第15章 ストレージデバイスの置き換え


15.1. Red Hat OpenStack Platform のインストーラーでプロビジョニングされるインフラストラクチャーで動作するストレージデバイスまたは障害のあるストレージデバイスの置き換え

以下の手順を使用して、Red Hat OpenStack Platform にデプロイされた OpenShift Data Foundation のストレージデバイスを置き換えます。この手順は、新規ボリュームで新規の Persistent Volume Claim(永続ボリューム要求、PVC) を作成し、古いオブジェクトストレージデバイス (OSD) を削除するのに役立ちます。

手順

  1. 置き換える必要がある OSD と、その OSD がスケジュールされている OpenShift Container Platform ノードを特定します。

    $ oc get -n openshift-storage pods -l app=rook-ceph-osd -o wide

    出力例:

    rook-ceph-osd-0-6d77d6c7c6-m8xj6    0/1    CrashLoopBackOff    0    24h   10.129.0.16   compute-2   <none>           <none>
    rook-ceph-osd-1-85d99fb95f-2svc7    1/1    Running             0    24h   10.128.2.24   compute-0   <none>           <none>
    rook-ceph-osd-2-6c66cdb977-jp542    1/1    Running             0    24h   10.130.0.18   compute-1   <none>           <none>

    この例では、rook-ceph-osd-0-6d77d6c7c6-m8xj6 を置き換える必要があり、compute-2 は OSD がスケジュールされる OpenShift Container platform ノードです。

    注記

    置き換える OSD が正常である場合、Pod のステータスは Running になります。

  2. 置き換えられる OSD の OSD デプロイメントをスケールダウンします。

    $ osd_id_to_remove=0
    $ oc scale -n openshift-storage deployment rook-ceph-osd-${osd_id_to_remove} --replicas=0

    ここで、osd_id_to_removerook-ceph-osd 接頭辞の直後にくる Pod 名の整数です。この例では、デプロイメント名は rook-ceph-osd-0 です。

    出力例:

    deployment.extensions/rook-ceph-osd-0 scaled
  3. rook-ceph-osd Pod が停止していることを確認します。

    $ oc get -n openshift-storage pods -l ceph-osd-id=${osd_id_to_remove}

    出力例:

    No resources found.
    注記

    rook-ceph-osd Pod が terminating 状態にある場合は、force オプションを使用して Pod を削除します。

    $ oc delete pod rook-ceph-osd-0-6d77d6c7c6-m8xj6 --force --grace-period=0

    出力例:

    warning: Immediate deletion does not wait for confirmation that the running resource has been terminated. The resource may continue to run on the cluster indefinitely.
      pod "rook-ceph-osd-0-6d77d6c7c6-m8xj6" force deleted
  4. 障害の発生した OSD に関連付けられた永続ボリュームが失敗する場合、失敗した永続ボリュームの詳細を取得し、以下のコマンドを使用してそれらを削除します。

    $ oc get pv
    $ oc delete pv <failed-pv-name>
  5. 新規 OSD を追加できるようにクラスターから古い OSD を削除します。

    1. 古い ocs-osd-removal ジョブを削除します。

      $ oc delete -n openshift-storage job ocs-osd-removal-${osd_id_to_remove}

      出力例:

      job.batch "ocs-osd-removal-0" deleted
    2. openshift-storage プロジェクトを変更します。

      $ oc project openshift-storage
    3. クラスターから以前の OSD を削除します。

      $ oc process -n openshift-storage ocs-osd-removal -p FAILED_OSD_IDS=${osd_id_to_remove} FORCE_OSD_REMOVAL=false |oc create -n openshift-storage -f -

      コマンドでコンマ区切りの OSD ID を追加して、複数の OSD を削除できます。(例: FAILED_OSD_IDS=0,1,2)

      3 つの OSD しかないクラスター、または OSD が削除された後にデータの 3 つのレプリカすべてを復元するのに十分なスペースがないクラスターでは、FORCE_OSD_REMOVAL 値を true に変更する必要があります。

      警告

      この手順により、OSD はクラスターから完全に削除されます。osd_id_to_remove の正しい値が指定されていることを確認します。

  6. ocs-osd-removal-job Pod のステータスをチェックして、OSD が正常に削除されたことを確認します。

    Completed のステータスで、OSD の削除ジョブが正常に完了したことを確認します。

    # oc get pod -l job-name=ocs-osd-removal-job -n openshift-storage
  7. OSD の取り外しが完了したことを確認します。

    $ oc logs -l job-name=ocs-osd-removal-job -n openshift-storage --tail=-1 | egrep -i 'completed removal'

    出力例:

    2022-05-10 06:50:04.501511 I | cephosd: completed removal of OSD 0
    重要

    ocs-osd-removal-job が失敗し、Pod が予想される Completed の状態にない場合、追加のデバッグのために Pod ログを確認します。

    以下に例を示します。

    # oc logs -l job-name=ocs-osd-removal-job -n openshift-storage --tail=-1
  8. 暗号化がインストール時に有効にされている場合は、それぞれの OpenShift Data Foundation ノードから削除された OSD デバイスから dm-crypt で管理される device-mapper マッピングを削除します。

    1. ocs-osd-removal-job Pod のログから、置き換えられた OSD の PVC 名を取得します。

      $ oc logs -l job-name=ocs-osd-removal-job -n openshift-storage --tail=-1  |egrep -i ‘pvc|deviceset’

      以下に例を示します。

      2021-05-12 14:31:34.666000 I | cephosd: removing the OSD PVC "ocs-deviceset-xxxx-xxx-xxx-xxx"
    2. 手順 #1 で特定されたノードごとに、以下を実行します。

      1. デバッグ Pod を作成し、ストレージノードのホストに対して chroot を作成します。

        $ oc debug node/<node name>
        $ chroot /host
      2. 直前の手順で特定された PVC 名に基づいて関連するデバイス名を検索します。

        sh-4.4# dmsetup ls| grep <pvc name>
        ocs-deviceset-xxx-xxx-xxx-xxx-block-dmcrypt (253:0)
      3. マップ済みデバイスを削除します。

        $ cryptsetup luksClose --debug --verbose ocs-deviceset-xxx-xxx-xxx-xxx-block-dmcrypt
        注記

        権限が十分にないため、コマンドがスタックした場合には、以下のコマンドを実行します。

        • CTRL+Z を押して上記のコマンドを終了します。
        • スタックしたプロセスの PID を検索します。

          $ ps -ef | grep crypt
        • kill コマンドを使用してプロセスを終了します。

          $ kill -9 <PID>
        • デバイス名が削除されていることを確認します。

          $ dmsetup ls
  9. ocs-osd-removal ジョブを削除します。

    $ oc delete -n openshift-storage job ocs-osd-removal-${osd_id_to_remove}

    出力例:

    job.batch "ocs-osd-removal-0" deleted

検証手順

  1. 新しい OSD が実行されていることを確認します。

    $ oc get -n openshift-storage pods -l app=rook-ceph-osd

    出力例:

    rook-ceph-osd-0-5f7f4747d4-snshw                                  1/1     Running     0          4m47s
    rook-ceph-osd-1-85d99fb95f-2svc7                                  1/1     Running     0          1d20h
    rook-ceph-osd-2-6c66cdb977-jp542                                  1/1     Running     0          1d20h
  2. Bound 状態の新しい PVC が作成されていることを確認します。

    $ oc get -n openshift-storage pvc

    出力例:

    NAME                           STATUS   VOLUME                                     CAPACITY   ACCESS MODES   STORAGECLASS                  AGE
    db-noobaa-db-0                 Bound    pvc-b44ebb5e-3c67-4000-998e-304752deb5a7   50Gi       RWO            ocs-storagecluster-ceph-rbd   6d
    ocs-deviceset-0-data-0-gwb5l   Bound    pvc-bea680cd-7278-463d-a4f6-3eb5d3d0defe   512Gi      RWO            standard                      94s
    ocs-deviceset-1-data-0-w9pjm   Bound    pvc-01aded83-6ef1-42d1-a32e-6ca0964b96d4   512Gi      RWO            standard                      6d
    ocs-deviceset-2-data-0-7bxcq   Bound    pvc-5d07cd6c-23cb-468c-89c1-72d07040e308   512Gi      RWO            standard                      6d
  3. オプション:クラスターでクラスター全体の暗号化が有効な場合には、新規 OSD デバイスが暗号化されていることを確認します。

    1. 新規 OSD Pod が実行しているノードを特定します。

      $ oc get -o=custom-columns=NODE:.spec.nodeName pod/<OSD pod name>

      以下に例を示します。

      oc get -o=custom-columns=NODE:.spec.nodeName pod/rook-ceph-osd-0-544db49d7f-qrgqm
    2. 直前の手順で特定されたノードごとに、以下を実行します。

      1. デバッグ Pod を作成し、選択したホストの chroot 環境を開きます。

        $ oc debug node/<node name>
        $ chroot /host
      2. lsblk を実行し、ocs-deviceset 名の横にある crypt キーワードを確認します。

        $ lsblk
  4. OpenShift Web コンソールにログインし、ストレージダッシュボードを表示します。

    図15.1 デバイスの置き換え後の OpenShift Container Platform ストレージダッシュボードの OSD ステータス

    正常な OSD を表示する RHOCP ストレージダッシュボード。
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