第15章 Jakarta Authorization
15.1. Jakarta Authorization について
Jakarta Authorization はコンテナーと承認サービスプロバイダー間のコントラクトを定義する規格であり、これによりコンテナーによって使用されるプロバイダーの実装が可能になります。仕様の詳細は、「Jakarta Authorization 仕様」を参照してください。
JBoss EAP は、security
サブシステムのセキュリティー機能内に Jakarta Authorization のサポートを実装します。
15.2. Jakarta 承認セキュリティーの設定
Jakarta Authorization を設定するには、適切なモジュールでセキュリティードメインを設定し、必須のパラメーターが含まれるよう jboss-web.xml
を編集する必要があります。
Jakarta Authentication のセキュリティードメインへの追加
Jakarta Authorization サポートをセキュリティードメインに追加するには、必要な
フラグセットを使用して、Jakarta Authorization 承認ポリシーをセキュリティードメインの承認スタックに追加します。以下は、Jakarta Authorization がサポートされるセキュリティードメインの例です。ただし、セキュリティードメインは直接 XML を変更せずに、管理コンソールまたは管理 CLI で設定することが推奨されます。
例: Jakarta Authentication のあるセキュリティードメイン
<security-domain name="jacc" cache-type="default"> <authentication> <login-module code="UsersRoles" flag="required"> </login-module> </authentication> <authorization> <policy-module code="JACC" flag="required"/> </authorization> </security-domain>
Jakarta Authentication を使用するように Web アプリケーションを設定
jboss-web.xml
は デプロイメントの WEB-INF/
ディレクトリーに存在し、Web コンテナーに対する追加の JBoss 固有の設定を格納し、上書きします。Jakarta Authorization が有効になっているセキュリティードメインを使用するには、<security-domain>
要素が含まれるようにし、さらに <use-jboss-authorization>
要素を true
に設定する必要があります。以下の XML は、上記の Jakarta Authorization セキュリティードメインを使用するように設定されています。
例: Jakarta Authentication セキュリティードメインの使用
<jboss-web> <security-domain>jacc</security-domain> <use-jboss-authorization>true</use-jboss-authorization> </jboss-web>
Jakarta Authentication を使用するように akarta Enterprise Beans アプリケーションを設定
セキュリティードメインと Jakarta Authorization を使用するよう Jakarta Enterprise Beans を設定する方法は Web アプリケーションとは異なります。Jakarta Enterprise Beans の場合、ejb-jar.xml
記述子にてメソッドまたはメソッドのグループ上でメソッドパーミッションを宣言できます。<ejb-jar>
要素内では、すべての子 <method-permission>
要素に、ロールの Jakarta Authorization についての情報が含まれます。詳細は、設定例を参照してください。EJBMethodPermission
クラスは Jakarta EE API の一部であり、「 Class EJBMethodPermission 」に記載されています。
例: Jakarta Enterprise Beans の Jakarta Authentication 方法のパーミッション
<ejb-jar> <assembly-descriptor> <method-permission> <description>The employee and temp-employee roles can access any method of the EmployeeService bean </description> <role-name>employee</role-name> <role-name>temp-employee</role-name> <method> <ejb-name>EmployeeService</ejb-name> <method-name>*</method-name> </method> </method-permission> </assembly-descriptor> </ejb-jar>
Web アプリケーションと同様にセキュリティードメインを使用して Jakarta Enterprise Beans の認証および承認メカニズムを指定することも可能です。セキュリティードメインは <security>
子要素の jboss-ejb3.xml
記述子に宣言されます。セキュリティードメインの他に、Enterprise Beans が実行されるプリンシパルを変更する <run-as-principal>
を指定することもできます。
例: Jakarta Enterprise Beans でのセキュリティードメイン宣言
<ejb-jar> <assembly-descriptor> <security> <ejb-name>*</ejb-name> <security-domain>myDomain</security-domain> <run-as-principal>myPrincipal</run-as-principal> </security> </assembly-descriptor> </ejb-jar>
elytron
サブシステムを使用した Jakarta Authorization の有効化
レガシーセキュリティーサブシステムでの Jakarta Authentication の無効化
デフォルトでは、アプリケーションサーバーはレガシー security
サブシステムを使用して、ポリシープロバイダーおよびファクトリーの Jakarta Authorization を設定します。デフォルト設定は PicketBox から実装へマップします。
Elytron を使用して Jakarta Authorization 設定、またはアプリケーションサーバーにインストールするその他のポリシーを管理するには、最初にレガシー security
サブシステムで Jakarta Authorization を無効にする必要があります。これには、以下の管理 CLI コマンドを使用できます。
/subsystem=security:write-attribute(name=initialize-jacc, value=false)
この作業を怠ると、次のエラーメッセージがサーバーログに出力されます: MSC000004: Failure during stop of service org.wildfly.security.policy: java.lang.StackOverflowError
Jakarta Authentication ポリシープロバイダーの定義
elytron
サブシステムは、Jakarta Authorization 仕様をベースとした組み込みポリシープロバイダーを提供します。ポリシープロバイダーを作成するには、以下の管理 CLI コマンドを実行します。
/subsystem=elytron/policy=jacc:add(jacc-policy={}) reload
Web デプロイメントへの Jakarta Authentication の有効化
Jakarta Authorization ポリシープロバイダーを定義したら、以下のコマンドを実行して、Web デプロイメントの Jakarta Authorization を有効にできます。
/subsystem=undertow/application-security-domain=other:add(security-domain=ApplicationDomain,enable-jacc=true)
上記のコマンドは、jboss-web.xml
ファイルに指定がない場合に、アプリケーションのデフォルトのセキュリティードメインを定義します。すでに application-security-domain
が定義されている場合、以下のコマンドを実行すると JACC を有効にすることができます。
/subsystem=undertow/application-security-domain=my-security-domain:write-attribute(name=enable-jacc,value=true)
Jakarta Enterprise Beans デプロイメントへの Jakarta Authentication の有効化
Jakarta Authorization ポリシープロバイダーを定義したら、以下のコマンドを実行して、Jakarta Enterprise Beans デプロイメントの Jakarta Authorization を有効にできます。
/subsystem=ejb3/application-security-domain=other:add(security-domain=ApplicationDomain,enable-jacc=true)
上記のコマンドは、Jakarta Enterprise Beans のデフォルトのセキュリティードメインを定義します。application-security-domain
がすでに定義されている場合、以下のようにコマンドを実行して Jakarta Authorization を有効にする必要があります。
/subsystem=ejb3/application-security-domain=my-security-domain:write-attribute(name=enable-jacc,value=true)
カスタム Elytron ポリシープロバイダーの作成
パーミッションをチェックするために一部の外部承認サービスと統合したい場合など、カスタム java.security.Policy
が必要なときにカスタムのポリシープロバイダーが使用されます。カスタムポリシープロバイダーを作成するには、java.security.Policy
を実装し、実装でカスタムモジュールを作成およびプラグし、elytron
サブシステムのモジュールから実装を使用します。
/subsystem=elytron/policy=policy-provider-a:add(custom-policy={class-name=MyPolicyProviderA, module=x.y.z})
詳細は「ポリシープロバイダープロパティー」を参照してください。
ほとんどの場合で、Jakarta Authorization ポリシープロバイダーを Jakarta EE 対応のアプリケーションサーバーの一部として想定どおりに使用できます。