第2章 authselect を使用したユーザー認証の設定


authselect は、特定のプロファイルを選択して、システム ID および認証ソースを設定できるようにするユーティリティーです。プロファイルは、Pluggable Authentication Modules (PAM) およびネットワークセキュリティーサービス (NSS) の設定を記述したファイルのセットです。デフォルトのプロファイルセットを使用することも、カスタムプロファイルを作成することもできます。

2.1. authselect の使用方法

authselect ユーティリティーを使用して、Red Hat Enterprise Linux 9 ホストでユーザー認証を設定できます。

既製のプロファイルのいずれかを選択して、ID 情報および認証ソースおよびプロバイダーを設定できます。

  • デフォルトの sssd プロファイルでは、LDAP 認証を使用するシステムの System Security Services Daemon (SSSD) が有効になります。
  • winbind プロファイルは、Microsoft Active Directory と直接統合したシステムの Winbind ユーティリティーを有効にします。
  • minimal プロファイルは、システムファイルから直接ローカルユーザーおよびグループのみを提供します。これにより、管理者は不要になったネットワーク認証サービスを削除できます。

authselect プロファイルを特定のホストに対して選択すると、そのプロファイルは、そのホストにログインしているすべてのユーザーに適用されます。

Red Hat では、半集中型のアイデンティティー管理環境では、authselect を使用することを推奨しています。たとえば、組織がドメイン内のサービスを使用するユーザーを認証するために LDAP または Winbind データベースを利用している場合などです。

警告

次の場合は、authselect を使用する必要はありません。

  • ホストは Red Hat Enterprise Linux Identity Management (IdM) の一部です。ホストを IdM ドメインに参加させると、ipa-client-install コマンドは、ホストで SSSD 認証を自動的に設定します。
  • ホストは SSSD 経由で Active Directory の一部です。realm join コマンドを呼び出して、ホストを Active Directory ドメインに参加させると、ホストで SSSD 認証が自動的に設定されます。

Red Hat は、ipa-client-install または realm join により設定された authselect プロファイルを変更しないことを推奨します。それらを変更する必要がある場合は、変更を加える前に現在の設定を表示して、必要に応じて元に戻すことができるようにします。

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$ authselect current
Profile ID: sssd
Enabled features:
- with-sudo
- with-mkhomedir
- with-smartcard

2.1.1. authselect によって変更されるファイルとディレクトリー

authselect によって変更される設定ファイルは限られているため、認証設定の管理とトラブルシューティングが容易です。

/etc/nsswitch.conf

GNU C ライブラリーおよびその他アプリケーションはこの NSS (Name Service Switch) を使用して、さまざまなカテゴリーの名前サービス情報を、どのソースから、どの順番で取得するかを決定します。情報の各カテゴリーは、データベース名で識別されます。

/etc/pam.d/* ファイル

Linux-PAM (Pluggable Authentication Modules) は、システムのアプリケーション (サービス) の認証タスクを処理するモジュールのシステムです。認証の性質は動的に設定できます。システム管理者は、個々のサービス提供アプリケーションがユーザーを認証する方法を選択できます。

/etc/pam.d/ ディレクトリー内の設定ファイルには、サービスに必要な認証タスクを実行する PAM のリストと、個々の PAM が失敗した場合の PAM-API の適切な動作がリスト表示されます。

たとえば、これらのファイルには以下の情報が含まれています。

  • ユーザーパスワードのロックアウトの条件
  • スマートカードによる認証機能
  • フィンガープリントリーダーによる認証機能

/etc/dconf/db/distro.d/* ファイル

このディレクトリーは、dconf ユーティリティーの設定プロファイルを保持し、GNOME デスクトップグラフィカルユーザーインターフェイス (GUI) の設定を管理できます。

2.1.2. /etc/nsswitch.conf のデータプロバイダー

デフォルトの sssd プロファイルは、/etc/nsswitch.confsss エントリーを作成することで、SSSD を情報ソースとして確立します。

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passwd:     sss files
group:      sss files
netgroup:   sss files
automount:  sss files
services:   sss files
...

これは、これらの項目のいずれかに関する情報が要求されると、システムが最初に SSSD を調べることを意味します。

  • ユーザー情報の passwd
  • ユーザー グループ 情報のグループ
  • NIS netgroup 情報の netgroup
  • NFS 自動マウント情報の automount
  • サービスに関する情報に関する services

sssd キャッシュ、および認証を提供するサーバーで、要求された情報が見つからない、または sssd を実行していないと、システムはローカルファイル (/etc/*) を調べます。

たとえば、ユーザー ID に関する情報が要求されると、そのユーザー ID は、最初に sssd キャッシュで検索されます。そこで見つからない場合は、/etc/passwd ファイルが参照されます。同様に、ユーザーのグループ所属が要求されると、最初に sssd キャッシュで検索され、そこに見つからない場合に限り、/etc/group ファイルが参照されます。

実際には、ローカルの files データベースは参照されません。最も重要な例外は、root ユーザーの場合です。これは、sssd で処理されることはありませんが、files で処理されます。

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