Hibernate Core リファレンスガイド
Red Hat JBoss Web Server 1.0
for Use with Red Hat JBoss Web Server
エディッション 1.0.2
概要
The Hibernate Core Reference Guide for Red Hat JBoss Web Server.
第1章 概要
オブジェクト指向のソフトウェアやリレーショナルデータベースの使用は、今日のエンタープライズ環境では非常に煩雑で時間のかかる作業となります。Hibernate は Java 環境用のオブジェクト/リレーショナルマッピングツールです。オブジェクト/リレーショナルマッピング (ORM) とはデータ表現をオブジェクトモデルから SQL ベースのスキーマによるリレーショナルデータモデルにマッピングする技術のことを指します。
Hibernate は Java クラスからデータベーステーブルへのマッピング (および Java データタイプから SQL データタイプへのマッピング) を行うだけでなく、 データのクエリや検索機能も提供します。 SQL や JDBC での手作業によるデータ処理時間を短縮できるため、 開発に要する時間を大幅に削減することが可能になります。
Hibernate の目標は、一般的なデータ永続性に関する開発者のプログラム作業を95 % 軽減することです。 Hibernate データベース内でビジネスロジックを実現するストアドプロシージャのみを使用するデータ処理中心のアプリケーションに対しては最適ではないかもしれませんが、 Java ベースの中間層でのビジネスロジックやオブジェクト指向のドメインモデルを使用する場合に最も実用的です。 Hibernate は開発者がベンダー固有の SQL コードを除去したりカプセル化できるようにするため、 表形式からオブジェクトのグラフへ結果セットを変換する一般的な作業を行う際に便利です。
Hibernate 及びオブジェクト/リレーショナルマッピング、 あるいは Java が不慣れな方は、次の手順を行ってください。
- ステップバイステップのチュートリアル 2章チュートリアル をお読みください。 チュートリアルのソースコードはディストリビューションの
doc/reference/tutorial/
ディレクトリにあります。 - Hibernate が使用できる環境について理解するため、3章アーキテクチャをお読みください。
- Hibernate ディストリビューション内の
eg/
ディレクトリを確認してください。 簡単なスタンドアロンアプリケーションが含まれています。 ご使用の JDBC ドライバをlib/
ディレクトリにコピーしてから、 ご使用のデータベースに対して適切な値を指定するためetc/hibernate.properties
を編集します。 コマンドプロンプトでディストリビューションディレクトリ内よりant eg
(Ant を使用) と入力します。 Windows の場合はbuild eg
と入力します。 - 本参考文書は主な情報源としてご利用ください。 アプリケーションデザインに関する詳細や、 ステップバイステップのチュートリアルが必要な場合は、 Java Persistence with Hibernate (http://www.manning.com/bauer2) の参照をお薦めします。 また、 http://caveatemptor.hibernate.org より Java Persistence with Hibernate のサンプルアプリケーションをダウンロードすることができます。
- よくある質問とその答え (FAQ) は Hibernate ウェブサイトでご覧ください。
- サードパーティのデモ、 サンプル、 チュートリアルなどは Hibernate のウェブサイト上にリンクされています。
- Hibernate ウェブサイト上の Community Area はデザインのパターンやさまざまな統合ソリューション (Tomcat、 JBoss AS、 Struts、 EJB など)を検索する上で興味深いリソースになります。
質問がある場合は、 Hibernate ウェブサイト上にリンクされたユーザーフォーラムをご利用ください。 また、 バグ報告や機能のリクエストに関して JIRA 問題追跡システムを提供しています。 Hibernate, の開発に興味がある方は、 開発者用メーリングリストにご参加ください。 本ドキュメントの翻訳に興味がある方は、 開発者用メーリングリストよりご連絡ください。
Hibernate に関する商業用開発サポート、 実稼働サポート、 トレーニングについては JBoss Inc よりご利用頂けます (http://www.hibernate.org/SupportTraining/ を参照)。 Hibernate はプロフェッショナルなオープンソースプロジェクトであり、 JBoss Enterprise Middleware System (JEMS) スイート製品の重要なコンポーネントになります。
第2章 チュートリアル
本章は、インメモリデータベースを使用した簡単なアプリケーションから始まり、 Hibernate を段階的に説明する新規ユーザー向けの章です。 本チュートリアルは Michael Gloegl 氏が開発したチュートリアルよりも前のものを基にしています。 すべてのコードはプロジェクトソースの
tutorials/web
ディレクトリに格納されています。
重要
本チュートリアルは、 Java と SQL の知識があることを前提としています。 Java や SQL の知識に乏しい場合は、 これらの技術に関する知識を深めてから Hibernate について学ぶようにしてください。
注記
ディストリビューションの
tutorial/eg
プロジェクトソースディレクトリには他のサンプルアプリケーションも格納されています。
2.1. パート1 - 初めての Hibernate アプリケーション
この例では、参加したいイベントやイベントのホストに関する情報を保存するための小さなデータベースアプリケーションを設定します。
注記
どのデータベースをご利用いただいても構いませんが、ここでは HSQLDB (インメモリの Java データベース) を使用し、特定のデータベースサーバーのインストールや設定に関する説明を省略します。
2.1.1. 設定
最初に、 開発環境を設定する必要があります。 ここでは、 Maven など、 多くのビルドツールが推奨する「標準レイアウト」を使用します。 Maven にこの レイアウト を詳細に説明するリソースがあります。 このチュートリアルはWebアプリケーションであるため、
src/main/java
ディレクトリや src/main/resources
ディレクトリ、 src/main/webapp
ディレクトリを使用します。
本チュートリアルではMavenを使っており、遷移従属性の管理機能や多くのIDE機能を活用し、Maven記述子を元にプロジェクトを自動設定しています。
<project xmlns="http://maven.apache.org/POM/4.0.0" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xsi:schemaLocation="http://maven.apache.org/POM/4.0.0 http:// maven.apache.org/xsd/maven-4.0.0.xsd"> <modelVersion>4.0.0</modelVersion> <groupId>org.hibernate.tutorials</groupId> <artifactId>hibernate-tutorial</artifactId> <version>1.0.0-SNAPSHOT</version> <packaging>war</packaging> <name>First Hibernate Tutorial</name> <build> <!--we dont want the version to be part of the generated war file name--> <finalName>${artifactId}</finalName> <!--we dont want to use the jars maven provided, we want to use JBoss' ones--> <plugins> <plugin> <artifactId>maven-war-plugin</artifactId> <configuration> <packagingExcludes>WEB-INF/lib/*.jar</packagingExcludes> </configuration> </plugin> </plugins> </build> <dependencies> <dependency> <groupId>org.hibernate</groupId> <artifactId>hibernate-core</artifactId> <version>3.3.2.GA_CP03</version> <!-- please check the release notes for the correct version you're using --> </dependency> <!-- Because this is a web app, we also have a dependency on the servlet api. --> <dependency> <groupId>javax.servlet</groupId> <artifactId>servlet-api</artifactId> <version>2.5</version> </dependency> <!-- Hibernate uses slf4j for logging, for our purposes here use the simple backend --> <dependency> <groupId>org.slf4j</groupId> <artifactId>slf4j-simple</artifactId> <version>1.5.8</version> </dependency> <!-- Hibernate gives you a choice of bytecode providers between cglib and javassist --> <dependency> <groupId>javassist</groupId> <artifactId>javassist</artifactId> <version>3.12.0.GA</version> </dependency> </dependencies> </project>
注記
Maven の使用は必須ではありません。 Ant など別の技術を使用して本チュートリアルをビルドする場合でもレイアウトは同じになります。 手作業で必要な従属性すべてに対応する必要があることのみが異なります。 Ivy を使用して遷移的従属性の管理を提供する場合でも、 下記の従属性を使用します。 下記の従属性を使用しない場合、 明示的従属性と遷移的従属性をすべて見つけ、 プロジェクトのクラスパスに追加する必要があります。 Hibernate ディストリビューションバンドルから作業する場合、
hibernate3.jar
、 lib/required
ディレクトリの全アーチファクト、 lib/bytecode/cglib
ディレクトリまたは lib/bytecode/javassist
ディレクトリの全ファイルが対象となります。 また、 servlet-api jar と slf4j ロギングバックエンドの 1 つが必要となります。
このファイルを
pom.xml
としてプロジェクトルートディレクトリに保存します。
2.1.2. 最初のクラス
次にデータベースに格納するイベントを表すクラスを作成します。 これは、 一部のプロパティを持つ簡単な JavaBean クラスになります。
package org.hibernate.tutorial.domain; import java.util.Date; public class Event { private Long id; private String title; private Date date; public Event() {} public Long getId() { return id; } private void setId(Long id) { this.id = id; } public Date getDate() { return date; } public void setDate(Date date) { this.date = date; } public String getTitle() { return title; } public void setTitle(String title) { this.title = title; } }
このクラスは、 プロパティゲッターメソッドとセッタメソッドに対する標準の Java 命名規則やフィールドに対する private の可視性を使用します。 これが推奨設計となりますが、 必須ではありません。 Hibernate は直接フィールドにアクセスすることもでき、 アクセッサメソッドの利点は再ファクタリングの堅牢性になります。
id
プロパティは、 特定イベントに対して固有の識別子の値を保持します。 Hibernate の機能を全て使用した場合、 すべての永続エントリクラス (それほど重要ではない依存クラスもあります) にこのような識別子プロパティが必要となります。 ほとんどのアプリケーション (特に Web アプリケーション) が識別子でオブジェクトを識別する必要があるため、 制限ではなく機能であると考えた方がよいでしょう。 しかし、 通常オブジェクトのアイデンティティは操作しないため、 セッタメソッドは private とするべきです。 オブジェクトが保存される時に Hibernate のみが識別子を割り当てます。 Hibernate は public、 private、 protected のアクセッサメソッドにアクセスでき、 public、 private、 protected のフィールドに直接アクセスできます。 選択は任意であるため、 アプリケーション設計にあわせて選択することができます。
引数のないコンストラクタはすべての永続クラスに必須です。Hibernate は Java Reflection を使用してオブジェクトを作成しなければなりません。コンストラクタを private にすることは可能ですが、ランタイム時にプロキシを生成し、バイトコードのインスツルメントなしで効率的にデータを読み出しするため、パッケージや public の可視性は必要となります。
このファイルを
src/main/java/org/hibernate/tutorial/domain
ディレクトリに保存します。
2.1.3. マッピングファイル
Hibernate は、どのように永続クラスのオブジェクトをロードし格納すればよいかを知る必要があります。ここで Hibernate マッピングファイルが登場します。マッピングファイルは、データベース内のどのテーブルにアクセスしなければならないか、そのテーブルのどのカラムを使うべきかを、 Hibernate に教えます。
マッピングファイルの基本的な構造はこのようになります:
<?xml version="1.0"?> <!DOCTYPE hibernate-mapping PUBLIC "-//Hibernate/Hibernate Mapping DTD 3.0//EN" "http://hibernate.sourceforge.net/hibernate-mapping-3.0.dtd"> <hibernate-mapping package="org.hibernate.tutorial.domain"> [...] </hibernate-mapping>
Hibernate DTD は非常に高機能です。 エディターや IDE の XML マッピング要素や属性を自動補完するために使用することができます。 要素や属性の全体を確認し、 デフォルトや一部コメントを閲覧するには、 テキストエディタで DTD ファイルを開くのが最も簡単な方法です。 Hibernate は Web より DTD ファイルをロードしませんが、 最初にアプリケーションのクラスパスより検索します。 DTD ファイルは
hibernate-core.jar
に含まれています (ディストリビューションバンドルを使用する場合は hibernate3.jar
にも含まれています)。
重要
これ以降の例ではコードを短くするために DTD 宣言を省略します。 当然ですがこれはオプションではありません。
2つの
hibernate-mapping
タグの間に class
要素があるようにします。 すべての永続エンティティクラスは SQL データベース内のテーブルへのマッピングを必要とします (繰り返しになりますが、 ファーストクラスエンティティではない依存クラスが後で存在する可能性があります)。
<hibernate-mapping package="org.hibernate.tutorial.domain"> <class name="Event" table="EVENTS"> </class> </hibernate-mapping>
これまで、
Event
クラスのオブジェクトを EVENTS
テーブルへ永続し、 ロードする方法を Hibernate に指示しました。これにより、各インスタンスはテーブルの行によって表されるようになりました。次に、固有の識別子プロパティをテーブルの主キーへマッピングします。この識別子の処理を考慮したくないため、代理主キー列に対する Hibernate の識別子生成戦略を設定します。
<hibernate-mapping package="org.hibernate.tutorial.domain"> <class name="Event" table="EVENTS"> <id name="id" column="EVENT_ID"> <generator class="native"/> </id> </class> </hibernate-mapping>
id
要素は識別子プロパティの宣言です。 name="id"
マッピング属性が JavaBean プロパティの名前を宣言し、 プロパティのアクセスに getId()
メソッドと setId()
メソッドを使用するよう Hibernate に指示します。 column 属性は、 主キーの値を保持する EVENTS
テーブルの列を Hibernate に伝えます。
ネストされた
generator
要素は識別子生成戦略 (識別子の値を生成する方法) を指定します。この例では、 設定されたデータベース方言に応じて移植性のレベルを提供する native
を選択しています。 Hibernate はデータベースによって生成され、グローバルに固有なアプリケーションによって割り当てられる識別子をサポートしています。識別子の値の生成は Hibernate の拡張ポイントの 1 つでもあり、 独自の戦略にプラグインすることができます。
注記
移植性という観点から考慮した場合、
native
は最良の戦略とは見なされなくなりました。 詳細は 「識別子の生成」 を参照してください。
最後に、 残りのエンティティクラスプロパティに関して Hibernate に伝える必要があります。 デフォルトでは、 永続とされるクラスのプロパティはありません。
<hibernate-mapping package="org.hibernate.tutorial.domain"> <class name="Event" table="EVENTS"> <id name="id" column="EVENT_ID"> <generator class="native"/> </id> <property name="date" type="timestamp" column="EVENT_DATE"/> <property name="title"/> </class> </hibernate-mapping>
id
要素の場合と同様に、 property
要素の name
属性が使用するゲッターメソッドとセッタメソッドを Hibernate に指示します。この例では、 Hibernate は、 getDate()
、 setDate()
、 getTitle()
、 setTitle()
のメソッドを検索します。
注記
date
プロパティのマッピングには column
属性があり、 title
プロパティにないのはなぜでしょうか。 column
属性がない場合、 Hibernate はデフォルトでプロパティ名を列名として使用します。 これは title
に対しては問題ありませんが、 date
はほとんどのデータベースでキーワードとして確保されています。 そのため、 違う名前にマップする必要があるのです。
title
マッピングにも type
属性がありません。 マッピングファイルで宣言して使用する型は Java のデータ型ではなく、 SQL のデータベース型でもありません。 これらの型は Hibernateマッピング型 と呼ばれ、 Java から SQ Lのデータ型または SQ Lから Java のデータ型に変換するコンバータになります。 type
属性がマッピングに存在しない場合は、 Hibernate が正しい変換とデータ型を判断します。 場合によっては、 Java クラス上の Reflection を使用した自動検出のデフォルトが必要なデフォルトでないことがあり、 date
属性がこれに該当します。 java.util.Date
のプロパティが SQL の date
、 timestamp
、 time
列のいずれかへマップするべきであることを Hibernate は認識しません。 完全な日付と時間の情報は、 このプロパティを timestamp
コンバータでマッピングして保持されます。
注記
マッピングファイルが処理される時に Hibernate は Reflection を使用してこのマッピング型を判断します。 これには時間とリソースを要するため、 起動時のパフォーマンスが重要な場合は、 使用する型を明示的に定義した方がよいでしょう。
このマッピングファイルを
src/main/resources/org/hibernate/tutorial/domain/Event.hbm.xml
として保存します。
2.1.4. Hibernate の設定
この時点で永続クラスとそのマッピングファイルが設定されたはずです。 次に Hibernate を設定します。 最初に HSQLDB が「サーバーモード」で実行するよう設定します。
注記
これは、 実行の合間にデータを維持するために行います。
Maven の実行プラグインを使用して
mvn exec:java -Dexec.mainClass="org.hsqldb.Server" -Dexec.args="-database.0 file:target/data/tutorial"
を実行し、 HSQLDB サーバーを起動します。 これにより、 サーバーの起動とアプリケーションが後で接続する TCP/IP ソケットへのバインドを確認できます。 本チュートリアルの実行中に新たにデータベースを使用したい場合は、 HSQLDB をシャットダウンしてから target/data
ディレクトリのファイルをすべて削除し、 HSQLDB を再度起動します。
アプリケーションの代わりに Hibernate がデータベースへ接続するため、 接続する方法を認識する必要があります。 本チュートリアルでは、
javax.sql.DataSource
ではなくスタンドアロンの接続プールを使用します。 Hibernate は c3p0 と proxool の 2 つのサードバーティーによるオープンソース JDBC 接続プールをサポートしていますが、 本チュートリアルでは Hibernate にビルトインされている接続プールを使用します。
警告
Hibernate にビルトインされている接続プールは実稼働での使用には向いていません。
Hibernate の設定では、 単純な
hibernate.properties
ファイル、 高機能な hibernate.cfg.xml
ファイル、 完全にプログラムを用いた設定を使用することができます。 XML 設定ファイルによる設定が最も一般的です。
<?xml version='1.0' encoding='utf-8'?> <!DOCTYPE hibernate-configuration PUBLIC "-//Hibernate/Hibernate Configuration DTD 3.0//EN" "http://hibernate.sourceforge.net/hibernate-configuration-3.0.dtd"> <hibernate-configuration> <session-factory> <!-- Database connection settings --> <property name="connection.driver_class">org.hsqldb.jdbcDriver</property> <property name="connection.url">jdbc:hsqldb:hsql://localhost</property> <property name="connection.username">sa</property> <property name="connection.password"></property> <!-- JDBC connection pool (use the built-in) --> <property name="connection.pool_size">1</property> <!-- SQL dialect --> <property name="dialect">org.hibernate.dialect.HSQLDialect</property> <!-- Enable Hibernate's automatic session context management --> <property name="current_session_context_class">thread</property> <!-- Disable the second-level cache --> <property name="cache.provider_class">org.hibernate.cache.NoCacheProvider</property> <!-- Echo all executed SQL to stdout --> <property name="show_sql">true</property> <!-- Drop and re-create the database schema on startup --> <property name="hbm2ddl.auto">update</property> <mapping resource="org/hibernate/tutorial/domain/Event.hbm.xml"/> </session-factory> </hibernate-configuration>
注記
この設定ファイルは異なる DTD を指定することに注意してください。
Hibernate の
SessionFactory
を設定します。 SessionFactory は特定のデータベースに対応するグローバルファクトリです。 複数のデータベースがある場合、 複数の設定ファイルに複数の <session-factory>
設定を使用するのが最も簡単です。
最初の 4 つの
property
要素に JDBC 接続に必要な設定が含まれています。方言の property
要素は Hibernate が生成する SQL のバリアントを指定します。
注記
ほとんどの場合で Hibernate は使用する方言を正しく決定することができます。 詳細は 「方言の解決」 を参照してください。
永続コンテキストに対する Hibernate の自動管理は、 特にこのコンテキストで有用です。
hbm2ddl.auto
オプションは、 データベーススキーマを直接データベースに自動生成する機能を有効にします。 設定オプションを削除するか、 SchemaExport
Ant タスクでファイルをリダイレクトしてデータベーススキーマの自動生成を無効にすることもできます。 最後に、 永続クラスのマッピングファイルを設定に追加します。
このファイルを
hibernate.cfg.xml
として src/main/resources
ディレクトリに保存します。
2.1.5. Maven によるビルド
Maven でチュートリアルをビルドします。 これには Maven をインストールする必要があります。 Maven は Maven ダウンロードページ よりダウンロードできます。 Maven はこれまでに作成した
/pom.xml
ファイルを読み取り、 基本的なプロジェクトタスクの一部を実行する方法を認識します。 最初に compile
ゴールを実行し、 すべてをコンパイルできるようにします。
[hibernateTutorial]$ mvn compile [INFO] Scanning for projects... [INFO] ------------------------------------------------------------------------ [INFO] Building First Hibernate Tutorial [INFO] task-segment: [compile] [INFO] ------------------------------------------------------------------------ [INFO] [resources:resources] [INFO] Using default encoding to copy filtered resources. [INFO] [compiler:compile] [INFO] Compiling 1 source file to /home/steve/projects/sandbox/hibernateTutorial/target/classes [INFO] ------------------------------------------------------------------------ [INFO] BUILD SUCCESSFUL [INFO] ------------------------------------------------------------------------ [INFO] Total time: 2 seconds [INFO] Finished at: Tue Jun 09 12:25:25 CDT 2009 [INFO] Final Memory: 5M/547M [INFO] ------------------------------------------------------------------------
2.1.6. スタートアップとヘルパ
Event
オブジェクトの一部をロードしたり格納する準備ができましたが、 最初にインフラストラクチャコードで設定を完了する必要があります。 グローバルな org.hibernate.SessionFactory
オブジェクトをビルドし、 アプリケーションコードで簡単にアクセスできるよう任意の場所に保存して Hibernate を起動する必要があります。 org.hibernate.Session
インスタンスの取得には org.hibernate.SessionFactory
を使用します。 org.hibernate.Session
は単一スレッドの作業単位 (unit of work) を表します。 org.hibernate.SessionFactory
は 1 度インスタンス化されるスレッドセーフのグローバルオブジェクトです。
起動やもっと簡単に
SessionFactory
へのアクセスできるように処理を行うHibernateUtil
ヘルパークラスを作成します。
package org.hibernate.tutorial.util; import org.hibernate.SessionFactory; import org.hibernate.cfg.Configuration; public class HibernateUtil { private static final SessionFactory sessionFactory = buildSessionFactory(); private static SessionFactory buildSessionFactory() { try { // Create the SessionFactory from hibernate.cfg.xml return new Configuration().configure().buildSessionFactory(); } catch (Throwable ex) { // Make sure you log the exception, as it might be swallowed System.err.println("Initial SessionFactory creation failed." + ex); throw new ExceptionInInitializerError(ex); } } public static SessionFactory getSessionFactory() { return sessionFactory; } }
このコードを
src/main/java/org/hibernate/tutorial/util/HibernateUtil.java
として保存します。
このクラスは、 静的初期化子にグローバルな
org.hibernate.SessionFactory
参照を作成するだけでなく、 静的なシングルトンを使用することを表に見せません。アプリケーションサーバーや他の場所の JNDI より org.hibernate.SessionFactory
参照をルックアップするのと同様です。
設定で
org.hibernate.SessionFactory
に名前を付ける場合、 Hibernate はビルドされた名前で JNDI へバインドしようとします。このような場合、 JMX デプロイメントを使用し、 JMX 対応のコンテナによって HibernateService
を JNDI へインスタンス化しバインドする方法を使用した方がよいでしょう。 このような高度なオプションについては後ほど説明します。
ここでロギングシステムを設定する必要があります。 Hibernate は commons logging を使用し、 Log4j と JDK 1.4 ロギングの 2 つを選択できます。 開発者の多くは Log4j を選択します。 Log4j の場合、
etc/
ディレクトリにある Hibernate ディストリビューションの log4j.properties
を hibernate.cfg.xml
の隣の src
ディレクトリへコピーします。 設定例よりも詳細な出力を希望する場合は、 設定を変更することができます。 デフォルトでは Hibernate 起動メッセージは標準出力 (stdout) で表示されます。
これでチュートリアルのインフラストラクチャが完成したため、 Hibernate を使って実際の作業を行う準備が整いました。
2.1.7. オブジェクトのロードと格納
Hibernate を使って実際の作業を行う準備ができました。 最初に
main()
メソッドを持つ EventManager
クラスを記述します。
package org.hibernate.tutorial; import org.hibernate.Session; import java.util.*; import org.hibernate.tutorial.domain.Event; import org.hibernate.tutorial.util.HibernateUtil; public class EventManager { public static void main(String[] args) { EventManager mgr = new EventManager(); if (args[0].equals("store")) { mgr.createAndStoreEvent("My Event", new Date()); } HibernateUtil.getSessionFactory().close(); } private void createAndStoreEvent(String title, Date theDate) { Session session = HibernateUtil.getSessionFactory().getCurrentSession(); session.beginTransaction(); Event theEvent = new Event(); theEvent.setTitle(title); theEvent.setDate(theDate); session.save(theEvent); session.getTransaction().commit(); } }
createAndStoreEvent()
に新しい Event
オブジェクトが作成され、 Hibernate に渡されました。 この時点で Hibernate は SQL に対処し、 データベース上で INSERT
を実行します。
org.hibernate.Session は単一の作業単位 (実行される単一のアトミックな作業) を表します。 ここでは、 分かりやすくするため Hibernate の org.hibernate.Session とデータベーストランザクション間の粒度を一対一とします。 実際に基礎となるトランザクションシステムからコードを保護するため、 Hibernate の
org.hibernate.Transaction
API を使用します。この例では JDBC ベースのトランザクションセマンティックを使用していますが、 JTA で実行することも可能です。
sessionFactory.getCurrentSession()
は何を実行するのでしょうか。 org.hibernate.SessionFactory
を取得した後、 どこでも何回でも呼び出すことができます。 getCurrentSession()
メソッドは常に「現在」の作業単位を返します。 このメカニズムの設定オプションを src/main/resources/hibernate.cfg.xml
の「スレッド」に切り替えたことを思い出してください。 この設定により、 現在の作業単位のコンテキストは、 アプリケーションを実行する現在の Java スレッドへバインドされます。
重要
Hibernate は現セッションの追跡に 3 つのメソッドを提供します。「スレッド」ベースのメソッドは実稼働の使用には向いておらず、 プロトタイプやチュートリアルのみに対して有用です。現セッションの追跡については後ほど詳しく説明します。
現在のスレッドに対して
getCurrentSession()
へ最初の呼び出しが実行された時に org.hibernate.Session が開始されます。 その後、 Hibernate によって現在のスレッドへバインドされます。 コミットやロールバックによってトランザクションが終了すると、 Hibernate はスレッドより自動的に org.hibernate.Session をアンバインドして閉じます。 getCurrentSession()
を再度呼び出すと、 新しい org.hibernate.Session を取得し、 新しい作業単位 (unit of work) を開始することができます。
作業単位の範囲に関し、 Hibernate の org.hibernate.Session を使用して 1 つまたは複数のデータベース操作を実行するべきでしょうか。 前述の例では 1 つのorg.hibernate.Session を 1 つの操作に使用していますが、 これは単なる偶然です。 この例は単純であるため、 他の方法で表すことができないからです。 Hibernate の org.hibernate.Session の範囲は柔軟ですが、 データベース操作ごとに新しい Hibernate の org.hibernate.Session を使用しないようアプリケーションを設計するようにしてください。 次の例では 「操作毎のセッション」 が使用されていますが、 これはアンチパターンとして考慮するようにしてください。 本チュートリアルで後ほど使用する実際の Web アプリケーションを確認すると理解できるはずです。
トランザクションの処理と境界の詳細については、 12章トランザクションと並行性 を参照してください。 前の例ではエラー処理とロールバックを割愛しています。
mvn exec:java -Dexec.mainClass="org.hibernate.tutorial.EventManager" -Dexec.args="store"
を実行し、 Maven 実行プラグインを使用して必要なクラスパスの設定を持つクラスを呼び出します。
注記
最初に
mvn compile
を実行する必要がある場合があります。
これで Hibernate が起動するはずです。また、設定によっては大量のログ出力が表示されることがあります。最後の方に、以下の行が表示されます。
[java] Hibernate: insert into EVENTS (EVENT_DATE, title, EVENT_ID) values (?, ?, ?)
これは Hibernate によって実行された
INSERT
になります。
格納されたイベントを一覧表示するには、 main メソッドにオプションを追加します。
if (args[0].equals("store")) { mgr.createAndStoreEvent("My Event", new Date()); } else if (args[0].equals("list")) { List events = mgr.listEvents(); for (int i = 0; i < events.size(); i++) { Event theEvent = (Event) events.get(i); System.out.println( "Event: " + theEvent.getTitle() + " Time: " + theEvent.getDate() ); } }
新しい
listEvents()
も追加されます。
private List listEvents() { Session session = HibernateUtil.getSessionFactory().getCurrentSession(); session.beginTransaction(); List result = session.createQuery("from Event").list(); session.getTransaction().commit(); return result; }
ここでは、 HQL (Hibernate Query Language) クエリを使用して、 データベースより既存の
Event
オブジェクトをすべてロードします。 Hibernate は適切な SQL を生成し、 データベースへ送信して Event
オブジェクトにデータを追加します。 HQL でさらに複雑なクエリを作成することができます。 詳細は 15章HQL: Hibernate クエリ言語 を参照してください。
これで、
mvn exec:java -Dexec.mainClass="org.hibernate.tutorial.EventManager" -Dexec.args="list"
を実行し、 Maven 実行プラグインを使用して新しい機能を呼び出せるようになりました。
2.2. パート2 - 関連のマッピング
これまで、 単一の永続エンティティクラスを分離されたテーブルにマッピングしました。 これにクラスの関連を追加してみましょう。 アプリケーションに人物を追加し、 人物が参加するイベントのリストを保存します。
2.2.1. Person クラスのマッピング
Person
クラスの最初の部分は次のようになります。
package org.hibernate.tutorial.domain; public class Person { private Long id; private int age; private String firstname; private String lastname; public Person() {} // Accessor methods for all properties, private setter for 'id' }
これを
src/main/java/org/hibernate/tutorial/domain/Person.java
というファイルに保存します。
次に、
src/main/resources/org/hibernate/tutorial/domain/Person.hbm.xml
という新しいマッピングファイルを作成します。
<hibernate-mapping package="org.hibernate.tutorial.domain"> <class name="Person" table="PERSON"> <id name="id" column="PERSON_ID"> <generator class="native"/> </id> <property name="age"/> <property name="firstname"/> <property name="lastname"/> </class> </hibernate-mapping>
最後に、
Event.hbm.xml
の既存のマッピングのすぐ後に、Hibernateの設定に新たなマッピングを追加します。
<mapping resource="events/Event.hbm.xml"/> <mapping resource="events/Person.hbm.xml"/>
これら 2 つのエンティティ間の関連を作成します。 人物はイベントに参加でき、 イベントには参加者がいます。 ここで対応しなければならない設計上の問題は、 指向性、 多重度、 コレクション動作です。
2.2.2. 単方向 Set ベース関連
イベントのコレクションを
Person
クラスに追加すると、 Person#getEvents
を呼び出して明示的なクエリを実行しなくても特定の人物に対するイベントを簡単にナビゲートすることができます。 複数値の関連は、 Java コレクションフレームワークのコントラクトの 1 つによって示されます。 この例ではコレクションに重複する要素がなく、 順序付けは関係ないため、 java.util.Set
を選択しています。
public class Person { private Set events = new HashSet(); public Set getEvents() { return events; } public void setEvents(Set events) { this.events = events; } }
この関連をマッピングする前に、 逆側を考慮してみましょう。 両方向よりナビゲート可能にしたい場合は、 このまま単方向にするか
Event
上に別のコレクションを作成することができます。 しかし、 機能的な観点から見ると、 これは必要ではありません。 明示的なクエリを実行して常に特定イベントの参加者を読み取ることができます。 これは設計者が自由に選択することができますが、 関連の多重度については明確です。 両側に 「多く」 の値があることを 「多対多」 関連と呼びます。 そのため、 Hibernate の多対多マッピングを使用します。
<class name="Person" table="PERSON"> <id name="id" column="PERSON_ID"> <generator class="native"/> </id> <property name="age"/> <property name="firstname"/> <property name="lastname"/> <set name="events" table="PERSON_EVENT"> <key column="PERSON_ID"/> <many-to-many column="EVENT_ID" class="Event"/> </set> </class>
Hibernate は多様なコレクションマッピングをサポートしていますが、 最も一般的なのが
set
です。 多対多関連 (または n:m エンティティリレーションシップ) には、 関連テーブルが必要です。 このテーブルの各行は、 人物とイベント間のリンクを表します。 テーブル名は set
要素の table
属性を使用して宣言されます。 関連の識別子列名は、 人物側では key
要素、 イベント側では many-to-many
の column
属性で定義されます。 Hibernate にコレクションにおけるオブジェクトのクラス (参照コレクションの逆側のクラス) を伝える必要もあります。
このマッピングのデータベーススキーマは以下のようになります。
_____________ __________________ | | | | _____________ | EVENTS | | PERSON_EVENT | | | |_____________| |__________________| | PERSON | | | | | |_____________| | *EVENT_ID | <--> | *EVENT_ID | | | | EVENT_DATE | | *PERSON_ID | <--> | *PERSON_ID | | TITLE | |__________________| | AGE | |_____________| | FIRSTNAME | | LASTNAME | |_____________|
2.2.3. 関連の利用
EventManager
の新しいメソッドで人物とイベントを結び付けましょう。
private void addPersonToEvent(Long personId, Long eventId) { Session session = HibernateUtil.getSessionFactory().getCurrentSession(); session.beginTransaction(); Person aPerson = (Person) session.load(Person.class, personId); Event anEvent = (Event) session.load(Event.class, eventId); aPerson.getEvents().add(anEvent); session.getTransaction().commit(); }
Person
と Event
をロードした後、 普通のコレクションメソッドを使ってコレクションを変更します。 update()
や save()
への明示的な呼び出しはありません。 Hibernate は、 コレクションが変更されたことや更新が必要なことを自動的に検出します。 これは自動ダーティチェック と呼ばれます。 オブジェクトの名前や日付プロパティを変更すると、 このチェックを試すことができます。 「永続」ステート (特定の Hibernate の org.hibernate.Session
にバインドされている状態) である限り、 Hibernate は変更を監視し、 ライトビハインドで SQL を実行します。 通常、 作業単位の最後でのみ行われるデータベースでメモリステートを同期化するプロセスは「フラッシング」 と呼ばれます。 このコードでは、 作業単位はデータベーストランザクションのコミットまたはロールバックで終了します。
異なる作業単位で人物とイベントをロードすることもできます。 また、 永続ステートでない場合に
org.hibernate.Session
外部のオブジェクトを変更することも可能です (以前永続状態であった場合、 ステートは「分離 (detached)」と呼ばれます)。 分離されている時でもコレクションを変更することが可能です。
private void addPersonToEvent(Long personId, Long eventId) { Session session = HibernateUtil.getSessionFactory().getCurrentSession(); session.beginTransaction(); Person aPerson = (Person) session .createQuery("select p from Person p left join fetch p.events where p.id = :pid") .setParameter("pid", personId) .uniqueResult(); // Eager fetch the collection so we can use it detached Event anEvent = (Event) session.load(Event.class, eventId); session.getTransaction().commit(); // End of first unit of work aPerson.getEvents().add(anEvent); // aPerson (and its collection) is detached // Begin second unit of work Session session2 = HibernateUtil.getSessionFactory().getCurrentSession(); session2.beginTransaction(); session2.update(aPerson); // Reattachment of aPerson session2.getTransaction().commit(); }
update
を呼び出すと、 新しい作業単位へバインドして分離オブジェクトを再び永続化します。 そのため分離状態の時に行われた変更をデータベースに保存することができます。 エンティティオブジェクトのコレクションに対して行われた変更 (追加や削除) はすべて保存の対象となります。
この例では無意味ですが、 これは独自のアプリケーションに取り入れることができる重要な概念です。 最後に
EventManager
の main メソッドへ新しいアクションを追加し、 コマンドラインから呼び出してください。 人物とイベントの識別子が必要な場合は save()
メソッドが識別子を返します (識別子を返すには以前のメソッドの一部を変更しなければならない場合があります)。
else if (args[0].equals("addpersontoevent")) { Long eventId = mgr.createAndStoreEvent("My Event", new Date()); Long personId = mgr.createAndStorePerson("Foo", "Bar"); mgr.addPersonToEvent(personId, eventId); System.out.println("Added person " + personId + " to event " + eventId); }
これは同等に重要な 2 つのクラスである 2 つのエンティティ間における関連の例です。 前述通り、
int
や java.lang.String
など、 通常 「比較的重要でない」 別のクラスや型が典型的なモデルに存在します。 これらのクラスは 「値型」 と呼ばれ、 値型のインスタンスは独自のアイデンティティを持たず、 エンティティ間で共有されません。 同じ名前の人物が 2 人存在しても、 2 人は同じ firstname
オブジェクトを参照しません。 値型は JDK のみにありませんが、 Address
クラスや MonetaryAmount
クラスなどの依存クラスを記述することが可能です。 実際に、 Hibernate のアプリケーションではすべての JDK クラスが値型として考慮されます。
値型のコレクションを設計することもできます。 これは他のエンティティへの参照のコレクションとは概念的に異なりますが、 Java ではほぼ同様に見えます。
2.2.4. 値のコレクション
電子メールアドレスのコレクションを
Person
エンティティに追加してみましょう。これは、 java.lang.String
インスタンスの java.util.Set
として表されます。
private Set emailAddresses = new HashSet(); public Set getEmailAddresses() { return emailAddresses; } public void setEmailAddresses(Set emailAddresses) { this.emailAddresses = emailAddresses; }
Set
のマッピングは次の通りです。
<set name="emailAddresses" table="PERSON_EMAIL_ADDR"> <key column="PERSON_ID"/> <element type="string" column="EMAIL_ADDR"/> </set>
以前のマッピングと比較して異なる点は、
element
部分の使い方です。 element
の部分は、 コレクションに他のエンティティへの参照が含まれず、 要素が値型のコレクション (この例では string
型) であることを Hibernate に伝えます。 名前が小文字の場合、 Hibernate マッピング型かコンバーターであることが分かります。 ここでも、 set
要素の table
属性がコレクションのテーブル名を決定します。 key
要素はコレクションテーブルの外部キー列名を定義します。 element
要素の column
属性は、 電子メールアドレスの値が実際に保存される列名を定義します。
更新されたスキーマは次の通りです。
_____________ __________________ | | | | _____________ | EVENTS | | PERSON_EVENT | | | ___________________ |_____________| |__________________| | PERSON | | | | | | | |_____________| | PERSON_EMAIL_ADDR | | *EVENT_ID | <--> | *EVENT_ID | | | |___________________| | EVENT_DATE | | *PERSON_ID | <--> | *PERSON_ID | <--> | *PERSON_ID | | TITLE | |__________________| | AGE | | *EMAIL_ADDR | |_____________| | FIRSTNAME | |___________________| | LASTNAME | |_____________|
コレクションテーブルの主キーは、 両列を使った複合キーであることが分かります。 これは、 人物ごとに電子メールアドレスを重複できないことを意味し、 Java のセットに要求されるセマンティックとなります。
人物とイベントをリンクした時のように、 このコレクションに要素を追加してみましょう。 Java の同じコードになります。
private void addEmailToPerson(Long personId, String emailAddress) { Session session = HibernateUtil.getSessionFactory().getCurrentSession(); session.beginTransaction(); Person aPerson = (Person) session.load(Person.class, personId); // adding to the emailAddress collection might trigger a lazy load of the collection aPerson.getEmailAddresses().add(emailAddress); session.getTransaction().commit(); }
今回は、 fetch クエリを使用してコレクションを初期化しませんでした。 SQL ログを監視し、 eager フェッチで最適化してみます。
2.2.5. 双方向関連
次に双方向関連をマッピングします。 Java で両側から人物とイベントを関連付けします。 データベーススキーマは変わらないため、 多対多の多重度が維持されます。
注記
リレーショナルデータベースはネットワークプログラミング言語よりも柔軟性があり、ナビゲーションの方向が必要ありません。そのため、可能な方向でデータの閲覧や読み出しが可能です。
最初に
Event
クラスに参加者のコレクションを追加します。
private Set participants = new HashSet(); public Set getParticipants() { return participants; } public void setParticipants(Set participants) { this.participants = participants; }
Event.hbm.xml
でこちら側の関連をマップします。
<set name="participants" table="PERSON_EVENT" inverse="true"> <key column="EVENT_ID"/> <many-to-many column="PERSON_ID" class="org.hibernate.tutorial.domain.Person"/> </set>
これらは両マッピングドキュメントの普通の
set
マッピングになります。key
と many-to-many
のカラム名が、 両方のマッピングドキュメントで入れ替えられていることに注目してください。ここで最も重要な追加項目は、Event
のコレクションマッピングの set
要素にある inverse="true"
属性です。
これは、 2 つエンティティの関連に関する情報が必要な場合に、Hibernate は逆側の
Person
クラスを確認するべきであることを意味しています。 2 つのエンティティ間の双方向リンクがどのように作成されたか確認すると、 理解しやすいはずです。
2.2.6. 双方向リンクの利用
最初に、Hibernate は通常の Java のセマンティクスに影響を与えないことを念頭に置いてください。単方向の例ではどのように
Person
と Event
間のリンクを作成したでしょうか。Event
のインスタンスを Person
のインスタンスであるイベントの参照のコレクションに追加しました。 このリンクを双方向にする場合は、逆側で同様の処理を行うため、 Person
の参照を Event
のコレクションに追加します。 このように 「両側でリンクを設定」 するプロセスは双方向リンクでは絶対に必要となります。
両側を正しく設定するため、 開発者の多くは保守的にプログラムを作成し、リンク管理メソッドを作成します (
Person
内など)。
protected Set getEvents() { return events; } protected void setEvents(Set events) { this.events = events; } public void addToEvent(Event event) { this.getEvents().add(event); event.getParticipants().add(this); } public void removeFromEvent(Event event) { this.getEvents().remove(event); event.getParticipants().remove(this); }
これでコレクションの get および set メソッドが保護されました。 これにより、 同じパッケージやサブクラスのクラスがメソッドへアクセスできるようにし、 それ以外のクラスが直接コレクションを変更できないようにします。 コレクションに対するこの手順を逆側でも行います。
inverse
マッピング属性はどうするのでしょうか。 双方向リンクは Java にとって両側で参照を正しく設定することでしかありません。 しかし、 Hibernate は SQ Lの INSERT
ステートメントと UPDATE
ステートメントを正しく手配するための十分な情報を持っていません (制約違反を防ぐため)。 片側を関連付けるため、 逆側の「ミラー」として考慮するよう inverse
は Hibernate に伝えます。 方向性ナビゲーションモデルを SQL データベーススキーマに変換する際に Hibernate が問題を解決するにはこれのみが必要となります。 ルールは明確です。 すべての双方向関連は片側を inverse
とする必要があります。一対多関連では多の側を inverse
とし、 多対多関連ではどちらかを inverse
とする必要があります。
2.3. パート3 - EventManager Web アプリケーション
Hibernate の Web アプリケーションは、 スタンドアロンのアプリケーションのように
Session
と Transaction
を使用します。しかし、一般的なパターンも一部便利です。 ここで EventManagerServlet
を作成します。 このサーブレットは、 データベースに格納した全イベントを一覧表示でき、 新しいイベントを入力するため HTML フォームを提供します。
2.3.1. 基本的な Servlet の記述
最初に、 基本的なプロセスサーブレットを作成する必要があります。 サーブレットは HTTP の
GET
リクエストのみを処理するため、 doGet()
メソッドのみを実装します。
package org.hibernate.tutorial.web; // Imports public class EventManagerServlet extends HttpServlet { protected void doGet( HttpServletRequest request, HttpServletResponse response) throws ServletException, IOException { SimpleDateFormat dateFormatter = new SimpleDateFormat( "dd.MM.yyyy" ); try { // Begin unit of work HibernateUtil.getSessionFactory().getCurrentSession().beginTransaction(); // Process request and render page... // End unit of work HibernateUtil.getSessionFactory().getCurrentSession().getTransaction().commit(); } catch (Exception ex) { HibernateUtil.getSessionFactory().getCurrentSession().getTransaction().rollback(); if ( ServletException.class.isInstance( ex ) ) { throw ( ServletException ) ex; } else { throw new ServletException( ex ); } } } }
このサーブレットを
src/main/java/org/hibernate/tutorial/web/EventManagerServlet.java
として保存します。
ここで適用されるパターンは session-per-request (リクエスト毎のセッション) と呼ばれます。 サーブレットがリクエストを受け取ると、
SessionFactory
の getCurrentSession()
への最初の呼び出しにより、 新しい Hibernate の Session
が開かれます。 その後、 データベースのトランザクションが開始されます。 データの読み書きに関わらず、 すべてのデータアクセスはトランザクション内で発生します。 アプリケーションで自動コミットを使用しないでください。
全データベース操作で新しい Hibernate
Session
を使用 しないでください 。全てのリクエストで機能する、1つの Hibernate Session
を使用してください。自動的に現在の Java スレッドにバインドされるので、getCurrentSession()
を使用してください。
次に、 リクエストの可能なアクションは処理され、 HTML の応答がレンダリングされます。 これについては後ほど説明します。
最後に、 処理とレンダリングが完了した時に作業単位を終了します。 処理中やレンダリング中に問題が発生した場合、 例外がスローされ、 データベーストランザクションがロールバックされます。 これにより、
session-per-request
パターンが完了します。 全てのサーブレットにトランザクション境界のコードを書く代わりに、 サーブレットフィルタに記述することも可能です。 Open Session in View と呼ばれるこのパターンについては、 Hibernate の Web サイトや Wiki を参照してください。 サーブレットではなく JSP でビューのレンダリングを考慮している場合、 すぐにこのパターンについての情報が必要になるでしょう。
2.3.2. 処理とレンダリング
リクエストの処理とページのレンダリングを実装します。
// Write HTML header PrintWriter out = response.getWriter(); out.println("<html><head><title>Event Manager</title></head><body>"); // Handle actions if ( "store".equals(request.getParameter("action")) ) { String eventTitle = request.getParameter("eventTitle"); String eventDate = request.getParameter("eventDate"); if ( "".equals(eventTitle) || "".equals(eventDate) ) { out.println("<b><i>Please enter event title and date.</i></b>"); } else { createAndStoreEvent(eventTitle, dateFormatter.parse(eventDate)); out.println("<b><i>Added event.</i></b>"); } } // Print page printEventForm(out); listEvents(out, dateFormatter); // Write HTML footer out.println("</body></html>"); out.flush(); out.close();
Java と HTML が混在するこのコーディングスタイルは、より複雑なアプリケーションでは拡張できないでしょう。本チュートリアルでは基本的な Hibernate の概念のみを説明しています。 コードは HTML のヘッダーとフッターを出力します。 このページ内には、イベントエントリの HTML フォームとデータベースの全イベントのリストが出力されます。 最初のメソッドは大変単純なメソッドで、 HTML のみを出力します。
private void printEventForm(PrintWriter out) { out.println("<h2>Add new event:</h2>"); out.println("<form>"); out.println("Title: <input name='eventTitle' length='50'/><br/>"); out.println("Date (e.g. 24.12.2009): <input name='eventDate' length='10'/><br/>"); out.println("<input type='submit' name='action' value='store'/>"); out.println("</form>"); }
listEvents()
メソッドは、現在のスレッドに結びつく Hibernate の Session
を使用して、クエリを実行します。
private void listEvents(PrintWriter out, SimpleDateFormat dateFormatter) { List result = HibernateUtil.getSessionFactory() .getCurrentSession().createCriteria(Event.class).list(); if (result.size() > 0) { out.println("<h2>Events in database:</h2>"); out.println("<table border='1'>"); out.println("<tr>"); out.println("<th>Event title</th>"); out.println("<th>Event date</th>"); out.println("</tr>"); Iterator it = result.iterator(); while (it.hasNext()) { Event event = (Event) it.next(); out.println("<tr>"); out.println("<td>" + event.getTitle() + "</td>"); out.println("<td>" + dateFormatter.format(event.getDate()) + "</td>"); out.println("</tr>"); } out.println("</table>"); } }
最後に、
store
アクションが createAndStoreEvent()
メソッドを呼び出します。このメソッドでも現在のスレッドの Session
を利用します。
protected void createAndStoreEvent(String title, Date theDate) { Event theEvent = new Event(); theEvent.setTitle(title); theEvent.setDate(theDate); HibernateUtil.getSessionFactory() .getCurrentSession().save(theEvent); }
これでサーブレットが完成しました。 サーブレットへのリクエストは、 1 つの
Session
と Transaction
で処理されます。 スタンドアロンアプリケーションの最初のように、 Hibernate は自動的にこれらのオブジェクトを現在の実行スレッドにバインドすることができます。 これにより、 開発者が自由にコードをレイヤー分けでき、 好きな方法で SessionFactory
へのアクセスができるようになります。 通常、 開発者はより洗練されたデザインを使用して、 データアクセスコードをデータアクセスオブジェクトに移動するでしょう (DAO パターン)。 これ以外の例は、 Hibernate の Wiki を参照してください。
2.3.3. デプロイとテスト
テスト向けにこのアプリケーションをデプロイするには、 WAR (Web ARchive) を作成する必要があります。 最初に WAR 記述子を
src/main/webapp/WEB-INF/web.xml
として定義しなければなりません。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <web-app version="2.4" xmlns="http://java.sun.com/xml/ns/j2ee" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xsi:schemaLocation="http://java.sun.com/xml/ns/j2ee http://java.sun.com/xml/ns/j2ee/web-app_2_4.xsd"> <servlet> <servlet-name>Event Manager</servlet-name> <servlet-class>org.hibernate.tutorial.web.EventManagerServlet</servlet-class> </servlet> <servlet-mapping> <servlet-name>Event Manager</servlet-name> <url-pattern>/eventmanager</url-pattern> </servlet-mapping> </web-app>
ビルドとデプロイを実行するには、プロジェクトディレクトリの
mvn package
を呼び出し、hibernate-tutorial.war
ファイルを $JBOSS_HOME/server/$CONFIG/deploy
ディレクトリにコピーします。
一度デプロイして JBoss が起動すれば、
http://localhost:8080/hibernate-tutorial/eventmanager
でアプリケーションへアクセスします。($JBOSS_HOME/server/$CONFIG/log/server.log
の)サーバーログを見て、最初のリクエストが利用中のサーブレットをヒットすると(HibernateUtil
にある静的初期化子が呼び出されると)Hibernate が初期化されることを確認し、例外が発生した場合は詳細出力を取得してください。
2.4. 要約
本チュートリアルでは簡単なスタンドアロンの Hibernate アプリケーションと小規模の Web アプリケーションを記述するための基本を紹介しました。 その他のチュートリアルは Hibernate の Web サイト をご覧ください。
第3章 アーキテクチャ
3.1. 概観
下図は Hibernate アーキテクチャのハイレベルビューになります。

本書の範囲では、使用可能なランタイムアーキテクチャすべての詳細なビューは取り上げません。Hibernate は柔軟なため、複数のアプローチをサポートしています。ここでは、「最低限」のアーキテクチャと「包括的」なアーキテクチャの 2 つの極端な例を説明します。
下図は Hibernate がデータベースと設定データを使用して永続サービスや永続オブジェクトをアプリケーションに提供する方法を示しています。
「最低限」のアーキテクチャはアプリケーションが独自の JDBC 接続を提供し、独自のトランザクションを管理します。この方法では、Hibernate API の最低限のサブセットが使用されます。

「包括的」なアーキテクチャは、基盤となる JDBC や JTA の API から離れてアプリケーションを抽象化し、 Hibernate が詳細を管理できるようにします。

図内で示されているオブジェクトの定義は次のようになります。
- SessionFactory (
org.hibernate.SessionFactory
) - 1 つのデータベースに対するコンパイルされたマッピングのスレッドセーフで不変のキャッシュです。
Session
のファクトリであり、ConnectionProvider
のクライアントです。SessionFactory
は、プロセスやクラスタレベルのトランザクション間で再利用可能なデータの任意 (2 次) キャッシュを保持することができます。 - Session (
org.hibernate.Session
) - アプリケーションと永続ストアとの会話を表す、シングルスレッドで短命のオブジェクトです。JDBC コネクションをラッピングする
Transaction
のファクトリです。Session
は、オブジェクトグラフをナビゲーションする時、あるいは識別子でオブジェクトをルックアップする時に使用される永続オブジェクト(必須)の1 次キャッシュを保持します。 - 永続オブジェクトとコレクション
- 永続ステートとビジネス関数を持つ、短命で単一スレッドのオブジェクトです。 通常の JavaBean や POJO である場合もあります。1つの
Session
のみに関連付けされます。Session
が閉じられると分離され、すべてのアプリケーション層で使用可能です (プレゼンテーションへまたはプレゼンテーションから直接データ転送オブジェクトとしてなど)。 - 一時オブジェクトやコレクションおよび分離オブジェクトやコレクション
- 現在、
Session
と関連していない、永続クラスのインスタンスです。アプリケーションによってインスタンス化され、まだ永続化されていない場合や、閉じられたSession
によってインスタンス化されている場合があります。 - トランザクション (
org.hibernate.Transaction
) - (オプション) アトミックな作業単位を指定するためにアプリケーションが使用する単一スレッドで短命なオブジェクトです。基盤となる JDBC、JTA、CORBA トランザクションよりアプリケーションを抽象化します。場合によっては
Session
が複数のトランザクション
にわたることがあります。基盤となる API やトランザクション
の使用に拘らずトランザクション境界は常に必須となります。 - ConnectionProvider (
org.hibernate.connection.ConnectionProvider
) - (オプション) JDBC 接続のファクトリおよびプールです。基盤となる
Datasource
かDriverManager
よりアプリケーションを抽象化します。アプリケーションには公開されませんが、開発者が拡張および/または実装することは可能です。 - TransactionFactory (
org.hibernate.TransactionFactory
) - (オプション)
Transaction
インスタンスのファクトリです。アプリケーションには公開されませんが、開発者が拡張および/または実装することは可能です。 - 拡張インターフェース (Extension Interface)
- 永続層の挙動をカスタマイズできるようにするため、Hibernate には多くのオプションの拡張インタフェースが用意されています。詳細は API ドキュメントを参照してください。
「最低限」のアーキテクチャでは、アプリケーションは
Transaction
や TransactionFactory
、ConnectionProvider
の API を迂回して JTA や JDBC と直接通信します。
3.2. インスタンスのステート
永続クラスのインスタンスは、3 つのステートの 1 つとなります。これらのステートは 永続コンテキスト の関係によって定義されます。Hibernate の
Session
オブジェクトが永続コンテキストです。3 つのステートは次のようになります。
- transient (一時)
- このステートのインスタンスは永続インスタンスに関連付けられていません。 また、永続 ID や主キーの値を持っていません。
- persistent (永続)
- このステートのインスタンスは現在永続コンテキストに関連付けられています。永続 ID (主キーの値) を持ち、データベースに対応する行を持つことができます。特定の永続コンテキストにおいてHibernate は、オブジェクトのインメモリの場所に関し、永続 ID が Java ID と同等であることを保証します。
- detached (分離)
- このステートのインスタンスは、過去に永続コンテキストに関連付けられていましたが、永続コンテキストが閉じられたか、インスタンスが他のプロセスによってシリアライズされています。永続 ID を持ち、データベースに対応する行を持つことができます。分離インスタンスでは、Hibernate は 永続 ID と Java ID の関係を保証しません。
3.3. JMX との統合
JMX は Java コンポーネント管理の J2EE 標準です。JMX 標準サービスより Hibernate を管理することができます。ディストリビューションの中に
org.hibernate.jmx.HibernateService
という MBean 実装が用意されています。
JBoss Application Server 上に Hibernate を JMX サービスとしてデプロイする方法の例は、JBoss ユーザーガイドを参照してください。JMX を使用してデプロイすると、JBoss AS は次の機能も提供します。
- セッション管理: Hibernate の
Session
のライフサイクルは、自動的に JTA トランザクションの範囲にバインドすることができます。そのため、手作業でSession
を開閉する必要がなくなり、この作業は JBoss EJB インターセプタによって行われます。また、コードのトランザクション境界を心配する必要もありません (移植可能な永続層を記述したい場合は、 オプションの HibernateTransaction
API を使用してください)。HibernateContext
を呼び出してSession
にアクセスします。 - HAR デプロイメント: Hibernate
SessionFactory
の通常の設定オプションをすべてサポートするため、EAR ファイルか SAR ファイルの JBoss サービスデプロイメント記述子を使用して Hibernate JMX サービスはデプロイされます。しかし、デプロイメント記述子の全マッピングファイルに名前を付ける必要があります。オプションの HAR デプロイメントを使用すると、JBoss は HAR ファイルの全マッピングファイルを自動的に検出します。
これらのオプションについての詳細な情報は、JBoss AS ユーザーガイドを参考にしてください。
JMX サービスとして利用できる機能に、ランタイム時の Hibernate 統計があります。詳細は 「Hibernate 統計」 を参照してください。
3.4. JCA サポート
Hibernate は JCA コネクタとしても設定できます。詳細については、Web サイトを参照してください。現在、Hibernate JCA サポートは開発段階ですので注意してください。
3.5. コンテキストのセッション
Hibernate を使用するアプリケーションの多くに、コンテキストの範囲全般を通じてセッションが有効になるある種の「コンテキスト」のセッションが必要となります。しかし、通常アプリケーションごとにコンテキストを構成するものの定義は異なります。さらに、コンテキストにより、定義する「現在」の概念の範囲が異なります。バージョン 3.0 以前の Hibernate を使用するアプリケーションは、自作の
ThreadLocal
ベースのコンテキストセッションや HibernateUtil
などのヘルパークラス、プロキシやインターセプションベースのコンテキストセッションを提供した Spring や Pico などのサードパーティフレームワークを使用していました。
バージョン 3.0.1 より、Hibernate には
SessionFactory.getCurrentSession()
メソッドが加わりました。当初は、JTA
トランザクションを使用し、JTA
トランザクションが現在のセッションの範囲とコンテキストを両方定義することが前提となっていました。多くのスタンドアロン JTA TransactionManager
実装が成熟の段階に入っているため、J2EE
コンテナへデプロイされるか否かに関わらずアプリケーションは JTA
トランザクション管理を使用すべきです。これにより、使用する必要があるのは JTA
ベースのコンテキストセッションのみとなります。
バージョン 3.1 より
SessionFactory.getCurrentSession()
背後の処理がプラグ可能になりました。また、拡張インターフェース org.hibernate.context.CurrentSessionContext
と設定パラメータ hibernate.current_session_context_class
が新たに追加され、現在のセッションを定義する範囲とコンテキストがプラグ可能になりました。
org.hibernate.context.CurrentSessionContext
インターフェースの詳細な規約については Javadoc を参照してください。このインターフェースは、実装が現在のコンテキストセッションの追跡に関与する単一のメソッド currentSession()
を定義します。Hibernate には、このインターフェースの追加設定不要な 3 つの実装が含まれています。
org.hibernate.context.JTASessionContext
:JTA
トランザクションにより現在のセッションが追跡され、範囲が決定されます。この処理は、以前の JTA のみの方法と全く同じになります。詳細は Javadoc を参照してください。org.hibernate.context.ThreadLocalSessionContext
: 実行スレッドによって現在のセッションが追跡されます。詳細は Javadoc を参照してください。org.hibernate.context.ManagedSessionContext
: 実行スレッドによって現在のセッションが追跡されますが、ユーザーがこのクラス上の静的メソッドを用いてSession
インスタンスをバインドまたはアンバインドしなければなりません。この実装はSession
の開閉やフラッシュを行いません。
最初の 2 つの実装は、「1 セッション 1 データベーストランザクション」プログラミングモデルを提供します。これは リクエスト毎のセッション (session-per-request) とも呼ばれます。Hibernate セッションの開始と終了は、 データベーストランザクションの期間によって定義されます。 JTA を使用せず、 通常の JSE でプログラムを用いたトランザクション境界を使用する場合、Hibernate
Transaction
API を使用して基盤のトランザクションシステムをコードから見えないようにしてください。JTA を使用する場合、JTA インターフェースを使用してトランザクションの境界を設定することができます。CMT をサポートする EJB を実行する場合、トランザクション境界は宣言的に定義されるため、コードにトランザクションやセッションの境界を決定する操作は必要ありません。詳細やコード例は 12章トランザクションと並行性 を参照してください。
hibernate.current_session_context_class
設定パラメータは、org.hibernate.context.CurrentSessionContext
のどの実装を使うべきかを指定します。下位互換性のため、このパラメータが設定されず org.hibernate.transaction.TransactionManagerLookup
が設定されていた場合、Hibernate は org.hibernate.context.JTASessionContext
を使うことに注意してください。通常このパラメータの値には利用する実装クラスを指定するだけです。しかし、カスタマイズなしに利用可能な実装3つについては、「jta」、「thread」、「managed」というそれぞれの省略名も用意されています。
第4章 設定
Hibernate はさまざまな環境で動作するように設計されているため、 多くの設定パラメータが存在します。 ほとんどの設定パラメータは妥当なデフォルト値を持ち、 Hibernate の
etc/
には、 さまざまなオプションを表示するサンプルの hibernate.properties
ファイルがあります。 このサンプルファイルをクラスパス上に置き、 必要に応じてカスタマイズします。
4.1. プログラムによる設定
org.hibernate.cfg.Configuration
のインスタンスは、 アプリケーションの Java 型から SQL データベースへのマッピングをすべて表します。 org.hibernate.cfg.Configuration
は不変の org.hibernate.SessionFactory
をビルドするために使用されます。 マッピングは複数の XML マッピングファイルよりコンパイルされます。
org.hibernate.cfg.Configuration
インスタンスを取得するには、 直接インスタンス化し、 XML マッピングドキュメントを指定します。 マッピングファイルがクラスパスにある場合は、 addResource()
を使用します。 例は次の通りです。
Configuration cfg = new Configuration() .addResource("Item.hbm.xml") .addResource("Bid.hbm.xml");
マップされたクラスを指定し、 Hibernate にマッピングドキュメントを検索させる方法もあります。
Configuration cfg = new Configuration() .addClass(org.hibernate.auction.Item.class) .addClass(org.hibernate.auction.Bid.class);
Hibernate は、 クラスパスにある
/org/hibernate/auction/Item.hbm.xml
と /org/hibernate/auction/Bid.hbm.xml
というマッピングファイルを検索します。 この方法により 、ハードコードされたファイル名を取り除きます。
また、
org.hibernate.cfg.Configuration
は設定プロパティを設定できるようにします。 例は次の通りです。
Configuration cfg = new Configuration() .addClass(org.hibernate.auction.Item.class) .addClass(org.hibernate.auction.Bid.class) .setProperty("hibernate.dialect", "org.hibernate.dialect.MySQLInnoDBDialect") .setProperty("hibernate.connection.datasource", "java:comp/env/jdbc/test") .setProperty("hibernate.order_updates", "true");
Hibernate に設定プロパティを渡す方法はこれだけではありません。 他にも次のような方法があります。
java.util.Properties
のインスタンスをConfiguration.setProperties()
に渡します。- クラスパスのルートディレクトリに
hibernate.properties
という名前のファイルを置きます。 java -Dproperty=value
を使用してSystem
プロパティを設定します。hibernate.cfg.xml
に<property>
要素を追加します (これについては後ほど説明します)。
すぐに開始したい場合は
hibernate.properties
が最も簡単な方法になります。
org.hibernate.cfg.Configuration
は SessionFactory
の作成後に破棄される起動時のオブジェクトとなります。
4.2. SessionFactory の取得
org.hibernate.cfg.Configuration
によってすべてのマッピングが解析されると、 アプリケーションは org.hibernate.Session
インスタンスのファクトリを取得する必要があります。すべてのアプリケーションスレッドにより共有されるよう、このファクトリは設計されています。
SessionFactory sessions = cfg.buildSessionFactory();
Hibernate では、アプリケーションは複数の
org.hibernate.SessionFactory
をインスタンス化することができます。これは、複数のデータベースを使用する場合に便利です。
4.3. JDBC 接続
org.hibernate.SessionFactory
が JDBC 接続を作成しプーリングすることが推奨されます。 この場合、 次のように簡単に org.hibernate.Session
を開くことができます。
Session session = sessions.openSession(); // open a new Session
データベースへのアクセスが必要となるタスクを開始すると、 プールより JDBC 接続が取得されます。
その前に、 JDBC 接続のプロパティを Hibernate に渡す必要があります。 Hibernate のプロパティ名とセマンティックはすべて
org.hibernate.cfg.Environment
クラス上で定義されます。 JDBC 接続で最も重要となる設定は次の通りです。
次のプロパティを設定すると、 Hibernate は
java.sql.DriverManager
を使用して接続を取得し、 プーリングします。
プロパティ名 | 目的 |
---|---|
hibernate.connection.driver_class | JDBC ドライバクラス |
hibernate.connection.url | JDBC の URL |
hibernate.connection.username | データベースユーザー |
hibernate.connection.password | データベースユーザーのパスワード |
hibernate.connection.pool_size | プーリングされた接続の最大数 |
Hibernate 独自の接続プールアルゴリズムは非常に初歩的なものです。 これは、 ユーザーがすぐ Hibernate を使用できるようにするためのアルゴリズムで、 実稼働システムやパフォーマンステスト向けのものではありません。 最良のパフォーマンスや安定性を実現するには、 サードパーティーのプールを使用してください。 Hibernate の内部プールを無効にするには、 hibernate.connection.pool_size プロパティを接続プール固有の設定に置き換えます。 c3p0 を使用する場合の例は次のようになります。
C3P0 はオープンソースの JDBC 接続プールで、 Hibernate の
lib
ディレクトリにあります。 hibernate.c3p0.* プロパティを設定すると、 Hibernate は org.hibernate.connection.C3P0ConnectionProvider
を接続プーリングに使用します。 Proxool を使用したい場合は、 パッケージ化された hibernate.properties
と Hibernate の Web サイトを参照してください。
以下は c3p0 の
hibernate.properties
ファイルの例になります。
hibernate.connection.driver_class = org.postgresql.Driver hibernate.connection.url = jdbc:postgresql://localhost/mydatabase hibernate.connection.username = myuser hibernate.connection.password = secret hibernate.c3p0.min_size=5 hibernate.c3p0.max_size=20 hibernate.c3p0.timeout=1800 hibernate.c3p0.max_statements=50 hibernate.dialect = org.hibernate.dialect.PostgreSQLDialect
アプリケーションサーバー内で使用する場合、 Hibernate を設定し、 JNDI に登録されているアプリケーションサーバーの
javax.sql.Datasource
より接続を取得するようにします。 最低でも次のプロパティを 1 つ設定する必要があります。
プロパティ名 | 目的 |
---|---|
hibernate.connection.datasource | データソースの JNDI 名 |
hibernate.jndi.url | JNDI プロバイダの URL (オプション) |
hibernate.jndi.class | JNDI InitialContextFactory のクラス (オプション) |
hibernate.connection.username | データベースユーザ (オプション) |
hibernate.connection.password | データベースユーザのパスワード (オプション) |
次は、 アプリケーションサーバーが提供する JNDI データソースの
hibernate.properties
ファイルの例になります。
hibernate.connection.datasource = java:/comp/env/jdbc/test hibernate.transaction.factory_class = \ org.hibernate.transaction.JTATransactionFactory hibernate.transaction.manager_lookup_class = \ org.hibernate.transaction.JBossTransactionManagerLookup hibernate.dialect = org.hibernate.dialect.PostgreSQLDialect
JNDI データソースから取得した JDBC コネクションは、アプリケーションサーバーのコンテナ管理トランザクションに自動的に参加します。
任意の接続プロパティを提供するには、
hibernate.connnection
を接続プロパティ名の前に追加します。 例えば、 hibernate.connection.charSet を使用した場合、 charSet 接続プロパティを指定できます。
JDBC 接続を取得するため独自のプラグイン戦略を定義するには、
org.hibernate.connection.ConnectionProvider
インターフェースを実装し、 hibernate.connection.provider_class プロパティよりカスタム実装を指定します。
4.4. オプションの設定プロパティ
ランタイム時に Hibernate の挙動を制御する他のプロパティも複数あります。 これらのプロパティはすべて任意で、 妥当なデフォルト値を持っています。
警告
これらのプロパティの一部はシステムレベルのみのプロパティです。 システムレベルのプロパティは、
java -Dproperty=value
または hibernate.properties
でのみ設定可能で、 上記の他の方法では設定できません。
プロパティ名 | 目的 |
---|---|
hibernate.dialect | 特定のリレーショナルデータベースに対して最適化された SQL を Hibernate が生成できるようにする、 Hibernate org.hibernate.dialect.Dialect のクラス名です。
例:
full.classname.of.Dialect
ほとんどの場合で、 Hibernate は JDBC ドライバによって返された
JDBC metadata を基に適切な org.hibernate.dialect.Dialect 実装を選択することができます。
|
hibernate.show_sql | 発行されたすべての SQL をコンソールに出力します。これはログカテゴリの org.hibernate.SQL に debug を設定する方法の代替手段です。
例:
true | false
|
hibernate.format_sql | ログとコンソールで SQL のプリティプリントを行います。
例:
true | false
|
hibernate.default_schema | 非修飾テーブル名を生成された SQL のスキーマやテーブル空間で修飾します。
例:
SCHEMA_NAME
|
hibernate.default_catalog | 生成された SQL のカタログで非修飾テーブル名を修飾します。
例:
CATALOG_NAME
|
hibernate.session_factory_name | 作成後、 org.hibernate.SessionFactory は JNDI でこの名前へ自動的にバインドされます。
例:
jndi/composite/name
|
hibernate.max_fetch_depth | 単一終端関連 (一対一、多対一) に対し、 外部結合によるフェッチツリーの最大の「深さ」を設定します。 0 を指定すると、 デフォルトの外部結合フェッチが無効になります。
例: 推奨される
0 から 3 までの値
|
hibernate.default_batch_fetch_size | 関連の Hibernate バッチフェッチのデフォルトサイズを設定します。
例: 推奨される値は
4 、 8 、 16 です。
|
hibernate.default_entity_mode | この SessionFactory から開かれたすべてのセッションに対するエンティティ表示のデフォルトモードを設定します。
dynamic-map 、 dom4j 、 pojo
|
hibernate.order_updates | 更新された項目の主キー値によって SQL の更新を順番付けするよう Hibernate を強制します。 これにより、 並行性の高いシステムにおけるトランザクションのデッドロックが軽減されます。
例:
true | false
|
hibernate.generate_statistics | 有効の場合、 Hibernate はパフォーマンスチューニングに有効な統計情報を収集します。
例:
true | false
|
hibernate.use_identifier_rollback | 有効の場合、オブジェクトが削除されたときに識別子プロパティをリセットし、デフォルト値にしたものを生成します。
例:
true | false
|
hibernate.use_sql_comments | 有効の場合、 SQL 内にコメントを生成します。これはデバックを容易にします。デフォルトの値は false です。
例:
true | false
|
プロパティ名 | 目的 |
---|---|
hibernate.jdbc.fetch_size | 値が0でない場合、 JDBC フェッチサイズを決定します ( Statement.setFetchSize() を呼びます)。 |
hibernate.jdbc.batch_size | 値が0でない場合、 Hibernate が JDBC2 バッチ更新を使用します。
例: 推奨される
5 から 30 までの値
|
hibernate.jdbc.batch_versioned_data | JDBC ドライバが executeBatch() より正しい行数を返す場合は、 このプロパティを true に設定します。 通常、 このオプションを有効にすると安全です。 Hibernate は自動的にバージョン化されたデータにバッチ DML を使用します。 デフォルト値は false になります。
例:
true | false
|
hibernate.jdbc.factory_class | カスタム org.hibernate.jdbc.Batcher を選択します。 この設定プロパティはほとんどのアプリケーションには必要ありません。
例:
classname.of.BatcherFactory
|
hibernate.jdbc.use_scrollable_resultset | Hibernate による JDBC2 のスクロール可能な結果セットの使用を有効にします。 このプロパティはユーザーが提供する JDBC 接続を使用する場合のみ必要となります。 ユーザー提供による JDBC 接続を使用しない場合、 Hibernate は接続メタデータを使用します。
例:
true | false
|
hibernate.jdbc.use_streams_for_binary | JDBC に対しまたは JDBC より binary や serializable を読み書きする時にストリームを使用します。 システムレベルのプロパティです。
例:
true | false
|
hibernate.jdbc.use_get_generated_keys | 挿入の後にネーティブに生成されたキーを読み出すため、 JDBC3 PreparedStatement.getGeneratedKeys() の使用を有効にします。 JDBC3+ ドライバと JRE1.4+ を必要とし、 Hibernate の識別子ジェネレータに問題が発生する場合は false を設定します。 デフォルトでは、 設定メタデータを使用してドライバの能力を判断しようとします。
例:
true|false
|
hibernate.connection.provider_class | JDBC 接続を Hibernate に提供するカスタム org.hibernate.connection.ConnectionProvider のクラス名です。
例:
classname.of.ConnectionProvider
|
hibernate.connection.isolation | JDBC トランザクション分離レベルを設定します。 妥当な値は java.sql.Connection をチェックしてください。 データベースのほとんどはすべての分離レベルをサポートしておらず、 非標準の分離を追加で定義するデータベースもあります。
例:
1, 2, 4, 8
|
hibernate.connection.autocommit | JDBC でプーリングされる接続の自動コミットを有効にします (非推奨)。
例:
true | false
|
hibernate.connection.release_mode | Hibernate が いつ JDBC 接続をリリースするか指定します。 デフォルトでは、 セッションが明示的に閉じられるか切断されるまで JDBC 接続が保持されます。 アプリケーションサーバーの JTA データソースの場合、 after_statement を使用して各 JDBC 呼び出しの後に積極的に接続をリリースします。 非 JTA 接続では、 after_transaction を使用して各トランザクションの最後に接続をリリースするとよいでしょう。 auto は JTA や CMT トランザクション戦略に対して after_statement を選択し、 JDBC トランザクション戦略に対して after_transaction を選択します。
例:
auto (デフォルト) | on_close | after_transaction | after_statement
この設定は
SessionFactory.openSession から返された Session のみに影響します。 SessionFactory.getCurrentSession より取得された Session では、 使用するために設定された CurrentSessionContext 実装がこれら Session の接続リリースモードを制御します。 詳細は「コンテキストのセッション」 を参照してください。
|
hibernate.connection.<propertyName> | JDBC プロパティ <propertyName> を DriverManager.getConnection() に渡します。 |
hibernate.jndi.<propertyName> | プロパティ <propertyName> を JNDI InitialContextFactory に渡します。 |
プロパティ名 | 目的 |
---|---|
hibernate.cache.provider_class | カスタム CacheProvider のクラス名です。
例:
classname.of.CacheProvider
|
hibernate.cache.use_minimal_puts | 書き込みを最小限にするために読み取りの頻度を増やし、 2 次キャッシュの操作を最適化します。 この設定はクラスタ化キャッシュで最も有用です。 Hibernate3 ではクラスタ化キャッシュ実装向けにデフォルトで有効になっています。
例:
true|false
|
hibernate.cache.use_query_cache | クエリキャッシュを有効にします。 各クエリをキャッシュ可能として設定する必要があります。
例:
true|false
|
hibernate.cache.use_second_level_cache | 2 次キャッシュを完全に無効にするため使用できます。 2 次キャッシュは <cache> マッピングを指定するクラスではデフォルトで有効になっています。
例:
true|false
|
hibernate.cache.query_cache_factory | カスタム QueryCache インターフェースのクラス名を指定します。デフォルトでは StandardQueryCache になります。
例:
classname.of.QueryCache
|
hibernate.cache.region_prefix | 二次キャッシュの領域名の接頭辞です。
例:
prefix
|
hibernate.cache.use_structured_entries | 二次キャッシュに格納するデータを、人が理解しやすいフォーマットにします。
例:
true|false
|
プロパティ名 | 目的 |
---|---|
hibernate.transaction.factory_class | Hibernate Transaction API と一緒に使われる TransactionFactory のクラス名です。 (デフォルトでは JDBCTransactionFactory です)。
例:
classname.of.TransactionFactory >
|
jta.UserTransaction | アプリケーションサーバーから JTA UserTransaction を取得するために JTATransactionFactory に使われる JNDI 名です。
例:
jndi/composite/name
|
hibernate.transaction. manager_lookup_class | TransactionManagerLookup のクラス名です。 JTA 環境において、 JVM レベルのキャッシュを有効にする時や、 hilo ジェネレータが使用される時に必要となります。
例:
classname.of.TransactionManagerLookup
|
hibernate.transaction. flush_before_completion | 有効の場合、 トランザクションの completion フェーズの前に自動的にセッションをフラッシュします。 内蔵の自動セッションコンテキスト管理に適しています。 「コンテキストのセッション」 を参照してください。
例:
true | false
|
hibernate.transaction. auto_close_session | 有効の場合、 トランザクションの completion フェーズの後にセッションを自動的にクローズします。内蔵の自動セッションコンテキスト管理に適しています。 「コンテキストのセッション」 を参照してください。
例:
true | false
|
プロパティ名 | 目的 |
---|---|
hibernate. current_session_context_class | 「現在の」 Session のスコーピングに対するカスタム戦略を提供します。 ビルトイン戦略に関する詳細は 「コンテキストのセッション」 を参照してください。
例:
jta | thread | managed | custom.Class
|
hibernate.query.factory_class | HQL パーサーの実装を選択します。
例:
org.hibernate.hql.ast.ASTQueryTranslatorFactory または org.hibernate.hql.classic.ClassicQueryTranslatorFactory
|
hibernate.query.substitutions | Hibernate クエリのトークンより SQL のトークンをマッピングするため使用します (トークンは関数やリテラル名になることがあります)。
例:
hqlLiteral=SQL_LITERAL, hqlFunction=SQLFUNC
|
hibernate.hbm2ddl.auto | SessionFactory を生成された時に、 自動的にスキーマ DDL を有効にするか、 データベースにエクスポートします。 create-drop の場合、 SessionFactory が明示的に閉じられた時に、 データベーススキーマがドロップされます。
例:
validate | update | create | create-drop
|
hibernate.cglib. use_reflection_optimizer | ランタイム時のリフレクションの代わりに CGLIB の使用を有効にします (システムレベルのプロパティ)。 リフレクションはトラブルシューティングの時に役立つことがあります。 オプティマイザがオフになっている場合でも Hibernate は常に CGLIB を必要とします。 このプロパティは hibernate.cfg.xml に設定することができません。
例:
true | false
|
4.4.1. SQL 方言
hibernate.dialect
プロパティには、 常にデータベースの正しい org.hibernate.dialect.Dialect
サブクラスを設定してください。方言を指定すると、Hibernate は上記一覧の他の一部プロパティに対して賢明なデフォルトを使用します。そのため、手作業で指定する必要がありません。
RDBMS | 方言 |
---|---|
DB2 | org.hibernate.dialect.DB2Dialect |
DB2 AS/400 | org.hibernate.dialect.DB2400Dialect |
DB2 OS390 | org.hibernate.dialect.DB2390Dialect |
PostgreSQL | org.hibernate.dialect.PostgreSQLDialect |
MySQL | org.hibernate.dialect.MySQL5Dialect |
MySQL with InnoDB | org.hibernate.dialect.MySQL5InnoDialect |
MySQL with MyISAM | org.hibernate.dialect.MySQLMyISAMDialect |
Oracle (any version) | org.hibernate.dialect.Oracle8iDialect |
Oracle 9i | org.hibernate.dialect.Oracle9iDialect |
Oracle 10g | org.hibernate.dialect.Oracle10gDialect |
Sybase | org.hibernate.dialect.SybaseDialect |
Sybase Anywhere | org.hibernate.dialect.SybaseAnywhereDialect |
Microsoft SQL Server | org.hibernate.dialect.SQLServerDialect |
Microsoft SQL Server 2008 | org.hibernate.dialect.SQLServer2008Dialect |
SAP DB | org.hibernate.dialect.SAPDBDialect |
Informix | org.hibernate.dialect.InformixDialect |
HypersonicSQL | org.hibernate.dialect.HSQLDialect |
Ingres | org.hibernate.dialect.IngresDialect |
Progress | org.hibernate.dialect.ProgressDialect |
Mckoi SQL | org.hibernate.dialect.MckoiDialect |
Interbase | org.hibernate.dialect.InterbaseDialect |
Pointbase | org.hibernate.dialect.PointbaseDialect |
FrontBase | org.hibernate.dialect.FrontbaseDialect |
Firebird | org.hibernate.dialect.FirebirdDialect |
4.4.2. 外部結合フェッチ
データベースが ANSI、 Oracle、 Sybase いずれかのスタイルの外部結合サポートしている場合、 外部結合フェッチによりデータベースを行き来するラウンドトリップの数が制限され、 通常パフォーマンスが向上されます。 しかし、 これによりデータベース自体が実行する作業が増える可能性があります。 外部結合フェッチは、 関係が 多対一、 一対多、 多対多、 一対一 で接続されるオブジェクトのグラフ全体を単一の SQL
SELECT
で読み出せるようにします。
hibernate.max_fetch_depth
プロパティの値を 0
に設定すると、 外部結合フェッチを グローバル に無効にします。 1
以上の値を設定すると、 fetch="join"
でマップされた 一対一 関係と多対一関係の外部結合フェッチが有効になります。
詳細は 「フェッチ戦略」 を参照してください。
4.4.3. バイナリストリーム
Oracle は JDBC ドライバとの間でやりとりされる
byte
配列のサイズを制限します。 binary
や serializable
型の大きなインスタンスを使用したい場合は、 hibernate.jdbc.use_streams_for_binary
を有効にしてください。 ただし、 システムレベルの設定のみとなります。
4.4.4. 2 次キャッシュとクエリキャッシュ
hibernate.cache
が前に付くプロパティは、 Hibernate でプロセスやクラスタの範囲が決められた 2 次レベルキャッシュシステムを使用できるようにします。 詳細は 「2次レベルキャッシュ」 を参照してください。
4.4.5. クエリ言語の置き換え
hibernate.query.substitutions
を使用すると、 新しい Hibernate クエリを定義できます。 例は次の通りです。
hibernate.query.substitutions true=1, false=0
これにより、 トークン
true
と false
が生成された SQL で整数リテラルに変換されます。
hibernate.query.substitutions toLowercase=LOWER
これは SQL の
LOWER
関数の名前を変更できるようにします。
4.4.6. Hibernate 統計
hibernate.generate_statistics
を有効にすると、 Hibernate は SessionFactory.getStatistics()
より実行中のシステムを調節する際に、 有用な統計データを出力します。 JMX よりこれらの統計データを出力するよう Hibernate を設定することもできます。 詳細は org.hibernate.stats
のインターフェースの Javadoc を参照してください。
4.5. ロギング
Hibernate はさまざまなシステムイベントをログに記録するため、 SLF4J (Simple Logging Facade for Java) を使用します。 SLF4J は、 選択したバインディングに応じてログ出力を複数のロギングフレームワーク (NOP、 Simple、 log4j バージョン 1.2、 JDK 1.4 ロギング、 JCL、 logback) に転送することができます。 ロギングを設定するには、 希望のバインディングの jar ファイル (Log4J の場合は
slf4j-log4j12.jar
) と、 クラスパス上に slf4j-api.jar
が必要となります。 詳細は SLF4J の ドキュメント を参照してください。 Log4j を使用するには、 クラスパスに log4j.properties
を置く必要もあります。 サンプルのプロパティファイルは、 Hibernate の src/
ディレクトリにあります。
Hibernate のログメッセージを理解できるようにしてください。 Hibernate のログはできる限り詳細で、 読みやすいようになっています。 トラブルシューティングでは必須となります。 重要なログのカテゴリは次の通りです。
カテゴリ | 機能 |
---|---|
org.hibernate.SQL | 実行したすべての SQL(DDL)ステートメントをロギングします。 |
org.hibernate.type | すべての JDBC パラメータをロギングします。 |
org.hibernate.tool. hbm2ddl | 実行したすべての SQL(DDL)ステートメントをロギングします。 |
org.hibernate.pretty | session に関連するすべてのエンティティ(最大20)のフラッシュ時間をロギングします。 |
org.hibernate.cache | すべてのニ次キャッシュの動作をロギングします。 |
org.hibernate. transaction | トランザクションに関連する動作をロギングします。 |
org.hibernate.jdbc | JDBC リソース取得をロギングします。 |
org.hibernate.hql. ast.AST | HQL と SQL の AST のクエリパースをロギングします。 |
org.hibernate.secure | すべての JAAS 分析をロギングします。 |
org.hibernate | すべてをロギングします。 情報量は多くなりますが、 トラブルシューティングには便利です。 |
Hibernate でアプリケーションの開発時には、ほとんどの場合、カテゴリ
org.hibernate.SQL
の debug
を有効にします。 debug
の代わりにプロパティ hibernate.show_sql
を有効にすることもできます。
4.6. NamingStrategy
の実装
インターフェース
org.hibernate.cfg.NamingStrategy
はデータベースオブジェクトとスキーマ要素に対して「命名基準」を指定できるようにします。
Java の識別子からデータベース識別子を自動生成するためのルールや、 マッピングファイルの「論理的な」列とテーブル名を「物理的な」テーブルと列名に処理するためのルールを提供することが可能です。 この機能により、 マッピングドキュメントの詳細度を軽減し、 不要な繰り返し (
TBL_
の接頭辞など) が発生しないようにします。 Hibernate によって使用されるデフォルトの戦略は最小限になります。
マッピングを追加する前に
Configuration.setNamingStrategy()
を呼び出して異なる戦略を指定することができます。
SessionFactory sf = new Configuration() .setNamingStrategy(ImprovedNamingStrategy.INSTANCE) .addFile("Item.hbm.xml") .addFile("Bid.hbm.xml") .buildSessionFactory();
org.hibernate.cfg.ImprovedNamingStrategy
は組み込みの戦略で、 アプリケーションによってはここから始めるとよいでしょう。
4.7. XML 設定ファイル
もう1つの方法は
hibernate.cfg.xml
という名前のファイルで十分な設定を指定する方法です。このファイルは hibernate.properties
ファイルの代わりとなります。もし両方のファイルがあれば、プロパティが置き換えられます。
XML 設定ファイルはデフォルトでは
CLASSPATH
のルートにあることが前提となります。 例は次の通りです。
<?xml version='1.0' encoding='utf-8'?> <!DOCTYPE hibernate-configuration PUBLIC "-//Hibernate/Hibernate Configuration DTD//EN" "http://hibernate.sourceforge.net/hibernate-configuration-3.0.dtd"> <hibernate-configuration> <!-- a SessionFactory instance listed as /jndi/name --> <session-factory name="java:hibernate/SessionFactory"> <!-- properties --> <property name="connection.datasource">java:/comp/env/jdbc/MyDB</property> <property name="dialect">org.hibernate.dialect.MySQLDialect</property> <property name="show_sql">false</property> <property name="transaction.factory_class"> org.hibernate.transaction.JTATransactionFactory </property> <property name="jta.UserTransaction">java:comp/UserTransaction</property> <!-- mapping files --> <mapping resource="org/hibernate/auction/Item.hbm.xml"/> <mapping resource="org/hibernate/auction/Bid.hbm.xml"/> <!-- cache settings --> <class-cache class="org.hibernate.auction.Item" usage="read-write"/> <class-cache class="org.hibernate.auction.Bid" usage="read-only"/> <collection-cache collection="org.hibernate.auction.Item.bids" usage="read-write"/> </session-factory> </hibernate-configuration>
設定へのマッピングファイル名を外部化することがこの方法の利点となります。 Hibernate キャッシュの調整後は
hibernate.cfg.xml
もより便利になります。 hibernate.properties
か hibernate.cfg.xml
の使用を選択可能です。 前述の XML 構文を使用する利点以外は両者は同等となります。
XML 設定を使用すると、 Hibernate の起動は次の通り簡単です。
SessionFactory sf = new Configuration().configure().buildSessionFactory();
次を使用して異なる XML 設定を選択することもできます。
SessionFactory sf = new Configuration() .configure("catdb.cfg.xml") .buildSessionFactory();
4.8. J2EE アプリケーションサーバーとの統合
Hibernate は J2EE 構造と統合するポイントをサポートしています:
- コンテナ管理データソース: Hibernate は JNDI が提供し、 コンテナが管理する JDBC 接続を使用できます。通常、 JTA 対応の
TransactionManager
とResourceManager
がトランザクション管理 (CMT) がトランザクション管理を行い、 特に複数のデータソースにまたがる分散トランザクションを処理します。 プログラムを用いてトランザクション境界を指定することもできます (BMT)。 また、 コードの移植性を維持するためオプションの HibernateTransaction
API を使用することもできます。
- 自動 JNDI バインディング: Hibernate は JNDI が立ち上がった後に
SessionFactory
を生成します。
- JTA セッションバインディング: Hibernate
Session
は自動的に JTA トランザクションのスコープにバインドされることが可能です。SessionFactory
を JNDI からルックアップして、 現在のSession
を取得します。 JTA トランザクションが完了した際、 Hibernate がSession
をフラッシュし、 閉じます。 トランザクション境界は、 宣言的 (CMT) かプログラムの使用 (BMT/UserTransaction) になります。
- JMX デプロイメント: JMX が使用可能なアプリケーションサーバー (JBoss AS など)の場合、 Hibernate を MBean としてデプロイすることが可能です。 これにより
Configuration
からSessionFactory
をビルドする 1 行の起動コードが不要となります。 コンテナがHibernateService
を起動し、 サービスの依存関係 (Hibernate 起動前にデータソースが使用可能でなければならないなど) に対応します。
環境に依存しますが、アプリケーションサーバーが "connection containment" の例外を出す場合、設定のオプション
hibernate.connection.aggressive_release
を true にしてください。
4.8.1. トランザクション戦略設定
Hibernate
Session
API は、 アーキテクチャ内のトランザクション境界システムに依存しません。 Hibernate が接続プールより直接 JDBC を使用するようにすると、 JDBC API を呼び出してトランザクションを開始および終了することができます。 J2EE アプリケーションサーバーで動作させる場合、 Bean 管理のトランザクションを使用し、 必要に応じて JTA API と UserTransaction
を呼び出すことになるでしょう。
これら 2 つ (およびそれ以外) の環境でコードの移植性を維持するには、 基盤となるシステムをラッピングして隠すオプションの Hibernate
Transaction
API を推奨します。 Hibernate 設定プロパティの hibernate.transaction.factory_class
を設定して Transaction
インスタンスのファクトリクラスを指定する必要があります。
3 つの標準 (またはビルトイン) を選択できます。
org.hibernate.transaction.JDBCTransactionFactory
- データベース (JDBC) トランザクションに委譲します(デフォルト)
org.hibernate.transaction.JTATransactionFactory
- このコンテキスト (EJB セッション Bean メソッドなど) で既存のトランザクションが進行中である場合にコンテナ管理トランザクションへ委譲します。 そうでない場合は、 新しいトランザクションが開始され、 Bean 管理トランザクションが使用されます。
org.hibernate.transaction.CMTTransactionFactory
- コンテナ管理 JTA トランザクションに委譲します
独自のトランザクション戦略 (CORBA トランザクションサービス向けなど) を定義することもできます。
Hibernate の機能の一部 (2 次キャッシュ、 JTA によるコンテキストセッションなど) は、 管理された環境の JTA
TransactionManager
へアクセスする必要があります。 アプリケーションサーバーでは、 J2EE は 1 つのメカニズムに標準化しないため、 Hibernate がTransactionManager
への参照を取得する方法を指定する必要があります。
Transaction Factory | Application Server |
---|---|
org.hibernate.transaction. JBossTransactionManagerLookup | JBoss |
org.hibernate.transaction. WeblogicTransactionManagerLookup | Weblogic |
org.hibernate.transaction. WebSphereTransactionManagerLookup | WebSphere |
org.hibernate.transaction. WebSphereExtendedJTATransactionLookup | WebSphere 6 |
org.hibernate.transaction. OrionTransactionManagerLookup | Orion |
org.hibernate.transaction. ResinTransactionManagerLookup | Resin |
org.hibernate.transaction. JOTMTransactionManagerLookup | JOTM |
org.hibernate.transaction. JOnASTransactionManagerLookup | JOnAS |
org.hibernate.transaction. JRun4TransactionManagerLookup | JRun4 |
org.hibernate.transaction. BESTransactionManagerLookup | Borland ES |
4.8.2. JNDI にバインドされた SessionFactory
JNDI にバインドされた Hibernate
SessionFactory
はファクトリのルックアップと新しい Session
の作成を簡単にします。 JNDI にバインドされた Datasource
には関連していませんが、 両方とも同じレジストリを使用します。
SessionFactory
を JNDI 名前空間にバインドしたい場合は、 hibernate.session_factory_name
プロパティを使用して名前 (java:hibernate/SessionFactory
など) を指定します。 このプロパティを省略すると、 SessionFactory
は JNDI にバインドされません。 これは、 読み取り専用の JNDI のデフォルト実装を持つ環境 (Tomcat 内など) で特に便利です。
SessionFactory
を JNDI に登録するとき、 Hibernate は hibernate.jndi.url
の値を使用し、hibernate.jndi.class
をイニシャルコンテキストとして具体化します。何も設定しない場合は、デフォルトの InitialContext
を使用します。
cfg.buildSessionFactory()
を呼び出した後、 Hibernate は自動的に SessionFactory
を JNDI に配置します。 これは、 HibernateService
で JMX デプロイメントを使用しない限り、 この呼び出しがアプリケーションの起動コードかユーティリティクラスに存在することを意味します。
JNDI の
SessionFactory
や EJB、 他のクラスを使用する場合、 JNDI ルックアップを使用して SessionFactory
を取得することができます。
管理された環境では
SessionFactory
を JNDI にバインドし、 管理されていない環境では static
シングルトンを使用することが推奨されます。 また、 これらの詳細からアプリケーションコードを保護するため、 HibernateUtil.getSessionFactory()
など、 ヘルパークラスの SessionFactory
に対する実際のルックアップコードを非表示にすることが推奨されます。 このようなクラスは Hibernate の起動にも便利です。 詳細は第 1 章を参照してください。
4.8.3. JTA による現在のセッションコンテキストマネージメント
Hibernate の自動「現在」
Session
管理を使用すると、 最も簡単に Session
とトランザクションを処理することができます。 コンテキストセッションの説明は 「コンテキストのセッション」 を参照してください。 現在の JTA トランザクションに関連する Hibernate Session
がない場合に "jta"
セッションコンテキストを使用すると、 最初に sessionFactory.getCurrentSession()
を呼び出した時に Hibernate Session
が開始され、 JTA トランザクションに関連付けられます。 "jta"
コンテキストの getCurrentSession()
より読み出された Session
は、 トランザクションが完了する前に自動的にフラッシュし、 トランザクション完了後に閉じるよう設定されます。 また、 各ステートメントの後に積極的に JDBC 接続を開放するよう設定されます。 これにより、 関連する JTA トランザクションのライフサイクルによって Session
が管理され、 ユーザーコードに管理に関する懸念が残らないようにします。 コードは UserTransaction
よりプログラムを用いて JTA を使用するか、 Hibernate Transaction
API を使用してトランザクション境界を設定することができます (移植可能なコードの場合は、 Hibernate Transaction
API を使用してトランザクション境界を設定することが推奨されます)。 EJB コンテナ内で実行する場合は、 CMT による宣言的なトランザクション境界が推奨されます。
4.8.4. JMX デプロイメント
JNDI が
SessionFactory
を取得するには cfg.buildSessionFactory()
行を実行する必要があります。 これには、 static
初期化子ブロック内 (HibernateUtil
内のものなど) で行うか、 Hibernate を管理対象サービスとしてデプロイします。
Hibernate には、 JBoss AS など JMX 機能を持つアプリケーションサーバー上でのデプロイメント向けに、
org.hibernate.jmx.HibernateService
が含まれています。 実際のデプロイメントや設定はベンダー固有となります 。JBoss 4.0.x 向けの jboss-service.xml
の例は次のようになります。
<?xml version="1.0"?> <server> <mbean code="org.hibernate.jmx.HibernateService" name="jboss.jca:service=HibernateFactory,name=HibernateFactory"> <!-- Required services --> <depends>jboss.jca:service=RARDeployer</depends> <depends>jboss.jca:service=LocalTxCM,name=HsqlDS</depends> <!-- Bind the Hibernate service to JNDI --> <attribute name="JndiName">java:/hibernate/SessionFactory</attribute> <!-- Datasource settings --> <attribute name="Datasource">java:HsqlDS</attribute> <attribute name="Dialect">org.hibernate.dialect.HSQLDialect</attribute> <!-- Transaction integration --> <attribute name="TransactionStrategy"> org.hibernate.transaction.JTATransactionFactory</attribute> <attribute name="TransactionManagerLookupStrategy"> org.hibernate.transaction.JBossTransactionManagerLookup</attribute> <attribute name="FlushBeforeCompletionEnabled">true</attribute> <attribute name="AutoCloseSessionEnabled">true</attribute> <!-- Fetching options --> <attribute name="MaximumFetchDepth">5</attribute> <!-- Second-level caching --> <attribute name="SecondLevelCacheEnabled">true</attribute> <attribute name="CacheProviderClass">org.hibernate.cache.EhCacheProvider</attribute> <attribute name="QueryCacheEnabled">true</attribute> <!-- Logging --> <attribute name="ShowSqlEnabled">true</attribute> <!-- Mapping files --> <attribute name="MapResources">auction/Item.hbm.xml,auction/Category.hbm.xml</attribute> </mbean> </server>
このファイルは
META-INF
ディレクトリにデプロイされ、 .sar
拡張子 (サービスアーカイブ) を持つ JAR ファイルにパッケージ化されます。 また、 Hibernate、 Hibernate が必要とするサードパーティーライブラリ、 コンパイルされた永続クラス、 マッピングファイルを同じアーカイブにパッケージ化する必要があります。 エンタープライズ Bean (通常はセッション Bean) は独自の JAR ファイルに保持することができますが、 この EJB JAR ファイルをメインサービスアーカイブに追加し、 単一の (ホット) デプロイ可能ユニットにすることができます。 JMX サービスや EJB デプロイメントに関する詳細は JBoss AS のドキュメントを参照してください。
第5章 永続クラス
永続クラスはビジネス上の問題のエンティティ (E コマースアプリケーションの顧客や注文など) を実装するアプリケーションのクラスです。 永続クラスのすべてのインスタンスが永続ステートであるわけではありません。 例えば、 インスタンスは一時的 (transient) であったり分離 (detached) 状態であることがあります。
これらのクラスが、 POJO (Plain Old Java Object) プログラミングモデルとしても知られる単純なルールに従うと、 Hibernate は最良の状態で動作します。 しかし、 これらのルールは難しいものではありません。 実際、 Hibernate3 は永続オブジェクトの性質に関する前提をほとんど持っていません。 ドメインモデルを他の方法で表現することもできます (
Map
インスタンスのツリーを使用するなど)。
5.1. 単純な POJO の例
多くの Java アプリケーションにはネコ科の動物を表現する永続クラスが必要となります。 例は次の通りです。
package eg; import java.util.Set; import java.util.Date; public class Cat { private Long id; // identifier private Date birthdate; private Color color; private char sex; private float weight; private int litterId; private Cat mother; private Set kittens = new HashSet(); private void setId(Long id) { this.id=id; } public Long getId() { return id; } void setBirthdate(Date date) { birthdate = date; } public Date getBirthdate() { return birthdate; } void setWeight(float weight) { this.weight = weight; } public float getWeight() { return weight; } public Color getColor() { return color; } void setColor(Color color) { this.color = color; } void setSex(char sex) { this.sex=sex; } public char getSex() { return sex; } void setLitterId(int id) { this.litterId = id; } public int getLitterId() { return litterId; } void setMother(Cat mother) { this.mother = mother; } public Cat getMother() { return mother; } void setKittens(Set kittens) { this.kittens = kittens; } public Set getKittens() { return kittens; } // addKitten not needed by Hibernate public void addKitten(Cat kitten) { kitten.setMother(this); kitten.setLitterId( kittens.size() ); kittens.add(kitten); } }
永続クラスの主な 4 つのルールは以降の項で詳細に説明します。
5.1.1. 引数のないコンストラクタの実装
Cat
には引数のないコンストラクタがあります。 Hibernate が Constructor.newInstance()
を使って永続クラスのインスタンス化を行えるように、 すべての永続クラスにはデフォルトコンストラクタ (public 以外でも問題ありません) がなければなりません。 Hibernate のランタイムプロキシ生成に対し、 少なくとも package の可視性を持つデフォルトコンストラクタが推奨されます。
5.1.2. 識別子プロパティの用意(オプション)
Cat
には id
というプロパティがあります。 このプロパティはデータベーステーブルの主キー列へマッピングします。 このプロパティの名前は何でも構いませんし、 型はどのようなプリミティブ型でも、 プリミティブの「ラッパー」型でも、 java.lang.String
や java.util.Date
でも構いません。レガシーデータベーステーブルに複合キーがある場合、 これらの型のプロパティを持つユーザー定義のクラスを使用できます (本章の後に出てくる複合識別子の項を参照してください)。
識別子プロパティは厳密にはオプションです。これを省略して、 Hibernate に内部的にオブジェクトの識別子を追跡させることは可能です。しかしお勧めはしません。
実際に、 一部の機能は識別子プロパティを宣言するクラスだけが利用できます。
- 分離オブジェクトの推移的な再追加 (カスケード更新やカスケードマージ) については、 「連鎖的な永続化」 を参照してください。
Session.saveOrUpdate()
Session.merge()
永続クラスには、 一貫した名前の識別子プロパティを宣言し、 null 値を取れる (プリミティブでない) 型を使用することが推奨されます。
5.1.3. final クラス以外を選択(オプション)
Hibernate の中心的な特徴である プロキシ は、永続クラスが final でないこと、またはメソッドを全部 public で宣言しているインターフェースが実装されているかに依存しています。
Hibernate でインターフェースを実装しない
final
クラスを永続化することはできますが、 遅延 (lazy) 関連フェッチに対してプロキシを使用できないため、 パフォーマンスチューニングのオプションが制限されます。
また、 final ではないクラスで
public final
メソッドを宣言しないようにしてください。 public final
メソッドでクラスを使用した場合は、 lazy="false"
と設定し、 明示的にプロキシを無効にしなければなりません。
5.1.4. 永続フィールドに対するアクセサとミューテータを定義(オプション)
Cat
はすべての永続フィールドに対してアクセサメソッドを宣言します。 他にも多くの ORM ツールが直接インスタンス変数を永続化します。 リレーショナルスキーマとクラスの内部データ構造間で間接化を提供した方がよいでしょう。 デフォルトでは、 Hibernate は JavaBean スタイルのプロパティを永続化し、 getFoo
、 isFoo
、 setFoo
形式のメソッド名を認識します。 必要な場合、 特定のプロパティに対して直接フィールドアクセスへの切り替えが可能です。
プロパティは public で宣言する必要は ありません 。 Hibernate はデフォルトで、
protected
もしくは private
の get / set のペアを持つプロパティを永続化することができます。
5.2. 継承の実装
サブクラスも 1、 2 番目のルールを守らなければなりません。 サブクラスはスーパークラス
Cat
より識別子プロパティを継承します。 例は次の通りです。
package eg; public class DomesticCat extends Cat { private String name; public String getName() { return name; } protected void setName(String name) { this.name=name; } }
5.3. equals()
と hashCode()
の実装
以下の場合、
equals()
メソッドと hashCode()
メソッドをオーバーライドしなければなりません。
- 永続クラスのインスタンスを
Set
に置く場合 (多値関連を表すのに推奨される方法です)。 同時に - 分離インスタンスをセッションへ再追加する場合。
Hibernate は、永続 ID (データベースの行) と、 特定のセッション範囲内の Java ID のみ等価性を保証します。 異なるセッションで読み出されたインスタンスを混合する場合、
Set
に意味のあるセマンティクスを持たせるためには equals()
と hashCode()
を実装しなければなりません。
両方のオブジェクトの識別子値を比較して
equals()
/hashCode()
を実装する方法が最も明白な方法です。値が同じ場合、 両方が同じデータベース行になります。 両方が Set
に追加されると、 Set
には 1 つの要素のみが存在することになります。残念ながらこの方法は生成された識別子には使用できません。 Hibernate は永続化されたオブジェクトへのみ識別子の値を割り当てます。 新たに作成されたインスタンスには識別子の値がありません。また、 インスタンスが保存されていない状態で現在 Set
にある場合、 保存するとオブジェクトに識別子の値が割り当てられます。 equals()
と hashCode()
が識別子の値を基にしている場合、 ハッシュコードが変更になり Set
のコントラクトに違反することがあります。 この問題の詳細については、 Hibernate の Web サイトを参照してください。これは Hibernate の問題ではなく、オブジェクト識別と等価といった通常の Java セマンティックの問題になります。
ビジネスキーの等価性 を使用して、
equals()
と hashCode()
を実装することが推奨されます。 ビジネスキーの等価性とは、 equals()
メソッドがビジネスキーを構成するプロパティのみを比較することを意味します。 現実のインスタンスを識別するキーになります (自然な候補キー)。
public class Cat { ... public boolean equals(Object other) { if (this == other) return true; if ( !(other instanceof Cat) ) return false; final Cat cat = (Cat) other; if ( !cat.getLitterId().equals( getLitterId() ) ) return false; if ( !cat.getMother().equals( getMother() ) ) return false; return true; } public int hashCode() { int result; result = getMother().hashCode(); result = 29 * result + getLitterId(); return result; } }
ビジネスキーはデータベースの主キー候補ほど安定性は必要ありません (「オブジェクト識別子の考察」 を参照してください)。 通常、 不変のプロパティや固有のプロパティがビジネスキーに適切な候補となります。
5.4. 動的モデル
注記
以下の機能は現在実験段階にあり、 近い将来変更される可能性があります。
必ずしも永続エンティティを実行時に POJO クラスや JavaBean オブジェクトとして表現する必要はありません。 Hibernate は動的モデル (実行時に
Map
の Map
を使用) や DOM4J ツリーとしてのエンティティの表現もサポートしています。 この方法では、 永続クラスを記述せず、 マッピングファイルのみを記述します。
デフォルトでは、 Hibernate は通常の POJO モードで動作します。
default_entity_mode
設定オプションを用いて、 特定の SessionFactory
に対するデフォルトのエンティティ表現モードを設定することができます (表4.3「Hibernate 設定プロパティ」 を参照してください)。
次の例は
Map
を用いた表現になります。 最初に、 クラス名の代わりに (またはクラス名に加えて)、 マッピングファイルで entity-name
を宣言する必要があります。
<hibernate-mapping> <class entity-name="Customer"> <id name="id" type="long" column="ID"> <generator class="sequence"/> </id> <property name="name" column="NAME" type="string"/> <property name="address" column="ADDRESS" type="string"/> <many-to-one name="organization" column="ORGANIZATION_ID" class="Organization"/> <bag name="orders" inverse="true" lazy="false" cascade="all"> <key column="CUSTOMER_ID"/> <one-to-many class="Order"/> </bag> </class> </hibernate-mapping>
ターゲットのクラス名を使用して関連が宣言されても、 関連のターゲット型も POJO ではなく動的なエンティティにすることができます。
SessionFactory
のデフォルトのエンティティモードを dynamic-map
に設定した後、実行時に Map
の Map
を使用することができます。
Session s = openSession(); Transaction tx = s.beginTransaction(); // Create a customer Map david = new HashMap(); david.put("name", "David"); // Create an organization Map foobar = new HashMap(); foobar.put("name", "Foobar Inc."); // Link both david.put("organization", foobar); // Save both s.save("Customer", david); s.save("Organization", foobar); tx.commit(); s.close();
動的マッピングの主な利点の1つとして、エンティティクラスの実装を必要としないにも拘らず、プロトタイピングのターンアラウンドタイム(TAT)が短い点が挙げられます。しかし、 コンパイル時の型チェックがないため、 実行時に多くの例外に対処することになります。 Hibernate マッピングの結果、 データベーススキーマが容易に正規化されるため、 後で適切なドメインモデル実装を追加することが可能になります。
エンティティ表現モードは
Session
ごとに設定することも可能です。
Session dynamicSession = pojoSession.getSession(EntityMode.MAP); // Create a customer Map david = new HashMap(); david.put("name", "David"); dynamicSession.save("Customer", david); ... dynamicSession.flush(); dynamicSession.close(); ... // Continue on pojoSession
EntityMode
を使った getSession()
の呼び出しは SessionFactory
ではなく Session
API 上であることに注意してください。 これにより、 新しい Session
は基盤となる JDBC 接続やトランザクション、 その他のコンテキスト情報を共有します。 そのため、 セカンダリ Session
上で flush()
や close()
を呼び出す必要がなく、 トランザクションや接続の処理をプライマリの作業単位に委ねることができます。
XML 表現の能力についての詳細は 19章XML マッピング を参照してください。
5.5. Tuplizer
org.hibernate.tuple.Tuplizer
とそのサブインターフェースは、 表現の org.hibernate.EntityMode
に提供されたデータの特定の表現を管理します。 提供されたデータがデータ構造として考慮される場合、 Tuplizer はこのようなデータ構造を作成する方法や、 このようなデータ構造から値を抽出したり挿入する方法を認識します。 例えば、 POJO エンティティモードでは、 対応する Tuplizer はコンストラクタより POJO を作成する方法を認識します。 また、 定義されたプロパティアクセッサを使用して POJO プロパティにアクセスする方法も認識します。
org.hibernate.tuple.entity.EntityTuplizer
インターフェースと org.hibernate.tuple.component.ComponentTuplizer
インターフェースによって表現される 2 つのハイレベル型の Tuplizer があります。 EntityTuplizer
はエンティティに関する前述のコントラクトを管理し、 ComponentTuplizer
はコンポーネントに関する前述のコントラクトを管理します。
ユーザーは独自の Tuplizer を使用することもできます。 動的マップのエンティティモードの場合、
java.util.HashMap
ではなく java.util.Map
の実装が必要となることがあるでしょう。または、 デフォルトで使用されるプロキシ生成戦略ではなく、 他の戦略を定義する必要な場合もあるでしょう。 カスタムの Tuplizer を定義すると、 このような状況に対処することができます。Tuplizer の定義は管理するエンティティやコンポーネントのマッピングに結び付けられます。 顧客エンティティの例をもう一度見てみましょう。
<hibernate-mapping> <class entity-name="Customer"> <!-- Override the dynamic-map entity-mode tuplizer for the customer entity --> <tuplizer entity-mode="dynamic-map" class="CustomMapTuplizerImpl"/> <id name="id" type="long" column="ID"> <generator class="sequence"/> </id> <!-- other properties --> ... </class> </hibernate-mapping> public class CustomMapTuplizerImpl extends org.hibernate.tuple.entity.DynamicMapEntityTuplizer { // override the buildInstantiator() method to plug in our custom map... protected final Instantiator buildInstantiator( org.hibernate.mapping.PersistentClass mappingInfo) { return new CustomMapInstantiator( mappingInfo ); } private static final class CustomMapInstantiator extends org.hibernate.tuple.DynamicMapInstantitor { // override the generateMap() method to return our custom map... protected final Map generateMap() { return new CustomMap(); } } }
5.6. EntityNameResolvers
org.hibernate.EntityNameResolver
インターフェースはエンティティインスタンスのエンティティ名を解決するためのコントラクトです。 このインターフェースは、 単一のメソッドである resolveEntityName
を定義します。 resolveEntityName
はエンティティインスタンスへ渡され、 適切なエンティティ名を返すはずです (null 値を使用できますが、 null はリゾルバがエンティティインスタンスのエンティティ名を解決する方法を認識しないことを意味します)。 通常、 動的モデルでは org.hibernate.EntityNameResolver
が最も便利です。 プロキシされたインターフェースをドメインモデルとして使用するのが 1 つの例です。 Hibernate のテストスイートの org.hibernate.test.dynamicentity.tuplizer2 にこの使用例があります。 このパッケージにあるコードの一部は次の通りです。
/** * A very trivial JDK Proxy InvocationHandler implementation where we proxy an interface as * the domain model and simply store persistent state in an internal Map. This is an extremely * trivial example meant only for illustration. */ public final class DataProxyHandler implements InvocationHandler { private String entityName; private HashMap data = new HashMap(); public DataProxyHandler(String entityName, Serializable id) { this.entityName = entityName; data.put( "Id", id ); } public Object invoke(Object proxy, Method method, Object[] args) throws Throwable { String methodName = method.getName(); if ( methodName.startsWith( "set" ) ) { String propertyName = methodName.substring( 3 ); data.put( propertyName, args[0] ); } else if ( methodName.startsWith( "get" ) ) { String propertyName = methodName.substring( 3 ); return data.get( propertyName ); } else if ( "toString".equals( methodName ) ) { return entityName + "#" + data.get( "Id" ); } else if ( "hashCode".equals( methodName ) ) { return new Integer( this.hashCode() ); } return null; } public String getEntityName() { return entityName; } public HashMap getData() { return data; } } /** * */ public class ProxyHelper { public static String extractEntityName(Object object) { // Our custom java.lang.reflect.Proxy instances actually bundle // their appropriate entity name, so we simply extract it from there // if this represents one of our proxies; otherwise, we return null if ( Proxy.isProxyClass( object.getClass() ) ) { InvocationHandler handler = Proxy.getInvocationHandler( object ); if ( DataProxyHandler.class.isAssignableFrom( handler.getClass() ) ) { DataProxyHandler myHandler = ( DataProxyHandler ) handler; return myHandler.getEntityName(); } } return null; } // various other utility methods .... } /** * The EntityNameResolver implementation. * IMPL NOTE : An EntityNameResolver really defines a strategy for how entity names should be * resolved. Since this particular impl can handle resolution for all of our entities we want to * take advantage of the fact that SessionFactoryImpl keeps these in a Set so that we only ever * have one instance registered. Why? Well, when it comes time to resolve an entity name, * Hibernate must iterate over all the registered resolvers. So keeping that number down * helps that process be as speedy as possible. Hence the equals and hashCode impls */ public class MyEntityNameResolver implements EntityNameResolver { public static final MyEntityNameResolver INSTANCE = new MyEntityNameResolver(); public String resolveEntityName(Object entity) { return ProxyHelper.extractEntityName( entity ); } public boolean equals(Object obj) { return getClass().equals( obj.getClass() ); } public int hashCode() { return getClass().hashCode(); } } public class MyEntityTuplizer extends PojoEntityTuplizer { public MyEntityTuplizer(EntityMetamodel entityMetamodel, PersistentClass mappedEntity) { super( entityMetamodel, mappedEntity ); } public EntityNameResolver[] getEntityNameResolvers() { return new EntityNameResolver[] { MyEntityNameResolver.INSTANCE }; } public String determineConcreteSubclassEntityName(Object entityInstance, SessionFactoryImplementor factory) { String entityName = ProxyHelper.extractEntityName( entityInstance ); if ( entityName == null ) { entityName = super.determineConcreteSubclassEntityName( entityInstance, factory ); } return entityName; } ... }
org.hibernate.EntityNameResolver
を登録するには、 ユーザーは次のいずれかを実行しなければなりません。
getEntityNameResolvers
メソッドを実装するカスタムの 「Tuplizer」 を実装します。registerEntityNameResolver
メソッドを使用し、org.hibernate.impl.SessionFactoryImpl
(org.hibernate.SessionFactory
の実装クラス) を用いて登録します。
第6章 基本的な O/R マッピング
6.1. マッピング宣言
オブジェクト/リレーショナルマッピングは通常 XML ドキュメントで定義します。マッピングドキュメントは、読みやすく手作業で編集しやすいようにデザインされています。マッピング言語は Java 中心、つまりテーブル宣言ではなく永続クラスの宣言に基づいて構築されています。
多くの Hibernate ユーザーは XML マッピングの記述を手作業で行いますが、XDoclet、Middlegen、AndroMDA など、マッピングドキュメントの生成ツールも多数存在することを覚えておいてください。
マッピング例から始めましょう:
<?xml version="1.0"?> <!DOCTYPE hibernate-mapping PUBLIC "-//Hibernate/Hibernate Mapping DTD 3.0//EN" "http://hibernate.sourceforge.net/hibernate-mapping-3.0.dtd"> <hibernate-mapping package="eg"> <class name="Cat" table="cats" discriminator-value="C"> <id name="id"> <generator class="native"/> </id> <discriminator column="subclass" type="character"/> <property name="weight"/> <property name="birthdate" type="date" not-null="true" update="false"/> <property name="color" type="eg.types.ColorUserType" not-null="true" update="false"/> <property name="sex" not-null="true" update="false"/> <property name="litterId" column="litterId" update="false"/> <many-to-one name="mother" column="mother_id" update="false"/> <set name="kittens" inverse="true" order-by="litter_id"> <key column="mother_id"/> <one-to-many class="Cat"/> </set> <subclass name="DomesticCat" discriminator-value="D"> <property name="name" type="string"/> </subclass> </class> <class name="Dog"> <!-- mapping for Dog could go here --> </class> </hibernate-mapping>
マッピングドキュメントの内容を説明します。ただし、ここでは Hibernate が実行時に使うドキュメント要素と属性についてのみ説明します。マッピングドキュメントは、いくつかの追加のオプション属性と要素を含んでいます(例えば
not-null
属性)。それらはスキーマエクスポートツールが出力するデータベーススキーマに影響を与えるものです。
6.1.1. Doctype
XML マッピングのすべてにおいて、提示したようなドキュメント型を宣言すべきです。実際の DTD は、上記の URL の
hibernate-x.x.x/src/org/hibernate
ディレクトリ、または hibernate.jar
内にあります。まずHibernate は常に、そのクラスパス内で DTD を探し始めます。インターネット接続を利用して DTD ファイルを探す場合、クラスパスの内容を見て、DTD 宣言を確認してください。
6.1.1.1. エンティティリゾルバ
前述したように、Hibernate はまずクラスパス内で DTD を解決しようとします。
org.xml.sax.EntityResolver
のカスタム実装を XML ファイルを読み込むための SAXReader に登録することによって、DTD を解決します。このカスタムの EntityResolver
は2つの異なるシステムIDの名前空間を認識します。
hibernate namespace
は、リゾルバがhttp://hibernate.sourceforge.net/
で始まるシステム ID に到達したときに認識されます。そしてリゾルバは、Hibernate のクラスをロードしたクラスローダを用いて、これらのエンティティを解決しようとします。user namespace
は、リゾルバが URL プロトコルのclasspath://
を使ったシステム ID に遭遇したときに、認識されます。そしてこのリゾルバは、(1) カレントスレッドのコンテキストクラスローダー、または (2) Hibernate のクラスをロードしたクラスローダを使って、これらのエンティティを解決しようとします。
下記は、ユーザー名前空間の使用例です:
<?xml version="1.0"?> <!DOCTYPE hibernate-mapping PUBLIC "-//Hibernate/Hibernate Mapping DTD 3.0//EN" "http://hibernate.sourceforge.net/hibernate-mapping-3.0.dtd" [ <!ENTITY types SYSTEM "classpath://your/domain/types.xml"> ]> <hibernate-mapping package="your.domain"> <class name="MyEntity"> <id name="id" type="my-custom-id-type"> ... </id> <class> &types; </hibernate-mapping>
6.1.2. Hibernate-mapping
この要素にはいくつかオプション属性があります。
schema
属性と catalog
属性は、このマッピングで参照するテーブルが、指定のスキーマと(または)カタログに属することを特定します。この属性が指定されると、テーブル名は与えられたスキーマ名とカタログ名で修飾されます。これらの属性が指定されていなければ、テーブル名は修飾されません。default-cascade
属性は、cascade
属性を指定していないプロパティやコレクションに、どのカスケードスタイルを割り当てるかを指定します。auto-import
属性は、クエリ言語内で非修飾のクラス名を、デフォルトで使えるようにします。
<hibernate-mapping schema="schemaName"catalog="catalogName"
default-cascade="cascade_style"
default-access="field|property|ClassName"
default-lazy="true|false"
auto-import="true|false"
package="package.name"
/>
schema (オプション):データベーススキーマの名前。
| |
catalog (オプション):データベースカタログの名前。
| |
default-cascade (オプション - デフォルトは none ):デフォルトのカスケードスタイル。
| |
default-access (オプション - デフォルトは property ):Hibernate が全プロパティにアクセスする際に取るべき戦略。PropertyAccessor のカスタム実装の場合もある。
| |
default-lazy (オプション - デフォルトは true ):lazy 属性が指定されていないクラスやコレクションマッピングに対するデフォルト値。
| |
auto-import (オプション - デフォルトは true ):クエリ言語にて、このマッピング内のクラスにある非修飾のクラス名を使えるかどうかを指定します。
| |
package (オプション): マッピングドキュメント内で非修飾のクラス名に対して使用する、パッケージの接頭辞 (prefix) を指定します。
|
同じ非修飾名を持つ永続クラスが2つある場合、
auto-import="false"
を設定すべきです。2つのクラスに同じ「インポート」名を割り当てようとすると、Hibernate は例外を送出します。
hibernate-mapping
要素は、前述のようにいくつかの永続 <class>
マッピングをネストできます。しかし、1つのマッピングファイルにただひとつの永続クラス、またはひとつのクラス階層にマッピングし、さらに永続スーパークラスの後に指定するようにします(ツールによってはこのようなマッピングファイルを想定しています)。例: Cat.hbm.xml
, Dog.hbm.xml
, または継承を使う場合 Animal.hbm.xml
。
6.1.3. Class
class
要素を使って、永続クラスを宣言できます。例えば、
<class name="ClassName"table="tableName"
discriminator-value="discriminator_value"
mutable="true|false"
schema="owner"
catalog="catalog"
proxy="ProxyInterface"
dynamic-update="true|false"
dynamic-insert="true|false"
select-before-update="true|false"
polymorphism="implicit|explicit"
where="arbitrary sql where condition"
persister="PersisterClass"
batch-size="N"
optimistic-lock="none|version|dirty|all"
lazy="true|false"
entity-name="EntityName"
check="arbitrary sql check condition"
rowid="rowid"
subselect="SQL expression"
abstract="true|false"
node="element-name" />
name (オプション):永続クラスまたはインターフェースの完全修飾 Java クラス名。この属性が抜けている場合、POJO 以外のエンティティに対するマッピングとして扱われます。
| |
table (オプション - デフォルトは非修飾クラス名):データベーステーブルの名前
| |
discriminator-value (オプション - デフォルトはクラス名): ポリモーフィックな動作に使われる個々のサブクラスを識別するための値。値は null か not null のいずれかを取ります。
| |
mutable (オプション、デフォルトは true ):そのクラスのインスタンスが更新可能(または不可能)であることを指定します。
| |
schema (オプション): ルートの <hibernate-mapping> 要素で指定したスキーマ名をオーバーライドします。
| |
catalog (オプション): ルートの <hibernate-mapping> 要素で指定したカタログ名をオーバーライドします。
| |
proxy (オプション):lazyな初期化プロキシに使うインターフェースを指定します。クラス名そのものを指定することも可能です。
| |
dynamic-update (オプション - デフォルトは false ):UPDATE SQLを実行時に生成すべき点、また値を変更したカラムしか含むことができない点を指定します。
| |
dynamic-insert (オプション, デフォルトは false ):INSERT SQLを実行時に生成し、値が null ではないカラムだけを含むべきであると指定します。
| |
select-before-update (オプション、デフォルトは false ): 実際にオブジェクトが変更されたか確実でない場合 Hibernate が SQL の UPDATE を 決して実行しない ことを指定します。一時オブジェクトが update() を使い、新しいセッションと関連付けられた時だけ、UPDATE が実際に必要かどうかを決定するために、 Hibernate が余分な SQL の SELECT を実行します。
| |
polymorphism (オプション、デフォルトでは implicit ): 暗黙か明示の、どちらのクエリポリモーフィズムを使うか決定します。
| |
where (オプション): このクラスのオブジェクトを検索するときに使用する、任意の SQL の WHERE 条件を指定します。
| |
persister (オプション):カスタム ClassPersister を指定します。
| |
batch-size (オプション、デフォルトは 1 ):識別子でこのクラスのインスタンスをフェッチするときの「バッチサイズ」を指定します。
| |
optimistic-lock (オプション、デフォルトは version ): 楽観的ロック戦略を決定します。
| |
(16) | lazy (オプション): lazy="false" と設定することで、遅延フェッチを無効にできます。
|
(17) | entity-name (オプション、デフォルトはクラス名):Hibernate3 ではクラスが複数回マッピングでき(場合によっては違うテーブルに対しても)、Java レベルで Map や XML で表現されるエンティティマッピングも可能です。これらの場合、エンティティに対して任意の名前を、明示的に付けなくてはなりません。 詳しくは 「動的モデル」 と 19章XML マッピング を参照してください。
|
(18) | check (オプション):自動的にスキーマを生成するために、複数行の check 制約を生成するのに利用する SQL 式。
|
(19) | rowid (オプション):Hibernate はデータベース上でROWIDを利用可能です。例えば、Oracle であれば、このオプションに rowid を設定すると、 Hiberante は rowid の余分なカラムを使うことで更新を高速化することができます。ROWID は実装の詳細で、保存されたタプルの物理的な場所を表しています。
|
(20) | subselect (オプション):不変かつ読み取り専用であるエンティティをデータベースの副問合せ(subselect)にマッピングします。ベースのテーブルの代わりにビューを持ちたい場合は有用です。より詳しい情報は下記を参照してください。
|
(21) | abstract (オプション): <union-subclass> 階層内の抽象スーパークラスをマークするために使います。
|
指定の永続クラスがインターフェースであっても問題ありません。そのときは
<subclass>
要素を使って、そのインターフェースを実装するクラスを宣言してください。static な内部クラスでも永続化できます。 eg.Foo$Bar
といった標準形式を使ってクラス名を指定してください。
不変クラス
mutable="false"
では、アプリケーションによる更新や削除が出来ないことがあります。これにより、 Hibernate がパフォーマンスを少し改善することができます。
オプションの
proxy
属性により、クラスの永続インスタンスの遅延初期化が可能になります。最初にHibernate は指定したインターフェースを実装する CGLIB プロキシを返します。この永続オブジェクトはプロキシのメソッドを呼び出すときにロードします。以下の「初期化コレクションとプロキシ」を参照してください。
暗黙的 ポリモーフィズムとは次の二つを意味しています。1つは、そのクラスのインスタンスが、スーパークラスや実装したインターフェース、またはクラスを指定するクエリーにより返されること、もう一つは、そのクラスのサブクラスのインスタンスがそのクラス自身を指定したクエリによって返されることです。また、 明示的 ポリモーフィズムとは、次の二つを意味しています。一つはクラスのインスタンスが、そのクラスを明示的に指定したクエリによってのみ返されることで、もう一つはクラスを指定したクエリが、
<class>
要素の中で <subclass>
や <joined-subclass>
とマッピングされているサブクラスのインスタンスだけを返すことです。ほとんどの用途ではデフォルトの polymorphism="implicit"
が適切です。明示的なポリモーフィズムは、2つの違ったクラスが同じテーブルにマッピングされているときに有用です これによってテーブルカラムのサブセットを含む、「軽量な」クラスが可能になります。
persister
属性により、クラスに使われる永続化戦略をカスタマイズできます。例えば org.hibernate.persister.EntityPersister
自身のサブクラスを指定したり、またストアドプロシージャコール、フラットファイルへシリアライズ、LDAP などを通した永続性を実装する org.hibernate.persister.ClassPersister
インターフェースの完全に新しい実装でさえも提供できます。Hashtable
の「永続化」に関する簡単な例に関しては org.hibernate.test.CustomPersister
を参照してください。
dynamic-update
と dynamic-insert
の設定はサブクラスに継承されません。そのため <subclass>
や <joined-subclass>
要素を指定することも出来ます。これらの設定はパフォーマンスを向上させる事もありますが、落とすこともありますので、慎重に使用してください。
select-before-update
を使用すると、通常パフォーマンスが落ちてしまいます。Session
へ分離インスタンスのグラフを再追加する場合にデータベース更新のトリガを不必要に呼び出さずに済む点で、非常に有用です。
dynamic-update
を有効にすれば、楽観ロック戦略を選ぶことになります:
version
:バージョン/タイムスタンプカラムをチェックします。all
:すべてのカラムをチェックします。dirty
:変更したカラムをチェックし、同時更新できるようにします。none
:楽観ロックを使用しません。
Hibernate で楽観的ロック戦略を使う場合、バージョン/タイムスタンプカラムを使うことを 強く お勧めします。この戦略はパフォーマンスの観点からも最適であり、さらに分離インスタンスへの修正 (つまり
Session.marge()
が使われるとき) を正確に処理します。
Hibernate のマッピングにとってビューと普通のテーブルの間に違いはなく、データベースレベルでは透過的です。ただし、更新のあるビューの場合など特に、正しくビューをサポートしていない DBMS もあります。ビューを使いたくても、データベースで作成できないことがあります(例えば、レガシースキーマの場合)。この場合には、不変かつ読み取り専用のエンティティに与えられた SQL の副問合せ文をマップできます:
<class name="Summary"> <subselect> select item.name, max(bid.amount), count(*) from item join bid on bid.item_id = item.id group by item.name </subselect> <synchronize table="item"/> <synchronize table="bid"/> <id name="name"/> ... </class>
テーブルをこのエンティティと同期するように宣言してください。オートフラッシュが確実に起こるように、また導出エンティティに対するクエリが古いデータを返さないようにするためです。
<subselect>
は属性とネストしたマッピング属性のどちらでも利用できます。
6.1.4. id
マップされたクラスはデータベーステーブルの主キーカラムを定義 しなければなりません。ほとんどのクラスにはインスタンスのユニークな識別子を保持する JavaBeans スタイルのプロパティも持っています。
<id>
要素は、そのプロパティから主キーカラムへのマッピングを定義します。
<id name="propertyName"type="typename"
column="column_name"
unsaved-value="null|any|none|undefined|id_value"
access="field|property|ClassName">
node="element-name|@attribute-name|element/@attribute|." <generator class="generatorClass"/> </id>
name (オプション):識別子プロパティの名前。
| |
type (オプション):Hibernate の型を示す名前。
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column (オプション - デフォルトはプロパティ名): 主キーカラムの名前。
| |
unsaved-value (オプション - デフォルト値は 「sensible」):インスタンスが新しくインスタンス化された (保存されていない)ことを示す、識別子プロパティの値。以前の Session で保存またはロードされた一時的インスタンスと区別するために使います。
| |
access (オプション - デフォルトは property ): Hibernate がプロパティの値にアクセスするために使用すべき戦略。
|
name
属性がない場合は、クラスには識別子プロパティがないものとみなされます。
unsaved-value
属性は Hibernate3 ではほとんどの場合、必要ではありません。
複合キーを持つレガシーデータにアクセスできるように、
<composite-id>
という代替の宣言があります。しかし他の用途としては全くお奨めできません。
6.1.4.1. ジェネレータ
オプションの
<generator>
子要素は、永続クラスのインスタンスのユニークな識別子を生成するために使う、 Java クラスを指定します。ジェネレータインスタンスの設定、もしくは初期化にパラメータが必要であれば、 <param>
要素を使って渡すことができます。
<id name="id" type="long" column="cat_id"> <generator class="org.hibernate.id.TableHiLoGenerator"> <param name="table">uid_table</param> <param name="column">next_hi_value_column</param> </generator> </id>
すべてのジェネレータは、
org.hibernate.id.IdentifierGenerator
インターフェースを実装します。これはとても単純なインターフェースなので、専用の実装を独自に用意するアプリケーションもあるかもしれません。しかし Hibernate は組み込みの実装をいくつも用意しています。組み込みのジェネレータには以下のショートカット名があります:
increment
long
,short
,int
型の識別子を生成します。これらは他のプロセスが同じテーブルにデータを挿入しないときだけユニークです。クラスタ内では使わないでください 。identity
- DB2, MySQL, MS SQL Server, Sybase, HypersonicSQL の識別子カラムをサポートします。返される識別子の型は
long
,short
,int
のいずれかです。 sequence
- DB2, PostgreSQL, Oracle, SAP DB, McKoi のシーケンスや、 Interbase のジェネレータを使用します。返される識別子の型は
long
,short
,int
のいずれかです。 hilo
long
,short
,int
型の識別子を効率的に生成する hi/lo アルゴリズムを使います。 hi 値のソースとして、テーブルとカラムを与えます(デフォルトではそれぞれhibernate_unique_key
とnext_hi
)。 hi/lo アルゴリズムは特定のデータベースに対してのみユニークな識別子を生成します。seqhilo
long
,short
,int
型の識別子を効率的に生成する hi/lo アルゴリズムを使います。指定されたデータベースシーケンスを与えます。uuid
- ( IP アドレスが使用される)ネットワーク内でユニークな文字列型の識別子を生成するために、 128 ビットの UUID アルゴリズムを使用します。UUID は長さ 32 の 16 進数字の文字列としてエンコードされます。
guid
- MS SQL サーバーと MySQL でデータベースが生成する GUID 文字列を使用します。
native
- 基盤となるデータベースの性能により
identity
、sequence
、hilo
のいずれかを選択します。 assigned
save()
が呼ばれる前に、アプリケーションがオブジェクトに識別子を割り当てられるようにします。<generator>
要素が指定されていなければ、これがデフォルトの戦略になります。select
- ユニークキーによる行の選択と主キーの値の取得により、データベーストリガが割り当てた主キーを取得します。
foreign
- 他の関連オブジェクトの識別子を使います。普通は、
<one-to-one>
主キー関連と組み合わせて使います。 sequence-identity
- 実際の値の生成のためにデータベースシーケンスを使用する特別なシーケンス生成戦略ですが、JDBC3 getGeneratedKeys と結びついて、INSERT 文の実行の一部として生成された識別子の値を返します。この戦略は JDK 1.4 を対象とする Oracle 10g のドライバのみでサポートされています。これらの INSERT 文でのコメントは Oracle のドライバのバグにより無効にされていることに注意してください。
6.1.4.2. Hi/lo アルゴリズム
hilo
と seqhilo
ジェネレータは、hi/lo アルゴリズムの2つの代替実装を提供します。1番目の実装は、次回に利用される「hi」値を保持する「特別な」データベーステーブルを必要とします。サポートされている場合、2番目の実装は、 Oracle スタイルのシーケンスを使います。
<id name="id" type="long" column="cat_id"> <generator class="hilo"> <param name="table">hi_value</param> <param name="column">next_value</param> <param name="max_lo">100</param> </generator> </id>
<id name="id" type="long" column="cat_id"> <generator class="seqhilo"> <param name="sequence">hi_value</param> <param name="max_lo">100</param> </generator> </id>
残念ながら Hibernate へ独自の
Connection
を提供するときには、 hilo
を使えません。Hibernate が JTA でリストされている接続を取得するためにアプリケーションサーバーのデータソースを使用する場合は、hibernate.transaction.manager_lookup_class
を適切に設定しなければなりません。
6.1.4.3. UUID アルゴリズム
UUID には以下のものが含まれます:IP アドレス、JVM のスタートアップタイム(4分の1秒の正確さ)、システム時間、 JVM に対して一意のカウンタ値。 Java コードから MAC アドレスやメモリアドレスを取得することはできないため、これはJNI が使えないときの最良のオプションです。
6.1.4.4. 識別子カラムとシーケンス
識別子カラムをサポートしているデータベース(DB2, MySQL, Sybase, MS SQL)では、
identity
キー生成が使えます。シーケンスをサポートするデータベース(DB2, Oracle, PostgreSQL, Interbase, McKoi, SAP DB)では、 sequence
スタイルのキー生成が使えます。どちらの戦略も、新しいオブジェクトを挿入するために、SQL クエリを2つ必要とします。例えば:
<id name="id" type="long" column="person_id"> <generator class="sequence"> <param name="sequence">person_id_sequence</param> </generator> </id>
<id name="id" type="long" column="person_id" unsaved-value="0"> <generator class="identity"/> </id>
クロスプラットフォームの開発では、
native
戦略は identity
、sequence
、hilo
戦略の中から1つを選択しますが、これは基盤となるデータベースの能力に依存します。
6.1.4.5. 識別子の割り当て
( Hibernate が生成するのではなく)アプリケーションに識別子を割り当てさせたい場合、
assigned
ジェネレータを使うことができます。この特別なジェネレータは、すでにオブジェクトの識別子プロパティに代入された値を識別子に使います。このジェネレータは主キーが代理キーの代わりに自然キーである場合に使用します。<generator>
要素を指定しない場合のデフォルトの動作になります。
assigned
ジェネレータを選択すると、 Hibernate は unsaved-value="undefined"
を使います。その結果、バージョンやタイムスタンプのプロパティがない場合や Interceptor.isUnsaved()
を定義しなかった場合には、インスタンスが一時的(transient)なものであるのか、またはセッションから分離(detached)したものかどうかを決めるために、Hibernateは必ずデータベースを調べることになります。
6.1.4.6. トリガにより割り当てられた主キー
Hibernate はトリガを使って DDL を生成しません。これはレガシースキーマ用となっています。
<id name="id" type="long" column="person_id"> <generator class="select"> <param name="key">socialSecurityNumber</param> </generator> </id>
上記の例の中で、
socialSecurityNumber
という名前のユニークな値のプロパティがあります。これはクラスにより、自然キーや、値がトリガにより生成される person_id
という名前の代理キーとして定義されます。
6.1.5. 拡張型の識別子ジェネレータ
識別子生成の2つの側面の見直しが行われ、リリース 3.2.3 から新たな識別子ジェネレータが2つ登場しました。一点目は、データベースの移植性で、2点目は最適化です。ここでいう最適化とは、新たな識別子の値に対するリクエストすべてに関してデータベースをクエリする必要がないという意味です。これら2つのジェネレータは、前述した指定ジェネレータの一部の代わりとされており、3.3.x から組み込まれています。ただし、最新のリリースには含まれており、FQNで参照することができます。
1つ目のジェネレータは、
org.hibernate.id.enhanced.SequenceStyleGenerator
で、まずはsequence
の代わりとされており、次に native
よりも移植性が優れているジェネレータの提供を目的としています。通常identity
と sequence
との間で選択するためなのですが、identity
と sequence
は非常違ったセマンティクスを持っており、移植性を視野に入れるアプリケーションで微妙な問題を引き起こす可能性があるのです。しかし、org.hibernate.id.enhanced.SequenceStyleGenerator
は違ったかたちで移植性を実現しています。データベース内のテーブルまたはシーケンスの中から選択し、使用される方言の性能に従い、インクリメント値を保存します。このジェネレータと native
の違いは、テーブルベースとシーケンスベースのストレージは全く同じセマンティックを持つことです。実際、シーケンスは Hibernate がテーブルベースのジェネレータでエミュレートしようとしていることと全く同じです。このジェネレータにはいくつかの設定パラメーターが存在します:
sequence_name
(オプション - デフォルトはhibernate_sequence
): 使用するシーケンスもしくはテーブル名initial_value
オプション - デフォルトは1
): シーケンス / テーブルから取得される初期値。シーケンス作成の用語にすると、これは通常「STARTS WITH」で指定される節に似ています。increment_size
(オプション - デフォルトでは1
): シーケンス/テーブルへの後続の呼出が違う値。シーケンス作成の用語にすると、これは通常「INCREMENT BY」で指定される節に似ています。force_table_use
(オプション - デフォルトはfalse
): 方言がシーケンスに対応する場合でも、補助構造としてテーブルの利用を強制すべきか?value_column
(オプション - デフォルトはnext_val
): テーブル構造にのみ該当。これは、値を保持する際に利用するテーブル上のカラム名です。
2つめのジェネレータは、
org.hibernate.id.enhanced.TableGenerator
で、実際 org.hibernate.id.MultipleHiLoPerTableGenerator
のように機能するにもかかわらずtable
ジェネレータの代わりとされています。 次に、このジェネレータは、プラグ可能なオプティマイザの概念を利用する org.hibernate.id.MultipleHiLoPerTableGenerator
の再実装とすることを目的としています。 必然的に、明確にキー付けされた行を複数利用することで、このジェネレータは様々なインクリメント値を同時に保持可能なテーブルを定義します。このジェネレータには様々な設定パラメータがあります:
table_name
(オプション - デフォルトはhibernate_sequences
): 使用されるテーブル名value_column_name
(オプション - デフォルトはnext_val
): 値を保持するのに利用するテーブル上のカラム名。segment_column_name
(オプション - デフォルトはsequence_name
): 「セグメントキー」を保持するのに利用するテーブル上のカラム名。 これはどのインクリメント値を利用するかを指定する値です。segment_value
(オプション - デフォルトはdefault
): このジェネレータに対するインクリメント値を引き出したいと考えるセグメントの「セグメントキー」値。segment_value_length
(オプション - デフォルトは255
): スキーマ生成に使用;このセグメントキーコラムを作成するカラムサイズ。initial_value
(オプション - デフォルトは1
): テーブルから取得する初期値。increment_size
(オプション - デフォルトは1
): テーブルへの後続の呼出が異なる値。
6.1.6. 識別子ジェネレータの最適化
データベースに値を格納する識別子ジェネレータについて、新しい識別子の値を 生成するために呼出し毎(またはすべての呼出し)にデータベースをヒットするのは 効率がよくありません。代わりに、メモリ内のそれらを一つに集め、インメモリの値グループがいっぱいになったときにのみ データベースをヒットすることができます。これがプラグ可能なオプティマイザの役割です。現在、この操作をサポートするのは、 2つの拡張ジェネレータのみ (「拡張型の識別子ジェネレータ」 となっています。
none
(通常、オプティマイザの指定がない場合これがデフォルトです。): この場合いかなる最適化も行われずすべてのリクエスト(およびリクエスト毎に)に対してデータベースをヒットします。hilo
: 値を取得するデータベースにて hi/lo アルゴリズムを適用します。 このオプティマイザに対するデータベースからの値はシーケンシャルとなります。 また、このオプティマイザについてデータベース構造から取得した値は、「グループ番号」 を示します。increment_size
がメモリ内の値と乗じることで 「hi value」というグループを定義します。pooled
:hilo
の場合、このオプティマイザは データベースへのヒット数を最小限に抑えようとします。しかし、ここでは、インメモリ のグループ化アルゴリズムと組み合わせた連続値ではなくデータベース構造に 「次のグループ」の開始値を格納するだけとなっています。ここでのincrement_size
は、データベースから取った値を参照しています。
6.1.7. composite-id
<composite-id name="propertyName" class="ClassName" mapped="true|false" access="field|property|ClassName"> node="element-name|." <key-property name="propertyName" type="typename" column="column_name"/> <key-many-to-one name="propertyName class="ClassName" column="column_name"/> ...... </composite-id>
複合キーのあるテーブルに対し、識別子プロパティとしてクラスの複数のプロパティをマッピングすることができます。
<composite-id>
要素は、子要素として <key-property>
プロパティマッピングと <key-many-to-one>
マッピングを受け入れます。
<composite-id> <key-property name="medicareNumber"/> <key-property name="dependent"/> </composite-id>
複合識別子の等価性を実装するためには、永続クラスが
equals()
と hashCode()
をオーバーライド しなければなりません 。また Serializable
も実装しなければいけません。
残念ながら このアプローチは永続オブジェクトが自身の識別しであることを意味しています。オブジェクト自身を識別子とする以外に便利な「扱い方」はありません。複合キーに関連した永続状態を
load()
出来るようになる前に、永続クラス自身をインスタンス化し、識別子プロパティを設定しなければなりません。組み込みの 複合識別子と呼ばれるこのアプローチは、本格的なアプリケーションには向いていません。
2つ目の方法は マップされた 複合識別子と呼ばれるもので、
<composite-id>
エレメント内で指定した識別プロパティが永続クラスと分離した識別子クラスの両方に重複して存在します。
<composite-id class="MedicareId" mapped="true"> <key-property name="medicareNumber"/> <key-property name="dependent"/> </composite-id>
この例では、複合識別子クラス(
MedicareId
)とエンティティクラス自身の両方が、 medicareNumber
と dependent
という名前のプロパティを持ちます。識別子クラスは、 equals()
と hashCode()
をオーバライドし、 Serializable
を実装しなくてはなりません。この方法の短所は、主にコードが重複するという点にあります。
次の属性はマッピングした複合識別子を指定するために使用します:
mapped
(オプション - デフォルトはfalse
): マッピングした複合識別子が使用されることと、包含されたプロパティのマッピングが、エンティティクラスと複合識別子クラスの両方を参照することを示します。class
(オプション - ただしマッピングした複合識別子には必須): 複合識別子として使用するクラス。
3つ目のさらに便利な方法は、複合識別子を 「複合識別子としてのコンポーネント」 のコンポーネントクラスとして実装することです。下で記述している属性は、この代替方法にのみ適用されます:
name
(オプション - このアプローチでは必須): 複合識別子を保持するコンポーネントタイプのプロパティ。詳細は9章を参照してください)。access
(オプション - デフォルトはproperty
): Hibernate がプロパティの値にアクセスするために使用する戦略。class
(オプション - デフォルトはリフレクションにより決定されるプロパティの型): 複合識別子として使われるコンポーネントのクラス。詳細は次の節を見てください。
この3つ目の方法は 識別子コンポーネント と呼び、ほとんどすべてのアプリケーションに対して推奨しています。
6.1.8. Discriminator
<discriminator>
要素は、 table-per-class-hierarchy マッピング戦略を使うポリモーフィックな永続化に必要であり、テーブルの識別子カラムを宣言します。識別子カラムは、ある特定の行に対して永続層がどのサブクラスをインスタンス化するかを伝えるマーカー値を含んでいます。利用できる一連の型は以下に制限されます: string
, character
, integer
, byte
, short
, boolean
, yes_no
, true_false
.
<discriminator column="discriminator_column"type="discriminator_type"
force="true|false"
insert="true|false"
formula="arbitrary sql expression"
/>
column (オプション - デフォルトは class ):識別子カラムの名前。
| |
type (オプション - デフォルトは string ): Hibernate の型を示す名前。
| |
force (オプション - デフォルトは false ):ルートクラスのすべてのインスタンスを検索する場合であっても、 Hibernate が使用可能な識別カラムの指定を「強制」します。
| |
insert (オプション - デフォルトは true ):識別カラムがマッピングする複合識別子の一部であれば、 false と設定してください。Hibernate に SQL の INSERT 内のカラムを含ませないよう伝えます。
| |
formula (オプション) 型が評価されるときに実行される任意の SQL 式。コンテンツベースの識別が可能になります。
|
識別カラムの実際の値は、
<class>
と <subclass>
要素の discriminator-value
属性で指定されます。
永続クラスへマッピングされない「余分な」識別値を持つ行がテーブルにあれば、そのときに限り
force
属性は有効です。ただし、普通はそういうことはありません。
formula
属性を使うと、行の型を評価するために任意の SQL 式を宣言できます:例えば、
<discriminator formula="case when CLASS_TYPE in ('a', 'b', 'c') then 0 else 1 end" type="integer"/>
6.1.9. Version(オプション)
<version>
要素はオプションであり、テーブルがバージョンデータを含むことを示します。これは ロングトランザクション を使う予定であれば特に役立ちます。詳細は以下を参照してください。
<version column="version_column"name="propertyName"
type="typename"
access="field|property|ClassName"
unsaved-value="null|negative|undefined"
generated="never|always"
insert="true|false"
node="element-name|@attribute-name|element/@attribute|." />
column (オプション - デフォルトはプロパティ名): バージョン番号を保持するカラムの名前。
| |
name :永続クラスのプロパティ名。
| |
type (オプション - デフォルトは integer ):バージョン番号の型。
| |
access (オプション - デフォルトは property ): Hibernate がプロパティの値にアクセスするために使用すべき戦略。
| |
unsaved-value (オプション - デフォルトは undefined ):インスタンスが新しくインスタンス化されたことを示す(保存されていないことを示す) バージョンプロパティの値。以前の Session で保存またはロードされた分離(Detached)インスタンスと区別するために使います。undefined は識別子プロパティの値が使われべきである点を指定します。
| |
generated (オプション - デフォルトは never ): このバージョンのプロパティの値が、データベースによって生成されたことを指定します。詳細は「生成プロパティ」の議論を参照してください。
| |
insert (オプション - デフォルトは true ): SQLの insert 文にバージョンカラムを含めるべきかどうかを指定します。データベースカラムのデフォルト値が 0 と定義される場合は、false に設定すると良いでしょう。
|
バージョン番号は Hibernate の
long
、integer
、short
、timestamp
、 calendar
型のいずれかです。
バージョンやタイムスタンプのプロパティは、分離されたインスタンスに対して null であってはなりません。そのためどのような
unsaved-value
戦略が指定されても、 Hibernate は null のバージョンやタイムスタンプを持ったすべてのインスタンスを、一時的なものであると検知します。 null を許容するバージョンやタイムスタンプのプロパティを宣言することは、 Hibernate において過渡的に一時オブジェクトとすることを防ぐ簡単な方法です。特に識別子の割り当てや複合キーを使用しているときには特に有用です。
6.1.10. Timestamp(オプション)
オプションの
<timestamp>
要素は、テーブルがタイムスタンプデータを含むことを示します。これはバージョン付けの代わりの方法として用意されています。タイムスタンプは楽観的ロックの中で安全性の低い実装ですが、時にアプリケーションがタイムスタンプを別の用途で使うこともあるかもしれません。
<timestamp column="timestamp_column"name="propertyName"
access="field|property|ClassName"
unsaved-value="null|undefined"
source="vm|db"
generated="never|always"
node="element-name|@attribute-name|element/@attribute|." />
column (オプション - デフォルトはプロパティ名): タイムスタンプを保持するカラムの名前。
| |
name :永続クラスである Java の Date 型または Timestamp 型 の、 JavaBeans スタイルプロパティの名前。
| |
access (オプション - デフォルトは property ): Hibernate がプロパティの値にアクセスするために使用する戦略。
| |
unsaved-value (オプション - デフォルトは null ):インスタンスが新しくインスタンス化された (保存されていない)ことを示すバージョンプロパティの値。以前の Session で保存またはロードされた分離(Detached)インスタンスと区別するために使われます。( undefined と指定すると、識別子プロパティの値を使う必要があります。
| |
source (オプション - デフォルトは vm ): Hibernate はどこからタイムスタンプの値を取得するべきでしょうか?データベースからでしょうか、現在の JVM からでしょうか?データベースによるタイムスタンプは、 Hibernate が 「次の値」を決定するためにデータベースをヒットしなければならないため、オーバヘッドを招きます。しかしクラスタ環境では JVM から取得するより安全です。データベースの現在のタイムスタンプの取得をサポートするすべての Dialect が知られているわけではないことに注意してください。また一方で、精密さを欠くために、ロックで使用するには安全でないものもあります (例えば Oracle 8 )。
| |
generated (オプション - デフォルトは never ): このタイムスタンプのプロパティの値が実際に、データベースによって生成されることを指定します。詳細は「生成プロパティ」 の議論を参照してください。
|
注記
<Timestamp>
は <version type="timestamp">
と等価であることに注意してください。また、<timestamp source="db">
は <version type="dbtimestamp">
と等価であることに注意してください。
6.1.11. Property
<property>
要素は、クラスの永続的な JavaBean スタイルのプロパティを宣言します。
<property name="propertyName"column="column_name"
type="typename"
update="true|false"
insert="true|false"
formula="arbitrary SQL expression"
access="field|property|ClassName"
lazy="true|false"
unique="true|false"
not-null="true|false"
optimistic-lock="true|false"
generated="never|insert|always"
node="element-name|@attribute-name|element/@attribute|." index="index_name" unique_key="unique_key_id" length="L" precision="P" scale="S" />
name : 小文字で始まるプロパティ名。
| |
column (オプション - デフォルトはプロパティ名): マッピングされたデータベーステーブルのカラムの名前。これはネストした <column> 要素でも指定できます。
| |
type (オプション):Hibernate の型を示す名前。
| |
update, insert (オプション - デフォルトは true ):マッピングされたカラムが SQL の UPDATE および/または INSERT に含まれることを指定します。両方をfalse に設定すると、同じカラムにマッピングされた他のプロパティやトリガや他のアプリケーション によって値が初期化された純粋な「導出」プロパティが可能になります。
| |
formula (オプション):計算 プロパティのための値を定義する SQL 式。計算されたプロパティは自身のカラムへのマッピングがありません。
| |
access (オプション - デフォルトは property ): Hibernate がプロパティの値にアクセスするために使用する戦略。
| |
lazy (オプション - デフォルトは false ): インスタンス変数に最初にアクセスしたときに、プロパティを遅延して取得するよう指定します。バイトコード実装を作成する時間が必要になります。
| |
unique (オプション):カラムにユニーク制約をつける DDL の生成を可能にします。また、property-ref のターゲットとすることもできます。
| |
not-null (オプション):カラムに null 値を許可する DDL の生成を可能にします。
| |
optimistic-lock (オプション - デフォルトは true ): このプロパティの更新に楽観ロックの取得を要求するかどうかを指定します。言い換えれば、このプロパティがダーティであるときにバージョンを増やすべきかを決定します。
| |
typename には以下の値が可能です:
- Hibernate の基本型の名前:例
integer, string, character, date, timestamp, float, binary, serializable, object, blob
。 - デフォルトの基本型の Java クラス名 :例
int, float, char, java.lang.String, java.util.Date, java.lang.Integer, java.sql.Clob
など。 - シリアライズ可能な Java クラスの名前。
- カスタム型のクラス名:例
com.illflow.type.MyCustomType
。
型を指定しなければ、Hibernate は正しい Hibernate の型を推測するために、指定されたプロパティに対してリフレクションを使います。Hibernate はルール2, 3, 4をその順序に使い、getter プロパティの返り値のクラス名を解釈しようとします。しかしこれで常に十分であるとは限りません。場合によっては、
type
属性が必要な場合があります。例えば Hibernate.DATE
と Hibernate.TIMESTAMP
を区別するため、またはカスタム型を指定するためなどです。
access
属性で、実行時に Hibernate がどのようにプロパティにアクセスするかを制御できます。デフォルトでは Hibernate はプロパティの get/set のペアをコールします。access="field"
と指定すれば、Hibernate はリフレクションを使い get/set のペアを介さずに、直接フィールドにアクセスします。インターフェース org.hibernate.property.PropertyAccessor
を実装するクラスを指定することで、プロパティへのアクセスに独自の戦略を指定することができます。
特に強力な特徴は生成プロパティです。これらのプロパティは当然読み取り専用であり、プロパティの値はロード時に計算されます。計算を SQL 式として宣言すると、このプロパティはインスタンスをロードする SQL クエリの
SELECT
句のサブクエリに変換されます:
<property name="totalPrice" formula="( SELECT SUM (li.quantity*p.price) FROM LineItem li, Product p WHERE li.productId = p.productId AND li.customerId = customerId AND li.orderNumber = orderNumber )"/>
特定のカラムのエイリアスを宣言することなく、エンティティ自身のテーブルを参照できることに注意してください。例では
customerId
がそれにあたります。 属性を使用したくない場合、ネストした <formula>
マッピング要素を使えることにも注意してください。
6.1.12. Many-to-one
他の永続クラスへの通常の関連は
many-to-one
要素を使って定義します。リレーショナルモデルは多対一関連です。つまりあるテーブルの外部キーは、ターゲットとなるテーブルの主キーカラムを参照しています。
<many-to-one name="propertyName"column="column_name"
class="ClassName"
cascade="cascade_style"
fetch="join|select"
update="true|false"
insert="true|false"
property-ref="propertyNameFromAssociatedClass"
access="field|property|ClassName"
unique="true|false"
not-null="true|false"
optimistic-lock="true|false"
lazy="proxy|no-proxy|false"
not-found="ignore|exception"
entity-name="EntityName"
formula="arbitrary SQL expression"
node="element-name|@attribute-name|element/@attribute|." embed-xml="true|false" index="index_name" unique_key="unique_key_id" foreign-key="foreign_key_name" />
name :プロパティ名。
| |
column (オプション):外部キーカラムの名前。ネストした <column> 要素によっても指定されます。
| |
class (オプション - デフォルトはリフレクションにより決定されるプロパティの型):関連クラスの名前。
| |
cascade (オプション):親オブジェクトから関連オブジェクトへ、どの操作をカスケードするかを指定します。
| |
fetch (オプション - デフォルトは select ):外部結合フェッチと順次選択フェッチのどちらかを選択します。
| |
update, insert (オプション - デフォルトは true ):マッピングされたカラムが SQL の UPDATE または INSERT 文に含まれることを指定します。両方をfalse に設定すると、その値が同じカラムにマッピングされた他のプロパティやトリガや他のアプリケーションによって初期化された純粋な「導出」プロパティが可能になります。
| |
property-ref (オプション): 外部キーに結合された、 関連クラスのプロパティ名。指定されていない場合は、関連クラスの主キーを使用します。
| |
access (オプション - デフォルトは property ): Hibernate がプロパティの値にアクセスするために使用する戦略。
| |
unique (オプション):外部キーカラムに対してユニーク制約をつけた DDL の生成を可能にします。また、property-ref のターゲットにすることで、関連の多重度を効果的に一対一にします。
| |
not-null (オプション): 外部キーカラムに対して、 null 値を許可する DDL の生成を可能にします。
| |
optimistic-lock (オプション - デフォルトは true ): このプロパティの更新に楽観ロックの取得を要求するかどうかを指定します。言い換えれば、このプロパティがダーティであるときにバージョンを増やすべきかを決定します。
| |
lazy (オプション - デフォルトは proxy ): デフォルトでは、多重度1の関連がプロキシとなります。 lazy="no-proxy" は、インスタンス変数に最初にアクセスしたときに、プロパティを遅延フェッチするよう指定します 。ビルド時にバイトコード実装が必要になります。 lazy="false" は関連を常に即時にフェッチするよう指定します。
| |
not-found (オプション - デフォルトは exception ): 参照先の行がない外部キーをどのように扱うかを指定します: ignore を指定すると、行がないことを関連がないものとして扱います。
| |
entity-name (オプション):関連したクラスのエンティティ名。
| |
formula (オプション): 計算された 外部キーに対して値を定義する SQL 式
|
cascade
属性に none
以外の意味のある値を設定すると、関連オブジェクトへある操作が伝播することになります。意味のある値は3つに分類することができます。1つ目は、 Hibernate の基本操作名のことで、 persist,merge, delete, save-update, evict, replicate, lock and refresh
を含みます。2つ目は、特別な値でdelete-orphan
、3つ目は操作名をカンマで区切った組み合わせのすべて
(例:cascade="persist,merge,evict"
や cascade="all,delete-orphan"
)となっています。 詳しい説明は 「連鎖的な永続化」を参照してください。 値が一つの関連 (many-to-one と one-to-one関連) は、単独での削除 (orphan delete)をサポートしていないことに注意してください。
典型的な
many-to-one
宣言は次の通りです。
<many-to-one name="product" class="Product" column="PRODUCT_ID"/>
property-ref
属性は、外部キーが関連テーブルのユニークキー(主キー以外)を参照しているレガシーデータをマップするためにだけ使うべきです。このリレーショナルモデルは複雑で分かりにくくなっています。例えば Product
クラスが、主キーでないユニークなシリアルナンバーを持っていると仮定してみてください。unique
属性は SchemaExport ツールを使った Hibernate の DDL 生成を制御します。
<property name="serialNumber" unique="true" type="string" column="SERIAL_NUMBER"/>
以下のように
OrderItem
に対してマッピングを使えます:
<many-to-one name="product" property-ref="serialNumber" column="PRODUCT_SERIAL_NUMBER"/>
しかし、これは推奨できません。
参照したユニークキーが、関連するエンティティの多数のプロパティから構成される場合、指定した
<properties>
要素内で、参照するプロパティをマッピングするべきです。
参照したユニークキーがコンポーネントのプロパティである場合は、プロパティのパスを指定できます:
<many-to-one name="owner" property-ref="identity.ssn" column="OWNER_SSN"/>
6.1.13. One-to-one
他の永続クラスへの一対一関連は、
one-to-one
要素で定義します。
<one-to-one name="propertyName"class="ClassName"
cascade="cascade_style"
constrained="true|false"
fetch="join|select"
property-ref="propertyNameFromAssociatedClass"
access="field|property|ClassName"
formula="any SQL expression"
lazy="proxy|no-proxy|false"
entity-name="EntityName"
node="element-name|@attribute-name|element/@attribute|." embed-xml="true|false" foreign-key="foreign_key_name" />
name :プロパティ名。
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class (オプション - デフォルトはリフレクションにより決定されるプロパティの型):関連クラスの名前。
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cascade (オプション):親オブジェクトから関連オブジェクトへ、どの操作をカスケードするかを指定します。
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constrained (オプション): マッピングされたテーブルの主キーに対する外部キー制約が、関連クラスのテーブルを参照することを指定します。このオプションは save() と delete() がカスケードされる順序に影響し、そして関連がプロキシされるかどうかにも影響します 。そしてスキーマエクスポートツールにも使われます。
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fetch (オプション - デフォルトは select ):外部結合フェッチと順次選択フェッチのどちらかを選択します。
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property-ref (オプション):このクラスの主キーに結合された関連クラスのプロパティ名。指定されなければ、関連クラスの主キーが使われます。
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access (オプション - デフォルトは property ): Hibernate がプロパティの値にアクセスするために使用する戦略。
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formula (オプション): ほとんどすべての一対一関連は所有エンティティの 主キーへとマッピングされます。これ以外の稀な場合は、他のカラムや、 複数のカラム、 SQL 構文を使った結合するための式を指定できます。例は org.hibernate.test.onetooneformula を参照してください。
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lazy (オプション - デフォルトは proxy ): デフォルトでは、多重度1の関連がプロキシとなります。 lazy="no-proxy" は、インスタンス変数に最初にアクセスしたときに、プロパティを遅延フェッチするよう指定します (ビルド時にバイトコード実装が必要になります)。lazy="false" は関連を常に即時にフェッチするよう指定します。 constrained="false" ならばプロキシは使用不可能となり、Hibernateは関連を即時にフェッチすることに注意してください。
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entity-name (オプション):関連したクラスのエンティティ名。
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一対一関連には2種類あります:
- 主キー関連
- ユニーク外部キー関連
主キー関連には、余分なテーブルカラムは必要ありません。2つの行が関連により関係していれば、2つのテーブルは同じ主キーの値を共有します。そのため2つのオブジェクトを主キー関連によって関連付けたい場合、確実に同じ識別子の値を代入しなければなりません。
主キー関連を行うためには、以下のマッピングを
Employee
と Person
のそれぞれに追加してください.
<one-to-one name="person" class="Person"/>
<one-to-one name="employee" class="Employee" constrained="true"/>
必ず、PERSON と EMPLOYEE テーブルの関係する行の主キーが同じであるように してください。ここでは、
foreign
という特殊な Hibernate 識別子生成戦略を使います:
<class name="person" table="PERSON"> <id name="id" column="PERSON_ID"> <generator class="foreign"> <param name="property">employee</param> </generator> </id> ... <one-to-one name="employee" class="Employee" constrained="true"/> </class>
新たに保存された
Person
のインスタンスが、そのPerson
の employee
プロパティで参照したEmployee
インスタンス と同じ主キーの値を割り当てます。
もう1つの方法として、
Employee
から Person
へのユニーク制約を使った外部キー関連は以下のように表現することができます:
<many-to-one name="person" class="Person" column="PERSON_ID" unique="true"/>
この関連は、以下の記述を
Person
のマッピングに追加することで双方向にすることができます:
<one-to-one name="employee" class="Employee" property-ref="person"/>
6.1.14. Natural-id
<natural-id mutable="true|false"/> <property ... /> <many-to-one ... /> ...... </natural-id>
主キーとして代理キーの使用を推奨しますが、すべてのエンティティに対して自然キーを識別するようにすべきです。自然キーはユニークかつ非 null な一つのプロパティ、またはプロパティの連結です。また、これは不変となっています。
<natural-id>
要素内で自然キーのプロパティをマッピングします。 Hibernate は必然的にユニークなキーかつ null 値を許可する制約を生成し、その結果マッピングはより自己記述的になります。
エンティティの自然キープロパティの比較には、
equals()
と hashCode()
の実装をお勧めします。
このマッピングは自然主キーを使ったエンティティでの使用は視野にいれていません。
mutable
(オプション、 デフォルトはfalse
): デフォルトでは、自然識別子プロパティは不変(定数)と想定されています。
6.1.15. Componentおよびdynamic-component
<component>
要素は、子オブジェクトのプロパティを親クラスのテーブルのカラムへマッピングします。代わりに、コンポーネントは自分のプロパティ、コンポーネント、コレクションを宣言することができます。以下の「コンポーネント」を見てください。
<component name="propertyName"class="className"
insert="true|false"
update="true|false"
access="field|property|ClassName"
lazy="true|false"
optimistic-lock="true|false"
unique="true|false"
node="element-name|." > <property ...../> <many-to-one .... /> ........ </component>
name :プロパティ名。
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class (オプション - デフォルトはリフレクションにより決定されるプロパティの型):コンポーネント(子)クラスの名前。
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insert :マッピングされたカラムを SQL の INSERT に表しますか?
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update :マッピングされたカラムが SQL の UPDATE に表しますか?
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access (オプション - デフォルトは property ): Hibernate がプロパティの値にアクセスするために使用する戦略。
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lazy (オプション - デフォルトは false ): インスタンス変数に最初にアクセスしたときに、コンポーネントを遅延してフェッチするよう指定します。ビルド時の バイトコード実装を作成する時間が必要になります。
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optimistic-lock (オプション - デフォルトは true ): このプロパティの更新に、楽観ロックの取得を要求するかどうかを指定します。言い換えれば、このプロパティがダーティであるときにバージョンを増やすべきかを決定します。
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unique (オプション - デフォルトは false ): コンポーネントにあるマッピングされたカラムすべてに、ユニーク制約が存在するかを指定します。
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子の
<property>
タグで、子のクラスのプロパティをテーブルカラムにマッピングします。
<component>
要素は、親エンティティへ戻る参照として、コンポーネントのクラスのプロパティをマッピングする <parent>
サブ要素を許可します。
<dynamic-component>
要素は、 Map
がコンポーネントとしてマッピングされることを可能にします。プロパティ名は map のキーを参照します。詳細は「動的コンポーネント」 を参照してください。
6.1.16. プロパティ
<properties>
要素はクラスのプロパティの指定された、論理的なグルーピングを可能にします。この構造の最も重要な使用方法は、 property-ref
のターゲットになるプロパティの結合を許可することです。それはまた、複数カラムのユニーク制約を定義する簡単な方法でもあります。
<properties name="logicalName"insert="true|false"
update="true|false"
optimistic-lock="true|false"
unique="true|false"
> <property ...../> <many-to-one .... /> ........ </properties>
name : グルーピングの論理名。実際のプロパティ名では ありません。
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insert :マッピングされたカラムを SQL の INSERT に表しますか?
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update :マッピングされたカラムが SQL の UPDATE に表しますか?
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optimistic-lock (オプション - デフォルトは true ): これらのプロパティの更新に楽観的ロックの取得を要求するかどうかを指定します。このプロパティがダーティであるときにバージョンを増やすべきかを決定します。
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unique (オプション - デフォルトは false ): コンポーネントにあるマッピングされたカラムすべてに、ユニーク制約が存在するかを指定します。
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例えば、以下のような
<properties>
マッピングがあった場合:
<class name="Person"> <id name="personNumber"/> ... <properties name="name" unique="true" update="false"> <property name="firstName"/> <property name="initial"/> <property name="lastName"/> </properties> </class>
主キーの代わりに
Person
テーブルにある このユニークキーを参照する、レガシーデータの関連を持つかもしれません:
<many-to-one name="person" class="Person" property-ref="name"> <column name="firstName"/> <column name="initial"/> <column name="lastName"/> </many-to-one>
しかし、このようなレガシーデータマッピングのコンテキスト外への使用は推奨しません。
6.1.17. Subclass
ポリモーフィックな永続化には、ルートの永続クラスの各サブクラスを定義する必要があります。table-per-class-hierarchy マッピング戦略では、
<subclass>
定義が使われます。例えば、
<subclass name="ClassName"discriminator-value="discriminator_value"
proxy="ProxyInterface"
lazy="true|false"
dynamic-update="true|false" dynamic-insert="true|false" entity-name="EntityName" node="element-name" extends="SuperclassName"> <property .... /> ..... </subclass>
name :サブクラスの完全修飾されたクラス名。
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discriminator-value (オプション - デフォルトはクラス名):個々のサブクラスを区別するための値。
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proxy (オプション): 遅延初期化プロキシに使用するクラスやインターフェースを指定します。
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lazy (オプション、デフォルトは true ): lazy="false" とすると遅延フェッチが使用できません。
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各サブクラスでは、永続プロパティとサブクラスを宣言します。
<version>
と <id>
プロパティは、ルートクラスから継承されると仮定されます。階層構造におけるサブクラスは、ユニークな discriminator-value
を定義しなければなりません。これが指定されていないと、完全修飾された Java クラス名が使われます。
継承のマッピングに関する情報は 10章継承マッピング を参照してください。
6.1.18. Joined-subclass
各サブクラスを自身のテーブルへマッピングすることができ、これは、 table-per-subclass マッピング戦略と呼ばれています。継承した状態はスーパークラスのテーブルを使った結合で検索します。
<joined-subclass>
要素を使用します。例えば、
<joined-subclass name="ClassName"table="tablename"
proxy="ProxyInterface"
lazy="true|false"
dynamic-update="true|false" dynamic-insert="true|false" schema="schema" catalog="catalog" extends="SuperclassName" persister="ClassName" subselect="SQL expression" entity-name="EntityName" node="element-name"> <key .... > <property .... /> ..... </joined-subclass>
name :サブクラスの完全修飾されたクラス名。
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table :サブクラステーブルの名前。
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proxy (オプション): 遅延初期化プロキシに使用するクラスやインターフェースを指定します。
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lazy (オプション、デフォルトは true ): lazy="false" と設定すると、遅延フェッチが無効になります。
|
このマッピング戦略には、識別カラムは必要ありません。しかし各サブクラスは
<key>
要素を使い、オブジェクト識別子を保持するテーブルカラムを宣言しなければなりません。この章の初めのマッピングは以下のように書き直せます:
<?xml version="1.0"?> <!DOCTYPE hibernate-mapping PUBLIC "-//Hibernate/Hibernate Mapping DTD//EN" "http://hibernate.sourceforge.net/hibernate-mapping-3.0.dtd"> <hibernate-mapping package="eg"> <class name="Cat" table="CATS"> <id name="id" column="uid" type="long"> <generator class="hilo"/> </id> <property name="birthdate" type="date"/> <property name="color" not-null="true"/> <property name="sex" not-null="true"/> <property name="weight"/> <many-to-one name="mate"/> <set name="kittens"> <key column="MOTHER"/> <one-to-many class="Cat"/> </set> <joined-subclass name="DomesticCat" table="DOMESTIC_CATS"> <key column="CAT"/> <property name="name" type="string"/> </joined-subclass> </class> <class name="eg.Dog"> <!-- mapping for Dog could go here --> </class> </hibernate-mapping>
継承のマッピングに関する情報は 10章継承マッピング を参照してください。
6.1.19. Union-subclass
3つ目の選択肢は、継承階層の具象クラスのみをテーブルにマッピングすることで、これは、table-per-concrete-class 戦略と呼ばれます。各テーブルは継承の状態を含めすべてのクラスの永続状態を定義します。Hibernate ではその様な継承階層が必要ではなく、単純に各クラスを、別々の
<class>
宣言を使ってマッピングすることができます。しかしポリモーフィックな関連 (例えば階層のスーパークラスへの関連) を使いたい場合、<union-subclass>
マッピングを使う必要があります。例えば、
<union-subclass name="ClassName"table="tablename"
proxy="ProxyInterface"
lazy="true|false"
dynamic-update="true|false" dynamic-insert="true|false" schema="schema" catalog="catalog" extends="SuperclassName" abstract="true|false" persister="ClassName" subselect="SQL expression" entity-name="EntityName" node="element-name"> <property .... /> ..... </union-subclass>
name :サブクラスの完全修飾されたクラス名。
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table :サブクラステーブルの名前。
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proxy (オプション): 遅延初期化プロキシに使用するクラスやインターフェースを指定します。
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lazy (オプション、デフォルトは true ): lazy="false" と設定すると、遅延フェッチが無効になります。
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このマッピング戦略では識別カラムやキーカラムは必要ありません。
継承のマッピングに関する情報は 10章継承マッピング を参照してください。
6.1.20. Join
テーブル間に一対一の関係があるとき、
<join>
要素を使うことで、1つのクラスのプロパティをいくつかのテーブルにマッピングすることができます。例えば、
<join table="tablename"schema="owner"
catalog="catalog"
fetch="join|select"
inverse="true|false"
optional="true|false">
<key ... /> <property ... /> ... </join>
table :結合したテーブルの名前。
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schema (オプション): ルートの <hibernate-mapping> 要素で指定したスキーマ名をオーバーライドします。
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catalog (オプション): ルートの <hibernate-mapping> 要素で指定したカタログ名をオーバーライドします。
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fetch (オプション - デフォルトは join ): join を設定した場合、 Hibernate はデフォルトで、クラスやスーパークラスで定義された <join> を検索するのに内部結合を使い、サブクラスで定義された <join> を検索するのに外部結合を使います。select を設定した場合には、Hibernate はサブクラスで定義された <join> の選択に順次選択を使います。この場合、行がサブクラスのインスタンスを代表する場合にのみ発行されます。内部結合はクラスやそのスーパークラスで定義された <join> を検索するために使用します。
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inverse (オプション - デフォルトは false ): 有効にすると、Hibernate はこの結合で定義されているプロパティに対し挿入や更新を行いません。
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optional (オプション - デフォルトは false ): 有効にすると、 Hibernate はこの結合で定義されたプロパティが null でない場合にのみ行を挿入し、そのプロパティの検索には常に外部結合を使用します。
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例えば、すべてのプロパティに対して値型のセマンティクスを保持しつつ、 人のアドレスの情報を別のテーブルにマッピングすることが可能です:
<class name="Person" table="PERSON"> <id name="id" column="PERSON_ID">...</id> <join table="ADDRESS"> <key column="ADDRESS_ID"/> <property name="address"/> <property name="zip"/> <property name="country"/> </join> ...
この特徴は通常、レガシーデータモデルに対してのみ有用ですが、推奨されるのは、クラスよりも テーブルを少なくし、きめの細かいドメインモデルを利用することです。しかし後で説明するように、1つのクラス階層で継承のマッピング戦略を切り替える時には有用です。
6.1.21. Key
このガイドで、今まで何度か
<key>
要素が出てきましたが、親マッピング要素がオリジナルテーブルの主キーを参照する新規テーブルへの結合を定義 する場合、この要素はどこにでも出現し、結合テーブルでも外部キーを定義します。
<key column="columnname"on-delete="noaction|cascade"
property-ref="propertyName"
not-null="true|false"
update="true|false"
unique="true|false"
/>
column (オプション):外部キーカラムの名前。ネストした <column> 要素によっても指定されます。
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on-delete (オプション - デフォルトは noaction ): 外部キー制約がデータベースレベルでカスケード削除を有効にするかどうかを指定します。
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property-ref (オプション): オリジナルテーブルの主キーではないカラムを参照する外部キーを指定します。これはレガシーデータに対して提供されます。
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not-null (オプション): 外部キーカラムが null 値を許容しないことを指定します。このことは外部キーが主キーの一部であることを暗黙的に示します。
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update (オプション): 外部キーを決して更新してはならないことを指定します。このことは外部キーが主キーの一部であることを暗黙的に示します。
| |
unique (オプション): 外部キーがユニーク制約を持つべきであることを指定します。このことは外部キーが主キーの一部であることを暗黙的に示します、
|
削除のパフォーマンスが重要であるシステムには、すべてのキーを
on-delete="cascade"
と定義することを推奨します。そうすることで Hibernate は、多くのDELETE
文ではなくデータベースレベルの ON CASCADE DELETE
制約を使用します。この特徴はバージョン付けられたデータに対する Hibernate の通常の楽観的ロック戦略を無視するということに注意してください。
not-null
と update
属性は、単方向一対多関連の時には有用です。単方向一対多関連を null を許容しない外部キーにマッピングするときは、 <key not-null="true">
を使ってキーカラムを宣言 しなくてはなりません。
6.1.22. Column と formula 要素
column
属性を受け入れるマッピング要素は、代わりに<column>
サブ要素を受け入れます。同様に <formula>
も formula
属性の 代わりとなります。例えば、
<column name="column_name" length="N" precision="N" scale="N" not-null="true|false" unique="true|false" unique-key="multicolumn_unique_key_name" index="index_name" sql-type="sql_type_name" check="SQL expression" default="SQL expression"/>
<formula>SQL expression</formula>
特殊な結合条件などを表現する、同様のプロパティや関連のマッピングの中で、
column
と formula
属性を組み合わせることができます。
<many-to-one name="homeAddress" class="Address" insert="false" update="false"> <column name="person_id" not-null="true" length="10"/> <formula>'MAILING'</formula> </many-to-one>
6.1.23. Import
アプリケーションに同名の永続クラスが2つあり、Hibernate クエリで完全修飾された(パッケージの)名前を指定したくない場合は
auto-import="true"
に頼らず、明示的にクラスを 「インポート」することができます。また、明示的にマッピングされていないクラスやインターフェースもインポートできます。
<import class="java.lang.Object" rename="Universe"/>
<import class="ClassName"rename="ShortName"
/>
class : Java クラスの完全修飾されたクラス名。
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rename (オプション - デフォルトは修飾されていないクラス名):クエリ言語で利用可能な名前。
|
6.1.24. Any
プロパティマッピングにはさらにもう1つの型があります。
<any>
マッピング要素は、複数のテーブルからクラスへのポリモーフィックな関連を定義します。この型のマッピングには必ず複数のカラムが必要です。1番目のカラムは関連エンティティの型を保持します。残りのカラムは識別子を保持します。この種類の関連には外部キー制約を指定することはできません。これは、ポリモーフィック な関連のマッピングをする通常の方法ではありません。ですから、 検査ログやユーザーセッションデータなど、特別な場合に限りこれを使うべきです。
meta-type
により、アプリケーションはカスタム型を指定できます。このカスタム型はデータベースカラムの値を、id-type
で指定した型の識別子プロパティを持った永続クラスへマッピングします。meta-type の値からクラス名へのマッピングを指定しなければなりません。
<any name="being" id-type="long" meta-type="string"> <meta-value value="TBL_ANIMAL" class="Animal"/> <meta-value value="TBL_HUMAN" class="Human"/> <meta-value value="TBL_ALIEN" class="Alien"/> <column name="table_name"/> <column name="id"/> </any>
<any name="propertyName"id-type="idtypename"
meta-type="metatypename"
cascade="cascade_style"
access="field|property|ClassName"
optimistic-lock="true|false"
> <meta-value ... /> <meta-value ... /> ..... <column .... /> <column .... /> ..... </any>
name : プロパティ名。
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id-type : 識別子の型。
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meta-type (オプション - デフォルトは string ):ディスクリミネータマッピングで許されたいずれかの型。
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cascade (オプション - デフォルトは none ): カスケードのスタイル。
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access (オプション - デフォルトは property ): Hibernate がプロパティの値にアクセスするために使用する戦略。
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optimistic-lock (オプション - デフォルトは true ): このプロパティの更新に楽観ロックの取得を要求するかどうかを指定します。このプロパティがダーティである場合にバージョンを増やすべきかを定義します。
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6.2. Hibernate の型
6.2.1. エンティティと値
永続サービスに関して、Java言語レベルのオブジェクトは2つのグループに 分類されます。
エンティティはエンティティへの参照を保持する、他の オブジェクトから独立して存在します。参照されないオブジェクトがガベージコレクトされてしまう性質を持つ通常の Java モデルと、これを比べてみてください。 エンティティは明示的に保存および削除する必要があります。しかし、保存と削除は 親エンティティから子へ、保存と削除がカスケードされる ことがあります。これは到達可能性によるオブジェクト永続化の ODMG モデルとは異なっています。大規模なシステムでアプリケーションオブジェクトが普通どのように使われるかにより密接に対応します。エンティティは循環と参照の共有をサポートします。またそれらはバージョン付けすることもできます。
エンティティの永続状態は他のエンティティや 値 型のインスタンスへの参照から構成されます。値はプリミティブ、コレクション (コレクションの内部ではなく)、コンポーネント、不変オブジェクトです。エンティティとは違い、値は(特にコレクションとコンポーネントにおいて)、到達可能性による永続化や削除が 行われます 。値オブジェクトとプリミティブは、包含するエンティティと一緒に永続化や削除が行われるので、それらを独立にバージョン付けすることはできません。値には独立したアイデンティティがないので、2つのエンティティやコレクションがこれを共有することはできません。
これまで「永続クラス」という言葉をエンティティの意味で使ってきましたが、これからもそうしていきます。しかし、永続状態を持つユーザー定義のクラスのすべてがエンティティというわけではありません。 コンポーネント は値のセマンティクスを持つユーザー定義クラスです。
java.lang.String
型のプロパティもまた値のセマンティクスを持ちます。この定義を前提とすると、 JDK で提供されているすべての Java の型 (クラス) が値のセマンティクスを持つといえます。一方ユーザー定義型は、エンティティや値型のセマンティクスとともにマッピングできます。この決定はアプリケーション開発者次第です。 ドメインモデルの エンティティクラスは通常、そのクラスの1つのインスタンスへ共有参照をしていますが、 一般的に合成集約や集約は、値型へ変換されます。
このリファレンスガイドの全体で何度もこの概念を取り上げます。
Java 型のシステム、および開発者が定義したエンティティと値型を SQL /データベース型のシステムにマッピングすることは困難ですが、Hibernate は2つのシステムの架け橋を提供します。エンティティに対しては
<class>
や <subclass>
などを使用します。値型に対しては通常type
属性を持つ<property>
や <component>
などを使います。この属性の値は Hibernate の マッピング型 の名前です。Hibernate には、標準 JDK の値型に対して様々なマッピングが含まれています。自身のマッピング型を記述し、同様にカスタムの変換戦略を実装することができます。
コレクションを除いて、組み込みの Hibernate の型はすべて、 null セマンティクスをサポートします。
6.2.2. 基本的な型
組み込みの 基本的なマッピング型 は大まかに以下のように分けることができます。
integer, long, short, float, double, character, byte, boolean, yes_no, true_false
- Java のプリミティブやラッパークラスから適切な(ベンダー固有の) SQL カラム型への型マッピング。
boolean, yes_no
とtrue_false
は、すべて Java のboolean
またはjava.lang.Boolean
の代替エンコードです。 string
java.lang.String
からVARCHAR
(または Oracle のVARCHAR2
)への型マッピング。date, time, timestamp
java.util.Date
とそのサブクラスから SQL 型のDATE
、TIME
、TIMESTAMP
(またはそれらと等価なもの) への型マッピング。calendar, calendar_date
java.util.Calendar
から SQL 型 の「TIMESTAMP
、DATE
(またはそれらと等価なもの)への型マッピング。big_decimal, big_integer
java.math.BigDecimal
とjava.math.BigInteger
からNUMERIC
(または Oracle のNUMBER
)への型マッピング。locale, timezone, currency
java.util.Locale
、java.util.TimeZone
、java.util.Currency
からVARCHAR
(または Oracle のVARCHAR2
)への型マッピング。Locale
とCurrency
のインスタンスは、それらの ISO コードにマッピングされます。TimeZone
のインスタンスは、それらのID
にマッピングされます。class
java.lang.Class
からVARCHAR
(または Oracle のVARCHAR2
)への型マッピング。Class
はその完全修飾された名前にマッピングされます。binary
- バイト配列は、適切な SQL のバイナリ型にマッピングされます。
text
- 長い Java 文字列は、 SQL の
CLOB
またはTEXT
型にマッピングされます。 serializable
- シリアライズ可能な Java 型は、適切な SQL のバイナリ型にマッピングされます。デフォルトで基本型ではないシリアライズ可能な Java クラスやインターフェースの名前を指定することで、Hibernate の型を
serializable
とすることもできます。 clob, blob
- JDBC クラス
java.sql.Clob
とjava.sql.Blob
に対する型マッピング。blob や clob オブジェクトはトランザクションの外では再利用できないため、アプリケーションによってはこれらの型は不便かもしれません。さらにはドライバサポートが不完全で一貫していません。 imm_date, imm_time, imm_timestamp, imm_calendar, imm_calendar_date, imm_serializable, imm_binary
- 可変と考えられるJava の型に対する型マッピング。Hibernate は不変な Java の型に対しては最適化を行い、アプリケーションはそれを不変オブジェクトとして扱います。例えば
imm_timestamp
としてマップしたインスタンスに対して、Date.setTime()
を呼び出してはなりません。プロパティの値を変更しその変更を永続化するためには、アプリケーションはプロパティに対して、同一でない新規 オブジェクトを割り当てなければなりません。
エンティティとコレクションのユニークな識別子は、
binary
、blob
、clob
を除く、どんな基本型でも構いません。また、複合識別子でも構いません。詳細は以下を参照してください。
基本的な値型には、
org.hibernate.Hibernate
で定義された Type
定数がそれぞれあります。例えば、 Hibernate.STRING
は string
型を表現しています。
6.2.3. カスタム型
開発者が独自の値型を作成することは、比較的簡単です。例えば、
java.lang.BigInteger
型のプロパティを VARCHAR
カラムに永続化したいとします。Hibernate はこのための組み込み型を用意していません。しかしカスタム型は、プロパティ、またはコレクションの要素を1つのテーブルカラムにマッピングするのに制限はありません。そのため例えば、 FIRST_NAME
、 INITIAL
、SURNAME
カラムに永続化される、java.lang.String
型の getName()
/ setName()
Java プロパティを持つ場合があります。
カスタム型を実装するには、
org.hibernate.UserType
または org.hibernate.CompositeUserType
を実装し、その型の完全修飾された名前を使ってプロパティを宣言します。どのような種類のものが可能かを調べるには、org.hibernate.test.DoubleStringType
を確認してください。
<property name="twoStrings" type="org.hibernate.test.DoubleStringType"> <column name="first_string"/> <column name="second_string"/> </property>
<column>
タグで、プロパティを複数のカラムへマッピングできることに注目してください。
CompositeUserType
、 EnhancedUserType
、 UserCollectionType
、 UserVersionType
インターフェースは、より特殊な使用法に対してのサポートを提供します。
マッピングファイル内で
UserType
へもパラメータを提供できます。このためには、UserType
は org.hibernate.usertype.ParameterizedType
インターフェースを実装しなくてはなりません。 カスタム型パラメータを提供するために、マッピングファイル内で <type>
要素を使用できます。
<property name="priority"> <type name="com.mycompany.usertypes.DefaultValueIntegerType"> <param name="default">0</param> </type> </property>
UserType
は、引数として渡された Properties
オブジェクトから、 default
で指定したパラメータに対する値を検索することができます。
特定の
UserType
を定期的に使用する場合、短い名前を定義すると便利です。<typedef>
要素を使ってこのようなことが行えます。Typedefs はカスタム型に名前を割り当てます。そして、その型がパラメータを持つならば、パラメータのデフォルト値のリストを含むこともできます。
<typedef class="com.mycompany.usertypes.DefaultValueIntegerType" name="default_zero"> <param name="default">0</param> </typedef>
<property name="priority" type="default_zero"/>
プロパティのマッピングで型パラメータを使うことで、 typedef で提供されたパラメータをその都度オーバーライドすることが可能です。
Hibernate の幅広い組み込み型とコンポーネントに対するサポートは、カスタム型をめったに 使わない ということを意味します。それでもなお、アプリケーションで頻出するエンティティ以外のクラスに対するカスタム型の使用は、よいやり方であるとみなされます。例えば
MonetaryAmount
クラスはコンポーネントとして簡単にマッピングできますが、 CompositeUserType
の良い候補です。カスタム型を使用する理由の1つは抽象化です。カスタム型を使うことで、マッピングドキュメントは、通過値の表現方法 に変更があっても保護されます。
6.3. 1つのクラスに1つ以上のマッピング
ある永続クラスに、一つ以上のマッピングを提供することが出来ます。この場合、マッピングする2つのエンティティのインスタンスを明確にするために、 エンティティ名 を指定しなければなりません。デフォルトではエンティティ名はクラス名と同じです。Hibernate では、永続オブジェクトを扱うとき、クエリを書き込むとき、もしくは指定されたエンティティへの関連をマッピングするときに、エンティティ名を指定しなければなりません。
<class name="Contract" table="Contracts" entity-name="CurrentContract"> ... <set name="history" inverse="true" order-by="effectiveEndDate desc"> <key column="currentContractId"/> <one-to-many entity-name="HistoricalContract"/> </set> </class> <class name="Contract" table="ContractHistory" entity-name="HistoricalContract"> ... <many-to-one name="currentContract" column="currentContractId" entity-name="CurrentContract"/> </class>
class
の代わりに entity-name
を使って関連が指定されました。
6.4. バッククォートで囲んだ SQL 識別子
マッピングドキュメントでテーブルやカラムの名前をバッククォートで囲むことで、 Hibernate で生成された SQL 中の識別子を引用させることができます。Hibernate は SQL の
Dialect
に対応する、正しい引用スタイルを使います。通常はダブルクォートですが、 SQL Server では括弧、MySQL ではバッククォートを用います。
<class name="LineItem" table="`Line Item`"> <id name="id" column="`Item Id`"/><generator class="assigned"/></id> <property name="itemNumber" column="`Item #`"/> ... </class>
6.5. メタデータの代替手段
XMLはすべてのユーザーに向いているとは限らないため、 Hibernate では O/R マッピングのメタデータを定義する代替方法がいくつかあります。
6.5.1. XDoclet マークアップの使用
XDoclet の
@hibernate.tags
を使って、ソースコード内に直接マッピング情報を埋め込むことを好むユーザーが多数います。これは厳密に言えば XDoclet の分野なので、本ドキュメントではこの方法は取り上げません。 しかし XDoclet マッピングを使った以下の Cat
クラスの例を示します。
package eg; import java.util.Set; import java.util.Date; /** * @hibernate.class * table="CATS" */ public class Cat { private Long id; // identifier private Date birthdate; private Cat mother; private Set kittens; private Color color; private char sex; private float weight; /* * @hibernate.id * generator-class="native" * column="CAT_ID" */ public Long getId() { return id; } private void setId(Long id) { this.id=id; } /** * @hibernate.many-to-one * column="PARENT_ID" */ public Cat getMother() { return mother; } void setMother(Cat mother) { this.mother = mother; } /** * @hibernate.property * column="BIRTH_DATE" */ public Date getBirthdate() { return birthdate; } void setBirthdate(Date date) { birthdate = date; } /** * @hibernate.property * column="WEIGHT" */ public float getWeight() { return weight; } void setWeight(float weight) { this.weight = weight; } /** * @hibernate.property * column="COLOR" * not-null="true" */ public Color getColor() { return color; } void setColor(Color color) { this.color = color; } /** * @hibernate.set * inverse="true" * order-by="BIRTH_DATE" * @hibernate.collection-key * column="PARENT_ID" * @hibernate.collection-one-to-many */ public Set getKittens() { return kittens; } void setKittens(Set kittens) { this.kittens = kittens; } // addKitten not needed by Hibernate public void addKitten(Cat kitten) { kittens.add(kitten); } /** * @hibernate.property * column="SEX" * not-null="true" * update="false" */ public char getSex() { return sex; } void setSex(char sex) { this.sex=sex; } }
Hibernate のウェブサイトには、XDoclet と Hibernate に関するサンプルがほかにも多数あります。
6.5.2. JDK 5.0 アノテーションの使用
JDK5.0 ではタイプセーフかつコンパイル時にチェックできる、言語レベルの XDoclet スタイルのアノテーションを導入しました。このメカニズムは XDoclet のアノテーションよりも強力で、ツールや IDE も多くがサポートしています。例えば IntelliJ IDEA は、JDK5.0 にアノテーションの自動補完と構文の強調表示をサポートしています。EJB 仕様 (JSR-220) の新しいバージョンでは、エンティティ Bean に対する主要なメタデータメカニズムとして JDK5.0 のアノテーションを使用しています。Hibernate3 では JSR-220 (永続化 API) の
EntityManager
を実装し、メタデータマッピングに対するサポートは、 Hibernate Annotations パッケージを別途ダウンロードすることで 利用可能です。これは EJB3 (JSR-220) と Hibernate3 のメタデータをどちらもサポートしています。
以下は EJB のエンティティ Bean として注釈された POJO クラスの例です:
@Entity public class Customer implements Serializable { @Id Long id; String firstName; String lastName; Date birthday; @Transient Integer age; @Embedded private Address homeAddress; @OneToMany(cascade=CascadeType.ALL) @JoinColumn(name="CUSTOMER_ID") Set<Order> orders; // Getter/setter and business methods }
6.6. 生成プロパティ
生成プロパティとは、データベースによって生成された値を持つプロパティです。通常、 Hibernate アプリケーションは、データベースが値を生成したプロパティを含むオブジェクトを
リフレッシュ
する必要がありました。しかし、プロパティの生成をマークすることで、アプリケーションはリフレッシュの責任を Hibernate に委譲します。基本的に、生成プロパティを定義したエンティティに対して Hibernate が INSERT や UPDATE の SQL を発行した後すぐに、生成された値を取得するための SELECT SQL が発行されます。
生成とマークされたプロパティは他に、挿入不可能かつ更新不可能でなければなりません。「Version(オプション)」、「Timestamp(オプション)」、「Property」生成されたとマークできます。
never
(デフォルト) - 与えられたプロパティの値は、データベースから生成されません。
insert
:与えられたプロパティの値は挿入時に生成されるが、続いて起こる更新時には生成されません。作成された日付などのプロパティは、このカテゴリに分類されます。「Version(オプション)」 や 「Timestamp(オプション)」のプロパティ は生成されたとマークは可能ですがこのオプションは利用できません。
always
:挿入時も更新時もプロパティの値が生成されます。
6.7. 補助的なデータベースオブジェクト
任意のデータベースオブジェクトのCREATEとDROPに対し、補助的なデータベースオブジェクト が可能です。Hibernateのスキーマエボリューションツールと連動することで、 Hibernateマッピングファイル内でユーザースキーマを完全に定義することができます。主にトリガやストアドプロシージャのようなデータベースオブジェクトを生成や削除するように設計されていますが、実際には
java.sql.Statement.execute()
メソッドによって実行できる任意の SQL コマンド(ALTER、INSERTなど)が実行できます。基本的に、補助的なデータベースオブジェクトを定義するモードは2つ存在します。
1つ目のモードは、CREATE と DROP コマンドをマッピングファイル に明示的にリストすることです:
<hibernate-mapping> ... <database-object> <create>CREATE TRIGGER my_trigger ...</create> <drop>DROP TRIGGER my_trigger</drop> </database-object> </hibernate-mapping>
2つ目のモードは、CREATE と DROP コマンドを構築するカスタムクラスを提供することです。このカスタムクラスは
org.hibernate.mapping.AuxiliaryDatabaseObject
インタフェースを実装しなければなりません。
<hibernate-mapping> ... <database-object> <definition class="MyTriggerDefinition"/> </database-object> </hibernate-mapping>
さらに、あるデータベース方言が使用される時にだけ適用するといったように、オプションでデータベースオブジェクトを使うケースを限定できます。
<hibernate-mapping> ... <database-object> <definition class="MyTriggerDefinition"/> <dialect-scope name="org.hibernate.dialect.Oracle9iDialect"/> <dialect-scope name="org.hibernate.dialect.Oracle10gDialect"/> </database-object> </hibernate-mapping>
第7章 コレクションのマッピング
7.1. コレクションの永続化
永続的なコレクション型のフィールドがインターフェース型として 宣言される必要があります。例えば、
public class Product { private String serialNumber; private Set parts = new HashSet(); public Set getParts() { return parts; } void setParts(Set parts) { this.parts = parts; } public String getSerialNumber() { return serialNumber; } void setSerialNumber(String sn) { serialNumber = sn; } }
実際のインターフェースには
java.util.Set
、 java.util.Collection
、 java.util.List
、 java.util.Map
、 java.util.SortedSet
、 java.util.SortedMap
などがあります。または、任意のインターフェースが使えます。(ただし、「任意のインターフェース」を使用する場合は、 org.hibernate.usertype.UserCollectionType
の実装クラスを作成する必要があります。)
HashSet
のインスタンスを持つインスタンス変数がどのように初期化されるかに注目してみましょう。これは新たにインスタンス化された(永続化されていない)インスタンスのコレクション型プロパティを初期化する最適な方法です。persist()
を呼び出すことで、インスタンスを永続化しようとしたとき、 Hibernate は HashSet
を Hibernate 独自の Set
の実装インスタンスに置き換えます。このため、次のようなエラーには注意が必要です。
Cat cat = new DomesticCat(); Cat kitten = new DomesticCat(); .... Set kittens = new HashSet(); kittens.add(kitten); cat.setKittens(kittens); session.persist(cat); kittens = cat.getKittens(); // Okay, kittens collection is a Set (HashSet) cat.getKittens(); // Error!
Hibernate により注入された永続性コレクションは、インターフェース型に応じて、
HashMap
や HashSet
、 TreeMap
、TreeSet
、ArrayList
のように振舞います。
コレクションインスタンスは、値型として普通に動作します。永続化オブジェクトに参照されたときに自動的に永続化され、参照が外されると自動的に削除されます。ある永続化オブジェクトから別の永続化オブジェクトに渡された場合、その要素は現在のテーブルから別のテーブルに移動するかもしれません。2つのエンティティが同じコレクションインスタンスを共有してはいけません。リレーショナルモデルをベースにしているため、コレクション型のプロパティに null 値のセマンティクス をサポートしていません。つまり Hibernate は参照先のないコレクションと空のコレクションを区別しません。
普段使っている Java のコレクションと同じように、永続化コレクションを使ってください。しかし、 双方向関連の意味を理解するようにしてください(これは後ほど説明します)。
7.2. コレクションのマッピング
注記
多くの一般的なリレーショナルモデルに対応するコレクション向けに生成可能な マッピングにはかなりの幅があります。様々なマッピング宣言がどのようにデータベーステーブルに変換されるかを知るために、スキーマ生成ツールを使ってみると良いでしょう。
コレクションをマッピングする際に利用するHibernateマッピング要素は、インターフェースの型に依存します。例えば、
<set>
要素は Set
型のプロパティをマッピングするために使います。
<class name="Product"> <id name="serialNumber" column="productSerialNumber"/> <set name="parts"> <key column="productSerialNumber" not-null="true"/> <one-to-many class="Part"/> </set> </class>
マッピング要素には
<set>
の他に <list>
、 <map>
、 <bag>
、 <array>
、 <primitive-array>
があります。代表として、 <map>
要素を下記に示します。
<map name="propertyName"table="table_name"
schema="schema_name"
lazy="true|extra|false"
inverse="true|false"
cascade="all|none|save-update|delete|all-delete-orphan|delete-orphan"
sort="unsorted|natural|comparatorClass"
order-by="column_name asc|desc"
where="arbitrary sql where condition"
fetch="join|select|subselect"
batch-size="N"
access="field|property|ClassName"
optimistic-lock="true|false"
mutable="true|false"
node="element-name|." embed-xml="true|false" > <key .... /> <map-key .... /> <element .... /> </map>
name コレクションのプロパティ名
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table (オプション - デフォルトはプロパティ名)コレクションテーブルの名前。これは一対多関連では使用しません。
| |
schema (オプション)テーブルスキーマの名前。ルート要素で宣言されているスキーマより優先されます。
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lazy (オプション - デフォルトは true )遅延フェッチを無効にし、関連を常に即時にフェッチにするために使用します。または、コレクションを初期化しない多くの操作において、 「extra-lazy」フェッチを有効にするために使用します。これは大きなコレクションに適しています。
| |
inverse (オプション - デフォルトは false ) このコレクションが双方向関連の「逆」側であるとマークします。
| |
cascade (オプション - デフォルトは none ):子エンティティへのカスケード操作を有効にします。
| |
sort (オプション): natural な順序でソートされた コレクションもしくは、ある Comparator クラスを指定します。
| |
order-by (オプション、 JDK1.4 のみ)Map 、Set 、bag のイテレーション順序を定義するテーブルカラムを指定すると共に、オプションとして asc 、 desc を指定します。
| |
where (オプション)コレクションの検索や削除の際に使う任意の SQL のWHERE 条件を指定します。これは、利用可能なデータの一部分だけをコレクションが含むべきときにこれは有用です。
| |
fetch (オプション - デフォルトは select ) 外部結合によるフェッチ、順次選択フェッチ (sequential select fetch) 、順次サブセレクトフェッチ (sequential subselect fetch) のいずれかを選択してください。
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batch-size (オプション - デフォルトは 1 )このコレクションのインスタンスを遅延フェッチするために、「バッチサイズ」を指定します。
| |
access (オプション - デフォルトは property )Hibernate がコレクションプロパティの値にアクセスするために使用する戦略です。
| |
optimistic-lock (オプション - デフォルトは true ) コレクションの状態を変えることによって、そのオーナーであるエンティティのバージョンがインクリメントされるかを指定します。一対多関連では無効に設定するのが妥当です。
| |
mutable (オプション - デフォルトは true )false 値は、コレクションの要素が決して変更されないことを表します。一部の場合で若干パフォーマンスを高めることができます。
|
7.2.1. コレクションの外部キー
コレクションのインスタンスは、データベース内では、そのコレクションを所有するエンティティの外部キーによって識別されます。この外部キーはコレクションテーブルの コレクションキーカラム またはカラムと呼ばれます。コレクションキーカラムは
<key>
要素によりマッピングします。
外部キーカラムには null 設定制約があるかもしれません。ほとんどのコレクションに当てはまるでしょう。単方向の一対多関連において、外部キーカラムはデフォルトで null を許容する設定になっています。よって、
not-null="true"
を指定する必要があるかもしれません。
<key column="productSerialNumber" not-null="true"/>
外部キーの制約が
ON DELETE CASCADE
を使う場合もあります。
<key column="productSerialNumber" on-delete="cascade"/>
<key>
要素のすべての定義については前の章を参照してください。
7.2.2. コレクションの要素
コレクションは、すべての基本型、カスタム型、コンポーネント、他のエンティティへの参照など、他の Hibernate の型のほとんどを格納することができます。 次の点は重要な違いになります。コレクション内のオブジェクトが「値」セマンティクスとして扱われるのか (ライフサイクルはコレクションのオーナーに完全に依存します)、もしくはそれ自身のライフサイクルを持った別のエンティティへの参照であるかのかという違いです。後者は、2つのオブジェクト間の「リンク」をコレクションに保持していると見なしているだけです。
格納される型は コレクション要素型 と呼ばれます。コレクション要素は、
<element>
または <composite-element>
によりマッピングされ、エンティティへの参照の場合には <one-to-many>
または <many-to-many>
によりマッピングされます。最初の二つは値として要素をマッピングし、次の二つはエンティティの関連をマッピングするのに使われます。
7.2.3. インデックス付きのコレクション
set と bag を除く全てのコレクションマッピングには、コレクションテーブルの中に インデックス用のカラム が必要です。そのカラムに、配列や
List
のインデックス、もしくは Map
のキーをマッピングします。 Map
のインデックスは、 <map-key>
によりマッピングされた基本型か、 <map-key-many-to-many>
によりマッピングされたエンティティの関連か、あるいは <composite-map-key>
によりマッピングされたコンポジット型になります。配列かリストのインデックスは、常に integer
型で、 <list-index>
要素によりマッピングします。マッピングされたカラムにはシーケンシャルな整数を格納します。デフォルトでは0から番号が付けられます。
<list-index column="column_name"base="0|1|..."/>

column_name (必須): コレクションインデックスの値を保持するカラム名。
| |
base (オプション - デフォルトでは0 ): リスト もしくはアレイの最初の要素に対応するインデックス カラムの値
|
<map-key column="column_name"formula="any SQL expression"
type="type_name"
node="@attribute-name" length="N"/>
column (オプション): コレクションインデックスの値を保持するカラム名。
| |
formula (オプション):マップのキーを評価する際に利用する SQL 式。
| |
type (必須): マップキーの型
|
<map-key-many-to-many column="column_name"formula="any SQL expression"
class="ClassName" />
column (オプション): コレクションインデックスの値に対する外部キーカラム名
| |
formula (オプション): マップキーの外部キーを評価する際に利用するSQL 式。
| |
class (必須): マップキーとして利用するエンティティクラス。
|
テーブルにインデックスのカラムがないにも拘らずプロパティ型として
List
を利用したい場合、Hibernate <bag>としてこのプロパティをマッピングすることができます。データベースへ渡され永続化された場合、bag はその順序を保持しますが、データベースからリトリーブした場合はオプションで分類および順序付けをすることができます。
7.2.4. 値のコレクションと多対多関連
値のコレクションや多対多関連は、外部キーカラムと、 コレクション要素のカラム と、場合によってはインデックスカラムを伴う、 専用の コレクションテーブル が必要です。
値のコレクションについては、
<element>
タグを使用します。
<element column="column_name"formula="any SQL expression"
type="typename"
length="L" precision="P" scale="S" not-null="true|false" unique="true|false" node="element-name" />
column (オプション): コレクション要素の値を保持するカラム名。
| |
formula (オプション): 要素を評価する際に利用するSQL 式。
| |
type (必須): コレクション要素の型。
|
多対多関連 は、
<many-to-many>
要素を利用して指定します。
<many-to-many column="column_name"formula="any SQL expression"
class="ClassName"
fetch="select|join"
unique="true|false"
not-found="ignore|exception"
entity-name="EntityName"
property-ref="propertyNameFromAssociatedClass"
node="element-name" embed-xml="true|false" />
column (オプション): 外部キーカラムの要素名。
| |
formula (オプション): 外部キー値の要素を評価する際に利用する SQL 式。
| |
class (必須): 関連クラスの名前。
| |
fetch (オプション - デフォルトでは join ): この関連にたいする外部結合もしくは順次選択フェッチを有効にします。 以下は特別なケースです;あるエンティティの単数SELECT における完全即時フェッチ、そして他のエンティティとの多対多関係については、 コレクション自体のみにだけでなく、<many-to-many> にネストした要素にある属性についてもjoin フェッチを有効にします。
| |
unique (オプション): 外部キーカラムに対し、一意制約のDDL生成を 有効にします。関連の多重度を効果的に一対多に変更します。
| |
not-found (オプション - デフォルトは exception ): 参照先の行がない外部キーをどのように処理するか指定します:ignore は、行がないことを関連がないものとして扱います。
| |
entity-name (オプション):class の代わりとなる、 関連クラスのエンティティ名。
| |
property-ref (オプション): 外部キーに結合された、 関連クラスのプロパティ名。指定されていない場合は、関連クラスの主キーを使用します。
|
以下にいくつかの例を挙げています。
文字列セット:
<set name="names" table="person_names"> <key column="person_id"/> <element column="person_name" type="string"/> </set>
order-by
属性が決定した反復順序となっている整数を含むbag
<bag name="sizes" table="item_sizes" order-by="size asc"> <key column="item_id"/> <element column="size" type="integer"/> </bag>
エンティティの配列、この場合多対多の関連です。
<array name="addresses" table="PersonAddress" cascade="persist"> <key column="personId"/> <list-index column="sortOrder"/> <many-to-many column="addressId" class="Address"/> </array>
文字列と日付の map
<map name="holidays" table="holidays" schema="dbo" order-by="hol_name asc"> <key column="id"/> <map-key column="hol_name" type="string"/> <element column="hol_date" type="date"/> </map>
コンポーネントのリスト(次の章で説明します)
<list name="carComponents" table="CarComponents"> <key column="carId"/> <list-index column="sortOrder"/> <composite-element class="CarComponent"> <property name="price"/> <property name="type"/> <property name="serialNumber" column="serialNum"/> </composite-element> </list>
7.2.5. 一対多関連
一対多関連 は、コレクションテーブルを介さず、外部キーにより2つのクラスのテーブルを関連付けます。このマッピングは標準的な Java のコレクションにある特定のセマンティクスを失います:
- 包含されたエンティティクラスのインスタンスは、2つ以上のコレクションのインスタンスに属してはいけません。
- コレクションに含まれるエンティティクラスのインスタンスは、コレクションインデックスの値として2度以上現れてはいけません。
Product
から Part
への関連は、 Part
テーブルへの外部キーカラムと、場合によってはインデックスカラムが存在していなければなりません。 <one-to-many>
タグは、これが一対多関連であることを表しています。
<one-to-many class="ClassName"not-found="ignore|exception"
entity-name="EntityName"
node="element-name" embed-xml="true|false" />
class (必須): 関連クラスの名前。
| |
not-found (オプション - デフォルトは exception ): 参照先の行がないキャッシュされた識別子をどのように扱うかを指定します: ignore は、行がないことを関連がないものとして扱います。
| |
entity-name (オプション):class の代わりとなる、 関連クラスのエンティティ名。
|
<one-to-many>
要素はいかなるカラムを宣言する必要がないことに注意してください。同様に どこにもテーブル
名を指定する必要もありません。
警告
<one-to-many>
関連の外部キーカラムが NOT NULL
と宣言された場合、<key>
マッピングに not-null="true"
を宣言するか、コレクションマッピングに inverse="true"
を付けた上で、 双方向関連を使う 必要があります。双方向関連の詳細情報についてはこの章で後述します。
次の例は、名称(
Part
の永続的なプロパティである partName
) による Part
エンティティの マップを表しています。関数ベースのインデックスを使っていることに注意してください。
<map name="parts" cascade="all"> <key column="productId" not-null="true"/> <map-key formula="partName"/> <one-to-many class="Part"/> </map>
7.3. 高度なコレクションマッピング
7.3.1. ソートされたコレクション
Hibernate は
java.util.SortedMap
と java.util.SortedSet
を実装したコレクションをサポートしています。開発者はマッピング定義ファイルにコンパレータを指定しなければなりません:
<set name="aliases" table="person_aliases" sort="natural"> <key column="person"/> <element column="name" type="string"/> </set> <map name="holidays" sort="my.custom.HolidayComparator"> <key column="year_id"/> <map-key column="hol_name" type="string"/> <element column="hol_date" type="date"/> </map>
sort
属性に設定できる値は unsorted
と natural
および、 java.util.Comparator
を実装したクラスの名前です。
ソートされたコレクションは実質的には
java.util.TreeSet
や java.util.TreeMap
のように振舞います。
データベース自身にコレクションの要素を並べさせたい場合、
set
や bag
、map
マッピングの order-by
属性を使います。この解決法は JDK1.4 、もしくはそれ以上のバージョンで利用可能で、LinkedHashSet
または LinkedHashMap
を使って実装されています。これはメモリ上ではなく、SQL クエリ内で整列の実行されます。
<set name="aliases" table="person_aliases" order-by="lower(name) asc"> <key column="person"/> <element column="name" type="string"/> </set> <map name="holidays" order-by="hol_date, hol_name"> <key column="year_id"/> <map-key column="hol_name" type="string"/> <element column="hol_date type="date"/> </map>
注記
order-by
属性の値は、HQL 命令ではなくSQL 命令となっています。
関連は、コレクションの
filter()
を使うことで、実行時に任意の criteria によってソートすることも可能です:
sortedUsers = s.createFilter( group.getUsers(), "order by this.name" ).list();
7.3.2. 双方向関連
双方向関連 は関連のどちら「側」からでもナビゲーションできます。2種類の双方向関連がサポートされています:
- one-to-many
- 片側が set か bag の値、もう片方が単一値です。
- many-to-many
- 両側が set か bag です。
2つの多対多関連を同じデータベーステーブルにマッピングし、片方を inverse として宣言することで、双方向の多対多関連を指定することが出来ます。インデックス付きのコレクションは使えません。
以下は双方向の多対多関連の例です。この例では、どのように各カテゴリは多数のアイテムを持つことができ、各アイテムは多くのカテゴリに属することが出来るかを示しています。
<class name="Category"> <id name="id" column="CATEGORY_ID"/> ... <bag name="items" table="CATEGORY_ITEM"> <key column="CATEGORY_ID"/> <many-to-many class="Item" column="ITEM_ID"/> </bag> </class> <class name="Item"> <id name="id" column="ITEM_ID"/> ... <!-- inverse end --> <bag name="categories" table="CATEGORY_ITEM" inverse="true"> <key column="ITEM_ID"/> <many-to-many class="Category" column="CATEGORY_ID"/> </bag> </class>
関連の inverse 側にのみ行われた変更は永続化されません。これは、Hibernate は全ての双方向関連について、メモリ上に2つの表現を持っているという意味です。つまり一つは A から B へのリンクで、もう一つは B から A へのリンクです。Java のオブジェクトモデルで Java 言語で双方向関係をどのように作るかを考えれば、これは理解しやすいです。
category.getItems().add(item); // The category now "knows" about the relationship item.getCategories().add(category); // The item now "knows" about the relationship session.persist(item); // The relationship won't be saved! session.persist(category); // The relationship will be saved
関連の inverse ではない側は、メモリ上の表現をデータベースに保存するのに使われます。
双方向の一対多関連を定義するには、一対多関連を多対一関連と同じテーブルのカラムにマッピングし、多側に
inverse="true"
と宣言します。
<class name="Parent"> <id name="id" column="parent_id"/> .... <set name="children" inverse="true"> <key column="parent_id"/> <one-to-many class="Child"/> </set> </class> <class name="Child"> <id name="id" column="child_id"/> .... <many-to-one name="parent" class="Parent" column="parent_id" not-null="true"/> </class>
関連の片側に
inverse="true"
をマッピングしても、これらは直交概念であるため、カスケード操作に影響を与えません。
7.3.3. インデックス付きコレクションと双方向関連
片側が
<list>
や <map>
で表現される 双方向関連は、特別な考慮が必要です。インデックスカラムにマップされる子クラスのプロパティがある場合は、コレクションのマッピングで inverse="true"
を使い続けることができます。
<class name="Parent"> <id name="id" column="parent_id"/> .... <map name="children" inverse="true"> <key column="parent_id"/> <map-key column="name" type="string"/> <one-to-many class="Child"/> </map> </class> <class name="Child"> <id name="id" column="child_id"/> .... <property name="name" not-null="true"/> <many-to-one name="parent" class="Parent" column="parent_id" not-null="true"/> </class>
しかし、子クラスにそのようなプロパティがない場合は、関連を真に双方向であるとすることができません。つまり、関連の片側に利用できる情報がありますが、もう一方にはありません。この場合は、コレクションに
inverse="true"
をマッピングできません。代わりに、次のようなマッピングが使えます:
<class name="Parent"> <id name="id" column="parent_id"/> .... <map name="children"> <key column="parent_id" not-null="true"/> <map-key column="name" type="string"/> <one-to-many class="Child"/> </map> </class> <class name="Child"> <id name="id" column="child_id"/> .... <many-to-one name="parent" class="Parent" column="parent_id" insert="false" update="false" not-null="true"/> </class>
注意:このマッピングでは、関連のコレクション値の側は、外部キーのアップデートを担当しています。
7.3.4. 3項関連
3項関連のマッピングには3つのアプローチがあります。1 つ目は関連をそのインデックスとして
Map
を使用するアプローチです:
<map name="contracts"> <key column="employer_id" not-null="true"/> <map-key-many-to-many column="employee_id" class="Employee"/> <one-to-many class="Contract"/> </map>
<map name="connections"> <key column="incoming_node_id"/> <map-key-many-to-many column="outgoing_node_id" class="Node"/> <many-to-many column="connection_id" class="Connection"/> </map>
2つ目は単純に関連をエンティティクラスとしてモデルを作り直すアプローチで、 最も一般的です。
最後は composite 要素を使うアプローチです。これに関する議論は後ほど行います。
7.3.5. <idbag>の使用
エンティティは合成識別子(代理キー)を持つべきだと提唱されていましたが、 以前に示した多対多関連と値のコレクションの多くはすべて、複合キーでテーブルに マッピングされています。合成値のコレクションには利点がある かも しれませんが純粋な関連テーブルは代理キーを使っても特に利点があるとは思えません。 このような理由で、Hibernate は代理キーを持つテーブルへ多対多関連と値のコレクションをマッピングできる機能も備えています。
<idbag>
要素では、bag のセマンティックスを持つList
(または Collection
)をマッピングできます。例えば、
<idbag name="lovers" table="LOVERS"> <collection-id column="ID" type="long"> <generator class="sequence"/> </collection-id> <key column="PERSON1"/> <many-to-many column="PERSON2" class="Person" fetch="join"/> </idbag>
<idbag>
はエンティティクラスのように人工的な id ジェネレータを持っており、異なる代理キーをそれぞれのコレクションの列に割り当てます。しかし、Hibernate はある行の代理キーの値を見つけ出すメカニズムを持っていません。
<idbag>
更新のパフォーマンスは通常の <bag>
よりも勝ります。Hibernate は個々の行を効率的に見つけることができ、 list や map 、set のように個別にその行を更新、削除できます。
現在の実装では、
native
という id 生成戦略を <idbag>
コレクションの識別子に対して使えません。
7.4. コレクションの例
この項ではコレクションの例を見ていきます。
以下のクラスには、
Child
インスタンスのコレクションが含まれます。
package eg; import java.util.Set; public class Parent { private long id; private Set children; public long getId() { return id; } private void setId(long id) { this.id=id; } private Set getChildren() { return children; } private void setChildren(Set children) { this.children=children; } .... .... }
それぞれの子が多くても一つの親を持っている場合、最も自然なマッピングは一対多関連です。
<hibernate-mapping> <class name="Parent"> <id name="id"> <generator class="sequence"/> </id> <set name="children"> <key column="parent_id"/> <one-to-many class="Child"/> </set> </class> <class name="Child"> <id name="id"> <generator class="sequence"/> </id> <property name="name"/> </class> </hibernate-mapping>
これは以下のテーブル定義にマッピングします。
create table parent ( id bigint not null primary key ) create table child ( id bigint not null primary key, name varchar(255), parent_id bigint ) alter table child add constraint childfk0 (parent_id) references parent
親を必要とする場合、双方向の一対多関連を使用してください:
<hibernate-mapping> <class name="Parent"> <id name="id"> <generator class="sequence"/> </id> <set name="children" inverse="true"> <key column="parent_id"/> <one-to-many class="Child"/> </set> </class> <class name="Child"> <id name="id"> <generator class="sequence"/> </id> <property name="name"/> <many-to-one name="parent" class="Parent" column="parent_id" not-null="true"/> </class> </hibernate-mapping>
NOT NULL
制約に注意してください。
create table parent ( id bigint not null primary key ) create table child ( id bigint not null primary key, name varchar(255), parent_id bigint not null ) alter table child add constraint childfk0 (parent_id) references parent
あるいは、この関連が単方向でなければならない場合、
<key>
マッピングに NOT NULL
制約を宣言できます:
<hibernate-mapping> <class name="Parent"> <id name="id"> <generator class="sequence"/> </id> <set name="children"> <key column="parent_id" not-null="true"/> <one-to-many class="Child"/> </set> </class> <class name="Child"> <id name="id"> <generator class="sequence"/> </id> <property name="name"/> </class> </hibernate-mapping>
一方で、子が複数の親を持てるならば、多対多関連が妥当です:
<hibernate-mapping> <class name="Parent"> <id name="id"> <generator class="sequence"/> </id> <set name="children" table="childset"> <key column="parent_id"/> <many-to-many class="Child" column="child_id"/> </set> </class> <class name="Child"> <id name="id"> <generator class="sequence"/> </id> <property name="name"/> </class> </hibernate-mapping>
テーブル定義は以下のようになります:
create table parent ( id bigint not null primary key ) create table child ( id bigint not null primary key, name varchar(255) ) create table childset ( parent_id bigint not null, child_id bigint not null, primary key ( parent_id, child_id ) ) alter table childset add constraint childsetfk0 (parent_id) references parent alter table childset add constraint childsetfk1 (child_id) references child
親子関係のマッピングについてのより多くの例や完全な説明が必要な場合は、 22章例: 親/子 をご覧ください。
また、さらに複雑な関連マッピングについては次の章で説明します。
第8章 関連マッピング
8.1. 概要
関連マッピングは多くの場合、正しく実装するのは最も難しいとされています。この章では、基本的なケースを1つずつ検証します。単方向のマッピングから始め、それから双方向のケースに移っていきます。例ではすべて
Person
と Address
を用います。
関連は、介在している結合テーブルにマッピングするかどうかと、多重度によって分類することにします。
null 可能な外部キーは従来型データモデリングの中では良い慣習と見なされていないため、null可能な外部キーを使用している例はありません。これは Hibernate の要件ではなく、null の代入が可能かの制約を外したとしても、マッピングは問題なく動作します。
8.2. 単方向関連
8.2.1. Many-to-one
単方向多対一関連 は単方向関連の中で最も一般的なものです。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <many-to-one name="address" column="addressId" not-null="true"/> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key, addressId bigint not null ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
8.2.2. One-to-one
外部キーの単方向一対一関連 はほとんど同じものです。唯一違うのは、カラムのユニークな制約です。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <many-to-one name="address" column="addressId" unique="true" not-null="true"/> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key, addressId bigint not null unique ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
主キーの単方向一対一関連 は通常、特別な ID ジェネレータを使います。しかしこの例では関連の方向が逆になっていることに注意してください。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="personId"> <generator class="foreign"> <param name="property">person</param> </generator> </id> <one-to-one name="person" constrained="true"/> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table Address ( personId bigint not null primary key )
8.2.3. 一対多(One-to-many)
外部キーの単方向一対多関連 はとても特殊なケースで、推奨されていません。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <set name="addresses"> <key column="personId" not-null="true"/> <one-to-many class="Address"/> </set> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table Address ( addressId bigint not null primary key, personId bigint not null )
代わりに、このような関連のために結合テーブルを使うべきです。
8.3. 結合テーブルを使った単方向関連
8.3.1. 一対多(One-to-many)
結合テーブルを使った単方向一対多関連 では こちらのオプションが推奨されています。
unique="true"
を指定すると、多重度が多対多から一対多に変わります。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <set name="addresses" table="PersonAddress"> <key column="personId"/> <many-to-many column="addressId" unique="true" class="Address"/> </set> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table PersonAddress ( personId not null, addressId bigint not null primary key ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
8.3.2. Many-to-one
関連が任意の場合、通常結合テーブルの単方向多対一関連 と なっています。例えば、
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <join table="PersonAddress" optional="true"> <key column="personId" unique="true"/> <many-to-one name="address" column="addressId" not-null="true"/> </join> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table PersonAddress ( personId bigint not null primary key, addressId bigint not null ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
8.3.3. One-to-one
結合テーブルの単方向一対一関連 は、非常に特殊ですが不可能ではありません。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <join table="PersonAddress" optional="true"> <key column="personId" unique="true"/> <many-to-one name="address" column="addressId" not-null="true" unique="true"/> </join> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table PersonAddress ( personId bigint not null primary key, addressId bigint not null unique ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
8.3.4. 多対多(Many-to-many)
最後に、ここで単方向多対多関連 を示します。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <set name="addresses" table="PersonAddress"> <key column="personId"/> <many-to-many column="addressId" class="Address"/> </set> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table PersonAddress ( personId bigint not null, addressId bigint not null, primary key (personId, addressId) ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
8.4. 双方向関連
8.4.1. 一対多(One to many)/多対一(many to one)
双方向多対一関連 は最も一般的な関連です。以下の例で標準的な親子関係を示しています。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <many-to-one name="address" column="addressId" not-null="true"/> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> <set name="people" inverse="true"> <key column="addressId"/> <one-to-many class="Person"/> </set> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key, addressId bigint not null ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
List
(または他のインデックス付きのコレクション)を使う場合、 外部キーの key
カラムを not null
に設定します。Hibernateは、コレクション側からの関連を管理し、各要素のインデックスをメンテナンスします。 結果、update="false"
かつ insert="false"
と設定することで、仮想的に反対側をinverseにします。
<class name="Person"> <id name="id"/> ... <many-to-one name="address" column="addressId" not-null="true" insert="false" update="false"/> </class> <class name="Address"> <id name="id"/> ... <list name="people"> <key column="addressId" not-null="true"/> <list-index column="peopleIdx"/> <one-to-many class="Person"/> </list> </class>
外部キーカラムが
NOT NULL
であるならば、コレクションマッピングの <key>
要素を not-null="true"
と定義することは重要です。入れ子になった <column>
要素だけではなく、 <key>
要素も not-null="true"
と宣言しないようにしてください。
8.4.2. One-to-one
外部キーの双方向一対一関連 は一般的です。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <many-to-one name="address" column="addressId" unique="true" not-null="true"/> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> <one-to-one name="person" property-ref="address"/> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key, addressId bigint not null unique ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
主キーの双方向一対一関連 は特殊な ID ジェネレータを使います。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <one-to-one name="address"/> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="personId"> <generator class="foreign"> <param name="property">person</param> </generator> </id> <one-to-one name="person" constrained="true"/> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table Address ( personId bigint not null primary key )
8.5. 結合テーブルを使った双方向関連
8.5.1. 一対多(One to many)/多対一(many to one)
以下は結合テーブルの双方向一対多関連 の例となっています。
inverse="true"
は関連端、コレクション、結合のいずれかに設定できるようになっています。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <set name="addresses" table="PersonAddress"> <key column="personId"/> <many-to-many column="addressId" unique="true" class="Address"/> </set> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> <join table="PersonAddress" inverse="true" optional="true"> <key column="addressId"/> <many-to-one name="person" column="personId" not-null="true"/> </join> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table PersonAddress ( personId bigint not null, addressId bigint not null primary key ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
8.5.2. 一対一(One to one)
結合テーブルの双方向一対一関連 は非常に特殊ですが、可能です。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <join table="PersonAddress" optional="true"> <key column="personId" unique="true"/> <many-to-one name="address" column="addressId" not-null="true" unique="true"/> </join> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> <join table="PersonAddress" optional="true" inverse="true"> <key column="addressId" unique="true"/> <many-to-one name="person" column="personId" not-null="true" unique="true"/> </join> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table PersonAddress ( personId bigint not null primary key, addressId bigint not null unique ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
8.5.3. 多対多(Many-to-many)
ここで、双方向多対多関連 の例を示します。
<class name="Person"> <id name="id" column="personId"> <generator class="native"/> </id> <set name="addresses" table="PersonAddress"> <key column="personId"/> <many-to-many column="addressId" class="Address"/> </set> </class> <class name="Address"> <id name="id" column="addressId"> <generator class="native"/> </id> <set name="people" inverse="true" table="PersonAddress"> <key column="addressId"/> <many-to-many column="personId" class="Person"/> </set> </class>
create table Person ( personId bigint not null primary key ) create table PersonAddress ( personId bigint not null, addressId bigint not null, primary key (personId, addressId) ) create table Address ( addressId bigint not null primary key )
8.6. より複雑な関連マッピング
より複雑な関連結合は 極めて 稀です。Hibernate は、マッピングドキュメントに埋め込まれたSQL フラグメントを使用することで、さらに複雑な状況を扱うことができます。例えば、
accountNumber
、effectiveEndDate
、 effectiveStartDate
カラムを持つ account (口座)情報の履歴を扱うテーブルは、以下のようにマッピングします。
<properties name="currentAccountKey"> <property name="accountNumber" type="string" not-null="true"/> <property name="currentAccount" type="boolean"> <formula>case when effectiveEndDate is null then 1 else 0 end</formula> </property> </properties> <property name="effectiveEndDate" type="date"/> <property name="effectiveStateDate" type="date" not-null="true"/>
そして、関連を 現時点の インスタンス (
effectiveEndDate
が null であるもの)にマッピングします。以下のようになります:
<many-to-one name="currentAccountInfo" property-ref="currentAccountKey" class="AccountInfo"> <column name="accountNumber"/> <formula>'1'</formula> </many-to-one>
さらに複雑な例では、
Employee(従業員)
と Organization(組織)
間の関連が Employment(雇用)
テーブルで保持される場合を想像してください。このテーブルには雇用データの履歴がすべて含まれます。すると従業員の 最も最近の 雇用者を表す関連 (最も最近の startDate
を持つもの)は、このようにマッピングできます:
<join> <key column="employeeId"/> <subselect> select employeeId, orgId from Employments group by orgId having startDate = max(startDate) </subselect> <many-to-one name="mostRecentEmployer" class="Organization" column="orgId"/> </join>
この機能で創造性、柔軟性の幅が出すことができますが、このような場合、普通は HQL や criteria クエリを使う方がより実践的です。
第9章 コンポーネントのマッピング
コンポーネント の概念は、Hibernate 全体で様々な状況や目的に再利用されます。
9.1. 依存オブジェクト
コンポーネントは、エンティティの参照ではなく値型として永続化された、包含オブジェクトです。「コンポーネント」という言葉については、アーキテクチャレベルのコンポーネントではなく、コンポジションというオブジェクト指向の概念を参照してください。例えば、以下ように Personをモデル化できます。
public class Person { private java.util.Date birthday; private Name name; private String key; public String getKey() { return key; } private void setKey(String key) { this.key=key; } public java.util.Date getBirthday() { return birthday; } public void setBirthday(java.util.Date birthday) { this.birthday = birthday; } public Name getName() { return name; } public void setName(Name name) { this.name = name; } ...... ...... }
public class Name { char initial; String first; String last; public String getFirst() { return first; } void setFirst(String first) { this.first = first; } public String getLast() { return last; } void setLast(String last) { this.last = last; } public char getInitial() { return initial; } void setInitial(char initial) { this.initial = initial; } }
ここで
Name
は Person
のコンポーネントとして永続化することが出来ます。Name
は永続化プロパティに対して getter 、setter メソッドを定義しますが、インターフェースや識別子プロパティを宣言する必要はありません。
Hibernateマッピングは以下のようになります。
<class name="eg.Person" table="person"> <id name="Key" column="pid" type="string"> <generator class="uuid"/> </id> <property name="birthday" type="date"/> <component name="Name" class="eg.Name"> <!-- class attribute optional --> <property name="initial"/> <property name="first"/> <property name="last"/> </component> </class>
Person テーブルは
pid
、 birthday
、 initial
、 first
、 last
カラムを持ちます。
値型のように、コンポーネントは参照の共有には対応していません。言い換えると、二人の Person は同じ名前を持つことができますが、二つの Person オブジェクトは値が「同じ」だけで別々の name オブジェクトを含んでいるということです。コンポーネントの null 値のセマンティクスは アドホック です。包含オブジェクトを再読み込みする際、Hibernate はコンポーネントのすべてのカラムが null であるならコンポーネント全体が null であると考えます。これは大抵の場合問題ありません。
コンポーネントのプロパティはどんな Hibernate の型でも構いません(コレクション、 many-to-one 関連、他のコンポーネントなど)。ネストされたコンポーネントは滅多に使わないと考えるべきでは ありません 。Hibernate は きめの細かいオブジェクトモデルをサポートするように意図されています。
<component>
要素は、親エンティティへ戻る参照として、コンポーネントのクラスのプロパティをマッピングする <parent>
サブ要素を許可します。
<class name="eg.Person" table="person"> <id name="Key" column="pid" type="string"> <generator class="uuid"/> </id> <property name="birthday" type="date"/> <component name="Name" class="eg.Name" unique="true"> <parent name="namedPerson"/> <!-- reference back to the Person --> <property name="initial"/> <property name="first"/> <property name="last"/> </component> </class>
9.2. 依存オブジェクトのコレクション
Hibernate はコンポーネントのコレクションをサポートしています(例えば
Name
型の配列)。<element>
タグを <composite-element>
タグに置き換えることでコンポーネントコレクションを宣言してください。
<set name="someNames" table="some_names" lazy="true"> <key column="id"/> <composite-element class="eg.Name"> <!-- class attribute required --> <property name="initial"/> <property name="first"/> <property name="last"/> </composite-element> </set>
重要
複合要素の
Set
を定義する場合、 equals()
と hashCode()
を正しく実装することが重要です。
複合要素はコレクションではなく、コンポーネントを含むこともあります。複合要素自身がコンポーネントを含んでいる場合は
<nested-composite-element>
タグを使用してください。これは、コンポーネントのコレクション自身がコンポーネントを持つケースです。この段階までに、one-to-many 関連の方がより適切でないかと熟考してください。コンポジットエレメントをエンティティとして再度モデリングしてみてください。しかしこれは Java のモデルとしては同じでもリレーショナルモデルと永続動作はまだ若干異なることに注意してください。
<set>
を使用する場合、複合要素のマッピングが null の代入可能なプロパティには対応していません。複合要素テーブルには別の主キーカラムがありません。Hibernate はオブジェクトの削除時、レコードを識別するために各カラムの値を使用する必要があるため、null 値を持つことが出来ません。複合要素に not-null の属性のみを使用するか、または <list>
、<map>
、<bag>
、<idbag>
を選択する必要があります。
複合要素の特別なケースとして、ネストされた
<many-to-one>
属性を持つ複合要素があります。このマッピングは、複合要素クラスを多対多関連テーブルの余分なカラムへマッピングします。以下は、Order
から、Item
への多対多関連で、purchaseDate
、price
、quantity
が関連のプロパティとなっています。
<class name="eg.Order" .... > .... <set name="purchasedItems" table="purchase_items" lazy="true"> <key column="order_id"> <composite-element class="eg.Purchase"> <property name="purchaseDate"/> <property name="price"/> <property name="quantity"/> <many-to-one name="item" class="eg.Item"/> <!-- class attribute is optional --> </composite-element> </set> </class>
双方向関連のナビゲーションに反対側から purchase への参照を作ることは出来ません。コンポーネントは値型であり、共有参照ができません。一つの
Purchase
は一つの Order
の set に存在できますが、同時にその Item
による参照することは出来ません。
3項関連(あるいは4項など)も可能です。
<class name="eg.Order" .... > .... <set name="purchasedItems" table="purchase_items" lazy="true"> <key column="order_id"> <composite-element class="eg.OrderLine"> <many-to-one name="purchaseDetails class="eg.Purchase"/> <many-to-one name="item" class="eg.Item"/> </composite-element> </set> </class>
複合要素は他のエンティティへの関連として、同じ構文を用いるクエリ内で出現可能です。
9.3. Map のインデックスとしてのコンポーネント
<composite-map-key>
要素は Map
のキーとしてコンポーネントクラスをマッピングします。コンポーネントクラス上で hashCode()
と equals()
を正確にオーバーライドするようにしてください。
9.4. 複合識別子としてのコンポーネント
コンポーネントをエンティティクラスの識別子として使うことができます。コンポーネントクラスは一定の条件を満たす必要があります。
java.io.Serializable
を実装しなければなりません。- データベース上の複合キーの等価性と矛盾のないように、
equals()
とhashCode()
を再実装しなければなりません。
注記
Hibernate3 において、2番目の条件は絶対的な条件ではありませんが、推奨はされています。
複合キーを生成するために
IdentifierGenerator
を使用することはできません。代わりにアプリケーションが独自の識別子を割り当てなくてはなりません。
通常の
<id>
宣言の代わりに <composite-id>
タグをネストされた <key-property>
属性と共に使います。例えば、OrderLine
クラスは Order
の(複合)主キーに依存した主キーを持っています。
<class name="OrderLine"> <composite-id name="id" class="OrderLineId"> <key-property name="lineId"/> <key-property name="orderId"/> <key-property name="customerId"/> </composite-id> <property name="name"/> <many-to-one name="order" class="Order" insert="false" update="false"> <column name="orderId"/> <column name="customerId"/> </many-to-one> .... </class>
このとき、
OrderLine
テーブルへ関連する外部キーもまた複合です。他のクラスのマッピングでこれを宣言しなければなりません。 OrderLine
への関連は次のようにマッピングされます。
<many-to-one name="orderLine" class="OrderLine"> <!-- the "class" attribute is optional, as usual --> <column name="lineId"/> <column name="orderId"/> <column name="customerId"/> </many-to-one>
注記
<column>
タグはどこも column
属性の代わりになります。
OrderLine
への many-to-many
関連も複合外部キーを使います。
<set name="undeliveredOrderLines"> <key column name="warehouseId"/> <many-to-many class="OrderLine"> <column name="lineId"/> <column name="orderId"/> <column name="customerId"/> </many-to-many> </set>
Order
にある OrderLine
のコレクションは次のものを使用します:
<set name="orderLines" inverse="true"> <key> <column name="orderId"/> <column name="customerId"/> </key> <one-to-many class="OrderLine"/> </set>
<one-to-many>
属性はカラムを宣言しません。
OrderLine
自身がコレクションを持っている場合、同時に複合外部キーも持っています。
<class name="OrderLine"> .... .... <list name="deliveryAttempts"> <key> <!-- a collection inherits the composite key type --> <column name="lineId"/> <column name="orderId"/> <column name="customerId"/> </key> <list-index column="attemptId" base="1"/> <composite-element class="DeliveryAttempt"> ... </composite-element> </set> </class>
9.5. 動的コンポーネント
Map
型のプロパティのマッピングも可能です:
<dynamic-component name="userAttributes"> <property name="foo" column="FOO" type="string"/> <property name="bar" column="BAR" type="integer"/> <many-to-one name="baz" class="Baz" column="BAZ_ID"/> </dynamic-component>
<dynamic-component>
マッピングのセマンティクスは <component>
と全く同一のものです。この種のマッピングの利点は、マッピングドキュメントの編集により、配置時に Bean の属性を決定できる点です。また、 DOM パーサを利用して、マッピングドキュメントのランタイム操作が可能です。さらに、 Configuration
オブジェクト経由で Hibernate のコンフィグレーション時のメタモデルにアクセス、または変更が可能です。
第10章 継承マッピング
10.1. 3つの戦略
Hibernate は3つの基本的な継承のマッピング戦略をサポートします。
- クラス階層ごとのテーブル (table-per-class-hierarchy)
- サブクラスごとのテーブル(table-per-subclass)
- 具象クラスごとのテーブル (table-per-concrete-class)
加えて4つ目に、 Hibernate はわずかに異なる性質を持ったポリモーフィズムをサポートします。
- 暗黙的ポリモーフィズム
同じ継承階層にある別の分岐に対して、異なるマッピング戦略を利用することができます。そうすることで、暗黙的ポリモーフィズムを使い、階層全体でポリモーフィズムを実現することができます。しかし、Hibernate は
<subclass>
、<joined-subclass>
、<union-subclass>
マッピングを同じroot の<class>
要素の下に混在させることができません。<subclass>
と <join>
要素を組み合わせることで、クラス階層毎のテーブルとサブクラス戦略毎のテーブルを同じ<class>
要素の下で混在させることは可能です (以下の例を参照)。
subclass
、union-subclass
と joined-subclass
マッピングを別のマッピングドキュメントに直接定義することが出来、 hibernate-mapping
の直下に配置します。これは新しいマッピングファイルを追加するだけで、クラス階層を拡張できるということです。あらかじめマップしたスーパークラスを指定して、サブクラスマッピングに extends
属性を記述しなければなりません。この特徴により、以前はマッピングドキュメントの順番が重要でした。 Hibernate3 からは、 extends キーワードを使う場合、マッピングドキュメントの順番は問題になりません。1つのマッピングファイル内で順番付けを行うときは、依然として、サブクラスを定義する前にスーパークラスを定義する必要があります。
<hibernate-mapping> <subclass name="DomesticCat" extends="Cat" discriminator-value="D"> <property name="name" type="string"/> </subclass> </hibernate-mapping>
10.1.1. クラス階層ごとのテーブル(table-per-class-hierarchy)
Payment
インターフェースとCreditCardPayment
、CashPayment
、ChequePayment
の実装があるとします。クラス階層毎のテーブルマッピングは、以下のように表示されます。
<class name="Payment" table="PAYMENT"> <id name="id" type="long" column="PAYMENT_ID"> <generator class="native"/> </id> <discriminator column="PAYMENT_TYPE" type="string"/> <property name="amount" column="AMOUNT"/> ... <subclass name="CreditCardPayment" discriminator-value="CREDIT"> <property name="creditCardType" column="CCTYPE"/> ... </subclass> <subclass name="CashPayment" discriminator-value="CASH"> ... </subclass> <subclass name="ChequePayment" discriminator-value="CHEQUE"> ... </subclass> </class>
ちょうど一つのテーブルが必要です。このマッピング戦略には制限が1つあります。
CCTYPE
のような、サブクラスで宣言されたカラムは NOT NULL
制約を持つことができません。
10.1.2. サブクラスごとのテーブル (table-per-subclass)
table-per-subclass マッピングは以下のようになります:
<class name="Payment" table="PAYMENT"> <id name="id" type="long" column="PAYMENT_ID"> <generator class="native"/> </id> <property name="amount" column="AMOUNT"/> ... <joined-subclass name="CreditCardPayment" table="CREDIT_PAYMENT"> <key column="PAYMENT_ID"/> <property name="creditCardType" column="CCTYPE"/> ... </joined-subclass> <joined-subclass name="CashPayment" table="CASH_PAYMENT"> <key column="PAYMENT_ID"/> ... </joined-subclass> <joined-subclass name="ChequePayment" table="CHEQUE_PAYMENT"> <key column="PAYMENT_ID"/> ... </joined-subclass> </class>
4つのテーブルが必要です。3つのサブクラステーブルはスーパークラステーブルとの関連を示す主キーを持っており、実際、関係モデル上は一対一関連です。
10.1.3. 弁別子 を用いた table-per-subclass
Hibernate の table-per-subclass 実装は、 discriminator カラムを必要としないことを覚えておいてください。 Hibernate 以外の O/R マッパーは、 table-per-subclass に異なる実装を用います。それは、スーパークラスのテーブルにタイプ discriminator カラムを必要とします。このアプローチは実装が困難になりますが、関係の視点から見ると、より正確なものです。table-per-subclass 戦略で discriminator カラムを使いたければ、
<subclass>
と <join>
を以下のように組み合わせて使ってください。
<class name="Payment" table="PAYMENT"> <id name="id" type="long" column="PAYMENT_ID"> <generator class="native"/> </id> <discriminator column="PAYMENT_TYPE" type="string"/> <property name="amount" column="AMOUNT"/> ... <subclass name="CreditCardPayment" discriminator-value="CREDIT"> <join table="CREDIT_PAYMENT"> <key column="PAYMENT_ID"/> <property name="creditCardType" column="CCTYPE"/> ... </join> </subclass> <subclass name="CashPayment" discriminator-value="CASH"> <join table="CASH_PAYMENT"> <key column="PAYMENT_ID"/> ... </join> </subclass> <subclass name="ChequePayment" discriminator-value="CHEQUE"> <join table="CHEQUE_PAYMENT" fetch="select"> <key column="PAYMENT_ID"/> ... </join> </subclass> </class>
オプションの
fetch="select"
宣言は、スーパークラスのクエリ実行時に外部結合を使って、サブクラスの ChequePayment
データを取得しないように指定するためのものです。
10.1.4. table-per-subclass と table-per-class-hierarchy の混合
クラス階層毎のテーブルとサブクラス戦略毎のテーブルを以下のアプローチを使うことで混在させることもできます。
<class name="Payment" table="PAYMENT"> <id name="id" type="long" column="PAYMENT_ID"> <generator class="native"/> </id> <discriminator column="PAYMENT_TYPE" type="string"/> <property name="amount" column="AMOUNT"/> ... <subclass name="CreditCardPayment" discriminator-value="CREDIT"> <join table="CREDIT_PAYMENT"> <property name="creditCardType" column="CCTYPE"/> ... </join> </subclass> <subclass name="CashPayment" discriminator-value="CASH"> ... </subclass> <subclass name="ChequePayment" discriminator-value="CHEQUE"> ... </subclass> </class>
いずれのマッピング戦略であっても、ルートである
Payment
クラスへのポリモーフィックな関連は <many-to-one>
を使ってマッピングします。
<many-to-one name="payment" column="PAYMENT_ID" class="Payment"/>
10.1.5. 具象クラスごとのテーブル(table-per-concrete-class)
table-per-concrete-class 戦略のマッピングに対するアプローチは2つあります。1つ目は
<union-subclass>
を利用する方法です。
<class name="Payment"> <id name="id" type="long" column="PAYMENT_ID"> <generator class="sequence"/> </id> <property name="amount" column="AMOUNT"/> ... <union-subclass name="CreditCardPayment" table="CREDIT_PAYMENT"> <property name="creditCardType" column="CCTYPE"/> ... </union-subclass> <union-subclass name="CashPayment" table="CASH_PAYMENT"> ... </union-subclass> <union-subclass name="ChequePayment" table="CHEQUE_PAYMENT"> ... </union-subclass> </class>
サブクラスごとに3つのテーブルが必要です。それぞれのテーブルは、継承プロパティを含んだ、クラスの全てのプロパティに対するカラムを定義します。
このアプローチにおける制限は、プロパティがスーパークラスにマッピングされていた場合、全てのサブクラスにおいてカラム名が同じでなければならないというものです。union subclass 継承では識別子生成戦略を使用できません。主キーを生成するためのシードは、全ての union subclass の階層内で共有する必要があるからです。
スーパークラスが抽象的であれば、
abstract="true"
とマッピングします。もちろん、スーパークラスが抽象的でないなら、スーパークラスのインスタンスを保持するために、テーブルの追加が必要となります (上の例でのデフォルトは PAYMENT
)。
10.1.6. 暗黙的ポリモーフィズムを用いた table-per-concrete-class
もう一つのアプローチは暗黙的ポリモーフィズムの使用です:
<class name="CreditCardPayment" table="CREDIT_PAYMENT"> <id name="id" type="long" column="CREDIT_PAYMENT_ID"> <generator class="native"/> </id> <property name="amount" column="CREDIT_AMOUNT"/> ... </class> <class name="CashPayment" table="CASH_PAYMENT"> <id name="id" type="long" column="CASH_PAYMENT_ID"> <generator class="native"/> </id> <property name="amount" column="CASH_AMOUNT"/> ... </class> <class name="ChequePayment" table="CHEQUE_PAYMENT"> <id name="id" type="long" column="CHEQUE_PAYMENT_ID"> <generator class="native"/> </id> <property name="amount" column="CHEQUE_AMOUNT"/> ... </class>
Payment
インターフェースが明示的に記載されていないこと、そしてPayment
プロパティが各サブクラスにマッピングされていることに注意してください。重複を避けたい場合、XML エンティティの利用も検討してください。(例:DOCTYPE
宣言における [ <!ENTITY allproperties SYSTEM "allproperties.xml"> ]
と、マッピングにおける &allproperties;
)
このアプローチの欠点は、Hibernate がポリモーフィックなクエリの実行時に SQL
UNION
を生成しない点です。
このマッピング戦略に対しては、
Payment
へのポリモーフィックな関連は常に、 <any>
を使ってマッピングされます。
<any name="payment" meta-type="string" id-type="long"> <meta-value value="CREDIT" class="CreditCardPayment"/> <meta-value value="CASH" class="CashPayment"/> <meta-value value="CHEQUE" class="ChequePayment"/> <column name="PAYMENT_CLASS"/> <column name="PAYMENT_ID"/> </any>
10.1.7. 他の継承マッピングと暗黙的ポリモーフィズムの組み合わせ
サブクラスが自身の
<class>
要素にマッピングされており、(なおかつ Payment
は単なるインターフェースであるため)、各サブクラスは簡単に他の継承階層の一部となりえます。しかも、Payment
インターフェースに対するポリモーフィックなクエリを使用することもできます。
<class name="CreditCardPayment" table="CREDIT_PAYMENT"> <id name="id" type="long" column="CREDIT_PAYMENT_ID"> <generator class="native"/> </id> <discriminator column="CREDIT_CARD" type="string"/> <property name="amount" column="CREDIT_AMOUNT"/> ... <subclass name="MasterCardPayment" discriminator-value="MDC"/> <subclass name="VisaPayment" discriminator-value="VISA"/> </class> <class name="NonelectronicTransaction" table="NONELECTRONIC_TXN"> <id name="id" type="long" column="TXN_ID"> <generator class="native"/> </id> ... <joined-subclass name="CashPayment" table="CASH_PAYMENT"> <key column="PAYMENT_ID"/> <property name="amount" column="CASH_AMOUNT"/> ... </joined-subclass> <joined-subclass name="ChequePayment" table="CHEQUE_PAYMENT"> <key column="PAYMENT_ID"/> <property name="amount" column="CHEQUE_AMOUNT"/> ... </joined-subclass> </class>
もう一度述べますが、
Payment
は明示的に記載されません。Payment
インターフェースに対してクエリを実行する場合、 例えば from Payment
などから、 Hibernate は自動的に CreditCardPayment
(と Payment
の実装であるためCreditCardPayment のサブクラス)、および、CashPayment
、ChequePayment
のインスタンスを返します。しかし、NonelectronicTransaction
インスタンスは返しません。
10.2. 制限
table-per-concrete-class マッピング戦略への「暗黙的ポリモーフィズム」アプローチにはいくつかの制限があります。
<union-subclass>
マッピングに対しても若干弱めの制限があります。
次のリストで、Hibernate における table-per-concrete-class マッピングの制限や暗黙的ポリモーフィズムの制限を示します。
- table per class-hierarchy , サブクラスごとのテーブル(table-per-subclass)
- ポリモーフィックな多対一:
<many-to-one>
- ポリモーフィックな一対一:
<one-to-one>
- ポリモーフィックな一対多:
<one-to-many>
- ポリモーフィックな多対多 :
<many-to-many>
- ポリモーフィックな
load()
あるいはget()
:s.get(Payment.class, id)
- ポリモーフィックなクエリ:
from Payment p
- ポリモーフィックな結合:
from Order o join o.payment p
外部結合によるフェッチに対応しています。- table per concrete-class (union-subclass)
- ポリモーフィックな多対一:
<many-to-one>
- ポリモーフィックな一対一:
<one-to-one>
- ポリモーフィックな一対多:
<one-to-many>
(inverse="true"
のみ) - ポリモーフィックな多対多 :
<many-to-many>
- ポリモーフィックな
load()
あるいはget()
:s.get(Payment.class, id)
- ポリモーフィックなクエリ:
from Payment p
- ポリモーフィックな結合:
from Order o join o.payment p
外部結合によるフェッチに対応しています。- table per concrete class (暗黙的ポリモーフィズム)
- ポリモーフィックな多対一:
<any>
- ポリモーフィックな多対多 :
<many-to-many>
- ポリモーフィックな
load()
またはget()
:s.createCriteria(Payment.class).add( Restrictions.idEq(id) ).uniqueResult()
- ポリモーフィックなクエリ:
from Payment p
ポリモーフィックな一対一、ポリモーフィックな一対多、ポリモーフィックな結合、外部結合フェッチには対応していません。
第11章 オブジェクトの利用
Hibernate は完全なオブジェクト/リレーショナルマッピングソリューションであり、データベース管理システムの詳細を開発者から見えなくするだけでなく、オブジェクトの 状態管理 も行います。これは、JDBC/SQL 永続層と同じような SQL
statements
の管理とは異なり、 Java アプリケーションの永続化に対する、自然なオブジェクト指向の考え方を提供します。
言いかえれば、 Hibernate を用いるアプリケーション開発者は、オブジェクトの 状態 については常に意識すべきであり、 SQL 文の実行については必ずしもそうではありません。この部分は、通常、 Hibernate が処理し、システムのパフォーマンスを調整するときにだけ、問題になってきます。
11.1. Hibernate におけるオブジェクトの状態
Hibernate は次のようなオブジェクトの状態を定義し、サポートしています:
- 一時的(Transient) -
new
演算子を使ってインスタンス化されただけで、Hibernate のSession
に関連付けられていない場合、オブジェクトは一時的(Transient)なものとなります。それは、データベースに永続的な表現を持たず、識別子となる値は割り当てられていません。Transient インスタンスは、アプリケーションがその参照をどこにも保持しない場合に、ガベージコレクタによって破棄されます。オブジェクトを永続的 (persistent) な状態にするためには、 Hibernate のSession
を使いましょう(Hibernate がこの遷移を実行する際に必要となるSQL 文を処理させることになります)。 - 永続的 (Persistent) - 永続的なインスタンスは識別子値やデータベースに表現を持ちます。それは、保存やロードされている場合もあるかもしれませんが、定義上は、
Session
のスコープの中に存在しています。Hibernate は、作業単位(Unit of Work)が完了したときに、永続状態のオブジェクトに加えられた変更を検出し、オブジェクトの状態とデータベースを同期します。オブジェクトを transient にするときは、開発者は、手作業でUPDATE
文やDELETE
文を実行しません。 - 分離(Detached) - 分離(detached)インスタンスとは、永続化されているが、それと関連付いていた
Session
がクローズされているオブジェクトのことです。そのオブジェクトへの参照は、依然として有効です。そして、もちろん、detached インスタンスはこの状態に修正することさえできます。 detached インスタンスは、後にもう一度永続化したい(そして、すべての変更を永続化したい)ときに、新しいSession
に再追加できます。この機能は、ユーザーが考える時間を必要とするような、長期間に及ぶ作業単位に対するプログラミングモデルを可能にします。これを アプリケーションのトランザクション(application transaction) と呼んでいます。すなわち、ユーザーから見た作業単位です。
これから、状態と状態遷移(そして、遷移のトリガとなる Hibernate のメソッド)について、詳細に述べます。
11.2. オブジェクトの永続化
新しくインスタンス化された永続クラスのインスタンスは、 Hibernate では 一時的(transient) と見なされます。以下のように、セッションと関連づけることで、 transient インスタンスを 永続状態 (persistent) にできます。
DomesticCat fritz = new DomesticCat(); fritz.setColor(Color.GINGER); fritz.setSex('M'); fritz.setName("Fritz"); Long generatedId = (Long) sess.save(fritz);
Cat
に生成済みの識別子がある場合、save()
が呼び出されるとこの識別子が生成されcat
に対し割り当てられます。Cat
が assigned
識別子か複合キーを持つ場合、save()
を呼び出す前に、この識別子を cat
インスタンスに割り当てなければなりません。JPA の初期ドラフトで定義されたセマンティクスにより save()
の代わりにpersist()
を使うことも可能です。
persist()
は、一時的なインスタンスを永続化します。しかし、識別子が即座に永続インスタンスに割り当てられる保証はなく、割り当てはフラッシュ時に起こることもあります。また、persist()
は、トランザクション境界外で呼び出された場合、INSERT
文を実行しないようにします。これは拡張されたSession / 永続コンテキストにおける長期に亘る会話では有用です。save()
では、識別子を返すかの保証はありません。識別子の取得にINSERT を実行する必要がある場合(例「シーケンス」ではなく「アイデンティティ(ID)」ジェネレータ)、トランザクションの内外、どちらにいようとも、この INSERT は即座に起こります。拡張されたSession / 永続コンテキストを伴う長い会話については問題です。
代わりに、多重定義された
save()
を使って、識別子を割り当てることもできます。
DomesticCat pk = new DomesticCat(); pk.setColor(Color.TABBY); pk.setSex('F'); pk.setName("PK"); pk.setKittens( new HashSet() ); pk.addKitten(fritz);
永続化するオブジェクトが関連オブジェクトを持っている場合 (例えば、前例の
kittens
コレクションのように)、外部キーカラムに、 NOT NULL
制約をつけない限りは、これらの一連のオブジェクトをどんな順番で永続化してもかまいません。外部キー制約を違反する恐れはありません。しかし、 NOT NULL
制約がある場合、間違った順番でオブジェクトを save()
してしまうと、制約に違反するかもしれません。
通常、Hibernate の 遷移的な永続化 (transitive persistence) 機能を使って関連するオブジェクトを自動保存するため、このような詳細を気にする必要はありません。そして、
NOT NULL
制約の違反すら起こりません。Hibernate がすべて処理します。遷移的な永続化は、この章の後半に書かれています。
11.3. オブジェクトのロード
永続化されたインスタンスの識別子があらかじめ分かっているなら、
Session
の load()
メソッドを使って取得する手段があります。load()
は、Class オブジェクトをとり、永続状態にあるそのクラスのインスタンスを新たに生成し、状態をロードします。
Cat fritz = (Cat) sess.load(Cat.class, generatedId);
// you need to wrap primitive identifiers long id = 1234; DomesticCat pk = (DomesticCat) sess.load( DomesticCat.class, new Long(id) );
あるいは、以下のように、既存のインスタンスに状態をロードすることもできます:
Cat cat = new DomesticCat(); // load pk's state into cat sess.load( cat, new Long(pkId) ); Set kittens = cat.getKittens();
DB に該当する行が無い場合、
load()
は回復不可能な例外を投げることに注意しましょう。そのクラスがプロキシを使ってマッピングされている場合、 load()
は初期化されていないプロキシを返し、プロキシのメソッドが呼ばれるまで実際にはデータベースにアクセスしません。実際にデータベースからロードせずに、オブジェクトに対する関連を作りたい場合、この振る舞いはとても役立ちます。batch-size
がクラスマッピングに定義されている場合、複数のインスタンスを一括でロードすることが可能です。
該当する行が存在することを確信できない場合は、データベースにすぐにアクセスし該当する行が無いと null を返す
get()
メソッドを使うべきです。
Cat cat = (Cat) sess.get(Cat.class, id); if (cat==null) { cat = new Cat(); } return cat;
LockMode
を使えば、SELECT ... FOR UPDATE
という SQL を使ってオブジェクトをロードすることができます。詳細な情報は、API ドキュメントを参照してください。
Cat cat = (Cat) sess.get(Cat.class, id, LockMode.UPGRADE);
関連に対するカスケードスタイルとして
lock
や all
を指定しない限り、関連するインスタンスや包含するコレクションは FOR UPDATE
で選択されません。
refresh()
メソッドを使うことで、どんなときでも、オブジェクトやそのコレクションをリロードすることができます。データベースのトリガがテーブルを更新した際に、そのテーブルに対応するオブジェクトのプロパティを同期する場合、このメソッドが役に立ちます。
sess.save(cat); sess.flush(); //force the SQL INSERT sess.refresh(cat); //re-read the state (after the trigger executes)
Hibernate がデータベースから、どのくらいの量をロードするのでしょうか?またどのくらいの数の SQL の
SELECT
文が使われるのでしょうか?これは、フェッチの戦略 によります。これについては、「フェッチ戦略」で説明しています。
11.4. クエリ
探しているオブジェクトの識別子が分からない場合は、クエリが必要になります。Hibernate は使いやすくて強力なオブジェクト指向のクエリ言語 (HQL) をサポートしています。プログラムでクエリが作成できるように、Hibernate は洗練された Criteria と Example クエリ機能 (QBC と QBE) をサポートしています。また、リザルトセットをオブジェクトに変換する Hibernate のオプション機能を使うことで、データベースのネイティブ SQL でクエリを表現することもできます。
11.4.1. クエリの実行
HQL やネイティブな SQL クエリは、
org.hibernate.Query
のインスタンスとして表現されます。このインタフェースは、パラメータバインディングや ResultSet のハンドリングやクエリの実行を行うメソッドを用意しています。通常、 Query
は、以下に示すように、その時点の Session
を使って取得します。
List cats = session.createQuery( "from Cat as cat where cat.birthdate < ?") .setDate(0, date) .list(); List mothers = session.createQuery( "select mother from Cat as cat join cat.mother as mother where cat.name = ?") .setString(0, name) .list(); List kittens = session.createQuery( "from Cat as cat where cat.mother = ?") .setEntity(0, pk) .list(); Cat mother = (Cat) session.createQuery( "select cat.mother from Cat as cat where cat = ?") .setEntity(0, izi) .uniqueResult(); Query mothersWithKittens = session.createQuery( "select mother from Cat as mother left join fetch mother.kittens"); Set uniqueMothers = new HashSet(mothersWithKittens.list());
クエリは、普通、
list()
を呼び出すことによって実行されます。クエリの結果は、メモリ上にあるコレクションにすべてロードされます。クエリによって取得されたエンティティのインスタンスは、永続状態です。クエリがたった1つのインスタンスを返すと分かっている場合、uniqueResult()
メソッドが簡単な方法です。通常、即時フェッチを利用したクエリの場合、得られたコレクションには、ルートのオブジェクトが重複して含まれていますが、初期化されたコレクションでは、この重複をSet
でフィルタリングすることができます。
11.4.1.1. 結果をイテレートする
時に
iterate()
メソッドを使ってクエリを実行することで、より良いパフォーマンスを得ることができます。これは、通常、クエリによって得られた実際のエンティティのインスタンスが、すでにセッションまたは二次キャッシュに存在することが期待できる場合だけです。それらが、まだキャッシュされていないなら、 iterate()
は、 list()
よりも遅く、簡単なクエリに対しても多くのデータベースアクセスを必要とします。そのアクセスとは、識別子だけを取得するための最初の select 1回 と、実際のインスタンスを初期化するために後から行う n回 の select のことです。
// fetch ids Iterator iter = sess.createQuery("from eg.Qux q order by q.likeliness").iterate(); while ( iter.hasNext() ) { Qux qux = (Qux) iter.next(); // fetch the object // something we couldn't express in the query if ( qux.calculateComplicatedAlgorithm() ) { // delete the current instance iter.remove(); // don't need to process the rest break; } }
11.4.1.2. オブジェクトの組(tuple)を返すクエリ
Hibernate のクエリでは、オブジェクトのタプル(組)を返すことがあります。各タプルは配列として返されます:
Iterator kittensAndMothers = sess.createQuery( "select kitten, mother from Cat kitten join kitten.mother mother") .list() .iterator(); while ( kittensAndMothers.hasNext() ) { Object[] tuple = (Object[]) kittensAndMothers.next(); Cat kitten = (Cat) tuple[0]; Cat mother = (Cat) tuple[1]; .... }
11.4.1.3. スカラーの結果
クエリでは、
select
節でクラスのプロパティを指定できます。SQL の集合関数を呼ぶこともできます。プロパティや集合関数は、永続状態のエンティティではなく、「スカラー値」であると見なされます。
Iterator results = sess.createQuery( "select cat.color, min(cat.birthdate), count(cat) from Cat cat " + "group by cat.color") .list() .iterator(); while ( results.hasNext() ) { Object[] row = (Object[]) results.next(); Color type = (Color) row[0]; Date oldest = (Date) row[1]; Integer count = (Integer) row[2]; ..... }
11.4.1.4. パラメータのバインド
Query
は、名前付きのパラメータや JDBC スタイルの ?
パラメータに値をバインドするためのメソッドを持っています。JDBC とは違い、Hibernate はパラメータにゼロから番号を振っていきます。名前付きのパラメータとは、クエリ文字列のなかにある :name
形式の識別子です。名前付きパラメータの利点は次の通りです:です:
- 名前付きパラメータは、クエリ文字列に登場する順番と無関係です
- 同じクエリ内に複数回登場することができます。
- 自分自身を説明します
//named parameter (preferred) Query q = sess.createQuery("from DomesticCat cat where cat.name = :name"); q.setString("name", "Fritz"); Iterator cats = q.iterate();
//positional parameter Query q = sess.createQuery("from DomesticCat cat where cat.name = ?"); q.setString(0, "Izi"); Iterator cats = q.iterate();
//named parameter list List names = new ArrayList(); names.add("Izi"); names.add("Fritz"); Query q = sess.createQuery("from DomesticCat cat where cat.name in (:namesList)"); q.setParameterList("namesList", names); List cats = q.list();
11.4.1.5. ページ分け
リザルトセットに制限(取得したい最大行数や取得したい最初の行)を加える必要があれば、
Query
インターフェースのメソッドを使うことができます:
Query q = sess.createQuery("from DomesticCat cat"); q.setFirstResult(20); q.setMaxResults(10); List cats = q.list();
制限付きのクエリを DBMS のネイティブな SQL に変換する方法を、 Hibernate は知っています。
11.4.1.6. スクロール可能なイテレーション
JDBC ドライバがスクロール可能な
ResultSet
をサポートしていれば、Query
インターフェースを使って、ScrollableResults
オブジェクトを取得できます。それを使うと、クエリの結果に対して柔軟にナビゲーションできます。
Query q = sess.createQuery("select cat.name, cat from DomesticCat cat " + "order by cat.name"); ScrollableResults cats = q.scroll(); if ( cats.first() ) { // find the first name on each page of an alphabetical list of cats by name firstNamesOfPages = new ArrayList(); do { String name = cats.getString(0); firstNamesOfPages.add(name); } while ( cats.scroll(PAGE_SIZE) ); // Now get the first page of cats pageOfCats = new ArrayList(); cats.beforeFirst(); int i=0; while( ( PAGE_SIZE > i++ ) && cats.next() ) pageOfCats.add( cats.get(1) ); } cats.close();
この機能にはオープン状態のデータベースコネクションが必要であることに注意してください。オフラインのページ分け機能が必要であれば、
setMaxResult()
/ setFirstResult()
を使いましょう。
11.4.1.7. 名前付きクエリの外出し
マッピングドキュメントに名前付きのクエリを定義することができます。マークアップと解釈される文字がクエリに含まれるなら、
CDATA
セクションを使うことを忘れないようにしましょう。
<query name="ByNameAndMaximumWeight"><![CDATA[ from eg.DomesticCat as cat where cat.name = ? and cat.weight > ? ] ]></query>
パラメータのバインディングと実行は、以下のようなプログラムで行われます:
Query q = sess.getNamedQuery("ByNameAndMaximumWeight"); q.setString(0, name); q.setInteger(1, minWeight); List cats = q.list();
実際のプログラムコードは、使われるクエリ言語に依存していません。メタデータには、ネイティブ SQL クエリを定義することもできますし、既存のクエリをマッピングファイルに移すことで、 Hibernate に移行することもできます。
<hibernate-mapping>
要素の中のクエリ宣言は、クエリに対するグローバルに一意な名前が必要なことにも注意してください。それに対して、 <class>
要素の中のクエリ宣言は、クラスの完全修飾名が前に付けられるので、自動的に一意になります。例: eg.Cat.ByNameAndMaximumWeight
11.4.2. フィルタリングコレクション
コレクション フィルタ は、永続化されているコレクションや配列に適用される特殊なタイプのクエリです。そのクエリ文字列では、コレクションのその時点での要素を意味する
this
を参照可能です。
Collection blackKittens = session.createFilter( pk.getKittens(), "where this.color = ?") .setParameter( Color.BLACK, Hibernate.custom(ColorUserType.class) ) .list()
返されるコレクションは Bag とみなされます。そして、それはもとのコレクションのコピーになります。元のコレクションは修正されません。これは、「filter」という名前の意味とは反対ですが、期待される動きとは一致しています。
必要なら、持つことも可能ですが、フィルタには
from
節が不要である点に注目してください。フィルタは、コレクションの要素自体を返して構いません。
Collection blackKittenMates = session.createFilter( pk.getKittens(), "select this.mate where this.color = eg.Color.BLACK.intValue") .list();
クエリを含まないフィルタも役に立ちます。例えば、大きなコレクションの部分集合をロードするために使えます。
Collection tenKittens = session.createFilter( mother.getKittens(), "") .setFirstResult(0).setMaxResults(10) .list();
11.4.3. クライテリアのクエリ
HQL は非常に強力ですが、クエリ文字列を作るよりも、オブジェクト指向の API を使って動的にクエリを作る方を好む開発者もいます。こういった場合のために、 Hibernate は直感的な
Criteria
クエリ API を提供しています。
Criteria crit = session.createCriteria(Cat.class); crit.add( Restrictions.eq( "color", eg.Color.BLACK ) ); crit.setMaxResults(10); List cats = crit.list();
11.4.4. ネイティブ SQL のクエリ
createSQLQuery()
を使って、 SQL でクエリを表現することもできます。そして、Hibernate に、リザルトセットからオブジェクトへのマッピングを管理します。session.connection()
を呼べばどんなときでも、直接、 JDBC Connection
を使用できます。Hibernate API を使うのであれば、下記のように SQL の別名を括弧でくくらなければなりません。
List cats = session.createSQLQuery("SELECT {cat.*} FROM CAT {cat} WHERE ROWNUM<10") .addEntity("cat", Cat.class) .list();
List cats = session.createSQLQuery( "SELECT {cat}.ID AS {cat.id}, {cat}.SEX AS {cat.sex}, " + "{cat}.MATE AS {cat.mate}, {cat}.SUBCLASS AS {cat.class}, ... " + "FROM CAT {cat} WHERE ROWNUM<10") .addEntity("cat", Cat.class) .list();
SQL クエリは、Hibernate クエリと同じように、名前付きのパラメータと位置パラメータを持つことができます。 Hibernate におけるネイティブな SQL クエリの詳細については、17章ネイティブ SQLを参照してください。
11.5. 永続オブジェクトの修正
処理中の永続インスタンス(例:
Session
によって、ロード、保存、作成、クエリされたオブジェクト)は、アプリケーションが操作します。その際に変更された永続状態は、Session
が フラッシュ されるときに、永続化されます。これは、この章で後述しています。変更を永続化するために、特殊なメソッド(update()
のようなもの。これは、別の目的で使用します)を呼ぶ必要はありません。オブジェクトの状態を更新する一番簡単な方法は、オブジェクトを load()
し、Session
をオープンにしている間に、直接操作することです。
DomesticCat cat = (DomesticCat) sess.load( Cat.class, new Long(69) ); cat.setName("PK"); sess.flush(); // changes to cat are automatically detected and persisted
オブジェクトをロードするには SQL の
SELECT
が、更新された状態を永続化するには SQL の UPDATE
が同じセッションで必要となるので、このプログラミングモデルは効率が悪くなります。Hibernate では分離インスタンスを利用することで別の方法を用意しています。
重要
Hibernate は、
UPDATE
文や DELETE
文を直接実行する API を用意していません。Hibernate は、状態管理 サービスであり、それを使うのに 命令文 のことを開発者が考える必要はありません。JDBC は SQL 文を実行する完璧な API であり、session.connection()
を呼ぶことでいつでも、 JDBC Connection
を開発者は取得できます。さらに、大量のデータ操作の考え方は、オンライントランザクション処理向きアプリケーションのオブジェクト/リレーショナルマッピングと衝突します。しかし、Hibernate の今後のバージョンでは、大量データを処理する特別な機能を提供することができます。バッチ操作に利用できるいくつかの工夫については、14章バッチ処理 を参照してください。
11.6. 分離オブジェクトの修正
多くのアプリケーションでは、あるトランザクションでオブジェクトを復元し、操作するためにオブジェクトを UI 層に送り、その後に、新しいトランザクションで変更を保存する必要があります。並行性の高い環境で、このタイプのアプローチを使うアプリケーションでは通常、「期間の長い」作業単位の隔離性を保証するために、バージョンデータが使われます。
Hibernate は、
Session.update()
や Session.merge()
メソッドを使って、detached インスタンスを再追加することで、このモデルに対応します。
// in the first session Cat cat = (Cat) firstSession.load(Cat.class, catId); Cat potentialMate = new Cat(); firstSession.save(potentialMate); // in a higher layer of the application cat.setMate(potentialMate); // later, in a new session secondSession.update(cat); // update cat secondSession.update(mate); // update mate
識別子
catId
を持つ Cat
が、既に secondSession
でロードされていた場合は、再追加しようとしたときに、例外が投げられます。
同じ識別子を持つ永続インスタンスをセッションが既に保持していないことを確信できる場合は
update()
を使います。そして、セッションの状態を考えずに、いつでも変更をマージしたい場合は、merge()
を使います。すなわち、detached インスタンスの再追加操作が、最初に確実に実行されるようにするには、通常は update()
が新しいセッションのなかで最初に呼ばれるメソッドになります。
その状態を更新したい場合に 限り、このdetached インスタンスから到達可能な、detached インスタンスをアプリケーションは個別に
update()
すべきです。遷移的な永続化 を使えば、もちろん自動化できます。「連鎖的な永続化」を参照してください。
lock()
メソッドでもまた、新しいセッションにオブジェクトを再関連付けできます。しかし、detached インスタンスは無修正でなければなりません。
//just reassociate: sess.lock(fritz, LockMode.NONE); //do a version check, then reassociate: sess.lock(izi, LockMode.READ); //do a version check, using SELECT ... FOR UPDATE, then reassociate: sess.lock(pk, LockMode.UPGRADE);
lock()
は、さまざまな LockMode
とともに使うことができる点に注意してください。詳細は、 API ドキュメントとトランザクション処理の章を参照してください。再追加のときにだけ、 lock()
が使われるわけではありません。
期間の長い作業単位の、その他のモデルは、「楽観的同時実行制御」 で述べています。
11.7. 自動的な状態検出
Hibernate のユーザーは次の2つのケースのどちらにも使える汎用的なメソッドを要求していました。それは、新しい識別子を生成して transient インスタンスを保存することと、その時点の識別子と関連づいている detached インスタンスを更新/再追加することのできるメソッドです。
saveOrUpdate()
はこのような機能を実現したメソッドです。
// in the first session Cat cat = (Cat) firstSession.load(Cat.class, catID); // in a higher tier of the application Cat mate = new Cat(); cat.setMate(mate); // later, in a new session secondSession.saveOrUpdate(cat); // update existing state (cat has a non-null id) secondSession.saveOrUpdate(mate); // save the new instance (mate has a null id)
saveOrUpdate()
の使用方法と意味は、新しいユーザーにとって混乱を招くかもしれません。まず第一に、あるセッションで使用したインスタンスを別の新しいセッションで使おうとしない限り、 update()
や saveOrUpdate()
や merge()
を使う必要はありません。アプリケーション全体を通じて、これらのメソッドを全く使わないこともあります。
通常、
update()
や saveOrUpdate()
は次のシナリオで使われます:
- アプリケーションが最初のセッションでオブジェクトをロードします。
- オブジェクトが UI 層に送られます。
- オブジェクトに対して変更が加えられます。
- オブジェクトがビジネスロジック層に送られます。
- アプリケーションは、2番目のセッションで
update()
を呼ぶことで、これらの変更を永続化します。
saveOrUpdate()
は以下のことを行います:
- オブジェクトがこのセッションで、すでに永続化されていれば、何もしません。
- そのセッションに関連づいている別のオブジェクトが同じ識別子を持っているなら、例外を投げます。
- オブジェクトの識別子が値を持たないならば、
save()
します。 - オブジェクトの識別子が値を持ち、その値が新たにインスタンス化されたオブジェクトのための値である場合、そのオブジェクトを
save()
します。 - オブジェクトが
<version>
や<timestamp>
でバージョンづけされていて、バージョンのプロパティ値が新しくインスタンス化されたオブジェクトに割り当てた値と同じ場合、そのオブジェクトをsave()
します。 - そうでない場合は、そのオブジェクトを
update()
します。
そして、
merge()
は以下のように非常に異なります:
- 同じ識別子を持つ永続化インスタンスがその時点でセッションと関連付いているならば、引数で受け取ったオブジェクトの状態を永続化インスタンスにコピーします。
- 永続化インスタンスがその時点でセッションに関連付いていないなら、データベースからそれをロードするか、あるいは、新しい永続化インスタンスを作成します。
- 永続化インスタンスが返されます。
- 引数として与えたインスタンスはセッションと関連を持ちません。それは、分離状態のままです。
11.8. 永続オブジェクトの削除
Session.delete()
はオブジェクトの状態をデータベースから削除します。しかし、削除したオブジェクトをアプリケーションが保持し続けることも可能です。delete()
は永続インスタンスを transient にすると考えるのが一番です。
sess.delete(cat);
外部キー制約に違反するリスクもなく、好きな順番でオブジェクトを削除することができます。ただし、間違った順番でオブジェクトを削除すると、外部キーカラムの
NOT NULL
制約に違反する可能性があります。例えば、親オブジェクトを削除したが子オブジェクトを削除し忘れた場合です。
11.9. 異なる二つのデータストア間でのオブジェクトのレプリケーション
永続インスタンスのグラフを別のデータストアに永続化する場合に、識別子の値を再生成せずにすむと便利な場合があります。
//retrieve a cat from one database Session session1 = factory1.openSession(); Transaction tx1 = session1.beginTransaction(); Cat cat = (Cat) session1.get(Cat.class, catId); tx1.commit(); session1.close(); //reconcile with a second database Session session2 = factory2.openSession(); Transaction tx2 = session2.beginTransaction(); session2.replicate(cat, ReplicationMode.LATEST_VERSION); tx2.commit(); session2.close();
データベースに既存の行がある場合、
replicate()
が衝突をどのように扱うかを ReplicationMode
で指定します。
ReplicationMode.IGNORE
:同じ識別子を持つ行がデータベースに存在するなら、そのオブジェクトを無視します。ReplicationMode.OVERWRITE
:同じ識別子を持つ既存の行をすべて上書きします。ReplicationMode.EXCEPTION
:同じ識別子を持つ行がデータベースに存在する場合、例外を投げます。ReplicationMode.LATEST_VERSION
:行に保存されているバージョン番号が、引数のオブジェクトのバージョン番号より古い場合、その行を上書きします。
次のようなケースで、この機能を使用します。異なるデータベースインスタンスに入れられたデータの同期、製品更新時におけるシステム設定情報の更新、非 ACID トランザクションのなかで加えられた変更のロールバックなどです。
11.10. セッションのフラッシュ
JDBC コネクションの状態とメモリ上のオブジェクトの状態を同期させるために必要な SQL 文を
Session
が実行することがときどきあります。flush と言われるこの処理は、デフォルトでは次のときに起こります。
- クエリを実行する前
org.hibernate.Transaction.commit()
を実行したときSession.flush()
を実行したとき
SQL 文は以下の順番で発行されます:
Session.save()
を使って該当のオブジェクトを保存したときと同じ順番ですべてのエンティティを挿入。- すべてのエンティティの更新
- すべてのコレクションの削除
- すべてのコレクションの要素に対する削除、更新、挿入
- すべてのコレクションの挿入
Session.delete()
を使って該当のオブジェクトを削除したときと同じ順番ですべてのエンティティを削除。
例外として、
native
ID 生成を使ったオブジェクトは、それらが保存されたときに挿入されます。
明示的に
flush()
するときを除いて、いつ Session
が JDBC をコールするかについて絶対的な保証はありません。ただし、それらが実行される 順番 だけは保証されます。しかし Hibernate は、Query.list(..)
が古いデータや間違ったデータを返さないことを保証しています。
フラッシュが頻繁に起こらないようにデフォルトの振る舞いを変えることができます。
FlushMode
クラスは3つの異なるモードを定義します。それは、Hibernate の Transaction
API が使われるコミット時にだけフラッシュするモード、説明のあった処理順に基づいて自動でフラッシュするモード、 flush()
が明示的に呼ばれない限りフラッシュしないモードの3つです。最後のモードは、作業単位が長期間に及ぶ場合に役に立ちます ( 「拡張セッションと自動バージョニング」 を参照してください)。
sess = sf.openSession(); Transaction tx = sess.beginTransaction(); sess.setFlushMode(FlushMode.COMMIT); // allow queries to return stale state Cat izi = (Cat) sess.load(Cat.class, id); izi.setName(iznizi); // might return stale data sess.createQuery("from Cat as cat left outer join cat.kittens kitten"); // change to izi is not flushed! ... tx.commit(); // flush occurs sess.close();
フラッシュ時に例外が発生するかもしれません(例えば、DML 操作が制約を違反するような場合です)。例外処理を理解するためには、Hibernate のトランザクションの動作を理解する必要があるため、12章トランザクションと並行性で説明します。
11.11. 連鎖的な永続化
個々のオブジェクトを保存、または削除、再追加することはかなり面倒です。特に、関連するオブジェクトを扱うような場合には際立ちます。よくあるのは、親子関係を扱うケースです。以下の例を考えてみましょう:
親子関係の子が値型なら(例えば、住所や文字列のコレクション)、それらのライフサイクルは親に依存しており、便利な状態変化の「カスケード」には追加の作業は必要はありません。親が保存されたとき、値型の子オブジェクトも同じように保存されますし、親が削除されたときは、子も削除されます。その他の操作も同じです。コレクションから1つの子を削除するような操作でもうまくいきます。Hibernate は値型のオブジェクトは共有参照ができないので、この削除操作を検出すると、データベースからその子を削除します。
ここで、親と子が値型でなくエンティティであるとして同じシナリオを考えてみましょう(例えば、カテゴリーと品目の関係や親と子のcatの関係です)。エンティティは、それ自身がライフサイクルを持ち、共有参照に対応しています。そのため、コレクションからエンティティを削除しても、エンティティ自身を削除できるわけではありません。また、エンティティは、デフォルトでは、関連する他のエンティティへ状態をカスケードすることはありません。Hibernate は 到達可能性による永続化 をデフォルトでは実装していません。
Hibernate の Session の基本操作(
persist(), merge(), saveOrUpdate(), delete(), lock(), refresh(), evict(), replicate()
が含まれます)に対して、それぞれに対応するカスケードスタイルがあります。それぞれのカスケードスタイルには、 create, merge, save-update, delete, lock, refresh, evict, replicate
という名前がついています。関連に沿ってカスケードさせたい操作があるなら、マッピングファイルにそう指定しなければなりません。例えば、以下のようにします:
<one-to-one name="person" cascade="persist"/>
カスケードスタイルは、組み合わせることができます:
<one-to-one name="person" cascade="persist,delete,lock"/>
すべての 操作を関連に沿ってカスケードするよう指定するときは、
cascade="all"
を使います。デフォルトの cascade="none"
は、どの操作もカスケードしないことを意味します。
特殊なカスケードスタイル
delete-orphan
は、一対多関連にだけ適用できます。これは、関連から削除された子のオブジェクトに対して、 delete()
操作が適用されることを意味します。
推奨事項:
- 通常、
<many-to-one>
や<many-to-many>
関連に対しては、カスケードを有効にする意味はありません。<one-to-one>
と<one-to-many>
関連に対しては、カスケードが役に立つことがあります。 - 子オブジェクトの寿命が親オブジェクトの寿命に制限を受けるならば、
cascade="all,delete-orphan"
を指定し、子オブジェクトを ライフサイクルオブジェクト にします。 - それ以外の場合は、カスケードはほとんど必要ないでしょう。しかし、同じトランザクションのなかで親と子が一緒に動作することが多いと思い、いくらかのコードを書く手間を省きたいのであれば、
cascade="persist,merge,save-update"
を使うことを考えましょう。
cascade="all"
でマッピングした関連(単値関連やコレクション)は、 親子 スタイルの関連とマークされます。それは、親の保存/更新/削除が、子の保存/更新/削除を引き起こす関係のことです。
さらに、永続化された親が子を単に参照している場合、その子を保存/更新することになります。しかし、このメタファーは不完全です。親から参照されなくなった子は、
cascade="delete-orphan"
でマッピングされた <one-to-many>
関連を除き、自動的に削除されません。親子関係のカスケード操作の正確な意味は以下のようになります:
- 親が
persist()
に渡されたならば、すべての子はpersist()
に渡されます。 merge()
に渡されたならば、すべての子はmerge()
に渡されます。- 親が
save()
、update()
、saveOrUpdate()
に渡されたならば、すべての子はsaveOrUpdate()
に渡されます。 - transient または detached の子が、永続化された親に参照されたならば、
saveOrUpdate()
に渡されます。 - 親が削除されたならば、すべての子は、
delete()
に渡されます。 - 子が永続化された親から参照されなくなったときは、 特に何も起こりません 。よって、アプリケーションが必要であれば、明示的に削除する必要があります。ただし、
cascade="delete-orphan"
の場合を除きます。この場合、「親のない」子は削除されます。
最後に、操作のカスケードがオブジェクトグラフに適用されるのは、コールした時 あるいは、フラッシュした時 であることに注意してください。有効な場合、この操作が実行されるときに、全操作は到達可能な関連エンティティへカスケード化されます。しかし、
save-upate
と delete-orphan
は、 Session
のフラッシュ時、到達可能な関連エンティティすべてに対しては推移的となります。
11.12. メタデータの使用
Hibernate は、すべてのエンティティと値型のリッチなメタレベルモデルを必要とします。このモデルはアプリケーション自体で役に立つこともあります。例えば、アプリケーションは、Hibernate のメタデータを使って、「スマートな」ディープコピーアルゴリズムを実装できるかもしません。そのアルゴリズムとは、どオブジェクトがコピーされるべきか(例:可変の値型)やどのオブジェクトはコピーすべきでないか(例:不変な値型や可能なら関連するエンティティ)を判断できるものです。
Hibernate は
ClassMetadata
と CollectionMetadata
インタフェースと Type
階層を通してメタデータを公開します。メタデータインターフェースのインスタンスは、 SessionFactory
から得ることができます。
Cat fritz = ......; ClassMetadata catMeta = sessionfactory.getClassMetadata(Cat.class); Object[] propertyValues = catMeta.getPropertyValues(fritz, EntityMode.POJO); String[] propertyNames = catMeta.getPropertyNames(); Type[] propertyTypes = catMeta.getPropertyTypes(); // get a Map of all properties which are not collections or associations Map namedValues = new HashMap(); for ( int i=0; i<propertyNames.length; i++ ) { if ( !propertyTypes[i].isEntityType() && !propertyTypes[i].isCollectionType() ) { namedValues.put( propertyNames[i], propertyValues[i] ); } }
第12章 トランザクションと並行性
Hibernate と同時実行制御について最も重要な点は、容易に理解できることです。Hibernate は新たなロックの振る舞いを追加しておらず、直接 JDBC コネクションと JTA リソースを使用します。JDBC 、ANSI 、およびデータベース管理システム(DBMS)のトランザクション分離の仕様について時間を費してみることを推奨します。
Hibernate はメモリ内のオブジェクトをロックしません。アプリケーションは、データベーストランザクションの分離レベルで定義した振る舞いを期待できます。トランザクションスコープのキャッシュでもある
Session
のお陰で、識別子やクエリにより検索したエンティティは再読み込み可能な読み込み(Repeatable-read)で、スカラー値を返すようなレポートクエリとは違います。
自動的な楽観的同時実行制御のバージョニングに加えて、Hibernate は
SELECT FOR UPDATE
文を使用して、行を悲観的ロックするための(マイナーな) API も提供します。楽観的同時実行制御とこの API については、この章で後述します。
Hibernate が行う同時実行制御について、データベーストランザクションや長い会話(conversation、ロングトランザクション)や
Configuration
、SessionFactory
、および Session
という粒度から議論を始めていきます。
12.1. session スコープと transaction スコープ
SessionFactory
は生成することが高価で、スレッドセーフなオブジェクトであり、アプリケーションのすべてのスレッドで共有されるよう設計されています。通常、アプリケーションの起動時に、Configuration
インスタンスから1度だけ生成します。
Session
は高価ではなく、スレッドセーフなオブジェクトでもありません。よって、1つの要求や会話、作業単位(unit of work)に対して1度だけ使い、その後で捨てるべきです。Session
は必要になるまで、JDBC Connection
(もしくは DataSource
)を獲得しません。ゆえに、実際に使用するときまでリソースを消費しません。
この状況を完了させるために、データベーストランザクションをできるだけ短くしなければなりません。長いデータベーストランザクションは、アプリケーションが高度な並列実効性への拡張を阻害します。ユーザーが考えている間は、作業単位が完了するまでデータベーストランザクションを開いたままにするのは推奨できません。
作業単位というスコープとは何でしょうか?1つの Hibernate
Session
は、いくつかのデータベーストランザクションにわたることができるでしょうか?また、これはスコープと一対一の関係でしょうか?いつ Session
を開き、閉じるべきでしょうか?そして、データベーストランザクション境界をどのように分けるのでしょうか?以下の項でこのような疑問に対応しています。
12.1.1. 作業単位(Unit of work)
まず、作業単位を定義しましょう。Martin Fowlerは、作業単位を「ビジネストランザクションから影響をうけるオブジェクトのリストを[保持し]、変更により発生した記述や並行性の問題解決を調整する」[PoEAA]設計パターンと説明しています。言いかえると、データベースに対して実行したい一連の操作で、基本的にこれはトランザクションを指します(作業単位を達成するには複数の物理データベーストランザクションに亘ることがしばしばありますが)( 「長い会話」 を参照してください)。このようにトランザクションについて、より抽象的な概念について説明しています。「ビジネストランザクション」という単語も作業単位の代わりに利用される場合もあります。
session-per-operation アンチパターンを使ってはいけません。すなわち、1つのスレッドの中で、単純なデータベース呼び出しの度に
Session
を開いて、閉じてはいけません。もちろん、データベーストランザクションについても同様です。アプリケーション中のデータベース呼び出しは、計画されたシーケンス(planned sequence)を使い、アトミックな作業単位に分類されます。また、1つの SQL 文ごとにコミットする自動コミットが、使われないという意味でもあります。自動コミットは、SQL コンソールでアドホックな作業をする際に使うものです。Hibernate は直ちに自動コミットモードを無効にするか、アプリケーションサーバーが無効化するのを待ちます。データベーストランザクションはオプションではありません。データベースとのすべての通信は、データの読み込み、書き込みのいずれでも、トランザクションの中で行わなければなりません。そして、データ読み込みに対して、自動コミットは避けるべきです。なぜなら、多数の小さなトランザクションは、明確に定義された1つの作業単位と比べて、パフォーマンスがよくなることはありません。後者は保守性や拡張性もよりすぐれています。
マルチユーザーのクライアント/サーバーアプリケーションの中で、最もよく使われるパターンは、 session-per-request です。このモデルの中では、クライアントから、Hibernate 永続化層が動作するサーバーへリクエストが送られ、新しい Hibernate
Session
が開かれます。そして、この作業単位の中ですべてのデータベース処理が実行されます。作業完了時、そして、クライアントへのレスポンスが準備できた時点で、session をフラッシュし、閉じます。クライアントの要求を処理するために、1つのデータベーストランザクションを使用してください。Session
を開き、閉じる際に、データベーストランザクションを開始し、コミットします。二つの関係は一対一です。このモデルは多くのアプリケーションに完全に適合します。
しかし、実装自体が困難なのです。Hibernate では予め組み込まれた「現在のセッション」の管理ができるため、このパターンを簡素化します。サーバーリクエストを処理しなければならない場合、トランザクションを開始し、レスポンスをクライアントに送信する前にトランザクションを終了させます。一般的な解決策は
ServletFilter
やサービスメソッドをポイントカットした AOP インターセプター、proxy/interception コンテナです。EJB コンテナは、EJBセッションbeanにあるトランザクション境界など、クロスカットのアスペクトを実装する標準的な方法(CMTで宣言)となっています。プログラムによるトランザクション境界を使う場合、使い易さやコード移植性の面で、この章で後述する Hibernate Transaction
API を利用してください。
アプリケーションのコードは、
sessionFactory.getCurrentSession()
を呼び出すことで「現在のセッション」にアクセスできます。現在のデータベーストランザクションを対象とするセッション
を常に取得します。これは、リソースローカルな環境、もしくは JTA 環境対して、構成しなければなりません。「コンテキストのセッション」 を参照してください。
「ビューをレンダリングする」まで
セッション
とデータベーストランザクションのスコープを拡張することができます。これは、要求処理後に別のレンダリングフェーズを使用するサーブレットアプリケーションにおいて特に役立ちます。独自のインターセプタを実装することで、ビューをレンダリングするまでデータベーストランザクションを拡張できます。しかし、コンテナ管理トランザクションの EJB に頼る場合は、簡単にはできません。なぜなら、ビューのレンダリングを開始する前に、 EJB のメソッドがリターンした際に、トランザクションが完了するためです。この Open Session in View パターンに関連するヒントと例については、 Hibernate の Web サイトやフォーラムを参照してください。
12.1.2. 長い会話
session-per-request パターンは、作業単位の設計手段だけではありません。多くのビジネスプロセスは、ユーザーとの一連の相互作用全体を要求します。その相互作用には、データベースアクセスが含まれます。Web とエンタープライズアプリケーションでは、データベーストランザクションがユーザーとの相互作用にまで亘ることは許されません。次の例を考えてみてください:
- ダイアログの最初の画面が開き、ユーザーに見せるデータを、特定の
Session
とデータベーストランザクションの中にロードします。ユーザーはオブジェクトを自由に修正できます。 - 5分後にユーザーは 「Save」をクリックし、修正が永続化されるのを待ちます。また、この情報を編集したのは自分1人だけで、修正のコンフリクトは発生しないと期待します。
この作業単位を(ユーザーの視点で)長期の 会話、もしくは、アプリケーショントランザクション と呼びます。アプリケーションにこれを実装する方法はたくさんあります。
最初の単純な実装では、ユーザーが考えている間、
Session
とデータベーストランザクションを開いたままにしておく可能性があります。同時修正を防ぎ、分離と原子性が保証されるように、データベース内のロックは保持したままにします。しかし、ロックの競合が発生すると、アプリケーションが同時ユーザー数に応じてスケールアップできなくなるため、これはアンチパターンです。
会話を実装するためには、いくつかのデータベーストランザクションを使用するべきです。この場合、ビジネスプロセスの分離を維持することは、アプリケーション層の責務の1つになります。1つの会話は、通常いくつかのデータベーストランザクションにわたります。複数のデータベーストランザクションの1つ(最後の1つ)のみが更新データを保存し、他はデータを読むだけであれば、それはアトミックです(例えば、いくつかの要求/応答を繰り返すウィザード形式のダイアログ)。特にHibernate の機能の一部を使うのであれば、聞くよりも実際の実装は簡単です。
- 自動バージョニング - Hibernate は自動的に楽観的同時実行制御ができます。ユーザーが考えている間に同時修正がおきた場合、自動的に検出できます。通常、会話の終了時にこれをチェックするだけです。
- 分離(Detached)オブジェクト - すでに議論した session-per-request パターンを使うと決定した場合、ロードされたすべてのインスタンスは、ユーザーが考えている間は、セッションから分離された状態になります。オブジェクトをセッションに再追加し、修正を永続化できます。これを session-per-request-with-detached-objects パターンと呼びます。自動バージョニングを使うことで、同時修正を分離します。
- 拡張(もしくは、長い)セッション - Hibernate の
Session
は、データベーストランザクションをコミットした後、基盤となっている JDBC 接続を切断でき、クライアントからの新しい要求が発生した際に、再接続できます。このパターンは、 session-per-conversation という名で知られており、接続の再設定も必要なくなります。自動バージョニングを使うことで、同時修正を分離でき、Session
を自動的にフラッシュさせず、明示的にフラッシュします。
session-per-request-with-detached-objects と session-per-conversation の2つは、利点と欠点を持っています。これについては、この章で、楽観的同時実行制御の文脈の中で後述します。
12.1.3. オブジェクト識別子の考察
アプリケーションは、2つの異なる
Session
から同じ永続状態に同時にアクセスできます。しかし、2つの Session
インスタンスが永続性クラスの1つのインスタンスを共有することはできません。ゆえに、アイデンティティには2つの異なる概念があるということになります:
- データベースアイデンティティ
foo.getId().equals( bar.getId() )
- JVM アイデンティティ
foo==bar
特定の
Session
に追加されたオブジェクトにとって (すなわち、1つの Session
のスコープの中では)、2つの概念は同じです。データベース同一性と JVM 同一性が一致することを、Hibernate が保証します。しかし、アプリケーションが2つの異なるセッションから「同じ」(永続性アイデンティティの)ビジネスオブジェクトに同時にアクセスする限り、2つのインスタンスは実際に( JVM アイデンティティが)「異なり」ます。楽観的アプローチによって、(自動バージョニングの) フラッシュ/コミット時にコンフリクトが解決されます。
このアプローチでは、Hibernate とデータベースに同時実行についての心配が残ります。一方で、最高のスケーラビリティが提供されます。なぜなら、1スレッドの作業単位の中で一意性が保証されれば、高価なロックや別の同期化の別手段が不要になるためです。
Session
ごとに1つのスレッドを保つ限り、アプリケーションはビジネスオブジェクトを synchronize する必要はありません。Session
内では、アプリケーションはオブジェクトを比較するために、==
を安全に使用できます。
しかし、
Session
の外で ==
を使うアプリケーションは、予期しない結果に遭遇します。これは予期しない場所で起こりえます。例えば、2つの分離インスタンスを同じ Set
に入力したときなどです。両方とも同じデータベースアイデンティティを持つ可能性があります(すなわち、同じ行を表します)。しかし、定義的には、分離状態のインスタンスの JVM アイデンティティは保証されません。開発者は、永続性クラスの equals()
と hashCode()
メソッドをオーバーライドし、オブジェクト等価性の概念を実装すべきです。警告が1つあります:等価性の実装にデータベース識別子を使わないでください。ユニークな(普通は不変の)属性の組み合わせであるビジネスキーを使ってください。一時オブジェクトが永続化された場合、データベース識別子が変わります。一時オブジェクトを(通常分離インスタンスと共に)Set
に保持する場合、ハッシュコードが変わるということは、 Set
の契約を破るということです。ビジネスキーのための属性は、データベースの主キーほど安定すべきではないです。オブジェクトが同じ Set
の中にいる間だけ、安定を保証すべきです。この問題のより徹底的な議論は、Hibernate の Web サイトを参照してください。また、これは Hibernate の問題ではなく、単に Java オブジェクトの識別子や等価性をどのように実装すべきかということです。
12.1.4. 一般的な問題
session-per-user-session と session-per-application アンチパターンは使ってはいけません(しかし、このルールには、まれに例外があります)。下記の問題のいくつかは、推奨パターンとしても出現する場合があります。そのため、設計を決定する前に、それによる影響も理解するようにしてください。
Session
はスレッドセーフではありません。HTTP リクエスト、セッション Bean 、Swing ワーカーのように、同時実行が可能なものがSession
インスタンスを共有すると、競合状態を引き起こします。(本章で後述する)HttpSession
の中で HibernateSession
を保持する場合、 HttpSession へのアクセスを同期化することを考慮すべきです。さもなければ、ユーザーが素早くリロードをクリックすると、同時に走る2つのスレッドの中で、同じSession
が使われてしまうことがあります。- Hibernate が例外を投げた場合は、データベーストランザクションをロールバックし、直ちに
Session
を閉じるべきです (詳細を本章で後に議論します)。Session
がアプリケーションに結び付けられているのであれば、アプリケーションを停止すべきです。データベーストランザクションをロールバックしても、ビジネスオブジェクトはトランザクションを開始したときの状態に戻りません。これは、データベースの状態とビジネスオブジェクトは同期していないことを意味します。通常、例外の回復ができないため、これは問題になりません。とにかくロールバックした後にやり直す必要があります。 Session
は永続 (persistent) 状態のすべてのオブジェクトをキャッシュします(Hibernate は監視し、ダーティ状態かチェックします)。これは、長い間セッションを開いたままにするか、非常に多くのデータをロードし続けるかした場合は、 OutOfMemoryException が発生するまで無限に大きくなることを意味します。解決策の1つは、Session
キャッシュを管理するために、clear()
かevict()
を呼ぶことです。しかし、大きなデータを処理する必要があるなら、たぶんストアドプロシージャを考慮するべきでしょう。いくつかの解決策は、14章バッチ処理 で紹介されています。ユーザーセッションの間、Session
を開いたままにするということは、データが無効になっている確率が高くなることを意味します。
12.2. データベーストランザクション境界
データベース もしくはシステム:トランザクションの境界は、常に必要です。データベーストランザクションの外で、データベースとの通信は起きません(これは自動コミットモードに慣れている多くの開発者を混乱させるかもしれません)。読み込むだけの操作にでも、いつも明確なトランザクション境界を使用してください。分離レベルとデータベースの能力次第で、これは必要ないかもしれませんが、常にトランザクション境界を明示的に指定しても、マイナス面は全くありません。確かに、1つのデータベーストランザクションは多数の小さなトランザクションより 、データの読み込みであっても パフォーマンスがすぐれています。
J2EE 環境に管理されていない状態 (すなわち、スタンドアロン、単純な Web や Swing アプリケーション)でも、管理された状態でも、Hibernate アプリケーションを実行できます。管理されていない環境では、 Hiberante がデータベースのコネクションプールを提供します。アプリケーション開発者は、トランザクション境界を手動で設定しなければなりません。言い換えると、データベーストランザクションの開始、コミット、ロールバックを開発者自身が設定する必要があるということです。通常、管理された環境では、コンテナ管理によるトランザクション (CMT) が提供されます。(例えば、セッション Bean のデプロイメントディスクリプタで)宣言的に定義し、トランザクションを組み立てます。プログラムによるトランザクション境界はもう必要ありません。
しかしながら、管理されていないリソースローカルな環境と JTA に依存したシステム (CMT ではなく BMT) の両方に、永続化層を移植可能な状態に保つのは、通常望ましいことです。デプロイ環境のネイティブのトランザクションシステムへ変換する
Transaction
というラッパー API を Hibernate が提供します。このAPIを使うかは実際任意ではありますが、CMT のセッション Beanでの操作がないのであれば、APIの使用を強く推奨します。
通常、
Session
終了には、4つの異なるフェーズがあります:
- セッションのフラッシュ
- トランザクションのコミット
- セッションのクローズ
- 例外のハンドリング
セッションのフラッシュについては、前述しましたので、管理された環境と管理されていない環境の両方について、トランザクション境界と例外ハンドリングをもっと詳しく見ていきましょう。
12.2.1. 管理されていない環境
Hibernate の永続化層を管理されていない環境で実装する場合は、通常単純なコネクションプール (すなわち非 DataSource) によって、データベースコネクションを処理します。Hibernate はそのコネクションプールから必要なコネクションを取得します。セッション/トランザクション処理のイディオムは次のようになります:
// Non-managed environment idiom Session sess = factory.openSession(); Transaction tx = null; try { tx = sess.beginTransaction(); // do some work ... tx.commit(); } catch (RuntimeException e) { if (tx != null) tx.rollback(); throw e; // or display error message } finally { sess.close(); }
明示的に
Session
の flush()
を呼び出すべきではなく、そのセッションの 「セッションのフラッシュ」 によっては、commit()
を呼び出すことにより、自動的に同期化処理が実行されます。 close()
を呼び出すことにより、セッションの終わりを明確にします。 close()
が暗黙的に行う主なことは、セッションが JDBC コネクションを開放することです。上記の Java コードはポータブルであり、管理されていない環境と JTA 環境の両方で実行できます。
すでに説明したように、はるかに適応性のある解決策は、Hibernate に予め組み込まれている 「current session」コンテキスト管理です。
// Non-managed environment idiom with getCurrentSession() try { factory.getCurrentSession().beginTransaction(); // do some work ... factory.getCurrentSession().getTransaction().commit(); } catch (RuntimeException e) { factory.getCurrentSession().getTransaction().rollback(); throw e; // or display error message }
正規のアプリケーションの中では、このようなコードの切れ端を決して見ないでしょう。致命的な (システム) 例外は、常に「最上位」でキャッチすべきです。言い換えれば、永続化層でHibernate 呼び出しを実行するコードと、
RuntimeException
を処理する (通常はクリーンアップと終了のみ行うことができる) コードは、別々の層にあります。Hibernate による現在のコンテキスト管理は、SessionFactory
にアクセスするだけでこの設計をかなり単純にします。例外処理は、この章の後のほうで議論します。
org.hibernate.transaction.JDBCTransactionFactory
(デフォルト)を選択するべきです。第2の用例としては、"thread"
をhibernate.current_session_context_class
を選択するとよいでしょう。
12.2.2. JTA を使用する
永続化層をアプリケーションサーバー (例えば、 EJB セッション Bean の背後) で実行する場合、 Hibernate から取得するすべてのデータソースコネクションは、自動的にグローバル JTA トランザクションの一部になります。EJB を使わずに、スタンドアロンの JTA 実装を導入することもできます。JTA 統合のために、Hibernate は2つの戦略を提供します。
Bean 管理トランザクション(BMT)を使い、
Transaction
API を使う場合、 Hibernate はアプリケーションサーバーに BMT トランザクションの開始と終わりを告げます。すなわち、トランザクション管理のコードは、管理のない環境と同じになります。
// BMT idiom Session sess = factory.openSession(); Transaction tx = null; try { tx = sess.beginTransaction(); // do some work ... tx.commit(); } catch (RuntimeException e) { if (tx != null) tx.rollback(); throw e; // or display error message } finally { sess.close(); }
トランザクション境界として
Session
を使いたい場合、簡単にコンテキストを伝播する getCurrentSession()
機能があるので、 JTAの UserTransaction
API を直接使用すべきでしょう。
// BMT idiom with getCurrentSession() try { UserTransaction tx = (UserTransaction)new InitialContext() .lookup("java:comp/UserTransaction"); tx.begin(); // Do some work on Session bound to transaction factory.getCurrentSession().load(...); factory.getCurrentSession().persist(...); tx.commit(); } catch (RuntimeException e) { tx.rollback(); throw e; // or display error message }
CMT では、トランザクション境界をセッション Bean のデプロイメントディスクリプタで定義し、プログラムでは行いません。コードは次のように少なくなります:
// CMT idiom Session sess = factory.getCurrentSession(); // do some work ...
CMT/EJB の中では、ロールバックが自動的に実施されます。セッション Bean のメソッドにより投げられた処理されていない
RuntimeException
は、グローバルトランザクションをロールバックするようコンテナに伝えるためです。これは、BMT もしくは CMT と一緒に Hibernate Transaction
API を使う必要はまったくなくトランザクションにバインドする「現在の」セッションを自動伝搬できます。
Hibernate のトランザクションファクトリを設定する際に、JTA を直接使う (BMTの) 場合は
org.hibernate.transaction.JTATransactionFactory
を、 CMT セッション Bean の中では org.hibernate.transaction.CMTTransactionFactory
を選択してください。hibernate.transaction.manager_lookup_class
をセットすることも忘れないでください。なお、hibernate.current_session_context_class
は、セットしないか(後方互換)、"jta"
をセットしてください。
getCurrentSession()
オペレーションは、JTA 環境で欠点が1つあります。デフォルトで使われる after_statement
コネクションリリースモードを使用する上で、警告が1つあります。JTA 仕様の制約のために、scroll()
または iterate()
が返した、閉じられていない ScrollableResults
または Iterator
インスタンスを Hibernate が自動的にクリーンアップすることはできません。finally
ブロックの中で、 ScrollableResults.close()
または Hibernate.close(Iterator)
を明示的に呼び出して、基盤のデータベースカーソルを解放 しなければなりません。多くのアプリケーションでは、 JTA か CMT コードから、scroll()
や iterate()
の使用を簡単に避けることができます。
12.2.3. 例外ハンドリング
Session
が例外 (SQLException
を含む) を投げた場合、直ちに、データベーストランザクションをロールバックし、 Session.close()
を呼び、 Session
インスタンスを破棄すべきです。Session
のいくつかのメソッドは、セッションを一貫した状態には保ちません。Hibernate が投げた例外を、回復できるものとして扱うことはできません。 finally
ブロックの中で close()
を呼んで、 Session
が確実に閉じられるようにしてください。
HibernateException
は、Hibernate 永続化層の中で発生する多くのエラーをラップする、検査されない例外です。これは、Hibernate の古いバージョンにはありませんでした。私たちの意見は、アプリケーション開発者に回復不可能な例外を下層でキャッチすることを強要すべきではないということです。多くのシステムでは、検査されない例外と致命的な例外は、コールスタックの最初のフレームの1つ (例えば、上層で) で処理し、エラーメッセージをアプリケーションユーザーに表示するか、もしくは、他の適切な処理を実施します。Hibernate は、HibernateException
以外の検査されない例外も投げることに注意してください。これらもまた、回復不可能であり、適切な処理を実施すべきです。
Hibernate は、データベースとの対話中に投げられた
SQLException
を JDBCException
でラップします。実際は、例外をより意味のある JDBCException
のサブクラスに変換しようと試みます。元の SQLException
は、 JDBCException.getCause()
によりいつでも得られます。Hibernate は、 SessionFactory
に追加されている SQLExceptionConverter
を使い、SQLException
を適当な JDBCException
サブクラスに変換します。デフォルトでは、SQLExceptionConverter
は設定されている SQL 方言により定義されます。一方で、独自の実装に差し替えることもできます。詳細は、 SQLExceptionConverterFactory
クラスの Javadoc を参照してください。標準的な JDBCException
のサブタイプを下記に示します。
JDBCConnectionException
:基礎となる JDBC 通信のエラーを表します。SQLGrammarException
: 発行する SQL の文法もしくは構文の問題を表します。ConstraintViolationException
:何らかの形式の完全性制約違反を表します。LockAcquisitionException
:要求された操作を実施するのに必要なロックレベルを得る際のエラーを表します。GenericJDBCException
:他のカテゴリに入らなかった一般的な例外です。
12.2.4. トランザクションのタイムアウト
EJB など、管理環境下で提供される重要な機能はトランザクションのタイムアウトですが、非管理コードでは提供されません。トランザクションのタイムアウトは、ユーザーにレスポンスが返されるまでの間、動作のおかしいトランザクションが無限にリソースを確保しないようにします。管理環境 (JTA)以外で、Hibernate はこの機能を完全な状態で提供することはできません。ただし、Hibernate は最低でもデータのアクセス操作を制御し、定義済みのタイムアウトにより、容量の大きい結果セットを持つデータベースレベルのデッドロックやクエリに制限をかけています。管理環境下では、Hibernate はトランザクションのタイムアウトをJTAに委譲することが可能で、この機能はHibernate
Transaction
オブジェクトにより抽出されます。
Session sess = factory.openSession(); try { //set transaction timeout to 3 seconds sess.getTransaction().setTimeout(3); sess.getTransaction().begin(); // do some work ... sess.getTransaction().commit(); } catch (RuntimeException e) { sess.getTransaction().rollback(); throw e; // or display error message } finally { sess.close(); }
CMT Bean の中では
setTimeout()
を呼び出せないことに注意してください。トランザクションタイムアウトは宣言的に定義しなければなりません。
12.3. 楽観的同時実行制御
高い並列性と高いスケーラビリティの両方を実現するアプローチは、バージョニングを使った楽観的同時実行制御のみです。更新の衝突を見つけ、更新が失われるのを防ぐために、バージョン番号もしくはタイムスタンプを使って、バージョンをチェックします。Hibernate は、楽観的同時実行を行うアプリケーションコードを書くためのアプローチを3つ提供します。ここでお話するユースケースは、長い会話といったコンテキストですが、バージョンチェックは1つのデータベーストランザクションの中で更新を失うことを防ぐ利点も持っています。
12.3.1. アプリケーションによるバージョンチェック
Hibernate の支援がほぼない状態で実装するケースにおいて、データベースとのやり取りは、それぞれ新しい
Session
の中で起こります。開発者は、すべての永続性インスタンスを操作する前に、データベースから再読み込みする責務があります。会話トランザクションの分離を確保するために、アプリケーション自身がバージョンチェックを行う必要があります。このアプローチは、データベースアクセスの中では、最も非効率で、エンティティ EJB と最も似ているアプローチです。
// foo is an instance loaded by a previous Session session = factory.openSession(); Transaction t = session.beginTransaction(); int oldVersion = foo.getVersion(); session.load( foo, foo.getKey() ); // load the current state if ( oldVersion != foo.getVersion() ) throw new StaleObjectStateException("Message", foo.getId()); foo.setProperty("bar"); t.commit(); session.close();
<version>
を使って、 version
プロパティをマッピングします。 Hibernate は、エンティティがダーティである場合、フラッシュし、その間に version
プロパティを自動的にインクリメントします。
データの並列性が低い環境で運用しており、バージョンチェックが不要なら、このアプローチを使い、バージョンチェックをスキップすることができます。この場合は、長い会話には、最後にコミットしたものが勝つ がデフォルトの戦略でしょう。このアプローチは、アプリケーションのユーザーを混乱させるかもしれないことを心に留めて置いてください。それは、エラーメッセージや競合した変更をマージする機会がないまま、更新を失う可能性があるからです。
マニュアルによるバージョンチェックは、普通の状況であれば実行できますが、多くのアプリケーションにとって実用的ではありません。1つのインスタンスだけでなく、修正されたオブジェクトの完全なグラフをチェックしなければなりません。Hibernate は、設計パラダイムとして、拡張
Session
か分離されたインスタンスを自動的にバージョンチェックします。
12.3.2. 拡張セッションと自動バージョニング
1つの
Session
インスタンスとその永続性インスタンスは、 session-per-conversation として知られる、会話全体で使われます。Hibernate はフラッシュする際に、インスタンスのバージョンをチェックします。同時修正を検出すると、例外を投げます。この例外をキャッチして処理するかは開発者次第です。一般的な選択肢は、変更をマージするか無効でないデータでビジネス会話を再スタートする機会をユーザーに提供することです。
ユーザーの対話を待っているときは、
Session
を基礎となる JDBC コネクションから切断します。このアプローチは、データベースアクセスの中では、最も効率的です。アプリケーションは、バージョンチェックや分離されたインスタンスの再接続、あらゆるデータベーストランザクションの中でインスタンスを再読み込みを行う必要はありません。
// foo is an instance loaded earlier by the old session Transaction t = session.beginTransaction(); // Obtain a new JDBC connection, start transaction foo.setProperty("bar"); session.flush(); // Only for last transaction in conversation t.commit(); // Also return JDBC connection session.close(); // Only for last transaction in conversation
foo
オブジェクトは、自分をロードした Session
を把握しいます。古いセッション上で新しいデータベーストランザクションを開始することで、新しいコネクションを取得し、そのセッションが再開されます。データベーストランザクションをコミットすることで、セッションから JDBC コネクションを切断し、コネクションをプールに返します。再接続した後、更新していないデータのバージョンチェックを強制するために、他のトランザクションにより更新されているかもしれないオブジェクトに関して、 LockMode.READ
をつけて Session.lock()
を呼び出すことができます。更新して いる データをロックする必要はありません。通常、拡張 Session
に FlushMode.NEVER
をセットします。最後のデータベーストランザクションの周期でのみ、会話の中で変更されたすべてを実際に永続化させることができます。ゆえに、この最後のデータベーストランザクションのみが flush()
オペレーションを含みます。そして、会話を終わらせるために、セッションも close()
します。
ユーザーが考慮中に、格納することができないくらい
Session
が大きいのであれば、このパターンは問題があります(例えば、 HttpSession
は可能な限り小さく保つべきです)。 Session
は (強制的に) 1次キャッシュでもあり、ロードしたオブジェクトをすべて保持しするため、おそらく、リクエスト/レスポンスのサイクルが2〜3回のみであれば、この戦略が使えます。データの期限がすぐに切れるため、1つの会話のためだけに Session
を使いましょう。
注記
Hibernate の以前のバージョンは、明示的な
Session
の切断と再接続が必要でした。トランザクションの開始と終了は同じ効果があるため、これらのメソッドは推奨されません。
切断した
Session
を永続化層の近くで保持すべきであることに注意してください。また、EJB ステートフルセッション Bean を使い、3層環境の中で Session
を保持してください。HttpSession
に格納するために、 Web 層への転送、別の層へのシリアライズは行わないでください。
拡張セッションパターン、もしくは、session-per-conversation は、自動的なカレントセッションコンテキスト管理を実施するより難しく、これについては、自身で
CurrentSessionContext
の実装を供給する必要があります。Hibernate Wiki にある例を参照してください。
12.3.3. 分離オブジェクトと自動バージョニング
新しい
Session
により、永続化ストア (訳注:DB) との対話が発生します。また一方、同じ永続性インスタンスが、データベースとの対話ごとに再利用されます。アプリケーションは、元々は他の Session
でロードされ、分離インスタンスの状態を操作します。そして、Session.update()
もしくは、 Session.saveOrUpdate()
、 Session.merge()
を使って、それらのインスタンスを再追加します。
// foo is an instance loaded by a previous Session foo.setProperty("bar"); session = factory.openSession(); Transaction t = session.beginTransaction(); session.saveOrUpdate(foo); // Use merge() if "foo" might have been loaded already t.commit(); session.close();
この場合もやはり、Hibernate はフラッシュする際に、インスタンスのバージョンをチェックします。更新の競合が発生した場合には、例外を投げます。
オブジェクトが修正されていないと確信している場合は、
update()
の代わりに、 LockMode.READ
を使って、 lock()
を呼び出すこともできます (すべてのキャッシュを迂回し、バージョンチェックを実施します)。
12.3.4. 自動バージョニングのカスタマイズ
マッピングの
optimistic-lock
属性に false
を設定することにより、特定のプロパティやコレクションのために自動バージョンインクリメントを無効にできます。プロパティがダーティであっても、バージョンをインクリメントしません。
レガシーのデータベーススキーマは通常、静的であり、変更できません。または、他のアプリケーションが同じデータベースにアクセスしなければならず、そのアプリケーションはバージョン番号やタイムスタンプさえ処理する方法を知りません。どちらの場合も、テーブルの特定のカラムを当てにして、バージョニングを行えません。バージョンやタイムスタンプのプロパティをマッピングせずに、バージョンチェックさせるために、
<class>
マッピングに optimistic-lock="all"
を指定してください。行のすべてのフィールドの状態を比較するようになります。これは、Hibernate が古い状態と新しい状態を比較できる場合にのみ、理論上では動作します。(すなわち、 session-per-request-with-detached-objects ではなく、1つの長い Session
を使う場合です)。
行われた変更が重ならないインスタンスに限り、同時に行われた変更を受け入れることができます。
<class>
のマッピング時に optimistic-lock="dirty"
を設定した場合、Hibernate はフラッシュ時にダーティフィールドのみを比較します。
専用のバージョン/タイムスタンプのカラムを使う場合、もしくはすべて/ダーティのフィールドを比較する場合どちらであっても、Hibernate はエンティティごとに1つの
UPDATE
文を 適切な WHERE
節と共に使い、バージョンチェックと情報の更新を行います。関連するエンティティの再追加をカスケードするために、連鎖的な永続化を使用した場合、不必要な更新を実行するかもしれません。これは通常問題になりませんが、分離したインスタンスを変更していなくとも、データベースの on update トリガーが実行されるかもしれません。<class>
マッピングに select-before-update="true"
を設定することによって、この振る舞いをカスタマイズできます。こうすることでHibernateが行の必ずインスタンスを SELECT
し、更新前に確実に変更されるようにします。
12.4. 悲観的ロック
悲観的ロックは、ユーザーがロック戦略に悩むのに多くの時間を費やすためのものではありません。通常は、JDBC コネクションに分離レベルを指定し、単にデータベースにすべての処理をさせれば十分です。しかしながら、高度なユーザーは、排他的な悲観的ロックの獲得や、新しいトランザクションが開始される際のロックの再獲得をしたいと考えるかもしれません。
Hibernate はいつもデータベースのロックの仕組みを使います。メモリ内のオブジェクトを決してロックしません。
LockMode
クラスは、Hibernate が獲得できる異なるロックレベルを定義します。以下の仕組みにより、ロックを獲得します。
LockMode.WRITE
は、 Hibernate が行を更新もしくは挿入する際に自動的に得られます。LockMode.UPGRADE
は、データベースでサポートされている文法SELECT ... FOR UPDATE
を使いユーザーが明示的に要求することで得ることができます。LockMode.UPGRADE_NOWAIT
は、 Oracle でSELECT ... FOR UPDATE NOWAIT
を使いユーザーが明示的に要求することで得ることができます。LockMode.READ
は、 Repeatable Read もしくは Serializable の分離レベルで、データを読んだ際に自動的に得られます。明示的なユーザー要求により、再取得されます。LockMode.NONE
は、ロックしないことを表します。Transaction
の終わりに、すべてのオブジェクトはこのロックモードに切り替わります。update()
やsaveOrUpdate()
を呼び出すことによって、セッションに関連付けられたオブジェクトも、このロックモードで出発します。
「明示的なユーザー要求」とは、下記の方法の1つで言い表せます。
LockMode
を指定したSession.load()
の呼び出し。Session.lock()
の呼び出し。Query.setLockMode()
の呼び出し。
UPGRADE
もしくは UPGRADE_NOWAIT
が指定された Session.load()
が呼び出され、かつ要求されたオブジェクトがセッションによってまだロードされていなかった場合は、 SELECT ... FOR UPDATE
を使って、オブジェクトがロードされます。 load()
で呼び出されたオブジェクトが、要求されているより制限が少ないロックですでにロードされていた場合は、 Hibernate はそのオブジェクトのために、 lock()
を呼び出します。
指定されたロックモードが
READ
もしくは、 UPGRADE
、 UPGRADE_NOWAIT
だった場合、 Session.lock()
は、バージョン番号のチェックを実施します。 UPGRADE
もしくは UPGRADE_NOWAIT
の場合、 SELECT ... FOR UPDATE
が使われます。
データベースが要求されたロックモードをサポートしていない場合、Hibernate は例外を投げる代わりに、適切な代わりのモードを使います。これは、アプリケーションがポータブルであることを保証します。
12.5. コネクション開放モード
Hibernate のレガシー(2.x)の JDBC コネクション管理に関する振る舞いは、最初に必要とした際に
Session
がコネクションを得て、セッションが閉じられるまで、そのコネクションを保持しました。 Hibernate 3.x は、セッションに JDBC コネクションをどのように制御するかを伝えるコネクション開放モードという概念を導入しました。以降の議論は、構成された ConnectionProvider
を通して提供されるコネクションに適切であることに注意してください。異なる開放モードは、org.hibernate.ConnectionReleaseMode
に列挙された値により特定されます。
ON_CLOSE
:本質的に上記で述べたレガシーの振る舞いです。 Hibernate セッションは最初に JDBC アクセスを実行する必要がある際にコネクションを得ます。そして、セッションが閉じられるまで、コネクションを保持します。AFTER_TRANSACTION
:org.hibernate.Transaction
が完了した後、コネクションを開放します。AFTER_STATEMENT
(積極的な開放とも呼ばれる):すべてのステートメントが実行された後、コネクションが開放されます。ステートメントがセッションに関連するリソースを開いたままにする場合は、この積極的な開放はスキップされます。今のところ、これが起こるのはorg.hibernate.ScrollableResults
が使われる場合のみです。
コンフィギュレーションパラメータの
hibernate.connection.release_mode
は、使用する開放モードを指定するために使います。指定できる値は次の通りです:
auto
(デフォルト):これを選択するとorg.hibernate.transaction.TransactionFactory.getDefaultReleaseMode()
メソッドによって返される開放モードに委譲されます。このメソッドは、 JTATransactionFactory には ConnectionReleaseMode.AFTER_STATEMENT を返し、 JDBCTransactionFactory には ConnectionReleaseMode.AFTER_TRANSACTION を返します。このデフォルトの動作を変更しないでください。というのは、この設定値が原因で起こる障害は、ユーザーコードの中でバグや間違った条件になりやすいからです。on_close
- ConnectionReleaseMode.ON_CLOSE を使います。この設定は後方互換のために残されていますが、当設定の使用はお薦めできません。after_transaction
:ConnectionReleaseMode.AFTER_TRANSACTION を使います。この設定は JTA 環境の中では使うべきではありません。また、ConnectionReleaseMode.AFTER_TRANSACTION を指定し、自動コミットモードの中では、開放モードが AFTER_STATEMENT であるかのように、コネクションは開放されることに注意してください。after_statement
:ConnectionReleaseMode.AFTER_STATEMENT を使います。さらに、設定されたConnectionProvider
は、この設定 (supportsAggressiveRelease()
) をサポートするかどうかを調べるために使用します。そうでない場合、開放モードは ConnectionReleaseMode.AFTER_TRANSACTION にリセットされます。この設定は次の環境でのみ安全です。それは、ConnectionProvider.getConnection()
を呼び出すたびに基盤となる JDBC コネクションが同じものを取得できるか、同じコネクションが得られることが問題とならない自動コミット環境の中です。
第13章 インターセプタとイベント
アプリケーションが Hibernate の内部で発生するイベントに対応できると役に立つことがあります。ある種の一般的な機能を実装し、また Hibernate の機能を拡張することもできるようになります。
13.1. インターセプタ
Interceptor
インターフェースを使って、セッションからアプリケーションへコールバックをすることができます。これにより永続オブジェクトの保存、更新、削除、読み込みの前に、アプリケーションがプロパティを検査したり操作したりできるようになります。これは監査情報の追跡に利用できます。下の例で Interceptor
は Auditable
が作成されると自動的に createTimestamp
を設定し、Auditable
が更新されると自動的に lastUpdateTimestamp
プロパティを更新します。
Interceptor
を直接実装したり、EmptyInterceptor
を拡張したりできます。
package org.hibernate.test; import java.io.Serializable; import java.util.Date; import java.util.Iterator; import org.hibernate.EmptyInterceptor; import org.hibernate.Transaction; import org.hibernate.type.Type; public class AuditInterceptor extends EmptyInterceptor { private int updates; private int creates; private int loads; public void onDelete(Object entity, Serializable id, Object[] state, String[] propertyNames, Type[] types) { // do nothing } public boolean onFlushDirty(Object entity, Serializable id, Object[] currentState, Object[] previousState, String[] propertyNames, Type[] types) { if ( entity instanceof Auditable ) { updates++; for ( int i=0; i < propertyNames.length; i++ ) { if ( "lastUpdateTimestamp".equals( propertyNames[i] ) ) { currentState[i] = new Date(); return true; } } } return false; } public boolean onLoad(Object entity, Serializable id, Object[] state, String[] propertyNames, Type[] types) { if ( entity instanceof Auditable ) { loads++; } return false; } public boolean onSave(Object entity, Serializable id, Object[] state, String[] propertyNames, Type[] types) { if ( entity instanceof Auditable ) { creates++; for ( int i=0; i<propertyNames.length; i++ ) { if ( "createTimestamp".equals( propertyNames[i] ) ) { state[i] = new Date(); return true; } } } return false; } public void afterTransactionCompletion(Transaction tx) { if ( tx.wasCommitted() ) { System.out.println("Creations: " + creates + ", Updates: " + updates + "Loads: " + loads); } updates=0; creates=0; loads=0; } }
インターセプタには二種類あります:
Session
スコープとと SessionFactory
スコープ。
Session
スコープのインターセプタは、セッションをオープンするときに指定します。 Interceptor
を引数に取る SessionFactory.openSession() のオーバーロードメソッドの一つを使います。
Session session = sf.openSession( new AuditInterceptor() );
SessionFactory
スコープのインターセプタは SessionFactory
の構築の前に、Configuration
オブジェクトを使って登録します。この場合、提供されるインターセプタは SessionFactory
からオープンされたすべてのセッションに適用されます。これは使用するインターセプタを明示的に指定してセッションをオープンしない限り、そうなります。SessionFactory
スコープのインターセプタはスレッドセーフでなければなりません。複数のセッションがこのインターセプタを同時に使用する可能性があるため、セッション固有の状態を格納しないように気をつけてください。
new Configuration().setInterceptor( new AuditInterceptor() );
13.2. イベントシステム
永続化層で特定のイベントに対応しなければならない場合、Hibernate3 の イベント アーキテクチャを使うこともできます。さらにイベントシステムはインターセプタと一緒に使うか、またはインターセプタの代わりとして使うこともできます。
Session
インターフェースのメソッドはすべて、1個のイベントと相関します。例えば LoadEvent
、 FlushEvent
などがあります。定義済みのイベント型の完全一覧については、XML 設定ファイルの DTD や org.hibernate.event
パッケージを調べてください。リクエストがこれらのメソッドの1つから作られるとき、Hibernate の Session
は適切なイベントを生成し、そのイベント型に設定されたイベントリスナに渡します。追加設定なしで、これらのリスナはそのメソッドと同じ処理を実装します。とはいえ、リスナインターフェースの一つを自由にカスタム実装できます (つまり、 LoadEvent
は登録された LoadEventListener
インターフェースの実装により処理されます)。その場合、その実装には Session
から作られたどのような load()
リクエストをも処理する責任があります。
リスナは事実上シングルトンであると見なせます。つまり、リスナはリクエスト間で共有されるため、インスタンス変数として状態を保持するべきではありません。
カスタムリスナは処理したいイベントについて適切なインターフェースを実装するべきです。便利な基底クラスのうちの一つを継承してもよいです (または Hibernate がデフォルトで使用するイベントリスナを継承してもよいです。すばらしいことに、この目的のために非 final として宣言されています)。カスタムリスナは
Configuration
オブジェクトを使ってプログラムから登録するか、Hibernate の XML 設定ファイルで指定できます。プロパティファイルで宣言的に設定する方法はサポートされていません。ここで、カスタムロードイベントリスナの例を示します:
public class MyLoadListener implements LoadEventListener { // this is the single method defined by the LoadEventListener interface public void onLoad(LoadEvent event, LoadEventListener.LoadType loadType) throws HibernateException { if ( !MySecurity.isAuthorized( event.getEntityClassName(), event.getEntityId() ) ) { throw new MySecurityException("Unauthorized access"); } } }
デフォルトリスナ以外のリスナを使うには、 Hibernate への設定も必要です:
<hibernate-configuration> <session-factory> ... <event type="load"> <listener class="com.eg.MyLoadListener"/> <listener class="org.hibernate.event.def.DefaultLoadEventListener"/> </event> </session-factory> </hibernate-configuration>
代わりに、プログラムで登録する方法もあります:
Configuration cfg = new Configuration(); LoadEventListener[] stack = { new MyLoadListener(), new DefaultLoadEventListener() }; cfg.getEventListeners().setLoadEventListeners(stack);
リスナを宣言的に登録するとインスタンスを共有できません。複数の
<listener/>
要素で同じクラス名が使われると、それぞれの参照はそのクラスの別インスタンスを指すことになります。リスナ型の間でリスナインスタンスを共有する必要があれば、プログラムで登録する方法を採らなければなりません。
なぜインターフェースを実装して、特化した型を設定時に指定するのでしょうか?リスナの実装に、複数のイベントリスナインターフェースを実装できるからです。登録時に追加で型を指定することで、カスタムリスナの on/off を設定時に簡単に切り替えられます。
13.3. Hibernate の宣言的なセキュリティ
一般的に Hibernate アプリケーションの宣言的なセキュリティは、セッションファサード層で管理します。Hiberenate3 は JACC で許可し、さらに JAAS で認証したアクションも可能です。これはイベントアーキテクチャの最上位に組み込まれているオプション機能です。
まず最初に、適切なイベントリスナを設定して JAAS 認証を使えるようにしなければなりません。
<listener type="pre-delete" class="org.hibernate.secure.JACCPreDeleteEventListener"/> <listener type="pre-update" class="org.hibernate.secure.JACCPreUpdateEventListener"/> <listener type="pre-insert" class="org.hibernate.secure.JACCPreInsertEventListener"/> <listener type="pre-load" class="org.hibernate.secure.JACCPreLoadEventListener"/>
特定のイベント型に対してちょうど一つのリスナがあるとき、
<listener type="..." class="..."/>
は <event type="..."><listener class="..."/></event>
の簡略形に過ぎないことに注意してください。
次に、同じく
hibernate.cfg.xml
でロールにパーミッションをバインドしてください:
<grant role="admin" entity-name="User" actions="insert,update,read"/> <grant role="su" entity-name="User" actions="*"/>
このロール名は使用する JACC プロバイダに理解されるロールです。
第14章 バッチ処理
Hibernate を使ってデータベースに10万行を挿入する愚直な方法は、このようなものです:
Session session = sessionFactory.openSession(); Transaction tx = session.beginTransaction(); for ( int i=0; i<100000; i++ ) { Customer customer = new Customer(.....); session.save(customer); } tx.commit(); session.close();
これは50,000番目の行のあたりで
OutOfMemoryException
で失敗するでしょう。Hibernate がセッションレベルキャッシュで、新しく挿入されたすべての Customer
インスタンスをキャッシュするからです。この章で、こういう問題を回避する方法を説明します。
バッチ処理をするなら、JDBC バッチが使用可能であることが非常に重要です。そうでなければ手頃なパフォーマンスが得られません。JDBC バッチサイズを手頃な数値(例えば、10から50)に設定してください:
hibernate.jdbc.batch_size 20
identiy
識別子生成を使う場合は、Hibernate は JDBC レベルでインサートバッチングを無効にします。
また二次キャッシュとの相互作用が完全に無効になっているプロセスで、このような作業をしたいと思うかもしれません:
hibernate.cache.use_second_level_cache false
しかし、これは絶対に必要というわけではありません。なぜなら明示的に
CacheMode
を設定して、二次キャッシュとの相互作用を無効にすることができるからです。
14.1. バッチ挿入
新しいオブジェクトを永続化する場合、一次キャッシュのサイズを制限するため、定期的にセッションを
flush()
して clear()
してください。
Session session = sessionFactory.openSession(); Transaction tx = session.beginTransaction(); for ( int i=0; i<100000; i++ ) { Customer customer = new Customer(.....); session.save(customer); if ( i % 20 == 0 ) { //20, same as the JDBC batch size //flush a batch of inserts and release memory: session.flush(); session.clear(); } } tx.commit(); session.close();
14.2. バッチ更新
データの復元や更新を行うには、同じ考えを適用します。それに加えて、データの行を多く返すクエリに対して有効なサーバーサイドのカーソルの利点を生かすには
scroll()
を使う必要があります。
Session session = sessionFactory.openSession(); Transaction tx = session.beginTransaction(); ScrollableResults customers = session.getNamedQuery("GetCustomers") .setCacheMode(CacheMode.IGNORE) .scroll(ScrollMode.FORWARD_ONLY); int count=0; while ( customers.next() ) { Customer customer = (Customer) customers.get(0); customer.updateStuff(...); if ( ++count % 20 == 0 ) { //flush a batch of updates and release memory: session.flush(); session.clear(); } } tx.commit(); session.close();
14.3. StatelessSession インターフェース
また別の方法として、Hibernate はコマンド指向の API を用意しています。これは分離オブジェクトの形で、データベースとのデータストリームのやり取りに使うことができます。
StatelessSession
は関連する永続コンテキストを持たず、上層レベルのライフサイクルセマンティクスの多くを提供しません。特にステートレスセッションは、一次キャッシュを実装せず、またどのような二次キャッシュやクエリキャッシュとも相互作用しません。トランザクション write-behind や自動ダーティチェックも実装しません。ステートレスセッションを使って行われる操作が、関連するインスタンスへカスケードされることは決してありません。コレクションは、ステートレスセッションからは無視されます。ステートレスセッションを通して行われる操作は、 Hibernate のイベントモデルやインターセプタの影響を受けません。一次キャッシュを持たないため、ステートレスセッションはエイリアスの影響を受けるデータに上手く対処できません。ステートレスセッションは低レベルの抽象化であり、基盤のJDBC にはるかによく似ています。
StatelessSession session = sessionFactory.openStatelessSession(); Transaction tx = session.beginTransaction(); ScrollableResults customers = session.getNamedQuery("GetCustomers") .scroll(ScrollMode.FORWARD_ONLY); while ( customers.next() ) { Customer customer = (Customer) customers.get(0); customer.updateStuff(...); session.update(customer); } tx.commit(); session.close();
このコード例では、クエリが返す
Customer
インスタンスは即座に 分離されます。これは、どのような永続コンテキストとも決して関連しません。
StatelessSession
インターフェースで定義されている insert(), update()
と delete()
の操作は、行レベルの直接的なデータベース操作と考えられます。結果として、 SQL の INSERT, UPDATE
または DELETE
がそれぞれ即座に実行されます。このように、これらは Session
インターフェースで定義されている save(), saveOrUpdate()
と delete()
とは異なる意味を持ちます。
14.4. DML スタイルの操作
すでに議論したように、自動的かつ透過的なオブジェクト/リレーショナルマッピングは、オブジェクト状態の管理であると考えられます。このオブジェクトの状態は、メモリ内で利用できます。そのため (SQLの
データ操作言語
(DML) 文: INSERT
、 UPDATE
、 DELETE
を使って)データベース内のデータを直接操作しても、インメモリの状態には影響を与えません。しかし Hibernate は、バルク SQL スタイルの DML 文実行に対応するメソッドを用意しています。これは Hibernate クエリ言語 (15章HQL: Hibernate クエリ言語) を通して実行されます。
UPDATE
と DELETE
文の疑似構文は: ( UPDATE | DELETE ) FROM? EntityName (WHERE where_conditions)?
です。注意すべき点がいくつかあります:
注意点:
- from 節において、 FROM キーワードはオプションです。
- from 節ではエンティティ名1つだけが可能ですが、別名を付けることができます。エンティティ名に別名が与えられると、どのようなプロパティ参照も、その別名を使って修飾しなければなりません。エンティティ名に別名が与えられなければ、どのようなプロパティ参照も修飾してはなりません。
- 暗黙的であれ明示的であれ 「結合構文の形式」をバルク HQL クエリ内で指定することはできません。サブクエリは where 節で使うことができます。サブクエリそのものは、結合を含められます。
- where 節はオプションです。
例として、HQL の
UPDATE
を実行するには、Query.executeUpdate()
メソッドを使ってください。このメソッドはおなじみの JDBC PreparedStatement.executeUpdate()
から名付けられました:
Session session = sessionFactory.openSession(); Transaction tx = session.beginTransaction(); String hqlUpdate = "update Customer c set c.name = :newName where c.name = :oldName"; // or String hqlUpdate = "update Customer set name = :newName where name = :oldName"; int updatedEntities = session.createQuery( hqlUpdate ) .setString( "newName", newName ) .setString( "oldName", oldName ) .executeUpdate(); tx.commit(); session.close();
EJB3 仕様を受け継いでおり、HQL の
UPDATE
文は、デフォルトでは、作用するエンティティの 「Version(オプション)」 バージョンや 「Timestamp(オプション)」 タイムスタンプのプロパティの値には影響しません。しかし versioned update
を使って、 version
や timestamp
プロパティの値を強制的にリセットさせることができます。これは UPDATE
キーワードの後に VERSIONED
キーワードを追加することで行えます。
Session session = sessionFactory.openSession(); Transaction tx = session.beginTransaction(); String hqlVersionedUpdate = "update versioned Customer set name = :newName where name = :oldName"; int updatedEntities = session.createQuery( hqlVersionedUpdate ) .setString( "newName", newName ) .setString( "oldName", oldName ) .executeUpdate(); tx.commit(); session.close();
カスタムバージョン型(
org.hibernate.usertype.UserVersionType
)は update versioned
文と一緒に使えません。
HQL の
DELETE
を実行するには、同じ Query.executeUpdate()
メソッドを使ってください:
Session session = sessionFactory.openSession(); Transaction tx = session.beginTransaction(); String hqlDelete = "delete Customer c where c.name = :oldName"; // or String hqlDelete = "delete Customer where name = :oldName"; int deletedEntities = session.createQuery( hqlDelete ) .setString( "oldName", oldName ) .executeUpdate(); tx.commit(); session.close();
Query.executeUpdate()
メソッドが返す int
の値は、この操作が影響を及ぼしたエンティティの数です。これが影響するデータベース内の行数と、相互に関係する場合と、しない場合があります。HQL バルク操作は、結果として、実際の SQL 文が複数実行されることがあります(例:joined-subclass)。返される数は、その文によって影響を受けた実際のエンティティの数を示します。joined-subclass の例に戻ると、サブクラスの一つに対する削除は、そのサブクラスがマッピングされたテーブルだけではなく、「ルート」テーブルと継承階層をさらに下った joined-subclass のテーブルの削除になります。
INSERT
文の疑似構文は: INSERT INTO エンティティ名プロパティリスト select 文
です。注意すべき点がいくつかあります:
- INSERT INTO ... SELECT ... の形式だけがサポートされています。 INSERT INTO ... VALUES ... の形式はサポートされていません。properties_list は、SQL の
INSERT
文におけるカラムの仕様
に類似しています。継承のマッピングに含まれるエンティティに対して、クラスレベルで直接定義されたプロパティだけが、プロパティリストに使えます。スーパークラスのプロパティは認められず、サブクラスのプロパティは効果がありません。言い換えるとINSERT
文は、本質的にポリモーフィックではありません。 - select_statementは有効なHQL select クエリになりえますが、注意としては、返り値の型が insert 文の期待する型とマッチしていなければなりません。現在このチェックをデータベースへ任せるのではなく、クエリのコンパイル時にチェックします。このことは、 equal とは違い、Hibernate の
Type
間の equivalent に関する問題を引き起こすことに注意してください。これはorg.hibernate.type.DateType
として定義されたプロパティと、org.hibernate.type.TimestampType
として定義されたプロパティの間のミスマッチの問題を引き起こします。データベースがそれらを区別できなくても、変換することができても、この問題は発生します。 - id プロパティに対して、insert 文には二つの選択肢があります。properties_listで明示的に id プロパティを指定するか (この場合、対応する select 式から値が取られます)、プロパティリストからそれを除外するかのいずれかです (この場合、生成される値が使われます)。後者の選択肢は、データベース内を操作する id ジェネレータを使うときのみ、利用可能です。この選択肢を採る場合、「インメモリ」型のジェネレータを使うと、構文解析時に例外が発生します。この議論では、インデータベース型ジェネレータは
org.hibernate.id.SequenceGenerator
(とそのサブクラス) と、org.hibernate.id.PostInsertIdentifierGenerator
の実装であると考えています。ここで最も注意すべき例外は、org.hibernate.id.TableHiLoGenerator
です。値を取得する選択可能な方法がないため、このジェネレータを使うことはできません。 version
やtimestamp
としてマッピングされるプロパティに対して、insert 文には二つの選択肢があります。properties_listで明示的にプロパティを指定するか(この場合、対応する select 式から値が取られます)、プロパティリストから除外するか(この場合、org.hibernate.type.VersionType
で定義されたシード値
が使われます)のいずれかです。
以下は、HQL の
INSERT
文の実行例です:
Session session = sessionFactory.openSession(); Transaction tx = session.beginTransaction(); String hqlInsert = "insert into DelinquentAccount (id, name) select c.id, c.name from Customer c where ..."; int createdEntities = session.createQuery( hqlInsert ) .executeUpdate(); tx.commit(); session.close();
第15章 HQL: Hibernate クエリ言語
Hibernate は SQL に似た 強力な問い合わせ言語 ( HQL ) を利用しています。しかし SQL と比較すると、HQL は完全にオブジェクト指向であり、継承、ポリモーフィズムや関連などの概念を理解します。
15.1. 大文字と小文字の区別
クエリは Java のクラス名とプロパティ名を除いて大文字、小文字を区別しません。従って
SeLeCT
は sELEct
と同じで、かつ SELECT
とも同じですが org.hibernate.eg.FOO
は org.hibernate.eg.Foo
とは違い、かつ foo.barSet
は foo.BARSET
とも違います。
このマニュアルでは小文字の HQL キーワードを使用します。大文字のキーワードのクエリの方が読みやすいと感じるユーザーもいると思いますが、この方法は Java コード内に埋め込まれたクエリーには適していません。
15.2. from 節
もっとも単純な Hibernate クエリは次の形式です:
from eg.Cat
これは、
eg.Cat
クラスのインスタンスをすべて返します。auto-import
がデフォルトになっているため、クラス名を修飾する必要はありません。例えば、
from Cat
クエリーの別の箇所で
Cat
を参照するには、別名 を割り当てる必要があります。例えば、
from Cat as cat
このクエリでは
Cat
インスタンスに cat
という別名を付けているため、後にこのクエリ内で、この別名を使うことができます。as
キーワードはオプションです。つまりこのように書くこともできます:
from Cat cat
直積集合、あるいは「クロス」結合によって多数のクラスが出現することもあります。
from Formula, Parameter
from Formula as form, Parameter as param
これは、ローカル変数の Java のネーミング基準と一致しているため、頭文字に小文字を使ったクエリの別名を付けることはいい習慣です (例:
domesticCat
)。
15.3. 関連と結合
関連するエンティティあるいは値コレクションの要素にも、
join
を使って別名を割り当てることが出来ます。例えば、
from Cat as cat inner join cat.mate as mate left outer join cat.kittens as kitten
from Cat as cat left join cat.mate.kittens as kittens
from Formula form full join form.parameter param
サポートしている結合のタイプは ANSI SQL から採っています:
inner join
left outer join
right outer join
full join
(たいていの場合使いづらい)
inner join
、 left outer join
、 right outer join
には省略形を使うこともできます。
from Cat as cat join cat.mate as mate left join cat.kittens as kitten
HQL の
with
キーワードを使うと、結合条件を付け加えることができます。
from Cat as cat left join cat.kittens as kitten with kitten.bodyWeight > 10.0
「フェッチ」結合は関連や値のコレクションを親オブジェクトと一緒に1度の select で初期化します。これは特にコレクションの場合に有用です。また、効果的に関連とコレクションに対し、マッピングファイルの外部結合や遅延宣言をオーバーライドします。詳細は 「フェッチ戦略」 を参照してください。
from Cat as cat inner join fetch cat.mate left join fetch cat.kittens
関連オブジェクトを
where
節 (または他のどんな節でも) で使うべきではないため、フェッチ結合には通常別名を割り当てる必要がありません。また関連オブジェクトはクエリ結果として直接返されません。代わりに親オブジェクトからアクセスできます。別名が必要となる唯一の理由として、さらにコレクションを再帰的に結合フェッチする場合というのが挙げられます:
from Cat as cat inner join fetch cat.mate left join fetch cat.kittens child left join fetch child.kittens
重要
iterate()
を使って呼び出したクエリにて、fetch
コンストラクトを利用することはできません (ただし、scroll()
は利用可)。Fetch
は、setMaxResults()
あるいは setFirstResult()
とともに利用するべきではありません。理由は、通常即時コレクションフェッチ向けに重複を含む結果行にこれらの操作が基づいており、行数が得られるとは考えられないからです。また、Fetch
は、即興のwith
条件とともに利用すべきではありません。1つのクエリで複数のコレクションを join fetchすることで、デカルト積を作成することも可能なため、このような場合は注意してください。複数のコレクションの役割を join fetchすると、bag マッピングに対して予期せぬ結果を生み出す可能性があるため、この場合クエリを編成するときはユーザーの裁量で行ってください。最後にfull join fetch
や right join fetch
は意味がないという点にも注意してください。
プロパティレベルの遅延フェッチを使う場合(バイトコード処理をする場合)、
fetch all properties
を使うことで Hibernate に遅延プロパティを速やかに最初のクエリでフェッチさせることができます。
from Document fetch all properties order by name
from Document doc fetch all properties where lower(doc.name) like '%cats%'
15.4. 結合構文の形式
HQL は2つの関連結合形式をサポートします:
暗黙的
と 明示的
。
これまでのセクションでお見せした使い方はすべて
明示的な
形式で、 from 節で明示的に join キーワードを使っています。この形式をおすすめします。
暗黙的
フォームは、 join キーワードを使いません。代わりに、参照する関連にドット表記を使います。 暗黙的
結合は、さまざまな HQL に出てきます。 暗黙的
結合の結果は、 SQL ステートメントの内部結合結果です。
from Cat as cat where cat.mate.name like '%s%'
15.5. 識別子プロパティの参照
エンティティの識別子プロパティは、2つの方法で参照されます:
- エンティティが id と名付けられた非識別子プロパティを定義しない場合、特別なプロパティ (小文字)
id
は、 エンティティの識別子プロパティを参照するのに使用されることがあります。 - エンティティが指定された識別子プロパティを定義したら、そのプロパティ名を使用できます。
複合識別子プロパティへの参照は同じ命名ルールに従います。エンティティが id と名付けられた非識別子プロパティを持つ場合、複合識別子プロパティはその定義された名前で参照することができます。そうでないと、特別な
id
プロパティは、識別子プロパティを参照するのに使用されます。
重要
これは、バージョン 3.2.2 から大幅に変更されている点に注意してください。前バージョンでは、
id
は、その実際の名前に関係なく 常に 識別子プロパティを参照していました。その結果、 id
と名付けられた非識別子プロパティは、Hibernate クエリで決して参照されませんでした。
15.6. Select 節
select
節は、どのオブジェクトと属性をクエリ結果に返すかを選択します。以下を考えて見ましょう。
select mate from Cat as cat inner join cat.mate as mate
クエリは他の
Cat
の mate
を選択します。実際には次のように、より簡潔に表現できます:
select cat.mate from Cat cat
クエリはコンポーネント型のプロパティを含む、あらゆる値型のプロパティも返せます:
select cat.name from DomesticCat cat where cat.name like 'fri%'
select cust.name.firstName from Customer as cust
クエリは複数のオブジェクトと (または) プロパティを
Object[]
型の配列として返せます:
select mother, offspr, mate.name from DomesticCat as mother inner join mother.mate as mate left outer join mother.kittens as offspr
もしくは
List
として:
select new list(mother, offspr, mate.name) from DomesticCat as mother inner join mother.mate as mate left outer join mother.kittens as offspr
あるいは
Family
クラスが適切なコンストラクタを持っているとするならば、実際の型安全なjava オブジェクトとして:
select new Family(mother, mate, offspr) from DomesticCat as mother join mother.mate as mate left join mother.kittens as offspr
選択した表現に
as
を使って別名をつけることもできます:
select max(bodyWeight) as max, min(bodyWeight) as min, count(*) as n from Cat cat
select new map
と一緒に使うときに最も役立ちます:
select new map( max(bodyWeight) as max, min(bodyWeight) as min, count(*) as n ) from Cat cat
このクエリは別名から select した値へ
Map
を返します。
15.7. 集約関数
HQL のクエリはプロパティの集約関数の結果も返せます:
select avg(cat.weight), sum(cat.weight), max(cat.weight), count(cat) from Cat cat
サポートしている集約関数は以下のものです:
avg(...), sum(...), min(...), max(...)
count(*)
count(...), count(distinct ...), count(all...)
select 節において演算操作、連結と承認された SQL 関数を使うことができます:
select cat.weight + sum(kitten.weight) from Cat cat join cat.kittens kitten group by cat.id, cat.weight
select firstName||' '||initial||' '||upper(lastName) from Person
SQL と同じ意味を持つ
distinct
と all
キーワードを使うことができます。
select distinct cat.name from Cat cat select count(distinct cat.name), count(cat) from Cat cat
15.8. ポリモーフィズムを使ったクエリ
次のようなクエリ:
from Cat as cat
Cat
インスタンスだけではなく、DomesticCat
のようなサブクラスも返されます。Hibernate クエリは どんな Java クラスやインターフェースも from
節に入れることができます。クエリはそのクラスを拡張した、もしくはインターフェースを実装した全ての永続クラスを返します。次のクエリは永続オブジェクトをすべて返します:
from java.lang.Object o
Named
インターフェースは様々な永続クラスによって実装されます。:
from Named n, Named m where n.name = m.name
最後の2つのクエリは、2つ以上の SQL
SELECT
を必要としています。このことは order by
節が結果セット全体を正確には整列しないことを意味します。さらにそれは、 Query.scroll()
を使用してこれらのクエリを呼ぶことができないことを意味します。
15.9. where 節
where
節は返されるインスタンスのリストを絞ることができます。もし別名がない場合、名前でプロパティを参照することができます。
from Cat where name='Fritz'
別名がある場合、修飾名を使ってください:
from Cat as cat where cat.name='Fritz'
名前が 'Fritz' という
Cat
のインスタンスを返します。
以下のクエリ:
select foo from Foo foo, Bar bar where foo.startDate = bar.date
Foo
の startDate
プロパティと等しい date
プロパティを持った bar
インスタンスが存在する、すべての Foo
インスタンスを返します。複合パスの表現は where
節を非常に強力にします。以下を考えてみましょう:
from Cat cat where cat.mate.name is not null
このクエリはテーブル(内部)結合を持つ SQL クエリに変換されます。例:
from Foo foo where foo.bar.baz.customer.address.city is not null
上のクエリを記述したらクエリ内に4つのテーブル結合を必要とする SQL に変換されます。
=
演算子は以下のように、プロパティだけでなくインスタンスを比較するためにも使われます:
from Cat cat, Cat rival where cat.mate = rival.mate
select cat, mate from Cat cat, Cat mate where cat.mate = mate
id
(小文字) は特別なプロパティであり、オブジェクトの一意の識別子を参照するために使用できます。詳細については 「識別子プロパティの参照」 を参照ください。
from Cat as cat where cat.id = 123 from Cat as cat where cat.mate.id = 69
2番目のクエリは効率的で、テーブル結合が必要ありません。
また複合識別子のプロパティも使用できます。ここで
Person
が country
と medicareNumber
からなる複合識別子を持つと仮定します。
from bank.Person person where person.id.country = 'AU' and person.id.medicareNumber = 123456
from bank.Account account where account.owner.id.country = 'AU' and account.owner.id.medicareNumber = 123456
繰り返しますが、2番目のクエリにはテーブル結合が必要ありません.
識別子のプロパティ参照に関するさらなる情報については、「識別子プロパティの参照」 を参照してください。
class
は特別なプロパティであり、ポリモーフィックな永続化におけるインスタンスの 弁別子値にアクセスします。where 節に埋め込まれた Java のクラス名はその弁別子値に変換されます。
from Cat cat where cat.class = DomesticCat
またコンポーネントや複合ユーザー型、又はそのコンポーネントのプロパティも使用できます。詳細については、「コンポーネント」 を参照下さい。
"any" 型は特別なプロパティである
id
と class
を持ち、以下の方法で結合を表現することを可能にします (AuditLog.item
が <any>
でマッピングされたプロパティの場合)。
from AuditLog log, Payment payment where log.item.class = 'Payment' and log.item.id = payment.id
log.item.class
と payment.class
が上記のクエリで全く異なるデータベースカラムの値を参照します。
15.10. Expressions 式
where
節で使用する表現には以下が含まれます:
- 算術演算子:
+, -, *, /
- 2項比較演算子:
=, >=, <=, <>, !=, like
- 論理演算子
and, or, not
- グループ分けを表す括弧
( )
in
,not in
,between
,is null
,is not null
,is empty
,is not empty
,member of
andnot member of
- "シンプル"な case
case ... when ... then ... else ... end
、 "探索的"な casecase when ... then ... else ... end
- ストリングの連結
...||...
またはconcat(...,...)
current_date()
、current_time()
、current_timestamp()
second(...)
、minute(...)
、hour(...)
、day(...)
、month(...)
、year(...)
- EJB-QL 3.0 で定義されている関数や演算子:
substring(), trim(), lower(), upper(), length(), locate(), abs(), sqrt(), bit_length(), mod()
coalesce()
とnullif()
- 数字や時間の値を String にコンバートする
str()
- 2番目の引数が Hibernate 型の名前である
cast(... as ...)
とextract(... from ...)
。ただし使用するデータベースが ANSIcast()
とextract()
をサポートする場合に限ります。 - 結合したインデックス付きのコレクションの別名に適用される HQL の
index()
関数。 - コレクション値のパス表現を取る HQL 関数:
size(), minelement(), maxelement(), minindex(), maxindex()
。some, all, exists, any, in
を使って修飾することができる特別なelements()
とindices
関数と一緒に使います。 sign()
、trunc()
、rtrim()
、sin()
など、データベース対応のSQL スカラ関数。- JDBC スタイルの位置パラメータ
?
- 名前付きパラメータ:
:name
,:start_date
,:x1
- SQL リテラル:
'foo'
、69
、6.66E+2
、'1970-01-01 10:00:01.0'
- Java の
public static final
定数:eg.Color.TABBY
in
と between
は以下のように使用できます:
from DomesticCat cat where cat.name between 'A' and 'B'
from DomesticCat cat where cat.name in ( 'Foo', 'Bar', 'Baz' )
また、否定形で以下のように記述することもできます。
from DomesticCat cat where cat.name not between 'A' and 'B'
from DomesticCat cat where cat.name not in ( 'Foo', 'Bar', 'Baz' )
同様に
is null
や is not null
は null 値をテストするために使用できます。
Hibernate 設定で HQL query substitutions を宣言すれば、boolean 値を式の中で簡単に使用できます:
<property name="hibernate.query.substitutions">true 1, false 0</property>
こうすることで下記の HQL を SQL に変換するときに
true
、 false
キーワードは 1
、 0
に置き換えられます:
from Cat cat where cat.alive = true
特別なプロパティ
size
、または特別な関数 size()
を使ってコレクションのサイズをテストできます。
from Cat cat where cat.kittens.size > 0
from Cat cat where size(cat.kittens) > 0
インデックス付きのコレクションでは、
minindex
と maxindex
関数を使って、インデックスの最小値と最大値を参照できます。同様に、 minelement
と maxelement
関数を使って、基本型のコレクションの最小要素と最大要素を参照できます。
from Calendar cal where maxelement(cal.holidays) > current_date
from Order order where maxindex(order.items) > 100
from Order order where minelement(order.items) > 10000
コレクションの要素やインデックスのセット(
elements
と indices
関数)、または副問い合わせの結果が受け取れるときは、SQL 関数 any, some, all, exists, in
がサポートされます(以下参照)。
select mother from Cat as mother, Cat as kit where kit in elements(foo.kittens)
select p from NameList list, Person p where p.name = some elements(list.names)
from Cat cat where exists elements(cat.kittens)
from Player p where 3 > all elements(p.scores)
from Show show where 'fizard' in indices(show.acts)
size
、elements
、indices
、minindex
、maxindex
、minelement
、maxelement
は Hibernate3 の where 節だけで利用可能であることに注意してください。
インデックス付きのコレクション(arrays, lists, maps)の要素は、where節内でのみインデックスで参照できます:
from Order order where order.items[0].id = 1234
select person from Person person, Calendar calendar where calendar.holidays['national day'] = person.birthDay and person.nationality.calendar = calendar
select item from Item item, Order order where order.items[ order.deliveredItemIndices[0] ] = item and order.id = 11
select item from Item item, Order order where order.items[ maxindex(order.items) ] = item and order.id = 11
[]
内部の式は、算術式の場合もあります。
select item from Item item, Order order where order.items[ size(order.items) - 1 ] = item
HQL は一対多関連や値のコレクションの要素に対して、組み込みの
index()
関数も用意しています。
select item, index(item) from Order order join order.items item where index(item) < 5
ベースとなるデータベースがサポートしているスカラ SQL 関数が使用できます:
from DomesticCat cat where upper(cat.name) like 'FRI%'
下のクエリがSQL ではどれだけ長く、読みづらくなるか考えてください:
select cust from Product prod, Store store inner join store.customers cust where prod.name = 'widget' and store.location.name in ( 'Melbourne', 'Sydney' ) and prod = all elements(cust.currentOrder.lineItems)
ヒント: 例えばこのように出来ます。
SELECT cust.name, cust.address, cust.phone, cust.id, cust.current_order FROM customers cust, stores store, locations loc, store_customers sc, product prod WHERE prod.name = 'widget' AND store.loc_id = loc.id AND loc.name IN ( 'Melbourne', 'Sydney' ) AND sc.store_id = store.id AND sc.cust_id = cust.id AND prod.id = ALL( SELECT item.prod_id FROM line_items item, orders o WHERE item.order_id = o.id AND cust.current_order = o.id )
15.11. order by 節
クエリが返す list は、返されるクラスやコンポーネントのプロパティによって並べ替えることができます。
from DomesticCat cat order by cat.name asc, cat.weight desc, cat.birthdate
オプションの
asc
と desc
はそれぞれ昇順か降順の整列を示します。
15.12. group by 節
集約値を返すクエリは、返されるクラスやコンポーネントのプロパティによってグループ化できます:
select cat.color, sum(cat.weight), count(cat) from Cat cat group by cat.color
select foo.id, avg(name), max(name) from Foo foo join foo.names name group by foo.id
having
節も使えます。
select cat.color, sum(cat.weight), count(cat) from Cat cat group by cat.color having cat.color in (eg.Color.TABBY, eg.Color.BLACK)
基盤のデータベースがサポートしている場合、
having
と order by
節で SQL 関数と集約関数が使えます(例えば MySQL にはありません)。
select cat from Cat cat join cat.kittens kitten group by cat.id, cat.name, cat.other, cat.properties having avg(kitten.weight) > 100 order by count(kitten) asc, sum(kitten.weight) desc
group by
節や order by
節に算術式を含むことができません。また、Hibernate は今のところグループエンティティを拡張しないため、cat
の全てのプロパティが非集合体の場合、group by cat
を書くことはできません。全ての非集合体のプロパティを明示的にリストする必要があります。
15.13. 副問い合わせ
サブセレクトをサポートするデータベースのため、 Hibernate は副問い合わせをサポートしています。副問い合わせは括弧で囲まなければなりません( SQL の集約関数呼び出しによる事が多いです)。関連副問い合わせ (外部クエリ中の別名を参照する副問い合わせのこと) さえ許可されます。
from Cat as fatcat where fatcat.weight > ( select avg(cat.weight) from DomesticCat cat )
from DomesticCat as cat where cat.name = some ( select name.nickName from Name as name )
from Cat as cat where not exists ( from Cat as mate where mate.mate = cat )
from DomesticCat as cat where cat.name not in ( select name.nickName from Name as name )
select cat.id, (select max(kit.weight) from cat.kitten kit) from Cat as cat
HQL 副問い合わせは、select または where 節だけで使用可能な点に注意してください。
サブクエリは
row value constructor
構文も使用できる点に注意してください。詳細については 「行値コンストラクタ構文」を参照してください。
15.14. HQL の例
Hibernate クエリは非常に強力で複雑になりえます。実際、クエリ言語の威力は Hibernate の主要なセールスポイントの一つです。以下のクエリ例は、最近のプロジェクトで使用したクエリと非常によく似ています。ほとんどのクエリはこれらの例より簡単に記述できることに注意してください。
以下のクエリは、特定の顧客に関する未払いの注文すべてに対し、注文 ID 、商品の数、最小の合計値、注文の合計値を返します。結果は合計値別に整列されます。価格を決定する際、現在のカタログを使います。結果として返される SQL クエリは
ORDER
、ORDER_LINE
、PRODUCT
、CATALOG
および PRICE
テーブルに対し4つの内部結合と (関連しない) 副問い合わせを持ちます。
select order.id, sum(price.amount), count(item) from Order as order join order.lineItems as item join item.product as product, Catalog as catalog join catalog.prices as price where order.paid = false and order.customer = :customer and price.product = product and catalog.effectiveDate < sysdate and catalog.effectiveDate >= all ( select cat.effectiveDate from Catalog as cat where cat.effectiveDate < sysdate ) group by order having sum(price.amount) > :minAmount order by sum(price.amount) desc
何て巨大なクエリなのでしょう。普段私は副問い合わせをあまり使いません。したがって私のクエリは実際には以下のようになります。:
select order.id, sum(price.amount), count(item) from Order as order join order.lineItems as item join item.product as product, Catalog as catalog join catalog.prices as price where order.paid = false and order.customer = :customer and price.product = product and catalog = :currentCatalog group by order having sum(price.amount) > :minAmount order by sum(price.amount) desc
次のクエリは各ステータスの支払い数を数えます。ただしすべての支払いが現在の利用者による最新のステータス変更である
AWAITING_APPROVAL
である場合を除きます。このクエリは2つの内部結合と PAYMENT
, PAYMENT_STATUS
および PAYMENT_STATUS_CHANGE
テーブルに対する関連副問い合わせを備えた SQL クエリに変換されます。
select count(payment), status.name from Payment as payment join payment.currentStatus as status join payment.statusChanges as statusChange where payment.status.name <> PaymentStatus.AWAITING_APPROVAL or ( statusChange.timeStamp = ( select max(change.timeStamp) from PaymentStatusChange change where change.payment = payment ) and statusChange.user <> :currentUser ) group by status.name, status.sortOrder order by status.sortOrder
set の代わりに list として
statusChanges
コレクションをマッピングすると、はるかに簡単にクエリを記述できるでしょう。
select count(payment), status.name from Payment as payment join payment.currentStatus as status where payment.status.name <> PaymentStatus.AWAITING_APPROVAL or payment.statusChanges[ maxIndex(payment.statusChanges) ].user <> :currentUser group by status.name, status.sortOrder order by status.sortOrder
次のクエリは現在のユーザーが所属する組織に対するアカウントおよび未払いの支払いをすべて返す MS SQL Server の
isNull()
関数を使用しています。このクエリは3つの内部結合と1つの外部結合、そして ACCOUNT
、 PAYMENT
、 PAYMENT_STATUS
、 ACCOUNT_TYPE
、 ORGANIZATION
および ORG_USER
テーブルに対する副問い合わせ持った SQL に変換されます。
select account, payment from Account as account left outer join account.payments as payment where :currentUser in elements(account.holder.users) and PaymentStatus.UNPAID = isNull(payment.currentStatus.name, PaymentStatus.UNPAID) order by account.type.sortOrder, account.accountNumber, payment.dueDate
いくつかのデータベースについては、 (関連させられた) 副問い合わせの使用を避ける必要があるでしょう。
select account, payment from Account as account join account.holder.users as user left outer join account.payments as payment where :currentUser = user and PaymentStatus.UNPAID = isNull(payment.currentStatus.name, PaymentStatus.UNPAID) order by account.type.sortOrder, account.accountNumber, payment.dueDate
15.15. 大量の UPDATE と DELETE
15.16. Tips & Tricks
実際に結果を返さなくてもクエリの結果数を数えることができます:
( (Integer) session.createQuery("select count(*) from ....").iterate().next() ).intValue()
コレクションのサイズにより結果を並べ替えるためには以下のクエリを使用します:
select usr.id, usr.name from User as usr left join usr.messages as msg group by usr.id, usr.name order by count(msg)
使用しているデータベースがサブセレクトをサポートする場合、クエリの where 節でサイズによる選択条件を設定できます:
from User usr where size(usr.messages) >= 1
使用しているデータベースが副問い合わせ(Subselect)に対応していない場合は、次のクエリを使用してください:
select usr.id, usr.name from User usr join usr.messages msg group by usr.id, usr.name having count(msg) >= 1
この解決法は、内部結合をしているせいでメッセージの件数がゼロの
User
を返すことができないため、以下の形式も役立ちます:
select usr.id, usr.name from User as usr left join usr.messages as msg group by usr.id, usr.name having count(msg) = 0
JavaBean のプロパティは、名前付きのクエリパラメータに結びつけることが出来ます:
Query q = s.createQuery("from foo Foo as foo where foo.name=:name and foo.size=:size"); q.setProperties(fooBean); // fooBean has getName() and getSize() List foos = q.list();
コレクションはフィルタ付き
Query
インターフェースを使用することでページをつけることができます:
Query q = s.createFilter( collection, "" ); // the trivial filter q.setMaxResults(PAGE_SIZE); q.setFirstResult(PAGE_SIZE * pageNumber); List page = q.list();
コレクション要素はクエリフィルタを使って、並べ替えやグループ分けが出来ます:
Collection orderedCollection = s.createFilter( collection, "order by this.amount" ).list(); Collection counts = s.createFilter( collection, "select this.type, count(this) group by this.type" ).list();
コレクションを初期化せずにコレクションのサイズを得ることができます:
( (Integer) session.createQuery("select count(*) from ....").iterate().next() ).intValue();
15.17. コンポーネント
同様に、HQL クエリで使用しているシンプルな値型にコンポーネントを使用できます。以下のように
select
節の中に現われます:
select p.name from Person p
select p.name.first from Person p
人名のプロパティがコンポーネントの場所。コンポーネントは、
where
節でも使用可能です:
from Person p where p.name = :name
from Person p where p.name.first = :firstName
コンポーネントは
order by
節でも使用可能です:
from Person p order by p.name
from Person p order by p.name.first
さらに、コンポーネントの一般的な用途は、「行値コンストラクタ構文」にあります。
15.18. 行値コンストラクタ構文
基盤のデータベースが ANSI SQL
row value constructor
構文 (tuple
構文とよばれることもあります) をサポートしていないとしても、HQL はその使用をサポートしています。ここでは、一般的にコンポーネントと連繋するマルチバリュー比較を指します。名前コンポーネントを定義する Person エンティティを考えましょう:
from Person p where p.name.first='John' and p.name.last='Jingleheimer-Schmidt'
それは少々詳細になりますが、有効な構文です。
row value constructor
構文を使用することで、この構文を簡潔化できます:
from Person p where p.name=('John', 'Jingleheimer-Schmidt')
それを
select
節で指定するのも効果的です。
select p.name from Person p
複数の値と比較する必要のあるサブクエリを利用する場合、
row value constructor
構文の使用も利点がある場合があります。
from Cat as cat where not ( cat.name, cat.color ) in ( select cat.name, cat.color from DomesticCat cat )
この構文を使用するかを決定するときに考慮しなければならないことは、クエリがメタデータ内のコンポーネントのサブプロパティの順番に依存していることです。
第16章 Criteria クエリ
Hibernate には、直感的で拡張可能な criteria クエリ API が用意されています。
16.1. Criteria
インスタンスの作成
org.hibernate.Criteria
インターフェースは特定の永続性クラスに対するクエリを表現します。 Session
は Criteria
インスタンスのファクトリです。
Criteria crit = sess.createCriteria(Cat.class); crit.setMaxResults(50); List cats = crit.list();
16.2. リザルトセットの絞込み
org.hibernate.criterion.Criterion
インターフェースのインスタンスは、個別のクエリクライテリオン(問い合わせの判定基準)を表します。 org.hibernate.criterion.Restrictions
クラスは、ある組み込みの Criterion
型を取得するためのファクトリメソッドを持っています。
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .add( Restrictions.like("name", "Fritz%") ) .add( Restrictions.between("weight", minWeight, maxWeight) ) .list();
Restriction(制限)は論理的にグループ化できます。
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .add( Restrictions.like("name", "Fritz%") ) .add( Restrictions.or( Restrictions.eq( "age", new Integer(0) ), Restrictions.isNull("age") ) ) .list();
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .add( Restrictions.in( "name", new String[] { "Fritz", "Izi", "Pk" } ) ) .add( Restrictions.disjunction() .add( Restrictions.isNull("age") ) .add( Restrictions.eq("age", new Integer(0) ) ) .add( Restrictions.eq("age", new Integer(1) ) ) .add( Restrictions.eq("age", new Integer(2) ) ) ) .list();
様々なCriterion 型(
Restrictions
のサブクラス)が同梱されていますが、最も有用なものの1つとして SQL を直接指定できます。
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .add( Restrictions.sqlRestriction("lower({alias}.name) like lower(?)", "Fritz%", Hibernate.STRING) ) .list();
{alias}
というプレースホルダは、問い合わせを受けたエンティティの行の別名によって置き換えられます。
また
Property
インスタンスから条件を取得できます。Property.forName()
を呼び出して、 Property
インスタンスを作成できます。
Property age = Property.forName("age"); List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .add( Restrictions.disjunction() .add( age.isNull() ) .add( age.eq( new Integer(0) ) ) .add( age.eq( new Integer(1) ) ) .add( age.eq( new Integer(2) ) ) ) .add( Property.forName("name").in( new String[] { "Fritz", "Izi", "Pk" } ) ) .list();
16.3. 結果の整列
org.hibernate.criterion.Order
を使って結果を並べることができます。
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .add( Restrictions.like("name", "F%") ) .addOrder( Order.asc("name") ) .addOrder( Order.desc("age") ) .setMaxResults(50) .list();
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .add( Property.forName("name").like("F%") ) .addOrder( Property.forName("name").asc() ) .addOrder( Property.forName("age").desc() ) .setMaxResults(50) .list();
16.4. 関連
createCriteria()
を利用し関連を遷移することで、関連エンティティの制約を指定できます:
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .add( Restrictions.like("name", "F%") ) .createCriteria("kittens") .add( Restrictions.like("name", "F%") ) .list();
2番目の
createCriteria()
は、kittens
コレクションの要素を参照する新しい Criteria
インスタンスを返します。
特定の状況において有用な方法もほかにあります:
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .createAlias("kittens", "kt") .createAlias("mate", "mt") .add( Restrictions.eqProperty("kt.name", "mt.name") ) .list();
(
createAlias()
は新しい Criteria
インスタンスを作成しません。)
前の2つのクエリが返す
Cat
インスタンスにより保持される kittens コレクションは、criteria によって事前にフィルタリング されません。criteria と一致する kitten を取得したい場合、 ResultTransformer
を使わなければなりません。
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .createCriteria("kittens", "kt") .add( Restrictions.eq("name", "F%") ) .setResultTransformer(Criteria.ALIAS_TO_ENTITY_MAP) .list(); Iterator iter = cats.iterator(); while ( iter.hasNext() ) { Map map = (Map) iter.next(); Cat cat = (Cat) map.get(Criteria.ROOT_ALIAS); Cat kitten = (Cat) map.get("kt"); }
16.5. 関連の動的フェッチ
setFetchMode()
を使い、実行時に関連のフェッチセマンティクスを指定できます。
List cats = sess.createCriteria(Cat.class) .add( Restrictions.like("name", "Fritz%") ) .setFetchMode("mate", FetchMode.EAGER) .setFetchMode("kittens", FetchMode.EAGER) .list();
16.6. クエリの例
org.hibernate.criterion.Example
クラスは、与えられたインスタンスからクエリクライテリオンを構築できます。
Cat cat = new Cat(); cat.setSex('F'); cat.setColor(Color.BLACK); List results = session.createCriteria(Cat.class) .add( Example.create(cat) ) .list();
バージョンプロパティ、識別子、関連は無視されます。デフォルトでは null 値のプロパティは除外されます。
どのように
Example
を適用するか調整することができます。
Example example = Example.create(cat) .excludeZeroes() //exclude zero valued properties .excludeProperty("color") //exclude the property named "color" .ignoreCase() //perform case insensitive string comparisons .enableLike(); //use like for string comparisons List results = session.createCriteria(Cat.class) .add(example) .list();
関連オブジェクトに criteria を指定するために、 example を使うことも可能です。
List results = session.createCriteria(Cat.class) .add( Example.create(cat) ) .createCriteria("mate") .add( Example.create( cat.getMate() ) ) .list();
16.7. 射影、集約、グループ化
org.hibernate.criterion.Projections
クラスは Projection
インスタンスのファクトリです。 setProjection()
を呼び出すことで、クエリに射影を適用します。
List results = session.createCriteria(Cat.class) .setProjection( Projections.rowCount() ) .add( Restrictions.eq("color", Color.BLACK) ) .list();
List results = session.createCriteria(Cat.class) .setProjection( Projections.projectionList() .add( Projections.rowCount() ) .add( Projections.avg("weight") ) .add( Projections.max("weight") ) .add( Projections.groupProperty("color") ) ) .list();
criteria クエリに「group by」を明示する必要はありません。ある種の Projection 型は グループ化射影 として定義され、 SQL の
group by
節にも現れます。
射影に別名を付けることができるため、射影される値は restriction や ordering 内から参照できます。以下に別名をつける方法を2つ示します:
List results = session.createCriteria(Cat.class) .setProjection( Projections.alias( Projections.groupProperty("color"), "colr" ) ) .addOrder( Order.asc("colr") ) .list();
List results = session.createCriteria(Cat.class) .setProjection( Projections.groupProperty("color").as("colr") ) .addOrder( Order.asc("colr") ) .list();
alias()
と as()
メソッドは、 Projection インスタンスを別の名前の Projection
インスタンスでラップするだけです。ショートカットとして、射影を射影リストに追加する際に、別名をつけられます:
List results = session.createCriteria(Cat.class) .setProjection( Projections.projectionList() .add( Projections.rowCount(), "catCountByColor" ) .add( Projections.avg("weight"), "avgWeight" ) .add( Projections.max("weight"), "maxWeight" ) .add( Projections.groupProperty("color"), "color" ) ) .addOrder( Order.desc("catCountByColor") ) .addOrder( Order.desc("avgWeight") ) .list();
List results = session.createCriteria(Domestic.class, "cat") .createAlias("kittens", "kit") .setProjection( Projections.projectionList() .add( Projections.property("cat.name"), "catName" ) .add( Projections.property("kit.name"), "kitName" ) ) .addOrder( Order.asc("catName") ) .addOrder( Order.asc("kitName") ) .list();
射影の式に
Property.forName()
も使用できます:
List results = session.createCriteria(Cat.class) .setProjection( Property.forName("name") ) .add( Property.forName("color").eq(Color.BLACK) ) .list();
List results = session.createCriteria(Cat.class) .setProjection( Projections.projectionList() .add( Projections.rowCount() ) .add( Property.forName("weight").avg().as("avgWeight") ) .add( Property.forName("weight").max().as("maxWeight") ) .add( Property.forName("color").group().as("color" ) ) ) .addOrder( Order.desc("catCountByColor") ) .addOrder( Order.desc("avgWeight") ) .list();
16.8. クエリおよびサブクエリの分離
DetachedCriteria
クラスにより、セッションスコープ外にクエリを作成でき、その後、任意の Session
を使って、実行できます。
DetachedCriteria query = DetachedCriteria.forClass(Cat.class) .add( Property.forName("sex").eq('F') ); Session session = ....; Transaction txn = session.beginTransaction(); List results = query.getExecutableCriteria(session).setMaxResults(100).list(); txn.commit(); session.close();
DetachedCriteria
は、サブクエリを表現するためにも使えます。サブクエリを伴う Criterion インスタンスは、 Subqueries
もしくは Property
から得ることができます。
DetachedCriteria avgWeight = DetachedCriteria.forClass(Cat.class) .setProjection( Property.forName("weight").avg() ); session.createCriteria(Cat.class) .add( Property.forName("weight").gt(avgWeight) ) .list();
DetachedCriteria weights = DetachedCriteria.forClass(Cat.class) .setProjection( Property.forName("weight") ); session.createCriteria(Cat.class) .add( Subqueries.geAll("weight", weights) ) .list();
相互関係のあるサブクエリも可能です:
DetachedCriteria avgWeightForSex = DetachedCriteria.forClass(Cat.class, "cat2") .setProjection( Property.forName("weight").avg() ) .add( Property.forName("cat2.sex").eqProperty("cat.sex") ); session.createCriteria(Cat.class, "cat") .add( Property.forName("weight").gt(avgWeightForSex) ) .list();
16.9. 自然識別子によるクエリ
criteria クエリなど多くのクエリにとって、クエリキャッシュは効率があまりよくありません。なぜなら、クエリキャッシュが過剰なほど頻繁に無効になるためです。しかしながら、キャッシュを無効にするアルゴリズムを最適化できる特別なクエリの種類が1つあります。それは、更新されない自然キーによる検索です。いくつかのアプリケーションでは、この種類のクエリが頻繁に現れます。このユースケースに対し、criteria API は特別な対策を提供します。
最初に、
<natural-id>
を使って、エンティティの自然キーをマップしてください。そして、二次キャッシュを有効にします。
<class name="User"> <cache usage="read-write"/> <id name="id"> <generator class="increment"/> </id> <natural-id> <property name="name"/> <property name="org"/> </natural-id> <property name="password"/> </class>
この機能は、可変の 自然キーを持つエンティティと使用するために設計されたいません。
Hiberbate クエリキャッシュを有効にすると、
Restrictions.naturalId()
により、より効率的なキャッシュアルゴリズムを使用できます。
session.createCriteria(User.class) .add( Restrictions.naturalId() .set("name", "gavin") .set("org", "hb") ).setCacheable(true) .uniqueResult();
第17章 ネイティブ SQL
データベースのネイティブ SQL 方言を使ってクエリを表現することもできます。クエリヒントや Oracle の
CONNECT
キーワードのように、データベース独自の機能を利用したいときに使えます。SQL/JDBC ベースのアプリケーションからHibernate への明確な移行パスを提供しています。
Hibernate3 では、ストアドプロシージャなど、生成、更新、削除、読み込み処理のような手書きのSQL を指定できます。
17.1. SQLQuery
を使用
ネイティブな SQL クエリの実行は
SQLQuery
インターフェースを通して制御します。SQLQuery
インターフェースは Session.createSQLQuery()
を呼び出して取得します。以下の章では、この API を使って問い合わせする方法を説明します。
17.1.1. スカラーのクエリ
最も基本的な SQL クエリはスカラー(値)のリストを得ることです。
sess.createSQLQuery("SELECT * FROM CATS").list(); sess.createSQLQuery("SELECT ID, NAME, BIRTHDATE FROM CATS").list();
これらはどちらも、 CATS テーブルの各カラムのスカラ値を含む Object 配列(Object[ ])のリストを返します。返すスカラ値の実際の順番と型を推定するために、Hibernate は ResultSetMetadata を使用します。
ResultSetMetadata
を使用するオーバーヘッドを避けるため、もしくは単に何が返されるか明確にするため、addScalar()
を使えます:
sess.createSQLQuery("SELECT * FROM CATS") .addScalar("ID", Hibernate.LONG) .addScalar("NAME", Hibernate.STRING) .addScalar("BIRTHDATE", Hibernate.DATE);
このクエリで指定されているものを下記に示します:
- SQL クエリ文字列
- 返されるカラムと型
これは Object 配列を返しますが、
ResultSetMetdata
を使用しません。ただし、その代わりに基礎にあるリザルトセットから ID、NAME、BIRTHDATE カラムをそれぞれ Long、String、Short として明示的に取得します。これは3つのカラムを返すのみであることも意味します。たとえ、クエリが *
を使用し、列挙した3つより多くのカラムを返せるとしてもです。
スカラーの型情報を省くこともできます。
sess.createSQLQuery("SELECT * FROM CATS") .addScalar("ID", Hibernate.LONG) .addScalar("NAME") .addScalar("BIRTHDATE");
これは本質的に前と同じクエリですが、NAME と BIRTHDATE の型を決めるために
ResultSetMetaData
を使用します。一方、ID の型は明示的に指定されています。
Dialectの制御で、どのようにResultSetMetaData から返される java.sql.Types を Hibernate の型に マッピングされるかが決まります。特定の型がマッピングされていないか、結果の型が期待したものと異なる場合、 Dialect の
registerHibernateType
を呼び出すことでカスタマイズできます。
17.1.2. エンティティのクエリ
ここまでのクエリは、すべてスカラー値を返すものでした。基本的に、リザルトセットから「未加工」の値を返します。以降では、
addEntity()
により、ネイティブ SQL クエリからエンティティオブジェクトを取得する方法を示します。
sess.createSQLQuery("SELECT * FROM CATS").addEntity(Cat.class); sess.createSQLQuery("SELECT ID, NAME, BIRTHDATE FROM CATS").addEntity(Cat.class);
このクエリで指定されているものを下記に示します:
- SQL クエリ文字列
- クエリが返すエンティティと SQL テーブルの別名
Cat が ID 、 NAME 、 BIRTHDATE のカラムを使ってクラスにマッピングされる場合、上記のクエリはどちらも、要素が Cat エンティティであるリストを返します。
エンティティを別のエンティティに
多対一
でマッピングしている場合は、ネイティブクエリを実行する際に、この別のエンティティを返すことも要求します。さもなければ、データベース固有の「column not found(カラムが見つかりません)」エラーが発生します。 * 表記を使用した際は、追加のカラムが自動的に返されますが、次の例のように、 Dog
に 多対一
であることを明示することを私たちは好みます。
sess.createSQLQuery("SELECT ID, NAME, BIRTHDATE, DOG_ID FROM CATS").addEntity(Cat.class);
これにより cat.getDog() が正しく機能します。
17.1.3. 関連とコレクションの操作
プロキシを初期化するための余分な処理を避けるため、
Dog
の中で即時結合できます。これは addJoin()
メソッドにより行います。関連もしくはコレクションに結合できます。
sess.createSQLQuery("SELECT c.ID, NAME, BIRTHDATE, DOG_ID, D_ID, D_NAME FROM CATS c, DOGS d WHERE c.DOG_ID = d.D_ID") .addEntity("cat", Cat.class) .addJoin("dog", "cat.dog");
この例の中で、返される
Cat
は、データベースへの余分処理なしで、完全に初期化された dog
プロパティを持ちます。結合対象のプロパティへのパスを指定できるように、別名(「cat」)を追加したことに注意してください。コレクションの即時結合も同じようにできます。たとえば、 Cat
が一対多で Dog
を持っていた場合などです。
sess.createSQLQuery("SELECT ID, NAME, BIRTHDATE, D_ID, D_NAME, CAT_ID FROM CATS c, DOGS d WHERE c.ID = d.CAT_ID") .addEntity("cat", Cat.class) .addJoin("dog", "cat.dogs");
今の段階では、Hibernate で使えるように SQL クエリの拡張を始めなければ、ネイティブクエリで実現できることも限界に達してしまいます。同じ型のエンティティを複数返す際や、デフォルトの別名や列名で十分ではない場合に、問題が発生する可能性があります。
17.1.4. 複数エンティティの取得
ここまでは、結果のカラム名は、マッピングドキュメントで指定したカラム名と同じであると仮定していました。複数のテーブルが同じカラム名を持つ場合があるため、複数テーブルを結合する SQL クエリで問題となる場合があります。
下記のような(失敗しそうな)クエリでは、カラム別名インジェクション(column alias injection)が必要です:
sess.createSQLQuery("SELECT c.*, m.* FROM CATS c, CATS m WHERE c.MOTHER_ID = c.ID") .addEntity("cat", Cat.class) .addEntity("mother", Cat.class)
このクエリは、1行ごとに2つの Cat インスタンス、つまりCatとそのmotherを返すように設計されていました。しかし、インスタンスを同じカラム名にマッピングすること、つまり名前が衝突するため、このクエリは失敗します。また、データベースによっては、返されるカラムの別名が "c.ID"、"c.NAME" などの形式であり、マッピングで指定されたカラム("ID" と "NAME")と等しくないため、失敗します。
下記の形式は、カラム名が重複しても大丈夫です:
sess.createSQLQuery("SELECT {cat.*}, {mother.*} FROM CATS c, CATS m WHERE c.MOTHER_ID = c.ID") .addEntity("cat", Cat.class) .addEntity("mother", Cat.class)
このクエリで指定されているものを下記に示します:
- SQL クエリ文字列 (Hibernate がカラムの別名を挿入するためのプレースホルダを含む)
- クエリによって返されるエンティティ
上記で使用している {cat.*} と {mother.*} という表記は、「すべてのプロパティ」を表す省略形です。代わりに、明示的にカラムを列挙することも可能ですが、この場合でも、Hibernate は各プロパティに対応する SQL カラムの別名を挿入します。カラムの別名のためのプレースホルダは、テーブルの別名によって修飾されたプロパティ名です。下記の例では、別のテーブル(cat_log)から マッピングメタデータデータで宣言したテーブルへCatとそのMotherをリトリーブします。where 節の中でも、プロパティの別名を使えます。
String sql = "SELECT ID as {c.id}, NAME as {c.name}, " + "BIRTHDATE as {c.birthDate}, MOTHER_ID as {c.mother}, {mother.*} " + "FROM CAT_LOG c, CAT_LOG m WHERE {c.mother} = c.ID"; List loggedCats = sess.createSQLQuery(sql) .addEntity("cat", Cat.class) .addEntity("mother", Cat.class).list()
17.1.4.1. 別名とプロパティのリファレンス
多くの場合、上記のような別名インジェクションが必要です。複合プロパティ、継承識別子、コレクションなど、より複雑なマッピングと関連するクエリについて、Hibernate は、特定の別名を使用することにより適切な別名を挿入できます。
以下の表で、別名インジェクションを利用できる様々な方法を示しています。注記:下表の別名は一例です。それぞれの別名は一意であり、使用する際にはおそらく異なる名前を持ちます。
説明 | 構文 | 例 |
---|---|---|
単純なプロパティ | {[aliasname].[propertyname] | A_NAME as {item.name} |
複合プロパティ | {[aliasname].[componentname].[propertyname]} | CURRENCY as {item.amount.currency}, VALUE as {item.amount.value} |
エンティティのクラスを識別する値 | {[aliasname].class} | DISC as {item.class} |
エンティティの全プロパティ | {[aliasname].*} | {item.*} |
コレクションのキー | {[aliasname].key} | ORGID as {coll.key} |
コレクションの ID | {[aliasname].id} | EMPID as {coll.id} |
コレクションの要素 | {[aliasname].element} | XID as {coll.element} |
コレクションにある要素プロパティ | {[aliasname].element.[propertyname]} | NAME as {coll.element.name} |
コレクションの要素の全プロパティ | {[aliasname].element.*} | {coll.element.*} |
コレクションの全プロパティ | {[aliasname].*} | {coll.*} |
17.1.5. 管理されていないエンティティの取得
ネイティブ SQL クエリに ResultTransformer を適用でき、管理されていないエンティティを返すことができるようになります。
sess.createSQLQuery("SELECT NAME, BIRTHDATE FROM CATS") .setResultTransformer(Transformers.aliasToBean(CatDTO.class))
このクエリで指定されているものを下記に示します:
- SQL クエリ文字列
- 結果を変換したもの
上記のクエリは、インスタンス化し、 NAME と BIRTHDATE の値を対応するプロパティもしくはフィールドに挿入した
CatDTO
のリストを返します。
17.1.6. 継承の制御
継承の一部としてマッピングされたエンティティを問い合わせるネイティブ SQL クエリは、ベースクラスとそのすべてのサブクラスの全プロパティを含まなければなりません。
17.1.7. パラメータ
ネイティブ SQL クエリは、名前付きパラメータや位置パラメータをサポートします:
Query query = sess.createSQLQuery("SELECT * FROM CATS WHERE NAME like ?").addEntity(Cat.class); List pusList = query.setString(0, "Pus%").list(); query = sess.createSQLQuery("SELECT * FROM CATS WHERE NAME like :name").addEntity(Cat.class); List pusList = query.setString("name", "Pus%").list();
17.2. 名前付き SQL クエリ
名前付き SQL クエリはマッピングドキュメントで定義することができ、名前付き HQL クエリと全く同じ方法で呼ぶことができます。この場合、
addEntity()
を呼び出す必要は ありません。
<sql-query name="persons"> <return alias="person" class="eg.Person"/> SELECT person.NAME AS {person.name}, person.AGE AS {person.age}, person.SEX AS {person.sex} FROM PERSON person WHERE person.NAME LIKE :namePattern </sql-query>
List people = sess.getNamedQuery("persons") .setString("namePattern", namePattern) .setMaxResults(50) .list();
<return-join>
要素を使って関連を結合し、<load-collection>
要素を使ってコレクションを初期化するクエリを定義します。
<sql-query name="personsWith"> <return alias="person" class="eg.Person"/> <return-join alias="address" property="person.mailingAddress"/> SELECT person.NAME AS {person.name}, person.AGE AS {person.age}, person.SEX AS {person.sex}, address.STREET AS {address.street}, address.CITY AS {address.city}, address.STATE AS {address.state}, address.ZIP AS {address.zip} FROM PERSON person JOIN ADDRESS address ON person.ID = address.PERSON_ID AND address.TYPE='MAILING' WHERE person.NAME LIKE :namePattern </sql-query>
名前付き SQL クエリはスカラ値を返すこともできます。
<return-scalar>
要素を使って、列の別名と Hibernate の型を宣言しなければなりません:
<sql-query name="mySqlQuery"> <return-scalar column="name" type="string"/> <return-scalar column="age" type="long"/> SELECT p.NAME AS name, p.AGE AS age, FROM PERSON p WHERE p.NAME LIKE 'Hiber%' </sql-query>
リザルトセットのマッピング情報を
<resultset>
要素に外部化することができます。複数の名前付きクエリか setResultSetMapping()
API で再利用できます。
<resultset name="personAddress"> <return alias="person" class="eg.Person"/> <return-join alias="address" property="person.mailingAddress"/> </resultset> <sql-query name="personsWith" resultset-ref="personAddress"> SELECT person.NAME AS {person.name}, person.AGE AS {person.age}, person.SEX AS {person.sex}, address.STREET AS {address.street}, address.CITY AS {address.city}, address.STATE AS {address.state}, address.ZIP AS {address.zip} FROM PERSON person JOIN ADDRESS address ON person.ID = address.PERSON_ID AND address.TYPE='MAILING' WHERE person.NAME LIKE :namePattern </sql-query>
代わりに、hbm ファイル内のリザルトセットのマッピング情報を直接 Java コードで使用できます。
List cats = sess.createSQLQuery( "select {cat.*}, {kitten.*} from cats cat, cats kitten where kitten.mother = cat.id" ) .setResultSetMapping("catAndKitten") .list();
17.2.1. 列と列のエイリアスを明示的に指定するために return-property を利用
Hibernate が別名を挿入できるようにするには、
{}
構文を使う代わりに、<return-property>
を使い、どの列の別名を使うのかを Hibernate に対して明示できます。
<sql-query name="mySqlQuery"> <return alias="person" class="eg.Person"> <return-property name="name" column="myName"/> <return-property name="age" column="myAge"/> <return-property name="sex" column="mySex"/> </return> SELECT person.NAME AS myName, person.AGE AS myAge, person.SEX AS mySex, FROM PERSON person WHERE person.NAME LIKE :name </sql-query>
<return-property>
は複数の列も扱えます。これは、複数列のプロパティをきめ細かく制御できないという、{}
構文の制限を解決します。
<sql-query name="organizationCurrentEmployments"> <return alias="emp" class="Employment"> <return-property name="salary"> <return-column name="VALUE"/> <return-column name="CURRENCY"/> </return-property> <return-property name="endDate" column="myEndDate"/> </return> SELECT EMPLOYEE AS {emp.employee}, EMPLOYER AS {emp.employer}, STARTDATE AS {emp.startDate}, ENDDATE AS {emp.endDate}, REGIONCODE as {emp.regionCode}, EID AS {emp.id}, VALUE, CURRENCY FROM EMPLOYMENT WHERE EMPLOYER = :id AND ENDDATE IS NULL ORDER BY STARTDATE ASC </sql-query>
この例では、挿入のための
{}
構文と組み合わせて、 <return-property>
を使いました。こうすることで、ユーザーは列とプロパティをどのように参照するかを選べます。
マッピングに discriminator が含まれている場合、 discriminator の列を指定するために、
<return-discriminator>
を使わなければなりません。
17.2.2. 問い合わせにストアドプロシージャを利用
Hibernate3 は、ストアドプロシージャや関数経由のクエリに対応しています。以下のドキュメントの多くが両方で同じとなっています。ストアドプロシージャやストアド関数を Hibernate と連携するには1番目の出力パラメータとしてリザルトセットを返さなければなりません。Oracle 9以降のバージョンにおける、このようなストアドプロシージャの例を以下に示します:
CREATE OR REPLACE FUNCTION selectAllEmployments RETURN SYS_REFCURSOR AS st_cursor SYS_REFCURSOR; BEGIN OPEN st_cursor FOR SELECT EMPLOYEE, EMPLOYER, STARTDATE, ENDDATE, REGIONCODE, EID, VALUE, CURRENCY FROM EMPLOYMENT; RETURN st_cursor; END;
Hibernate でこのクエリを使うためには、名前付きクエリでマッピングする必要があります。
<sql-query name="selectAllEmployees_SP" callable="true"> <return alias="emp" class="Employment"> <return-property name="employee" column="EMPLOYEE"/> <return-property name="employer" column="EMPLOYER"/> <return-property name="startDate" column="STARTDATE"/> <return-property name="endDate" column="ENDDATE"/> <return-property name="regionCode" column="REGIONCODE"/> <return-property name="id" column="EID"/> <return-property name="salary"> <return-column name="VALUE"/> <return-column name="CURRENCY"/> </return-property> </return> { ? = call selectAllEmployments() } </sql-query>
今のところ、ストアドプロシージャはスカラとエンティティを返すのみです。
<return-join>
と <load-collection>
はサポートされていません。
17.2.2.1. ストアドプロシージャを使う上でのルールと制限
プロシージャや関数のルールに従わない限り、Hibernate でストアドプロシージャや関数を使えません。ルールに準拠していないプロシージャは、 Hibernate で使うことはできません。それでも、これらのプロシージャを使いたい場合、
session.connection()
を通じて実行しなければなりません。ストアドプロシージャのセマンティックスと構文は、データベースベンダごとに違うため、これらのルールもデータベースごとに異なります。
setFirstResult()/setMaxResults()
を使って、ストアドプロシージャクエリをページすることはできません。
推奨する呼び出し方は、
{ ? = call functionName(<parameters>) }
や { ? = call procedureName(<parameters>}
など、標準である SQL92 に従うことです。ネイティブな呼び出し構文はサポートされていません。
Oracle には下記のルールが適用されます:
- 関数はリザルトセットを返さなければなりません。プロシージャの第一パラメータはリザルトセットを返す
OUT
でなければなりません。Oracle 9 と 10 では、SYS_REFCURSOR
を使うことでこれを行います。 Oracle ではREF CURSOR
型を定義する必要があります。Oracle の文献を参照してください。
Sybase と MS SQL サーバーに適用されるルールを下記に示します:
- プロシージャはリザルトセットを返さなければなりません。サーバーは複数のリザルトセットと更新カウントを返すことができるため、Hibernate は結果を反復し、リザルトセットである1つ目の結果を戻し値として取ることに注意してください。その他はすべて捨てられます。
- プロシージャの中で
SET NOCOUNT ON
を有効にできれば、おそらく効率がよくなるでしょう。しかし、これは必要条件ではありません。
17.3. 作成、更新、削除のためのカスタム SQL
Hibernate3 は作成、更新、削除処理のためのカスタム SQL 文を使用できます。クラスとコレクションの永続化機構は、コンフィグレーション時に生成された文字列 (insertsql、deletesql、updatesql など)のセットをすでに保持しています。これらの文字列より、
<sql-insert>
、 <sql-delete>
、 <sql-update>
というマッピングタグが優先されます:
<class name="Person"> <id name="id"> <generator class="increment"/> </id> <property name="name" not-null="true"/> <sql-insert>INSERT INTO PERSON (NAME, ID) VALUES ( UPPER(?), ? )</sql-insert> <sql-update>UPDATE PERSON SET NAME=UPPER(?) WHERE ID=?</sql-update> <sql-delete>DELETE FROM PERSON WHERE ID=?</sql-delete> </class>
SQL を直接データベースで実行するため、好みの方言を自由に使用できます。データベース独自の SQL を使えば、マッピングの移植性が下がります。
callable
属性をセットすれば、ストアドプロシージャを使用できます:
<class name="Person"> <id name="id"> <generator class="increment"/> </id> <property name="name" not-null="true"/> <sql-insert callable="true">{call createPerson (?, ?)}</sql-insert> <sql-delete callable="true">{? = call deletePerson (?)}</sql-delete> <sql-update callable="true">{? = call updatePerson (?, ?)}</sql-update> </class>
Hibernate が期待する順序と同じでなければならないため、位置パラメータの順番はとても重要です。
org.hiberante.persister.entity
レベルのデバッグログを有効にすることによって、期待される順番を参照できます。このレベルを有効にすることにより、Hibernate は、エンティティの作成、更新、削除などで使用される静的な SQL を出力します。期待される順序を確認する際、マッピングファイルにカスタムSQLを含めないでください。含めてしまうと、Hibernate が生成する静的 SQL をオーバーライドするためです。
ストアドプロシージャは多くの場合、挿入/更新/削除された行数を返す必要があります。実行時に Hibernate が 文の成功をチェックするからです。Hibernate は、 CUD 操作で数値の出力パラメータとして、SQL 文の最初のパラメータをいつも記録します:
CREATE OR REPLACE FUNCTION updatePerson (uid IN NUMBER, uname IN VARCHAR2) RETURN NUMBER IS BEGIN update PERSON set NAME = uname, where ID = uid; return SQL%ROWCOUNT; END updatePerson;
17.4. ロードのためのカスタム SQL
エンティティを読み込むための独自の SQL (もしくは HQL)クエリも宣言できます:
<sql-query name="person"> <return alias="pers" class="Person" lock-mode="upgrade"/> SELECT NAME AS {pers.name}, ID AS {pers.id} FROM PERSON WHERE ID=? FOR UPDATE </sql-query>
これは、まさに前述した名前付きクエリの宣言です。この名前付きクエリをクラスのマッピングから参照できます:
<class name="Person"> <id name="id"> <generator class="increment"/> </id> <property name="name" not-null="true"/> <loader query-ref="person"/> </class>
これはストアドプロシージャでさえも動作します。
コレクションをロードするためのクエリさえ定義することもできます。
<set name="employments" inverse="true"> <key/> <one-to-many class="Employment"/> <loader query-ref="employments"/> </set>
<sql-query name="employments"> <load-collection alias="emp" role="Person.employments"/> SELECT {emp.*} FROM EMPLOYMENT emp WHERE EMPLOYER = :id ORDER BY STARTDATE ASC, EMPLOYEE ASC </sql-query>
結合フェッチによりコレクションをロードするエンティティローダーも定義できます:
<sql-query name="person"> <return alias="pers" class="Person"/> <return-join alias="emp" property="pers.employments"/> SELECT NAME AS {pers.*}, {emp.*} FROM PERSON pers LEFT OUTER JOIN EMPLOYMENT emp ON pers.ID = emp.PERSON_ID WHERE ID=? </sql-query>
第18章 データのフィルタリング
Hibernate3 では「可視性」ルールに基づきデータ処理の画期的な方法を用意しています。Hibernate filter はグローバルで、名前付きで、パラメータ化されたフィルタです。これは Hibernate セッションごとに有効あるいは無効を切り替えられます。
18.1. Hibernate のフィルタ
Hibernate3 はフィルタ基準をあらかじめ定義し、これらのフィルタをクラスやコレクションレベルに加える機能を加えました。フィルタ基準は制約節を定義ができ、クラスや様々なコレクション要素で利用できる「Where」要素に似ています。しかし、これらのフィルタ条件はパラメータ化できます。その後アプリケーションは、与えられたフィルタを可能にすべきか、そしてそのパラメータ値を何にすべきかを実行時に決定することができます。フィルタはデータベースビューのように使用されますが、アプリケーション内ではパラメータ化されます。
フィルタを使うためにはまず、適切なマッピング要素に定義、追加しなくてはなりません。フィルタを定義するためには、
<hibernate-mapping/>
要素内で <filter-def/>
要素を使用します:
<filter-def name="myFilter"> <filter-param name="myFilterParam" type="string"/> </filter-def>
そうしてフィルタはクラスへと結び付けられます:
<class name="myClass" ...> ... <filter name="myFilter" condition=":myFilterParam = MY_FILTERED_COLUMN"/> </class>
また、コレクションに対しては次のようになります:
<set ...> <filter name="myFilter" condition=":myFilterParam = MY_FILTERED_COLUMN"/> </set>
また、両方またはそれぞれを複数、 同時に設定することもできます。
Session
上のメソッドは enableFilter(String filterName)
、 getEnabledFilter(String filterName)
、disableFilter(String filterName)
です。デフォルトでは、フィルタは与えられたセッションに対して使用 できません 。Filter
インスタンスを返り値とする Session.enabledFilter()
メソッドを使うことで、フィルタは明示的に使用可能となります。上で定義した単純なフィルタの使用は、このようになります:
session.enableFilter("myFilter").setParameter("myFilterParam", "some-value");
org.hibernate.Filter インターフェースのメソッドは、Hibernate の多くに共通しているメソッド連鎖が可能です。
以下は、有効なレコードデータパターンを持つ一時データを使った完全な例です:
<filter-def name="effectiveDate"> <filter-param name="asOfDate" type="date"/> </filter-def> <class name="Employee" ...> ... <many-to-one name="department" column="dept_id" class="Department"/> <property name="effectiveStartDate" type="date" column="eff_start_dt"/> <property name="effectiveEndDate" type="date" column="eff_end_dt"/> ... <!-- Note that this assumes non-terminal records have an eff_end_dt set to a max db date for simplicity-sake --> <filter name="effectiveDate" condition=":asOfDate BETWEEN eff_start_dt and eff_end_dt"/> </class> <class name="Department" ...> ... <set name="employees" lazy="true"> <key column="dept_id"/> <one-to-many class="Employee"/> <filter name="effectiveDate" condition=":asOfDate BETWEEN eff_start_dt and eff_end_dt"/> </set> </class>
常に現在の有効なレコードが提供されるようにするため、社員データの検索より前にセッション上のフィルタを有効にします:
Session session = ...; session.enableFilter("effectiveDate").setParameter("asOfDate", new Date()); List results = session.createQuery("from Employee as e where e.salary > :targetSalary") .setLong("targetSalary", new Long(1000000)) .list();
上記の HQL では、給料の制約について結果で明示的に触れましたが、有効になっているフィルタのおかげで、このクエリは給料が100万ドル以上の現役の社員だけを返します。
HQL かロードフェッチで外部結合を持つフィルタを使いたい場合、条件式の方向に注意してください。これは左外部結合のために設定するのが最も安全です。最初にパラメータを配置し、演算子の後カラム名を続けてください。
定義の後、フィルタは、それぞれ独自の条件を持つ複数のエンティティやコレクションに紐付けされます。条件がいつも同じ場合、面倒かもしれません。従って、
<filter-def/>
を利用することで、属性または CDATA としてデフォルトの条件を定義することが可能になります:
<filter-def name="myFilter" condition="abc > xyz">...</filter-def> <filter-def name="myOtherFilter">abc=xyz</filter-def>
このデフォルトの条件は、条件を指定せずに何かに紐付けされる場合いつでも使われます。これは、特定のケースにおいてデフォルトの条件をオーバーライドするフィルターのアタッチメントの一部として、特定の条件を与えることができることを意味します。
第19章 XML マッピング
XML マッピングは Hibernate3.0 では試験的な機能であり、積極的に開発中です。
19.1. XML データでの作業
Hibernate では永続性の POJO を使って作業するのとほぼ同じようなやり方で、永続性の XML データを使って作業できます。解析された XML ツリーは POJO の代わりにオブジェクトレベルで関係データを表わす別の方法であるとみなされています。
Hibernate は XML ツリーを操作するための API として dom4j をサポートしています。データベースから dom4j のツリーを復元するクエリを書くことができ、ツリーに対して行った修正は自動的にデータベースと同期されます。また XML ドキュメントを取得することができ、 dom4j を使ってドキュメントをパースし、 Hibernate の任意の基本操作を使ってデータベースへ書き込むことができます。: つまり、
persist(), saveOrUpdate(), merge(), delete(), replicate()
操作です (マージはまだサポートしていません)。
データのインポート/エクスポート、 JMS によるエンティティデータの外部化や SOAP 、 XSLT ベースのレポートなど、この機能には多くの用途があります。
単一のマッピングは、クラスのプロパティと XML ドキュメントのノードを同時にデータベースへマッピングするために使うことができます。またマッピングするクラスがなければ、XML だけをマッピングするために使うことができます。
19.1.1. XML とクラスマッピングの同時指定
これは POJO と XML を同時にマッピングする例です:
<class name="Account" table="ACCOUNTS" node="account"> <id name="accountId" column="ACCOUNT_ID" node="@id"/> <many-to-one name="customer" column="CUSTOMER_ID" node="customer/@id" embed-xml="false"/> <property name="balance" column="BALANCE" node="balance"/> ... </class>
19.1.2. XML マッピングだけを指定
これは POJO クラスがないマッピングの例です:
<class entity-name="Account" table="ACCOUNTS" node="account"> <id name="id" column="ACCOUNT_ID" node="@id" type="string"/> <many-to-one name="customerId" column="CUSTOMER_ID" node="customer/@id" embed-xml="false" entity-name="Customer"/> <property name="balance" column="BALANCE" node="balance" type="big_decimal"/> ... </class>
このマッピングにより、dom4j ツリーか、プロパティ名/値の組のグラフ(java の
Map
)としてデータにアクセスできます。プロパティ名は、 HQL クエリ内で参照できる純粋な論理構造です。
19.2. XML マッピングのメタデータ
様々な Hibernate のマッピング要素は
node
属性を受け付けます。これにより XML 属性の名前やプロパティやエンティティデータを保持する要素を指定できます。node
属性のフォーマットは以下の中の1つでなければなりません:
"element-name"
:指定の XML 要素へマッピングします"@attribute-name"
:指定の XML 属性へマッピングします"."
:親要素へマッピングします"element-name/@attribute-name"
:指定要素の指定属性へマッピングします
コレクションと単一の値の関連に対して、
embed-xml
属性がもう1つあります。デフォルトの embed-xml="true"
と設定した場合、関連するエンティティ (値型のコレクション) の XML ツリーは、直接関連を所有するエンティティの XML ツリー内に埋め込まれます。そうでなければ、embed-xml="false"
と設定した場合、参照される識別子の値だけが多重度1側の関連に対する XML に現れ、コレクションはまったく現れなくなります。
XMLは循環制をうまく扱えないため、あまりに多くの関連に対して
embed-xml="true"
としないでください。
<class name="Customer" table="CUSTOMER" node="customer"> <id name="id" column="CUST_ID" node="@id"/> <map name="accounts" node="." embed-xml="true"> <key column="CUSTOMER_ID" not-null="true"/> <map-key column="SHORT_DESC" node="@short-desc" type="string"/> <one-to-many entity-name="Account" embed-xml="false" node="account"/> </map> <component name="name" node="name"> <property name="firstName" node="first-name"/> <property name="initial" node="initial"/> <property name="lastName" node="last-name"/> </component> ... </class>
この例では、実際の account のデータではなく、account id のコレクションを埋め込むことにしました。以下のHQL クエリは:
from Customer c left join fetch c.accounts where c.lastName like :lastName
このようなデータセットを返すでしょう:
<customer id="123456789"> <account short-desc="Savings">987632567</account> <account short-desc="Credit Card">985612323</account> <name> <first-name>Gavin</first-name> <initial>A</initial> <last-name>King</last-name> </name> ... </customer>
<one-to-many>
マッピングで embed-xml="true"
と設定した場合、データはこのようになるでしょう。
<customer id="123456789"> <account id="987632567" short-desc="Savings"> <customer id="123456789"/> <balance>100.29</balance> </account> <account id="985612323" short-desc="Credit Card"> <customer id="123456789"/> <balance>-2370.34</balance> </account> <name> <first-name>Gavin</first-name> <initial>A</initial> <last-name>King</last-name> </name> ... </customer>
19.3. XML データを扱う
このアプリケーションでXML ドキュメントを再読み込みや更新することも可能です。dom4j のセッションを取得することで実行できます:
Document doc = ....; Session session = factory.openSession(); Session dom4jSession = session.getSession(EntityMode.DOM4J); Transaction tx = session.beginTransaction(); List results = dom4jSession .createQuery("from Customer c left join fetch c.accounts where c.lastName like :lastName") .list(); for ( int i=0; i<results.size(); i++ ) { //add the customer data to the XML document Element customer = (Element) results.get(i); doc.add(customer); } tx.commit(); session.close();
Session session = factory.openSession(); Session dom4jSession = session.getSession(EntityMode.DOM4J); Transaction tx = session.beginTransaction(); Element cust = (Element) dom4jSession.get("Customer", customerId); for ( int i=0; i<results.size(); i++ ) { Element customer = (Element) results.get(i); //change the customer name in the XML and database Element name = customer.element("name"); name.element("first-name").setText(firstName); name.element("initial").setText(initial); name.element("last-name").setText(lastName); } tx.commit(); session.close();
XML ベースのデータのインポート/エクスポートを実装するために、Hibernate の
replicate()
操作をこの機能に結びつけると便利です。
第20章 パフォーマンスの改善
20.1. フェッチ戦略
フェッチ戦略 は、アプリケーションが関連をナビゲートする必要があるときに、Hibernate が関連オブジェクトを復元するために使用する戦略です。フェッチ戦略は O/R マッピングのメタデータに宣言するか、特定の HQL 、
Criteria
クエリでオーバーライドできます。
Hibernate3 は次に示すフェッチ戦略を定義しています:
- 結合フェッチ:Hibernate は
OUTER JOIN
を使って、関連するインスタンスやコレクションを同じSELECT
内で獲得します。 - セレクトフェッチ:2回目の
SELECT
で関連するエンティティやコレクションを獲得します。lazy="false"
で明示的に遅延フェッチを無効にしなければ、この2回目の select は関連にアクセスしたときのみ実行されます。 - サブセレクトフェッチ:2回目の
SELECT
で、直前のクエリやフェッチで復元したすべての要素に関連するコレクションを復元します。lazy="false"
を指定し、明示的に遅延フェッチを無効にしなければ、この2回目の select は関連にアクセスしたときのみ実行されます。 - バッチフェッチ:セレクトフェッチのための最適化された戦略 - Hibernate は、主キーや外部キーのリストを指定することによりエンティティのインスタンスやコレクションの一群を1回の
SELECT
で獲得します。
Hibernate は次に示す戦略とも区別をします:
- 即時フェッチ:所有者のオブジェクトがロードされたときに、関連、コレクション、あるいは属性は即時にフェッチされます。
- 遅延コレクションフェッチ:アプリケーションがコレクションに対して操作を行ったときにコレクションをフェッチします。これはコレクションでデフォルトとなっています。
- 「Extra-lazy」コレクションフェッチ:コレクションの個別要素は随時データベースから取得されます。Hibernate は必要でなければ、コレクション全体をメモリにフェッチしないようにします。これは大規模なコレクションに敵しています。
- プロキシフェッチ:単一値関連は、識別子の getter 以外のメソッドが関連オブジェクトで呼び出されるときにフェッチされます。
- 「プロキシなし」フェッチ:単一値関連は、インスタンス変数にアクセスがあるとフェッチされます。プロキシフェッチと比較すると、この方法は遅延の度合いが少なく、識別子のみにアクセスがあっても、この間連はフェッチされます。また、このアプリケーションにはプロキシを見せないため、より透過的となっています。この方法はビルド時のバイトコード組み込みが必要になり、使う場面はまれです。
- 遅延属性フェッチ:属性や単一値関連は、インスタンス変数にアクセスがあればフェッチされます。この方法はビルド時のバイトコード組み込みが必要になり、使う場面はまれです。
ここでは、直交概念が2つあります: いつ 関連をフェッチするか、そして、 どのように フェッチするか。重要なのは、これらを混同しないことです。
fetch
はパフォーマンスチューニングに使い、lazy
はあるクラスの分離されたインスタンスのうち、どのデータを常に使用可能にするかの取り決めを定義するのに利用可能です。
20.1.1. 遅延関連の使いかた
デフォルトでは、Hibernate3 はコレクションに対し遅延セレクトフェッチを使い、単一値関連には遅延プロキシフェッチを使います。このようなデフォルトとなっているのは、 大半のアプリケーションにある関連の多くで、つじつまがあいます。
hibernate.default_batch_fetch_size
をセットすると、Hibernate は遅延フェッチにバッチフェッチの最適化を利用します。この最適化はより細かいレベルで実現できます。
Hibernate の session がオープンでないコンテキストで遅延関連にアクセスすると、例外が発生することに注意してください。例:
s = sessions.openSession(); Transaction tx = s.beginTransaction(); User u = (User) s.createQuery("from User u where u.name=:userName") .setString("userName", userName).uniqueResult(); Map permissions = u.getPermissions(); tx.commit(); s.close(); Integer accessLevel = (Integer) permissions.get("accounts"); // Error!
Session
がクローズされたとき、permissions コレクションは初期化されていないため、このコレクションは自身の状態をロードできません。Hibernate は切り離されたオブジェクトの遅延初期化はサポートしていません。修正方法として、コレクションから読み込むコードをトランザクションをコミットする直前に移動させます。
他には、
lazy="false"
を関連マッピングに指定することで、遅延処理をしないコレクションや関連を使うことが出来ます。しかしながら、遅延初期化はほぼすべてのコレクションや関連で使われることを意図しています。オブジェクトモデル内に遅延処理なしの関連を多く定義してしまうと、 Hibernate は、トランザクション毎にデータベース全体をメモリにフェッチすることになるでしょう。
一方、特定のトランザクションにおいてセレクトフェッチの代わりに結合フェッチ(基本的にこれはnon-lazy)を選択することができます。これからフェッチ戦略をカスタマイズする方法をお見せします。Hibernate3 では、単一値関連とコレクションにおいてフェッチ戦略を選択する仕組みは、全く同じです。
20.1.2. フェッチ戦略のチューニング
セレクトフェッチ(デフォルト)は N+1 セレクト問題という大きな弱点があるため、マッピング定義で結合フェッチを有効にすることができます:
<set name="permissions" fetch="join"> <key column="userId"/> <one-to-many class="Permission"/> </set
<many-to-one name="mother" class="Cat" fetch="join"/>
マッピング定義で定義した
フェッチ
戦略は次のものに影響します:
get()
やload()
による復元- 関連にナビゲートしたときに発生する暗黙的な復元
Criteria
クエリサブセレクト
フェッチを使う HQL クエリ
どのフェッチ戦略を使ったとしても、遅延ではない定義済みグラフはメモリに読み込まれることが保証されます。しかし、つまり、特定の HQL クエリを実行するためにいくつかの SELECT 文が即時実行されることがあります。
通常は、マッピングドキュメントでフェッチのカスタマイズは行いません。代わりに、デフォルトの動作を保ち、HQL で
left join fetch
を指定することで特定のトランザクションで動作をオーバーライドします。これは Hibernate に初回のセレクトで外部結合を使って関連を先にフェッチするように指定しています。Criteria
クエリの API では、 setFetchMode(FetchMode.JOIN)
を使うことが出来ます。
get()
や load()
で使われるフェッチ戦略を変えたいと感じたときには、単純に Criteria
クエリを使うことができます。例:
User user = (User) session.createCriteria(User.class) .setFetchMode("permissions", FetchMode.JOIN) .add( Restrictions.idEq(userId) ) .uniqueResult();
これはいくつかの ORM ソリューションが「fetch plan」と呼んでいるものと同じです。
N+1 セレクト問題へのまったく違うアプローチは、2次キャッシュを使うことです。
20.1.3. 単一端関連プロキシ
コレクションの遅延フェッチは、Hibernate 自身の実装による永続コレクションを使って実現しています。しかし、単一端関連における遅延処理では、違う仕組みが必要です。対象の関連エンティティはプロキシでなければなりません。Hibernate はCGLIB ライブラリを介し、実行時のバイトコード拡張を使って永続オブジェクトの遅延初期化プロキシを実現しています。
デフォルトでは、Hibernate3 はすべての永続クラスのプロキシを生成し、それらを使って、
many-to-one
や one-to-one
関連の遅延フェッチを可能にしています。
マッピングファイルで
proxy
属性によって、クラスのプロキシインターフェースとして使うインターフェースを宣言できます。デフォルトでは、Hibernate はそのクラスのサブクラスを使います。プロキシクラスは少なくともパッケージ可視でデフォルトコンストラクタを実装する必要があります。すべての永続クラスにこのコンストラクタを推奨します。
ポリモーフィズムのクラスに対してもこの方法を適用する場合、いくつか問題が発生する可能性があります。例:
<class name="Cat" proxy="Cat"> ...... <subclass name="DomesticCat"> ..... </subclass> </class>
第一に、
Cat
のインスタンスは DomesticCat
にキャストできません。たとえ基となるインスタンスが DomesticCat
であったとしてもです:
Cat cat = (Cat) session.load(Cat.class, id); // instantiate a proxy (does not hit the db) if ( cat.isDomesticCat() ) { // hit the db to initialize the proxy DomesticCat dc = (DomesticCat) cat; // Error! .... }
第二に、プロキシの
==
は成立しないことがあります:
Cat cat = (Cat) session.load(Cat.class, id); // instantiate a Cat proxy DomesticCat dc = (DomesticCat) session.load(DomesticCat.class, id); // acquire new DomesticCat proxy! System.out.println(cat==dc); // false
しかし、これは見かけほど悪い状況というわけではありません。たとえ異なったプロキシオブジェクトへの二つの参照があったとしても、基となるインスタンスは同じオブジェクトです:
cat.setWeight(11.0); // hit the db to initialize the proxy System.out.println( dc.getWeight() ); // 11.0
第三に、
final
クラスや final
メソッドを持つクラスに CGLIB プロキシを使えません。
最後に、永続オブジェクトのインスタンス化時 (例えば、初期化子やデフォルトコンストラクタの中で) になんらかのリソースを取得するなら、そのリソースもまたプロキシを通して取得されます。実際には、プロキシクラスは永続クラスにある実際のサブクラスです。
これらの問題は Java の単一継承モデルにある原理上の制限が原因となっています。これらの問題を避けたいのなら、ビジネスメソッドを宣言したインターフェースをそれぞれ永続クラスで実装しなければなりません。
CatImpl
がインターフェース DomesticCat
実装のCat
と DomesticCatImpl
と言うインターフェースを実装するマッピングファイルでこれらのインターフェースを指定する必要があります。例:
<class name="CatImpl" proxy="Cat"> ...... <subclass name="DomesticCatImpl" proxy="DomesticCat"> ..... </subclass> </class>
そうすると、
load()
あるいは iterate()
がCat
と DomesticCat
のインスタンスのプロキシを返すことができます。
Cat cat = (Cat) session.load(CatImpl.class, catid); Iterator iter = session.createQuery("from CatImpl as cat where cat.name='fritz'").iterate(); Cat fritz = (Cat) iter.next();
注記
list()
は通常、プロキシを返しません。
関連も遅延初期化されます。これはプロパティを
Cat
型で宣言しなければならないことを意味します。 CatImpl
ではありません。
プロキシの初期化を 必要としない 操作も存在します:
equals()
:永続クラスがequals()
をオーバーライドしないときhashCode()
:永続クラスがhashCode()
をオーバーライドしないとき- 識別子の getter メソッド
Hibernate は
equals()
や hashCode()
をオーバーライドした永続クラスを検出します。
デフォルトの
lazy="proxy"
の代わりに、 lazy="no-proxy"
を選ぶと、型変換(キャスト)に関連する問題を回避することが出来ます。しかし、ビルド時のバイトコード組み込みが必要になり、どのような操作であっても、ただちにプロキシの初期化を行われます。
20.1.4. コレクションとプロキシの初期化
LazyInitializationException
は、Session
のスコープ外から初期化していないコレクションやプロキシにアクセスがあると、Hibernate によってスローされます。すなわち、コレクションやプロキシへの参照を持つエンティティが分離された状態の時です。
Session
をクローズする前にプロキシやコレクションの初期化を確実に行いたいときがあります。もちろん、cat.getSex()
や cat.getKittens().size()
などを常に呼び出すことで初期化を強制することはできます。しかしこれはコードを読む人を混乱させ、汎用的なコードという点からも不便です。
static メソッドの
Hibernate.initialize()
や Hibernate.isInitialized()
は遅延初期化のコレクションやプロキシを扱うときに便利な方法をアプリケーションに提供します。 Hibernate.initialize(cat)
は、Session
がオープンしている限りは cat
プロキシを強制的に初期化します。Hibernate.initialize( cat.getKittens() )
は kittens コレクションに対して同様の効果があります。
別の選択肢として、必要なすべてのコレクションやプロキシがロードされるまで
Session
をオープンにしておく方法があります。アプリケーションのアーキテクチャによって、特に Hibernate によるデータアクセスを行うコードと、それを使うコードが異なるアプリケーションのレイヤーや、物理的に異なるプロセスにある場合、コレクション初期化時に Session
を確実にオープンに保つ部分で問題があります。この問題の対応には2つの基本的な方法があります:
- Web ベースのアプリケーションでは、ビューのレンダリングが完了し、ユーザーリクエストの最後でのみ、サーブレットフィルタを利用し
Session
をクローズすることができます(Open Session in View パターンです)。もちろん、アプリケーション基盤の例外処理の正確性が非常に重要になります。ビューのレンダリング中に例外が発生したときでさえ、ユーザーに処理が戻る前にSession
のクローズとトランザクションの終了を行うことが不可欠になります。 Hibernate の Wiki に載っている 「Open Session in View」 パターンの例を参照してください。 - ビジネス層が分離しているアプリケーションでは、ビジネスロジックは Web 層で必要になるすべてのコレクションを(値を)返す前に「準備」する必要があります。つまり、これは特定のユースケースで必要となるプレゼンテーション/ Web 層に対し、ビジネス層がすべてのデータをロードし、すべてのデータを初期化して返すべきということです。通常、アプリケーションは Web 層で必要な各コレクションに対して
Hibernate.initialize()
を呼び出すか(この呼び出しはセッションをクローズする前に行う必要があります)、 Hibernate クエリのFETCH
節やCriteria
のFetchMode.JOIN
を使ってコレクションを先に取得します。普通は Session Facade の代わりに Command パターンを採用するほうがより簡単です。 - 初期化されていないコレクション、もしくは他のプロキシにアクセスする前に、
merge()
やlock()
を使って新しいSession
に以前にロードされたオブジェクトを追加することも出来ます。臨時トランザクションのセマンティクスを導入したので、 Hibernate はこれを自動的に行わず、行うべきでもありません。
大きなコレクションを初期化したくはないが、コレクションについてのなんらかの情報(サイズのような)やデータのサブセットを必要とすることがあります。
コレクションフィルタを使うことで、初期化せずにコレクションのサイズを取得することが出来ます:
( (Integer) s.createFilter( collection, "select count(*)" ).list().get(0) ).intValue()
createFilter()
メソッドは、コレクション全体を初期化する必要なしに、コレクションのサブセットを復元するために効果的に使えます:
s.createFilter( lazyCollection, "").setFirstResult(0).setMaxResults(10).list();
20.1.5. バッチフェッチの使用
バッチフェッチを利用し、Hibernate は一つのプロキシにアクセスがあると、Hibernate は初期化していない複数のプロキシをロードすることができます。バッチフェッチは遅延セレクトフェッチ戦略に対する最適化です。バッチフェッチの調整には2つの方法があります。クラスレベルとコレクションレベルです。
クラス、要素のバッチフェッチは理解が比較的簡単です。実行時の次の場面を想像してください。
Session
にロードされた25個の Cat
インスタンスが存在し、各 Cat
は owner
である Person
への関連を持ちます。Person
クラスは lazy="true"
のプロキシでマッピングされています。今すべての Cat に対して繰り返し getOwner()
を呼び出すと、Hibernate はデフォルトでは25回の SELECT
を実行し、owner プロキシの取得をします。この動作を Person
のマッピングの batch-size
の指定で調整できます。
<class name="Person" batch-size="10">...</class>
Hibernate はクエリを3回だけを実行するようになります:パターンは 10, 10, 5 です。
コレクションのバッチフェッチも有効にすることが出来ます。例として、それぞれの
Person
が Cat
の遅延コレクションを持っており、 10 個の Person が Sesssion
にロードされたとすると、すべての Person に対して繰り返し getCats()
を呼び出すことで、計10回の SELECT
が発生します。Person
のマッピングで cats
コレクションのバッチフェッチを有効にすれば、 Hibernate はコレクションの事前フェッチが出来ます。
<class name="Person"> <set name="cats" batch-size="3"> ... </set> </class>
batch-size
が 3 なので、 Hibernate は 4 回の SELECT
で 3 個、3 個、3 個、1 個をロードします。繰り返すと、属性の値は特定の Session
の中の初期化されていないコレクションの期待数に依存します。
コレクションのバッチフェッチはアイテムのネストしたツリー、すなわち、代表的な部品表のパターンがある場合に特に有用です。しかし、読み込みが多いツリーでは ネストした set や 具体化したパス のほうが選択肢としては良いでしょう。
20.1.6. サブセレクトフェッチの使用
一つの遅延コレクションや単一値プロキシがフェッチされなければならない場合、 Hibernate はそれらすべてをロードし、サブセレクトのオリジナルクエリが再度実行されます。これはバッチフェッチと同じ方法で動き、逐次ロードはありません。
20.1.7. 遅延プロパティフェッチの使用
Hibernate3 はプロパティごとの遅延フェッチをサポートしています。この最適化手法は グループのフェッチ としても知られています。これは多くの場合マーケティング機能であることに注意してください。実際には列読み込みの最適化よりも、行読み込みの最適化が非常に重要です。しかし、クラスのプロパティの一部だけを読み込むことは極端な事例において便利です。たとえば、レガシーテーブルが何百ものカラムを持ち、データモデルを改善できないなどです。
遅延プロパティ読み込みを有効にするには、対象のプロパティのマッピングで
lazy
属性をセットしてください:
<class name="Document"> <id name="id"> <generator class="native"/> </id> <property name="name" not-null="true" length="50"/> <property name="summary" not-null="true" length="200" lazy="true"/> <property name="text" not-null="true" length="2000" lazy="true"/> </class>
遅延プロパティ読み込みはビルド時のバイトコード組み込みを必要とします。永続クラスが拡張されていない場合、Hibernate は遅延プロパティの設定を無視して、即時フェッチに戻します。
バイトコード組み込みは以下の Ant タスクを使ってください:
<target name="instrument" depends="compile"> <taskdef name="instrument" classname="org.hibernate.tool.instrument.InstrumentTask"> <classpath path="${jar.path}"/> <classpath path="${classes.dir}"/> <classpath refid="lib.class.path"/> </taskdef> <instrument verbose="true"> <fileset dir="${testclasses.dir}/org/hibernate/auction/model"> <include name="*.class"/> </fileset> </instrument> </target>
不要な列を読み込まないための別の方法は、少なくとも読み込みのみのトランザクションにおいては、HQL や Criteria クエリの射影機能を使うことです。この方法はビルド時のバイトコード組み込みが不要になり、確実のこちらのほうが推奨される解決方法です。
HQL で
fetch all properties
を使うことで、普通どおりのプロパティの即時フェッチングを強制することが出来ます。
20.2. 2次レベルキャッシュ
Hibernate の
Session
は永続データのトランザクションレベルのキャッシュです。class-by-class と collection-by-collection ごとの、クラスタレベルや JVM レベル ( SessionFactory
レベル)のキャッシュを設定することが出来ます。クラスタ化されたキャッシュにつなぐことさえ出来ます。キャッシュは他のアプリケーションによる永続層の変更を考慮しない点に注意してください。キャッシュデータを定期的に無効化する設定は出来ます。
hibernate.cache.provider_class
プロパティを使う org.hibernate.cache.CacheProvider
を実装するクラス名を特定することで、どのキャッシュ実装を利用するかHibernate に伝えることができます。Hibernateには、下記のオープンソースキャッシュプロバイダとの統合が複数含まれていますが、上で説明されているように独自の実装を行いプラグインすることも可能です。
キャッシュ | プロバイダクラス | タイプ | クラスタセーフ | クエリキャッシュのサポート |
---|---|---|---|---|
Hashtable(本番利用向けではありません) | org.hibernate.cache.HashtableCacheProvider | メモリ | yes | |
EHCache | org.hibernate.cache.EhCacheProvider | メモリ、ディスク | yes | |
OSCache | org.hibernate.cache.OSCacheProvider | メモリ、ディスク | yes | |
SwarmCache | org.hibernate.cache.SwarmCacheProvider | クラスタ(ip マルチキャスト) | yes(クラスタ無効化) | |
JBoss Cache 1.x | org.hibernate.cache.TreeCacheProvider | クラスタ(ip マルチキャスト)、トランザクショナル | yes(複製) | yes(時刻同期が必要) |
JBoss Cache 2 | org.hibernate.cache.jbc2.JBossCacheRegionFactory | クラスタ(ip マルチキャスト)、トランザクショナル | yes(複製または無効化) | yes(時刻同期が必要) |
20.2.1. キャッシュのマッピング
クラスやコレクションのマッピングの
<cache>
要素は以下の形式です。
<cache usage="transactional|read-write|nonstrict-read-write|read-only"region="RegionName"
include="all|non-lazy"
/>
usage (必須) キャッシング戦略を指定します: transactional 、 read-write 、 nonstrict-read-write または read-only
| |
region (オプション:クラスまたはコレクションのロール名のデフォルト) 2次キャッシュ領域の名前を指定します
| |
include (オプション:all に対してデフォルト) non-lazy は、 属性レベルの lazy フェチが有効になっている場合 lazy="true" でマッピングされるエンティティのプロパティはキャッシュされなくてもよいことを指定します。
|
または、
hibernate.cfg.xml
に <class-cache>
と <collection-cache>
要素を指定することも出来ます。
usage
属性は キャッシュの並列性戦略 を指定します。
20.2.2. read only 戦略
アプリケーションが永続クラスのインスタンスを修正するのではなく、読み込みを必要とする場合、
read-only
キャッシュを使うことが出来ます。これはもっとも単純でもっともパフォーマンスの良い戦略です。クラスタでの使用も安全です。
<class name="eg.Immutable" mutable="false"> <cache usage="read-only"/> .... </class>
20.2.3. read/write 戦略
アプリケーションがデータを更新する必要があるなら、
read-write
キャッシュが適当かもしれません。このキャッシュ戦略は、シリアル化トランザクション分離レベルが必要な場合決して使うべきではありません。キャッシュが JTA 環境で使われるなら、JTA TransactionManager
を取得するための方法を示す hibernate.transaction.manager_lookup_class
プロパティを指定しなければなりません。他の環境では、 Session.close()
や Session.disconnect()
が呼ばれたときに、確実にトランザクションが完了していなければなりません。もしクラスタでこの戦略を使いたいなら、基となるキャッシュの実装がロックをサポートしていることを保証しなければなりません。組み込みのキャッシュプロバイダは サポートしていません 。
<class name="eg.Cat" .... > <cache usage="read-write"/> .... <set name="kittens" ... > <cache usage="read-write"/> .... </set> </class>
20.2.4. Nonstrict (非正格)read/write 戦略
アプリケーションがたまにしかデータを更新する必要はなく(すなわち二つのトランザクションが同時に同じアイテムを更新しようとすることはほとんど起こらない場合)、厳密なトランザクション分離が要求されないなら、
nonstrict-read-write
キャッシュが適当かもしれません。キャッシュが JTA 環境で使われるなら、 hibernate.transaction.manager_lookup_class
を指定しなければなりません。他の環境では、 Session.close()
や Session.disconnect()
が呼ばれたときに、確実にトランザクションが完了していなければなりません。
20.2.5. transactional 戦略
transactional
キャッシュ戦略は JBoss TreeCache のような完全なトランザクショナルキャッシュプロバイダのサポートを提供します。このようなキャッシュは JTA 環境でのみ使用可能で、hibernate.transaction.manager_lookup_class
を指定しなければなりません。
20.2.6. キャッシュプロバイダ/同時並行性戦略の互換性
重要
すべてのキャッシュの同時並行性戦略をサポートしているキャッシュプロバイダはありません。
以下の表はどのプロバイダがどの同時並列性戦略に対応するかを表しています。
キャッシュ | read-only | 厳密ではない read-write | read-write | transactional |
---|---|---|---|---|
Hashtable(本番利用向けではありません) | yes | yes | yes | |
EHCache | yes | yes | yes | |
OSCache | yes | yes | yes | |
SwarmCache | yes | yes | ||
JBoss Cache 1.x | yes | yes | ||
JBoss Cache 2 | yes | yes |
20.3. キャッシュの管理
オブジェクトを
save()
、update()
、saveOrUpdate()
に渡すとき、そして load()
、get()
、list()
、 iterate()
、scroll()
を使ってオブジェクトを取得するときには常に、そのオブジェクトは Session
の内部キャッシュに追加されます。
次に
flush()
が呼ばれると、オブジェクトの状態はデータベースと同期化されます。この同期が起こることを望まないときや、膨大な数のオブジェクトを処理していてメモリを効率的に扱う必要があるときは、evict()
メソッドを使って一次キャッシュからオブジェクトやコレクションを削除することが出来ます。
ScrollableResults cats = sess.createQuery("from Cat as cat").scroll(); //a huge result set while ( cats.next() ) { Cat cat = (Cat) cats.get(0); doSomethingWithACat(cat); sess.evict(cat); }
Session
はインスタンスがセッションキャッシュに含まれるかどうかを判断するための contains()
メソッドも提供します。
すべてのオブジェクトをセッションキャッシュから完全に取り除くには、
Session.clear()
を呼び出してください。
二次キャッシュのために、
SessionFactory
にはインスタンス、クラス全体、コレクションのインスタンス、コレクション全体をキャッシュから削除するためのメソッドがそれぞれ定義されています。
sessionFactory.evict(Cat.class, catId); //evict a particular Cat sessionFactory.evict(Cat.class); //evict all Cats sessionFactory.evictCollection("Cat.kittens", catId); //evict a particular collection of kittens sessionFactory.evictCollection("Cat.kittens"); //evict all kitten collections
注記
このメソッドは、アプリケーションがSessionFactory.evictXXX(..., Serializable id) APIを利用した結果呼び出されます。このAPIを使うアプリケーションは、呼び出しが別のトランザクションがJBoss Cache ベースの二次キャッシュで完了するのを待機させないようにする場合がある点を認識しなければなりません。
さらに、トランザクション中に発生するこれらの呼び出しは、トランザクションがコミットするまでロックを保持し、コミットが終わってから他のノードを更新します。これが問題となる場合、トランザクションの開始前、トランザクションのコミット後にエビクションを行うと有効となる場合があります。
CacheMode
は特定のセッションが二次キャッシュとどのように相互作用するかを制御します。
CacheMode.NORMAL
:アイテムの読み込みと書き込みで二次キャッシュを使いますCacheMode.GET
:読み込みは二次キャッシュから行いますが、データを更新した場合を除いて二次キャッシュに書き込みをしません。CacheMode.PUT
:二次キャッシュにアイテムを書き込みますが、読み込みには二次キャッシュを使いません。CacheMode.REFRESH
:二次キャッシュにアイテムを書き込みますが、読み込みには二次キャッシュを使いません。hibernate.cache.use_minimal_puts
の影響を受けずに、データベースから読み込むすべてのアイテムの二次キャッシュを強制的にリフレッシュします。
二次キャッシュの内容やクエリキャッシュ領域を見るために、
Statistics
API を使ってください:
Map cacheEntries = sessionFactory.getStatistics() .getSecondLevelCacheStatistics(regionName) .getEntries();
統計情報を有効にして、さらにオプションとして、キャッシュエントリをより読解可能な形式で保持することを Hibernate に強制する必要があります:
hibernate.generate_statistics true hibernate.cache.use_structured_entries true
20.4. クエリキャッシュ
クエリの結果もキャッシュ化出来ます。これは同じパラメータで何度も実行されるクエリに対してのみ有用です。クエリキャッシュを使うには、まず設定で有効にしなくてはなりません:
hibernate.cache.use_query_cache true
この設定は新たに二つのキャッシュ領域の作成を行います。一つはクエリのリザルトセットのキャッシュ(
org.hibernate.cache.StandardQueryCache
)を保持し、もう1つはクエリ可能なテーブルへの最新の更新タイムスタンプ ( org.hibernate.cache.UpdateTimestampsCache
)を保持します。クエリキャッシュはリザルトセットの実際の要素の状態はキャッシュしないことに注意してください。キャッシュするのは識別子の値と、値型の結果のみです。そのため、クエリキャッシュは常に二次キャッシュと一緒に使うべきです。
ほとんどのクエリはキャッシュの恩恵を受けないので、デフォルトではクエリはキャッシュされません。キャッシュを有効にするには、
Query.setCacheable(true)
を呼び出してください。そうすればクエリが既存のキャッシュ結果を探し、クエリ実行時にその結果をキャッシュに追加するようになります。
クエリキャッシュの無効化ポリシーを細かく制御したいときは、
Query.setCacheRegion()
を呼び出して特定のクエリに対するキャッシュ領域を指定することが出来ます。
List blogs = sess.createQuery("from Blog blog where blog.blogger = :blogger") .setEntity("blogger", blogger) .setMaxResults(15) .setCacheable(true) .setCacheRegion("frontpages") .list();
クエリが自身のクエリキャッシュ領域のリフレッシュを強制しなければならないなら、
Query.setCacheMode(CacheMode.REFRESH)
を呼び出すべきです。これは元となるデータが別のプロセスによって更新されたり(すなわち Hibernate を通じて更新されない)、アプリケーションに特定のクエリリザルトセットを選択してリフレッシュさせる場合に特に有用です。さらに有用なもう一つの方法は、 SessionFactory.evictQueries()
によってクエリキャッシュ領域を消去することです。
20.5. コレクションのパフォーマンスの理解
前章では、コレクションとそのアプリケーションについて見てきました。本章では、実行時のコレクション関連の問題についてもう少し見ていきましょう。
20.5.1. 分類
Hibernate は3つの基本的なコレクションの種類を定義しています:
- 値のコレクション
- 一対多関連
- 多対多関連
この分類はさまざまなテーブルや外部キー関連を区別しますが、私たちが知る必要のある関連モデルについてほとんどなにも教えてくれません。関連構造やパフォーマンスの特徴を完全に理解するには、 Hibernate がコレクションの行を更新、削除するために使う主キーの構造もまた考えなければなりません。これは以下の分類を提示します。
- インデックス付きコレクション
- set
- bag
すべてのインデックス付きコレクション(マップ、リスト、配列)は
<key>
と <index>
カラムからなる主キーを持っています。この場合、コレクションの更新は非常に効率的です。主キーは効率的にインデックス化され、Hibernate が特定の行を更新または削除しようとすると、その行を効率的に見つけることができます。
set は
<key>
からなる主キーと要素のカラムを持っています。これはコレクション要素のいくつかの型については効率的ではないかもしれません。特に複合要素、大きなテキスト、バイナリフィールドでは非効率です。データベースは複合主キーに効率的にインデックスを付けることができないからです。一方、一対多や多対多関連において、特に人工識別子の場合は同じぐらい効率的です。SchemaExport
で実際に <set>
の主キーを作りたいなら、すべてのカラムで not-null="true"
を宣言しなければなりません。
<idbag>
マッピングは代理キーを定義するため、更新は常に非常に効率的です。事実上、これは最善のケースです。
bag は最悪のケースです。 bag は要素の値の重複が可能で、インデックスカラムを持たないため、主キーは定義されないかもしれません。Hibernate には重複した行を区別する方法がありません。Hibernate はこの問題の解決のために、変更があったときには常に一回の
DELETE
による完全な削除を行い、コレクションの再作成を行います。これは非常に非効率的かもしれません。
一対多関連では、「主キー」はデータベースのテーブルの物理的な主キーではないかもしれないことに注意してください。しかしこの場合でさえ、上記の分類はまだ有用です。Hibernateがコレクションの個々の行をどのように「見つけるか」を表しています。
20.5.2. 更新にもっとも効率的なコレクション list、map、idbag、set
上での議論から、インデックス付きコレクションと set は要素の追加、削除、更新でもっとも効率的な操作が出来ることは明らかでしょう。
ほぼ間違いなく、多対多関連や値のコレクションにおいて、インデックス付きコレクションが set よりも優れている点がもう一つあります。
Set
はその構造が原因で、Hibernate は要素が「変更」されたときに行を決して UPDATE
しません。Set
への変更は常に各行のINSERT
と DELETE
によって行います。繰り返しますが、これは一対多関連には当てはまりません。
配列は遅延処理ができないという決まりなので、結論として、list、map、idbag がもっともパフォーマンスの良い(inverse ではない)コレクションタイプとなります。set もそれほど違いはありません。Hibernate のアプリケーションでは、set はコレクションのもっとも一般的な種類として考えることができます。これは、「set」の表現が関連モデルでもっとも自然だからです。
しかし、よく設計された Hibernate のドメインモデルでは、通常もっとも多いコレクションは事実上
inverse="true"
を指定した一対多関連です。これらの関連では、更新は多対一の関連端で扱われ、コレクションの更新パフォーマンスの問題は単純に当てはまりません。
20.5.3. inverse コレクションにもっとも最適な bag と list
しかし、bag そして list が set よりもずっとパフォーマンスが良い特別なケースを紹介します。
inverse="true"
のコレクション(一般的な双方向の一対多関連の慣用句な)、bag 要素を初期化(フェッチ)する必要なく bag や list に要素を追加できます。これは Set
とは違って、Collection.add()
や Collection.addAll()
は bag や List
では常に true を返さなければならないからです。これは以下の共通処理をより速くすることができます:
Parent p = (Parent) sess.load(Parent.class, id); Child c = new Child(); c.setParent(p); p.getChildren().add(c); //no need to fetch the collection! sess.flush();
20.5.4. 一括削除
コレクションの要素を一つずつ削除するのは極めて非効率的になることがあります。Hibernate は新しい空のコレクションの場合(
list.clear()
を呼び出した場合など)はこれをすべきでないことを知っています。この場合は、Hibernate は DELETE
を一回発行します。
サイズ20のコレクションに要素を1つ追加し、それから二つの要素を削除するとします。Hibernate は、コレクションが bag でなければ、一つの
INSERT
文と二つの DELETE
文を発行します。これは確かに望ましい動作です。
しかし、18個の要素を削除して2つを残し、それから3つ新しい要素を追加するとします。このとき二つの方法があります。
- 18行を順に削除して、3行を追加する
- 一回のSQL
DELETE
でコレクション全体を削除し、5つの要素すべてを一つずつ挿入します。
Hibernate はこの場合に2番目の方法が早いことはおそらく分からないでしょう。このような振る舞いはデータベースのトリガなどを混乱させる場合があるため、Hibernateがここまで直感的なのはおそらく好ましくありません。
幸いにも、元のコレクションを捨て(つまり参照をやめて)、現在の要素をすべて持つ新しいコレクションのインスタンスを返すことで、いつでもこの動作(2番目の戦略)を強制することが出来ます。
一括削除は
inverse="true"
をマッピングしたコレクションに適用しません。
20.6. パフォーマンスのモニタリング
最適化はモニタリングやパフォーマンスを示す数値がなければ十分に行えません。 Hibernate は内部処理のすべての範囲の数値を提供します。 Hibernate の統計情報は
SessionFactory
単位で取得可能です。
20.6.1. SessionFactory のモニタリング
SessionFactory
のメトリクスにアクセスするには2つの方法があります。最初の方法は、 sessionFactory.getStatistics()
を呼び出し、自分で Statistics
の読み込みや表示を行います。
StatisticsService
MBean を有効にしていれば、Hibernate は JMX を使ってメトリクスを発行することもできます。1つの MBean をすべての SessionFactory
に対して有効にするか、SessionFactory ごとに一つの MBean を有効にすることが出来ます。最小限の設定例については、以下のコードを見てください:
// MBean service registration for a specific SessionFactory Hashtable tb = new Hashtable(); tb.put("type", "statistics"); tb.put("sessionFactory", "myFinancialApp"); ObjectName on = new ObjectName("hibernate", tb); // MBean object name StatisticsService stats = new StatisticsService(); // MBean implementation stats.setSessionFactory(sessionFactory); // Bind the stats to a SessionFactory server.registerMBean(stats, on); // Register the Mbean on the server
// MBean service registration for all SessionFactory's Hashtable tb = new Hashtable(); tb.put("type", "statistics"); tb.put("sessionFactory", "all"); ObjectName on = new ObjectName("hibernate", tb); // MBean object name StatisticsService stats = new StatisticsService(); // MBean implementation server.registerMBean(stats, on); // Register the MBean on the server
SessionFactory
に対してモニタリングの開始や終了を行うことが出来ます。
- 設定時には、
hibernate.generate_statistics
をfalse
にします
- 実行時に、
sf.getStatistics().setStatisticsEnabled(true)
またはhibernateStatsBean.setStatisticsEnabled(true)
を呼び出します
統計は
clear()
メソッドを使ってプログラムでリセットすることが出来ます。サマリは logSummary()
メソッドを使って logger に送ることが出来ます(info レベルです)。
20.6.2. メトリクス
Hibernate は、基本情報から、特定のシナリオのみに該当するような、さらに特化された情報まで、多くのメトリクスを用意しています。すべての使用可能なカウンタは
Statistics
インターフェースの API に書かれており、3つの分類があります:
- 一般的な
Session
の使い方と関係するメトリクス。オープンセッションの数、取得した JDBC 接続など - 全体として、要素、コレクション、クエリ、キャッシュに関連するメトリクス(別名はグローバルメトリクスです)。
- 特定のエンティティ、コレクション、クエリ、キャッシュ領域に関係した詳細のメトリクス。
例として、キャッシュのヒット、ヒットミスや、要素、コレクション、クエリの割合、クエリの実行に必要な平均時間を確認できます。ミリ秒の数値は Java の近似の影響を受けることに注意してください。Hibernate は JVM の精度に制限され、プラットフォームによっては10秒単位でしか正確でないかもしれません。
単純な getter はグローバルメトリクス(すなわち特定のエンティティ、コレクション、キャッシュ領域などに縛られない)にアクセスするために使います。特定のエンティティ、コレクション、キャッシュ領域のメトリクスは、それらの名前や、クエリの HQL、SQL 表現によってアクセスすることが出来ます。さらに詳しい情報は、
Statistics
、EntityStatistics
、CollectionStatistics
、SecondLevelCacheStatistics
、QueryStatistics
API の javadoc を参照してください。以下のコードは簡単な例です:
Statistics stats = HibernateUtil.sessionFactory.getStatistics(); double queryCacheHitCount = stats.getQueryCacheHitCount(); double queryCacheMissCount = stats.getQueryCacheMissCount(); double queryCacheHitRatio = queryCacheHitCount / (queryCacheHitCount + queryCacheMissCount); log.info("Query Hit ratio:" + queryCacheHitRatio); EntityStatistics entityStats = stats.getEntityStatistics( Cat.class.getName() ); long changes = entityStats.getInsertCount() + entityStats.getUpdateCount() + entityStats.getDeleteCount(); log.info(Cat.class.getName() + " changed " + changes + "times" );
すべてのエンティティ、コレクション、クエリ、キャッシュ領域に対して作業を行う場合は、以下のメソッドを利用しそれぞれの名称リストを取得することができます:
getQueries()
、getEntityNames()
、getCollectionRoleNames()
、getSecondLevelCacheRegionNames()
第21章 ツールセットガイド
Hibernate を使ったラウンドトリップエンジニアリングは、Eclipse プラグインやコマンドラインツール、Ant タスクを使うことで可能です。
Hibernate Tools は現在、既存データベースのリバースエンジニアリングの Ant タスクに加えて、Eclipse IDE のプラグインを含みます:
- マッピングエディタ: Hibernate の XML マッピングファイル用のエディタで、自動補完と構文強調表示をサポートしています。クラス名やプロパティ/フィールド名に対する自動補完もサポートし、通常の XML エディタよりも強力です。
- Console: コンソールはEclipseの新しいビューです。コンソール構成のツリーの全体図に加えて、永続クラスとその関連の相互作用ビューも得られます。データベースに HQL を実行し、結果を直接Eclipse上で見ることができます。
- 開発ウィザード Hibernate の Eclipse ツールはいくつかのウィザードを提供します。ウィザードを使って Hibernate の設定ファイル (cfg.xml) をすばやく生成し、あるいは、既存のデータベーススキーマを POJO のソースファイルと Hibernate のマッピングファイルへと、完全にリバースエンジニアリングすることができます。リバースエンジニアリングウィザードはカスタマイズ可能なテンプレートをサポートします。
より詳しい情報は Hibernate Tools パッケージドキュメントを参照してください。
しかし、 Hibernate のメインパッケージは SchemaExport 、別名
hbm2ddl
という統合ツールも同梱しています。Hibernate 「内」でも使用できます。
21.1. スキーマの自動生成
DDL は Hibernate ユーティリティによりマッピングファイルから生成することができます。生成されたスキーマはエンティティやコレクションのテーブルに対する参照整合性制約、主キー、外部キーを含みます。テーブルとシーケンスはマッピングされた識別子ジェネレータに対しても生成されます。
DDL は非常にベンダーに依存しており、このツールを使うときは、
hibernate.dialect
プロパティで SQL の 方言
を指定 しなければなりません 。
まず、生成されるスキーマを改善するように、マッピングファイルをカスタマイズしてください。次の章でスキーマのカスタマイズについて説明します。
21.1.1. スキーマのカスタマイズ
多くの Hibernate のマッピング要素では、
length
、 precision
、 scale
という名のオプション属性を定義しています。この属性でカラムの長さ、精度、スケールを設定することができます。
<property name="zip" length="5"/>
<property name="balance" precision="12" scale="2"/>
テーブルカラムに
NOT NULL
制約を生成するnot-null
とテーブルカラムに UNIQUE
制約を生成する unique
属性を受け付けるタグもあります。
<many-to-one name="bar" column="barId" not-null="true"/>
<element column="serialNumber" type="long" not-null="true" unique="true"/>
unique-key
属性は、カラムを一意のキー制約1つにグループ化して使われます。現在、 unique-key
属性で指定された値は制約の指定には 使われず 、マッピングファイルでカラムをグループ化することにのみ使われます。
<many-to-one name="org" column="orgId" unique-key="OrgEmployeeId"/> <property name="employeeId" unique-key="OrgEmployee"/>
index
属性は、1つ以上のマッピングされたカラムを使って生成したインデックスの名前を指定します。複数カラムを1つのインデックスにグループ化できます。単に、同じインデックス名を指定するだけです。
<property name="lastName" index="CustName"/> <property name="firstName" index="CustName"/>
foreign-key
属性は、生成外部キー制約の名前をオーバーライドするために使用できます。
<many-to-one name="bar" column="barId" foreign-key="FKFooBar"/>
多くのマッピング要素は、子
<column>
要素を記述できます。これは複数カラム型のマッピングには特に有用です:
<property name="name" type="my.customtypes.Name"/> <column name="last" not-null="true" index="bar_idx" length="30"/> <column name="first" not-null="true" index="bar_idx" length="20"/> <column name="initial"/> </property>
default
属性はカラムのデフォルト値を指定します。マッピングしたクラスの新しいインスタンスを保存する前に、マッピングしたプロパティへ同じ値を代入する必要があります。
<property name="credits" type="integer" insert="false"> <column name="credits" default="10"/> </property>
<version name="version" type="integer" insert="false"> <column name="version" default="0"/> </property>
sql-type
属性で、デフォルトの Hibernate 型から SQL のデータ型へのマッピングをオーバーライドできます。
<property name="balance" type="float"> <column name="balance" sql-type="decimal(13,3)"/> </property>
check
属性でチェック制約を指定することができます。
<property name="foo" type="integer"> <column name="foo" check="foo > 10"/> </property>
<class name="Foo" table="foos" check="bar < 100.0"> ... <property name="bar" type="float"/> </class>
以下のテーブルにて、これらのオプション属性についてまとめています。
属性 | 値 | 説明 |
---|---|---|
length | 数値 | カラムの長さ |
precision | 数値 | カラムの DECIMAL 型の精度(precision) |
scale | 数値 | カラムの DECIMAL 型のスケール(scale) |
not-null | true|false | カラムが null 値を取らないことを指定します。 |
unique | true|false | カラムがユニーク制約を持つことを指定します |
index | index_name | (複数カラムの)インデックスの名前を指定します |
unique-key | unique_key_name | 複数カラムのユニーク制約の名前を指定します |
foreign-key | foreign_key_name | <one-to-one> 、 <many-to-one> 、 <key> 、 または <many-to-many> マッピングエレメントのために、関連に対して生成された外部キー制約の名前を指定します。 inverse="true" 側は SchemaExport によって考慮されないことに注意してください。 |
sql-type | SQL column type | デフォルトのカラム型をオーバーライドします ( <column> 要素の属性に限る) |
default | SQL 式 | カラムのデフォルト値を指定します |
check | SQL 式 | カラムかテーブルに SQL のチェック制約を作成します |
<comment>
要素で生成するスキーマにコメントを指定することができます。
<class name="Customer" table="CurCust"> <comment>Current customers only</comment> ... </class>
<property name="balance"> <column name="bal"> <comment>Balance in USD</comment> </column> </property>
これにより、対応している場合、生成した DDL に
comment on table
や comment on column
文が書かれます。
21.1.2. ツールの実行
SchemaExport
は標準出力に対して DDL スクリプトを書き出し、 DDL 文を実行したりもします。
以下の表で、
SchemaExport
のコマンドラインオプションを示しています。
java -cp
hibernate_classpaths org.hibernate.tool.hbm2ddl.SchemaExport
options mapping_files
オプション | 説明 |
---|---|
--quiet | 標準出力(stdout)にスクリプトを出力しません |
--drop | テーブルの削除だけを行います |
--create | テーブルの生成のみを行います |
--text | データベースにエクスポートしません |
--output=my_schema.ddl | DDL スクリプトをファイルに出力します |
--naming=eg.MyNamingStrategy | NamingStrategy を選択 |
--config=hibernate.cfg.xml | XML ファイルから Hibernate の定義情報を読み込みます |
--properties=hibernate.properties | ファイルからデータベースのプロパティを読み込みます |
--format | スクリプト内に生成する SQL を読みやすいようにフォーマットします |
--delimiter=; | スクリプトの行区切り文字を設定します |
アプリケーションに
SchemaExport
を組み込むこともできます:
Configuration cfg = ....; new SchemaExport(cfg).create(false, true);
21.1.3. プロパティ
データベースのプロパティを指定することができます:
-D
<property> を使って、システムプロパティとしてhibernate.properties
ファイル内で--properties
を使って指定したプロパティファイル内で
必要なプロパティは以下のものです:
プロパティ名 | 説明 |
---|---|
hibernate.connection.driver_class | jdbc のドライバークラス |
hibernate.connection.url | jdbc の url |
hibernate.connection.username | データベースのユーザー |
hibernate.connection.password | ユーザーパスワード |
hibernate.dialect | データベース方言 |
21.1.4. Ant の使用
Ant のビルドスクリプトから
SchemaExport
を呼び出すことができます:
<target name="schemaexport"> <taskdef name="schemaexport" classname="org.hibernate.tool.hbm2ddl.SchemaExportTask" classpathref="class.path"/> <schemaexport properties="hibernate.properties" quiet="no" text="no" drop="no" delimiter=";" output="schema-export.sql"> <fileset dir="src"> <include name="**/*.hbm.xml"/> </fileset> </schemaexport> </target>
21.1.5. インクリメンタルなスキーマ更新
SchemaUpdate
ツールは既存のスキーマを「インクリメンタル」に更新します。SchemaUpdate
は JDBC のメタデータ API に依存します。そのため、すべての JDBC ドライバで正常に機能するとは限りません。
java -cp
hibernate_classpaths org.hibernate.tool.hbm2ddl.SchemaUpdate
options mapping_files
オプション | 説明 |
---|---|
--quiet | 標準出力(stdout)にスクリプトを出力しません |
--text | データベースにスクリプトをエクスポートしません |
--naming=eg.MyNamingStrategy | NamingStrategy を選択 |
--properties=hibernate.properties | ファイルからデータベースのプロパティを読み込みます |
--config=hibernate.cfg.xml | .cfg.xml ファイルを指定 |
アプリケーションに
SchemaUpdate
を組み込むことができます:
Configuration cfg = ....; new SchemaUpdate(cfg).execute(false);
21.1.6. インクリメンタルなスキーマ更新に対する Ant の使用
Ant スクリプトから
SchemaUpdate
を呼び出すことができます:
<target name="schemaupdate"> <taskdef name="schemaupdate" classname="org.hibernate.tool.hbm2ddl.SchemaUpdateTask" classpathref="class.path"/> <schemaupdate properties="hibernate.properties" quiet="no"> <fileset dir="src"> <include name="**/*.hbm.xml"/> </fileset> </schemaupdate> </target>
21.1.7. スキーマバリデーション
SchemaValidator
ツールは、既存のデータベーススキーマとマッピングドキュメントが「一致する」ことを検証します。 SchemaValidator
は JDBC のメタデータ API に強く依存します。そのため、すべての JDBC ドライバーで作動するものではありません。このツールはテスト時に非常に有用です。
java -cp
hibernate_classpaths org.hibernate.tool.hbm2ddl.SchemaValidator
options mapping_files
以下の表で、
SchemaValidator
のコマンドラインオプションを示しています。
オプション | 説明 |
---|---|
--naming=eg.MyNamingStrategy | NamingStrategy を選択 |
--properties=hibernate.properties | ファイルからデータベースのプロパティを読み込みます |
--config=hibernate.cfg.xml | .cfg.xml ファイルを指定 |
SchemaValidator
をアプリケーションに組み込むことが出来ます:
Configuration cfg = ....; new SchemaValidator(cfg).validate();
21.1.8. スキーマのバリデーションに Ant を使用
Ant スクリプトから
SchemaValidator
を呼び出せます:
<target name="schemavalidate"> <taskdef name="schemavalidator" classname="org.hibernate.tool.hbm2ddl.SchemaValidatorTask" classpathref="class.path"/> <schemavalidator properties="hibernate.properties"> <fileset dir="src"> <include name="**/*.hbm.xml"/> </fileset> </schemavalidator> </target>
第22章 例: 親/子
新規ユーザーが Hibernate を使ってまず最初に扱うモデルの一つに、親子型関係のモデル化があります。このモデル化には二つのアプローチが存在します。とりわけ新規ユーザーにとって、さまざまな理由から最も便利だと思われるアプローチは、
親
から 子
への <one-to-many>
関連により 親
と 子
の両方をエンティティクラスとしてモデリングする方法です。もう一つの方法は、子
を <composite-element>
として定義するものです。これで、Hibernate における一対多関連のデフォルトのセマンティクスが、通常の複合要素のマッピングよりも、親子関係のセマンティクスから遠いことがわかります。それでは親子関係を効率的かつ簡潔にモデリングするために、 カスケード操作を使った双方向一対多関連 の扱い方を説明します。
22.1. コレクションに関する注意
Hibernate のコレクションは自身のエンティティの論理的な部分と考えられ、決して包含するエンティティの一部ではありません。これは非常に大きく違い、以下のような結果をもたらす点に注意してください:
- オブジェクトをコレクションから削除、またはコレクションに追加するとき、コレクションのオーナーのバージョン番号はインクリメントされます。
- コレクションから削除されたオブジェクトが値型のインスタンス(例:複合要素) である場合、そのオブジェクトは永続的ではなくなり、その状態はデータベースから完全に削除されます。同じように、値型のインスタンスをコレクションに追加すると、その状態はすぐに永続的になります。
- 一方、エンティティがコレクション(一対多または多対多関連) から削除されても、デフォルトではそれは削除されません。この動作は完全に一貫しています。すなわち、他のエンティティの内部状態を変更しても、関連するエンティティが消滅すべきではないということです。同様に、エンティティがコレクションに追加されても、デフォルトではそのエンティティは永続的にはなりません。
デフォルトの動作では、エンティティをコレクションに追加すると単に二つのエンティティ間のリンクを作成し、一方エンティティを削除するとリンクも削除します。これはすべてのケースにおいて非常に適切です。これが適切でないのは親/子関係の場合です。この場合、子の生存は親のライフサイクルに制限されるからです。
22.2. 双方向一対多
Parent
から Child
への単純な <one-to-many>
関連から始めるとします。
<set name="children"> <key column="parent_id"/> <one-to-many class="Child"/> </set>
以下のコードを実行したとすると、
Parent p = .....; Child c = new Child(); p.getChildren().add(c); session.save(c); session.flush();
Hibernate は二つの SQL 文を発行します:
c
に対するレコードを生成するINSERT
p
からc
へのリンクを作成するUPDATE
これは非効率的なだけではなく、
parent_id
カラムにおいて NOT NULL
制約に違反します。コレクションのマッピングで not-null="true"
と指定することで、null 制約違反を解決することができます:
<set name="children"> <key column="parent_id" not-null="true"/> <one-to-many class="Child"/> </set>
しかしこの解決策は推奨できません。
この動作の根本的な原因は、
p
から c
へのリンク(外部キー parent_id
) は Child
オブジェクトの状態の一部とは考えられず、そのため INSERT
によってリンクが生成されないことです。つまり、解決策はリンクを Child
マッピングの一部にすることです。
<many-to-one name="parent" column="parent_id" not-null="true"/>
また
Child
クラスに parent
プロパティを追加する必要があります。
それでは
Child
エンティティがリンクの状態を制御するようになったので、コレクションがリンクを更新しないようにしましょう。それには inverse
属性を使います:
<set name="children" inverse="true"> <key column="parent_id"/> <one-to-many class="Child"/> </set>
以下のコードを使えば、新しい
Child
を追加することができます:
Parent p = (Parent) session.load(Parent.class, pid); Child c = new Child(); c.setParent(p); p.getChildren().add(c); session.save(c); session.flush();
SQL の
INSERT
文が一つだけが発行されるようになりました。
Parent
の addChild()
メソッドを作成することもできます。
public void addChild(Child c) { c.setParent(this); children.add(c); }
Child
を追加するコードはこのようになります:
Parent p = (Parent) session.load(Parent.class, pid); Child c = new Child(); p.addChild(c); session.save(c); session.flush();
22.3. ライフサイクルのカスケード
明示的に
save()
をコールするのは面倒ですが、カスケードを使って対処することができます
<set name="children" inverse="true" cascade="all"> <key column="parent_id"/> <one-to-many class="Child"/> </set>
これにより先ほどのコードを以下のように単純化します:
Parent p = (Parent) session.load(Parent.class, pid); Child c = new Child(); p.addChild(c); session.flush();
同様に
Parent
を保存または削除するときに、子を一つずつ反復して扱う必要はありません。以下は p
を削除し、そしてデータベースからその子をすべて削除します。
Parent p = (Parent) session.load(Parent.class, pid); session.delete(p); session.flush();
しかし、以下のコードは:
Parent p = (Parent) session.load(Parent.class, pid); Child c = (Child) p.getChildren().iterator().next(); p.getChildren().remove(c); c.setParent(null); session.flush();
データベースから
c
を削除しません。この場合、 p
へのリンクを削除するのみで、NOT NULL
制約違反を引き起こします。明示的にChild
をdelete()
する必要があります。
Parent p = (Parent) session.load(Parent.class, pid); Child c = (Child) p.getChildren().iterator().next(); p.getChildren().remove(c); session.delete(c); session.flush();
今このケースでは実際に
Child
が親なしでは存在できないようになりました。そのため、コレクションから Child
を取り除く場合、これも削除します。そのためには cascade="all-delete-orphan"
を使わなければなりません。
<set name="children" inverse="true" cascade="all-delete-orphan"> <key column="parent_id"/> <one-to-many class="Child"/> </set>
コレクションのマッピングで
inverse="true"
と指定しても、コレクションの要素の反復によって、依然カスケードが処理されます。そのため、カスケードでオブジェクトを保存、削除、更新する必要がある場合は、それをコレクションに追加しなければなりません。単に setParent()
を呼ぶだけでは不十分です。
22.4. カスケードと unsaved-value
Parent
が、ある Session
でロードされ、 UI のアクションで何らかの変更が加えられ、update()
を呼んでこの変更を新しいセッションで永続化したいとします。Parent
が子のコレクションを持ち、カスケード更新が有効になっているため、 Hibernate はどの子が新しくインスタンス化されたか、どれがデータベースの既存の行に相当するのかを知る必要があります。Parent
と Child
の両方が Long
型の識別プロパティを生成したとします。Hibernate はどの子が新しいものかを決定するために識別プロパティの値を使います ( 「自動的な状態検出」 を参照してください)。Hibernate3 では、もはやunsaved-value
を明示的に特定する必要がなくなりました。
以下のコードは
parent
と child
を更新し、 newChild
を挿入します:
//parent and child were both loaded in a previous session parent.addChild(child); Child newChild = new Child(); parent.addChild(newChild); session.update(parent); session.flush();
これらは生成された識別子の場合には非常に良いのですが、割り当てられた識別子と複合識別子の場合はどうでしょうか?これは Hibernate が、ユーザーにより割り当てられた識別子を持つ新しくインスタンス化されたオブジェクトと、以前の Session でロードされたオブジェクトを区別できないため、さらに難しくなっています。この場合、Hibernate はタイムスタンプかバージョンのプロパティのどちらを使うか、二次キャッシュに問い合わせます。最悪の場合、行が存在するかどうかデータベースを見ます。
22.5. 結論
ここでは簡単に説明しただけなので若干、混乱してしまうかもしれません。しかし実際は、すべて問題なく動作します。ほとんどの Hibernate アプリケーションでは、多くの場面で親子パターンを使用します。
最初の段落で代替方法について触れました。上記のような問題は
<composite-element>
マッピングの場合は存在せず、にもかかわらずそれはまさに親子関係のセマンティクスを持ちます。残念ながら、複合要素クラスには2つの大きな制限があります: 1つは複合要素はコレクションを持つことができないこと、もう1つは一意の親ではないエンティティの子になるべきではないということです。
第23章 例: Weblog アプリケーション
23.1. 永続クラス
ここでは、永続クラスがウェブログと、ウェブログに掲示された項目を表しています。それらは標準の親子関係としてモデリングされますが、 set ではなく順序を持った bag を使用することにします:
package eg; import java.util.List; public class Blog { private Long _id; private String _name; private List _items; public Long getId() { return _id; } public List getItems() { return _items; } public String getName() { return _name; } public void setId(Long long1) { _id = long1; } public void setItems(List list) { _items = list; } public void setName(String string) { _name = string; } }
package eg; import java.text.DateFormat; import java.util.Calendar; public class BlogItem { private Long _id; private Calendar _datetime; private String _text; private String _title; private Blog _blog; public Blog getBlog() { return _blog; } public Calendar getDatetime() { return _datetime; } public Long getId() { return _id; } public String getText() { return _text; } public String getTitle() { return _title; } public void setBlog(Blog blog) { _blog = blog; } public void setDatetime(Calendar calendar) { _datetime = calendar; } public void setId(Long long1) { _id = long1; } public void setText(String string) { _text = string; } public void setTitle(String string) { _title = string; } }
23.2. Hibernate のマッピング
XML マッピングはわかりやすくなっています。例えば、
<?xml version="1.0"?> <!DOCTYPE hibernate-mapping PUBLIC "-//Hibernate/Hibernate Mapping DTD 3.0//EN" "http://hibernate.sourceforge.net/hibernate-mapping-3.0.dtd"> <hibernate-mapping package="eg"> <class name="Blog" table="BLOGS"> <id name="id" column="BLOG_ID"> <generator class="native"/> </id> <property name="name" column="NAME" not-null="true" unique="true"/> <bag name="items" inverse="true" order-by="DATE_TIME" cascade="all"> <key column="BLOG_ID"/> <one-to-many class="BlogItem"/> </bag> </class> </hibernate-mapping>
<?xml version="1.0"?> <!DOCTYPE hibernate-mapping PUBLIC "-//Hibernate/Hibernate Mapping DTD 3.0//EN" "http://hibernate.sourceforge.net/hibernate-mapping-3.0.dtd"> <hibernate-mapping package="eg"> <class name="BlogItem" table="BLOG_ITEMS" dynamic-update="true"> <id name="id" column="BLOG_ITEM_ID"> <generator class="native"/> </id> <property name="title" column="TITLE" not-null="true"/> <property name="text" column="TEXT" not-null="true"/> <property name="datetime" column="DATE_TIME" not-null="true"/> <many-to-one name="blog" column="BLOG_ID" not-null="true"/> </class> </hibernate-mapping>
23.3. Hibernate のコード
以下のクラスは、Hibernate でこれらのクラスを使ってできることをいくつか示しています。
package eg; import java.util.ArrayList; import java.util.Calendar; import java.util.Iterator; import java.util.List; import org.hibernate.HibernateException; import org.hibernate.Query; import org.hibernate.Session; import org.hibernate.SessionFactory; import org.hibernate.Transaction; import org.hibernate.cfg.Configuration; import org.hibernate.tool.hbm2ddl.SchemaExport; public class BlogMain { private SessionFactory _sessions; public void configure() throws HibernateException { _sessions = new Configuration() .addClass(Blog.class) .addClass(BlogItem.class) .buildSessionFactory(); } public void exportTables() throws HibernateException { Configuration cfg = new Configuration() .addClass(Blog.class) .addClass(BlogItem.class); new SchemaExport(cfg).create(true, true); } public Blog createBlog(String name) throws HibernateException { Blog blog = new Blog(); blog.setName(name); blog.setItems( new ArrayList() ); Session session = _sessions.openSession(); Transaction tx = null; try { tx = session.beginTransaction(); session.persist(blog); tx.commit(); } catch (HibernateException he) { if (tx!=null) tx.rollback(); throw he; } finally { session.close(); } return blog; } public BlogItem createBlogItem(Blog blog, String title, String text) throws HibernateException { BlogItem item = new BlogItem(); item.setTitle(title); item.setText(text); item.setBlog(blog); item.setDatetime( Calendar.getInstance() ); blog.getItems().add(item); Session session = _sessions.openSession(); Transaction tx = null; try { tx = session.beginTransaction(); session.update(blog); tx.commit(); } catch (HibernateException he) { if (tx!=null) tx.rollback(); throw he; } finally { session.close(); } return item; } public BlogItem createBlogItem(Long blogid, String title, String text) throws HibernateException { BlogItem item = new BlogItem(); item.setTitle(title); item.setText(text); item.setDatetime( Calendar.getInstance() ); Session session = _sessions.openSession(); Transaction tx = null; try { tx = session.beginTransaction(); Blog blog = (Blog) session.load(Blog.class, blogid); item.setBlog(blog); blog.getItems().add(item); tx.commit(); } catch (HibernateException he) { if (tx!=null) tx.rollback(); throw he; } finally { session.close(); } return item; } public void updateBlogItem(BlogItem item, String text) throws HibernateException { item.setText(text); Session session = _sessions.openSession(); Transaction tx = null; try { tx = session.beginTransaction(); session.update(item); tx.commit(); } catch (HibernateException he) { if (tx!=null) tx.rollback(); throw he; } finally { session.close(); } } public void updateBlogItem(Long itemid, String text) throws HibernateException { Session session = _sessions.openSession(); Transaction tx = null; try { tx = session.beginTransaction(); BlogItem item = (BlogItem) session.load(BlogItem.class, itemid); item.setText(text); tx.commit(); } catch (HibernateException he) { if (tx!=null) tx.rollback(); throw he; } finally { session.close(); } } public List listAllBlogNamesAndItemCounts(int max) throws HibernateException { Session session = _sessions.openSession(); Transaction tx = null; List result = null; try { tx = session.beginTransaction(); Query q = session.createQuery( "select blog.id, blog.name, count(blogItem) " + "from Blog as blog " + "left outer join blog.items as blogItem " + "group by blog.name, blog.id " + "order by max(blogItem.datetime)" ); q.setMaxResults(max); result = q.list(); tx.commit(); } catch (HibernateException he) { if (tx!=null) tx.rollback(); throw he; } finally { session.close(); } return result; } public Blog getBlogAndAllItems(Long blogid) throws HibernateException { Session session = _sessions.openSession(); Transaction tx = null; Blog blog = null; try { tx = session.beginTransaction(); Query q = session.createQuery( "from Blog as blog " + "left outer join fetch blog.items " + "where blog.id = :blogid" ); q.setParameter("blogid", blogid); blog = (Blog) q.uniqueResult(); tx.commit(); } catch (HibernateException he) { if (tx!=null) tx.rollback(); throw he; } finally { session.close(); } return blog; } public List listBlogsAndRecentItems() throws HibernateException { Session session = _sessions.openSession(); Transaction tx = null; List result = null; try { tx = session.beginTransaction(); Query q = session.createQuery( "from Blog as blog " + "inner join blog.items as blogItem " + "where blogItem.datetime > :minDate" ); Calendar cal = Calendar.getInstance(); cal.roll(Calendar.MONTH, false); q.setCalendar("minDate", cal); result = q.list(); tx.commit(); } catch (HibernateException he) { if (tx!=null) tx.rollback(); throw he; } finally { session.close(); } return result; } }
第24章 例: 様々なマッピング
この章では、さらに複雑な関連のマッピングをいくつか紹介します。
24.1. 雇用者/従業員 (Employer/Employee)
Employer
と Employee
の関係を表す以下のモデルは、関連の表現に実際のエンティティクラス ( Employment
) を使います。同じ2つのグループに複数の期間雇用されるということがありえるからです。お金の値と従業員の名前をモデル化するためにコンポーネントを使っています。

ここでマッピングドキュメントの一例を挙げています:
<hibernate-mapping> <class name="Employer" table="employers"> <id name="id"> <generator class="sequence"> <param name="sequence">employer_id_seq</param> </generator> </id> <property name="name"/> </class> <class name="Employment" table="employment_periods"> <id name="id"> <generator class="sequence"> <param name="sequence">employment_id_seq</param> </generator> </id> <property name="startDate" column="start_date"/> <property name="endDate" column="end_date"/> <component name="hourlyRate" class="MonetaryAmount"> <property name="amount"> <column name="hourly_rate" sql-type="NUMERIC(12, 2)"/> </property> <property name="currency" length="12"/> </component> <many-to-one name="employer" column="employer_id" not-null="true"/> <many-to-one name="employee" column="employee_id" not-null="true"/> </class> <class name="Employee" table="employees"> <id name="id"> <generator class="sequence"> <param name="sequence">employee_id_seq</param> </generator> </id> <property name="taxfileNumber"/> <component name="name" class="Name"> <property name="firstName"/> <property name="initial"/> <property name="lastName"/> </component> </class> </hibernate-mapping>
これは、
SchemaExport
で生成したテーブルスキーマです。
create table employers ( id BIGINT not null, name VARCHAR(255), primary key (id) ) create table employment_periods ( id BIGINT not null, hourly_rate NUMERIC(12, 2), currency VARCHAR(12), employee_id BIGINT not null, employer_id BIGINT not null, end_date TIMESTAMP, start_date TIMESTAMP, primary key (id) ) create table employees ( id BIGINT not null, firstName VARCHAR(255), initial CHAR(1), lastName VARCHAR(255), taxfileNumber VARCHAR(255), primary key (id) ) alter table employment_periods add constraint employment_periodsFK0 foreign key (employer_id) references employers alter table employment_periods add constraint employment_periodsFK1 foreign key (employee_id) references employees create sequence employee_id_seq create sequence employment_id_seq create sequence employer_id_seq
24.2. 作者/作業物
Work
、Author
そして Person
の関係を表す以下のモデルを考えてみてください。Work
と Author
の関係を多対多関連で表しています。Author
と Person
の関係は一対一関連として表しています。他には Author
が Person
を拡張するという方法もあります。

以下のマッピングドキュメントはこのような関係を正確に表現しています:
<hibernate-mapping> <class name="Work" table="works" discriminator-value="W"> <id name="id" column="id"> <generator class="native"/> </id> <discriminator column="type" type="character"/> <property name="title"/> <set name="authors" table="author_work"> <key column name="work_id"/> <many-to-many class="Author" column name="author_id"/> </set> <subclass name="Book" discriminator-value="B"> <property name="text"/> </subclass> <subclass name="Song" discriminator-value="S"> <property name="tempo"/> <property name="genre"/> </subclass> </class> <class name="Author" table="authors"> <id name="id" column="id"> <!-- The Author must have the same identifier as the Person --> <generator class="assigned"/> </id> <property name="alias"/> <one-to-one name="person" constrained="true"/> <set name="works" table="author_work" inverse="true"> <key column="author_id"/> <many-to-many class="Work" column="work_id"/> </set> </class> <class name="Person" table="persons"> <id name="id" column="id"> <generator class="native"/> </id> <property name="name"/> </class> </hibernate-mapping>
このマッピングには4つのテーブルがあります:
works
、authors
、persons
はそれぞれ、仕事、作者、人のデータを保持します。author_work
は作者と作業物をリンクする関連テーブルです。以下は SchemaExport
で生成したテーブルスキーマです:
create table works ( id BIGINT not null generated by default as identity, tempo FLOAT, genre VARCHAR(255), text INTEGER, title VARCHAR(255), type CHAR(1) not null, primary key (id) ) create table author_work ( author_id BIGINT not null, work_id BIGINT not null, primary key (work_id, author_id) ) create table authors ( id BIGINT not null generated by default as identity, alias VARCHAR(255), primary key (id) ) create table persons ( id BIGINT not null generated by default as identity, name VARCHAR(255), primary key (id) ) alter table authors add constraint authorsFK0 foreign key (id) references persons alter table author_work add constraint author_workFK0 foreign key (author_id) references authors alter table author_work add constraint author_workFK1 foreign key (work_id) references works
24.3. 顧客/注文/製品
この章では、
Customer
、Order
、 LineItem
、 Product
の関係を表すモデルを考えてみましょう。Customer
と Order
は一対多の関連ですが、Order
/ LineItem
/ Product
はどのように表現するべきでしょうか? この例では、LineItem
を、Order
と Product
の多対多関連を表現する関連クラスとしてマッピングしました。Hibernate ではこれを複合要素と呼びます。

このマッピングドキュメントは以下のようになります:
<hibernate-mapping> <class name="Customer" table="customers"> <id name="id"> <generator class="native"/> </id> <property name="name"/> <set name="orders" inverse="true"> <key column="customer_id"/> <one-to-many class="Order"/> </set> </class> <class name="Order" table="orders"> <id name="id"> <generator class="native"/> </id> <property name="date"/> <many-to-one name="customer" column="customer_id"/> <list name="lineItems" table="line_items"> <key column="order_id"/> <list-index column="line_number"/> <composite-element class="LineItem"> <property name="quantity"/> <many-to-one name="product" column="product_id"/> </composite-element> </list> </class> <class name="Product" table="products"> <id name="id"> <generator class="native"/> </id> <property name="serialNumber"/> </class> </hibernate-mapping>
customers
、 orders
、 line_items
、 products
はそれぞれ、顧客、注文、注文明細、製品のデータを保持します。 line_items
は注文と製品をリンクする関連テーブルとしての役割も果たします。
create table customers ( id BIGINT not null generated by default as identity, name VARCHAR(255), primary key (id) ) create table orders ( id BIGINT not null generated by default as identity, customer_id BIGINT, date TIMESTAMP, primary key (id) ) create table line_items ( line_number INTEGER not null, order_id BIGINT not null, product_id BIGINT, quantity INTEGER, primary key (order_id, line_number) ) create table products ( id BIGINT not null generated by default as identity, serialNumber VARCHAR(255), primary key (id) ) alter table orders add constraint ordersFK0 foreign key (customer_id) references customers alter table line_items add constraint line_itemsFK0 foreign key (product_id) references products alter table line_items add constraint line_itemsFK1 foreign key (order_id) references orders
24.4. 種々雑多なマッピング例
ここにある例はすべて Hibernate のテストスイートから取りました。そこには、他にもたくさんの有用なマッピング例がありますので、Hibernate ディストリビューションの
test
フォルダを検索してみてください。
24.4.1. 「型付けされた」一対一関連
<class name="Person"> <id name="name"/> <one-to-one name="address" cascade="all"> <formula>name</formula> <formula>'HOME'</formula> </one-to-one> <one-to-one name="mailingAddress" cascade="all"> <formula>name</formula> <formula>'MAILING'</formula> </one-to-one> </class> <class name="Address" batch-size="2" check="addressType in ('MAILING', 'HOME', 'BUSINESS')"> <composite-id> <key-many-to-one name="person" column="personName"/> <key-property name="type" column="addressType"/> </composite-id> <property name="street" type="text"/> <property name="state"/> <property name="zip"/> </class>
24.4.2. 複合キーの例
<class name="Customer"> <id name="customerId" length="10"> <generator class="assigned"/> </id> <property name="name" not-null="true" length="100"/> <property name="address" not-null="true" length="200"/> <list name="orders" inverse="true" cascade="save-update"> <key column="customerId"/> <index column="orderNumber"/> <one-to-many class="Order"/> </list> </class> <class name="Order" table="CustomerOrder" lazy="true"> <synchronize table="LineItem"/> <synchronize table="Product"/> <composite-id name="id" class="Order$Id"> <key-property name="customerId" length="10"/> <key-property name="orderNumber"/> </composite-id> <property name="orderDate" type="calendar_date" not-null="true"/> <property name="total"> <formula> ( select sum(li.quantity*p.price) from LineItem li, Product p where li.productId = p.productId and li.customerId = customerId and li.orderNumber = orderNumber ) </formula> </property> <many-to-one name="customer" column="customerId" insert="false" update="false" not-null="true"/> <bag name="lineItems" fetch="join" inverse="true" cascade="save-update"> <key> <column name="customerId"/> <column name="orderNumber"/> </key> <one-to-many class="LineItem"/> </bag> </class> <class name="LineItem"> <composite-id name="id" class="LineItem$Id"> <key-property name="customerId" length="10"/> <key-property name="orderNumber"/> <key-property name="productId" length="10"/> </composite-id> <property name="quantity"/> <many-to-one name="order" insert="false" update="false" not-null="true"> <column name="customerId"/> <column name="orderNumber"/> </many-to-one> <many-to-one name="product" insert="false" update="false" not-null="true" column="productId"/> </class> <class name="Product"> <synchronize table="LineItem"/> <id name="productId" length="10"> <generator class="assigned"/> </id> <property name="description" not-null="true" length="200"/> <property name="price" length="3"/> <property name="numberAvailable"/> <property name="numberOrdered"> <formula> ( select sum(li.quantity) from LineItem li where li.productId = productId ) </formula> </property> </class>
24.4.3. 複合キー属性を共有する多対多
<class name="User" table="`User`"> <composite-id> <key-property name="name"/> <key-property name="org"/> </composite-id> <set name="groups" table="UserGroup"> <key> <column name="userName"/> <column name="org"/> </key> <many-to-many class="Group"> <column name="groupName"/> <formula>org</formula> </many-to-many> </set> </class> <class name="Group" table="`Group`"> <composite-id> <key-property name="name"/> <key-property name="org"/> </composite-id> <property name="description"/> <set name="users" table="UserGroup" inverse="true"> <key> <column name="groupName"/> <column name="org"/> </key> <many-to-many class="User"> <column name="userName"/> <formula>org</formula> </many-to-many> </set> </class>
24.4.4. discrimination に基づく内容
<class name="Person" discriminator-value="P"> <id name="id" column="person_id" unsaved-value="0"> <generator class="native"/> </id> <discriminator type="character"> <formula> case when title is not null then 'E' when salesperson is not null then 'C' else 'P' end </formula> </discriminator> <property name="name" not-null="true" length="80"/> <property name="sex" not-null="true" update="false"/> <component name="address"> <property name="address"/> <property name="zip"/> <property name="country"/> </component> <subclass name="Employee" discriminator-value="E"> <property name="title" length="20"/> <property name="salary"/> <many-to-one name="manager"/> </subclass> <subclass name="Customer" discriminator-value="C"> <property name="comments"/> <many-to-one name="salesperson"/> </subclass> </class>
24.4.5. 代替キーの関連
<class name="Person"> <id name="id"> <generator class="hilo"/> </id> <property name="name" length="100"/> <one-to-one name="address" property-ref="person" cascade="all" fetch="join"/> <set name="accounts" inverse="true"> <key column="userId" property-ref="userId"/> <one-to-many class="Account"/> </set> <property name="userId" length="8"/> </class> <class name="Address"> <id name="id"> <generator class="hilo"/> </id> <property name="address" length="300"/> <property name="zip" length="5"/> <property name="country" length="25"/> <many-to-one name="person" unique="true" not-null="true"/> </class> <class name="Account"> <id name="accountId" length="32"> <generator class="uuid"/> </id> <many-to-one name="user" column="userId" property-ref="userId"/> <property name="type" not-null="true"/> </class>
第25章 ベストプラクティス
- クラスは細かい粒度で書き
<component>
を使用してマッピングしましょう。 street
(通り)、suburb
(都市)、state
(州)、postcode
(郵便番号)をカプセル化するAddress
(住所)クラスを使いましょう。そうすればコードが再利用しやすくなり、リファクタリングも簡単になります。- 永続クラスには識別子プロパティを宣言します:
- Hibernate では識別子プロパティはオプションですが、使用すべき理由がたくさんあります。識別子は「人工的」つまり、業務的な意味を持たない状態で生成されたものにすることをおすすめします。
- 自然キーを特定します:
- すべてのエンティティに対して自然キーを見つけて、
<natural-id>
でマッピングしましょう。自然キーを構成するプロパティを比較するために、equals()
とhashCode()
を実装しましょう。 - クラスのマッピングはそれぞれのクラス専用のファイルに書きましょう:
- 単一の巨大なマッピングドキュメントを使用しないでください。
com.eg.Foo
クラスならcom/eg/Foo.hbm.xml
ファイルにマッピングしましょう。このことは、特にチームでの開発に意味があります。 - リソースとしてマッピングをロードします:
- マッピングを、それらがマッピングするクラスと一緒に配置しましょう。
- クエリ文字列を外部に置くことを考えます:
- クエリが ANSI 標準でない SQL 関数を呼び出す場合にこれは推奨されます。クエリ文字列をマッピングファイルへ外部化することでアプリケーションがよりポータブルになります。
- バインド変数を使いましょう。
- JDBC の場合と同じように、定数でない値は必ず "?" で置き換えましょう。クエリで定数でない値をバインドするために文字列操作を使ってはいけません。クエリで名前付きのパラメータを使うことも考慮すべきです。
- 自身のJDBC コネクションを管理してはいけません。
- Hibernate ではアプリケーションが JDBC コネクションを管理することができますが、これは最終手段だと思ってください。組み込みのコネクションプロバイダを使うことができなければ、
org.hibernate.connection.ConnectionProvider
を実装することを考えてください。 - カスタム型の使用を考えましょう:
- ライブラリから持ってきた Java 型を永続化する必要があるとします。しかしその型には、コンポーネントとしてマッピングするために必要なアクセサがないとします。
org.hibernate.UserType
の実装を考えるべきです。このアプローチは、アプリケーションコードがHibernate 型から/へ変換実装を行わなくてもよくなります。 - ボトルネックがある場合はハンドコード のJDBC を使用します:
- システムのパフォーマンスクリティカルな領域では、操作の種類によって JDBC を直接使うと利点がある場合もあります。しかし、JDBC は必ずしも早くなるわけではありません。何がボトルネックになっているか はっきりする まで待ってください。JDBC を直接使う必要があれば、JDBC コネクションを利用して、Hibernate Session をオープンし、
session.doWork(Work)
を利用し、作業オブジェクトとしてJDBCの操作をラップすることができます。こうすると、依然として同じトランザクション戦略と基盤となるコネクションプロバイダが使うことができます。 Session
のフラッシュを理解しましょう:- Session が永続状態をデータベースと同期させることがときどきあります。しかしこれがあまりに頻繁に起こるようであれば、パフォーマンスに影響が出てきます。自動フラッシュを無効にするか、特定のトランザクションのクエリや操作の順番を変更することで、不必要なフラッシュを最小限に抑えることができます。
- 3層アーキテクチャでは分離オブジェクトの使用を考えましょう:
- サーブレット / セッション Bean アーキテクチャを使うとき、サーブレット層 / JSP 層間でセッション Bean でロードした永続オブジェクトをやり取りできます。その際リクエストごとに新しい Session を使ってください。また
Session.merge()
やSession.saveOrUpdate()
を使って、オブジェクトとデータベースを同期させてください。 - 2層アーキテクチャでは長い永続コンテキストの使用を検討しましょう:
- 最高のスケーラビリティを得るには、データベーストランザクションをできるだけ短くしなければなりません。しかし 長い間作動するアプリケーショントランザクション の実装が必要なことはしばしばです。これはユーザーの視点からは1個の作業単位(unit of work)になります。アプリケーショントランザクションはいくつかのクライアントのリクエスト/レスポンスサイクルにわたることもあります。アプリケーショントランザクションの実装に分離オブジェクトを使うのは一般的です。二層アーキテクチャでの適切な方法は他にもあり、その方法とはアプリケーショントランザクションのライフサイクル全体で1つの永続コンタクトセッションをオープンし、それを保持することです。その後、JDBC コネクションを各リクエストの最後で切断し、次のリクエストの始めに再接続するだけです。1つのセッションを複数のアプリケーショントランザクションで共有してはいけません。共有してしまうと、古いデータで作業することになります。
- 例外を復帰可能なものとして扱ってはいけません:
- これは「ベスト」プラクティスというよりは、必須のプラクティスです。例外が発生したときは
Transaction
をロールバックして、Session
をクローズしてください。そうしないと Hibernate はインメモリの状態が永続状態を正確に表現しているかの保証ができません。例えば、 この識別子を持つインスタンスがデータベース上に存在するかを決定するにはSession.load()
を使うのではなく、Session.get()
かクエリを使ってください。 - 関連にはなるべく遅延フェッチを使いましょう:
- 即時フェッチは控えめにしましょう。二次キャッシュには完全に保持される可能性の低いクラスの関連の大半には、プロキシと遅延コレクションを使ってください。キャッシュされるクラスの関連、つまりキャッシュがヒットする可能性が非常に高い関連は、
lazy="false"
で積極的なフェッチを明示的に無効にしてください。結合フェッチが適切な特定のユースケースには、クエリでleft join fetch
を使ってください。 - フェッチされていないデータに関わる問題を避けるために、ビューの中でオープンセッション (open session in view) パターンか、統制された 組み立てフェーズ (assembly phase) を使いましょう:
- Hibernate では、開発者は単調なData Transfer Objects (DTO) を記述をしなくてもよくなっています。従来の EJB アーキテクチャでは DTO は2つ目的があります: 1つ目は、エンティティ Bean がシリアライズされない問題への対策です。2つ目は、プレゼンテーション層に制御が戻る前に、ビューに使われるすべてのデータがフェッチされて、 DTO に復元されるような組み立てフェーズを暗黙的に定義します。Hibernate では1つ目の目的が不要になります。ビューのレンダリング処理全体で、永続コンテキスト(セッション)をオープンにする準備ができていなければ、組み立てフェーズはまだ必要です。分離オブジェクトのどのデータが利用可能かについて、プレゼンテーション層と厳密な取り決めをしているビジネスメソッドを考えてみてください。これは Hibernate 側の問題ではなく、トランザクション内で安全にデータアクセスするための基本的な要件です。
- Hibernate からビジネスロジックを抽象化することを考えましょう:
- Hibernate のデーデタアクセスコードをインターフェースで見えなくします。 DAO と Thread Local Session パターンを組み合わせましょう。
UserType
で Hibernate に関連付けると、ハンドコードした JDBC で永続化するクラスを持つこともできます。しかし、このアドバイスは「十分大きな」アプリケーションに対してのもので、テーブルが5個しかないようなアプリケーションには当てはまりません。 - 珍しい関連マッピングは使わないようにしましょう:
- 実際のテストケースに本当の多対多関連があることは稀です。ほとんどの場合「リンクテーブル」の付加情報が必要になります。この場合、リンククラスに2つの一対多関連を使う方がはるかによく、実際、多くの関連は一対多と多対一であるため、他のスタイルの関連を使うときは本当に必要かどうかを考えてみてください。
- 双方向関連のほうが望ましいです:
- 単方向関連は双方向に比べて検索が難しくなります。大きなアプリケーションでは、ほとんどすべての関連が双方向にナビゲーションできなければなりません。
第26章 データベースの移植性の考察
26.1. 移植性の基本
データベースの移植性という概念は、 Hibernate (およびオブジェクト/リレーショナルマッピング全体) におけるセールスポイントの 1 つになります。 これには、 あるデータベースベンダから別のベンダに移行する内部の IT ユーザーや、 ユーザーが同時に複数のデータベース製品をターゲットするため Hibernate を消費するフレームワークやデプロイ可能アプリケーションなどが対象となります。 状況に関係なく、 Hibernate を用いることでコードを変更することなく、 理想的にはマッピングメタデータの変更も行わず、 あらゆる数のデータベースに対して実行することが基本的な考えとなります。
26.2. 方言
Hibernate に対する移植性の最初の行は、
org.hibernate.dialect.Dialect
コントラクトの特化である方言になります。方言は、 シーケンス値の取得や SELECT クエリの構築など、 同じタスクを達成するため Hibernate が特定のデータベースと通信する方法の違いをすべてカプセル化します。 Hibernate は、 多くの一般的なデータベースに対するさまざまな方言をバンドルします。 ご使用のデータベースに対する方言が対象外である場合、独自の方言を作成することは大変難しいことではありません。
26.3. 方言の解決
当初、Hibernate ではユーザーが使用する方言を指定する必要がありました。これは、 独自のビルドで複数のデータベースを同時にターゲットしたいユーザーにとって、問題となることがありました。通常、 ユーザーは Hibernate の方言を設定するか、値を設定する独自のメソッドを定義する必要がありました。
バージョン 3.2 より、 データベースへの
java.sql.Connection
より取得した java.sql.DatabaseMetaData
を基に、 自動的に使用する方言を検出する概念が Hibernate に導入されました。 この解決方法は以前のものよりもはるかに優れていますが、 事前に Hibernate が認識するデータベースに限定され、 設定やオーバーライドができませんでした。
バージョン 3.3 以降の Hibernate は、一連のデリゲートに依存することにより、はるかに強力な方法でどの方言を使用すべきか自動的に判断します。このデリゲートは、メソッド 1 つのみを定義する
org.hibernate.dialect.resolver.DialectResolver
実装しています。
public Dialect resolveDialect(DatabaseMetaData metaData) throws JDBCConnectionExceptionここでの基本的なコントラクトでは、リゾルバがデータベースのメタデータを「理解」する場合は該当の方言を返し、「理解」しない場合は null を返して次のリゾルバに処理が継続されるます。また、この署名はスローされる可能性がある
org.hibernate.exception.JDBCConnectionException
も特定します。この場合、JDBCConnectionException は「一時的でない」 (回復可能でない) 接続問題を示すよう解釈され、解決の試行を即座に停止するよう示すために使用されます。他の例外はすべて警告を引き起こし、次のリゾルバに継続されます。
ユーザーは、 Hibernate に含まれるリゾルバより先に処理されるカスタムのリゾルバを登録することもできます。 カスタムのリゾルバは状況によっては便利です。 例えば、 Hibernate に同梱されているリゾルバよりも簡単に方言の自動検出を統合することが可能です。 特定のデータベースが認識された時にカスタム方言を使用するよう指定することも可能です。 1 つまたは複数のリゾルバを登録するには、 「hibernate.dialect_resolvers」 設定を使用して、 登録したいリゾルバをコンマ、 タブ、 空白文字のいずれかで区切り指定します (
org.hibernate.cfg.Environment
上の DIALECT_RESOLVERS
定数を確認してください)。
26.4. 識別子の生成
データベース間の移植性を考慮する時、 使用する識別子生成戦略を選択することが重要となります。 当初、 Hibernate は基盤となるデータベースの機能に応じて、 シーケンス、 ID、 テーブル 戦略を選択するためのネイティブジェネレータを提供していました。 しかし、 ID 生成をサポートするデータベースの一部やサポートしないデータベースの一部をターゲットすると、 この方法による悪影響が発生します。 ID 生成は、 IDENTITY (または自動インクリメント) 列の SQL 定義に依存して識別子の値を管理します。 これは、 識別子の値を認識できる前に挿入が実行されるため、 挿入後生成戦略と呼ばれます。 Hibernate はこの識別子の値に依存して永続コンテキスト内のエンティティを一意に参照するため、 現在のトランザクションセマンティックに関係なく、 ユーザーがエンティティをセッションに関連付けるよう要求した時に( save() からなど)、 挿入を即座に発行する必要があります。 この場合、 アプリケーションのセマンティック自体が変更してしまうことが根本的な問題となります。
注記
Hibernate が改良され、 可能な場合は挿入が遅延されるようになりました。
Hibernate はバージョン 3.2.3 から、全く違った方法で移植性を達成する拡張型識別子ジェネレーター一式が含まれています。
注記
特に拡張型ジェネレータは、2種類同梱されています。
org.hibernate.id.enhanced.SequenceStyleGenerator
org.hibernate.id.enhanced.TableGenerator
これらのジェネレータは、識別子値の生成に関する実際のセマンティクスを別のデータベースに移植するためのものです。例えば、
org.hibernate.id.enhanced.SequenceStyleGenerator
は、 テーブル使用によるシーケンス対応を行っていないデータベースのシーケンス動作を模倣します。
26.5. データベースの関数
警告
これは、Hibernate においては新しい分野ですが、Hibernate で体験できる全般と比べるとそこまで成熟していません。
ユーザーは、SQL 関数を参照するには多くの方法があります。しかし、すべてのデータベースが同様の関数に対応しているわけではありません。 Hibernate は、論理的な 関数名をデリゲート(委譲)へとマッピングする手段を用意しています。 このデリゲートは、おそらく全く違った物理的な関数呼出しを使うなどして、特定の関数のレンダリング方法を識別しています。
重要
技術的に、この関数登録は
org.hibernate.dialect.function.SQLFunctionRegistry
クラスを用いて処理します。org.hibernate.dialect.function.SQLFunctionRegistry
クラスはカスタムの方言を提示することなくカスタム関数定義をユーザーが提供できるようになっています。このような特定の動作は、現時点では完全でありません。
ユーザーは
org.hibernate.cfg.Configuration
で関数をプログラムによって登録できるため、これで実装されたかたちになり、これらの関数は HQL で認識されます。
付録A 改訂履歴
改訂履歴 | |||
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改訂 1.0.2-2.1 | Wed Feb 11 2015 | ||
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改訂 1.0.2-1 | Tue Jun 21 2011 | ||
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