2.2. ストレージ要件


クラスターが管理する SAP S/4HANA インストールで使用するディレクトリーは、SAP が提供するガイドラインに従ってセットアップする必要があります。詳細は、SAP Directories を参照してください。

2.2.1. ローカルディレクトリー

SAP のガイダンス に従って、/usr/sap//usr/sap/SYS/、および /usr/sap/<SAPSID>/ ディレクトリーを、各ノードでローカルに作成する必要があります。SAP システムのインストール後、/usr/sap/ には、ノードに固有のファイルおよびディレクトリー (/usr/sap/sapservices および /usr/sap/hostctrl など) がいくつか追加されます。一方で、/usr/sap/SYS/ には他のファイルおよびディレクトリーへのシンボリックリンクのみが含まれ、/usr/sap/<SAPSID>/ は、主にインスタンス固有のディレクトリーのマウントポイントとして使用されます。

2.2.2. インスタンス固有のディレクトリー

(A)SCSERS、およびクラスターが管理するその他のアプリケーションサーバーインスタンスの場合は、インスタンスを実行するノードのローカルディレクトリーとしてクラスターがマウントできる別の SAN LUN または NFS エクスポート上に、インスタンス固有のディレクトリーを作成する必要があります。以下に例を示します。

  • (A)SCS: /usr/sap/<SAPSID>/ASCS<Ins#>/
  • ERS: /usr/sap/<SAPSID>/ERS<Ins#>/
  • アプリケーションサーバー: /usr/sap/<SAPSID>/D<Ins#>/

クラスター設定は、インスタンスと仮想 IP の管理に使用するリソースグループの一部として、インスタンスディレクトリーのファイルシステムを管理するリソースを含む必要があります。これにより、クラスターが、インスタンスを実行すべきノードに自動的にファイルシステムをマウントできるようになります。

インスタンス固有のディレクトリーに SAN LUN を使用する場合、HA-LVM を使用して、インスタンスディレクトリーを一度に 1 つのノードにしかマウントできないようにする必要があります。

クラスターがインスタンス自体の起動を試みた時点でファイルシステムが確実にマウントされているように、論理ボリュームを管理するリソース (SAN LUN を使用する場合) およびファイルシステムは必ず、SAP インスタンスの管理に使用するリソースよりも前に設定する必要があります。

NFS を除き、共有ファイルシステム (GFS2 など) を使用してすべてのインスタンス固有ディレクトリーをホストし、それらをすべてのクラスターノードで同時に使用可能にすることは、このドキュメントで説明する解決策ではサポートされません。

特定のディレクトリーに対して NFS エクスポートを使用する際に、NFS ファイルサーバー (Azure NetApp Files (ANF) や Amazon EFS など) の同じディレクトリーツリーにディレクトリーが作成されている場合は、Filesystem リソースを設定するときにオプション force_unmount=safe を使用する必要があります。このオプションを使用すると、クラスターは、エクスポートを作成したディレクトリーツリーで実行中の全プロセスを停止するのではなく、特定の NFS エクスポートで実行中のプロセスのみを停止します (詳細は、During failover of a pacemaker resource, a Filesystem resource kills processes not using the filesystem を参照してください)。

2.2.3. 共有ディレクトリー

次のディレクトリーは、SAP システムの SAP インスタンスを実行するすべてのサーバーで利用可能とする必要があります。

  • /sapmnt/
  • /usr/sap/trans/

/sapmnt/ ディレクトリーは、SAP システムに含まれるサービスを実行している他のすべてのサーバー (たとえば、HANA DB インスタンスをホストしているサーバーや、クラスターが管理していない追加のアプリケーションサーバーをホストしているサーバー) からもアクセスできる必要があります。

同じ SAP システムのサービスをホストしているすべてのサーバー間で /sapmnt/ ディレクトリーと /usr/sap/trans/ ディレクトリーを共有するには、次のいずれかの方法を使用できます。

  • 外部 NFS サーバーの使用 (Support Policies for RHEL High Availability Clusters - Management of Highly Available Filesystem Mounts に記載されているように、同じホストを NFS サーバーとしても、その NFS サーバーから同じ NFS エクスポートをマウント ("ループバックマウント") する NFS クライアントとしても使用することはサポートされません)。
  • GFS2 ファイルシステムの使用 (この場合、すべてのノードに Resilient Storage Add-on サブスクリプションが必要です。ノードは、クラスターによって管理されていない SAP インスタンスを実行しているサーバーを含みます)。

共有ディレクトリーは、/etc/fstab 経由で静的にマウントすることも、クラスターによってマウントを管理することもできます (この場合、適切な制約を設定して、SAP インスタンスを起動する前に、クラスターが /sapmnt/ ディレクトリーをクラスターノードにマウントしていることを確認する必要があります)。

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