4.5. (A)SCS リソースグループの設定
4.5.1. (A)SCS
インスタンスの仮想 IP アドレスを管理するリソースの作成
アプリケーションサーバーやその他のクライアントが HA クラスターノードで現在実行中の (A)SCS
インスタンスに接続できるようにするには、ある HA クラスターノードから別の HA クラスターノードに (A)SCS
インスタンスが移動する際に、クラスターが、そのインスタンスに割り当てられている仮想 IP アドレスを移動させる必要があります。
このためには、仮想 IP を管理するリソースを、(A)SCS
インスタンスの管理に使用するリソースグループの一部として作成する必要があります。
HA クラスターが実行されているプラットフォームに基づいて、仮想 IP アドレスを管理するための適切なリソースエージェントを使用してください。
物理サーバーまたは仮想マシンでは、IPaddr2
リソースエージェントを使用してリソースを作成できます。
[root@node1]# pcs resource create s4h_vip_ascs20 IPaddr2 ip=192.168.200.101 --group s4h_ASCS20_group
4.5.2. (A)SCS
インスタンスディレクトリーを管理するリソースの作成
SAP では、インスタンスディレクトリーが、インスタンスが実行されている HA クラスターノード上でのみ使用可能であることが必要であるため、インスタンスディレクトリーに使用されるファイルシステムを管理するための HA クラスターリソースをセットアップする必要があります。
インスタンスディレクトリーが NFS
に格納されている場合でも、HA クラスターが、SAP インスタンスを実行すべき HA クラスターノードにのみ NFS
エクスポートをマウントできるように、リソースを作成する必要があります。
4.5.2.1. NFS
(A)SCS
インスタンスのインスタンスディレクトリーが NFS
にある場合は、(A)SCS
インスタンスを管理するリソースグループの一部としてそのインスタンスディレクトリーを管理するリソースを、次のコマンドで作成できます。
[root@node1]# pcs resource create s4h_fs_ascs20 Filesystem device='<NFS_Server>:<s4h_ascs20_nfs_share>' directory=/usr/sap/S4H/ASCS20 fstype=nfs force_unmount=safe --group s4h_ASCS20_group \ op start interval=0 timeout=60 \ op stop interval=0 timeout=120 \ op monitor interval=200 timeout=40
4.5.2.2. HA-LVM
HA-LVM
を使用して (A)SCS
インスタンスのインスタンスディレクトリーを管理する場合は、記事 What is a Highly Available LVM (HA-LVM) configuration and how do I implement it? のガイドラインに従って設定する必要があります。
まず、LVM-activate
クラスターリソースを追加し、次に Filesystem クラスターリソースを追加する必要があります。
[root@node1]# pcs resource create s4h_fs_ascs20_lvm LVM-activate volgrpname='<ascs_volume_group>' vg_access_mode=system_id --group s4h_ASCS20_group [root@node1]# pcs resource create s4h_fs_ascs20 Filesystem device='/dev/mapper/<ascs_logical_volume>' directory=/usr/sap/S4H/ASCS20 fstype=ext4 --group s4h_ASCS20_group
4.5.3. (A)SCS
インスタンスを管理するためのリソースの作成
[root@node1]# pcs resource create s4h_ascs20 SAPInstance InstanceName="S4H_ASCS20_rhascs" START_PROFILE=/sapmnt/S4H/profile/S4H_ASCS20_rhascs AUTOMATIC_RECOVER=false \ meta resource-stickiness=5000 migration-threshold=1 \ --group s4h_ASCS20_group \ op monitor interval=20 on-fail=restart timeout=60 \ op start interval=0 timeout=600 \ op stop interval=0 timeout=600
resource-stickiness=5000
は、ERS
リソースによるフェイルオーバー制約のバランスをとるために使用され、リソースが起動したノードに留まり、クラスター内で制御不能に移行しないようにします。
migration-threshold=1
を指定すると、(A)SCS
インスタンスは、問題が検出されたときに同じ HA クラスターノードで再起動するのではなく、別のノードにフェイルオーバーします。ENSA2
では同じ HA クラスターノードでの (A)SCS
インスタンスの再起動が許可されるため、ENSA2
セットアップでは、このオプションは必要ありません。
リソースグループのすべてのリソースを作成したら、リソーススティッキネスをグループに追加して、可能であれば (A)SCS
インスタンスが HA クラスターノードに留まるようにします。
[root@node1]# pcs resource meta s4h_ASCS20_group resource-stickiness=3000