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RHEL での認証と認可の設定

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Red Hat Enterprise Linux 9

SSSD、authselect、および sssctl を使用した認証および認可の設定

Red Hat Customer Content Services

概要

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) を設定して、Red Hat Identity Management (IdM)、Active Directory (AD)、LDAP ディレクトリーなどのサービスに対してユーザーを認証および認可できます。このため、RHEL は System Security Services Daemon (SSSD) を使用してこれらのサービスと通信します。authselect および sssctl などのユーティリティーは、SSSD、Pluggable Authentication Modules (PAM)、および Name Service Switch (NSS) の設定をサポートします。

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第1章 システム認証の概要

セキュアなネットワーク環境を確立するための基礎の 1 つは、認可されたユーザーだけにアクセスを制限することです。アクセスが許可されると、ユーザーは自分のアイデンティティーを検証してシステムに対して認証できます。

どの Red Hat Enterprise Linux システムでも、ユーザーアイデンティティーを作成および管理するためのさまざまなサービスが利用できます。これには、ローカルシステムファイル、Kerberos や Samba などの大規模なアイデンティティードメインに接続するサービス、またはそれらのドメインを作成するツールが含まれます。

1.1. ユーザーアイデンティティーの確認

認証とは、アイデンティティーの確認を行うプロセスです。ネットワークの対話については、認証には、別の当事者による識別が必要です。ネットワーク上で認証を使用する方法は、単純なパスワード、証明書、パスワードレス方式、ワンタイムパスワード (OTP) トークン、生体認証スキャンなど、多数あります。

認可とは、認証された当事者が実行またはアクセスできる内容を定義するものです。

認証では、ユーザーが自分のアイデンティティーを検証するために何らかの認証情報を提示する必要があります。必要な認証情報の種類は、使用される認証メカニズムによって定義されます。システム上のローカルユーザーには、以下のような認証があります。

パスワードベースの認証
ほとんどのソフトウェアで、ユーザーは認識されたユーザー名とパスワードを提供することで認証できます。これは簡易認証とも呼ばれます。
証明書ベースの認証
証明書に基づくクライアント認証は、Secure Sockets Layer (SSL) プロトコルの一部です。クライアントは無作為に生成されたデータの一部に署名し、ネットワーク全体で証明書および署名されたデータの両方を送信します。サーバーは署名を検証し、証明書の有効性を確認します。
Kerberos 認証
Kerberos は、Ticket-Granting Ticket (TGT) と呼ばれる、有効期間が短い認証情報のシステムを確立します。ユーザーは、ユーザーを特定し、ユーザーにチケットを発行できることをシステムに示す認証情報、つまりユーザー名およびパスワードを提示します。TGT は、Web サイトや電子メールなどの他のサービスへのアクセスチケットを要求するために繰り返し使用できます。Kerberos を使用した認証では、ユーザーはこのように 1 回の認証プロセスのみを実行することになります。
スマートカードベースの認証

これは、証明書ベースの認証のバリアントです。スマートカード (またはトークン) にはユーザー証明書が保存されます。ユーザーがトークンをシステムに挿入すると、システムが証明書を読み取ってアクセスを許可します。スマートカードを使用したシングルサインオンには、以下の 3 つの手順があります。

  1. ユーザーがスマートカードをカードリーダーに挿入します。Red Hat Enterprise Linux 上の Pluggable Authentication Modules (PAM) が、挿入されたスマートカードを検出します。
  2. システムは、証明書をユーザーエントリーにマップし、スマートカードに表示された証明書を、証明書ベースの認証で説明されているように秘密鍵で暗号化して、ユーザーエントリーに保存されている証明書と比較します。
  3. 証明書がキー配布センター (KDC) に対する検証に成功すると、ユーザーはログインを許可されます。

スマートカードベースの認証は、追加の識別メカニズムとして証明書を追加し、物理的なアクセス要件を追加することにより、Kerberos によって確立された単純な認証層に基づいています。詳細は、スマートカード認証の管理 を参照してください。

ワンタイムパスワード認証
ワンタイムパスワードにより、認証セキュリティーに関する手順が追加されます。この認証では、ユーザーのパスワードと自動的に生成されたワンタイムパスワードを組み合わせて使用します。詳細は、Identity Management におけるワンタイムパスワード (OTP) 認証 を参照してください。
パスキー認証
パスキーは、Yubikey 5 や Nitrokey など、libfido2 ライブラリーでサポートされている FIDO2 認証デバイスです。パスワードレス認証と多要素認証を可能にします。システムが IdM 環境に登録および接続されている場合、この認証方法により Kerberos チケットが自動的に発行されます。これにより、Identity Management (IdM) ユーザーのシングルサインオン (SSO) が可能になります。詳細は、IdM 環境でのパスキー認証の有効化 を参照してください。
外部アイデンティティープロバイダー
OAuth 2 デバイス認可フローをサポートする外部アイデンティティープロバイダー (IdP) にユーザーを関連付けることができます。このユーザーが RHEL 9.1 以降で利用可能な SSSD バージョンで認証すると、ユーザーは、外部 IdP で認証と認可を実行した後、Kerberos チケットを使用した RHEL Identity Management (IdM) シングルサインオン機能を受け取ります。詳細は、外部 ID プロバイダーを使用した IdM に対する認証 を参照してください。

1.2. シングルサインオンの計画

中央のアイデンティティーストアがなく、各アプリケーションがユーザーと認証情報の独自のセットを維持している場合、ユーザーはサービスやアプリケーションを開くたびにパスワードを入力する必要があります。

管理者がシングルサインオンを設定して単一のパスワードストアを作成すると、ユーザーが単一のパスワードを使用して 1 回ログインするだけで、すべてのネットワークリソースに対して認証できるようになります。

Red Hat Enterprise Linux は、ワークステーションへのログイン、スクリーンセーバーのロック解除、Mozilla Firefox を使用した保護された Web ページへのアクセスなど、いくつかのリソースに対するシングルサインオンをサポートしています。特権アクセス管理 (PAM)、Name Service Switch (NSS)、Kerberos など、その他のシステムサービスが利用可能な場合は、これらのアイデンティティーソースを使用するように他のシステムアプリケーションを設定できます。

シングルサインオンは、ユーザーにとって便利であると同時に、サーバーおよびネットワークのセキュリティーにおけるもう 1 つの層でもあります。シングルサインオンは、セキュアで効果的な認証をオンにします。Red Hat Enterprise Linux は、シングルサインオンを有効にするために使用できる認証メカニズムを 2 つ提供します。

  • Kerberos レルムと Active Directory ドメインを使用した Kerberos ベースの認証
  • スマートカードベースの認証

どちらの方法でも、(Kerberos レルムまたは公開鍵インフラストラクチャーの認証局を介して) 一元化された ID ストアを作成し、ローカルシステムサービスは、複数のローカルストアを維持するのではなく、これらの ID ドメインを使用します。

1.3. ローカルユーザー認証に利用できるサービス

すべての Red Hat Enterprise Linux システムには、ローカルシステム上のローカルユーザーの認証を設定するために使用できるサービスがいくつか用意されています。これには以下が含まれます。

認証設定
  • 認証設定ツール authselect は、システムに対して、さまざまなアイデンティティーバックエンドと認証手段 (パスワード、指紋、スマートカードなど) を設定します。
アイデンティティーバックエンド設定
  • Security System Services Daemon (SSSD) は、複数のアイデンティティープロバイダー (主に Microsoft Active Directory などの LDAP ベースのディレクトリーや Red Hat Enterprise Linux IdM) を設定します。これらのアイデンティティープロバイダーは、ローカルシステムとユーザー用アプリケーションの両方で使用できます。パスワードとチケットがキャッシュされ、認証情報を再利用することでオフライン認証とシングルサインオンが可能になります。
  • realmd サービスは、認証バックエンド (IdM の SSSD) の設定を可能にするコマンドラインユーティリティーです。realmd サービスは、DNS レコードに基づいて利用可能な IdM ドメインを検出し、SSSD を設定してから、システムをアカウントとしてドメインに参加させます。
  • NSS (Name Service Switch) は、ユーザー、グループ、またはホストの情報を返す低レベルのシステムコールのメカニズムです。NSS は、必要な情報を取得するのに使用するモジュールであるソースを決定します。たとえば、ユーザー情報は /etc/passwd ファイルなどの従来の UNIX ファイルや LDAP ベースのディレクトリーに保存し、ホストアドレスは /etc/hosts ファイルや DNS レコードなどから読み取ることができます。NSS は情報が保存されている場所を特定します。
認証メカニズム
  • プラグ可能な認証モジュール (PAM) は、認証ポリシーを設定するシステムを提供します。認証に PAM を使用するアプリケーションは、認証のさまざまな側面を制御する異なるモジュールを読み込みます。アプリケーションが使用する PAM モジュールは、アプリケーションの設定方法に基づいています。利用可能な PAM モジュールには、Kerberos、Winbind、SSSD、ローカルの UNIX ファイルベースの認証があります。

その他のサービスやアプリケーションも利用できますが、これらは一般的な設定です。

第2章 authselect でユーザー認証の設定

authselect は、特定のプロファイルを選択して、システム ID および認証ソースを設定できるようにするユーティリティーです。profile は、作成される PAM (Pluggable Authentication Modules) および Network Security Services (NSS) の設定を記述するファイルのセットです。デフォルトのプロファイル設定を選択するか、カスタムプロファイルを作成できます。

2.1. authselect の使用方法

authselect ユーティリティーを使用して、Red Hat Enterprise Linux 9 ホストでユーザー認証を設定できます。

既製のプロファイルのいずれかを選択して、ID 情報および認証ソースおよびプロバイダーを設定できます。

  • デフォルトの sssd プロファイルでは、LDAP 認証を使用するシステムの System Security Services Daemon (SSSD) が有効になります。
  • winbind プロファイルは、Microsoft Active Directory と直接統合したシステムの Winbind ユーティリティーを有効にします。
  • minimal プロファイルは、システムファイルから直接ローカルユーザーおよびグループのみを提供します。これにより、管理者は不要になったネットワーク認証サービスを削除できます。

authselect プロファイルを特定のホストに対して選択すると、そのプロファイルは、そのホストにログインしているすべてのユーザーに適用されます。

Red Hat は、半集中型の ID 管理環境での authselect の使用を推奨しています。たとえば、組織がドメイン内でサービスを使用するために、LDAP または Winbind データベースを使用してユーザーを認証している場合などに推奨しています。

警告

次の場合は、authselect を使用する必要はありません。

  • ホストは Red Hat Enterprise Linux Identity Management (IdM) の一部です。ホストを IdM ドメインに参加させると、ipa-client-install コマンドは、ホストで SSSD 認証を自動的に設定します。
  • ホストは SSSD 経由で Active Directory の一部です。realm join コマンドを呼び出して、ホストを Active Directory ドメインに参加させると、ホストで SSSD 認証が自動的に設定されます。

Red Hat は、ipa-client-install または realmjoin によって設定された authselect プロファイルを変更しないことを推奨します。それらを変更する必要がある場合は、変更を加える前に現在の設定を表示して、必要に応じて元に戻すことができるようにします。

$ authselect current
Profile ID: sssd
Enabled features:
- with-sudo
- with-mkhomedir
- with-smartcard

2.1.1. ファイルおよびディレクトリーの authselect の変更

authconfig ユーティリティーは、以前の Red Hat Enterprise Linux バージョンで、さまざまな設定ファイルの作成および変更するために使用されていたため、トラブルシューティングが困難になりました。authselect は、次のファイルおよびディレクトリーのみを変更するため、テストとトラブルシューティングが容易になります。

/etc/nsswitch.conf

GNC C ライブラリーおよびその他アプリケーションはこの NSS (Name Service Switch) を使用して、さまざまなカテゴリーの名前サービス情報を、どのソースから、どの順番で取得するかを決定します。情報の各カテゴリーは、データベース名で識別されます。

/etc/pam.d/* ファイル

Linux-PAM (Pluggable Authentication Modules) は、システムのアプリケーション (サービス) の認証タスクを処理するモジュールのシステムです。認証の性質は動的に設定できます。システム管理者は、個々のサービス提供アプリケーションがユーザーを認証する方法を選択できます。

/etc/pam.d/ ディレクトリー内の設定ファイルには、サービスに必要な認証タスクを実行する PAM のリストと、個々の PAM が失敗した場合の PAM-API の適切な動作がリスト表示されます。

たとえば、これらのファイルには以下の情報が含まれています。

  • ユーザーパスワードのロックアウトの条件
  • スマートカードによる認証機能
  • フィンガープリントリーダーによる認証機能

/etc/dconf/db/distro.d/* ファイル

このディレクトリーは、dconf ユーティリティーの設定プロファイルを保持し、GNOME デスクトップグラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) の設定を管理できます。

2.1.2. /etc/nsswitch.conf のデータプロバイダー

デフォルトの sssd プロファイルは、/etc/nsswitch.confsss エントリーを作成することで、SSSD を情報ソースとして確立します。

passwd:     sss files
group:      sss files
netgroup:   sss files
automount:  sss files
services:   sss files
...

これは、これらの項目のいずれかに関する情報が要求されると、システムが最初に SSSD を調べることを意味します。

  • ユーザー情報の passwd
  • ユーザー グループ 情報のグループ
  • NIS netgroup 情報の netgroup
  • NFS 自動マウント情報の automount
  • サービスに関する情報に関する services

sssd キャッシュ、および認証を提供するサーバーで、要求された情報が見つからない、または sssd を実行していないと、システムはローカルファイル (/etc/*) を調べます。

たとえば、ユーザー ID に関する情報が要求されると、そのユーザー ID は、最初に sssd キャッシュで検索されます。そこで見つからない場合は、/etc/passwd ファイルが参照されます。同様に、ユーザーのグループ所属が要求されると、最初に sssd キャッシュで検索され、そこに見つからない場合に限り、/etc/group ファイルが参照されます。

実際には、ローカルの files データベースは参照されません。最も重要な例外は、root ユーザーの場合です。これは、sssd で処理されることはありませんが、files で処理されます。

2.2. authselect プロファイルの選択

システム管理者は、特定のホストの authselect ユーティリティーにプロファイルを選択できます。そのプロファイルはそのホストにログインしているすべてのユーザーに適用されます。

前提条件

  • authselect コマンドを実行するには root 認証情報が必要です。

手順

  • 認証プロバイダーに適した authselect プロファイルを選択します。たとえば、LDAP を使用している企業のネットワークにログインするには、sssd を選択します。

    # authselect select sssd
    • authselect select sssd コマンドまたは authselect select winbind コマンドに次のオプションを追加して、デフォルトのプロファイル設定を変更できます。

      • with-faillock
      • with-smartcard
      • with-fingerprint

    利用可能なオプションのリストは、authconfig から authselect へのスクリプトの変換 または man ページの authselect-migration(7) を参照してください。

注記

authselect select 手順を完了する前に、プロファイルに関連する設定ファイルが正しく設定されていることを確認してください。たとえば、sssd デーモンが正しく設定されておらずアクティブではない場合に authselect select を実行すると、ローカルユーザーのみが、pam_unix を使用して認証できるようになります。

検証手順

  1. SSSD の sss エントリーが /etc/nsswitch.conf にあることを確認します。

    passwd:     sss files
    group:      sss files
    netgroup:   sss files
    automount:  sss files
    services:   sss files
    ...
  2. pam_sss.so エントリーの /etc/pam.d/system-auth ファイルの内容を確認します。

    # Generated by authselect on Tue Sep 11 22:59:06 2018
    # Do not modify this file manually.
    
    auth        required        pam_env.so
    auth        required        pam_faildelay.so delay=2000000
    auth        [default=1 ignore=ignore success=ok]    pam_succeed_if.so uid >= 1000 quiet
    auth        [default=1 ignore=ignore success=ok]    pam_localuser.so
    auth        sufficient      pam_unix.so nullok try_first_pass
    auth        requisite       pam_succeed_if.so uid >= 1000 quiet_success
    auth        sufficient      pam_sss.so forward_pass
    auth        required        pam_deny.so
    
    account     required        pam_unix.so
    account     sufficient      pam_localuser.so
    ...

2.3. 既製の authselect プロファイルの変更

システム管理者は、ニーズに合わせてデフォルトプロファイルのいずれかを変更することができます。

以下の項目を除き、/etc/authselect/user-nsswitch.conf ファイルを変更できます。

  • passwd
  • group
  • netgroup
  • automount
  • services

その後 authselect select profile_name を実行すると、/etc/authselect/user-nsswitch.conf から /etc/nsswitch.conf ファイルに許容可能な変更が転送されます。受け入れられない変更は、デフォルトのプロファイル設定によって上書きされます。

重要

/etc/nsswitch.conf ファイルを直接編集しないでください。

手順

  1. authselect プロファイルを選択します。以下に例を示します。

    # authselect select sssd
  2. 必要な変更で /etc/authselect/user-nsswitch.conf ファイルを編集します。
  3. /etc/authselect/user-nsswitch.conf ファイルから変更を適用します。

    # authselect apply-changes

検証手順

  • /etc/nsswitch.conf ファイルで、/etc/authselect/user-nsswitch.conf からの変更が伝播されているのを確認してください。

2.4. 独自の authselect プロファイルの作成とデプロイメント

システム管理者は、デフォルトプロファイルのいずれかのカスタムコピーを作成して、カスタムプロファイルを作成およびデプロイできます。

これは、既製の authselect プロファイルの変更 が必要に応じて不足している場合にとりわけ役立ちます。カスタムプロファイルをデプロイすると、そのプロファイルは指定したホストにログインしているすべてのユーザーに適用されます。

手順

  1. authselect create-profile コマンドを使用してカスタムプロファイルを作成します。たとえば、既製の sssd プロファイルに基づく user-profile というカスタムプロファイルを作成し、/etc/nsswitch.conf ファイルで項目を設定するには、以下のコマンドを実行します。

    # authselect create-profile user-profile -b sssd --symlink-meta --symlink-pam
    New profile was created at /etc/authselect/custom/user-profile
    警告

    /etc/authselect/custom/user-profile/{password-auth,system-auth,fingerprint-auth,smartcard-auth,postlogin} を変更する予定の場合は、--symlink-pam オプションを指定せずに上記のコマンドを入力します。これは、authselect-libs のアップグレード中に変更が確実に維持されるために行います。

    コマンドで --symlink-pam オプションを使用すると、PAM テンプレートが、コピーではなく元のプロファイルファイルへのシンボリックリンクになります。--symlink-meta オプションを使用すると、README、REQUIREMENTS などのメタファイルが、コピーではなく元のプロファイルファイルへのシンボリックリンクになります。これにより、元のプロファイルの PAM テンプレートおよびメタファイルへの今後の更新が、カスタムプロファイルにも反映されます。

    このコマンドにより、/etc/authselect/custom/user-profile/ ディレクトリーの /etc/nsswitch.conf ファイルのコピーが作成されます。

  2. /etc/authselect/custom/user-profile/nsswitch.conf ファイルを設定します。
  3. authselect select コマンドを実行してカスタムプロファイルを選択し、custom/name_of_the_profile パラメーターを追加します。たとえば、user-profile プロファイルを選択するには、以下のコマンドを実行します。

    # authselect select custom/user-profile

    お使いのマシンで user-profile プロファイルを選択すると、その後 Red Hat が sssd プロファイルを更新した場合に、/etc/nsswitch.conf ファイルに行った更新以外のすべての更新を利用できるようになります。

    例2.1 プロファイルの作成

    次の手順は、sssd プロファイルに基づいてプロファイルを作成する方法を示しています。ここでは、ホスト名に対するローカルの静的テーブルルックアップを、/etc/hosts ファイルでのみ参照し、dns データベースまたは myhostname データベースは参照しません。

    1. /etc/nsswitch.conf ファイルで、次の行を編集します。

      hosts:      files
    2. sssd に基づいてカスタムプロファイルを作成します。/etc/nsswitch.conf に対する変更は除外します。

      # authselect create-profile user-profile -b sssd --symlink-meta --symlink-pam
    3. プロファイルを選択します。

      # authselect select custom/user-profile
    4. 必要に応じて、カスタムプロファイルで、次の点を確認します。

      • 選択した sssd プロファイルに応じて /etc/pam.d/system-auth ファイルが作成されている。
      • /etc/nsswitch.conf の設定は変更されていない。

        hosts:      files
        注記

        反対に authselect select sssd を実行すると、hosts: files dns myhostname のようになります。

2.5. authconfig から authselect へのスクリプトの変換

ipa-client-install または realm join を使用してドメインに参加する場合は、スクリプトの authconfig 呼び出しを削除しても問題はありません。これができない場合は、各 authconfig コールを、同等の authselect コールに置き換えてください。その場合は、正しいプロファイルと適切なオプションを選択します。さらに、必要な設定ファイルを編集します。

  • /etc/krb5.conf
  • /etc/sssd/sssd.conf (sssd プロファイルの場合) または /etc/samba/smb.conf (winbind プロファイルの場合)

authconfig オプションと同等の authselect プロファイルオプションauthconfig オプションと authselect プロファイルの関係 では、authconfig オプションと同等の authselect を示しています。

表2.1 authconfig オプションと authselect プロファイルの関係
authconfig オプションauthselect プロファイル

--enableldap --enableldapauth

sssd

--enablesssd --enablesssdauth

sssd

--enablekrb5

sssd

--enablewinbind --enablewinbindauth

winbind

表2.2 authconfig オプションと同等の authselect プロファイルオプション
authconfig オプションauthselect プロファイル機能

--enablesmartcard

with-smartcard

--enablefingerprint

with-fingerprint

--enableecryptfs

with-ecryptfs

--enablemkhomedir

with-mkhomedir

--enablefaillock

with-faillock

--enablepamaccess

with-pamaccess

--enablewinbindkrb5

with-krb5

authconfig コマンドと同等の authselect コマンドの例 では、authconfig へのキックスタートの呼び出しを authselect へのキックスタートの呼び出しに変換する事例を紹介します。

表2.3 authconfig コマンドと同等の authselect コマンドの例
authconfig コマンド同等の authselect コマンド

authconfig --enableldap --enableldapauth --enablefaillock --updateall

authselect select sssd with-faillock

authconfig --enablesssd --enablesssdauth --enablesmartcard --smartcardmodule=sssd --updateall

authselect select sssd with-smartcard

authconfig --enableecryptfs --enablepamaccess --updateall

authselect select sssd with-ecryptfs with-pamaccess

authconfig --enablewinbind --enablewinbindauth --winbindjoin=Administrator --updateall

realm join -U Administrator --client-software=winbind WINBINDDOMAIN

2.6. 関連情報

第3章 SSSD とその利点について

システムセキュリティーサービスデーモン (System Security Services Daemon: SSSD) は、リモートディレクトリーと認証メカニズムにアクセスするシステムサービスです。本章では、SSSD の仕組み、SSSD の使用時の利点、設定ファイルの処理方法、設定可能な ID および認証プロバイダーの概要を説明します。

3.1. SSSD の仕組み

システムセキュリティーサービスデーモン (System Security Services Daemon: SSSD) は、リモートディレクトリーと認証メカニズムにアクセスできるようにするシステムサービスです。SSSD クライアント であるローカルシステムを、外部のバックエンドシステム (プロバイダー) に接続できます。

以下に例を示します。

  • LDAP ディレクトリー
  • IdM (Identity Management) ドメイン
  • AD (Active Directory) ドメイン
  • Kerberos レルム

SSSD は、以下の 2 段階で機能します。

  1. クライアントをリモートプロバイダーに接続し、ID 情報および認証情報を取得します。
  2. 取得した認証情報を使用して、クライアントにユーザーと認証情報のローカルキャッシュを作成します。

ローカルシステムのユーザーは、リモートプロバイダーに保存されているユーザーアカウントを使用して認証できます。

SSSD は、ローカルシステムでユーザーアカウントを作成しません。ただし、SSSD は、IdM ユーザーのホームディレクトリーを作成するように設定できます。作成が完了すると、IdM ユーザーのホームディレクトリーと、クライアント上のコンテンツは、ユーザーがログアウトしても削除されません。

図3.1 SSSD の仕組み

左側に SSSD キャッシュとともにローカルシステム (SSSD クライアント) が、右側にリモートシステム (プロバイダー) が表示されているフローチャート。リモートシステムからローカルシステムの SSSD キャッシュに向かう矢印には、SSSD でリモートシステムからユーザーの情報を取得して保存するとの説明が付けられています。

SSSD は、NSS (Name Service Switch) や PAM (Pluggable Authentication Modules) などの複数のシステムサービスのキャッシュを提供することもできます。

注記

ユーザー情報のキャッシュには SSSD サービスのみを使用します。同じシステムでキャッシュ用に Name Service Caching Daemon (NSCD) と SSSD の両方を実行すると、パフォーマンスの問題や競合が発生する可能性があります。

3.2. SSSD を使用する利点

SSSD (System Security Services Daemon) を使用すると、ユーザー ID の取得とユーザー認証に複数の利点があります。

オフライン認証
SSSD は、必要に応じて、リモートプロバイダーから取得したユーザー ID および認証情報のキャッシュを保持します。この設定では、セッションの開始時にすでにリモートプロバイダーに対して一度認証されている場合は、リモートプロバイダーまたはクライアントがオフラインであってもリソースに対して正常に認証できます。
単一のユーザーアカウント: 認証プロセスの一貫性の向上

SSSD では、オフライン認証用に中央アカウントとローカルユーザーアカウントの両方を維持する必要はありません。条件は次のとおりです。

  • 特定のセッションでは、ユーザーが最低でも一度ログインしている必要があります。ユーザーが初めてログインしたときに、クライアントはリモートプロバイダーに接続する必要があります。
  • SSSD でキャッシュを有効にする必要があります。

    SSSD を使用しないと、リモートユーザーには、多くの場合、複数のユーザーアカウントが存在します。たとえば、仮想プライベートネットワーク (VPN) に接続するには、リモートユーザーが、ローカルシステム用のアカウントのほかに、VPN システム用の別のアカウントが必要になります。このシナリオでは、最初にプライベートネットワーク上で認証して、リモートサーバーからユーザーを取得し、ユーザー認証情報をローカルでキャッシュする必要があります。

    SSSD では、キャッシュおよびオフライン認証により、リモートユーザーはローカルマシンに認証することで、ネットワークリソースに接続できます。SSSD は次にネットワークの認証情報を維持します。

ID プロバイダーおよび認証プロバイダーへの負荷の軽減
情報をリクエストすると、クライアントはまずローカルの SSSD キャッシュを確認します。SSSD は、キャッシュで情報が利用できない場合に限り、リモートプロバイダーに問い合わせます。

3.3. クライアントごとに複数の SSSD 設定ファイル

SSSD のデフォルト設定ファイルは /etc/sssd/sssd.conf です。このファイルとは別に、SSSD は、/etc/sssd/conf.d/ ディレクトリーが *.conf ファイルのすべてからその設定を読み取ることができます。

この組み合わせにより、すべてのクライアントでデフォルトの /etc/sssd/sssd.conf ファイルを使用し、追加の設定ファイルに追加設定を追加して、クライアントごとに機能を個別に拡張できます。

SSSD が設定ファイルを処理する方法

SSSD は、以下の順番で設定ファイルを読み取ります。

  1. プライマリー /etc/sssd/sssd.conf ファイル
  2. /etc/sssd/conf.d/ の他の *.conf ファイル (アルファベット順)

同じパラメーターが複数の設定ファイルに表示されると、SSSD は最後に読み取るパラメーターを使用します。

注記

SSSD は、conf.d ディレクトリー内の隠しファイル (. で始まるファイル) を読み込みません。

3.4. SSSD の ID プロバイダーおよび認証プロバイダー

SSSD クライアントは、外部 ID および認証プロバイダー (LDAP ディレクトリー、Identity Management (IdM)、Active Directory (AD) ドメイン、Kerberos レルムなど) に接続できます。次に、SSSD クライアントは SSSD プロバイダーを使用して ID および認証リモートサービスにアクセスします。SSSD が、異なる ID プロバイダーおよび認証プロバイダー、またはそれらの組み合わせを使用するように設定できます。

SSSD ドメインとしての ID および認証プロバイダー

ID および認証プロバイダーは、SSSD 設定ファイル /etc/sssd/sssd.confドメイン として設定されます。プロバイダーは、ファイル [domain/name of the domain] セクションまたは [domain/default] セクションに登録されます。

1 つのドメインを、以下のプロバイダーのいずれかとして設定できます。

  • UID や GID などのユーザー情報を提供する ID プロバイダー

    • /etc/sssd/sssd.conf ファイルの [domain/name of the domain] セクションの id_provider オプションを使用して、ドメインを ID プロバイダー として指定します。
  • 認証要求を処理する 認証プロバイダー

    • /etc/sssd/sssd.conf[domain/name of the domain] セクションの auth_provider オプションを使用して、ドメインを 認証プロバイダー として指定します。
  • 認可要求を処理する アクセス制御プロバイダー

    • /etc/sssd/sssd.conf[domain/name of the domain] セクションの access_provider オプションを使用して、ドメインを アクセス制御プロバイダー として指定します。デフォルトでは、オプションは permit に設定されており、常にすべてのアクセスを許可します。詳細は sssd.conf(5) man ページを参照してください。
  • 対応するすべての操作が 1 台のサーバー内で実行される場合など、これらのプロバイダーの組み合わせ

    • この場合、id_provider オプション、auth_provider オプション、および access_provider オプションはすべて、/etc/sssd/sssd.conf[domain/name of the domain] または [domain/default] セクションに登録されます。
注記

SSSD に複数のドメインを設定できます。少なくともいずれかのドメインを設定する必要があります。設定しないと、SSSD は起動しません。

プロキシープロバイダー

プロキシープロバイダーは、SSSD と、SSSD が使用できないリソースとの間の中間リレーとして機能します。プロキシープロバイダーを使用する場合、SSSD はプロキシーサービスに接続し、プロキシーは指定されたライブラリーを読み込みます。

SSSD がプロキシープロバイダーを使用して以下を有効にするように設定できます。

  • 指紋スキャナーなどの別の認証方法
  • NIS などのレガシーシステム
  • /etc/passwd ファイルで ID プロバイダーとして定義されるローカルシステムアカウントと、Kerberos などのリモート認証プロバイダー
  • スマートカードを使用したローカルユーザーの認証
ID プロバイダーおよび認証プロバイダーの利用可能な組み合わせ

SSSD が、以下の ID プロバイダーと認証プロバイダーの組み合わせを使用するように設定できます。

表3.1 ID プロバイダーおよび認証プロバイダーの利用可能な組み合わせ
ID プロバイダー認証プロバイダー

Identity Management [a]

Identity Management

Active Directory

Active Directory

LDAP

LDAP

LDAP

Kerberos

Proxy

Proxy

Proxy

LDAP

Proxy

Kerberos

[a] LDAP プロバイダータイプの拡張


[1] sssctl ユーティリティーを使用してドメインのステータスをリスト表示して確認するには、Active Directory (AD) フォレストとの信頼関係にある Identity Management (IdM) にホストを登録する必要があります。

第4章 LDAP を使用し、TLS 認証を必要とする SSSD の設定

System Security Services Daemon (SSSD) は、Red Hat Enterprise Linux ホストで ID データの取得と認証を管理するデーモンです。システム管理者は、スタンドアロンの LDAP サーバーをユーザーアカウントデータベースとして使用するようにホストを設定できます。管理者は、LDAP サーバーとの接続を TLS 証明書で暗号化する必要があるという要件も指定できます。

注記

TLS を強制する SSSD 設定オプション ldap_id_use_start_tls のデフォルトは false です。ID 検索に TLS なしで ldap:// を使用すると、攻撃ベクトル、つまり中間者 (MITM) 攻撃のリスクが発生します。これにより、LDAP 検索で返されるオブジェクトの UID または GID を変更することで、ユーザーの権限を借用する可能性があります。

セットアップが信頼できる環境で動作していることを確認し、id_provider = ldap に暗号化されていない通信を使用しても安全かどうかを判断してください。注記: id_provider = ad および id_provider = ipa は、SASL および GSSAPI によって保護された暗号化接続を使用するため、影響を受けません。

暗号化されていない通信を使用することが安全ではない場合は、/etc/sssd/sssd.conf ファイルで ldap_id_use_start_tls オプションを true に設定して TLS を強制する必要があります。

4.1. SSSD を使用して、暗号化された方法で LDAP からデータを取得する OpenLDAP クライアント

LDAP オブジェクトの認証方法は、Kerberos パスワードまたは LDAP パスワードのいずれかになります。LDAP オブジェクトの認証および認可に関する質問は、ここでは扱いません。

重要

LDAP で SSSD を設定するのは、SSSD および LDAP で高度な専門知識を必要とする複雑な手順です。代わりに、Active Directory や Red Hat Identity Management (IdM) などの統合型の自動ソリューションを使用することを検討してください。IdM の詳細は Identity Management の計画 を参照してください。

Identity :leveloffset: +1

第5章 LDAP を使用し、TLS 認証を必要とする SSSD の設定

以下の手順に従って、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) システムを OpenLDAP クライアントとして設定します。

以下のクライアント設定を使用します。

  • RHEL システムが OpenLDAP ユーザーアカウントデータベースに保存されているユーザーを認証する。
  • RHEL システムが SSSD (System Security Services Daemon) サービスを使用してユーザーデータを取得する。
  • RHEL システムが TLS で暗号化された接続で OpenLDAP サーバーと通信する。
注記

または、この手順に従って、RHEL システムを Red Hat Directory Server のクライアントとして設定することもできます。

前提条件

  • OpenLDAP サーバーがインストールされ、ユーザー情報を含めて設定されている。
  • LDAP クライアントとして設定するホストの root 権限がある。
  • LDAP クライアントとして設定するホストで、/etc/sssd/sssd.conf ファイルが作成され、ldapautofs_provider および id_provider として指定するように設定されている。
  • OpenLDAP サーバー証明書を発行した認証局からの PEM 形式の証明書チェーンがあり、core-dirsrv.ca.pem という名前のローカルファイルに保存されている。

手順

  1. 必要なパッケージをインストールします。

    # dnf -y install openldap-clients sssd sssd-ldap oddjob-mkhomedir
  2. 認証プロバイダーを sssd に切り替えます。

    # authselect select sssd with-mkhomedir
  3. OpenLDAP サーバーの SSL/TLS 証明書を発行した認証局からのルート CA 署名証明書チェーンを含む core-dirsrv.ca.pem ファイルを /etc/openldap/certs フォルダーにコピーします。

    # cp core-dirsrv.ca.pem /etc/openldap/certs
  4. LDAP サーバーの URL と接尾辞を /etc/openldap/ldap.conf ファイルに追加します。

    URI ldap://ldap-server.example.com/
    BASE dc=example,dc=com
  5. /etc/openldap/ldap.conf ファイルで、/etc/openldap/certs/core-dirsrv.ca.pem を参照する TLS_CACERT パラメーターの行を追加します。

    # When no CA certificates are specified the Shared System Certificates
    # are in use. In order to have these available along with the ones specified
    # by TLS_CACERTDIR one has to include them explicitly:
    TLS_CACERT /etc/openldap/certs/core-dirsrv.ca.pem
  6. /etc/sssd/sssd.conf ファイルで、環境の値を ldap_uri パラメーターおよび ldap_search_base パラメーターに追加し、ldap_id_use_start_tlsTrue に設定します。

    [domain/default]
    id_provider = ldap
    autofs_provider = ldap
    auth_provider = ldap
    chpass_provider = ldap
    ldap_uri = ldap://ldap-server.example.com/
    ldap_search_base = dc=example,dc=com
    ldap_id_use_start_tls = True
    cache_credentials = True
    ldap_tls_cacertdir = /etc/openldap/certs
    ldap_tls_reqcert = allow
    
    [sssd]
    services = nss, pam, autofs
    domains = default
    
    [nss]
    homedir_substring = /home
    …
  7. /etc/sssd/sssd.conf で、[domain] セクションの ldap_tls_cacert および ldap_tls_reqcert の値を変更して TLS 認証要件を指定します。

    …
    cache_credentials = True
    ldap_tls_cacert = /etc/openldap/certs/core-dirsrv.ca.pem
    ldap_tls_reqcert = hard
  8. /etc/sssd/sssd.conf ファイルの権限を変更します。

    # chmod 600 /etc/sssd/sssd.conf
  9. SSSD サービスおよび oddjobd デーモンを再起動して有効にします。

    # systemctl restart sssd oddjobd
    # systemctl enable sssd oddjobd
  10. (必要に応じて) LDAP サーバーが非推奨の TLS 1.0 プロトコルまたは TLS 1.1 プロトコルを使用している場合は、クライアントシステムでシステム全体の暗号化ポリシーを LEGACY レベルに切り替えて、RHEL がこのプロトコルを使用して通信できるようにします。

    # update-crypto-policies --set LEGACY

    詳細は、Red Hat カスタマーポータルのナレッジベースStrong crypto defaults in RHEL 8 and deprecation of weak crypto algorithmsおよび man ページの update-crypto-policies(8) を参照してください。

検証手順

  • id コマンドを使用し、LDAP ユーザーを指定して、LDAP サーバーからユーザーデータを取得できることを確認します。

    # id ldap_user
    uid=17388(ldap_user) gid=45367(sysadmins) groups=45367(sysadmins),25395(engineers),10(wheel),1202200000(admins)

システム管理者は、id コマンドを使用して LDAP からユーザーをクエリーできるようになりました。このコマンドは、正しいユーザー ID とグループメンバーシップを返します。

第6章 ID プロバイダーおよび認証プロバイダーの追加設定

システムセキュリティーサービスデーモン (System Security Services Daemon: SSSD) は、リモートディレクトリーと認証メカニズムにアクセスするシステムサービスです。SSSD の主な設定ファイルは /etc/sssd/sssd.conf です。本章では、/etc/sssd/sssd.conf ファイルを次のように変更して、SSSD サービスおよびドメインを設定する方法を概説します。

  • オフライン認証を有効にするため、SSSD による完全なユーザー名の解釈と出力方法を調整します。
  • DNS サービスディスカバリー、シンプルアクセスプロバイダールール、および SSSD が LDAP アクセスフィルターを適用するように設定します。

6.1. SSSD が完全なユーザー名を解釈する方法の調整

SSSD は、完全なユーザー名の文字列を解析して、ユーザー名とドメインコンポーネントにします。デフォルトでは、SSSD は、Python 構文の以下の正規表現に基づいて、user_name@domain_name 形式の完全なユーザー名を解釈します。

(?P<name>[^@]+)@?(?P<domain>[^@]*$)
注記

Identity Management プロバイダーおよび Active Directory プロバイダーは、デフォルトのユーザー名の形式は user_name@domain_name または NetBIOS_name\user_name です。

SSSD による完全なユーザー名の解釈方法は、re_expression オプションを /etc/sssd/sssd.conf ファイルに追加し、カスタム正規表現を定義することで調整できます。

  • 正規表現をグローバルに定義するには、正規表現のグローバル例の定義 の例で示されているように sssd.conf ファイルの [sssd] セクションに正規表現を追加します。
  • 特定のドメインに正規表現を定義するには、特定のドメインで正規表現の定義 の例にあるように、sssd.conf ファイルの対応するドメインセクション ([domain/LDAP] など) に正規表現を追加します。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. /etc/sssd/sssd.conf ファイルを開きます。
  2. re_expression オプションを使用して、カスタムの正規表現を定義します。

    例6.1 正規表現のグローバルでの定義

    すべてのドメインに対してグローバルに正規表現を定義するには、sssd.conf ファイルの [sssd] セクションに re_expression を追加します。

    以下の glob 表現を使用して、domain\\username または domain@username の形式でユーザー名を定義できます。

    [sssd]
    [... file truncated ...]
    re_expression = (?P<domain>[^\\]*?)\\?(?P<name>[^\\]+$)

    例6.2 特定のドメインへの正規表現の定義

    特定のドメインに個別に正規表現を定義するには、sssd.conf ファイルの対応するドメインセクションに re_expression を追加します。

    以下の glob 表現を使用して、LDAP ドメインの domain\\username または domain@username の形式でユーザー名を定義できます。

    [domain/LDAP]
    [... file truncated ...]
    re_expression = (?P<domain>[^\\]*?)\\?(?P<name>[^\\]+$)

詳細は、sssd.conf(5) man ページの SPECIAL SECTIONS and DOMAIN SECTIONS 部分の re_expression を参照してください。

6.2. SSSD が完全なユーザー名を出力する方法の調整

/etc/sssd/sssd.conf ファイルで use_fully_qualified_names オプションが有効になっている場合、SSSD は、デフォルトで以下の拡張を基にした @domain 形式で、完全なユーザー名を出力します。

%1$s@%2$s
注記

use_fully_qualified_names が設定されていない場合や、信頼されるドメインに対して明示的に false に設定されている場合に、ドメインコンポーネントのないユーザー名のみを出力します。

full_name_format オプションを /etc/sssd/sssd.conf ファイルに追加してカスタム拡張を定義することで、SSSD による完全なユーザー名の出力形式を調整できます。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. root として /etc/sssd/sssd.conf ファイルを開きます。
  2. すべてのドメインに対してグローバルに拡張を定義するには、sssd.conf[sssd] セクションに full_name_format を追加します。

    [sssd]
    [... file truncated ...]
    full_name_format = %1$s@%2$s

    この場合、ユーザー名は user@domain.test と表示されます。

  3. 特定のドメインのユーザー名出力形式を定義するには、sssd.conf の対応するドメインセクションに full_name_format を追加します。

    • %2$s\%1$s を使用して Active Directory (AD) ドメインの拡張を設定するには、以下を実行します。

      [domain/ad.domain]
      [... file truncated ...]
      full_name_format = %2$s\%1$s

      この場合、ユーザー名は ad.domain\user と表示されます。

    • %3$s\%1$s を使用して Active Directory (AD) ドメインの拡張を設定するには、以下を実行します。

      [domain/ad.domain]
      [... file truncated ...]
      full_name_format = %3$s\%1$s

      この場合、Active Directory ドメインのフラットドメイン名が AD に設定されている場合、ユーザー名は AD\user と表示されます。

詳細は、sssd.conf(5) man ページの SPECIAL SECTIONSDOMAIN SECTIONS 部分にある full_name_format の説明を参照してください。

注記

SSSD は、名前の設定で名前のドメインコンポーネントを削除できるため、認証エラーが発生する可能性があります。full_name_format を標準以外の値に設定すると、これを標準形式に変更するように要求する警告が表示されます。

6.3. オフライン認証の有効化

SSSD は、デフォルトでは、ユーザーの認証情報をキャッシュしません。認証要求の処理時に、SSSD は常にアイデンティティープロバイダーに問い合わせします。プロバイダーが利用できない場合は、ユーザー認証に失敗します。

アイデンティティープロバイダーが利用できない場合にユーザーが認証できるようにするには、/etc/sssd/sssd.conf ファイルで cache_credentialstrue に設定して認証情報キャッシュを有効にできます。キャッシュされた認証情報とは、パスワードと、2 要素認証が使用されている場合の最初の認証要素を指します。パスキー認証とスマートカード認証の場合、cache_credentials を true に設定したり、追加の設定を行ったりする必要はありません。正常に実行されたオンライン認証がキャッシュに記録されている限り、オフラインでも動作するはずです。

重要

SSSD は、パスワードをプレーンテキストでキャッシュしません。パスワードのハッシュのみを保存します。

認証情報はソルト付きの SHA-512 ハッシュとして保存されますが、攻撃者がブルートフォース攻撃を使用してキャッシュファイルにアクセスし、パスワードを解読できた場合、セキュリティーリスクが生じる可能性があります。キャッシュファイルにアクセスするには、RHEL のデフォルトである特権アクセスが必要です。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. /etc/sssd/sssd.conf ファイルを開きます。
  2. ドメインセクションで、cache_credentials = true 設定を追加します。

    [domain/your-domain-name]
    cache_credentials = true
  3. 任意ですが、推奨されます。アイデンティティープロバイダーが利用できない場合に SSSD がオフライン認証の許可期間に制限を設定します。

    1. SSSD と連携するように PAM サービスを設定します。

      詳細は authselect でユーザー認証の設定 を参照してください。

    2. offline_credentials_expiration オプションを使用して、時間制限を指定します。

      制限は日単位で設定されることに注意してください。

      たとえば、最終ログインに成功してから 3 日間、オフライン認証を可能にするには、以下を使用します。

      [pam]
      offline_credentials_expiration = 3

関連情報

  • sssd.conf(5) の man ページ

6.4. DNS サービスディスカバリーの設定

DNS サービス検出を使用すると、アプリケーションが特定タイプの特定サービスに対して指定のドメインの SRV レコードを確認し、必要なタイプのサーバーを返すことができます。ID または認証サーバーが /etc/sssd/sssd.conf ファイルで明示的に定義されていない場合は、SSSD は DNS サービス検出を使用してサーバーを動的に検出できます。

たとえば、sssd.confid_provider = ldap 設定が含まれているものの、ldap_uri オプションでホスト名または IP アドレスが指定されていない場合に、SSSD は DNS サービス検出を使用してサーバーを動的に検出します。

注記

SSSD が検出するのは、プライマリーサーバーのみで、バックアップサーバーを動的には検出できません。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. /etc/sssd/sssd.conf ファイルを開きます。
  2. プライマリーサーバーの値を _srv_ に設定します。

    LDAP プロバイダーの場合、プライマリーサーバーは ldap_uri オプションを使用して設定されます。

    [domain/your-domain-name]
    id_provider = ldap
    ldap_uri = _srv_
  3. パスワード変更プロバイダーでサービス検出を有効にするには、サービスタイプを設定します。

    [domain/your-domain-name]
    id_provider = ldap
    ldap_uri = _srv_
    
    chpass_provider = ldap
    ldap_chpass_dns_service_name = ldap
  4. オプション:サービス検出は、システムホスト名のドメイン部分をドメイン名として使用します。別の DNS ドメインを使用するには、dns_discovery_domain オプションを使用してドメイン名を指定します。
  5. オプション:デフォルトでは、サービス検出は LDAP サービスタイプをスキャンします。別のサービスタイプを使用するには、ldap_dns_service_name オプションを使用してタイプを指定します。
  6. オプション:デフォルトでは、SSSD は IPv4 アドレスの検索を試行します。試行に失敗すると、SSSD は IPv6 アドレスの検索を試行します。この動作をカスタマイズするには、lookup_family_order オプションを使用します。
  7. サービス検出を使用するすべてのサービスについて、DNS レコードを DNS サーバーに追加します。

    _service._protocol._domain TTL priority weight port host_name

関連情報

6.5. Simple アクセスプロバイダーのルール設定

simple アクセスプロバイダーは、ユーザー名またはグループのリストに基づいてアクセスを許可または拒否します。これにより、特定のマシンへのアクセスを制限できます。

たとえば、Simple アクセスプロバイダーを使用して、特定のユーザーまたはグループへのアクセスを制限できます。他のユーザーまたはグループは、設定済みの認証プロバイダーに対して正常に認証されている場合でもログインできません。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. /etc/sssd/sssd.conf ファイルを開きます。
  2. access_provider オプションを simple に設定します。

    [domain/your-domain-name]
    access_provider = simple
  3. ユーザーのアクセス制御ルールを定義します。

    1. ユーザーへのアクセスを許可するには、simple_allow_users オプションを使用します。
    2. ユーザーへのアクセスを拒否するには、simple_deny_users オプションを使用します。

      重要

      特定のユーザーへのアクセスを拒否する場合には、他のユーザーすべてにアクセスを自動的に許可します。特定ユーザーにアクセスを許可する方が拒否するよりも安全であると考えられます。

  4. グループのアクセス制御ルールを定義します。以下のいずれかを選択します。

    1. グループへのアクセスを許可するには、simple_allow_groups オプションを使用します。
    2. グループへのアクセスを拒否するには、simple_deny_groups オプションを使用します。

      重要

      特定のグループへのアクセスを拒否する場合には、他のグループすべてに、アクセスを自動的に許可します。特定グループにアクセスを許可する方が拒否するよりも安全であると考えられます。

      例6.3 特定のユーザーおよびグループへのアクセス許可

      以下の例では、他のユーザーすべてに対して、アクセスを拒否する一方で、user1、user2、および group1 のメンバーにアクセスを許可します。

      [domain/your-domain-name]
      access_provider = simple
      simple_allow_users = user1, user2
      simple_allow_groups = group1
重要

拒否リストを空にすると、すべてのユーザーがアクセスできるようになります。

注記

信頼できる AD ユーザーを simple_allow_users リストに追加する場合は、必ず完全修飾ドメイン名 (FQDN) 形式 (例: aduser@ad.example.com) を使用してください。異なるドメインの短縮名は同じである可能性があるため、これによりアクセス制御設定に関する問題が回避されます。

関連情報

  • sssd-simple の man ページ

6.6. LDAP アクセスフィルターを適用するための SSSD 設定

/etc/sssd/sssd.confaccess_provider オプションが設定されている場合に、SSSD は指定されたアクセスプロバイダーを使用して、システムにアクセスできるユーザーを評価します。使用しているアクセスプロバイダーが LDAP プロバイダータイプの拡張である場合は、システムへのアクセス許可用にユーザーが一致する必要がある LDAP アクセス制御フィルターを指定することもできます。

たとえば、Active Directory (AD) サーバーをアクセスプロバイダーとして使用する場合は、Linux システムへのアクセスを制限できます。指定されたフィルターに該当しない他のユーザーはすべて、アクセスが拒否されます。

注記

アクセスフィルターは LDAP ユーザーエントリーにのみ適用されます。そのため、ネスト化されたグループでこのタイプのアクセス制御を使用すると機能しない可能性があります。ネストされたグループにアクセス制御を適用するには、Simple アクセスプロバイダールールの設定 を参照してください。

重要

オフラインキャッシュを使用する場合、SSSD は、ユーザーが最後にオンラインログインの試行に成功したかどうかを確認します。直近のオンラインログイン中に正常にログインしたユーザーは、アクセスフィルターに一致しない場合でも、オフラインでログインできるようになります。

前提条件

  • root アクセス

手順

  1. /etc/sssd/sssd.conf ファイルを開きます。
  2. [domain] セクションで、LDAP アクセス制御フィルターを指定します。

    • LDAP アクセスプロバイダーの場合は、ldap_access_filter オプションを使用します。詳細は sssd-ldap(5) man ページを参照してください。
    • AD アクセスプロバイダーの場合は、ad_access_filter オプションを使用します。詳細は sssd-ad(5) man ページを参照してください。

      例6.4 特定の AD ユーザーへのアクセス許可

      たとえば、admins ユーザーグループに属し、属性セットが unixHomeDirectory の AD ユーザーにのみアクセスを許可するには、以下を使用します。

      [domain/your-AD-domain-name]
      access provider = ad
      [... file truncated ...]
      ad_access_filter = (&(memberOf=cn=admins,ou=groups,dc=example,dc=com)(unixHomeDirectory=*))

SSSD は、エントリーの authorizedService または host 属性により結果を確認することもできます。実際、ユーザーエントリーおよび設定に応じて、全オプションの MDASH LDAP フィルター、authorizedService および host の MDASH を評価できます。ldap_access_order パラメーターは、評価すべき順に、使用するアクセスコントロールの手法をすべて表示します。

[domain/example.com]
access_provider = ldap
ldap_access_filter = memberOf=cn=allowedusers,ou=Groups,dc=example,dc=com
ldap_access_order = filter, host, authorized_service

関連情報

  • sssd-ldap(5) の man ページ

第7章 SSSD クライアント側のビュー

SSSD には sss_override ユーティリティーがあるので、ローカルマシンに固有の POSIX ユーザーまたはグループ属性の値を表示するローカルビューを作成できます。ipa 以外の全 id_provider 値に上書きを設定できます。

ipa プロバイダーを使用している場合は、IPA で ID ビューを一元的に定義します。詳細は ID ビューを使用した IdM クライアントのユーザー属性値の上書き を参照してください。

SSSD のパフォーマンスに与える可能性のある悪影響については、SSSD パフォーマンスにおける ID ビューによる悪影響の可能性 を参照してください。

7.1. LDAP ユーザー名属性の上書き

管理者は、既存のホストが LDAP からアカウントを使用するように設定できます。ただし、LDAP のユーザー (名前、UID、GID、ホームディレクトリー、シェル) の値は、ローカルシステムの値とは異なります。以下の手順でセカンダリーの username を定義して LDAP の username 属性を上書きできます。

前提条件

  • root アクセス
  • sssd-tools がインストールされている

手順

  1. ユーザーの現在の情報を表示します。

    # id username

    username は、ユーザー名に置き換えます。

  2. セカンダリーの ユーザー名 を追加します。

    # sss_override user-add username -n secondary-username

    username はユーザー名に、secondary-username は新しい ユーザー名 に置き換えます。

  3. sss_override user-add コマンドを使用して最初の上書きを作成したら、SSSD を再起動して変更を反映します。

    # systemctl restart sssd

検証手順

  • 新しい ユーザー名 が追加されたことを確認します。

    # id secondary-username
  • 任意です。ユーザーの上書きを表示します。

    # sss_override user-show user-name
    user@ldap.example.com:secondary-username::::::

    例7.1 セカンダリーユーザー名の定義

    ユーザー sjones にセカンダリーの usernamesarah を追加するには以下を実行します。

    1. ユーザー sjones の現在の情報を表示します。

      # id sjones
      uid=1001(sjones) gid=6003 groups=6003,10(wheel)
    2. セカンダリーの ユーザー名 を追加します。

      # sss_override user-add sjones -n sarah
    3. 新しい ユーザー名 が追加され、ユーザーの上書きが正しく表示されることを確認します。

      # id sarah
      uid=1001(sjones) gid=6003(sjones) groups=6003(sjones),10(wheel)
      
      # sss_override user-show sjones
      user@ldap.example.com:sarah::::::

関連情報

  • sss_override の man ページ

7.2. LDAP UID 属性の上書き

管理者は、既存のホストが LDAP からアカウントを使用するように設定できます。ただし、LDAP のユーザー (名前、UID、GID、ホームディレクトリー、シェル) の値は、ローカルシステムの値とは異なります。以下の手順で異なる UID を定義して LDAP UID 属性を上書きできます。

前提条件

  • root アクセス
  • sssd-tools がインストールされている

手順

  1. ユーザーの現在の UID を表示します。

    # id -u user-name

    user-name は、ユーザー名に置き換えます。

  2. ユーザーのアカウントの UID を上書きします。

    # sss_override user-add user-name -u new-UID

    user-name はユーザー名に、new-UID は新しい UID 番号に置き換えます。

  3. インメモリーキャッシュを失効させます。

    # sss_cache --users
  4. sss_override user-add コマンドを使用して最初の上書きを作成したら、SSSD を再起動して変更を反映します。

    # systemctl restart sssd

検証手順

  • 新しい UID が適用されていることを確認します。

    # id -u user-name
  • 任意です。ユーザーの上書きを表示します。

    # sss_override user-show user-name
    user@ldap.example.com::new-UID:::::

    例7.2 ユーザーの UID の上書き

    ユーザー sarah の UID を 6666 に上書きするには、次のコマンドを実行します。

    1. ユーザー sarah の現在の UID を表示します。

      # id -u sarah
      1001
    2. ユーザー sarah のアカウントの UID を 6666 に上書きします。

      # sss_override user-add sarah -u 6666
    3. インメモリーキャッシュを手動で失効させます。

      # sss_cache --users
    4. SSSD を再起動して変更を適用します。

      # systemctl restart sssd
    5. 新しい UID が適用され、ユーザーの上書きが正しく表示されていることを確認します。

      # id sarah
      6666
      
      # sss_override user-show sarah
      user@ldap.example.com::6666:::::

関連情報

  • sss_override の man ページ

7.3. LDAP GID 属性の上書き

管理者は、既存のホストが LDAP からアカウントを使用するように設定できます。ただし、LDAP のユーザー (名前、UID、GID、ホームディレクトリー、シェル) の値は、ローカルシステムの値とは異なります。以下の手順で別の GID を定義して、LDAP GID 属性を上書きできます。

前提条件

  • root アクセス
  • sssd-tools がインストールされている

手順

  1. ユーザーの現在の GID を表示します。

    # id -g user-name

    user-name は、ユーザー名に置き換えます。

  2. ユーザーのアカウントの GID を上書きします。

    # sss_override user-add user-name -g new-GID

    user-name はユーザー名に、new-GID は新しい GID 番号に置き換えます。

  3. インメモリーキャッシュを失効させます。

    # sss_cache --users
  4. sss_override user-add コマンドを使用して最初の上書きを作成したら、SSSD を再起動して変更を反映します。

    # systemctl restart sssd

検証手順

  • 新しい GID が適用されていることを確認します。

    # id -g user-name
  • 任意です。ユーザーの上書きを表示します。

    # sss_override user-show user-name
    user@ldap.example.com:::6666::::

    例7.3 ユーザーの GID の上書き

    ユーザー sarah の GID を 6666 に上書きするには、次のコマンドを実行します。

    1. ユーザー sarah の現在の GID を表示します。

      # id -g sarah
      6003
    2. ユーザー sarah アカウントの GID を 6666 に上書きします。

      # sss_override user-add sarah -g 6666
    3. インメモリーキャッシュを手動で失効させます。

      # sss_cache --users
    4. これが最初の上書きの場合には、SSSD を再起動して変更を反映します。

      # systemctl restart sssd
    5. 新しい GID が適用され、ユーザーの上書きが正しく表示されていることを確認します。

      # id -g sarah
      6666
      
      # sss_override user-show sarah
      user@ldap.example.com::6666:::::

関連情報

  • sss_override の man ページ

7.4. LDAP ホームディレクトリー属性の上書き

管理者は、既存のホストが LDAP からアカウントを使用するように設定できます。ただし、LDAP のユーザー (名前、UID、GID、ホームディレクトリー、シェル) の値は、ローカルシステムの値とは異なります。以下の手順で別のホームディレクトリーを定義して、LDAP ホームディレクトリー属性を上書きできます。

前提条件

  • root アクセス
  • sssd-tools がインストールされている

手順

  1. ユーザーの現在のホームディレクトリーを表示します。

    # getent passwd user-name
    user-name:x:XXXX:XXXX::/home/home-directory:/bin/bash

    user-name は、ユーザー名に置き換えます。

  2. ユーザーのホームディレクトリーを上書きします。

    # sss_override user-add user-name -h new-home-directory

    user-name はユーザー名に、new-home-directory は新しいホームディレクトリーに置き換えます。

  3. SSSD を再起動して変更を適用します。

    # systemctl restart sssd

検証手順

  • 新しいホームディレクトリーが定義されていることを確認します。

    # getent passwd user-name
    user-name:x:XXXX:XXXX::/home/new-home-directory:/bin/bash
  • 任意です。ユーザーの上書きを表示します。

    # sss_override user-show user-name
    user@ldap.example.com:::::::new-home-directory::

    例7.4 ユーザーのホームディレクトリーの上書き

    ユーザー sarah のホームディレクトリーを admin に上書きするには、次のコマンドを実行します。

    1. ユーザー sarah の現在のホームディレクトリーを表示します。

      # getent passwd sarah
      sarah:x:1001:6003::sarah:/bin/bash
    2. ユーザー sarah のホームディレクトリーは、新しいユーザーのホームディレクトリー admin に上書きします。

      # sss_override user-add sarah -h admin
    3. SSSD を再起動して変更を適用します。

      # systemctl restart sssd
    4. 新しいホームディレクトリーが定義され、ユーザーの上書きが正しく表示されることを確認します。

      # getent passwd sarah
      sarah:x:1001:6003::admin:/bin/bash
      
      # sss_override user-show user-name
      user@ldap.example.com:::::::admin::

関連情報

  • sss_override の man ページ

7.5. LDAP シェル属性の上書き

管理者は、既存のホストが LDAP からアカウントを使用するように設定できます。ただし、LDAP のユーザー (名前、UID、GID、ホームディレクトリー、シェル) の値は、ローカルシステムの値とは異なります。以下の手順で別のシェルを定義して、LDAP シェル属性を上書きできます。

前提条件

  • root アクセス
  • sssd-tools がインストールされている

手順

  1. ユーザーの現在のシェルを表示します。

    # getent passwd user-name
    user-name:x:XXXX:XXXX::/home/home-directory:/bin/bash

    user-name は、ユーザー名に置き換えます。

  2. ユーザーのシェルを上書きします。

    # sss_override user-add user-name -s new-shell

    user-name はユーザーの名前に、new-shell は新しいシェルに置き換えます。

  3. SSSD を再起動して変更を適用します。

    # systemctl restart sssd

検証手順

  • 新しいシェルが定義されていることを確認します。

    # getent passwd user-name
    user-name:x:XXXX:XXXX::/home/home-directory:new-shell
  • 任意です。ユーザーの上書きを表示します。

    # sss_override user-show user-name
    user@ldap.example.com::::::new-shell:

    例7.5 ユーザーのシェルの上書き

    ユーザー sarah のシェルを /bin/bash から sbin/nologin に変更するには、次のコマンドを実行 します。

    1. ユーザー sarah の現在のシェルを表示します。

      # getent passwd sarah
      sarah:x:1001:6003::sarah:/bin/bash
    2. ユーザー sarah のシェルを新しい /sbin/nologin シェルに上書きします。

      # sss_override user-add sarah -s /sbin/nologin
    3. SSSD を再起動して変更を適用します。

      # systemctl restart sssd
    4. 新しいシェルが定義され、ユーザーの上書きが正しく表示されることを確認します。

      # getent passwd sarah
      sarah:x:1001:6003::sarah:/sbin/nologin
      
      # sss_override user-show user-name
      user@ldap.example.com::::::/sbin/nologin:

関連情報

  • sss_override の man ページ

7.6. ホストの上書きのリスト表示

管理者は、ホスト上の全ユーザーおよびグループの上書きをリスト表示し、正しい属性が上書きされたことを確認できます。

前提条件

  • root アクセス
  • sssd-tools がインストールされている

手順

  • 全ユーザーの上書きをリスト表示します。

    # sss_override user-find
    user1@ldap.example.com::8000::::/bin/zsh:
    user2@ldap.example.com::8001::::/bin/bash:
    ...
  • 全グループの上書きをリスト表示します。

    # sss_override group-find
    group1@ldap.example.com::7000
    group2@ldap.example.com::7001
    ...

7.7. ローカルの上書きの削除

グローバル LDAP ディレクトリーに定義されているローカルの上書きを削除するには、以下の手順を使用します。

前提条件

  • root アクセス
  • sssd-tools がインストールされている

手順

  • ユーザーアカウントの上書きを削除するには、以下を使用します。

    # sss_override user-del user-name

    user-name は、ユーザー名に置き換えます。変更はすぐに有効になります。

  • グループの上書きを削除するには、以下を使用します。

    # sss_override group-del group-name
  • sss_override user-del または sss_override group-del コマンドを使用して最初の上書きを削除したら、SSSD を再起動して変更を反映します。

    # systemctl restart sssd

ユーザーまたはグループの上書きを削除すると、このオブジェクトの上書きがすべて削除されます。

7.8. ローカルビューのエクスポートおよびインポート

ローカルの上書きは、ローカルの SSSD キャッシュに保存されています。このキャッシュからファイルにユーザーおよびグループの上書きをエクスポートして、バックアップを作成できます。バックアップを作成することでキャッシュが削除されても、後で設定を復元できます。

前提条件

  • root アクセス
  • sssd-tools がインストールされている

手順

  • ユーザーおよびグループビューのバックアップを作成するには、以下を使用します。

    # sss_override user-export /var/lib/sss/backup/sssd_user_overrides.bak
    # sss_override group-export /var/lib/sss/backup/sssd_group_overrides.bak
  • ユーザーおよびグループビューを復元するには、以下を使用します。

    # sss_override user-import /var/lib/sss/backup/sssd_user_overrides.bak
    # sss_override group-import /var/lib/sss/backup/sssd_group_overrides.bak

第8章 AD を認証プロバイダーとして使用する RHEL ホストの設定

システム管理者は、ホストを AD に参加させずに、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) ホストの認証プロバイダーとして Active Directory (AD) を使用できます。

たとえば、以下のような場合に実行できます。

  • AD 管理者に対して、ホストの有効化および無効化の制御を付与しない場合。
  • そのホスト (企業 PC) は、社内で 1 人のユーザーのみが使用する予定である。
重要

この手順は、このアプローチが推奨される場合に限り実装してください。通常は推奨されません。

代わりに、システムを AD または Red Hat Identity Management (IdM) に完全に参加させることを検討してください。RHEL ホストをドメインに参加させると、設定を簡単に管理できます。クライアントを直接 AD に参加させることに関連するクライアントアクセスライセンスについて懸念がある場合は、AD との信頼関係にある IdM サーバーを活用することを検討してください。IdM-AD 信頼の詳細は、IdM と AD との間のフォレスト間の信頼の計画IdM と AD との間のフォレスト間の信頼のインストール を参照してください。

この手順を実行すると、AD_user という名前のユーザーが、example.com ドメインの Active Directory (AD) ユーザーデータベースに設定されたパスワードを使用して、rhel_host システムにログインできるようになります。この例では、Kerberos レルム EXAMPLE.COMexample.com ドメインに対応します。

前提条件

  • rhel_host への root アクセスがある。
  • AD_user ユーザーアカウントが example.com ドメインにある。
  • Kerberos レルムが EXAMPLE.COM である。
  • realm join コマンドを使用して、rhel_host が AD に参加していません。
  • sssd-proxy パッケージがインストールされている。

    $ dnf install sssd-proxy

手順

  1. パスワードを割り当てずに、AD_user ユーザーアカウントをローカルに作成します。

    # useradd AD_user
  2. /etc/nsswitch.conf ファイルを開いて編集し、以下の行が含まれていることを確認します。

    passwd:     sss files systemd
    group:      sss files systemd
    shadow:     files sss
  3. /etc/krb5.conf ファイルを開いて編集し、以下のセクションと項目が含まれるようにします。

    # To opt out of the system crypto-policies configuration of krb5, remove the
    # symlink at /etc/krb5.conf.d/crypto-policies which will not be recreated.
    includedir /etc/krb5.conf.d/
    
    [logging]
        default = FILE:/var/log/krb5libs.log
        kdc = FILE:/var/log/krb5kdc.log
        admin_server = FILE:/var/log/kadmind.log
    
    [libdefaults]
        dns_lookup_realm = false
        ticket_lifetime = 24h
        renew_lifetime = 7d
        forwardable = true
        rdns = false
        pkinit_anchors = /etc/pki/tls/certs/ca-bundle.crt
        spake_preauth_groups = edwards25519
        default_realm = EXAMPLE.COM
        default_ccache_name = KEYRING:persistent:%{uid}
    
    [realms]
     EXAMPLE.COM = {
         kdc = ad.example.com
         admin_server = ad.example.com
     }
    
    [domain_realm]
     .example.com = EXAMPLE.COM
     example.com = EXAMPLE.COM
  4. /etc/sssd/sssd.conf ファイルを作成し、以下のセクションと行をそのファイルに追加します。

    [sssd]
        services = nss, pam
        domains = EXAMPLE.COM
    
    [domain/EXAMPLE.COM]
        id_provider = proxy
        proxy_lib_name = files
        auth_provider = krb5
        krb5_realm = EXAMPLE.COM
        krb5_server = ad.example.com
  5. /etc/sssd/sssd.conf ファイルの権限を変更します。

    # chmod 600 /etc/sssd/sssd.conf
  6. SSSD (Security System Services Daemon) を起動します。

    # systemctl start sssd
  7. SSSD を有効にします。

    # systemctl enable sssd
  8. /etc/pam.d/system-auth ファイルを開き、以下のセクションと行が含まれるように変更します。

    # Generated by authselect on Wed May  8 08:55:04 2019
    # Do not modify this file manually.
    
    auth        required                                     pam_env.so
    auth        required                                     pam_faildelay.so delay=2000000
    auth        [default=1 ignore=ignore success=ok]         pam_succeed_if.so uid >= 1000 quiet
    auth        [default=1 ignore=ignore success=ok]         pam_localuser.so
    auth        sufficient                                   pam_unix.so nullok try_first_pass
    auth        requisite                                    pam_succeed_if.so uid >= 1000 quiet_success
    auth        sufficient                                   pam_sss.so forward_pass
    auth        required                                     pam_deny.so
    
    account     required                                     pam_unix.so
    account     sufficient                                   pam_localuser.so
    account     sufficient                                   pam_succeed_if.so uid < 1000 quiet
    account     [default=bad success=ok user_unknown=ignore] pam_sss.so
    account     required                                     pam_permit.so
    
    password    requisite                                    pam_pwquality.so try_first_pass local_users_only
    password    sufficient                                   pam_unix.so sha512 shadow nullok try_first_pass use_authtok
    password    sufficient                                   pam_sss.so use_authtok
    password    required                                     pam_deny.so
    
    session     optional                                     pam_keyinit.so revoke
    session     required                                     pam_limits.so
    -session    optional                                     pam_systemd.so
    session     [success=1 default=ignore]                   pam_succeed_if.so service in crond quiet use_uid
    session     required                                     pam_unix.so
    session     optional                                     pam_sss.so
  9. /etc/pam.d/system-auth ファイルの内容を /etc/pam.d/password-auth ファイルにコピーします。yes と入力して、ファイルの現在の内容を上書きします。

    # cp /etc/pam.d/system-auth /etc/pam.d/password-auth
    cp: overwrite '/etc/pam.d/password-auth'? yes

検証手順

  1. AD_user 用の Kerberos チケット保証チケット (TGT) を要求します。AD_user のパスワードを必要に応じて入力します。

    # kinit AD_user
    Password for AD_user@EXAMPLE.COM:
  2. 取得した TGT を表示します。

    # klist
    Ticket cache: KEYRING:persistent:0:0
    Default principal: AD_user@EXAMPLE.COM
    
    Valid starting     Expires            Service principal
    11/02/20 04:16:38  11/02/20 14:16:38  krbtgt/EXAMPLE.COM@EXAMPLE.COM
    	renew until 18/02/20 04:16:34

AD_user は、Kerberos ドメイン EXAMPLE.COM の認証情報を使用して rhel_host に正常にログインしました。

第9章 SSSD を使用したホストのユーザーアクセスに関するレポート

SSSD (Security System Services Daemon) は、どのユーザーがクライアントにアクセスできるか、できないかを追跡します。本章では、sssctl ツールを使用してアクセス制御レポートを作成し、ユーザーデータを表示する方法を説明します。

前提条件

  • SSSD パッケージがネットワーク環境にインストールされている。

9.1. sssctl コマンド

sssctl は、SSSD (Security System Services Daemon) のステータスに関する情報を取得できるように一貫した方法を提供するコマンドラインツールです。

sssctl ユーティリティーを使用して、以下の情報を収集できます。

  • ドメインの状態
  • クライアントユーザー認証
  • 特定のドメインのクライアントへのユーザーアクセス
  • キャッシュされたコンテンツに関する情報

sssctl ツールを使用すると、以下が可能になります。

  • SSSD キャッシュの管理
  • ログの管理
  • 設定ファイルの確認
注記

sssctl ツールは、sss_cache ツールおよび sss_debuglevel ツールに代わるものです。

関連情報

  • sssctl --help

9.2. sssctl を使用したアクセス制御レポートの生成

SSSD は、クライアントにログインできるユーザーを制御するため、レポートを実行しているマシンに適用されるアクセス制御ルールをリスト表示できます。

注記

キー配布センター (KDC) がロックアウトしたユーザーをツールが追跡しないため、アクセスレポートは正確ではありません。

前提条件

  • 管理者権限でログインしている。
  • sssctl ツールが RHEL 7、RHEL 8、および RHEL 9 システムで利用できる。

手順

  • idm.example.com ドメインのレポートを生成するには、以下を入力します。

    [root@client1 ~]# sssctl access-report idm.example.com
    1 rule cached
    
    Rule name: example.user
    	Member users: example.user
    	Member services: sshd

9.3. sssctl でユーザー認可の詳細の表示

sssctl user-checks コマンドは、SSSD (System Security Services Daemon) をユーザールックアップ、認証、および認可に使用するアプリケーションでの問題のデバッグに役立ちます。

sssctl user-checks [USER_NAME] コマンドは、NSS (Name Service Switch) および D-Bus インターフェイスの InfoPipe レスポンダーで利用可能なユーザーデータを表示します。表示されるデータは、ユーザーが system-auth の PAM (Pluggable Authentication Module) サービスを使用してログインすることを許可されているかどうかを示します。

コマンドには、2 つのオプションがあります。

  • -a (PAM アクション用)
  • -s (PAM サービス用)

-a オプションおよび -s オプションを定義しない場合、sssctl ツールはデフォルトのオプション -a acct -s system-auth を使用します。

前提条件

  • 管理者権限でログインしている。
  • sssctl ツールが RHEL 7、RHEL 8、および RHEL 9 システムで利用できる。

手順

  • 特定ユーザーのユーザーデータを表示するには、以下を入力します。

    [root@client1 ~]# sssctl user-checks -a acct -s sshd example.user
    user: example.user
    action: acct
    service: sshd
    ....

関連情報

  • sssctl user-checks --help

第10章 SSSD を使用したドメイン情報のクエリー

SSSD (Security System Services Daemon) は、Identity Management (IdM) のドメインと、フォレスト間の信頼で IdM に接続する Active Directory のドメインをリスト表示できます。

10.1. sssctl を使用したドメインのリスト表示

sssctl domain-list コマンドを使用して、ドメイントポロジーの問題をデバッグできます。

注記

ステータスはすぐに利用できない可能性があります。ドメインが表示されない場合は、コマンドを繰り返します。

前提条件

  • 管理者権限でログインしている。
  • sssctl ツールが RHEL 7、RHEL 8、および RHEL 9 システムで利用できる。

手順

  1. sssctl コマンドのヘルプを表示するには、以下のコマンドを実行します。

    [root@client1 ~]# sssctl --help
    ....
  2. 利用可能なドメインのリストを表示するには、以下を入力します。
[root@client1 ~]# sssctl domain-list
implicit_files
idm.example.com
ad.example.com
sub1.ad.example.com

リストには、Active Directory と Identity Management との間でフォレスト間の信頼関係にあるドメインが含まれます。

10.2. sssctl でドメインステータスの確認

sssctl domain-status コマンドを使用して、ドメイントポロジーの問題をデバッグできます。

注記

ステータスはすぐに利用できない可能性があります。ドメインが表示されない場合は、コマンドを繰り返します。

前提条件

  • 管理者権限でログインしている。
  • sssctl ツールが RHEL 7、RHEL 8、および RHEL 9 システムで利用できる。

手順

  1. sssctl コマンドのヘルプを表示するには、以下のコマンドを実行します。

    [root@client1 ~]# sssctl --help
  2. 特定ドメインのユーザーデータを表示するには、以下を入力します。

    [root@client1 ~]# sssctl domain-status idm.example.com
    Online status: Online
    
    Active servers:
    IPA: server.idm.example.com
    
    Discovered IPA servers:
    - server.idm.example.com

ドメイン idm.example.com はオンラインになり、コマンドを設定したクライアントから表示されます。

ドメインが利用できないと、結果は以下のようになります。

[root@client1 ~]# sssctl domain-status ad.example.com
Unable to get online status

第11章 SSSD を使用した PAM サービスのドメインの制限

プラグ可能な認証モジュール (PAM) は、認証および認可の一般的なフレームワークです。Red Hat Enterprise Linux のほとんどのシステムアプリケーションは、認証と認可の基礎となる PAM 設定に依存しています。

SSSD (System Security Services Daemon) を使用すると、PAM サービスがアクセスできるドメインを制限できます。SSSD は、特定の PAM サービスを実行するユーザーに基づいて PAM サービスからの認証要求を評価します。つまり、PAM サービスユーザーが SSSD ドメインにアクセスできる場合は、PAM サービスもそのドメインにアクセスできることを意味します。

11.1. PAM について

Pluggable Authentication Module (PAM) は、システムアプリケーションが、中央で設定したフレームワークに認証を中継するのに使用できる集中認証メカニズムを提供します。

PAM モジュールは、Kerberos、SSSD、NIS、ローカルファイルシステムなどのさまざまなタイプの認証ソースに存在するため、PAM はプラグ可能です。別の認証ソースに優先順位を付けることができます。

このモジュラーアーキテクチャーにより、管理者はシステムの認証ポリシーを柔軟に設定することができます。PAM は、開発者および管理者にとって以下のような便利なシステムです。

  • PAM は、幅広いアプリケーションで使用できる一般的な認証スキームを提供します。
  • PAM は、システム管理者に対して、優れた柔軟性と制御性を提供します。
  • PAM では、完全にドキュメント化されたライブラリーが 1 つ提供され、開発者が独自の認証スキームを作成しなくてもプログラムを作成できるようになります。

11.2. ドメインアクセス制限のオプション

選択したドメインへのアクセスを制限するには、以下のオプションを使用できます。

pam_trusted_users in /etc/sssd/sssd.conf
このオプションでは、SSSD が信頼する PAM サービスを表す数値の UID またはユーザー名のリストを使用できます。デフォルト設定は all です。つまり、すべてのサービスユーザーが信頼され、どのドメインにもアクセスできます。
pam_public_domains in /etc/sssd/sssd.conf
このオプションは、パブリック SSSD ドメインのリストを受け入れます。パブリックドメインは、信頼できない PAM サービスユーザーであってもドメインにアクセスできます。このオプションでは、allnone の値も使用できます。デフォルト値は none です。つまり、ドメインが公開されておらず、信頼できないサービスユーザーはどのドメインにもアクセスできません。
PAM 設定ファイルの domain

このオプションは、PAM サービスが認証できるドメインのリストを指定します。ドメインを指定せずに domain を使用すると、以下のようなドメインに対しては認証されません。

auth     required   pam_sss.so domains=

PAM 設定ファイルで Domains を使用する場合は、そのサービスを信頼できるユーザーで実行しているときに、すべてのドメインに対して PAM サービスを認証できます。

/etc/sssd/sssd.conf SSSD 設定ファイルの domain オプションは、SSSD が認証を試行するドメインのリストを指定します。PAM 設定ファイルの domain オプションは、sssd.conf ではドメインのリストを拡張できないため、短縮したリストを指定することで、ドメインの sssd.conf のリストを制限することしかできないことに注意してください。そのため、ドメインが PAM ファイルで指定されていても、sssd.conf では指定されていない場合、PAM サービスはドメインに対して認証を行いません。

デフォルト設定の pam_trusted_users = all および pam_public_domains = none では、すべての PAM サービスユーザーが信頼され、任意のドメインにアクセスできることを指定します。PAM 設定ファイルに domain を使用すると、ドメインへのアクセスが制限されます。

sssd.confpam_public_domains が含まれる場合に PAM 設定ファイルで domain を使用してドメインを指定するには、pam_public_domains でドメインを指定する必要があります。必要なドメインを含まない pam_public_domains オプションを使用すると、信頼できないユーザーでサービスを実行している場合に、ドメインに対する PAM サービスの認証が失敗します。

注記

PAM 設定ファイルで定義するドメインの制限は、認証アクションにのみ適用され、ユーザーのルックアップには適用されません。

関連情報

  • pam_trusted_users オプションおよび pam_public_domains オプションの詳細は、man ページの sssd.conf(5) を参照してください。
  • PAM 設定ファイルで使用される ドメイン オプションの詳細は、man ページの pam_sss(8) を参照してください。

11.3. PAM サービスのドメインの制限

この手順では、ドメインに対して PAM サービス認証を制限する方法を示します。

前提条件

  • SSSD がインストールされ、実行している。

手順

  1. 必要なドメインにアクセスするように SSSD を設定します。/etc/sssd/sssd.conf ファイルーの ドメイン で、SSSD が認証できるドメインを定義します。

    [sssd]
    domains = domain1, domain2, domain3
  2. PAM 設定ファイルで domain オプションを設定することで、PAM サービスが認証できるドメインを指定します。以下に例を示します。

    auth        sufficient    pam_sss.so forward_pass domains=domain1
    account     [default=bad success=ok user_unknown=ignore] pam_sss.so
    password    sufficient    pam_sss.so use_authtok

    この例では、domain1 に対する認証のみを許可します。

検証手順

  • domain1 に対して認証を行います。それは成功する必要があります。

第12章 ローカル SSSD 設定の誤字の排除

sssctl config-check コマンドを使用して、ホストの /etc/sssd/sssd.conf ファイルに誤字のエラーがあるかどうかをテストできます。

前提条件

  • root でログインしている。
  • sssd-tools パッケージがインストールされている。

手順

  1. sssctl config-check コマンドを実行します。

    # sssctl config-check
    
    Issues identified by validators: 1
    [rule/allowed_domain_options]: Attribute 'ldap_search' is not allowed in section 'domain/example1'. Check for typos.
    
    Messages generated during configuration merging: 0
    
    Used configuration snippet files: 0
  2. /etc/sssd/sssd.conf ファイルを開き、タイプミスを修正します。前の例でエラーメッセージが発生した場合は、ldap_searchldap_search_base に置き換えます。

    [...]
    [domain/example1]
    ldap_search_base = dc=example,dc=com
    [...]
  3. ファイルを保存します。
  4. SSSD を再起動します。

    # systemctl restart sssd

検証手順

  • sssctl config-check コマンドを実行します。

    # sssctl config-check
    
    Issues identified by validators: 0
    
    Messages generated during configuration merging: 0
    
    Used configuration snippet files: 0

/etc/sssd/sssd.conf ファイルで、誤字がなくなりました。

第13章 IdM で SSSD を使用した認証のトラブルシューティング

Identity Management (IdM) 環境の認証には、さまざまなコンポーネントが含まれます。

IdM クライアントで、以下を行います。

  • SSSD サービス
  • Name Services Switch (NSS)
  • PAM (プラグ可能な認証モジュール)

IdM サーバーで、以下を行います。

  • SSSD サービス
  • IdM Directory Server。
  • IdM Kerberos Key Distribution Center (KDC)

Active Directory (AD) ユーザーとして認証している場合は、以下を行います。

  • AD ドメインコントローラー上の Directory Server。
  • AD ドメインコントローラー上の Kerberos サーバー

ユーザーを認証するには、SSSD サービスで以下の機能を実行できる必要があります。

  • 認証サーバーからユーザー情報を取得します。
  • ユーザーに認証情報を求められ、それらの認証情報を認証サーバーに渡し、結果を処理します。

ユーザー情報を保存する SSSD サービスとサーバー間の情報フロー方法を説明し、環境で失敗した認証試行のトラブルシューティングを行うには、次を参照してください。

13.1. SSSD で IdM ユーザー情報を取得するデータフロー

以下の図は、getent passwd <idm_user_name> コマンドを使用して IdM ユーザー情報の要求時に IdM クライアントと IdM サーバーとの間の情報フローを簡単に説明します。

A diagram with numbered arrows representing the flow of information between an IdM client and an IdM server. The following numbered list describes each step in the process.

  1. getent コマンドは、libc ライブラリーから getpwnam 呼び出しをトリガーします。
  2. libc ライブラリーは、/etc/nsswitch.conf 設定ファイルを参照して、どのサービスがユーザー情報を提供するかを確認し、SSSD サービスのエントリー sss を検出します。
  3. libc ライブラリーは、nss_sss モジュールを開きます。
  4. nss_sss モジュールは、ユーザー情報のメモリーマップキャッシュを確認します。データがキャッシュに存在する場合は、nss_sss モジュールがそれを返します。
  5. ユーザー情報が memory-mapped キャッシュにない場合、リクエストは SSSD sssd_nss レスポンダープロセスに渡されます。
  6. SSSD サービスはキャッシュをチェックします。データがキャッシュに存在し、有効な場合は、sssd_nss レスポンダーがキャッシュからデータを読み取って、アプリケーションに返します。
  7. データがキャッシュにない場合や期限切れである場合、sssd_nss レスポンダーは適切なバックエンドプロセスに対してクエリーを実行し、応答を待機します。SSSD サービスは、sssd.conf 設定ファイルで id_provider=ipa を設定して有効にした、IdM 環境の IPA バックエンドを使用します。
  8. sssd_be バックエンドプロセスは IdM サーバーに接続して、IdM LDAP Directory Server から情報を要求します。
  9. IdM サーバーの SSSD バックエンドは、IdM クライアントの SSSD バックエンドプロセスに対応します。
  10. クライアントの SSSD バックエンドは、生成されるデータを SSSD キャッシュに保存し、キャッシュが更新されたレスポンダープロセスを警告します。
  11. sssd_nss フロントエンドレスプロセスが SSSD キャッシュから情報を取得します。
  12. sssd_nss レスポンダーは、nss_sss レスポンダーにユーザー情報を送信し、リクエストを完了します。
  13. libc ライブラリーは、要求したアプリケーションにユーザー情報を返します。

13.2. SSSD で AD ユーザー情報を取得する際のデータフロー

IdM 環境と Active Directory( AD) ドメインとの間でフォレスト間の信頼を確立した場合は、IdM クライアントの AD ユーザー情報を取得する際に情報フローが、AD ユーザーデータベースへの追加の手順とともに、IdM クライアントの AD ユーザー情報の取得時に非常に似ています。

以下の図は、getent passwd <ad_user_name@ad.example.com> コマンドを使用してユーザーが AD ユーザーに関する情報を要求する際に、情報フローを簡素化します。この図には、SSSD で IdM ユーザー情報を取得するデータフロー が含まれません。IdM クライアントの SSSD サービス、IdM サーバーの SSSD サービス、および AD ドメインコントローラー上の LDAP データベースとの間の通信にフォーカスします。

A diagram with numbered arrows representing the flow of information between an IdM client, an IdM server, and an AD Domain Controller. The following numbered list describes each step in the process.

  1. IdM クライアントは、AD ユーザー情報に関するローカルの SSSD キャッシュを検索します。
  2. IdM クライアントにユーザー情報がない場合や、情報が古い場合に、クライアントの SSSD サービスが IdM サーバーの extdom_extop プラグインに問い合わせて、LDAP 拡張操作を実行し、情報を要求します。
  3. IdM サーバーの SSSD サービスは、ローカルキャッシュで AD ユーザー情報を検索します。
  4. IdM サーバーに SSSD キャッシュにユーザー情報がない場合や、その情報が古い場合は、LDAP 検索を実行して、AD ドメインコントローラーからユーザー情報を要求します。
  5. IdM サーバーの SSSD サービスは、AD ドメインコントローラーから AD ユーザー情報を受け取り、キャッシュに保存します。
  6. extdom_extop プラグインは、LDAP 拡張操作を完了する IdM サーバーの SSSD サービスから情報を受信します。
  7. IdM クライアントの SSSD サービスは、LDAP 拡張操作から AD ユーザー情報を受信します。
  8. IdM クライアントは、AD ユーザー情報を SSSD キャッシュに保存し、要求したアプリケーションに情報を返します。

13.3. IdM で SSSD を使用してユーザーとして認証する場合にデータフロー

IdM サーバーまたはクライアントでユーザーとして認証するには、以下のコンポーネントが必要です。

  • sshd サービスなどの認証要求を開始するサービス
  • PAM (プラグ可能な認証モジュール) ライブラリーとそのモジュール。
  • SSSD サービス、そのレスポンダー、およびバックエンド。
  • スマートカード認証が設定されている場合は、スマートカードリーダー。
  • 認証サーバー:

    • IdM ユーザーは、IdM Kerberos Key Distribution Center (KDC) に対して認証されます。
    • Active Directory (AD) ユーザーは、AD ドメインコントローラー (DC) に対して認証されます。

以下の図は、コマンドラインの SSH サービスを介してホストにローカルでログインしようとすると、情報フローを簡単に認証する必要がある場合を示しています。

A diagram with numbered arrows representing the flow of information between an IdM client and an IdM server or AD Domain Controller during an authentication attempt. The following numbered list describes each step in the process.

  1. ssh コマンドで認証を試みると、libpam ライブラリーがトリガーされます。
  2. libpam ライブラリー は、認証の試行を要求するサービスに対応する /etc/pam.d/ ディレクトリーの PAM ファイルを参照します。この例では、ローカルホストの SSH サービス経由で認証されている例では、pam_sss.so ライブラリーは /etc/pam.d/system-auth 設定ファイルを確認し、SSSD PAM の pam_sss.so エントリーを検出します。

    auth    sufficient    pam_sss.so
  3. 利用可能な認証方法を判断するため、libpam ライブラリーは pam_sss モジュールを開き、SSSD サービスの sssd _pam PAM レスポンダーに SSS_PAM_PREAUTH リクエスト を送信します。
  4. スマートカード認証が設定されていると、SSSD サービスは一時的な p11_child プロセスを生成し、スマートカードを確認し、そこから証明書を取得します。
  5. ユーザーにスマートカード認証が設定されていると、sssd_pam レスポンダーは、スマートカードの証明書とユーザーを照合します。sssd_pam レスポンダーは、グループメンバーシップがアクセス制御に影響する可能性があるため、ユーザーが属するグループの検索も実行します。
  6. sssd_pam レスポンダーは、SSS_PAM_PREAUTH 要求を sssd_be バックエンドレスに送信し、パスワードや 2 要素認証などのサーバーがサポートする認証方法を表示します。SSSD サービスが IPA レスポンダーを使用する IdM 環境では、デフォルトの認証方法は Kerberos です。この例では、ユーザーは簡単な Kerberos パスワードで認証されます。
  7. sssd_be レスポンダーは一時的な krb5_child プロセスを起動します。
  8. krb5_child プロセスは、IdM サーバーの KDC に連絡して、利用可能な認証方法を確認します。
  9. KDC はリクエストに応答します。

    1. krb5_child プロセスは応答を評価し、結果を sssd_be バックエンドプロセスに送信します。
    2. sssd_be バックエンドプロセスが結果を受け取ります。
    3. sssd_pam レスポンダーは結果を受け取ります。
    4. pam_sss モジュールは結果を受け取ります。
  10. ユーザーにパスワード認証が設定されていると、pam_sss モジュールにより、パスワードの入力が求められます。スマートカード認証が設定されていると、pam_sss モジュールにより、スマートカードの PIN の入力が求められます。
  11. モジュールは、ユーザー名とパスワードを使用して SSS_PAM_ AUTHENTICATE 要求を送信します。これは以下が実行されます。

    1. sssd_pam レスポンダー。
    2. sssd_be バックエンドプロセス。
  12. sssd_be プロセスは、KDC に問い合わせる一時的な krb5_child プロセスを起動します。
  13. krb5_child process は、ユーザー名とパスワードを使用して KDC から Kerberos チケット保証チケット (TGT) の取得を試みます。
  14. krb5_child プロセスは、認証の試行の結果を受け取ります。
  15. krb5_child プロセス:

    1. TGT を認証情報キャッシュに保存します。
    2. sssd_be バックエンドプロセスに認証結果を返します。
  16. 認証結果は sssd_be プロセスから以下を行います。

    1. sssd_pam レスポンダー。
    2. pam_sss モジュール。
  17. pam_sss モジュールは、その他のアプリケーションが参照できるように、環境変数をユーザーの TGT の場所で設定します。

13.4. 認証問題の範囲の制限

ユーザーを正常に認証するには、ユーザー情報を保存するデータベースから SSSD サービスでユーザー情報を取得できる必要があります。以下の手順では、認証プロセスの異なるコンポーネントをテストする手順を説明します。これにより、ユーザーがログインできない場合に認証の問題のスコープを制限する方法を説明します。

手順

  1. SSSD サービスおよびそのプロセスが実行していることを確認します。

    [root@client ~]# pstree -a | grep sssd
      |-sssd -i --logger=files
      |   |-sssd_be --domain implicit_files --uid 0 --gid 0 --logger=files
      |   |-sssd_be --domain example.com --uid 0 --gid 0 --logger=files
      |   |-sssd_ifp --uid 0 --gid 0 --logger=files
      |   |-sssd_nss --uid 0 --gid 0 --logger=files
      |   |-sssd_pac --uid 0 --gid 0 --logger=files
      |   |-sssd_pam --uid 0 --gid 0 --logger=files
      |   |-sssd_ssh --uid 0 --gid 0 --logger=files
      |   `-sssd_sudo --uid 0 --gid 0 --logger=files
      |-sssd_kcm --uid 0 --gid 0 --logger=files
  2. クライアントが IP アドレスを使用してユーザーデータベースサーバーに接続できることを確認します。

    [user@client ~]$ ping <IP_address_of_the_database_server>

    この手順が失敗した場合は、ネットワークとファイアウォール設定が、IdM クライアントとサーバー間の直接通信が許可されていることを確認してください。firewalld の使用および設定 を参照してください。

  3. クライアントが、完全修飾ホスト名を使用して IdM LDAP サーバー (IdM ユーザー用) または AD ドメインコントローラー (AD ユーザーの場合) を検出して連絡できることを確認します。

    [user@client ~]$ dig -t SRV _ldap._tcp.example.com @<name_server>
    [user@client ~]$ ping <fully_qualified_host_name_of_the_server>

    この手順が失敗した場合は、/etc/resolv.conf ファイルを含む Dynamic Name Service (DNS) の設定を確認してください。DNS サーバーの順序の設定 を参照してください。

    注記

    デフォルトでは、SSSD サービスは DNS サービス (SRV) レコードを介して LDAP サーバーと AD DC を自動的に検出しようとします。sssd.conf 設定ファイルで以下のオプションを設定すると、SSSD サービスが特定のサーバーを使用するように制限できます。

    • ipa_server = <fully_qualified_host_name_of_the_server>
    • ad_server = <fully_qualified_host_name_of_the_server>
    • ldap_uri = <fully_qualified_host_name_of_the_server>

    このオプションを使用する場合は、そのオプションに記載されているサーバーと通信できることを確認します。

  4. クライアントが LDAP サーバーに対して認証でき、ldapsearch コマンドでユーザー情報を取得できることを確認します。

    1. LDAP サーバーが server.example.com などの IdM サーバーである場合は、ホストの Kerberos チケットを取得し、ホスト Kerberos プリンシパルで認証されるデータベース検索を実行します。

      [user@client ~]$ kinit -k 'host/client.example.com@EXAMPLE.COM'
      [user@client ~]$ ldapsearch -LLL -Y GSSAPI -h server.example.com -b “dc=example,dc=com” uid=<user_name>
    2. LDAP サーバーが server.example.com などの Active Directory (AD) Domain Controller (DC) サーバーである場合は、ホストの Kerberos チケットを取得し、ホスト Kerberos プリンシパルで認証されるデータベース検索を実行します。

      [user@client ~]$ kinit -k 'CLIENT$@AD.EXAMPLE.COM'
      [user@client ~]$ ldapsearch -LLL -Y GSSAPI -h server.ad.example.com -b “dc=example,dc=com” sAMAccountname=<user_name>
    3. LDAP サーバーがプレーン LDAP サーバーであり、sssd.conf ファイルに ldap_default_bind_dn および ldap_default_authtok オプションを設定した場合は、同じ ldap_default_bind_dn アカウントとして認証されます。

      [user@client ~]$ ldapsearch -xLLL -D "cn=ldap_default_bind_dn_value" -W -h ldapserver.example.com -b “dc=example,dc=com” uid=<user_name>

    この手順が失敗した場合は、データベース設定で、ホストが LDAP サーバーを検索できることを確認します。

  5. SSSD サービスは Kerberos 暗号化を使用するため、ログインできないユーザーとして Kerberos チケットを取得できます。

    1. LDAP サーバーが IdM サーバーの場合:

      [user@client ~]$ kinit <user_name>
    2. LDAP サーバーデータベースが AD サーバーの場合:

      [user@client ~]$ kinit <user_name@AD.EXAMPLE.COM>

    この手順が失敗した場合は、Kerberos サーバーが適切に動作し、すべてのサーバーが同期され、ユーザーアカウントがロックされていないことを確認します。

  6. コマンドラインに関するユーザー情報を取得できることを確認します。

    [user@client ~]$ getent passwd <user_name>
    [user@client ~]$ id <user_name>

    この手順が失敗した場合は、クライアントの SSSD サービスがユーザーデータベースから情報を受信できることを確認します。

    1. /var/log/messages ログファイルのエラーを確認します。
    2. SSSD サービスで詳細なロギングを有効にし、デバッグログを収集して、問題のソースに関するログを確認します。
    3. (オプション) Red Hat テクニカルサポートケースを作成し、収集したトラブルシューティング情報を提供します。
  7. ホストで sudo を実行することが許可されている場合は、sssctl ユーティリティーを使用して、ユーザーがログインを許可されていることを確認します。

    [user@client ~]$ sudo sssctl user-checks -a auth -s ssh <user_name>

    この手順が失敗した場合は、PAM 設定、IdM HBAC ルール、IdM RBAC ルールなどの認可設定を確認します。

    1. ユーザーの UID が、/etc/login.defs ファイルで定義されている UID_MIN 以上であることを確認してください。
    2. /var/log/secure ログファイルおよび /var/log/messages ログファイルで認証エラーを確認します。
    3. SSSD サービスで詳細なロギングを有効にし、デバッグログを収集して、問題のソースに関するログを確認します。
    4. (オプション) Red Hat テクニカルサポートケースを作成し、収集したトラブルシューティング情報を提供します。

13.5. SSSD ログファイルおよびログレベル

それぞれの SSSD サービスは、/var/log/sssd/ ディレクトリーに独自のログファイルを記録します。example.com IdM ドメインの IdM サーバーのログファイルは、以下のようになります。

[root@server ~]# ls -l /var/log/sssd/
total 620
-rw-------.  1 root root      0 Mar 29 09:21 krb5_child.log
-rw-------.  1 root root  14324 Mar 29 09:50 ldap_child.log
-rw-------.  1 root root 212870 Mar 29 09:50 sssd_example.com.log
-rw-------.  1 root root      0 Mar 29 09:21 sssd_ifp.log
-rw-------.  1 root root      0 Mar 29 09:21 sssd_implicit_files.log
-rw-------.  1 root root      0 Mar 29 09:21 sssd.log
-rw-------.  1 root root 219873 Mar 29 10:03 sssd_nss.log
-rw-------.  1 root root      0 Mar 29 09:21 sssd_pac.log
-rw-------.  1 root root  13105 Mar 29 09:21 sssd_pam.log
-rw-------.  1 root root   9390 Mar 29 09:21 sssd_ssh.log
-rw-------.  1 root root      0 Mar 29 09:21 sssd_sudo.log

13.5.1. SSSD ログファイルの目的

krb5_child.log
Kerberos 認証に関連する有効期限の短いヘルパープロセスのログファイル。
ldap_child.log
LDAP サーバーとの通信用の Kerberos チケットの取得に関連する短期ヘルパープロセスのログファイル。
sssd_<example.com>.log

sssd.conf ファイルのドメインセクションごとに、SSSD サービスは LDAP サーバーとの通信に関する情報を別のログファイルに記録します。たとえば、example.com という名前の IdM ドメインがある環境では、SSSD サービスは sssd_example.com.log という名前のファイルのログにその情報を記録します。ホストが ad.example.com という名前の AD ドメインと直接統合されている場合は、sssd_ad.example.com.log という名前のファイルのログに情報が記録されます。

注記

IdM 環境と、AD ドメインを持つフォレスト間の信頼があると、AD ドメインに関する情報は引き続き IdM ドメインのログファイルに記録されます。

同様に、ホストが AD ドメインに直接統合されている場合は、プライマリードメインのログファイルに、子ドメインに関する情報が書き込まれます。

selinux_child.log
SELinux 情報を取得および設定する短期間ヘルパープロセスのログファイル。
sssd.log
SSSD を監視して、レスポンダーおよびバックエンドプロセスと通信するためのログファイル。
sssd_ifp.log
InfoPipe レスポンダーのログファイル。システムバスからアクセス可能なパブリック D-Bus インターフェイスを提供します。
sssd_nss.log
ユーザーおよびグループ情報を取得する Name Services Switch (NSS) レスポンダーのログファイル。
sssd_pac.log
AD Kerberos チケットから PAC を収集する Microsoft Privilege Attribute Certificate (PAC) レスポンダー用のログファイルは、PAC から PAC に関する情報を取得します。これにより、AD ユーザーを直接要求しないようにします。
sssd_pam.log
PAM (Pluggable Authentication Module) レスポンダー用のログファイルです。
sssd_ssh.log
SSH レスポンダープロセスのログファイル。

13.5.2. SSSD ロギングレベル

デバッグレベルを設定すると、それ下のすべてのデバッグレベルが有効になります。たとえば、debug レベルを 6 に設定すると、デバッグレベル 0 から 5 も有効になります。

表13.1 SSSD ロギングレベル
レベル説明

0

致命的な障害が発生しました。SSSD サービスが起動しなかったり、終了しないようにするエラー。

1

重大なエラーSSSD サービスを終了しないものの、主要な機能は 1 つ以上正しく機能しません。

2

深刻なエラー。特定の要求または操作が失敗したことを示すエラー。これは、デフォルトのデバッグログレベルです。

3

マイナーな障害が発生しました。レベル 2 で操作の失敗がキャプチャーされたエラー。

4

設定

5

関数 データ。

6

操作関数のメッセージを追跡します。

7

内部制御 関数のメッセージトレース。

8

関数内部 変数の内容。

9

非常に 低いレベルのトレース 情報。

13.6. sssd.conf ファイルで SSSD の詳細なロギングの有効化

デフォルトでは、SSSD サービスは、重大な失敗 (デバッグレベル 2) のみをログに記録しますが、認証問題のトラブルシューティングに必要な詳細レベルではログに記録されません。

SSSD サービスの再起動時に詳細なロギングを有効にするには、/etc/sssd/sssd.conf 設定ファイルの各セクションに debug_level=<integer> オプションを追加します。ここで、<integer> の値は 0 から 9 の数字になります。デバッグレベルは最大 3 つのログで、最大 3 つのログで、レベル 8 以上では、多くの詳細なログメッセージを提供します。レベル 6 は、認証の問題のデバッグに役立ちます。

前提条件

  • sssd.conf 設定ファイルを編集し、SSSD サービスを再起動するには、root パスワードが必要です。

手順

  1. テキストエディターで /etc/sssd/sssd.conf ファイルを開きます。
  2. debug_level オプションをファイルのすべてのセクションに追加し、デバッグレベルを、選択した詳細に設定します。

    [domain/example.com]
    debug_level = 6
    id_provider = ipa
    ...
    
    [sssd]
    debug_level = 6
    services = nss, pam, ifp, ssh, sudo
    domains = example.com
    
    [nss]
    debug_level = 6
    
    [pam]
    debug_level = 6
    
    [sudo]
    debug_level = 6
    
    [ssh]
    debug_level = 6
    
    [pac]
    debug_level = 6
    
    [ifp]
    debug_level = 6
  3. sssd.conf ファイルを保存して閉じます。
  4. SSSD サービスを再起動して、新しい設定を読み込みます。

    [root@server ~]# systemctl restart sssd

13.7. sssctl コマンドを使用した SSSD の詳細なロギングの有効化

デフォルトでは、SSSD サービスは、重大な失敗 (デバッグレベル 2) のみをログに記録しますが、認証問題のトラブルシューティングに必要な詳細レベルではログに記録されません。

sssctl debug-level <integer> コマンドを使用して、コマンドラインで SSSD サービスのデバッグレベルを変更できます。ここで、<integer> の値は 0 から 9 の数字になります。デバッグレベルは最大 3 つのログで、最大 3 つのログで、レベル 8 以上では、多くの詳細なログメッセージを提供します。レベル 6 は、認証の問題のデバッグに役立ちます。

前提条件

  • sssctl コマンドを実行するには、root パスワードが必要です。

手順

  • sssctl debug-level コマンドを使用して、希望の詳細度に対して選択したデバッグレベルを設定します。

    [root@server ~]# sssctl debug-level 6

13.8. SSSD サービスからデバッグログを収集し、IdM サーバーによる認証問題のトラブルシューティング

IdM ユーザーが IdM サーバーへの認証を試行する際に問題が発生した場合は、サーバー上の SSSD サービスで詳細なデバッグロギングを有効にし、ユーザーに関する情報の取得を試行するログを収集します。

前提条件

  • sssctl コマンドを実行して SSSD サービスを再起動するには、root パスワードが必要です。

手順

  1. IdM サーバーで詳細な SSSD デバッグロギングを有効にします。

    [root@server ~]# sssctl debug-level 6
  2. 認証問題が発生しているユーザーの SSSD キャッシュでオブジェクトを無効にするため、LDAP サーバーを省略し、SSSD がすでにキャッシュされている情報を取得しません。

    [root@server ~]# sssctl cache-expire -u idmuser
  3. 古い SSSD ログを削除して、トラブルシューティングのデータセットを最小限に抑える。

    [root@server ~]# sssctl logs-remove
  4. 認証問題が発生し、試行前後にタイムスタンプを収集する際に、ユーザーが認証問題が発生しようと試みます。これらのタイムスタンプは、データセットのスコープをさらに絞り込むことができます。

    [root@server sssd]# date; su idmuser; date
    Mon Mar 29 15:33:48 EDT 2021
    su: user idmuser does not exist
    Mon Mar 29 15:33:49 EDT 2021
  5. (オプション) 詳細な SSSD ログの収集を続行しない場合は、デバッグレベルを下げます。

    [root@server ~]# sssctl debug-level 2
  6. 障害のある要求に関する情報を SSSD ログで確認します。たとえば、/var/log/sssd/sssd_example.com.log ファイルを確認すると、SSSD サービスが cn=accounts,dc=example,dc=com LDAP サブツリーでユーザーを見つけられなかったことを示しています。これは、ユーザーが存在しないか、別の場所に存在することを示しています。

    (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [dp_get_account_info_send] (0x0200): Got request for [0x1][BE_REQ_USER][name=idmuser@example.com]
    ...
    (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sdap_get_generic_ext_step] (0x0400): calling ldap_search_ext with [(&(uid=idmuser)(objectclass=posixAccount)(uid=)(&(uidNumber=)(!(uidNumber=0))))][cn=accounts,dc=example,dc=com].
    (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sdap_get_generic_op_finished] (0x0400): Search result: Success(0), no errmsg set
    (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sdap_search_user_process] (0x0400): Search for users, returned 0 results.
    (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sysdb_search_by_name] (0x0400): No such entry
    (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sysdb_delete_user] (0x0400): Error: 2 (No such file or directory)
    (Mon Mar 29 15:33:48 2021) [sssd[be[example.com]]] [sysdb_search_by_name] (0x0400): No such entry
    (Mon Mar 29 15:33:49 2021) [sssd[be[example.com]]] [ipa_id_get_account_info_orig_done] (0x0080): Object not found, ending request
  7. 認証問題の原因を判断できない場合は、以下を行います。

    1. 最近生成した SSSD ログを収集します。

      [root@server ~]# sssctl logs-fetch sssd-logs-Mar29.tar
    2. Red Hat テクニカルサポートケースを作成し、以下を提供します。

      1. SSSD ログ: sssd-logs-Mar29.tar
      2. ログに対応する要求のタイムスタンプおよびユーザー名を含むコンソールの出力。

        [root@server sssd]# date; id idmuser; date
        Mon Mar 29 15:33:48 EDT 2021
        id: ‘idmuser’: no such user
        Mon Mar 29 15:33:49 EDT 2021

13.9. SSSD サービスからデバッグログを収集し、IdM クライアントによる認証問題のトラブルシューティング

IdM クライアントに IdM ユーザーとして認証を試行する際に問題が発生した場合は、IdM サーバーでユーザー情報を取得できることを確認します。IdM サーバーでユーザー情報を取得できない場合は、(IdM サーバーから情報を取得する) IdM クライアントでそれを取得できなくなります。

認証の問題が IdM サーバーから生成されていないことを確認したら、IdM サーバーと IdM クライアントの両方から SSSD デバッグログを収集していました。

前提条件

  • IdM サーバーではなく、IdM クライアントで認証の問題のみがあります。
  • sssctl コマンドを実行して SSSD サービスを再起動するには、root パスワードが必要です。

手順

  1. クライアント上:テキストエディターで /etc/sssd/sssd.conf ファイルを開きます。
  2. クライアント上:ipa_server オプションをファイルの [domain] セクションに追加し、IdM サーバーに設定します。これにより、IdM クライアントは他の IdM サーバーの自動検出を避け、このテストを 1 つのクライアントおよびサーバー 1 台だけに制限します。

    [domain/example.com]
    ipa_server = server.example.com
    ...
  3. クライアント上:sssd.conf ファイルを保存して閉じます。
  4. クライアント上:SSSD サービスを再起動して、設定の変更を読み込みます。

    [root@client ~]# systemctl restart sssd
  5. サーバーおよびクライアント:詳細な SSSD デバッグロギングを有効にします。

    [root@server ~]# sssctl debug-level 6
    [root@client ~]# sssctl debug-level 6
  6. サーバーおよびクライアント:認証問題が発生しているユーザーの SSSD キャッシュの検証オブジェクトでは、LDAP データベースを迂回せず、SSSD がすでにキャッシュされています。

    [root@server ~]# sssctl cache-expire -u idmuser
    [root@client ~]# sssctl cache-expire -u idmuser
  7. サーバーおよびクライアント:古い SSSD ログを削除して、トラブルシューティングのデータセットを最小限に抑える。

    [root@server ~]# sssctl logs-remove
    [root@server ~]# sssctl logs-remove
  8. クライアント上:認証問題が発生し、試行前後にタイムスタンプを収集する際に、ユーザーが認証問題が発生しようと試みます。これらのタイムスタンプは、データセットのスコープをさらに絞り込むことができます。

    [root@client sssd]# date; su idmuser; date
    Mon Mar 29 16:20:13 EDT 2021
    su: user idmuser does not exist
    Mon Mar 29 16:20:14 EDT 2021
  9. (任意) サーバーおよびクライアント上:詳細な SSSD ログの収集を続行しない場合は、デバッグレベルを下げます。

    [root@server ~]# sssctl debug-level 0
    [root@client ~]# sssctl debug-level 0
  10. サーバーおよびクライアント:障害のある要求に関する情報を SSSD ログで確認します。

    1. クライアントログのクライアントからの要求を確認します。
    2. サーバーログのクライアントからの要求を確認します。
    3. サーバーログでリクエストの結果を確認します。
    4. サーバーからリクエストの結果を受信するクライアントの結果を確認します。
  11. 認証問題の原因を判断できない場合は、以下を行います。

    1. IdM サーバーおよび IdM クライアントで最近生成した SSSD ログを収集します。ホスト名またはロールに応じてラベルを付けます。

      [root@server ~]# sssctl logs-fetch sssd-logs-server-Mar29.tar
      [root@client ~]# sssctl logs-fetch sssd-logs-client-Mar29.tar
    2. Red Hat テクニカルサポートケースを作成し、以下を提供します。

      1. SSSD デバッグログ:

        1. サーバーから sssd-logs-server-Mar29.tar
        2. クライアントからの sssd-logs-client-Mar29.tar
      2. ログに対応する要求のタイムスタンプおよびユーザー名を含むコンソールの出力。

        [root@client sssd]# date; su idmuser; date
        Mon Mar 29 16:20:13 EDT 2021
        su: user idmuser does not exist
        Mon Mar 29 16:20:14 EDT 2021

13.10. SSSD バックエンドでのクライアント要求の追跡

SSSD は要求を非同期に処理します。別の要求のメッセージが同じログファイルに追加されるため、一意の要求識別子とクライアント ID を使用して、バックエンドログ内のクライアント要求を追跡できます。一意のリクエスト識別子は、RID#<integer> の形式でデバッグログに追加され、クライアント ID はフォーム [CID #<integer] に追加されます。これにより、個々の要求に関連するログを分離でき、複数の SSSD コンポーネントからのログファイル全体でリクエストを最初から最後まで追跡できます。

前提条件

  • デバッグロギングを有効にし、IdM クライアントから要求が送信されている。
  • SSSD ログファイルの内容を表示するための root 権限を持っている。

手順

  1. SSSD ログファイルを確認するには、less ユーティリティーを使用してログファイルを開きます。たとえば、/var/log/sssd/sssd_example.com.log を表示するには、次のコマンドを実行します。

    [root@server ~]# less /var/log/sssd/sssd_example.com.log
  2. クライアント要求に関する情報は、SSSD ログを確認します。

    (2021-07-26 18:26:37): [be[testidm.com]] [dp_req_destructor] (0x0400): [RID#3] Number of active DP request: 0
    (2021-07-26 18:26:37): [be[testidm.com]] [dp_req_reply_std] (0x1000): [RID#3] DP Request AccountDomain #3: Returning [Internal Error]: 3,1432158301,GetAccountDomain() not supported
    (2021-07-26 18:26:37): [be[testidm.com]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#4] DP Request Account #4: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
    (2021-07-26 18:26:37): [be[testidm.com]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#4] Number of active DP request: 1

    SSSD ログファイルからのこの出力例は、2 つの異なる要求について一意の識別子の RID#3 および RID#4 を示しています。

ただし、SSSD クライアントインターフェイスへの 1 つのクライアント要求が、バックエンドで複数の要求をトリガーすることが多いため、クライアント要求とバックエンドの要求との間に 1 対 1 の相関関係がなくなります。バックエンド内の複数のリクエストには異なる RID 番号がありますが、最初の各バックエンドリクエストには一意のクライアント ID が含まれているため、管理者は単一のクライアントリクエストに対して複数の RID 番号を追跡できます。

以下の例は、1 つのクライアントリクエスト [sssd.nss CID #1] と、バックエンドで生成された複数のリクエスト ([RID#5] から [RID#13]) を示しています。

(2021-10-29 13:24:16): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#5] DP Request [Account #5]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
(2021-10-29 13:24:16): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#6] DP Request [AccountDomain #6]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
(2021-10-29 13:24:16): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#7] DP Request [Account #7]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
(2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#8] DP Request [Initgroups #8]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
(2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#9] DP Request [Account #9]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
(2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#10] DP Request [Account #10]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
(2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#11] DP Request [Account #11]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
(2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#12] DP Request [Account #12]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].
(2021-10-29 13:24:17): [be[ad.vm]] [dp_attach_req] (0x0400): [RID#13] DP Request [Account #13]: REQ_TRACE: New request. [sssd.nss CID #1] Flags [0x0001].

13.11. ログアナライザーツールを使用したクライアント要求の追跡

System Security Services Daemon (SSSD) には、複数の SSSD コンポーネントからのログファイル全体でリクエストを最初から最後まで追跡するために使用できるログ解析ツールが含まれています。

13.11.1. ログアナライザツールのしくみ

ログ解析ツールを使用すると、複数の SSSD コンポーネントからのログファイル全体で SSSD リクエストを最初から最後まで追跡できます。sssctl analyze コマンドを使用してアナライザーツールを実行します。

ログアナライザツールは、SSSD の NSS および PAM の問題をトラブルシューティングし、SSSD デバッグログをより簡単に確認するのに役立ちます。SSSD プロセス全体の特定のクライアントリクエストにのみ関連する SSSD ログを抽出して出力できます。

SSSD は、ユーザー認証 (sussh) 情報とは別に、ユーザーおよびグループの ID 情報 (idgetent) を追跡します。NSS レスポンダのクライアント ID(CID) は PAM レスポンダーの CID とは独立しており、NSS と PAM のリクエストを解析すると重複した数値が表示されます。--pam オプションを sssctl analyze コマンドとともに使用して、PAM リクエストを確認します。

注記

SSSD メモリーキャッシュから返されたリクエストはログに記録されず、ログアナライザツールで追跡できません。

関連情報

  • sudo sssctl analyze request --help
  • sudo sssctl analyze --help
  • sssd.conf man ページ
  • sssctl の man ページ

13.11.2. ログアナライザツールの実行

ログアナライザーツールを使用して SSSD でクライアントリクエストを追跡するには、次の手順に従います。

前提条件

  • ログ解析機能を有効にするには、/etc/sssd/sssd.conf ファイルの [$responder] セクション、および [domain/$domain] セクションで debug_level を 7 以上に設定する必要がある。
  • 分析するログは、libtevent チェーン ID をサポートする互換性のあるバージョンの SSSD、つまり RHEL 8.5 以降の SSSD からのものである必要がある。

手順

  1. ログアナライザツールを list モードで実行して、追跡しているリクエストのクライアント ID を特定し、-v オプションを追加して詳細な出力を表示します。

    # sssctl analyze request list -v

    SSSD に対して行われた最近のクライアントリクエストの詳細なリストが表示されます。

    注記

    PAM リクエストを分析する場合は、sssctl analyze request list コマンドを -pam オプション付きで実行します。

  2. show [unique client ID] オプションを指定してログアナライザツールを実行し、指定したクライアント ID 番号に関連するログを表示します。

    # sssctl analyze request show 20
  3. 必要に応じて、ログファイルに対してログアナライザツールを実行できます。次に例を示します。

    # sssctl analyze request --logdir=/tmp/var/log/sssd

関連情報

  • sssctl analyze request list --help
  • sssctl analyze request show --help
  • sssctl の man ページ。

13.12. 関連情報

第14章 シングルサインオン用のアプリケーションの設定

シングルサインオン (SSO) は、1 回のログイン手順で複数のシステムにログインできる認証スキームです。ユーザーの認証手段として、Kerberos チケット、SSL 認定、またはトークンを使用するように、ブラウザーとメールクライアントを設定できます。

アプリケーションによって設定が異なる場合があります。本章では、Mozilla Thunderbird メールクライアントおよび Mozilla Firefox Web ブラウザーに SSO 認証スキーマを設定する方法を例として説明します。

14.1. 前提条件

  • 以下のアプリケーションをインストールしている。

    • Mozilla Firefox バージョン 88
    • Mozilla Thunderbird バージョン 78

14.2. シングルサインオンに Kerberos を使用するように Firefox を設定する

Firefox は、イントラネットサイトやその他の保護された Web サイトへのシングルサインオン (SSO) に Kerberos を使用するように設定できます。これを行うには、最初に、Kerberos 認証情報を適切な鍵配布センター (KDC) に送信するように Firefox を設定する必要があります。

注記

Firefox が Kerberos 認証情報を渡すように設定した後でも、有効な Kerberos チケットが必要になります。Kerberos チケットを生成するには、kinit コマンドを使用して、KDC 上のユーザーのユーザーパスワードを指定します。

[jsmith@host ~] $ kinit
Password for jsmith@EXAMPLE.COM:

手順

  1. Firefox のアドレスバーに about:config と入力し、現在の設定オプションのリストを表示します。
  2. Filter フィールドに negotiate と入力して、オプションのリストを制限します。
  3. network.negotiate-auth.trusted-uris のエントリーをダブルクリックします。
  4. 先行ピリオド (.) を含む、認証に使用するドメイン名を入力します。複数のドメインを追加する場合は、ドメインをコンマ区切りで入力します。

    図14.1 Firefox の手動設定

    kerberos firefox

関連情報

14.3. Firefox で証明書の表示

以下の例は、Mozilla Firefox で証明書を表示する方法を示しています。

Firefox で証明書を表示するには、Certificate Manager を開く必要があります。

手順

  1. Mozilla Firefox で Firefox メニューを開き、Preferences を選択します。

    Firefox の設定
  2. 左側のウィンドウで、Privacy & Security セクションを選択します。

    プライバシーとセキュリティー
  3. Certifications までスクロールします。
  4. View Certificates を選択して、Certificate Manager を開きます。

    firefox ビュー証明書

14.4. Firefox で CA 証明書のインポート

以下の例は、Mozilla Firefox で証明書をインポートする方法を示しています。

前提条件

  • デバイスに CA 証明書がある。

CA 証明書をインポートするには、以下を実行します。

手順

  1. Certificate Manager を開きます。
  2. Authorities を選択し、Import をクリックします。

    図14.2 Firefox での CA 証明書のインポート

    firefox のインポート証明書
  3. デバイスからダウンロードした CA 証明書を選択します。

14.5. Firefox で証明書の信頼設定の編集

以下の例は、Mozilla Firefox で証明書設定を編集する方法を示しています。

前提条件

  1. 証明書が正常にインポートされました。

証明書のトラスト設定を設定するには、以下を行います。

手順

  1. Certificate Manager を開きます。
  2. Authe タブで、適切な証明書を選択し、Edit Trust をクリックします。
  3. 証明書トラスト設定を編集します。

    図14.3 Firefox での証明書トラスト設定の編集

    firefox 編集証明書

14.6. Firefox で認証用の個人証明書のインポート

以下の例は、Mozilla Firefox で認証用に個人証明書をインポートする方法を示しています。

前提条件

  1. デバイスに個人証明書が保存されている。

認証に個人証明書を使用するには、以下を実行します。

手順

  1. Certificate Manager を開きます。
  2. Your Certificates を選択し、Import をクリックします。

    図14.4 Firefox での認証用の個人証明書のインポート

    firefox インポートのカスタム証明書
  3. コンピューターから適切な証明書を選択します。

14.7. Thunderbird で証明書の表示

以下の例は、Mozilla Thunderbird メールクライアントで証明書を表示する方法を示しています。

手順

  1. Mozilla Thunderbird で、メインメニューを開き、Preference を選択します。

    図14.5 メニューから環境設定を選ぶ

    プライバシーとセキュリティー
  2. 左側のウィンドウで、Privacy & Security セクションを選択します。

    図14.6 セキュリティーセクションの選択

    プライバシーとセキュリティー
  3. Certifications までスクロールします。
  4. Manage Certificatesを選択して、Certificate Manager を開きます。

    図14.7 証明書マネージャーの起動

    プライバシーとセキュリティー

14.8. Thunderbird で証明書のインポート

以下の例は、Mozilla Thunderbird メールクライアントで証明書をインポートする方法を示しています。

前提条件

  • デバイスに CA 証明書が保存されている。

CA 証明書をインポートするには、以下を実行します。

手順

  1. Certificate Manager を開きます。
  2. Authorities を選択し、Import をクリックします。

    図14.8 Thunderbird で CA 証明書のインポート

    thunderbird インポート証明書
  3. ダウンロードした CA 証明書を選択します。

14.9. Thunderbird で証明書の信頼設定の編集

以下の例は、Mozilla Thunderbird メールクライアントで証明書設定を編集する方法を示しています。

前提条件

  • 証明書が正常にインポートされました。

証明書信頼関係を設定するには、以下を行います。

手順

  1. Certificate Manager を開きます。
  2. Authe タブで、適切な証明書を選択し、Edit Trust をクリックします。
  3. 証明書トラスト設定を編集します。

    図14.9 Thunderbird で証明書の信頼設定の編集

    thunderbird edit cert

14.10. Thunderbird で個人証明書のインポート

以下の例は、Mozilla Thunderbird メールクライアントで個人認証用の証明書をインポートする方法を示しています。

前提条件

  1. デバイスに個人証明書が保存されている。

認証に個人証明書を使用するには、以下を実行します。

手順

  1. Certificate Manager を開きます。
  2. Your Certificates タブで、Import をクリックします。

    図14.10 Thunderbird で認証用の個人証明書のインポート

    thunderbird import custom cert
  3. お使いのコンピューターから必要な証明書を選択します。
  4. Certificate Manager を閉じます。
  5. メインメニューを開き、Account Settings を選択します。

    図14.11 メニューからアカウント設定の選択

    thunderbird アカウントの設定
  6. アカウントのメールアドレスの下にある左側のパネルで End-To-End Encryption を選択します。

    エンドツーエンドの暗号化セクションの選択

    エンドツーエンドの thunderbird
  7. S/MIME で、最初の Select を選択して、メッセージの署名に使用する個人証明書を選択します。
  8. S/MIME で、2 番目の Select を選択して、メッセージの暗号化と復号を行う個人証明書を選択します。

    署名および暗号化/復号に使用する証明書の選択

    thunderbird select personal cert
注記

有効な証明書を読み込むことを忘れた場合は、Manage S/MIME certificates を使用して Certificate Manager を直接開くことができます。

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