第1章 IdM の Vault
Identity Management (IdM) の Vault について詳しく説明します。
1.1. Vault およびその利点
Identity Management (IdM) の Vault を使用すると、すべての機密データを 1 カ所でセキュアかつ便利に保存できます。
Vault は、シークレットの保存、取得、共有、および復旧を行うための IdM のセキュアな場所です。シークレットは、通常は一部のユーザーまたはエンティティーグループのみがアクセスできる、認証情報などの機密データを指します。たとえば、シークレットには以下が含まれます。
- パスワード
- 暗証番号
- SSH 秘密鍵
Vault はパスワードマネージャーと類似しています。Vault を使用する場合、通常、パスワードマネージャーと同様に、ロックを解除するためのプライマリーのパスワードを 1 つ生成し、記憶して、Vault に保存されている情報にアクセスする必要があります。ただし、標準の Vault を指定することも可能です。標準の Vault では、Vault に保存されているシークレットにアクセスするためにパスワードを入力する必要はありません。
IdM の Vault は、認証情報を保存して、IdM 関連以外の外部サービスに対して認証を可能にすることを目的としています。
IdM の Vault の特徴は次のとおりです。
- Vault にアクセスできるのは、Vault の所有者と、Vault メンバーとして Vault の所有者が選択した IdM ユーザーだけです。さらに、IdM 管理者はすべての Vault にアクセスできます。
- ユーザーに Vault を作成する権限がない場合には、IdM 管理者が Vault を作成し、そのユーザーを所有者として設定できます。
- ユーザーおよびサービスは、IdM ドメインに登録されているマシンからであれば、Vault に保存されているシークレットにアクセスできます。
- Vault 1 つに追加できるシークレットは 1 つのみです (例: ファイル 1 つ)。ただし、ファイル自体には、パスワード、キータブ、証明書など複数のシークレットを含めることができます。
Vault は、IdM Web UI ではなく、IdM コマンドライン (CLI) からしか利用できません。