADIUS サーバーには、次のように入力します。
# eapol_test -c /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant-TTLS.conf -a 192.0.2.1 -s <client_password> ... EAP: Status notification: remote certificate verification (param=success) ... CTRL-EVENT-EAP-SUCCESS EAP authentication completed successfully ... SUCCESS
-a
オプションは FreeRADIUS サーバーの IP アドレスを定義し、-s
オプションは FreeRADIUS サーバーのクライアント設定でコマンドを実行するホストのパスワードを指定します。オーセンティケーター。次のように入力します。
# wpa_supplicant -c /etc/wpa_supplicant/wpa_supplicant-TTLS.conf -D wired -i enp0s31f6 ... enp0s31f6: CTRL-EVENT-EAP-SUCCESS EAP authentication completed successfully ...
-i
オプションは、wpa_supplicant
が LAN(EAPOL) パケットを介して拡張認証プロトコルを送信するネットワークインターフェイス名を指定します。デバッグ情報の詳細は、コマンドに
-d
オプションを渡してください。
関連情報
-
/usr/share/doc/wpa_supplicant/wpa_supplicant.conf
ファイル
35.6. hostapd
認証イベントに基づくトラフィックのブロックと許可
hostapd
サービスはトラフィックプレーンと相互作用しません。このサービスは、オーセンティケーターとしてのみ機能します。ただし、認証イベントの結果に基づいてトラフィックを許可および拒否するスクリプトを作成できます。
この手順はサポートされておらず、エンタープライズ対応のソリューションではありません。hostapd_cli
によって取得されたイベントを評価することにより、トラフィックをブロックまたは許可する方法のみを示しています。
802-1x-tr-mgmt
systemd サービスが開始すると、RHEL は LAN(EAPOL) パケットを介した拡張認証プロトコルを除く hostapd
のリッスンポート上のすべてのトラフィックをブロックし、hostapd_cli
ユーティリティーを使用して hostapd
制御インターフェイスに接続します。次に、/usr/local/bin/802-1x-tr-mgmt
スクリプトがイベントを評価します。hostapd_cli
が受信するさまざまなイベントに応じて、スクリプトは MAC アドレスのトラフィックを許可またはブロックします。802-1x-tr-mgmt
サービスが停止すると、すべてのトラフィックが自動的に再度許可されることに注意してください。
hostapd
サーバーでこの手順を実行します。
前提条件
-
hostapd
サービスが設定され、サービスはクライアントを認証する準備ができています。
手順
次のコンテンツで
/usr/local/bin/802-1x-tr-mgmt
ファイルを作成します。#!/bin/sh TABLE="tr-mgmt-${1}" read -r -d '' TABLE_DEF << EOF table bridge ${TABLE} { set allowed_macs { type ether_addr } chain accesscontrol { ether saddr @allowed_macs accept ether daddr @allowed_macs accept drop } chain forward { type filter hook forward priority 0; policy accept; meta ibrname "br0" jump accesscontrol } } EOF case ${2:-NOTANEVENT} in block_all) nft destroy table bridge "$TABLE" printf "$TABLE_DEF" | nft -f - echo "$1: All the bridge traffic blocked. Traffic for a client with a given MAC will be allowed after 802.1x authentication" ;; AP-STA-CONNECTED | CTRL-EVENT-EAP-SUCCESS | CTRL-EVENT-EAP-SUCCESS2) nft add element bridge tr-mgmt-br0 allowed_macs { $3 } echo "$1: Allowed traffic from $3" ;; AP-STA-DISCONNECTED | CTRL-EVENT-EAP-FAILURE) nft delete element bridge tr-mgmt-br0 allowed_macs { $3 } echo "$1: Denied traffic from $3" ;; allow_all) nft destroy table bridge "$TABLE" echo "$1: Allowed all bridge traffice again" ;; NOTANEVENT) echo "$0 was called incorrectly, usage: $0 interface event [mac_address]" ;; esac
次のコンテンツで
/etc/systemd/system/802-1x-tr-mgmt@.service
サービスファイルを作成します。[Unit] Description=Example 802.1x traffic management for hostapd After=hostapd.service After=sys-devices-virtual-net-%i.device [Service] Type=simple ExecStartPre=bash -c '/usr/sbin/hostapd_cli ping | grep PONG' ExecStartPre=/usr/local/bin/802-1x-tr-mgmt %i block_all ExecStart=/usr/sbin/hostapd_cli -i %i -a /usr/local/bin/802-1x-tr-mgmt ExecStopPost=/usr/local/bin/802-1x-tr-mgmt %i allow_all [Install] WantedBy=multi-user.target
systemd を再ロードします。
# systemctl daemon-reload
hostapd
がリッスンしているインターフェイス名で802-1x-tr-mgmt
サービスを有効にして開始します。# systemctl enable --now 802-1x-tr-mgmt@br0.service
検証
- ネットワークに対してクライアントで認証します。FreeRADIUS サーバーまたはオーセンティケーターに対する EAP-TTLS 認証のテスト を参照してください。
関連情報
-
システム上の
systemd.service(5)
man ページ
第36章 Multipath TCP の使用
Transmission Control Protocol (TCP) は、インターネットを介したデータの信頼できる配信を保証し、ネットワーク負荷に応じて帯域幅を自動的に調整します。マルチパス TCP (MPTCP) は、元の TCP プロトコル (シングルパス) のエクステンションです。MPTCP は、トランスポート接続が複数のパスで同時に動作することを可能にし、ユーザーエンドポイントデバイスにネットワーク接続の冗長性をもたらします。
36.1. MPTCP について
マルチパス TCP (MPTCP) プロトコルを使用すると、接続エンドポイント間で複数のパスを同時に使用できます。プロトコル設計により、接続の安定性が向上し、シングルパス TCP と比較して他の利点ももたらされます。
MPTCP 用語では、リンクはパスと見なされます。
以下に、MPTCP を使用する利点の一部を示します。
- これにより、接続が複数のネットワークインターフェイスを同時に使用できるようになります。
- 接続がリンク速度にバインドされている場合は、複数のリンクを使用すると、接続スループットが向上します。接続が CPU にバインドされている場合は、複数のリンクを使用すると接続が遅くなることに注意してください。
- これは、リンク障害に対する耐障害性を高めます。
MPTCP の詳細は、関連情報 を参照してください。
36.2. MPTCP サポートを有効にするための RHEL の準備
デフォルトでは、RHEL で MPTCP サポートが無効になっています。この機能に対応するアプリケーションを使用できるように、MPTCP を有効にします。また、アプリケーションにデフォルトで TCP ソケットがある場合は、MPTCP ソケットを強制的に使用するように、ユーザー空間アプリケーションを設定する必要があります。
前提条件
以下のパッケージがインストールされている。
-
iperf3
-
mptcpd
-
systemtap
手順
カーネルで MPTCP ソケットを有効にします。
# echo "net.mptcp.enabled=1" > /etc/sysctl.d/90-enable-MPTCP.conf # sysctl -p /etc/sysctl.d/90-enable-MPTCP.conf
iperf3
サーバーを起動し、TCP ソケットの代わりに MPTCP ソケットを強制的に作成する場合は、次のコマンドを実行します。# mptcpize run iperf3 -s Server listening on 5201
クライアントをサーバーに接続し、TCP ソケットの代わりに MPTCP ソケットを強制的に作成する場合は、次のコマンドを実行します。
# mptcpize iperf3 -c 127.0.0.1 -t 3
接続が確立されたら、
ss
出力を確認し、サブフロー固有のステータスを確認します。# ss -nti '( dport :5201 )' State Recv-Q Send-Q Local Address:Port Peer Address:Port Process ESTAB 0 0 127.0.0.1:41842 127.0.0.1:5201 cubic wscale:7,7 rto:205 rtt:4.455/8.878 ato:40 mss:21888 pmtu:65535 rcvmss:536 advmss:65483 cwnd:10 bytes_sent:141 bytes_acked:142 bytes_received:4 segs_out:8 segs_in:7 data_segs_out:3 data_segs_in:3 send 393050505bps lastsnd:2813 lastrcv:2772 lastack:2772 pacing_rate 785946640bps delivery_rate 10944000000bps delivered:4 busy:41ms rcv_space:43690 rcv_ssthresh:43690 minrtt:0.008 tcp-ulp-mptcp flags:Mmec token:0000(id:0)/2ff053ec(id:0) seq:3e2cbea12d7673d4 sfseq:3 ssnoff:ad3d00f4 maplen:2
MPTCP カウンターを確認します。
# nstat MPTcp* #kernel MPTcpExtMPCapableSYNRX 2 0.0 MPTcpExtMPCapableSYNTX 2 0.0 MPTcpExtMPCapableSYNACKRX 2 0.0 MPTcpExtMPCapableACKRX 2 0.0
関連情報
-
システム上の
tcp(7)
およびmptcpize(8)
man ページ
36.3. iproute2 を使用した MPTCP アプリケーションの複数パスの一時的な設定と有効化
各 MPTCP 接続は、プレーンな TCP と似た 1 つのサブフローを使用します。MPTCP を活用するには、各 MPTCP 接続のサブフローの最大数に上限を指定します。次に、追加のエンドポイントを設定して、それらのサブフローを作成します。
この手順の設定は、マシンを再起動すると保持されません。
MPTCP は現在、同じソケットの IPv6 エンドポイントと IPv4 エンドポイントの組み合わせに対応していません。同じアドレスファミリーに属するエンドポイントを使用します。
前提条件
-
mptcpd
がインストールされている。 -
iperf3
がインストールされている。 サーバーネットワークインターフェイスの設定:
-
enp4s0:
192.0.2.1/24
-
enp1s0:
198.51.100.1/24
-
enp4s0:
クライアントネットワークインターフェイスの設定:
-
enp4s0f0:
192.0.2.2/24
-
enp4s0f1:
198.51.100.2/24
-
enp4s0f0:
手順
サーバーによって提供される追加のリモートアドレスを最大 1 つ受け入れるようにクライアントを設定します。
# ip mptcp limits set add_addr_accepted 1
IP アドレス
198.51.100.1
を、サーバー上の新しい MPTCP エンドポイントとして追加します。# ip mptcp endpoint add 198.51.100.1 dev enp1s0 signal
signal
オプションは、スリーウェイハンドシェイクの後にADD_ADDR
パケットが送信されるようにします。iperf3
サーバーを起動し、TCP ソケットの代わりに MPTCP ソケットを強制的に作成する場合は、次のコマンドを実行します。# mptcpize run iperf3 -s Server listening on 5201
クライアントをサーバーに接続し、TCP ソケットの代わりに MPTCP ソケットを強制的に作成する場合は、次のコマンドを実行します。
# mptcpize iperf3 -c 192.0.2.1 -t 3
検証
接続が確立されたことを確認します。
# ss -nti '( sport :5201 )'
接続および IP アドレス制限を確認します。
# ip mptcp limit show
新たに追加されたエンドポイントを確認します。
# ip mptcp endpoint show
サーバーで
nstat MPTcp*
コマンドを使用して MPTCP カウンターを確認します。# nstat MPTcp* #kernel MPTcpExtMPCapableSYNRX 2 0.0 MPTcpExtMPCapableACKRX 2 0.0 MPTcpExtMPJoinSynRx 2 0.0 MPTcpExtMPJoinAckRx 2 0.0 MPTcpExtEchoAdd 2 0.0
関連情報
-
システム上の
mptcpize(8)
およびip-mptcp(8)
man ページ
36.4. MPTCP アプリケーションの複数パスの永続的な設定
nmcli
コマンドを使用してマルチパス TCP (MPTCP) を設定し、ソースシステムと宛先システムの間に複数のサブフローを永続的に確立できます。サブフローは、さまざまなリソース、宛先へのさまざまなルート、さまざまなネットワークを使用できます。たとえばイーサネット、セルラー、wifi などです。その結果、接続が組み合わされ、ネットワークの回復力とスループットが向上します。
ここで使用した例では、サーバーは次のネットワークインターフェイスを使用します。
-
enp4s0:
192.0.2.1/24
-
enp1s0:
198.51.100.1/24
-
enp7s0:
192.0.2.3/24
ここで使用した例では、クライアントは次のネットワークインターフェイスを使用します。
-
enp4s0f0:
192.0.2.2/24
-
enp4s0f1:
198.51.100.2/24
-
enp6s0:
192.0.2.5/24
前提条件
- 関連するインターフェイスでデフォルトゲートウェイを設定している
手順
カーネルで MPTCP ソケットを有効にします。
# echo "net.mptcp.enabled=1" > /etc/sysctl.d/90-enable-MPTCP.conf # sysctl -p /etc/sysctl.d/90-enable-MPTCP.conf
オプション: RHEL カーネルのサブフロー制限のデフォルトは 2 です。不足する場合、以下を実行します。
次の内容で
/etc/systemd/system/set_mptcp_limit.service
ファイルを作成します。[Unit] Description=Set MPTCP subflow limit to 3 After=network.target [Service] ExecStart=ip mptcp limits set subflows 3 Type=oneshot [Install] WantedBy=multi-user.target
ワンショット ユニットは、各ブートプロセス中にネットワーク (
network.target
) が動作した後にip mptcp limits set subflows 3
コマンドを実行します。ip mptcp limits set subflows 3
コマンドは、各接続の 追加 サブフローの最大数を設定するため、合計が 4 になります。追加サブフローは最大 3 つです。set_mptcp_limit
サービスを有効にします。# systemctl enable --now set_mptcp_limit
接続のアグリゲーションに使用するすべての接続プロファイルで MPTCP を有効にします。
# nmcli connection modify <profile_name> connection.mptcp-flags signal,subflow,also-without-default-route
connection.mptcp-flags
パラメーターは、MPTCP エンドポイントと IP アドレスフラグを設定します。MPTCP が NetworkManager 接続プロファイルで有効になっている場合、設定により、関連するネットワークインターフェイスの IP アドレスが MPTCP エンドポイントとして設定されます。デフォルトでは、デフォルトゲートウェイがない場合、NetworkManager は MPTCP フラグを IP アドレスに追加しません。そのチェックをバイパスしたい場合は、
also-without-default-route
フラグも使用する必要があります。
検証
MPTCP カーネルパラメーターが有効になっていることを確認します。
# sysctl net.mptcp.enabled net.mptcp.enabled = 1
デフォルトでは不足する場合に備えて、サブフロー制限を適切に設定していることを確認します。
# ip mptcp limit show add_addr_accepted 2 subflows 3
アドレスごとの MPTCP 設定が正しく設定されていることを確認します。
# ip mptcp endpoint show 192.0.2.1 id 1 subflow dev enp4s0 198.51.100.1 id 2 subflow dev enp1s0 192.0.2.3 id 3 subflow dev enp7s0 192.0.2.4 id 4 subflow dev enp3s0 ...
36.5. MPTCP サブフローのモニタリング
マルチパス TCP (MPTCP) ソケットのライフサイクルは複雑です。主な MPTCP ソケットの作成、MPTCP パスの検証、1 つ以上のサブフローの作成を行い、最終的に削除されます。最後に、MPTCP ソケットが終了します。
MPTCP プロトコルを使用すると、iproute
パッケージで提供される ip
ユーティリティーを使用して、ソケットおよびサブフローの作成と削除に関連する MPTCP 固有のイベントをモニタリングできます。このユーティリティーは、netlink
インターフェイスを使用して MPTCP イベントをモニターします。
この手順は、MPTCP イベントをモニターする方法を示しています。そのために、MPTCP サーバーアプリケーションをシミュレートし、クライアントがこのサービスに接続します。この例に関係するクライアントは、次のインターフェイスと IP アドレスを使用します。
-
サーバー:
192.0.2.1
-
クライアント (イーサネット接続):
192.0.2.2
-
クライアント (WiFi 接続):
192.0.2.3
この例を単純化するために、すべてのインターフェイスは同じサブネット内にあります。これは必須ではありません。ただし、ルーティングが正しく設定されており、クライアントが両方のインターフェイスを介してサーバーに到達できることが重要です。
前提条件
- イーサネットと WiFi を備えたラップトップなど、2 つのネットワークインターフェイスを備えた RHEL クライアント
- クライアントは両方のインターフェイスを介してサーバーに接続できます
- RHEL サーバー
- クライアントとサーバーの両方が RHEL9.0 以降を実行しています
-
クライアントとサーバーの両方に
mptcpd
パッケージをインストールしました
手順
クライアントとサーバーの両方で、接続ごとの追加のサブフロー制限を
1
に設定します。# ip mptcp limits set add_addr_accepted 0 subflows 1
サーバーで、MPTCP サーバーアプリケーションをシミュレートするには、TCP ソケットの代わりに強制された MPTCP ソケットを使用してリッスンモードで
netcat
(nc
) を開始します。# mptcpize run nc -l -k -p 12345
-k
オプションを指定すると、nc
は、最初に受け入れられた接続の後でリスナーを閉じません。これは、サブフローのモニタリングを示すために必要です。クライアントで以下を実行します。
メトリックが最も低いインターフェイスを特定します。
# ip -4 route 192.0.2.0/24 dev enp1s0 proto kernel scope link src 192.0.2.2 metric 100 192.0.2.0/24 dev wlp1s0 proto kernel scope link src 192.0.2.3 metric 600
enp1s0
インターフェイスのメトリックは、wlp1s0
よりも低くなります。したがって、RHEL はデフォルトでenp1s0
を使用します。最初のターミナルで、モニタリングを開始します。
# ip mptcp monitor
2 番目のターミナルで、サーバーへの MPTCP 接続を開始します。
# mptcpize run nc 192.0.2.1 12345
RHEL は、
enp1s0
インターフェイスとそれに関連する IP アドレスをこの接続のソースとして使用します。モニタリングターミナルで、
ip mptcp monitor
コマンドが次のログを記録するようになりました。[ CREATED] token=63c070d2 remid=0 locid=0 saddr4=192.0.2.2 daddr4=192.0.2.1 sport=36444 dport=12345
トークンは MPTCP ソケットを一意の ID として識別し、後で同じソケットで MPTCP イベントを相互に関連付けることができます。
サーバーへの
nc
接続が実行されているターミナルで、Enter を押します。この最初のデータパケットは、接続を完全に確立します。データが送信されていない限り、接続は確立されないことに注意してください。モニタリングターミナルで、
ip mptcp monitor
が次のログを記録するようになりました。[ ESTABLISHED] token=63c070d2 remid=0 locid=0 saddr4=192.0.2.2 daddr4=192.0.2.1 sport=36444 dport=12345
オプション: サーバーのポート
12345
への接続を表示します。# ss -taunp | grep ":12345" tcp ESTAB 0 0 192.0.2.2:36444 192.0.2.1:12345
この時点で、サーバーへの接続は 1 つだけ確立されています。
3 番目のターミナルで、別のエンドポイントを作成します。
# ip mptcp endpoint add dev wlp1s0 192.0.2.3 subflow
このコマンドは、クライアントの WiFi インターフェイスの名前と IP アドレスを設定します。
モニタリングターミナルで、
ip mptcp monitor
が次のログを記録するようになりました。[SF_ESTABLISHED] token=63c070d2 remid=0 locid=2 saddr4=192.0.2.3 daddr4=192.0.2.1 sport=53345 dport=12345 backup=0 ifindex=3
locid
フィールドには、新しいサブフローのローカルアドレス ID が表示され、接続でネットワークアドレス変換 (NAT) が使用されている場合でも、このサブフローが識別されます。saddr4
フィールドは、ip mptcp endpoint add
コマンドからのエンドポイントの IP アドレスと一致します。オプション: サーバーのポート
12345
への接続を表示します。# ss -taunp | grep ":12345" tcp ESTAB 0 0 192.0.2.2:36444 192.0.2.1:12345 tcp ESTAB 0 0 192.0.2.3%wlp1s0:53345 192.0.2.1:12345
このコマンドは、2 つの接続を表示します。
-
ソースアドレス
192.0.2.2
との接続は、以前に確立した最初の MPTCP サブフローに対応します。 -
送信元アドレスが
192.0.2.3
のwlp1s0
インターフェイスを介したサブフローからの接続。
-
ソースアドレス
3 番目のターミナルで、エンドポイントを削除します。
# ip mptcp endpoint delete id 2
ip mptcp monitor
出力のlocid
フィールドの ID を使用するか、ip mptcp endpoint show
コマンドを使用してエンドポイント ID を取得します。モニタリングターミナルで、
ip mptcp monitor
が次のログを記録するようになりました。[ SF_CLOSED] token=63c070d2 remid=0 locid=2 saddr4=192.0.2.3 daddr4=192.0.2.1 sport=53345 dport=12345 backup=0 ifindex=3
nc
クライアントを備えた最初のターミナルで、Ctrl+C を押してセッションを終了します。モニタリングターミナルで、
ip mptcp monitor
が次のログを記録するようになりました。[ CLOSED] token=63c070d2
関連情報
-
システム上の
ip-mptcp(1)
man ページ - NetworkManager が複数のデフォルトゲートウェイを管理する方法
36.6. カーネルでの Multipath TCP の無効化
カーネルの MPTCP オプションを明示的に無効にできます。
手順
mptcp.enabled
オプションを無効にします。# echo "net.mptcp.enabled=0" > /etc/sysctl.d/90-enable-MPTCP.conf # sysctl -p /etc/sysctl.d/90-enable-MPTCP.conf
検証
カーネルで
mptcp.enabled
が無効になっているかどうかを確認します。# sysctl -a | grep mptcp.enabled net.mptcp.enabled = 0
第37章 mptcpd サービスの管理
このセクションでは、mptcpd
サービスの基本的な管理について説明します。mptcpd
パッケージは、TCP
環境で mptcp
プロトコルをオンにする mptcpize
ツールを提供します。
37.1. mptcpd の設定
mptcpd
サービスは、mptcp
エンドポイントを設定するためのインストルメントを提供する mptcp
プロトコルのコンポーネントです。mptcpd
サービスは、デフォルトでアドレスごとにサブフローエンドポイントを作成します。エンドポイントリストは、実行中のホストでの IP アドレスの変更に応じて動的に更新されます。mptcpd
サービスは、エンドポイントのリストを自動的に作成します。ip
ユーティリティーを使用する代わりに複数のパスを有効にします。
前提条件
-
インストールされた
mptcpd
パッケージ
手順
次のコマンドを使用して、カーネルで
mptcp.enabled
オプションを有効にします。# echo "net.mptcp.enabled=1" > /etc/sysctl.d/90-enable-MPTCP.conf # sysctl -p /etc/sysctl.d/90-enable-MPTCP.conf
mptcpd
サービスを開始します。# systemctl start mptcp.service
エンドポイントの作成を確認します。
# ip mptcp endpoint
mptcpd
サービスを停止するには、次のコマンドを使用します。# systemctl stop mptcp.service
-
mptcpd
サービスを手動で設定するには、/etc/mptcpd/mptcpd.conf
設定ファイルを変更します。
mptcpd サービスが作成するエンドポイントは、ホストがシャットダウンするまで続くことに注意してください。
関連情報
-
システム上の
mptcpd(8)
man ページ
37.2. mptcpize ツールを使用したアプリケーションの管理
mptcpize
ツールを使用して、アプリケーションとサービスを管理します。
以下の手順は、mptcpize
ツールを使用して TCP
環境でアプリケーションを管理する方法を示しています。
仮定すると、有効な MPTCP
ソケットを使用して iperf3
ユーティリティーを実行する必要があります。以下の手順でこの目標を達成できます。
前提条件
-
mptcpd
がインストールされている。 -
iperf3
がインストールされている。
手順
MPTCP
ソケットを有効にしてiperf3
ユーティリティーを開始します。# mptcpize run iperf3 -s &
37.3. mptcpize ユーティリティーを使用したサービスの MPTCP ソケットの有効化
次の一連のコマンドは、mptcpize
ツールを使用してサービスを管理する方法を示しています。サービスの mptcp
ソケットを有効または無効にできます。
仮定すると、nginx
サービスの mptcp
ソケットを管理する必要があります。以下の手順でこの目標を達成できます。
前提条件
-
mptcpd
がインストールされている。 -
nginx
パッケージがインストールされています
手順
サービスの
MPTCP
ソケットを有効にします。# mptcpize enable nginx
サービスの
MPTCP
ソケットを無効にします。# mptcpize disable nginx
サービスを再起動して、変更を有効にします。
# systemctl restart nginx
第38章 キーファイル形式の NetworkManager 接続プロファイル
デフォルトでは、Red Hat Enterprise Linux 9 以降の NetworkManager は、接続プロファイルをキーファイル形式で保存します。非推奨の ifcfg
形式とは異なり、キーファイル形式は NetworkManager が提供するすべての接続設定をサポートします。
38.1. NetworkManager プロファイルのキーファイル形式
キーファイルの形式は INI 形式に似ています。たとえば、次はキーファイル形式のイーサネット接続プロファイルです。
[connection] id=example_connection uuid=82c6272d-1ff7-4d56-9c7c-0eb27c300029 type=ethernet autoconnect=true [ipv4] method=auto [ipv6] method=auto [ethernet] mac-address=00:53:00:8f:fa:66
パラメーターの入力や配置を誤ると、予期しない動作が発生する可能性があります。したがって、NetworkManager プロファイルを手動で編集または作成しないでください。
NetworkManager 接続を管理するには、nmcli
ユーティリティー、network
RHEL システムロール、または nmstate
API を使用してください。たとえば、オフラインモードで nmcli
ユーティリティー を使用して接続プロファイルを作成できます。
各セクションは、nm-settings(5)
man ページで説明されている NetworkManager 設定名に対応しています。セクションの各 key-value-pair は、man ページの settings 仕様に記載されているプロパティーのいずれかになります。
NetworkManager キーファイルのほとんどの変数には、1 対 1 のマッピングがあります。つまり、NetworkManager プロパティーは、同じ名前と形式の変数としてキーファイルに保存されます。ただし、主にキーファイルの構文を読みやすくするために例外があります。この例外のリストについては、システム上の nm-settings-keyfile(5)
man ページを参照してください。
接続プロファイルには秘密鍵やパスフレーズなどの機密情報が含まれる可能性があるため、セキュリティー上の理由から、NetworkManager は root
ユーザーが所有し、root
のみが読み書きできる設定ファイルのみを使用します。
接続プロファイルは、永続プロファイルが格納される /etc/NetworkManager/system-connections/
ディレクトリーに保存します。NetworkManager API を使用して、永続プロファイルを変更すると、NetworkManager は、このディレクトリーにファイルを書き込み、上書きします。
NetworkManager は、ディスクからプロファイルを自動的に再読み込みしません。キーファイル形式で接続プロファイルを作成または更新する場合は、nmcli connection reload
コマンドを使用して、変更を NetworkManager に通知します。
38.2. nmcli
を使用したオフラインモードでのキーファイル接続プロファイルの作成
NetworkManager ユーティリティー (nmcli
、network
RHEL システムロール、NetworkManager 接続を管理するための nmstate
API など) を使用して、設定ファイルを作成および更新します。ただし、nmcli --offline connection add
コマンドを使用して、オフラインモードでキーファイル形式のさまざまな接続プロファイルを作成することもできます。
オフラインモードでは、nmcli
が NetworkManager
サービスなしで動作し、標準出力を介してキーファイル接続プロファイルを生成することが保証されます。この機能は、次の場合に役立ちます。
- どこかに事前に展開する必要がある接続プロファイルを作成する場合。たとえば、コンテナーイメージ内、または RPM パッケージとして作成する場合。
-
NetworkManager
サービスが利用できない環境で接続プロファイルを作成する場合 (chroot
ユーティリティーを使用する場合など)。または、Kickstart%post
スクリプトを使用してインストールする RHEL システムのネットワーク設定を作成または変更する場合。
手順
キーファイル形式で新しい接続プロファイルを作成します。たとえば、DHCP を使用しないイーサネットデバイスの接続プロファイルの場合は、同様の
nmcli
コマンドを実行します。# nmcli --offline connection add type ethernet con-name Example-Connection ipv4.addresses 192.0.2.1/24 ipv4.dns 192.0.2.200 ipv4.method manual > /etc/NetworkManager/system-connections/example.nmconnection
注記con-name
キーで指定した接続名は、生成されたプロファイルのid
変数に保存されます。後でnmcli
コマンドを使用してこの接続を管理する場合は、次のように接続を指定します。-
id
変数を省略しない場合は、Example-Connection
などの接続名を使用します。 -
id
変数を省略する場合は、output
のように.nmconnection
接尾辞のないファイル名を使用します。
-
設定ファイルにパーミッションを設定して、
root
ユーザーのみが読み取りおよび更新できるようにします。# chmod 600 /etc/NetworkManager/system-connections/example.nmconnection # chown root:root /etc/NetworkManager/system-connections/example.nmconnection
NetworkManager
サービスを開始します。# systemctl start NetworkManager.service
プロファイルの
autoconnect
変数をfalse
に設定した場合は、コネクションをアクティブにします。# nmcli connection up Example-Connection
検証
NetworkManager
サービスが実行されていることを確認します。# systemctl status NetworkManager.service ● NetworkManager.service - Network Manager Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/NetworkManager.service; enabled; vendor preset: enabled) Active: active (running) since Wed 2022-08-03 13:08:32 CEST; 1min 40s ago ...
NetworkManager が設定ファイルからプロファイルを読み込めることを確認します。
# nmcli -f TYPE,FILENAME,NAME connection TYPE FILENAME NAME ethernet /etc/NetworkManager/system-connections/examaple.nmconnection Example-Connection ethernet /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-enp1s0 enp1s0 ...
新しく作成された接続が出力に表示されない場合は、使用したキーファイルのパーミッションと構文が正しいことを確認してください。
接続プロファイルを表示します。
# nmcli connection show Example-Connection connection.id: Example-Connection connection.uuid: 232290ce-5225-422a-9228-cb83b22056b4 connection.stable-id: -- connection.type: 802-3-ethernet connection.interface-name: -- connection.autoconnect: yes ...
関連情報
-
システム上の
nmcli(1)
とnm-settings-keyfile(5)
38.3. キーファイル形式での NetworkManager プロファイルの手動作成
NetworkManager 接続プロファイルは、キーファイル形式で手動で作成できます。
設定ファイルを手動で作成または更新すると、予期しないネットワーク設定や、機能しないネットワーク設定が発生する可能性があります。代わりに、オフラインモードで nmcli
を使用できます。nmcli を使用したオフラインモードでのキーファイル接続プロファイルの作成 を参照してください。
手順
接続プロファイルを作成します。たとえば、DHCP を使用する
enp1s0
イーサネットデバイスの接続プロファイルを作成する場合は、次の内容の/etc/NetworkManager/system-connections/example.nmconnection
ファイルを作成します。[connection] id=Example-Connection type=ethernet autoconnect=true interface-name=enp1s0 [ipv4] method=auto [ipv6] method=auto
注記ファイル名には、
.nmconnection
の接尾辞を付けた任意のファイル名を使用できます。ただし、後でnmcli
コマンドを使用して接続を管理する場合は、この接続を参照する際に、id
に設定した接続名を使用する必要があります。id
を省略する場合は、.nmconnection
を使用せずにファイルネームを使用して、このコネクションを参照してください。設定ファイルにパーミッションを設定して、
root
のユーザーのみが読み取りおよび更新できるようにします。# chown root:root /etc/NetworkManager/system-connections/example.nmconnection # chmod 600 /etc/NetworkManager/system-connections/example.nmconnection
接続プロファイルを再読み込みします。
# nmcli connection reload
NetworkManager が設定ファイルからプロファイルを読み込んでいることを確認します。
# nmcli -f NAME,UUID,FILENAME connection NAME UUID FILENAME Example-Connection 86da2486-068d-4d05-9ac7-957ec118afba /etc/NetworkManager/system-connections/example.nmconnection ...
このコマンドで、新しく追加した接続が表示されない場合は、ファイルの権限と、ファイルで使用した構文が正しいことを確認します。
プロファイルの
autoconnect
変数をfalse
に設定した場合は、コネクションをアクティブにします。# nmcli connection up example_connection
検証
接続プロファイルを表示します。
# nmcli connection show example_connection
関連情報
-
システム上の
nm-settings-keyfile(5)
man ページ
38.4. ifcfg およびキーファイル形式でのプロファイルを使用したインターフェイスの名前変更における違い
provider
または lan
などのカスタムネットワークインターフェイス名を定義して、インターフェイス名をよりわかりやすいものにすることができます。この場合、udev
サービスはインターフェイスの名前を変更します。名前変更プロセスは、ifcfg
またはキーファイル形式で接続プロファイルを使用するかどうかによって異なる動作をします。
ifcfg
形式でプロファイルを使用する場合のインターフェイスの名前変更プロセス-
/usr/lib/udev/rules.d/60-net.rules
udev
ルールは、/lib/udev/rename_device
ヘルパーユーティリティーを呼び出します。 -
ヘルパーユーティリティーは、
/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-*
ファイルのHWADDR
パラメーターを検索します。 -
変数に設定した値がインターフェイスの MAC アドレスに一致すると、ヘルパーユーティリティーは、インターフェイスの名前を、ファイルの
DEVICE
パラメーターに設定した名前に変更します。
-
- キーファイル形式でプロファイルを使用する場合のインターフェイスの名前変更プロセス
- インターフェイスの名前を変更する systemd リンクファイル または udev ルール を作成します。
-
NetworkManager 接続プロファイルの
interface-name
プロパティーで、カスタムインターフェイス名を使用します。
38.5. ifcfg からキーファイル形式への NetworkManager プロファイルの移行
非推奨の ifcfg
形式で引き続き接続プロファイルを使用する場合は、それらをキーファイル形式に変換できます。
ifcfg
ファイルに NM_CONTROLLED=no
設定が含まれる場合、NetworkManager は、このプロファイルを制御しないため、移行プロセスはそれを無視します。
前提条件
-
/etc/sysconfig/network-scripts/
ディレクトリーにifcfg
形式の接続プロファイルがある。 -
接続プロファイルに、
provider
やlan
などのカスタムデバイス名に設定されているDEVICE
変数が含まれている場合は、カスタムデバイス名ごとに systemd リンクファイル または udev ルール を作成している。
手順
接続プロファイルを移行します。
# nmcli connection migrate Connection 'enp1s0' (43ed18ab-f0c4-4934-af3d-2b3333948e45) successfully migrated. Connection 'enp2s0' (883333e8-1b87-4947-8ceb-1f8812a80a9b) successfully migrated. ...
検証
必要に応じて、すべての接続プロファイルが正常に移行されたことを確認できます。
# nmcli -f TYPE,FILENAME,NAME connection TYPE FILENAME NAME ethernet /etc/NetworkManager/system-connections/enp1s0.nmconnection enp1s0 ethernet /etc/NetworkManager/system-connections/enp2s0.nmconnection enp2s0 ...
関連情報
-
nm-settings-keyfile(5)
-
nm-settings-ifcfg-rh(5)
- udev デバイスマネージャーによるネットワークインターフェイスの名前変更の仕組み
第39章 systemd ネットワークターゲットおよびサービス
NetworkManager は、システムの起動時にネットワークを設定します。ただし、root ディレクトリーが iSCSI デバイスに保存されている場合など、リモートルート (/) で起動すると、RHEL が起動する前に、ネットワーク設定が初期 RAM ディスク (initrd
) に適用されます。たとえば、カーネルコマンドラインで rd.neednet=1
を使用してネットワーク設定を指定した場合や、リモートファイルシステムをマウントするように設定を指定した場合、ネットワーク設定が initrd
に適用されます。
RHEL は、ネットワーク設定を適用する間に、network
および network-online
ターゲットと NetworkManager-wait-online
サービスを使用します。また、これらのサービスを動的にリロードできない場合には、ネットワークが完全に利用可能になった後に systemd
サービスを起動するように設定できます。
39.1. systemd ターゲット network と network-online の違い
Systemd は、ターゲットユニット network
および network-online
を維持します。NetworkManager-wait-online.service
などの特殊ユニットは、WantedBy=network-online.target
パラメーターおよび Before=network-online.target
パラメーターを持ちます。有効にすると、このようなユニットは network-online.target
で開始し、一部の形式のネットワーク接続が確立されるまでターゲットに到達させるよう遅延します。ネットワークが接続されるまで、network-online
ターゲットが遅延します。
network-online
ターゲットはサービスを開始します。これにより、実行の遅延が大幅に増加します。Systemd は、このターゲットユニットの Wants
パラメーターおよび After
パラメーターの依存関係を、$network
ファシリティーを参照する Linux Standard Base (LSB) ヘッダーを持つすべての System V(SysV) init
スクリプトサービスユニットに自動的に追加します。LSB ヘッダーは、init
スクリプトのメタデータです。これを使用して依存関係を指定できます。これは systemd
ターゲットに似ています。
network
ターゲットは、起動プロセスの実行を大幅に遅らせません。network
ターゲットに到達すると、ネットワークの設定を行うサービスが開始していることになります。ただし、ネットワークデバイスが設定されているわけではありません。このターゲットは、システムのシャットダウン時に重要です。たとえば、起動中に network
ターゲットの後に順序付けされたサービスがあると、この依存関係はシャットダウン中に元に戻されます。サービスが停止するまで、ネットワークは切断されません。リモートネットワークファイルシステムのすべてのマウントユニットは、network-online
ターゲットユニットを自動的に起動し、その後に自身を置きます。
network-online
ターゲットユニットは、システムの起動時にのみ役に立ちます。システムの起動が完了すると、このターゲットがネットワークのオンライン状態を追跡しなくなります。したがって、network-online
を使用してネットワーク接続を監視することはできません。このターゲットは、1 回限りのシステム起動の概念を提供します。
39.2. NetworkManager-wait-online の概要
NetworkManager-wait-online
サービスは、ネットワークを設定するタイムアウトで待機します。このネットワーク設定には、イーサネットデバイスへのプラグイン、Wi-Fi デバイスのスキャンなどが含まれます。NetworkManager は、自動的に起動するように設定された適切なプロファイルを自動的にアクティブにします。DHCP のタイムアウトや同様のイベントによる自動アクティベーションプロセスが失敗しても、NetworkManager が長時間ビジー状態を維持される可能性があります。設定によっては、NetworkManager は同じプロファイルまたは別のプロファイルのアクティブ化を再試行します。
起動が完了すると、すべてのプロファイルが非接続状態になるか、正常にアクティブ化されます。プロファイルを自動接続するように設定できます。以下は、タイムアウトを設定したり、接続がアクティブとみなされるタイミングを定義するいくつかのパラメーター例です。
-
connection.wait-device-timeout
: ドライバーがデバイスを検出するためのタイムアウトを設定します。 -
ipv4.may-fail
およびipv6.may-fail
: 1 つの IP アドレスファミリーの準備ができている状態でアクティベーションを設定します。または、特定のアドレスファミリーが設定を完了する必要があるかを設定します。 -
ipv4.gateway-ping-timeout
: アクティベーションを遅延します。
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
39.3. ネットワークの開始後に systemd サービスが起動する設定
Red Hat Enterprise Linux は、systemd
サービスファイルを /usr/lib/systemd/system/
ディレクトリーにインストールします。この手順では、/etc/systemd/system/<service_name>.service.d/
内のサービスファイル用のドロップインスニペットを作成します。このスニペットは、ネットワークがオンラインになった後に特定のサービスを起動するために、/usr/lib/systemd/system/
内のサービスファイルと一緒に使用します。ドロップインスニペットの設定が、/usr/lib/systemd/system/
内のサービスファイルにある値と重複する場合は、優先度が高くなります。
手順
エディターでサービスファイルを開きます。
# systemctl edit <service_name>
以下を入力し、変更を保存します。
[Unit] After=network-online.target
systemd
サービスを再読み込みします。# systemctl daemon-reload
第40章 Nmstate の概要
nmstate は宣言型のネットワークマネージャー API です。Nmstate を使用する場合、YAML または JSON 形式の命令を使用して想定されるネットワーク状態を記述します。
Nmstate には多くの利点があります。たとえば、以下のようになります。
- 安定性と拡張可能なインターフェイスを提供して RHEL ネットワーク機能を管理する。
- ホストおよびクラスターレベルでのアトミックおよびトランザクション操作をサポートする。
- ほとんどのプロパティーの部分編集をサポートし、この手順で指定されていない既存の設定を保持する。
Nmstate は次のパッケージで構成されています。
パッケージ | 内容 |
---|---|
|
|
|
|
| Nmstate C ライブラリー |
| Nmstate C ライブラリーヘッダー |
40.1. Python アプリケーションでの libnmstate ライブラリーの使用
libnmstate
Python ライブラリーを使用すると、開発者は独自のアプリケーションで Nmstate を使用できます。
ライブラリーを使用するには、ソースコードにインポートします。
import libnmstate
このライブラリーを使用するには、nmstate
および python3-libnmstate
パッケージをインストールする必要があることに注意してください。
例40.1 libnmstate ライブラリーを使用したネットワーク状態のクエリー
以下の Python コードは、libnmstate
ライブラリーをインポートし、利用可能なネットワークインターフェイスとその状態を表示します。
import libnmstate from libnmstate.schema import Interface net_state = libnmstate.show() for iface_state in net_state[Interface.KEY]: print(iface_state[Interface.NAME] + ": " + iface_state[Interface.STATE])
40.2. nmstatectl
を使用した現在のネットワーク設定の更新
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、1 つまたはすべてのインターフェイスの現在のネットワーク設定をファイルに保存できます。このファイルを使用して、以下を行うことができます。
- 設定を変更し、同じシステムに適用します。
- 別のホストにファイルをコピーし、同じまたは変更された設定でホストを設定します。
たとえば、enp1s0
インターフェイスの設定をファイルにエクスポートして、設定を変更し、その設定をホストに適用することができます。
前提条件
-
nmstate
パッケージがインストールされている。
手順
enp1s0
インターフェイスの設定を~/network-config.yml
ファイルにエクスポートします。# nmstatectl show enp1s0 > ~/network-config.yml
このコマンドにより、
enp1s0
の設定が YAML 形式で保存されます。JSON 形式で出力を保存するには、--json
オプションをコマンドに渡します。インターフェイス名を指定しない場合、
nmstatectl
はすべてのインターフェイスの設定をエクスポートします。-
テキストエディターで
~/network-config.yml
ファイルを変更して、設定を更新します。 ~/network-config.yml
ファイルからの設定を適用します。# nmstatectl apply ~/network-config.yml
JSON 形式で設定をエクスポートしている場合は、
--json
オプションをコマンドに渡します。
40.3. nmstate systemd サービス
nmstate
systemd
サービスを設定することで、Red Hat Enterprise Linux システムの起動時に新しいネットワーク設定を自動的に適用できます。
nmstate
パッケージをインストールすると、Nmstate 命令を含む *.yml
ファイルを /etc/nmstate/
ディレクトリーに保存できます。nmstate
サービスは、次回の再起動時、またはサービスを手動で再起動したときに、ファイルを自動的に適用します。Nmstate はファイルを正常に適用した後、サービスが同じファイルを再度処理しないように、ファイルの .yml
接尾辞の名前を .applied
に変更します。
nmstate
サービスは、oneshot
systemd
サービスです。したがって、systemd
は、システムの起動時とサービスを手動で再起動したときにのみ、これを実行します。
デフォルトでは、nmstate
サービスは無効になっています。これを有効にするには systemctl enable nmstate
コマンドを使用します。その後、systemd
は、システムが起動するたびにこのサービスを実行します。
40.4. network
RHEL システムロールのネットワーク状態
network
RHEL システムロールは、Playbook でデバイスを設定するための状態設定をサポートしています。これには、network_state
変数の後に状態設定を使用します。
Playbook で network_state
変数を使用する利点:
- 状態設定で宣言型の方法を使用すると、インターフェイスを設定でき、NetworkManager はこれらのインターフェイスのプロファイルをバックグラウンドで作成します。
-
network_state
変数を使用すると、変更が必要なオプションを指定できます。他のすべてのオプションはそのまま残ります。ただし、network_connections
変数を使用して、ネットワーク接続プロファイルを変更するには、すべての設定を指定する必要があります。
network_state
では Nmstate YAML 命令のみを設定できます。この命令は、network_connections
で設定できる変数とは異なります。
たとえば、動的 IP アドレス設定でイーサネット接続を作成するには、Playbook で次の vars
ブロックを使用します。
状態設定を含む Playbook | 通常の Playbook |
vars: network_state: interfaces: - name: enp7s0 type: ethernet state: up ipv4: enabled: true auto-dns: true auto-gateway: true auto-routes: true dhcp: true ipv6: enabled: true auto-dns: true auto-gateway: true auto-routes: true autoconf: true dhcp: true |
vars: network_connections: - name: enp7s0 interface_name: enp7s0 type: ethernet autoconnect: yes ip: dhcp4: yes auto6: yes state: up |
たとえば、上記のように作成した動的 IP アドレス設定の接続ステータスのみを変更するには、Playbook で次の vars
ブロックを使用します。
状態設定を含む Playbook | 通常の Playbook |
vars: network_state: interfaces: - name: enp7s0 type: ethernet state: down |
vars: network_connections: - name: enp7s0 interface_name: enp7s0 type: ethernet autoconnect: yes ip: dhcp4: yes auto6: yes state: down |
関連情報
-
/usr/share/ansible/roles/rhel-system-roles.network/README.md
ファイル -
/usr/share/doc/rhel-system-roles/network/
ディレクトリー
第41章 ネットワークパケットのキャプチャー
ネットワークの問題と通信をデバッグするには、ネットワークパケットをキャプチャーできます。以下のセクションでは、ネットワークパケットのキャプチャーに関する手順と追加情報を提供します。
41.1. XDP プログラムがドロップしたパケットを含むネットワークパケットをキャプチャーするために xdpdump を使用
xdpdump
ユーティリティーは、ネットワークパケットをキャプチャーします。tcpdump
ユーティリティーとは異なり、xdpdump
はこのタスクに extended Berkeley Packet Filter(eBPF) プログラムを使用します。これにより、xdpdump
は Express Data Path (XDP) プログラムによりドロップされたパケットをキャプチャーできます。tcpdump
などのユーザー空間ユーティリティーは、この削除されたパッケージや、XDP プログラムによって変更された元のパケットをキャプチャーできません。
xdpdump
を使用して、インターフェイスにすでに割り当てられている XDP プログラムをデバッグすることができます。したがって、ユーティリティーは、XDP プログラムを起動し、終了する前にパケットをキャプチャーできます。後者の場合、xdpdump
は XDP アクションもキャプチャーします。デフォルトでは、xdpdump
は XDP プログラムのエントリーで着信パケットをキャプチャーします。
AMD および Intel 64 ビット以外のアーキテクチャーでは、xdpdump
ユーティリティーはテクノロジープレビュー機能としてのみ提供されます。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされておらず、機能的に完全ではない可能性があるため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。テクノロジープレビュー機能では、最新の製品機能をいち早く提供します。これにより、お客様は開発段階で機能をテストし、フィードバックを提供できます。
テクノロジープレビュー機能のサポート範囲は、Red Hat カスタマーポータルの テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
xdpdump
には、パケットフィルターまたはデコード機能がないことに注意してください。ただし、パケットのデコードに tcpdump
と組み合わせて使用できます。
前提条件
- XDP プログラムをサポートするネットワークドライバー。
-
XDP プログラムが
enp1s0
インターフェイスに読み込まれている。プログラムが読み込まれていない場合は、xdpdump
が後方互換性としてtcpdump
と同様にパケットをキャプチャーします。
手順
enp1s0
インターフェイスでパケットをキャプチャーして、/root/capture.pcap
ファイルに書き込むには、次のコマンドを実行します。# xdpdump -i enp1s0 -w /root/capture.pcap
- パケットの取得を停止するには、Ctrl+C を押します。
関連情報
-
システム上の
xdpdump(8)
man ページ -
開発者であり、
xdpdump
のソースコードに関心がある場合は、Red Hat カスタマーポータルから対応するソース RPM (SRPM) をダウンロードしてインストールします。
41.2. 関連情報
- How to capture network packets with tcpdump?(Red Hat ナレッジベース)
第42章 RHEL 9 の eBPF ネットワーク機能について
eBPF (extended Berkeley Packet Filter) は、カーネル領域でのコード実行を可能にするカーネル内の仮想マシンです。このコードは、限られた一連の関数にのみアクセスできる制限付きサンドボックス環境で実行されます。
ネットワークでは、eBPF を使用してカーネルパケット処理を補完したり、置き換えることができます。使用するフックに応じて、eBPF プログラムには以下のような記述があります。
- パケットデータおよびメタデータへの読み取りおよび書き込みアクセス
- ソケットとルートを検索できる
- ソケットオプションを設定できる
- パケットをリダイレクト可能
42.1. RHEL 9 におけるネットワーク eBPF 機能の概要
eBPF (extended Berkeley Packet Filter) ネットワークプログラムは、RHEL の以下のフックに割り当てることができます。
- eXpress Data Path (XDP): カーネルネットワークスタックが受信したパケットを処理する前に、このパケットへの早期アクセスを提供します。
-
tc
eBPF 分類子 (direct-action フラグ): ingress および egress で強力なパケット処理を提供します。プログラムは、qdisc
階層内の direct-action フラグを使用して eBPF 分類子として割り当てることも、リンクベースのtcx
API を使用して割り当てることもできます。 - Control Groups version 2 (cgroup v2): コントロールグループ内のプログラムが実行するソケットベースの操作のフィルタリングおよび上書きを有効にします。
- ソケットフィルタリング: ソケットから受信したパケットのフィルタリングを有効にします。この機能は、従来の Berkeley Packet Filter (cBPF) でも利用できますが、eBPF プログラムに対応するために拡張されました。
- ストリームパーサー : 個別のメッセージへのストリームの分散、フィルタリング、ソケットへのリダイレクトを有効にします。
-
SO_REUSEPORT
ソケットの選択:reuseport
ソケットグループから受信したソケットをプログラム可能な選択を提供します。 - flow dissector: 特定の状況でカーネルがパケットヘッダーを解析する方法をオーバーライドします。
- TCP 輻輳制御コールバック: カスタム TCP 輻輳制御アルゴリズムの実装を有効にします。
- カプセル化によるルート: カスタムのトンネルカプセル化の作成を有効にします。
XDP
BPF_PROG_TYPE_XDP
タイプのプログラムはネットワークインターフェイスに割り当てることができます。次にカーネルは、カーネルネットワークスタックが処理を開始する前に受信したパケットでプログラムを実行します。これにより、高速パケットドロップなど、特定の状況で高速なパケット転送が可能になり、負荷分散シナリオにおいて DDoS (Distributed Denial of Service) 攻撃や高速パケットリダイレクトを防ぐことができます。
さまざまな形式のパケット監視やサンプリングに XDP を使用することもできます。カーネルは、XDP プログラムはパケットを変更し、カーネルネットワークスタックへのさらなる処理を可能にします。
以下の XDP モードを使用できます。
- ネイティブ (ドライバー) XDP: カーネルは、パケット受信時に最速の可能点からプログラムを実行します。この時点で、カーネルはパケットを解析しなかったため、カーネルが提供するメタデータは利用できません。このモードでは、ネットワークインターフェイスドライバーが XDP をサポートしている必要がありますが、すべてのドライバーがこのネイティブモードをサポートするわけではありません。
- 汎用 XDP: カーネルネットワークスタックは、処理の初期段階で XDP プログラムを実行します。この時点で、カーネルデータ構造が割り当てられ、パケットを事前に処理しています。パケットをドロップまたはリダイレクトする必要がある場合は、ネイティブモードと比較して大きなオーバーヘッドが必要になります。ただし、汎用モードはネットワークインターフェイスドライバーのサポートを必要とせず、すべてのネットワークインターフェイスで機能します。
- オフロードされた XDP: カーネルは、ホストの CPU 上ではなく、ネットワークインターフェイスで XDP プログラムを実行します。これには特定のハードウェアが必要で、特定の eBPF 機能のみがこのモードで使用できることに注意してください。
RHEL で、libxdp
ライブラリーを使用してすべての XDP プログラムを読み込みます。このライブラリーは、XDP のシステム制御を可能にします。
現在、XDP プログラムにはシステム設定に制限があります。たとえば、受信側インターフェイスで特定のハードウェアオフロード機能を無効にする必要があります。また、ネイティブモードをサポートするすべてのドライバーで利用可能なわけではありません。
RHEL 9 では、libxdp
ライブラリーを使用してプログラムをカーネルにロードする場合にのみ、Red Hat は XDP 機能をサポートします。
AF_XDP
指定した AF_XDP
ソケットにパケットをフィルターしてリダイレクトする XDP プログラムを使用すると、AF_XDP
プロトコルファミリーから 1 つ以上のソケットを使用して、カーネルからユーザー空間にパケットを速やかにコピーできます。
トラフィック制御
Traffic Control (tc
) サブシステムは、以下のタイプの eBPF プログラムを提供します。
-
BPF_PROG_TYPE_SCHED_CLS
-
BPF_PROG_TYPE_SCHED_ACT
これらのタイプを使用すると、カスタム tc
分類子と tc
アクションを eBPF に記述できます。これは、tc
エコシステムの一部とともに、強力なパケット処理機能を提供します。また、複数のコンテナーネットワークオーケストレーションソリューションの中核となります。
多くの場合、direct-action フラグと同様に、eBPF 分類子は、同じ eBPF プログラムから直接アクションを実行できます。clsact
Queueing Discipline (qdisc
) は、Ingress 側でこれを有効にするように設計されています。
flow dissector の eBPF プログラムは、flower
などのその他の qdiscs
や tc
分類子の操作に影響を与える可能性があることに注意してください。
リンクベースの tcx
API は、qdisc
API とともに提供されます。これにより、アプリケーションが BPF プログラムの所有権を維持し、BPF プログラムが誤って削除されるのを防ぐことができます。また、tcx
API にはマルチプログラムサポートがあり、複数のアプリケーションが tc
レイヤーに BPF プログラムを並行して接続できます。
ソケットフィルター
複数のユーティリティーは、ソケットで受信されるパケットのフィルタリングに、従来の Berkeley Packet Filter (cBPF) を使用または使用しています。たとえば、tcpdump
ユーティリティーを使用すると、ユーザーは、どの tcpdump
を cBPF コードに変換するか、式を指定できます。
cBPF の代替として、カーネルは、同じ目的で BPF_PROG_TYPE_SOCKET_FILTER
タイプの eBPF プログラムを許可します。
コントロールグループ
RHEL では、cgroup に割り当てられる eBPF プログラムを複数使用できます。カーネルは、指定の cgroup のプログラムが操作を実行する際に、これらのプログラムを実行します。cgroups バージョン 2 のみを使用できます。
RHEL では、以下のネットワーク関連の cgroup eBPF プログラムが利用できます。
-
BPF_PROG_TYPE_SOCK_OPS
- カーネルは、さまざまな TCP イベントでこのプログラムーを呼び出します。プログラムは、カスタム TCP ヘッダーオプションなどを含め、カーネル TCP スタックの動作を調整できます。 -
BPF_PROG_TYPE_CGROUP_SOCK_ADDR
: カーネルは、connect
、bind
、sendto
、recvmsg
、getpeername
、およびgetsockname
の操作中にこのプログラムを呼び出します。このプログラムは、IP アドレスとポートを変更できます。これは、ソケットベースのネットワークアドレス変換 (NAT) を eBPF に実装する場合に便利です。 -
BPF_PROG_TYPE_CGROUP_SOCKOPT
: カーネルは、setsockopt
およびgetsockopt
操作時にこのプログラムを呼び出して、オプションの変更を可能にします。 -
BPF_PROG_TYPE_CGROUP_SOCK
: カーネルは、ソケットの作成時、ソケットの開放時、アドレスのバインド時にこのプログラムを呼び出します。これらのプログラムを使用して操作を許可または拒否するか、統計のソケット作成の検査のみを行います。 -
BPF_PROG_TYPE_CGROUP_SKB
: このプログラムは ingress および egress の個別のパケットをフィルターし、パケットを受信または拒否できます。 -
BPF_PROG_TYPE_CGROUP_SYSCTL
: このプログラムはシステム制御 (sysctl
) へのアクセスをフィルタリングできます。
ストリームパーサー
ストリームパーサーは、特別な eBPF マップに追加されるソケットのグループで動作します。次に、eBPF プログラムは、カーネルがこれらのソケットで受信または送信するパケットを処理します。
RHEL では、以下のストリームパーサー eBPF プログラムを利用できます。
-
BPF_PROG_TYPE_SK_SKB
: eBPF プログラムは、ソケットで受信したパケットを個別のメッセージに解析し、それらのメッセージを破棄するか、受け入れるか、別のソケットに送信するかをカーネルに指示します。 -
BPF_PROG_TYPE_SK_MSG
: このプログラムは egress メッセージをフィルタリングします。eBPF プログラムはパケットを解析し、承認または拒否します。
SO_REUSEPORT ソケットの選択
このソケットオプションを使用することで、複数のソケットを同じ IP アドレスとポートにバインドできます。eBPF がない場合、カーネルは接続ハッシュに基づいて受信ソケットを選択します。BPF_PROG_TYPE_SK_REUSEPORT
プログラムを使用すると、受信ソケットの選択が完全にプログラム可能になります。
Flow dissector
プロトコルの完全なデコードを待たずにカーネルがパケットヘッダーを処理する必要がある場合、これらは 破棄されます
。たとえば、これは、tc
サブシステム、ボンディングのルーティング、またはパケットのハッシュを計算する際に発生します。この場合、カーネルはパケットヘッダーを解析し、パケットヘッダーからの情報を使用して内部構造を埋めます。この内部解析は、BPF_PROG_TYPE_FLOW_DISSECTOR
プログラムを使用して置き換えることができます。RHEL の eBPF では、TCP および UDP を IPv4 および IPv6 上でのみ破棄できます。
TCP 輻輳制御
struct tcp_congestion_oops
コールバックを実装する BPF_PROG_TYPE_STRUCT_OPS
プログラムのグループを使用して、カスタム TCP 輻輳制御アルゴリズムを作成できます。この方法を実装するアルゴリズムは、ビルトインのカーネルアルゴリズムとともにシステムで利用できます。
カプセル化によるルート
以下のいずれかの eBPF プログラムタイプは、トンネルのカプセル化属性として、ルーティングテーブルのルートに割り当てることができます。
-
BPF_PROG_TYPE_LWT_IN
-
BPF_PROG_TYPE_LWT_OUT
-
BPF_PROG_TYPE_LWT_XMIT
このような eBPF プログラムの機能は特定のトンネル設定に限定され、汎用のカプセル化またはデシリアライズソリューションの作成はできません。
ソケットルックアップ
bind
システムコールの制限を回避するには、BPF_PROG_TYPE_SK_LOOKUP
タイプの eBPF プログラムを使用します。このようなプログラムは、新しい受信 TCP 接続のリスニングソケットまたは UDP パケットの非接続ソケットを選択できます。
42.2. RHEL 9 におけるネットワークカードごとの XDP 機能の概要
以下は、XDP 対応ネットワークカードと、それらで使用できる XDP 機能の概要です。
ネットワークカード | ドライバー | ベーシック | リダイレクト | ターゲット | HW オフロード | Zero-copy | Large MTU |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Amazon Elastic Network Adapter |
| はい | はい | はい [a] | いいえ | いいえ | いいえ |
aQuantia AQtion イーサネットカード |
| はい | はい | いいえ | いいえ | いいえ | いいえ |
Broadcom NetXtreme-C/E 10/25/40/50 gigabit Ethernet |
| はい | はい | はい [a] | いいえ | いいえ | はい |
Cavium Thunder Virtual function |
| はい | いいえ | いいえ | いいえ | いいえ | いいえ |
Google Virtual NIC (gVNIC) のサポート |
| はい | はい | はい | いいえ | はい | いいえ |
Intel® 10GbE PCI Express Virtual Function Ethernet |
| はい | いいえ | いいえ | いいえ | いいえ | いいえ |
Intel® 10GbE PCI Express adapters |
| はい | はい | はい [a] | いいえ | はい | はい [b] |
Intel® Ethernet Connection E800 Series |
| はい | はい | はい [a] | いいえ | はい | はい |
Intel® Ethernet Controller I225-LM/I225-V family |
| はい | はい | はい | いいえ | はい | はい [b] |
Intel® PCI Express Gigabit adapters |
| はい | はい | はい [a] | いいえ | いいえ | はい [b] |
Intel® Ethernet Controller XL710 Family |
| はい | はい | いいえ | はい | いいえ | |
Marvell OcteonTX2 |
| はい | はい | いいえ | いいえ | いいえ | |
Mellanox 5th generation network adapters (ConnectX series) |
| はい | はい | はい [c] | いいえ | はい | はい |
Mellanox Technologies 1/10/40Gbit Ethernet |
| はい | はい | いいえ | いいえ | いいえ | いいえ |
Microsoft Azure Network Adapter |
| はい | はい | はい | いいえ | いいえ | いいえ |
Microsoft Hyper-V virtual network |
| はい | はい | はい | いいえ | いいえ | いいえ |
Netronome® NFP4000/NFP6000 NIC [d] |
| はい | いいえ | いいえ | はい | はい | いいえ |
QEMU Virtio network |
| はい | はい | はい [a] | いいえ | いいえ | はい |
QLogic QED 25/40/100Gb Ethernet NIC |
| はい | はい | はい | いいえ | いいえ | いいえ |
STMicroelectronics Multi-Gigabit Ethernet |
| はい | はい | はい | いいえ | はい | いいえ |
Solarflare SFC9000/SFC9100/EF100-family |
| はい | はい | はい [c] | いいえ | いいえ | いいえ |
Universal TUN/TAP device |
| はい | はい | はい | いいえ | いいえ | いいえ |
Virtual ethernet pair device |
| はい | はい | はい | いいえ | いいえ | はい |
VMware VMXNET3 イーサネットドライバー |
| はい | はい | いいえ | いいえ | いいえ | |
Xen 準仮想ネットワークデバイス |
| はい | はい | はい | いいえ | いいえ | いいえ |
[a]
XDP プログラムがインターフェイスで読み込まれている場合にのみします。
[b]
送信側のみ。XDP 経由で大きなパケットを受信することはできません。
[c]
最大の CPU インデックス以上の XDP TX キューを複数割り当てる必要があります。
[d]
リストされている機能の一部は、Netronome® NFP3800 NIC では使用できません。
|
説明:
-
Basic: 基本的な戻りコード (
DROP
、PASS
、ABORTED
、およびTX
) をサポートします。 -
リダイレクト:
XDP_REDIRECT
戻りコードをサポートします。 -
ターゲット:
XDP_REDIRECT
戻りコードのターゲットになることができます。 - HW オフロード: XDP ハードウェアオフロードをサポートします。
-
zero-copy:
AF_XDP
プロトコルファミリーの zero-copy モードをサポートします。 - 大きな MTU: ページサイズより大きいパケットをサポートします。
第43章 BPF コンパイラーコレクションを使用したネットワークトレース
BPF コンパイラーコレクション (BCC) は、eBPF (extended Berkeley Packet Filter) プログラムの作成を容易にするライブラリーです。eBPF プログラムの主なユーティリティーは、オーバーヘッドやセキュリティー上の問題が発生することなく、オペレーティングシステムのパフォーマンスおよびネットワークパフォーマンスを分析することです。
BCC により、ユーザーは eBPF の技術詳細を把握する必要がなくなり、事前に作成した eBPF プログラムを含む bcc-tools
パッケージなど、多くの標準スタートポイントを利用できます。
eBPF プログラムは、ディスク I/O、TCP 接続、プロセス作成などのイベントでトリガーされます。プログラムがカーネルのセーフ仮想マシンで実行するため、カーネルがクラッシュしたり、ループしたり、応答しなくなることはあまりありません。
43.1. bcc-tools パッケージのインストール
bcc-tools
パッケージをインストールします。これにより、依存関係として BPF Compiler Collection (BCC) ライブラリーもインストールされます。
手順
bcc-tools
をインストールします。# dnf install bcc-tools
BCC ツールは、
/usr/share/bcc/tools/
ディレクトリーにインストールされます。
検証
インストールされたツールを検査します。
# ls -l /usr/share/bcc/tools/ ... -rwxr-xr-x. 1 root root 4198 Dec 14 17:53 dcsnoop -rwxr-xr-x. 1 root root 3931 Dec 14 17:53 dcstat -rwxr-xr-x. 1 root root 20040 Dec 14 17:53 deadlock_detector -rw-r--r--. 1 root root 7105 Dec 14 17:53 deadlock_detector.c drwxr-xr-x. 3 root root 8192 Mar 11 10:28 doc -rwxr-xr-x. 1 root root 7588 Dec 14 17:53 execsnoop -rwxr-xr-x. 1 root root 6373 Dec 14 17:53 ext4dist -rwxr-xr-x. 1 root root 10401 Dec 14 17:53 ext4slower ...
リスト内の
doc
ディレクトリーには、各ツールのドキュメントがあります。
43.2. カーネルの受け入れキューに追加された TCP 接続の表示
カーネルは、TCP 3 方向ハンドシェイクで ACK
パケットを受け取ると、カーネルは接続の状態が ESTABLISHED
に変更された後に SYN
キューから accept
キューに移動します。そのため、正常な TCP 接続だけがこのキューに表示されます。
tcpaccept
ユーティリティーは、eBPF 機能を使用して、カーネルが accept
キューに追加するすべての接続を表示します。このユーティリティーは、パケットをキャプチャーしてフィルタリングする代わりにカーネルの accept()
関数を追跡するため、軽量です。たとえば、一般的なトラブルシューティングには tcpaccept
を使用して、サーバーが許可した新しい接続を表示します。
手順
次のコマンドを実行して、カーネルの
許可
キューの追跡を開始します。# /usr/share/bcc/tools/tcpaccept PID COMM IP RADDR RPORT LADDR LPORT 843 sshd 4 192.0.2.17 50598 192.0.2.1 22 1107 ns-slapd 4 198.51.100.6 38772 192.0.2.1 389 1107 ns-slapd 4 203.0.113.85 38774 192.0.2.1 389 ...
カーネルが接続を受け入れるたびに、
tcpaccept
は接続の詳細を表示します。- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcpaccept(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcpaccept_example.txt
ファイル
43.3. 発信 TCP 接続試行の追跡
tcpconnect
ユーティリティーは、eBPF 機能を使用して発信 TCP 接続の試行を追跡します。ユーティリティーの出力には、失敗した接続も含まれます。
tcpconnect
ユーティリティーは、パケットを取得してフィルタリングするのではなく、カーネルの connect()
関数などを追跡するため、軽量です。
手順
以下のコマンドを入力し、すべての発信接続を表示する追跡プロセスを開始します。
# /usr/share/bcc/tools/tcpconnect PID COMM IP SADDR DADDR DPORT 31346 curl 4 192.0.2.1 198.51.100.16 80 31348 telnet 4 192.0.2.1 203.0.113.231 23 31361 isc-worker00 4 192.0.2.1 192.0.2.254 53 ...
カーネルが発信接続を処理するたびに、
tcpconnect
は、接続の詳細を表示します。- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcpconnect(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcpconnect_example.txt
ファイル
43.4. 発信 TCP 接続のレイテンシーの測定
TCP 接続のレイテンシーは、接続を確立するのにかかった時間です。通常、これには、アプリケーションのランタイムではなく、カーネル TCP/IP 処理およびネットワークのラウンドトリップタイムが含まれます。
tcpconnlat
ユーティリティーは、eBPF 機能を使用して、送信した SYN
パケットと受信した応答パケットの時間を測定します。
手順
発信接続のレイテンシーの測定を開始します。
# /usr/share/bcc/tools/tcpconnlat PID COMM IP SADDR DADDR DPORT LAT(ms) 32151 isc-worker00 4 192.0.2.1 192.0.2.254 53 0.60 32155 ssh 4 192.0.2.1 203.0.113.190 22 26.34 32319 curl 4 192.0.2.1 198.51.100.59 443 188.96 ...
カーネルが発信接続を処理するたびに、
tcpconnlat
は、カーネルが応答パケットを受信すると接続の詳細を表示します。- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcpconnlat(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcpconnlat_example.txt
ファイル
43.5. カーネルによって破棄された TCP パケットおよびセグメントの詳細の表示
tcpdrop
ユーティリティーを使用すると、管理者はカーネルによって破棄された TCP パケットおよびセグメントの詳細を表示できます。このユーティリティーを使用して、リモートシステムがタイマーベースの再送信を送信する可能性がある破棄されたパケットの高レートをデバッグします。ドロップされたパケットおよびセグメントの高レートは、サーバーのパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
リソース集約型のパケットを取得およびフィルタリングする代わりに、tcpdrop
ユーティリティーは eBPF 機能を使用してカーネルから直接情報を取得します。
手順
以下のコマンドを入力して、破棄された TCP パケットおよびセグメントの詳細表示を開始します。
# /usr/share/bcc/tools/tcpdrop TIME PID IP SADDR:SPORT > DADDR:DPORT STATE (FLAGS) 13:28:39 32253 4 192.0.2.85:51616 > 192.0.2.1:22 CLOSE_WAIT (FIN|ACK) b'tcp_drop+0x1' b'tcp_data_queue+0x2b9' ... 13:28:39 1 4 192.0.2.85:51616 > 192.0.2.1:22 CLOSE (ACK) b'tcp_drop+0x1' b'tcp_rcv_state_process+0xe2' ...
カーネルが TCP パケットとセグメントを破棄するたびに、
tcpdrop
は、破棄されたパッケージにつながるカーネルスタックトレースを含む接続の詳細を表示します。- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcpdrop(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcpdrop_example.txt
ファイル
43.6. TCP セッションのトレース
tcplife
ユーティリティーは eBPF を使用して、開いて閉じる TCP セッションを追跡し、出力を 1 行で出力してそれぞれを要約します。管理者は tcplife
を使用して、接続と転送されたトラフィック量を特定できます。
たとえば、ポート 22
(SSH) への接続を表示して、以下の情報を取得できます。
- ローカルプロセス ID (PID)
- ローカルプロセス名
- ローカルの IP アドレスおよびポート番号
- リモートの IP アドレスおよびポート番号
- 受信および送信トラフィックの量 (KB 単位)
- 接続がアクティブであった時間 (ミリ秒単位)
手順
次のコマンドを実行して、ローカルポート
22
への接続の追跡を開始します。# /usr/share/bcc/tools/tcplife -L 22 PID COMM LADDR LPORT RADDR RPORT TX_KB RX_KB MS 19392 sshd 192.0.2.1 22 192.0.2.17 43892 53 52 6681.95 19431 sshd 192.0.2.1 22 192.0.2.245 43902 81 249381 7585.09 19487 sshd 192.0.2.1 22 192.0.2.121 43970 6998 7 16740.35 ...
接続が閉じられるたびに、
tcplife
は接続の詳細を表示します。- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcplife(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcplife_example.txt
ファイル
43.7. TCP 再送信の追跡
tcpretrans
ユーティリティーは、ローカルおよびリモート IP アドレスおよびポート番号、再送信時の TCP 状態などの TCP 再送信の詳細を表示します。
このユーティリティーは eBPF 機能を使用するため、オーバーヘッドが非常に低くなります。
手順
以下のコマンドを使用して、TCP 再送信の詳細を表示します。
# /usr/share/bcc/tools/tcpretrans TIME PID IP LADDR:LPORT T> RADDR:RPORT STATE 00:23:02 0 4 192.0.2.1:22 R> 198.51.100.0:26788 ESTABLISHED 00:23:02 0 4 192.0.2.1:22 R> 198.51.100.0:26788 ESTABLISHED 00:45:43 0 4 192.0.2.1:22 R> 198.51.100.0:17634 ESTABLISHED ...
カーネルが TCP 再送信関数を呼び出すたびに、
tcpretrans
は、接続の詳細を表示します。- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcpretrans(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcpretrans_example.txt
ファイル
43.8. TCP 状態変更情報の表示
TCP セッション時に、TCP の状態が変わります。tcpstates
ユーティリティーは、eBPF 関数を使用してこれらの状態の変更を追跡し、各状態の期間を含む詳細を出力します。たとえば、tcpstates
を使用して、接続の初期化に時間がかかりすぎるかどうかを特定します。
手順
以下のコマンドを使用して、TCP 状態変更の追跡を開始します。
# /usr/share/bcc/tools/tcpstates SKADDR C-PID C-COMM LADDR LPORT RADDR RPORT OLDSTATE -> NEWSTATE MS ffff9cd377b3af80 0 swapper/1 0.0.0.0 22 0.0.0.0 0 LISTEN -> SYN_RECV 0.000 ffff9cd377b3af80 0 swapper/1 192.0.2.1 22 192.0.2.45 53152 SYN_RECV -> ESTABLISHED 0.067 ffff9cd377b3af80 818 sssd_nss 192.0.2.1 22 192.0.2.45 53152 ESTABLISHED -> CLOSE_WAIT 65636.773 ffff9cd377b3af80 1432 sshd 192.0.2.1 22 192.0.2.45 53152 CLOSE_WAIT -> LAST_ACK 24.409 ffff9cd377b3af80 1267 pulseaudio 192.0.2.1 22 192.0.2.45 53152 LAST_ACK -> CLOSE 0.376 ...
接続の状態が変更されるたびに、
tcpstates
は、更新された接続の詳細を含む新しい行を表示します。複数の接続が状態を同時に変更する場合は、最初の列 (
SKADDR
) のソケットアドレスを使用して、同じ接続に属するエントリーを判断します。- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcpstates(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcpstates_example.txt
ファイル
43.9. 特定のサブネットに送信された TCP トラフィックの要約および集計
tcpsubnet
ユーティリティーは、ローカルホストがサブネットに送信する IPv4 TCP トラフィックを要約し、固定の間隔で出力を表示します。このユーティリティーは、eBPF 機能を使用してデータを収集および要約して、オーバーヘッドを削減します。
デフォルトでは、tcpsubnet
は以下のサブネットのトラフィックを要約します。
-
127.0.0.1/32
-
10.0.0.0/8
-
172.16.0.0/12
-
192.0.2.0/24/16
-
0.0.0.0/0
最後のサブネット (0.0.0.0/0
) は catch-all オプションであることに注意してください。tcpsubnet
ユーティリティーは、この catch-all エントリーの最初の 4 つとは異なるサブネットのトラフィックをすべてカウントします。
192.0.2.0/24
および 198.51.100.0/24
サブネットのトラフィックをカウントするには、以下の手順に従います。他のサブネットへのトラフィックは 0.0.0.0/0
catch-all subnet entry で追跡されます。
手順
192.0.2.0/24
、198.51.100.0/24
、および他のサブネットに送信するトラフィック量の監視を開始します。# /usr/share/bcc/tools/tcpsubnet 192.0.2.0/24,198.51.100.0/24,0.0.0.0/0 Tracing... Output every 1 secs. Hit Ctrl-C to end [02/21/20 10:04:50] 192.0.2.0/24 856 198.51.100.0/24 7467 [02/21/20 10:04:51] 192.0.2.0/24 1200 198.51.100.0/24 8763 0.0.0.0/0 673 ...
このコマンドは、指定したサブネットのトラフィックを 1 秒ごとに 1 回ずつバイト単位で表示します。
- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcpsubnet(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcpsubnet.txt
ファイル
43.10. IP アドレスとポートによるネットワークスループットの表示
tcptop
ユーティリティーは、ホストがキロバイト単位で送受信する TCP トラフィックを表示します。レポートは自動的に更新され、アクティブな TCP 接続のみが含まれます。このユーティリティーは eBPF 機能を使用するため、オーバーヘッドは非常に低くなります。
手順
送受信トラフィックを監視するには、次のコマンドを実行します。
# /usr/share/bcc/tools/tcptop 13:46:29 loadavg: 0.10 0.03 0.01 1/215 3875 PID COMM LADDR RADDR RX_KB TX_KB 3853 3853 192.0.2.1:22 192.0.2.165:41838 32 102626 1285 sshd 192.0.2.1:22 192.0.2.45:39240 0 0 ...
コマンドの出力には、アクティブな TCP 接続のみが含まれます。ローカルシステムまたはリモートシステムが接続を閉じると、接続が出力に表示されなくなります。
- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcptop(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcptop.txt
ファイル
43.11. 確立された TCP 接続の追跡
tcptracer
ユーティリティーは、TCP 接続を接続、許可、および閉じるカーネル機能を追跡します。このユーティリティーは eBPF 機能を使用するため、オーバーヘッドが非常に低くなります。
手順
次のコマンドを実行して、トレースプロセスを開始します。
# /usr/share/bcc/tools/tcptracer Tracing TCP established connections. Ctrl-C to end. T PID COMM IP SADDR DADDR SPORT DPORT A 1088 ns-slapd 4 192.0.2.153 192.0.2.1 0 65535 A 845 sshd 4 192.0.2.1 192.0.2.67 22 42302 X 4502 sshd 4 192.0.2.1 192.0.2.67 22 42302 ...
カーネルが接続を開始し、受け入れ、または閉じるたびに、
tcptracer
は、接続の詳細を表示します。- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
tcptracer(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/tcptracer_example.txt
ファイル
43.12. IPv4 および IPv6 リッスン試行の追跡
solisten
ユーティリティーは、すべての IPv4 および IPv6 のリッスン試行を追跡します。最終的に失敗したり、接続を許可しないリスニングプログラムなど、リッスン試行を追跡します。このユーティリティーは、プログラムが TCP 接続をリッスンする場合にカーネルが呼び出される関数を追跡します。
手順
次のコマンドを実行して、リッスンする TCP 試行をすべて表示するトレースプロセスを開始します。
# /usr/share/bcc/tools/solisten PID COMM PROTO BACKLOG PORT ADDR 3643 nc TCPv4 1 4242 0.0.0.0 3659 nc TCPv6 1 4242 2001:db8:1::1 4221 redis-server TCPv6 128 6379 :: 4221 redis-server TCPv4 128 6379 0.0.0.0 ....
- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
solisten(9)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/solisten_example.txt
ファイル
43.13. ソフト割り込みのサービス時間の要約
softirqs
ユーティリティーは、ソフト割り込み (ソフト IRQ) に費やした時間を要約し、この時間を合計またはヒストグラムのディストリビューションとして表示します。このユーティリティーは、安定したトレースメカニズムであるカーネルトレースポイント irq:softirq_enter
および irq:softirq_exit
を使用します。
手順
以下のコマンドを実行して、
soft irq
イベント時間を追跡します。# /usr/share/bcc/tools/softirqs Tracing soft irq event time... Hit Ctrl-C to end. ^C SOFTIRQ TOTAL_usecs tasklet 166 block 9152 net_rx 12829 rcu 53140 sched 182360 timer 306256
- Ctrl+C を押して、追跡プロセスを停止します。
関連情報
-
システム上の
softirqs(8)
およびmpstat(1)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/softirqs_example.txt
ファイル
43.14. ネットワークインターフェイス上のパケットサイズとパケット数のまとめ
netqtop
ユーティリティーは、特定のネットワークインターフェイスの各ネットワークキュー上の受信 (RX) パケットと送信 (TX) パケットの属性に関する統計情報を表示します。統計情報には次のものが含まれます。
- 1 秒あたりのバイト数 (BPS)
- 1 秒あたりのパケット数 (PPS)
- 平均パケットサイズ
- 総パケット数
これらの統計情報を生成するために、netqtop
は、送信パケット net_dev_start_xmit
および受信パケット netif_receive_skb
のイベントを実行するカーネル関数をトレースします。
手順
2
秒間のバイトサイズの範囲内に含まれるパケット数を表示します。# /usr/share/bcc/tools/netqtop -n enp1s0 -i 2 Fri Jan 31 18:08:55 2023 TX QueueID avg_size [0, 64) [64, 512) [512, 2K) [2K, 16K) [16K, 64K) 0 0 0 0 0 0 0 Total 0 0 0 0 0 0 RX QueueID avg_size [0, 64) [64, 512) [512, 2K) [2K, 16K) [16K, 64K) 0 38.0 1 0 0 0 0 Total 38.0 1 0 0 0 0 ----------------------------------------------------------------------------- Fri Jan 31 18:08:57 2023 TX QueueID avg_size [0, 64) [64, 512) [512, 2K) [2K, 16K) [16K, 64K) 0 0 0 0 0 0 0 Total 0 0 0 0 0 0 RX QueueID avg_size [0, 64) [64, 512) [512, 2K) [2K, 16K) [16K, 64K) 0 38.0 1 0 0 0 0 Total 38.0 1 0 0 0 0 -----------------------------------------------------------------------------
-
Ctrl+C を押して
netqtop
を停止します。
関連情報
-
システム上の
netqtop(8)
man ページ -
/usr/share/bcc/tools/doc/netqtop_example.txt
第44章 すべての MAC アドレスからのトラフィックを受け入れるようにネットワークデバイスを設定
ネットワークデバイスは通常、コントローラーが受信するようにプログラムされているパケットを傍受して読み取ります。ネットワークデバイスを設定して、仮想スイッチまたはポートグループレベルのすべての MAC アドレスからのトラフィックを受け入れることができます。
このネットワークモードを使用すると、以下を行うことができます。
- ネットワーク接続の問題診断
- セキュリティー上の理由から、ネットワークアクティビティーの監視
- ネットワーク内のプライベートデータイントラントまたは侵入傍受
InfiniBand
を除くあらゆる種類のネットワークデバイスに対してこのモードを有効にできます。
44.1. 全トラフィックを受け入れるようなデバイスの一時設定
ip
ユーティリティーを使用して、MAC アドレスに関係なく、すべてのトラフィックを受け入れるようにネットワークデバイスを一時的に設定できます。
手順
必要に応じて、ネットワークインターフェイスを表示して、すべてのトラフィックを受信するインターフェイスを識別します。
# ip address show 1: enp1s0: <NO-CARRIER,BROADCAST,MULTICAST,UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state DOWN group default qlen 1000 link/ether 98:fa:9b:a4:34:09 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
デバイスを変更して、このプロパティーを有効または無効にします。
enp1s0
のaccept-all-mac-addresses
モードを有効にするには、以下のコマンドを実行します。# ip link set enp1s0 promisc on
enp1s0
のaccept-all-mac-address
モードを有効にするには、以下のコマンドを実行します。# ip link set enp1s0 promisc off
検証
accept-all-mac-addresses
モードが有効になっていることを確認します。# ip link show enp1s0 1: enp1s0: <NO-CARRIER,BROADCAST,MULTICAST,PROMISC,UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state DOWN mode DEFAULT group default qlen 1000 link/ether 98:fa:9b:a4:34:09 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
機器の説明の
PROMISC
フラグは、モードが有効であることを示しています。
44.2. nmcli
を使用してすべてのトラフィックを受け入れるようにネットワークデバイスを永続的に設定する
nmcli
ユーティリティーを使用して、MAC アドレスに関係なく、すべてのトラフィックを受け入れるようにネットワークデバイスを永続的に設定できます。
手順
必要に応じて、ネットワークインターフェイスを表示して、すべてのトラフィックを受信するインターフェイスを識別します。
# ip address show 1: enp1s0: <NO-CARRIER,BROADCAST,MULTICAST,UP> mtu 1500 qdisc fq_codel state DOWN group default qlen 1000 link/ether 98:fa:9b:a4:34:09 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff ...
接続がない場合は、新しい接続を作成できます。
ネットワークデバイスを変更して、このプロパティーを有効または無効にします。
enp1s0
のethernet.accept-all-mac-addresses
モードを有効にするには、以下のコマンドを実行します。# nmcli connection modify enp1s0 ethernet.accept-all-mac-addresses yes
enp1s0
のaccept-all-mac-address
モードを有効にするには、以下のコマンドを実行します。# nmcli connection modify enp1s0 ethernet.accept-all-mac-addresses no
変更を適用し、接続を再度アクティブにします。
# nmcli connection up enp1s0
検証
ethernet.accept-all-mac-addresses
モードが有効になっていることを確認します。# nmcli connection show enp1s0 ... 802-3-ethernet.accept-all-mac-addresses:1 (true)
この
802-3-ethernet.accept-all-mac-addresses: true
は、モードが有効であることを示しています。
44.3. nmstatectl
を使用してすべてのトラフィックを受け入れるようにネットワークデバイスを永続的に設定する
nmstatectl
ユーティリティーを使用して、Nmstate API を介して、MAC アドレスに関係なくすべてのトラフィックを受け入れるようにデバイスを設定します。Nmstate API は、設定を行った後、結果が設定ファイルと一致することを確認します。何らかの障害が発生した場合には、nmstatectl
は自動的に変更をロールバックし、システムが不正な状態のままにならないようにします。
前提条件
-
nmstate
パッケージがインストールされている。 -
デバイスの設定に使用した
enp1s0.yml
ファイルが利用できます。
手順
enp1s0
接続の既存のenp1s0.yml
ファイルを編集し、以下の内容を追加します。--- interfaces: - name: enp1s0 type: ethernet state: up accept -all-mac-address: true
これらの設定では、
enp1s0
デバイスがすべてのトラフィックを受け入れるように設定します。ネットワーク設定を適用します。
# nmstatectl apply ~/enp1s0.yml
検証
802-3-ethernet.accept-all-mac-addresses
モードが有効になっていることを確認します。# nmstatectl show enp1s0 interfaces: - name: enp1s0 type: ethernet state: up accept-all-mac-addresses: true ...
この
802-3-ethernet.accept-all-mac-addresses: true
は、モードが有効であることを示しています。
関連情報
-
システム上の
nmstatectl(8)
man ページ -
/usr/share/doc/nmstate/examples/
directory
第45章 nmcli
を使用したネットワークインターフェイスのミラーリング
ネットワーク管理者は、ポートミラーリングを使用して、あるネットワークデバイスから別のネットワークデバイスに通信中の受信および送信トラフィックを複製できます。インターフェイスのトラフィックのミラーリングは、次の状況で役に立ちます。
- ネットワークの問題をデバッグしてネットワークフローを調整する
- ネットワークトラフィックを検査および分析する
- 侵入を検出する
前提条件
- ネットワークトラフィックをミラーリングするネットワークインターフェイス。
手順
ネットワークトラフィックをミラーリングするネットワーク接続プロファイルを追加します。
# nmcli connection add type ethernet ifname enp1s0 con-name enp1s0 autoconnect no
10:
handle で egress (送信) トラフィックについて、prio
qdisc
をenp1s0
に割り当てます。# nmcli connection modify enp1s0 +tc.qdisc "root prio handle 10:"
子なしでアタッチされた
prio
qdisc
を使用すると、フィルターをアタッチできます。ffff:
ハンドルを使用して、イングレストラフィックのqdisc
を追加します。# nmcli connection modify enp1s0 +tc.qdisc "ingress handle ffff:"
次のフィルターを追加して、入力および出力
qdiscs
のパケットを照合し、それらをenp7s0
にミラーリングします。# nmcli connection modify enp1s0 +tc.tfilter "parent ffff: matchall action mirred egress mirror dev enp7s0" # nmcli connection modify enp1s0 +tc.tfilter "parent 10: matchall action mirred egress mirror dev enp7s0"
matchall
フィルターは、すべてのパケットを照合し、mirred
アクションではパケットを宛先にリダイレクトします。接続をアクティベートします。
# nmcli connection up enp1s0
検証
tcpdump
ユーティリティーをインストールします。# dnf install tcpdump
ターゲットデバイス (
enp7s0
) でミラーリングされたトラフィックを表示します。# tcpdump -i enp7s0
関連情報
-
How to capture network packets using
tcpdump
(Red Hat ナレッジベース)
第46章 nmstate-autoconf を使用した LLDP を使用したネットワーク状態の自動設定
ネットワークデバイスは、LLDP (Link Layer Discovery Protocol) を使用して、LAN でその ID、機能、およびネイバーを通知できます。nmstate-autoconf
ユーティリティーは、この情報を使用してローカルネットワークインターフェイスを自動的に設定できます。
nmstate-autoconf
ユーティリティーは、テクノロジープレビューとしてのみ提供されます。テクノロジープレビュー機能は、Red Hat 製品サポートのサービスレベルアグリーメント (SLA) ではサポートされておらず、機能的に完全ではない可能性があるため、Red Hat では実稼働環境での使用を推奨していません。テクノロジープレビュー機能では、最新の製品機能をいち早く提供します。これにより、お客様は開発段階で機能をテストし、フィードバックを提供できます。
テクノロジープレビュー機能のサポート範囲は、Red Hat カスタマーポータルの テクノロジープレビュー機能のサポート範囲 を参照してください。
46.1. nmstate-autoconf を使用したネットワークインターフェイスの自動設定
nmstate-autoconf
ユーティリティーは、LLDP を使用して、スイッチに接続されているインターフェイスの VLAN 設定を識別し、ローカルデバイスを設定します。
この手順では、以下のシナリオで、スイッチが LLDP を使用して VLAN 設定をブロードキャストすることを前提としています。
-
RHEL サーバーの
enp1s0
およびenp2s0
インターフェイスは、VLAN ID100
および VLAN 名prod-net
で設定されたスイッチポートに接続されています。 -
RHEL サーバーの
enp3s0
インターフェイスは、VLAN ID200
および VLAN 名mgmt-net
で設定されたスイッチポートに接続されています。
nmstate-autoconf
ユーティリティーは、この情報を使用して、サーバーに以下のインターフェイスを作成します。
-
bond100
-enp1s0
とenp2s0
がポートとして使用されるボンディングインターフェイス -
prod-net
-bond100
上の VLAN インターフェイスと VLAN ID100
-
mgmt-net
-enp3s0
上の VLAN インターフェイスと VLAN ID200
LLDP が同じ VLAN ID をブロードキャストする別のスイッチポートに複数のネットワークインターフェイスを接続する場合、nmstate-autoconf
はこのインターフェイスでボンディングを作成し、さらにその上に共通 VLAN ID を設定します。
前提条件
-
nmstate
パッケージがインストールされている。 - ネットワークスイッチで LLDP が有効になっている。
- イーサネットインターフェイスが稼働している。
手順
イーサネットインターフェイスで LLDP を有効にします。
以下の内容で、
~/enable-lldp.yml
などのファイルを作成します。interfaces: - name: enp1s0 type: ethernet lldp: enabled: true - name: enp2s0 type: ethernet lldp: enabled: true - name: enp3s0 type: ethernet lldp: enabled: true
設定をシステムに適用します。
# nmstatectl apply ~/enable-lldp.yml
LLDP を使用してネットワークインターフェイスを設定します。
必要に応じて、ドライランを起動して、
nmstate-autoconf
が生成する YAML 設定を表示し、確認します。# nmstate-autoconf -d enp1s0,enp2s0,enp3s0 --- interfaces: - name: prod-net type: vlan state: up vlan: base-iface: bond100 id: 100 - name: mgmt-net type: vlan state: up vlan: base-iface: enp3s0 id: 200 - name: bond100 type: bond state: up link-aggregation: mode: balance-rr port: - enp1s0 - enp2s0
nmstate-autoconf
を使用して、LLDP から受信した情報に基づいて設定を生成し、その設定をシステムに適用します。# nmstate-autoconf enp1s0,enp2s0,enp3s0
次のステップ
ネットワークに、インターフェイスに IP 設定を提供する DHCP サーバーがない場合は、手動で設定します。詳細は、以下を参照してください。
検証
各インターフェイスの設定を表示します。
# nmstatectl show <interface_name>
関連情報
-
システム上の
nmstate-autoconf(8)
man ページ
第47章 802.3 リンク設定
オートネゴシエーションは、IEEE 802.3u ファストイーサネットプロトコルの機能です。これは、リンク経由で情報交換を行うために、速度、デュプレックスモード、およびフロー制御の最適なパフォーマンスを提供するデバイスポートを対象としています。オートネゴシエーションプロトコルを使用すると、イーサネット経由でデータ転送のパフォーマンスが最適化されます。
オートネゴシエーションのパフォーマンスを最大限に活用するには、リンクの両側で同じ設定を使用します。
47.1. nmcli
ユーティリティーを使用した 802.3 リンクの設定
イーサネット接続の 802.3 リンクを設定するには、次の設定パラメーターを変更します。
-
802-3-ethernet.auto-negotiate
-
802-3-ethernet.speed
-
802-3-ethernet.duplex
手順
接続の現在の設定を表示します。
# nmcli connection show Example-connection ... 802-3-ethernet.speed: 0 802-3-ethernet.duplex: -- 802-3-ethernet.auto-negotiate: no ...
問題が発生した場合にパラメーターをリセットする必要がある場合は、これらの値を使用できます。
速度とデュプレックスリンクの設定を行います。
# nmcli connection modify Example-connection 802-3-ethernet.auto-negotiate yes 802-3-ethernet.speed 10000 802-3-ethernet.duplex full
このコマンドは、オートネゴシエーションを有効にし、接続の速度を
10000
Mbit フルデュプレックスに設定します。接続を再度アクティベートします。
# nmcli connection up Example-connection
検証
ethtool
ユーティリティーを使用して、イーサネットインターフェイスenp1s0
の値を確認します。# ethtool enp1s0 Settings for enp1s0: ... Speed: 10000 Mb/s Duplex: Full Auto-negotiation: on ... Link detected: yes
関連情報
-
システム上の
nm-settings(5)
man ページ
第48章 DPDK の使用
データプレーン開発キット (DPDK) は、ユーザー空間でのパケット処理を高速化するためのライブラリーとネットワークドライバーを提供します。
管理者は、たとえば仮想マシンで、SR-IOV (Single Root I/O Virtualization) を使用して、レイテンシーを減らして I/O スループットを増やします。
Red Hat は、実験的な DPDK API に対応していません。
48.1. dpdk パッケージのインストール
DPDK を使用するには、dpdk
パッケージをインストールします。
手順
dnf
ユーティリティーを使用して、dpdk
パッケージをインストールします。# dnf install dpdk
48.2. 関連情報
第49章 TIPC の使用
Cluster Domain Sockets
とも呼ばれる TIPC (Trans-process Communication) は、クラスター全体の操作の IPC (Inter-process Communication) サービスです。
高可用性環境および動的クラスター環境で実行されているアプリケーションには、特別なニーズがあります。クラスター内のノード数は異なる可能性があります。また、ルーターに障害が発生する可能性があります。負荷分散についての考慮事項により、クラスター内の異なるノードに機能が移行する可能性があります。TIPC は、アプリケーション開発者がこのような状況に対応する作業を最小限に抑え、適切かつ最適方法で処理される機会を最大化します。さらに、TIPC は TCP などの一般的なプロトコルよりも効率的で耐障害性のある通信を提供します。
49.1. TIPC のアーキテクチャー
TIPC は、TIPC とパケットトランスポートサービス (bearer
) を使用してアプリケーション間のレイヤーで、トランスポート、ネットワーク、およびシグナル側のリンク層を結び付けます。しかし、TIPC は異なるトランスポートプロトコルをベアラーとして使用することができるため、たとえば TCP 接続は TIPC シグナルリンクのベアラーとして機能できます。
TIPC は以下のベアラーをサポートします。
- イーサネット
- InfiniBand
- UDP プロトコル
TIPC は、すべての TIPC 通信のエンドポイントである TIPC ポート間で、信頼できるメッセージの転送を提供します。
以下は TIPC アーキテクチャーの図です。
49.2. システムの起動時の tipc モジュールの読み込み
TIPC プロトコルを使用するには、tipc
カーネルモジュールをロードする必要があります。システムの起動時にこのカーネルモジュールを自動的にロードするように Red Hat Enterprise Linux を設定できます。
手順
以下の内容で
/etc/modules-load.d/tipc.conf
ファイルを作成します。tipc
systemd-modules-load
サービスを再起動して、システムを再起動せずにモジュールを読み込みます。# systemctl start systemd-modules-load
検証
以下のコマンドを使用して、RHEL が
tipc
モジュールをロードしていることを確認します。# lsmod | grep tipc tipc 311296 0
このコマンドに、
tipc
モジュールのエントリーが表示されない場合は、RHEL がそのモジュールの読み込みに失敗しました。
関連情報
-
システム上の
modules-load.d(5)
man ページ
49.3. TIPC ネットワークの作成
TIPC ネットワークを作成するには、TIPC ネットワークに参加する各ホストでこの手順を実行します。
コマンドは、TIPC ネットワークを一時的に設定します。ノードに TIPC を永続的に設定するには、スクリプトでこの手順のコマンドを使用し、RHEL がシステムの起動時にそのスクリプトを実行するように設定します。
前提条件
-
tipc
モジュールがロードされている。詳細については、システム起動時の tipc モジュールのロードを参照してください。
手順
オプション: UUID またはノードのホスト名などの一意のノード ID を設定します。
# tipc node set identity host_name
アイデンティティーには、最大 16 の文字と数字から成る一意の文字列を使用できます。
この手順の後に ID を設定または変更することはできません。
ベアラーを追加します。たとえば、イーサネットを media として、
enp0s1
デバイスを物理ベアラーデバイスとして使用するには、次のコマンドを実行します。# tipc bearer enable media eth device enp1s0
- 必要に応じて、冗長性とパフォーマンスを向上させるには、前の手順でコマンドを使用してさらにベアラーをアタッチします。最高 3 つのベアラーを設定できますが、同じメディアでは 2 つ以上のビギナーを設定することができます。
- TIPC ネットワークに参加する必要のある各ノードで直前の手順を繰り返します。
検証
クラスターメンバーのリンクステータスを表示します。
# tipc link list broadcast-link: up 5254006b74be:enp1s0-525400df55d1:enp1s0: up
この出力は、ノード
5254006b74be
のベアラーenp1s0
とノード525400df55d1
のベアラーenp1s0
間の接続がup
になっていることを示します。TIPC 公開テーブルを表示します。
# tipc nametable show Type Lower Upper Scope Port Node 0 1795222054 1795222054 cluster 0 5254006b74be 0 3741353223 3741353223 cluster 0 525400df55d1 1 1 1 node 2399405586 5254006b74be 2 3741353223 3741353223 node 0 5254006b74be
-
サービスタイプ
0
の 2 つのエントリーは、2 つのノードがこのクラスターのメンバーであることを示しています。 -
サービスタイプ
1
のエントリーは、組み込みのトポロジーサービス追跡サービスを表します。 -
サービスタイプ
2
のエントリーには、発行したノードから表示されるリンクが表示されます。範囲の上限3741353223
は、ピアエンドポイントのアドレス (ノード ID に基づく一意の 32 ビットハッシュ値) を 10 進数の形式で表します。
-
サービスタイプ
関連情報
-
システム上の
tipc-bearer(8)
およびtipc-namespace(8)
man ページ
49.4. 関連情報
Red Hat は、他のベアラーレベルのプロトコルを使用して、トランスポートメディアに基づいてノード間の通信を暗号化することを推奨します。以下に例を示します。
- MACSec: Using MACsec to encrypt layer 2 traffic を参照してください。
- IPsec: IPsec を使用した VPN の設定 を参照してください。
-
TIPC の使用例の例として、
git clone git://git.code.sf.net/p/tipc/tipcutils
コマンドを使用してアップストリームの GIT リポジトリーのクローンを作成します。このリポジトリーには、デモのソースコードと TIPC 機能を使用するプログラムが同梱されています。このリポジトリーは Red Hat では提供していないことに注意してください。 -
kernel-doc
パッケージにより提供される/usr/share/doc/kernel-doc-<kernel_version>/Documentation/output/networking/tipc.html
第50章 nm-cloud-setup を使用してパブリッククラウドのネットワークインターフェイスを自動的に設定する
通常、仮想マシン (VM) には、DHCP によって設定可能なインターフェイスが 1 つだけあります。しかし、DHCP は、インターフェイス、IP サブネット、IP アドレスなど、複数のネットワークエンティティーを使用して仮想マシンを設定することはできません。また、仮想マシンインスタンスの実行中は設定を適用できません。この実行時設定の問題を解決するために、nm-cloud-setup
ユーティリティーはクラウドサービスプロバイダーのメタデータサーバーから設定情報を自動的に取得し、ホストのネットワーク設定を更新します。このユーティリティーは、複数のネットワークインターフェイス、複数の IP アドレス、または 1 つのインターフェイスの IP サブネットを自動的に取得し、実行中の仮想マシンインスタンスのネットワークを再設定するのに役立ちます。
50.1. nm-cloud-setup の設定と事前デプロイ
パブリッククラウドでネットワークインターフェイスを有効にして設定するには、nm-cloud-setup
をタイマーおよびサービスとして実行します。
Red Hat Enterprise Linux On Demand および AWS ゴールデンイメージでは、nm-cloud-setup
がすでに有効になっており、アクションは不要です。
前提条件
- ネットワーク接続が存在します。
接続は DHCP を使用します。
デフォルトでは、NetworkManager は DHCP を使用する接続プロファイルを作成します。
/etc/NetworkManager/NetworkManager.conf
でno-auto-default
パラメーターを設定したためにプロファイルが作成されなかった場合は、この初期接続を手動で作成します。
手順
nm-cloud-setup
パッケージをインストールします。# dnf install NetworkManager-cloud-setup
nm-cloud-setup
サービスのスナップインファイルを作成して実行します。次のコマンドを使用して、スナップインファイルの編集を開始します。
# systemctl edit nm-cloud-setup.service
設定を有効にするには、サービスを明示的に開始するか、システムを再起動することが重要です。
systemd
スナップインファイルを使用して、nm-cloud-setup
でクラウドプロバイダーを設定します。たとえば、Amazon EC2 を使用するには、次のように入力します。[Service] Environment=NM_CLOUD_SETUP_EC2=yes
次の環境変数を設定して、クラウドが使用できるようにすることができます。
-
NM_CLOUD_SETUP_AZURE
for Microsoft Azure -
NM_CLOUD_SETUP_EC2
for Amazon EC2 (AWS) -
NM_CLOUD_SETUP_GCP
for Google Cloud Platform(GCP) -
NM_CLOUD_SETUP_ALIYUN
for Alibaba Cloud (Aliyun)
-
- ファイルを保存して、エディターを終了します。
systemd
設定をリロードします。# systemctl daemon-reload
nm-cloud-setup
サービスを有効にして開始します。# systemctl enable --now nm-cloud-setup.service
nm-cloud-setup
タイマーを有効にして開始します。# systemctl enable --now nm-cloud-setup.timer
関連情報
-
システム上の
nm-cloud-setup(8)
man ページ - イーサネット接続の設定
50.2. RHEL EC2 インスタンスにおける IMDSv2 と nm-cloud-setup のロールについて
Amazon EC2 のインスタンスメタデータサービス (IMDS) を使用すると、実行中の Red Hat Enterprise Linux (RHEL) EC2 インスタンスのインスタンスメタデータにアクセスする権限を管理できます。RHEL EC2 インスタンスは、セッション指向の方式である IMDS バージョン 2 (IMDSv2) を使用します。nm-cloud-setup
ユーティリティーを使用すると、管理者はネットワークを再設定し、実行中の RHEL EC2 インスタンスの設定を自動的に更新できます。nm-cloud-setup
ユーティリティーは、ユーザーの介入なしで IMDSv2 トークンを使用して IMDSv2 API 呼び出しを処理します。
-
IMDS は、リンクローカルアドレス
169.254.169.254
で実行され、RHEL EC2 インスタンス上のネイティブアプリケーションへのアクセスを提供します。 - アプリケーションおよびユーザー用の各 RHEL EC2 インスタンスに IMDSv2 を指定して設定すると、IMDSv1 にはアクセスできなくなります。
- IMDSv2 を使用することにより、RHEL EC2 インスタンスは、IAM ロールを介してアクセス可能な状態を維持しながら、IAM ロールを使用せずにメタデータを維持します。
-
RHEL EC2 インスタンスが起動すると、
nm-cloud-setup
ユーティリティーが自動的に実行され、RHEL EC2 インスタンス API を使用するための EC2 インスタンス API アクセストークンが取得されます。
IMDSv2 トークンを HTTP ヘッダーとして使用して EC2 環境の詳細を確認してください。
関連情報
-
システム上の
nm-cloud-setup(8)
man ページ