第1章 OpenShift Data Foundation Disaster Recovery の概要
障害復旧 (DR) は、自然災害または人為的災害からビジネスクリティカルなアプリケーションを回復し、継続する機能です。これは、重大な有害事象の発生時に事業の継続性を維持するために設計されている、主要な組織における事業継続ストラテジー全体の設定要素です。
OpenShift Data Foundation の DR 機能は、複数の Red Hat OpenShift Container Platform クラスターにわたる DR を可能にし、次のように分類されます。
Metro-DR
Metro-DR は、データセンターが利用できない場合でも、データを失うことなくビジネスの継続性を保証します。パブリッククラウドでは、これらはアベイラビリティーゾーンの障害からの保護に似ています。
Regional-DR
Regional-DR は、地理的な地域が利用できない場合でもビジネス継続性を確保し、予測可能な量のデータの損失を受け入れます。パブリッククラウドでは、これはリージョンの障害からの保護と似ています。
ストレッチクラスターを使用した障害復旧
ストレッチクラスターソリューションは、2 つのデータセンター (レイテンシーが低いノードおよび arbiter ノード 1 つ) にまたがる単一の OpenShift クラスターにおいて OpenShift Data Foundation ベースの同期レプリケーションを行い、データの損失なしに障害復旧を実現することでビジネスの継続性を確保します。
Metro-DR のゾーン障害と Regional-DR のリージョン障害は、通常、目標復旧時点 (RPO) と 目標復旧時間 (RTO) という用語を使用して表現されます。
- RPO は、永続データのバックアップまたはスナップショットを作成する頻度の尺度です。実際には、RPO は、停止後に失われるか、再入力する必要があるデータの量を示します。
- RTO は、企業が許容できるダウンタイムの量です。RTO は、ビジネスの中断が通知されてから、“システムが回復するまでにどれくらいかかるか?“ という質問に答えます。
このガイドの目的は、OpenShift Container Platform クラスター間でアプリケーションをフェイルオーバーし、同じアプリケーションを元のプライマリークラスターに再配置するために必要な障害復旧の手順とコマンドを詳しく説明することです。