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仮想化の設定および管理

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Red Hat Enterprise Linux 9

ホストのセットアップ、仮想マシンの作成と管理、仮想化機能の詳細

Red Hat Customer Content Services

概要

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) システムを仮想化ホストとして使用するには、このドキュメントの手順に従ってください。
提供される情報には以下が含まれます。
  • 仮想化の機能およびユースケース
  • コマンドラインユーティリティーと Web コンソールを使用して、ホストと仮想マシンを管理する方法
  • Intel 64、AMD64、IBM Z など、さまざまなシステムアーキテクチャーにおける仮想化のサポート制限

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第1章 RHEL における仮想化について

本章では、仮想化の概念や、Linux における仮想化の実装について参考になるように、RHEL 9 における仮想化の概要、基本な内容、利点、コンポーネントなど、Red Hat が提供する仮想化ソリューションを説明します。

1.1. 仮想化とは

RHEL 9 では 仮想化機能 が提供され、RHEL 9 を実行するマシンが、複数の仮想マシン (VM) (ゲスト とも呼ばれます) を ホスト できるようにします。仮想マシンは、ホストの物理ハードウェアとコンピューティングリソースを使用して、独立した仮想化オペレーティングシステム (ゲスト OS) を、ホストのオペレーティングシステムのユーザー空間プロセスとして実行します

つまり、仮想化により、オペレーティングシステム内にオペレーティングシステムを追加できます。

仮想マシンを使用すると、ソフトウェアの設定や機能を安全にテストしたり、レガシーソフトウェアを実行したり、ハードウェアのワークロードの効率を最適化したりできます。利点の詳細は、仮想化の利点 を参照してください。

仮想化の詳細は、仮想化のトピックページ を参照してください。

次のステップ

  • Red Hat Enterprise Linux 9 で仮想化の使用を開始するには、Red Hat Enterprise Linux 9 での 仮想化の有効化 を参照してください。
  • Red Hat は、Red Hat Enterprise Linux 9 の仮想化以外にも、専門化した仮想化ソリューションを多数提供しています。各ソリューションには、さまざまなユーザーフォーカスおよび機能があります。詳細は、Red Hat virtualization solutions を参照してください。

1.2. 仮想化の利点

仮想マシンの使用には、物理マシンを使用する場合と比較して、以下の利点があります。

  • リソースの柔軟性と詳細な割り当て

    仮想マシンは、通常、物理マシンであるホストマシンで稼働し、使用するゲスト OS に物理ハードウェアを割り当てることもできます。ただし、仮想マシンへの物理リソースの割り当てはソフトウェアレベルで行うため、柔軟性が非常に高くなります。仮想マシンは、ホストメモリー、CPU、またはストレージ領域で設定可能な割合を指定して、非常に詳細なリソース要求を指定できます。

    たとえば、ゲスト OS がディスクとして見るものは、ホストファイルシステムではファイルとして表示され、そのディスクのサイズは、物理ディスクで利用可能なサイズよりも少なくなります。

  • ソフトウェアで制御される設定

    仮想マシン全体の設定は、ホスト上のデータとして保存され、ソフトウェア制御下にあります。したがって、仮想マシンの作成、削除、クローン作成、移行、リモートからの操作、リモートストレージへの接続などを簡単に行うことができます。

  • ホストからの分離

    ゲスト OS は、ホストの OS とは別の仮想化カーネルで実行します。つまり、任意の OS を仮想マシンにインストールでき、ゲスト OS が不安定になっても、または不正アクセスされても、ホストには影響を及ぼしません。

  • 領域とコスト効率

    1 台の物理マシンで仮想マシンを多数ホストできます。したがって、複数の物理マシンが同じタスクを実行する必要がないため、物理ハードウェアに対する領域、電力、およびメンテナンスの要件が低くなります。

  • ソフトウェアの互換性

    仮想マシンは、ホストとは異なる OS を使用できるため、仮想化により、本来はホスト OS 用にリリースされていないアプリケーションを実行できるようになります。たとえば、RHEL 7 のゲスト OS を使用すると、RHEL 7 用にリリースされたアプリケーションを RHEL 9 ホストシステムで実行できます。

    注記

    RHEL 9 ホストでは、すべてのオペレーティングシステムがゲスト OS としてサポートされているわけではありません。詳細は、Recommended features in RHEL 9 virtualization を参照してください。

1.3. 仮想マシンコンポーネントおよびその相互作用

RHEL 9 の仮想化は、次の主要なソフトウェアコンポーネントで構成されています。

ハイパーバイザー

RHEL 9 で仮想マシンを作成する基礎となる部分は、ハードウェアを制御し、ホストマシンで複数のオペレーティングシステムを実行できるようにするソフトウェア層で、ハイパーバイザー と呼ばれます。

ハイパーバイザーには、KVM (Kernel-based Virtual Machine) モジュールと仮想化カーネルドライバーが含まれます。このコンポーネントでは、ホストマシンの Linux カーネルにより、ユーザー空間のソフトウェアに仮想化のリソースが提供されます。

ユーザー空間レベルでは、QEMU エミュレーターが、ゲスト OS を実行できる完全に仮想化されたハードウェアプラットフォームをシミュレートし、リソースがホストでどのように割り当てられ、ゲストに示されるかを管理します。

さらに、libvirt ソフトウェアスイートが管理層および通信層として機能し、QEMU とのやり取りを容易にし、セキュリティールールを適用し、仮想マシンを設定して実行するための追加ツールを多数提供します。

XML 設定

ホストベースの XML 設定ファイル (ドメイン XML ファイルとも呼ばれます) では、個別の仮想マシンの設定およびデバイスをすべて決定します。設定には以下が含まれます。

  • メタデータ (仮想マシンの名前、タイムゾーン、その他の仮想マシンの情報など)
  • 仮想マシンのデバイスの説明 (仮想 CPU (vCPU)、ストレージデバイス、入出力デバイス、ネットワークインターフェイスカード、その他の物理ハードウェアおよび仮想ハードウェアなど)
  • 仮想マシンの設定 (使用可能な最大メモリー量、再起動設定、仮想マシンの動作に関するその他の設定など)

XML 設定の内容の詳細は、仮想マシンの XML 設定例 を参照してください。

コンポーネントのインタラクション

仮想マシンが起動すると、ハイパーバイザーは XML 設定を使用して、ホストのユーザー空間プロセスとして仮想マシンのインスタンスを作成します。ハイパーバイザーは、仮想マシンプロセスが、ホストベースのインターフェイス (virsh ユーティリティー、virt-install ユーティリティー、guestfish ユーティリティー、Web コンソールの GUI など) にアクセスできるようにします。

このような仮想化ツールを使用すると、libvirt が、入力を QEMU の命令に変換します。QEMU が命令を KVM に伝え、カーネルが命令を実行するのに必要なリソースを適切に割り当てるようになります。これにより、QEMU が、仮想マシンの作成や修正、仮想マシンのオペレーティングシステムでのアクションの実行など、対応するユーザー空間を変更します。

注記

QEMU はアーキテクチャーの必須コンポーネントですが、セキュリティーに関する懸念があるため、RHEL 9 システムで直接使用することは意図されていません。したがって、Red Hat は、qemu-* コマンドをサポート対象外としており、libvirt を使用して QEMU と相互作用することを強く推奨します。

ホストベースのインターフェイスの詳細は、仮想管理に使用するツールおよびインターフェイス を参照してください。

図1.1 RHEL 9 の仮想アーキテクチャー

仮想アーキテクチャー

1.4. 仮想管理に使用するツールおよびインターフェイス

RHEL 9 の仮想化は、コマンドラインインターフェイス (CLI) または複数のグラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) を使用して管理できます。

コマンドラインインターフェイス

CLI は、RHEL 9 で仮想化を管理する最も強力な方法です。仮想マシン (VM) 管理用の CLI コマンドでは、以下のものがよく知られています。

  • virsh - 指定した引数に応じて、多種多様な目的を持つ多目的仮想コマンドラインユーティリティーおよびシェル。以下に例を示します。

    • 仮想マシンの起動およびシャットダウン - virsh start および virsh shutdown
    • 利用可能な仮想マシンのリスト表示 - virsh list
    • 設定ファイルからの仮想マシンの作成 - virsh create
    • 仮想化シェルの入力 - virsh

    詳細は、virsh(1) man ページを参照してください。

  • virt-install - 新しい仮想マシンを作成する CLI ユーティリティー。詳細は、virt-install(1) man ページを参照してください。
  • virt-xml - 仮想マシンの設定を編集するユーティリティー。
  • guestfish - 仮想マシンのディスクイメージを調べ、修正するユーティリティー。詳細は、guestfish(1) man ページを参照してください。

グラフィカルユーザーインターフェイス

以下の GUI を使用して、RHEL 9 で仮想化を管理できます。

  • RHEL 9 の Web コンソール (Cockpit とも呼ばれています) は、仮想マシンおよび仮想化ホストの管理用に、リモートからアクセスでき、簡単に使用できるグラフィカルユーザーインターフェイスを提供します。

    Web コンソールを使用した基本的な仮想化管理の手順については、Managing virtual machines in the web console を参照してください。

1.5. Red Hat の仮想化ソリューション

以下の Red Hat 製品は、RHEL 9 仮想化機能に構築されており、RHEL 9 で利用可能な KVM 仮想化機能を拡張します。また、RHEL 9 仮想化の制限 の多くが、このような製品には適用されません。

OpenShift Virtualization

KubeVirt テクノロジーに基づいて、OpenShift Virtualization は Red Hat OpenShift Container Platform の一部であり、仮想マシンをコンテナーで実行することができます。

OpenShift Virtualization の詳細は、Red Hat ハイブリッドクラウド のページを参照してください。

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP)

Red Hat OpenStack Platform は、安全で信頼性の高いパブリックまたはプライベートの OpenStack クラウドを作成、デプロイ、および拡張するための統合基盤を提供します。

Red Hat OpenStack Platform の詳細は、Red Hat カスタマーポータル または Red Hat OpenStack Platform ドキュメントスイート を参照してください。

注記

RHEL ではサポートされていませんが、他の Red Hat 仮想化ソリューションでサポートされている仮想化機能の詳細は、RHEL 9 仮想化で対応していない機能 を参照してください。

第2章 仮想化の有効化

RHEL 9 で仮想化を使用するには、仮想化パッケージをインストールして、仮想マシンをホストするようにシステムを設定する必要があります。これを行うための具体的な手順は、CPU アーキテクチャーによって異なります。

2.1. AMD64 および Intel 64 での仮想化の有効化

KVM ハイパーバイザーを設定し、RHEL 9 を実行している AMD64 または Intel 64 システムで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従います。

前提条件

  • Red Hat Enterprise Linux 9 が、ホストマシンに インストールされ登録されている
  • システムが仮想ホストとして機能するように、以下のハードウェア要件を満たしている。

    • ホストマシンのアーキテクチャーが KVM 仮想化 に対応している。
    • 最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。

      • ホスト用に 6 GB と、各仮想マシン用に 6 GB の空きディスク容量。
      • ホスト用に 2 GB と、各仮想マシン用に 2 GB の RAM。

手順

  1. 仮想化ハイパーバイザーパッケージをインストールします。

    # dnf install qemu-kvm libvirt virt-install virt-viewer
  2. 仮想化サービスを起動します。

    # for drv in qemu network nodedev nwfilter secret storage interface; do systemctl start virt${drv}d{,-ro,-admin}.socket; done

検証

  1. システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。

    # virt-host-validate
    [...]
    QEMU: Checking for device assignment IOMMU support         : PASS
    QEMU: Checking if IOMMU is enabled by kernel               : WARN (IOMMU appears to be disabled in kernel. Add intel_iommu=on to kernel cmdline arguments)
    LXC: Checking for Linux >= 2.6.26                          : PASS
    [...]
    LXC: Checking for cgroup 'blkio' controller mount-point    : PASS
    LXC: Checking if device /sys/fs/fuse/connections exists    : FAIL (Load the 'fuse' module to enable /proc/ overrides)
  2. virt-host-validate のすべての項目で PASS 値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成する 準備ができています。

    いずれかの項目で FAIL が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。

    いずれかの項目で WARN が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。

トラブルシューティング

  • KVM 仮想化がホスト CPU でサポートされていない場合は、virt-host-validate は以下の出力を生成します。

    QEMU: Checking for hardware virtualization: FAIL (Only emulated CPUs are available, performance will be significantly limited)

    ただし、このようなホストシステムにある仮想マシンは、パフォーマンス上の問題が発生するのではなく、起動に失敗します。

    これを回避するには、仮想マシンの XML 設定の <domain type> 値を qemu に変更します。ただし、Red Hat は qemu ドメインタイプを使用する仮想マシンに対応していないため、実稼働環境ではこれを設定しないことを強く推奨している点に注意してください。

2.2. IBM Z での仮想化の有効化

KVM ハイパーバイザーを設定し、RHEL 9 を実行している IBM Z システムで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従います。

前提条件

  • 最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。

    • ホスト用に 6 GB と、各仮想マシン用に 6 GB の空きディスク容量。
    • ホスト用に 2 GB と、各仮想マシン用に 2 GB の RAM。
    • ホスト上の 4 つの CPU通常、仮想マシンは、割り当てられた 1 つの vCPU で実行できますが、Red Hat は、高負荷時に仮想マシンが応答しなくならないように、仮想マシンごとに 2 つ以上の vCPU を割り当てることを推奨します。
  • IBM Z ホストシステムでは、z13 以降の CPU を使用している。
  • RHEL 9 が論理パーティション (LPAR) にインストールされている。また、LPAR が start-interpretive execution (SIE) 仮想機能に対応している。

    これを確認するには、/proc/cpuinfo ファイルで sie を検索します。

    # grep sie /proc/cpuinfo
    features        : esan3 zarch stfle msa ldisp eimm dfp edat etf3eh highgprs te sie

手順

  1. 仮想化パッケージをインストールします。

    # dnf install qemu-kvm libvirt virt-install
  2. 仮想化サービスを起動します。

    # for drv in qemu network nodedev nwfilter secret storage interface; do systemctl start virt${drv}d{,-ro,-admin}.socket; done

検証

  1. システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。

    # virt-host-validate
    [...]
    QEMU: Checking if device /dev/kvm is accessible             : PASS
    QEMU: Checking if device /dev/vhost-net exists              : PASS
    QEMU: Checking if device /dev/net/tun exists                : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller support       : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller mount-point   : PASS
    [...]
  2. virt-host-validate のすべての項目で PASS 値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成する 準備ができています。

    いずれかの項目で FAIL が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。

    いずれかの項目で WARN が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。

トラブルシューティング

  • KVM 仮想化がホスト CPU でサポートされていない場合は、virt-host-validate は以下の出力を生成します。

    QEMU: Checking for hardware virtualization: FAIL (Only emulated CPUs are available, performance will be significantly limited)

    ただし、このようなホストシステムにある仮想マシンは、パフォーマンス上の問題が発生するのではなく、起動に失敗します。

    これを回避するには、仮想マシンの XML 設定の <domain type> 値を qemu に変更します。ただし、Red Hat は qemu ドメインタイプを使用する仮想マシンに対応していないため、実稼働環境ではこれを設定しないことを強く推奨している点に注意してください。

2.3. ARM 64 での仮想化の有効化

RHEL 9 を実行する ARM 64 システム (AArch64 とも呼ばれます) 上で仮想マシン (VM) を作成するための KVM ハイパーバイザーをセットアップするには、以下の手順に従います。

前提条件

  • ホストシステムとゲストシステムは、64 KB のメモリーページサイズのカーネルを使用します。このようなカーネルを RHEL システムにインストールするには、ARM への Kernel-64k のインストール を参照してください。
  • 最低でも、以下のシステムリソースが利用できる。

    • ホスト用に 6 GB と、各ゲスト用に 6 GB の空きディスク容量
    • ホスト用に 4 GB の RAM と、対象のゲストごとにさらに 4 GB。

手順

  1. 仮想化パッケージをインストールします。

    # dnf install qemu-kvm libvirt virt-install
  2. 仮想化サービスを起動します。

    # for drv in qemu network nodedev nwfilter secret storage interface; do systemctl start virt${drv}d{,-ro,-admin}.socket; done

検証

  1. システムが仮想ホストとして準備されていることを確認します。

    # virt-host-validate
    [...]
    QEMU: Checking if device /dev/vhost-net exists              : PASS
    QEMU: Checking if device /dev/net/tun exists                : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller support       : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'memory' controller mount-point   : PASS
    [...]
    QEMU: Checking for cgroup 'blkio' controller support        : PASS
    QEMU: Checking for cgroup 'blkio' controller mount-point    : PASS
    QEMU: Checking if IOMMU is enabled by kernel                : WARN (Unknown if this platform has IOMMU support)
  2. virt-host-validate のすべての項目で PASS 値が返された場合は、システムに 仮想マシンを作成 できます。

    いずれかの項目で FAIL が返された場合は、表示される指示に従って問題を解決してください。

    いずれかの項目で WARN が返された場合は、表示される指示に従って仮想化機能を向上させることを検討してください。

次のステップ

2.4. 仮想マシンでの QEMU ゲストエージェント機能の有効化

RHEL 9 システムでホストされている仮想マシンの特定の機能を使用するには、まず QEMU ゲストエージェント (GA) を使用するように仮想マシンを設定する必要があります。

これらの機能の完全なリストについては、QEMU ゲストエージェントを必要とする仮想化機能 を参照してください。

仮想マシン上で QEMU GA を設定するために必要な具体的な手順は、仮想マシンが使用するゲストオペレーティングシステムによって異なります。

2.4.1. Linux ゲストでの QEMU ゲストエージェントの有効化

RHEL ホストが Linux 仮想マシン上で 特定の操作のサブセット を実行できるようにするには、QEMU ゲストエージェント (GA) を有効にする必要があります。

実行中の仮想マシンとシャットダウンした仮想マシンの両方で、QEMU GA を有効にできます。

手順

  1. QEMU GA の XML 設定ファイル (例: qemuga.xml) を作成します。

    # touch qemuga.xml
  2. ファイルに以下の行を追加します。

    <channel type='unix'>
       <source mode='bind' path='/var/lib/libvirt/qemu/f16x86_64.agent'/>
       <target type='virtio' name='org.qemu.guest_agent.0'/>
    </channel>
  3. XML ファイルを使用して、仮想マシンの設定に QEMU GA を追加します。

    • 仮想マシンが実行中の場合は、次のコマンドを使用します。

      # virsh attach-device <vm-name> qemuga.xml --live --config
    • 仮想マシンがシャットダウンされている場合は、次のコマンドを使用します。

      # virsh attach-device <vm-name> qemuga.xml --config
  4. Linux ゲストオペレーティングシステムで、QEMU GA をインストールします。

    # dnf install qemu-guest-agent
  5. ゲストで QEMU GA サービスを起動します。

    # systemctl start qemu-guest-agent

検証

QEMU GA が Linux 仮想マシンで有効化および実行されていることを確認するには、次のいずれかを実行します。

  • ゲストオペレーティングシステムで、systemctl status qemu-guest-agent | grep Loaded コマンドを使用します。出力に enabled が含まれる場合、仮想マシン上で QEMU GA がアクティブになっています。
  • ホストで virsh domfsinfo <vm-name> コマンドを使用します。何らかの出力が表示された場合、指定した仮想マシン上で QEMU GA がアクティブになっています。

2.4.2. Windows ゲストでの QEMU ゲストエージェントの有効化

RHEL ホストが Windows 仮想マシン上で 特定の操作のサブセット を実行できるようにするには、QEMU ゲストエージェント (GA) を有効にする必要があります。これを行うには、QEMU ゲストエージェントインストーラーを含むストレージデバイスを、既存の仮想マシンに追加するか、新しい仮想マシンを作成するときに追加し、Windows ゲストオペレーティングシステムにドライバーをインストールします。

グラフィカルインターフェイスを使用してゲストエージェント (GA) をインストールするには、以下の手順を参照してください。コマンドラインインターフェイスで GA をインストールするには、Microsoft Windows Installer (MSI) を使用してください。

前提条件

手順

  1. Windows ゲストオペレーティングシステムで、File Explorer アプリケーションを開きます。
  2. この PC をクリックします。
  3. デバイスおよびドライブ ペインで、virtio-win メディアを開きます。
  4. guest-agent フォルダーを開きます。
  5. 仮想マシンにインストールされているオペレーティングシステムに基づいて、次のいずれかのインストーラーを実行します。

    • 32 ビットオペレーティングシステムを使用している場合は、qemu-ga-i386.msi インストーラーを実行します。
    • 64 ビットオペレーティングシステムを使用している場合は、qemu-ga-x86_64.msi インストーラーを実行します。
  6. オプション: ホストと Windows ゲスト間の通信インターフェイスとして準仮想化シリアルドライバー (virtio-serial) を使用する場合は、virtio-serial ドライバーが Windows ゲストにインストールされていることを確認します。virtio ドライバーのインストールの詳細は、Windows ゲストへの virtio ドライバーのインストール を参照してください。

検証

  1. Windows 仮想マシンで、Services ウィンドウに移動します。

    Computer Management > Services

  2. QEMU Guest Agent のステータスが Running であることを確認します。

2.4.3. QEMU ゲストエージェントを必要とする仮想化機能

仮想マシン (VM) で QEMU ゲストエージェント (GA) を有効にすると、ホスト上で次のコマンドを使用して仮想マシンを管理できます。

virsh shutdown --mode=agent
このシャットダウン方法は、virsh shutdown --mode=acpi よりも信頼性が高くなります。これは、QEMU GA で使用する virsh shutdown は、確実にクリーンな状態で協調ゲストをシャットダウンするためです。
virsh domfsfreeze および virsh domfsthaw
ゲストファイルシステムを分離してフリーズします。
virsh domfstrim

ゲストにファイルシステムをトリミングするように指示します。これにより、移行中に転送する必要のあるデータを削減できます。

重要

このコマンドを使用して Linux 仮想マシンを管理する場合は、ゲストオペレーティングシステムで次の SELinux ブール値も設定する必要があります。

# setsebool virt_qemu_ga_read_nonsecurity_files on
virsh domtime
ゲストの時計をクエリーまたは設定します。
virsh setvcpus --guest
ゲストに CPU をオフラインにするように指示します。これは、CPU をホットアンプラグできない場合に便利です。
virsh domifaddr --source agent
QEMU GA を使用してゲストオペレーティングシステムの IP アドレスをクエリーします。たとえば、ゲストインターフェイスがホストインターフェイスに直接接続されている場合に便利です。
virsh domfsinfo
実行中のゲストにマウントされているファイルシステムのリストを表示します。
virsh set-user-password
ゲストの特定のユーザーアカウントのパスワードを設定します。
virsh set-user-sshkeys

ゲストの特定のユーザーの認可された SSH 鍵ファイルを編集します。

重要

このコマンドを使用して Linux 仮想マシンを管理する場合は、ゲストオペレーティングシステムで次の SELinux ブール値も設定する必要があります。

# setsebool virt_qemu_ga_manage_ssh on

第3章 仮想マシンの作成

RHEL 9 で仮想マシンを作成する場合は、コマンドラインインターフェイス または RHEL 9 Web コンソール を使用します。

3.1. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの作成

virt-install ユーティリティーを使用して、RHEL 9 ホストで仮想マシンを作成するには、以下の手順に従ってください。

前提条件

  • ホストシステムで仮想化が 有効 になっている。
  • ディスク領域、RAM、CPU など、仮想マシンに割り当てるのに十分なシステムリソースがある。推奨される値は、仮想マシンで行うタスクやワークロードにより大きく異なる可能性があります。
  • オペレーティングシステム (OS) のインストールソースがローカルまたはネットワークで利用できる。これには、次のいずれかを使用できます。

    • インストールメディアの ISO イメージ
    • 既存の仮想マシンインストールのディスクイメージ

      警告

      RHEL 9 では、ホストの CD-ROM デバイスまたは DVD-ROM デバイスからインストールすることができません。RHEL 9 で利用可能な仮想マシンのインストール方法を使用する際に、インストールソースに CD-ROM または DVD-ROM を選択するとインストールに失敗します。詳細は Red Hat ナレッジベース を参照してください。

      また、Red Hat は、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみをサポートしていることにも注意してください。

  • 任意: インストールをより速く、簡単に設定するために、キックスタートファイルを利用できます。

手順

仮想マシンを作成して OS のインストールを開始するには、以下の必須引数を指定して、virt-install コマンドを使用します。

  • --name: 新しいマシンの名前
  • --memory: 割り当てるメモリーの量
  • --vcpus: 割り当てる仮想 CPU の数
  • --disk: 割り当てるストレージのタイプとサイズ
  • --cdrom または --location: OS インストールソースのタイプと場所

選択したインストール方法に応じて、必要なオプションと値が異なります。例については、以下のコマンドを参照してください。

  • 次のコマンドでは、demo-guest1 という名前の仮想マシンを作成し、ローカルの /home/username/Downloads/Win10install.iso ファイルに保存されている ISO イメージから、Windows 10 OS をインストールします。この仮想マシンには、2048 MiB の RAM と 2 つの vCPU が割り当てられ、80 GiB の qcow2 仮想ディスクも自動的に割り当てられます。

    # virt-install \
        --name demo-guest1 --memory 2048 \
        --vcpus 2 --disk size=80 --os-variant win10 \
        --cdrom /home/username/Downloads/Win10install.iso
  • 次のコマンドは、demo-guest2 という名前の仮想マシンを作成し、/home/username/Downloads/rhel9.iso イメージを使用して、ライブ CD から RHEL 9 OS を実行します。この仮想マシンにはディスク領域が割り当てられないため、セッション中に行った変更は保持されません。また、仮想マシンには、4096 MiB の RAM と、4 つの vCPU が割り当てられます。

    # virt-install \
        --name demo-guest2 --memory 4096 --vcpus 4 \
        --disk none --livecd --os-variant rhel9.0 \
        --cdrom /home/username/Downloads/rhel9.iso
  • 次のコマンドは、demo-guest3 という名前の RHEL 9 仮想マシンを作成し、既存のディスクイメージ /home/username/backup/disk.qcow2 に接続します。これは、マシン間でハードドライブを物理的に移動するのと似ています。したがって、demo-guest3 で使用できる OS およびデータは、イメージが処理された方法により決定します。また、仮想マシンには、2048 MiB の RAM および 2 つの vCPU が割り当てられます。

    # virt-install \
        --name demo-guest3 --memory 2048 --vcpus 2 \
        --os-variant rhel9.0 --import \
        --disk /home/username/backup/disk.qcow2

    ディスクイメージをインポートする場合は、--os-variant オプションを使用することが強く推奨されます。このオプションを指定しないと、作成された仮想マシンのパフォーマンスに影響を及ぼします。

  • 次のコマンドは、demo-guest4 という名前の仮想マシンを作成し、URL http://example.com/OS-install からインストールします。インストールを開始するには、作業中の OS インストールツリーを URL に指定する必要があります。さらに、OS は、キックスタートファイル /home/username/ks.cfg で自動的に設定されます。この仮想マシンには、2048 MiB の RAM、2 つの vCPU、および 160 GiB の qcow2 仮想ディスクも割り当てられます。

    # virt-install \
        --name demo-guest4 --memory 2048 --vcpus 2 --disk size=160 \
        --os-variant rhel9.0 --location http://example.com/OS-install \
        --initrd-inject /home/username/ks.cfg --extra-args="inst.ks=file:/ks.cfg console=tty0 console=ttyS0,115200n8"

    さらに、ARM 64 ホスト上の RHEL 9 で demo-guest4 をホストする場合は、キックスタートファイルによって kernel-64k パッケージが確実にインストールされるように、次の行を追加します。

    %packages
    -kernel
    kernel-64k
    %end
  • 次のコマンドは、demo-guest5 という名前の仮想マシンを作成し、グラフィックスがない、テキストのみのモードである RHEL9.iso イメージファイルからインストールします。ゲストコンソールをシリアルコンソールに接続します。仮想マシンには、16384 MiB のメモリー、16 個の vCPU、および 280 GiB のディスクが割り当てられます。このようなインストールは、低速なネットワークリンクを介してホストに接続する際に便利です。

    # virt-install \
        --name demo-guest5 --memory 16384 --vcpus 16 --disk size=280 \
        --os-variant rhel9.0 --location RHEL9.iso \
        --graphics none --extra-args='console=ttyS0'
  • 次のコマンドは、demo-guest6 という名前の仮想マシンを作成します。この仮想マシンの設定は demo-guest5 と同じですが、リモートホスト 192.0.2.1 に置かれます。

    # virt-install \
        --connect qemu+ssh://root@192.0.2.1/system --name demo-guest6 --memory 16384 \
        --vcpus 16 --disk size=280 --os-variant rhel9.0 --location RHEL9.iso \
        --graphics none --extra-args='console=ttyS0'
  • 次のコマンドは、demo-guest-7 という名前の仮想マシンを作成します。この仮想マシンの設定は demo-guest5 と同じですが、ストレージとして DASD 仲介デバイス mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8 を使用し、デバイス番号 1111 を割り当てます。

    # virt-install \
        --name demo-guest7 --memory 16384 --vcpus 16 --disk size=280 \
        --os-variant rhel9.0 --location RHEL9.iso --graphics none \
        --disk none --hostdev mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8,address.type=ccw,address.cssid=0xfe,address.ssid=0x0,address.devno=0x1111,boot-order=1 \
        --extra-args 'rd.dasd=0.0.1111'

    インストールに利用可能な仲介デバイスの名前は、virsh nodedev-list --cap mdev コマンドを使用して取得できることに注意してください。

検証

  • 仮想マシンが問題なく作成されると、仮想マシンのグラフィカルコンソールで virt-viewer 画面が開き、ゲスト OS のインストールが開始します。

トラブルシューティング

  • virt-installcannot find default network エラーを出力する場合は、以下のようにします。

    • libvirt-daemon-config-network パッケージがインストールされていることを確認します。

      # {PackageManagerCommand} info libvirt-daemon-config-network
      Installed Packages
      Name         : libvirt-daemon-config-network
      [...]
    • libvirt のデフォルトネットワークがアクティブで、自動的に起動するように設定されていることを確認します。

      # virsh net-list --all
       Name      State    Autostart   Persistent
      --------------------------------------------
       default   active   yes         yes
    • そうでない場合は、デフォルトのネットワークをアクティブにし、自動起動に設定します。

      # virsh net-autostart default
      Network default marked as autostarted
      
      # virsh net-start default
      Network default started
      • デフォルトのネットワークをアクティベートしても以下のエラーが出て失敗する場合は、libvirt-daemon-config-network パッケージが正常にインストールされていません。

        error: failed to get network 'default'
        error: Network not found: no network with matching name 'default'

        この問題を修正するには、以下のコマンドで libvirt-daemon-config-network を再インストールします。

        # {PackageManagerCommand} reinstall libvirt-daemon-config-network
      • 以下のようなエラーでデフォルトのネットワークをアクティベートできない場合には、デフォルトネットワークのサブネットとホストの既存インターフェイスで競合が発生しています。

        error: Failed to start network default
        error: internal error: Network is already in use by interface ens2

        これを修正するには、virsh net-edit default コマンドを使用して、設定の 192.0.2.* の値を、ホストで使用していないサブネットに変更します。

3.2. Web コンソールを使用した仮想マシンの作成、およびゲストのオペレーティングシステムのインストール

RHEL 9 ホストの GUI で仮想マシンを管理するには、Web コンソールを使用します。次のセクションでは、RHEL 9 Web コンソールを使用して仮想マシンを作成し、仮想マシンにゲストオペレーティングシステムをインストールする方法を説明します。

3.2.1. Web コンソールを使用した仮想マシンの作成

RHEL 9 Web コンソールが接続しているホストマシン上に仮想マシン (VM) を作成するには、以下の手順を使用します。

前提条件

手順

  1. Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、Create VM をクリックします。

    Create new virtual machine ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの新規作成ダイアログボックスを表示しているイメージ
  2. 作成する仮想マシンの基本設定を入力します。

    • 名前 - 仮想マシンの名前
    • 接続 - セッションに付与される権限のレベル。詳細は、Web コンソールで関連するダイアログボックスをデプロイメントしてください。
    • インストールタイプ - インストールでは、ローカルのインストールメディア、URL、PXE ネットワークブート、クラウドベースイメージを使用したり、または限定されたオペレーティングシステムのセットからオペレーティングシステムをダウンロードしたりできます。
    • Operating system - 仮想マシン上で実行されているゲストオペレーティングシステム。Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。

      注記

      Web コンソールから Red Hat Enterprise Linux を直接ダウンロードしてインストールする場合は、Offline token フィールドにオフライントークンを追加する必要があります。

    • Storage - ストレージのタイプ。
    • Storage Limit - ストレージ領域の容量。
    • Memory - メモリーの容量。
  3. 仮想マシンを作成します。

    • 仮想マシンでオペレーティングシステムを自動的にインストールする場合は、Create and run をクリックします。
    • オペレーティングシステムをインストールする前に仮想マシンを編集する場合は、Create and edit をクリックします。

3.2.2. Web コンソールでディスクイメージをインポートして仮想マシンを作成する手順

RHEL 9 Web コンソールで既存の仮想マシンインストールのディスクイメージをインポートすることで、仮想マシン (VM) を作成できます。

前提条件

手順

  1. Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、Import VM をクリックします。

    Import a virtual machine ダイアログが表示されます。

    仮想マシンのインポートダイアログボックスを表示しているイメージ
  2. 作成する仮想マシンの基本設定を入力します。

    • 名前 - 仮想マシンの名前
    • ディスクイメージ - ホストシステム上の仮想マシンに存在するディスクイメージのパスです。
    • Operating system - 仮想マシンディスク上で実行されているオペレーティングシステム。Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。
    • Memory - 仮想マシンによる使用のために割り当てるメモリーの容量。
  3. 仮想マシンをインポートします。

    • 仮想マシン設定をさらに編集せずに仮想マシンにオペレーティングシステムをインストールするには、Import and run をクリックします。
    • オペレーティングシステムのインストール前に仮想マシン設定を編集するには、Import and edit をクリックします。

3.2.3. Web コンソールを使用したゲストのオペレーティングシステムのインストール

仮想マシンを初めて起動するときは、仮想マシンにオペレーティングシステムをインストールする必要があります。

注記

新しい仮想マシンを作成するときに Create and run または Import and run をクリックすると、仮想マシン作成時にオペレーティングシステムのインストールルーチンが自動的に開始されます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. Virtual Machines インターフェイスで、ゲスト OS をインストールする仮想マシンをクリックします。

    選択した仮想マシンの基本情報を含む新しいページが開き、仮想マシンのさまざまな側面を管理するための制御を行います。

    仮想マシンの詳細情報を表示するページ
  3. オプション: ファームウェアを変更します。

    注記

    新しい仮想マシンの作成時に Create and edit または Import and edit を選択し、かつ仮想マシンに OS がまだインストールされていない場合にのみ、ファームウェアを変更できます。

    + ..ファームウェアをクリックします。

    1. Change Firmware ウィンドウで、必要なファームウェアを選択します。
    2. Save をクリックします。
  4. インストール をクリックします。

    仮想マシンコンソールで、オペレーティングシステムのインストールルーチンが実行します。

トラブルシューティング

  • インストールルーチンが失敗した場合は、インストールを再度開始する前に、仮想マシンを削除して再作成します。

3.2.4. Web コンソールを使用したクラウドイメージ認証による仮想マシンの作成

デフォルトでは、ディストリビューションクラウドイメージにはログインアカウントがありません。ただし、RHEL Web コンソールを使用して、仮想マシンを作成し、root アカウントとユーザーアカウントのログイン認証情報を指定して、cloud-init に渡すことができるようになりました。

前提条件

  • RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。

    手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • ホストシステムで仮想化が 有効 になっている。
  • ディスク領域、RAM、CPU など、仮想マシンに割り当てるのに十分なシステムリソースがある。推奨される値は、仮想マシンで行うタスクやワークロードにより大きく異なる可能性があります。

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、Create VM をクリックします。

    仮想マシンの新規作成ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの新規作成ダイアログボックスを表示しているイメージ
  3. 名前 フィールドに、仮想マシンの名前を入力します。
  4. Details タブの Installation type フィールドで、Cloud base image を選択します。

    Create new virtual machine by using cloud-init ダイアログボックスを表示するイメージ。
  5. インストールソース フィールドで、ホストシステム上のイメージファイルへのパスを設定します。
  6. 作成する仮想マシンの設定を入力します。

    • オペレーティングシステム - 仮想マシンのオペレーティングシステム。Red Hat がサポートするのは、限られたゲストオペレーティングシステムのセット のみです。
    • ストレージ - 仮想マシンを設定するストレージの種類
    • ストレージのサイズ - 仮想マシンを設定するストレージ容量
    • メモリー - 仮想マシンを設定するメモリーのサイズ
  7. Automation タブをクリックします。

    クラウド認証の認証情報を設定します。

    • root パスワード - 仮想マシンの root パスワードを入力します。root パスワードを設定しない場合は、フィールドを空白のままにします。
    • ユーザーログイン - cloud-init ユーザーログインを入力します。ユーザーアカウントを作成しない場合は、このフィールドを空白のままにします。
    • ユーザーパスワード - パスワードを入力します。ユーザーアカウントを作成しない場合は、このフィールドを空白のままにします。

      Create new virtual machine ダイアログボックス の Automation タブを示すイメージ
  8. Create and run をクリックします。

    仮想マシンが作成されます。

第4章 仮想マシンの起動

RHEL 9 で仮想マシンを起動する場合は、コマンドインターフェイス または Web コンソール GUI を使用できます。

前提条件

  • 仮想マシンを起動する前に仮想マシンを作成しておく。理想としては、OS をインストールしておく。手順は、仮想マシンの作成 を参照してください。

4.1. コマンドラインインターフェイスでの仮想マシンの起動

コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して、シャットダウンした仮想マシン (VM) を起動するか、保存した仮想マシンを復元します。CLI を使用すると、ローカル仮想マシンとリモート仮想マシンの両方を起動できます。

前提条件

  • すでに定義されている非アクティブな仮想マシン
  • 仮想マシンの名前
  • リモート仮想マシンの場合は、以下も設定されている。

    • 仮想マシンが置かれているホストの IP アドレス
    • ホストへの root アクセス権限

手順

  • ローカルの仮想マシンには、virsh start ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは仮想マシン demo-guest1 を起動します。

    # virsh start demo-guest1
    Domain 'demo-guest1' started
  • リモートホストにある仮想マシンでは、ホストへの QEMU+SSH 接続と共に virsh start ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、ホスト 192.0.2.1 にある仮想マシン demo-guest1 を起動します。

    # virsh -c qemu+ssh://root@192.0.2.1/system start demo-guest1
    
    root@192.0.2.1's password:
    
    Domain 'demo-guest1' started

4.2. Web コンソールを使用した仮想マシンの起動

仮想マシンが 停止 状態にある場合は、RHEL 9 Web コンソールを使用して起動できます。ホストの起動時に、仮想マシンが自動的に起動するように設定することもできます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、起動する仮想マシンをクリックします。

    選択した仮想マシンの詳細情報を含む新しいページが開き、仮想マシンのシャットダウンおよび削除を制御できます。

  2. Run をクリックします。

    仮想マシンが起動し、そのコンソールまたはグラフィカル出力に接続 できます。

  3. オプション: ホスト起動時に仮想マシンが自動的に起動するように設定するには、Overview セクションの Autostart チェックボックスを切り替えます。

    libvirt が管理していないネットワークインターフェイスを使用する場合は、systemd 設定も変更する必要があります。そうしないと、影響を受ける仮想マシンが起動できなくなる可能性があります。starting virtual machines automatically when the host starts を参照してください。

4.3. ホストの起動時に仮想マシンを自動的に起動する

実行中の仮想マシン (VM) のホストが再起動すると、仮想マシンはシャットダウンされるため、デフォルトで手動で再起動する必要があります。ホストの実行中に仮想マシンがアクティブであることを確認するには、仮想マシンが自動的に起動するように設定できます。

手順

  1. virsh autostart ユーティリティーを使用して、ホストの起動時に仮想マシンが自動的に起動するように設定します。

    たとえば、次のコマンドは、demo-guest1 仮想マシンを自動的に起動するように設定します。

    # virsh autostart demo-guest1
    Domain 'demo-guest1' marked as autostarted
  2. libvirt が管理していないネットワークインターフェイスを使用する場合は、systemd 設定にも追加の変更を行う必要があります。これを行わないと、影響を受ける仮想マシンの起動に失敗する可能性があります。

    注記

    このようなインターフェイスには、以下の例が含まれます。

    • NetworkManager が作成したブリッジデバイス
    • <forward mode='bridge'/> を使用するように設定されたネットワーク
    1. systemd 設定ディレクトリーツリーに、virtqemud.service.d ディレクトリーが存在しない場合は作成します。

      # mkdir -p /etc/systemd/system/virtqemud.service.d/
    2. 以前に作成したディレクトリーに、10-network-online.conf systemd ユニットオーバーライドファイルを作成します。このファイルのコンテンツは、virtqemud サービスのデフォルトの systemd 設定を上書きします。

      # touch /etc/systemd/system/virtqemud.service.d/10-network-online.conf
    3. 10-network-online.conf ファイルに以下の行を追加します。この設定変更により、ホストのネットワークの準備ができてから、systemd が virtqemud サービスを起動するようになります。

      [Unit]
      After=network-online.target

検証

  1. 仮想マシンの設定を表示し、自動開始 オプションが有効になっていることを確認します。

    たとえば、次のコマンドは、自動開始 オプションなど、demo-guest1 仮想マシンの基本情報を表示します。

    # virsh dominfo demo-guest1
    Id:             2
    Name:           demo-guest1
    UUID:           e46bc81c-74e2-406e-bd7a-67042bae80d1
    OS Type:        hvm
    State:          running
    CPU(s):         2
    CPU time:       385.9s
    Max memory:     4194304 KiB
    Used memory:    4194304 KiB
    Persistent:     yes
    Autostart:      enable
    Managed save:   no
    Security model: selinux
    Security DOI:   0
    Security label: system_u:system_r:svirt_t:s0:c873,c919 (enforcing)
  2. libvirt が管理していないネットワークインターフェイスを使用する場合は、10-network-online.conf ファイルの内容が次の出力と一致するかどうかを確認してください。

    $ cat /etc/systemd/system/virtqemud.service.d/10-network-online.conf
    [Unit]
    After=network-online.target

関連情報

第5章 仮想マシンへの接続

RHEL 9 で仮想マシンと相互作用するには、以下のいずれかの方法で接続する必要があります。

接続先の仮想マシンがローカルホストではなくリモートホストにある場合は、リモートホストにより便利にアクセスできるように、システムを設定することもできます。

前提条件

5.1. Web コンソールを使用した仮想マシンとの相互作用

RHEL 9 Web コンソールで仮想マシンと相互作用するには、仮想マシンのコンソールに接続する必要があります。グラフィカルコンソールおよびシリアルコンソールの両方が含まれます。

5.1.1. Web コンソールで仮想マシンのグラフィカルコンソールの表示

仮想マシンのコンソールインターフェイスを使用すると、RHEL 9 Web コンソールに、選択した仮想マシンのグラフィカル出力を表示できます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシン インターフェイスで、グラフィカルコンソールを表示する仮想マシンをクリックします。

    仮想マシンの概要コンソールセクションがある新しいページが開きます。

  3. コンソールドロップダウンメニューで VNC コンソール を選択します。

    Web インターフェイスのメニューの下に VNC コンソールが表示されます。

    グラフィカルコンソールが Web インターフェイスに表示されます。

  4. Expand をクリックします。

    実際のマシンの場合と同じように、マウスとキーボードを使用して仮想マシンのコンソールと相互作用できるようになりました。仮想マシンコンソールには、仮想マシンで実行しているアクティビティーが表示されます。

注記

Web コンソールを実行しているホストで、特定の鍵の組み合わせ (Ctrl+Alt+Del など) を傍受して、仮想マシンに送信しないようにできます。

このようなキーの組み合わせを送信する場合は、キーの送信 メニューをクリックして、送信するキーシーケンスを選択します。

たとえば、仮想マシンに Ctrl+Alt+Del の組み合わせを送信するには、キーの送信 メニューをクリックして、Ctrl+Alt+F1 メニューエントリーを選択します。

トラブルシューティング

  • グラフィカルコンソールをクリックしても効果がない場合は、コンソールを全画面表示にします。これは、マウスカーソルオフセットの既知の問題です。

5.1.2. Web コンソールを使用して、リモートビューアーでグラフィカルコンソールを表示する方法

Web コンソールインターフェイスを使用して、選択した仮想マシンのグラフィカルコンソールを Virt Viewer などのリモートビューアーに表示することができます。

注記

Web コンソールから Virt Viewer を起動できます。他の VNC リモートビューアーは手動で起動できます。

前提条件

  • RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。

    手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • ホストおよび仮想マシンの両方が、グラフィカルインターフェイスに対応している。
  • Virt Viewer でグラフィカルコンソールを表示する前に、Web コンソールが接続しているマシンに Virt Viewer をインストールする必要があります。

    1. Launch remote viewer をクリックします。

      virt ビューアー (.vv) ファイルをダウンロードします。

    2. ファイルを開き、Virt Viewer を起動します。
注記

リモートビューアーは、ほとんどのオペレーティングシステムで使用できます。ブラウザーの拡張機能やプラグインによっては、Web コンソールで Virt Viewer を開けないことがあります。

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシン インターフェイスで、グラフィカルコンソールを表示する仮想マシンをクリックします。

    仮想マシンの概要コンソールセクションがある新しいページが開きます。

  3. コンソールドロップダウンメニューで デスクトップビューアー を選択します。

    仮想マシンインターフェイスの Console セクションとその他の仮想マシンの詳細を表示するページ。
  4. Launch Remote Viewer をクリックします。

    Virt Viewer でグラフィカルコンソールが開きます。

    実際のマシンの場合と同じように、マウスとキーボードを使用して仮想マシンのコンソールと相互作用できます。仮想マシンコンソールには、仮想マシンで実行しているアクティビティーが表示されます。

注記

Web コンソールを実行しているサーバーで、特定の鍵の組み合わせ (Ctrl+Alt+Del など) を傍受して、仮想マシンに送信しないようにできます。

このようなキーの組み合わせを送信する場合は、キーの送信 メニューをクリックして、送信するキーシーケンスを選択します。

たとえば、仮想マシンに Ctrl+Alt+F1 の組み合わせを送信するには、キーの送信 メニューをクリックして、Ctrl+Alt+F1 メニューエントリーを選択します。

トラブルシューティング

  • グラフィカルコンソールをクリックしても効果がない場合は、コンソールを全画面表示にします。これは、マウスカーソルオフセットの既知の問題です。
  • Web コンソールでリモートビューアーを起動することができない場合、または最適ではない場合は、以下のプロトコルを使用して、任意のビューアーアプリケーションに手動で接続できます。

    • アドレス - デフォルトのアドレスーは 127.0.0.1 です。/etc/libvirt/qemu.confvnc_listen パラメーターを変更して、ホストの IP アドレスに変更できます。
    • VNC ポート - 5901

5.1.3. Web コンソールで仮想マシンのシリアルコンソールの表示

RHEL 9 Web コンソールで、選択した仮想マシンのシリアルコンソールを表示できます。これは、グラフィカルインターフェイスでホストマシンまたは仮想マシンを設定していない場合に便利です。

シリアルコンソールの詳細は、Opening a virtual machine serial console を参照してください。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシンペインで、シリアルコンソールを表示する仮想マシンをクリックします。

    仮想マシンの概要コンソールセクションがある新しいページが開きます。

  3. コンソールドロップダウンメニューで シリアルコンソール を選択します。

    グラフィカルコンソールが Web インターフェイスに表示されます。

    仮想マシンのシリアルコンソールおよびその他の仮想マシンの詳細を表示するページ。

仮想マシンからシリアルコンソールへの接続を切断して、再接続できます。

  • 仮想マシンからシリアルコンソールへの接続を切断するには、Disconnect をクリックします。
  • シリアルコンソールを仮想マシンに再接続するには、Reconnect をクリックします。

5.1.4. Web コンソールで SPICE リモートディスプレイプロトコルを VNC に置き換える

RHEL 9 ホストでは、SPICE リモートディスプレイプロトコルのサポートが削除されました。SPICE プロトコルを使用するように設定された仮想マシン (VM) がある場合は、Web コンソールを使用して SPICE プロトコルを VNC プロトコルに置き換えることができます。そうしないと、仮想マシンが起動に失敗します。

ただし、オーディオや USB パススルーなどの一部の SPICE デバイスは、VNC プロトコルに適切な代替機能が存在しないため、仮想マシンから削除されます。詳細は、RHEL 9 の採用における考慮事項 を参照してください。

重要

デフォルトでは、RHEL 8 仮想マシンは SPICE プロトコルを使用するように設定されています。RHEL 9 ホストでは、SPICE から VNC に切り替えない限り、RHEL 8 仮想マシンは起動に失敗します。

前提条件

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • SPICE リモートディスプレイプロトコルを使用するように設定され、すでにシャットダウンされている既存の仮想マシンがある。

手順

  1. Web コンソールの仮想マシンインターフェイスで、SPICE プロトコルを使用するように設定されている仮想マシンのメニューボタン をクリックします。

    さまざまな仮想マシン操作を制御するためのドロップダウンメニューが開きます。

  2. Replace SPICE devices をクリックします。

    Replace SPICE devices ダイアログが開きます。

    注記

    SPICE プロトコルを使用する既存の仮想マシンが複数ある場合は、このダイアログにそれらがリストされます。このダイアログで、1 つのステップで SPICE から VNC の使用に切り替える仮想マシンを複数選択できます。

  3. Replace をクリックします。

    操作が成功したことを確認するメッセージが表示されます。

5.2. Virt Viewer で仮想マシンのグラフィカルコンソールを開く方法

KVM 仮想マシンのグラフィカルコンソールに接続して、Virt Viewer デスクトップアプリケーションで開く場合は、以下の手順を行います。

前提条件

  • システム、および接続している仮想マシンが、グラフィカルディスプレイに対応している。
  • ターゲットの仮想マシンがリモートホストにある場合は、そのホストへの接続およびルートアクセス権限が確保されている。
  • オプション: ターゲット仮想マシンがリモートホストにある場合は、リモートホストにアクセスしやすくなる ように libvirt と SSH を設定した。

手順

  • ローカルの仮想マシンに接続するには、次のコマンドを使用して、guest-name を、接続する仮想マシンの名前に置き換えます。

    # virt-viewer guest-name
  • リモートの仮想マシンに接続するには、SSH プロトコルで virt-viewer コマンドを実行します。たとえば、次のコマンドは、root 権限で、リモートシステム 192.0.2.1 にある guest-name という名前の仮想マシンに接続します。接続には、192.0.2.1 用の root 認証も必要になります。

    # virt-viewer --direct --connect qemu+ssh://root@192.0.2.1/system guest-name
    root@192.0.2.1's password:

検証

接続が正しく機能している場合は、Virt Viewer 画面に仮想マシンのディスプレイが表示されます。

実際のマシンの場合と同じように、マウスとキーボードを使用して仮想マシンのコンソールと相互作用できます。仮想マシンコンソールには、仮想マシンで実行しているアクティビティーが表示されます。

トラブルシューティング

  • グラフィカルコンソールをクリックしても効果がない場合は、コンソールを全画面表示にします。これは、マウスカーソルオフセットの既知の問題です。

5.3. SSH を使用した仮想マシンへの接続

SSH 接続プロトコルを使用して仮想マシンの端末と相互作用するには、以下の手順に従います。

前提条件

  • ターゲットの仮想マシンへのネットワーク接続および root アクセス権がある。
  • ターゲットの仮想マシンがリモートホストにある場合は、そのホストへの接続およびルートのアクセス権限もある。
  • 仮想マシンネットワークは、libvirt が生成した dnsmasq により IP アドレスを割り当てます。これは、たとえば、libvirt NAT ネットワーク などに該当します。

    特に、仮想マシンが次のネットワーク設定のいずれかを使用している場合、SSH を使用して仮想マシンに接続することはできません。

    • hostdev インターフェイス
    • ダイレクトインターフェイス
    • ブリッジインターフェイス
  • libvirt-nss コンポーネントを仮想マシンのホストにインストールして有効にしている。そうでない場合は、以下を行います。

    1. libvirt-nss パッケージをインストールします。

      # dnf install libvirt-nss
    2. /etc/nsswitch.conf ファイルを編集し、libvirt_guesthosts 行に追加します。

      ...
      passwd:      compat
      shadow:      compat
      group:       compat
      hosts:       files libvirt_guest dns
      ...

手順

  1. リモート仮想マシンに接続する場合は、最初に SSH でその物理ホストに接続します。以下の例は、root 認証情報を使用してホストマシン 192.0.2.1 に接続する方法を示しています。

    # ssh root@192.0.2.1
    root@192.0.2.1's password:
    Last login: Mon Sep 24 12:05:36 2021
    root~#
  2. 仮想マシンの名前とユーザーアクセスの認証情報を使用して、仮想マシンに接続します。たとえば、以下は、root 認証情報を使用して、仮想マシン testguest1 に接続します。

    # ssh root@testguest1
    root@testguest1's password:
    Last login: Wed Sep 12 12:05:36 2018
    root~]#

トラブルシューティング

  • 仮想マシンの名前が分からない場合は、virsh list --all コマンドを使用すると、ホストで利用可能な仮想マシンのリストを表示できます。

    # virsh list --all
    Id    Name                           State
    ----------------------------------------------------
    2     testguest1                    running
    -     testguest2                    shut off

5.4. 仮想マシンのシリアルコンソールを開く

virsh console コマンドを使用すると、仮想マシンのシリアルコンソールに接続できます。

これは、仮想マシンが次のような場合に役に立ちます。

  • VNC プロトコルは提供されないため、GUI ツールのビデオ表示には対応していません。
  • ネットワークに接続されていないため、SSH を使用して 相互作用できない

前提条件

  • ホスト上の GRUB ブートローダーは、シリアルコンソールを使用するように設定する必要があります。確認するには、ホスト上の /etc/default/grub ファイルに GRUB_TERMINAL=serial パラメーターが含まれていることを確認します。

    $ sudo grep GRUB_TERMINAL /etc/default/grub
    GRUB_TERMINAL=serial
  • 仮想マシンには、console type='pty' などのシリアルコンソールデバイスが設定されている必要がある。確認するには、以下の手順を実施します。

    # virsh dumpxml vm-name | grep console
    
    <console type='pty' tty='/dev/pts/2'>
    </console>
  • 仮想マシンに、カーネルコマンドラインでシリアルコンソールが設定されている。これを確認するには、仮想マシン上の cat /proc/cmdline コマンド出力に console=<console-name> が含まれている必要があります。<console-name> はアーキテクチャー固有です。

    • AMD64 および Intel 64 の場合: ttyS0
    • ARM 64 の場合: ttyAMA0

      注記

      この手順の次のコマンドは ttyS0 を使用します。

      # cat /proc/cmdline
      BOOT_IMAGE=/vmlinuz-3.10.0-948.el7.x86_64 root=/dev/mapper/rhel-root ro console=tty0 console=ttyS0,9600n8 rd.lvm.lv=rhel/root rd.lvm.lv=rhel/swap rhgb

      シリアルコンソールが仮想マシンに正しく設定されていない場合は、virsh コンソール を仮想マシンに接続すると、応答のないゲストコンソールに接続できます。ただし、Ctrl+] ショートカットを使用して、応答しないコンソールを終了することができます。

    • 仮想マシンでシリアルコンソールを設定するには、以下を行います。

      1. 仮想マシンで、console=ttyS0 カーネルオプションを有効にします。

        # grubby --update-kernel=ALL --args="console=ttyS0"
      2. 変更を反映させない可能性があるカーネルオプションをクリアします。

        # grub2-editenv - unset kernelopts
      3. 仮想マシンを再起動します。
  • serial-getty@<console-name> サービスを有効にする必要があります。たとえば、AMD64 および Intel 64 の場合:

    # systemctl status serial-getty@ttyS0.service
    
    ○ serial-getty@ttyS0.service - Serial Getty on ttyS0
         Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/serial-getty@.service; enabled; preset: enabled)

手順

  1. ホストシステムで、virsh console コマンドを使用します。次の例では、libvirt ドライバーが安全なコンソール処理に対応していると、仮想マシン guest1 に接続します。

    # virsh console guest1 --safe
    Connected to domain 'guest1'
    Escape character is ^]
    
    Subscription-name
    Kernel 3.10.0-948.el7.x86_64 on an x86_64
    
    localhost login:
  2. virsh コンソールは、標準のコマンドラインインターフェイスと同じ方法で相互作用できます。

関連情報

  • virsh の man ページ

5.5. リモートの仮想化ホストへの簡単なアクセスの設定

libvirt ユーティリティーを使用してリモートホストシステムの仮想マシンを管理する場合は、-c qemu+ssh://root@hostname/system 構文を使用することが推奨されます。たとえば、ホスト 192.0.2.1 で、root で virsh list コマンドを実行します。

# virsh -c qemu+ssh://root@192.0.2.1/system list
root@192.0.2.1's password:

Id   Name              State
---------------------------------
1    remote-guest      running

ただし、SSH および libvirt の設定を変更すれば、接続の詳細を完全に指定する必要がなくなります。以下に例を示します。

# virsh -c remote-host list
root@192.0.2.1's password:

Id   Name              State
---------------------------------
1    remote-guest      running

この改善機能を有効にするには、以下の手順を行います。

手順

  1. ~/.ssh/config ファイルを以下のように編集します。ここで、host-alias は特定のリモートホストに関連付けられた短縮名および root@192.0.2.1 のエイリアス、hosturl は host の URL アドレスです。

    # vi ~/.ssh/config
    Host example-host-alias
      User                    root
      Hostname                192.0.2.1
  2. /etc/libvirt/libvirt.conf ファイルを以下のように編集します。example-qemu-host-alias は、QEMU および libvirt ユーティリティーが qemu+ssh://192.0.2.1/system に目的のホスト example-host-alias を関連付けるホストエイリアスです。

    # vi /etc/libvirt/libvirt.conf
    uri_aliases = [
      "example-qemu-host-alias=qemu+ssh://example-host-alias/system",
    ]

検証

  1. ローカルシステムで libvirt ベースのユーティリティーを使用し、-c qemu-host-alias パラメーターを追加することで、リモートの仮想マシンを管理できることを確認します。これにより、リモートホストの SSH でコマンドが自動的に実行されます。

    たとえば、以下のコマンドにより、前の手順で example-qemu-host-alias としてセットアップした接続である、192.0.2.1 リモートホスト上の仮想マシンがリスト表示されることを確認します。

    # virsh -c example-qemu-host-alias list
    
    root@192.0.2.1's password:
    
    Id   Name                       State
    ----------------------------------------
    1    example-remote-guest      running
    注記

    virsh の他に、-c (または --connect) オプションと、上記のリモートホストアクセス設定は、以下のユーティリティーで使用できます。

次のステップ

libvirt ユーティリティーを、1 台のリモートホストで排他的に使用する場合は、libvirt ベースのユーティリティーのデフォルトターゲットとして特定の接続を設定することもできます。ただし、ローカルホストまたは別のリモートホストでも仮想マシンを管理する場合、この方法は推奨されません。

  • /etc/libvirt/libvirt.conf ファイルを編集して、uri_default パラメーターの値を、デフォルトの libvirt ターゲットとして example-qemu-host-alias に設定できます。

    # These can be used in cases when no URI is supplied by the application
    # (@uri_default also prevents probing of the hypervisor driver).
    #
    uri_default = "example-qemu-host-alias"

    これにより、指定したリモートホストで、libvirt ベースのコマンドがすべて自動的に実行されます。

    $ virsh list
    root@192.0.2.1's password:
    
    Id   Name              State
    ---------------------------------
    1   example-remote-guest      running
  • リモートホストに接続する場合、リモートシステムへの root パスワードの入力を回避できます。そのためには、以下の方法を 1 つ以上行います。

  • -c (または --connect) オプションを使用して、リモートホストで virt-installvirt-viewer、および virsh コマンドを実行できます。

第6章 仮想マシンのシャットダウン

RHEL 9 でホストされた実行中の仮想マシンをシャットダウンする場合は、コマンドラインインターフェイス または Web コンソールの GUI を使用します。

6.1. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンのシャットダウン

応答している仮想マシンをシャットダウンするには、以下のいずれかを行います。

  • ゲストに接続している 場合に、ゲスト OS に適したシャットダウンコマンドを使用
  • ホストで virsh shutdown コマンドを使用

    • 仮想マシンがローカルホストにある場合は、以下のコマンドを実行します。

      # virsh shutdown demo-guest1
      Domain 'demo-guest1' is being shutdown
    • 仮想マシンがリモートホスト (この例では 192.0.2.1) にある場合は、以下のコマンドを実行します。

      # virsh -c qemu+ssh://root@192.0.2.1/system shutdown demo-guest1
      
      root@192.0.2.1's password:
      Domain 'demo-guest1' is being shutdown

応答しない場合など、仮想マシンを強制的にシャットダウンする場合は、そのホストで virsh destroy コマンドを実行します。

# virsh destroy demo-guest1
Domain 'demo-guest1' destroyed
注記

virsh destroy コマンドは、仮想マシンの設定またはディスクイメージを削除するわけではありません。物理マシンから電源コードを抜くのと同様に、仮想マシンの実行中の仮想マシンインスタンスを終了するだけになります。したがって、まれに、virsh destroy により、仮想マシンのファイルシステムが破損することがあるため、その他のシャットダウン方法がすべて失敗した場合に限り、このコマンドを使用することが推奨されます。

6.2. Web コンソールを使用した仮想マシンのシャットダウンおよび再起動

RHEL 9 Web コンソールを使用して、実行中の仮想マシンを シャットダウン または 再起動 できます。仮想マシンが応答しない場合は、マスク不可割り込みを送信できます。

6.2.1. Web コンソールで仮想マシンのシャットダウン

仮想マシンが 稼働 状態であれば、RHEL 9 Web コンソールを使用してシャットダウンできます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、シャットダウンする仮想マシンがある行を見つけます。
  2. 行の右側で、Shut Down をクリックします。

    仮想マシンがシャットダウンします。

トラブルシューティング

  • 仮想マシンがシャットダウンしない場合には、シャットダウン ボタンの横にある をクリックして、シャットダウンの強制 を選択します。
  • 応答しない仮想マシンをシャットダウンするには、マスク不可割り込みを送信 することもできます。

6.2.2. Web コンソールを使用した仮想マシンの再起動

仮想マシンが 稼働 状態であれば、RHEL 9 Web コンソールを使用して再起動できます。

前提条件

手順

  1. Virtual Machines インターフェイスで、再起動する仮想マシンの行を見つけます。
  2. 行の右側にあるメニューボタン をクリックします。

    アクションのドロップダウンメニューが表示されます。

  3. ドロップダウンメニューで、Reboot をクリックします。

    仮想マシンがシャットダウンして再起動します。

トラブルシューティング

  • 仮想マシンが再起動しない場合には Reboot ボタンのとなりにある をクリックして Force Reboot を選択します。
  • 応答しない仮想マシンをシャットダウンするには、マスク不可割り込みを送信 することもできます。

6.2.3. Web コンソールでマスク不可割り込みを仮想マシンに送信する手順

NMI (マスク不可割り込み) を送信すると、応答しない稼働中の仮想マシンが応答またはシャットダウンする可能性があります。たとえば、Ctrl+Alt+Del の NMI を、標準入力に応答しない仮想マシンに送信できます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシン インターフェイスで、NMI を送信する仮想マシンの行を見つけます。
  3. 行の右側にあるメニューボタン をクリックします。

    アクションのドロップダウンメニューが表示されます。

  4. ドロップダウンメニューで、Send non-maskable interrupt をクリックします。

    NMI が仮想マシンに送信されます。

第7章 仮想マシンの削除

RHEL 9 で仮想マシンを削除する場合は、コマンドラインインターフェイス または Web コンソールの GUI を使用します。

7.1. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの削除

仮想マシンを削除するには、コマンドラインでその XML 設定および関連するストレージファイルをホストから削除します。以下の手順を実施します。

前提条件

  • 仮想マシンからの重要なデータのバックアップを作成する。
  • 仮想マシンをシャットダウンしている。
  • その他の仮想マシンが、同じ関連ストレージを使用しないようにしている。

手順

  • virsh undefine ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、guest1 仮想マシン、関連のあるストレージボリューム、および不揮発性 RAM が存在する場合はそれを削除します。

    # virsh undefine guest1 --remove-all-storage --nvram
    Domain 'guest1' has been undefined
    Volume 'vda'(/home/images/guest1.qcow2) removed.

関連情報

  • virsh undefine --help コマンド
  • virsh の man ページ

7.2. Web コンソールを使用した仮想マシンの削除

RHEL 9 Web コンソールが接続しているホストから、仮想マシンおよび関連ストレージファイルを削除する場合は、以下の手順を行います。

前提条件

  • RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。

    手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • 仮想マシンからの重要なデータのバックアップを作成する。
  • 他の仮想マシンが同じ関連ストレージを使用していないことを確認します。
  • オプション: 仮想マシンをシャットダウンします。

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシン インターフェイスで、削除する仮想マシンのメニューボタン をクリックします。

    仮想マシン操作を制御するためのドロップダウンメニューが表示されます。

  3. Delete をクリックします。

    確認ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの削除の確認ダイアログボックスを表示しているイメージ
  4. オプション: 仮想マシンに関連付けられているストレージファイルのすべてまたは一部を削除するには、削除するストレージファイルの横にあるチェックボックスをオンにします。
  5. Delete をクリックします。

    仮想マシンと、選択したストレージファイルが削除されます。

第8章 Web コンソールでの仮想マシンの管理

RHEL 9 ホストのグラフィカルインターフェイスで仮想マシンを管理する場合は、RHEL 9 Web コンソールの Virtual Machines ペインを使用できます。

Web コンソールの仮想マシンタブを表示するイメージ

8.1. Web コンソールを使用した仮想マシンの管理の概要

RHEL 9 Web コンソールは、Web ベースのシステム管理インターフェイスです。Web コンソールは、その機能の 1 つとして、ホストシステムで仮想マシンをグラフィカルに表示してその仮想マシンの作成、アクセス、および設定を可能にします。

Web コンソールを使用して RHEL 9 で仮想マシンを管理するには、最初に、仮想化用の Web コンソールプラグイン をインストールする必要があります。

次のステップ

8.2. 仮想マシンを管理するために Web コンソールを設定

Web コンソールの仮想マシン (VM) プラグインをインストールして、RHEL 9 Web コンソールを使用してホストで仮想マシンを管理できるようにしてある。

前提条件

手順

  • cockpit-machines プラグインをインストールします。

    # dnf install cockpit-machines

検証

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. インストールに成功すると、仮想マシン が Web コンソールのサイドメニューに表示されます。

    Web コンソールの仮想マシンタブを表示するイメージ

8.3. Web コンソールを使用した仮想マシンの名前の変更

名前の競合を避けるために、またはユースケースに基づいて新しい一意の名前を割り当てるために、既存の仮想マシンの名前を変更することが必要な場合があります。RHEL Web コンソールを使用して仮想マシンの名前を変更できます。

前提条件

手順

  1. Virtual Machines インターフェイスで、名前を変更する仮想マシンのメニューボタン をクリックします。

    仮想マシン操作を制御するためのドロップダウンメニューが表示されます。

  2. Rename をクリックします。

    Rename a VM ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの名前の変更ダイアログボックスを表示しているイメージ。
  3. New name フィールドに、仮想マシンの名前を入力します。
  4. Rename をクリックします。

検証

  • 新しい仮想マシン名が Virtual Machines インターフェイスに表示されていることを確認します。

8.4. Web コンソールで利用可能な仮想マシンの管理機能

RHEL 9 Web コンソールを使用すると、システム上の仮想マシンを管理する以下のアクションを実行できます。

表8.1 RHEL 9 Web コンソールで実行できる仮想マシン管理タスク
タスク詳細は以下参照

仮想マシンの作成およびゲストオペレーティングシステムでのインストール

Web コンソールを使用した仮想マシンの作成、およびゲストのオペレーティングシステムのインストール

仮想マシンの削除

Web コンソールを使用した仮想マシンの削除

仮想マシンび起動、シャットダウンし、再起動

Web コンソールを使用した仮想マシンの起動Web コンソールを使用した仮想マシンのシャットダウンおよび再起動

さまざまなコンソールを使用した仮想マシンへの接続および操作

Web コンソールを使用した仮想マシンとの相互作用

仮想マシンに関するさまざまな情報の表示

Web コンソールを使用した仮想マシン情報の表示

仮想マシンに割り当てられたホストメモリーの調整

Web コンソールを使用した仮想マシンのメモリーの追加および削除

仮想マシンのネットワーク接続管理

Web コンソールで仮想マシンのネットワークインターフェイスの管理

ホストでの利用可能な仮想マシンストレージ管理および仮想ディスクを仮想マシンへの割り当て

Web コンソールを使用した仮想マシン用のストレージの管理

仮想マシンの仮想 CPU 設定

Web コンソールを使用した仮想 CPU の管理

仮想マシンのライブマイグレーション

Web コンソールを使用した仮想マシンのライブ移行

ホストデバイスの管理

Web コンソールを使用したホストデバイスの管理

仮想光学ドライブを管理する

仮想光学ドライブの管理

ウォッチドッグデバイスを接続する

Web コンソールを使用した仮想マシンへのウォッチドッグデバイスの接続

第9章 仮想マシンに関する情報の表示

RHEL 9 での仮想化デプロイメントのあらゆる側面を調整またはトラブルシューティングする必要がある場合、通常、最初に実行する必要がある手順は、仮想マシン (VM) の現在の状態と設定に関する情報を表示することです。これには、the command-line interface または the web console を使用できます。仮想マシンの XML 設定 で情報を表示することもできます。

9.1. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシン情報の表示

ホストおよびその設定で仮想マシンに関する情報を取得するには、以下のコマンドのいずれかまたは複数コマンドを使用します。

手順

  • ホストで仮想マシンのリストを取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh list --all
    Id   Name              State
    ----------------------------------
    1    testguest1             running
    -    testguest2             shut off
    -    testguest3             shut off
    -    testguest4             shut off
  • 特定の仮想マシンに関する基本的な情報を取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh dominfo testguest1
    Id:             1
    Name:           testguest1
    UUID:           a973666f-2f6e-415a-8949-75a7a98569e1
    OS Type:        hvm
    State:          running
    CPU(s):         2
    CPU time:       188.3s
    Max memory:     4194304 KiB
    Used memory:    4194304 KiB
    Persistent:     yes
    Autostart:      disable
    Managed save:   no
    Security model: selinux
    Security DOI:   0
    Security label: system_u:system_r:svirt_t:s0:c486,c538 (enforcing)
  • 特定の仮想マシンの XML 設定をすべて取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh dumpxml testguest2
    
    <domain type='kvm' id='1'>
      <name>testguest2</name>
      <uuid>a973434f-2f6e-4ěša-8949-76a7a98569e1</uuid>
      <metadata>
    [...]

    仮想マシンの XML 設定の例と注釈については、仮想マシンの XML 設定例 を参照してください。

  • 仮想マシンのディスクおよびその他のブロックデバイスに関する情報は、次のコマンドを実行します。

    # virsh domblklist testguest3
     Target   Source
    ---------------------------------------------------------------
     vda      /var/lib/libvirt/images/testguest3.qcow2
     sda      -
     sdb      /home/username/Downloads/virt-p2v-1.36.10-1.el7.iso

    仮想マシンのストレージを管理する手順については、Managing storage for virtual machines を参照してください。

  • 仮想マシンのファイルシステムとそのマウントポイントに関する情報を取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh domfsinfo testguest3
    Mountpoint   Name   Type   Target
    ------------------------------------
     /            dm-0   xfs
     /boot        vda1   xfs
  • 特定の仮想マシンの vCPU に関する詳細を取得するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh vcpuinfo testguest4
    VCPU:           0
    CPU:            3
    State:          running
    CPU time:       103.1s
    CPU Affinity:   yyyy
    
    VCPU:           1
    CPU:            0
    State:          running
    CPU time:       88.6s
    CPU Affinity:   yyyy

    仮想マシンで vCPU を設定し、最適化するには、仮想マシンの CPU パフォーマンスの最適化 を参照してください。

  • ホスト上の仮想ネットワークインターフェイスのリストを表示するには、次のコマンドを実行します。

    # virsh net-list --all
     Name       State    Autostart   Persistent
    ---------------------------------------------
     default    active   yes         yes
     labnet     active   yes         yes

    特定のインターフェイスに関する情報は、次のコマンドを実行します。

    # virsh net-info default
    Name:           default
    UUID:           c699f9f6-9202-4ca8-91d0-6b8cb9024116
    Active:         yes
    Persistent:     yes
    Autostart:      yes
    Bridge:         virbr0

    ネットワークインターフェイス、仮想マシンネットワーク、およびこれらの設定手順の詳細は、仮想マシンのネットワーク接続の設定 を参照してください。

  • ホスト上のストレージプールとストレージボリュームに関する情報を表示する手順については、CLI を使用した仮想マシンのストレージ情報の表示 を参照してください。

9.2. Web コンソールを使用した仮想マシン情報の表示

RHEL 9 Web コンソールを使用して、Web コンソールセッションがアクセスできるすべての 仮想マシン および ストレージプール に関する情報を表示することができます。

Web コンソールセッションの接続先である 選択した仮想マシンに関する情報 を表示できます。これには、ディスク仮想ネットワークインターフェイス、および リソースの使用量 に関する情報が含まれます。

9.2.1. Web コンソールで仮想化の概要を表示

Web コンソールを使用して、仮想マシン、ストレージプール、およびネットワークに関する概要情報を含む仮想化の概要にアクセスできます。

前提条件

手順

  • Web コンソールのサイドメニューで、仮想マシン をクリックします。

    利用可能なストレージプール、利用可能なネットワーク、および Web コンソールが接続する仮想マシンに関する情報を含むダイアログボックスが表示されます。

    Web コンソールの仮想マシンタブを表示するイメージ

この情報には以下が含まれます。

  • ストレージプール - Web コンソールからアクセス可能なストレージプールの数とその状態です (アクティブまたは非アクティブ)。
  • ネットワーク - Web コンソールからアクセス可能なネットワークの数とその状態です (アクティブまたは非アクティブ)。
  • 名前 - 仮想マシンの名前
  • 接続 - libvirt 接続、システム、またはセッションの種類。
  • 状態 - 仮想マシンの状態

9.2.2. Web コンソールを使用したストレージプール情報の表示

Web コンソールを使用して、システムで利用可能なストレージプールの詳細情報を表示できます。ストレージプールを使用すると、仮想マシンのディスクイメージを作成できます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシン インターフェイスで ストレージプール をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールの一覧が示されます。

    既存のストレージプールの情報を含む Web コンソールのストレージプールタブを表示するイメージ

    この情報には以下が含まれます。

    • 名前 - ストレージプールの名前
    • サイズ - 現在の割り当てとストレージプールの合計容量。
    • 接続 - ストレージプールのアクセスに使用される接続
    • 状態 - ストレージプールのステータス
  3. 情報を表示するストレージプールの横にある矢印をクリックします。

    行がデプロイメントされ、選択したストレージプールに関する詳細情報を含む概要ペインが表示されます。

    選択したストレージプールの詳細情報を表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • ターゲットパス - ストレージプールの場所です。
    • 永続的 - ストレージプールの設定が永続的であるかどうかを示します。
    • 自動起動 - システムの起動時にストレージプールが自動的に起動するかどうかを示します。
    • 種類 - ストレージプールの種類。
  4. ストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示する場合は、ストレージボリューム をクリックします。

    ストレージボリュームペインが表示され、設定したストレージボリュームのリストが表示されます。

    選択したストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • 名前 - ストレージボリュームの名前。
    • 使用者 - 現在ストレージボリュームを使用している仮想マシン。
    • サイズ - ボリュームのサイズ。

9.2.3. Web コンソールで仮想マシン基本情報の表示

Web コンソールを使用して、選択した仮想マシンに関する基本情報 (割り当てられたリソース、ハイパーバイザーの詳細など) を表示できます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. Web コンソールのサイドメニューで、仮想マシン をクリックします。
  3. 情報を表示する仮想マシンをクリックします。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

    概要セクションには、次の一般的な仮想マシンの詳細が記載されています。

    • 状態 - 仮想マシンの状態 (実行中またはシャットオフ)。
    • メモリー - 仮想マシンに割り当てるメモリー容量
    • CPU - 仮想マシンに設定されている仮想 CPU の数とタイプ。
    • ブート順序 - 仮想マシンに設定されたブート順序
    • 自動起動 - 仮想マシンで自動起動が有効になっているかどうか

    この情報には、以下のハイパーバイザーの詳細も含まれます。

    • エミュレートされたマシン - 仮想マシンによりエミュレートされたマシンタイプ
    • ファームウェア - 仮想マシンのファームウェア。

9.2.4. Web コンソールで仮想マシンのリソース使用状況の表示

Web コンソールを使用して、選択した仮想マシンのメモリーと仮想 CPU 使用率を表示できます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  3. 使用方法 までスクロールします。

    使用率セクションには、仮想マシンのメモリーおよび仮想 CPU 使用率に関する情報が表示されます。

    選択した仮想マシンのメモリーと CPU 使用率を表示するイメージ

9.2.5. Web コンソールで仮想マシンのディスク情報の表示

Web コンソールを使用して、選択した仮想マシンに割り当てられたディスクの詳細情報を表示できます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 情報を表示する仮想マシンをクリックします。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  3. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの Add、または Edit のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのディスク使用率を表示するイメージ

この情報には以下が含まれます。

  • デバイス - ディスクのデバイスの種類。
  • 使用済み - 現在割り当てられているディスク容量。
  • 容量 - ストレージボリュームの最大サイズ。
  • バス - エミュレートされるディスクデバイスの種類。
  • アクセス - ディスクが書き込み可能 かどうか、読み取り専用 であるか。raw ディスクの場合は、書き込み可能および共有 へのアクセスを設定することもできます。
  • ソース - ディスクデバイスまたはファイル

9.2.6. Web コンソールで仮想ネットワークインターフェイス情報の表示および編集

RHEL 9 Web コンソールを使用して、選択した仮想マシンで仮想ネットワークインターフェイスを表示および変更することができます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  3. ネットワークインターフェイス までスクロールします。

    ネットワークインターフェイスセクションには、仮想マシンに設定された仮想ネットワークインターフェイスに関する情報と、ネットワークインターフェイスの追加削除編集、またはアンプラグ のオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのネットワークインターフェイスの詳細を表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • 種類 - 仮想マシンのネットワークインターフェイスの種類。タイプには、仮想ネットワーク、LAN へのブリッジ、および直接割り当てが含まれます。

      注記

      RHEL 9 以降では、汎用イーサネット接続はサポートされていません。

    • モデルタイプ - 仮想ネットワークインターフェイスのモデル。
    • MAC アドレス - 仮想ネットワークインターフェイスの MAC アドレス。
    • IP アドレス - 仮想ネットワークインターフェイスの IP アドレス。
    • ソース - ネットワークインターフェイスのソース。これはネットワークの種類によって異なります。
    • 状態 - 仮想ネットワークインターフェイスの状態。
  4. 仮想ネットワークインターフェイスの設定を編集するには、編集 をクリックします。仮想ネットワークインターフェイスの設定ダイアログが開きます。

    選択したネットワークインターフェイスで編集可能なさまざまなオプションを表示するイメージ。
  5. インターフェイスの種類、ソース、モデル、または MAC アドレスを変更します。
  6. Save をクリックします。ネットワークインターフェイスが変更しました。

    注記

    仮想ネットワークインターフェイス設定の変更は、仮想マシンを再起動しないと有効になりません。

    また、MAC アドレスは、仮想マシンがシャットダウンしている場合にのみ変更できます。

9.3. 仮想マシンの XML 設定例

仮想マシンの XML 設定 (ドメイン XML とも呼ばれる) は、仮想マシンの設定およびコンポーネントを決定します。以下の表は、仮想マシンの XML 設定例の各セクションと、コンテンツについて説明しています。

仮想マシンの XML 設定を取得するには、virsh dumpxml コマンドの後に仮想マシンの名前を指定します。

# virsh dumpxml testguest1
表9.1 XML 設定のサンプル
ドメイン XML セクション説明
<domain type='kvm'>
 <name>Testguest1</name>
 <uuid>ec6fbaa1-3eb4-49da-bf61-bb02fbec4967</uuid>
 <memory unit='KiB'>1048576</memory>
 <currentMemory unit='KiB'>1048576</currentMemory>

これは、1024 MiB のメモリーが割り当てられている KVM 仮想マシン Testguest1 です。

 <vcpu placement='static'>1</vcpu>

仮想マシンには、仮想 CPU (vCPU) が 1 つ割り当てられます。

vCPU の設定に関する詳細は、仮想マシンの CPU パフォーマンスの最適化 を参照してください。

 <os>
  <type arch='x86_64' machine='pc-q35-rhel9.0.0'>hvm</type>
  <boot dev='hd'/>
 </os>

マシンアーキテクチャーは AMD64 および Intel 64 のアーキテクチャーに設定され、Intel Q35 マシン種別を使用して機能の互換性を決定します。OS は、ハードディスクドライブから起動するように設定されています。

OS がインストールされた仮想マシンの作成については、Web コンソールを使用した仮想マシンの作成、およびゲストのオペレーティングシステムのインストール を参照してください。

 <features>
  <acpi/>
  <apic/>
 </features>

acpi および apic ハイパーバイザー機能が無効になっています。

 <cpu mode='host-model' check='partial'/>

機能 XML (virsh domcapabilities で取得可能 ) からのホストの CPU 定義は、仮想マシンの XML 設定に自動的にコピーされます。したがって、仮想マシンの起動時に、libvirt はホストの CPU と似た CPU モデルを選択し、さらに機能を追加してホストモデルに可能な限り近づけます。

 <clock offset='utc'>
  <timer name='rtc' tickpolicy='catchup'/>
  <timer name='pit' tickpolicy='delay'/>
  <timer name='hpet' present='no'/>
 </clock>

仮想マシンの仮想ハードウェアクロックは UTC タイムゾーンを使用します。また、QEMU ハイパーバイザーと同期するために、異なるタイマーが 3 つ設定されます。

 <on_poweroff>destroy</on_poweroff>
 <on_reboot>restart</on_reboot>
 <on_crash>destroy</on_crash>

仮想マシンの電源が切れた場合や、仮想マシンの OS が突然終了すると、libvirt が仮想マシンを終了し、割り当てられているリソースをすべて解放します。仮想マシンの再起動時に、libvirt は同じ設定で仮想マシンを起動します。

 <pm>
  <suspend-to-mem enabled='no'/>
  <suspend-to-disk enabled='no'/>
 </pm>

この仮想マシンでは、S3 および S4 ACPI のスリープ状態が無効になっています。

<devices>
 <emulator>/usr/libexec/qemu-kvm</emulator>
 <disk type='file' device='disk'>
  <driver name='qemu' type='qcow2'/>
  <source file='/var/lib/libvirt/images/Testguest.qcow2'/>
  <target dev='vda' bus='virtio'/>
 </disk>
 <disk type='file' device='cdrom'>
  <driver name='qemu' type='raw'/>
  <target dev='sdb' bus='sata'/>
  <readonly/>
 </disk>

仮想マシンは、エミュレーションに /usr/libexec/qemu-kvm バイナリーファイルを使用し、これには 2 つのディスクデバイスが割り当てられています。

最初のディスクは、ホストに保存されている /var/lib/libvirt/images/Testguest.qcow2 をベースにした仮想ハードドライブで、その論理デバイス名は vda に設定されています。

2 番目のディスクは仮想化 CD-ROM で、その論理デバイス名は sdb に設定されています。

  <controller type='usb' index='0' model='qemu-xhci' ports='15'/>
  <controller type='sata' index='0'/>
  <controller type='pci' index='0' model='pcie-root'/>
  <controller type='pci' index='1' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='1' port='0x10'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='2' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='2' port='0x11'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='3' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='3' port='0x12'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='4' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='4' port='0x13'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='5' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='5' port='0x14'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='6' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='6' port='0x15'/>
  </controller>
  <controller type='pci' index='7' model='pcie-root-port'>
   <model name='pcie-root-port'/>
   <target chassis='7' port='0x16'/>
  </controller>
  <controller type='virtio-serial' index='0'/>

仮想マシンは、USB デバイスの割り当てにコントローラーを 1 つ、PCI-Express (PCIe) デバイスにルートコントローラーを使用します。さらに、virtio-serial コントローラーが利用できるため、仮想マシンは、シリアルコンソールなど、各種方法でホストを操作できます。

仮想デバイスの詳細は、仮想デバイスの種類 を参照してください。

 <interface type='network'>
  <mac address='52:54:00:65:29:21'/>
  <source network='default'/>
  <model type='virtio'/>
 </interface>

ネットワークインターフェイスは、default の仮想ネットワークおよび virtio ネットワークデバイスモデルを使用する仮想マシンに設定されます。

ネットワークインターフェイスの設定に関する詳細は、仮想マシンのネットワークパフォーマンスの最適化 を参照してください。

  <serial type='pty'>
   <target type='isa-serial' port='0'>
    <model name='isa-serial'/>
   </target>
  </serial>
  <console type='pty'>
   <target type='serial' port='0'/>
  </console>
  <channel type='unix'>
   <target type='virtio' name='org.qemu.guest_agent.0'/>
   <address type='virtio-serial' controller='0' bus='0' port='1'/>
  </channel>

pty シリアルコンソールが仮想マシンに設定されているので、ホストとの基本的な仮想マシン通信が可能になります。コンソールは、ポート 1 で UNIX チャンネルを使用します。この設定は自動で設定されており、設定の変更は推奨されません。

仮想マシンと相互作用する方法の詳細は、Web コンソールを使用した仮想マシンとの相互作用 を参照してください。

  <input type='tablet' bus='usb'>
   <address type='usb' bus='0' port='1'/>
  </input>
  <input type='mouse' bus='ps2'/>
  <input type='keyboard' bus='ps2'/>

仮想マシンは、タブレット入力を受信するように設定された仮想 usb ポートと、マウスとキーボード入力を受け取るように設定された仮想 ps2 ポートを使用します。この設定は自動で設定されており、設定の変更は推奨されません。

  <graphics type='vnc' port='-1' autoport='yes' listen='127.0.0.1'>
   <listen type='address' address='127.0.0.1'/>
  </graphics>

仮想マシンは、グラフィカル出力をレンダリングするために vnc プロトコルを使用します。

  <redirdev bus='usb' type='tcp'>
   <source mode='connect' host='localhost' service='4000'/>
   <protocol type='raw'/>
  </redirdev>
  <memballoon model='virtio'>
   <address type='pci' domain='0x0000' bus='0x00' slot='0x07' function='0x0'/>
  </memballoon>
 </devices>
</domain>

仮想マシンは、USB デバイスのリモート接続に tcp リダイレクターを使用し、メモリーバルーンがオンになっています。この設定は自動で設定されており、設定の変更は推奨されません。

第10章 仮想マシンの保存および復元

システムリソースを解放するには、そのシステムで実行中の仮想マシンをシャットダウンできます。ただし、仮想マシンが再び必要になった場合は、ゲストオペレーティングシステム (OS) を起動し、アプリケーションを再起動する必要があります。これにはかなりの時間がかかる場合があります。このダウンタイムを短縮し、仮想マシンワークロードをより早く実行できるようにする場合は、保存機能および復元機能を使用して、OS のシャットダウンと起動シーケンスを完全に回避できます。

本セクションでは、仮想マシンの保存、および仮想マシンの完全な起動を行わずに仮想マシンを同じ状態に復元する方法を説明します。

10.1. 仮想マシンの保存および復元の仕組み

仮想マシンを保存すると、そのメモリーとデバイス状態がホストのディスクに保存され、仮想マシンプロセスがすぐに停止します。実行中または一時停止状態の仮想マシンを保存できます。復元すると、仮想マシンがその状態に戻ります。

このプロセスにより、ディスク容量と引き換えにホストシステムの RAM および CPU のリソースが解放され、ホストシステムのパフォーマンスが向上する場合があります。仮想マシンが復元する場合にゲスト OS を起動する必要がないため、時間がかかる起動時間も回避できます。

仮想マシンを保存するには、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用します。手順は、コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの保存 を参照してください。

仮想マシンを復元するには、CLI または Web コンソールの GUI を使用します。

スナップショットを使用して仮想マシンの状態を保存および復元することもできます。詳細は、スナップショットを使用した仮想マシンの状態の保存と復元 を参照してください。

10.2. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの保存

仮想マシン (VM) と現在の状態をホストのディスクに保存できます。これは、たとえば、その他の目的でホストのリソースを使用する必要がある場合に便利です。保存した仮想マシンは、すぐに以前の稼働状態に復元できます。

コマンドラインを使用して仮想マシンを保存するには、以下の手順を行います。

前提条件

  • 仮想マシンと設定を保存するのに十分なディスク領域がある。仮想マシンが占有する領域は、その仮想マシンに割り当てられている RAM のサイズによって異なることに注意してください。
  • 仮想マシンが永続的である。
  • オプション: 必要に応じて、仮想マシンから重要なデータをバックアップする。

手順

  • virsh managedsave ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、仮想マシン demo-guest1 を停止し、その設定を保存します。

    # virsh managedsave demo-guest1
    Domain 'demo-guest1' saved by libvirt

    保存された仮想マシンファイルは、デフォルトで /var/lib/libvirt/qemu/save ディレクトリーに demo-guest1.save として置かれます。

    次に仮想マシンを 起動 すると、上記のファイルから、保存された状態が自動的に復元します。

検証

  • 管理保存が有効になっている仮想マシンを一覧表示します。以下の例では、saved として一覧表示されている仮想マシンで、管理保存が有効になっています。

    # virsh list --managed-save --all
    Id    Name                           State
    ----------------------------------------------------
    -     demo-guest1                    saved
    -     demo-guest2                    shut off

    管理保存のイメージがある仮想マシンのリストを表示するには、次のコマンドを使用します。

    # virsh list --with-managed-save --all
    Id    Name                           State
    ----------------------------------------------------
    -     demo-guest1                    shut off

    停止状態にある保存された仮想マシンのリストを表示するには、コマンドで --all オプションまたは --inactive オプションを使用する必要があります。

トラブルシューティング

  • 保存した仮想マシンファイルが破損したり、読み込めない場合は、仮想マシンを復元すると、代わりに標準の仮想マシン起動が起動します。

10.3. コマンドラインインターフェイスでの仮想マシンの起動

コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して、シャットダウンした仮想マシン (VM) を起動するか、保存した仮想マシンを復元します。CLI を使用すると、ローカル仮想マシンとリモート仮想マシンの両方を起動できます。

前提条件

  • すでに定義されている非アクティブな仮想マシン
  • 仮想マシンの名前
  • リモート仮想マシンの場合は、以下も設定されている。

    • 仮想マシンが置かれているホストの IP アドレス
    • ホストへの root アクセス権限

手順

  • ローカルの仮想マシンには、virsh start ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは仮想マシン demo-guest1 を起動します。

    # virsh start demo-guest1
    Domain 'demo-guest1' started
  • リモートホストにある仮想マシンでは、ホストへの QEMU+SSH 接続と共に virsh start ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、ホスト 192.0.2.1 にある仮想マシン demo-guest1 を起動します。

    # virsh -c qemu+ssh://root@192.0.2.1/system start demo-guest1
    
    root@192.0.2.1's password:
    
    Domain 'demo-guest1' started

10.4. Web コンソールを使用した仮想マシンの起動

仮想マシンが 停止 状態にある場合は、RHEL 9 Web コンソールを使用して起動できます。ホストの起動時に、仮想マシンが自動的に起動するように設定することもできます。

前提条件

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、起動する仮想マシンをクリックします。

    選択した仮想マシンの詳細情報を含む新しいページが開き、仮想マシンのシャットダウンおよび削除を制御できます。

  2. Run をクリックします。

    仮想マシンが起動し、そのコンソールまたはグラフィカル出力に接続 できます。

  3. オプション: ホスト起動時に仮想マシンが自動的に起動するように設定するには、Overview セクションの Autostart チェックボックスを切り替えます。

    libvirt が管理していないネットワークインターフェイスを使用する場合は、systemd 設定も変更する必要があります。そうしないと、影響を受ける仮想マシンが起動できなくなる可能性があります。starting virtual machines automatically when the host starts を参照してください。

第11章 仮想マシンのクローン作成

特定のプロパティーセットで仮想マシンの新規作成を行うには、既存の仮想マシンの クローン を作成します。

クローンを作成すると、ストレージ用に独自のディスクイメージを使用する新しい仮想マシンが作成されますが、クローン設定と保存データのほとんどはソース仮想マシンと同じです。これにより、各仮想マシンを個別に最適化せずに、特定のタスクに最適化された複数の仮想マシンを準備できます。

11.1. 仮想マシンのクローン作成の仕組み

仮想マシンのクローンを作成すると、ソース仮想マシンとそのディスクイメージの XML 設定がコピーされるため、新しい仮想マシンの一意性を確保するように設定を調整します。これには、仮想マシンの名前を変更して、ディスクイメージのクローンを使用するようにすることが含まれます。ただし、クローンの仮想ディスクに保存されているデータは、ソース仮想マシンと同じです。

このプロセスは、新しい仮想マシンを作成してゲストオペレーティングシステムと一緒にインストールするよりも高速であり、特定の設定およびコンテンツを持つ仮想マシンを迅速に生成するために使用できます。

仮想マシンの複数のクローンを作成することを計画している場合は、最初に、以下を含まない仮想マシン テンプレート を作成します。

  • 永続的なネットワーク MAC 設定などの一意の設定。これにより、クローンが適切に機能しなくなる可能性があります。
  • SSH キーやパスワードファイルなどの機密データ。

手順は、Creating virtual machines templates を参照してください。

11.2. 仮想マシンテンプレートの作成

正常に機能する複数のクローン仮想マシンを作成するには、SSH 鍵や永続的なネットワーク MAC 設定などの、ソース仮想マシンに固有の情報および設定を削除します。これにより、仮想マシンのクローンを簡単かつ安全に作成するのに使用できる仮想マシンテンプレートが作成されます。

仮想マシンのテンプレートは、virt-sysprep ユーティリティーを使用して作成 することも、要件に基づいて 手動で作成 することもできます。

11.2.1. virt-sysprep を使用した仮想マシンテンプレートの作成

既存の仮想マシン (VM) から複製テンプレートを作成するには、virt-sysprep ユーティリティーを使用できます。これにより、特定のネットワーク設定やシステム登録メタデータなど、クローンが正しく機能しない可能性がある特定の設定が削除されます。その結果、virt-sysprep は仮想マシンのクローンをより効率的に作成し、クローンがより確実に動作するようにします。

前提条件

  • virt-sysprep ユーティリティーを含む guestfs-tools パッケージがホストにインストールされます。

    # dnf install guestfs-tools
  • テンプレートとして使用するソース仮想マシンがシャットダウンしている。
  • ソース仮想マシンのディスクイメージの場所を把握しており、その仮想マシンのディスクイメージファイルの所有者である。

    libvirt の システムコネクション で作成した仮想マシンのディスクイメージが、デフォルトで /var/lib/libvirt/images ディレクトリーにあり、root ユーザーが所有している。

    # ls -la /var/lib/libvirt/images
    -rw-------.  1 root root  9665380352 Jul 23 14:50 a-really-important-vm.qcow2
    -rw-------.  1 root root  8591507456 Jul 26  2017 an-actual-vm-that-i-use.qcow2
    -rw-------.  1 root root  8591507456 Jul 26  2017 totally-not-a-fake-vm.qcow2
    -rw-------.  1 root root 10739318784 Sep 20 17:57 another-vm-example.qcow2
  • オプション: ソース仮想マシンのディスク上の重要なデータがすべてバックアップされている。ソース仮想マシンをそのまま保持する場合は、クローン を作成してから、そのクローンをテンプレートに変換します。

手順

  1. 仮想マシンのディスクイメージの所有者としてログインしていることを確認します。

    # whoami
    root
  2. オプション: 仮想マシンのディスクイメージをコピーします。

    # cp /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm.qcow2 /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm-original.qcow2

    これは後で、仮想マシンが正常にテンプレートに変換されたことを確認するために使用されます。

  3. 次のコマンドを使用し、/var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm.qcow2 を、ソース仮想マシンのディスクイメージへのパスに置き換えます。

    # virt-sysprep -a /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm.qcow2
    [   0.0] Examining the guest ...
    [   7.3] Performing "abrt-data" ...
    [   7.3] Performing "backup-files" ...
    [   9.6] Performing "bash-history" ...
    [   9.6] Performing "blkid-tab" ...
    [...]

検証

  • プロセスが成功したことを確認するには、変更したディスクイメージを元のイメージと比較します。次の例は、テンプレートの作成例を示しています。

    # virt-diff -a /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm-orig.qcow2 -A /var/lib/libvirt/images/a-really-important-vm.qcow2
    - - 0644       1001 /etc/group-
    - - 0000        797 /etc/gshadow-
    = - 0444         33 /etc/machine-id
    [...]
    - - 0600        409 /home/username/.bash_history
    - d 0700          6 /home/username/.ssh
    - - 0600        868 /root/.bash_history
    [...]

関連情報

11.2.2. 仮想マシンテンプレートの手動による作成

既存の仮想マシンからテンプレートを作成する場合は、ゲスト仮想マシンを手動でリセットまたは設定解除して、クローン作成の準備をします。

前提条件

  • ソースの仮想マシンのディスクイメージの場所を把握しており、仮想マシンのディスクイメージファイルの所有者であることを確認します。

    libvirt の システムコネクション で作成した仮想マシンのディスクイメージが、デフォルトで /var/lib/libvirt/images ディレクトリーにあり、root ユーザーが所有している。

    # ls -la /var/lib/libvirt/images
    -rw-------.  1 root root  9665380352 Jul 23 14:50 a-really-important-vm.qcow2
    -rw-------.  1 root root  8591507456 Jul 26  2017 an-actual-vm-that-i-use.qcow2
    -rw-------.  1 root root  8591507456 Jul 26  2017 totally-not-a-fake-vm.qcow2
    -rw-------.  1 root root 10739318784 Sep 20 17:57 another-vm-example.qcow2
  • 仮想マシンがシャットダウンしていることを確認します。
  • オプション: 仮想マシンのディスク上の重要なデータがすべてバックアップされている。ソースの仮想マシンをそのまま保持する場合は、クローン を作成してから、そのクローンを編集してテンプレートを作成します。

手順

  1. クローンを作成するように仮想マシンを設定します。

    1. クローンに必要なソフトウェアをインストールします。
    2. オペレーティングシステムに一意でない設定を設定します。
    3. 固有でないアプリケーション設定を設定します。
  2. ネットワーク設定を削除します。

    1. 以下のコマンドを使用して、永続的な udev ルールを削除します。

      # rm -f /etc/udev/rules.d/70-persistent-net.rules
      注記

      udev ルールを削除しないと、最初の NIC の名前が eth0 ではなく eth1 になる場合があります。

    2. /etc/NetworkManager/system-connections/ ディレクトリーの NMConnection ファイルから一意の情報を削除します。

      1. MAC アドレス、IP アドレス、DNS、ゲートウェイ、およびその他の 一意 の情報または望ましくない設定を削除します。

        *ID=ExampleNetwork
        BOOTPROTO="dhcp"
        HWADDR="AA:BB:CC:DD:EE:FF"                  <- REMOVE
        NM_CONTROLLED="yes"
        ONBOOT="yes"
        TYPE="Ethernet"
        UUID="954bd22c-f96c-4b59-9445-b39dd86ac8ab" <- REMOVE
      2. 同様の 一意 の情報と望ましくない設定を /etc/hosts および /etc/resolv.conf ファイルから削除します。
  3. 登録の詳細を削除します。

    • Red Hat ネットワーク (RHN) に登録されている仮想マシンの場合:

      # rm /etc/sysconfig/rhn/systemid
    • Red Hat Subscription Manager (RHSM) に登録されている仮想マシンの場合:

      • 元の仮想マシンを使用しない場合は、次のコマンドを実行します。

        # subscription-manager unsubscribe --all # subscription-manager unregister # subscription-manager clean
      • 元の仮想マシンを使用する場合は、以下を行います。

        # subscription-manager clean
        注記

        元の RHSM プロファイルは、ID コードとともにポータルに残ります。クローンの作成後、次のコマンドを使用して仮想マシンで RHSM 登録を再アクティブ化します。

        # subscription-manager register --consumerid=71rd64fx-6216-4409-bf3a-e4b7c7bd8ac9
  4. その他の固有の詳細を削除します。

    1. SSH 公開鍵と秘密鍵のペアを削除します。

      # rm -rf /etc/ssh/ssh_host_example
    2. LVM デバイスの設定を削除します。

      # rm /etc/lvm/devices/system.devices
    3. 複数のマシンで実行している場合に、競合する可能性があるその他のアプリケーション固有の識別子や設定を削除します。
  5. gnome-initial-setup-done ファイルを削除し、次回のシステムの起動時に設定ウィザードを実行するように仮想マシンを設定します。

    # rm ~/.config/gnome-initial-setup-done
    注記

    次回の起動時に実行するウィザードは、仮想マシンから削除された設定によって異なります。また、クローンの初回起動時には、ホスト名を変更することが推奨されます。

11.3. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンのクローン作成

テストのために、特定のプロパティーセットで新しい仮想マシンを作成するには、CLI を使用して既存の仮想マシンのクローンを作成します。

前提条件

  • 移行元の仮想マシンがシャットダウンしている。
  • クローンとして作成したディスクイメージを保存するのに十分なディスク領域があることを確認します。
  • オプション: 仮想マシンのクローンを複数作成する場合は、クローンとして作成した仮想マシンが適切に動作するように、ソース仮想マシンから固有のデータと設定を削除します。手順は、仮想マシンテンプレートの作成 を参照してください。

手順

  • 環境とユースケースに適したオプションを指定して virt-clone ユーティリティーを使用します。

    サンプルのユースケース

    • 次のコマンドは、example-VM-1 という名前のローカル仮想マシンのクローンを作成し、example-VM-1-clone 仮想マシンを作成します。また、元の仮想マシンのディスクイメージと同じ場所に、同じデータで example-VM-1-clone.qcow2 ディスクイメージを作成して割り当てます。

      # virt-clone --original example-VM-1 --auto-clone
      Allocating 'example-VM-1-clone.qcow2'                            | 50.0 GB  00:05:37
      
      Clone 'example-VM-1-clone' created successfully.
    • 次のコマンドは、example-VM-2 という名前で仮想マシンのクローンを作成し、example-VM-3 という名前でローカル仮想マシンを作成します。この仮想マシンは、example-VM-2 の複数ディスクのうち 2 つだけを使用します。

      # virt-clone --original example-VM-2 --name example-VM-3 --file /var/lib/libvirt/images/disk-1-example-VM-2.qcow2 --file /var/lib/libvirt/images/disk-2-example-VM-2.qcow2
      Allocating 'disk-1-example-VM-2-clone.qcow2'                                      | 78.0 GB  00:05:37
      Allocating 'disk-2-example-VM-2-clone.qcow2'                                      | 80.0 GB  00:05:37
      
      Clone 'example-VM-3' created successfully.
    • 仮想マシンを別のホストにクローンするには、ローカルホストで定義を解除せずに仮想マシンを移行します。たとえば、次のコマンドは、以前に作成した仮想マシン example-VM-3192.0.2.1 リモートシステムにローカルディスクを含めてクローンします。192.0.2.1 に対して次のコマンドを実行するには root 権限が必要であることに注意してください。

      # virsh migrate --offline --persistent example-VM-3 qemu+ssh://root@192.0.2.1/system
      root@192.0.2.1's password:
      
      # scp /var/lib/libvirt/images/<disk-1-example-VM-2-clone>.qcow2 root@192.0.2.1/<user@remote_host.com>://var/lib/libvirt/images/
      
      # scp /var/lib/libvirt/images/<disk-2-example-VM-2-clone>.qcow2 root@192.0.2.1/<user@remote_host.com>://var/lib/libvirt/images/

検証

  1. 仮想マシンのクローンが正常に作成され、正しく機能していることを確認するには、以下を行います。

    1. クローンが、ホストの仮想マシンのリストに追加されていることを確認します。

      # virsh list --all
      Id   Name                  State
      ---------------------------------------
      -    example-VM-1          shut off
      -    example-VM-1-clone    shut off
    2. クローンを起動し、起動しているかどうかを確認します。

      # virsh start example-VM-1-clone
      Domain 'example-VM-1-clone' started

関連情報

11.4. Web コンソールを使用した仮想マシンのクローン作成

特定のプロパティーセットで新しい仮想マシンを作成するには、Web コンソールを使用して事前に設定した仮想マシンのクローンを作成します。

注記

仮想マシンのクローンを作成すると、その仮想マシンに関連付けられたディスクのクローンも作成されます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. Web コンソールの仮想マシンインターフェイスで、クローンを作成する仮想マシンの メニュー ボタン をクリックします。

    仮想マシン操作を制御するためのドロップダウンメニューが表示されます。

  3. Clone をクリックします。

    仮想マシンのクローンの作成ダイアログが表示されます。

    仮想マシンの新しい名前を入力するオプションがある仮想マシンのクローンの作成ダイアログボックス。
  4. オプション: 仮想マシンクローンの新しい名前を入力します。
  5. Clone をクリックします。

    ソースの仮想マシンに基づいて、新しい仮想マシンが作成されます。

検証

  • クローンとして作成された仮想マシンが、ホストで利用可能な仮想マシンのリストに表示されるかどうかを確認します。

第12章 仮想マシンの移行

仮想マシンの現在のホストが不安定な場合や使用できない場合や、ホストワークロードを再分散する場合は、仮想マシンを別の KVM ホストに移行できます。

12.1. 仮想マシンの移行の仕組み

仮想マシンの移行は、仮想マシンの XML 設定を別のホストマシンにコピーします。移行した仮想マシンがシャットダウンしていない場合、移行では、仮想マシンのメモリーと仮想デバイスの状態も移行先ホストマシンに転送されます。移行先ホストで仮想マシンが機能し続けるには、仮想マシンのディスクイメージが利用可能なままである必要があります。

デフォルトでは移行された仮想マシンは、移行先ホスト上では一時的なもので、移行元ホストでもそのまま定義されたままとなります。

ライブ マイグレーションまたは 非ライブ マイグレーションを使用して、実行中の仮想マシンを移行できます。シャットダウンした仮想マシンを移行するには、オフライン マイグレーションを使用する必要があります。詳細は、以下の表を参照してください。

表12.1 仮想マシンの移行タイプ
移行タイプ説明ユースケースストレージ要件

ライブマイグレーション

仮想マシンは移行元ホストマシンでそのまま実行を続け、KVM が仮想マシンのメモリーページを移行先ホストに転送します。移行がほぼ完了すると、KVM はごく短い間仮想マシンを中断し、移行先ホストで再開します。

常に稼働する必要がある仮想マシンに役に立ちます。ただし、I/O 負荷が高い仮想マシンなど、KVM の転送時間よりもメモリーページの変更が早く行われる仮想マシンでは、ライブマイグレーションを使用できないため、非ライブマイグレーション を使用する必要があります。

移行中、仮想マシンのディスクイメージに、ソースホストと宛先ホストの両方からアクセスできる必要があります。(1)

非ライブマイグレーション

仮想マシンを一時停止して、その設定とメモリーを移行先ホストにコピーし、仮想マシンを再開します。

仮想マシンに対するダウンタイムが発生しますが、一般的にはライブマイグレーションよりも信頼性が高くなります。メモリー負荷が大きい仮想マシンに推奨されます。

移行中、仮想マシンのディスクイメージに、ソースホストと宛先ホストの両方からアクセスできる必要があります。(1)

ハイブリッドマイグレーション

ライブマイグレーション非ライブマイグレーション を組み合わせたものです。ライブマイグレーション中にソース仮想マシンを一時停止すると、新たなダーティーメモリーページが生成されなくなります。その結果、移行が完了する可能性が大幅に高まります。

たとえば、移行完了の妨げになる、非常に多くの vCPU または大量のメモリーを使用する仮想マシンをライブマイグレーションする場合に推奨されます。

移行時のゲストのワークロードと静的ページ数によっては、ハイブリッドマイグレーションのほうが、非ライブマイグレーションよりも、ダウンタイムが大幅に短縮される可能性があります。

移行中、仮想マシンのディスクイメージに、ソースホストと宛先ホストの両方からアクセスできる必要があります。(1)

オフラインマイグレーション

仮想マシンの設定を移行先ホストに移動します。

シャットダウンした仮想マシンや、仮想マシンをシャットダウンしてもワークロードを中断しない場合に推奨されます。

仮想マシンのディスクイメージは、共有ネットワークに配置する必要はなく、移行先ホストに手動でコピーまたは移動できます。

(1) これを実現するには、次のいずれかを使用します。

  • 共有ネットワーク上 にあるストレージ
  • virsh migrate コマンドの --copy-storage-all パラメーターで、ネットワーク経由でソースから宛先にディスクイメージの内容をコピーします。
  • ストレージエリアネットワーク (SAN) の論理ユニット (LUN)。
  • Ceph Storage クラスター

12.2. 仮想マシンの移行の利点

仮想マシンの移行は、以下の場合に役に立ちます。

ロードバランシング
ホストがオーバーロードするか、別のホストの使用率が低くなっている場合に、仮想マシンを使用率の低いホストマシンに移動できます。
ハードウェアの非依存性
ホストマシンでハードウェアデバイスのアップグレード、追加、削除などを行う必要がある場合は、仮想マシンをその他のホストに安全に移動できます。つまり、仮想マシンは、ハードウェアを改善する際にダウンタイムが生じることはありません。
エネルギー節約
仮想マシンはその他のホストに再配布できるため、電力使用量の少ない時間帯に、アンロードしたホストシステムの電源を切ることで、節電やコスト削減が可能になります
地理的な移行
待ち時間の短縮や他の理由により、別の物理的な場所に仮想マシンを移動できます。

12.3. 仮想マシンの移行の制限事項

RHEL 9 で仮想マシンを移行する前に、移行の制限に注意してください。

  • 仮想マシンと libvirt のセッションコネクション間の移行 は信頼できないため、推奨されません。
  • 特定の機能と設定を使用する仮想マシンは、移行すると正しく機能しなくなるか、移行が失敗します。このような機能は次のとおりです。

    • デバイスパススルー
    • SR-IOV デバイスの割り当て
    • vGPU などの仲介デバイス
  • NUMA (Non-Uniform Memory Access) ピニングを使用するホスト間の移行は、ホストのトポロジーが類似している場合にのみ機能します。ただし、実行中のワークロードのパフォーマンスは、移行の影響を受ける可能性があります。
  • 移行元仮想マシンと移行先仮想マシンの両方で、エミュレートしている CPU が同一である必要があります。同一でないと、移行が失敗します。以下の CPU 関連領域の仮想マシン間で相違があると、移行の問題が発生する可能性があります。

    • CPU モデル

      • Intel 64 ホストと AMD64 ホスト間の移行は、x86-64 命令セットを共有している場合でも サポートされていません。
      • 別の CPU モデルを持つホストに移行した後に仮想マシンが正しく機能することを確認する手順は、仮想マシン移行のためのホスト CPU の互換性の確認 を参照してください。
    • ファームウェア設定
    • Microcode バージョン
    • BIOS バージョン
    • BIOS 設定
    • QEMU バージョン
    • カーネルバージョン
  • 1 TB を超えるメモリーを使用する仮想マシンのライブマイグレーションは、一部のケースでは信頼できない場合があります。この問題を回避または修正する方法は、仮想マシンのライブマイグレーションに長時間かかり、完了しない を参照してください。

12.4. 仮想マシンの移行におけるホスト CPU の互換性の確認

移行した仮想マシン(VM)が移行先ホストで正しく機能するには、移行元および移行先のホストの CPU の互換性が必要です。これを確認するには、移行を開始する前に、共通の CPU ベースラインを計算します。

注記

本セクションの手順では、以下のホスト CPU で移行シナリオの例を使用します。

  • 移行元ホスト:Intel Core i7-8650U
  • 移行先ホスト:Intel Xeon CPU E5-2620 v2

前提条件

手順

  1. 移行元ホストで、CPU 機能を取得し、domCaps-CPUs.xml などの新しい XML ファイルに貼り付けます。

    # virsh domcapabilities | xmllint --xpath "//cpu/mode[@name='host-model']" - > domCaps-CPUs.xml
  2. XML ファイルで、<mode> </mode> タグを <cpu> </cpu> に置き換えます。
  3. オプション: domCaps-CPUs.xml ファイルの内容が次のようになっていることを確認します。

    # cat domCaps-CPUs.xml
    
        <cpu>
              <model fallback="forbid">Skylake-Client-IBRS</model>
              <vendor>Intel</vendor>
              <feature policy="require" name="ss"/>
              <feature policy="require" name="vmx"/>
              <feature policy="require" name="pdcm"/>
              <feature policy="require" name="hypervisor"/>
              <feature policy="require" name="tsc_adjust"/>
              <feature policy="require" name="clflushopt"/>
              <feature policy="require" name="umip"/>
              <feature policy="require" name="md-clear"/>
              <feature policy="require" name="stibp"/>
              <feature policy="require" name="arch-capabilities"/>
              <feature policy="require" name="ssbd"/>
              <feature policy="require" name="xsaves"/>
              <feature policy="require" name="pdpe1gb"/>
              <feature policy="require" name="invtsc"/>
              <feature policy="require" name="ibpb"/>
              <feature policy="require" name="ibrs"/>
              <feature policy="require" name="amd-stibp"/>
              <feature policy="require" name="amd-ssbd"/>
              <feature policy="require" name="rsba"/>
              <feature policy="require" name="skip-l1dfl-vmentry"/>
              <feature policy="require" name="pschange-mc-no"/>
              <feature policy="disable" name="hle"/>
              <feature policy="disable" name="rtm"/>
        </cpu>
  4. 移行先ホストで以下のコマンドを使用して CPU 機能を取得します。

    # virsh domcapabilities | xmllint --xpath "//cpu/mode[@name='host-model']" -
    
        <mode name="host-model" supported="yes">
                <model fallback="forbid">IvyBridge-IBRS</model>
                <vendor>Intel</vendor>
                <feature policy="require" name="ss"/>
                <feature policy="require" name="vmx"/>
                <feature policy="require" name="pdcm"/>
                <feature policy="require" name="pcid"/>
                <feature policy="require" name="hypervisor"/>
                <feature policy="require" name="arat"/>
                <feature policy="require" name="tsc_adjust"/>
                <feature policy="require" name="umip"/>
                <feature policy="require" name="md-clear"/>
                <feature policy="require" name="stibp"/>
                <feature policy="require" name="arch-capabilities"/>
                <feature policy="require" name="ssbd"/>
                <feature policy="require" name="xsaveopt"/>
                <feature policy="require" name="pdpe1gb"/>
                <feature policy="require" name="invtsc"/>
                <feature policy="require" name="ibpb"/>
                <feature policy="require" name="amd-ssbd"/>
                <feature policy="require" name="skip-l1dfl-vmentry"/>
                <feature policy="require" name="pschange-mc-no"/>
        </mode>
  5. 移行先ホストから移行元ホストの domCaps-CPUs.xml ファイルに取得した CPU 機能を追加します。ここでも、<mode> </mode> タグを <cpu> </cpu> に置き換え、ファイルを保存します。
  6. オプション: XML ファイルに両方のホストの CPU 機能が含まれていることを確認します。

    # cat domCaps-CPUs.xml
    
        <cpu>
              <model fallback="forbid">Skylake-Client-IBRS</model>
              <vendor>Intel</vendor>
              <feature policy="require" name="ss"/>
              <feature policy="require" name="vmx"/>
              <feature policy="require" name="pdcm"/>
              <feature policy="require" name="hypervisor"/>
              <feature policy="require" name="tsc_adjust"/>
              <feature policy="require" name="clflushopt"/>
              <feature policy="require" name="umip"/>
              <feature policy="require" name="md-clear"/>
              <feature policy="require" name="stibp"/>
              <feature policy="require" name="arch-capabilities"/>
              <feature policy="require" name="ssbd"/>
              <feature policy="require" name="xsaves"/>
              <feature policy="require" name="pdpe1gb"/>
              <feature policy="require" name="invtsc"/>
              <feature policy="require" name="ibpb"/>
              <feature policy="require" name="ibrs"/>
              <feature policy="require" name="amd-stibp"/>
              <feature policy="require" name="amd-ssbd"/>
              <feature policy="require" name="rsba"/>
              <feature policy="require" name="skip-l1dfl-vmentry"/>
              <feature policy="require" name="pschange-mc-no"/>
              <feature policy="disable" name="hle"/>
              <feature policy="disable" name="rtm"/>
        </cpu>
        <cpu>
              <model fallback="forbid">IvyBridge-IBRS</model>
              <vendor>Intel</vendor>
              <feature policy="require" name="ss"/>
              <feature policy="require" name="vmx"/>
              <feature policy="require" name="pdcm"/>
              <feature policy="require" name="pcid"/>
              <feature policy="require" name="hypervisor"/>
              <feature policy="require" name="arat"/>
              <feature policy="require" name="tsc_adjust"/>
              <feature policy="require" name="umip"/>
              <feature policy="require" name="md-clear"/>
              <feature policy="require" name="stibp"/>
              <feature policy="require" name="arch-capabilities"/>
              <feature policy="require" name="ssbd"/>
              <feature policy="require" name="xsaveopt"/>
              <feature policy="require" name="pdpe1gb"/>
              <feature policy="require" name="invtsc"/>
              <feature policy="require" name="ibpb"/>
              <feature policy="require" name="amd-ssbd"/>
              <feature policy="require" name="skip-l1dfl-vmentry"/>
              <feature policy="require" name="pschange-mc-no"/>
        </cpu>
  7. XML ファイルを使用して、移行する仮想マシンの CPU 機能ベースラインを計算します。

    # virsh hypervisor-cpu-baseline domCaps-CPUs.xml
    
        <cpu mode='custom' match='exact'>
          <model fallback='forbid'>IvyBridge-IBRS</model>
          <vendor>Intel</vendor>
          <feature policy='require' name='ss'/>
          <feature policy='require' name='vmx'/>
          <feature policy='require' name='pdcm'/>
          <feature policy='require' name='pcid'/>
          <feature policy='require' name='hypervisor'/>
          <feature policy='require' name='arat'/>
          <feature policy='require' name='tsc_adjust'/>
          <feature policy='require' name='umip'/>
          <feature policy='require' name='md-clear'/>
          <feature policy='require' name='stibp'/>
          <feature policy='require' name='arch-capabilities'/>
          <feature policy='require' name='ssbd'/>
          <feature policy='require' name='xsaveopt'/>
          <feature policy='require' name='pdpe1gb'/>
          <feature policy='require' name='invtsc'/>
          <feature policy='require' name='ibpb'/>
          <feature policy='require' name='amd-ssbd'/>
          <feature policy='require' name='skip-l1dfl-vmentry'/>
          <feature policy='require' name='pschange-mc-no'/>
        </cpu>
  8. 移行する仮想マシンの XML 設定を開き、<cpu> セクションの内容を直前の手順で取得した設定に置き換えます。

    # virsh edit VM-name
  9. 仮想マシンが実行中の場合は再起動します。

    # virsh reboot VM-name

12.5. 他のホストとの仮想マシンディスクイメージの共有

サポートされている KVM ホスト 間で仮想マシン (VM) のライブマイグレーションを実行するには、移行プロセス中に仮想マシンがストレージの読み取りと書き込みを行えるように、実行中の仮想マシンのストレージも移行する必要があります。

これを行う方法の 1 つに、共有仮想マシンストレージを使用する方法があります。次の手順では、NFS プロトコルを使用して、ローカルに保存された仮想マシンイメージをソースホストおよび宛先ホストと共有する方法について説明します。

前提条件

  • 移行に使用する仮想マシンがシャットダウンしている。
  • オプション: 移行元ホストまたは移行先ホストではないストレージをホストするためのホストシステムを使用でき、移行元ホストまたは移行先ホストの両方がネットワーク経由でそのホストにアクセスできる。これは共有ストレージに最適なソリューションで、Red Hat が推奨しています。
  • KVM では対応していないため、NFS ファイルのロック機能を使用しない。
  • NFS プロトコルが、ソースホストと宛先ホストにインストールされ、有効化されている。詳細は、以下を参照してください。
  • NFS サーバーのデプロイ

手順

  1. 共有ストレージを提供するホストに接続します。この例では、example-shared-storage ホストです。

    # ssh root@example-shared-storage
    root@example-shared-storage's password:
    Last login: Mon Sep 24 12:05:36 2019
    root~#
  2. ディスクイメージを保持し、移行ホストと共有されるディレクトリーを移行元ホスト上に作成します。

    # mkdir /var/lib/libvirt/shared-images
  3. 移行元ホストから新規作成されたディレクトリーに仮想マシンのディスクイメージをコピーします。次の例では、仮想マシンのディスクイメージ example-disk-1example-shared-storage ホストの /var/lib/libvirt/shared-images/ ディレクトリーにコピーします。

    # scp /var/lib/libvirt/images/example-disk-1.qcow2 root@example-shared-storage:/var/lib/libvirt/shared-images/example-disk-1.qcow2
  4. ストレージを共有するのに使用するホストで、/etc/exports ファイルに共有ディレクトリーを追加します。次の例では、/var/lib/libvirt/shared-images ディレクトリーを example-source-machine ホストおよび example-destination-machine ホストと共有します。

    # /var/lib/libvirt/shared-images example-source-machine(rw,no_root_squash) example-destination-machine(rw,no\_root_squash)
  5. 移行元ホストと移行先ホストの両方で、共有ディレクトリーを /var/lib/libvirt/images ディレクトリーにマウントします。

    # mount example-shared-storage:/var/lib/libvirt/shared-images /var/lib/libvirt/images

検証

  • 移行元ホストで仮想マシンを起動し、正常に起動するかどうかを確認します。

12.6. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの移行

仮想マシンの現在のホストが不安定な場合や使用できない場合や、ホストワークロードを再分散する場合は、仮想マシンを別の KVM ホストに移行できます。次の手順では、このような移行のさまざまなシナリオの手順と例を示します。

前提条件

  • 移行元ホストと移行先ホストはいずれも KVM ハイパーバイザーを使用します。
  • 移行元ホストと移行先のホストは、ネットワーク経由で相互に通信できなければなりません。ping ユーティリティーを使用してこれを確認します。
  • 移行先ホストで以下のポートが開いていることを確認します。

    • ポート 22 は、SSH を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16509 は、TLS を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16514 は、TCP を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 49152-49215 は、QEMU がメモリーおよびディスク移行データを転送するために必要です。
  • Red Hat が移行に対応できるようにするには、移行元ホストと移行先のホストが特定のオペレーティングシステムとマシンタイプを使用している必要があります。これを確認するには、Supported hosts for virtual machine migration を参照してください。
  • 仮想マシンは、移行先ホストの CPU 機能と互換性がある必要があります。これを確認するには、仮想マシン移行のホスト CPU の互換性の確認 を参照してください。
  • 移行する仮想マシンのディスクイメージに、ソースホストと宛先ホストの両方からアクセスできる。オフラインマイグレーションの場合は任意ですが、実行中の仮想マシンの移行に必要になります。両方のホストのストレージアクセスを確保するには、次のいずれかに該当している必要があります。

    • ストレージエリアネットワーク (SAN) 論理ユニット (LUN) を使用している。
    • Ceph Storage クラスター を使用している。
    • 仮想マシンのディスクイメージを宛先ホストにコピーし、仮想マシンを移行するときに --copy-storage-all パラメーターを使用する。または、ソース仮想マシンディスクと同じ形式とサイズの ディスクイメージを作成 した。
    • ディスクイメージが別のネットワーク上の場所にある。このような仮想マシンの共有ストレージを設定する手順は、Sharing virtual machine disk images with other hosts を参照してください。
  • 仮想マシンの実行中に移行する場合は、ネットワークの帯域幅が、仮想マシンがダーティーメモリーページを生成する速度を超える必要があります。

    ライブマイグレーションを開始する前に仮想マシンのダーティーページ速度を取得するには、次の手順を実行します。

    • 短期間、仮想マシンのダーティーページ生成速度を監視します。

      # virsh domdirtyrate-calc example-VM 30
    • 監視が終了したら、結果を取得します。

      # virsh domstats example-VM --dirtyrate
      Domain: 'example-VM'
        dirtyrate.calc_status=2
        dirtyrate.calc_start_time=200942
        dirtyrate.calc_period=30
        dirtyrate.megabytes_per_second=2

      この例では、仮想マシンが 1 秒あたり 2MB のダーティーメモリーページを生成しています。帯域幅が 2MB/s 以下のネットワーク上でこのような仮想マシンをライブマイグレーションしようとすると、仮想マシンを一時停止したり、ワークロードを低くしたりしないと、ライブマイグレーションが進行しません。

      ライブマイグレーションが正常に終了するように、Red Hat では、ネットワークの帯域幅が仮想マシンのダーティーページの生成速度を大幅に上回ることを推奨しています。

      注記

      calc_period オプションの値は、ワークロードとダーティーページ速度により異なる場合があります。いくつかの calc_period 値を試して、環境のダーティーページ速度に合わせた最適な期間を決定できます。

  • パブリックブリッジタップネットワークの既存の仮想マシンで移行を行う場合は、移行元ホストと移行先ホストが同じネットワークにある必要があります。そうでない場合は、移行後に仮想マシンのネットワークが機能しなくなります。
  • VM 移行を実行する場合、ソースホスト上の virsh クライアントは、いくつかのプロトコルの 1 つを使用して、宛先ホスト上の libvirt デーモンに接続できます。次の手順の例では SSH 接続を使用していますが、別の接続を選択することもできます。

    • libvirt で SSH 接続を使用する場合は、virtqemud ソケットが有効になっていて、宛先ホストで実行されていることを確認してください。

      # systemctl enable --now virtqemud.socket
    • libvirt で TLS 接続を使用する場合は、virtproxyd-tls ソケットが有効になっていて、宛先ホストで実行していることを確認してください。

      # systemctl enable --now virtproxyd-tls.socket
    • libvirt で TCP 接続を使用する場合は、virtproxyd-tcp ソケットが有効になっていて、宛先ホストで実行していることを確認してください。

      # systemctl enable --now virtproxyd-tcp.socket

手順

  1. virsh migrate コマンドで、移行の要件に適したオプションを指定します。

    1. 次のコマンドは、SSH トンネルを使用して、ローカルホストから example-destination ホストのシステム接続に example-VM-1 仮想マシンを移行します。仮想マシンは移行中も稼働し続けます。

      # virsh migrate --persistent --live example-VM-1 qemu+ssh://example-destination/system
    2. 次のコマンドを使用すると、ローカルホストで実行している example-VM-2 仮想マシンの設定を手動で調整し、その仮想マシンを example-destination ホストに移行できます。移行した仮想マシンが更新された設定を自動的に使用します。

      # virsh dumpxml --migratable example-VM-2 > example-VM-2.xml
      # vi example-VM-2.xml
      # virsh migrate --live --persistent --xml example-VM-2.xml example-VM-2 qemu+ssh://example-destination/system

      この手順は、たとえば、移行先ホストが別のパスを使用して仮想マシンの共有ストレージにアクセスする必要がある場合、または移行先ホストに固有の機能を設定する場合に役立ちます。

    3. 次のコマンドは、example-VM-3 仮想マシンを example-source ホストで一時停止して example-destination ホストに移行し、example-VM-3-alt.xml ファイルが提供する調整済みの XML 設定を使用するように当該仮想マシンに指示します。移行が終了すると、libvirt は移行先ホストで仮想マシンを再開します。

      # virsh migrate example-VM-3 qemu+ssh://example-source/system qemu+ssh://example-destination/system --xml example-VM-3-alt.xml

      移行後、仮想マシンはソースホストでシャットオフ状態になり、移行されたコピーはシャットダウン後に削除されます。

  1. 次の例では、シャットダウンされた example-VM-4 仮想マシンを example-source ホストから削除し、その設定を example-destination ホストに移動します。

    # virsh migrate --offline --persistent --undefinesource example-VM-4 qemu+ssh://example-source/system qemu+ssh://example-destination/system

    このタイプの移行では、仮想マシンのディスクイメージを共有ストレージに移動する必要がないことに注意してください。ただし、移行先ホストで仮想マシンを使用するには、仮想マシンのディスクイメージも移行する必要があります。以下に例を示します。

    # scp root@example-source:/var/lib/libvirt/images/example-VM-4.qcow2 root@example-destination:/var/lib/libvirt/images/example-VM-4.qcow2
  2. 次のコマンドは、example-VM-5 仮想マシンを example-destination ホストに移行し、複数の並列接続 (マルチファイル記述子 (マルチ FD) 移行とも呼ばれます) を使用します。マルチ FD 移行では、移行プロセスに利用可能なネットワーク帯域幅をすべて利用することで、移行を高速化できます。

    # virsh migrate --parallel --parallel-connections 4 <example-VM-5> qemu+ssh://<example-destination>/system

    この例では、4 つのマルチ FD チャネルを使用して example-VM-5 仮想マシンを移行します。利用可能なネットワーク帯域幅 10 Gbps ごとに 1 つのチャネルを使用することを推奨します。デフォルト値は 2 チャネルです。

    1. 移行が完了するまで待ちます。ネットワーク帯域幅、システムの負荷、仮想マシンのサイズによっては、プロセスに時間がかかる場合があります。virsh migrate--verbose オプションが使用されていないと、CLI はエラー以外の進捗インジケーターを表示しません。

      移行中は、virsh domjobinfo ユーティリティーを使用して移行の統計を表示できます。

検証

  • 移行先ホストで、使用可能な仮想マシンのリストを表示して、仮想マシンが移行されたかどうかを確認します。

    # virsh list
    Id      Name             State
    ----------------------------------
    10    example-VM-1      running

    移行がまだ実行中であれば、このコマンドは、paused の仮想マシンのリストを表示します。

トラブルシューティング

  • ターゲットのホストは、ネットワーク名や CPU タイプなど、移行した仮想マシンの XML 設定で使用される特定の値と互換性がない場合があります。そのため、仮想マシンがターゲットホストで起動できなくなります。この問題を修正するには、virsh edit コマンドを使用して問題のある値を更新します。値を更新した後、変更を適用するには仮想マシンを再起動する必要があります。
  • ライブマイグレーションの完了に時間がかかっている場合は、仮想マシンの負荷が高く、ライブマイグレーションを実行するために変更しているメモリーページ多すぎる可能性があります。この問題を解決するには、仮想マシンを一時停止して、移行を非ライブマイグレーションに変更します。

    # virsh suspend example-VM-1

関連情報

  • virsh migrate --help コマンド
  • virsh(1) man ページ

12.7. Web コンソールを使用した仮想マシンのライブ移行

継続的に実行する必要があるタスクを実行している仮想マシンを移行する場合は、シャットダウンせずに、その仮想マシンを別の KVM ホストに移行できます。これはライブマイグレーションとも呼ばれます。以下の手順では、Web コンソールを使用した移行方法を説明します。

警告

I/O 負荷が高いタスクなど、KVM がメモリーページを転送するよりも速い速度でメモリーページを変更するタスクには、仮想マシンをライブマイグレーションしないことが推奨されます。

前提条件

  • RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。

    手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • 移行元ホストと移行先ホストが実行中である。
  • 移行先ホストで以下のポートが開いていることを確認します。

    • ポート 22 は、SSH を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16509 は、TLS を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16514 は、TCP を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 49152-49215 は、QEMU がメモリーおよびディスク移行データを転送するために必要です。
  • 仮想マシンは、移行先ホストの CPU 機能と互換性がある必要があります。これを確認するには、仮想マシン移行のホスト CPU の互換性の確認 を参照してください。
  • 仮想マシンのディスクイメージは、移行元ホストおよび移行先ホストからアクセス可能な 共有ストレージ に配置されています。
  • 仮想マシンの実行中に移行する場合は、ネットワークの帯域幅が、仮想マシンがダーティーメモリーページを生成する速度を超える必要があります。

    ライブマイグレーションを開始する前に仮想マシンのダーティーページ速度を取得するには、コマンドラインインターフェイスで次の手順を行います。

    1. 短期間、仮想マシンのダーティーページ生成速度を監視します。

      # virsh domdirtyrate-calc vm-name 30
    2. 監視が終了したら、結果を取得します。

      # virsh domstats vm-name --dirtyrate
      Domain: 'vm-name'
        dirtyrate.calc_status=2
        dirtyrate.calc_start_time=200942
        dirtyrate.calc_period=30
        dirtyrate.megabytes_per_second=2

      この例では、仮想マシンが 1 秒あたり 2MB のダーティーメモリーページを生成しています。帯域幅が 2MB/s 以下のネットワーク上でこのような仮想マシンをライブマイグレーションしようとすると、仮想マシンを一時停止したり、ワークロードを低くしたりしないと、ライブマイグレーションが進行しません。

      ライブマイグレーションが正常に終了するように、Red Hat では、ネットワークの帯域幅が仮想マシンのダーティーページの生成速度を大幅に上回ることを推奨しています。

注記

calc_period オプションの値は、ワークロードとダーティーページ速度により異なる場合があります。いくつかの calc_period 値を試して、環境のダーティーページ速度に合わせた最適な期間を決定できます。

手順

  1. Web コンソールの仮想マシンインターフェイスで、移行する仮想マシンのメニュー ボタン をクリックします。

    仮想マシン操作を制御するためのドロップダウンメニューが表示されます。

    仮想マシンの実行時に利用可能なオプションを表示する仮想マシンのメインページ。
  2. Migrate をクリックします。

    仮想マシンを別のホストに移行ダイアログボックスが表示されます。

    仮想マシンを別のホストに移行ダイアログボックスにフィールドを追加し、移行先ホストの URI を入力して、移行期間を設定します。
  3. 宛先ホストの URI を入力します。
  4. 移行の期間を設定します。

    • Permanent - 仮想マシンを永続的に移行する場合はチェックを外します。永続的な移行では、移行元ホストから仮想マシンの設定が完全に削除されます。
    • Temporary - 一時的な移行では、仮想マシンのコピーを移行先ホストに移行します。このコピーは、仮想マシンのシャットダウン時に移行先ホストから削除されます。元の仮想マシンは、ソースホストに残ります。
  5. Migrate をクリックします。

    仮想マシンが移行先ホストに移行されます。

検証

仮想マシンの移行に成功し、正常に機能しているかどうかを確認するには、次のコマンドを実行します。

  • 移行先ホストで利用可能な仮想マシンのリストに仮想マシンが表示されているかどうかを確認します。
  • 移行した仮想マシンを起動し、起動するかどうかを確認します。

12.8. Mellanox Virtual Function が割り当てられた仮想マシンのライブマイグレーション

テクノロジープレビューとして、Mellanox ネットワークデバイスの Virtual Function (VF) が割り当てられた仮想マシン (VM) のライブマイグレーションを利用できます。現在、これは Mellanox CX-7 ネットワークデバイスを使用している場合にのみ可能です。Mellanox CX-7 ネットワークデバイス上の VF は、ライブマイグレーションに必要な機能を追加する新しい mlx5_vfio_pci ドライバーを使用します。この新しいドライバーは、libvirt によって VF に自動的にバインドされます。

制限事項

現在、Mellanox Virtual Function が割り当てられた仮想マシンをライブマイグレーションする場合、以下の仮想化機能を使用できません。

  • 仮想マシンのダーティーメモリーページレート生成の計算
  • コピー後のライブマイグレーションの使用
  • 仮想マシンでの仮想 I/O Memory Management Unit (vIOMMU) デバイスの使用
重要

この機能は RHEL 9 に テクノロジープレビュー のみの機能として組み込まれているため、サポート対象外です。

前提条件

  • ファームウェアバージョンが 28.36.1010 以上の Mellanox CX-7 ネットワークデバイスを使用している。

    ファームウェアバージョンの詳細は、Mellanox のドキュメント を参照してください。

  • mstflint パッケージが、ソースホストと宛先ホストの両方にインストールされている。

    # dnf install mstflint
  • Mellanox CX-7 ネットワークデバイスで、VF_MIGRATION_MODEMIGRATION_ENABLED に設定されている。

    # mstconfig -d <device_pci_address> query | grep -i VF_migration
    
    VF_MIGRATION_MODE                           MIGRATION_ENABLED(2)
    • 次のコマンドを使用して、VF_MIGRATION_MODEMIGRATION_ENABLED に設定できます。

      # mstconfig -d <device_pci_address> set VF_MIGRATION_MODE=2
  • openvswitch パッケージが、ソースホストと宛先ホストの両方にインストールされている。

    # dnf install openvswitch
  • ホストの CPU およびファームウェアは、IOMMU (I/O Memory Management Unit) に対応している。

    • Intel CPU を使用している場合は、Intel VT-d (Virtualization Technology for Directed I/O) に対応する必要があります。
    • AMD CPU を使用している場合は、AMD-Vi 機能に対応している必要があります。
  • ホストシステムが、アクセス制御サービス (ACS) を使用して PCIe トポロジーの DMA (Direct Memory Access) 分離を提供している。この点をシステムベンダーに確認してください。

    詳細は、SR-IOV 実装に関するハードウェアの考慮事項 を参照してください。

  • VF の作成に使用するホストのネットワークインターフェイスが実行中である。たとえば、eth1 インターフェイスをアクティブにして実行中であることを確認するには、次のコマンドを使用します。

    # ip link set eth1 up
    # ip link show eth1
    8: eth1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP mode DEFAULT qlen 1000
       link/ether a0:36:9f:8f:3f:b8 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
       vf 0 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
       vf 1 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
       vf 2 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
       vf 3 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
  • SR-IOV デバイス割り当てを有効にするには、ホスト BIOS およびカーネルで IOMMU 機能を有効にする必要があります。以下の方法で送信してください。

    • Intel ホストで、Intel Virtualization Technology for Directed I/O (VT-d) を有効にします。

      1. intel_iommu=on および iommu=pt パラメーターを使用して GRUB 設定を再生成します。

        # grubby --args="intel_iommu=on iommu=pt" --update-kernel=ALL
      2. ホストを再起動します。
    • AMD ホストで、AMD-Vi を有効にします。

      1. iommu=pt パラメーターで GRUB 設定を再生成します。

        # grubby --args="iommu=pt" --update-kernel=ALL
      2. ホストを再起動します。
  • 移行元ホストと移行先ホストはいずれも KVM ハイパーバイザーを使用します。
  • 移行元ホストと移行先のホストは、ネットワーク経由で相互に通信できなければなりません。ping ユーティリティーを使用してこれを確認します。
  • 宛先ホストで次のポートが開いている。

    • ポート 22 は、SSH を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16509 は、TLS を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 16514 は、TCP を使用して宛先ホストに接続するために必要です。
    • ポート 49152 - 49215 は、QEMU がメモリーおよびディスク移行データを転送するために必要です。
  • ソースホストと宛先ホストが、移行可能なオペレーティングシステムとマシンタイプを使用している。これを確認するには、Supported hosts for virtual machine migration を参照してください。
  • 仮想マシンは、移行先ホストの CPU 機能と互換性がある必要があります。これを確認するには、仮想マシン移行のホスト CPU の互換性の確認 を参照してください。
  • 移行する仮想マシンのディスクイメージが、ソースホストと宛先ホストの両方にアクセスできる別のネットワーク上の場所にある。オフラインマイグレーションの場合は任意ですが、実行中の仮想マシンの移行に必要になります。

    このような仮想マシンの共有ストレージを設定する手順は、Sharing virtual machine disk images with other hosts を参照してください。

  • 仮想マシンの実行中に移行する場合は、ネットワークの帯域幅が、仮想マシンがダーティーメモリーページを生成する速度を超える必要があります。
  • 接続プロトコルに対応する仮想ネットワークソケットが有効になっている。

    VM 移行を実行する場合、ソースホスト上の virsh クライアントは、いくつかのプロトコルの 1 つを使用して、宛先ホスト上の libvirt デーモンに接続できます。次の手順の例では SSH 接続を使用していますが、別の接続を選択することもできます。

    • libvirt で SSH 接続を使用する場合は、virtqemud ソケットが有効になっていて、宛先ホストで実行されていることを確認してください。

      # systemctl enable --now virtqemud.socket
    • libvirt で TLS 接続を使用する場合は、virtproxyd-tls ソケットが有効になっていて、宛先ホストで実行していることを確認してください。

      # systemctl enable --now virtproxyd-tls.socket
    • libvirt で TCP 接続を使用する場合は、virtproxyd-tcp ソケットが有効になっていて、宛先ホストで実行していることを確認してください。

      # systemctl enable --now virtproxyd-tcp.socket

手順

  1. ソースホストで、Mellanox ネットワークデバイスを switchdev モードに設定します。

    # devlink dev eswitch set pci/<device_pci_address> mode switchdev
  2. ソースホストで、Mellanox デバイス上に Virtual Function を作成します。

    # echo 1 > /sys/bus/pci/devices/0000\:e1\:00.0/sriov_numvfs

    ファイルパスの /0000\:e1\:00.0/ の部分は、デバイスの PCI アドレスに基づいています。この例では、0000:e1:00.0 です。

  3. ソースホストで、VF をそのドライバーからアンバインドします。

    # virsh nodedev-detach <vf_pci_address> --driver pci-stub

    次のコマンドを使用して、VF の PCI アドレスを表示できます。

    # lshw -c network -businfo
    
    Bus info                     Device             Class           Description
    ===========================================================================
    pci@0000:e1:00.0  enp225s0np0    network        MT2910 Family [ConnectX-7]
    pci@0000:e1:00.1  enp225s0v0     network        ConnectX Family mlx5Gen Virtual Function
  4. ソースホストで、VF の移行機能を有効にします。

    # devlink port function set pci/0000:e1:00.0/1 migratable enable

    この例の pci/0000:e1:00.0/1 は、指定の PCI アドレスを持つ Mellanox デバイス上の最初の VF を示しています。

  5. ソースホストで、VF の移行用に Open vSwitch (OVS) を設定します。Mellanox デバイスが switchdev モードの場合、ネットワーク経由でデータを転送できません。

    1. openvswitch サービスが実行中であることを確認します。

      # systemctl start openvswitch
    2. ネットワークのパフォーマンスを向上させるために、ハードウェアオフロードを有効にします。

      # ovs-vsctl set Open_vSwitch . other_config:hw-offload=true
    3. 移行中にネットワーク接続が開いたままになるように、最大アイドル時間を増やします。

      # ovs-vsctl set Open_vSwitch . other_config:max-idle=300000
    4. OVS インスタンスに新しいブリッジを作成します。

      # ovs-vsctl add-br <bridge_name>
    5. openvswitch サービスを再起動します。

      # systemctl restart openvswitch
    6. 物理的な Mellanox デバイスを OVS ブリッジに追加します。

      # ovs-vsctl add-port <bridge_name> enp225s0np0

      この例では、<bridge_name> はステップ d で作成したブリッジの名前であり、enp225s0np0 は Mellanox デバイスのネットワークインターフェイス名です。

    7. Mellanox デバイスの VF を OVS ブリッジに追加します。

      # ovs-vsctl add-port <bridge_name> enp225s0npf0vf0

      この例では、<bridge_name> はステップ d で作成したブリッジの名前であり、enp225s0npf0vf0 は VF のネットワークインターフェイス名です。

  6. 宛先ホスト でステップ 1 - 5 を繰り返します。
  7. ソースホストで、mlx_vf.xml などの新しいファイルを開き、次のような VF の XML 設定を追加します。

     <interface type='hostdev' managed='yes'>
          <mac address='52:54:00:56:8c:f7'/>
          <source>
            <address type='pci' domain='0x0000' bus='0xe1' slot='0x00' function='0x1'/>
          </source>
     </interface>

    この例では、VF のパススルーを仮想マシンのネットワークインターフェイスとして設定します。MAC アドレスが一意であることを確認し、ソースホスト上の VF の PCI アドレスを使用します。

  8. ソースホストで、VF の XML ファイルを仮想マシンに割り当てます。

    # virsh attach-device <vm_name> mlx_vf.xml --live --config

    この例の mlx_vf.xml は、VF 設定を含む XML ファイルの名前です。実行中の仮想マシンにデバイスを割り当てるために、--live オプションを使用します。

  9. ソースホストで、VF が割り当てられた実行中の仮想マシンのライブマイグレーションを開始します。

    # virsh migrate --live --domain <vm_name> --desturi qemu+ssh://<destination_host_ip_address>/system

検証

  1. 移行された仮想マシンで、Mellanox VF のネットワークインターフェイス名を表示します。

    # ifconfig
    
    eth0: flags=4163<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST>  mtu 1500
            inet 192.168.1.10  netmask 255.255.255.0  broadcast 192.168.1.255
            inet6 fe80::a00:27ff:fe4e:66a1  prefixlen 64  scopeid 0x20<link>
            ether 08:00:27:4e:66:a1  txqueuelen 1000  (Ethernet)
            RX packets 100000  bytes 6543210 (6.5 MB)
            RX errors 0  dropped 0  overruns 0  frame 0
            TX packets 100000  bytes 6543210 (6.5 MB)
            TX errors 0  dropped 0 overruns 0  carrier 0  collisions 0
    
    enp4s0f0v0: flags=4163<UP,BROADCAST,RUNNING,MULTICAST>  mtu 1500
            inet 192.168.3.10  netmask 255.255.255.0  broadcast 192.168.3.255
            inet6 fe80::a00:27ff:fe4e:66c3  prefixlen 64  scopeid 0x20<link>
            ether 08:00:27:4e:66:c3  txqueuelen 1000  (Ethernet)
            RX packets 200000  bytes 12345678 (12.3 MB)
            RX errors 0  dropped 0  overruns 0  frame 0
            TX packets 200000  bytes 12345678 (12.3 MB)
            TX errors 0  dropped 0 overruns 0  carrier 0  collisions 0
  2. 移行した仮想マシンで、Mellanox VF が動作することを確認します。次に例を示します。

    # ping -I <VF_interface_name> 8.8.8.8
    
    PING 8.8.8.8 (8.8.8.8) from 192.168.3.10 <VF_interface_name>: 56(84) bytes of data.
    64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=1 ttl=57 time=27.4 ms
    64 bytes from 8.8.8.8: icmp_seq=2 ttl=57 time=26.9 ms
    
    --- 8.8.8.8 ping statistics ---
    2 packets transmitted, 2 received, 0% packet loss, time 1002ms
    rtt min/avg/max/mdev = 26.944/27.046/27.148/0.102 ms

12.9. 仮想マシンの移行に関するトラブルシューティング

仮想マシン (VM) を移行する際に、以下のいずれかの問題が発生した場合は、手順を参照して問題を修正または回避してください。

12.9.1. 仮想マシンのライブマイグレーションに長時間かかり、完了しない

原因

場合によっては、実行中の仮想マシンを移行することにより、その仮想マシンは、ダーティーメモリーページ の移行速度よりも速いスピードで、ダーティーメモリーページを生成することがあります。このような場合、移行は正常に完了できません。

この問題は、以下のシナリオにより、頻繁に発生します。

  • 負荷が大きい仮想マシンのライブマイグレーション
  • 大量のメモリー (1 TB 以上) を使用する仮想マシンのライブマイグレーション

    重要

    Red Hat は、最大 6 TB のメモリーを搭載した仮想マシンのライブマイグレーションを正常にテストしました。ただし、メモリーが 1 TB を超える仮想マシンのライブマイグレーションに関しては、Red Hat テクニカルサポート までお問い合わせください。

診断

仮想マシンのライブマイグレーションにかかる時間が予想よりも長い場合は、virsh domjobinfo コマンドを使用して、仮想マシンのメモリーページデータを取得します。

# virsh domjobinfo vm-name

Job type:         Unbounded
Operation:        Outgoing migration
Time elapsed:     168286974    ms
Data processed:   26.106 TiB
Data remaining:   34.383 MiB
Data total:       10.586 TiB
Memory processed: 26.106 TiB
Memory remaining: 34.383 MiB
Memory total:     10.586 TiB
Memory bandwidth: 29.056 MiB/s
Dirty rate: 17225 pages/s
Page size: 4096 bytes

この出力では、Dirty ratePage size を乗算すると、Memory bandwidth より大きくなります。これは、ネットワークがダーティーページを移行できるよりも速い速度で、仮想マシンがダーティーメモリーページを生成していることを意味します。そのため、移行先ホストの仮想マシンの状態を移行元ホストの仮想マシンの状態に収束することができません。これにより、移行が完了しません。

修正

停止状態のライブマイグレーションが正常に終了する確率を高めるには、以下のいずれかを行います。

  • 仮想マシンのワークロード、特にメモリー更新を減らします。

    • これを行うには、元の仮想マシンのゲストオペレーティングシステムで必須ではないプロセスを停止またはキャンセルします。
  • ライブマイグレーションで許容されるダウンタイムを増やします。

    1. 移行中の仮想マシンのライブマイグレーションの最後に、現在の最大ダウンタイムを表示します。

      # virsh migrate-getmaxdowntime vm-name
    2. 最大ダウンタイムを長く設定します。

      # virsh migrate-setmaxdowntime vm-name downtime-in-miliseconds

      最大ダウンタイムを長く設定すればするほど、移行の完了までにかかり時間が長くなる可能性があります。

  • ライブマイグレーションを post-copy モードに切り替えます。

    # virsh migrate-start-postcopy vm-name
    • これにより、仮想マシンのメモリーページが移行先ホストで収束し、移行が完了できるようになります。

      ただし、post-copy モードがアクティブになると、移行先ホストから移行元ホストへのリモートページ要求が原因で、仮想マシンが大幅に遅くなる可能性があります。さらに、post-copy マイグレーション中に移行元ホストと移行先ホスト間のネットワーク接続が動作しなくなった場合、メモリーページが不足しているために一部の仮想マシンプロセスが停止することがあります。

      したがって、仮想マシンの可用性が重要である場合や、移行ネットワークが不安定な場合は、post-copy マイグレーションを使用しないでください。

  • ワークロードの観点から許容される場合は、仮想マシンを一時停止し、移行を 非ライブ マイグレーションとして完了します。これにより、仮想マシンのダウンタイムは長くなりますが、ほとんどの場合で、移行が正常に完了するようになります。

阻止

仮想マシンのライブマイグレーションが正常に完了する確率は、以下によって変わってきます。

  • 移行中の仮想マシンのワークロード

    • 移行を開始する前に、仮想マシンのゲストオペレーティングシステムで必須でないプロセスを停止またはキャンセルします。
  • ホストが移行に使用できるネットワーク帯域幅

    • ライブマイグレーションの最適な結果を得るには、移行に使用するネットワークの帯域幅を、仮想マシンのダーティーページ生成よりも、はるかに広くする必要があります。仮想マシンのダーティーページの生成速度を取得する手順は、コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンの移行 の前提条件を参照してください。
    • 移行元ホストと移行先ホストの両方に、移行用の専用のネットワークインターフェイスコントローラー (NIC) が必要です。メモリーが 1 TB を超える仮想マシンのライブマイグレーションの場合、Red Hat では、25 Gb/s 以上の速度を持つ NIC を推奨しています。
    • また、移行の開始時に --bandwidth オプションを使用して、ライブマイグレーションに割り当てるネットワーク帯域幅を指定することもできます。非常に大きな仮想マシンを移行するには、デプロイメントに実行可能な帯域幅をできるだけ多く割り当てます。
  • ライブマイグレーションのモード

    • デフォルトの pre-copy 移行モードでは、メモリーページがダーティーになると、繰り返しメモリーページをコピーします。
    • Post-copy 移行は、メモリーページを 1 回だけコピーします。

      移行が停止した場合にライブマイグレーションが post-copy モードに切り替わるようにするには、移行の開始時に virsh migrate を指定した --postcopy オプションを使用します。

  • デプロイメント用に指定されたダウンタイム

    • 前述のように、virsh migrate-setmaxdowntime を使用して移行中にこれを調整できます。

12.10. 仮想マシンの移行で対応しているホスト

仮想マシンの移行が適切に機能し、Red Hat でサポートされるようにするには、移行元ホストと移行先ホストが特定の RHEL バージョンおよびマシンタイプである必要があります。以下の表は、対応している仮想マシンの移行パスを示しています。

表12.2 ライブマイグレーションの互換性
移行の方法リリースタイプ将来バージョンの例サポート状況

前方

マイナーリリース

9.0.1 → 9.1

対応している RHEL 9 システム - マシンタイプ q35

後方

マイナーリリース

9.1 → 9.0.1

対応している RHEL 9 システム - マシンタイプ q35

注記

RHOSP や OpenShift Virtualization など、Red Hat が提供する他の仮想化ソリューションのサポートレベルは異なります。

第13章 スナップショットを使用した仮想マシンの状態の保存と復元

仮想マシン (VM) の現在の状態を保存するには、仮想マシンの スナップショット を作成します。その後、スナップショットに戻すことで、仮想マシンを保存した状態に戻すことができます。

仮想マシンのスナップショットには、仮想マシンのディスクイメージが含まれます。実行中の仮想マシンからスナップショット (ライブスナップショット とも呼ばれます) を作成すると、そのスナップショットには、実行中のプロセスやアプリケーションを含む仮想マシンのメモリー状態も含まれます。

スナップショットを作成すると、たとえば次のタスクに役立ちます。

  • ゲストオペレーティングシステムのクリーンな状態を保存する
  • 仮想マシン上で破壊的な影響を与える可能性のある操作を実行する前に復元ポイントを確保する

13.1. 仮想マシンのスナップショットのサポート制限

Red Hat は、お客様が 外部 スナップショットを使用する場合にのみ、RHEL 上の仮想マシン (VM) のスナップショット機能をサポートします。現在、外部スナップショットは、次の要件をすべて満たしている場合にのみ RHEL で作成されます。

  • ホストが RHEL 9.4 以降を使用している。
  • 仮想マシンがファイルベースのストレージを使用している。
  • 次のいずれかの条件の下で仮想マシンのスナップショットを作成する。

    • 仮想マシンがシャットダウンされている。
    • 仮想マシンが実行中の場合は、--disk-only --quiesce オプションまたは --live --memspec オプションを使用する。

他のほとんどの設定では、内部 スナップショットが作成されます。これは RHEL 9 では非推奨です。内部スナップショットはお客様のユースケースに適している可能性がありますが、Red Hat は内部スナップショットの完全なテストとサポートを提供していません。

警告

実稼働環境では内部スナップショットを使用しないでください。

スナップショットがサポートされていることを確認するには、スナップショットの XML 設定を表示し、スナップショットの種類とストレージを確認します。

# virsh snapshot-dumpxml <vm-name> <snapshot-name>
  • サポートされているスナップショットの出力例:

    <domainsnapshot>
      <name>sample-snapshot-name-1<name>
      <state>shutoff</state>
      <creationTime>1706658764</creationTime>
      <memory snapshot='no'/>
      <disks>
        <disk name='vda' snapshot='external' type='file'>
          <driver type='qcow2'/>
          <source file='/var/lib/libvirt/images/vm-name.sample-snapshot-name-1'/>
        </disk>
      </disks>
      <domain type='kvm'>
      [...]
  • サポートされていないスナップショットの出力例:

    <domainsnapshot>
      <name>sample-snapshot-name-2</name>
      <state>running</state>
      <creationTime>1653396424</creationTime>
      <memory snapshot='internal'/>
      <disks>
        <disk name='vda' snapshot='internal'/>
        <disk name='sda' snapshot='no'/>
      </disks>
      <domain type='kvm'>
      [...]

13.2. コマンドラインインターフェイスを使用した仮想マシンのスナップショットの作成

仮想マシン (VM) の状態をスナップショットに保存するには、virsh snapshot-create-as コマンドを使用できます。

前提条件

  • ホストが RHEL 9.4 以降を使用している。
  • 仮想マシンがファイルベースのストレージを使用している。これが当てはまるかどうかを確認するには、次のコマンドを使用して、disk デバイスの disk typefile と表示されることを確認します。

    # virsh dumpxml <vm-name> | grep "disk type"
        <disk type='file' device='disk'>
        <disk type='file' device='cdrom'>
  • 実行中の仮想マシンのメモリーを含む仮想マシンスナップショットを作成する場合は、仮想マシンのメモリーを保存するための十分なディスク領域が必要です。

    • 仮想マシンのメモリーを保存するための推奨最小容量は、仮想マシンに割り当てられた RAM と同じ容量です。たとえば、32 GB の RAM を搭載した仮想マシンのメモリーを保存するには、最大 32 GB のディスク領域が必要です。
    • 仮想マシンの I/O 負荷が大きい場合、大幅な追加ディスク領域が必要になる可能性があります。
    • 仮想マシンに VFIO パススルーデバイスが割り当てられている場合、追加のディスク領域が必要になる可能性があります。
    • 仮想マシンを一時停止せずにスナップショットを作成すると、追加のディスク領域が必要になる場合があります。

      警告

      Red Hat では、非常に高いワークロードがかかっている実行中の仮想マシンのメモリーや、VFIO パススルーデバイスを使用している実行中の仮想マシンのメモリーを保存しないことを推奨しています。このような仮想マシンのメモリーを保存すると、ホストディスクがいっぱいになり、システムのデグレードが発生する可能性があります。このような仮想マシンについては、代わりにメモリーなしでスナップショットを作成することを検討してください。

      また、すべての VFIO デバイスがメモリーを含むスナップショットの作成に対応しているわけではないことに注意してください。現在、メモリーを含むスナップショットの作成は、接続されている VFIO デバイスが、移行機能が有効な Mellanox VF である場合にのみ正しく機能します。

手順

  • 必要なパラメーターを指定して仮想マシンのスナップショットを作成するには、virsh snapshot-create-as コマンドを使用します。

    # virsh snapshot-create-as <vm-name> <snapshot-name> <optional-description> <additional-parameters>
    • シャットダウンされた仮想マシンのスナップショットを作成するには、--disk-only パラメーターを使用します。たとえば、次のコマンドは、シャットダウンされた Testguest1 仮想マシンの現在のディスク状態から Snapshot1 を作成します。

      # virsh snapshot-create-as Testguest1 Snapshot1 --disk-only
      Domain snapshot Snapshot1 created.
    • 実行中の仮想マシンのディスク状態をメモリーを除いて保存するスナップショットを作成するには、--disk-only --quiesce パラメーターを使用します。たとえば、次のコマンドは、実行中の Testguest2 仮想マシンの現在のディスク状態から、clean system install という説明を持つ Snapshot2 を作成します。

      # virsh snapshot-create-as Testguest2 Snapshot2 "clean system install" --disk-only --quiesce
      Domain snapshot Snapshot2 created.
    • 実行中の仮想マシンを一時停止して、ディスク状態とメモリーを保存するスナップショットを作成するには、--memspec パラメーターを使用します。たとえば、次のコマンドは、Testguest3 仮想マシンを一時停止して、仮想マシンの現在のディスクとメモリーの状態から Snapshot3 を作成します。仮想マシンのメモリーは、/var/lib/libvirt/images/saved_memory.img ファイルに保存されます。スナップショットが完成すると、仮想マシンが自動的に操作を再開します。

      # virsh snapshot-create-as Testguest3 Snapshot3 --memspec /var/lib/libvirt/images/saved_memory.img
      Domain snapshot Snapshot3 created.

      スナップショット作成時に仮想マシンを一時停止すると、ダウンタイムが発生します。しかし、特に負荷の高い仮想マシンの場合は、一時停止したほうが、実行中の仮想マシンのライブスナップショットを (--live オプションを使用して) 作成するよりも、確実に機能する可能性があります。

    • 実行中の仮想マシンのディスク状態とライブメモリーを保存するスナップショットを作成するには、--live --memspec パラメーターを使用します。たとえば、次のコマンドは、実行中の Testguest4 仮想マシンの現在のディスクとメモリーの状態から Snapshot4 を作成し、メモリーの状態を /var/lib/libvirt/images/saved_memory2.img ファイルに保存します。

      # virsh snapshot-create-as Testguest4 Snapshot4 --live --memspec /var/lib/libvirt/images/saved_memory2.img
      Domain snapshot Snapshot4 created.
警告

仮想マシンのメモリーをスナップショットに保存すると、仮想マシンのゲストオペレーティングシステムで実行中のプロセスの状態が保存されます。ただし、このようなスナップショットに戻したときに、ネットワーク接続の喪失やシステム時間の同期の欠如など、さまざまな要因によりプロセスが失敗する可能性があります。

検証

  1. 指定した仮想マシンに関連付けられているスナップショットをリスト表示します。

    # virsh snapshot-list <Testguest1>
    
     Name                    Creation Time               State
    --------------------------------------------------------------
    Snapshot1               2024-01-30 18:34:58 +0100   shutoff
  2. スナップショットが 外部 として作成されたことを確認します。

    # virsh snapshot-dumpxml <Testguest1> <Snapshot1> | grep external
    
      <disk name='vda' snapshot='external' type='file'>

    このコマンドの出力に snapshot='external' が含まれている場合、スナップショットは外部スナップショットであり、Red Hat によって完全にサポートされます。

13.3. Web コンソールを使用した仮想マシンのスナップショットの作成

仮想マシン (VM) の状態をスナップショットに保存するには、RHEL Web コンソールを使用できます。

前提条件

  • RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。

    手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。

  • ホストが RHEL 9.4 以降を使用している。
  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • 仮想マシンがファイルベースのストレージを使用している。この条件を満たしていることを確認するには、次の手順を実行します。

    1. Web コンソールの Virtual machines インターフェイスで、スナップショットを作成する仮想マシンをクリックします。
    2. 管理概要の Disks ペインで、リストされているデバイスの Source 列を確認します。ソースが表示されているすべてのデバイスで、このソースが File である必要があります。

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. Web コンソールの Virtual machines インターフェイスで、スナップショットを作成する仮想マシンをクリックします。

    仮想マシンの管理概要が開きます。

  3. 管理概要の Snapshots ペインで、Create snapshot ボタンをクリックします。
  4. スナップショットの名前を入力し、必要に応じて説明を入力します。
  5. Create をクリックします。

検証

  1. スナップショットの作成が成功したことを確認するには、スナップショットが仮想マシンの Snapshots ペインに表示されていることを確認します。
  2. スナップショットが 外部 として作成されたことを確認します。これを行うには、ホストのコマンドラインインターフェイスで次のコマンドを使用します。

    # virsh snapshot-dumpxml <Testguest1> <Snapshot1> | grep external
    
      <disk name='vda' snapshot='external' type='file'>

    このコマンドの出力に snapshot='external' が含まれている場合、スナップショットは外部スナップショットであり、Red Hat によってサポートされます。

13.4. コマンドラインインターフェイスを使用して仮想マシンのスナップショットに戻す

仮想マシン (VM) をスナップショットに保存された状態に戻すには、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用できます。

前提条件

  • 以前に Web コンソール または コマンドラインインターフェイスを使用 して作成した仮想マシンのスナップショットが利用可能である。
  • オプション: 仮想マシンの現在の状態のスナップショットを作成した。現在の状態を保存せずに以前のスナップショットに戻すと、最後のスナップショット以降に仮想マシンで実行された変更が失われます。

手順

  • virsh snapshot-revert ユーティリティーを使用して、仮想マシンの名前と、復元先のスナップショットの名前を指定します。以下に例を示します。

    # virsh snapshot-revert Testguest2 clean-install
    Domain snapshot clean-install reverted

検証

  • 元に戻した仮想マシンの現在アクティブなスナップショットを表示します。

    # virsh snapshot-current Testguest2 --name
    clean-install

13.5. Web コンソールを使用して仮想マシンのスナップショットに戻す

仮想マシン (VM) をスナップショットに保存された状態に戻すには、RHEL Web コンソールを使用できます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. Web コンソールの Virtual machines インターフェイスで、状態を戻す仮想マシンをクリックします。

    仮想マシンの管理概要が開きます。

  3. 管理概要の Snapshots ペインで、復元先のスナップショットの横にある Revert ボタンをクリックします。
  4. 元に戻す操作が完了するまで待ちます。スナップショットのサイズや現在の状態との違いによっては、数分かかる場合があります。

検証

  • Snapshots ペインで、選択したスナップショットの左側に緑色のチェック記号が表示されていれば、そのスナップショットに正常に戻されています。

13.6. コマンドラインインターフェイスを使用して仮想マシンのスナップショットを削除する

仮想マシン (VM) スナップショットが不要になった場合は、コマンドラインインターフェイスでスナップショットを削除して、そのスナップショットが使用しているディスク領域を解放できます。

前提条件

  • オプション: 削除するスナップショットの子スナップショットがある。

    アクティブなスナップショットがあるときに新しいスナップショットを作成すると、子スナップショットが自動的に作成されます。子を持たないスナップショットを削除すると、親スナップショットから作成された後にそのスナップショットに保存された変更がすべて失われます。

    仮想マシン内のスナップショットの親子構造を表示するには、virsh snapshot-list --tree コマンドを使用します。次の例では、Latest-snapshotRedundant-snapshot の子として表示されています。

    # virsh snapshot-list --tree <vm-name>
    
    Clean-install-snapshot
      |
      +- Redundant-snapshot
          |
          +- Latest-snapshot

手順

  • スナップショットを削除するには、virsh snapshot-delete コマンドを使用します。たとえば、次のコマンドは、Testguest1 仮想マシンから Redundant-snapshot を削除します。

    # virsh snapshot-delete Testguest1 Redundant-snapshot
    Domain snapshot Redundant-snapshot deleted

検証

  • 削除したスナップショットがなくなったことを確認するには、該当する仮想マシンの既存のスナップショットとその親子構造を表示します。

    # virsh snapshot-list --tree <Testguest1>
    
    Clean-install-snapshot
      |
      +- Latest-snapshot

    この例では、Redundant-snapshot が削除され、Latest-snapshotClean-install-snapshot の子になっています。

13.7. Web コンソールを使用して仮想マシンのスナップショットを削除する

仮想マシン (VM) スナップショットが不要になった場合は、Web コンソールでスナップショットを削除して、そのスナップショットが使用しているディスク領域を解放できます。

前提条件

  • RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。

    手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。

  • Web コンソールの仮想マシンプラグインが システムにインストールされている
  • オプション: 削除するスナップショットの子スナップショットがある。

    アクティブなスナップショットがあるときに新しいスナップショットを作成すると、子スナップショットが自動的に作成されます。子を持たないスナップショットを削除すると、親スナップショットから作成された後にそのスナップショットに保存された変更がすべて失われます。

    スナップショットに子があるかどうかを確認するには、仮想マシンの Web コンソールの概要にあるスナップショットの Parent snapshot 列に Snapshots がリストされていることを確認します。

手順

  1. Web コンソールの Virtual machines インターフェイスで、スナップショットを削除する仮想マシンをクリックします。

    仮想マシンの管理概要が開きます。

  2. 管理概要の Snapshots ペインで、削除するスナップショットの横にある Delete ボタンをクリックします。
  3. 削除操作が完了するまで待ちます。スナップショットのサイズによっては、数分かかる場合があります。

検証

  • スナップショットが Snapshots ペインに表示されなくなれば、正常に削除されています。

第14章 仮想デバイスの管理

仮想マシンの機能、特徴、およびパフォーマンスを管理する最も効果的な方法の 1 つは、仮想デバイス を調整することです。

以下のセクションでは、仮想デバイスの 一般的な概要 と、CLI または Web コンソール を使用して仮想デバイスを管理する方法について説明します。

14.1. 仮想デバイスの動作

物理マシンと同様、仮想マシンでは、処理能力、メモリー、ストレージ、ネットワーク、グラフィックスなどの機能をシステムに提供する特殊なデバイスが必要になります。物理システムでは通常、これらの目的でハードウェアデバイスを使用します。ただし、仮想マシンはソフトウェア実装として機能するため、代わりにそのようなデバイスのソフトウェアの抽象化を使用する必要があります。これは、仮想デバイス と呼ばれています。

基本情報

仮想マシンの作成 時に、仮想マシンに接続されている仮想デバイスを設定でき、既存の仮想マシンでも管理できます。通常、仮想デバイスは、仮想マシンが停止している場合に限り仮想マシンに接続または切断できますが、仮想マシンの実行中に追加または削除できるものもあります。この機能は、デバイスの ホットプラグ および ホットアンプラグ と呼ばれています。

新しい仮想マシンを作成すると、特に指定しない限り、libvirt は、必須の仮想デバイスのデフォルトセットを自動的に作成して設定します。これは、ホストシステムのアーキテクチャーとマシンタイプに基づいており、通常は以下のものが含まれます。

  • CPU
  • メモリー
  • キーボード
  • ネットワークインターフェイスコントローラー (NIC)
  • さまざまなデバイスコントローラー
  • ビデオカード
  • サウンドカード

仮想マシンの作成後に仮想デバイスを管理するには、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用します。ただし、仮想ストレージデバイスおよび NIC を管理する場合は、RHEL .9 Web コンソールを使用することもできます。

パフォーマンスまたは柔軟性

デバイスの種類によっては、RHEL 9 が複数の実装に対応し、しばしばパフォーマンスと柔軟性にトレードオフが伴います。

たとえば、仮想ディスクに使用される物理ストレージは、qcow2raw などのさまざまな形式のファイルで示され、次のようなさまざまなコントローラーを使用して仮想マシンに提示されます。

  • エミュレートされたコントローラー
  • virtio-scsi
  • virtio-blk

virtio デバイスは、仮想化を目的として特別に設計されているため、エミュレートされたコントローラーは、virtio コントローラーよりも遅くなります。一方、エミュレートされたコントローラーは、virtio デバイスに対するドライバーがないオペレーティングシステムを実行するのを可能にします。同様に、virtio-scsi は、SCSI コマンドへのより完全な対応を提供しており、仮想マシンにより多くのディスクを割り当てることができるようにします。最後に、virtio-blk は、virtio-scsi とエミュレートされたコントローラーよりも高いパフォーマンスを提供しますが、ユースケースは範囲がより限定されます。たとえば、virtio-blk を使用する場合には、物理ディスクを LUN デバイスとして仮想マシンに割り当てることはできません。

仮想デバイスの種類の詳細は、仮想デバイスの種類 を参照してください。

14.2. 仮想デバイスの種類

RHEL 9 の仮想化では、仮想マシン (VM) に接続できるいくつかの異なるタイプの仮想デバイスを提示できます。

エミュレートされたデバイス

エミュレートされたデバイスは、広く使用されている物理デバイスのソフトウェア実装です。物理デバイス用に設計されたドライバーは、エミュレートされたデバイスとも互換性があります。そのため、エミュレートされたデバイスは柔軟性に非常に優れています。

ただし、特定のタイプのハードウェアを正確にエミュレートする必要があるため、エミュレートされたデバイスは、対応する物理デバイス、またはより最適化された仮想デバイスと比較すると、パフォーマンスが大幅に低下する可能性があります。

以下のタイプのエミュレートされたデバイスに対応します。

  • 仮想 CPU (vCPU) があり、利用可能な CPU モデルが多数あります。エミュレーションのパフォーマンスへの影響は、ホストの CPU とエミュレートされた vCPU の差異に大きく左右されます。
  • PCI バスコントローラーなどのエミュレートされたシステムコンポーネント。
  • SATA、SCSI、IDE などのエミュレートされたストレージコントローラー。
  • ICH9、ICH6、AC97 などのエミュレートされたサウンドデバイス。
  • VGA カードなどのエミュレートされたグラフィックカード。
  • rtl8139 などのエミュレートされたネットワークデバイス。
準仮想化デバイス

準仮想化は、仮想デバイスを仮想マシンに公開する高速かつ効率的な方法を提供します。準仮想化デバイスは、仮想マシンで使用するために特別に設計されたインターフェイスを公開するため、デバイスのパフォーマンスが大幅に向上します。RHEL 9 では、virtio API を、ハイパーバイザーと仮想マシンとの間のレイヤーとして使用して、仮想マシンに準仮想化デバイスを提供します。このアプローチの欠点は、ゲストオペレーティングシステムで特定のデバイスドライバーが必要になることです。

可能な場合、特に I/O 集約型アプリケーションを実行している場合は、仮想マシンにエミュレートされたデバイスの代わりに準仮想化デバイスを使用することが推奨されます。準仮想化デバイスは、I/O レイテンシーを低減し、I/O スループットを増加させます。場合によっては、ベアメタルのパフォーマンスに非常に近づくことがあります。その他の準仮想化デバイスも、他の方法では利用できない機能を仮想マシンに追加します。

以下のタイプの準仮想化デバイスに対応します。

  • 準仮想化ネットワークデバイス (virtio-net)
  • 準仮想化ストレージコントローラー:

    • virtio-blk - ブロックデバイスエミュレーションを提供します。
    • virtio-scsi - より完全な SCSI エミュレーションを提供します。
  • 準仮想化されたクロック
  • 準仮想化されたシリアルデバイス (virtio-serial)
  • 仮想マシンとそのホスト間でメモリーを動的に分散するために使用されるバルーンデバイス (virtio-balloon)。
  • 準仮想化された乱数ジェネレーター (virtio-rng)
物理的に共有されているデバイス

特定のハードウェアプラットフォームにより、仮想マシンはさまざまなハードウェアデバイスやコンポーネントに直接アクセスできます。このプロセスは、デバイスの割り当て として、または パススルー として知られています。

この方法で接続すると、物理マシンの場合と同様に、物理デバイスの一部の側面が仮想マシンで直接利用できます。これにより、仮想マシンで使用されるデバイスのパフォーマンスが向上します。ただし、仮想マシンに物理的に接続されているデバイスはホストからは利用できず、移行もできません。

それにもかかわらず、いくつかのデバイスは、複数の仮想マシンで 共有 できます。たとえば、場合によっては、1 台の物理デバイスが複数の 仲介デバイス を提供します。これは、異なる仮想マシンに割り当てることができます。

以下の種類のパススルーデバイスに対応します。

  • USB、PCI、および SCSI のパススルー - ゲストソフトウェアで特定の機能が利用できるようにするために、一般的な業界標準のバスを仮想マシンに直接公開します。
  • シングルルート I/O 仮想化 (SR-IOV) - PCI Express リソースのハードウェアで強制された分離を可能にする仕様です。これにより、1 つの物理 PCI リソースを、複数の仮想 PCI 機能に分割する、安全かつ効率的な作業が可能になります。これは、通常、ネットワークインターフェイスカード (NIC) に使用されます。
  • NPIV (N_Port ID virtualization) - 1 つの物理ホストバスアダプター (HBA) を、複数の仮想ポートと共有するファイバーチャネル技術です。
  • GPU および vGPU - 特定のタイプのグラフィックスまたは計算ワークロード用のアクセラレーター。GPU によっては仮想マシンに直接接続できるものもありますが、一部のタイプでは、基本となる物理ハードウェアを共有する仮想 GPU (vGPU) を作成する機能も提供されます。
注記

これらのタイプの一部のデバイスはサポート対象外であるか、RHEL と互換性がない可能性があります。仮想デバイスのセットアップについてサポートが必要な場合は、Red Hat サポートにお問い合わせください。

14.3. CLI を使用した仮想マシンに接続されたデバイスの管理

仮想マシンの機能を変更するには、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して、仮想マシンに接続されているデバイスを管理します。

14.3.1. 仮想マシンへのデバイスの割り当て

新しい仮想デバイスを割り当てることで、仮想マシンに特定の機能を追加できます。

次の手順では、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して仮想デバイスを作成し、仮想マシンに接続します。一部のデバイスは、RHEL Web コンソールを使用 して仮想マシンに接続することもできます。

たとえば、仮想マシンに新しい仮想ディスクデバイスを割り当てることで、仮想マシンのストレージ容量を増やすことができます。これは、メモリーのホットプラグとも呼ばれます。

警告

仮想マシンからのメモリーデバイスの削除 (メモリーのホットアンプラグ とも呼ばれる) は、RHEL 9 ではサポートされておらず、Red Hat ではその使用を推奨していません。

前提条件

  • 仮想マシンに接続するデバイスに必要なオプションを取得します。特定のデバイスで利用可能なオプションを確認するには、virt-xml --device=? コマンドを使用します。以下に例を示します。

    # virt-xml --network=?
    --network options:
    [...]
    address.unit
    boot_order
    clearxml
    driver_name
    [...]

手順

  1. デバイスを仮想マシンに接続するには、デバイスと必要なオプションの定義を含む virt-xml --add-device コマンドを使用します。

    • たとえば、次は、/var/lib/libvirt/images/ ディレクトリーに 20GB の newdisk qcow2 ディスクイメージを作成し、仮想マシンの次回の起動時にそれを仮想マシンとして、実行中の仮想マシン testguest に接続します。

      # virt-xml testguest --add-device --disk /var/lib/libvirt/images/newdisk.qcow2,format=qcow2,size=20
      Domain 'testguest' defined successfully.
      Changes will take effect after the domain is fully powered off.
    • 以下は、仮想マシンの稼働時に、ホストでバス 002 のデバイス 004 として、仮想マシン testguest2 に接続した USB フラッシュドライブを接続します。

      # virt-xml testguest2 --add-device --update --hostdev 002.004
      Device hotplug successful.
      Domain 'testguest2' defined successfully.

      USB を定義するバスとデバイスの組み合わせは、lsusb コマンドを使用して取得できます。

検証

デバイスが追加されたことを確認するには、次のいずれかを行います。

  • virsh dumpxml コマンドを実行し、デバイスの XML 定義が、仮想マシンの XML 設定の <devices> セクションに追加されました。

    たとえば、以下の出力は、仮想マシン testguest の設定を表示し、002.004 USB フラッシュディスクドライブが追加されていることを確認します。

    # virsh dumpxml testguest
    [...]
    <hostdev mode='subsystem' type='usb' managed='yes'>
      <source>
        <vendor id='0x4146'/>
        <product id='0x902e'/>
        <address bus='2' device='4'/>
      </source>
      <alias name='hostdev0'/>
      <address type='usb' bus='0' port='3'/>
    </hostdev>
    [...]
  • 仮想マシンを実行し、デバイスが存在し、正しく機能しているかどうかをテストします。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

14.3.2. 仮想マシンに接続されているデバイスの変更

接続している仮想デバイスの設定を編集することで、仮想マシンの機能を変更できます。たとえば、仮想マシンのパフォーマンスを最適化する場合は、ホストの CPU に合わせて仮想 CPU モデルを変更できます。

以下の手順は、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して仮想デバイスを修正する一般的な手順を示しています。ディスクや NIC など、仮想マシンに接続されている一部のディスクは、RHEL 9 Web コンソール で修正できます。

前提条件

  • 仮想マシンに接続するデバイスに必要なオプションを取得します。特定のデバイスで利用可能なオプションを確認するには、virt-xml --device=? コマンドを使用します。以下に例を示します。
# virt-xml --network=?
--network options:
[...]
address.unit
boot_order
clearxml
driver_name
[...]
  • オプション: virsh dumpxml vm-name を使用して出力をファイルに送信し、仮想マシンの XML 設定をバックアップします。たとえば、以下は、testguest1 仮想マシンの設定のバックアップファイル testguest1.xml を作成します。
# virsh dumpxml testguest1 > testguest1.xml
# cat testguest1.xml
<domain type='kvm' xmlns:qemu='http://libvirt.org/schemas/domain/qemu/1.0'>
  <name>testguest1</name>
  <uuid>ede29304-fe0c-4ca4-abcd-d246481acd18</uuid>
  [...]
</domain>

手順

  1. デバイスの定義および必要なオプションを追加して、virt-xml --edit コマンドを使用します。

    たとえば、次のようにすると、停止する仮想マシン testguest<cpu> 設定を削除し、host-model に設定します。

    # virt-xml testguest --edit --cpu host-model,clearxml=yes
    Domain 'testguest' defined successfully.

検証

デバイスが変更されたことを確認するには、次のいずれかを行います。

  • デバイスが存在し、変更を反映する場合は、仮想マシンを実行してテストします。
  • virsh dumpxml コマンドを使用して、デバイスの XML 定義が、仮想マシンの XML 設定で変更されているかどうかを確認します。

    たとえば、次の出力は、仮想マシン testguest の設定を表示し、CPU モードが host-model として設定されていることを確認します。

    # virsh dumpxml testguest
    [...]
    <cpu mode='host-model' check='partial'>
      <model fallback='allow'/>
    </cpu>
    [...]

トラブルシューティング

  • デバイスを変更すると仮想マシンが起動できなくなる場合は、virsh define ユーティリティーを使用して、バックアップとして作成しておいた XML 設定ファイルを再読み込みして XML 設定を復元します。

    # virsh define testguest.xml
注記

仮想マシンの XML 設定を変更する場合は、virsh edit コマンド (virsh edit testguest など) も使用できます。ただし、より詳細な変更にはこの方法を使用しないでください。設定を壊し、仮想マシンの起動を妨げる可能性が高くなります。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

14.3.3. 仮想マシンからのデバイスの削除

仮想デバイスを削除することで、仮想マシンの機能を変更できます。たとえば、仮想マシンから仮想ディスクデバイスが不要になった場合は、削除できます。

次の手順は、コマンドラインインターフェイス (CLI) を使用して、仮想マシンから仮想デバイスを削除する方法を示しています。ディスクや NIC などの一部のデバイスは、using the RHEL 9 web console 仮想マシンから削除することもできます。

前提条件

  • オプション: virsh dumpxml vm-name を使用して出力をファイルに送信し、仮想マシンの XML 設定をバックアップします。たとえば、以下は、testguest1 仮想マシンの設定のバックアップファイル testguest1.xml を作成します。
# virsh dumpxml testguest1 > testguest1.xml
# cat testguest1.xml
<domain type='kvm' xmlns:qemu='http://libvirt.org/schemas/domain/qemu/1.0'>
  <name>testguest1</name>
  <uuid>ede29304-fe0c-4ca4-abcd-d246481acd18</uuid>
  [...]
</domain>

手順

  1. デバイスの定義を付けて、virt-xml --remove-device コマンドを使用します。以下に例を示します。

    • 以下は、シャットダウン後に、稼働中の仮想マシン testguest から vdb としてマークされているストレージデバイスを削除します。

      # virt-xml testguest --remove-device --disk target=vdb
      Domain 'testguest' defined successfully.
      Changes will take effect after the domain is fully powered off.
    • 次は、稼働中の稼働マシン testguest2 からすぐに USB フラッシュドライブデバイスを削除します。

      # virt-xml testguest2 --remove-device --update --hostdev type=usb
      Device hotunplug successful.
      Domain 'testguest2' defined successfully.

トラブルシューティング

  • デバイスを取り外すと仮想マシンが起動できなくなる場合は、virsh define ユーティリティーを使用して、バックアップとして作成しておいた XML 設定ファイルを再読み込みして XML 設定を復元します。

    # virsh define testguest.xml

関連情報

  • man virt-xml コマンド

14.4. Web コンソールを使用したホストデバイスの管理

仮想マシンの機能を変更するには、Red Hat Enterprise Linux 9 Web コンソールを使用して、仮想マシンに接続されているホストデバイスを管理します。

ホストデバイスは、ホストシステムに接続されている物理デバイスです。要件に基づいて、仮想マシンがこれらのハードウェアデバイスおよびコンポーネントに直接アクセスできるようにすることができます。

Web コンソールを使用して以下を行うことができます。

14.4.1. Web コンソールを使用した仮想マシンに接続されているデバイスの表示

仮想マシンに接続されているデバイスを追加または変更する前に、仮想マシンに接続されているデバイスを表示できます。以下の手順では、Web コンソールを使用してこのようなデバイスを表示する方法を説明します。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシン インターフェイスで、情報を表示する仮想マシンを選択します。

    仮想マシンの詳細情報を含む新しいページが開きます。

  3. ホストデバイス セクションまでスクロールします。

    仮想マシンのホストデバイスセクションを表示するページ。

14.4.2. Web コンソールを使用した仮想マシンへのデバイスの接続

仮想マシン (VM) に特定の機能を追加するには、Web コンソールを使用してホストデバイスを仮想マシンに接続します。

注記

複数のホストデバイスを同時に接続することはできません。一度に接続できるデバイスは 1 つだけです。

詳細は、RHEL 9 Known Issues を参照してください。

前提条件

  • RHEL 9 Web コンソールがインストールされている。

    手順は、Web コンソールのインストールおよび有効化 を参照してください。

  • PCI デバイスを接続している場合は、hostdev 要素の managed 属性のステータスが、yes に設定されていることを確認してください。

    注記

    PCI デバイスを仮想マシンに接続するときは、hostdev 要素の managed 属性を省略したり、no に設定したりしないでください。設定している場合は、PCI デバイスを仮想マシンに渡すときに、PCI デバイスをホストから自動的に切り離すことができなくなります。また、仮想マシンをオフにしたときに、ホストに自動的に再接続することもできません。

    その結果、ホストが応答しなくなったり、予期せずシャットダウンしたりする可能性があります。

    managed 属性のステータスは、仮想マシンの XML 設定で確認できます。次の例では、example-VM-1 仮想マシンの XML 設定を開きます。

    # virsh edit example-VM-1
  • 仮想マシンからの重要なデータのバックアップを作成する。
  • オプション: 仮想マシンの XML 設定をバックアップします。たとえば、example-VM-1 仮想マシンをバックアップするには、次のようにします。

    # virsh dumpxml example-VM-1 > example-VM-1.xml
  • Web コンソールの仮想マシンプラグインがシステムにインストールされている

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. Virtual Machines インターフェイスで、ホストデバイスを接続する仮想マシンをクリックします。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  3. Host devices までスクロールします。

    Host devices セクションには、仮想マシンに接続されているデバイスに関する情報と、デバイスを 追加 または 削除 するためのオプションが表示されます。

    選択した仮想マシンのホストデバイスセクションを表示しているイメージ。
  4. ホストデバイスの追加 をクリックします。

    ホストデバイスの追加 ダイアログが表示されます。

    ホストデバイスの追加ダイアログボックスを表示しているイメージ。
  5. VM に接続するデバイスを選択します。
  6. 追加 をクリックします。

    選択したデバイスが仮想マシンに接続されます。

検証

  • VM を実行し、デバイスが ホストデバイス セクションに表示されるかどうかを確認します。

14.4.3. Web コンソールを使用した仮想マシンからのデバイスの削除

リソースを解放するか、仮想マシンの機能を変更するか、その両方を行うには、Web コンソールを使用して仮想マシンを変更し、不要になったホストデバイスを削除します。

警告

デバイスと USB デバイスのバス番号の相関が正しくないことが原因で、接続された USB ホストデバイスを Web コンソールで削除することができない場合があります。

詳細は、RHEL 9 Known Issues を参照してください。

回避策として、virsh ユーティリティーを使用して、仮想マシンの XML 設定から USB デバイスの <hostdev> 部分を削除します。次の例では、example-VM-1 仮想マシンの XML 設定を開きます。

# virsh edit <example-VM-1>

前提条件

手順

  1. Virtual Machines インターフェイスで、ホストデバイスを削除する仮想マシンをクリックします。

    新しいページが開き、選択した仮想マシンに関する基本情報を含む Overview セクションと、仮想マシンのグラフィカルインターフェイスにアクセスするための Console セクションが表示されます。

  2. Host devices までスクロールします。

    Host devices セクションには、仮想マシンに接続されているデバイスに関する情報と、デバイスを 追加 または 削除 するためのオプションが表示されます。

    選択した VM のホストデバイスセクションを表示するイメージ。
  3. VM から削除するデバイスの横にある 削除 ボタンをクリックします。

    デバイスの削除確認ダイアログが表示されます。

    接続されている仮想デバイスを削除するオプションを表示するイメージ。
  4. 削除 をクリックします。

    デバイスが VM から削除されます。

トラブルシューティング

  • ホストデバイスを取り外すことで、仮想マシンが起動できなくなる場合は、virsh define ユーティリティーを使用して、以前にバックアップした XML 設定ファイルを再ロードして XML 設定を復元します。

    # virsh define testguest1.xml

14.5. 仮想 USB デバイスの管理

仮想マシンを使用する場合は、ホストシステムに接続されているフラッシュドライブや Web マッピングなどの USB デバイスにアクセスし、制御できます。このシナリオでは、ホストシステムはデバイスの制御を仮想マシンに渡します。これは USB パススルーとしても知られています。

14.5.1. 仮想マシンへの USB デバイスの割り当て

USB デバイスを仮想マシンに割り当てるには、仮想マシンの XML 設定ファイルに USB デバイス情報を追加してください。

前提条件

  • 仮想マシンにパススルーするデバイスがホストに接続されていることを確認します。

手順

  1. 仮想マシンに接続する USB のバスおよびデバイス値を見つけます。

    たとえば、次のコマンドは、ホストに接続されている USB デバイスのリストを表示します。この例で使用するデバイスは、デバイス 005 としてバス 001 にアタッチされています。

    # lsusb
    [...]
    Bus 001 Device 003: ID 2567:0a2b Intel Corp.
    Bus 001 Device 005: ID 0407:6252 Kingston River 2.0
    [...]
  2. --add-device 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、USB フラッシュドライブを example-VM-1 仮想マシンに接続します。

    # virt-xml example-VM-1 --add-device --hostdev 001.005
    Domain 'example-VM-1' defined successfully.
注記

実行中の仮想マシンに USB デバイスを接続するには、--update 引数を直前のコマンドに追加します。

検証

  • 仮想マシンを実行し、デバイスが存在し、予想通りに機能しているかどうかをテストします。
  • virsh dumpxml コマンドを実行し、デバイスの XML 定義が、仮想マシンの XML 設定ファイルの <devices> セクションに追加されたかどうかを確認します。

    # virsh dumpxml example-VM-1
    [...]
    <hostdev mode='subsystem' type='usb' managed='yes'>
      <source>
        <vendor id='0x0407'/>
        <product id='0x6252'/>
        <address bus='1' device='5'/>
      </source>
      <alias name='hostdev0'/>
      <address type='usb' bus='0' port='3'/>
    </hostdev>
    [...]

関連情報

14.5.2. 仮想マシンからの USB デバイスの削除

仮想マシンから USB デバイスを削除するには、仮想マシンの XML 設定から USB デバイス情報を削除してください。

手順

  1. 仮想マシンから削除する USB のバスおよびデバイス値を見つけます。

    たとえば、次のコマンドは、ホストに接続されている USB デバイスのリストを表示します。この例で使用するデバイスは、デバイス 005 としてバス 001 にアタッチされています。

    # lsusb
    [...]
    Bus 001 Device 003: ID 2567:0a2b Intel Corp.
    Bus 001 Device 005: ID 0407:6252 Kingston River 2.0
    [...]
  2. --remove-device 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-1 仮想マシンから、バス 001 でデバイス 005 としてホストに接続されている USB フラッシュドライブを削除します。

    # virt-xml example-VM-1 --remove-device --hostdev 001.005
    Domain 'example-VM-1' defined successfully.
注記

実行中の仮想マシンから USB デバイスを削除するには、--update 引数を直前のコマンドに追加します。

検証

  • 仮想マシンを実行して、デバイスのリストから、このデバイスが削除されたかどうかを確認します。

関連情報

14.6. 仮想光学ドライブの管理

仮想マシンを使用する場合は、ホストの ISO イメージに保存されている情報にアクセスできます。これを行うには、CD ドライブや DVD ドライブなどの仮想光学ドライブとして、ISO イメージを仮想マシンに割り当てます。

14.6.1. 仮想マシンへの光学ドライブの割り当て

ISO イメージを仮想光学ドライブとして割り当てるには、仮想マシンの XML 設定ファイルを編集し、新しいドライブを追加します。

前提条件

  • ISO イメージのパスをホストマシンに保存してコピーしている。

手順

  • --add-device 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、/home/username/Downloads ディレクトリーに保存されている example-ISO-name ISO イメージを example-VM-name 仮想マシンに接続します。

    # virt-xml example-VM-name --add-device --disk /home/username/Downloads/example-ISO-name.iso,device=cdrom
    Domain 'example-VM-name' defined successfully.

検証

  • 仮想マシンを実行し、デバイスが存在し、予想通りに機能しているかどうかをテストします。

関連情報

14.6.2. Web コンソールを使用して実行中の仮想マシンに CD-ROM を追加する

Web コンソールを使用すると、メディアを指定せずに、実行中の仮想マシン (VM) に CD-ROM を挿入できます。

手順

  1. 仮想マシンをシャットダウンします。
  2. ソースイメージを指定せずに仮想 CD-ROM デバイスを接続します。

    # virt-xml vmname --add-device --disk target.dev=sda,device=cdrom
  3. 仮想マシンを実行します。
  4. Web コンソールを開き、仮想マシン インターフェイスで、CD-ROM を接続する仮想マシンをクリックします。
  5. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの Add、または Edit のオプションが表示されます。

  6. cdrom デバイスの Insert オプションをクリックします。

    cdrom デバイスのディスク行を表示するイメージ。
  7. 添付するファイルの Source を選択します。

    • カスタムパス: ファイルはホストマシン上のカスタムディレクトリーにあります。
    • 既存のものを使用: ファイルは、作成したストレージプールにあります。
  8. Insert をクリックします。

検証

  • 仮想マシン インターフェイスの Disks セクションにファイルが表示されます。

14.6.3. 仮想光学ドライブでの ISO イメージの置き換え

仮想マシンに仮想光学ドライブとして割り当てられた ISO イメージを置き換えるには、仮想マシンの XML 設定ファイルを編集し、別のイメージを指定します。

前提条件

  • ISO イメージをホストマシンに保存している。
  • ISO イメージへのパスを知っている。

手順

  1. CD-ROM が仮想マシンに接続されているターゲットデバイスを見つけます。この情報は、仮想マシンの XML 設定ファイルにあります。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-name 仮想マシンの XML 設定ファイルを表示します。ここでは、CD-ROM のターゲットデバイスは sda です。

    # virsh dumpxml example-VM-name
    ...
    <disk>
      ...
      <source file='$(/home/username/Downloads/example-ISO-name.iso)'/>
      <target dev='sda' bus='sata'/>
      ...
    </disk>
    ...
  2. --edit 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、ターゲットの sdaexample-VM-name 仮想マシンに接続されている example-ISO-name ISO イメージを、/dev/cdrom ディレクトリーに保存されている example-ISO-name-2 ISO イメージに置き換えます。

    # virt-xml example-VM-name --edit target=sda --disk /dev/cdrom/example-ISO-name-2.iso
    Domain 'example-VM-name' defined successfully.

検証

  • 仮想マシンを実行して、デバイスが置き換えられ、想定どおりに機能しているかどうかを確認します。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

14.6.4. 仮想光学ドライブからの ISO イメージの削除

仮想マシンに接続されている仮想光学ドライブから ISO イメージを削除するには、仮想マシンの XML 設定ファイルを編集します。

手順

  1. CD-ROM が仮想マシンに接続されているターゲットデバイスを見つけます。この情報は、仮想マシンの XML 設定ファイルにあります。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-name 仮想マシンの XML 設定ファイルを表示します。ここでは、CD-ROM のターゲットデバイスは sda です。

    # virsh dumpxml example-VM-name
    ...
    <disk>
      ...
      <source file='$(/home/username/Downloads/example-ISO-name.iso)'/>
      <target dev='sda' bus='sata'/>
      ...
    </disk>
    ...
  2. --edit 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-name 仮想マシンに接続されている CD ドライブから example-ISO-name ISO イメージを削除します。

    # virt-xml example-VM-name --edit target=sda --disk path=
    Domain 'example-VM-name' defined successfully.

検証

  • 仮想マシンを実行し、イメージが使用できなくなっていることを確認します。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

14.6.5. 仮想マシンからの光学ドライブの削除

仮想マシンに接続されている光学ドライブを削除するには、仮想マシンの XML 設定ファイルを編集します。

手順

  1. CD-ROM が仮想マシンに接続されているターゲットデバイスを見つけます。この情報は、仮想マシンの XML 設定ファイルにあります。

    たとえば、次のコマンドは、example-VM-name 仮想マシンの XML 設定ファイルを表示します。ここでは、CD-ROM のターゲットデバイスは sda です。

    # virsh dumpxml example-VM-name
    ...
    <disk type='file' device='cdrom'>
      <driver name='qemu' type='raw'/>
      <target dev='sda' bus='sata'/>
      ...
    </disk>
    ...
  2. --remove-device 引数を指定して virt-xml ユーティリティーを使用します。

    たとえば、次のコマンドは、ターゲット sda として接続された光学ドライブを、仮想マシン example-VM-name から削除します。

    # virt-xml example-VM-name --remove-device --disk target=sda
    Domain 'example-VM-name' defined successfully.

検証

  • デバイスが仮想マシンの XML 設定ファイルにリスト表示されていないことを確認します。

関連情報

  • man virt-xml コマンド

14.6.6. Web コンソールを使用した実行中の仮想マシンからの CD-ROM の削除

Web コンソールを使用して、実行中の仮想マシン (VM) から CD-ROM デバイスを取り出すことができます。

手順

  1. 仮想マシン インターフェイスで、CD-ROM を削除する仮想マシンをクリックします。
  2. ディスク までスクロールします。

    ディスクセクションには、仮想マシンに割り当てられたディスクに関する情報と、ディスクの Add、または Edit のオプションが表示されます。

    仮想マシンのディスクセクションを表示するイメージ。
  3. CDROM デバイスの Eject オプションをクリックします。

    Eject media from VM? ダイアログボックスが開きます。

  4. Eject をクリックします。

検証

  • 仮想マシン インターフェイスでは、添付ファイルが Disks セクションに表示されなくなりました。

14.7. SR-IOV デバイスの管理

エミュレートされた仮想デバイスは、多くの場合、ハードウェアネットワークデバイスよりも多くの CPU およびメモリーを使用します。これにより、仮想マシンのパフォーマンスを制限できます。ただし、仮想化ホストのデバイスが SR-IOV (Single Root I/O Virtualization) に対応する場合は、この機能を使用してデバイスのパフォーマンスを向上し、仮想マシンの全体的なパフォーマンスを向上させることができます。

14.7.1. SR-IOV とは

SR-IOV (Single-root I/O virtualization) は、1 つの PCIe (PCI Express) デバイスが、ホストに、複数の個別の PCI デバイス (仮想機能 (VF) と呼ばれます) をホストシステムに表示できるようにする仕様です。このデバイスはそれぞれ以下のようになります。

  • 元の PCIe デバイスと同一または同様のサービスを提供できます。
  • ホストの PCI バス上にある別のアドレスに表示されます。
  • VFIO の割り当てを使用して、別の仮想マシンに割り当てることができます。

たとえば、1 つの SR-IOV 対応ネットワークデバイスが、VF を複数の仮想マシンに提示できます。すべての VF は同じ物理カード、同じネットワーク接続、同じネットワークケーブルを使用しますが、各仮想マシンは直接そのハードウェアネットワークデバイスを制御し、ホストのリソースは使用しません。

SR-IOV の仕組み

SR-IOV 機能は、以下の PCIe 機能の導入により可能になりました。

  • Physical Function (PF) - デバイス (ネットワークなど) の機能をホストに提供しますが、一連の VF を作成して管理することもできる PCIe 機能。SR-IOV 対応の各デバイスには、1 つ以上の PF があります。
  • Virtual Function (VF) - 独立したデバイスとして動作する軽量の PCIe 機能。各 VF は PF から派生します。デバイスが持つことができる VF の最大数は、デバイスのハードウェアによって異なります。各 VF は、一度に 1 台の仮想マシンにのみ割り当てることができますが、1 台の仮想マシンには複数の VF を割り当てることができます。

仮想マシンは、VF を仮想デバイスとして認識します。たとえば、SR-IOV ネットワークデバイスによって作成された VF は、物理ネットワークカードがホストシステムに表示されるのと同じように、割り当てられた仮想マシンへのネットワークカードとして表示されます。

図14.1 SR-IOV アーキテクチャー

virt SR IOV

メリット

エミュレートされたデバイスではなく SR-IOV VF を使用する主な利点は以下のとおりです。

  • パフォーマンスが向上する
  • ホストの CPU およびメモリーリソースの使用が減少する

たとえば、vNIC として仮想マシンに接続する VF は、物理 NIC とほぼ同じレベルで実行され、準仮想化またはエミュレートされた NIC よりもはるかに適しています。特に、複数の VF を 1 台のホスト上で同時に使用する場合に、パフォーマンス上のメリットは重要です。

デメリット

  • PF の設定を変更する場合は、最初に PF により公開される VF の数をゼロに変更する必要があります。したがって、このような VF が提供するデバイスを、デバイスが割り当てられている仮想マシンから削除する必要もあります。
  • SR-IOV VF など、VFIO が割り当てられたデバイスが接続された仮想マシンは、別のホストに移行することができません。場合によっては、割り当てられたデバイスをエミュレートされたデバイスとペアにすることにより、この制限を回避できます。たとえば、割り当てられたネットワーク VF をエミュレートされた vNIC に ボンディング を行い、移行前に VF を削除できます。
  • さらに、VFIO が割り当てたデバイスには仮想マシンのメモリーの固定 (ピニング) が必要になるため、仮想マシンのメモリー消費が増加し、仮想マシンのメモリーバルーンが使用できなくなります。

14.7.2. SR-IOV ネットワークデバイスの仮想マシンへの割り当て

Intel ホストまたは AMD ホストの仮想マシンに SR-IOV ネットワークデバイスを割り当てるには、VF (Virtual Function) をホストの SR-IOV 対応ネットワークインターフェイスから作成し、VF をデバイスとして、指定された仮想マシンに割り当てます。詳細は、次の手順を参照してください。

前提条件

  • ホストの CPU およびファームウェアは、IOMMU (I/O Memory Management Unit) に対応している。

    • Intel CPU を使用している場合は、Intel VT-d (Virtualization Technology for Directed I/O) に対応する必要があります。
    • AMD CPU を使用している場合は、AMD-Vi 機能に対応している必要があります。
  • ホストシステムが、アクセス制御サービス (ACS) を使用して PCIe トポロジーの DMA (Direct Memory Access) 分離を提供している。この点をシステムベンダーに確認してください。

    詳細は、SR-IOV 実装に関するハードウェアの考慮事項 を参照してください。

  • 物理ネットワークデバイスが SR-IOV をサポートしている。システムのネットワークデバイスが SR-IOV に対応しているかどうかを確認するには、lspci -v コマンドを使用して、出力で Single Root I/O Virtualization (SR-IOV) を探します。

    # lspci -v
    [...]
    02:00.0 Ethernet controller: Intel Corporation 82576 Gigabit Network Connection (rev 01)
    	Subsystem: Intel Corporation Gigabit ET Dual Port Server Adapter
    	Flags: bus master, fast devsel, latency 0, IRQ 16, NUMA node 0
    	Memory at fcba0000 (32-bit, non-prefetchable) [size=128K]
    [...]
    	Capabilities: [150] Alternative Routing-ID Interpretation (ARI)
    	Capabilities: [160] Single Root I/O Virtualization (SR-IOV)
    	Kernel driver in use: igb
    	Kernel modules: igb
    [...]
  • VF の作成に使用するホストのネットワークインターフェイスが実行中である。たとえば、eth1 インターフェイスをアクティブにして、実行していることを確認するには、次のコマンドを実行します。

    # ip link set eth1 up
    # ip link show eth1
    8: eth1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP mode DEFAULT qlen 1000
       link/ether a0:36:9f:8f:3f:b8 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
       vf 0 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
       vf 1 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
       vf 2 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
       vf 3 MAC 00:00:00:00:00:00, spoof checking on, link-state auto
  • SR-IOV デバイス割り当てを有効にするには、ホスト BIOS およびカーネルで IOMMU 機能を有効にする必要があります。これを行うには、以下を行います。

    • Intel ホストで VT-d を有効にします。

      1. intel_iommu=on および iommu=pt パラメーターを使用して GRUB 設定を再生成します。

        # grubby --args="intel_iommu=on iommu=pt" --update-kernel=ALL
      2. ホストを再起動します。
    • AMD ホストで、AMD-Vi を有効にします。

      1. iommu=pt パラメーターで GRUB 設定を再生成します。

        # grubby --args="iommu=pt" --update-kernel=ALL
      2. ホストを再起動します。

手順

  1. オプション: ネットワークデバイスで使用できる VF の最大数を確認します。これを実行するには、次のコマンドを使用して、eth1 を SR-IOV 互換のネットワークデバイスに置き換えます。

    # cat /sys/class/net/eth1/device/sriov_totalvfs
    7
  2. 次のコマンドを実行して、Virtual Function (VF) を作成します。

    # echo VF-number > /sys/class/net/network-interface/device/sriov_numvfs

    上記コマンドでは、以下のようになります。

    • VF-number には、PF に作成する VF の数を入力します。
    • network-interface は、VF が作成されるネットワークインターフェイスの名前に置き換えます。

    以下の例では、eth1 ネットワークインターフェイスから 2 つの VF を作成します。

    # echo 2 > /sys/class/net/eth1/device/sriov_numvfs
  3. VF が追加されたことを確認します。

    # lspci | grep Ethernet
    82:00.0 Ethernet controller: Intel Corporation 82599ES 10-Gigabit SFI/SFP+ Network Connection (rev 01)
    82:00.1 Ethernet controller: Intel Corporation 82599ES 10-Gigabit SFI/SFP+ Network Connection (rev 01)
    82:10.0 Ethernet controller: Intel Corporation 82599 Ethernet Controller Virtual Function (rev 01)
    82:10.2 Ethernet controller: Intel Corporation 82599 Ethernet Controller Virtual Function (rev 01)
  4. VF の作成に使用したネットワークインターフェイス用の udev ルールを作成して、作成した VF を永続化します。たとえば、eth1 インターフェイスの場合は、/etc/udev/rules.d/eth1.rules ファイルを作成し、以下の行を追加します。

    ACTION=="add", SUBSYSTEM=="net", ENV{ID_NET_DRIVER}=="ixgbe", ATTR{device/sriov_numvfs}="2"

    これにより、ホストの起動時に ixgbe ドライバーを使用する 2 つの VF が eth1 インターフェイスで自動的に利用できるようになります。永続的な SR-IOV デバイスが必要ない場合は、この手順を省略します。

    警告

    現在、Broadcom NetXtreme II BCM57810 アダプターで VF を永続化しようとすると、上記の設定が正しく機能しません。また、このアダプターに基づく VF を Windows 仮想マシンに接続することは、現在信頼性がありません。

  5. 新しく追加された VF インターフェイスデバイスの 1 つを実行中の仮想マシンにホットプラグします。

    # virsh attach-interface testguest1 hostdev 0000:82:10.0 --managed --live --config

検証

  • この手順が成功すると、ゲストオペレーティングシステムが新しいネットワークインターフェイスカードを検出します。

14.7.3. SR-IOV 割り当てに対応しているデバイス

すべてのデバイスを SR-IOV に使用できるわけではありません。以下のデバイスは、RHEL 9 の SR-IOV との互換性がテストおよび検証されています。

ネットワークデバイス

  • Intel 82599ES 10 Gigabit Ethernet Controller - ixgbe ドライバーを使用します。
  • Intel Ethernet Controller XL710 Series - i40e ドライバーを使用します。
  • Intel Ethernet Network Adapter XXV710 - i40e ドライバーを使用します。
  • Intel 82576 Gigabit Ethernet Controller - igb ドライバーを使用します。
  • Broadcom NetXtreme II BCM57810 - bnx2x ドライバーを使用します。
  • Ethernet Controller E810-C for QSFP - ice ドライバーを使用します。
  • SFC9220 10/40G Ethernet Controller - sfc ドライバーを使用します。
  • FastLinQ QL41000 Series 10/25/40/50GbE Controller - qede ドライバーを使用します。
  • Mellanox ConnectX-5 イーサネットアダプターカード
  • Mellanox MT2892 ファミリー [ConnectX-6 Dx]

14.8. IBM Z の仮想マシンへの DASD デバイスの割り当て

vfio-ccw 機能を使用すると、直接アクセスストレージデバイス (DASD) を仲介デバイスとして IBM Z ホスト上の仮想マシンに割り当てることができます。これにより、たとえば仮想マシンは z/OS データセットにアクセスできるか、割り当てられた DASD を z/OS マシンに提供できるようになります。

前提条件

  • FICON プロトコルでサポートされる IBM Z ハードウェアアーキテクチャーを備えたシステムがある。
  • Linux オペレーティングシステムのターゲット仮想マシンがある。
  • driverctl パッケージがインストールされている。

    # dnf install driverctl
  • ホストに必要な vfio カーネルモジュールがロードされている。

    # lsmod | grep vfio

    このコマンドの出力には、以下のモジュールが含まれている必要があります。

    • vfio_ccw
    • vfio_mdev
    • vfio_iommu_type1
  • 仮想マシンによる排他的使用のために予備の DASD デバイスがあり、そのデバイスの識別子を把握している。

    次の手順では、例として 0.0.002c を使用しています。コマンドを実行する場合は、0.0.002c を DASD デバイスーの ID に置き換えます。

手順

  1. DASD デバイスのサブチャネル識別子を取得します。

    # lscss -d 0.0.002c
    Device   Subchan.  DevType CU Type Use  PIM PAM POM  CHPIDs
    ----------------------------------------------------------------------
    0.0.002c 0.0.29a8  3390/0c 3990/e9 yes  f0  f0  ff   02111221 00000000

    この例では、サブチャンネル ID は 0.0.29a8 として検出されます。以下のコマンドでは、0.0.29a8 を、検出されたデバイスのサブチャンネル ID に置き換えます。

  2. 前の手順の lscss コマンドでヘッダー出力のみが表示され、デバイスインフォメーションが表示されない場合は、以下の手順を実行します。

    1. cio_ignore リストからデバイスを削除します。

      # cio_ignore -r 0.0.002c
    2. ゲスト OS で、仮想マシンの edit the kernel command line を編集し、! マークを使用して、cio_ignore= で始まる行にデバイス識別子を追加します (まだ存在しない場合)。

      cio_ignore=all,!condev,!0.0.002c
    3. ホストで手順 1 を繰り返し、サブチャネル識別子を取得します。
  3. サブチャネルは vfio_ccw パススルードライバーにバインドします。

    # driverctl -b css set-override 0.0.29a8 vfio_ccw
    注記

    これにより、0.0.29a8 サブチャンネルが vfio_ccw に永続的にバインドされます。つまり、DASD はホストコンピューターでは使用できなくなります。ホストでデバイスを使用する必要がある場合は、まず 'vfio_ccw' への自動バインディングを削除し、サブチャンネルをデフォルトドライバーに再バインドする必要があります。

    # driverctl -b css unset-override 0.0.29a8

  4. DASD 仲介デバイスを定義して起動します。

    # cat nodedev.xml
    <device>
        <parent>css_0_0_29a8</parent>
        <capability type="mdev">
            <type id="vfio_ccw-io"/>
        </capability>
    </device>
    
    # virsh nodedev-define nodedev.xml
    Node device 'mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8' defined from 'nodedev.xml'
    
    # virsh nodedev-start mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    Device mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8 started
  5. 実行中の場合は、仮想マシンをシャットダウンします。
  6. 以前に定義したデバイスの UUID を表示し、次の手順のために保存します。

    # virsh nodedev-dumpxml mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    
    <device>
      <name>mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8</name>
      <parent>css_0_0_29a8</parent>
      <capability type='mdev'>
        <type id='vfio_ccw-io'/>
        <uuid>30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba12345a</uuid>
        <iommuGroup number='0'/>
        <attr name='assign_adapter' value='0x02'/>
        <attr name='assign_domain' value='0x002b'/>
      </capability>
    </device>
  7. 仲介デバイスを仮想マシンに接続します。これを行うには、virsh edit ユーティリティーを使用して仮想マシンの XML 設定を編集し、以下のセクションを XML に追加します。uuid の値は、前の手順で取得した UUID に置き換えます。

    <hostdev mode='subsystem' type='mdev' model='vfio-ccw'>
      <source>
        <address uuid="30820a6f-b1a5-4503-91ca-0c10ba12345a"/>
      </source>
    </hostdev>
  8. オプション: ホストの起動時に仲介デバイスが自動的に起動するように設定します。

    # virsh nodedev-autostart mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8

検証

  1. 仲介デバイスが正しく設定されていることを確認します。

    # virsh nodedev-info mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    Name:           mdev_30820a6f_b1a5_4503_91ca_0c10ba12345a_0_0_29a8
    Parent:         css_0_0_0121
    Active:         yes
    Persistent:     yes
    Autostart:      yes
  2. libvirt が仲介 DASD デバイスに割り当てた識別子を取得します。これを行うには、仮想マシンの XML 設定を表示して、vfio-ccw デバイスを見つけます。

    # virsh dumpxml vm-name
    
    <domain>
    [...]
        <hostdev mode='subsystem' type='mdev' managed='no' model='vfio-ccw'>
          <source>
            <address uuid='10620d2f-ed4d-437b-8aff-beda461541f9'/>
          </source>
          <alias name='hostdev0'/>
          <address type='ccw' cssid='0xfe' ssid='0x0' devno='0x0009'/>
        </hostdev>
    [...]
    </domain>

    この例では、デバイスに割り当てられた識別子は 0.0.0009 です。

  3. 仮想マシンを起動し、ゲスト OS にログインします。
  4. ゲスト OS で、DASD デバイスがリストされていることを確認します。以下に例を示します。

    # lscss | grep 0.0.0009
    0.0.0009 0.0.0007  3390/0c 3990/e9      f0  f0  ff   12212231 00000000
  5. ゲスト OS で、デバイスをオンラインに設定します。以下に例を示します。

    # chccwdev -e 0.0009
    Setting device 0.0.0009 online
    Done

14.9. Web コンソールを使用した仮想マシンへのウォッチドッグデバイスの接続

仮想マシン (VM) が応答を停止したときに指定されたアクションを強制的に実行するには、仮想ウォッチドッグデバイスを仮想マシンに接続します。

前提条件

手順

  1. コマンドラインインターフェイスで、ウォッチドッグサービスをインストールします。

    # dnf install watchdog

  2. 仮想マシンをシャットダウンします。
  3. ウォッチドッグサービスを仮想マシンに追加します。

    # virt-xml vmname  --add-device --watchdog action=reset --update

  4. 仮想マシンを実行します。
  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. Web コンソールの Virtual Machines インターフェイスで、ウォッチドッグデバイスを追加する仮想マシンをクリックします。
  3. 概要ペインの Watchdog フィールドの横にある add をクリックします。

    Add watchdog device type ダイアログが表示されます。

  4. 仮想マシンが応答を停止した場合にウォッチドッグデバイスが実行するアクションを選択します。

    ウォッチドッグデバイスタイプの追加ダイアログボックスを表示するイメージ。
  5. Add をクリックします。

検証

  • 選択したアクションは、Overview ペインの Watchdog フィールドの横に表示されます。

14.10. IBM Z の仮想マシンへの PCI デバイスの接続

vfio-pci デバイスドライバーを使用すると、パススルーモードで PCI デバイスを IBM Z ホストの仮想マシンに割り当てることができます。たとえば、これにより、仮想マシンはデータベースの処理に NVMe フラッシュディスクを使用できるようになります。

前提条件

  • IBM Z ハードウェアアーキテクチャーを使用するホストシステムがある。
  • Linux オペレーティングシステムのターゲット仮想マシンがある。
  • ホストに必要な vfio カーネルモジュールがロードされている。

    # lsmod | grep vfio

    このコマンドの出力には、以下のモジュールが含まれている必要があります。

    • vfio_pci
    • vfio_pci_core
    • vfio_iommu_type1

手順

  1. 使用するデバイスの PCI アドレス識別子を取得します。

    # lspci -nkD
    
    0000:00:00.0 0000: 1014:04ed
    	Kernel driver in use: ism
    	Kernel modules: ism
    0001:00:00.0 0000: 1014:04ed
    	Kernel driver in use: ism
    	Kernel modules: ism
    0002:00:00.0 0200: 15b3:1016
    	Subsystem: 15b3:0062
    	Kernel driver in use: mlx5_core
    	Kernel modules: mlx5_core
    0003:00:00.0 0200: 15b3:1016
    	Subsystem: 15b3:0062
    	Kernel driver in use: mlx5_core
    	Kernel modules: mlx5_core
  2. PCI デバイスを接続する仮想マシンの XML 設定を開きます。

    # virsh edit vm-name
  3. 以下の <hostdev> 設定を XML ファイルの <devices> セクションに追加します。

    address 行の値を、デバイスの PCI アドレスに置き換えます。たとえば、デバイスアドレスが 0003:00:00.0 の場合は、以下の設定を使用します。

    <hostdev mode="subsystem" type="pci" managed="yes">
      <driver name="vfio"/>
       <source>
        <address domain="0x0003" bus="0x00" slot="0x00" function="0x0"/>
       </source>
       <address type="pci"/>
    </hostdev>
  4. オプション: ゲストオペレーティングシステムが PCI デバイスを検出する方法を変更するには、<zpci> サブ要素を <address> 要素に追加することもできます。<zpci> 行では、uid 値と fid 値を調整できます。これにより、ゲストオペレーティングシステムのデバイスの PCI アドレスと機能 ID が変更されます。

    <hostdev mode="subsystem" type="pci" managed="yes">
      <driver name="vfio"/>
       <source>
        <address domain="0x0003" bus="0x00" slot="0x00" function="0x0"/>
       </source>
       <address type="pci">
         <zpci uid="0x0008" fid="0x001807"/>
       </address>
    </hostdev>

    この例では、以下が適用されます。

    • uid="0x0008" は、仮想マシンのデバイスのドメイン PCI アドレスを 0008:00:00.0 に設定します。
    • fid="0x001807" は、デバイスのスロット値を 0x001807 に設定します。これにより、仮想マシンのファイルシステムのデバイス設定が /sys/bus/pci/slots/00001087/address に保存されます。

      これらの値が指定されていない場合は、libvirt がこれらの値を自動的に設定します。

  5. XML 設定を保存します。
  6. 仮想マシンが実行中の場合はシャットダウンします。

    # virsh shutdown vm-name

検証

  1. 仮想マシンを起動し、ゲストオペレーティングシステムにログインします。
  2. ゲストオペレーティングシステムで、PCI デバイスがリストされていることを確認します。

    たとえば、デバイスアドレスが 0003:00:00.0 の場合は、次のコマンドを使用します。

    # lspci -nkD | grep 0003:00:00.0
    
    0003:00:00.0 8086:9a09 (rev 01)

第15章 仮想マシン用のストレージの管理

仮想マシンは、物理マシンと同様に、データ、プログラム、およびシステムファイル用にストレージを必要とします。仮想マシン管理者は、物理ストレージまたはネットワークベースのストレージを仮想マシンに仮想ストレージとして割り当てることができます。また、基本となるハードウェアに関係なく、ストレージを仮想マシンに表示する方法を変更することもできます。

次のセクションでは、仮想マシンのストレージの種類、その機能、および CLI または Web コンソールを使用してそれらを管理する方法を説明します。

15.1. 仮想マシンのストレージの概要

仮想マシンのストレージを初めて使用するユーザー、またはその仕組みがよくわからないユーザー向けに、次のセクションでは仮想マシンストレージのさまざまなコンポーネントの概要、その機能、管理の基本、Red Hat が提供するサポートされるソリューションを説明します。

以下の情報が記載されています。

15.1.1. ストレージプールの概要

ストレージプールは、仮想マシンにストレージを提供するために、libvirt が管理するファイル、ディレクトリー、またはストレージデバイスです。ストレージプールは、ストレージボリュームに分割できます。ストレージボリュームは、仮想マシンイメージを保存するか、追加のストレージとして仮想マシンに割り当てられます。

さらに、複数の仮想マシンが同じストレージプールを共有できるため、ストレージリソースの割り当てが改善されます。

  • ストレージプールは永続的または一時的なものにできます。

    • 永続ストレージプールは、ホストマシンのシステムを再起動しても維持します。この virsh pool-define を使用して、永続ストレージプールを作成できます。
    • 一時的なストレージプールは、ホストが再起動すると削除されます。virsh pool-create コマンドを使用すると、一時的なストレージプールを作成できます。

ストレージプールのストレージタイプ

ストレージプールは、ローカルまたはネットワークベース (共有) にできます。

  • ローカルストレージのプール

    ローカルストレージプールは、ホストサーバーに直接割り当てることができます。これには、ローカルデバイスのローカルディレクトリー、直接接続したディスク、物理パーティション、および論理ボリューム管理 (LVM) ボリュームグループが含まれます。

    ローカルストレージプールは、移行を必要としない、または仮想マシンが多数存在する、開発、テスト、および小規模なデプロイメントに役立ちます。

  • ネットワーク (共有) ストレージプール

    ネットワークストレージプールには、標準プロトコルを使用してネットワーク経由で共有されるストレージデバイスが含まれます。

15.1.2. ストレージボリュームの概要

ストレージプールは、ストレージボリューム に分類されます。ストレージボリュームは、libvirt が処理する物理パーティション、LVM 論理ボリューム、ファイルベースのディスクイメージ、その他のストレージタイプの抽象化です。ストレージボリュームは、基盤となるハードウェアに関係なく、ローカルのストレージデバイス (ディスクなど) として仮想マシンに表示されます。

ホストマシンでは、ストレージボリュームは、その名前と、そこから派生するストレージプールの識別子で参照されます。virsh コマンドラインでは、--pool storage_pool volume_name の形式を取ります。

たとえば、guest_images プールにある firstimage という名前のボリュームに関する情報を表示するには、次のコマンドを実行します。

# virsh vol-info --pool guest_images firstimage
  Name:             firstimage
  Type:             block
  Capacity:         20.00 GB
  Allocation:       20.00 GB

15.1.3. libvirt を使用したストレージ管理

libvirt リモートプロトコルを使用して、仮想マシンストレージのあらゆる側面を管理できます。これらの操作は、リモートホストで実行することもできます。したがって、RHEL Web コンソールなどの libvirt を使用する管理アプリケーションを使用して、仮想マシンのストレージを設定するために必要なすべてのタスクを実行できます。

libvirt の API を使用すると、ストレージプールのボリュームリストを照会したり、そのストレージプールの容量、割り当て、利用可能なストレージに関する情報を取得したりできます。それに対応するストレージプールの場合は、libvirt の API を使用して、ストレージボリュームを作成、クローン作成、サイズ変更、および削除することもできます。また、libvirt API を使用してデータをストレージボリュームにアップロードしたり、ストレージボリュームからデータをダウンロードしたり、ストレージボリュームのデータを消去したりできます。

15.1.4. ストレージ管理の概要

ストレージの管理で利用可能なオプションを説明するため、以下の例では、mount -t nfs nfs.example.com:/path/to/share /path/to/data を使用するサンプルの NFS サーバーを説明します。

ストレージ管理者は、以下を実行できます。

  • 仮想ホストに NFS ストレージプールを定義し、エクスポートするサーバーパスと、クライアントのターゲットパスを記述できます。その結果、libvirt は、libvirt の起動時に自動的に、または libvirt の実行中に必要に応じてストレージをマウントできます。
  • ストレージプールとストレージボリュームは、名前で仮想マシンに追加するだけです。ターゲットパスをボリュームに追加する必要はありません。そのため、ターゲットのクライアントパスが変更しても、仮想マシンには影響を及ぼしません。
  • ストレージプールを自動起動するように設定できます。これを行うと、libvirt は、libvirt の起動時に指定したディレクトリーに、NFS 共有ディスクを自動的にマウントします。libvirt は、コマンド mount nfs.example.com:/path/to/share /vmdata と同様に、指定したディレクトリーに共有をマウントします。
  • libvirt の API を使用して、ストレージボリュームパスをクエリーできます。このようなストレージボリュームは、基本的には NFS 共有ディスクにあるファイルです。その後、これらのパスを、仮想マシンのブロックデバイスのソースストレージを説明する仮想マシンの XML 定義のセクションにコピーできます。
  • NFS の場合は、libvirt の API を使用するアプリケーションを使用して、ストレージプール (NFS 共有内のファイル) にあるストレージボリュームを、プールのサイズ (共有のストレージ容量) の上限まで作成および削除できます。

    すべてのストレージプールタイプがボリュームの作成および削除に対応しているわけではないことに注意してください。

  • ストレージプールは、不要になったときに停止できます。ストレージプールを停止する (pool-destroy) と、開始操作が取り消されます。この場合は、NFS 共有のマウントが解除されます。コマンドの名前が記載されているにも関わらず、共有上のデータは destroy 操作で修正されません。詳細は、man virsh を参照してください。

15.1.5. 対応しているストレージプールのタイプと、対応していないストレージプールのタイプ

対応しているストレージプールの種類

以下は、RHEL で対応しているストレージプールタイプのリストです。

  • ディレクトリーベースのストレージプール
  • ディスクベースのストレージプール
  • パーティションベースのストレージプール
  • iSCSI ベースのストレージプール
  • LVM ベースのストレージプール
  • NFS ベースのストレージプール
  • vHBA デバイスを使用した SCSI ベースのストレージプール
  • マルチパスベースのストレージプール
  • RBD ベースのストレージプール

対応していないストレージプールの種類

以下は、RHEL で対応していない libvirt ストレージプールタイプのリストです。

  • sheepdog ベースのストレージプール
  • vstorage ベースのストレージプール
  • ZFS ベースのストレージプール
  • iSCSI-direct ストレージプール
  • GlusterFS ストレージプール

15.2. CLI を使用した仮想マシンストレージプールの管理

CLI を使用して、ストレージプールの次の側面を管理し、仮想マシン (VM) にストレージを割り当てることができます。

15.2.1. CLI を使用したストレージプール情報の表示

CLI を使用して、ストレージプールに関する詳細の一部またはすべてが含まれるストレージプールのリストを表示できます。また、リスト表示されているストレージプールにフィルターをかけることもできます。

手順

  • virsh pool-list コマンドを使用して、ストレージプール情報を表示します。

    # virsh pool-list --all --details
     Name                State    Autostart  Persistent    Capacity  Allocation   Available
     default             running  yes        yes          48.97 GiB   23.93 GiB   25.03 GiB
     Downloads           running  yes        yes         175.62 GiB   62.02 GiB  113.60 GiB
     RHEL-Storage-Pool   running  yes        yes         214.62 GiB   93.02 GiB  168.60 GiB

関連情報

  • virsh pool-list --help コマンド

15.2.2. CLI を使用したディレクトリーベースのストレージプールの作成

ディレクトリーベースのストレージプールは、マウントされている既存のファイルシステムのディレクトリーを基にしています。これは、たとえば、ファイルシステムの残りの領域を他の目的で使用する場合に役立ちます。virsh ユーティリティーを使用して、ディレクトリーベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーがディレクトリーのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'dir' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、ディレクトリープールはサポートの対象です。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、ディレクトリータイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、 /guest_images ディレクトリーを使用する guest_images_dir という名前のストレージプールを作成するには以下を実行します。

    # virsh pool-define-as guest_images_dir dir --target "/guest_images"
    Pool guest_images_dir defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、Directory-based storage pool parameters を参照してください。

  2. ストレージプールのターゲットパスの作成

    virsh pool-build コマンドを使用して、フォーマット済みファイルシステムのストレージプール用のストレージプールターゲットパスを作成し、ストレージソースデバイスを初期化し、データのフォーマットを定義します。

    # virsh pool-build guest_images_dir
      Pool guest_images_dir built
    
    # ls -la /guest_images
      total 8
      drwx------.  2 root root 4096 May 31 19:38 .
      dr-xr-xr-x. 25 root root 4096 May 31 19:38 ..
  3. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_dir     inactive   no
  4. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_dir
      Pool guest_images_dir started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  5. オプション: 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_dir
      Pool guest_images_dir marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_dir
      Name:           guest_images_dir
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

15.2.3. CLI を使用したディスクベースのストレージプールの作成

ディスクベースのストレージプールでは、プールはディスクパーティションに基づいています。これは、たとえば、ディスクパーティション全体を仮想マシン (VM) ストレージ専用にする場合に便利です。virsh ユーティリティーを使用して、ディスクベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーがディスクベースのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'disk' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、ディスクベースのプールはサポートの対象です。

  • ストレージプールのベースとなるデバイスを準備します。この目的のために、パーティション (/dev/sdb1 など) または LVM ボリュームを優先します。ディスク全体またはブロックデバイス (/dev/sdb など) への書き込みアクセスを仮想マシンに提供すると、その仮想マシンはそれをパーティション分割するか、その上に独自の LVM グループを作成する可能性があります。これにより、ホストでシステムエラーが発生する可能性があります。

    ただし、ストレージプールにブロックデバイス全体を使用する必要がある場合、Red Hat は、デバイス上の重要なパーティションを GRUB の os-prober 機能から保護することを推奨します。これを行うには、/etc/default/grub ファイルを編集して、次のいずれかの設定を適用します。

    • os-prober を無効にします。

      GRUB_DISABLE_OS_PROBER=true
    • os-prober が特定のパーティションを検出しないようにします。以下に例を示します。

      GRUB_OS_PROBER_SKIP_LIST="5ef6313a-257c-4d43@/dev/sdb1"
  • ストレージプールを作成する前に、選択したストレージデバイス上のデータをバックアップします。使用されている libvirt のバージョンに応じて、ディスクをストレージプール専用にすると、現在ディスクデバイスに格納されているすべてのデータが再フォーマットされて消去される可能性があります。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、ディスクタイプのストレージプールを定義して作成します。次の例では、/dev/sdb デバイスを使用する guest_images_disk という名前のストレージプールを作成します。

    # virsh pool-define-as guest_images_disk disk --source-format=gpt --source-dev=/dev/sdb --target /dev
    Pool guest_images_disk defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、Disk-based storage pool parameters を参照してください。

  2. ストレージプールのターゲットパスの作成

    virsh pool-build コマンドを使用して、フォーマット済みファイルシステムのストレージプール用のストレージプールターゲットパスを作成し、ストレージソースデバイスを初期化し、データのフォーマットを定義します。

    # virsh pool-build guest_images_disk
      Pool guest_images_disk built
    注記

    ターゲットパスの構築は、ディスクベース、ファイルシステムベース、論理ストレージプールにのみ必要です。libvirt は、overwrite オプションが指定されている場合を除き、ソースストレージデバイスのデータフォーマットが、選択したストレージプールタイプと異なることを検出すると、ビルドに失敗します。

  3. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_disk    inactive   no
  4. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_disk
      Pool guest_images_disk started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  5. オプション: 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_disk
      Pool guest_images_disk marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_disk
      Name:           guest_images_disk
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

15.2.4. CLI を使用したファイルシステムベースのストレージプールの作成

マウントされていないファイルシステムにストレージプールを作成する場合は、ファイルシステムベースのストレージプールを使用します。このストレージプールは、指定のファイルシステムのマウントポイントを基にしています。virsh ユーティリティーを使用すると、ファイルシステムベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーがファイルシステムベースのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'fs' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、ファイルベースのストレージプールはサポートの対象です。

  • ストレージプールのベースとなるデバイスを準備します。この目的のために、パーティション (/dev/sdb1 など) または LVM ボリュームを優先します。ディスク全体またはブロックデバイス (/dev/sdb など) への書き込みアクセスを仮想マシンに提供すると、その仮想マシンはそれをパーティション分割するか、その上に独自の LVM グループを作成する可能性があります。これにより、ホストでシステムエラーが発生する可能性があります。

    ただし、ストレージプールにブロックデバイス全体を使用する必要がある場合、Red Hat は、デバイス上の重要なパーティションを GRUB の os-prober 機能から保護することを推奨します。これを行うには、/etc/default/grub ファイルを編集して、次のいずれかの設定を適用します。

    • os-prober を無効にします。

      GRUB_DISABLE_OS_PROBER=true
    • os-prober が特定のパーティションを検出しないようにします。以下に例を示します。

      GRUB_OS_PROBER_SKIP_LIST="5ef6313a-257c-4d43@/dev/sdb1"

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、ファイルシステムタイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、/dev/sdc1 パーティションを使用し、/guest_images ディレクトリーにマウントされるストレージプールに guest_images_fs という名前を指定して作成するには以下を実行します。

    # virsh pool-define-as guest_images_fs fs --source-dev /dev/sdc1 --target /guest_images
    Pool guest_images_fs defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、Filesystem-based storage pool parameters を参照してください。

  2. ストレージプールのターゲットパスの定義

    virsh pool-build コマンドを使用して、フォーマット済みファイルシステムのストレージプール用のストレージプールターゲットパスを作成し、ストレージソースデバイスを初期化し、データのフォーマットを定義します。

    # virsh pool-build guest_images_fs
      Pool guest_images_fs built
    
    # ls -la /guest_images
      total 8
      drwx------.  2 root root 4096 May 31 19:38 .
      dr-xr-xr-x. 25 root root 4096 May 31 19:38 ..
  3. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_fs      inactive   no
  4. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_fs
      Pool guest_images_fs started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  5. オプション: 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_fs
      Pool guest_images_fs marked as autostarted

検証

  1. virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_fs
      Name:           guest_images_fs
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB
  2. ファイルシステムのターゲットパスに lost+found ディレクトリーがあることを確認します。これは、デバイスがマウントされていることを示しています。

    # mount | grep /guest_images
      /dev/sdc1 on /guest_images type ext4 (rw)
    
    # ls -la /guest_images
      total 24
      drwxr-xr-x.  3 root root  4096 May 31 19:47 .
      dr-xr-xr-x. 25 root root  4096 May 31 19:38 ..
      drwx------.  2 root root 16384 May 31 14:18 lost+found

15.2.5. CLI を使用した iSCSI ベースのストレージプールの作成

iSCSI (Internet Small Computer Systems Interface) は、データストレージ施設をリンクするための IP ベースのストレージネットワーク標準です。iSCSI サーバーにストレージプールを置く場合は、virsh ユーティリティーを使用して、iSCSI ベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーが iSCSI ベースのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'iscsi' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、iSCSI ベースのストレージプールはサポートの対象です。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、iSCSI タイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、server1.example.comiqn.2010-05.com.example.server1:iscsirhel7guest IQN を使用し、/dev/disk/by-path パスにマウントされるストレージプールに guest_images_iscsi という名前を指定して作成するには、以下を実行します。

    # virsh pool-define-as --name guest_images_iscsi --type iscsi --source-host server1.example.com --source-dev iqn.2010-05.com.example.server1:iscsirhel7guest --target /dev/disk/by-path
    Pool guest_images_iscsi defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、iSCSI-based storage pool parameters を参照してください。

  2. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_iscsi   inactive   no
  3. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_iscsi
      Pool guest_images_iscsi started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  4. オプション: 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_iscsi
      Pool guest_images_iscsi marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_iscsi
      Name:           guest_images_iscsi
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

15.2.6. CLI を使用した LVM ベースのストレージプールの作成

LVM ボリュームグループに含まれるストレージプールが必要な場合は、virsh ユーティリティーを使用して LVM ベースのストレージプールを作成できます。

推奨事項

LVM ベースのストレージプールを作成する前に、以下の点に注意してください。

  • LVM ベースのストレージプールは、LVM の柔軟性を完全には提供しません。
  • libvirt は、シン論理ボリュームに対応しますが、シンストレージプールの機能は提供しません。
  • LVM ベースのストレージプールは、ボリュームグループです。virsh ユーティリティーを使用してボリュームグループを作成できますが、この方法では、作成したボリュームグループには 1 つのデバイスしか作成できません。複数のデバイスを持つボリュームグループを作成する場合は、代わりに LVM ユーティリティーを使用します。詳細は、How to create a volume group in Linux with LVM を参照してください。

    ボリュームグループの詳細は、Red Hat Enterprise Linux Logical Volume Manager Administration Guide を参照してください。

  • LVM ベースのストレージプールには、完全なディスクパーティションが必要です。virsh コマンドを使用して新しいパーティションまたはデバイスをアクティブにすると、パーティションがフォーマットされ、すべてのデータが消去されます。この手順で説明しているように、ホストの既存のボリュームグループを使用している場合は、何も消去されません。

前提条件

  • ハイパーバイザーが LVM ベースのストレージプールをサポートしていることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "'logical' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、LVM ベースのストレージプールはサポートの対象です。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用して、LVM タイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、次のコマンドは、lvm_vg ボリュームグループを使用し、/dev/lvm_vg ディレクトリーにマウントされている guest_images_lvm という名前のストレージプールを作成します。

    # virsh pool-define-as guest_images_lvm logical --source-name lvm_vg --target /dev/lvm_vg
    Pool guest_images_lvm defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、LVM-based storage pool parameters を参照してください。

  2. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                   State      Autostart
      -------------------------------------------
      default                active     yes
      guest_images_lvm       inactive   no
  3. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_lvm
      Pool guest_images_lvm started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  4. オプション: 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_lvm
      Pool guest_images_lvm marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_lvm
      Name:           guest_images_lvm
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

15.2.7. CLI を使用した NFS ベースのストレージプールの作成

ネットワークファイルシステム (NFS) サーバーにストレージプールを置く場合は、virsh ユーティリティーを使用して、NFS ベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーが NFS ベースのストレージプールに対応していることを確認します。

    # virsh pool-capabilities | grep "<value>nfs</value>"

    コマンドの出力が表示される場合には、NFS ベースのストレージプールはサポートの対象です。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドを使用し、NFS タイプのストレージプールを定義して作成します。たとえば、ターゲットディレクトリー /var/lib/libvirt/images/nfspool を使用してサーバーディレクトリー /home/net_mount にマウントされ、IP が 111.222.111.222 の NFS サーバーを使用するストレージプールを、guest_images_netfs という名前で作成するには、以下を実行します。

    # virsh pool-define-as --name guest_images_netfs --type netfs --source-host='111.222.111.222' --source-path='/home/net_mount' --source-format='nfs' --target='/var/lib/libvirt/images/nfspool'

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、NFS-based storage pool parameters を参照してください。

  2. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_netfs   inactive   no
  3. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_netfs
      Pool guest_images_netfs started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  4. オプション: 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_netfs
      Pool guest_images_netfs marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_netfs
      Name:           guest_images_netfs
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

15.2.8. CLI で vHBA デバイスを使用した SCSI ベースのストレージプールを作成する手順

Small Computer System Interface (SCSI) デバイスにストレージプールを設定する場合は、ホストが、仮想ホストバスアダプター (vHBA) を使用して SCSI デバイスに接続できる必要があります。その後、virsh ユーティリティーを使用して、SCSI ベースのストレージプールを作成できます。

前提条件

  • ハイパーバイザーが SCSI ベースのストレージプールをサポートしている。

    # virsh pool-capabilities | grep "'scsi' supported='yes'"

    コマンドの出力が表示される場合には、SCSI ベースのストレージプールはサポートの対象です。

  • 先に vHBA を作成し、vHBA デバイスで SCSI ベースのストレージプールを作成できるようにしてある。詳細は、Creating vHBAs を参照してください。

手順

  1. ストレージプールを作成します。

    virsh pool-define-as コマンドで、vHBA を使用して SCSI ストレージプールを定義して作成します。たとえば、以下は、guest_images_vhba という名前のストレージプールを作成します。このストレージプールは、親アダプター (scsi_host3)、ワールドワイドポート番号 (5001a4ace3ee047d)、ワールドワイドノード番号 (5001a4a93526d0a1) で識別される vHBA を使用します。ストレージプールは /dev/disk/ ディレクトリーにマウントされます。

    # virsh pool-define-as guest_images_vhba scsi --adapter-parent scsi_host3 --adapter-wwnn 5001a4a93526d0a1 --adapter-wwpn 5001a4ace3ee047d --target /dev/disk/
    Pool guest_images_vhba defined

    作成するストレージプールの XML 設定がすでにある場合は、XML を基にプールを定義することもできます。詳細は、Parameters for SCSI-based storage pools with vHBA devices を参照してください。

  2. プールが作成されたことを確認します。

    virsh pool-list コマンドを使用して、プールが作成されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    
      Name                 State      Autostart
      -----------------------------------------
      default              active     yes
      guest_images_vhba    inactive   no
  3. ストレージプールを起動します。

    virsh pool-start コマンドを使用して、ストレージプールをマウントします。

    # virsh pool-start guest_images_vhba
      Pool guest_images_vhba started
    注記

    virsh pool-start コマンドは、永続ストレージプールにのみ必要です。一時的なストレージプールは、作成時に自動的に起動します。

  4. オプション: 自動起動をオンにします。

    デフォルトでは、virsh コマンドで定義されたストレージプールは、仮想化サービスが起動するたびに自動的に起動するようには設定されていません。virsh pool-autostart コマンドを使用して、ストレージプールが自動的に起動するように設定します。

    # virsh pool-autostart guest_images_vhba
      Pool guest_images_vhba marked as autostarted

検証

  • virsh pool-info コマンドを使用して、ストレージプールが running 状態であることを確認します。報告されるサイズが期待どおりであるか、また、自動開始が正しく設定されているかを確認してください。

    # virsh pool-info guest_images_vhba
      Name:           guest_images_vhba
      UUID:           c7466869-e82a-a66c-2187-dc9d6f0877d0
      State:          running
      Persistent:     yes
      Autostart:      yes
      Capacity:       458.39 GB
      Allocation:     197.91 MB
      Available:      458.20 GB

15.2.9. CLI を使用したストレージプールの削除

ホストシステムからストレージプールを削除するには、プールを停止して、その XML 定義を削除する必要があります。

手順

  1. virsh pool-list コマンドを使用して、定義済みストレージプールをリスト表示します。

    # virsh pool-list --all
    Name                 State      Autostart
    -------------------------------------------
    default              active     yes
    Downloads            active     yes
    RHEL-Storage-Pool   active     yes
  2. virsh pool-destroy コマンドを使用して、削除するストレージプールを停止します。

    # virsh pool-destroy Downloads
    Pool Downloads destroyed
  3. オプション: ストレージプールの種類によっては、virsh pool-delete コマンドを使用して、ストレージプールが存在するディレクトリーを削除できます。これを実行するには、ディレクトリーが空である必要があります。

    # virsh pool-delete Downloads
    Pool Downloads deleted
  4. virsh pool-undefine コマンドを使用して、ストレージプールの定義を削除します。

    # virsh pool-undefine Downloads
    Pool Downloads has been undefined

検証

  • ストレージプールが削除されたことを確認します。

    # virsh pool-list --all
    Name                 State      Autostart
    -------------------------------------------
    default              active     yes
    rhel-Storage-Pool   active     yes

15.3. Web コンソールを使用した仮想マシンストレージプールの管理

RHEL Web コンソールを使用すると、ストレージプールを管理して、仮想マシン にストレージを割り当てることができます。

Web コンソールを使用して以下を行うことができます。

15.3.1. Web コンソールを使用したストレージプール情報の表示

Web コンソールを使用して、システムで利用可能なストレージプールの詳細情報を表示できます。ストレージプールを使用すると、仮想マシンのディスクイメージを作成できます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. 仮想マシン インターフェイスで ストレージプール をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールの一覧が示されます。

    既存のストレージプールの情報を含む Web コンソールのストレージプールタブを表示するイメージ

    この情報には以下が含まれます。

    • 名前 - ストレージプールの名前
    • サイズ - 現在の割り当てとストレージプールの合計容量。
    • 接続 - ストレージプールのアクセスに使用される接続
    • 状態 - ストレージプールのステータス
  3. 情報を表示するストレージプールの横にある矢印をクリックします。

    行がデプロイメントされ、選択したストレージプールに関する詳細情報を含む概要ペインが表示されます。

    選択したストレージプールの詳細情報を表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • ターゲットパス - ストレージプールの場所です。
    • 永続的 - ストレージプールの設定が永続的であるかどうかを示します。
    • 自動起動 - システムの起動時にストレージプールが自動的に起動するかどうかを示します。
    • 種類 - ストレージプールの種類。
  4. ストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示する場合は、ストレージボリューム をクリックします。

    ストレージボリュームペインが表示され、設定したストレージボリュームのリストが表示されます。

    選択したストレージプールに関連付けられているストレージボリュームのリストを表示するイメージ。

    この情報には以下が含まれます。

    • 名前 - ストレージボリュームの名前。
    • 使用者 - 現在ストレージボリュームを使用している仮想マシン。
    • サイズ - ボリュームのサイズ。

15.3.2. Web コンソールを使用したディレクトリーベースのストレージプールの作成

ディレクトリーベースのストレージプールは、マウントされている既存のファイルシステムのディレクトリーを基にしています。これは、たとえば、ファイルシステムの残りの領域を他の目的で使用する場合に役立ちます。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  3. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  4. ストレージプールの名前を入力します。
  5. Type ドロップダウンメニューで、Filesystem directory を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
    注記

    ドロップダウンメニューに Filesystem directory オプションが表示されない場合、ハイパーバイザーはディレクトリーベースのストレージプールをサポートしていません。

  6. 以下の情報を入力します。

    • ターゲットパス - ストレージプールの場所です。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  7. Create をクリックします。

    ストレージプールが作成され、Create Storage Pool ダイアログが閉じて、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

15.3.3. Web コンソールを使用した NFS ベースのストレージプールの作成

NFS ベースのストレージプールは、サーバーでホストされているファイルシステムに基づいています。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  3. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  4. ストレージプールの名前を入力します。
  5. Type ドロップダウンメニューで、Network file system を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
    注記

    ドロップダウンメニューに Network file system オプションが表示されない場合、ハイパーバイザーは nfs ベースのストレージプールをサポートしていません。

  6. 残りの情報を入力します。

    • Target path - ターゲットを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。
    • Host - マウントポイントがあるネットワークサーバーのホスト名。これは、ホスト名または IP アドレスになります。
    • Source path - ネットワークサーバーで使用されるディレクトリー。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  7. Create をクリックします。

    ストレージプールが作成されます。Create storage pool ダイアログが閉じ、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

15.3.4. Web コンソールを使用した iSCSI ベースのストレージプールの作成

iSCSI ベースのストレージプールは、iSCSI (Internet Small Computer Systems Interface) をベースとする、データストレージ施設をリンクするための IP ベースのストレージネットワーク規格です。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  3. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  4. ストレージプールの名前を入力します。
  5. Type ドロップダウンメニューで、iSCSI target を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
  6. 残りの情報を入力します。

    • Target Path - ターゲットを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。
    • Host - ISCSI サーバーのホスト名または IP アドレス。
    • Source path - iSCSI ターゲットの一意の iSCSI 修飾名 (IQN)。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  7. Create をクリックします。

    ストレージプールが作成されます。Create storage pool ダイアログが閉じ、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

15.3.5. Web コンソールを使用したディスクベースのストレージプールの作成

ディスクベースのストレージプールは、ディスクパーティション全体を使用します。

警告
  • 使用されている libvirt のバージョンに応じて、ディスクをストレージプール専用にすると、現在ディスクデバイスに格納されているすべてのデータが再フォーマットされて消去される可能性があります。ストレージプールを作成する前に、ストレージデバイスのデータのバックアップを作成することを強く推奨します。
  • ディスク全体またはブロックデバイスが仮想マシンに渡されると、仮想マシンはそれをパーティション分割するか、その上に独自の LVM グループを作成する可能性があります。これにより、ホストマシンがこのようなパーティションまたは LVM グループを検出し、エラーが発生する可能性があります。

    これらのエラーは、パーティションまたは LVM グループを手動で作成して仮想マシンに渡す場合にも発生する可能性があります。

    これらのエラーを回避するには、代わりにファイルベースのストレージプールを使用します。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  3. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  4. ストレージプールの名前を入力します。
  5. Type ドロップダウンメニューで、Physical disk device を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
    注記

    ドロップダウンメニューに Physical disk device オプションが表示されない場合、ハイパーバイザーはディスクベースのストレージプールをサポートしていません。

  6. 残りの情報を入力します。

    • Target Path - ターゲットデバイスを指定するパス。ストレージプールに使用されるパスになります。
    • Source path - ストレージデバイスを指定するパス。たとえば、/dev/sdb です。
    • Format - パーティションテーブルのタイプ。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
  7. Create をクリックします。

    ストレージプールが作成されます。Create storage pool ダイアログが閉じ、新しいストレージプールがストレージプールのリストに表示されます。

15.3.6. Web コンソールを使用した LVM ベースのストレージプールの作成

LVM ベースのストレージプールはボリュームグループに基づいており、論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用して管理できます。ボリュームグループは、単一のストレージ構造を作成する複数の物理ボリュームの組み合わせです。

注記
  • LVM ベースのストレージプールは、LVM の柔軟性を完全には提供しません。
  • libvirt は、シン論理ボリュームに対応しますが、シンストレージプールの機能は提供しません。
  • LVM ベースのストレージプールには、完全なディスクパーティションが必要です。virsh コマンドを使用して新しいパーティションまたはデバイスをアクティブにすると、パーティションがフォーマットされ、すべてのデータが消去されます。この手順で説明しているように、ホストの既存のボリュームグループを使用している場合は、何も消去されません。
  • 複数のデバイスを持つボリュームグループを作成する場合は、代わりに LVM ユーティリティーを使用します。詳細は、How to create a volume group in Linux with LVM を参照してください。

    ボリュームグループの詳細は、Red Hat Enterprise Linux Logical Volume Manager Administration Guide を参照してください。

前提条件

手順

  1. RHEL 9 Web コンソールにログインします。

    詳細は、Web コンソールへのログイン を参照してください。

  2. RHEL Web コンソールで、Virtual Machines タブの Storage pools をクリックします。

    Storage pools 画面が表示され、設定されているストレージプールのリストが示されます。

    Image displaying all the storage pools currently configured on the host
  3. Create storage pool をクリックします。

    Create storage pool ダイアログボックスが表示されます。

  4. ストレージプールの名前を入力します。
  5. Type ドロップダウンメニューで、LVM volume group を選択します。

    ストレージプールの作成ダイアログボックスが表示されるイメージ
    注記

    ドロップダウンメニューに LVM volume group オプションが表示されない場合、ハイパーバイザーは LVM ベースのストレージプールをサポートしていません。

  6. 残りの情報を入力します。

    • Source volume grou - 使用する LVM ボリュームグループの名前。
    • 起動 - ホストの起動時にストレージプールが起動するかどうか
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