第1章 概要


1.1. OpenShift Virtualization について

OpenShift Virtualization の機能およびサポート範囲について確認します。

1.1.1. OpenShift Virtualization の機能

OpenShift Virtualization は、Red Hat OpenShift でスケーラブルなエンタープライズグレードの仮想化機能を提供します。これを使用して、仮想マシン (VM) だけを管理することも、またはコンテナーワークロードと合わせて管理することもできます。

OpenShift Virtualization は、Kubernetes カスタムリソースを使用して仮想化タスクを有効にし、Red Hat OpenShift Service on AWS クラスターに新しいオブジェクトを追加します。これらのタスクには、以下が含まれます。

  • Linux および Windows 仮想マシンの作成と管理
  • クラスター内で Pod と仮想マシンのワークロードの同時実行
  • さまざまなコンソールや CLI ツールを介した仮想マシンへの接続
  • 既存の仮想マシンのインポートとクローン作成
  • 仮想マシンに接続されたネットワークインターフェイスコントローラーとストレージディスクの管理
  • ノード間での仮想マシンのライブマイグレーション

Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールの Virtualization パースペクティブ、および OpenShift CLI (oc) を使用して、クラスターと仮想化リソースを管理できます。

OpenShift Virtualization は OVN-Kubernetes とともに使用できます。

Compliance Operator をインストールし、ocp4-moderate および ocp4-moderate-node を使用してスキャンを実行することにより、OpenShift Virtualization クラスターのコンプライアンスの問題を確認できます。Compliance Operator は、NIST 認定ツール である OpenSCAP を使用して、セキュリティーポリシーをスキャンし、適用します。

1.1.2. OpenShift Virtualization と VMware vSphere の比較

VMware vSphere に精通している場合は、以下の表に記載された、同様のタスクを実行できる OpenShift Virtualization コンポーネントを使用できます。ただし、OpenShift Virtualization は vSphere とは概念的に異なり、その機能の多くは基盤となる Red Hat OpenShift Service on AWS から提供されるため、OpenShift Virtualization には vSphere のすべての概念やコンポーネントに対する直接的な代替が存在するわけではありません。

表1.1 vSphere の概念と、それに最も近い OpenShift Virtualization の対応項目のマッピング
vSphere の概念OpenShift Virtualization詳細

データストア

永続ボリューム (PV) +
永続ボリューム要求 (PVC)

仮想マシンディスクを保存します。PV は既存のストレージを表し、PVC 経由で仮想マシンに割り当てられます。ReadWriteMany (RWX) アクセスモードで作成されると、PVC は複数の仮想マシンによって同時にマウントできます。

Dynamic Resource Scheduling (DRS)

Pod エビクションポリシー +
Descheduler

アクティブなリソースバランシングを提供します。Pod のエビクションポリシーと Descheduler の組み合わせにより、仮想マシンはより適切なノードへのライブマイグレーションが可能となり、ノードのリソースの使用状況を管理可能な状態に保つことができます。

NSX

Multus +
OVN-Kubernetes +
サードパーティーの Container Network Interface (CNI) プラグイン

オーバーレイネットワーク設定を提供します。OpenShift Virtualization の NSX と同等のものはありませんが、OVN-Kubernetes ネットワークプロバイダーを使用するか、認定されたサードパーティー CNI プラグインをインストールすることができます。

Storage Policy Based Management (SPBM)

ストレージクラス

ポリシーベースのストレージの選択を提供します。ストレージクラスは、さまざまなストレージタイプを表し、Quality of Service (QoS)、バックアップポリシー、回収ポリシー、ボリューム拡張が許可されるかどうかなどのストレージ機能を記述します。PVC は、アプリケーションの要件を満たすために特定のストレージクラスを要求できます。

vCenter
vRealize 操作

OpenShift メトリクスおよびモニタリング

ホストおよび仮想マシンのメトリクスを提供します。Red Hat OpenShift Service on AWS Web コンソールを使用すると、メトリクスを表示し、クラスターと仮想マシンの全体的な健全性を監視できます。

vMotion

ライブマイグレーション

実行中の仮想マシンを中断せずに別のノードに移動します。ライブマイグレーションを使用できるようにするには、仮想マシンに割り当てられた PVC に ReadWriteMany (RWX) アクセスモードが必要です。

vSwitch
DvSwitch

NMState Operator +
Multus

物理ネットワーク設定を提供します。NMState Operator を使用して、ステートドリブンのネットワーク設定を適用し、Linux ブリッジやネットワークボンディングなど、さまざまなネットワークインターフェイスタイプを管理できます。Multus を使用すると、複数のネットワークインターフェイスを割り当て、仮想マシンを外部ネットワークに接続できます。

1.1.3. OpenShift Virtualization でサポートされるクラスターバージョン

OpenShift Virtualization 4.17 は、Red Hat OpenShift Service on AWS 4 クラスターでの使用がサポートされています。OpenShift Virtualization の最新の z-stream リリースを使用するには、まず、Red Hat OpenShift Service on AWS の最新バージョンにアップグレードする必要があります。

1.1.4. 仮想マシンディスクのボリュームとアクセスモードについて

既知のストレージプロバイダーでストレージ API を使用する場合、ボリュームモードとアクセスモードは自動的に選択されます。ただし、ストレージプロファイルのないストレージクラスを使用する場合は、ボリュームとアクセスモードを設定する必要があります。

最良の結果を得るには、ReadWriteMany (RWX) アクセスモードと Block ボリュームモードを使用してください。これは、以下の理由により重要です。

  • ライブマイグレーションには ReadWriteMany (RWX) アクセスモードが必要です。
  • Block ボリュームモードは、Filesystem ボリュームモードよりもパフォーマンスが大幅に優れています。これは、Filesystem ボリュームモードでは、ファイルシステムレイヤーやディスクイメージファイルなどを含め、より多くのストレージレイヤーが使用されるためです。仮想マシンのディスクストレージに、これらのレイヤーは必要ありません。
重要

次の設定の仮想マシンをライブマイグレーションすることはできません。

  • ReadWriteOnce (RWO) アクセスモードのストレージボリューム
  • GPU などのパススルー機能

これらの仮想マシンの evictionStrategy フィールドを None に設定します。None ストラテジーでは、ノードの再起動中に仮想マシンの電源がオフになります。

1.1.5. 関連情報

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