インストールメディアからの RHEL の対話型インストール


Red Hat Enterprise Linux 9

グラフィカルインストーラーを使用してローカルシステムに RHEL をインストールする

Red Hat Customer Content Services

概要

グラフィカルインストーラーを使用して、システムに 1 つずつ RHEL をインストールできます。グラフィカルインターフェイスを使用する場合は、この方法を使用して、1 台または少数のシステムに RHEL をインストールします。インストールソースとして、インストールメディア、ISO ファイル、または Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) を使用できます。

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パート I. RHEL インストールの準備

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) をインストールする前に、システムが必要なハードウェアおよびアーキテクチャーの要件を満たしていることを確認してください。さらに、インストールメディアをカスタマイズしたり、環境に合わせてブート可能なメディアを作成したりすることで、インストールエクスペリエンスを最適化することもできます。RHEL システムを Red Hat に登録すると、更新とサポートにアクセスでき、システムの安定性とセキュリティーが向上します。UEFI セキュアブートを使用するシステムでは、特に RHEL ベータリリースをインストールまたは起動するときに、特別な注意が必要になる場合があります。

第1章 システム要件とサポート対象のアーキテクチャー

Red Hat Enterprise Linux 9 は、より少ない労力でより迅速にワークロードを提供するために必要なツールを使用して、ハイブリッドクラウドのデプロイメントにまたがって、安定した安全で一貫性のある基盤を提供します。RHEL は、対応しているハイパーバイザー環境やクラウドプロバイダー環境にゲストとしてデプロイすることも、物理インフラストラクチャーにデプロイすることもできるため、アプリケーションは、主要なハードウェアアーキテクチャープラットフォームの革新的な機能を利用できます。

インストールする前に、システム、ハードウェア、セキュリティー、メモリー、および RAID に関するガイドラインを確認してください。

システムを仮想ホストとして使用する場合は、仮想化に必要なハードウェア要件 を確認してください。

Red Hat Enterprise Linux では、次のアーキテクチャーに対応します。

  • AMD アーキテクチャーおよび Intel 64 ビットアーキテクチャー
  • 64 ビット ARM アーキテクチャー
  • IBM Power Systems (リトルエンディアン)
  • 64 ビット IBM Z アーキテクチャー

1.1. インストール先として対応しているターゲット

インストールターゲットは、Red Hat Enterprise Linux を格納し、システムを起動するストレージデバイスです。Red Hat Enterprise Linux は、IBMZ、IBM Power、AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM システムで、次のインストールターゲットをサポートしています。

  • DASD、SCSI、SATA、SAS などの標準的な内部インターフェイスで接続されたストレージ
  • Intel64、AMD64、および arm64 アーキテクチャー上の BIOS/ファームウェア RAID デバイス
  • nd_pmem ドライバーがサポートする、セクターモードに設定された Intel 64 および AMD64 アーキテクチャー上の NVDIMM デバイス
  • DASD (IBM Z アーキテクチャーのみ) や SCSI LUN (マルチパスデバイスを含む) などのファイバーチャネルホストバスアダプターを介して接続されたストレージ。ベンダー提供のドライバーが必要になる場合があります。
  • Xen 仮想マシンの Intel のプロセッサーの Xen ブロックデバイス
  • KVM 仮想マシンの Intel のプロセッサーの VirtIO ブロックデバイス

Red Hat では、USB ドライブや SD メモリーカードへのインストールはサポートしていません。サードパーティーによる仮想化技術のサポートは、Red Hat Hardware Compatibility List を参照してください。

1.2. ディスクおよびメモリーの要件

複数のオペレーティングシステムがインストールされている場合は、割り当てられたディスク領域が Red Hat Enterprise Linux で必要なディスク領域とは異なることを確認することが重要です。場合によっては、特定のパーティションを Red Hat Enterprise Linux 専用にすることが重要になります。たとえば、AMD64、Intel 64、および 64 ビット ARM の場合は、少なくとも 2 つのパーティション (/ および swap) を RHEL 専用にする必要があります。IBM Power Systems サーバーの場合は、少なくとも 3 つのパーティション (/swap、および PReP ブートパーティション) を RHEL 専用にする必要があります。

さらに、使用可能なディスク容量が最低 10 GiB 必要です。Red Hat Enterprise Linux をインストールするには、パーティションが分割されていないディスク領域か、削除できるパーティション内に、最低 10 GiB の容量が必要です。詳細は、パーティション設定のリファレンス を参照してください。

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表1.1 最小 RAM 要件
インストールタイプ最小 RAM

ローカルメディアによるインストール (USB, DVD)

  • aarch64、IBM Z、および x86_64 アーキテクチャー: 1.5 GiB
  • ppc64le アーキテクチャー: 3 GiB

NFS ネットワークインストール

  • aarch64、IBM Z、および x86_64 アーキテクチャー: 1.5 GiB
  • ppc64le アーキテクチャー: 3 GiB

HTTP、HTTPS、または FTP ネットワークインストール

  • IBM Z および x86_64 アーキテクチャー: 3 GiB
  • aarch64 および ppc64le アーキテクチャー: 4 GiB

最小要件よりも少ないメモリーでもインストールを完了できます。正確な要件は、環境とインストールパスにより異なります。さまざまな構成をテストして、環境に必要な最小 RAM を特定してください。キックスタートファイルを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合も、最小 RAM 要件は標準インストールと同じです。ただし、キックスタートファイルに追加のメモリーを必要とするコマンド、または RAM ディスクにデータを書き込むコマンドが含まれている場合は、追加の RAM が必要になることがあります。詳細は、RHEL の自動インストール を参照してください。

1.3. グラフィックスディスプレイの解像度要件

Red Hat Enterprise Linux をスムーズにエラーなしにインストールするには、システムに次の最小解像度が必要です。

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表1.2 ディスプレイ解像度
製品バージョン解決方法

Red Hat Enterprise Linux 9

最小: 800 x 600

推奨: 1026 x 768

1.4. UEFI セキュアブートとベータ版リリースの要件

UEFI セキュアブートが有効になっているシステムに Red Hat Enterprise Linux のベータ版リリースをインストールする予定がある場合は、UEFI セキュアブートオプションを無効にしてから、インストールを開始します。

UEFI セキュアブートでは、オペレーティングシステムのカーネルが、対応する公開鍵を使用してシステムのファームウェアが検証する、認識済みの秘密鍵で署名されている必要があります。Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースの場合には、カーネルは Red Hat ベータ版固有の公開鍵で署名されていますが、この鍵はデフォルトではシステムで認識できません。その結果、インストールメディアの起動にも失敗します。

第2章 RHEL システムを Red Hat に登録する方法

登録することで、システムと Red Hat 間で認可済みの接続が確立されます。Red Hat は、登録されたシステム (物理マシンか仮想マシンかを問わず) に、システムを識別および認証する証明書を発行して、Red Hat から保護されたコンテンツ、ソフトウェア更新、セキュリティーパッチ、サポート、および管理サービスをシステムが受けられるようにします。

有効なサブスクリプションを使用すると、以下の方法で Red Hat Enterprise Linux (RHEL) システムを登録できます。

  • インストーラーのグラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) またはテキストユーザーインターフェイス (TUI) を使用して、インストールプロセス中に登録する
  • インストール後にコマンドライン (CLI) を使用して登録する
  • インストール時またはインストール後に自動的にキックスタートスクリプトまたはアクティベーションキーを使用する

システムを登録する特定の手順は、使用している RHEL のバージョンと、選択した登録方法によって異なります。

システムを Red Hat に登録すると、システムの管理とレポートデータに使用できる機能が有効になります。たとえば、登録済みシステムには、Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) または Red Hat Satellite Server を介して、サブスクライブした製品向けの、保護されたコンテンツリポジトリーにアクセスする権限が与えられます。これらのコンテンツリポジトリーには、アクティブなサブスクリプションを持つお客様のみが利用できる Red Hat ソフトウェアパッケージと更新が含まれています。これらのパッケージおよび更新には、RHEL およびその他の Red Hat 製品のセキュリティーパッチ、バグ修正、新機能が含まれます。

重要

エンタイトルメントベースのサブスクリプションモデルは非推奨となり、将来廃止される予定です。Simple Content Access がデフォルトのサブスクリプションモデルになりました。これにより、システムの Red Hat サブスクリプションコンテンツにアクセスする前に、そのシステムにサブスクリプションを割り当てる必要がなくなり、サブスクリプションエクスペリエンスが向上します。お使いの Red Hat アカウントでエンタイトルメントベースのサブスクリプションモデルを使用している場合は、Red Hat アカウントチーム (テクニカルアカウントマネージャー (TAM) やソリューションアーキテクト (SA) など) に問い合わせて、Simple Content Access への移行の準備をしてください。詳細は、Transition of subscription services to the hybrid cloud を参照してください。

第3章 インストールメディアのカスタマイズ

詳細は、RHEL システムイメージのカスタマイズ を参照してください。

第4章 起動可能な RHEL 用インストールメディアの作成

カスタマーポータル から ISO ファイルをダウンロードして、USB や DVD などの起動可能な物理インストールメディアを準備できます。RHEL 8 以降、Red Hat は Server 用と Workstation 用の個別のバリアントを提供しなくなりました。Red Hat Enterprise Linux for x86_64 には、Server 機能と Workstation 機能の両方が含まれています。Server および Workstation の区別は、インストールまたは設定プロセス中にシステム目的ロールを通じて管理されます。

カスタマーポータルから ISO ファイルをダウンロードした後、USB や DVD などの起動可能な物理インストールメディアを作成して、インストールプロセスを続行します。

USB ドライブが禁止されているセキュアな環境では、Image Builder を使用して参照イメージを作成し、デプロイすることを検討してください。この方法により、システムの整合性を維持しながらセキュリティーポリシーへの準拠を確保できます。詳細は、Image Builder のドキュメント を参照してください。

4.1. インストール起動用メディアオプション

Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを起動する方法はいくつかあります。

フルインストール用 DVD または USB フラッシュドライブ
DVD ISO イメージを使用して、フルインストールの DVD または USB フラッシュドライブを作成します。ソフトウェアパッケージをインストールする場合は、DVD または USB フラッシュドライブを、ブートデバイスおよびインストールソースとして使用できます。
最小インストール用の DVD、CD、または USB フラッシュドライブ
最小インストール用 CD、DVD、または USB フラッシュドライブは、Boot ISO イメージを使用して作成されます。これには、システムを起動し、インストールプログラムを開始するのに最低限必要なファイルのみが含まれます。コンテンツ配信ネットワーク (CDN) を使用して必要なソフトウェアパッケージをダウンロードする場合は、Boot ISO イメージに、必要なソフトウェアパッケージを含むインストールソースが必要です。

4.2. 起動可能な DVD の作成

起動可能なインストール DVD は、ディスク書き込みソフトウェアや DVD バーナーを使用して作成できます。ISO イメージファイルから DVD を作成する手順は、オペレーティングシステムや、インストールされているディスク書き込みソフトウェアにより大きく異なります。DVD への ISO イメージファイルの書き込み方法は、お使いの書き込みソフトウェアのドキュメントを参照してください。

警告

起動可能な DVD は、DVD ISO イメージ (フルインストール) または Boot ISO イメージ (最小インストール) のいずれかを使用して作成できます。ただし、DVD ISO イメージが 4.7 GB より大きくなり、1 層または 2 層 DVD に収まらない場合があります。作業を続行する前に、DVD ISO イメージファイルのサイズを確認してください。DVD ISO イメージを使用して起動可能なインストールメディアを作成する場合は、USB フラッシュドライブを使用してください。USB ドライブが禁止されている環境の場合は、Image Builder のドキュメント を参照してください。

4.3. Linux で起動可能な USB デバイスの作成

起動可能な USB デバイスを作成し、それを使用して他のマシンに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。この手順では、警告なしに USB ドライブ上の既存のデータが上書きされます。データをバックアップするか、空のフラッシュドライブを使用してください。起動可能な USB ドライブは、データの保存には使用できません。

前提条件

  • Product Downloads ページからフルインストール用の DVD ISO または最小インストール用の Boot ISO イメージをダウンロードした。
  • ISO イメージに十分な容量の USB フラッシュドライブがある。必要なサイズはさまざまですが、推奨される USB サイズは 8 GB です。

手順

  1. USB フラッシュドライブをシステムに接続します。
  2. ターミナルウィンドウを開き、最近のイベントのログを表示します。

    $ dmesg|tail
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    このログの下部に、接続している USB フラッシュドライブから出力されたメッセージが表示されます。接続したデバイスの名前を記録してください。

  3. root ユーザーとしてログインします。

    $ su -
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    プロンプトに従い root パスワードを入力します。

  4. ドライブに割り当てられているデバイスノードを見つけます。この例で使用されているドライブの名前は sdd です。

    # dmesg|tail
    [288954.686557] usb 2-1.8: New USB device strings: Mfr=0, Product=1, SerialNumber=2
    [288954.686559] usb 2-1.8: Product: USB Storage
    [288954.686562] usb 2-1.8: SerialNumber: 000000009225
    [288954.712590] usb-storage 2-1.8:1.0: USB Mass Storage device detected
    [288954.712687] scsi host6: usb-storage 2-1.8:1.0
    [288954.712809] usbcore: registered new interface driver usb-storage
    [288954.716682] usbcore: registered new interface driver uas
    [288955.717140] scsi 6:0:0:0: Direct-Access     Generic  STORAGE DEVICE   9228 PQ: 0 ANSI: 0
    [288955.717745] sd 6:0:0:0: Attached scsi generic sg4 type 0
    [288961.876382] sd 6:0:0:0: sdd Attached SCSI removable disk
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  5. 挿入された USB デバイスが自動的にマウントされる場合は、次の手順に進む前にマウントを解除してください。アンマウントするには、umount コマンドを使用します。詳細は、umount を使用したファイルシステムのアンマウント を参照してください。
  6. ISO イメージを USB デバイスに直接書き込みます。

    # dd if=/image_directory/image.iso of=/dev/device
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    • /image_directory/image.iso を、ダウンロードした ISO イメージファイルへのフルパスに置き換えます。
    • device を、dmesg コマンドで取得したデバイス名に置き換えます。

      この例では、ISO イメージのフルパスが /home/testuser/Downloads/rhel-9-x86_64-boot.iso で、検出されたデバイス名が sdd です。

      # dd if=/home/testuser/Downloads/rhel-9-x86_64-boot.iso of=/dev/sdd
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      パーティション名は、通常、数字の接尾辞が付いたデバイス名です。たとえば、sdd がデバイス名の場合、デバイス sdd 上のパーティションの名前は、sdd1 になります。

  7. dd コマンドがデバイスへのイメージの書き込みを終了するのを待ちます。sync コマンドを実行して、キャッシュされた書き込みをデバイスに同期します。データ転送が完了すると、# プロンプトが表示されます。プロンプトが表示されたら、root アカウントからログアウトし、USB ドライブを取り外します。これで、USB ドライブをブートデバイスとして使用できるようになりました。

4.4. Windows で起動可能な USB デバイスの作成

さまざまなツールを使用して、Windows システムに起動可能な USB デバイスを作成できます。https://github.com/FedoraQt/MediaWriter/releases からダウンロードできる Fedora Media Writer を使用できます。Fedora Media Writer はコミュニティー製品であるため、Red Hat のサポート対象外となります。このツールの問題は、https://github.com/FedoraQt/MediaWriter/issues から報告できます。

起動可能なドライブを作成すると、警告なしに USB ドライブ上の既存のデータが上書きされます。データをバックアップするか、空のフラッシュドライブを使用してください。起動可能な USB ドライブは、データの保存には使用できません。

前提条件

  • Product Downloads ページからフルインストール用の DVD ISO または最小インストール用の Boot ISO イメージをダウンロードした。
  • ISO イメージに十分な容量の USB フラッシュドライブがある。必要なサイズはさまざまです。

手順

  1. https://github.com/FedoraQt/MediaWriter/releases から Fedora Media Writer をダウンロードしてインストールします。
  2. USB フラッシュドライブをシステムに接続します。
  3. Fedora Media Writer を開きます。
  4. メイン画面で Custom Image をクリックして、ダウンロードしておいた Red Hat Enterprise Linux ISO イメージを選択します。
  5. Write Custom Image 画面で、使用するドライブを選択します。
  6. Write to disk をクリックします。起動用メディアの作成プロセスが開始します。プロセスが完了するまでドライブを抜かないでください。ISO イメージのサイズや、USB ドライブの書き込み速度により、この操作には数分かかる場合があります。
  7. 操作が完了したら、USB ドライブをアンマウントします。これで USB ドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。

4.5. macOS で起動可能な USB デバイスの作成

起動可能な USB デバイスを作成し、それを使用して他のマシンに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。起動可能な USB ドライブを作成すると、USB ドライブに以前保存されたデータがすべて警告なしに上書きされます。データをバックアップするか、空のフラッシュドライブを使用してください。起動可能な USB ドライブは、データの保存には使用できません。

前提条件

  • Product Downloads ページからフルインストール用の DVD ISO または最小インストール用の Boot ISO イメージをダウンロードした。
  • ISO イメージに十分な容量の USB フラッシュドライブがある。必要なサイズはさまざまです。

手順

  1. USB フラッシュドライブをシステムに接続します。
  2. diskutil list コマンドでデバイスパスを特定します。デバイスパスの形式は /dev/disknumber です。number はディスクの数になります。ディスク番号は、ゼロ (0) から始まります。通常、disk0 は OS X リカバリーディスク、disk1 はメインの OS X インストールになります。以下の例では、disk2 が USB デバイスです。

    $ diskutil list
    /dev/disk0
    #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
    0:      GUID_partition_scheme                        *500.3 GB   disk0
    1:                        EFI EFI                     209.7 MB   disk0s1
    2:          Apple_CoreStorage                         400.0 GB   disk0s2
    3:                 Apple_Boot Recovery HD             650.0 MB   disk0s3
    4:          Apple_CoreStorage                         98.8 GB    disk0s4
    5:                 Apple_Boot Recovery HD             650.0 MB   disk0s5
    /dev/disk1
    #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
    0:                  Apple_HFS YosemiteHD             *399.6 GB   disk1
    Logical Volume on disk0s1
    8A142795-8036-48DF-9FC5-84506DFBB7B2
    Unlocked Encrypted
    /dev/disk2
    #:                       TYPE NAME                    SIZE       IDENTIFIER
    0:     FDisk_partition_scheme                        *8.1 GB     disk2
    1:               Windows_NTFS SanDisk USB             8.1 GB     disk2s1
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  3. NAME、TYPE、および SIZE の列をフラッシュドライブと比較し、USB フラッシュドライブを特定します。たとえば、NAME は、Finder ツールのフラッシュドライブアイコンのタイトルになります。この値は、フラッシュドライブの情報パネルの値と比較することもできます。
  4. フラッシュドライブのファイルシステムボリュームをアンマウントします。

    $ diskutil unmountDisk /dev/disknumber
    Unmount of all volumes on disknumber was successful
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    コマンドが完了すると、デスクトップからフラッシュドライブのアイコンが消えます。アイコンが消えない場合は、誤ったディスクを選択した可能性があります。誤ってシステムディスクのマウントを解除しようとすると、failed to unmount エラーが返されます。

  5. フラッシュドライブに ISO イメージを書き込みます。macOS は、各ストレージデバイスに対してブロック (/dev/disk*) とキャラクターデバイス (/dev/rdisk*) ファイルの両方を提供します。/dev/rdisknumber キャラクターデバイスにイメージを書き込む方が、/dev/disknumber ブロックデバイスに書き込むよりも高速です。たとえば、/Users/user_name/Downloads/rhel-9-x86_64-boot.iso ファイルを /dev/rdisk2 デバイスに書き込むには、以下のコマンドを実行します。

    # sudo dd if=/Users/user_name/Downloads/rhel-9-x86_64-boot.iso of=/dev/rdisk2 bs=512K status=progress
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    • if= - インストールイメージへのパス。
    • of= - ターゲットディスクを表す raw ディスクデバイス (/dev/rdisknumber)
    • bs=512K - データ転送を高速化するためにブロックサイズを 512 KB に設定します。
    • status=progress - 操作中に進行状況インジケーターを表示します。
  6. dd コマンドがデバイスへのイメージの書き込みを終了するのを待ちます。データ転送が完了すると、# プロンプトが表示されます。プロンプトが表示されたら、root アカウントからログアウトして、USB ドライブを取り外します。これで USB ドライブを起動デバイスとして使用する準備が整いました。

オペレーティングシステムのセキュリティーを強化するには、UEFI セキュアブートが有効になっているシステムで Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースを起動したときに、署名の検証に UEFI セキュアブート機能を使用します。

5.1. UEFI セキュアブートおよび RHEL ベータ版リリース

UEFI セキュアブートでは、オペレーティングシステムカーネルが、認識された秘密キーで署名されている必要があります。UEFI セキュアブートは、対応する公開キーを使用して署名を検証します。

Red Hat Enterprise Linux 8 のベータリリースの場合には、カーネルは Red Hat ベータ固有の秘密鍵で署名されます。UEFI セキュアブートは、対応する公開鍵を使用して署名を検証しようとしますが、このハードウェアはベータ版の秘密鍵を認識しないため、Red Hat Enterprise Linux ベータ版のリリースシステムは起動に失敗します。そのため、ベータリリースで UEFI セキュアブートを使用するには、MOK (Machine Owner Key) 機能を使用して Red Hat ベータ公開キーをシステムに追加します。

5.2. UEFI セキュアブートのベータ公開鍵の追加

このセクションでは、UEFI セキュアブート用に Red Hat Enterprise Linux ベータ版の公開鍵を追加する方法を説明します。

前提条件

  • システムで UEFI セキュアブートが無効になっています。
  • Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースがインストールされており、システムの再起動もセキュアブートが無効になっている。
  • システムにログインし、初期セットアップ 画面でタスクを完了します。

手順

  1. システムの Machine Owner Key (MOK) リストに Red Hat ベータ版の公開鍵の登録を開始します。

    # mokutil --import /usr/share/doc/kernel-keys/$(uname -r)/kernel-signing-ca.cer
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    $(uname -r) はカーネルバージョン (4.18.0-80.el8.x86_64 など) に置き換えられます。

  2. プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。
  3. システムを再起動し、任意のキーを押して起動を続行します。Shim UEFI キー管理ユーティリティーは、システム起動時に起動します。
  4. Enroll MOK を選択します。
  5. Continue を選択します。
  6. Yes を選択し、パスワードを入力します。この鍵はシステムのファームウェアにインポートされます。
  7. Reboot を選択します。
  8. システムでセキュアブートを有効にします。

5.3. ベータ版公開鍵の削除

Red Hat Enterprise Linux ベータ版リリースを削除し、Red Hat Enterprise Linux General Availability (GA) リリースをインストールするか、別のオペレーティングシステムをインストールする予定の場合は、ベータ版の公開鍵を削除します。

この手順では、ベータ版の公開鍵を削除する方法を説明します。

手順

  1. システムの Machine Owner Key (MOK) リストから Red Hat ベータ版の公開鍵の削除を開始します。

    # mokutil --reset
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. プロンプトが表示されたらパスワードを入力します。
  3. システムを再起動し、任意のキーを押して起動を続行します。Shim UEFI キー管理ユーティリティーは、システム起動時に起動します。
  4. Reset MOK を選択します。
  5. Continue を選択します。
  6. Yes を選択し、手順 2 で指定したパスワードを入力します。この鍵はシステムのファームウェアから削除されます。
  7. Reboot を選択します。

パート II. Red Hat Enterprise Linux の手動インストール

Red Hat Enterprise Linux (RHEL) をインストールするマシンをセットアップする際には、インストールメディアの起動やシステムオプションの設定など、いくつかの重要な手順を実行する必要があります。インストール ISO が起動すると、さまざまなコンソールとログを通じて起動設定を変更したり、インストールプロセスを監視したりできるようになります。インストール中にシステムをカスタマイズすることで、特定のニーズに合わせてシステムを調整できます。初期セットアッププロセスで、初回使用時の設定が完了します。

第6章 Kernel-based Virtual Machine の作成と仮想マシンでのインストール ISO の起動

Kernel-based Virtual Machine (KVM) を作成し、Red Hat Enterprise Linux のインストールを開始できます。

以下の手順は、仮想マシンへのインストール用の手順です。RHEL を物理システムにインストールする場合は、このセクションをスキップできます。

手順

  • KVM ホストで次の virt-install コマンドを使用して、KVM ゲストオペレーティングシステムとして Red Hat Enterprise Linux のインスタンスを使用する仮想マシンを作成します。

    $ virt-install --name=<guest_name> --disk size=<disksize_in_GB> --memory=<memory_size_in_MB> --cdrom <filepath_to_iso> --graphics vnc
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第7章 インストールメディアの起動

USB または DVD を使用して Red Hat Enterprise Linux のインストールを起動できます。

Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) を使用すると、RHEL を登録できます。CDN は地理的に分散された一連の Web サーバーです。これらのサーバーは、たとえば、有効なサブスクリプションを持つ RHEL ホストにパッケージや更新を提供します。

インストール中に、CDN から RHEL を登録してインストールすると、次のような利点があります。

  • インストール後すぐに最新のシステムで最新のパッケージを利用できます。
  • Red Hat Insights に接続し、システムの目的を有効にするための統合サポートを利用できます。
重要

RHEL 10 では、Defense Information Systems Agency (DISA) の Security Technical Implementation Guide (STIG) およびその他のセキュリティープロファイルにより、初回起動時に Federal Information Processing Standards (FIPS) モードが自動的に有効になりません。FIPS 準拠を維持するには、インストールを開始する前に、fips=1 カーネルブートオプションを追加するか、FIPS を明示的に有効にするキックスタート設定を使用して、FIPS モードを手動で有効にする必要があります。インストール前に FIPS が有効になっていない場合、これらのセキュリティープロファイルを使用して構築されるシステムが FIPS に準拠しない可能性があり、ユーザーが非準拠のシステムを意図せずにデプロイしてしまう可能性があります。コンプライアンスの問題を回避するために、グラフィカルベースまたはテキストベースのインストーラーを起動する前のブート段階で、FIPS を必ず有効にしてください。詳細は、FIPS モードへの RHEL の切り替え を 参照してください。

前提条件

  • 起動可能なインストールメディア (USB または DVD) を作成した。

手順

  1. Red Hat Enterprise Linux をインストールするシステムの電源を切ります。
  2. システムからドライブを切断します。
  3. システムの電源を入れます。
  4. 起動可能なインストールメディア (USB、DVD、または CD) を挿入します。
  5. システムの電源は切りますが、ブートメディアは取り出さないでください。
  6. システムの電源を入れます。
  7. メディアから起動するため特定のキーやキーの組み合わせを押さなければならない場合や、メディアから起動するようにシステムの BIOS (Basic Input/Output System) を設定しなければならない場合があります。詳細は、システムに同梱されているドキュメントをご覧ください。
  8. Red Hat Enterprise Linux ブート ウィンドウが開き、利用可能なさまざまなブートオプションが表示されます。
  9. キーボードの矢印キーを使用して必要なブートオプションを選択し、Enter キー を押してブートオプションを選択します。Red Hat Enterprise Linux へようこそ 画面が開き、グラフィカルユーザーインターフェイスを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。

    起動画面で、60 秒以内に何も行わないと、インストールプログラムが自動的に開始します。

  10. オプション: 利用可能なブートオプションを編集します。

    1. UEFI ベースのシステムの場合:E を押すと編集モードに入ります。事前定義済みのコマンドラインを変更して、ブートオプションを追加または削除します。Enter キーを押して、選択を確認します。
    2. BIOS ベースのシステムの場合: キーボードの Tab キーを押して編集モードに入ります。事前定義済みのコマンドラインを変更して、ブートオプションを追加または削除します。Enter キーを押して、選択を確認します。

第8章 オプション: ブートオプションのカスタマイズ

x86_64 または ARM64 アーキテクチャーに RHEL をインストールする場合は、ブートオプションを編集して、特定の環境に応じてインストールプロセスをカスタマイズできます。

8.1. ブートオプション

ブートコマンドラインに、複数のオプションをスペースで区切って追加できます。インストールプログラム固有のブートオプションは、必ず inst で始まります。使用可能なブートオプションは次のとおりです。

等号 "=" 記号を使用するオプション
起動オプションに、= 記号を使用する値を指定する必要があります。たとえば、inst.vncpassword= オプションには値 (この場合はパスワード) を指定する必要があります。この例の正しい構文は inst.vncpassword=password です。
等号 "=" 記号を使用しないオプション
このブートオプションには、値やパラメーターを指定できません。たとえば、rd.live.check オプションでは、インストール開始前にインストールメディアの検証が強制されます。インストールプログラムは、このブートオプションが存在すると検証を実行します。ブートオプションが存在しないと、検証はスキップされます。

特定のメニューエントリーのブートオプションを次の方法でカスタマイズできます。

  • BIOS ベースのシステムの場合: Tab キーを押して、コマンドラインにカスタムの起動オプションを追加します。Esc キーを押して boot: プロンプトにアクセスすることもできますが、必要な起動オプションは事前設定されていません。この場合、他のブートオプションを使用する前に、必ず Linux オプションを指定する必要があります。詳細は、BIOS の boot: プロンプトの編集 を参照してください。
  • UEFI ベースのシステムの場合: e キーを押してコマンドラインにカスタムの起動オプションを追加します。準備ができたら Ctrl+X を押して、修正したオプションを起動します。

詳細は、UEFI ベースのシステムのブートオプションの編集 を参照してください。

8.2. BIOS で boot: プロンプトの編集

boot: プロンプトを使用すると、最初のオプションは、読み込むインストールプログラムのイメージファイルを常に指定する必要があります。ほとんどの場合、このイメージはキーワードを使用して指定できます。要件に応じて、追加オプションを指定できます。

前提条件

  • 起動可能なインストールメディア (USB、CD、または DVD) を作成している。
  • メディアからインストールを起動し、起動メニュー画面が開いている。

手順

  1. ブートメニューが開いたら、キーボードの Esc キーを押します。
  2. boot: プロンプトにアクセスできるようになります。
  3. キーボードの Tab キーを押して、ヘルプコマンドを表示します。
  4. キーボードの Enter キーを押して、オプションでインストールを開始します。boot: プロンプトから起動メニュー画面に戻るには、システムを再起動して、インストールメディアから再度起動します。

8.3. > プロンプトを使用して事前定義されたブートオプションの編集

BIOS ベースの AMD64 および Intel64 システムでは、> プロンプトを使用して、事前定義されたブートオプションを編集できます。

前提条件

  • 起動可能なインストールメディア (USB、CD、または DVD) を作成している。
  • メディアからインストールを起動し、起動メニュー画面が開いている。

手順

  1. ブートメニューでオプションを選択し、キーボードの Tab キーを押します。> プロンプトにアクセスし、利用可能なオプションを表示します。
  2. オプション: すべてのオプションを表示するには、Test this media and install RHEL 9 を選択します。
  3. > プロンプトに必要なオプションを追加します。

    たとえば、Federal Information Processing Standard (FIPS) 140 で義務付けられている暗号化モジュールのセルフチェックを有効にするには、fips=1 を追加します。

    >vmlinuz initrd=initrd.img inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-9-5-0-BaseOS-x86_64 rd.live.check quiet fips=1
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  4. Enter を押してインストールを開始します。
  5. Esc キーを押して編集をキャンセルし、ブートメニューに戻ります。

8.4. UEFI ベースのシステムのブートオプションの編集

RHEL のインストール中に、UEFI ベースのシステムで GRUB ブートメニューを編集してパラメーターをカスタマイズできます。これにより、インストールが必ず要件を満たすための特定の設定を行えます。

前提条件

  • 起動可能なインストールメディア (USB、CD、または DVD) を作成している。
  • メディアからインストールを起動し、起動メニュー画面が開いている。

手順

  1. ブートメニューウィンドウから必要なオプションを選択し、e を押します。
  2. UEFI システムでは、カーネルコマンドラインは linuxefi で始まります。カーソルを linuxefi カーネルコマンドラインの最後に移動します。
  3. 必要に応じてパラメーターを編集します。たとえば、Federal Information Processing Standard (FIPS) 140 で義務付けられている暗号化モジュールのセルフチェックを有効にするには、fips=1 を追加します。

    linuxefi /images/pxeboot/vmlinuz inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-9-4-0-BaseOS-x86_64 rd.live.\
    check quiet fips=1
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  4. 編集が終了したら、Ctrl + X を押して、指定したオプションを使用してインストールを開始します。

8.5. インストール時のドライバーの更新

Red Hat Enterprise Linux のインストールプロセス中にドライバーを更新できます。ドライバーの更新は完全に任意です。必要がない限り、ドライバーの更新を実行しないでください。Red Hat Enterprise Linux のインストール中にドライバーの更新が必要であることについて、Red Hat、ハードウェアベンダー、または信頼できるサードパーティーベンダーから通知を受けたことを確認してください。

8.5.1. 概要

Red Hat Enterprise Linux は、多数のハードウェアデバイス用のドライバーに対応していますが、新たにリリースしたドライバーには対応していない可能性があります。ドライバーの更新は、そのドライバーが対応していないために、インストールが完了できない場合に限り、実行する必要があります。インストール中にドライバーを更新することは、通常、特定の設定に対応する場合に限り必要になります。たとえば、システムのストレージデバイスへのアクセスを提供するストレージアダプター用ドライバーをインストールします。

警告

ドライバー更新ディスクは、競合するカーネルドライバーを無効にする場合があります。この方法でカーネルモジュールをアンロードすると、インストールエラーが発生することがあります。

8.5.2. ドライバー更新の種類

Red Hat、ハードウェアベンダー、信頼できるサードパーティーは、ドライバー更新を ISO イメージファイルとして提供します。ISO イメージファイルを受け取ったら、ドライバー更新の種類を選択してください。

ドライバー更新の種類

自動
このドライバー更新方法では、OEMDRV というラベルの付いたストレージデバイス (CD、DVD、USB フラッシュドライブなど) がシステムに物理的に接続されます。インストールの開始時に、OEMDRV ストレージデバイスが存在する場合は、それがドライバー更新ディスクのように扱われ、インストールプログラムはそのドライバーを自動的に読み込みます。
アシスト付き
このインストールプログラムは、ドライバーの更新を指定するように促します。OEMDRV 以外の任意のローカルストレージデバイスラベルを使用できます。インストールを開始するときに、inst.dd ブートオプションが指定されます。このオプションにパラメーターを付けずに使用すると、インストールプログラムはシステムに接続されているすべてのストレージデバイスを表示し、ドライバー更新を含むデバイスを選択するように促します。
手動
ドライバー更新イメージまたは RPM パッケージのパスを手動で指定します。OEMDRV 以外のラベルを持つ任意のローカルストレージ、またはインストールシステムからアクセス可能なネットワーク上の場所を使用できます。インストールを開始するときに、inst.dd=location ブートオプションを指定します。location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージへのパスです。このオプションを指定すると、インストールプログラムは特定の場所にあるドライバー更新を読み込みます。手動でドライバーを更新する場合は、ローカルストレージデバイス、またはネットワークの場所 (HTTP、HTTPS、または FTP サーバー) を指定できます。inst.dd=locationinst.dd の両方を同時に使用できます。location は、ドライバー更新ディスクまたは ISO イメージのパスになります。このシナリオでは、インストールプログラムは、その場所から、利用可能なドライバーの更新を読み込み、ドライバーの更新が含まれるデバイスを選択するように求められます。

制限

セキュアブート技術を使用する UEFI システムでは、すべてのドライバーが有効な証明書で署名されている必要があります。Red Hat ドライバーは、Red Hat の秘密鍵のいずれかで署名され、カーネルで対応する公開鍵により認証されます。追加で別のドライバーを読み込む場合は、それが署名されていることを確認してください。

8.5.3. ドライバー更新の準備

この手順では、CD および DVD でドライバー更新の準備を行う方法を説明します。

前提条件

  • Red Hat、ハードウェアベンダー、または信頼できるサードパーティーベンダーからドライバー更新の ISO イメージを受け取っている。
  • ドライバー更新の ISO イメージを CD または DVD に焼き付けている。
警告

CD または DVD で、.iso で終了する ISO イメージファイルが 1 つしか利用できない場合、書き込み処理は成功していません。CD または DVD に ISO イメージを作成する方法は、システムの書き込みソフトウェアのドキュメントを参照してください。

手順

  1. ドライバー更新用 CD または DVD をシステムの CD/DVD ドライブに挿入し、システムのファイルマネージャーツールで参照します。
  2. rhdd3 ファイルが 1 つ利用できることを確認します。rhdd3 は、ドライバーの説明が含まれる署名ファイルと、ディレクトリーの rpms です。このディレクトリーには、さまざまなアーキテクチャー用のドライバーが同梱される RPM パッケージが含まれます。

8.5.4. 自動ドライバー更新の実行

この手順では、インストール時にドライバーの自動更新を行う方法を説明します。

前提条件

  • OEMDRV ラベルの付いた標準のディスクパーティションにドライバーの更新イメージを置くか、OEMDRV ドライバー更新イメージを CD または DVD に作成します。RAID や LVM ボリュームなどの高度なストレージは、ドライバーの更新プロセス中はアクセスできない可能性があります。
  • インストールプロセスを開始する前に、ボリュームラベル OEMDRV が付いたブロックデバイスをシステムに接続しているか、事前に準備した CD または DVD をシステムの CD/DVD ドライブに挿入している。

手順

  • 前提条件の手順を完了すると、インストールプログラムの起動時にドライバーが自動的にロードされ、システムのインストールプロセス中にインストールされます。

8.5.5. アシスト付きドライバー更新の実行

この手順では、インストール時に、ドライバーのアシスト付き更新を行う方法を説明します。

前提条件

  • インストールプロセスを開始する前に、OEMDRV ボリュームラベルのないブロックデバイスをシステムに接続し、ドライバーディスクイメージをこのデバイスにコピーしたか、ドライバー更新の CD または DVD を準備して、システムの CD または DVD ドライブに挿入しました。
注記

ISO イメージファイルを CD または DVD に書き込むが、OEMDRV ボリュームラベルがない場合は、引数なしで inst.dd オプションを使用できます。インストールプログラムは、CD または DVD からドライバーをスキャンして選択するオプションを提供します。このシナリオでは、インストールプログラムから、ドライバー更新用 ISO イメージを選択するように求められません。別のシナリオでは、起動オプション inst.dd=location で CD または DVD を使用します。これにより、インストールプログラムが、ドライバー更新に CD または DVD を自動的にスキャンできるようになります。詳細は、手動によるドライバー更新の実行 を参照してください。

手順

  1. ブートメニューウィンドウで Tab キーを押して、ブートコマンドラインを表示します。
  2. 起動オプション inst.dd をコマンドラインに追加し、Enter を押して起動プロセスを実行します。
  3. メニューから、ローカルディスクパーティション、もしくは CD デバイスまたは DVD デバイスを選択します。インストールプログラムが ISO ファイル、またはドライバー更新 RPM パッケージをスキャンします。
  4. 必要に応じて、ドライバー更新 ISO ファイルを選択してください。

    選択したデバイスまたはパーティション (ドライバー更新 CD または DVD を含む光学ドライブなど) に、ISO イメージファイルではなく、ドライバー更新 RPM パッケージが含まれる場合は、この手順は必要ありません。

  5. 必要なドライバーを選択します。

    1. キーボードの数字キーを使用して、ドライバー選択を切り替えます。
    2. c を押して、選択したドライバーをインストールします。選択したドライバーが読み込まれ、インストールプロセスが始まります。

8.5.6. 手動によるドライバー更新の実行

この手順では、インストール時にドライバーを手動で更新する方法を説明します。

前提条件

  • ドライバー更新の ISO イメージファイルを USB フラッシュドライブまたは Web サーバーに配置し、コンピューターに接続しました。

手順

  1. ブートメニューウィンドウで Tab キーを押して、ブートコマンドラインを表示します。
  2. inst.dd=location 起動オプションをコマンドに追加します。場所は、ドライバー更新のファイルがある場所です。通常、イメージファイルは Web サーバー http://server.example.com/dd.iso など、または USB フラッシュドライブ /dev/sdb1 などに置きます。ドライバー更新を含む RPM パッケージ http://server.example.com/dd.rpm などを指定することもできます。
  3. Enter を押して、起動プロセスを実行してください。指定した場所で利用可能なドライバーが自動的に読み込まれ、インストールプロセスが始まります。

8.5.7. ドライバーの無効

この手順では、誤動作しているドライバーを無効にする方法を説明します。

前提条件

  • インストールプログラムブートメニューを起動している。

手順

  1. ブートメニューで Tab キーを押して、ブートコマンドラインを表示します。
  2. 起動オプション modprobe.blacklist=driver_name をコマンドラインに追加します。

    driver_name を、無効にするドライバーの名前に置き換えます。以下に例を示します。

    modprobe.blacklist=ahci
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    起動オプション modprobe.blacklist= を使用して無効にしたドライバーは、インストール済みシステムで無効になり、/etc/modprobe.d/anaconda-blacklist.conf ファイルに表示されます。

  3. Enter を押して、起動プロセスを実行してください。

第9章 インストール中のコンソールとロギング

Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、tmux 端末マルチプレクサーを使用して、メインのインターフェイスのほかに複数の画面を表示し、制御します。この画面は、それぞれ目的が異なり、インストールプロセス中に発生した問題をトラブルシューティングするのに使用できるさまざまなログを表示します。画面の 1 つでは、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用して明示的に無効にしない限り、root 権限で使用できる対話式シェルプロンプトを使用できます。

端末マルチプレクサーは、仮想コンソール 1 で実行しています。インストール環境を、tmux に変更する場合は、Ctrl+Alt+F1 を押します。仮想コンソール 6 で実行されているメインのインストールインターフェイスに戻るには、Ctrl+Alt+F6 を押します。テキストモードでインストールする場合は、仮想コンソール 1 (tmux) で起動し、コンソール 6 に切り替えると、グラフィカルインターフェイスではなくシェルプロンプトが開きます。

tmux を実行しているコンソールには、利用可能な画面が 5 つあります。その内容と、キーボードショートカットは、以下の表で説明します。キーボードショートカットは 2 段階となっており、最初に Ctrl+b を押し、両方のキーを離してから、使用する画面で数字キーを押す必要があります。

また、Ctrl+b nAlt+ Tab、および Ctrl+b p を使用して、次または前の tmux 画面に切り替えることもできます。

Expand
表9.1 利用可能な tmux 画面
ショートカット内容

Ctrl+b 1

メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。

Ctrl+b 2

root 権限のある対話式シェルプロンプト。

Ctrl+b 3

インストールログ - /tmp/anaconda.log に保存されているメッセージを表示します。

Ctrl+b 4

ストレージログ - /tmp/storage.log に保存されているストレージデバイスおよび設定に関連するメッセージを表示します。

Ctrl+b 5

プログラムログ - /tmp/program.log に保存されている、インストールプロセス時に実行するユーティリティーのメッセージを表示します。

第10章 インストーラーでのシステムのカスタマイズ

インストールのカスタマイズフェーズでは、Red Hat Enterprise Linux のインストールを有効にするために、特定の設定タスクを実行する必要があります。これらのタスクには、以下が含まれます。

  • ストレージを設定し、マウントポイントを割り当てます。
  • インストールするソフトウェアを含むベース環境を選択します。
  • root ユーザーのパスワードを設定するか、ローカルユーザーを作成します。

必要に応じて、システム設定を指定したり、ホストをネットワークに接続したりするなど、システムをさらにカスタマイズすることもできます。

10.1. インストーラーの言語の設定

インストールを開始する前に、インストールプログラムで使用する言語を選択できます。

前提条件

  • インストールメディアを作成した。
  • Boot ISO イメージファイルを使用してインストールソースを指定している。
  • インストールを起動している。

手順

  1. ブートメニューから Red hat Enterprise Linux オプションを選択すると、Welcome to Red Hat Enterprise Screen が表示されます。
  2. Welcome to Red Hat Enterprise Linux 画面の左側のペインで、言語を選択します。または、テキストボックスを使用して希望の言語を検索します。

    注記

    言語はデフォルトで事前に選択されています。ネットワークアクセスが設定されている、つまりローカルメディアではなくネットワークサーバーからシステムを起動した場合、事前選択の言語は、GeoIP モジュールの位置自動検出機能により決定します。起動コマンドラインまたは PXE サーバー設定で inst.lang= オプションを使用すると、起動オプションで定義した言語が選択されます。

  3. Red Hat Enterprise Linux へようこそ 画面の右側のペインから、お住まいの地域に合ったロケーションを選択してください。
  4. Continue をクリックして、グラフィカルインストールウィンドウに進みます。
  5. Red Hat Enterprise Linux のプレリリース版をインストールしようとしている場合は、インストールメディアのプレリリースステータスに関する警告メッセージが表示されます。

    1. インストールを続行するには、I want to proceed をクリックします。あるいは、
    2. インストールを終了してシステムを再起動するには、I want to exit をクリックします。

10.2. ストレージデバイスの設定

さまざまなストレージデバイスに Red Hat Enterprise Linux をインストールできます。インストール先 画面で、ローカルでアクセス可能な、基本的なストレージデバイスを設定できます。ディスクやソリッドステートドライブなどのローカルシステムに直接接続する基本的なストレージデバイスは、その画面の Local Standard Disks セクションに表示されます。64 ビットの IBM Z の場合は、このセクションに、アクティベートした DASD (Direct Access Storage Devices) が含まれます。

警告

既知の問題により、HyperPAV エイリアスとして設定した DASD を、インストールの完了後に自動的にシステムに割り当てることができません。このようなストレージデバイスはインストール時に利用できますが、インストールが完了して再起動しても、すぐにはアクセスできません。HyperPAV エイリアスデバイスを接続するには、システムの /etc/dasd.conf 設定ファイルに手動で追加します。

10.2.1. インストール先の設定

Installation Destination ウィンドウを使用して、Red Hat Enterprise Linux のインストール先として使用するディスクなどのストレージオプションを設定できます。ディスクは、1 つ以上選択する必要があります。

前提条件

  • Installation Summary 画面が開いている。
  • データが含まれているディスクを使用する予定の場合は、データをバックアップする。たとえば、既存の Microsoft Windows パーティションを縮小し、Red Hat Enterprise Linux を 2 つ目のシステムとしてインストールする場合、または以前のリリースの Red Hat Enterprise Linux をアップグレードする場合です。パーティションの操作は常にリスクが伴います。たとえば、何らかの理由でプロセスが中断または失敗した場合は、ディスクのデータが失われる可能性があります。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination 画面で、以下の操作を行います。

    1. Local Standard Disks セクションから、必要なストレージデバイスを選択します。選択したストレージデバイスには白いチェックマークが表示されます。白いチェックマークが付いていないディスクはインストール時には使用されません。自動パーティショニングを選択した場合は無視され、手動パーティショニングでは使用できません。

      Local Standard Disks には、SATA、IDE、SCSI ディスク、USB フラッシュ、外部ディスクなど、ローカルで使用可能なすべてのストレージデバイスが表示されます。インストールプログラムの起動後に接続したストレージデバイスは検出されません。リムーバブルドライブを使用して Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、デバイスを削除するとシステムが使用できなくなります。

    2. 必要に応じて、画面右下の Refresh リンクをクリックして、新しいディスクに接続するローカルストレージデバイスを設定します。Rescan Disks ダイアログボックスが開きます。

      1. Rescan Disks をクリックし、スキャン処理が完了するまで待ちます。

        インストール時に行ったストレージへの変更は、Rescan Disks をクリックするとすべて失われます。

      2. OK をクリックして、Installation Destination 画面に戻ります。検出したディスク (新しいディスクを含む) はすべて、Local Standard Disks セクションに表示されます。
  2. オプション: 専用のストレージデバイスを追加するには、Add a disk をクリックします。

    Storage Device Selection ウィンドウが開き、インストールプログラムがアクセスできるすべてのストレージデバイスがリスト表示されます。

  3. オプション: 自動パーティション設定を行う場合は、Storage ConfigurationAutomatic ラジオボタンを選択します。

    パーティション設定はカスタマイズできます。詳細は、手動パーティションの設定 を参照してください。

  4. オプション: 既存のパーティション設定レイアウトから領域を解放するには、I would like to make additional space available を選択します。たとえば、使用するディスクに別のオペレーティングシステムが含まれており、このシステムのパーティションを小さくして、Red Hat Enterprise Linux 用の領域を広くする場合などです。
  5. オプション: システムの起動に必要なパーティション (/boot など) を除くすべてのパーティションを、Linux Unified Key Setup (LUKS) を使用して暗号化するには、Encrypt my data を選択します。ディスクを暗号化すると、セキュリティーがさらに強化されます。

    1. Done をクリックします。Disk Encryption Passphrase ダイアログボックスが開きます。

      1. Passphrase フィールドと Confirm フィールドにパスフレーズを入力します。
      2. Save Passphrase をクリックして、ディスクの暗号化を完了します。

        警告

        LUKS パスフレーズが分からなくなると、暗号化されたパーティションと、その上にあるデータには完全にアクセスできなくなります。分からなくなったパスフレーズを復元する方法はありません。ただし、キックスタートインストールを実行した場合は、インストール中に暗号パスフレーズを保存し、バックアップ用に暗号化パスフレーズを作成できます。詳細は、RHEL の自動インストール ドキュメントを参照してください。

  6. 必要に応じて、画面左下の 完全なディスク要約とブートローダー をクリックして、ブートローダーを追加するストレージデバイスを選択します。詳細は、ブートローダーの設定 を参照してください。

    大概は、ブートローダーをデフォルトの場所に置いておくだけで十分です。たとえば、他のブートローダーからのチェーンロードを必要とするシステムなど、一部の設定ではブートドライブを手動で指定する必要があります。

  7. Done をクリックします。
  8. オプション: 自動パーティション設定 および I would like to make additional space available オプションを選択した場合、または選択したディスクに Red Hat Enterprise Linux をインストールするのに十分な空き領域がない場合、Reclaim Disk Space ダイアログボックスが表示されます。そこには、設定されているすべてのディスクデバイスとそれらのデバイス上のすべてのパーティションがリスト表示されます。このダイアログボックスには、現在選択中のパッケージセットを使用したインストールを行う際にシステムに必要となる最小ディスク領域と、解放した領域の容量に関する情報が表示されます。解放プロセスを開始するには、以下を実行します。

    1. 表示された、利用可能なストレージデバイスのリストを確認します。再利用可能な領域 列には、各エントリーから再利用できる領域のサイズが表示されます。
    2. 領域を解放するディスクまたはパーティションを選択します。
    3. 既存のデータを保持しながらパーティション上の空き領域を使用するには、Shrink ボタンを使用します。
    4. そのパーティション、または選択したディスク上の既存のデータを含むすべてのパーティションを削除するには、Delete ボタンを使用します。
    5. 既存のデータを含むすべてのディスク上のすべての既存のパーティションを削除し、この領域を Red Hat Enterprise Linux のインストールに使用できるようにするには、Delete all ボタンを使用します。
    6. Reclaim space をクリックして変更を適用し、グラフィカルインストールに戻ります。

      Installation Summary ウィンドウで Begin Installation をクリックするまで、ディスクの変更は行われません。Reclaim Space ダイアログでは、サイズ変更または削除する対象としてパーティションがマークされるだけです。アクションは実行されません。

10.2.2. インストール先の設定時の特殊なケース

インストール先を設定するときに考慮すべき特殊なケースを以下に示します。

  • BIOS によっては、RAID カードからの起動に対応していないため注意が必要です。その場合は、別のディスクなど、RAID アレイ以外のパーティションに /boot パーティションを作成する必要があります。そのような RAID カードへのパーティション作成には、内蔵ディスクを使用する必要があります。また、/boot パーティションは、ソフトウェア RAID の設定にも必要です。システムのパーティション設定を自動で選択した場合は、/boot パーティションを手動で修正する必要があります。
  • Red Hat Enterprise Linux ブートローダーが、別のブートローダーから チェーンロード するように設定するには、インストール先 画面で 完全なディスク要約とブートローダー をクリックして、手動でブートドライブを指定する必要があります。
  • マルチパスのストレージデバイスと、非マルチパスのストレージデバイスの両方が使用されているシステムに Red Hat Enterprise Linux をインストールすると、インストールプログラムによる自動パーティション設定のレイアウトに、マルチパスのデバイスと非マルチパスのデバイスが混在したボリュームグループが作成されます。これはマルチパスストレージの目的に反することになります。Installation Destination ウィンドウで、マルチパスデバイスまたは非マルチパスデバイスのどちらかを選択してください。もしくは、手動のパーティション設定を実行してください。

10.2.3. ブートローダーの設定

Red Hat Enterprise Linux は、GRand Unified Bootloader バージョン 2 (GRUB2) を、AMD64、Intel 64、IBM Power Systems、および ARM として使用します。64 ビットの IBM Z では、zipl ブートローダーが使用されます。

ブートローダーは、システムの起動時に実行し、制御をオペレーティングシステムに読み込み、転送する最初のプログラムです。GRUB2 は、互換性のあるオペレーティングシステム (Microsoft Windows を含む) であれば起動可能で、チェーンロードを使用すれば、未対応のオペレーティングシステムのブートローダーにも読み込んだ指示を渡すことができます。

警告

GRUB2 をインストールすると、既存のブートローダーを上書きできます。

オペレーティングシステムがすでにインストールされていると、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムはそのブートローダーを自動的に検出して、別のオペレーティングシステムを起動するように設定します。そのブートローダーが正しく検出されない場合は、インストールの完了後に、追加のオペレーティングシステムを手動で設定できます。

複数のディスクを搭載した Red Hat Enterprise Linux システムをインストールする場合は、ブートローダーをインストールするディスクを手動で指定することを推奨します。

手順

  1. Installation Destination ウィンドウで、Full disk summary and bootloader リンクをクリックします。選択したディスク ダイアログボックスが開きます。

    ブートローダーは、選択したデバイス、または UEFI システムにインストールされます。ガイド付きパーティションの作成時に、そのデバイスに EFI システムパーティション が作成されます。

  2. 起動デバイスを変更するには、リストからデバイスを選択して ブートデバイスとして設定 をクリックします。起動デバイスとして設定できるデバイスは 1 つだけです。
  3. 新しいブートローダーのインストールを無効にする場合は、現在起動用として設定されているデバイスを選択し、ブートローダーをインストールしない をクリックします。これにより、いずれのデバイスにも GRUB2 がインストールされないようになります。
警告

ブートローダーをインストールしないを選択した場合は、システムを直接起動できなくなるため、別の起動方法 (市販のスタンドアロンのブートローダーアプリケーションなど) を使用しなければならなくなります。ブートローダーをインストールしないは、システムを起動させる方法が別に確保されている場合に限定してください。

ブートローダーは、システムが BIOS または UEFI のファームウェアを使用しているか、ブートドライブに GUID Partition Table (GPT) または Master Boot Record (MBR) (msdos としても知られている) があるかどうかによって、特別なパーティションを作成する必要があります。自動パーティション作成を使用していると、インストールプログラムがパーティションを作成します。

10.2.4. ストレージデバイスの選択

ストレージデバイス選択画面には、インストールプログラムがアクセスできるストレージデバイスがリスト表示されます。システムや利用可能なハードウェアによっては、一部のタブが表示されない場合があります。デバイスは、次のタブに分類されます。

マルチパスデバイス
同じシステムにある、複数の SCSI コントローラーやファイバーチャネルポートなどの複数のパスからアクセスできるストレージデバイスです。インストールプログラムで検出できるのは、16 文字または 32 文字の長さのシリアル番号を持つマルチパスストレージデバイスのみです。
その他の SAN デバイス
SAN (Storage Area Network) 上にあるデバイスです。
ファームウェア RAID
ファームウェア RAID コントローラーに接続されているストレージデバイスです。
NVDIMM デバイス
特定の状況下では、Red Hat Enterprise Linux 9 を、Intel 64 および AMD64 アーキテクチャー上の (NVDIMM) デバイスからセクターモードで起動して実行できます。
IBM Z デバイス
zSeries Linux FCP (ファイバーチャネルプロトコル) ドライバーで接続されたストレージデバイス、論理ユニット (LUN)、または DASD です。

10.2.5. ストレージデバイスのフィルタリング

ストレージデバイス選択画面では、WWID (World Wide Identifier)、ポート、ターゲット、または論理ユニット番号 (LUN) のいずれかを使用して、ストレージデバイスをフィルタリングできます。

前提条件

  • Installation Summary 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
  2. Specialized & Network Disks セクションで、Add a disk をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. ポート、ターゲット、LUN、または WWID で検索するには、Search by タブをクリックします。

    WWID または LUN で検索するには、対応する入力テキストフィールドに値を入力する必要があります。

  4. Search ドロップダウンメニューから必要なオプションを選択します。
  5. Find をクリックして検索を開始します。各デバイスと、対応するチェックボックスが、別の行に表示されます。
  6. インストールプロセス時に必要なデバイスが利用できるようにするには、チェックボックスを選択します。

    後続のインストールプロセスで、選択したデバイスの中から、Red Hat Enterprise Linux をインストールするデバイスを選択できます。その他のデバイスの中から、インストール済みシステムに自動的にマウントするものを選択できます。選択したデバイスがインストールプロセスにより自動的に消去されることはなく、デバイスを選択しても、デバイスに保存されているデータが危険にさらされることはありません。

    注記

    インストール後に /etc/fstab ファイルを変更することで、システムにデバイスを追加できます。

  7. Done をクリックして Installation Destination ウィンドウに戻ります。

ここで選択しないストレージデバイスはすべて、インストールプログラムでは表示されなくなります。別のブートローダーからこのブートローダーをチェーンロードする場合は、ここに表示されているすべてのデバイスを選択します。

10.2.6. 高度なストレージオプションの使用

高度なストレージデバイスを使用するには、iSCSI (SCSI over TCP/IP) ターゲットまたは FCoE (Fibre Channel over Ethernet) の SAN (Storage Area Network) を設定できます。

インストールに iSCSI ストレージデバイスを使用する場合は、インストールプログラム側で iSCSI ストレージデバイスを iSCSI ターゲットとして検出し、そのターゲットにアクセスするための iSCSI セッションを作成できるようにする必要があります。各手順で、CHAP (Challenge Handshake Authentication Protocol) 認証用のユーザー名とパスワードが必要になる場合があります。さらに、検出、またはセッション作成のいずれの場合も、iSCSI ターゲット側でターゲットの接続先となるシステムの iSCSI イニシエーターを認証する (リバース CHAP) ように設定することもできます。CHAP とリバース CHAP を併用する場合は、相互 CHAP または双方向 CHAP と呼ばれます。相互 CHAP を使用すると、特に CHAP 認証とリバース CHAP 認証でユーザー名やパスワードが異なる場合などに、iSCSI 接続に対する最大限の安全レベルを確保できます。

iSCSI 検出と iSCSI ログインの手順を繰り返して、必要な iSCSI ストレージをすべて追加します。初回の検出試行後は、iSCSI イニシエーターの名前を変更できません。iSCSI イニシエーターの名前を変更する場合は、インストールを最初からやり直す必要があります。

10.2.6.1. iSCSI セッションの検出および開始

Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、次の 2 つの方法で iSCSI ディスクを検出し、ログインできます。

iBFT (iSCSI Boot Firmware Table)
インストーラーは、起動すると、システムの BIOS またはアドオンブート ROM が iBFT をサポートしているかどうかをチェックします。BIOS は、iSCSI から起動できるシステム用の BIOS 拡張です。BIOS が iBFT に対応している場合は、インストーラーは BIOS から設定済みのブートディスクの iSCSI ターゲット情報を読み取り、このターゲットにログインして、インストールターゲットとして利用可能にします。iSCSI ターゲットに自動的に接続するには、ターゲットにアクセスするためのネットワークデバイスをアクティブ化します。これを行うには、ブートオプション ip=ibft を使用します。詳細は、ネットワーク起動オプション を参照してください。
iSCSI ターゲットの手動検出および追加
インストーラーのグラフィカルユーザーインターフェイスで iSCSI セッションを検出して開始し、使用可能な iSCSI ターゲット (ネットワークストレージデバイス) を特定できます。

前提条件

  • Installation Summary 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
  2. Specialized & Network Disks セクションで、Add a disk をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. Add iSCSI target をクリックします。​iSCSI ストレージターゲットの追加 画面が開きます。

    重要

    この方法を使用して手動で追加した iSCSI ターゲットには /boot パーティションを置くことができません。/boot パーティションを含む iSCSI ターゲットを iBFT で使用するように設定する必要があります。ただし、インストールされたシステムが、たとえば iPXE を使用して、ファームウェアの iBFT 以外の方法で提供された iBFT 設定で iSCSI から起動する場合は、inst.nonibftiscsiboot インストーラー起動オプションを使用して /boot パーティション制限を削除できます。

  4. ターゲットの IP アドレス フィールドに、iSCSI ターゲットの IP アドレスを入力します。
  5. iSCSI Initiator Name フィールドに、iSCSI 修飾名 (IQN) の形式で iSCSI イニシエーターの名前を入力します。IQN エントリーには次を含めてください。

    • iqn. の文字列 (ピリオドが必要)。
    • 日付コード (企業や組織のインターネットドメイン名またはサブドメイン名が登録された年と月。記述の順序は年を表す 4 桁の数字、ハイフン、月を表す 2 桁の数字、ピリオドの順で設定されます)。たとえば、2010 年 9 月の場合は 2010-09. のようになります。
    • 企業や組織のインターネットのドメイン名またはサブドメイン名 (トップレベルのドメインを先頭にして逆順で表します)。たとえば、storage.example.com のサブドメインは、com.example.storage のようになります。
    • コロン (:) と、ドメインまたはサブドメイン内でその iSCSI イニシエーターを固有に識別する文字列。たとえば、:diskarrays-sn-a8675309 です。

      完全な IQN は iqn.2010-09.storage.example.com:diskarrays-sn-a8675309 のようになります。構造を理解しやすくするために、インストールプログラムにより、iSCSI Initiator Name フィールドにこの形式の名前が事前に入力されます。IQN の詳細は、tools.ietf.org の RFC 3720 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) に記載されている 3.2.6. iSCSI Names と、tools.ietf.org の RFC 3721 - Internet Small Computer Systems Interface (iSCSI) Naming and Discovery に記載されている 1. iSCSI Names and Addresses を参照してください。

  6. 認証のタイプの探索 ドロップダウンメニューを使用して、iSCSI 検出に使用する認証タイプを指定します。以下のタイプが使用できます。

    • 証明書なし
    • CHAP 秘密鍵
    • CHAP 秘密鍵とリバースペア
  7. 次のいずれかを行います。

    1. 認証タイプに CHAP ペア を選択した場合は、CHAP ユーザー名CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI ターゲットのユーザー名とパスワードを入力します。
    2. 認証タイプに CHAP 秘密鍵と逆順鍵 を選択した場合は、CHAP ユーザー名CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI ターゲットのユーザー名とパスワードを入力します。また、リバース CHAP ユーザー名CHAP パスワード の各フィールドに、iSCSI イニシエーターのユーザー名とパスワードを入力します。
  8. オプション: Bind targets to network interfaces チェックボックスをオンにします。
  9. Start Discovery をクリックします。

    入力した情報に基づいて、インストールプログラムが iSCSI ターゲットを調べます。検出に成功すると、iSCSI ターゲットを追加 画面には、ターゲットで検出された iSCSI ノードのリストが表示されます。

  10. インストールに使用するノードのチェックボックスを選択します。

    ノードのログイン認証のタイプ メニューには、認証のタイプの探索 メニューと同じオプションがあります。ただし、ディスカバリー認証に証明書が必要な場合は、見つかったノードに同じ証明書を使用してログインします。

  11. 探索に証明書を使用 ドロップダウンメニューをクリックします。適切な認証情報を指定すると、ログイン ボタンが利用可能になります。
  12. ログイン をクリックして、iSCSI セッションを開始します。

インストーラーは iscsiadm を使用して iSCSI ターゲットを検索し、ログインしますが、iscsiadm は自動的にこれらのターゲットに関する情報を iscsiadm iSCSI データベースに保存します。その後、インストーラーはこのデータベースをインストール済みシステムにコピーし、root パーティションに使用されていない iSCSI ターゲットをマークします。これにより、システムは起動時に自動的にそのターゲットにログインします。root パーティションが iSCSI ターゲットに配置されている場合、initrd がこのターゲットにログインするため、インストーラーは、同じターゲットへのログインが複数回試行されるのを避けるために、このターゲットを起動スクリプトに含めません。

10.2.6.2. FCoE パラメーターの設定

FCoE パラメーターを適切に設定することで、Installation Destination ウィンドウから FCoE (Fibre Channel over Ethernet) デバイスを検出できます。

前提条件

  • Installation Summary 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
  2. Specialized & Network Disks セクションで、Add a disk をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. Add FCoE SAN をクリックします。FCoE ストレージデバイスを検出するようにネットワークインターフェイスを設定するダイアログボックスが開きます。
  4. NIC ドロップダウンメニューで、FCoE スイッチに接続するネットワークインターフェイスを選択します。
  5. FCoE ディスクの追加 をクリックして、SAN デバイスのネットワークをスキャンします。
  6. 必要なチェックボックスを選択します。

    • Use DCB: Data Center Bridging (DCB) は、ストレージネットワークやクラスターでイーサネット接続の効率性を向上させる目的で設計されたイーサネットプロトコルに対する拡張セットです。このチェックボックスを選択して、インストールプログラムによる DCB 認識を有効または無効にします。このオプションは、ネットワークインターフェイスでホストベースの DCBX クライアントを必要とする場合にのみ有効にします。ハードウェアの DCBX クライアントを使用するインターフェイスで設定する場合は、このチェックボックスを無効にします。
    • Use auto vlan: 自動 VLAN はデフォルトで有効になり、VLAN 検出を行うかどうかを指定します。このチェックボックスを選択すると、リンク設定が検証された後、イーサネットインターフェイスで FIP (FCoE Initiation Protocol) VLAN 検出プロトコルが実行します。設定が行われていない場合は、検出されたすべての FCoE VLAN に対してネットワークインターフェイスが自動的に作成され、VLAN インターフェイスに FCoE のインスタンスが作成されます。
  7. 検出された FCoE デバイスが、インストール先 画面の 他の SAN デバイス タブに表示されます。
10.2.6.3. DASD ストレージデバイスの設定

Installation Destination ウィンドウから DASD ストレージデバイスを検出して設定できます。

前提条件

  • Installation Summary 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
  2. Specialized & Network Disks セクションで、Add a disk をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. Add DASD ECKD をクリックします。Add DASD Storage Target ダイアログボックスが開きます。0.0.0204 などのデバイス番号を指定して、インストールの開始時に検出されなかった追加の DASD を接続するように求められます。
  4. Device number フィールドに、接続する DASD のデバイス番号を入力します。
  5. Start Discovery をクリックします。

    指定したデバイス番号を持つ DASD が検出され、その DASD が接続されていない場合は、ダイアログボックスが閉じ、新たに検出されたドライブが、ドライブのリストに表示されます。次に、必要なデバイスのチェックボックスを選択して、完了 をクリックします。インストール先 画面の ローカルの標準ディスク セクションで、新しい DASD が選択できるようになります (DASD device 0.0.xxxx と表示されます)。

無効なデバイス番号を入力した場合、または指定したデバイス番号の DASD がすでにシステムに割り当てられている場合は、ダイアログボックスにエラーメッセージとその理由が表示され、別のデバイス番号で再試行するように求められます。

10.2.6.4. FCP デバイスの設定

FCP デバイスは、64 ビットの IBM Z が DASD デバイスの代わりに、または DASD デバイスに加えて、SCSI デバイスを使用できるようにするものです。FCP デバイスは交換ファブリックスイッチを提供し、これにより 64 ビットの IBM Z システムが SCSI LUN を従来の DASD デバイスとして用いる使い方に加えて、ディスクデバイスとして使えるようにします。

前提条件

  • Installation Summary 画面が開いている。
  • FCP のみのインストールで、DASD がないことを示すために、CMS 設定ファイルから DASD= オプションを削除するか、パラメーターファイルから rd.dasd= オプションを削除した。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
  2. Specialized & Network Disks セクションで、Add a disk をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. Add ZFCP LUN をクリックします。Add zFCP Storage Target ダイアログボックスが開き、FCP (ファイバーチャネルプロトコル) ストレージデバイスを追加できます。

    64 ビットの IBM Z では、インストールプログラムが FCP LUN をアクティベートするために、FCP デバイスを手動で入力する必要があります。これは、グラフィカルインストールで指定するか、パラメーターもしくは CMS 設定ファイル内で一意のパラメーターエントリーとして指定することで可能になります。設定する各サイトに固有の値を入力する必要があります。

  4. 4 桁の 16 進数のデバイス番号を、デバイス番号 フィールドに入力します。
  5. RHEL-9.0 以前のリリースをインストールする場合、zFCP デバイスが NPIV モードで設定されていない場合や、zfcp.allow_lun_scan=0 カーネルモジュールパラメーターで auto LUN スキャンが無効になっている場合は、以下の値を指定します。

    1. 16 桁の 16 進数の WWPN (World Wide Port Number) を、WWPN フィールドに入力します。
    2. 16 桁の 16 進数の FCP LUN 識別子を、LUN フィールドに入力します。
  6. 探索を開始 をクリックして、FCP デバイスに接続します。

新しく追加されたデバイスが、Installation Destination ウィンドウの IBM Z タブに表示されます。

16 進法で小文字のみを使用してください。間違った値を入力して 探索を開始 をクリックすると、インストールプログラムにより警告が表示されます。設定情報の編集と、探索の再試行が可能です。値の詳細は、ハードウェアに添付のドキュメントを参照し、システム管理者に確認してください。

10.2.7. NVDIMM デバイスへのインストール

不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスは、電源が供給されていない時に、RAM のパフォーマンスと、ディスクのようなデータの持続性を兼ね備えています。特定の状況下では、NVDIMM デバイスから Red Hat Enterprise Linux 9 を起動して実行できます。

10.2.7.1. NVDIMM デバイスをインストール先として使用するための基準

Red Hat Enterprise Linux 9 は、nd_pmem ドライバーがサポートする Intel 64 アーキテクチャーおよび AMD64 アーキテクチャーにある、セクターモードの不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスにインストールできます。

NVDIMM デバイスをストレージとして使用するための条件

NVDIMM デバイスをストレージとして使用するには、次の条件を満たす必要があります。

  • システムのアーキテクチャーが Intel 64 または AMD64 である。
  • NVDIMM デバイスがセクターモードに設定されている。インストールプログラムにより NVDIMM デバイスをこのモードに再設定できます。
  • NVDIMM デバイスが、nd_pmem ドライバーで対応している。

NVDIMM デバイスからの起動の条件

以下の条件が満たされる場合には、NVDIMM デバイスからの起動が可能です。

  • NVDIMM デバイスを使用するための条件がすべて満たされている。
  • システムが UEFI を使用している。
  • システムで使用可能なファームウェアまたは UEFI ドライバーが NVDIMM デバイスをサポートしている。UEFI ドライバーは、デバイス自体のオプション ROM から読み込むことができます。
  • NVDIMM デバイスが名前空間で利用可能である。

システムの起動中に高性能な NVDIMM デバイスを利用するには、/boot ディレクトリーおよび /boot/efi ディレクトリーをデバイスに置きます。NVDIMM デバイスの XIP (Execute-in-place) 機能は、起動時にはサポートされません。カーネルは従来どおりメモリーに読み込まれます。

10.2.7.2. グラフィカルインストールモードを使用した NVDIMM デバイスの設定

不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスは、Red Hat Enterprise Linux 9 で使用するために、グラフィカルインストールを使用して正しく設定する必要があります。

警告

NVDIMM デバイスを再設定するプロセスにより、デバイスに格納されていたデータがすべて失われます。

前提条件

  • NVDIMM デバイスがシステムに存在し、その他の、インストールターゲットとして使用するための条件を満たしている。
  • インストールが起動し、インストール概要 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary 画面から、Installation Destination をクリックします。Installation Destination ウィンドウが開き、使用可能なすべてのドライブがリスト表示されます。
  2. Specialized & Network Disks セクションで、Add a disk をクリックします。ストレージデバイスの選択画面が表示されます。
  3. NVDIMM デバイス タブをクリックします。
  4. デバイスを再設定する場合は、リストから選択します。

    デバイスがリストにない場合は、セクターモードになっていません。

  5. Reconfigure NVDIMM をクリックします。再設定ダイアログが開きます。
  6. 必要なセクターサイズを入力し、再設定の開始 をクリックします。

    サポートされるセクターサイズは 512 バイトおよび 4096 バイトです。

  7. 再設定が終了したら、OK をクリックします。
  8. デバイスのチェックボックスを選択します。
  9. Done をクリックして Installation Destination ウィンドウに戻ります。

    再設定した NVDIMM は、特殊なディスクおよびネットワークディスク セクションに表示されます。

  10. 完了 をクリックして、インストール概要 画面に戻ります。

NVDIMM デバイスがインストール先として選択できるようになります。デバイスが起動の要件を満たしている場合は、そのように設定できます。

10.3. root ユーザーの設定とローカルアカウントの作成

10.3.1. root パスワードの設定

インストールプロセスを完了し、管理者 (スーパーユーザーまたは root としても知られている) アカウントでログインするには、root パスワードを設定する必要があります。これらのタスクには、ソフトウェアパッケージのインストールおよび更新と、ネットワーク、ファイアウォール設定、ストレージオプションなどのシステム全体の設定の変更と、ユーザー、グループ、およびファイルのパーミッションの追加または修正が含まれます。

インストールしたシステムの root 権限を取得するには、root アカウントを使用するか、管理者権限を持つユーザーアカウント (wheel グループのメンバー) を作成します。root アカウントは、インストール中に作成されます。管理者アクセスが必要なタスクを実行する必要がある場合に限り、管理者アカウントに切り替えてください。

警告

root アカウントは、システムを完全に制御できます。このアカウントへのアクセスを不正に入手すると、ユーザーの個人ファイルへのアクセスや削除が可能になります。

手順

  1. インストール概要 画面から、ユーザー設定 > root パスワード を選択します。root パスワード 画面が開きます。
  2. root パスワード フィールドにパスワードを入力します。

    強力な root パスワードを作成するための要件は次のとおりです。

    • 最低でも 8 文字の長さが 必要
    • 数字、文字 (大文字と小文字)、記号を含めることができる
    • 大文字と小文字が区別される
  3. 確認 フィールドにも同じパスワードを入力します。
  4. 必要に応じて Lock root account オプションを選択して、システムへの root アクセスを無効にします。
  5. 必要に応じて、Allow root SSH login with password オプションを選択し、root ユーザーとしてのこのシステムへの SSH アクセスを有効にします (パスワードを使用)。デフォルトでは、パスワードベースの SSH root アクセスは無効になっています。
  6. Done をクリックして root パスワードを確認し、Installation Summary ウィンドウに戻ります。

    脆弱なパスワードを使用して続行する場合は、Done を 2 回クリックする必要があります。

10.3.2. ユーザーアカウントの作成

ユーザーアカウントを作成してインストールを完了します。ユーザーアカウントを作成しない場合は、root としてシステムに直接ログインする必要がありますが、これは 推奨されません

手順

  1. Installation Summary ウィンドウで、User Settings > User Creation を選択します。ユーザーの作成 画面が開きます。
  2. フルネーム フィールドに、ユーザーアカウント名 (John Smith など) を入力します。
  3. ユーザー名 フィールドに、ユーザー名 (jsmith など) を入力します。

    コマンドラインからログインするには、ユーザー名 を使用します。グラフィカル環境をインストールする場合、グラフィカルログインマネージャーは、フルネーム を使用します。

  4. ユーザーに管理者権限が必要な場合は、このユーザーを管理者にする チェックボックスを選択します (インストールプログラムにより、このユーザーが wheel グループに追加されます)。

    管理者ユーザーは、sudo コマンドを実行し、root パスワードの代わりにユーザーパスワードを使用して、root のみが実行できるタスクを実行できます。こちらを使用した方が便利な場合もありますが、セキュリティーリスクを引き起こす可能性があります。

  5. Require a password to use this account チェックボックスを選択します。

    ユーザーに管理者権限を与える場合は、アカウントがパスワードで保護されていることを確認してください。アカウントにパスワードを割り当てない場合は、ユーザーに管理者特権を与えないでください。

  6. Password フィールドにパスワードを入力します。
  7. Confirm password フィールドに同じパスワードを入力します。
  8. Done をクリックして変更を適用し、Installation Summary 画面に戻ります。

10.3.3. ユーザーの詳細設定の編集

以下の手順では、Advanced User Configuration ダイアログボックスでユーザーアカウントのデフォルト設定を編集する方法を説明します。

手順

  1. Create User 画面で、Advanced をクリックします。
  2. 必要に応じて、Home directory フィールドの詳細を変更します。このフィールドには、デフォルトで /home/username が表示されます。
  3. User and Groups IDs セクションでは、次のことができます。

    1. Specify a user ID manually チェックボックスを選択し、+ または - を使用して、必要な値を入力します。

      デフォルト値は 1000 です。ユーザー ID (UID) の 0 ~ 999 はシステムが予約しているため、ユーザーに割り当てることができません。

    2. Specify a group ID manually チェックボックスを選択し、+ または - を使用して、必要な値を入力します。

      デフォルトのグループ名はユーザー名と同じで、デフォルトのグループ ID (GID) は 1000 です。GID の 0 ~ 999 はシステムが予約しているため、ユーザーグループに割り当てることができません。

  4. Group Membership フィールドに、コンマ区切りの追加グループリストを指定します。グループが存在しない場合は作成されます。追加されるグループにカスタムの GID を指定する場合は、カスタムの GID を括弧に入れて指定します。新しいグループにカスタムの GID を指定しない場合は、GID が自動的に割り当てられます。

    作成されたユーザーアカウントには、デフォルトグループメンバーシップが常に 1 つあります (Specify a group ID manually フィールドに設定した ID を持つユーザーのデフォルトグループ)。

  5. Save Changes をクリックして更新を適用し、Create User 画面に戻ります。

10.4. 手動パーティションの設定

手動パーティション設定を使用して、ディスクパーティションおよびマウントポイントを設定し、Red Hat Enterprise Linux がインストールされているファイルシステムを定義できます。インストールの前に、ディスクデバイスにパーティションを設定するかどうかを検討する必要があります。直接または LVM を使用して、LUN でパーティション設定を使用する場合の利点と欠点の詳細は、Red Hat ナレッジベースソリューション advantages and disadvantages to using partitioning on LUNs を参照してください。

Standard PartitionsLVMLVM thin provisioning など、さまざまなパーティションおよびストレージオプションが利用できます。これらのオプションは、システムのストレージを効果的に管理するうえで、さまざまな利点と設定を提供します。

標準パーティション
標準パーティションには、ファイルシステムやスワップ領域が格納されます。標準パーティションは、/bootBIOS Boot、および EFI System パーティション で最も一般的に使用されます。LVM 論理ボリュームは、他のほとんどの用途にも使用できます。
LVM
デバイスタイプに LVM (または論理ボリューム管理) を選択すると、LVM 論理ボリュームが作成されます。LVM は、物理ディスク使用時のパフォーマンスを向上させます。また、パフォーマンスや信頼性を向上させる高度な設定 (1 つのマウントポイントに複数の物理ディスクを使用する、ソフトウェア RAID を設定するなど) を可能にします。
LVM シンプロビジョニング
シンプロビジョニングを使用すると、シンプールと呼ばれる、空き領域のストレージプールを管理でき、アプリケーションで必要になった時に任意の数のデバイスに割り当てることができます。ストレージ領域の割り当ての費用対効果を高くする必要がある場合は、プールを動的に拡張できます。

Red Hat Enterprise Linux のインストールには、少なくとも 1 つのパーティションが必要です。少なくとも //home/boot、および swap パーティションまたはボリュームを使用してください。必要に応じて、その他のパーティションやボリュームを作成することもできます。

データを失わないように、先に進める前に、データのバックアップを作成しておくことが推奨されます。デュアルブートシステムをアップグレードまたは作成する場合は、保存しておくストレージデバイスの全データのバックアップを作成してください。

10.4.2. サポート対象のハードウェアストレージ

Red Hat Enterprise Linux のメジャーバージョン間でストレージ技術がどのように設定され、そのサポートがどのように変更したかを理解することが重要になります。

ハードウェア RAID

インストールプロセスを開始する前に、コンピューターのマザーボードが提供する RAID 機能、またはコントローラーカードが接続する RAID 機能を設定する必要があります。アクティブな RAID アレイは、それぞれ Red Hat Enterprise Linux 内で 1 つのドライブとして表示されます。

ソフトウェア RAID

システムに複数のディスクが搭載されている場合は、Red Hat Enterprise Linux インストールプログラムを使用して、複数のドライブを 1 つの Linux ソフトウェア RAID アレイとして動作させることができます。ソフトウェア RAID アレイを使用すると、RAID 機能は専用のハードウェアではなく、オペレーティングシステムにより制御されることになります。

注記

以前から存在している RAID アレイの全メンバーデバイスが、パーティションが設定されていないディスクまたはドライブの場合、インストールプログラムは、アレイをディスクとして扱い、アレイを削除する方法はありません。

USB ディスク

インストール後に外付け USB ストレージを接続して設定できます。ほとんどのデバイスはカーネルにより認識されますが、認識されないデバイスもあります。インストール中にこれらのディスクを設定する必要がない場合は切断して、潜在的な問題を回避してください。

NVDIMM デバイス

不揮発性デュアルインラインメモリーモジュール (NVDIMM) デバイスをストレージとして使用するには、次の条件を満たす必要があります。

  • システムのアーキテクチャーが Intel 64 または AMD64 である。
  • デバイスが、セクターモードに設定されている。Anaconda で、NVDIMM デバイスをこのモードに再設定できます。
  • nd_pmem ドライバーがそのデバイスに対応している。

さらに以下の条件が満たされる場合には、NVDIMM デバイスからの起動が可能です。

  • システムが UEFI を使用している。
  • システムで使用可能なファームウェアまたは UEFI ドライバーがデバイスをサポートしている。UEFI ドライバーは、デバイス自体のオプション ROM から読み込むことができます。
  • デバイスが名前空間で利用可能である。

システムの起動中に高性能な NVDIMM デバイスを利用するには、デバイスに /boot ディレクトリーおよび /boot/efi ディレクトリーを置きます。

注記

NVDIMM デバイスの XIP (Execute-in-place) 機能は、起動時にはサポートされません。カーネルは従来どおりメモリーに読み込まれます。

Intel の BIOS RAID に関する注意点

Red Hat Enterprise Linux は、Intel BIOS RAID セットへのインストールに、mdraid を使用します。このセットは起動プロセスで自動検出されるため、起動するたびにデバイスノードパスが変わる可能性があります。デバイスノードのパス (/dev/sda など) を、ファイルシステムのラベルまたはデバイス UUID に置き換えてください。ファイルシステムのラベルとデバイスの UUID は、blkid コマンドを使用すると確認できます。

10.4.3. 手動パーティションの設定

手動パーティション設定を使用すると、要件に基づいてディスクのパーティションを設定できます。

前提条件

  • Installation Summary 画面が開いている。
  • インストールプログラムで、すべてのディスクが利用可能である。

手順

  1. インストールに使用するディスクを選択します。

    1. Installation Destination をクリックして、Installation Destination ウィンドウを開きます。
    2. 対応するアイコンをクリックして、インストールに必要なディスクを選択します。選択したディスクにはチェックマークが表示されています。
    3. ストレージの設定 で、カスタム ラジオボタンを選択します。
    4. 必要に応じて、LUKS によるストレージの暗号化を有効にする場合は、データを暗号化する チェックボックスを選択します。
    5. Done をクリックします。
  2. ストレージの暗号化を選択した場合は、ディスク暗号化パスフレーズを入力するダイアログボックスが開きます。LUKS パスフレーズを入力します。

    1. 2 つのテキストフィールドにパスフレーズを入力してください。キーボードレイアウトを切り替えるには、キーボードアイコンを使用します。

      警告

      パスフレーズを入力するダイアログボックスでは、キーボードレイアウトを変更できません。インストールプログラムでパスフレーズを入力するには、英語のキーボードレイアウトを選択します。

    2. パスフレーズの保存 をクリックします。手動パーティション設定 画面が開きます。
  3. 削除したマウントポイントが、左側のペインにリスト表示されます。マウントポイントは、検出されたオペレーティングシステムのインストールごとにまとめられています。したがって、複数のインストールでパーティションを共有していると、ファイルシステムによっては複数回表示されることがあります。

    1. 左側のペインでマウントポイントを選択します。カスタマイズ可能なオプションが右側のペインに表示されます。
    2. オプション: システムに既存のファイルシステムがある場合には、インストールに十分な領域があることを確認してください。パーティションを削除するには、リストから選択して、- ボタンをクリックします。ダイアログには、削除されたパーティションが属するシステムが使用しているその他のパーティションをすべて削除するチェックボックスがあります。
    3. オプション: 既存のパーティションがなく、出発点としてパーティションのセットを作成する場合は、左側のペインから希望するパーティションスキーム (Red Hat Enterprise Linux のデフォルトは LVM) を選択し、Click here to create them automatically リンクをクリックします。

      注記

      /boot パーティション、/ (ルート) ボリューム、および swap ボリュームが、利用可能なストレージのサイズに合わせて作成され、左側のペインにリスト表示されます。これらが標準的なインストールのファイルシステムですが、ファイルシステムとマウントポイントをさらに追加することもできます。

    4. 完了 をクリックして変更を適用し、インストール概要 画面に戻ります。

10.4.4. 対応ファイルシステム

手動パーティション設定を行うと、Red Hat Enterprise Linux で利用可能なさまざまなファイルシステムとパーティションタイプを利用して、パフォーマンスを最適化し、互換性を確保し、ディスク領域を効率的に管理できます。

xfs
XFS ファイルシステムは、Red Hat Enterprise Linux のデフォルトのファイルシステムです。これは、最大 16 エクサバイト (約 1,600 万テラバイト) のファイルシステム、最大 8 エクサバイト (約 800 万テラバイト) のファイル、および数千万のエントリーを含むディレクトリー構造に対応する、拡張性に優れた高性能ファイルシステムです。XFS は、メタデータジャーナリングもサポートしているため、クラッシュに対するより迅速な復元が容易になります。1 つの XFS ファイルシステムでサポートされる最大サイズは 1 PB です。XFS を縮小して空き領域を確保することはできません。
ext4
ext4 ファイルシステムは、ext3 ファイルシステムをベースとし、改善が加えられています。より大きなファイルシステム、そしてより大きなファイルに対応するようになり、ディスク領域の割り当てに要する時間が短縮され効率化されています。また、ディレクトリー内のサブディレクトリーの数に制限がなく、ファイルシステムチェックが速くなり、ジャーナリングがより強力になりました。1 つの ext4 ファイルシステムで対応している最大サイズは 50 TB です。
ext3
ext3 ファイルシステムは ext2 ファイルシステムをベースとし、ジャーナリング機能という大きな利点を備えています。ジャーナリングファイルシステムを使用すると、クラッシュが発生するたびに fsck ユーティリティーを実行してメタデータの整合性をチェックする必要がないため、突然終了したあとに、ファイルシステムの復元に要する時間を短縮できます。
ext2
ext2 ファイルシステムは標準の Unix ファイルタイプに対応しています (通常のファイル、ディレクトリー、シンボリックリンクなど)。最大 255 文字までの長いファイル名を割り当てることができます。
swap
swap パーティションは、仮想メモリーに対応するために使用されます。つまり、システムが処理しているデータを格納する RAM が不足すると、そのデータが swap パーティションに書き込まれます。
vfat

VFAT ファイルシステムは Linux ファイルシステムです。FAT ファイルシステムにある Microsoft Windows の長いファイル名と互換性があります。

注記

VFAT ファイルシステムは、Linux システムのパーティションではサポートされていません。たとえば、//var/usr などです。

BIOS ブート
BIOS 互換モードで、BIOS システムおよび UEFI システムの GUID パーティションテーブル (GPT) を使用するデバイスから起動するのに必要な、非常に小さいパーティションです。
EFI システムパーティション
UEFI システムの GUID パーティションテーブル (GPT) でデバイスを起動する場合に必要な、小さいパーティションです。
PReP
この小さなブートパーティションは、ディスクの最初のパーティションにあります。PReP 起動パーティションには GRUB2 ブートローダーが含まれ、その他の IBM Power Systems サーバーが Red Hat Enterprise Linux を起動できるようにします。

10.4.5. マウントポイントのファイルシステム追加

マウントポイントのファイルシステムは複数追加できます。XFS、ext4、ext3、ext2、swap、VFAT、および BIOS ブート、EFI システムパーティション、PReP などの特定のパーティションなど、利用可能なファイルシステムとパーティションタイプを使用して、システムのストレージを効果的に設定できます。

前提条件

  • パーティションの計画が完了している。
  • /var/mail/usr/tmp/lib/sbin/lib64/bin などのシンボリックリンクを含むパスにマウントポイントを指定していないことを確認する。RPM パッケージを含むペイロードは、特定のディレクトリーへのシンボリックリンクの作成に依存します。

手順

  1. + をクリックして、マウントポイントのファイルシステムを作成します。マウントポイントを追加します ダイアログが表示されます。
  2. マウントポイント ドロップダウンメニューから、事前に設定したパスの中から 1 つ選択するか、別のパスを入力します。たとえば、root パーティションの場合は / を選択し、ブートパーティションの場合は /boot を選択します。
  3. ファイルシステムのサイズを 要求される容量 フィールドに入力します。たとえば 2GiB です。

    Desired Capacity に値を指定しなかった場合、または使用可能な領域よりも大きいサイズを指定した場合、残りの空き領域がすべて使用されます。

  4. Add mount point をクリックしてパーティションを作成し、Manual Partitioning ウィンドウに戻ります。

10.4.6. マウントポイントのファイルシステム用ストレージの設定

手動で作成した各マウントポイントのパーティションスキームを設定できます。利用可能なオプションは、Standard PartitionLVM、および LVM Thin Provisioning です。Red Hat Enterprise Linux 9 では、Btfrs のサポートが非推奨になりました。

注記

/boot パーティションは、選択した値に関係なく、常に標準パーティションに置かれます。

手順

  1. 非 LVM マウントポイントを 1 つ配置するデバイスを変更するには、左側のペインから必要なマウントポイントを選択します。
  2. Device(s) 見出しの下にある Modify をクリックします。マウントポイントの設定 ダイアログが開きます。
  3. 1 つ以上のデバイスを選択し、選択 をクリックして選択を確認し、手動パーティション設定 画面に戻ります。
  4. 設定を更新 をクリックして、変更を適用します。
  5. 手動パーティション設定 画面左下で ストレージデバイスが選択されています リンクをクリックして、選択したディスク ダイアログを開いて、ディスク情報を確認します。
  6. オプション: ローカルディスクとパーティションをすべてリフレッシュするには、Rescan ボタン (円形の矢印ボタン) をクリックします。この作業が必要になるのは、インストールプログラム以外で高度なパーティション設定を行った場合のみです。ディスクの再スキャン ボタンをクリックすると、インストールプログラムに行った設定変更がすべてリセットされます。

10.4.7. マウントポイントのファイルシステムのカスタマイズ

特定の設定を行う場合は、パーティションまたはボリュームをカスタマイズできます。/usr または /var には重要なコンポーネントが含まれているため、このディレクトリーのパーティションをルートボリュームとは別の場所に設定すると、起動プロセスが非常に複雑になります。iSCSI ドライブや FCoE などの場所に配置してしまった場合には、システムが起動できなくなったり、電源オフや再起動の際に Device is busy のエラーでハングしたりする可能性があります。

これらの制限は /usr/var にのみ適用され、その下のディレクトリーには適用されません。たとえば、/var/www 向けの個別パーティションは問題なく機能します。

手順

  1. 左側のペインから、マウントポイントを選択します。

    図10.1 パーティションのカスタマイズ

  2. 右側のペインで、次のオプションをカスタマイズできます。

    1. マウントポイント フィールドに、ァイルシステムのマウントポイントを入力します。たとえば、ファイルシステムが root ファイルシステムの場合は / を入力します。/boot ファイルシステムの場合は /boot を入力します。swap ファイルシステムの場合は、ファイルシステムタイプを swap に設定すれば十分であるため、マウントポイントを設定しないでください。
    2. 割り当てる容量 フィールドに、ファイルシステムのサイズを入力します。単位には KiB や GiB が使用できます。単位を指定しない場合は、MiB がデフォルトになります。
    3. デバイスタイプ ドロップダウンメニューから、必要なデバイスタイプ (標準パーティションLVM、または LVM シンプロビジョニング) 選択します。

      注記

      RAID は、パーティションの作成に 2 つ以上のディスクが選択されている場合にのみ使用できます。RAID を選択した場合は、RAID レベル も設定できます。同様に、LVM を選択した場合は、ボリュームグループ を選択できます。

    4. パーティションまたはボリュームを暗号化する場合は、暗号化 チェックボックスを選択します。後続のインストールプログラムで、パスワードを設定する必要があります。LUKS バージョン ドロップダウンメニューが表示されます。
    5. ドロップダウンメニューから、LUKS バージョンを選択します。
    6. ファイルシステム ドロップダウンメニューから、このパーティションまたはボリュームに適したファイルシステムタイプを選択します。

      注記

      VFAT ファイルシステムは、Linux システムのパーティションではサポートされていません。たとえば、//var/usr などです。

    7. 既存のパーティションをフォーマットする場合は 再フォーマット チェックボックスを選択します。データを保持するには、再フォーマット チェックボックスの選択を解除します。新たに作成したパーティションとボリュームは再フォーマットする必要があるため、チェックボックスの選択を解除することはできません。
    8. ラベル フィールドのパーティションにラベルを割り当てます。ラベルを使用すると、個別のパーティションの認識とアドレス指定が容易になります。
    9. 名前 フィールドに名前を入力します。標準パーティションは、作成時に自動的に名前が付けられます。標準パーティションの名前を編集することはできません。たとえば、/boot の名前 sda1 を編集することはできません。
  3. Update Settings をクリックして変更を適用し、必要に応じてカスタマイズする別のパーティションを選択します。変更は、Installation Summary ウィンドウで Begin Installation をクリックするまで適用されません。
  4. オプション: パーティションの変更を破棄するには、Reset All をクリックします。
  5. ファイルシステムとマウントポイントをすべて作成してカスタマイズしたら、Done をクリックします。ファイルシステムの暗号化を選択すると、パスフレーズを作成するように求められます。

    Summary of Changes ダイアログボックスが開き、インストールプログラムの全ストレージアクションの概要が表示されます。

  6. Accept Changes をクリックして変更を適用し、Installation Summary ウィンドウに戻ります。

10.4.8. /home ディレクトリーの維持

Red Hat Enterprise Linux 9 グラフィカルインストールでは、RHEL 8 システムで使用されていた /home ディレクトリーを保存できます。RHEL 8 システムの別の /home パーティションに、/home ディレクトリーが存在する場合に限り、/home を予約できます。

さまざまな設定を含む /home ディレクトリーを保持すると、新しい Red Hat Enterprise Linux 9 システムで新しい RHEL 7 システムでの GNOME Shell 環境を、RHEL 8 システムと同じように設定できるようになります。これは、以前の RHEL 8 システムと同様、同じユーザー名と ID を持つ Red Hat Enterprise Linux 9 のユーザーに対してのみ適用されることに注意してください。

前提条件

  • コンピューターに RHEL 8 がインストールされている。
  • /home ディレクトリーが RHEL 8 システムの別の /home パーティションにある。
  • Red Hat Enterprise Linux 9 の Installation Summary ウィンドウが開いている。

手順

  1. Installation Destination をクリックして、Installation Destination ウィンドウを開きます。
  2. Storage Configuration で、Custom ラジオボタンを選択します。Done をクリックします。
  3. Done をクリックすると、Manual Partitioning ウィンドウが開きます。
  4. /home パーティションを選択し、Mount Point: 下に /home を入力し、Reformat チェックボックスの選択を解除します。

    図10.2 /home がフォーマットされていないことを確認

  5. オプション: マウントポイントファイルシステムのカスタマイズ で説明されているように、Red Hat Enterprise Linux 9 システムに必要な /home パーティションのさまざまな側面をカスタマイズすることもできます。ただし、RHEL 8 システムから /home を保持するには、Reformat チェックボックスの選択を解除する必要があります。
  6. 要件に従ってすべてのパーティションをカスタマイズしたら、完了をクリックします。Summary of changes ダイアログボックスが開きます。
  7. Summary of changes ダイアログボックスに /home の変更が表示されないことを確認します。これは、/home パーティションが保持されていることを示します。
  8. Accept Changes をクリックして変更を適用し、Installation Summary ウィンドウに戻ります。

10.4.9. インストール中のソフトウェア RAID の作成

Redundant Arrays of Independent Disks (RAID) デバイスは、パフォーマンスを向上させ、一部の設定ではより優れたフォールトトレランスを提供するように配置された複数のストレージデバイスから構築されます。RAID デバイスの作成は 1 つのステップで終わり、必要に応じてディスクを追加または削除できます。システムでは、1 つの物理ディスクに 1 つの RAID パーティションが作成できるため、インストールプログラムで使用できるディスク数により、利用できる RAID デバイスのレベルが決定します。たとえば、システムにディスクが 2 つある場合は、RAID 10 デバイスを作成することはできません。少なくともディスクが 3 つ必要になるためです。RHEL は、システムのストレージパフォーマンスと信頼性を最適化するために、インストールされたシステムにストレージを設定するための LVM および LVM シンプロビジョニングを使用したソフトウェア RAID 0RAID 1RAID 4RAID 5RAID 6、および RAID 10 タイプをサポートしています。

注記

64 ビットの IBM Z では、ストレージサブシステムが RAID を透過的に使用します。ソフトウェア RAID を手動で設定する必要はありません。

前提条件

  • RAID 設定オプションは、インストール用に複数のディスクを選択している場合にのみ表示される。作成する RAID タイプに応じて、少なくとも 2 つのディスクが必要です。
  • マウントポイントを作成している。マウントポイントを設定して、RAID デバイスを設定します。
  • インストール先 画面で カスタム ラジオボタンを選択している。

手順

  1. 手動パーティション設定 画面の左側のペインで、必要なパーティションを選択します。
  2. デバイス セクションの下にある 修正 をクリックします。マウントポイントの設定 ダイアログボックスが開きます。
  3. RAID デバイスに追加するディスクを選択して、選択 をクリックします。
  4. デバイスタイプ ドロップダウンメニューをクリックして、RAID を選択します。
  5. ファイルシステム のドロップダウンメニューをクリックして、目的のファイルシステムタイプを選択します。
  6. RAID レベル ドロップダウンメニューをクリックして、目的の RAID レベルを選択します。
  7. Update Settings をクリックして、変更を保存します。
  8. 完了 をクリックして設定を適用し、インストールの概要 ウィンドウに戻ります。

10.4.10. LVM 論理ボリュームの作成

論理ボリュームマネージャー (LVM) は、ディスクや LUN などの基盤となる物理ストレージ領域を、シンプルかつ論理的に表示します。物理ストレージ上のパーティションは物理ボリュームとして表示され、ボリュームグループにグループ化できます。各ボリュームグループは複数の論理ボリュームに分割できます。各論理ボリュームは標準のディスクパーティションによく似ています。したがって、LVM 論理ボリュームは、複数の物理ディスクにまたがることが可能なパーティションとして機能します。

重要
  • LVM 設定は、グラフィカルインストールプログラムでのみ利用できます。テキストモードによるインストールの場合は、LVM を設定できません。
  • LVM 設定を作成するには、Ctrl+Alt+F2 を押し、別の仮想コンソールのシェルプロンプトを使用します。このシェルで vgcreate および lvm コマンドを実行できます。テキストモードのインストールに戻るには Ctrl+Alt+F1 を押します。

手順

  1. Manual Partitioning ウィンドウから、次のいずれかの方法で新しいマウントポイントを作成します。

    • Click here to create them automatically オプションを使用するか、+ ボタンをクリックします。
    • ドロップダウンリストからマウントポイントを選択するか、手動で入力します。
    • ファイルシステムのサイズを Desired Capacity フィールドに入力します。たとえば、/ の場合は 70 GiB、/boot の場合は 1 GiB です。

      注記: 既存のマウントポイントを使用する場合は、この手順をスキップしてください。

  2. マウントポイントを選択します。
  3. ドロップダウンメニューで LVM を選択します。Volume Group ドロップダウンメニューが表示され、新たに作成したボリュームグループ名が表示されます。

    注記

    設定ダイアログではボリュームグループの物理エクステントのサイズは指定できません。このサイズは、常にデフォルト値の 4 MiB に設定されます。別の物理エクステントのボリュームグループを作成する場合は、対話シェルに切り替えて、vgcreate コマンドで手動で作成するか、キックスタートファイルで volgroup --pesize=size コマンドを使用して作成します。キックスタートの詳細は、RHEL の自動インストール を参照してください。

  4. 完了 をクリックして、インストール概要 画面に戻ります。

10.4.11. LVM 論理ボリュームの設定

新しく作成した LVM 論理ボリュームを要件に基づいて設定できます。

警告

/boot パーティションを LVM ボリュームに配置することには対応していません。

手順

  1. Manual Partitioning ウィンドウから、次のいずれかの方法でマウントポイントを作成します。

    • Click here to create them automatically オプションを使用するか、+ ボタンをクリックします。
    • ドロップダウンリストからマウントポイントを選択するか、手動で入力します。
    • ファイルシステムのサイズを Desired Capacity フィールドに入力します。たとえば、/ の場合は 70 GiB、/boot の場合は 1 GiB です。

      注記: 既存のマウントポイントを使用する場合は、この手順をスキップしてください。

  2. マウントポイントを選択します。
  3. Device Type ドロップダウンメニューをクリックし、LVM を選択します。Volume Group ドロップダウンメニューが表示され、新たに作成したボリュームグループ名が表示されます。
  4. Modify をクリックして、新たに作成したボリュームグループを設定します。Configure Volume Group ダイアログボックスが開きます。

    注記

    設定ダイアログではボリュームグループの物理エクステントのサイズは指定できません。このサイズは、常にデフォルト値の 4 MiB に設定されます。別の物理エクステントのボリュームグループを作成する場合は、対話シェルに切り替えて、vgcreate コマンドで手動で作成するか、キックスタートファイルで volgroup --pesize=size コマンドを使用して作成します。詳細は、RHEL の自動インストール ドキュメントを参照してください。

  5. オプション: RAID Level ドロップダウンメニューから、必要な RAID レベルを選択します。

    利用可能な RAID レベルは、実際の RAID デバイスと同じです。

  6. ボリュームグループを暗号化対象としてマークするには、Encrypt チェックボックスをオンにします。
  7. Size policy ドロップダウンメニューから、ボリュームグループに対して次のサイズポリシーのいずれかを選択します。

    利用可能なポリシーオプションは以下のようになります。

    Automatic
    ボリュームグループのサイズは自動で設定されるため、設定した論理ボリュームを格納するのに適切なサイズになります。ボリュームグループに空の領域が必要ない場合に最適です。
    As large as possible
    設定した論理ボリュームのサイズに関係なく、最大サイズのボリュームグループが作成されます。これは、ほとんどのデータを LVM に保存する場合、または後で既存の論理ボリュームのサイズを拡大する可能性がある場合、もしくはこのグループに別の論理ボリュームを作成する必要がある場合などに最適です。
    Fixed
    このオプションではボリュームグループのサイズを正確に設定できます。設定している論理ボリュームが格納できるサイズにする必要があります。ボリュームグループに設定する容量が正確に分かっている場合に便利です。
  8. Save をクリックして設定を適用し、Manual Partitioning ウィンドウに戻ります。
  9. Update Settings をクリックして、変更を保存します。
  10. Done をクリックして、Installation Summary ウィンドウに戻ります。

10.4.12. パーティション設定に関するアドバイス

すべてのシステムに最善となる分割方法はありません。インストール済みシステムをどのように使用するかによって異なります。ただし、次のヒントは、ニーズに最適なレイアウトを見つけるのに役立つかもしれません。

  • たとえば、特定のパーティションを特定のディスクに配置する必要がある場合など、特定の要件を満たすパーティションを最初に作成します。
  • 機密データを格納する可能性があるパーティションやボリュームには、暗号化を検討してください。暗号化を行うと、権限を持たない人が物理ストレージデバイスにアクセスできても、暗号化したパーティションにあるデータにアクセスできなくなります。ほとんどの場合は、少なくともユーザーデータが含まれる /home パーティションを暗号化してください。
  • 場合によっては、//boot、および /home 以外のディレクトリーに個別のマウントポイントを作成すると役に立つかもしれません。たとえば、MySQL データベースを実行するサーバーで、/var/lib/mysql 用のマウントポイントを別に持つことで、後でバックアップからデータベースを復元しなくても、再インストール中にデータベースを保存できます。ただし、不要なマウントポイントがあると、ストレージ管理がより困難になります。
  • 一部のディレクトリーには、配置できるパーティションレイアウトに関して特別な制限がいくつか適用されます。特に、/boot ディレクトリーは常に、(LVM ボリュームではなく) 物理パーティションに存在する必要があります。
  • Linux を初めて使用する場合は、さまざまなシステムディレクトリーとそのコンテンツの詳細を、Linux ファイルシステム階層標準 を確認してください。
  • 各カーネルには約 60MiB (initrd 34MiB、11MiB vmlinuz、および 5MiB System.map) が必要です。
  • レスキューモードの場合 :100MiB (initrd 76MiB、11MiB vmlinuz、および 5MiB システムマップ)
  • システムで kdump を有効にすると、さらに約 40 MiB (33 MiB の別の initrd) が必要になります。

    最も一般的なユースケースでは、/boot にはデフォルトの 1 GiB のパーティションサイズが必要です。ただし、複数のカーネルリリースまたはエラータカーネルを保持する予定の場合は、このパーティションのサイズを増やしてください。

  • /var ディレクトリーには、Apache Web サーバーなど、多数のアプリケーションのコンテンツが格納されていて、DNF パッケージマネージャーが、ダウンロードしたパッケージの更新を一時的に保管するのに使用されます。/var を含むパーティションまたはボリュームに少なくとも 5 GiB があることを確認してください。
  • /usr ディレクトリーには、一般的な Red Hat Enterprise Linux インストールの大抵のソフトウェアが格納されています。このディレクトリーを含むパーティションまたはボリュームは、最小インストールの場合は最低 5 GiB、グラフィカル環境のインストールの場合は最低 10 GiB 必要です。
  • /usr または /var のパーティションをルートボリュームとは別の場所に設定すると、これらのディレクトリーには起動に欠かせないコンポーネントが含まれているため、起動プロセスが非常に複雑になります。iSCSI ドライブや FCoE などの場所に配置してしまった場合には、システムが起動できなくなったり、電源オフや再起動の際に Device is busy のエラーでハングしたりする可能性があります。

    これらの制限は /usr/var にのみ適用され、その下のディレクトリーには適用されません。たとえば、/var/www 向けの個別パーティションは、問題なく機能します。

    重要

    一部のセキュリティーポリシーでは、管理がより複雑になりますが、/usr/var の分離が必要になります。

  • LVM ボリュームグループ内の一部領域を未割り当てのまま残しておくことを検討してください。このように未割り当ての領域を残すことで、領域の要件が変化した際に、その他のボリュームからデータを削除したくない場合に、柔軟性が得られます。また、パーティションに LVM シンプロビジョニング デバイスタイプを選択し、ボリュームに未使用の領域を自動的に処理させることもできます。
  • XFS ファイルシステムのサイズを縮小することはできません。このファイルシステムのパーティションまたはボリュームを小さくする必要がある場合は、データのバックアップを作成し、ファイルシステムを破棄して、代わりに小規模なファイルシステムを新たに作成する必要があります。したがって、後でパーティションレイアウトを変更する予定の場合には、代わりに ext4 ファイルシステムを使用してください。
  • インストール後にディスクを追加したり、仮想マシンのディスクを拡張したりしてストレージを拡張する予定がある場合は、論理ボリュームマネージャー (LVM) を使用します。LVM を使用すると、新しいドライブに物理ボリュームを作成し、必要に応じてそのボリュームをボリュームグループおよび論理ボリュームに割り当てることができます。たとえば、システムの /home (または論理ボリュームに存在するその他のディレクトリー) は簡単に拡張できます。
  • システムのファームウェア、起動ドライブのサイズ、および起動ドライブのディスクラベルによっては、BIOS の起動パーティションまたは EFI システムパーティションの作成が必要になる場合があります。システムで BIOS ブートまたは EFI システムパーティションが 必要ない 場合は、グラフィカルインストールで BIOS ブートまたは EFI システムパーティションを作成することはできません。この場合は、メニューに表示されなくなります。

10.5. ベース環境と追加ソフトウェアの選択

必要なソフトウェアパッケージを選択するには、Software Selectio ウィンドウを使用します。パッケージは、ベース環境と追加ソフトウェア別に編成されています。

  • Base Environment には、定義済みのパッケージが含まれています。たとえば、Server with GUI (デフォルト)、Server、Minimal Install、Workstation、Custom Operating System、Virtualization Host など、ベース環境を 1 つだけ選択できます。可用性は、インストールソースとして使用されているインストール ISO イメージにより異なります。
  • 選択した環境の追加ソフトウェア には、ベース環境用の追加のソフトウェアパッケージが含まれています。複数のソフトウェアパッケージを選択できます。

事前に定義された環境と追加のソフトウェアを使用して、システムをカスタマイズします。ただし、標準的なインストールでは、インストールする個々のパッケージを選択することはできません。特定の環境に含まれるパッケージを表示するには、インストールソースメディア (DVD、CD、USB) にある repository/repodata/*-comps-repository.architecture.xml ファイルを参照してください。XML ファイルには、ベース環境としてインストールされたパッケージの詳細が記載されています。利用可能な環境には <environment> タグ、そして追加のソフトウェアパッケージには <group> タグが付いています。

どのパッケージをインストールする必要があるかわからない場合は、Minimal Install ベース環境を選択してください。最小インストールでは、基本バージョンの Red Hat Enterprise Linux と、最低限の追加ソフトウェアがインストールされます。システムのインストールが終了して初めてログインしたら、DNF パッケージマネージャーを使用して、必要なソフトウェアをインストールできます。DNF パッケージマネージャーの詳細は、基本的なシステム設定 を参照してください。

注記
  • 任意の RHEL 9 システムから dnf group list コマンドを使用すると、ソフトウェアの選択肢の一部としてシステムにインストールされているパッケージのリストが表示されます。詳細は、基本的なシステム設定 を参照してください。
  • インストールするパッケージを制御する必要がある場合は、キックスタートファイルの %packages セクションにパッケージを定義します。
  • デフォルトでは、RHEL 9 は、TuneD パッケージをインストールしません。dnf install tuned コマンドを使用すると、TuneD パッケージを手動でインストールできます。詳細は、RHEL の自動インストール ドキュメントを参照してください。

前提条件

  • インストールソースを設定している。
  • インストールプログラムが、パッケージのメタデータをダウンロードしている。
  • Installation Summary 画面が開いている。

手順

  1. インストール概要 画面で、ソフトウェアの選択 をクリックします。ソフトウェアの選択 画面が開きます。
  2. ベース環境 ペインで、ベース環境を選択します。たとえば、Server with GUI (デフォルト)、Server、Minimal Install、Workstation、Custom Operating System、Custom Operating System など、ベース環境を 1 つだけ選択できます。デフォルトでは、Server with GUI ベース環境が選択されています。

    図10.3 Red Hat Enterprise Linux ソフトウェアの選択

  3. オプション: ARM ベースのシステムにインストールする場合は、カーネルオプション から希望の ページサイズ を選択します。

    デフォルトでは、4K ページサイズのカーネルが選択されます。

    警告

    64k ページサイズのカーネルを使用する場合は、必ず Base EnvironmentMinimal Install を選択してください。インストール後に初めてシステムにログインした後、DNF パッケージマネージャーを使用して追加のソフトウェアをインストールできます。

  4. 選択した環境の追加ソフトウェア ペインから、1 つ以上のオプションを選択します。
  5. Done をクリックして設定を適用し、グラフィカルインストールに戻ります。

10.6. オプション: ネットワークとホスト名の設定

ネットワークとホスト名 画面は、ネットワークインターフェイスを設定するために使用されます。ここで選択したオプションは、インストール済みシステムだけでなく、インストール時にリモートからパッケージをダウンロードするなどのタスクを行う際にも利用できます。

以下の手順に従って、ネットワークとホスト名を設定します。

手順

  1. インストール概要 画面から、ネットワークとホスト名 をクリックします。
  2. 左側のペインのリストから、インターフェイスを選択します。詳細が右側のペインに表示されます。
  3. ON/OFF スイッチを切り替えて、選択したインターフェイスを有効または無効にします。

    インターフェイスを手動で追加または削除することはできません。

  4. + をクリックして、仮想ネットワークインターフェイスを追加します。仮想ネットワークインターフェイスは、チーム (非推奨)、ボンド、ブリッジ、または VLAN のいずれかです。
  5. - を選択して、仮想インターフェイスを削除します。
  6. Configure をクリックして、既存のインターフェイス (仮想と物理の両方) の IP アドレス、DNS サーバー、ルーティング設定などの設定を変更します。
  7. ホスト名 フィールドに、システムのホスト名を入力します。

    ホスト名は、hostname.domainname 形式の完全修飾ドメイン名 (FQDN)、またはドメインなしの短縮ホスト名のいずれかにします。多くのネットワークには、自動的に接続したシステムにドメイン名を提供する DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) サービスがあります。DHCP サービスがこのシステムにドメイン名を割り当てるようにするには、短縮ホスト名のみを指定します。

    ホスト名に使用できるのは、英数字と - または . のみです。ホスト名は 64 文字以下である必要があります。ホスト名は、- および . で開始したり終了したりできません。DNS に準拠するには、FQDN の各部分は 63 文字以下で、ドットを含む FQDN の合計の長さは 255 文字を超えることができません。

    localhost の値は、ターゲットシステムの静的ホスト名が指定されておらず、(たとえば、DHCP または DNS を使用する NetworkManager による) ネットワーク設定時に、インストールされるシステムの実際のホスト名が設定されることを示しています。

    静的 IP およびホスト名の設定を使用する場合、短縮名または FQDN を使用するかどうかは、計画したシステムのユースケースによって異なります。Red Hat Identity Management はプロビジョニング時に FQDN を設定しますが、サードパーティーのソフトウェア製品によっては短縮名が必要になる場合があります。いずれの場合も、すべての状況で両方のフォームの可用性を確保するには、IP FQDN short-alias の形式で /etc/hosts にホストのエントリーを追加します。

  8. Apply をクリックして、ホスト名をインストーラー環境に適用します。
  9. また、ネットワークおよびホスト名 画面では、ワイヤレスオプションを選択できます。右側のペインで ネットワークの選択 をクリックして Wifi 接続を選択します。必要に応じてパスワードを入力し、完了 をクリックします。

10.6.1. 仮想ネットワークインターフェイスの追加

仮想ネットワークインターフェイスを追加できます。

手順

  1. ネットワークとホスト名 画面で、+ ボタンをクリックして、仮想ネットワークインターフェイスを追加します。デバイスの追加 ダイアログが開きます。
  2. 使用可能な 4 つのタイプの仮想インターフェイスから 1 つ選択してください。

    • Bond - NIC (ネットワークインターフェイスコントローラー) のボンドです。複数の物理ネットワークインターフェイスを 1 つのボンドチャネルに結合する方法です。
    • Bridge - NIC ブリッジングです。複数のネットワークを 1 つの集積ネットワークに接続します。
    • Team - NIC のチーミングです。複数のリンクを集約する新しい実装方法です。小型のカーネルドライバーを提供することでパケットフローを高速で処理し、各種アプリケーションがその他のすべてのタスクをユーザー領域で行うように設計されています。

      NIC チーミングは Red Hat Enterprise Linux 9 では非推奨です。代わりに、ネットワークボンディングドライバーの使用を検討してください。詳細は、ネットワークボンディングの設定 を参照してください。

    • Vlan (Virtual LAN) - それぞれ独立している複数のブロードキャストドメインを作成する方法です。
  3. インターフェイスの種類を選択し、追加 をクリックします。インターフェイスの編集ダイアログボックスが開き、選択したインターフェイスタイプに使用できる設定を編集できます。

    詳細は、ネットワークインターフェイスの編集 を参照してください。

  4. 保存 をクリックして仮想インターフェイス設定を確認し、ネットワークおよびホスト名 画面に戻ります。
  5. オプション: 仮想インターフェイスの設定を変更するには、インターフェイスを選択し、Configure をクリックします。

10.6.2. ネットワークインターフェイス設定の編集

インストール時に使用する一般的な有線接続の設定を編集できます。その他の種類のネットワークの設定方法は、一部の設定パラメーターが異なる場合がありますが、ここで説明する内容とあまり変わりません。

注記

64 ビットの IBM Z では、ネットワークサブチャンネルをあらかじめグループ化してオンラインに設定する必要があるため、新しい接続を追加することはできません。これは現在、起動段階でのみ行われます。

手順

  • ネットワーク接続を手動で設定するには、Network and Host name ウィンドウからインターフェイスを選択し、Configure をクリックします。

    選択したインターフェイスに固有の編集ダイアログが開きます。

表示されるオプションは接続の種類によって異なります。使用可能なオプションは、接続の種類が物理インターフェイス (有線または無線のネットワークインターフェイスコントローラー) か、仮想インターフェイスの追加 で設定した仮想インターフェイス (ボンド、ブリッジ、チーム (非推奨)、または Vlan) かによって若干異なります。

10.6.3. インターフェイス接続の有効化または無効化

特定のインターフェイス接続を有効または無効にできます。

手順

  1. General タブをクリックします。
  2. Connect automatically with priority チェックボックスをオンにして、デフォルトで接続を有効にします。デフォルトの優先度設定は 0 のままにします。
  3. オプション: All users may connect to this network オプションを使用して、システム上のすべてのユーザーがこのネットワークに接続するのを有効または無効にします。このオプションを無効にすると、root だけがこのネットワークに接続できます。

    重要

    有線接続で有効にすると、システムは起動時または再起動時に自動的に接続されます。無線接続では、インターフェイスにより、範囲内の既知の無線ネットワークへの接続が試されます。nm-connection-editor ツールを含む NetworkManager の詳細は、Configuring and managing networking のドキュメントを参照してください。

  4. Save をクリックして変更を適用し、Network and Host name ウィンドウに戻ります。

    インストール中のこの時点ではその他のユーザーが作成されないため、root 以外の特定のユーザーだけがこのインターフェイスを使用するように許可することはできません。別のユーザーが使用する接続が必要な場合は、インストール後に設定する必要があります。

10.6.4. 静的な IPv4 または IPv6 の設定

デフォルトでは、現在のネットワーク設定に応じて、IPv4 と IPv6 の両方が自動設定に指定されています。つまり、ローカルの IP アドレス、DNS アドレスなどのアドレスは、インターフェイスがネットワークに接続すると自動的に検出されます。多くの場合はこれで十分ですが、IPv4 Settings タブと IPv6 Settings タブで静的な設定を行うこともできます。IPv4 設定または IPv6 設定を設定するには、以下の手順を実行します。

手順

  1. 静的ネットワーク設定を行うには、IPv 設定タブのいずれかに移動し、方式 ドロップダウンメニューから、自動 以外の方法 (手動 など) を選択します。アドレス ペインが有効になります。
  2. オプション: IPv6 Settings タブで、方法を Ignore に設定して、このインターフェイスで IPv6 を無効にすることもできます。
  3. 追加 をクリックして、アドレス設定を入力します。
  4. 追加の DNS サーバー フィールドに IP アドレスを入力します。DNS サーバーの IP アドレス (10.0.0.1,10.0.0.8 など) を 1 つ以上設定できます。
  5. Require IPvX addressing for this connection to complete チェックボックスをオンにします。

    IPv4 Settings または IPv6 Settings タブでこのオプションを選択すると、IPv4 または IPv6 が成功した場合にのみこの接続が許可されます。IPv4 および IPv6 の両方でこのオプションを無効にしたままにしておくと、いずれかの IP プロトコル設定に成功した場合にインターフェイスが接続できるようになります。

  6. 保存 をクリックして変更を適用し、ネットワークおよびホスト名 画面に戻ります。

10.6.5. ルートの作成

ルートを設定することで、特定の接続へのアクセスを制御できます。

手順

  1. IPv4 設定 タブおよび IPv6 設定 タブで、ルート をクリックして特定の IP プロトコルのルーティング設定を行います。そのインターフェイス用のルート編集ダイアログが開きます。
  2. 追加 をクリックして、ルートを追加します。
  3. 1 つ以上の静的ルートを設定し、設定していないすべてのルートを無効にするには、自動的に得られたルートを無視する チェックボックスを選択します。
  4. この接続はネットワーク上のリソースにのみ使用 チェックボックスを選択して、デフォルトルートにはならないようにします。

    このオプションは、静的ルートを設定していなくても選択できます。このルートは、ローカルまたは VPN 接続を必要とするイントラネットページなど、特定のリソースにアクセスするためにのみ使用されます。公開されているリソースには別の (デフォルトの) ルートが使用されます。追加ルートが設定されているのとは異なり、この設定はインストール済みシステムに転送されます。このオプションは、複数のインターフェイスを設定する場合に限り役に立ちます。

  5. OK をクリックして設定を保存し、インターフェイス固有のルートの編集ダイアログボックスに戻ります。
  6. 保存 をクリックして設定を適用し、ネットワークおよびホスト名 画面に戻ります。

10.7. オプション: キーボードレイアウトの設定

Installation Summary 画面からキーボードレイアウトを設定できます。

重要

ロシア語 のようにラテン文字を受け付けないレイアウトを使用する場合は、一緒に 英語 (US) レイアウトも追加して、2 つのレイアウトを切り替えられるようにキーボードを設定します。ラテン文字を含まないレイアウトを選択すると、この後のインストールプロセスで有効な root パスワードおよびユーザー認証情報を入力できない場合があります。これにより、インストールを完了できない可能性があります。

手順

  1. Installation Summary ウィンドウで、Keyboard をクリックします。
  2. + をクリックして Add a Keyboard Layout ウィンドウを開き、別のレイアウトに変更します。
  3. リストを参照してレイアウトを選択するか、Search フィールドを使用します。
  4. 必要なレイアウトを選択し、Add をクリックします。デフォルトレイアウトの下に新しいレイアウトが表示されます。
  5. 必要に応じて オプション をクリックして、使用可能なレイアウトを切り替えるキーボードスイッチを設定します。レイアウト切り替えのオプション 画面が開きます。
  6. 切り替え用のキーの組み合わせを設定するには、1 つ以上のキーの組み合わせを選択し、OK をクリックして選択を確定します。
  7. オプション: レイアウトを選択するときに、Keyboard ボタンをクリックすると、新しいダイアログボックスが開き、選択したレイアウトの視覚的な表現が表示されます。
  8. Done をクリックして設定を適用し、グラフィカルインストールに戻ります。

10.8. オプション: 言語サポートの設定

Installation Summary 画面から言語設定を変更できます。

手順

  1. インストール概要 画面で 言語サポート をクリックします。言語サポート 画面が開きます。左側のペインには、利用可能な言語グループのリストが表示されます。グループの中から 1 つ以上の言語を設定すると、チェックマークが表示され、対応する言語が強調表示されます。
  2. 左側のペインからグループをクリックして追加の言語を選択し、右側のペインから地域のオプションを選択します。設定するすべての言語に対してこのプロセスを繰り返します。
  3. オプション: 必要に応じて、テキストボックスに入力して言語グループを検索します。
  4. Done をクリックして設定を適用し、グラフィカルインストールに戻ります。

10.10. オプション: システムをサブスクライブして Red Hat Insights を有効にする

Red Hat Insights は SaaS (Software-as-a-Service) 製品で、継続的に、登録済みの Red Hat ベースのシステムに詳細な分析を提供し、物理環境、仮想環境、クラウド環境、およびコンテナーデプロイメントでセキュリティー、パフォーマンス、および安定性に関する脅威をプロアクティブに特定します。RHEL システムを Red Hat Insights に 登録 すると、予測分析、セキュリティーアラート、パフォーマンス最適化ツールにアクセスできるようになり、セキュアで効率的かつ安定した IT 環境を維持できるようになります。

Red Hat アカウントまたはアクティベーションキーの詳細を使用して Red Hat に登録できます。Connect to Red Hat オプションを使用して、システムを Red Hat Insights に接続できます。

手順

  1. Installation Summary 画面の Software で、Connect to Red Hat をクリックします。
  2. Account または Activation Key を選択します。

    1. Account を選択した場合は、Red Hat カスタマーポータルのユーザー名とパスワードの詳細を入力します。
    2. Activation Key を選択した場合は、組織 ID とアクティベーションキーを入力します。

      サブスクリプションにアクティベーションキーが登録されている限り、複数のアクティベーションキーをコンマで区切って入力できます。

  3. Set System Purpose チェックボックスをオンにします。

    • アカウントで Simple Content Access モードが有効になっている場合でも、サブスクリプションサービスの消費量を正確にレポートするには、システムの目的の値を設定することが重要です。
    • アカウントがエンタイトルメントモードである場合、システムの目的を設定すると、エンタイトルメントサーバーが Red Hat Enterprise Linux 9 システムの使用目的を満たす最適なサブスクリプションを決定し、自動的に割り当てることが可能になります。
  4. 対応するドロップダウンリストから、必要な RoleSLA、および Usage を選択します。
  5. Red Hat Insights への接続 チェックボックスはデフォルトで有効になっています。Red Hat Insights に接続する必要がない場合には、チェックボックスの選択を解除します。
  6. 必要に応じて、オプション をデプロイメントします。

    1. ネットワーク環境で、外部のインターネットアクセスまたは HTTP プロキシーを介したコンテンツサーバーへのアクセスのみが許可されている場合は、HTTP プロキシーの使用 チェックボックスを選択します。HTTP プロキシーを使用していない場合は、HTTP プロキシーの使用 チェックボックスの選択を解除します。
    2. Satellite Server を実行しているか、内部テストを実行している場合は、Satellite URL チェックボックスと カスタムベース URL チェックボックスを選択して、必要な情報を入力します。

      重要
      • RHEL 9 は、Satellite 6.11 以降でのみサポートされます。システムを登録する前にバージョンを確認してください。
      • Satellite URL フィールドには HTTP プロトコル (nameofhost.com など) が必要ありません。ただし、Custom base URL フィールドには HTTP プロトコルが必要です。
      • 登録後に カスタムベース URL を変更するには、登録を解除し、新しい詳細を指定してから再登録する必要があります。
  7. 登録 をクリックしてシステムを登録します。システムが正常に登録され、サブスクリプションが割り当てられると、Red Hat への接続 ウィンドウに、割り当てられているサブスクリプションの詳細が表示されます。

    サブスクリプションのサイズによっては、登録および割り当てのプロセスが完了するのに最大 1 分かかることがあります。

  8. Done をクリックして、Installation Summary ウィンドウに戻ります。

    Red Hat への接続 の下に 登録 メッセージが表示されます。

10.11. オプション: インストールにネットワークベースのリポジトリーを使用する

自動検出されたインストールメディア、Red Hat CDN、またはネットワークのいずれかからインストールソースを設定できます。Installation Summary ウィンドウを初めて開くと、インストールプログラムが、システムの起動に使用されたメディアの種類に基づいて、インストールソースの設定を試みます。完全な Red Hat Enterprise Linux Server DVD は、ソースをローカルメディアとして設定します。

前提条件

  • Product Downloads ページからフルインストール用の DVD ISO または最小インストール用の Boot ISO イメージをダウンロードした。
  • 起動可能なインストールメディアを作成した。
  • Installation Summary 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary ウィンドウで、Installation Source をクリックします。インストールソース 画面が開きます。

    1. 自動検出したインストールメディア セクションを見直して、詳細を確認します。インストールソースを含むメディア (DVD) からインストールプログラムを起動した場合は、このオプションがデフォルトで選択されます。
    2. 検証 をクリックして、メディアの整合性を確認します。
    3. Additional repositories セクションを確認し、AppStream チェックボックスがデフォルトで選択されていることを確認します。

      BaseOS および AppStream リポジトリーは、フルインストールイメージの一部としてインストールされます。Red Hat Enterprise Linux 9 のフルインストールを行う場合は、AppStream リポジトリーのチェックボックスを無効にしないでください。

  2. 必要に応じて、Red Hat CDN オプションを選択して、システムを登録し、RHEL サブスクリプションを割り当てて、Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) から RHEL をインストールします。
  3. オプション: ローカルメディアではなく、ネットワーク上の場所からパッケージをダウンロードしてインストールするには、On the network オプションを選択します。このオプションは、ネットワーク接続がアクティブな場合にのみ利用できます。GUI でネットワーク接続を設定する方法は、ネットワークおよびホスト名のオプションの設定 を参照してください。

    注記

    ネットワーク上の場所から追加のリポジトリーをダウンロードしてインストールしない場合は、ソフトウェア選択の設定 に進みます。

    1. ネットワーク上 ドロップダウンメニューを選択し、パッケージのダウンロードに使用するプロトコルを指定します。この設定は、使用するサーバーによって異なります。
    2. アドレスフィールドに、(プロトコルなしで) サーバーアドレスを入力します。NFS を選択すると、入力フィールドが開き、カスタムの NFS マウントオプション を指定できます。このフィールドでは、システム上の nfs(5) man ページにリストされているオプションを使用できます。
    3. NFS のインストールソースを選択する場合は、ホスト名とパスをコロン (:) で区切ってアドレスを指定します。たとえば、server.example.com:/path/to/directory のように指定します。

      以下の手順は任意で、ネットワークアクセスにプロキシーが使用されているかどうかのみが必要となります。

    4. Proxy setup をクリックして、HTTP または HTTPS ソースのプロキシーを設定します。
    5. Enable HTTP proxy チェックボックスをオンにし、Proxy Host フィールドに URL を入力します。
    6. プロキシーサーバーで認証が必要な場合は、Use Authentication チェックボックスをオンにします。
    7. ユーザー名とパスワードを入力します。
    8. OK をクリックして設定を終了し、プロキシーの設定... ダイアログを終了します。

      注記

      HTTP または HTTPS の URL が、リポジトリーミラーを参照する場合は、URL type ドロップダウンリストから必要なオプションを選択します。ソースの設定が終わると、選択に対して環境と追加のソフトウェアパッケージがすべて利用できます。

  4. + をクリックして、リポジトリーを追加します。
  5. - をクリックして、リポジトリーを削除します。
  6. 矢印 アイコンをクリックして、現在のエントリーを、インストールソース 画面を開いたときに表示されていた設定に戻します。
  7. リポジトリーを有効または無効にするには、リストの各エントリーで 有効 列のチェックボックスをクリックします。

    ネットワークにプライマリーリポジトリーを設定するときと同じように、追加リポジトリーに名前を付けて設定できます。

  8. Done をクリックして設定を適用し、Installation Summary ウィンドウに戻ります。

10.12. オプション: Kdump カーネルクラッシュダンプメカニズムの設定

Kdump は、カーネルのクラッシュダンプメカニズムです。システムがクラッシュすると、Kdump が、障害発生時のシステムメモリーの内容をキャプチャーします。キャプチャーしたメモリーを解析すると、クラッシュの原因を見つけることができます。Kdump が有効になっている場合は、システムメモリー (RAM) のごく一部をそれ自身に予約する必要があります。予約したメモリーは、メインのカーネルにアクセスできません。

手順

  1. インストール概要 画面から、Kdump をクリックします。Kdump 画面が開きます。
  2. kdump を有効にする チェックボックスを選択します。
  3. メモリー予約設定を、自動 または 手動 のいずれかから選択します。
  4. 手動 を選択し、+ ボタンおよび - ボタンを使用して、予約されるメモリー フィールドに、予約するメモリー量 (メガバイト) を入力します。予約入力フィールドの下にある 使用可能なシステムメモリー には、選択したサイズの RAM を予約してから、メインシステムにアクセスできるメモリーの量が示されます。
  5. Done をクリックして設定を適用し、グラフィカルインストールに戻ります。

予約するメモリーの量は、システムのアーキテクチャー (AMD64 と Intel 64 の要件は IBM Power とは異なります) と、システムメモリーの総量により決まります。ほとんどの場合は、自動予約で十分です。

カーネルクラッシュダンプの保存場所などの追加設定は、インストール後に system-config-kdump グラフィカルインターフェイスで設定するか、/etc/kdump.conf 設定ファイルに手動で設定できます。

10.13. オプション: セキュリティープロファイルの選択

Red Hat Enterprise Linux 9 のインストール中にセキュリティーポリシーを適用し、初回起動前にシステムで使用するように設定できます。

10.13.1. セキュリティーポリシーの概要

Red Hat Enterprise Linux には、特定のセキュリティーポリシーに合わせてシステムの自動設定を有効にする OpenSCAP スイートが同梱されています。このポリシーは、SCAP (Security Content Automation Protocol) 標準を使用して実装されます。パッケージは、AppStream リポジトリーで利用できます。ただし、デフォルトでは、インストールおよびインストール後のプロセスではポリシーが強制されないため、特に設定しない限りチェックは行われません。

インストールプログラムでは、セキュリティーポリシーを適用することは必須ではありません。システムにセキュリティーポリシーを適用する場合は、選択したプロファイルに定義した制限を使用してシステムがインストールされます。openscap-scanner パッケージおよび scap-security-guide パッケージがパッケージ選択に追加され、コンプライアンスおよび脆弱性スキャンのプリインストールツールが利用できるようになります。

セキュリティーポリシーを選択すると、Anaconda GUI インストーラーでは、ポリシーの要件に準拠する設定が必要になります。パッケージの選択が競合したり、別のパーティションが定義されている場合があります。要件がすべて満たされた場合に限り、インストールを開始できます。

インストールプロセスの終了時に、選択した OpenSCAP セキュリティーポリシーにより、システムが自動的に強化され、スキャンされてコンプライアンスが確認され、インストール済みシステムの /root/openscap_data ディレクトリーにスキャン結果が保存されます。

デフォルトでは、インストーラーは、インストールイメージにバンドルされている scap-security-guide パッケージの内容を使用します。外部コンテンツは、HTTP サーバー、HTTPS サーバー、または FTP サーバーから読み込むこともできます。

10.13.2. セキュリティープロファイルの設定

Installation Summary ウィンドウからセキュリティーポリシーを設定できます。

前提条件

  • Installation Summary 画面が開いている。

手順

  1. Installation Summary ウィンドウで、Security Profile をクリックします。Security Profile ウィンドウが開きます。
  2. システムでセキュリティーポリシーを有効にするには、Apply security policy スイッチを ON に切り替えます。
  3. 上部ペインに表示されているプロファイルから 1 つ選択します。
  4. プロファイルを選択 をクリックします。

    インストール前に適用が必要なプロファイルの変更が、下部ペインに表示されます。

  5. カスタムプロファイルを使用するには、コンテンツの変更 をクリックします。

    別の画面が開いて、有効なセキュリティーコンテンツの URL を入力できます。

    1. 取得 をクリックして URL を取得します。

      HTTP サーバー、HTTPS サーバー、または FTP サーバーから、カスタムプロファイルを読み込むこともできます。コンテンツのフルアドレス (http:// などのプロトコルを含む) を使用してください。カスタムプロファイルを読み込む前に、ネットワーク接続がアクティブになっている必要があります。インストールプログラムは、コンテンツの種類を自動的に検出します。

    2. Use SCAP Security Guide をクリックして、Security Profile ウィンドウに戻ります。
  6. Done をクリックして設定を適用し、Installation Summary ウィンドウに戻ります。

10.13.3. Server with GUI と互換性のないプロファイル

SCAP Security Guide の一部として提供される一部のセキュリティープロファイルは、Server with GUI ベース環境に含まれる拡張パッケージセットと互換性がありません。したがって、次のいずれかのプロファイルに準拠するシステムをインストールする場合は、Server with GUI を選択しないでください。

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表10.2 Server with GUI と互換性のないプロファイル
プロファイル名プロファイル ID理由注記

[ドラフト] CIS Red Hat Enterprise Linux 9 Benchmark for Level 2 - Server

xccdf_org.ssgproject.content_profile_cis

パッケージ xorg-x11-server-Xorgxorg-x11-server-commonxorg-x11-server-utilsxorg-x11-server-Xwayland は、Server with GUI パッケージセットの一部ですが、ポリシーにより削除する必要があります。

 

[ドラフト] CIS Red Hat Enterprise Linux 9 Benchmark for Level 1 - Server

xccdf_org.ssgproject.content_profile_cis_server_l1

パッケージ xorg-x11-server-Xorgxorg-x11-server-commonxorg-x11-server-utilsxorg-x11-server-Xwayland は、Server with GUI パッケージセットの一部ですが、ポリシーにより削除する必要があります。

 

DISA STIG for Red Hat Enterprise Linux 9

xccdf_org.ssgproject.content_profile_stig

パッケージ xorg-x11-server-Xorgxorg-x11-server-commonxorg-x11-server-utilsxorg-x11-server-Xwayland は、Server with GUI パッケージセットの一部ですが、ポリシーにより削除する必要があります。

RHEL システムを DISA STIG に準拠したServer with GUI としてインストールするには、DISA STIG with GUI プロファイルを使用できます (BZ#1648162)

10.13.4. キックスタートを使用したベースライン準拠の RHEL システムのデプロイメント

特定のベースラインに準拠した RHEL システムをデプロイできます。この例では、OSPP (Protection Profile for General Purpose Operating System) を使用します。

前提条件

  • RHEL 9 システムに、scap-security-guide パッケージがインストールされている。

手順

  1. キックスタートファイル /usr/share/scap-security-guide/kickstart/ssg-rhel9-ospp-ks.cfg を、選択したエディターで開きます。
  2. 設定要件を満たすように、パーティション設定スキームを更新します。OSPP に準拠するには、/boot/home/var/tmp/var/log/var/tmp、および /var/log/audit の個別のパーティションを保持する必要があります。パーティションのサイズのみ変更することができます。
  3. キックスタートを使用した自動インストールの実行 の説明に従って、キックスタートインストールを開始します。
重要

キックスタートファイルのパスワードでは、OSPP の要件が確認されていません。

検証

  • インストール完了後にシステムの現在のステータスを確認するには、システムを再起動して新しいスキャンを開始します。

    # oscap xccdf eval --profile ospp --report eval_postinstall_report.html /usr/share/xml/scap/ssg/content/ssg-rhel9-ds.xml
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パート III. インストール後のタスク

サブスクリプションを管理し、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) システムを保護することは、システムのコンプライアンスと機能性を維持するのに不可欠なステップです。RHEL を登録すると、ソフトウェアの更新とサービスにアクセスできるようになります。さらに、システムの目的を設定すると、システムの用途に合わせて適切なサブスクリプションを割り当てることができます。一方、セキュリティー設定を調整すると、重要なインフラストラクチャーを保護できます。必要に応じて、システム要件の変化に合わせて、サブスクリプションサービスを更新または変更できます。

第11章 Subscription Manager を使用した RHEL の登録

インストール後、継続的に更新を取得するために、システムを登録する必要があります。

11.1. インストーラー GUI を使用した RHEL 9 の登録

RHEL インストーラーの GUI を使用して Red Hat Enterprise Linux 9 を登録できます。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルに有効なユーザーアカウントがある。Create a Red Hat Login ページを参照してください。
  • 有効なアクティベーションキーと組織 ID を持っている。

手順

  1. Installation Summary 画面の Software で、Connect to Red Hat をクリックします。
  2. Account または Activation Key オプションを使用して、Red Hat アカウントを認証します。
  3. オプション: Set System Purpose フィールドで、設定する RoleSLA、および Usage 属性をドロップダウンメニューから選択します。

    この時点で、Red Hat Enterprise Linux 9 システムは正常に登録されています。

11.2. Registration Assistant

Registration Assistant は、お使いの Red Hat Enterprise Linux 環境に最適な登録オプションの選択をサポートします。

11.3. コマンドラインを使用したシステムの登録

コマンドラインを使用して、Red Hat Enterprise Linux 9 サブスクリプションを登録できます。

ホストを Red Hat に登録するエクスペリエンスを改善および簡素化するには、リモートホスト設定 (RHC) を使用します。RHC クライアントはシステムを Red Hat に登録し、Insights のデータ収集に備えてシステムの準備を完了し、Insights for Red Hat Enterprise Linux から直接問題を修復できるようにします。詳細は、RHC の登録 を参照してください。

前提条件

  • アクティブで、評価版ではない Red Hat Enterprise Linux サブスクリプションを持っている。
  • Red Hat のサブスクリプションステータスを確認している。
  • Red Hat Enterprise Linux 9 サブスクリプションを受け取ったことがない。
  • Red Hat Enterprise Linux 9  システムを正常にインストールし、root としてログインしている。

手順

  1. root ユーザーとしてターミナルウィンドウを開きます。
  2. アクティベーションキーを使用して Red Hat Enterprise Linux システムを登録します。

    # subscription-manager register --activationkey=<activation_key_name> --org=<organization_ID>
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    システムが正常に登録されると、次の例のような出力が表示されます。

    The system has been registered with id:
    62edc0f8-855b-4184-b1b8-72a9dc793b96
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第12章 subscription-manager コマンドラインツールを使用したシステムの目的の設定

システムの目的は、Red Hat Enterprise Linux インストールの機能の 1 つです。この機能は、Red Hat Hybrid Cloud Console で提供されるサブスクリプションエクスペリエンスとサービスのメリットを RHEL のお客様に提供するためのものです。Red Hat Hybrid Cloud Console は、ダッシュボードベースの Software-as-a-Service (SaaS) アプリケーションであり、これを使用すると、Red Hat アカウントのサブスクリプション使用状況を表示できます。

システム目的属性は、アクティベーションキーまたはサブスクリプションマネージャーツールを使用して設定できます。

前提条件

  • Red Hat Enterprise Linux 9 システムをインストールして登録しているが、システムの目的が設定されていない。
  • root ユーザーとしてログインしている。

    注記

    エンタイトルメントモードでは、システムが登録されているものの、必要な目的を満たさないサブスクリプションがある場合は、subscription-manager remove --all コマンドを実行して、割り当てたサブスクリプションを削除できます。次に、コマンドラインの subscription-manager syspurpose {ロール、使用条件、サービスレベル} ツールを使用して必要な目的属性を設定し、最後に subscription-manager attach --auto を実行して、更新した属性を考慮してシステムを再登録できます。一方、SCA が有効なアカウントでは、システム内のサブスクリプションを更新せずに、登録後にシステムの目的の詳細を直接更新できます。

手順

  1. 端末で、次のコマンドを実行して、システムの目的のロールを設定します。

    # subscription-manager syspurpose role --set "VALUE"
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    VALUE を、割り当てるロールに置き換えます。

    • Red Hat Enterprise Linux Server
    • Red Hat Enterprise Linux Workstation
    • Red Hat Enterprise Linux Compute Node

    以下に例を示します。

    # subscription-manager syspurpose role --set "Red Hat Enterprise Linux Server"
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    1. オプション: 値を設定する前に、組織のサブスクリプションがサポートする利用可能なロールを確認します。

      # subscription-manager syspurpose role --list
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    2. 必要に応じて、次のコマンドを実行してロールの設定を解除します。

      # subscription-manager syspurpose role --unset
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  2. 次のコマンドを実行して、希望するシステムのサービスレベルアグリーメント (SLA) を設定します。

    # subscription-manager syspurpose service-level --set "VALUE"
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    VALUE を、割り当てる SLA に置き換えます。

    • Premium
    • Standard
    • Self-Support

    以下に例を示します。

    # subscription-manager syspurpose service-level --set "Standard"
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    1. オプション: 値を設定する前に、組織のサブスクリプションがサポートする利用可能なサービスレベルを確認します。

      # subscription-manager syspurpose service-level --list
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
    2. 必要に応じて、次のコマンドを実行して SLA の設定を解除します。

      # subscription-manager syspurpose service-level --unset
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  3. 次のコマンドを実行して、希望する使用方法をシステムに設定します。

    # subscription-manager syspurpose usage --set "VALUE"
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    VALUE を、割り当てる使用方法に置き換えます。

    • Production
    • Disaster Recovery
    • Development/Test

    以下に例を示します。

    # subscription-manager syspurpose usage --set "Production"
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    1. オプション: 値を設定する前に、組織のサブスクリプションがサポートする利用可能な使用条件を確認します。

      # subscription-manager syspurpose usage --list
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    2. 必要に応じて、次のコマンドを実行して、使用方法の設定を解除します。

      # subscription-manager syspurpose usage --unset
      Copy to Clipboard Toggle word wrap
  4. 次のコマンドを実行して、現在のシステム目的のプロパティーを表示します。

    # subscription-manager syspurpose --show
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    1. オプション: 詳細な構文情報は、以下のコマンドを実行して subscription-manager の man ページにアクセスし、SYSPURPOSE OPTIONS を参照します。

      # man subscription-manager
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検証

  • エンタイトルメントモードが有効になっているアカウントを使用して登録したシステムで、システムのサブスクリプションステータスを確認するには、次の手順を実行します。

    # subscription-manager status
    +-------------------------------------------+
       System Status Details
    +-------------------------------------------+
    Overall Status: Current
    
    System Purpose Status: Matched
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    • 全体的なステータス Current とは、インストールされている製品がすべて割り当てられたサブスクリプションの対象となり、コンテンツセットリポジトリーにアクセスするためのエンタイトルメントが付与されています。
    • システム目的のステータス Matched とは、システムに設定したすべてのシステム目的の属性 (ロール、使用条件、サービスレベル) が、割り当てられたサブスクリプションによって満たされることを意味します。
    • ステータス情報が理想的ではない場合、システム管理者がインストール済みの製品と目的のシステムの目的に対応するために、アタッチされているサブスクリプションに加える修正を決定するのに役立つ追加情報が表示されます。
  • SCA モードが有効になっているアカウントを使用して登録したシステムで、システムのサブスクリプションステータスを確認するには、次の手順を実行します。

    # subscription-manager status
    +-------------------------------------------+
       System Status Details
    +-------------------------------------------+
    Overall Status: Disabled
    Content Access Mode is set to Simple Content Access. This host has access to content, regardless of subscription status.
    System Purpose Status: Disabled
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
    • SCA モードでは、サブスクリプションを個々のシステムに割り当てる必要はありません。したがって、全体的なステータスとシステムの目的のステータスの両方が Disabled として表示されます。ただし、システム目的属性によって提供される技術、ビジネス、および運用のユースケースは、サブスクリプションサービスには重要です。これらの属性がないと、サブスクリプションサービスデータの精度が低下します。

第13章 インストール後のセキュリティーハードニング

RHEL は、強力なセキュリティー機能がデフォルトで有効になるように設計されています。しかし、追加のハードニング対策を講じることで、セキュリティーをさらに強化できます。

詳細情報:

  • セキュリティー更新をインストールし、更新に関する追加の詳細を表示して、新たに発見された脅威や脆弱性から RHEL システムを保護する方法は、セキュリティー更新の管理および監視 を参照してください。
  • ローカルおよびリモートの侵入、悪用、悪意のあるアクティビティーから RHEL サーバーとワークステーションを保護するためのプロセスとプラクティスは、セキュリティーの強化 を参照してください。
  • ユーザーとプロセスがシステム上のファイルとやり取りする方法を制御する方法や、SELinux で制限された特定のユーザーにアクションをマッピングしてアクションを実行できるユーザーを制御する方法は、SELinux の使用 を参照してください。
  • ネットワークのセキュリティーを強化し、データ侵害や侵入のリスクを軽減するためのツールとテクニックは、ネットワークのセキュリティー保護 を参照してください。
  • ルールを使用して着信、発信、転送されるネットワークトラフィックを制御するパケットフィルター (ファイアウォールなど) は、ファイアウォールおよびパケットフィルターの設定 を参照してください。

第14章 サブスクリプションサービスの変更

サブスクリプションを管理するには、Red Hat Subscription Management Server または Red Hat Satellite Server に RHEL システムを登録します。必要に応じて、後でサブスクリプションサービスを変更できます。登録しているサブスクリプションサービスを変更するには、現在のサービスからシステムの登録を解除し、新しいサービスに登録します。

システムの更新を受信するには、いずれかの管理サーバーにシステムを登録します。

このセクションは、Red Hat Subscription Management Server および Red Hat Satellite Server から RHEL システムの登録を解除する方法を説明します。

前提条件

以下のいずれかでシステムを登録している。

  • Red Hat Subscription Management Server
  • Red Hat Satellite Server version 6.11

システムの更新を受信するには、いずれかの管理サーバーにシステムを登録します。

14.1. Subscription Management Server からの登録解除

このセクションでは、コマンドラインと Subscription Manager ユーザーインターフェイスを使用して、Red Hat Subscription Management Server から RHEL システムの登録を解除する方法を説明します。

14.1.1. コマンドラインでの登録解除

unregister コマンドを使用して、Red Hat Subscription Management Server から RHEL システムの登録を解除します。

手順

  1. root ユーザーで unregister コマンドにパラメーターを付けずに実行します。

    # subscription-manager unregister
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  2. プロンプトが表示されたら、root パスワードを入力します。

システムが Subscription Management Server から登録解除され、ステータス 'The system is currently not registered' が表示され、登録 ボタンが有効になります。

中断しなかったサービスを続けるには、いずれかの管理サービスでシステムの再登録を行います。システムを管理サービスに登録しないと、システム更新を受信できない場合があります。システムの登録の詳細は、コマンドラインを使用したシステムの登録 を参照してください。

14.1.2. Subscription Manager ユーザーインターフェイスを使用した登録解除

Subscription Manager ユーザーインターフェイスを使用して、Red Hat Subscription Management Server から RHEL システムの登録を解除できます。

手順

  1. システムにログインします。
  2. ウィンドウの左上にある Activities をクリックします。
  3. メニューオプションから、アプリケーションを表示する アイコンをクリックします。
  4. Red Hat Subscription Manager アイコンをクリックするか、検索に Red Hat Subscription Manager と入力します。
  5. 認証が必要です ダイアログボックスで管理者パスワードを入力します。サブスクリプション 画面が開き、サブスクリプションの現在のステータス、システムの目的、インストール済み製品が表示されます。未登録の製品には、赤い X 印が表示されます。

    システムで特権タスクを実行するには、認証が必要です。

  6. 登録解除 ボタンをクリックします。

システムが Subscription Management Server から登録解除され、ステータス 'The system is currently not registered' が表示され、登録 ボタンが有効になります。

中断しなかったサービスを続けるには、いずれかの管理サービスでシステムの再登録を行います。管理サービスでシステムを登録しないと、システムの更新を受け取らないことがあります。システムの登録の詳細は、Subscription Manager ユーザーインターフェイスを使用したシステム登録 を参照してください。

14.2. Satellite Server からの登録解除

Satellite Server から Red Hat Enterprise Linux システムの登録を解除するには、Satellite Server からシステムを削除します。

詳細は、Red Hat Satellite からのホストの削除 を参照してください。

パート IV. 付録

潜在的な問題を特定、分析、対処するのに役立つツールと手法を紹介します。また、問題を明確に伝達し、迅速に解決できるように、バグ報告時のベストプラクティスも取り上げます。

付録A トラブルシューティングおよびバグ報告のためのツールおよびヒント

以下のセクションのトラブルシューティング情報は、インストールプロセスの開始時に問題を診断する際に役に立つ場合があります。以下のセクションは、サポートしているすべてのアーキテクチャーに対応します。ただし、問題が特定のアーキテクチャーに関する場合は、セクションの冒頭にその旨が記載されます。

A.1. Dracut

Dracut は、Linux オペレーティングシステムの起動プロセス時に initramfs イメージを管理するツールです。dracut の緊急シェルは、initramfs イメージが読み込まれる際に開始できるインタラクティブモードです。dracut の緊急シェルから基本的なトラブルシューティングコマンドを実行できます。詳細は、システム上の dracut man ページの Troubleshooting セクションを参照してください。

A.2. インストールログファイルの使用

デバッグの目的で、インストールプログラムは、/tmp ディレクトリーにあるファイルに、インストールアクションのログを記録します。以下の表は、ログファイルのリストです。

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表A.1 インストール時に生成されるログファイル
ログファイル内容

/tmp/anaconda.log

一般メッセージ

/tmp/program.log

インストール時に実行したすべての外部プログラム

/tmp/storage.log

ストレージモジュールの詳細情報

/tmp/packaging.log

dnf パッケージおよび rpm パッケージのインストールメッセージ。

/tmp/dbus.log

インストールプログラムモジュールに使用される dbus セッションに関する情報

/tmp/sensitive-info.log

他のログに含まれず、インストール後のシステムにコピーされない設定情報

/tmp/syslog

ハードウェア関連のシステムメッセージこのファイルには、他の Anaconda ファイルからのメッセージが含まれます。

インストールが失敗すると、メッセージは /tmp/anaconda-tb-identifier で一元管理されます。identifier はランダムな文字列になります。インストールに成功すると、このファイルは /var/log/anaconda/ ディレクトリー下のインストール済みシステムにコピーされます。ただし、インストールが失敗した場合、またはインストールシステムの起動時に inst.nosave=all オプションまたは inst.nosave=logs オプションを使用すると、ログはインストールプログラムの RAM ディスクにのみ存在します。これは、ログが永続的に保存されず、システムの電源が切れると失われることを意味します。永続的に保存するには、ファイルをネットワーク上の別のシステムにコピーするか、マウントしたストレージデバイス (USB フラッシュドライブなど) にコピーします。

A.2.1. インストール前のログファイルの作成

この手順に従って、インストールプロセスを開始する前にログファイルを作成する inst.debug オプションを設定します。このログファイルには、たとえば現在のストレージ設定が含まれます。

前提条件

  • Red Hat Enterprise Linux ブートメニューが開いている。

手順

  1. ブートメニューから Install Red Hat Enterprise Linux オプションを選択します。
  2. BIOS ベースのシステムでは Tab キー、UEFI ベースのシステムでは e キーを押して、選択したブートオプションを編集します。
  3. オプションに inst.debug を追加します。以下に例を示します。

    vmlinuz ... inst.debug
    Copy to Clipboard Toggle word wrap
  4. キーボードの Enter キーを押します。システムが、インストール前のログファイルを /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに保存し、インストールプログラムが開始します。
  5. ログファイルにアクセスするには、コンソールに切り替えます。
  6. /tmp/pre-anaconda-logs/ ディレクトリーに移動します。

    # cd /tmp/pre-anaconda-logs/
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

A.2.2. インストールログファイルを USB ドライブへ転送

以下の手順に従って、インストールログファイルを USB ドライブに転送します。

前提条件

  • USB ドライブからデータをバックアップした。
  • root アカウントにログインし、インストールプログラムの一時ファイルシステムにアクセスできるようにする。

手順

  1. Ctrl + Alt + F2 を押して、インストールするシステムのシェルプロンプトにアクセスします。
  2. USB フラッシュドライブをシステムに接続し、dmesg コマンドを実行します。

    # dmesg
    Copy to Clipboard Toggle word wrap

    最近の全イベントの詳細を記録したログが表示されます。このログの最後に、一連のメッセージが表示されます。以下に例を示します。

    [ 170.171135] sd 5:0:0:0: [sdb] Attached SCSI removable disk
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  3. 接続したデバイスの名前を書き留めます。上記の例では sdb です。
  4. /mnt ディレクトリーに移動し、USB ドライブのマウントターゲットとして機能する新規ディレクトリーを作成します。この例では usb という名前を使用します。

    # mkdir usb
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  5. USB フラッシュドライブを、新たに作成したディレクトリーにマウントします。ほとんどの場合、ドライブ全体ではなく、ドライブのパーティションをマウントする必要があります。sdb の名前は使用せず、ログファイルを書き込むパーティションの名前を使用してください。この例では、sdb1 という名前を使用します。

    # mount /dev/sdb1 /mnt/usb
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  6. デバイスにアクセスし、そのコンテンツをリスト表示して、正しいデバイスをマウントしたことを確認します。

    # cd /mnt/usb
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    # ls
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  7. ログファイルを、マウントしたデバイスにコピーします。

    # cp /tmp/*log /mnt/usb
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  8. USB フラッシュドライブのマウントを解除します。ターゲットがビジーであるというエラーメッセージが表示された場合は、作業ディレクトリーをマウント外 (たとえば /) に変更します。

    # umount /mnt/usb
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A.2.3. ネットワーク経由でインストールログファイルの転送

以下の手順に従って、インストールログファイルをネットワーク経由で転送します。

前提条件

  • root アカウントにログインし、インストールプログラムの一時ファイルシステムにアクセスできるようにする。

手順

  1. Ctrl + Alt + F2 を押して、インストールするシステムのシェルプロンプトにアクセスします。
  2. ログファイルが格納されている /tmp ディレクトリーに移動します。

    # cd /tmp
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  3. scp コマンドを使用して、ネットワーク経由でログファイルを別のシステムにコピーします。

    # scp *log user@address:path
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    1. user には、ターゲットシステムの有効なユーザー名を入力します。address には、ターゲットシステムのアドレスまたはホスト名を入力します。path には、ログファイルを保存するディレクトリーへのパスを入力します。たとえば、IP アドレスが 192.168.0.122 のシステムに john としてログインし、ログファイルをそのシステムの /home/john/logs/ ディレクトリーに置く場合のコマンドは次のようになります。

      # scp *log john@192.168.0.122:/home/john/logs/
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      初めてターゲットシステムに接続する際に、SSH クライアントにより、リモートシステムのフィンガープリントが正しいことと、継続するかを尋ねられます。

      The authenticity of host '192.168.0.122 (192.168.0.122)' can't be established.
      ECDSA key fingerprint is a4:60:76:eb:b2:d0:aa:23:af:3d:59:5c:de:bb:c4:42.
      Are you sure you want to continue connecting (yes/no)?
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    2. yes と入力し、Enter を押して続行します。プロンプトが表示されたら、有効なパスワードを入力します。ファイルは、ターゲットシステムの指定されたディレクトリーに転送されます。

A.3. Memtest86 アプリケーションの使用によるメモリー障害の検出

メモリー (RAM) モジュールの障害により、システムで予期しないエラーが生じる可能性があります。特定の状況では、メモリー障害は、ソフトウェアの特定の組み合わせでのみエラーが発生する可能性があります。このため、Red Hat Enterprise Linux をインストールする前に、システムのメモリーをテストする必要があります。

Red Hat Enterprise Linux には、BIOS システム用の Memtest86+ メモリーテストアプリケーションのみが含まれます。UEFI システムのサポートは現在利用できません。

A.3.1. Memtest86 の実行

Red Hat Enterprise Linux をインストールする前に、この手順で Memtest86 アプリケーションを実行し、システムでメモリー障害をテストします。

前提条件

  • Red Hat Enterprise Linux ブートメニューにアクセスした。

手順

  1. Red Hat Enterprise Linux 起動メニューから Troubleshooting > Run a memory test を選択します。Memtest86 アプリケーション画面が表示され、テストがすぐに開始します。デフォルトでは、Memtest86 はすべてのパスで 10 個のテストを実行します。最初のパスが完了すると、画面の下部に、現在のステータスを知らせるメッセージが表示されます。その他のパスは自動的に開始します。

    Memtest86+ がエラーを検出すると、画面の中央ペインにエラーが表示され、赤で強調表示されます。メッセージには、問題を検出したテスト、障害が発生しているメモリーの場所などの詳細情報が含まれます。ほとんどの場合、10 個すべてのテストに一度成功すれば、RAM が良好な状態であることを確認できます。ただし、まれに、最初のパスで検出されなかったエラーが、後続のパスに検出される場合があります。重要なシステムで徹底的なテストを実行するには、そのテストを一晩または数日間実行して、複数のパスを完了します。

    Memtest86+ の 1 回の完全パスを完了するのにかかる時間は、システムの設定、特に RAM のサイズと速度により異なります。たとえば、667 MHz で 2 GiB の DDR2 メモリーを搭載したシステムでは、1 回のパスが完了するまでに 20 分かかります。

  2. 必要に応じて、画面上の指示に従って 設定 画面にアクセスし、別の設定を指定します。
  3. テストを中止してコンピューターを再起動する場合は、いつでも Esc キーを押すことができます。

A.4. 起動用メディアの検証

ISO イメージの検証は、インストール時にしばしば発生する問題を回避するのに役立ちます。このソースには、DVD や、ディスクまたは NFS サーバーに保存している ISO イメージなどが含まれます。以下の手順に従って、Red Hat Enterprise Linux のインストールに使用する前に、ISO ベースのインストールソースの整合性をテストします。

前提条件

  • Red Hat Enterprise Linux ブートメニューにアクセスした。

手順

  1. 起動メニューから Test this media & install Red Hat Enterprise Linux 9 を選択して、起動メディアをテストします。
  2. この起動プロセスは、メディアをテストして問題を強調表示します。
  3. 必要に応じて、起動コマンドラインに rd.live.check を追加して、検証プロセスを開始できます。

A.5. インストール中のコンソールとロギング

Red Hat Enterprise Linux インストーラーは、tmux 端末マルチプレクサーを使用して、メインのインターフェイスのほかに複数の画面を表示し、制御します。この画面は、それぞれ目的が異なり、インストールプロセス中に発生した問題をトラブルシューティングするのに使用できるさまざまなログを表示します。画面の 1 つでは、起動オプションまたはキックスタートコマンドを使用して明示的に無効にしない限り、root 権限で使用できる対話式シェルプロンプトを使用できます。

端末マルチプレクサーは、仮想コンソール 1 で実行しています。インストール環境を、tmux に変更する場合は、Ctrl+Alt+F1 を押します。仮想コンソール 6 で実行されているメインのインストールインターフェイスに戻るには、Ctrl+Alt+F6 を押します。テキストモードでインストールする場合は、仮想コンソール 1 (tmux) で起動し、コンソール 6 に切り替えると、グラフィカルインターフェイスではなくシェルプロンプトが開きます。

tmux を実行しているコンソールには、利用可能な画面が 5 つあります。その内容と、キーボードショートカットは、以下の表で説明します。キーボードショートカットは 2 段階となっており、最初に Ctrl+b を押し、両方のキーを離してから、使用する画面で数字キーを押す必要があります。

また、Ctrl+b nAlt+ Tab、および Ctrl+b p を使用して、次または前の tmux 画面に切り替えることもできます。

Expand
表A.2 利用可能な tmux 画面
ショートカット内容

Ctrl+b 1

メインのインストールプログラム画面。テキストベースのプロンプト (テキストモードのインストール中もしくは VNC Direct モードを使用の場合) とデバッグ情報があります。

Ctrl+b 2

root 権限のある対話式シェルプロンプト。

Ctrl+b 3

インストールログ - /tmp/anaconda.log に保存されているメッセージを表示します。

Ctrl+b 4

ストレージログ - /tmp/storage.log に保存されているストレージデバイスおよび設定に関連するメッセージを表示します。

Ctrl+b 5

プログラムログ - /tmp/program.log に保存されている、インストールプロセス時に実行するユーティリティーのメッセージを表示します。

A.6. スクリーンショットの保存

グラフィカルインストール中に Shift+Print Screen を押すと、いつでも画面をキャプチャーできます。このスクリーンショートカットは、/tmp/anaconda-screenshots に保存されます。

A.7. 設定およびデバイスドライバーの表示

ビデオカードの中には、Red Hat Enterprise Linux グラフィカルインストールプログラムでの起動に問題があるものがあります。インストールプログラムがデフォルト設定を使用して実行しない場合は、それより低い解像度モードでの実行を試みます。これに失敗すると、インストールプログラムはテキストモードでの実行を試みます。

ディスプレイの問題を解決するソリューションは複数あります。そのほとんどでは、カスタムのブートオプションを指定する必要があります。

詳細は、コンソール起動オプション を参照してください。

Expand
表A.3 ソリューション
ソリューション説明

テキストモードを使用する

テキストモードを使用してインストールを試行できます。詳細は、Installing RHEL in text mode を参照してください。

ディスプレイの解像度を手動で指定する

インストールプログラムが画面の解像度の検出に失敗した場合は、自動検出を無効にして手動で指定できます。手動で指定するには、ブートメニューに inst.resolution=x オプションを追加します。x はディスプレイの解像度 (1024x768 など) に置き換えます。

代替のビデオドライバーを使用する

インストールプログラムの自動検出を無効にして、カスタムビデオドライバーを指定できます。ドライバーを指定するには、inst.xdriver=x オプションを使用します。x は使用するデバイスドライバー (nouveau など)* に置き換えます。

VNC を使用したインストールを行う

上記のオプションが失敗した場合は、仮想ネットワークコンピューティング (VNC) プロトコルを使用して、別のシステムでネットワーク経由でグラフィカルインストールにアクセスできます。VNC を使用したインストールの詳細は、VNC を使用したリモートインストールの準備 を参照してください。

  • カスタムビデオドライバーを指定することで問題が解決した場合は、Jira にバグとして報告してください。インストールプログラムは、ハードウェアを自動的に検出し、適切なドライバーを介入なしで使用できるようにする必要があります。

付録B トラブルシューティング

以下のセクションのトラブルシューティング情報は、インストールプロセス後に問題を診断する際に役に立つ場合があります。以下のセクションは、サポートしているすべてのアーキテクチャーに対応します。ただし、問題が特定のアーキテクチャーに関する場合は、セクションの冒頭にその旨が記載されます。

B.1. AArch64 の PXE サーバーでは、RHEL 9.5 インストールをサポートするために更新が必要です

RHEL 9.5 AArch64 DVD ISO を使用して PXE ベースのキックスタートインストールを実行すると、vmlinuz ファイルのダウンロード後にインストールがハングする可能性があります。

AArch64 Error

RHEL 9.5 以降、AArch64 ISO の vmlinuz カーネルイメージの形式が gzip 圧縮イメージ(gzip 圧縮データ、Image 圧縮データ)から PE32+ 実行可能形式(EFI)に変更されました。GRUB ブートローダーは、RHEL のどちらの圧縮方法でもカーネルをロードできるように更新されました(grub2-2.06-61.el9)。古いバージョンの GRUB は新しい PE32+ カーネルを読み込むことができないため、これらを使用している PXE サーバーはハングします。インストールを成功させるために最低限必要な GRUB バージョンは GRUB 2.06-61.el9 です。

この問題を回避するには:

  • RHEL 9.5 以降から展開した vmlinuz ファイルを使用する場合は、PXE サーバーの GRUB バージョンが 2 .06-61.el9 以降であることを確認します。
  • RHEL 9.5 の新しい vmlinuz 形式による PXE サポートに関連する更新について、Red Hat アドバイザリーを監視します。
  • 使用する PXE ブートローダーまたは抽出ツールが、PE32+ カーネルイメージ形式と互換性があることを確認してください。

B.2. 中断されたダウンロードの再開

curl コマンドを使用して、中断したダウンロードを再開します。

前提条件

  • Red Hat カスタマーポータルの 製品ダウンロード セクション (https://access.redhat.com/downloads) に移動し、必要なバリアント、バージョン、およびアーキテクチャーを選択している。
  • 必要な ISO ファイルを右クリックし、リンク先をコピー を選択して、ISO イメージファイルの URL をクリップボードにコピーしている。

手順

  1. 新しいリンクから ISO イメージをダウンロードしてください。ダウンロードを自動的に再開するには、--continue-at - オプションを追加します。

    $ curl --output directory-path/filename.iso 'new_copied_link_location' --continue-at -
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  2. ダウンロードが完了した後、イメージファイルの整合性を確認するには、sha256sum などのチェックサムユーティリティーを使用します。

    $ sha256sum rhel-x.x-x86_64-dvd.iso
    			`85a...46c rhel-x.x-x86_64-dvd.iso`
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    その出力を、Red Hat Enterprise Linux の Web ページ 製品ダウンロード にある参照チェックサムと比較します。

例B.1 中断されたダウンロードの再開

以下は、部分的にダウンロードした ISO イメージに対する curl コマンドの例です。

$ curl --output _rhel-x.x-x86_64-dvd.iso 'https://access.cdn.redhat.com//content/origin/files/sha256/85/85a...46c/rhel-x.x-x86_64-dvd.iso?_auth=141...963' --continue-at -
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B.3. ディスクが検出されない

インストールプログラムがインストール先となる書き込み可能なストレージデバイスを検出できない場合、インストール先 画面に次のエラーメッセージが返されます。No disks detected.Please shut down the computer, connect at least one disk, and restart to complete installation が返ります。

以下の項目を確認します。

  • システムにストレージデバイスが少なくとも 1 つ割り当てられている。
  • ご使用のシステムがハードウェア RAID コントローラーを使用している場合は、そのコントローラーが正しく設定され、期待通りに機能している。手順は、コントローラーのドキュメントを参照してください。
  • 1 つ以上の iSCSI デバイスにインストールし、そのシステムにローカルストレージがない場合は、必要なすべての LUN が適切なホストバスアダプター (HBA) に表示されている。

システムを再起動してインストールプロセスを開始した後もエラーメッセージが表示される場合は、インストールプログラムがストレージの検出に失敗しています。このエラーメッセージは、多くの場合、インストールプログラムで認識されない iSCSI デバイスにインストールしようとした場合に表示されます。

このシナリオでは、インストールを開始する前に、ドライバー更新を実行する必要があります。ハードウェアベンダーの Web サイトで、ドライバーの更新が利用可能かどうかを確認します。ドライバーの更新に関する一般的な情報は、インストール時のドライバーの更新 を参照してください。

また、Red Hat Hardware Compatibility List (https://access.redhat.com/ecosystem/search/#/category/Server) を確認してください。

B.4. RAID カードで起動できない

インストール後にシステムを起動できない場合は、システムのストレージのパーティション設定と再インストールが必要になる場合があります。BIOS によっては、RAID カードからの起動に対応していないため注意が必要です。インストールが完了し、初めてシステムを再起動すると、テキストベースの画面にブートローダーのプロンプト (grub> など) が表示され、カーソルのフラッシュが表示されます。この場合は、システムのパーティションを再設定し、/boot パーティションと、RAID アレイの外にあるブートローダーを移動する必要があります。/boot パーティションとブートローダーは、同じドライブに置く必要があります。このような変更が行われたら、インストールを完了し、システムを適切に起動できるはずです。

B.5. グラフィカルな起動シーケンスが応答しない

インストール後に初めてシステムを再起動すると、グラフィカルな起動シーケンス時にシステムが応答しなくなることがあります。この場合は、リセットが必要です。このシナリオでは、ブートローダーメニューは正常に表示されますが、エントリーを選択してシステムを起動しようとすると停止します。これは通常、グラフィカルな起動シーケンスに問題があることを示しています。この問題を解決するには、永続的に変更する前に、システムの起動時に設定を一時的に変更することで、グラフィカルブートを無効にする必要があります。

手順: グラフィカルブートを一時的に無効にする

  1. システムを起動し、ブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。起動のタイムアウト期間を 0 に設定し、Esc キーを押してアクセスします。
  2. ブートローダーメニューからカーソルキーを使用して、起動するエントリーを強調表示します。Tab キー (システムが BIOS ベースの場合) または e キー (UEFI ベースの場合) を押して、選択したエントリーオプションを編集します。
  3. オプションリストでカーネル行を探します。カーネル行は linux というキーワードで始まります。この行で、rhgb を探して、削除します。
  4. F10 または Ctrl+X を押して、編集したオプションでシステムを起動します。

システムが正常に起動した場合は、通常通りにログインできます。ただし、グラフィカルブートを永続的に無効にしない場合は、システムが起動するたびにこの手順を実行する必要があります。

手順: グラフィカルブートを永続的に無効にする

  1. システムの root アカウントにログインします。
  2. grubby ツールを使用してデフォルトの GRUB カーネルを見つけます。

    # grubby --default-kernel
    /boot/vmlinuz-4.18.0-94.el8.x86_64
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  3. grubby ツールを使用して、GRUB 設定のデフォルトカーネルから rhgb ブートオプションを削除します。以下に例を示します。

    # grubby --remove-args="rhgb" --update-kernel /boot/vmlinuz-4.18.0-94.el8.x86_64
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  4. システムを再起動します。グラフィカル起動シーケンスが使用されなくなりました。グラフィカルな起動シーケンスを有効にする場合は、同じ手順に従って、--remove-args="rhgb" パラメーターを --args="rhgb" パラメーターに置き換えます。これにより、rhgb ブートオプションが GRUB 設定のデフォルトカーネルに復元されます。

B.6. ログイン後に X サーバーが失敗する

X サーバーは、ローカルマシン、つまりユーザーが直接使用するコンピューターで実行する X Window System のプログラムです。X サーバーは、グラフィックカード、ディスプレイ画面、入力デバイス (通常はこれらのコンピューターのキーボードとマウス) へのすべてのアクセスを処理します。X Window System (しばしば X と呼ばれます) は、1 台コンピューターおよびコンピューターのネットワークで GUI を管理するための、完全なクロスプラットフォームの無料クライアントサーバーシステムです。クライアントサーバーモデルは、クライアントとサーバーと呼ばれる、リンクされている 2 つのアプリケーション間で作業を分割するアーキテクチャーです。*

ログイン後に X サーバーがクラッシュした場合は、1 つ以上のファイルシステムが満杯になっている可能性があります。問題をトラブルシューティングするには、次のコマンドを実行します。

$ df -h
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この出力は、どのパーティションが満杯かを検証します。ほとんどの場合、問題は /home パーティションにあります。以下は、df コマンドの出力例です。

Filesystem                                  Size  Used Avail Use% Mounted on
devtmpfs                                    396M     0  396M   0%  /dev
tmpfs                                       411M     0  411M   0%  /dev/shm
tmpfs                                       411M  6.7M  405M   2%  /run
tmpfs                                       411M     0  411M   0%  /sys/fs/cgroup
/dev/mapper/rhel-root                       17G    4.1G  13G   25% /
/dev/sda1                                   1014M  173M 842M  17% /boot
tmpfs                                       83M    20K   83M   1%  /run/user/42
tmpfs                                       83M    84K  83M    1%  /run/user/1000
/dev/dm-4                                   90G    90G    0  100% /home
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この例では、/home パーティションが満杯になっていることが失敗の原因になっていることがわかります。不要なファイルを削除します。ディスク領域の一部を解放したら、startx コマンドを使用して X を起動します。df に関する詳細情報と、使用できるオプション (この例で使用する -h オプションなど) の詳細は、システム上の df(1) man ページを参照してください。

*ソース - http://www.linfo.org/x_server.html

B.7. RAM が認識されない

シナリオによっては、カーネルがすべてのメモリー (RAM) を認識しないため、システムが使用するメモリーが、インストールされているメモリーより少なくなる場合があります。システムが報告するメモリーの合計サイズが期待値と一致しない場合は、少なくとも 1 つのメモリーモジュールに問題がある可能性があります。BIOS ベースのシステムでは、Memtest86+ ユーティリティーを使用して、システムのメモリーをテストできます。

ハードウェアの設定によっては、システムの RAM の一部が予約されているため、システムが使用できなくなります。統合グラフィックスカードが搭載されている一部のラップトップコンピューターは、GPU 用のメモリーの一部を予約します。たとえば、4 GiB の RAM および統合 Intel グラフィックスカードを搭載したラップトップでは、約 3.7 GiB の使用可能なメモリーが表示されます。さらに、多くの Red Hat Enterprise Linux システムでデフォルトで有効になっている kdump クラッシュカーネルダンプメカニズムは、プライマリーカーネルに障害が発生した場合に使用されるセカンダリーカーネル用にメモリーの一部を予約します。この予約メモリーは、利用可能としては表示されません。

以下の手順を使用して、メモリー量を手動で設定します。

手順

  1. システムが現在報告しているメモリー容量を MiB 単位で確認します。

    $ free -m
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  2. システムを再起動し、ブートローダーメニューが表示されるまで待ちます。

    起動タイムアウト期間が 0 に設定されている場合は、Esc キーを押してメニューにアクセスします。

  3. ブートローダーメニューからカーソルキーを使用して、起動するエントリーを強調表示し、Tab キー (BIOS ベースのシステムの場合)、または e キー (UEFI ベースのシステムの場合) を押して、選択したエントリーオプションを編集します。
  4. オプション一覧でカーネル行を探します。カーネル行は linux というキーワードで始まります。以下のオプションをこの行の最後に追加します。

    mem=xxM
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  5. xx の部分は実際の容量を MiB 単位で入力してください。
  6. F10 キーまたは Ctrl+X の組み合わせを押して、編集を行ったオプションでシステムを起動します。
  7. システムが起動するのを待ってログインし、コマンドラインを開きます。
  8. システムが報告するメモリー量を MiB 単位で確認します。

    $ free -m
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  9. コマンドで表示される RAM の合計サイズが期待値と一致する場合は、変更を永続化します。

    # grubby --update-kernel=ALL --args="mem=xxM"
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B.8. シグナル 11 エラーが表示される

シグナル 11 エラーは、一般にセグメンテーション違反と呼ばれ、割り当てられていないメモリーの場所にプログラムがアクセスしたことを意味します。シグナル 11 エラーは、インストールされているソフトウェアプログラムのバグ、または障害のあるハードウェアが原因で発生する可能性があります。インストールプロセスでシグナル 11 エラーが表示された場合は、最新のインストールイメージを使用していることを確認し、インストールプログラムで、イメージが破損していないことを確認するように求めます。

詳細は、起動用メディアの検証 を参照してください。

インストールメディアの不良 (書き込みが正しく行われていなかったり、光ディスクに傷がついているなど) は、シグナル 11 エラーの一般的な原因です。インストールの前に、必ずインストールメディアの整合性を確認してください。最新のインストールメディアの入手方法は、Product Downloads ページを参照してください。

インストールを開始する前にメディアチェックを実行するには、ブートメニューに rd.live.check ブートオプションを追加します。エラーなしでメディアチェックを実行しても、セグメンテーションフォールトで問題が引き続き発生する場合は、通常、システムでハードウェアエラーが発生したことを示しています。このシナリオでは、問題はおそらくシステムのメモリー (RAM) にあります。これは、以前に同じコンピューターで別のオペレーティングシステムをエラーなしで使用した場合でも、問題になる可能性があります。

注記

AMD、Intel 64 ビット、および 64 ビット ARM アーキテクチャーの場合、BIOS ベースのシステムでは、インストールメディアに含まれる Memtest86+ メモリーテストモジュールを使用して、システムのメモリーを徹底的にテストできます。詳細は、Memtest86 アプリケーションの使用によるメモリー障害の検出 を参照してください。

これ以外に考えられる原因は、このドキュメントでは扱いません。ハードウェアの製造元のドキュメントと、Red Hat Hardware Compatibility List (https://access.redhat.com/ecosystem/search/#/category/Server) を確認してください。

B.9. IBM Power Systems のネットワークストレージ領域から IPL を実行できない

ネットワークストレージ領域 (*NWSSTG) から IPL を実行する際に問題が発生する場合は、おそらく PReP パーティションがないことが原因です。このシナリオでは、システムを再インストールし、パーティション作成フェーズまたはキックスタートファイルでこのパーティションを作成する必要があります。

B.10. XDMCP の使用

X Window System をインストールし、グラフィカルログインマネージャーを使用して Red Hat Enterprise Linux システムにログインするシナリオがあります。以下の手順に従って、X Display Manager Control Protocol (XDMCP) を有効にし、ネットワークに接続したワークステーションや X11 端末など、X 互換のクライアントからデスクトップ環境にリモートでログインします。

注記

XDMCP は、Wayland プロトコルでは対応していません。

手順

  1. vinano などの平文エディターで /etc/gdm/custom.conf 設定ファイルを開きます。
  2. custom.conf ファイルで、[xdmcp] で始まるセクションを探します。このセクションに、以下の行を追加します。

    Enable=true
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  3. XDMCP を使用している場合は、WaylandEnable=false/etc/gdm/custom.conf ファイルに存在することを確認してください。
  4. ファイルを保存し、テキストエディターを編集します。
  5. X Window System を再起動します。これには、システムを再起動するか、root で次のコマンドを実行して GNOME Display Manager を再起動します。

    # systemctl restart gdm.service
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    警告

    gdm サービスを再起動すると、ログインしているすべてのデスクトップユーザーの現在実行中の GNOME セッションがすべて終了します。これにより、ユーザーが保存していないデータが失われる可能性があります。

  1. ログインプロンプトを待ち、ユーザー名とパスワードを使用してログインします。X Window System が XDMCP 用に設定されました。クライアントワークステーションで X コマンドを使用して、リモート X セッションを開始し、別のワークステーション (クライアント) から接続できます。以下に例を示します。

    $ X :1 -query address
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  2. address を、リモート X11 サーバーのホスト名に置き換えます。このコマンドは、XDMCP を使用してリモートの X11 サーバーに接続し、X11 サーバーシステムのディスプレイ :1 でリモートグラフィカルログイン画面を表示します (通常は Ctrl-Alt-F8 を押してアクセスできます)。nested X11 サーバーを使用してリモートデスクトップセッションにアクセスすることもできます。これにより、リモートデスクトップが現在の X11 セッションの画面として開きます。Xnest を使用して、ローカルの X11 セッションでネストされたリモートデスクトップを開くことができます。たとえば、以下のコマンドを使用して Xnest を実行します。address を、リモート X11 サーバーのホスト名に置き換えます。

    $ Xnest :1 -query address
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B.11. レスキューモードの使用

インストールプログラムのレスキューモードは、Red Hat Enterprise Linux DVD またはその他の起動メディアから起動できる最小限の Linux 環境です。さまざまな問題を修復するコマンドラインユーティリティーが含まれています。レスキューモードには、ブートメニューの Troubleshooting メニューからアクセスできます。このモードでは、ファイルシステムを読み取り専用としてマウントしたり、拒否リストに登録したり、ドライバーディスクで提供されるドライバーを追加したり、システムパッケージをインストールまたはアップグレードしたり、パーティションを管理したりできます。

注記

インストールプログラムのレスキューモードは、systemd システムおよびサービスマネージャーの一部として提供されるレスキューモード (シングルユーザーモードに相当) および緊急モードとは異なります。

レスキューモードで起動するには、最小起動ディスク、USB ドライブ、フルインストール DVD など、Red Hat Enterprise Linux の起動用メディアを使用してシステムを起動できる必要があります。

重要

iSCSI デバイスや zFCP デバイスなどの高度なストレージは、rd.zfcp= または root=iscsi: オプション などの dracut ブートオプションを使用するか、64 ビットの IBM Z 上の CMS 設定ファイルで設定する必要があります。レスキューモードで起動した後に、これらのストレージデバイスを対話的に設定することはできません。dracut ブートオプションの詳細は、システム上の dracut.cmdline(7) man ページを参照してください。

B.11.1. レスキューモードでシステムの起動

この手順では、レスキューモードで起動する方法を説明します。

手順

  1. 最小限の起動用メディア、フルインストールの DVD または USB ドライブからシステムを起動し、ブートメニューが表示されるまで待ちます。
  2. ブートメニューから、Troubleshooting > Rescue a Red Hat Enterprise Linux system オプションを選択するか、ブートコマンドラインに inst.rescue オプションを追加します。起動コマンドラインに入るには、Tab キー (BIOS ベースのシステムの場合) を押すか、e キー (UEFI ベースのシステムの場合) を押します。
  3. 必要に応じて、起動するドライバーディスクで提供されるサードパーティーのドライバーが必要な場合は、inst.dd=driver_name を起動コマンドラインに追加します。

    inst.rescue inst.dd=driver_name
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  4. 必要に応じて、Red Hat Enterprise Linux ディストリビューションに含まれるドライバーが原因でシステムが起動しない場合は、modprobe.blacklist= オプションを起動コマンドラインに追加します。

    inst.rescue modprobe.blacklist=driver_name
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  5. Enter (BIOS ベースのシステムの場合) または Ctrl+X (UEFI ベースのシステムの場合) を押して、変更したオプションを起動します。次のメッセージが表示されるまで待ちます。

    The rescue environment will now attempt to find your Linux installation and mount it under the directory: /mnt/sysroot/. You can then make any changes required to your system. Choose 1 to proceed with this step. You can choose to mount your file systems read-only instead of read-write by choosing 2. If for some reason this process does not work choose 3 to skip directly to a shell.
    
    1) Continue
    2) Read-only mount
    3) Skip to shell
    4) Quit (Reboot)
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    1 を選択すると、インストールプログラムは /mnt/sysroot/ ディレクトリーにファイルシステムをマウントしようとします。パーティションのマウントに失敗すると通知されます。2 を選択すると、ファイルシステムを /mnt/sysroot/ ディレクトリーにマウントしようとしますが、読み取り専用モードになります。3 を選択すると、ファイルシステムはマウントされません。

    システムルートの場合には、インストーラーは /mnt/sysimage/mnt/sysroot の 2 つのマウントポイントをサポートします。/mnt/sysroot パスは、ターゲットシステムの / をマウントするために使用されます。通常、物理ルートとシステムの root は同じであるため、/mnt/sysroot/mnt/sysimage と同じファイルシステムに割り当てられます。唯一の例外は、デプロイメントに基づいてシステムの root が変更する rpm-ostree システムのみです。次に、/mnt/sysroot は、/mnt/sysimage のサブディレクトリーに割り当てられます。chroot には /mnt/sysroot を使用します。

  6. 続行するには 1 を選択します。システムがレスキューモードになると、VC (仮想コンソール) 1 および VC 2 にプロンプトが表示されます。Ctrl+Alt+F1 キーの組み合わせで VC 1 にアクセスし、Ctrl+Alt+F2 で VC 2 にアクセスします。

    sh-4.2#
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  7. ファイルシステムがマウントされていても、レスキューモードではデフォルトの root パーティションは一時的な root パーティションであり、通常のユーザーモード (multi-user.target または graphical.target) で使用するファイルシステムの root パーティションではありません。ファイルシステムのマウントを選択し、正常にマウントされた場合は、次のコマンドを実行してレスキューモード環境の root パーティションを、ファイルシステムの root パーティションに変更できます。

    sh-4.2# chroot /mnt/sysroot
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    これは、root パーティションが / としてマウントされることが求められる rpm などのコマンドを実行する必要がある場合に便利です。chroot 環境を終了するには、exit と入力してプロンプトに戻ります。

  8. 3 を選択した場合でも、/directory/ などのディレクトリーを作成し、次のコマンドを入力すると、レスキューモード内でパーティションまたは LVM2 論理ボリュームを手動でマウントできます。

    sh-4.2# mount -t xfs /dev/mapper/VolGroup00-LogVol02 /directory
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    上記のコマンドでは、/directory/ は作成したディレクトリーで、/dev/mapper/VolGroup00-LogVol02 はマウントする LVM2 論理ボリュームになります。パーティションのタイプが XFS 以外の場合は、文字列 xfs を正しい種類 (ext4 など) に置き換えます。

  9. すべての物理パーティションの名前が不明な場合は、次のコマンドを実行するとリストが表示されます。

    sh-4.2# fdisk -l
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    LVM2 物理ボリューム、ボリュームグループ、または論理ボリュームの名前がすべて不明な場合は、pvdisplay コマンド、vgdisplay コマンド、または lvdisplay コマンドを使用します。

B.11.2. レスキューモードでの SOS レポートの使用

sosreport コマンドラインユーティリティーは、実行中のカーネルバージョン、読み込み済みモジュール、システムおよびサービスの設定ファイルなどの設定および診断情報をシステムから収集します。このユーティリティーの出力は、/var/tmp/ ディレクトリーの tar アーカイブに保存されます。sosreport ユーティリティーは、システムエラーの分析とトラブルシューティングに役立ちます。この手順に従って、レスキューモードで sosreport 出力を取得します。

前提条件

  • レスキューモードでシステムを起動している。
  • インストール済みのシステムの / (root) パーティションを読み書きモードでマウントしている。
  • この問題を Red Hat サポートに連絡し、ケース番号を受け取っている。

手順

  1. root ディレクトリーを /mnt/sysroot/ ディレクトリーに変更します。

    sh-4.2# chroot /mnt/sysroot/
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  2. sosreport を実行して、システム設定と診断情報を含むアーカイブを生成します。

    sh-4.2# sosreport
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    sosreport は、Red Hat サポートから受け取った名前とケース番号の入力を求めるプロンプトが表示されます。英数字のみを使用してください。# % & { } \ < > > * ? / $ ~ ' " : @ + ` | = 文字やスペースを追加すると、レポートが使用できなくなる可能性があるためです。

  3. 必要に応じて、ネットワークを使用して、生成されたアーカイブを新しい場所に転送する場合は、ネットワークインターフェイスを設定する必要があります。このシナリオでは、他の手順は必要ないため、動的 IP アドレス指定を使用します。ただし、静的アドレスを使用する場合は、次のコマンドを実行して、ネットワークインターフェイス (dev eth0 など) に IP アドレス (10.13.153.64/23 など) を割り当てます。

    bash-4.2# ip addr add 10.13.153.64/23 dev eth0
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  4. chroot 環境を終了します。

    sh-4.2# exit
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  5. 生成されたアーカイブを新しい場所に保存し、その場所からアーカイブへのアクセスを容易にします。

    sh-4.2# cp /mnt/sysroot/var/tmp/sosreport new_location
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  6. ネットワークを介したアーカイブの転送は、scp ユーティリティーを使用します。

    sh-4.2# scp /mnt/sysroot/var/tmp/sosreport username@hostname:sosreport
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B.11.3. GRUB ブートローダーの再インストール

場合によっては、GRUB ブートローダーが誤って削除されたり、破損したり、他のオペレーティングシステムによって置き換えられたりすることがあります。その場合は、BIOS を搭載した AMD64 および Intel 64 システムのマスターブートレコード (MBR) に GRUB を再インストールします。

前提条件

  • レスキューモードでシステムを起動している。
  • インストール済みのシステムの / (root) パーティションを読み書きモードでマウントしている。
  • /boot マウントポイントを読み取り/書き込みモードでマウントしている。

手順

  1. root パーティションを変更します。

    sh-4.2# chroot /mnt/sysroot/
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  2. install_device ブロックデバイスがインストールされている場所に GRUB ブートローダーを再インストールします。

    sh-4.2# /sbin/grub2-install install_device
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    重要

    grub2-install コマンドを実行すると、以下の条件がすべて適用されると、マシンが起動できなくなる可能性があります。

    • システムは、EFI (Extensible Firmware Interface) を使用する AMD64 または Intel 64 です。
    • Secure Boot が有効になります。

    grub2-install コマンドを実行すると、EFI (Extensible Firmware Interface) および Secure Boot が有効な AMD64 システムまたは Intel 64 システムを起動することはできません。この問題は、grub2-install コマンドが、shim アプリケーションを使用する代わりに直接起動する未署名の GRUB イメージをインストールするために発生します。システムが起動すると shim アプリケーションはイメージの署名を検証します。見つからない場合は、システムの起動に失敗します。

  3. システムを再起動します。

B.11.4. dnf を使用したドライバーの追加または削除

ドライバーが見つからないか、誤作動すると、システムの起動時に問題が発生します。レスキューモードは、システムが起動に失敗してもドライバーを追加または削除できる環境を提供します。誤作動するドライバーを削除したり、更新されたドライバーや不足しているドライバーを追加したりする際には、可能な限り、dnf パッケージマネージャーを使用してください。

重要

ドライバーディスクからドライバーをインストールすると、ドライバーディスクは、このドライバーを使用するシステムにある initramfs イメージをすべて更新します。ドライバーが原因でシステムが起動できない場合は、別の initramfs イメージからシステムを起動する方法は使用できません。

B.11.4.1. dnf を使用したドライバーの追加

以下の手順に従ってドライバーを追加します。

前提条件

  • レスキューモードでシステムを起動している。
  • インストール済みのシステムを読み書きモードでマウントしている。

手順

  1. そのドライバーを含む RPM パッケージを利用できるようにします。たとえば、CD または USB フラッシュドライブをマウントして、RPM パッケージを /mnt/sysroot/ 配下の任意の場所 (例: /mnt/sysroot/root/drivers/) にコピーします。
  2. root ディレクトリーを /mnt/sysroot/ に変更します。

    sh-4.2# chroot /mnt/sysroot/
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  3. dnf install コマンドを使用して、ドライバーパッケージをインストールします。たとえば、以下のコマンドを実行して、xorg-x11-drv-wacom ドライバーパッケージを /root/drivers/ からインストールします。

    sh-4.2# dnf install /root/drivers/xorg-x11-drv-wacom-0.23.0-6.el7.x86_64.rpm
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    注記

    この chroot 環境の /root/drivers/ ディレクトリーは、元のレスキュー環境の /mnt/sysroot/root/drivers/ ディレクトリーです。

  4. chroot 環境を終了します。

    sh-4.2# exit
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B.11.4.2. dnf を使用したドライバーの削除

以下の手順に従ってドライバーを削除します。

前提条件

  • レスキューモードでシステムを起動している。
  • インストール済みのシステムを読み書きモードでマウントしている。

手順

  1. root ディレクトリーを /mnt/sysroot/ ディレクトリーに変更します。

    sh-4.2# chroot /mnt/sysroot/
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  2. dnf remove コマンドを使用して、ドライバーパッケージを削除します。たとえば、xorg-x11-drv-wacom ドライバーパッケージを削除するには、次のコマンドを実行します。

    sh-4.2# dnf remove xorg-x11-drv-wacom
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  3. chroot 環境を終了します。

    sh-4.2# exit
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    誤動作のあるドライバーを何らかの理由で削除できない場合は、代わりにドライバーを拒否リストに登録することで、起動時に読み込まれないようにすることができます。

  4. ドライバーの追加および削除が終了したら、システムを再起動します。

B.12. ip= ブートオプションがエラーを返す

ip= ブートオプション形式 ip=[ip address] (ip=192.168.1.1 など) を使用すると、Fatal for argument 'ip=[insert ip here]'\n sorry, unknown value [ip address] refusing to continue というエラーメッセージが返されます。

Red Hat Enterprise Linux の以前のリリースにおける起動オプションの形式は次のようになります。

ip=192.168.1.15 netmask=255.255.255.0 gateway=192.168.1.254 nameserver=192.168.1.250 hostname=myhost1
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ただし、Red Hat Enterprise Linux 9 では、起動オプションの形式は次のようになります。

ip=192.168.1.15::192.168.1.254:255.255.255.0:myhost1::none: nameserver=192.168.1.250
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この問題を解決するには、ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:none の形式を使用します。ここでは、以下のようになります。

  • ip はクライアントの IP アドレスを指定します。IPv6 アドレスは角括弧で囲んで指定できます ([2001:DB8::1] など)。
  • gateway はデフォルトのゲートウェイです。IPv6 アドレスも使用できます。
  • netmask は使用するネットマスクです。完全ネットマスク (255.255.255.0 など) または接頭辞 (64 など) を使用できます。
  • hostname はクライアントシステムのホスト名です。このパラメーターは任意です。

B.13. iLO デバイスまたは iDRAC デバイスにおいてグラフィカルインストールで起動できない

iLO デバイスまたは iDRAC デバイスでのリモート ISO インストールのグラフィカルインストーラーは、インターネット接続が遅いために利用できないことがあります。この場合、インストールを続行するには、以下のいずれかの方法を選択できます。

  1. タイムアウトを避ける。そのためには、以下を実施します。

    1. インストールメディアから起動する際に、BIOS を使用している場合は Tab キーを、UEFI を使用している場合は e キーを押します。これにより、カーネルコマンドライン引数を変更できます。
    2. インストールを続行するには、rd.live.ram=1 を追加し、BIOS を使用している場合は Enter を、UEFI を使用している場合は Ctrl+x を押します。

      インストールプログラムの読み込みに時間がかかる場合があります。

  2. グラフィカルインストーラーのロード時間を延長する別のオプションは、inst.xtimeout カーネル引数を秒単位で設定することです。

    inst.xtimeout=N
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  3. システムをテキストモードでインストールできます。詳細は Installing RHEL8 in text mode を参照してください。
  4. ローカルメディアソースではなく、iLO や iDRAC などのリモート管理コンソールで、Red Hat カスタマーポータルの Download center にあるインストール ISO ファイルへの直接 URL を使用します。このセクションにアクセスするには、ログインしている必要があります。

B.14. Rootfs イメージは initramfs ではありません

インストーラーの起動中にコンソールに次のメッセージが表示される場合は、インストーラーの initrd.img の転送でエラーが発生した可能性があります。

[ ...] rootfs image is not initramfs
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この問題を解決するには、initrd を再度ダウンロードするか、initrd.img を使用して sha256sum を実行し、インストールメディアの .treeinfo ファイルに保存されているチェックサムと比較します。

$ sha256sum dvd/images/pxeboot/initrd.img
fdb1a70321c06e25a1ed6bf3d8779371b768d5972078eb72b2c78c925067b5d8 dvd/images/pxeboot/initrd.img
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.treeinfo でチェックサムを表示するには、以下を行います。

$ grep sha256 dvd/.treeinfo
images/efiboot.img = sha256:d357d5063b96226d643c41c9025529554a422acb43a4394e4ebcaa779cc7a917
images/install.img = sha256:8c0323572f7fc04e34dd81c97d008a2ddfc2cfc525aef8c31459e21bf3397514
images/pxeboot/initrd.img = sha256:fdb1a70321c06e25a1ed6bf3d8779371b768d5972078eb72b2c78c925067b5d8
images/pxeboot/vmlinuz = sha256:b9510ea4212220e85351cbb7f2ebc2b1b0804a6d40ccb93307c165e16d1095db
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正しい initrd.img があるにもかかわらず、インストーラーの起動中に次のカーネルメッセージが表示される場合は、多くの場合、ブートパラメーターが欠落しているか、スペルが間違っており、インストーラーは、通常インメモリー root ファイルシステムの完全なインストーラーの初期ラムディスクを提供する inst.repo= パラメーターによって参照される stage2 をロードできませんでした。

[ ...] No filesystem could mount root, tried:
[ ...] Kernel panic - not syncing: VFS: Unable to mount root fs on unknown-block(1,0)
[ ...] CPU: 0 PID: 1 Comm: swapper/0 Not tainted 5.14.0-55.el9.s390x #1
[ ...] ...
[ ...] Call Trace:
[ ...] ([<...>] show_trace+0x.../0x...)
[ ...]  [<...>] show_stack+0x.../0x...
[ ...]  [<...>] panic+0x.../0x...
[ ...]  [<...>] mount_block_root+0x.../0x...
[ ...]  [<...>] prepare_namespace+0x.../0x...
[ ...]  [<...>] kernel_init_freeable+0x.../0x...
[ ...]  [<...>] kernel_init+0x.../0x...
[ ...]  [<...>] kernel_thread_starter+0x.../0x...
[ ...]  [<...>] kernel_thread_starter+0x.../0x…
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この問題を解決するには、次を確認してください

  • 指定されたインストールソースがカーネルコマンドライン (inst.repo=) またはキックスタートファイルで正しい場合
  • ネットワーク設定はカーネルコマンドラインで指定される (インストールソースがネットワークとして指定されている場合)
  • ネットワークインストールソースが別のシステムからアクセス可能

付録C ブートオプションのリファレンス

ブートオプションを使用すると、インストールプログラムのデフォルトの動作を変更できます。

C.1. インストールソースのブートオプション

このセクションでは、さまざまなインストールソースのブートオプションを説明します。

inst.repo=

inst.repo= ブートオプションでは、インストールソースを指定します。つまり、パッケージリポジトリーとそのリポジトリーを記述した有効な .treeinfo ファイルを提供する場所を指定します。たとえば、inst.repo=cdrom になります。inst.repo= オプションの対象は、以下のいずれかのインストールメディアになります。

  • インストール可能なツリー (インストールプログラムのイメージ、パッケージ群、リポジトリーデータおよび有効な .treeinfo ファイルを含むディレクトリー設定)
  • DVD (システムの DVD ドライブにある物理ディスク)
  • Red Hat Enterprise Linux のフルインストール用 DVD の ISO イメージ (ディスク、またはシステムにアクセスできるネットワーク上の場所)

    inst.repo= 起動オプションでは、さまざまなインストール方法を設定します。以下の表は、inst.repo= 起動オプションの詳細な構文を記載します。

    Expand
    表C.1 inst.repo= ブートオプションおよびインストールソースのタイプおよびフォーマット
    ソースタイプブートオプションの形式ソースの形式

    CD/DVD ドライブ

    inst.repo=cdrom:<device>

    物理ディスクとしてのインストール DVD。 [a]

    マウント可能なデバイス (HDD および USB スティック)

    inst.repo=hd:<device>:/<path>

    インストール DVD のイメージファイル

    NFS サーバー

    inst.repo=nfs:[options:]<server>:/<path>

    インストール DVD のイメージファイル、またはインストールツリー (インストール DVD にあるディレクトリーおよびファイルの完全なコピー)。 [b]

    HTTP サーバー

    inst.repo=http://<host>/<path>

    インストールツリー (インストール DVD 上にあるディレクトリーおよびファイルの完全なコピー)。

    HTTPS サーバー

    inst.repo=https://<host>/<path>

    FTP サーバー

    inst.repo=ftp://<username>:<password>@<host>/<path>

    HMC

    inst.repo=hmc

     
    [a] device が省略された場合、インストールプログラムはインストール DVD を含むドライブを自動的に検索します。
    [b] NFS サーバーのオプションでは、デフォルトで NFS プロトコルのバージョン 3 が使用されます。別のバージョンを使用するには、nfsvers=Xオプション に追加し、X を、使用するバージョン番号に置き換えます。

ディスクデバイス名は、次の形式で設定します。

  • カーネルデバイス名 (例: /dev/sda1 または sdb2)
  • ファイルシステムのラベル (例: LABEL=Flash または LABEL=RHEL8)
  • ファイルシステムの UUID (例: UUID=8176c7bf-04ff-403a-a832-9557f94e61db)

英数字以外は \xNN で表す必要があります。NN は文字の 16 進数表示になります。たとえば、\x20 なら空白 (" ") になります。

inst.addrepo=

メインリポジトリー (inst.repo=) とともに別のインストールソースとして使用できる追加のリポジトリーを追加するには、inst.addrepo= ブートオプションを使用します。inst.addrepo= ブートオプションは、1 回の起動時に複数回使用できます。次の表に、inst.addrepo= ブートオプションの詳細な構文を記載します。

注記

REPO_NAME はリポジトリーの名前であり、インストールプロセスでは必須です。これらのリポジトリーは、インストールプロセス時にのみ使用され、インストールしたシステムにはインストールされません。

統一された ISO に関する詳細は、Unified ISO を参照してください。

Expand
表C.2 インストールソースおよびブートオプションの形式
インストールソースブートオプションの形式関連情報

URL にあるインストール可能なツリー

inst.addrepo=REPO_NAME,[http,https,ftp]://<host>/<path>

指定の URL にあるインストール可能なツリーを探します。

NFS パスにあるインストール可能なツリー

inst.addrepo=REPO_NAME,nfs://<server>:/<path>

指定した NFS パスのインストール可能なツリーを探します。コロンは、ホストの後に必要です。インストールプログラムは、RFC 2224 に従って URL の解析を行うのではなく、nfs:// ディレクトリーの後のすべてを mount コマンドに渡します。

インストール環境でインストール可能なツリー

inst.addrepo=REPO_NAME,file://<path>

インストール環境の指定した場所にあるインストール可能なツリーを探します。このオプションを使用するには、インストールプログラムが利用可能なソフトウェアグループのロードを試行する前に、リポジトリーがマウントされる必要があります。このオプションの利点は、起動可能な ISO に複数のリポジトリーを利用でき、ISO からメインリポジトリーと追加のリポジトリーの両方をインストールできることです。追加のリポジトリーへのパスは /run/install/source/REPO_ISO_PATH です。また、キックスタートファイルの %pre セクションにリポジトリーディレクトリーをマウントできます。パスは、inst.addrepo=REPO_NAME,file:///<path> など、/ で始まる必要があります。

ディスク

inst.addrepo=REPO_NAME,hd:<device>:<path>

指定した <device> パーティションをマウントして、<path> で指定した ISO からインストールします。<path> を指定しないと、インストールプログラムは <device> 上の有効なインストール ISO を探します。このインストール方法には、有効なインストール可能ツリーを持つ ISO が必要です。

inst.stage2=

inst.stage2= ブートオプションでは、インストールプログラムのランタイムイメージの場所を指定します。このオプションは、有効な .treeinfo ファイルが含まれるディレクトリーへのパスを想定し、.treeinfo ファイルからランタイムイメージの場所を読み取ります。.treeinfo ファイルが利用できないと、インストールプログラムは、images/install.img からイメージを読み込もうとします。

inst.stage2 オプションを指定しない場合、インストールプログラムは inst.repo オプションで指定された場所を使用しようとします。

このオプションは、後でインストールプログラム内でインストールソースを手動で指定する場合に使用します。たとえば、インストールソースとしてコンテンツ配信ネットワーク (CDN) を選択する場合などに使用します。インストール DVD および Boot ISO には、それぞれの ISO からインストールプログラムを起動するための適切な inst.stage2 オプションがすでに含まれています。

インストールソースを指定する場合は、代わりに inst.repo= オプションを使用します。

注記

デフォルトでは、inst.stage2= ブートオプションがインストールメディアで使用され、特定のラベルに設定されます (例: inst.stage2=hd:LABEL=RHEL-x-0-0-BaseOS-x86_64)。ランタイムイメージを含むファイルシステムのデフォルトラベルを変更する場合、またはカスタムの手順を使用してインストールシステムを起動する場合は、inst.stage2= ブートオプションが正しい値に設定されていることを確認してください。

inst.noverifyssl

inst.noverifyssl ブートオプションは、インストーラーによるすべての HTTPS 接続に対する SSL 証明書の検証を防ぐために使用します。ただし、追加のキックスタートリポジトリーは例外であり、リポジトリーごとに --noverifyssl を設定できます。

たとえば、リモートのインストールソースが自己署名 SSL 証明書を使用している場合には、inst.noverifyssl 起動オプションは、SSL 証明書を検証せずにインストーラーがインストールを完了できるようにします。

inst.stage2= を使用してソースを指定する場合の例

inst.stage2=https://hostname/path_to_install_image/ inst.noverifyssl
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inst.repo= を使用してソースを指定する場合の例

inst.repo=https://hostname/path_to_install_repository/ inst.noverifyssl
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inst.stage2.all

inst.stage2.all ブートオプションは、複数の HTTP、HTTPS、または FTP ソースを指定するために使用します。inst.stage2= ブートオプションを inst.stage2.all オプションとともに複数回使用すると、成功するまでソースからイメージを順番に取得できます。以下に例を示します。

inst.stage2.all
inst.stage2=http://hostname1/path_to_install_tree/
inst.stage2=http://hostname2/path_to_install_tree/
inst.stage2=http://hostname3/path_to_install_tree/
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inst.dd=
inst.dd= ブートオプションは、インストール時にドライバーの更新を実行するために使用します。インストール時にドライバーを更新する方法の詳細は、インストール時のドライバーの更新 を参照してください。
inst.repo=hmc

このオプションにより、外部ネットワーク設定の必要がなくなるため、インストールのオプションが増えます。Binary DVD から起動すると、インストーラープログラムにより、追加のカーネルパラメーターを入力するように求められます。DVD をインストールソースとして設定するには、inst.repo=hmc オプションをカーネルパラメーターに追加します。インストールプログラムは、サポート要素 (SE) およびハードウェア管理コンソール (HMC) のファイルアクセスを有効にし、DVD から stage2 のイメージをフェッチし、ソフトウェア選択のために DVD のパッケージへのアクセスを提供します。

重要

inst.repo ブートオプションを使用するには、ユーザーが 少なくとも Privilege Class B で設定されていることを確認してください。ユーザー設定の詳細は、IBM のドキュメント を参照してください。

inst.proxy=

このブートオプションは、HTTP、HTTPS、および FTP プロトコルからインストールを実行するときに使用されます。以下に例を示します。

[PROTOCOL://][USERNAME[:PASSWORD]@]HOST[:PORT]
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inst.nosave=

inst.nosave= ブートオプションは、インストール済みのシステムに保存されないインストールログと関連ファイル (input_ksoutput_ksall_kslogsall など) を制御するために使用します。複数の値をコンマで区切って組み合わせることができます。以下に例を示します。

inst.nosave=Input_ks,logs
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注記

inst.nosave ブートオプションは、インストール済みのシステムから、キックスタートのログや入力/出力などの Kickstart %post スクリプトで削除できないファイルの除外に使用されます。

input_ks
キックスタートによる入力を保存する機能を無効にします。
output_ks
インストールプログラムで生成されたキックスタートによる出力を保存する機能を無効にします。
all_ks
キックスタートによる入出力を保存する機能を無効にします。
logs
すべてのインストールログを保存する機能を無効にします。
all
すべてのキックスタート結果とすべてのログを保存する機能を無効にします。
inst.multilib
inst.multilib ブートオプションは、DNF の multilib_policybest ではなく all に設定するために使用します。
inst.memcheck
inst.memcheck ブートオプションは、インストールを完了するのに十分な RAM がシステムにあることを確認するためのチェックを実行します。RAM が十分でない場合は、インストールプロセスが停止します。システムのチェックはおおよそのもので、インストールの際のメモリー使用率は、パッケージ選択やユーザーインターフェイス (グラフィカル、テキスト)、その他のパラメーターにより異なります。
inst.nomemcheck
inst.nomemcheck ブートオプションは、インストールを完了するのに十分な RAM がシステムにあることを確認するためのチェックを実行しません。最小メモリー量未満のインストールの実行はサポートされておらず、インストールプロセスが失敗する可能性があります。

C.2. ネットワークのブートオプション

シナリオでローカルイメージから起動するのではなく、ネットワーク経由でイメージから起動する必要がある場合は、次のオプションを使用してネットワーク起動をカスタマイズできます。

注記

dracut ツールを使用してネットワークを初期化します。dracut オプションの完全なリストは、システムの dracut.cmdline(7) man ページを参照してください。

ip=

ip= 起動オプションは、1 つ以上のネットワークインターフェイスを設定します。複数のインターフェイスを設定するには、次のいずれかの方法を使用します。

  • インターフェイスごとに 1 回ずつ、ip オプションを複数回使用します。これを行うには、rd.neednet=1 オプションを使用し、bootdev オプションを使用してプライマリーブートインターフェイスを指定します。
  • ip オプションを 1 回使用してから、Kickstart を使用してさらにインターフェイスを設定します。このオプションでは、複数の形式が使用できます。以下の表は、最も一般的なオプションの情報が含まれます。

以下の表では、下記の点を前提としています。

  • ip パラメーターはクライアントの IP アドレスを指定し、IPv6 には角括弧が必要です (例: 192.0.2.1 または [2001:db8::99])。
  • gateway パラメーターはデフォルトゲートウェイになります。IPv6 には角括弧必要です。
  • netmask パラメーターは使用するネットマスクです。完全ネットマスク (255.255.255.0 など) または接頭辞 (64 など) を使用できます。
  • hostname パラメーターはクライアントシステムのホスト名です。このパラメーターは任意です。

    Expand
    表C.3 ネットワークインターフェイスを設定するためのブートオプション形式
    ブートオプションの形式設定方法

    ip=method

    全インターフェイスの自動設定

    ip=interface:method

    特定インターフェイスの自動設定

    ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:none

    静的設定 (例: IPv4 ip=192.0.2.1::192.0.2.254:255.255.255.0:server.example.com:enp1s0:none)

    IPv6: ip=[2001:db8::1]::[2001:db8::fffe]:64:server.example.com:enp1s0:none

    ip=ip::gateway:netmask:hostname:interface:method:mtu

    オーバーライドを使用した特定インターフェイスの自動設定

    自動インターフェイスの設定方法

    オーバーライドを使用した特定インターフェイスの自動設定 では、dhcp など、指定した自動設定方法を使用してインターフェイスを起動しますが、自動取得した IP アドレス、ゲートウェイ、ネットマスク、ホスト名、他のパラメーターなどで指定したものは無効にします。パラメーターはすべて任意となるため、無効にするパラメーターだけを指定します。

    method パラメーターには、以下のいずれかを使用します。

    DHCP
    dhcp
    IPv6 DHCP
    dhcp6
    IPv6 自動設定
    auto6
    iBFT (iSCSI Boot Firmware Table)
    ibft
    注記
    • ip オプションを指定せずに、inst.ks=http://host/path などのネットワークアクセスを必要とするブートオプションを使用する場合、ip オプションのデフォルト値は ip=dhcp です。
    • iSCSI ターゲットに自動的に接続するには、ip=ibft ブートオプションを使用して、ターゲットにアクセスするネットワークデバイスをアクティブ化します。
    nameserver=

    nameserver= オプションは、ネームサーバーのアドレスを指定します。このオプションは複数回使用できます。

    注記

    ip= パラメーターには角括弧が必要です。ただし、IPv6 アドレスには角括弧が使用できません。IPv6 アドレスに使用する正しい構文は nameserver=2001:db8::1 のようになります。

    bootdev=
    bootdev= オプションは、起動インターフェイスを指定します。このオプションは、ip オプションを複数回使用する場合に必要になります。
    ifname=

    ifname= オプションは、特定の MAC アドレスを持つネットワークデバイスにインターフェイス名を割り当てます。このオプションは複数回使用できます。構文は、ifname=interface:MAC です。以下に例を示します。

    ifname=eth0:01:23:45:67:89:ab
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    注記

    ifname= オプションは、インストール中にカスタムのネットワークインターフェイス名を設定する際にサポートされる唯一の方法となります。

    inst.dhcpclass=
    inst.dhcpclass= オプションは、DHCP のベンダークラス識別子を指定します。dhcpd サービスでは、この値は vendor-class-identifier として認識されます。デフォルト値は anaconda-$(uname -srm) です。inst.dhcpclass= オプションが正しく適用されるようにするには、インストールの早い段階で ip オプションも追加してネットワークのアクティブ化を要求します。
    inst.waitfornet=
    inst.waitfornet=SECONDS ブートオプションを使用すると、インストールシステムがインストール前にネットワーク接続を待機します。SECONDS 引数で指定する値は、ネットワーク接続がない場合でもすぐにはタイムアウトにせず、ネットワーク接続を待ち続け、インストールプロセスを継続する最大秒数を表します。
    vlan=

    vlan= オプションを使用して、仮想 LAN (VLAN) デバイスに特定の名前を付け、指定インターフェイスにそのデバイスを設定します。構文は vlan=name:interface です。以下に例を示します。

    vlan=vlan5:enp0s1
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    これにより、enp0s1 インターフェイスに vlan5 という名前の VLAN デバイスが設定されます。name は以下のような形式をとります。

  • VLAN_PLUS_VID: vlan0005
  • VLAN_PLUS_VID_NO_PAD: vlan5
  • DEV_PLUS_VID: enp0s1.0005
  • DEV_PLUS_VID_NO_PAD: enp0s1.5

    bond=

    bond= オプションを使用して、bond=name[:interfaces][:options] 構文でボンディングデバイスを設定します。name はボンディングデバイス名に置き換え、interfaces は物理 (イーサネット) インターフェイスのコンマ区切りリストに置き換え、options はボンディングオプションのコンマ区切りリストに置き換えます。以下に例を示します。

    bond=bond0:enp0s1,enp0s2:mode=active-backup,tx_queues=32,downdelay=5000
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    利用可能なオプションのリストは、ボンディングコマンド modinfo を実行します。

    team=

    team= オプションを使用して、team=name:interfaces 構文でチームデバイスを設定します。チームデバイスの基礎となるインターフェイスとして使用されるように、name はチームデバイスの望ましい名前に、interfaces は物理 (イーサネット) デバイスのコンマ区切りリストに置き換えます。以下に例を示します。

    team=team0:enp0s1,enp0s2
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    重要

    NIC チーミングは Red Hat Enterprise Linux 9 では非推奨です。代わりに、ネットワークボンディングドライバーの使用を検討してください。詳細は、ネットワークボンディングの設定 を参照してください。

    bridge=

    bridge= オプションを使用して、bridge=name:interfaces 構文でブリッジデバイスを設定します。ブリッジデバイスの基礎となるインターフェイスとして使用されるように、name はブリッジデバイスの望ましい名前に、interfaces は物理 (イーサネット) デバイスのコンマ区切りリストに置き換えます。以下に例を示します。

    bridge=bridge0:enp0s1,enp0s2
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C.3. コンソールのブートオプション

このセクションでは、コンソール、モニターディスプレイ、およびキーボードのブートオプションを設定する方法を説明します。

console=
console= オプションを使用して、プライマリーコンソールとして使用するデバイスを指定します。たとえば、最初のシリアルポートでコンソールを使用するには、console=ttyS0 を使用します。console= 引数を使用する場合、インストールはテキスト UI から始まります。console= オプションを複数回使用する必要がある場合は、指定したすべてのコンソールにブートメッセージが表示されます。ただし、インストールプログラムは、最後に指定されたコンソールのみを使用します。たとえば、console=ttyS0 console=ttyS1 と指定すると、インストールプログラムでは ttyS1 が使用されます。
inst.lang=
inst.lang= オプションを使用して、インストール時に使用する言語を設定します。ロケールのリストを表示するには、コマンド locale -a | grep _ または localectl list-locales | grep _ コマンドを実行します。
inst.geoloc=

インストールプログラムで、地理位置情報の使用方法を設定するには、inst.geoloc= オプションを使用します。地理位置情報は、言語およびタイムゾーンの事前設定に使用され、inst.geoloc=value 構文を使用します。value には、以下のいずれかのパラメーターを使用します。

  • 地理位置情報の無効化: inst.geoloc=0
  • Fedora GeoIP API (inst.geoloc=provider_fedora_geoip) の使用。このオプションは非推奨となりました。
  • Hostip.info GeoIP API (inst.geoloc=provider_hostip) の使用。このオプションは非推奨となりました。
inst.keymap=
inst.keymap= オプションを使用して、インストールに使用するキーボードレイアウトを指定します。
inst.cmdline
inst.cmdline オプションを使用して、インストールプログラムをコマンドラインモードで強制的に実行します。このモードでは対話が使用できないため、キックスタートファイルまたはコマンドラインですべてのオプションを指定する必要があります。
inst.graphical
インストールプログラムをグラフィカルモードで強制的に実行するには、inst.graphical オプションを使用します。グラフィカルモードがデフォルトです。
inst.text
inst.text オプションを使用して、グラフィカルモードではなく、テキストモードでインストールプログラムを強制的に実行します。
inst.noninteractive
inst.noninteractive ブートオプションは、非対話型モードでインストールプログラムを実行するために使用します。非対話型モード (および inst.noninteractive) では、ユーザーとの対話は許可されていません。グラフィカルまたはテキストインストールで inst.nointeractive オプションを使用できます。inst.noninteractive オプションをテキストモードで使用すると、inst.cmdline オプションと同じように動作します。
inst.resolution=
inst.resolution= オプションを使用して、グラフィカルモードで、画面の解像度を指定します。形式は NxM です。N は画面の幅で、M は画面の高さ (ピクセル単位) です。推奨される解像度は 1024x768 です。
inst.vnc
inst.vnc オプションを使用して、Virtual Network Computing (VNC) を使用したグラフィカルインストールを実行します。インストールプログラムと対話するには VNC クライアントアプリケーションを使用する必要があります。VNC 共有を有効にすると、複数のクライアントに接続できます。VNC を使用してインストールしたシステムは、テキストモードで起動します。
inst.vncpassword=
inst.vncpassword= オプションを使用して、インストールプログラムが使用する VNC サーバーにパスワードを設定します。
inst.vncconnect=
inst.vncconnect= オプションを使用して、指定されたホストの場所にあるリスニング VNC クライアントに接続します (例: inst.vncconnect=<host>[:<port>])。デフォルトのポートは 5900 です。このオプションを使用するには、コマンド vncviewer -listen を入力します。
inst.xdriver=
inst.xdriver= オプションを使用して、インストール時およびインストール済みシステムで使用される X ドライバーの名前を指定します。
inst.usefbx
inst.usefbx オプションを使用して、ハードウェア固有のドライバーではなく、フレームバッファー X ドライバーを使用するようにインストールプログラムに要求します。このオプションは、inst.xdriver=fbdev オプションと同等です。
modprobe.blacklist=

modprobe.blacklist= オプションを使用して、1 つ以上のドライバーを拒否リストに追加するか、完全に無効にします。このオプションを使用して無効にしたドライバー (mods) は、インストールの開始時にロードできません。インストールが完了すると、インストールされたシステムはこれらの設定を保持します。拒否リストに指定したドライバーのリストは、/etc/modprobe.d/ ディレクトリーにあります。複数のドライバーを無効にするには、コンマ区切りリストを使用します。以下に例を示します。

modprobe.blacklist=ahci,firewire_ohci
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注記

modprobe.blacklist は、さまざまなコマンドラインオプションと組み合わせて使用できます。たとえば、既存のドライバーの更新バージョンがドライバー更新ディスクから確実に読み込まれるようにするには、inst.dd オプションを使用します。

modprobe.blacklist=virtio_blk
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inst.xtimeout=
inst.xtimeout= オプションを使用して、X サーバーの起動のタイムアウトを秒単位で指定します。
inst.sshd

インストール時に、SSH を使用してシステムに接続し、インストールの進捗を監視できるように、inst.sshd オプションを使用して、sshd サービスを開始します。SSH の詳細は、システムの ssh(1) man ページを参照してください。デフォルトでは、sshd オプションは、64 ビットの IBM Z アーキテクチャーでのみ自動的に起動します。その他のアーキテクチャーでは、sshd は、inst.sshd オプションを使用しない限り起動しません。

注記

インストール中に、root アカウントにはデフォルトでパスワードが設定されていません。キックスタートコマンド sshpw を使用して、インストール時に root パスワードを設定できます。

inst.kdump_addon=
インストールプログラムで Kdump 設定画面 (アドオン) を有効または無効にするには、inst.kdump_addon= オプションを使用します。この画面はデフォルトで有効になっているため、無効にする場合は inst.kdump_addon=off を使用します。アドオンを無効にすると、グラフィカルおよびテキストベースのインターフェイスと、キックスタートコマンド %addon com_redhat_kdump の両方で Kdump 画面が無効になります。

C.4. デバッグのブートオプション

このセクションでは、問題をデバッグするときに使用できるオプションを説明します。

inst.rescue
inst.rescue オプションを使用して、システムの診断と修正のためのレスキュー環境を実行します。詳細は、Red Hat ナレッジベースソリューション repair a filesystem in rescue mode を参照してください。
inst.updates=

inst.updates= オプションを使用して、インストール時に適用する updates.img ファイルの場所を指定します。updates.img ファイルは、いくつかのソースの 1 つから取得できます。

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表C.4 updates.img ファイルソース
ソース説明

ネットワークからの更新

updates.img のネットワーク上の場所を指定します。インストールツリーを変更する必要はありません。この方法を使用するには、カーネルコマンドラインを編集して inst.updates を追加します。

inst.updates=http://website.com/path/to/updates.img.

ディスクイメージからの更新

フロッピードライブまたは USB キーに updates.img を保存できます。これは、ファイルシステムタイプが ext2updates.img でのみ可能です。イメージの内容をフロッピードライブに保存するには、フロッピーディスクを挿入し、次のコマンドを実行します。

dd if=updates.img of=/dev/fd0 bs=72k count=20USB キーまたはフラッシュメディアを使用するには、/dev/fd0 を、USB キーのデバイス名に置き換えます。

インストールツリーからの更新

CD、ディスク、HTTP、または FTP のインストールを使用する場合は、すべてのインストールツリーが .img ファイルを検出できるように、インストールツリーに updates.img を保存できます。このファイル名は、updates.img にする必要があります。

NFS インストールの場合は、ファイルを images/ ディレクトリーまたは RHupdates/ ディレクトリーに保存します。

inst.syslog=
インストールの開始時に、指定されたホスト上の syslog プロセスにログメッセージを送信します。inst.syslog= は、リモート syslog プロセスが着信接続を受け入れるように設定されている場合にのみ使用できます。
inst.virtiolog=
inst.virtiolog = オプションを使用して、ログの転送に使用する virtio ポート (/dev/virtio-ports/name にある文字デバイス) を指定します。デフォルト値は、org.fedoraproject.anaconda.log.0 です。
rd.live.ram
images/install.imgstage 2 イメージを RAM にコピーします。これにより、インストールに必要なメモリーがイメージのサイズ (通常は 400 ~ 800MB) だけ増加することに注意してください。
inst.nokill
致命的なエラーが発生したとき、またはインストールプロセスの最後に、インストールプログラムが再起動しないようにします。再起動時に失われるインストールログをキャプチャーするのに使用します。
inst.noshell
インストール中にターミナルセッション 2 (tty2) でシェルを防止します。
inst.notmux
インストール中に tmux を使用しないようにします。この出力は、ターミナル制御文字なしで生成され、非対話用になります。
inst.remotelog=
TCP 接続を使用してすべてのログをリモート host:port に送信します。リスナーがなく、インストールが通常通りに進まない場合は、接続が中断されます。

C.5. ストレージ起動オプション

このセクションでは、ストレージデバイスからの起動をカスタマイズするために指定できるオプションを説明します。

inst.nodmraid
dmraid サポートを無効にします。
警告

使用する場合は注意が必要です。ファームウェア RAID アレイの一部として誤って特定されたディスクがある場合は、古い RAID メタデータが存在する可能性があります。これらは、dmraidwipefs などの適切なツールを使用して削除する必要があります。

inst.nompath
マルチパスデバイスのサポートを無効にします。このオプションは、システムに誤検知があり、通常のブロックデバイスをマルチパスデバイスとして誤って識別する場合にのみ使用してください。
警告

使用する場合は注意が必要です。マルチパスハードウェアではこのオプションを使用しないでください。このオプションを使用してマルチパスデバイスのシングルパスにインストールすることはサポートされていません。

inst.gpt
インストールプログラムがパーティション情報を Master Boot Record (MBR) ではなく GUID Partition Table (GPT) にインストールするように強制します。このオプションは、BIOS 互換モードである場合を除き、UEFI ベースのシステムでは有効ではありません。通常、BIOS 互換モードの BIOS ベースのシステムおよび UEFI ベースのシステムは、ディスクのサイズが 2^32 セクター以上でない限り、パーティション情報の格納に MBR スキーマを使用しようとします。ディスクセクターは通常 512 バイトで、通常これは 2 TiB に相当します。inst.gpt ブートオプションを使用すると、GPT をより小さなディスクに書き込むことができます。
inst.wait_for_disks=
inst.wait_for_disks= オプションを使用して、インストールの開始時にディスクデバイスが表示されるまでインストールプログラムが待機する秒数を指定します。キックスタートファイルまたはカーネルドライバーを自動的にロードするために OEMDRV-labeled デバイスを使用しているものの、起動プロセス中にデバイスが表示されるまでに時間がかかる場合は、このオプションを使用します。デフォルトでは、インストールプログラムは 5 秒間待機します。遅延を最小限に抑えるには、0 秒を使用します。

C.6. 廃止予定の起動オプション

このセクションは、非推奨の起動オプションを説明します。これらのオプションはインストールプログラムでも使用できますが、非推奨とされています。また、Red Hat Enterprise Linux の今後のリリースで削除される予定です。

method
method オプションは、inst.repo のエイリアスです。
dns
dns の代わりに nameserver を使用します。ネームサーバーはコンマ区切りのリストを受け付けず、代わりに複数のネームサーバーオプションを使用することに注意してください。
ksdevice
Expand
表C.5 ksdevice 起動オプションの値
情報

存在しない

該当なし

ksdevice=link

このオプションがデフォルトの動作と同じ場合に無視されます。

ksdevice=bootif

BOOTIF= が存在する場合は、このオプションはデフォルトであるため無視されます。

ksdevice=ibft

ip=ibft に変更詳細は ip を参照してください。

ksdevice=<MAC>

BOOTIF=${MAC/:/-} に変更

ksdevice=<DEV>

bootdev に置き換え

C.7. 削除済みの起動オプション

このセクションでは、Red Hat Enterprise Linux から削除された起動オプションを説明します。

注記

dracut では、高度な起動オプションを利用できます。dracut の詳細は、システム上の dracut.cmdline(7) man ページを参照してください。

askmethod、asknetwork
initramfs は完全に非対話的に実行されるため、askmethodasknetwork のオプションは削除されました。inst.repo を使用して、適切なネットワークオプションを指定します。
blacklist、nofirewire
modprobe オプションは、カーネルモジュールのブロックリストを処理するようになりました。modprobe.blacklist=<mod1>,<mod2> を使用します。modprobe.blacklist=firewire_ohci を使用して、FireWire モジュールを拒否リストに入れることができます。
inst.headless=
headless= オプションでは、インストールしているシステムにディスプレイハードウェアがなく、インストールプログラムがディスプレイハードウェアを検索する必要がないことを指定しています。
inst.decorated
inst.decorated オプションは、装飾画面でのグラフィカルインストールの指定に使用されていまいた。デフォルトでは、画面は装飾されないため、タイトルバーやサイズ変更などの機能はありません。このオプションは不要になりました。
repo=nfsiso
inst.repo=nfs: オプションを使用します。
serial
console=ttyS0 オプションを指定します。
updates
inst.updates オプションを指定します。
essid、wepkey、wpakey
dracut はワイヤレスネットワークをサポートしません。
ethtool
このオプションは不要になりました。
gdb
dracut ベースの initramfs のデバッグには多くのオプションが使用できるため、このオプションは削除されました。
inst.mediacheck
dracut オプションの rd.live.check オプション指定してください。
ks=floppy
inst.ks=hd:<device> オプションを指定します。
display
UI のリモートディスプレイには、inst.vnc オプションを指定します。
utf8
このオプションは、デフォルトの TERM 設定が期待通りに動作するため、不要になりました。
noipv6
IPv6 はカーネルに組み込まれたため、インストールプログラムによる削除はできません。ipv6.disable=1 を使用して ipv6 を無効にすることができます。この設定は、インストール済みシステムによって使用されます。
upgradeany
インストールプログラムがアップグレードを処理しなくなるため、このオプションは不要になりました。
netmask、gateway、hostname
netmaskgateway、および hostname オプションは、ip オプションの一部として利用できます。
ip=bootif
PXE 指定の BOOTIF オプションが自動的に使用されるため、ip=bootif を使用する必要はありません。
inst.zram
zram.service はこれ以上実行できません。詳細は、zram-generator を参照してください。
inst.singlelang
シングル言語モードはサポートされなくなりました。
inst.repo=hd:<device>:<path> (インストール可能なツリーの場合)
このオプションは、インストール可能なツリーでは使用できず、ISO ファイルでのみ使用できます。
inst.loglevel
ログレベルは常に debug に設定されます。

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