第5章 オーバークラウドの登録
オーバークラウドでは、Red Hat コンテンツ配信ネットワーク、Red Hat Satellite Server 5、または Red Hat Satellite Server 6 のいずれかにノードを登録することができます。
5.1. 環境ファイルを使用したオーバークラウドの登録
登録ファイルを Heat テンプレートコレクションからコピーします。
$ cp -r /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/extraconfig/pre_deploy/rhel-registration ~/templates/.
~/templates/rhel-registration/environment-rhel-registration.yaml
ファイルを編集し、登録の方法と詳細に適用されるパラメーターの値を変更します。
一般的なパラメーター
- rhel_reg_method
-
登録の方法を選択します。
portal
、satellite
、またはdisable
のいずれかです。 - rhel_reg_type
-
登録するユニットの種別。
system
として登録するには空欄のままにします。 - rhel_reg_auto_attach
-
互換性のあるサブスクリプションをこのシステムに自動的にアタッチします。有効にするには、
true
に設定します。この機能を無効にするには、このパラメーターを空欄のままにします。 - rhel_reg_service_level
- 自動アタッチメントに使用するサービスレベル
- rhel_reg_release
- このパラメーターを使用して、自動アタッチメント用のリリースバージョンを設定します。Red Hat Subscription Manager からのデフォルトを使用するには、空欄のままにします。
- rhel_reg_pool_id
-
使用するサブスクリプションプール ID。サブスクリプションを自動でアタッチしない場合には、このパラメーターを使用してください。この ID を特定するには、アンダークラウドノードから
sudo subscription-manager list --available --all --matches="*OpenStack*"
を実行して、出力されるPool ID
値を使用します。 - rhel_reg_sat_url
-
オーバークラウドノードを登録する Satellite Server のベース URL。このパラメーターには、Satellite Server の HTTPS URL ではなく、HTTP URL を使用します。たとえば、https://satellite.example.com ではなく http://satellite.example.com を使用します。オーバークラウドの作成プロセスでは、この URL を使用して Red Hat Satellite Server 5 または Red Hat Satellite Server 6 のどちらを使用するかを判断します。Red Hat Satellite Server 6 を使用する場合、オーバークラウドは
katello-ca-consumer-latest.noarch.rpm
ファイルを取得し、subscription-manager
により登録を行い、katello-agent
をインストールします。Red Hat Satellite Server 5 を使用する場合、オーバークラウドはRHN-ORG-TRUSTED-SSL-CERT
ファイルを取得してrhnreg_ks
により登録を行います。 - rhel_reg_server_url
- 使用するサブスクリプションサービスのホスト名。デフォルトは、カスタマーポータルのサブスクリプション管理 subscription.rhn.redhat.com です。このオプションを使用しない場合、システムはカスタマーポータルのサブスクリプション管理に登録されます。サブスクリプションサーバーの URL は、https://hostname:port/prefix の形式を使用します。
- rhel_reg_base_url
- 更新を受け取るのに使用するコンテンツ配信サーバーのホスト名。デフォルトは https://cdn.redhat.com です。Satellite 6 は独自のコンテンツをホストするため、URL は Satellite 6 で登録されているシステムに使用する必要があります。コンテンツのベース URL は、https://hostname:port/prefix の形式を使用します。
- rhel_reg_org
-
登録に使用する組織。この ID を特定するには、アンダークラウドノードから
sudo subscription-manager orgs
を実行します。プロンプトが表示されたら、Red Hat の認証情報を入力して、出力されるKey
値を使用します。 - rhel_reg_environment
- 選択した組織内で使用する環境
- rhel_reg_repos
- 有効化するリポジトリーのコンマ区切りリスト
- rhel_reg_activation_key
- 登録に使用するアクティベーションキー。登録にアクティベーションキーを使用する場合は、登録に使用する組織も指定する必要があります。
- rhel_reg_user、rhel_reg_password
- 登録に使用するユーザー名およびパスワード。可能な場合には、登録にアクティベーションキーを使用します。
- rhel_reg_machine_name
- 登録に使用するマシン名。ノードのホスト名を使用する場合は、空欄のままにします。
- rhel_reg_force
-
登録のオプションを強制するには
true
に設定します (例: ノードの再登録時など)。 - rhel_reg_sat_repo
-
Red Hat Satellite 6 Server の管理ツール (
katello-agent
など) が含まれているリポジトリー。リポジトリー名が Satellite Server のバージョンに対応していること、またリポジトリーが Satellite Server と同期されていることを確認します。たとえば、rhel-7-server-satellite-tools-6.2-rpms
は Red Hat Satellite 6.2 に対応します。
アップグレードのパラメーター
- UpdateOnRHELRegistration
-
True
に設定すると、登録が完了した後にオーバークラウドパッケージの更新がトリガーされます。デフォルトではFalse
に設定されます。
HTTP プロキシーのパラメーター
- rhel_reg_http_proxy_host
-
HTTP プロキシーのホスト名。たとえば、
proxy.example.com
。 - rhel_reg_http_proxy_port
-
HTTP プロキシー通信用のポート。たとえば、
8080
。 - rhel_reg_http_proxy_username
- HTTP プロキシーにアクセスするためのユーザー名
- rhel_reg_http_proxy_password
- HTTP プロキシーにアクセスするためのパスワード
プロキシーサーバーを使用する場合には、rhel_reg_http_proxy_host
パラメーターで定義されているホストへのルートが、全オーバークラウドノードにあることを確認してください。このホストへのルートがなければ、subscription-manager
がタイムアウトして、デプロイメントが失敗する原因となります。
デプロイメントコマンド (openstack overcloud deploy
) は、-e
オプションを使用して環境ファイルを追加します。~/templates/rhel-registration/environment-rhel-registration.yaml
と ~/templates/rhel-registration/rhel-registration-resource-registry.yaml
の両方を追加します。以下に例を示します。
$ openstack overcloud deploy --templates [...] -e /home/stack/templates/rhel-registration/environment-rhel-registration.yaml -e /home/stack/templates/rhel-registration/rhel-registration-resource-registry.yaml
登録は、OS::TripleO::NodeExtraConfig
Heat リソースとして設定されます。これは、このリソースを登録のみに使用できることを意味します。詳しくは、「事前設定: 特定のオーバークラウドロールのカスタマイズ」を参照してください。